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特開2024-38067部分的に反射する内部表面を備えた導光光学素子を含む光学システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038067
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】部分的に反射する内部表面を備えた導光光学素子を含む光学システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023217483
(22)【出願日】2023-12-23
(62)【分割の表示】P 2020564842の分割
【原出願日】2019-05-23
(31)【優先権主張番号】62/675,205
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローネン,イータン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明はヘッドアップ・ディスプレイで使用される、部分的に反射する内表面を備えた導光光学素子(LOE)を使用する光学システムに関係がある。
【解決手段】光学システムは、(a)一対の平行な主要な外部表面を有する導光光学素子(LOE)と、(b)前記LOEの内部の複数の相互に平行な反射表面であって、前記反射表面は、前記主要な外部表面に対して斜めに角度が付けられている、反射表面と、を備え、前記反射表面のうちの少なくとも1つは、基準面に対し60度を上回る入射角に対し高い反射率を有し、かつ前記基準面に対し35度未満の入射角に対し部分的な反射率を有するように構成されており、
前記高い反射率は、95%を超える。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、前記光学システムは、
(a)1対の平行な主要な外部表面がある導光光学素子(LOE);および
(b)前記LOEの内部の複数の相互に平行な反射表面であって、前記反射表面は、主要な外部表面に対して斜めに角度がつけられている反射表面
とを含み、
前記反射表面の少なくとも1つは、基準面に対し60°以上の入射角に対し高い反射率を持つように、基準面に対し35°未満の入射角に対し部分的な反射率を有するように構成されることを特徴とする、
光学システム。
【請求項2】
前記高い反射率は60°以上の入射角に対し95%を超えていることを特徴とする、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記部分的な反射率は高々50%であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記LOEは、内結合された画像照射が、ここから前記LOEに沿って伝播する内結合領域を有し、部分的な反射率はそれに続く反射表面の間で変化し、結果としてそれに続く反射表面に届く前記画像照射の強度を減少させることを、少なくとも部分的に補償することを特徴とする、請求項1-3に記載の光学システム。
【請求項5】
前記LOEの内の複数の相互に平行な前記反射表面が、少なくとも内結合配列の一部を構成する内結合反射表面をさらに含み、前記内結合反射表面は、基準面に対し60°以上の入射角に対し高い反射率を有し、基準面に対し35°未満の入射角に対し少なくとも66%の反射率を有するように構成されることを特徴とする、請求項1-4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記内結合反射表面を含む前記複数の反射表面が、2つの内結合反射表面を含む、2組の相互に平行な反射表面の対称的な配置の一部であり、前記2つの内結合反射表面は、山型の内結合配列を形成するために交わることを特徴とする、請求項1-5に記載の光学システム。
【請求項7】
平行化された画像を投影する画像プロジェクターをさらに含み、ここで、内結合配列が、前記平行化された画像を、第1番目の画像照射として前記LOEの中へ光学結合し、その結果、前記主要な面での内部反射によって前記LOEの内部に伝播し、前記第1番目の画像照射は第1の角度の視野に広がり、前記第1の角度の視野は前記反射表面よりも前記主要な面に対して急な角度にあることを特徴とする、請求項1-6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記LOEに沿って伝播する前記第1番目の画像照射の少なくとも一部は伝達され、前記反射表面のうちの1つによって反射され、前記反射表面よりも前記主要な面への浅い角度で、第2の視野角に広がる第2番目の画像照射を生成することを特徴とする、請求項7に記載の光学システム。
【請求項9】
