IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴェリカ ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特開2024-37931カンタリジンおよび生理活性カンタリジン誘導体の商業的に実現可能な合成
<>
  • 特開-カンタリジンおよび生理活性カンタリジン誘導体の商業的に実現可能な合成 図1
  • 特開-カンタリジンおよび生理活性カンタリジン誘導体の商業的に実現可能な合成 図2A
  • 特開-カンタリジンおよび生理活性カンタリジン誘導体の商業的に実現可能な合成 図2B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037931
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】カンタリジンおよび生理活性カンタリジン誘導体の商業的に実現可能な合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/22 20060101AFI20240312BHJP
   C07D 493/18 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/365 20060101ALN20240312BHJP
   A61P 17/00 20060101ALN20240312BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
C07D495/22
C07D493/18
A61K31/365
A61P17/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023212697
(22)【出願日】2023-12-18
(62)【分割の表示】P 2020206344の分割
【原出願日】2015-12-17
(31)【優先権主張番号】62/093,396
(32)【優先日】2014-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516050614
【氏名又は名称】ヴェリカ ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERRICA PHARMACEUTICALS,INC.
【住所又は居所原語表記】44 W Gay St., Ste 400, West Chester,PA 19380 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッドソン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スコウ,スティーブン アール.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カンタリジンおよびカンタリジン誘導体の合成法を提供する。
【解決手段】式(1)の第1の化合物を提供し、これとフランと、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)等のルイス酸とに曝露させることを含む環化付加反応にかけることによって、(2)の化合物を形成することを含む方法である。


【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を含むカンタリジン製剤を産生するための方法であって、前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前駆体を反応させて、少なくとも6:1のエキソ-対-エンド比で前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を有する前記カンタリジン製剤を形成することを含む方法。
【請求項2】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも7:1である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも8:1である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも9:1である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも10:1である、請求項1の方法。
【請求項6】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも20:1である、請求項1の方法。
【請求項7】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも100:1である、請求項1の方法。
【請求項8】
前記製剤が、前記カンタリジン誘導体を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
前記反応が、約100atm未満の圧力で実施される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記反応が、約10atm未満の圧力で実施される、請求項1の方法。
【請求項11】
前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前記前駆体が、少なくとも約15%の収率で、前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体に転換される、請求項1の方法。
【請求項12】
前記反応が、約50℃未満の温度で実施される、請求項1の方法。
【請求項13】
前記前駆体が、式(1)、(2)または(3)の化合物:
【化1】
から選択される、請求項1の方法。
【請求項14】
カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を含むカンタリジン製剤を産生するための方法であって、前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前駆体を反応させて、前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を有する前記カンタリジン製剤を形成すること、ここで前記反応は、(i)ジエチルエーテルの非存在下で、(ii)リチウムまたはマグネシウム塩の非存在下で、かつ(iii)約980気圧(atm)未満の圧力で実施される、を含む方法。
【請求項15】
前記圧力が、約900atm未満である、請求項14の方法。
【請求項16】
前記圧力が、約800atm未満である、請求項14の方法。
【請求項17】
前記圧力が、約700atm未満である、請求項14の方法。
【請求項18】
前記圧力が、約600atm未満である、請求項14の方法。
【請求項19】
前記圧力が、約500atm未満である、請求項14の方法。
【請求項20】
前記圧力が、約100atm未満である、請求項14の方法。
【請求項21】
前記圧力が、約10atm未満である、請求項14の方法。
【請求項22】
前記反応が、触媒の助けを借りて実施される、請求項14の方法。
【請求項23】
前記触媒が、ルイス酸触媒を含む、請求項22の方法。
【請求項24】
前記触媒が、ジルコニウム(IV)を含む、請求項22の方法。
【請求項25】
前記触媒が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体を含む、請求項22の方法。
【請求項26】
前記触媒が、塩化アルミニウムを含む、請求項22の方法。
【請求項27】
前記触媒が、三フッ化ホウ素-ジエチルエーテルを含む、請求項22の方法。
【請求項28】
前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前記前駆体が、少なくとも約75%の収率で、前記カンタリジンまたはカンタリジン生成物に転換される、請求項14の方法。
【請求項29】
前記反応が、約50℃未満の温度で実施される、請求項14の方法。
【請求項30】
(i)カンタリジンまたはカンタリジン誘導体、(ii)0.1%未満のジエチルエーテル、および(iii)0.1%未満のリチウム塩を含み、ここで、前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体は、少なくとも6:1のエキソ-対-エンド比である、カンタリジン製剤。
【請求項31】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも7:1である、請求項30のカンタリジン製剤。
【請求項32】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも8:1である、請求項30のカンタリジン製剤。
【請求項33】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも9:1である、請求項30のカンタリジン製剤。
【請求項34】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも10:1である、請求項30のカンタリジン製剤。
【請求項35】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも20:1である、請求項30のカンタリジン製剤。
【請求項36】
前記エキソ-対-エンド比が、少なくとも100:1である、請求項30のカンタリジン製剤。
【請求項37】
(i)カンタリジンまたはカンタリジン誘導体、および(ii)Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択される1以上のルイス金属を含むルイス触媒を含み、ここで、前記1以上のルイス金属は、少なくとも約10億分の1(ppb)の濃度である、カンタリジン製剤。
【請求項38】
前記カンタリジンまたはカンタリジン誘導体が、少なくとも6:1のエキソ-対-エンド比である、請求項37のカンタリジン製剤。
【請求項39】
前記ルイス触媒が、Zr(IV)を含む、請求項37のカンタリジン製剤。
【請求項40】
前記ルイス触媒が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体を含む、請求項37のカンタリジン製剤。
【請求項41】
カンタリジンまたはその誘導体を調製するための方法であって、
a)式(1)の第1の化合物:
【化2】
を提供すること、
b)前記第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化3】
を形成すること、
c)前記第2の化合物に対して環化付加反応を実施して、式(3)を有する第3の化合物:
【化4】
を得ること、および
d)前記第3の化合物から、前記カンタリジンまたはその誘導体を産生すること
を含む方法。
【請求項42】
前記カンタリジンまたはその誘導体が、医薬的に許容し得る、請求項41の方法。
【請求項43】
(a)が、式(4)を有する第4の化合物:
【化5】
から、前記第1の化合物を産生することを含む、請求項41の方法。
【請求項44】
式(5)を有する第5の化合物:
【化6】
から、前記第4の化合物を産生することをさらに含む、請求項43の方法。
【請求項45】
式(6)を有する第6の化合物:
【化7】
から、前記第5の化合物を産生することをさらに含む、請求項44の方法。
【請求項46】
式(7)を有する第7の化合物:
【化8】
から、前記第6の化合物を産生することをさらに含む、請求項45の方法。
【請求項47】
式(8)を有する第8の化合物:
NaS (8)
から、前記第6の化合物を産生することをさらに含む、請求項45の方法。
【請求項48】
式(9)を有する第9の化合物:
【化9】
から、前記第4の化合物を産生することをさらに含む、請求項43の方法。
【請求項49】
(b)が、前記第1の化合物を脱水反応にかけることを含む、請求項41の方法。
【請求項50】
前記脱水反応が、前記第1の化合物をハロゲン化アシルに曝露させることを含む、請求項49の方法。
【請求項51】
前記ハロゲン化アシルが、塩化アセチルである、請求項50の方法。
【請求項52】
(c)が、前記第2の化合物を少なくとも1種のルイス酸に曝露させることを含む、請求項41の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1種のルイス酸が、表1から選択される、請求項52の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1種のルイス酸が、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有する、請求項52の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1種のルイス酸が、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択される、請求項52の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1種のルイス酸が、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択される、請求項52の方法。
【請求項57】
(c)が、前記第2の化合物をフランと反応させることを含む、請求項41の方法。
【請求項58】
(d)が、前記第3の化合物を還元反応にかけることを含む、請求項41の方法。
【請求項59】
前記還元反応が、単一の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含む、請求項58の方法。
【請求項60】
前記単一の還元剤が、ラネーニッケルである、請求項59の方法。
【請求項61】
前記還元反応が、別々の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含む、請求項58の方法。
【請求項62】
前記水素化反応が、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施される、請求項61の方法。
【請求項63】
前記脱硫反応が、表2から選択される還元剤を使用して実施される、請求項61の方法。
【請求項64】
前記還元剤が、ラネーニッケルである、請求項63の方法。
【請求項65】
前記還元反応が、式(10)を有する第10の化合物:
【化10】
を得るための水素化反応を含む、請求項58の方法。
【請求項66】
前記水素化反応が、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施される、請求項65の方法。
【請求項67】
前記第10の化合物を酸化反応にかけることをさらに含む、請求項65の方法。
【請求項68】
前記酸化反応が、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される、請求項67の方法。
【請求項69】
(d)が、前記第3の化合物を酸化反応にかけることを含む、請求項41の方法。
【請求項70】
前記酸化反応が、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される、請求項69の方法。
【請求項71】
前記誘導体が、以下:
【化11】
からなる群から選択される、請求項41の方法。
【請求項72】
(a)式(1)の第1の化合物:
【化12】
を提供すること、および
(b)前記第1の化合物を、NaOHを使用して実施される加水分解反応にかけることによって、前記第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化13】
を形成すること、
を含む方法。
【請求項73】
(a)式(1)の第1の化合物:
【化14】
を提供すること、および
(b)前記第1の化合物を、前記式(1)の化合物をハロゲン化アシルに曝露させることを含む脱水反応にかけることによって、前記第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化15】
