(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038078
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】微生物の分離及び検出
(51)【国際特許分類】
C12N 5/078 20100101AFI20240312BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20240312BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240312BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240312BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20240312BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240312BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
C12N5/078
G01N33/48 M
G01N33/50 P
C12Q1/02
C12Q1/68
C12Q1/686 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023217733
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2020553486の分割
【原出願日】2019-04-03
(31)【優先権主張番号】1805479.1
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517006599
【氏名又は名称】モメンタム・バイオサイエンス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentum Bioscience Limited
【住所又は居所原語表記】Unit 19,Willowbrook Technology Park,Llandogo Road,St.Mellons,Cardiff CF3 0EF,UK
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロックハート, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ターナー, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クロウ, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マレン, ウィリアム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から、微生物を分離する方法及びキットを提供する。
【解決手段】方法は、a)非微生物細胞を含有する試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップとを含み;前記粒子が非特異的結合によって前記微生物に結合し;前記非微生物細胞が赤血球および/または白血球を含み;前記試料が血液を含み;前記微生物と複合体を形成することができる前記粒子の外面は、炭素ベースのポリマーを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、
a)前記試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成させるステップであり、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われるステップと;
b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと
を含む方法。
【請求項2】
非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、
a)前記試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;
b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと
を含み、前記粒子が、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する、方法。
【請求項3】
非微生物細胞も含有する試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、
a)前記試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成させるステップであり、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われるステップと;
b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;
c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップと
を含む方法。
【請求項4】
非微生物細胞も含有する試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、
a)前記試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;
b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;
c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップと
を含み、前記粒子は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する、方法。
【請求項5】
インキュベートするステップが、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われる、請求項2又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(c)が、(i)微生物に関連する核酸分子の酵素活性を検出するステップ、(ii)サイトメトリー又は顕微鏡により微生物を直接検出するステップ、(iii)細胞培養後に微生物を検出するステップ、(iv)核酸増幅により微生物を検出するステップ、又は(v)核酸配列決定により微生物を検出するステップを含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)が、
i)粒子-微生物複合体中の微生物を溶解するステップと;
ii)溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートするステップと;
iii)微生物の不存在又は存在を示すために、基質核酸分子への核酸修飾酵素の作用に起因する修飾核酸分子の不存在又は存在を特異的に決定するステップと
を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(i)が、基質核酸分子を含有する溶解試薬を添加するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸修飾酵素が、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含み、任意選択で、前記DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼIである、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
対象からの試料に対して請求項3~9のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、対象における微生物感染の不存在又は存在を検出する方法。
【請求項11】
分離された粒子-微生物複合体を洗浄して、非微生物細胞又は溶解物を除去するステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)が、前記粒子-微生物複合体から前記非微生物細胞を除去するステップをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)が、磁場又は遠心分離を用いて行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
a)微生物と複合体を形成することができる粒子であって、外面を有する粒子;
b)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;及び
c)試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する少なくとも1つの試薬
を含む組成物。
【請求項15】
微生物細胞を潜在的に含有し、非微生物細胞を含有する試料をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を行うためのキットであって、
a)微生物と複合体を形成することができる粒子であり、外面を有する粒子;
b)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;及び
c)試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する少なくとも1つの試薬
を含むキット。
【請求項17】
請求項3~13のいずれか一項に記載の方法を行うためのキットであって、
c)微生物と複合体を形成することができる粒子;
d)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;
e)試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する少なくとも1つの試薬;及び
f)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段であって、前記検出手段が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子(DNA)を含み、前記核酸分子(DNA)が、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖にウラシル残基を含む、検出手段
を含むキット。
【請求項18】
請求項4~13のいずれか一項に記載の方法を行うためのキットであって、
a)微生物と複合体を形成することができる粒子であり、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する粒子;及び
b)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段であって、前記検出手段が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子(DNA)を含み、前記核酸分子(DNA)が、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖にウラシル残基を含む、検出手段
を含むキット。
【請求項19】
前記試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、前記試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬をさらに含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
緩衝液及び/又は塩化ナトリウムをさらに含む、請求項14若しくは請求項15に記載の組成物、又は請求項16~19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬が界面活性剤であり;任意選択で界面活性剤は非イオン性である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15若しくは20のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~20のいずれか一項に記載のキット。
【請求項22】
界面活性剤が微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートしていない、請求項21に記載の方法、請求項21に記載の組成物、又は請求項21に記載のキット。
【請求項23】
粒子が0.1~2.0μmの直径を有する、請求項1~13、21若しくは22のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~22のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
粒子が磁性であり、任意選択で、粒子が超常磁性である、請求項1~13若しくは21~23のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~23のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~23のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
微生物と複合体を形成することができる粒子の外面がポリマーを含み、任意選択で、ポリマーが炭素ベースである、請求項1~13若しくは21~24のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~24のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
微生物と複合体を形成することができる粒子の外面が、
i)カルボン酸基;
ii)アミノ基;
iii)疎水性基;及び
iv)ストレプトアビジン
のうちのいずれか1つ又は複数を含むか又はそれで被覆されている、請求項1~13若しくは21~25のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~25のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~25のいずれか一項に記載のキット。
【請求項27】
微生物が病原性微生物であり、任意選択で、病原性微生物が病原性細菌又は真菌である、請求項1~13若しくは21~26のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~26のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
非微生物細胞が赤血球及び/又は白血球を含む、請求項1~13若しくは21~27のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~27のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
試料が、血液、尿、唾液又はミルクを含み、任意選択で試料が全血を含む、請求項1~13若しくは21~28のいずれか一項に記載の方法、請求項14、15、若しくは20~28のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項16~28のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、一般的に、試料中の非微生物細胞から微生物を分離する分野、及び試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法に関する。これらの方法は、典型的には、試料中に存在する微生物酵素活性(もしあれば)を測定することに依存し、この場合、試料はまた、酵素活性の非微生物源を含有する。本発明は、酵素活性の微生物源の効果的な単離に依存する。したがって、本発明の方法は、精製されていない血液、血液培養物及び他の体液などの試料中の微生物病原体の不存在及び存在の決定を可能にする。本発明はまた、本方法を行うのに有用な試薬を含むキットに関する。
【0002】
[発明の背景]
細胞生存率に関連する特定の分子の存在及びレベルを測定することは、多くの状況において重要である。例えば、ATPのレベルを測定することは、増殖分析及び毒性学の目的で哺乳動物細胞において有用である。少数の細菌を検出するには培養アプローチを用いることができるが、このような技術を完成させるには、特に、少数の細菌を検出しようとする場合、また、増殖の遅い微生物を検出する場合には、数日を要する。
【0003】
生存率の指標としてのアデニル酸キナーゼの検出も提案されている(Squirrell DJ、Murphy MJ、Leslie RL、Green JCD:A comparison of ATP and adenylate kinase as bacterial cell markers:correlation with agar plate counts)。国際公開第96/002665号は、試料中に存在する微生物及び/又はそれらの細胞内物質の存在及び/又は量を決定する方法を記載し、試料中のアデニル酸キナーゼの量が、それをアデノシン二リン酸(ADP)と混合し、このADPからの試料によって生成されるアデノシン三リン酸(ATP)の量を決定し、そのように生成されたATPの量を、アデニル酸キナーゼの存在及び/又は量、並びに微生物及び/又はそれらの細胞内物質に関連付けることによって推定されることによって特徴付けられ、ADPのATPへの変換は、ADPのATPへの最大変換を可能にするのに十分なモル濃度のマグネシウムイオンの存在下で行われる。
【0004】
国際公開第2009/007719号において、NAD依存性リガーゼは、試料中の微生物の存在の有用な指標として記載されている。リガーゼは、核酸分子の連結を触媒する酵素である。連結反応は、関連するリガーゼに依存して、補助因子としてATP又はNAD+のいずれかを必要とする。
【0005】
国際公開第2011/130584号は、試料を微生物ポリメラーゼの基質として作用する核酸基質に接触させ、無傷の微生物からのポリメラーゼ活性に適した条件下でインキュベートし、いずれもの得られた核酸生成物を、定量的ポリメラーゼ連鎖反応などの核酸増幅技術を用いて決定する、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼの検出に基づく生存微生物の検出方法を記載する。このようなアッセイは、「ETGAアッセイ」と呼ばれており、ETGAは、酵素的鋳型生成及び増幅(Enzymatic Template Generation and Amplification)を表す。粗試料中の生存微生物に対するETGAアッセイの問題点は、宿主(例えば、ヒト)細胞及び死んだ微生物から生じる、微生物は別として、汚染されたポリメラーゼ活性の存在である。ETGAアッセイは、微生物ポリメラーゼ活性を宿主又は死んだ微生物の活性と区別することができない。
【0006】
国際公開第2010/119270号は、無傷の微生物は別として、DNAリガーゼ活性を除去する方法を記載する。
【0007】
国際公開第2011/070507号は、非イオン性界面活性剤及び緩衝液を用いた動物細胞の選択的溶解を記載する。
【0008】
国際公開第2017/182775号は、非微生物細胞を選択的に溶解し、溶解物を濾過し、及びフィルター内又はフィルター上に保持された微生物の不存在又は存在を検出することを含む、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法を記載する。
【0009】
抗体などの特異的結合部分で被覆された磁性ビーズの使用も公知である。これらの生成物の特異性は、特定の微生物の単離を可能にするために高度に特異的である特定の目的で一般的に選択される抗体又は他の結合リガンドの特異性によって定義される。
【0010】
国際公開第03/102184号は、ポリアミン又はカチオン性界面活性剤などの凝集剤を用いて、細胞(例えば、細菌)を濃縮又は分離し、それらを凝結させる細胞との複合体を形成するための方法、組成物及びキットを記載する。凝結した細胞の分離は、磁性ビーズなどの、細胞と結合することができる固相を用いて達成させることができる。
【0011】
国際公開第01/53525号は、試料から細胞(例えば、微生物)を単離する方法を記載し、該方法は、固体支持体上に固定化された炭水化物リガンドによって、細胞を固体支持体に結合することを含む。このような方法を行うためのキットは、DiaSorin Molecular(「Bugs’n Beads(商標)」キット)によって販売されている。
【0012】
微生物を単離するための他のキットには、ApoH-Technologies Peps6磁性ビーズが含まれる。ビーズは、β-2糖タンパク質としても公知であるアポリポタンパク質Hタンパク質(ApoH)に由来する合成分子であるPeps6で被覆される。
【0013】
[発明の説明]
本発明者らは、微生物感染を有する疑いのある対象から採取された試料において、試料の大部分が実際には感染した対象からではないにもかかわらず、以前に想像したよりもはるかに高いレベルの有核血球(白血球)が存在することを認識している。このことは、感染についてスクリーニングされた患者から採取された血液試料において、血液細胞、特に白血球から潜在的な微生物を分離する改良された方法の必要性をもたらした。本発明は、粒子-微生物複合体を形成する、粒子(例えば、磁性粒子)で微生物を選択的に捕捉し、粒子-微生物複合体を非微生物細胞から(例えば、磁場を用いて)分離することによって、試料中の非微生物細胞から微生物を分離することに関する。これは、試料中の微生物の不存在又は存在の検出を可能にする上記される問題に対処する方法を提供する。本発明者らは、驚くべきことに、この分離がリガンドで被覆されていない粒子(例えば、磁性粒子)で達成され得ることを見出した。本発明者らは、特定の試薬が、非微生物細胞から、特に血液、ミルク及び尿などの複雑な試料において、微生物を確実に良好に分離する方法において特に有用であることを発見した。
【0014】
本発明は、非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、a)試料を外面を有する粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップとを含む方法を提供する。
