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▶ ストライカー・ユーロピアン・オペレイションズ・ホールディングス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

特開2024-38016補強されたガイドバーを有する外科用矢状ブレードカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038016
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】補強されたガイドバーを有する外科用矢状ブレードカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/14 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61B17/14
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215883
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2022119787の分割
【原出願日】2016-05-09
(31)【優先権主張番号】62/160,234
(32)【優先日】2015-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】321002835
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレイションズ・ホールディングス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】STRYKER EUROPEAN OPERATIONS HOLDINGS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】マッカントゥイル,コナー
(72)【発明者】
【氏名】ワレン,ジェイムズ・ジー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静止ガイドバー及び該ガイドバーに旋回可能に取り付けられたブレードヘッドを有する外科用矢状ブレードカートリッジに関する。
【解決手段】ヘッドを有する内側プレート及び互いに向き合った外側プレートから形成されたガイドバー(62)を備える外科用矢状鋸カートリッジ(60)。カートリッジは、内側プレートのヘッドに対して配置されるブレードを有する。内側プレートは、内側小部分及び互いに向き合った2つの外側小部分を有するように形成される。内側小部分は、ブレードが向き合って配置されるヘッドを画定するように形成される。外側小部分は、ブレードが着座する外側小部分間の空間を画定するために、内側小部分の前方に延在している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外側プレート(64,102)からなるガイドバー(62)であって、内側プ
レート(76,167,180)が前記外側プレート間に配置されており、前記内側プレ
ートは、前記外側プレートの遠位端の近位側後方に位置するヘッド(95)を有している
、ガイドバー(62)と、
前記外側プレート間において前記内側プレートの前記ヘッドに対して配置されたウエブ
(142,210)と、前記ウエブの前方に位置するヘッド(146)と、を有するブレ
ード(136,202)であって、前記ヘッドに歯(148)が形成されており、前記歯
は、前記ガイドバーを受け入れることができる切口を形成するのに十分な厚みを有してい
る、ブレード(136,202)と、
前記外側プレート間に移動可能に配置された少なくとも1つの駆動リンク(112,1
96)であって、前記少なくとも1つの駆動リンクは、互いに向き合った近位端及び遠位
端を有しており、前記近位端は、鋸(32)の駆動要素(50)に取り付けられるように
構成されており、前記遠位端は、前記少なくとも1つの駆動リンクの往復運動が前記ガイ
ドバーの前記内側プレートの前記ヘッド(95)を中心とする前記ブレードの旋回をもた
らすように、前記ブレードの前記ウエブに接続されている、少なくとも1つの駆動リンク
(112,196)と、
を備えている、外科用矢状鋸ブレードカートリッジ(60)であって、
前記内側プレート(76,167,202)は、内側小部分(86,165)と前記内
側小部分の互いに向き合った側に位置する互いに向き合った外側小部分(80,99,1
60,172,182,197)とを有するように形成されており、前記内側小部分は、
前記ブレードの前記ウエブ(142,210)が着座する前記ヘッド(95)を画定する
ように形成されており、前記外側小部分は、前記ブレードの前記ウエブが前記外側小部分
間の空間内に配置されるように前記ヘッドの前方に延在しており、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)は、前記内側小部分と前記外側小
部分の1つとの間の空間内に配置されている、
ことを特徴とする、外科用矢状鋸ブレードカートリッジ(60)。
【請求項2】
前記内側プレート(76,167,202)は、前記外側小部分(80,99,160
,172,182,197)の各々が少なくとも1つのローブ(82,84,164,1
84)を有するように、さらに形成されており、前記外側小部分は、前記ローブが前記内
側小部分(86,165)の前記ヘッド(95)の遠位側前方に位置して互いに真っ直ぐ
内方に向うように、さらに形成されており、前記ブレード(136,202)の前記ウエ
ブ(142,210)は、前記小部分間に配置されている、請求項1に記載の外科用鋸ブ
レードカートリッジ(60)。
【請求項3】
前記外側小部分(160,172,182,197)の各々は、前記ローブ(164,
184)の1つを有するように形成されている、請求項2に記載の外科用鋸ブレードカー
トリッジ(60)。
【請求項4】
前記外側小部分(80,99)の各々は、長手方向において互いに離間した複数の内向
きローブ(82,84)を有するように形成されている、請求項2に記載の外科用鋸ブレ
ードカートリッジ(60)。
【請求項5】
前記外側小部分(80,99)の各々は、前記小部分と一体の前記少なくとも1つのロ
ーブ(84)が前記小部分の遠位端に位置するように、さらに形成されている、請求項2
~4のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレードカートリッジ(60)。
【請求項6】
2つの駆動リンク(112,196)が、前記ブレード(136,202)の前記ウエ
ブ(142,210)に接続され、前記ウエブから遠位側に延在しており、前記駆動リン
クは、各駆動リンクが前記内側小部分(86,165)と前記外側小部分(80,99,
160,172,182,197)の1つとの間の個別の空間内に位置するように、前記
内側小部分の両側に配置されている、請求項1~5のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレ
ードカートリッジ(60)。
【請求項7】
前記ガイドバー(62)は、前記ガイドバーを前記鋸(32)に保持する連結部材(4
0)を受け入れるための開口(69,106)を有するように、さらに形成されている、
請求項1~6のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレードカートリッジ(60)。
