(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037888
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20240312BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240312BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240312BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240312BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240312BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20240312BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240312BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240312BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1335 500
H01L33/00 L
H01L33/50
H01L33/58
G09F9/35
G09F9/30 349Z
G09F9/00 324
G02B5/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210785
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020510120の分割
【原出願日】2018-08-23
(31)【優先権主張番号】62/550,358
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/108,922
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】リー,アーネスト シー.
(72)【発明者】
【氏名】ホッツ,チャーリー
(72)【発明者】
【氏名】ハートラブ,ジェイソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】色域カバレッジが改善された表示装置の提供。
【解決手段】バックライトと液晶ディスプレイモジュールを含む表示装置であって、前記バックライトの複数の光源は、電磁スペクトルの紫外範囲において第1ピーク発光波長を有する光を放出するように構成された第1光源と、前記電磁スペクトルの青色範囲において第2ピーク発光波長を有する光を放出するように構成された第2光源とを含み、前記液晶ディスプレイモジュールのピクセルのアレイは第1サブピクセルと第2サブピクセルを含み、前記第1サブピクセルは、第1蛍光体フィルムと第1遮光素子を含み、前記第2サブピクセルは、第2遮光素子を含み、前記第2遮光素子は、前記第2ピーク発光波長を有する前記光が前記第2遮光素子を通過することを可能にし、且つ前記第1ピーク発光波長を有する前記光が前記第2遮光素子を通過することを遮断するように構成された表示装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトと液晶ディスプレイ(LCD)モジュールを含む表示装置であって、
前記バックライトは複数の光源を含み、
前記複数の光源は、電磁(EM)スペクトルの紫外(UV)範囲において第1ピーク発光波長を有する光を放出するように構成された1つ又は複数の第1光源と、前記EMスペクトルの青色範囲において第2ピーク発光波長を有する光を放出するように構成された1つ又は複数の第2光源とを含み、
前記液晶ディスプレイ(LCD)モジュールは、液晶(LC)溶液層、第1の光学的に透明な基板、及びピクセルのアレイを含み、
前記ピクセルのアレイは第1サブピクセルと第2サブピクセルを含み、
前記第1サブピクセルは、第1蛍光体フィルムと第1遮光素子を含み、
前記第1蛍光体フィルムと前記第1遮光素子は光学的に結合されており、
前記第1蛍光体フィルムは前記複数の光源から光を受け取り、且つ前記第1ピーク発光波長及び前記第2ピーク発光波長と異なる第3ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、前記受け取られた光の一部をコンバートするように構成され
前記第2サブピクセルは、第2遮光素子を含み、
前記第2遮光素子は、前記第2ピーク発光波長を有する前記光が前記第2遮光素子を通過することを可能にし、且つ前記第1ピーク発光波長を有する前記光が前記第2遮光素子を通過することを遮断するように構成され、
前記液晶(LC)溶液層は、前記第1の光学的に透明な基板と前記ピクセルのアレイとの間に位置する
表示装置。
【請求項2】
前記第1遮光素子は、前記受け取られた光の前記コンバートされていない部分を吸収するように構成され、及び前記第2遮光素子は、前記第1ピーク発光波長を有する前記光を吸収するように構成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1遮光素子は、前記受け取られた光の前記コンバートされていない部分を散乱させるように構成され、及び前記第2遮光素子は、前記第1ピーク発光波長を有する前記光を散乱させるように構成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1遮光素子は前記第1蛍光体フィルムの前記二次光を放出する側に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1遮光素子は前記第1蛍光体フィルムの前記二次光を放出する側に配置され、かつ、前記第1遮光素子と、前記第1蛍光体フィルムとの間に、光学的に透明な基板がさらに配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ピクセルのアレイはさらに第3サブピクセルを含み、
前記第3サブピクセルは、第2蛍光体フィルムと第3遮光素子を含み、
前記第2蛍光体フィルムと前記第3遮光素子は光学的に結合されており、
前記第2蛍光体フィルムは前記複数の光源から光を受け取り、且つ前記第1ピーク発光波長及び前記第2ピーク発光波長及び前記第3ピーク発光波長と異なる第4ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、前記受け取られた光の一部をコンバートするように構成される
請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2サブピクセルは、
前記複数の光源からの光を受け取り、且つ前記第2ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、前記受け取られた光の一部をコンバートするように構成された第3蛍光体フィルムをさらに含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3蛍光体フィルムは、前記第2ピーク発光波長を有する前記二次光を放出するように構成されたナノ構造体の第3集団を含む、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2光源に対する前記第1光源の比は、3:1~1:1である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1ピーク発光波長は、420nm未満であり、及び前記第2ピーク発光波長は、445nm~455nmである、
請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1ピーク発光波長は、400nm~410nmである、
請求項1~10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1ピーク発光波長は、360nm~370nmである、
請求項1~10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
ピクセルのアレイを含む表示装置であって、
前記ピクセルのアレイは第1サブピクセルと第2サブピクセルを含み、
前記第1サブピクセルは、第1遮光素子および第1量子ドット(QD)フィルムを含み、
前記第1量子ドット(QD)フィルムは、電磁(EM)スペクトルの紫外(UV)範囲における第1ピーク発光波長と、前記EMスペクトルの青色範囲における第2ピーク発光波長とを有する光を受け取り、且つ前記第1ピーク発光波長及び前記第2ピーク発光波長と異なる第3ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、前記受け取られた光の一部をコンバートするように構成され、
前記第1遮光素子は、前記第3ピーク発光波長を有する前記二次光が前記第1遮光素子を通過することを可能にし、且つ前記受け取られた光のコンバートされていない部分が前記第1遮光素子を通過することを遮断するように構成され、
前記第1遮光素子は前記第1量子ドット(QD)フィルムの前記二次光を放出する側に配置され、
前記第2サブピクセルは、第2遮光素子を含み、
前記第2遮光素子は、前記第2ピーク発光波長を有する前記光が前記第2遮光素子を通過することを可能にし、且つ前記第1ピーク発光波長を有する前記光が前記第2遮光素子を通過することを遮断するように構成される、
表示装置。
【請求項14】
前記ピクセルのアレイはさらに第3サブピクセルを含み、
前記第3サブピクセルは第2蛍光体フィルムと第3遮光素子を含み、
前記第2蛍光体フィルムは前記複数の光源から光を受け取り、且つ前記第1ピーク発光波長及び前記第2ピーク発光波長及び前記第3ピーク発光波長と異なる第4ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、前記受け取られた光の一部をコンバートするように構成され、
前記第3遮光素子は、前記第4ピーク発光波長を有する前記二次光が前記第3遮光素子を通過することを可能にし、且つ前記複数の光源からの前記光のコンバートされていない部分が前記第3遮光素子を通過することを遮断するように構成される、
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第2サブピクセルは、前記複数の光源からの光を受け取り、且つ前記第2ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、前記受け取られた光の一部をコンバートするように構成された第3蛍光体フィルムをさらに含み、
前記第3蛍光体フィルムは、前記第2ピーク発光波長を有する前記二次光を放出するように構成されたナノ構造体の第3集団を含む、
請求項13または14に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
分野
[0001] 本発明は、量子ドット(QD)等のルミネッセンスナノ構造体を有する蛍光体フィルムを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 量子ドット(QD)等のルミネッセンスナノ構造体(NS)は、狭い線幅を有する単一のスペクトルピークで光を放出し、高度に飽和した色を生成する能力を有する一種の蛍光体を表す。NSのサイズに基づいて発光波長を調整することができる。NSは、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、有機発光ダイオード(OLED)表示装置)においてカラーダウンコンバージョン層として使用することができるNSフィルムを製造するために使用される。発光型ディスプレイにおけるカラーダウンコンバージョン層の使用は、光がカラーフィルタを通過する前に白色光、青色光又は紫外(UV)光をより赤みのある光、緑みのある光又は両方にダウンコンバートすることにより、システム効率を向上させることができる。このカラーダウンコンバージョン層の使用により、フィルタリングによる光エネルギーの損失を低減させることができる。
【0003】
[0003] NSは、吸収スペクトルが広く且つ発光スペクトルが狭いためにコンバージョン材料として使用することができる。こうした応用に必要なNSの密度は、約3μm~6μmの非常に薄いカラーダウンコンバージョン層において非常に高いため、現行の方法を用いて準備されたNSは、薄いNSフィルムにおいて互いに隣接して緊密に詰め込まれると、それらの光学特性が消失する。したがって、カラーダウンコンバージョン層としてNSフィルムを使用する現行のNSベースの表示装置は、量子収率(QY)が低くなる。
【0004】
