(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037879
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】画像からの血管の選択方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240312BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240312BHJP
A61B 6/50 20240101ALI20240312BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240312BHJP
G06V 10/26 20220101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B6/46 506Z
A61B6/00 550D
A61B6/50 500B
G06T7/00 612
G06V10/26
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210617
(22)【出願日】2023-12-13
(62)【分割の表示】P 2022105349の分割
【原出願日】2017-05-16
(31)【優先権主張番号】62/336,848
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518406987
【氏名又は名称】キャスワークス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ラビ、ガイ
(72)【発明者】
【氏名】シロン、オフェク
(72)【発明者】
【氏名】セモ、サリト
(72)【発明者】
【氏名】ハリシュ、オムリ
(72)【発明者】
【氏名】シムショビッツ、アサフ
(57)【要約】
【課題】手動的にアシストされた血管の特徴を決定するための方法及びシステム。
【解決手段】いくつかの実施形態において、画像分析によって識別された血管中心線がセグメントに分割される。任意に、連続するセグメントに沿って血管の根元位置に延びる1つ以上の候補経路が、複数の血管端点のそれぞれのために生成される。血流の解剖学的な経路の選択は、任意に手動的な確認に基づく。任意に、経路は、例えば複数のウェイポイントの選択に基づいて、手動により決定される。任意に、経路は、修正の比較的大まかな表示を、近くの血管系の幾何学形状へ厳密に一致する経路変化へと変換することを可能とする動的輪郭法の使用により編集される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流の経路を決定するための、血管画像を血管経路へとセグメント化する方法であって、
該方法は、
プロセッサ内に、前記血管画像を受け取り、
前記プロセッサを介して、前記血管画像内で第1及び第2の目標血管経路の終端領域を決定し、
前記プロセッサを介して、前記血管画像内で血管の部分の位置を識別するために前記血管画像をセグメント化し、
前記プロセッサを介して、識別された前記血管の部分から、各々が前記第1及び第2の目標血管経路の終端領域の間に延びる潜在的な血管経路を決定する複数の血管経路オプションを自動的に生成し、
前記プロセッサを介して、前記血管画像に登録された、表示される各々が前記第1及び第2の目標血管経路の終端領域を含む前記複数の血管経路オプションを、ユーザによる選択のために表示し、及び、
前記プロセッサ内に、血流の経路を決定するための、前記ユーザによって選択された経路オプションを受け取る、
ことを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に解剖学的セグメンテーションの分野に関連し、特に分岐された血管の解剖学的構造の手動によって補助されたセグメンテーションに関連する。
【背景技術】
【0002】
血管のセグメンテーション及び特徴の識別は、血管の状態の画像をベースとした測定の予備的段階である。血管セグメンテーション及び特徴の識別の多くの段階は、予備的に自動分析に基づいて実施することができるが、関連する画像の特徴は、しばしば低コントラストである、及び/又は曖昧な幾何学的及び無関係な特徴の要素を含む複雑な環境に組み込まれている。例えば、Livewireや関連する手順(例えば、非特許文献1で論じられている)のように、修正を行い結果の質を保証することを助けるためにワークフローへと人間の監督が導入されるかもしれず、半自動的な処理につながる。
【0003】
付加的な背景技術は、非特許文献2の論文、非特許文献3の論文、及び非特許文献4の論文を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ryan Dickie, et al. ; Live- vessel: Interactive vascular image segmentation with simultaneous extraction of optimal medial and boundary paths. Technical report TR 2009-23, School of Computing Science, Simon Fraser University, Burnaby, BC, Canada, November 2009
【非特許文献2】"Snakes: Active contour models", by M. Kass, A. Witkin, and D. Terzopoulos, published in Int. J. Comput. Vis. (1987), 1:321-331
【非特許文献3】"Multiscale vessel enhancement filtering", by A.F Frangi, W.J. Niessen, K.L. Vincken, M.A. Viergever, published in Medical Image Computing and Computer- Assisted Intervention-MICC' 98
【非特許文献4】"Snakes, Shapes, and Gradient Vector Flow", by C. Xu and J.L. Prince, published in IEEE Transactions on Image Processing (1998), 7:359-369
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの例示的な実施形態によれば、血流の経路を決定するための血管画像を血管経路へとセグメント化する方法が提供される。該方法は、血管画像内で第1及び第2の目標血管経路の終端領域を決定すること、血管画像内で血管の部分の位置を識別すること、及び識別された血管の部分から複数の血管経路オプションを自動的に生成すること、を含み、各血管経路オプションは、第1及び第2の目標血管経路の終端領域の間に延びる潜在的な血管経路を決定することを特徴とする。該方法は、ユーザによる選択のため、血管画像に登録された複数の血管経路オプションを表示することも含んでもよく、それぞれの表示される各々の血管経路オプションは第1及び第2の目標血管経路終端領域を含む。例示の方法は、血流経路の決定のためにユーザによって選択された経路オプションを受け取ることを更に含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、複数の経路は、基準の第1のセットに基づいて自動的に生成され、ユーザによって選択された経路オプションは、基準の第2のセットに基づいて選択される。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、事前に決定することは、各血管経路オプションが血管画像内に画像化された血管内の血流の実際の経路に対応する可能性の評価に基づき、血管経路オプションを順番にランク付けすることを含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、事前に決定することは、血管経路オプションに関連する1つ以上の特徴に数値のコストを割り当てるコスト関数を適用することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、コスト関数は、中心線であって、該中心線から血管経路オプションが連結される複数の血管セグメントの中心線の特徴に基づく数値コストを割り当てる。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、複数の血管セグメントの中心線の特徴は、中心線の方向、中心線オフセット、及び節領域から延びる中心線の数からなる群のうちの1つ以上を含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、コスト関数は、血管経路オプションがその上で延びる血管画像の特徴に基づく数値コストを割り当てる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、血管画像の特徴は、血管セグメント画像強度の連続性、血管セグメント画像の幅の連続性、及び節領域であって、該節領域から3つ以上の血管セグメントが延びる、節領域に対する血管強度における相対変化の位置、からなる群のうちの1つ以上を含む
【0013】
いくつかの実施形態によれば、事前に決定することは、血管画像の平面に対して垂直に延びる軸に対して、深さにおける血管セグメント画像の推定相対位置に基づく数値コストを割り当てるコスト関数の適用を含む。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、表示することは、前記複数の血管経路オプションを、選択順序に決定された連続した順序に示すことを含む。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、表示することは、複数の血管経路オプションを同時に示すことを含み、選択の順序は、選択のためにアクティブとして血管経路オプションが表示される順番に対応する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、各血管経路オプションは、第1及び第2の目標血管経路の終端領域の1つに最も近い画像の血管領域で終端する、第1及び第2の目標血管経路の終端領域間の画像領域を通じて延びる、血管経路を決定する。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態によれば、血管画像における血管のセグメンテーションをより正確に描くために血管経路を編集する方法が提供される。該例示的な方法は、血管の前記セグメンテーションに沿った選択領域の指示を受け取ること、血管のセグメンテーションに沿った位置の関数として決定されたエネルギー汎関数を決定することを含み、エネルギー汎関数の非ゼロ領域を選択領域の前記位置に基づきセットすることを特徴とする。該方法は、エネルギー汎関数の非ゼロ領域の範囲内で、エネルギーの最小化に従ってセグメンテーションの領域を移動することも含んでよい。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、非ゼロ領域におけるエネルギー汎関数値は、基礎的な血管画像の特徴に基づいてセットされる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、非ゼロ領域におけるエネルギー汎関数値は、ユーザが制御する位置の指示の動きに基づいてセットされる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、ユーザが制御する位置の指示は、選択領域の指示を含む。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態によれば、血管経路の半自動的なセグメンテーションのためのユーザインターフェースが提供され、該ユーザインターフェースは、2つの目標終端ポイントの間を延びる、自動的に生成されるデフォルトの血管経路を提示するように操作可能な少なくとも1つのインターフェースモジュールと、2つの目標終端ポイントの間を延びる、少なくとも1つの追加の自動的に生成される血管経路を提示するために操作可能な少なくとも1つのインターフェースモジュールと、を備える。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェースは、少なくとも1つのウェイポイント(way point)を決定可能に、且つ少なくとも1つのウェイポイントを介して前記2つの目標終端ポイント間に延びる自動的に生成される血管経路を提示するように操作可能に構成された少なくとも1つのインターフェースモジュールを更に備える。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェースは、血管経路の位置を新しい場所へとドラッグすることによって事前に決定された血管経路を修正するように操作可能な少なくとも1つのインターフェースモジュールを更に備える。