【請求項8】
前記ガイドバー(62)に開口(67,104)が形成されており、前記開口において
、前記少なくとも1つの駆動リンクの近位端が、前記鋸(32)の前記駆動要素(50)
に接続されるようになっている、請求項1~7のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレード
カートリッジ(60)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの駆動リンク(112)は、前記ブレードの前記ウエブに枢動可能
に接続されている、請求項1~8のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレードカートリッジ
(60)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの駆動リンク(196)は、前記駆動リンクの前記遠位端に歯を有
するように形成されており、
前記ブレード(202)の前記少なくとも1つのウエブ(210)は、歯を有するよう
に形成されており、前記ウエブ歯は、前記少なくとも1つの駆動リンクの前記歯に係合す
るように位置決めされ、かつ形作られている、
請求項1~8のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレードカートリッジ(60)。
【請求項11】
前記ガイドバーを形成する前記プレート(64,76,102,167,180)は、
前記ガイドバー(62)を形成するために一緒に固定された少なくとも2つのプレートか
らなっている、請求項1~10のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレードカートリッジ(
60)。
【請求項12】
前記外側プレート(64,102)及び前記内側プレート(76,167,180)は
、ガイドバー(62)を形成するために一緒に固定された3つの別体のプレートである、
請求項1~10のいずれか1つに記載の外科用鋸ブレードカートリッジ(60)。
【請求項13】
互いに向き合った近位端及び遠位端と、前記遠位端から近位側内方に延在する空洞と、
前記空洞の近位端に隣接して位置する旋回ボスとを有する、ガイドバー(62)と、
前記旋回ボスに隣接して位置するように前記ガイドバーの前記空洞内に位置するウエブ
(212)と、ヘッド(146)とを有するブレード(202)であって、前記ヘッドに
歯(148)が形成されており、前記歯は、前記ガイドバーを受け入れることができる切
口を形成するのに十分な厚みを有している、ブレード(202)と、
前記外側プレート間に移動可能に配置された少なくとも1つの駆動リンク(196)で
あって、前記駆動リンクは、互いに向き合った近位端及び遠位端を有しており、前記近位
端は、鋸(32)の駆動要素(50)に取り付けられるように構成されており、前記遠位
端は、前記駆動リンクの往復運動が前記ガイドバー内の前記旋回ボス(95)を中心とす
る前記ブレードの旋回をもたらすように、前記ブレードの前記ウエブに接続されている、
少なくとも1つの駆動リンク(196)と、
を備えている、外科用矢状鋸ブレードカートリッジ(60)であって、
前記少なくとも1つの駆動リンクは、前記駆動リンクの遠位端に歯(199)を有する
ように形成されており、
前記ウエブは、前記ブレードを少なくとも1つの駆動リンクに旋回可能に接続させるた
めに前記駆動リンクの前記歯(199)に係合する歯(204)を有するように、形成さ
れている、
ことを特徴とする、外科用矢状鋸ブレードカートリッジ(60)。
【請求項14】
前記ガイドバー(62)は、2つの外側プレート(64,102)を備えており、内側
プレート(76,167,180)が前記外側プレート間に配置されており、前記内側プ
レートは、前記外側プレートの遠位端の近位側後方に位置するヘッド(95)を有してお
り、
前記ブレード(202)は、前記内側プレートの前記ヘッドに対して配置されている、
請求項13に記載の外科用矢状カートリッジ(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止ガイドバー及び該ガイドバーに旋回可能に取り付けられたブレードヘッ
ドを有する外科用矢状ブレードカートリッジに関する。さらに詳細には、本発明は、補強
されたガイドバーを有する外科用矢状ブレードカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
矢状鋸ブレードは、該ブレードと直交する軸を中心として旋回するヘッドを有する外科
用鋸である。特許文献1,2は、それぞれ、外科用鋸ブレードカートリッジを開示してい
る。これらの開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。矢状鋸ブ
レードカートリッジは、静止ガイドバー及びブレードヘッドを備えている。ガイドバーは
、カートリッジを作動させるハンドピース、すなわち、鋸に離脱可能に取り付けられる細
長部材である。ブレードヘッドは、ガイドバーに旋回可能に取り付けられており、ガイド
バーから前方に延在する歯を有している。1つ又は複数の駆動リンクが、ブレードヘッド
からガイドバーの近位端に向かって延在している。駆動リンクは、鋸内の駆動アセンブリ
によって前後に往復運動される。駆動リンクの往復運動が、ブレードヘッドを前後に旋回
させる。ブレードヘッドのこの旋回によって、歯がブレードヘッドが押し付けられた組織
を切断することが可能になる。この種のカートリッジは、振動チップ鋸ブレードカートリ
ッジと呼ばれることもある。
【0003】
矢状ブレードカートリッジの利点は、カートリッジの旋回する唯一の部分が遠位側に位
置するブレードヘッドである点にある。比較として、従来の矢状鋸ブレードは、ブレード
が取り付けられた鋸の取付点から旋回する。カートリッジは、作動された時、ハンドピー
スを保持する外科医の手をわずかしか振動させない。また、切断ガイドを用いて、ブレー
ドが切除することを意図する組織に対して矢状鋸ブレードを適切に位置決めすることが、
一般的に行われている。従来のブレードが作動されると、ブレードの振動運動によって、
ブレードが着座する長孔を画定する切断ガイドの表面に著しい摩耗が生じる。外科用矢状
ブレードカートリッジのガイドバーは、この長孔内においてごくわずかしか移動しない。
従って、従来のブレードに代わってカートリッジを用いることによって、切断ガイドを形
成する材料がガイドからわずかしかすり減らないことになる。これによって、外科医がす
り減った切断ガイド材料を外科部位と同一平面にしなければならない程度を低減させるこ
とができる。さらに、振動チップブレードの使用によって、ガイドを形成する材料がガイ
ド自体を役に立たないほど摩耗させる程度を低減させることができる。
【0004】
外科用矢状ブレードカートリッジは、従来の矢状鋸ブレードを上回る他の利点を有して
いる。ガイドバーは、ブレードヘッドが作動した時に静止しているので。施術者は、1本
又は2本の指をガイドバーに押し付けることができる。これによって、カートリッジが切
断すべき組織に向かって前進する時にカートリッジを所望の位置に保持することが容易に
なる。
【0005】
従来の矢状ブレード又は矢状ブレードカートリッジのいずれかが骨内に前進する時、ブ
レードヘッドは、抵抗を受ける。この抵抗は、切断が5cm以上の深さになると顕著にな
