(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037940
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240312BHJP
A61B 5/372 20210101ALI20240312BHJP
【FI】
G06Q50/10
A61B5/372
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213027
(22)【出願日】2023-12-18
(62)【分割の表示】P 2019218602の分割
【原出願日】2019-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】521110943
【氏名又は名称】株式会社Agama-X
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅弘
(57)【要約】
【課題】生体情報処理装置において、ユーザが体調などによって、正常な判断ができない場合であってもトラブルを防止する方法を提供する。
【解決手段】プロセッサを有し、前記プロセッサは、ユーザによって指示が与えられるときの前記ユーザの状態を示す生体情報を取得し、前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、前記指示を制限し、前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、前記指示を受け付ける、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
ユーザによって指示が与えられるときの前記ユーザの状態を示す生体情報を取得し、
前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、前記指示を制限し、
前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、前記指示を受け付ける、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態の原因が、病気である場合、全ての指示の受付を制限し、
前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態の原因が、病気以外である場合、一部の指示のみの受付を制限する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生体情報は脳波である、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザによって指示が与えられるときの前記ユーザの状態を示す生体情報を取得させるステップと、
前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、前記指示を制限させるステップと、
前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、前記指示を受け付けさせるステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既存のバイオメトリクス認証による本人性の検査に加え、ユーザ本人が不正な操作を強要された場合にこれを感知する個人認証装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、人体の精神的状態や肉体的状態を把握し、人体の健康を管理する健康管理システムが記載されている。
【0004】
特許文献3には、サービス利用者のIDを取得し、サービス利用者の生体情報を取得し、取得したIDが指す登録済みの生体情報と取得した生体情報とを比較することで、サービス利用者が正当なユーザであるか否かを判断する認証方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-293209号公報
【特許文献2】特開2014-018234号公報
【特許文献3】特開2005-148982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、人は体調等によって正常な判断ができない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、ユーザの状態に応じて、ユーザによって与えられる指示が実行されることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、ユーザによって指示が与えられるときの前記ユーザの状態を示す生体情報を取得し、前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、前記指示を制限し、前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、前記指示を受け付ける、情報処理装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態の原因が、病気である場合、全ての指示の受付を制限し、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態の原因が、病気以外である場合、一部の指示のみの受付を制限する、請求項1記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記生体情報は脳波である、請求項1又は請求項2記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、ユーザによって指示が与えられるときの前記ユーザの状態を示す生体情報を取得させるステップと、前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、前記指示を制限させるステップと、前記生体情報に基づき、前記ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、前記指示を受け付けさせるステップと、を含む情報処理方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1-2、4に係る発明によれば、ユーザの状態に応じて、ユーザによって与えられる指示が実行されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】ユーザやロボット等を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
図1には、本実施形態に係る情報処理システムの構成の一例が示されている。
【0015】
本実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置10と、1又は複数の生体情報測定装置12と、1又は複数の機器14と、1又は複数のサービス提供装置16とを含む。
図1に示されている各装置の数は一例に過ぎない。情報処理システムは、
