(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038121
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】CRISPR関連タンパク質をコードする核酸、及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240312BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240312BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240312BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
A61K31/7088
A61K48/00
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P37/02
A61P29/00
A61P31/00
A61P3/00
A61P25/00
A61K9/08
C12N15/09 110
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219252
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2019551949の分割
【原出願日】2018-03-23
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/057110
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/076775
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509014386
【氏名又は名称】キュアバック エスイー
【氏名又は名称原語表記】CureVac SE
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Miescher-Strasse 15,72076 Tuebingen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・シェヴェシエール-テュネセン
(72)【発明者】
【氏名】マリオン・ポーニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シュラケ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生物医学の分野、特に、治療用核酸の分野に関し、CRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸、特にRNAを提供する。
【解決手段】a.少なくとも1つのCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード領域と;b.SLC7A3、ATP5A1、RPL32、HSD17B4、NOSIP、ASAH1、RPL31、TUBB4B、UBQLN2、MP68、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと;c.GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、COX6B1、NDUFA1、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントとを含むことを特徴とする人工核酸分子を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1つのCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード領域と;
b.SLC7A3、ATP5A1、RPL32、HSD17B4、NOSIP、ASAH1、RPL31、TUBB4B、UBQLN2、MP68、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと;
c.GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、COX6B1、NDUFA1、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントとを含むことを特徴とする人工核酸分子。
【請求項2】
前記遺伝子のそれぞれが、天然に存在するDNA配列、並びにそのホモログ、変異体、断片、及び対応するRNA配列を含む請求項1に記載の人工核酸分子。
【請求項3】
a.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
b.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
c.ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
d.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
e.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
f.RPL32遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びALB遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
g.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
h.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
i.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
j.NOSIP遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
k.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
l.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
m.ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
n.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCOX6B1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
n.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
o.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
p.NOSIP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
q.RPL31遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
r.TUBB4B遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
s.UBQLN2遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
t.MP68遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
u.MP68遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントを含む請求項1から2のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項4】
d、e、g、又はlに係るUTRエレメントを含む請求項3に記載の人工核酸分子。
【請求項5】
-HSD17B4遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号1に係るDNA配列、又は配列番号1に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号2に係るRNA配列、又は配列番号2に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-RPL32遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号21に係るDNA配列、又は配列番号21に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号22に係るRNA配列、又は配列番号22に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-NDUFA4遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号9に係るDNA配列、又は配列番号9に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号10に係るRNA配列、又は配列番号10に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-SLC7A3遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号15に係るDNA配列、又は配列番号15に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号16に係るRNA配列、又は配列番号16に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-NOSIP遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号11に係るDNA配列、又は配列番号11に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号12に係るRNA配列、又は配列番号12に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-ATP5A1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号5に係るDNA配列、又は配列番号5に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号6に係るRNA配列、又は配列番号6に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-ASAH1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号3に係るDNA配列、又は配列番号3に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号4に係るRNA配列、又は配列番号4に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-Mp68遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号7に係るDNA配列、又は配列番号7に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号8に係るRNA配列、又は配列番号8に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-Rpl31遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号13に係るDNA配列、又は配列番号13に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号14に係るRNA配列、又は配列番号14に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-TUBB4B遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号17に係るDNA配列、又は配列番号17に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号18に係るRNA配列、又は配列番号18に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-Ubqln2遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントが、配列番号19に係るDNA配列、又は配列番号19に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号20に係るRNA配列、又は配列番号20に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-GNAS遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号29に係るDNA配列、又は配列番号29に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号30に係るRNA配列、又は配列番号30に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-CASP1遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号25に係るDNA配列、又は配列番号25に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号26に係るRNA配列、又は配列番号26に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-PSMB3遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号23に係るDNA配列、又は配列番号23に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号24に係るRNA配列、又は配列番号24に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-ALB遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号35に係るDNA配列、又は配列番号35に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号36に係るRNA配列、又は配列番号36に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-RPS9遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号33に係るDNA配列、又は配列番号33に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号34に係るRNA配列、又は配列番号34に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-COX6B1遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号27に係るDNA配列、又は配列番号27に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号28に係るRNA配列、又は配列番号28に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;又は
-Ndufa1遺伝子に由来する前記3’UTRエレメントが、配列番号31に係るDNA配列、又は配列番号31に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号32に係るRNA配列、又は配列番号32に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなる請求項1から4のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項6】
前記CRISPR関連タンパク質が、CRISPR関連野生型タンパク質、そのホモログ、変異体、断片、及び誘導体を含む請求項1から5のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項7】
前記CRISPR関連タンパク質が、Cas9、Cpf1(Cas12)、C2c1、C2c3、Cas13、CasX、又はCasYから選択される請求項1から6のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項8】
配列番号428~441;10999~11001;442~1345のいずれかに係るアミノ酸配列、又は配列番号428~441;10999~11001;442~1345のいずれかに係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はこれらの配列のいずれかの変異体又は断片を含む又はからなるCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列を含む請求項1から7のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項9】
前記CRISPR関連タンパク質誘導体が、少なくとも1つの更なるエフェクタードメインを含み、前記少なくとも1つの更なるエフェクタードメインが、任意に、KRAB、CSD、WRPW、VP64、p65AD、及びMxiから選択される請求項8に記載の人工核酸分子。
【請求項10】
核局在化シグナル(NLS)をコードする少なくとも1つの核酸配列を更に含み、前記核局在化シグナルが、任意に、配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列、又は配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるNLS、及び配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列、又は配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるNLS、又は配列番号12021~14274に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するNLSから選択される請求項1から9のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項11】
タンパク質又はペプチドタグをコードする少なくとも1つの核酸配列を更に含む請求項1から10のいずれかに記載の人工核酸分子。
【請求項12】