[0004] 表示装置の画質を定義するために使用される要素の1つは、表示装置によって提供されるRec.2020、Rec.709、DCI P3、NTSC又はsRGB等の標準RGB色空間の色域カバレッジである。
図1は、表示装置の色域カバレッジの定義を示す。
図1において、1976CIE色座標101a~101c間で形成されたエリア101は、1976CIEu’-v’色度
図100上の標準RGB色空間(例えば、Rec.2020)の色域を表す。1976CIE色座標102a~102c間で形成されたエリア102は、1976CIEu’-v’色度
図100上の表示装置の色域を表す。表示装置の色域カバレッジは、エリア101及び102間のオーバーラップエリア103のエリア101に対する比として定義することができる。表示装置の色域カバレッジが広いほど、表示装置によって描写される、人間の眼によって識別可能な色の範囲(すなわち可視スペクトル)が広くなり、したがって、画質に寄与する他の要素が最適化されると想定すると表示装置の画質が改善する。
【0005】
[0005] 現行の表示装置には、所望の輝度(例えば、高ダイナミックレンジ(HDR)撮像標準規格によって必要とされる輝度)の達成と、標準RGB色空間における所望の色域カバレッジ(例えば、85%を超える)との間のトレードオフがある。例えば、いくつかの表示装置では、90%を超えるDCI P3色域カバレッジを達成するために、輝度の約30%の損失がある。このため、現行の技術では、DCI P3(例えば、Rec.2020)よりさらに広い色空間の色域カバレッジを達成するために、表示装置における輝度の損失は、著しく高くなる。
【0006】
[0006] 現行の表示装置が受ける別の不都合は、表示装置の色域カバレッジに悪影響を与える、表示装置のコンバージョン材料(例えば、NSフィルム)を通るコンバートされていない光の漏れである。例えば、いくつかの表示装置では、それらの緑色及び/又は赤色のピクセルを通して望ましくない青色光が漏れる。これは、青色光源からのコンバージョン材料に入射する青色光が、コンバージョン材料によって完全に吸収されて緑色及び/又は赤色光にコンバートされない場合に発生する可能性がある。さらに、コンバートされた緑色光及び赤色光と比較して出力される青色光の放射輝度の方が高いため、青色バックライトを使用する場合、所望の白色点を達成することが困難である可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007] したがって、色域カバレッジが改善され、赤色光及び緑色光を生成するためにダウンコンバージョン層の量子効率が向上した表示装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
[0008] 実施形態によれば、表示装置は、複数の光源を有するバックライトユニットと、液晶ディスプレイ(LCD)モジュールとを含む。複数の光源は、電磁(EM)スペクトルの紫外(UV)範囲において第1ピーク発光波長を有する光を放出するように構成された1つ又は複数の第1光源と、EMスペクトルの青色範囲において第2ピーク発光波長を有する光を放出するように構成された1つ又は複数の第2光源とを含む。LCDモジュールは、第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含む少なくとも1つのピクセルを有するピクセルのアレイを含む。第1サブピクセルは、第1蛍光体フィルムと第1フィルタ素子とを含む。第1蛍光体フィルムは、複数の光源から光を受け取り、且つ第1ピーク発光波長及び第2ピーク発光波長と異なる第3ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、受け取られた光の一部をコンバートする。第1フィルタ素子は、蛍光体フィルムに光学的に結合され、及び第3ピーク発光波長を有する二次光が第1フィルタ素子を通過することを可能にし、且つ複数の光源からの光のコンバートされていない部分が第1フィルタ素子を通過することを遮断する。第2サブピクセルは、第2フィルタ素子を含み、第2フィルタ素子は、第2ピーク発光波長を有する光が第2フィルタ素子を通過することを可能にし、且つ第1ピーク発光波長を有する光が第2フィルタ素子を通過することを遮断する。
【0009】
[0009] 実施形態によれば、表示装置は、ピクセルのアレイを含む。ピクセルのアレイのピクセルは、第1サブピクセルと第2サブピクセルとを含む。第1サブピクセルは、第1量子ドット(QD)フィルムと第1フィルタ素子とを有する。QDフィルムは、EMスペクトルの紫外(UV)範囲における第1ピーク発光波長と、EMスペクトルの青色範囲における第2ピーク発光波長とを有する光を受け取り、且つ第3ピーク発光波長を有する二次光を放出するように、受け取られた光の一部をコンバートする。第3ピーク発光波長は、第1ピーク発光波長及び第2ピーク発光波長と異なる。フィルタ素子は、量子ドットフィルム上に配置され、及び第3ピーク発光波長を有する二次光がフィルタ素子を通過することを可能にし、且つ受け取られた光のコンバートされていない部分がフィルタ素子を通過することを遮断する。第2サブピクセルは、第2フィルタ素子を有し、第2フィルタ素子は、第2ピーク発光波長を有する光が第2フィルタ素子を通過することを可能にし、且つ第1ピーク発光波長を有する光が第2フィルタ素子を通過することを遮断する。
【0010】
[0010] 本発明のさらなる特徴及び利点について、本発明のさまざまな実施形態の構造及び動作とともに添付図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載した具体的な実施形態に限定されないことに留意されたい。こうした実施形態は、本明細書では単に例示の目的で提示されている。さらなる実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて当業者に明らかになるであろう。
【0011】
[0011] 本明細書に組み込まれ且つ本明細書の一部を形成する添付図面は、本実施形態を例示し、説明と併せて、さらに本実施形態の原理を説明し、当業者が本実施形態を作成及び使用することを可能にする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面/図の簡単な説明
【
図1】[0012]Rec.2020色域及び表示装置の色域のCIE1976u’v’色度図である。
【
図2】[0013]実施形態による液晶ディスプレイ(LCD)装置の組立分解断面図である。
【
図3】[0013]実施形態による液晶ディスプレイ(LCD)装置の組立分解断面図である。
【
図4A】[0014]実施形態によるバックライトユニットのための光源のアレイの概略図である。
【
図4B】[0015]実施形態によるサイドライトユニットのための光源のアレイの概略図である。
【
図5】[0016]実施形態によるナノ構造体の断面図の概略図である。
【
図6】[0017]実施形態によるナノ構造体フィルムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0018] 本発明の特徴及び利点は、図面と併せて以下に示す詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同様の参照文字は、全体を通して対応する要素を識別する。図面において、同様の参照番号は、概して、同一の、機能的に類似する及び/又は構造的に類似する要素を示す。要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の左端の数字によって示される。別段の指示がない限り、本開示を通して提供される図面は、正確な縮尺で描かれた図面として解釈されるべきではない。
【0014】
発明の詳細な説明
[0019] 具体的な構成及び配置について考察する場合があるが、これは、単に例示の目的で行われることが理解されるべきである。関連する技術分野の当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成及び配置を使用できることを認めるであろう。関連する技術分野における当業者には、本発明を本明細書で具体的に言及するもの以外の他の種々の応用にも採用できることが明らかになるであろう。本明細書に示し記載する特定の実装形態は、例であり、本出願の範囲を他のように限定するように決して意図されていないことが理解されるべきである。
【0015】
[0020] 本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「実施形態例」等への言及は、記載する実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含むことができるが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造又は特性を必ずしも含まない可能性があることを示すことに留意されたい。さらに、こうした言い回しは、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性が実施形態に関連して記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、他の実施形態に関連してこうした特徴、構造又は特性をもたらすことは、当業者の知識の範囲内である。
【0016】
[0021] 量、材料の比、材料の物理的特性及び/又は使用を示す本説明におけるすべての数字は、別段明示的に示されている場合を除き、「約」という語によって修飾されているものとして理解されるべきである。
【0017】
[0022] 実施形態において、「表示装置」という用語は、表示画面上のデータの可視表現を可能にする要素の配置を指す。好適な表示画面は、ユーザに情報を視覚的に表示するためのさまざまな平坦な、湾曲した又は他の形状のスクリーン、フィルム、シート又は他の構造体を含むことができる。本明細書に記載する表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、テレビ、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ゲーム機、電子書籍端末、デジタルカメラ、タブレット、ウェアラブルデバイス、カーナビゲーションシステム等を包含する表示システムに含めることができる。
【0018】
[0023] 本明細書で用いる「約」という用語は、所与の量の値が値の±10%変動することを示す。例えば、「約100nm」は、90nm~110nm(それらの値を含む)の範囲のサイズを包含する。
【0019】
[0024] 本明細書で用いる「実質的に」という用語は、所与の量の値が値の±1%~±5%変動することを示す。
【0020】
[0025] 実施形態において、「反応混合物を形成する」又は「混合物を形成する」という用語は、容器内の少なくとも2種の成分を、それらの成分が互いに反応して第3成分を形成するのに好適な条件下で化合させることを意味する。
【0021】
[0026] 実施形態において、「導光板」、「光ガイド」及び「導光パネル」という用語は、同義で使用され、1つの位置から別の位置に電磁放射線(光)を向けるのに好適な光学部品を指す。
【0022】
[0027] 実施形態において、「光学的に結合され」という用語は、構成要素が、光が実質的な干渉なしに1つの構成要素から別の構成要素に進むことができるように位置決めされていることを意味する。
【0023】
[0028] 本明細書で用いる「ナノ構造体」という用語は、約500nm未満の寸法の少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する構造体を指す。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満又は約10nm未満の寸法を有する。通常、領域又は特徴的な寸法は、構造体の最小の軸に沿う。こうした構造体の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ構造体、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、QD、ナノ粒子等が挙げられる。ナノ構造体は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファス又はそれらの組合せであり得る。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の3つの寸法の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満又は約10nm未満の寸法を有する。
【0024】
