(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037836
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-D3)ピリダジン-3-カルボキシアミドの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/62 20060101AFI20240312BHJP
C07D 237/24 20060101ALI20240312BHJP
C07C 211/04 20060101ALI20240312BHJP
C07C 233/30 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C07C209/62
C07D237/24 CSP
C07C211/04
C07C233/30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208420
(22)【出願日】2023-12-11
(62)【分割の表示】P 2022117894の分割
【原出願日】2018-03-29
(31)【優先権主張番号】62/478,789
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】チェン・クァ
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・デーアベルク
(72)【発明者】
【氏名】ドン・リン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダメルディンガー
(72)【発明者】
【氏名】バハール・イナンクル
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・ブイ・コロトゥチン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・リ
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ・ジェイ・ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・ダブリュー・ロッソ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エム・シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・シー・ディ・スメイヨン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エス・トライトラー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンジー・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ビン・ジェン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ニール・エイ・ストロットマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ティモンコ
(72)【発明者】
【氏名】タマス・ベンコビックス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医薬合成中間体の製造方法を提供する。
【解決手段】式:
の化合物13またはその塩を製造する方法であって、
a)d4-メタノールを、活性化剤と反応させ、式:
[式中:X
4は、独立して、ハライドまたはスルホネートである]で示される化合物11aを得;b)それを次にナトリウムジホルミルアミドと反応させ、式:
の化合物12を得;c)それを次に加水分解して、化合物13を得ることを含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
の化合物(I)を製造する方法であって、
a)式:
【化2】
[式中:RはC
1-C
6アルキルまたはアリールである]
で示される化合物Iaを、活性化試剤と反応させて、式:
【化3】
[式中:X
1およびX
2は、独立して、ハライドまたはスルホネートであり;およびRは上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物2aを得る工程;
b)その後で化合物2aを水性塩基と反応させて、式:
【化4】
[式中:MはH、Li、Na、K、Cs、Ca、MgまたはZnであり、X