前記人工核酸分子の少なくとも1つのコード領域が、配列番号411;2540~2553;11117~11119;11355~11357;2554~3457;1380~1393;3700~3713;4860~4873;6020~6033;7180~7193;8340~8353;11237~11239;11473~11475;11591~11593;11709~11711;11827~11829;11945~11947;1394~2297;3714~4617;4874~5777;6034~6937;7194~8097;8354~9257;412;3474~3887 2314~2327;4634~4647;5794~5807;6954~6967;8114~8127;413~425;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975,10074~10087;10186~10199;10298~10311;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983,5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391のいずれかに係る核酸配列;又は前記核酸配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる請求項1から11のいずれか記載の人工核酸分子。
【請求項13】
配列番号10552;3458~3459;3460~3473;2298~2299;4618~4619;5778~5779;6938~6939;8098~8099;9258~9259;2300~2313;4620~4633;5780~5793;6940~6953;8100~8113;9260~9273;3488~3489;10396;2328~2329;10395;4648~4649;10397;5808~5809;10398;6968~6969;10399;8128~8129;10400;9274~9287;3504~3505;3520~3521;3536~3537;3552~3553;3568~3669;3584~3585;3600~3601;3616~3617;3632~3633;3648~3649;3664~3665;3680~3681;3696~3697;9528~9529;9640~9641;9752~9753;9864~9865;9976~9977;10088~10089;10200~10201;10312~10313;10403;10410;10417;10424;10431;10438;10445;10452;10459;10466;10473;10480;10487;10494;10501;10508;10515;10522;10529;10536;10543;2344~2345;2360~2361;2376~2377;2392~2393;2408~2409;2424~2425;2440~2441;2456~2457;2472~2473;2489~2490;2504~2505;2520~2521;2536~2537;9512~9513;9624~9625;9736~9737;9848~9849;9960~9961;10072~10073;10184~10185;10296~10297;10402;10409;10416;10423;10430;10437;10444;10451;10458;10465;10472;10479;10486;10493;10500;10507;10514;10521;10528;10535;10542;4664~4665;4680~4681;4696~4697;4712~4713;4728~4729;4744~4745;4760~4761;4776~4777;4792~4793;4808~4809;4824~4825;4840~4841;4856~4857;9544~9545;9656~9657;9768~9769;9880~9881;9992~9993;10104~10105;10216~10217;10328~10329;10404;10411;10418;10425;10432;10439;10446;10453;10460;10467;10474;10481;10488;10495;10502;10509;10516;10523;10530;10537;10544;5824~5825;5840~5841;5856~5857;5872~5873;5888~5889;5904~5905;5920~5921;5936~5937;5952~5953;5968~5969;5984~5985;6000~6001;6016~6017;9560~9561;9672~9673;9784~9785;9896~9897;10008~10009;10120~10121;10232~10233;10344~10345;10405;10412;10419;10426;10433;10440;10447;10454;10461;10468;10475;10482;10489;10496;10503;10510;10517;10524;10531;10538;10545;7033;7048~7049;7064~7065;7080~7081;7096~7097;7112~7113;7128~7129;7144~7145;7160~7161;7176~7177;9576~9577;9688~9689;9800~9801;9912~9913;10024~10025;10136~10137;10248~10249;10360~10361;10406;10413;10420;10427;10434;10441;10448;10455;10462;10469;10476;10483;10490;10497;10504;10511;10518;10525;10532;10539;10546;8144~8145;8160~8160;8176~8177;8192~8193;8208~8209;8224~8225;8240~8241;8256~8257;8272~8273;8288~8289;8304~8305;8320~8321;8336~8337;9592~9593;9704~9705;9816~9817;9928~9929;10040~10041;10152~10153;10264~10265;10376~10377;10407;10414;10421;10428;10435;10442;10449;10456;10463;10470;10477;10484;10491;10498;10505;10512;10519;10526;10533;10540;10547;9288~9289;10401;10553;10582~10583;10579~10580;10585~10586;10588~10589;10591~10592;10594~10595;10597~10598;10554~10574;10601;10602;10615;10616;10629;10630;10643;10644;10657;10658;10671;10672;10685;10686;10699;10700;10713;10714;10727;10728;10741;10742;10755;10756;10769;10770;10783;10784;10797;10798;10811;10812;10825;10826;10839;10840;10853;10854;10867;10868;10881;10882;10603;10604;10617;10618;10631;10632;10645;10646;10659;10660;10673;10674;10687;10688;10701;10702;10715;10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10831;10832;10845;10846;10859;10860;10873;10874;10887;10888;10609;10610;10623;10624;10637;10638;10651;10652;10665;10666;10679;10680;10693;10694;10707;10708;10721;10722;10735;10736;10749;10750;10763;10764;10777;10778;10791;10792;10805;10806;10819;10820;10833;10834;10847;10848;10861;10862;10875;10876;10889;10890;10611;10612;10625;10626;10639;10640;10653;10654;10667;10668;10681;10682;10695;10696;10709;10710;10723;10724;10737;10738;10751;10752;10765;10766;10779;10780;10793;10794;10807;10808;10821;10822;10835;10836;10849;10850;10863;10864;10877;10878;10891;10892;9304~9305;9320~9321;9336~9337;9352~9353;9368~9369;9384~9385;9400~9401;9416~9417;9432~9433;9448~9449;9464~9465;9480~9481;9496~9497;9608~9609;9720~9721;9832~9833;9944~9945;10056~10057;10168~10169;10280~10281;10392~10393;10408;10415;10422;10429;10436;10443;10450;10457;10464;10471;10478;10485;10492;10499;10506;10513;10520;10527;10534;10541;10548のいずれかに係る核酸配列、又は前記核酸配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含む請求項1から12のいずれか記載の人工核酸分子。
【請求項14】
配列番号11011~11042;11249~1128011131~11162;11367~11398;11485~11516;11603~11634;11721~11752;11839~11870;11044~11116;11282~11354;11164~11236;11400~11472;11518~11590;11636~11708;11754~11826;11872~11944;11011~11042;11249~11280;11044~11116;11282~11354;11131~11162;11367~11398;11485~11516;11603~11634;11721~11752;11839~11870;11164~11236;11400~11472;11518~11590;11636~11708;11754~11826;11872~11944;11120~11122;11240;11241;11358;11359;11476;11477;11594;11595;11712;11713;11830;11831;11948;11949;11123~11130;11360~11366 11242~11248;11478~11484;11596~11602;11714~11720;11832~11838;11950~11956のいずれかに係る核酸配列、又は前記核酸配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含む請求項1から13のいずれか記載の人工核酸分子。
【請求項15】
RNAである請求項1から14のいずれか記載の人工核酸分子。
【請求項16】
モノ-、ビ-、又はマルチシストロン性である請求項15に記載のRNA。
【請求項17】
mRNA、ウイルスRNA、又はレプリコンRNAである請求項14から15のいずれかに記載のRNA。
【請求項18】
修飾された核酸、好ましくは安定化された核酸である請求項1から17のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
【請求項19】
-前記人工核酸の少なくとも1つのコード領域のG/C含量が、対応する野生型核酸の対応するコード配列のG/C含量と比較して増加している、及び/又は
-前記人工核酸の少なくとも1つのコード領域のC含量が、対応する野生型核酸の対応するコード配列のC含量と比較して増加している、及び/又は
-前記人工核酸の少なくとも1つのコード領域中のコドンが、ヒトのコドン使用に適合されており、コドン適合度指数(CAI)が、好ましくは、前記人工核酸の少なくとも1つのコード配列において増加又は最大化されている、
-前記人工核酸によってコードされるアミノ酸配列が、好ましくは、対応する野生型人工核酸によってコードされるアミノ酸配列と比較して変化しない、
請求項1から18のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
【請求項20】
5’-キャップ構造、好ましくはm7GpppN又はCap1を含む請求項1から19のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
【請求項21】
少なくとも1つのヒストンステムループを含む請求項1から20のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
【請求項22】
前記少なくとも1つのヒストンステムループが、以下の式(I)又は(II)に係る核酸配列を含む請求項21に記載の人工核酸、好ましくはRNA:
式(I)(ステム境界エレメントを含まないステムループ配列):
【化1】
式(II)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化2】
式中、
ステム1又はステム2の境界エレメントN
1-6は、1~6個、好ましくは2~6個、より好ましくは2~5個、更により好ましくは3~5個、最も好ましくは4~5個、又は5個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
ステム1[N
0-2GN
3-5]は、エレメントステム2に対して逆相補的であるか又は部分的に逆相補的であり、且つ5~7個のヌクレオチドの連続配列であり、
N
0-2は、0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは1個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
N
3-5は、3~5個、好ましくは4~5個、より好ましくは4個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
Gは、グアノシン又はその類似体であり、任意に、シチジン又はその類似体によって置換されてもよいが、但し、その場合、ステム2におけるその相補的ヌクレオチドであるシチジンも、グアノシンによって置換され、
ループ配列[N
0-4(U/T)N
0-4]は、エレメントステム1とステム2との間に位置し、且つ3~5個のヌクレオチド、より好ましくは4個のヌクレオチドの連続配列であり、
各N
0-4は、互いに独立して、0~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
U/Tは、ウリジン又は任意にチミジンを表し、
ステム2[N
3-5CN
0-2]は、エレメントステム1に対して逆相補的であるか又は部分的に逆相補的であり、且つ5~7個のヌクレオチドの連続配列であり、
N
3-5は、3~5個、好ましくは4~5個、より好ましくは4個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
N
0-2は、0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは1個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、若しくはCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
Cは、シチジン又はその類似体であり、任意に、グアノシン又はその類似体によって置換されてもよいが、但し、その場合、ステム1におけるその相補的ヌクレオチドであるグアノシンも、シチジンによって置換され、
ステム1及びステム2が、互いに塩基対合でき、
逆相補的配列を形成して、塩基対合がステム1とステム2との間で生じ得る、又は
部分的に逆相補的な配列を形成して、不完全な塩基対合がステム1とステム2との間で生じ得る。
【請求項23】
前記少なくとも1つのヒストンステムループが、以下の式(Ia)又は(IIa)に係る核酸配列を含む請求項21から22のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA:
式(Ia)(ステム境界エレメントを含まないステムループ配列):
【化3】
式(IIa)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化4】
【請求項24】
任意に、ポリ(A)配列を含み、前記ポリ(A)配列が、好ましくは10~200、10~100、40~80、又は50~70個のアデノシンヌクレオチドを含む請求項1から23のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
【請求項25】
任意に、ポリ(C)配列を含み、前記ポリ(C)配列が、好ましくは10~200、10~100、20~70、20~60、又は10~40個のシトシンヌクレオチドを含む請求項1から24のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
【請求項26】
以下のエレメントを、好ましくは5’から3’方向に含む請求項1から25のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA:
a)5’-キャップ構造、好ましくはm7GpppN又はCap1;
b)請求項1から5のいずれかに定義される5’-UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる、好ましくは配列番号1;3;5;7;9;11;13;15;17;19;又は21に係る核酸配列、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に対応する核酸配列を含む5’-UTRエレメント;
c)請求項7から13のいずれかに定義される少なくとも1つのコード配列;
d)請求項1から5のいずれかに定義される3’-UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる、好ましくは配列番号15;17;19;21;29;31;33又は35に係る核酸配列、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に対応する核酸配列を含む5’-UTRエレメント;
e)任意に、ポリ(A)テール、好ましくは10~1000、10~500、10~300、10~200、10~100、40~80、又は50~70個のアデノシンヌクレオチドからなる;
f)任意に、ポリ(C)テール、好ましくは10~200、10~100、20~70、20~60、又は10~40個のシトシンヌクレオチドからなる;及び
g)任意に、ヒストンステムループ(HSL)。
【請求項27】
請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNAと、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項28】
