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特開2024-3800ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003800
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240105BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173852
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2022117644の分割
【原出願日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】63/203,787
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/812,508
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】エリック クレム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリを提供する。
【解決手段】回転ジョイントアセンブリは、少なくとも1つのアームセグメント72、76と、アームセグメントの一端に提供された回転ジョイント70、74、78とを含む。回転ジョイントは、アームセグメントが回転軸の周りに回動できるようにする。回転ジョイントは、アームセグメントの回動を回転ジョイントにおいて制動するブレーキと、このブレーキを作動させまた解除するアクチュエータとを含む。アクチュエータは、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域を有するカムを備え、該2つの定常領域が、ブレーキの作動に対応する第1の定常領域と、ブレーキの解除に対応する第2の定常領域とからなる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリであって、
少なくとも1つのアームセグメントと、
前記アームセグメントの一端に設けられ、前記アームセグメントが回転軸の周りに回動することを可能にする回転ジョイントとを有し、
前記回転ジョイントは、
当該回転ジョイントにおいて前記アームセグメントの回動を制動するブレーキと、
前記ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータが、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域をもつカムを有し、前記2つの定常領域が、前記ブレーキの作動に対応する第1の定常領域と、前記ブレーキの解除に対応する第2の定常領域とを含む、回転ジョイントアセンブリ。
【請求項2】
前記ブレーキは、
円錐形内周を有するカップと、
前記ブレーキの作動時に前記カップの前記円錐形内周に当接するコーンとを含み、
前記ブレーキの作動が、移動により前記コーンを前記カップの前記円錐形内周に接触させることを含む、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項3】
前記カップの前記円錐形内周は、約15度から約30度の間の傾斜角度をもつ、請求項2に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項4】
前記カップの前記円錐形内周は、約17度の傾斜角度をもつ、請求項3に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項5】
前記ブレーキは、
内側ハウジングに連結された複数の第1のディスクブレーキ部と、
外側ハウジングに連結された複数の第2のディスクブレーキ部とを備え、
前記内側ハウジングが、前記回転ジョイントを軸として前記アームセグメントが回動すると、前記外側ハウジングに対して回転する、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のディスクブレーキ部の摩擦面と前記第2のディスクブレーキ部の対応する摩擦面とが、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間の円周において交互に重ねられる、請求項5に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項7】
前記第1のディスクブレーキ部は、前記内側ハウジングと各前記摩擦面との間にそれぞれの内側非平面部分を有し、
該内側非平面部分が、前記内側ハウジングに固定される一端と、対応する前記摩擦面につながる他端とを含み、
前記内側非平面部分の前記一端と前記内側非平面部分の前記他端とが軸方向においてオフセットされている、請求項6に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項8】
前記第2のディスクブレーキ部は、前記外側ハウジングと各前記摩擦面との間にそれぞれの外側非平面部分を含み、
該外側非平面部分が、前記外側ハウジングに固定される一端と、対応する前記摩擦面につながる他端とを含み、
前記外側非平面部分の前記一端と前記外側非平面部分の前記他端とが軸方向においてオフセットされている、請求項6に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記カムに接するように前記ブレーキを解除位置へ付勢するためのバネを含む、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項10】
前記カムの前記2つの定常領域において、
前記第1の定常領域が、前記バネを圧縮して前記ブレーキを作動させる力を発動させる制動位置に対応し、
前記第2の定常領域が、前記力が働かず前記ブレーキが解除される非制動位置に対応し、
前記カムの前記2つの遷移領域は、
前記第2の定常領域から前記第1の定常領域への漸進形遷移領域と、
前記第1の定常領域から前記第2の定常領域への急進形遷移領域とを含む、請求項9に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項11】
前記回転ジョイントは、左利き位置と右利き位置とで前記アームセグメントの回動を可能にする、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項12】
前記カムは、モータによって駆動されるカムシャフトに配置される、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項13】
前記カムシャフトは、前記カムの向きの判定を可能にする少なくとも1つのセンサを含む、請求項12に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項14】
前記カムシャフトは、手動アクチュエータに連結されており、前記モータを動作させなくとも操作者が前記カムシャフトを回転させることができるようになっている、請求項12に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項15】
前記カムシャフトは、前記手動アクチュエータの動作中に前記カムシャフトのモータ駆動位置を保持するように構成されたラチェットを含み、
該ラチェットは、さらに、前記モータが動作を再開するときに、前記モータ駆動位置で該モータが前記カムシャフトと係合することを可能とするように構成される、請求項14に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項16】
前記カムシャフトは、当該カムシャフトがモータ駆動されていないときに前記手動アクチュエータが該カムシャフトと係合することを可能とし、当該カムシャフトがモータ駆動されているときに前記手動アクチュエータが該カムシャフトと係合しないことを可能とするように構成されたラチェットを、含む、請求項14に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項17】
前記ブレーキのほぼ全体を少なくとも囲むベローズをさらに含み、
該ベローズが、前記ブレーキの作動時にねじり剛性を提供し、作動時又は解除時のバックラッシュを実質的にゼロにする、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項18】
前記ブレーキは、
外側ハウジングに固定された第1のブレーキ要素と、
内側ハウジングに固定された第2のブレーキ要素とを含み、
前記内側ハウジングは、回転軸の周りに前記外側ハウジングに対して回転可能であり、
前記第1のブレーキ要素と前記第2のブレーキ要素とは、選択的に、前記ブレーキの作動にあたり互いに当接する、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項19】
ロボット制御医療システムであって、
当該ロボット制御医療システムの少なくとも一部分を制動するブレーキと、
該ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを含み、
前記アクチュエータは、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域をもつカムを含み、
前記2つの定常領域が、前記ブレーキの作動に対応する第1の定常領域と、前記ブレーキの解除に対応する第2の定常領域とを含む、ロボット制御医療システム。
【請求項20】
ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリであって、
少なくとも1つのアームセグメントと、
該アームセグメントの一端に設けられ、前記アームセグメントが回転軸の周りに回動することを可能にする回転ジョイントとを有し、
前記回転ジョイントは、
当該回転ジョイントにおいて前記アームセグメントの回動を制動するブレーキと、
該ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを備え、
前記ブレーキが、円錐形内周を有するカップと、前記ブレーキの作動時に前記カップの前記円錐形内周と当接するコーンとを含み、
前記ブレーキの作動が、移動により前記コーンを前記カップの前記円錐形内周に接触させることを含む、回転ジョイントアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年7月30日出願の米国仮出願63/203,787、発明の名称「ROTATIONAL JOINT ASSEMBLY FOR ROBOTIC MEDICAL SYSTEM」、の利益を主張する。当該出願はその全体がここに援用される。
【0002】
本発明は、概してロボット制御医療処置システムの分野に関し、より具体的には当該システムの回転ジョイントに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルその他の細長い医療デバイス(EMD)は、神経介入手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む、様々な血管系の疾患の診断及び治療に関する低侵襲医療処置に使用される。これらの処置は、典型的には、血管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、ガイドワイヤを介してカテーテルを前進させて治療を行うことを伴う。カテーテル処置は、標準的な経皮的技術を使用し、イントロデューサシースを用いて動脈や静脈などの適切な血管へのアクセスを獲得することによって開始される。次いで、イントロデューサシースを通して、シースやガイドカテーテルが、診断ガイドワイヤを越えて、NVIであれば内頸動脈、PCIであれば冠動脈口、PVIであれば浅大腿動脈といった一次ロケーションへ前進させられる。そして、その脈管構造に適したガイドワイヤを、シースやガイドカテーテルを通して、脈管構造内の標的ロケーションまでナビゲートする。曲がりくねった解剖学的構造などの特定の状況では、ガイドワイヤのナビゲーションを支援するために、支持カテーテルやマイクロカテーテルがガイドワイヤを越えて挿入される。医師(操作者)は、撮像システム(例えば、蛍光透視鏡)を使用して造影剤注入によるシネを取得し、ガイドワイヤ又はカテーテルを標的ロケーション、例えば病変、までナビゲートするためのロードマップとして使用する固定フレームを選択することができる。造影画像は、医師がガイドワイヤ又はカテーテルを送り込む間にも得られ、これにより、医師は、デバイスが標的ロケーションへの正しい経路に沿って移動していることを検証することができる。蛍光透視法を使用して解剖学的構造を観察しながら、医師は、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作して、その遠位先端を病変(標的の解剖学的ロケーション)に向かう適切な血管内へ誘導し、側枝への進行を回避する。
【0004】