図1に示されている装置以外の他の装置(例えばサーバ等の装置)を含んでもよい。なお、機器14やサービス提供装置16は、情報処理システムに含まれていなくてもよい。
【0016】
情報処理システムに含まれている各装置は、他の装置と通信するように構成されている。その通信は、ケーブルを利用する有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。つまり、各装置は、他の装置とケーブルによって物理的に接続されて、情報を互いに送受信してもよいし、無線通信によって互いに情報を送受信してもよい。無線通信として、例えば、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等が用いられる。これら以外の規格の無線通信が用いられてもよい。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)やRFID(Radio Frequency Identifier)やNFC等である。各装置は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信してもよい。
【0017】
情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話、又は、その他の装置(例えばサーバ等)である。情報処理装置10は、ユーザが携帯することが可能な端末装置(例えば、タブレットPCやスマートフォンや携帯電話等)であってもよいし、テーブル等に設置されて使用される装置であってもよい。情報処理装置10は、通信機能とマイクとスピーカとを有するスマートスピーカであってもよい。情報処理装置10は、屋内(例えば、部屋の床、天井、テーブル等)に設置されてもよいし、屋外に設置されてもよい。また、情報処理装置10は、移動可能な装置(例えば自走式の装置)でもよい。
【0018】
生体情報測定装置12は、ユーザの生体情報を測定するように構成されている装置である。例えば、生体情報測定装置12は、各種のセンサや電極等を有し、ユーザの生体情報を測定する。複数の生体情報測定装置12が用いられる場合、各生体情報測定装置12は、異なる種類の生体情報を測定してもよい。複数の生体情報測定装置12の中の一部又は全部は、同じ種類の生体情報を測定してもよい。また、生体情報測定装置12は、1つの種類の生体情報を測定するように構成されてもよいし、複数の種類の生体情報を測定するように構成されてもよい。
【0019】
生体情報測定装置12は、測定された生体情報を情報処理装置10に送信する。生体情報測定装置12は、生体情報を測定する度に生体情報を情報処理装置10に送信してもよいし、生体情報を記憶し、予め定められた時間間隔毎に生体情報を情報処理装置10に送信してもよいし、ユーザが指定したタイミングで生体情報を情報処理装置10に送信してもよい。また、生体情報測定装置12は、他の生体情報測定装置12が測定した生体情報を当該他の生体情報測定装置12から受信し、自身が測定した生体情報と当該他の生体情報測定装置12が測定した生体情報とを情報処理装置10に送信してもよい。
【0020】
生体情報測定装置12は、自身又は他の生体情報測定装置12が測定した生体情報を解析し、その解析の結果を示す情報を情報処理装置10に送信してもよい。生体情報測定装置12はプロセッサや記憶装置を含み、当該プロセッサが生体情報を解析してもよい。その解析は、情報処理装置10、機器14、サービス提供装置16又は他の装置によって行われてもよい。
【0021】
生体情報測定装置12は、バッテリを含み、当該バッテリから供給される電力によって駆動してもよいし、他の装置(例えば情報処理装置10等)から電力の供給を受けて駆動してもよい。
【0022】
生体情報測定装置12は、ユーザに設置されてもよい。例えば、生体情報測定装置12は、ユーザに装着されて生体情報を測定するウェアラブル装置であってもよい。具体例を挙げると、生体情報測定装置12は、ユーザの頭部(例えば額等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの耳に装着されるヒアラブル装置(例えば、イヤフォンやヘッドフォン等)であってもよいし、ユーザの腕や手や手首や指等に装着される装置(例えば、スマートウォッチ等の腕時計型の装置等)であってもよいし、ユーザの首に掛けられる装置であってもよいし、ユーザの胴体(例えば腹部や胸部等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの下肢(例えば、大腿、下腿、膝、足、足首等)に装着される装置であってもよい。生体情報測定装置12は、ユーザの腕や手や胴体や下肢に装着される健康器具等であってもよい。生体情報測定装置12は、これら以外の部位に装着されてもよい。また、複数の部位のそれぞれに生体情報測定装置12が装着されてもよい。
【0023】
生体情報は、生体であるユーザから発する様々な生理学的情報や解剖学的情報である。生体情報の概念の範疇には、例えば、脳の活動を示す情報(例えば、脳波、脳の血流量、脳磁場信号等)、脈拍数を示す情報、筋電波形等の筋電情報、唾液に関する情報(例えば唾液量を示す情報)、脈波を示す情報、血圧を示す情報、血流量を示す情報、脈拍を示す情報、心拍数を示す情報、心電波形を示す情報、眼球運動を示す情報、体温を示す情報、発汗量を示す情報、視線を示す情報、音声情報、及び、ユーザの動きを示す情報等が含まれる。また、バイオマーカによって特定される情報が、生体情報として用いられてもよい。これら生体情報の一例に過ぎず、他の生理学的情報や解剖学的情報が生体情報として用いられてもよい。生体情報測定装置12は、これらの生体情報の中の1つの生体情報を測定してもよいし、複数の生体情報を測定してもよい。
【0024】
また、生体情報の概念の範疇には、生体から測定される電位を示す生体電位情報が含まれる。生体電位情報の概念の範疇には、例えば、脳の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である脳波、心臓の拍動に伴い発生する微小電流の測定結果である心電図、筋肉の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である筋電図、皮膚に生じる微小電流の測定結果である皮膚電位等が含まれる。これらは生体電位情報の一例に過ぎず、これら以外の生体電位情報が用いられてもよい。
【0025】
情報処理装置10は、生体情報測定装置12から生体情報を受け付けて、生体情報の解析、生体情報の記憶、生体情報の出力、生体情報の解析結果を示す情報の記憶、及び、生体情報の解析結果を示す情報の出力等を行う。もちろん、生体情報の解析は、生体情報測定装置12、機器14、サービス提供装置16、又は、これら以外の装置によって行われてもよい。生体情報を出力することは、例えば、生体情報を表示することや、生体情報を音声情報として出力すること等である。生体情報の解析結果を示す情報を出力することは、例えば、解析結果を示す情報を表示することや、解析結果を音声情報として出力すること等である。情報処理装置10は、生体情報や解析結果を示す情報を他の装置に送信してよい。
【0026】