前記人工核酸分子、好ましくはRNAが、1以上のカチオン性又はポリカチオン性化合物、好ましくはカチオン性又はポリカチオンポリマー、カチオン性又はポリカチオン性ペプチド又はタンパク質、例えば、プロタミン、カチオン性又はポリカチオン性多糖類、及び/又はカチオン性又はポリカチオン性脂質と複合体化される請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記人工核酸分子、好ましくはRNAの、前記1以上カチオン性又はポリカチオン性ペプチド又はタンパク質に対するN/P比が、約0.3~4、約0.5~2、約0.7~2、及び約0.7~1.5の範囲を含む約0.1~10の範囲である請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記人工核酸分子、好ましくはRNAが、1以上の脂質と複合体を形成し、それによってリポソーム、脂質ナノ粒子、及び/又はリポプレックスを形成する請求項27から29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を更に含み、前記gRNAが、対象の標的DNA配列又はそれに機能可能に連結された調節エレメントにCRISPR関連タンパク質を標的化することができる請求項27から30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は請求項27から31のいずれかに記載の組成物、及び任意に液体ビヒクル及び/又は任意に前記人工核酸分子又は前記組成物の投与及び用量に関する情報を含む技術的指示を含むことを特徴とするキット、好ましくはキットオブパーツ。
【請求項33】
リンゲルラクタート溶液を一部として含む請求項32に記載のキット。
【請求項34】
ガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を更に含み、前記gRNAが、対象の標的DNA配列又はそれに機能可能に連結された調節エレメントにCRISPR関連タンパク質を標的化することができる請求項32から33のいずれかに記載のキット。
【請求項35】
医薬として使用するための、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキット。
【請求項36】
遺伝子治療において使用するための、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキット。
【請求項37】
(a)前記人工核酸分子、好ましくはRNA、前記組成物、又は前記キット、及び(b)ガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を、それを必要とする患者に投与することを含み、前記sgRNAが、CRISPR関連タンパク質を目的遺伝子、又はそれに機能可能に連結された調節エレメントに標的化することができる、目的遺伝子の発現を調節する方法における使用のための請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキット。
【請求項38】
医薬として使用するための、又は前記少なくとも1つのコード配列によってコードされるCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な疾患、障害、又は状態における遺伝子治療における使用のための、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキット。
【請求項39】
医薬として使用するための、又は目的遺伝子をノックイン、ノックアウト、又は操作する又は目的遺伝子の発現を調節することが有効である疾患、障害、又は状態の遺伝子治療において使用するための、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキット。
【請求項40】
前記疾患、障害、又は状態が、遺伝病、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、及び感染症から選択される請求項39に記載の使用のための人工核酸分子、好ましくはRNA、組成物、又はキット。
【請求項41】
前記コードされたCRISPR関連タンパク質の発現を、任意に遺伝子治療において、上昇させるための、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキットの使用。
【請求項42】
前記コードされたCRISPR関連タンパク質によって標的化される目的遺伝子の発現を調節するための、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキットの使用。
【請求項43】
a)請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNAを提供する工程と;
b)CRISPR関連タンパク質を目的の標的DNA配列、又はそれに機能可能に連結された調節エレメントを標的にすることができるガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を提供する工程と;
c)目的遺伝子の発現効率を調節するのに適した条件下で、細胞、組織、又は生物を、前記人工核酸分子、好ましくはRNA、及び、前記gRNA又はそれをコードする核酸に接触させる工程とを含む目的遺伝子の発現を調節することを特徴とする方法。
【請求項44】
障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする被験体に、請求項1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、請求項27から31のいずれかに記載の組成物、又は請求項32から34に記載のキットの有効量と、CRISPR関連タンパク質を目的の標的DNA配列又はそれに機能可能に連結された調節エレメントに標的化することができるガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸とを投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
前記障害が、前記コードされたCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な、好ましくは前記CRISPR関連タンパク質が標的とする目的遺伝子の発現の調節による治療が有効な疾患、障害、又は状態である請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記障害が、目的遺伝子をノックイン、ノックアウト、若しくは操作する、又は目的遺伝子の発現を変化させることが有効である疾患、障害、又は状態である請求項44から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
CRISPR関連タンパク質をコードするコード領域を含む人工核酸分子、好ましくはRNAの発現効率を上昇させるための方法であって、
(a)前記コード領域を、ATP5A1、RPL32、HSD17B4、SLC7A3、NOSIP、又はNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、又は変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと会合させることと;
(b)前記コード領域を、GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、又はRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、又は変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントと会合させることと;
(c)請求項1から46のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNAを得ることとを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸、特にRNA、並びにそれを含む(医薬)組成物及びキットオブパーツに関する。前記人工核酸、特にRNA、(医薬)組成物及びキットは、医学(例えば、遺伝子治療)における使用、及び、特にCRISPR関連タンパク質による治療(例えば、遺伝子編集、ノックイン、ノックアウト、又は目的の標的遺伝子の発現調節による治療)が有効な疾患の治療及び/又は予防における使用が特に想定される。
【0002】
CRISPR(クラスター化した規則的に散在した短い回文)-Casシステムは、アンチセンスRNAを使用して配列特異的に外来DNAを認識し切断することにより、侵入DNAエレメント(例えば、ウイルス、プラスミド)に対する適応免疫防御を細菌及び古細菌に付与する。最新の分類では、多様なCRISPR-Casシステムは、そのエフェクターの構成にしたがい、以下の2つのクラスに分類される。即ち、クラス1のCRISPRシステムは、幾つかのCas(CRISPR関連)タンパク質と、ガイドRNAとしてCRISPR-RNA(crRNA)とを利用し、エフェクター複合体を形成する。一方、クラス2のCRISPRシステムは、crRNAと組み合わせて大型の単一成分Casタンパク質を利用し、外来DNAエレメントとの干渉を媒介する。タイプI及びタイプIIIシステムを含む複数のクラス1 CRISPR-Casシステムが同定され、詳細に機能的に特徴付けられている。これまでに同定され、実験的に特徴付けられている大部分のクラス2 CRISPR-Casシステムは、エフェクターとしてCas9ファミリーの相同RNAガイドエンドヌクレアーゼを使用し、これは、crRNA及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)或いは合成シングルガイドRNA(sgRNA)と共にマルチドメインエンドヌクレアーゼとして機能し、侵入する標的DNAの両方の鎖を切断する(非特許文献1及び2)。
【0003】
ネイティブのCRISPR/Cas9タイプIIシステムは、本質的に3段階で機能する。外来DNAに曝露すると、短い外来DNA配列(プロトスペーサー)がCRISPR遺伝子座の短い回文の間の細菌ゲノムに組み込まれる。プロトスペーサーに近接する短い一続きの保存ヌクレオチド(プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM))が、プロトスペーサーの獲得(獲得又は適応段階)に使用される。続いて、宿主原核生物は、CRISPR遺伝子座を転写及び処理して、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)と共に、CRISPR反復エレメント及び以前の非自己DNAエレメントに対応する外来DNAの組み込まれたスペーサー遺伝子セグメントの両方を含む成熟CRISPR RNA(crRNA)を生成する(発現又は成熟工程)。最後に、crRNA及びCas9はtracrRNAと会合して、crRNA:tracrRNA:Cas9複合体を生じ、これが、侵入DNA中の相補的配列と会合する。次いで、Cas9エンドヌクレアーゼは、DNA二本鎖切断(DSB)を標的DNAに導入する(干渉段階)(非特許文献1)。
【0004】
哺乳動物細胞は、非相同末端結合法(NHEJ)又は相同性指向修復(HDR)のいずれかによりDSBに応答する。NHEJは、短い一続きのヌクレオチド塩基の無作為な挿入又は欠失を導入し、遺伝子突然変異及び機能喪失効果をもたらし得る。HDRにおいて、DNA二本鎖切断の両側に隣接する配列と相同性を有する領域を有するDNAセグメントの導入は、宿主細胞の機構による修復をもたらす(非特許文献1)。
【0005】
暫定的にタイプVに割り当てられる、第2の推定クラス2CRISPRシステムは、近年幾つかの細菌ゲノムで同定されている。推定タイプV CRISPR-Casシステムは、Cpf1又はCas12(Prevotella、Francisella 1のCRISPR、Acidaminococcus sp BV3L6(AsCpf1)、及びLachnospiraceae bacterium ND2006(LbCpf1))と呼ばれる大きな~1,300個のアミノ酸タンパク質を含む。Cpf1は、Cas9用の~100ntのガイドRNA(crRNAとtracrRNA)に代えて、その標的DNA配列を認識して結合する短いcrRNAを1つだけ必要とする。即ち、Cpf1は通常、その3’末端に、標的DNA配列のプロトスペーサーと相補的である23ntを有する単一の42ntと、プロトスペーサーの5’にTTTN PAMを示し、spCas9の平滑末端に対してDSB5’オーバーハングとして生成する。Cpf1は、Cas9システムの標的DNAに続くGリッチPAMではなく、短いTリッチプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)が先行する標的DNAを効率的に切断する。第三に、Cpf1は、4又は5ntの5’オーバーハングを有するスタガーDNA二本鎖切断を導入する(非特許文献3)。ヒト細胞におけるCpf1のオンターゲット効率はspCas9に匹敵し、Cpf1はオフターゲット切断を全く示さないか又は低下させる。
【0006】
哺乳動物ゲノムにおけるCRISPR/Casシステムの適用以来、この技術は急速に進化している:エンドヌクレアーゼ活性を示さない触媒的に不活性又は「死んだ」Cas9(dCas9)は、目的のDNA配列を標的とする適切なgRNAによって特異的に動員され得る。そのようなCasタンパク質並びにそれらの変異体及び誘導体は、用途が広く、配列特異的且つ非変異原性の遺伝子調節ツールとして特に興味深い。例えば、適切なgRNAを使用して、転写抑制又は活性化ドメインを有するdCas9誘導体を標的遺伝子に標的とし、転写抑制(CRISPR干渉、CRISPRiと呼ばれる)又は活性化(CRISPR活性化、CRISPRaと呼ばれる)をもたらすことができる。
【0007】
これらの連続的な革新により、CRISPR-Casシステムは、ゲノム工学に広く適応するようになっている。目的の標的遺伝子に特異的なgRNAは容易に調製できるので、CRISPR-Casシステムは多用途で容易にカスタマイズできる一方で、Casタンパク質は修飾を必要としない。複数の遺伝子座は、幾つかのgRNAを導入することによって容易に標的化され得る(「多重化」)。
【0008】
CRISPR/Casシステムは、細菌及び真核生物におけるゲノム編集及び転写活性化/抑制のための頑健で多用途且つ正確なツールとして首尾よく採用されており、研究及び治療目的のための有望な新しいアプローチの開発を刺激している。しかしながら、その多数の利点にもかかわらず、CRISPR/Casシステムの適用は、しばしば、Casタンパク質の不十分な発現によって妨げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Sander and Joung,Nat Biotechnol.2014 Apr;32(4):347-355
【非特許文献2】Boettcher and McManus Mol Cell.2015 May 21;58(4):575-585
【非特許文献3】Zetsche et al. Cell. 2015 Oct 22;163(3):759-771
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、これらの必要性を満たし、癌、感染症、並びに本明細書中に定義された他の疾患及び状態を治療するための改善された治療アプローチを提供することである。本発明の根底にある課題は、特許請求された主題によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施例1(インセルウェスタン)で詳述されるように、HeLa細胞のCas9の発現レベルに対する様々なUTRの組合せの効果を示す。y軸は、UTRの組合せRPL32/ALB7.1の場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図2】
図2は、実施例2(インセルウェスタン)で詳述されるように、Hek293T細胞のCas9の発現レベルに対する様々なUTRの組合せの効果を示す。y軸は、UTRの組合せRPL32/ALB7.1の場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図3】
図3は、実施例1(ウェスタンブロット)で詳述されるように、HepG2細胞のCas9の発現レベルに対する様々なUTRの組合せの効果を示す。y軸は、UTRの組合せRPL32/ALB7.1の場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図4】
図4は、実施例2(ウェスタンブロット)で詳述されるように、HeLa細胞における最適化されたspCas9 mRNA構築物の発現レベルを示す。y軸は、UTRの組合せRPL32/ALB7.1の場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図5】
図5は、実施例2(インセルウェスタン)で詳述されるように、HeLa細胞における最適化されたspCas9 mRNA構築物の発現レベルを示す。y軸は、UTRの組合せRPL32/ALB7.1の場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図6】
図6は、実施例1(インセルウェスタン)で詳述されるように、HeLa細胞における最適化されたspCas9 mRNA構築物の発現レベルを、市販のCas9 mRNAと比較して示す。y軸は、市販のCas9 mRNAの場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図7】
図7は、実施例1(インセルウェスタン)で詳述されるように、HeLa細胞における最適化されたspCas9 mRNA構築物の発現レベルを示す。y軸は、UTRの組合せRPL32/ALB7.1の場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図8】
図8は、実施例2(インセルウェスタン)で詳述されるように、Hek293T細胞における最適化されたspCas9 mRNA構築物の発現レベルを、市販のCas9 mRNAと比較して示す。
【
図9】
図9は、実施例2(ウェスタンブロット)で詳述されるように、HepG2細胞における最適化されたspCas9 mRNA構築物の発現レベルを、市販のCas9 mRNAと比較して示す。y軸は、市販のCas9 mRNAの場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図10】
図10は、ミスマッチヌクレアーゼアッセイ/ミスマッチ検出アッセイにより実施例3に詳述されるように、mRNA構築物から発現されたspCas9のDNA編集活性を示す。A:PCR増幅、B:ミスマッチ検出アッセイ。
【
図11】
図11は、%でのRPL32/ALB7に対する、HepG2における最適化されたCpf1 mRNA構築物の発現レベルを示す。y軸は、RPL32/ALB7 UTRの組合せCpf1 mRNAの場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【
図12】
図12は、%でのRPL32/ALB7に対する、HeLaにおける最適化されたCpf1 mRNA構築物の発現レベルを示す。y軸は、RPL32/ALB7 UTRの組合せCpf1 mRNAの場合に100%の発現レベルを示すように正規化されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について以下に詳細に説明するが、この発明は本明細書に記載する特定の方法、プロトコル、及び試薬に限定されるものではない(これらは変更し得る)ことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解すべきである。特に規定しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。