る。多くの場合、カートリッジの下側に隣接して位置する骨は、カートリッジのすぐ上に
位置する骨よりも大きい切断抵抗をもたらす。殆どの機械装置と同様、カートリッジは、
前方に前進する時、抵抗が最小の経路に沿って前進する。カートリッジの上の骨がカート
リッジの下の骨よりも切断抵抗が小さいので、カートリッジは、前進する時、所望の切断
面の上方に撓むことがある。ブレードのこの上方撓みは、「スカイビング(skiving)」
として知られている。また、骨の密度によって、カートリッジは、前進する時に切断面の
下方に撓む場合もある。この種の撓みは、「ダイビング(diving)」として知られている
【0006】
ブレードが撓む方向と無関係に、撓みは、望ましくない。何故なら、矢状鋸ブレードカ
ートリッジは、典型的には、骨を切除し、除去された骨によって占められていた空間に人
工インプラントが取り付けられるからである。インプラントは、インプラントが取り付け
られる骨の相補面に正確に着座するように設計された表面を有するように、形成されてい
る。もし切断が骨に所望の形状を有する表面を残さなかったなら、インプラント取付け処
置の結果は、最適なものにならないだろう。
【0007】
理論的には、ガイドバーの厚みを大きくすることによって、外科用矢状ブレードカート
リッジの剛性が増大することになる。しかし、カートリッジが挿入される切断ガイドの長
孔が比較的狭い傾向にあることが理解されるべきである。多くの場合、この長孔の高さは
、約1.5mm以下である。この高さは、この長孔内に挿入されるカートリッジのガイド
バーの厚みを制限することになる。さらに、もしガイドバーの厚みが増したなら、これに
よって、カートリッジによって形成される切断厚みを大きくする必要がある。切断厚みが
大きくなると、カートリッジは、所望の平面平滑度を有しない切断面を生じさせる可能性
がある。従って、ガイドバーの厚みを増すことは、通常、カートリッジの撓みを低減させ
るための実行可能な解決策にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願公開第2006/017066A2号パンフレット/米国特許第7,497,860号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第2007/030793A2号パンフレット/米国特許第7,704,254号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、新規の有用な外科用矢状ブレードカートリッジに関する。外科用矢状ブレー
ドカートリッジは、均一でない抵抗を受けた時に変形しにくいように設計されたガイドバ
ーを備えている。
【0010】
本発明の外科用矢状ブレードカートリッジは、3つのプレートによって形成されたガイ
ドバーを備えている。上側プレート及び該上側プレートと向き合った底側プレートが設け
られている。上側プレートと底側プレートとの間に、内側プレートが位置している。内側
プレートは、湾曲したヘッドを有するように形成されている。湾曲したヘッドは、カート
リッジのブレードヘッドが旋回する中心となるボスとして機能するものである。
【0011】
本発明の多くの態様では、内側プレートは、該プレートの近位端を成す基部を有するよ
うに形成されている。3つの小部分が基部から前方に延在している。2つの外側小部分及
び内側小部分である、これらの小部分は、横方向において互いに離間している。内側小部
分は、旋回ボスとして機能する湾曲したヘッドを有するように形成されている。この種の
ガイドバーを有するカートリッジが組み立てられると、ブレードヘッドを旋回させる駆動
リンクは、内側小部分と外側小部分との間の空間内に配置されることになる。
【0012】
本発明のいくつかの態様では、外側小部分は、内側小部分の遠位側前方に延在している
。従って、本発明のこれらの態様では、外側小部分は、旋回ボスの前方に延在している。
本発明のこれらの態様では、ブレードヘッドの基部は、(旋回ボスの前方に位置する)外
側小部分の互いに離間した区域間に配置されることを理解されたい。
【0013】
外側小部分が内側小部分の前方に延在する本発明の態様では、外側小部分は、互いに向
かって内方に延在するローブを有するように形成されている。従って、外側小部分のこれ
らの遠位区域は、ガイドバーを補強し、ガイドバーの撓みの可能性を低減させることにな
る。
【0014】
本発明のいくつかの態様では、ガイドバーを形成するプレートは、3つの異なるプレー
トである。これらのプレートは、ガイドバーを形成するために一緒に溶接されるか又は他
の方法によって固定されている。本発明のいくつかの態様では、これらのプレートの2つ
以上が、単一ユニットとして、機械加工されるか、型成形されるか、又は他の方法によっ
て形成されるようになっている。
【0015】
本発明は、請求項において詳細に指摘されている。本発明の上記の及びさらなる特徴並
びに利得は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことによって、理解されるだろ
う。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の鋸と外科用矢状ブレードカートリッジとのアセンブリの斜視図である。
図2】本発明のカートリッジの分解図である。
図3】本発明のカートリッジの内側プレートの平面図である。
図4】本発明のカートリッジの代替的な内側プレートの平面図である。
図5】本発明のカートリッジと一体の代替的なアセンブリの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明のアセンブリ30を示している。アセンブリ30は、外科用矢状ブレー
ドカートリッジ60が離脱可能に取り付けられた鋸32を備えている。鋸32は、本体又
はハウジング34を備えている。本発明の図示されている態様では、ハウジング34は、
ピストン状に形作られている。ヘッド38は、カートリッジ60の近位端を受け入れるよ
うに形作られている。(ここで、「近位側(proximal)」は、鋸32を保持する外科医に
向う方、すなわち、カートリッジ60が適用される部位から離れる方を意味すると理解さ
れたい。「遠位側(distal)」は、鋸を保持する外科医から離れる方、すなわち、カート
リッジ60が適用される部位に向う方を意味すると理解されたい)。連結ロッド40が、
鋸ヘッド38に摺動可能に取り付けられている(なお、連結ロッド40の頭部が図示され
ている)。連結ロッド40が稼働位置にある時、ロッドの一部がカートリッジに押圧され
、カートリッジをヘッドに保持する。連結ロッド40が装填位置にある時、連結ロッド4
0は、カートリッジ60を押圧しない。これによって、カートリッジ60をヘッドから取
り外し、新しいカートリッジをヘッドに離脱可能に取り付けることが可能になる。ヘッド
に取り付けられた蝶ナット42が、連結ロッド40を稼働位置と装填位置との間で移動さ
せるようになっている。
【0018】
仮想シリンダによって表されているモータ48が、ハウジング34のバレル内に配置さ
れている。モータ48は、1対の駆動ピン50(1つに部番が付されている)に接続され
ている。駆動ピン50は、ヘッド38に取り付けられており、カートリッジ60が着座す
る表面の上方に突出している。これらの駆動ピン50は、互いに反対の方向に振動運動を
行うために、ヘッド38に取り付けられている。鋸ヘッド38の下方に位置するトリガー
52は、鋸の作動を制御するために押下される手動の作動部材である。モータ48に通電