情報処理装置10は、1又は複数の生体情報測定装置12を含んでもよい。つまり、1又は複数の生体情報測定装置12は、情報処理装置10に組み込まれて、1つの装置が構成されてもよい。1又は複数の生体情報測定装置12を含む情報処理装置10全体が、ユーザに装着されて生体情報を測定してもよい。つまり、情報処理装置10はウェアラブル装置であってもよい。例えば、情報処理装置10は、ユーザの頭部(例えば額等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの耳に装着されるヒアラブル装置(例えば、イヤフォンやヘッドフォン等)であってもよいし、ユーザの腕や手や手首や指等に装着される装置(例えば、スマートウォッチ等の腕時計型の装置等)であってもよいし、ユーザの首に掛けられる装置であってもよいし、ユーザの胴体(例えば腹部や胸部等)に装着される装置であってもよいし、ユーザの下肢(例えば、大腿、下腿、膝、足、足首等)に装着される装置であってもよい。情報処理装置10は、ユーザの手や胴体や下肢に装着される健康器具等であってもよい。情報処理装置10は、これら以外の部位に装着されてもよい。
【0027】
もちろん、情報処理装置10と生体情報測定装置12は、別々の装置であってもよい。例えば、情報処理装置10はスマートスピーカであり、生体情報測定装置12は、ユーザに装着されるウェアラブル装置であってもよい。
【0028】
機器14は、例えば、PC、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話、ロボット(例えば、人型ロボット、人以外の動物型ロボット、掃除ロボット、及び、それら以外のロボット等)、プロジェクタ、液晶ディスプレイ等の表示装置、記録装置、再生装置、カメラ等の撮影装置、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、コーヒーメーカー、掃除機、洗濯機、空調機、照明機器、健康器具、時計、監視カメラ、自動車、二輪車、航空機(例えば無人航空機(例えばドローン))、ゲーム機、ガスレンジ、温水洗浄便座、換気扇、呼び鈴、玄関モニタ、エレベータ、ドア、窓、又は、各種のセンシング機器(例えば温度センサ、湿度センサ、電圧センサ、電流センサ等)等の装置である。機器14の概念の範疇には機器全般が含まれてもよい。例えば、情報機器、映像機器、音響機器、その他の機器も、本実施形態に係る機器14の範疇に含まれてもよい。
【0029】
機器14は、例えば、通信インターフェースである通信装置と、データを記憶する記憶装置と、当該機器14の動作を制御するプロセッサとを含む。機器14は、ユーザインターフェースを含んでもよい。機器14は、自装置である機器14を識別するための機器識別情報を情報処理装置10に送信してもよい。機器識別情報は、例えば、機器14のID、名称、型番、又は、アドレス(例えばMACアドレスやIPアドレス等)等である。
【0030】
サービス提供装置16は、各種のサービスを提供するように構成されている装置である。サービスは、例えばWebサービスである。Webサービスは、例えば、インターネット等のネットワーク上にてアプリケーションを提供するサービスや、その他のサービスである。例えば、Webメールや、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や、インターネット上にて動画や音楽を提供するサービスや、インターネット上にて商品の販売や予約等を行うサービスや、インターネット上の検索サービスや、インターネット上にて情報を提供するサービスや、インターネット上にて決済手段を提供するサービス等が、Webサービスの一例に相当する。もちろん、これら以外のサービスがサービス提供装置16によって提供されてもよい。
【0031】
サービス提供装置16は、例えば、通信インターフェースである通信装置と、データを記憶する記憶装置と、当該サービス提供装置16の動作を制御するプロセッサとを含む。サービス提供装置16は、ユーザインターフェースを有してもよい。例えば、サービス提供装置16のプロセッサは、サービスの提供の要求を受けると、その要求に応じてサービスを提供する。
【0032】
以下、
図2を参照して、情報処理装置10の構成について詳しく説明する。
図2には、情報処理装置10の構成の一例が示されている。
【0033】
情報処理装置10は、例えば、通信装置18と、UI20と、記憶装置22と、プロセッサ24とを含む。情報処理装置10は、これら以外の構成を含んでもよい。
【0034】
通信装置18は通信インターフェースであり、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置から送信されてきたデータを受信する機能を有する。通信装置18は、無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。通信装置18は、例えば近距離無線通信を利用することで他の装置と通信してもよいし、LANやインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信してもよい。例えば、通信装置18は、生体情報測定装置12から送信されてきた生体情報を受信する。通信装置18は、生体情報測定装置12の動作を制御するための制御情報を生体情報測定装置12に送信してもよい。また、通信装置18は、機器14の動作を制御するための制御情報を機器14に送信し、機器14から送信されてきた情報を受信してもよい。また、通信装置18は、Webサービスの提供を要求することを示す情報をサービス提供装置16に送信し、Webサービスに関する情報をサービス提供装置16から受信してもよい。
【0035】
UI20はユーザインターフェースであり、表示装置及び操作装置の中の少なくとも1つを含む。表示装置は、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、キーボードや入力キーや操作パネル等である。UI20は、表示装置と操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。また、マイクがUI20に含まれてもよいし、音を発するスピーカがUI20に含まれてもよい。
【0036】
記憶装置22は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。記憶装置22は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数の記憶装置22が情報処理装置10に含まれている。
【0037】
記憶装置22には、管理情報が記憶されている。管理情報は、ユーザから測定された生体情報に基づいて、ユーザの状態を推定するための情報である。例えば、基準生体情報と、ユーザの状態を示す状態情報と、受付制限情報とが、予め紐付けられて管理情報に登録されている。
【0038】
基準生体情報は、当該基準生体情報に紐付けられている状態情報が示す状態を有するユーザから発生すると想定される生体情報である。例えば、基準生体情報は、統計的な処理によって定められ、当該基準生体情報に紐付けられている状態情報が示す状態を有するユーザから一般的に発生すると想定される生体情報である。