NVI、PCI、及びPVIなどのカテーテル処置を実施する際に医師を補助するために使用されるロボット制御カテーテルベースの処置システムが開発されている。NVI処置の例には、動脈瘤のコイル塞栓形成、動静脈奇形の液体塞栓形成、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓除去、が含まれる。NVI処置において、医師は、ロボット制御システムを使用して、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することによって標的病変へのアクセスを獲得し、治療を行って正常な血流を回復させる。標的へのアクセスは、シースやガイドカテーテルによって可能とされるが、より遠位の領域のために、又は、マイクロカテーテル及びガイドワイヤに対する適切な支持を提供するためには、中間カテーテルが必要な場合もある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変及び治療のタイプに応じて病変の中へ又は病変の先へナビゲートされる。動脈瘤の治療に関しては、マイクロカテーテルを病変中に前進させ、ガイドワイヤを除去し、いくつかの塞栓コイルをマイクロカテーテルを通し動脈瘤内に配備して動脈瘤への血流を遮断するために使用する。動静脈奇形の治療に関しては、液体塞栓剤が、マイクロカテーテルを使用して奇形に注入される。血管閉塞を治療する機械的血栓除去は、吸引及び/又はステント回収器の使用によって達成することができる。血餅のロケーションに応じて、吸引カテーテルを通し、又は、より小さい動脈のためのマイクロカテーテルを通し、吸引は行われる。吸引カテーテルが病変に配置されれば、陰圧を加えることでカテーテルを通し血餅が除去される。別の例では、血餅は、マイクロカテーテルを通しステント回収器を利用することによって除去することができる。ステント回収器で血餅を絡め取ると、この血餅は、ステント回収器及びマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテル内に後退させることによって、回収される。
【0005】
PCIにおいて、医師は、ロボット制御システムを使用し、冠状動脈ガイドワイヤを操作することによって病変アクセスを得て、治療を行い正常な血流を回復させる。そのアクセスは、冠状動脈口にガイドカテーテルを着座させることによって可能になる。ガイドワイヤの遠位先端は病変の先へナビゲートされ、複雑な解剖学的構造に対して、マイクロカテーテルがガイドワイヤの適切な支持を提供するために使用される。血流は、病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することによって回復させる。病変は、ステント留置の前に準備が必要な場合があり、病変の事前拡張のためのバルーンを送り込むか、又は、例えばレーザーや回転式アテローム切除カテーテル及びガイドワイヤによるバルーンを使用してアテローム切除術を実施する。撮像カテーテル又はフラクショナルフローリザーブ(Fractional Flow Reserve/心筋血流予備量比:FFR)測定を使用することによって、診断撮像及び生理学的測定が実行され、適切な治療が決定される。
【0006】
PVIにおいて、医師は、ロボット制御システムを用いて治療を行い、NVIと同様の技術で血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端は病変の先へナビゲートされ、マイクロカテーテルが使用されて、複雑な解剖学的構造に対するガイドワイヤに適切な支持を提供する。血流は、ステント又はバルーンを病変に届けて展開することによって、回復する。PCIと同様に、病変の予備処置及び画像診断も使用することができる。
【0007】
例えば、曲がりくねった又は石灰化した血管系をナビゲートするために、又は、遠位の解剖学的ロケーションに到達するために、あるいは、硬い病変を横断するために、カテーテル又はガイドワイヤの遠位端において支持が必要とされる場合、オーバーザワイヤ(Over-The-Wire: OTW)カテーテル又は同軸システムが使用される。OTWカテーテルは、カテーテルの全長にわたって延在する、ガイドワイヤ用の管腔を有する。これは、ガイドワイヤを全長にわたって支持するので、比較的安定したシステムを提供する。しかしながら、このシステムは、ラピッドエクスチェンジ(Rapid Exchange)カテーテル(後述)と比較して、摩擦が大きく、全長が長いといった、いくつかの短所をもつ。留置ガイドワイヤの位置を維持しながらOTWカテーテルを除去又は交換するためには、通常、ガイドワイヤの露出長さ(患者から出ている)は、OTWカテーテルよりも長くなければならない。長さ300cmのガイドワイヤが一般的にこの目的のために十分であり、エクスチェンジ長ガイドワイヤと呼ばれることが多い。ガイドワイヤの長さに起因して、OTWカテーテルを除去又は交換するために、2人の操作者が必要とされる。このことは、三軸システムとして当技術分野で知られている三重同軸カテーテルが使用される場合(四重同軸カテーテルも使用されることが知られている)に、さらに困難を招く。しかしながら、OTWシステムは、その安定性の故に、NVI及びPVI処置において広く使用される。一方、PCI処置では、ラピッドエクスチェンジ(又はモノレール)カテーテルが広く使用される。ラピッドエクスチェンジカテーテルの中のガイドワイヤ管腔は、モノレール又はラピッドエクスチェンジ(RX)セクションと呼ばれるカテーテルの遠位セクションのみを通って延びる。RXシステムを使用する場合、操作者は、(デバイスが直列構成で操作されるOTWシステムとは対照的に)相互に平行にインターベンションデバイスを操作し、ガイドワイヤの露出長さは、カテーテルのRXセクションよりもわずかに長くするだけでよい。ラピッドエクスチェンジ長のガイドワイヤは、通常、180~200cmの長さである。より短いガイドワイヤ及びモノレールであれば、RXカテーテルは、1人の操作者によって交換可能である。しかしながら、RXカテーテルは、もっと遠位の支持が必要なときに不適切なことがある。
【発明の概要】
【0008】
一態様によると、少なくとも1つのアームセグメントと、該アームセグメントの一端に設けられた回転ジョイントとを備える、ロボット制御医療システム用の回転ジョイントアセンブリである。回転ジョイントは、アームセグメントが回転軸の周りに回動することを可能にする。回転ジョイントは、当該回転ジョイントにおいてアームセグメントの回動を制動するブレーキと、該ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを備える。アクチュエータは、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域を有するカムを備える。2つの定常領域は、ブレーキの作動に対応する第1の定常領域と、ブレーキの解除に対応する第2の定常領域とを含む。
【0009】
一態様において、ブレーキは、円錐形内周を有するカップと、ブレーキ作動時にカップの円錐形内周に当接するコーン(円錐)とを含む。この場合のブレーキの作動は、移動によりコーンをカップの円錐形内周に接触させることを含む。
【0010】
一態様において、カップの円錐形内周は、約15度から約30度の間の傾斜角度(円錐の角度)をもつ。
【0011】
一態様において、カップの円錐形内周は、約17度の傾斜角度をもつ。
【0012】
一態様において、ブレーキは、内側ハウジングに連結された複数の第1のディスクブレーキ部と、外側ハウジングに連結された複数の第2のディスクブレーキ部とを備える。この場合、内側ハウジングは、回転ジョイントを軸としてアームセグメントが回動すると、外側ハウジングに対して回転する。
【0013】
一態様において、第1のディスクブレーキ部の摩擦面と第2のディスクブレーキ部の対応する摩擦面とは、内側ハウジングと外側ハウジングとの間の円周において交互に重ねられる(インターリーブ)。
【0014】
一態様において、第1のディスクブレーキ部は、内側ハウジングと各摩擦面との間にそれぞれの内側非平面部分を含む。内側非平面部分は、内側ハウジングに固定される一端と、対応する摩擦面につながる他端とを含む。これら内側非平面部分の一端と内側非平面部分の他端とは、軸方向においてオフセットされている。
【0015】
一態様において、第2のディスクブレーキ部は、外側ハウジングと各摩擦面との間にそれぞれの外側非平面部分を含む。外側非平面部分は、外側ハウジングに固定される一端と、対応する摩擦面につながる他端とを含む。これら外側非平面部分の一端と外側非平面部分の他端とは、軸方向においてオフセットされている。
【0016】
一態様において、アクチュエータは、カムに接するようにブレーキを解除位置へ付勢するためのバネを含む。
【0017】
一態様において、カムの2つの定常領域は、バネを圧縮してブレーキを作動させる力を発動させる、制動位置に対応した第1の定常領域と、前記力が働かずブレーキが解除される、非制動位置に対応した第2の定常領域とを含む。カムの2つの遷移領域は、第2の定常領域から第1の定常領域への漸進形遷移領域と、第1の定常領域から第2の定常領域への急進形遷移領域とを含む。
【0018】
一態様において、回転ジョイントは、左利き位置と右利き位置とでアームセグメントの回動を可能にする。
【0019】
一態様において、カムは、モータによって駆動されるカムシャフトに配置される。
【0020】
一態様において、カムシャフトは、カムの向きの判定を可能にする少なくとも1つのセンサを含む。
【0021】
一態様において、カムシャフトは、手動アクチュエータに連結されており、モータを動作させなくとも操作者がカムシャフトを回転させることができるようになっている。
【0022】
一態様において、カムシャフトは、手動アクチュエータの動作中にカムシャフトのモータ駆動位置を保持するように構成されたラチェットを含む。ラチェットは、さらに、モータが動作を再開するときに、モータ駆動位置でモータがカムシャフトと係合することを可能とするように構成される。
【0023】
一態様において、カムシャフトは、カムシャフトがモータ駆動されていないときに手動アクチュエータがカムシャフトと係合することを可能とし、カムシャフトがモータ駆動されているときに手動アクチュエータがカムシャフトと係合しないことを可能とするように構成されたラチェットを、含む。
【0024】
一態様において、回転ジョイントアセンブリは、ブレーキのほぼ全体を少なくとも囲むベローズ(ふいご/蛇腹)をさらに含む。このベローズは、作動時又は解除時のバックラッシュを実質的にゼロにする。一態様において、バネは、バネハウジングをカムに向かう方向に付勢しているベローズバネ力よりも(著しく)大きい予圧力をもつ。一態様において、そのバネの予圧力は、バネが予圧力をもっていない場合に比べて、ブレーキ要素をより迅速に作動(当接)させる。
【0025】
一態様において、ブレーキは、外側ハウジングに固定された第1のブレーキ要素と、内側ハウジングに固定された第2のブレーキ要素とを含む。内側ハウジングは、回転軸の周りに外側ハウジングに対して回転可能である。第1のブレーキ要素と第2のブレーキ要素とは、選択的に、ブレーキの作動にあたり互いに当接する。
【0026】
一態様において、回転ジョイントアセンブリは、ブレーキの周囲に配置されたベローズアセンブリを含む。ベローズアセンブリは、ブレーキ作動時にねじり剛性を提供する。
【0027】
一態様において、ベローズアセンブリは、約90,000Nm/radから約110,000 Nm/radまでのねじり剛性を提供する。
【0028】
一態様において、回転ジョイントは関節(回転継手)である。
【0029】
一態様において、ブレーキは、連続制動面を有するギヤレスブレーキである。
【0030】
一態様において、ロボット制御医療システムは、当該ロボット制御医療システムの少なくとも一部分を制動するブレーキと、ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを含む。アクチュエータは、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域を有するカムを含む。2つの定常領域は、ブレーキの作動に対応する第1の定常領域と、ブレーキの解除に対応する第2の定常領域とを含む。
【0031】
一態様において、カムの2つの定常領域は、ブレーキを作動させる力を発動させる、制動位置に対応した第1の定常領域と、前記力が働かずブレーキが解除される、非制動位置に対応した第2の定常領域とを含む。カムの2つの遷移領域は、第2の定常領域から第1の定常領域への漸進形遷移領域と、第1の定常領域から第2の定常領域への急進形遷移領域とを含む。
【0032】
一態様において、ブレーキは、円錐形内周を有するカップと、ブレーキ作動時にカップの円錐形内周に当接するコーン(円錐)とを含む。この場合のブレーキの作動は、移動によりコーンをカップの円錐形内周に接触させることを含む。
【0033】
一態様において、ブレーキは、内側ハウジングに連結された複数の第1のディスクブレーキ部と、外側ハウジングに連結された複数の第2のディスクブレーキ部とを備える。内側ハウジングは、回転ジョイントを軸としてアームセグメントが回動すると、外側ハウジングに対して回転する。
【0034】
一態様において、ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリは、少なくとも1つのアームセグメントと、アームセグメントの一端に設けられ、アームセグメントが回転軸の周りに回動することを可能にする回転ジョイントとを含む。回転ジョイントは、当該回転ジョイントにおいてアームセグメントの回動を制動するブレーキと、ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを含む。ブレーキは、円錐形内周を有するカップと、ブレーキ作動時にカップの円錐形内周と当接するコーン(円錐)とを含む。ブレーキの作動は、移動によりコーンをカップの円錐形内周に接触させることを含む。
【0035】
一態様において、カップの円錐形内周は、約15度から約30度の間の傾斜角度(円錐の角度)をもつ。
【0036】
一態様において、カップの円錐形内周は、約17度の傾斜角度をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、参照番号が同様の部分を示している次の図面を参照して記述される以下の詳細な説明からより詳細に理解される。
