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特開2024-37971イミダゾジアゼピンジオン及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037971
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】イミダゾジアゼピンジオン及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240312BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20240312BHJP
   C07D 487/14 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 27/02 20060101ALN20240312BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
C07D487/04 153
A61P13/12 ZNA
A61P9/10
A61P25/22
A61P25/24
A61P35/00
A61K31/551
C07D487/14 CSP
A61P27/02
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214175
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2020543957の分割
【原出願日】2019-03-05
(31)【優先権主張番号】62/638,448
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】517024869
【氏名又は名称】ゴールドフィンチ バイオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ,マシュー,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ユー,マオリン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマンジ,ジーン-クリストフ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ティビット,トマス,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】レデボアー,マーク,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】キャッスル,ニール,エー.
(72)【発明者】
【氏名】マロジェシク,ゴラン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一過性受容体潜在的カチオンチャネル、サブファミリーCメンバー5(TRPC5)に対する阻害作用を有し、腎疾患、糖尿病性網膜症、不安症、うつ病、がん等の治療に有用な化合物を提供する。
【解決手段】式(I)または(II)による化合物、及びそれらを含む薬学的組成物を提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)もしくは(II)の化合物、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩:
【化1】
(式中、
A及びA’は、CR及びNから独立して選択され、A及びA’のうちの少なくとも1つはCRであり、
RはL-Rであり、
Lは存在しない、CH、O、SO、またはNRであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択され、Lが存在しない場合、RはさらにHから選択され、
各Rは独立してHまたはアルキルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから選択され、
は、アルキル、任意に置換されたアルキレン-アリール、及び任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールから選択され、
各Rは、H、N(R、ORから独立して選択され、
各Rは、H、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、及び(アリール)S(O)から独立して選択され、
Xは、-C(O)-、CH、CHR、C(Rであり、
各Rは、H、アルキル、及び任意に置換されたアルキレン-OHから独立して選択され、
X’は、-C(O)-、CH、CHR3’、C(R3’であるか、またはX’はRと一緒になって5もしくは6員環を形成し、
各R3’は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから独立して選択され、ならびに
Zは存在しない、CH、CHR、O、-NR-、または-SO-であり、
但し、X及びX’の両方が-C(O)-であることはなく、ZがO、NR、またはSOの場合、RはHである)。
【請求項2】
前記化合物が、式(I)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、式(II)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
AがNである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
AがCRである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
A’がNである、請求項1~3、または5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
A’がCRである、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Lが存在しない、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
LがCHである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
LがOである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
LがSOである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
LがNRである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が任意に置換されたアリールである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
が任意に置換されたフェニルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が置換されたフェニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記置換フェニルは、ハロゲン、-CF、-C(H)F、及び-OCFから独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換された、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が任意に置換されたアルキルである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が任意に置換されたヘテロアリールである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
が、ハロゲン、-CF、-C(H)F、及び-OCFから独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換された置換ヘテロアリールである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
がHである、請求項1~7及び12~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
がアルキルである、請求項1~7及び12~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
が、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
がメチルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
が任意に置換されたアルキルである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
が任意に置換されたアルキレン-OHである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
が置換されたアルキレン-OHである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
が任意に置換されたシクロアルキレン-OHである、請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
が、
【化2】
から選択される、請求項1~26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
が、
【化3】
から選択される、請求項1~24及び27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
が、
【化4】
から選択される、請求項1~24及び27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
がアルキルである、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
が、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
が、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
がn-ブチルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
が、任意に置換されたアルキレン-アリールである、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
前記アルキレン-アリールのアルキレンが置換された、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
アルキレン-アリールのアリールが置換された、請求項36または37に記載の化合物。
【請求項39】
置換されたアリールが、ハロゲン、-CF、-C(H)F、または-OCFで置換された、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
アルキレン-アリールのアリールが任意に置換されたフェニルである、請求項36~39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
フェニルが、1つまたは複数例のハロゲンで置換されている、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
アルキレン-アリールのアルキレンがメチレンである、請求項36~41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
が、任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールである、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
が、
【化5】
である、請求項1~31及び36~42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
が、
【化6】
である、請求項1~31及び36~41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
が、
【化7】
である、請求項1~31及び43のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
各RがHである、請求項1及び3~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
一方のRが-O-アルキル、及び他方のRがHである、請求項1及び3~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
一方のRが-OH、及び他方のRがHである、請求項1及び3~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項50】
一方のRが-NMe、及び他方のRがHである、請求項1及び3~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
一方のRが-NH、及び他方のRがHである、請求項1及び3~46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項52】
Xが-C(O)-である、請求項1~2及び4~51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項53】
XがCHである、請求項1~2及び4~51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項54】
Xが-CHR-である、請求項1~2及び4~51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
Xが-C(R-である、請求項1~2及び4~51のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項56】
X’が-C(O)-である、請求項1~51及び53~55のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項57】
X’がCHである、請求項1~55のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項58】
X’が-CHR3’-である、請求項1~55のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項59】
X’が-C(R3’-である、請求項1~55のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項60】
3’がアルキルである、請求項54~55及び58~59のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項61】
3’が、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項62】
3’がメチルである、請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
3’が任意に置換されたアルキレン-OHである、請求項54~55及び58~59のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項64】
3’が任意に置換されたエチレン-OHである、請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
3’が置換されたエチレン-OHである、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
Zが存在しない、請求項1及び3~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項67】
ZがCHである、請求項1及び3~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項68】
Zが-N(アルキル)-である、請求項1及び3~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項69】
Zが-N(n-ブチル)-、-N(iso-ブチル)-、及び-N(tert-ブチル)-から選択される、請求項68に記載の化合物。
【請求項70】
Zが-SO-である、請求項1及び3~65のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項71】
前記化合物が、
【化8】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項72】
前記化合物が、
【化9】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項73】
前記化合物が、
【化10】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項74】
前記化合物が、
【化11】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項75】
前記化合物が、
【化12】
【化13】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項76】
前記化合物が、
【化14】
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項77】
前記化合物が、
【化15】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項78】
前記化合物が、
【化16】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項79】
前記化合物が、
【化17】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項80】
前記化合物が、
【化18】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項81】
前記化合物が、
【化19】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項82】
請求項1~81のいずれか1項に記載の化合物、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項83】
腎疾患、糖尿病性網膜症、不安症、うつ病、またはがんを治療する、またはその発症のリスクを低減する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~81のいずれか1項に記載のTRPC5阻害化合物または請求項82に記載の組成物を投与することを含み、前記組成物の前記化合物が、TRPC5阻害剤である、前記方法。
【請求項84】
腎疾患が治療されるか、または腎疾患を発症するリスクを低減する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
腎疾患が治療される、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記腎疾患が、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、糖尿病性腎症、アルポート症候群、高血圧性腎疾患、ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、微小変化型疾患、膜性腎症、特発性膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、免疫複合体媒介MPGN、補体媒介MPGN、ループス腎炎、感染後糸球体腎炎、菲薄基底膜病、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、アミロイドーシス(原発性)、c1q腎症、急速進行性GN、抗GBM疾患、C3糸球体腎炎、高血圧性腎硬化症、及びIgA腎症からなる群から選択される、請求項83~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記腎疾患はタンパク尿腎疾患である、請求項83~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記腎疾患は微量アルブミン尿またはマクロアルブミン尿腎疾患である、請求項83~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
肥満を治療する、またはその発症のリスクを低減する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~81のいずれか1項に記載のTRPC5アゴニスト化合物、または請求項82に記載の組成物を投与することを含み、前記組成物の前記化合物が、TRPC5アゴニストである、前記方法。
【請求項90】
前記対象が哺乳動物である、請求項83~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記哺乳動物がヒトである、請求項90に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
タンパク尿は、血液中の過剰な量のタンパク質が尿に漏れる状態である。タンパク尿は、24時間でタンパク質量が3.5グラム以上、または正常量の25倍に達する以前に、24時間で尿中のタンパク質30mg(微量アルブミン尿と呼ばれる)~300mg超/日の損失(マクロアルブミン尿と呼ばれる)まで進み得る。タンパク尿は、腎臓の糸球体に機能不全がある場合に起こり、体液の身体内での蓄積(浮腫)を引き起こす。長期のタンパク質漏出は腎不全を引き起こすことが示されている。ネフローゼ症候群(NS)疾患は、米国で年間30億ドルを超える費用がかかる一般的な末期腎疾患症例の約12%を占めている。毎年、100,000人の子供のうち約5人がNSと診断されており、現在、100,000人の子供のうち15人がNSと共に生活している。よい治療反応を示す患者でさえ、再発頻度は非常に高い。ネフローゼ症候群の子供の約90%が治療反応を示すが、推定で75%が再発する。したがって、腎疾患、例えばタンパク尿を治療する、またはその発症のリスクを低減するより効果的な方法が必要である。
【0002】
哺乳動物のTRPチャネルタンパク質は、アミノ酸配列の相同性(TRPC、TRPV、TRPM、TRPA、TRPP、及びTRPML)に基づいて6つのサブファミリーにグループ化され得る6回膜貫通型のカチオン透過性チャネルを形成する。TRPチャネルの最近の研究は、それらが多数の基本的な細胞機能に関与しており、多くの疾患の病態生理に重要な役割を果たすと考えられていることを示す。多くのTRPはネフロンの様々な部分に沿って腎臓で発現しており、これらのチャネルは遺伝性及び後天性腎障害に関与しているという証拠が増えている。例えば、TRPC6、TRPM6、及びTRPP2は、それぞれ遺伝性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、続発性低カルシウム血症を伴う低マグネシウム血症(HSH)、及び多発性嚢胞腎(PKD)に関与している。TRPC5はまた、先天的な恐怖応答の調節の根底にあるメカニズムに寄与すると報告されている。(J Neurosci.2014 Mar 5;34(10):3653-3667)。
【0003】
したがって、TRPC5のさらなる阻害剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、少なくとも部分的に、一過性受容体潜在的カチオンチャネル、サブファミリーC、メンバー5(TRPC5)活性がアクチンストレスファイバーを消滅させ、焦点接着形成を減少させ、運動性、遊走性ポドサイト表現型を提供するという発見に基づく。
【0005】
一態様では、本発明は、低分子TRPC5モジュレーターに関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、低分子TRPC5阻害剤、及び腎臓疾患(例えば、タンパク尿、微量アルブミン尿、マクロアルブミン尿)、不安症、うつ病、またはがんを治療する、または発症するリスクを低減する方法におけるそのような阻害剤の使用に関し、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明は、低分子TRPC5アゴニスト、及び肥満を治療する、または肥満を発症するリスクを低減する方法におけるそのようなアゴニストの使用に関する。
【0008】
低分子リガンドとタンパク質との相互作用は、アゴニストまたはアンタゴニスト(阻害)活性をもたらし得る。アゴニストまたはアンタゴニスト活性をもたらす構造的決定因子は、よく理解されていないことが多い。密接に関連する分子、さらにはエナンチオマーの、それらの生物学的標的の活性に対する拮抗作用は、数十年にわたる研究で複数のケースで観察されている。これは、イオンチャネル及びGPCRのものなどの膜シグナル伝達タンパク質において特に一般的である(X.Huang et al.,ACS Med.Chem.Lett.2018,9,679-684;R.Recio et al.,Eur J Med Chem 2017,138,644-660;Y.Kim et al.,Eur J Med Chem 2016,123,180-190)。この挙動の例には、DHP受容体などのカルシウムチャネル(G.C.Rovnyak et al.,J Med Chem.1995,38(1):119-29,Neil’s emailより)、心臓細胞のカルシウムチャネル(RS Kass,Circ Res 1987,61(4 Pt 2)、I1-5及びその他(R.P.Hof et al.,J Cardiovasc Pharmacol.1985,7(4):689-93)の調節が含まれる。これらの参考文献は、小さな構造的特徴が、化合物がアゴニストまたはアンタゴニストとして作用できるかどうかをどのように支配するかを強調している。ごく最近、そのような現象が、TRPC1/4/5チャネルで説明された(H.N.Rubaiy et al.,Br J Pharmacol.2018,175(5):830-839.doi:10.1111/bph.14128.Epub 2018 Jan 25)。そのような文献報告によれば、本明細書に記載される式I及び式IIは、アゴニスト及び阻害剤の両方を含むことを見出した。当業者は、式Iまたは式IIの化合物がTRPC5アゴニストまたは阻害剤であるかどうかを、本明細書に記載のFLIPRアッセイ、または化合物がTRPC5阻害剤またはTRPC5アゴニストであるかどうかを判断できる任意の他のアッセイで試験することにより容易に決定することができる。
【0009】
上記の治療方法は、哺乳動物、例えば、ヒト及び他の哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、及びサル、ならびに家畜及び農場の哺乳動物、例えば、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、またはウマを含む様々な対象に有効である。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、式(I)もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩である:
【0011】
【化1】
(式中、
A及びA’は、CR及びNから独立して選択され、
RはL-Rであり、
Lは存在しない、CH、O、SO、またはNRであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択され、
各Rは独立してHまたはアルキルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから選択され、
は、アルキル、任意に置換されたアルキレン-アリール、及び任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールから選択され、
各Rは、H、N(R、ORから独立して選択され、
各Rは、H、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、及び(アリール)S(O)から独立して選択され、
Xは、-C(O)-、CH、CHR、C(Rであり、