信号を供給する電源は、図示されていない。多くの場合、この電源は、鋸ハウジング34
の把持部分の基部に取り付けられたバッテリ又は電源コードである。
【0019】
図2に示されているカートリッジ60は、ブレード136が取り付けられたガイドバー
62を備えている。ブレード136は、ガイドバー62の遠位区域に取り付けられ、そこ
から前方に延在している。駆動リンク112が、ブレード136の両側から近位側に延在
している。駆動リンク112は、ガイドバー62の近位端の前方の位置で終端している。
【0020】
ガイドバー62は、底側プレート64、底側プレート64の上に配置された内側プレー
ト76、及び内側プレート76の上に配置された上側プレート102を備える積層構造で
ある。従って、内側プレート76は、2つの外側プレート間、すなわち、底側プレート6
4と上側プレート102との間に挟まれている。これらのプレートは、一緒になって、ガ
イドバー62が近位区域63を有するように形成されている。近位区域63は、プレート
の近位端から最初外向きテーパで傾斜し、次いで、内向きテーパで傾斜している。近位区
域63の前方において、ガイドバーは、中央区域66及び遠位区域68を有している。プ
レート64,76,102は、中央区域及び遠位区域68の両側を形成するガイドバーの
互いに向き合った側が平行であるように、形成されている。バーの中央区域66及び遠位
区域68を横切る幅は、それぞれ、バーの近位区域63の外向きテーパ部分を横切る幅よ
りも小さくなっている。
【0021】
底側プレート64は、その近位端のすぐ前方に、横方向において互いに離間した2つの
開口67(1つに部番が付されている)を有するように、形成されている。開口67は、
半楕円状である。各開口67は、プレートの近位端の方を向く湾曲した周囲と、カートリ
ッジの遠位端の方を向く直線状の周囲を有している。開口67の前方において、底側プレ
ートは、鍵孔状開口69を有するように形成されている。開口69は、該開口の最大幅部
分が鋸の連結ロッド40の頭部を受け入れることができるように、形作られている。開口
69は、その中心線がガイドバー62に沿った近位-遠位方向長軸に沿っている。底側プ
レート64は、開口69の狭幅部分が該開口の広幅部分の遠位側前方に位置するように、
さらに形成されている。
【0022】
底側プレート64は、遠位プレートの近位側に2つの開口70(1つに部番が付されて
いる)が位置するように、さらに形成されている。各開口70は、開口67の各1つと長
手方向において真っ直ぐに並んでいる。開口70は、開口67と同様の形状を有し、その
向きが開口67と逆になっている。すなわち、開口70は、開口70の湾曲端が遠位側を
向くように配向されている。開口70の直線端は、プレート64の近位端の方を向いてい
る。開口70の前方において、底側プレート64は、該プレートを貫通する2つの細長の
長孔72(1つに部番が付されている)を有するように、形成されている。各長孔72は
、(隣接する開口70の端の近くに位置し、かつプレート64の長軸に最も近い)その近
位端から前方に延在している。近位端の前方において、長孔72は、プレートの側縁に向
かって外方に湾曲している。長孔72は、プレート64の遠位端から近位側に離間した位
置で終端している。
【0023】
図3に最もよく示されているように、内側プレート76は、該プレートの近位端を成す
基部78を有するように形成されている。横方向において互いに離間した3つの小部分8
0,86,99が、基部78から前方に延在している。小部分80,99は、外側小部分
である。小部分80,99の外面は、ガイドバー62の外側面の区域を成すプレート76
の外面である。従って、外側小部分80,99は、プレート基部78から前方に延在する
近位区域を有しており、該近位区域は、最初内向きテーパで傾斜し、次いで、外向きテー
パで傾斜している。外側小部分80,99は、ガイドバー62の長軸に対して対称的に配
置されている。外側小部分80,99は、互いに鏡面対称となるようにさらに形作られて
いる。各小部分80,99の遠位端に隣接して、各小部分は、プレート76の長手方向中
心軸に向かって内方に延在するタブ82(1つに部番が付されている)を有するように、
形作られている。タブ82の近位側において、各小部分80,99は、プレート76の長
手方向中心軸に向かって内方に延在するローブ84(1つに部番が付されている)を有す
るように、形作られている。小部分80又は99に沿って近位側から遠位側に向かって、
関連するローブ84は、最初内方に湾曲し、次いで、外方に湾曲している。内側プレート
76は、ローブ84がタブ82から近位側に離間するように、形成されている。
【0024】
内側プレート76の内側小部分86は、その中心線が該プレートの長軸上に位置してい
る。小部分86は、鍵孔状開口90を有するように形成されている。内側プレート76は
、開口90が底側プレート64の開口69と同じ形状を有し、かつ開口69と真っ直ぐに
並ぶように位置決めされるように、形作られている。内側小部分86は、その遠位端を除
けば、一定幅を有している。最遠位端において、小部分86は、湾曲した遠位面を有する
ヘッド95を有している。この小部分の一定幅区域とヘッド95との間において、この小
部分は、ネック94を有している。ネック94は、ヘッド95に対して内方に湾曲した互
いに向き合った側面を有している。
【0025】
小部分80,86,99が互いに離間しているので、外側小部分80,99の各々と内
側小部分86との間に一端が閉鎖された細長の長孔96が生じることになる。長孔96の
近位端は、該長孔の閉端である。カートリッジ60が組み立てられると、各長孔96は、
底側プレート64の開口67,70の各組の上に配置される。内側プレート76は、各長
孔96の近位端部分98が底側プレートの開口67の形状と実質的に等しい形状を有する
ように、さらに形成されている。従って、各長孔96の近位端部分98の横方向幅は、近
位区域の遠位側前方の長孔96の幅よりも大きくなっている。
【0026】
図2に戻ると、上側プレート102が底側プレート80の外周と実質的に同一の外周を
有するように形作られていることが観察される。上側プレート102の近位端の前方にお
いて、プレート102は、2つの開口104(1つに部番が付されている)を有するよう
に形作られている。開口104は、底側プレートの開口67と同じ形状を有し、該開口6
7と真っ直ぐに並ぶように位置決めされている。開口104の前方において、上側プレー
トは、楕円状の開口106を有するように形成されている。上側プレート102は、ガイ
ドバー60が組み立てられた時、開口106が内側プレートの開口90の上に配置され、
該開口90を取り囲むように、形成されている。上側プレート102は、2つの開口10
8(1つに部番が付されている)を画定するように、さらに形成されている。開口108
は、底側プレートの開口70と同じ形状を有し、該開口70と真っ直ぐに並ぶように、形
成されている。
【0027】
ブレード136は、中心に位置するウエブ142を有するように形成されている。ブレ
ード136は、ウエブ142が内側プレート76の厚みよりも大きくない厚みを有するよ
うに、形成されている。図2に示されているブレード136のウエブ142は、略矩形状
である。ブレード136がガイドバー62内の中心位置に配置された時、ウエブ142の
主軸は、ガイドバーの主軸と同一線上に位置する。ガイドバーは、ウエブ142から近位
