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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003795
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】飽和液体を提供するためのポンプ配置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240105BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F25B1/00 399A
F17C13/00 302F
F25B1/00 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105203
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】22181308
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】311014956
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Airbus Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Kreetslag 10,21129 Hamburg,Germany
(71)【出願人】
【識別番号】508178711
【氏名又は名称】エアバス ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イッセルホルスト アルミン
(72)【発明者】
【氏名】ベフルツィ ケイ フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フリーゼ ペーター
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB03
3E172AB05
3E172BD01
3E172BD03
3E172BD10
3E172DA02
3E172EB03
3E172EB08
3E172EB10
3E172EB19
3E172JA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飽和液体を提供するためのポンプ配置を提供する。
【解決手段】タンク出口を有する飽和液体のためのタンクと、飽和液体を冷却するための熱交換器であって、熱交換器と、ポンプ入口及びポンプ出口を有するポンプと、膨張弁入口及び膨張弁出口を有する膨張弁と、消費体に飽和又はサブクール液体を送り込むためのポンプ出口の下流のポンプ配置出力とを含み、タンク出口は、タンクの内側に保存された飽和液体が、熱交換器に流入できるように、熱交換器の液体入口と流体連通し、熱交換器は、飽和液体をサブクールするように設計され、膨張弁出口は、熱交換器の冷却液入口と流体連通し、膨張弁入口は、ポンプ配置を通って流れる液体の一部を受領して膨張させ、サブクールされる液体の蒸発エンタルピを少なくとも部分的に蒸発させて受領するために、冷却液入力に経路設定するために、熱交換器の液体出口又はタンクの下流に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飽和又はサブクール液体を提供するためのポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)であって、
タンク出口(8)を有する飽和液体のためのタンク(4)と、
前記飽和液体を冷却するための熱交換器(14)であって、前記熱交換器(14)は、液体入口(12)、液体出口(16)、冷却液入口(18)及び冷却液出口(20)を有する、熱交換器(14)と、
ポンプ入口(22)及びポンプ出口(26)を有するポンプ(24)と、
膨張弁入口(32)及び膨張弁出口(36)を有する膨張弁(34)と、
消費体(10)に飽和又はサブクール液体を送り込むための前記ポンプ出口(26)の下流のポンプ配置出力(28)とを含み、
前記タンク出口(8)は、前記タンク(4)の内側に保存された飽和液体が、前記熱交換器(14)に流入できるように、前記熱交換器(14)の前記液体入口(12)と流体連通し、
前記熱交換器(14)は、前記飽和液体をサブクールするように設計され、
前記熱交換器(14)の前記液体出口(16)は、前記ポンプ入口(22)と流体連通し、
前記膨張弁出口(36)は、前記熱交換器(14)の前記冷却液入口(18)と流体連通し、