前記第2番目の画像照射は、その後の前記反射表面の1つにおける反射によって、第1番目の画像照射に戻って屈折することを特徴とする、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記反射表面は、20°―26°の角度で前記LOEの前記主要な外部表面に対して傾けられることを特徴とする、請求項8に記載の光学システム。
【請求項11】
前記反射表面は、23°―25°の角度で前記LOEの前記主要な外部表面に対して傾けられることを特徴とする、請求項8に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドアップ・ディスプレイで使用される光学システムに関する。また、特に、それは、部分的に反射する内表面を備えた導光光学素子(LOE)を使用する光学システムに関係がある。
【0002】
様々なディスプレイ、特に拡張現実または仮想現実ためのヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)とニアアイディスプレイは、内部反射によってLOEの内に伝播する、平行化された画像を伝達するために1対の平行の主要な外部表面を有している導光光学素子(LOE)を使用する。画像は、典型的には目、あるいは他のLOEへ直接LOEから徐々に外結合され、他のLOEは目に画像を伝達する。そのようなデバイスの1つの例では、LOEからの画像の外結合は、LOEの主要な外部表面に対して傾斜して配置されて、LOEの内の1セットの相互に平行な部分反射面によって達成される。一連の部分反射面上において徐々に外結合することは、LOEの中へ結合された光学のアパーチャの増倍を達成する。
【0003】
従来のLOEは、入射角の関数として部分反射面の反射率に厳しい要件を必要とする。典型的には、角度のある範囲における画像発光の高い透過(ほぼ完全な透過)と、ファセットの面に対して、他の角において部分反射を必要とする。実際上、ほぼ完全な透過を達成するのは難しい。1つの代表例は、図1Aおよび1Bの中に概略的に例証され、図1Aおよび1Bの中では、平行な主要な面(12)および(14)を備えたLOE(10)が1組の部分反射する面(16)(さらに本明細書では交換可能に「ファセット(facets)」とも言う)を含んでいる。入力の光学のアパーチャ(図示せず)の中で与えられた位置から生成された画像の与えられたピクセルに対応する角において、典型的な光線(18)は、表面(12)および(14)で内部反射によってLOEに沿って伝播する。
【0004】
代表的適用では、光線(18)によって例示された画像照射は、部分反射面(16)の角より急な角度で主要な面(12)および(14)へ伝播する。その結果、各々照射光線(18)は与えられたファセット(16)と数回交差してもよい。例えば、図1Aおよび1Bにおいて、光線(18)が左から右まで伝播すると、それは、参照符号1、2と3をそれぞれ表示した位置で、第3のファセットと3度交差する。その結果、点1(図1Bにおいて参照符号aと示した)から反射され外結合した光は、点3(参照符号bと示されている)から反射され外結合した光より強く、出力画像中の非均一性を生じさせる。
【0005】
さらに、ファセットが、点2で示された入射角の光線(18)に対し、透明であること(反射はない)は典型的に必要とされる。なぜならば、そこ(点線矢印)での任意の反射は、点3に達する伝播光の輝度をさらに減少させ、間違った方向に伝播する照射により「ゴースト」を生成するからである。この「ゴースト」の生成は、最終画像において置き違えられたように見える画像の部分を生じさせるかもしれない。この完全な透過(ゼロの反射)の要件は達成するのが難しく、入射角(AOI)がより大きくなるにつれて満たすのがますます難しくなる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、内部反射表面を備えた導光光学素子(LOE)を含む光学システムである。
【0007】
本発明の一実施形態の教示によれば、光学システムが提供され、当該光学システムは、(a)1対の平行な主要な外部表面を有する導光光学素子(LOE);と(b)前記LOEの内部の複数の相互に平行な反射表面であって、前記反射表面は、主要な外部表面に対して斜めに角度がつけられている反射表面とを含み、前記反射表面の少なくとも1つは、基準面に対し60°以上の入射角に対し高い反射率を持つように、基準面に対し35°未満の入射角に対し部分的な反射率を有するように構成されてなる。
【0008】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、高い反射率は60°以上の入射角に対し95%を超えている。
【0009】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、部分的な反射率は50%未満である。