側にかつウエブの長軸から離れる方に延在している。ブレード136は、2つの足(1つ
に部番が付されている)を有するように形作られている。足138は、ウエブ142の厚
みと同じ厚みを有している。各足138は、内側小部分86の隣接する長孔96の開端ま
で延在している。開口140が、各足138を上下方向に貫通している。足138間にお
いて、ブレード136は、湾曲した近位面144を有するように形成されている。ブレー
ド136は、ブレード面144が内側小部分86と一体のヘッド95に対して着座し、該
ヘッド95を中心として旋回することができるように、形作られている。ブレード足13
8及びウエブ142は、ブレード136の基部と呼ばれることもある。
【0028】
ブレードのウエブ142の遠位端は、ガイドバー60の遠位端まで延在している。ヘッ
ド146が、ウエブ142の遠位端と一体であり、該遠位端の前方に延在している。ヘッ
ド146に、歯148が形成されている。ブレード136は、ヘッド146がウエブ14
2の厚みよりも大きい厚みを有するように、さらに形成されている。さらに具体的には、
ヘッドは、ブレード136の切断動作によって形成される切口がガイドバー60を受け入
れるのに十分となる厚みを有するように、形成されている。
【0029】
駆動リンク112が、ガイドバー62の長孔96の各々に配置されている。各駆動リン
ク112は、金属製の平坦な細長片の形態にある。駆動リンク112は、足114(1つ
に部番が付されている)が各リンクの近位端に配置されるように、形成されている。各足
114は、その中心に位置する貫通孔116(1つに部番が付されている)を有するよう
に、形成されている。貫通孔116は、関連する駆動ロッド足114が鋸ヘッドの駆動ピ
ン50に取り付けられるように、寸法決めされている。各駆動リンク112は、足114
がリンクの本体を形成する金属片の厚みよりも大きい厚みを有するように、形作られてい
る。足114の厚みは、通常、ガイドバー62の厚みよりも大きくない。カートリッジ6
0が組み立てられると、足114は、関連する長孔96の近位端部分98内に略着座され
る。各リンク112の本体から外方に突出する足114の部分は、底側プレート開口67
及び上側プレート開口104内に着座される。
【0030】
2つのフィンガー118(1つに部番が付されている)が、各駆動リンク112の本体
の遠位端から遠位側前方に延在している。フィンガー118は、互いに重なっており、か
つ互いに離間している。さらに具体的には、フィンガー118は、ブレード足138が各
フィンガー対間に着座することができるように、十分な距離を隔てて互いに離間している
。各フィンガー118に、孔120が形成されている。各対のフィンガー118のそれぞ
れの孔120は、互いに真っ直ぐに並んでいる。
【0031】
本発明のカートリッジを組み立てるプロセスの一部として、ブレード136は、各ブレ
ード足138が1対の駆動リンクフィンガー118間に配置されるように、位置決めされ
る。フィンガー孔120とブレード足開口140を貫通する旋回ピン122(1つに部番
が付されている)が、脚38を関連する駆動リンク112に旋回可能に保持するようにな
っている。
【0032】
カートリッジ60の組立中、内側プレート76は、最初に底側プレート64又は上側プ
レート102に溶接されるか又は他の方法によって固定される。この工程が終了した後、
駆動リンク/ブレードアセンブリが、駆動リンク112が長孔96内に着座し、かつブレ
ード136の湾曲した近位面144が内側プレート76と一体の小部分ヘッド95の湾曲
した遠位面に対して着座するように、位置決めされる。次いで、上側プレート102又は
底側プレート64が、内側プレート76の露出面に溶接されるか又はそれ以外の方法によ
って固定される。カートリッジ60を組み立てるプロセスの終了時に、駆動リンク足11
4は、プレート開口67,104内に着座する。駆動リンクのフィンガー118は、それ
ぞれ、ガイドバーの底側プレート64及び上側プレート102に形成された開口70,1
08内に着座する。ブレードヘッド146は、ガイドバー62の遠位端のすぐ前方に位置
することになる。
【0033】
図1および図2から分かるように、、カートリッジ60は、2つの平行リブ150を備
えている。リブ150は、バーの上側プレート102の外面から上方に延在している。リ
ブは、各リブが開口104の各1つの長軸と真っ直ぐに並ぶように、位置決めされている
。リブ150は、開口104の略2mm前方の位置から前方に延在している。各リブ15
0は、プレート開口106の略10mm前方の位置で終端している。リブ150は、上側
プレート102と別に形成されている。リブ150は、カートリッジ60の残りに溶接さ
れるか又はそれ以外の方法によって永久的に固定されるようになっている。
【0034】
国際特許出願公開第2013/016472A1号/米国特許出願公開第2014/0
163558号において検討されているように、いったんアセンブリ30の使用の準備が
整えられたなら、カートリッジのリブ150は、鋸ヘッド38の上方に配置されることに
なる。なお、この文献は、参照することによって、ここに明示的に含まれるものとする。
リブ150は、鋸ヘッド38の上方に配置されたカートリッジ60の区域の撓みを低減さ
せることになる。
【0035】
本発明のアセンブリ30の使用の準備を行うために、カートリッジ60が、鋸ヘッド3
8に取り付けられる。この取付けの結果として、各駆動ピン50が、駆動リンク足114
に形成された孔116の各1つに着座する。連結ロッド40は、カートリッジの重なって
いる開口69,90,106を貫通する。連結ロッド40は、(部番が付されていない)
連結ロッドの頭部が上側プレート開口106を通して露出した内側プレート72の表面を
押圧するように、ガイドバーの上方から下げられる。この押圧動作によって、カートリッ
ジ60が鋸ヘッド38に保持される。カートリッジ60が駆動ヘッドに固定されると、駆
動ピン及び駆動リンクが、協働して、ブレード136を近位側に付勢する。ブレードの近
位面144が、カートリッジ60内のヘッド95の湾曲面に対して付勢される。
【0036】
トリガー52を押し込むことによって、アセンブリ30が作動される。その結果、モー
タ44の作動が生じる。モータ44が作動すると、駆動ピン50の前後振動が生じる。駆
動ピン50のこの運動によって、駆動リンク112が前後方向に互いに往復運動する。駆
動リンク112が互いに前後移動すると、ブレードがガイドバー62内のヘッド95を中
心として前後に旋回する。ブレード歯148のこの旋回によって、該歯が、カートリッジ
が押し付けられている組織を切断することになる。
【0037】
カートリッジ60の前進中に、該カートリッジは、抵抗力に晒される。内側プレート7
6は、ガイドバー62に構造強度を与えている。この構造強度が、これらの抵抗力に晒さ
れた時にバー62が撓む程度を抑制することになる。ガイドバー62のさらなる補強が、
内側小部分86のヘッド95の前方に延在する外側小部分80,99の区域によってもた
らされる。タブ82及びローブ84は、ガイドバーの遠位部分においてガイドバーに構造
強度をもたらす。この遠位部分は、抵抗力に最初に晒されるガイドバーの部分である。従
って、タブ82,84の存在は、ガイドバーの遠位部分がスカイビング(skiving)又は
ダイビング(diving)を生じる可能性をさらに低減させる。ガイドバー62のこの部分の
スカイビング又はダイビングの阻止によって、カートリッジ60の全体のスカイビング又