1およびX
2は上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物3aを得る工程;
c)化合物3aを、式:
【化5】
の化合物7と、適切な溶媒中にて、所望により、酸、塩基、または金属塩の存在下にて反応させ、式:
【化6】
[式中:MおよびX
2は上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物8aを得る工程;
d)化合物8aを、式:
【化7】
の化合物10と、適切な遷移金属触媒、リガンド、1または複数の塩基および1または複数の適切な溶媒の存在下で反応させ、式:
【化8】
[式中:Mは上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物9aを得る工程;
e)化合物9aを、式:
【化9】
の化合物13あるいは遊離塩基またはその塩と、1または複数の適切な活性化剤、1または複数の適切な溶媒、および所望により塩基の存在下で反応させて化合物Iを得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
式:
【化10】
の化合物Iを製造する方法であって、
a)式:
【化11】
の化合物1を、POCl
3および所望によりアミン塩基と反応させ、つづいて所望により緩衝した水溶液の後処理に付してもよく、式:
【化12】
の化合物2を得る工程;
b)その後で化合物2をLiBrおよびDiPEAと、水およびアセトニトリル中にて反応させ、式:
【化13】
の化合物3を得る工程;
c)化合物3を、式:
【化14】
の化合物7と、酢酸亜鉛の存在下、水および2-プロパノール中にて反応させ、式:
【化15】
の化合物8またはその水和物もしくは溶媒和物を得る工程;
d)化合物8を、式:
【化16】
の化合物10と、ホスフィンリガンドおよび塩基の存在下で、炭酸カリウムおよびDBUを含むデュアル塩基系を用い、パラジウム触媒のC-Nカップリング反応にて反応させ、つづいて所望により水性酢酸から単離してもよく、式:
【化17】
の化合物9あるいはその水和物または溶媒和物を得る工程;
e)化合物9を、EDCまたは他のカップリング剤、および式:
【化18】
の化合物13と反応させて化合物Iを得る工程を含み、それをNMP/IPAからの結晶化によりさらに精製してもよい、方法。
【請求項3】
式:
【化19】
の化合物7を製造する方法であって、
a)式:
【化20】
[式中:X
3はCl、Br、IまたはFである]
で示される化合物4aを、N-メチル-N-ホルミルヒドラジンおよび適切な塩基と反応させ、式:
【化21】
の化合物5aを得;
b)それを次に硝酸で処理し、式:
【化22】
の化合物6aを得;
c)それをその後で還元して化合物7を得る、ことを含む、方法。
【請求項4】
式:
【化23】
の化合物を製造する方法であって、
a)式:
【化24】
の化合物4を、N-メチル-N-ホルミルヒドラジンと、カリウムtert-ブトキシドの存在下で反応させ、式:
【化25】
の化合物5を得;
b)それを次に硝酸と、濃硫酸の存在下で反応させ、式:
【化26】
の化合物6を得;
c)それをその後で水素ガスと、Pd/C、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムおよびメタノールの存在下で反応させ、化合物7を得る、ことを含む、方法。
【請求項5】
式:
【化27】
の化合物13またはその塩を製造する方法であって、
a)式:
【化28】
のd4-メタノールを、活性化剤と反応させ、式:
【化29】
[式中:X
4は、独立して、ハライドまたはスルホネートである]
で示される化合物11aを得;
b)それを次にナトリウムジホルミルアミドと反応させ、式:
【化30】
の化合物12を得;
c)それを次に加水分解して、化合物13を得る、
ことを含む、方法。
【請求項6】
式:
【化31】
の化合物13を製造する方法であって、
a)式:
【化32】
のd4-メタノールを、塩化トシルと、水性水酸化ナトリウムの存在下で反応させ、式:
【化33】
の化合物11を得;
b)それを次にナトリウムジホルミルアミドと反応させ、式:
【化34】
の化合物12を得;
c)それをついで、塩化水素の存在下、メタノール中にて加水分解に付し、式:
【化35】
の化合物13をその塩酸塩として得る、ことを含む、方法。
【請求項7】
以下:
【化36】
の群より選択される、化合物あるいはその塩または水和物。
【請求項8】
【化37】
である請求項7に記載の化合物またはその水和物。
【請求項9】