[0029] 本明細書で用いる「QD」又は「ナノ結晶」という用語は、実質的に単結晶性であるナノ構造体を指す。ナノ結晶は、約500nm未満であり且つ約1nm未満ほどまでの寸法の少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する。「ナノ結晶」、「QD」、「ナノドット」及び「ドット」という用語は、同様の構造体を表すことが当業者に容易に理解され、本明細書では同義で使用される。本発明は、多結晶又はアモルファスナノ結晶の使用も包含する。
【0025】
[0030] 「ヘテロ構造体」という用語は、ナノ構造体に関連して用いる場合、少なくとも2つの異なる及び/又は識別可能な材料タイプによって特徴付けられるナノ構造体を指す。通常、ナノ構造体の1つの領域は、第1材料タイプを含み、ナノ構造体の第2領域は、第2材料タイプを含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、第1材料のコアと、第2(又は第3等の)材料の少なくとも1つのシェルとを含み、そこでは、例えば、異なる材料タイプは、ナノワイヤの長軸、分枝ナノワイヤのアームの長軸又はナノ結晶の中心の周りに放射状に分散される。シェルは、必須ではないが、シェルとみなされるように、
又はナノ構造体がヘテロ構造とみなされように隣接する材料を完全に覆うことができ、例えば、第2材料の小さい島で覆われた1つの材料のコアによって特徴付けられるナノ結晶は、ヘテロ構造体である。他の実施形態では、異なる材料タイプは、例えば、ナノワイヤの主(長)軸に沿って又は分枝ナノワイヤのアームの長軸に沿ってナノ構造体内の異なる位置に分散されている。ヘテロ構造体内の異なる領域は、完全に異なる材料を含むことができるか、又は異なる領域は、異なるドーパント又は異なる濃度の同じドーパントを有するベース材料(例えば、ケイ素)を含むことができる。
【0026】
[0031] 本明細書で用いるナノ構造体の「直径」という用語は、ナノ構造体の第1軸に垂直な断面の直径を指し、第1軸は、第2軸及び第3軸(第2軸及び第3軸は、長さが互いに最も略等しい2つの軸である)に対して長さの差が最も大きい。第1軸は、必ずしもナノ構造体の最長軸であるとは限らず、例えば円盤状のナノ構造体の場合、断面は、円盤の短い長手方向軸に垂直な実質的に円形の断面である。断面が円形でない場合、直径は、その断面の長軸と短軸との平均である。ナノワイヤ等の長尺状の又は高アスペクト比のナノ構造体の場合、直径は、ナノワイヤの最長軸に垂直な断面にわたって測定される。球状ナノ構造体の場合、直径は、球の中心を通って一方の側から他方の側まで測定される。
【0027】
[0032] 「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、ナノ構造体に関して用いる場合、ナノ構造体が、典型的には、構造体の1つ又は複数の寸法にわたって長距離秩序を示すという事実を指す。単結晶の秩序が結晶の境界を越えて広がることはできないため、「長距離秩序」という用語は、所定のナノ構造体の絶対的なサイズによって決まることが当業者に理解されるであろう。この場合、「長距離秩序」は、ナノ構造体の寸法の少なくとも大部分にわたる実質的な秩序を意味する。場合により、ナノ構造体は、酸化物若しくは他のコーティングを担持することができるか、又はコア及び少なくとも1つのシェルから構成することができる。こうした場合、酸化物、シェル又は他のコーティングは、必須ではないが、こうした秩序を示すことができる(例えば、それは、アモルファス、多結晶性又は他のものであり得る)ことが理解されるであろう。こうした場合、「結晶性」、「実質的に結晶性」、「実質的に単結晶性」又は「単結晶性」という言い回しは、ナノ構造体の中心コア(コーティング層又はシェルを排除する)を指す。また、本明細書で用いる「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、構造体が実質的な長距離秩序(例えば、ナノ構造体又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%にわたる秩序)を示す限り、種々の欠陥、積層欠陥、原子置換等を含む構造体も包含することが意図される。さらに、コアとナノ構造体の外側との間、又はコアと隣接するシェルとの間、又はシェルと第2の隣接するシェルとの間の界面は、非結晶領域を含むことができ、さらにアモルファスであり得ることが理解されるであろう。これは、ナノ構造体が本明細書で定義するような結晶性又は実質的に結晶性であることを妨げない。
【0028】
[0033] 「単結晶性」という用語は、ナノ構造体に関して使用する場合、ナノ構造体が実質的に結晶性であり、実質的に単一の結晶を含むことを示す。コア及び1つ又は複数のシェルを含むナノ構造ヘテロ構造体に関して用いる場合、「単結晶性」は、コアが実質的に結晶性であり、実質的に単一の結晶を含むことを示す。
【0029】
[0034] 本明細書で用いる「リガンド」という用語は、例えば、ナノ構造体の表面との共有結合、イオン、ファンデルワールス又は他の分子相互作用を通してナノ構造体の1つ又は複数の面と(弱くても強くても)相互作用することができる分子を指す。
【0030】
[0035] 本明細書で用いる「量子収率」(QY)という用語は、例えば、ナノ構造体又はナノ構造体の集団によって吸収された光子に対する、放出された光子の比を指す。当技術分野で既知であるように、量子収率は、通常、既知の量子収率値を有する十分に特徴付けられた標準試料を使用する比較方法によって決定される。
【0031】
[0036] 本明細書で用いる「一次発光ピーク波長」という用語は、発光スペクトルが最高の強度を示す波長を指す。
【0032】
[0037] 本明細書で用いる「半値全幅」(FWHM)という用語は、スペクトル幅の尺度を指す。発光スペクトルの場合、FWHMは、ピーク強度値の半分の発光スペクトルの幅を指すことができる。
【0033】
[0038] 本明細書で用いる「フェルスター半径」という用語は、当技術分野ではフェルスター距離とも呼ぶ。
【0034】
[0039] 「輝度(luminance)」及び「輝度(brightness)」という用語は、本明細書では同義に用いられ、光源又は照明された表面の単位面積あたりの光度の測光尺度を指す。
【0035】
[0040] 「鏡面反射体」、「鏡面反射面」及び「反射面」という用語は、本明細書では、鏡面反射することができる要素、材料及び/又は表面を指すために用いる。
【0036】
[0041] 「鏡面反射」という用語は、本明細書では、入射光が表面に当たるとき、表面から光の(又は他の種類の波の)鏡状の反射を指すために用いる。
【0037】
[0042] 「ナノ構造体(NS)フィルム」という用語は、本明細書では、ルミネッセンスナノ構造体を有するフィルムを指すために用いる。
【0038】
[0043] 「赤色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの赤色波長領域において一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルのエリアを指すために用いる。いくつかの実施形態では、赤色波長領域は、約620nm~約750nmの範囲の波長を含むことができる。
【0039】
[0044] 「緑色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの緑色波長領域において一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルのエリアを指すために用いる。いくつかの実施形態では、緑色波長領域は、約495nm~約570nmの範囲の波長を含むことができる。
【0040】
[0045] 「青色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの青色波長領域において一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルのエリアを指すために用いる。いくつかの実施形態では、青色波長領域は、約435nm~約495nmの範囲の波長を含むことができる。
【0041】
[0046] 「サブピクセルの発光面」という用語は、本明細書では、光が表示装置の表示画面に向かって放出されるサブピクセルの最上層の表面を指すために用いる。
【0042】
[0047] 本明細書で参照する公開特許、特許出願、ウェブサイト、企業名及び科学文献は、各々が参照により援用されるように具体的且つ個々に示されているのと同程度まで、それらの全体が参照により本明細書に援用される。本明細書で引用する任意の言及と本明細書の具体的な教示との間のいかなる矛盾も、後者を選択して解決されるものとする。同様に、用語又は言い回しの技術的に理解される定義と、本明細書において具体的に教示するような用語又は言い回しの定義との間のいかなる矛盾も、後者を選択して解決されるものとする。
【0043】
[0048] 本明細書で用いる技術用語及び科学用語は、別段の定義がない限り、本明細書が関係する技術分野における当業者によって一般に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知であるさまざまな方法及び材料について言及する。
【0044】
概観
[0049] 本開示は、表示装置における所望の輝度の達成と所望の色域との間の既存のトレードオフを改善するか又はなくすのに役立つ、ナノ構造体ベースの表示装置のさまざまな実施形態を提供する。これらのさまざまな実施形態は、表示装置の1つ又は複数のピクセルを通る望ましくない光の漏れを低減させるか又は実質的になくすことにより、ナノ構造体ベースの表示装置の色域カバレッジ等の表示性能を向上させるのにも役立つ。これらのさまざまな実施形態は、カラーバランスを改善するのにも役立つ。
【0045】
液晶ディスプレイ(LCD)装置の実施形態例
[0050]
図2は、実施形態によるLCD表示装置200の組立分解断面図の概略図を示す。当業者であれば、
図2における表示装置の図は、例示の目的で示されており、正確な縮尺で描かれていない可能性があることを理解するであろう。LCD表示装置200は、実施形態によれば、バックライトユニット(BLU)202及びLCDモジュール204を含むことができる。
【0046】
[0051] BLU202は、光キャビティ212と、光キャビティ212に結合された発光ダイオード(LED)210のアレイ(例えば、白色LED、青色LED、UV LED又はそれらの組合せ)とを含むことができる。実施形態では、LED210は、所与の比率で青色LED及びUV LEDのみを含む。光キャビティ212は、上側203と、底側205と、側壁207と、上側203、底側205及び側壁207によって制限された閉鎖容積とを含むことができる。LED210は、閉鎖容積内で底側205の上面205aに結合することができる。LED210は、一次光(例えば、青色光、白色光、UV光又は青色光及びUV光の組合せ)を提供するように構成することができ、一次光は、LCDモジュール204を通して処理し、その後、LCD表示装置200の表示画面230まで透過させ、且つ表示画面230にわたって分散させることができる。いくつかの実施形態では、LED210は、約440nm~約470nm又は約445nm~約455nmのピーク発光波長を有する光を放出する青色LEDを含む。いくつかの実施形態では、LED210は、約440nm~約700nmの範囲又は他のあり得る光波長範囲の光を放出する白色LEDを含む。いくつかの実施形態では、LED210は、420nm未満、又は約400nm~約410nmm、又は約360nm~約370nmのピーク発光波長を有する光を放出するUV LEDを含む。実施形態では、LED210のアレイは、上面205aの面積にわたって広げられるLEDの2次元アレイを含むことができ、その面積は、表示画面230の表面積に等しいものであり得る。
【0047】
[0052] いくつかの実施形態では、LED210は、青色LED及びUV LEDの両方の混合体を含む。青色LEDに対するUV LEDの比は、3:1若しくは1:1又はその間の任意の比であり得る。いくつかの実施形態では、LED310は、3:1より大きい青色LEDに対するUV LEDの比を含む。
【0048】
[0053]
図2に2つの側壁207を示すが、当業者であれば、光キャビティ212は、さまざまな実施形態により、任意の数の側壁207を含み得ることが理解されることが留意されるべきである。例えば、光キャビティ212は、立方体形状を有することができ、側壁207と同様の4つの側壁を含むことができる。光キャビティ212は、形状が立方体であるか又は他の角形形状を有することに限定されない。光キャビティ212は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、限定されないが、円筒形、台形、球形又は楕円形等の任意のタイプの幾何学的形状であるように構成することができる。