【0013】
以下に、本発明の構成要素について説明する。これら構成要素は、特定の実施形態と共に列挙されるが、これらを任意の方式で任意の数組み合わせて更なる実施形態を生み出すことができると理解すべきである。様々に記載される実施例及び好ましい実施形態は、本発明を明示的に記載される実施形態のみに限定すると解釈すべきではない。この説明は、明示的に記載される実施形態を、任意の数の開示する及び/又は好ましい構成要素と組み合わせた実施形態をサポート及び包含すると理解すべきである。更に、特に文脈上示されていない限り、本願に記載する全ての構成要素の任意の順序及び組合せが、本願の記載によって開示されているとみなすべきである。
【0014】
特に文脈上必要としない限り、以下の本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、用語「含む」並びに「含み」及び「含んでいる」などの変形は、指定の部材、整数、又は工程を含むことを意味するが、任意の他の指定されていない部材、整数、又は工程を除外するものではないと理解される。用語「からなる」は、任意の他の指定されていない部材、整数、又は工程が除外される、用語「含む」の特定の実施形態である。本発明の状況では、用語「含む」は、用語「からなる」を包含する。したがって、用語「を含む」は、「を含める」及び「からなる」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、Xのみからなっていてもよく、追加の要素を含んでいてもよい(例えば、X+Y)。
【0015】
用語「a」及び「an」及び「the」、並びに(特に、特許請求の範囲において)本発明を説明する際に用いる類似の参照物は、本明細書において特に指定しない限り又は文脈上明らかに矛盾していない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内の各個別の値に個々に参照する簡略な方法として機能することを意図する。本明細書において特に指定しない限り、各個別の値は、それが個々に本明細書に列挙されているかのように明細書に組み込まれる。明細書中の如何なる言語も、本発明の実施に必須である任意の請求されていない構成要素を示すと解釈すべきではない。
【0016】
用語「実質的に」は、「完全に」を除外するものではなく、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含んでいなくてもよい。必要な場合、用語「実質的に」を本発明の定義から省略する場合がある。
【0017】
数値xに関する用語「約」は、x±10%を意味する。
【0018】
本発明においては、特に断りのない限り、代替及び実施形態の異なる特徴を互いに組み合わせてもよい。
【0019】
明確に且つ読みやすくするために、以下の定義を提供する。これら定義について言及される任意の技術的特徴は、本発明の各実施形態及び全実施形態において読み取ることができる。これら実施形態に関連して更なる定義及び説明を具体的に提供する場合がある。
【0020】
定義
人工核酸分子:人工核酸分子は、典型的に、自然界には存在しない核酸分子(例えば、DNA又はRNA)であると理解してよい。言い換えれば、人工核酸分子は、非天然核酸分子として理解してよい。かかる核酸分子は、その個々の配列(自然界には存在しない)及び/又は他の修飾(例えば、自然界には存在しないヌクレオチドの構造的修飾)から非天然であり得る。人工核酸分子は、DNA分子であってもよく、RNA分子であってもよく、DNA部分とRNA部分とを含むハイブリッド分子であってもよい。典型的に、人工核酸分子は、所望の人工ヌクレオチド配列(異種配列)に相当するように遺伝子修飾方法によって設計及び/又は作製することができる。これに関連して、人工配列は、通常、自然界には存在し得ない配列である、即ち、少なくとも1つのヌクレオチドが野生型配列とは異なる。用語「野生型」とは、自然界に存在する配列であると理解してよい。更に、用語「人工核酸分子」の意味は、「1つの単一分子」には限定されず、典型的に、同一分子の集合体を含むと理解される。したがって、人工核酸分子とは、アリコートに含有されている複数の同一分子に関する場合もある。
【0021】
DNA:DNAは、デオキシリボ核酸の一般的な略称である。DNAは、核酸分子、即ち、ヌクレオチドからなるポリマーである。これらヌクレオチドは、通常、デオキシアデノシン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、及びデオキシシチジン一リン酸のモノマーであり、これらは、単独で、糖部分(デオキシリボース)、塩基部分、及びリン酸部分で構成され、特徴的な骨格構造によって重合する。前記骨格構造は、典型的に、第1のヌクレオチドの糖部分(即ち、デオキシリボース)と、隣接する第2のモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。モノマーの特定の順序、即ち、糖/リン酸骨格に結合している塩基の順序が、DNA配列と呼ばれる。DNAは、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖形態では、第1の鎖のヌクレオチドは、典型的に、例えばA/T塩基対合及びG/C塩基対合によって第2の鎖のヌクレオチドとハイブリダイズする。
【0022】
異種配列:2つの配列は、典型的に、同一の遺伝子に由来していない場合、「異種」であると理解される。即ち、異種配列は、同一の生物に由来し得たとしても、天然で(自然界で)同一の核酸分子(例えば、同一のmRNA)中に存在することはない。
【0023】
クローニングサイト:クローニングサイトは、典型的に、核酸配列、例えば、オープンリーディングフレームを含む核酸配列の挿入に好適である核酸分子のセグメントであると理解される。挿入は、例えば、制限酵素処理及びライゲーションによって当業者に公知の任意の分子生物学的方法によって実施してよい。クローニングサイトは、典型的に、1以上の制限酵素認識部位(制限酵素部位)を含む。これら1以上の制限酵素部位は、これら部位においてDNAを切断する制限酵素によって認識され得る。1超の制限酵素部位を含むクローニングサイトは、マルチクローニングサイト(MCS)又はポリリンカーと呼ばれる場合もある。
【0024】
核酸分子:核酸分子は、核酸成分を含む、好ましくは核酸成分からなる分子である。核酸分子という用語は、好ましくは、DNA又はRNAの分子を指す。好ましくは、用語「ポリヌクレオチド」と同義的に用いられる。好ましくは、核酸分子は、糖/リン酸骨格のホスホジエステル結合によって互いに共有結合しているヌクレオチドモノマーを含むか又はからなるポリマーである。また、用語「核酸分子」は、例えば、塩基が修飾されている、糖が修飾されている、又は骨格が修飾されているDNA又はRNAの分子などの修飾核酸分子も含む。
【0025】
オープンリーディングフレーム:本発明におけるオープンリーディングフレーム(ORF)は、典型的に、ペプチド又はタンパク質に翻訳され得る幾つかのヌクレオチドトリプレットの配列であってよい。オープンリーディングフレームは、好ましくは、その5’末端における開始コドン、即ち、通常アミノ酸メチオニンをコードしている3つの連続するヌクレオチドの組合せ(ATG)と、その後に、通常3の倍数である長さのヌクレオチドを有する領域とを含む。ORFは、好ましくは、終止コドン(例えば、TAA、TAG、TGA)によって終結する。典型的に、これは、オープンリーディングフレームの唯一の終止コドンである。したがって、本発明におけるオープンリーディングフレームは、好ましくは、開始コドン(例えば、ATG)で始まり、好ましくは、終止コドン(例えば、TAA、TGA、又はTAG)で終結する、3で割り切れる多数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列である。オープンリーディングフレームは、単離することができたり、例えば、ベクター又はmRNAにおけるより長い核酸配列に組み込むことができたりする。また、オープンリーディングフレームは、「(タンパク質)コード配列」、又は好ましくは「コード配列」と呼ばれる場合もある。
【0026】
ペプチド:ペプチド又はポリペプチドは、典型的に、ペプチド結合によって連結されているアミノ酸モノマーのポリマーである。典型的に、50個未満のモノマーユニットを含む。しかし、ペプチドという用語は、50個超のモノマーユニットを有する分子を除外するものではない。また、典型的に50~600個のモノマーユニットを有する長いペプチドは、ポリペプチドとも呼ばれる。
【0027】
タンパク質:タンパク質は、典型的に、1以上のペプチド又はタンパク質を含む。タンパク質は、典型的に、3次元形態に折り畳まれており、このことは、タンパク質がその生物学的機能を発揮するのに必要である場合がある。
【0028】
制限酵素部位:「制限酵素認識部位」とも呼ばれる制限酵素部位は、制限酵素によって認識されるヌクレオチド配列である。制限酵素部位は、典型的に短く、好ましくは、回文構造のヌクレオチド配列、例えば、4~8個のヌクレオチドを含む配列である。制限酵素部位は、好ましくは、制限酵素によって特異的に認識される。制限酵素は、典型的に、この部位において制限酵素部位を含むヌクレオチド配列を切断する。二本鎖DNA配列などの二本鎖ヌクレオチド配列では、制限酵素は、典型的に、ヌクレオチド配列の両方の鎖を切断する。
【0029】
RNA、mRNA:RNAは、リボ核酸の一般的な略称である。RNAは、核酸分子、即ち、ヌクレオチドからなるポリマーである。これらヌクレオチドは、通常、所謂骨格に沿って互いに結合しているアデノシン一リン酸、ウリジン一リン酸、グアノシン一リン酸、及びシチジン一リン酸のモノマーである。骨格は、第1のモノマーの糖(即ち、リボース)と第2の隣接するモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。特定の連続するモノマーをRNA配列と呼ぶ。通常、RNAは、例えば、細胞内部のDNA配列の転写によって得ることができる。真核細胞では、転写は、通常、核又はミトコンドリア内部で実施される。インビボでは、DNAの転写により、通常、所謂未成熟RNAが得られ、これは、所謂メッセンジャーRNA(通常、mRNAと略される)にプロセシングされなければならない。例えば、真核生物における未成熟RNAのプロセシングは、スプライシング、5’-キャッピング、ポリアデニル化、核又はミトコンドリアからのエクスポートなどの様々な異なる転写後修飾を含む。これらプロセス全体をRNAの成熟とも呼ぶ。成熟メッセンジャーRNAは、通常、特定のペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列に翻訳され得るヌクレオチド配列を提供する。典型的に、成熟mRNAは、5’-キャップ、5’-UTR、オープンリーディングフレーム、3’-UTR、及びポリ(A)配列を含む。メッセンジャーRNAは別として、転写及び/又は翻訳の制御に関与し得る幾つかの非コード型のRNAが存在する。
【0030】
核酸分子の配列:核酸分子の配列は、典型的に、そのヌクレオチドの特定の及び個々の順序、即ち、連続物であると理解される。タンパク質又はペプチドの配列は、典型的に、そのアミノ酸の順序、即ち、連続物であると理解される。
【0031】
配列同一性:同じ長さ及び順序のヌクレオチド又はアミノ酸を有する場合、2以上の配列は同一である。同一性の割合は、典型的に、2つの配列が同一である程度について説明する。即ち、典型的に、その配列位置においてレファレンス配列の同一ヌクレオチドと一致するヌクレオチドの割合について説明するものである。同一性の程度(「同一性%」)を決定する場合、典型的には、比較する配列は、同じ長さ、即ち、比較する配列のうちの最長の配列の長さを有するとみなされる。これは、8ヌクレオチドからなる第1の配列が、前記第1の配列を含む10ヌクレオチドからなる第2の配列と80%同一であることを意味する。言い換えれば、本発明において、配列同一性は、好ましくは、同じ長さを有する2以上の配列において配列のうちの同一位置を有するヌクレオチド又はアミノ酸の割合に関する。具体的には、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の「同一性%」は、最適な比較目的のために配列を整列させ(例えば、他方の配列との最良のアラインメントを得るために、いずれかの配列にギャップを導入することができる)、対応する位置のアミノ酸又はヌクレオチドを比較することによって決定できる。ギャップは、アラインメントにおけるその実際の位置にかかわらず、通常、非同一位置であるとみなされる。「最良のアラインメント」は、典型的には最高の同一性パーセントをもたらす2つの配列のアラインメントである。同一性パーセントは、比較される配列中の同一ヌクレオチドの数によって決定される(即ち、同一性%=同一位置の#/位置の合計#×100)。2つの配列間の同一性パーセントの決定は、当業者に知られている数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。
【0032】
安定化核酸分子:安定化核酸分子は、例えば、環境因子又はエキソヌクレアーゼ若しくはエンドヌクレアーゼによる分解などの酵素分解によって、修飾されていない核酸分子よりも崩壊又は分解に対して安定であるように修飾されている核酸分子、好ましくはDNA又はRNAの分子である。好ましくは、本発明における安定化核酸分子は、細胞(例えば、原核細胞又は真核細胞)、好ましくは哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)において安定化される。また、安定化効果は、例えば、安定化核酸分子を含む医薬組成物の製造過程において、細胞外、例えば、バッファ溶液中などでも発揮され得る。
【0033】
トランスフェクション:用語「トランスフェクション」は、DNA又はRNA(例えば、mRNA)の分子などの核酸分子を細胞、好ましくは真核細胞に導入することを指す。本発明において、用語「トランスフェクション」は、核酸分子を細胞、好ましくは真核細胞、例えば哺乳類細胞に導入するための当業者に公知の任意の方法を含む。かかる方法は、例えば、エレクトロポレーション、(例えば、カチオン性脂質及び/又はリポソームに基づく)リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、又はカチオン性ポリマー(例えば、DEAE-デキストラン又はポリエチレンイミンなど)に基づくトランスフェクションを含む。好ましくは、非ウイルス的に導入される。
【0034】
ベクター:用語「ベクター」は、核酸分子、好ましくは人工核酸分子を指す。本発明におけるベクターは、オープンリーディングフレームを含む核酸配列などの所望の核酸配列を組み込むか又は有するのに好適である。かかるベクターは、ストレージベクター、発現ベクター、クローニングベクター、トランスファーベクターなどであってよい。ストレージベクターは、核酸分子、例えば、mRNA分子を便利に保管することができるベクターである。したがって、このベクターは、例えば、所望のmRNA配列又はその一部に相当する配列(例えば、mRNAの3’-UTR及びコード配列に相当する配列)を含んでいてよい。発現ベクターは、RNA(例えば、mRNA)、又はペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質などの発現産物を産生するために用いることができる。例えば、発現ベクターは、プロモータ配列(例えば、RNAポリメラーゼプロモータ配列)などのベクターの一続きの配列の転写に必要な配列を含んでいてよい。クローニングベクターは、典型的に、核酸配列をベクターに組み込むために用いることができるクローニングサイトを含むベクターである。クローニングベクターは、例えば、プラスミドベクター又はバクテリオファージベクターであってよい。トランスファーベクターは、細胞又は生物に核酸分子を移入するのに好適なベクター、例えば、ウイルスベクターであってよい。本発明におけるベクターは、例えば、RNAベクターであってもDNAベクターであってもよい。好ましくは、ベクターは、DNA分子である。好ましくは、本願の意味におけるベクターは、クローニングサイト、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性因子)、及びベクターの増殖に好適な配列(例えば、複製起点)を含む。
【0035】
ビヒクル:ビヒクルは、典型的に、化合物(例えば、薬学的に活性のある化合物)を保管、輸送、及び/又は投与するのに好適な材料であると理解される。例えば、薬学的に活性のある化合物を保管、輸送、及び/又は投与するのに好適な生理学的に許容できる液体であってよい。
【0036】
本発明は、特定の3’及び/又は5’UTRエレメントが、コード配列、具体的には、Cas9又はCpf1などのCRISPR関連(Cas)タンパク質をコードするものの発現増加を媒介し得るという驚くべき発見に部分的に基づく。本発明者らは、具体的には、3’及び5’UTRエレメントの特定の組合せが、所望の発現プロファイル及び発現タンパク質の量を提供するのに有利であることを特に発見した。特に、ゲノムDNAの曝露を最小限としオフターゲット効果(即ち、任意の1以上の標的、遺伝子、又は細胞転写物に対する意図しない効果)を低減するために、短期間(約24時間、「パルス発現」)の高いCasタンパク質発現が多くの用途に望ましい場合がある。CRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸におけるそのような3’及び5’UTRエレメントの相乗作用は、大量のこのようなタンパク質の一過性発現がインビトロ又はインビボで望まれる場合に特に有益である。したがって、そのような人工核酸は、特に、突然変異、遺伝子ノックアウト又はノックインを導入すること、又は目的の遺伝子の発現を調節することによって治療に適し得る様々な治療用途に役立つ。
【0037】
したがって、第1の態様において、本発明は、a.少なくとも1つのCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード領域と;b.ATP5A1、RPL32、HSD17B4、SLC7A3、NOSIP、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと;c.GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントとを含む人工核酸分子に関する。
【0038】
「UTR」という用語は、本明細書に定義される人工核酸のコード配列に隣接する「非翻訳領域」を意味する。この文脈において、「UTRエレメント」は、好ましくは本明細書に例示されるように、特定遺伝子の(天然に存在する野生型の)UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる。
【0039】
特定のUTRに「由来する」UTRエレメントに言及するとき、前記UTRの配列(「親UTR」)又は前記UTRのホモログ、変異体、若しくは断片に対応する核酸配列が言及される。この用語は、前記UTR又はそのホモログ、変異体、若しくは断片の完全(完全長)野生型配列に対応する配列を含み、完全長ホモログ及び変異体、前記完全長野生型配列、ホモログ、及び変異体の断片、前記断片の変異体を含む。「対応する」という用語は、「親UTR」に由来する核酸配列がRNA配列(例えば、前記親UTR配列を規定するために使用されるRNA配列に等しい)、又は、そのようなRNA配列に対応するDNA配列(センス鎖及びアンチセンス鎖の両方並びに成熟及び未成熟の両方)であり得ることを意味する。
【0040】