【0015】
本発明は、非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップであり、粒子が外側ポリマー表面を有するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップとを含む方法を提供する。
【0016】
本発明は、非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップであり、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解するポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は試薬の存在下で行われるステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップとを含む方法を提供する。
【0017】
本発明は、非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップであり、インキュベートするステップが、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は界面活性剤の存在下で行われるステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
本発明は、非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップとを含み、粒子が、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する、方法を提供する。
【0019】
本方法において、インキュベートするステップは、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム、及び試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われ得る。
【0020】
本方法において、インキュベートするステップは、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は界面活性剤の存在下で行われ得る。界面活性剤は、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の例である。
【0021】
本方法において、本方法は、分離された粒子-微生物複合体を洗浄して、非微生物細胞又は溶解物を除去するステップをさらに含み;任意選択で、分離された粒子-微生物複合体が、界面活性剤及び/又は塩化ナトリウムを含む溶液で洗浄される。
【0022】
試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬は、界面活性剤と1つ又は複数の酵素の組み合わせを含み得る。1つ又は複数の酵素は、プロテイナーゼ及び/又はDNAaseを含み得る。適切な界面活性剤及び酵素は、本明細書において検討される。
【0023】
本方法において、ステップb)は、任意の適切な分離手段によって行われ得る。例えば、分離は、磁場を用いて粒子-微生物複合体を引きつけるか又は遠心分離を用いて達成され得る。
【0024】
本方法において、ステップb)は、粒子-微生物複合体から非微生物細胞を除去するステップをさらに含み得る。
【0025】
本方法において、ステップa)は、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解することによって先行させ得る。
【0026】
本方法において、試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解することは、試料を凍結及び解凍することを含み得る。
【0027】
本方法において、試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解することは、界面活性剤を添加することを含み得る。
【0028】
本方法において、ステップa)は、緩衝液の存在下で行うことができる。緩衝液は、7.4~8.5のpHを有し得る。
【0029】
本方法において、ステップa)は、塩化ナトリウムの存在下で行うことができる。塩化ナトリウムは、50~500mMの濃度で存在することができる。好ましくは、塩化ナトリウムは、約150mMの濃度で存在することができる。
【0030】
本方法において、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬は、界面活性剤であり得る。本方法において、界面活性剤は、非イオン性であり得る。本方法において、界面活性剤は、微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートされない場合がある。したがって、典型的には、界面活性剤は、粒子が添加される溶液の一部を形成し、粒子自体の一部を形成しない。
【0031】
本方法において、粒子は、0.1~3μmの直径、又は0.1~2μmの直径を有し得る。好ましくは、粒子は、0.1~1.0μmの直径を有する。
【0032】
本方法において、粒子は、磁性であり得る(及び典型的には磁性である)。粒子は、超常磁性であり得る。粒子は、酸化鉄を含み得る。酸化鉄は、磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱を含み得る。酸化鉄は、Fe2+及びFe3+の1:1、2:1、3:1又は4:1の比率を含まない場合がある。
【0033】
微生物との複合体を形成することができる粒子の外面は、ポリマーを含み得;任意選択で、ポリマーは、炭素ベースであり得る。ポリマーは、無機ポリマーを含まない場合がある。ポリマーは、ポリスチレン及び/又はポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)を含み得る。
【0034】
本方法において、微生物との複合体を形成することができる粒子の外面は、i)カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基;及びiv)ストレプトアビジンのうちのいずれか1つ又は複数を含むか又はそれで被覆され得:任意選択で、カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基は、ポリペプチドの一部でない場合がある。
【0035】
本方法において、微生物は、病原性微生物であり得る。例えば、病原性微生物は、病原性細菌又は真菌であり得る。
【0036】
本方法において、非微生物細胞は、赤血球及び/又は白血球を含み得る。
【0037】
本方法において、試料は、1ミリリットルあたり細胞20,000~500万個の濃度で非微生物細胞を含み得る。試料は、1ミリリットルあたり細胞少なくとも約100,000個の濃度で非微生物細胞を含み得る。好ましくは、試料は、1ミリリットルあたり細胞少なくとも約20,000個の濃度で非微生物細胞を含み得る。
【0038】
試料は、微生物を含有するか又は含有する疑いがあるものである。試料は、試料中に存在する微生物を検出すること、また、潜在的に該微生物を同定し及び/又は定量することを目的とした場合、望ましくないバックグラウンドを提供することができる非微生物細胞を含有する。したがって、一部の実施形態では、試料は、血液、尿、唾液又はミルクを含み得る。血液試料は、血液細胞を含有する任意の試料であり得る。血液試料は、全血であり得るか、又は全血を含み得る(例えば、血液ブロス)。
【0039】
本発明は、非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、(a)試料を粒子(例えば、磁性粒子)とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;(b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を(例えば、磁場を用いて)分離するステップとを含む方法を提供する。
【0040】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチン、(v)ポリアミン、又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれでも被覆されていない外側ポリマー表面を有し得る。
【0041】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、又は(iii)先天性免疫系タンパク質のいずれでも被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0042】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチン、又は(v)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0043】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)先天性免疫系タンパク質、又は(iv)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0044】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、リガンドで被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0045】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、ストレプトアビジンで被覆され、リガンドで被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0046】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、ストレプトアビジンのみで被覆された外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0047】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、カルボキシル基のみで被覆された外面(例えば、外側ポリマー)を有し得る。
【0048】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、微生物に結合することができるいずれもの分子又は部分で被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0049】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、いずれもの分子又は部分で被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0050】
「被覆された」とは、外面(例えば、外側ポリマー表面)に結合されることを意味する。当業者は、粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)への分子及び化学基の結合手段を知っている。
【0051】
本発明の分離方法は、非微生物細胞も含有する試料中に微生物が見出されるか否かの検出を可能にするのに有用である。ひとたび、微生物が、バックグラウンドシグナルの潜在的な供給源から分離されると、それらは、次に、一連の技術を用いて特異的であり、高感度に検出され得る。したがって、本発明はまた、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0052】
また、本発明はまた、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップであり、粒子が外側ポリマー表面を有するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0053】
関連して、本発明は、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップであり、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム、及び/又は試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われるステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0054】
同様に、本発明は、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップであり、インキュベートするステップが、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は界面活性剤の存在下で行われるステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップとを含む方法を提供する。
【0055】
本発明は、さらに、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、a)試料を粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップとを含み、粒子が、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する、方法を提供する。
【0056】
本方法において、インキュベートするステップは、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム、及び/又は試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われ得る。
【0057】
本方法において、ステップc)は、(i)微生物に関連する核酸分子の酵素活性を検出するステップ、(ii)サイトメトリー又は顕微鏡により微生物を直接検出するステップ、(iii)細胞培養後の微生物を検出するステップ、(iv)PCRにより微生物を検出するステップ、又は(v)核酸配列決定により微生物を検出するステップを含み得る。
【0058】
本方法において、ステップc)は、i)粒子-微生物複合体中の微生物を溶解するステップ;ii)溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートするステップ;及びiii)微生物の不存在又は存在を示すために、基質核酸分子上の核酸修飾酵素の作用に起因する修飾核酸分子の不存在又は存在を特異的に決定するステップを含み得る。本方法において、ステップ(i)は、基質核酸分子を含有する溶解試薬を添加するステップを含み得る。本方法において、核酸修飾酵素は、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含み得、任意選択で、DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼIである。
【0059】
微生物は、対象における一般的な感染源であるため、本発明の方法は、微生物によって引き起こされる感染を同定するのに有用である。したがって、本発明はまた、対象からの試料上で本明細書に記載される方法(試料中の微生物を検出する)のいずれかを行うことを含む、対象における微生物感染の不存在又は存在を検出する方法を提供する。
【0060】
本方法は、分離された粒子-微生物複合体を洗浄して、非微生物細胞又は溶解物を除去することをさらに含み得る。
【0061】
本方法において、ステップ(b)は、粒子-微生物複合体から非微生物細胞を除去するステップをさらに含み得る。
【0062】
本方法において、ステップb)は、任意の適切な分離手段によって行われ得る。例えば、分離は、磁場を用いて粒子-微生物複合体を引きつけるか、又は遠心分離を用いて達成することができる。
【0063】
本方法において、ステップb)は、粒子-微生物複合体から非微生物細胞を除去するステップをさらに含み得る。
【0064】
本方法において、ステップa)は、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解することによって先行させることができる。
【0065】
本方法において、試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、非微生物細胞を選択的に溶解することは、試料を凍結及び解凍することを含み得る。
【0066】
本方法において、試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、非微生物細胞を選択的に溶解することは、界面活性剤を添加することを含み得る。
【0067】
本方法において、ステップa)は、緩衝液の存在下で行うことができる。緩衝液は、7.4~8.5のpHを有し得る。
【0068】
本方法において、ステップa)は、塩化ナトリウムの存在下で行うことができる。塩化ナトリウムは、50~500mMの濃度で存在することができる。好ましくは、塩化ナトリウムは、約150mMの濃度で存在することができる。
【0069】
本方法において、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬は、界面活性剤であり得る。本方法において、界面活性剤は、非イオン性であり得る。本方法において、界面活性剤は、微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートされない場合がある。したがって、典型的には、界面活性剤は、粒子が添加される溶液の一部を形成し、粒子自体の一部を形成しない。
【0070】
本方法において、粒子は、0.1~3μmの直径、又は0.1~2μmの直径を有し得る。好ましくは、粒子は、0.1~1.0μmの直径を有する。
【0071】
本方法において、粒子は、磁性であり得る(及び典型的には磁性である)。粒子は、超常磁性であり得る。粒子は、酸化鉄を含み得る。酸化鉄は、磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱を含み得る。酸化鉄は、Fe2+及びFe3+の1:1、2:1、3:1又は4:1の比率を含まない場合がある。
【0072】
微生物と複合体を形成することができる粒子の外面は、ポリマーを含み得;任意選択で、ポリマーは、炭素ベースであり得る。ポリマーは、無機ポリマーを含まない場合がある。ポリマーは、ポリスチレン及び/又はポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)を含み得る。
【0073】
本方法において、微生物との複合体を形成することができる粒子の外面は、i)カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基;及びiv)ストレプトアビジンのうちのいずれか1つ又は複数を含むか又はそれで被覆され得る;任意選択で、カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基は、ポリペプチドの一部でない場合がある。
【0074】
本方法において、微生物は病原性微生物であり得る。例えば、病原性微生物は、病原性細菌又は真菌であり得る。
【0075】
本方法において、非微生物細胞は、赤血球及び/又は白血球を含み得る。
【0076】
本方法において、試料は、1ミリリットルあたり細胞20,000~500万個の濃度で非微生物細胞を含み得る。試料は、1ミリリットルあたり細胞少なくとも約100,000個の濃度で非微生物細胞を含み得る。好ましくは、試料は、1ミリリットルあたり細胞少なくとも約20,000個の濃度で非微生物細胞を含み得る。
【0077】
試料は、微生物を含有するか又は含有する疑いがあるものである。試料は、試料中に存在する微生物を検出すること、また、潜在的に該微生物を同定し及び/又は定量することをも目的とした場合、望ましくないバックグラウンドを提供することができる非微生物細胞を含有する。したがって、一部の実施形態では、試料は、血液、尿、唾液又はミルクを含み得る。血液試料は、血液細胞を含有する任意の試料であり得る。血液試料は、全血であり得るか、又は全血を含み得る(例えば、血液ブロス)。
【0078】
本発明は、(a)試料を粒子(例えば、磁性粒子)とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;(b)非微生物細胞から粒子-微生物複合体を(例えば、磁場を用いて)分離するステップと;(c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップとを含む、非微生物細胞も含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法を提供する。
【0079】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質、(v)ポリアミン、又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれでも被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0080】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、又は(iii)先天性免疫系タンパク質のいずれでも被覆されていない外側ポリマー表面を有し得る。
【0081】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチン、又は(v)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されていない外側ポリマー表面を有し得る。