図2に例示するような光キャビティ212の矩形断面形状は、例示を目的とし、限定するものではないことも留意されるべきである。光キャビティ212は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな実施形態に従って他の断面形状(例えば、台形、長円形、偏菱形)を有することができる。
【0049】
[0054] 光キャビティ212の上側203は、光学的に拡散性且つ透過性の層であるように構成することができ、その結果、LED210からの光は、上側203の上面203aにわたって輝度が実質的に均一に分散して、上側203を通って光キャビティ212から出ることができる。実施形態では、上側203は、光学的に透明なエリアと光学的に半透明なエリアとを含むことができ、それらは、上側203から出る光の輝度の実質的に均一な分布を提供するようにLED210上に戦略的に配置される。別の実施形態では、上側203は、直径のサイズが変化する細孔と光学的に半透明なエリアとを含むことができ、それらは、上側203から出る光の輝度の実質的に均一な分布を提供するように戦略的に配置される。
【0050】
[0055] 底側205及び/又は側壁207は、鏡面反射上面205a及び/又は鏡面反射側壁内面207aをそれぞれ有するように構成される1種又は複数の材料(例えば、金属、非金属及び/又は合金)から製造することができる。例えば、上面205a及び/又は側壁内面207aは、鏡状反射特性を有する鏡状面であり得る。いくつかの実施形態では、上面205a及び/又は側壁内面207aは、完全に鏡面反射性又は部分的に鏡面反射性且つ部分的に散乱性であり得る。他のいくつかの実施形態では、上面205a及び/又は側壁内面207aは、拡散反射体を含む。
【0051】
[0056] 代替実施形態では、光キャビティ212は、側壁内面207aに結合された鏡面反射体209を含むことができる。鏡面反射体209は、光学的に透明な接着剤を用いて側壁内面207aに結合することができる。光学的に透明な接着剤は、テープ、さまざまな膠、シリコーン等のポリマー組成物等を含むことができる。さらなる光学的に透明な接着剤としては、さまざまな例によれば、限定されないが、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(酢酸ビニル)、エポキシ及びウレタンを含むさまざまなポリマーと、限定されないが、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、フッ素化シリコーン及びビニル水素化物置換シリコーンを含むシリコーン及びシリコーン誘導体と、限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ラウリルを含むモノマーから形成されたアクリルポリマー及びコポリマーと、スチレン系ポリマーと、ジビニルベンゼン等の二官能性モノマーと架橋されるポリマーとを挙げることができる。
【0052】
[0057] 鏡面反射上面205a及び側壁内面207a並びに鏡面反射体209は、底側205及び/又は側壁207を通るLED210からの光の吸収を実質的に最小限にし、したがって光キャビティ212内の輝度の損失を実質的に最小限にし、且つBLU202の光出力効率を向上させることができる。
【0053】
[0058] 代替実施形態では、BLU202は、光キャビティ212とLCDモジュール204との間に配置された1つ又は複数の輝度向上フィルム(BEF)(図示せず)をさらに含むことができる。1つ又は複数のBEFは、反射及び/又は屈折フィルム、反射偏光フィルム、光抽出機能、光再循環機能、プリズムフィルム、溝フィルム、溝付きプリズムフィルム、プリズム、ピッチ、溝又は他の好適な輝度向上機能を有することができる。BEFの輝度向上機能は、一次光(例えば、光キャビティ212からの青色光及びUV光)の一部を光キャビティ212に向かって戻るように反射し、それにより一次光の再循環を可能にするように構成することができる。
【0054】
[0059] LCDモジュール204は、BLU202から受け取られた光を、表示画面230まで透過させ且つ表示画面230にわたって分散させるために望ましい特性に処理するように構成することができる。いくつかの実施形態では、LCDモジュール204は、第1偏光フィルタ214及び第2偏光フィルタ222等の1つ又は複数の偏光フィルタと、第1の光学的に透明な基板216及び第2の光学的に透明な基板228等の1つ又は複数の光学的に透明な基板と、第1基板216上に2Dアレイで配置されたスイッチングデバイス218.1~218.6と、液晶(LC)溶液層220と、2Dアレイで配置されたピクセル224.1及び224.2等の複数のピクセルと、表示画面230とを含むことができる。
【0055】
[0060] いくつかの実施形態では、ピクセル224.1は、サブピクセル226.1~226.3を含むことができ、ピクセル224.2は、サブピクセル226.4~226.6を含むことができる。いくつかの実施形態では、ピクセル224.1及び224.2の各々は、例えば、それぞれ赤色サブピクセル226.1及び226.4、緑色サブピクセル226.2及び226.5並びに青色サブピクセル226.3及び226.6を有する三色であり得る。
【0056】
[0061] 「赤色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの赤色波長領域において一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルのエリアを指すために用いる。いくつかの実施形態では、赤色波長領域は、約620nm~約750nmの範囲の波長を含むことができる。「緑色サブピクセル」という用語は、可視スペクトルの緑色波長領域において一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルのエリアを指すために用いる。いくつかの実施形態では、緑色波長領域は、約495nm~約570nmの範囲の波長を含むことができる。「青色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの青色波長領域において一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルのエリアを指すために用いる。いくつかの実施形態では、青色波長領域は、約435nm~約495nmの範囲の波長を含むことができる。
【0057】
[0062] それぞれのピクセル224.1及び224.2における赤色、緑色及び青色のサブピクセル226.1~226.6の配置順は、例示的であり、限定するものではない。ピクセル224.1及び224.2の各々における赤色、緑色及び青色のサブピクセルは、互いに対して任意の順序で配置することができる。いくつかの実施形態では、ピクセル224.1及び/又は224.2は、赤色、緑色又は青色のサブピクセル226.1~226.6を有する単色であり得る。
図2に示すピクセル及びスイッチングデバイスの数は、例示的であり、限定するものではない。LCDモジュール204は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく任意の数のスイッチングデバイス及びピクセルを有することができる。
【0058】
[0063] BLU202からの光は、第1偏光フィルタ214を通して偏光させることができ、偏光した光は、LC溶液層220まで透過させることができる。LC溶液層220は、LC溶液層220からの光透過の量を制御するようにシャッタとして作用することができる棒状分子を有するLC232を含むことができる。いくつかの実施形態では、LC232は、3Dアレイで配置することができる。LCの3Dアレイの列234.1~234.6は、それぞれのスイッチングデバイス218.1~218.6によって独立して制御することができる。いくつかの実施形態では、スイッチングデバイス218.1~218.6は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)等のトランジスタを含み得る。LC232を制御することにより、列234.1~234.6からそれぞれのサブピクセル226.1~226.6まで移動する光の量を制御することができ、したがってサブピクセル226.1~226.6から透過する光の量が制御される。
【0059】
[0064] LC232は、それぞれのスイッチングデバイス218.1~218.6によって列234.1~234.6に印加される電圧に応じてさまざまな程度までツイストさせることができる。LC232のツイストを制御することにより、LC溶液層220を通過する光の偏光角を制御することができる。したがって、LC溶液層220を離れる光は、第1偏光フィルタ214に対して90度に位置決めすることができる第2偏光フィルタ222を通過することができる。LC溶液層220を離れて第2偏光フィルタ222に入る光の偏光の角度は、光のどの程度が第2偏光フィルタ222を通過し且つそこから出ることができるかを決定することができる。第2偏光フィルタ222は、その偏光の角度に基づいて、光を減衰させるか、光を遮断するか又は減衰なしに光を通過させることができる。
【0060】
[0065] LCの列234.1~234.6を通って進み且つ第2偏光フィルタ222から出る光の部分は、次いで、サブピクセル226.1~226.6のそれぞれに入ることができる。光のこれらの部分は、サブピクセル226.1~226.6のそれぞれを通るカラーフィルタリングの段階を経て、表示画面230にわたって光が分散するために所望の光学特性を達成することができる。いくつかの実施形態では、サブピクセル226.1~226.6の各々は、サブピクセル226.1~226.6に入る受け取られた光の部分をダウンコンバートする素子を含むことができる蛍光体フィルム236を含むことができる。
【0061】
[0066] 蛍光体フィルム236は、いくつかの実施形態によれば、QD(例えば、
図6を参照して記載するQD600)等のルミネッセンスナノ構造体を含むことができる。蛍光体フィルム236は、ダウンコンバータであり得る。そこでは、サブピクセル226.1~226.6のそれぞれに入る光の部分(一次光とも呼ぶ)は、例えば、蛍光体フィルム236におけるルミネッセンスナノ構造体によって吸収し、一次光より低いエネルギー又は長い波長を有する二次光として再放出することができる。
【0062】
[0067] 一次光が青色光及びUV光の両方を含む実施形態では、同じ数のルミネッセンスナノ構造体に対して、青色光と比較してUV光の方がルミネッセンスナノ構造体によって吸収される。さらに、LED210において青色光LEDのいくつかをUV LEDと置き換えることにより、放出された青色光の全体の量が低減し、それにより赤色サブピクセル226.1及び226.4並びに緑色サブピクセル226.2及び226.5の両方において望ましくない青色光をフィルタで除去することをより容易にすることができる。
【0063】
[0068] いくつかの実施形態では、赤色サブピクセル226.1及び226.4の蛍光体フィルム236は、一次光を吸収し、可視スペクトル光の赤色波長領域において一次発光ピーク波長を有する第1二次光を放出するルミネッセンスナノ構造体を含むことができる。いくつかの実施形態では、緑色サブピクセル226.2及び226.5の蛍光体フィルム236は、一次光を吸収し、可視スペクトル光の緑色波長領域において一次発光ピーク波長を有する第2二次光を放出するルミネッセンスナノ構造体を含むことができる。いくつかの実施形態では、青色サブピクセル226.3及び226.6の蛍光体フィルム236は、一次光を吸収し、可視スペクトル光の青色波長領域において一次発光ピーク波長を有する第3二次光を放出するルミネッセンスナノ構造体を含むことができる。
【0064】
[0069] いくつかの実施形態では、青色サブピクセル226.3及び226.6は、蛍光体フィルム236の代わりに非蛍光体フィルムを有する場合があるか、又はフィルムがまったく存在しない場合もある。他のいくつかの実施形態では、青色サブピクセル226.3及び226.6は、蛍光体フィルム236の代わりに散乱材料を含む。散乱材料を使用して、緑色サブピクセル226.2及び226.5並びに赤色サブピクセル226.1及び226.4からの光の角度分布に一致する、青色サブピクセル226.3*及び22
