IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特開2024-38074樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
<>
  • 特開-樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図1
  • 特開-樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図2
  • 特開-樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図3
  • 特開-樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図4
  • 特開-樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図5
  • 特開-樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038074
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240312BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240312BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20240312BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20240312BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20240312BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20240312BHJP
   C08K 7/16 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C08L101/00
C09J201/00
C08K9/00
H01B1/00 C
H01B1/00 G
H01B1/00 M
H01B5/00 C
H01B5/00 G
H01B5/00 M
H01B5/16
C08K7/16
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217633
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2020538868の分割
【原出願日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2019050770
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019224683
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】脇屋 武司
(57)【要約】
【課題】被着体に均一に接触させることができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる樹脂粒子を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂粒子は、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察される、樹脂粒子。
【請求項2】
前記発熱ピークのうち、最大のピーク面積を有する発熱ピークにおける発熱量が、2000mJ/mg以上25000mJ/mg以下である、請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、2000mJ/mg以上の吸熱量を有する吸熱ピークが観察されない、請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率と、200℃及び10分間の条件で加熱した樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率との差の絶対値が、180N/mm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項5】
スペーサに用いられるか、電子部品用接着剤に用いられるか、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は、積層造形用材料に用いられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項6】
スペーサとして用いられるか、又は、表面上に導電部が形成されることで、前記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、
前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電性粒子。
【請求項8】
導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率と、200℃及び10分間の条件で加熱した導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率との差の絶対値が、180N/mm以上である、請求項7に記載の導電性粒子。
【請求項9】
前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える、請求項7又は8に記載の導電性粒子。
【請求項10】
前記導電部の外表面に突起を有する、請求項7~9のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項11】
導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、
前記導電性粒子が、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電材料。
【請求項12】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されており、
前記導電性粒子が、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備え、
前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な圧縮特性を有する樹脂粒子に関する。また、本発明は、上記樹脂粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板(FPC)、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続し、接続構造体を得るために用いられている。また、上記導電性粒子として、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する導電性粒子が用いられることがある。上記基材粒子として、樹脂粒子が用いられることがある。
【0004】
下記の特許文献1では、導電性粒子の表面に存在して、該導電性粒子を絶縁するための樹脂粒子が開示されている。上記樹脂粒子は、炭素数4~18のアルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と重合性基を1分子中に2個以上有する架橋性単量体(B)とを含む重合性成分を共重合させたアクリル系架橋重合体を含む。上記樹脂粒子では、上記架橋性単量体(B)の含有量が重合性成分中7質量%以上である。
【0005】
下記の特許文献2では、熱硬化樹脂軟質化粒子の製造方法が開示されている。上記製造方法は、5nm~70nmの平均粒子径を有するコロイダルシリカの懸濁下で少なくとも一種の二官能性モノマーを含むモノマー化合物とアルデヒド化合物とを塩基性条件下で反応させ、水に可溶な初期縮合物の水溶液を生成させる段階と、該水溶液に酸触媒を加えて球状の熱硬化樹脂軟質化粒子を析出させる段階とを含む。上記製造方法では、上記二官能性モノマーが、6-置換グアナミン類及び尿素類から選ばれるモノマーである。
【0006】
また、2つの接続対象部材等(被着体)を接着するために、様々な接着剤が用いられている。該接着剤により形成される接着層の厚みを均一にし、2つの接続対象部材等(被着体)の間隔(ギャップ)を制御するために、接着剤にギャップ材(スペーサ)が配合されることがある。上記ギャップ材(スペーサ)として、樹脂粒子が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-124035号公報
【特許文献2】WO2012/067072A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、導電性粒子を含む導電材料や接続材料を用いて電極間を電気的に接続する際に、比較的低い圧力であっても、電極間を電気的に確実に接続し、接続抵抗を低くすることが望まれている。例えば、液晶表示装置の製造方法において、FOG(Film on Glass)工法におけるフレキシブル基板の実装時には、ガラス基板上に異方性導電材料を配置し、フレキシブル基板を積層し、熱圧着が行われている。近年、液晶パネルの狭額縁化やガラス基板の薄型化が進行している。この場合に、フレキシブル基板の実装時に、高い圧力及び高い温度で熱圧着を行うと、フレキシブル基板に歪みが生じ、表示むらが発生することがある。従って、FOG工法におけるフレキシブル基板の実装時には、比較的低い圧力で熱圧着を行うことが望ましい。また、FOG工法以外でも、熱圧着時の圧力や温度を比較的低くすることが求められることがある。
【0009】
従来の樹脂粒子を導電性粒子として用いる場合には、比較的低い圧力で電極間を電気的に接続すると、接続抵抗が高くなることがある。この原因としては、導電性粒子が電極(被着体)に十分に接触しないことや、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電部との密着性が低く、導電部が剥離することが挙げられる。さらに、従来の導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続する接続部を形成した場合に、該接続部に落下等による衝撃が加えられると、樹脂粒子の表面上に配置された導電部の剥離等によって、接続抵抗が高くなることがある。
【0010】
また、従来の導電性粒子では、接続時の圧力だけでなく、電極(被着体)の硬さ(材質)によって、導電性粒子が電極(被着体)に十分に接触せず、接続抵抗が高くなることがある。また、電極(被着体)表面に傷が形成され、接続抵抗が高くなることがある。
【0011】
また、従来の樹脂粒子をギャップ材(スペーサ)として用いる場合には、接続対象部材等(被着体)を傷つけることがある。また、従来の樹脂粒子では、接続対象部材等(被着体)に十分に接触せず、十分なギャップ制御効果が得られないことがある。
【0012】
本発明の目的は、被着体に均一に接触させることができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる樹脂粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記樹脂粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察される、樹脂粒子が提供される。
【0014】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記発熱ピークのうち、最大のピーク面積を有する発熱ピークにおける発熱量が、2000mJ/mg以上25000mJ/mg以下である。
【0015】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、2000mJ/mg以上の吸熱量を有する吸熱ピークが観察されない。
