(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037950
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フロー発生器、成膜装置及び材料の成膜方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
C25D17/00 C
C25D17/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213447
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2021504310の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】102018118410.7
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517184129
【氏名又は名称】レナ テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】RENA Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Hoehenweg 1, 78148 Guetenbach,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】バイ・ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】カルテンバッハ・コンラート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された層、特に、より均質な層が成膜可能となる成膜するための方法を提供する。
【解決手段】対象物(4)の表面に材料を成膜する方法であって、電解質(7)が前記対象物(4)の前記表面に導かれ、前記対象物(4)の前記表面の面法線に平行に又は実質的に平行に方向付けられる前記電解質(7)のフロー(31)が展開され、前記電解質(7)の前記フロー(31)の一部が上方に方向転換されて上向き部分的フロー(32a)を形成し、前記電解質(7)の前記フロー(31)の更なる一部が下方に方向転換されて下向き部分的フロー(32b)を形成し、該下向き部分的フロー(32b)の体積流量は、下方に向けられる前記部分的フロー(32b)の前記体積流量が上向き部分的フロー(32a)の体積流量と同じ又は実質的に同じとなるように調整されることを特徴とする、方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(4)の表面(28)に材料を成膜する方法であって、電解質(7)が前記対象物(4)の前記表面(28)に導かれ、
前記対象物(4)の前記表面(28)の面法線に平行に又は実質的に平行に方向付けられる前記電解質(7)のフロー(31)が展開され、
前記電解質(7)の前記フロー(31)の一部が上方に方向転換されて上向き部分的フロー(32a)を形成し、前記電解質(7)の前記フロー(31)の更なる一部が下方に方向転換されて下向き部分的フロー(32b)を形成し、該下向き部分的フロー(32b)の体積流量は、下方に向けられる前記部分的フロー(32b)の前記体積流量が上向き部分的フロー(32a)の体積流量と同じ又は実質的に同じとなるように調整されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電解質(7)は、該電解質(7)の前記フロー(31)によって前記対象物(4)の前記表面(28)に導かれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象物(4)の前記表面(28)への前記電解質(7)の前記フロー(31)は、前記対象物(4)から前記表面(28)に沿って離れる方向に方向転換及び誘導されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象物(4)に向けられる電解質フロー(31)は、前記対象物(4)の前面及び背面の双方に流れ、前面側の電解質フロー(31)及び背面側の電解質フロー(31)の体積流量は、該2つの体積流量が同じ又は実質的に同じとなるように調整されることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、金属層が前記対象物(4)に成膜されるめっきコーティング方法であることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー発生器、成膜装置及び対象物の表面への材料の成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に成膜された層の層厚分布及びコーティング品質への要求は、とりわけ、達成されるべき均質性に関して、ますます高くなっている。これは、例えば、無線又は高周波技術において用いられる部品のめっき成膜層に特に当てはまる。
【0003】
無線及び高周波技術では大電流が用いられることが多いため、層厚に大きく依存する部品のオーム抵抗又はインピーダンスは、部品の重要な物理的パラメータとなる。部品が不均質な層厚を有すると、これは部品の電気的特性に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