6.6*からの青色光の角度分布を提供することができる。非蛍光体フィルムは、QD等のルミネッセンスナノ構造体を排除することができ、BLU202が青色LEDを含む場合、青色サブピクセル226.3及び226.6に対して青色LEDからの一次光のダウンコンバージョンが不要であるため、青色光に対して光学的に透過性であり得る。LED210が青色LED及びUV LEDの両方を含む実施形態では、青色サブピクセル226.3及び226.6は、UV遮断フィルタを含む遮光素子238を含むことができる。
【0065】
[0070] いくつかの実施形態では、蛍光体フィルム236は、第2偏光フィルタ222上又は光学的に透明な基板(図示せず)上で互いに隣接して配置される区分化フィルムであり得る。区分化蛍光体フィルム236は、隣接する蛍光体フィルム236間の接触面における間隙がごくわずかであり、その接触面を通る一次光の漏れを防止するように配置することができる。代替実施形態では、蛍光体フィルム236の各々は、連続蛍光体フィルムの異なる領域であり得る。
【0066】
[0071] さらに、サブピクセル226.1~226.6の各々は、いくつかの実施形態によれば、蛍光体フィルム236上に配置された遮光素子238を含むことができる。蛍光体フィルム236から放出される二次光は、表示画面230まで移動する前に遮光素子238の対応するものを通してフィルタリングすることができる。
【0067】
[0072] 遮光素子238は、二次光(例えば、上述した第1、第2及び/又は第3二次光)を通過させ、蛍光体フィルム236によって吸収されて二次光にダウンコンバートされない一次光の部分(例えば、青色光、UV光又はUV光と結合された青色光)を遮断するように構成することができる。蛍光体フィルム236から漏れ出た可能性のある一次光の望ましくない部分は、吸収及び/又は散乱により遮断することができる。蛍光体フィルム236から表示画面230へのコンバートされていない一次光の漏れは、LCD表示画面200の色域カバレッジに悪影響を与える可能性がある。こうした漏れを防止するために遮光素子238を使用することは、蛍光体フィルム236に含まれるルミネッセンスナノ構造体の密度を低減させることにより、LCD表示装置200の製造コストを削減する役割も果たすことができる。一次光の実質的にすべての部分を吸収するようにルミネッセンスナノ構造体を使用する代わりに、遮光素子238により、蛍光体フィルム236において吸収されなかった一次光の任意の部分をフィルタリングで除去することができるため、ルミネッセンスナノ構造体の密度を低減させることができる。いくつかの実施形態では、ルミネッセンスナノ構造体による青色光の吸収と比較して、UV光の方がルミネッセンスナノ構造体によって吸収され、二次光にコンバートされるため、蛍光体フィルム236におけるルミネッセンスナノ構造体の密度は、青色LEDと混合されたUV LEDを使用することによりさらに低減させることができる。
【0068】
[0073] 遮光素子238は、LCD表示装置200の所望の色域カバレッジを達成するように二次光(例えば、上述した第1、第2及び/又は第3二次光)のスペクトル発光幅を調整するようにも構成することができる。スペクトル発光幅の調整には、輝度の著しい低下なしに所望の色域カバレッジを達成するために、二次光からの1つ又は複数の波長をそれらのスペクトル発光幅を狭くするために吸収することが必要である可能性がある。例えば、遮光素子238のない表示装置と比較して、この調整プロセスにより、10%未満(例えば、約8%、約5%、約3%又は約1%)の輝度の低下がある可能性がある。QD等のルミネッセンスナノ構造体を有する蛍光体フィルム236からの二次光は、典型的には、狭いスペクトル発光幅を示すため、調整プロセスは、現行の非QDベース表示装置において同様の色域カバレッジを達成するために必要であるように、所望の色域カバレッジを達成するために広範囲の波長の吸収を不要とすることができる。
【0069】
[0074] LED210に対して青色LEDのみを使用する場合、青色サブピクセル226.3及び226.6から放出される青色光は、他のサブピクセルからの放出される赤色又は緑色光より高い全体的な放射輝度を有し、青色光のより高い部分に起因してカラーバランス処理がより困難になる。LED210において青色LEDのいくつかをUV LEDに置き換えることにより、全体的な青色輝度が低下する一方、UV光を容易にフィルタリングすることができ、より適切なカラーバランス処理がもたらされる。いくつかの実施形態では、青色サブピクセル226.3及び226.6から出力される青色光が、赤色サブピクセル226.1及び226.4から出力される赤色光の輝度と緑色サブピクセル226.2及び226.5から出力される緑色光の輝度との両方と略等しい輝度を有するように最適化されるように、青色LEDに対するUV LEDの比が選択される。
【0070】
[0075] スペクトル発光幅が広いことは、例えば、Rec.2020色空間の広い色域カバレッジを達成する際の現行の非QDベース表示装置(例えば、YAG-蛍光体ベース表示装置)における限界の1つである。現行の非QDベース表示装置において遮光素子238等の吸収素子を使用することにより、広い色域カバレッジ(例えば、80~90%Rec.2020色域カバレッジ)を達成することができるが、輝度の著しい低下という代償がある。こうした輝度の低下は、現行の表示装置の画質に悪影響を与えるだけでなく、HDR撮像標準規格の下で必要とされる輝度レベルを満たさない可能性がある。
【0071】
[0076] 遮光素子238は、1種又は複数の非蛍光体材料を含むことができる。すなわち、1種又は複数の非蛍光体材料は、光吸収特性及び/又は光散乱特性を示すが、光学発光特性を示さない。1種又は複数の非蛍光体材料は、上述した遮断及び調整プロセス中に吸収及び/又は散乱を必要とする1つ若しくは複数の波長又は波長の範囲のみを吸収するためのそれらの光吸収特性及び/又は散乱させるそれらの散乱特性に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、1種又は複数の非蛍光体材料は、同じ吸収特性を含むことができる。いくつかの実施形態では、1種又は複数の非蛍光体材料の各々は、互いに異なる吸収特性を含む。
【0072】
[0077] 1種又は複数の非蛍光体材料は、遮光素子238を形成するように、蛍光体フィルム236又はLCD表示装置200の他の任意の層/構造上に安価に配置することができるように選択することができる。例えば、1種又は複数の非蛍光体材料は、色素(例えば、狭帯域有機Exciton P491色素)、インク、塗料、ポリマー材料及び/又は噴霧されるか、塗装されるか、スピンコーティングされるか、印刷されるか、又は他に任意の好適な低温(例えば、100℃未満)の堆積方法であり得る任意の材料であり得る。印刷は、例えば、プロッタ、インクジェットプリンタ又はスクリーンプリンタを使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、1種又は複数の非蛍光体材料は、蛍光体フィルム238上に直接配置することができる。いくつかの実施形態では、1種又は複数の非蛍光体材料は、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、シリコーン又はそれらの組合せのフィルム又は粒子(例えば、約100nm~500nmの範囲の直径を有する粒子)を含む散乱材料であり得る。いくつかの実施形態では、遮光素子238は、1種又は複数の非蛍光体材料が上に堆積している基板を含むことができる。
【0073】
[0078] いくつかの実施形態では、遮光素子238は、蛍光体フィルム236上又は光学的に透明な基板(図示せず)上で互いに隣接して配置される区画化フィルムであり得る。区画化遮光素子238は、隣接する遮光素子238間の接触面における間隙がごくわずかであるように配置することができる。代替実施形態では、遮光素子238の各々は、蛍光体フィルム236上に配置された連続フィルムの異なる領域であり得る。したがって、
図2は、正確な尺度で描かれていない。
【0074】
[0079] いくつかの実施形態では、
図2に示すように、遮光素子238は、別個の構造体でない場合があるが、蛍光体フィルム236内に含めることができる。すなわち、蛍光体フィルム236は、遮光素子238とともに、上述したようなルミネッセンスナノ構造体を含む複合フィルムであり得る。色素、インク、塗料、ポリマー材料、散乱材料(例えば、約100nm~約500nmの範囲の直径を有する粒子)又はそれらの組合せ等、遮光素子238の1種又は複数の非蛍光体材料は、蛍光体フィルム236のマトリックスに組み込むか又は埋め込むことができる。1種又は複数の非蛍光体材料は、蛍光体フィルム236のマトリックスに分散させることができるナノ構造化材料を含むことができる。これらのナノ構造化材料は、光吸収特性及び/又は光散乱特性を示すことができ、いかなる光学発光特性も示さない可能性がある。いくつかの実施形態では、遮光素子238は、光学的に透明な基板228内に含めることができ、光学的に透明な基板228は、LCDモジュール204及び/又はBLU202の下にある層及び/又は構造に環境的な封止を提供するようにも構成することができる。代替実施形態では、遮光素子238は、基板228と蛍光体フィルム236との間に位置決めすることができる第2偏光フィルタ222に含めることができる。いくつかの実施形態では、遮光素子238は、例えば、二次光を透過させる一方、一次光(例えば、青色光、UV光又はUV光及び青色光の組合せ)を反射することができる二色フィルタであり得る。遮光素子238は、赤色サブピクセル及び緑色サブピクセルからの任意のコンバートされていないUV光及び/又は青色サブピクセルからのUV光を除去する所定のUV光フィルタリング構成要素を含むことができる。
【0075】
[0080] 表示画面230は、画像を生成するように構成することができる。表示画面230は、実施形態によれば、タッチスクリーンディスプレイであり得る。LCD表示装置200は、LCD表示装置200の隣接する素子の任意のものの間、例えば光キャビティ212とLCDモジュール204との間、LC溶液層220の両側又はLCD表示装置200の他の任意の素子間に配置された1種又は複数の媒質材料(図示せず)をさらに含むことができる。1種又は複数の媒質材料としては、限定されないが、基板、真空、空気、気体、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化した材料、光学結合材料、屈折率整合若しくは屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング若しくは抗クラッディング材料、スペーサ、エポキシ、シリカゲル、シリコーン、輝度向上材料、散乱若しくは拡散材料、反射若しくは反射防止材料、波長選択材料、波長選択反射防止材料又は他の好適な媒質材料を挙げることができる。好適な材料としては、シリコーン、シリコーンゲル、シリカゲル、エポキシ(例えば、Loctite(登録商標)Epoxy E-30CL)、アクリレート(例えば、3M(登録商標)Adhesive 2175)を挙げることができる。1種又は複数の媒質材料は、硬化性ゲル又は液体として塗布し、堆積中若しくは堆積後に硬化させることができるか、又は堆積前にあらかじめ形成し予め硬化させることができる。硬化方法としては、UV硬化、熱硬化、化学硬化又は当技術分野において既知である他の好適な硬化方法を挙げることができる。屈折率整合材料は、BLU202及びLCDモジュール204の素子間の光学的損失を最小限にするように選択することができる。
【0076】
[0081] LCD表示装置200は、さまざまな実施形態によれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、限定されないが、円筒形、台形、球形又は楕円形等の幾何学的形状を有することができる。LCD表示装置200は、形状が立方体であるか又は他の角形形状を有することに限定されない。LCD表示装置200の矩形断面形状は、例示を目的とし、限定するものではないことも留意されるべきである。LCD表示装置200は、さまざまな実施形態によれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の断面形状(例えば、台形、長円形、偏菱形)を有することができる。
図2では、光キャビティ212、基板216及び228、偏光フィルタ214及び222並びに表示画面230は、X軸に沿って同様の寸法を有するように示すが、当業者であれば、これらの構成要素の各々は、さまざまな実施形態によれば、1つ又は複数の方向において互いに異なる寸法を有し得ることを理解するであろうことも留意されるべきである。
【0077】
[0082]
図3は、実施形態による、エッジライトLCD表示装置300の組立分解断面図の概略図を示す。LCD表示装置300は、BLU302及びLCDモジュール204を含むことができる。