各R は、H、アルキル、及び任意に置換されたアルキレン-OHから独立して選択され、
X’は、-C(O)-、CH、CHR3’、C(R3’であるか、またはX’はRと一緒になって5もしくは6員環を形成し、
各R3’は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから独立して選択され、ならびに
Zは存在しない、CH、CHR、O、-NR-、または-SO-であり、
但し、X及びX’の両方が-C(O)-であることはなく、ZがO、NR、またはSOの場合、RはHである)。
【0012】
一態様では、本発明は、式(I)もしくは(II)のいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む組成物を特徴とする。
【0013】
一態様では、本発明は、腎疾患、糖尿病性網膜症、不安症、うつ病、もしくはがんを治療する、または発症のリスクを低減する方法を特徴とし、それを必要とする対象に治療有効量の式(I)または(II)の化合物を投与することを含む。特定の実施形態では、腎疾患が治療されるか、または腎疾患を発症するリスクを低減する。特定の実施形態では、腎疾患が治療される。特定の実施形態では、腎疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、糖尿病性腎症、アルポート症候群、高血圧性腎疾患、ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、微小変化型疾患、膜性腎症、特発性膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、免疫複合体媒介MPGN、補体媒介MPGN、ループス腎炎、感染後糸球体腎炎、菲薄基底膜病、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、アミロイドーシス(原発性)、c1q腎症、急速進行性GN、抗GBM疾患、C3糸球体腎炎、高血圧性腎硬化症、及びIgA腎症からなる群から選択される。特定の実施形態では、腎疾患はタンパク尿である。特定の実施形態では、腎疾患は、微量アルブミン尿症またはマクロアルブミン尿症である。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、肥満を治療する方法、または発症するリスクを低減する方法を特徴とする。
【0015】
特定の実施形態では、対象は哺乳動物である。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(I)または(II)の化合物を哺乳動物に投与すること、及びカルシウム輸送に対する化合物の効果を評価することを含み、カルシウム輸送を低減または阻害する化合物は、腎疾患、不安症、うつ病、またはがんを治療する、または発症するリスクを低減するための治療薬である。
【0017】
本発明はいくつかの利点を提供する。本明細書に記載されている予防的及び治療的方法は、腎疾患、例えばタンパク尿の治療に有効であり、副作用があったとしても最小限である。さらに、本明細書に記載される方法は、腎疾患、不安症、うつ病、またはがんを治療する、または発症するリスクを低減する化合物を同定するのに有効である。
【0018】
本発明の他の特性、目的、及び利点は、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
「アシル」という用語は、当該技術分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)-、好ましくはアルキルC(O)-によって表される基を指す。
【0020】
「アシルアミノ」という用語は、当該技術分野で認識されており、アシル基で置換されたアミノ基を指し、例えば、式ヒドロカルビルC(O)NH-によって表され得る。
【0021】
「アシルオキシ」という用語は、当該技術分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O-、好ましくはアルキルC(O)O-によって表される基を指す。
【0022】
「アルコキシ」という用語は、アルキル基、好ましくは低級アルキル基を指し、それに結合している酸素を有する。代表的なアルコキシ基は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシなどを含む。
【0023】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基を指し、一般式アルキル-O-アルキルによって表され得る。
【0024】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両方を含むことが意図され、後者は、アルケニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分を指す。そのような置換基は、1つまたは複数の二重結合に含まれるか、または含まれない1つまたは複数の炭素上で起こり得る。さらに、そのような置換基は、安定性が抑制される場合を除いて、下記のようにアルキル基に対して企図されるもの全てを含む。例えば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が企図される。
【0025】
「アルキル」基または「アルカン」は、完全に飽和された直鎖または分岐非芳香族炭化水素である。典型的に、直鎖または分岐アルキル基は、別途定義されない限り、1個~約20個の炭素原子、好ましくは1個~約10個を有する。直鎖及び分岐アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、及びオクチルが挙げられる。C~C直鎖または分岐アルキル基は、「低級アルキル」基とも称される。
【0026】
さらに、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲を通して使用される用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含むことが意図され、後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上に水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基は、特に明記しない限り、例えば、ハロゲン(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオ酢酸塩、またはチオギ酸塩)、アルコキシ、ホスホリル、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含み得る。好ましい実施形態では、置換アルキルの置換基は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、ハロゲン、カルボニル、シアノ、またはヒドロキシルから選択される。より好ましい実施形態では、置換アルキルの置換基は、フルオロ、カルボニル、シアノ、またはヒドロキシルから選択される。当業者には、炭化水素鎖上で置換された部分が、適切な場合はそれ自体置換されてもよいことが理解されるであろう。例えば、置換アルキルの置換基は、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホン酸塩及びホスフィン酸塩を含む)、スルホニル(硫酸塩、スルホンアミド、スルファモイル、及びスルホン酸塩を含む)、及びシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボン酸塩、及びエステルを含む)、-CF、-CNなどの置換及び非置換形態を含み得る。例示的な置換アルキルは、以下に説明される。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF、-CNなどでさらに置換され得る。
【0027】
特に明記しない限り、それ自体または別の置換基の一部としての「アルキレン」は、記載された数の炭素原子を有し、対応するアルカンからの2つの水素原子の除去に由来する飽和直鎖または分岐二価基を指す。直鎖及び分岐アルキレン基の例としては、-CH-(メチレン)、-CH-CH-(エチレン)、-CH-CH-CH-(プロピレン)、-C(CH-、-CH-CH(CH)-、-CH-CH-CH-CH-、-CH-CH-CH-CH-CH-(ペンチレン)、-CH-CH(CH)-CH-、及び-CH-C(CH-CH-が挙げられる。
【0028】
「Cx-y」という用語は、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と共に用いられる場合、鎖中にx~y個の炭素を含有する基を含むことを意味する。例えば、「Cx-yアルキル」という用語は、ハロアルキル基を含む、鎖中にx~y個の炭素を含有する直鎖アルキル及び分岐鎖アルキル基を含む置換または非置換飽和炭化水素基を指す。好ましいハロアルキル基には、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、及びペンタフルオロエチルが挙げられる。Cアルキルは、基が末端位置にある水素を示し、内部にある場合は結合を示す。「C2-yアルケニル」及び「C2-yアルキニル」という用語は、上記のアルキルと長さ及び可能な置換が類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む、置換または非置換不飽和脂肪族基を指す。
【0029】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基を指す。
【0030】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用される場合、アルキル基で置換されたチオール基を指し、一般式アルキルS-によって表され得る。
【0031】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両方を含むことが意図され、後者は、アルキニル基の1つまたは複数の炭素上に水素に代わる置換基を有するアルキニル部分を指す。そのような置換基は、1つまたは複数の三重結合に含まれるか、または含まれない1つまたは複数の炭素上で起こり得る。さらに、そのような置換基は、安定性が抑制される場合を除いて、上記のようにアルキル基に対して企図されるもの全てを含む。例えば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が企図される。
【0032】
「アミド」という用語は、本明細書で使用される場合、基
【0033】
【化2】
を指し、式中、各Rが、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または2つのRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4個~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0034】
「アミン」及び「アミノ」という用語は、当該技術分野で認識されており、非置換及び置換アミンの両方、ならびにその塩、
【0035】
【化3】
例えば、によって表され得る部分を指し、式中、各Rが、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または2つのRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4個~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0036】
「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アミノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0037】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、アリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0038】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、置換または非置換単環芳香族基を含み、環の各原子は炭素である。好ましくは、環は、6員~10員環、より好ましくは6員環である。「アリール」という用語はまた、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通である2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環の少なくとも1つが芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリルであってもよい。アリール基は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどを含む。
【0039】
「カルバミン酸塩」という用語は、当該技術分野で認識されており、基
【0040】
【化4】
を指し、式中、各Rが、独立して、水素、またはアルキル基などのヒドロカルビル基を表すか、または両方のRが、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造に4個~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0041】
「炭素環」及び「炭素環式」という用語は、本明細書で使用される場合、飽和または不飽和環を指し、その環の各原子は炭素である。炭素環という用語は、芳香族炭素環及び非芳香族炭素環の両方を含む。非芳香族炭素環は、全ての炭素原子が飽和されているシクロアルカン環、及び少なくとも1つの二重結合を含有するシクロアルケン環の両方を含む。「炭素環」は、5員~7員単環式環及び8員~12員二環式環を含む。二環式炭素環の各環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。炭素環は、1個、2個、または3個以上の原子が2つの環間で共有される、二環式分子を含む。「融合炭素環」という用語は、環のそれぞれが2つの隣接した原子を他方の環と共有する、二環式炭素環を指す。融合炭素環の各環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。例示的な実施形態では、芳香族環、例えば、フェニルは、飽和環または不飽和環、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセンに融合され得る。飽和、不飽和、及び芳香族二環式環の任意の組み合わせは、原子価が許容される場合、炭素環式の定義に含まれる。例示的な「炭素環」は、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-シクロオクタジエン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0」オクタ-3-エン、ナフタレン、及びアダマンタンを含む。例示的な融合炭素環は、デカリン、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インデン、及びビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エンを含む。「炭素環」は、水素原子を担持することができる任意の1つまたは複数の位置で置換され得る。
【0042】
「シクロアルキル」基は、完全に飽和される環式炭化水素である。「シクロアルキル」は、単環式環及び二環式環を含む。典型的に、単環式シクロアルキル基は、別途定義されない限り、3個~約10個の炭素原子、より典型的には3個~8個の炭素原子を有する。二環式シクロアルキルの第2の環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。シクロアルキルは、1個、2個、または3個以上の原子が2つの環間で共有される、二環式分子を含む。「融合シクロアルキル」という用語は、環のそれぞれが2つの隣接した原子を他方の環と共有する、二環式シクロアルキルを指す。融合二環式シクロアルキルの第2の環は、飽和環、不飽和環、及び芳香族環から選択され得る。「シクロアルケニル」基は、1つまたは複数の二重結合を含む環式炭化水素である。
【0043】
「カルボシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0044】
「カーボネート」という用語は、当該技術分野で認識されており、-OCO-R基を指し、式中、Rは、ヒドロカルビル基を表す。
【0045】
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、式-COHによって表される基を指す。
【0046】
「エステル」という用語は、本明細書で使用される場合、-C(O)OR基を指し、式中、Rが、ヒドロカルビル基を表す。
【0047】
「エーテル」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素を介して別のヒドロカルビル基に結合されたヒドロカルビル基を指す。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル-O-であり得る。エーテルは、対称的でも非対称的でもよい。エーテルの例としては、複素環-O-複素環及びアリール-O-複素環が挙げられるが、これらに限定されない。エーテルは、一般式アルキル-O-アルキルによって表され得る「アルコキシアルキル」基を含む。
【0048】
「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを含む。
【0049】
「ヘタラルキル」及び「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、ヘタリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0050】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子の飽和鎖または不飽和鎖を指し、いずれの2つのヘテロ原子も隣接していない。
【0051】
「ヘテロアリール」及び「ヘタリール」という用語は、置換または非置換芳香族単環構造、好ましくは5員~7員環、より好ましくは5員~6員環を含み、それらの環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1個~4個のヘテロ原子、より好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」及び「ヘタリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通している、2つ以上の環式環を有する多環式環系も含み、それらの環のうちの少なくとも1つはヘテロ芳香族であり、例えば、その他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどが挙げられる。
【0052】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄である。
【0053】
「ヘテロシクリル」、「複素環」、及び「複素環式」という用語は、置換または非置換非芳香族環構造、好ましくは3員~10員環、より好ましくは3員~7員環を指し、それらの環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1個~4個のヘテロ原子、より好ましくは1個または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロシクリル」及び「複素環式」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通している、2つ以上の環式環を有する多環式環系も含み、それらの環のうちの少なくとも1つは複素環式であり、例えば、その他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基としては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが挙げられる。
【0054】
「ヘテロシクリルアルキル」または「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、複素環基で置換されたアルキル基を指す。
【0055】
「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書で使用される場合、=Oまたは=S置換基を有しない、典型的に少なくとも1つの炭素-水素結合及び主に炭素骨格を有するが、任意にヘテロ原子を含み得る炭素原子を介して結合される基を指す。したがって、メチル、エトキシエチル、2-ピリジル、及びトリフルオロメチルのような基は、本出願の目的でヒドロカルビルであると考えられるが、アセチル(結合炭素上に=O置換基を有する)及びエトキシ(炭素ではなく酸素を介して結合された)などの置換基はそうではない。ヒドロカルビル基としては、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0057】
アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と共に用いられる場合、「低級」という用語は、置換基中に10個以下、好ましくは6個以下の非水素原子が存在する基を含むことを意味する。「低級アルキル」は、例えば、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。特定の実施形態では、本明細書で定義されるアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、それらが単独でまたは他の置換基と組み合わせて現れるかどうかにかかわらず、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシであり、例えば、ヒドロキシアルキル及びアラルキルが挙げられる(この場合、例えば、アルキル置換基の炭素原子を数える場合、アリール基内の原子は数えられない)。
【0058】
「ポリシクリル」、「多環」、及び「多環式」という用語は、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び/またはヘテロシクリル)を指し、2個以上の原子が2つの隣接する環に共通し、例えば、それらの環は「融合環」である。多環の環のそれぞれは、置換または非置換であり得る。特定の実施形態では、多環の各環は、環内の3個~10個の原子、好ましくは5個~7個を含有する。
【0059】
「シリル」という用語は、3つのヒドロカルビル部分が結合したケイ素部分を指す。
【0060】
「置換された」という用語は、骨格の1個以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」または「~で置換された」は、そのような置換が置換原子及び置換基の許容される原子価に従うこと、ならびにその置換が、例えば、再配置、環化、排除などによる変換を自然に受けない安定した化合物をもたらすという暗示的条件を含むことが理解されるであろう。本発明で使用する場合、「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むと考えられる。幅広い態様では、許容される置換基は、有機化合物の、非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の置換基を含む。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して1つ以上であってもよく、また同じもしくは異なっていてもよい。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載される有機化合物の水素置換基及び/または任意の許容される置換基を有し得る。置換基は、本明細書に記載される任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオ酢酸塩、またはチオギ酸塩)、アルコキシ、ホスホリル、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含み得る。好ましい実施形態では、置換アルキルの置換基は、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、ハロゲン、カルボニル、シアノ、またはヒドロキシルから選択される。より好ましい実施形態では、置換アルキルの置換基は、フルオロ、カルボニル、シアノ、またはヒドロキシルから選択される。当業者であれば、適切な場合、置換基自体が置換され得ることを理解するであろう。「非置換」と特に明記しない限り、本明細書における化学部分に対する言及は、置換バリアントを含むことが理解される。例えば、「アリール」基または部分に対する言及は、置換及び非置換バリアントの両方を暗示的に含む。
【0061】
「硫酸塩」という用語は、当該技術分野で認識されており、-OSOH基、またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0062】
「スルホンアミド」という用語は、当該技術分野で認識されており、一般式
【0063】
【化5】
によって表される基を指し、式中、各Rが、独立して、水素またはアルキルなどのヒドロカルビルを表すか、または両方のRが、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造に4個~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0064】
「スルホキシド」という用語は、当該技術分野で認識されており、-S(O)-R基を指し、式中、Rは、ヒドロカルビルを表す。
【0065】
「スルホン酸塩」という用語は、当該技術分野で認識されており、SO3H基、またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0066】
「スルホン」という用語は、当該技術分野で認識されており、-S(O)-R基を指し、式中、Rは、ヒドロカルビルを表す。
【0067】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、チオール基で置換されたアルキル基を指す。
【0068】
「チオエステル」という用語は、本明細書で使用される場合、-C(O)SRまたは-SC(O)Rの基を指し、式中、Rは、ヒドロカルビルを表す。
【0069】
「チオエーテル」という用語は、本明細書で使用される場合、エーテルと同等であり、式中、酸素が、硫黄で置換されている。
【0070】
「尿素」という用語は、当該技術分野で認識されており、一般式
【0071】
【化6】
によって表され得、式中、各Rが、独立して、水素またはアルキルなどのヒドロカルビルを表すか、または別の及び介在する原子(複数可)と一緒になったRの任意の出現が、環構造に4個~8個の原子を有する複素環を完成させる。
【0072】
「保護基」は、分子中の反応性官能基に結合した場合、官能基の反応性をマスクする、低減する、または予防する原子の群を指す。典型的に、保護基は、合成の経過中に所望される場合、選択的に除去され得る。保護基の例は、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,3rd Ed.,1999,John Wiley&Sons,NY及びHarrison et al.,Compendium of Synthetic Organic Methods,Vols.1-8,1971-1996,John Wiley&Sons,NY中に見出され得る。代表的な窒素保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(「TES」)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロキシル保護基としては、ベンジル及びトリチルエーテルなどのヒドロキシル基がアシル化(エステル化)またはアルキル化されるもの、ならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSまたはTIPS基)、グリコールエーテル(例えば、エチレングリコール及びプロピレングリコール誘導体)、及びアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書において使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計的試料において、未治療の対照試料に対して治療した試料中の障害もしくは状態の発生を低減する、もしくは発生を遅延させる、または未治療の対照試料に対して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の重症度を低減する化合物を指す。