これまで、コーティング対象物に達する電解質のフローは、分配管、エダクタ(eductors)、ベンチュリノズルなどによって実現されてきた。この種の流入フローは、対象物に近接する電解質の無秩序かつ制御不能な渦流をもたらす。結果として、製品の品質は制限される。無秩序な流入フロー、少ない接点数及び方向性のない電界線に起因して、経験上、均質な層厚分布が保証可能でなくなることが分かっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、フロー発生器、成膜装置及び材料の成膜方法を提供する課題に基づき、それにより、改善された層、特に、より均質な層を成膜可能となる。
【0006】
この課題は、独立請求項の課題によって本発明に従って達成される。
【0007】
本発明の好適な展開の各々は、従属請求項の課題となる。本発明によるフロー発生器又は本発明による成膜装置は、本発明による方法に有利に採用され得る。
【0008】
本発明は、コーティング対象物への電解質のより均質な流入フローを可能とする。したがって、本発明は、特に、達成されるべき均質性に関して、厚さ分布及びコーティング品質についての高まる要求を満たすことを可能とする。より厳しい仕様の、より良好な高性能部品、特に、半導体部品又は素子が、結果として本発明によって製造可能となる。
【0009】
本発明は、とりわけ、例えば、主に銅を有する、ただし、ニッケル、金、銀及び/又は錫も有する基板などの対象物の電気化学的コーティング(めっき)に有利に適用可能である。本発明は、例えば、能動又は受動部品、特に高周波技術及び無線周波技術において使用されるような部品のためのセラミック基板へのめっき的(ガルバニック、galvanic)又は電気化学的成膜、さらには半導体、特に、半導体基板及び回路基板への成膜に有利に採用可能である。
【0010】
本発明によるフロー発生器は、電解質を供給するための電解質供給装置及び電解質分配装置を備える。
【0011】
本発明に関して、電解質とは、電界の影響下で、方向付けされた態様で移動可能なイオンを含有する液体をいう。本発明では、イオンは、好ましくは金属イオンである。
【0012】
本発明の実施形態の好適な一形態では、電解質分配装置は、少なくとも1つの第1の分配板(distributor plate)を備える。
【0013】
電解質分配装置が、第1の分配板に対向配置される少なくとも1つの更なる分配板を、電解質のフローの方向に関して下流側に備えていればさらに有利である。第1及び更なる分配板は、有利なことに、相互に対して平行に配置される。
【0014】
2つの分配板の使用によって、電解質フローの2段の均質化が実現可能となる。第1の分配板を用いて、電解質フローの事前均質化が達成可能となる。第2の分配板を用いて、事前均質化された電解質フローの微細な均質化が達成可能となる。
【0015】
上記分配板の少なくとも1つ、特に、上記分配板の各々は、電解質が流通可能な開口が設けられた板、好ましくは多孔板であり得る。
【0016】
更なる分配板に追加して又はその代替として、電解質分配装置は、電解質のフローの方向に関して上流側に第1の分配板に対向配置された少なくとも1つの分配管(distributor pipe)を備え得る。これは、有利なことに、フロー発生器の電解質供給装置に接続される。
【0017】
電解質分配装置が分配管を備える変形実施形態では、分配管が、電解質フローの事前均質化に使用され得る。第1の分配板及びもしあれば更なる分配板は、この場合、分配管を用いて事前均質化を経た電解質フローの更なる均質化に用いられてもよい。
【0018】
分配管が、第1の分配板から離れる向きの側に出口開口を有していればさらに好適である。一方で、分配管は、好ましくは、第1の分配板を向く側には出口開口を有さない。
【0019】
対象物の表面への材料の成膜のための本発明による成膜装置は、本発明によるフロー発生器、及び対象物ホルダを備える。
【0020】
成膜装置の好適な用途は、コーティング対象物への金属層のめっき成膜(ガルバニック堆積(galvanic deposition))のための用途である。
【0021】
材料が成膜されるべき対象物は、有利なことに、対象物ホルダにおいて取外し可能に固定され得る。対象物ホルダは、例えば、対象物を収容する開口が設けられたフレームとして設計可能である。この開口の寸法は、好ましくは、コーティング対象物の寸法に対応する。
【0022】
対象物ホルダが、電解質分配装置の単数の分配板に対して又は複数の分配板に対して平行に配置されればさらに有利である。
【0023】
本発明の実施形態の好適な一形態では、フロー発生器は、流出開口が対象物ホルダに向いた状態で一方の側に開口したハウジングを備える。ハウジングは、有利なことに、電解質のフローを対象物ホルダに、又はコーティング対象物が対象物ホルダに固定されている場合には対象物に誘導するように作用する「乱流ボックス(impinging flow box)」を形成する。電解質でコーティングされる対象物の鉛直流入フローは、特に、ハウジングを用いて達成可能となる。
【0024】