【0016】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率と、200℃及び10分間の条件で加熱した樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率との差の絶対値が、180N/mm以上である。
【0017】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記樹脂粒子は、スペーサに用いられるか、電子部品用接着剤に用いられるか、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は、積層造形用材料に用いられる。
【0018】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記樹脂粒子は、スペーサとして用いられるか、又は、表面上に導電部が形成されることで、前記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる。
【0019】
本発明の広い局面によれば、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電性粒子が提供される。
【0020】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率と、200℃及び10分間の条件で加熱した導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率との差の絶対値が、180N/mm以上である。
【0021】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える。
【0022】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面に突起を有する。
【0023】
本発明の広い局面によれば、導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、前記導電性粒子が、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電材料が提供される。
【0024】
本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されており、前記導電性粒子が、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る樹脂粒子では、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察される。本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、被着体に均一に接触させることができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
図5図5は、本発明に係る樹脂粒子を用いた電子部品装置の一例を示す断面図である。
図6図6は、図5に示す電子部品装置における接合部部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0028】
(樹脂粒子)
本発明に係る樹脂粒子では、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察される。
【0029】
本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、被着体に均一に接触させることができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる。
【0030】
本発明に係る樹脂粒子は、示差走査熱量測定により発熱ピークが観察されるので、加熱により熱硬化させることができる。本発明に係る樹脂粒子(熱硬化前の樹脂粒子)は、完全に熱硬化していないので、比較的低い圧力及び温度で容易に変形する。このため、樹脂粒子の表面上に導電部が形成された導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続する場合に、熱圧着時の圧力や温度を比較的低くしても、導電性粒子を電極に十分に接触させることができ、さらに、電極に傷が形成されることを防止することができる。また、本発明に係る樹脂粒子の表面上に導電部が形成された導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続する接続部を形成する場合には、熱圧着時に樹脂粒子を圧縮した状態で熱硬化させることができる。接続部中の導電性粒子では、圧縮された形状が維持されるので、導電部の剥離を効果的に防止することができ、樹脂粒子と導電部との密着性を効果的に高めることができる。さらに、接続部に落下等による衝撃が加えられても、導電部の剥離が効果的に防止され、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができる。本発明に係る樹脂粒子を用いた導電性粒子では、耐衝撃性を効果的に高めることができる。また、本発明に係る樹脂粒子を用いた導電性粒子では、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができ、電極間の接続信頼性を効果的に高めることができる。例えば、本発明に係る樹脂粒子を用いた導電性粒子により電極間が電気的に接続された接続構造体を高温及び高湿条件下で長時間放置しても、接続抵抗がより一層高くなり難く、導通不良がより一層生じ難くなる。
【0031】
また、本発明に係る樹脂粒子をギャップ材(スペーサ)として用いる場合には、接続対象部材等の傷付きを効果的に抑制することができる。さらに、接続対象部材等に十分に接触させることができ、十分なギャップ制御効果を得ることができる。
【0032】
本発明に係る樹脂粒子では、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察される。なお、本明細書において、発熱ピークとは、発熱量が1000mJ/mg以上のピークを意味する。上記示差走査熱量測定では、上記樹脂粒子10mgを、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で加熱することが好ましい。
【0033】
上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、被着体により一層均一に接触させることができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。一般に、熱硬化性樹脂等の硬化反応は発熱反応であり、示差走査熱量測定では発熱ピークとして観察される。上記樹脂粒子は、加熱により熱硬化することが好ましい。
【0034】
上記示差走査熱量測定において、1個の発熱ピークのみが観察されてもよく、2個以上の複数個の発熱ピークが観察されてもよい。上記示差走査熱量測定において観察された発熱ピークのうち、最大のピーク面積を有する発熱ピークにおける発熱量は、好ましくは2000mJ/mg以上、より好ましくは10000mJ/mg以上であり、好ましくは25000mJ/mg以下、より好ましくは22000mJ/mg以下である。最大のピーク面積を有する発熱ピークにおける発熱量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、被着体に樹脂粒子をより一層均一に接触させることができる。また、最大のピーク面積を有する発熱ピークにおける発熱量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0035】
上記樹脂粒子では、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、2000mJ/mg以上の吸熱量を有する吸熱ピークが観察されないことが好ましい。なお、本明細書において、吸熱ピークとは、吸熱量が2000mJ/mg以上のピークを意味する。上記示差走査熱量測定では、上記樹脂粒子10mgを、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で加熱することが好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、被着体により一層均一に接触させることができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。一般に、樹脂等の融解は吸熱反応であり、示差走査熱量測定では吸熱ピークとして観察される。上記樹脂粒子は、樹脂等の融解が起こらないことが好ましい。
【0036】
上記示差走査熱量測定には、示差走査熱量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DSC6220」)等が用いられる。
【0037】
上記樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率を10%K値(A)とする。200℃及び10分間の条件で加熱した上記樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率を10%K値(B)とする。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値は、好ましくは180N/mm以上、より好ましくは500N/mm以上、さらに好ましくは800N/mm以上、特に好ましくは1000N/mm以上である。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値は、好ましくは10000N/mm以下、より好ましくは7500N/mm以下、さらに好ましくは5000N/mm以下である。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、被着体に樹脂粒子をより一層均一に接触させることができる。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性及び耐衝撃性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値は、200N/mm以上3000N/mm以下であることが特に好ましい。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値が、上記の好ましい範囲を満足すると、樹脂粒子による被着体の傷付きをより一層効果的に抑制することができ、被着体に樹脂粒子をより一層均一に接触させることができる。上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値が、上記の好ましい範囲を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0038】
上記10%K値(A)は、好ましくは500N/mm以上、より好ましくは800N/mm以上であり、好ましくは6000N/mm以下、より好ましくは4000N/mm以下である。上記10%K値(A)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂粒子による被着体の傷付きをより一層効果的に抑制することができ、被着体に樹脂粒子をより一層均一に接触させることができる。上記10%K値(A)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0039】
上記樹脂粒子における上記圧縮弾性率(10%K値(A)及び10%K値(B))は、以下のようにして測定できる。
【0040】
