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特開2024-37929多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037929
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0793 20100101AFI20240312BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20240312BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240312BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20240312BHJP
【FI】
C12N5/0793
C12N5/077
C12N5/071
C12N5/078
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212588
(22)【出願日】2023-12-16
(62)【分割の表示】P 2018034004の分割
【原出願日】2018-02-27
(31)【優先権主張番号】62/465,188
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/523,324
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516148173
【氏名又は名称】エリクサジェン,エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(72)【発明者】
【氏名】洪 実
(57)【要約】      (修正有)
【課題】短時間・高効率に所望の細胞型への分化誘導を行う方法を提供する。
【解決手段】以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法であって、1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、分化させる方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法、
1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項2】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法、
1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養すること、並びに、該運動ニューロンの分化効率は約90%であることを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項3】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法、
1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養し、該運動ニューロンの分化効率は約90%でであり、並びに、1種類の基礎細胞培養培地を使用することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項4】
前記1)の工程において、前記多能性幹細胞は、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
さらに、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子を前記多能性幹細胞に添加する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子は、POU5F1に対するsiRNAである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を骨格筋細胞へ分化させる方法、
1)骨格筋細胞への分化誘導に必要な転写因子であるMYOD1を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、骨格筋細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項8】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を骨格筋細胞へ分化させる方法、
1)骨格筋細胞への分化誘導に必要な転写因子であるMYOD1を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、骨格筋細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養し、並びに、該骨格筋細胞の分化効率は75%以上であることを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項9】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を肝細胞へ分化させる方法、
1)肝細胞への分化誘導に必要な転写因子であるFOXA1及びHNF1Aを含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、肝細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項10】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を肝細胞へ分化させる方法、
1)肝細胞への分化誘導に必要な転写因子であるFOXA1及びHNF1Aを含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、肝細胞へ分化させる工程
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養し、並びに、該1)及び2)の全培養日数が8日間であり、かつ2種類の基礎細胞培養培地を使用することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項11】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を造血細胞へ分化させる方法、
1)造血細胞への分化誘導に必要な転写因子であるSPI1を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、造血細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化する方法に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの米国仮出願番号62/465,188及び米国仮出願番号62/523,324号優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
ヒト胚性幹細胞(hESCs)及びヒト人工多能性幹細胞(hiPSCs)等のヒト多能性幹細胞(hPSCs)は、インビトロでヒト体内の全ての細胞型になる可能性を有する。細胞移植療法及び薬物スクリーニングのためのhPSCsから分化したニューロン、筋肉及び他の細胞型の使用は、過去20年間広く研究され、実用化を検討されてきた。しかしながら、実用化は制限されており、主な障害の1つは、hPSCsをニューロン及び筋肉等の所望の細胞型へ分化させることの困難性である。
【0003】
最も一般に使用されている方法は細胞培養環境の連続的な変化による段階的な分化(step-by-step differentiation)である(非特許文献1)。これらの分化工程は、よく確立され広く使用されてきたが、速度とスケールの両面において根本的な制限を有しており、さらに、プロセスは比較的遅く、所望の細胞型である機能的なニューロンの形成までに数週間かかる。
【0004】
他の方法として、PSCsは、プラスミド、ウイルス及び他のベクターにより転写因子(TFs)を誘導又は過剰発現することにより急速かつ効率的に分化させることができる(非特許文献2)。
【0005】
本発明者らは、TFsをコードする合成mRNAのカクテルのhPSCsへの導入により骨格筋(非特許文献3)、運動ニューロン(非特許文献4)及び涙腺上皮様細胞(非特許文献5)への迅速かつ効率的な分化を報告している。合成mRNAに基づく分化方法は、多くの望ましい特徴を有する。mRNAは、細胞ゲノムへ組込まれず、安全なフットプリントフリーの遺伝子産物の運搬を達成する。しかしながら、この方法は、細胞中への合成mRNAの複数回の導入(トランスフェクション)、典型的には数日間連続で、1日1回又は2回のトランスフェクションを必要とする。このように、当該工程は実験者の負担が大きく、熟練の技術を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Huet al., 2010, PNAS 107, 4335-4340.
【非特許文献2】Busskamp et al., 2014, Molecular Systems Biology 10, 760; Hester etal., Molecular Therapy, 19, 1905-1912; Zhang et al., 2013, Neuron, 78, 785-798.
【非特許文献3】Akiyama et al., 2016, Development 143, 3674.
【非特許文献4】Goparaju et al., 2017, Scientific Reports 7, 42367.
【非特許文献5】Hirayama et al., npj Aging and Mechanisms of Disease 2017, 1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の多能性幹細胞を所望の細胞型へ分化する方法では、ヒトES/iPS細胞を用いた安定した高効率な分化誘導法は未確立であった。培養条件のコントロールや様々な細胞増殖因子・分化因子などを培養液に加えることによる段階的分化誘導法など多くの試みがなされてきたが、複雑な培養ステップの使用が大きな課題である。また、細胞分化のスピードが遅く、長期間の培養を必要とすること、さらに、分化効率が低いために必要な細胞数を十分量得ることが困難であることなども、大きな問題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、転写因子を発現可能なセンダイウイルスベクターの使用、さらには、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞を使用することにより、短時間・高効率に所望の細胞型への分化誘導を行う方法を開発した。
以上により、本発明は完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下からなる。
1.以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を所望の細胞型へ分化させる方法、
1)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、所望の細胞型へ分化させる工程。
2.さらに、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を前記多能性幹細胞に添加する工程を含む、前項1に記載の方法。
3.前記POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子は、POU5F1に対するsiRNAである前項2に記載の方法。
4.前記多能性幹細胞は、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞である、前項1に記載の方法。
5.前記所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターの添加回数は1回である、前項1~4のいずれか1に記載の方法。
6.前記センダイウイルスベクターは、温度感受性である前項1~5のいずれか1に記載の方法。
7.前記所望の細胞型は骨格筋細胞であり、前記転写因子はMYOD1である、前項1~6のいずれか1に記載の方法。
8.前記骨格筋細胞の分化効率は75%以上である、前項7に記載の方法。
9.前記骨格筋細胞の分化効率は75%以上であり、かつ、1種類の細胞培養培地を使用する、前項7又は8に記載の方法。
10.前記所望の細胞型は運動ニューロンであり、前記転写因子はNEUROG3である、前項1~6のいずれか1に記載の方法。
11.前記運動ニューロンの分化効率は約90%である、前項10に記載の方法。
12.前記運動ニューロンの分化効率は約90%であり、かつ、1種類の細胞培養培地を使用する、前項10又は11に記載の方法。
13.前記所望の細胞型は肝細胞であり、前記転写因子はFOXA1及びHNF1Aである、前項1~6のいずれか1に記載の方法。
14.2種類の細胞培養培地を使用する、前項13に記載の方法。
15.前記所望の細胞型は造血細胞であり、前記転写因子はSPI1である、前項1~6のいずれか1に記載の方法。
16.前記所望の細胞型はドーパミン作動性ニューロンであり、前記転写因子はFOXA1である、前項1~6のいずれか1に記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化させる方法では、少なくとも以下のいずれか1以上の効果を有する。
(1)多能性幹細胞から細胞分化に要する時間の短縮及び分化誘導効率の向上。
(2)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を1回のみ添加することにより分化可能である。
(3)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子の種類を従来の方法と比較して減らすことができる。
(4)多能性幹細胞の未分化性維持を低減させる方法及び/又は分化抵抗性を低減させる方法を組み合わせることにより、多能性幹細胞から細胞分化に要する時間の短縮及び分化誘導効率の向上。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】骨格筋への分化。(A) 典型的な実験工程の概略図。1日目にヒトiPS細胞を細胞培養皿に播種した。播種の直後にヒトMYOD1遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターを細胞培養培地に添加した。細胞をCO2インキュベーター中で33℃で培養した。2日目にsiPOU5F1を細胞培養培地に添加した。4日目にCO2インキュベーターの温度を37℃に変更した。6日目に細胞分化の効率を評価するため、細胞を固定し、免疫染色に使用した。(B) 成熟した骨格筋に特異的な抗ミオシン重鎖(赤色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(10×対物レンズ)。細胞は全ての細胞の核を視覚化するためにさらにDAPI(緑色シグナル)で染色した。(C) 成熟した骨格筋に特異的な抗ミオシン重鎖(赤色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(20×対物レンズ)。細胞は全ての細胞の核を視覚化するためにさらにDAPI(緑色シグナル)で染色した。
図2】コリン作動性及び/又は運動ニューロンへの分化。(A) 典型的な実験工程の概略図。1日目にヒトiPS細胞を細胞培養皿に播種した。播種の直後にヒトNGN3遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターを細胞培養培地に添加した。細胞をCO2インキュベーター中で33℃で培養した。3日目にCO2インキュベーターの温度を37℃に変更した。4日目に細胞をグラスカバースリップに再プレーティングした。6日目に細胞分化の効率を評価するため、細胞を固定し、免疫染色に使用した。(B) 全ての細胞の核を視覚化するためにDAPI(青色シグナル)で染色した顕微鏡画像(20×対物レンズ)。(C) 成熟したニューロンに特異的な抗TUBB3(β3-チューブリン)(赤色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(20×対物レンズ)。(D) 成熟した運動ニューロンに特異的な抗ChAT(コリンアセチルトランスフェラーゼ)(緑色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(20×対物レンズ)。(E) (C)及び(D)の合成画像。
図3】肝細胞への分化。(A) 典型的な実験工程の概略図。1日目にヒトiPS細胞を細胞培養皿に播種した。播種の直後にヒトFOXA1遺伝子をコードするセンダイウイルスベクター及びヒトHNF1A遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターの等量混合物を細胞培養培地に添加した。細胞培養培地は、ROCK-inhibitor (Y27632)含有StemFit(日本登録商標)Basic02(味の素)である。細胞をCO2インキュベーター中で33℃で培養した。2日目にsiPOU5F1を細胞培養培地に添加した。細胞培養培地を分化培地に切り替えた。5日目にCO2インキュベーターの温度を37℃に変更した。7日目に細胞培養培地を成熟培地に切り替えた。8日目に細胞分化の効率を評価するため、細胞を固定し、免疫染色に使用した。(B) アルブミンの胎児型であり、胚性肝細胞に特異的な抗α-フェトプロテイン(AFP)(赤色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(10×対物レンズ)。(C) 肝細胞に特異的な抗アルブミン(ALB)(緑色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(10×対物レンズ)。(D) アルブミンの胎児型であり、胚性肝細胞に特異的な抗αフェトプロテイン(AFP)(赤色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(20×対物レンズ)。(E) 肝細胞に特異的な抗アルブミン(ALB)(緑色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(20×対物レンズ)。
【0012】
(本発明)
本発明の多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化させる方法(以後、「本発明の方法」と称する場合がある)は、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を発現可能なセンダイウイルスベクターの使用する方法であれば、特に限定されないが、下記の工程の一部又は全部を含む。
1)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程
2)該多能性幹細胞を培養して、所望の細胞型へ分化させる工程。
なお、各種の化合物・転写因子・ベクター等を多能性幹細胞に添加するとは、多能性幹細胞が存在する培地に添加することも含む。
【0013】
(多能性幹細胞)