前記膨張弁入口(34)は、前記ポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)を通って流れる液体の一部を受領して膨張させ、サブクールされる前記液体の蒸発エンタルピを低減した飽和温度で少なくとも部分的に蒸発させて受領するために、前記冷却液入力(18)に経路設定するために、前記熱交換器(14)の前記液体出口(16)又は前記タンク(4)の下流に配置される、ポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項2】
前記冷却液出口(20)と連結された圧縮機(40)を更に含む、請求項1に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項3】
前記膨張弁(32)は、前記ポンプ(24)の下流及び前記冷却液入口(18)の上流で流体ラインに接続される、請求項1又は2に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項4】
前記膨張弁(32)は、前記ポンプ(24)の上流及び前記冷却液入口(18)の上流で流体ラインに接続される、請求項1又は2に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項5】
前記圧縮機(40)はタンク入口(8)に接続される、請求項2に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項6】
前記圧縮機(40)又は前記冷却液出口(20)は、環境と流体連通する、請求項2に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項7】
前記ポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)は、一次入口(62)、二次入口(64)、及びジェットポンプ出口(66)を有するジェットポンプ(60)を更に含み、
前記膨張弁(32)は、前記熱交換器(14)の前記液体出口(16)の下流に配置され、
前記ポンプ(24)は前記一次入口(62)と連結され、
前記冷却液出口(20)は前記二次入口(64)と連結される、請求項1に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項8】
前記ジェットポンプ出口(66)はタンク入口(8)と連結される、請求項7に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項9】
前記ポンプ配置出力(28)は、前記ポンプ(24)の下流及び前記ジェットポンプ(60)の前記一次入口(62)の上流にある、請求項8に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項10】
前記ポンプ配置出力(28)は、前記ジェットポンプ出口(66)に接続される、請求項7に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項11】
前記膨張弁(32)は、前記膨張弁(32)を通って流れる前記飽和液体の一部を制御するために可変断面を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)。
【請求項12】
飽和又はサブクール液体を提供するための方法であって、
前記飽和又はサブクール液体をタンク(4)からタンク出口(8)を通って熱交換器(14)の液体入口(12)に送り込んで、前記液体をサブクールすることと、
前記サブクール液体又は前記飽和若しくはサブクール液体の一部を前記タンク(4)から膨張弁(32)の膨張弁入口(34)に送り込み、前記液体を前記タンク(4)内の飽和温度より低い温度で少なくとも一部を蒸発させ、前記液体を前記熱交換器(14)の冷却液入口(18)に送り込んで、前記液体入口(12)に流入する前記液体から蒸発エンタルピを受領して実質的に完全に蒸発させることと、
前記サブクール液体を前記熱交換器(14)の液体出口(16)からポンプ(24)のポンプ入口(22)に送り込むことと、
前記サブクール液体を前記ポンプ出口(26)の下流のポンプ配置出力(28)にポンプ供給して、飽和液体を消費体(10)に送り込むこととを含む、方法。
【請求項13】
前記タンク(4)の内側の圧力を増加させるために、前記タンク(4)のタンク入口(8)の中に前記蒸発液体を送り込むことを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)、及び前記少なくとも1つのポンプ配置(2、44、48、52、54、56、58、70)の前記ポンプ配置出力(28)と連結した少なくとも1つの消費体(10)を含む、車両(74)。