図2における素子と同じ注釈を有する
図3における素子については上述している。
【0078】
[0083] BLU302は、LED310(例えば、青色LED、白色LED、UV LED又は青色LED及びUV LEDの組合せ)のエッジアレイ、導光板(LGP)312及び反射体308を含むことができる。BLU302は、LCDモジュール204を通して処理し、その後、表示画面230まで透過させ且つ表示画面にわたって分散させることができる一次光(例えば、青色光、白色光、UV光又は青色光及びUV光の組合せ)を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、LED310は、約440nm~約470nm又は約445nm~約455nmのピーク発光波長を有する光を放出する青色LEDを含む。いくつかの実施形態では、LED310は、約440nm~約700nmの範囲又は他のあり得る光波長範囲の光を放出する白色LEDを含む。いくつかの実施形態では、LED210は、420nm未満、又は約400nm~約410nmm、又は約360nm~約370nmのピーク発光波長を有する光を放出するUV LEDを含む。実施形態によれば、青色LEDは、例えば、450nmの波長で青色光を放出するGaN LEDであり得る。LED310は、例えば、Y軸に沿って延在する線に配置することができる。
【0079】
[0084] いくつかの実施形態では、LED310は、青色LED及びUV LEDの両方の混合体を含む。青色LEDに対するUV LEDの比は、3:1若しくは1:1又はその間の任意の比であり得る。いくつかの実施形態では、LED310は、3:1より大きい青色LEDに対するUV LEDの比を含む。
【0080】
[0085] LGP312は、いくつかの実施形態によれば、光ファイバケーブル、板等のポリマー若しくはガラス固形体、フィルム、容器又は他の構造体等を含むことができる。LGP312のサイズは、LED310の最終的な応用及び特性によって決まり得る。LGP312の厚さは、LED310の厚さと適合性があり得る。LGP312の他の寸法は、LED310の寸法を越えて延在するように設計することができ、数10ミリメートルから数10~数100センチメートルほどであり得る。
【0081】
[0086] いくつかの実施形態では、LGP312の材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリルポリマー樹脂、ガラス又は他の好適なLGP材料を挙げることができる。LGP312に対する好適な製造方法としては、射出成形、押出又は他の好適な実施形態を挙げることができる。LGP312は、LCDモジュール204に入る一次光が均一な色及び輝度であり得るように、均一な一次光発光を提供するように構成することができる。LGP312は、LGP312面全体にわたって実質的に均一な厚さを有することができる。別法として、LGP312は、くさび状の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、LGP312は、LED310に光学的に結合することができ、LED310に物理的に接続するか又はLED310から物理的に分離することができる。LGP312をLED310に物理的に接続するために、光学的に透明な接着剤を使用することができる(図示せず)。
【0082】
[0087] いくつかの実施形態では、BLU302は、LEDのアレイ(図示せず)を含むことができ、それらの各々は、構造及び機能がLED310と同様であり得る。
図2を参照して上述したように、LEDのアレイは、LGP312に隣接することができ、処理のために且つ表示画面230への後続する透過のためにLCDモジュール204に一次光を提供するように構成することができる。
【0083】
[0088] いくつかの実施形態では、反射体308は、LGP312から放出される光の量を増大させるように構成することができる。反射体308は、反射ミラー、反射体粒子のフィルム、反射金属フィルム又は他の好適な従来の反射体等、好適な材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、反射体308は、白色フィルムを含むことができる。いくつかの実施形態では、反射体308は、散乱、拡散体又は輝度向上機能等、追加の機能又は機能を含むことができる。
【0084】
[0089]
図4Aは、いくつかの実施形態による、X-Y平面にわたるLED210の平面図の例を示す。LED210は、EMスペクトルのUV範囲においてピーク発光波長を有する光を放出する1つ又は複数の第1LED402を含むことができる。LED210は、EMスペクトルの青色範囲においてピーク発光波長を有する光を放出する1つ又は複数の第2LED404も含むことができる。UV範囲は、420nm未満の任意の波長として定義することができ、青色範囲は、約435nm~約495nmの任意の波長として定義することができる。420nm~435nmの波長を放出するLEDは、UV LED又は青色LEDのいずれかであるとみなすことができる。
図4Aに示すLEDの総数は、単なる一例であり、限定するものとみなされないことが留意されるべきである。当業者であれば、LEDの任意の数の行及び任意の数の列がLED210の一部であり得ることを理解するであろう。さらに、LED210の各LEDが、近接するLEDに隣接していることは必須ではない。
【0085】
[0090] LED210のアレイは、ランダムであり得るか又は特定のパターンを有することができるUV LED402及び青色LED404の所与の配置を含むことができる。パターン例としては、行で若しくは列で青色LED404及びUV LED402を交互にすること、UV LED402と青色LED404との間の各個々のLEDを交互にすること又はUV LED402から青色LED404への連続した繰返しを使用することが挙げられる。いくつかの実施形態では、LED210間で選択される正方形の形状での4つのLEDの任意の群は、その群においていずれか2つ以上の青色LED404を有することはできない。いくつかの実施形態では、LED210間で選択される正方形の形状の4つのLEDの任意の群は、その群においていずれか3つ以上の青色LED404を有することはできない。一例では、UV LED402及び青色LED404の各々は、約3mm×約3mmのX-Y平面における寸法を有するパッケージ上に実装される。
【0086】
[0091]
図4Bは、実施形態による、Y方向に沿ったLED310の側面図の例を示す。LED310は、EMスペクトルのUV範囲においてピーク発光波長を有する光を放出する1つ又は複数の第1LED406を含むことができる。LED210は、EMスペクトルの青色範囲においてピーク発光波長を有する光を放出する1つ又は複数の第2LED408も含むことができる。UV範囲は、420nm未満の任意の波長として定義することができ、青色範囲は、約435nm~約495nmの任意の波長として定義することができる。420nm~435nmの波長を放出するLEDは、UV LED又は青色LEDのいずれかであるとみなすことができる。
図4Bに示すLEDの総数は、単なる一例であり、限定するものとみなされないことが留意されるべきである。さらに、LED310の各LEDが、近接するLEDに隣接していることは必須ではない。
【0087】
[0092] LED310は、ランダムであり得るか又は特定のパターンを有することができるUV LED402及び青色LED404の所与の配置を含むことができる。パターン例としては、UV LED402と青色LED404との間の各個々のLEDを交互にすること又はUVLED402から青色LED404への他の何らかの連続した繰返しを使用することが挙げられる。
【0088】
バリア層で被覆されたナノ構造体の実施形態例
[0093]
図5は、実施形態による、バリア層で被覆されたルミネッセンスナノ構造体(NS)500の断面構造を示す。いくつかの実施形態では、NS500の集団は、蛍光体フィルム236内に含めることができる。バリア層で被覆されたNS500は、NS及びバリア層506を含む。NS501は、コア502及びシェル504を含む。コア502は、より高いエネルギーを吸収するときに光を放出する半導体材料を含む。コア502のための半導体材料の例としては、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)及びテルル化カドミウム(CdTe)が挙げられる。直接バンドギャップを示す他の任意のII-VI族、III-V族、第3級又は第4級の半導体構造を同様に使用することができる。実施形態では、コア502は、いくつかの例を挙げると、金属、合金等の1種又は複数のドーパントも含むことができる。金属ドーパントの例としては、限定されないが、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)又はそれらの組合せを挙げることができる。コア502に1種又は複数のドーパントが存在ことにより、ドープされていないQDと比較してNS501の構造的且つ光学的安定性並びにQYを改善することができる。
【0089】
[0094] コア502は、実施形態によれば、直径が20nm未満のサイズを有することができる。別の実施形態では、コア502は、直径で約1nm~約5nmのサイズを有することができる。コア502のサイズ、したがってナノメートル範囲のNS501のサイズを適合させ得ることにより、光スペクトル全体における光電子放出カバレッジが可能になる。概して、大きいNSほど、スペクトルの赤色端に向かって光を放出し、小さいNSほど、スペクトルの青色端に向かって光を放出する。この効果は、大きい方のNSが、小さい方のNSより近い間隔で配置されるエネルギーレベルを有するために発生する。これにより、NSは、より少ないエネルギーを含む光子、すなわちスペクトルの赤色端により近い光子を吸収することができる。
【0090】
[0095] シェル504は、コア502を包囲し、且つコア502の外面に配置される。シェル504は、硫化カドミウム(CdS)、硫化カドミウム亜鉛(ZnCdS)、硫化セレン化亜鉛(ZnSeS)及び硫化亜鉛(ZnS)を含むことができる。実施形態では、シェル504は、厚さ504t、例えば1つ又は複数の単層を有することができる。他の実施形態では、シェル504は、約1nm~約5nmの厚さ504t有することができる。シェル504は、コア502との格子不整合を低減させ、且つNS501のQYを向上させるのに役立つように利用することができる。シェル504は、NS501のQYを増加させるために、コア502上のダングリングボンド等の表面トラップ状態を不動態化し除去するのにも役立つことができる。表面トラップ状態の存在は、非放射性再結合中心を提供し、NS501の放射効率の低下の一因になり得る。
【0091】
[0096] 代替実施形態では、NS501は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、シェル504上に配置された第2シェル又はコア502を包囲する3つ以上のシェルを含むことができる。実施形態では、第2シェルは、2つの単層ほどの厚さである可能性があり、典型的には、必須ではないが、また半導体材料である。第2シェルは、コア502に保護を提供することができる。第2シェル材料は、硫化亜鉛(ZnS)であり得るが、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の材料を同様に使用することができる。
【0092】
[0097] バリア層506は、NS501上に被覆を形成するように構成される。実施形態では、バリア層506は、シェル504の外面504a上に且つその外面504aと実質的に接触して配置される。1つ又は複数のシェルを有するNS501の実施形態では、バリア層506は、NS501の最外シェル上に且つ最外シェルと実質的に接触して配置することができる。実施形態例では、バリア層506は、例えば、複数のNSを有する溶液、組成物及び/又はフィルムにおいて、NS501と1つ又は複数のNSとの間のスペーサとして作用するように構成され、そこでは、複数のNSは、NS501及び/又はバリア層で被覆されたNS500と同様であり得る。こうしたNS溶液、NS組成物及び/又はNSフィルムにおいて、バリア層506は、隣接するNSとのNS501の凝集を防止する役割を果たすことができる。隣接するNSとのNS501の凝集により、NS501のサイズが増大し、結果としてNS501を含む凝集したNS(図示せず)の光学発光特性が低減又は消失することになる可能性がある。さらなる実施形態では、バリア層506は、例えば、NS501の構造的特性及び光学特性に悪影響を及ぼす可能性がある水分、空気及び/又は過酷な環境(例えば、NSのリソグラフィ処理中及び/又はNSベース装置の製造プロセス中に使用される高温及び化学物質)からの保護をNS501に提供する。