を形成すること、
を含む方法。
【請求項74】
前記ハロゲン化アシルが、塩化アセチルである、請求項73の方法。
【請求項75】
a)式(1)の第1の化合物:
【化16】
式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択され、ここで、前記RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、前記RおよびRは、それぞれ任意に任意に独立して置換される
を提供すること;および
b)前記第1の化合物を、表1、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、塩化ガリウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)からなる群から選択される少なくとも1種のルイス酸に前記第1の化合物を曝露させることを含む環化付加反応にかけることによって、前記第1の化合物から式(2)を有する第2の化合物:
【化17】
式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択され、ここで、前記RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、前記RおよびRは、それぞれ任意に任意に独立して置換される
を形成すること、
を含む方法。
【請求項76】
前記少なくとも1種のルイス酸が、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有する、請求項75の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1種のルイス酸が、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択される、請求項75の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1種のルイス酸が、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択される、請求項75の方法。
【請求項79】
XがSである、請求項75の方法。
【請求項80】
前記環化付加反応が、前記第1の化合物をフランと反応させることを含む、請求項75の方法。
【請求項81】
a)以下のいずれか1つから選択される第1の化合物を提供すること:
【化18】
および
b)前記第1の化合物から、前記第1の化合物を、別々の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含む還元反応にかけることによって、前記カンタリジンを産生すること、ここで、前記脱硫反応は、ラネーニッケルではない、表2から選択される還元剤を使用して実施される、
を含む、カンタリジンを調製するための方法。
【請求項82】
前記第1の化合物が、
【化19】
を含む、請求項81の方法。
【請求項83】
前記水素化反応が、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施される、請求項81の方法。
【請求項84】
a)式(1)または(2)の化合物:
【化20】
を提供すること;および
b)前記式(1)または(2)の化合物から、以下
【化21】
からなる群から選択される構造を有する化合物を、前記式(1)または(2)の化合物を酸化反応にかけることによって形成すること、
を含む方法。
【請求項85】
前記酸化反応が、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される、請求項83の方法。
【請求項86】
以下を含む方法:
(a)以下
【化22】
からなる群から選択される構造を有する化合物を提供すること;および
(b)(a)で提供された前記化合物から、以下
【化23】
からなる群から選択される構造を有する化合物を、(a)で提供された前記化合物を酸化反応にかけることによって形成すること。
【請求項87】
前記酸化反応が、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される、請求項85の方法。
【請求項88】
以下:
【化24】
からなる群から選択される構造を有する組成物。
【請求項89】
以下:
【化25】
のいずれかから選択される組成物を有する、医薬的に許容し得る混合物。
【請求項90】
対象を治療する方法であって、前記対象に、請求項88に記載の治療有効量の前記医薬的に許容し得る混合物を投与することを含む方法。
【請求項91】
前記治療有効量が、末端線維角化腫、腸性肢端皮膚炎、尖端角化類弾力線維症、光線角化症(日光角化症)、脂腺腫、被角血管腫、アトピー性皮膚炎、基底細胞癌、良性線維性組織球腫、膀胱癌、ボーエン病、乳癌、ブシュケ・オレンドルフ症候群、子宮頸癌、子宮頸部異形成、老人性血管腫、慢性結節性耳輪軟骨皮膚炎、尋常性疣贅、皮膚子宮内膜症、皮膚白血病、皮膚リンパ腫、皮膚髄膜腫、皮膚粘液腫、ダリエー病、真皮樹状細胞過誤腫、皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、エクリン血管腫様過誤腫、外胚葉異形成症、表皮封入嚢胞、表皮母斑、類上皮細胞組織球腫、家族性粘液血管線維腫、皮膚真菌症、顆粒細胞腫、グルカゴノーマ症候群、性器疣贅、魚鱗癬、特発性滴状低メラニン症、小児肢端膿疱症、小児線維腫症、カポジ肉腫、ケロイド、ケラトアカントーマ、角化嚢胞、指結節、黒子(Lentigo)、メラノーマ、細静脈性血管腫、伝染性軟属腫、モートン神経腫、多巣性リンパ管内皮腫症、多核細胞血管組織球腫、多発性皮膚平滑筋腫、菌状息肉症、皮膚神経腫、神経莢腫、焔状母斑、表在性脂肪腫性母斑、強皮指症、柵状被包化神経腫、皮膚寄生虫症、毛孔性紅色粃糠疹、立毛筋平滑筋腫、足底疣贅、蔓状線維性組織球腫、汗孔角化症エクリン汗腺および汗管母斑、進行性結節性組織球腫(Progressive nodular histiocytoma)、乾癬、汗孔角化症、脂漏性皮膚炎、脂漏性角化症、鼻瘤、孤立性皮膚平滑筋腫、クモ状血管腫、標的状血鉄素性血管腫、扁平上皮癌、房状血管腫、静脈湖、色素性蕁麻疹、黄色版腫肥満細胞症、帯状疱疹様転移、良性表皮嚢胞、痣、皮膚硬結、鶏眼、湿疹、そばかす、黒子、色素異常症、薬物誘発性色素沈着過剰、遺伝性対側性色素異常症、遺伝性汎発性色素異常症、家族性進行性色素沈着過剰、Galli-Galli病、ヘモジデリン色素沈着過剰、特発性滴状低メラニン症、鉄金属変色(Iron metallic discoloration)、白斑、肝斑、Mukamel症候群、ビーナスの首飾り(Necklace of Venus)、貧血性母斑、脱色素性母斑、パリスター・キリアン症候群、葉状(phylloid)無色性色素失調症、限局性白皮症、顔面および頸部網状色素沈着、毛髪嚢腫、白色粃糠疹、シバット型多形皮膚萎縮症、血管性多形皮膚萎縮症、炎症後色素沈着過剰、進行性斑状無色性色素失調症、そう痒、屈曲部網状色素異常、網状肢端色素沈着症、リール黒皮症、シャー-ワールデンブルグ症候群、シイタケ・キノコ皮膚炎、タールメラニン沈着症、チタン金属変色、新生児一過性膿疱性メラノーシス、浮浪者白斑黒皮症、血管攣縮性斑、Wende-Bauckus症候群、X連鎖性網状色素異常症、イエメン人視聴覚障害低色素症候群、瘢痕、スキンタッグ、刺青除去、または白斑を治療するのに有効である、請求項90の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、参照によってその全体が本明細書に完全に組み込まれる2014年12月17日に出願された米国仮特許出願第62/093,396号明細書の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
カンタリジン(1,2-ジメチル-3,6-エポキシペルヒドロフタル酸無水物)は、従来、主としてツチハンミョウ科のツチハンミョウ(blister beetle)の体液から得られる親油性化合物である。カンタリジンは、室温で無色無臭の結晶性固体である。カンタリジンは、プロテインホスファターゼ2Aの阻害剤であり、皮膚に適用された場合に発疱活性を有する。その生理活性のおかげで、カンタリジンは、歴史的に、尋常性疣贅および軟属腫の治療を含めた様々な皮膚状態の治療に使用されてきた。
【0003】
化学名:(3αR,4S,7R,7αS)-3α,7α-ジメチルヘキサヒドロ-4,7-エポキシイソベンゾフラン-1,3-ジオン;1,2-ジメチル-3,6-エポキシペルヒドロフタル酸無水物。慣用名:カンタリジン(cantharidin);カンタロン;カンタリジン(cantharidine);カンタリジン(kantaridin)。構造:
【化1】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、カンタリジンおよびカンタリジン誘導体を合成するための方法を提供する。本明細書で提供する方法は、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の商業規模の生成および使用を可能にし得る方式でカンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を可能にすることができ、それによって、有利には、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を得るためのツチハンミョウの使用を最小化または排除する。
【0005】
本開示の一側面は、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を含むカンタリジン製剤を産生するための方法であって、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前駆体を反応させて、少なくとも6:1のエキソ-対-エンド比のカンタリジンまたはカンタリジン誘導体を有するカンタリジン製剤を形成することを含む方法を提供する。
【0006】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも7:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも8:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも9:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも10:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも20:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも100:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該製剤は、カンタリジン誘導体を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、約100atm未満の圧力で実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、約10atm未満の圧力で実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前駆体は、少なくとも約15%の収率で、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体に転換される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、約50℃未満の温度で実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、マグネシウムイオンの非存在下で実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該前駆体は、式(1)、(2)、または(3)の化合物:
【化2】
から選択される。
【0007】
本開示の一側面は、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を含むカンタリジン製剤を産生するための方法であって、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前駆体を反応させて(ここで、該反応は、(i)ジエチルエーテルの非存在下で、(ii)リチウムまたはマグネシウム塩の非存在下で、かつ(iii)約980気圧(atm)未満の圧力で実施される)、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体を有するカンタリジン製剤を形成することを含む方法を提供する。
【0008】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約900atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約800atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約700atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約600atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約500atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約100atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該圧力は、約10atm未満である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、触媒の助けを借りて実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該触媒は、ルイス酸触媒を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該触媒は、ジルコニウム(IV)を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該触媒は、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該触媒は、塩化アルミニウムを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該触媒は、三フッ化ホウ素-ジエチルエーテルを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の前駆体は、少なくとも約75%の収率で、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体に転換される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、約50℃未満の温度で実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該反応は、マグネシウムイオンの非存在下で実施される。
【0009】
本開示の一側面は、(i)カンタリジンまたはカンタリジン誘導体(ここで、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体は、少なくとも6:1のエキソ-対-エンド比である)、(ii)0.1%未満のジエチルエーテル、および(iii)0.1%未満のリチウム塩を含むカンタリジン製剤を提供する。