【0024】
他が定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、本開示が関連する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品又はそれらの類似又は同等物は、開示の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、例示的なシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品を以下に説明する。矛盾がある場合は、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、システム、方法、装置、コンピュータプログラム製品及び実施例は、単に説明のためのものであり、必ずしも限定することを意図しない。
【0025】
当業者によれば明らかなように、本開示の態様は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。従って、本開示の態様は、全て一般に「回路」、「モジュール」又は「システム」と本明細書で呼ばれうる、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又はソフトウェア態様とハードウェア態様との組み合わせの実施態様の形をとり得る。更には、本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のコンピュータで読み取り可能な媒体であって、その中に具体化されたコンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する媒体において具体化されるコンピュータプログラム製品の形態を取りうる。本開示のいくつかの実施形態の方法及び/又はシステムの実現は、手動、自動又はそれらの組み合わせで選択されたタスクを実行する及び/又は完了することを含み得る。更に、本開示の方法及び/又はシステムのいくつかの実施形態の実際の計装及び機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、又はファームウェアによって及び/又はそれらの組み合わせ、例えばオペレーティングシステムの使用、によって実現され得る。
【0026】
例えば、本開示のいくつかの実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ又は回路として実現され得る。ソフトウェアとして、本開示のいくつかの実施形態による選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティングシステムを使用するコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として、実現され得る。本開示の例示的な実施形態において、本明細書で説明する方法及び/又はシステムのいくつかの例示的な実施形態によると、1つ以上のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピュータプラットフォームのようなデータプロセッサによって実施される。任意に、データプロセッサは、命令及び/又はデータを格納するための揮発性メモリ及び/又は命令及び/又はデータを格納するための不揮発性記憶媒体、例えば磁気ハードディスク及び/又はリムーバルメディアを含む。任意に、ネットワーク接続も提供され得る。ディスプレイ及び/又は、キーボード又はマウスのようなユーザ入力層値も提供され得る。
【0027】
1つ以上のコンピュータが読み取り可能な媒体の任意の組み合わせを、本開示のいくつかの実施形態のために使用してもよい。コンピュータが読み取り可能な媒体は、コンピュータが読み取り可能な信号媒体又はコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、これに限るものではないが、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体システム、装置又はデバイス又はこれらの任意の好適な組み合わせであってもよい。コンピュータが読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1つ以上のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット(diskette)、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又はこれらの任意の好適な組み合わせを含む。本文書の文脈において、コンピュータが読み取り可能な記憶装置は、命令を実行するシステム、装置又はデバイスによる又はこれらに関連する使用のためのプログラムを含む又は格納することができる任意の有形の媒体とすることができる。
【0028】
コンピュータが読み取り可能な信号媒体は、例えばベースバンド内又は搬送波の一部として、その中に埋め込まれたコンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する伝搬データ信号を含んでもよい。そのような伝搬信号は、これに限るものではないが、電磁波、光学、又はそれらの任意の組み合わせを含む、任意の形をとってもよい。コンピュータが読み取り可能な信号媒体は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体ではないが、命令を実行するシステム、装置又はデバイスによる又はこれらに関連する使用のためのプログラムを通信、伝搬又は送信することができる任意のコンピュータが読み取り可能な媒体であってもよい。
【0029】
コンピュータが読み取り可能な媒体上で具体化されたプログラムコード及び/又はそれによって使用されるデータは、これに限るものではないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含む、任意の適切な媒体を使用して送信されてもよい。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態のオペレーションを実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウエアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的にリモートコンピュータ上で、又は全体としてリモートコンピュータ上で又はサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)含む、任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータと接続されてもよく、又は接続は外部のコンピュータになされてもよい(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通じて)。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態を、本開示の実施形態に係る方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照し、以下に説明する。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック及びフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラムの命令によって実現される得ることが理解される。コンピュータ又はプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行するこれらのコンピュータプログラムの命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックにおいて特定された機能/動作を実行する手段を生成するように、コンピュータプログラムの命令が、汎用コンピュータのプロセッサ、特殊用途コンピュータのプロセッサ、又は機械を製造するための他のプログラム可能なデータ処理装置に提供されてもよい。
【0032】
コンピュータが読み取り可能な媒体内に格納された指示が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックにおいて特定された機能/動作を実行する命令を含む製造品を生成するように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は特定の方法で機能するための他のデバイスに指示することができるこれらのコンピュータプログラムの命令が、コンピュータが読み取り可能な媒体に格納されてもよい。
【0033】
コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックにおいて特定された機能/動作を実現するプロセスを提供するように、コンピュータプログラムの命令が、コンピュータ上、他のプログラム可能なデータ処理装置上、又はコンピュータ、他のプログラム可能な装置又はコンピュータ実現プロセスを生成するための他のデバイス上で実施される連続する操作ステップを生じさせるための他のデバイス上にロードされてもよい。
【0034】
本開示のシステム、方法、及び装置の付加的な特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に説明されており、これらから明らかとなる。
【0035】
例示のシステム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品のいくつかの実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に説明される。ここで、詳細に特定の図面を参照すると、詳細は、一例であり、システム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品の実施形態のためであることが強調される。この点について、図面とともになされる説明は、システム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品の実施形態をどのように実施しうるかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管中心線経路を決定する方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管画像から血管経路オプションを生成する方法の概略的なフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る特定の血管経路オプションを選択する及び/又は決定するための方法の概略的なフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路の手動で編集するための方法の概略的なフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの選択の概要を説明する図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの選択の概要を説明する図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの選択の概要を説明する図である。
【
図4D】
図4Dは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの選択の概要を説明する図である。
【
図4E】
図4Eは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの選択の概要を説明する図である。
【
図4F】
図4Fは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの選択の概要を説明する図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る代替的な血管経路オプションからの選択の概要を説明する図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る代替的な血管経路オプションからの選択の概要を説明する図である。