【0038】
図1】一実施形態に係るカテーテルベース処置システムを例示する斜視図。
図2】一実施形態に係るカテーテルベース処置システムを例示する概略ブロック図。
図3】明確にするために特定の構成要素を除去して表した、図1に示す例のカテーテルベース処置システムの側面図。
図4】一実施形態に係るロボット制御駆動装置の位置決めシステムを例示する斜視図。
図5】一実施形態に係る回転ジョイントを例示する断面図。
図6図5の回転ジョイントで使用するブレーキシステムを例示する、その一部を側方から見た断面図。
図7図5に例示する回転ジョイントにおける一部の斜視図。
図8図5に例示する回転ジョイントで使用するカムを例示する側面図。
図9A】~
図9D】一実施形態に係るブレーキシステムの一例について、動作サイクルの例を示す行程図。
図10】一例の手動アクチュエータを備えた回転ジョイントを例示する斜視図。
図11図10の手動アクチュエータを備えたカムシャフトを例示する斜視図。
図12】センサーシステムを説明する、例示の回転ジョイントにおける一部の斜視図。
図13】一実施形態に係る回転ジョイントで使用するブレーキシステムの別の例を示す、断面を含む斜視図。
図14】一実施形態に係る回転ジョイントで使用するブレーキシステムの別の例を示す斜視図。
図15A】~
図15B】位置決めシステムが異なる状態にある、図1に例示するカテーテルベース処置システムの上面図。
図16A】~
図16B】4バーリンク機構を例示したシステム600の動作を説明する図。
図17】一実施形態に係る回転ジョイントを例示する断面図。
図17A】ブレーキが非制動(解除)位置にある、図17の回転ジョイントの一部の拡大断面図。
図17B】ブレーキが制動(当接)位置にある、図17の回転ジョイントの一部の拡大断面図である。
図18図17の回転ジョイントにおけるベローズの部分図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、一実施形態に係るカテーテルベース処置システム10の例を示す斜視図である。カテーテルベース処置システム10は、カテーテルベースの医療処置、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(例えばSTEMIを治療するための)、神経血管インターベンション処置(NVI)(例えば緊急大血管閉塞(ELVO)を治療するための)、末梢血管インターベンション処置(PVI)(例えば重症肢虚血(CLI)のための)といった経皮的インターベンション処置、を実行するために使用される。カテーテルベースの医療処置は、1つ以上のカテーテルや他の細長い医療デバイス(EMD)が患者の疾患の診断を補助するべく使用される診断カテーテル処置、を含む場合がある。例えば、カテーテルベースの診断処置の一例において、造影剤がカテーテルを通して1つ以上の動脈に注入され、患者の血管系の画像が撮影される。カテーテルベースの医療処置は、カテーテルベースの治療処置(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血餅除去、動静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)を含む場合もあり、このときには、カテーテル(又は他のEMD)が疾患を治療するために使用される。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、フラクショナルフローリザーブ(FFR)などの補助装置54(図2に示される)を備えることによって強化され得る。なお、実施されるべき処置のタイプに従って、ある種の特殊な経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えばガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプなど)を選択可能であることは、当業者にとって当然である。カテーテルベース処置システム10は、わずかな調節で、処置に使用したい特定の経皮的インターベンションデバイスに適応でき、いくつものカテーテルベースの医療処置を実行することができる。
【0040】
カテーテルベース処置システム10は、多数ある要素の中でも特に、ベッドサイドユニット20及び制御ステーション(図示せず)を含む。ベッドサイドユニット20は、患者12の傍に配置されたロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含む。患者12は患者テーブル18に寝かされている。位置決めシステム22は、ロボット制御駆動装置24の位置決め及び支持に使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、多関節アーム、ホルダ等である。位置決めシステム22は、一端で、例えば、患者テーブル18(図1に示されるように)、ベース、又はカートに取り付けられる。位置決めシステム22の他端は、ロボット制御駆動装置24に取り付けられる。位置決めシステム22は、患者12が患者テーブル18に寝られるように、(ロボット制御駆動装置24と共に)退避させる(脇に退ける)ことができる。患者12が患者テーブル18に寝かされると、位置決めシステム22を使用して、処置を行う患者12に対してロボット制御駆動装置24を位置決めする(据える)ことができる。一実施形態において、患者テーブル18は、床及び/又は地面に固定された台座17により動作可能にして支持される。患者テーブル18は、台座17に対して多自由度、例えばロール、ピッチ、ヨー、で動くことができる。ベッドサイドユニット20は、(図2に示される)制御装置及びディスプレイ46も含み得る。例えば、制御装置及びディスプレイ46は、ロボット制御駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0041】
一般に、ロボット制御駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(図2に示される)(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種のカテーテル、ステント配置システム、ステント回収器、塞栓コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤を注入するデバイス、薬剤、止血弁アダプタ、シリンジ、ストップコック、膨張デバイスなど)を装備し、操作者が、制御ステーションにある制御機器及び入力機器などの様々な制御装置を操作してロボット制御システムを介しカテーテルベースの医療処置を行えるようにする。ベッドサイドユニット20、具体的にはロボット制御駆動装置24は、いくつかの及び/又は組み合わせたコンポーネントを含み、ここに説明する機能をベッドサイドユニット20に提供する。ロボット制御駆動装置24は、レール(又は直線部材)に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a~32dを含む。デバイスモジュール32a~32dの各々は、カテーテルやガイドワイヤなどのEMDを駆動するために使用される。例えば、ロボット制御駆動装置24は、患者12の動脈内の診断カテーテルの中へ及びガイドカテーテルの中へガイドワイヤを機械的に送り込むために使用される。EMDなどの1つ以上のデバイスが、例えばイントロデューサシースを介して、挿入点16から患者12の体内(例えば血管)に入る。
【0042】
ベッドサイドユニット20は、制御ステーション(図示せず)と通信しており、制御ステーションで操作者入力により生成される信号がベッドサイドユニット20へ無線又は有線で送信され、ベッドサイドユニット20の各機能が制御される。後述するように、制御ステーションは、制御コンピューティングシステム34(図2に示す)を含むか、又は、制御コンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20と接続される。ベッドサイドユニット20は、フィードバック信号(例えば、負荷、速度、動作条件、警告信号、エラーコードなど)を制御ステーションか制御コンピューティングシステム34(図2に示す)又はその両方に提供することもできる。制御コンピューティングシステム34とカテーテルベース処置システム10の各コンポーネントとの間の通信は、無線接続、有線接続、又はコンポーネント間の通信を可能にする各種の手段である通信リンクを介して提供される。制御ステーション又は他の同様の制御システムは、ローカルサイト(例えば図2に示されるローカル制御ステーション38)又はリモートサイト(例えば図2に示されるリモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42)のいずれかに配置される。カテーテルベース処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーションかリモートサイトの制御ステーション、又は同時にローカル制御ステーションとリモート制御ステーションの両方によって、操作される。ローカルサイトにおいて、操作者及び制御ステーションは、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋又は隣の部屋に配置される。ここで使うローカルサイトは、ベッドサイドユニット20と患者12又は対象(動物や死体など)の場所であり、リモートサイトは、ベッドサイドユニット20を遠隔制御するために使用される制御ステーションと操作者の場所である。リモートサイトの制御ステーション(及び制御コンピューティングシステム)と、ローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は制御コンピューティングシステムは、例えばインターネットを通して、通信システム及びサービス36(図2に示される)の使用により通信することができる。一実施形態において、リモートサイトとローカル(患者)サイトとは互いに離れており、例えば、同じ建物内の別の部屋、同じ都市内の別の建物、別の都市、又は、リモートサイトからローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に物理的にアクセスできない別々の場所にある。
【0043】
制御ステーションは、一般に、カテーテルベース処置システム10の様々なコンポーネントやシステムを操作するためのユーザ入力を受信するように構成された1つ以上の入力モジュール28を含む。図示の実施形態の場合、制御ステーションは、操作者がベッドサイドユニット20を制御してカテーテルベースの医療処置を実行することを可能にする。例えば、入力モジュール28は、ロボット制御駆動装置24と連動する経皮的インターベンションデバイス(例えばEMD)を使用してベッドサイドユニット20に各種のタスクを実行させるように構成される(例えば、ガイドワイヤを前進、後退、又は回転させる、カテーテルを前進、後退、又は回転させる、カテーテルに設けたバルーンを膨張又は収縮させる、ステントを位置決めし及び/又は展開する、ステント回収器を位置決めし及び/又は展開する、コイルを位置決めし及び/又は展開する、カテーテルに造影剤を注入する、カテーテルに液体塞栓を注入する、カテーテルに薬剤又は生理食塩水を注入する、カテーテルで吸引する、あるいは、カテーテルベースの医療処置の一部として実行され得る各種の他の機能を実行する)。ロボット制御駆動装置24は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントを動作させる(例えば軸方向及び回転方向の動作)ための各種駆動機構を含む。
【0044】
一実施形態において、入力モジュール28は、1つ以上のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含む。入力モジュール28に加えて、制御ステーション26には、フットスイッチ及び音声コマンド用マイクロフォンなどのユーザ制御装置44(図2に示す)を追加で使用してもよい。入力モジュール28は、例えばガイドワイヤ及び1つ以上のカテーテル又はマイクロカテーテルなどの各種コンポーネント及び経皮的インターベンションデバイスを前進させ、後退させ、又は回転させるように構成される。ボタンには、例えば、緊急停止ボタン、倍率ボタン、機器選択ボタン、及び自動化動作ボタンを用意することができる。緊急停止ボタンが押されると、ベッドサイドユニット20に対し、動力(例えば電力)が遮断されるか切り離される。速度制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力モジュール28の操作に応答して関連するコンポーネントが動作する速度を、増減するように機能する。位置制御モードにあるときには、倍率ボタンは、入力距離と出力指令距離との間のマッピングを変更する。機器選択ボタンは、ロボット制御駆動装置24に装填された経皮的インターベンションデバイスのうちのどれを入力モジュール28によって制御するかを操作者が選択できるようにする。自動化動作ボタンは、操作者11から直接コマンドを受けずにカテーテルベース処置システム10が経皮的インターベンションデバイスで実行することができるアルゴリズム動作を可能にするために使用される。一実施形態において、入力モジュール28は、タッチスクリーン(ディスプレイの一部であってもよく、そうでなくてもよい)に表示される1つ以上の制御手段又はアイコン(図示せず)を含み、これらが選択されると、カテーテルベース処置システム10のコンポーネントが操作される。入力モジュール28は、バルーンを膨張又は収縮させ及び/又はステントを展開するように構成されたバルーン又はステント制御手段も含み得る。入力モジュール28の各々は、1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーンなどを含み、これらは、専用制御すべき特定の1つ又は複数のコンポーネントを制御するために使用することができる。さらに、1つ以上のタッチスクリーンに、入力モジュール28の各部分やカテーテルベース処置システム10の各コンポーネントに関連する1つ以上のアイコン(図示せず)を表示することができる。