【0082】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、リガンドで被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0083】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)先天性免疫系タンパク質、又は(iv)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0084】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、ストレプトアビジンで被覆され、リガンドで被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0085】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、ストレプトアビジンのみで被覆された外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0086】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、カルボキシル基のみで被覆された外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0087】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、微生物に結合することができる任意の分子又は部分で被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0088】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、任意の分子又は部分で被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0089】
本方法において、ステップ(c)は、(i)微生物に関連する核酸分子の酵素活性を検出するステップ、(ii)サイトメトリー又は顕微鏡により微生物を直接検出するステップ、又は(iii)細胞培養後の微生物を検出するステップを含み得る。
【0090】
本発明の全ての関連する態様による粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在の検出は、任意の所望の方法に従って行うことができる。本方法は、1つ又は複数の微生物の単純な不存在又は存在を検出することを伴うことができる。存在する場合、微生物の定量化を伴う場合がある。また、一部の実施形態では、微生物の性質の特徴付けを伴うこともできる。したがって、細菌及び/又は真菌の検出を行うことができる。グラム陽性菌対グラム陰性菌の識別も行うことができる。微生物の同定及び抗菌剤感受性も行うことができる。
【0091】
粒子-微生物複合体から微生物を除去(又は回収)した後に検出することができる。回収された微生物は、検出前に溶解され得る。回収は、無傷の微生物、又は微生物の溶解後の溶解物であり得る(本明細書においてさらに詳細に検討される)。
【0092】
好ましくは、検出は、粒子-微生物複合体からの微生物の事前除去(又は回収)なしに行われる。この実施形態は、本発明を磁性ビーズ処理装置に適用する際に特に有用である。
【0093】
微生物の不存在又は存在の検出は、微生物に関連する酵素活性又は核酸分子を検出するステップ;サイトメトリー又は顕微鏡により微生物を直接検出するステップ;又は細胞培養後に微生物を検出するステップを含むことができる。
【0094】
微生物に関連する核酸分子の検出は、当該技術分野において公知であり、DNA又はRNAレベルで行うことができる。それは、増幅(例えば、PCR)又は配列決定(特に、次世代シークエンシング)などの任意の適切な方法によって行うことができる。このような方法は、微生物と、ヒト、DNA及びRNAなどの非微生物との間の配列の相違を利用することができる。このような方法は、核酸成分を放出するために、微生物(例えば、粒子-微生物複合体の形態で存在する)を溶解することを伴うことができる。
【0095】
微生物の直接検出はまた公知である。これは、例えば、フローサイトメトリーによるサイトメトリー分析を伴うことができる。例えば、粒子-微生物複合体から回収された微生物を可視化するため、又は微生物を粒子-微生物複合体中で可視化するために、顕微鏡の使用を伴うことができる。
【0096】
微生物の数を拡大するために、細胞培養後に微生物検出を行うこともできる。したがって、粒子-微生物複合体内に最初に捕捉された微生物は、検出前に、一定期間培養することができる。培養法によって、元の試料中の微生物を直接検出することができる。
【0097】
しかしながら、好ましい実施形態では、微生物の不存在又は存在の検出は、微生物に関連する酵素活性を検出することを含み得る。適切な酵素活性は、典型的には、核酸修飾活性であり、本明細書においてより詳細に検討される。
【0098】
したがって、本方法において、ステップ(c)は、(i)粒子-微生物複合体中の微生物を溶解するステップと;(ii)溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートするステップと;(iii)微生物の不存在又は存在を示すために、基質核酸分子上の核酸修飾酵素の作用に起因する修飾核酸分子の不存在又は存在を特異的に決定するステップとを含むことができる。
【0099】
本方法において、ステップ(i)は、基質核酸分子を含有する溶解試薬を添加するステップを含み得る。
【0100】
試料をインキュベートすることは、粒子-微生物複合体の形成を誘導する条件下で、試料を粒子と接触させることを指す。一部の実施形態では、試料を粒子(例えば、磁性粒子)とともにインキュベートするステップは、粒子(例えば、磁性粒子)を一定期間(例えば、30分間)、所定の温度(例えば、37℃)で試料と接触させるステップを含む。インキュベーションは、振とう(例えば、500~1000rpmに設定されたプラットフォームシェーカー、軌道振とう機又は振とうインキュベーターによる)を伴う又は伴わないで行うことができる。
【0101】
粒子-微生物複合体中の微生物の溶解は、核酸修飾酵素などの微生物内の核酸分子又は酵素の検出を可能にする。溶解は、溶解混合物の添加によって達成され得る。溶解混合物は、一般的に、本発明の方法において有用である。溶解混合物は、細胞内の核酸分子及び/又は核酸修飾活性などの酵素活性に悪影響を及ぼすことなく、微生物の効率的な溶解を確実にするために、成分の特定の混合物を含み得る。成分は、担体/血清タンパク質、例えば、BSA、サーファクタント/界面活性剤、金属ハロゲン化物塩、緩衝液、キレート剤などから選択することができる。本発明の溶解混合物は、その基本形態において、以下の成分を含むことができる:
1.サーファクタント/界面活性剤
2.アルブミン(例えば、BSA)などの血清タンパク質
3.緩衝液
4.dNTPなどのヌクレオチド
5.核酸分子(本発明のアッセイにおいて基質として作用する)。
【0102】
適切な溶解混合物を以下に記載する:
【0103】
L1:360mLのLM中252mL
1.46%(w/v)BSA
0.15%のTriton X100
0.15%のTween 20
【0104】
L2:360mLのLM中36mL
100mM硫酸アンモニウム
20mM硫酸マグネシウム七水和物
100mM塩化カリウム
200mMTris-HCl[pH8.0]
【0105】
L3:360mLのLM中36mL
0.1μMのPTO-ASオリゴ
0.1μMのPTO-S1オリゴ
20mMのTris-HCl[pH8.5]
10mM塩化カリウム
10μMのEDTA
【0106】
10mMのdNTP:360mLのLM中3.6mL
【0107】
PTO-IPCストック:360mLのLM中約180μL
【0108】
H2O:360mLのLM中約32.4mL
【0109】
「PTO-ASオリゴ」とは、ホスホロチオエートヌクレオチドを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを意味する。「PTO-S1オリゴ」とは、ホスホロチオエートヌクレオチドを含むセンスオリゴヌクレオチドを意味する。2つのオリゴヌクレオチドは、互いにハイブリダイズし、基質核酸分子を形成する。
【0110】
「PTO-IPC」とは、ホスホロチオエートヌクレオチドを含むIPC分子を意味する。
【0111】
適切な基質及びIPC分子は、本明細書においてさらに詳細に検討される。
【0112】
各成分の例示的な量及び濃度は列挙されているが、当業者であれば容易に理解できるように修飾することができる。
【0113】
また、溶解には細胞の破壊が必要となる場合がある。例えば、細胞は、物理的及び/又は酵素的手段と組み合わせて溶解混合物を用いて破壊され得る。しかしながら、典型的には、細胞を溶解する方法は、物理的破壊の使用を避ける。一部の実施形態では、物理的破壊は、ディスラプターを使用する。ディスラプターは、細胞を溶解するためにガラスビーズなどのビーズを取り込むことができる。適切な装置は市販されており、Scientific Industries,Inc.によって製造されたディスラプターGenieを含む。超音波処理は、例えば、超音波ホーンを適用することで利用することができる。酵素的破壊は、一部の実施形態では、リゾスタフィン、リゾチーム及び/又はリチカーゼから選択される1つ又は複数の薬剤の使用を必要とすることができる。
【0114】
ひとたび、試料中に存在する微生物が溶解されると、放出された核酸及び/又は酵素は、試料中に微生物が存在するかどうかを示すために検出され得る。一部の実施形態では、溶解物は、(微生物の)核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートされる。次に、基質核酸分子上の核酸修飾酵素の作用に起因する修飾核酸分子の不存在又は存在は、微生物の不存在又は存在を示すために決定される。核酸基質分子は、検出されるべき核酸修飾活性に従って設計される。当業者は、適切な基質核酸分子を設計することができる。最初の試料は、核酸修飾活性の非微生物源を含有するが、本発明の方法は、基質核酸分子に作用するこの汚染活性を防ぐ。
【0115】
核酸修飾酵素は、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含み得、任意選択で、DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼIである。
【0116】
核酸修飾酵素は、リガーゼを含み得、任意選択で、核酸修飾酵素がNAD依存性リガーゼである。
【0117】
さらに、本発明は、対象における微生物感染の不存在又は存在を検出する方法であって、対象からの試料に対して本明細書に記載される方法のいずれかの方法を行うことを含み、任意選択で、試料が対象からの血液を含む、方法を提供する。
【0118】
この方法は、分離された粒子-微生物複合体を洗浄して、非微生物細胞又は溶解物を除去することをさらに含み得る。洗浄ステップは、その後の分析のインヒビター、例えば、PCR阻害剤を除去することができる。洗浄ステップは、粒子-微生物複合体を解離しない条件下で行うことができる。
【0119】
本発明の方法によれば、検出され得る典型的な核酸修飾活性は、ポリメラーゼ及び/又はリガーゼ活性を含む。特定の実施形態では、核酸修飾酵素は、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含む。一部の実施形態では、DNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼIを含むか又はそれである。一部の実施形態では、核酸修飾酵素は、リガーゼを含む。特定の実施形態では、核酸修飾酵素は、NAD依存性又はATP依存性リガーゼを含むか、又はそれである。NAD依存性リガーゼは(eu)細菌にのみ見出され、このような活性を検出することにより、さらなるレベルの特異性が得られる可能性がある。これは、国際公開第2009/007719号及び国際公開第2010/119270号(関連開示は本明細書に組み込まれる)でさらに検討されている。生存率に関連する他の核酸修飾活性、例えば、ホスファターゼ、キナーゼ及び/又はヌクレアーゼ活性は、代替的に測定され得る。
【0120】
一部の実施形態では、基質核酸分子に対する核酸修飾活性の作用は、伸長された核酸分子を生成する。これは、鎖伸長(ポリメラーゼ活性)により、及び/又は2つの核酸分子の連結(リガーゼ活性)によるものであり得る。一部の実施形態では、ポリメラーゼ又はリガーゼのいずれかによって作用され得る基質が利用され、これは、いずれかの活性が試料中の微生物の存在を示すためである。一部の実施形態では、関連活性は、生成される新規の核酸分子に関して区別することができる。
【0121】
基質は、微生物の核酸修飾活性のための鋳型であり得る。例えば、基質は、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼの鋳型であり得、任意選択で、DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼIである。
【0122】
微生物の核酸修飾活性の基質として作用する適切な核酸分子は、国際公開第2011/130584号、国際公開第2010/119270号及び国際公開第2009/007719号(関連開示は本明細書に組み込まれる)に記載されている。ホスファターゼ活性の場合、適切な核酸分子は、国際公開第2006/123154号に開示され、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
具体的な実施形態では、本発明の方法で使用される(基質)核酸分子は、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖にウラシル残基を含み、修飾核酸分子の不存在又は存在を特異的に決定するステップは、相補鎖中のウラシル残基を分解するために、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)を試料に添加することを含む。
【0124】
特定の実施形態では、(基質)核酸分子は、DNAを含む。特定の実施形態では、(基質)核酸分子は、DNAを含み、部分的に二本鎖である。
【0125】
一部の実施形態では、(基質)核酸分子は、センスオリゴヌクレオチド(DNA)鎖及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(DNA)鎖からなる核酸を含み、これらの2本の鎖が、重なり合って、二本鎖領域を形成し、アンチセンスオリゴヌクレオチド鎖の一本鎖部分は、ポリメラーゼ活性の存在下で伸長産物を作製するためのプライマーとして作用する、二本鎖領域のセンスオリゴヌクレオチド鎖を有する鋳型として作用する。
【0126】
特定の実施形態では、部分的に二本鎖(基質)核酸分子の第1鎖は、合成ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエートヌクレオチド)を含み(又はそれからなり)、第2(相補性)鎖は、ウラシル残基、及び任意選択で、合成ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエートヌクレオチド)を含む(又はそれからなる)。好ましくは、二本鎖領域は、第1及び第2(相補性)鎖の3’末端領域を包含する。好ましくは、第2(相補性)鎖は、第2鎖のDNAポリメラーゼ媒介伸長を遮断するその3’末端に塩基(例えば、ジデオキシシチジン)を含む。このような部分的二本鎖(基質)核酸分子は、例えば、Zweitzigら、2012年(Characterization of a novel DNA polymerase activity assay enabling sensitive,quantitative and universal detection of viable microbes.Nucleic Acids Research 40巻、14号、e109、1~12頁)に記載されている。好ましくは、二本鎖領域は、少なくとも5ヌクレオチド、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、又は少なくとも25ヌクレオチドであり;任意選択で、二本鎖領域は50ヌクレオチド以下である。第1鎖は、本明細書に記載されるように、試料中の微生物のポリメラーゼ活性による保護されていない(又は標準の)dNTPを用いて、インキュベーションステップ中に伸長されて、保護されていない(又は標準の)ヌクレオチドを含む伸長された第1鎖を形成することができる。このステップは、第2鎖を鋳型(第1と第2鎖の間の相補性領域の上流)として使用することに依存する。インキュベーションステップの後、第2(相補性)鎖は、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)を試料に添加することによって分解され得、伸長された第1鎖は、合成ヌクレオチド及び保護されていないヌクレオチドを含む一本鎖分子として残される。第2鎖の分解に続いて、(基質)核酸分子の伸長された第1鎖を増幅ステップで検出することができる。本発明者らは、上記される部分的二本鎖(基質)核酸分子の使用が、試料中の微生物の検出を改善することを見出した。
【0127】
一部の実施形態では、基質核酸分子は、ヌクレアーゼ活性からそれを保護するように予め修飾され、すなわち、核酸分子は、アッセイに加えられる前に、それをヌクレアーゼ活性から保護するように修飾される。本発明者らは、ヌクレアーゼ活性から基質核酸分子を保護することが、本発明のアッセイとの関連で有利であることを決定した。より具体的には、本発明の方法への保護された核酸分子の取り込みは、検出の感度を改善する。核酸分子をヌクレアーゼ活性から保護するために、任意の適切な手段を採用することができる。非限定的な例としては、核酸分子へのメチル化の取り込み、3’末端及び/又は5’末端の保護などの末端修飾、並びに合成ヌクレオチドの取り込みが挙げられる。具体的な実施形態では、合成ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド及び/又はロックされた核酸ヌクレオチドを含む。好ましくは、合成ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチドである。特定の実施形態では、合成ヌクレオチドは、核酸分子中のヌクレオチドの少なくとも1つから全部までを置換する。
【0128】
(基質)核酸分子は、(新規の検出可能な)核酸分子を生成するために、核酸修飾活性によって作用することができる任意の天然核酸及び天然若しくは合成類似体を含み得る。基質は、具体的な実施形態では、伸長及び/又は連結することができる。一部の実施形態では、ポリメラーゼ及びリガーゼ活性の検出を可能にするために、核酸基質分子の組み合わせを採用することができる。
【0129】
核酸基質は、試料中の核酸修飾活性(微生物によって提供される)に対して、過剰に、特に、大きなモル過剰で存在し得る。新規な伸長又は連結された核酸分子が検出されるため、試料中のこの分子の存在のみが、検出方法が効果的に働くために必須である。したがって、他の核酸分子が、検出対象の微生物由来、又は哺乳動物若しくは、例えば、試験対象の試料中に見出され得る他の供給源由来などの試料中に存在する場合、本発明の方法に有害ではない。
【0130】
本発明者らは、以前に、内部陽性対照(IPC)分子の使用を、それらの方法との関連で調査した。したがって、全ての態様によれば、本発明は、IPC分子の包含に依存し得る。一部の実施態様では、IPCは、IPCが同一の条件に曝露されるように、基質核酸分子とともに含まれる。一部の実施態様では、IPC分子は、ヌクレアーゼ活性からそれを保護するように予め修飾され、すなわち、核酸分子は、アッセイに加えられる前に、ヌクレアーゼ活性からそれを保護するように修飾される。本発明者らは、IPC分子をヌクレアーゼ活性から保護することが、本発明のアッセイとの関連で有利であると決定した。核酸分子をヌクレアーゼ活性から保護するために、任意の適切な手段を採用することができる。非限定的な例としては、核酸分子へのメチル化の取り込み、3’末端及び/又は5’末端の保護などの末端修飾、並びに合成ヌクレオチドの取り込みが挙げられる。具体的な実施形態では、合成ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチド及び/又はロックされた核酸ヌクレオチドを含む。好ましくは、合成ヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオチドである。特定の実施形態では、合成ヌクレオチドは、IPC分子中のヌクレオチドの少なくとも1つから全部までを置換する。好ましくは、基質及びIPC分子は、それらが本発明のアッセイにおいて同様に挙動するために有利であるのと同じ方法で修飾される。
【0131】
一部の実施形態では、内部陽性対照(IPC)核酸分子は、核酸分子とIPCの両方を含む核酸増幅反応においてプライマー結合に対する競合が存在するように、基質核酸分子に対する同一のプライマー結合部位を含む。
【0132】
本発明の全ての方法において、修飾された核酸分子の不存在又は存在を特異的に決定することは、核酸増幅ステップを含み、それから本質的になり、又はそれからなり得る。これは、本発明の方法を最大限に高感度にするのに役立つ。このような増幅技術は、当該技術分野において周知であり、PCR、NASBA(Compton、1991年)、3SR(Fahyら、1991年)、ローリングサークル複製、転写媒介増幅(TMA)、鎖置換増幅(SDA)(Clinical Chemistry 45巻:777~784頁、1999年)、米国特許第6,261,846号に記載されるDNAオリゴマー自己集合プロセス(参照により本明細書に組み込まれる)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Barringerら、1990年)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅(米国特許第6,410,276号)、任意プライミングPCR(国際公開第90/06995号)、コンセンサス配列プライミングPCR(米国特許第4,437,975号)、インバーダー技術、鎖置換技術、及びニック置換増幅(国際公開第2004/067726号)などの方法が含まれる。上記のリストは、網羅的であることを意図したものではない。適切な核酸生成物が特異的に増幅されれば、任意の核酸増幅技術を使用することができる。
【0133】
同様に、配列決定に基づく方法論は、一部の実施形態では、クローン的に増幅された配列の合成によるシークエンシング(Illumina)、ピロシークエンシング、454シークエンシング(Roche)、ナノ細孔シークエンシング(例えば Oxford Nanopore)、イオントレント(ThermoFisher)、及び単一分子リアルタイム(SMRT)シークエンシング(Pacific Biosystems)などの、次世代シークエンシングプラットフォームの範囲のいずれかを含むために採用され得る。新規な核酸分子が生成されるという事実は、配列決定アプローチが、修飾された核酸分子の存在又はその他を確認することができ、また、その分子の定量化を提供することができることを意味する。