【0039】
例えば、ユーザの状態は、当該ユーザの精神状態である。ユーザの精神状態を示す状態情報に紐付けられている基準生体情報は、当該ユーザの精神状態を示す生体情報であるといえる。ユーザの状態は、当該ユーザの精神状態以外の状態(例えば感情や身体的状態等)であってもよい。例えば、状態情報は、ユーザがある指示を与えるときに当該ユーザが正常な判断を行うことができるか否かを示す情報である。
【0040】
受付制限情報は、ユーザによって与えられる指示の受付を制限するか否かを示す情報である。指示の受付を制限するか否かは、ユーザの状態によって決定される。
【0041】
ユーザが正常な判断を行うことができる状態ではない場合、当該ユーザによって与えられる指示の受付は制限される。例えば、状態情報が、ユーザが正常な判断を行うことができる状態ではないことを示す情報である場合、当該状態情報に紐付けられている受付制限情報は、ユーザによって与えられる指示の受付が制限されることを示す情報である。
【0042】
ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、当該ユーザによって与えられる指示の受付は制限されない。例えば、状態情報が、ユーザが正常な判断を行うことができる状態であることを示す情報である場合、当該状態情報に紐付けられている受付制限情報は、ユーザによって与えられる指示の受付が制限されないことを示す情報である。
【0043】
ユーザによって与えられる指示は、例えば、決済の指示や、契約の決定に関する指示や、これら以外の何らかの決定や判断に関する指示等である。ユーザによって与えられる指示は、機器14やサービス提供装置16に対する指示であってもよい。機器14に対する指示は、例えば、機器14を操作するための指示である。機器14を操作するための指示は、機器14の操作内容を含んでもよい。サービス提供装置16に対する指示は、例えば、サービス提供装置16が提供するサービスを利用するための指示である。具体例を挙げて説明すると、サービス提供装置16に対する指示は、サービス提供装置16が提供するサービスを利用するための決済の指示や、商品の購入の指示や、サービスの購入の指示や、サービス提供装置16が提供するサービスを利用するためのログインや認証の指示や、会員登録の指示や、退会の指示や、これら以外の他の指示である。ユーザによって与えられる指示は、これらに限られず、何らかの決定や判断に関する指示であればよい。
【0044】
例えば、ユーザは、UI20を操作することで指示を情報処理装置10に与えてもよいし、音声によって指示を情報処理装置10に与えてもよいし、生体情報を用いることで指示を情報処理装置10に与えてもよい。
【0045】
ユーザの指示は、情報処理装置10を介して、又は、情報処理装置10を介さずに、機器14やサービス提供装置16等に入力されてもよい。
【0046】
また、ユーザの指示は、当該ユーザが利用する端末装置(例えば、PC、ノートPC、スマートフォン又は携帯電話等)に入力されてもよい。
【0047】
ユーザ毎に、基準生体情報と状態情報と受付制限情報とが紐付けられて管理情報に登録されてもよい。
【0048】
プロセッサ24は、ユーザによって指示が与えられるときの当該ユーザの生体情報を取得し、当該生体情報が示す状態に応じて、当該指示の受付を制限するように構成されている。
【0049】
生体情報測定装置12によってユーザの生体情報が測定されると、当該生体情報が生体情報測定装置12から情報処理装置10に送信され、プロセッサ24は、当該生体情報測定装置12から送信されてきた当該生体情報を取得する。プロセッサ24は、ユーザによって指示が与えられなくても継続してユーザの生体情報を取得してもよいし、ユーザによって指示が与えられた時点に測定されたユーザの生体情報を取得してもよいし、ユーザによって指示が与えられた時点を含む前後の期間に測定されたユーザの生体情報を取得してもよいし、ユーザによって指示が与えられた時点よりも前の期間又は後の期間に測定されたユーザの生体情報を取得してもよい。前後の期間、前の期間及び後の期間はそれぞれ予め定められた期間であり、ユーザ等によって変更されてもよい。
【0050】
プロセッサ24は、ユーザによって指示が与えられるときの当該ユーザの生体情報を生体情報測定装置12から取得し、当該生体情報が示す状態に応じて、当該指示の受付を制限する。
【0051】
より詳しく説明すると、プロセッサ24は、ユーザの生体情報と、上記の管理情報に登録されている各基準生体情報とを比較し、当該生体情報との差異が許容範囲内に含まれる基準生体情報を検索する。プロセッサ24は、その検索された基準生体情報に紐付けられている状態情報が示す状態を、ユーザの状態として推定する。プロセッサ24は、当該状態情報に紐付けられている受付制限情報に従って、ユーザによって与えられる指示の受付を制限し、又は、当該指示の受付を制限しない。つまり、プロセッサ24は、ユーザが指示を与えるときの当該ユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが指示を与えるときの当該ユーザの状態が正常な判断を行うことができる状態であるか否かを推定する。そして、プロセッサ24は、当該ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、当該指示の受付を制限し、当該ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、当該指示の受付を制限しない。なお、許容範囲は予め定められている。許容範囲はユーザ毎に定められてもよい。許容範囲はユーザ等によって変更されてもよい。
【0052】
指示の受付を制限することは、例えば、指示を受け付けないことであってもよいし、ユーザによる指示の入力を禁止することであってもよいし、指示を受け付けるが当該指示の受付を無効にすることであってもよいし、指示を受け付けるが当該指示に従って処理や操作や制御を行わないことであってもよい。
【0053】
例えば、指示が決済や契約締結の指示である場合、プロセッサ24は、当該指示を受け付けなくてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示を無効にしてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示に従って決済や契約を行わなくてもよい。
【0054】
また、指示が機器14に対する指示である場合、プロセッサ24は、当該指示を受け付けなくてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示を無効にしてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示に従って当該機器14を操作しなくてもよい。
【0055】
また、指示がサービス提供装置16に対する指示である場合、プロセッサ24は、当該指示を受け付けなくてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示を無効にしてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示を示す情報をサービス提供装置16に送信しなくてもよい。