本発明の方法で使用する多能性幹細胞は、特に限定されないが、哺乳類由来が好ましく、特に好ましくはヒト由来である。例えば、ヒトES細胞、ヒトiPS細胞、又は、これらの任意の組み合わせであり、特に限定されず、組織や器官由来の組織幹細胞、皮膚の繊維芽細胞、さらには組織や器官に由来するあらゆる種類の細胞を含む。
【0014】
(センダイウイルスベクター)
センダイウイルス (Sendai virus) は、パラミクソウイルス科レスピロウイルス属のウイルスの一種であり、1本鎖RNAを遺伝子として持つ。
本発明の方法で使用するセンダイウイルスベクターは、天然株、野生株、変異株、市販品(例、IDファーマ)を使用可能である。
例えば、M蛋白質にG69E、T116A、及びA183Sの変異、HN蛋白質にA262T、G264R、及びK461Gの変異、P蛋白質にD433A、R434A、K437A、及びL511F変異、そしてL蛋白質にL1361C、L1558I、N1197S、及びK1795E変異を有するF遺伝子欠失型センダイウイルスベクターを例示することができる。
また、本発明の方法で使用するセンダイウイルスベクターは、温度感受性株が好ましい。温度感受性とは、低温(例えば30~36℃)に比べ、通常の細胞培養温度(例えば37~38℃)において有意に活性が低下することである。例えばセンダイウイルスのTS 7(L蛋白質のY942H/L1361C/L1558I変異)、TS 12(P蛋白質のD433A/R434A/K437A変異、TS 13(P蛋白質のD433A/R434A/K437A変異および L蛋白質のL1558I変異、TS 14(P蛋白質のD433A/R434A/K437A変異および L蛋白質のL1361C)、TS 15(P蛋白質のD433A/R434A/K437A変異および L蛋白質のL1361C/L1558I)などの変異は、温度感受性変異であり、本発明で好適に利用することができる。
これらのセンダイウイルスベクターは、再表2015/046229を参照することができる。
【0015】
(所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子)
本発明の方法で使用する「所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子」の形態は、センダイウイルスベクターに担持することができれば、特に限定されないが、例えば、RNA, DNAなどの核酸、合成核酸等を例示することができるが特に限定されない。
また、本発明の方法において、所望の細胞型の例示として、骨格筋(骨格筋細胞)、神経細胞(運動ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン)、肝臓(肝細胞)、軟骨細胞、骨細胞、造血細胞を例示することができる。
下記の実施例に記載のように、本発明の方法では、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を1回のみ添加することにより分化可能である。
さらに、下記の実施例に記載のように、本発明の方法では、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子をセンダイウイルスベクターに担持することにより、従来の方法と比較して、必要な転写因子の種類の削減に成功している。
また、下記の実施例に記載のように、本発明の方法では、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子をセンダイウイルスベクターに担持することにより、従来の方法と比較して、分化効率を向上させることに成功している。
加えて、下記の実施例に記載のように、本発明の方法では、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子をセンダイウイルスベクターに担持すること並びにPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を前記多能性幹細胞に添加することにより、従来の方法と比較して、必要な転写因子の種類の削減並びに分化効率を向上させることに成功している。
【0016】
(本発明の多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化誘導する方法)
本発明の方法では、好ましくは、多能性幹細胞の未分化性維持を低減させる方法、さらには、必要に応じて多能性幹細胞の所望の細胞型への分化抵抗性を低減させることができる方法を導入しても良い。以下を例示することができる。
【0017】
(未分化性維持を低減させた多能性幹細胞)
多能性幹細胞では、多能性幹細胞の未分化性維持には、転写因子であるPOU5F1(配列番号1、2:POU domain, class 5, transcription factor 1 isoform 1:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/NP_002692、別名:OCT3、OCT4、OTF3、OTF4、OTF-3、Oct-3、Oct-4、MGC22487)の発現が必須である。POU5F1は、生殖細胞や着床前初期胚といった多能性細胞で特異的に発現している。すなわち、本発明での「多能性幹細胞の未分化性維持を低減させる」とは、多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させることを意味する。なお、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させることは、POU5F1の転写・翻訳のいずれかの段階の工程を阻害する及び/又は翻訳されたPOU5F1タンパク質活性を阻害することを含み、特に限定されない。
加えて、多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた状態は、該除去又は該低減させてない多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量(又はPOU5F1遺伝子の発現量)の程度と比較することにより、確認できる。例えば、多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた状態(程度)は、除去又は低減させてない多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量を100とした場合と比較して、95~1、90~2、85~3、80~4、75~5、70~6、65~7、60~8、50~10、40~15、30~20、約25である。なお、多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量の程度は、市販の抗POU5F1抗体を使用することにより容易に測定することができ、また、POU5F1の遺伝子発現量を自体公知の方法により測定することもできる(参照:国際公報WO2017131238号)。
【0018】
(多能性幹細胞の所望の細胞型への分化抵抗性を低減させる)
多能性幹細胞では、分化に関わる遺伝子群の各プロモーター領域に"Bivalent domain"という特殊なクロマチン構造が形成されており、幹細胞性維持状態では容易に発生・分化に関わる遺伝子群が発現しないように待機状態にある。本発明者らは、「"Bivalent domain"からH3K27me3というヒストンメチル基修飾が取り除かれる又は低減させることにより、所望の細胞型への分化誘導に必要な分化遺伝子の発現が迅速かつ効率的に促進される」ことを確認している(参照:国際公報WO2017073763号)。
すなわち、本発明での「多能性幹細胞の所望の細胞型への分化抵抗性を低減させる」とは、多能性幹細胞のH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させることを意味する。
加えて、多能性幹細胞のH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた状態は、該除去又は該低減させてない多能性幹細胞のH3K27me3修飾の程度と比較することにより、確認できる。例えば、多能性幹細胞のH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた状態(程度)は、除去又は低減させてない多能性幹細胞のH3K27me3修飾の程度を100とした場合と比較して、95~1、90~2、85~3、80~4、75~5、70~6、65~7、60~8、50~10、40~20、約30である。なお、多能性幹細胞のH3K27me3修飾の程度は、市販の抗Histone H3K27me3抗体を使用することにより容易に測定することができるし、また、H3K27me3の遺伝子発現量を自体公知の方法により測定することもできる。
【0019】
(標的遺伝子の修飾合成mRNAの使用)
本発明の方法では、好ましくは、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(POU5F1のsiRNA(small interfering RNA)を発現する遺伝子、POU5F1のshRNAを発現する遺伝子、POU5F1のアンチセンス鎖を発現する遺伝子、抗体遺伝子)を多能性幹細胞に添加(導入)することを含む。
同様に、本発明の方法では、好ましくは、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を多能性幹細胞に添加(導入)することを含む。
なお、本明細書の「遺伝子」とは、二本鎖の核酸だけでなく、それを構成する正鎖(又はセンス鎖)又は相補鎖(又はアンチセンス鎖)などの各一本鎖、線状、環状を含み、さらに、特に言及しない限り、DNA、RNA 、mRNA、cDNA等を含む。
加えて、標的遺伝子とは、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子、及び/又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子、並びに所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含む意味である。
【0020】
POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を多能性幹細胞に添加(導入)方法は、自体公知の方法を使用することができ、特に限定されない。好ましくは、宿主ゲノムへの遺伝子組込みのないフットプリントフリーな遺伝子強制発現法として、Warren, Rossiらが開発した合成mRNAを用いた遺伝子発現法(参照文献:Cell Stem Cell 7:618-630, 2010.)を使用し、合成mRNAを効率良くヒト多能性幹細胞に導入し分化誘導する方法(参照:国際公報WO2017131238号)を使用する。
なお、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子)及び所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターの多能性幹細胞の添加時期は、特に限定されない。好ましくは、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子)を所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターの添加後に多能性幹細胞に添加することが好ましい。
さらに、各遺伝子(mRNA)の添加時期及び添加時期は、特に限定されない。本発明の方法では、従来とは異なり、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子(所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクター)及び、必要に応じてPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を培養中に1回添加することにより、高効率に分化することができる。
【0021】
(転写因子のアミノ酸配列をコードする修飾mRNAの合成)
文献「Warrenet al., Cell Stem Cell, 2010 Nov5;7(5):618-30」に記載の方法を参照して、修飾mRNAを合成する。より詳しくは、mRNAは、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子のアミノ酸配列をコードするテンプレートDNAを修飾したdNTPsの混合物{(dNTPs:3-0-Me-m7G(5′)ppp(5′)GARCA cap analog,5-methylcytidine triphosphate、及びpseudouridine triphosphate)}を用いて、試験管内での転写により合成する。
【0022】
(所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子をコードするセンダイウイルスベクターの作成)
本発明では、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子の導入にはセンダイウイルスベクターを使用する。さらに、哺乳類(特に、ヒト)の転写因子を発現するために、好ましくは、ヒト転写因子を発現可能なセンダイウイルスベクターを使用する。特に、Fタンパク質欠損等のセンダイウイルスベクターの変異体は、感染性が無く、操作が容易である(参照:Inoue et al., J Virol. 77: 23238-3246, 2003)。
【0023】
(多能性幹細胞の所望の細胞型への高効率な分化誘導方法)
単一又は2以上の所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子又は転写因子のカクテルを調製する。転写因子の形態は、転写因子(又は複数の転写因子)を組み込んだセンダイウイルスベクターである。
【0024】
(発現ベクターの使用)
本発明の方法の工程において、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子)及び/又は所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を導入した自体公知の発現ベクターを使用することができる。本発明に用いる発現ベクターとしては、センダイウイルスベクターを例示することができる。
【0025】
上記発現ベクターを多能性幹細胞に導入する方法としては、特に制限されないが、リポフェクション法、リポソーム法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム共沈殿法、DEAE(ジエチルアミノエチル)デキストラン法、マイクロインジェクション法、遺伝子銃法等を例示することができるが、特に好ましくは、リポフェクション法が挙げられる。
【0026】
別方法として、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子)は、スペルミン、ホスホスペルミン等を結合させることにより、cationic siRNAとすることができる。 cationic siRNAは、transfectionのための試薬が不要である。
【0027】
(POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物)
本発明のPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物は、特に限定されないが、POU5F1のsiRNA、POU5F1のshRNA、POU5F1のアンチセンス鎖、POU5F1タンパク質に特異的に結合する抗体、阻害剤等である。
また、これらの化合物を単一で使用するだけではなく、複数の種類の化合物及び/又は低分子化合物を組み合わせることにより、効率的に「多能性幹細胞の未分化性を低減させる(多能性幹細胞のPOU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる)」ことができる。
【0028】
(H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物)
本発明のH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物は、特に限定されないが、脱メチル化酵素(特に、H3K27me3のメチル基を取り除く作用を持つ脱メチル化酵素)、H3K27me3に特異的に結合する抗体、H3K27me3の修飾作用を持つポリコームタンパク質群(PcGタンパク質)の抗体、siRNA(特に、cationic siRNA)、阻害剤等である。cationic siRNA は、transfectionのための試薬が不要である。
なお、低分子化合物としては、Valproic acid等のHistone Deaceylase (HDAC)抑制剤を例示することができるが特に限定されない。
【0029】
(JMJD3)
JMJD3は、ヒストンのH3K27me3の脱メチル化酵素(マウスNP_001017426、ヒトNP_001073893)として知られており、完全長(NP_001073893、配列番号3)でも多能性幹細胞のH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ。本発明者らは、JmjCドメイン{配列番号4、触媒ドメイン:配列番号5(1376-1484番目のアミノ酸)}を持つJMJD3cは、完全長JMJD3と比較して、より強くH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つことを確認している(参照:国際公報WO2017073763号)。
JMJD3の好ましい塩基配列は、配列番号6に記載の塩基配列である。
【0030】
(所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子の種類)
本発明の方法で使用する「所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子」の形態は、センダイウイルスベクターに担持することができれば、特に限定されないが、例えば、RNA、DNAなどの核酸、合成核酸等を例示することができるが特に限定されない。
また、本発明の方法において、所望の細胞型の例示として、骨格筋(骨格筋細胞)、肝臓(肝細胞)、神経細胞(運動ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン)、軟骨細胞、骨細胞、造血細胞を例示することができる。
下記の実施例に記載のように、本発明の方法では、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子をセンダイウイルスベクターに担持することにより、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子の種類の削減及び/又は高分化効率に成功している。
【0031】
{骨格筋(特に骨格筋に存在する細胞)の分化誘導に必要な転写因子}
骨格筋の分化誘導方法は、以下の通りである。
MYOD1、NRF1、SALL4、ZIC1、KLF9、ZNF281、CTCF、HES1、HOXA2、TBX5、TP73、ERG、MAB21L3、PRDM1、NFIC、CTCFL、FOXP1、HEY1、PITX2、JUNB、KLF4、ESX1、TFAP2C、FOS、TFE3、FOSL1、GRHL2、TBX2、NFIB、IRF4から選択される単独、ないしは、2以上の転写因子を多能性幹細胞に導入する。特に、MYOD1(塩基配列:配列番号7、アミノ酸配列:配列番号8)単独を多能性幹細胞に導入することが好ましい。