【請求項15】
前記車両(74)は航空機(74)であり、前記少なくとも1つの消費体(10)は、燃料電池及び/又は燃焼を行うためのデバイスを含む、請求項14に記載の車両(74)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飽和又はサブクール液体を提供するためのポンプ配置、飽和液体を提供するための方法、並びに少なくとも1つのそのようなポンプ配置を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクからポンプを通って消費体又は別の構成要素に飽和液体を送り込むと、タンクの内側の圧力は低減し、ポンプ内の空洞化の可能性がより高くなる。このような飽和液体は、液体水素であってもよく、液体水素は、ポンプを使用して消費体に水素を送り込むために航空機の内側の貯蔵タンク内、又は液化ガスのための陸上輸送車両若しくは海上輸送、及び供給システム若しくは静止タンク内に保存されることがある。
【0003】
飽和液体をポンプ供給する課題は、航空、海上及び陸上車両並びに静止用途から公知である。ポンプの上流の正味有効吸込圧力を増加するためにいくつかの手法があり、これには、蒸気若しくは他のガスを使用してタンク内の圧力を増加すること、タンク内の蒸気を加熱すること、静水圧の恩恵を受けるためにポンプの位置を変えること、プリポンプを使用すること、又はポンプ入口で液体を低圧蒸発によりサブクールすること、及び特に宇宙用途でガスを車外に排出することが含まれる。しかしこれらの解決策は、ポンプ配置の複雑性を増し、特定の加熱器又は蒸発器の使用に特別な努力が必要であり、非凝縮性ガスを一緒に運び、タンクを補充中に放出/捕捉する必要があり、不安定な成層、並びに高い追加重量及び複雑性があり、又は宇宙用途における使用可能性を制限することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうして飽和液体をポンプ供給するための代替ポンプ配置を提案することが本発明の目的であり、これは、高効率、低重量で、上に同定された欠点なしに、ポンプの正味有効吸込圧力を増加することができる。
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するポンプ配置によって満たされる。好都合な実施形態及び更なる改善は、従属請求項及び以下の記載から集められてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
飽和液体を提供するためのポンプ配置が提案され、タンク出口を有する飽和液体のためのタンクと、飽和液体を冷却するための熱交換器であって、熱交換器は、液体入口、液体出口、冷却液入口及び冷却液出口を有する、熱交換器と、ポンプ入口及びポンプ出口を有するポンプと、膨張弁入口及び膨張弁出口を有する膨張弁と、消費体に飽和液体を送り込むためのポンプ出口の下流のポンプ配置出力とを含み、タンク出口は、タンクの内側に保存された飽和液体が、熱交換器に流入できるように、熱交換器の液体入口と流体連通し、熱交換器は、飽和液体をサブクールするように設計され、熱交換器の液体出口は、ポンプ入口と流体連通し、膨張弁出口は、熱交換器の冷却液入口と流体連通し、膨張弁入口は、ポンプ配置を通って流れる液体の一部を受領して膨張させ、サブクールされる液体の蒸発エンタルピを少なくとも部分的に蒸発させて受領するために、冷却液入力に経路設定するために、熱交換器の液体出口又はタンクの下流に配置される。
【0007】
本発明によるポンプ配置は、飽和液体用のポンプのための正味有効吸込圧力(NPSP)(net positive suction pressure)を増加させることができ、上に説明された欠点は回避される。NPSPは、ポンプ供給される液体の全圧力と所与の温度における蒸気圧との差であることを理解されたい。ポンプ配置の基本的特徴は、以下に詳細に説明される。
【0008】
タンクは、飽和液体を受領するための受容器である。保存される液体に依存して、タンクは、ある特定の圧力に機械的に耐えるように設計されてもよい。更に、タンクは、タンクの内部への伝熱を最小化するために断熱されてもよい。例えば、飽和液体は、通常極低温で保存される液体水素であってもよく、タンクは、通常断熱される。しかし液化石油ガス(LPG)(liquefied petroleum gas)、炭化水素及び凝縮液用のタンクは、必ずしも断熱されなくてもよく、本発明によるポンプ配置は、ある特定の液体に限定されない。
【0009】