【0056】
指示の受付を制限することは、あらゆる指示の受付を制限することであってよいし、ある指示の受付を制限するが、別の指示の受付を制限しないことであってもよい。
【0057】
プロセッサ24は、ユーザの状態に応じて、指示の受付の制限の内容を変えてもよい。例えば、正常な判断を行うことができない状態の程度に応じて、制限の内容が定められ、その制限の内容を示す受付制限情報が、状態情報に紐付けられて管理情報に登録される。例えば、プロセッサ24は、てんかんやうつ病等の病気が原因で、ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、あらゆる指示の受付を制限し、病気以外の原因で、ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、一部の指示のみの受付を制限してもよい。一部の指示は、予め定められてもよいし、ユーザによって定められてもよい。
【0058】
なお、ユーザの生体情報との差異が許容範囲内に含まれる複数の基準生体情報が検索された場合、プロセッサ24は、当該複数の基準生体情報の中で、当該生体情報との差異が最小となる基準生体情報を特定する。
【0059】
基準生体情報は、生体情報の特徴的な成分を示す情報であってもよい。この場合、プロセッサ24は、ユーザの生体情報から特徴的な成分を抽出し、その抽出された成分との差異が許容範囲内に含まれる成分を有する基準生体情報を検索してもよい。例えば、生体情報として脳波が用いられる場合、プロセッサ24は、測定された脳波から特徴的な成分を抽出し、当該成分を分析することで、当該脳波が表す操作内容を推測してもよい。
【0060】
なお、ユーザの脳の活動(例えば脳波等)を解析するために、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)や、ウェーブレット変換(WT:Wavelet Transform)、TFD(Time Frequency Distribution)、EM(Eigenvector Methods)、自己回帰モデル(ARM:Auto Regressive Method)等が用いられてもよい。
【0061】
ユーザによって指示が与えられるときの当該ユーザの生体情報は、ユーザによって指示が与えられた時点に測定されたユーザの生体情報であってもよいし、ユーザによって指示が与えられた時点を含む前後の期間に測定されたユーザの生体情報であってもよいし、ユーザによって指示が与えられた時点よりも前の期間又は後の期間に測定されたユーザの生体情報であってもよい。前後の期間、前の期間及び後の期間はそれぞれ予め定められた期間であり、ユーザ等によって変更されてもよい。
【0062】
例えば、ユーザによって指示が与えられた時点よりも前の期間に測定されたユーザの生体情報に基づいて、ユーザが正常な判断を行うことができない状態であると推定された場合、プロセッサ24は、当該指示の受付を制限する。この場合、プロセッサ24は、当該指示を受け付けなくてもよいし、当該指示の入力を禁止してもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示の受付を無効にしてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示に従って処理や操作や制御を行わなくてもよい。
【0063】
ユーザによって指示が与えられた時点又は後の期間に測定されたユーザの生体情報に基づいて、ユーザが正常に判断することができない状態であると推定された場合、プロセッサ24は、当該指示を受け付けるが当該指示の受付を無効にしてもよいし、当該指示を受け付けるが当該指示に従って処理や操作や制御を行わなくてもよい。
【0064】
また、プロセッサ24は、情報処理装置10の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ24は、メモリを含んでもよい。
【0065】
なお、プロセッサ24による処理は、情報処理装置10以外の装置(例えば機器14やサービス提供装置16やこれら以外の装置)によって実行されてもよい。また、その処理の結果を示す情報が情報処理装置10に送信されて、UI20の表示装置に表示されたり、音声情報として出力されたりしてもよい。
【0066】
例えば、機器14やサービス提供装置16が、ユーザによって与えられる指示の受付を制限してもよい。例えば、機器14に対する指示がユーザによって与えられた場合、プロセッサ24は、当該ユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが正常な判断を行うことができる状態であるか否かを推定し、当該推定の結果を示す情報と当該指示を示す情報とを、当該指示が与えられた機器14に送信する。当該機器14は、当該推定の結果に応じて、当該指示の受付を制限する。当該機器14は、ユーザが正常な判断を行うことができる状態である場合、当該指示の受付を制限せず、ユーザが正常な判断を行うことができない状態である場合、当該指示の受付を制限する。サービス提供装置16に対して指示が与えられた場合も同様に、サービス提供装置16が、ユーザによって与えられた指示の受付を制限してもよい。
【0067】
また、プロセッサ24は、解析前の生体情報を機器14やサービス提供装置16に送信し、機器14やサービス提供装置16が、当該生体情報に基づいて、当該ユーザが正常な判断を行うことができる状態であるか否かを推定し、当該推定の結果に応じて、当該指示の受付を制限してもよい。この場合、管理情報は、機器14やサービス提供装置16に記憶されている。
【0068】
また、ユーザの指示が、当該ユーザが利用する端末装置(例えば、PC、ノートPC、スマートフォン又は携帯電話等)に入力され、当該指示の受付を制限するか否かの判断が、情報処理装置10、機器14、サービス提供装置16又は他の装置によって行われてもよい。指示の受付が制限されると判断されない場合、端末装置によって当該指示が受け付けられ、当該指示を示す情報が、情報処理装置10を介して、又は、情報処理装置10を介さずに、機器14やサービス提供装置16や他の装置に送信される。指示の受付が制限されると判断された場合、端末装置が当該指示の受付を制限してもよいし、情報処理装置10が当該指示の受付を制限してもよいし、機器14やサービス提供装置16や他の装置が、当該指示の受付を制限してもよい。
【0069】
以下、管理情報の具体例について説明する。
【0070】
図3には、管理情報の一例である管理テーブルの一例が示されている。管理テーブルのデータは記憶装置22に記憶されている。管理テーブルのデータは、記憶装置22に記憶されずに、情報処理装置10以外の他の装置(例えば、機器14やサービス提供装置16やサーバ等の装置)に記憶されてもよい。
【0071】
管理テーブルにおいては、IDと、基準脳波と、状態情報と、受付制限情報とが紐付けられている。
【0072】
IDは、管理テーブルに登録されている情報を管理するための情報である。
【0073】