【0093】
[0098] バリア層506は、アモルファスであり、光学的に透明であり、及び/又は電気的に不活性である1種又は複数の材料を含む。好適なバリア層としては、限定されないが、無機酸化物及び/又は窒化物等の無機材料が挙げられる。バリア層506のための材料の例としては、さまざまな実施形態によれば、Al、Ba、Ca、Mg、Ni、Si、Ti又はZr等の酸化物及び/又は窒化物が挙げられる。バリア層506は、さまざまな実施形態において約8nm~約15nmの範囲の厚さ506tを有することができる。
【0094】
[0099]
図5に示すように、バリア層で被覆されたNS500は、実施形態によれば、複数のリガンド又は界面活性剤508をさらに又は任意選択的に含むことができる。リガンド又は界面活性剤508は、実施形態によれば、バリア層506の外面上等、バリア層で被覆されたNS500の外面に吸着させるか又は結合することができる。複数のリガンド又は界面活性剤508は、親水性又は極性頭部508a及び疎水性又は非極性尾部508bを含むことができる。親水性又は極性頭部508aは、バリア層506に結合することができる。リガンド又は界面活性剤508の存在は、NSの形成中、例えば溶液、組成物及び/又はフィルムにおいてNS500及び/又はNS501を他のNSから分離するのに役立つことができる。NSがそれらの形成中に凝集することがある場合、NS500及び/又はNS501等のNSの量子効率が低下する可能性がある。リガンド又は界面活性剤508は、非極性溶媒における混和性を提供するか又は他の化合物が結合するための反応サイト(例えば、逆ミセル系)を提供する疎水性等、バリア層で被覆されたNS500に対して特定の特性を与えるようにも使用することができる。
【0095】
[0100] リガンド508として使用することができる多様なリガンドが存在する。いくつかの実施形態では、リガンドは、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸から選択される脂肪酸である。いくつかの実施形態において、リガンドは、トリオクチルホスフィン酸化物(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルフォスフィン酸化物及びトリブチルホスフィン酸化物から選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィン酸化物である。いくつかの実施形態では、リガンドは、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミンから選択されるアミンである。いくつかの実施形態では、リガンドは、トリオクチルホスフィン(TOP)である。いくつかの実施形態では、リガンドは、オレイルアミンである。いくつかの実施形態において、リガンドは、ジフェニルホスフィンである。
【0096】
[0101] 界面活性剤508として使用することができる多様な界面活性剤が存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤508として非イオン界面活性剤を使用することができる。非イオン界面活性剤のいくつかの例としては、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(商品名IGEPAL CO-520)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(IGEPAL CO-630)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(IGEPAL CA-630)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(Brij93)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(Brij52)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(Brij S10)、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルシクロヘキシルエーテル(Triton X-100)及びポリオキシエチレン分岐ノニルシクロヘキシルエーテル(Triton N-101)が挙げられる。
【0097】
[0102] いくつかの実施形態では、界面活性剤508として陰イオン表面活性剤を使用することができる。陰イオン表面活性剤のいくつかの例としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸モノドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びミリスチル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0098】
[0103] いくつかの実施形態では、NS501及び/又は500は、赤色、橙色及び/又は黄色の範囲等の1つ又は複数のさまざまな色範囲での光を放出するように統合することができる。いくつかの実施形態では、NS501及び/又は500は、緑色及び/又は黄色の範囲の光を放出するように統合することができる。いくつかの実施形態では、NS501及び/又は500は、青色、藍色、紫色及び/又は紫外線の範囲の光を放出するように統合することができる。いくつかの実施形態では、NS501及び/又は500は、約505nm~約650nm、約510nm~約550nm又は約300nm~約480nmの一次発光ピーク波長を有するように統合することができる。
【0099】
[0104] NS501及び/又は500は、高QYを示すように統合することができる。いくつかの実施形態では、NS501及び/又は500は、80%~95%又は85%~90%のQYを示すように統合することができる。
【0100】
[0105] したがって、さまざまな実施形態によれば、NS500は、NS501上のバリア層506の存在によりNS501の光学発光特性が実質的に変化も消失もしないように統合することができる。
【0101】
ナノ構造体フィルムの実施形態例
[0106]
図6は、実施形態によるNSフィルム500の断面図を示す。いくつかの実施形態では、蛍光体フィルム236は、NSフィルム500と同様であり得る。
【0102】
[0107] NSフィルム500は、実施形態によれば、複数のバリア層で被覆されたコア-シェルNS500(
図6)及びマトリックス材料610を含むことができる。NS500は、いくつかの実施形態によれば、マトリックス材料610に埋め込むか又は他の方法で配置することができる。本明細書で用いる「埋め込まれ」という用語は、NSが、マトリックスの大部分の構成要素を構成するマトリックス材料610内に封入されるか又は入れられることを示すために用いられる。実施形態では、NS500は、マトリックス材料610の全体にわたって均一に分散させることができるが、他の実施形態では、NS500は、特定の用途の均一分配機能に従って分散させ得ることが留意されるべきである。NS500は、同じサイズの直径を有するように示すが、当業者であれば、NS500がサイズ分布を有し得ることを理解することが留意されるべきである。
【0103】
[0108] 実施形態では、NS500は、青色可視波長スペクトルにおいて、緑色可視波長スペクトルにおいて又は赤色可視波長スペクトルにおいて発光するサイズを有するNSの均質な集団を含むことができる。他の実施形態では、NS500は、青色可視波長スペクトルにおいて発光するサイズを有するNSの第1集団、緑色可視波長スペクトルにおいて発光するサイズを有するNSの第2集団及び赤色可視波長スペクトルにおいて発光するNSの第3集団を含むことができる。
【0104】
[0109] マトリックス材料610は、NS500を収容することができる任意の好適なホストマトリックス材料であり得る。好適なマトリックス材料は、NS500に対して、且つNSフィルムを装置に貼り付ける際に用いられる任意の包囲するパッケージング材料又は層に対して化学的に且つ光学的に適合性であり得る。好適なマトリックス材料としては、一次光及び二次光に対して透過性であり、それにより一次光及び二次光の両方がマトリックス材料を透過することができるようにする無黄変光学材料を挙げることができる。実施形態では、マトリックス材料610は、NS500の各々を完全に包囲することができる。マトリックス材料610は、可撓性又は成形可能なNSフィルム500が望まれる応用では可撓性であり得る。別法として、マトリックス材料610は、高強度非可撓性材料を含むことができる。
【0105】
[0110] マトリックス材料610は、ポリマー並びに有機酸化物及び無機酸化物を含むことができる。マトリックス材料610で使用されるのに好適なポリマーは、こうした目的に使用することができる、当業者に既知の任意のポリマーであり得る。ポリマーは、実質的に半透明であるか又は実質的に透明であり得る。マトリックス材料610としては、限定されないが、エポキシ、アクリレート、ノルボレン、ポリエチレン、ポリ(ビニルブチラール):ポリ(酢酸ビニル)、ポリ尿素、ポリウレタンと、限定されないが、アミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素化シリコーン並びにビニル及び水素化物置換シリコーンを含むシリコーン及びシリコーン誘導体と、限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ラウリルを含むモノマーから形成されたアクリルポリマー及びコポリマーと、ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)及びポリ(アクリロニトリルエチレンスチレン)(AES)等のスチレン系ポリマーと、ジビニルベンゼン等の二官能性モノマーと架橋されるポリマーと、リガンド材料を架橋するのに好適な架橋剤、エポキシを形成するためにリガンドアミン(例えば、APS又はPEIリガンドアミン)と結合するエポキシド等を挙げることができる。
【0106】
[0111] いくつかの実施形態では、マトリックス材料610としては、NSフィルム500の光変換効率を向上させることができる、TiO2マイクロビーズ、ZnSマイクロビーズ又はガラスマイクロビーズ等の散乱マイクロビーズが挙げられる。いくつかの実施形態では、マトリックス材料610は、
図2及び
図3並びに
図5を参照して上述した遮光素子238及び/又は548等の遮光素子を含むことができる。
【0107】
[0112] 別の実施形態では、マトリックス材料610は、低い酸素及び水分透過性を有し、高い光安定性及び化学安定性を示し、有利な屈折率を示し、NS500の外面に付着し、したがってNS500を保護するための気密シールを提供することができる。別の実施形態では、マトリックス材料610は、ロールツーロール処理を促進するようにUV硬化又は熱硬化方法によって硬化可能であり得る。
【0108】
[0113] いくつかの実施形態によれば、NSフィルム500は、ポリマー(例えば、フォトレジスト)にNS500を混合し、基板上にNS-ポリマー混合物を鋳造することにより、NS500をモノマーと混合し、それらを合わせて重合することにより、ゾルゲルにNS500を混合して酸化物を形成することにより又は当業者に既知の他の任意の方法により形成することができる。
【0109】
[0114] いくつかの実施形態によれば、NSフィルム500の形成は、フィルム押出プロセスを含むことができる。フィルム押出プロセスは、マトリックス材料610と、NS500等のバリア層で被覆されたコア-シェルNSとの均質混合物を形成して、均質混合物を押出機内に供給するトップマウントホッパ内に導入することを含むことができる。いくつかの実施形態では、均質混合物は、ペレットの形態であり得る。フィルム押出プロセスは、スロットダイからNSフィルム500を押し出すことと、押し出されたNSフィルム500にチルロールを通過させることとをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、押し出されたNSフィルム500は、例えば、約70μm~約40μm、約65μm~約40μm、約60μm~約40μm又は約50μm~約40μmの範囲で約75μm未満の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、NSフィルム500は、約10μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、NSフィルム500の形成は、二次プロセスとそれに続くフィルム押出プロセスとを任意選択的に含むことができる。二次プロセスは、NSフィルム500の最上面にテクスチャをもたらす、共押出成形、熱成形、真空成形、プラズマ処理、成型及び/又はエンボス加工等のプロセスを含むことができる。最上面がテクスチャ加工されたNSフィルム500は、例えば、NSフィルム500の規定された光拡散特性及び/又は規定された角度光学発光特性を改善する役割を果たすことができる。