【0010】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも7:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも8:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも9:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも10:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも20:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該エキソ-対-エンド比は、少なくとも100:1である。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、カンタリジン製剤は、ジエチルエーテルを含む。カンタリジン製剤は、リチウム塩を含む。
【0011】
本開示の一側面は、(i)カンタリジンまたはカンタリジン誘導体、および(ii)Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択される1以上のルイス金属を含むルイス触媒(ここで、1以上のルイス金属は、少なくとも約10億分の1(ppb)の濃度である)を含むカンタリジン製剤を提供する。
【0012】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体は、少なくとも6:1のエキソ-対-エンド比である。本明細書で提供される側面のいくつかの態様では、ルイス触媒は、Zr(IV)を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、ルイス触媒は、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体を含む。
【0013】
本開示の一側面は、カンタリジンまたはその誘導体を調製するためのプロセスであって、(a)式(1)の第1の化合物:
【化3】
を提供することと、
(b)第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化4】
を形成することと、
(c)第2の化合物に対して環化付加反応を実施して、式(3)を有する第3の化合物:
【化5】
を得ることと、
(d)第3の化合物から、カンタリジンまたはその誘導体を産生することと
を含むプロセスを提供する。
【0014】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該カンタリジンまたはその誘導体は、医薬的に許容し得る。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、(a)は、式(4)を有する第4の化合物:
【化6】
から、第1の化合物を産生することを含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該プロセスは、式(5)を有する第5の化合物:
【化7】
から、第4の化合物を産生することをさらに含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該プロセスは、式(6)を有する第6の化合物:
【化8】
から、第5の化合物を産生することをさらに含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該プロセスは、式(7)を有する第7の化合物:
【化9】
から、第6の化合物を産生することをさらに含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該プロセスは、式(8)を有する第8の化合物:
NaS (8)
から、第6の化合物を産生することをさらに含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該プロセスは、式(9)を有する第9の化合物:
【化10】
から、第4の化合物を産生することをさらに含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、(b)は、第1の化合物を脱水反応にかけることを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該脱水反応は、第1の化合物をハロゲン化アシルに曝露させることを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、ハロゲン化アシルは、塩化アセチルである。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、(c)は、第2の化合物を少なくとも1種のルイス酸に曝露させることを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該少なくとも1種のルイス酸は、表1から選択される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該少なくとも1種のルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有する。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該少なくとも1種のルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該少なくとも1種のルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、(c)は、第2の化合物をフランと反応させることを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、(d)は、第3の化合物を還元反応にかけることを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該還元反応は、単一の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該単一の還元剤は、ラネーニッケルである。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該還元反応は、別々の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該水素化反応は、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、脱硫反応は、表2から選択される還元剤を使用して実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該還元剤は、ラネーニッケルである。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該還元反応は、式(10)を有する第10の化合物:
【化11】
を得るための水素化反応を含む。
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該水素化反応は、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該プロセスは、第10の化合物を酸化反応にかけることをさらに含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、(d)は、第3の化合物を酸化反応にかけることを含む。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該誘導体は、以下:
【化12】
からなる群から選択される。
【0015】
本開示の一側面は、以下を含むプロセスを提供する:
(a)式(1)の第1の化合物:
【化13】
を提供することと
(b)第1の化合物を、NaOHを使用して実施される加水分解反応にかけることによって、第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化14】
を形成すること。
【0016】
本開示の一側面は、以下を含むプロセスを提供する:
(a)式(1)の第1の化合物:
【化15】
を提供することと
(b)第1の化合物を、該式(1)の化合物をハロゲン化アシルに曝露させることを含む脱水反応にかけることによって、第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化16】
を形成すること。
【0017】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該ハロゲン化アシルは、塩化アセチルである。
【0018】
本開示の一側面は、以下を含むプロセスを提供する:
(a)式(1)の第1の化合物:
【化17】
(式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、前記RおよびRは、それぞれ、任意に独立して置換される)
を提供することと;
(b)第1の化合物から、該第1の化合物を、表1、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、塩化ガリウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)からなる群から選択される少なくとも1種のルイス酸に曝露させることを含む環化付加反応にかけることによって、第1の化合物から、式(2)を有する第2の化合物:
【化18】
(式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、RおよびRは、それぞれ、任意に独立して置換される)
を形成すること。
【0019】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、少なくとも1種のルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有する。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、少なくとも1種のルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、少なくとも1種のルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、Xは、Sである。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、環化付加反応は、第1の化合物をフランと反応させることを含む。
【0020】
本開示の一側面は、以下を含む、カンタリジンを調製するためのプロセスを提供する:
(a)以下のいずれか1つから選択される第1の化合物を提供することと:
【化19】
(b)第1の化合物から、該第1の化合物を、別々の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応(ここで、脱硫反応は、ラネーニッケルではない、表2から選択される還元剤を使用して実施される)を含む還元反応にかけることによって、カンタリジンを産生すること。
【0021】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、水素化反応は、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施される。本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、前記第1の化合物は、
【化20】
を含む。
【0022】
本開示の一側面は、以下を含むプロセスを提供する:
(a)式(1)または(2)の化合物:
【化21】
を提供することと
(b)式(1)または(2)の化合物から、該式(1)または(2)の化合物を酸化反応にかけることによって、以下
【化22】
からなる群から選択される構造を有する化合物を形成すること。
【0023】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される。
【0024】
本開示の一側面は、以下を含むプロセスを提供する:
(a)以下
【化23】
からなる群から選択される構造を有する化合物を提供することと
(b)(a)で提供された化合物から、該(a)で提供された化合物を酸化反応にかけることによって、以下
【化24】
からなる群から選択される構造を有する化合物を形成すること。
【0025】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施される。
【0026】
本開示の一側面は、以下:
【化25】
からなる群から選択される構造を有する組成物を提供する。
【0027】
本開示の一側面は、以下:
【化26】
のいずれかから選択される組成物を有する、医薬的に許容し得る混合物を提供する。
【0028】
本開示の一側面は、対象を治療する方法であって、該対象に、本明細書に提供する態様による、治療有効量の医薬的に許容し得る混合物を投与することを含む方法を提供する。
【0029】
本明細書に提供する側面のいくつかの態様では、前記治療有効量は、末端線維角化腫(Acral fibrokeratoma)、腸性肢端皮膚炎、尖端角化類弾力線維症、光線角化症(日光角化症)、脂腺腫(Adenoma sebaceum)、被角血管腫、アトピー性皮膚炎、基底細胞癌、良性線維性組織球腫、膀胱癌、ボーエン病、乳癌、ブシュケ・オレンドルフ症候群、子宮頸癌、子宮頸部異形成、老人性血管腫、慢性結節性耳輪軟骨皮膚炎、尋常性疣贅、皮膚子宮内膜症、皮膚白血病、皮膚リンパ腫、皮膚髄膜腫、皮膚粘液腫、ダリエー病、真皮樹状細胞過誤腫(Dermal dendrocyte hamartoma)、皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、エクリン血管腫様過誤腫(Eccrine angiomatous hamartoma)、外胚葉異形成症、表皮封入嚢胞、表皮母斑、類上皮細胞組織球腫(Epithelioid cell histiocytoma)、家族性粘液血管線維腫(Familial myxovascular fibromas)、皮膚真菌症、顆粒細胞腫、グルカゴノーマ症候群、性器疣贅、魚鱗癬、特発性滴状低メラニン症、小児肢端膿疱症、小児線維腫症、カポジ肉腫、ケロイド、ケラトアカントーマ、角化嚢胞、指結節、黒子(Lentigo)、メラノーマ、細静脈性血管腫、伝染性軟属腫、モートン神経腫、多巣性リンパ管内皮腫症(Multifocal lymphangioendotheliomatosis)、多核細胞血管組織球腫(Multinucleate cell angiohistocytoma)、多発性皮膚平滑筋腫、菌状息肉症、皮膚神経腫、神経莢腫、焔状母斑、表在性脂肪腫性母斑、強皮指症(Pachydermodactyly)、柵状被包化神経腫(Palisaded encapsulated neuroma)、皮膚寄生虫症、毛孔性紅色粃糠疹、立毛筋平滑筋腫(Piloleiomyomas)、足底疣贅、蔓状線維性組織球腫(Plexiform fibrohistiocytic tumor)、汗孔角化症エクリン汗腺および汗管母斑(Porokeratotic eccrine ostial and dermal duct nevus)、進行性結節性組織球腫(Progressive nodular histiocytoma)、乾癬、汗孔角化症、脂漏性皮膚炎、脂漏性角化症、鼻瘤、孤立性皮膚平滑筋腫(Solitary cutaneous leiomyoma)、クモ状血管腫、標的状血鉄素性血管腫(Targetoid hemosiderotic hemangioma)、扁平上皮癌、房状血管腫、静脈湖、色素性蕁麻疹、黄色板腫肥満細胞症(Xanthelasmoidal mastocytosis)、帯状疱疹様転移(Zosteriform metastasis)、良性表皮嚢胞、痣、皮膚硬結、鶏眼、湿疹、そばかす、黒子、色素異常症、薬物誘発性色素沈着過剰、遺伝性対側性色素異常症、遺伝性汎発性色素異常症、家族性進行性色素沈着過剰、Galli-Galli病、ヘモジデリン色素沈着過剰、特発性滴状低メラニン症、鉄金属変色(Iron metallic discoloration)、白斑、肝斑、Mukamel症候群、ビーナスの首飾り(Necklace of Venus)、貧血性母斑、脱色素性母斑、パリスター・キリアン症候群、葉状(phylloid)無色性色素失調症、限局性白皮症、顔面および頸部網状色素沈着(Pigmentatio reticularis faciei et colli)、毛髪嚢腫、白色粃糠疹、シバット型多形皮膚萎縮症、血管性多形皮膚萎縮症(Poikiloderma vasculare atrophicans)、炎症後色素沈着過剰、進行性斑状(progressive macular)無色性色素失調症、そう痒、屈曲部網状色素異常、網状肢端色素沈着症(Reticulate acropigmentation of Kitamura)、リール黒皮症、シャー-ワールデンブルグ(Shah-Waardenburg)症候群、シイタケ・キノコ皮膚炎(Shiitake mushroom dermatitis)、タールメラニン沈着症(Tar melanosis)、チタン金属変色(Titanium metallic discoloration)、新生児一過性膿疱性メラノーシス、浮浪者(Vagabond’s)白斑黒皮症、血管攣縮性斑(Vasospastic macule)、Wende-Bauckus症候群、X連鎖性網状色素異常症(X-linked reticulate pigmentary disorder)、イエメン人視聴覚障害低色素症候群、瘢痕、スキンタッグ、刺青除去、または白斑を治療するのに有効である。