樹脂粒子(樹脂粒子(A))を用意する。また、200℃及び10分間の条件で加熱した樹脂粒子(樹脂粒子(B))を用意する。微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で1個の樹脂粒子(A)又は(B)を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率(10%K値(A)又は10%K値(B))を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。上記樹脂粒子(A)又は(B)における上記圧縮弾性率(10%K値(A)又は10%K値(B))は、任意に選択された50個の樹脂粒子(A)又は(B)の上記圧縮弾性率(10%K値(A)又は10%K値(B))を算術平均することにより、算出することが好ましい。
【0041】
10%K値(A)又は10%K値(B)(N/mm)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:樹脂粒子(A)又は(B)が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:樹脂粒子(A)又は(B)が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:樹脂粒子(A)又は(B)の半径(mm)
【0042】
上記圧縮弾性率は、樹脂粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、樹脂粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0043】
上記樹脂粒子の圧縮回復率は、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下である。上記圧縮回復率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂粒子による被着体の傷付きをより一層効果的に抑制することができ、被着体に樹脂粒子をより一層均一に接触させることができる。上記圧縮回復率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0044】
上記樹脂粒子における上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0045】
試料台上に樹脂粒子を散布する。散布された1個の樹脂粒子について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、樹脂粒子の中心方向に、樹脂粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0046】
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0047】
上記樹脂粒子の用途は特に限定されない。上記樹脂粒子は、様々な用途に好適に用いることができる。上記樹脂粒子は、スペーサに用いられるか、電子部品用接着剤に用いられるか、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は、積層造形用材料に用いられることが好ましい。上記樹脂粒子は、スペーサとして用いられるか、又は、表面上に導電部が形成されることで、上記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることがより好ましい。上記導電性粒子において、上記導電部は、上記樹脂粒子の表面上に形成される。上記樹脂粒子は、表面上に導電部が形成されることで、上記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。上記導電性粒子は、電極間を電気的に接続するために用いられることが好ましい。上記導電性粒子は、ギャップ材(スペーサ)として用いられてもよい。
【0048】
上記樹脂粒子は、ギャップ材(スペーサ)に用いられるか又はギャップ材(スペーサ)として用いられることが好ましい。上記ギャップ材(スペーサ)としては、液晶表示素子用スペーサ、ギャップ制御用スペーサ、応力緩和用スペーサ、及び調光積層体用スペーサ等が挙げられる。上記ギャップ制御用スペーサは、スタンドオフ高さ及び平坦性を確保するための積層チップや電子部品装置のギャップ制御、並びに、ガラス面の平滑性及び接着剤層の厚みを確保するための光学部品のギャップ制御等に用いることができる。上記応力緩和用スペーサは、センサチップ等の応力緩和、及び2つの接続対象部材を接続している接続部の応力緩和等に用いることができる。上記センサチップとしては、例えば、半導体センサチップ等が挙げられる。また、上記樹脂粒子をギャップ材(スペーサ)として用いる場合には、接続対象部材等の傷付きを効果的に抑制することができる。さらに、接続対象部材等に十分に接触させることができ、十分なギャップ制御効果を得ることができる。
【0049】
上記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサに用いられるか又は液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましく、液晶表示素子用周辺シール剤に用いられることが好ましい。上記液晶表示素子用周辺シール剤において、上記樹脂粒子は、スペーサとして機能することが好ましい。上記樹脂粒子は、良好な圧縮変形特性及び良好な圧縮破壊特性を有するので、上記樹脂粒子をスペーサとして用いて基板間に配置したり、表面に導電部を形成して導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続したりした場合に、スペーサ又は導電性粒子が、基板間又は電極間に効率的に配置される。さらに、上記樹脂粒子では、液晶表示素子用部材等の傷付きを抑えることができるので、上記液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子及び上記導電性粒子を用いた接続構造体において、接続不良及び表示不良が生じ難くなる。
【0050】
上記樹脂粒子は、電子部品用接着剤に用いられるか又は電子部品用接着剤として用いられることが好ましい。上記電子部品用接着剤としては、液晶パネル用接着剤、積層基板用接着剤、基板回路用接着剤、及びカメラモジュール用接着剤等が挙げられる。上記積層基板としては、例えば、半導体センサチップ等が挙げられる。上記電子部品用接着剤に用いられる樹脂粒子又は上記電子部品用接着剤として用いられる樹脂粒子は、接着性能を有する接着性樹脂粒子であることが好ましい。上記樹脂粒子が接着性樹脂粒子であると、圧着して樹脂粒子が硬化する際に、樹脂粒子と積層対象部材とを良好に接着することができる。上記樹脂粒子は単体で、電子部品用接着剤として用いることができる。他の接着成分を用いずに、上記樹脂粒子は、電子部品用接着剤として用いることができる。上記樹脂粒子を電子部品用接着剤に用いる場合、単体で電子部品用接着剤として用いなくてもよく、他の接着成分と共に用いられてもよい。また、上記樹脂粒子が接着性能を有する接着性樹脂粒子である場合は、スペーサ兼電子部品用接着剤として用いることもできる。上記樹脂粒子をスペーサ兼電子部品用接着剤として用いる場合、スペーサと接着剤とが別の材料によって構成される場合と比較して、ギャップ制御性や応力緩和性等のスペーサに求められる物性と、接着性との両立をより一層高度に実現することができる。
【0051】
上記樹脂粒子は、積層造形用材料に用いられることが好ましい。上記樹脂粒子を上記積層造形用材料に用いる場合、例えば、上記樹脂粒子を立体的に積層して特定の形状を形成した後に、硬化させることによって立体的な造形物を形成することができる。
【0052】
さらに、上記樹脂粒子は、無機充填材、トナーの添加剤、衝撃吸収剤又は振動吸収剤としても好適に用いられる。例えば、ゴム又はバネ等の代替品として、上記樹脂粒子を用いることができる。
【0053】
以下、樹脂粒子の他の詳細を説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
【0054】
(樹脂粒子の他の詳細)
上記樹脂粒子の材料は特に限定されない。上記樹脂粒子の材料は、有機材料であることが好ましい。上記樹脂粒子は、多孔構造を有する粒子であってもよく、中実構造を有する粒子であってもよい。上記多孔構造は、複数の細孔を有する構造を意味している。上記中実構造は、複数の細孔を有しない構造を意味している。
【0055】
上記有機材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン共重合体等としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0056】
上記樹脂粒子の材料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。上記樹脂粒子の材料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることがより好ましい。上記樹脂粒子の材料は、エポキシ樹脂であることが特に好ましい。上記樹脂粒子の材料が、上記の好ましい態様を満足すると、樹脂粒子の圧縮特性を好適な範囲により一層容易に制御することができる。
【0057】
上記樹脂粒子の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合には、上記エポキシ樹脂は多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂等の3官能エポキシ樹脂、並びに、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂等の4官能エポキシ樹脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
また、上記樹脂粒子の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂とともに硬化剤を用いることが好ましい。上記硬化剤は、上記エポキシ樹脂を熱硬化させる。上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤等のチオール硬化剤、及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記樹脂粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御する観点からは、上記硬化剤は、アミン硬化剤であることが好ましい。
【0059】
上記イミダゾール硬化剤は特に限定されない。上記イミダゾール硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-パラトルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メタトルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メタトルイル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-パラトルイル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等における1H-イミダゾールの5位の水素をヒドロキシメチル基で、かつ、2位の水素をフェニル基またはトルイル基で置換したイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0060】
上記チオール硬化剤は特に限定されない。上記チオール硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0061】