電解質が電解質供給装置を介してハウジングに誘導可能となるようにハウジングが電解質供給装置に接続されればさらに便利である。上記電解質分配装置は、好ましくは、ハウジング内に配置される。電解質のフローの方向に関して電解質分配装置の下流に位置するハウジングの領域が、有利なことに、ハウジング内で展開される電解質フローが対象物ホルダ又はコーティング対象物に誘導される流路を形成する。
【0025】
好ましくは、ハウジングは、対象物ホルダからある距離だけ離れて配置される。このようにして、ギャップがハウジングと対象物ホルダの間に形成されることが保証可能となり、そこを通じて、偏向後にハウジング内で展開される電解質フローがコーティング対象物の表面に流れ、特に全面に対して流れ得る。
【0026】
上記距離は、最大2cm、好ましくは、最大1.5cm、特に好ましくは最大1cmであれば有利である。このようにして、電解質フローがコーティング対象物に達する前の電解質フローの大幅な拡がりを回避することが可能となる。3~5mmの間の値の距離が、特に有利であることが分かっている。
【0027】
ハウジングの流出開口の高さ及び/又は幅は、有利なことに、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さ及び/又は幅に一致する。このようにして、ハウジングと対象物ホルダの間でのフローラインの拡がり又は狭まりが回避可能となる。
【0028】
例えば、ハウジングの流出開口は、その幅が、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の幅の少なくとも80%、特に少なくとも90%に対応するように、及び/又はその高さが、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さの少なくとも80%、特に少なくとも90%に対応するように、寸法取りされれば好適となる。さらに、ハウジングの流出開口は、その幅が、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の幅の最大120%、特に最大110%に対応するように、及び/又はその高さが、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さの最大120%、特に最大110%に対応するように、寸法取りされれば好適であることがさらに規定され得る。好ましくは、ハウジングの流出開口の幅は、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の幅に等しく、及び/又はハウジングの流出開口の高さは、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さに等しい。
【0029】
またさらに、成膜装置は、電解質が流通可能なアノードを備えれば有利である。これは、例えば、電解質分配装置と対象物ホルダの間に配置され得る。
【0030】
アノードは、例えば、格子アノード、特に、展伸金網(expanded metal)で構成されるものとして設計され得る。アノードは、好ましくは、フロー発生器のハウジング内に配置される。
【0031】
アノードは、有利なことに、電解質分配装置の単数の分配板又は複数の分配板に平行に配置される。
【0032】
アノードの高さ及び/又は幅が、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さ及び/又は幅に一致していればさらに有利である。このようにして、アノードと対象物ホルダの間での電界線の拡がり又は狭まりが回避可能となる。
【0033】
例えば、アノードは、その幅が、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の幅の少なくとも80%、特に少なくとも90%に対応するように、及び/又はその高さが、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さの少なくとも80%、特に少なくとも90%に対応するように、寸法取りされれば好適となる。アノードは、その幅が、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の幅の最大120%、特に最大110%に対応するように、及び/又はその高さが、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さの最大120%、特に最大110%に対応するように、寸法取りされれば好適であることがさらに規定され得る。好ましくは、アノードの幅は、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の幅に等しく、及び/又はアノードの高さは、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の高さに等しい。
【0034】
アノードは、好ましくは、不溶性アノード、すなわち、電解質に溶解しないアノードである。アノード材料として、ここでは、例えば、チタン又は白金めっきチタンが使用され得る。アノードが不溶性アノードである場合には、電解質への金属の供給は、例えば、酸化銅又はFe2+/Fe3+などの金属含有材料のその後の投入によって達成され得る。
【0035】
