IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シー.ゲルハルト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲーの特許一覧

特開2024-3785弁装置、吸着装置及び吸着装置の動作方法
<>
  • 特開-弁装置、吸着装置及び吸着装置の動作方法 図1
  • 特開-弁装置、吸着装置及び吸着装置の動作方法 図2
  • 特開-弁装置、吸着装置及び吸着装置の動作方法 図3
  • 特開-弁装置、吸着装置及び吸着装置の動作方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003785
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】弁装置、吸着装置及び吸着装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240105BHJP
   G01N 1/34 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01N1/00 101S
G01N1/34
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023103843
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】22181263.9
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516190297
【氏名又は名称】シー.ゲルハルト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、 デニス
(72)【発明者】
【氏名】ジューブ、 ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】アダメク、 タチアナ
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA24
2G052AB06
2G052AB18
2G052AD22
2G052AD42
2G052CA03
2G052CA04
2G052EB11
2G052EB13
2G052ED07
2G052ED10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CO2を吸着するための改良された吸着装置あって、それにより特に吸着材の再生をより効果的かつ効率的に行うことができる改良された吸着装置を提供すること。
【解決手段】第1及び第2リングラインを備え、各リングラインは入口と複数の出口を有し、各出口に互いに独立して開くことができる逆止弁が設けられる元素分析装置用弁装置に関する。さらに、第1弁装置と、各々が入口と出口を有し、入口を通して第1弁装置の第1リングラインの各出口と第2リングラインの出口に接続されるよう第1弁装置に接続される複数のフィルタユニットとを備える元素分析装置用吸着装置に関する。また、吸着装置を提供するステップ、吸着装置の第1弁装置の第1リングラインを通して吸着装置のフィルタユニットの少なくとも1つに試料流体を通すステップ、第2リングラインを通して吸着装置のフィルタユニットの少なくとも他の1つに洗浄流体を通すステップを含む方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素分析装置用の弁装置(100、200)であって、第1のリングライン及び第2のリングライン(110、120、210、220)を備え、前記第1のリングライン及び第2のリングライン(110、120、210、220)はそれぞれ入口(111、121、211、221)と複数の出口(112、122、212、222)とを有し、各出口に逆止弁(113、123、212、223)が設けられ、前記逆止弁(113、123、212、223)は互いに独立して開くことができる、弁装置(100、200)。
【請求項2】
前記弁装置(100、200)はガス又はガス状混合物用に設計されることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置(100、200)。
【請求項3】
前記2つのリングライン(110、120、210、220)の出口(112、122、212、222)はそれぞれ、それぞれの接続ライン(130、230)によって互いに対で接続され、各接続ライン(130、230)に更なる出口(131、231)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置(100、200)。
【請求項4】
前記2つのリングライン(110、120、210、220)と前記リングライン(110、120、210、220)にそれぞれ接続された入口及び出口は構造ユニットを形成することを特徴とする、請求項1に記載の弁装置(100、200)。
【請求項5】
前記2つのリングライン(110、120、210、220)は、立方体ブロックにある穴の形態で形成されることを特徴とする、請求項4に記載の弁装置(100、200)。
【請求項6】
