(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037920
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】糖標的化治療剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20240312BHJP
A61K 47/66 20170101ALI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K47/66
A61K39/395 N
A61P37/00
A61P37/04
A61P1/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212112
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2022016440の分割
【原出願日】2015-02-20
(31)【優先権主張番号】61/942,942
(32)【優先日】2014-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506067039
【氏名又は名称】エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ(ウペエフエル)
【氏名又は名称原語表記】Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL)
(71)【出願人】
【識別番号】516251749
【氏名又は名称】アノキオン・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ANOKION SA
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エイ・フッベル
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・コントス
(72)【発明者】
【氏名】クリステン・マリー・ロレンツ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・スコット・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】シュニング・ガイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移植拒絶、自己免疫疾患、食物アレルギー、および治療薬に対する免疫応答の治療において有用な薬学的に許容可能な組成物を提供する。
【解決手段】式1の化合物を含む組成物を提供する:
mが約1から100の整数であり;Xは、患者が望ましくない免疫応答を発症する抗原、もしくはその免疫寛容誘導部分を含み;またはXは、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含み;Yは、リンカー部分を含み;かつZは、肝臓標的化部分を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物を含む組成物であって:
【化1】
ここで:
mが約1から100の整数であり;
Xが、患者が望ましくない免疫応答を発症する抗原、もしくはその免疫寛容誘導部分を含み;または
Xが、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含み、該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与し;
Yが、リンカー部分を含み;かつ
Zが、肝臓標的化部分を含む、組成物。
【請求項2】
Zが、ガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
YにそのC1、C2またはC6でコンジュゲートされたZを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
Yが、N-ヒドロキシスクシンイミジルリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Yが:
Xに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドまたは他のリガンド;
ジスルファニルエチルエステル;
式YaからYpの1つにより表される構造を含み:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
および
【化6】
または式Y’-CMPにより表される部分を有し:
【化7】
ここで:
左の括弧“(”は、XおよびY間の結合を示し;
右または下の括弧および“)”は、YおよびZ間の結合を示し;
nは約1から100の整数であり;
pは約2から150の整数であり;
qは約1から44の整数であり;
R
8は、-CH
2-または-CH
2-CH
2-C(CH
3)(CN)-であり;
R
9は、直接結合または-CH
2-CH
2-NH-C(O)-であり;かつ
Y’はYの残存部分を表す、
請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
nが約40から80であり;
pが約10から100であり;
qが約3から20であり;
R8が-CH2-CH2-C(CH3)(CN)-であり;かつ
R9が-CH2-CH2-NH-C(O)-である場合に、Zが、そのC1でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである、
請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
Yが、式Ya、式Yb、式Yh、式Yi、式Yk、式Ymまたは式Ynを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
Yが、式Ya、式Yb、式Ymまたは式Ynを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
Yが、式Ya、式Yb、式Ymまたは式Ynを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
Xが:
移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原;
患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原;
患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の治療薬;もしくは
患者が望ましくない免疫応答を発症する内在性型に対する合成自己抗原、または
それらの免疫寛容誘導部分
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
式2の化合物を含む組成物であって:
【化8】
ここで:
m’+m”が1に等しく、かつZがDOM 26h-196-61である場合、Xはインターフェロン、リバビリン、ネクサバール/ソラフェニブ、アービタックス/セツキシマブ、アバスタチン/ベバシズマブまたはハーセプチン/トラスツズマブではないという条件で、
m’はゼロまたは約1から10の整数であり、m”はゼロまたは約1から10の整数であり、かつm'+m”の総和は約1から10の整数であるが、少なくとも1であり;
それぞれXは、外来性抗原、もしくは患者が望ましくない免疫応答を発症する自己抗原、またはその免疫寛容誘導部分を含み;
それぞれYは、リンカー部分もしくは直接結合、またはXに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは他のリガンドを含み;かつ
Zは肝臓標的化部分を含む、
組成物。
【請求項12】
ZがASGPR標的化抗体、ASGPR標的化抗体フラグメント、ASGPR標的化ペプチド、ASGPR標的化scFv、または別のASGPRリガンドを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
Xが、患者が望ましくない免疫応答を発症する関連抗原の群またはその免疫寛容誘導フラグメントの群を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
Xが:
インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65 GAD-67、グルコース-6-ホスファターゼ2、インスリノーマ-関連タンパク質2、インスリノーマ-関連タンパク質2β、ICA69、ICA12、カルボキシペプチダーゼH、Imogen38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、2型グルコース輸送体、肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓の関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット-関連タンパク質、およびSST Gタンパク質共役型受容体1-5の2つ以上;
ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、ミエリンプロテオリピドタンパク質、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、および配列番号:17の2つ以上;ならびに
配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、および配列番号:27の2つ以上
を含む群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
Yが免疫プロテアソーム切断部位を有するリンカーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
Xが:
移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原;
患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原;
患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の治療薬;もしくは
患者が望ましくない免疫応答を発症する内在性型に対する合成自己抗原、または
それらの免疫寛容誘導部分
を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
かかる治療を必要とする哺乳類に、有効量の、式1の化合物を含む組成物を投与することによる、抗原に対する望ましくない免疫応答のための治療方法であって:
【化9】
ここで:
mは約1から100の整数であり;
Xは、患者が望ましくない免疫応答を発症する抗原、もしくはその免疫寛容誘導部分を含み;または
Xは、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含み、該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与し;
Yはリンカー部分を含み;かつ
Zは肝臓標的化部分を含む、
治療方法。
【請求項18】
Xが、患者が望ましくない免疫応答を発症する抗原、もしくはその免疫寛容誘導部分を含み;かつ
Yが:
Xに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドまたは他のリガンド;
ジスルファニルエチルエステル;
式YaからYpの1つにより表される構造を含み:
【化10】
【化11】
【化12】
および
【化13】
または式Y’-CMPにより表される部分を有し:
【化14】
ここで:
左の括弧“(”は、XおよびY間の結合を示し;
右または下の括弧および“)”は、YおよびZ間の結合を示し;
nは約1から100の整数であり;
pは約2から150の整数であり;
qは約1から44の整数であり;
R
8は、-CH
2-または-CH
2-CH
2-C(CH
3)(CN)-であり;
R
9は、直接結合または-CH
2-CH
2-NH-C(O)-であり;ならびに
Y’はYの残存部分を表す、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Xが、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含み、かつ前記組成物を、Xに特異的に結合する、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体のクリアランスのため投与し、該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
Xが、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含み、かつ移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/またはアレルギーに原因的に関与する抗体の濃度を、投与後約12から約48時間の間の時間で測定される、患者の血中で少なくとも50%w/wまで減少させるように、前記組成物を有効量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物を抗原部分Xに関する患者の寛容化のために投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
Xが:
移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原;
患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原;
患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の治療薬;もしくは
患者が望ましくない免疫応答を発症する内在性型に対する合成自己抗原、または
それらの免疫寛容誘導部分
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
かかる治療を必要とする哺乳類に、有効量の、式2を含む組成物を投与することによる、抗原に対する望ましくない免疫応答のための治療方法であって:
【化15】
ここで:
m’+m”が1に等しく、かつZがDOM 26h-196-61である場合、Xはインターフェロン、リバビリン、ネクサバール/ソラフェニブ、アービタックス/セツキシマブ、アバスタチン/ベバシズマブまたはハーセプチン/トラスツズマブではないという条件で、
m’はゼロまたは約1から10の整数であり、m”はゼロまたは約1から10の整数であり、かつm'+m”の総和は約1から10の整数であるが、少なくとも1であり;
それぞれXは抗原部分であり;
それぞれYは、リンカー部分もしくは直接結合、またはXに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは他のリガンドであり;かつ
Zは肝臓標的化部分である、
方法。
【請求項24】
抗原部分Xに特異的に結合する、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体のクリアランスのために前記組成物を投与し、該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/またはアレルギーに原因的に関与する抗体の濃度を、投与後約12から約48時間の間の時間で測定される患者の血中で少なくとも50%w/wまで減少させるように、前記組成物を有効量で投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物を抗原部分Xに関する患者の寛容化のために投与する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
ZがASGPR標的化抗体、ASGPR標的化抗体フラグメント、ASGPR標的化ペプチド、ASGPR標的化scFv、または別のASGPRリガンドを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
Xが、患者が望ましくない免疫応答を発症する関連抗原の群またはその免疫寛容誘導フラグメントの群を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
Xが:
インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65 GAD-67、グルコース-6-ホスファターゼ2、インスリノーマ-関連タンパク質2、インスリノーマ-関連タンパク質2β、ICA69、ICA12、カルボキシペプチダーゼH、Imogen38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、2型グルコース輸送体、肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓の関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット-関連タンパク質、およびSST Gタンパク質共役型受容体1-5の2つ以上;
ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、ミエリンプロテオリピドタンパク質、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、および配列番号:17の2つ以上;ならびに
配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、および配列番号:27の2つ以上
を含む群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
望ましくない免疫応答を治療する、請求項1-10または11-16のいずれかの組成物の使用。
【請求項31】
Xに対する患者の寛容化のための、ここで、Xは、患者が望ましくない免疫応答を発症する抗原、もしくはその免疫寛容誘導部分を含むものであり、または
移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/またはアレルギーに原因的に関与する循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体のクリアランスのための、ここで、Xは循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含むものである、:
請求項1-10のいずれかの組成物の使用。
【請求項32】
前記組成物を抗原部分Xに関する患者の寛容化のために投与する、請求項11-16のいずれかの組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、出典明示により本明細書に組み込まれる“糖標的化治療剤(GLYCOTARGETING THRAPEUTICS)”と題される同時係属中の2014年2月21日に出願された米国仮出願番号第61/942,942号の優先権を主張する。
【0002】
本開示の分野
本開示の分野は、移植拒絶、自己免疫疾患、食物アレルギー、および治療薬に対する免疫応答の治療において有用である薬学的に許容可能な組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示の背景
米国出願第2012/0039989号、米国出願第2012/0178139号およびWO2013/121296号は、寛容化のための抗原提示における赤血球の役割を活用する、赤血球への抗原の標的化を記載する。このアプローチでこれまで生じた肯定的な結果にもかかわらず、代替アプローチの可能性への関心が依然としてある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の概要
本開示の態様は、式1の化合物を含む組成物を提供する:
【化1】
ここで:
mは約1から100の整数であり;
Xは、患者が望ましくない免疫応答を発症する抗原、もしくはその免疫寛容誘導部分を含み;または
Xは、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドを含み、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与し;
Yは、リンカー部分を含み;かつ
Zは、肝臓標的化部分を含む。
【0005】
Zはまた、例えば、YにそのC1、C2またはC6でコンジュゲートされたガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンを含みうる。
【0006】
Yは、N-ヒドロキシスクシンイミジルリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、およびニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカーから選択されうる。
【0007】
Yはさらに、Xに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは他のリガンド;ジスルファニルエチルエステル;式YaからYpの1つにより表される構造を含むことができ:
【化2】
【化3】
【化4】
および
【化5】
または式Y’-CMPにより表される部分を有する:
【化6】
ここで:左の括弧“(”は、XおよびY間の結合を示し;右または下の括弧および“)”は、YおよびZ間の結合を示し;nは約1から100の整数であり;pは約2から150の整数であり;qは約1から44の整数であり;R
8は、-CH
2-または-CH
2-CH
2-C(CH
3)(CN)-であり;R
9は、直接結合または-CH
2-CH
2-NH-C(O)-であり;かつY’は、Yの残存部分を表す。
【0008】
上記の別の態様では、nは約40から80であり、pは約10から100であり、qは約3から20であり、R8は、-CH2-CH2-C(CH3)(CN)-であり;かつR9が-CH2-CH2-NH-C(O)-である場合に、Zは、そのC1でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
【0009】
上記のさらに別の態様では、Yは、式Ya、式Yb、式Yh、式Yi、式Yk、式Ymまたは式Yn、特に式Ya、式Yb、式Ymまたは式Ynを含む。
【0010】
Xは:移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原;患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原;患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の治療薬;もしくは患者が望ましくない免疫応答を発症する内在性型に対する合成自己抗原、またはそれらの免疫寛容誘導部分をさらに含みうる。
【0011】
本開示はまた、かかる治療を必要とする哺乳類に、有効量の、上述の式1の化合物を含む組成物を投与することによる、抗原に対する望ましくない免疫応答のための治療方法に関連する。かかる方法において、抗原部分Xに特異的に結合する、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体のクリアランスのために当該組成物は投与でき、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与する。当該組成物は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/またはアレルギーに原因的に関与する抗体の濃度を患者の血中で少なくとも50%w/wまで減少させるように有効量で投与でき、投与後約12から約48時間の間の時間で測定される。当該組成物は抗原部分Xに関する患者の寛容化のために投与されうる。
【0012】
本開示のさらに別の態様は、式2の化合物を含む組成物を提供する:
【化7】
ここで:m’+m”が1に等しく、かつZがDOM 26h-196-61である場合、Xはインターフェロン、リバビリン、ネクサバール/ソラフェニブ、アービタックス/セツキシマブ、アバスタチン/ベバシズマブまたはハーセプチン/トラスツズマブではないという条件で、m’はゼロまたは約1から10の整数であり、m”はゼロまたは約1から10の整数であり、かつm'+m”の総和は約1から10の整数であるが、少なくとも1であり;それぞれXは、患者が望ましくない免疫応答を発症する、外来性抗原もしくは自己抗原、またはそれらの免疫寛容誘導部分であり;それぞれYは、リンカー部分もしくは直接結合、またはXに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは他のリガンドであり;かつZは肝臓標的化部分である。
【0013】
式2を伴う上記態様では、ZはASGPR標的化抗体、ASGPR標的化抗体フラグメント、ASGPR標的化ペプチド、ASGPR標的化scFv、または別のASGPRリガンドを含みうる。Yは免疫プロテアソーム切断部位を有するリンカーでありうる。Xは、患者が望ましくない免疫応答を発症する関連抗原の群またはその免疫寛容誘導フラグメントの群を含みうる。例えば、Xは、以下を含む群から選択されうる:
・ インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65 GAD-67、グルコース-6-ホスファターゼ2、インスリノーマ-関連タンパク質2、インスリノーマ-関連タンパク質2β、ICA69、ICA12、カルボキシペプチダーゼH、Imogen38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、2型グルコース輸送体、肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓の関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II(regenerate gene II)、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット-関連タンパク質、およびSST Gタンパク質共役型受容体1-5の2つ以上;
・ ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、ミエリンプロテオリピドタンパク質、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、および配列番号:17の2つ以上;ならびに
・ 配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、および配列番号:27の2つ以上。
【0014】
本開示はまた、かかる治療を必要とする哺乳類に、有効量の、上述の式2の化合物を含む組成物を投与することによる、抗原に対する望ましくない免疫応答のための治療方法に関連する。かかる方法において、抗原部分Xに特異的に結合する、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体のクリアランスのために当該組成物は投与でき、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与する。当該組成物は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/またはアレルギーに原因的に関与する抗体の濃度を患者の血中で少なくとも50%w/wまで減少させるように有効量で投与でき、投与後約12から約48時間の間の時間で測定される。当該組成物は抗原部分Xに関する患者の寛容化のために投与されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、ガラクトースコンジュゲーション[F1aA-PE-m
4-n
80(Gal-PE)]が、以下を含む肝臓の細胞へOVAを優先的に標的化することを示す一連のグラフである:(A.)類洞内皮細胞(LSEC)、(B.)クッパー細胞(KC)、(C.)肝細胞、および(D.)他の抗原提示細胞(APC)。
【0016】
【
図2】
図2は、F1aA-OVA-m
4-n
80(Gal-OVA)、OVAまたは生理食塩水(すなわちナイーブ(naive))で処置されたマウスにおけるOTI CD8
+T細胞の増殖を示すグラフである。
【0017】
【
図3】
図3は、生理食塩水、OVAまたはF1aA-OVA-m
4-n
80(GAL-OVA)で処置された増殖性T細胞の世代におけるOT-I CD8
+T細胞提示表面マーカー(A.)PD-1
+および(B.)アネキシンV
+の割合を示す一連のグラフである。
【0018】
【
図4】
図4は、ガラクトースコンジュゲーション[F1aA-OVA-m
4-n
80(Gal-OVA)]がOVA-特異抗体力価により決定されるOVAの免疫原性を減少させることを示すグラフである(Ab力価log
-1で示される)。
【0019】
【
図5】
図5は、F1aA-OVA-m
4-n
80(Gal-OVA)が血清からOVA-特異的な抗体を枯渇させることができることを示す。
【0020】
【
図6】
図6は、F1aA-OVA-m
4-n
80(mGal-OVA)、F1b-OVA-m
1-n
44-p
34(pGal-OVA)、およびN’-DOM-Gly
3Ser-OVA-Gly
3Ser-6xHis-C’(Dom-OVA)が、OVAおよびアジュバントLPSでの皮内チャレンジ後の流入領域リンパ節におけるOVA-特異的な免疫応答軽減することができることを示す。
【0021】
【
図7-A】
図7は、F1aA-OVA-m
4-n
80およびF1b-OVA-m
1-n
44-p
34の特性評価を示す。(A.)F1aA-OVA-m
4-n
80(マゼンタ)、F1b-OVA-m
1-n
44-p
34(青)およびコンジュゲートされていないOVA(黒色)の、サイズ排除HPCLの形跡。左へのシフトは、分子量の増加を表す。(B.)OVAコンジュゲーション後の増加した分子量を示すポリアクリルアミドゲル:(1.)コンジュゲートされていないOVA、(2.)F1aA-OVA-m
4-n
80および(3.)F1b-OVA-m
1-n
44-p
34。
【0022】
【
図8】
図8は、静脈内急速投与として注射後のマウスの循環におけるN-OVA-Gly
3Ser-6xHis-C(OVA)、N-DOM-Gly
3Ser-OVA-Gly
3Ser-6xHis-C(DOM-OVA)、またはN-OVA-Gly
3Ser-DOM-Gly
3Ser-6xHis-C(OVA DOM)の標準化された量を示すグラフである。
【0023】
【
図9(a)】
図9は、生理食塩水、DOMおよびOVA、DOM-OVA、またはOVA-DOMでの処置後の個々のマウスの循環における抗OVA IgG抗体の力価を示す一連のグラフである。OVA単独(a)またはOVAおよびCpG-B(b)の静脈内注射により抗OVA IgGの生産が誘導された。処置時間は垂直の破線により示される。力価は、検出可能な抗OVA IgGを有する血漿の最大倍希釈のlog
10として計算される。
【0024】
詳細な説明
2つの公知のアシアロ糖タンパク質受容体(“ASGPR”)は、肝細胞および肝臓類洞内皮細胞(または“LSEC”)上に発現される。他のガラクトース/ガラクトサミン/N-アセチルガラクトサミン受容体は、複数の細胞タイプ[例えば、樹状細胞、肝細胞、LSEC、およびクッパー細胞]上に様々な形態で確認されうる。樹状細胞は、“プロフェッショナルな抗原提示細胞”と考えられ、それは、それらの主要な機能が、免疫応答を生成するための免疫系に抗原を提示することだからである。肝臓内のいくつかの細胞は、抗原を提示することができると知られているが、肝臓が免疫寛容誘導に関与していることはより知られている。肝臓は、免疫寛容誘導臓器であると理解されている。例えば、移植臓器の1つが肝臓である場合、複数の臓器移植の事例では、より低い拒絶の発生率が報告されている。LSECの事例は、当該文献よりも新しく;結果的に、免疫寛容誘導および/または炎症性免疫応答の緩和におけるそれらの役割は、未だ広く認められておらず、またはあまり理解されていない。しかしながら、それらはまた、抗原特異的な寛容の誘導において重要な役割を果たしうることが明らかになってきている。
【0025】
赤血球表面の特有の特徴の1つは、その糖鎖付加、すなわち、かなりの数のグリコシル化タンパク質の存在である。実際に、グリコホリン(例えば、グリコホリンA)は、赤血球結合のための標的として利用されてきた。グリコホリンは、共有結合で付着した多くの糖鎖を有するタンパク質であり、終末端はシアル酸である。赤血球が古くなり、かつクリアランスの機が熟すと、そのグリコホリンの末端シアル酸は、失われる傾向があり、遊離末端でN-アセチルガラクトサミンを残す。N-アセチルガラクトサミンは肝細胞関連ASGPRにより選択的に受け取られるリガンドであり、肝細胞によるN-アセチルガラクトサミン-含有物質の結合、ならびに肝臓におけるそれらの引き続く取り込みおよびプロセシングにつながる。
【0026】
これまでに、肝臓の標的化をもたらす様式での治療薬の糖鎖付加は、治療薬の乏しい循環半減期をもたらす肝臓による初回通過クリアランスのために回避されるべきであると当業者に理解されている。同様に、いくつかのモノクローナル抗体は、それらのFc受容体への最適な結合のために、ASN297で特異的にグリコシル化される必要がある。驚いたことに、ガラクトシル化は免疫寛容誘導を誘導する様式で使用できることがここに見出された。
【0027】
本開示は、肝臓、特に肝細胞、LSEC、クッパー細胞および/または星状細胞、より特には肝細胞および/またはLSECへの送達のため(および、それらによる取り込みのため)に標的化されるある特定の治療用組成物、ならびに、さらにより特には、特異的にASGPRに結合するある特定の治療用組成物を提供する。肝臓標的化は、治療の2つの機構:寛容化およびクリアランスを容易にする。寛容化は、アポトーシス細胞をクリアランスする際および免疫系により“自己(self)”として認識されるそれらのタンパク質をプロセシングする際の肝臓の役割、並びに免疫寛容のための周辺タンパク質をサンプリングする際の肝臓の役割を活用する。クリアランスは、毒素、ポリペプチド等を急速に除去および分解することによる血液精製における肝臓の役割を活用する。肝臓へのこれらの組成物の標的化は、ガラクトシル化部分(例えば、ガラクトース、ガラクトサミンおよびN-アセチルガラクトサミン、特にC1、C2またはC6でコンジュゲートされる)により、別の肝臓標的化部分(例えば、モノクローナル抗体、またはそのフラグメントもしくはscFv)により、またはかかる肝臓標的化が望ましいポリペプチドを脱-シアル化することにより達成される。ガラクトシル化または他の肝臓標的化部分は、抗原に化学的にコンジュゲートされ、または組換えにより融合されうる一方で、脱シアル化は抗原ポリペプチド上のガラクトース様部分を晒す。当該抗原は、内在性(自己抗原)または外因性(外来性抗原)であり得、限定されないが:移植患者が望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を発症する外来性の移植抗原、患者が望ましくない免疫(例えば、アレルギー性または過敏症)応答を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、過敏症および/または減少治療活性)を発症する治療薬、患者が望ましくない免疫応答(例えば、自己免疫疾患)を発症する自己抗原、またはそれらの免疫寛容誘導部分(例えば、フラグメントまたはエピトープ);を含み;これらの組成物は、抗原に対する寛容化を誘導するために有用である。あるいは、ガラクトシル化または他の肝臓標的化部分は、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドにコンジュゲートでき、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、および/またはアレルギー(上述されるように)に原因的に関与し;これらの組成物は、循環タンパク質、ペプチドまたは抗体をクリアランスするために有用である。従って、本開示の組成物は、望ましくない免疫応答、例えば、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、および/またはアレルギー治療するために使用されうる。少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤と混合される治療有効量の本開示の組成物を含有する医薬組成物もまた提供される。別の態様では、本開示は、移植拒絶、治療薬に対する応答、自己免疫疾患またはアレルギーなどの望ましくない免疫応答の治療のための方法を提供する。
【0028】
定義
【0029】
本明細書中で使用されるように、以下の単語および語句は使用される文脈が他のことを示す場合を除き、下記に記載される意味を有すると一般に意図される。
【0030】
文脈が明らかに別段の指示をしない限り、単数形“a”、“an、”および“the”は、複数の対象を含む。
【0031】
“約”という用語は、数値に関連して使用される場合、典型的により低い限界、すなわち、例えば、指示される数値より5-10%小さい値を有し、かつ高い限界、すなわち、例えば、指示される数値より5-10%大きい値を有する範囲以内の数値を包含することを意味する。
【0032】