【
図5C】
図5Cは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る代替的な血管経路オプションからの選択の概要を説明する図である。
【
図5D】
図5Dは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションを手動で決定する方法の概要を説明する図である。
【
図5E】
図5Eは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションを手動で決定する方法の概要を説明する図である。
【
図5F】
図5Fは、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管経路オプションの手動による編集の概要を説明する図である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る複数の異なる血管画像表示上で同時に行われた経路の決定の表示の概要を説明する図である。
【
図7】
図7は、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係るソフトウェアモジュールと、血管経路の半自動的なセグメンテーションのためのシステムで実現されるデータ構造との概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、本開示のいくつかの実施形態において、解剖学的セグメンテーションの分野に関連し、特に、分岐された血管の解剖学的構造の手動によって補助されたセグメンテーションに関連する。
【0038】
概要
現在の開示のいくつかの実施形態の広範な態様は、効果的であり信頼性のある血管樹(vascular tree)の生成を潜在的に可能とする、手動的な及び自動的なセグメンテーション技術の組み合わせに関連する。
【0039】
血管セグメンテーション(vascular segmentation)は、血流の研究を含む、様々な用途のための医用画像データからの血管解剖学及び機能の特徴付けにおける初期のステップである。しかし、自動セグメンテーション法は、一般的に、要求がより厳しくなるにつれ性能低下を示す。加えて、造影剤(contrast agents)は、それらで使用可能な濃度が限られており、注射可能な造影剤は速やかに希釈され、利用可能なイメージング時間を限定してしまう。更に、安全性の理由から、イメージングのいくつかのタイプで使用される放射線量は、信頼性のある視覚化のために必要最小限に抑えられることが好ましい。大きな血管に対して高コントラスト及び/又は高い信号対ノイズが、しばしば達成し得るとしても、より小さな血管を解析するいくつかの用途において、必要性もある。しかし、信号強度がバックグラウンドのノイズあるいは信号自身に固有の量子ノイズの限界に接近するので、イメージングクオリティは、血管径の減少に伴い急速に低下する。このような技術的見解から離れても、血管系自体が非常に複雑な形状である。これは、特に2D画像において、局所的な特徴のレベルで検査によって特定の分岐構造を決定することが困難な多くのケースの曖昧な構造を潜在的に引き起こす。一方、そのような特徴の解釈は、潜在的に特定の構造及び/又は画像化方法に適用可能な制約の特殊性に依存するため、広範な特徴の検出を通常の自動的な手法で対処することは困難である。
【0040】
このような及び他の理由から、実際のケースでは、しばしば、解析に利用可能な医用画像のクオリティは、関心のある少なくともいくつかの血管構造について、機械画像(machine vision)及び/又は画像処理のための現在の技術の限界に近い又は限界を超えるという結果となる。技術開発による時間の経過と共にこれらの限界の境界が動いたとしても、自動血管セグメンテーションだけでは不十分であるという興味深いセグメンテーション問題が引き続き存在することが予想される。
【0041】
半自動セグメンテーション法は、人間の判断及び/又は制御で補強することによって、純粋な自動セグメンテーション法の限界に対処することを求めている。しかしながら、人間の介入は、時間、資金、及び/又は利用可能性の点で高価である。この観点から、いくつかの半自動セグメンテーション法での目標は、自動セグメンテーションを監督するために費やされる人間の時間及び/又は労力を削減することである。最適化における問題を考慮すると、本開示のいくつかの実施形態における目標は、半自動セグメンテーションにおける人間の介入を、それらが適用される用途のための十分なクオリティの結果と一致する、達成できる最低のレベルに近づけることでもよい。従って、半自動セグメンテーションの好適な方法は、特定の問題領域での適用に特有の特徴を含んでもよい。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態の態様は、血管造影法による画像の半自動血管セグメンテーションのためのカスケード方法に関連する。より詳細には、いくつかの実施形態では、この態様は、リアルタイムで結果を生成するという制約の中で作業しながら、血管造影法による画像の半自動セグメンテーションのためのカスケード方法に関連する。任意に、画像の生成のために使用された可能性のあるカテーテル処置が進行中であり、その後の分析、例えば診断及び/又は治療計画に繋がる分析のための十分な時間が残っている間に、セグメンテーションは完了する。
【0043】
いくつかの実施形態において、半自動血管セグメンテーションの手動による管理操作は、ユーザ操作のますます注意を要するセットを通じてカスケードするように構成され、一旦、ユーザが十分な品質の結果が得られたことに満足するとカスケードが停止する。操作のこのカスケードを通じる1つ以上のルートがあってもよい。例えば、選択された操作の順番は、任意に、マイナーな編集だけが必要な早期にほぼ適切な結果が得られたかどうか、又はユーザが新たに適切な経路を決定する必要があるかどうかに、依存してもよい。いくつかの実施形態において、カスケードは、より可能性の高いオプションがより早期に提示され及び/又はより重視され、ユーザが選択を行うのに費やす時間及び/又は労力を潜在的に低減するように、構成されてもよい。任意に、必要に応じ自動的に特定された結果における誤りを正す機会の提供もしながら、最小限の入力で「十分に近い」結果を得ることを強調するために、操作の順番は選択される。
【0044】
いくつかの実施形態において、方法は、任意に、2つの血管経路の終端領域(例えば、選択された点からのいくつかの最大距離の中の領域)の決定で開始し、その後、最も可能性があり自動的に検出された経路が、受容又は拒絶のために、ユーザに提示される。「最も可能性のある」(例えば、適切なコスト関数)の適切な決定のため、これは、大部分又は複数のユーザの介入が、デフォルトの単純な受け入れに限定されることを潜在的に許容する。任意に、複数の血管経路の終端領域のペアが、最初に決定され、対応する複数のデフォルトのオプションが同時に提示され、ユーザの相互作用は、いまだに更にデフォルトの訂正に限定される。いくつかの実施形態において、端点(endpoints)の一つの決定は、血管樹の根元位置(root position)で少なくとも1つの端点を決定することによって簡易化され、その枝(branches)の一つから後ろに通じる任意の血管経路の一端にあると考えられるように配置される。いくつかの実施形態において、複数の血管の末端位置の決定は、完全に自動的な検出(例えば、血管中心線を決定する血管スケルトンが自然に終端する位置)、又は、ユーザによって掃引された選択線が自動検出される血管スケルトナイゼーションのセグメントを横切る位置といった半自動的な方法に基づく。
【0045】
いくつかの実施形態において、デフォルトの経路が受け入れらない場合、可能性が減少する(コスト関数のスコアがより高い)、自動的に提案される経路が、任意に利用可能として表示される。例えば、ユーザは、目標の血管経路終端領域のいくつかの対の間を延びる代わりの経路を速やかに示すために、スクロールホイール又は他の操作部を使用することができる。
【0046】
自動的に提案される代案内で適切な経路の発見に失敗すると、いくつかの実施形態において、ユーザは、1つ以上の追加のウェイポイント(waypoints)の決定に基づく血管経路を決定するように操作可能なユーザインターフェースツールを提案される。
【0047】
付加的又は代替的に、ほぼ受け入れ可能な表示された代案を修正することを可能とする1つ以上の編集ツールが、任意に提供される。例えば、経路をカット、延長、及び/又は他の存在する経路の一部と結合してもよい。いくつかの実施形態では、経路は、その長さに沿って、例えば、再トレースする、アンカーポイントを再決定する、及び/又は誤りのあるセグメント領域を正しい位置へとドラッグすることで、任意に編集される。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態において、半自動血管セグメンテーションの目標は、血流の解剖学的に妥当な経路に対応する1つ以上の血管経路の生成(production)である。いくつかの実施形態において、血管経路は、血管画像位置に対応する、数値的に記憶された連続する位置を含む。いくつかの実施形態において、血管経路は血管中心線を含む。任意に、血管経路は、例えば、経路が横切る最も少ない分岐された血管内にある経路の端に位置する根元位置によって、一端で決定される。他端では、血管経路は、例えば、経路が横切る最も分岐した血管内に位置する終端位置によって任意に決定される。
【0049】
いくつかの実施形態において、血管経路は、1つ以上の血管セグメントの連結によって決定される。任意に血管セグメントは、1つ以上の忠実度のレベルで、1つ以上の方法によって決定される。いくつかの実施形態において、血管セグメントは、血管画像のスケルトン化表示(例えば、1つのピクセル幅の検出された血管構造の範囲を通じて延びるバイナリピクセルアレイ表示)の内で決定されてもよい。そのような血管セグメントは、端点(end points)をマークする2つのピクセル間に延びるピクセル位置の列を任意に備える。終端位置は、任意の便利な、更には独断的な方法(例えば、スケルトンを長さが最大Nピクセルのセグメントに分割する)によって任意に選択される。しかしながら、好ましくは血管セグメントの端位置は、分岐及び/又は交差(例えば、枝が、そこから少なくとも3つの方向に延びる位置であるスケルトンピクセル)で、及び/又は自由端(例えば、1つの枝だけがそこから延びる位置であるスケルトンピクセル)で、決定される。
【0050】
いくつかの実施形態において、血管経路は、互いに分離して決定される。いくつかの実施形態において、血管経路は、分岐された血管樹に沿うそれらの異なる範囲によって決定される(例えば、血管樹の枝、任意に、リンクされた血管セグメントのセットとして決定された血管樹の枝を横断する特定の経路によって決定される)。これに対して、いくつかの実施形態において、血管樹は、血管経路のセットの融合によって決定され、例えば共通の血管セグメントを共有する経路が、共通の根元セグメントも共有すると解釈される。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態の観点は、自動的に生成された血管経路のオプションの提示順に基づき、血管経路を選択する方法に関連する。
【0052】
本開示のいくつかの実施形態において、検出された血管セグメントに沿って延びる複数の経路ルート(例えば、勾配、曲線及び/又は相対強度の基準に従って決定される血管セグメント)は、一対の終端領域に対して生成される。任意に、生成された経路ルートは、いくつかの領域内、任意に、例えば端点からのいくつかの最大距離内にある領域として決定される領域、内にあるセグメントポイントに達するものである。この区別は、例えば、エンドポイントの1つがセグメント上に存在しない場合に関係する。
【0053】
いくつかの実施形態において、複数の経路ルートは、既定の順番に、血管経路オプションの範囲として示される。任意に、既定の順番は、2つの端点の間で、より可能性のある実際の血液の経路に、より可能性の低い実際の血流の経路よりも低いコスト値を割り当てる基準(任意にヒューリスティック(heuristic)な基準)に従って経路ルートをランク付けするよう構成されたコスト関数(cost function)に基づく。好ましくは、経路ルートは、例えば、画像上のグラフィカルオーバーレイ(graphical overlays)のように、元の画像データに沿って提示される。いくつかの実施形態において、画像データが、画像のアニメーションシークエンス(animated sequence)、例えば血管のわずかな動き及び/又は異なる角度からみた画像、として提示される。潜在的に、これらの違いは、例えば共に動く血管系の部分間の接続性を強調することによって、自動検出アルゴリズムに対してよりも更に特にユーザに対する視覚能力に役立つ。