【0045】
カテーテルベース処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテルベースの医療処置(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)と併せて使用され得る各種の医療撮像システムである。一例をあげると、撮像システム14は、制御ステーションと通信するデジタルX線撮像装置である。一実施形態において、撮像システム14は、患者12の周りを撮像システム14が部分的に又は完全に回転することができるようにCアーム(図1に示される)を含み、これにより撮像システム14は、患者12に対して様々な角度位置(例えば、sagittal view(矢状)、caudal view(尾側)、anterior-posterior view(前後)など)で画像を取得できる。一実施形態において、撮像システム14は、イメージインテンシファイアとしても知られるX線源13及び検出器15を有するCアームを含んだ、透視システムである。
【0046】
撮像システム14は、処置に際し患者12の適切な領域のX線画像を撮るように構成することができる。例えば、撮像システム14は、神経血管の状態を診断するために頭部の1つ以上のX線画像を取得するように構成され得る。撮像システム14は、カテーテルベースの医療処置において1つ以上のX線画像(例えばリアルタイム画像)を撮ることで制御ステーション26の操作者11を支援し、処置においてガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステント回収器、コイル、ステント、バルーンなどを適切に位置決めできるようにする。画像はディスプレイ30に表示できる。例えば、画像は、操作者がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置へ正確に移動させられるように、ディスプレイに表示される。
【0047】
方向を明確にするために、X,Y,Z軸をもつ直交座標系が導入される。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向に、すなわち近位端から遠位端へ向かう方向に、言い換えれば近位から遠位の方向に、配向される。Y軸とZ軸はX軸に対する横断面にあり、正のZ軸は上向き、つまり重力の反対方向に向いており、Y軸は右手の法則によって必然的に決まる。
【0048】
図2は、一実施形態に係るカテーテルベース処置システム10のブロック図である。カテーテルベース処置システム10は、制御コンピューティングシステム34を含む。制御コンピューティングシステム34は、物理的に、例えば制御ステーションの一部であってもよい。制御コンピューティングシステム34は、概して、ここに説明する様々な機能をカテーテルベース処置システム10に提供するように適合させた電子制御ユニットであってもよい。例えば、制御コンピューティングシステム34は、組み込みシステム、専用回路、ここに説明する機能をプログラムした汎用システムなどであり得る。制御コンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、通信システム及びサービス36(例えばインターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッションマネージャ、病院ネットワークなど)、ローカル制御ステーション38、追加の通信システム40(例えばテレプレゼンスシステム)、リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42、そして、患者センサ56(例えば心電図(ECG)装置、脳波(EEG)装置、血圧モニタ、温度モニタ、心拍数モニタ、呼吸モニタなど)と、通信する。制御コンピューティングシステム34は、撮像システム14、患者テーブル18、追加の医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助装置54(例えばIVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含み、追加の制御装置及びディスプレイ46を含んでもよい。上述のように、追加の制御装置及びディスプレイ46は、ロボット制御駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えばガイドワイヤ、カテーテルなど)は、ベッドサイドユニット20と連動する。一実施形態において、インターベンションデバイス及び付属機器48には特殊装置(例えばIVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影用診断カテーテルなど)が含まれ、これらはそれぞれの補助装置54、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、及びFFRシステムなどと連動する。
【0049】
一実施形態において、制御コンピューティングシステム34は、(例えばローカル制御ステーション38やリモート制御ステーション42といった制御ステーションの)入力モジュール28と操作者の相互作用に基づいて、及び/又は、カテーテルベース処置システム10を使用して医療処置を実行できるようにする制御コンピューティングシステム34の利用可能な情報に基づいて、制御信号を発生するように構成される。ローカル制御ステーション38は、1つ以上のディスプレイ30、1つ以上の入力モジュール28、及び追加のユーザ制御装置44を含む。リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42は、ローカル制御ステーション38と同様のコンポーネントを含むことができる。リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42とローカル制御ステーション38とは、それらに必要な機能に従って違う構成で組むことができる。追加のユーザ制御装置44は、例えば、1つ以上のフット入力制御手段を含む。フット入力制御手段は、X線のオン/オフ及び各記憶画像のスクロールなどの撮像システム14の機能を操作者が選択できるようにすべく構成される。一実施形態において、フット入力装置が、入力モジュール28に含まれるスクロールホイールにどのデバイスをマッピングするか操作者が選択できるようにすべく構成される。追加の通信システム40(例えばオーディオ会議、ビデオ会議、テレプレゼンスなど)は、患者、医療スタッフ(例えばアンギオスイートスタッフ)、及び/又はベッドサイド近くにある機器と操作者との連携を補助するべく、採用される。
【0050】
カテーテルベース処置システム10は、明示していない他の各種のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成され得る。例えば、カテーテルベース処置システム10は、画像処理エンジン、データストレージ及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はロギングシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテルベース処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステムなどを含むことができる。
【0051】
上述のように、制御コンピューティングシステム34は、ロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含み且つ追加の制御装置及びディスプレイ46を含み得るベッドサイドユニット20と通信し、そして、ベッドサイドユニット20に制御信号を提供して、経皮的インターベンションデバイス(例えばガイドワイヤ、カテーテルなど)を駆動するために使用されるモータ及び駆動機構の動作を制御する。種々の駆動機構がロボット制御駆動装置24の一部として設けられる。
【0052】
図3を参照すると、図1に例示するカテーテルベースの処置システム10の側面図が、明確にするために特定の構成要素(例えば患者、Cアーム)を除去して、示されている。図1を参照して上述したように、患者テーブル18は台座17に支持され、ロボット制御駆動装置24は、位置決めシステム22を用いて患者テーブルに取り付けられる。位置決めシステム22は、患者テーブル18と相対的なロボット制御駆動装置24の操作を可能にする。この点に関して、位置決めシステム22は、患者テーブル18に固定され、図4を参照して以下に説明するように、操作を可能にする様々な関節及びリンク/アームセグメントを含む。
【0053】
図4は、一実施形態に係る、ロボット制御駆動装置のための位置決めシステム22を例示する斜視図である。位置決めシステム22は、位置決めシステム22を患者テーブル18に固定するための固定装置60を含む。固定装置60は、第1の係合部材62を第1の長手方向レールと係合させると共に第2の係合部材64を患者テーブル18の第2の長手方向レールと係合させて位置決めシステム22を患者テーブル18に取り外し可能に固定する、係合機構を含む。
【0054】
位置決めシステム22は様々なセグメント及びジョイントを含み、これらが連結して、ロボット制御駆動装置24の位置(配置/体勢)を、例えば患者に対して、望むとおりに決めることができるようにする。位置決めシステム22は、固定装置60に連結された第1の回転ジョイント70を含む。第1の回転ジョイント70は、第1のアームセグメント72(リンク)の回転軸の周りの回動を可能にする。図示の例において、固定装置60は、実質的に水平な面(例えば患者テーブル18の平面)内にあり、回転軸は、実質的に垂直であって第1の回転ジョイント70の中央を通って延びている。第1の回転ジョイント70は、回転運動をロックしたり解除したりするなど第1の回転ジョイント70に関連する各種動作を操作者が制御できるようにする構造を、含むことができる。
【0055】
図示の例において、第1のアームセグメント72は、第1の回転ジョイント70に連結された第1の端部をもち、実質的に水平である。第1のアームセグメント72の第2の端部は、第2の回転ジョイント74に連結されている。さらに、第2の回転ジョイント74には、第2のアームセグメント76の第1の端部も連結される。すなわち第2の回転ジョイント74は、第1のアームセグメント72に対する第2のアームセグメント76の回動を可能にする。第1の回転ジョイント70と同様に、第2の回転ジョイント74は、第2の回転ジョイント74の中央を通る実質的に垂直の軸の周りに回転可能である。
【0056】
図示の例において、第2のアームセグメント76の第2の端部は、第3の回転ジョイント78に連結されている。第3の回転ジョイント78は、位置決めシステム22に対しロボット制御駆動装置24を取り付けるためのポスト80を含む。すなわち第3の回転ジョイント78は、第2のアームセグメント76に対するロボット制御駆動装置24の回動を可能にする。第3の回転ジョイント78は、第3の回転ジョイント78の中央を通る実質的に垂直の軸の周りに回転可能である。
【0057】
一実施形態において、第2のアームセグメント76は、第2の回転ジョイント74に対する第3の回転ジョイント78の制限された垂直方向の動作を可能にする4バーリンク機構を含む。この4バーリンク機構は、第3の回転ジョイント78及びポスト80の実質的に垂直の向きを維持しながら、第3の回転ジョイント78の垂直方向の移動を可能にする。
【0058】
図4に例示する位置決めシステムは、3つの回転ジョイント70,74,78及び2つのアームセグメント72,76を含む。この構造は、ロボット制御駆動装置24の位置決めにおいて有用な柔軟性を提供する。具体的には、3つの回転ジョイント70,74,78の使用が、ロボット制御駆動装置の位置決めに2つの自由度で柔軟性を提供する。3つの回転ジョイント70,74,78は、患者テーブル18の上で長手方向(患者の頭からつま先への方向)及び患者テーブル18を横切る横断方向(患者の左から右への方向)への駆動装置の移動を可能にする。したがって、患者に対し広い領域に配置することが、処置で使用するときに可能になる。加えて、この構造は、患者テーブル18の長手方向軸に対して様々な角度(すなわち様々なヨー角)でのロボット制御駆動装置24の配向を可能にする。さらに、図16A及び図16Bを参照して後述もするが、上述の4バーリンク機構の使用が、垂直方向においてさらなる自由度を提供する。
【0059】
図5は、一実施形態に係る回転ジョイント100を例示する断面図である。この例の回転ジョイント100は、上述の図4を参照して説明した位置決めシステム22の第1の回転ジョイント70、第2の回転ジョイント74、又は第3の回転ジョイント78のいずれか1つ以上において実装される。回転ジョイント100は、外側ハウジング110(及び外側ハウジング110に連結されたアームセグメントなどのコンポーネント)が、内側ハウジング120(及び内側ハウジング120に連結されたアームセグメントなどのコンポーネント)に対し回転軸を軸にして回転することを可能にしている。回転軸は、回転ジョイント100を通って実質的に垂直に延伸する。回転ジョイント100は、回転ジョイント100における回転運動のロックと解除を操作者が選択できるようにするブレーキシステム130をさらに含む。