“抗原”は、T細胞受容体、B細胞受容体または抗体などの適応免疫応答の受容体のための標的として機能する任意の物質である。抗原は体内から由来してもよい(“自己(self)”、“自己(auto)”または“内在性の”)。例えば、吸入、摂取、注射、または移植により入り込み、抗原が体外から由来してもよい(“非自己”、“外来性の(foreign)”または“外因性の(endogenous)”)。外来性抗原は、食物抗原、動物抗原、植物抗原、環境抗原、治療薬、同種移植において存在する抗原を含むが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用される“抗原結合分子”は、分子、特に免疫グロブリン分子などのタンパク質に関し、エピトープへの特異的な結合を提供している抗体可変領域を含有する。抗体可変領域は、例えば、完全な抗体、抗体フラグメント、ならびに抗体もしくは抗体フラグメントの組換え誘導体中に存在しうる。本明細書で使用される抗体の“抗原結合フラグメント”(または“結合部分”)という用語は、標的配列に特異的に結合する能力を保持する1つ以上の抗体のフラグメントを指す。抗体可変領域を含有する抗原結合フラグメントは、“Fv”、“Fab”、および“F(ab’)2”領域、“単一ドメイン抗体(sdAb)”、“ナノボディー”、“一本鎖Fv(scFv)”フラグメント、“直列型のscFvs”(VHA-VLA-VHB-VLB)、“ダイアボディー(diabodies)”、“トリアボディー(triabodies)”または“トリボディー(tribodies)”、“一本鎖ダイアボディー(scDb)”、および“二重特異的なT細胞エンゲージャー(bi-specific T-cell engagers)(BiTEs)”を含む(限定なし)。
【0034】
“化学改変”は、ポリペプチドの1つ以上のアミノ酸の天然に存在する化学構造における変化を指す。かかる改変は側鎖または末端にすることができ、例えば、アミノ末端またはカルボキシル末端を変化させる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを他の材料に連結させ、または治療薬に付着させるために都合よく使用されうる化学基を作製するために、改変は有用である。
【0035】
“含む(including)”、“含有する”、または“により特徴づけられる”と同義の“含む(comprising)”という用語は、包括的もしくは非限定的であり、かつ付加的な列挙されていない要素または方法工程を除外しない。“からなる”という語句は、任意の要素、工程、または特定されない成分を除外する。“本質的に~からなる”という語句は、特定される材料もしくは工程の主題が記載される範囲を限定し、かつそれらは、その基礎および新規の特徴に実質的に影響しない。
【0036】
“保存的変化”は、活性を変化させずに一般にアミノ酸配列に対してなすことができる。これらの変化は、“保存的置換”または“変異”と称され;すなわち、特定のサイズまたは特徴を有するアミノ酸の群に属するアミノ酸を別のアミノ酸と置換することができる。アミノ酸配列についての置換物は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、およびチロシンを含む。極性の中性のアミノ酸はグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。正電荷の(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンを含む。負電荷の(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。かかる置換は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または等電点により決定される見かけ上の分子量に実質的に影響すると予想されない。保存的置換はまた、配列の光学異性体を他の光学異性体に置換すること、具体的には配列の1つ以上残基についてDアミノ酸をLアミノ酸に置換することを含む。さらに、配列中のアミノ酸がDからLへの異性体置換を受けうる。例示的保存的置換は、正電荷を維持するArgをLysへ、およびその逆;負電荷を維持するAspをGluへ、およびその逆;ThrをSerへ、結果、遊離OHが維持される;ならびに遊離NH2を維持するAsnをGlnへの置換を含むが、これらに限定されない。化学誘導体化のための要求が生じるならば、保存的置換のさらに別のタイプは、望ましい化学反応性を有するアミノ酸が化学的コンジュゲーション反応のための反応性部位を付与するために導入される場合を構成する。かかるアミノ酸は、Cys(スルフヒドリル基を挿入する)、Lys(第一級アミンを挿入する)、AspおよびGlu(カルボン酸基を挿入する)、またはケトン、アジド、アルキン、アルケン、およびテトラジン側鎖を含有する特殊な非標準アミノ酸を含むが、これらに限定されない。遊離NH2またはSHを有するアミノ酸の保存的置換または付加は、式1のリンカーおよびガラクトシル化部分との化学的コンジュゲーションのために特に有利でありうる。さらに、ポリペプチド配列または対応する核酸配列の点変異、欠失、および挿入は、いくつかの場合において、ポリペプチドまたは核酸フラグメントの機能の喪失なく作製されうる。置換は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50以上の残基を含みうる。本発明において使用可能な変異体は、200まで(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200まで)の総数のアミノ酸配列における変化(すなわち交換、挿入、欠失、N末端切断(truncation)、および/またはC末端切断)を示してもよい。本明細書に記載されるアミノ酸残基は、標準ポリペプチド命名法、J.Biol.Chem.,(1969),243,3552-3559に合わせて一文字アミノ酸表記または三文字略称のいずれかを利用する。全てのアミノ酸残基配列は、アミノ末端からカルボキシ末端の従来の方向における左右配向を有する式により本明細書に表される。
【0037】
“有効量”または“治療有効量”という用語は、かかる治療を必要とする哺乳類に投与される場合に下記に規定される治療を達成するために十分な本開示の組成物の量を指す。この量は、治療される対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、選択される特定の本開示の組成物、投与のタイミング、投与の様式等に従う投薬レジメンに、依存して変動するだろう。そして、それら全ては当業者により容易に決定されうる。
【0038】
抗原決定基としても知られている“エピトープ”は、巨大分子、例えばタンパク質のセグメントであり、適応免疫系により、例えば抗体、B細胞、またはT細胞により認識される。エピトープは、抗体またはその抗原結合フラグメントに結合することが可能な巨大分子の部分またはセグメントである。この文脈において、“結合”という用語は、特に、特異的な結合に関する。本発明の文脈において、“エピトープ”という用語は、免疫系により認識されるタンパク質またはポリタンパク質のセグメントをことが好ましい。
【0039】
ガラクトースという用語は、当該技術分野でよく知られており、かつ開鎖型でおよび環状型で両方存在し、D-およびL-異性体を有する単糖を指す。環状型では2つのアノマー、すなわちアルファおよびベータがある。アルファ型において、C1アルコール基はアキシアル位にあり、一方でベータ型において、C1アルコール基はエクアトリアル位にある。特に、“ガラクトース”は、環状六員環ピラノース、より特にはD-異性体、およびさらにより特にはアルファ-D-型(α-D-ガラクトピラノース)を指す。ガラクトースの構造および付番は下記に示される。
【0040】
【0041】
“ガラクトシル化部分”という用語は、肝臓標的化部分の特定のタイプを指す。ガラクトシル化部分はガラクトース、ガラクトサミンおよび/またはN-アセチルガラクトサミン残基を含むが、これらに限定されない。
【0042】
“肝臓標的化部分”という用語は、例えばポリペプチドを肝臓に導く能力を有する部分を指す。肝細胞、類洞上皮細胞、クッパー細胞、星状細胞、および/または樹状細胞を含むが、これらに限定されない異なる細胞タイプを、肝臓は含む。典型的には、肝臓標的化部分は、これらの細胞の1つ以上へポリペプチドを導く。それぞれの肝細胞の表面上で、受容体は存在し、肝臓標的化部分を認識し、および肝臓標的化部分に特異的に結合する。肝臓標的化は、ガラクトシル化部分への抗原もしくはリガンドの化学的コンジュゲーション、潜在的なガラクトシル部分を晒すための抗原もしくはリガンドの脱シアル化、ASGPR-結合部分への抗原もしくはリガンドの組換え体の融合もしくは化学的コンジュゲーション、または抗原またはリガンドへの内在性の抗体の特異的な結合により達成でき、ここで抗原またはリガンドは:潜在的なガラクトシル部分を晒すために脱シアル化され、ガラクトシル化部分にコンジュゲートされ、またはASGPR-結合部分へ組換えにより融合され、もしくは化学的にコンジュゲートされる。天然に存在する脱シアル化タンパク質は、本開示の範囲内に包含されない。
【0043】
様々な置換基のために提供される“数値”および“範囲”は、記載の範囲内の全ての整数を包含するように意図される。例えば、約1から100、特に約8から90、およびより特に約40から80のエチレングリコール基を含む混合物であって、典型的にn±約10%(または1から約25、±3より小さい整数について)として特定される整数を包含する混合物を表す整数としてnを規定する場合、nは、約1から100の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95、99、100、105または110)とすることができ、かつ開示される混合物は、1-4、2-4、2-6、3-8、7-13、6-14、18-23、26-30、42-50、46-57、60-78、85-90、90-110および107-113エチレングリコール基などの範囲を包含すると理解されるべきである。併用の用語“約”および“±10%”または“±3”は、どこで使用されても同等の範囲のための特異的な裏付けを開示し、および提供すると理解されるべきである。
【0044】
“任意の”または“任意に”という用語は、引き続いて記載される事象もしくは状況が起こっても起こらなくてもよいこと、ならびに、当該記載は事象もしくは状況が起こる実例、およびそれが起こらない実例を含むことを意味する。
【0045】
特定の標的に特異的に結合するペプチドは、その標的に対する“リガンド”と称される。
【0046】
翻訳後修飾(例えば、リン酸化または糖鎖付加)ならびに/または付加的なポリペプチドを有する複合体形成、ならびに/または核酸および/もしくは炭水化物、または他の分子とのマルチサブユニット複合体への合成に関係なく、“ポリペプチド”は、アミノ酸残基の鎖を指す用語である。従ってプロテオグリカンはまた本明細書でポリペプチドと称される。長いポリペプチド(約50アミノ酸超を有する)は、“タンパク質”と称される。短いポリペプチド(約50アミノ酸以下を有する)は、“ペプチド”と称される。サイズ、アミノ酸組成および三次元構造に依存して、ある特定のポリペプチドは、“抗原結合分子”、“抗体”、“抗体フラグメント”または“リガンド”と称されうる。ポリペプチドは、多くの方法により産生でき、その多くは当該技術分野でよく知られている。例えば、ポリペプチドを、抽出により(例えば、単離細胞から)、ポリペプチドをコードする組換え核酸の発現により、または化学合成により、得ることができる。ポリペプチドは、例えば、組換え技術、およびコードされるポリペプチドの発現のために宿主細胞へ導入される(例えば、形質転換または遺伝子導入により)ポリペプチドをコードする発現ベクターにより産生されうる。
【0047】
本明細書で使用される、“薬学的に許容可能な担体”または“薬学的に許容可能な賦形剤”は、任意の、および全ての溶媒、分散媒、被膜、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。薬学的に活性な物質のためのかかる媒質および薬剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。任意の従来の媒質もしくは薬剤が活性成分と不適合である限りを除いて、治療用組成物におけるその使用が想定される。補助的な活性成分はまた、当該組成物に組み込まれうる。
【0048】
ポリペプチドに関して本明細書で使用される“精製”という用語は、化学合成されており、従って他のポリペプチドにより実質的に汚染されていないポリペプチド、またはほとんどの自然に付随する他の細胞成分(例えば、他の細胞タンパク質、ポリヌクレオチド、または細胞成分)から分離され、または単離されているポリペプチドを指す。精製ポリペプチドの例は、乾燥重量で少なくとも70%で、自然に伴うタンパク質および天然に存在する有機物分子からフリーであるポリペプチドである。従って精製ポリペプチドの調製は、例えば、乾燥重量で少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも99%ポリペプチドでありうる。ポリペプチドはまた、精製または標識(例えば、親和性マトリックスへの取り込み、顕微鏡での可視化)を容易にするタグ配列(例えば、ポリヒスチジンタグ、mycタグ、FLAG(登録商標)タグ、または他の親和性タグ)を含有するよう設計されうる。従って別段の指示がない限り、ポリペプチドを含む精製組成物は精製ポリペプチドを指す。“単離され”という用語は、本開示のポリペプチドまたは核酸がそれらの自然環境中ではないことを示す。従って本開示の単離産物は、培養上清に含有され、部分的に濃縮され、異種由来から産生され、ベクターにクローニングされ、またはビヒクルを用いて製剤化等されうる。
【0049】
“配列同一性”という用語は、ポリペプチド配列比較に関して使用される。この表現は特に配列同一性の割合を指し、例えばそれぞれの参照ポリペプチドまたはそれぞれの参照ポリヌクレオチドと少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性の割合を指す。問題とするポリペプチドおよび参照ポリペプチドは、特に、一続きの20、30、40、45、50、60、70、80、90、100以上のアミノ酸に渡ってまたは参照ポリペプチドの全長に渡って示される配列同一性を示す。
【0050】
生物学の分野で一般に使用されるように、“特異的な結合”という用語は非標的組織と比較して相対的に高い親和性で標的に結合する分子を指し、例えば静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合等の複数の非共有結合性の相互作用を一般に伴う。特異的な結合の相互作用は、抗体-抗原結合、酵素-基質結合、およびある特定のタンパク質-受容体相互作用を特徴づける;一方で、かかる非標的結合が重要でない程度まで随時、それらの特異的な標的加えて組織に、かかる分子は結合するかも知れない、高-親和性結合対はまだ、特異的な結合の定義内に入りうる。
【0051】
“治療(treatment)”または“治療(treating)”という用語は、哺乳類における疾病または障害の任意の治療を意味し:
疾病もしくは障害を予防することもしくは保護すること、すなわち、臨床症状が発症しないようにすること;
疾病もしくは障害を阻害すること、すなわち、臨床症状の発症を抑止もしくは抑制すること;ならびに/または
疾病もしくは障害を軽減すること、すなわち、臨床症状の退縮を引き起こすことを含む。
【0052】
“望ましくない免疫応答”という用語は、対象の免疫系による反応を指し、それは所定の状況で望ましくない。もしかかる反応が疾病または障害の予防、減少、または治癒につながらず、代わりに障害または疾病を引き起こし、増強しまたは悪化させるならば、当該免疫系の反応は望ましくない。典型的には、もし免疫系の反応が不適当な標的に対して向けられるならば、免疫系の反応は、疾病を引き起こし、増強しまたは悪化させる。例示的に、望ましくない免疫応答は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、ならびにアレルギー性もしくは過敏症を含むが、これらに限定されない。
【0053】
“変異体”という用語は、その長さ、配列、または構造における1つ以上の変化により由来されるタンパク質と比較して異なるタンパク質として理解されている。タンパク質変異体が由来するポリペプチドはまた、親ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとしてよく知られている。“変異体”という用語は、親分子の“フラグメント”または“誘導体”を含む。典型的には、“フラグメント”は、長さまたはサイズにおいて親分子より小さく、一方で“誘導体”は、親分子と比較してそれらの配列または構造における1つ以上差異を示す。改変分子はまた、例えば翻訳後修飾タンパク質(例えばグリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、パルミトイル化、もしくはタンパク分解的切断タンパク質)およびメチル化DNAなどの改変核酸が包含されるが、これらに限定されない。RNA-DNAハイブリッドなどの異なる分子の混合物はまた、“変異体”という用語により包含されるが、限定されない。天然に存在する、および人工的に構築された変異体は、本明細書で使用される“変異体”という用語により包含されると理解されている。さらに、変異体が親分子の少なくとも1つの生物学的活性を示す、すなわち、機能的に活性であるという条件で、本発明において使用可能な変異体はまた、親分子の相同体、オルソログ、もしくはパラログ、または人工的に構築された変異体に由来してもよい。変異体は、それが由来する親ポリペプチドへのある特定の配列同一性の度合により特徴づけられうる。より正確には、本開示の文脈におけるタンパク質変異体は、その親ポリペプチドへの少なくとも80%の配列同一性を示してもよい。好ましくは、タンパク質変異体の配列同一性は一続きの20、30、40、45、50、60、70、80、90、100以上のアミノ酸に渡る。
【発明を実施するための形態】
【0054】
組成物
【0055】
本開示の一態様は、式1により表される組成物、医薬品製剤、およびかかる組成物を利用する治療方法に関し:
【化9】
ここで:
mは約1から100の整数であり、特に約1から20、およびもっとも特には1から約10であり;
Xは抗原部分、特に外来性抗原、もしくは患者が望ましくない免疫応答を発症する自己抗原、またはかかる抗原部分の免疫寛容誘導部分(例えば、フラグメントまたはエピトープ)であり;
Yはリンカー部分もしくは直接結合、またはXに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは他のリガンドであり;かつ
Zは肝臓標的化部分、特にガラクトシル化部分である。
それぞれの抗原、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドがリンカーまたはガラクトシル化部分が結合されうる部位(主にN末端のアミン、リジン残基およびシステイン残基)の個々の数および密度を有するとされる中で、式1におけるmについての値は、Xの性質に依存するだろう。リジンまたはシステイン残基を加えることにより、かかる部位の限定数を有する抗原は、例えばNまたはC末端で、誘導体化されうる(任意に切断可能なリンカー、特に免疫プロテアソーム切断部位を有するリンカーを介して)。一般に、式1の組成物におけるガラクトシル化の十分な度合を提供することは、肝細胞による取り込みを容易にするするために好ましい。本開示の医薬品製剤および方法は、それぞれ異なるX部分(例えば、特定の望ましくない免疫応答に関連するいくつかのエピトープ)を担う式1の組成物の混合物を利用することができる。
【0056】
式1の組成物は、反応式に関して下記に記載される式1aから1pにより説明されるように、Xが移植患者が望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を発症する外来性の移植抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、アレルギー性または過敏症)を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、過敏症および/または減少治療活性)を発症する外来性の治療薬、または患者が望ましくない免疫応答(例えば、自己免疫疾患)を発症する自己抗原であり;Yが式YaからYpのリンカーであり;かつ/または、Zがガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである、亜属を含む。
【0057】
本開示はさらに、式2により表される薬学的に許容可能な組成物を提供し:
【化10】
ここで:
m’はゼロまたは約1から10の整数であり、m”はゼロまたは約1から10の整数であり、かつm’+m”の総和は約1から10の整数であるが、少なくとも1であり;
Xは抗原部分、特に外来性抗原、もしくは患者が望ましくない免疫応答を発症する自己抗原、またはかかる抗原部分の免疫寛容誘導部分(例えば、フラグメントまたはエピトープ)であり;
Yはリンカー部分もしくは直接結合、またはXに特異的に結合する、抗体、抗体フラグメント、ペプチドもしくは他のリガンドであり;かつ
Zは肝臓標的化部分、特にASGPR標的化抗体、ASGPR標的化抗体フラグメント、ASGPR標的化ペプチド、ASGPR標的化scFv、または別のASGPRリガンドであり、
かかる組成物は、任意に単離および精製を容易にするアミノ酸配列[例えば、配列:HHHHHH(配列番号:1)を有する“Hisタグ”もしくは“6xHis”]ならびに付加的なリンカー[例えば、配列:GGGS(配列番号:2)を有する“Gly
3Ser”]を含む。m’+m”が、1より大きい式2の組成物において、X部分は、同一もしくは異なるものとすることができ、ならびにY部分は、同一もしくは異なるものとすることができる。m’+m”についての値は、Xが完全タンパク質である場合、より小さく(例えば、3以下)、またはXがペプチドである場合、より大きい(約10まで)。リンカー“Y”は切断部位、特に免疫プロテアソーム切断部位を有利に含みうる。
【0058】
式2の組成物は、Xが移植患者が望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を発症する外来性の移植抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、アレルギー性または過敏症)を発症する外来性の食物、動物、植物もしくは環境の抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、過敏症および/または減少治療活性)を発症する外来性の治療薬、または患者が望ましくない免疫応答(例えば、自己免疫疾患)を発症する自己抗原である、亜属を含む。
【0059】
あるいは、式1および/または式2の組成物において、Xは、循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドとすることができ、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、過敏症および/もしくはアレルギーに原因的に関与する。
【0060】
式2の組成物は融合タンパク質として調製でき、かつそれらの調製および精製において有用ないくつかの成分、例えば、特異的な輸送経路へ発現ポリペプチドを導き、かつ引き続いてポリペプチドから切断されるシグナル配列もしくはリーダー配列などを含みうる;従ってシグナル配列は、発現されるタンパク質およびそれをコードするDNAのパーツでありうるが、最終的な組成物の部分ではない。発現系において使用される哺乳類のシグナル配列の一例は、Ig κ鎖配列であり、タンパク質分泌を導く:METDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号:3)である。同様に、発現系において使用される一般的な細菌性のシグナル配列の一例は、pelBシグナル配列であり、発現タンパク質を細菌のペリプラズムへ導く:MKYLLPTAAAGLLLLAAQPAMA(配列番号:4)である。
【0061】
抗原
【0062】
式1の組成物および/または式2におけるXとして利用される抗原は、タンパク質またはペプチドとすることができ、例えば抗原は、完全なもしくは部分的な治療薬、完全長の移植タンパク質もしくはそのペプチド、完全長の自己抗原もしくはそのペプチド、完全長のアレルゲンもしくはそのペプチド、ならびに/または核酸、または上述の抗原の模倣体であってもよい。
【0063】
本開示の実行において利用される抗原は、以下の1つ以上でありうる:
・ 抗体フラグメント、ならびに抗体および抗体フラグメントとの融合タンパク質を含む、タンパク質、ペプチド、抗体および抗体様分子である治療薬。これらは、ヒト、非ヒト(マウスなど)および非天然(すなわち、設計された)タンパク質、抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ならびに例えばフィブロネクチン、DARPin、ノッチン等の非抗体結合スキャフォールドを含む。
・ 移植患者が望ましくない免疫応答を発症するヒト同種移植抗原。
・ 望ましくない自己免疫応答を引き起こす自己抗原。自己抗原は、自己免疫疾患患者における内在性の起源のものである一方で、本開示の組成物において利用されるポリペプチドは、典型的に外因的に合成される(発生源から精製され、濃縮されることとは対照的に)と当業者は認識するだろう。
・ 患者が望ましくない免疫応答を経験する食物、動物、植物および環境の抗原などの外来性抗原。治療用のタンパク質はまた、その外因的起源に起因する外来性抗原と考えらうる一方で、本開示の記載を明確にするために、かかる治療剤は別々の群として記載されていると当業者は認識するだろう。同様に、植物または動物抗原は食すことができ、かつ食物抗原と考えられ、かつ環境抗原は植物から由来してもよい。それらは、しかしながら、全て外来性抗原である。簡潔性の観点で、当業者が、特に詳細な説明および実施例に照らして、本開示の組成物において利用されうる抗原を認識できるかかる潜在的に重複する群の全てを区別し、および規定するように記載する試みはなされないだろう。
抗原は、完全タンパク質、完全タンパク質の部分、ペプチド等とすることができ、かつリンカーおよび/もしくはガラクトシル化部分への付着のために誘導体化でき(上述のように)、変異体とすることができ、および/もしくは特に配列同一性を維持して保存的置換を含有することができ、ならびに/または脱シアル化することができる。
【0064】
抗原が治療用のタンパク質、ペプチド、抗体または抗体様分子である実施形態では、特異的な抗原は以下から選択されうる:アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデノシンデアミナーゼ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン、アルグルセラーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、α-1-プロテアーゼ阻害剤、アナキンラ、アニストレプラーゼ(アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化複合体)、アンチトロンビン III、抗胸腺細胞グロブリン、アルテプラーゼ、ベバシズマブ、ビバリルジン、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、C1エステラーゼ阻害剤、カナキヌマブ、カルボキシペプチダーゼG2(グルカルピダーゼおよびVoraxaze)、セルトリズマブ ペゴル、セツキシマブ、コラゲナーゼ、マムシ類(Crotalidae)免疫Fab、ダルベポエチン-α、デノスマブ、ジゴキシン免疫Fab、ドルナーゼアルファ、エクリズマブ、エタネルセプト、活性化第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第XI因子、第XIII因子、フィブリノーゲン、フィルグラスチム、ガルスルファーゼ、ゴリムマブ、酢酸ヒストレリン、ヒアルロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、イミグルセラーゼ、インフリキシマブ、インスリン[組換え体ヒトインスリン(“rHu インスリン”)およびウシインスリンを含む]、インターフェロン-α2a、インターフェロン-α2b、インターフェロン-β1a、インターフェロン-β1b、インターフェロン-γ1b、イピリムマブ、L-アルギナーゼ、L-アスパラギナーゼ、L-メチオニナーゼ(methionase)、ラクターゼ、ラロニダーゼ、レピルジン/ヒルジン、メカセルミン、メカセルミンリンファバート、メトキシナタリズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オプレルベキン、膵臓アミラーゼ、膵臓リパーゼ、パパイン、Peg-アスパラギナーゼ、Peg-ドキソルビシン HCl、PEG-エポエチン-β、ペグフィルグラスチム、Peg-インターフェロン-α2a、Peg-インターフェロン-α2b、ペグロチカーゼ、ペグビソマント、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、プロテインC、ラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、サクロシダーゼ、サケカルシトニン、サルグラモスチム、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、テリパラチド、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラスツズマブ、1型アルファ-インターフェロン、ウステキヌマブ、vW因子。治療用のタンパク質は天然の供給源から獲得され(例えば、濃縮され、かつ精製される)、または例えば、組換えにより合成される得、ならびに典型的にはIgG モノクローナルもしくはフラグメントまたは融合物である抗体治療剤を含む。
【0065】
様々な形式のアブシキシマブ、アダリムマブ、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン、アルグルコシダーゼアルファ、第VIII因子、第IX因子、インフリキシマブ、インスリン(rHu インスリンを含む)、L-アスパラギナーゼ、ラロニダーゼ、ナタリズマブ、オクトレオチド、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、またはラスブリカーゼ(ウリカーゼ)および一般にIgG モノクローナル抗体を、特定の治療用のタンパク質、ペプチド、抗体もしくは抗体様分子は含む。
【0066】
別の特定の群は、止血剤(第VIII因子および第IX因子)、インスリン(rHu インスリンを含む)、ならびに非ヒト治療ウリカーゼ、PALおよびアスパラギナーゼを含む。
【0067】
血液学および移植において望ましくない免疫応答は、自己免疫性再生不良性貧血、移植拒絶(一般に)、および移植片対宿主病(骨髄移植拒絶)を含む。抗原がヒト同種移植抗原である実施形態では、特定の配列は:様々なMHCクラスIおよびMHCクラスIIハプロタイプタンパク質(例えば、組織の交差適合試験において同定されるドナー/レシピエント差異)のサブユニットならびにRhCE、Kell、Kidd、DuffyおよびSsを含む少数の血液型抗原上の単一アミノ酸多型から選択されうる。かかる組成物は、所定のドナー/レシピエントの対のために個々に調製されうる。
【0068】
抗原が自己抗原である実施形態では、特異的な抗原(およびそれらが関連する自己免疫疾患)は以下から選択されうる:
・ 1型糖尿病において、いくつかの主要な抗原は:インスリン、プロインスリン、プレプロインスリン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ-65(GAD-65またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ2)、GAD-67、グルコース-6-ホスファターゼ2(IGRPまたは膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質)、インスリノーマ-関連タンパク質2(IA-2)、およびインスリノーマ-関連タンパク質2(IA-2)と同定されており;他の抗原は、ICA69、ICA12(SOX-13)、カルボキシペプチダーゼH、Imogen38、GLIMA38、クロモグラニンA、HSP-60、カルボキシペプチダーゼE、ペリフェリン、2型グルコース輸送体、肝細胞癌-腸-膵臓/膵臓の関連タンパク質、S100β、グリア線維性酸性タンパク質、再生遺伝子II、膵臓十二指腸ホメオボックス1、筋強直性ジストロフィーキナーゼ、膵島特異的グルコース-6-ホスファターゼ触媒サブユニット-関連タンパク質、およびSST Gタンパク質共役型受容体1-5を含む。インスリンは自己抗原および治療用のタンパク質抗原の両方として特徴づけられうる抗原の一例であることに留意すべきである。例えば、rHu インスリンおよびウシインスリンは治療用のタンパク質抗原(望ましくない免疫攻撃の対象である)であり、一方で内在性ヒトインスリンは自己抗原(望ましくない免疫攻撃の対象である)である。内在性ヒトインスリンは、医薬組成物において利用されるためには入手可能ではないので、組換え型が本開示の組成物において利用される。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むヒトインスリンは、以下の配列(UNIPROT P01308)を有する:
MALWMRLLPL LALLALWGPD PAAAFVNQHL CGSHLVEALY LVCGERGFFY TPKTRREAED LQVGQVELGG GPGAGSLQPL ALEGSLQKRG IVEQCCTSIC SLYQLENYCN(配列番号:5)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むGAD-65は、以下の配列(UNIPROT Q05329)を有する:
MASPGSGFWS FGSEDGSGDS ENPGTARAWC QVAQKFTGGI GNKLCALLYG DAEKPAESGG SQPPRAAARK AACACDQKPC SCSKVDVNYA FLHATDLLPA CDGERPTLAF LQDVMNILLQ YVVKSFDRST KVIDFHYPNE LLQEYNWELA DQPQNLEEIL MHCQTTLKYA IKTGHPRYFN QLSTGLDMVG LAADWLTSTA NTNMFTYEIA PVFVLLEYVT LKKMREIIGW PGGSGDGIFS PGGAISNMYA MMIARFKMFP EVKEKGMAAL PRLIAFTSEH SHFSLKKGAA ALGIGTDSVI LIKCDERGKM IPSDLERRIL EAKQKGFVPF LVSATAGTTV YGAFDPLLAV ADICKKYKIW MHVDAAWGGG LLMSRKHKWK LSGVERANSV TWNPHKMMGV PLQCSALLVR EEGLMQNCNQ MHASYLFQQD KHYDLSYDTG DKALQCGRHV DVFKLWLMWR AKGTTGFEAH VDKCLELAEY LYNIIKNREG YEMVFDGKPQ HTNVCFWYIP PSLRTLEDNE ERMSRLSKVA PVIKARMMEY GTTMVSYQPL GDKVNFFRMV ISNPAATHQD IDFLIEEIER LGQDL(配列番号:6)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むIGRPは、以下の配列(UNIPROT QN9QR9)を有する:
MDFLHRNGVLIIQHLQKDYRAYYTFLNFMSNVGDPRNIFFIYFPLCFQFNQTVGTKMIWVAVIGDWLNLIFKWILFGHRPYWWVQETQIYPNHSSPCLEQFPTTCETGPGSPSGHAMGASCVWYVMVTAALSHTVCGMDKFSITLHRLTWSFLWSVFWLIQISVCISRVFIATHFPHQVILGVIGGMLVAEAFEHTPGIQTASLGTYLKTNLFLFLFAVGFYLLLRVLNIDLLWSVPIAKKWCANPDWIHIDTTPFAGLVRNLGVLFGLGFAINSEMFLLSCRGGNNYTLSFRLLCALTSLTILQLYHFLQIPTHEEHLFYVLSFCKSASIPLTVVAFIPYSVHMLMKQSGKKSQ(配列番号:7)。
・ 橋本甲状腺炎およびグレーブス病を含む甲状腺の自己免疫疾患において、主要な抗原は、チログロブリン(TG)、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)および甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)を含み;他の抗原は、ナトリウムヨウ素共輸送体(NIS)およびメガリンを含む。甲状腺関連眼疾患および皮膚症において、TSHRを含む甲状腺自己抗原に加えて、抗原はインスリン様成長因子1受容体である。副甲状腺機能低下症において、主要な抗原はカルシウム感受性受容体である。
・ アジソン病において、主要な抗原は、21-ヒドロキシラーゼ、17 -ヒドロキシラーゼ、およびP450側鎖切断酵素(P450scc)を含み;他の抗原は、ACTH受容体、P450c21およびP450c17を含む。
・ 早期卵巣機能不全において、主要な抗原は、FSH受容体および -エノラーゼを含む。
・ 自己免疫性下垂体炎または下垂体自己免疫疾患において、主要な抗原は、下垂体特異的タンパク質因子(PGSF)1aおよび2を含み;別の抗原は、2型ヨードチロニンデヨージナーゼを含む。
・ 多発性硬化症において、主要な抗原は、ミエリン塩基性タンパク質(“MBP”)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(“MOG”)およびミエリンプロテオリピドタンパク質(“PLP”)を含む。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むMBPは、以下の配列(UNIPROT P02686)を有する:
