(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037800
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】撥水性を示す仕上げされた難燃性布地およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 15/227 20060101AFI20240312BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20240312BHJP
D03D 15/513 20210101ALI20240312BHJP
D03D 15/283 20210101ALI20240312BHJP
D04B 1/16 20060101ALI20240312BHJP
D04B 21/16 20060101ALI20240312BHJP
D06M 15/263 20060101ALI20240312BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20240312BHJP
A41D 31/08 20190101ALI20240312BHJP
【FI】
D06M15/227
D06M15/643
D03D15/513
D03D15/283
D04B1/16
D04B21/16
D06M15/263
A41D31/00 502B
A41D31/00 502C
A41D31/00 503F
A41D31/08
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023205872
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2021569421の分割
【原出願日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/852,647
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505451040
【氏名又は名称】サザンミルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Southern Mills,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】トルーズデイル、 スリー レンバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バクシャイー、 モーガン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ、 ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】レイトン、 マイケル アンドリュー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アルキルフルオロポリマーおよびその他のフルオロ系化学物質に代わる安全性を有する、布地の仕上げ剤による撥水性、耐表面摩耗性、および難燃性を有する布地および防護服を提供する。
【解決手段】複数の難燃性繊維を含む複数の紡績糸と、布地に撥水性および耐摩耗性を付与する仕上げ剤であって、(a)炭化水素ポリマーおよびシリコーン系ポリマーからなる群から選択される撥水剤であって、バスに対して5重量%~20重量%(%owb)の量で前記仕上げ剤中に存在する撥水剤と、(b)ポリマー耐摩耗性助剤であって、バスに対して5重量%~20重量%(%owb)の量で前記仕上げ剤中に存在するポリマー耐摩耗性助剤とを含む、仕上げ剤とを含み、前記仕上げ剤は、アルキルフルオロポリマーを含まないか、または1重量%未満のアルキルフルオロポリマーを含み、耐摩耗性を有する撥水性および難燃性布地とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性および難燃性布地であって、
複数の難燃性繊維を含む複数の紡績糸と、
前記布地に撥水性および耐摩耗性を付与する仕上げ剤であって、(a)炭化水素系ポリ
マー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびアクリル系ポリマーからなる
群から選択される撥水剤と、(b)ポリマー耐摩耗性助剤とを含む、仕上げ剤とを含み、
前記布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯さ
れた後において、
ASTM試験方法D3884(2017)(H-18、各輪に500g)に従って試験
した場合、最初の糸切れの前に少なくとも約500サイクルの耐摩耗性と、
NFPA 1971、8.26(2018)によって決定される15.0%以下の吸水
率とを有する、撥水性および難燃性布地。
【請求項2】
前記仕上げ剤が、アルキルフルオロポリマーを実質的に含まない、請求項1に記載の撥
水性および難燃性布地。
【請求項3】
前記撥水剤が、炭化水素系ポリマーを含む、請求項1または2に記載の撥水性および難
燃性布地。
【請求項4】
前記撥水剤が、シリコーン系ポリマーを含む、請求項1または2に記載の撥水性および
難燃性布地。
【請求項5】
前記撥水剤が、ウレタン系ポリマーまたはアクリル系ポリマーを含む、請求項1または
2に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項6】
前記ポリマー耐摩耗性助剤が、アクリルポリマーを含む、請求項1~5のいずれか一項
に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項7】
前記仕上げ剤が、アルコキシル化脂肪族アミンもしくはその誘導体、メラミンホルムア
ルデヒド樹脂、N-メチロールステアラミド、またはそれらの組み合わせのうちの少なく
とも1つをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項8】
前記複数の難燃性繊維の少なくとも一部が、メタ-アラミド繊維、パラ-アラミド繊維
、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、メラミン繊維、ポリイミ
ド繊維、ポリイミドアミド繊維、モダクリル繊維、およびFRレーヨン繊維のうちの少な
くとも1つを含む本質的に難燃性の繊維である、請求項1~7のいずれか一項に記載の撥
水性および難燃性布地。
【請求項9】
前記耐摩耗性が、最初の糸切れの前に少なくとも約700サイクルである、請求項1~
8のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項10】
前記耐摩耗性が、最初の糸切れの前に少なくとも約1000サイクルである、請求項1
~9のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項11】
NFPA 1971、8.26(2018)によって決定される前記吸水率が、12.
0%以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項12】
NFPA 1971、8.26(2018)によって決定される前記吸水率が、10.
0%以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項13】
NFPA 1971、8.26(2018)によって決定される前記吸水率が、5.0
%以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項14】
前記布地が、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯さ
れた後において、NFPA 1971(2018)の燃焼性要件を満たす、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性の布地。
【請求項15】
前記布地が、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯さ
れた後において、NFPA 1951(2013)またはNFPA 1971(2018
)の一方または両方のすべての撥水性要件を満たす、請求項1~14のいずれか一項に記
載の撥水性および難燃性布地。
【請求項16】
前記布地が、NFPA 1971(2018)に従った総熱損失要件を満たす、請求項
1~15のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地。
【請求項17】
前記布地が、平織り、リップストップ、綾織り、朱子織り、または編物布地を含み、前
記布地が、伸縮性または非伸縮性である、請求項1~16のいずれか一項に記載の撥水性
および難燃性布地。
【請求項18】
前記布地が、約8.0osy未満の重量を有する、請求項1~17のいずれか一項に記
載の撥水性および難燃性布地。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の撥水性および難燃性布地を含む、撥水性難燃性
衣服。
【請求項20】
撥水性布地であって、
複数の繊維を含む複数の紡績糸と、
前記布地に撥水性および耐摩耗性を付与する仕上げ剤であって、(a)炭化水素系ポリ
マー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびアクリル系ポリマーからなる
群から選択される撥水剤と、(b)ポリマー耐摩耗性助剤とを含む、仕上げ剤とを含み、
前記布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯さ
れた後において、
ASTM試験方法D3884(2017)(H-18、各輪に500g)に従って試験
した場合、最初の糸切れの前に少なくとも約500サイクルの耐摩耗性と、
NFPA 1971、8.26(2018)によって決定される15.0%以下の吸水
率とを有する、撥水性布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年5月24日に出願された米国仮出願第62/852,647号の
