(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037881
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】C末端抗体改変体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240312BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
A61K39/395 N
A61K47/12
A61K47/26
A61P19/10
A61K9/08
A61P19/00
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210670
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020552200の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】62/812,741
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,762
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TRITON
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ズィー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンス,ジェニット,ルアン
(72)【発明者】
【氏名】フライン,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】フォーダー,スズィラン
(72)【発明者】
【氏名】ダリス,マーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨塩量を増加させる方法に使用する医薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、スクレロスチンに特異的に結合し、特定の配列を含む抗体であって、C末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Glyを含む重鎖を含む抗体、および該抗体を含む医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のスクレロスチンに特異的に結合し、配列番号2~7に示す6つのCDRからなるセットを含む抗体であって、C末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む重鎖を含む抗体。
【請求項2】
配列番号9に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号10に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記重鎖のC末端はアミド化されている、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
両方の重鎖のC末端は、前記アミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
両方の重鎖のC末端はアミド化されている、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
配列番号12に示す軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号13に示す重鎖アミノ酸配列を含む。請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
重鎖のC末端にPro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含むアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項8】
配列番号12に示す軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号14に示す重鎖アミノ酸配列を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項10】
配列番号1のスクレロスチンに特異的に結合する抗体の混合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、
前記組成物中の前記抗体の約3~5%は請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体の集団である医薬組成物。
【請求項11】
前記抗体集団の全部又は一部は、C末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む1本の重鎖を含む、請求項9又は10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記抗体集団の全部又は一部は、アミド化されたC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む重鎖を含む、請求項9又は10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記抗体集団の約35%未満は1本がアミド化されている、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記抗体集団の全部又は一部は、両方の重鎖にC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
C末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む2本の重鎖を含む前記抗体集団の全部又は一部は、2本の重鎖がアミド化されている、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗体集団の約35%未満は、2本の重鎖がアミド化されている、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記抗体集団の約35%未満は、アミド化されていない重鎖を含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記抗体集団の約33%はアミド化されず、前記抗体集団の約33%は1本のアミド化重鎖を含み、且つ前記抗体集団の約33%は2本のアミド化重鎖を含む、請求項9~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
カルシウム塩、酢酸緩衝液、ポリオール及び界面活性剤をさらに含む、請求項9~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記カルシウム塩は酢酸カルシウムを含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記酢酸緩衝液は酢酸ナトリウムを含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記ポリオールはスクロースを含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記界面活性剤はポリソルベート20を含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項24】
55mMの酢酸塩、13mMのカルシウム、6.0%(w/v)のスクロース、及び0.006%(w/v)のポリソルベート20、pH5.2をさらに含む、請求項9~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
それを必要としている対象における骨塩量を増加させる方法であって、請求項9~24のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に、前記対象の骨塩量を増加させるのに有効な量で投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/650,762号及び2019年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/812,741号に基づく優先権の利益を主張するものであり、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、少なくとも1つのC末端改変を有する抗スクレロスチン抗体、及びそのような抗体を含む組成物に関する。
【0003】
電子ファイルでの提出物の参照による援用
本明細書と同時に提出されたコンピュータ可読のヌクレオチド/アミノ酸配列リストは、その全体が参照によって援用され、当該リストは、以下のとおりである:2019年3月21日作成の、ファイル名「52080_SeqListing.txt」、21,006バイトのASCII(テキスト)ファイル。
【0004】
参照による組み込み
以下の出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2012年8月2日出願の国際特許出願第PCT/US2012/049331号明細書(2011年8月4日出願の米国仮特許出願第61/515,191号明細書に基づく優先権を主張)、2006年4月25日出願の米国特許出願第11/410,540号明細書(2006年4月17日出願の米国仮特許出願第60/792,645号明細書、2006年3月13日出願の米国仮特許出願第60/782,244号明細書、2006年2月24日出願の米国仮特許出願第60/776,847号明細書、及び2005年5月3日出願の米国仮特許出願第60/677,583号明細書に基づく優先権を主張)、並びに2006年4月25日出願の米国特許出願第11/411,003号明細書(米国特許第7,592,429号明細書として登録)(2006年4月17日出願の米国仮特許出願第60/792,645号明細書、2006年3月13日出願の米国仮特許出願第60/782,244号明細書、2006年2月24日出願の米国仮特許出願第60/776,847号明細書、及び2005年5月3日出願の米国仮特許出願第60/677,583号明細書に基づく優先権を主張)。以下の出願もまた参照により本明細書に組み込まれる:2008年9月17日出願の米国特許出願第12/212,327(2007年9月17日出願の米国仮特許出願第60/973,024号明細書に基づく優先権を主張)、及び2010年6月29日出願の米国特許出願第12/811,171号明細書(2008年12月15日出願の国際特許出願第PCT/US08/86864号明細書の米国特許法第371条に基づく米国国内段階移行出願であり、2007年12月14日出願の米国仮特許出願第61/013,917号明細書に基づく優先権を主張)。
【背景技術】
【0005】
骨塩量の減少は、多種多様な病態によって引き起こされ得、重大な医学的問題を生じ得る。例えば、骨粗鬆症はヒトの衰弱性疾患であり、骨格骨量及び骨塩量の顕著な減少、骨微細構造の劣化及びそれに対応する骨脆弱性の増加(すなわち、骨強度の低下)などの骨の構造的劣化、並びに罹患者の骨折のしやすさを特徴としている。骨粗鬆症は骨量減少による骨折リスクの増加とされてきたが、現在利用可能な骨障害の治療法のうち、成人の骨密度を増加させることができるものはほとんどなく、現在利用可能な治療法のほとんどは主に新たな骨形成を刺激するのではなく、さらなる骨吸収を阻害することによって機能する。エストロゲンは現在、骨量減少を遅らせるために処方されている。しかしながら、患者が何らかの長期的利益を得るかどうかや、エストロゲンが75歳を超える患者に有効であるかどうかについては、議論がある。さらに、エストロゲンの使用は、乳癌及び子宮内膜癌のリスクを増加させると考えられている。カルシトニン、ビタミンKを含むオステオカルシン、又は高用量の食事性カルシウムもまた、ビタミンDの有無に関係なく、閉経後の女性に提案されている。しかしながら、高用量のカルシウムは望ましくない消化器系の副作用を有することが多く、血清及び尿中カルシウム濃度を継続的にモニターしなければならない(例えば、Khosla and Riggs,Mayo Clin.Proc.70:978982,1995)。骨粗鬆症に対する現行の他の治療方法として、ビスホスホネート製剤(例えば、FosamaxTM、ActonelTM、BonvivaTM、ZometaTM、オルパドロネート、ネリドロネート、スケリッド、bonefos)、副甲状腺ホルモン、カルシリチック、カルシウム受容体作動薬(例えば、シナカルセト)、スタチン、同化ステロイド、ランタン及びストロンチウム塩、並びにフッ化ナトリウムが挙げられる。しかしながら、このような治療薬はしばしば望ましくない副作用を伴う(Khosla and Riggs、前出を参照)。
【0006】
SOST遺伝子の産物であるスクレロスチンは、骨の過成長及び高骨密度を特徴とする骨疾患である硬結性骨化症には存在しない(Brunkow et al.,Am.J.Hum.Genet.,68:577-589,2001;Balemans et al.,Hum.Mol.Genet.,10:537-543,2001)。ヒトスクレロスチンのアミノ酸配列は、Brunkow et al.の前記の箇所で報告されており、配列番号1として本明細書に開示されている。スクレロスチンは骨密度の増加を仲介する重要な標的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様においては、配列番号1のスクレロスチンに特異的に結合し、配列番号2~7に示す6つのCDRからなるセットを含む抗体が本明細書に記載され、この抗体は、C末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号9に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号10に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖のC末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は第1の重鎖のC末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む第1の重鎖と、野生型重鎖アミノ酸配列を含む(すなわち、C末端Pro-Ala-Arg-Glyを欠く)第2の重鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号12に示す軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号13に示す重鎖アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖のC末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号12に示す軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号14に示す重鎖アミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、抗体の重鎖の一方のC末端がアミド化されている(すなわち、抗体は1本がアミド化されている)。いくつかの実施形態では、抗体の両方の重鎖のC末端がアミド化されている(すなわち、抗体は2本がアミド化されている)。
【0009】
本明細書に記載の抗体の集団及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物もまた、本開示によって提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号1のスクレロスチンに特異的に結合する抗体の混合物を含み、この抗体の混合物は、C末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を有する重鎖を含む抗体の集団及び薬学的に許容される担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の抗体の約3~5%は、C末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を有する重鎖を含む抗体の集団である。いくつかの態様では、抗体集団の70%未満が、一方又は両方の重鎖でアミド化されている。いくつかの態様では、抗体の集団の全部又は一部は、C末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む1本の重鎖を含み、この重鎖は任意選択によりアミド化されている。いくつかの態様では、抗体の集団の全部又は一部は、両方の重鎖にC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含み、両方の重鎖は任意選択によりアミド化されている。任意選択により、抗体集団の約35%未満は1本がアミド化され、且つ/又は抗体集団の約35%未満は両方の重鎖がアミド化され、且つ/又は抗体集団の約35%未満はアミド化されていない重鎖を含む。この点に関し、種々の態様において、抗体集団の約33%がアミド化されず、抗体集団の約33%が1本のアミド化重鎖を含み、且つ抗体集団の約33%が2本のアミド化重鎖を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物は、カルシウム塩、酢酸緩衝液、ポリオール及び界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は酢酸カルシウムを含み、酢酸緩衝液は酢酸ナトリウムを含み、ポリオールはスクロースを含み、界面活性剤はポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、55mMの酢酸塩、13mMのカルシウム、6.0%(w/v)のスクロース、及び0.006%(w/v)のポリソルベート20、pH5.2を含む。