【0032】
(神経細胞の分化誘導に必要な転写因子)
神経細胞(特に、運動ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン)の分化誘導方法は、以下の通りである。
NEUROG1、NEUROG2、NEUROG3、NEUROD1、NEUROD2及びFOXA1から選択される単独、2、3、4、5又は6の転写因子をヒト多能性幹細胞に導入する。
例えば、運動ニューロン(コリン作動性及び/又は運動ニューロン)は、NEUROG3(NGN3)(塩基配列:配列番号9、アミノ酸配列:配列番号10)単独を多能性幹細胞に導入することが好ましい。
例えば、ドーパミン作動性ニューロンは、FOXA1(アクセッション番号NM_004496)単独を多能性幹細胞に導入することが好ましい。
【0033】
{肝臓(特に肝臓に存在する細胞である肝芽細胞)の分化誘導に必要な転写因子}
肝臓(特に、肝臓、胎児肝臓)の分化誘導方法は、以下の通りである。
肝臓の場合は、HNF1A、TCF-1、SALL4、TGIF1、MAB21L3、ZIC1、EGFLAM、PITX2、HNF4A、NRF1、ZNF281、CTCFL、TP73、TFE3、DLX6、TCF4から選択される単独、ないしは、2以上の転写因子をヒト多能性幹細胞に導入する。
胎児肝臓の場合は、HNF1A、TCF-1、SIX5、HNF4A、SIN3A、ID1、HNF1Aから選択される単独、ないしは、2以上の転写因子をヒト多能性幹細胞に導入する。
特に、FOXA1遺伝子及びHNF1A(塩基配列:配列番号11、アミノ酸配列:配列番号12)を多能性幹細胞に導入することが好ましい。
【0034】
(造血細胞の分化誘導に必要な転写因子)
造血細胞の分化誘導方法は、以下の通りである。
CDYL2、ETS2、SPI1、OVOL2、CDX2、CEBPB及びSALL4から選択される単独、ないしは、2、3、4、5、6又は7の転写因子をヒト多能性幹細胞に導入する。
特に、SPI1(塩基配列:配列番号18、アミノ酸配列:配列番号19)を多能性幹細胞に導入することが好ましい。
【0035】
(標的遺伝子を多能性幹細胞のゲノムに導入する方法)
本発明の方法の工程において、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子)を多能性幹細胞のゲノムに導入する方法は、自体公知の方法を使用することができ、特に限定されない。好ましくは、導入する遺伝子が積極的に多能性幹細胞(特に、ヒトES細胞ゲノム)に組み込まれるような仕組みとして、Woltjenらが開発したPiggyBacトランスポゼース認識配列(PB配列)に挟まれた発現カセット(参照文献:Nature 458:766-770, 2009.)を使用することができる。該発現カセットでは、薬剤選別カセットを導入することで、効率良く遺伝子組換え多能性幹細胞株を樹立できる系(参照:国際公報WO2017131238号)である。
【0036】
(標的タンパク質を多能性幹細胞に導入する方法)
本発明の方法の工程において、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物)(特に、タンパク質)を多能性幹細胞のゲノムに導入する方法は、自体公知の方法を使用することができ、例えば、タンパク質導入試薬を用いる方法、細胞膜透過ペプチドを付加した融合タンパク質を用いる方法、マイクロインジェクション法などを挙げることができる。
本発明での「細胞膜透過性ペプチド」は、細胞内に移行する性質、より詳しくは、細胞膜を透過する性質、さらに詳しくは、細胞膜又は核膜を透過して細胞質内又は核内に透過する性質を有するペプチドである。該ペプチドのアミノ酸配列は、特に限定されないが、例えば、TAT(GRKKRRQRRRPQ:配列番号13)、r8{rrrrrrrr (D体-R):配列番号14}、MPG-8(βAFLGWLGAWGTMGWSPKKKRK:配列番号15)を例示することができる。
なお、標的タンパク質とは、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物(又は、H3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物)(特に、タンパク質)を含む。
【0037】
(遺伝子ノックアウト法)
上記以外の方法として、遺伝子ノックアウト法がある。遺伝子ノックアウト法により、「POU5F1遺伝子が破壊された多能性幹細胞」を作製することができる。「POU5F1遺伝子が破壊された多能性幹細胞」は、POU5F1遺伝子領域の配列が人為的に改変されたことによって、POU5F1遺伝子の正常な発現が阻害されていること、その結果、POU5F1の発現が抑制され、POU5F1タンパク質が正常に発現していないことを意味する。
また、「POU5F1遺伝子の一部又は全部を改変又は欠損している」における「全部」とは、POU5F1ゲノムDNAのタンパク質コーディング領域をいう。
また、「一部」とは、タンパク質コーディング領域の一部であって、POU5F1遺伝子の正常な発現を阻害するのに必要な長さの領域をいう。
さらに、「改変」とは、単一又は複数のヌクレオチドを置換、欠失、挿入、及び/又は付加させることにより、ゲノムDNA中の対象領域の塩基配列を他の塩基配列に改変することをいう。
【0038】
(多能性幹細胞を所望の細胞型へ高効率に分化誘導するための分化誘導キット)
本発明の多能性幹細胞を所望の細胞型へ効率的に分化誘導するための分化誘導キット(以後、「本発明のキット」と称する場合がある)は、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子及びセンダイウイルスベクターに加えて、以下の(1)~(5)のいずれか1以上を含む。
【0039】
(1)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞
POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞
使用者は、上述のように、所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞に導入することにより、容易に、所望の細胞型へ分化誘導することができる。
また、ドキシサイクリン等で誘導可能な遺伝子構築物がゲノムに挿入されていることで、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子、脱メチル化酵素等を一時的に強制発現することができる多能性幹細胞も対象である。
(2)本発明のキット用POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子
使用者は、キット用POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子を多能性幹細胞に添加することにより、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞を容易に作製可能である。
キット用抗POU5F1抗体遺伝子は、市販の抗体遺伝子等を例示することができるが、特に限定されない。
キット用脱メチル化酵素遺伝子は、脱メチル化酵素遺伝子(例えば、JMJD3c)のmRNA、DNA、タンパク質等を例示することができるが、特に限定されない。
(3)本発明のキット用POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子並びに所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクター
使用者は、キット用POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子並びに所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを多能性幹細胞に添加することにより、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞を容易に作製し、さらに所望の細胞型へ高効率に分化誘導させることができる。
なお、これらの遺伝子は、1つの遺伝子上に存在していても良いし、別の遺伝子上でも良い。別の遺伝子上であれば、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子(又は、脱メチル化酵素遺伝子)と所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを同時又は別の時期に多能性幹細胞に添加することができる。
(4)本発明のキット用POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物及び/又は脱メチル化酵素
使用者は、キット用POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物及び/又は脱メチル化酵素を多能性幹細胞に添加することにより、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞を容易に作製可能である。
(5)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子を担持した遺伝子構築物
使用者は、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子を担持した遺伝子構築物を多能性幹細胞のゲノムに導入することにより、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びに/又はH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞を容易に作製可能である。
なお、遺伝子構築物には、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び/又は脱メチル化酵素遺伝子だけでなく、プロモーター配列、遺伝子発現向上配列、マーカー遺伝子、レポーター配列、薬剤耐性遺伝子等を必要に応じて含んでもよい。
【0040】
本発明の方法では、下記の(1)~(8)のいずれか1に記載の工程を含むことを例示することができるが、特に限定されない。
(1)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子及び所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを多能性幹細胞に添加する工程。
(2)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を担持した遺伝子構築物及び所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを多能性幹細胞のゲノムに挿入する工程。
(3)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞に添加する工程。(4)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物を強制発現させた多能性幹細胞に添加する工程。
(5)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物及び所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを多能性幹細胞に添加する工程。
(6)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを、POU5F1遺伝子が破壊された多能性幹細胞に添加する工程。
(7)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子、脱メチル化酵素遺伝子並びに所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを多能性幹細胞に添加する工程。
(8)所望の細胞型への分化誘導に必要な転写因子を含むセンダイウイルスベクターを、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びにH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させたヒストンを有する多能性幹細胞に添加する工程。
【0041】
本発明の方法では、以下のいずれか1の所望の細胞型分化用多能性幹細胞も使用可能である。
(1)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた、所望の細胞型分化用多能性幹細胞。
(2)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を強制発現させた、所望の細胞型分化用多能性幹細胞。
(3)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物の遺伝子を担持した遺伝子構築物がゲノムに挿入されている、所望の細胞型分化用多能性幹細胞。
(4)POU5F1遺伝子が破壊された、所望の細胞型分化用多能性幹細胞。
(5)POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた並びにH3K27me3修飾を実質的に除去又は低減させたヒストンを有する、所望の細胞型分化用多能性幹細胞。
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例0043】
(骨格筋への分化)
本実施例では、ヒトMYOD1遺伝子を発現する温度感受性センダイウイルスベクターを使用して、hPSCsを1週間以内に骨格筋に分化させることができることを確認した。さらに、本実施例により多分化能遺伝子POU5F1(OCT4又はOCT3/4としても知られている)の発現を抑制するsiPOU5F1の添加が分化効率をさらに増強することを確認した。
【0044】
(材料と方法)
<細胞培養>
ヒト脂肪幹細胞由来iPSC系(iPSCs-ADSC)は、System Biosciences(Palo Alto)から入手した。細胞は、100 ng/ml FGF2を添加したStemFit basic02(味の素)を用いた標準的なhPSC培養法に従って、未分化多能性細胞として維持した。細胞をlamin-511(iMatrix-511、ニッピ)で被覆した細胞培養皿上で培養した。骨格筋分化のために、5%KSR(Thermo-Fisher)を添加したα-MEM(Thermo-Fisher)を培養培地として使用した。
【0045】
<センダイウイルスベクター>
ヒトMYOD1を発現する温度感受性センダイウイルスベクター(SeV18+hMYOD1/TS15ΔF)をIDファーマに委託しカスタムメイドした。このセンダイウイルスベクターはFタンパク質を欠くため伝染しない(Inoue et al., J Virol. 77: 23238-3246, 2003)。このセンダイウイルスベクターは温度感受性であり、このウイルスは33℃で機能し、37℃で不活性化する(Ban et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2011;108(34):14234-14239)。センダイウイルスベクターのストック溶液を1×104 CIU(細胞感染単位)/μlになるようになるように希釈した。
【0046】
<ホスホスペルミン結合siPOU5F1>
hPSCs中のヒトPOU5F1の発現を抑制するために、ヒトPOU5F1に対する低分子干渉RNAs(siRNAs)を設計して使用した。リポフェクション又は他のカチオン性脂質ベースのトランスフェクション試薬を使用せずにsiRNAsを導入するために、siRNAsをホスホスペルミンと結合させた(Paris et al., Molecular Pharmaceutics 2012. 9: 3464-3475)。使用した配列は、ヒトPOU5F1センス鎖:5’-GCCCGAAAGAGAAAGCGAAdT*dT-3’(配列番号16)及びヒトPOU5F1アンチセンス鎖:5’-UUCGCUUUCUCUUUCGGGCdCdT-3’(配列番号17)である。センス鎖は、19個のRNA塩基及び*で示した箇所に30個のスペルミンを付加した2個のDNA塩基である。アンチセンス鎖は、19個のRNA塩基及び2個のDNA塩基である。センス鎖及びアンチセンス鎖をアニーリングし、100 μMストック溶液として保存した。
【0047】
<手順>
(1)1日目に、ヒトiPSC(iPSCs-ADSC系列)を1ウェルあたり250μlの培地中に1.0×105細胞で24ウェルプレート又は4ウェルプレートに播種した。培養培地は、5%KSR(Thermo-Fisher)を添加したα-MEM(Thermo-Fisher)を使用した。播種の直後に、ヒトMYOD1遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターを感染多重度(MOI)2.5で細胞培養培地に添加した。ここでは、2.5×105 CIUを含有する25μlのセンダイウイルス溶液を、1.0×105個の細胞を含む250μlの培地に添加した。センダイウイルスベクターを添加した1時間後、培養液1 mlを加えて全量を1ウェルあたり1.275 mlとした。細胞をCO2インキュベーターでウイルス複製及び遺伝子発現のための許容温度である33℃で培養した。培養培地(1 ml/ウェル)は毎日交換した。
(2)2日目に、4 μlのホスホスペルミン-siPOU5F1(100 μMストック溶液)を1ウェルあたり1 ml培地に添加し、最終濃度400 nMとした。
(3)4日目に、CO2インキュベーターの温度をウイルスの複製及び遺伝子発現に許容されない温度である37℃に変更した。
(4)5日目に、骨格筋分化の明確な徴候である紡錘形細胞(spindle-shaped cells)が観察された。
(5)6日目に、細胞を固定し、免疫染色を用いて細胞分化の効率を評価した。免疫染色は、固定細胞を抗ミオシン重鎖(MHC)抗体(R&D systems)を用いて1:400希釈で一晩インキュベートすることによって行った。二次抗体としてAlexa fluor 555ヤギ抗マウスIgGを用いて1:200希釈で1時間インキュベートした。
図1(A)に本発明に係るhPSCから骨格筋への分化方法の典型的な実験手順を示した。
【0048】
(結果)
図1Bに成熟骨格筋に特異的な抗ミオシン重鎖(MHC)(赤色シグナル)で免疫染色された細胞の顕微鏡画像(10×対物レンズ)の例を示す。全ての細胞の核を視覚化するために細胞をDAPI(緑色シグナル)で染色した。細胞の拡大顕微鏡画像(20×対物レンズ)を図1Cに示す。免疫染色結果の目視検査において高効率の骨格筋細胞の形成を示した。DAPI陽性細胞及びMHC陽性細胞を計5画像で計数することにより、DAPI陽性細胞中のMHC陽性細胞の平均分画(平均分化効率)は84.7%(528細胞/ 623細胞)であった。この平均分化効率は、これまで報告されてきた結果の中で、hPSCsからの骨格筋分化の最も高い効率であった。また、本発明の方法では、90%以上の骨格筋分化の効率を観察した。
以上の結果より、本発明の方法は、迅速に(5日間)、効率的かつ均質的に(培養中の全ての細胞において約最大85%のMHC陽性骨格筋細胞)、簡便に(センダイウイルスベクターでの処理は1回のみ、ホスホスペルミン-siPOU5F1での処理は1回のみ)hPSCsからの骨格筋細胞の分化を達成できた。表1に本発明の方法と従来の方法との比較を示す。