優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、撥水性と、耐表面摩耗性(surface abrasion resis
tance)および/または耐ピリング性を含む他の望ましい特性とを示す、難燃性布地
に関するものである。本開示はまた、撥水性および耐表面摩耗性を付与する布地のための
新規な仕上げ剤(finishes)、および撥水性および耐表面摩耗性を示す、仕上げ
された(finished)難燃性布地を調製するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
消防士、緊急対応要員、捜索救助要員、および兵役に従事する者は、作業中に極度の熱
および/または炎にさらされる可能性がある。防護服は、怪我と戦う一手段として設計お
よび構築されている。一般にターンアウトギア(turnout gear)(つなぎ服
、ズボン、ジャケットを含む)と呼ばれるこれらの防護服は、熱と炎の両方から作業者を
防護するように設計された特別な難燃性材料で構成できる。これらの衣服は通常、着用者
を炎から防護する外側シェル、衣服への水の侵入を防ぐ水分バリア、着用者を極度の熱か
ら断熱する熱バリアなど、いくつかの材料の層を含む。
【0004】
消防士およびその他のファーストレスポンダーなどの緊急要員を含むがこれらに限定さ
れない一部の人は、極度の熱または炎にさらされるだけでなく、水にもさらされる。その
ような場合、難燃性の布地はまた、撥水性も有することが望ましいであろう。したがって
、ターンアウトギアおよびその他の防護服は、1つまたは複数のタイプの難燃性繊維で形
成された織布(woven fabrics)を含むことができ、布地はまた、撥水性を
有することができる。これらの防護布地は高価であるため、布地の耐久性が重要である。
摩耗(abrasion)とは、別の表面に対してこすることによって材料のいずれかの
部分がすり減って除去される(wearing away)ことを指す。難燃性繊維は、
布地が摩耗しても難燃性を維持するが、摩耗した防護布地は、破れたり裂けたりしやすく
なる。摩耗した衣服は、消防士、緊急対応要員、またはその他の人が必要とする防護を提
供しない場合がある。したがって、防護服が摩耗した場合は、その衣服を交換する必要が
ある。耐摩耗性が向上した衣服は、従来の防護服よりも交換頻度が少なくてすむだろう。
布地の耐摩耗性は、ASTM規格D3886およびD3884で説明されている試験手順
など、様々な試験方法および装置で測定できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
布地に特に有用な特性を付与する仕上げ剤で布地を処理することは当技術分野で知られ
ている。例えば、多くの従来技術の仕上げ剤は、アルキルフルオロポリマーを含む撥水仕
上げ剤である。しかしながら、アルキルフルオロポリマーおよびその他のフルオロ系化学
物質は安全ではない可能性があるという現在の認識により、布地に所望の特性を付与する
仕上げ剤の代替の選択肢が必要である。撥水性、耐表面摩耗性、および難燃性であり、業
界の要求によりフッ素を含まない布地および防護服が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、撥水性および難燃性布地、ならびにそれらを製造するための方法が記載
される。本明細書に記載される撥水性および難燃性布地は、複数の難燃性繊維を含む複数
の紡績糸と、布地に撥水性および耐摩耗性を付与する仕上げ剤(finish)とを含む
。仕上げ剤は、(a)炭化水素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー
、およびアクリル系ポリマーからなる群から選択される撥水剤(water repel
lent agent)と、(b)ポリマー耐摩耗性助剤(polymeric abr
asion resistance aid)とを含む。布地は、洗濯前およびAATC
C試験方法135(2018)に従って5回洗濯された後において、ASTM試験方法D
3884(2017)(H-18、各輪(wheel)に500g)に従って試験した場
合、最初の糸切れ(thread break)の前に少なくとも約500サイクルの耐
摩耗性と、NFPA 1971、8.26(2018)によって決定される15.0%以
下の吸水率(water absorption)とを有する。いくつかの例では、仕上
げ剤は、アルキルフルオロポリマーを実質的に含まない。
【0007】
いくつかの例では、ポリマー耐摩耗性助剤は、アクリルポリマーを含む。仕上げ剤は、
アルコキシル化脂肪族アミンもしくはその誘導体、メラミンホルムアルデヒド樹脂、N-
メチロールステアラミド、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをさらに含
むことができる。任意選択で、複数の難燃性繊維の少なくとも一部は、メタ-アラミド繊
維、パラ-アラミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、
メラミン繊維、ポリイミド繊維、ポリイミドアミド繊維、モダクリル繊維、およびFRレ
ーヨン繊維のうちの少なくとも1つを含む本質的に難燃性の繊維であってよい。
【0008】
本明細書に記載の布地の耐摩耗性は、最初の糸切れの前に少なくとも約700サイクル
(例えば、最初の糸切れの前に少なくとも約800サイクル、または最初の糸切れの前に
少なくとも約1000サイクル)とすることができる。任意選択で、NFPA 1971
、8.26(2018)によって決定される吸水率は12.0%以下(例えば、NFPA
1971、8.26(2018)によって決定される10.0%以下または5.0%以
下)であってよい。いくつかの例では、布地は、洗濯前、およびAATCC試験方法13
5(2018)または工業用洗濯規格に従って、各規格に必要な回数の洗濯後、NFPA
1951(2013)、NFPA 1971(2018)、NFPA 1977(20
16)、NFPA 2112(2018)、軍用規格MIL-C-83429B、または
軍用規格GL-PD-07-12のうちの1つまたは複数のすべての燃焼性要件を満たす
。例えば、布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って10回
洗濯した後、NFPA 1951(2013)の垂直燃焼性要件を満たす。任意選択で、
布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って100回洗濯した
後、NFPA 1977(2016)の垂直燃焼性要件を満たし得る。任意選択で、布地
は、洗濯前および100回の工業用洗濯後、NFPA 2112(2018)の垂直燃焼
性要件を満たし得る。任意選択で、布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2
018)に従って5回洗濯された後、NFPA1971(2018)の垂直燃焼性要件を
満たし得る。
【0009】
いくつかの場合、布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従っ
て5回洗濯した後、NFPA 1951(2013)またはNFPA 1971(201
8)の一方または両方のすべての撥水性要件を満たす。任意選択で、布地は、NFPA
1971(2018)に従った総熱損失(total heat loss)(THL)
要件を満たし得る。布地は、平織り(plain weave)、リップストップ(ri
p-stop)、綾織り(twill weave)、朱子織り(sateen wea
ve)、または編物布地を含むことができる。任意選択で、布地は、伸縮性または非伸縮
性であり得る。布地は、約8.0osy未満の重量を有することができる。
【0010】
本明細書に記載の撥水性および難燃性布地を含む撥水性および難燃性衣服も提供される
。
【0011】
また、本明細書には、複数の繊維を含む複数の紡績糸と、布地に撥水性および耐摩耗性
を付与する仕上げ剤とを含む撥水性布地が記載される。仕上げ剤は、(a)炭化水素系ポ
リマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびアクリル系ポリマーからな
る群から選択される撥水剤と、(b)ポリマー耐摩耗性助剤とを含む。布地は、洗濯前お
よびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯された後において、AST
M試験方法D3884(2017)(H-18、各輪に500g)に従って試験した場合
、最初の糸切れの前に少なくとも約500サイクルの耐摩耗性と、NFPA 1971、
8.26(2018)によって決定される15.0%以下の吸水率とを有する。
【0012】
本明細書に記載の布地および衣服に関連するさらなるシステム、方法、プロセス、装置
、構成、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することにより、当業者に明
らかであるか、または明らかになるであろう。そのようなすべての追加のシステム、方法
、プロセス、装置、構成、および利点は、本明細書に含まれることが意図されており、本
発明の範囲に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
撥水性、難燃性、および/または耐摩耗性を示す布地が、本明細書に記載されている。
布地は、複数の繊維(例えば、難燃性繊維)と、繊維に撥水性および耐摩耗性を付与する
仕上げ剤とを含む。布地は、アルキルフルオロポリマーを含まないか、実質的に含まない
が、驚くべきことに、以下でさらに説明するように、業界で認められた基準に従って試験
した場合、所望の耐摩耗性および吸水性を示す。
【0015】
仕上げ組成物
布地に付与されて仕上げ剤(finish)を形成するときに、布地に撥水性の耐摩耗
性を付与する新規の仕上げ組成物を本明細書に記載する。本明細書に記載の仕上げ組成物