上記アミン硬化剤は特に限定されない。上記アミン硬化剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、フェニレンジアミン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジアミノナフタレン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。上記樹脂粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御する観点からは、上記アミン硬化剤は、ジアミン化合物であることが好ましい。上記ジアミン化合物は、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、又は2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることが好ましい。上記樹脂粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御する観点からは、上記アミン硬化剤は、エチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、又は2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることがより好ましい。
【0062】
5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察されることを容易に制御できることから、本発明に係る樹脂粒子は、多官能エポキシ樹脂に由来する化学構造及びジアミン化合物に由来する化学構造を有することが好ましい。また、同様の理由により、本発明に係る樹脂粒子は、多官能エポキシ樹脂と、ジアミン化合物とを反応させることによって得られる粒子であることが好ましい。多官能エポキシ樹脂と、ジアミン化合物とを溶媒中で加熱することによって、エポキシ基とアミノ基とが逐次的に反応し、溶媒中で不溶化された析出物が分散安定剤によって保護されながら粒子化が進行する。該粒子化の過程において、エポキシ基とアミノ基とを反応させる温度や濃度などの条件を調整することによって、粒子中及び粒子表面に未反応部分のエポキシ基とアミノ基とが残存した状態で粒子化することができる。この残存したエポキシ基とアミノ基とが加熱によって反応することによって、その反応熱が発熱ピークとして観察される。
【0063】
上記酸無水物硬化剤は特に限定されず、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物の硬化剤として用いられる酸無水物であれば広く用いることができる。上記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸誘導体の無水物、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、グリセリンビス無水トリメリット酸モノアセテート、及びエチレングリコールビス無水トリメリット酸等の2官能の酸無水物硬化剤、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物硬化剤、並びに、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、及びポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
【0064】
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0065】
上記非架橋性の単量体としては、ビニル化合物として、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α-オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0066】
上記架橋性の単量体としては、ビニル化合物として、ジビニルベンゼン、1,4-ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン等のビニル単量体;(メタ)アクリル化合物として、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;アリル化合物として、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル;シラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、エチルメチルジビニルシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性二重結合含有シランアルコキシド;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;片末端変性シリコーンオイル、両末端シリコーンオイル、側鎖型シリコーンオイル等の変性(反応性)シリコーンオイル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0067】
上記樹脂粒子は、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させることによって得ることができる。上記の重合方法としては特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合、重縮合(縮合重合、縮重合)、付加縮合、リビング重合、及びリビングラジカル重合等の公知の方法が挙げられる。また、他の重合方法としては、ラジカル重合開始剤の存在下での懸濁重合が挙げられる。
【0068】
上記樹脂粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で樹脂粒子を加熱して示差走査熱量測定を行ったときに、発熱ピークが観察されることを容易に制御できることから、上記シェルは、多官能エポキシ樹脂に由来する化学構造及びジアミン化合物に由来する化学構造を有することが好ましい。また、同様の理由により、上記シェルは、多官能エポキシ樹脂と、ジアミン化合物とを反応させることによって得られるシェルであることが好ましい。上記コアの材料としては、上記樹脂粒子の好ましい材料と同様の材料を用いることができる。また、上記コアが多官能エポキシ樹脂に由来する化学構造及びジアミン化合物に由来する化学構造を有していてもよく、多官能エポキシ樹脂と、ジアミン化合物とを反応させることによって得られる粒子であってもよい。
【0069】
上記樹脂粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。上記樹脂粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂粒子を導電性粒子及びスペーサの用途により一層好適に使用可能になる。スペーサとして用いる観点からは、上記樹脂粒子の粒子径は、1μm以上80μm以下であることが好ましい。導電性粒子として用いる観点からは、上記樹脂粒子の平均粒子径は、1μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0070】
上記樹脂粒子の粒子径は、上記樹脂粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記樹脂粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。上記樹脂粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。上記樹脂粒子の粒子径は、任意の粒度分布測定装置により測定することができる。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析等の原理を用いた粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。さらに具体的には、樹脂粒子の粒子径の測定方法として、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の樹脂粒子の粒子径を測定し、平均値を算出する方法が挙げられる。
【0071】
上記樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。上記CV値が、上記上限以下であると、樹脂粒子を導電性粒子及びスペーサの用途により一層好適に使用可能になる。
【0072】
上記CV値は、下記式で表される。
【0073】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:樹脂粒子の粒子径の標準偏差
Dn:樹脂粒子の粒子径の平均値
【0074】
上記樹脂粒子のアスペクト比は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下である。上記アスペクト比は、長径/短径を示す。上記アスペクト比は、任意の樹脂粒子10個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、最大径と最小径をそれぞれ長径、短径とし、各樹脂粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求めることが好ましい。
【0075】
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。
【0076】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0077】
図1に示す導電性粒子1は、樹脂粒子11と、樹脂粒子11の表面上に配置された導電部2とを有する。導電部2は、樹脂粒子11の表面を被覆している。導電性粒子1は、樹脂粒子11の表面が導電部2により被覆された被覆粒子である。
【0078】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0079】
図2に示す導電性粒子21は、樹脂粒子11と、樹脂粒子11の表面上に配置された導電部22とを有する。図2に示す導電性粒子21では、導電部22のみが、図1に示す導電性粒子1と異なる。導電部22は、内層である第1の導電部22Aと外層である第2の導電部22Bとを有する。樹脂粒子11の表面上に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aの表面上に、第2の導電部22Bが配置されている。
【0080】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0081】
図3に示す導電性粒子31は、樹脂粒子11と、導電部32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。
【0082】
導電部32は、樹脂粒子11の表面上に配置されている。導電性粒子31は導電性の表面に、複数の突起31aを有する。導電部32は外表面に、複数の突起32aを有する。このように、上記導電性粒子は、導電性粒子の導電性の表面に突起を有していてもよく、導電部の外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質33が、樹脂粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質33は導電部32内に埋め込まれている。芯物質33は、突起31a,32aの内側に配置されている。導電部32は、複数の芯物質33を被覆している。複数の芯物質33により導電部32の外表面が隆起されており、突起31a,32aが形成されている。
【0083】
導電性粒子31は、導電部32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電部32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
【0084】
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。上記金属としては、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。電極間の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記金属は、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金であることが好ましく、ニッケル又はパラジウムであることが好ましい。
【0085】