【0060】
ここに開示される実施形態において、回転ジョイント100は、十分に高い制動トルク又は保持トルク(例えば80Nm)を提供して回転ジョイント100を確実に制動するブレーキシステム130を含む。さらに、ここに開示される実施形態に係るブレーキシステム130は、無限の分解能を提供する。例えば、内側ハウジング120に対して外側ハウジング110がどの位置にあっても回転運動を制動できる。すなわち、ブレーキシステム130はギヤレスシステムであり、不連続の制動ポイント(例えばギヤの各歯)に依拠しない。加えて、ギヤ式ブレーキシステムのギヤの歯のような不連続ポイントの制動がないことにより、ブレーキ作動(制動)時のバックラッシュを抑えた又はバックラッシュの無いブレーキシステム130が提供される。
【0061】
図5に例示する回転ジョイント100において、ブレーキシステム130は、カム142を有するカムシャフト140によって作動する。カムシャフト140は、図7を参照して後で詳細に説明するように、カムシャフト140を回転させこれに伴いカム142を回転させるモータによって、駆動される。カム142は、ブレーキ150の作動と解除をカム142が生じさせるサイクルをもって回転するように、成形されている。例示したカム142は、図8を参照して後で詳細に説明する。
【0062】
ブレーキボルト144に予め上向きの負荷をかけるか上向きに付勢するために、バネ146のような弾性コンポーネントが設けられている。バネ146によるブレーキボルト144の予荷重が、ある程度のオーバートラベルを可能にするので、摩擦面における予定されたクランプ荷重は、カム142の行程に多少の変動があっても得られる。カム142の行程がバネ146からの予圧に打ち勝つと、カム142からの全力がブレーキ150に加えられ、増加するカム行程に従って力が少し増加する。比較的低いバネ定数で、システムの摩耗は、ブレーキ150の制動力にほとんど変化をもたらさない。
【0063】
カム142が制動位置まで回転すると、カム142からカムフォロワへ加えられる下向きの力により、ブレーキボルト144が負荷に抗してブレーキ150を作動させる。その一例が図9A~9Dを参照して後で詳細に説明される。上述のように、ブレーキ150の作動は、回転ジョイント100を確実に制動するための十分に高い制動トルク又は保持トルク(例えば80Nm)を提供する。カムがさらに非制動位置まで回転すると、下向きの力が無くなり、バネ146からの負荷がブレーキボルト144にかかり、ブレーキ150が解除される。
【0064】
図5に示す例において、回転ジョイント100のブレーキ150には、外側ハウジング110に連結された第1のブレーキコンポーネントと、内側ハウジング120に連結された第2のブレーキコンポーネントとが設けられている。ブレーキ作動時、第1のブレーキコンポーネントと第2のブレーキコンポーネントとが互いに当接することによって回転ジョイント100に制動がかかる。図5に図示した例において、ブレーキ150は、外側ハウジング110に固定されたカップ152と、内側ハウジング120に固定されたコーン(円錐)154とを含んでいる。カップ152は、カップ152の横断面図を提供する図6においてより明確に示されるように、円錐形内周を有する。外側ハウジング110に固定されたカップ152の円錐形内周は、内側ハウジング120のコーン154に相応する。つまり、ブレーキ150の作動時、コーン154がカップ152の中に入ってカップ152の内周と接触する。カップ152の内周とコーン154とは、制動トルクを発揮する摩擦面を形成する。カップ152及びコーン154は、様々な材料で形成することができる。一例において、コーン154は、Victrex 450FC30 PEEK("10/10/10" PEEK)で作成され、カップ152は、硬質アルマイト処理アルミニウムで作成される。これらの材料は、繰り返し可能な高い摩擦を提供し、良好な摩耗特性を有する。
【0065】
カップ152とコーン154の摩擦面は、連続した制動面を提供し、つまり制動のために無限の分解能を提供する。さらに、連続する制動により、ブレーキ150の摩擦面間のバックラッシュが抑制されるか又は生じない。
【0066】
一実施形態において、カップ152の内周は、自発ロックを回避しながら十分に高い制動トルクを提供するように選択された円錐の傾斜角度(円錐角度)を有する円錐形である。円錐角度は、カップ152の円錐形内周と垂直との間の角度として測定される。円錐角度が小さすぎると、カムの回転でバネ146からの負荷がブレーキボルト144に戻ったときにブレーキ150が外れないことがあり、自発ロックを起こし易くなる。それ故に円錐角度は、下向きの力が無くなったときにカップを離れさせのるに十分であるべきである。一実施形態において、カップ152の円錐形内周は、約15度から約30度の間の円錐角度とする。一つの具体例をあげれば、カップ152の円錐形内周は、約17度の円錐角度とする。各ジョイントの商業運転前に実施する例において、各ジョイントを、制動位置に配置し、そしてブレーキを滑らせるのに十分なトルクを有するモータを備えた設備に入れる。ブレーキを滑らせることにより、コーンとカップの表面を互いに擦り(粗研磨)、そうしない場合に表面同士の接触を妨げ得る小さな機械加工公差をほぼ除去する。この結果、表面同士が良くなじんで高接触領域を形成する。
【0067】
図8に示すカム180の定常制動領域182は、ブレーキの不注意による解除を防止する安全機能を提供する。図8内の拡大図に例示されているように、定常制動領域182の一部には、定常制動領域182の外縁よりも小さい半径をもつ滞留領域182aが設けられている。滞留領域182aは、定常制動領域182を外れるカムの意図しない回転を防止する定常領域を提供する。例えば、ブレーキ作動中に回転ジョイント100への電力が失われた場合を想定すると、定常制動領域182の滞留領域182aから外れるようカムを動かすためには少なくともいくらかのエネルギーが必要になるので、ブレーキが解除されるおそれはない。なお、図示の領域182における遷移は縮尺通りではない。滞留領域182aとその隣接領域との間の遷移は、図8の拡大部分に描かれているよりもっと緩やかな傾斜をもつ。図8の拡大部分における遷移は、分かりやすくするため誇張してある。
【0068】
図7を参照すると、図5に例示した回転ジョイント100の部分斜視図が示されている。図5を参照して上述したように、回転ジョイント100は、ブレーキ150を作動させまた解除するカム142を有するカムシャフト140を含む。図7に示すように、カム142は、モータ170によって駆動されるカムシャフトに配置される。モータ170は、ブレーキ150の作動と解除に関するユーザ入力によって制御される。モータ170は、モータ170とカムシャフト140を連結する駆動ベルトを介してカムシャフト140を駆動する。つまり、ユーザ入力に従ってモータ170はカムシャフト140を駆動し、カム142を所望の位置に位置決めすることができる。例えば、カム142は、ブレーキ150を作動させるように又はブレーキ150を解除するように位置決めすることができる。一実施形態において、モータ170は、ギアでカムシャフト140に連結される。
【0069】
図8を参照すると、図5に例示した回転ジョイント100に使用するカム180の例が側面図で図示されている。例示したカム180は、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域を有する双安定カムである。図8の例に示されるように、カム180は、カム180が総じてカム180の他の領域よりも大きい半径となる、(第1の)定常制動(作動)領域182を含む。この大きい半径により、カム180は、カムフォロワに下向きの力を加え、図5を参照して既述したようにブレーキボルト144を負荷に逆らわせる。
【0070】
カム180は、カム180の他の領域よりも小さい半径となる定常非制動(解除)領域184として第2の定常領域を含む。この小さい半径により、カムフォロワにかかる下向きの力が無くなり、バネ146からの負荷がブレーキボルト144に戻ってくる。
【0071】
2つの定常領域182,184は、2つの遷移領域186,188によって分離されている。第1の遷移領域186は、カム180が定常非制動領域184から定常制動領域182へ(図8において反時計回りに)回転するときの漸進形遷移領域である。第2の遷移領域188は、カム180が定常制動領域182から定常非制動領域184へ回転するときの急進形遷移領域である。すなわち、ブレーキ解除(定常制動領域182から急進形遷移領域188を経て定常非制動領域184へカムを回転させる)に要する時間は、カムシャフトを少し回転させるだけで済むので、短い。一方、ブレーキ作動(定常非制動領域184から漸進形遷移領域186を経て定常制動領域182へカムを回転させる)に要する時間は、カムシャフトをより多く回転させなければならないので、かなり長い。他の例では、漸進形遷移領域186と急進形遷移領域188の位置を入れ替えることができ、あるいは、カムシャフトの回転方向を逆にすることもできる。
【0072】
図9A図9Dは、一実施形態に係るブレーキシステムを例示し、その作動サイクルの一例を示す。この例のブレーキシステム200は、外側ハウジング212に連結されたカップ214と、内側ハウジングに連結されたコーン216とを有するブレーキ210を、含む。内側ハウジングと外側ハウジングとは、互いに対して回転可能であり、ブレーキシステム200は、その回転を抑止するか又は許容する。ブレーキシステム200には、図5図8を参照して既述したように、ブレーキボルトに予め負荷を与えるバネ218が設けられている。図9A~9Dを参照して、上述したカム180と同様のカム220は、ブレーキ210の作動と解除を選択的に行う。
【0073】
まず図9Aを参照すると、カム220は定常非制動位置で示されている。この位置においては、カム220の他の部分よりも半径の小さいカム220の部分が、コーン216に対し下向きの力がかからないようにする。したがって、カップ214とコーン216の各摩擦面の間には接触がない。図9Bにおいて、カム220は、カム220の半径が徐々に増加する漸進形遷移領域を通って反時計回りに回転しており、コーン216に加えられる下向きの力が発生する。これによりコーン216がカップ214に徐々に接触していき、ブレーキ210が作動する。
【0074】
図9Cにおいて、カム220は定常制動位置にある。この位置においては、カム220の他の部分よりも半径の大きいカム220の部分がコーン216に下向きの力を加えていて、ブレーキを作動位置にする。この位置では、カップ214とコーン216の各摩擦面が接触していて、制動トルクが与えられる。さらに、この位置ではまさに、バネ218がより強く圧縮された状態になる。図9Dにおいて、カム220は、定常制動位置から急進形遷移領域を通って回転する結果、図9Aの定常非制動位置になる。
【0075】
カム220の位置に応じたモータへの電流を示すチャートの例を次に示す。
[チャート1]
【0076】
上のチャートにおいて、モータ電流はトルクに比例している。上のチャートにおける領域(a)は、非制動位置(図8の定常非制動位置184)にあるカム220に相当する。半径が小さいことからトルクが低く、電流は比例して小さくなる。領域(b)は、漸進形遷移領域の始まり(図8の漸進形遷移領域186の始まり)に相当し、この間に回転ジョイント及びブレーキの各コンポーネントの剛性が克服される。領域(c)は、バネ218が圧縮されていく所の漸進形遷移領域に相当する。領域(d)は、定常制動領域の滞留領域(例えば図8の滞留領域182a)に相当する。滞留領域へ遷移する結果、電流が負になる。一実装形態において、領域(d)は310度~312度といった程度のほんの数度であり、電流はゼロである。領域(e)において、カムは、滞留領域から出るところか出たところであり、ただし、負の電流が生じる領域(f)に相当する急進形遷移領域には入っていない。ブレーキは、230度のところで操作者に対し制動がかかるが、完全に制動するのは約310度である。別の言い方をすれば、操作者は210度のところで抵抗を感じ、そして、230度のところで操作者はジョイントを動かせなくなる。なお、システムが全体的に制動を続け、310度で最大のブレーキ抵抗をもつ場合である。
【0077】
各コンポーネントが磨耗すれば、上のチャートのそれぞれの領域がシフトすることがあり得る。例えば、制動位置又は制動位置への遷移に相当する領域は、持続時間が減少する可能性があり、一方、非制動位置に相当する領域は、増加する可能性がある。
【0078】
上記の例に示された電流プロファイルは、カムの状態を確認するために使用することができる。上記電流は、システムが使用に伴って摩耗するときでも制動位置を同定するために使用できる。回転は、付勢バネがそのハードストップをやめると直ぐに制動されるとして、測定可能である。摩擦面がどの程度摩耗しているかによって、カムの回転において測定されるこのポイントの位置は大きく変わる。制御(調整)方法には、速度が小電流部分でより高く且つ大電流部分でより低いという一定ではない速度プロファイルを使用することができる。電流プロファイルを使用して、システムが非制動状態にある所を動的に変更することが可能になる。表面が摩耗すると、システムが最初に無負荷状態で駆動する必要がないように、非制動状態が規定される所定のポイントからの度数を増加させ得る。この速度に関する利点に加えて、電流が制動のために急速に増加し始める所の監視は、システムが摩耗を監視できるようにする。これが変化したときに、システムは、必要とされるサービスに関して又は故障に関しても、警告を発することができ、安全でなくなってしまう状況を可能にしない。