【0054】
いくつかの実施形態において、コスト関数の基準は、血管の連続性、血管枝の解剖学、血管が灌流する器官の3次元形状に基づく基準、血管画像の不透明度、及び/又は他の基準の態様を含む、
【0055】
いくつかの実施形態において、自動セグメンテーションの結果は、潜在的に、2つの血管位置の間の複数の血管経路の間のいずれの経路が、血流の実際の経路に対応するかを、一義的に区別しない。特に3D血管構造(例えば、2つ以上の深さの層を通じて延びるように一般的に可視化された血管構造)の2D画像の場合、いくつかの血管樹の枝は、互いに交差するように見えることがある。同じ樹の交差は、内網膜血管系のような1つの焦点面内で一般的に画像化される構造において、ほとんど観察されないが、静脈と動脈との構造間の区別が困難な場合に、曖昧さが生ずることがある。
【0056】
Livewireのようなダイナミック経路延長法(dynamic path extending methods)は、自動的な結果を正しいセグメンテーションに向かわせるようにセットできるウェイポイント(waypoints)を決定できることにより、自動セグメンテーションの曖昧さを部分的に低減することに留意されたい。しかしながら、これは、潜在的に、開始ポイント及びエンドポイントを単に決定するよりも、更に時間を消費する。いくつかの実施形態において、ウェイポイントの使用による正しいが遅い血管経路の決定と、自動的に事前に決定された血管経路のオプションから選ぶことによる正確性は低いが潜在的に速い血管経路の決定とは、トレードオフの関係にある。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態の観点は、誤ってセグメントされた領域をより正確にセグメントされた位置を有するアライメントへとドラッグすることによる血管経路を編集する方法に関連する。
【0058】
いくつかの実施形態において、方法は、血管のセグメンテーションに沿って選択された領域の提示(indication)を受け取ること、を含む。いくつかの実施形態において、提示は、例えば、スクリーンカーソルの特定の位置と共にボタンを押すことによる及び/又はタッチスクリーンへのジェスチャー入力による、スクリーン座標点の選択を含む。いくつかの実施形態において、提示は、誤ってセグメント化された領域を直接選択することを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、方法は、好ましくは動きの影響を受け易くない状態にセグメントテーションの残りの部分を維持しながら、選択された領域を囲むセグメンテーション経路領域に、選択された領域を移動可能とする移動感受性の特性を割り当てることを含む。いくつかの実施形態において、動きに対する感受性の割り当ては、血管のセグメンテーションに沿った位置の関数として決定されたエネルギー汎関数(energy functional)を決定することを含む。任意に、エネルギー汎関数の非ゼロ領域が、選択された領域の位置に基づいてセットされる。いくつかの実施形態において、方法は、エネルギー汎関数の非ゼロ領域内でのエネルギーの最小化に従って、セグメンテーションの領域を動かすことを含む。任意に、セグメンテーション経路領域の移動感受性部分の動きは、カーソルの動きと協調する。任意に、移動感受性部分の動きは、選択された領域が血管領域の動きに引き寄せられるように振る舞うように、選択された領域の近辺の画像強度の値及び/又は勾配によって、少なくとも部分的に統合される。
【0060】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明するのに先立ち、例示するシステム、方法、装置、及び/又はコンピュータプログラム製品は、以下の説明及び/又は図に示された、構造の詳細、構成要素の配置及び又は方法への適用において、必ずしも限定されるものではないと理解されるべきである。例示するシステム、方法、装置、及び/又はコンピュータプログラム製品は、他の実施形態であることができ、他の方法で実行又は実施することができる。
【0061】
血管樹に沿った経路を決定する方法
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った血管造影法による画像での血管中心線の経路を決定する方法の概要を示すフローチャートである
図1を参照する。
【0062】
いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースを通じたユーザ相互作用を介して相互作用の血管経路決定のために構成されたコンピュータプログラムの編集モードが、起動される。いくつかの実施形態において、ブロック102では、根元位置(例えば、
図4A-4F及び5A-5Fの根元位置401、501に対応する)が決定される。いくつかの実施形態において、根元位置は、血液が心臓へと入る又は出る領域に位相的(topologically)に最も近い画像で視認可能な血管位置である。冠状動脈において、例えば、根元位置は、血液が左心室から大動脈に出る領域に位相的に最も近い。任意に、根元位置は、例えば、画像内の点をクリックする又はタッチする(ユーザインターフェースデバイスを介して)ことにより、及び/又は自動的に検出された根元位置を選択する、移動する及び/又は確認することにより、手動で決定される。任意に、例えば、注射直後の画像時系列における色素出現のタイミング及び/又は位置に基づいて、及び/又は血管の厚さ、枝の順番、及び/又は方向等の形態学的な基準に基づいて、根元位置のための1つ以上の候補の自動検出を実施する。
【0063】
いくつかの実施形態において、ブロック110では、例えば
図2との関連において説明するように、決定された根元位置は、代替的な経路のオプション及び経路オプションのコストを含む経路データの決定についての入力として使用される。
【0064】
いくつかの実施形態において、ブロック112では、血管樹画像におけるいくつかのポイントと根元位置間の連続する血管接続の経路を代表する血管経路は、任意に決定される(及び/又は、例えば代替的な経路のオプションのリスト及びブロック110で決定された経路オプションコストに基づいて選択される)。ブロック112の詳細な実施の例は、
図3Aとの関連で説明される。
【0065】
ブロック114において、血管樹の画像及び根元位置におけるいくつかのポイント間で連続する血管接続前に決定された経路を代表する血管経路は、任意に編集される。ブロック114の詳細な実施の例は、
図3Bとの関連で説明される。
【0066】
いくつかの実施形態において、ブロック104では、編集モードを続けるか否かの決定が行われ、続けない場合は、フローチャートから出る。そうでない場合、フローはブロック112の前に戻る(任意に、根元位置の再決定ができるようにブロック102の前に)。
【0067】
血管経路及びコスト関数
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に係る血管画像から血管経路オプションを生成する方法の概略的なフローチャートである
図2を参照する。
【0068】
いくつかの実施形態において、フローチャートはブロック208で始まり、血管スケルトングラフ206が、枝(branches)に分かれる。いくつかの実施形態において、血管スケルトングラフは、血管造影法の画像の画像処理から得られる。
図4A-4Fの画像400と
図5A-5Fの画像500は、ソース(source)画像の例であり、これから血管スケルトングラフが得られる。いくつかの実施形態において、血管スケルトングラフは、血管中心線を含む。血管中心線の抽出の例(いくつかの実施形態において、異方性拡散、フランジ(Frangi)フィルタリング、及びヒステリシス閾値処理を使用し、続いてバイナリ間引き(binary thinning)を使用する)は、例えば、2014年1月15日に出願された出願人に対する国際公開第2004/11927号の
図14のブロック20との関連で説明されており、その内容を、全体的に引用によってここに取り込む。いくつかの実施形態において、使用される方法の基礎は、"A Scheme for Coherence-Enhancing Diffusion Filtering with Optimized Rotation Invariance" and/or "Anisotropic Diffusion in Image Processing" (Thesis 1996)において、Weickertによって紹介されたものと類似する。
【0069】
いくつかの実施形態において、ブロック208では、血管スケルトングラフ206は、枝に分けられる。任意に、これは、3つ以上のスケルトンセグメントが集中するピクセル(例えば、3つ以上の隣接ピクセルを有するピクセル、任意に短い枝は検討から除外する)を知らせること、及びこれらの点に経路区切り(breaks)を割り当てることを含む。任意に、枝がどこに接続するかにも留意される(枝は、互いに交差してもよく、及び/又は結合するようにみえるのに十分近くに接近してもよいように、接続は単に明らかである)。ブロック208の操作の結果が、枝リスト210である。枝リスト210の「枝」は、実際の基礎となる解剖学(例えば、シャント血管の発達)により、及び/又は近くに接近する血管から生ずる見かけの接続、及び/又は提供された角度での交差、及び/又は画像の解像度により、潜在的にループにリンクされることが留意されるべきである。
【0070】
いくつかの実施形態において、枝リストに保存されている枝は、血管樹の根元位置(例えば、画像4A-4F及び5A-5Fの根元位置401、501)まで連続して接続されたルートが存在するものだけである。任意に根元位置は、例えば
図1のブロック102との関係で説明したように決定される。
【0071】
いくつかの実施形態において、ブロック212では、例えばサーチアルゴリズムの使用によって、互いの枝から決定した根元位置まで延びる経路が算出される。任意に、例えば、上述したように画像内に存在する交差点、近くへの接近、又は他の曖昧さにより、他の2つ以上のそのような経路を利用可能である。1回より多く同じ血管セグメントを内部に含む経路は、任意にこのリストから除外される(ループする及び/又はそれ自身が逆戻りする経路を避けるため)。ブロック212の操作の結果であるデータ構造は、経路リスト214を含む。いくつかの実施形態において、経路リスト214は、根元位置と各血管骨格セグメントとの間を延びる識別された各除外されていない経路を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、ブロック216では、経路リスト214内の各経路について経路コストが、経路コストリスト218を生成するために算出される。経路コストリスト218は、いくつかの実施形態において、任意の血管セグメントからルートまで届く経路リスト214内の潜在的に複数の経路のメンバーが、血流の実際の経路である可能性についての順番にランク付けできるように構成される。経路リスト214及び/又は経路コストリスト218の使用は、例えば、
図3Aに関係して詳述されるように、
図1のブロック112の操作に関連して更に説明される。
【0073】
本明細書で採用されている慣習によれば、より高コストの経路は、任意に、血管解剖学において、血流の実際の経路となる候補としては可能性が低いと考えられる。経路コスト基準は、バイナリ値(例えば、0又は1)、ランク付けされた値、及び/又は連続されたスケールのスコアを受け取るため、任意に評価される。経路コスト基準は、任意に、全体のコスト関数に加算、乗算、又は、そうでない場合に全体のコスト関数に組み入れられる。
【0074】
いくつかの実施形態において、機械学習の結果を、基準コスト値及び/又は貢献を、他の基準に対する全体的なコストへ割り当てるために使用する。いくつかの実施形態において、機械学習技術は、決定木学習(decision tree learning)、相関ルール学習(association rule learning)、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network)、帰納論理プログラミング(inductive logic programming)、サポートベクターマシーン(support vector machine)、クラスター分析(cluster analysis)、ベイジアンネットワーク(Bayesian networks)、強化学習(reinforcement learning)、表現学習(representation learning)、類似度及び距離学習(similarity and metric learning)、及び/又は機会学習に関連する技術の1つ以上の実現を含む。機械学習は、任意に、血管樹の形態が別々にマークされた血管造影法の画像のセットに基づく、及び/又は自身の学習の結果に基づく。