導電性粒子1,31のように、上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性をより一層高めることができる。
【0086】
上記樹脂粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部をより一層容易に形成する観点からは、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0087】
上記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率を10%K値(C)とする。200℃及び10分間の条件で加熱した上記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率を10%K値(D)とする。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値は、好ましくは180N/mm以上、より好ましくは500N/mm以上、さらに好ましくは800N/mm以上、特に好ましくは1000N/mm以上である。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値は、好ましくは10000N/mm以下、より好ましくは7500N/mm以下、さらに好ましくは5000N/mm以下である。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、被着体に導電性粒子をより一層均一に接触させることができる。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、導電部の密着性及び耐衝撃性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値は、200N/mm以上3000N/mm以下であることが特に好ましい。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値が、上記の好ましい範囲を満足すると、導電性粒子による被着体の傷付きをより一層効果的に抑制することができ、被着体に導電性粒子をより一層均一に接触させることができる。上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値が、上記の好ましい範囲を満足すると、電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0088】
上記10%K値(C)は、好ましくは3000N/mm以上、より好ましくは4000N/mm以上であり、好ましくは11000N/mm以下、より好ましくは9000N/mm以下である。上記10%K値(C)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子による被着体の傷付きをより一層効果的に抑制することができ、被着体に導電性粒子をより一層均一に接触させることができる。上記10%K値(C)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0089】
上記導電性粒子における上記圧縮弾性率(10%K値(C)及び10%K値(D))は、以下のようにして測定できる。
【0090】
導電性粒子(導電性粒子(C))を用意する。また、200℃及び10分間の条件で加熱した導電性粒子(導電性粒子(D))を用意する。微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で1個の導電性粒子(C)又は(D)を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率(10%K値(C)又は10%K値(D))を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。上記導電性粒子(C)又は(D)における上記圧縮弾性率(10%K値(C)又は10%K値(D))は、任意に選択された50個の導電性粒子(C)又は(D)の上記圧縮弾性率(10%K値(C)又は10%K値(D))を算術平均することにより、算出することが好ましい。
【0091】
10%K値(C)又は10%K値(D)(N/mm)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:導電性粒子(C)又は(D)が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子(C)又は(D)が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子(C)又は(D)の半径(mm)
【0092】
上記圧縮弾性率は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0093】
上記導電性粒子の圧縮回復率は、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下である。上記圧縮回復率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子による被着体の傷付きをより一層効果的に抑制することができ、被着体に導電性粒子をより一層均一に接触させることができる。上記圧縮回復率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0094】
上記導電性粒子の圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0095】
試料台上に導電性粒子を散布する。散布された1個の導電性粒子について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、導電性粒子の中心方向に、導電性粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0096】
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0097】
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下、より一層好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が樹脂粒子の表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に用いることができる。
【0098】
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
【0099】
上記導電性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。上記導電性粒子の粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の導電性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記導電性粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
【0100】
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みは、導電部が多層である場合には導電部全体の厚みである。導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0101】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0102】
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電部の厚みについては、任意の導電部の厚み5箇所の平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することが好ましく、導電部全体の厚みの平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することがより好ましい。上記導電部の厚みは、任意の導電性粒子20個について、各導電性粒子の導電部の厚みの平均値を算出することにより求めることが好ましい。
【0103】
上記導電性粒子は、導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記導電性粒子は、導電性の表面に突起を有することが好ましい。上記突起は複数であることが好ましい。導電部の表面並びに導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電部とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂をより一層効果的に排除できる。このため、電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0104】
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、樹脂粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、及び樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
【0105】
上記突起を形成する方法としては、以下の方法等も挙げられる。樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成する途中段階で芯物質を添加する方法。無電解めっきにより芯物質を用いずに突起を形成する方法として、無電解めっきにより金属核を発生させ、樹脂粒子又は導電部の表面に金属核を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法。
【0106】
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止することができる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が上記導電部の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。上記絶縁性物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましく、絶縁性粒子であることがより好ましい。上記絶縁性粒子は、絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
【0107】
上記導電部の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していてもよい。
【0108】
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
【0109】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0110】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0111】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0112】
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
【0113】
上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記導電材料の25℃での粘度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0114】