【0010】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記LOEは、内結合領域を有しており、当該内結合領域から内結合された画像照射が前記LOEに沿って伝播し、前記部分的な反射率は一連の反射表面の間で変化し、その結果一連の反射表面に届く前記画像照射の強度の減少を、少なくとも部分的に補償する。
【0011】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記LOE内部の複数の相互に平行な反射表面が、少なくとも内結合配列の一部を構成する内結合反射表面をさらに含み、前記内結合反射表面は、基準面に対し60°以上の入射角に対し高い反射率を有し、基準面に対し35°未満の入射角に対し少なくとも66%の反射率を有するように構成される。
【0012】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記内結合反射表面を含む前記複数の反射表面が、2つの内結合反射表面を含む、2組の相互に平行な反射表面の対称的な配置の一部であり、前記2つの内結合反射表面は、山型の内結合配列を形成するために交わる。
【0013】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、平行化された画像を投影する画像プロジェクターがさらに設けられ、ここで、内結合配列が、前記平行化された画像を、第1番目の画像照射として前記LOEの中へ光学結合し、その結果、前記主要な面での内部反射によって前記LOEの内部に伝播し、前記第1番目の画像照射は第1の角度の視野に広がり、前記第1の角度の視野は前記反射表面よりも前記主要な面に対して急な角度にある。
【0014】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記LOEに沿って伝播する前記第1番目の画像照射の少なくとも一部は伝達され、前記反射表面のうちの1つによって反射され、前記反射表面よりも前記主要な面への浅い角度で、第2の視野角に広がる第2番目の画像照射を生成する。
【0015】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記第2番目の画像照射は、その後の前記反射表面の1つにおける反射によって、第1番目の画像照射に戻って屈折する。
【0016】
本発明の実施形態の更なる特徴によれば、前記反射表面は、20°―26°の角度、および好ましくは23°―25°の角度で前記LOEの前記主要な外部表面に対して傾いている。
【0017】
特定の面の光線入射の入射角を画定する目的のために、入射角は、特定の表面に対し、光線方向と基準面の間の角度として画定され、その結果、表面に垂直な光線が、0°と参照される入射角を有する一方、90°に近い角度が臨界的な入射である。別段の定めがない限り、用語「小さな入射角」は、0°-35°の角を指す。その一方で「大きな入射角」は、60°-90°の角を指す。
【0018】
「急な」あるいは「より急な」という用語は、表面への比較的小さな入射角を備えた光線、あるいは比較的大規模な角で基準面に対し傾けられる面を参照するために使用される。反対に、「浅い」、あるいは「より浅い」という用語は、比較的臨界的な入射、あるいは基準面に対し比較的小さな角で傾けられた面に近い、比較的大きな角度の光線を参照するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付の図面を参照して、あくまでも一例として本明細書に記載される。
図1A】上に議論された図1Aは、LOE、およびある従来のLOE設計によるLOEの内に傾斜して設置された部分反射面の1セットに沿って伝播する光線の幾何学的形状を示す概略的な側面図である;
図1B】上に議論された図1Bは、LOE、およびある従来のLOE設計によるLOEの内に傾斜して設置された部分反射面の1セットに沿って伝播する光線の幾何学的形状を示す概略的な側面図である;
図2A図2Aは、本発明の実施形態の教えによって操作可能であり、構築されたLOEの概略的な側面図で、LOEに沿って伝播する画像の光線ための様々な光線の経路を例示する;
図2B図2Bは、丸で指定された部分IIの図2Aの領域の拡大図である;
図2C図2Cは、本発明の実施形態の教えによって操作可能であり、構築されたLOEの概略的な側面図で、LOEに沿って伝播する画像の光線ための様々な光線の経路を例示する;
図2D図2Dは、本発明の実施形態の教えによって操作可能であり、構築されたLOEの概略的な側面図で、LOEに沿って伝播する画像の光線ための様々な光線の経路を例示する;
図2E図2Eは、本発明の実施形態の教えによって操作可能であり、構築されたLOEの概略的な側面図で、LOEに沿って伝播する画像の光線ための様々な光線の経路を例示する;