各リングライン(110、120、210、220)の入口(111、121、211、221)は、同一リングライン(110、120、210、220)の直接隣接する2つの出口(112、122、212、222)からそれぞれ等間隔であること、及び前記リングライン(110、120、210、220)の出口(112、122、212、222)はそれぞれ互いに等間隔であることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置(100、200)。
【請求項7】
前記逆止弁(113、123、212、223)は電子制御又は空気圧制御されることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置(100、200)。
【請求項8】
前記逆止弁(113、123、212、223)は電子制御され、非通電状態で閉じられることを特徴とする、請求項7に記載の弁装置(100、200)。
【請求項9】
元素分析装置用の吸着装置(1)であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の第1の弁装置(100)と、各フィルタユニット(300)が入口及び出口を有する複数のフィルタユニット(300)とを備え、前記フィルタユニット(300)は、各フィルタユニット(300)がその入口を通して前記第1の弁装置(100)の前記第1のリングライン(110)のそれぞれの出口(112)及び前記第2のリングライン(120)の出口(122)に接続されるように前記第1の弁装置(100)に接続されることを特徴とする、吸着装置(1)。
【請求項10】
前記弁装置(100、200)はガス又はガス状混合物用に設計されることを特徴とする、請求項9に記載の吸着装置(1)。
【請求項11】
前記吸着装置(1)は、請求項1から7のいずれか一項に記載の第2の弁装置(200)を備え、前記フィルタユニット(300)は、各フィルタユニット(300)がその出口を通して前記第2の弁装置(200)の前記第1のリングライン(210)のそれぞれの出口(212)及び前記第2のリングライン(220)の出口(222)に接続されるように前記第2の弁装置(200)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載の吸着装置(1)。
【請求項12】
各フィルタユニット(300)は、吸着材と、前記吸着材を加熱するための加熱装置(310)と、前記吸着材を冷却するための冷却装置(320)とを備えることを特徴とする、請求項9に記載の吸着装置(1)。
【請求項13】
元素分析装置用の吸着装置(1)の動作方法であって、
(a)請求項9から12のいずれか一項に記載の吸着装置(1)を提供するステップと、
(b)前記吸着装置(1)の第1の弁装置(100)の第1のリングライン(110)を通して前記吸着装置(1)のフィルタユニット(300)のうちの少なくとも1つに試料流体を通し、前記試料流体の成分が前記フィルタユニット(300)に吸着されるようにするステップと、
必要に応じて、
c)前記吸着装置(1)の第1の弁装置(200)の第2のリングライン(120)を通して前記吸着装置(1)のフィルタユニット(300)のうちの少なくとも1つの更なるフィルタユニットに洗浄流体を通し、吸着された成分が前記フィルタユニット(300)から洗い流されるようにするステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記試料流体と前記洗浄流体はガス又はガス状混合物であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試料流体は、前記試料流体の成分が2つ以上のフィルタユニット(300)に吸着されるように前記2つ以上のフィルタユニット(300)に同時に通されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記洗浄流体は、前記少なくとも1つの更なるフィルタユニット(300)を通った後、前記フィルタユニット(300)から洗い流された成分を検出するための検出器に通されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置、弁装置を備えた元素分析装置用の吸着装置及び吸着装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、元素分析装置の分野に関する。元素分析装置は、試料中の特定の化学元素の含有量を測定するために使用される。このような装置は、例えば、有機試料、特に食品試料中の窒素含有量を特定するために使用される。窒素含有量は、例えば、食品試料のタンパク質含有量に関する結論を導き出すために使用することができる。
【0003】
有機試料の元素分析では、有機試料はまず燃焼によって元素ガス成分に分解される。これにより、試料に応じて異なるガス物質の組み合わせの組成を有する燃焼ガスが生成される。主なガスは、COx、水蒸気、元素状窒素及び窒素酸化物である。COxとNOxの混合物を分解し、それらが反応してより容易に管理可能な組み合わせを形成することを可能にするために、燃焼ガス(試料ガスとも呼ばれる)は最初に触媒に通され、次に第2段階で通常は還元反応器に通される。その後、通常は、1つ以上のウォータートラップを用いて試料ガス流から水が除去される。更なるステップでは、CO2を吸着するための吸着装置を用いて試料ガス流からCO2が除去される。こうして得られた試料ガス流は本質的に元素状窒素のみを含み、試料ガス流中の元素状窒素の濃度は、最終ステップで検出器を用いて、通常は熱伝導度検出器を用いて測定することができる。