【0079】
図10を参照すると、手動アクチュエータの一例を備えた回転ジョイント300を例示した斜視図を示してある。この例の回転ジョイント300は、互いに対して回転可能な第1の部分302と第2の部分304とを含む。上述した実施形態の場合であれば、第1の部分302がブレーキシステムの外側ハウジングに連結され、第2の部分304がブレーキシステムの内側ハウジングに連結される。すなわち、ブレーキシステムは、第2の部分304と第1の部分302との相対的回転を制動しまた解除することができる。図10の回転ジョイント300の例は、第2の部分304と第1の部分302との相対的回転の範囲を制限する回転ストップ306をさらに含む。回転停止は、第1の部分302及び第2の部分304のそれぞれの方向の相対的な回転を制限するために提供される。
【0080】
例示した回転ジョイント300は、図11においてより明確に示されているモータ駆動カムシャフト340を含む。カムシャフト340は、例えばベルトを介してカムシャフト340をモータと連結するベルト係合ホイール342を含む。該ベルトは、ベルト係合ホイール342の対応する歯と係り合う歯を有し、これによりカムシャフト340を駆動する。カムシャフト340には、図7図8、及び図9A図9Dを参照して先に説明したカムと同様のカム344が設けられている。
【0081】
図11に例示する回転ジョイント300は、カムシャフト340に連結された手動アクチュエータ346をさらに含む。手動アクチュエータ346は、図10に最も明確に例示されているように、回転ジョイント300の本体の外側で、カムシャフト340の延長線上に配置される。これにより、操作者は、カムシャフト340及びカム344の回転を手動で制御することができる。手動アクチュエータ346の使用は、例えば、モータへの電力が失われたり、モータがカムシャフト340から外れてしまう、あるいはそれ以外にも、操作者がモータより優先させたい、といった場合に必要なことがある。
【0082】
図10のカムシャフト340は、ラチェット348を備える。カムシャフト340がモータ駆動されるとき、ラチェット348は、手動アクチュエータ346に連結されている相手コンポーネントに係合する。したがって、カムシャフト340がモータ駆動されるとき、手動アクチュエータ346もカムシャフト340と共にモータ駆動される。手動アクチュエータ346を用いてカムシャフト340を回転させるとき、ラチェット348は、手動アクチュエータ346に連結されている相手コンポーネントから離脱する。そして、カムシャフト340がモータ駆動に戻るとき、ラチェット348は、手動アクチュエータ346の操作前と同じ位置で相手コンポーネントと再び係合する。手動操作中にカムシャフトをモータから外すことは、種々の理由から有益である。例えば、モータが逆駆動可能ではない場合、カムシャフトをモータとの連結から解放することにより、手動操作でモータが逆駆動されないように防護することができる。さらに、手動操作中にカムシャフトが外れることにより、操作者の手動操作がモータにその限度を超える超過速度を加えてしまうことが防止される。
【0083】
一実施形態において、ラチェット348は、カムシャフト340が手動アクチュエータ346で操作される場合にのみ、ラチェット348が相手コンポーネントと係合するように、逆にされてもよい。この場合、ラチェット348は、カムシャフト340がモータ駆動されるときに係合解除される。その結果、カムシャフト340がモータ駆動されるときに手動アクチュエータ346は回転しない。
【0084】
図12は、図10に例示する回転ジョイント300の部分斜視図である。図12に図示されるように、カムシャフト340は、カム344の向きの判定を可能にするために、少なくとも1つのセンサを含むセンサシステムを備えている。図12の例において、カムシャフト340には、フラグ352及び光ゲート350が設けられている。光ゲート350は、カムシャフトのフラグ352を読み取る。一例において、フラグ352の位置は、カムが制動位置にあることに対応する。
【0085】
他の例として、回転ジョイント300に追加のセンサを設け、フラグ352によって指示される位置と相対的なカムの位置を測定することができる。例えば、相対エンコーダをモータ又はモータのシャフトに接続することができる。相対エンコーダは、光ゲート350と連動してカムの向きの判定を可能にする。例えば、フラグ352が定常制動位置に対応させて設定されているときに、相対エンコーダは、そのフラグ位置と相対的な位置を測定し、この結果、カムのより正確な向きを判定することができる。
【0086】
上述したように、ここに説明される様々な例の回転ジョイントは、十分に高い制動トルク又は保持トルクを提供し、境目のない、作動(制動)中のバックラッシュを抑制するか又は生じないブレーキシステムを、備える。図13及び図14は、実施形態に係るブレーキシステムのさらなる例を示す。
【0087】
図13を参照すると、回転ジョイントで使用するブレーキ(ブレーキシステム)400を例示する断面を含む斜視図が示されている。図13に例示するブレーキシステム400は、内側ハウジングアタッチメント412を有する複数の第1のディスクブレーキ部410を含み、第1のディスクブレーキ部410は、内側ハウジングアタッチメント412により内側ハウジングに固定される。ブレーキシステム400は、さらに、外側ハウジングアタッチメント422を有する複数の第2のディスクブレーキ部420を含み、第2のディスクブレーキ部420は、外側ハウジングアタッチメント422により外側ハウジングに固定される。
【0088】
第1のディスクブレーキ部410には第1の摩擦面414が設けられ、第2のディスクブレーキ部420には第2の摩擦面424が設けられている。各摩擦面414,424は、内側ハウジングアタッチメント412と外側ハウジングアタッチメント422との間の円周において互い違いに重ねられる(インターリーブ)。ブレーキシステム400が、例えばカムからの下向きの力の作用によって作動するとき、この力が、相互に重なった摩擦面414,424を当接させることにより、回転の制動を引き起こす。
【0089】
図14を参照すると、別の例のブレーキ(ブレーキシステム)450の斜視図が示されている。図14に例示するブレーキシステム450は、図13を参照して上に説明したブレーキシステム400と同様であり、互い違いに重なる摩擦面480を有する第1のディスクブレーキ部及び第2のディスクブレーキ部を含む。図14の例において、ブレーキシステム450は、第1のディスクブレーキ部分を内側ハウジングに固定する内側ハウジングアタッチメント460と、第2のディスクブレーキ部を外側ハウジングに固定する外側ハウジングアタッチメント470とを含む。
【0090】
内側ハウジングアタッチメント460は、互い違いに重ねられた摩擦面480と内側ハウジングとの間に内側非平面部分462を含む。内側非平面部分462は、内側ハウジングに固定される第1の端部と、摩擦面480につながる第2の端部とを含み、これら第1の端部と第2の端部とは軸方向においてオフセットされている。同様に、外側ハウジングアタッチメント470は、互い違いに重ねられた摩擦面480と外側ハウジングとの間に外側非平面部分472を含む。外側非平面部分472は、外側ハウジングに固定される第1の端部と、摩擦面480につながる第2の端部とを含み、これら第1の端部と第2の端部とは軸方向においてオフセットされている。これらのハウジングと摩擦面との間の軸方向オフセットは、ブレーキシステム内の軸方向コンプライアンス(軸方向剛性を減少させる)を提供する。
【0091】
軸方向コンプライアンスに加えて、ここに説明する回転ジョイントのブレーキシステムの一例では、ねじり剛性も提供される。これについて、図5を再度参照すると、ブレーキシステム130の少なくとも一部の周りに配置されたベローズの使用が示されている。この例のベローズアセンブリ160は、ブレーキ150の周囲を取り巻くように配置される。一例において、ベローズアセンブリ160はステンレス鋼で形成され、回転ジョイント100の部分に接合される。上述したように、ベローズアセンブリは、ブレーキの作動時にねじり剛性を提供する。この点に関し、様々な例のベローズアセンブリ160は、約90,000Nm/radと約110,000 Nm/radとの間のねじり剛性を提供する。ねじり剛性を提供するのと同時に、ベローズアセンブリ160は軸方向剛性が低いので、軸方向コンプライアンスを可能にし、ベローズアセンブリ160を動かすカムからの作動力がほとんど必要とされない。
【0092】
図5の例を参照すると、回転ジョイント100の中に示されている各コンポーネントは、ボルト接続を用いて、外側ハウジング110、内側ハウジング120、及び他の各コンポーネントに取り付けられる。これら接続に使用されるボルトは、ブレーキ150の作動時にあらゆるバックラッシュを防止するのに十分な負荷が予め与えられている。さらに、予圧されたクロスローラベアリング199が回転ジョイント100内に設けられている。クロスローラベアリング199は、外側ハウジング110と内側ハウジング120との間の回転運動を止めるブレーキ150作動時のバックラッシュをさらに減少させる。予圧されたクロスローラベアリング199は、ブレーキ150が作動するときに、回転ジョイント100が他の方向へずれることを防止する。
【0093】
図17を参照すると、一例として回転ジョイント700が、第2のハウジング70bに対して第1のハウジング70aの回転を可能にする第1の回転ジョイント70において実施されている。回転ジョイント700は、第1のハウジング70aに対して固定される内側部分702と、第2のハウジング70bに対して固定される外側部分704とを含む。ブレーキシステム706は、外側部分704に対して内側部分702を解除可能に制動することによって、第1のハウジング70aを第2のハウジング70bに対して解除可能に制動する。回転ジョイント700と関連させてブレーキシステム706を説明するが、ブレーキシステム706は、回転ジョイント74及び/又は回転ジョイント78で使用することもできる。一実施形態において、図17に図示したブレーキシステム706は、回転ジョイント74において実施する場合、図17の状態とは「上下逆さま」の向き、すなわち、カム142からカップ744へ向かう方向が図4に示す正のZ軸方向になるように、実施してもよい。
【0094】
ブレーキシステム706は、第1のブレーキ部材742を第2のブレーキ部材744と解除可能に当接させるバイアスモジュールを作動させる、図7に示すようなアクチュエータモジュールを含む。回転ジョイントは、第1のブレーキ部材742が第2のブレーキ部材744から離れて接触していないとき、制動解除された非当接位置にある。一実施形態において、第1のブレーキ部材742は、円錐形外面を有し、ここではコーン(円錐)と称され、第2のブレーキ部材744は、その円錐形外面と合致する表面を有し、ここではカップと称される。回転ジョイント700は、コーン742がカップ744と当接しているとき、制動(当接)位置にある。解除(非当接)位置及び当接位置における回転ジョイントの各コンポーネントの配置についてここに説明する。
【0095】
アクチュエータモジュールは、バネアセンブリと関係して動作するカム142を備えたカムシャフト140を駆動するモータ170を含む。バネアセンブリは、カム142と接触するカムフォロワ707を含む。カムフォロワ707は、バネ712を受け入れる内腔を有する上側バネハウジング710に接続される。バネ712は、上側バネハウジング710と下側バネハウジング714との間に延在する。一実施形態において、バネ712は、所定の力まで予め負荷をかけた圧縮バネである。ボルト716は、上側バネハウジング710と下側バネハウジング714との間のバネアセンブリの縦軸を通って延在する。上側バネハウジング710と下側バネハウジング714とは、直接接続されておらず、ボルト716によって、非制動位置において相対して配置されている。図17を参照すると、上側バネハウジング710は、第1のハウジング70aに接続されて動作する外側筒部材718によって画定される内腔で動作する。下側バネハウジング714は、外側筒部材718の半径方向外面721に隣接した上方延出部720を有する。
【0096】
ブレーキアセンブリが解除位置にあるときの図17Aを参照すると、ボルトナット722は、下側バネハウジング714の下面724に隣接し接触して位置決めされている。この解除位置において、ボルト716、下側バネハウジング714、上側バネハウジング710は、互いに固定された関係にある。カムフォロワ707は、カム142に接触しているだけで押さえられてはいないので、カムフォロワ707は、ベローズアセンブリ726の縦軸方向付勢力によって、解除位置でカムと接触した状態に維持される。
【0097】
図17及び図18を参照すると、ベローズアセンブリ726は、第1のハウジング70aに接続されて動作する上端(第1の)キャップ730と、下側バネハウジング714に接続されて動作する下端(第2の)キャップ732とを含む。ベローズ728は、上側(第1の)ベローズ端734で上端キャップ730に固定され、下側(第2の)ベローズ端736で下端キャップ732に保持される。解除位置において、ベローズアセンブリ726は、カムフォロワ707のカム142との接触を維持する、バネアセンブリに対抗する付勢力を提供する。ベローズアセンブリの付勢力は、バネハウジングの縦軸線に沿ってカム142に向かってカップ744から離れる方向のバネ力を提供するベローズ728のバネ性によって提供される。ベローズアセンブリ726は、ベローズアセンブリ160に関してここに説明したような同様のねじり剛性を提供する。ベローズアセンブリ726のねじり剛性は、ブレーキが作動位置へ動いたときのジョイントのキックバックを抑制する。言い換えると、ベローズアセンブリ726のねじり剛性は、ブレーキシステムが作動位置になったときに回転ジョイント70,74,78の回転に抵抗する。