【化38】
である請求項7に記載の化合物またはその水和物。
【請求項10】
【請求項11】
【請求項12】
請求項1の方法によって製造される、式:
【化41】
の化合物I。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年3月30日付け出願の米国仮特許出願番号62/478,789の利益を主張するものであり、その開示のすべてを出典明示により本明細書に取り込むものとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、乾癬などの自己免疫性および自己炎症性疾患の治療用の臨床試験中にある、Tyk2阻害剤である、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキシアミドの製造方法に、ならびに該方法にて用いられる新規な中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
式I:
【化1】
である、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキシアミドの製造方法が開示されている。
【0004】
化合物I、化合物Iを含む組成物、および化合物Iを用いる方法は、米国特許第9,505,748号B2に開示されており、該特許は当該譲受人に譲渡されており、そのすべてを出典明示に本明細書に取り込むものとする。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様にて、本発明は、式:
【化2】
の化合物Iの製造方法であって、
a)式:
【化3】
[式中:RはC1-C6アルキルまたはアリールである]
で示される化合物Iaを、活性化試剤と反応させて、式:
【化4】
[式中:X1およびX2は、独立して、ハライドまたはスルホネートであり;およびRは上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物2aを得る工程;
b)その後で化合物2aを水性塩基と反応させて、式:
【化5】
[式中:MはH、Li、Na、K、Cs、Ca、MgまたはZnであり、X1およびX2は上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物3aを得る工程;
c)化合物3aを、式:
【化6】
の化合物7と、適切な溶媒中にて、所望により、酸、塩基、または金属塩の存在下にて反応させ、式:
【化7】
[式中:MおよびX2は上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物8aを得る工程;
d)化合物8aを、式:
【化8】
の化合物10と、適切な遷移金属触媒、リガンド、1または複数の塩基および1または複数の適切な溶媒の存在下で反応させ、式:
【化9】
[式中:Mは上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物9aを得る工程;
e)化合物9aを、式:
【化10】
の化合物13あるいは遊離塩基またはその塩と、1または複数の適切な活性化剤、1または複数の適切な溶媒および所望により塩基の存在下で反応させて最終生成物の化合物Iを得る工程
を含む、方法を提供する。
【0006】
第2の態様において、本発明は、式:
【化11】
の化合物Iを製造する方法であって、
a)式:
【化12】
の化合物1を、POCl3および所望によりアミン塩基と反応させ、つづいて所望により緩衝した水溶液の後処理に付してもよく、式:
【化13】
の化合物2を得る工程;
b)その後で化合物2をLiBrおよびDiPEAと、水およびアセトニトリル中にて反応させ、式:
【化14】
の化合物3を得る工程;
c)化合物3を、式:
【化15】
の化合物7と、酢酸亜鉛の存在下、水および2-プロパノール中にて反応させ、式:
【化16】
の化合物8またはその水和物もしくは溶媒和物を得る工程;
d)化合物8を、式:
【化17】
の化合物10と、ホスフィンリガンドおよび塩基の存在下で、炭酸カリウムおよびDBUを含むデュアル塩基系を用い、パラジウム触媒のC-Nカップリング反応にて反応させ、つづいて所望により水性酢酸から単離してもよく、式:
【化18】
の化合物9あるいはその水和物または溶媒和物を得る工程;
e)化合物9を、EDCまたは他のカップリング剤、および式:
【化19】
の化合物13と反応させて最終生成物の化合物Iを得る工程を含み、それをNMP/IPAからの結晶化によりさらに精製してもよい、方法を提供する。
【0007】