【0004】
既知の吸着装置は、試料ガス流からCO2を結合する吸着材を含む。例えば、モレキュラーシーブとしても知られる天然ゼオライト及び合成ゼオライトが吸着材として使用される。CO2は室温で吸着材の表面に結合する。吸着材にCO2が完全に充填されると、吸着材は更なる使用の前にまず再生する必要がある。再生は、吸着材を、好ましくは220℃より高い温度に加熱することによって行われる。高温下で、吸着材は結合したCO2を放出する。CO2を完全に除去するために、パージガスの流れも吸着材に通される。再生後、吸着材は冷却され、再装填することができる。
【0005】
特許文献1には、吸着材を有するフィルタと、吸着材を加熱する加熱装置とを備えるCO2吸着装置が開示されている。吸着装置はさらに弁装置を備え、弁装置を用いて試料ガス流とパージガス流を交互にフィルタに通すことができ、パージガス流は試料ガス流とは逆方向にフィルタに通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2013615号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、CO2を吸着するための改良された吸着装置あって、それにより特に吸着材の再生をより効果的かつ効率的に行うことができる改良された吸着装置を提供することである。これは、結合したCO2を可能な限り完全にかつ最小限のエネルギーと時間の消費で吸着材から洗い流すことができることを意味する。また、分析する元素の含有量が異なる試料を、コストのかかる変換なしに同じ元素分析装置で分析することができるように、動作中に吸着装置の吸着容量を調整できる必要がある。さらに、吸着装置が試料の分析に使用できない再生に要する時間を最小限に抑えるべきである。最後に、系統的な測定誤差を最小限に抑えることによって分析の精度を高める必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題を解決するために、本発明は、元素分析装置用の弁装置、弁装置を備えた吸着装置、元素分析装置及び吸着装置の動作方法を開示する。
【0009】
弁装置
本発明による元素分析装置用の弁装置は、第1のリングライン及び第2のリングラインを備え、第1のリングライン及び第2のリングラインはそれぞれ入口と複数の出口とを有し、各出口に逆止弁が設けられ、逆止弁は互いに独立して開くことができることを特徴とする。
【0010】
弁装置は、異なる消費物が2つのリングラインの個々の出口に接続され、異なる流体がリングラインに供給され、リングラインの入口を通して消費物に供給されるように使用することができる。弁装置の各リングラインは、その入口及び出口と共に、流体用のラインシステムを形成する。好ましくは、消費物はそれぞれ、第1のリングラインの出口及び第2のリングラインの出口に接続される。これは、消費物に、第1のリングライン又は第2のリングラインのいずれかから流体を供給することができることを意味する。好ましくは、弁装置は、元素分析装置の吸着装置の一部として使用され、消費物は、吸着装置の個々のフィルタユニットである。
【0011】
弁装置は、2つのリングラインを通して2つの異なる流体を送り、リングラインのそれぞれの出口を通して、異なる消費物、特に吸着装置のフィルタユニットに流体を供給することを可能にする。したがって、1つ以上の消費物に各リングラインから流体を供給することができる。個々の出口はそれぞれ、互いに独立して開くことができる逆止弁によってそれぞれ閉じられているため、流体は個々の出口を通して特異的に方向付けることができる。これにより、弁装置の動作に大きな柔軟性が与えられる。例えば、複数の消費物に並行して流体を供給することができる。同時に、第1グループの消費物に第1のリングラインから流体を供給し、第2グループの消費物に第2のリングラインから流体を供給し、それぞれの逆止弁を閉じることによって第3グループの消費物を両リングラインから切り離すことも可能である。
【0012】
弁装置は、あらゆる流体用に設計することができる。本発明の文脈において、「流体」という用語は、液体もしくはガス、又は液状成分とガス状成分との混合物を指す。これに関連して、流体は、固体粒子、例えばすす粒子を含むこともできるが、固体粒子の粒子サイズ及び量が弁装置の障害、特に閉塞を引き起こさない限りにおいてである。好ましくは、流体はガス又はガス状混合物であり、特に好ましくは水蒸気を含むガス状混合物である。特に好ましくは、流体はガス状成分のみを含む。
【0013】
この説明の文脈において、「入口」及び「出口」という用語は、それぞれ配管システムの接合部を指す。別段の指示がない限り、これらの用語は、配管システムに搬送される流体の流れの方向に制限を課すことを意図したものではない。例えば、「出口」として指定されるポートを通して「入口」として指定されるポートに流体を向かわせることができ、逆もまた同様である。
【0014】
リングラインの使用には、入口と個々の出口との間の流体によってカバーされる距離の差が最小限に抑えられるという利点がある。これにより、個々の出口全てにわたり流体の均一な分布が得られる。さらに、流体がラインセクション全体を流れるため、ラインシステム内のデッドボリュームが減少する。
【0015】
各リングラインは、1つの入口と複数の、すなわち少なくとも2つの出口とを含む。
【0016】