フロー発生器は、選択的に、電解質フローを部分的に遮蔽するための及び/又はアノードから生じる電界線を部分的に遮蔽するためのフローバッフル(flow baffle)を備え得る。フローバッフルは、好ましくは、アノードと対象物ホルダの間に配置される。フローバッフルは、対象物上の均質な層厚分布を達成するために、対象物の特殊な構成のレイアウトを補償可能とする。
【0036】
またさらに、対象物ホルダは、対象物に電気的に接触するための、特に、対象物の縁に電気的に接触するための複数の接点を備えれば有利である。好ましくは、接点は、対象物を収容するように設けられた対象物ホルダの開口の縁にわたって等間隔に分布して配置される。対象物ホルダにおける又は対象物ホルダにおいて固定された対象物における電界線の均質な曲線は、このようにして達成可能であり、同様に、電解質に含有されるイオンの電気的フローに対する対象物の均質な曝露を可能とする。
【0037】
基本的に、対象物ホルダは、その2面の一方にしか接点を有さないことが規定され得る。好ましくは、対象物ホルダは、その2面の各々において接点に取り付けられる。特に、対象物ホルダの両面に、同数の接点が設けられてもよく、例えば、8個の接点が各面に設けられる。
【0038】
成膜装置は、オーバーフロー堰を有するオーバーフロー槽をさらに備え得る。好ましくは、フロー発生器は、オーバーフロー槽内に配置される。オーバーフロー槽は、特にオーバーフロー堰の縁まで電解質で満たされ得る。
【0039】
成膜装置は、排管、特に、オーバーフロー槽から電解質を排出する孔が設けられた排管をさらに備え得る。排管は、有利なことに、対象物ホルダの下部に配置される。排管の長手延在部分は、好ましくは水平方向に延びる。排管及び対象物ホルダが共通の対称面を有するように配置されればさらに好適である。
【0040】
オーバーフロー槽及び排管を用いて、対象物からの電解質の均質な、特に各面に均質な流出が実現可能となり、それは、対象物に方向付けられた電解質の均質な後続のフローを同様に可能とする。
【0041】
本発明の好適な展開において、成膜装置は、オーバーフロー槽の少なくとも一部が配置される貯留槽を備えることが規定される。貯留槽は、オーバーフロー槽から流出する電解質を、それを再利用することを可能とするために、受けるのに使用され得る。
【0042】
貯留槽に加えて、成膜装置は、貯留槽から電解質をポンピングするための及び貯留槽からポンピングされた電解質をフロー発生器の電解質供給装置に搬送するための、貯留槽に接続された第1のポンプを備え得る。
【0043】
成膜装置は、排管から電解質をポンピングするための及び排管からポンピングされた電解質を貯留槽内に搬送するための、排管に接続された第2のポンプをさらに備え得る。
【0044】
排管から電解質を排出するために上記第2のポンプを用いる代わりに、代替の変形実施形態は、電解質が流体ラインを介してポンプなしに重力によって排管から排出され、適切な場合には、それを貯留槽に導くことを規定する。この場合、例えば、バルブ、特に電解質フローが排管を通じて引き出される体積流量を調整するバルブが使用され得る。
【0045】
成膜装置は、オーバーフロー槽から電解質を排出するために対象物ホルダの隣に並置される2つの排管を選択的に備え得る。これら2つの排管の長手延在部分は、好ましくは鉛直方向に延びる。これら2つの排管について、成膜装置は、これら2つの排管に接続された1つの共通のポンプ、又はこれら2つの排管のそれぞれに各々に対して接続された個々の配管を備え得る。
【0046】
成膜装置は、有利なことに、そのポンプの少なくとも1つについて、好ましくはそのポンプの各々に対して、それぞれのポンプを流通している電解質フローの体積流量を測定するための流量センサを備える。
【0047】
本発明の好適な実施形態では、成膜装置は、好ましくは最初に述べたフロー発生器と同じ構成で設計された更なるフロー発生器を備える。対象物ホルダは、有利なことに、その2つのフロー発生器の間に配置される。その2つのフロー発生器が対象物ホルダに関して鏡像対称に配置されれば特に好適である。2つのフロー発生器の使用により、対象物を同時に両面コーティングすることが可能となる。
【0048】
またさらに、成膜装置は、少なくとも1つの電圧源、特に少なくとも1つのDC電圧源を備え得る。成膜装置は、好ましくは、そのフロー発生器の各々について別個の電圧源を備える。
【0049】
対象物の表面に材料を成膜するための本発明による方法において、電解質は、対象物の表面に誘導される。
【0050】
本発明による方法は、本発明による成膜装置を用いて有利に実行される。
【0051】
対象物は、好ましくは、特に矩形状を有する板状の対象物である。対象物は、方法の実行中に、例えば、上記に説明した対象物ホルダを用いて鉛直に配向されれば特に好適である。
【0052】
対象物は、例えば、基板、特にセラミック基板であってもよいし、又はそれを備えていてもよい。好ましくは、対象物は、能動又は受動素子、特に半導体部品がその上に配置された基板であり、又はそれを備える。素子は、成膜の後に便宜分離される。
【0053】
本方法において上記対象物の表面に成膜される材料は、特に金属材料であり得る。またさらに、対象物は、その材料が成膜される導電性ベース層、特に金属ベース層を備え得る。ベース層は、例えば、銅、ニッケル、金、銀及び/又は錫を含有し得る。
【0054】