基準脳波は基準生体情報の一例である。ここでは、基準生体情報の一例として脳波が用いられているが、脳波以外の生体情報が基準生体情報として用いられてもよい。基準脳波は、例えば、統計的な処理によって定められ、当該基準脳波に紐付けられている状態情報が示す状態を有するユーザから一般的に発生すると想定されている脳波である。基準脳波は、特定の周波数帯の脳波であってもよいし、複数の周波数帯の信号を含む脳波であってもよい。
【0074】
状態情報は、ユーザが正常に判断することができる状態であるか否かを示す情報である。状態情報は、ユーザがあらゆる事項について正常に判断することができるか否かを示す情報であってもよいし、ユーザが特定の事項について正常に判断することができるか否かを示す情報であってもよい。
【0075】
受付制限情報は、ユーザによって与えられる指示の受付を制限するか否かを示す情報である。
【0076】
例えば、ID「1」の基準脳波に紐付けられている状態情報は、ユーザの精神状態が健全であり、ユーザは正常な判断を行うことができる状態であることを示している。したがって、ID「1」の基準脳波と状態情報とには、指示の受付を制限しないことを示す受付制限情報が紐付けられている。
【0077】
ID「2」の基準脳波が紐付けられている状態情報は、ユーザの精神状態が若干不調であるが、ユーザは取引の判断を行うことができる状態であることを示している。したがって、ID「2」の基準脳波と状態情報とには、取引の指示の受付を制限しないが、取引の指示以外の指示の受付を制限することを示す受付制限情報が紐付けられている。
【0078】
ID「3」の基準脳波が紐付けられている状態情報は、ユーザの精神状態が不健全であり、ユーザは正常な判断を行うことができない状態であることを示している。したがって、ID「3」の基準脳波と状態情報とには、指示の受付を制限することを示す受付制限情報が紐付けられている。
【0079】
例えば、ID「1」の基準脳波との差異が許容範囲内に含まれる脳波が、指示を与えるユーザから測定された場合、プロセッサ24は、当該ユーザは健全であると推定し、当該ユーザによって与えられる指示の受付を制限しない。
【0080】
また、プロセッサ24は、ユーザから測定された脳波と基準脳波との間の類似度を算出し、その類似度が閾値以上であるか否かを判断してもよい。閾値は許容範囲に対応する値である。ユーザから測定された脳波と基準脳波との間の類似度が閾値以上である場合、プロセッサ24は、ユーザから測定された脳波と基準脳波とは類似していると判断する。つまり、プロセッサ24は、ユーザから測定された脳波と基準脳波との差異が許容範囲内に含まれると判断する。プロセッサ24は、ID「1」の基準脳波との間の類似度が閾値以上となる脳波がユーザから測定された場合、当該ユーザによって与えられる指示の受付を制限しない。
【0081】
なお、機器14やサービス提供装置16が、
図3に示されている管理テーブルに基づいて、ユーザによって与えられる指示の受付を制限するか否かを判断し、指示の受付を制限してもよい。
【0082】
ユーザ毎に、基準生体情報と状態情報と受付制限情報とが紐付けられて管理テーブルに登録されてもよい。例えば、ユーザから測定された生体情報が、当該ユーザの基準生体情報として管理テーブルに登録されてもよい。
【0083】
図4には、個々のユーザの具体的な基準生体情報が登録されている管理テーブルの一例が示されている。
図4に示されている管理テーブルにおいては、IDと、ユーザ情報と、基準生体情報の一例である基準脳波と、状態情報と、受付制限情報とが紐付けられている。ユーザ情報は、ユーザを識別するための情報(例えば、ユーザ名やユーザID等)である。
【0084】
ユーザ情報に紐付けられている基準脳波は、当該ユーザ情報が示すユーザが、当該基準脳波に紐付けられている状態情報が示す状態を有するときに当該ユーザから測定された脳波である。例えば、ユーザ毎及び状態毎に、ユーザの脳波が予め測定され、その測定された各脳波が、基準脳波として管理テーブルに登録される。
【0085】
例えば、ユーザAの精神状態が健全であり、ユーザAが正常な判断を行うことができるときに、ユーザAの脳波が測定され、その測定された脳波が、ユーザAのユーザ情報と、「精神状態が健全であり、正常な判断を行うことができる」という状態を示す状態情報とに紐付けられて、管理テーブルに登録される。この場合、当該ユーザ情報と当該状態情報とには、「指示の受付を制限しない」という内容を示す受付制限情報が紐付けられる。これらの登録は、情報処理装置10によって行われてもよいし、他の装置によって行われてもよい。
図4に示す例では、これらの情報はID「1」の情報として登録される。他の状態情報や他のユーザについての情報についても同様である。
【0086】
なお、登録の作業を複数回行い、これによって測定された複数の脳波の平均を、基準脳波として登録してもよい。
【0087】
例えば、ユーザAが情報処理装置10にログインしている状態で、ユーザAから、ID「1」の基準脳波との差異が許容範囲内に含まれる脳波が測定された場合、プロセッサ24は、ユーザAは健全であり、正常な判断を行うことができる状態であると推定する。この場合、プロセッサ24は、ユーザAによって与えられる指示の受付を制限しない。
【0088】
ユーザAから、ID「2」の基準脳波との差異が許容範囲内に含まれる脳波が測定された場合、プロセッサ24は、ユーザは若干不調であるが、取引の判断を行うことができる状態であると推定する。この場合、プロセッサ24は、取引の指示の受付は制限しないが、取引の指示以外の指示の受付を制限する。
【0089】
ユーザAから、ID「3」の基準脳波との差異が許容範囲内に含まれる脳波が測定された場合、プロセッサ24は、ユーザは不健全な状態であり、正常な判断を行うことができない状態であると推定する。この場合、プロセッサ24は、ユーザによって与えられる指示の受付を制限する。
【0090】
ユーザA以外の他のユーザについても、ユーザAと同様に、各情報が管理テーブルに登録されている。
【0091】
以下、本実施形態に係る情報処理システムにて行われる処理について更に詳しく説明する。
【0092】
ユーザによって与えられる指示の受付が制限される場合、プロセッサ24は、当該指示の受付を制限することを示す情報を出力してもよい。例えば、プロセッサ24は、当該情報をUI20の表示装置に表示させてもよいし、当該情報を音声情報としてスピーカから発してもよいし、ユーザが利用する端末装置に当該情報を送信して当該端末装置に当該情報を表示させてもよい。具体例を挙げて説明すると、プロセッサ24は、ユーザによって与えられる指示を受け付けない場合、当該指示を受け付けないことを示す情報を出力する。
【0093】
図5には、指示の受付を制限することを示す情報の表示例が示されている。
図5には、画面26が示されている。画面26は、例えば、UI20の表示装置に表示される画面であってもよいし、ユーザが利用する端末装置の表示装置に表示される画面であってもよい。
【0094】