【0074】
「治療する」という用語は、予防的及び/または治療的処置を含む。「予防的または治療的」処置という用語は、当該技術分野で認識されており、対象組成物のうちの1つまたは複数の宿主への投与を含む。それが望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患または他の望ましくない状態)の臨床症状の前に投与される場合、治療は予防的である(すなわち、それは望ましくない状態の発症から宿主を保護する)一方、望ましくない状態が現れた後に投与される場合、治療は治療的である(すなわち、既存の望ましくない状態またはその副作用を軽減、改善、または安定させることを目的としている)。
【0075】
「併用投与」及び「併用的に投与する」という句は、以前に投与された治療化合物が体内で依然として有効である間に第2の化合物が投与されるような2つ以上の異なる治療化合物の任意の投与形態を指す(例えば、2つの化合物は患者に同時に効果的であり、2つの化合物の相乗効果が含まれる場合がある)。例えば、異なる治療化合物は、同じ製剤で、または別々の製剤で、同時にまたは連続して投与することができる。特定の実施形態では、異なる治療化合物は、互いに1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または1週間以内に投与することができる。したがって、そのような治療を受ける個体は、異なる治療化合物の組み合わされた効果から恩恵を受けることができる。
【0076】
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で、本発明の治療的活性剤に変換される化合物を包含することが意図される。プロドラッグを作製するための一般的な方法は、所望の分子を明らかにするために、生理学的条件下で加水分解された1つまたは複数の選択部分を含めることである。他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。例えば、エステルまたは炭酸塩(例えば、アルコールまたはカルボン酸のエステルまたは炭酸塩)は、本発明の好ましいプロドラッグである。特定の実施形態では、上記の製剤中の本発明の化合物の一部または全ては、対応する適切なプロドラッグで置き換えることができ、例えば、親化合物中のヒドロキシルは、エステルもしくは炭酸塩として提示されるか、または親化合物中に存在するカルボン酸は、エステルとして提示される。
【0077】
本明細書において使用される場合、「低分子」とは、分子量が約3,000ダルトン未満の小さな有機または無機分子を指す。一般に、本発明に有用な低分子は、3,000ダルトン(Da)未満の分子量を有する。低分子は、例えば、少なくとも約100Da~約3,000Da(例えば、約100~約3,000Da、約100~約2500Da、約100~約2,000Da、約100~約1,750Da、約100~約1,500Da、約100~約1,250Da、約100~約1,000Da、約100~約750Da、約100~約500Da、約200~約1500、約500~約1000、約300~約1000Da、または約100~約250Da)であり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、「低分子」は、典型的には約1000未満の分子量を有する有機、無機、または有機金属化合物を指す。いくつかの実施形態では、低分子は、約1nmのサイズの有機化合物である。いくつかの実施形態では、本発明の低分子薬物は、約1000未満の分子量を有するオリゴペプチド及び他の生体分子を包含する。
【0079】
「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。例えば、治療量は、所望の治療効果を達成する量である。この量は、予防的有効量と同じでも異なっていてもよく、これは疾患または疾患の症状の発症を防ぐために必要な量である。有効量は、1回以上の投与、適用、または用量で投与され得る。組成物の治療有効量は、選択される組成物に依存する。組成物は、1日1回以上から週1回以上(1日おきを含む)投与することができる。当業者であれば、疾患または障害の重症度、以前の治療、一般的な健康、及び/または対象の年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない特定の因子が、対象を効果的に治療するために必要な用量及びタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。さらに、治療有効量の本明細書に記載の組成物による対象の治療は、単一の治療または一連の治療を含むことができる。
【0080】
本発明の化合物
本発明の一態様は、TRPC5の低分子モジュレーターを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、TRPC5の低分子阻害剤を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、TRPC5の低分子アゴニストを提供する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、式(I)もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩である:
【0082】
【化7】
(式中、
A及びA’は、CR及びNから独立して選択され、
RはL-Rであり、
Lは存在しない、CH、O、SO、またはNRであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択され、Lが存在しない場合、RはさらにHから選択され、
各Rは独立してHまたはアルキルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから選択され、
は、アルキル、任意に置換されたアルキレン-アリール、及び任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールから選択され、
各Rは、H、N(R、ORから独立して選択され、
各Rは、H、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、及び(アリール)S(O)から独立して選択され、
Xは、-C(O)-、CH、CHR、C(Rであり、
各Rは、H、アルキル、及び任意に置換されたアルキレン-OHから独立して選択され、
X’は、-C(O)-、CH、CHR3’、C(R3’であるか、またはX’はRと一緒になって5もしくは6員環を形成し、
各R3’は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから独立して選択され、ならびに
Zは存在しない、CH、CHR、O、-NR-、または-SO-であり、
但し、X及びX’の両方が-C(O)-であることはなく、ZがO、NR、またはSOの場合、RはHである)。
【0083】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態では、化合物は、式(II)の化合物である。
【0084】
いくつかの実施形態では、A及びA’のうちの少なくとも1つはCRである。
【0085】
いくつかの実施形態では、AはNである。いくつかの実施形態では、AはCRである。
【0086】
いくつかの実施形態では、A’はNである。いくつかの実施形態では、A’はCRである。
【0087】
いくつかの実施形態では、A’はN、AはCRである。
【0088】
いくつかの実施形態では、RはL-Rである。
【0089】
いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、Lが存在しない場合、RはさらにHから選択される。いくつかの実施形態では、LはCHである。いくつかの実施形態では、LはOである。いくつかの実施形態では、LはSOである。いくつかの実施形態では、LはNRである。
【0090】
いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアリールである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたフェニルである。いくつかの実施形態では、Rは置換されたフェニルである。いくつかの実施形態では、置換されたフェニルは、ハロゲン、-CF、-C(H)F、及び-OCFから独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換される。
【0091】
いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、ハロゲン、-CF、-C(H)F、及び-OCFから独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換された置換ヘテロアリールである。
【0093】
いくつかの実施形態では、LはOであり、Rは、3-クロロフェニル、3-フルオロフェニル、3-トリフルオロメトキシフェニル、イソプロピル、またはn-プロピルである。
【0094】
いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0095】
いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキレン-ORである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたシクロアルキレン-ORである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキレン-N(Rである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたシクロアルキレン-N(Rである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキレン-C(O)N(Rである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(Rである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたアルキレン-S(O)N(Rである。いくつかの実施形態では、Rは任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rである。いくつかの実施形態では、Rは、メチル、2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、2,2-ジフルオロ-3-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、3-メトキシプロピル、3-ヒドロキシシクロブチル、または3-ヒドロキシシクロペンチルである。
【0096】
いくつかの実施形態では、Rの1つの例はHであり、また、Rの第2の例は、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、または(アリール)S(O)-である。いくつかの実施形態では、Rの1つの例はアルキルであり、また、Rの第2の例は、H、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、または(アリール)S(O)-である。いくつかの実施形態では、Rの両方の例はHである。いくつかの実施形態では、Rの両方の例はアルキルである。
【0097】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0098】
【化8】
から選択される。いくつかの実施形態では、Rは、
【0099】
【化9】
である。
【0100】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0101】
【化10】
から選択される。
【0102】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0103】
【化11】
から選択される。
【0104】
いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される。いくつかの実施形態では、Rは、n-ブチルである。
【0105】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアルキレン-アリールである。いくつかの実施形態では、アルキレン-アリールのアルキレンは置換される。いくつかの実施形態では、アルキレン-アリールのアリールは置換される。いくつかの実施形態では、置換されたアリールは、ハロゲン、-CF、-C(H)F、または-OCFで置換される。いくつかの実施形態では、アルキレン-アリールのアリールは任意に置換されたフェニルである。いくつかの実施形態では、フェニルは、1つまたは複数例のハロゲンで置換されている。いくつかの実施形態では、アルキレン-アリールのアルキレンはメチレンである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールである。
【0106】
いくつかの実施形態では、Rは、n-ブチル、4-クロロベンジル、または2-(4-クロロフェニル)エタン-2-イルである。
【0107】
いくつかの実施形態では、R
【0108】
【化12】
である。いくつかの実施形態では、R
【0109】
【化13】
である。いくつかの実施形態では、R
【0110】
【化14】
である。
【0111】
いくつかの実施形態では、各RはHである。いくつかの実施形態では、一方のRは水素であり、他方のRは-O-アルキルである。いくつかの実施形態では、一方のRは水素であり、他方のRは-OMeである。いくつかの実施形態では、一方のRは水素であり、他方のRは-OHである。いくつかの実施形態では、一方のRは水素であり、他方のRは-NMeである。いくつかの実施形態では、一方のRは水素であり、他方のRは-NHである。
【0112】
いくつかの実施形態では、Xは-C(O)-である。いくつかの実施形態では、XはCHである。いくつかの実施形態では、Xは-CHR-である。いくつかの実施形態では、Xは-C(R-である。いくつかの実施形態では、Rはアルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアルキレン-OHである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたエチレン-OHである。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたエチレン-OHである。いくつかの実施形態では、RはHである。
【0113】
いくつかの実施形態では、X’は-C(O)-である。いくつかの実施形態では、X’はCHである。
【0114】
いくつかの実施形態では、X’は-CHR3’-である。いくつかの実施形態では、X’は-C(R3’-である。いくつかの実施形態では、R3’はアルキルである。いくつかの実施形態では、R3’は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びtert-ブチルから選択される。いくつかの実施形態では、R3’はメチルである。いくつかの実施形態では、R3’は、任意に置換されたアルキレン-OHである。いくつかの実施形態では、R3’は、任意に置換されたエチレン-OHである。いくつかの実施形態では、R3’は、置換されたエチレン-OHである。
【0115】
いくつかの実施形態では、Zは存在しない。いくつかの実施形態では、ZはCHである。いくつかの実施形態では、Zは-N(アルキル)-である。いくつかの実施形態では、Zは、-N(n-ブチル)-、-N(iso-ブチル)-、及び-N(tert-ブチル)-から選択される。いくつかの実施形態では、Zは-SO-である。いくつかの実施形態では、Zは存在せず、各Rは水素である。
【0116】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0117】
【化15】
から選択される。
【0118】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0119】
【化16】
である。
【0120】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0121】
【化17】
である。
【0122】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0123】
【化18】
から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0125】
【化19】
【0126】
【化20】
から選択される。
【0127】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0128】
【化21】
から選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0130】
【化22】
である。
【0131】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0132】
【化23】
である。
【0133】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0134】
【化24】
である。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0136】
【化25】
である。
【0137】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【0138】
【化26】
である。
【0139】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、ラセミ体であり得る。特定の実施形態では、本発明の化合物は、1つのエナンチオマーが豊富であり得る。例えば、本発明の化合物は、30%超のee、40%超のee、50%超のee、60%超のee、70%超のee、80%超のee、90%超のee、またはさらには95%以上のeeを有し得る。
【0140】
本発明の化合物は、複数の立体中心を有する。したがって、本発明の化合物は、1つまたは複数のジアステレオマーが豊富であり得る。例えば、本発明の化合物は、30%超のde、40%超のde、50%超のde、60%超のde、70%超のde、80%超のde、90%超のde、またはさらには95%以上のdeを有し得る。特定の実施形態では、本発明の化合物は、1つまたは複数の立体中心に実質的に1つの異性体配置を有し、残りの立体中心に複数の異性体配置を有する。
【0141】
特定の実施形態では、立体中心のエナンチオマー過剰率は、少なくとも40%ee、50%ee、60%ee、70%ee、80%ee、90%ee、92%ee、94%ee、95%ee、96%ee、98%ee以上のeeである。
【0142】
本明細書において使用される場合、立体化学なしで描かれた単結合は、化合物の立体化学を表さない。
【0143】
本明細書において使用される場合、ハッシュまたは太字の非ウエッジ結合が、相対的だが絶対的ではない立体化学配置(例えば、所与のジアステレオマーのエナンチオマーを区別しない)を示す。
【0144】
本明細書において使用される場合、ハッシュまたは太字のウエッジ結合は、絶対的な立体化学配置を示す。
【0145】
特定の実施形態では、本発明の化合物の治療調製物は、化合物の主に1つのエナンチオマーを提供するように豊富であり得る。エナンチオマーが豊富な混合物は、例えば、1つのエナンチオマーを少なくとも60モルパーセント、またはより好ましくは少なくとも75、90、95、もしくはさらには99モルパーセント含み得る。特定の実施形態では、1つのエナンチオマーが豊富な化合物は、実質的に他のエナンチオマーを含まず、実質的に含まないとは、問題の物質が、例えば、組成物または化合物混合物中の他のエナンチオマーの量と比較して、10%未満、または5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満を占めることを意味する。例えば、組成物または化合物混合物が、98グラムの第1のエナンチオマーと2グラムの第2のエナンチオマーを含有する場合、98モルパーセントの第1のエナンチオマーとわずか2%の第2のエナンチオマーを含有すると考えられる。
【0146】
特定の実施形態では、治療調製物は、本発明の化合物の主に1つのジアステレオマーを提供するように豊富であり得る。ジアステレオマーが豊富な混合物は、例えば、1つのジアステレオマーを少なくとも60モルパーセント、またはより好ましくは少なくとも75、90、95、もしくはさらには99モルパーセント含み得る。
【0147】
治療方法
非選択的Ca2+透過性一過性受容体電位(TRP)チャネルは、アクチンのリモデリング及び細胞遊走を含む多様な細胞プロセスにおいて細胞外キューを細胞内環境に変換するセンサーとして機能する(Greka et al.,Nat Neurosci 6,837-845,2003;Ramsey et al.,Annu Rev Physiol 68,619-647,2006;Montell,Pflugers Arch 451,19-28,2005;Clapham,Nature 426,517-524,2003)。アクチン細胞骨格の動的再構成は、時空間的に調節されたCa2+流入に依存しており(Zheng and Poo,Annu Rev Cell Dev Biol 23,375-404,2007);Brandman and Meyer,Science 322,390-395,2008);Collins and Meyer,Dev Cell 16,160-161,2009)、小さなGTPase RhoA及びRac1は、これらの変化の重要なモジュレーターとして機能する(Etienne-Manneville and Hall,Nature 420,629-635,2002);Raftopoulou and Hall,Dev Biol 265,23-32,2004)。RhoAはストレスファイバー及び焦点接着の形成を誘発し、Rac1はラメリポディアの形成を媒介する(Etienne-Manneville and Hall,Nature 420,629-635,2002)。一過性受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーC、メンバー5(TRPC5)は、TRPC6と協調して作用し、腎臓ポドサイト及び線維芽細胞におけるCa2+流入、アクチンリモデリング、及び細胞運動性を調節する。TRPC5を介したCa2+流入はRac1活性を増加させるが、TRPC6を介したCa2+流入はRhoA活性を促進する。TRPC6チャネルの遺伝子サイレンシングは、ストレスファイバーを消滅させ、焦点接触を減少させ、運動性、遊走性細胞の表現型をもたらす。対照的に、TRPC5チャネルの遺伝子サイレンシングは、ストレスファイバーの形成を助け、収縮細胞の表現型をもたらす。本明細書に記載の結果は、TRPC5及びTRPC6チャネルがRac1及びRhoAへの差動結合を通じて細胞骨格ダイナミクスの厳密に調節されたバランスを制御する、保存されたシグナル伝達メカニズムを明らかにする。
【0148】
アクチン細胞骨格のCa2+依存性リモデリングは、細胞遊走を駆動する動的プロセスである(Wei et al.,Nature 457,901-905,2009)。RhoA及びRac1は、遊走する細胞の細胞骨格の再配置に関与するスイッチとして機能する(Etienne-Manneville and Hall,Nature 420,629-635,2002);Raftopoulou and Hall,Dev Biol 265,23-32,2004)。Rac1の活性化は運動性の細胞表現型を媒介するが、RhoA活性は収縮表現型を促進する(Etienne-Manneville and Hall,Nature 420,629-635,2002)。Ca2+は、小さなGTPase調節において中心的な役割を果たす(Aspenstrom et al.,Biochem J 377,327-337,2004)。Ca2+の空間的及び時間的に制限されたフリッカーは、遊走細胞の先端近くで豊富である(Wei et al.,Nature 457,901-905,2009)。したがって、Ca2+マイクロドメインは、Rac1活性の局所的バーストに(Gardiner et al.,Curr Biol 12,2029-2034,2002;Machacek et al.,Nature 461,99-103,2009)、先端の重要な事象として加わった。今日まで、GTPase調節に関与するCa2+流入の源は、ほとんど分かっていない。TRP(一過性受容体潜在的)チャネルは、線維芽細胞及び神経成長円錐における細胞遊走に関連する時間的及び空間的に制限されたCa2+シグナルを生成する。具体的には、TRPC5チャネルは、神経成長円錐ガイダンス1の既知のレギュレーターであり、神経でのそれらの活性はPI3K及びRac1活性に依存する(Bezzerides et al.,Nat Cell Biol 6,709-720,2004)。
【0149】
ポドサイトは、腎糸球体の後腎間充織に由来する神経様細胞であり、腎ろ過装置の形成に不可欠である(Somlo and Mundel,Nat Genet. 24,333-335,2000;Fukasawa et al.,J Am Soc Nephrol 20,1491-1503,2009)。ポドサイトは、環境キューに対する細胞骨格の適応の精巧に洗練されたレパートリーを持っている(Somlo and Mundel,Nat Genet 24,333-335,2000;Garg et al.,Mol Cell Biol 27,8698-8712,2007;Verma et al.,J Clin Invest 116,1346-1359,2006;Verma et al.,J Biol Chem 278,20716-20723,2003;Barletta et al.,J Biol Chem 278,19266-19271,2003;Holzman et al.,Kidney Int 56,1481-1491,1999;Ahola et al.,Am J Pathol 155,907-913,1999;Tryggvason and Wartiovaara,N Engl J Med 354,1387-1401,2006;Schnabel and Farquhar,J Cell Biol 111,1255-1263,1990;Kurihara et al.,Proc Natl Acad Sci USA 89,7075-7079,1992)。ポドサイト損傷の初期の事象は、アクチン細胞骨格の調節不全(Faul et al.,Trends Cell Biol 17,428-437,2007;Takeda et al.,J Clin Invest 108,289-301,2001;Asanuma et al.,Nat Cell Biol 8,485-491,2006)及びCa2+ホメオスタシス(Hunt et al.,J Am Soc Nephrol 16,1593-1602,2005;Faul et al.,Nat Med 14,931-938,2008)を特徴とする。これらの変化は、タンパク尿の発症、尿腔へのアルブミンの損失、及び最終的には腎不全に関連する(Tryggvason and Wartiovaara,N Engl J Med 354,1387-1401,2006)。血管作動性ホルモンアンジオテンシンIIは、ポドサイトにおけるCa2+流入を誘導し、長期にわたる治療はストレスファイバーの損失をもたらす(Hsu et al.,J Mol Med 86,1379-1394,2008)。Ca2+流入と細胞骨格の再編成の間に関連性が認識されているが、ポドサイトが、細胞の形及び運動性を調節する細胞外キューを感知して変換するメカニズムは分かっていない。TRP標準6(TRPC6)チャネル変異は、ポドサイトの損傷と関連しているが(Winn et al.,Science 308,1801-1804,2005;Reiser et al.,Nat Genet 37,739-744,2005;Moller et al.,J Am Soc Nephrol 18,29-36,2007;Hsu et al.,Biochim Biophys Acta 1772,928-936,2007)、このプロセスを制御する特定の経路についてはほとんど分かっていない。さらに、TRPC6は、TRPCチャネルファミリーの他の6つのメンバーと相同性が近い(Ramsey et al.,Annu Rev Physiol 68,619-647,2006;Clapham,Nature 426,517-524,2003)。TRPC5チャネルは、TRPC6チャネルの活性に拮抗して、別個の小さなGTPaseへの差動結合を通じて、細胞骨格ダイナミクスの厳密に制御されたバランスを制御する。