【0030】
本開示の追加的な側面および利点は、本開示の例示的な実施態様が提示および記載されるに過ぎない以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになるであろう。認識されるであろう通り、本開示は、他のおよび異なる態様を可能にし、そのいくつかの詳細は、本開示からまったく逸脱せずに種々の明らかな点の改変を可能にする。したがって、図面および説明は、限定的ではなく本質的に例示的とみなされるべきである。
【0031】
参照による組み込み
この明細書で言及したすべての刊行物、特許、および特許出願を、まるで、それぞれ個々の刊行物、特許、および特許出願が参照によって組み込まれることが具体的にかつ個々に示された場合と同じ程度まで、参照によって本明細書に組み込む。
【0032】
本発明の新規の特徴を、添付の特許請求の範囲で詳細に説明する。本発明の特徴および利点のさらなる理解は、本発明の原則が利用される、例示的態様を説明する以下の詳細な説明、ならびに添付の図面または図を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】塩化アルミニウムを使用する、反応生成物の例示的なH NMR分析を示す。
図2A】MeAlの存在下で、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体を使用する、反応生成物の例示的なH NMR分析を示す。
図2B】MeAlの非存在下で、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体を使用する、反応生成物の例示的なH NMR分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の種々の態様を、本明細書に提示および記載してきたが、こうした態様が単に例示として提供されることが、当業者には明らかであろう。当業者には、多数の変更、改変、および置換が、本発明から逸脱せずに思い浮かぶことが可能である。本明細書に記載した本発明の態様に対する種々の代替物を用いることができることが理解されよう。
【0035】
用語「医薬的に許容し得る塩」は、本明細書で使用する場合、一般に、当技術分野で周知の様々な有機および無機の対イオンに由来する塩を指し、単に例示として、塩基付加塩および酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩は、化合物が酸性部分を含む場合に形成することができる。酸付加塩は、化合物が塩基性部分を含む場合に形成することができる。塩基付加塩の例としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、およびリチウム塩など、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩など、アンモニウム塩、例えば、アンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウム塩など、トリエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、およびジシクロヘキシルアミンなどの有機塩基との塩;ならびにアルギニンおよびリジンなどの塩基性アミノ酸との塩が含まれ得る。酸付加塩の例としては、有機または無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが含まれ得る。2以上の塩基部分を伴う化合物では、限定はされないが、ビス-またはトリス-塩を含めて、2以上の塩基部分が、塩の形態に転換されてよい。あるいは、2以上の塩基部分を有する化合物は、これらの塩基部分の1つのみで、塩を形成することができる。医薬的に許容し得る塩には、1以上のアミノ酸を伴う親化合物の塩も含まれ得る。タンパク質成分として見出すことができる天然に存在するアミノ酸を含めた、上に記載したアミノ酸のいずれかが適切であり得るが、アミノ酸は一般的に、任意に、塩基性もしくは酸性の基(例えば、リジン、アルギニン、もしくはグルタミン酸)または中性の基(グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、またはロイシンなど)を伴う側鎖を有するものである。
【0036】
用語「ルイス酸」は、本明細書で使用する場合、一般に、電子を受け取ること、またはルイス塩基と反応してルイス付加物を形成することが可能な化学種を指す。ルイス酸の非限定的な例としては、プロトン、酸性化合物、金属カチオン、金属錯体、平面三角形種、空のまたは部分的に満たされた原子または分子軌道を有する種、および電子不足π系が挙げられる。ルイス酸には、ルイス金属が含まれ得る。
【0037】
用語「アリール」(Ar)は、本明細書で使用する場合、一般に、単環または共に縮合されていても共有結合されていてもよい複数環であり得、また、任意に置換されていてよい、多価不飽和芳香族炭化水素置換基を指す。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、およびビフェニルが挙げられる。
【0038】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用する場合、一般に、その環状鎖内に少なくとも1つのヘテロ原子(窒素、酸素、または硫黄)を有する多価不飽和芳香環を指す。ヘテロアリール基は、単環または共に縮合されていても共有結合されていてもよい複数環であり得、また、任意に置換されていてよい。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピロル(pyrole)、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、フラン、チフェン(thiphene)、オキサゾール、イソオキサゾール、プリン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。本明細書で定義した通りのヘテロアリール基が置換されている場合、置換基は、置換を可能にする原子価を有する、ヘテロアリール基の環炭素原子に、または環ヘテロ原子(すなわち、窒素、酸素、または硫黄)に結合されていてよい。
【0039】
用語「アルキル」は、本明細書で使用する場合、それ自体でまたは別の置換基の一部として、一般に、飽和、一不飽和、または多価不飽和であり得、また、任意に置換されていてよい、直鎖、分枝鎖、または環状炭化水素を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。本明細書で定義した通りのアルキル基が、置換されている場合、置換基は、該アルキル基の炭素原子に結合されていてよい。置換されたアルキル基の非限定的な例としては、ハロアルカン、一級アミン、二級アミン、三級アミン、第四級アンモニウムカチオン、環状アミン、エーテル、アルコール、カルボニル、イミン、およびオキシムが挙げられる。
【0040】
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用する場合、それ自体でまたは別の置換基の一部として、一般に、基O-アルキル、O-アリール、またはO-ヘテロアリール(ここで、アルキルには、上で定義した通り、直鎖、分枝、または環状アルキル基が含まれる)を意味する。
【0041】
用語「ハロゲン」は、本明細書で使用する場合、一般に、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0042】
用語「ハロゲン化物」は、本明細書で使用する場合、一般に、フッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物を指す。
【0043】
カンタリジンの化学合成は、挑戦的であり得る。初期に報告された合成は、時間がかかる低生産性のプロセスであり得、潜在的に危険な作用条件を伴い得、または商業的に非実用的であり得る。いくつかの最近のカンタリジン合成は、ステップがより少なく、収率も向上しているが、極端な反応条件または危険な試薬の使用を必要とし得る。
【0044】
1928年、ドイツの化学者であるVon Bruchhausenは、カンタリジンの合成を試みた。参照により本明細書に完全に組み込まれる、von Bruchhausen,F.;Bersch,II.W.Arch.Pharm.Ber.Disch.Phurm.Ges.1928,266,697-702を参照されたい。彼の合成手法は、以下の逆合成分析に基づいていた。
【化27】
【0045】
残念ながら、2種の反応物間のディールス・アルダー反応は、生成物に不都合である平衡をもたらす。以下の実験において実証する通り、天然のカンタリジンが脱水素される場合、自然発生的に逆ディールス・アルダー反応を受ける。
【化28】
【0046】
研究は、ディールス・アルダー生成物の不安定性が、CおよびCが有するメチル基間の反発、ならびにCおよびCが有するメチル基とエンド水素との間の反発に起因することを示している。
【0047】
Storkは、1951年に、カンタリジンの合成を発表した。参照により本明細書に完全に組み込まれるStork,G.;et al.J.Am.Chem.Soc.1951,73,4501、および参照により本明細書に完全に組み込まれるStork,G.;van Tamelen,E.E.;Friedman,L.I.;Burgstahler,A.W.J.Am.Chem.Soc.1953,75,384を参照されたい。この合成は、経済的に実現可能ではないだろう。これは、時間がかかる、線形的な、多段階ステップの、かつ低収率のプロセスである。大規模では、このプロセスは、高価でありかつ作業者の負傷を生む可能性があり、ならびに容認できない環境的な廃棄問題を有する、危険な試薬の使用を必要とし得る。
【0048】
1953年には、Schenckが、カンタリジンへのディールス・アルダーに基づく手法を発表した。参照により本明細書に完全に組み込まれるSchenck,G.;Wirtz,R.Naturwissenshaften 1953,40,531を参照されたい。しかし、これは、依然として、長期にわたる、低収率の、線形的な、かつ多段階ステップの合成であることを含めた、上で述べた多くの問題を抱えている。製造規模でのその使用は、有毒な臭素の大規模使用、および、環境的に有害な臭素化された副産物の廃水流の処分を必要とし得る。
【0049】
1976年には、Daubenは、カンタリジンを合成するための極度に高い圧力条件の探究を開始した。参照により本明細書に完全に組み込まれるDauben,W.G.;Kessel,C.R.;Takemura,K.H.J.Am.Chem.Soc.1980,102,6893-6894、および参照により本明細書に完全に組み込まれるDauben,W.G.;Krabbenhoft,II.O.J.Am.Chem.Soc.1976,98,1992-1993を参照されたい。この合成は、優れた収率でカンタリジンを調製するために必要とされるステップが、より少ないが、ディールス・アルダー作用を成功裡に完了させるのに必要な4~15キロバール(kbar)の極度に高い圧力は、商業規模の生成では危険であるだろう。このプロセスは、複数の少量バッチで行われる場合、経済的に魅力がないだろう。このステップはまた、特殊な水力学式高圧発生装置(exotic hydraulic high-pressure production equipment)並びに作業者および団体の安全を確実にするための保護格納ハウジングにおける、かなりの設備投資を必要とし得る。
【化29】
【0050】
1990年には、Griecoは、5モル濃度(M)の過塩素酸リチウム(ジエチルエーテル溶液)の添加が、上に記載した極度に高い圧力ではなく周囲温度および圧力での、Daubenによって報告されたディールス・アルダー反応を促進できることを実証した。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Grieco,P.A.et al.J.Am.Chem.Soc.1990,112,4595-4596を参照されたい。Griecoは、このプロセスが、カンタリジンの合成に対する有用性を有し得ることを述べている。この作用からの比較的に高い収率および比較的に高いエキソ-エンドディールス・アルダー生成物比によって、これは、カンタリジンの大規模生成にとって魅力的な合成経路となる。残念ながら、過塩素酸リチウムは、有機材料と組み合わせた時に、爆発に対して敏感なまたは非常に爆発性の高い混合物を形成し得る、高いエネルギー含有量の酸化剤である。さらに、ジエチルエーテルは、高度に揮発性および引火性の溶媒である。高エネルギー酸化剤と、容易に発火する溶媒とのこの反応混合物は、制御された小規模条件下であっても危険であり得る。さらに、過塩素酸イオンは、特に地下水に放出された場合に、重大な環境汚染物質とみなされ得る。過塩素酸は、甲状腺におけるヨウ素代謝を特に標的にする、ヒト健康への有害作用を示し得る。この合成に関する深刻な安全問題と、環境影響問題とのこの組み合わせは、カンタリジンの商業的生成のためのプロセスとしてのその使用を成立できなくする。しかし、この短期の合成戦略を使用する商業的プロセスのためのこのプロセスの基本方針は、依然として魅力的である。
【化30】
【0051】
1995年のHandyによる後続研究では、リチウムトリフルオロメタンスルホンイミドのジエチルエーテルまたはアセトン溶液も、ディールス・アルダー付加物の優れた収率を与えることが実証された。参照により本明細書に完全に組み込まれる、Handy,S.T.;Grieco,P.A.;Mineur,C.;Ghosez,L.Synlett 1995,565-567を参照されたい。残念ながら、Grieco合成に対するこの変形は、エキソ-エンドディールス・アルダー生成物比の有意な低下を示す。エキソ-エンド生成物は、分離が困難であり得、その後のカンタリジンへの転換のために必要とされる所望の生成物の有意な喪失がもたらされる。合成におけるこのような後期のこうした喪失は、生成の費用および薬物の最終的な収益性に不利益を与え得る。加えて、生成流中の増大された量のエンド副産物の制御は、生成の調節および品質管理の負担、ならびに廃棄物処理費用を増大させ得る。
【0052】
カンタリジン合成のこれらの進歩にもかかわらず、製造規模でのカンタリジンの、安全で簡単でスケーラブルで効率的な合成が欠如している。本発明者らは、生物活性であり得るカンタリジンならびにカンタリジン類似体および誘導体を商業規模で生成するために使用することができ、穏やかな条件下でカンタリジンを提供する、入手可能な試薬から開始する、完全な合成プロセスを創案する。