遺伝子のUTR「又はそのホモログ、断片、若しくは変異体」に由来するUTRエレメントに言及するとき、表現「又はそのホモログ、断片、若しくは変異体」は、遺伝子、又はUTR、或いはその両方を意味することがある。
【0041】
遺伝子(又はそれに由来する、又はUTRのような前記遺伝子に含まれる核酸配列)の文脈における「ホモログ」という用語は、共通の祖先DNA配列に由来する第2の遺伝子(又はそのような核酸配列)に関連する遺伝子(又はそれに由来する、又は前記遺伝子に含まれる核酸配列)を意味する。用語「ホモログ」は、種分化の事象によって分離した遺伝子(「オルソログ」)及び遺伝的重複の事象によって分離した遺伝子(「パラログ」)を含む。
【0042】
遺伝子の核酸配列の文脈における「変異体」という用語は、核酸配列変異体、即ち、参照(又は「親」)核酸又は遺伝子の参照(又は「親」)核酸配列と、少なくとも1つの核酸が異なる核酸配列を含む核酸配列又は遺伝子を意味する。したがって、変異体核酸又は遺伝子は、それらのそれぞれの参照配列と比較して、好ましくは、それらの核酸配列中に少なくとも1つの突然変異、置換、挿入、又は欠失を含み得る。好ましくは、本明細書に使用される「変異体」という用語は、天然に存在する変異体、及び核酸配列又は遺伝子の操作された変異体を含む。したがって、本明細書に定義される「変異体」は、参照核酸配列に由来する、それから単離される、それに基づく、又はそれと相同であり得る。「変異体」は、それぞれの天然に存在する(野生型)核酸配列若しくは遺伝子、又はそのホモログ、断片、若しくは誘導体の核酸配列に対して、好ましくは少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有することができ、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有することができる。
【0043】
核酸配列又は遺伝子の文脈における「断片」という用語は、完全長参照(又は「親」)核酸配列又は遺伝子の連続部分配列を意味する。換言すれば、「断片」は、典型的には、完全長核酸配列又は遺伝子のより短い部分であり得る。したがって、断片は、典型的には、完全長核酸配列又は遺伝子内の対応する一続きと同一の配列からなる。この用語は、天然に存在する断片及び操作された断片を含む。本発明の文脈における配列の好ましい断片は、その断片が由来する核酸又は遺伝子中の連続する一続きの実体に対応する連続する一続きの核酸からなり、これは、その断片が由来する合計(即ち、完全長)核酸配列又は遺伝子の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%を表す。そのような断片に関して示された配列同一性は、好ましくは全核酸配列又は遺伝子を意味する。好ましくは、「断片」は、それが由来する参照核酸配列又は遺伝子に対して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含むことができ、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含むことができる。
【0044】
本発明の文脈において使用されるUTRエレメントは、好ましくは機能的である、即ちそれらが由来する天然の(野生型)UTRと同じ所望の生物学的効果を引き出すことができる、即ち特に、機能可能に連結されたコード配列の発現を制御する(即ち調節する、好ましくは増強する)ことができる。本明細書に使用される「機能可能に連結された」という用語は、「コード配列と機能的関係に置かれている」ことを意味する。本明細書に定義されるUTRエレメントは、好ましくはそれらが前記コード配列の発現を制御する(即ち調節する、好ましくは増強する)ことが可能な様式で、本発明の人工核酸のコード配列に機能可能に連結、即ち機能的関係に置かれる。本明細書に使用される「発現」という用語は、一般に、タンパク質生合成、特に転写、mRNAプロセシング及び翻訳の全工程を含む。本明細書に特定されたUTRエレメント、特に記載される組合せにおけるものは、本明細書に記載されるCRISPR関連タンパク質をコードするコード配列の転写を増強することが特に想定される。
【0045】
したがって、本発明の人工核酸は、それぞれが本明細書に示されるものから選択される遺伝子に由来する5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを含むのが有利である。好適な5’UTRエレメントは、好ましくは本明細書に定義されるように、ATP5A1、RPL32、HSD17B4、SLC7A3、NOSIP、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’UTRに由来する5’-UTRエレメントから選択される。好適な3’UTRエレメントは、好ましくは本明細書に定義されるように、GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’UTRに由来する3’UTRエレメントから選択される。
【0046】
典型的には、本発明の人工核酸分子の5’-又は3’-UTRエレメントは、前記少なくとも1つのコード配列に対して異種である。
【0047】
好ましくは、本明細書に示されるUTR(本発明の人工核酸のUTRエレメントに対する「親UTR」としての役割を果たす)は、天然に存在する(野生型)UTR、並びにそのホモログ、断片、変異体、及び対応するRNA配列を包含する。
【0048】
換言すれば、人工核酸は、好ましくは、a.少なくとも1つのCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード領域と;b.ATP5A1、RPL32、HSD17B4、SLC7A3、NOSIP、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、又は前記5’UTRのいずれかのホモログ、断片、変異体、若しくは対応するRNA配列と;c.GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント、又は前記3’UTRのいずれかのホモログ、断片、変異体、若しくは対応するRNA配列とを含むことができる。
【0049】
5’UTR及び3’UTRは、好ましくは、本発明の人工核酸のコード配列に機能可能に連結される。
【0050】
UTR
5’UTR
本明細書に記載の人工核酸は、本明細書に記載の遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントを含む。
【0051】
「5’-UTR」という用語は、オープンリーディングフレームの5’(即ち「上流」)に位置し、タンパク質に翻訳されない核酸分子の一部を意味する。本発明の文脈において、5’-UTRは転写開始部位で開始し、オープンリーディングフレームの開始コドンの前の1ヌクレオチドで終結する。5’-UTRは、調節エレメントとも呼ばれる遺伝子発現を制御するためのエレメントを含んでもよい。そのような調節エレメントは、例えば、リボソーム結合部位であり得る。5’-UTRは、例えば5’-キャップの付加によって、転写後に修飾することができる。したがって、5’-UTRは、5’-キャップと開始コドンとの間に位置する核酸、特に成熟mRNAの配列に対応し、より具体的には、3’から5’-キャップまでに位置するヌクレオチドから、好ましくは3’直近から5’-キャップまでに位置するヌクレオチドから、タンパク質コード配列の開始コドンの5’側に位置するヌクレオチド(転写開始部位)まで、好ましくはタンパク質コード配列の開始コドンの5’直近に位置するヌクレオチド(転写開始部位)まで延びる配列に対応する。成熟mRNAの3’直近から5’-キャップに位置するヌクレオチドは、典型的には、転写開始部位に対応する。5’UTRの長さは、典型的には、500、400、300、250個未満、又は200個未満のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、その長さは、少なくとも10、20、30、又は40個、好ましくは最大100又は150個のヌクレオチドの範囲であり得る。
【0052】
好ましくは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、脊索動物遺伝子、好ましくは脊椎動物遺伝子、より好ましくは哺乳動物遺伝子、最も好ましくはヒト遺伝子の5’UTR、又は脊索動物遺伝子、好ましくは脊椎動物遺伝子、より好ましくは哺乳動物遺伝子、最も好ましくはヒト遺伝子の3’UTR変異体に由来する核酸配列を含む又はからなる。
【0053】
延長部分「.1」又は「var」を含むUTR名は、前記延長部分のないUTRと同じである。
【0054】
TOP遺伝子由来の5’UTRエレメント
本明細書に特定される5’UTRエレメントの幾つかは、TOP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来し得る。
【0055】
TOP遺伝子は、典型的には、5’末端オリゴピリミジントラクト(TOP)の存在によって特徴付けられ、更に、典型的には、成長に関連した翻訳調節によって特徴付けられる。しかしながら、組織特異的翻訳調節を有するTOP遺伝子も知られている。5’TOPを含むmRNAは、しばしばTOPmRNAと呼ばれる。したがって、そのようなメッセンジャーRNAを提供する遺伝子は、TOP遺伝子と呼ばれる。TOP配列は、例えば、ペプチド伸長因子及びリボソームタンパク質をコードする遺伝子及びmRNA中に見出されている。
【0056】
5’末端オリゴピリミジントラクト(「5’TOP」又は「TOP」)は、典型的には、特定のmRNA分子の5’末端領域又は特定の遺伝子の機能的実体(例えば、転写領域)の5’末端領域など、核酸分子の5’末端領域に位置する一続きのピリミジンヌクレオチドである。
【0057】
TOP遺伝子の5’UTRは、TOP遺伝子に由来する成熟mRNAの5’UTRの配列に対応し、これは、好ましくは、3’から5’-キャップまで位置するヌクレオチドから、5’から開始コドンまで位置するヌクレオチドまで延びる。TOP配列は、典型的にはシチジンで開始し、これは通常転写開始部位に対応し、その後に、通常約3~30個の一続きのピリミジンヌクレオチドが続く。一続きのピリミジン、したがって5’TOPは、TOPの下流に位置する最初のプリンヌクレオチドに対して5’側の1ヌクレオチドで終結する。
【0058】
TOP遺伝子の5’UTRは、典型的には開始コドンを含まず、好ましくは上流のAUG(uAUG)又は上流のオープンリーディングフレーム(uORF)を含まない。その中で、上流のAUG及び上流のオープンリーディングフレームは、典型的には、翻訳されるべきオープンリーディングフレームの開始コドン(AUG)の5’に存在するAUG及びオープンリーディングフレームであると理解される。TOP遺伝子の5’UTRは、通常、幾分短い。TOP遺伝子の5’UTRの長さは、20ヌクレオチドから500ヌクレオチドの間であることができ、典型的には、約200ヌクレオチド未満、好ましくは約150ヌクレオチド未満、より好ましくは約100ヌクレオチド未満である。例えば、TOPは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個、又はそれ以上のヌクレオチドを含み得る。
【0059】
本発明の文脈において、「TOPモチーフ」は、上で定義されるように5’TOPに対応する核酸配列である。したがって、本発明の文脈におけるTOPモチーフは、好ましくは、3~30ヌクレオチドの長さを有する一続きのピリミジンヌクレオチドである。好ましくは、TOPモチーフは、少なくとも3個のピリミジンヌクレオチド、好ましくは少なくとも4個のピリミジンヌクレオチド、より好ましくは少なくとも6個のピリミジンヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも7個のピリミジンヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも8個のピリミジンヌクレオチドからなり、一続きのピリミジンヌクレオチドは、その5’末端において、シトシンヌクレオチドで始まるのが好ましい。TOP遺伝子及びTOPmRNAにおいて、TOPモチーフは、好ましくは、その5’末端において、転写開始部位で開始し、前記遺伝子又はmRNAの最初のプリン残基に対して5’側の1ヌクレオチドで終結する。本発明の意味における「TOPモチーフ」は、好ましくは、5’UTRを表す配列の5’末端、又は5’UTRをコードする配列の5’末端に位置する。したがって、好ましくは、3個以上の一続きのピリミジンヌクレオチドは、この一続きがそれぞれの配列(例えば、人工核酸分子、人工核酸分子の5’UTRエレメント、又は本明細書に記載されるTOP遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列)の5’末端に位置する場合、本発明の意味において「TOPモチーフ」と呼ばれる。換言すれば、5’UTR又は5’UTRエレメントの5’末端ではなく、5’UTR又は5’UTRエレメント内の任意の場所に位置する3個以上の一続きのピリミジンヌクレオチドは、「TOPモチーフ」と呼ばないことが好ましい。
【0060】
特に好ましい実施形態では、本明細書に例示されたTOP遺伝子の5’UTRに由来する5’UTRエレメントは、上で定義されたように、TOPモチーフ又は5’TOPを含まない。したがって、TOP遺伝子の5’UTRに由来する5’UTRエレメントの核酸配列は、その3’末端で、それが由来する遺伝子又はmRNAの開始コドン(例えば、A(U/T)G)の上流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで終結し得る。したがって、5’UTRエレメントは、タンパク質コード配列のいかなる部分も含まない。したがって、好ましくは、人工核酸の唯一のアミノ酸コード部分は、CRISPR関連タンパク質(及び任意に、本明細書に記載の更なるアミノ酸配列)をコードするコード配列によって提供される。
【0061】
本発明にしたがって想定される具体的な5’UTRエレメントについて、以下に詳細に説明する。
【0062】
HSD17B4由来の5’UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ4をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片(好ましくは5’TOPモチーフを欠く)に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含み得る。
【0063】
そのような5’UTRエレメントは、好ましくは17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ4(「HSD17B4」、ペルオキシソーム多機能酵素タイプ2とも呼ばれる)遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列、好ましくは脊椎動物の17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ4(HSD17B4)遺伝子、より好ましくは哺乳動物の17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ4(HSD17B4)遺伝子、最も好ましくはヒト17-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ4(HSD17B4)遺伝子に由来する核酸配列、又は前記5’UTRのいずれかのホモログ、変異体、又は断片に由来する核酸配列を含む又はからなり、好ましくは5’UTRエレメントが前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0064】
したがって、本発明に係る人工核酸は、HSD17B4遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号1に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号1に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号2に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号2に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0065】
PL32由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、リボソームラージタンパク質(RPL)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOP(末端オリゴピリミジントラクト)モチーフを欠く。
【0066】
そのような5’UTRエレメントは、好ましくは、リボソームタンパク質ラージ32(「RPL32」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ32(L32)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のリボソームタンパク質ラージ32(L32)遺伝子、最も好ましくはヒトのリボソームタンパク質ラージ32(L32)遺伝子、又は前記5’UTRのいずれかのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなり、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。用語「RPL32」はまた、本明細書で「RPL32var」又は「32L4」とも呼ばれる、その変異体及び断片も含む。
【0067】
したがって、本発明に係る人工核酸は、RPL32遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号21に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号21に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号22に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号22に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0068】
NDUFA4由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、シトクロムcオキシダーゼサブユニット(NDUFA4)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含み得る。
【0069】
そのような5’UTRエレメントは、好ましくはシトクロムcオキシダーゼサブユニット(「NDUFA4」又は「Ndufa4.1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のシトクロムcオキシダーゼサブユニット(NDUFA4)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のシトクロムcオキシダーゼサブユニット(NDUFA4)遺伝子、最も好ましくはヒトのシトクロムcオキシダーゼサブユニット(NDUFA4)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる。
【0070】