図3図3は、ニアアイディスプレイを提供するために図2A乃至図2EのLOEを使用する光学システムの概略図である。
【好ましい実施形態の説明】
【0020】
本発明は導光光学素子を含む光学システムである。
【0021】
本発明による光学システムの原理および動作は、図面と添付の詳細な説明を参照してより良く理解されうる。
【0022】
ここで図面を参照すると、図2A乃至、図2Eは、1対の平行の主要な外部表面(102)および(104)を有する導光光学素子(LOE)(100)を含む光学システムの一部の基本的な実施の概略的な例証である。複数の相互に平行な反射表面(106a)、(106b)と(106c)は、LOE(100)の内に配置され、主要な外部表面(102)および(104)に対して傾斜した角度にある。
【0023】
反射表面(106b)、(106c)の少なくとも1つは、基準面に対し35°未満の入射角に対し部分的な反射率、60°以上の入射角に対して高い反射率を持つように構成されることは、本発明の特定の特に好適な実施形態の特別の特徴である。この文脈中の「高い反射率」は90%以上の、およびより好ましくは95%を超えた反射率を意味するように一般に使用される。いくつかの特に好適な実施形態では、60°以上の入射角のために達成された高い反射率が98%以上、および最も好ましくは100%近くにある。上に記載された従来手法と異なり、本発明のこの態様は、入射角のいかなる範囲でも0近傍の反射率を有する反射表面を要求しない。これは、反射表面に適用された多重膜誘電体コーティングあるいは他の反射性のコーティングの実施を非常に単純化する。
【0024】
高度に反射する反射表面の大きな角度での使用は、従来のものと異なる特有な光線経路を生成する。具体的には、図2Bの拡大と同様に図2Aと2C-2Eでも説明された光線経路を参照しつつ、LOEに送達され平行化された画像(アパーチャを横切って様々な別位置で入射された光線(108)によって例示され、A、B、C、DとEにラベルを付けられた)は、第1の番目の画像の照射としてLOEの中へ結合される。LOEに送達され平行化された画像は、主要な面(102)および(104)の内部反射によりLOE(100)の内に伝播するように、画像光線(110a)およびそれらの共役画像光線(110b)によって例証される。例示された光線A-Eはすべて平行である。これは、平行にされた画像の中で、すべて入射された画像の1つのピクセルからの照射に対応し、内結合された画像のトータルな視界(FOV)-「第1番目の画像照射」と参照される-が、第1の視野角に広がる。この第1の角度視野は、反射表面(106a)、(106b)、(106c)よりも主要な面に対して急な角度に向けられる。第1の角度視野の、このより急な角度の結果、LOEに沿って伝播する第1番目の画像照射の少なくとも一部は、反射表面のうちの1つによる大きな入射角での反射をうけ、光線(110a)を偏向して第2番目の画像照射を生成し、光線(112)により例証され、反射表面(106a)、(106b)、(106c)よりも、主要な面(102)および(104)へのより浅い角で第2の角度視野に広がる。光線(112)が次の反射表面に衝突すると、第2番目の画像照射(112)は、一連の反射表面の1つの中での反射によって、第1番目の画像照射(110a)に戻るように偏向される。光線(110b)が反射表面で衝突すると、これは、小さな角(35°未満)で生じ、光線(114)として画像照射を外結合するための部分反射を生じさせる。これは、LOEに沿ってさらに外結合するための照射を前方に搬送する光線(110b)の部分的な透過と同様のことである。
【0025】
ここに例示された限定しない例において、画像光線(108)の内結合は、基準面に対し60°以上の入射角で高い反射率を備え、基準面に対し35°未満の入射角で、50%の反射率より多く、典型的に少なくとも約66%を備えた内結合反射表面として実装される反射表面(106a)を使用して達成される。ファセット(106a)における第1の反射は、それ故、第1番目画像照射(110b)へ画像照射を内結合する。図2A乃至図2Cで例証された光線Aと光線Bは、入力アパーチャの領域に入り、ファセット(106a)からそれらに、2回反射を導く角度で、第2番目の画像照射(112)を生じさせ、これはファセット(106b)で第1番目の画像照射(110a)に戻すよう変換される。ついで、その第1番目の画像照射は主要な面(104)から反射し、部分反射によって外結合された光線(114)を生成する間にファセット(106b)を横断するファセット(106a)になる。光線Aと光線Bは、LOEに沿って伝播し続け、さらなる部分反射が生じるところでさらにファセット(106c)を横断し、そして、その後、ファセット(106c)で上記のプロセスを繰り返しつつ追加的な大きな角度反射をうける。大きな角度での反射表面の反射率が高いので、第2番目の画像照射への変換、及び第2番目の画像照射からの変換が、著しいエネルギー損あるいはゴースト像の生成なしに生じる。さらに、比較的浅い角の反射表面の使用は、比較的薄く軽量のLOEの実装を促進する。LOEの主要な面に対する反射表面の好ましい傾きは、20°―26°の間のあり、そして最も好ましくは、23°―25°である。