本発明の実施形態の有利な一形態では、対象物の表面の面法線に平行に又は実質的に平行に方向付けられる電解質のフローが展開されることが規定される。好ましくは、このフローは、本発明によるフロー発生器を用いて展開される。
【0055】
前段落の「面法線に平行に又は実質的に平行に」という表現は、特に本発明に関しては、電解質の上記フローが面法線に対して最大10度、好ましくは最大5度の角度で方向付けられることを意味するものとして理解可能である。
【0056】
電解質は、好ましくは、電解質の上記フローによって対象物の表面に導かれる。
【0057】
対象物の表面への電解質の上記フローが、対象物から表面に沿って、好ましくは対象物の表面に平行に又は実質的に平行に離れる方向に方向転換及び誘導されれば有利である。方向転換されたフローは、好ましくは、対象物の全面に対して離れる方向に誘導される。
【0058】
上記定義と同様に、特に本発明に関しては、「対象物の表面に平行に又は実質的に平行に」という表現は、電解質の上記フローが表面に対して最大10度、好ましくは最大5度の角度での偏向の後に方向付けられることを意味するものとして理解可能である。
【0059】
またさらに、電解質の上記フローの一部が上方に偏向されて上向き部分的フローを形成し、電解質の上記フローの更なる一部が下方に偏向されて下向き部分的フローを形成すれば有利である。
【0060】
下向き部分的フローの体積流量は、好ましくは、下向き部分的フローの体積流量が上向き部分的フローの体積流量と同じ又は実質的に同じとなるように調整される。
【0061】
本発明に関しては、「同じ又は実質的に同じ」という表現は、相互に比較される場合に、最大10%、好ましくは最大5%の差が値の間に存在することを特に意味するものと理解可能である。
【0062】
下向き部分的フローの体積流量は、前述の第1のポンプを用いて、例えば、特にポンプの搬送速度を調整することによって調整され得る。
【0063】
またさらに、電解質の上記フローの一部が側方に偏向されて(対象物の上記表面を前方から見る場合に)左向き部分的フローを形成し、電解質の上記フローの更なる一部が側方に偏向されて(対象物の上記表面を前方から見る場合に)右向き部分的フローを形成すれば有利である。
【0064】
好ましくは、左向き部分的フローの体積流量及び右向き部分的フローの体積流量は、上向き部分的フローの体積流量と同じ又は実質的に同じとなるように、特にポンプを用いて調整される。
【0065】
本発明の好適な一展開では、対象物に向けられた電解質フローがその前面及びその背面の双方において対象物に対して流れることが規定される。このようにして、対象物が両面においてコーティングされることが保証可能となり、これは、その前面及びその背面の双方においてコーティングされるべき部品を対象物が含む場合に特に有利である。
【0066】
有利なことに、前面の電解質フローの体積流量及び背面の電解質フローの体積流量は、これら2つの体積流量が同じ又は実質的に同じとなるように調整される。このようにして、対象物が両面において同じ圧力を受けることが保証可能となる。このようにして、高い体積流量の場合であっても、前面と背面の間の圧力差によって対象物が損傷、例えば、破砕してしまう可能性を回避することができる。
【0067】
例えば、更なるフロー発生器のアノードと対象物ホルダの間の電圧とは異なる電圧が最初に述べたフロー発生器のアノードと対象物ホルダとの間に印加されることで対象物の前面が対象物の背面とは異なる電流強度を受けることがさらに規定され得る。これは、対象物の前面と背面とが異なる態様で設計され、したがって異なる態様でコーティングされるべきである場合にも、特に有利となり得る。
【0068】
好ましくは、方法は、金属の層、特に、銅、ニッケル、金、銀及び/又は錫の層が対象物に成膜されるめっきコーティング方法(ガルバニックコーティング方法(galvanic coating method))である。
【0069】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。便宜上、同一の又は同じ効果を有する要素には、ここでは同じ符号が付される。本発明は、図面に示す実施形態に限定されず、これは機能的構成についても言える。これまで与えられた説明及び後続の図面の説明は、多数の構成を含み、その一部は従属請求項においてグループとしてまとめられる。ただし、当業者であれば、構成を個々に検討し、それらを更なる有用な組合せに組み合わせることもある。これらの構成は、特に、本発明によるフロー発生器、本発明による成膜装置及び/又は本発明による方法と、個々に及び何らかの適切な組合せにおいて、組み合わせられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】
図1は、本発明の第1の例示的実施形態による成膜装置の模式図を示す。
【
図2】
図2は、成膜装置の対象物ホルダ及び対象物ホルダに取外し可能に固定されるコーティング対象物の正面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第2の例示的実施形態による成膜装置の模式図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第3の例示的実施形態による成膜装置の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、成膜装置1の模式図を示す。成膜装置1は、対象物の表面に対する材料の成膜、特に、金属層のめっき成膜のために作用する。