は、炭化水素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびアクリル
系ポリマーからなる群から選択される撥水剤を含む。仕上げ組成物はまた、ポリマー耐摩
耗性助剤を含む。
【0016】
好適な撥水剤の例には、Altopel F3およびAltopel M-213-S
P(Bolger&O’Hearnから入手可能)、Ruco Dry ECO Plu
s(Rudolph Groupから入手可能なカチオン性超分岐および線状ポリマー)
、Repellan HY-N(Pulcra Chemicalsから市販されている
パラフィンとメラミンのカチオン性混合物)、Evo Protect DTE(DyS
tarから入手可能な第四級アンモニウム化合物パラフィン分散液)、およびFibro
pel NF-22(FibroChem LLCから市販されている炭化水素)などの
炭化水素系ポリマー;Wacker CT 303(Wacker Silicones
から入手可能)、Dowsil Z-6689(Dow Consumer Group
およびHiTech Groupから入手可能)、Barpel FF(Apollo
Chemicalから入手可能)、およびNEOSEED NR-8000(NICCA
USAから市販されている)などのシリコーン系ポリマー;Zelan R-3(Hu
ntsman Chemicalから市販されているアルキルウレタン)およびRuco
Pur SLR(Rudolph Groupから市販されているカチオン性ポリウレタ
ン)などのウレタン系ポリマー;およびPhobotex RSY(Huntsman
Chemicalから市販されているアクリルコポリマーおよびパラフィンワックス分散
液)などのアクリル系ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。任意選択で、撥水
剤として使用するためのウレタンポリマーは、比較的高い伸び値(例えば、300%以上
、例えば500%以上)を有することができる。
【0017】
本明細書で使用するための他の好適な撥水剤には、各々がArchroma FFRか
ら市販されているSmartRepel製品(例えば、SmartRepel Hydr
o PMおよびSmartRepel Hydro AM)およびArkophob F
FR;Pulcra Chemicalsから市販されている他のRepellan製品
(例えば、Repellan V5);NICCA USAから市販されているアクリル
であるNEOSEED NR-7080;およびNonax製品(Pulcra Che
micalsから市販されている)などの他の非フッ素系撥水剤が含まれる。
【0018】
撥水剤は、バスに対して(on bath)5重量%~20重量%(%owb)(本明
細書で使用される場合、仕上げ組成物バスの重量に対する(by weight of
the finished composition bath))の量で仕上げ組成物
に含まれ得る。いくつかの例では、仕上げ組成物は、約6%~約18%、約8%~約17
%、または約9%~約15%owbの量の撥水剤を含むことができる。例えば、仕上げ組
成物は、約5%owb、6%owb、7%owb、8%owb、9%owb、10%ow
b、11%owb、12%owb、13%owb、14%owb、15%owb、16%
owb、17%owb、18%owb、19%owb、または20%owbの量の撥水剤
を含むことができる。
【0019】
本明細書に記載の仕上げ組成物はまた、ポリマー耐摩耗性助剤を含む。ポリマー耐摩耗
性助剤は、例えば、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、またはこれらの組み合わせと
することができる。任意選択で、ポリマー耐摩耗性助剤として使用するためのウレタンポ
リマーは、比較的低い伸び値(例えば、250%以下)を有することができる。
【0020】
好適なポリマー耐摩耗性助剤の例には、Eccorez FRU-33(Organi
c Dyes&Pigment LLCから入手可能な疎水性ウレタンポリマー)および
Dicrylan PSF(Huntsman Chemicalから入手可能な架橋性
(cross-linking)ポリウレタン)などのウレタン系ポリマー;およびFD
P-61063(Omnova Solutionsから入手可能な、Tgが+25℃の
自己架橋性(self cross-linking)アクリルコポリマー)およびDi
crylan TA-GP(Huntsman Chemicalから入手可能な、Tg
が-14℃の自己架橋性エチルアクリレートポリマー)などのアクリルポリマーが含まれ
るが、これらに限定されない。
【0021】
ポリマー耐摩耗性助剤は、バスに対して5重量%~20重量%(%owb)(本明細書
で使用される場合、仕上げ組成物バスの重量に対する)の量で仕上げ組成物に含まれ得る
。いくつかの例では、仕上げ組成物は、約6%~約18%、約8%~約17%、または約
9%~約15%owbの量の撥水剤を含むことができる。例えば、仕上げ組成物は、約5
%owb、6%owb、7%owb、8%owb、9%owb、10%owb、11%o
wb、12%owb、13%owb、14%owb、15%owb、16%owb、17
%owb、18%owb、19%owb、または20%owbの量のポリマー耐摩耗性助
剤を含むことができる。
【0022】
仕上げ組成物はまた、以下の追加の成分:ポリマー増量剤(polymer exte
nders)および他の架橋剤、シリコーン軟化剤(softeners)、pH調整剤
、ポリエチレン、湿潤剤、錯化剤、縫製/摩耗ポリマー助剤、アルコキシル化脂肪族アミ
ンもしくはその誘導体、メラミンホルムアルデヒド樹脂、N-メチロールステアラミド、
および/または難燃性添加剤のうちの1つ以上を含むことができる。好適なポリマー増量
剤および架橋剤には、Phobol Extender XAN(Huntsmanから
入手可能なブロック化イソシアネート架橋剤)、Evo Protect XL(DyS
tarから入手可能な修飾ポリイソシアネート架橋剤)、NK ASSIST FU(N
ICCA USAから入手可能な芳香族ブロック化イソシアネート架橋剤)、およびRu
coLink XCR(Rudolph Groupから入手可能)が含まれるが、これ
らに限定されない。好適なシリコーン軟化剤には、Ultratex SI(Hunts
manから入手可能)が含まれるが、これに限定されない。好適なpH調整剤には、酢酸
などの酸が含まれるが、これらに限定されない。好適なポリエチレンには、中密度および
高密度のポリエチレンが含まれるが、これらに限定されない。好適な湿潤剤には、Rid
gewet NRW(以前はGenwet NRWと呼ばれ、Blue Ridge P
roductsから入手可能)およびInvadine PBN(Huntsmanから
入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。好適な錯化剤には、PulcraCh
emicalsから入手可能なホスホン酸錯化剤であるSecuron 540が含まれ
る。好適な縫製/摩耗ポリマー助剤には、Aquasoft 706(Apollo C
hemicals、Ware Shoals、SCから入手可能)などの中密度から高密
度のポリエチレンエマルジョンが含まれるが、これらに限定されない。好適なアルコキシ
ル化脂肪族アミンまたはその誘導体には、Cartafix U(仕上げ剤の移動を抑制
し、パッドロールの蓄積を最小限に抑えるように設計された、Clariantから入手
可能なアルコキシル化脂肪族アミン誘導体生成物)が含まれるが、これらに限定されない
。好適なメラミンホルムアルデヒド樹脂には、Aerotex M3(Cytec In
dustriesによって製造され、ノースカロライナ州シャーロットのDystar
L.P.から入手可能)およびEccoresin M300(Organic Dye
s&Pigment LLCから入手可能)が含まれるが、これに限定されない。好適な
N-メチロールステアラミドには、Aurapel 330(StarChemical
sから入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。好適な難燃性添加剤には、Fl
ovan CGN01(リンおよび窒素含有難燃性添加剤、Huntsman Inte
rnationalから入手可能)が含まれるが、これに限定されない。
【0023】
1つ以上の追加の成分は、合計で、バスに対して0.01重量%~20重量%(%ow
b)(本明細書で使用される場合、仕上げ組成物バスの重量に対する)の量で仕上げ組成
物に含まれ得る。いくつかの例では、仕上げ組成物は、約1%~約18%、約3%~約1
7%、または約5%~約15%owbの量の撥水剤を含むことができる。例えば、仕上げ
組成物は、約0.01%owb、0.02%owb、0.03%owb、0.04%ow
b、0.05%owb、0.1%owb、0.5%owb、1%owb、2%owb、3
%owb、4%owb、5%owb、6%owb、7%owb、8%owb、9%owb
、10%owb、11%owb、12%owb、13%owb、14%owb、15%o
wb、16%owb、17%owb、18%owb、19%owb、または20%owb
の量のポリマー耐摩耗性助剤を含むことができる。仕上げ組成物の残りの量は、水または
別の水性溶媒を含むことができる。
【0024】
以下でさらに説明するように、本明細書で説明する仕上げ組成物は、付与時に、撥水性
、耐摩耗性、および/または耐ピリング性を含む望ましい特性を繊維、布地、および衣服
に付与する。様々な実施形態によれば、本明細書に記載の仕上げ組成物を使用して調製さ
れた仕上げ剤は、繊維、布地、または衣服の撥水性を改善すると同時に、繊維、布地、ま
たは衣服の耐表面摩耗性および/または耐ピリング性を改善することができる。好ましく
は、仕上げ剤は、布地の難燃性または耐水性を低下させることなく、難燃性および/また
は耐水性布地の撥水性および耐表面摩耗性および/または耐ピリング性を改善することが