したがって、本発明に係る人工核酸は、NDUFA4遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号9に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号9に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号10に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号10に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0071】
SLC7A3由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、溶質輸送体ファミリー7メンバー3(SLC7A3)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含み得る。
【0072】
そのような5’UTRエレメントは、好ましくは溶質輸送体ファミリー7メンバー3(「SLC7A3」又は「Slc7a3.1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物の溶質輸送体ファミリー7メンバー3(SLC7A3)遺伝子、より好ましくは哺乳動物の溶質輸送体ファミリー7メンバー3(SLC7A3)遺伝子、最も好ましくはヒトの溶質輸送体ファミリー7メンバー3(SLC7A3)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる。
【0073】
したがって、本発明に係る人工核酸は、SLC7A3遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号15に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号15に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号16に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号16に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0074】
NOSIP由来の5’UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、一酸化窒素シンターゼ相互作用タンパク質をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含み得る。
【0075】
そのような5’UTRエレメントは、好ましくは一酸化窒素シンターゼ相互作用タンパク質(「NOSIP」又は「Nosip.1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物の一酸化窒素シンターゼ相互作用タンパク質(NOSIP)遺伝子、より好ましくは哺乳動物の一酸化窒素シンターゼ相互作用タンパク質(NOSIP)遺伝子、最も好ましくはヒトの一酸化窒素シンターゼ相互作用タンパク質(NOSIP)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる。
【0076】
したがって、本発明に係る人工核酸は、NOSIP遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号11に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号11に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号12に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号12に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0077】
ATP5A1由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ATP5A1)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOPモチーフを欠く。
【0078】
そのような5’UTRエレメントは、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(「ATP5A1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ATP5A1)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ATP5A1)遺伝子、最も好ましくはヒトのミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ATP5A1)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する5’UTRに由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましく、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0079】
したがって、本発明に係る人工核酸は、ATP5A1遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号5に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号5に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号6に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号6に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0080】
ASAH1由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ASAH1)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、又は断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOPモチーフを欠く。
【0081】
そのような5’UTRエレメントは、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(「ASAH1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ASAH1)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ASAH1)遺伝子、最も好ましくはヒトのミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(ASAH1)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する5’UTRに由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましく、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0082】
したがって、本発明に係る人工核酸は、ASAH1遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号3に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号3に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号4に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号4に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0083】
MP68由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(MP68)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOPモチーフを欠く。
【0084】
そのような5’UTRエレメントは、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(「MP68」又は「Mp68」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(MP68)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(MP68)遺伝子、最も好ましくはヒトのミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(MP68)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する5’UTRに由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましく、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0085】
したがって、本発明に係る人工核酸は、Mp68遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号7に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号7に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号8に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号8に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0086】
RPL31由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(RPL31)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOPモチーフを欠く。
【0087】
そのような5’UTRエレメントは、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(「RPL31」又は「Rpl31.1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(RPL31)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(RPL31)遺伝子、最も好ましくはヒトのミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(RPL31)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する5’UTRに由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましく、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0088】
したがって、本発明に係る人工核酸は、RPL31遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号13に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号13に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号14に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号14に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0089】
TUBB4B由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(TUBB4B)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOPモチーフを欠く。
【0090】
そのような5’UTRエレメントは、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(「TUBB4B」又は「TUBB4B.1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(TUBB4B)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(TUBB4B)遺伝子、最も好ましくはヒトのミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(TUBB4B)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する5’UTRに由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましく、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0091】
したがって、本発明に係る人工核酸は、TUBB4B遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号17に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号17に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号18に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号18に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0092】
UBQLN2由来の5’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(UBQLN2)をコードする遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる5’UTRエレメントを含むことができ、前記5’UTRエレメントは、好ましくは5’TOPモチーフを欠く。
【0093】
そのような5’UTRエレメントは、ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(「UBQLN2」又は「Ubqln2.1」)遺伝子の5’UTR、好ましくは脊椎動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(UBQLN2)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(UBQLN2)遺伝子、最も好ましくはヒトのミトコンドリアATPシンターゼサブユニットアルファ(UBQLN2)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する5’UTRに由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましく、前記5’UTRエレメントは、好ましくは前記遺伝子の5’TOPを含まない。
【0094】
したがって、本発明に係る人工核酸は、UBQLN2遺伝子に由来する5’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記5’UTRエレメントは、配列番号19に係るDNA配列又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号19に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記5’UTRエレメントは、配列番号20に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号20に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0095】
3’UTR
本明細書に記載の人工核酸は、本明細書に記載の遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片の3’UTRに由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントを更に含む。「3’-UTR」という用語は、オープンリーディングフレームの3’(即ち「下流」)に位置し、タンパク質に翻訳されない核酸分子の一部を意味する。本発明の文脈において、3’-UTRは、タンパク質コード配列の終止コドン、好ましくはタンパク質コード配列の終止コドンの3’の直近と、人工核酸分子のポリ(A)配列との間に位置する配列に対応する(好ましくはRNAである)。
【0096】
好ましくは、少なくとも1つの3’UTRエレメントは、脊索動物遺伝子、好ましくは脊椎動物遺伝子、より好ましくは哺乳動物遺伝子、最も好ましくはヒト遺伝子の3’UTR、又は脊索動物遺伝子、好ましくは脊椎動物遺伝子、より好ましくは哺乳動物遺伝子、最も好ましくはヒト遺伝子の3’UTR変異体に由来する核酸配列を含む又はからなる。
【0097】
GNAS由来の3’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(s)サブユニットアルファアイソフォームショート(GNAS)をコードする遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0098】
そのような3’UTRエレメントは、グアニンヌクレオチド結合タンパク質G(s)サブユニットアルファアイソフォームショート(「GNAS」又は「Gnas.1」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物のグアニンヌクレオチド結合タンパク質G(s)サブユニットアルファアイソフォームショート(GNAS)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のグアニンヌクレオチド結合タンパク質G(s)サブユニットアルファアイソフォームショート(GNAS)遺伝子、最も好ましくはヒトのグアニンヌクレオチド結合タンパク質G(s)サブユニットアルファアイソフォームショート(GNAS)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0099】
したがって、本発明に係る人工核酸は、GNAS遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号29に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号29に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号30に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号30に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0100】
CASP1由来の3’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、カスパーゼ-1(CASP1)をコードする遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0101】