【0049】
【表1】
【0050】
以上により、本発明の方法は、従来方法と比較して、1種類の培地により、1回の転写因子導入により、約71%以上~約90%以下、約73%以上~約90%以下、約75%以上~約90%以下、約78%以上~約90%以下、約80%以上~約90%以下、約82%以上~約90%以下、約83%以上~約90%以下、約84%以上~約90%以下、約85%~約90%以下、約85%、約90%又は約90%以上の骨格筋細胞分化効率を達成できる方法である。さらに、本発明の方法は、該分化効率は、12日以内、10日以内、9日以内、8日以内、7日以内、6日、又は5日以内に達成できる方法である。
【実施例0051】
(運動ニューロンへの分化)
本実施例では、ヒトNGN3遺伝子を発現する温度感受性センダイウイルスベクターを使用してhPSCsを1週間以内にコリン作動性及び/又は運動ニューロンに分化させることができることを確認した。
【0052】
(材料と方法)
<細胞培養>
ヒト脂肪幹細胞由来iPSC系(iPSCs-ADSC)は、System Biosciences(Palo Alto)から入手した。細胞は、100 ng/ml FGF2を添加したStemFit basic02(味の素)を用いた標準的なhPSC培養法に従って、未分化多能性細胞として維持した。細胞をlamin-511(iMatrix-511、ニッピ)で被覆した細胞培養皿上で培養した。運動ニューロン分化のために、DMEM/F12 HAM及びNeurobasal培地の1:1混合物を細胞培養培地として使用した。1×N2/B27、ドルソモルフィン(最終濃度3.3 μM)、SB431542(最終濃度3.3 μM)、及びフォルスコリン(最終濃度3.3 μM)を該培地に添加した。
【0053】
<センダイウイルスベクター>
ヒトNGN3を発現する温度感受性センダイウイルスベクター(SeV18+hNGN3/TS15ΔF)をIDファーマに委託しカスタムメイドした。このセンダイウイルスベクターはFタンパク質を欠くため伝染しない。このセンダイウイルスベクターは温度感受性であり、このウイルスは33℃で機能し、37℃で不活性化する。センダイウイルスベクターのストック溶液を1×104 CIU/μlになるように希釈した。
【0054】
<手順>
(1)1日目に、ヒトiPSC(iPSCs-ADSC系列)を1ウェルあたり250 μlの培地中に1.0×105細胞で24ウェルプレート又は4ウェルプレートに播種した。培養培地は、上記の通りである(1×N2/B27、ドルソモルフィン、SB431542及びフォルスコリンを添加したDMEM/F12 HAM及びNeurobasal培地の1:1混合物)。播種の直後に、ヒトNGN3遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターを感染多重度(MOI)2.5で細胞培養培地に添加した。ここでは、2.5×105 CIUを含有する25 μlのセンダイウイルス溶液を、1.0×105個の細胞を含む250 μlの培地に添加した。センダイウイルスベクターを添加した1時間後、培養液1 mlを加えて全量を1ウェルあたり1.275 mlとした。細胞をCO2インキュベーターでウイルス複製及び遺伝子発現のための許容温度である33℃で培養した。培養培地(1 ml/ウェル)は毎日交換した。
(2)3日目に、CO2インキュベーターの温度をウイルスの複製及び遺伝子発現に許容されない温度である37℃に変更した。
(3)任意の手順として、4日目に、細胞を継代培養し、オルニチン/ラミニンコートガラスカバースリップ上で培養し、分化したニューロンを顕微鏡下で容易に可視化できるようにした。
(4)6日目に、細胞を固定し、免疫染色を用いて細胞分化の効率を評価した。免疫染色は、固定化細胞を抗チューブリンβ3(TUBB3)抗体、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)を用いて一晩インキュベートすることによって行った。
図2(A)に本発明に係るhPSCからニューロンへの分化方法の典型的な実験手順を示した。
【0055】
(結果)
図2(B)~(D)は、免疫染色された細胞の顕微鏡画像(20×対物レンズ)の例を示す。図2(B)は、全ての細胞の核を視覚化するためにDAPI(青色シグナル)で染色した画像を示す。図2(C)は、成熟ニューロンに特異的な抗TUBB3(β3-チューブリン)(赤色シグナル)で免疫染色した細胞の画像を示す。図2(D)は、運動ニューロンに特異的な抗ChAT(コリンアセチルトランスフェラーゼ)(緑色シグナル)で免疫染色された細胞の画像を示す。図2(E)は、(C)及び(D)の合成画像を示す。DAPI陽性細胞及びTUBB3陽性細胞を計5画像で計数することにより、DAPI陽性細胞中のTUBB3陽性細胞の平均分画(平均分化効率)は89.5%(205細胞/229細胞)であった。この平均分化効率の結果は、本発明の方法がhPSCsから最大約90%のニューロンを産生できることを示している。ChAT陽性細胞及びTUBB3陽性細胞を計5画像で計数することにより、TUBB3陽性細胞のChAT陽性細胞の平均分画は93.2%(191細胞/ 205細胞)であった。この結果は、NGN3を発現するセンダイウイルスベクターと分化培地との組み合わせで産生されるほとんどのニューロンが運動ニューロンであることを示している。これはこれまでに報告された結果の中で、hPSCsからの運動ニューロン分化の最も高い効率であることを確認した。
【0056】
以上の結果より、本発明の方法は、迅速に(5日間)、効率的かつ均質的に(培養中の全ての細胞において最大約90%のTUBB3陽性ニューロン)、簡便に(センダイウイルスベクターでの処理は1回のみ)hPSCsからの運動ニューロンの分化を達成できた。表2に本発明の方法と従来の方法との比較を示す。
【0057】
【表2】
【0058】
以上により、本発明の方法は、従来方法と比較して、1種類の培地により、1回の転写因子導入により、約76%以上~約90%以下、約78%以上~約90%以下、約80%以上~約90%以下、約82%以上~約90%以下、約84%以上~約90%以下、約86%以上~約90%以下、約88%以上~約90%以下、又は、約90%の運動ニューロン分化効率を達成できる方法である。さらに、本発明の方法は、該分化効率は、12日以内、10日以内、9日以内、8日以内、7日以内、6日以内、又は5日以内に達成できる方法である。
【実施例0059】
(肝細胞への分化)
本実施例では、ヒトFOXA1遺伝子及び/又はHNF1A遺伝子を発現する温度感受性センダイウイルスベクターがhPSCsを肝細胞に分化させることができたことを確認した。
【0060】
(材料と方法)
<細胞培養>
ヒト脂肪幹細胞由来iPSC系(iPSCs-ADSC)は、System Biosciences(Palo Alto)から入手した。細胞は、100 ng/ml FGF2を添加したStemFit basic02(味の素)を用いた標準的なhPSC培養法に従って、未分化多能性細胞として維持した。細胞をlamin-511(iMatrix-511、ニッピ)で被覆した細胞培養皿上で培養した。肝細胞の分化のために、文献(Hay et al., StemCells. 2008, 26:894-902及びKajiwara et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2012, 109:14716)に記載の培地を使用した。両文献は分化のために18日かかり、プライミングA(1日)、プライミングB(3日間)、分化(7日間)、及び成熟(7日間)の4種類の細胞培養培地を使用したのに対し、本発明の方法では、下記に示すように、分化のために8日しかかからず、分化(5日)及び成熟(1日)の2種類の分化培地のみを使用した。
【0061】
<センダイウイルスベクター>
ヒトHNF1Aを発現する温度感受性センダイベクター(SeV18+hHNF1A/TS15ΔF)及びFOXA1を発現する温度感受性センダイベクター(SeV18+hFOXA1/TS15ΔF)をIDファーマに委託しカスタムメイドした。このセンダイベクターはFタンパク質を欠くため伝染しない。このセンダイベクターは温度感受性であり、このウイルスは33℃で機能し、37℃で不活性化する。センダイウイルスベクターのストック溶液を1×104 CIU/μlになるように希釈した。
【0062】
<ホスホスペルミン結合siPOU5F1>
hPSCs中のヒトPOU5F1の発現を抑制するために、ヒトPOU5F1に対する低分子干渉RNAs(siRNAs)を設計して使用した。リポフェクション又は他のカチオン性脂質ベースのトランスフェクション試薬を使用せずにsiRNAを導入するために、siRNAをホスホスペルミンと結合させた(Paris et al., Molecular Pharmaceutics 2012. 9: 3464-3475)。使用した配列は、ヒトPOU5F1センス鎖:5’-GCCCGAAAGAGAAAGCGAAdT*dT-3’(配列番号16)及びヒトPOU5F1アンチセンス鎖:5’-UUCGCUUUCUCUUUCGGGCdCdT-3’(配列番号17)である。
センス鎖は、19個のRNA塩基及び*で示した箇所に30個のスペルミンを付加した2個のDNA塩基である。アンチセンス鎖は、19個のRNA塩基及び2個のDNA塩基である。センス鎖及びアンチセンス鎖をアニーリングし、100 μMストック溶液として保存した。
【0063】
<手順>
(1)1日目に、ヒトiPSC(iPSCs-ADSC系列)を1ウェルあたり当たり250 μlの培地中に1.0×105細胞で24ウェルプレート又は4ウェルプレートに播種した。細胞培養培地は、ROCK阻害剤(Y27632)を含有するStemFit(登録商標)Basic02(味の素)を使用した。播種の直後に、ヒトHNF1A遺伝子をコードするセンダイウイルスベクター(2.5×105 CIUを含有するセンダイウイルス溶液25 μl)及びFOXA1遺伝子(2.5×105 CIUを含有するセンダイウイルス溶液25 μl)の混合物を細胞培養培地に添加した。センダイウイルスベクターを添加した1時間後、培養液1 mlを加えて全量を1ウェルあたり1.30 mlとした。細胞をCO2インキュベーターでウイルス複製及び遺伝子発現のための許容温度である33℃で培養した。培養培地(1 ml/ウェル)は毎日交換した。
(2)2日目に、4 μlのホスホスペルミン-siPOU5F1(100 μMストック溶液)を1ウェルあたり1 ml培地に添加し、最終濃度400 nMとした。
(3)2日目に、細胞培養培地を、1%DMSOを含有する分化培地に切り替えた。
(4)5日目に、CO2インキュベーターの温度をウイルスの複製及び遺伝子発現に許容されない温度である37℃に変更した。
(5)7日目に、細胞培養培地を、20 ng/mlのHGF(肝細胞増殖因子)、20 ng/mlのOSM(オンコスタチン)、1 μMのデキサメタゾン、10 μMのSB431542、10μMのROCK阻害剤及び0.1 mg/mlのアスコルビン酸を添加したL15培地を含む成熟培地に切り替えた。
(6)8日目に、細胞を固定し、免疫染色を用いて細胞分化の効率を評価した。免疫染色は、固定細胞を抗アルブミン抗体を用いてインキュベートすることによって行った。
図3(A)に本発明に係るhPSCから肝細胞への分化方法の典型的な実験手順を示した。
【0064】
(結果)
本発明の方法は、2種類の培地により、迅速に(8日間)、効率的かつ均質的に、簡便に(センダイウイルスベクターでの処理は1回のみ、及びホスホスペルミン-siPOU5F1での処理は1回のみ)hPSCsから肝細胞の分化を達成できることを確認した(参照:図3)。
【実施例0065】
(造血細胞への分化)
本実施例では、ヒトSPI1遺伝子を発現する温度感受性センダイウイルスベクターがhPSCsを造血細胞に分化させることができることを確認する。
【0066】
(材料と方法)
<細胞培養>
ヒト脂肪幹細胞由来iPSC系(iPSCs-ADSC)は、System Biosciences(Palo Alto)から入手した。細胞は、100ng/ml FGF2を添加したStemFit basic02(味の素)を用いた標準的なhPSC培養法に従って、未分化多能性細胞として維持した。細胞をlamin-511(iMatrix-511、ニッピ)で被覆した細胞培養皿上で培養した。造血細胞の分化のために、5%KSR(Thermo-Fisher)を添加したα-MEM(Thermo-Fisher)を培養培地として使用した。
【0067】
<センダイウイルスベクター>
ヒトSPI1を発現する温度感受性センダイウイルスベクター(SeV18+hSPI1/TS15ΔF)をIDファーマに委託しカスタムメイドした。このセンダイウイルスベクターはFタンパク質を欠くため伝染しない。このセンダイウイルスベクターは温度感受性であり、このウイルスは33℃で機能し、37℃で不活性化する。センダイウイルスベクターのストック溶液を1×104 CIU/μlになるように希釈した。
【0068】
<ホスホスペルミン結合siPOU5F1>
hPSCs中のヒトPOU5F1の発現を抑制するために、ヒトPOU5F1に対する低分子干渉RNAs(iRNAs)を設計して使用した。リポフェクション又は他のカチオン性脂質ベースのトランスフェクション試薬を使用せずにsiRNAsを導入するために、siRNAsをホスホスペルミンと結合させた(Paris et al., Molecular Pharmaceutics 2012. 9: 3464-3475)。使用した配列は、ヒトPOU5F1センス鎖:5’-GCCCGAAAGAGAAAGCGAAdT*dT-3’(配列番号16)及びヒトPOU5F1アンチセンス鎖:5’-UUCGCUUUCUCUUUCGGGCdCdT-3’(配列番号17)である。センス鎖は、19個のRNA塩基及び*で示した箇所に30個のスペルミンを付加した2個のDNA塩基である。アンチセンス鎖は、19個のRNA塩基及び2個のDNA塩基である。センス鎖及びアンチセンス鎖をアニーリングし、100 μMストック溶液として保存した。
【0069】
<手順>
(1)1日目に、ヒトiPSC(iPSCs-ADSC系列)を1ウェルあたり当たり250μlの培地中に1.0×105細胞で24ウェルプレート又は4ウェルプレートに播種する。細胞培養培地は、5%KSR(Thermo-Fisher)を添加したα-MEM(Thermo-Fisher)を使用する。播種の直後に、ヒトSPI1遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターを感染多重度(MOI)2.5で細胞培養培地に添加する。ここでは、2.5×105 CIUを含有する25μlのセンダイウイルス溶液を、1.0×105個の細胞を含む250μlの培地に添加する。センダイウイルスベクターを添加した1時間後、培養液1 mlを加えて全量を1ウェルあたり1.275 mlとする。細胞をCO2インキュベーターでウイルス複製及び遺伝子発現のための許容温度である33℃で培養する。培養培地(1 ml/ウェル)は毎日交換する。
(2)2日目に、4 μlのホスホスペルミン-siPOU5F1(100μMストック溶液)を1ウェルあたり1 ml培地に添加し、最終濃度400 nMとする。
(3)4日目に、CO2インキュベーターの温度をウイルスの複製及び遺伝子発現に許容されない温度である37℃に変更する。
(4)6日目に、細胞を固定し、免疫染色を用いて細胞分化の効率を評価する。免疫染色は、固定細胞を抗CD45抗体を用いてインキュベートすることによって行う。
【0070】
(結果)
本発明の方法は、迅速に(5日間)、効率的かつ均質的に、簡便に(センダイウイルスベクターでの処理は1回のみ、及びホスホスペルミン-siPOU5F1での処理は1回のみ)hPSCsから造血CD45陽性細胞の分化を達成できることを確認できる。
【実施例0071】
(ドーパミン作動性ニューロンへの分化)
本実施例では、ヒトFOXA1遺伝子を発現する温度感受性センダイウイルスベクターが1週間以内にhPSCsをドーパミン作動性ニューロンに分化させることができることを確認する。
【0072】
(材料と方法)
<細胞培養>
ヒト脂肪幹細胞由来iPSC系(iPSCs-ADSC)は、System Biosciences(Palo Alto)から入手した。細胞は、100 ng/ml FGF2を添加したStemFit basic02(味の素)を用いた標準的なhPSC培養法に従って、未分化多能性細胞として維持した。細胞をlamin-511(iMatrix-511、ニッピ)で被覆した細胞培養皿上で培養した。
ドーパミン作動性ニューロン分化のために、DMEM/F12 HAM及びNeurobasal培地の1:1混合物を細胞培養培地として使用した。該培地に1×N2/B27(ビタミンA、レチノイン酸なし)、BDNF(20 ng/ml)、GDNF(20 ng/ml)、TGF-β3(1 ng/ml)、アスコルビン酸(最終濃度0.2 mM)、及びcAMP(最終濃度0.5 mM)を添加した。
【0073】
<センダイウイルスベクター>
ヒトFOXA1を発現する温度感受性センダイベクター(SeV18+hFOXA1/TS15ΔF)をIDファーマに委託しカスタムメイドした。このセンダイベクターはFタンパク質を欠くため伝染しない。このセンダイベクターは温度感受性であり、このウイルスは33℃で機能し、37℃で不活性化する。センダイウイルスベクターのストック溶液を1×104 CIU/μlになるように希釈した。
【0074】
<手順>
(1)1日目に、ヒトiPSC(iPSCs-ADSC系列)を1ウェルあたり当たり250μlの培地中に1.0×105細胞で24ウェルプレート又は4ウェルプレートに播種する。上記の培養培地を使用する(1×N2/27、BDNF、GDNF、TGF-β3、アスコルビン酸、及びcAMPを添加したDMEM/F12 HAM及びNeurobasal培地の1:1混合物)。播種の直後に、ヒトFOXA1遺伝子をコードするセンダイウイルスベクターを感染多重度(MOI)2.5で細胞培養培地に添加する。ここでは、2.5×105 CIUを含有する25 μlのセンダイウイルス溶液を、1.0×105個の細胞を含む250μlの培地に添加する。センダイウイルスベクターを添加した1時間後、培養液1 mlを加えて全量を1ウェルあたり1.275 mlとする。細胞をCO2インキュベーターでウイルス複製及び遺伝子発現のための許容温度である33℃で培養する。培養培地(1 ml/ウェル)は毎日交換する。
(2)3日目に、CO2インキュベーターの温度をウイルスの複製及び遺伝子発現に許容されない温度である37℃に変更する。
(3)任意の手順として、4日目に、細胞を継代培養し、オルニチン/ラミニンコートガラスカバースリップ上で培養し、分化したニューロンを顕微鏡下で容易に可視化できるようにする。
(4)6日目に、細胞を固定し、免疫染色を用いて細胞分化の効率を評価する。免疫染色は、固定細胞を抗チューブリンβ3(TUBB3)抗体及びチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を用いて一晩インキュベートすることによって行う。
【0075】
(結果)
本発明の方法は、迅速に(5日間)、効率的かつ均質的に、簡便に(センダイウイルスベクターでの処理は1回のみ)hPSCsからTH陽性ドーパミン作動性ニューロンの分化を達成できることを確認する。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、多能性幹細胞を短時間・高効率に所望の細胞型に分化誘導する方法を提供することができる。