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0115】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0116】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0117】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より一層好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、電極間の接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0118】
(接続構造体)
上述した導電性粒子、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0119】
上記接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。上記接続構造体では、上記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。上記接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。
【0120】
上記導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。即ち、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とが上記導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
【0121】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【0122】
図4に示す接続構造体41は、第1の接続対象部材42と、第2の接続対象部材43と、第1の接続対象部材42と第2の接続対象部材43とを接続している接続部44とを備える。接続部44は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図4では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21,31の他の導電性粒子を用いてもよい。
【0123】
第1の接続対象部材42は表面(上面)に、複数の第1の電極42aを有する。第2の接続対象部材43は表面(下面)に、複数の第2の電極43aを有する。第1の電極42aと第2の電極43aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材42,43が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0124】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧時の圧力は、好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記加熱時の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
【0125】
上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
【0126】
上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
【0127】
上記導電性粒子、上記導電材料及び上記接続材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
【0128】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0129】
また、上記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサとして好適に用いることができる。上記第1の接続対象部材は、第1の液晶表示素子用部材であってもよい。上記第2の接続対象部材は、第2の液晶表示素子用部材であってもよい。上記接続部は、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材とが対向した状態で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との外周をシールしているシール部であってもよい。
【0130】
上記樹脂粒子は、液晶表示素子用周辺シール剤に用いることもできる。液晶表示素子は、第1の液晶表示素子用部材と、第2の液晶表示素子用部材とを備える。液晶表示素子は、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材とが対向した状態で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との外周をシールしているシール部と、上記シール部の内側で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との間に配置されている液晶とをさらに備える。この液晶表示素子では、液晶滴下工法が適用され、かつ上記シール部が、液晶滴下工法用シール剤を熱硬化させることにより形成されている。
【0131】
上記液晶表示素子において1mmあたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm以上であり、好ましくは1000個/mm以下である。上記配置密度が10個/mm以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm以下であると、液晶表示素子のコントラストがより一層良好になる。
【0132】
(電子部品装置)
上述した樹脂粒子又は導電性粒子は、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材との外周部において、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材との間に配置され、ギャップ制御材及び導電接続材として用いることもできる。
【0133】
図5は、本発明に係る樹脂粒子を用いた電子部品装置の一例を示す断面図である。図6は、図5に示す電子部品装置における接合部部分を拡大して示す断面図である。
【0134】
図5,6に示す電子部品装置81は、第1のセラミック部材82と、第2のセラミック部材83と、接合部84と、電子部品85と、リードフレーム86とを備える。
【0135】
第1,第2のセラミック部材82,83はそれぞれ、セラミック材料により形成されている。第1,第2のセラミック部材82,83はそれぞれ、例えば、筐体である。第1のセラミック部材82は、例えば、基板である。第2のセラミック部材83は、例えば蓋である。第1のセラミック部材82は、外周部に、第2のセラミック部材83側(上側)に突出した凸部を有する。第1のセラミック部材82は、第2のセラミック部材83側(上側)に、電子部品85を収納するための内部空間Rを形成する凹部を有する。なお、第1のセラミック部材82は、凸部を有していなくてもよい。第2のセラミック部材83は、外周部に、第1のセラミック部材82側(下側)に突出した凸部を有する。第2のセラミック部材83は、第1のセラミック部材82側(下側)に、電子部品85を収納するための内部空間Rを形成する凹部を有する。なお、第2のセラミック部材83は、凸部を有していなくてもよい。第1のセラミック部材82と第2のセラミック部材83とによって、内部空間Rが形成されている。
【0136】
接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とを接合している。具体的には、接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部の凸部と、第2のセラミック部材83の外周部の凸部とを接合している。
【0137】
接合部84により接合された第1,第2のセラミック部材82,83によってパッケージが形成されている。パッケージによって、内部空間Rが形成されている。接合部84は、内部空間Rを液密的及び気密的に封止している。接合部84は、封止部である。
【0138】
電子部品85は、上記パッケージの内部空間R内に配置されている。具体的には、第1のセラミック部材82上に、電子部品85が配置されている。本実施形態では、2つの電子部品85が用いられている。
【0139】
接合部84は、複数の樹脂粒子11とガラス84Bとを含む。接合部84は、ガラス粒子とは異なる複数の樹脂粒子11とガラス84Bとを含む接合材料を用いて形成されている。この接合材料は、セラミックパッケージ用接合材料である。上記接合材料は、上記樹脂粒子の代わりに、上述した導電性粒子を含んでいてもよい。
【0140】
接合材料は、溶剤を含んでいてもよく、樹脂を含んでいてもよい。接合部84では、ガラス粒子等のガラス84Bが溶融及び結合した後に固化している。
【0141】
電子部品としては、センサ素子、MEMS及びベアチップ等が挙げられる。上記センサ素子としては、圧力センサ素子、加速度センサ素子、CMOSセンサ素子、CCDセンサ素子及び上記各種センサ素子の筐体等が挙げられる。
【0142】
リードフレーム86は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間に配置されている。リードフレーム86は、パッケージの内部空間R側と外部空間側とに延びている。電子部品85の端子とリードフレーム86とがワイヤーを介して、電気的に接続されている。
【0143】
接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とを部分的に直接に接合しており、部分的に間接に接合している。具体的には、接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がある部分において、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とをリードフレーム86を介して間接に接合している。第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がある部分において、第1のセラミック部材82がリードフレーム86と接しており、リードフレーム86が第1のセラミック部材82と接合部84とに接している。さらに、接合部84がリードフレーム86と第2のセラミック部材83とに接しており、第2のセラミック部材83が接合部84と接している。接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がない部分において、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とを直接に接合している。第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がない部分において、接合部84が、第1のセラミック部材82と第2のセラミック部材83とに接している。
【0144】
第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がある部分において、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との隙間の距離は、接合部84に含まれる複数の樹脂粒子11により制御されている。
【0145】
接合部は、第1のセラミック部材の外周部と第2のセラミック部材の外周部とを直接又は間接に接合していればよい。なお、リードフレーム以外の電気的接続方法を採用してもよい。
【0146】
電子部品装置81のように、電子部品装置は、例えば、セラミック材料により形成されている第1のセラミック部材と、セラミック材料により形成されている第2のセラミック部材と、接合部と、電子部品とを備えていてもよい。上記電子部品装置では、上記接合部が、上記第1のセラミック部材の外周部と上記第2のセラミック部材の外周部とを直接又は間接に接合していてもよい。上記電子部品装置では、上記接合部により接合された上記第1,第2のセラミック部材によってパッケージが形成されていてもよい。上記電子部品装置では、上記電子部品が、上記パッケージの内部空間内に配置されており、上記接合部が、複数の樹脂粒子とガラスとを含んでいてもよい。