MGNHAGKRELNAEKASTNSETNRGESEKKRNLGELSRTTSEDNEVFGEADANQNNGTSSQDTAVTDSKRTADPKNAWQDAHPADPGSRPHLIRLFSRDAPGREDNTFKDRPSESDELQTIQEDSAATSESLDVMASQKRPSQRHGSKYLATASTMDHARHGFLPRHRDTGILDSIGRFFGGDRGAPKRGSGKDSHHPARTAHYGSLPQKSHGRTQDENPVVHFFKNIVTPRTPPPSQGKGRGLSLSRFSWGAEGQRPGFGYGGRASDYKSAHKGFKGVDAQGTLSKIFKLGGRDSRSGSPMARR(配列番号:8)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むMOGは、以下の配列(UNIPROT Q16653)を有する:
MASLSRPSLPSCLCSFLLLLLLQVSSSYAGQFRVIGPRHPIRALVGDEVELPCRISPGKNATGMEVGWYRPPFSRVVHLYRNGKDQDGDQAPEYRGRTELLKDAIGEGKVTLRIRNVRFSDEGGFTCFFRDHSYQEEAAMELKVEDPFYWVSPGVLVLLAVLPVLLLQITVGLIFLCLQYRLRGKLRAEIENLHRTFDPHFLRVPCWKITLFVIVPVLGPLVALIICYNWLHRRLAGQFLEELRNPF(配列番号:9)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むPLPは、以下の配列(UNIPROT P60201)を有する:
MGLLECCARCLVGAPFASLVATGLCFFGVALFCGCGHEALTGTEKLIETYFSKNYQDYEYLINVIHAFQYVIYGTASFFFLYGALLLAEGFYTTGAVRQIFGDYKTTICGKGLSATVTGGQKGRGSRGQHQAHSLERVCHCLGKWLGHPDKFVGITYALTVVWLLVFACSAVPVYIYFNTWTTCQSIAFPSKTSASIGSLCADARMYGVLPWNAFPGKVCGSNLLSICKTAEFQMTFHLFIAAFVGAAATLVSLLTFMIAATYNFAVLKLMGRGTKF(配列番号:10)。
・ 多発性硬化症を治療するための本開示の組成物において有用なペプチド/エピトープは、式1の組成物において個々に、式1の組成物の混合物においてともに、または1つ以上の式2の組成物において融合される、いくつかの、または全ての以下の配列を含む:
・ MBP13-32:KYLATASTMDHARHGFLPRH(配列番号:11);
・ MBP83-99:ENPWHFFKNIVTPRTP(配列番号:12);
・ MBP111-129:LSRFSWGAEGQRPGFGYGG(配列番号:13);
・ MBP146-170:AQGTLSKIFKLGGRDSRSGSPMARR(配列番号:14);
・ MOG1-20:GQFRVIGPRHPIRALVGDEV(配列番号:15);
・ MOG35-55:MEVGWYRPPFSRWHLYRNGK(配列番号:16);および
・ PLP139-154:HCLGKWLGHPDKFVGI(配列番号:17)。
・ 関節リウマチにおいて、主要な抗原は、コラーゲンII、免疫グロブリン結合タンパク質、免疫グロブリンGのフラグメント結晶化領域、二本鎖DNA、ならびに関節リウマチの病態において関与されるタンパク質の自然なおよびシトルリン化形態を含み、フィブリン/フィブリノーゲン、ビメンチン、コラーゲンIおよびII、ならびにアルファ-エノラーゼを含む。
・ 自己免疫性胃炎において、主要な抗原は、H+、K+-ATPaseである。
・ 悪性貧血において、主要な抗原は、内因子である。
・ セリアック病において、主要な抗原は、組織トランスグルタミナーゼならびに、自然なおよび脱アミドされるグルテンまたはアルファ-、ガンマ-、およびオメガ-グリアジン、グルテニン、ホルデイン、セカリン、ならびにアベニンなどのグルテン-様タンパク質の形態である。例えば、セリアック病の主要な抗原は、アルファグリアジンであると同時に、アルファグリアジンは、組織グルタミナーゼが、アルファグリアジンのグルタミンをグルタミン酸に変換することによる脱アミドを通じて、体において、より免疫原性に変わると当業者は認識するだろう。従って、アルファグリアジンが最初の外来性食物抗原であると同時に、一度体において改変されてより免疫原性になると、それは自己抗原として特徴づけられうる。
・ 白斑において、主要な抗原は、チロシナーゼ、ならびにチロシナーゼ関連タンパク質1および2である。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むMART1、T細胞1により認識されるメラノーマ抗原、メランAは、以下の配列(UNIPROT Q16655)を有する:
MPREDAHFIYGYPKKGHGHSYTTAEEAAGIGILTVILGVLLLIGCWYCRRRNGYRALMDKSLHVGTQCALTRRCPQEGFDHRDSKVSLQEKNCEPVVPNAPPAYEKLSAEQSPPPYSP(配列番号:18)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むチロシナーゼは、以下の配列(UNIPROT P14679)を有する:
MLLAVLYCLLWSFQTSAGHFPRACVSSKNLMEKECCPPWSGDRSPCGQLSGRGSCQNILLSNAPLGPQFPFTGVDDRESWPSVFYNRTCQCSGNFMGFNCGNCKFGFWGPNCTERRLLVRRNIFDLSAPEKDKFFAYLTLAKHTISSDYVIPIGTYGQMKNGSTPMFNDINIYDLFVWMHYYVSMDALLGGSEIWRDIDFAHEAPAFLPWHRLFLLRWEQEIQKLTGDENFTIPYWDWRDAEKCDICTDEYMGGQHPTNPNLLSPASFFSSWQIVCSRLEEYNSHQSLCNGTPEGPLRRNPGNHDKSRTPRLPSSADVEFCLSLTQYESGSMDKAANFSFRNTLEGFASPLTGIADASQSSMHNALHIYMNGTMSQVQGSANDPIFLLHHAFVDSIFEQWLRRHRPLQEVYPEANAPIGHNRESYMVPFIPLYRNGDFFISSKDLGYDYSYLQDSDPDSFQDYIKSYLEQASRIWSWLLGAAMVGAVLTALLAGLVSLLCRHKRKQLPEEKQPLLMEKEDYHSLYQSHL(配列番号:19)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むメラニン形成細胞タンパク質PMEL、gp100は、以下の配列(UNIPROT P40967)を有する:
MDLVLKRCLLHLAVIGALLAVGATKVPRNQDWLGVSRQLRTKAWNRQLYPEWTEAQRLDCWRGGQVSLKVSNDGPTLIGANASFSIALNFPGSQKVLPDGQVIWVNNTIINGSQVWGGQPVYPQETDDACIFPDGGPCPSGSWSQKRSFVYVWKTWGQYWQVLGGPVSGLSIGTGRAMLGTHTMEVTVYHRRGSRSYVPLAHSSSAFTITDQVPFSVSVSQLRALDGGNKHFLRNQPLTFALQLHDPSGYLAEADLSYTWDFGDSSGTLISRALVVTHTYLEPGPVTAQVVLQAAIPLTSCGSSPVPGTTDGHRPTAEAPNTTAGQVPTTEVVGTTPGQAPTAEPSGTTSVQVPTTEVISTAPVQMPTAESTGMTPEKVPVSEVMGTTLAEMSTPEATGMTPAEVSIVVLSGTTAAQVTTTEWVETTARELPIPEPEGPDASSIMSTESITGSLGPLLDGTATLRLVKRQVPLDCVLYRYGSFSVTLDIVQGIESAEILQAVPSGEGDAFELTVSCQGGLPKEACMEISSPGCQPPAQRLCQPVLPSPACQLVLHQILKGGSGTYCLNVSLADTNSLAVVSTQLIMPGQEAGLGQVPLIVGILLVLMAVVLASLIYRRRLMKQDFSVPQLPHSSSHWLRLPRIFCSCPIGENSPLLSGQQV(配列番号:20)。
・ 重症筋無力症において、主要な抗原はアセチルコリン受容体である。
・ 尋常性天疱瘡およびバリアント型において、主要な抗原はデスモグレイン3、1および4であり;他の抗原は、ペンファキシン(pemphaxin)、デスモコリン、プラコグロビン、ペルプラキン(perplakin)、デスモプラキン、およびアセチルコリン受容体を含む。
・ 水疱性類天疱瘡において、主要な抗原は、BP180およびBP230を含み;他の抗原は、プレクチンおよびラミニン5を含む。
・ ジューリング疱疹状皮膚炎において、主要な抗原は、筋内膜および組織トランスグルタミナーゼを含む。
・ 後天性表皮水疱症において、主要な抗原は、コラーゲンVIIである。
・ 全身性硬化症において、主要な抗原は、マトリックスメタロプロテイナーゼ1および3、コラーゲン-特異的分子シャペロン熱ショックタンパク質47、フィブリリン-1、ならびにPDGF受容体を含み;他の抗原は、Scl-70、U1 RNP、Th/To、Ku、Jo1、NAG-2、セントロメアタンパク質、トポイソメラーゼI、核小体タンパク質、RNAポリメラーゼI、IIおよびIII、PM-Slc、フィブリラリン、ならびにB23を含む。
・ 混合性結合組織病において、主要な抗原はU1snRNPである。
・ シェーグレン症候群において、主要な抗原は核抗原SS-AおよびSS-Bであり;他の抗原は、フォドリン、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼおよびトポイソメラーゼ、ムスカリン受容体、ならびにFc-γ受容体IIIbを含む。
・ 全身性エリテマトーデスにおいて、主要な抗原は、“スミス抗原”、SS-A、ハイモビリティ・グループ・ボックス1(HMGB1)、ヌクレオソーム、ヒストンタンパク質および二本鎖DNAを含む核タンパク質(これらに対して、疾病過程において自己抗体が作製される)を含む。
・ グッドパスチャー症候群において、主要な抗原は、コラーゲンIVを含む糸球体基底膜タンパク質を含む。
・ リウマチ性心疾患において、主要な抗原は、心筋ミオシンである。
・ 多腺性自己免疫症候群1型において、抗原は、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、システインスルフィン酸デカルボキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、肝臓P450チトクロームP450 1A2もしくは2A6、SOX-9、SOX-10、カルシウム感知受容体タンパク質、ならびに1型インターフェロンのインターフェロンアルファ、ベータおよびオメガを含む。
・ 視神経脊髄炎において、主要な抗原は、AQP4である。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むアクアポリン4は、以下の配列(UNIPROT P55087)を有する:
MSDRPTARRWGKCGPLCTRENIMVAFKGVWTQAFWKAVTAEFLAMLIFVLLSLGSTINWGGTEKPLPVDMVLISLCFGLSIATMVQCFGHISGGHINPAVTVAMVCTRKISIAKSVFYIAAQCLGAIIGAGILYLVTPPSVVGGLGVTMVHGNLTAGHGLLVELIITFQLVFTIFASCDSKRTDVTGSIALAIGFSVAIGHLFAINYTGASMNPARSFGPAVIMGNWENHWIYWVGPIIGAVLAGGLYEYVFCPDVEFKRRFKEAFSKAAQQTKGSYMEVEDNRSQVETDDLILKPGVVHVIDVDRGEEKKGKDQSGEVLSSV(配列番号:21)。
・ ぶどう膜炎において、主要な抗原は、網膜S-抗原または“S-アレスチン”および光受容体間レチノイド結合タンパク(IRBP)またはレチノール結合タンパク質3を含む。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むS-アレスチンは、以下の配列(UNIPROT P10523)を有する:
MAASGKTSKS EPNHVIFKKI SRDKSVTIYL GNRDYIDHVS QVQPVDGVVL VDPDLVKGKK VYVTLTCAFR YGQEDIDVIG LTFRRDLYFS RVQVYPPVGA ASTPTKLQES LLKKLGSNTY PFLLTFPDYL PCSVMLQPAP QDSGKSCGVD FEVKAFATDS TDAEEDKIPK KSSVRLLIRK VQHAPLEMGP QPRAEAAWQF FMSDKPLHLA VSLNKEIYFH GEPIPVTVTV TNNTEKTVKK IKAFVEQVAN VVLYSSDYYV KPVAMEEAQE KVPPNSTLTK TLTLLPLLAN NRERRGIALD GKIKHEDTNL ASSTIIKEGI DRTVLGILVS YQIKVKLTVS GFLGELTSSE VATEVPFRLM HPQPEDPAKE SYQDANLVFE EFARHNLKDA GEAEEGKRDK NDVDE(配列番号:22)。
・ 本開示の組成物において有用な外因的に得られる形態を含むIRBPは、以下の配列(UNIPROT P10745)を有する:
MMREWVLLMSVLLCGLAGPTHLFQPSLVLDMAKVLLDNYCFPENLLGMQEAIQQAIKSHEILSISDPQTLASVLTAGVQSSLNDPRLVISYEPSTPEPPPQVPALTSLSEEELLAWLQRGLRHEVLEGNVGYLRVDSVPGQEVLSMMGEFLVAHVWGNLMGTSALVLDLRHCTGGQVSGIPYIISYLHPGNTILHVDTIYNRPSNTTTEIWTLPQVLGERYGADKDVVVLTSSQTRGVAEDIAHILKQMRRAIVVGERTGGGALDLRKLRIGESDFFFTVPVSRSLGPLGGGSQTWEGSGVLPCVGTPAEQALEKALAILTLRSALPGVVHCLQEVLKDYYTLVDRVPTLLQHLASMDFSTVVSEEDLVTKLNAGLQAASEDPRLLVRAIGPTETPSWPAPDAAAEDSPGVAPELPEDEAIRQALVDSVFQVSVLPGNVGYLRFDSFADASVLGVLAPYVLRQVWEPLQDTEHLIMDLRHNPGGPSSAVPLLLSYFQGPEAGPVHLFTTYDRRTNITQEHFSHMELPGPRYSTQRGVYLLTSHRTATAAEEFAFLMQSLGWATLVGEITAGNLLHTRTVPLLDTPEGSLALTVPVLTFIDNHGEAWLGGGVVPDAIVLAEEALDKAQEVLEFHQSLGALVEGTGHLLEAHYARPEVVGQTSALLRAKLAQGAYRTAVDLESLASQLTADLQEVSGDHRLLVFHSPGELVVEEAPPPPPAVPSPEELTYLIEALFKTEVLPGQLGYLRFDAMAELETVKAVGPQLVRLVWQQLVDTAALVIDLRYNPGSYSTAIPLLCSYFFEAEPRQHLYSVFDRATSKVTEVWTLPQVAGQRYGSHKDLYILMSHTSGSAAEAFAHTMQDLQRATVIGEPTAGGALSVGIYQVGSSPLYASMPTQMAMSATTGKAWDLAGVEPDITVPMSEALSIAQDIVALRAKVPTVLQTAGKLVADNYASAELGAKMATKLSGLQSRYSRVTSEVALAEILGADLQMLSGDPHLKAAHIPENAKDRIPGIVPMQIPSPEVFEELIKFSFHTNVLEDNIGYLRFDMFGDGELLTQVSRLLVEHIWKKIMHTDAMIIDMRFNIGGPTSSIPILCSYFFDEGPPVLLDKIYSRPDDSVSELWTHAQVVGERYGSKKSMVILTSSVTAGTAEEFTYIMKRLGRALVIGEVTSGGCQPPQTYHVDDTNLYLTIPTARSVGASDGSSWEGVGVTPHVVVPAEEALARAKEMLQHNQLRVKRSPGLQDHL(配列番号:23)。
【0069】
抗原が、望ましくない免疫応答が発症しうる、食物抗原などの外来性抗原である実施形態では、特異的な抗原は、以下でありうる:
・ ピーナッツ由来のもの:コンアラキン(Ara h 1)、アレルゲンII(Ara h 2)、ピーナッツアグルチニン、コングルチン(Ara h 6);
・ コンアラキンは、例えばUNIPROT Q6PSU6として同定される配列を有する
・ リンゴ由来のもの:31kdaの主要アレルゲン/疾病寛容タンパク質相同体(Mal d 2)、脂質転移タンパク質前駆物質(Mal d 3)、主要アレルゲンMal d 1.03D(Mal d 1);
・ 乳由来のもの:α-ラクトアルブミン(ALA)、ラクトトランスフェリン;キウイ由来のもの:アクチニジン(Act c 1、Act d 1)、フィトシスタチン、タウマチン-様タンパク質(Act d 2)、キウェリン(Act d 5);
・ 卵白由来のもの:オボムコイド、オボアルブミン、オボトランスフェリン、およびリゾチーム;
・ 卵黄由来のもの:リベチン、アポビチリン(apovitillin)、およびボスベチン(vosvetin);
・ カラシナ由来のもの:2S アルブミン(Sin a 1)、11S グロブリン(Sin a 2)、脂質転移タンパク質(Sin a 3)、プロフィリン(Sin a 4);
・ セロリ由来のもの:プロフィリン(Api g 4)、高分子量糖タンパク質(Api g 5);
・ エビ由来のもの:Pen a 1アレルゲン(Pen a 1)、アレルゲン Pen m 2(Pen m 2)、トロポミオシン速筋型アイソフォーム;
・ コムギおよび/または他の穀物由来のもの:高分子量グルテニン、低分子量グルテニン、アルファ-、ガンマ-およびオメガ-グリアジン、ホルデイン、セカリンおよび/またはアベニン;
・ セリアック病を治療するための本開示の組成物において有用なペプチド/エピトープは、式1の組成物において個々に、式1の組成物の混合物においてともに、または1つ以上の式2の組成物において融合される、いくつかの、または全ての以下の配列を含む:
・ DQ-2関連、天然型(native)アルファ-グリアジン“33-mer”:
LQLQPFPQPQLPYPQPQLPYPQPQLPYPQPQPF(配列番号:24)
・ DQ-2関連、脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”:
LQLQPFPQPELPYPQPELPYPQPELPYPQPQPF(配列番号:25)
・ DQ-8関連、アルファ-グリアジン:
QQYPSGQGSFQPSQQNPQ(配列番号:26)
・ DQ-8関連、オメガ-グリアジン(コムギ、U5UA46):
QPFPQPEQPFPW(配列番号:27)
・ イチゴ由来のもの:主要イチゴアレルギーFra a 1-E(Fra a 1);および
・ バナナ由来のもの:プロフィリン(Mus xp 1)。
【0070】
抗原が、望ましくない免疫応答が発症する、動物、植物および環境の抗原などの外来性抗原である実施形態では、特異的な抗原は例えば、以下の由来のタンパク質またはペプチドを含むネコ、マウス、イヌ、ウマ、ハチ、ホコリ、樹木およびセイタカアワダチソウでありうる:
・ クサ(weed)(ブタクサアレルゲンamb a 1、2、3、5、および6、ならびにAmb t 5;アカザ(pigweed) Che a 2および5;ならびに他のクサアレルゲンPar j 1、2、および3、ならびにPar o 1を含む);
・ クサ(grass)(主要アレルゲンCyn d 1、7、および12;Dac g 1、2、および5;Hol I 1.01203;Lol p 1、2、3、5、および11;Mer 1;Pha 1;Poa p 1および5を含む);
・ ブタクサおよび他のクサ由来の花粉(ナガバギシギシ(curly dock)、シロザ(lambs quarters)、アカザ、オオバコ、ヒメスイバ、およびヤマヨモギを含む)、クサ(grass)(バミューダグラス、ジョンソングラス、ケンタッキーグラス、オーチャードグラス、ハルガヤ、およびオオアワガエリを含む)、および樹木(キササゲ、ニレ、ヒッコリー、オリーブ、ペカン、アメリカスズカケノキ、およびクルミを含む);
・ ホコリ(ヤケヒョウヒダニ種由来の、例えばDer p 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、14、15、18、20、21、および23;コナヒョウヒダニ種由来の、例えばDer f 1、2、3、6、7、10、11、13、14、15、16、18、22、および24;熱帯タマニクダニ種由来の、例えばBlo t 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、19、および21の主要アレルゲンを含み;さらに、シワチリダニ(Euroglyphus maynei)由来のアレルゲンEur m 2、ケナガコダニ由来のアレルゲンTyr p 13、ならびにアレルゲンBla g 1、2、および4;ゴキブリ由来のPer a 1、3、および7を含む);
・ ペット(ネコ、イヌ、げっ歯類、および家畜を含み;主要ネコアレルゲンは、Fel d 1から8、ネコIgA、BLa g 2、およびネコアルブミンを含み;主要イヌアレルゲンは、Can f 1から6、およびイヌアルブミンを含む);
・ 主要アレルゲンApi m 1から12を含む、ハチの針;ならびに
・ アスペルギルス属およびペニシリウム属の種、並びにアルテルナリア・アルテルナータ(Alternaria alternata)、ダビディエラ・タシアナ(Davidiella tassiana)、および紅色白癬菌種由来のアレルゲンを含む、真菌。
【0071】
当業者によって理解されるように、患者を試験して、望ましくない免疫応答を発症したことがある抗原を同定することができ、かつタンパク質、ペプチド等を当該抗原に基づいて開発でき、本開示の組成物におけるXとして組み込むことができる。
【0072】
シアル化抗原、抗体、抗体フラグメント
【0073】
以下は、糖鎖付加が特異的にASGPRを標的とするようにしておくために除去されうるシアル化を有する抗原、抗体、抗体フラグメントの例である:卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、黄体形成ホルモン(LH)、オステオポンチン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ(FABRAZYME(登録商標);ジェンザイム)、エポエチンアルファおよびエポエチンベータ、フォリトロピンアルファ(GONAL-F(登録商標);メルク/セローノ)およびフォリトロピンベータ(FOLLISTIM(登録商標);シェリング・プラウ)、インスリン成長因子結合タンパク質6(IGFBP-6)、ルトロピンアルファ(LUVERIS(登録商標);メルク/セローノ)、トランスフォーミング増殖因子β1、アンチトロンビン(ATryn(登録商標)/TROMBATE-III(登録商標);ジェンザイム/タレクリス・バイオセラピューティクス)、甲状腺刺激ホルモンアルファ(THYROGEN(登録商標);ジェンザイム)、レノグラスチム、サルグラモスチム(LEUKINE(登録商標);ジェンザイム)、インターロイキン-3、プロウロキナーゼ、リンホトキシン、C1-エステラーゼ阻害剤(Berinert(登録商標);CSL)、IgG-様抗体、インターフェロンベータ、活性化凝固第VII因子(NOVOSEVEN(登録商標);ノボ・ノルディスク)、活性化凝固第VIII因子(モロクトコグアルファ)、活性化凝固第IX因子(ノナコグアルファ)(BENEFIX(登録商標);ワイス)、ならびにp55腫瘍壊死受容体融合タンパク質。(Byrne et al.,Drug Discovery Today,Vol 12,No.7/8,pages 319-326,Apr.2007 and Sola et al.,BioDrugs.2010;24(1):9-21を参照されたい)。以前に高グリコシル化され、かつ肝細胞-ASGPR標的化のために脱シアル化されうる薬学的に関連するタンパク質は:インターフェロンアルファおよびガンマ、黄体形成ホルモン、Fv抗体フラグメント、アスパラギナーゼ、コリンエステラーゼ、ダルベポエチンアルファ(AraNESP(登録商標);アムジェン)、トロンボポエチン、レプチン、FSH、IFN-α2、血清アルブミン、およびコリフォリトロピンアルファを含む。
【0074】
細菌または酵母において産生されるタンパク質(アルギナーゼ、いくつかのインスリン、およびウリカーゼなど)を含む、シアル酸で正常に終わらないグリカンを有するタンパク質は、脱シアル化の影響を受けないだろう。
【0075】
公的に入手可能なUNIPROTなどの参照は、全てではないがほとんどの目的の抗原、抗体、抗体フラグメントおよびリガンド上での脱シアル化のための部位の、存在および位置を開示すると当業者は認識するだろう。
【0076】
抗体およびペプチドリガンド
【0077】
抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを利用する実施形態では、かかる部分は、標的とされる循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合するために選択され、かつ循環している標的とされる部分の肝臓の取り込みをもたらし、おそらく標的化部分を有する付加物として、究極的に、循環している標的とされる部分のクリアランスおよび不活性化をもたらす。例えば、肝臓標的化第VIII因子は、循環第VIII因子抗体に結合し、かつクリアランスするだろう。当業者は、かかる部分の同定のための手順を熟知しているだろう。
【0078】
リンカー
【0079】
本開示の組成物において利用されるリンカー(式1における“Y”)は、N-ヒドロキシスクシンイミジルリンカー、マレイミドリンカー、ビニルスルホンリンカー、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)リンカー、ピリジルジチオールリンカー、n-ニトロフェニルカーボネートリンカー、NHS-エステルリンカー、ニトロフェノキシポリ(エチレングリコール)エステルリンカー等を含みうる。
【0080】
リンカーの1つの特定の基は下記の式Y’-CMP(ここで、Y’は、リンカーの残存部分を示し、かつR
9およびZは規定されているとおりである)。より特には、式Y’-CMPを含むリンカーの基において、R
9置換基は、エチルアセトアミド基、ならびにさらにより特には、N-アセチルガラクトサミンのC1とコンジュゲートされたエチルアセトアミドである。
【化11】
【0081】
ジチオールを含有するリンカー、とりわけ特には、ジスルファニルエチルカルバミン酸を含有するリンカー(Xの遊離アミンを含む名称、そうでなければXの遊離アミンを含まない“ジスルファニルエチルエステル”と命名される)は、例えば下記に説明されるように(ここで、Y’は、リンカーの残存部分を示し、かつX’およびZは規定されているとおりである)、いったん細胞の内側に入るとその最初の形態において抗原を切断し、かつ解放する能力を有するので、本開示の組成物において特に有利である。
【0082】
【0083】
特に式Yaから式Ypにおいて下記に説明されるリンカーに関して:
左の括弧“(”は、XおよびY間の結合を示し;
右または下の括弧“)”は、YおよびZ間の結合を示し;
nは、約1から100、特に約8から90(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95)、より特には、約40から80(例えば、39、40、43、45、46、48、50、52、53、55、57、60、62、65、66、68、70、73、75、78、80または81)のエチレングリコール基を含む混合物を表す整数であり、ここで、混合物は典型的に、n±10%として特定される整数を包含し;
pは、約2から150、特に約20から100(例えば、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100または105)およびより特には、約30から40(例えば、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43または44)を含む混合物を表す整数であり、ここで、混合物は典型的に、p±10%として特定される整数を包含し;
qは、約1から44、特に約3から20(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22)およびより特には、約4から12(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13)を含む混合物を表す整数であり、ここで、混合物は典型的に、q±10%として特定される整数を包含し;かつ
R
8は、-CH
2-(“メチル”)または-CH
2-CH
2-C(CH
3)(CN)-(“1-シアノ-1-メチル-プロピル”または“CMP”)である。
式1の以下の構造:
【化13】
において説明されるように、R
9は、直接結合または-CH
2-CH
2-NH-C(O)-(エチルアセトアミド基または“EtAcN”)、(ここで、EtAcN基が示され、かつリンカーの残りは、Y’と称される)であり:
かつZはC1でコンジュゲートされたガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【化27】
(式Ynのリンカーは、疎水性抗原へのコンジュゲーションに特に適切なYnを与えるある特定の前駆物質を介して合成されうる。)
【0098】
【0099】
【0100】
式YhからYnとして上記に示されるリンカーは、分離せずに利用される異性体として合成される。例えば、式Yh、Yi、YjおよびYnのリンカーは、下記に説明される8、9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[b、f][1、2、3]トリアゾロ[4、5-d]アゾシン-8イルおよび8、9-ジヒドロ-3H-ジベンゾ[b、f][1、2、3]トリアゾロ[4、5-d]アゾシン-8イル構造の混合物だろう:
【化30】
式Yk、YLおよびYmのリンカーは、下記に説明される8、9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3、4:7、8]シクロオクタ[1、2-d][1、2、3]トリアゾール-8-イルおよび8、9-ジヒドロ-1H-ジベンゾ[3、4:7、8]シクロオクタ[1、2-d][1、2、3]トリアゾール-9-イル構造の混合物だろう:
【化31】
かかる異性体の混合物の存在は、かかるリンカーを利用する組成物の機能性を損なわない。
【0101】
ガラクトシル化部分
【0102】
本開示の組成物において利用されるガラクトシル化部分は、組成物を肝細胞へ標的とするのに(例えば、特異的に肝細胞に結合すること)役立ち、かつ以下から選択されうる:ガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミン。ガラクトースのC3/C4-ジオールアンカー側のいずれかを改変しながら、ASGPR親和性が保持されうることが報告されており(Mamidyala,Sreeman K.,et al.,J.Am.Chem.Soc.2012,134,1978-1981)、従ってコンジュゲーションの箇所は、特にC1、C2およびC6である。
【0103】
特定のガラクトシル化部分は、C1もしくはC6でコンジュゲートされたガラクトース、C2でコンジュゲートされたガラクトサミン、ならびにC6でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンを含む。他の特定のガラクトシル化部分は、C2でコンジュゲートされた、より特には、CH2であるR9置換基を有するリンカーにコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンを含む。さらに他の特定のガラクトシル化部分は、C1でコンジュゲートされる、より特には、エチルアセトアミド基であるR9置換基を有するリンカーにコンジュゲートされたガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンを含む。
【0104】
ASGPR標的化抗体
【0105】
本開示の組成物において利用されるASGPR-特異的な抗体はまた、本開示の組成物を肝細胞へ標的化するのに役立ち、かつ商業的に入手可能な産物から選択されうる、例えば:アブカム・ピーエルシー、ケンブリッジ、イギリス由来の抗アシアロ糖タンパク質受容体1抗体(ab42488)およびサンタクルズ・バイオテクノロジー株式会社、ダラス、テキサス由来のASGPR1/2(FL-291)(sc28977)。あるいは、かかる抗体は、Dom26h-196-61、などの多くの公開されている配列、単一ドメイン抗ASGPR抗体:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFEKYAMAWVRQAPGKGLEWVSRISARGVTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASHKRHEHTRFDSWGQGTLVTVSS(配列番号:6)
[Coulstock E,et al.,(2013)“Liver-targeting of interferon-alpha with tissue-specific domain antibodies.”PLoS One.8(2):e57263および米国第2013/0078216号]、または保存的置換を有するかかる配列のいずれかを使って発現されうる。上記に参照される米国特許出願は、ある特定の治療剤[肝疾患の治療のためのインターフェロン(インターフェロンアルファ2、インターフェロンアルファ5、インターフェロンアルファ6、またはコンセンサスインターフェロン)、リバビリン、ネクサバール/ソラフェニブ、アービタックス/セツキシマブ、アバスタチン/ベバシズマブ、およびハーセプチン/トラスツズマブを含む]を送達するための、DOM26h-196-61などの肝臓標的化分子を開示する。DOM26h-196-61または米国第2013/0078216号において記載される別の肝臓標的化分子を利用する、式2に対応する物質の組成物は、それらの範囲内でインターフェロン(インターフェロンアルファ2、インターフェロンアルファ5、インターフェロンアルファ6、またはコンセンサスインターフェロン)、リバビリン、ネクサバール/ソラフェニブ、アービタックス/セツキシマブ、アバスタチン/ベバシズマブ、およびハーセプチン/トラスツズマブを含む。
【0106】
ASGPRを特異的に標的とする抗体、抗体フラグメント、またはペプチドのための新規配列は、当業者によく知られている様々な方法を使って発見されうる。これらの方法は、ワクチン接種技術、ハイブリドーマ技術、ライブラリーディスプレイ技術(細菌性およびファージプラットフォームを含む)、内在性レパートリースクリーニング技術、定向進化(directed evolution)および合理的設計を含みうるが、これらに限定されない。
【0107】
命名法
【0108】
式1の組成物は、IUPACおよび慣用名の組み合わせを使って命名されうる。例えば、式1に対応する化合物、ここでXはシクロブチル部分(例示の目的のための抗原の代わりに示される)であり、Yは式Yaであり、mは1であり、nは4であり、かつZはN-アセチルガラクトサミン-2-イルである:
【化32】
は、(Z)-(21-シクロブチル-1-オキソ-1-((2、4、5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アミノ)-4、7、10、13-テトラオキサ-16、17-ジチアヘンイコサン-21-イリデン)トリアズ-1-イン-2-イウムクロライドと命名でき、それ故にXが組織トランスグルタミナーゼである、対応する本開示の組成物は、(Z)-(21-(組織トランスグルタミナーゼ)-1-オキソ-1-((2、4、5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アミノ)-4、7、10、13-テトラオキサ-16、17-ジチアヘンイコサン-21-イリデン)トリアズ-1-イン-2-イウムクロライドと命名されうる。X’が組織トランスグルタミナーゼであり、mが2であり、nが4であり、かつZ’がN-アセチルガラクトサミン-2-イルである、対応する本開示の組成物は、(3Z)-((組織トランスグルタミナーゼ)-1、3-ジルビス(1-オキソ-1-((2、4、5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アミノ)-4、7、10、13-テトラオキサ-16、17-ジチアヘンイコサン-21-イル-21-イリデン))ビス(トリアズ-1-イン-2-イウム)クロライドと命名されうる。
【0109】
簡潔性の観点で、式1の組成物は、Xおよび式1aから1pの1つに対応する物(反応式において説明される)と、それに続く変数m、n、pおよび/もしくはq、R8、R9ならびに、それがコンジュゲートされたガラクトシル化部分および位置の同定のための整数の記載を参照することにより、代替命名系を使って命名されうる。この系のもとでは、Xがオボアルブミンであり、mが2であり、nが4であり、かつZがN-アセチルガラクトサミン-2-イルである式1aの組成物は、“F1a-OVA-m2-n4-2NAcGAL”と命名されうる。
【0110】
同様に、以下の式1の組成物
【化33-1】
は、
【化33-2】
と命名されうる。異性体:
【化34-1】
は、
【化34-2】
と命名されうる(正式名称との差異を同定する際に、便宜のために太字のハイライトが加えられる)。本開示のための採用された命名系を利用すると、異性体の両方は、“F1n-インスリン-m
1-n
1-p
1-q