【0075】
コスト基準
いくつかの実施形態において、経路コストリスト218に記録された経路コストは、以下の1つ以上の判断及び/又は基準に対して算出される
【0076】
ノードタイプ分類
本明細書で、血管骨格セグメントの接続ポイントは、ノードと呼ぶ。ノードは、1つのピクセルとして決定されてもよく、任意に、3つ以上の血管骨格セグメントが出会う範囲内の比較的大きいサイズ(例えば、2、3、4、5以上のピクセルの範囲)の領域としてよい。いくつかの実施形態において、ノードに適用可能な全体のコスト関数は、少なくとも部分的に、ノードタイプ分類による。
【0077】
2つの血管セグメントが画像内で出くわす(例えば、心臓の画像の異なる平面にあることによる)場合、血管スケルトンは、中心のノードの領域から適切に生成される4つの枝を示す。対応する血管スケルトンが、交差型のノードを決定するとして、任意に解析される。いくつかの実施形態において、血管が分岐する場合、二またに分かれることが一般的である。そのような場合、ノードは、3つの血管スケルトンの枝が生ずるジャンクションノードとして任意に決定される。これらの2つのベーシックノードタイプに利用可能なコスト関数の基準が、任意に異なって割り当てられる。
【0078】
いくつかの実施形態において、経路リストに現れうる他のジャンクションオーダーがある。例えば、二分岐は、血管の交差点として同じ位置であることが起こることがある。潜在的に生ずる他の状況は、2つのジャンクションノードが、互いに非常に近くに現れ、四分岐のノードであると解析されることもある。これに対して、スケルトナイゼーションアーティファクトは、交差のいずれかの側で同じ血管に対して潜在的にわずかなずれをもたらし、2つの隣接するジャンクション型のノードのようにより良く見えるようになる。末端(terminal)の血管セグメント(つまり、その枝において、画像内で視認できる最後のセグメントである血管セグメント)が、他の血管セグメントの位置で又はその近傍に位置する、自由端を有することが起きる場合、三分岐及び四分岐のノードも生ずることがある。任意に、5つ、6つ又はそれ以上のセグメントを含むノードが、ジャンクションノード、交差ノード及び/又は自由端末端(free-end terminations)の適切な組み合わせから構成されるとして、解析される。
【0079】
いくつかの実施形態において、分岐の数以外の形態学的基準が、コスト関数割当ての目的のためのノード分類において、使用される。例えば、いくつかの近い連続する(sequential)分岐(二分岐)は、単に1つの連続する方向のセグメントの対を含み、同時に他の2つのセグメントが、互いに対して比較的鋭角(例えば約90°)で延びる。他の例では、分岐角度は、一般的に(排他的ではないが)前方方向(動脈流の方向)の鋭角を示す。後方への分岐斜角は、交差型ノードを更に意味しやすい。更に他の例では、血管交差の領域は、血管が分岐する領域と比較して、放射線不透過性が増加した領域として現れることがあり(2つの重なる血管の厚さの累積的な寄与による)。反対に、画像平面に垂直な軸に対して血管の方向が変化すること(及び吸収する経路の長さが対応して変化する)により、ノードのいずれかの端において現れる明らかな放射線不透過性における突然の変化は、潜在的に分岐型のノードを示す。
【0080】
任意に、例えば、更に複雑なノードの分類のため、rp
3 =rd1
3+rd2
3rd3
3+・・・+rdn
3において、rp
3が、親枝(幹)の半径であり、rd1
3、rd2
3、rd3
3・・・rdn
3がそれぞれの子枝の半径であることを特徴とする、マレーの原則(Murray's principle)を適用する。任意に、いくつかのノードでマレーの原則を満たす血管セグメントの組み合わせは、分岐型ノードを示すより高い可能性を割り当てられ、残りのセグメントは、自由端末端であるという又は交差型ノードの構造における参加者であるというより高い可能性を割り当てられる。
【0081】
いくつかの実施形態において、ノードのための適切なコスト関数は、ノードタイプのどの解析が正しいかに依存する。いくつかの実施形態において、ノードタイプの決定は、確率的な割当て次第であり、例えば、ノードは2つの管が交差である可能性が80%、2つの分岐(又は3つへの分岐)である可能性が15%、末端の血管セグメントの自由端の領域にある分岐である可能性が5%と、割り当てられる。
【0082】
いくつかの実施形態において、接合型ノードと交差型ノードと(又は自由端、又はこれらの型のいずれかの組み合わせ)の間のコスト関数には明示的な分類はなく、むしろ、そのように基本的な相対的な血管形態に作用するヒューリスティックが採用される。このアプローチは、例えば、人口ニューラルネットワークのような機械学習に基づく実施の特定の型にとって、好適であることがある。それにもかかわらず、ノード対応は、更なる血管経路コスト関数基準を説明する目的のための便利な組織化概念を提供する。
【0083】
交差型ノードでの連続性及び/又は一貫性
本開示のいくつかの実施形態において、ノードでの血管形態の連続性が、コスト関数値の割当ての基礎として使用される。
【0084】
潜在的に交差型ノードとして解釈される4つの血管スケルトン枝の集中は、接近するいくつかの第4の方向(入口側)から連続する(出口側)ための3つの方向の先験的なオプションを決定するとして、任意に解析される。いくつかの実施形態において、形態の連続性に関連する1つ以上の基準は、どの出口側の枝が、与えられた入口側から最も可能性のある連続性の枝であるかを決定するために適用される。
【0085】
1つのそのような基準は、血管半径であり、入口側に対して最も似た半径である出口側の血管枝が、対応して最も低いコスト割当てを受け取ることを特徴とする。任意に血管半径は、画像において充たされた内腔の見かけの幅の半分として測定される。任意に、例えば強度値の直接比較による画像強度値(部分的に半径の関数であるが、それのみではない)の連続性も、考慮に入れられる。任意に濃度測定の原則が適用され、例えば、血管が、特定の濃度及び/又は吸収係数を有する物質で充たされる特定の半径の円柱としてモデル化され、コスト関数は、画像中で観察された強度値を満足するよう半径及び吸収特性の連続性に共同して基づく。
【0086】
いくつかの実施形態において、方向の連続性が基準であり、入口側のセグメント方向に最も類似する出口側の血管セグメントが、その続きであるとして、最低のコスト割当てを任意に受け取る。画像平面に対して垂直な方向での血管の方向性に基づき、濃度測定の差も生ずることがあり、例えば、端により近づいて見た際に血管はより濃く見えることに留意されたい。このように血管強度値の連続性は、任意にこの次元での血管の方向の連続性にとっての代わりである。
【0087】
いくつかの実施形態において、これらの基準は、1つ以上の更なる改善(refinements)を含む。例えば、接合部に適用される方向の基準は、ノードの前後での連続比及び/又は角度変化の方向に基づくコスト割当(例えば、より類似する曲率半径を有する2つのセグメント間の連続性は、より低いコスト割当てを受け取る)てを、任意に含んでもよい。これは、血管画像の一部を通って3D心臓表面の膨らみを回る血管セグメントについて、潜在的に特定の関連性を有する。いくつかの実施形態において、コスト関数の基準は、血管幅が経路に沿って自動的に変化する経路(例えば、ルート方向に増加する)を好む。
【0088】
いくつかの実施形態において、接合部で出会うセグメントA、B、C、Dからの経路(特に交差型の接合)は、対応するA→Bから延びる経路についての低いコストが、代替的な経路C→Bと比較して経路C→Dのコストを低下させるように、「もつれ(entangled)」として扱われる。任意に、血管樹の図のいくつかの段階中における、経路A→Bが血管の流れの好適な経路であるというユーザによる決定的な指示も、経路C→Bと比較して経路C→Dのコスト割当てを低下させることに、同様に絡む。
【0089】
分岐型ノードでの連続性及び/又は一貫性
いくつかの実施形態において、血管が分岐する場合は、二分岐(bifurcation)であることが典型的である。任意に、三分岐といった更に多い分岐数は、隣接する二分岐の構成であるとして扱われる。二分岐において、近づいてくる任意の第3の方向(入口側)から連続する(出口側)ための2つの方向の先験的なオプションがある接合型ノードが任意に決定される。いくつかの実施形態において、ヒューリックが採用され、接合型ノードを通じる方向での最小限の変化を求める出口側の枝が、より低いコスト割当てを受け取る。
【0090】
任意に、血管半径類似性に基づくコスト評価(scoring)は、3方向のジャンクションノードが検出された場合に、2つの薄い枝が共通する主要部よりも互いにサイズにおいて潜在的により近いことを説明するため、コスト関数への、それ自体の影響を低減させる(例えば、ウェイトを低下させることによって)。付加的に又は代替的に、半径に基づくコスト関数は、分岐型ノードについて、異なる方法で割り当てられ、例えば、最も厚い血管セグメント(概して、根元位置の方向に位置する)は、2つのより薄い枝の両方について最も低いコストスコアを与えられる。任意にコスト評価割当ては、更に特にマレーの原則に基づき、この理論関係をよりよく充たす経路は、対応するより低いコスト評価を与えられることを特徴とする。
【0091】
他の基準
いくつかの実施形態において、比較的直線及び/又は連続的な弧状の線(arcing lines)に走る血管セグメントを使用する経路は、より低いコストで任意にスコアされる。これは、血管スケルトンにおいて終端しているかもしれないが実際には元来の血管ではないという画像の特徴に対して、特徴において「より血管」であるという好ましい画像の特徴について、潜在的な利点である。コストは、例えば局所的な血管セグメントの方向の派生する角度の曲線下(ゼロ上又は下)の全体の領域に基づいて任意に計算される。
【0092】
いくつかの実施形態において、3次元での血管の位置が推定される。任意に、この情報の使用は、ノード分類の一部である、及び./又は連続性/一貫性のコストスコアリングに使用される。いくつかの実施形態において、血管樹は、心筋の形によって規定される表面のように、3次元的に曲がる表面を横切って(across)延びることが先験的に知られている。いくつかの実施形態において、この曲がった表面のパラメータは、追随する形の境界線を描く画像影から導かれる。いくつかの実施形態において、管自身の形及び/又は強度は、形の境界線を区別する。例えば、画像平面から更に内側に/外側に向いて血管がカーブすると、それらはより長い吸収断面積を示すので、いくつかの境界の限界でより放射線不透過性のように潜在的に見え始める。3次元でカーブを回る管は、まず第1に近づき、そして、2D画像のいくつかの境界限界から離れて曲がるように見えるかもしれない。いくつかの実施形態において、シェルは、異なる深さを概して占めるが、そのような境界限界で互いに結合される2つの部分を有するとしてモデルされる。任意に、血管セグメントは、境界限界を移行ゾーン(transition zone)として扱いながら、シェルの上層部分又は下層部分上の可能性のある位置についてスコアされる。2つの異なるシェル部分(部分的に境界限界から離れる)の間で急激な遷移を必要とする経路は、より高いコスト値が任意に与えられる。
【0093】
これに対して、同じ解剖学的平面を占める同じタイプ(動脈又は静脈)の管は、いくつかの実施形態において、互いに交差することが比較的可能性が低いと推定されてもよいことに留意されたい。任意に、交差型ノードが高い可能性(付加的に又は代替的に、一貫性及び連続性が比較的低い関連する経路コストで血管の交差を示唆する)で識別される場合は、これは、2つの異なる血管が、2つの分離されたシェル部分を占めるという推定された可能性を増加するために使用されてもよい。そして、他の直接的にそれらに接触する血管セグメントは、同じシェル部分にある可能性が更にあり、隣接ノードを横切る経路コストの割り当ての曖昧さをなくすために任意に使用される情報である。
【0094】
血管経路の選択及び/又は決定
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った、特定の血管経路のオプションを選択する及び/又は決定するための方法の概要的なフローチャートである
図3Aを参照する。いくつかの実施形態において、