【0011】
また、本開示は、それを必要としている対象における骨塩量を増加させる方法であって、本明細書に記載の組成物をその対象に、その対象の骨塩量を増加させるのに有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、野生型ロモソズマブのC末端の一部をコードする核酸配列を提供する。
【
図2】
図2は、ロモソズマブC末端改変体(PARG改変体)のC末端の一部をコードする核酸配列を提供する。
【
図3】
図3は、Lys-Cによって消化され、LC/MSペプチドマッピングによって分析されたロモソズマブPARG改変体(実線)と重ね合わせた野生型ロモソズマブ(点線)の拡大UVプロファイルを示すグラフである。
【
図4】
図4は、未処理のロモソズマブPARG改変体(実線)と重ね合わせたカルボキシペプチダーゼ処理したロモソズマブPARG改変体(点線)のカチオン交換(CEX)プロファイルを示すグラフである。
【
図5】
図5は、時間の関数として示した皮下注射のScissorモデルの回収パーセントを示すグラフである。野生型ロモソズマブ(丸)及びPARG c末端改変体ロモソズマブは、シミュレートした注射部位で異なる割合で拡散する。
【
図6】
図6は、野生型ロモソズマブ及びPARG C末端改変体ロモソズマブがいずれも同様にFcRnと結合し、FcRn結合がPARG変異の影響を受けないことを示すグラフである。
【
図7】
図7は、FcγRIIa(131H)に対するPARG C末端改変体ロモソズマブの相対的結合が野生型ロモソズマブよりもはるかに高かったことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示はスクレロスチンに特異的に結合する抗体を提供するものであり、この抗体は、C末端にPro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含むアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、C末端にPro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含むアミノ酸の配列を含む第一の重鎖と、野生型重鎖アミノ酸配列を含む第二の重鎖とを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、重鎖のC末端にPro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含むアミノ酸配列を含む。抗体(又は抗体の混合物)を含む医薬組成物、及び抗体の使用方法もまた提供される。
【0014】
「抗スクレロスチン抗体」又は「スクレロスチンに結合する抗体」は、配列番号1のスクレロスチン又はその部分に結合する抗体である。組み換えヒトスクレロスチン/SOSTは、例えば、R&D Systems(Minneapolis,Minn.,USA;2006 カタログ番号1406-ST-025)から市販されている。米国特許第6,395,511号明細書及び同第6,803,453号明細書、並びに米国特許出願公開第2004/0009535号明細書及び同第2005/0106683号明細書は、一般に抗スクレロスチン抗体について言及している。本発明との関連で使用するのに適した抗スクレロスチン抗体の例は、米国特許出願公開第2007/0110747号明細書及び同第2007/0072797号明細書にも記載されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。抗スクレロスチン抗体を生成するための材料及び方法に関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2004/0158045号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0015】
「抗体」という用語は、完全な免疫グロブリン分子(完全長の重鎖及び/又は軽鎖を有するポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、及び/又はヒトバージョンを含む)を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」とは、抗体が抗原に他のタンパク質よりも優先的に結合することを意味する。いくつかの実施形態では、「特異的に結合する」は、抗体が他のタンパク質よりも抗原に対して高い親和性を有することを意味する。抗原に特異的に結合する抗体は、抗原に対する結合親和性が1×10-7M以下、2×10-7M以下、3×10-7M以下、4×10-7M以下、5×10-7M以下、6×10-7M以下、7×10-7M以下、8×10-7M以下、9×10-7M以下、1×10-8M以下、2×10-8M以下、3×10-8M以下、4×10-8M以下、5×10-8M以下、6×10-8M以下、7×10-8M以下、8×10-8M以下、9×10-8M以下、1×10-9M以下、2×10-9M以下、3×10-9M以下、4×10-9M以下、5×10-9M以下、6×10-9M以下、7×10-9M以下、8×10-9M以下、9×10-9M以下、1×10-10M以下、2×10-10M以下、3×10-10M以下、4×10-10M以下、5×10-10M以下、6×10-10M以下、7×10-10M以下、8×10-10M以下、9×10-10M以下、1×10-11M以下、2×10-11M以下、3×10-11M以下、4×10-11M以下、5×10-11M以下、6×10-11M以下、7×10-11M以下、8×10-11M以下、9×10-11M以下、1×10-12M以下、2×10-12M以下、3×10-12M以下、4×10-12M以下、5×10-12M以下、6×10-12M以下、7×10-12M以下、8×10-12M以下、又は9×10-12M以下であり得る。
【0017】
いくつかの又は任意の実施形態において、抗体は、1×10-7M以下、1×10-8M以下、1×10-9M以下、1×10-10M以下、1×10-11M以下、又は1×10-12M以下の親和性(Kd)で、配列番号1のスクレロスチン又はその天然に存在する改変体に結合する。親和性は種々の技術を使用して決定され、その一例は親和性ELISAアッセイである。種々の実施形態において、親和性は、BIAcoreアッセイによって決定される。種々の実施形態において、親和性は、速度論的方法によって決定される。種々の実施形態において、親和性は、平衡/溶液法によって決定される。米国特許出願公開第2007/0110747号明細書(この開示は参照により本明細書に組み込まれる)には、スクレロスチンに対する抗体の親和性(Kd)を決定するのに好適な親和性アッセイのさらなる記載が含まれている。
【0018】
いくつかの又は任意の実施形態において、抗体(又はその抗体断片)は、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むスクレロスチンポリペプチドに結合し、配列番号5の配列(CGPARLLPNAIGRGKWWRPSGPDFRC;配列番号1のアミノ酸86~111に対応する)を含むスクレロスチンの領域に結合する。この領域は、本明細書では、スクレロスチンの「ループ2」領域とも呼ばれる。ループ2領域の外側のスクレロスチンの領域は、本明細書では「非ループ2領域」と定義される。或いは又はさらに、抗スクレロスチン抗体は配列番号1のアミノ酸57~146を含むスクレロスチンポリペプチドに結合する。或いは又はさらに、抗スクレロスチン抗体は配列番号1のアミノ酸89~103、及び/又は配列番号1のアミノ酸137~151を含むスクレロスチンポリペプチドに結合する。いくつかの又は任意の実施形態において、完全長スクレロスチンの断片であるスクレロスチンポリペプチドは、配列番号1のヒトスクレロスチンの対応するポリペプチド領域の三次構造を保持する。
【0019】
いくつかの又は任意の実施形態において、本明細書に記載の抗スクレロスチン抗体は、好ましくは、米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載の細胞ベースのアッセイ及び/若しくは米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載のインビボアッセイにおいてスクレロスチン機能を調節し、且つ/又は米国特許出願公開第2007/0110747明細書号に記載のエピトープの1つ以上に結合し、且つ/又は米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載の抗体のうちの1つの結合をクロスブロックし、且つ/又は米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載の抗体のうちの1つによってスクレロスチンの結合がクロスブロックされる(これらの文献は参照によりその全体が、また抗スクレロスチン抗体を特徴付けるアッセイの説明のために組み込まれる)。
【0020】
「CDR」は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域の各々には3つのCDRがあり、これらは可変領域の各々で、CDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれる。「6つのCDRからなるセット」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合することができる軽鎖可変領域及び重鎖可変領域に存在する3つのCDRのグループを指す。CDRの正確な境界は、異なるシステムにより異なる定義がされている。Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda、Md.(1987)及び(1991)))により記載されるシステムは、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基番号付けシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを規定する正確な残基境界も提供する。これらのCDRはKabat CDRと呼ばれ得る。Chothia及び共同研究者(Chothia & Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)及びChothia et al.,Nature342:877-883(1989))は、Kabat CDR内の特定のサブ部分が、アミノ酸配列レベルでは大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格の立体構造を採ることを見出した。これらのサブ部分はL1、L2及びL3又はH1、H2及びH3と名付けられた(ここで、「L」及び「H」はそれぞれ軽鎖領域及び重鎖領域を示す)。これらの領域はChothia CDRと呼ぶことができ、Kabat CDRに重なる境界を有する。Kabat CDRと重なるCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133-139(1995))及びMacCallum(J Mol Biol 262(5):73245(1996))によって記載されている。CDR境界のさらに他の定義は、上記の系の1つに厳密には従わない場合があるが、それでもなお、Kabat CDRと重なる。とはいえ、それらは、特定の残基若しくは残基群、又は全CDRさえも抗原結合にさほど影響しないという予測又は実験結果を踏まえると短縮されるか又は伸長されている可能性がある。本明細書で使用される方法は、これらの系のいずれかによって定義されるCDRを利用することができるが、好ましい実施形態では、Kabat又はChothiaによる定義のCDRを使用する。
【0021】
CDRは、例えば、目的のCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することによって得られる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、鋳型として抗体産生細胞のmRNAを使用して可変領域を合成するポリメラーゼ連鎖反応を使用することによって調製される(例えば、Larrick et al.,Methods:A Companion to Methods in Enzymology,2:106(1991)、Courtenay-Luck,”Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies,”in Monoclonal Antibodies Production,Engineering and Clinical Application,Ritter et al.(eds.),page 166,Cambridge University Press(1995)、及びWard et al.,”Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,”in Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Birch et al.,(eds.),page 137,Wiley-Liss,Inc.(1995)を参照)。
【0022】
種々の態様において、抗体は、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3から選択されるCDRに対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性)を有する少なくとも1つのCDR配列を含む。ここで、CDR-H1は配列番号2に示す配列を有し、CDR-H2は配列番号3に示す配列を有し、CDR-H3は配列番号4に示す配列を有し、CDR-L1は配列番号5に示す配列を有し、CDR-L2は配列番号6に示す配列を有し、CDR-L3は配列番号7に示す配列を有する。抗スクレロスチン抗体は、種々の局面において、2つのCDR又は6つのCDRを含む。
【0023】
好ましい実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、以下の6つのCDRのセットを含む:配列番号2のCDR-H1、配列番号3のCDR-H2、配列番号4のCDR-H3、配列番号5のCDR-L1、配列番号6のCDR-L2及び配列番号7のCDR-L3。
【0024】
いくつかの又は任意の実施形態において、抗体は、配列番号9に示すアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号10に示すアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。種々の態様において、配列番号9又は10と比較した配列の相違は、対応する配列におけるCDR領域の外側にある。いくつかの又は任意の実施形態では、抗体は、配列番号9に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号10に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。
【0025】
いくつかの又は任意の実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、配列番号16に示すアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖の全て又は一部と、配列番号12に示すアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖の全て又は一部とを含む。
【0026】