【0134】
増幅は、検出されるべき修飾核酸分子の配列に特異的な増幅プライマーの使用によって達成される。核酸分子に対する特異性を提供するために、配列の適切な領域に対応するプライマー結合部位を選択することができる。当業者は、核酸分子はまた、試料中の修飾活性によって生成される新規核酸分子の検出に必要なプライマー結合部位以外の配列を含み得、例えば、RNAポリメラーゼ結合部位又はプロモーター配列は、NASBA、3SR及びTMAなどの等温増幅技術に必要とされ得ることを理解する。
【0135】
1つ又は複数のプライマー結合部位は、増幅産物が、例えば、連結/伸長が生じた場合にのみ生成されるように、基質核酸分子の連結/伸長境界を架橋することができる。或いは、プライマーは、連結/伸長された核酸分子が形成される場合にのみ(指数関数的に)増幅産物が生成されるように、連結/伸長境界のいずれかの側に結合し、境界を越えて直接増幅することができる。プライマー及び基質核酸分子(複数可)は、非特異的増幅(例えば、試料中のゲノムDNAの増幅)を回避するように設計することができる。
【0136】
プライマーは、合成ヌクレオチド類似体を適切に組み込むことができ、又はRNA若しくはPNAに基づく、例えば、又はそれらの混合物であり得る。プライマーは、採用される検出モードに応じて、蛍光標識及び/又はFRET対などで標識化され得る。
【0137】
プローブが、利用され得、再度、所望により、標識化され得る。検出方法は、プライマーに加えて、又はプライマーの代替物としてのヌクレオチドプローブの使用を必要とすることができる。例えば、プライマーの使用を必要としない分枝状DNAアッセイを一部の実施形態で採用することができる。
【0138】
特定の態様では、本発明の方法は、試料中の微生物の存在を示す基質核酸分子に対する核酸修飾活性の作用の直接の結果として生成された修飾核酸分子を検出するために、核酸増幅技術を用いて行われる。特定の実施形態では、使用される技術は、PCR、NASBA、3SR、TMA、SDA及びDNAオリゴマー自己集合から選択される。
【0139】
増幅産物の検出は、例えば、ゲル電気泳動などの日常的な方法により行うことができるが、一部の実施形態では、リアルタイム検出方法又はエンドポイント検出方法を用いて行われる。
【0140】
増幅反応の生成物のリアルタイム又はエンドポイント検出のためのいくつかの技術が、当該技術分野において公知である。これらには、SYBR Green I(Sambrook及びRussell、Molecular Cloning-A Laboratory Manual、第3版)などの挿入蛍光色素の使用が含まれ、増幅されたDNAの収率を生成された蛍光量に基づいて推定することができる。リアルタイム検出方法の多くは、連続的にモニターすることができる蛍光読み出しを生成する;具体的な例には、分子ビーコン及び蛍光共鳴エネルギー移動プローブが含まれる。リアルタイム及びエンドポイント技術は、反応を「単一チューブ」に維持するため、有利である。これは、結果を得るために、下流の分析は必要なく、より迅速に結果を得ることができることを意味する。さらに、反応を「単一チューブ」環境に維持することは、交差汚染のリスクを低減し、本発明の方法からの定量的な生産を可能にする。これは、健康及び安全上の懸念が(例えば、患者試料における潜在的な微生物感染の検出において)最も重要であり得る本発明の関連において、特に重要であり得る。
【0141】
PCR反応のリアルタイム及びエンドポイント定量は、TaqMan(登録商標)システム(Applied Biosystems)を用いて達成することができる。Hollandら;Detection of specific polymerase chain reaction product by utilising the 5’-3’exonuclease activity of Thermus aquaticus DNA polymerase;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88巻、7276~7280頁(1991年)、Gelminiら、Quantitative polymerase chain reaction-based homogeneous assay with flurogenic probes to measure C-Erb-2 oncogene amplification.Clin.Chem.43巻、752~758頁(1997年)、及びLivakら、Towards fully automated genome wide polymorphism screening.Nat.Genet.9巻、341~342頁(1995年)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。このタイプのプローブは、一般的に、加水分解プローブと呼ばれることがある。リアルタイム又はエンドポイント検出に使用するための適切な加水分解/Taqmanプローブも提供される。プローブは、例えば、以下に詳述される標識を使用して、適切に標識化され得る。
Molecular Beaconシステムでは、Tyagi & Kramer.Molecular beacons-probes that fluoresce upon hybridization.Nat.Biotechnol.14巻、303~308頁(1996年)、及びTyagiら、Multicolor molecular beacons for allele discrimination.Nat.Biotechnol.16巻、49~53頁(1998年)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。ビーコンは、標的に結合したときに蛍光が回復される内部的にクエンチされたフルオロフォアを有するヘアピン形状のプローブである。これらのプローブは、ヘアピンプローブと呼ばれることがある。
【0142】
本発明の方法に組み込むことができるさらなるリアルタイム蛍光ベースのシステムは、Scorpionシステムであり、Whitcombeら、Nature Biotechnology 17巻、804~807頁(1999年8月1日)による自己プロービングアンプリコン及び蛍光を使用するPCR産物の検出を参照されたい。当業者に周知であり、市販されている追加のリアルタイム又はエンドポイント検出技術には、Lightcycler(登録商標)技術、Amplifuour(登録商標)プライマー技術、DzyNAプライマー(Toddら、Clinical Chemistry 46巻:5号、625~630頁(2000年))、又はPlexor(商標)qPCR及びqRT-PCRシステムが含まれる。
【0143】
したがって、本発明のさらなる態様では、核酸増幅の生成物は、リアルタイム又はエンドポイント技術を用いて検出される。本発明の具体的な実施形態では、リアルタイム技術は、加水分解プローブ(Taqman(登録商標)システム)、FRETプローブ(Lightcycler(登録商標)システム)、ヘアピンプライマー(Amplifluour(登録商標)システム)、ヘアピンプローブ(Molecular Beaconsシステム)、プライマーに組み込まれたヘアピンプローブ(Scorpion(登録商標)プローブシステム)、DNAzymeの相補配列及び切断可能な蛍光DNAzyme基質(DzYNA)を組み込んだプライマー、Plexor qPCR及びオリゴヌクレオチド遮断システムのいずれか1つを使用することからなる。
【0144】
増幅産物を定量して、試料中の微生物の核酸修飾活性、したがって、試料中の微生物のレベルの近似を与えることができる。したがって、「不存在又は存在」は、試料中の微生物のレベルの定量化を包含することが意図される。
【0145】
本発明者らは、さらに、微生物の核酸修飾活性を測定するための最適温度が、微生物の溶解のための最適温度と同じでない可能性があることを発見した。したがって、一部の実施形態では、微生物の溶解は、溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートするステップよりも低い温度で行われる。既に検討したように、本発明の一部の実施形態では、基質核酸分子は、微生物を溶解するために使用される溶解試薬に含まれる。このような実施形態は、異なる温度選好と一致する。したがって、基質核酸分子が溶解試薬に含まれ得るとしても、初期のより低い温度は、基質が、微生物から放出された核酸修飾活性によって修飾されるより高い温度でのその後のインキュベーションに悪影響を及ぼさない。したがって、一部の実施形態では、本方法は、溶解試薬が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含有する微生物の溶解ステップを伴う。このステップは、微生物から放出された酵素の活性を可能にするために、溶解物を基質核酸分子とともにインキュベートするその後のステップよりも低い温度で行われる。したがって、基質は、初期のより低い温度に曝露され、続いて、酵素活性が増大されるより高い温度に曝露される。
【0146】
一部の実施形態では、溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートするステップは、少なくとも約30℃の温度で行われる。温度は、任意選択で、約30℃~40℃又は約32℃~37℃、例えば、約37℃で行うことができる。
【0147】
追加の又は代替の実施形態では、微生物を溶解するステップは、約30℃以下、任意選択で、約15℃~30℃又は約18℃~25℃、例えば、約18、19、20、21、22、23、24又は25℃の温度で行われる。一部の実施形態では、溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートする前の全てのステップは、約30℃以下の温度で行われる。温度は、任意選択で、約15℃~30℃又は約18℃~25℃、例えば、約18、19、20、21、22、23、24又は25℃であり得る。
【0148】
このような方法は、本発明の種々の態様に関して記載された実施形態のうちのいずれか1つ又は複数から全てまでを組み込むことができる。
【0149】
一部の実施形態では、本方法は、溶解物を基質核酸分子とともにインキュベートするステップが、少なくとも約30℃、任意選択で、約30℃~40℃、又は約32℃~37℃、例えば、約37℃の温度で行われるという点でさらに特徴付けられる。
【0150】
追加の又は代替の実施形態では、溶解物を基質核酸分子とともにインキュベートする前の各ステップは、約30℃以下、任意選択で、約15℃~30℃、又は約18℃~25℃、例えば、約18、19、20、21、22、23、24若しくは25℃の温度で行われる。
【0151】
試料を磁性粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップの前(すなわち、ステップ(a)の前)に、本方法は、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解するステップを含み得る。
【0152】
試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解するステップは、界面活性剤及び1つ又は複数の酵素の組み合わせを試料に添加するステップを含み得る。1つ又は複数の酵素は、プロテイナーゼ及び/又はDNAaseを含み得、任意選択で、プロテイナーゼがプロテイナーゼKである。
【0153】
試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解するステップは、白血球などの非微生物細胞からの酵素活性を防ぎ、試料中の微生物の存在を偽って示し得る。このような選択的な溶解は、本明細書においてさらに検討される任意の適切な手段によって達成することができる。試料中に存在するが、試料中の微生物を溶解しない非微生物、特に哺乳動物細胞を溶解する任意の適切な試薬を使用することができる。試薬は、一部の実施形態においてサーファクタント又は界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤を含み得る。適切な例としては、例えば、5%w/vのポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(Tween 20)が含まれる。試薬は、例えば、5%w/vのサポニンを含み得る。試薬は、例えば、8.5g/Lの、塩化ナトリウムなどの金属ハロゲン化物塩を含み得る。試薬は、3つ全ての成分の混合物を含み得る。試料は、試料中に存在する場合、非微生物細胞、特に哺乳動物細胞の溶解を確実にするために、適切な条件下で試薬と混合され得るが、試料中に存在する場合、微生物の溶解はない(又はわずかである)。試料は、5、10、15、20、25又は30分などの約5~30分間、試薬に曝露され得る。このステップは、任意の適切な温度、例えば、15~30℃又は室温で行うことができる。
【0154】
一部の実施形態では、本発明の全ての態様によれば、試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞の選択的溶解は、界面活性剤及び1つ又は複数の酵素の組み合わせを試料に添加することを含む。特定の理論に拘束されることを望まないが、界面活性剤は、非微生物の細胞膜を選択的に透過するが、微生物は、それらの細胞壁によって保護される。酵素は、放出された細胞内物質及び他の細胞残屑を分解するのに有用であり、放出された酵素活性の持ち越しを防ぐのに寄与し得る。一部の実施形態では、1つ又は複数の酵素は、プロテイナーゼ及び/又はヌクレアーゼを含む。適切なプロテイナーゼには、プロテイナーゼKが含まれる。適切なヌクレアーゼにはDNAseが含まれる。一実施形態では、非微生物細胞を選択的に溶解するために使用される試薬は、Triton X-100及びプロテイナーゼKの組み合わせを含む。より具体的には、溶解試薬は、0.25%のTriton X-100及び4.8μg/mLのプロテイナーゼKを含み得る。
【0155】
非微生物細胞を溶解する場合には、放出されたいずれもの関連する酵素活性を不活化することが重要である。本発明者らは、酵素活性の効果的な不活化を確実にするために、高pH条件を利用する方法を考案した。微生物細胞は、典型的には、少なくとも処理の一部の間、無傷の状態であり、細胞内酵素活性は、高pH処理によって有意に悪影響を受けない。加えて、本発明者らは、微生物酵素が、いずれの場合においても高pH処理に対してより耐性であることを以前に示した。
【0156】
したがって、試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解するステップの後、本方法は、溶解物を高pH条件に曝露するステップを含み得る。高pH条件への曝露期間は、典型的には20分未満であり、10、9、8、7、6又は5分以下であり得、約5、6、7、8、9又は10分であり得る。一部の実施形態では、処理は、約2~15分間、例えば、約5分間行われる。「約」とは、プラス又はマイナス30秒を意味する。
【0157】
任意の適切な試薬は、高いpH条件を提供するためであり得る。特定の実施形態では、高pH条件は、試料をアルカリ又は緩衝液と接触させることを含む。特定の実施形態では、NaOH又はNa2CO3が使用される。具体的な実施形態では、NaOH又はNa2CO3の濃度は、約5mM又はそれ以上である。緩衝液は、9を超えるpKa値を有することができる。適切な緩衝液の例としては、ホウ酸、炭酸及びピロリン酸緩衝液が挙げられる。
【0158】
高pH条件は、典型的には、哺乳動物細胞などの非微生物源由来のATP依存性リガーゼ及びポリメラーゼを含む核酸修飾酵素の活性を阻害するが、微生物のリガーゼ又はポリメラーゼの活性を阻害しない。これは、主に、非微生物酵素のみが高pH条件に曝露されることを確実にする方法において採用される示差的な溶解条件によるものである。しかしながら、これらの条件に対する微生物酵素の耐性が高いことも原因である可能性がある。「高pH」は、一般的に、約10、11、12、13又は14などの少なくとも約10のpHである。「低pH」は、一般的に、約4、3、2、若しくは1などの約4未満又はそれに等しいpHである。「約」とは、規定された値のいずれかの側のpH単位の0.5を意味する。当業者に容易に理解されるように、試料のpHを変化させることは、任意の適切な手段を用いて達成することができる。ポリメラーゼ及びリガーゼなどの微生物の酵素は、極端なpHに耐性であり得るが、対応する哺乳動物の酵素は同じpH条件下で不活化され得る。これは、哺乳動物細胞と微生物細胞の両方を含有する試料における微生物酵素活性の選択的検出を助ける。具体的な実施形態では、哺乳動物細胞からの、ATP依存性リガーゼなどの非微生物核酸修飾活性の活性を阻害するが、微生物リガーゼなどの核酸修飾活性の微生物源の活性を阻害しない条件は、試料を水酸化ナトリウム(NaOH)又は炭酸ナトリウム(Na2CO3)で処理することを含む。このような薬剤は、本明細書に示されるように、微生物(真菌及び細菌)酵素を活性の状態にしながら、試料のpHを高pHに増加させ、したがって、非微生物酵素活性を不活性化するために容易に使用することができる。適切な濃度及び体積の適切な薬剤は、当業者によって適用され得る。しかしながら、特定の実施形態において、NaOHは、少なくとも約5mMのNaOHである。一部の実施態様では、アルカリ濃度は、5、6、7、8、9又は10mMなどの10mM以下である。
【0159】
さらなる実施形態では、pHは、哺乳動物の核酸修飾活性(例えば、ポリメラーゼ及び/又はATP依存性リガーゼ活性)を不活性化する約12であるが、微生物の核酸修飾活性(例えば、ポリメラーゼ及び/又はリガーゼ活性)を不活性化しない。具体的な実施形態では、pH条件は、少なくとも約11、又は少なくとも11.2まで増加され得る。この処理は、特定の期間後に、試料中の微生物の溶解をもたらし、したがって、核酸修飾活性(例えば、ポリメラーゼ及び/又はリガーゼ)を試料中に放出させることができる。したがって、一部の実施形態では、微生物の溶解は、高pH処理によって達成される。これは、別個の細胞溶解ステップを必要とせずに、微生物に由来する、試料中の核酸修飾活性(例えば、ポリメラーゼ及び/又はリガーゼ)の検出を可能にする。このような条件下では、哺乳動物のリガーゼ(血中ATP依存性リガーゼなど)は不活性化される。しかしながら、典型的には、本明細書でより詳細に検討されるように、本方法は、試料中の微生物を溶解するための別のステップを含む。
【0160】
一部の実施形態では、高pH条件下での処理は、pHを低下させるために試薬を添加することによって停止される。これは、微生物が溶解する前に行われる。適切な試薬は、緩衝液及び/又は酸を含む。したがって、中和緩衝液を添加することによってpHを低下させることができる。具体的な実施形態では、緩衝液は、Tris-HCl緩衝液(例えば、pH7.2又は8)を含む。pHを低下させるための他の適切な薬剤には、塩酸(HCl)及び硫酸(H2SO4)などの酸が含まれる。これら(及び他の)酸は、当業者に容易に理解されるように、緩衝液中に取り込まれ得る。pHが上昇した後に試料を処理するのに有用な1つの具体的な試薬は、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム七水和物、塩化カリウム及びTris-HClの組み合わせを含む。より具体的には、試薬は、10mM硫酸アンモニウム、2mM硫酸マグネシウム七水和物、10mM塩化カリウム及び20mMトリス-HCl[pH 8.0]を含むことができる。
【0161】
ステップ(b)は、さらに、例えば吸引によって、粒子-微生物複合体から非微生物細胞を除去するステップを含み得る。
【0162】
本発明との関連で「試料」は、非微生物細胞を含み、核酸修飾活性を発現する真菌(例えば、酵母)及び/又は細菌などの微生物の存在について試験することが望ましいものである。したがって、試料は、血液試料(全血、血漿、血清、及び血液培養物又は血液ブロスなどの血液含有試料)などの臨床試料を含むか、それから本質的になるか又はそれからなる場合がある。本発明の方法は、特に、陰性(及び陽性)血液培養物の迅速な決定に適用可能である。したがって、試料は、血流感染を患っていることが疑われるか、又はスクリーニングされている患者からの血液培養試料(又は血液ブロス試料)を含み得る。試料は、1~10ml、好ましくは1mlの血液培養試料などの任意の適切な体積であり得る。
【0163】
使用される試料は、利用可能性、利便性、及び試験される条件などの様々な要因に依存する。使用することができるが、本発明を限定することを意図しない典型的な試料には、患者、最も好ましくはヒト患者から採取される、全血、血清、血漿、血小板、関節液及び尿試料などが含まれる。患者は、血流感染を患っていることが疑われるか、又はスクリーニングされている場合がある。患者は、入院している場合がある。試料は、血液1mlあたり500、1000又は1500万を超える白血球(WBC)を含む対象から採取することができる。本発明の方法は、インビトロ試験を表す。それらは、対象から除去された試料上で行われる。しかしながら、より好ましくない実施形態では、本方法は、対象から試料を得るステップを追加で含むことができる。対象から適切な試料を得る方法は、当該技術分野において周知である。しかしながら、典型的には、本方法は、別の手順で患者から既に単離された試料から開始して行うことができる。本方法は、最も好ましくは、ヒト由来の試料上で行われるが、本発明の方法は、多数の動物にとって有用性を有し得る。
本発明の方法は、潜在的に初期診断を確認する方法として、任意の既に利用可能な診断技術を補完するために使用することができる。或いは、これらの方法は、迅速であり、便利な診断手段を提供するため、それら自体、予備的な診断方法として使用することができる。さらに、本発明の方法は、固有の感度のために、最小限の試料しか必要とせず、したがって、不必要な侵襲的手術を防ぐ。また、本発明の方法に従って、大型であるが濃縮されていない試料を効果的に試験することもできる。
【0164】