図3Aの操作は、
図1のブロック112内で起きる操作に対応する。本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った血管経路のオプションの選択を概要的に説明する
図4A-4Fも参照する。
図4Aは、現在決定されている根元位置401を含む血管樹402(例では、心臓の血管)の一部を示す血管造影画像400を示す。
図4B-4Fでは、他の要素をより見やすくするために、血管造影画像400のコントラストが低減されている。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態において、血管樹トポロジー(topology)を確認、選択、及び/又は決定する1つ以上の手動でガイドされた方法が提供される。この文脈内では、「受け入れられた経路リスト」324が紹介される。受け入れられた経路リスト324は、任意に経路リスト214から選択された経路、経路リスト214内の経路に基づき編集された経路、及び/又は、例えばユーザの入力に基づき、新たに生成された経路を含む。いくつかの実施形態において、必要に応じ、経路リスト214からのデフォルトの選択、及び/又は経路リスト214から付加的な選択の表示順の決定において、経路コストリスト214が用いられる。
【0096】
ここで、
図2のブロック212との関係で、経路リスト214を含むデータ構造の生成を説明する。いくつかの実施形態において、経路リスト214は、それらが根元位置401と血管経路の遠い端との間を流れる際に、実際の患者の解剖学的構造において血液が流れる血管経路と同形であるという意味で、「真の」血管経路である多くの血管経路を、潜在的に含む。しかしながら、同じ経路リスト214内に多くの「偽りの」血管経路があることがあり、例えば、血管画像の質における血管交差ポイント及び又は限界によって導かれる曖昧さを反映する。経路コストリスト218は、いくつかの経路が他に対して好ましいとするための基礎を任意に提供する、にもかかわらず、状況が真の血管経路があまり好ましくないと導く場合がありうる。いくつかの実施形態において、コントラストのドロップアウト及び/又は血管スケルトナイゼーションに影響を与え得る他のアーチファクト(artifacts)により、真の血管経路が、経路リスト214では利用できないことすらある。
【0097】
いくつかの実施形態において、ブロック310では、経路の終端が示される(例えば、ユーザによって)。いくつかの実施形態において、経路の終端の表示は、「ホバー(hover)」カーソル入力イベント(例えば、カーソル405を潜在的な血管経路の近傍まで移動させ、処理のための検出に十分な時間静止させる、タッチスクリーン上での長い時間のタッチ等)を含む。いくつかの実施形態において、他の入力イベント、例えば、スクリーンタップは、血管の終端を示す。いくつかの実施形態において、ユーザ指示は、経路リスト214に示されている利用可能な最も近いセグメントにおける領域(例えば、ピクセル)を参照する。。任意に、ユーザ指示は、指示された位置に最も近いセグメントの領域を参照する。例えば、
図4Bの血管経路407は、ある位置でのカーソル405の近傍にある経路の終端407Aに向かって延びる。カーソル405が、
図4Cに示すように動かされると、血管経路407に追加された血管経路408を含む違う血管経路が代わりに示され、再び、カーソル405の近傍の経路終端408Aで終端する。任意にユーザの指示は、根元位置401から最も遠いセグメントの終端を参照する。
【0098】
説明の目的のため、示された経路末端の受け入れられた経路リスト324における経路への変換は、一度に1つの経路に関する手動の操作の観点から主に提示される。しかしながら、これらの説明は、必要に応じて変化されて、複数の及び/又は自動的に選択された経路の処理のために適用されることが理解されるべきである。
【0099】
例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の候補経路末端が、自動的に検出される(例えば、根元位置401と連続して接続している血管スケルトンセグメントの自由端)。付加的に又は代替的に、複数の経路末端は、1つの入力行動の一部として、任意にユーザによって示され、例えば、いくつかの候補経路末端の間を横切る経路をドラッグアウトし(カーソルの動き、タッチ入力、又は他の方法によって)、示された末端は、ドラッグアウトされた経路が血管スケルトンのセグメントと交差する位置であると受け取られる。
【0100】
複数の候補経路末端が利用可能である場合、ユーザに、候補経路末端をステップスルーするためのオプションが任意に示され(例えば、連続するキー押下、タッチ入力スクリーン上の指でのドラッグ、スクロールホイールの動き、又は他の入力方法によって)、そして選択された末端が、示された経路末端となる。任意に、最初の経路が、複数の候補経路末端それぞれのために決定される(そして、任意にデフォルトによって受け入れられた経路リストのメンバーであるとして受け入れられる)
【0101】
ブロック311への第1の入力時(entry)に、いくつかの実施形態において、示された経路末端に到達するものの間の経路リスト214から最も低いコストの利用可能な経路(経路コストリスト218に基づく)が、ユーザへ提示するために最初に選択される。任意に、提示は、現在の決定に対してアクティブであるとして、例えば、特別な着色及び/又は厚さでハイライトされ、区別される。いくつかの実施形態において、経路リスト214からの経路は、任意に何が示されるかの基礎であるが、示される実際の経路は、例えば本明細書で説明するように、アクティブな輪郭又はダイナミック「スネーク」アルゴリズムの適用によって、経路リスト214における入力から導かれる点が留意されるべきである。
【0102】
いくつかの実施形態において、ブロック312では、ユーザは、正しい経路(「真の」血管経路として使用に適している)が表示されているか、否かを決定する。イエスである場合、フローチャートは、任意に、ブロック316で、ユーザが確認入力(例えば、ダブルクリック、スクリーンタップ、キーの押下、または他の入力)を発行することによって進む。そして、現在選択されている経路は、受け入れられた経路リスト324に加えられ、フローチャートは、
図1のブロック112から出る。任意に、受け入れられた経路は、表示され続け、例えばより低いコントラストでより薄く描かれることによって、又は他の視覚的表示によって、選択解除されたとして任意に示される。
図4Dは、受け入れられた経路リスト324のメンバーであると描かれた経路407及び408の連なりを示す。カーソル405の新しい位置のため、対応する新しい経路オプション409が示される。このシークエンスは、新しい経路411及び414が生成された
図4E-4Fにおいて続く。示されるように、各新しい経路は、根元位置401まで延びるように描かれる。代わりに、表示は、以前に受け入れられた血管経路との最初の接触まで後ろにだけ延ばされる。任意に(及び任意に表示方法とは独立して)、経路は、末端と根元位置の間に延びる完全な経路として、血管樹構造への増分加算として、及び又は他のフォーマットで、受け入れられた経路リスト324内に格納される。
【0103】
あるいは、ブロック312において正しい経路が表示されなかった場合、フローチャートは、ブロック314で、任意にオプション選択イベントへと続く。いくつかの実施形態において、オプション選択イベントは、スクロールホイールの動き、タッチスクリーンのジェスチャー(例えばスライド動作)、キーの押下、又は他のユーザ入力イベントを含む。任意に、この選択は、現在の経路表示は他の候補へと動くべきである(例えば、経路コストリスト218に定義されたコスト順に利用可能な次の候補)を示すとして、ソフトウェアで解釈される。本方法の変形例では、複数の血管経路候補は、一対の端点のために同時に提示され、その選択は、どの候補が能動的に選択されるとして描かれるべきかを示すために使用される。この変形例の潜在的な利点は、利用可能な適切な候補がないことをより迅速に具現化でき、及び/又は利用可能なオプションを同時比較できる点にある。
【0104】
ブロック316では、いくつかの実施形態において、経路リスト214の予め決定された経路が現在示されている経路末端にとって適切ではないことをユーザが決定し、新しい経路を手動で決定するためにブロック320へ進めてもよい。あるいは、いくつかの実施形態において、フローチャートは、新しく選択された経路候補を示すブロック311に戻る。
【0105】
ブロック311、312及び314を通じた反復について、ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った、代わりの血管経路オプションの中からの選択を模式的に説明する
図5A-5Cを参照する。
図5Aは、現在決定されている根元位置501を含む血管樹502(例では、心臓血管系)の一部を説明する血管造影画像500を示す。
図5B-5Fにおいて、他の要素をより視認可能にするために、血管造影画像500のコントラストが低減されている。
図5Bにおいて、いくつかの事前に決定された経路507が示される。カーソル505は、血管位置の上を直接ホバリングされて示されているが、示唆される経路509は、代わりに別の血管値上でカーソルからいくらか離れて終了する。
図5Cにおいて、ユーザは、次の候補血管経路511が示されるべきであることを示すが、この血管経路は、何をユーザが受け入れられた経路リストに加えようとしているかも示し損ねている。
【0106】
意図される経路が利用可能ではないことが発見されると(ブロック316毎に)、ユーザは任意にブロック320へと進める。このブロックについて、ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従って、血管経路オプションを手動で決定する方法を模式的に説明する
図5D-5Eを参照する。
図5は、各指示間に引かれた線セグメントを備える連続する位置指示(例えば、カーソル505の異なる位置でなされたクリック)によってなされる(形成される)選択を示す。ユーザは、意図する血管経路に概して沿って位置の指示をする。任意に根元位置501は、位置指示の一部と解釈される。
【0107】
図5Eでは、ユーザは、連続する位置指示(例えばダブルクリックを用いて)を終了する。いくつかの実施形態において、これは、ブロック322の操作をもたらし、例えばアクティブ輪郭アルゴリズムに関連して本明細書で説明したような、位置指示が、それらの間のフィッティングの形による新しい経路の決定を生成するために使用される。この結果の血管経路は、受け入れられた経路リストへ任意に加えられ、
図3Aのフローチャートはブロック112から出る。
【0108】
いくつかの実施形態において、血管経路を手動で決定する他の方法、例えば、全てのウェイポイントが最初に決定されてから全てが一斉に、というよりも、ウェイポイントを決定するクリック間で、セグメント位置が任意にライブ描画される(前のアンカーポイントからのカーソル位置を満たすために「成長する」)Livewire技術のバリエーションが使用される。
【0109】
血管経路のための動的輪郭法
本開示のいくつかの実施形態において、動的輪郭方法、「スネーク」ダイナミクス法(Kaas et al. 1987)とも一般に呼ばれる、が実現される。この方法において、輪郭の挙動であるc(s)=(x(s),y(s))は、輪郭上に適用されるシミュレートされた内因性及び外因性の力によって支配される。これらの力は、エネルギー汎関数の最小化によって導かれる。
【数1】
【0110】
内部エネルギーターム(term)は、以下である。
【数2】
【0111】
外部エネルギータームE
ext(c(s))は、力場によって黙示的に定義される。
【数3】
【0112】
いくつかの実施形態では、フランジ(Frangi)フィルタグレイスケール画像(Frangi et al., 1998)上のGGVF場(Xu and Prince, 1998)が、力場として算出されるが、一般に任意の力場を使用することができる。
【0113】
初期経路決定のための動的輪郭法
血管経路リスト214から管が最初に決定される時、初期入力は、選択された経路に沿って接続する血管スケルトンセグメントにおけるピクセルの連なりからなされてもよい。任意に、実際に経路内で使用される座標が、血管経路長に沿って均一な間隔となるように再配置される(実際のピクセル自身の中心間距離は、対角線及び基点方向の交互の動きのため、不均一であり得る)。そして、動的輪郭法を反復するにつれ、血管経路位置は、使用される様々な力及び場のタームに従って、新しい位置に引き込まれる。一旦、経路が十分安定した構成に強固になると、力項(ターム)は、ゼロに設定され、処理が停止する。