抗体は、C末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体の両重鎖のC末端は、アミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む第一の重鎖と、野生型アミノ酸配列を含む第二の重鎖とを含む。種々の態様において、抗体は、配列番号12に示す軽鎖アミノ酸配列と、配列番号13に示す重鎖アミノ酸配列とを含む。
【0027】
或いは、いくつかの又は任意の実施形態において、抗体は、重鎖のC末端に、任意選択により両方の重鎖のC末端に、Pro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含むアミノ酸の配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含む第一の重鎖と、野生型アミノ酸配列を含む(すなわち、C末端Pro-Ala-Arg-Gly-Lys(配列番号11)を含まない)第二の重鎖とを含む。種々の態様において、抗体は、配列番号12に示す軽鎖アミノ酸配列と、配列番号14に示す重鎖アミノ酸配列とを含む。
【0028】
他の抗スクレロスチン抗体の例としては、国際特許出願の国際公開第2008/092894号パンフレット、国際公開第2008/115732号パンフレット、国際公開第2009/056634号パンフレット、国際公開第2009/047356号パンフレット、国際公開第2010/100200号パンフレット、国際公開第2010/100179号パンフレット、国際公開第2010/115932号パンフレット、及び国際公開第2010/130830号パンフレット(これらの各文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される抗スクレロスチン抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
抗体などのタンパク質に種々の翻訳後修飾を受け得るものがあることは、当業者であれば理解していよう。これらの修飾の型及び程度は、多くの場合、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞株及び培養条件に依存する。このような修飾としては、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペリジン形成、アスパラギン酸異性化及びアスパラギン脱アミド化におけるバリエーションを挙げることができる。よく起こる修飾はカルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端の塩基性残基(例えば、リジン又はアルギニン)の喪失である(Harris,RJ.Journal of Chromatography 705:129-134,1995に記載されるように)。
【0030】
他の修飾としては、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79-86[1983](全体が本明細書に組み込まれる))、N末端アミンのアセチル化、並びに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0031】
いくつかの又は任意の実施形態において、アミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む抗体の重鎖のC末端はアミド化される。いくつかの又は任意の実施形態において、抗体の両方の重鎖はアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含み、且つ両方の重鎖はアミド化される。いくつかの実施形態では、グリシンがアミド化される。アミド化は、例えば、Prigg,S.T.et al.,“New insights into copper monooxygenases and peptide amidation:Structure,mechanism and function”,Cell.Mol.Life Sci.57(2000)1236-1259に記載されているように起こり得る。酵素ペプチジルグリシンα-アミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)は、グリシンのアミド化を触媒することができる。PAMは、2つの活性ドメイン、ペプチジルグリシンα-ヒドロキシル化モノオキシゲナーゼ(PHM)及びペプチジル-α-ヒドロキシルグリシンα-アミド化リアーゼ(PAL)を有する。PHMが、ペプチジルグリシン(アスコルビン酸塩及び酸素と共に)のペプチジルα-ヒドロキシルグリシン(セミデヒドロゲンアスコルビン酸塩(semidehydrogenascorbate)及び水と共に)への変換を触媒する。次に、PALが、ペプチジルα-ヒドロキシルグリシンのアミド化ペプチド(及びグリオキシル酸塩)への変換を触媒する。
【0032】
抗体のアミド化は、細胞培養プロセス中に特定の条件を変更することによって制御することができる。例えば、銅(例えば、クエン酸第二鉄アンモニウム中)及び/又は酸素レベルを用いてアミド化レベルに影響を及ぼすことができる。(例えば、培地中の)銅濃度又は(例えば、培養時の)酸素利用率の増加は、PHMなどの酵素の活性に影響を及ぼすことによってアミド化を増加させ得ると考えられる。
【0033】
医薬組成物
本開示は、本明細書に記載の抗体の集団を、薬学的に有効な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存料及び/又はアジュバントと共に含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物としては、以下に限定はされないが、液体、凍結及び凍結乾燥組成物が挙げられる。
【0034】
本開示はまた、配列番号1のスクレロスチンに特異的に結合する抗体と薬学的に許容される担体との混合物を含む医薬組成物を提供する。ここで、この組成物中の抗体の約3~5%は、本明細書に記載の抗体(例えば、配列番号2~7に示す6つのCDRからなるセットを含み、且つその重鎖のC末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む1本の重鎖(又は2本の重鎖)を有する抗体)の集団である。本開示はまた、本明細書に記載の抗体(例えば、配列番号2~7に示す6つのCDRからなるセットを含み、且つその重鎖のC末端にアミノ酸配列Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)を含む1本の重鎖(又は2本の重鎖)を有する抗体)の集団を代替量(例えば、5~10%、1~3%、3~15%、2~10%、4~20%、1~5%)含む組成物を企図する。
【0035】
いくつかの実施形態では、集団の抗体の70%未満(例えば、約69%、約68%、約67%、約66%、約65%、約64%、約63%、約62%、約61%、約60%、約59%、約58%、約57%、約56%、約55%、約54%、約53%、約52%、約51%、約50%、約49%、約48%、約47%、約46%、約45%、約44%、約43%、約42%、約41%、約40%、約39%、約38%、約37%、約36%、約35%、約34%、約33%、約32%、約31%、約30%、約29%、約28%、約27%、約26%、約25%、約24%、約23%、約22%、約21%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%又はそれ以下)は、C末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む重鎖を含み、この重鎖は任意選択によりアミド化される。いくつかの実施形態では、集団の抗体の35%未満(例えば、約34%、約33%、約32%、約31%、約30%、約29%、約28%、約27%、約26%、約25%、約24%、約23%、約22%、約21%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%又はそれ以下)は、両方の重鎖にC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含み、この両方の重鎖は任意選択によりアミド化される。両方の重鎖がC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含むが、それらの重鎖のうちの1本のみがアミド化されることも考えられる。いくつかの実施形態では、組成物中の抗体の35%未満(例えば、約34%、約33%、約32%、約31%、約30%、約29%、約28%、約27%、約26%、約25%、約24%、約23%、約22%、約21%、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%又はそれ以下)は、アミド化されていないC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含む。いくつかの実施形態では、集団の抗体の約33%が、アミド化されたC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含み、集団の抗体の約33%が、両方の重鎖にアミド化されたC末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を含み、集団の抗体の約33%が、C末端Pro-Ala-Arg-Gly(配列番号8)配列を有するがアミド化はされていない重鎖を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば、組成物のpH、モル浸透圧濃度、粘度、透明度、色、等張性、匂い、無菌状態、安定性、溶解又は放出速度、吸着又は浸透性を改変、維持又は保存するための製剤材料を含有する。このような実施形態において、好適な製剤材料としては、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、プロリン、又はリシンなど);抗微生物剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝液(ホウ酸、重炭酸、トリス-HCl、クエン酸、リン酸又は他の有機酸など);充填剤(マンニトール又はグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン又はヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなど);注入剤;単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース又はデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存料(ベンザルコニウムクロリド、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸又は過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトール又はソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤又は湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20などのポリソルベート、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール);安定化促進剤(スクロース又はソルビトールなど);等張性促進剤(アルカリ金属ハロゲン化物など、好ましくは塩化ナトリウム又は塩化カリウム、マンニトールソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤及び/又は医薬アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18”Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
【0037】
本明細書に記載される特定の製剤材料の選択は例えば、意図される投与経路、送達形式及び所望の投薬量によって駆動され得る。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(前出)を参照されたい。医薬組成物中の主なビヒクル又は担体は、本質的に水性又は非水性であり得る。例えば、好適なビヒクル又は担体は、注射用水、生理食塩水溶液又は人工脳脊髄液であり得、場合により非経口投与用組成物で一般的な他の材料が補充される。中性緩衝生理食塩水又は血清アルブミンを混合した生理食塩水もさらなる例示的なビヒクルである。具体的な実施形態では、医薬組成物は、約pH7.0~8.5のトリス緩衝液、又は約pH4.0~5.5の酢酸緩衝液を含み、ソルビトール又はその適切な代替物をさらに含んでよい。特定の実施形態では、組成物は、所望の純度を有する選択組成物と、任意選択の製剤化薬剤(前出のREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES)とを混合することにより、凍結乾燥ケーキ又は水性溶液の形態で保存用として調製され得る。さらに、いくつかの実施形態では、抗体又は断片は、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて凍結乾燥物として製剤化され得る。
【0038】
本発明の医薬組成物は、非経口送達を目的として選択することができる。或いは、組成物は、吸入を目的として、又は経口など、消化管を介した送達を目的として選択することができる。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当該技術分野の範囲内である。製剤成分は、投与部位に許容される濃度で含まれることが好ましい。特定の実施形態では、緩衝剤は、組成物を生理学的pH又は僅かに低いpH、典型的には約5~約8のpH範囲内に維持するために使用される。
【0039】
非経口投与が企図される場合、本発明における使用のための治療用組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に所望の抗体又は断片を含む、パイロジェンフリーの非経口的に許容される水溶液の形態で提供され得る。非経口注射に特に好適なビヒクルは、無菌の蒸留水であり、その中で抗体又は断片は、適切に保存された無菌の等張液として処方される。特定の実施形態では、移植可能な薬物送達デバイスを使用して、所望の抗体又は断片コンストラクトを導入し得る。
【0040】
いくつかの又は任意の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、カルシウム塩、酢酸緩衝液、ポリオール及び界面活性剤を含む。例示的なカルシウム塩としては、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム及び塩化カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は、少なくとも0.5mM、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも3mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも6mM、少なくとも7mM、少なくとも8mM、少なくとも9mM、又は少なくとも10mMの濃度である。特定の実施形態では、カルシウム塩の濃度は、11mM以下、12mM以下、13mM以下、14mM以下、15mM以下、16mM以下、17mM以下、18mM以下、19mM以下、20mM以下、21mM以下、22mM以下、23mM以下、24mM、又は25mM以下である。前述の端点の組み合わせた任意の範囲、例えば、約0.5mM~約10mM、約5mM~約10mM、又は約5mM~約15mM(これらに限定されない)が企図される。
【0041】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1mM~約1000mM(1M)の範囲の濃度を有する酢酸緩衝液(例えば、酢酸ナトリウム)を含む。いくつかの実施形態では、酢酸緩衝液の濃度は、少なくとも5mM、少なくとも6mM、少なくとも7mM、少なくとも8mM、少なくとも9mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、少なくとも90mM、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも500mM、少なくとも700mM、又は少なくとも900mMである。いくつかの実施形態では、酢酸緩衝液の濃度は、10mM以下、15mM以下、20mM以下、25mM以下、30mM以下、35mM以下、40mM以下、45mM以下、50mM以下、55mM以下、60mM以下、65mM以下、70mM以下、75mM以下、80mM以下、85mM以下、90mM以下、95mM、又は100mM以下である。前述の端点の組み合わせた任意の範囲、例えば、約5mM~約15mM、約5mM~約10mM、又は約10mM~約25mM(これらに限定されない)が企図される。緩衝液は、pHを約5~6又は5~5.5又は4.5~5.5に維持する濃度に添加することが好ましい。製剤中のカルシウム塩が酢酸カルシウムである場合、いくつかの実施形態では、酢酸塩の総濃度は、約10mM~約55mM、又は約20mM~約40mMである。