できる。いくつかの例では、仕上げ組成物は、洗浄中に発生するフィブリル化の量を減ら
すことによって、本明細書に記載の布地(例えば、パラ-アラミドを含む布地)の洗濯後
の外観を改善することができる。布地への仕上げ剤の付与は、処理された布地の所望の物
理的特性、布地の組成、および布地に選択された繊維または本体糸(body yarn
s)の種類に応じて異なり得る。
【0025】
あるいはまた、本明細書に記載される仕上げ組成物は、その仕上げ組成物が布地に付与
される別の仕上げ組成物に添加される場合、撥水性、耐摩耗性、および/または耐ピリン
グ性を布地に付与することができる。例えば、本明細書に記載される仕上げ組成物は、水
分管理仕上げ、耐久性のあるプレス仕上げ、または抗菌仕上げなどであるがこれらに限定
されない既知の仕上げ組成物に追加することができる。仕上げ剤の組み合わせは、使用さ
れる仕上げ剤に応じて、撥水性、耐摩耗性、および/または耐ピリング性を含む様々な有
利な特性を付与する。
【0026】
仕上げ組成物は、アルキルフルオロポリマーを含まない(free from)か、ま
たは実質的に含まない(substantially free from)。本明細書
で使用される場合、示された成分を「実質的に含まない」(例えば、アルキルフルオロポ
リマーを実質的に含まない)という用語は、仕上げ組成物が、仕上げ組成物の重量を基準
にして、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.00
01%未満の成分(例えば、アルキルフルオロポリマー)を含み得ることを意味する。
【0027】
本明細書に記載される例示的な仕上げ組成物は、撥水剤としてのアルキルウレタンポリ
マー、アクリルポリマー、架橋性ポリウレタン、湿潤剤、ブロック化イソシアネート架橋
剤、およびシリコーン軟化剤の組み合わせを含むことができる。
【0028】
いくつかの例では、本明細書に記載される例示的な仕上げ組成物は、撥水剤としての炭
化水素系ポリマー、アクリルポリマー、架橋性ポリウレタン、湿潤剤、ブロック化イソシ
アネート架橋剤、およびシリコーン軟化剤の組み合わせを含むことができる。
【0029】
他の例では、本明細書に記載される例示的な仕上げ組成物は、撥水剤としてのカチオン
性超分岐および線状アルキルポリマー、アクリルポリマー、架橋性ポリウレタン、湿潤剤
、ブロック化イソシアネート架橋剤、およびシリコーン軟化剤の組み合わせを含むことが
できる。
【0030】
他の例では、本明細書に記載される例示的な仕上げ組成物は、非フッ素撥水剤、アクリ
ルポリマー、湿潤剤、およびシリコーン軟化剤の組み合わせを含むことができる。
【0031】
さらに他の例では、本明細書に記載される例示的な仕上げ組成物は、湿潤剤、アクリル
ポリマー、アクリルコポリマーおよびパラフィンワックス分散液を含む撥水剤、およびブ
ロック化イソシアネート架橋剤を含むことができる。
【0032】
仕上げ組成物は、任意選択で、酢酸などのpH調整剤を含むことができる。
【0033】
布地
また、本明細書には、上記の仕上げ組成物を付与するための布地も記載されている。布
地は、難燃性布地とすることができる。例えば、布地は、複数の繊維(例えば、難燃性繊
維)を含む複数の紡績糸を含むことができる。仕上げ付与前の布地は、本明細書では未処
理の布地(例えば、未処理の難燃性布地)とも呼ばれる。一実施形態では、本明細書に記
載される場合の未処理の布地は、アラミド繊維(例えば、メタ-アラミド繊維およびパラ
-アラミド繊維)、ポリベンズイミダゾール(PBI)繊維、ポリベンゾオキサゾール(
PBO)繊維、メラミン繊維、ポリイミド繊維、ポリイミドアミド繊維、モダクリル繊維
、FRレーヨン繊維、およびそれらの組み合わせなどの複数の難燃性繊維から形成される
。
【0034】
本明細書で単独でまたは他の繊維と組み合わせて使用するのに適した特定の市販の繊維
には、KEVLAR(登録商標)(パラ-アラミド)、NOMEX(登録商標)(メタ-
アラミド)、TWARON(登録商標)(パラ-アラミド)、TECHNORA(登録商
標)(芳香族コポリアミド)、およびZYLON(登録商標)(ポリベンゾオキサゾール
)が含まれる。他の好適な布地には、そのような繊維を好適な難燃剤で処理することによ
って難燃性にされた非本質的に(non-inherently)難燃性の繊維を含む布
地が含まれる。このような繊維には、ナイロン、セルロース繊維(例えば、レーヨン、綿
、アセテート、トリアセテート、リヨセル)、およびそれらの組み合わせが含まれるが、
これらに限定されない。好適な布地は、平織りの布地、またはリップストップ、綾織り、
朱子織り、または編物などであるがこれらに限定されない別の構成を有する布地とするこ
とができ、これらの構成は、伸縮性または非伸縮性とすることができる。難燃性布地は、
耐水性をさらに有することができる、および/または本明細書に記載の仕上げ組成物とは
別の耐水性仕上げで処理して、布地から構成された衣服が使用され得る外部環境からの吸
水を防止または低減することができる。任意選択で、布地は、フィラメント糸(fila
ment yarns)および/または長尺ステープル糸(long staple y
arns)を含むことができる。
【0035】
上記のように、いくつかの実施形態では、布地は難燃性布地である。布地は、好ましく
は、仕上げ組成物が付与された後にも残る難燃性を有する。布地は、これもまた仕上げ組
成物が付与された後にも残る撥水性をさらに有することができる。布地は、NFPA 1
951、NFPA 1971、NFPA 1977、NFPA 2112、NFPA 7
0E、および軍用規格MIL-C-83429BおよびGL-PD-07-12のうちの
1つ以上の、該当する場合、すべての難燃性および/または撥水性の要件を満たすことを
意図している。例えば、NFPA 1971によると、消防士用の外側シェルの布地は、
ASTM D6413に従って試験した場合、火炎にさらされた後、4.0インチ以下の
炭化長(char length)を示す必要があり、布地は2.0秒間未満の残炎時間
(afterflame)を示す必要がある。
【0036】
仕上げされた布地を調製する方法
未処理の布地は、本明細書に記載される仕上げ組成物で処理して、その結果、撥水性お
よび難燃性布地を得ることができる。様々な方法論および関連する装置を使用して、未処
理の布地に仕上げ剤を付与することができる。これらの方法論には、噴霧塗布、パディン
グ、ロールコーティング、フォーム仕上げ剤の付与、およびそれらの組み合わせが含まれ
るが、これらに限定されない。
【0037】
いくつかの実施形態では、仕上げ剤の1つまたは複数の成分が影響を受けるまで、未処
理の布地、仕上げ剤、またはその両方に経時的に熱および/または圧力を加えることによ
って仕上げ剤を硬化させることができる。そのような場合、硬化は、特定の仕上げ成分を
活性化し、布地との架橋を作成する、またはさもなければ未処理の布地および/または仕
上げ剤に存在し得る過剰な水分を除去しながら、仕上げ剤を未処理の防護布地に実質的に
接着することができる。限定ではないが例として、好適な硬化プロセスは、最初に処理さ
れた布地に熱を加え、約300~約400°Fの間で約1~5分間仕上げるオーブン乾燥
プロセスとすることができる。
【0038】
他の実施形態では、仕上げプロセスを使用して、繊維、糸、布地、または衣服に仕上げ
剤を付与することができる。以下のプロセスは例として説明されており、他のプロセスの
実施形態は、より少ないまたはより多い数のステップを有することができ、代替の順序で
実施することができる。複数の難燃性繊維を含む未処理の布地が、処理を受ける。この時
点で、未処理の布地は、実質的に未処理とすることができるか、または難燃性、耐水性、
または他の組成を有するように処理されていることができるが、本明細書に記載の方法に
従って処理された場合の布地と区別するために、本明細書では「未処理」と呼ばれる。上
記の仕上げ組成物が未処理の布地に付与される。仕上げ剤は、熱、圧力、または時間のう
ちの少なくとも1つを制御することによって硬化される。このプロセスで処理された布地
は、撥水性と、耐表面摩耗および/または耐ピリング性が向上している。
【0039】
仕上げされた布地の特性
得られた仕上げされた布地は、未処理の布地(すなわち、本明細書に記載の仕上げ剤で
あって、少なくとも上記の薬剤およびポリマー耐摩耗性助剤を含む仕上げ剤で処理されて
いない布地)と比較して、改善された吸水性および改善された耐表面摩耗性および/また
は耐ピリング性を示す。仕上げされた、または処理された布地は、洗濯前およびAATC
C試験方法135(2018)に従って5回洗濯された後、ASTM試験方法D3884
(2017)(H-18、各輪に500g)に従って試験された場合に最初の糸切れ前に
少なくとも約500サイクルの耐摩耗性、NFPA 1971、8.26(2018)に
よって決定される15.0%以下の吸水率、およびその他の特性を有する。例えば、本明
細書に記載の仕上げされた布地は、NFPA 1971(2018)に従った総熱損失(
THL)要件を満たす。また、布地の重量は、約8.0osy未満(例えば、7.9os
y以下、7.8osy以下、7.7osy以下、7.6osy以下、7.5osy以下、
7.4osy以下、7.3osy以下、7.2osy以下、7.1osy以下、7.0o
sy以下、6.9osy以下、6.8osy以下、6.7osy以下、6.6osy以下
、6.5osy以下、6.4osy以下、6.3osy以下、6.2osy以下、6.1
osy以下、または6.0osy以下)である。仕上げされた布地によって示される他の
有利な特性を以下にさらに説明する。
【0040】
燃焼性および難燃性
本明細書に記載の仕上げされた布地の燃焼性は、繊維製品の難燃性に関するASTM
D6413標準試験方法(垂直試験)(ASTM D6413 Standard Test Method for Flame Re
sistance of Textiles (Vertical Test))に従って試験することができる。本明細書に記
載の仕上げされた布地は、洗濯前に、経糸方向(warp direction)に0.