【0053】
本開示は、カンタリジンおよびカンタリジン誘導体を合成するための方法を提供する。本明細書に提供する方法は、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の商業規模生成および使用を可能にすることができる方式で、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を可能にすることができる。
【0054】
本開示の方法は、ジエチルエーテルまたはジエチルエーテルを含有する化合物(例えば弾性コロジオン)を使用しない、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。ジエチルエーテルは、非常に揮発性が高く引火性の溶媒であり得、製造現場におけるその使用は、潜在的に安全でない、さらには爆発の可能性のある反応条件をもたらし得る。
【0055】
本発明の開示の方法は、リチウム塩触媒を使用しないカンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。高エネルギー含有酸化剤であり得る、過塩素酸リチウムまたはリチウムトリフルオロメタンスルホンイミドなどのリチウム塩は、有機材料と組み合わせた時に、爆発に対して敏感なまたは非常に爆発性の高い混合物を形成し得る。
【0056】
本発明の開示の方法は、マグネシウムの量が低いまたはマグネシウムを含まないカンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。例えば、本発明の開示の方法は、マグネシウムイオンが約30%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、または0%以下であるカンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。
【0057】
本発明の開示の方法は、限定はされないが、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)を含めた、ルイス酸触媒または本明細書に論じた他の触媒などの残留量の触媒を含有するカンタリジン製剤の合成を提供することができる。こうした触媒材料は、カンタリジン製剤中に、少なくとも約1兆分の1(ppt)、2ppt、3ppt、4ppt、5ppt、6ppt、7ppt、8ppt、9ppt、10ppt、20ppt、30ppt、40ppt、50ppt、60ppt、70ppt、80ppt、90ppt、100ppt、200ppt、300ppt、400ppt、500ppt、600ppt、700ppt、800ppt、900ppt、10億分の1(ppb)、2ppb、3ppb、4ppb、5ppb、6ppb、7ppb、8ppb、9ppb、10ppb、20ppb、30ppb、40ppb、50ppb、60ppb、70ppb、80ppb、90ppb、100ppb、200ppb、300ppb、400ppb、500ppb、600ppb、700ppb、800ppb、900ppb、100万分の1(ppm)、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、80ppm、90ppm、100ppm、200ppm、300ppm、400ppm、500ppm、600ppm、700ppm、800ppm、900ppm、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、またはそれ以上の濃度で存在することができる。こうした触媒材料は、カンタリジン製剤中に、最大で約1兆分の1(ppt)、2ppt、3ppt、4ppt、5ppt、6ppt、7ppt、8ppt、9ppt、10ppt、20ppt、30ppt、40ppt、50ppt、60ppt、70ppt、80ppt、90ppt、100ppt、200ppt、300ppt、400ppt、500ppt、600ppt、700ppt、800ppt、900ppt、10億分の1(ppb)、2ppb、3ppb、4ppb、5ppb、6ppb、7ppb、8ppb、9ppb、10ppb、20ppb、30ppb、40ppb、50ppb、60ppb、70ppb、80ppb、90ppb、100ppb、200ppb、300ppb、400ppb、500ppb、600ppb、700ppb、800ppb、900ppb、100万分の1(ppm)、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、10ppm、20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm、70ppm、80ppm、90ppm、100ppm、200ppm、300ppm、400ppm、500ppm、600ppm、700ppm、800ppm、900ppm、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%の濃度で存在することができる。
【0058】
本発明の開示の方法は、高い圧力を使用しないカンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。高い圧力は、生成および維持するためにエネルギーを大量消費する可能性があり、こうした圧力に耐えることが可能な、より高額な設備の使用を余儀なくされる可能性があり、また、潜在的に爆発性、またはそれ以外の点で危険性であり得る。本発明の開示の方法は、約1000気圧(atm)、980atm、975atm、950atm、925atm、900atm、875atm、850atm、825atm、800atm、775atm、750atm、725atm、700atm、675atm、650atm、625atm、600atm、575atm、550atm、525atm、500atm、475atm、450atm、425atm、400atm、375atm、350atm、325atm、300atm、275atm、250atm、225atm、200atm、175atm、150atm、125atm、100atm、75atm、50atm、45atm、40atm、35atm、30atm、25atm、20atm、15atm、10atm、9atm、8atm、7atm、6atm、5atm、4atm、3atm、2atm、または1atm以下の圧力での、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。
【0059】
本発明の開示の方法は、高い温度を使用しないカンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。高い圧力は、生成および維持するためにエネルギーを大量消費する可能性があり、こうした温度に耐えることが可能な、より高額な設備の使用を余儀なくされる可能性があり、また、潜在的に危険性であり得る。本発明の開示の方法は、約500℃、490℃、480℃、470℃、460℃、450℃、440℃、430℃、420℃、410℃、400℃、390℃、380℃、370℃、360℃、350℃、340℃、330℃、320℃、310℃、300℃、290℃、280℃、270℃、260℃、250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、または-100℃以下の温度での、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。本発明の開示の方法は、約500℃、490℃、480℃、470℃、460℃、450℃、440℃、430℃、420℃、410℃、400℃、390℃、380℃、370℃、360℃、350℃、340℃、330℃、320℃、310℃、300℃、290℃、280℃、270℃、260℃、250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、または-100℃以上の温度での、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。本発明の開示の方法は、約500℃、490℃、480℃、470℃、460℃、450℃、440℃、430℃、420℃、410℃、400℃、390℃、380℃、370℃、360℃、350℃、340℃、330℃、320℃、310℃、300℃、290℃、280℃、270℃、260℃、250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、または-100℃の温度での、カンタリジンまたはカンタリジン誘導体の合成を提供することができる。
【0060】
カンタリジンを合成するための方法
カンタリジンまたはその誘導体を調製するためのプロセスは、化合物(1)を提供することと、化合物(1)から化合物(2)を産生することを含む。
【化31】
【0061】
次いで、化合物(2)に対して環化付加反応を実施して、化合物(3)を得ることができ、化合物(3)から、カンタリジンまたはその誘導体を産生することができる。
【化32】
【0062】
カンタリジンまたはその誘導体は、医薬的に許容し得るものであり得る。いくつかの例では、カンタリジンまたはその誘導体は、例えば、皮膚障害、皮膚疾患、皮膚炎、接触性皮膚炎、皮膚癌、前癌病変、皮膚感染症、軟属腫病変、または疣贅の治療のために、対象に処方および/または投与することができる。カンタリジンまたはその誘導体は、限定はされないが、末端線維角化腫、腸性肢端皮膚炎、尖端角化類弾力線維症、光線角化症(日光角化症)、脂腺腫、被角血管腫、アトピー性皮膚炎、基底細胞癌、良性線維性組織球腫、膀胱癌、ボーエン病、乳癌、ブシュケ・オレンドルフ症候群、子宮頸癌、子宮頸部異形成、老人性血管腫、慢性結節性耳輪軟骨皮膚炎、尋常性疣贅、皮膚子宮内膜症、皮膚白血病、皮膚リンパ腫、皮膚髄膜腫、皮膚粘液腫、ダリエー病、真皮樹状細胞過誤腫、皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、エクリン血管腫様過誤腫、外胚葉異形成症、表皮封入嚢胞、表皮母斑(限定はされないが、脂腺母斑、面皰母斑、プロテウス症候群、ベッカー母斑を含む)、類上皮細胞組織球腫、家族性粘液血管線維腫、皮膚真菌症(ロボミコーシスを含む)、顆粒細胞腫、グルカゴノーマ症候群、性器疣贅、魚鱗癬(限定はされないが、尋常性魚鱗癬、葉状魚鱗癬、X連鎖魚鱗癬、表皮溶解性角化症、後天性魚鱗癬(Ichthyosis acquista)、および手掌足底角化症(keratosis palmo plantaris)を含む)、特発性滴状低メラニン症、小児肢端膿疱症、小児線維腫症、カポジ肉腫、ケロイド、ケラトアカントーマ、角化嚢胞、指結節、黒子(Lentigo)、メラノーマ、細静脈性血管腫、伝染性軟属腫、モートン神経腫、多巣性リンパ管内皮腫症、多核細胞血管組織球腫、多発性皮膚平滑筋腫、菌状息肉症、皮膚神経腫、神経莢腫、焔状母斑、表在性脂肪腫性母斑、強皮指症、柵状被包化神経腫、皮膚寄生虫症(限定はされないが、疥癬、シラミ寄生症、スナノミ症、鉤虫関連皮膚幼虫移行症を含む)、毛孔性紅色粃糠疹、立毛筋平滑筋腫、足底疣贅、蔓状線維性組織球腫、汗孔角化症エクリン汗腺および汗管母斑、進行性結節性組織球腫、乾癬(限定はされないが、乾癬性紅皮症、掌蹠乾癬、掌蹠膿胞症、Zumbusch型の汎発性膿疱性乾癬、地図状舌を含む)、汗孔角化症(ミベリ汗孔角化症を含む)、脂漏性皮膚炎、脂漏性角化症、鼻瘤、孤立性皮膚平滑筋腫、クモ状血管腫、標的状血鉄素性血管腫、扁平上皮癌、房状血管腫、静脈湖、色素性蕁麻疹、黄色版腫肥満細胞症、または帯状疱疹様転移を含めた状態に対して、対象の治療のために使用することができる。良性表皮嚢胞、痣、皮膚硬結、鶏眼、湿疹、そばかす、黒子、色素異常症(薬物誘発性色素沈着過剰、遺伝性対側性色素異常症、遺伝性汎発性色素異常症、家族性進行性色素沈着過剰、Galli-Galli病、ヘモジデリン色素沈着過剰、特発性滴状低メラニン症、鉄金属変色(Iron metallic discoloration)、白斑、肝斑、Mukamel症候群、ビーナスの首飾り(Necklace of Venus)、貧血性母斑、脱色素性母斑、パリスター・キリアン症候群、葉状(phylloid)無色性色素失調症、限局性白皮症、顔面および頸部網状色素沈着、毛髪嚢腫、白色粃糠疹、シバット型多形皮膚萎縮症、血管性多形皮膚萎縮症、炎症後色素沈着過剰、進行性斑状無色性色素失調症、そう痒、屈曲部網状色素異常、網状肢端色素沈着症、リール黒皮症、シャー-ワールデンブルグ症候群、シイタケ・キノコ皮膚炎、タールメラニン沈着症、チタン金属変色、新生児一過性膿疱性メラノーシス、浮浪者白斑黒皮症、血管攣縮性斑、Wende-Bauckus症候群、X連鎖性網状色素異常症、イエメン人視聴覚障害低色素症候群)、瘢痕、スキンタッグ、刺青除去、または白斑(限定はされないが、非分節型白斑、分節型白斑、毛様白斑(trichome vitiligo)、四色白斑(Quadrichrome vitiligo)、点状白斑(Vitiligo ponctue)を含む)を含めた他の病気も治療することができる。カンタリジンまたはその誘導体は、対象に対して致死的ではない用量で、処方および/または投与することができる。カンタリジンまたはその誘導体は、医薬的に許容し得る塩または共結晶であり得る。
【0063】
いくつかの例では、化合物(1)は、化合物(4)から産生される。
【化33】
この反応は、溶媒としてのテトラヒドロフラン、水、またはこれらの任意の混合物を用いて実施することができる。この反応は、水酸化ナトリウム、NaOHの存在下で実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、または5時間以上であり得る。この反応は、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、または100℃以上の温度で起こり得る。この反応は、室温またはそれ以上の温度で起こり得る。
【0064】
化合物(4)は、化合物(5)から産生することができる。
【化34】
この反応は、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)の存在下で実施することができる。この反応は、アセチレンジカルボン酸ジメチルすなわち化合物(6)の存在下で実施することができる。
【化35】
反応時間は、30秒、1分、5分、10分、または30分以上であり得る。反応温度は、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃以上であり得る。
【0065】
化合物(5)は、化合物(7)から産生することができる。
【化36】
この反応は、溶媒としてのジクロロメタン(DCM)を用いて実施することができる。この反応は、過酸の存在下で実施することができる。過酸は、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)であり得る。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、または1時間以上であり得る。反応温度は、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-78℃、または-80℃以下であり得る。
【0066】
化合物(7)は、化合物(8)から産生することができる。
【化37】
この反応は、溶媒としての水を用いて実施することができる。この反応は、硫化ナトリウムすなわち化合物(9)、またはその水和物の存在下で実施することができる。
NaS (9)
反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、または5時間以上であり得る。反応は、還流させることができる。
【0067】
化合物(7)は、硫化ナトリウムすなわち化合物(9)、またはその水和物から産生することができる。この反応は、溶媒としての水を用いて実施することができる。この反応は、化合物(8)の存在下で実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、または5時間以上であり得る。反応は、還流させることができる。