【0042】
いくつかの態様では、医薬組成物は、総濃度が少なくとも10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約30mM、少なくとも約35mM、少なくとも約40mM、少なくとも約45mM、又は少なくとも約50mMである酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、酢酸塩の濃度は、約30mM以下、約35mM以下、約40mM以下、約45mM以下、約50mM以下、約55mM以下、約60mM以下、約65mM以下、約70mM以下、約75mM以下、約80mM以下、約85mM以下、又は約90mM以下である。前述の端点の組み合わせた任意の範囲、例えば、約10mM~約50mM、約20mM~約50mM、約20mM~約40mM、約30mM~約50mM、又は約30mM~約75mM(これらに限定されない)が企図される。いくつかの実施形態では、カルシウム塩は酢酸カルシウムであり、酢酸緩衝液は酢酸ナトリウムである。非限定的な例として、10mM酢酸カルシウムを含有する溶液は、カルシウムカチオンの二価の性質のために、20mMの酢酸アニオン及び10mMのカルシウムカチオンを有するが、10mM酢酸ナトリウムを含有する溶液は、10mMのナトリウムカチオン及び10mMの酢酸アニオンを有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、溶液中の総イオン(カチオン及びアニオン)濃度は、少なくとも10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約30mM、少なくとも約35mM、少なくとも約40mM、少なくとも約45mM、少なくとも約50mM、少なくとも約55mM、少なくとも約60mM、少なくとも約65mM、少なくとも約70mM、少なくとも約75mM、少なくとも約80mM、又は少なくとも約85mMである。いくつかの実施形態では、総イオン濃度は、約30mM以下、約35mM以下、約40mM以下、約45mM以下、約50mM以下、約55mM以下、約60mM以下、約65mM以下、約70mM以下、約75mM以下、約80mM以下、約85mM以下、約90mM以下、約95mM以下、約100mM以下、約110mM以下、約120mM以下、約130mM以下、約140mM以下、約150mM以下、約160mM以下、約170mM以下、約180mM以下、約190mM、又は約200mM以下である。前述の端点の組み合わせた任意の範囲、例えば、約30mM~約60mM、又は約30mM~約70mM、又は約30mM~約80mM、又は約40mM~約150mM、又は約50mM~約150mM(これらに限定されない)が企図される。非限定的な例として、10mMの酢酸カルシウム溶液は、30mMの総イオン濃度(10mMのカチオン及び20mMのアニオン)を有する。
【0044】
いくつかの又は任意の実施形態では、医薬組成物はポリオールを含む。ポリオールは、糖(例えば、マンニトール、スクロース、ソルビトール)、及び他の多価アルコール(例えば、グリセロール及びプロピレングリコール)を含む賦形剤の一部類を包含する。例示的なポリオールとしては、プロピレングリコール、グリセロール(グリセロール)、トレオース、トレイトール、エリトロース、エリトリトール、リボース、アラビノース、アラビトール、リキソース、マルチトール、ソルビトール、ソルボース、グルコース、マンノース、マンニトール、レブロース、デキストロース、マルトース、トレハロース、フルクトース、キシリトール、イノシトール、ガラクトース、キシロース、フルクトース、スクロース、1,2,6-ヘキサントリオールなどが挙げられるが、これらに限定されない。高次の糖としては、デキストラン、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。フルクトース、マルトース又はガラクトースなどの還元糖は、非還元糖よりも容易に酸化する。糖アルコールのさらなる例は、グルシトール、マルチトール、ラクチトール又はイソマルツロースである。さらなる例示的なリオプロテクタントとしては、グリセリン及びゼラチン、並びに糖メリビオース、メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、及びスタキオースが挙げられる。還元糖の例としては、グルコース、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソマルツロース及びラクツロースが挙げられる。非還元糖の例としては、糖アルコール及び他の直鎖ポリアルコールから選択されるポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドが挙げられる。モノグリコシドとしては、ラクトース、マルトース、ラクツロース及びマルツロースなどの二糖類の還元によって得られる化合物が挙げられる。
【0045】
いくつかの又は任意の実施形態において、医薬組成物は、約0w/v%~約40w/v%の範囲の濃度でポリオールを含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物はポリオールを、少なくとも0.5w/v%、少なくとも1w/v%、少なくとも2w/v%、少なくとも3w/v%、少なくとも4w/v%、少なくとも5w/v%、少なくとも6w/v%、少なくとも7w/v%、少なくとも8w/v%、少なくとも9w/v%、少なくとも10w/v%、少なくとも11w/v%、少なくとも12w/v%、少なくとも13w/v%、少なくとも14w/v%、少なくとも15w/v%、少なくとも16w/v%、少なくとも17w/v%、少なくとも18w/v%、少なくとも19w/v%、少なくとも20w/v%、少なくとも30w/v%、又は少なくとも40%w/vの濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物はポリオールを、約1w/v%、約2w/v%、約3w/v%、約4w/v%、約5w/v%、約6w/v%、約7w/v%、約8w/v%、約9w/v%~約10w/v%の濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物はポリオールを、約2w/v%~約6w/v%の濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物はポリオールを、約4w/v%の濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物はポリオールを、約6w/v%の濃度で含む。
【0046】
いくつかの又は任意の実施形態において、医薬組成物は界面活性剤を含む。例示的な界面活性剤としては、天然に存在するアミノ酸に由来する界面活性剤を含む、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、及び両性の界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウム、ケノデオキシコール酸、N-ラウロイルサルコシンナトリウム塩、ドデシル硫酸リチウム、1-オクタンスルホン酸ナトリウム塩、コール酸ナトリウム水和物、デオキシコール酸ナトリウム、並びにグリコデオキシコール酸ナトリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤としては、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム一水和物、及び臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが挙げられるがこれらに限定されない。双性イオン性界面活性剤としては、CHAPS、CHAPSO、SB3-10、及びSB3-12が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤としては、ジギトニン、Triton X-100、Triton X-114、TWEEN-20、及びTWEEN-80が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、界面活性剤としては、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油10、40、50、及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、及びポリソルベート80、大豆レシチン及び他のリン脂質、例えばDOPC、DMPG、DMPC、及びDOPG、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースが挙げられる。いくつかの又は任意の実施形態では、界面活性剤はポリソルベート20である。
【0047】
界面活性剤は個々に、又は異なる比率の混合物として、組成物中に含まれ得る。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物は界面活性剤を約0w/v%~約5w/v(例えば、約0.001w/v%、約0.002w/v%、約0.005w/v%、約0.007w/v%、約0.01w/v%、約0.05w/v%、約0.1w/v%、約0.2w/v%、約0.3w/v%、約0.4w/v%、約0.5w/v%、約0.6w/v%、約0.7w/v%、約0.8w/v%、約0.9w/v%、約1.0w/v%、約1.5w/v%、約2.0w/v%、約2.5w/v%、約3.0w/v%、約3.5w/v%、約4.0w/v%、又は約4.5w/v%)の濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物は界面活性剤を、約0.001w/v%~約0.5w/v%の濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物は界面活性剤を、約0.004w/v%、約0.005w/v%、約0.007w/v%、約0.01w/v%、約0.05w/v%又は約0.1w/v%~約0.2w/v%の濃度で含む。いくつかの又は任意の実施形態において、組成物は界面活性剤を、約0.01w/v%~約0.1w/v%の濃度で含む。
【0048】
いくつかの又は任意の実施形態において、医薬組成物は、55mMの酢酸塩、13mMのカルシウム、6.0%(w/v)のスクロース、及び0.006%(w/v)のポリソルベート20、pH5.2を含む。
【0049】
さらなる医薬組成物に、持続送達製剤又は制御送達製剤に抗原結合タンパク質を含めた製剤が含まれることは、当業者には明らかであろう。リポソーム担体、生物侵食性微粒子又は多孔性ビーズ、及びデポ注射など、様々な他の持続送達手段又は制御送達手段の製剤化手法も当業者に知られている。例えば、国際特許出願第PCT/US93/00829号明細書(参照により組み込まれる)を参照されたい。この文献には、医薬組成物を送達するための多孔性ポリマー微粒子の制御放出について記載されている。持続放出性製剤には、例えば、フィルム又はマイクロカプセルなどの成形物品の形態の半透性ポリマーマトリックスが含まれ得る。持続放出性マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3773919号明細書及び欧州特許出願公開第058481号明細書に開示され、これらの各文献は参照により組み込まれる)、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers 2:547-556)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167-277及びLanger,1982,Chem.Tech.12:98-105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,1981、前掲)、又はポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第133988号明細書)が含まれ得る。持続放出性組成物には、当該技術分野において知られるいくつかの方法のいずれかによって調製することができるリポソームも含まれ得る。例えば、Eppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 82:3688-3692、欧州特許出願公開第036676号明細書、同第088046号明細書及び同第143949号明細書(参照により組み込まれる)を参照されたい。
【0050】
インビボ投与に使用される医薬組成物は、一般的には、無菌製剤として提供される。無菌化は、無菌濾過膜による濾過によって達成することができる。組成物を凍結乾燥する場合、この方法を使用した無菌化は、凍結乾燥及び再構成の前後いずれかに実施され得る。非経口投与用組成物は、凍結乾燥形態又は溶液として保存することができる。非経口組成物は、一般に、無菌のアクセスポートを有する容器、例えば、静脈注射用溶液バッグ又は皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルに充填される。
【0051】
遊離アミノ酸は、充填剤、安定化剤及び酸化防止剤として、また他の標準的用途として、本発明の様々な実施形態による抗体又は断片製剤に使用することができる。リシン、プロリン、セリン及びアラニンは、製剤中のタンパク質を安定化するために使用することができる。グリシンは、凍結乾燥において適切なケーキ構造及び特性を確保するのに有用である。アルギニンは、液体及び凍結乾燥のいずれの製剤でもタンパク質の凝集を阻害するのに有用であり得る。メチオニンは、酸化防止剤として有用である。
【0052】
抗体製剤の実施形態は、1種以上の酸化防止剤をさらに含み得る。医薬製剤においてタンパク質の有害な酸化は、周囲酸素及び温度を適切なレベルに維持することにより、また光への曝露を回避することにより、ある程度防ぐことができる。タンパク質の酸化劣化を防止するために、酸化防止賦形剤も同様に使用することができる。この点で特に有用な酸化防止剤は、還元剤、酸素/フリーラジカル捕捉剤、及びキレート剤である。本発明による治療用タンパク質製剤に使用するための酸化防止剤は、水溶性であることが好ましく、製品の貯蔵寿命期間にわたって活性を維持する。この点で、EDTAが本発明による好ましい酸化防止剤である。
【0053】
本発明による製剤は、タンパク質の補因子であり、タンパク質配位化合物を形成するのに必要とされる金属イオン、例えば特定のインスリン懸濁液を形成するのに必要とされる亜鉛を含み得る。金属イオンはまた、タンパク質を分解するいくつかのプロセスを阻害することができる。しかしながら、金属イオンはまた、タンパク質を分解する物理的及び化学的プロセスを触媒する。
【0054】
マグネシウムイオン(10~120mM)は、アスパラギン酸のイソアスパラギン酸への異性化を阻害するために使用され得る。Ca+2イオン(最大100mM)は、ヒトデオキシリボヌクレアーゼの安定性を増大させ得る。しかしながら、Mg+2、Mn+2及びZn+2は、rhDNaseを不安定化し得る。同様に、Ca+2及びSr+2は、第VIII因子を安定化することができ、これはMg+2、Mn+2及びZn+2、Cu+2及びFe+2によって不安定化することがあり、その凝集が、Al+3イオンによって増大することがある。
【0055】
抗体製剤の実施形態は、1種以上の保存料をさらに含み得る。
【0056】
医薬組成物が製剤化されると、それは、溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固体、結晶として、又は脱水若しくは凍結乾燥粉末として滅菌バイアルに貯蔵され得る。そのような製剤は、即時使用が可能な形態、又は投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥品)で保存され得る。本発明はまた、単回用量投与単位を生成するためのキットを提供する。本発明のキットは各々、乾燥タンパク質を有する第1の容器と、水性製剤を有する第2の容器の両方を含む。本発明の特定の実施形態では、単一及び多チャンバー式充填済みシリンジ(例えば、液体シリンジ及び溶解シリンジ(lyosyringe))を含むキットが提供される。
【0057】
用いられるべき抗体含有医薬組成物の治療有効量は、例えば、治療の内容及び目的に依存するであろう。当業者は、治療に適した投与量レベルが、送達される分子、抗体が使用されている徴候、投与経路、並びに患者の大きさ(体重、体表面積又は臓器の大きさ)及び/又は状態(年齢及び全般的な健康状態)によってある程度異なることは認識していよう。