各リングラインの入口と出口との間の距離は、必要に応じて調整することができる。この距離は、流体がそれぞれのリングラインに沿って入口と出口との間を移動する距離として定義される。
【0017】
好ましくは、各リングラインの入口は、同一リングラインの直接隣接する2つの出口のそれぞれから等間隔である。換言すれば、単一のリングラインについて、流体が入口と入口のすぐ右側に位置する出口及びすぐ左側に位置する出口との間を移動する距離は等しいので、直接隣接する2つの出口の間で流体の均一な分布が達成される。直接隣接する出口は、リングラインに沿って時計回り又は反時計回りに見て最も近い出口として定義される。
【0018】
好ましくは、リングラインの出口が等間隔に配置されることも規定される。これにより、個々の出口間の距離の差が最小限に抑えられ、個々の出口全てにわたり流体の均一な分布が得られる。
【0019】
好ましい実施形態では、2つのリングラインの出口はそれぞれ接続ラインによって互いに対で接続され、各接続ラインに更なる出口が配置される。リングラインはそれぞれ、出口が互いに対で割り当てられるように同じ数の出口を有する。したがって、出口の各対は、単一の出口を有する接続ラインが割り当てられる。接続ラインは、リングラインが相互に接続され、同時に消費物のグループに接続されることを可能にする。
【0020】
この実施形態では、接続ラインの各出口は、各消費物が両方のリングラインに接続されるように消費物に接続することができる。したがって、単一の消費物、例えば後述するフィルタユニットに、各接続ラインを通して供給することができる。リングラインの個々の出口にある逆止弁を制御することにより、消費物に2つの流体のどちらを供給するかを消費物ごとに独立して決定することができる。したがって、同時に、1つ以上の消費物に第1のリングラインからの流体を供給し、1つ以上の更なる消費物に第2のリングラインからの流体を供給することが可能である。
【0021】
好ましくは、各接続ラインは、接続ラインの出口と2つのリングラインとの間の経路長が同じになるように、接続ラインの出口が2つのリングラインの2つの接続された出口から等間隔であることを規定する。
【0022】
逆止弁は、好ましくは電子制御又は空気圧制御される。したがって、弁制御装置は、逆止弁を自動的かつ独立して開閉する電子制御ユニットに接続することができる。逆止弁は、好ましくは所定のプログラムに従って制御される。
【0023】
逆止弁は2/2方向弁であり、各弁は入口及び出口を有し、閉状態と開状態とを切り替えることができる。好ましくは、逆止弁は非通電状態で閉じられる。これには、リングラインに接続された消費物への流体供給が電源故障の場合に自動的に中断され、消費物の汚染の可能性が防止されるという利点がある。
【0024】
好ましい実施形態では、2つのリングラインと各リングラインに接続された入口及び出口は構造ユニットを形成する。例えば、2つのリングラインは、立方形のブロック、例えばプラスチック又は金属のブロックにある穴の形態で形成することができる。したがって、両方のリングラインは、1つのブロックに結合され、したがって、1つの構造ユニットに結合される。好ましくは、ブロックは金属、特に真鍮で作られる。2つのリングラインの入口は、好ましくはブロックの反対側の側面に設けられる。2つのリングラインの出口は、好ましくは1つの側面、特に好ましくは入口を有する2つの側面の間に配置された側面に一緒に設けられる。この実施形態では、逆止弁は、好ましくは出口を有する側面に取り付けられ、例えば、出口を有する側面にプラグで接続するか又はねじ止めすることができる。また、この実施形態では、2つのリングラインの出口は、更なる出口を有する上述のような接続ラインに対で接続されることが好ましい。接続ラインはまた、ブロックにある穴の形態である。接続ラインは、逆止弁を備えた側面から金属ブロック内に延びている。接続ラインの出口は、好ましくは逆止弁と同じ側面に配置される。
【0025】
吸着装置
本発明による元素分析装置用の吸着装置は、上述のタイプの第1の弁装置と、各フィルタユニットが入口及び出口を有する複数のフィルタユニットとを備え、フィルタユニットは、各フィルタユニットがその入口を通して第1の弁装置の第1のリングラインのそれぞれの出口及び第2リングラインの出口に接続されるように第1の弁装置に接続されることを特徴とする。
【0026】
上述の弁装置を吸着装置との関連で使用することにより、元素分析装置との関連で弁装置の利点を生かすことができる。特に、弁装置を用いて、弁装置の2つのリングラインを通して、異なる流体を個々のフィルタユニットに向かわせることができる。例えば、吸着によって試料流体から試料流体の成分を除去するために、第1のリングラインを通して1つ以上のフィルタユニットに試料流体を供給することができ、同時に、更なるフィルタユニットを再生するために、第2のリングラインを通して1つ以上のフィルタユニットに洗浄流体を供給することができる。
【0027】
吸着装置は、2つ以上のフィルタユニットを備える。したがって、フィルタユニットの1つに試料流体を供給し、同時に第2のフィルタユニットに洗浄流体を通すことが可能である。したがって、1つ以上のフィルタユニットを使用して試料流体から成分を除去し、同時に1つ以上の他のフィルタユニットを再生する。このようにして、吸着装置の動作におけるダウンタイムを減らすことができる。好ましくは、吸着装置は、2つから10個のフィルタユニット、より好ましくは4つから8つのフィルタユニット、最も好ましくは6つのフィルタユニットを備える。