4-CMP-EtAcN-1NAcGAL”と命名でき、ここで、CMPは、R
8が、1-シアノ-1-メチル-プロピルであることを示し、EtAcNは、R
9が、エチルアセトアミドであることを示し、かつ1NAcGALは、Z”がC1でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンであることを示す。Zの名称の前の略称EtAcNの非存在は、R
9が直接結合であることを示すだろう。
【0111】
式2の組成物において、左から右への配向は、反対の特段の表示がない、NからCの順番を特定すると解釈されるべきではない。例えば、m’が1であり、m”が0であり、Xがオボアルブミンであり、YがGly3Serであり、かつZが抗ASGPR Dom26h-196-61である、式2の化合物は、OVA-Gly3Ser-DOMと命名でき、かつ以下の両方を網羅するとして読まれる:
N-OVA-Gly3Ser-DOM-C
および
N-DOM-Gly3Ser-OVA-C
例えばm’が1であり、m”が0であり、Xがオボアルブミンであり、YがGly3Serであり、かつZが抗ASGPR Dom26h-196-61である式2の組成物(付加的なリンカーを介して付着される精製タグを有する)は、以下の通り命名されうる:
N-OVA-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-6xHis-C
または
N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C
ここで、C’末端Gly3Ser-6xHis基は、単離および精製を容易にするアミノ酸配列を表す。
【0112】
m’が1であり、m”が1であり、それぞれXが第VIII因子であり、それぞれYがGly3Serであり、かつZが抗ASGPR Dom26h-196-61である式2の組成物(付加的なリンカーを介して付着される精製タグを有する)は、FVIII-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-FVIII-Gly3Ser-6xHisと命名でき、かつ以下の両方を包含する:
N-FVIII-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-FVIII-Gly3Ser-6xHis-C
および
N-6xHis-Gly3Ser-FVIII-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-FVIII-C。
【0113】
m’が3であり、m”が0、1であり、3つのX抗原がそれぞれ、脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)、アルファ-グリアジン(配列番号:26)およびオメガ-グリアジン(配列番号:27)であり、それぞれYが、免疫プロテアソーム切断部位を有するリンカー(“IPC”)、ならびにZが抗ASGPR Dom26h-196-61である式2の組成物は:
脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-IPC-アルファ-グリアジン-IPC-オメガ-グリアジン-IPC-DOMと命名されうる。
【0114】
本開示の組成物の調製
【0115】
例えば、Zhu,L.,et al.,Bioconjugate Chem.2010,21,2119-2127において記載される手順を適応させることにより、式1の組成物は調製されうる。ある特定の式1の組成物の合成はまた、反応式1から14に関して下記に記載される。他の合成アプローチは、当業者にとって明らかだろう。
【0116】
式101(下記)は、Xの代替表示であり、
【化35】
ここで、R
1は、リンカーへのコンジュゲーションのための到達できるようにするためにXの三次元構造上に位置する遊離表面アミノ(-NH
2)もしくはチオール(-SH)部分であり、かつX’は、同定される遊離アミノ基を除くXの残りを表す[(X”は、遊離チオール基を除くXの残りを表す反応式において使用される]。Xの正体(identity)に依存して、少なくとも1つの(N末端のアミン)が存在するだろう、そして、約1から100の整数である、より典型的には、1もしくは約4から20、ならびにもっとも典型的には1から約10であるmにより表されるように、複数のR
1基(主にリジン残基またはジスルフィド結合に関与するシステイン残基に由来する)が存在できる。
【0117】
反応式において利用される変数は、上記に規定されているとおりであり、加えて以下を含み、それらは特定の反応式または工程に関してでなければ、任意の特異的な指標のこれらの意味が存在しないと理解されるべきである。
・ R2は、OHまたは保護基であり;
・ R3は、OH、NH2、NHAc、保護基またはNH-保護基であり;
・ R4は、OHまたは保護基であり;
・ R5は、OHまたは保護基であり;
・ R6は、OHまたは保護基であり;
・ Z’はC1またはC6でコンジュゲートされたガラクトース、C2でコンジュゲートされたガラクトサミン、またはC6でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンであり;
・ R8は、-CH2または-CH2-CH2-C(CH3)(CN)-であり;および
・ R9は直接結合であり、かつZ”はC2でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンであり;
・ R9はエチルアセトアミド基であり、かつZ”はC1でコンジュゲートされたガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである。
【0118】
合成反応パラメータ
【0119】
“溶媒”、“不活性有機溶媒”または“不活性溶媒”という用語は、それらと組み合わせて記載されている反応の条件のもとでは不活性な溶媒[例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(“THF”)、ジメチルホルムアミド(“DMF”)、クロロホルム、メチレンクロライド(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジン等を含む]を意味する。もし反対に特定されなければ、本開示の反応において使用される溶媒は、不活性有機溶媒である。
【0120】
“q.s.”という用語は、述べられた機能を達成する、例えば、溶液を望ましい容積(すなわち、100%)へともたらすのに十分な量を加えることを意味する。
【0121】
所望であれば、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー、遠心性サイズ排除クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、再結晶、昇華、高速タンパク質液体クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはこれらの手順組み合わせなどの、任意の適切な分離または精製手順により、本明細書に記載される化合物および中間体の単離および精製が影響されうる。適切な分離および単離手順の特定の例示を、下記の実施例の出典明示により得ることができる。しかしながら、他の同等の分離または単離手順はまた、やはり、使用されうる。
【0122】
別段の特定がない限り(実施例を含む)、全ての反応は、標準大気圧(約1気圧)ならびに周囲の(もしくは室温の)温度(約20℃)、約pH7.0-8.0で行われる。
【0123】
反応産物の特性評価は、通例の手段、例えば、プロトンおよびカーボンNMR、質量分析法、サイズ排除クロマトグラフィー、赤外分光法、ゲル電気泳動により行われる。
【0124】
反応式1は、Zがガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンでありうる式1の組成物の調製を説明する。その点において、および上記に規定されているように、反応式1において利用されるようなZ’が、C1およびC6でコンジュゲートされ、かつ式1による以下の構造に対応するガラクトース:
【化36】
、C2でコンジュゲートされ、かつ式1による以下の構造に対応するガラクトサミン:
【化37】
、ならびにC6でコンジュゲートされ、かつ式1による以下の構造に対応するN-アセチルガラクトサミン:
【化38】
を包含する。
【0125】
反応式1
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
反応式1、工程1において上記で説明されるように、pH約8.0、約1時間でトラウト試薬(式102)との接触により遊離表面アミノ基(式101’)を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンド上に表面チオール基が生成でき、例えば、遠心性サイズ排除クロマトグラフィーを介して、未反応のトラウト試薬が除去されている式103’を与える。下記に示される2つの構造は、反応式1、工程1の産物を説明し、それぞれX上に最初に確認される遊離表面アミノ基を示し(すなわち、式103’、ここでX’は同定される遊離表面アミノ基を除くXの残りを表す)、および遊離表面アミノ基を省略する(すなわち、式103)。これは、Xおよび式101間として説明される区別に似ている。慣習がその後の反応式において続いた。
【化44】
【0132】
反応式1、工程2において、ピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステル(式104)を、ガラクトサミン(式105、ここでR3は、NH2およびR2、R4、R5およびR6は、OHである)と約pH8、約1時間で撹拌しながら、接触させて式106Aの対応するピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-糖を与ええ、さらに精製せずに使用することができる。
【0133】
反応式1、工程3において、4、4’-ジチオジピリジン(式107)を、チオール-ポリ(エチレングリコール)プロパン酸(式108)と接触させて、対応するピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)プロパン酸(式109)を与える。
【0134】
反応式1、工程4において、式109の酸を、R2が、OHであり、ならびにR3、R4、R5およびR6が保護基(“PG”)であり、ここでR6が、OHであり、かつR2、R3、R4およびR5がPGであり、または、ここでR6が、N-アセチルであり、かつR2、R3、R4およびR5がPGである式105の保護されるガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミン、と接触させて、式106B、106Cおよび106Dの対応するピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-糖を与え、脱保護後に用いることができる。
【0135】
反応式1、工程5において、工程1の産物(式103’)の撹拌溶液に、過剰(mの値に対応する)の、工程2または工程4(式106、すなわち、106A、106B、106Cまたは106D)の産物を約1時間加え、それに続いて遠心性サイズ排除クロマトグラフィーで任意の遊離残存反応物を除去して、式1a、それぞれ、式1aA、式1aB、式1aCおよび式1aDによる対応産物を得る。
【0136】
式1aに対応する組成物は、それぞれ、例えば以下の通りに命名されうる:
“F1aA-X’-mm-nn”または“F1a-X’-mm-nn-2NGAL”
“F1aB-X’-mm-nn”または“F1a-X’-mm-nn-1GAL”
“F1aC-X’-mm-nn”または“F1a-X’-mm-nn-6GAL”
“F1aD-X’-mm-nn”または“F1a-X’-mm-nn-6NAcGAL”
それぞれ、式106A-Dによる中間体を利用する産物として作製される。
【0137】
反応式2-14に移り、それらと利用される命名法の目的のため、特に明記されている場合を除き、Z”はC2でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミン:
【化45】
またはC1でコンジュゲートされたガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンを指す。組成物にコンジュゲートされるC1は、例えばC3ヒドロキシルでアミンを環化することにより、および続いて隣接性のリンカーの部分への保護されるガラクトサミンの組み込みを脱保護することにより、合成の間、保護される必要があるということに留意すべきである。
【0138】
ガラクトースをメタクリル酸化することにより、例えば、ガラクトサミンおよびメタクリル酸無水物を接触させ、それに続いて適切な溶媒においてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の存在下で、凍結融解サイクルで開始し、それに続いて約60-80℃、好ましくは70℃で約5-8、好ましくは約6時間加熱する、対応するRAFT剤との可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)重合により、式201、401、501、601、701、803および1401のポリ(ガラクトースメタクリル酸)反応物を調製することができる。低級アルカノール、好ましくはメタノールにおいて、ポリマーを沈殿することができる。
【0139】
反応式2
【0140】
【0141】
反応式2において説明されるように、例えば、反応式1、工程1(式103’)に関して記載される、調製される遊離表面チオール基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、過剰(mの値に対応する)の式201のピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)と約1時間接触させて式1bによる対応産物を得る。
【0142】
式1bの組成物は以下の通り命名されうる:
“F1b-X’-mm-nn-pp-2NAcGAL”または“F1b-X’-mm-nn-pp-EtAcN-Z”。
例えば、X’がウリカーゼであり、mが1であり、nが4であり、pが4であり、かつZ”がC2でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンである式1bの組成物は、“F1b-ウリカーゼ-m1-n4-p4-2NAcGAL”または“30-(ウリカーゼ)-3、5、7、9-テトラメチル-12-オキソ-1-フェニル-1-チオキソ-3、5、7、9-テトラキス((2、4、5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)カルバモイル)-13、16、19、22-テトラオキサ-2、25、26-トリチアトリアコンタン-30-イミニウム”と命名されうる。
【0143】
反応式3
【0144】
【0145】
反応式3において説明されるように、天然型の遊離表面チオール基(システイン)を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンド[式101に対応し、かつここで当該用語が引き続いて利用されるように、X”は、同定される遊離表面チオール基を除くXを表すことを説明する式101”]を、過剰(mの値に対応する)の式201のピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)と接触させて式1cによる対応産物を得る。
【0146】
式1cに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1c-X’-mm-nn-pp-2NAcGAL”または“F1c-X’-mm-nn-pp-EtAcN-Z”。
【0147】
反応式4
【0148】
【0149】
反応式4において説明されるように、式101”の天然型の遊離表面チオール基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、過剰(mの値に対応する)の式401のピリジルジチオールと接触させて式1dによる対応産物を得る。
【0150】
式1dに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1d-X’-mm-pp-2NAcGAL”または“F1d-X’-mm-pp-EtAcN-Z”。
【0151】
反応式5
【0152】
【0153】
反応式5において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、過剰(mの値に対応する)の式501のn-ニトロフェニルカーボネートと接触させて式1eによる対応産物を得る。
【0154】
式1eに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1e-X’-mm-pp-2NAcGAL”または“F1e-X’-mm-pp-EtAcN-Z”。
【0155】
反応式6
【0156】
【0157】
反応式6において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、過剰(mの値に対応する)の式601のn-ニトロフェニルカーボネートポリ(エチレングリコール)エステルと接触させて式1fによる対応産物を得る。
【0158】
式1fに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1f-X’-mm-nn-pp-2NAcGAL”または“F1f-X’-mm-nn-pp-EtAcN-Z”。
【0159】
反応式7
【0160】
【0161】
反応式7において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、過剰(mの値に対応する)の式701のNHS-エステルポリ(エチレングリコール)エステルと接触させて式1gによる対応産物を得る。
【0162】
式1gに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1g-X’-mm-pp-2NAcGAL”または“F1g-X’-mm-pp-EtAcN-Z”
【0163】
反応式8
【0164】
【0165】
【0166】
反応式8、工程1において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、式801のクリックケミストリーのための過剰(mの値に対応する)のアミン-反応性リンカーと接触させて式802による対応産物を得る。
【0167】
反応式8、工程2において、式802の産物を、その後式803のガラクトース(アミン)ポリマーの同等量(再度mの値に対応する)と接触させて式1hによる対応する異性体産物を得る。上記に説明される2つの異性体は、式802の三重結合を有する式803のアジドの非特異的な環化を生じる。かかる非特異的な環化は、他の組成物の合成において起こり、ここでYは式YhからYnから選択されるが、それぞれの実例において説明されないだろう。
【0168】
式1hに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1h-X’-mm-nn-pp-qq-2NAcGAL”または“F1h-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”。
【0169】
反応式9
【0170】
【0171】
【0172】
反応式9、工程1において説明されるように、式101”の天然型の遊離表面チオール基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、式901のクリックケミストリーのための過剰(mの値に対応する)のチオール-反応性リンカーと接触させて式902”による対応産物を得る。
【0173】
反応式9、工程2において、式902”の産物を、その後式803のガラクトース(アミン)ポリマーの同等量(再度mの値に対応する)と接触させて式1iによる対応する異性体産物を得る。
【0174】
式1iに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1i-X’-mm-nn-pp-qq-2NAcGAL”または“F1i-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”。
【0175】
反応式9に関して記載される手順に従い、出発物質101”を式103’の化合物(トラウト試薬で誘導体化される)に置換することにより、下記に示されるように式1jの対応する異性体産物が得られる。
【0176】
【0177】
式1jに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1j-X’-mm-nn-pp-qq-2NAcGAL”または“F1j-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”。
【0178】
反応式10
【0179】
【0180】
【0181】
反応式10、工程1において説明されるように、式101”の天然型の遊離表面チオール基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、式1001のクリックケミストリーのための過剰(mの値に対応する)のチオール-反応性リンカーと接触させて式1002による対応産物を得る。
【0182】
反応式10、工程2において、式1002の産物を、その後式803のガラクトース(アミン)ポリマーの同等量(再度mの値に対応する)と接触させて式1kによる対応する異性体産物を得る。
【0183】
式1kに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1k-X’-mm-nn-pp-qq-2NAcGAL”または“F1k-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”。
【0184】
反応式10に関して記載される手順に従い、出発物質101”を式103’の化合物(トラウト試薬で誘導体化される)に置換することにより、下記に示されるように式1Lの対応する異性体産物が得られる。
【0185】
【0186】
式1Lに対応する組成物は以下の通り命名されうる:
“F1L-X’-mm-nn-pp-qq-2NAcGAL”または“F1L-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”。
【0187】
反応式11
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
反応式11、工程1において説明されるように、ガラクトース、保護されるガラクトサミンまたはN-アセチル-D-ガラクトサミン(式1101、ここでそれぞれR3およびR4は、OHであり、R3は、NH-保護基(例えば、R4で環化される)であり、またはR3は、NHAcでありかつR4は、OHである)を、2-クロロエタン-1-オールと接触させて、それに続いて冷却およびアセチルクロライドを滴下する。当該溶液を室温に加温し、かつその後70℃に数時間加熱した。エタノールを粗産物に加え、かつ得られる溶液を炭素存在下で撹拌し、その後濾過し、それに続いて溶媒除去し式1102の対応産物を得る。
【0196】
反応式11、工程2において説明されるように、式1102の産物を、過剰のアジ化ナトリウムに加え、かつ90℃に数時間加熱し、その後濾過し、それに続いて溶媒除去し式1103の対応産物を得る。
【0197】
反応式11、工程3において説明されるように、式1103の産物を炭素およびエタノールのパラジウムの溶液に加え、かつ水素ガス(3気圧)のもとで数時間撹拌し、その後濾過し、それに続いて溶媒除去し式1104の対応産物を得る。
【0198】
反応式11、工程4において説明されるように、式1104の産物をメタクリル酸無水物の溶液に加え、トリエチルアミンを加えて、かつ反応を2時間撹拌し、それに続いて溶媒除去および単離により式1105の対応産物を得る。
【0199】
反応式11、工程5において説明されるように、アジド-改変uRAFT剤(式1106)を、アゾビスイソブチロニトリルを有する式1105の産物の溶液に加えて、4凍結脱気サイクルに供し、かつその後70℃で撹拌する。数時間後、式1107の対応するポリマー産物を低級アルカノールの添加により沈殿させ、それに続いて溶媒除去する。ここでR3は、NH-保護基(例えば、R4で環化される)であり、保護基はこの箇所で除去される。
【0200】
反応式11、工程6において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドをpH8.0緩衝液に加え、かつ過剰(mの値に対応する)の式1108のジオキソピロリジンと撹拌しながら接触させる。1時間後、未反応の式1108を除去し、かつ得られる式1109の産物はさらに精製せずに使用される。
【0201】
反応式11、工程7において説明されるように、式1107の産物をpH8.0緩衝液に加え、そして式1109の産物に加える。2時間撹拌後、過剰の式1107を除去し、式1mの対応する異性体産物を得る。
【0202】
工程5において式1105の産物をN-(2、4、5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)メタクリルアミドに置換し、かつ工程6および7を続行することにより、Z”がC2でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンである式1mの対応する異性体産物が得られる。
【0203】
式1mに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1m-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”、ここでZ“は1GAL、1NGALもしくは1NAcGAL、または”F1m-X’-mm-nn-pp-qq-2NAcGAL”である。
【0204】
【0205】
反応式12の合成アプローチは、有機溶媒の使用のために疎水性の抗原、抗体、抗体フラグメントおよびリガンド(例えば、インスリン)に特に適切である。
【0206】
反応式12、工程1において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、トリエチルアミンを含有する有機溶媒(例えば、DMF)において溶解する。これに、式1201の化合物の量(mの値に対応する)を加え、それに続いて撹拌およびt-ブチルメチルエーテルを加える。式1202の対応産物を沈殿物として回収する。
【0207】
式1202の産物を有機溶媒において再懸濁し、かつ式1107(例えば、反応式11に関して記載されるように得られる)の量(mの値に対応する)を加え、それに続いて撹拌する。当該反応産物をジクロロメタンの添加を介して沈殿させ、それに続いて濾過および溶媒除去した。精製(例えば、PBSにおける再懸濁、それに続く遠心性サイズ排除クロマトグラフィー)は、式1nの対応する異性体産物を得る。
【0208】
式1nに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1n-X’-mm-nn-pp-qq-EtAcN-Z”、ここでZ“は1GAL、1NGALもしくは1NAcGAL、または”F1m-X’-nm-nn-pp-qq-2NAcGAL”である。
【0209】
反応式13
【0210】
【0211】
【0212】
反応式13、工程1において、ニトロフェノキシカルボニル-オキシアルキルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステル(式1301)を、ガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミン(式105)と接触させて、他の2つの説明される産物と一緒に、式1302の対応産物を与え、ここから式1302の望ましいニトロフェノキシカルボニルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-カルボキシエチルガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンが次の工程に進む前に単離される。
【0213】
反応式13、工程2において説明されるように、式101’の天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンドを、過剰(mの値に対応する)の式1302の産物と接触させて式1oによる対応産物を得る。
【0214】
式1oに対応する組成物は、以下の通り式1oに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1o-X’-mm-nn-Z’”。
【0215】
反応式14
【0216】
【0217】
反応式14において説明されるように、天然型の遊離表面アミノ基を有する抗原、抗体、抗体フラグメントまたはリガンド(式101’)を、過剰(mの値に対応する)の式1401のピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステルと接触させて式1pによる対応産物を得る。
【0218】
式1pに対応する組成物は、以下の通り命名されうる:
“F1p-X’-mm-nn-pp-2NAcGAL”または“F1p-X’-mm-nn-pp-EtAcN-Z”。
【0219】
融合タンパク質の調製
【0220】
商業的に入手可能な哺乳類の、細菌性の、酵母の、もしくは昆虫の細胞発現ベクター、ならびに公開されている、発見されている、もしくは設計されている遺伝子配列を使って、人工的に許容される方法論を介して、式2の融合タンパク質組成物を発現させることができる。タグ配列と共にX、YおよびZをコードする配列を、発現ベクターに、例えば、哺乳類の発現ベクターpSecTag Aにクローニングすることができ、ここで、融合タンパク質はC末端からIg κ鎖分泌リーダー配列に挿入される。部位特異的突然変異誘発法およびQuikChangeプロトコール(Geiser,et al.)のバリエーションを含む様々な他のクローニング技術は利用でき、かつ当業者によく知られている。哺乳類細胞において[例えば、ヒト胚腎臓(HEK293)細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において]、ポリエチレンイミンを使って上記に記載されるベクターでの一過性の遺伝子導入により融合タンパク質を一過性に発現することができる。例えば、約7日間バルプロ酸またはDMSOが補充される適切な培地(例えば、FreeStyle 293培地、ライフ・テクノロジーズ)において、遺伝子導入細胞を培養し、その後、当該細胞を遠心分離により除去し、かつ培養上清を収集し、かつ濾過により無菌化する。
【0221】
あるいは、安定に遺伝子導入された哺乳類の細胞系統を作製することにより、融合タンパク質を安定に発現することができる。加えて、適合性の培地(例えばLB、2XYT、SOB、SOC、TBおよび他の培地(broth))、補充物(例えばグリセリン、グルコース、および他の補充物)ならびに適切な増殖および発現条件を使うことによって、大腸菌、コリネバクテリウム属、またはシュードモナス・フルオレッセンスなどの細菌において融合タンパク質を産生するために発現ベクターを使用することができる。酵母における発現系は、一般にサッカロマイセス・セレビシエおよびピキア・パストリス、またはサッカロマイセス属、ピキア属、クリベロマイセス属、およびヤロウイア属の他の生物、ならびにあまり一般には使用されない、例えば糸状菌アスペルギルス、トリコデルマ、もしくはミセリオフトラサーモフィラC1などの生物を使用することができる。昆虫発現系は、バキュロウイルス感染昆虫細胞または非溶解性昆虫細胞発現を利用して、高い量でタンパク質発現レベルを達成することができ;ほとんどの一般的な昆虫細胞はSf9およびSf21(スポドプテラ・フルギペルダ由来)、Hi-5(イラクサギンウワバ由来)、ならびにシュナイダー2および3(キイロショウジョウバエ由来)を含むが、これらに限定されない。
【0222】
アフィニティークロマトグラフィーにより(例えば、HisTrap Ni2+セファロースカラム、GEヘルスケア、Hisタグ融合タンパク質用を使って)培養上清から、発現融合タンパク質産物を精製することができ、それに続いて、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、Superdex75カラム、GEヘルスケアを使って)またはイオン交換クロマトグラフィーなどの他のクロマトグラフィーの精製工程を行う。例えば、SDS-PAGEゲルのクマシーブリリアントブルー染色およびウェスタンブロッティング(例えばHisタグ融合タンパク質用抗6xHisタグウェスタンブロッティング)により、タンパク質純度を検証することができる。タンパク質濃度をランベルト・ベールの法則を使って決定することができ、それは例えば、NanoDrop 2000(Thermo Scientific)を使って280nmでの吸光度を測定することができる。例えば、ExPASy ProtParam ツールを使ってタンパク質のアミノ酸配列から、分子量および吸光係数を推定することができる。例えば、HEK-Blue TLR4レポーター細胞系統(Invivogen)を使って、製造元の指示書に従ってエンドトキシンレベルを測定することができる。
【0223】
脱シアル化抗原、抗体、抗体フラグメントおよびリガンドの調製
【0224】
商業的に入手可能なノイラミニダーゼ(アセチルノイラミニルヒドロラーゼまたはシアリダーゼとしてもよく知られている)酵素または硫酸を使って、人工的に許容される方法論を介して脱シアル化タンパク質を産生させることができる。目的のタンパク質の酵素的脱シアル化について、当該タンパク質をノイラミニダーゼと共に37℃で1時間、または必要に応じてそれより長くインキュベートすることができる。酸加水分解による化学的脱シアル化について、目的のタンパク質を硫酸0.025Nで、80℃で1時間または必要に応じてそれより長く処理することができる。その後、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーにより(例えば、HisTrap Ni2+セファロースカラム、GEヘルスケアを使って)反応混合物から脱シアル化タンパク質を精製することができ、それに続いてサイズ排除クロマトグラフィー(例えば、Superdex75カラム、GEヘルスケアを使って)を行う。例えば、SDS-PAGEゲルのクマシーブリリアントブルー染色および抗6xHisタグウェスタンブロッティングにより、タンパク質純度を検証することができる。例えば商業的に入手可能なキット(例えばアブカム、プロザイム、またはシグマ)を使って、レクチンに基づくタンパク質の検出、ウェスタンブロットにおけるシアル酸含量またはシアル酸含量の比色定量により、脱シアル化を検証することができる。脱シアル化タンパク質濃度をランベルト・ベールの法則を使って決定することができ、それは例えば、NanoDrop 2000(Thermo Scientific)を使って280nmでの吸光度を測定することができる。例えば、ExPASy ProtParam ツールを使ってタンパク質のアミノ酸配列から、分子量および吸光係数を推定することができる。例えば、HEK-Blue TLR4レポーター細胞系統(Invivogen)を使って、製造元の指示書に従ってエンドトキシンレベルを測定することができる。
【0225】
特定のプロセスおよび最終工程
【0226】
式103’の化合物を、過剰(mの値に対応する)の式106の化合物と接触させて式1aの対応産物を与える。
【0227】
式103’の化合物を、過剰(mの値に対応する)の式201の化合物と接触させて式1bの対応産物を与える。
【0228】
式802の化合物、902または1002を、過剰(mの値に対応する)の式803の化合物と接触させてそれぞれ式1h、式1iまたは式1kの対応産物を与える。
【0229】
式1109の化合物を、過剰(mの値に対応する)の式1107の化合物と接触させて式1mの対応産物を与え、特には、ここで、nは約80であり、pは約30であり、qは約4であり、かつ抗原の機能であるmは約2から10である。
【0230】
式1202の化合物を、過剰(mの値に対応する)の式1107の化合物と接触させて式1nの対応産物を与え、特には、ここでnは約1であり、pは約30であり、qは約4であり、かつ抗原の機能であるm約2から10である。
【0231】
特定の組成物
【0232】
非限定例として、当該組成物、医薬品製剤、製造方法および本開示の使用のための好ましい特定の基は、式1の置換基群の以下の組み合わせおよび並べ替えである(それぞれ、優先の増加順にサブグループ化される):
・ Xは、移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原、患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性抗原、患者が望ましくない免疫応答を発症する治療用のタンパク質、患者が望ましくない免疫応答を発症する自己抗原、またはそれらの免疫寛容誘導部分である。