【0058】
安定性
「安定性」及び「安定な」という用語は、抗体(又はその抗原結合断片)を含む組成物に関連して本明細書で使用される場合、所与の製条条件、調製条件、輸送条件及び/又は貯蔵条件下での凝集、分解又は断片化に対する組成物中の抗体(又はその抗原結合断片)の耐性を指す。高い安定性を含む抗体製剤は、高い信頼性及び安全性を示し、したがって、臨床用途に有利である。
【0059】
組成物中の抗体の安定性は、組成物中の抗体の所望のパラメータ(例えば、凝集、重鎖及び/又は軽鎖の分解、化学修飾など)を経時的に試験することによって任意選択により評価される。この点に関して、パラメータは一般的には初期時点(T0)及び評価時点(T1)で、任意選択により抗体をいくつかの環境条件のいずれかに曝露しながら検査し比較する。初期時点は、例えば、抗体が最初に組成物中に配合される、又は品質について最初に試験される(すなわち、抗体組成物が凝集又は分解に関して規制又は製造仕様を満たすかどうかを決定するために試験される)時点であり得る。初期時点はまた、抗体が組成物中に再配合される(例えば、初期製剤と比較してより高い又はより低い濃度で再配合される)時点であり得る。評価時点は、様々な実施形態において、初期時点から約1週間(又は約2週間、又は約3週間、又は約4週間、又は約5週間、又は約6週間、又は約7週間、又は約8週間、又は約10週間、又は約3ヶ月、又は約6ヶ月、又は約1年)後である。組成物中の抗体又はその断片の所望のパラメータ(例えば、凝集又は分解)は、-30℃、4℃、20℃又は40℃の温度、振盪、pH、異なる容器材料(例えば、ガラスバイアル、プレフィルドシリンジなど)での貯蔵などの種々の貯蔵条件下で評価され得る。
【0060】
抗体を含む組成物中に存在する凝集体の凝集の程度、並びに/又はタイプ及び/若しくはサイズを決定するための例示的な方法としては、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)、静的光散乱法(SLS)、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)、円偏光二色性(CD)、尿素誘導タンパク質アンフォールディング技術、固有トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、及び1-アニリノ-8-ナフタレンスルホン酸(ANS)タンパク質結合技術が挙げられるが、これらに限定されない。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、適切な樹脂を充填したカラムに分子を通すことによって、分子をそのサイズに基づいて分子を分離するために実施され得、より大きな分子(例えば、凝集体)はより小さな分子(例えば、モノマー)の前に溶出する。分子は一般に、280nmでのUV吸光度によって検出され、さらなる特徴付けのために収集され得る。高圧液体クロマトグラフィーカラムは、SEC分析によく利用される(HP-SEC)。或いは、超遠心分析(AUC)を利用してもよい。AUCは、液体試料中の巨大分子の沈降係数を決定するオルゴナル技術である。SECと同様に、AUCはモノマーから抗体断片/凝集体を分離及び検出することができ、さらに分子量に関する情報を提供することができる。組成物中の抗体凝集はまた、コールターカウンターを使用する粒子カウンター分析によって、又は濁度計を使用する濁度測定によって特徴付けることができる。濁度は溶液中の粒子が光を散乱させる量の尺度であり、したがって、タンパク質凝集の一般的な指標として使用することができる。さらに、非還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)又はキャピラリーゲル電気泳動(CGE)を使用して、組成物中の抗体又は抗体断片の凝集及び/又は断片化状態を特徴付けることができる。
【0061】
抗体分解を決定するための例示的な方法としては、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、及びSDS(CE-SDS)を用いたキャピラリー電気泳動、並びにインラインMS検出を伴う逆相HPLCが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
種々の実施形態において、組成物中の本明細書に記載の抗体が目的の条件下で凝集体形態にあるのは、5%未満である。例えば、-30℃、4℃、20℃又は40℃で約1週間(又は約2週間、又は約3週間、又は約4週間、又は約5週間、又は約6週間、又は約7週間、又は約8週間、又は約10週間、又は約3ヶ月、又は約6ヶ月、又は約1年)貯蔵した後に凝集体形態にあるのは、組成物中の抗体の4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満である。いくつかの実施形態では、約4℃で2週間貯蔵した後に凝集体形態にあるのは、組成物中の本明細書に記載の抗体の5%未満(又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満)である。
【0063】
例えば、組成物中の抗体の少なくとも85%(又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%)は、-30℃、4℃、20℃、又は40℃で約1週間(又は約2週間、又は約3週間、又は約4週間、又は約5週間、又は約6週間、又は約7週間、又は約8週間、又は約10週間、又は約3ヶ月、又は約6ヶ月、又は約1年)貯蔵した後に、任意選択により、非凝集(すなわち、モノマー)形態で存在する。いくつかの実施形態では、約4℃で2週間貯蔵した後、抗体の少なくとも85%(又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%若しくはそれ以上)が、非凝集形態で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、抗体の少なくとも99%は約4℃で2週間貯蔵した後に非凝集形態で組成物中に存在し、且つ/又は組成物中に存在する抗体の少なくとも95%は、40℃で2週間貯蔵した後に非凝集形態である。
【0064】
種々の実施形態において、組成物中の本明細書に記載の抗体が分解されるのは、5%未満である。例えば、目的の条件下で分解されるのは、組成物中の抗体の4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%若しくはそれ未満である。例えば、任意選択により、組成物中、約-30℃、約4℃、約20℃、又は約40℃で約1週間(又は約2週間、又は約3週間、又は約4週間、又は約5週間、又は約6週間、又は約7週間、又は約8週間、又は約10週間、又は約3ヶ月、又は約6ヶ月、又は約1年)貯蔵した抗体の少なくとも85%(又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%)は、完全なままである(すなわち、分解されていない)。いくつかの態様では、抗体の少なくとも85%(又は少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%若しくはそれ以上)は、約4℃で2週間組成物中に貯蔵した後、完全なままである(すなわち、分解されていない)。いくつかの実施形態では、抗体の少なくとも99%は、約4℃で2週間組成物中に貯蔵された場合に完全なままであり、且つ/又は少なくとも95%は、約40℃で2週間組成物中に貯蔵された場合に完全なままである。
【0065】
組成物中の抗体の機能的安定性又は活性安定性もまた、本明細書で企図される。例えば、標的への抗体の結合又はスクレロスチン中和を検出及び/又は定量するためのアッセイは、当該技術分野で知られている。任意選択により、抗体は、初期時点での抗体の活性と比較して、目的の条件下で約50~100%の活性を示す。例えば、抗体は、初期時点の活性と比較して、約60~90%又は70~80%の活性レベルを保持する。したがって、抗体の機能的安定性は少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の活性の保持を含み、初期時点での活性と比較して105%、110%、115%、120%、125%又は150%又はそれ以上などの100%を超える活性測定値を含み得る。
【0066】
粘度
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体の1つ以上を含む組成物の粘度が決定される。「粘度」という用語は、本明細書で使用される場合、「絶対粘度」を指す。動粘度(dynamic viscosity)又は簡易粘度と呼ばれることもある絶対粘度は、動粘度(kinematic viscosity)と流体密度との積(絶対粘度=動粘度(kinematic viscosity)×密度)である。動粘度(kinematic viscosity)の次元はL2/Tであり、ここで、Lは長さであり、Tは時間である。一般に、動粘度(kinematic viscosity)はセンチストークス(cSt)で表される。動粘度(kinematic viscosity)のSI単位はmm2/sであり、これは1cStである。絶対粘度はセンチポアズ(cP)の単位で表される。絶対粘度のSI単位はミリパスカル秒(mPa・s)であり、ここで、1cP=1mPa・sである。
【0067】
組成物の粘度は、抗体を組成物に添加してから数時間(例えば、1~23時間)、数日(例えば、1~10日)、数週間(例えば、1~5週間)、数ヶ月(例えば、1~12ヶ月)、又は数年(例えば、1~2年、1~3年)後に測定することができる。粘度測定は、貯蔵又は投与温度、例えば2~8℃又は25℃(室温)で行うことができる。いくつかの実施形態では、貯蔵及び/又は投与温度での液体又は再構成液体組成物の絶対粘度は、15cP以下、又は14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、若しくは4cP以下である。いくつかの実施形態では、液体又は再構成液体組成物の絶対粘度は、6cP以下である。
【0068】
いくつかの実施形態では、抗体組成物の粘度は、抗体の添加の前及び後に測定される。粘度の測定方法は当該技術分野でよく知られており、例えば、細管粘度計又はコーンプレートレオメーターの使用が挙げられる。試験製剤と参照製剤とを比較するために同じ方法が使用されるならば、任意の方法を使用することができる。
【0069】
治療方法
本明細書に記載の抗体及び医薬組成物は、骨芽細胞又は破骨細胞の異常な活性に関連する骨関連障害などの骨関連障害を治療又は予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、抗体は、軟骨形成不全症、鎖骨頭蓋骨形成不全症、内軟骨腫症、線維性骨異形成症、ゴーシェ病、低リン酸血症性くる病、マルファン症候群、遺伝性多発性外骨腫、神経線維腫症、骨形成不全症、大理石骨病、骨斑紋症、硬化性病変、偽関節症、化膿性骨髄炎、歯周病、抗てんかん薬誘発性骨減少症、原発性及び二次性副甲状腺機能亢進症、家族性副甲状腺機能亢進症候群、無重力誘発性骨減少症、男性における骨粗鬆症、閉経後骨減少症、骨関節炎、腎性骨異栄養症、骨の浸潤性疾患、口腔骨減少症、顎骨壊死、若年性骨ページェット病、メロレオストーシス、代謝性骨疾患、肥満細胞症、鎌状赤血球貧血/症、臓器移植関連骨減少症、腎臓移植関連骨減少症、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、てんかん、若年性関節炎、地中海貧血症、ムコ多糖症、ファブリー病、ターナー症候群、ダウン症候群、クラインフェルター症候群、ライ病、ペルテス病、思春期特発性側弯症、乳児期発症多系統炎症性疾患、ウィンチェスター症候群、メンケス病、ウィルソン病、虚血性骨疾患(レッグカルペペルテス病及び、局所性移動性骨粗鬆症など)、貧血状態、ステロイドによる病態、グルココルチコイドによる骨減少症、ヘパリン誘発性骨減少症、骨髄障害、壊血病、栄養障害、カルシウム欠乏症、骨粗鬆症、骨減少症、アルコール依存症、慢性肝疾患、閉経後の状態、慢性炎症性疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、炎症性大腸炎、クローン病、希発月経、無月経、妊娠関連骨減少症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺疾患、副甲状腺疾患、クッシング病、末端肥大症、性腺機能低下症、不動化又は廃用、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、局所性骨粗鬆症、骨軟化症、関節置換に伴う骨量減少、HIV関連骨量減少、成長ホルモンの減少に伴う骨量減少、嚢胞性線維症に伴う骨量減少、化学療法に伴う骨量減少、腫瘍による骨量減少、癌関連骨減少症、ホルモン除去による骨量減少、多発性骨髄腫、薬剤による骨量減少、神経性食欲不振、疾患関連顔面骨量減少、疾患関連頭骨量減少、疾患関連顎骨量減少、疾患関連頭蓋骨量減少、加齢に伴う骨量減少、加齢に伴う顔面骨量減少、加齢に伴う頭骨量減少、加齢に伴う顎骨量減少、加齢に伴う頭蓋骨量減少、宇宙移動に伴う骨量減少からなる群から選択される骨関連障害に罹患している対象に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、整形外科的処置、歯科的処置、インプラント手術、関節置換、骨移植、骨の美容整形、及び骨折治癒、非癒合治癒、癒合遅延治癒及び顔の形成などの骨修復における転帰を改善するのに有用である。1つ以上の抗体を含む組成物は、処置、置換、移植、手術又は修復の前、間及び/又は後に投与され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、骨の2つのセグメント間のギャップ(例えば、骨の2つのセグメント間の少なくとも約1mmのギャップ)を含む任意の骨折の治療に有用である。いくつかの又は任意の実施形態において、ギャップは、少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、少なくとも約4mm、少なくとも約5mm、少なくとも約6mm、少なくとも約7mm、少なくとも約8mm、少なくとも約9mm、又は少なくとも約1cm若しくはそれ以上である。いくつかの又は任意の実施形態において、ギャップは、約5mm~1cm、又は最大1cmである。「骨ギャップ欠損」及び「部分骨格欠損」という用語は本明細書において同義的に使用され、骨の2つのセグメント間のギャップ(例えば、少なくとも1mmのギャップ)を指す。
【0072】
例示的な骨ギャップ欠損としては、粉砕骨折、非癒合骨折、部分骨格欠損、外科的に作られた骨欠損、外科的に処置された骨欠損、及び骨に対する外傷又は疾患(関節炎、腫瘍除去(切除)又は感染除去が挙げられるが、これらに限定されない)から作られた骨欠損が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの又は任意の実施形態において、骨ギャップ欠損は、骨の感染部分の除去、又は骨癌、例えば、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、及び脊索腫が(これらに限定されない)が原因での骨からの癌の除去によって生じる。いくつかの又は任意の実施形態において、骨ギャップ欠損は、例えば、遺伝子欠損による発育性変形である。
【0073】
いくつかの又は任意の実施形態において、骨ギャップ欠損は、良性腫瘍を含む骨部分を除去することによって生じる。例示的な良性骨腫瘍としては、骨腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫、骨軟骨腫、内軟骨腫、軟骨粘液性線維腫、動脈瘤様骨嚢胞、単房性骨嚢胞、骨の線維性異形成及び骨の巨細胞腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
抗体の投与は骨ギャップ欠損治癒を増強又は促進し、それによって骨ギャップ欠損を「治療」する。骨治癒を「増強する」とは、スクレロスチン阻害剤を投与されていない対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)(すなわち、対照対象)で経験される骨治癒のレベルを超える(すなわち、より大きい)骨治癒のレベルを媒介することを意味する。骨治癒は、例えば、架橋状態、骨量の改善、骨折ギャップ内骨塩量及びの密度の改善(すなわち、架橋骨の形成)、成熟骨性仮骨、骨強度の改善(任意選択により、医学的に許容されるレベルの骨剛性を伴う)、又は患者の患部の使用の改善によって明らかになる。「改善された」とは、測定されたパラメータが(所望どおりに)増加又は減少することを意味する。増加は、測定パラメータを、全部又は一部、ベースラインレベル(例えば、骨ギャップ欠損前のレベル)に、当該技術分野で使用される標準的データベースで提供される値に、又は対側機能レベルに戻す(例えば、全部又は一部、例えば対側肢の機能能力に戻す)ことができる。場合によって、増加はベースラインレベルを超えた改善となりうる。所望するなら、1回以上の用量の抗体を投与された患者において測定されたパラメータを、抗体を投与されていない(任意選択により年齢及び性別が一致する)骨折患者の同じパラメータと比較して、本明細書に記載の方法の有効性さらに分析することができる。