【0072】
成膜装置1は、相互に同じ設計を有する2つのフロー発生器2a及び2b、並びにコーティング対象物4が取外し可能に固定される鉛直に懸吊される対象物ホルダ3を備える。
図1から分かるように、2つのフロー発生器2a及び2bは、対象物ホルダ3に関して鏡像対称に配置される。用語上の差異付けのため、2つのフロー発生器2a及び2bは、以下では第1のフロー発生器2a及び第2のフロー発生器2bということもある。
【0073】
この例示的実施形態では、コーティングされるべき対象物4は基板であり、特に、例えば、能動又は受動半導体部品などの素子がその上に配置されて薄膜金属ベース層が基板を囲むセラミック基板である。コーティング対象物は、矩形であり、辺の長さが約200mmであり、厚さが200μmから1000μmの間である。上記金属ベース層(「シード層」として専門家に知られてもいる)は、基板の縁を含む基板の全域を囲む。
【0074】
この場合において、金属ベース層は、銅層、特にマスク及び構造化された銅層である。金属ベース層は、成膜装置1を用いてめっき成膜処理において補強される。これは、この例示的実施形態では、成膜装置1を用いて銅が既存の銅層に成膜され、それが金属ベース層を形成することを意味する。
【0075】
対象物4の前述した構成は単に例示とみなされるべきこと、及び成膜装置1は原則として他の種類の物体をコーティングするのにも適することは明白である。
【0076】
2つのフロー発生器2a及び2bに加えて、成膜装置1は、オーバーフロー堰6を有するオーバーフロー槽5を備える。両フロー発生器2a及び2bは、オーバーフロー槽5内に配置される。
図1は、オーバーフロー槽5がそのオーバーフロー堰6の縁まで電解質7で満たされた状態の成膜装置1を示す。
【0077】
成膜装置1は、オーバーフロー槽5が配置された貯留槽8をさらに備える。成膜装置1はさらに、その長手延在部分が水平方向に延びる孔が設けられるとともに対象物ホルダ3の真下に配置された排管9を、排管9及び対象物ホルダ3が共通の対称面を有するように、備える。
【0078】
成膜装置1の2つのフロー発生器2a及び2bの各々は、コーティング対象物4に向く流出開口11を有し、対象物ホルダ3からある距離だけ離れて配置されて片側に開口するハウジング10を備える。2つのフロー発生器2a及び2bの各々はまた、電解質供給装置12及び電解質分配装置13を備える。
【0079】
それぞれのフロー発生器2a及び2bの電解質分配装置13は第1の分配板14及び更なる分配板15を備え、2つの分配板14及び15は相互に対して平行に、対象物ホルダ3に対して平行に配置され、電解質7が流通可能な開口を有する多孔板として実装される。
【0080】
図1から分かるように、それぞれのフロー発生器2a及び2bの2つの分配板14及び15は、そのハウジング10内に配置される。それぞれのフロー発生器2a及び2bの2つの分配板14及び15はそのハウジング10を第1のチャンバ16、第2のチャンバ17及び流路18に区分し、第1のチャンバ16は流出開口11に平行に配置されたハウジング10の側壁19から第1の分配板14まで広がり、第2のチャンバ17は第1の分配板14から第2の分配板15まで広がり、流路18は第2の分配板15からハウジング10の残余部分にわたって広がる。
【0081】
2つのハウジング10の各々において、成膜装置1はまた、それぞれのフロー発生器2a及び2bの電解質分配装置13と対象物ホルダ3との間に配置され、電解質7が流通可能な格子アノード20を備える。
【0082】
それぞれのアノード20及びそれぞれのハウジング10の出口開口11の双方は、それらの幅及び高さが、コーティング対象物4の幅及び高さに概ね対応するように寸法取りされる。用語「幅」は、ここでは
図1の図面の平面に垂直な延在部分に関する。
【0083】
成膜装置1は、貯留槽8から電解質7をポンピングするための並びに貯留槽8からポンピングされた電解質7をそれぞれのフロー発生器2a及び2bの電解質供給装置12に搬送するための第1のポンプ21をさらに備える。成膜装置1は、排管9から電解質7をポンピングための及び排管9からポンピングされた電解質7を貯留槽8に搬送するための第2のポンプ22をさらに備える。第1のポンプ21は貯留槽8に流体ライン23を介して接続されるとともに2つのフロー発生器2a及び2bの電解質供給装置12に更なる流体ライン23を介して接続され、一方、第2のポンプ22は排管9に流体ライン23を介して接続されるとともに貯留槽8に更なる流体ライン23を介して接続される。
【0084】
成膜装置1は、そのポンプ21及び22の各々に、それぞれのポンプ21及び22を流通している電解質フローの体積流量を測定するための流量センサ24をさらに備える。
【0085】
成膜装置1はさらに、そのフロー発生器2a及び2bの各々に対して別個のDC電圧源25を備える。それぞれのDC電圧源25は、
図1から分かるように、対応するフロー発生器2a及び2bに配置されたアノード20並びに対象物ホルダ3に電気配線26を介して接続される。
【0086】