本発明の全ての態様による具体的な実施形態では、試料中に検出され得る微生物は、病原性細菌又は真菌/酵母などの病原性微生物である。細菌は、対象、好ましくはヒト対象において感染又は疾患を引き起こすことができる任意の細菌であり得る。一実施形態では、細菌は、ブドウ球菌(Staphylococcus)種、例えば、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(及び好ましくはメチシリン耐性株)、腸球菌(Enterococcus)種、連鎖球菌(Streptococcus)種、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)種、特に結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ビブリオ属(Vibrio)種、特にコレラ菌(Vibrio cholerae)、サルモネラ菌(Salmonella)及び/又は大腸菌(Escherichia coli)などのうちのいずれか1つ又は複数を含むか、それらから本質的になるか、又はそれからなる。細菌は、クロストリジウム属(Clostridium)種、特に、特定の実施形態ではクロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなることができる。クロストリジウム・ディフィシルは、抗生物質関連の下痢及び大腸炎の主要な原因であり、主に他の基礎疾患を有する高齢患者に影響を及ぼす医療に関連した腸管感染症である。カンジダ属(Candida)種、例えば、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、カンジダ・パラプシローシス(C.parapsilosis)及びカンジダ・グラブラタ(C.glabrata)が検出され得る。クリプトコッカス属(Cryptococcus)種、例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(C.neoformans)が検出され得る。真菌血症、例えば、カンジダ性敗血症は、本発明を用いて検出(存在又は不存在)され得る。微生物は、好ましくは、その酵素活性によって示される(これは必須ではないが)。したがって、本方法は、試料中の生存可能な微生物の指標、又は最近そうであったことを提供する。ある期間後に、微生物が生存できなければ、酵素活性は試料から失われる。これは、試料中の微生物の指標として酵素活性を用いることが、核酸分子、特に長く存続する可能性のあるDNAの使用よりも有利であることを表す。
【0165】
本発明の方法は、ひとたび微生物の陽性存在が試料中に検出されると、感染の性質を同定することを伴うことができる。このさらなる同定ステップには、任意の適切な方法を採用することができる。
【0166】
磁性粒子は、超常磁性粒子であり得る。
【0167】
粒子(例えば、磁性粒子)は、非微生物細胞よりも微生物に対してより高い親和性を有し得る。磁性粒子は、非特異的結合によって微生物に結合し得る。
【0168】
粒子(例えば、磁性粒子)は、ポリスチレン及び/又はポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)を含む外側ポリマー表面を有し得る。
【0169】
磁性粒子は、酸化鉄を含み得る。好ましくは、酸化鉄は、外側ポリマー表面によってカプセル化される。粒子は、酸化鉄及びポリマーのアマルガムであり得る。粒子は、外側ポリマー表面によって部分的にカプセル化され得る。ポリマーは、ポリスチレンを含み得る。
【0170】
粒子(例えば、磁性粒子)は、0.05~1μm、0.1~0.5μm、0.2~0.3μmの直径を有し得る。好ましくは、磁性粒子は、0.2~0.3μmの直径を有し得る。粒子(例えば、磁性粒子)は、0.1~3μm、又は0.1~2μmの直径を有し得る。より好ましくは、粒子は、0.1~1.0μmの直径を有する。
【0171】
粒子(例えば、磁性粒子)は、外側ポリマー表面を有し得る。磁性粒子の外側ポリマー表面は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質、(v)ポリアミン、又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれでも被覆されない場合がある。
【0172】
マンノース結合レクチン(MBL)タンパク質は、MBLに基づく遺伝子操作タンパク質であり得る。例えば、それは、免疫グロブリンのFc領域に融合されたMBLの病原体結合部分(すなわち、FcMBL)を含む遺伝子操作されたタンパク質であり得る。
【0173】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、又は(iii)先天性免疫系タンパク質のいずれでも被覆されない場合がある。
【0174】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチン、又は(v)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されない場合がある。
【0175】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)先天性免疫系タンパク質、又は(iv)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されない場合がある。
【0176】
抗体は、抗原特異的結合機能を保持する抗体の断片又は誘導体であり得る。このような断片及び誘導体には、Fab断片、ScFv、単一ドメイン抗体、ナノ抗体、重鎖抗体などが含まれる。
【0177】
炭水化物は、単糖、オリゴ糖(例えば、二糖又は三糖)、多糖及び/又はその誘導体であり得る。
【0178】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、リガンドで被覆されない場合がある。粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、非特異的リガンド(例えば、国際公開第01/53525号に記載される非特異的リガンド)で被覆されない場合がある。粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、非タンパク質性リガンド(例えば、国際公開第01/53525号に記載される非タンパク質性リガンド)で被覆されない場合がある。
【0179】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、カルボキシル化され得る。粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、カルボキシル基のみで被覆され得る。
【0180】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、ストレプトアビジンで被覆され得る。粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、ストレプトアビジンで被覆され得、リガンドで被覆されない場合がある。粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、ストレプトアビジンのみで被覆され得る。
【0181】
粒子(例えば、磁性粒子)の外面(例えば、外側ポリマー表面)は、被覆されない場合がある。
【0182】
微生物は、病原性微生物であり得、任意選択で、病原性微生物が、病原性細菌又は真菌である。
【0183】
非微生物細胞は、赤血球及び/又は白血球を含み得る。
【0184】
本発明はさらに組成物を提供する。本明細書に提供される組成物は、本明細書に記載される方法のいずれかを行うためのものであり得る。本発明の方法に関して記載された全ての態様及び実施形態は、関連する組成物に準用される。
【0185】
組成物は、i)微生物と複合体を形成することができる粒子であって、外面を有する粒子;ii)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;及びiii)試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する少なくとも1つの試薬を含み得る。
【0186】
組成物は、i)微生物と複合体を形成することができる粒子であって、外面を有する粒子;ii)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;及びiii)界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の例である。
【0187】
組成物はさらに、微生物細胞及び/又は非微生物細胞を含み得る。組成物は、微生物細胞を含有することが疑われ、非微生物細胞を含有することが公知である試料を含み得る。
【0188】
組成物は、緩衝液及び/又は塩化ナトリウムをさらに含むことができる。
【0189】
組成物において、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬は、界面活性剤であり得、任意選択で、界面活性剤が非イオン性である。組成物において、界面活性剤は、微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートされない場合がある。したがって、典型的には、界面活性剤は、粒子が添加される溶液の一部を形成し、粒子自体の一部を形成しない。
【0190】
組成物において、粒子は、0.1~3μm、又は0.1~2μmの直径を有することができる。好ましくは、粒子は、0.1~1.0μmの直径を有する。
【0191】
組成物において、粒子は磁性であり得る(典型的には磁性である)。本方法において、粒子は超常磁性であり得る。粒子は酸化鉄を含み得る。酸化鉄は、磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱を含み得る。酸化鉄は、Fe2+及びFe3+の1:1、2:1、3:1又は4:1の比率を含まない場合がある。
【0192】
組成物において、微生物と複合体を形成することができる粒子の外面は、ポリマーを含み得る;任意選択で、ポリマーは、炭素ベースであり得る。ポリマーは、無機ポリマーを含まない場合がある。ポリマーは、ポリスチレン及び/又はポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)を含み得る。
【0193】
組成物において、微生物と複合体を形成することができる粒子の外面は、i)カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基;及びiv)ストレプトアビジンのうちのいずれか1つ又は複数を含むか又は被覆され得る;任意選択で、カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基は、ポリペプチドの一部であり得る。
【0194】
組成物において、微生物は、病原性微生物であり得る。例えば、病原性微生物は、病原性細菌又は真菌であり得る。
【0195】
組成物において、非微生物細胞は、赤血球及び/又は白血球を含み得る。
【0196】
組成物において、試料は、血液、尿、唾液又はミルクを含み得、任意選択で、試料が全血である。
【0197】
本発明は、さらに、本明細書に記載される方法のいずれかを行うためのキットを提供する。本発明の方法に関して記載された全ての態様及び実施形態は、関連するキットに準用される。
【0198】
キットは、i)微生物と複合体を形成することができる粒子であって、外面を有する粒子;ii)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;及びiii)試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する少なくとも1つの試薬を含み得る。
【0199】
キットは、i)微生物と複合体を形成することができる粒子であって、外面を有する粒子;ii)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;及びiii)界面活性剤を有し得る。界面活性剤は、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の例である。
【0200】
界面活性剤は非イオン性であり得る。界面活性剤は、微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートされない場合がある。したがって、典型的には、界面活性剤は、粒子が添加される溶液の一部を形成し、粒子自体の一部を形成しない。
【0201】
キットにおいて、粒子は、0.1~3μm、又は0.1~2μmの直径を有することができる。好ましくは、粒子は、0.1~1.0μmの直径を有する。
【0202】
キットにおいて、粒子は磁性であり得る(典型的には磁性である)。粒子は超常磁性であり得る。粒子は酸化鉄を含み得る。酸化鉄は、磁鉄鉱及び/又は磁赤鉄鉱を含み得る。酸化鉄は、Fe2+及びFe3+の1:1、2:1、3:1又は4:1の比率を含まない場合がある。
【0203】
粒子の外面は、ポリマーを含み得る;任意選択で、ポリマーは、炭素ベースであり得る。ポリマーは、無機ポリマーを含まない場合がある。ポリマーは、ポリスチレン及び/又はポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)を含み得る。
【0204】
本方法において、微生物と複合体を形成することができる粒子の外面は、i)カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基;及びiv)ストレプトアビジンのうちのいずれか1つ又は複数を含むか又は被覆され得る;任意選択で、カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基は、ポリペプチドの一部であり得る。
【0205】
キットは、a)微生物と複合体を形成することができる粒子;b)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;c)試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する少なくとも1つの試薬;及びd)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段であって、検出手段が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含み、核酸分子が、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖中にウラシル残基を含む、検出手段を含み得る。
【0206】
キットは、a)微生物と複合体を形成することができる粒子;b)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム;c)界面活性剤;及びd)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段であって、検出手段が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含み、核酸分子が、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖中にウラシル残基を含む、検出手段を含み得る。
【0207】
キットは、a)微生物と複合体を形成することができる粒子であって、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する粒子;及びb)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段であって、検出手段が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含み、核酸分子が、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖中にウラシル残基を含む、検出手段を含み得る。
【0208】
キットは、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬をさらに含み得る。
【0209】
キットは、緩衝液及び/又は塩化ナトリウムをさらに含むことができる。
【0210】
キットにおいて、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬は、界面活性剤であり得、任意選択で、界面活性剤は非イオン性であり得る。組成物において、界面活性剤は、微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートされない場合がある。
【0211】
キットにおいて、粒子は、0.1~3μm、0.1~2μmの直径を有することができる。好ましくは、粒子は、0.1~1.0μmの直径を有する。
【0212】
キットにおいて、粒子は磁性であり得る。本方法において、粒子は、超常磁性であり得る。
【0213】
キットにおいて、微生物との複合体を形成することができる粒子の外面は、ポリマーを含み得、任意選択で、ポリマーは炭素ベースであり得る。
【0214】
キットにおいて、微生物と複合体を形成することができる粒子の外面は、i)カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基;及びiv)ストレプトアビジンのうちのいずれか1つ又は複数を含むか又は被覆され得る;任意選択で、カルボン酸基;ii)アミノ基;iii)疎水性基は、ポリペプチドの一部であり得る。
【0215】
キットにおいて、微生物は、病原性微生物であり得、任意選択で、病原性微生物が、病原性細菌又は真菌であり得る。
【0216】
キットにおいて、非微生物細胞は、赤血球及び/又は白血球を含み得る。
【0217】
キットにおいて、試料は、血液、尿、唾液又はミルクを含み得、任意選択で、試料が全血である。
【0218】
キットは、(a)微生物と複合体を形成することができる粒子(例えば、磁性粒子);及び(b)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段を含み得る。
【0219】
任意の適切な検出手段を採用することができ、それらは、粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するために必要な試薬の完全なセットを表すことができる。
【0220】
特定の実施形態では、検出手段は、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含むか又は該核酸分子である。
【0221】
一部の実施形態では、検出手段は、核酸増幅のための試薬を含むか又はさらに含む。核酸増幅のための試薬は、プライマー対及び/又は少なくとも1つのプローブを含み得る。一部の実施形態では、それらのプライマー及び/又はプローブは、微生物核酸分子とハイブリダイズする。したがって、それらは、増幅された微生物核酸分子を検出することによって、試料中の微生物を検出することができる。或いは、プライマー又はプローブは、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子にハイブリダイズする。このような核酸分子は、本明細書にさらに詳細に記載される。
【0222】
キットは、(a)微生物と複合体を(選択的に)形成することができる粒子(例えば、磁性粒子)(すなわち、粒子-微生物複合体);及び(b)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段を含み得る。検出手段は、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含み得る。核酸分子は、少なくとも部分的に二本鎖であり得、任意選択で、相補鎖中にウラシル残基を含み得る。相補鎖は、その3’末端に、DNAポリメラーゼが媒介する第2鎖の伸長を遮断する塩基(例えば、ジデオキシシチジン)を含み得る。核酸分子は、本明細書に記載される核酸分子のいずれかであり得る。
【0223】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質、(v)ポリアミン又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれによっても被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0224】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、又は(iii)先天性免疫系タンパク質のいずれによっても被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0225】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチン、又は(v)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれでも被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0226】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)先天性免疫系タンパク質、又は(iv)凝集剤(例えば、国際公開第03/102184号に定義される凝集剤)のいずれによっても被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0227】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、リガンドで被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0228】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、ストレプトアビジンで被覆され、リガンドで被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0229】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、ストレプトアビジンのみで被覆された外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0230】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、カルボキシル基のみで被覆された外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0231】
キットにおいて、粒子(例えば、磁性粒子)は、微生物に結合することができる任意の分子又は部分で被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0232】