【0150】
タンパク尿
タンパク尿は、タンパク質が尿中に存在する病的状態である。アルブミン尿症は、タンパク尿の一種である。微量アルブミン尿は、腎臓が少量のアルブミンを尿中に漏出させる時に発生する。正常に機能している体内では、アルブミンは腎臓によって血流に保持されるため、通常、尿中には存在しない。微量アルブミン尿は、24時間の尿採取(20~200μg/分)によって、または、より一般的には、少なくとも2回の高濃度(30~300mg/L)によって診断される。微量アルブミン尿は、糖尿病性腎症の前兆となり得る。これらの値を超えるアルブミンレベルは、マクロアルブミン尿と呼ばれる。例えば、糖尿病性腎症などの特定の状態の対象は、微量アルブミン尿からマクロアルブミン尿へと進行し得、腎疾患が進行段階に到達する時にネフローゼ域(3.5g超/24時間)に達する可能性がある。
【0151】
タンパク尿の原因
タンパク尿は、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、進行性(三日月型)糸球体腎炎、及び膜性糸球体腎炎を含む、多くの状態に関連し得る。
【0152】
A.巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は、腎臓のろ過システム(糸球体)を攻撃する病気で、深刻な瘢痕化を引き起こす。FSGSは、ネフローゼ症候群として知られる病気の多くの原因の1つであり、血液中のタンパク質が尿に漏れた場合(タンパク尿)に発生する。
【0153】
FSGSの患者が利用できる治療法はほとんどない。多くの患者はステロイド療法で治療されており、そのほとんどは非常に厳しい副作用を持っている。一部の患者は、尿中のタンパク質レベルを低下させることが示されている血圧抑制薬だけでなく、免疫抑制薬にも積極的に反応することを示す。今日まで、一般に受け入れられている効果的な処置または治療はなく、FSGSを治療するためのFDA認可薬物もない。したがって、タンパク尿を低減または抑制するより効果的な方法が望まれている。
【0154】
B.IgA腎症
IgA腎症(IgA腎炎、IgAN、ベルジェ病、及び咽頭炎性(synpharyngitic)糸球体腎炎としても知られる)は、糸球体腎炎(腎臓の糸球体の炎症)の一種である。IgA腎症は、世界中で最も一般的な糸球体腎炎である。原発性IgA腎症は、糸球体におけるIgA抗体の沈着を特徴とする。糸球体IgA沈着に関連する他の疾患があり、最も一般的なのはヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)であり、これは多くの人がIgA腎症の全身型であると考えている。ヘノッホ・シェーンライン紫斑は、特徴的な紫斑性皮膚発疹、関節炎、及び腹痛を呈し、若年成人(16~35歳)でより一般的に発生する。HSPはIgA腎症よりも良性の予後と関連している。IgA腎症では、20年間で症例の25~30%で慢性腎不全への進行が遅い。
【0155】
C.糖尿病性腎症
キンメルスチール・ウィルソン症候群及び毛細血管性糸球体腎炎としても知られている糖尿病性腎症は、腎糸球体の毛細血管の血管障害によって引き起こされる進行性腎疾患である。それはネフローゼ症候群及びびまん性糸球体硬化症を特徴とする。これは、長期にわたる糖尿病に起因し、透析の主な原因である。糖尿病性腎症の経過における最も早い検出可能な変化は、糸球体の肥厚である。この段階で、腎臓は、尿中に正常よりも多くの血清アルブミンを与え始める可能性がある。糖尿病性腎症の進行につれ、結節性糸球体硬化症によって破壊される糸球体の数が増加し、尿中に排泄されるアルブミンの量が増加する。
【0156】
D.ループス腎炎
ループス腎炎は、全身性エリテマトーデスの合併症である腎障害である。ループス腎炎は、抗体と補体が腎臓に蓄積して炎症を引き起こす時に発生する。それは、多くの場合タンパク尿を引き起こし、腎不全に急速に進行し得る。血流中に窒素老廃物が蓄積する。全身性エリテマトーデスは、間質性腎炎を含む腎臓の内部構造の様々な障害を引き起こす。ループス腎炎は、10,000人中約3人が罹患している。
【0157】
E.膜性増殖性糸球体腎炎I/II/III
膜性増殖性糸球体腎炎は、腎糸球体メサンギウム及び基底膜肥厚における沈着、補体の活性化及び糸球体の損傷によって引き起こされる糸球体腎炎の一種である。膜性増殖性糸球体腎炎には3つの種類がある。I型は、腎臓に沈着する免疫複合体によって引き起こされ、古典的な補体経路と関連していると考えられている。II型は、I型に類似しているが、第二補体経路と関連していると考えられている。III型は非常にまれであり、それは上皮下沈着の混合及びI型疾患の典型的な病理学的所見によって特徴付けられる。
【0158】
F.進行性(三日月型)糸球体腎炎
進行性(三日月型)糸球体腎炎(PG)は、腎臓の症候群であり、治療しないまま放置すると、数ヶ月以内に急性腎不全及び死に急速に進行する。症例の50%では、PGは、グッドパスチャー症候群、全身性エリテマトーデス、またはウェゲナー肉芽腫症などの基礎疾患に関連しており、残りの症例は特発性である。基礎疾患に関係なく、PGは腎臓の糸球体に対する重度の損傷を伴い、糸球体の多くは特徴的な三日月形の瘢痕を含む。PGの患者には、血尿、タンパク尿があり、高血圧及び浮腫を伴うこともある。臨床像は腎炎症候群と一致しているが、タンパク尿の程度は3g/24時間を超える場合があり、その範囲はネフローゼ症候群に関連する。未治療の疾患は尿量の減少(乏尿)に進行する可能性があり、これは腎機能の低下に関連している。
【0159】
G.膜性糸球体腎炎
膜性糸球体腎炎(MGN)は、徐々に進行する腎臓の疾患であり、主に30歳~50歳の患者、通常白色人種に発症する。それはネフローゼ症候群に発展し得る。MGNは、免疫複合体の循環によって引き起こされる。現在の研究は、免疫複合体の大部分が、糸球体基底膜へのin situの抗原に対する抗体の結合を介して形成されることを示している。該抗原は、基底膜に対して内因性であり得るか、または全身循環から沈着し得る。
【0160】
H.肥満
マウスで実験的に誘発されたTrpC5欠乏は、過剰な体重増加につながる正のエネルギーバランスを引き起こすことが示されているY Gao et al.,Cell Rep 2017,18(3),pp.583-92。したがって、TrpC5のアゴニズムは肥満の減少につながる可能性がある。
【0161】
尿タンパク質レベルの測定
尿中のタンパク質レベルは、当該技術分野において既知の方法を使用して測定することができる。最近まで、タンパク質の正確な測定には、24時間の尿採取が必要であった。24時間の採取では、患者は排尿し、トイレに行くまで冷蔵保管されている容器に入れる。患者は、朝の最初のトイレの後に、尿の採取を開始するように指示される。その日の残りの全ての尿滴を容器に採取する。翌朝、患者は目覚めた後に最初の排尿を追加し、採取が完了する。
【0162】
最近では、単一の尿試料だけで必要な情報を提供できることを研究者たちは発見した。新しい手法では、尿試料中のアルブミンの量が、正常な筋肉破壊の老廃物であるクレアチニンの量と比較される。この測定値は、尿アルブミン-クレアチニン比(UACR)と呼ばれる。クレアチニン1グラムあたり30ミリグラム(30mg/g)を超えるアルブミンを含む尿試料は、問題がある可能性があると警告される。臨床検査が30mg/gを超える場合、1~2週間後に別のUACR試験を行わなければならない。2回目の試験でも高レベルのタンパク質が示される場合、ヒトは腎機能低下の兆候である持続性タンパク尿があり、腎機能を評価するための追加の試験が必要である。
【0163】
血液中のクレアチニンの量を測定する試験は、対象の腎臓が老廃物を効率的に除去しているかどうかも示す。血液中のクレアチニンが多すぎることは、ヒトの腎臓に損傷がある徴候である。医師はクレアチニン測定値を使用して、腎臓が血液をろ過する効率性を推定できる。この計算は、推定糸球体ろ過率、またはeGFRと呼ばれる。慢性腎臓病は、eGFRが60ミリリットル/分(mL/分)未満の時に存在する。
【0164】
TRPC5
TRPCは、動物における一過性受容体電位カチオンチャネルのファミリーである。TRPC5は、哺乳動物の一過性受容体電位イオンチャネルのTRPCファミリーのサブタイプである。TRPC5の3つの例を、以下の表1にハイライトする。
【0165】
【表1】
【0166】
したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明のTRPC5阻害化合物(例えば、式IまたはIIのTRPC5阻害化合物)、または該化合物を含む薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、腎疾患を治療する、またはその発症のリスクを低減する方法を提供する。
【0167】
いくつかの実施形態では、腎疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、糖尿病性腎症、アルポート症候群、高血圧性腎疾患、ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、微小変化型疾患、膜性腎症、特発性膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、免疫複合体媒介MPGN、補体媒介MPGN、ループス腎炎、感染後糸球体腎炎、菲薄基底膜病、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、アミロイドーシス(原発性)、c1q腎症、急速進行性GN、抗GBM疾患、C3糸球体腎炎、高血圧性腎硬化症、及びIgA腎症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、腎疾患はタンパク尿である。いくつかの実施形態では、腎疾患は、微量アルブミン尿症またはマクロアルブミン尿症である。
【0168】
本発明はまた、治療有効量の本発明のTRPC5阻害化合物(例えば、式IまたはIIのTRPC5阻害化合物)、または該化合物を含む薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、不安症、またはうつ病、またはがんを治療する、またはその発症のリスクを低減する方法を提供する。
【0169】
特定の実施形態では、本発明は、治療有効量の本発明のTRPC5アゴニスト化合物(例えば、式IまたはIIのTRPC5アゴニスト化合物)、または該化合物を含む薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、肥満を治療する、またはその発症のリスクを低減する方法を提供する。
【0170】
治療対象
本発明の一態様では、対象は、腎疾患、不安症、うつ病、またはがんを有するか、または発症するリスクがあることに基づいて選択される。
【0171】
タンパク尿を有するか、または発症するリスクがある対象には、糖尿病、高血圧、または特定の家族のバックグラウンドを持つ対象が含まれる。米国では、糖尿病は末期の腎疾患(ESRD)の主な原因である。1型と2型の両方の糖尿病では、尿中のアルブミンは腎機能の悪化の最初の兆候の1つである。腎機能が低下すると、尿中のアルブミンの量が増加する。タンパク尿を発症する別の危険因子は高血圧である。高血圧のヒトのタンパク尿は、腎機能の低下の指標である。高血圧が制御されていない場合、ヒトは完全な腎不全に進行する可能性があり得る。アフリカ系アメリカ人は、血圧がわずかに上昇している場合でも、白色人種よりも高血圧であり、そのため腎臓の問題を発症する可能性が高くなっている。タンパク尿のリスクがある他の群は、アメリカインディアン、ヒスパニック/ラテン系、太平洋諸島系アメリカ人、高齢者、及び過体重の対象である。
【0172】
本発明の一態様では、対象は、タンパク尿を有するか、またはタンパク尿を発症するリスクがあることに基づいて選択される。タンパク尿を有するか、または発症するリスクがある対象は、状態の1つまたは複数の症状を有する対象である。タンパク尿の症状は当業者に知られており、尿中に大量のタンパク質を含むが、これに限定されず、それがトイレで泡状に見える可能性がある。大量のタンパク質が失われると浮腫が発生し、手、足、腹部、または顔にむくみが生じることがあり得る。これらは、大きなタンパク質損失の兆候であり、腎疾患が進行していることを示している。臨床検査は、広範囲の腎障害が発生する前に、タンパク質が対象の尿中にあるかどうかを確認する唯一の方法である。
【0173】
この方法は、哺乳動物、例えば、ヒト及び他の動物、例えば、実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、またはサル、または家庭及び農場用動物、例えば、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、またはウマを含む様々な対象に有効である。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【実施例0174】
本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定しない以下の実施例においてさらに説明される。
【0175】
実施例1:合成方法
以下は、本発明の例示的な化合物への合成経路を示す。
【0176】
中間体Aの調製
【0177】
【化27】
【0178】
2,4,5-トリブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-1H-イミダゾール
DMF(1000mL)中の、2,4,5-トリブロモ-1H-イミダゾール(120g,393.75mmol,1当量)、1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼン(100g,486.67mmol,1.236当量)、及びCsCO(200g,613.84mmol,1.559当量)の混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物に、EtOAc(500mL)及びHO(300mL)を添加した。有機層をHO(2X300mL)及びブライン(300mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させて、ろ過した。ろ液を濃縮して、2,4,5-トリブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-1H-イミダゾール(170g,粗製物)を淡黄色固体として得た。
【0179】
4,5-ジブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール
DMF(1000mL)中の、2,4,5-トリブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-1H-イミダゾール(175g,407.61mmol,1当量)、3-(トリフルオロメトキシ)フェノール(87.5g,491.27mmol,1.205当量)、及びDMF(1000mL)KCO(175g,1266.23mmol,3.106当量)の混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAc(750mL)及びHO(500mL)を添加した。有機層をHO(2X300mL)及びブライン(150mL)で洗浄し、次いで、無水NaSO上で乾燥させて、ろ過した。ろ液を濃縮して、粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(20:1~10:1)で溶出して、淡黄色の固体として4,5-ジブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール(200g,93.19%)を得た。
【0180】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(中間体A)
THF(100mL)中の4,5-ジブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール(10.52g,19.98mmol,1当量)の撹拌溶液にn-BuLi(25.8mL,64.57mmol,1当量)を-78℃で滴加した。得られた混合物を-78℃で30分間撹拌し、次にCO(g)を-78℃で50分間、上記の混合物を介してバブリングした。該反応混合物を-78℃で30分間撹拌した。上記の溶液にHATU(36.8g,96.86mmol,1.5当量)、MeOH(180mL)、及びTEA(70mL)を添加し、次いで得られた混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(20:1~5:1)で溶出して、白色固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(26g,79.63%)を得た。H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ7.46-7.40(m, 1H), 7.36-7.30(m, 2H), 7.22(dd, J = 8.4, 2.4Hz, 3H), 7.13(dtd, J = 9.9, 2.1, 1.1 Hz, 2H), 5.52(s, 2H), 3.89(s, 3H)。
【0181】
下の表に示す中間体C、E、G、I、J、K、L、M、及びNの調製は、適切なハロゲン化物及びフェノールと共に開始して、中間体Aの合成について説明した方法及びプロトコルに従う。
【0182】
【表2-1】
【0183】
【表2-2】
【0184】
【表2-3】
【0185】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(中間体B)
THF(50mL)及びHO(50mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(8g,15.82mmol,1当量)の混合物にLiOH(3.8g,158.21mmol,10当量)を加え、室温で10時間攪拌した。得られた混合物をEA(4x200mL)で抽出した。合一させた有機層を水(1x100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣/粗生成物を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g、移動相A:水(0.1%AcOH)、移動相B:ACN、流速:60mL/分、勾配:15分で80~90%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、白色固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(7.5g,96.42%)を得た。H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ13.41(s, 1H), 7.59(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.42(dd, J = 8.7, 2.1Hz, 3H), 7.37(dt, J = 8.2, 1.5Hz, 1H), 7.33-7.29(m, 1H), 7.29-7.24(m, 2H), 5.51(s, 2H)
【0186】
以下の表に示す中間体D、F及びHの調製は、適切な中間体と共に開始して、中間体Bの合成について説明した方法及びプロトコルに従う。
【0187】
【表3】
【0188】
化合物1の調製
【0189】
【化28】
【0190】
4-[(2-[[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ]エチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
ジオキサン(30mL,89.53当量)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(2g,3.96mmol,1当量)、N-[2-(メチルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチル(1.4g,7.91mmol,2.00当量)、キサントホス(686.6mg,1.19mmol,0.3当量)、Pd(dba)(362.2mg,0.40mmol,0.1当量)、及びCsCO(3.9g,11.87mmol,3当量)の混合物を100℃で14時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(10:1~3:2)で溶出して、淡黄色の油として4-[(2-[[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ]エチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(630mg,26.59%)を得た。
H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.41(t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.34-7.26(m, 3H), 7.18(t, J = 8.7Hz, 2H), 7.09 (d,J = 8.4Hz, 1H), 5.39(s, 2H), 5.28(s, 1H), 3.78(s, 3H), 3.38(dd, J = 18.5, 5.7Hz, 4H), 2.94(s, 3H), 1.43(s, 9H)
【0191】
4-[(2-アミノエチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
DCM(30mL)中、4-[(2-[[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ]エチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(700mg,1.17mmol,1当量)の攪拌溶液にTFA(10mL)を室温で滴加した。次いで、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をKCOでpH10に塩基性化し、酢酸エチル(5x50mL)で抽出し、次いで有機層をブライン(2x50mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して、淡黄色の油として4-[(2-アミノエチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(500mg,粗製物)を得た。
【0192】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン
ジオキサン(15mL)中の、4-[(2-アミノエチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(370mg,0.74mmol,1当量)の攪拌混合物に、NaH(59.3mg,1.48mmol,2.00当量,60%)を窒素雰囲気下、0℃で0.5時間加えた。得られた混合物を100℃でさらに4時間撹拌した。得られた混合物に酢酸エチル(100mL)及びブライン(50mL)を加え、次に水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。合一させた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して粗生成物を得、これを以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:30分で40%B~70%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製して、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン(23mg,6.64%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.37(q, J = 10.5, 9.4Hz, 1H), 7.27(d, J = 11.1Hz, 5H), 7.19(d, J = 8.5Hz, 1H), 7.07(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.80(s, 1H), 5.53(s, 2H), 3.54-3.33(m, 4H), 3.03(s, 3H)
【0193】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン
DMF(5mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン(23mg,0.05mmol,1当量)、2-(3-ブロモプロポキシ)オキサン(22.0mg,0.10mmol,2当量)、及びKCO(20.4mg,0.15mmol,3当量)の混合物を室温で8時間撹拌した。反応物に、EtOAc(50mL)及びHO(50mL)を加えた。有機層をブライン(2x30mL)で洗浄し、濃縮して残渣を得、これを以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、40g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:40mL/分;勾配:30分で50%B~70%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製して、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン(10mg,33.33%)を得た。
【0194】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン(化合物1)
THF(5mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン(10mg)の撹拌溶液に、2MのHCl(5mL)を室温で滴加した。次いで、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をKCOでpH10に塩基性化し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、次いで有機層をブライン(2x20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して粗生成物を得、これを分取キラルHPLCにより精製(カラム:XBridge分取C18 OBDカラム、5μm、19*150mm;移動相A:水(0.1%FA)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:7分で50%B~85%B;254&220nm;RT:6.5分)し、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-8-オン(2.2mg,25.53%)を得た。H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.50(t, J = 8.2Hz, 1H), 7.33-7.26(m, 2H), 7.23-7.15(m, 5H), 5.47(s, 2H), 3.59-3.54(m, 2H), 3.53-3.41(m, 6H), 3.01(s, 3H), 1.79-1.70(m, 2H)。分子式C2424ClFの計算された[M+H]:525、観測値:525。
【0195】