そのような3’UTRエレメントは、カスパーゼ-1(「CASP1」又は「CASP1.1」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物のカスパーゼ-1(CASP1)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のカスパーゼ-1(CASP1)遺伝子、最も好ましくはヒトのカスパーゼ-1(CASP1)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0102】
したがって、本発明に係る人工核酸は、CASP1遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号25に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号25に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号26に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号26に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0103】
PSMB3由来の3’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、プロテアソームサブユニットベータ3型(PSMB3)をコードする遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0104】
そのような3’UTRエレメントは、プロテアソームサブユニットベータ3型(「PSMB3」又は「PSMB3.1」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物のプロテアソームサブユニットベータ3型(PSMB3)遺伝子、より好ましくは哺乳動物のプロテアソームサブユニットベータ3型(PSMB3)遺伝子、最も好ましくはヒトのプロテアソームサブユニットベータ3型(PSMB3)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0105】
したがって、本発明に係る人工核酸は、PSMB3遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号23に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号23に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号24に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号24に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0106】
ALB由来の3’UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、血清アルブミン(ALB)をコードする遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0107】
そのような3’UTRエレメントは、血清アルブミン(「ALB」又は「アルブミン7」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物の血清アルブミン(ALB)遺伝子、より好ましくは哺乳動物の血清アルブミン(ALB)遺伝子、最も好ましくはヒトの血清アルブミン(ALB)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0108】
したがって、本発明に係る人工核酸は、ALB遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号35に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号35に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号36に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号36に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0109】
RPS9由来の3’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、40Sリボソームタンパク質S9(RPS9)をコードする遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0110】
そのような3’UTRエレメントは、40Sリボソームタンパク質S9(「RPS9」又は「RPS9.1」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物の40Sリボソームタンパク質S9(RPS9)遺伝子、より好ましくは哺乳動物の40Sリボソームタンパク質S9(RPS9)遺伝子、最も好ましくはヒトの40Sリボソームタンパク質S9(RPS9)遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0111】
したがって、本発明に係る人工核酸は、RPS9遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号33に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号33に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号34に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号34に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0112】
COX6B1由来の3’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、COX6B1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0113】
そのような3’UTRエレメントは、COX6B1(又は「COX6B1.1」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物のCOX6B1遺伝子、より好ましくは哺乳動物のCOX6B1遺伝子、最も好ましくはヒトのCOX6B1遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0114】
したがって、本発明に係る人工核酸は、COX6B1遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号27に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号27に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号28に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号28に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0115】
NDUFA1由来の3’-UTRエレメント
本発明に係る人工核酸は、NDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなる3’UTRエレメントを含み得る。
【0116】
そのような3’UTRエレメントは、NDUFA1(又は「Ndufa1.1」)遺伝子の3’UTR、好ましくは脊椎動物のNDUFA1遺伝子、より好ましくは哺乳動物のNDUFA1遺伝子、最も好ましくはヒトのNDUFA1遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片に由来する核酸配列を含む又はからなることが好ましい。
【0117】
したがって、本発明に係る人工核酸は、NDUFA1遺伝子に由来する3’UTRエレメントを含むことができ、ここで、前記3’UTRエレメントは、配列番号31に係るDNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号31に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するDNA配列を含む又はからなる、又は前記3’UTRエレメントは、配列番号32に係るRNA配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、配列番号32に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するRNA配列を含む又はからなる。
【0118】
UTRの組合せ
好ましくは、少なくとも1つの5’UTRエレメント及び少なくとも1つの3’UTRエレメントは相乗的に作用して、前記UTRに機能可能に連結された少なくとも1つのコード配列の発現を上昇させる。本明細書では、列挙された5’-UTR及び3’-UTRを任意の有用な組合せで利用することが想定される。特に有用な5’及び3’UTRを以下の表1Aに示す。5’UTRと3’-UTRの特に有用な組合せを以下の表1Bに示す。本発明の特に好ましい実施形態は、最適なCDS、即ちCas9、Cpf1、CasX、CasY、又はCas13と、HSD17B4/Gnas.1;Slc7a3.1/Gnas.1;ATP5A1/CASP.1;Ndufa4.1/PSMB3.1;HSD17B4/PSMB3.1;RPL32var/アルブミン7;32L4/アルブミン7;HSD17B4/CASP1.1;Slc7a3.1/CASP1.1;Slc7a3.1/PSMB3.1;Nosip.1/PSMB3.1;Ndufa4.1/RPS9.1;HSD17B4/RPS9.1;ATP5A1/Gnas.1;Ndufa4.1/COX6B1.1;Ndufa4.1/Gnas.1;Ndufa4.1/Ndufa1.1;Nosip.1/Ndufa1.1;Rpl31.1/Gnas.1;TUBB4B.1/RPS9.1;及びUbqln2.1/RPS9.1の群から選択されるUTR組合せとの組合せを含む。
【表1A】
【表1B】
【0119】
幾つかの実施形態では、本発明のCRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸は、HSD17B4/Gnas.1;Slc7a3.1/Gnas.1;ATP5A1/CASP.1;Ndufa4.1/PSMB3.1;HSD17B4/PSMB3.1;RPL32var/アルブミン7;32L4/アルブミン7;HSD17B4/CASP1.1;Slc7a3.1/CASP1.1;Slc7a3.1/PSMB3.1;Nosip.1/PSMB3.1;Ndufa4.1/RPS9.1;HSD17B4/RPS9.1;ATP5A1/Gnas.1;Ndufa4.1/COX6B1.1;Ndufa4.1/Gnas.1;Ndufa4.1/Ndufa1.1;Nosip.1/Ndufa1.1;Rpl31.1/Gnas.1;TUBB4B.1/RPS9.1;Ubqln2.1/RPS9.1;MP68/Gnas1.1、及びMP68/Ndufa1.1からなる群から選択される少なくとも1つのUTRの組合せを含む。
【0120】
幾つかの実施形態において、本発明に係る人工核酸は、CRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸に関連してPCT/EP2017/076775(その全体を参照により本明細書に援用する)に開示されるUTRの組合せから選択される少なくとも1つのUTRの組合せを含む。したがって、幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸は、SLC7A3/GNAS;ATP5A1/CASP1;HSD17B4/GNAS;NDUFA4/COX6B1;NOSIP/NDUFA1;NDUFA4/NDUFA1;ATP5A1/GNAS;MP68/NDUFA1;NDUFA4/RPS9;NDUFA4/GNAS;NDUFA4/PSMB3;TUBB4B/RPS9.1;UQBLN2/RPS9;RPL31/GNAS)、又はHSD17B4/PSMB3からなる群から選択される少なくとも1つのUTRの組合せを含み得る。
【0121】
したがって、幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸は、CRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸に関連してPCT/EP2017/076775に開示される核酸配列を含む又はからなることができる。
【0122】
特定の配列番号を参照して表1に定義されるUTRエレメントはそれぞれ、その特定の配列番号を参照することにより定義されるそれぞれの核酸配列に対して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を示すそれらの変異体又は断片を含み得る。表1の最後の欄は、配列番号を含む欄「5’UTR」と配列番号を含む欄「3’UTR」に示される特定の有利なUTRの組合せと組み合わせることができる全ての可能なCas9及びCpf1のcdを明確に開示する(即ち、開示される組合せは、当業者にとって本発明の好ましい実施形態である)。特に好ましい実施形態は、本発明のCas9又はCpf1配列と、5’UTR SLC7A3(配列番号15/16)若しくはそれに由来する配列、又は3’UTR GNAS(配列番号29/30)若しくはそれに由来する配列に類似する。
【0123】
参照を容易にするために、表A1は、特に好ましく且つ有利なCDSとUTRの組合せを記載する。
【0124】
表1においてそれらの特定の配列番号を参照することによって同定される配列はそれぞれ、本明細書に示されるように、その対応するDNA配列によっても定義され得る。
【0125】
それらの特定の配列番号を参照することにより表1に同定された配列はそれぞれ、以下に記載されるように(任意に互いに独立して)修飾され得る。
【0126】
本発明に係る好ましい人工核酸は、
a.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
b.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
c.ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
d.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
e.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSSLC7A3MB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
f.RPL32遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びALB遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
g.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
h.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
i.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
j.NOSIP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
k.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
l.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
m.ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
n.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCOX6B1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
n.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
o.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
p.NOSIP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
q.RPL31遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
r.TUBB4B遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
s.UBQLN2遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
t.MP68遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
u.MP68遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントを含み得る。
【0127】
特に好ましい人工核酸は、d、e、g,又はlに係るUTRの組合せを含み得る。
【0128】
幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸は、ALB遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含まなくてもよい。
【0129】
コード配列
CRISPR関連タンパク質
本発明に係る人工核酸は、CRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード配列を含む。
【0130】
「CRISPR関連タンパク質」という用語は、外来DNAエレメントに対する適応免疫を付与するために原核生物によって使用されるCRISPR(クラスター化した規則的に散在した短い回文)システム(及びそれらのホモログ、変異体、断片、又は誘導体)の一部であるRNAガイドエンドヌクレアーゼを意味する。CRISPR関連タンパク質は、限定するものではないが、Cas9、Cpf1(Cas12)、C2c1、C2c3、C2c2、Cas13、CasX、及びCasYを含む。本明細書に使用されるとき、用語「CRISPR関連タンパク質」は、野生型タンパク質、及びそれらのホモログ、変異体、断片、又は誘導体を含む。したがって、Cas9、Cpf1(Cas12)、C2c1、C2c3、及びC2c2、Cas13、CasX、及びCasYをコードする人工核酸分子に言及するとき、前記人工核酸分子は、それぞれの野生型タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、及び誘導体をコードし得る。
【0131】
CRISPR関連タンパク質は、任意の遺伝子、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片によってコードされていてもよい。遺伝子に言及するとき、用語「ホモログ」又は「ホモロガス遺伝子」は、「オルソロガス遺伝子」及び「パラロガス遺伝子」を含む。