【0098】
コーン742はベローズの下端キャップ732に固定されて動作するので、解除位置においてコーン742は、ベローズ728の付勢力によってカップ744から上昇して離れる。コーン742とカップ744との当接で、ここに説明するブレーキ708をなす。
【0099】
ブレーキシステムの動作について図17A及び図17Bを参照すると、操作者がモータ170に信号を与えてカムシャフト140を非制動位置から制動位置へ回転させると、カム142のカムプロファイルに従って、カムフォロワ707及びバネアセンブリ全体が、バネアセンブリの縦軸に沿ってカップ744に向かう方向へ動く。バネアセンブリに接続されて動作するコーン742がカップ744と当接し、下側バネハウジング714はそれ以上カム142から遠ざかることができない。一方で上側バネハウジング710は、カム142から離れる方向へ動作を続け、ボルトナット722が下側バネハウジング714の下面724から離れる。別の言い方をすると、コーン742がカップ744に当接した後は、カムフォロワ707が下方へ動作を続ける結果、下側バネハウジング714が第2のハウジング70bと固定された関係になる。ナット722は、カム142から離れる方向へ下方空間738の中に移動し続けることができるので、上側バネハウジング710及び下側バネハウジング714によって拘束されているバネ712の予圧力がコーン742とカップ744との当接面に伝達され、これによって、第1のハウジング70aと第2のハウジング70bとの間の制動が提供される。バネ712の予圧力は、カム142へ向かう方向にバネハウジングを付勢しているベローズバネ力よりも格段に大きい。一実施形態において、バネ712の予圧力は1800Nである。ただし、1600Nから2000Nまでなどの他の予圧力も想定される。他の例では予圧力は1600Nより小さく、また別の例では予圧力は2000Nより大きい。
【0100】
操作者がモータ170に信号を出してカムシャフト140を制動位置から非制動位置まで回転させると、バネ712のバネ力は、再び、上側バネハウジング710と下側バネハウジング714との間でボルト716のナット722とボルト716のヘッド740との間に拘束される。そして、ベローズ728のバネ力により、コーン742及びバネアセンブリがカップ744からカムシャフト140へ向かう方向に動作し、カムフォロワ707がカムと接触した状態に維持される。ベローズ728のバネ力は、当接しているコーン742の円錐面とカップ744の相応円錐面とを分離するのに十分である。コーン742の外面の円錐面は、カップ744の円錐面746と対面して位置する。カップ744及びコーン742はカップ152及びコーン154と同様のものであり、カップ152及びコーン154に関してここに説明したのと同じ構造をもつ。
【0101】
回転ジョイントの様々な例がここに説明されている。一例において、回転ジョイントは関節である。この例の関節は、1つの自由度をもち、すなわち1つの軸の周りに回転する。
【0102】
図15A及び図15Bは、位置決めシステムを別々の状態とした図1のカテーテルベース処置システムの例を示す上面図である。図15A及び図15Bは、患者テーブル518、ロボット制御駆動装置524、及び位置決めシステム522を有するカテーテルベース処置システム500を例示する。上述のように、位置決めシステム522は、患者を患者テーブル518に寝かせられるように、(ロボット制御駆動装置524と共に)退けてあってよい。そして、ここに説明した回転ジョイントにより、位置決めシステム522は、右利き配置(図15A)又は左利き配置(図15B)のいずれかで使用することが可能である。回転ジョイントは、位置決めシステム522を様々な体勢のいずれかに操作して患者を患者テーブルへ移動させそして患者テーブルから移動させることを、可能にする。
【0103】
多くの場合、図15Aの右利き位置にシステム500を配置することが望ましい。つまり、図15Aの右利き位置において、システムのほとんどが患者を避けてあり、操作者は、システム自体の干渉を受けることなく該システムを操作することができる。例えば、図15Bの左利き位置では、位置決めシステム522の大部分がロボット制御駆動装置と患者との間の空間にあり、操作者によるシステム500の視認及び操作を制限する。右利き位置においては、位置決めシステムのほとんど又は全てが患者及びロボット制御駆動装置の邪魔にならない。
【0104】
図4を参照して既述したように、第2のアームセグメント76は、第2の回転ジョイント74に対する第3の回転ジョイント78の制限された垂直方向の動きを可能にする4バーリンク機構を含む。図16A及び図16Bは、一例として示した4バーリンク機構を有するシステム600の動作を説明する。図16A及び図16Bは、上述の各システムと同様のシステム600を示す。この例のシステム600は患者テーブル618を含み、ロボット制御駆動装置624を支持する位置決めシステム622が患者テーブル618に取り付けられる。位置決めシステム622は、上述した各位置決めシステムと同様であり、各回転ジョイント670,674,678及びこれら回転ジョイントに連結されたアームセグメントを含む。図16A及び図16Bに図示されているアームセグメントの1つが、カバーを取り外した状態で図示されているリンク機構676であり、ロボット制御駆動装置の制限された垂直移動を可能にしている。図16A及び図16Bに図示されるとおり、リンク機構676は、上昇位置(図16A)と下降位置(図16B)との間でロボット制御駆動装置を移動させ、その間の任意の位置で及び停止させることを可能にする。この例において、図16Aの上昇位置は、例えば、患者テーブル618に患者を載せたり降ろしたりするときに必要となり得る。また、上昇位置は、例えば、位置決めシステムに対しロボット制御駆動装置を取り付けたり取り外したりするときに必要な場合もある。あるいは、上昇位置は、大きな患者を収容するために使用することができる。図16Bの下降位置は、ロボット制御駆動装置をより患者の近くへ移動させるために、医療処置において必要とされ得る。
【0105】
ここに記載した説明では、最良の形態を含みそして当業者が誰でも本発明を実施し使用することができるようにする実施例を使用して、本発明を開示した。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者なら想到可能な他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の記載から外れない構成要素を有するのであれば、又は、それらが特許請求の範囲の記載と実質的に相違しない同等の構成要素を含むのであれば、当然ながら特許請求の範囲に含まれる。あらゆるプロセス又は方法ステップの順番と並びは、別の実施形態に合わせて変更又は再配列することが可能である。
【0106】
本発明の思想から逸脱することなく、本発明に多くの他の変更及び修正を加えることができる。これら及び他の変更の範囲は特許請求の範囲から明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図17A
図17B
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリであって、
少なくとも1つのアームセグメントと、
前記アームセグメントの一端に設けられ、前記アームセグメントが回転軸の周りに回動することを可能にする回転ジョイントとを有し、
前記回転ジョイントは、
当該回転ジョイントにおいて前記アームセグメントの回動を制動するブレーキと、
前記ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを備え、
前記アクチュエータが、2つの遷移領域によって分離された2つの定常領域をもつカムを有し、前記2つの定常領域が、前記ブレーキの作動に対応する第1の定常領域と、前記ブレーキの解除に対応する第2の定常領域とを含み、
前記ブレーキが、内側ハウジングに連結された複数の第1のディスクブレーキ部と、外側ハウジングに連結された複数の第2のディスクブレーキ部とを備え、
前記内側ハウジングが、前記アームセグメントが前記回転軸の周りに回動すると、前記外側ハウジングに対して回転する、回転ジョイントアセンブリ。
【請求項2】
前記ブレーキは、
截頭円錐形内面を有するカップと、
前記ブレーキの作動時に前記カップの前記截頭円錐形内面に当接するコーンとを含み、
前記ブレーキの作動が、前記コーンを移動させて前記カップの前記截頭円錐形内面該コーンを接触させることを含む、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項3】
前記カップの前記截頭円錐形内面は、約15度から約30度の間の傾斜角度をもつ、請求項2に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項4】
前記カップの前記截頭円錐形内面は、約17度の傾斜角度をもつ、請求項3に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項5】
前記第1のディスクブレーキ部の摩擦面部と前記第2のディスクブレーキ部の対応する摩擦面部とが、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間に存在する円周方向の空間において交互に重ねられる、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のディスクブレーキ部は、前記内側ハウジングと各前記摩擦面部との間にそれぞれの内側非平面部分を有し、
該内側非平面部分が、前記内側ハウジングに固定される一端と、対応する前記摩擦面部につながる他端とを含み、
前記内側非平面部分の前記一端と前記内側非平面部分の前記他端とが軸方向においてオフセットされている、請求項5に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項7】
前記第2のディスクブレーキ部は、前記外側ハウジングと各前記摩擦面部との間にそれぞれの外側非平面部分を含み、
該外側非平面部分が、前記外側ハウジングに固定される一端と、対応する前記摩擦面部につながる他端とを含み、
前記外側非平面部分の前記一端と前記外側非平面部分の前記他端とが軸方向においてオフセットされている、請求項5に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記ブレーキが前記カムに接するように前記ブレーキを解除位置へ付勢するためのバネを含む、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項9】
前記カムの前記2つの定常領域において、
前記第1の定常領域が、前記バネを圧縮して前記ブレーキを作動させる力を発動させる制動位置に対応し、
前記第2の定常領域が、前記力が働かず前記ブレーキが解除される非制動位置に対応し、
前記カムの前記2つの遷移領域は、
前記第2の定常領域から前記第1の定常領域への漸進形遷移領域と、
前記第1の定常領域から前記第2の定常領域への急進形遷移領域とを含む、請求項8に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項10】
前記回転ジョイントは、前記アームセグメントが患者上に位置する左利き位置と、前記アームセグメントが患者を避けて位置する右利き位置とで前記アームセグメントの回動を可能にする、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項11】
前記カムは、モータによって駆動されるカムシャフトに配置される、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項12】
前記カムシャフトは、前記カムの向きの判定を可能にする少なくとも1つのセンサを含む、請求項11に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項13】
前記カムシャフトは、手動アクチュエータに連結されており、前記モータを動作させなくとも操作者が前記カムシャフトを回転させることができるようになっている、請求項11に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項14】
前記カムシャフトは、前記手動アクチュエータの動作中に前記カムシャフトのモータ駆動位置を保持するように構成されたラチェットを含み、
該ラチェットは、さらに、前記モータが動作を再開するときに、前記モータ駆動位置で該モータが前記カムシャフトと係合することを可能とするように構成される、請求項13に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項15】
前記カムシャフトは、当該カムシャフトがモータ駆動されていないときに前記手動アクチュエータが該カムシャフトと係合することを可能とし、当該カムシャフトがモータ駆動されているときに前記手動アクチュエータが該カムシャフトと係合しないことを可能とするように構成されたラチェットを、含む、請求項13に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項16】
前記ブレーキを囲繞するベローズをさらに含み、
該ベローズが、前記ブレーキの作動時にねじり剛性を提供し、作動時又は解除時のバックラッシュを実質的にゼロにする、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項17】