SEQUENCE LISTING

<110> Elixirgen, LLC

<120> A method for efficiently differentiating pluripotent stem cells into a desired cell type

<130> GP18-1004-US TO

<150> US 62/465,188
<151> 2017-03-01

<150> US 62/523,324
<151> 2017-06-22

<160> 19

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 360
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 1

Met Ala Gly His Leu Ala Ser Asp Phe Ala Phe Ser Pro Pro Pro Gly
1 5 10 15


Gly Gly Gly Asp Gly Pro Gly Gly Pro Glu Pro Gly Trp Val Asp Pro
20 25 30


Arg Thr Trp Leu Ser Phe Gln Gly Pro Pro Gly Gly Pro Gly Ile Gly
35 40 45


Pro Gly Val Gly Pro Gly Ser Glu Val Trp Gly Ile Pro Pro Cys Pro
50 55 60


Pro Pro Tyr Glu Phe Cys Gly Gly Met Ala Tyr Cys Gly Pro Gln Val
65 70 75 80


Gly Val Gly Leu Val Pro Gln Gly Gly Leu Glu Thr Ser Gln Pro Glu
85 90 95


Gly Glu Ala Gly Val Gly Val Glu Ser Asn Ser Asp Gly Ala Ser Pro
100 105 110


Glu Pro Cys Thr Val Thr Pro Gly Ala Val Lys Leu Glu Lys Glu Lys
115 120 125


Leu Glu Gln Asn Pro Glu Glu Ser Gln Asp Ile Lys Ala Leu Gln Lys
130 135 140


Glu Leu Glu Gln Phe Ala Lys Leu Leu Lys Gln Lys Arg Ile Thr Leu
145 150 155 160


Gly Tyr Thr Gln Ala Asp Val Gly Leu Thr Leu Gly Val Leu Phe Gly
165 170 175


Lys Val Phe Ser Gln Thr Thr Ile Cys Arg Phe Glu Ala Leu Gln Leu
180 185 190


Ser Phe Lys Asn Met Cys Lys Leu Arg Pro Leu Leu Gln Lys Trp Val
195 200 205


Glu Glu Ala Asp Asn Asn Glu Asn Leu Gln Glu Ile Cys Lys Ala Glu
210 215 220


Thr Leu Val Gln Ala Arg Lys Arg Lys Arg Thr Ser Ile Glu Asn Arg
225 230 235 240


Val Arg Gly Asn Leu Glu Asn Leu Phe Leu Gln Cys Pro Lys Pro Thr
245 250 255


Leu Gln Gln Ile Ser His Ile Ala Gln Gln Leu Gly Leu Glu Lys Asp
260 265 270


Val Val Arg Val Trp Phe Cys Asn Arg Arg Gln Lys Gly Lys Arg Ser
275 280 285


Ser Ser Asp Tyr Ala Gln Arg Glu Asp Phe Glu Ala Ala Gly Ser Pro
290 295 300


Phe Ser Gly Gly Pro Val Ser Phe Pro Leu Ala Pro Gly Pro His Phe
305 310 315 320


Gly Thr Pro Gly Tyr Gly Ser Pro His Phe Thr Ala Leu Tyr Ser Ser
325 330 335


Val Pro Phe Pro Glu Gly Glu Ala Phe Pro Pro Val Ser Val Thr Thr
340 345 350


Leu Gly Ser Pro Met His Ser Asn
355 360


<210> 2
<211> 1083
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<400> 2
atggcgggac acctggcttc ggatttcgcc ttctcgcccc ctccaggtgg tggaggtgat 60

gggccagggg ggccggagcc gggctgggtt gatcctcgga cctggctaag cttccaaggc 120

cctcctggag ggccaggaat cgggccgggg gttgggccag gctctgaggt gtgggggatt 180

cccccatgcc ccccgccgta tgagttctgt ggggggatgg cgtactgtgg gccccaggtt 240

ggagtggggc tagtgcccca aggcggcttg gagacctctc agcctgaggg cgaagcagga 300

gtcggggtgg agagcaactc cgatggggcc tccccggagc cctgcaccgt cacccctggt 360

gccgtgaagc tggagaagga gaagctggag caaaacccgg aggagtccca ggacatcaaa 420

gctctgcaga aagaactcga gcaatttgcc aagctcctga agcagaagag gatcaccctg 480

ggatatacac aggccgatgt ggggctcacc ctgggggttc tatttgggaa ggtattcagc 540

caaacgacca tctgccgctt tgaggctctg cagcttagct tcaagaacat gtgtaagctg 600

cggcccttgc tgcagaagtg ggtggaggaa gctgacaaca atgaaaatct tcaggagata 660

tgcaaagcag aaaccctcgt gcaggcccga aagagaaagc gaaccagtat cgagaaccga 720

gtgagaggca acctggagaa tttgttcctg cagtgcccga aacccacact gcagcagatc 780

agccacatcg cccagcagct tgggctcgag aaggatgtgg tccgagtgtg gttctgtaac 840

cggcgccaga agggcaagcg atcaagcagc gactatgcac aacgagagga ttttgaggct 900

gctgggtctc ctttctcagg gggaccagtg tcctttcctc tggccccagg gccccatttt 960

ggtaccccag gctatgggag ccctcacttc actgcactgt actcctcggt ccctttccct 1020

gagggggaag cctttccccc tgtctccgtc accactctgg gctctcccat gcattcaaac 1080

tga 1083


<210> 3
<211> 1682
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 3

Met His Arg Ala Val Asp Pro Pro Gly Ala Arg Ala Ala Arg Glu Ala
1 5 10 15


Phe Ala Leu Gly Gly Leu Ser Cys Ala Gly Ala Trp Ser Ser Cys Pro
20 25 30


Pro His Pro Pro Pro Arg Ser Ala Trp Leu Pro Gly Gly Arg Cys Ser
35 40 45


Ala Ser Ile Gly Gln Pro Pro Leu Pro Ala Pro Leu Pro Pro Ser His
50 55 60


Gly Ser Ser Ser Gly His Pro Ser Lys Pro Tyr Tyr Ala Pro Gly Ala
65 70 75 80


Pro Thr Pro Arg Pro Leu His Gly Lys Leu Glu Ser Leu His Gly Cys
85 90 95


Val Gln Ala Leu Leu Arg Glu Pro Ala Gln Pro Gly Leu Trp Glu Gln
100 105 110


Leu Gly Gln Leu Tyr Glu Ser Glu His Asp Ser Glu Glu Ala Thr Arg
115 120 125


Cys Tyr His Ser Ala Leu Arg Tyr Gly Gly Ser Phe Ala Glu Leu Gly
130 135 140


Pro Arg Ile Gly Arg Leu Gln Gln Ala Gln Leu Trp Asn Phe His Thr
145 150 155 160


Gly Ser Cys Gln His Arg Ala Lys Val Leu Pro Pro Leu Glu Gln Val
165 170 175


Trp Asn Leu Leu His Leu Glu His Lys Arg Asn Tyr Gly Ala Lys Arg
180 185 190


Gly Gly Pro Pro Val Lys Arg Ala Ala Glu Pro Pro Val Val Gln Pro
195 200 205


Val Pro Pro Ala Ala Leu Ser Gly Pro Ser Gly Glu Glu Gly Leu Ser
210 215 220


Pro Gly Gly Lys Arg Arg Arg Gly Cys Asn Ser Glu Gln Thr Gly Leu
225 230 235 240


Pro Pro Gly Leu Pro Leu Pro Pro Pro Pro Leu Pro Pro Pro Pro Pro
245 250 255


Pro Pro Pro Pro Pro Pro Pro Pro Leu Pro Gly Leu Ala Thr Ser Pro
260 265 270


Pro Phe Gln Leu Thr Lys Pro Gly Leu Trp Ser Thr Leu His Gly Asp
275 280 285


Ala Trp Gly Pro Glu Arg Lys Gly Ser Ala Pro Pro Glu Arg Gln Glu
290 295 300


Gln Arg His Ser Leu Pro His Pro Tyr Pro Tyr Pro Ala Pro Ala Tyr
305 310 315 320


Thr Ala His Pro Pro Gly His Arg Leu Val Pro Ala Ala Pro Pro Gly
325 330 335


Pro Gly Pro Arg Pro Pro Gly Ala Glu Ser His Gly Cys Leu Pro Ala
340 345 350


Thr Arg Pro Pro Gly Ser Asp Leu Arg Glu Ser Arg Val Gln Arg Ser
355 360 365


Arg Met Asp Ser Ser Val Ser Pro Ala Ala Thr Thr Ala Cys Val Pro
370 375 380


Tyr Ala Pro Ser Arg Pro Pro Gly Leu Pro Gly Thr Thr Thr Ser Ser
385 390 395 400


Ser Ser Ser Ser Ser Ser Asn Thr Gly Leu Arg Gly Val Glu Pro Asn
405 410 415


Pro Gly Ile Pro Gly Ala Asp His Tyr Gln Thr Pro Ala Leu Glu Val
420 425 430


Ser His His Gly Arg Leu Gly Pro Ser Ala His Ser Ser Arg Lys Pro
435 440 445


Phe Leu Gly Ala Pro Ala Ala Thr Pro His Leu Ser Leu Pro Pro Gly
450 455 460


Pro Ser Ser Pro Pro Pro Pro Pro Cys Pro Arg Leu Leu Arg Pro Pro
465 470 475 480


Pro Pro Pro Ala Trp Leu Lys Gly Pro Ala Cys Arg Ala Ala Arg Glu
485 490 495


Asp Gly Glu Ile Leu Glu Glu Leu Phe Phe Gly Thr Glu Gly Pro Pro
500 505 510


Arg Pro Ala Pro Pro Pro Leu Pro His Arg Glu Gly Phe Leu Gly Pro
515 520 525


Pro Ala Ser Arg Phe Ser Val Gly Thr Gln Asp Ser His Thr Pro Pro
530 535 540


Thr Pro Pro Thr Pro Thr Thr Ser Ser Ser Asn Ser Asn Ser Gly Ser
545 550 555 560


His Ser Ser Ser Pro Ala Gly Pro Val Ser Phe Pro Pro Pro Pro Tyr
565 570 575


Leu Ala Arg Ser Ile Asp Pro Leu Pro Arg Pro Pro Ser Pro Ala Gln
580 585 590


Asn Pro Gln Asp Pro Pro Leu Val Pro Leu Thr Leu Ala Leu Pro Pro
595 600 605


Ala Pro Pro Ser Ser Cys His Gln Asn Thr Ser Gly Ser Phe Arg Arg
610 615 620


Pro Glu Ser Pro Arg Pro Arg Val Ser Phe Pro Lys Thr Pro Glu Val
625 630 635 640


Gly Pro Gly Pro Pro Pro Gly Pro Leu Ser Lys Ala Pro Gln Pro Val
645 650 655


Pro Pro Gly Val Gly Glu Leu Pro Ala Arg Gly Pro Arg Leu Phe Asp
660 665 670


Phe Pro Pro Thr Pro Leu Glu Asp Gln Phe Glu Glu Pro Ala Glu Phe
675 680 685


Lys Ile Leu Pro Asp Gly Leu Ala Asn Ile Met Lys Met Leu Asp Glu
690 695 700


Ser Ile Arg Lys Glu Glu Glu Gln Gln Gln His Glu Ala Gly Val Ala
705 710 715 720


Pro Gln Pro Pro Leu Lys Glu Pro Phe Ala Ser Leu Gln Ser Pro Phe
725 730 735


Pro Thr Asp Thr Ala Pro Thr Thr Thr Ala Pro Ala Val Ala Val Thr
740 745 750


Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Thr Ala Thr Gln Glu Glu Glu
755 760 765