8インチ以下(例えば、0.75インチ以下、0.70インチ以下、0.65インチ以下
、0.60インチ以下、または0.55インチ以下)および緯糸方向(fill dir
ection)に0.9インチ(例えば、0.85インチ以下、0.80インチ以下、0
.75インチ以下、0.70インチ以下、0.65インチ以下、0.60インチ以下、ま
たは0.55インチ以下)の炭化長を示すことができる。本明細書に記載の仕上げされた
布地はまた、洗濯前および5回の洗濯後の両方で35秒間以下の残光(afterglo
w)を示すことができる。また、本明細書に記載の仕上げされた布地は、ASTM D6
413に従って試験された場合、2.0秒間未満(例えば、1.9秒間以下、1.8秒間
以下、1.7秒間以下、1.6秒間以下、1.5秒間または1.4秒間以下、1.3秒間
以下、1.2秒間以下、1.1秒間以下、1.0秒間以下、0.9秒間以下、0.8秒間
以下、0.7秒間以下、0.6秒間以下、0.5秒間以下0.4秒間以下、0.3秒間以
下、0.2秒間以下、0.1秒間以下、または0.0秒間)の残炎時間を示すことができ
る。
【0041】
いくつかの例では、仕上げされた布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2
018)または工業用洗濯規格に従って各規格に必要な回数の洗濯後に、NFPA195
1(2013)、NFPA 1971(2018)、NFPA 1977(2016)、
NFPA 2112(2018)、軍用規格MIL-C-83429B、または軍用規格
GL-PD-07-12のうちの1つ以上のすべての燃焼性要件を満たす。例えば、布地
は、洗濯前とAATCC試験方法135(2018)に従って10回洗濯した後、NFP
A 1951(2013)の垂直燃焼性要件を満たす。任意選択で、布地は、洗濯前およ
びAATCC試験方法135(2018)に従って100回洗濯した後、NFPA 19
77(2016)の垂直燃焼性要件を満たし得る。任意選択で、布地は、洗濯前および1
00回の工業用洗濯後、NFPA 2112(2018)の垂直燃焼性要件を満たし得る
。任意選択で、布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5
回洗濯した後、NFPA 1971(2018)の垂直燃焼性要件を満たし得る。
【0042】
撥水性
本明細書に記載の仕上げされた布地の撥水性は、AATCC試験方法22の撥水性:噴
霧試験(AATCC Test Method 22 Water Repellency: Spray Test)およびNFPA 19
71、8.26の耐吸水性試験(NFPA 1971, 8.26 Water Absorption Resistance Test)
に従って決定することができる。いくつかの例では、本明細書に記載の仕上げされた布地
は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯された後、少
なくとも約70の水噴霧評点(water spray rating)を有する。いく
つかの例では、本明細書に記載の仕上げ処理された布地は、洗濯前に100の水噴霧評点
を有することができる。
【0043】
上記のように、仕上げされたまたは処理された布地は、洗濯前およびAATCC試験方
法135(2018)に従って5回洗濯した後、NFPA 1971、8.26(201
8)によって決定される15.0%以下の吸水率を有する。例えば、吸水率は、洗濯前お
よび上で詳述したように5回洗濯した後、14.5%以下、14.0%以下、13.5%
以下、13.0%以下、12.5%以下、12.0%以下、11.5%以下、11.0%
以下、10.5%以下、10.0%以下、9.5%以下、9.0%以下、8.5%以下、
8.0%以下、7.5%以下、7.0%以下、6.5%以下、6.0%以下、5.5%以
下、5.0%以下、4.5%以下、4.0%以下、3.5%以下、3.0%以下、2.5
%以下、2.0%以下、1.5%以下、または1.0%以下とすることができる。
【0044】
いくつかの例では、仕上げされた布地は、洗濯前およびAATCC試験方法135(2
018)に従って5回洗濯した後、NFPA 1951(2013)またはNFPA 1
971(2018)の一方または両方の撥水性要件のすべてを満たす。いくつかの例では
、仕上げされた布地は、AATCC試験方法135(2018)に従って10回洗濯され
た後も、前述の撥水性要件を満たし続けている。
【0045】
耐摩耗性および/または耐ピリング性
本明細書に記載の仕上げされた布地の耐摩耗特性は、H-18輪および各輪に500g
の荷重を使用して、ASTM D3884の繊維布の耐摩耗性に関する標準試験方法(ロ
ータリープラットフォーム、ダブルヘッド法)(ASTM D3884 Standard Test Method for
Abrasion Resistance of Textile Fabrics (Rotary Platform, Double-Head Method))に
従って決定できる。上記のように、仕上げされたまたは処理された布地は、洗濯前および
AATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯した後、ASTM試験方法D3
884(2017)(H-18、各輪で500g)に従って試験した場合、最初の糸切れ
の前に少なくとも約500サイクルの耐摩耗性を有し、これは、布地が最初の糸切れの前
に少なくとも500サイクルに耐えることを意味する。例えば、仕上げされた布地の耐摩
耗性は、最初の糸切れの前に、少なくとも約550サイクル、少なくとも約600サイク
ル、少なくとも約650サイクル、少なくとも約700サイクル、少なくとも約750サ
イクル、少なくとも約800サイクル、少なくとも約850サイクル、少なくとも約90
0サイクル、少なくとも約950サイクル、少なくとも約1000サイクル、少なくとも
約1050サイクル、少なくとも約1100サイクル、少なくとも約1200サイクル、
少なくとも約1300サイクル、少なくとも約1400サイクル、少なくとも約1500
サイクル、少なくとも約1600サイクル、少なくとも約1700サイクル、少なくとも
約1800サイクル、少なくとも約1900サイクル、少なくとも約2000サイクル、
少なくとも約2100サイクル、少なくとも約2200サイクル、少なくとも約2300
サイクル、少なくとも約2400サイクル、または少なくとも約2500サイクルとする
ことができる。
【0046】
追加的または代替的に、本明細書に記載の仕上げされた布地は、繊維布の耐ピリング性
および他の関連する表面変化のためのASTM D3512の標準試験方法:ランダムタ
ンブルピリングテスター(ASTM D3512 Standard Test Method for Pilling Resistance a
nd Other Related Surface Changes of Textile Fabrics: Random Tumble Pilling Teste
r)に従って、60分後に少なくとも4のピリング性能の評点(pilling per
formance rating)および90分後に少なくとも3の評点を有することが
できる。より好ましくは、仕上げされた布地は、90分後に少なくとも4の評点、そして
120分後に少なくとも3の評点を有することができる。
【0047】
衣服
また、本明細書に記載される仕上げ組成物で処理された布地から作られた衣服も本明細
書に記載されている。上記のように、仕上げ組成物は、布地の撥水性および耐表面摩耗性
および/または耐ピリング性を改善する。したがって、本明細書に記載されるように仕上
げされたまたは処理された布地から調製された衣服もまた、未処理の衣服と比較して、改
善された撥水性および耐表面摩耗性および/または耐ピリング性を示す。衣服もまた難燃
性を示し、これは仕上げ組成物が付与された後も残る。
【0048】