【0026】
様々な光線が、様々な位置で、第1と第2番目の画像照射の間の、上記の変換をうけること、および場合によっては全くうけないことは注目されるだろう。したがって、図2Dは、ファセット(106a)と(106b)との間で規則的な第1の画像照射伝搬をうけ、ついで第2の反射面(106b)の背面での反射によって第2の照射への変換をうける光線CおよびDを例証する。図2Eは、内結合された光線の位置および角度が、光線がここに示される3つのファセットのスパンにわたって第1の画像照射として残るような光線Eを例証する。
【0027】
これらの様々な異なるタイプの光線経路は、LOEに沿った場所の特定範囲でLOEからの画像照射の外結合を提供し、所望の出力領域を超えて、一般的にほぼ連続的且つ全体的な画像出力を生成するように典型的に協働する。小さな角度での反射面の部分反射率は、以下の原理に従って、出力画像の均一性を高めるために、好ましくは表面間で変化させられる。第1に、第1のファセット(106a)が結合面として使用されるとき、内結合反射表面が、外結合が必要な領域の外側にない限り、結合反射面の反射率は、好ましくは少なくとも50%であり、最も好ましくはおおよそ(1-1/n)である。ここでnはファセットの数である。この場合において、100%のリフレクターを使用可能である。
【0028】
残りのファセットの小角度部分反射率は、好ましくはおよそ1/nであり、ここで、各ファセットに対するnは、現在のファセットを含む、外結合が必要とされる残りのファセットの数である。したがって、たとえば、示されている3ファセットを用いた実施形態の場合、小角度と大角度でのファセットの最適な反射率の値は次のようになる。
【0029】
【表1】

4ファセットを用いた実施形態に対しては下記のようである。
【0030】
【表2】
【0031】
上記の特性は、容易に多重膜コーティングの設計ための標準ソフトウェアツールを使用して、達成することができ、実際、より一様に達成することができ、ある角度範囲の反射しない特性の要件がある前述の従来の設計より少数のコーティング膜を要求することができる。
【0032】
上記例示的な反射率の値は、LOEが目の反対側にある別のLOEに入力として役立つ光学のアパーチャ拡大の第1の寸法に対して使用される実施、あるいは仮想現実への適用に適している。前記LOEが、拡張現実への適用のために、目に対抗して配置される適用に対して、内結合したファセットは視界の外に配置される(あるいは、代替的に内結合構成が使われる)。小さな角度で比較的低い反射率を有する多くのファセットが好ましい。
【0033】
図3は、平行化された画像を投影するように構成された画像プロジェクター(202)を含む全体的な光学システム(200)を概略的に例証する。画像プロジェクター(202)は単に概略的に示され、平行化された画像を投影する任意のタイプのプロジェクターであってもよい。いくつかの実施形態において、画像プロジェクターは光源、空間光モジュレータ(シリコン基板上の反射型液晶、あるいは「LCOS」のような)と平行光学システムを含む。これらの構成要素は、すべて、従来技術の中で知られるように、多くのビームスプリッタープリズム(例えば偏光ビーム・スプリッター(PBS)立方体)の各表面上で反射する平行光学システムと共に有利に配置されてもよい。
【0034】
第1のファセット(106a)のような内結合配列は、第1番目の画像照射としてLOEへ平行化された画像を光学的に結び付け、結果として全て上記に示されるように、第1及び第2の番目の照射と、進行的な画像の外結合の間の交換を伴って、LOEの内に伝播する。1つの特に好ましいが限定されない実施形態において、本明細書で例証されるように、セットの反射表面、(106a)、(106b)および(106c)は、山形内結合配列を形成するために交わる2つの内結合反射表面(106a)および(106a’)を含む、2つの組の相互に平行な反射表面(106a)、(106b)、(106c)、(106a’)、(106b’)または(106c’)の対称的な配置の一部である。
【0035】
LOE(100)から外結合された画像照射は、観察者の目の対抗側に画像を伝え、観察者の目にそれを外結合させるLOE(204)に内結合されるよう示されている。LOE(204)は、大きな角での高い反射率と共に、本発明の教示によって実行されるファセット(206)で実行されてもよいし、あるいは従来技術で知られるように、部分的に反射するファセットおよび/または、外結合と内結合のための回折光学要素に基づいた従来的なLOE技術を用いて、むしろ実行されてもよい。