前記ブレーキは、
前記外側ハウジングに固定された第1のブレーキ要素と、
前記内側ハウジングに固定された第2のブレーキ要素とを含み、
前記内側ハウジングは、前記回転軸の周りに前記外側ハウジングに対して回転可能であり、
前記第1のブレーキ要素と前記第2のブレーキ要素とは、選択的に、前記ブレーキの作動にあたり互いに当接する、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項18】
4バーリンク機構で構成された第2のアームセグメントをさらに含む、請求項1に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項19】
前記センサが、フラグ及び光ゲートから構成される、請求項12に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項20】
前記カムシャフトは、該カムシャフトを前記モータと連結するベルト係合ホイールを含む、請求項13に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項21】
前記第1のディスクブレーキ部を前記内側ハウジングに固定する内側ハウジングアタッチメントと、前記第2のディスクブレーキ部を前記外側ハウジングに固定する外側ハウジングアタッチメントとをさらに含む、請求項5に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項22】
前記内側ハウジングアタッチメントは、互いに重ねられた前記摩擦面部と前記内側ハウジングとの間の内側非平面部分を含み、
前記外側ハウジングアタッチメントは、互いに重ねられた前記摩擦面部と前記外側ハウジングとの間の外側非平面部分を含む、請求項21に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【請求項23】
前記バネに、前記カムと接触するカムフォロワを含む、請求項8に記載の回転ジョイントアセンブリ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
一態様において、ブレーキは、截頭円錐(円錐台)形の内面を有するカップと、ブレーキ作動時にカップの截頭円錐形内面に当接するコーン(截頭円錐体)とを含む。この場合のブレーキの作動は、コーンを移動させてカップの截頭円錐形内面該コーンを接触させることを含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
一態様において、カップの截頭円錐形内面は、約15度から約30度の間の傾斜角度(円錐の角度)をもつ。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
一態様において、カップの截頭円錐形内面は、約17度の傾斜角度をもつ。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
一態様において、第1のディスクブレーキ部の摩擦面部と第2のディスクブレーキ部の対応する摩擦面部とは、内側ハウジングと外側ハウジングとの間に存在する円周方向の空間において交互に重ねられる(インターリーブ)。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
一態様において、第1のディスクブレーキ部は、内側ハウジングと各摩擦面部との間にそれぞれの内側非平面部分を含む。内側非平面部分は、内側ハウジングに固定される一端と、対応する摩擦面部につながる他端とを含む。これら内側非平面部分の一端と内側非平面部分の他端とは、軸方向においてオフセットされている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
一態様において、第2のディスクブレーキ部は、外側ハウジングと各摩擦面部との間にそれぞれの外側非平面部分を含む。外側非平面部分は、外側ハウジングに固定される一端と、対応する摩擦面部につながる他端とを含む。これら外側非平面部分の一端と外側非平面部分の他端とは、軸方向においてオフセットされている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
一態様において、アクチュエータは、ブレーキがカムに接するようにブレーキを解除位置へ付勢するためのバネを含む。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
一態様において、回転ジョイントアセンブリは、ブレーキを囲繞するベローズ(ふいご/蛇腹)をさらに含む。このベローズは、作動時又は解除時のバックラッシュを実質的にゼロにする。一態様において、バネは、バネハウジングをカムに向かう方向に付勢しているベローズバネ力よりも(著しく)大きい予圧力をもつ。一態様において、そのバネの予圧力は、バネが予圧力をもっていない場合に比べて、ブレーキ要素をより迅速に作動(当接)させる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
一態様において、ブレーキは、截頭円錐形内面を有するカップと、ブレーキ作動時にカップの円錐形内周に当接するコーン(截頭円錐体)とを含む。この場合のブレーキの作動は、コーンを移動させてカップの截頭円錐形内面該コーンを接触させることを含む。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
一態様において、ロボット制御医療システムの回転ジョイントアセンブリは、少なくとも1つのアームセグメントと、アームセグメントの一端に設けられ、アームセグメントが回転軸の周りに回動することを可能にする回転ジョイントとを含む。回転ジョイントは、当該回転ジョイントにおいてアームセグメントの回動を制動するブレーキと、ブレーキの作動と解除を選択的に行うアクチュエータとを含む。ブレーキは、截頭円錐形内面を有するカップと、ブレーキ作動時にカップの截頭円錐形内面と当接するコーン(截頭円錐体)とを含む。ブレーキの作動は、コーンを移動させてカップの截頭円錐形内面該コーンを接触させることを含む。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
一態様において、カップの截頭円錐形内面は、約15度から約30度の間の傾斜角度(円錐の角度)をもつ。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
一態様において、カップの截頭円錐形内面は、約17度の傾斜角度をもつ。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
図5に示す例において、回転ジョイント100のブレーキ150には、外側ハウジング110に連結された第1のブレーキコンポーネントと、内側ハウジング120に連結された第2のブレーキコンポーネントとが設けられている。ブレーキ作動時、第1のブレーキコンポーネントと第2のブレーキコンポーネントとが互いに当接することによって回転ジョイント100に制動がかかる。図5に図示した例において、ブレーキ150は、外側ハウジング110に固定されたカップ152と、内側ハウジング120に固定されたコーン(截頭円錐体)154とを含んでいる。カップ152は、カップ152の横断面図を提供する図6においてより明確に示されるように、截頭円錐形内面を有する。外側ハウジング110に固定されたカップ152の截頭円錐形内面は、内側ハウジング120のコーン154に相応する。つまり、ブレーキ150の作動時、コーン154がカップ152の中に入ってカップ152の内面と接触する。カップ152の内面とコーン154とは、制動トルクを発揮する摩擦面を形成する。カップ152及びコーン154は、様々な材料で形成することができる。一例において、コーン154は、Victrex 450FC30 PEEK("10/10/10" PEEK)で作成され、カップ152は、硬質アルマイト処理アルミニウムで作成される。これらの材料は、繰り返し可能な高い摩擦を提供し、良好な摩耗特性を有する。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
一実施形態において、カップ152の内面は、自発ロックを回避しながら十分に高い制動トルクを提供するように選択された円錐の傾斜角度(円錐角度)を有する截頭円錐形である。円錐角度は、カップ152の截頭円錐形内面の側部と垂直との間の角度として測定される。円錐角度が小さすぎると、カムの回転でバネ146からの負荷がブレーキボルト144に戻ったときにブレーキ150が外れないことがあり、自発ロックを起こし易くなる。それ故に円錐角度は、下向きの力が無くなったときにカップを離れさせのるに十分であるべきである。一実施形態において、カップ152の截頭円錐形内面は、約15度から約30度の間の円錐角度とする。一つの具体例をあげれば、カップ152の截頭円錐形内面は、約17度の円錐角度とする。各ジョイントの商業運転前に実施する例において、各ジョイントを、制動位置に配置し、そしてブレーキを滑らせるのに十分なトルクを有するモータを備えた設備に入れる。ブレーキを滑らせることにより、コーンとカップの表面を互いに擦り(粗研磨)、そうしない場合に表面同士の接触を妨げ得る小さな機械加工公差をほぼ除去する。この結果、表面同士が良くなじんで高接触領域を形成する。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
第1のディスクブレーキ部410には第1の摩擦面部414が設けられ、第2のディスクブレーキ部420には第2の摩擦面部424が設けられている。各摩擦面部414,424は、内側ハウジングアタッチメント412と外側ハウジングアタッチメント422との間に存在する円周方向の空間において互い違いに重ねられる(インターリーブ)。ブレーキシステム400が、例えばカムからの下向きの力の作用によって作動するとき、この力が、相互に重なった摩擦面部414,424の向き合った摩擦面を当接させることにより、回転の制動を引き起こす。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
図14を参照すると、別の例のブレーキ(ブレーキシステム)450の斜視図が示されている。図14に例示するブレーキシステム450は、図13を参照して上に説明したブレーキシステム400と同様であり、互い違いに重なる摩擦面部480を有する第1のディスクブレーキ部及び第2のディスクブレーキ部を含む。図14の例において、ブレーキシステム450は、第1のディスクブレーキ部分を内側ハウジングに固定する内側ハウジングアタッチメント460と、第2のディスクブレーキ部を外側ハウジングに固定する外側ハウジングアタッチメント470とを含む。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
内側ハウジングアタッチメント460は、互い違いに重ねられた摩擦面部480と内側ハウジングとの間に内側非平面部分462を含む。内側非平面部分462は、内側ハウジングに固定される第1の端部と、摩擦面部480につながる第2の端部とを含み、これら第1の端部と第2の端部とは軸方向においてオフセットされている。同様に、外側ハウジングアタッチメント470は、互い違いに重ねられた摩擦面部480と外側ハウジングとの間に外側非平面部分472を含む。外側非平面部分472は、外側ハウジングに固定される第1の端部と、摩擦面部480につながる第2の端部とを含み、これら第1の端部と第2の端部とは軸方向においてオフセットされている。これらのハウジングと摩擦面部との間の軸方向オフセットは、ブレーキシステム内の軸方向コンプライアンス(軸方向剛性を減少させる)を提供する。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
ブレーキシステム706は、第1のブレーキ部材742を第2のブレーキ部材744と解除可能に当接させるバイアスモジュールを作動させる、図7に示すようなアクチュエータモジュールを含む。回転ジョイントは、第1のブレーキ部材742が第2のブレーキ部材744から離れて接触していないとき、制動解除された非当接位置にある。一実施形態において、第1のブレーキ部材742は、截頭円錐形外面を有し、ここではコーン(截頭円錐体)と称され、第2のブレーキ部材744は、その截頭円錐形外面と合致する表面を有し、ここではカップと称される。回転ジョイント700は、コーン742がカップ744と当接しているとき、制動(当接)位置にある。解除(非当接)位置及び当接位置における回転ジョイントの各コンポーネントの配置についてここに説明する。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
操作者がモータ170に信号を出してカムシャフト140を制動位置から非制動位置まで回転させると、バネ712のバネ力は、再び、上側バネハウジング710と下側バネハウジング714との間でボルト716のナット722とボルト716のヘッド740との間に拘束される。そして、ベローズ728のバネ力により、コーン742及びバネアセンブリがカップ744からカムシャフト140へ向かう方向に動作し、カムフォロワ707がカムと接触した状態に維持される。ベローズ728のバネ力は、当接しているコーン742の截頭円錐面とカップ744の相応截頭円錐面とを分離するのに十分である。コーン742の外面の截頭円錐面は、カップ744の截頭円錐面746と対面して位置する。カップ744及びコーン742はカップ152及びコーン154と同様のものであり、カップ152及びコーン154に関してここに説明したのと同じ構造をもつ。
【外国語明細書】