・ Xは、以下から選択される患者が望ましくない免疫応答を発症する治療用のタンパク質である:アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデノシンデアミナーゼ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン、アルグルセラーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、α-1-プロテアーゼ阻害剤、アナキンラ、アニストレプラーゼ(アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化複合体)、アンチトロンビン III、抗胸腺細胞グロブリン、アルテプラーゼ、ベバシズマブ、ビバリルジン、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、C1エステラーゼ阻害剤、カナキヌマブ、カルボキシペプチダーゼG2(グルカルピダーゼおよびVoraxaze)、セルトリズマブ ペゴル、セツキシマブ、コラゲナーゼ、マムシ類(Crotalidae)免疫Fab、ダルベポエチン-α、デノスマブ、ジゴキシン免疫Fab、ドルナーゼアルファ、エクリズマブ、エタネルセプト、活性化第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第XI因子、第XIII因子、フィブリノーゲン、フィルグラスチム、ガルスルファーゼ、ゴリムマブ、酢酸ヒストレリン、ヒアルロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、イミグルセラーゼ、インフリキシマブ、インスリン(rHu インスリンおよびウシインスリンを含む)、インターフェロン-α2a、インターフェロン-α2b、インターフェロン-β1a、インターフェロン-β1b、インターフェロン-γ1b、イピリムマブ、L-アルギナーゼ、L-アスパラギナーゼ、L-メチオニナーゼ(methionase)、ラクターゼ、ラロニダーゼ、レピルジン/ヒルジン、メカセルミン、メカセルミンリンファバート、メトキシオファツムマブ、ナタリズマブ、オクトレオチド、オプレルベキン、膵臓アミラーゼ、膵臓リパーゼ、パパイン、Peg-アスパラギナーゼ、Peg-ドキソルビシン HCl、PEG-エポエチン-β、ペグフィルグラスチム、Peg-インターフェロン-α2a、Peg-インターフェロン-α2b、ペグロチカーゼ、ペグビソマント、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、プロテインC、ラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、サクロシダーゼ、サケカルシトニン、サルグラモスチム、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、テリパラチド、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラスツズマブ、1型アルファ-インターフェロン、ウステキヌマブ、およびvW因子。
・ 特にXはアブシキシマブ、アダリムマブ、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン、アルグルコシダーゼアルファ、第VIII因子、第IX因子、インフリキシマブ、L-アスパラギナーゼ、ラロニダーゼ、ナタリズマブ、オクトレオチド、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、またはラスブリカーゼ(ウリカーゼ)である。
・ 特にXは第VIII因子、第IX因子、ウリカーゼ、PALまたはアスパラギナーゼである。
・ Xは1型糖尿病、小児多発性硬化症、若年性関節リウマチ、セリアック病、または全身性脱毛症を治療するために選択される自己抗原ポリペプチドである。
・ 特にXは新規発症1型糖尿病、小児多発性硬化症またはセリアック病を治療するために選択される自己抗原ポリペプチドである。
・ Xは患者が望ましくない免疫応答を発症する以下の外来性抗原である。
・ ピーナッツ由来のもの、コンアラキン(Ara h 1)を含む。
・ コムギ由来のもので、天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)、脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)、アルファ-グリアジン(配列番号:26)およびオメガ-グリアジン(配列番号:27)を含む。
・ ネコ由来のもの、Fel d 1A(UNIPROT P30438)およびネコアルブミン(UNIPROT P49064)を含む。
・ イヌ由来のもの、Can f 1(UNIPROT O18873)およびイヌアルブミン(UNIPROT P49822)を含む。
・ Xは移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原、例えばヒト白血球抗原タンパク質である。
・ Xは循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドであり、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、および/またはアレルギーを生じさせる。
・ 特にXは内在性の循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に結合する。
・ Yは以下から選択されるリンカーである:式Ya、式Yb、式Yh、式Yi、式Yk、式Ym、式Yn、式Yoおよび式Yp。
・ 特には、ここで、nは8から90±10%であり、pは20から100±10%であり、かつqは3から20±3である。
・ 特には、ここで、nは40から80±10%であり、pは30から40±10%であり、かつqは4から12±3である。
・ 特には、ここで、Yは式Ya、式Yb、式Ymまたは式Ynである。
・ 特には、ここで、nは8から90±10%であり、pは20から100±10%であり、かつqは3から20±3である。
・ より特には、ここで、nは40から80±10%であり、pは30から40±10%であり、かつqは4から12±3である。
・ 特には、ここで、Zはエチルアセトアミド基を介してYにコンジュゲートされる。
・ より特には、ここで、ZはそのC1でYにコンジュゲートされる。
・ より特には、ここで、R8はCMPである。
・ より特には、ここで、R8はCMPである。
・ 特には、ここで、R8はCMPである。
・ Zはガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、ZはC1、C2またはC6でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、ZはC1またはC2でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ より特には、ここで、ZはC1でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンである。
【0233】
上記に記載される群およびサブグループのそれぞれは個々に好ましく、かつさらに好ましい本開示の態様を記載するために組み合わせることができ、例えば限定するものではないが、以下の通りである:
・ Xは1型糖尿病、小児多発性硬化症、若年性関節リウマチ、セリアック病、または全身性脱毛症を治療するために選択される自己抗原ポリペプチドである。
・ 特に、ここで、Xは新規発症1型糖尿病、小児多発性硬化症またはセリアック病を治療するために選択される自己抗原ポリペプチドである。
・ 特には、ここで、Yは以下から選択されるリンカーである:式Ya、式Yb、式Yh、式Yi、式Yk、式Ym、式Yn、式Yoおよび式Yp。
・ 特には、ここで、nは8から90±10%であり、pは20から100±10%であり、かつqは3から20±3である。
・ 特には、ここで、nは40から80±10%であり、pは30から40±10%であり、かつqは4から12±3である。
・ 特には、ここで、Yは式Ya、式Yb、式Ymまたは式Ynである。
・ 特には、ここで、nは8から90±10%であり、pは20から100±10%であり、かつqは3から20±3である。
・ より特には、ここで、nは40から80±10%であり、pは30から40±10%であり、かつqは4から12±3である。
・ さらにより特には、ここで、Zはエチルアセトアミド基を介してYにコンジュゲートされる。
・ より特には、ここで、Zはエチルアセトアミド基を介してYにコンジュゲートされる。
・ 特には、ここで、Zはエチルアセトアミド基を介してYにコンジュゲートされる。
・ 特には、ここで、Zはガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、ZはC1、C2またはC6でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ より特には、ここで、ZはC1またはC2でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ さらにより特には、ここで、ZはC1でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、Zはガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、ZはC1、C2またはC6でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、ZはC1またはC2でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ より特には、ここで、ZはC1でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、Yは以下から選択されるリンカーである:式Ya、式Yb、式Yh、式Yi、式Yk、式Ym、式Yn、式Yoおよび式Yp。
・ 特には、ここで、nは8から90±10%であり、pは20から100±10%であり、かつqは3から20±3である。
・ より特には、ここで、nは40から80±10%であり、pは30から40±10%であり、かつqは4から12±3である。
・ 特には、ここで、Yは式Ya、式Yb、式Ymまたは式Ynである。
・ より特には、ここで、nは8から90±10%であり、pは20から100±10%であり、かつqは3から20±3である。
・ より好ましくは、ここで、nは40から80±10%であり、pは30から40±10%であり、かつqは4から12±3である。
・ より特には、ここで、Zはエチルアセトアミド基を介してYにコンジュゲートされる。
・ 特には、ここで、Zはガラクトース、ガラクトサミンまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ 特には、ここで、ZはC1、C2またはC6でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ より特には、ここで、ZはC1またはC2でコンジュゲートされたガラクトースまたはN-アセチルガラクトサミンである。
・ より好ましくは、ここでZはC1でコンジュゲートされたN-アセチルガラクトサミンである。
・ mは約1から100の整数である。
・ mは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100または110である。
・ 特にmは約1から20である。
・ mは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である。
・ より特には、mは約10である。
・ mは9、10または11である。
・ nは約1から100を含む混合物を表す整数である。
・ nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95、99、100、105または110である。
・ 特には、nは約8から90である。
・ 特には、nは8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95または99である。
・ より特には、nは約40から80である。
・ より特には、nは37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83または88である。
・ nは範囲1-4、2-4、2-6、3-8、7-13、6-14、15-25、26-30、42-50、46-57、60-82、85-90、90-110および107-113を包含する混合物を表す。
・ 特には、nは範囲7-13、6-14、15-25、26-30、42-50、46-57、60-82、85-90および82-99を包含する混合物を表す。
・ より特には、nは範囲36-44、42-50、46-57、60-82および75-85を包含する混合物を表す。
・ pは約2から150を含む混合物を表す整数である。
・ pは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160または165である。
・ 特には、ここで、nは約1から100を含む混合物を表す整数である。
・ 特には、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95、99、100、105または110である。
・ より特には、ここで、nは約8から90である。
・ より特には、nは8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95または99である。
・ さらにより特には、ここで、nは約40から80である。
・ さらにより特には、nは37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83または88である。
・ より特には、pは18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100または110である。
・ 特には、ここで、nは約1から100を含む混合物を表す整数である。
・ 特には、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95、99、100、105または110である。
・ より特には、ここで、nは約8から90である。
・ より特には、nは8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95または99である。
・ さらにより特には、ここで、nは約40から80である。
・ さらにより特には、nは37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83または88である。
・ より特には、pは27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、または44である。
・ 特には、ここで、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95、99、100、105または110である。
・ より特には、ここで、nは約8から90である。
・ より特には、nは8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、30、34、35、37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83、85、88、90、95または99である。
・ さらにより特には、ここで、nは約40から80である。
・ さらにより特には、nは37、40、41、45、50、54、55、59、60、65、70、75、80、82、83または88である。
・ qは約1から44を含む混合物を表す整数でである。
・ qは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、44または48である。
【0234】
非限定例として、当該組成物、医薬品製剤、製造方法および本開示の使用のための好ましい特定の基は、式2の置換基群の以下の組み合わせ、および並べ替えである(それぞれ、優先の増加順にサブグループ化される):
・ Xは、以下から選択される、患者が望ましくない免疫応答を発症する治療用のタンパク質である:アバタセプト、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデノシンデアミナーゼ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン、アルグルセラーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、α-1-プロテアーゼ阻害剤、アナキンラ、アニストレプラーゼ(アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化複合体)、アンチトロンビン III、抗胸腺細胞グロブリン、アルテプラーゼ、ベバシズマブ、ビバリルジン、ボツリヌス毒素A型、ボツリヌス毒素B型、C1エステラーゼ阻害剤、カナキヌマブ、カルボキシペプチダーゼG2(グルカルピダーゼおよびVoraxaze)、セルトリズマブ ペゴル、セツキシマブ、コラゲナーゼ、マムシ類(Crotalidae)免疫Fab、ダルベポエチン-α、デノスマブ、ジゴキシン免疫Fab、ドルナーゼアルファ、エクリズマブ、エタネルセプト、活性化第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第XI因子、第XIII因子、フィブリノーゲン、フィルグラスチム、ガルスルファーゼ、ゴリムマブ、酢酸ヒストレリン、ヒアルロニダーゼ、イデュルスルファーゼ、イミグルセラーゼ、インフリキシマブ、インスリン、インターフェロン-α2a、インターフェロン-α2b、インターフェロン-β1a、インターフェロン-β1b、インターフェロン-γ1b、イピリムマブ、L-アルギナーゼ、L-アスパラギナーゼ、L-メチオニナーゼ(methionase)、ラクターゼ、ラロニダーゼ、レピルジン/ヒルジン、メカセルミン、メカセルミンリンファバート、メトキシオファツムマブ、ナタリズマブ、オクトレオチド、オプレルベキン、膵臓アミラーゼ、膵臓リパーゼ、パパイン、Peg-アスパラギナーゼ、Peg-ドキソルビシン HCl、PEG-エポエチン-β、ペグフィルグラスチム、Peg-インターフェロン-α2a、Peg-インターフェロン-α2b、ペグロチカーゼ、ペグビソマント、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、プロテインC、ラスブリカーゼ(ウリカーゼ)、サクロシダーゼ、サケカルシトニン、サルグラモスチム、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ、テリパラチド、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラスツズマブ、1型アルファ-インターフェロン、ウステキヌマブ、およびvW因子;m’+m”が1に等しく、かつZがDOM 26h-196-61または米国第2013/0078216号に記載される別の肝臓標的化分子である場合、インターフェロン(インターフェロンアルファ2、インターフェロンアルファ5、インターフェロンアルファ6、またはコンセンサスインターフェロン)、リバビリン、ネクサバール/ソラフェニブ、アービタックス/セツキシマブ、アバスタチン/ベバシズマブ、およびハーセプチン/トラスツズマブが式2の範囲から除外されるということを条件とする。
・ 特にXはアブシキシマブ、アダリムマブ、アガルシダーゼアルファ、アガルシダーゼベータ、アルデスロイキン、アルグルコシダーゼアルファ、第VIII因子、第IX因子、インフリキシマブ、L-アスパラギナーゼ、ラロニダーゼ、ナタリズマブ、オクトレオチド、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、またはラスブリカーゼ(ウリカーゼである)。
・ 特に、ここで、Xは第VIII因子、第IX因子、ウリカーゼ、PALまたはアスパラギナーゼである。
・ Xは1型糖尿病、小児多発性硬化症、若年性関節リウマチ、セリアック病、または全身性脱毛症を治療するために選択される自己抗原ポリペプチドである。
・ 特に、ここで、Xは新規発症1型糖尿病、小児多発性硬化症またはセリアック病を治療するために選択される自己抗原ポリペプチドである。
・ Xは患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性抗原である
・ ピーナッツ由来のもの、コンアラキン(Ara h 1)を含む。
・ コムギ由来のもの、天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)、脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)、アルファ-グリアジン(配列番号:26)およびオメガ-グリアジン(配列番号:27)を含む。
・ ネコ由来のもの、Fel d 1A(UNIPROT P30438)およびネコアルブミン(UNIPROT P49064)を含む。
・ イヌ由来のもの、Can f 1(UNIPROT O18873)およびイヌアルブミン(UNIPROT P49822)を含む。
・ Xは移植患者が望ましくない免疫応答を発症する外来性の移植抗原、例えばヒト白血球抗原タンパク質である。
・ Xは循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に特異的に結合する、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドであり、当該循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体は、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、および/またはアレルギーを生じさせる。
・ 特に、ここで、Xは内在性の循環タンパク質もしくはペプチドまたは抗体に結合する。
・ YはGly3Serである。
・ Zは抗ASGPR Dom26h-196-61または保存的置換である。
・ m’+m”は1または2に等しく、かつXはタンパク質治療剤を含む完全長タンパク質である。
・ m’+m”は1または2に等しく、ここで、m’は1であり、かつm”は0または1である。
・ m’+m”は2から約10に等しく、ここで、Xは特定の自己免疫疾患に関連する、または遺伝的に様々な標的集団の治療としてよく知られている自己抗原ペプチド(エピトープ)の基である。
・ m’+m”は約4から7に等しく、ここで、当該自己免疫疾患は多発性硬化症であり、かつXは非依存的に以下から選択される:MBP13-32(配列番号:11)、MBP83-99(配列番号:12)、MBP111-129(配列番号:13)、MBP146-170(配列番号:14)、MOG1-20(配列番号:15)、MOG35-55(配列番号:16)およびPLP139-154(配列番号:17)。
・ m’+m”は7に等しくかつ、Xは、それぞれ、MBP13-32(配列番号:11)、MBP83-99(配列番号:12)、MBP111-129(配列番号:13)、MBP146-170(配列番号:14)、MOG1-20(配列番号:15)、MOG35-55(配列番号:16)およびPLP139-154(配列番号:17)である。
【0235】
式1に関する上記の議論と同様に、上記に記載される式2についての群およびサブグループのそれぞれは個々に好ましく、かつさらに好ましい本開示の態様を記載するために組み合わせることができる。
【0236】
有用性、試験および投与
【0237】
一般的有用性
【0238】
本開示の組成物は、当業者に理解されるような、移植拒絶、治療薬に対する免疫応答、自己免疫疾患、および食物アレルギーの治療を含む様々な用途での使用を見出す。
【0239】
好ましい実施形態では、本開示の組成物を調節する、特には、抗原特異的な望ましくない免疫応答をダウンレギュレートするために使用する。
【0240】
患者において内在的に生成される抗体(すなわち、患者に投与される外来性でない抗体)、ペプチド等を含む、自己免疫および関連する病変、アレルギー、炎症性免疫応答、ならびにアナフィラキシーを引き起こす、循環特異的な望ましくないタンパク質に結合し、かつクリアランスするのに、本開示の組成物は有用である。
【0241】
本開示において、免疫系を特異的にダウンレギュレートする抗原提示細胞を介する提示のため、または望ましくない循環タンパク質のクリアランスのため、肝臓へ、抗原は標的化される。以前の肝臓標的化の使用、例えば米国第2013/0078216号に記載されるものとは、これは別個であり、ここでは、DOM26h-196-61などの肝臓標的化分子の目的は、線維症、肝炎、硬変および肝臓癌などの肝疾患を治療する治療薬の送達であった。
【0242】
本開示は、限定されないが、以下を含む、自己抗原および外来性抗原への望ましくない免疫応答を治療する組成物および方法を提供する:移植患者が望ましくない免疫応答(例えば、移植拒絶)を発症する外来性の移植抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、アレルギー性または過敏症)を発症する外来性抗原、患者が望ましくない免疫応答(例えば、過敏症および/または減少治療活性)を発症する治療薬、患者が望ましくない免疫応答(例えば、自己免疫疾患)を発症する自己抗原。
【0243】
本明細書で提供される方法および組成物を使って治療することができる自己免疫疾患状態は以下を含むが、これらに限定されない:急性散在性脳脊髄炎(ADEM);急性間質性アレルギー性腎炎(薬物アレルギー);急性壊死性出血性白質脳炎;アジソン病;円形脱毛症;全身性脱毛症;強直性脊椎炎;若年性関節炎;乾癬性関節炎;リウマチ性関節炎;アトピー性皮膚炎;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性胃炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性下垂体炎;自己免疫性卵巣炎;自己免疫性精巣炎;多腺性自己免疫症候群1型;多腺性自己免疫症候群2型;自己免疫性甲状腺炎;ベーチェット病;閉塞性細気管支炎;水疱性類天疱瘡;セリアック病;チャーグ・ストラウス症候群;慢性炎症性脱髄性多発神経炎;瘢痕性類天疱瘡;クローン病;コクサッキー心筋炎;ジューリング疱疹状皮膚炎;糖尿病(1型);結節性紅斑;後天性表皮水疱症、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎);巨細胞性心筋炎;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;ギラン・バレー症候群;橋本脳症;橋本甲状腺炎;IgG4-関連硬化性疾患;ランバート・イートン症候群;混合性結合組織病;ムッハ・ハーベルマン病;多発性硬化症;重症筋無力症;視神経炎;視神経脊髄炎;尋常性天疱瘡およびバリアント型;悪性貧血;下垂体自己免疫疾患;多発性筋炎;心膜切開後症候群;早発卵巣不全;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;乾癬;リウマチ性心疾患;シェーグレン症候群;全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;潰瘍性大腸炎;未分化型結合組織病(UCTD);ぶどう膜炎;白斑;ならびにウェゲナー肉芽腫症。
【0244】
本明細書で提供される方法および組成物を使って治療することができる自己免疫疾患状態の特定の群は以下を含むが、これらに限定されない:急性壊死性出血性白質脳炎;アジソン病;乾癬性関節炎;リウマチ性関節炎;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性下垂体炎;自己免疫性胃炎;多腺性自己免疫症候群1型;水疱性類天疱瘡;セリアック病;コクサッキー心筋炎;ジューリング疱疹状皮膚炎;糖尿病(1型);後天性表皮水疱症;巨細胞性心筋炎;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;橋本甲状腺炎;混合性結合組織病;多発性硬化症;重症筋無力症;視神経脊髄炎;悪性貧血;尋常性天疱瘡およびバリアント型;下垂体自己免疫疾患;早発卵巣不全;リウマチ性心疾患;全身性硬化症;シェーグレン症候群;全身性エリテマトーデス;ならびに白斑。
【0245】
望ましくない免疫応答を発症する食物抗原などの抗原を利用する実施形態では、例えば:ピーナッツ、リンゴ、乳、卵白、卵黄、カラシナ、セロリ、エビ、コムギ(および他の穀類)、イチゴおよびバナナに対する反応のために治療を提供することができる。
【0246】
望ましくない免疫応答を発症したことがある外来性抗原、および抗原に基づいて開発されうる本開示の組成物を開示するために患者が試験されうることを、当業者は理解するだろう。
【0247】
試験
【0248】
本開示の組成物および方法の有用性を確立するには、肝臓における抗原提示細胞に結合における特異性(特には、肝細胞に結合すること、具体的にはASGPR)が、初期に決定されるべきである。本開示の組成物において、これは、例えば、マーカー(蛍光マーカーフィコエリトリン(“PE”)など)を利用することにより達成されうる。当該組成物を適切な実験対象に投与する。コントロール、例えば、コンジュゲートされていないPE、またはビヒクル(生理食塩水)を、対象の他の群に投与する。組成物およびコントロールを、1から5時間の間循環させ、その後対象の脾臓および肝臓を収集し、かつ蛍光について測定する。蛍光が確認される特定の細胞を引き続いて同定することができる。この様式において試験される場合、本開示の組成物は、コンジュゲートされていないPEまたは媒体と比較して、肝臓の抗原提示細胞において濃度のより高いレベルを示す。
【0249】
抗原単独または単なるビヒクルの投与と比較して、オボアルブミン(“OVA”)などの周知抗原を組み込む本開示の組成物の投与への応答において、OT-I CD8+細胞(宿主マウスへ移植される)の増殖を測定することにより、免疫調節における有効性を試験することができる。この様式において試験される場合、本開示の組成物は、抗原単独またはビヒクルと比較して、増加したCD8+T細胞クロスプライミングを示してOT1細胞増殖の増加を示す。機能的なエフェクター表現型へと増殖されているT細胞を、増殖かつ除去されているものから区別するために、増殖性のOT-I CD8+T細胞を、消耗の分子サイン[programmed death-1(PD-1)、FasL、およびその他など]、並びにアポトーシス、ひいては除去の特徴としてのアネキシンVについて、表現型的に分析することができる。OT-I CD8+T細胞はまた、機能的な非応答性、ひいては抗原への免疫寛容を実証するために、アジュバントを有する抗原チャレンジへのそれらの応答性について評価することができる。そうするために、本開示の組成物の宿主マウスへの投与それに続く抗原チャレンジ後に細胞を、炎症性のサインについて分析する。この様式において試験される場合、本開示の組成物は、非常に低(例えば、バックグラウンド)レベルのOVAへの炎症性のOT-I CD8+T細胞応答、ひいては免疫寛容を示すことを実証する。
【0250】
抗原単独または単なるビヒクルの投与と比較して、OVAなどの周知抗原を組み込む本開示の組成物を投与すること、および得られる抗体のレベルを測定することにより、体液性免疫応答を試験することができる。この様式において試験される場合、本開示の組成物は、それらの投与およびビヒクルの投与に応答する非常に低(例えば、バックグラウンド)レベルの抗体形成、および抗原の投与に応答する有意により高いレベルの抗体形成を示す。
【0251】
抗原に対する寛容化における有効性を、体液性免疫応答に関して上記のように試験することができ、ここで、本開示の組成物での治療後数週間、対象の群を抗原単独の投与によりチャレンジし、それに続いて抗原に対する抗体のレベルを測定した。この様式において試験される場合、前処理されていない群と比較して、かかる組成物で前処理されている群において、本開示の組成物は抗原のチャレンジに応答する低レベルの抗体形成を示す。
【0252】
疾病に焦点をあてる実験モデルは当業者よく知られており、かつ、自己免疫および寛容のNOD(または非肥満性糖尿病)マウスモデルならびにヒト炎症性脱髄疾患、多発性硬化症のためのEAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)モデルを含む。特には、NODマウスは、自発性の自己免疫性糖尿病(ヒトにおける1a型糖尿病と同様)を発症する。NODマウスの群を、試験化合物または陰性コントロールで治療し、それに続いて血糖を測定する。治療の成功は、ヒトにおいて糖尿病を治療する可能性、または他の自己免疫疾患の治療へのアプローチのための機構の証明に対応する。(例えば、Anderson and Bluestone,Annu.Rev.Immunol.2005;23:447-85を参照されたい。)
【0253】
投与
【0254】
本開示の組成物を、治療的に有効な薬用量、例えば、以前に記載される疾病状態のための治療を提供するために十分な薬用量で投与する。本開示の化合物または薬学的に許容可能なその塩の投与は、同様の有用性果たす薬のための任意の許容される投与様式を介することができる。
【0255】
ヒト薬用量レベルは未だ、本開示の化合物について最適化されていないが、これらは最初、マウスについて投与された約10μgから100μgの用量と推定することができる。一般に、個々のヒト用量は、約0.01から2.0mg/kg体量、好ましくは約0.1から1.5mg/kg体量、およびもっとも好ましくは約0.3から1.0mg/kg体量である。治療を、一日または数日の期間投与することができ、かつ数日の間隔、1もしくは数週間、または1もしくは数ヶ月繰り返すことができる。投与は、単一用量として(例えば、急速投与として)または初期の急速投与としてであり、それに続いて時間とともに例えば、1から7日、完全用量の残存部分の連続的な注入でありうる。投与される活性化合物の量はもちろん、以下の任意のまたは全てに依存するだろう:治療される対象および疾病の状態、苦痛の重症度、投与の様式およびスケジュールならびに処方する医師の判断。それはまた、抗原、抗体、抗体フラグメントもしくはリガンドの分子量並びにリンカーのサイズに依存するであろう投与される量と認識されるだろう。
【0256】
本開示の組成物を単独または他の薬学的に許容可能な賦形剤との組み合わせのいずれかで投与することができる。全ての典型的な投与経路が想定され、それは現在注射に適切な液体薬用量形態を提供することが好ましい。製剤は、従来の医薬品の担体もしくは賦形剤ならびに本開示の組成物もしくは薬学的に許容可能なその塩を典型的に含む。さらに、これらの組成物は、本開示の組成物において利用される抗原(X)に対応する治療用のタンパク質、ペプチド、抗体もしくは抗体様分子、ならびに抗葉酸、免疫抑制剤、細胞増殖抑制剤、有糸分裂阻害剤、および抗代謝物、またはそれらの組み合わせを含む、免疫調節薬として作用することができかつ、より具体的にはB細胞に抑制性効果を有することができる他の活性の薬を含む他の薬用の薬、医薬品の薬、担体等を含むことができるが、これらに限定されない。
【0257】
一般に、意図される投与様式に依存し、薬学的に許容可能な組成物は、本開示の組成物の重量で約0.1%から95%、好ましくは約0.5%から50%を含有し、残りが適切な医薬品の賦形剤、担体等であるだろう。0.005%から95%の範囲において、無毒性担体からなるバランスのとれた活性成分を含有する薬用量形態または組成物を調製することができる。
【0258】
液体薬学的に投与可能な組成物を、例えば、溶解、分散等により調製することができる。本開示の活性の組成物(例えば、凍結乾燥した粉末)および例えば、水(注射用の水)、生理食塩水、水性ブドウ糖、グリセリン、グリコール、エタノール等(ガラクトースを除く)などの担体における任意の医薬品のアジュバントは、それによって溶液または懸濁液を形成する。所望であれば、投与される医薬組成物はまた、微量な量の湿潤剤、乳化剤、安定化剤、可溶化剤、pH緩衝作用剤等、例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸およびトリエタノールアミンオレイン酸等、浸透圧調節物質、アミノ酸、糖および炭水化物、タンパク質およびポリマー、塩、界面活性物質、キレート剤および抗酸化剤、保存料、ならびに特異的なリガンドなどの無毒性補助物質を含むことができる。かかる薬用量形態を調製する実際の方法はよく知られており、または当業者に明らかであろう;例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Pharmaceutical Press,22nd Edition,2012を参照されたい。投与される組成物または製剤は、任意の事象において、治療される対象の症状を治療するのに有効な量の活性化合物の量を含有するだろう。
【0259】
実施例
以下の実施例は、上記に記載される開示の使用様式をより十分に記載する、並びに様々な本開示の態様を実施するために想定される最上の様式を記載するのに役立つ。決してこれらの実施例は、本開示の真の範囲を限定するものと理解されるべきではなく、むしろ例示の目的で提示される。本明細書に引用される全ての引用文献は、出典明示によりそれらの全体が組み込まれる。
【0260】
実施例1
F1aA-OVA-m4-n80(またはF1a-OVA-m4-n80-2NGAL)
【0261】
実施例1A. X’がOVAであり、かつmが4である式103’
【0262】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、OVA(5.0mg、0.00012mmol)を、5mM EDTAを含有する100μlのpH8.0 PBSに加え、撹拌した。別々に、1mgのトラウト試薬を100μlのpH7.0 PBSに溶解し、ついで、このようにして得られた16μl(0.00119mmol)のトラウト試薬溶液を、撹拌を続けてOVAの撹拌溶液に加えた。1時間後、式103’の対応産物を得るために遠心性サイズ排除カラムを使って過剰トラウト試薬を除去した。
【0263】
実施例1B. nが80である式106A