【0075】
骨欠損部位における架橋骨の形成、骨塩量及び骨密度、並びに/又は成熟骨性仮骨は、X線撮影(例えば、X線吸収測定)、単一及び/又は二重エネルギーX線吸収測定、定量的コンピュータ断層撮影(QCT)、超音波検査、及び磁気共鳴画像法を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、抗体は、欠損部位の架橋骨の形成、骨性仮骨の形成、又は骨密度(又は骨量)を少なくとも約5%(約6%、約7%、約8%、又は約9%)増加させるのに有効な用量及び時間で投与され得る。いくつかの実施形態では、欠損部位における架橋骨の形成、骨性仮骨の形成、又は骨密度は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、又は少なくとも約22%)増加する。他の実施形態では、欠損部位における架橋骨の形成、骨性仮骨の形成、又は骨密度は、スクレロスチン阻害剤によって少なくとも約25%(例えば、少なくとも約26%又は少なくとも約28%)増加する。さらに他の実施形態では、欠損部位における架橋骨の形成、骨性仮骨の形成、又は骨密度は、少なくとも約30%(例えば、少なくとも約32%、少なくとも約35%、少なくとも約38%、又は少なくとも約40%)、或いは少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は約100%)増加する。架橋骨形成の増加又は回復は、抗体の最初の投与の1週間後、2週間後、3週間後、又は4週間後に決定され得る。或いは、骨密度レベルは、処置期間終了後(例えば、処置期間終了の1週間後、2週間後、3週間後、又は4週間後)に決定され得る。一態様では、本方法は、抗体を受けない年齢及び性別が一致した患者と比較して、所望のレベルの骨形成、骨量、骨性仮骨、又は骨密度(例えば、本明細書に記載される、骨形成、骨塩量、骨性仮骨、又は骨量における任意のパーセントの増加)を確立するために必要とされる時間の量を減少させ、それによって、対象の回復時間を減少させる。例えば、一実施形態では、抗体は、欠損部位における骨密度又は骨量を少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、又は少なくとも約50%)増加させるのに必要な時間の量を減少させる。
【0076】
抗体は、有益な生物学的応答を達成するために、障害の対象を治癒させる必要も、骨関連障害の発症から完全には保護する必要もない。抗体は、予防的に使用することができ、骨関連障害又はその症状に対して全体的に又は部分的に保護することを意味する。抗体はまた、骨関連障害又はその症状を全体的又は部分的に改善するために、或いは骨関連障害又はその症状のさらなる進行に対して全体的又は部分的に保護するために、治療的に使用することができる。実際、本発明の材料及び方法は、骨塩量を増加させるために、また任意選択により、増加した骨塩量を一定期間にわたって維持するために特に有用である。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体の1回以上の投与が、例えば、約1週間~約18ヶ月(例えば、約1ヶ月~約12ヶ月、約1ヶ月~約9ヶ月、又は約1ヶ月~約6ヶ月、又は約1ヶ月~約3ヶ月)の治療期間にわたって行われる。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、約1ヶ月~約12ヶ月(52週)(例えば、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、又は約11ヶ月)の治療期間にわたって本明細書に記載される抗体を1回分以上投与される。
【0078】
さらに、特定の対象のために選択される治療計画によっては、抗体を複数回投与する、又は複数回の投与を一定の期間を置いて行うことが有利であり得る。いくつかの実施形態では、抗体又はその断片を、1年(12ヶ月、52週)以下(例えば、9ヶ月以下、6ヶ月以下、又は3ヶ月以下)の期間にわたって定期的に投与する。この点に関して、抗体又はその断片は、約3日毎に、又は約7日毎に、又は2週毎に、又は3週毎に、又は4週毎に、又は5週毎に、又は6週毎に、又は7週毎に、又は8週毎に、又は9週毎に、又は10週毎に、又は11週毎に、又は12週毎に、又は13週毎に、又は14週毎に、又は15週毎に、又は16週毎に、又は17週毎に、又は18週毎に、又は19週毎に、又は20週毎に、又は21週毎に、又は22週毎に、又は23週毎に、又は6ヶ月毎に、又は12ヶ月毎に1回ヒトに投与される。
【0079】
いくつかの実施形態では、抗体は、骨塩量を増加させるか、又は骨塩量の減少に関連する骨障害を治療するのに有効な量及び時間で1回以上投与される。種々の実施形態において、週に1回以上、約50ミリグラム~約1,000ミリグラムの抗体が対象(例えば、ヒト対象)に投与される。例えば、抗体の1回の用量には、抗体が少なくとも約5mg、少なくとも約15mg、少なくとも約25mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約70mg、少なくとも約80mg、少なくとも約90mg、少なくとも約100mg、少なくとも約120mg、少なくとも約150mg、少なくとも約200mg、少なくとも約210mg、少なくとも約240mg、少なくとも約250mg、少なくとも約280mg、少なくとも約300mg、少なくとも約350mg、少なくとも約400mg、少なくとも約420mg、少なくとも約450mg、少なくとも約500mg、少なくとも約550mg、少なくとも約600mg、少なくとも約650mg、少なくとも約700mg、少なくとも約750mg、少なくとも約800mg、少なくとも約850mg、少なくとも約900mg、少なくとも約950mg、又は最大で約1,000mg含まれ得る。これらの端点のいずれかと全てとの間の範囲、例えば、約50mg~約80mg、約70mg~約140mg、約70mg~約270mg、約75mg~約100mg、約100mg~約150mg、約140mg~約210mg、又は約150mg~約200mg、又は約180mg~約270mg、又は約280~約410mgも考えられる。用量は、週に複数回(例えば、週に2回若しくは3回)、週に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、又は4週毎に1回など、任意の間隔で投与される。いくつかの又は任意の実施形態において、約120mg~約210mgの範囲の抗体の用量が、週に2回投与される。いくつかの又は任意の実施形態において、約140mgの抗体の用量が週に2回投与される。種々の態様において、約210mgの抗体の用量が、月に1回投与される。
【0080】
いくつかの実施形態では、抗体の1以上の用量には、体重1kg当たり約0.1~約50ミリグラム(例えば、約5~約50ミリグラム)(mg/kg)、又は体重1kg当たり約1~約100ミリグラム(mg/kg)の抗体を含むことができる。例えば、抗体の1回の用量は、少なくとも約0.1mg/kg、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約2mg/kg、少なくとも約3mg/kg、少なくとも約4mg/kg、少なくとも約5mg/kg、少なくとも約6mg/kg、少なくとも約7mg/kg、少なくとも約8mg/kg、少なくとも約9mg/kg、少なくとも約10mg/kg、少なくとも約20mg/kg、少なくとも約25mg/kg、少なくとも約26mg/kg、少なくとも約27mg/kg、少なくとも約28mg/kg、少なくとも約29mg/kg、少なくとも約30mg/kg、少なくとも約31mg/kg、少なくとも約32mg/kg、少なくとも約33mg/kg、少なくとも約34mg/kg、少なくとも約35mg/kg、少なくとも約36mg/kg、少なくとも約37mg/kg、少なくとも約38mg/kg、少なくとも約39mg/kg、少なくとも約40mg/kg、少なくとも約41mg/kg、少なくとも約42mg/kg、少なくとも約43mg/kg、少なくとも約44mg/kg、少なくとも約45mg/kg、少なくとも約46mg/kg、少なくとも約47mg/kg、少なくとも約48mg/kg、or少なくとも約49mg/kg、or少なくとも約50mg/kg、少なくとも約55mg/kg、少なくとも約60mg/kg、少なくとも約65mg/kg、少なくとも約70mg/kg、少なくとも約75mg/kg、少なくとも約80mg/kg、少なくとも約85mg/kg、少なくとも約90mg/kg、少なくとも約95mg/kg、又は最大で約100mg/kg含み得る。これらの端点のいずれかと全てとの間の範囲、例えば、約1mg/kg~約3mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約8mg/kb、約3mg/kg~約8mg.kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約20mg/kg、約1mg/kg~約40mg/kg、約5mg/kg~約30mg/kg、又は約5mg/kg~約20mg/kgも考えられる。
【0081】
治療のモニタリング
抗体が介在する骨塩量又は骨密度の増加は、単一及び二重エネルギーX線吸収測定、超音波、コンピュータ断層撮影、X線撮影、及び磁気共鳴画像法を用いて測定することができる。骨量は、体重から、又は他の方法を用いて計算することもできる(Guinness-Hey、Metab.Bone Dis.Relat.Res.,5:177-181(1984)を参照)。当該技術分野では、例えば、骨量の減少、骨吸収、骨形成、骨強度、又は骨石灰化のパラメータに対する医薬組成物及び方法の効果を試験するために、骨粗鬆症及び骨減少症などのヒト疾患の病態を模倣する動物モデルが使用される。このようなモデルの例としては、卵巣摘出ラットモデル(Kalu、Bone and Mineral、15:175-192(1991)、Frost and Jee,Bone and Mineral,18:227-236(1992)、及びJee and Yao,J.Musculoskel.Neuron.Interact.,1:193-207(2001))が挙げられる。本明細書に記載の抗体活性を測定する方法はまた、他のスクレロスチン阻害剤の有効性を決定するために使用することができる。
【0082】
ヒトにおいて、骨塩量は、例えば、股関節及び脊椎の二重x線吸収測定法(DXA)を用いて臨床的に決定され得る。その他の技術としては、定量的コンピュータ断層撮影(QCT)、超音波検査、単一エネルギーx線吸収測定(SXA)、及びx線吸収測定が挙げられる。測定のための一般的な中心骨格部位としては、脊椎及び股関節が挙げられ、末梢部位としては、前腕、指、手首及び踵が挙げられる。超音波検査を除いて、米国医学協会(American Medical Association)は、BMD技術が一般的にx線の使用を含み、放射線の減衰が放射線経路内の組織の厚さ及び組成に依存するという原理に基づいていることを指摘している。全ての技術は、結果を標準的データベースと比較することを含んでいる。
【0083】
或いは、1つ以上の抗スクレロスチン抗体に対する生理学的応答が骨マーカーレベルをモニターすることによって測定され得る。骨マーカーは骨リモデリング過程で作られた産物であり、骨、骨芽細胞、及び/又は破骨細胞によって放出される。骨吸収及び/又は骨形成「マーカー」レベルの変動は、骨リモデリング/モデリングの変化を意味する。国際骨粗鬆症財団(International Osteoporosis Foundation)(IOF)は骨密度治療をモニターするために骨マーカーを使用することを推奨している(例えば、Delmas et al.,Osteoporos Int.,Suppl.6:S2-17(2000)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。骨吸収(又は破骨細胞活性)を示すマーカーとしては、例えば、C-テロペプチド(例えば、1型コラーゲンのC末端テロペプチド(CTX)又は血清架橋C-テロペプチド)、N-テロペプチド(1型コラーゲンのN末端テロペプチド(NTX))、デオキシピリジノリン(DPD)、ピリジノリン、尿中ヒドロキシプロリン、ガラクトシルヒドロキシリシン、及び酒石酸耐性酸ホスファターゼ(例えば、血清酒石酸耐性酸ホスファターゼアイソフォーム5b)が挙げられる。骨形成/石灰化マーカーとしては、骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)、I型プロコラーゲンのN末端及びC末端伸長から放出されるペプチド(P1NP、PICP)、及びオステオカルシン(OstCa)が挙げられるが、これらに限定されない。尿及び血液などの臨床試料中のマーカーを検出及び定量するためのいくつかのキットが市販されている。
【0084】
併用療法
同じ病原体又は生化学的経路又は生物学的プロセスを標的とする2種以上の薬剤を併用することによる病状の治療は、ときに、各薬剤単独の治療に関連する用量の使用に比べて、より大きな効果及び副作用の減少をもたらす。一部の例では、薬剤併用の効果は相加的である(併用の効果が各薬剤単独の効果の合計にほぼ等しい)が、他の例では、効果は相乗的である(併用の効果は単独で与えられる各薬剤の効果の合計よりも大きい)。本明細書で使用される場合、用語「併用療法」は、2種以上の薬剤が一斉に、(例えば、同時に、又は薬剤の1つが最初に投与され、続いて第2の薬剤が、例えば連続して投与される方法で)送達されることを意味する。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗体は、骨塩量の減少を治療するための標準的なケア治療と共に投与される(すなわち、抗体及び標準的なケア治療は同じ治療計画の一部である)。本明細書で使用される場合、用語「標準的なケア」は、ある種の疾病と診断されたある種の患者について、臨床医によって一般に受け入れられている治療を指す。いくつかの実施形態では、抗体は骨塩量の減少又は骨欠損の治療に有用な第2の骨強化剤と共に投与される。いくつかの実施形態では、骨強化剤は、抗吸収剤、骨形成剤(すなわち、同化剤)、エストロゲン受容体調節薬(例えば、ラロキシフェン、バゼドキシフェン及びラソホキシフェンが挙げられるが、これらに限定されない)、及び破骨細胞に対して阻害効果を有する薬物からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、第2の骨強化剤は、ビスホスホネート(例えば、アレンドロン酸ナトリウム(FOSAMAX(登録商標))、リセドロン酸塩、イバンドロン酸ナトリウム(BONIVA(登録商標))及びゾレドロン酸(RECLAST(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない);エストロゲン又はエストロゲン類似体;抗RANKL抗体(例えば、デノスマブ、PROLIA(登録商標))などの抗RANKリガンド(RANKL)阻害剤;ビタミンD又はビタミンD誘導体若しくは模倣体;カルシウム源、カテプシン-K(cat-K)阻害剤(例えば、オダナカチブ)、チボロン、カルシトニン又はカルシトリオール;及びホルモン補充療法からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、第2の骨強化剤として、は副甲状ホルモン(PTH)又はそのペプチド断片、PTH関連たんぱく質(PTHrp)、骨形成たんぱく質、オステオゲニン、NaF、PGE2アゴニスト、スタチン、ラネル酸ストロンチウム、及びスクレロスチン阻害剤(例えば、米国特許第7,592,429号明細書又は同第7,872,106号明細書に記載されている抗スクレロスチン抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2の骨強化剤は、Forteo(登録商標)(テリパラチド)、Preotact(登録商標)、又はProtelos(登録商標)である。いくつかの実施形態では、第2の骨強化剤は骨形成タンパク質(例えば、BMP-1、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14及び/又はBMP-15)を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体を使用する併用療法は、追加の治療薬(例えば、第2の骨強化剤)の投与に、数分から数週間~数ヶ月の間隔で先行しても後続してもよい。例えば、別個の方法が、互いに約24時間以内に、例えば、互いに約6~12時間以内に、又は互いに約1~2時間以内に、又は互いに約10~30分以内に投与される。いくつかの状況では、異なる方法のそれぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6又は7日)~数週間(1、2、3、4、5、6、7又は8週間)が経過するような、治療期間を大幅に延長することが望ましい場合がある。併用療法の一方又は両方の薬剤/療法による反復治療が特に企図される。