【0028】
フィルタユニットはそれぞれ、流体用の入口と、流体用の出口と、流体が流れることができる吸着材を備えたフィルタとを有する。フィルタユニットの形状は、さらに詳細には規定されていない。例えば、外部加熱装置を備えた従来技術から知られているU字型フィルタユニットを使用することができる。内部加熱装置を備えた螺旋形又は直線状のフィルタユニットを使用することも同様に可能である。
【0029】
また、好ましくは、フィルタユニットはそれぞれ、吸着材を加熱することができる加熱装置を有する。加熱装置を用いて、試料流体から吸着された成分を脱着させ、洗浄流体を用いてそれらの成分を吸着材から洗い流すために、吸着材を再生段階中に加熱することができる。
【0030】
好ましくは、フィルタユニットは、吸着材を冷却するための冷却装置も有する。冷却装置を用いて、再生後短時間のうちに試料流体の成分の吸着に必要な温度まで吸着材を冷却し、ひいては吸着材を動作運転可能な状態にすることができる。冷却装置は、好ましくはファンである。
【0031】
吸着材は、好ましくはCO2吸着材である。これは、試料流体から、好ましくはガス状の試料流体からCO2を除去するのに適している。好ましくは、吸着材はモレキュラーシーブである。特に好ましくは、吸着材は天然ゼオライト又は合成ゼオライトから成る。吸着特性を改善するために、吸着材をコーティングすることもできる。
【0032】
好ましい実施形態では、吸着装置は、上述のタイプの第2の弁装置を備え、フィルタユニットは、各フィルタユニットがその出口を通して第2の弁装置の第1のリングラインのそれぞれの出口及び第2のリングラインの出口に接続されるように、第2の弁装置に接続される。
【0033】
したがって、この実施形態では、吸着装置は、合計4つのリングラインを備え、リングラインのうちの2つが各フィルタユニットの入口に接続され、リングラインのうちの2つが各フィルタユニットの出口に接続される。
【0034】
この実施形態により、流体は、フィルタユニットを流れた後、第2の弁装置の2つのリングラインのうちの1つを通して異なる受容器に送られることが可能になる。例えば、フィルタユニットを流れた後、流体は、第2の弁装置の第1のリングラインを通して検出器に向かわせることができる。代わりに、フィルタユニットを流れた後、流体は、第2の弁装置の第2のリングラインを通して第2の検出器又は出口に向かわせることができる。
【0035】
第2の弁装置の逆止弁を第1の弁装置の逆止弁と同様に互いに独立して開閉することができることは、流体を異なるフィルタユニットから異なる受容器に通すことができることを意味する。例えば、試料流体は、第1の弁装置の第1のリングラインを通して1つ以上の第1のフィルタユニットに送り、第1のフィルタユニットから第2の弁装置の第1のリングラインを通して検出器に送ることができ、同時に、洗浄流体は、第1の弁装置の第2のリングラインを通して1つ以上の第2のフィルタユニットに送り、1つ以上の第2のフィルタユニットから第2の弁装置の第2のリングラインを通して出口に送ることができる。
【0036】
上述の例では、流体はそれぞれ、第1の弁装置のリングラインの入口を通して吸着装置に供給され、第2の弁装置のリングラインの入口を通して吸着装置から出る。流体は、いずれの場合もフィルタユニットを同じ方向に流れる。しかしながら、第1の流体が第1の弁装置の第1のリングラインを通してフィルタユニットに供給され、フィルタユニットから第2の弁装置の第1のリングラインに供給され、一方、第2の流体が第2の弁装置の第2のリングラインを通してフィルタユニットに供給され、フィルタユニットから第1の弁装置の第2のリングラインに供給されるように吸着ユニットを設定することも可能である。この実施形態では、流体はフィルタユニットをそれぞれ反対方向に流れる。
【0037】
フィルタユニットと2つのリングラインとの間の移動距離の差を最小限に抑えるために、フィルタユニットの入口は、好ましくはリングラインのそれぞれの接続された出口から等間隔に配置される。第2の弁装置が設けられている場合、フィルタユニットの出口と第2の弁装置の関連する出口との間の距離についても同じことが当てはまる。
【0038】
好ましくは、吸着装置は、第1の弁装置及び第2の弁装置(存在する場合)の逆止弁を制御することができる電子制御ユニットを備える。制御ユニットは、好ましくは、逆止弁と加熱装置及び冷却装置の制御を中央制御ユニットが引き受けるように、フィルタユニットの加熱装置及び冷却装置(存在する場合)にも接続される。
【0039】
吸着装置は、好ましくは元素分析装置での使用、好ましくは有機試料を分析するための元素分析装置での使用、最も好ましくは食品試料を分析するための元素分析装置での使用、最も好ましくは食品試料中の窒素含有量を特定するための元素分析装置での使用を目的とする。しかしながら、吸着装置は、成分、特にCO2を流体から除去し、それに応じて適合させる必要があるあらゆる他の用途も目的とする。
【0040】
吸着装置は、あらゆる流体から成分を吸着するように設計される。流体は、液状成分及びガス状成分を含むことができる。また、流体は、固体粒子、例えばすす粒子を含むこともできるが、固体粒子の粒子サイズ及び量が吸着材の損傷につながらない限りにおいてである。好ましくは、流体はガス又はガス状混合物であり、特に好ましくは水蒸気を含み得るガス状混合物であり、最も好ましくは流体はガス状成分のみを含む。