【0264】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、ガラクトサミン(10.0mg、0.04638mmol)を、5mM EDTAを含有する100μlのpH8.0 PBSにおいて撹拌しながら溶解させた。100μlのpH7.0 PBSにおいて溶解されるピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステル(nが80である、式104)(16.23mg、0.00464mmol)を、ガラクトサミンの撹拌溶液に加えた。1時間後、得られるピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-N-アセチルガラクトサミン(式106A)をさらに精製せずに使用するよう準備した。
【0265】
実施例1C. X’がOVAであり、mが4であり、nが80であり(かつZ’がC2ガラクトサミンである)式1aA
【0266】
実施例1Aにおいて調製される式103’の精製OVA-トラウトコンジュゲーション体に、実施例1Bにおいて調製される式106Aの撹拌産物を直接加えた。1時間後、反応混合物を通過させることにより、遠心性サイズ排除カラムから得られる式1aの産物を精製した。特性評価(UHPLC SEC、ゲル電気泳動)で産物の正体を確認した。(
図5を参照されたい。)
【0267】
実施例1D. 式103’の他の化合物
【0268】
実施例1Aに記載される手順に従い、かつOVAを以下に置換することにより:
・ アブシキシマブ、
・ アダリムマブ、
・ アガルシダーゼアルファ、
・ アガルシダーゼベータ、
・ アルデスロイキン、
・ アルグルコシダーゼアルファ、
・ 第VIII因子、
・ 第IX因子、
・ L-アスパラギナーゼ、
・ ラロニダーゼ、
・ オクトレオチド、
・ フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、
・ ラスブリカーゼ、
・ インスリン(配列番号:5)、
・ GAD-65(配列番号:6)、
・ IGRP(配列番号:7)
・ MBP(配列番号:8)、
・ MOG(配列番号:9)、
・ PLP(配列番号:10)、
・ MBP13-32(配列番号:11)、
・ MBP83-99(配列番号:12)、
・ MBP111-129(配列番号:13)、
・ MBP146-170(配列番号:14)、
・ MOG1-20(配列番号:15)、
・ MOG35-55(配列番号:16)、
・ PLP139-154(配列番号:17)、
・ MART1(配列番号:18)、
・ チロシナーゼ(配列番号:19)、
・ PMEL(配列番号:20)、
・ アクアポリン4(配列番号:21)、
・ S-アレスチン(配列番号:22)、
・ IRBP(配列番号:23)、
・ コンアラキン(UNIPROT Q6PSU6)、
・ 天然アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)、
・ 脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)、
・ アルファ-グリアジン(配列番号:26)、
・ オメガ-グリアジン(配列番号:27)、
・ Fel d 1A(UNIPROT P30438)、
・ ネコアルブミン(UNIPROT P49064)、
・ Can f 1(UNIPROT O18873)、
・ イヌアルブミン(UNIPROT P49822)、および
・ RhCE example(UNIPROT P18577)、
式103’の以下の対応する化合物が得られ、ここで:
・ Xはアブシキシマブであり、かつmは10である、
・ Xはアダリムマブであり、かつmは11である、
・ Xはアガルシダーゼアルファであり、かつmは14である、
・ Xはアガルシダーゼベータであり、かつmは14である、
・ Xはアルデスロイキンであり、かつmは6である、
・ Xはアルグルコシダーゼアルファであり、かつmは13である、
・ Xは第VIII因子であり、かつmは100である、
・ Xは第IX因子であり、かつmは18である、
・ XはL-アスパラギナーゼであり、かつmは5である、
・ Xはラロニダーゼであり、かつmは7である、
・ Xはオクトレオチドであり、かつmは1である、
・ Xはフェニルアラニンアンモニアリアーゼであり、かつmは12である、
・ Xはラスブリカーゼであり、かつmは12である、
・ Xはインスリン(配列番号:5)であり、かつmは2である、
・ XはGAD-65(配列番号:6)であり、かつmは8である、
・ XはIGRP(配列番号:7)であり、かつmは7である、
・ XはMBP(配列番号:8)であり、かつmは6である、
・ XはMOG(配列番号:9)であり、かつmは5である、
・ XはPLP(配列番号:10)であり、かつmは8である、
・ XはMBP13-32(配列番号:11)であり、かつmは1である、
・ XはMBP83-99(配列番号:12)であり、かつmは1である、
・ XはMBP111-129(配列番号:13)であり、かつmは1である、
・ XはMBP146-170(配列番号:14)であり、かつmは2である、
・ XはMOG1-20(配列番号:15)であり、かつmは1である、
・ XはMOG35-55(配列番号:16)であり、かつmは2である、
・ XはPLP139-154(配列番号:17)であり、かつmは3である、
・ XはMART1(配列番号:18)であり、かつmは4である、
・ Xはチロシナーゼ(配列番号:19)であり、かつmは8である、
・ XはPMEL(配列番号:20)であり、かつmは5である、
・ Xはアクアポリン4(配列番号:21)であり、かつmは4である、
・ XはS-アレスチン(配列番号:22)であり、かつmは12である、
・ XはIRBP(配列番号:23)であり、かつmは21である、
・ Xはコンアラキンであり、かつmは21である、
・ Xは天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)であり、かつmは1である、
・ Xは脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)であり、かつmは1である、
・ Xはアルファ-グリアジン(配列番号:26)であり、かつmは1である、
・ Xはオメガ-グリアジン(配列番号:27)であり、かつmは1である、
・ XはFel d 1であり、かつmは4である、
・ Xはネコアルブミンであり、かつmは16である、
・ XはCan f 1であり、かつmは6である、
・ Xはイヌアルブミンであり、かつmは23である、ならびに
・ XはRhCE exampleであり、かつmは10である。
【0269】
実施例1E. 式1aAの他の化合物
【0270】
実施例1Cに記載される手順に従い、かつ式103’の化合物を置換することにより、例えば実施例1Dにおいて得られるように、式1aAの以下の対応する化合物が得られる:
・ F1aA-アブシキシマブ-m10-n80、
・ F1aA-アダリムマブ-m11-n80、
・ F1aA-アガルシダーゼアルファ-m14-n80、
・ F1aA-アガルシダーゼベータ-m14-n80、
・ F1aA-アルデスロイキン-m6-n80、
・ F1aA-アルグルコシダーゼアルファ-m13-n80、
・ F1aA-第VIII因子-m100-n80、
・ F1aA-第IX因子-m18-n80、
・ F1aA-L-アスパラギナーゼ-m5-n80、
・ F1aA-ラロニダーゼ-m7-n80、
・ F1aA-オクトレオチド-m1-n80、
・ F1aA-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ-m12-n80、
・ F1aA-ラスブリカーゼ-m12-n80、
・ F1aA-インスリン-m2-n80、
・ F1aA-GAD-65-m8-n80、
・ F1aA-IGRP-m7-n80、
・ F1aA-MBP-m6-n80、
・ F1aA-MOG-m5-n80、
・ F1aA-PLP-m8-n80、
・ F1aA-MBP13-32-m1-n80、
・ F1aA-MBP83-99-m1-n80、
・ F1aA-MBP111-129-m1-n80、
・ F1aA-MBP146-170-m2-n80、
・ F1aA-MOG1-20-m1-n80、
・ F1aA-MOG35-55-m2-n80、
・ F1aA-PLP139-154-m3-n80、
・ F1aA-MART1-m4-n80、
・ F1aA-チロシナーゼ-m8-n80、
・ F1aA-PMEL-m5-n80、
・ F1aA-アクアポリン4-m4-n80、
・ F1aA-S-アレスチン-m12-n80、
・ F1aA-IRBP-m21-n80、
・ F1aA-コンアラキン-m21-n80、
・ F1aA-天然型アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n80、
・ F1aA-脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n80、
・ F1aA-アルファ-グリアジン-m1-n80、
・ F1aA-オメガ-グリアジン-m1-n80、
・ F1aA-Fel d 1-m4-n80、
・ F1aA-ネコアルブミン-m16-n80、
・ F1aA-Can f 1-m6-n80、
・ F1aA-イヌアルブミン-m23-n80、および
・ F1aA-RhCE-m10-n80。
【0271】
実施例1F. 式106Aの他の化合物
【0272】
実施例1Bに記載される手順に従い、かつピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステル(nが80である、式104)を以下に置換することにより:
・ nが12である、式104、
・ nが33である、式104、
・ nが40である、式104、
・ nが43である、式104、
・ nが50である、式104、
・ nが60である、式104、
・ nが75である、式104、および
・ nが80である、式104、
式106Aの以下の対応する化合物が得られ、ここで:
・ nは12、
・ nは33、
・ nは40、
・ nは43、
・ nは50、
・ nは60、
・ nは75、および
・ nは84である。
【0273】
実施例1G. 式1aAの他の化合物
【0274】
実施例1Eに記載される手順に従い、かつ式106Aの化合物を実施例1Fにおいて得られる化合物に置換することにより、式1aAの対応する化合物が得られる、ここで、nは12、33、40、43、50、60、75および84であり:
・ F1aA-インスリン-m2-n12、
・ F1aA-インスリン-m2-n33、
・ F1aA-インスリン-m2-n40、
・ F1aA-インスリン-m2-n43、
・ F1aA-インスリン-m2-n50、
・ F1aA-インスリン-m2-n60、
・ F1aA-インスリン-m2-n75、および
・ F1aA-インスリン-m2-n84などである。
【0275】
実施例2
【0276】
F1b-OVA-m1-n4-p34-2NAcGAL
【0277】
実施例2A. X’がオボアルブミンであり、かつmが1である式103’
【0278】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、OVA(6.5mg、0.000155mmol)を、5mM EDTAを含有する200μlのpH8.0 PBSに加え、撹拌した。別々に、1mgのトラウト試薬を100μlのpH7.0 PBSに溶解し、かつ43μl(0.00310mmol)のこのようにして得られるトラウト試薬溶液を、撹拌を続けてOVAの撹拌溶液に加えた。1時間後、式103’の産物を得るために遠心性サイズ排除カラムを使って未反応のトラウト試薬を除去した。
【0279】
実施例2B. X’がオボアルブミンであり、mが1であり、nが4であり、pが34であり、R9が直接結合であり、かつZ”が2NAcGALである式1b
【0280】
微小遠心チューブにおいて、ポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)-(ピリジルジスルフィド)(式201)(20.0mg、0.0020mmol)を5mM EDTAを含有する50μlのpH8.0 PBSにおいて可溶化した。これに、実施例2A由来の精製OVA-トラウト産物を加え、それに続いて1時間撹拌した。反応混合物を通過させることにより、遠心性サイズ排除カラムから得られる式1bの産物を精製した。特性評価(UHPLC SEC、ゲル電気泳動)で産物の正体を確認した。(
図5を参照されたい。)
【0281】
実施例2C. 式1bの他の化合物
【0282】
実施例2Bに記載される手順に従い、かつ式103’の化合物を置換することにより、例えば実施例1Dにおいて得られるように、式1bの以下の対応する化合物が得られる:
・ F1b-アブシキシマブ-m10-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アダリムマブ-m11-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アガルシダーゼアルファ-m14-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アガルシダーゼベータ-m14-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アルデスロイキン-m6-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アルグルコシダーゼアルファ-m13-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-第VIII因子-m100-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-第IX因子-m18-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-L-アスパラギナーゼ-m5-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-ラロニダーゼ-m7-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-オクトレオチド-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ-m12-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-ラスブリカーゼ-m12-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-インスリン-m2-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-GAD-65-m8-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-IGRP-m7-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MBP-m6-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MOG-m5-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-PLP-m8-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MBP13-32-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MBP83-99-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MBP111-129-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MBP146-170-m2-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MOG1-20-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MOG35-55-m2-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-PLP139-154-m3-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-MART1-m4-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-チロシナーゼ-m8-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-PMEL-m5-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アクアポリン4-m4-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-S-アレスチン-m12-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-IRBP-m21-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-コンアラキン-m21-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-天然型アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-アルファ-グリアジン-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-オメガ-グリアジン-m1-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-Fel d 1-m4-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-ネコアルブミン-m16-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-Can f 1-m6-n4-p34-2NAcGAL、
・ F1b-イヌアルブミン-m23-n4-p34-2NAcGAL、および
・ F1b-RhCE-m10-n4-p34-2NAcGAL。
【0283】
実施例3
【0284】
F1f-OVA-m1-n4-p33-2NAcGAL
【0285】
実施例3A. X’がオボアルブミンであり、かつmが1であり、nが4であり、pが33であり、R9が直接結合であり、かつZ”が2NAcGALである式1f
【0286】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、OVA(4.0mg、0.0000952381mmol)を、0.1mlのpH7.4 PBSに加え、撹拌した。別々に、nが4であり、かつpが33である式601のポリ-(N-アセチルガラクトサミン)-p-ニトロフェニルカーボネート(33.0mg、0.002380952mmol)を、100μlのpH7.5 PBSに加え、溶解されるまでボルテックスした。2つの溶液を合わせ、当該混合物を激しく1時間撹拌した。式1fの産物を得るために混合物をその後収集し、pH7.4 PBSで3日間透析した(30kDa分子量カットオフ)。
【0287】
実施例4
【0288】
F1g-PVA-m1-p90-2NAcGAL
【0289】
実施例4A. X’がオボアルブミンであり、かつmが1であり、pが90であり、R9が直接結合であり、かつZ”が2NAcGALである式1g
【0290】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、OVA(5.0mg、0.000119048mmol)を、0.2mlのpH7.4 PBSに加え、撹拌した。撹拌溶液に、0.4mlのpH7.4 PBSにおいて溶解される75mg(0.00297619mmol)のポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)-NHS(式701)を加えた。混合物を2時間撹拌した。式1gの産物を得るために混合物をその後収集し、pH7.4 PBSで3日間透析した(30kDa分子量カットオフ)。
【0291】
実施例5
【0292】
F1h-OVA-m2-n45-p55-q4-2NAcGAL
【0293】
実施例5A. X’がオボアルブミンであり、mが2であり、かつnが45である式802’
【0294】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、OVA(3.0mg、0.0000714286mmol)を、15mM EDTAを含有する50μlのpH8.0 PBSに加え、撹拌した。DMFにおいて溶解されるジベンゾシクロオクチン-PEG-(p-ニトロフェニルカーボネート)(式801)(5.265mg、0.002142857mmol)を、OVA溶液に加え、1時間撹拌した。式802’の産物を得るために遠心性サイズ排除カラムを使って過剰ジベンゾシクロオクチン-PEG-(p-ニトロフェニルカーボネート)を除去した。
【0295】
実施例5B. X’がオボアルブミンであり、mが2であり、nが45であり、pが55であり、qが4であり、R8が、CH2であり、R9が直接結合であり、かつZ”が2NAcGALである式1h
【0296】
ポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)-N3(pが55であり、qが4であり、かつZ”がN-アセチルガラクトサミンである式803)(33mg、0.002142857mmol)を100μlのpH7.4 PBSに溶解し、撹拌しながら実施例5Aの産物を加えた。1時間後、遠心性サイズ排除クロマトグラフィーにより得られる式1hの産物を精製した。
【0297】
実施例6
【0298】
F1j-OVA-m10-n45-p55-q4-2NAcGAL
【0299】
実施例6A. X’がオボアルブミンであり、かつmが10である式103’
【0300】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、OVA(5.0mg、0.00019mmol)を、15mM EDTAを含有する50μlのpH8.0 PBSに加え、撹拌した。別々に、1mgのタウト試薬を100μlのpH7.0 PBSに溶解し、かつ16μl(0.0019mmol)のこのようにして得られるトラウト試薬溶液を、撹拌を続けてOVAの撹拌溶液に加えた。1時間後、式103’の産物を得るために遠心性サイズ排除カラムを使って未反応のトラウト試薬を除去した。
【0301】
実施例6B. X’がオボアルブミンであり、mが10であり、かつnが45である式902”
【0302】
ジベンゾシクロオクチン-PEG-(ピリジルジスルフィド)(nが45である、式901)(6.0mg、0.00238mmol)をDMFに溶解し、得られる溶液を、実施例6Aにおいて得られるOVA溶液に加え、1時間撹拌した。式902”の産物を得るために遠心性サイズ排除クロマトグラフィーを使って過剰ジベンゾシクロオクチン-PEG-(ピリジルジスルフィド)を除去した。
【0303】
実施例6C. X’がオボアルブミンであり、mが10であり、nが45であり、pが55であり、qが4であり、R8が、CH2であり、R9が直接結合であり、かつZ”が2NAcGALである式1j
【0304】
ポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)-N3(pが55であり、qが4であり、かつZ”がN-アセチルガラクトサミンである式803)(36mg、0.00238mmol)を150μlのpH7.4 PBSに溶解し、撹拌しながら実施例6Bの産物を加えた。1時間後、得られる式1jの産物を遠心性サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した(過剰p(GMA)-N3が除去される)。特性評価(UHPLC SEC、ゲル電気泳動)で産物の正体を確認した。
【0305】
実施例7
【0306】
F1L-OVA-m2-n80-p55-q4-2NAcGAL
【0307】
実施例7A. X’がオボアルブミンであり、mが2であり、かつnが80である式1002
【0308】
ジベンゾシクロオクチン-PEG-(ピリジルジスルフィド)(nが80である、式1001)(9.0mg、0.00238mmol)をDMFにおいて溶解し、得られる溶液を、式103’(ここで、X’はオボアルブミンであり、かつmは2)の精製OVA溶液に加え、例えば実施例6Aに記載されるように調製され、1時間撹拌した。式1002の産物を得るために遠心性サイズ排除クロマトグラフィーを使って過剰ジベンゾシクロオクチン-PEG-(ピリジルジスルフィド)を除去した。
【0309】
実施例7B. X’がオボアルブミンであり、mが2であり、nが80であり、pが55であり、qが4であり、R8が、CH2であり、R9が直接結合であり、かつZ”が2NAcGALである式1L
【0310】
ポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)-N3(pが55であり、qが4であり、かつZ”がN-アセチルガラクトサミンである式803)(36mg、0.00238mmol)を150μlのpH7.4 PBSにおいて溶解し、撹拌しながら実施例7Aの産物を加えた。1時間後、得られる式1Lの産物を遠心性サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した(過剰ポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)-N3が除去される)。特性評価(UHPLC SEC、ゲル電気泳動)で産物の正体を確認した。
【0311】
実施例8
【0312】
ポリ(ガラクトサミンメタクリル酸)ポリマーの調製
【0313】
実施例8A. ガラクトサミンメタクリル酸
【0314】
撹拌されたガラクトサミン塩酸塩(2.15g、10.0mmol)に、0.5M ナトリウムメトキシド(22ml、11.0mmol)を加えた。30分後、メタクリル酸無水物(14.694g、11.0mmol)を加え、連続して4時間撹拌した。得られるガラクトサミンメタクリル酸を、ロータリーエバポレーターを介してシリカゲルに装填し、DCM:MeOH(85:15)を使うカラムクロマトグラフィーを介して精製した。
【0315】
実施例8B. nが4であり、かつpが30である式201
【0316】
ガラクトースメタクリル酸(600mg、2.43mmol)、2-(2-(2-(2-(ピリジン-2-イルジスルファニル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル2-((フェニルカルボノチオイル)チオ)酢酸(44.8mg、0.081mmol)およびAIBN(3.174089069mg、0.016mmol)を、シュレンクフラスコにおいて1.5mlのDMFに加えた。反応混合物を4凍結融解サイクルに供し、その後70℃で6時間撹拌した。式201の望ましいポリマー産物を12mlのメタノール下で沈殿させ、過剰溶媒を減圧下で除去した。
【0317】
実施例9
【0318】
F1aA-PE-m3-n80の調製
【0319】
実施例9A. X’がフィコエリトリンである式103’
【0320】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、フィコエリトリン(“PE”)(ピアスから購入される)(200μl、0.000004mmol)を、5mM EDTAを含有する50μlのpH8.0 PBSに加え、撹拌した。別々に、1mgのタウト試薬を100μlのpH7.0 PBSに溶解し、かつ2μl(0.00013mmol)のこのようにして得られるトラウト試薬溶液を、撹拌を続けてPEの撹拌溶液に加えた。1時間後、式103’の産物を得るために遠心性サイズ排除カラムを使って過剰トラウト試薬を除去した。
【0321】
実施例9B. nが80である式106A
【0322】
エンドトキシンフリーのチューブにおいて、ガラクトサミン(7.0mg、0.03246mmol)を5mM EDTAを含有する100μlのpH8.0 PBSにおいて撹拌しながら溶解した。50μlのpH7.0 PBSにおいて溶解されるピリジルジチオール-ポリ(エチレングリコール)-NHSエステル(nが80である、式104)(16.23mg、0.00464mmol)を、ガラクトサミンの撹拌溶液に加えた。1時間後、得られる式106Aの産物をさらに精製せずに使用するよう準備した。
【0323】
実施例9C. X’がフィコエリトリンであり、mが3であり、nが80であり、かつZ’がガラクトサミンである式1a
【0324】
実施例9Aにおいて調製される精製PE-トラウトコンジュゲーション体に、実施例9Bにおいて調製される式106Aの撹拌産物を直接加えた。1時間後、反応混合物を通過させることにより、遠心性サイズ排除カラムから得られる式1aの産物を精製した。特性評価(UHPLC SEC、ゲル電気泳動)で産物の正体を確認した。
【0325】
実施例10
【0326】
OVA-DOM
【0327】
10A. 発現ベクターの調製
【0328】
哺乳類の細胞発現ベクターpSecTag Aをライフ・テクノロジーズから購入した。抗ASGPRドメイン抗体、本明細書で“DOM”と称されるDom26h-196-61をコードする遺伝子を、ヒト細胞におけるタンパク質発現のためのコドン最適化配列としてプロバイダージェンスクリプトから購入した。QuikChangeプロトコール(Geiser,et al)のバリエーション後の部位特異的突然変異誘発法により哺乳類の発現ベクターpSecTag A、C末端にIg κ鎖分泌リーダー配列OVA、DOM、可動性のリンカーGly3Ser、および6xHisタグをコードする配列をクローニングした。
【0329】
10B. m’が1であり、m”が0であり、Xがオボアルブミンであり、YがGly3Serであり、Zが抗ASGPR Dom26h-196-61である式2の発現および精製
【0330】
HEK293細胞を、例えば実施例10Aに記載されるように調製される改変pSecTag A ベクターでポリエチレンイミンを使って一過的に遺伝子導入した。遺伝子導入された細胞をバルプロ酸が補充されたFreeStyle 293培地(ライフ・テクノロジーズ)で7日間培養し、その後遠心分離により細胞を除去し、培養上清を収集し、濾過により無菌化した。HisTrap Ni2+セファロースカラム(GEヘルスケア)を使って、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーにより培養上清から式2のOVA/DOM融合タンパク質を精製し、それに続いて Superdex75カラム(GEヘルスケア)を使ってサイズ排除クロマトグラフィーをし、それは以下の一般化された構造を有し:
N-OVA-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-6xHis-C
かつ以下のアミノ酸配列を有する:
GSIGAASMEFCFDVFKELKVHHANENIFYCPIAIMSALAMVYLGAKDSTRTQINKVVRFDKLPGFGDSIEAQCGTSVNVHSSLRDILNQITKPNDVYSFSLASRLYAEERYPILPEYLQCVKELYRGGLEPINFQTAADQARELINSWVESQTNGIIRNVLQPSSVDSQTAMVLVNAIVFKGLWEKAFKDEDTQAMPFRVTEQESKPVQMMYQIGLFRVASMASEKMKILELPFASGTMSMLVLLPDEVSGLEQLESIINFEKLTEWTSSNVMEERKIKVYLPRMKMEEKYNLTSVLMAMGITDVFSSSANLSGISSAESLKISQAVHAAHAEINEAGREVVGSAEAGVDAASVSEEFRADHPFLFCIKHIATNAVLFFGRCVSPGGGSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFEKYAMAWVRQAPGKGLEWVSRISARGVTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASHKRHEHTRFDSWGQGTLVTVSSGGGSHHHHHH(配列番号:28)。
【0331】
SDS-PAGEゲルのクマシーブリリアントブルー染色および抗6xHisタグウェスタンブロッティングにより、タンパク質純度を検証した。ランベルト・ベールの法則を使ってタンパク質濃度を決定し、そのためにNanoDrop 2000(Thermo Scientific)を使って280nmでの吸光度を測定し、分子量(57.3kDa)および吸光係数(57、090M-1cm-1)をExPASy ProtParamツールを使ってタンパク質のアミノ酸配列から推定した。製造業者の指示書に従って、HEK-BLUE TLRレポーター細胞系統(Invivogen)を使ってエンドトキシンレベルを測定した。
【0332】
10C. 式2の他の組成物
【0333】
実施例10Aおよび10Bに記載される手順に従い、かつpSecTag Aベクターを置換することにより、それに応じて、以下の式2の融合タンパク質が得られた:
N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C
以下のアミノ酸配列を有し:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFEKYAMAWVRQAPGKGLEWVSRISARGVTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASHKRHEHTRFDSWGQGTLVTVSSGGGSGSIGAASMEFCFDVFKELKVHHANENIFYCPIAIMSALAMVYLGAKDSTRTQINKVVRFDKLPGFGDSIEAQCGTSVNVHSSLRDILNQITKPNDVYSFSLASRLYAEERYPILPEYLQCVKELYRGGLEPINFQTAADQARELINSWVESQTNGIIRNVLQPSSVDSQTAMVLVNAIVFKGLWEKAFKDEDTQAMPFRVTEQESKPVQMMYQIGLFRVASMASEKMKILELPFASGTMSMLVLLPDEVSGLEQLESIINFEKLTEWTSSNVMEERKIKVYLPRMKMEEKYNLTSVLMAMGITDVFSSSANLSGISSAESLKISQAVHAAHAEINEAGREVVGSAEAGVDAASVSEEFRADHPFLFCIKHIATNAVLFFGRCVSPGGGSHHHHHH(配列番号:29);および
N-OVA-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C
そして以下のアミノ酸配列を有する:
GSIGAASMEFCFDVFKELKVHHANENIFYCPIAIMSALAMVYLGAKDSTRTQINKVVRFDKLPGFGDSIEAQCGTSVNVHSSLRDILNQITKPNDVYSFSLASRLYAEERYPILPEYLQCVKELYRGGLEPINFQTAADQARELINSWVESQTNGIIRNVLQPSSVDSQTAMVLVNAIVFKGLWEKAFKDEDTQAMPFRVTEQESKPVQMMYQIGLFRVASMASEKMKILELPFASGTMSMLVLLPDEVSGLEQLESIINFEKLTEWTSSNVMEERKIKVYLPRMKMEEKYNLTSVLMAMGITDVFSSSANLSGISSAESLKISQAVHAAHAEINEAGREVVGSAEAGVDAASVSEEFRADHPFLFCIKHIATNAVLFFGRCVSPGGGSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFEKYAMAWVRQAPGKGLEWVSRISARGVTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASHKRHEHTRFDSWGQGTLVTVSSGGGSGSIGAASMEFCFDVFKELKVHHANENIFYCPIAIMSALAMVYLGAKDSTRTQINKVVRFDKLPGFGDSIEAQCGTSVNVHSSLRDILNQITKPNDVYSFSLASRLYAEERYPILPEYLQCVKELYRGGLEPINFQTAADQARELINSWVESQTNGIIRNVLQPSSVDSQTAMVLVNAIVFKGLWEKAFKDEDTQAMPFRVTEQESKPVQMMYQIGLFRVASMASEKMKILELPFASGTMSMLVLLPDEVSGLEQLESIINFEKLTEWTSSNVMEERKIKVYLPRMKMEEKYNLTSVLMAMGITDVFSSSANLSGISSAESLKISQAVHAAHAEINEAGREVVGSAEAGVDAASVSEEFRADHPFLFCIKHIATNAVLFFGRCVSPGGGSHHHHHH(配列番号:30)。
【0334】
10D. 式2の他の組成物
【0335】
実施例10Aおよび10Bに記載される手順に従い、かつ免疫プロテアソーム切断部位(“IPC”)を有するリンカーのためのGly3Serベクター、および以下のためのOVAベクターに置換することにより:
MBP13-32(配列番号:11)、
MBP83-99(配列番号:12)、
MBP111-129(配列番号:13)、
MBP146-170(配列番号:14)、
MOG1-20(配列番号:15)、
MOG35-55(配列番号:16)、および
PLP139-154(配列番号:17)、
または以下のためのベクター:
脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)
アルファ-グリアジン(配列番号:26)、および
オメガ-グリアジン(配列番号:27)、
以下の式2の融合タンパク質が得られる:
・ MBP13-32-IPC-MBP83-99-IPC-MBP111-129-IPC-MBP146-170-IPC-MOG1-20-IPC-MOG35-55-IPC-PLP139-154-IPC-DOM、および