化合物2の調製
【0196】
【化29】
【0197】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-(3-ヒドロキシプロピル)-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(20mL)及びTEA(0.5mL,4.71mmol,5.0当量)中の、3-アミノプロパン-1-オール(77.3mg,1.03mmol,1.5当量)、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-塩化カルボニル(350mg,0.69mmol,1当量)の混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(1:1~1:2)で溶出し、淡黄色の固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-(3-ヒドロキシプロピル)-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(220mg,58.43%)を得た。H NMR(300MHz,クロロホルム-d)δ7.43(td, J = 8.0, 7.5, 1.0Hz, 1H), 7.34-7.28(m, 4H), 7.26(d, J = 2.4Hz, 2H), 7.24(s, 1H), 7.22-7.18(m, 1H), 7.16-7.08(m, 2H), 5.58(s, 2H), 3.61(dt, J = 9.8, 6.0Hz, 4H), 1.78(p, J = 5.8Hz, 2H)。
【0198】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(30mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-(3-ヒドロキシプロピル)-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1.00g,1.82mol,1当量)の混合物に、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(306.6mg,3.64mol,2.0当量)及びp-トルエンスルホン酸(15.7mg,0.09mmol,0.05当量)を加えた。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮して粗製物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(5:1~3:1)で溶出して、淡黄色の油として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1.00g,86.71%)を得た。H NMR(300MHz, クロロホルム-d)δ7.52-7.05(m, 8H), 6.92(s, 1H), 5.56(s, 2H), 4.58(dd, J = 4.7, 2.6Hz, 1H), 4.12-3.30(m, 9H), 2.01-1.33(m, 5H)。
【0199】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)酢酸エチル
DMF(20mL)及びNaH(126.4mg,3.16mmol,2.0当量,60%)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1000mg,1.58mmol,1当量)の混合物に、2-ブロモ酢酸エチル(527.8mg,3.16mmol,2.0当量)を0℃で滴加した。得られた混合物を室温に温め、室温で16時間攪拌した。反応混合物にHO(100mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(5:1~3:1)で溶出して、淡黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)酢酸エチル(970mg,87.08%)を得た。H NMR(300MHz, クロロホルム-d)δ7.45-7.35(m, 4H), 7.34-7.30(m, 8H), 7.09(d, J = 15.8Hz, 8H), 6.93(s, 1H), 5.57(d, J = 5.3Hz, 2H), 5.17(s, 6H), 4.53(d, J = 27.3Hz, 1H), 4.25(q, J = 7.7, 6.9Hz, 2H), 3.96-3.18(m, 9H), 1.96-1.70(m, 3H), 1.31(d, J = 3.1Hz, 4H)。
【0200】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド
2Mのメタノール中のメチルアミン(3.00mL)中の2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)酢酸エチル(970mg,1.35mmol,1当量)の混合物に、マイクロ波放射線を60℃で1時間照射した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(1:6~1:9)で溶出し、無色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド(600mg,63.17%)を得た。H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ8.07-7.88(m, 1H), 7.61-7.47(m, 1H), 7.38(d, J = 1.6Hz, 6H), 7.24(dd, J = 27.9, 9.7Hz, 5H), 5.12(s, 2H), 4.49(d, J = 30.7Hz, 2H), 4.15(s, 1H), 3.79-3.55(m, 1H), 3.39(s, 6H), 3.27(d, J = 4.1Hz, 0H), 2.60(dd, J = 13.1, 4.4Hz, 5H), 1.87-1.26(m, 14H)。
【0201】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
トルエン(10.0mL)中の、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド(500mg,0.71mmol,1当量)、Pd(dba)・CHCl(73.5mg,0.07mmol,0.1当量)、P(o-Tol)3(43.2mg,0.14mmol,0.2当量)、及びCsO3(462.9mg,1.42mmol,2.0当量)の混合物に、120℃で4時間マイクロ波放射線を照射した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(3:1~1:1)で溶出し、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2]-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(300mg,67.79%)を得た。
【0202】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(化合物2)
THF(10mL)及びHCl(6M)(20mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(300mg,0.48mmol,1当量)の混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮して、残渣を得た。残渣を飽和KCO(aq)でpH9に塩基性化し、次に混合物を酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、濃縮して粗生成物を得、これを以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:15分で50%B~60%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(220mg,84.78%)を得た。H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ7.59-7.54(m, 1H), 7.42-7.26(m, 7H), 5.44(s, 2H), 4.48(t, J = 5.1Hz, 1H), 4.05(s, 2H), 3.51(t, J = 7.1Hz, 2H), 3.39-3.33(m, 2H), 3.20(s, 3H), 1.69-1.60(m, 2H)。分子式C2422ClFの計算された[M+H]:539、観測値:539。
【0203】
以下の表に示す化合物3~5の調製は、適切な中間体Eと共に開始して、化合物2の合成について説明した方法及びプロトコルに従う。
【0204】
【表4】
【0205】
化合物6及び7の調製
【0206】
【化30】
【0207】
1-[(1R)-1-(4-クロロフェニル)エチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン及び1-[(1S)-1-(4-クロロフェニル)エチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
粗製物1-(1-(4-クロロフェニル)エチル)-2-(3-フルオロフェノキシ)-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-1,4,6,7-テトラヒドロイミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(200mg)を、以下の条件(カラム:CHIRALPAK IE、2*25cm、5μm;移動相A:ヘキサン0.1%DEA--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:17mL/分;勾配:11分で50B~50B;220/254nm;RT1:7.423;RT2:9.034)でキラルHPLCにより精製し、分離したエナンチオマー化合物6(RT 7.423分,73mg,23.14%)及び化合物7(RT 9.034分,77mg,24.41%)を得た。
【0208】
化合物の特性評価6:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.44-7.41(m, 2H), 7.38-7.31(m, 3H), 6.98-6.93(m, 1H), 6.87-6.82(m, 2H), 6.25(q, J = 7.2Hz, 1H), 4.16(s, 2H), 3.73-3.63(m, 2H), 3.56(t, J = 6.1Hz, 2H), 3.32(s, 3H), 2.00(d, J = 7.2Hz, 3H), 1.85(p, J = 6.6Hz, 2H)。分子式C2424ClFNの計算された[M+H]:487、観測値:487。
【0209】
化合物の特性評価7:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.43-7.41(m, 2H), 7.40-7.30(m, 3H), 6.98-6.95(m, 1H), 6.87-6.82(m, 2H), 6.25(q, J = 7.2Hz, 1H), 4.17(s, 2H), 3.68(t, J = 6.8, 2H), 3.56(t, J = 6.1Hz, 2H), 3.32(s, 3H), 2.00(d, J = 7.2Hz, 3H), 1.85(p, J = 6.7Hz, 2H)。分子式C2424ClFNの計算された[M+H]:487、観測値:487。
【0210】
化合物8の調製
【0211】
【化31】
【0212】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-メトキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(化合物8)
DMF(20mL)中の1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(120mg,0.22mmol,1当量)の混合物に、NaH(44.5mg,1.11mmol,5当量,60wt%)を窒素雰囲気下、0℃で0.5時間加えた。上記の混合物にCHI(94.8mg,0.67mmol,3当量)を0℃で加えた。得られた混合物を80℃でさらに16時間撹拌した。混合物をKCO(aq)でpH10に塩基性化し、酢酸エチル(5x50mL)で抽出し、次に有機層をブライン(2x50mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣を以下の条件(カラム:XBridge分取OBD C18カラム 30*150mm 5μm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:7分で45%B~80%B;220nm;RT:6.55分)で逆相フラッシュにより精製し、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-メトキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(34.1mg,27.70%)を得た。H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.52(t, J = 8.2Hz, 1H), 7.36-7.28(m, 6H), 7.20(d, J = 8.1Hz, 1H), 5.50(s, 2H), 4.05(s, 2H), 3.63(t, J = 6.9Hz, 2H), 3.37-3.32(m, 5H), 3.29(s, 3H), 1.89-1.82(m, 2H)。分子式C2524ClFの計算された[M+H]:553、観測値:553。
【0213】
化合物9の調製
【0214】
【化32】
【0215】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(30mL)及びTEA(1.0mL,9.69mmol,3.0当量)中の(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタンアミン(617.2mg,4.71mmol,2.0当量)の混合物に、DCM(20mL)中の4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-塩化カルボニル(1.2g,2.35mmol,1当量)を0℃で滴加した。得られた混合物を室温に温め、室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(3:1~2:1)で溶出して、淡黄色の油として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1.30g,91.37%)を得た。H NMR(300MHz, クロロホルム-d)δ7.46-7.38(m, 1H), 7.35-7.29(m, 2H), 7.27-7.16(m, 3H), 7.15-7.08(m, 2H), 7.01(t, J = 5.6Hz, 1H), 5.59(s, 2H), 4.32(qd, J = 6.2, 3.8Hz, 1H), 4.07(dd, J = 8.4, 6.4Hz, 1H), 3.71-3.62(m, 2H), 3.57(dt, J = 14.1, 5.8Hz, 1H), 1.47(s, 3H), 1.38(s, 3H)。
【0216】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]ホルムアミド)酢酸エチル
DMF(20mL)中の4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1g,1.65mol,1当量)の混合物に、NaH(99.2mg,2.48mmol,1.5当量,60wt%)を窒素雰囲気下、0℃で0.5時間加えた。上記の混合物に、2-ブロモ酢酸エチル(0.3mL,1.80mmol,1.636当量)を0℃で加えた。得られた混合物を室温でさらに16時間撹拌した。得られた混合物に酢酸エチル(300mL)及びブライン(100mL)を加え、次いで水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。合一させた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(20:1~4:1)で溶出して、淡黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]ホルムアミド)酢酸エチル(1.1g,96.3%)を得た。
【0217】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド
2Mのメタノール中のメチルアミン(5mL)中の2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]ホルムアミド)酢酸エチル(1.2g,1.74mmol,1当量)の混合物に、60℃で1時間マイクロ波放射線を照射した。混合物を室温に冷却した。反応混合物を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(1:1~1:8)で溶出して、白色固体として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド(0.92g,78.37%)を得た。
【0218】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
トルエン(15mL)中の、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド(1g,1.48mmol,1当量)、Pd(dba)・CHCl(150mg,0.14mmol,0.098当量)、P(o-Tol)3(90mg,0.30mmol,0.200当量)、及びCsCO(1g,3.07mmol,2.074当量)の混合物に、120℃で4時間マイクロ波放射線を照射した。混合物を室温に冷却した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(4:1~2:3)で溶出して、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(470mg,53.39%)を得た。
【0219】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(化合物9)
THF(15mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(600mg,1.01mol,1当量)の攪拌溶液に、HO(15.0mL)中のHCl(15mL)を室温で滴加した。次いで、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をKCO(aq)でpH10に塩基性化し、酢酸エチル(5x50mL)で抽出し、次いで有機層をブライン(2x50mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、330g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:80mL/分;勾配:35分で60%B~95%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、白色固体として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(520mg,92.92%)を得た。H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ7.57(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.41-7.35(m, 7H), 5.44(d, J = 1.8Hz, 2H), 4.81(d, J = 5.3Hz, 1H), 4.63(t, J = 5.7Hz, 1H), 4.25-4.01(m, 2H), 3.83-3.62(m, 1H), 3.55-3.48(m, 1H), 3.43-3.40(m, 1H), 3.32-3.24(m, 2H), 3.19(s, 3H)。分子式C2422ClFの計算された[M+H]:555、観測値:555。
【0220】
化合物10の調製
【0221】
【化33】
【0222】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸
THF(50mL)及びHO(50mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(2.5g,4.94mmol,1当量)及びLiOH(1.2g,49.44mmol,10当量)の混合物を室温で10時間撹拌した。得られた混合物をEA(4x200mL)で抽出した。合一させた有機層を水(1x100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣/粗生成物を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g 移動相A:水(0.1%AcOH)、移動相B:ACN、流速:60mL/分、勾配:15分で80~90%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、白色固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(2.1g,86.40%)を得た。H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ13.41(s, 1H), 7.59(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.42(dd, J = 8.7, 2.1Hz, 3H), 7.37(dt, J = 8.2, 1.5Hz, 1H), 7.33-7.29(m, 1H), 7.29-7.24(m, 2H), 5.51(s, 2H)。
【0223】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-(2-ヒドロキシエチル)-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(20mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(1.1g,2.24mmol,1当量)及び1滴のDMFの混合物に、二塩化オキサリル(oxalic dichloride)(0.9g,6.71mmol,3当量)を0℃で滴加した。混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。固体をDCM(30mL)で溶解して、次の反応のための溶液Aを得た。DCM(10mL)中の2-アミノエタン-1-オール(0.4g,6.71mmol,3当量)及びトリエチルアミン(0.7g,6.71mmol,3当量)の混合物を0℃に冷却し、溶液Aを窒素雰囲気下、0℃で滴加した。混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(2/1~1/1)で溶出し、白色固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-(2-ヒドロキシエチル)-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(0.91g,76.06%)を得た。H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ7.99(t, J = 5.6Hz, 1H), 7.58(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.45-7.37(m, 2H), 7.38-7.26(m, 5H), 5.39(s, 2H), 4.77(t, J = 5.4Hz, 1H), 3.47(q, J = 6.1Hz, 2H), 3.35-3.27(m, 2H)。
【0224】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(50mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-(2-ヒドロキシエチル)-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(0.9g,1.68mmol,1当量)及び4-メチルベンゼン-1-スルホン酸(0.0g,0.17mmol,0.1当量)の攪拌混合物に、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(0.0g,0.34mmol,0.2当量)を窒素雰囲気下、室温で加えた。この混合物を室温で10時間反応させた。得られた混合物を水(100mL)でクエンチし、DCM(4×100mL)で抽出した。合一させた有機層を水(1x100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(4/1)で溶出し、黄色の油として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(0.8g,76.81%)を得た。H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ8.09(d, J = 5.6Hz, 1H), 7.60-7.55(m, 1H), 7.43-7.38(m, 2H), 7.36-7.25(m, 5H), 5.38(s, 2H), 4.59(d, J = 4.0Hz, 1H), 3.76-3.66(m, 2H), 3.42(dq, J = 10.2, 5.9, 5.4Hz, 4H), 1.50-1.41(m, 6H)。
【0225】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]ホルムアミド)酢酸エチル
DMF(15mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(0.64g,1.03mmol,1当量)の撹拌溶液に、NaH(0.1g,4.14mmol,4当量)を窒素雰囲気下、0℃で少しずつ加えた。混合物を0℃で30分間撹拌し、2-ブロモ酢酸エチル(0.7g,4.14mmol,4当量)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物を水(100ml)でクエンチし、EA(3×100ml)で抽出した。合一させた有機層を水(1x100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。粗生成物を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g 移動相A:水(0.1%AcOH)、移動相B:ACN、流速:60mL/分、勾配:35分で60~80%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]ホルムアミド)酢酸エチル(400mg,54.87%)を得た。
【0226】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド
20mLの容器に、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]ホルムアミド)酢酸エチル(0.4g,0.57mmol,1当量)及びCHNH・MeOH(6mL,30%)を室温で加えた。混合物を、マイクロ波照射下、60℃で1時間反応させた。得られた混合物を室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(1/1)で溶出し、黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド(0.28g,71.52%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.42(d, J = 8.5Hz, 1H), 7.33(d, J = 8.6Hz, 3H), 7.14(dd, J = 31.1, 7.5Hz, 4H), 5.17(s, 2H), 4.41(s, 1H), 4.17(s, 2H), 3.75(d, J = 53.6Hz, 4H), 3.51(s, 2H), 2.82(s, 3H), 1.73(d, J = 36.0Hz, 6H)。