Lys Lys Pro Pro Pro Ala Leu Pro Pro Pro Pro Pro Leu Ala Lys Phe
770 775 780


Pro Pro Pro Ser Gln Pro Gln Pro Pro Pro Pro Pro Pro Pro Ser Pro
785 790 795 800


Ala Ser Leu Leu Lys Ser Leu Ala Ser Val Leu Glu Gly Gln Lys Tyr
805 810 815


Cys Tyr Arg Gly Thr Gly Ala Ala Val Ser Thr Arg Pro Gly Pro Leu
820 825 830


Pro Thr Thr Gln Tyr Ser Pro Gly Pro Pro Ser Gly Ala Thr Ala Leu
835 840 845


Pro Pro Thr Ser Ala Ala Pro Ser Ala Gln Gly Ser Pro Gln Pro Ser
850 855 860


Ala Ser Ser Ser Ser Gln Phe Ser Thr Ser Gly Gly Pro Trp Ala Arg
865 870 875 880


Glu Arg Arg Ala Gly Glu Glu Pro Val Pro Gly Pro Met Thr Pro Thr
885 890 895


Gln Pro Pro Pro Pro Leu Ser Leu Pro Pro Ala Arg Ser Glu Ser Glu
900 905 910


Val Leu Glu Glu Ile Ser Arg Ala Cys Glu Thr Leu Val Glu Arg Val
915 920 925


Gly Arg Ser Ala Thr Asp Pro Ala Asp Pro Val Asp Thr Ala Glu Pro
930 935 940


Ala Asp Ser Gly Thr Glu Arg Leu Leu Pro Pro Ala Gln Ala Lys Glu
945 950 955 960


Glu Ala Gly Gly Val Ala Ala Val Ser Gly Ser Cys Lys Arg Arg Gln
965 970 975


Lys Glu His Gln Lys Glu His Arg Arg His Arg Arg Ala Cys Lys Asp
980 985 990


Ser Val Gly Arg Arg Pro Arg Glu Gly Arg Ala Lys Ala Lys Ala Lys
995 1000 1005


Val Pro Lys Glu Lys Ser Arg Arg Val Leu Gly Asn Leu Asp Leu
1010 1015 1020


Gln Ser Glu Glu Ile Gln Gly Arg Glu Lys Ser Arg Pro Asp Leu
1025 1030 1035


Gly Gly Ala Ser Lys Ala Lys Pro Pro Thr Ala Pro Ala Pro Pro
1040 1045 1050


Ser Ala Pro Ala Pro Ser Ala Gln Pro Thr Pro Pro Ser Ala Ser
1055 1060 1065


Val Pro Gly Lys Lys Ala Arg Glu Glu Ala Pro Gly Pro Pro Gly
1070 1075 1080


Val Ser Arg Ala Asp Met Leu Lys Leu Arg Ser Leu Ser Glu Gly
1085 1090 1095


Pro Pro Lys Glu Leu Lys Ile Arg Leu Ile Lys Val Glu Ser Gly
1100 1105 1110


Asp Lys Glu Thr Phe Ile Ala Ser Glu Val Glu Glu Arg Arg Leu
1115 1120 1125


Arg Met Ala Asp Leu Thr Ile Ser His Cys Ala Ala Asp Val Val
1130 1135 1140


Arg Ala Ser Arg Asn Ala Lys Val Lys Gly Lys Phe Arg Glu Ser
1145 1150 1155


Tyr Leu Ser Pro Ala Gln Ser Val Lys Pro Lys Ile Asn Thr Glu
1160 1165 1170


Glu Lys Leu Pro Arg Glu Lys Leu Asn Pro Pro Thr Pro Ser Ile
1175 1180 1185


Tyr Leu Glu Ser Lys Arg Asp Ala Phe Ser Pro Val Leu Leu Gln
1190 1195 1200


Phe Cys Thr Asp Pro Arg Asn Pro Ile Thr Val Ile Arg Gly Leu
1205 1210 1215


Ala Gly Ser Leu Arg Leu Asn Leu Gly Leu Phe Ser Thr Lys Thr
1220 1225 1230


Leu Val Glu Ala Ser Gly Glu His Thr Val Glu Val Arg Thr Gln
1235 1240 1245


Val Gln Gln Pro Ser Asp Glu Asn Trp Asp Leu Thr Gly Thr Arg
1250 1255 1260


Gln Ile Trp Pro Cys Glu Ser Ser Arg Ser His Thr Thr Ile Ala
1265 1270 1275


Lys Tyr Ala Gln Tyr Gln Ala Ser Ser Phe Gln Glu Ser Leu Gln
1280 1285 1290


Glu Glu Lys Glu Ser Glu Asp Glu Glu Ser Glu Glu Pro Asp Ser
1295 1300 1305


Thr Thr Gly Thr Pro Pro Ser Ser Ala Pro Asp Pro Lys Asn His
1310 1315 1320


His Ile Ile Lys Phe Gly Thr Asn Ile Asp Leu Ser Asp Ala Lys
1325 1330 1335


Arg Trp Lys Pro Gln Leu Gln Glu Leu Leu Lys Leu Pro Ala Phe
1340 1345 1350


Met Arg Val Thr Ser Thr Gly Asn Met Leu Ser His Val Gly His
1355 1360 1365


Thr Ile Leu Gly Met Asn Thr Val Gln Leu Tyr Met Lys Val Pro
1370 1375 1380


Gly Ser Arg Thr Pro Gly His Gln Glu Asn Asn Asn Phe Cys Ser
1385 1390 1395


Val Asn Ile Asn Ile Gly Pro Gly Asp Cys Glu Trp Phe Ala Val
1400 1405 1410


His Glu His Tyr Trp Glu Thr Ile Ser Ala Phe Cys Asp Arg His
1415 1420 1425


Gly Val Asp Tyr Leu Thr Gly Ser Trp Trp Pro Ile Leu Asp Asp
1430 1435 1440


Leu Tyr Ala Ser Asn Ile Pro Val Tyr Arg Phe Val Gln Arg Pro
1445 1450 1455


Gly Asp Leu Val Trp Ile Asn Ala Gly Thr Val His Trp Val Gln
1460 1465 1470


Ala Thr Gly Trp Cys Asn Asn Ile Ala Trp Asn Val Gly Pro Leu
1475 1480 1485


Thr Ala Tyr Gln Tyr Gln Leu Ala Leu Glu Arg Tyr Glu Trp Asn
1490 1495 1500


Glu Val Lys Asn Val Lys Ser Ile Val Pro Met Ile His Val Ser
1505 1510 1515


Trp Asn Val Ala Arg Thr Val Lys Ile Ser Asp Pro Asp Leu Phe
1520 1525 1530


Lys Met Ile Lys Phe Cys Leu Leu Gln Ser Met Lys His Cys Gln
1535 1540 1545


Val Gln Arg Glu Ser Leu Val Arg Ala Gly Lys Lys Ile Ala Tyr
1550 1555 1560


Gln Gly Arg Val Lys Asp Glu Pro Ala Tyr Tyr Cys Asn Glu Cys
1565 1570 1575


Asp Val Glu Val Phe Asn Ile Leu Phe Val Thr Ser Glu Asn Gly
1580 1585 1590


Ser Arg Asn Thr Tyr Leu Val His Cys Glu Gly Cys Ala Arg Arg
1595 1600 1605


Arg Ser Ala Gly Leu Gln Gly Val Val Val Leu Glu Gln Tyr Arg
1610 1615 1620


Thr Glu Glu Leu Ala Gln Ala Tyr Asp Ala Phe Thr Leu Val Arg
1625 1630 1635


Ala Arg Arg Ala Arg Gly Gln Arg Arg Arg Ala Leu Gly Gln Ala
1640 1645 1650


Ala Gly Thr Gly Phe Gly Ser Pro Ala Ala Pro Phe Pro Glu Pro
1655 1660 1665


Pro Pro Ala Phe Ser Pro Gln Ala Pro Ala Ser Thr Ser Arg
1670 1675 1680


<210> 4
<211> 659
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 4

Gln Ser Glu Glu Ile Gln Gly Arg Glu Lys Ser Arg Pro Asp Leu Gly
1 5 10 15


Gly Ala Ser Lys Ala Lys Pro Pro Thr Ala Pro Ala Pro Pro Ser Ala
20 25 30


Pro Ala Pro Ser Ala Gln Pro Thr Pro Pro Ser Ala Ser Val Pro Gly
35 40 45


Lys Lys Ala Arg Glu Glu Ala Pro Gly Pro Pro Gly Val Ser Arg Ala
50 55 60


Asp Met Leu Lys Leu Arg Ser Leu Ser Glu Gly Pro Pro Lys Glu Leu
65 70 75 80


Lys Ile Arg Leu Ile Lys Val Glu Ser Gly Asp Lys Glu Thr Phe Ile
85 90 95


Ala Ser Glu Val Glu Glu Arg Arg Leu Arg Met Ala Asp Leu Thr Ile
100 105 110


Ser His Cys Ala Ala Asp Val Val Arg Ala Ser Arg Asn Ala Lys Val
115 120 125


Lys Gly Lys Phe Arg Glu Ser Tyr Leu Ser Pro Ala Gln Ser Val Lys
130 135 140


Pro Lys Ile Asn Thr Glu Glu Lys Leu Pro Arg Glu Lys Leu Asn Pro
145 150 155 160


Pro Thr Pro Ser Ile Tyr Leu Glu Ser Lys Arg Asp Ala Phe Ser Pro
165 170 175


Val Leu Leu Gln Phe Cys Thr Asp Pro Arg Asn Pro Ile Thr Val Ile
180 185 190


Arg Gly Leu Ala Gly Ser Leu Arg Leu Asn Leu Gly Leu Phe Ser Thr
195 200 205


Lys Thr Leu Val Glu Ala Ser Gly Glu His Thr Val Glu Val Arg Thr
210 215 220


Gln Val Gln Gln Pro Ser Asp Glu Asn Trp Asp Leu Thr Gly Thr Arg
225 230 235 240


Gln Ile Trp Pro Cys Glu Ser Ser Arg Ser His Thr Thr Ile Ala Lys
245 250 255


Tyr Ala Gln Tyr Gln Ala Ser Ser Phe Gln Glu Ser Leu Gln Glu Glu
260 265 270


Lys Glu Ser Glu Asp Glu Glu Ser Glu Glu Pro Asp Ser Thr Thr Gly
275 280 285


Thr Pro Pro Ser Ser Ala Pro Asp Pro Lys Asn His His Ile Ile Lys
290 295 300


Phe Gly Thr Asn Ile Asp Leu Ser Asp Ala Lys Arg Trp Lys Pro Gln
305 310 315 320


Leu Gln Glu Leu Leu Lys Leu Pro Ala Phe Met Arg Val Thr Ser Thr
325 330 335


Gly Asn Met Leu Ser His Val Gly His Thr Ile Leu Gly Met Asn Thr
340 345 350


Val Gln Leu Tyr Met Lys Val Pro Gly Ser Arg Thr Pro Gly His Gln
355 360 365


Glu Asn Asn Asn Phe Cys Ser Val Asn Ile Asn Ile Gly Pro Gly Asp
370 375 380


Cys Glu Trp Phe Ala Val His Glu His Tyr Trp Glu Thr Ile Ser Ala
385 390 395 400


Phe Cys Asp Arg His Gly Val Asp Tyr Leu Thr Gly Ser Trp Trp Pro
405 410 415


Ile Leu Asp Asp Leu Tyr Ala Ser Asn Ile Pro Val Tyr Arg Phe Val
420 425 430


Gln Arg Pro Gly Asp Leu Val Trp Ile Asn Ala Gly Thr Val His Trp
435 440 445


Val Gln Ala Thr Gly Trp Cys Asn Asn Ile Ala Trp Asn Val Gly Pro
450 455 460


Leu Thr Ala Tyr Gln Tyr Gln Leu Ala Leu Glu Arg Tyr Glu Trp Asn
465 470 475 480


Glu Val Lys Asn Val Lys Ser Ile Val Pro Met Ile His Val Ser Trp
485 490 495


Asn Val Ala Arg Thr Val Lys Ile Ser Asp Pro Asp Leu Phe Lys Met
500 505 510


Ile Lys Phe Cys Leu Leu Gln Ser Met Lys His Cys Gln Val Gln Arg
515 520 525


Glu Ser Leu Val Arg Ala Gly Lys Lys Ile Ala Tyr Gln Gly Arg Val
530 535 540


Lys Asp Glu Pro Ala Tyr Tyr Cys Asn Glu Cys Asp Val Glu Val Phe
545 550 555 560


Asn Ile Leu Phe Val Thr Ser Glu Asn Gly Ser Arg Asn Thr Tyr Leu
565 570 575


Val His Cys Glu Gly Cys Ala Arg Arg Arg Ser Ala Gly Leu Gln Gly
580 585 590


Val Val Val Leu Glu Gln Tyr Arg Thr Glu Glu Leu Ala Gln Ala Tyr
595 600 605


Asp Ala Phe Thr Leu Val Arg Ala Arg Arg Ala Arg Gly Gln Arg Arg
610 615 620


Arg Ala Leu Gly Gln Ala Ala Gly Thr Gly Phe Gly Ser Pro Ala Ala
625 630 635 640


Pro Phe Pro Glu Pro Pro Pro Ala Phe Ser Pro Gln Ala Pro Ala Ser
645 650 655


Thr Ser Arg



<210> 5
<211> 109
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 5

Gln Leu Tyr Met Lys Val Pro Gly Ser Arg Thr Pro Gly His Gln Glu
1 5 10 15


Asn Asn Asn Phe Cys Ser Val Asn Ile Asn Ile Gly Pro Gly Asp Cys
20 25 30


Glu Trp Phe Ala Val His Glu His Tyr Trp Glu Thr Ile Ser Ala Phe
35 40 45


Cys Asp Arg His Gly Val Asp Tyr Leu Thr Gly Ser Trp Trp Pro Ile
50 55 60


Leu Asp Asp Leu Tyr Ala Ser Asn Ile Pro Val Tyr Arg Phe Val Gln
65 70 75 80


Arg Pro Gly Asp Leu Val Trp Ile Asn Ala Gly Thr Val His Trp Val
85 90 95


Gln Ala Thr Gly Trp Cys Asn Asn Ile Ala Trp Asn Val
100 105


<210> 6
<211> 2541
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<400> 6
gggttggacc ctcgtacaga agctaatacg actcactata gggaaataag agagaaaaga 60