はダイビングの可能性が低減することになる。
【0038】
本発明のさらなる特徴は、駆動リンク112の両側が、内側プレート76内に封入され
ていることである。これは、もしカートリッジが作動された時に外科医がガイドバーの両
側を保持又は接触しても、外科医の指が往復運動する駆動リンク112に接触しないこと
を意味している。少なくとも、これによって、駆動リンクが移動する時に外科医の指の手
袋を引き裂くことが本質的に不可能になる。本発明のこの構成のさらに他の利点は、プレ
ート64,76,102の側部分の効率的な溶接が容易になる点である。ガイドバー62
の両側に沿って側溶接部を形成するためのプレート64,76,102のこの側溶接は、
ガイドバーを強化するのに役立つことになる。
【0039】
図4は、本発明のカートリッジのガイドバーの一部をなす代替的な内側プレート160
の平面図である。内側プレート160は、前述の内側プレート76の基部78を有してい
る。外側小部分162,170が、基部78から前方に延在している。これらの外側小部
162,170は、横方向において内側小部分165から離間している。外側小部分16
2,170の近位部分は、小部分80,99の近位部分と同じ形状を有している。各小部
分162,170の遠位部分は、プレート160の長軸に向かって内方に突出する単一部
材のみを有するように、形成されている。この単一の突起は、ローブ164である。小部
分162又は170に沿って近位側から遠位側に向かって、ローブは、内側小部分165
と一体のヘッド95の遠位端のいくらか近位側の位置から(プレート長軸に向かって)小
部分から外方に延在している。ローブ164は、該ローブが最大厚みを有する箇所がヘッ
ド95の前方の位置となるように、湾曲している。最大厚みの位置から、ローブは、小部
分162又は170の外面に向かって内方に湾曲している。各ローブ164の遠位端は、
ローブが一体になる小部分162又は170の遠位端である。
【0040】
内側プレート160は、内側小部分165を有するように形成されている。内側小部分
165は、前述の内側小部分86と同様の形状を有している。2つの小部分間の差は、ネ
ック95の近位側において、内側小部分165がテーパを有する点にある。従って、ネッ
ク95から近位側に向って、小部分165の幅が増大している。
【0041】
内側プレート160は、比較的広いウエブを有するブレードを備えるカートリッジの一
部をなすガイドバーの内側プレートとして適している。この種のカートリッジの場合、カ
ートリッジ60のタブ82を設けることは、困難である。何故なら、タブの存在が、ウエ
ブの前後振動を妨げるからである。ローブ164を備えるカートリッジの場合、ガイドバ
ーの遠位部分に隣接する箇所において、該ローブがスカイビング又はダイビングを低減さ
せるのに有用な構造強度をガイドバーにもたらすことになる。
【0042】
図5は、本発明のカートリッジの代替的な構成要素を示している。ここに示されている
のは、内側プレート180である。内側プレート180は、前述の内側プレート76の基
部78及び内側小部分86を有している。内側プレート180は、互いに鏡面対称の互い
に向き合った小部分182,197を有している。各小部分182は、単一ローブ184
を有するように形成されている。内側プレート180は、各ローブ184が、小部分ヘッ
ド95の遠位側前方の位置において、関連する小部分182又は197から内方に延在す
るように、形成されている。各ローブ184は、小部分182又は197から本質的に直
角に延在している。小部分182が内側プレート180の長軸と直交して延在する箇所の
前方において、ローブは、長軸から外向きテーパで傾斜し始める。各ローブ184の遠位
端は、本質的に、ローブと一体の小部分182又は197の遠位端である。プレート18
0の遠位端の近位側のローブの横方向厚みは、ローブの近位側における小部分182,1
97の横方向厚みよりも大きくなっている。
【0043】
内側プレートは、(部番が付されていない)多数の貫通孔、すなわち、基部に位置する
貫通孔、内側小部分86に位置する貫通孔、及びローブ184に位置する貫通孔を有する
ものとして示されている。これらの孔は、製造上の理由から設けられている。
【0044】
駆動リンク196が、内側小部分88と横方向において互いに離間した外側小部分18
2,197との間の各長孔内に配置されている。各駆動リンクは、前述の駆動リンク11
2の本体及び足114を有している。各駆動リンク196は、その遠位端にヘッド198
(1つに部番が付されている)を有している。各ヘッド198は、歯199(一組の歯に
部番が付されている)を有するように形成されている。駆動リンクの歯199は、リンク
196が一体のカートリッジの近位-遠位方向の長軸に沿って互いに離間している。
【0045】
ブレード202が、小部分ローブ184間に配置されている。ブレード202は、ウエ
ブ210を有している。ウエブ210と一体の2つの脚206(1つの脚に部番が付され
ている)が、ウエブから近位側に延在している。脚206は、小部分ヘッド95が脚間に
着座することができるように、互いに離間している。ブレード202は、歯204(2つ
の歯に部番が付されている)が脚206から外方に延在するように、形成されている。歯
204は、隣接する駆動リンク196と一体の歯199と係合するように、寸法決めされ
ている。ブレード202は、ウエブ210の遠位端において脚206間に位置する湾曲し
た近位面208を有するように、さらに形成されている。面208は、ブレード136の
面144と同様である。
【0046】
ブレードウエブ210は、ガイドバーの遠位端に延在している。ヘッド212が、ウエ
ブ210の遠位端と一体になっており、その前方に位置している。ヘッド212は、機能
的にブレードヘッド146と同じである。歯148が、ヘッド212の前方に延在してい
る。
【0047】
下側の底側プレート220の一部も、図5に示されている。底側プレート220は、前
述の底側プレート64と同様の構造を有している。具体的には、底側プレートに形成され
た長孔72が示されている。
【0048】
図5の構成要素を有するカートリッジが組み立てられると、これらの構成要素は、ブレ
ード歯204が駆動リンク196と一体の歯199に係合するように、配置される。カー
トリッジは、前述のカートリッジ60が用いられるのと同じように用いられる。このカー
トリッジが用いられる時、駆動リンク196の往復運動は、歯199の係合によってブレ
ードに伝達される。この係合の結果として、駆動リンクの長手方向の前後運動が、ブレー
ド202を小部分ヘッド95を中心として前後に旋回させることになる。
【0049】
図5のカートリッジの構成要素は、外側小部分182,197が駆動リンク196の隣
接するヘッド198の外方横方向運動を拘束するように、構成されていることを理解され
たい。さらに具体的には、駆動リンクヘッド198の外側面は、隣接する駆動リンク19
6の側面に押し付けられることになる。駆動リンクヘッド198の運動のこの拘束によっ
て、リンクがブレードを旋回させるように往復運動する時、ブレード脚206の旋回が駆
動リンクヘッド198を隣接する歯204から離れる方に押圧しても、問題が生じないこ
とになる。もしこの運動が拘束されずに生じたなら、駆動リンクの歯199がブレード歯
204から離脱することになる。
【0050】
上記の説明は、本発明の特定の態様に向けられている。本発明の代替的形態が、記載さ
れている特徴と異なる特徴を有していてもよい。