本発明の第3の態様において、式:
【化20】
の化合物7を製造する方法であって、
a)式:
【化21】
[式中:X3はCl、Br、IまたはFである]
で示される化合物4aを、N-メチル-N-ホルミルヒドラジンおよび適切な塩基と反応させ、式:
【化22】
[式中:X3は上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物5aを得;
b)それを次に硝酸で処理し、式:
【化23】
[式中:X3は上記にて定義されるとおりである]
で示される化合物6aを得;
c)それをその後で還元して化合物7を得る、ことを含む、方法を提供する。
【0008】
本発明の第4の態様において、式:
【化24】
の化合物を製造する方法であって、
a)式:
【化25】
の化合物4を、N-メチル-N-ホルミルヒドラジンと、カリウムtert-ブトキシドの存在下で反応させ、式:
【化26】
の化合物5を得;
b)それを次に硝酸と、濃硫酸の存在下で反応させ、式:
【化27】
の化合物6を得;
c)それをその後で水素ガスと、Pd/C、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムおよびメタノールの存在下で反応させ、化合物7を得る、ことを含む、方法を提供する。
【0009】
本発明の第5の態様において、式:
【化28】
の化合物13を製造する一般的方法であって、
a)式:
【化29】
のd4-メタノールを、活性化剤と反応させ、式:
【化30】
[式中:X4は、独立して、ハライドまたはスルホネートである]
で示される化合物11aを得;
b)それを次にナトリウムジホルミルアミドと反応させ、式:
【化31】
の化合物12を得;
c)それを次に加水分解して式:
【化32】
の化合物13を得る、ことを含む、方法を提供する。
【0010】
化合物13は遊離塩基またはHClまたはHBr塩として単離され得る。
【0011】
本発明の第6の態様において、式:
【化33】
の化合物13を製造する方法であって、
a)式:
【化34】
のd4-メタノールを、塩化トシルと、水性水酸化ナトリウムの存在下で反応させ、式:
【化35】
の化合物11を得;
b)それを次にナトリウムジホルミルアミドと反応させ、式:
【化36】
の化合物12を得;
c)それを次に、塩化水素の存在下、メタノール中にて加水分解に付し、式:
【化37】
の化合物13をその塩酸塩として得る、ことを含む、方法を提供する。
【0012】
本発明の第7の態様において、化合物5、6、8、9および12として上記にて同定される新規な中間体が提供される。
【0013】
本発明の第8の態様において、式の化合物3、5、8および9がその塩または水和物の形態として、特に、
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
として提供される。
【0014】
本発明のもう一つ別の態様は、請求項1の方法によって製造される化合物Iを提供することである。
【0015】
本発明の最終の態様は、乾癬などの自己免疫性および炎症性疾患を治療する方法であって、その必要とする哺乳動物種、好ましくはヒトに、治療的に効果的な量の化合物Iを投与することを含み、ここで化合物Iが本発明の新規な方法の工程を利用して製造される、方法を提供する。
【0016】
本発明の方法は、化合物Iの従来の合成と比べて、いくつかの重要な有利な点を有する。特に、反応経路の工程が短く、収率が高く、工程が改善されたため、その処理能力、サイクル時間および全体の収率が劇的に改善された。加えて、該方法は、常に、化合物Iを原薬として用いるために高品質にて提供する。
【0017】
化合物8(a)を化合物9(a)に変換するために、第1および第2の態様の方法は、パラジウム触媒の存在下で行われる。好ましいパラジウム触媒は、Pd(OAc)2、PdCl2(MeCN)2、Pd2(dba)3、Pd(dba)2、[(アリル)PdCl]2、[(クロチル)PdCl]2に限定されないが、これらを包含する。
【0018】
第1および第2の態様の方法はまた、リガンドの存在下で行われる。好ましいリガンドは、SL-J009-1、SL-J009-2、SL-J002-1、SL-J002-2、DPEphos、Xantphos、DPPF、DCyPF、BINAPまたはその誘導体に限定されないが、これらを包含する。
【0019】