【0041】
吸着装置の動作方法
本発明による元素分析装置用の吸着装置の動作方法は、
a)上述の吸着装置を提供するステップと、
b)吸着装置の第1の弁装置の第1のリングラインを通して吸着装置のフィルタユニットのうちの少なくとも1つに試料流体を通し、試料流体の成分がフィルタユニットに吸着されるようにするステップと、
任意選択で
c)吸着装置の第1の弁装置の第2のリングラインを通して吸着装置のフィルタユニットのうちの少なくとも1つの更なるフィルタユニットに洗浄流体を通し、吸着された成分が前記フィルタユニットから洗い流されるようにするステップと
を含む。
【0042】
試料流体を第1のリングラインに通すとき、吸着を目的とするフィルタユニットに接続された第1のリングラインの出口の逆止弁が開かれる。第1のリングラインの他の逆止弁と第2のリングラインの対応する出口の逆止弁は閉じたままである。
【0043】
洗浄流体を第2のリングラインに通すとき、再生を目的とするフィルタユニットに接続された第2のリングラインの出口の逆止弁が開かれる。第2のリングラインの他の逆止弁と第1のリングラインの対応する出口の逆止弁は閉じたままである。
【0044】
1つ以上のフィルタユニットを、試料流体又は洗浄流体が他のフィルタユニットに通される間、対応する逆止弁を閉じることによって第1のリングライン及び第2のリングラインから完全に切り離すことも可能である。
【0045】
ステップb)及びc)は、同時に又は時間差を付けて行うことができる。好ましくは、ステップb)及びc)は、再生されるフィルタユニットのダウンタイムを最小限に抑えるために、吸着装置の動作中に同時に又は少なくとも時間的に重複して行われる。ステップb)及びc)が時間的に重複して行われる場合、ステップc)の洗浄流体は、ステップb)の試料流体とは異なるフィルタユニットに通される。ステップb)及びc)が時間的に重複せずに行われる場合、ステップb)及びc)のフィルタユニットは同じフィルタユニットであることができる。
【0046】
好ましい実施形態では、試料流体は、試料流体の成分が2つ以上のフィルタユニットに吸着されるように前記2つ以上のフィルタユニットに同時に通される。このようにして、吸着容量を増加させることができる。
【0047】
更なる実施形態では、上述のような第2の弁装置を備える吸着装置が使用される。この実施形態では、方法は、試料流体が、少なくとも1つのフィルタユニットに通された後、第2の弁装置の第1のリングラインに通され、そこから検出器に送られるステップを含む。これは、該当するフィルタユニットの出口に接続されている第2の弁装置の第1のリングラインの出口の逆止弁を開き、第2の弁装置の第2のリングラインの対応する出口を閉じることによって行われる。
【0048】
更なる実施形態では、洗浄流体は、1つ以上のフィルタユニットに通された後、脱着した成分を検出するために追加の検出器に通される。このようにして、最初に吸着された成分の量を特定することができ、ひいては試料流体中の成分の量について結論を導き出すことができる。好ましくは、上述のような第2の弁装置がこのために使用され、洗浄流体が第2の弁装置の第2のリングラインに通され、そこから追加の検出器に送られる。洗浄流体が1つ以上のフィルタユニットに通された後に、洗浄流体を試料流体と同じ検出器に向かわせることも可能である。好ましくは、上述のような第2の弁装置がこのために使用され、それにより洗浄流体が第2の弁装置の第1のリングラインに通され、そこから検出器に送られる。
【0049】
この方法は、この方法の文脈では試料流体と呼ばれる、あらゆる流体流から成分を除去するのに適している。流体流は、液状成分及びガス状成分を含むことができる。また、流体流は、固体粒子、例えばすす粒子を含むこともできるが、固体粒子の粒子サイズ及び量が吸着材の損傷につながらない限りにおいてである。好ましくは、流体流はガス又はガス状混合物であり、最も好ましくは流体流は水蒸気を含み得るガス状混合物であり、最も好ましくは流体流はガス状成分のみを含む。この方法は、好ましくは試料流体からCO2を除去するために使用される。
【0050】
一実施形態では、試料流体は、試料、好ましくは有機試料、より好ましくは食品試料又は動物飼料試料の燃焼によって得られるCO2を含む流体流である。好ましくは、流体流は以下のステップによって得られる。
【0051】
試料を燃焼反応器で燃焼させて分析流体を得るステップと、分析流体を還元反応器に通して分析流体の酸化した成分を還元するステップと、分析流体を水分離器に通して分析流体から水を除去するステップ。
【0052】
好ましくは、CO2を含む流体流は、CO2が吸着材によって流体流から吸着されるように、10℃から40℃の温度、好ましくは15℃から30℃の温度、より好ましくは18℃から25℃の温度の吸着装置のフィルタユニットに通される。
【0053】
CO2を含む流体流が吸着装置に通された後、吸着されたCO2は、加熱装置を用いて吸着材を加熱し、洗浄流体流を吸着装置に通すことによって、吸着材から洗い流される。好ましくは、吸着材は、それによって100℃から300℃、好ましくは150℃から250℃、より好ましくは180℃から220℃の間の中心温度まで加熱される。特に好ましい実施形態では、吸着材は、最初に特定の中心温度まで加熱され、次いで洗浄流体流が吸着装置及び吸着材に通される。
【0054】