【0087】
治療計画の維持
また、例えば、骨塩量の減少を予防又は遅延させる、維持療法における、本明細書に記載の第2の骨強化剤及び/又は抗体の使用も企図される。これに関して、本明細書に記載の方法又は使用は、任意選択により、抗体による治療期間が終了した後、約1週間~約5年の維持期間の間に、骨塩量を維持するのに有効な第2の骨強化剤を1回量以上投与することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法又は使用は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、少なくとも約16週間、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約17週間、少なくとも約18週間、少なくとも約19週間、少なくとも約20週間、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約21週間、少なくとも約22週間、少なくとも約23週間、少なくとも約24週間、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約25週間、少なくとも約26週間、少なくとも約27週間、少なくとも約28週間、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約29週間、少なくとも約30週間、少なくとも約31週間又はそれ以上(例えば、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約15ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年若しくはそれ以上(例えば、対象の一生涯にわたって))の維持期間の間、第2の骨強化剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、維持期間は、約6~12週間である。いくつかの実施形態では、維持期間は、約4~12週間又は約1~3ヶ月である。いくつかの実施形態では、維持期間は、約12~20週間又は約3~5ヶ月である。いくつかの実施形態では、維持期間は、約20~32週間又は約5~8ヶ月である。いくつかの実施形態では、維持期間は、約24~36週間又は約6~9ヶ月である。いくつかの実施形態では、維持期間は、約1年、約2年、約3年、約4年、約5年又はそれ以上である。骨塩量を「維持する」とは、抗体治療を受けた対象が経験した骨塩量パラメータの同様のレベルを維持することを含む。
【0088】
キット
本明細書に記載の1種以上の抗体を含む医薬組成物は、容器(例えば、バイアル又はシリンジ)内に、このような医薬組成物の使用に関する説明書を提供する包装材料と共に配置され得る。一般に、このような説明書には、抗体濃度を記載する具体的な表現、並びに特定の実施態様において、医薬組成物を再構成するために必要であり得る賦形剤成分又は希釈剤(例えば、水、生理食塩水又はPBS)の相対量を含む。
【実施例0089】
実施例1-ロモソズマブPARG C末端改変体の分析
野生型ロモソズマブ及びロモソズマブPARG C末端改変体をLys-Cにより消化し、LC/MSペプチドマッピングにより分析した。これらの2つの構築物のUVプロファイルを並べて比較した(
図3)。野生型ロモソズマブ及びロモソズマブPARG C末端改変体は37.7分で溶出する類似のピークを有するが、野生型ロモソズマブは659.3Daの質量を有すると決定され、ロモソズマブPARG C末端改変体は886.7Daの質量を有すると決定された。ロモソズマブのリシン(K)改変体(PGK)の大部分は、プロセスから除去されると考えられた。ロモソズマブPARG C末端改変体の有意量のアミド化形態(828.6Daピーク)の存在は、野生型ロモソズマブPG配列と比較した場合、アミド化効率は配列依存性であることを確認する。
【0090】
次に、PARG C末端改変体をカルボキシペプチダーゼ(CP-B)で処理し、CEX-HPLC法で分析し、CP-Bで処理しなかったPARG C末端改変体対照と比較した。17.5分及び21分で溶出するピークでは処理後の有意なシフトが存在するが、24分のピークでは存在しない(
図4)。24分のピークは、タンパク質分解から保護される二重アミド化形態であると考えられる。
【0091】
実施例2-C末端改変体の濃縮
野生型ロモソズマブ及びロモソズマブPARG C末端改変体を含む組成物からの異なるロモソズマブ種の精製又は濃縮は、カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)分画によって達成される。CEXは、それらの表面電荷の差異に基づいてタンパク質を分離する。設定pHで、野生型ロモソズマブの正の電荷を有する改変体を陽イオン交換カラム(例えば、Dionex Pro Pac WCX-10分析カラム、2.0mm×250mm)で分離し、塩勾配(例えば、移動相A 10:90(v/v)ACN、19mM MES pH6.2;移動相B:10:90(v/v)ACN、19mM MES、250mM NaCl、pH6.2))を用いて溶出する。ロモソズマブの異なるC末端改変体は異なる量の電荷を有し、正の電荷が多い改変体ほどCEXで遅く溶出する。したがって、溶出順序は以下のとおりである:PG(野生型)、P-アミド(野生型のアミド化プロリン)、PARG改変体、及びPAR-アミド。フラクションコレクターは、異なる溶出時間で異なる改変体を含有するCEX溶出液を収集するようにプログラムすることができる。
【0092】
実施例3-ロモソズマブPARG C末端改変体の凝集の分析
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、PARG C末端改変体は高電荷であるので、そのような形態は組成物中の非アミド化形態に反発し、したがって組成物中の凝集を減少させると考えられる。
【0093】
ロモソズマブPARG C末端改変体たんぱく質Aプールを、野生型ロモソズマブたんぱく質Aプールと並べて、それらの流体力学的体積の差に基づいてたんぱく質を分離するサイズ排除HPLC法であるSEC-HPLCを用いて分析した(表1)。
【0094】
【0095】
データから、ロモソズマブPARG C末端改変体は野生型ロモソズマブと比較して高分子量種が少ないことが実証された。
【0096】
実施例4-ロモソズマブPARG C末端改変体の粘度分析
ロモソズマブPARG C末端改変体又は野生型ロモソズマブを含有する抗体溶液を、コーン及びプレートを用いて測定する。これらの溶液を、おおよその体積減少に従って120mg/mLまで濃縮し、280nmでのタンパク質吸光度(0.1~1吸光度単位(AU)内になるまで希釈した後)及びタンパク質比吸光係数を使用して、最終濃度を決定する(±10%)。粘度分析を、CP-40スピンドル及び試料カップを使用してBrookfield LV-DVIII円錐平板機器(Brookfield Engineering、Middleboro、MA、USA)により、又はTA Smart Swap2度コーン/プレートスピンドルを使用してARES-G2レオメーター(TA Instruments、New Castle、DE、USA)により行う。測定は全て25℃で行い、試料カップに取り付けた水浴によって制御した。スピンドルのRPMを増加させることによって、規定のトルク範囲(10~90%)内で手作業により、多数の粘度測定値を収集した。得られた比較チャートの簡略化のため、1試料当たり1つの粘度値を報告するために測定値を平均する。
【0097】
実施例5-ロモソズマブPARG C末端改変体の溶解度の分析
野生型ロモソズマブと比較したロモソズマブPARG改変体のアミノ酸改変が皮下(SC)注射に対する溶解度に及ぼす影響を決定するために、野生型及びPARG C末端改変体ロモソズマブの両方について透析溶解度アッセイを並行して行った。このスクリーニングは、ロモソズマブPARG C末端改変体試料及び野生型ロモソズマブ試料を、SC空間のpH及びイオン強度をシミュレートする溶液に透析し、これらの条件における抗体の溶解性及び物理的安定性を短期間にわたってモニターすることを伴う。試料を、製剤緩衝液(pH5.2)中に約63mg/mLで製剤化した。次に、各試料を透析カセットに注入し、PBS緩衝液に透析してSC空間を模倣した。最初の透析の24時間後に目視観察を行った。野生型ロモソズマブは一般的に24時間後に沈殿を示す。
【0098】
結果は、両方の分子がこの分析において沈殿するが、PARG C末端改変体はより少なく、且つより遅い速度で沈殿することを示す。これは、改変体は沈殿を完全には消失させないが、野生型よりも沈殿に対して耐性であることを示唆している。
【0099】
実施例6-ロモソズマブPARG C末端改変体の拡散分析
野生型ロモソズマブと比較したロモソズマブPARG C末端改変体のアミノ酸改変が皮下(SC)空間からの拡散に及ぼす影響を決定するために、Scissor(Pion Inc.、Billerica、MA)を用いてアッセイを行った。このアッセイは、試料(ロモソズマブPARG C末端改変体又は野生型ロモソズマブ)を約70mg/mLで、コラーゲン及びヒアルロン酸マトリックスからなる模擬SC空間に注入することを伴う。抗体は、このマトリックスから透析膜を通ってpH7.4の炭酸緩衝液のリザーバに拡散することができる。最大3日間の時点を採取し、各時点のタンパク質濃度をRP-HPLCにより測定した。作成されたタンパク質濃度対時間曲線は、SC空間からの拡散速度をシミュレートする。さらに、SCマトリックス中の沈殿を目視検査でモニターする。
【0100】
野生型ロモソズマブ及びPARG C末端改変体ロモソズマブの両方を、上記のようにScissorにおいて試験した。
図5に示される結果は、シミュレートしたSC空間からの拡散は、野生型ロモソズマブがPARG C末端改変体ロモソズマブよりもはるかに低速であり、より多くの野生型ロモソズマブがシミュレートした注射部位に留まっていることを示している。
【0101】
実施例7-FcRn結合
FcRn、胎児性Fc受容体は、膜貫通α鎖(MHCクラスI様分子と相同)とβ2ミクログロブリン軽鎖からなるMHCクラスI様ヘテロ二量体である。FcRnは弱酸性条件下(約pH6)でIgG分子のFc領域のIgG重鎖のCH2ドメインとCH3ドメインの界面に結合し、中性pH(約7.4)でそれを放出する。このpH依存性の高い相互作用により、FcRnは血清IgG濃度を維持することにより、ヒト成人におけるIgGホメオスタシスを媒介する。
【0102】
競合結合アッセイ、AlphaScreen(登録商標)結合アッセイ(PerkinElmer、San Jose、CA)を用いて、野生型ロモソズマブ及びロモソズマブPARG C末端改変体のFcRnへのFcドメインの結合を評価した。アッセイは、二分子相互作用を検出するビーズベースの増幅発光近接ホモジニアスアッセイ(「Alpha」)である。このアッセイは、2つのビーズ型、アクセプタービーズ及びドナービーズを含む。アクセプタービーズは、チオキセン誘導体、並びにヒスチジン標識FcRn(FcRn-His)のヒスチジンドメインに結合するニッケルキレートを含有するヒドロゲルでコーティングされている。ドナービーズは、フタロシアニン、光増感剤、及びビオチン化CHO由来ヒトFcに結合するストレプトアビジンを含有するヒドロゲルでコーティングされている。FcRn-Hisとビオチン化ヒトFcが結合すると、それらはアクセプタービーズとドナービーズを近接させる。この錯体にレーザー光を照射すると、ドナービーズによって周囲酸素が一重項酸素に変換される。ビーズが近接しているなら、アクセプタービーズへのエネルギー移動が起こり、光生成(ルミネセンス)をもたらし、これをAlphaScreen(登録商標)シグナル検出用に装備されたプレートリーダーで測定する。
【0103】
抗体が、ビオチン化ヒトFcドメインへのFcRn-Hisの結合を阻害するのに十分な濃度で存在する場合、570nmでの発光の用量依存性の減少が観察される。抗体参照基準に対する試験試料の結合を決定し、相対結合%として報告し、抗体のFcドメインの完全性を実証するために使用することができる。PARG C末端改変体を有する組成物は、野生型抗体と類似した又はより良好な用量応答曲線を有すると考えられる。
【0104】
結果を、
図6に示す。野生型ロモソズマブ及びPARG C末端改変体ロモソズマブがいずれも同様にFcRnと結合し、FcRn結合がPARG変異の影響を受けないことが観察された。
【0105】
実施例8-FcγRIIa結合
FcγRIIaは、単球、特定の樹状細胞、好中球、B細胞、血小板及びNK細胞に発現する活性化Fc受容体である。FcγRIIa(CD32a)は、2つの細胞外Ig様ドメイン及び単量体IgGに対する低い結合親和性を有する最も広く分布するFcγRである。ヒトには、FcγRIIaで存在することが知られている2つの共通の対立遺伝子改変体が存在し、131位にヒスチジン又はアルギニンを発現する(それぞれ、131H及び131R)。
【0106】
野生型ロモソズマブ及びロモソズマブPARG C末端改変体のFcγRIIa(131H)への結合を評価する競合結合アッセイが開発された。FcγRIIa(131H)結合アッセイは、二分子相互作用を検出するビーズベースの増幅発光近接ホモジニアスアッセイ(AlphaScreen(登録商標)結合アッセイ(PerkinElmer、San Jose、CA))である。このアッセイは、2つのビーズ型、アクセプタービーズ及びドナービーズを含む。アクセプタービーズは、フルオロフォアユーロピウムキレートを含有し、組み換えヒトFcγRIIa(131H)-グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(FcγRIIa(131H)-GST)に結合するグルタチオンを含有するヒドロゲルでコーティングされている。ドナービーズは、フタロシアニン、光増感剤、及びビオチン化ヒトIgG1に結合するストレプトアビジンを含有するヒドロゲルでコーティングされている。FcγRIIa(131H)-GSTとビオチン化ヒトIgG1が結合すると、それらはアクセプタービーズとドナービーズを近接させる。この錯体にレーザーを照射すると、ドナービーズによって周囲酸素が一重項酸素に変換される。アクセプタービーズとドナービーズが近接している場合、一重項酸素はアクセプタービーズ内で拡散し、光生成(ルミネセンス)を生じ、これをルミネセンスシグナル検出用に装備されたプレートリーダーで測定する。
【0107】
抗体が、ビオチン化ヒトIgG1へのFcγRIIa(131H)-GSTの結合を阻害するのに十分な濃度で存在する場合、570nmでの発光の用量依存性の減少が測定される。抗体参照基準に対する試験試料の結合を決定し、相対結合%として報告し、抗体のFcドメインの完全性を実証するために使用することができる。結果を、
図7に示す。FcγRIIa(131H)に対するPARG C末端改変体ロモソズマブの相対的結合が野生型ロモソズマブよりもはるかに高いことが観察された。
【0108】
実施例9-マウス薬物動態試験
インビボにおける薬物曝露とバイオアベイラビリティを評価するために、マウスを用いた単回投与薬物動態試験を実施する。ロモソズマブPARG C末端改変体を1mg/kgの用量で静脈内(尾静脈経由)又は皮下注射する。1群あたり9匹の動物を使用した、交互のサンプリングは、個々の動物から採取し得る血液の最大容量を超えずに、多数の時点でのデータの収集を可能にする。各時点で、0.05mlの血液を採取する。動物1~3は、投与の0.083時間後、24時間後、96時間後、及び192時間後にサンプリングする。動物4~6は、1時間、48時間、168時間及び240時間でサンプリングする。動物7~9は、6時間、72時間及び192時間でサンプリングする。全血試料から血清を採取し、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)などの結合免疫アッセイによって試験物質濃度を測定する。経時的な試験物質濃度の変化を用いて、2区画分析により薬物動態パラメータを計算することができる。目的のパラメータとしては、各用量群の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)、半減期(t1/2)及びクリアランス(CL)が挙げられるが、これらに限定されない。バイオアベイラビリティは、皮下用量のAUCと静脈内用量のAUCとの比として決定することができる。
【0109】
SEQUENCE LISTING
<110> Amgen Inc.