タンクは、タンクの頂面、側面又は底面に配置され得るタンク入口を含んでもよい。タンク入口は、タンクの中に飽和液体を送り込むために使用されてもよい。しかしタンク入口は、以下に更に説明されるように、タンクの中に蒸気又はガスも送り込むために使用されてもよい。タンク出口は、NPSPを更に最適化するために、底面に配置されることが好ましいことがある。
【0010】
熱交換器は、飽和液体をサブクールするために提供される。このために、飽和液体は、その液体入口を通って熱交換器に入り、熱交換器の内側に生成された1つ又は複数の冷却チャネルを通って流れることができる。その後、サブクール液体は、熱交換器の液体出口から出る。冷却機能を提供するために、冷却液入口が提供され、冷却液入口を通って飽和液体の2相流が経路設定される。こうして冷却機能は、2相流の形の液体の一部によって提供される。2相流は、飽和液体の一部が冷却液入口の上流で膨張するように、ポンプ配置を通って膨張弁に流入する飽和液体の一部を送り込むことによって生成される。これにより、タンクの飽和温度に対して非常に低減された飽和温度で部分蒸発を生じ、冷却液入口に到着する流体は、液体と蒸気の混合物である。熱交換器の内側では、膨張した液体が、冷却チャネルを通る蒸発熱を受領し、更に蒸発して冷却液出口を通って流出する。その結果、液体はサブクールされ、蒸気の流れが生成する。膨張弁は絞り弁であってもよく、絞り弁は固定されたオリフィス形状若しくは類似の形状を通る膨張挙動に設定されてもよく、又は積極的に制御されてもよい。また膨張弁は、1つ又は複数の膨張ノズルに続く、単純な切替弁であってもよい。
【0011】
以下に更に説明されるように、蒸気は、本発明によるポンプ配置の実施形態に依存して、タンクの内側の圧力を増加するために使用されてもよく、又は環境に排出されてもよい。飽和液体をサブクールすることにより、NPSPはポンプ入口で増加され、ポンプは、飽和液体をそれぞれの消費体に確実にポンプ供給し得る。空洞化の危険は低減する。飽和又はサブクール液体は、ポンプの下流にあるポンプ配置出力に提供される。以下に記載されるほとんどの実施形態では、ポンプ配置出力は、ポンプ出口に直接接続される。
【0012】
完全を期すために、膨張弁入口もタンク出口に直接接続され得ることが示されている。
【0013】
好都合な実施形態では、ポンプ配置は、冷却液出口と連結された圧縮機を更に含む。飽和液体を蒸発させることによって生成された蒸気は、圧縮機に入って加圧される。一部の実施形態では、蒸気の圧力は、加圧蒸気、すなわち加圧ガスがタンク入口の中に送り込まれてタンク圧力を増加できるように、タンク圧力より高くされる。他の実施形態では、蒸気圧力は、蒸気を大気に排出できるように、大気圧より高くされる。圧縮機は、冷却液側面の温度をより低くすることができるために、熱交換器内でより低い圧力を発生して蒸発することができる。
【0014】
好都合な実施形態では、膨張弁は、ポンプの下流及び冷却液入口の上流で流体ラインに接続される。それ故、ポンプ出口から流出する飽和液体の一部は、飽和液体の消費体のための供給流れから出て、少なくとも一部を蒸発させるために膨張弁の中に送り戻される。これは、ポンプによって生成された圧力差を利用し、膨張弁に入る液体の一部に対するフィードバックは簡略化される。
【0015】
好都合な実施形態では、膨張弁は、ポンプの上流及び冷却液入口の上流で流体ラインに接続される。膨張弁は、ポンプの下流の点から出た飽和液体を送り込まれた膨張弁と異なって設計されてもよい。しかしタンクと熱交換器の液体出口との間の圧力差は、膨張弁の中に飽和液体の一部を送り込むのに十分である。ポンプ配置の全効率は、飽和液体の一部が再度膨張される前に追加で加圧されないので、上記の解決策に比べてわずかに増加することがある。
【0016】
好都合な実施形態では、圧縮機はタンク入口に接続される。圧縮機は、タンク内の液体の飽和圧力より低く飽和圧力を低減するために、吸込圧力を発生し、蒸発液体はタンク入口の中に送り込まれる。こうしてタンクの内側の圧力は増加される一方で、このために別個のガス源からの他のガス又は専用デバイスは必要ない。圧縮機は、好ましくはタンクの内側の圧力よりほんのわずかに高い圧力に蒸発液体の圧力を増加させるように設計される。圧力差は、それぞれの飽和液体及び必要な質量流量に依存して作成することができる。圧縮機と同様に圧縮機の下流又は内側の圧力センサは、所定の圧力増加を提供するために圧縮機を制御することができる、制御ユニットに接続されてもよい。
【0017】