【0114】
任意に、例えば
図5D-5Eとの関係で説明するように、まばらに提供されたアンカーポイントによって血管が決定されると、これらのポイントが固定され続けるように、アンカーポイントに働く力がゼロ(例えば、α(s)、β(s)及びγ(s)がゼロにセットされる)にセットされる。それらの間で補間されたポイント(スプライン補間によって又は他の方法によって、最初は直線として提供されてもよい)は、数式2及び数式3のエネルギー汎関数を数値的に最小化する多数の反復を通じ、十分に安定した構成に達するまで、非ゼロの力(例えば、α(s)、β(s)及びγ(s)がゼロではない値にセットされる)を受ける。
【0115】
経路編集のための動的輪郭
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った、手動による血管経路を編集する方法の概要的なフローチャートである
図3Bを参照する。
図3Bは、
図1のブロック114の経路編集操作の実施形態を示す。本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った、血管経路オプションの手動編集を模式的に説明する
図5E-5Fも参照する。
【0116】
ブロック340では、いくつかの実施形態において、ユーザが、表示された血管経路(いくつかの実施形態において、受け入れられた経路リスト324からの経路)の長さsに沿って位置選択をする。いくつかの実施形態において、位置選択は、カーソルのいくつかの選択位置でのボタンの押下、タッチスクリーン上でのジェスチャー又は他の入力方法を含む。続く操作において、位置選択は、ドラッグポイント、例えば
図5Eのドラッグポイント519Aを決定するためになされる。
【0117】
ブロック342では、いくつかの実施形態において、α(s)、β(s)及び/又はγ(s)のエネルギータームが、ドラッグポイントの限定された周囲の範囲内で、sに対してだけ非ゼロにセットされる。任意に、式3の外力場が、現在のカーソル位置、又はユーザがドラッグポイントを新しい位置へとドラッグすることによる更なるユーザインターフェースの動作により決定された他の位置へのアトラクタを含むように決定される。
【0118】
ブロック344では、いくつかの実施形態において、式2及び式3のエネルギー汎関数が数値的に最小化され、結果として表示された血管経路(例えば、
図5E-5Fの経路517)がドラッグポイントの位置の周辺で移される結果となってもよい。
【0119】
ブロック346では、いくつかの実施形態において、血管経路517の表示がアップデートされる。
【0120】
ブロック348では、システムは、例えば、ユーザの入力(例えば、ボタンを離す又はタッチスクリーンのジェスチャーの終了)に基づいて、ドラッグ操作が終了されるべきか否かを決定する。終了ではない場合、ブロック350で、いくつかの実施形態において、ユーザは、ドラッグポイントを任意に新しい位置へ、例えば
図5Fの位置519Bへドラッグする。もしくは、編集された経路517が、受け入れられた経路リスト324内でアップデートされ、フローチャートが終了する(任意に、
図1のブロック114を出る)。いくつかの実施形態において、受け入れられた経路リストは、ドラッグ操作自身の間、動的に付加的又は代替的にアップデートされることが理解されるべきである。
【0121】
複数の表示からの血管経路の決定
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った、複数の異なる血管画像表示(view)400、500、600、610で同時になされる経路決定の表示620を模式的に説明する
図6を参照する。
【0122】
いくつかの実施形態において、血管画像表示400、500、600、610は、それぞれ、同じ血管系(例えば、心臓血管領域)の異なる角度からの表示を示す。部分的に決定された血管経路群620、622及び624が、表示400、500及び600について示されている。いくつかの実施形態において、血管画像の特徴間の一致(一致する画像の特徴は、任意に異なる視点から同じ解剖学的位置を示す)は、血管スケルトングラフ216、枝リスト(branch list)210、経路リスト214及び/又は受け入れられた経路リスト324の1つ以上において特定される構造上の少なくとも一部で設立される。いくつかの実施形態において、受け入れられた経路は、一致する血管の特徴の区別を、任意に詳細な3Dの情報がなくとも、可能とする。例えば、枝番号及び/又は位置、根元位置611、601、501、401、及び/又は相対的な血管長に基づく。任意に基本的な3D情報(例えば、約45°、90°又は他のより大きい又はより小さい量内で特定された表示角度)が、一般相対方向を正しく設定すること、及び/又は鏡像図を識別することによって、識別に役立つ。いくつかの実施形態において、より完全な3D情報を、例えば、2つ以上の画像から参照例(例えば、2014年1月15日に出願された出願人に対する国際公開公報WO2014/111930に説明されており、引用によってその内容の全体を本明細書に取り込むものとする)の一般的な3Dフレームへと立体投影に基づき再構成された血管中心線の位置を利用することができる。任意に、1つの画像表示に対して生成された血管経路は、再構成された参照例の3Dフレームに基づき、それらが1つ以上の代替画像表示に重ね合わせることができるように変換される。いくつかの実施形態において、そのような変換は、血管スケルトングラフ216、枝リスト210及び/又は経路リスト214について、例えば、画像処理結果の検証に役立たせるために実施される。例えば、1つの画像からの経路及び/又はスケルトンデータにおける欠けているセグメント部分は、他の画像から得られた表示における利用可能なデータから埋められることができる。反対に、1つの画像表示における見せかけのセグメント部分は、例えば、それらの不在及び/又は他の画像表示おける根元位置との接続の欠如に基づき、任意に識別される。
【0123】
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態に従った、半自動の血管経路のセグメンテーションのためのシステム702で実現されるデータ構造700とソフトウェアモジュールとの模式的な図である
図7を参照する。
【0124】
いくつかの実施形態において、ブロック206、210、214及び218は、システム702のソフトウェアモジュールによって生成された及び/又は使用されたデータ構造を含む。これらは、例えば、
図2に対応して符号が付されたブロックに対応する。血管画像701は、任意にシステム702の一部であるイメージング装置750から提供される。任意に、システム702は、スタンドアロンである、又はイメージングイメージング装置750から離れており、画像は、例えばリモートネットワーク接続を介して提供される。
【0125】
いくつかの実施形態において、ブロック703は、例えば、
図2のブロック206との関連で説明したように、血管セグメントのスケルトン化された表示(スケルトングラフ)を生成するように構成された血管スケルトナイザー(skeletonizer)を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、ブロック705は、経路オプション管理705(manager)を含む。いくつかの実施形態において、経路オプション管理(manager)は、
図2のブロック208、212及び/又は216の操作を実現するためのソフトウェア機能を含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、編集モジュール710は、例えば
図1、3A及び/又は3Bと関連して説明した操作を処理するサブモジュールを含む。任意に、オプション表示モジュール712及び/又は手動経路決定モジュール716が、ブロック112を実現する。任意に経路編集モジュール714がブロック114を実現する。
【0128】
いくつかの実施形態において、システム702は、付加的にディスプレイ760及び/又は1つ以上の入力装置770を含む。
【0129】
本明細書で量又は数値との引用で使用される、「約」の用語は、「+10%の範囲内」を意味する。
【0130】
「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(having)」及びそれらの接続詞は、「含むが、それに限られない」を意味する。
【0131】
「からなる(consisting of)」の用語は、「を含み、それに限る」を意味する。
【0132】
「本質的にからなる(consisting essentially of)」の用語は、組成物、方法又は構造が、付加的な原料、ステップ及び又は部を含むことがあるが、付加的な原料、ステップ及び/又は部が、請求項に係る組成物、方法又は構造の基礎的な及び新規な特性を物質的に変えことがない場合だけである。
【0133】
文脈が明確に他を除外しているのでない限り、本明細書で使用されている、単数形である「a」、「an」及び「the」は、複数の言及を含む。例えば、「化合物(a compound)」の用語又は「少なくとも1つの化合物」は、それ自身の混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0134】
「例えば」及び「例示的な」の単語は、本明細書では「例、実例又は説明として機能する」ことを意味するために使用されている。「例」又は「例示的」と説明されているいずれの実施形態も、他の実施形態よりも好適である又は利点があると解釈される、及び/又は他の実施形態の特徴を取り込むことを除外するべきではない。
【0135】
「任意に」の単語は、本明細書では「いくつかの実施形態において提供されるが、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用されている。本開示のいずれの特定の実施形態は、そのような特徴が矛盾しない限りにおいて複数の「任意の」特徴を含み得る。
【0136】
本明細書で使用される「方法」の用語は、与えられたタスクを達成するための方法、手段、技術及び手順を示し、これらに限定されないが、化学、薬理学、生理学、生化学及び医学の専門家に知られている、又は化学、薬理学、生理学、生化学及び医学の専門家によって公知の方法、手段、技術及び手順から容易に開発される、方法、手段技術及び手順を含む。
【0137】
本明細書で使用される「治療する(treating)」の用語は、病状の進行を無効にすること、実質的に阻害すること、遅らせること、又は逆転させること、臨床的又は審美的な病状の症状を改善すること、又は病状の臨床的又は審美的症状の出現を実質的に防ぐこと、を含む。
【0138】
本出願を通じ、本開示の実施形態は、範囲の形式を参照して示され得る。範囲の形式における説明は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、本開示の範囲における柔軟性のない限定として解釈されるべきでないことが理解されたい。従って、範囲の説明は、範囲内の個々の数値だけでなく、全ての可能性のある部分的な範囲を具体的に開示していると解されるべきである。例えば、「1から6」のような範囲の記載は、「1から3」、「1から4」、「1から5」、「2から4」、「2から6」、「3から6」等といった部分的な範囲を具体的に開示すると解されるべきであり、その範囲に含まれる個々の数値、例えば1、2、3、4、5及び6も同様である。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0139】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に(例えば、「10-15」、「10から15」又はこれらの他のそのような範囲表示によってリンクされる任意の数字の対)、文脈から明確に他が示されている場合を除き、範囲の限界を含む示された範囲の限界内の任意の数(分数又は整数)を含むことを意味する。第1に示された数字及び第2に示された数字の「範囲/範囲にある/間の範囲」のフレーズ、及び第1に示された数字から第2の数字「へ」、「に至るまで」、「まで」又は「の間」(若しくは他のそのような範囲を示す用語)の「範囲/範囲にある/の範囲」のフレーズは、本明細書では互換的に使用されており、第1及び第2の数字とそれらの間に全ての分数及び整数とを含むことを意味する。
【0140】
例示のシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品が、特定の実施形態との関連で説明されているが、当業者には多くの代替、修正及び変形が明らかであるということは明白である。従って、添付の請求項の趣旨及び広範な観点の範囲内に収まる全てのそのような代替、修正及び変形を含むことが意図される。