【0147】
また、電子部品装置81で用いた接合材料のように、上記セラミックパッケージ用接合材料は、上記電子部品装置において、上記接合部を形成するために用いられ、樹脂粒子と、ガラスとを含む。なお、樹脂粒子のみを含み、ガラスを含まない電気的接続方法を採用してもよい。また、上記接合部は、上記樹脂粒子の代わりに、上述した導電性粒子を含んでいてもよい。
【0148】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0149】
(実施例1)
(1)樹脂粒子の作製
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応容器に、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン(東京化成工業社製)15重量部と、分散安定剤としてポリビニルピロリドン7.5重量部と、エタノール250重量部とを入れて、65℃で1時間撹拌することで均一に溶解させた。次に、4,4’-ジアミノジフェニルメタン4.37重量部と、エタノール35重量部とを均一に溶解させた後、反応容器内に入れて65℃及び24時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物を洗浄し、乾燥させて、樹脂粒子を得た。
【0150】
(2)導電性粒子の作製
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、得られた樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。
【0151】
また、硫酸ニッケル0.35mol/L、ジメチルアミンボラン1.38mol/L及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
【0152】
得られた分散液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を分散液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。その後、分散液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にニッケル-ボロン導電層が形成され、導電部を表面に有する導電性粒子を得た。
【0153】
(3)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られた導電性粒子7重量部と、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂25重量部と、フルオレン型エポキシ樹脂4重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂30重量部と、SI-60L(三新化学工業社製)とを配合して、3分間脱泡及び攪拌することで、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0154】
(4)接続構造体の作製
L/Sが10μm/10μmであるIZO電極パターン(第1の電極、電極表面の金属のビッカース硬度100Hv)が上面に形成された透明ガラス基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが10μm/10μmであるAu電極パターン(第2の電極、電極表面の金属のビッカース硬度50Hv)が下面に形成された半導体チップ(第2の接続対象部材)を用意した。上記透明ガラス基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が100℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、55MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を100℃で硬化させ、接続構造体を得た。
【0155】
(実施例2)
樹脂粒子の作製の際に、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパンの代わりにグリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ガス化学社製「TETRAD-X」)を用い、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用いた。また、4,4’-ジアミノジフェニルメタンの配合量を4.37重量部から7.53重量部に変更した。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0156】
(実施例3)
樹脂粒子の作製の際に、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパンの代わりにトリアジン型エポキシ樹脂(日産化学社製「TEPIC-PAS」)を用いた。また、4,4’-ジアミノジフェニルメタン4.37重量部の代わりにエチレンジアミン1.63重量部を用いた。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0157】
(実施例4)
樹脂粒子の作製の際に、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパンの代わりにグリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「JER-630」)を用いた。また、4,4’-ジアミノジフェニルメタンの配合量を4.37重量部から7.63重量部に変更した。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0158】
(実施例5)
樹脂粒子の作製の際に、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパンの代わりに脂環式グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱ガス化学社製「TETRAD-C」)を用い、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用いた。また、4,4’-ジアミノジフェニルメタンの配合量を4.37重量部から7.44重量部に変更した。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0159】
(実施例6)
導電性粒子の作製の際に、分散液中に、ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1gを3分間かけて添加し、芯物質が付着した樹脂粒子を含む懸濁液を得た。上記分散液の代わりに上記懸濁液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0160】
(実施例7)
(1)絶縁性粒子の作製
4つ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブを取り付けた1000mLセパラブルフラスコに、下記のモノマー組成物を入れた後、下記モノマー組成物の固形分が10重量%となるように蒸留水を入れ、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下60℃で24時間重合を行った。上記モノマー組成物は、メタクリル酸メチル360mmol、メタクリル酸グリシジル45mmol、パラスチリルジエチルホスフィン20mmol、ジメタクリル酸エチレングリコール13mmol、ポリビニルピロリドン0.5mmol、及び2,2’-アゾビス{2-[N-(2-カルボキシエチル)アミジノ]プロパン}1mmolを含む。反応終了後、凍結乾燥して、パラスチリルジエチルホスフィンに由来するリン原子を表面に有する絶縁性粒子(粒子径360nm)を得た。
【0161】
(2)絶縁性粒子付き導電性粒子の作製
実施例6で得られた導電性粒子を用意した。上記で得られた絶縁性粒子を超音波照射下で蒸留水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。用意した導電性粒子10gを蒸留水500mLに分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液1gを添加し、室温で8時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターで濾過した後、さらにメタノールで洗浄、乾燥し、絶縁性粒子付き導電性粒子を得た。上記導電性粒子の代わりに上記絶縁性粒子付き導電性粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0162】
(実施例8)
(1)樹脂粒子の作製
種粒子として平均粒子径0.93μmのポリスチレン粒子を用意した。上記ポリスチレン粒子3.9重量部と、イオン交換水500重量部と、5重量%ポリビニルアルコール水溶液120重量部とを混合し、混合液を調製した。上記混合液を超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに入れて、均一に撹拌した。
【0163】
次に、以下のモノマー成分と、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)2重量部と、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)2重量部と、2,2-ビス(4,4-ジ-ターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日油社製「パーテトラA」)4重量部とを混合した。上記モノマー成分は、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート30重量部とスチレン120重量部とを含む。さらに、ラウリル硫酸トリエタノールアミン9重量部と、エタノール(溶媒)30重量部と、イオン交換水1100重量部とを添加し、乳化液を調製した。
【0164】
セパラブルフラスコ中の上記混合液に、上記乳化液を数回に分けて添加し、12時間撹拌し、種粒子にモノマーを吸収させて、モノマーが膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0165】
その後、5重量%ポリビニルアルコール水溶液490重量部を添加し、加熱を開始して85℃で9時間反応させ、樹脂粒子を得た。
【0166】
得られた樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0167】
(実施例9)
樹脂粒子の作製の際に、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート30重量部とスチレン120重量部との代わりにヘキシルエチルメタクリレート75重量部とグリシジルメタクリレート75重量部とを用いたこと以外は、実施例8と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0168】
(実施例10)
樹脂粒子の作製の際に、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート30重量部とスチレン120重量部との代わりに1,3-ブチレングリコールジメタクリレート150重量部を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0169】
(実施例11)
樹脂粒子の作製の際に、4,4’-ジアミノジフェニルメタン4.37重量部の代わりに1,4-フェニレンジアミン2.34重量部を用いた。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0170】