画面26には、メッセージが表示されている。そのメッセージは、ユーザが正常に判断できる状態ではなく、指示の受付を制限することを示すメッセージである。このメッセージは、指示の受付を制限することを示す警告であるともいえる。例えば、体調不良や病気等が原因で、正常な判断を行うことができないと判断された場合、警告が表示される。なお、当該メッセージは、画面26に表示されると共に、又は、画面26に表示されずに、音声としてスピーカから発せられてもよい。
【0095】
図5に示されているメッセージは、ユーザがUI20や自身の端末装置等を用いて指示を実際に与えたときに表示されてもよいし、ユーザが実際に指示を与えたか否かに関わらず、ユーザの生体情報に基づいてユーザの状態が推定されたときに表示されてもよいし、ユーザが指示を与える場面で表示されてもよい。ユーザが指示を与える場面は、例えば、決済時や、契約を締結する場面や、それら以外の決定を行う必要がある場面である。具体例を挙げると、インターネット上のショッピングサイトで商品を購入するという場面において、商品の購入を指示する前にメッセージが表示されてもよいし、商品の購入を指示した後であり、かつ、最終的な決済の指示を与える前にメッセージが表示されてもよい。また、ユーザがショッピングサイトにアクセスしたときにメッセージが表示されてもよいし、ショッピングサイトにログインしたときにメッセージが表示されてもよい。ショッピングサイトを例に挙げて説明すると、ユーザによって与えられる指示の受付が制限されるので、ユーザにとって必要であるとは限らない商品やサービスを購入することを防止することができる。また、ユーザは、自身が商品やサービスの購入に関して正常な判断ができるか否かを認識することができる。
【0096】
なお、体調不良や病気以外の原因として、押し売り等が原因となって、ユーザが精神的に圧迫を受けている場合、正常な判断を行うことができないことを示すメッセージが表示されたり、当該メッセージが音声として発せられたりしてもよい。
【0097】
ユーザによって与えられる指示の受付が制限されない場合に、プロセッサ24は、当該指示の受付を制限しないことを示す情報を出力してもよい。例えば、プロセッサ24は、当該情報をUI20の表示装置に表示させてもよいし、当該情報を音声情報としてスピーカから発してもよいし、ユーザが利用する端末装置に当該情報を送信して当該端末装置に当該情報を表示させてもよい。
【0098】
決済や契約締結等の取引に関する指示を例に挙げて説明すると、指示の受付が制限されずに行われた決済や契約締結等の取引は、当事者が正常な判断を行うことができる状態でなされた決済や契約締結等の取引であるといえる。当事者が正常なときに決済や契約締結等の取引が行われたのであれば、取引が正常に成立したと推定される。例えば、商品やサービスの買主と売主の両方が正常に判断することができるときに、取引が成立する。指示の受付が制限されているか否かは、取引の確からしさを反映しているといえる。つまり、指示の受付が制限されずに行われた決済や契約締結等の取引は、正常に成立した取引であることが推定される。また、商品の買主が当該商品の受け取り時に正常に判断することができる状態であるか否かが判断されてもよい。買主が、決済時に正常であり、かつ、受け取り時も正常である場合に、買主は商品の受け取りを拒否できない運用がなされてもよい。
【0099】
ユーザによって与えられる指示の受付が制限される場合(例えば、指示が受け付けられない場合)、プロセッサ24は、当該ユーザの状態を示す状態情報を、当該ユーザ以外の他のユーザ、及び、ロボット等の機器の中の少なくとも1つに通知してもよい。当該機器は、
図1に示されている機器14であってもよいし、当該ユーザを補助するためのロボットであってもよいし、何らかの作業を行う装置であってもよいし、ユーザが利用する端末装置であってもよい。
【0100】
図6には、その通知の一例が示されている。ユーザ28の生体情報が測定され、当該生体情報はロボット30に送信される。ロボット30は、情報処理装置10を含む装置であり、生体情報に基づいて、ユーザ28が正常な判断を行うことができる状態か否かを推定し、その推定の結果に応じて、ユーザ28によって与えられる指示の受付を制限する。ユーザ28によって与えられる指示の受付が制限される場合、ロボット30に含まれるプロセッサ24は、ユーザ28の状態を示す状態情報を、周囲のユーザ32やロボット34に通知する。ユーザ32やロボット34は、例えば、ロボット30に設けられているセンサ等によって検知されるユーザや機器であってもよいし、状態情報の通知先として予めロボット30に登録されているユーザや機器であってもよい。プロセッサ24は、当該状態を表す音声をスピーカから発してもよいし、当該状態を表す画像をUI20の表示装置に表示させてもよいし、当該状態を示す状態情報を、ユーザ32が利用する端末装置やロボット34に送信してもよい。こうすることで、通知を受けたユーザ32やロボット34は、ユーザ28が正常な判断を行うことができる状態ではないことを認識することができる。
【0101】
ユーザによって与えられる指示の受付が制限されない場合(例えば、指示が受け付けられる場合)、プロセッサ24は、当該ユーザの状態を示す状態情報を、当該ユーザ以外の他のユーザ、及び、ロボット等の機器の中の少なくとも1つに通知してもよい。
図6に示す例を用いて説明すると、ロボット30に含まれるプロセッサ24は、ユーザ28の状態を示す状態情報を、ユーザ32やロボット34に通知する。通知の方法は、指示の受付が制限されるときの通知の方法と同じであってもよい。通知を受けたユーザ32やロボット34は、ユーザ28が正常な判断を行うことができる状態であることを認識することができる。例えば、ユーザ32やロボット34は、ユーザ28が正常な判断を行うことができる状態のときに、仕事を行ったり、コミュニケーションを図ったりしてもよい。
【0102】
なお、ロボット30は情報処理装置10を含まなくてもよい。この場合、生体情報は、ロボット30を介して情報処理装置10に送信され、情報処理装置10によって、ユーザが正常な判断を行うことができる状態であるか否かが推定される。その推定の結果を示す情報が、情報処理装置10からロボット30に送信される。ロボット30は、その推定の結果に従って、ユーザの状態を示す状態情報をユーザ32やロボット34に通知する。
【0103】
なお、ロボット30は、ユーザ28とのやり取りを示す情報である履歴情報を記憶し、その履歴情報をユーザ28に通知してもよい。例えば、ロボット30は、ユーザ28の状態や状態の変化をユーザ28に通知してもよいし、指示の受付を制限する権限がロボットに与えられたことユーザ28に通知してもよい。
【0104】
プロセッサ24は、ユーザの行動の履歴と当該ユーザの状態とに応じて、ユーザによって与えられる指示の受付を制限してもよい。例えば、ユーザ毎に、ユーザの行動の履歴を示す情報である行動履歴情報が、情報処理装置10や他の装置(例えばサーバ等)に記憶される。行動履歴情報は、
図6に示されているロボット30に記憶されてもよい。行動の履歴は、例えば、商品やサービスの購入の履歴や、食事の履歴や、運動の履歴、移動の履歴等である。例えば、ロボット30が、ユーザの行動を検知し、その行動の履歴を示す行動履歴情報を記憶してもよい。もちろん、ユーザによる操作によって、行動履歴情報が、情報処理装置10やロボット30や他の装置に記憶されてもよい。ロボット30以外の装置によって、ユーザの行動が検知されてもよい。