【0036】
投影された画像のLOEへの結合は、結合反射面を参照して本明細書で例証されてきたが、配置における他の結合もまた有利に使用され得ることが理解される。追加のオプションが含まれるが、主要な表面の1つおよび/またはLOEの側面と取り付けられるかまたは統合される、内結合プリズムの様々な形態に限定されず、これは、ガイドされた一次画像照射モードへの投影された画像の直接注入のための正しい角度の表面と、回折光学要素に基づく様々な内結合配列を提供する。
【0037】
追加的な特徴は、さらに出口アパーチャーを横切って外結合された画像強度の均一性をさらに増強するために、ここまで記載された特徴と結合して随意に実行されてもよい。1つの限定しない例によって、LOEの主要な面のうちの1つあるいは両方は、光学的にLOEに結合した平行面を有するプレートの添加、またLOEとプレートとの間の部分反射インタフェースによって修正され、インターフェースの1つあるいは両方の表面まで適切なコーティングの実施、または適切な物質のインターフェイス層の導入によって、生成される。この部分的に反射するインタフェースは、複数の光路のオーバーラップを生成して、「ミキサー」として役立ち、これにより、LOEの出口アパーチャーを横切って外結合された画像強度の均一性を増強する。
【0038】
上記の記載が例として機能するようにのみ意図され、他の多くの実施形態が、添付の特許請求の範囲において定義されるように本発明の範囲内で可能であることが認識されるだろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって
(a)一対の平行な主要な外部表面を有する導光光学素子(LOE)と、
(b)前記LOEの内部の複数の相互に平行な反射表面であって、前記反射表面は、前記主要な外部表面に対して斜めに角度がけられている反射表面と、を備え、
前記反射表面のうちの少なくとも1つは、基準面に対し60度を上回る入射角に対し高い反射率を有し、かつ前記基準面に対し35未満の入射角に対し部分的な反射率を有するように構成されており、
前記高い反射率は、95%を超える、光学システム。
【請求項2】
前記部分的な反射率が、高々50%である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記LOEの内部の前記複数の相互に平行な反射表面が、内結合配列の少なくとも一部を形成する内結合反射表面を更に含み、前記内結合反射表面が、前記基準面に対し60度を上回る入射角に対し高い反射率を有し、かつ前記基準面に対し35度未満の入射角に対し少なくとも約66%の反射率を有する、請求項1又は2に記載の光学システム。
【請求項4】
前記内結合反射表面を含む前記複数の反射表面が、2つの内結合反射表面を含む2組の相互に平行な反射表面の対称的な配置の一部であり、前記2つの内結合反射表面が、山型の内結合配列を形成するように交わる、請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
平行化された画像を投影する画像プロジェクターを更に備え、内結合配列が、前記平行化された画像を、第1番目の画像照射として前記LOEの中へ光学結合し、その結果、前記主要な外部表面での内部反射によって前記LOEの内部に伝播し、前記第1番目の画像照射が第1の角度の視野に広がり、前記第1の角度の視野が前記反射表面よりも前記主要な外部表面に対してより急な角度にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項6】
前記LOEに沿って伝播する前記第1番目の画像照射の少なくとも一部は伝達され、次いで、前記反射表面のうちの1つによって反射されて、前記反射表面よりも前記主要な外部表面に対してより浅い角度で、第2の角度の視野に広がる第2番目の画像照射を生成する、請求項5に記載の光学システム。
【請求項7】
前記第2番目の画像照射が、その後の前記反射表面のうちの1つにおける反射によって、第1番目の画像照射に戻って屈折する、請求項6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記反射表面が、20°~26°の角度で前記LOEの前記主要な外部表面に対して傾けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項9】
前記反射表面が、23°~25°の角度で前記LOEの前記主要な外部表面に対して傾けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学システム。
【外国語明細書】