【0227】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
20mLの容器に、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]ホルムアミド)-N-メチルアセトアミド(280mg,0.41mmol,1当量)、Pd(dba)(55.9mg,0.06mmol,0.150当量)、CsCO(397.7mg,1.22mmol,3.008当量)、及びトリス(2-メチルフェニル)ホスファン(37.23mg,0.12mmol,0.301当量)を室温で加えた。混合物をマイクロ波条件下で120℃で4時間加熱した。混合物を室温に冷却した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(1/1)で溶出し、黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(110mg,44.51%)を得た。
【0228】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(化合物10)
THF(20mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[2-(オキサン-2-イルオキシ)エチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(120mg,200mmol,1当量)及び2M HCl(20mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。反応をLCMSでモニタリングした。得られた混合物をEA(3x200mL)で抽出した。合一させた有機層を水(1x200mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物(88mg)を、以下の条件(カラム:XBridge分取C18 OBDカラム、5μm、19*150mm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:12分で35%B~60%B;254nm;RT:11.70分)で分取HPLCにより精製し、黄色の半固体として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(60mg,73.28%)を得た。H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.52(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.34-7.27(m, 6H), 7.20(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.51(s, 2H), 4.14(s, 2H), 3.74(t, J = 5.5Hz, 2H), 3.67(t, J = 5.6Hz, 2H), 3.33(s, 3H)。分子式C2320ClFの計算された[M+H]:525、観測値:525。
【0229】
以下の表に示す化合物11~14の調製は、適切なアミンと共に開始して、化合物10の合成について説明した方法及びプロトコルに従う。
【0230】
【表5】
【0231】
化合物15及び16の調製:
【0232】
【化34】
【0233】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-[(1R,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン及び1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-[(1S,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
粗製物1-(4-クロロベンジル)-7-((トランス-3-ヒドロキシシクロペンチル)-4-メチル-2-(3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)-1,4,6,7-テトラヒドロイミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオンを、以下の条件(カラム:CHIRALPAK IC、2*25cm、5μm;移動相A:ヘキサン0.1%DEA--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:20mL/分;勾配:18分で20B~20B;220/254nm;RT1:12.901;RT2:15.068)でキラル分取HPLCにより精製し、化合物15(RT 12.901分,23.8mg,16.08%)及び化合物16(RT 15.068分,22.0mg,14.87%)を得た。
【0234】
化合物15の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.52(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.43-7.24(m, 6H), 7.20(d, J = 8.4Hz, 1H), 5.51(s, 2H), 5.17(p, J = 8.5Hz, 1H), 4.40(s, 1H), 3.93(s, 2H), 3.33(s, 3H), 2.10-2.09(m, 2H), 1.99-1.97(m, 2H), 1.68-1.59(m, 2H)。分子式C2624ClFの計算された[M+H]:565、観測値:565。
【0235】
化合物16の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.52(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.36-7.27(m, 6H), 7.20(d, J = 8.4Hz, 1H), 5.51(s, 2H), 5.18(p, J = 8.5Hz, 1H), 4.40(s, 1H), 3.93(s, 2H), 3.33(s, 3H), 2.10-2.08(m, 2H), 1.87-1.77(m, 2H), 1.68-1.59(m, 2H)。分子式C2624ClFの計算された[M+H]:565、観測値:565。
【0236】
化合物17及び18の調製:
【0237】
【化35】
【0238】
2-アミノ-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸
MeCN(150mL)及びDBU(6.6mL,43.25mmol,1.05当量)中の2-アミノ-4-ヒドロキシブタン酸(5.0g,41.97mmol,1当量)の撹拌溶液に、0℃でTBSCl(6.6g,44.07mmol,1.05当量)をゆっくりと加えた。得られた混合物を室温に温め、室温で16時間攪拌した。反応混合物をろ過し、ろ過ケーキをMeCN(3x50mL)で洗浄した。合一させたろ液を濃縮して、2-アミノ-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸(8.5g,粗製物)を得た。H NMR(300MHz, メタノール-d4)δ3.89(t, J = 6.1Hz, 2H), 3.79(t, J = 5.9Hz, 1H), 3.74-3.55(m, 2H), 0.95(s, 9H), 0.14(s, 6H)。
【0239】
2-アミノ-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル
トルエン(200mL)及びMeOH(50mL)中の2-アミノ-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸(5g,21.42mmol,1当量)の混合物に、トリメチルシリルジアゾメタン(60mL,0.53mmol,0.025当量)を室温で加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、淡黄色の油として2-アミノ-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル(5g,粗製物)を得た。
【0240】
2-([4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]ホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル
DCM(20.0mL)及びDMF(5滴)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(1.1g,2.24mmol,1当量)及び(COCl)(0.6mL,4.73mmol,3.148当量)の混合物を室温で1時間攪拌した。得られた混合物を濃縮して、粗生成物を得た。上記の粗生成物に、2-アミノ-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル(1.1g,4.45mmol,1.987当量)、TEA(1.6mL,15.37mmol,5当量)、及びDCM(25.0mL)を加え、その後、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、PE:EA(20:1~5:1)で溶出し、淡黄色の油として2-([4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]ホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル(1.2g,74.38%)を得た。H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ8.51(d, J = 7.6Hz, 1H), 7.68-7.53(m, 1H), 7.44-7.23(m, 7H), 5.47-5.26(m, 2H), 4.55(ddd, J = 9.5, 7.5, 4.3Hz, 1H), 3.70(dd, J = 7.1, 4.7Hz, 2H), 3.34(s, 3H), 2.08-1.89(m, 2H), 0.85(s, 9H), 0.01(d, J = 5.2Hz, 7H)。
【0241】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-メチルホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル
DMF(20mL)中の、2-([4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]ホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル(1.2g,1.66mmol,1当量)の混合物にNaH(100mg,2.50mmol,1.502当量,60wt%)を0℃、窒素雰囲気下で0.5時間添加した。上記の混合物に、0℃でCHI(0.2mL,3.21mmol,1.930当量)を加えた。得られた混合物を室温でさらに16時間撹拌した。得られた混合物に酢酸エチル(300mL)及びブライン(300mL)を加え、次いで水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。合一させた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(20:1~6:1)で溶出して、淡黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-メチルホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル(880mg,71.93%)を得た。
【0242】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-メチルホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-N-メチルブタンアミド
2Mのメタノール中のメチルアミン(5mL)中の2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-メチルホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]ブタン酸メチル(1.1g,1.50mmol,1当量)の混合物に、60℃で1時間マイクロ波放射線を照射した。反応混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(1:1~1:8)で溶出し、淡黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-メチルホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-N-メチルブタンアミド(550mg,50.07%)を得た。H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ7.70(s, 1H), 7.58(t, J = 8.2Hz, 1H), 7.46-7.21(m, 6H), 5.16(s, 2H), 4.94(s, 1H), 3.60(s, 3H), 2.88(s, 3H), 2.60(d, J = 4.5Hz, 3H), 2.03(d, J = 8.7Hz, 1H), 1.90(d, J = 12.3Hz, 1H), 0.86(s, 9H), 0.02(d, J = 2.7Hz, 6H)。
【0243】
6-[2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4,7-ジメチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
トルエン(8mL)中の、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-イル]-N-メチルホルムアミド)-4-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-N-メチルブタンアミド(450mg,610mmol,1当量)、Pd(dba)・CHCl(63.45mg,0.06mmol,0.100当量)、P(o-Tol)3(37.35mg,0.12mmol,0.200当量)、及びCsCO(400mg,1.23mmol,2.003当量)の混合物に、120℃で4時間マイクロ波放射線を照射した。混合物を室温に冷却した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(2:1~2:3)で溶出し、淡黄色の油として6-[2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4,7-ジメチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(220mg,54.95%)を得た。
【0244】
(6S)-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-6-(2-ヒドロキシエチル)-4,7-ジメチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン及び(6R)-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-6-(2-ヒドロキシエチル)-4,7-ジメチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
THF(10mL)中の、6-[2-[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]エチル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4,7-ジメチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(200mg,310mmol,1当量)の攪拌溶液に、6M HCl(10mL)を室温で滴加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をKCOでpH10に塩基性化し、酢酸エチル(3x100mL)で抽出し、次いで有機層をブライン(2x50mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して粗生成物を得、これを分取キラルHPLCにより精製(カラム:CHIRALPAK IG、20*250mm、5μm;移動相A:ヘキサン0.1%DEA--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:20mL/分;勾配:18分で20B~20B;220/254nm;RT1:10.297;RT2:13.612)し、淡黄色の油として化合物17(RT 10.297分,20.2mg,12.24%)及び化合物18(RT 13.612分,18.2mg,11.03%)を得た。
【0245】
化合物17の特性評価:H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ7.63-7.50(m, 1H), 7.46-7.24(m, 7H), 5.65-5.32(m, 2H), 4.72-4.59(m, 1H), 4.41-4.30(m, 1H), 3.55-3.43(m, 0.8H), 3.42-3.36(m, 0.7H), 3.23(s, 3H), 3.08-3.01(m, 1H), 3.00-2.90(m, 0.3H), 2.84(s, 2.2H), 2.25-2.14(m, 0.7H), 2.07-1.93(m, 0.7H), 1.61-1.49(m, 0.7H)。分子式C2422ClFの計算された[M+H]:539、観測値:539。
【0246】
化合物18の特性評価:H NMR(300MHz, DMSO-d6)δ7.63-7.53(m, 1H), 7.47-7.23(m, 7H), 5.64-5.32(m, 2H), 4.72-4.59(m, 1H), 4.39-4.27(m, 1H), 3.55-3.42(m, 0.8H), 3.42-3.36(m, 0.8H), 3.23(s, 3H), 3.08-3.01(m, 1H), 3.00-2.89(m, 0.5H), 2.84(s, 2.2H), 2.27-2.13(m, 0.7H), 2.08-1.94(m, 0.7H), 1.62-1.49(m, 0.5H)。分子式C2422ClFの計算された[M+H]:539、観測値:539。
【0247】
化合物19及び20の調製:
【0248】
【化36】
【0249】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-N-(3-ヒドロキシプロピル)-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(30mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(2g,4.70mmol,1当量)及び1滴のDMFの混合物に、二塩化オキサリル(1.8g,14.10mmol,3当量)を0℃で滴加した。この混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。固体をDCM(30mL)で溶解して、溶液Aを得た。DCM(5mL)中の3-アミノプロパン-1-オール(1.8g,23.49mmol,5当量)及びトリエチルアミン(2.4g,23.49mol,5当量)の混合物を0℃に冷却し、溶液Aを0℃で窒素雰囲気下で滴加した。混合物を室温で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(2/1~1/1)で溶出し、白色固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-N-(3-ヒドロキシプロピル)-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1.65g,72.74%)を得た。
【0250】
4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド
DCM(50mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-N-(3-ヒドロキシプロピル)-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1.65g,3.42mmol,1当量)及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(1.4427g,17.15mmol,5.018当量)の攪拌混合物に、4-メチルベンゼン-1-スルホン酸(0.059g,0.34mmol,0.100当量)を室温で加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物を飽和NaHCO水溶液で洗浄した。DCM層を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(6/1~3/1)で溶出し、白色固体として4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(1.65g,85.16%)を得た。
【0251】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)プロパン酸エチル
DMF(15mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(2.5g,4.41mmol,1当量)の攪拌溶液に、NaH(0.7g,17.64mmol,4当量,60%)を窒素雰囲気下、0℃で少しずつ加えた。混合物を0℃で30分間撹拌し、2-ブロモプロパン酸エチル(3.1936g,17.64mmol,4.000当量)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物を水(100mL)でクエンチし、EA(3×100mL)で抽出した。合一させた有機層を水(1x100mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。粗生成物を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g、移動相A:水(0.1%AcOH)、移動相B:ACN、流速:60mL/分、勾配:35分で60~80%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)プロパン酸エチル(1.38g,46.91%)を得た。
【0252】
2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)-N-メチルプロパンアミド
20mLの容器に、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)プロパン酸エチル(1.3g,1当量)及びメタノール中のメチルアミン(6mL,30%)を室温で加えた。混合物をマイクロ波条件下、60℃で1時間反応させた。得られた混合物を室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(1/1)で溶出し、黄色の油として2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)-N-メチルプロパンアミド(1.2g,94.43%)を得た。
【0253】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-4,6-ジメチル-7-[3-[(2R)-オキサン-2-イルオキシ]プロピル]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
20mLの容器に、2-(1-[4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]ホルムアミド)-N-メチルプロパンアミド(1.1936g,1.83mol,1当量)、Pd(dba)(0.2g,0.18mmol,0.1当量)、CsCO(1.1966g,3.67mmol,2.006当量)、及びトリス(2-メチルフェニル)ホスファン(0.1g,0.37mmol,0.2当量)を室温で加えた。混合物をマイクロ波条件下、120℃で5時間加熱した。混合物を室温に冷却した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE/EA(1/1)で溶出し、黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-4,6-ジメチル-7-[3-[(2R)-オキサン-2-イルオキシ]プロピル]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(340mg,32.52%)を得た。
【0254】
(6S)-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4,6-ジメチル-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン及び(6R)-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4,6-ジメチル-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン
THF(20mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-4,6-ジメチル-7-[3-[(2R)-オキサン-2-イルオキシ]プロピル]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(200mg,0.35mmol,1当量)及びHCl(2M;20mL)の混合物を室温で1時間撹拌した。得られた混合物をEA(3x200mL)で抽出した。合一させた有機層を水(1x200ml)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物(170mg)を、以下の条件(カラム:XBridge分取C18 OBDカラム、5μm、19*150mm;移動相A:水(0.05%TFA)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:7分で40%B~70%B;254nm;RT:6.32分)で分取HPLCにより精製し、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-(3-フルオロフェノキシ)-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4,6-ジメチル-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-5,8-ジオン(140mg)を得た。ラセミ体は、以下の条件でキラルHPLCにより分離(カラム:CHIRALPAK IF、2*25cm、5μm;移動相A:ヘキサン0.1%DEA--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:15mL/分;勾配:13分で50B~50B;220/254nm;RT1:8.349;RT2:9.504)し、化合物19(RT 8.349分,20mg,11.73%)及び化合物20(RT 9.504分,20mg,11.73%)を得た。
【0255】