・ 脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-IPC-アルファ-グリアジン-IPC-オメガ-グリアジン-IPC-DOM。
【0336】
実施例11
【0337】
脱シアル化OVA
【0338】
11A. 発現ベクターの調製
【0339】
哺乳類の細胞発現ベクターpSecTag Aをライフ・テクノロジーズから購入した。QuikChangeプロトコール(Geiser,et al)のバリエーション後の部位特異的突然変異誘発法によりpSecTag A、C末端にIg κ鎖分泌リーダー配列に、OVA、可動性のリンカーGly3Ser、および6xHisタグをコードする配列をクローニングした。
【0340】
11B. OVAの発現および精製
【0341】
HEK293細胞を、例えば実施例10Aに記載されるように調製される改変pSecTag A ベクターでポリエチレンイミンを使って一過的に遺伝子導入した。遺伝子導入された細胞をバルプロ酸が補充されたFreeStyle 293培地(ライフ・テクノロジーズ)で7日間培養し、その後遠心分離により細胞を除去し、培養上清を収集し、濾過により無菌化した。HisTrap Ni2+セファロースカラム(GEヘルスケア)を使って、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーにより培養上清からOVAタンパク質を精製し、それに続いてSuperdex75カラム(GEヘルスケア)を使ってサイズ排除クロマトグラフィーをし、それは以下の構造を有し:
N’-OVA Gly3Ser-6xHis-C’
かつ以下のアミノ酸配列を有する:
GSIGAASMEFCFDVFKELKVHHANENIFYCPIAIMSALAMVYLGAKDSTRTQINKVVRFDKLPGFGDSIEAQCGTSVNVHSSLRDILNQITKPNDVYSFSLASRLYAEERYPILPEYLQCVKELYRGGLEPINFQTAADQARELINSWVESQTNGIIRNVLQPSSVDSQTAMVLVNAIVFKGLWEKAFKDEDTQAMPFRVTEQESKPVQMMYQIGLFRVASMASEKMKILELPFASGTMSMLVLLPDEVSGLEQLESIINFEKLTEWTSSNVMEERKIKVYLPRMKMEEKYNLTSVLMAMGITDVFSSSANLSGISSAESLKISQAVHAAHAEINEAGREVVGSAEAGVDAASVSEEFRADHPFLFCIKHIATNAVLFFGRCVSPGGGSHHHHHH(配列番号:31)
【0342】
SDS-PAGEゲルのクマシーブリリアントブルー染色および抗6xHisタグウェスタンブロッティングにより、タンパク質純度を検証した。ランベルト・ベールの法則を使ってタンパク質濃度を決定し、そのためにNanoDrop 2000(Thermo Scientific)を使って280nmでの吸光度を測定し、分子量(43.8kDa)および吸光係数(31、525M-1cm-1)をExPASy ProtParamツールを使ってタンパク質のアミノ酸配列から推定した。
【0343】
11C. 脱シアル化
【0344】
OVAを37℃で1時間ノイラミニダーゼ(New England Biolabs)とのインキュベーションにより脱シアル化した。固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(例えば、HisTrap Ni2+ セファロースカラム、GEヘルスケアを使って)により反応混合物から、脱シアル化OVAを精製し、それに続いてサイズ排除クロマトグラフィーした(例えば、Superdex75カラム、GEヘルスケアを使って)。
【0345】
SDS-PAGEゲルのクマシーブリリアントブルー染色および抗6xHisタグウェスタンブロッティングにより、タンパク質純度を検証した。ウェスタンブロットにおいてタンパク質シアル酸含量のセイヨウニワトコレクチンに基づく検出により(ベクター Biolabs)およびシアル酸媒介蛍光アッセイ(プロザイム)により、脱シアル化を検証した。脱シアル化前のタンパク質について上記に記載されるように、脱シアル化タンパク質濃度を、ランベルト・ベールの法則を使って決定した。製造業者の指示書に従って、HEK-Blue TLR4レポーター細胞系統(Invivogen)を使ってエンドトキシンレベルを測定する。
【0346】
実施例12
【0347】
肝臓の分布
【0348】
12A. 例えば、実施例9に記載されるように、F1aA-PE-m3-n80を調製した。無菌の生理食塩水において、30μg/100μl溶液を注射のために調製した。
【0349】
C57 black 6マウスの3つの群うちの1つ(群当たり3)に尾静脈注射を介して、F1aA-PE-m3-n80溶液(30μg)を投与した。2つのマウスの他の群は、100μlの生理食塩水または生理食塩水媒体において等量のフィコエリトリンを受けた。投与後3時間、これらの動物の肝臓および脾臓を収集し、これらの臓器における細胞蛍光のレベルを、細胞PE含量の指標として、フローサイトメトリーにより決定した。
【0350】
図1に示されるように、F1aA-PE-m
3-n
80で治療されたマウスの肝臓由来の類洞内皮細胞(LSEC)、肝細胞、クッパー細胞(KC)、および他の抗原提示細胞(APC)は、PE溶液を受けた動物と比較して、蛍光において少なくとも3倍の増加を示した。3群から収集された脾臓細胞における蛍光において、検出可能な差異は確認されなかった。これらの結果は、F1aA-PE-m
3-n
80は、肝臓における抗原提示細胞に結合する十分な特異性を有することを確認する。
【0351】
12B. 実施例12Aに記載される手順に従い、かつF1aA-PE-m3-n80を、例えば、実施例9に関して記載されるように、実施例2B、3、4、5B、6B、7B、19G、19L、20Bおよび20FにおけるXの置換により、調製される化合物F1b-PE-m3-n4-p34-2NAcGAL、F1f-PE-m3-n4-p33-2NAcGAL、F1g-PE-m3-p90-2NAcGAL、F1h-PE-m3-n45-p55-q4-2NAcGAL、F1j-PE-m3-n45-p55-q4-2NAcGAL、F1L-PE-m3-n80-p55-q4-2NAcGAL、F1m-PE-m3-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、F1m-PE-m3-n62-p30-q8-CMP-2OH、F1n-PE-m3-n1-p30-q4-CMP-2NHAcおよびF1n-PE-m3-n33-p30-q8-CMP-2OHに置換することにより、それぞれ、化合物F1aA-PE-m3-n80と化合物F1b-PE-m3-n4-p34-2NAcGAL、F1f-PE-m3-n4-p33-2NAcGAL、F1g-PE-m3-p90-2NAcGAL、F1h-PE-m3-n45-p55-q4-2NAcGAL、F1j-PE-m3-n45-p55-q4-2NAcGAL、F1L-PE-m3-n80-p55-q4-2NAcGAL、F1m-PE-m3-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、F1m-PE-m3-n62-p30-q8-CMP-2OH、F1n-PE-m3-n1-p30-q4-CMP-2NHAcおよびF1n-PE-m3-n33-p30-q8-CMP-2OHが、肝臓における抗原提示細胞に結合する十分な特異性を有すると確認される。
【0352】
実施例13
【0353】
抗原特異的なOT1 CD8+T細胞の増殖
【0354】
13A. 例えば、実施例1に記載されるような、合成F1aA-OVA-m4-n80を、注射のための10μg/100μl生理食塩水溶液として調製した。0日目、106OT-1 T細胞を蛍光標識し、かつCD45.2マウスの3群に尾静脈注射を介して養子性に移行させた(群あたり5)。翌日(すなわち1日)、それぞれ3群のマウスにそれぞれ、10μgのF1aA-OVA-m4-n80、OVAまたは生理食塩水を、尾静脈注射を介して投与した。6日目に、当該動物を屠殺し、かつ脾臓増殖性OT-1細胞の割合を、蛍光活性化細胞選別を介して決定した。
【0355】
当該研究の結果(
図2を参照されたい)は、F1aA-OVA-m
4-n
80(
図2における“Gal-OVA”)で治療されたマウスにおける増殖性OTI T細胞の割合は、OVAまたは生理食塩水(
図2における“ナイーブ”)で治療されたマウスの脾臓における増殖性OTI細胞の割合より有意に大きいことを示す。OTI細胞増殖における増加は、F1aA-OVA-m
4-n
80対、他の治療法で治療される動物における増加したCD8
+T細胞クロスプライミングを実証する。実施例12の結果に応じて、これらの結果は、F1aA-OVA-m
4-n
80の抗原を肝臓へ標的とする能力が、OVA-特異的なOTI T細胞への肝臓における抗原提示細胞による、OVA提示を増加させることを示す。
【0356】
13B. 機能的なエフェクター表現型へと増殖されているT細胞を、増殖かつ除去されているものから区別するために、増殖性OTI CD8
+T細胞を、アポトーシス、ひいては除去の特徴としてアネキシンV、並びに消耗マーカーprogrammed death-1(PD-1)について分析した。
図3に示されるように、F1aA-OVA-m
4-n
80(
図3における“Gal-OVA”)は、可溶性のOVAよりずっと多い数のアネキシンV
+およびPD-1
+増殖性OTI CD8
+T細胞を誘導した。
【0357】
13C. 実施例13Aおよび13Bに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8を例えば、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19Gに記載される、得られる式1の化合物に置換することにより、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19G由来の化合物は、可溶性のOVAよりずっと多い数のアネキシンV+およびPD-1+増殖性OTI CD8+T細胞を誘導することが示される。
【0358】
13D. 実施例13Aおよび13Bに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8を例えば、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20Fに記載される、得られる式1および2の化合物に置換すること、ならびにOVAをX(またはX’もしくはX”)に対応する抗原に置換することにより、それぞれに、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20F由来の化合物は、可溶性抗原Xよりずっと多い数のアネキシンV+およびPD-1+増殖性OTI CD8+T細胞を誘導することが示される。
【0359】
実施例14
F1aA-OVA-m4-n8は、OVA-特異抗体応答を誘導しない
【0360】
14A. F1aA-OVA-m
4-n
8に対する体液性免疫応答を評価するために、我々はマウスをF1aA-OVA-m
4-n
8またはOVAのいずれかの毎週静脈内注射で治療し、その後血液におけるOVA-特異的な抗体のレベルを測定した。実験の0、7、および14日目に、マウスに以下の1つを含有する100μlの生理食塩水の静脈内注射を投与した:1.)6μgのOVA;2.)6μgのF1aA-OVA-m
4-n
8;3.)30μgのOVA;4.)30μgのF1aA-OVA-m
4-n
8、または5.)生理食塩水単独。それぞれの群は5マウスを含有した。19日目に、頬の穿刺を介してマウスから採血し、かつそれぞれのマウスの血液におけるOVA-特異的な抗体の力価を、ELISAを介して決定した。この研究の結果は、6および30μgのOVAで治療されたマウスは、OVA-特異抗体力価が増加するにも関わらず、6および30μgの両方のF1aA-OVA-m
4-n
8(
図4における“Gal-OVA”)で治療されたマウスは、生理食塩水で治療されたマウス(すなわち媒体で治療される動物)と同様の血液力価を有することを示した(
図4)。例えば6および30μgのOVAで治療されたマウスは、それぞれ3.5および2.5の平均抗体力価を有し;一方で、6および30μgのOVAで治療されたマウスは、それぞれ0.75および0.25の平均抗体力価を有していた。
【0361】
14B. 実施例14Aに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8を例えば、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19Gに記載される、得られる式1の化合物に置換することにより、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19G由来の化合物で治療されたマウスは、生理食塩水で治療されたマウスと同様のOVA-特異抗体力価を有することが示される。
【0362】
14C. 実施例14Aに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8を例えば、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20Fに記載される、得られる式1および2の化合物に置換することにより、ならびにOVAをX(またはX’もしくはX”)に対応する抗原に置換することにより、それぞれに、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20F由来の化合物で治療されたマウスは、生理食塩水で治療されたマウスと同様の抗原X-特異抗体力価を有することが示される。
【0363】
実施例15
【0364】
F1aA-OVA-m4-n8は、OVA-特異的な抗体を枯渇させる
【0365】
15A. 我々は異なるOVA-抗体血液力価(それぞれのマウスは0から4.5の力価を有していた)を有するマウスを100μlの生理食塩水可溶化した20μgのF1aA-OVA-m
4-n
8の静脈内注射で治療した。マウスに、0、5、7、12、および14日目にF1aA-OVA-m
4-n
8の静脈内注射を与えた(F1aA-OVA-m
4-n
8の注射を“Gal-OVA”として標識し、かつ
図5のx軸上に緑色の矢印として示す)。F1aA-OVA-m
4-n
8の、血清OVA-特異的な抗体を枯渇させる能力を決定するために、-1日目にマウスから初期抗体力価を確立するために採血し、その後引き続いて、2、6、9、13、および16日目に、それぞれのF1aA-OVA-m
4-n
8の注射後に採血を実施した。それぞれのマウスの抗体力価を、ELISAを介して決定した。当該研究の結果は、F1aA-OVA-m
4-n
8は、マウスにおける血清抗体レベルを枯渇させることができるということを示す。例えば、第一のF1aA-OVA-m
4-n
8注射後の1日(すなわち2日目)に、陽性OVA-抗体力価経験を有するマウスは、血清抗体レベルにおいて5から100倍減少する(
図5)。我々の結果は、19日の実験の過程にわたって、ある特定のマウスについて抗体力価は増加したにもかかわらず、力価レベルは、-1日目に測定される初期の抗体力価に決して達せず、引き続くF1aA-OVA-m
4-n
8の用量は、抗体力価におけるこれらの一過性の増加を減少させる際に有効であることを示す。これらの結果は、F1aA-OVA-m
4-n
8は、血清OVA-特異的な抗体に結合する特異性を有すること、およびOVA-特異的な血清抗体を枯渇させるのに必要とされる動態(kinetics)を実証する。
【0366】
15B. 実施例15Aに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8を例えば、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19Gに記載される、得られる式1の化合物に置換することにより、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19G由来の化合物は、血清OVA-特異的な抗体に結合する特異性を有すること、およびOVA-特異的な血清抗体を枯渇させるのに必要とされる動態が示される。
【0367】
15C. 実施例15Aに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8を例えば、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20Fに記載される、得られる式1および2の化合物に置換することにより、ならびにOVAをX(またはX’もしくはX”)に対応する抗原に置換することにより、それぞれに、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20F由来の化合物は血清抗原X-特異的な抗体に結合する特異性を有することおよび抗原X-特異的な血清抗体を枯渇させるのに必要とされる動態が示される。
【0368】
実施例16
【0369】
寛容モデルへのOT-1チャレンジ
【0370】
16A. 確立された寛容モデルへのOTIチャレンジ(Liu、Iyoda、et al.,2002)を使って、F1aA-OVA-m4-n8(mGal-OVA)、F1b-OVA-m1-n4-p34(pGal-OVA)、およびN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C(Dom-OVA)の、引き続くワクチン-媒介抗原チャレンジへの免疫応答を予防する能力を、非常に強い細菌由来のアジュバント(すなわちリポ多糖)を伴うチャレンジでも実証した。寛容化するために、OTI CD8+(CD45.2+)T細胞をCD45.1+マウスに養子性に移行(群あたりn=5マウス)後、1および6日目に、100μlの生理食塩水中233nmolのF1aA-OVA-m4-n8、F1b-OVA-m1-n4-p34、N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C、または可溶性のOVAのいずれかを静脈内に投与した。さらに9日後、移行T細胞の潜在的な除去を可能にするため、レシピエントマウスをその後皮内注射によりリポ多糖(LPS)(50ng)でアジュバントされるOVA(10μg)でチャレンジした。チャレンジ後4日の流入領域リンパ節の特徴は、除去が実際に起こったか否かの決定を可能にする。
【0371】
16B. F1aA-OVA-m
4-n
8、F1b-OVA-m
1-n
4-p
34、およびN-DOM-Gly
3Ser-OVA-Gly
3Ser-6xHis-Cの静脈内投与は、LPSでの抗原チャレンジ前の未改変のOVAで治療されたマウスと比較して、流入領域リンパ節におけるOTI CD8
+T細胞密度における多大な減少を引き起こし、これは除去寛容(deletional tolerance)を示す。例えば、
図6は、F1aA-OVA-m
4-n
8(mGal-OVA)、F1b-OVA-m
1-n
4-p
34(pGal-OVA)、およびN-DOM-Gly
3Ser-OVA-Gly
3Ser-6xHis-C(Dom-OVA)のいずれかで治療されたマウスからの流入領域リンパ節が、OVA-治療されるマウスと比較して9倍超少ないOTI CD8
+T細胞、および抗原の静脈内注射を受けなかったチャレンジコントロールマウスより43倍超少ない細胞を含有したことを示し;脾臓細胞における応答は同様であった。これらの結果は、F1aA-OVA-m
4-n
8、F1b-OVA-m
1-n
4-p
34、およびN-DOM-Gly
3Ser-OVA-Gly
3Ser-6xHis-Cは、アジュバントOVAチャレンジ後のOVA-特異的な免疫応答を軽減したことを実証する。
【0372】
16C. 実施例16AおよびBに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8、F1b-OVA-m1-n4-p34、およびN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-Cを例えば、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19Gに記載される、得られる式1の化合物に置換することにより、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19G由来の化合物は、アジュバントされるOVAチャレンジ後のOVA-特異的な免疫応答を軽減することが示される。
【0373】
16D. 実施例16AおよびBに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8、F1b-OVA-m1-n4-p34、およびN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-Cを例えば、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20Fに記載される、得られる式1および2の化合物に置換することにより、ならびにOVAをX(またはX’もしくはX”)に対応する抗原に置換することにより、それぞれに、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20F由来の化合物はアジュバントされる抗原Xチャレンジ後の抗原X-特異的な免疫応答を軽減することが示される。
【0374】
実施例17
【0375】
薬物動態
【0376】
17A. 製造業者の指示書に従って、OVAならびに融合タンパク質N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-CおよびN-OVA-Gly3Ser-DOM-Gly3Ser-6xHis-C(例えば、実施例10に記載されるように調製される)をIRDye 800CW(LI-COR バイオサイエンス)で標識した。未反応の色素は、Zeba脱塩カラム(Thermo Scientific)を使って除去した。用量あたり100μlのPBS中50μgの標識タンパク質をC57BL/6マウスへ静脈内または皮下に投与した(群あたり5マウス)。注射後の時点=0、0.25、0.5、1、2、4、8、24、48、および96時間で、尾の先端からヘパリン被覆キャピラリーチューブへ血液試料を収集した。当該試料を4℃で保存し、解析まで光から保護した。
【0377】
解析の日に、血液試料を遠心し、細胞成分を除去した。血漿を新しいキャピラリーチューブへ移し、オデッセイ赤外イメージングシステム(LI-CORバイオサイエンス)を使ってスキャンした。シグナルは、800nmのチャネルで得られる。イメージ-プロセシングプログラムイメージJ(米国国立衛生研究所)を使って、それぞれの試料は幅2の線として近似され、かつ線に沿う平均強度は、その時点で循環タンパク質の量の相対測定値として決定した。
【0378】
OVAならびに融合タンパク質DOM-OVAおよびOVA-DOMについての(時点=0での蛍光に標準化される)蛍光シグナル対時間は、
図8において、二重指数関数的減衰の形態に収まる曲線と一緒に、ASGPR標的化OVA融合タンパク質が未改変のOVAより急速に循環からクリアランスされることを示す。
【0379】
17B. 実施例17Aに記載される手順に従い、かつN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C融合タンパク質およびOVAをアシアロ第VIII因子および第VIII因子に置換することにより、それぞれに、アシアロ第VIII因子は未改変の第VIII因子より急速に循環からクリアランスされることが示される。
【0380】
実施例18
【0381】
体内分布
【0382】
18A. 製造業者の指示書に従って、OVAおよびN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C融合タンパク質(例えば、実施例10に記載されるように調製される)は、Alexa Fluor 647(ライフ・テクノロジーズ)で標識した。未反応の色素を、Zeba脱塩カラム(Thermo Scientific)を使って除去した。用量あたり100μlのPBS中50μgの標識タンパク質を、C57BL/6マウスへ静脈内または皮下に投与した(群あたり5マウス)。注射2時間後、マウスをCO2窒息により安楽死させた。血液、心臓、腸、腎臓、肝臓、胚、胃、脾臓、および残存死体を、IVISスペクトルイメージングシステム(Caliper Life Science)を使って撮像した。データを、リヴィングイメージソフトウェア(Caliper Life Science)を使って得、かつ分析した。肝臓および脾臓の単一細胞懸濁液を調製し、0.1%(w/v)BSAのPBS中で蛍光性にコンジュゲートされたMHCクラスII、CD1d、CD3、CD4、CD8アルファ、CD11b、CD11c、CD14、CD19、CD45、CD123、および/またはLinに対する抗体で染色した。LSR IIフローサイトメトリーおよびFACS Diva ソフトウェア(BD バイオサイエンス)を使って、試料を分析した。
【0383】
それぞれの臓器およびそれぞれのタンパク質について蛍光シグナル密度(光子/重量)を示すヒストグラムは、N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C融合タンパク質で注射される動物において、未改変のOVAで治療されるものと比較して最も高い蛍光シグナルは肝臓におけるものであることを示す。
【0384】
N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-CおよびOVA-陽性細胞の割合を示すヒストグラムは、N-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C融合タンパク質で注射される動物は未改変のOVAで治療されるものと比較して有意に高い陽性の肝細胞の割合を有することを示す。
【0385】
18B. 実施例18Aに記載される手順に従い、かつN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C融合タンパク質およびOVAをアシアロ第VIII因子および第VIII因子に置換することにより、それぞれに、アシアロ第VIII因子で注射される動物は、未改変の第VIII因子で治療されるものと比較して有意に高い陽性の肝細胞の割合を有するということが示される。
【0386】
18C. 実施例18Aに記載される手順に従い、かつN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-C融合タンパク質を例えば、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19Gに記載される、得られる式1の化合物に置換することにより、実施例3A、4A、5B、6C、7Bおよび19G由来の化合物で注射される動物は、OVAで治療されるものと比較して有意に高い陽性の肝細胞の割合を有するということが示される。
【0387】
18D。実施例18AおよびBに記載される手順に従い、かつF1aA-OVA-m4-n8、F1b-OVA-m1-n4-p34、およびN-DOM-Gly3Ser-OVA-Gly3Ser-6xHis-Cを例えば、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20Fに記載される、得られる式1および2の化合物に置換することにより、ならびにOVAをX(またはX’もしくはX”)に対応する抗原に置換することにより、それぞれに、実施例1E、1G、2C、10D、19I、19L、20B、20Dおよび20F由来の化合物で注射される動物は、抗原Xで治療されるものと比較して有意に高い陽性の肝細胞の割合を有するということが示されることが示される。
【0388】
実施例19
【0389】
F1m-OVA-m2-n80-p30-q4-CMP-2NHAc
【0390】
19A. R3がNHAcであり、かつR4がOHである式1102
【0391】
N-アセチル-D-ガラクトサミン(R3がNHAcであり、かつR4がOHである式1101)(5g、22.6mmol)を、室温でクロロエタノール(200ml)の撹拌溶液に加えた。当該溶液を4℃まで冷却し、アセチルクロライドを、当該溶液に滴下して加えた。当該溶液を室温までにし、その後70℃に加熱した。4時間後、未反応のクロロエタノールを減圧下で除去した。100mlのエタノールを、粗産物に加え、得られる溶液を2時間炭素存在下で撹拌した。当該溶液を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。式1102の対応産物、N-(2-(2-クロロエトキシ)-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミドをさらに精製せずに使用した。
【0392】
19B. R3がNHAcであり、かつR4がOHである式1103
【0393】
実施例19Aにおいて調製されるN-(2-(2-クロロエトキシ)-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド(2g、7.4mmol)を、DMFおよびアジ化ナトリウム(4g、61.5mmol)の撹拌溶液(100ml)に加えた。当該溶液を12時間90℃で加熱し、その後、濾過した。残留している溶媒を減圧下で除去し、粗産物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタンにおいて10%MeOH)を介して精製し、式1103の対応産物、N-(2-(2-アジドエトキシ)-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミドを与えた。
【0394】
19C. R3がNHAcであり、かつR4がOHである式1104
【0395】
実施例19Bにおいて調製されるN-(2-(2-アジドエトキシ)-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド(2g、6.9mmol)を、パラジウム炭素およびエタノールの溶液(50ml)に加えた。当該溶液を水素ガス(3気圧)のもとで4時間撹拌した。得られる溶液を濾過し、残留している溶媒を減圧下で除去し、式1104の対応産物、N-(2-(2-アミノエトキシ)-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミドを得、さらに精製せずにを使用した。
【0396】
19D. R3がNHAcであり、かつR4がOHである式1105
【0397】
実施例19Cにおいて調製されるN-(2-(2-アミノエトキシ)-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド(1.0g、3.78mmol)を、DMF(50ml)におけるメタクリル酸無水物(0.583g、3.78mmol)の溶液に加えた。トリエチルアミンをその後、当該溶液に加えて反応液を2時間室温で撹拌した。2時間後、過剰溶媒を減圧下で除去し、式1105の対応産物、N-(2-((3-アセトアミド-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)メタクリルアミド、を、フラッシュクロマトグラフィーを介して単離した。
【0398】
19E. pが30であり、qが4であり、R3がNHAcであり、R4がOHであり、かつR8が、CMPである式1107
【0399】
qが4である式1106のアジド-改変uRAFT剤(28mg)を、DMFにおける実施例19Dにおいて調製されるN-(2-((3-アセトアミド-4、5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)メタクリルアミド(579mg、1.74mmol)およびアゾビスイソブチロニトリル(2.2mg、0.0116mmol)の溶液に加えた。当該反応混合物を4凍結脱気サイクルに供し、その後70℃で撹拌した。12時間後、pが30であり、かつqが4である式1107のポリマー産物を、メタノールの添加を介して反応混合物から沈殿させた。当該溶媒を、容器を傾けて固形から上清を移し、固形を収集し、残留している溶媒を、減少圧力を介して除去した。
【0400】
19F. X’がOVAであり、mが2であり、かつnが80である式1109
【0401】
オボアルブミン(5mg、0.00012mmol)を、100μlのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に加え、撹拌した。この溶液に、5mgのnが80である式1108の化合物を加えた。1時間後、未反応の式1108の化合物を遠心性サイズ排除クロマトグラフィーを介して当該溶液から除去した。式1109の対応産物を含有する、得られる緩衝溶液をさらに精製せずに次の反応において使用した。
【0402】
19G. X’がOVAであり、mが2であり、nが80であり、pが30であり、qが4であり、R3が、NHAcであり、かつR8が、CMPである式1m
【0403】
実施例19Fにおいて調製される溶液に、実施例19Eにおいて調製される式1107の10mgの産物を含有する100μlのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を加えた。反応液を2時間撹拌し、その後、過剰の式1107を、遠心性サイズ排除クロマトグラフィーを介して除去し、当該溶液において式1mの対応する異性体産物を得、それをさらに精製せずに生物学的な研究において使用した。R3置換基は、2NHAcとして標記化合物の名称において示される。
【0404】
19H. 式1109の他の化合物
【0405】
実施例19Fに記載される手順に従い、かつOVAを以下に置換することにより:
・ アブシキシマブ、
・ アダリムマブ、
・ アガルシダーゼアルファ、
・ アガルシダーゼベータ、
・ アルデスロイキン、
・ アルグルコシダーゼアルファ、
・ 第VIII因子、
・ 第IX因子、
・ L-アスパラギナーゼ、
・ ラロニダーゼ、
・ オクトレオチド、
・ フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、
・ ラスブリカーゼ、
・ インスリン(配列番号:5)、
・ GAD-65(配列番号:6)、
・ IGRP(配列番号:7)
・ MBP(配列番号:8)、
・ MOG(配列番号:9)、
・ PLP(配列番号:10)、
・ MBP13-32(配列番号:11)、
・ MBP83-99(配列番号:12)、
・ MBP111-129(配列番号:13)、
・ MBP146-170(配列番号:14)、
・ MOG1-20(配列番号:15)、
・ MOG35-55(配列番号:16)、
・ PLP139-154(配列番号:17)、
・ MART1(配列番号:18)、
・ チロシナーゼ(配列番号:19)、
・ PMEL(配列番号:20)、
・ アクアポリン4(配列番号:21)、
・ S-アレスチン(配列番号:22)、
・ IRBP(配列番号:23)、
・ コンアラキン(UNIPROT Q6PSU6)、
・ 天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)、
・ 脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)、
・ アルファ-グリアジン(配列番号:26)、
・ オメガ-グリアジン(配列番号:27)、
・ Fel d 1A(UNIPROT P30438)、
・ ネコアルブミン(UNIPROT P49064)、
・ Can f 1(UNIPROT O18873)、
・ イヌアルブミン(UNIPROT P49822)、および
・ RhCE example(UNIPROT P18577)、
式1109の以下の対応する化合物が得られ、ここでnは80であり:
・ Xはアブシキシマブであり、かつmは10である、
・ Xはアダリムマブであり、かつmは11である、
・ Xはアガルシダーゼアルファであり、かつmは14である、
・ Xはアガルシダーゼベータであり、かつmは14である、
・ Xはアルデスロイキンであり、かつmは6である、
・ Xはアルグルコシダーゼアルファであり、かつmは13である、
・ Xは第VIII因子であり、かつmは100である、
・ Xは第IX因子であり、かつmは18である、
・ XはL-アスパラギナーゼであり、かつmは5である、
・ Xはラロニダーゼであり、かつmは7である、
・ Xはオクトレオチドであり、かつmは1である、
・ Xはフェニルアラニンアンモニアリアーゼであり、かつmは12である、
・ Xはラスブリカーゼであり、かつmは12である、
・ Xはインスリン(配列番号:5)であり、かつmは2である、
・ XはGAD-65(配列番号:6)であり、かつmは8である、
・ XはIGRP(配列番号:7)であり、かつmは7である、
・ XはMBP(配列番号:8)であり、かつmは6である、
・ XはMOG(配列番号:9)であり、かつmは5である、
・ XはPLP(配列番号:10)であり、かつmは8である、
・ XはMBP13-32(配列番号:11)であり、かつmは1である、
・ XはMBP83-99(配列番号:12)であり、かつmは1である、
・ XはMBP111-129(配列番号:13)であり、かつmは1である、
・ XはMBP146-170(配列番号:14)であり、かつmは2である、
・ XはMOG1-20(配列番号:15)であり、かつmは1である、
・ XはMOG35-55(配列番号:16)であり、かつmは2である、
・ XはPLP139-154(配列番号:17)であり、かつmは3である、
・ XはMART1(配列番号:18)であり、かつmは4である、
・ Xはチロシナーゼ(配列番号:19)であり、かつmは8である、
・ XはPMEL(配列番号:20)であり、かつmは5である、
・ Xはアクアポリン4(配列番号:21)であり、かつmは4である、