【0068】
化合物(4)は、化合物(6)および化合物(5)から産生することができる。この反応は、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)の存在下で実施することができる。この反応は、化合物(5)の存在下で実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、または30分以上であり得る。反応温度は、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃以上であり得る。
【0069】
化合物(1)を、このプロセスにおいて脱水反応にかけて、化合物(2)を形成することができる。この脱水反応は、化合物(1)をハロゲン化アシルに曝露させることを含むことができる。ハロゲン化アシルは、塩化アシル、臭化アシル、またはヨウ化アシルであり得る。ハロゲン化アシルは、塩化アセチルであり得る。臭化アシルは、臭化アセチルであり得る。ヨウ化アシルは、ヨウ化アセチルであり得る。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、または1時間以上であり得る。反応は、還流させることができる。
【0070】
化合物(2)およびフランを、このプロセスにおいて少なくとも1種のルイス酸に曝露させて、化合物(3)を形成することができる。少なくとも1種のルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有することができる。少なくとも1種のルイス酸は、表1から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択することができる。ルイス酸の濃度は、0.01モル濃度(モル/リットル、M)、0.02M、0.03M、0.04M、0.05M、0.06M、0.07M、0.08M、0.09M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、2M、3M、4M、5M、6M、7M、8M、9M、10M、11M、12M、13M、14M、15M、16M、17M、18M、19M、または20M以上であり得る。該反応は、フランの存在下で(例えば、フラン中で)実施することができる。該反応は、溶媒としてのアセトン、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、二塩化エチレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(glyme)、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、水、またはこれらの混合物を用いて実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、20時間、30時間、40時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、または100時間以上であり得る。反応温度は、-20℃、-10℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃以上であり得る。この反応は、室温またはそれ以上の温度で起こり得る。
【0071】
化合物(2)を、このプロセスにおいてフランと反応させて、化合物(3)を形成すことができる。この反応は、少なくとも1種のルイス酸の存在下で実施することができる。少なくとも1種のルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有することができる。少なくとも1種のルイス酸は、表1から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択することができる。ルイス酸の濃度は、0.01モル濃度(M)、0.02M、0.03M、0.04M、0.05M、0.06M、0.07M、0.08M、0.09M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、2M、3M、4M、5M、6M、7M、8M、9M、10M、11M、12M、13M、14M、15M、16M、17M、18M、19M、または20M以上であり得る。該反応は、溶媒としてのアセトン、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、二塩化エチレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(glyme)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、メタノール、水、またはこれらの混合物を用いて実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、20時間、30時間、40時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、または100時間以上であり得る。反応温度は、-20℃、-10℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃以上であり得る。この反応は、室温またはそれ以上の温度で起こり得る。
【0072】
化合物(3)は、還元反応にかけることができる。該反応は、溶媒としての酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、塩化メチレン、二塩化エチレン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、アセトニトリル、メタノール、または水を用いて実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、5時間超、10時間、10時間超、15時間、または20時間以上であり得る。この反応は、表2から選択される少なくとも1種の還元剤を使用して実施することができる。この反応は、ラネーニッケル、Ni(II)/NaBH、Co(II)/NaBH、Li/EtNH、LAH/TiCl、LAH/CuCl、Ni(II)/Zn、Ni(II)/Al、LAH/CpNi、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cの存在下で実施することができる。この反応は、Hの存在下で実施することができる。反応は、還流させることができる。ある場合には、該還元反応は、単一の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含むことができる。該単一の還元剤は、ラネーニッケルであり得る。他の場合には、該還元反応は、別々の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応を含むことができる。該水素化反応は、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施することができる。該水素化反応は、Hの存在下で実施することができる。該脱硫反応は、表2から選択される少なくとも1種の還元剤を使用して実施することができる。該還元剤は、ラネーニッケルであり得る。さらに他の場合には、該還元反応は、化合物(10)を得るための水素化反応を含むことができる。
【化38】
該水素化反応は、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施することができる。該反応は、Hの存在下で実施することができる。
【0073】
化合物(10)は、酸化反応にかけることができる。該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施することができる。該酸化反応は、H、RCOH、NaBO、KHSO、NR、NaOCl、またはRuOの存在下で実施することができる。
【0074】
化合物(3)は、酸化反応にかけることができる。該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施することができる。該酸化反応は、H、RCOH、NaBO、KHSO、NR、NaOCl、またはRuOの存在下で実施することができる。
【0075】
該誘導体は、以下からなる群から選択される。
【化39】
スルホキシドは、αまたはβ異性体であり得る。
【0076】
化合物(1)を調製するためのプロセスは、化合物(4)を提供することと、化合物(4)を、NaOHを使用して実施される加水分解反応にかけることとを含むことができる。該反応は、溶媒としてのテトラヒドロフラン、水、またはこれらの任意の混合物を用いて実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、または5時間以上であり得る。反応温度は、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、または100℃以上であり得る。この反応は、室温またはそれ以上の温度で起こり得る。
【0077】
化合物(2)を調製するためのプロセスは、化合物(1)を提供することと、化合物(1)を、該化合物(1)をハロゲン化アシルに曝露させることを含む脱水反応にかけることとを含むことができる。該ハロゲン化アシルは、塩化アシル、臭化アシル、またはヨウ化アシルであり得る。該ハロゲン化アシルは、塩化アセチルであり得る。臭化アシルは、臭化アセチルであり得る。ヨウ化アシルは、ヨウ化アセチルであり得る。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、または1時間以上であり得る。反応は、還流させることができる。
【0078】
あるプロセスは、式(17)の化合物:
【化40】
(式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択することができ、ここで、前記RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、前記RおよびRは、それぞれ、任意に独立して置換される)を提供することと、化合物(17)を、該化合物(17)を表1から選択される少なくとも1種のルイス酸に曝露させることを含む環化付加反応にかけて、式(18)を有する化合物:
【化41】
(式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択することができ、ここで、前記RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、前記RおよびRは、それぞれ、任意に独立して置換される)を形成することとを含むことができる。少なくとも1種のルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有することができる。少なくとも1種のルイス酸は、表1から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択することができる。ルイス酸の濃度は、0.01モル濃度(M)、0.02M、0.03M、0.04M、0.05M、0.06M、0.07M、0.08M、0.09M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、2M、3M、4M、5M、6M、7M、8M、9M、10M、11M、12M、13M、14M、15M、16M、17M、18M、19M、または20M以上であり得る。該反応は、溶媒としてのアセトン、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、二塩化エチレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(glyme)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、メタノール、水、またはこれらの混合物を用いて実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、20時間、30時間、40時間、50時間、60時間、70時間、80時間、90時間、または100時間以上であり得る。反応温度は、-20℃、-10℃、0℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、または150℃以上であり得る。該反応は、室温またはそれ以上の温度で起こり得る。Xは、でSあり得る。Xは、Oであり得る。Xは、CHであり得る。該環化付加反応は、化合物(17)をフランと反応させることを含むことができる。
【0079】
カンタリジンを調製するためのプロセスは、化合物(3)を提供することと、化合物(3)を、別々の還元剤を使用して実施される水素化および脱硫反応(ここで、脱硫反応は、表2から選択される還元剤を使用して実施される)を含む還元反応にかけることとを含むことができる。該水素化反応は、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cを使用して実施することができる。該水素化反応は、Hの存在下で実施することができる。該反応は、溶媒としての酢酸エチルを用いて実施することができる。反応時間は、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、5時間超、10時間、10時間超、15時間、または20時間以上であり得る。該反応は、ラネーニッケル、Ni(II)/NaBH、Co(II)/NaBH、Li/EtNH、LAH/TiCl、LAH/CuCl、Ni(II)/Zn、Ni(II)/Al、LAH/CpNi、Pd/C、Pd、PdCl、PtO、またはPt/Cの存在下で実施することができる。反応は、還流させることができる。
【0080】
あるプロセスは、化合物(3)または(10)を提供することと、化合物(3)または(10)から、該化合物(3)または(10)を酸化反応にかけることによって、化合物(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、および(16)からなる群から選択される構造を有する化合物を形成することとを含むことができる。該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施することができる。該酸化反応は、H、RCOH、NaBO、KHSO、NR、NaOCl、またはRuOの存在下で実施することができる。スルホキシドは、αまたはβ異性体であり得る。
【0081】
あるプロセスは、化合物(11)、(12)、(14)、および(15)からなる群から選択される構造を有する化合物を提供することと、提供された化合物から、該提供された化合物を酸化反応にかけることによって、化合物(13)および(16)からなる群から選択される構造を有する化合物を形成することとを含むことができる。該酸化反応は、表3から選択される少なくとも1種の酸化剤を使用して実施することができる。該酸化反応は、H、RCOH、NaBO、KHSO、NR、NaOCl、またはRuOの存在下で実施することができる。スルホキシドは、αまたはβ異性体であり得る。
【0082】
組成物は、
【化42】
からなる群から選択される構造を有することができる。該スルホキシドは、αまたはβ異性体であり得る。
【0083】
医薬的に許容し得る混合物は、
【化43】
のいずれか1つから選択される組成物を有することができる。該スルホキシドは、αまたはβ異性体であり得る。
【0084】
カンタリジンの合成は、3段階で行うことができる。
【0085】
第1段階-この段階は、入手可能な出発材料からの化合物(2)の生成を含む。化合物(2)は、化合物(1)から合成することができる。化合物(2)は、化合物(4)から合成することができる。化合物(2)は、化合物(5)から合成することができる。化合物(2)は、化合物(6)から合成することができる。化合物(2)は、化合物(7)から合成することができる。化合物(2)は、化合物(8)から合成することができる。化合物(2)は、化合物(9)から合成することができる。