好ましくは、本発明の防護服の外面の繊維の大部分は、メタ-アラミド、パラ-アラミ
ド、難燃性セルロース材料(例えば、難燃性綿、レーヨン、またはアセテート)、ポリベ
ンゾオキサゾール(PBO)、またはポリベンズイミダゾール(PBI)などの難燃性材
料で構成される。
【0049】
図1は、本明細書に記載の布地が特に適している防護服100の一例を示している。衣
服100は、消防士のターンアウトコート(turnout coat)(
図1に示され
る)、または本明細書に記載されるように、難燃性、撥水性、および耐表面摩耗性および
/または耐ピリング性である任意の他の衣服または衣服層とすることができる。ターンア
ウトコートが一例として使用され、本明細書で明示的に論じられているが、コートは、例
示の目的のためにのみ特定されている。したがって、本開示は、消防士のターンアウトコ
ートに限定されず、代わりに、消防士、救助隊員、軍隊、電気技師、石油化学工場作業員
、または熱防護または別のタイプの防護を提供するために他の人が着用できる実質的にす
べての衣服に関係する。そのような衣服には、シャツ、ズボン、ジャケット、カバーオー
ル、ベスト、Tシャツ、下着、手袋、手袋用ライナー、帽子、ヘルメット、ブーツなどが
含まれるが、これらに限定されない。本開示は、衣服に限定されず、それらの用途に関係
なく、難燃性、撥水性、および耐ピリング性および/または耐表面摩耗性の布地の他の用
途を含むことができる。
【0050】
図1に示される衣服100は、衣服100の外面を形成する外側シェル102と、衣服
の中間層を形成するバリア層104と、衣服100の内面を形成するサーマルライナー1
06とを含む。一般的な参考として、外面または外側シェル102は、使用者または着用
者が活動している環境に直接さらすことができ、サーマルライナー106の内面は、使用
者または着用者に接触するか、または使用者または着用者が着用している可能性のある衣
服に接触する表面である。いくつかの例では、衣服100を形成する層102、104、
または106のいくつかまたはすべては、本明細書に記載の難燃性、撥水性、および耐ピ
リング性および/または耐表面摩耗性の布地を含むことができる。
【0051】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するのに役立つが、本発明を制限するものではな
い。それどころか、本明細書の説明を読んだ後、本発明の趣旨から逸脱することなく当業
者にそれ自体を示唆し得る様々な実施形態、修正、およびその均等物を当てにすることが
できることを明確に理解すべきである。
【実施例0052】
以下の実施例では、以下でさらに詳しく説明するように、NPFA 1971の吸水率
、耐摩耗性、および、炭化長および/または残炎(afterflame)試験を使用し
た垂直燃焼性について、仕上げされた布地サンプルを試験するために以下の方法を使用し
た。
【0053】
耐吸水性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、NFPA 1971の構
造的消火および近接消火のための防護アンサンブル、8.26 耐吸水性試験(NFPA 197
1 Protective Ensembles for Structural Fire Fighting and Proximity Fire Fighting,
8.26 Water Absorption Resistance Test)に従って測定された。
【0054】
耐摩耗性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、H-18輪および各々の
輪に500gの荷重を使用した、ASTM D3884、繊維布の耐摩耗性に関する標準
試験方法(ロータリープラットフォーム、ダブルヘッド法)(ASTM D3884, Standard Tes
t Method for Abrasion Resistance of Textile Fabrics (Rotary Platform Double-Head
Method))に従って測定された。
【0055】
垂直燃焼性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、繊維の難燃性に関する
ASTM D6413標準試験方法(垂直試験)(ASTM D6413 Standard Test Method fo
r Flame Resistance of Textiles (Vertical Test))に従って測定された。
【0056】
布地サンプルは、洗浄前(BW)、5回の洗濯後(5x)、または10回の洗濯後(1
0x)のいずれかで試験された。すべての洗濯は、AATCC試験方法135の家庭用洗
濯後の布地の寸法変化(AATCC Test Method 135 Dimensional Changes of Fabrics after
Home Laundering)に従っていた。具体的には、試験片は機械サイクル1:通常/綿の頑
丈な(sturdy)サイクル;洗濯温度V:60±3℃(140±5oF);洗濯機の
条件:水位18±1ガロン、攪拌機速度179±2spm、洗浄時間12分、回転速度6
45±15rpm、最終回転時間6分の通常サイクル;および乾燥機の設定条件:高い排
気温度(66±5℃、150±10oF)および10分の冷却時間での綿/頑丈なサイク
ルに従って洗浄と乾燥にかけられる。
【0057】
本明細書で参照されている難燃性の規格は、NFPA 1951、技術的救助事故の防
護アンサンブルに関する規格(NFPA 1951, Standard on Protective Ensembles for Tech
nical Rescue Incidents)、NFPA 1971 構造的消火および近接消火のための防
護アンサンブルに関する規格(NFPA 1971 Standard on Protective Ensembles for Struc
tural Fire Fighting and Proximity Fire Fighting)、NFPA 1977 荒野消防
用防護服および装備に関する規格(NFPA 1977 Standard on Protective Clothing and Eq
uipment for Wildlands Fire Fighting)、NFPA 2112、フラッシュ火災から産
業従事者を防護するための難燃性衣服に関する規格(NFPA 2112, Standard on Flame-Res
istant Garments for Protection of Industrial Personnel Against Flash Fire)、N
FPA 70E 従業員の職場の電気安全要件に関する規格(NFPA 70E Standard for El
ectrical Safety Requirements for Employee Workplaces)、および軍用規格MIL-C
-83429BおよびGL-PD-07-12であり、これらの開示は参照により本明細
書に組み込まれる。
【0058】
実施例1
例示的な仕上げ組成物が、表1~6に従って調製された。仕上げ組成物は、パイオニア
カーキ(PIONEER KHAAKI)布地サンプル(60/40 パラ-アラミド/
メタ-アラミド綾織り(twill))に付与された。仕上げ組成物は、ディップ仕上げ
パッド塗布(dip finish pad application)(5bar/3
m/分)を使用して布地サンプルに付与された。次に、布地を260°Fで3分間予備乾
燥し、その後、Mathis Labdryerワンゾーン電気ラボテンターで310°
F~338°Fの範囲の温度で1~2分間硬化させて、仕上げされた布地サンプルを提供
した。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
実験
仕上げされた布地サンプルは、以下にさらに詳述されるように、炭化長の試験を使用し
た垂直燃焼性、耐摩耗性、およびNPFA 1971の吸水率について試験された。すべ