化合物19の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.45(dd, J = 13.8, 6.2Hz, 1H), 7.41-7.29(m, 4H), 7.23-6.99(m, 3H), 5.63-5.53(m, 1H), 5.45-5.38(m, 1H), 4.38(dd, J = 16.4, 8.3Hz, 1H), 3.96(dt, J = 14.8, 7.7Hz, 1H), 3.64(t, J = 7.0Hz, 1H), 3.49(t, J = 6.3Hz, 2H), 3.35(s, 3H), 1.85-1.73(m, 1H), 1.69-1.62(dt, J = 13.5, 6.9Hz, 1H), 1.56(d, J = 7.0Hz, 2H), 1.10(d, J = 7.5Hz, 1H)。分子式C2424ClFNの計算された[M+H]:487、観測値:487。
【0256】
化合物20の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.49-7.40(m, 1H), 7.37-7.29(m, 4H), 7.22-7.00(m, 3H), 5.62-5.53(m, 1H), 5.42-5.39(m, 1H), 4.43-4.33(m, 1H), 3.99-3.92(dt, J = 14.9, 7.7Hz, 1H), 3.64(t, J = 8.0Hz, 1H), 3.49(t, J = 8.0Hz, 2H), 3.35(s, 3H), 1.82-1.75(m, 1H), 1.69-1.62(dt, J = 13.7, 6.9Hz, 1H), 1.56(d, J = 8.0Hz, 2H), 1.10(d, J = 8.0Hz, 1H)。分子式C2424ClFNの計算された[M+H]:487、観測値:487。
【0257】
化合物21の調製:
【0258】
【化37】
【0259】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(2-メトキシ-2-オキソエチル)(メチル)アミノ]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
ジオキサン(100.0mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(1.00g,1.98mol,1当量)、2-(メチルアミノ)酢酸メチル(1019.6mg,9.89mol,5.0当量)、Pd(dba)(452.7mg,0.49mmol,0.25当量)、キサントホス(572.1mg,0.99mmol,0.50当量)及びCsCO(6.4g,19.78mmol,10.0当量)の混合物を窒素雰囲気下、100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(200mL)及びHO(200mL)を加えた。有機層をブライン(3x50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EtOAc(6:1~4:1)で溶出し、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(2-メトキシ-2-オキソエチル)(メチル)アミノ]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(150mg,14.37%)を得た。
【0260】
4-[(カルバモイルメチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
アンモニア溶液(10mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[(2-メトキシ-2-オキソエチル)(メチル)アミノ]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(300mg,570mmol,1当量)の混合物に、120℃で4時間マイクロ波放射線を照射した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:10分で60%B~70%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、オフホワイトの固体として4-[(カルバモイルメチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(230mg,39.46%)を得た。
【0261】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン
ジオキサン(20mL)及びNaH(18.7mg,0.47mmol,2.0当量,60重量%)中の、4-[(カルバモイルメチル)(メチル)アミノ]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(120mg,0.23mmol,1当量)の混合物を15分間還流した。HOAc(0.5mL)を反応混合物に加え、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を以下の条件(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:15分で60%B~70%B,254nm)で逆相フラッシュにより精製し、オフホワイトの固体として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン(45mg,40.00%)を得た。
【0262】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン
DMF(15.0mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン(100mg,0.21mmol,1当量)、2-(3-ブロモプロポキシ)オキサン(139.2mg,0.62mmol,3.0当量)、及びKCO(86.2mg,0.62mmol,3.0当量)の混合物を、50℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、HO(100mL)を添加した。得られた混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合一させた有機層をブライン(2x50mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(6:1~3:1)で溶出し、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン(120mg,92.6:1%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.43(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.27(d, J = 8.7Hz, 5H), 7.17(dd, J = 33.5, 8.4Hz, 2H), 5.58(s, 2H), 4.60(d, J = 14.8Hz, 2H), 3.88(s, 2H), 3.85-3.72(m, 2H), 3.63(dt, J = 10.4, 5.6Hz, 1H), 3.58-3.47(m, 2H), 3.13(s, 3H), 2.04-1.58(m, 8H)。
【0263】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]]ジアゼピン-6,8-ジオン
THF(10mL)及び6M HCl(10mL)中の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-メチル-7-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン(45mg,0.07mmol,1当量)の混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を飽和KCO(aq)でpH9に塩基性化した。得られた混合物を酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、合一させた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、濃縮して粗生成物を得、これを以下の条件(カラム:XSelect CSH分取C18 OBDカラム、5μm、19*150mm;移動相A:水(0.1%FA)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:7分で50%B~87%B;254nm;RT:6.58分)で分取HPLCにより精製し、オフホワイトの固体として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-7-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H,4H,5H,6H,7H,8H-イミダゾ[4,5-e][1,4]ジアゼピン-6,8-ジオン(3.9mg,9.52%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.54-7.45(m, 1H), 7.43-7.28(m, 2H), 7.24-7.02(m, 5H), 5.57(s, 2H), 4.04(t, J = 6.0Hz, 2H), 3.90(s, 2H), 3.50(t, J = 5.5Hz, 2H), 3.15(s, 3H), 1.80(p, J = 5.7Hz, 2H)。分子式C2422ClFの計算された[M+H]:539、観測値:539。
【0264】
化合物22及び23の調製:
【0265】
【化38】
【0266】
1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[2-(メトキシカルボニル)ピロリジン-1-イル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
ジオキサン(40mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(1.5g,2.97mmol,1当量)、Pd(dba)(280mg,0.31mmol,0.103当量)、キサントホス(520mg,0.90mmol,0.303当量)、ピロリジン-2-カルボン酸メチル(800.0mg,6.19mmol,2.088当量)、及びCsCO(4.9g,15.04mmol,5.070当量)の混合物を100℃で14時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(20:1~4:1)で溶出して、淡黄色の油として1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[2-(メトキシカルボニル)ピロリジン-1-イル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(830mg,50.51%)を得た。
【0267】
4-(2-カルバモイルピロリジン-1-イル)-1-(4-クロロベンジル)-2-(3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
アンモニア溶液(メタノール中7.0M)(10mL)の、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[2-(メトキシカルボニル)ピロリジン-1-イル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(1.65g,2.98mmol,1当量)の混合物に、マイクロ波放射線を140℃で10時間照射した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の70%酢酸エチルで溶出して、淡黄色の半固体として4-(2-カルバモイルピロリジン-1-イル)-1-(4-クロロベンジル)-2-(3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(300mg,24%収率)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.41(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.34-7.24(m, 4H), 7.23-7.18(m, 3H), 7.12-7.07(m, 1H), 6.52(s, 1H), 5.41(q, J = 15.4Hz, 2H), 4.53(dd, J = 8.2, 5.2Hz, 1H), 3.87-3.69(m, 4H), 3.32(dt, J = 10.5, 7.1Hz, 1H), 2.28-2.09(m, 2H), 2.05-1.83(m, 2H)。
【0268】
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン
ジオキサン(40mL)中の、4-(2-カルバモイルピロリジン-1-イル)-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(185mg,340mmol,1当量)の混合物にNaH(96.1mg,2.40mmol,7.0当量,60wt%)を0℃で加え、次いで、反応混合物を15分間還流した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残留生成物を以下の条件で(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:15分で65%B~85%B,254nm)逆相フラッシュにより精製し、オフホワイトの固体として5-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン(115mg,66.09%)を得た。H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ10.52(s, 1H), 7.58(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.47(d, J = 2.7Hz, 1H), 7.44-7.36(m, 3H), 7.36-7.27(m, 3H), 5.52(dd, J = 91.6, 15.5Hz, 2H), 3.81(dd, J = 8.3, 5.2Hz, 1H), 3.51(dt, J = 10.1, 7.3Hz, 1H), 3.32(d, J = 7.1Hz, 1H), 2.50(s, 1H), 2.12-1.96(m, 1H), 1.81(qt, J = 12.3, 6.6Hz, 2H)。
【0269】
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン
DMF(15.0mL)中の、5-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン(150mg,300mmol,1当量)、2-(3-ブロモプロポキシ)オキサン(198.1mg,890mmol,3.000当量)、及びKCO(122.7mg,0.89mmol,3.0当量)の混合物を、50℃で16時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、EtOAc(100mL)及びHO(100mL)を加えた。有機層をブライン(2x30mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、これを以下の条件で(カラム:球状C18カラム、20~40μm、120g;移動相A:水(0.1% HOAc)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:10分で90%B~98%B,254nm)逆相フラッシュにより精製し、淡黄色の油として5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン(185mg,96.31%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.43(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.30(s, 4H), 7.27-7.19(m, 2H), 7.13(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.73(d, J = 14.9Hz, 1H), 5.43(d, J = 15.1Hz, 1H), 4.65-4.49(m, 1H), 4.15(ddt, J = 19.0, 13.7, 7.1Hz, 1H), 3.98-3.61(m, 4H), 3.46(tt, J = 16.5, 7.6Hz, 4H), 2.85(dt, J = 12.2, 6.3Hz, 1H), 2.18-2.02(m, 2H), 1.99-1.77(m, 3H), 1.76-1.48(m, 6H)。
【0270】
(10R)-5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-(3-ヒドロキシプロピル)-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン及び(10S)-5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-(3-ヒドロキシプロピル)-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン
THF(5mL)及び2M HCl(5mL)中の、5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン(160mg,250mmol,1当量)の混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に飽和NaHCO(aq)を加えて、pHを9に調整し、EtOAc(100mL)を加え、次いで有機層をブライン(2×50mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件(カラム:XBridgeシールドRP18 OBDカラム 30*150mm、5μm、移動相A:水(0.1%FA)、移動相B:ACN;流速:60mL/分;勾配:7分で50%B~80%B;254nm;RT:6.45分)で分取HPLCにより精製し、無色の油としてラセミ体の5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-(3-ヒドロキシプロピル)-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン(110mg,78.99%)を得た。この物質の90mgをキラル分取HPLC(カラム:CHIRALPAK AD-H、2.0cm I.D.*25cm L;移動相A:ヘキサン0.1%DEA--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:20mL/分;勾配:15分で15B~15B;220/254nm;RT1:9.279;RT2:10.54)に供し、化合物22(RT 9.279分,17.7mg,19.67%)及び化合物23(RT 10.54分,19.11%)を得た。
【0271】
化合物22の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.55-7.51(m, 1H), 7.36-7.27(m, 6H), 7.23-7.20(m, 1H), 5.70(d, J = 16.0Hz, 1H), 5.52(d, J = 16.0Hz, 1H), 4.13-4.05(m, 1H), 3.90-3.83(m, 1H), 3.75-3.73(m, 1H), 3.69-3.62(m, 1H), 3.58-3.51(m, 2H), 3.45-3.41(m, 1H), 2.80-2.72(m, 1H), 2.19-2.10(m, 1H), 2.05-1.92(m, 2H), 1.91-1.68(m, 2H)。分子式C2624ClFの計算された[M+H]:565、観測値:565。
【0272】
化合物23の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.55-7.51(m, 1H), 7.35-7.28(m, 6H), 7.23-7.21(m, 1H), 5.70(d, J = 16.0Hz, 1H), 5.52(d, J = 16.0Hz, 1H), 4.13-4.06(m, 1H), 3.90-3.82(m, 1H), 3.77-3.73(m, 1H), 3.69-3.62(m, 1H), 3.55-3.51(m, 2H), 3.46-3.41(m, 1H), 2.79-2.70(m, 1H), 2.19-2.10(m, 1H), 2.04-1.94(m, 2H), 1.79-1.70(m, 2H)。分子式C2624ClFの計算された[M+H]:565、観測値:565。
【0273】
化合物24及び25の調製:
化合物24及び25のラセミ体の調製は、中間体Iから開始して、化合物22及び23の合成について説明した方法及びプロトコルに従う。
【0274】
【化39】
【0275】
(10R)-5-ブチル-4-(3-フルオロフェノキシ)-8-(3-ヒドロキシプロピル)-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン及び(10S)-5-ブチル-4-(3-フルオロフェノキシ)-8-(3-ヒドロキシプロピル)-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオン
粗製物5-ブチル-4-(3-フルオロフェノキシ)-8-(3-ヒドロキシプロピル)-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7,9-ジオンは、キラルHPLC(カラム:XBridgeシールドRP18 OBDカラム、5μm、19*150mml;移動相A:水(10MMOL/L NHHCO)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:7分で45%B~70%B;220nm;RT1:15.00分,RT2:17.33分)により精製し、化合物24(RT=15.00分,20.3mg,8.09%)及び化合物25(RT=17.33分,18.9mg,7.53%)を得た。
【0276】
化合物24の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.51-7.40(m, 1H), 7.19-7.08(m, 2H), 7.09-6.99(m, 1H), 4.41(dt, J = 13.5, 6.8Hz, 1H), 4.26(dt, J = 13.7, 7.4Hz, 1H), 4.13(ddd, J = 13.4, 7.7, 5.8Hz, 1H), 3.88(dt, J = 13.6, 7.3Hz, 1H), 3.75(dd, J = 8.2, 4.7Hz, 1H), 3.70-3.50(m, 3H), 3.42(dd, J = 10.7, 5.8Hz, 1H), 2.77(dq, J = 12.2, 6.0Hz, 1H), 2.16(dq, J = 12.7, 7.8Hz, 1H), 1.98(h, J = 6.1Hz, 2H), 1.79(dq, J = 14.5, 7.1Hz, 4H), 1.38(p, J = 7.4Hz, 2H), 0.98(t, J = 7.4Hz, 3H)。分子式C2227FNの計算された[M+H]:431、観測値:431。
【0277】
化合物25の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)δ7.49-7.38(m, 1H), 7.19-7.10(m, 2H), 7.03(d, J = 7.8Hz, 1H), 4.41(dt, J = 13.6, 6.8Hz, 1H), 4.26(dt, J = 13.9, 7.4Hz, 1H), 4.17-4.08(m, 1H), 3.88(dt, J = 13.5, 7.2Hz, 1H), 3.75(dd, J = 8.2, 4.7Hz, 1H), 3.70-3.52(m, 3H), 3.43(dt, J = 11.0, 5.8Hz, 1H), 2.77(dq, J = 12.3, 6.1Hz, 1H), 2.16(dq, J = 12.6, 7.8Hz, 1H), 1.99(hept, J = 6.1Hz, 2H), 1.80(dp, J = 14.6, 7.1Hz, 4H), 1.35(dd, J = 17.2, 9.9Hz, 2H), 0.98(t, J = 7.4Hz, 3H)。分子式C2227FNの計算された[M+H]:431、観測値:431。
【0278】
以下の化合物は、化合物22及び23の調製と同様の手順により調製した。
【0279】
【表6-1】
【0280】
【表6-2】
【0281】
【表6-3】
【0282】
【表6-4】
【0283】
化合物34及び35の調製:
【0284】
【化40】
【0285】
4-[2-([[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ]メチル)ピロリジン-1-イル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
ジオキサン(100mL)中の、4-ブロモ-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチルの混合物(中間体A,6g,11.87mmol,1当量)、N-[(ピロリジン-2-イル)メチル]カルバミン酸tert-ブチル(4.8g,23.73mmol,2.00当量)、キサントホス(2.1g,3.56mmol,0.3当量)、Pd(dba)(1.1g、1.19mmol,0.1当量)、及びCsCO(19.3g,59.33mmol,5当量)の混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(20:1~1:1)で溶出して、淡黄色の油として4-[2-([[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ]メチル)ピロリジン-1-イル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(3.4g,45.84%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.42(t, J = 8.2Hz, 1H), 7.31(d, J = 8.2Hz, 2H), 7.23(q, J = 9.0, 8.4Hz, 4H), 7.10(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.45(d, J = 15.8Hz, 1H), 5.33(d, J = 15.4Hz, 1H), 5.02(s, 1H), 4.16(dt, J = 23.2, 6.8Hz, 1H), 3.76(s, 4H), 3.30(s, 2H), 3.11(s, 1H), 1.97(d, J = 41.7Hz, 2H), 1.75(d, J = 6.8Hz, 2H), 1.43(s, 9H)。
【0286】
4-[2-(アミノメチル)ピロリジン-1-イル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル
HCl(4M)(30mL,987.36mmol,181.51当量)中の、4-[2-([[((tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ]メチル)ピロリジン-1-イル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(3.4g,5.44mmol,1当量)の攪拌溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物をKCOでpH10に塩基性化し、酢酸エチル(5x150mL)で抽出し、次いで有機層をブライン(2x150mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して、淡黄色の油として4-[2-(アミノメチル)ピロリジン-1-イル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(2.85g,粗製物)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.39(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.34-7.28(m, 3H), 7.19(t, J = 7.6Hz, 3H), 7.07(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.44(d, J = 15.5Hz, 1H), 5.32(d, J = 15.4Hz, 1H), 4.25-4.08(m, 2H), 3.92-3.66(m, 5H), 3.11(ddd, J = 10.9, 6.8, 3.2Hz, 1H), 2.81(d, J = 4.9Hz, 2H), 2.04-1.86(m, 2H), 1.75(td, J = 12.2, 7.8Hz, 2H)。