【化44】
【0086】
第2段階-この段階は、化合物(3)を生成するための、化合物(2)の、フランとの立体特異的なディールス・アルダー環化付加を含む。
【化45】
【0087】
第3段階-この段階は、カンタリジンを生成するための、化合物(3)の還元を含む。
【化46】
【0088】
第1段階
高品質の生成物、および合成スケールアップを容易にする向上した収率を提供するために、向上した収率および向上した純度で、化合物(2)を調製する。
【0089】
第2段階
このプロセスは、化合物(2)のフランとのディールス・アルダー反応を含む。この反応が、過塩素酸リチウムまたはリチウムトリフルオロメタンスルホンイミド以外の多くのルイス酸によって促進されることは、予想外である。Griecoの研究は、この特定の環化付加反応のための触媒としての過塩素酸リチウムの使用の独自性を暗示する。本発明者らは、低レベルの望ましくないエンド異性体と共に高収率の環化付加物(3)を与えるようにこの反応を触媒し、かつ、リチウムトリフルオロメタンスルホンイミドプロセスに対する有意な改善を提供することができる、いくつかのルイス酸(表1参照)を特定する。これらの代替ルイス酸は、Griecoによって記載されたジエチルエーテル/過塩素酸リチウム系の不利益を被らない。これらのルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有することができる。これらのルイス酸は、表1から選択することができる。これらのルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択することができる。これらのルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択することができる。
【0090】
これらのルイス酸は、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ベンゼン、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、塩化メチレン、二塩化エチレン、ジオキサン、THF、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(glyme)、アセトニトリル、メタノール、および水を含めた、広範囲の商業的に実現可能な製造用溶媒中で使用することができる。フランと(2)との間の、ルイス酸によって触媒される様々なディールス・アルダー反応のための温度範囲は、溶媒およびルイス酸の特性に応じて-20℃から150℃まで変動する。この反応は、ルイス酸および溶媒の特性に応じてマイクロ波加熱または超音波処理を用いて増強することができる。ある種の場合における収率およびエキソ-エンド比の向上は、痕跡量の過塩素酸アルカリ、過塩素酸銀、アミン、乾燥剤様トリアルキルアルミニウム試薬、およびゼオライトの添加によって、また、該反応に対する様々な標準のフリーラジカルスカベンジャーを添加することによって増強することができる。
【0091】
本明細書に開示した合成方法によって生成されたエキソ-対-エンド生成物比は、少なくとも約85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、または100:0であり得る。総生成量あたりのエキソ生成物の割合は、少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、99.999%、または100%であり得る。
【0092】
本明細書に開示した合成方法によってもたらされる生成物収率は、少なくとも約5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、99.999%、または100%であり得る。
【0093】
【表1】
【0094】
ここで、
bisoxa=
【化47】
であり、
fod=
【化48】
であり、
、NTf=[(CFSON]であり、-OTf=CFSO であり、Tf=CFSOである。
【0095】
例えば、少なくとも1種のルイス酸の0.01Mから20M溶液(ジエチルエーテル中)を、アルゴン雰囲気中にて室温で、フランと化合物(2)の攪拌混合物に添加することができる。少なくとも1種のルイス酸は、Li(I)、Mg(II)、B(III)、Al(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Zn(II)、Cu(I)、Cu(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Si(IV)、La(III)、Sc(III)、Yb(III)、Eu(III)、Ga(III)、Sb(V)、Nb(V)、Fe(III)、およびCo(III)からなる群から選択されるルイス金属を含有することができる。少なくとも1種のルイス酸は、表1から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、過塩素酸マグネシウム、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、および塩化ガリウム(III)から選択することができる。少なくとも1種のルイス酸は、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から選択することができる。得られた混合物を、1から100時間またはそれ以上攪拌して、水を添加することができる。この混合物を、MTBEで抽出することができる。この未精製材料を、少量のジクロロメタンに溶解し、シリカのパッドを通過させ、ジクロロメタンで洗浄することができる。合わせた濾液を蒸発させて、白色固体を得ることができ、この生成物と出発材料との混合物を、さらなる精製を行わずに次のステップで使用することもできるし、精製および保管することもできる。
【0096】
第3段階
(3)からのカンタリジンの合成の最終ステップは、炭素-炭素二重結合の還元、および脱硫を含む。オレフィンの単一ステップ還元を、およびラネーニッケルを用いる脱硫を使用する(3)のカンタリジンへの直接的転換のための元々のDauben手順は、生産規模での高収率かつ安定した収量のカンタリジンを与えるラネーニッケル触媒の安定した生成を含む特有の困難を被っている。このステップに伴う1つの主な問題点は、合成における後期段階での生成物の深刻な喪失をもたらす逆-ディールス・アルダー反応を直ちに受けることができる不安定なオレフィン(19)の産生であり得る。本発明者らは、脱硫前のオレフィン水素化遅延に起因する喪失を最小限にする、特定の市販品として入手可能なラネーニッケル触媒を特定する。
【化49】
【0097】
あるいは、化合物(3)は、標準のパラジウムまたは白金触媒および低圧力水素を使用して効率的に水素付加させて、生成物(10)を高収率で得ることができる。それに続く、表2に列挙した少なくとも1種の還元剤を用いる(10)の脱硫によって、カンタリジンが、素晴らしい収率でもたらされる。このスケーラブルな2ステッププロセスは、生成物カンタリジンの品質および収率を大きく増大させる、また、ラネーニッケルまたは他の類似のスポンジメタル触媒を使用することの使用、ならびに潜在的な健康および環境的危険を最小限にするまたは回避することができる。このプロセスは、ラネーニッケルを使用する1ステップ還元プロセスに対する有意なプロセス改善である。
【化50】
【0098】
【表2】
【0099】
脱硫反応のための典型的な溶媒は、アルコール、エーテル、エステルベースの溶媒、および水、またはこれらの溶媒の種々の混合物であり得る。反応温度は、具体的な溶媒に応じて、-20℃から100℃であり得る。これらの反応は、超音波処理またはマイクロ波加熱の助けを借りて促進することができる。
【0100】
例えば、表2に列挙した少なくとも1種の脱硫剤のスラリー(水中)を、化合物(3)の酢酸エチル溶液に添加することができる。この混合物を、1から10時間還流させ、熱いうちにセライトのパッドを通して濾過し、熱いアセトンで洗浄することができる。濾液を蒸発乾固させることができ、未精製の材料を酢酸エチルで粉砕することができる。得られた固体を濾過し、白色固体としてカンタリジンを得ることができる。
【0101】
カンタリジン誘導体の合成
これらの記載した手順を使用して、生理活性を有することができるカンタリジン誘導体およびカンタリジン類似体を作製することもできる。これらの分子としては、限定はされないが、硫化物(3)および(10);そのそれぞれのスルホキシド誘導体(11)、(12)、(14)、および(15);ならびにそのそれぞれのスルホン誘導体(13)および(16)が挙げられる。表3に列挙した試薬の少なくとも1種を用いる、(3)もしくは(10)またはこれらの混合物の酸化によって、スルホキシド(αまたはβ異性体)(11)、(12)、(14)、および(15)またはスルホン(13)および(16)またはこれらの混合物の少なくとも1種を得ることができる。表3に列挙した試薬の少なくとも1種を用いる、少なくとも1種の(11),(12),(14)、および(15)またはこれらの混合物の酸化は、スルホン(13)および(16)の少なくとも1種を得ることができる。これらの硫化物、スルホキシド、およびスルホン誘導体は、生物活性であり得る。これらの硫化物、スルホキシド、およびスルホン誘導体は、医薬的に許容され得る。これらの硫化物、スルホキシド、およびスルホン誘導体は、医薬的に許容し得る塩であり得る。
【0102】
【表3】
【0103】
ここで、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから独立に選択され、任意に置換される
【0104】
反応溶媒としては、水、アルコール、塩化メチレン、および他のハロゲン化炭化水素、エーテル、水、トルエン、ベンゼン、キシレン、アセトン、および類似のケトン溶媒、有機酸、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、またはこれらの溶媒の様々な混合物が挙げられる。これらの反応は、超音波処理、マイクロ波照射、および/または相間移動塩の添加を用いて促進することができる。
【0105】
例えば、化合物(3)の酢酸エチル溶液は、1から72時間、水素雰囲気中でPd/Cの存在下で水素付加することができる。この混合物を、セライトのパッドを通過させ、酢酸エチルで洗浄することができる。得られた固体を、少量のジクロロメタンに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物(10)、すなわち白色の結晶性固体を得ることができる。次いで、化合物(3)もしくは化合物(10)またはこれらの混合物を、表3に列挙した少なくとも1種の酸化剤を用いて酸化させて、スルホキシドもしくはスルホン生成物またはこれらの混合物を産生することができる。
【0106】
いくつかの反応は、Chem.Pharm.Bull.1987,35(5),1734-1740;Heteroatom Chemistry 2006,Volume 17,Number 7,648-652;J.Am.Chem.Soc.1990,112,4595-4596;J.Org.Chem.1985,50,2576-2578;およびJ.Am.Chem.Soc.1980,102,6893-6894から改変することができる。
【0107】
以下のスキームが続き、各ステップに関する情報を、最後に提供する。
【化51】
【実施例0108】
実施例1:硫化ビス(トリメチルシリルメチル)、化合物(2)
ステップ1についての実験方法:クロロメチルトリメチルシラン(50.0g、407.5ミリモル(mmol))とヨウ化テトラブチルアンモニウム(7.52g、20.3mmol)を、硫化ナトリウム水和物(23.1g、203.5mmol)を100mLの水に入れた水溶液に添加する。この混合物を、還流温度で5時間攪拌し、次いで、室温に冷却する。有機層を分離し、水層をMTBE(2×50mL)で抽出する。合わせた溶液を、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。淡黄色の油としてもたらされた未精製生成物(7)を、さらなる精製を行わずに次のステップに直接用いる(40g、95%)。
【0109】
実施例2:化合物(3)
ステップ2についての実験方法:DCM(15vol)に入れた化合物(7)(30g、145.2mmol)を、-78℃に冷却する。DCM(5vol)に入れたm-CPBA(分子ふるい4Aで予備乾燥済み)を、ゆっくりと添加する。この混合物を、-78℃で1時間攪拌する。出発材料の消失を、TLC分析により確認し、混合物を0℃に温める。混合物を、飽和NaHCOの氷冷溶液に添加し、層を分離する。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、5~10℃浴温にて減圧下で濃縮して、スルホキシド生成物(5)を定量的に得る。この未精製生成物を、精製を行わずに次のステップに直接用いる。
【0110】
実施例3:2,5-ジヒドロチオフェン-3,4-ジカルボン酸ジメチル、化合物(4)
ステップ3についての実験方法:化合物(5)(32.0g、145.6mmol)とアセチレンジカルボン酸ジメチル(10.34g、72.8mmol)との混合物(DMPU(1vol)中)を、100℃で、あらかじめ加熱したDMPUの溶液に添加する。得られた混合物を、100℃で30分間攪拌し、次いで、氷水(250g)に注ぐ。混合物をジクロロメタン(500mL)で抽出し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。この未精製材料を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色の油としてエステル(4)(8.5g、60.0%)を得る。
【0111】
実施例4:化合物(1)
ステップ4についての実験方法:化合物(4)(8.5g、42mmol)を、THFと水(85mL、10vol)の1:1混合物に溶解する。NaOH(6.73g、168.3mmol)を室温で添加し、得られた混合物を室温で4時間攪拌する。TLCによって出発材料の消失を確認した後、混合物をMTBEで2回洗浄して、未反応の材料および不純物を除去する。水溶液のpHを、1N HCl溶液で~4に調整し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出する。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、オフホワイトの固体として生成物(1)を得る(6.05g、83%)。
【0112】
実施例5:2,2,4,4-テトラヒドロチオフェン-3,4-ジカルボン酸無水物、化合物(2)
ステップ5についての実験方法:化合物(1)(6.05g、34.7mmol)の塩化アセチル(30mL、5vol)溶液を、1時間還流させる。この反応混合物を減圧下で濃縮し、少量のジクロロメタンに溶解し、ヘプタンで粉砕する。得られた固体を、濾過し、高真空中で一晩乾燥させて、オフホワイトの固体として生成物(2)(4.47g、84%)を得る。
【0113】
実施例6:化合物(3)
ステップ6についての実験方法:LiClOの5.0M溶液(ジエチルエーテル(25.15g、235.6mmol)中)を、アルゴン雰囲気中にて室温で、フラン(5.45g、80.1mmol)と化合物(2)(2.5g、16.0mmol)との攪拌混合物に添加する。得られた混合物を、10時間攪拌し、水(80ml)を添加する。この混合物を、MTBE(3×50mL)で抽出する。この未精製材料を、少量のDCMに溶解し、シリカのパッドを通過させ、ジクロロメタンで洗浄する。合わせた濾液を蒸発させて、白色固体をもたらし、この生成物と出発材料との75:25混合物を、さらなる精製を行わずに次のステップで使用する。
【0114】
実施例7:カンタリジン