それぞれのフロー発生器2a及び2bはそのハウジング10内に、それぞれのフロー発生器2a及び2bのハウジング10内に配置されたアノード20と対象物ホルダ3との間に配置されたフローバッフル27をさらに備え、それは電解質フローを部分的に遮蔽するために及びアノード20から生ずる電界線を部分的に遮蔽するために作用する。
【0087】
図2は、前述した対象物ホルダ3及び対象物ホルダ3に取外し可能に固定されたコーティングされるべき対象物4の正面図を示す。
【0088】
対象物ホルダ3は、コーティングされるべき対象物4がそこに配置されるので
図2には表れないが、フレームとして設計されて対象物4を収容するように設けられた開口を有する。
【0089】
対象物ホルダ3の一方の面(以下、対象物ホルダ3の前面という)は
図2には表れるが、対象物ホルダ3の他方の面は観察者に対して裏側を向く。再度結果的に、コーティングされるべき対象物4の一方の面のみ(以下、対象物4の前面という)及びコーティングされるべきその表面28が、
図2に表れる。
【0090】
対象物ホルダ3は、その前面において、対象物4に電気的に接触するための複数の接点29、この場合では8個の接点29を有し、これらはその前面において対象物4の縁30と電気的に接触している。
図2には表れないその背面において、対象物ホルダ3は、対象物3と電気的に接触するための同数の接点29を有し、それらはその背面において対象物4の縁30と電気的に接触している。前面側接点29は2つのDC電圧源25の一方に電気的に接続され、一方で背面側接点29は2つのDC電圧源25の他方に電気的に接続される。
【0091】
対象物ホルダ3の前面及び背面の双方において、接点29は、対象物4を収容するように設けられた対象物ホルダ3の開口の縁にわたって等間隔に、したがって対象物4の縁30にわたっても等間隔に分布して配置される。
【0092】
以下、
図1を参照して成膜装置1の動作のモードを説明する。前述したように、2つのフロー発生器2a及び2bは相互に同じ構成で設計されるので、簡略化のため、例として、2つのフロー発生器2a及び2bの一方を参照して、より正確には第1のフロー発生器2aを参照して成膜装置1の動作のモードを説明する。以下の説明は、第2のフロー発生器2bにも同様に当てはまる。これは、コーティング対象物4を電解質7のフローに曝露するためにフロー発生器2a及び2bの双方が用いられるので対象物4は両面に均質にコーティングされることを意味する。
【0093】
第1のポンプ21を用いて、電解質7は、第1のフロー発生器2aの電解質供給装置12を介して第1のフロー発生器2aのハウジング10に、すなわち、より正確にはハウジング10の第1のチャンバ16に導入される。電解質フロー31は、第1のチャンバ16内で展開し、それは第1の分配板14を通って流れるので、第1の分配板14によって事前均質化される。そして、事前均質化された電解質フロー31はハウジング10の第2のチャンバ17及び更なる分配板15を通って流れ、電解質フロー31はそれが更なる分配板15を通って流れるにつれてさらに均質化される。そして、均質化された電解質フロー31は、コーティング対象物4に対して垂直に又は実質的に垂直にハウジング10の流出開口11を介してハウジング10の流路18から流れ出す。
【0094】
電解質フロー31は、対象物4のコーティングされるべき表面28において方向転換され、上記表面28に平行に又は実質的に平行に対象物4から離れる方向に誘導される。電解質フロー31の一部は上方に方向転換され、上向き部分的フロー32aを形成する。電解質フロー31の更なる一部は下方に方向転換され、下向き部分的フロー32bを形成する。上記の部分的フロー32a及び32bは、対象物ホルダ3と第1のフロー発生器2aのハウジング10との間のギャップを通って離れる方向に流れる。
【0095】
下向き部分的フロー32bの体積流量は、下向き部分的フロー32bの体積流量が上向き部分的フロー32aの体積流量と同じとなるように調整される。これは、例えば、2つの流量センサ24が同じ体積流量を測定するように2つのポンプ21及び22の搬送速度が調整されることで達成され得る。
【0096】
下向き部分的フロー32bは排管9の孔を通って排管9に流れ、一方で、上向き部分的フロー32aはオーバーフロー堰6を越えてオーバーフロー槽5に流れ出る。電解質7は第2のポンプ22を用いて排管9からポンピングされ、貯留槽8に搬送される。貯留槽8にある電解質7は、第1のポンプ21を用いて貯留槽8からポンピングされ、第1のフロー発生器2aの電解質供給装置12に搬送される。
【0097】
第1のフロー発生器2aのハウジング10に配置されたアノード20と対象物ホルダ3との間には電圧がかかる。対象物4は接点29を介して対象物ホルダ3と電気的に接触しているので、上記アノード20と対象物4の間にも同じ電圧がかかる。結果的に、電解質7に含まれるイオンがコーティング対象物4に誘導される結果として、上記アノード20と対象物ホルダ3の間には電界が発生する。アノード20及び対象物ホルダ3の前述の設計のため、この電界は均質な電界線を有するので、対象物4は均質なイオンの流れに曝露される。
【0098】
以降の例示的実施形態の説明は、主に、同一の構成及び機能に関して参照がなされる先行する例示的実施形態との相違に限定される。先行する例示的実施形態の構成は、再度の記載なく以降の例示的実施形態に採用される。
【0099】
図3は、材料を成膜するための、特に対象物の表面への金属層のめっき成膜のための第2の成膜装置33の模式図を示す。