好都合な実施形態では、圧縮機又は冷却液出口は、環境、すなわちポンプ配置の周囲と流体連通し、これは、ポンプ配置が据え付けられる車両を取り巻く大気又は空間であってもよい。圧縮機は、こうして蒸発液体の圧力を大気圧より高いレベルに増加させることができることがある。圧縮機の専用制御は、ポンプ配置が蒸発液体を大気に常に排出できる限り、決して必要ない。これにより、ポンプ配置は大気圧より低い圧力で作動することができる。冷却液出口が環境と流体連通する場合、ポンプ配置は、宇宙又は高い大気高度の作動、例えば約10,000m以上の高度における民間航空機の巡航飛行フェーズに専用であってもよい。
【0018】
好都合な実施形態では、ポンプ配置は、一次入口、二次入口、及びジェットポンプ出口を有するジェットポンプを更に含み、膨張弁は、熱交換器の液体出口の下流に配置され、ポンプは一次入口と連結され、冷却液出口は二次入口と連結される。ジェットポンプは、一次流れとしてサブクール液体の加圧流を送り込まれる。蒸発液体の形の二次流れは、二次入口を通って一次流れの中に吸い込まれる。両方の流れは混合し、ジェットポンプ出口から一緒に出る。
【0019】
好都合な実施形態では、ジェットポンプ出口はタンク入口と連結される。その結果、ジェットポンプの一次入口は、ポンプから出る流れの一部のみを提供される。ジェットポンプ出口は、タンクの内側の圧力を増加させるために、蒸発液体と飽和液体の混合物をタンク入口に提供してもよい。
【0020】
好都合な実施形態では、ポンプ配置出力は、ポンプの下流及びジェットポンプの一次入口の上流にある。上記に則して、ポンプ出口から出る流れの主要部は消費体に送り込まれる。一部のみが、ジェットポンプの一次入口の中に送り込まれる。
【0021】
好都合な実施形態では、ポンプ配置出力は、ジェットポンプ出口に接続される。上記の別法として、ジェットポンプ出口は、消費体のための全質量流量を送達する。
【0022】
好都合な実施形態では、膨張弁は、膨張弁を通って流れる飽和液体の一部を制御するために可変断面を有する。上に説明されたように、膨張弁は、次いで所望の蒸発挙動及び/又は必要な圧力降下を提供するために制御されてもよい。
【0023】
上記と同様に、本発明は、飽和又はサブクール液体を提供するための方法に関し、飽和液体をタンクからタンク出口を通って熱交換器の液体入口に送り込んで、液体をサブクールするステップと、サブクール液体又は飽和若しくはサブクール液体の一部をタンクから膨張弁の膨張弁入口に送り込み、それによって液体をタンク液体温度より低い温度で少なくとも一部を蒸発させ、液体を熱交換器の冷却液入口に送り込んで、液体入口に流入する液体から蒸発エンタルピを受領して実質的に完全に蒸発させるステップと、サブクール液体を熱交換器の液体出口からポンプのポンプ入口に送り込むステップと、サブクール液体をポンプ出口の下流のポンプ配置出力にポンプ供給して、飽和液体を消費体に送り込むステップとを含む。
【0024】
好都合な実施形態では、圧縮機又はジェットポンプは、冷却液流れの圧力を同じタンクの飽和圧力より低減させる。
【0025】
好都合な実施形態では、方法は、蒸発液体をタンクの内側の圧力を増加させるために、タンクのタンク入口の中に送り込むステップを更に含んでもよい。
【0026】
追加として、及び上記と更に同様に、更なるステップの1つ、複数、又は全てが提供されてもよい。これらは、圧縮機を用いて冷却液出口から流出する蒸発液体を圧縮することを含んでもよい。圧縮ガスは、タンク入口又は環境に送り込まれてもよい。サブクール液体は、ポンプの下流又は上流から膨張弁に送り込まれてもよい。
【0027】
またサブクール液体は、ジェットポンプの一次入口にポンプ供給されてもよく、冷却液出口から流出する蒸発液体は、ジェットポンプの二次入口に送り込まれてもよく、ジェットポンプ出口は、ポンプ配置出力にサブクール液体を供給する。別法として、ポンプ配置出力は、ポンプの下流及びジェットポンプの上流からサブクール液体を供給され、ジェットポンプの一次入口は、サブクール液体の一部を提供され、ジェットポンプの二次入口は、冷却液出口から流出する蒸発液体を提供され、ジェットポンプは、サブクール液体及びガスをタンク入口に送達する。
【0028】
圧縮機又はジェットポンプが冷却液をタンクに送り込む場合、冷却液の飽和圧力、すなわち蒸発圧力は、タンク内の液体の飽和圧力より低減する。これは、冷却液の飽和圧力より高い大気圧におけるポンプ配置の作動に特に有利である。
【0029】
上記の方法ステップは、連続した工程の定義として理解されるべきであり、ステップは同時に行われる。
【0030】
本発明は、上記による少なくとも1つのポンプ配置、及び少なくとも1つのポンプ配置のポンプ配置出力と連結した少なくとも1つの消費体を含む車両に更に関する。
【0031】
好都合な実施形態では、車両は航空機であり、少なくとも1つの消費体は、燃料電池及び/又は燃焼を行うためのデバイスを含む。