ステップ7についての実験方法:化合物(3)(0.25g、1.11mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液に、ラネーニッケル2800型(Aldrich、2.5g(4mLの水中))スラリー(水中)を添加する。この混合物を、4時間還流させ、熱いうちにセライトのパッドを通して濾過し、熱いアセトン(40mL)で洗浄する。濾液を蒸発乾固させ、未精製の生成物を酢酸エチルで粉砕し、得られた固体を濾過して、白色固体としてカンタリジンを得ることができる(50mg、23%)。
【0115】
実施例8:化合物(10)
ステップ8についての実験方法:化合物(3)(0.4g、1.78mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液を、4時間、水素雰囲気中で10% Pd/C(40mg)の存在下で水素付加する。TLCは、部分的な転換しか示さない。追加の10%の触媒(40mg)を添加し、完全な転換のために、混合物を一晩攪拌する。この混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄する。得られた固体を、少量のジクロロメタンに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、白色の結晶性固体として、化合物(10)を得る(0.2g、50%)。
【0116】
実施例9:ディールス・アルダー触媒
過塩素酸リチウムを使用しない、カンタリジンのための2または3ステップ合成を決定するために、実験を行い、以下の最終の還元/脱硫反応がもたらされた。
【化52】
【0117】
過塩素酸リチウム(LiClO)を使用する元々のディールス・アルダー(DA)化学は、以下である。
【化53】
【0118】
中間体2とフランとの間の元々のDA化学を、大過剰の過塩素酸リチウム(15.6当量)の存在下で、エーテル中で実施した。このプロセスは、大過剰の過塩素酸リチウムの使用、過塩素酸リチウムの爆発特性、過塩素酸リチウムを(例えば、140℃で48時間)乾燥させる必要性(これは、スケールアップ時に困難および危険であり得る)、溶媒エーテルの高い揮発性および可燃性、ならびに異性体3と唯一の所望の異性体3ではない3aとの2種の混合物の生成を含めた、いくつかの欠点を有し得る。
【0119】
41種のルイス酸触媒を用いて、DA反応を研究した。表4は、触媒名と、DA化学からの結果を示す。合計41種のルイス酸触媒を、下の表4に示す通り、中間体2とフランとの間のディールス・アルダー反応について試験した。スクリューキャップバイアル中での25mgスケールの反応に対して、2当量の触媒を使用した。各反応においては、0.3mLの乾燥剤トリメチルアルミニウムを使用した。反応は、室温でトルエン中で実施し、反応が完了した時点の5時間および20時間後に、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析した。
【0120】
【表4-1】
【0121】
【表4-2】
【0122】
上に示したこれらの41の反応から、いくつかの陽性反応が認められた。スズトリフラート、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタントリフラート、塩化ガリウム、および三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体については、顕著な生成物ピークが認められた。テトラフルオロホウ酸銅水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ、イッテルビウムトリフラート、スカンジウムトリフラート、過塩素酸マグネシウム、マグネシウムトリフラート、銅トリフラート、リチウムトリフラート、およびトリメチルシリルトリフラートについては、微量の生成物が認められた。過塩素酸マグネシウムについては、5当量が、以前に使用された過塩素酸リチウムに基づくよりも優れた結果をもたらした。
【0123】
DA反応を、いくつかの触媒:塩化アルミニウム、リチウムトリフラート、スズトリフラート、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタントリフラート、および三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体を使用して反復した。過塩素酸マグネシウムは、過塩素酸リチウムと同じ多くの欠点を有し得るので、除外した。2セットの反応を実施して、乾燥剤の効果を比較した;第1セットの反応は、トリメチルアルミニウムの存在下で実施し、第2セットの反応は、トリメチルアルミニウムの非存在下で実施した。これらの反応は、過剰なフランおよび2当量のルイス酸(LA)の存在下で、25mgスケールの化合物2で実施した。
【0124】
塩化アルミニウムとの反応は、乾燥剤トリメチルアルミニウム(MeAl)の存在のない生成物スポットを示した。MeAlの存在下では、生成物は認められなかった。H核磁気共鳴(NMR)は、存在するいくらかの出発材料(SM)(~4ppm)と共に、所望のエキソ(~5.2ppm)と所望ではないエンド(~5ppm)の~3:1の割合の混合物を示す(例えば図1を参照)。図1は、7.261ppm、7.255ppm、7.187ppm、4.238ppm、2.356ppm、1.314ppm、1.225ppm、-0.000ppm、および-0.002ppmでのH NMRピークを示す。スズトリフラートについても、類似の結果が認められた。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体とビス(シクロペンタジエニル)チタントリフラートはどちらも、MeAlの存在下では、MeAlの非存在と比較して、よりきれいなTLC分析を示す。H NMRは、所望の生成物のみを示す。図2Aおよび図2Bは、それぞれ、MeAlを伴うまたは伴わない、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体についてのH NMRの結果を示す。図2Aは、7.260ppm、6.761ppm、5.214ppm、3.154ppm、2.734ppm、2.692ppm、および-0.003ppmでのH NMRピークを示す。図2Bは、7.255ppm、7.186ppm、2.355ppm、および-0.002ppmでのH NMRピークを示す。所望ではないエンド異性体は、もし存在したとしてもほんの少ししか形成されない。
【0125】
三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体は、MeAlの存在下で、いくらかの生成物を示した。H NMRは、所望ではないエンド-異性体および出発材料と共に、生成物を示す。
【0126】
TMSトリフラートは、MeAlの存在下で、いくらかの生成物を示した。
【0127】
トリメチルアルミニウムの存在を伴わないビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体は、NMRによって示される場合、トリメチルアルミニウムが使用された場合の単一の異性体とは対照的に、2つの異性体の混合物をもたらした。これは、所望の立体選択性に関して、いくつかの反応におけるトリメチルアルミニウムの存在の重要性を示す。どうやら、トリメチルアルミニウムが存在しない反応はすべて、異性体の混合物をもたらしたようである。トリメチルアルミニウムの存在は、いくつかのLAについて、異性体の混合物をもたらした。Zr、Ti-トリフラート、およびTMS-トリフラートについては、単一の異性体が形成された。
【0128】
所望のエキソ-異性体に対するその立体選択性に関して、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフラート-THF錯体が望ましい。塩化アルミニウおよび三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体は、低コストで入手可能であり得るので、望ましくあり得る。
【0129】
実施例10:脱硫および水素化の2ステッププロセス
以前の研究では、ワンポット内でラネーニッケルによって媒介される水素化および脱硫中の、カンタリジン(例えば10~12%)の低収率が示された。いくらかの収穫物は、二重結合還元の前にいったん硫黄が消失すると、逆-DA化学で失われ得る。ラネーニッケルでの脱硫後の、Pd-Cおよび水素を使用する二重結合還元の2ステッププロセスを研究した。
【化54】
【0130】
化合物3(5g)のPd-C(10%)水素化を実施して、硫黄の完全性を保持したままの二重結合還元された材料(化合物10)をもたらした。4.1gの純粋な生成物が単離された(収率82%)。
【0131】
二重結合還元された化合物に対して、1gスケールで、50℃で30psiの水素下で、酢酸エチル中で4時間、ラネーニッケル化学を実施した。
【化55】
【0132】
NMRによって、部分的な転換が認められた。この反応を、50℃で50psiの水素で16時間延長した。この反応混合物を、熱いうちにセライトのパッドを通して濾過し、熱い酢酸エチル(100mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、固体生成物を少量の酢酸エチルで粉砕して、150mgの生成物(17%)をもたらした。NMR分析は、一貫性があるように見える。濾液を濃縮して、350mgの半固体をもたらした。NMR分析は、存在するいくらかの生成物を示す。第2の反応を、50℃で30psiの水素で実施し;濾過、濃縮、および滴定後に0.3gの生成物(34%)が単離された。
【0133】
この二重結合水素化は、単一ステッププロセスよりも優れた収率をもたらした。
【0134】
本発明の好ましい態様を、本明細書に提示および記載してきたが、こうした態様が単に例示として提供されることが、当業者には明らかであろう。当業者には、多数の変更、改変、および置換が、本発明から逸脱せずに直ちに思い浮かぶであろう。本明細書に記載した本発明の態様に対する種々の代替物を、本発明を実施する際に用いることができることが理解されよう。以下の特許請求の範囲が、本発明の範囲を定義すること、また、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物が、それによって包含されることが意図される。
図1
図2A
図2B
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(1)の第1の化合物:
【化1】
式中、Xは、S、O、CH、CHR、CR、NH、NR、およびNRからなる群から選択され、ここで、前記RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アミン、アルコール、およびハロゲンから選択される、または合わせてカルボニル、アルケニル、イミン、もしくはオキシムであり、ここで、前記RおよびRは、それぞれ任意に独立して置換される、
を提供すること;および
(b)前記第1の化合物を、フランと、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、塩化ガリウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)水和物、臭化アルミニウム、塩化ニオブ(V)、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)からなる群から選択されるルイス酸とに曝露させることを含む環化付加反応にかけることによって、前記第1の化合物から式(2)の化合物:
【化2】
形成すること、
を含む方法。
【請求項2】
式(1)の化合物が式:
【化3】
の化合物であり;および
式(2)の化合物が式:
【化4】
の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記ルイス酸が、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル、塩化ガリウム(III)およびトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ルイス酸が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、およびトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ルイス酸が、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)テトラヒドロフラン錯体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ルイス酸が、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)・ビス(トリフルオロメタンスルホナート)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ルイス酸が、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
環化付加反応が、MeAlの存在下で実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(2)の化合物が、少なくとも85:15のエキソ-対-エンド比で生成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(2)の化合物が、少なくとも95:5のエキソ-対-エンド比で生成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(2)の化合物が、少なくとも99:1のエキソ-対-エンド比で生成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
環化付加反応が溶媒中で実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶媒が、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ベンゼン、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、塩化メチレン、二塩化エチレン、ジオキサン、THF、tert-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(glyme)、アセトニトリル、メタノール、水、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
環化付加反応が-20℃から150℃の温度範囲で実施される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
環化付加反応が-20℃から50℃の温度範囲で実施される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
環化付加反応がおおよそ室温で実施される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
式(2)の化合物を水素化して化合物(10):
【化5】
を形成するステップをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
水素化するステップが、Pd/Cおよび水素の存在下で実施される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
化合物(10)を脱硫してカンタリジン:
【化6】
を形成するステップをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
脱硫するステップが、ラネーニッケル、Ni(II)/NaBH、Co(II)/NaBH、Li/EtNH、LAH/TiCl、LAH/CuCl、Ni(II)/Zn、Ni(II)/AlまたはLAH/CpNiの存在下で実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
脱硫するステップが、ラネーニッケルの存在下で実施される、請求項19または20に記載の方法。
【外国語明細書】