・ XはS-アレスチン(配列番号:22)であり、かつmは12である、
・ XはIRBP(配列番号:23)であり、かつmは21である、
・ Xはコンアラキンであり、かつmは21である、
・ Xは天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)であり、かつmは1である、
・ Xは脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)であり、かつmは1である、
・ Xはアルファ-グリアジン(配列番号:26)であり、かつmは1である、
・ Xはオメガ-グリアジン(配列番号:27)であり、かつmは1である、
・ XはFel d 1であり、かつmは4である、
・ Xはネコアルブミンであり、かつmは16である、
・ XはCan f 1であり、かつmは6である、
・ Xはイヌアルブミンであり、かつmは23である、かつ
・ XはRhCE exampleであり、かつmが10である。
【0406】
19I. 式1mの他の化合物
【0407】
実施例19Gに記載される手順に従い、かつ式1109の化合物を置換することにより、例えば実施例19Hにおいて得られるように、式1mの以下の対応する化合物が得られる:
・ F1m-アブシキシマブ-m10-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アダリムマブ-m11-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アガルシダーゼアルファ-m14-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アガルシダーゼベータ-m14-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アルデスロイキン-m6-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アルグルコシダーゼアルファ-m13-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-第VIII因子-m100-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-第IX因子-m18-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-L-アスパラギナーゼ-m5-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-ラロニダーゼ-m7-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-オクトレオチド-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ-m12-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-ラスブリカーゼ-m12-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-インスリン-m2-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-GAD-65-m8-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-IGRP-m7-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MBP-m6-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MOG-m5-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-PLP-m8-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MBP13-32-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MBP83-99-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MBP111-129-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MBP146-170-m2-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MOG1-20-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MOG35-55-m2-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-PLP139-154-m3-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-MART1-m4-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-チロシナーゼ-m8-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-PMEL-m5-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アクアポリン4-m4-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-S-アレスチン-m12-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-IRBP-m21-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-コンアラキン-m21-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-天然型アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-アルファ-グリアジン-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-オメガ-グリアジン-m1-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-Fel d 1-m4-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-ネコアルブミン-m16-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-Can f 1-m6-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1m-イヌアルブミン-m23-n80-p30-q4-CMP-2NHAc、および
・ F1m-RhCE-m10-n80-p30-q4-CMP-2NHAc。
【0408】
19J. pが30であり、qが8であり、R3がOHであり、R4がOHであり、かつR8が、CMPである式1107
【0409】
実施例19Aに記載される手順に従い、N-アセチル-D-ガラクトサミンをガラクトースに置換し、かつqが8である式1106のアジド-改変uRAFT剤を使うことを除き、実施例19Eに記載される手順に従うことにより、pが30であり、qが8であり、R3がOHであり、R4がOHであり、かつR8がCMPである式1107の化合物が得られる。
【0410】
19K. nが62であり、かつX’およびmが、実施例19Hである式1109
【0411】
実施例19Fに記載される手順に従い、OVAを実施例19Hに記載される化合物に置換し、かつnが62である式1108の化合物を利用することにより、nが62である式1109の対応する化合物が得られる。
【0412】
19L. 式1mの他の化合物
【0413】
実施例19Gに記載される手順に従い、式1107の化合物を実施例19Jにおいて得られる化合物に置換し、かつ式1109の化合物を実施例19Kにおいて得られる化合物に置換することにより、式1mの以下の対応する化合物が得られる:
・ F1m-アブシキシマブ-m10-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アダリムマブ-m11-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アガルシダーゼアルファ-m14-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アガルシダーゼベータ-m14-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アルデスロイキン-m6-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アルグルコシダーゼアルファ-m13-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-第VIII因子-m100-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-第IX因子-m18-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-L-アスパラギナーゼ-m5-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-ラロニダーゼ-m7-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-オクトレオチド-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ-m12-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-ラスブリカーゼ-m12-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-インスリン-m2-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-GAD-65-m8-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-IGRP-m7-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MBP-m6-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MOG-m5-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-PLP-m8-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MBP13-32-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MBP83-99-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MBP111-129-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MBP146-170-m2-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MOG1-20-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MOG35-55-m2-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-PLP139-154-m3-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-MART1-m4-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-チロシナーゼ-m8-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-PMEL-m5-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アクアポリン4-m4-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-S-アレスチン-m12-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-IRBP-m21-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-コンアラキン-m21-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-天然型アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-アルファ-グリアジン-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-オメガ-グリアジン-m1-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-Fel d 1-m4-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-ネコアルブミン-m16-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-Can f 1-m6-n62-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1m-イヌアルブミン-m23-n62-p30-q8-CMP-2OH、および
・ F1m-RhCE-m10-n62-p30-q8-CMP-2OH。
【0414】
実施例20
【0415】
F1n-インスリン-m2-n1-p30-q4-CMP-2NHAc
【0416】
20A. X’がインスリンであり、mが2であり、かつnが1である式1202。
【0417】
組換えヒトインスリン(5mg)を、10μlのトリエチルアミンを含有する100μlのDMFに加え、インスリンが溶けるまで撹拌した。この溶液に、nが1である式1201の前駆物質リンカーの10mg(0.0161mmol)(???から得られる)を加え、当該反応液を撹拌した。1時間後、1.3mlのtert-ブチルメチルエーテルを、式1202の対応産物を単離するために加え、それを沈殿物としてを回収した。残留しているDMFおよびtert-ブチルメチルエーテルを減圧下で除去した。液体クロマトグラフィー、質量分析およびポリアクリルアミドゲル電気泳動を介する特性評価で産物の正体を確認した。式1202の改変インスリン産物をさらに精製せずに使用した。
【0418】
20B. X’がインスリンであり、mが2であり、nが1であり、pが30であり、qが4であり、かつR8が、CMPである式1n
【0419】
実施例20Aにおける得られる式1202の産物を100μlのDMFにおいて再懸濁した。実施例19Eにおいて得られる式1107のポリマー産物(10mg)を加え、反応液を1時間撹拌した。1時間後、反応産物をジクロロメタン(1.3ml)の添加により沈殿させた。当該産物を濾過し、残留している溶媒を減圧下で除去した。粗産物をその後500μlのPBSにおいて再懸濁し、低分子量成分を、遠心性サイズ排除クロマトグラフィーを介して除去した、式1nの対応する異性体産物を得た。液体クロマトグラフィー、質量分析およびポリアクリルアミドゲル電気泳動を介する特性評価で産物の正体を確認した。式1202の改変インスリン産物をさらに精製せずに使用した。
【0420】
20C. 式1202の他の化合物
【0421】
実施例19Fに記載される手順に従い、かつOVAインスリンを以下に置換することにより:
・ アブシキシマブ、
・ アダリムマブ、
・ アガルシダーゼアルファ、
・ アガルシダーゼベータ、
・ アルデスロイキン、
・ アルグルコシダーゼアルファ、
・ 第VIII因子、
・ 第IX因子、
・ L-アスパラギナーゼ、
・ ラロニダーゼ、
・ オクトレオチド、
・ フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、
・ ラスブリカーゼ、
・ GAD-65(配列番号:6)、
・ IGRP(配列番号:7)
・ MBP(配列番号:8)、
・ MOG(配列番号:9)、
・ PLP(配列番号:10)、
・ MBP13-32(配列番号:11)、
・ MBP83-99(配列番号:12)、
・ MBP111-129(配列番号:13)、
・ MBP146-170(配列番号:14)、
・ MOG1-20(配列番号:15)、
・ MOG35-55(配列番号:16)、
・ PLP139-154(配列番号:17)、
・ MART1(配列番号:18)、
・ チロシナーゼ(配列番号:19)、
・ PMEL(配列番号:20)、
・ アクアポリン4(配列番号:21)、
・ S-アレスチン(配列番号:22)、
・ IRBP(配列番号:23)、
・ コンアラキン(UNIPROT Q6PSU6)、
・ 天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)、
・ 脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)、
・ アルファ-グリアジン(配列番号:26)、
・ オメガ-グリアジン(配列番号:27)、
・ Fel d 1A(UNIPROT P30438)、
・ ネコアルブミン(UNIPROT P49064)、
・ Can f 1(UNIPROT O18873)、
・ イヌアルブミン(UNIPROT P49822)、および
・ RhCE example(UNIPROT P18577)、
式1202の以下の対応する化合物が得られ、ここでnは1であり:
・ Xはアブシキシマブであり、かつmは10である、
・ Xはアダリムマブであり、かつmは11である、
・ Xはアガルシダーゼアルファであり、かつmは14である、
・ Xはアガルシダーゼベータであり、かつmは14である、
・ Xはアルデスロイキンであり、かつmは6である、
・ Xはアルグルコシダーゼアルファであり、かつmは13である、
・ Xは第VIII因子であり、かつmは100である、
・ Xは第IX因子であり、かつmは18である、
・ XはL-アスパラギナーゼであり、かつmは5である、
・ Xはラロニダーゼであり、かつmは7である、
・ Xはオクトレオチドであり、かつmは1である、
・ Xはフェニルアラニンアンモニアリアーゼであり、かつmは12である、
・ Xはラスブリカーゼであり、かつmは12である、
・ XはGAD-65(配列番号:6)であり、かつmは8である、
・ XはIGRP(配列番号:7)であり、かつmは7である、
・ XはMBP(配列番号:8)であり、かつmは6である、
・ XはMOG(配列番号:9)であり、かつmは5である、
・ XはPLP(配列番号:10)であり、かつmは8である、
・ XはMBP13-32(配列番号:11)であり、かつmは1である、
・ XはMBP83-99(配列番号:12)であり、かつmは1である、
・ XはMBP111-129(配列番号:13)であり、かつmは1である、
・ XはMBP146-170(配列番号:14)であり、かつmは2である、
・ XはMOG1-20(配列番号:15)であり、かつmは1である、
・ XはMOG35-55(配列番号:16)であり、かつmは2である、
・ XはPLP139-154(配列番号:17)であり、かつmは3である、
・ XはMART1(配列番号:18)であり、かつmは4である、
・ Xはチロシナーゼ(配列番号:19)であり、かつmは8である、
・ XはPMEL(配列番号:20)であり、かつmは5である、
・ Xはアクアポリン4(配列番号:21)であり、かつmは4である、
・ XはS-アレスチン(配列番号:22)であり、かつmは12である、
・ XはIRBP(配列番号:23)であり、かつmは21である、
・ Xはコンアラキンであり、かつmは21である、
・ Xは天然型アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:24)であり、かつmは1である、
・ Xは脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”(配列番号:25)であり、かつmは1である、
・ Xはアルファ-グリアジン(配列番号:26)であり、かつmは1である、
・ Xはオメガ-グリアジン(配列番号:27)であり、かつmは1である、
・ XはFel d 1であり、かつmは4である、
・ Xはネコアルブミンであり、かつmは16である、
・ XはCan f 1であり、かつmは6である、
・ Xはイヌアルブミンであり、かつmは23である、かつ
・ XはRhCE exampleであり、かつmが10である。
【0422】
20D. 式1nの他の化合物
【0423】
例Bに記載される手順に従い、かつ式1202の化合物を置換することにより、例えば実施例20Cにおいて得られるように、式1mの以下の対応する化合物が得られる:
・ F1n-アブシキシマブ-m10-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アダリムマブ-m11-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アガルシダーゼアルファ-m14-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アガルシダーゼベータ-m14-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アルデスロイキン-m6-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アルグルコシダーゼアルファ-m13-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-第VIII因子-m100-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-第IX因子-m18-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-L-アスパラギナーゼ-m5-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-ラロニダーゼ-m7-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-オクトレオチド-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ-m12-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-ラスブリカーゼ-m12-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-GAD-65-m8-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-IGRP-m7-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MBP-m6-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MOG-m5-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-PLP-m8-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MBP13-32-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MBP83-99-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MBP111-129-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MBP146-170-m2-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MOG1-20-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MOG35-55-m2-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-PLP139-154-m3-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-MART1-m4-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-チロシナーゼ-m8-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-PMEL-m5-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アクアポリン4-m4-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-S-アレスチン-m12-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-IRBP-m21-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-コンアラキン-m21-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-天然型アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-アルファ-グリアジン-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-オメガ-グリアジン-m1-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-Fel d 1-m4-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-ネコアルブミン-m16-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-Can f 1-m6-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、
・ F1n-イヌアルブミン-m23-n1-p30-q4-CMP-2NHAc、および
・ F1n-RhCE-m10-n1-p30-q4-CMP-2NHAc。
【0424】
20E. nが33であり、かつX’およびmが実施例20Cである式1202
【0425】
実施例19Fに記載される手順に従い、インスリンを実施例20Cに記載される化合物に置換し、かつnが33である式1201の化合物を利用することにより、nが33である式1202の対応する化合物が得られる。
【0426】
20F. 式1nの他の化合物
【0427】
実施例20Bに記載される手順に従い、式1107の化合物を実施例19Jにおいて得られる化合物に置換し、かつ式1202の化合物を実施例20Eにおいて得られる化合物に置換することにより、式1nの以下の対応する化合物が得られる:
・ F1n-アブシキシマブ-m10-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アダリムマブ-m11-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アガルシダーゼアルファ-m14-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アガルシダーゼベータ-m14-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アルデスロイキン-m6-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アルグルコシダーゼアルファ-m13-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-第VIII因子-m100-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-第IX因子-m18-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-L-アスパラギナーゼ-m5-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-ラロニダーゼ-m7-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-オクトレオチド-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ-m12-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-ラスブリカーゼ-m12-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-GAD-65-m8-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-IGRP-m7-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MBP-m6-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MOG-m5-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-PLP-m8-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MBP13-32-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MBP83-99-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MBP111-129-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MBP146-170-m2-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MOG1-20-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MOG35-55-m2-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-PLP139-154-m3-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-MART1-m4-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-チロシナーゼ-m8-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-PMEL-m5-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アクアポリン4-m4-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-S-アレスチン-m12-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-IRBP-m21-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-コンアラキン-m21-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-天然型アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-脱アミド化アルファ-グリアジン“33-mer”-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-アルファ-グリアジン-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-オメガ-グリアジン-m1-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-Fel d 1-m4-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-ネコアルブミン-m16-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-Can f 1-m6-n33-p30-q8-CMP-2OH、
・ F1n-イヌアルブミン-m23-n33-p30-q8-CMP-2OH、および
・ F1n-RhCE-m10-n33-p30-q8-CMP-2OH。
【0428】
実施例21
【0429】
循環からのOVA-特異的な抗体のクリアランス
【0430】
引き続く枯渇のためのOVA-特異的な抗体の生産を誘導するために、ELISAにより決定される、血漿における抗OVA IgGの力価が3に達するまで、C57BL/6マウスに10μgのOVAの5用量まで静脈内注射をした(
図9A)。室温で10分間、2000xgでEDTA-被覆チューブに収集された血液の遠心分離により血漿試料を調製し、解析まで-20℃で保存した。力価は、検出可能な抗OVA IgGを有する血漿の最大倍希釈のlog
10として規定される。ここでは、血漿試料を10-、50-、100-、500-、1、000-、5、000-、10、000-、および50、000倍希釈でアッセイし、0、1、1.7、2、2.7、3、3.7、4、および4.7の潜在的な力価測定が得られた。10μgのOVAの5用量後の、3未満の力価のマウスに、10μgのCpG-Bでアジュバントされる10μgのOVAの、さらなる2用量を与え、抗OVA IgG生産を後押しし、それ故に枯渇のために利用可能な循環抗OVA IgGの量を得た(
図9B)。
【0431】
抗OVA抗体クリアランスのための、肝細胞ASGPR標的化OVAの有効性を評価するために、循環抗OVA IgGを有するマウスに、DOMおよびOVA、DOM-OVA、またはOVA-DOMの同等のモル濃度を含有する生理食塩水または生理食塩水を静脈内注射した。特には、
図9に示されるように、マウスを10、50、100、または200μgのOVAと同等のモル濃度で治療した。時点t=-1日、+3時間、+1日、および+7日では、治療注射の比較上の時間に対して、血液試料を収集し、血漿のELISA解析により、循環における抗OVA IgGの量を評価した。循環からの抗OVA IgGのクリアランスは、血漿における抗OVA IgGの量を減少させ、それ故にELISAにより決定される血漿抗OVA IgG力価を減少させると予想される。OVA単独で免疫され、およびDOM-OVAまたはOVA-DOMで治療されるマウスにおいて、抗OVA IgGの力価は3または2まで減少し、それぞれ、循環抗OVA IgGの量における1000-または100倍の減少を表し、生理食塩水またはDOMおよびOVAを使う、コントロール治療より50倍まで有効である(
図9A)。CpG-BでアジュバントされるOVAで免疫されたマウスにおいて、循環抗OVA IgGのクリアランスは、観察されなかった(
図9B)。
【0432】
実施例22
【0433】
NODマウス
【0434】
非肥満性糖尿病(NOD)マウスは、自己免疫性糖尿病の自発性の発症に感受性で、それは様々な膵臓の自己抗原への自己免疫応答の結果である。膵島への様々な白血球の浸潤により特徴づけられる膵島炎の結果、NODマウスにおいて糖尿病を発症する。
【0435】
糖尿病のための治療の有効性を評価するために、6週齢で開始し、NODマウスをコントロールもしくは試験群へ分け、それぞれ試験組成物(10μg)もしくは生理食塩水などの不活性なコントロールの毎週の静脈内注射で治療する。18週間連続、注射を続ける。
【0436】
マウスの血糖濃度を毎週測定する。実験中300mg/ml未満の血糖濃度を維持するマウスは非糖尿病性であると考えられる。さらに、研究の終了時にマウスの膵臓を収集し、かつ膵臓におけるT細胞浸潤を膵島炎の評価として免疫組織化学を介して決定する。生理食塩水で治療され、糖尿病を発症するマウスと比較して、寛容誘導は自己抗原特異的なCD8 T細胞の枯渇により評価される。自己抗原特異的なCD8 T細胞の存在は、ELISpotアッセイを介して決定される。
【0437】
上記に記載されるように試験される場合、XがF1m-インスリン-m2-n1-p30-q4-2NAcGALなどのインスリンである式1および2の組成物は、糖尿病を治療するための有効性を示す。
【0438】
本開示は、その特定の実施形態を参照して記載したが、当業者により開示の真の意図および範囲から逸脱せずに、様々な変形を行うことができ、等価物を置換することができると理解されるべきである。さらに、本開示の目的、意図および範囲へ、多くの改変を特定の状況、材料、物質の組成物、プロセス、プロセス工程または工程に適応させることができる。全てのかかる改変は添付の特許請求の範囲内であることが意図される。全ての上記で引用した特許および刊行物は、本明細書に出典明示により組み込まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に本明細書に記載され、実施例および図面を参照して説明される発明。