第1および第2の態様の方法はまた、塩基の存在下で行われる。好ましい塩基は、K2CO3、K3PO4、Cs2CO3、DBU、DBN、TMGまたはその組み合わせ、特にDBU/K2CO3に限定されないが、これらを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次のスキームは本発明の改善された合成工程を説明する。これらのスキームは例示であって、本明細書に開示の化合物を製造するために使用することのできる、当該分野において可能性のある技術を制限することを意図とするものではない。
【0021】
以下のスキーム1にて示されるように、化合物Iの一般的製造が記載される。化合物1aを活性化試剤と反応させて4,6-ジ活性化ピリダジン化合物2aを得る。エステル加水分解が塩基の存在下で起こり、化合物3aをカルボン酸またはその塩の形態として生成する。化合物3aは、適切な酸、塩基または金属塩との接触を介して、あるいはいずれかの添加剤の不在の下で中性条件下にて化合物7でC4位置で選択的に置換され、化合物8aを生成し得る。化合物8aは、その遊離形態として単離することができ、または所望により適切な塩基との塩として単離されてもよい。化合物8aは、金属、適切なリガンドおよび塩基の存在下で、化合物10とのカップリング工程を受け、化合物9aを形成するであろう。最後に、化合物9aと化合物13とのカップリングが活性化試剤および任意の塩基の存在下で起こり、化合物Iを生成する。
スキーム1
【化42】
【0022】
以下のスキーム2にて示されるように、化合物Iの製造が記載される。1,3-アセトンジカルボン酸ジエチルを連続して4-アセトアミドベンゼンスルホニルアジドおよびヒューニッヒ塩基、トリブチルホスフィンおよび水、ならびに酢酸で処理し、4,6-ジヒドロキシピリダジン-3-カルボン酸エチル(化合物1)を生成する。オキシ塩化リンを用いてクロロ脱水に付し、対応するジクロリド(化合物2)を得、それを水性アセトニトリル中にて臭化リチウムおよびヒューニッヒ塩基の存在下で加水分解に供し、カルボン酸リチウム(化合物3)を得る。化合物7との求核芳香族置換反応が、酢酸亜鉛の存在下にて化合物3のC4位置で起こり、化合物8を亜鉛塩として形成するに至る。その後の化合物10とのカップリングは酢酸パラジウムおよびジョジホス(Josiphos)リガンドによる触媒作用によって促進され、化合物9を生成する。最後に、化合物9は、EDC、HOBtおよびNMIの存在下にて化合物13とのアミド化を受け、化合物Iを生成する。
スキーム2
【化43】
【0023】
本発明のもう一つ別の方法は以下のスキーム3において開示される。化合物7の一般的製造が記載される。化合物4aとN-メチル-N-ホルミルヒドラジンとの環縮合により化合物5aが生成され、それがニトロ化を受けて化合物6aを生成する。ついで還元に付して対応する化合物7を生成する。
スキーム3
【化44】
【0024】
以下のスキーム4にて示されるように、化合物7の製造が記載される。化合物4をカリウムt-ブトキシドの存在下でN-メチル-N-ホルミルヒドラジンと反応させ、化合物5を得る。化合物5を硝酸および濃硫酸で処理して化合物6を生成し、それをPd/Cおよび炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの存在下で水素ガスと反応させて化合物7を得る。
スキーム4
【化45】
【0025】
本発明のもう一つ別の方法が下記のスキーム5にて開示される。化合物13の一般的製造が記載される。D4-メタノールを適切な活性化試剤と反応させて化合物11aを得、それをナトリウムジホルミルアミドで処理することで置換させ、化合物12を形成する。その後で加水分解に供し、化合物13を生成する。
スキーム5
【化46】
【0026】
以下のスキーム6にて示されるように、化合物13の製造が記載される。D4-メタノールを、水性水酸化ナトリウムの存在下で塩化トシルと反応させ、化合物11を得る。この化合物をナトリウムジホルムアミドと反応させて化合物12を得、それを酸性メタノールの存在下で加水分解に付し、化合物13をその塩酸塩として得る。
スキーム6
【化47】
【実施例0027】
本発明を、この度、発明の好ましい実施態様である、次の実施例によってさらに詳しく記載する。温度はすべて、特記されない限り、摂氏度(℃)である。これらの実施例は、制限というよりもむしろ例示であり、添付した特許請求の範囲によって規定されるような、本発明の精神および範囲に含まれる他の実施態様もあり得ることを理解すべきである。
【0028】
参照しやすいように、以下の略語が本明細書にて使用され得る。
略語
【表1】
【0029】
【0030】