吸着材が加熱されると、吸着された成分の放出と流体の熱膨張により、フィルタユニットに圧力上昇が生じる可能性がある。この圧力上昇を相殺するために、フィルタユニットは好ましくは加熱中に通気される。上述のように第2の弁装置を使用する場合、通気は、好ましくは対応する逆止弁を開くことによって第2の弁装置の第2のリングラインを通して行われる。
【0055】
使用される洗浄流体は、好ましくはそれ自体が吸着材に吸着される成分又は吸着材と化学反応する成分を含まない流体である。好ましくは、洗浄流体はガス又はガス状混合物である。好ましくは、洗浄流体は希ガス、例えばヘリウム又はアルゴンである。好ましい実施形態では、ヘリウムが洗浄流体として使用される。
【0056】
好ましい実施形態では、吸着装置のフィルタユニットは上述の冷却装置を備える。この場合、プロセスは、吸着された成分が吸着材から洗い流された後に、冷却装置を用いて吸着材を冷却する追加のステップを含む。冷却装置を用いた吸着材の冷却中に、洗浄流体流は遮断されてもよいし、吸着材を通過し続けてもよい。
【0057】
更なる実施形態では、同様の試料の試料流体は、常に吸着装置の同じフィルタユニットに通される。このようにして、フィルタユニット間の個体差によって生じ得る系統的な測定誤差を最小限に抑えるか又は完全に排除することができる。好ましくは、吸着装置は、試料の識別データを記憶するための電子メモリユニットと、このためのフィルタユニットとを備える。したがって、試料をそれらの識別データに基づいて特定のフィルタユニットに割り当てることが可能である。
本発明の更なる特徴は、以下に説明する図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】休止中の吸着装置の概略図である。
図2】試料流体をフィルタユニットに通す際の吸着装置の概略図である。
図3】洗浄流体をフィルタユニットに通す際の吸着装置の概略図である。
図4】試料流体を2つのフィルタユニットに同時に通す際の吸着装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1から図4はそれぞれ、様々な動作状態にある吸着ユニット1の概略図を示す。
【0060】
吸着ユニット1は、2つのリングライン110、120を備える第1の弁装置100を有する。リングライン110は、入口111と6つの出口112とを有する。リングライン120は、対応する入口121と同様に6つの出口122とを有する。本明細書に示される実施例では、リングライン110は、入口111を通してリングライン110に供給される試料流体を通すために使用される。本明細書に記載する実施例では、試料流体は、食品試料を燃焼させることによって得られるCO2を含むガス状混合物である。リングライン120は、入口121を通して供給される洗浄流体を通すために使用される。この場合の洗浄流体は、後述する吸着材からCO2を除去するために使用される不活性ガスである。
【0061】
リングライン110、120は、より良い概観のために、図1から図4の概略図では空間的に分離して示されている。しかしながら、本明細書に記載される実施例では、リングライン110、120は実際には構造ユニットを形成する。
【0062】
2つのリングライン110、120の出口112、122にはそれぞれ逆止弁113、123が設けられ、図1から図3にはリングラインごとに逆止弁の1つが概略的に示されている。他方の逆止弁は、より良い概観のために示されていない。
【0063】
逆止弁113、123の出口は、接続ライン130を通して相互に接続されている。したがって、逆止弁113、123に関連する2つのリングライン110、120の出口112、122は同時に相互に接続されている。弁装置100は合計6つの接続ライン130を有し、図1から図3には接続ライン130の1つのみが示されている。個々の接続ライン130はそれぞれ、2つの逆止弁113、123とリングライン110、120の対応する出口112、122とを互いに対で接続する。
【0064】
各接続ライン130は、フィルタユニット300に接続された追加の出口131を有する。吸着装置1は合計6つのフィルタユニット300を備え、図1から図3にはフィルタユニット300の1つのみが示されている。各フィルタユニット300は、加熱装置310と冷却装置320とを備える。フィルタユニット300は、試料流体から成分を吸着する吸着材を備える。本明細書に示す実施例では、材料はCO2吸着材である。
【0065】
本明細書に示す実施例では、吸着装置1は、第1の弁装置100に対応して構成された第2の弁装置200を備える。第2の弁装置200は、それぞれが入口211、221と6つの出口212、222とを有する2つのリングライン210、220を備える。第1の弁装置100と同様に、第2の弁装置200のリングライン210、220は構造ユニットを形成する。出口212、222には逆止弁213、223が設けられ、図1から図3にはリングラインごとに逆止弁の1つのみが示されている。逆止弁213、223はそれぞれ接続ライン230を通して対で接続され、図1から図3には接続ライン230の1つのみが示されている。各接続ライン230は追加の出口231を有し、追加の出口231のそれぞれがフィルタユニット300の出口に接続される。
【0066】