本方法において、粒子(例えば、磁性粒子)は、任意の分子又は部分で被覆されていない外面(例えば、外側ポリマー表面)を有し得る。
【0233】
(基質)核酸分子は、核酸修飾酵素がDNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含むことに基づいて設計することができる。一部の実施形態では、DNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼIである。追加の又は代替の実施形態では、核酸修飾酵素は、リガーゼ、例えば、ATP又はNAD依存性リガーゼを含む。
【0234】
検出手段は、核酸増幅のための試薬をさらに含み得、任意選択で、核酸増幅のための試薬が、核酸分子とハイブリダイズするプライマー対及び/又は少なくとも1つのプローブを含む。
【0235】
キットは、粒子-微生物複合体中の微生物を溶解することができる試薬をさらに含み得、任意選択で、粒子-微生物複合体中の微生物を溶解することができる試薬が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含む。
【0236】
キットは、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬をさらに含み得る。
【0237】
試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬は、界面活性剤及び1つ又は複数の酵素の組み合わせを含み得、1つ又は複数の酵素が、任意選択で、プロテイナーゼ及び/又はDNAaseを含む。適切な界面活性剤及び酵素は、本明細書において検討される。
【0238】
キットは、高pH試薬、例えば、塩基又は緩衝液をさらに含み得る。これは、例えば、NaOH、例えば、5mM NaOHであり得る。他の適切な試薬は、本明細書に記載される。
【0239】
キットは、中和緩衝液をさらに含むことができる。中和緩衝液は、高pH処理後に試料のpHを戻すことができる。適切な試薬は本明細書に記載される。
【0240】
核酸修飾酵素は、(a)DNAポリメラーゼ若しくはRNAポリメラーゼ、任意選択で、DNAポリメラーゼはDNAポリメラーゼIである;及び/又は(b)リガーゼ、任意選択で、リガーゼがATP及び/若しくはNAD依存性リガーゼである。
【0241】
本発明の全ての関連する態様及び実施形態によれば、用語「ポリアネトールスルホン酸ナトリウム」は、その全ての機能的に等価な誘導体及び塩の形態(例えば、ポリアネトールスルホン酸カリウム、ポリアネトールスルホン酸マグネシウムなど)を包含することが意図される。
【0242】
開示全体を通じて、用語「粒子」及び「ビーズ」は、互換的に使用することができる。
本発明はまた、以下の条項によって定義することができる。
【0243】
1.非微生物細胞を含有する試料中の非微生物細胞から微生物を分離する方法であって、
a)試料を磁性粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;
b)磁場を用いて非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと
を含み、磁性粒子が、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質、(v)ポリアミン、又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれでも被覆されていない外側ポリマー表面を有する、方法。
【0244】
2.非微生物細胞をも含有し得る試料中の微生物の不存在又は存在を検出する方法であって、
a)試料を磁性粒子とともにインキュベートして、粒子-微生物複合体を形成するステップと;
b)磁場を用いて非微生物細胞から粒子-微生物複合体を分離するステップと;
c)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出するステップと
を含み、磁性粒子が、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質、(v)ポリアミン、又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれでも被覆されていない外側ポリマー表面を有する、方法。
【0245】
3.ステップ(c)が、(i)微生物に関連する核酸分子の酵素活性を検出するステップ、(ii)サイトメトリー又は顕微鏡により微生物を直接検出するステップ、又は(iii)細胞培養後の微生物を検出するステップを含む、条項2に記載の方法。
【0246】
4.ステップ(c)が、
i.粒子-微生物複合体中の微生物を溶解するステップと;
ii.溶解物を、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子とともにインキュベートするステップと;
iii.微生物の不存在又は存在を示すために、基質核酸分子への核酸修飾酵素の作用に起因する修飾核酸分子の不存在又は存在を特異的に決定するステップと
を含む、条項2又は条項3に記載の方法。
【0247】
5.ステップ(i)が、基質核酸分子を含有する溶解試薬を添加するステップを含む、条項4に記載の方法。
【0248】
6.核酸修飾酵素が、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含み、任意選択で、DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼIである、条項4又は条項5に記載の方法。
【0249】
7.核酸修飾酵素がリガーゼを含み、任意選択で、核酸修飾酵素がNAD依存性リガーゼである、条項4~6のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
8.対象からの試料に対して条項2~条項7のいずれか1つに記載の方法を行うステップを含む、対象における微生物感染の不存在又は存在を検出する方法。
【0251】
9.分離された粒子-微生物複合体を洗浄して、非微生物細胞又は溶解物を除去することをさらに含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0252】
10.ステップ(a)の前に、方法が、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解することを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0253】
11.試料中に存在する無傷のいずれもの微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解するステップが、試料に界面活性剤及び1つ又は複数の酵素の組み合わせを添加するステップを含み、1つ又は複数の酵素が、プロテイナーゼ及び/又はDNAaseを含み、任意選択で、プロテイナーゼがプロテイナーゼKである、条項10に記載の方法。
【0254】
12.ステップ(b)が、粒子-微生物複合体から非微生物細胞を除去するステップをさらに含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0255】
13.試料が血液を含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0256】
14.条項4~条項13のいずれか1つに記載の方法を行うためのキットであって、
a)微生物と複合体を形成することができる磁性粒子であって、磁性粒子が、(i)抗体、(ii)炭水化物、(iii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、(iv)マンノース結合レクチンタンパク質、(v)ポリアミン、又は(vi)カチオン性界面活性剤のいずれでも被覆されていない外側ポリマー面を有し;及び
b)粒子-微生物複合体中の微生物の不存在又は存在を検出する検出手段であって、検出手段が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含み、核酸分子が、少なくとも部分的に二本鎖であり、相補鎖にウラシル残基を含む、検出手段
を含むキット。
【0257】
15.検出手段が、核酸増幅のための試薬をさらに含み、任意選択で、核酸増幅のための試薬が、核酸分子とハイブリダイズするプライマー対及び/又は少なくとも1つのプローブを含む、条項14に記載のキット。
【0258】
16.粒子-微生物複合体中の微生物を溶解することができる試薬をさらに含み、任意選択で、粒子-微生物複合体中の微生物を溶解することができる試薬が、微生物の核酸修飾活性の基質として作用する核酸分子を含む、条項14又は条項15に記載のキット。
【0259】
17.試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬をさらに含む、条項14~16のいずれか1つに記載のキット。
【0260】
18.試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬が、界面活性剤及び1つ又は複数の酵素の組み合わせを含み、1つ又は複数の酵素が、任意選択で、プロテイナーゼ及び/又はDNAaseを含む、条項17に記載のキット。
【0261】
19.a)高pH試薬;及び/又は
b)中和緩衝液
をさらに含む、条項14~条項18のいずれか1つに記載のキット。
【0262】
20.試料が血液を含む、条項14~19のいずれか1つに記載のキット。
【0263】
21.核酸修飾酵素が、
a)DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼ、任意選択で、DNAポリメラーゼはDNAポリメラーゼIである;及び/又は
b)リガーゼ、任意選択で、リガーゼはATP及び/又はNAD依存性リガーゼである
を含む、条項14~20のいずれか1つに記載のキット。
【0264】
22.磁性粒子が超常磁性粒子である、条項1~13のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~21のいずれか1つに記載のキット。
【0265】
23.外側ポリマー表面がポリスチレンを含む、条項1~13若しくは22のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~22のいずれか1つに記載のキット。
【0266】
24.磁性粒子が酸化鉄を含む、条項1~13又は条項22若しくは23のいずれか1つに記載の方法、或いは条項14~23のいずれか1つに記載のキット。
【0267】
25.磁性粒子が0.1~0.5μmの直径を有する、条項1~13若しくは条項22~24のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~24のいずれか1つに記載のキット。
【0268】
26.磁性粒子の外側ポリマー表面がストレプトアビジンで被覆されている、条項1~13若しくは条項22~25のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~25のいずれか1つに記載のキット。
【0269】
27.磁性粒子の外側ポリマー表面がカルボキシル化されている、条項1~13若しくは条項22~26のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~26のいずれか1つに記載のキット。
【0270】
28.磁性粒子の外側ポリマー表面がストレプトアビジンで被覆され、リガンドで被覆されていない、条項26に記載の方法又はキット。
【0271】
29.磁性粒子の外側ポリマー表面がリガンドで被覆されていない、条項1~13若しくは条項22~27のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~27のいずれか1つに記載のキット。
【0272】
30.微生物が病原性微生物であり、任意選択で、病原性微生物が病原性細菌又は真菌である、条項1~13若しくは条項22~29のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~29のいずれか1つに記載のキット。
【0273】
31.非微生物細胞が赤血球及び/又は白血球を含む、条項1~13若しくは条項22~30のいずれか1つに記載の方法、又は条項14~30のいずれか1つに記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0274】
【
図1】血液試料の画像であり、各試料セット:E-BUF、UREA、Tris+NaCl、凍結(左から右)についての血液溶解の程度を示す図である(実施例8を参照されたい)。
【
図2】PCR設定前の最終試料生産の画像である。この画像は、血液中の磁性ビーズを用いた試料処理のためのSPSの利点を視覚的に実証するものである。SPSは、SPSの存在下で赤色溶出物が少ないことにより示されるように、血液成分のより徹底した除去を可能にするようである。血液ブロス試料セットに使用されるBacTec PLUS好気性ブロスはまたSPSを含有することに留意されたい(実施例9を参照されたい)。
【実施例0275】
本発明は、以下の非限定的な実施例に関して理解される。
[実験の部]
略語及び定義:
5th% 5%FPRを決定するための5番目のパーセンタイル閾値計算
(式=PERCENTILE.INC(アレイ,0.05))
BO ブロスのみ
BB 血液ブロス
Cfu コロニー形成単位
Confirm グラム状態(グラム陰性、グラム陽性又はカンジダ)に応じて微生物DNAを標的とするPCR多重アッセイ
CPD クエン酸リン酸デキストロース
Ct サイクル閾値
CV 臨界値(cfu):式:試料cfu÷2ΔCtを用いるcfu値及びΔCtに基づく理論検出限界
D1.. 希釈点(10倍系列)
E*cfu 希釈系列中で最高計数可能なTVCを有する希釈点を用いて外挿したcfu値
EC 大腸菌
ETGA 酵素鋳型の生成及び増幅
IPC 内部プロセス対照:ETGA陰性試料の正しい試料処理を実証し、PCR増幅を検証するためにLMに存在するPCR鋳型
LAWN コンフルエントな微生物増殖
LM 界面活性剤と微生物溶解酵素の混合物を含む微生物溶解混合物
MM マスターミックス
NoCt 50サイクル後、閾値蛍光を超える増幅なし
NSC スパイク対照なし
O/n 一晩
PC ポリメラーゼスパイク対照
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
Pt NSC/NC結果から計算された陽性閾値
qPCR 定量的ポリメラーゼ連鎖反応
RT 室温(+19~+20℃)
s/n 上清
SPS ポリアネトールスルホン酸ナトリウム
TNTC 多すぎて計数することができない
TVC 生菌数合計
WB 洗浄緩衝液(特に断らない限り、Tris-HCl+塩化ナトリウム+Igepal+デオキシコール酸ナトリウム+テルギトールを含有する);又は記載のある場合は全血
ΔCt 2つのCt値(典型的にはNSC Ct-陽性試料Ct)間の差
【0276】
実施例1
手動フォーマットでは、2つのビーズタイプ(Merck Bio-Estapor(ストレプトアビジンコンジュゲートした)300nmビーズ(製品-BE-M08/03;「Bio-Estapor」)及びAdemtech Bio-Adembeadsストレプトアビジン+200nmビーズ(製品番号03222;「Bio-Ademtech」))を、ApoH Technologies Peps6ビーズ(参照-MP20006;「ApoH Peps6」)と比較した。
【0277】
実験1Aでは、Bio-Estaporビーズ(25μL)のアリコート及びApoH Pep6ビーズ(10μL)のアリコートを結合について比較した。Bio-Estaporの体積がより大きいことは、ApoH材料と比較して、提供された材料中の1mLあたりのビーズ数がより少ないことを反映する。3種類の微生物:大腸菌(グラム陰性菌)、表皮ブドウ球菌(グラム陽性菌)、カンジダ・アルビカンス(酵母)を試験した。0.5mLの生物懸濁液を、ApoH Peps6キット(「Peps6 Captobac」、参照MP10031-50T)に提供された0.5mLの「TTGB」微生物結合緩衝液中でビーズに曝露した。
【0278】
生物を30分間結合させた後、ビーズを濃縮するために磁場を適用し、上清をピペットで除去することにより、液体上清からビーズの試料を分離した。ビーズを3アリコートの洗浄緩衝液(50mM Tris pH8、1%v/v Igepal CA-630、150mM NaCl、0.25%v/v Tergitol 15-S-9)で穏やかに洗浄し、保持された上清及び洗浄されたビーズを、2つの方法:寒天ペトリ皿上のコロニー数、並びに酵素的鋳型生成及び増幅(ETGA)試験(Zweitzigら、2012年.Characterization of a novel DNA polymerase activity assay enabling sensitive,quantitative and universal detection of viable microbes.Nucleic Acids Research 40巻、14号、e109、1~12頁;並びに国際公開第2011/130584号、国際公開第2013/103744号及び国際公開第2016/005768号に記載される)による微生物DNAの検出により、生存生物について分析した。
【0279】
表1Aのプレートカウントは、Bio-Estaporビーズ及び大腸菌では、増殖の大部分がビーズ(33CFU)対上清(2CFU)から見出され、これはApoH Peps6からの結果と類似していることを示す。表皮ブドウ球菌では増殖は見られず、この生物は、元のブロスでは増殖しないようであった。カンジダ・アルビカンスは、Bio-Estapor及びApoH Peps6のいずれにおいても、上清中のCFUの約10%及び90%結合を示した。これらの結果は、Bio-Estaporビーズが、試験条件下で市販されている生物結合ビーズPeps6と同等の速度で生物と結合するようであることを示している。高感度のETGA試験は、この結果を支持するが、より低いCq値によって示されるように、表皮ブドウ球菌は、Peps6よりもBio-Estaporに結合する可能性があることを示している。
【表1】
【0280】
実験1Bは、実験1Aと同様の条件下での大腸菌の結合を実証するが、1Bでは洗浄ステップは省略された。実験1Bは、別のビーズ、Bio-Ademtechも、より低いレベルではあるが、生物と結合することを示す(表1Bを参照されたい)。ここで、プレート数は、生菌数の約3分の1がビーズに結合したことを示している。より高感度のETGA DNAポリメラーゼアッセイは、ビーズに対するCq及び上清がほぼ等しいため、生物の半分がビーズ上に残存することを示している。
【表2】
【0281】
実施例2
実験2では、カルボキシル化表面を有するApoH Peps6、Bio-Estapor及びEstaporビーズ(製品MI-030/40;「Estapor COOH」)を比較した。蛍光ATPアッセイ(BacTiter-Glo Microbial Cell Viability Assay;Promega Corporation、G8230)を用いて、大腸菌をビーズに30分間結合させた後、上清中に残存する生物数を測定した。これは、ビーズ上の生物の存在を直接検出しないという点で間接的な試験であるが、本発明のリガンドベースのビーズ(ApoH Peps6)及び非リガンドビーズ(Bio-Estapor及びEstapor COOH)についての有用な比較試験である。1mLの10
4CFU/mLの大腸菌をリン酸緩衝生理食塩水から30mL結合させた後、BacTiter-Gloアッセイを用いて、生物含量の測定として、上清のアリコートをATPについてアッセイした。表2の結果は、Peps6ビーズ、Bio-Estapor及びEstapor COOHの上清中の生物レベルの減少が、この技術を用いて測定した場合、それぞれ33%、27%及び24%であったことを示す。
【表3】
【0282】
実施例3
実施例3は、実施例1に記載した磁気分離方法を自動化して実施した希釈系列における大腸菌(EC)、黄色ブドウ球菌(SA)及びカンジダ・アルビカンス(CA)の試験結果を示す。アッセイには、0.25%Tergitolを含有するTTGBの結合緩衝液を有する捕捉媒体として、Bio-Estapor 300nm直径ビーズを使用した。3つの各生物の10倍希釈を行ったため、Ctの連続的変化を記録し、用量反応曲線を作成した。
【表4】
【0283】
以下の実施例は、MomentumのMagnitor試験における磁性ビーズによる微生物の普遍的な微生物捕捉を実証する。Magnitor試験は、2つの微生物検出の読み出しからなる。
ETGA:無傷の微生物細胞からの微生物ポリメラーゼの検出
Confirm:グラム状態(グラム陰性、グラム陽性、又はカンジダ)による微生物DNAの検出
【0284】
主な所見:
磁性ビーズは、単純な緩衝液及び種々の複雑な生物学的な標本タイプから細菌及び真菌を捕捉する
微生物捕捉は、種々の異なるビーズサイズ(直径0.2~1.5μmのビーズ)及び表面被覆(例えば、カルボキシル化、疎水性、アミノ化など)を用いて行う
【0285】
特定の結合緩衝液成分は、Magnitorアッセイにおける微生物検出、例えば、血液の界面活性剤ベースの溶解を改善することができる。
【0286】
実施例4:微生物の検出は磁性ビーズによる捕捉に依存する。
目的:
大腸菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダ・アルビカンスについて、単純なTris+NaCl緩衝液(水中でのみ起こり得る微生物浸透圧ショックを防ぐために、pHを生理的塩濃度で緩衝化した)中で微生物結合性能を評価した。検出が微生物捕捉のための磁性ビーズの存在に依存することを実証するために、「ビーズなし対照」試料セットもこの実験に含まれた。
磁性ビーズの調製:
【0287】
Estaporビーズ(Merck、カタログ番号M1-30/40)を、1×Tris+NaCl緩衝液の3×1mLで洗浄した:40μLビーズを、最終体積の400μLの1×Tris+NaCl緩衝液(1%固形分)中に再懸濁した。
【0288】
プロトコール:
BacTec PLUS好気性ブロス(寒天プレートから3mLブロスを接種)では、微生物の一晩液体培養物(o/n)を標準として設定した。翌日(約16時間後)に、1.88μLの大腸菌及び黄色ブドウ球菌の液体培養物を3mLのブロスに添加し、18.75μLのカンジダ・アルビカンスの液体培養物を3mLのブロスに添加し、2時間の成長を37℃、500rpmで行った。