ガラスライニング反応器に、トルエン(0.26Kg)、スルホラン(3.4Kg)、化合物1(1.0Kg)およびPOCl3(2.7Kg)を入れた。その粗製物を0℃に冷却した。トリエチルアミン(0.89Kg)を入れ、得られた粗混合物を65℃に加熱し、反応が完了するまで放置した。反応物を5℃に冷却した。
分離反応器に水(7.5Kg)を入れ、5℃に冷却した。反応物を、内部温度を5℃より下に維持しながら、該水溶液にゆっくりと添加した。該反応器を濯ぎ、移すのを助けるために、さらなる水(0.5Kg)を使用した。得られた混合物を5℃で3時間かき混ぜ、次にMTBEで3回(4x4.5Kg)抽出した。有機層を合わせ、pH7の緩衝水溶液(5.0L/Kg、15重量%KH2PO4/K2HPO4)および水(2.5Kg)で連続して洗浄した。該粗製物を、総容量がほぼ3L/Kgとなるまで、真空下で蒸留させた。ACN(2x6.3Kg)を加え、つづいてさらに蒸留を行って約3L/Kgに戻した。該粗製物を20℃に冷却し、化合物2を30-36重量%溶液として収率90-95%で得た。
【0031】
【0032】
ACN(2.7Kg)、臭化リチウム(1.18Kg)および水(0.65Kg)を25℃でガラスライニング反応器に入れた。上記にて製造した化合物2の粗溶液(限定試薬)を、つづいてDIPEA(1.82Kg)を添加した。得られたスラリーを、反応が完了するまで、25℃でかき混ぜた。生成物を濾過で単離した。粗固体をACN(1.6Kg)で洗浄した。ケーキを真空下の45℃で乾燥させた。化合物3を98APおよび収率83%にて単離した。
【0033】
【0034】
水(6.0Kg、6.0L/Kg)および化合物7(1.0Kg)を25℃でガラスライニング反応器に入れた。無水酢酸亜鉛(1.08Kg、1.0当量)を、つづいて化合物3(1.28Kg、1.20当量)を加えた。反応器のラインを2-プロパノール(0.79Kg、1.0L/Kg)および水(1.50Kg、1.50L/Kg)で濯いだ。得られた均一溶液を65℃に加熱し、反応が完了するまで放置した。水(7.0Kg、7.0L/Kg)を添加し、粗混合物を20℃に冷却し、30分間放置した。生成物を濾過で単離した。該粗固体を水(6.0Kg、6.0L/Kg)、水(6.0Kg、6.0L/Kg)、THF(5.3Kg、6.0L/Kg)およびTHF(5.3Kg、6.0L/Kg)で連続して洗浄した。ケーキを真空下の70℃で乾燥させた。化合物8を98APおよび収率94%にて単離した。
【0035】
【0036】
分離ガラスライニング反応器を窒素でフラッシュ処理に付した。トルエン(0.87Kg、1.0L/Kg)およびMeCN(0.79Kg、1.0L/Kg)を入れ、つづいて(2R)-1-[(1R)-1-[ビス(1,1-ジメチルエチル)ホスフィノ]エチル]-2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン(Josiphos SL-009-01)(14.1g、1.0モル%)および酢酸パラジウム(2.9g、0.5モル%)を入れた。反応器のラインをトルエン(0.43Kg、0.5L/Kg)で濯いだ。得られたプリホームの触媒溶液を、さらに利用するまで、窒素下で保持した。
20℃で、トルエン(3.46Kg、4.0L/Kg)およびACN(1.57Kg、2.0L/Kg)を、窒素でフラッシュ処理に付したガラスライニング反応器に入れた。化合物8(1.00Kg)を、つづいてDBU(0.39Kg、1.00当量)を添加した。反応器のラインをトルエン(0.43Kg、0.5L/Kg)で濯いだ。化合物10(0.54Kg、2.5当量)およびK2CO3(325メッシュ等級、0.70Kg、2.0当量)を該反応混合物に添加し、つづいてトルエン(1.30Kg、1.5L/Kg)およびACN(0.79Kg、1.0L/Kg)を加えた。プリホームの触媒溶液を該反応混合物に移し、次にそれを75℃に加熱し、反応が完了するまで、かき混ぜた。
該反応粗製物を20℃に冷却した。酢酸水溶液(50容量%、4.0Kg、4.0L/Kg)を1時間にわたってゆっくりと入れた。次に氷酢酸(10.5Kg、10.0L/Kg)を加えた。得られた均一溶液をヘプタン(2x3.42kg、2x5.0L/Kg)で2回洗浄した。底部の水層を集め、きれいな反応器に移した。水(5.0Kg、5.0L/Kg)を、つづいて化合物9の種(0.01Kg、1.0重量%)を加えた。該スラリーを20℃で2時間放置した。さらなる水(2.0Kg、2.0L/Kg)を添加し、該スラリーをさらに6時間放置した。生成物を濾過で単離した。その粗ケーキを水性ACN(50容量%、4.5Kg、5.0L/Kg)で、つづいてACN(3.9Kg、5.0L/Kg)で洗浄した。ケーキを真空下の65℃で乾燥させた。化合物9を98.5APおよび収率84%にて単離した。