ての試験は、仕上げされた布地サンプルに対して洗濯が行われる前に実施された。
【0066】
布地の耐水性は、NFPA 1971、8.26を使用して決定された。NFPA 1
971、8.26によると、試験片は、刺繍フープ(embroidery hoop)
に取り付けられ、一定量の水が試験片に噴霧される。吸い取り紙を使用して余分な水分を
取り除き、サンプルから4インチ×4インチの正方形を切り取る。湿ったサンプルを秤量
し、乾燥させ、再度秤量する。パーセント吸水率(PWA)は、湿重量と乾重量の差に基
づいて決定される。この試験の結果を下記の表7に示す。
【0067】
各々の布地サンプルは、H-18輪と、各々の輪に500gの荷重とを使用して、AS
TMD3884に従った標準のテーバー(Tabor)摩耗試験にかけられた。この方法
によれば、試験片は、圧力および摩耗作用の制御された条件下で回転摩擦作用を使用して
摩耗される。プラットフォーム上に取り付けられた試験片は、2つの摩耗輪(abrad
ing wheel)のスライド回転に抗して垂直軸上で回転する。一方の摩耗輪は、試
験片を周辺に向かって外方にこすり、もう一方は中心に向かって内方にこする。結果とし
て得られる摩耗痕は、約30cm2の領域にわたって交差した弧のパターンを形成する。
【0068】
各々の布地サンプルは250サイクルにさらされ、次に糸切れがないか検査された。糸
切れが観察されなかった場合、布地サンプルはさらに250サイクルにさらされ、再度検
査された。このプロセスは、各々の布地サンプルに対して、そのサンプルで糸切れが観察
されるまで継続した。耐摩耗性試験の結果を以下の表7に示す。
【0069】
布地の難燃性は、ASTM D6413に従って試験された。この方法によれば、布地
は垂直に吊るされ、直火にさらされる。炭化長と残光が、各々の布地に対して決定される
。各々の布地の炭化長は、経糸方向(w)と緯糸方向(f)で決定された。ここに記載さ
れる布地に対してのこの試験の結果は、以下の表7に示されている。
【0070】
【0071】
これらの結果に基づけば、表7に示されている仕上げ組成物の多くは、布地の撥水性に
影響を与えず、処理された布地は、NFPA1971の耐水性の要件を満たす。いくつか
の場合、ここに記載の仕上げ組成物は、布地サンプルに顕著な撥水性を付与した(例えば
、サンプルY、サンプルB1、サンプルC1、サンプルD1、およびサンプルE1を参照
)。それらのサンプルは、NFPA 1971の要件で許容されている最大値の15%よ
りもはるかに低い吸水率の値を示した。
【0072】
表7に示されている試験された布地サンプルは、未処理の布地サンプルよりも糸切れす
る前により多くのサイクルを耐えた。仕上げされた布地サンプルの大部分は、最初の糸切
れおよび/または不具合(failure)の前に少なくとも500サイクル耐えた。こ
れらのデータは、ここに記載の仕上げ組成物が布地サンプルに耐摩耗性を効果的に付与す
ることを示している。
【0073】
また、表7のデータは、本発明に係る仕上げ組成物が布地の難燃性に悪影響を及ぼさな
いことを示している。
【0074】
実施例2
例示的な仕上げ組成物が、表8に従って調製された。仕上げ組成物は、パイオニアカー
キ布地サンプル(60/40 パラ-アラミド/メタ-アラミド綾織り)に付与された。
仕上げ組成物は、ディップ仕上げパッド塗布(5bar/3m/分)を使用して布地サン
プルに付与された。次に、布地を260°Fで3分間予備乾燥し、その後、Mathis
Labdryerワンゾーン電気ラボテンターで300°F~338°Fの範囲の温度
で1~2分間硬化させて、仕上げされた布地サンプルを提供した。
【0075】
【0076】
仕上げされた布地サンプルは、実施例1に記載された実験手順に従って、炭化長試験を
使用した垂直燃焼性、耐摩耗性、およびNPFA 1971の吸水率について試験された
。すべての試験は、仕上げされた布地サンプルに対して洗濯が行われる前に実施された。
データを表9に示す。
【0077】
【0078】
これらの結果に基づけば、ここに記載の仕上げ組成物は、布地サンプルに顕著な撥水性
を付与した。得られたサンプルF1、G1、H1、およびI1は、NFPA 1971の
要件で許容されている最大値の15%よりもはるかに低い吸水率を示した。さらに、ここ
に記載の仕上げ組成物は、布地の難燃性に悪影響を及ぼさない。
【0079】
実施例3
例示的な仕上げ組成物が、表10に従って調製された。仕上げ組成物は、2つの異なる
布地に付与された。布地は両方とも、リングスパン糸を含む織布防護布地である。布地1
は、パイオニアエアロ(PIONEER AIRO)布地で、60%のT-970ケブラ
ー(Kevlar)と40%のN303 タンノーメックス(Tan Nomex)であ
る。布地2は、コンバートフレックス(KOMBAT FLEX)布地で、54%のT-
970ケブラーと46%のポリベンズイミダゾール(PBI)である。布地1と布地2は
、どちらも消防用外側シェル布地である。仕上げ組成物は、40%~65%のWPU(ウ
ェットピックアップ(wet pick-up))でディップ仕上げパッド塗布を使用し
て布地サンプルに付与された。次に、布地を乾燥させ、285°F~330°Fの温度に
ゾーンを設定した60’のオーブンを使用して硬化させた。乾燥および硬化ステップに使
用された速度は、毎分15ヤードであった。
【0080】
【0081】
仕上げされた布地サンプルは、実施例1に記載された実験手順に従って、NPFA 1
971の吸水率、耐摩耗性、および炭化長試験を使用した垂直燃焼性について試験された
。垂直燃焼性試験は、仕上げされた布地サンプルを洗濯する前に実施された。吸水性およ
び耐摩耗性試験は、洗濯前(以下の表11に「BW」として示されている)と、上記のA
ATCC試験方法135に従って5回洗濯した後(5x)の両方で実施された。データを
表11に示す。表面摩耗データは、上記のように、そのサンプルで最初の糸切れが観察さ
れる前のテーバーサイクル(taber cycles)の数を示している。
【0082】
【0083】
これらの結果に基づけば、ここに記載の仕上げ組成物は、布地サンプルに顕著な撥水性
を付与した。撥水性は、洗濯前の仕上げされた布地サンプルで実証され、洗濯後も仕上げ
された布地サンプルに保持されていた。すべてのサンプルは、NFPA 1971の要件
で許容されている最大値の15%よりも低い吸水率の値を示した。
【0084】
表11に示されている試験された布地サンプルは、未処理の布地サンプルよりも糸切れ
する前により多くのサイクルを耐えた。仕上げされた布地サンプルのすべては、最初の糸
切れの前に少なくとも500サイクルを耐えた。これらのデータは、ここに記載の仕上げ
組成物が布地サンプルに耐摩耗性を効果的に付与することを示している。
【0085】
また、ここに記載の仕上げ組成物は、布地の難燃性に悪影響を及ぼさない。
【0086】
実施例4
例示的な仕上げ組成物が、表12に従って調製された。仕上げ組成物は、ディップ仕上
げパッド塗布(5bar/3m/分)を使用して、パイオニアカーキ布地サンプル(60
/40 パラ-アラミド/メタ-アラミド綾織り)に付与された。次に、布地を乾燥させ
、オーブン内で340°Fで3分間硬化させた。乾燥および硬化ステップに使用された回
転速度は1800rpmであった。
【0087】
【0088】
仕上げされた布地サンプルは、実施例1に記載された実験手順に従って、炭化長試験を
使用した垂直燃焼性、耐摩耗性、およびNPFA 1971の吸水率について試験された
。すべての試験は、仕上げされた布地サンプルに対して洗濯が行われる前に実施された。
データを表13に示す。
【0089】
【0090】
得られたサンプルN1、O1、およびP1は、NFPA 1971の要件で許容されて
いる最大値の15%よりも低い吸水率の値を示した。また、ここに記載の仕上げ組成物は
、布地の難燃性に悪影響を及ぼさない。
【0091】
実施例5
例示的な仕上げ組成物25(表5を参照)および仕上げ組成物30(表6を参照)を調