【0032】
以下で、添付図面は、例示的実施形態をより詳細に示すために使用される。図は概略的であり一定の縮尺ではない。同一参照番号は、同一又は類似要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図2】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図3】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図4】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図5】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図6】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図7】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図8】概略図におけるポンプ配置の異なる例示的実施形態を示す。
図9】消費体及びそのようなポンプ配置を有する航空機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、第1の例示的実施形態のポンプ配置2を示す。ここでは、液体水素などの飽和液体を飽和状態で保存するタンク4が提供される。タンク4は、タンク入口6及びタンク出口8を含む。ポンプ配置2は、飽和液体を保存してタンク4から消費体10に提供するように設計される。ポンプ配置2は、断熱材を含んでもよく、断熱材は本明細書では詳細には示されない。例えば飽和液体は、液体水素であってもよい。
【0035】
液体は、タンク4から出口8を通って出て、熱交換機14の液体入口12に提供される。ここでは、詳細に示されていない1つ又は複数の冷却チャネルが提供され、それを通って液体は流れる。液体は、液体出口16で排出される。熱交換機14は、冷却液入口18及び冷却液出口20を更に含む。2相流、すなわち以下に更に説明される液体及び蒸発液体は、冷却液入口18に入る。熱交換機14を通って流れることにより、2相流は、好ましくは完全に蒸発するように蒸発エンタルピを受領する。その後、2相流は、主にガスの形で冷却液出口20から出る。同時に、液体出口16から出る液体は、サブクールされる。
【0036】
サブクール液体は、ポンプ24のポンプ入口22に入り、次いで消費体10に飽和液体を送り込むために、ポンプ出口26からポンプ配置出力28に送り込まれる。ポンプ24の下流及びポンプ配置出力28の上流の接合部30では、サブクール液体の一部が出て、膨張弁入口34を通って膨張弁32に送り込まれる。ここでは、液体は膨張され、上記の2相流を生成するために一部が蒸発する。2相流は、膨張弁出口36から出て、下流の冷却液入口18に直接入る。膨張弁34は、接合部30で出た液体の一部を制御できるために可変断面を含む。
【0037】
蒸発液体、すなわち冷却液出口20から流出するガスは、圧縮機40の圧縮機入口38に送り込まれる。ここでは、ガスは加圧され、圧縮機出口42を通ってタンク入口6に送り込まれる。それ故に、タンク4の内側の圧力は増加する。タンクの圧力を増加することにより、並びにポンプ配置出力28において飽和液体をサブクールすることにより、NPSPは明らかに改善される。この構成は、圧縮機40を通してポンプ24をその作動温度まで冷却して準備することもでき、排出するためにポンプ24を冷却する質量流量は必要ない。
【0038】
図2は、先に説明されたポンプ配置2に基づき、わずかな修正を含むポンプ配置44を示す。ここでは、膨張弁入口34は接合部46に接続され、接合部46は、液体出口16の下流、及びポンプ入口22の上流にある。こうしてポンプ24によって処理された質量流量、及びこうしてポンプ24に必要な電力は、わずかに低減される。更に、膨張弁入口34と膨張弁出口36との間の圧力差は、図1に示されたポンプ配置2よりわずかに小さいことがある。図1のポンプ配置2と同じにタンク圧力を増加するために、圧縮機40は、わずかに高い圧縮を提供する必要があることがある。
【0039】
図3は、図1に示されたポンプ配置2の別の修正であるポンプ配置48を示す。ここでは、圧縮機出口42は、タンク4ではなく大気50に接続される。それ故に、圧縮機40は、蒸発液体の圧力を大気圧よりわずかに高い圧力に増加させるように適合されるに過ぎない。これにより、蒸発液体を大気50に排出することができる。これは、ポンプ配置48の複雑性を低減し、圧縮機40を制御する必要性を除去することがある。