【0051】
例えば、本発明の互いに異なる態様の種々の特徴が組み合されてもよい。
【0052】
同様に、本発明の全ての態様が、記載されている特徴の全てを有していなくてもよい。
本発明の全ての態様において、外側小部分が内側小部分の前方に延在している必要がない
。外側小部分が内側小部分の前方に位置する遠位区域を有する本発明の態様において、外
側小部分は、内方に延在するローブを必ずしも備える必要がない。
【0053】
本発明の全ての態様が、リブ150を備える必要がない。本発明のいくつかの態様では
、リブは、打抜き、型成形、又はそれ以外の方法によって上側プレートと一体化されても
よい。
【0054】
同様に、本発明のいくつかの態様では、内側プレート76の全体又は一部が底側プレー
ト64又は上側プレート102の一方又は両方と一緒に形成されていてもよい。従って、
本発明のこれらの態様では、いったんブランクが形成されたなら、該ブランクが、駆動ロ
ッドが着座する長孔を画定するように、かつ小部分の周縁を画定するように機械加工され
るようになっている。代替的には、ガイドバーの開口又は長孔を画定する部分は、型成形
によって形成されてもよい。
【0055】
本発明のいくつかの態様では、単一の駆動リンクが、ブレードヘッドを旋回するのに必
要な全てであってもよい。本発明のいくつかの態様では、1つ又は複数の駆動リンクは、
カートリッジの長軸と平行でなくてもよい。従って、本発明のこれらの態様では、1つ又
は複数の駆動リンクの要素が着座するガイドバーの開口は、同様に、カートリッジの長軸
と平行の線上に位置していなくてもよい。
【0056】
少なくとも1つの駆動リンク及びブレードが相補的な歯を備える本発明の態様では、ガ
イドバーは、記載されている構造と異なる構造を有していてもよい。具体的には、ガイド
バーは、ブレードヘッドがバーを形成するプレートの1つの一体部とならないように形成
されていてもよい。本発明のこれらの態様では、ブレードが旋回する時にその中心となる
構造は、バーを形成するプレートの少なくとも1つに取付けられるか又は一体のピンであ
ってもよい。
【0057】
本発明のいくつかの態様では、ガイドバーを形成するプレートの2つ又はそれらのプレ
ートの全ての3つが、溶接されるか又はそれ以外の方法によって固定される3つの異なる
プレートでなくてもよい。本発明のこれらの代替的態様では、複数のプレートは、単一ユ
ニットとして機械加工されてもよいし、又は一緒に型成形されてもよい。
【0058】
要素の種々の形状は、記載されている形状から変更されてもよい。
【0059】
従って、添付の請求項の目的は、本発明の真の精神及び範囲を包含するこのような変更
及び修正の全てを含むことにある。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード(136,202)を振動させる外科用鋸カートリッジ(60)であって、
近位端及び遠位端を含むガイドバー(62)と、
前記ガイドバー(62)に連結されるブレード(136,202)と、
少なくとも1つの駆動リンク(112,196)と、
を備え、
前記ガイドバー(62)は、
2つの外側プレート(64,102)と、
前記2つの外側プレート(64,102)間に位置し、かつ、前記ガイドバー(62)の近位端に基部を規定する内側プレート(76,160,180)と、
前記2つの外側プレート(64,102)間に配置されて前記基部から遠位側に延在する外側小部分(80,99,162,170,182,197)と、
前記2つの外側プレート(64,102)間に配置されて前記基部から遠位側に延在し、かつ、ヘッドを規定するように形成される内側小部分(86,165)と、
を備え、
前記ブレード(136,202)は、前記ガイドバー(62)の遠位側に位置する歯(148)を有するように形成され、
前記ブレード(136,202)は、前記内側小部分(86,165)の前記ヘッドに接触して該ヘッドの周りを旋回するように構成され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)は、前記内側小部分(86,165)と前記外側小部分(80,99,162,170,182,197)との間の空間内で、かつ、前記2つの外側プレート(64,102)間に移動可能に配置され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)は、近位端及び遠位端を有し、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の近位端は、鋸の駆動要素に取り付けられるように構成され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の遠位端は、前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の往復運動によって前記ブレード(136,202)が前記内側小部分(86,165)の前記ヘッドの周りを旋回することができるように前記ブレード(136,202)に接続されている、
外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項2】
前記外側小部分(80,99,162,170,182,197)は、互いに離間している1対の外側小部分(80,99,162,170,182,197)により構成され、前記1対の外側小部分(80,99,162,170,182,197)は、互いに鏡面対称である、請求項1に記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項3】
前記ブレード(136,202)の少なくとも一部が、前記1対の外側小部分(80,99,162,170,182,197)間に位置している、請求項2に記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項4】
前記1対の外側小部分(80,99,162,170,182,197)は、前記ガイドバー(62)を通る長軸に対して対称的に配置されている、請求項2又は請求項3に記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項5】
前記2つの外側プレート(64,102)及び前記内側プレート(76,160,180)は、前記ガイドバー(62)を形成するために一緒に固定される3つの別体のプレートである、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項6】
前記外側小部分(80,99,162,170,182,197)の外面は、前記ガイドバー(62)の外側面の一部を形成し、
前記ガイドバー(62)は、前記ガイドバー(62)の前記外側面の前記一部に沿って形成される側溶接部を含み、前記側溶接部は、前記外側小部分(80,99,162,170,182,197)を前記2つの外側プレート(64,102)の各々に連結する、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項7】
前記内側小部分(86,165)は、前記2つの外側プレート(64,102)のうちの1つの開口と真っ直ぐに並ぶ開口を有する、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項8】
ブレード(136,202)を振動させる外科用鋸カートリッジ(60)であって、
近位端及び遠位端を含むガイドバー(62)と、