製し、リング紡績糸を含む5つの異なる織布防護布地に付与した。布地3は、GEMIN
I XT Natural布地であり、60%がパラ-アラミドで40%がポリベンズイ
ミダゾールである。布地4は、ADVANCE布地であり、60%がパラ-アラミドで4
0%がメタ-アラミドである。布地5は、パイオニアカーキ布地で、60%のパラ-アラ
ミドと40%のメタ-アラミドの綾織りである。布地6は、アラミドブレンド布地(ar
amid blended fabric)であるAGILITY DARK GOLD
布地である。布地7はコンバートフレックス布地であり、54%のT-970ケブラーと
46%のポリベンズイミダゾール(PBI)である。すべての布地は、TenCate
Protective Fabrics(ジョージア州ユニオンシティ)から市販されて
いる消防用外側シェル布地である。仕上げ組成物は、40%~55%のWPU(ウェット
ピックアップ)でディップ仕上げパッド塗布を使用して布地サンプルに付与された。次に
、布地を乾燥させ、すべてのゾーンを330°Fに設定した60’のオーブンを使用して
硬化させた。乾燥および硬化ステップに使用された速度は、両方の配合物で毎分10ヤー
ドであった。
【0092】
仕上げされた布地サンプルは、実施例1に記載された実験手順に従って、NPFA 1
971の吸水率、耐摩耗性、および炭化長試験を使用した垂直燃焼性について試験された
。仕上げされた布地サンプルは、水噴霧評点を試験することにより、AATCC試験方法
22を使用して撥水性についても試験された。すべての試験は、洗濯前(「BW」と表示
)と、上記のAATCC試験方法135に従って5回洗濯した後(「5x」と表示)また
は10回洗濯した後(「10x」と表示)の両方で実施した。表面摩耗データは、上記の
ように、そのサンプルで最初の糸切れが観察される前のテーバーサイクルの数を示してい
る。布地3、4、5、6、および7の各々に仕上げ組成物25を付与して調製されたサン
プルのデータを表14に示す。
【0093】
【0094】
布地3、4、5、6、および7の各々に仕上げ組成物30を付与して調製されたサンプ
ルのデータを表15に示す。
【0095】
【0096】
対照として、それぞれアルキルフルオロポリマー含有仕上げ剤で処理されたパイオニア
カーキ布地(「対照1」)およびコンバートフレックス布地(「対照2」)を、上記と同
じパラメーターを使用して試験した。アルキルフルオロポリマー含有仕上げ剤には、2.
50g/Lの湿潤剤、2.50g/Lの相溶化剤、2.50g/Lの脱泡剤、60.0g
/Lのウレタン抗ピル(pill)/摩耗助剤、140.0g/Lのアクリル摩耗助剤、
120.0g/LのC6アルキルフルオロポリマーDWR剤、60.0g/Lの架橋剤、
60.0g/Lの高密度ポリエチレン軟化剤、および10.0g/Lの非耐久性難燃剤が
含まれていた。結果を表16に示す。
【0097】
【0098】
これらの結果に基づけば、仕上げ組成物25および30は、様々な布地サンプルに一貫
して顕著な撥水性を付与した。撥水性は、洗濯前の仕上げされた布地サンプルで実証され
、洗濯後も仕上げされた布地サンプルに保持されていた。すべてのサンプルは、NFPA
1971の要件で許容されている最大値の15%よりも低い吸水率の値と、未処理のサ
ンプルと同等またはそれ以上の水噴霧評点を示した。また、ここに記載の仕上げ組成物は
、布地の難燃性に悪影響を及ぼさない。
【0099】
実施例6
例示的な仕上げ組成物が、表17および18に従って調製された。仕上げ組成物は、デ
ィップ仕上げパッド塗布(5bar/3m/分)を使用して、パイオニアカーキ布地サン
プル(60/40 パラ-アラミド/メタ-アラミド綾織り)に付与された。次に、布地
を260°Fで3分間乾燥し、オーブンで330°Fで1分間硬化させた。乾燥および硬
化ステップに使用された回転速度は、1800rpmであった。
【0100】
【0101】
【0102】
仕上げされた布地サンプルは、実施例1に記載された実験手順に従って、NPFA 1
971の吸水率、耐摩耗性、および炭化長試験を使用した垂直燃焼性について試験された
。垂直燃焼性、吸水性、耐摩耗性の試験は、洗濯前(以下の表19に「BW」と表示)と
、上記のAATCC試験方法135に従って5回洗濯した後(5x)の両方で実施した。
データを表19に示す。表面摩耗データは、上記のように、そのサンプルで最初の糸切れ
が観察される前のテーバーサイクルの数を示している。
【0103】
【0104】
実施例7
例示的な仕上げ組成物41(表17を参照)、47(表18を参照)、および48(表
18を参照)を調製し、60%のパラ-アラミドおよび40%のメタ-アラミドの綾織り
であるパイオニアカーキ布地に付与した。仕上げ組成物は、50%~60%のWPU(ウ
ェットピックアップ)でディップ仕上げパッド塗布を使用して布地サンプルに付与された
。次に、すべてのゾーンを330°Fの温度に設定したオーブンを使用して、布地を乾燥
および硬化させた。乾燥および硬化ステップに使用された速度は、毎分10ヤードであっ
た。
【0105】
仕上げされた布地サンプルは、実施例1に記載された実験手順に従って、NPFA 1
971の吸水率、耐摩耗性、および炭化長試験を使用した垂直燃焼性について試験された
。すべての試験は、上記のAATCC試験方法135に従って、洗濯前(「BW」と表示
)と、上記のAATCC試験方法135に従って5回洗濯した後(「5x」と表示)の両
方で実施された。表面摩耗データは、上記のように、そのサンプルで最初の糸切れが観察
される前のテーバーサイクルの数を示している。仕上げ組成物41、47、および48を
布地に付与して調製されたサンプルのデータを表20に示す。
【0106】
【0107】
これらの結果に基づけば、仕上げ組成物41、47、および48は、様々な布地サンプ
ルに望ましい吸水特性を一貫して付与した。撥水性は、洗濯前の仕上げされた布地サンプ
ルで実証され、洗濯後も仕上げされた布地サンプルに保持されていた。すべてのサンプル
は、NFPA 1971の要件で許容されている最大値の15%よりも低い吸水率の値を
示した。
【0108】
また、ここに記載の仕上げ組成物は、布地の難燃性に悪影響を及ぼさない。表20に示
されている試験された処理された布地サンプルは、テーバーの結果が示すように、望まし
い耐摩耗性を示した。
【0109】
上記で引用されたすべての特許、刊行物、および要約は、参照によりその全体が本明細
書に組み込まれる。本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的を達成するために記
載されてきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることが認識される
べきである。以下の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の趣旨および範囲から逸
脱することなく、その多くの修正および適応が当業者には容易に明らかになるであろう。
前記仕上げ剤が、アルコキシル化脂肪族アミンもしくはその誘導体、メラミンホルムアルデヒド樹脂、N-メチロールステアラミド、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の撥水性および難燃性布地。
前記複数の難燃性繊維の少なくとも一部が、メタ-アラミド繊維、パラ-アラミド繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、メラミン繊維、ポリイミド繊維、ポリイミドアミド繊維、モダクリル繊維、およびFRレーヨン繊維のうちの少なくとも1つを含む本質的に難燃性の繊維である、請求項1に記載の撥水性および難燃性布地。
前記布地が、洗濯前およびAATCC試験方法135(2018)に従って5回洗濯された後において、NFPA 1951(2013)またはNFPA 1971(2018)の一方または両方のすべての撥水性要件を満たす、請求項1に記載の撥水性および難燃性布地。