agagtaagaa gaaatataag agccaccccg cggtggcggc cgctctagaa ctagtggatc 120

ccccgggctg caggaattcg ataaaagcga tcgcccatca caagtttgta caaaaaagca 180

ggcttagcca ccatgtaccc atacgatgtt ccagattacg ctcctaagaa aaagaggaag 240

gtgcagagcg aggagatcca gggtcgtgag aagtcccggc ccgatcttgg cggggcctcc 300

aaggccaagc cacccacagc tccagcccct ccatcagctc ctgcaccttc tgcccagccc 360

acacccccgt cagcctctgt ccctggaaag aaggctcggg aggaagcccc agggccaccg 420

ggtgtcagcc gggccgacat gctgaagctg cgctcactta gtgaggggcc ccccaaggag 480

ctgaagatcc ggctcatcaa ggtagagagt ggtgacaagg agacctttat cgcctctgag 540

gtggaagagc ggcggctgcg catggcagac ctcaccatca gccactgtgc tgctgacgtc 600

gtgcgcgcca gcaggaatgc caaggtgaaa gggaagtttc gagagtccta cctttcccct 660

gcccagtctg tgaaaccgaa gatcaacact gaggagaagc tgccccggga aaaactcaac 720

ccccctacac ccagcatcta tctggagagc aaacgggatg ccttctcacc tgtcctgctg 780

cagttctgta cagaccctcg aaatcccatc acagtgatcc ggggcctggc gggctccctg 840

cggctcaact tgggcctctt ctccaccaag accctggtgg aagcgagtgg cgaacacacc 900

gtggaagttc gcacccaggt gcagcagccc tcagatgaga actgggatct gacaggcact 960

cggcagatct ggccttgtga gagctcccgt tcccacacca ccattgccaa gtacgcacag 1020

taccaggcct catccttcca ggagtctctg caggaggaga aggagagtga ggatgaggag 1080

tcagaggagc cagacagcac cactggaacc cctcctagca gcgcaccaga cccgaagaac 1140

catcacatca tcaagtttgg caccaacatc gacttgtctg atgctaagcg gtggaagccc 1200

cagctgcagg agctgctgaa gctgcccgcc ttcatgcggg taacatccac gggcaacatg 1260

ctgagccacg tgggccacac catcctgggc atgaacacgg tgcagctgta catgaaggtg 1320

cccggcagcc gaacgccagg ccaccaggag aataacaact tctgctccgt caacatcaac 1380

attggcccag gcgactgcga gtggttcgcg gtgcacgagc actactggga gaccatcagc 1440

gctttctgtg atcggcacgg cgtggactac ttgacgggtt cctggtggcc aatcctggat 1500

gatctctatg catccaatat tcctgtgtac cgcttcgtgc agcgacccgg agacctcgtg 1560

tggattaatg cggggactgt gcactgggtg caggccaccg gctggtgcaa caacattgcc 1620

tggaacgtgg ggcccctcac cgcctatcag taccagctgg ccctggaacg atacgagtgg 1680

aatgaggtga agaacgtcaa atccatcgtg cccatgattc acgtgtcatg gaacgtggct 1740

cgcacggtca aaatcagcga ccccgacttg ttcaagatga tcaagttctg cctgctgcag 1800

tccatgaagc actgccaggt gcaacgcgag agcctggtgc gggcagggaa gaaaatcgct 1860

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tttaacatcc tgttcgtgac aagtgagaat ggcagccgca acacgtacct ggtacactgc 1980

gagggctgtg cccggcgccg cagcgcaggc ctgcagggcg tggtggtgct ggagcagtac 2040

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cgcgggcagc ggaggagggc actggggcag gctgcaggga cgggcttcgg gagcccggcc 2160

gcgcctttcc ctgagccccc gccggctttc tccccccagg ccccagccag cacgtcgcga 2220

tgaacccagc tttcttgtac aaagtggtga tggccgctgt ttaaaacttt tatcaagctt 2280

atcgataccg tcgacctcga atgctgcctt ctgcggggct tgccttctgg ccatgccctt 2340

cttctctccc ttgcacctgt acctcttggt ctttgaataa agcctgagta ggaagtgagg 2400

gtctagaact agtgtcgacg caaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2460

aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2520

aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa a 2541


<210> 7
<211> 1574
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<400> 7
gggttggacc ctcgtacaga agctaatacg actcactata gggaaataag agagaaaaga 60

agagtaagaa gaaatataag agccaccccg cggtggcggc cgctctagaa ctagtggatc 120

ccccgggctg caggaattcg ataaaagcga tcgcccatca caagtttgta caaaaaagca 180

ggctccgcgg ccgccccctt caccgctagg gataacaggg taatagaagg agccgccacc 240

atggagctac tgtcgccacc gctccgcgac gtagacctga cggcccccga cggctctctc 300

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gtgcgcgcgc ccagcgggca ccaccaggcg ggccgctgcc tactgtgggc ctgcaaggcg 540

tgcaagcgca agaccaccaa cgccgaccgc cgcaaggccg ccaccatgcg cgagcggcgc 600

cgcctgagca aagtaaatga ggcctttgag acactcaagc gctgcacgtc gagcaatcca 660

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agcccgcgct ccaactgctc cgacggcatg atggactaca gcggcccccc gagcggcgcc 900

cggcggcgga actgctacga aggcgcctac tacaacgagg cgcccagcga acccaggccc 960

gggaagagtg cggcggtgtc gagcctagac tgcctgtcca gcatcgtgga gcgcatctcc 1020

accgagagcc ctgcggcgcc cgccctcctg ctggcggacg tgccttctga gtcgcctccg 1080

cgcaggcaag aggctgccgc ccccagcgag ggagagagca gcggcgaccc cacccagtca 1140

ccggacgccg ccccgcagtg ccctgcgggt gcgaacccca acccgatata ccaggtgctc 1200

tgagtttcct gtgaacaatt gctcctctct taaggtagca aagggtgggc gcgccgaccc 1260

agctttcttg tacaaagtgg tgatggccgc tgtttaaaac ttttatcaag cttatcgata 1320

ccgtcgacct cgaatgctgc cttctgcggg gcttgccttc tggccatgcc cttcttctct 1380

cccttgcacc tgtacctctt ggtctttgaa taaagcctga gtaggaagtg agggtctaga 1440

actagtgtcg acgcaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 1500

aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 1560

aaaaaaaaaa aaaa 1574


<210> 8
<211> 320
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 8

Met Glu Leu Leu Ser Pro Pro Leu Arg Asp Val Asp Leu Thr Ala Pro
1 5 10 15


Asp Gly Ser Leu Cys Ser Phe Ala Thr Thr Asp Asp Phe Tyr Asp Asp
20 25 30


Pro Cys Phe Asp Ser Pro Asp Leu Arg Phe Phe Glu Asp Leu Asp Pro
35 40 45


Arg Leu Met His Val Gly Ala Leu Leu Lys Pro Glu Glu His Ser His
50 55 60


Phe Pro Ala Ala Val His Pro Ala Pro Gly Ala Arg Glu Asp Glu His
65 70 75 80


Val Arg Ala Pro Ser Gly His His Gln Ala Gly Arg Cys Leu Leu Trp
85 90 95


Ala Cys Lys Ala Cys Lys Arg Lys Thr Thr Asn Ala Asp Arg Arg Lys
100 105 110


Ala Ala Thr Met Arg Glu Arg Arg Arg Leu Ser Lys Val Asn Glu Ala
115 120 125


Phe Glu Thr Leu Lys Arg Cys Thr Ser Ser Asn Pro Asn Gln Arg Leu
130 135 140


Pro Lys Val Glu Ile Leu Arg Asn Ala Ile Arg Tyr Ile Glu Gly Leu
145 150 155 160


Gln Ala Leu Leu Arg Asp Gln Asp Ala Ala Pro Pro Gly Ala Ala Ala
165 170 175


Ala Phe Tyr Ala Pro Gly Pro Leu Pro Pro Gly Arg Gly Gly Glu His
180 185 190


Tyr Ser Gly Asp Ser Asp Ala Ser Ser Pro Arg Ser Asn Cys Ser Asp
195 200 205


Gly Met Met Asp Tyr Ser Gly Pro Pro Ser Gly Ala Arg Arg Arg Asn
210 215 220


Cys Tyr Glu Gly Ala Tyr Tyr Asn Glu Ala Pro Ser Glu Pro Arg Pro
225 230 235 240


Gly Lys Ser Ala Ala Val Ser Ser Leu Asp Cys Leu Ser Ser Ile Val
245 250 255


Glu Arg Ile Ser Thr Glu Ser Pro Ala Ala Pro Ala Leu Leu Leu Ala
260 265 270


Asp Val Pro Ser Glu Ser Pro Pro Arg Arg Gln Glu Ala Ala Ala Pro
275 280 285


Ser Glu Gly Glu Ser Ser Gly Asp Pro Thr Gln Ser Pro Asp Ala Ala
290 295 300


Pro Gln Cys Pro Ala Gly Ala Asn Pro Asn Pro Ile Tyr Gln Val Leu
305 310 315 320


<210> 9
<211> 1153
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<400> 9
gggttggacc ctcgtacaga agctaatacg actcactata gggaaataag agagaaaaga 60

agagtaagaa gaaatataag agccaccccg cggtggcggc cgctctagaa ctagtggatc 120

ccccgggctg caggaattcg ataaaagcga tcgcccatca caagtttgta caaaaaagca 180

ggcttcacca tgacgcctca accctcgggt gcgcccactg tccaagtgac ccgtgagacg 240

gagcggtcct tccccagagc ctcggaagac gaagtgacct gccccacgtc cgccccgccc 300

agccccactc gcacacgggg gaactgcgca gaggcggaag agggaggctg ccgaggggcc 360

ccgaggaagc tccgggcacg gcgcggggga cgcagccggc ctaagagcga gttggcactg 420

agcaagcagc gacggagtcg gcgaaagaag gccaacgacc gcgagcgcaa tcgaatgcac 480

aacctcaact cggcactgga cgccctgcgc ggtgtcctgc ccaccttccc agacgacgcg 540

aagctcacca agatcgagac gctgcgcttc gcccacaact acatctgggc gctgactcaa 600

acgctgcgca tagcggacca cagcttgtac gcgctggagc cgccggcgcc gcactgcggg 660

gagctgggca gcccaggcgg ttcccccggg gactgggggt ccctctactc cccagtctcc 720

caggctggca gcctgagtcc cgccgcgtcg ctggaggagc gacccgggct gctgggggcc 780

accttttccg cctgcttgag cccaggcagt ctggctttct cagattttct gtgagaccca 840

gctttcttgt acaaagtggt gatggccgct gtttaaaact tttatcaagc ttatcgatac 900

cgtcgacctc gaatgctgcc ttctgcgggg cttgccttct ggccatgccc ttcttctctc 960

ccttgcacct gtacctcttg gtctttgaat aaagcctgag taggaagtga gggtctagaa 1020

ctagtgtcga cgcaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 1080

aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 1140

aaaaaaaaaa aaa 1153


<210> 10
<211> 214
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 10

Met Thr Pro Gln Pro Ser Gly Ala Pro Thr Val Gln Val Thr Arg Glu
1 5 10 15


Thr Glu Arg Ser Phe Pro Arg Ala Ser Glu Asp Glu Val Thr Cys Pro
20 25 30


Thr Ser Ala Pro Pro Ser Pro Thr Arg Thr Arg Gly Asn Cys Ala Glu
35 40 45


Ala Glu Glu Gly Gly Cys Arg Gly Ala Pro Arg Lys Leu Arg Ala Arg
50 55 60


Arg Gly Gly Arg Ser Arg Pro Lys Ser Glu Leu Ala Leu Ser Lys Gln
65 70 75 80


Arg Arg Ser Arg Arg Lys Lys Ala Asn Asp Arg Glu Arg Asn Arg Met
85 90 95


His Asn Leu Asn Ser Ala Leu Asp Ala Leu Arg Gly Val Leu Pro Thr
100 105 110


Phe Pro Asp Asp Ala Lys Leu Thr Lys Ile Glu Thr Leu Arg Phe Ala
115 120 125


His Asn Tyr Ile Trp Ala Leu Thr Gln Thr Leu Arg Ile Ala Asp His
130 135 140


Ser Leu Tyr Ala Leu Glu Pro Pro Ala Pro His Cys Gly Glu Leu Gly
145 150 155 160


Ser Pro Gly Gly Ser Pro Gly Asp Trp Gly Ser Leu Tyr Ser Pro Val
165 170 175


Ser Gln Ala Gly Ser Leu Ser Pro Ala Ala Ser Leu Glu Glu Arg Pro
180 185 190


Gly Leu Leu Gly Ala Thr Phe Ser Ala Cys Leu Ser Pro Gly Ser Leu
195 200 205


Ala Phe Ser Asp Phe Leu
210


<210> 11
<211> 2414
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<400> 11
gggttggacc ctcgtacaga agctaatacg actcactata gggaaataag agagaaaaga 60