【0287】
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン
ジオキサン(50mL)中の、4-[2-(アミノメチル)ピロリジン-1-イル]-1-[(4-クロロフェニル)メチル]-2-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1H-イミダゾール-5-カルボン酸メチル(2.75g,5.24mmol,1当量)の混合物に、NaH(1.5g,36.67mmol,7.00当量,60%)を0℃で加え、次いで、反応混合物を15分間還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮して、残渣を得た。残留生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(1:2~0:1)で溶出して、白色固体として5-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン(1.5g,58.09%)を得た。H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ7.38(t, J = 8.3Hz, 1H), 7.26(s, 5H), 7.18(dd, J = 8.4, 2.3Hz, 1H), 7.06(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.67(d, J = 14.9Hz, 2H), 5.40(d, J = 14.9Hz, 1H), 3.68-3.38(m, 4H), 3.22-3.09(m, 1H), 2.18(dt, J = 12.8, 6.4Hz, 1H), 1.93(tdd, J = 21.4, 11.8, 6.7Hz, 2H), 1.61(qd, J = 11.5, 7.9Hz, 1H),
【0288】
5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン
DMF(40mL)中の、5-[(4-クロロフェニル)メチル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン(350mg,0.71mmol,1当量)の混合物に、NaH(85.2mg,2.13mmol,3当量,60%)を0℃、窒素雰囲気下で0.5時間添加した。上記の混合物に、2-(3-ブロモプロポキシ)オキサン(475.3mg,2.13mmol,3.00当量)を0℃で加えた。得られた混合物を50℃でさらに16時間撹拌した。得られた混合物に酢酸エチル(300mL)及びブライン(100mL)を加え、次いで水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。合一させた有機層を無水NaSO上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、PE:EA(10:1~1:1)で溶出して、淡黄色の油として5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン(300mg,66.52%)を得た。
【0289】
(10R)-5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-(3-ヒドロキシプロピル)-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン及び(10S)-5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-(3-ヒドロキシプロピル)-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン
THF(15mL)中の、5-[(4-クロロフェニル)メチル]-8-[3-(オキサン-2-イルオキシ)プロピル]-4-[3-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]-1,3,5,8-テトラアザトリシクロ[8.3.0.0^[2,6]]トリデカ-2(6),3-ジエン-7-オン(300mg,0.47mmol,1当量)の攪拌溶液に、HCl(2M)(15mL)を室温で滴加した。次いで、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をKCOでpH10に塩基性化し、酢酸エチル(3x100mL)で抽出し、次いで有機層をブライン(2x50mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮して粗生成物を得、これを分取キラルHPLCにより精製(カラム:(R,R)Whelk-01、21.1*250mm、5μm;移動相A:Hex--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:20mL/分;勾配:14分で50B~50B;220/254nm;RT1:8.638;RT2:11.063)し、化合物34(37.8mg,14.52%)及び化合物35(51.9mg,19.94%)を得た。
【0290】
化合物34の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)化学シフト7.49(t, J = 8.2Hz, 1H), 7.29(d, J = 8.2Hz, 2H), 7.26-7.18(m, 4H), 7.15(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.64(d, J = 15.3Hz, 1H), 5.34(d, J = 15.3Hz, 1H), 3.80(dt, J = 14.3, 7.4Hz, 1H), 3.65-3.38(m, 6H), 3.25(dd, J = 13.4, 6.5Hz, 1H), 3.15(dd, J = 14.8, 7.6Hz, 1H), 2.24(dt, J = 12.0, 6.0Hz, 1H), 2.02-1.85(m, 2H), 1.76(p, J = 6.5Hz, 2H), 1.69-1.56(m, 1H)。分子式C2626ClFの計算された[M+H]:551、観測値:551。
【0291】
化合物35の特性評価:H NMR(400MHz, メタノール-d4)化学シフト7.49(t, J = 8.2Hz, 1H), 7.29(d, J = 8.3Hz, 2H), 7.26-7.18(m, 4H), 7.15(d, J = 8.3Hz, 1H), 5.64(d, J = 15.2Hz, 1H), 5.34(d, J = 15.3Hz, 1H), 3.80(dt, J = 14.3, 7.4Hz, 1H), 3.66-3.38(m, 6H), 3.25(dd, J = 13.5, 6.4Hz, 1H), 3.15(dd, J = 14.8, 7.6Hz, 1H), 2.24(dt, J = 12.3, 6.2Hz, 1H), 2.11-1.85(m, 2H), 1.76(p, J = 6.4Hz, 2H), 1.70-1.58(m, 1H)。分子式C2626ClFの計算された[M+H]:551、観測値:551。
【0292】
実施例2:アッセイプロトコル
【0293】
I.ヒトTRPC5発現細胞。
TRPC5を発現するICLN-1633細胞(HEK-TREx hTRPC5)を、以下のように生成した。市販のHekTrex-293細胞を、抗生物質を含まない2mLの細胞増殖培地(1xDMEM/高グルコース(Hyclone#SH30022.02);10%ウシ胎児血清(Sigma)2mM ピルビン酸ナトリウム,10mM HEPES)を使用してトランスフェクションする24時間前に、1x6ウェルプレートに0.7x106細胞/ウェルで播種した。ヒトTRPC5コード配列(サイレントT478C変異を含むNM_012471)を、耐性遺伝子としてハイグロマイシンを使用してpcDNA5/TO(Invitrogen;カタログ番号V103320)にクローニングし、プラスミド(配列番号1)を、メーカーの指示に従ってT-Rex-293細胞(Invitrogen;カタログ番号R71007)を使用して増殖させた。2日目に、Optimem内の2μgのプラスミドDNAと6μlのXtreme-GENE HP試薬(総容量200μl)を準備し、室温で15分間インキュベートした。次いで、このプラスミド溶液を穏やかに各ウェルに滴下して被せ、プレートを穏やかに回転させて、複合物を培地と約30秒間混合した。トランスフェクト細胞を、10%COインキュベーター内で37℃で24時間インキュベートした。トランスフェクト細胞を回収し、37℃で抗生物質を含まない細胞増殖培地を含む2x150mmディッシュに移した。
【0294】
翌日、150μg/mLハイグロマイシン及び5μg/mLブラストサイジンを含む細胞増殖培地を添加して安定したプールを生成するための選択を開始し、細胞を増殖させた。死細胞を取り除くために、選択剤を含む培地を必要に応じて1~2日ごとに交換した。7日後、ハイグロマイシン濃度を75μg/mLに減らし、細胞の増殖を継続した。
【0295】
以下のように単一クローンを選択した。安定したプールを10細胞/mLに希釈し、24x96ウェルプレート(約1細胞/ウェル)に播種(100μl/ウェル)し、細胞増殖培地で7日間増殖させた。新鮮な培地(100μl)を追加し、細胞をさらに1~2週間増殖させた後、凍結保存するか、またはすぐに使用した。
【0296】
II.自動パッチクランプアッセイ(Qpatch)
自動化された電気生理学的アッセイを室温で行った。実験当日、TRPC5細胞を、標準作業手順に従って培養した。簡単に言えば、TrypLETM Expressを使用して細胞を回収し、無血清培地に再懸濁し、自動プラットフォームに追加して、0.5~3時間以内に使用した。アッセイの前に、内部及び外部の生理食塩液を新たに調製した。外部の溶液は、145mM NaCl、4mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES、10mM グルコース、NaOHでpH7.4、及び310mOsm/Lを含有した。内部の溶液は、120mM L-アスパラギン酸、120mM CsOH.HO、20mM CsCl、2mM MgCl、8.8mM CaCl、10mM EGTA、10mM HEPES、及び2mM NaATP;CsOHでpH7.2及び330mOsm/Lを含有した。WCabufソフトウェアに従って、遊離した内部Ca2+濃度を、緩衝させて1μMにした。Sophion(Denmark)の自動化された電気生理学的プラットフォームQPatch 16を使用して、化合物のプロファイリングを実行した。実験中、シールの直列抵抗及び品質を継続的にモニタリングした。Sophion QPatchアッセイソフトウェア5.6(Odense)を使用してデータを分析した。プレ化合物アゴニストの適用中に得られた最大活性化を最高値(1.0)として、ML-204によって誘発された最大阻害を最低値(0.0)として使用して、データを正規化した。IC50値は、最小二乗回帰アルゴリズム(ヒル方程式)を使用して計算した。
【0297】
イオン電流をモニタリングするために、300msにわたって-100mV~+100mVへの電圧ランプを-60mVの保持電位から10秒ごとに適用した。アンタゴニストモード:最小60秒の制御期間の記録後、EC60濃度のTRPC5アゴニスト、ロシグリタゾン(30μM)を適用して、チャネルを活性化した。定常状態に達した後、漸増濃度の試験化合物の同時適用を適用し、続いてロシグリタゾンEC60及び飽和濃度の特定の遮断剤ML-204(100μM)の2つを適用した。
【0298】
III.FLIPRプロトコル:
化合物は、一般的にビヒクルとしてDMSOを使用して、最大10mMの原液として作製、または供給された。Echo-550音響ディスペンサーを使用して、10点の用量反応曲線を作成した。化合物ソースプレートは、化合物ストックを連続希釈して、DMSO中10mM、1mM、及び0.1mMの溶液をEcho認定LDVプレートに作製することにより作成した。次いで、Echoは、100% DMSO原液をソース用量反応プレートに連続的に滴下し、4倍希釈スキームを生成した。滴下された用量反応プレートに100% DMSOを加えて、最終容量を5μlにした。次いで、300nlの用量反応ストックプレートを、プレインキュベーション及び刺激アッセイプレートに滴下した。次いで、50μlのプレインキュベーション緩衝液及び100μlの刺激緩衝液をプレートに添加して、0.3%の最終DMSO濃度で30μM~0.0001μMの最終アッセイ試験濃度範囲を得た。
【0299】
発現するヒトICLN-1633細胞を、384ウェルの黒色のポリ-D-リジンコートマイクロプレートにプレーティングし、実験に使用する前日にTRPC5増殖培地で維持した。TRPC5の発現は、プレーティング時に1μg/mLのテトラサイクリンを適用することにより誘導した。培地をプレートから除去し、Earls緩衝塩類溶液(EBSS)中の10μlの4μMのFluo-4 AM(等量のPluronic F-127と混合)を細胞に加えた。細胞を室温で、遮光して60~90分間インキュベートした。インキュベーション期間の後、染料を除去し、10μlのEBSSで置換した。細胞、プレインキュベーション、及び刺激プレートをFLIPR-IIにロードし、アッセイを開始した。FLIPRは10秒のベースラインを測定し、次いで10μlの2X化合物(または対照)を添加した。蛍光の変化をさらに5分間モニタリングした。5分間のプレインキュベーション後、20μlの2Xリルゾール(1X化合物または対照を含む)を細胞プレートに加えた。アッセイにおける最終リルゾール刺激の濃度は30μMであった。リルゾール添加後、蛍光の変化をさらに5分間モニタリングした。対照ウェルと比較したリルゾール活性化カルシウム応答の低下が阻害として報告された。プレインキュベーション段階の間に、カルシウム流入の増強なしで、対照のリルゾール応答(試験薬剤の存在なし)と比較したリルゾール応答の化合物媒介性の増加が、アゴニスト応答として報告された。
【0300】
TRPC5カルシウム応答の化合物阻害を以下のように決定した。リルゾール添加後、蛍光を5分間モニタリングした。阻害については、最大相対蛍光応答(TRPC5カルシウム応答を最大限に遮断することが知られている内部対照化合物1μMの対照応答を差し引いたもの、以下の式の「REF INHIB」)をキャプチャし、FLIPRからエクスポートした。
【0301】
化合物阻害は、次の式を使用して計算される:
【0302】
【数1】
式中、「RFU」は相対蛍光単位である。
【0303】
TRPC5カルシウム応答の化合物活性化(アゴニズム)は、以下のように決定された。最初の化合物添加後、蛍光を5分間モニタリングした。最大相対蛍光応答(EBSS緩衝液のみの対照応答を差し引いたもの)をキャプチャし、FLIPRからエクスポートする。化合物活性化は、次の式を使用して計算される:
【0304】
【数2】
【0305】
実施例3:例示的な生物学的アッセイデータ
表2:本開示の代表的な化合物のQPatch、FLIPR阻害剤、及びFLIPRアゴニストの効力範囲。
【0306】
効力範囲:
Qpatchアッセイ:A=0.001-1μM;B=1-30μM;C=>30μM;ND=試験せず。
【0307】
FLIPRアッセイ(阻害剤及びアゴニスト活性):A=0.001-1μM;B=1-10μM;C=>10μM;D=アゴニズムについて試験の結果は陽性であるがEC50は計算されていない;ND=試験せず。
【0308】
表2に示されるエナンチオマーのペア(例えば、化合物6及び7;化合物12及び13;化合物15及び16などを参照)は、互いに相対的な立体化学を有する。言い換えると、2つのエナンチオマーはラセミ混合物から分離されたが、それぞれの絶対立体化学は決定されていない。
【0309】
【表7-1】
【0310】
【表7-2】
【0311】
【表7-3】
【0312】
【表7-4】
【0313】
配列番号1:TRPC5プラスミド配列
実施例2で使用したTRPC5プラスミドのDNA配列を以下に示す。下線が引かれた核酸は、ヒトTRPC5をコードするものを表す。
【0314】
【化41】
【0315】
【化42】
【0316】
【化43】
【0317】
【化44】
【0318】
参照による組み込み
本明細書において引用される全ての米国特許ならびに米国及びPCT公開特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0319】
均等論
上記の明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分である。実施例は本発明の一態様の単一の説明として意図されるため、本発明は提供される実施例によってその範囲が限定されるべきではなく、他の機能的に同等である実施形態は本発明の範囲内である。本明細書に示され説明されるものに加えて、本発明の様々な修正が、上記の明細書から当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。本発明の利点及び目的は、本発明の各実施形態によって必ずしも包含されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)もしくは(II)の化合物、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩:
【化1】
(式中、
A及びA’は、CR及びNから独立して選択され、A及びA’のうちの少なくとも1つはCRであり、
RはL-Rであり、
Lは存在しない、CH、O、SO、またはNRであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択され、Lが存在しない場合、RはさらにHから選択され、
各Rは独立してHまたはアルキルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから選択され、
は、アルキル、任意に置換されたアルキレン-アリール、及び任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールから選択され、
各Rは、H、N(R、ORから独立して選択され、
各Rは、H、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、及び(アリール)S(O)から独立して選択され、
Xは、-C(O)-、CH、CHR、C(Rであり、
各Rは、H、アルキル、及び任意に置換されたアルキレン-OHから独立して選択され、
X’は、-C(O)-、CH、CHR3’、C(R3’であるか、またはX’はRと一緒になって5もしくは6員環を形成し、
各R3’は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから独立して選択され、ならびに
Zは存在しない、CH、CHR、O、-NR-、または-SO-であり、
但し、X及びX’の両方が-C(O)-であることはなく、ZがO、NR、またはSOの場合、RはHである)。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化1】
(式中、
A及びA’は、CR及びNから独立して選択され、A及びA’のうちの少なくとも1つはCRであり、
RはL-Rであり、
Lは存在しない、CH、O、SO、またはNRであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択され
は独立してHまたはアルキルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから選択され、
は、アルキル、任意に置換されたアルキレン-(6員アリール、及び任意に置換されたアルキレン-(5-6員ヘテロアリールから選択され、
各Rは、H、N(R、ORから独立して選択され、
各Rは、H、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O)-、及び(アリール)S(O)から独立して選択され、
X’は、-C(O)-、CH、CHR3’、C(R3’であるか、またはX’はRと一緒になって5もしくは6員環を形成し、
各R3’は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR、任意に置換されたシクロアルキレン-OR、任意に置換されたアルキレン-N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R、任意に置換されたアルキレン-S(O)N(R、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O)N(Rから独立して選択され、ならびに、
Zは存在しない、CH、CHR、O、-NR-、または-SO-である。
但し、ZがO、NR、またはSOの場合、RはHである。)
【請求項2】
前記AがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記AがCRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記A’がNである、請求項1または3に記載の化合物。
【請求項5】
前記前記A’がCRである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記Lが存在しない、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記LがCH である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記LがOである、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記R が任意に置換されたフェニルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
前記置換されたフェニルは、ハロゲン、-CF 、-C(H)F 、及び-OCF から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換された、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記R が任意に置換されたアルキルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記R がHである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
前記R がアルキレン-OHである、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
前記R
【化2】
から選択される、請求項1~12に記載の化合物。
【請求項15】
前記R がアルキルである、請求項1~14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
前記R が任意に置換されたアルキレン-(6員アリール)である、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記アリールは、ハロゲン、-CF 、-C(H)F 、または-OCF で置換されている、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記アルキレン-(6員アリール)のアリールはフェニルであり、1つまたは複数例のハロゲンで置換されている、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
前記R
【化3】
である、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
前記各R はHである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記X’が-C(O)-である、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
前記X’がCH である、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
前記Zが存在しない、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】

である請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む、組成物。
【請求項26】
請求項1~24のいずれか1項に記載の化合物を含む薬学的組成物であって、
腎疾患、糖尿病性網膜症、不安症、うつ病、疼痛、肥満、またはがんを治療する、またはその発症のリスクを低減するための、薬学的組成物。
【請求項27】
不安症、うつ病、疼痛、またはがんを治療する、またはその発症のリスクを低減するための、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
式(I)または(II)の化合物、またはその互変異性体もしくは薬学的に許容される塩。
【化8】
(式中、
A及びA’は、CR及びNから独立して選択され、A及びA’のうちの少なくとも1つはCRであり、
RはL-R であり、
Lは存在しない、CH 、O、SO 、またはNR であり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールから選択され、Lが存在しない場合、R はさらにHから選択され、
各R は独立してHまたはアルキルであり、
は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR 、任意に置換されたシクロアルキレン-OR 、任意に置換されたアルキレン-N(R 、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R 、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R 、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R 、任意に置換されたアルキレン-S(O) N(R 、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O) N(R から選択され、
は、アルキル、任意に置換されたアルキレン-アリール、及び任意に置換されたアルキレン-ヘテロアリールから選択され、
各R は、H、N(R 、OR から独立して選択され、
各R は、H、アルキル、(アルキル)C(O)-、(アリール)C(O)-、(アルキル)S(O) -、及び(アリール)S(O) から独立して選択され、
Xは、-C(O)-、CH 、CHR 、C(R であり、
各R は、H、アルキル、及び任意に置換されたアルキレン-OHから独立して選択され、
X’は、-C(O)-、CH 、CHR 3’ 、C(R 3’ であるか、またはX’はR と一緒になって5もしくは6員環を形成し、
各R 3’ は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルキレン-OR 、任意に置換されたシクロアルキレン-OR 、任意に置換されたアルキレン-N(R 、任意に置換されたシクロアルキレン-N(R 、任意に置換されたアルキレン-C(O)N(R 、任意に置換されたシクロアルキレン-C(O)N(R 、任意に置換されたアルキレン-S(O) N(R 、及び任意に置換されたシクロアルキレン-S(O) N(R から独立して選択され、ならびに
Zは存在しない、CH 、CHR 、O、-NR -、または-SO -である。
但し、X及びX’の両方が-C(O)-であることはなく、ZがO、NR、またはSO
の場合、R はHである。)
【請求項29】
明細書に記載される、化合物、組成物、方法または他の態様もしくは実施形態。
【外国語明細書】