【0110】
ルミネッセンスナノ構造体の実施形態例
[0115] 本明細書では、ルミネッセンスナノ構造体(NS)を有するさまざまな組成物について記載する。ルミネッセンスナノ構造体の、それらの吸収特性、発光特性及び屈折率特性を含むさまざまな特性は、さまざまな応用に適合させ且つ調整することができる。
【0111】
[0116] NSの材料特性は、実質的に均質であり得るか、又はいくつかの実施形態では不均質であり得る。NSの光学特性は、それらの粒径、化学組成又は表面組成によって決まり得る。約1nm~約15nmの範囲でルミネッセンスNSサイズを適合させ得ることにより、光スペクトル全体における光電子放出カバレッジが演色における大きい汎用性を提供できるようにすることができる。粒子カプセル化は、化学物質及びUV劣化剤に対する堅牢性を提供することができる。
【0112】
[0117] 本明細書に記載した実施形態で使用されるルミネッセンスNSは、当業者に既知の任意の方法を用いて製造することができる。好適な方法及びナノ結晶例は、米国特許第7,374,807号、2004年3月10日に出願された米国特許出願公開第10/796,832号、米国特許第6,949,206号及び2004年6月8日出願の米国仮特許出願第60/578,236号に開示されており、それらの各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0113】
[0118] 本明細書に記載した実施形態で使用されるルミネッセンスNSは、無機材料及びより好適には無機導電性又は半導体材料を含む任意の好適な材料から製造することができる。好適な半導体材料としては、米国特許出願公開第10/796,832号に開示されているものを挙げることができ、II-VI族、III-V族、IV-VI族及びIV族半導体を含む任意のタイプの半導体を挙げることができる。適切な半導体材料としては、限定されないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SuS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3、Al2CO及び2種以上のこうした半導体の適切な組合せを挙げることができる。
【0114】
[0119] いくつかの実施形態では、ルミネッセンスNSは、p型ドーパント又はn型ドーパントからなる群からのドーパントを有することができる。NSは、II-VI族又はIII-V族半導体も有することができる。II-VI族又はIII-V族半導体NSの例としては、周期表の、Zn、Cd及びHg等のII族の元素とS、Se、Te及びPo等のVI族の任意の元素との任意の組合せ並びに周期表の、B、Al、Ga、In及びTl等のIII族の元素とN、P、As、Sb及びBi等のV属の任意の元素との任意の組合せを挙げることができる。
【0115】
[0120] 本明細書に記載したルミネッセンスNSは、それらの表面に対して共役させるか、協働させるか、会合させるか又は付着させたリガンドをさらに含むこともできる。好適なリガンドとしては、米国特許第8,283,412号、米国特許出願公開第2008/0237540号、米国特許出願公開第2010/0110728号、米国特許第8,563,133号、米国特許第7,645,397号、米国特許第7,374,807号、米国特許第6,949,206号、米国特許第7,572,393号及び米国特許第7,267,875号に開示されているものを含む、当業者に既知の任意の群を含むことができ、これらの特許及び特許公開の各々の開示は、参照により本明細書に援用される。こうしたリガンドの使用は、ポリマーを含むさまざまな溶剤及びマトリックス内に混和するルミネッセンスNSの能力を促進することができる。さまざまな溶剤及びマトリックスにおけるルミネッセンスNSの混和性(すなわち分離せずに混合される能力)を向上させることにより、NSが合わせて凝集せず、したがって光を散乱させないように、NSがポリマー組成物全体にわたって分散され得るようにすることができる。こうしたリガンドは、本明細書では「混和性増強」リガンドと述べる。
【0116】
[0121] いくつかの実施形態では、マトリックス材料に分散されるか又は埋め込まれるルミネッセンスNSを有する組成物を提供する。好適なマトリックス材料は、ポリマー材料、有機酸化物及び無機酸化物を含む、当業者に既知の任意の材料であり得る。本明細書に記載した組成物は、層、カプセル材料、コーティング、シート又はフィルムであり得る。層、ポリマー層、マトリックス、シート又はフィルムについて言及する本明細書に記載した実施形態では、これらの用語は同義に使用され、そのように記載した実施形態は、いずれか1つのタイプの組成物に限定されず、本明細書に記載したか又は当技術分野で既知の任意のマトリックス材料又は層を包含することが理解されるべきである。
【0117】
[0122] (例えば、米国特許第7,374,807号に開示されているような)ダウンコンバートNSは、特定の波長の光を吸収し、次いで第2波長で発光するように適合されるルミネッセンスナノ構造体の発光特性を利用し、それによりアクティブソース(例えば、LED)の性能及び効率の向上を可能にする。
【0118】
[0123] ルミネッセンスNSを生成するために当業者に既知の任意の方法を使用することができるが、無機ナノ材料蛍光体の制御された成長のための溶液相コロイド法を使用することができる。Alivisatos, A. P.,“Semiconductor clusters, nanocrystals, and quantum dots,”Science 271:933 (1996);X. Peng, M. Schlamp, A. Kadavanich, A. P. Alivisatos,“Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility,”J. Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997)及びC. B. Murray, D. J. Norris, M. G. Bawendi,“Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E = sulfur, selenium, tellurium) semiconductor nanocrystallites,”J Am. Chem. Soc. 115:8706 (1993)を参照されたい。これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0119】
[0124] 実施形態によれば、CdSeは、この材料の合成の相対成熟度のために、一例において可視光ダウンコンバージョンのためのNS材料として使用することができる。汎用的な界面化学の使用により、非カドミウム含有NSを置換することも可能であり得る。
【0120】
[0125] 半導体NSにおいて、光誘導発光がNSのバンド端状態から発生する。ルミネッセンスNSからのバンド端発光は、表面電子状態から発生する放射及び非放射減衰チャネルと競合する。X. Peng, et al., J Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997)。その結果として、ダングリングボンド等の表面欠陥の存在が無放射再結合中心を提供し、発光効率の低下の一因となる。表面トラップ状態を不動態化して除去するための効率的且つ永続的な方法は、NSの表面上で無機シェル材料をエピタキシャル成長させることであり得る。X. Peng, et al., J. Am. Chem. Soc. 30:701 9-7029 (1997)。シェル材料は、電子レベルがコア材料に対してタイプ1になるように選択することができる(例えば、コアに対する電子及び正孔を局所化する電位ステップを提供するためにより大きいバンドギャップを有する)。結果として、無放射再結合の確率を低下させることができる。
【0121】
[0126] コア-シェル構造体は、コアNSを含有する反応混合物に、シェル材料を含有する有機金属前駆物質を加えることによって得ることができる。この場合、核生成事象及びそれに続く成長ではなく、コアは、核として作用し、シェルは、それらの表面から成長することができる。反応の温度は、シェル材料のナノ結晶の独立核生成を防止する一方、コア表面へのシェル材料モノマーの添加に有利になるように低く維持される。反応混合物における界面活性剤は、シェル材料の制御された成長を誘導し、且つ溶解度を確保するために存在する。2つの材料間に低い格子不整合がある場合、均一且つエピタキシャル成長したシェルを得ることができる。
【0122】
[0127] コア-シェルルミネッセンスNSを準備するための材料例としては、限定されないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTc、BeS、BcSe、BcTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuP、CuCl、CuBr、CuI、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3、AlCOを挙げることができ、本発明の実施に使用するシェルルミネッセンスNSとしては、限定されないが、(コア/シェルとして表した)CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnSとともに他のものが挙げられる。
【0123】
[0128] 本明細書で記載した実施形態で使用されるルミネッセンスNSは、サイズが約100nm未満~約2nm未満であり、且つ可視光を吸収することができる。本明細書で用いる可視光は、人間の目に可視である約380~約780ナノメートルの波長の電磁放射線である。可視光は、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色及び紫色等、スペクトルのさまざまな色に分離することができる。青色光は、波長が約435nm~約495nmの光を含むことができ、緑色光は、波長が約495nm~約570nmの光を含むことができ、赤色光は、波長が約620nm~約750nmの光を含むことができる。
【0124】
[0129] さまざまな実施形態によれば、ルミネッセンスNSは、それらが紫外、近赤外及び/又は赤外スペクトルにおける光子を吸収するようなサイズ及び組成を有することができる。紫外スペクトルは、波長が約100nm~約400nmの光を含むことができ、近赤外スペクトルは、波長が約750nm~約100μmの光を含むことができ、赤外スペクトルは、波長が約750nm~約300μmの光を含むことができる。
【0125】
[0130] 本明細書に記載したさまざまな実施形態において他にも好適な材料のルミネッセンスNSを使用することができるが、いくつかの実施形態では、NSは、本明細書に記載した実施形態で使用されるナノ結晶の集団を形成するためにZnS、InAs、CdSe又はそれらの任意の組合せであり得る。上述したように、さらなる実施形態では、ルミネッセンスNSは、CdSe/ZnS、InP/ZnSe、CdSe/CdS又はInP/ZnS等のコア/シェルナノ結晶であり得る。
【0126】
[0131] 好適なルミネッセンスナノ構造体、さまざまな溶解度増強リガンドの添加を含むルミネッセンスナノ構造体を準備する方法は、公開された米国特許出願公開第2012/0113672号に見出すことができ、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0127】
[0132] 本明細書においていくつかの実施形態について例示し説明したが、特許請求の範囲は、説明し示した部分の具体的な形態又は配置に限定されるべきではないことが理解されるべきである。本明細書では、例示的な実施形態を開示しており、具体的な用語を採用しているが、それらの用語は、限定を目的とするものではなく、一般的且つ説明的な意味でのみ使用されている。上記の教示に鑑みて、実施形態の変更形態及び変形形態が可能である。したがって、実施形態は、具体的に説明されているものと別の方法で実施され得ることが理解されるべきである。