前記ガイドバー(62)に連結されるブレード(136,202)と、
を備え、
前記ガイドバー(62)は、
2つの外側プレート(64,102)と、
前記ガイドバー(62)の近位端から遠位側に延在する2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)と、
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)間に配置されて前記ガイドバー(62)の近位端から遠位側に延在する内側小部分(86,165)と、
を備え、
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)の各々は、前記2つの外側プレート(64,102)間に位置し、かつ、互いに離間し、
前記内側小部分(86,165)は、ヘッドを規定するように形成され、かつ、前記2つの外側プレート(64,102)のうちの1つの開口と真っ直ぐに並ぶ開口を有し、
前記ブレード(136,202)は、前記ガイドバー(62)の遠位側に位置する歯(148)を有するように形成され、
前記ブレード(136,202)は、前記内側小部分(86,165)の前記ヘッドに接触して該ヘッドの周りを旋回するように構成されている、
外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項9】
内側プレート(76,160,180)の近位端を形成する基部を更に備え、
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)の各々と、前記内側小部分(86,165)とが、前記基部から遠位側に延在する、請求項8に記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項10】
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)は、互いに鏡面対称である、請求項8又は請求項9に記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項11】
前記ブレード(136,202)の少なくとも一部が、前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)間に位置している、請求項8~請求項10のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項12】
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)は、前記ガイドバー(62)を通る長軸に対して対称的に配置されている、請求項8~請求項11のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項13】
前記2つの外側プレート(64,102)と、前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)とは、前記ガイドバー(62)を形成するために一緒に固定されている、請求項8~請求項12のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項14】
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)の各々の外面は、前記ガイドバー(62)の外側面の一部を形成し、
前記ガイドバー(62)は、前記ガイドバー(62)の前記外側面の前記一部に沿って形成される側溶接部を含み、前記側溶接部は、前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)の各々を前記2つの外側プレート(64,102)の各々に連結する、請求項8~請求項13のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項15】
前記内側小部分(86,165)と前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)のうちの1つとの間の空間内で、かつ、前記2つの外側プレート(64,102)間に移動可能に配置される少なくとも1つの駆動リンク(112,196)を更に備え、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)は、近位端及び遠位端を有し、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の近位端は、鋸の駆動要素に取り付けられるように構成され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の遠位端は、前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の往復運動によって前記ブレード(136,202)が前記内側小部分(86,165)の前記ヘッドの周りを旋回することができるように前記ブレード(136,202)に接続されている、請求項8~請求項14のいずれか1つに記載の外科用鋸カートリッジ(60)。
【請求項16】
ブレード(136,202)を振動させる外科用鋸カートリッジ(60)であって、
近位端及び遠位端を含むガイドバー(62)と、
前記ガイドバー(62)に連結されるブレード(136,202)と、
少なくとも1つの駆動リンク(112,196)と、
を備え、
前記ガイドバー(62)は、
2つの外側プレート(64,102)と、
前記2つの外側プレート(64,102)間に位置し、かつ、近位端が基部によって形成される内側プレート(76,160,180)と、
前記基部から遠位側に延在し、かつ、互いに離間している2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)と、
前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)間に配置されて前記基部から遠位側に延在し、かつ、ヘッドを規定するように形成される内側小部分(86,165)と、
を備え、
前記ブレード(136,202)は、前記ガイドバー(62)の遠位側に位置する歯(148)を有するように形成され、
前記ブレード(136,202)は、前記内側小部分(86,165)の前記ヘッドに接触して該ヘッドの周りを旋回するように構成され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)は、前記内側小部分(86,165)と前記2つの外側小部分(80,99,162,170,182,197)のうちの1つとの間の空間内で、かつ、前記2つの外側プレート(64,102)間に移動可能に配置され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)は、近位端及び遠位端を有し、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の近位端は、鋸の駆動要素に取り付けられるように構成され、
前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の遠位端は、前記少なくとも1つの駆動リンク(112,196)の往復運動によって前記ブレード(136,202)が前記内側小部分(86,165)の前記ヘッドの周りを旋回することができるように前記ブレード(136,202)に接続されている、
外科用鋸カートリッジ(60)。
【外国語明細書】