agagtaagaa gaaatataag agccaccccg cggtggcggc cgctctagaa ctagtggatc 120

ccccgggctg caggaattcg ataaaagcga tcgcccatca caagtttgta caaaaaagca 180

ggctccacca tggtttctaa actgagccag ctgcagacgg agctcctggc ggccctgctg 240

gagtcagggc tgagcaaaga ggcactgctc caggcactgg gtgagccggg gccctacctc 300

ctggctggag aaggccccct ggacaagggg gagtcctgcg gcggcggtcg aggggagctg 360

gctgagctgc ccaatgggct gggggagact cggggctccg aggacgagac ggacgacgat 420

ggggaagact tcacgccacc catcctcaaa gagctggaga acctcagccc tgaggaggcg 480

gcccaccaga aagccgtggt ggagaccctt ctgcaggagg acccgtggcg tgtggcgaag 540

atggtcaagt cctacctgca gcagcacaac atcccacagc gggaggtggt cgataccact 600

ggcctcaacc agtcccacct gtcccaacac ctcaacaagg gcactcccat gaagacgcag 660

aagcgggccg ccctgtacac ctggtacgtc cgcaagcagc gagaggtggc gcagcagttc 720

acccatgcag ggcagggagg gctgattgaa gagcccacag gtgatgagct accaaccaag 780

aaggggcgga ggaaccgttt caagtggggc ccagcatccc agcagatcct gttccaggcc 840

tatgagaggc agaagaaccc tagcaaggag gagcgagaga cgctagtgga ggagtgcaat 900

agggcggaat gcatccagag aggggtgtcc ccatcacagg cacaggggct gggctccaac 960

ctcgtcacgg aggtgcgtgt ctacaactgg tttgccaacc ggcgcaaaga agaagccttc 1020

cggcacaagc tggccatgga cacgtacagc gggccccccc cagggccagg cccgggacct 1080

gcgctgcccg ctcacagctc ccctggcctg cctccacctg ccctctcccc cagtaaggtc 1140

cacggtgtgc gctatggaca gcctgcgacc agtgagactg cagaagtacc ctcaagcagc 1200

ggcggtccct tagtgacagt gtctacaccc ctccaccaag tgtcccccac gggcctggag 1260

cccagccaca gcctgctgag tacagaagcc aagctggtct cagcagctgg gggccccctc 1320

ccccctgtca gcaccctgac agcactgcac agcttggagc agacatcccc aggcctcaac 1380

cagcagcccc agaacctcat catggcctca cttcctgggg tcatgaccat cgggcctggt 1440

gagcctgcct ccctgggtcc tacgttcacc aacacaggtg cctccaccct ggtcatcggc 1500

ctggcctcca cgcaggcaca gagtgtgccg gtcatcaaca gcatgggcag cagcctgacc 1560

accctgcagc ccgtccagtt ctcccagccg ctgcacccct cctaccagca gccgctcatg 1620

ccacctgtgc agagccatgt gacccagagc cccttcatgg ccaccatggc tcagctgcag 1680

agcccccacg ccctctacag ccacaagccc gaggtggccc agtacaccca cacaggcctg 1740

ctcccgcaga ctatgctcat caccgacacc accaacctga gcgccctggc cagcctcacg 1800

cccaccaagc aggtcttcac ctcagacact gaggcctcca gtgagtccgg gcttcacacg 1860

ccggcatctc aggccaccac cctccacgtc cccagccagg accctgccgg catccagcac 1920

ctgcagccgg cccaccggct cagcgccagc cccacagtgt cctccagcag cctggtgctg 1980

taccagagct cagactccag caatggccag agccacctgc tgccatccaa ccacagcgtc 2040

atcgagacct tcatctccac ccagatggcc tcttcctccc agttgtgagc ggccgcaccc 2100

agctttcttg tacaaagtgg tgatggccgc tgtttaaaac ttttatcaag cttatcgata 2160

ccgtcgacct cgaatgctgc cttctgcggg gcttgccttc tggccatgcc cttcttctct 2220

cccttgcacc tgtacctctt ggtctttgaa taaagcctga gtaggaagtg agggtctaga 2280

actagtgtcg acgcaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2340

aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2400

aaaaaaaaaa aaaa 2414


<210> 12
<211> 632
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 12

Met Val Ser Lys Leu Ser Gln Leu Gln Thr Glu Leu Leu Ala Ala Leu
1 5 10 15


Leu Glu Ser Gly Leu Ser Lys Glu Ala Leu Leu Gln Ala Leu Gly Glu
20 25 30


Pro Gly Pro Tyr Leu Leu Ala Gly Glu Gly Pro Leu Asp Lys Gly Glu
35 40 45


Ser Cys Gly Gly Gly Arg Gly Glu Leu Ala Glu Leu Pro Asn Gly Leu
50 55 60


Gly Glu Thr Arg Gly Ser Glu Asp Glu Thr Asp Asp Asp Gly Glu Asp
65 70 75 80


Phe Thr Pro Pro Ile Leu Lys Glu Leu Glu Asn Leu Ser Pro Glu Glu
85 90 95


Ala Ala His Gln Lys Ala Val Val Glu Thr Leu Leu Gln Glu Asp Pro
100 105 110


Trp Arg Val Ala Lys Met Val Lys Ser Tyr Leu Gln Gln His Asn Ile
115 120 125


Pro Gln Arg Glu Val Val Asp Thr Thr Gly Leu Asn Gln Ser His Leu
130 135 140


Ser Gln His Leu Asn Lys Gly Thr Pro Met Lys Thr Gln Lys Arg Ala
145 150 155 160


Ala Leu Tyr Thr Trp Tyr Val Arg Lys Gln Arg Glu Val Ala Gln Gln
165 170 175


Phe Thr His Ala Gly Gln Gly Gly Leu Ile Glu Glu Pro Thr Gly Asp
180 185 190


Glu Leu Pro Thr Lys Lys Gly Arg Arg Asn Arg Phe Lys Trp Gly Pro
195 200 205


Ala Ser Gln Gln Ile Leu Phe Gln Ala Tyr Glu Arg Gln Lys Asn Pro
210 215 220


Ser Lys Glu Glu Arg Glu Thr Leu Val Glu Glu Cys Asn Arg Ala Glu
225 230 235 240


Cys Ile Gln Arg Gly Val Ser Pro Ser Gln Ala Gln Gly Leu Gly Ser
245 250 255


Asn Leu Val Thr Glu Val Arg Val Tyr Asn Trp Phe Ala Asn Arg Arg
260 265 270


Lys Glu Glu Ala Phe Arg His Lys Leu Ala Met Asp Thr Tyr Ser Gly
275 280 285


Pro Pro Pro Gly Pro Gly Pro Gly Pro Ala Leu Pro Ala His Ser Ser
290 295 300


Pro Gly Leu Pro Pro Pro Ala Leu Ser Pro Ser Lys Val His Gly Val
305 310 315 320


Arg Tyr Gly Gln Pro Ala Thr Ser Glu Thr Ala Glu Val Pro Ser Ser
325 330 335


Ser Gly Gly Pro Leu Val Thr Val Ser Thr Pro Leu His Gln Val Ser
340 345 350


Pro Thr Gly Leu Glu Pro Ser His Ser Leu Leu Ser Thr Glu Ala Lys
355 360 365


Leu Val Ser Ala Ala Gly Gly Pro Leu Pro Pro Val Ser Thr Leu Thr
370 375 380


Ala Leu His Ser Leu Glu Gln Thr Ser Pro Gly Leu Asn Gln Gln Pro
385 390 395 400


Gln Asn Leu Ile Met Ala Ser Leu Pro Gly Val Met Thr Ile Gly Pro
405 410 415


Gly Glu Pro Ala Ser Leu Gly Pro Thr Phe Thr Asn Thr Gly Ala Ser
420 425 430


Thr Leu Val Ile Gly Leu Ala Ser Thr Gln Ala Gln Ser Val Pro Val
435 440 445


Ile Asn Ser Met Gly Ser Ser Leu Thr Thr Leu Gln Pro Val Gln Phe
450 455 460


Ser Gln Pro Leu His Pro Ser Tyr Gln Gln Pro Leu Met Pro Pro Val
465 470 475 480


Gln Ser His Val Thr Gln Ser Pro Phe Met Ala Thr Met Ala Gln Leu
485 490 495


Gln Ser Pro His Ala Leu Tyr Ser His Lys Pro Glu Val Ala Gln Tyr
500 505 510


Thr His Thr Gly Leu Leu Pro Gln Thr Met Leu Ile Thr Asp Thr Thr
515 520 525


Asn Leu Ser Ala Leu Ala Ser Leu Thr Pro Thr Lys Gln Val Phe Thr
530 535 540


Ser Asp Thr Glu Ala Ser Ser Glu Ser Gly Leu His Thr Pro Ala Ser
545 550 555 560


Gln Ala Thr Thr Leu His Val Pro Ser Gln Asp Pro Ala Gly Ile Gln
565 570 575


His Leu Gln Pro Ala His Arg Leu Ser Ala Ser Pro Thr Val Ser Ser
580 585 590


Ser Ser Leu Val Leu Tyr Gln Ser Ser Asp Ser Ser Asn Gly Gln Ser
595 600 605


His Leu Leu Pro Ser Asn His Ser Val Ile Glu Thr Phe Ile Ser Thr
610 615 620


Gln Met Ala Ser Ser Ser Gln Leu
625 630


<210> 13
<211> 12
<212> PRT
<213> Human immunodeficiency virus

<400> 13

Gly Arg Lys Lys Arg Arg Gln Arg Arg Arg Pro Gln
1 5 10


<210> 14
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> r8

<400> 14

Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg
1 5


<210> 15
<211> 21
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> MPG-8


<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (1)..(1)
<223> Xaa stands for bAla.

<400> 15

Xaa Phe Leu Gly Trp Leu Gly Ala Trp Gly Thr Met Gly Trp Ser Pro
1 5 10 15


Lys Lys Lys Arg Lys
20


<210> 16
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> siPOU5F1 sense strand


<220>
<221> misc_RNA
<222> (1)..(21)
<223> Combined DNA/RNA molecule. RNA bases are from 1 to 19. DNA bases
are from 20 to 21.

<220>
<221> misc_difference
<222> (20)..(21)
<223> 30 spermines are added between thymines.

<400> 16
gcccgaaaga gaaagcgaat t 21


<210> 17
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> siPOU5F1 anti-sense strand


<220>
<221> misc_RNA
<222> (1)..(21)
<223> Combined DNA/RNA molecule. RNA bases are from 1 to 19. DNA bases
are from 20 to 21.

<400> 17
uucgcuuucu cuuucgggcc t 21


<210> 18
<211> 816
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<400> 18
atgttacagg cgtgcaaaat ggaagggttt cccctcgtcc cccctcagcc atcagaagac 60

ctggtgccct atgacacgga tctataccaa cgccaaacgc acgagtatta cccctatctc 120

agcagtgatg gggagagcca tagcgaccat tactgggact tccaccccca ccacgtgcac 180

agcgagttcg agagcttcgc cgagaacaac ttcacggagc tccagagcgt gcagcccccg 240

cagctgcagc agctctaccg ccacatggag ctggagcaga tgcacgtcct cgataccccc 300

atggtgccac cccatcccag tcttggccac caggtctcct acctgccccg gatgtgcctc 360

cagtacccat ccctgtcccc agcccagccc agctcagatg aggaggaggg cgagcggcag 420

agccccccac tggaggtgtc tgacggcgag gcggatggcc tggagcccgg gcctgggctc 480

ctgcctgggg agacaggcag caagaagaag atccgcctgt accagttcct gttggacctg 540

ctccgcagcg gcgacatgaa ggacagcatc tggtgggtgg acaaggacaa gggcaccttc 600

cagttctcgt ccaagcacaa ggaggcgctg gcgcaccgct ggggcatcca gaagggcaac 660

cgcaagaaga tgacctacca gaagatggcg cgcgcgctgc gcaactacgg caagacgggc 720

gaggtcaaga aggtgaagaa gaagctcacc taccagttca gcggcgaagt gctgggccgc 780

gggggcctgg ccgagcggcg ccacccgccc cactga 816


<210> 19
<211> 271
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 19

Met Leu Gln Ala Cys Lys Met Glu Gly Phe Pro Leu Val Pro Pro Gln
1 5 10 15


Pro Ser Glu Asp Leu Val Pro Tyr Asp Thr Asp Leu Tyr Gln Arg Gln
20 25 30


Thr His Glu Tyr Tyr Pro Tyr Leu Ser Ser Asp Gly Glu Ser His Ser
35 40 45


Asp His Tyr Trp Asp Phe His Pro His His Val His Ser Glu Phe Glu
50 55 60


Ser Phe Ala Glu Asn Asn Phe Thr Glu Leu Gln Ser Val Gln Pro Pro
65 70 75 80


Gln Leu Gln Gln Leu Tyr Arg His Met Glu Leu Glu Gln Met His Val
85 90 95


Leu Asp Thr Pro Met Val Pro Pro His Pro Ser Leu Gly His Gln Val
100 105 110


Ser Tyr Leu Pro Arg Met Cys Leu Gln Tyr Pro Ser Leu Ser Pro Ala
115 120 125


Gln Pro Ser Ser Asp Glu Glu Glu Gly Glu Arg Gln Ser Pro Pro Leu
130 135 140


Glu Val Ser Asp Gly Glu Ala Asp Gly Leu Glu Pro Gly Pro Gly Leu
145 150 155 160


Leu Pro Gly Glu Thr Gly Ser Lys Lys Lys Ile Arg Leu Tyr Gln Phe
165 170 175


Leu Leu Asp Leu Leu Arg Ser Gly Asp Met Lys Asp Ser Ile Trp Trp
180 185 190


Val Asp Lys Asp Lys Gly Thr Phe Gln Phe Ser Ser Lys His Lys Glu
195 200 205


Ala Leu Ala His Arg Trp Gly Ile Gln Lys Gly Asn Arg Lys Lys Met
210 215 220


Thr Tyr Gln Lys Met Ala Arg Ala Leu Arg Asn Tyr Gly Lys Thr Gly
225 230 235 240


Glu Val Lys Lys Val Lys Lys Lys Leu Thr Tyr Gln Phe Ser Gly Glu
245 250 255


Val Leu Gly Arg Gly Gly Leu Ala Glu Arg Arg His Pro Pro His
260 265 270
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法、
1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項2】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法、
1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養すること、並びに、該運動ニューロンの分化効率は約90%であることを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項3】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を運動ニューロンへ分化させる方法、
1)運動ニューロンへの分化誘導に必要な転写因子であるNEUROG3を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、運動ニューロンへ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養し、該運動ニューロンの分化効率は約90%でであり、並びに、1種類の基礎細胞培養培地を使用することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項4】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を骨格筋細胞へ分化させる方法、
1)骨格筋細胞への分化誘導に必要な転写因子であるMYOD1を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、骨格筋細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項5】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を骨格筋細胞へ分化させる方法、
1)骨格筋細胞への分化誘導に必要な転写因子であるMYOD1を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、骨格筋細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養し、並びに、該骨格筋細胞の分化効率は75%以上であることを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項6】
前記1)の工程において、前記多能性幹細胞は、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子を前記多能性幹細胞に添加する工程を含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子は、POU5F1に対するsiRNAである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を肝細胞へ分化させる方法、
1)肝細胞への分化誘導に必要な転写因子であるFOXA1及びHNF1Aを含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、肝細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項10】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を肝細胞へ分化させる方法、
1)肝細胞への分化誘導に必要な転写因子であるFOXA1及びHNF1Aを含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、肝細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養し、並びに、該1)及び2)の全培養日数が8日間であり、かつ2種類の基礎細胞培養培地を使用することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項11】
前記1)の工程において、前記多能性幹細胞は、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子を前記多能性幹細胞に添加する工程を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子は、POU5F1に対するsiRNAである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
以下の1)~2)の工程を含む多能性幹細胞を造血細胞へ分化させる方法、
1)造血細胞への分化誘導に必要な転写因子であるSPI1を含む温度感受性センダイウイルスベクターを、細胞培地中の多能性幹細胞に添加する工程、及び、
2)該多能性幹細胞を培養して、造血細胞へ分化させる工程、
ここで、該1)の工程において、該細胞培地の温度が30~36℃であり、並びに、該2)の工程において、該多能性幹細胞を37~38℃で培養することを特徴とする、
分化させる方法。
【請求項15】
前記1)の工程において、前記多能性幹細胞は、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させた多能性幹細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
さらに、POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子を前記多能性幹細胞に添加する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記POU5F1タンパク質の発現量を実質的に除去又は低減させる作用を持つ化合物をコードする遺伝子は、POU5F1に対するsiRNAである請求項16に記載の方法。