図1は、フィルタユニットに対して休止状態にある吸着装置1を示す。この状態では、図示のフィルタユニット300を流体が通過しないように、図示のフィルタユニット300につながる全ての逆止弁113、123、213、223が閉じられている。したがって、図示のフィルタユニット300はアイドル状態にある。逆止弁113、123、213、223を互いに独立して開閉させることにより、合計6つフィルタユニット300のうちのいくつかのみがアイドル状態にあることが可能であり、同時に他のフィルタユニットが図2及び図3に示される状態の1つにあることができる。
【0067】
休止状態は、加熱装置310及び冷却装置320の制御と連動して使用され、特に後述する吸着又は再生を準備するために使用される。有利には、吸着が完了した後、フィルタユニット300は逆止弁113、123、213、223を閉じることによって休止状態に置かれ、休止状態の間に加熱装置310が作動して吸着材を再生に必要な温度まで加熱する。好ましくは、加熱中、逆止弁223は、フィルタユニット300がリングライン220を通して通気されるのを可能にするため及びフィルタユニット300内の過圧を防ぐために少なくとも一時的に開かれる。したがって、再生が完了した後、フィルタユニット300は再び休止状態に置かれ、その間に冷却装置320が作動して吸着材を吸着に必要な温度まで冷却する。
【0068】
図2は、試料流体をフィルタユニット300に通している吸着装置1を示す。この状態では吸着が行われ、すなわち試料流体の成分、この実施例ではCO2が、フィルタユニット300の吸着材に結合することによって試料流体から除去される。このために、逆止弁113は開かれるが、逆止弁123は閉じたままである。その結果、第1のリングライン110からの試料流体がフィルタユニット300に入る。加熱装置310はこのプロセス中は停止しており、冷却装置320は必要に応じて作動して吸着材を冷却することができる。第2の弁装置200では、逆止弁213は同時に開かれるが、逆止弁223は閉じたままである。その結果、試料流体は、フィルタユニット300を流れた後、第2の弁装置200のリングライン210に入る。試料流体は、入口211を通して第2の弁装置200から出る。
【0069】
本明細書に記載する実施例では、入口211は、試料流体中の窒素を検出するための検出器に接続されている。したがって、試料流体は、フィルタユニット300によってCO2が除去された後、検出器に到達する。
【0070】
図3は、洗浄流体をフィルタユニット300に通している吸着装置1を示す。この状態では再生が行われ、すなわち吸着された成分、この実施例ではCO2が、高温下で吸着材から脱着され、フィルタユニット300から洗い流される。このために、逆止弁123は開かれるが、逆止弁113は閉じたままである。その結果、第2のリングライン120からの洗浄流体がフィルタユニット300に入り、加熱装置310は吸着材を加熱するために作動しており、冷却装置320は停止している。第2の弁装置200では、逆止弁223は同時に開かれるが、逆止弁213は閉じたままである。その結果、洗浄流体は、フィルタユニット300を流れた後、第2の弁装置200のリングライン220に入る。洗浄流体は、入口221を通して第2の弁装置200から出る。
【0071】
本明細書に記載する実施例では、入口221は、洗浄流体中のCO2を検出するための検出器に接続することができる。したがって、除去されたCO2を含む洗浄流体は、除去されたCO2の量を測定することができるように、CO2を検出するための検出器に到達する。代わりに、洗浄流体は、入口221を通して吸着装置1の外に向かわされ、廃棄される。
【0072】
図4は、試料流体を2つのフィルタユニット300に同時に通している吸着装置1を示す。吸着装置1は、図1から図3と基本的に同じ設計を有する。しかしながら、明確にするために、合計6つのフィルタユニット300のうちの2つが、それらに接続された逆止弁113、123、213、223と共に図4に明示的に示されている。図4に示す状態では、2つの逆止弁113は開いているが、対応する逆止弁123は閉じている。その結果、第1のリングライン110からの試料流体は、同時に2つのフィルタユニット300に通される。フィルタユニット300は並列に接続されている。これにより、利用可能な吸着材の量が倍増し、ひいてはCO2を吸着する吸着容量が倍増する。したがって、フィルタユニット300は、図2に示すフィルタユニットと同様に、両方とも吸着モードにある。この場合、加熱装置310は停止しており、冷却装置320は必要に応じて作動して吸着材を冷却することができる。第2の弁装置200では、逆止弁213は同時に開かれるが、逆止弁223は閉じたままである。その結果、フィルタユニット300からの2つの試料流体流は、共に第2の弁装置200のリングライン210に入る。入口211を通して、混合された試料流体は第2の弁装置200から出て、上述のように検出器に向かわせることができる。一方、図4に示されていない残りのフィルタユニット300は、図1による休止状態、図3による再生モード、又は吸着モードのいずれかであり得る。
【符号の説明】
【0073】
1 吸着装置
100、200 弁装置
110、120、210、220 リングライン
111、121、211、221 入口
112、122、212、222 出口
113、123、213、223 逆止弁
130、230 接続ライン
131、231 出口
300 フィルタユニット
310 加熱装置
320 冷却装置
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】