【0040】
図4は、図3のポンプ配置48及び図2のポンプ配置44の修正を含む、更なるポンプ配置52を示す。ここでは、サブクール液体の一部は、ポンプ24の上流の接合部46から出て、膨張弁入口34を通って膨張弁32に送り込まれる。更に、圧縮機出口42は、大気50に接続される。その結果、ポンプ24は、ポンプ24の下流の接合部30からサブクール液体の一部を出すより、必要とする電力がわずかに少ないことがある。圧縮機40は、制御される必要がないことがあり、図1及び2の実施形態と同じ高さの圧縮比を提供する必要がないことがあり、その電力消費はこのように低いことがある。
【0041】
図5は、図3に示されたポンプ配置48に基づくが、圧縮機40を含まないポンプ配置54を示す。この変形は、例示的に宇宙用途又は冷却液出口20に達した圧力が大気圧より高い用途で使用されてもよい。
【0042】
図6は、図5に示されたポンプ配置54に基づく更なるポンプ配置56を示す。しかし膨張弁32は、図2及び4に示されたように、ポンプ24の上流の接合部46からサブクール液体の一部を供給される。
【0043】
図7は、一次入口62及び二次入口64を有するジェットポンプ60を含む、ポンプ配置58を示す。ポンプ出口26から出るサブクール液体は、ジェットポンプ60の一次入口62に送り込まれる。蒸発液体、すなわち冷却液出口20から出るガスは、ジェットポンプ60の二次入口64に送り込まれる。サブクール液体が一次入口62に流れることに起因して、ガスは二次入口64の中に吸い込まれ、一次流れと混合される。得られる組合せは、ジェットポンプ出口66を通って流出する。この実施形態におけるポンプ配置出力28はジェットポンプ出口66の下流に置かれ、消費体10に液体を送り込む。ジェットポンプ60を使用することは、ジェットポンプ60が、既に膨張されて蒸発された液体の圧力を増加させて、冷却液出口20から消費体10に送り込むことができる受動デバイスであるので有利である。
【0044】
熱交換機14は、液体入口12を通してタンク4に接続され、サブクール液体は、液体出口16を通って流出する。ここでは、接合部68が提供され、そこからサブクール液体の主流がポンプ入口22に送り込まれる。流れの一部は、膨張弁入口34に送り込まれて膨張弁32内で膨張される。その後、流れの一部は、膨張弁出口36を通って冷却液入口18に送り込まれる。
【0045】
図8は、図7に示されたポンプ配置58に基づくポンプ配置70を示す。しかしこの例示的実施形態では、ポンプ配置出力28は、接合部72に接続され、接合部72は、ポンプ出口26の下流及びジェットポンプ60の一次入口62の上流に置かれる。こうしてポンプ出口26から流出するサブクール液体の一部のみが、ジェットポンプ60の一次入口62に送り込まれる。
【0046】
ここでは、蒸発液体、すなわち冷却液出口20から出るガスは、二次入口64に送られ、一次ジェットポンプの流れの作用を通して二次入口64の中に吸い込まれる。次いでジェットポンプ出口66は、飽和液体の一部と同様に蒸発液体をタンク4に送り戻して、タンク4の内側の圧力を増加させるために、タンク入口6と連結される。
【0047】
最後に、図9は航空機74を示し、航空機74は、胴体76、翼78、エンジン80及び尾翼82を含む。例示的に消費体10は燃料電池システムであってもよく、尾翼82の領域に一体化され、破線ボックスによって示されている。ポンプ配置2又は上に説明されたあらゆる他のポンプ配置44、48、52、54、56、58若しくは70は、それらのすぐ近くに置かれてもよい。ポンプ配置は、消費体10に水素を提供することができることがある。しかし他の型の消費体、他の液体、又は他の航空機構成及び他の車両も除外されず、この例示は一例に過ぎない。
【符号の説明】
【0048】
2 ポンプ配置
4 タンク
6 タンク入口
8 タンク出口
10 消費体
12 液体入口
14 熱交換機
16 液体出口
18 冷却液入口
20 冷却液出口
22 ポンプ入口
24 ポンプ
26 ポンプ出口
28 ポンプ配置出力
30 接合部
32 膨張弁
34 膨張弁入口
36 膨張弁出口
38 圧縮機入口
40 圧縮機
42 圧縮機出口
44 ポンプ配置
46 接合部
48 ポンプ配置
50 大気
52 ポンプ配置
54 ポンプ配置
56 ポンプ配置
58 ポンプ配置
60 ジェットポンプ
62 一次入口
64 二次入口
66 ジェットポンプ出口
68 接合部
70 ポンプ配置
72 接合部
74 航空機
76 胴体
78 翼
80 エンジン
82 尾翼
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9