【0037】
【0038】
NMP(2.06Kg、2.0L/Kg)およびACN(0.78Kg、1.0L/Kg)をガラスライニング反応器に入れ、20℃でかき混ぜた。N-メチルイミダゾール(0.13Kg、0.7当量)、化合物13(0.17Kg、1.2当量)および化合物9(1.00Kg)を該反応混合物に入れた。混合物を65℃に加熱し、均質になるまで放置した。HOBt(20%水分(wet)、0.17Kg、0.5当量)を、つづいてEDC・HCl(0.54Kg、1.4当量)を該反応混合物に入れた。反応器をACN(0.78Kg、1.0L/Kg)で濯ぎ、ついで得られた混合物を、反応が完了するまで、65℃で放置した。その反応物を水(1.0Kg、1L/Kg)を加えることでクエンチさせ、次にACN(3.0Kg、3L/Kg)で希釈した。該反応混合物を65℃で1時間放置し、その後で0℃に冷却し、0℃でさらに12時間放置した。生成物を濾過で単離した。その湿ったケーキを2:1 水:ACN(2.8Kg、3L/Kg)で、ついでACN(2.4Kg、3L/Kg)で洗浄し、高真空下にて65℃で乾燥させた。化合物Iを>99.5%の純度および収率91%にて単離した。
必要に応じて、生成物は次のように任意の再結晶操作に供することができる。
NMP(6.2kg、6.0L/Kg)および化合物I(1.0Kg)をガラスライニング反応器に入れた。バッチを70℃に加熱して淡黄色の溶液を形成させ、次にそれを70℃でポリッシュフィルターを介してきれいな容器に移した。2-プロパノール(2.4Kg、3L/Kg)を加え、つづいて化合物Iの種(0.005Kg、0.005Kg/Kg)を添加した。1時間放置した後、さらなる2-プロパノール(4.8kg、6L/Kg)を2時間にわたって入れた(3L/Kg/時間)。そのスラリーを70℃で1時間放置し、0℃にゆっくりと冷却し、0℃でさらに12時間放置した。生成物を濾過で単離した。湿ったケーキを2-プロパノール(2x3.1kg、2x4L/Kg)で洗浄し、その後で高真空下にて65℃で乾燥させた。化合物Iを>99.9%の純度および収率83%にて単離した。
【0039】
【0040】
ガラスライニング反応器に、メタノール(1.6Kg/Kg、2.0L/Kg)およびメチルヒドラジン(1Kg)を0℃で入れた。ギ酸メチル(0.57Kg/Kg、1.1当量)を滴下して加えた。粗製物を20℃までの加温に供し、さらに6時間放置した。該粗製物を、総容量が約0.5L/Kgになるまで、真空下で蒸留させた。共沸乾燥を目的として、2-MeTHF(5x3.6Kg/Kg)とのプット/テイク(put/take)蒸留を5回行った。該粗製物を20℃に冷却した。N-メチル-N-ホルミルヒドラジンを89-90重量%溶液として収率89-91%にて単離した。
【0041】
【0042】
ガラスライニング反応器に、カリウムtert-ブトキシド(1.5Kg/Kg、2.4当量)およびTHF(12.2Kg/Kg)を0℃で入れた。化合物4(1.0Kg)、N-メチル-N-ホルミルヒドラジン(1.0Kg/Kg、2.30当量)およびTHF(5.3Kg/Kg、6.0L/Kg)の混合物をゆっくりと添加した。反応器のラインをTHF(0.5Kg/Kg)で濯いだ。その粗反応物を、反応が完了するまで、0℃で放置した。水(5.0Kg/Kg)を加え、得られた混合物を0℃で30分間放置し、40℃に加熱し、さらに30分間放置した。層を分離し、水層を破棄した。有機層をブライン(15重量%、5.7Kg/Kg)で洗浄し、総容量が約5L/Kgになるまで、真空下で蒸留した。共沸乾燥を目的として、酢酸エチル(4x10L/Kg)とのプット/テイク蒸留を4回行った。粗製物を20℃に冷却した。硫酸(0.66Kg/Kg、1.10当量)を添加し、スラリーを2-3時間かき混ぜた。生成物を濾過で単離した。ケーキを酢酸エチル(2x6.5L/Kg)およびヘプタン(8L/Kg)で連続して洗浄し、真空下の45℃で乾燥させた。化合物5を99APおよび収率83%にて単離した。
【0043】
【0044】
ガラスライニング反応器に、濃硫酸(4.5Kg/Kg)および化合物5(1.0Kg)を0-5℃で入れた。硝酸(68重量%、0.35Kg/Kg、1.2当量)を滴下して加えた。該混合物を、反応が完了するまで、0-5℃でかき混ぜた。
分離反応器において、水(12Kg/Kg)およびメタノール(6.5Kg/Kg、8.3L/Kg)を20℃でよく混合した。該ニトロ化粗製物をメタノール-水の混合液にゆっくりと移した。反応器のラインをメタノール(0.5Kg/Kg)で濯いだ。該粗製物を40-45℃に加熱した。水性水酸化アンモニウム(25重量%、7.4Kg/Kg)をゆっくりと添加した。得られたスラリーを20℃に冷却し、3時間かき混ぜた。生成物を濾過により単離した。ケーキを水(2x6L/Kg)で洗浄し、真空下の45℃で乾燥させた。化合物6を99APおよび収率95%において単離した。