<120> C-Terminal Antibody Variants
<150> US 62/650,762
<151> 2018-03-30
<150> US 62/812,741
<151> 2019-03-01
<160> 16
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 190
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> Human Sclerostin
<400> 1
Gln Gly Trp Gln Ala Phe Lys Asn Asp Ala Thr Glu Ile Ile Pro Glu
1 5 10 15
Leu Gly Glu Tyr Pro Glu Pro Pro Pro Glu Leu Glu Asn Asn Lys Thr
20 25 30
Met Asn Arg Ala Glu Asn Gly Gly Arg Pro Pro His His Pro Phe Glu
35 40 45
Thr Lys Asp Val Ser Glu Tyr Ser Cys Arg Glu Leu His Phe Thr Arg
50 55 60
Tyr Val Thr Asp Gly Pro Cys Arg Ser Ala Lys Pro Val Thr Glu Leu
65 70 75 80
Val Cys Ser Gly Gln Cys Gly Pro Ala Arg Leu Leu Pro Asn Ala Ile
85 90 95
Gly Arg Gly Lys Trp Trp Arg Pro Ser Gly Pro Asp Phe Arg Cys Ile
100 105 110
Pro Asp Arg Tyr Arg Ala Gln Arg Val Gln Leu Leu Cys Pro Gly Gly
115 120 125
Glu Ala Pro Arg Ala Arg Lys Val Arg Leu Val Ala Ser Cys Lys Cys
130 135 140
Lys Arg Leu Thr Arg Phe His Asn Gln Ser Glu Leu Lys Asp Phe Gly
145 150 155 160
Thr Glu Ala Ala Arg Pro Gln Lys Gly Arg Lys Pro Arg Pro Arg Ala
165 170 175
Arg Ser Ala Lys Ala Asn Gln Ala Glu Leu Glu Asn Ala Tyr
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<213> Mus musculus
<220>
<221> MISC_FEATURE
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<400> 3
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Gly
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<212> PRT
<213> Mus musculus
<220>
<221> MISC_FEATURE
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Leu Gly Tyr Asp Asp Ile Tyr Asp Asp Trp Tyr Phe Asp Val
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<220>
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Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr Leu Asn
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<220>
<221> MISC_FEATURE
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Tyr Thr Ser Arg Leu Leu Ser
1 5
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<220>
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Pro Ala Arg Gly
1
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<220>
<221> MISC_FEATURE
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<400> 9
Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30
Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Ala Gly Tyr Asn Gln Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Val Thr Met Thr Thr Asp Thr Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
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Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120
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<213> Mus musculus
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> romo heavy chain variable region
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Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Asn Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Tyr Thr Ser Arg Leu Leu Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Gly Asp Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105
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<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> C-terminal variant sequence
<400> 11
Pro Ala Arg Gly Lys
1 5
<210> 12
<211> 236
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Humanized antibody sequence
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> romo light chain
<400> 12
Met Asp Met Arg Val Pro Ala Gln Leu Leu Gly Leu Leu Leu Leu Trp
1 5 10 15
Leu Arg Gly Ala Arg Cys Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser
20 25 30
Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser
35 40 45
Gln Asp Ile Ser Asn Tyr Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys
50 55 60
Ala Pro Lys Leu Leu Ile Tyr Tyr Thr Ser Arg Leu Leu Ser Gly Val
65 70 75 80
Pro Ser Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr
85 90 95
Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln
100 105 110
Gly Asp Thr Leu Pro Tyr Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile
115 120 125
Lys Arg Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp
130 135 140
Glu Gln Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn
145 150 155 160
Phe Tyr Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu
165 170 175
Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp
180 185 190
Ser Thr Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr
195 200 205
Glu Lys His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser
210 215 220
Ser Pro Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
225 230 235
<210> 13
<211> 469
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Humanized antibody sequence
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> romo heavy chain variant without lysine
<400> 13
Met Asp Trp Thr Trp Arg Ile Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly
1 5 10 15
Ala His Ser Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys
20 25 30
Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe
35 40 45
Thr Asp Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu
50 55 60
Glu Trp Met Gly Glu Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Ala Gly Tyr Asn
65 70 75 80
Gln Lys Phe Lys Gly Arg Val Thr Met Thr Thr Asp Thr Ser Thr Ser
85 90 95
Thr Ala Tyr Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val
100 105 110
Tyr Tyr Cys Ala Arg Leu Gly Tyr Asp Asp Ile Tyr Asp Asp Trp Tyr
115 120 125
Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser
130 135 140
Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Cys Ser Arg Ser Thr
145 150 155 160
Ser Glu Ser Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro
165 170 175
Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val
180 185 190
His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser
195 200 205
Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Asn Phe Gly Thr Gln Thr Tyr Thr
210 215 220
Cys Asn Val Asp His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Thr Val
225 230 235 240
Glu Arg Lys Cys Cys Val Glu Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Pro Val
245 250 255
Ala Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
260 265 270
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
275 280 285
His Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
290 295 300
Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Phe Asn Ser Thr
305 310 315 320
Phe Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Val His Gln Asp Trp Leu Asn
325 330 335
Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ala Pro
340 345 350
Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Thr Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln
355 360 365
Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln Val
370 375 380
Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val
385 390 395 400
Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
405 410 415
Pro Met Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
420 425 430
Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
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Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
450 455 460
Ser Pro Ala Arg Gly
465
<210> 14
<211> 470
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Humanized antibody sequence
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> romo heavy chain variant with lysine
<400> 14
Met Asp Trp Thr Trp Arg Ile Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly
1 5 10 15
Ala His Ser Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys
20 25 30
Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe
35 40 45
Thr Asp Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu
50 55 60
Glu Trp Met Gly Glu Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Ala Gly Tyr Asn
65 70 75 80
Gln Lys Phe Lys Gly Arg Val Thr Met Thr Thr Asp Thr Ser Thr Ser
85 90 95
Thr Ala Tyr Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val
100 105 110
Tyr Tyr Cys Ala Arg Leu Gly Tyr Asp Asp Ile Tyr Asp Asp Trp Tyr
115 120 125
Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser
130 135 140
Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Cys Ser Arg Ser Thr
145 150 155 160
Ser Glu Ser Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro
165 170 175
Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val
180 185 190
His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser
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Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Asn Phe Gly Thr Gln Thr Tyr Thr
210 215 220
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Glu Arg Lys Cys Cys Val Glu Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Pro Val
245 250 255
Ala Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
260 265 270
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
275 280 285
His Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
290 295 300
Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Phe Asn Ser Thr
305 310 315 320
Phe Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Val His Gln Asp Trp Leu Asn
325 330 335
Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ala Pro
340 345 350
Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Thr Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln
355 360 365
Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln Val
370 375 380
Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val
385 390 395 400
Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
405 410 415
Pro Met Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
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Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
435 440 445
Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
450 455 460
Ser Pro Ala Arg Gly Lys
465 470
<210> 15
<211> 26
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> amino acids 86-111 of SEQ ID NO: 1
<400> 15
Cys Gly Pro Ala Arg Leu Leu Pro Asn Ala Ile Gly Arg Gly Lys Trp
1 5 10 15
Trp Arg Pro Ser Gly Pro Asp Phe Arg Cys
20 25
<210> 16
<211> 468
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Humanized Antibody sequence
<220>
<221> MISC_FEATURE
<223> romo heavy chain wild type
<400> 16
Met Asp Trp Thr Trp Arg Ile Leu Phe Leu Val Ala Ala Ala Thr Gly
1 5 10 15
Ala His Ser Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys
20 25 30
Pro Gly Ala Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe
35 40 45
Thr Asp Tyr Asn Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu
50 55 60
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65 70 75 80
Gln Lys Phe Lys Gly Arg Val Thr Met Thr Thr Asp Thr Ser Thr Ser
85 90 95
Thr Ala Tyr Met Glu Leu Arg Ser Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val
100 105 110
Tyr Tyr Cys Ala Arg Leu Gly Tyr Asp Asp Ile Tyr Asp Asp Trp Tyr
115 120 125
Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Ala Ser
130 135 140
Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Cys Ser Arg Ser Thr
145 150 155 160
Ser Glu Ser Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro
165 170 175
Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val
180 185 190
His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser
195 200 205
Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Asn Phe Gly Thr Gln Thr Tyr Thr
210 215 220
Cys Asn Val Asp His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Thr Val
225 230 235 240
Glu Arg Lys Cys Cys Val Glu Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Pro Val
245 250 255
Ala Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
260 265 270
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
275 280 285
His Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
290 295 300
Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Phe Asn Ser Thr
305 310 315 320
Phe Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Val His Gln Asp Trp Leu Asn
325 330 335
Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ala Pro
340 345 350
Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Thr Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln
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Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val
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Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
405 410 415
Pro Met Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr
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Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
435 440 445
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450 455 460
Ser Pro Gly Lys
465