2時間の成長後、微生物の前培養物を1×Tris+NaCl緩衝液(50mM Tris-HCl[pH8.0]+150mM NaCl)中で希釈(DF10)し、微生物あたり4つの希釈点を作製した。
各微生物希釈に対して100μLのTVCを行った
【0289】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
15μLの予備洗浄済みビーズを含有する2mLチューブに1mLの試料を添加した-注記、全ての微生物試料を同じ1×緩衝液で希釈したため、ビーズを入れたチューブに112μLの1×Tris+NaCl緩衝液に添加しなかった(標準プロトコールに従う)。
37℃で30分間、振とうした(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mL洗浄緩衝液(WB)を添加し、RTで2分間、チューブを混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で3分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μL溶解ミックス(LM)をチューブに添加し、磁石を取り出した(5μLのポリメラーゼ対照(PC)を各PC試料チューブに添加した)
ETGA反応:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間行った
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0290】
結果:
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0291】
分析:
「(+)BEADS」試料のMagnitor結果は、3つの全ての微生物種について、非常に強い細胞密度特異的なETGA及びConfirmシグナルを示し、広範囲の微生物群(GrNeg、GrPos、カンジダ)のビーズ特異的結合を実証する。
カンジダ結果は、より良好な細胞密度傾向に従うことができたが、液体培養は、連続希釈の質に影響を与えた可能性がある完全に粒子であったことに留意されたい
微生物細胞のいくつかの証拠は「(-)BEADS」対照において引き継がれるが、単一の洗浄ステップでのみ期待される。
【0292】
実施例5:磁性ビーズによる血液からの微生物捕捉は、単純及び複雑な血液溶解緩衝液中で起こり、遠心分離による捕捉に匹敵する微生物検出を可能にする
目的:
単純で迅速な「Rapid Magnitor」試験(プロトコールには洗浄ステップが含まれていない)を開発するために、2つの異なる希釈フォーマットの2つの異なる血液溶解緩衝液を比較することである。
【0293】
試験条件:
2×EBB 1mLの2×EBB+1mL標本
10×EBB 112μLの10×EBB+1mL標本
2×B-BUF 1mLの2×B-BUF+1mL標本
10×B-BUF 112μLの10×B-BUF+1mL標本
10×EBB:500mMのTris-HCl[pH8.0]+2.5%Tergitol
10×B-BUF:500mMのTris-HCl[pH 8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+5%デオキシコール酸ナトリウム+2.5%Tergitol
【0294】
試料設定:
大腸菌o/n液体培養1E-3希釈液を血液ブロス(1mLあたり6.25μLのo/n:244μLのo/n+39mL血液ブロス)にスパイクし、37℃で500rpmの振とうインキュベーターで60分間の成長を行った
2時間の成長後、1mLの標本を、緩衝液(及びMagビーズ試料セット用に15μLのBioEstaporビーズ(Merck、カタログ番号BE-M 08/0.3))を含有する2mLのチューブに添加することによって試料を生成した:試験条件ごとに3重の大腸菌(EC)及びスパイク対照(NSC)試料
100μLのTVCをNSC及び大腸菌について行った(計数可能なプレートを確実にするために標本の希釈を含む)
【0295】
プロトコール:
上記のように設定された試料は、すぐにスピン又はMagビーズプロトコールに進行した。
【0296】
スピンプロトコール
試料を3分間、9000×gで遠心分離した(チューブヒンジはペレットトレーサビリティのために外側に面する)
上清を除去した
50μLのLMを試料(ペレットを再懸濁するための約10×ピペットミックス)に添加した
試料を900rpmで5分間、次に、800rpmで55分間(26℃)の振とうインキュベーターに配置した
試料を17000×gで1分間遠心分離後、qPCRを設定した
【0297】
Magビーズプロトコール
試料を900rpmで30分間(37℃)、振とうインキュベーターに配置した
試料をDynaMag-2磁気ラック上に5分間配置し、次に上清を除去した
50μLのLMを試料(ペレットを再懸濁するための約10×ピペットミックス)に添加した
試料を5分間、900rpmの振とうインキュベーターに配置し、次に55分間(26℃)、800rpmに配置した
試料を3分間、磁化した後、qPCRを設定した
ETGAマスターミックスのみの手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0298】
【0299】
分析:
磁性ビーズによる微生物結合は、次のように起こる:
単純及び複雑な血液溶解緩衝液(EBB=Tris-HCl+Tergitol;B-BUF=Tris-HCl+塩化ナトリウム+Igepal+デオキシコール酸ナトリウム+Tergitol)であるが、血液由来の試験シグナルは、血液溶解緩衝液の成分によって異なる
希釈(2×緩衝液:1部の標本に1部の血液溶解緩衝液)され、及び濃縮(10×緩衝液:9部の標本に1部の血液溶解緩衝液)された試料フォーマット
さらに、磁性ビーズによる微生物捕捉のための微生物検出シグナルは、遠心分離による捕捉に匹敵する。
【0300】
実施例6:磁性ビーズによる血液からの微生物捕捉は、血液溶解に依存しないが、下流の微生物検出は、微生物結合が溶解血液中で起こる場合に改善される。
目的:
複数のビーズタイプ/サイズが、微生物の連続希釈及びNSCについて同様のMagnitor結果をもたらすという最近の発見を考慮すると、Momentumの結合緩衝液内の成分が、観察されたこの普遍的な微生物結合特性を媒介/促進している可能性があると考えられた。この可能性を調査するために、標準結合緩衝液(B-BUF)とTris-HCl[pH8.0]+NaClのみからなる界面活性剤を含まないB-BUFを比較して、大腸菌の希釈系列を行い、界面活性剤一般が微生物結合に重要であるかどうかを試験した。試料セットは、血液ブロス、ブロスのみ、及び1×結合緩衝液のみについて調製し、異なる標本タイプについての結果を比較した。
【0301】
調製:
新たに調製した100mLの10×結合緩衝液:
B-BUF:500mM Tris-HCl[pH 8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+5%デオキシコール酸ナトリウム+2.5%Tergitol
Tris+NaCl:500mM Tris-HCl[pH 8.0]+1.5M塩化ナトリウム
Estaporビーズ(Merck、カタログ番号M1-30/40)を、それぞれの1×緩衝液(希釈された10×B-BUF又は10×Tris+NaCl)中で3×1mL洗浄した:40μLビーズを400μLの1×緩衝液(1%固形分)の最終濃度に再懸濁した。
【0302】
プロトコール:
大腸菌o/n液体培養液をBacTec PLUS好気性ブロスにおける標準として設定し、次に、翌日(約16時間後)、1.88μL o/nを3mLのブロス(6.25μL/mLでブロスに添加されるEC 1E-1希釈に匹敵する)に添加し、37℃、500rpmで2時間の成長を行った。
2時間の成長後、大腸菌の前培養物は、予め加温された血液-ブロス(BB)、ブロスのみ(BO)又は1×緩衝液(B-BUF若しくはTris+NaCl)のいずれかでEC 1E-6まで連続希釈(DF10)された。
100μLのTVCを全ての大腸菌希釈液及びNSCに対して行った
【0303】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
112μLの結合緩衝液(B-BUF又はTris+NaClのいずれか:BB及びBO試料セットについては10×;及び緩衝液試料セットについては1×)+15μLビーズ(それぞれの緩衝液中で予備洗浄する)を含有する2mLチューブに1mLの試料を添加した
37℃で30分間、振とうした(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、チューブをRTで2分間、混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
チューブに50μLのLMを添加し、磁石を取り出した(5μLのポリメラーゼコントロール(PC)を各PC試料チューブに添加する)
ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0304】
観察:
予想通り、Tris+NaClでは血液溶解は観察されなかった
界面活性剤が存在しない場合、ビーズはより粒状/凝結している
【0305】
結果:
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0306】
分析:
界面活性剤は、血液の存在下で良好なETGA結果を得るために重要であるが(「BBを含む10×Tris+NaCl」についての不良なETGA結果によって示される)、微生物捕捉/検出は、血液溶解が存在しない場合においてなおも明白である((「BBを含む10×Tris+NaCl」試料セットの結果によって示される)。
血液が存在しない場合の良好なETGA結果は、結合緩衝液の成分としての界面活性剤が、大腸菌のビーズへの結合に必要でないことを示す
「1×Tris+NaClを含む10×Tris+NaCl」試料セットにおける良好なETGA結果は、血液及び/又はブロス中の生物学的成分が微生物結合に必要でないことを実証する。
興味深いことに、B-BUFは、BO及び1×のB-BUF試料セットを用いた10×B-BUFにおいて、ETGAシグナルに対してわずかに阻害作用を示すようであるが、最近の他の研究では、デオキシコール酸ナトリウムはこのアッセイに対していくぶん阻害作用を示す可能性があることが示されているため、この観察は予想外ではない
Confirmは「1×Tris+NaClを有する10×Tris+NaCl」試料セットにおいて最良に行われる。他の全ての類似した試料セットは、同様のConfirm GrNeg結果を生じた。
予想され得るように、IPCシグナルは血液の存在によっていくぶん阻害された。
これらの結果は、界面活性剤及び生物学的試料のいずれも、大腸菌についての微生物結合のメディエーターではないことを実証する
【0307】
実施例7:血液が存在しない場合、塩によるpH緩衝化又は浸透圧安定化にかかわらず、磁性ビーズによる微生物捕捉が起こる
目的:
微生物結合の媒介におけるMomentumの結合緩衝液の重要性をさらに調べるために、結合におけるpH緩衝化及び塩の効果を、クリーンな系(すなわち、血液又はブロスのいずれも存在しない場合)で調べた。
【0308】
10×緩衝液調製:
25mLの各緩衝液を新たに作製した:
BUF-1 500mM Tris-HCl[pH7.4]+1.5M NaCl
BUF-2 500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M NaCl
BUF-3 500mM Tris-HCl[pH8.5]+1.5M NaCl
BUF-4 500mM Tris-HCl[pH8.0]のみ
BUF-5 1.5M NaClのみ
BUF-6 水のみ
【0309】
Estaporビーズ(Merck、カタログM1-30/40)を、それぞれ1×緩衝液(10×緩衝液の希釈)中で3×1mL洗浄した:30μLビーズを、300μLの1×緩衝液(1%固形分)の最終体積中に再懸濁した。
【0310】
プロトコール:
大腸菌o/n液体培養物をBacTec PLUS好気性ブロス(SPSを含む)及びニュートリエントブロス(SPSを含まないNB)における標準として設定し、次に、翌日(約16時間後)、1.88μL o/nを、各ブロスタイプ(午前にNB及び午後にPLUSブロス)について3mLブロス(6.25μL/mLでブロスに添加されるEC 1E-1希釈に匹敵する)に添加し、37℃、500rpmで2時間の成長インキュベーションを行った。
各実験(NB及びPLUS)について、1E-1大腸菌の前培養物は、各1×緩衝液(BUF-1~BUF-6)中で大腸菌の1E-6まで希釈(DF10)した
関連するブロス(NB又はPLUSブロス)で行われた別々のEC希釈セットを用いて100μLのTVCを行い、異なる1×緩衝液から生じるプレートの生存率の不一致を防ぐ
【0311】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
112μLのそれぞれ1×緩衝液+15μLビーズ(それぞれの緩衝液中で予備洗浄する)を含有する2mLチューブに1mLの試料を添加した
37℃で30分間、振とうした(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、チューブをRTで2分間、混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
チューブに50μLのLMを添加し、磁石を取り出した
ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0312】
結果:
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【0313】
分析:
水のみを含む全ての緩衝液は、同様に大腸菌の捕捉を実証した(同様のETGA及びConfirm結果により示される)-しかしながら、水中の低細胞密度のみでは浸透圧微生物溶解が示される場合もあった(BUF-6)
PLUSブロスとNB増殖大腸菌はいずれも、試験した全ての緩衝液について非常に類似したMagnitor結果を生じたが、これは、SPSが大腸菌の微生物結合の媒介において明確な役割を果たさないことを示している
これらの結果は、Estapor(カルボキシル化)ビーズへの大腸菌の結合には緩衝液成分が必須でないことを示している
【0314】
実施例8:磁性ビーズによる血液からの微生物捕捉は、種々の異なる血液溶解法を用いて行うことができる
目的:
代替の血液溶解法を用いる場合に、微生物の捕捉及び検出が起こり得るかどうかを判定すること。
【0315】
調製:
結合緩衝液を以下のように調製した:
E-BUF=500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+2.5%Tergitol
UREA=83mM Tris-HCl[pH8.0]+10M尿素
Tris+NaCl=500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム
【0316】
BioEstaporビーズ(Merck、カタログ番号BE-M 08/0.3)を使用前に再懸濁した。
【0317】
プロトコール:
黄色ブドウ球菌o/n液体培養物をBacTec PLUS好気性ブロスにおける標準として設定し、次に、翌日(約16時間後)、3.0μL o/nを3mLの血液ブロス(1E-3希釈)に添加し、37℃、500rpmで4時間の成長を行った。
4時間の成長後、黄色ブドウ球菌の前培養物は、予め加温された血液ブロス中で1E-6まで連続希釈(DF10)された。
全ての黄色ブドウ球菌希釈液及びNSCに対して100μLのTVCを行った
【0318】
DynaMag-2磁石を使用した手動試料処理及びピペットによる手動液体移送:
初期設定
尿素を用いた試料について、0.75mLの尿素+15μLビーズを含有する2mLチューブに0.25mLの標本を添加した
凍結する試料について、1mLの標本を2mLチューブに添加し、次に、ドライアイス上で5分間、迅速に凍結させた。標本を37℃で5分間解凍し、次に、112μLのTris+NaCl+15μLビーズを添加した
E-BUF又はTris+NaClを使用する試料について、1mLの標本を、112μLの結合緩衝液(E-BUF又はTris+NaClのいずれか)+15μLのビーズを含有する2mLチューブに添加した
【0319】
全試料の処理
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化する
全てのs/nを除去する
1mLのWBを添加し、チューブを37℃で3分間混合する(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化する
全てのs/nを除去する
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出す
ETGA反応を行う:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCR設定する(10μL反応)
【0320】
観察:
血液溶解は、解凍後の凍結試料で観察された(
図1を参照されたい)
尿素ではほぼ瞬時に血液溶解が観察された
いくつかのビーズは、尿素を用いた試料の処理中に喪失するように見えた
Tris+NaCl試料セットでは明らかな血液溶解は観察されなかった(予想通り)
【0321】
結果:
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【0322】
図1は、E-BUF、尿素、Tris+NaCl、凍結(左から右)の各試料セットの血液溶解の程度を示す。
【0323】
分析:
磁性ビーズによる黄色ブドウ球菌の微生物捕捉及び検出は、Confirmによって決定されるように、代替の溶解法に匹敵し、血液溶解はない。
しかしながら、ETGAによる微生物検出は、血液由来ETGAシグナルの減少に影響するため、代替の血液溶解法によって異なる程度に改善される。
【0324】
実施例9:SPSは、全血における最適なビーズ性能、試料処理及び微生物検出に必要である
目的:
1mLの全血試料を用いて、Magnitor迅速テストに最適なSPS濃度を決定すること。副次的目的は、TVCにより決定した全血中の微生物生存率におけるSPSの効果を評価することであった。
【0325】
試験条件:
2×5mLの全血又はBacTec PLUS好気性血液ブロス(1:3比)を各試料セット(大腸菌及びNSC試料)に分注した。次に、SPSを次のように添加した:
【0326】
試料セット 10%SPS(μL)
BB なし
WB0% なし
WB0.01% 5
WB0.02% 10
WB0.04% 20
WB0.06% 30
WB0.08% 40
WB0.10% 50
【0327】
次に、5μLの大腸菌1E-2前培養液を5mLの各標本チューブに添加し、標準1E-5希釈試料を再作製した
【0328】
プロトコール:
ニュートリエントブロス(NB)中の1.88μLの正味(neat)o/nを3mLのNBに添加し;2時間、37℃、500rpmでインキュベートした
2時間後、大腸菌の前培養物を温めたNBで10倍に希釈し;次に、5μLを各5mLの標本チューブ(試験条件において示されるように調製される)に添加した
直ちにMagnitor試験を開始し、以下に詳述されるようにTVCを行った。
【0329】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
112μLのE-BUF(500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+2.5%Tergitol)+15μLビーズ(BioEstapor、Merck、カタログ番号BE-M 08/0.3)を各試料チューブに予め装填し、次に1mLの標本を試料チューブに添加した
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、チューブをRTで3分間混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出した
ETGA反応を行う:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0330】
結果:
TVC分析
ゼロ時間でCOLプレートに100μL
試料ビジョウス(約2mLの試料を含有する)を室温(20.4℃)でベンチ上に放置した(静止)
TVCを表に示される時間点で行った:試料を播種前に完全に混合した
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【0331】
分析:
SPSは、TVCアッセイに基づいて全血に微生物保護/生存率を提供する利点を示しているが、全血中の大腸菌の生存率に一般的に大きな問題はない
SPSの取り込みは、ETGAとConfirmの読み出しの両方の試料処理効率及び微生物検出性能を改善した
0.06%のSPSは、TVCベースの生存率;ETGA検出(大腸菌及びNSC試料Ctを考慮した最良の結果);及びIPC Ct値で示されるPCR阻害に関して最良の結果をもたらした。Confirm GrNeg結果はまた、全血にSPSを加えることによって改善されたが、SPSの正確な濃度はそれほど重要ではなかった。
【0332】
実施例10:磁性ビーズによる血液からの微生物捕捉は、同サイズ(約300nm直径)の種々の市販のカルボキシル化ビーズ製品を使用して起こる
目的:
MomentumのMagnitorアッセイを用いて、同サイズの代替のカルボキシル化磁性ビーズを比較すること。
【0333】
【0334】
プロトコール:
大腸菌及び化膿連鎖球菌o/n液体培養物をそれぞれ3mLブロス及び血液ブロス(BacTec PLUS好気性)における標準として設定し、16~20時間(37℃)インキュベートした
【0335】
翌日:
大腸菌の液体培養物を血液ブロスで1E-3に希釈し、次に、血液ブロス(血液ブロス1mLあたり6.25μL)にスパイクし、1時間30分(37℃)プレインキュベートした
化膿連鎖球菌の液体培養物を血液ブロスで1E-1に希釈し、次に、血液ブロス(血液ブロス1mLあたり6.25μL)にスパイクし、2時間30分(37℃)プレインキュベートした
【0336】
午前に行われた大腸菌実験
大腸菌の1E-3前培養物を血液ブロスで連続希釈し、5希釈点(1E-3~1E-7)を生成した