【0045】
【0046】
窒素でフラッシュ処理に付した高圧反応器に、メタノール(8.0Kg/Kg)および化合物6(1.0Kg)を入れた。酸素を注意して排除しながら、炭酸水素ナトリウム(0.6Kg/Kg、2.0当量)およびPd/C(10%ローディング、50%水分、0.02Kg/Kg)を添加した。反応器に水素(41-46psi)で加圧し、該反応混合物を20℃で6時間放置し、ついで45℃に加熱し、反応が完了するまで放置した。該反応器を窒素を用いるフラッシュ処理に付し、該反応粗製物を濾過し、Pd/Cを除去した。メタノール(5Kg/Kg)を用いて移動を容易にした。濾液を合わせ、総容量が約2.5L/Kgになるまで、真空下で蒸留した。水(10Kg/Kg)を加え、該粗製物を、総容量が約2.5L/Kgになるまで、真空下で蒸留した。該粗製物を70℃に加熱した。ブライン(25重量%、9.0Kg/Kg)を加え、得られた粗製物を70℃で6時間かき混ぜた。0℃に冷却した後、該粗製物をさらに6時間放置した。生成物を濾過により単離した。ケーキをブライン(予め0℃に冷却、25重量%、2.0Kg/Kg)で洗浄し、真空下の45℃で乾燥させた。化合物7を99APおよび収率88%にて単離した。
【0047】
【0048】
窒素でフラッシュ処理に付したガラスライニング反応器に、水(16.3L/Kg)および水酸化ナトリウム(3.3Kg、3.0当量)を入れた。該混合物を、水酸化ナトリウムが完全に溶解するまで、放置した。該粗製物を0℃に冷却した。D4-メタノール(1.0Kg)およびTHF(4.5L/Kg)を入れた。TsCl(6.3Kg、1.2当量)のTHF(6.3Kg、7.1L/Kg)中溶液を2時間にわたって添加した。粗製物を、反応が完了するまで、0℃でかき混ぜた。バッチを20℃までの加温に付した。層を分離した。有機層を集め、MTBE(4.0Kg、5.4L/Kg)で希釈し、ブラインで2回(25重量%、4.0Kgで、つづいて12Kgで)洗浄した。有機層を、総容量が約10L/Kgになるまで、真空下で蒸留した。共沸乾燥を目的として、ACN(2x10L/Kg)とのプット/テイク蒸留を2回行った。該粗製物を20℃に冷却した。ACN(10.0Kg、12.8L/Kg)およびNaN(CHO)2(3.3Kg、1.2当量)を添加した。該粗製物を65℃に加熱し、反応が完了するまで、かき混ぜた。5℃に冷却した後、該混合物を濾過し、その粗ケーキをACNで2回(2x2.5Kg、2x3.2L/Kg)洗浄した。濾液を合わせ、総容量が約3L/Kgになるまで、真空下で蒸留した。粗製物を20℃に冷却した。化合物12を80-85重量%の油状物として収率60-70%にて単離した。
【0049】
【0050】
ガラスライニング反応器に、化合物12(1.0Kg)およびメタノール(3.9Kg、5.0L/Kg)を20℃で入れた。HClのIPA中溶液(5-6N、4.5Kg、1.5当量)を添加した。得られた混合物を50℃に加熱し、反応が完了するまでかき混ぜた。THF(10Kg、11.2L/Kg)をゆっくりと添加し、該粗製物を2時間にわたって0℃に冷却してスラリーを得た。生成物を濾過で単離した。ケーキをTHF(3.7Kg、4.1L/Kg)で洗浄し、真空下の45℃で乾燥させた。化合物13を収率80%にて単離した。
必要に応じて、生成物は次のように任意の再結晶操作に供することができる。メタノール(5.6Kg、8.3L/Kg)および化合物13(1.0Kg)をガラスライニング反応器に入れた。DBU(0.1Kg)をゆっくりと添加した。粗製物を1時間かき混ぜた。THF(12.4Kg、13.9L/Kg)をゆっくりと添加し、得られたスラリーを2時間放置した。生成物を濾過で単離した。ケーキをTHF(2.6Kg、2.9L/Kg)で洗浄し、真空下の45℃で乾燥させた。化合物13を収率60%にて単離した(第1収量)。母液を、総容量が約1L/Kgになるまで、真空下で蒸留した。メタノール(2x2.8Kg、2x3.6L/Kg)とのプット/テイク蒸留を2回行い、該溶液を濃縮して約1L/Kgに戻した。該粗製物を20℃に冷却した。THF(4.8Kg、5.4L/Kg)を加え、得られたスラリーを2時間放置した。生成物を濾過で単離した。ケーキをTHF(1.0Kg)で洗浄し、真空下の45℃で乾燥させた。化合物13を収率25%にて単離した(第2収量)。