【0100】
この成膜装置33は、ここでも第1及び第2のフロー発生器2a及び2bを備え、その2つのフロー発生器2a及び2bは相互に同じ構成で設計される。
【0101】
この例示的実施形態では、それぞれのフロー発生器2a及び2bの電解質分配装置13は、2つの分配板ではなく、単一の分配板14のみを備える。その分配板14に加えて、それぞれのフロー発生器2a及び2bの電解質分配装置13は、分配板14と、流出開口11に平行に配置されたハウジング10の側壁19との間に配置され、分配板14から離れる向きの側、すなわち側壁19を向く側に複数の出口開口を有する分配管34を備える。それぞれのフロー発生器2a及び2bの分配管34は、この電解質供給装置12に接続される。
【0102】
成膜装置33の2つのフロー発生器2a及び2bは相互に同じ構成で設計されるので、簡略化のため、例として、2つのフロー発生器2a及び2bの一方を参照して、より正確には第1のフロー発生器2aを参照して成膜装置33の動作のモードを説明する。以下の説明は、第2のフロー発生器2bにも同様に当てはまる。
【0103】
成膜装置33の第1のポンプ21を用いて、電解質7は、第1のフロー発生器2aの分配管34に第1のフロー発生器2aの電解質供給装置12を介して導入される。電解質7は、分配管34から分配管34の出口開口から流出し、事前均質化された電解質フロー31が展開される。この事前均質化された電解質フロー31は、第1のフロー発生器2aのハウジング10の側壁19に当たり、そこで方向転換され、側壁19からさらに分配板14に流れる。そして、電解質フロー31は分配板14を通って流れ、電解質フロー31は、それが分配板14を通って流れるにつれてさらに均質化される。分配板14の後に、均質化された電解質フロー31は、コーティング対象物4に垂直に又は実質的に垂直にハウジング10の流出開口11を介して流れる。他の観点については、
図3の成膜装置の動作のモードは、
図1の成膜装置のものに対応する。
【0104】
図4は、材料を成膜するための、特に対象物の表面への金属層のめっき成膜のための第3の成膜装置35の模式図を示す。
【0105】
この成膜装置35は、ここでもオーバーフロー槽5及び貯留槽8を備え、この例示的実施形態では、オーバーフロー槽5の一部のみ、すなわち、より正確には、オーバーフロー槽5の上部のみが貯留槽8の内部に配置される。
【0106】
図4の成膜装置35は、2つのポンプではなく単一のポンプ21のみを備える。さらに、成膜装置35は、貯蔵容器36及びバルブ37を備える。
【0107】
上記ポンプ21は、入口側で流体ライン23を介して貯蔵容器36に接続され、出口側で更なる流体ライン23を介して2つのフロー発生器2a及び2bの電解質供給装置12に接続される。貯蔵容器36は、入口側で流体ライン23を介して貯留槽8に接続され、流量センサ38が接続される更なる流体ライン23を介して排管9に接続される。
【0108】
この例示的実施形態では、貯留槽8にある電解質7及び排管9にある電解質7が、重力によって貯留槽8及び排管9から引き出される。上記バルブ37を用いて、すなわち、より正確には、バルブ位置の適切な調整によって、排管9によってオーバーフロー槽5を出る電解質7の部分的フローの体積流量がオーバーフロー堰6を介してオーバーフロー槽5を出る電解質7の部分的フローの体積流量と同じとなることを保証することができる。
【0109】
排管9によってオーバーフロー槽5を出る部分的フローの体積流量がオーバーフロー堰6によってオーバーフロー槽5を出る部分的フローの体積流量と同じとなるかは、成膜装置35の2つの流量センサ24及び38によって定められ得る。貯蔵容器36と排管9の間の流体ライン23に接続される流量センサ38が、ポンプ21と2つのフロー発生器2a及び2bの電解質供給装置12との間の流体ライン23に接続された他方の流量センサ24の半分の値を測定する場合には、排管9によってオーバーフロー槽5を出る部分的フローの体積流量はオーバーフロー堰6によってオーバーフロー槽5を出る部分的フローの体積流量と同じである。
【0110】
電解質7は、ポンプ21を用いて貯蔵容器36からポンピングされ、2つのフロー発生器2a及び2bの電解質供給装置12に搬送される。
【0111】
例示の実施形態を参照して本発明を詳細に説明した。本発明は、それでも開示の実施例に、又は開示の実施例によっては限定されない。他の変形例が、これらの例示的実施形態から、本発明に内在する思想から逸脱することなく当業者によって導き出され得る。
【符号の説明】
【0112】
1 成膜装置
2a フロー発生器
2b フロー発生器
3 対象物ホルダ
4 対象物
5 オーバーフロー槽
6 オーバーフロー堰
7 電解質
8 貯留槽
9 排管
10 ハウジング
11 流出開口
12 電解質供給装置
13 電解質分配装置
14 分配板
15 分配板
16 チャンバ
17 チャンバ
18 流路
19 側壁
20 アノード
21 ポンプ
22 ポンプ
23 流体管
24 流量センサ
25 DC電圧源
26 電気配線
27 フローバッフル
28 表面
29 接点
30 縁
31 電解質フロー
32a 部分的フロー
32b 部分的フロー
33 成膜装置
34 分配管
35 成膜装置
36 貯蔵容器
37 バルブ
38 流量センサ