【0141】
本明細書で言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも各個別の刊行物、特許又は特許出願が具体的且つ個別に引用によって本明細書に取り込まれていると示されているのと同程度に、引用によってその全体を本明細書に取り込むものとする。
加えて、本明細書における任意の文献の引用又は特定は、そのような引用が本開示に対する先行文献として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用されている限りにおいて、それらは必ずしも限定的であると回されるべきではない。
【0142】
個別の実施形態の文脈において、明確性のために説明されている例示のシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品のいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが認められる。反対に、単一の実施形態の文脈において簡潔のために説明されているシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品の様々な特徴は、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで、又は任意の他の説明されている本開示の実施形態において好適であるとして提供されてもよい。様々な実施形態の文脈において説明されている特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしに動作不能ではない限り、それらの実施形態の本質的な特徴であるとみなされるべきではない。
【0143】
[付記]
[付記1]
血流の経路を決定するための、血管画像を血管経路へとセグメント化する方法であって、
該方法は、
プロセッサ内に、前記血管画像を受け取り、
前記プロセッサを介して、前記血管画像内で第1及び第2の目標血管経路の終端領域を決定し、
前記プロセッサを介して、前記血管画像内で血管の部分の位置を識別するために前記血管画像をセグメント化し、
前記プロセッサを介して、識別された前記血管の部分から、各々が前記第1及び第2の目標血管経路の終端領域の間に延びる潜在的な血管経路を決定する複数の血管経路オプションを自動的に生成し、
前記プロセッサを介して、前記血管画像に登録された、表示される各々が前記第1及び第2の目標血管経路の終端領域を含む前記複数の血管経路オプションを、ユーザによる選択のために表示し、及び、
前記プロセッサ内に、血流の経路を決定するための、前記ユーザによって選択された経路オプションを受け取る、
ことを備える、方法。
【0144】
[付記2]
複数の前記経路は、基準の第1のセットに基づいて自動的に生成され、
前記ユーザによって選択された前記経路オプションは、基準の第2のセットに基づいて選択される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0145】
[付記3]
前記血管経路オプションについての選択の順番を事前に決定することを更に備え、
前記事前に決定することは、前記血管経路オプションの各々が、前記血管画像内の画像化された血管内の血流の実際の経路に対応する可能性の評価に基づき、前記血管経路オプションを順番にランク付けすることを備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0146】
[付記4]
前記事前に決定することは、前記血管経路オプションに関連する1つ以上の特徴に数値のコストを割り当てるコスト関数を適用することを含む、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
【0147】
[付記5]
前記コスト関数は、中心線であって、該中心線から前記血管経路オプションが連結される、複数の血管セグメントの中心線の特徴に基づく数値コストを割り当てる、
ことを特徴とする付記4に記載の方法。
【0148】
[付記6]
前記複数の血管セグメントの中心線の前記特徴は、中心線の方向、中心線オフセット、及び節領域から延びる中心線の数からなる群のうちの1つ以上を含む、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
【0149】
[付記7]
前記コスト関数は、前記血管経路オプションがその上で延びる前記血管画像の特徴に基づく数値コストを割り当てる、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
【0150】
[付記8]
前記血管画像の前記特徴は、血管セグメント画像強度の連続性、血管セグメント画像の幅の連続性、及び、節領域であって、該節領域から3つ以上の血管セグメントが延びる、節領域に対する血管強度における相対変化の位置、からなる群のうちの1つ以上を含む
ことを特徴とする付記7に記載の方法。
【0151】
[付記9]
前記事前に決定することは、前記血管画像の平面に対して垂直に延びる軸に対して、深さにおける血管セグメント画像の推定相対位置に基づく数値コストを割り当てるコスト関数を適用することを含む、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
【0152】
[付記10]
前記表示することは、複数の前記血管経路オプションを、選択順序に決定された連続した順序で提示することを含む、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
【0153】
[付記11]
前記表示することは、複数の前記血管経路オプションを同時に示すことを含み、前記選択の順序は、選択のためにアクティブとして血管経路オプションが表示される順序に対応する、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
【0154】
[付記12]
各血管経路オプションは、前記第1及び第2の目標血管経路の終端位置の1つに最も近い画像の血管領域で終端する、前記第1及び第2の目標血管経路の終端領域間の画像領域を通じて延びる、血管経路を決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0155】
[付記13]
血管画像における血管のセグメンテーションをより正確に描くために血管経路を編集する方法であって、
該方法は、
プロセッサにおいて、前記血管の前記セグメンテーションに沿った選択領域の指示を受け取り、
前記プロセッサを介して、前記血管の前記セグメンテーションに沿った位置の関数として決定されたエネルギー汎関数であって、該エネルギー汎関数の非ゼロ領域を前記選択領域の前記位置に基づきセットする、エネルギー汎関数を決定し、及び、
前記プロセッサを介して、前記エネルギー汎関数の前記非ゼロ領域の範囲内で、エネルギーの最小化に従って前記セグメンテーションの領域を移動する、
ことを備える、方法。
【0156】
[付記14]
前記非ゼロ領域におけるエネルギー汎関数値は、基礎的な血管画像の特徴に基づきセットされる、
ことを特徴とする付記13に記載の方法。
【0157】
[付記15]
前記非ゼロ領域におけるエネルギー汎関数値は、ユーザが制御する位置の指示の動きに基づいてセットされる、
ことを特徴とする付記13に記載の方法。
【0158】
[付記16]
前記ユーザが制御する位置の指示は、前記選択領域の前記指示を含む、
ことを特徴とする付記15に記載の方法。
【0159】
[付記17]
血管経路の半自動的なセグメンテーションのためのユーザインターフェースであって、
該ユーザインターフェースは、
2つの目標終端ポイントの間を延び、自動的に生成されるデフォルトの血管経路を提示するように操作可能な少なくとも1つのインターフェースモジュールと、
前記2つの目標終端ポイントの間を延びる、少なくとも1つの追加の自動的に生成される血管経路を提示するように操作可能な少なくとも1つのインターフェースモジュールと、
を備えることを特徴とする、ユーザインターフェース。
【0160】
[付記18]
少なくとも1つのウェイポイント(way point)を決定可能に、且つ前記少なくとも1つのウェイポイントを介して前記2つの目標終端ポイントの間を延びる自動的に生成される血管経路を提示するように操作可能に構成された少なくとも1つのインターフェースモジュールを更に備える、
ことを特徴とする付記17に記載のユーザインターフェース。
【0161】
[付記19]
前記血管経路の位置を新しい場所へとドラッグすることによって事前に決定された血管経路を修正するように操作可能な少なくとも1つのインターフェースモジュールを更に備える、
ことを特徴とする付記17又は18に記載のユーザインターフェース。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサによって実施される方法であって、
少なくとも1つの血管画像に描かれた複数の血管セグメントの特徴を推定するステップであって、個々の血管セグメントが前記血管画像に描かれた2つの端点の間に延びる複数の部分を含む、ステップと、
前記血管セグメントの少なくともサブセットから血管経路を推定するステップと、
インタラクティブユーザインターフェースを表示させるステップであって、前記インタラクティブユーザインターフェースは、
前記血管経路を形成する推定された前記血管セグメントの少なくとも一部のグラフィック描写を表示する、及び、
少なくとも血管方向の基準を含む1つ以上の基準に基づき、前記血管経路のための複数の血管経路オプションを表示する、
ように構成される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記インタラクティブユーザインターフェースは、前記血管経路オプションの順位に基づき、前記複数の血管経路オプションを順番に表示するように構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インタラクティブユーザインターフェースは、ユーザの入力に応答し、前記1つ以上のプロセッサに前記グラフィック描写の表示における誤りを修正させるように構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インタラクティブユーザインターフェースは、ユーザの入力に応答し、前記1つ以上のプロセッサに前記グラフィック描写の少なくとも1つの血管セグメントを調整させるように構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記血管方向の基準は、方向の連続性の基準である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
血管画像から血管経路を定義するための装置であって、
プロセッサと、
非一時的なコンピュータが読み取り可能な命令を格納するメモリであって、実行されたとき、前記プロセッサに、
少なくとも1つの血管画像に描かれた複数の血管セグメントの特徴を推定することであって、個々の血管セグメントが前記血管画像に描かれた2つの端点の間に延びる複数の部分を含むこと、
前記血管セグメントの少なくともサブセットから血管経路を推定すること、及び、
インタラクティブユーザインターフェースを表示させること、
を行わせるメモリと、を備え、
前記インタラクティブユーザインターフェースは、
前記血管経路を形成する推定された前記血管セグメントの少なくとも一部のグラフィック描写を表示する、及び、
少なくとも血管方向の基準を含む1つ以上の基準に基づき、前記血管経路のための複数の血管経路オプションを表示する、
ように構成される、装置。
【請求項7】
前記インタラクティブユーザインターフェースは、前記血管経路オプションの順位に基づき、前記複数の血管経路オプションを順番に表示するように構成される、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記インタラクティブユーザインターフェースは、ユーザの入力に応答し、前記プロセッサに前記グラフィック描写の表示における誤りを修正させるように構成される、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記インタラクティブユーザインターフェースは、ユーザの入力に応答し、前記プロセッサに前記グラフィック描写の少なくとも1つの血管セグメントを調整させるように構成される、
請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記血管方向の基準は、方向の連続性の基準である、
請求項6に記載の装置。