【0105】
例えば、ユーザの購入の履歴に基づいて、当該ユーザが浪費癖を有しているか否かが判断される。その判断は、プロセッサ24によって行われてもよいし、情報処理装置10以外の装置によって行われてもよい。例えば、浪費癖を有するユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが正常な判断を行うことができない状態であることが推定された場合、プロセッサ24は、当該ユーザによって与えられる指示の受付を制限する。例えば、プロセッサ24は、商品やサービスの購入の指示の受付を制限し、それ以外の指示の受付を制限しない。
【0106】
また、ユーザの食事の履歴に基づいて、当該ユーザが過食症の症状を有しているか否かが判断される。その判断は、プロセッサ24によって行われてもよいし、情報処理装置10以外の装置によって行われてもよい。例えば、過食症の症状を有するユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが正常な判断を行うことができる状態ではないと推定された場合、プロセッサ24は、当該ユーザによって与えられる指示の受付を制限する。例えば、プロセッサ24は、飲食物(例えば、食品や食料や料理等)の購入や注文の指示の受付を制限する。
【0107】
ユーザによって与えられる指示の受付が制限される場合、プロセッサ24は、当該ユーザによって与えられた指示の実行を保留してもよい。例えば、ユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが不健全であり、正常な判断を行うことができる状態ではないことが推定された場合、プロセッサ24は、当該ユーザによって与えられた指示の実行を保留する。この場合、プロセッサ24は、当該ユーザによって与えられた指示の内容を示す情報を、記憶装置22や他の装置に記憶させる。そして、プロセッサ24は、当該ユーザによって与えられる指示の受付が制限されなくなったときに、保留した指示の実行を当該ユーザに促す通知を出力する。例えば、当該ユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが健全であり、正常な判断を行うことができる状態であると推定された場合、プロセッサ24は、保留した指示の実行を当該ユーザに促す通知を出力する。例えば、プロセッサ24は、保留した指示の実行を当該ユーザに促す情報をUI20の表示装置に表示させてもよいし、当該情報をユーザが利用する端末装置に送信して当該端末装置に表示させてもよいし、当該情報を表す音声をスピーカから発してもよい。
【0108】
具体例を挙げて説明すると、ユーザの体調が不良であるときに決済の指示が与えられると、プロセッサ24は、当該決済の指示を保留する。その後、当該ユーザの体調が良好になると、プロセッサ24は、当該決済の実行を当該ユーザに促す通知を出力する。
【0109】
ユーザによって与えられる指示の受付が制限される場合、プロセッサ24は、当該指示を代行することが可能な他のユーザに、当該指示の代行を促す通知を出力してもよい。つまり、プロセッサ24は、指示の受付が制限されるユーザに代わって指示を与えることが可能な他のユーザに、指示を与えることを促す通知を出力する。例えば、ユーザの生体情報に基づいて、当該ユーザが不健全であり、正常な判断を行うことができる状態ではないことが推定された場合、プロセッサ24は、当該指示を代行することが可能な他のユーザに、当該指示の代行を促す通知を出力する。
【0110】
指示を代行することが可能な他のユーザは、指示の受付が制限されないユーザである。例えば、指示を代行することが可能な他のユーザは、精神状態が健全であることを示す生体情報が測定されるユーザである。つまり、指示を代行することができる他のユーザは、正常な判断を行うことができると推定されるユーザである。例えば、他のユーザの生体情報が生体情報測定装置12によって測定され、当該他のユーザの生体情報が生体情報測定装置12から情報処理装置10に送信される。プロセッサ24は、当該他のユーザの生体情報に基づいて、当該他のユーザの状態を推定する。精神状態が健全であり、正常な判断を行うことができる他のユーザが複数いる場合、プロセッサ24は、最も正常であると推測される他のユーザに、指示の代行を促す通知を出力してもよい。
【0111】
指示の代行を促す通知を出力することは、例えば、指示の代行を促すメッセージや代行を依頼するメッセージを、指示を代行することができる他のユーザが利用する端末装置に送信すること、当該メッセージを表す音声をスピーカから発すること、又は、当該メッセージをUI20の表示装置に表示させること等である。メッセージを受けた他のユーザは、指示の受付が制限されるユーザの代わりに、指示を与えてもよい。例えば、他のユーザは、指示の受付が制限されるユーザの代わりに、商品の購入の決済の指示を与えてもよいし、契約締結の指示を与えてもよいし、その他の指示を与えてもよい。他のユーザは、指示の受付が制限されるユーザの依頼を受けて、指示の受付が制限されるユーザが与えようとしている指示を与えてもよい。
【0112】
プロセッサ24は、ユーザ毎に、ユーザによって指示が与えられたときに当該ユーザから測定された生体情報であって、当該ユーザが健全であることを示す生体情報を記憶装置22に記憶させてもよい。つまり、プロセッサ24は、ユーザが健全のときに測定された生体情報を記憶装置22又は他の装置に記憶させてもよい。そのような生体情報を複数回測定し、当該複数の生体情報、又は、当該複数の生体情報の平均を、ユーザが健全のときに測定された生体情報として、記憶装置22又は他の装置に記憶してもよい。
【0113】
そして、プロセッサ24は、ユーザ毎に、指示が与えられるときのユーザの生体情報が、記憶装置22又は他の装置に記憶されている生体情報の類似範囲に含まれる場合、当該指示の受付を制限せずに、当該指示を受け付ける。例えば、指示が与えられるときにユーザから測定された生体情報と、記憶装置22又は他の装置に記憶されている当該ユーザの生体情報との差異が、許容範囲内に含まれる場合、指示が与えられるときにユーザから測定された生体情報は、記憶装置22又は他の装置に記憶されている当該ユーザの生体情報の類似範囲に含まれる生体情報である。
【0114】
ユーザによって健全な状態(例えば正常や良好な状態)が異なる場合があるが、ユーザ毎に、健全な状態のときの生体情報を記憶しておくことで、その違いを考慮して、指示の受付を制限することができる。また、他人になりすまして指示が与えられることを抑制することができる。
【0115】
指示を与えるユーザから生体情報が測定されない場合、プロセッサ24は、当該指示の受付を制限してもよい。例えば、ユーザから生体情報が測定されない場合、プロセッサ24は、当該ユーザが与える指示を受け付けない。こうすることで、生体情報が測定されないユーザによって指示が与えられることを防止することができる。
【0116】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 情報処理装置、12 生体情報測定装置、14 機器、16 サービス提供装置、24 プロセッサ。