試料は、15μlの1%固体ビーズ+112μLの結合緩衝液を予め装填した2mLチューブに1mL標本を添加することにより設定され;及びMagnitor V4.0試験を行った:3つのビーズタイプを有するビーズタイプあたり5希釈点+3つのNSC(8つの試料セット)を各epMotion 5073mで試験した
【0337】
午後に行われた化膿連鎖球菌実験
化膿連鎖球菌の1E-3前培養物を血液ブロスで連続希釈し、5希釈点(1E-1~1E-5)を生成した
試料は、15μlの1%固体ビーズ+112μLの結合緩衝液を予め装填した2mLチューブに1mL標本を添加することにより設定され;及びMagnitor V4.0試験を行った:3つのビーズタイプを有するビーズタイプあたり5希釈点+3つのNSC(8つの試料セット)を各epMotion 5073mで試験した
【0338】
Magnitor V4.0プロトコール(epMotion 5073m上の自動化試料処理)
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
15分間、磁化した
1mLのs/nを除去した
ビーズが磁化されている間に0.82mLのWBをチューブに添加した
1mLのs/nを除去した
ビーズが磁化されている間に50μLのLMをチューブに添加した
磁化をオフにし、ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのためにqPCRを設定した(10μL反応)
【0339】
結果:
内部陽性閾値(Pt)を各ビーズタイプについてNSC(n=6)を用いて計算した:式=PERCENTILE.INC(アレイ,0.05)
【表40】
【表41】
【表42】
【0340】
観察:
ビーズBは、1%固形分に希釈する前に再懸濁することが困難であり、1%固形分に希釈した後、目視でより希釈されているように見えた
処理の終了時に、試料をDynaMag-2磁気ラック上に配置し、全てのビーズタイプC-Gは、重いペレットを有すると思われるビーズA、及び非常に小さなビーズペレットを有するビーズBとは別に、同様に磁化した
【0341】
分析:
ここで試験した全てのカルボキシル化磁性ビーズは、ETGA及びConfirm読み出しによって決定した場合、微生物結合を実証する。しかしながら、微生物検出の感度は、血液由来ETGAシグナル及び/又はアッセイ阻害のレベルに依存して、いくぶん変化する。
【0342】
実施例11:磁性ビーズによる血液からの微生物捕捉は、種々の異なるビーズサイズ及び機能性被覆を用いて起こる
目的:
MomentumのMagnitor試験(ETGA及びConfirm技術)を用いて、異なるサイズ及び機能性被覆を有する市販の様々な磁性ビーズについて微生物捕捉性能を比較すること。自動化(プロトコール1)及び手動(プロトコール2)試料処理のための微生物捕捉を実証するために、2つの実験を行った。重要なことに、プロトコール2は、3つのビーズ再懸濁洗浄を含み、ETGA/Confirmシグナルが試料キャリーオーバーよりもビーズ結合した微生物細胞に特異的であることをより説得力をもって実証する(単一ビーズを磁化した洗浄ステップを含むプロトコール1とは対照的である)。
【0343】
【0344】
試料設定(プロトコール1及び2について別々に行い、異なる日に行った):
大腸菌o/n液体培養物を3mLブロス(BacTec PLUS好気性)における標準として設定し、16~20時間(37℃)インキュベートした
翌日、大腸菌の液体培養物を血液ブロスで1E-3に希釈し、2時間の成長インキュベーション(500rpmで37℃)を行った
2時間の成長インキュベーション後、大腸菌の1E-3前培養物を血液ブロスで連続希釈し、3つの希釈点(EC 1E-6~1E-8)を生成した
1mLの標本(3つの大腸菌希釈物及び3つのNSC試料:6つの試料セット)を112μLの10×E-BUF(500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+2.5%Tergitol)+15μLビーズ(1%固体)を予め装填した2mL試料チューブに添加し、次に、プロトコール1又はプロトコール2(下記参照)のいずれかに従ってMagnitor試験を開始した。
【0345】
プロトコール1(epMotion 5073mでの自動化試料処理):
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
15分間、磁化した
1mLのs/nを除去した
ビーズが磁化されている間に、0.82mLのWBをチューブに添加した
1mLのs/nを除去した
ビーズが磁化されている間に、50μLのLMをチューブに添加した
磁化をオフにし、ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのためにqPCRを設定した(10μL反応)
【0346】
プロトコール2(DynaMag-2磁石及びピペットによる手動液体移送を使用した手動試料処理):
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、RTで2分間、チューブを混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、RTで2分間、チューブを混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、RTで2分間、チューブを混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出した
ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0347】
【0348】
分析:
これらの結果は、種々の異なるビーズサイズ及び機能性被覆が、ETGA及びConfirm読み出しによって決定した場合に、同等のレベルの微生物結合を生成することを実証する。
【0349】
実施例12:異なるサイズ及び機能性被覆の磁性ビーズを使用して、血液から広範囲の微生物種(グラム陰性、グラム陽性及びカンジダ)を捕捉することができる
目的:
MomentumのMagnitor試験(ETGA及びConfirm技術)を用いて、異なるサイズ及び機能性被覆を有する市販の様々な磁性ビーズについて微生物捕捉性能を比較すること。大腸菌は、以前に、(ビーズサイズ及び被覆I:供給源実験:20190221_WP7_Bead-Comparison_Analysis及び20190228_WP7_Bead-Comparison-3-wash_Analysis)試験された:この以前の研究を拡大するために、3つの追加微生物種を試験した(黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌及びカンジダ・アルビカンス)。
【0350】
【0351】
プロトコール:
試料設定:
BacTec PLUS好気性ブロス(寒天プレートから3mLのブロスを接種)における微生物の一晩液体培養物(o/n)の設定。翌日(約16時間後)、3mL血液ブロス(1E-1希釈)に300μLの肺炎連鎖球菌及びカンジダ・アルビカンス液体培養物を接種し、3mL血液ブロス(1E-3希釈)に3μLの黄色ブドウ球菌液体培養物を接種し;2時間の成長を37℃、500rpmで行った。
2時間の成長後、微生物前培養物を血液ブロスで希釈(DF10)し、微生物あたり3つの希釈点を作製した。
各微生物希釈に対して100μLのTVCを行った
【0352】
DynaMag-2磁石を用いて行ったMagnitorの手動シミュレーション及び手動液体移送:
15μLのビーズ(1%固体)及び112μLのE-BUF(500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+2.5%Tergitol)を予め装填した2mLの試料チューブに1mLの標本(微生物種あたり3希釈、及び3NSC試料:12試料セット)を添加した
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、RTで3分間、チューブを混合する(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出した
ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0353】
【0354】
分析:
これらの結果は、種々の異なるビーズサイズ及び機能性被覆が、ETGA及びConfirm読み出しによって決定されるように、同等のレベルの微生物結合を生成することを実証する。
【0355】
実施例13:異なるサイズ及び機能性被覆の磁性ビーズを使用して、単純なTris+NaCl緩衝液から広範囲の微生物種(グラム陰性、グラム陽性及びカンジダ)を捕捉することができる
目的:
MomentumのMagnitor試験(ETGA及びConfirm技術)を用いて、異なるサイズ及び機能性被覆を有する市販の様々な磁性ビーズについて微生物捕捉性能を比較すること。この実験は、標本として単純な緩衝液(50mM Tris-HCl[pH 8.0]+150mM NaCl)及び洗浄緩衝液を用いて行われ、すなわち微生物溶解混合物を添加するまで界面活性剤を使用しなかった。
【0356】
【0357】
プロトコール:
試料設定:
BacTec PLUS好気性ブロス(寒天プレートから3mLのブロスを接種)では、微生物の一晩液体培養物(o/n)を設定する。翌日(約16時間後)に、3μLの大腸菌及び黄色ブドウ球菌の液体培養物を3mLのブロス(1E-3希釈)に接種し、300μLのカンジダ・アルビカンスの液体培養物を3mLのブロス(1E-1希釈)に接種し、2時間の成長を37℃、500rpmで行った。
2時間の成長後、微生物の前培養物を1×Tris+NaCl緩衝液中で希釈(DF10)し、微生物あたり3つの希釈点を作製した。
各微生物希釈に対して100μLのTVCを行った
【0358】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
15μLのビーズ(1%固体)を予め装填した2mLの試料チューブに1mLの標本(微生物種あたり3希釈、及び3NSC試料:12試料セット)を添加した
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWB(1×Tris+NaCl)を添加し、RTで3分間、チューブを混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出した
ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0359】
【0360】
分析:
これらの結果は、クリーンな系(すなわち、生物学的標本の代わりに単純なTris+NaCl緩衝液)において、種々の異なるビーズサイズ及び機能性表面(カルボキシル化及び疎水性)が、ETGA及びConfirm読み出しによって決定した場合に、同等レベルの微生物結合を生じさせることを実証する。
興味深いことに、アミノ化ビーズ(NH2-1.5)は、微生物結合がほとんど/全くないことを示す標本タイプの極めて不良なMagnitor結果を生じた。この観察は、アミノ化されたビーズが試験された他のビーズと同等レベルの微生物捕捉を生成した血液ブロス標本の状況とは異なる。
【0361】
実施例14:異なるサイズ及び機能性被覆の磁性ビーズを使用して、非溶解血液から広範囲の微生物種(グラム陰性、グラム陽性及びカンジダ)を捕捉することができる
目的:
MomentumのMagnitor試験(ETGA及びConfirm技術)を用いて、血液溶解の不存在下、すなわち結合緩衝液中に界面活性剤を含まない場合、異なるサイズ及び機能性被覆を有する市販の様々な磁性ビーズについて微生物捕捉性能を比較すること。
【0362】
【0363】
プロトコール:
試料設定:
BacTec PLUS好気性ブロス(寒天プレートから3mLのブロスを接種)では、微生物の一晩液体培養物(o/n)を設定する。翌日(約16時間後)に、3μLの大腸菌及び黄色ブドウ球菌の液体培養物を3mLのブロス(1E-3希釈)に接種し、300μLのカンジダ・アルビカンスの液体培養物を3mLの血液ブロス(1E-1希釈)に接種し、2時間の成長を37℃、500rpmで行った。
2時間の成長後、微生物の前培養物を血液ブロス中で希釈(DF10)し、微生物あたり3つの希釈点を作製した。
各微生物希釈に対して100μLのTVCを行った
【0364】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
15μLのビーズ(1%固体)及び112μLの結合緩衝液(Tris-HCl+塩化ナトリウム)を予め装填した2mLの試料チューブに1mLの標本(微生物種あたり3希釈、及び3NSC試料:12試料セット)を添加した
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、RTで3分間、チューブを混合した(1000rpm)
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出した
ETGA反応を行う:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0365】
【0366】
分析:
これらの結果は、種々の異なるビーズサイズ及び機能性被覆が、ETGA及びConfirm読み出しによって決定した場合に、血液溶解の不存在下で、血液から同等レベルの微生物結合を生じさせることを実証する
しかしながら、ETGAによる微生物検出は、微生物結合中の血液溶解に関する以前の実験と比較した場合、血液溶解の不存在下でのNSC ETGAシグナルの増加によって実質的に減少する。
【0367】
実施例15:磁性ビーズによる微生物捕捉は、種々の複雑な生物学的標本タイプにおいて起こる
目的:
磁性ビーズを用いた微生物捕捉が、血液に加えて、他の複雑な生物学的流体に対して可能かどうかを調べること。
【0368】
【0369】
プロトコール:
大腸菌o/n液体培養物をBacTec PLUS好気性ブロスにおける標準として設定し、次に、翌日(約16時間後)、3μL o/nを3mLのブロス(大腸菌1E-3)に添加し、37℃、500rpmで2時間の成長インキュベーションを行った。
2時間の成長後、大腸菌1E-3の前培養物を各標本タイプにおいて5連続希釈点(大腸菌1E-6~1E-9)に希釈した。COL寒天プレート上で100μLのTVCを行った。
【0370】
DynaMag-2磁石及び手動液体移送を使用して行ったMagnitorの手動シミュレーション:
1mLの標本は、112μLの結合緩衝液(500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム+10%Igepal+2.5%Tergitol+0.5%デオキシコール酸ナトリウム)+15μLビーズ(BioEstaporビーズ;Merck #BE-M08/03(1%固体))を予め装填した2mLの試料チューブに添加された-注記、Tris-NaCl試料セットについての試料チューブは、112μLの結合緩衝液を予め装填していない(再増殖アッセイのための微生物増殖を阻害する可能性がある界面活性剤の混入を避けるためである)
37℃で30分間、振とうした(1000rpm)
DynaMag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
1mLのWBを添加し、RTで3分間混合する(1000rpm)-注記、再増殖アッセイのための微生物増殖を阻害する可能性がある界面活性剤の混入を避けるために、Tris+NaCl試料セット用の洗浄緩衝液の代わりに1mLのTris+NaCl緩衝液を添加した
Dynmag-2上で5分間、磁化した
全てのs/nを除去した
50μLのLMをチューブに添加し、磁石を取り出す-注記、再増殖アッセイのために100μLのTris+NaCl緩衝液にビーズを再懸濁した
ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのために手動qPCRを設定した(10μL反応)
【0371】
【0372】
対のTris+NaCl試料セットの再増殖アッセイ
1.100μlのTris+NaCl標本を播種/接種した-「標本」
2.100μlの上清を微生物結合ステップ後に播種/接種した-「結合後」
3.100μlの上清を洗浄ステップ後に播種/接種した-「洗浄後」
4.50μLのビーズを100μLのTris+NaCl緩衝液に再懸濁し、播種/接種した(すなわち、50%の材料をプレート上に、及び50%の材料を液体培養物に接種した)-「ビーズ」
【0373】
プレート及び液体培養物を一晩、37℃でインキュベートした
【表60】
【表61】
【表62】
【表63】
【0374】
分析:
これらの結果は、磁性ビーズが、ETGA及びConfirm読み出しによって決定した場合、種々の複雑な生物学的標本タイプから微生物を捕捉するために使用し得ることを実証する。
再増殖アッセイは、大腸菌が磁性ビーズに結合した後、「ビーズ」試料セットの観察可能な増殖によって決定した場合、寒天及び液体培養物上で再増殖し得ることを実証する。
【0375】
実施例16:標本溶解の不存在において、非血液標本から微生物の捕捉及び検出が可能である
目的:
非溶解性結合緩衝液及び非溶解性洗浄緩衝液を用いて、ミルク及び尿の非血液標本における微生物捕捉及び検出を示すこと。
【0376】
調製:
10×Tris+NaCl結合緩衝液=500mM Tris-HCl[pH8.0]+1.5M塩化ナトリウム
1×Tris+NaCl洗浄緩衝液=10×Tris+NaCl結合緩衝液の10分の1希釈
新鮮な(ヒト)尿
半脱脂(低温殺菌)牛乳
【0377】
BioEstaporビーズ(Merck、カタログ番号BE-M 08/0.3)を使用前に再懸濁した。
【0378】
プロトコール:
BacTec PLUS好気性ブロスにおける標準として大腸菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス及び肺炎連鎖球菌o/n液体培養物を設定した
翌日(約16時間後)、3μLの大腸菌及び黄色ブドウ球菌o/nを使用して、新鮮な3mLのブロス培養物(1E-3希釈)に接種し、300μLのカンジダ・アルビカンス及び肺炎連鎖球菌を使用して、新鮮な3mLのブロス培養物(1E-1希釈)に接種し、2時間の成長を37℃、500rpmで行った。
2時間の成長後、微生物の前培養物を予め温めた新鮮な尿及び新鮮なミルク中で連続希釈(DF10)し、5つの希釈点:大腸菌1E-5~1E-9、黄色ブドウ球菌1E-5~1E-9、カンジダ・アルビカンス1E-2~1E-6、及び肺炎連鎖球菌1E-2~1E-6を生じさせた。
ミルク及び尿中で試験した各微生物希釈について100μLのTVCを行い、ミルク及び尿のNSCを3種類の寒天プレート(SAB、COL及びCBA)上に播種した。
112μLの結合緩衝液+15μLビーズ(1%固体)を予め装填した2mL試料チューブに、1mLの標本(各微生物種の5希釈及び4つのNSC試料:標本タイプあたり24試料)を添加し、次に自動化Magnitor試験を開始した。
【0379】
epMotion 5073m上での自動化試料処理:
37℃で30分間、軌道混合した(1000rpm)
15分間、磁化した
1mLのs/nを除去した
ビーズが磁化されている間に0.82mLのWB(1×Tris+NaCl)をチューブに添加した
1mLのs/nを除去した
ビーズが磁化されている間に50μLのLMをチューブに添加した
磁化をオフにし、ETGA反応を行った:26℃にて1000rpmで5分間、次に800rpmで55分間
ETGA及びConfirmのためにqPCRを設定した(10μL反応)
【0380】
【0381】
分析:
これらの結果は、ETGA及びConfirm読み出しによって決定した場合に、標本溶解の不存在において、磁性ビーズによる微生物捕捉が血液に代わる標本(特に、尿及びミルク)で可能であることを実証する。
しかしながら、これらの標本タイプ(特に、ミルク)における共生微生物の存在は、ETGA及びConfirm読み出しのバックグラウンドシグナルのレベルに影響を与える。
前記粒子が、(i)炭水化物、(ii)アポリポタンパク質Hタンパク質由来のペプチド、および(iii)マンノース結合レクチンタンパク質のいずれでも被覆されていない外面を有する、請求項1または2に記載の方法。
インキュベートするステップが、試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム及び/又は試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬の存在下で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
ステップ(c)が、(i)微生物に関連する核酸分子の酵素活性を検出するステップ、(ii)サイトメトリー又は顕微鏡により微生物を直接検出するステップ、(iii)細胞培養後に微生物を検出するステップ、(iv)核酸増幅により微生物を検出するステップ、又は(v)核酸配列決定により微生物を検出するステップを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
前記核酸修飾酵素が、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼを含み、任意選択で、前記DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼIである、請求項6に記載の方法。
ステップb)が、(i)前記粒子-微生物複合体から前記非微生物細胞を除去する工程をさらに含む;および/または(ii)磁場又は遠心分離を用いて行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
試料中に存在する無傷の微生物を保持しながら、試料中の非微生物細胞を選択的に溶解する試薬が界面活性剤であり;任意選択で界面活性剤は非イオン性である、及び/又は、界面活性剤が微生物と複合体を形成することができる粒子にコンジュゲートしていない、請求項4~10のいずれか一項に記載の方法、請求項12又は13に記載のキット。
粒子が磁性であり、任意選択で、粒子が超常磁性である、請求項1~10、14、15のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11~15のいずれか一項に記載のキット。
微生物が病原性微生物であり、任意選択で、病原性微生物が病原性細菌又は真菌である、請求項1~10、14~17のいずれか一項に記載の方法、又は請求項11~17のいずれか一項に記載のキット。