(実施例12)
樹脂粒子の作製の際に、4,4’-ジアミノジフェニルメタン4.37重量部の代わりに2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン8.90重量部を用いた。上記の変更以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0171】
(比較例1)
樹脂粒子として、日産化学社製「オプトビーズ3500M」(メラミン系樹脂、粒子径3.5μm)を用意した。用意した樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0172】
(実施例13)
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応容器に、基材コア樹脂粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールSP210」((メタ)アクリル系樹脂、粒子径10μm)50重量部と、水500重量部と、分散安定剤としてポリアリルアミン125重量部とを入れて、均一に混合させた後に、25℃及び1時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物を洗浄し、乾燥させて、基材コア樹脂粒子を得た。
【0173】
得られた基材コア樹脂粒子30重量部と、シェル形成材として、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン23重量部と、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン13.5重量部と、分散安定剤としてポリビニルピロリドン6.8重量部と、エタノール250重量部とを反応容器に入れて、均一に混合した。次いで、65℃及び24時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物を洗浄し、乾燥させて、コアシェル粒子を得た。得られたコアシェル粒子を樹脂粒子として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0174】
(評価)
(1)示差走査熱量測定
得られた樹脂粒子10mgを、5℃/分の昇温速度で100℃から350℃まで大気雰囲気下で加熱して示差走査熱量測定を行った。示差走査熱量測定には、日立ハイテクサイエンス社製「DSC6220」を用いた。得られた測定結果から、発熱ピークが観察されるか否か、及び、吸熱ピークが観察されるか否かを確認した。なお、発熱ピークは、発熱量が1000mJ/mg以上のピークとし、吸熱ピークは、吸熱量が2000mJ/mg以上のピークとした。
【0175】
また、発熱ピークが観察された場合には、観察された発熱ピークのうち、最大のピーク面積を有する発熱ピークにおけるピーク温度及び発熱量を算出した。
【0176】
(2)樹脂粒子の圧縮弾性率
得られた樹脂粒子について、樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値(A))と、200℃及び10分間の条件で加熱した樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値(B))とを、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。測定結果から、上記10%K値(A)と上記10%K値(B)との差の絶対値を算出した。
【0177】
(3)樹脂粒子の圧縮回復率
得られた樹脂粒子について、樹脂粒子の圧縮回復率を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。
【0178】
(4)樹脂粒子の粒子径及び樹脂粒子の粒子径のCV値
得られた樹脂粒子について、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の樹脂粒子の粒子径を測定し、平均値を算出した。また、樹脂粒子の粒子径の測定結果から、樹脂粒子の粒子径のCV値を下記式から算出した。
【0179】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:樹脂粒子の粒子径の標準偏差
Dn:樹脂粒子の粒子径の平均値
【0180】
(5)導電部の厚み
得られた導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、検査用埋め込み樹脂を作製した。その検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出した。
【0181】
そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)(日本電子社製「JEM-ARM200F」)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、20個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の導電部を観察した。各導電性粒子における導電部の厚みを計測し、それを算術平均して導電部の厚みとした。
【0182】
(6)導電性粒子の圧縮弾性率
得られた導電性粒子について、導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値(C))と、200℃及び10分間の条件で加熱した導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値(D))とを、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。測定結果から、上記10%K値(C)と上記10%K値(D)との差の絶対値を算出した。
【0183】
(7)導電性粒子の圧縮回復率
得られた導電性粒子について、導電性粒子の圧縮回復率を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。
【0184】
(8)樹脂粒子と導電部との密着性
得られた接続構造体について、接続部中の導電性粒子を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「Regulus8220」)を用いて観察した。観察した導電性粒子100個について、樹脂粒子の表面上に配置された導電部が剥離しているか否かを確認した。樹脂粒子と導電部との密着性を以下の基準で判定した。
【0185】
[樹脂粒子と導電部との密着性の判定基準]
○○○:導電部の剥離した導電性粒子が0個
○○:導電部の剥離した導電性粒子が0個を超え15個以下
○:導電部の剥離した導電性粒子が15個を超え30個以下
△:導電部の剥離した導電性粒子が30個を超え50個以下
×:導電部の剥離した導電性粒子が50個を超える
【0186】
(9)導電性粒子の形状維持特性
得られた接続構造体について、接続部中の導電性粒子を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「Regulus8220」)を用いて観察した。観察した導電性粒子100個について、圧縮された形状が維持されているか否かを確認した。導電性粒子の形状維持特性を以下の基準で判定した。
【0187】
[導電性粒子の形状維持特性の判定基準]
○○○:圧縮された形状を維持している導電性粒子の個数が90個以上
○○:圧縮された形状を維持している導電性粒子の個数が70個以上90個未満
○:圧縮された形状を維持している導電性粒子の個数が50個以上70個未満
△:圧縮された形状を維持している導電性粒子の個数が1個以上50個未満
×:導電性粒子が圧縮された形状を維持していないか、又は、導電性粒子が破壊されている
【0188】
(10)接続信頼性(上下の電極間)
得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続信頼性を以下の基準で判定した。
【0189】
[接続信頼性の判定基準]
○○○:接続抵抗の平均値が1.5Ω以下
○○:接続抵抗の平均値が1.5Ωを超え2.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が2.0Ωを超え5.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が5.0Ωを超え10Ω以下
×:接続抵抗の平均値が10Ωを超える
【0190】
(11)耐衝撃性
上記(10)接続信頼性の評価で得られた接続構造体を高さ70cmの位置から落下させて、上記(10)の評価と同様にして、接続抵抗を確認することで耐衝撃性の評価を行った。上記(10)の評価で得られた接続抵抗の平均値からの抵抗値の上昇率により耐衝撃性を以下の基準で判定した。
【0191】
[耐衝撃性の判定基準]
○:接続抵抗の平均値からの抵抗値の上昇率が30%以下
△:接続抵抗の平均値からの抵抗値の上昇率が30%を超え50%以下
×:接続抵抗の平均値からの抵抗値の上昇率が50%を超える
【0192】
(12)高温及び高湿条件後の接続信頼性
上記(10)接続信頼性の評価で得られた接続構造体100個を、85℃、85%RHにて100時間放置した。放置後の100個の接続構造体について、上下の電極間の導通不良が生じているか否かを評価した。高温及び高湿条件後の接続信頼性を以下の基準で判定した。
【0193】
[高温及び高湿条件後の接続信頼性の判定基準]
○○:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が1個以下である
○:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が2個以上5個以下である
△:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が6個以上10個以下である
×:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が11個以上である
【0194】
材料の組成及び結果を表1~5に示す。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
【表3】
【0198】
【表4】
【0199】
【表5】
【0200】
(13)ギャップ制御用スペーサとしての使用例
セラミックパッケージ用接合材料の作製:
実施例1~13において、得られた樹脂粒子30重量部とガラス(組成:Ag-V-Te-W-P-W-Ba-O、融点264℃)70重量部とを含むセラミックパッケージ用接合材料を得た。
【0201】
電子部品装置の作製:
得られた接合材料を用いて、図5に示す電子部品装置を作製した。具体的には、接合材料を第1のセラミック部材の外周部にスクリーン印刷法によって塗布した。その後、第2のセラミック部材を対向して設置し、接合部に半導体レーザーを照射して焼成し、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材とを接合した。
【0202】
得られた電子部品装置では、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材との間隔が良好に規制されていた。また、得られた電子部品装置は良好に作動した。また、パッケージ内部の気密性も良好に保たれていた。
【符号の説明】
【0203】
1…導電性粒子
2…導電部
11…樹脂粒子
21…導電性粒子
22…導電部
22A…第1の導電部
22B…第2の導電部
31…導電性粒子
31a…突起
32…導電部
32a…突起
33…芯物質
34…絶縁性物質
41…接続構造体
42…第1の接続対象部材
42a…第1の電極
43…第2の接続対象部材
43a…第2の電極
44…接続部
81…電子部品装置
82…第1のセラミック部材
83…第2のセラミック部材
84…接合部
84B…ガラス
85…電子部品
86…リードフレーム
R…内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6