【0132】
CRISPR関連タンパク質(及びそれらのホモログ、変異体、断片、又は誘導体)は、好ましくは機能的である、即ち所望の生物学的特性を示す、及び/又は所望の生物学的機能を発揮する。前記生物学的特性又は生物学的機能は、対応する参照(又は「親」)タンパク質と比較してそれに匹敵するか又は更に向上していてもよい。機能的CRISPR関連タンパク質、並びにそのホモログ、変異体、断片、又は誘導体は、好ましくは、ガイドRNAによって目的DNA配列を配列特異的な様式で標的とする能力を保持する。しかし、野生型CRISPR関連タンパク質によって典型的に発揮されるエンドヌクレアーゼ活性(即ち、目的のDNA配列にDSBを導入する能力)は、本明細書に記載されるCRISPR関連タンパク質の「機能的」ホモログ、変異体、断片、及び誘導体において保持され得るが、それらの全てが保持する訳ではない。
【0133】
具体的には、機能的ホモログ、変異体、断片、又は誘導体は、好ましくは、(1)標的DNA配列と特異的に相互作用することができる、(2)適切なガイドRNAと会合することができる、及び任意に(3)標的DNA配列に対して並置されるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識することができる。この文脈において、「相互作用する」は、好ましくは、結合し、任意に(更に)切断し(エンドヌクレアーゼ又はニッカーゼ活性によって)、発現を活性化又は抑制し、及び/又はエフェクターを動員することを意味する。「特異的」は、CRISPR関連タンパク質が他の非標的DNA配列と相互作用するよりも容易に標的DNA配列と相互作用することを意味する。
【0134】
本明細書において特定のCRISPR関連タンパク質(Cas9、Cpf1など)に言及するとき、それぞれのタンパク質はその翻訳後修飾形態の全てを包含すると理解されるべきである。翻訳後修飾(PTM)は、所与のタンパク質の共有結合的又は非共有結合的修飾をもたらし得る。一般的な翻訳後修飾としては、グリコシル化、リン酸化、ユビキチン化、S-ニトロシル化、メチル化、N-アセチル化、脂質化、ジスルフィド結合形成、硫酸化、アシル化、脱アミノ化などが挙げられる。異なるPTMは、例えば、異なる化学的性質、活性、局在化、相互作用、又は立体配座をもたらし得る。しかし、本発明の文脈で想定される全ての翻訳後修飾CRISPR関連タンパク質は、上に定義されるように機能的なままであることが好ましい。
【0135】
ホモログ
本明細書に例示される各CRISPR関連タンパク質(Cas9、Cpf1など)はまた、好ましくはそのホモログも包含する。タンパク質に言及するとき、用語「ホモログ」は、「オルソログ」(又は「オルソロガスタンパク質」)及びパラログ(又は「パラロガスタンパク質」)を包含する。この文脈において、「オルソログ」は、種分化によって共通の祖先遺伝子から進化した異なる種の遺伝子によってコードされるタンパク質である。オルソログは、しばしば進化の過程で同じ機能を保持する。したがって、一対のオルソログを比較すると、機能を喪失している場合もあれば、獲得している場合もある。しかし、本発明の文脈において、オルソロガスCRISPR関連タンパク質は、好ましくは、目的のDNA配列と特異的に相互作用する(即ち、「機能的」である)適切なガイドRNAと会合する能力を保持する。「パラログ」は、ゲノム中の遺伝子重複を介して産生される遺伝子である。パラログは通常、新しい機能を進化させるか、又は最終的にシュード遺伝子になることがある。本発明の文脈において、パラロガスCRISPR関連タンパク質は、上で定義されるように、好ましくは機能的である。
【0136】
変異体
本明細書に例示される各CRISPR関連タンパク質(Cas9、Cpf1など)はまた、好ましくはその変異体も包含する。
【0137】
タンパク質に関して本明細書に使用される「変異体」という用語は、好ましくは「配列変異体」、即ち、参照(又は「親」)タンパク質の参照(又は「親」)アミノ酸配列と、少なくとも1つのアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を含むタンパク質を意味する。
【0138】
したがって、変異体タンパク質は、それらのそれぞれの参照配列と比較して、それらのアミノ酸配列中に少なくとも1つのアミノ酸の突然変異、置換、挿入、又は欠失を含むことが好ましい。置換は、保存的又は非保存的置換から選択され得る。幾つかの実施形態では、本発明の人工核酸の少なくとも1つのコード配列によってコードされるタンパク質「変異体」は、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含み、同一クラスに由来するアミノ酸が、互いに交換される。特に、これらは脂肪族側鎖、正又は負に荷電した側鎖、側鎖中の芳香族基、又はアミノ酸を有するアミノ酸であり、それらの側鎖は水素架橋(例えば、ヒドロキシル官能性を有する側鎖など)を形成することができる。保存的な構成によって、例えば。極性側鎖を有するアミノ酸は、対応する極性側鎖を有する別のアミノ酸によって置換されてもよく、又は例えば、疎水性側鎖を特徴とするアミノ酸は、対応する疎水性側鎖を有する別のアミノ酸によって置換されてもよい(例えば、セリン(スレオニン)がスレオニン(セリン)で置換される、又はロイシン(イソロイシン)がイソロイシン(ロイシン)で置換される)。
【0139】
好ましくは、本明細書に使用される「変異体」という用語は、天然に存在する変異体、例えば、翻訳後タンパク質分解処理(これは、N末端メチオニン、シグナルペプチドの除去、及び/又は不活性タンパク質若しくは非機能性タンパク質の活性タンパク質若しくは機能性タンパク質への変換を伴うことがある)に付されたプレプロタンパク質、プロタンパク質、及びCRISPR関連タンパク質、及び天然に存在する変異タンパク質を含む。「変異体」という用語は更に、特定の生物学的特性及び/又は機能性を導入又は排除するように(配列)修飾されていてもよいCRISPR関連タンパク質の操作された変異体も包含する。操作されたCas9変異体について以下に詳細に記載する。タンパク質の文脈における「転写物変異体」又は「スプライス変異体」という用語は、最初は同じ遺伝子から転写されるが、その後オルタナティブ(又はディファレンシャル)スプライシング(ここで、遺伝子の特定のエクソンが、最終加工メッセンジャーRNA(mRNA)内に含有される又は除去されることがある)に付されるメッセンジャーRNAから産生される変異体を意味する。しかし、CRISPR関連タンパク質の「転写物変異体」は、好ましくは、上で定義されるそれらの所望の生物学的機能性を保持する。「変異体」という用語は、参照タンパク質との比較における、最低限の程度の配列同一性によって(及び好ましくは、所望の生物学的機能/特性によっても)本質的に定義され得ることに留意されたい。したがって、ホモログ、断片、又は特定の誘導体(それらのアミノ酸配列が参照タンパク質と異なる)も同様に「変異体」として分類することができる。したがって、本明細書に定義される「変異体」は、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質(Cas9、Cpf1など)、又はそのホモログ、断片変異体、又は誘導体であり得る参照タンパク質に由来する、それから単離される、それに関連する、それに基づく、又はそれとホモロガスであり得る。
【0140】
本発明に係るCRISPR関連タンパク質(例えばCas9、Cpf1)変異体は、好ましくは、それぞれの天然に存在する(野生型)CRISPR関連タンパク質(Cas9、Cpf1など)、又はそのホモログ、断片、若しくは誘導体のアミノ酸配列に対して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する。
【0141】
断片
本明細書に例示される各CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9、Cpf1)はまた、好ましくはそれらの断片も包含する。
【0142】
「断片」という用語は、参照(又は「親」)タンパク質又は(ポリ)ペプチドの全長アミノ酸配列の連続する部分配列からなるタンパク質又はポリペプチドを意味し、前記部分配列は、そのアミノ酸配列に関して、前記参照タンパク質のアミノ酸配列と比較して、N末端、C末端、及び/又は配列内でトランケートされたアミノ酸配列である。このようなトランケーションは、それぞれアミノ酸レベル又は核酸レベルのいずれでも起こり得る。換言すれば、「断片」は、典型的には、アミノ酸配列の全長配列のより短い部分であり得る。したがって、断片は、典型的には、全長アミノ酸配列内の対応する一続きと同一の配列からなる。この用語は、天然に存在する断片(天然に存在するインビボプロテアーゼ活性から生じる断片など)及び操作された断片を含む。
【0143】
本明細書に使用される「断片」という用語は、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質のアミノ酸配列、又はそのホモログ、変異体、又は誘導体の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、少なくとも250個の連続するアミノ酸残基を含むペプチド又はポリペプチドを意味する。
【0144】
本発明の文脈における配列の好ましい断片は、その断片が由来するタンパク質における実体の連続する一続きに対応するアミノ酸の連続する一続きからなり、その断片が由来する合計(即ち、完全長)タンパク質又は(ポリ-)ペプチドの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%を表す。
【0145】
そのような断片に関して示される配列同一性は、好ましくは、前記参照タンパク質の全アミノ酸配列又は前記参照タンパク質をコードする全核酸配列を意味する。好ましくは、CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9又はCpf1)の「断片」、又はそのホモログ、変異体、若しくは誘導体は、典型的には、前記CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9、Cpf1)のアミノ酸配列、又は前記ホモログ、変異体、若しくは誘導体と少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
【0146】
誘導体
本明細書に例示される各CRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9、Cpf1)はまた、好ましくはそれらの誘導体も包含する。
【0147】
タンパク質を意味するときの「誘導体」という用語は、新たな又は追加の特性又は機能性を含むように参照(又は「親」)タンパク質に対して修飾されたタンパク質として理解されるべきである。誘導体は、所望の生物学的機能性(例えば、標的結合親和性又は特異性又は酵素活性を付与、増強、低減、又は無効化する部分又はドメインを導入又は除去することによって)、製造特性(例えば、溶解度の増加若しくは排泄の促進、又は精製を可能にする部分を導入することによって)、又は医学用途のため薬物動態/薬力学特性(例えば、安定性、バイオアベイラビリティー、吸収性の向上;分布及び/又は減少したクリアランスをもたらす部分を導入することによって)を含むように修飾することができる。誘導体は、目的の生物学的特性又は機能性を付与する部分又はドメインを導入又は除去することによって調製することができる。そのような部分又はドメインは、翻訳後又はアミノ酸配列レベルで、標準的な遺伝子工学技術を用いてアミノ酸配列に(例えば、アミノ及び/又はカルボキシル末端残基に)導入することができる(Sambrook J et al., 2012 (4th ed.), Molecular cloning: a laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)。「誘導体」は、天然に存在する(野生型)CRISPR関連タンパク質配列、又はその変異体若しくは断片に由来し得る(任意に、これを含み得る)。
【0148】
CRISPR関連タンパク質誘導体は、それらが由来する参照タンパク質とそれらのアミノ酸配列において(例えば、(ポリ)ペプチド部分及び/又はタンパク質ドメインの導入又は除去によって)異なることができ、そうであることにより「変異体」となり得ることが理解される。しかし、配列変異体は、主に、参照アミノ酸配列に対するそれらの配列同一性で定義されるが、誘導体は、好ましくは、参照タンパク質と比較したときに特定の生物学的特性又は機能性の存在又は非存在によって特徴付けられる。
【0149】
多くのCRISPR関連タンパク質誘導体は、それぞれ天然に存在する(野生型)CRISPR関連タンパク質の変異体、断片、断片の変異体、又は変異体の断片に基づく。例えば、本発明に係るCRISPR関連タンパク質誘導体は、エンドヌクレアーゼ及び/又はニッカーゼ活性を無効化する変異を含む、新たな又は追加の生物学的特性又は機能性を付与するエフェクター又はアダプタードメインを含むように更に操作された操作済タンパク質変異体に基づく誘導体を含み得る。
【0150】
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、したがって、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9、Cpf1)誘導体をコードし、ここで前記誘導体は、少なくとも1つの更なるエフェクタードメインを含む。
【0151】
「エフェクタードメイン」は、追加の及び/又は新たな生物学的特性又は機能性を付与するタンパク質部分として理解されるべきである。本発明の文脈において、エフェクタードメインは、(新たな又は追加の)生物学的機能をCRISPR関連タンパク質に付与するそれらの能力に基づいて、好ましくは、標的DNA配列と特異的に相互作用する適切なガイドRNAと会合する能力を妨害することなしに選択され得る。新たな又は追加の生物学的機能は、例えば、転写抑制(CRISPR干渉、CRISPRiを誘導する)又は活性化(CRISPR活性化、CRISPRaを誘導する)であり得る。したがって、本発明の文脈における目的のエフェクタードメインは、クリュペル関連ボックス(KRAB)ドメイン、MAX相互作用タンパク質1(MXI1)ドメイン、4つの連結mSin3(SID4X)ドメイン、又は、例えば、単純ヘルペスVP16活性化ドメイン(VP64又はVP160)、核因子κB(NF-κB)トランス活性化サブユニット活性化ドメイン(p65AD)を含む転写抑制ドメインから選択され得る。そのようなエフェクタードメインは、CRISPR関連タンパク質のアミノ(N)若しくはカルボキシル(C)末端、又はその両方に融合することができる。適切なエフェクタードメインを用いることで、転写はエピジェネティックレベルでも調節することができる。ヒストンデメチラーゼLSD1は、標的遠位エンハンサーからヒストン3 Lys4ジメチル化(H3K4me2)マークを除去し、転写抑制をもたらす。ヒストンアセチルトランスフェラーゼp300(p300Core)の触媒コアは、標的化された近位エンハンサー及び遠位エンハンサーにおいてH3K27(H3K27ac)をアセチル化することができ、これは転写活性化をもたらす。新たな又は追加の生物学的機能性は、追加的又は代替的に、目的のエフェクタードメインの動員であり得る。その目的のために、エフェクタードメインは、「リクルーティングドメイン」、好ましくはWRPW(Trp-Arg-Pro-Trp)モチーフなどのタンパク質-タンパク質相互作用ドメイン又はモチーフであり得る(Fisher et al. Mol Cell Biol. 1996 Jun;16(6):2670-7)。新たな又は追加の生物学的機能は、追加的又は代替的に、RNAなどの他の目的の実体の動員であり得る。その目的のために、エフェクタードメインは、コールドショックドメイン(CSD)などのタンパク質-RNA相互作用ドメインから選択され得る。
【0152】
エフェクタードメインを含むCRISPR関連タンパク質誘導体は、したがって、(a)標的DNA配列(又はそれに機能可能に連結された調節エレメント)と相互作用することができるエフェクタードメインに直接(任意に、適切なリンカーを介して)融合されているCRISPR関連タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片)、及び(b)更なる目的のエフェクター(ドメイン、タンパク質、若しくは核酸)を動員するエフェクタードメインに直接(任意に、適切なリンカーを介して)融合されており、後に、標的DNA配列(又はそれに機能可能に連結された調節エレメント)と相互作用することができるCRISPR関連タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片)を含む。
【0153】
エフェクタードメインは、遺伝子工学の標準的な技術を用いて、任意に、適切な(ペプチド)リンカーを介して、CRISPR関連タンパク質(又はその変異体若しくは断片)に融合することができる(Sambrook J et al., 2012 (4th ed.), Molecular cloning: a laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York参照)。
【0154】
対象となるペプチドリンカーは、当技術分野において一般に知られており、以下の3つのタイプに分類することができる:フレキシブルリンカー、リジッドリンカー、及び切断可能リンカー。フレキシブルリンカーは、通常、結合されたドメインがある程度の運動又は相互作用を必要とする場合に適用され、したがって本発明のCRISPR関連タンパク質誘導体の文脈において特に興味深い。それらは通常、小さい非極性(例えば、Gly)又は極性(例えば、Ser又はThr)のアミノ酸がリッチであり、良好な柔軟性及び溶解性を提供し、連結したタンパク質ドメインの運動性を可能にする。Ser又はThrを含有させることで、水分子と水素結合を形成することによって水溶液中でのリンカーの安定性を維持することができ、したがって、リンカーとタンパク質部分との間の好ましくない相互作用を低減する。
【0155】
最も一般的に使用されるフレキシブルリンカーは、主に、一連のGly及びSer残基の一続きからなる配列を有する(「GS」リンカー)。最も広く使用されるフレキシブルリンカーの例は、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)nの配列を有する。コピー数「n」を調整することによって、このGSリンカーの長さを最適化して、タンパク質ドメインの適切な分離を達成する、又は必要なドメイン間相互作用を維持することができる。GSリンカー以外に、多くの他のフレキシブルリンカーが、組換え融合タンパク質用に設計されている。これらのフレキシブルリンカーは、Gly及びSerなどの小さい又は極性アミノ酸もリッチであるが、柔軟性を維持するためにThr及びAlaなどの追加のアミノ酸、並びに溶解性を改善するためにLys及びGluなどの極性アミノ酸を含んでもよい。
【0156】
KESGSVSSEQLAQFRSLD、EGKSSGSGSESKST、及びGSAGSAAGSGEFを含む、フレキシブルリンカーの幾つかの他の種類が構築融合タンパク質に適用されている。他のフレキシブルリンカーは、グリシンのみのリンカー(Gly)6又は(Gly)8を含む。
【0157】
タンパク質ドメインの分離及びそれらの干渉の低減を確実にすべきである場合、リジッドリンカーを使用することができる。一方、切断可能リンカーは、インビボで遊離の機能性ドメインを放出するために導入することができる。Chen et al. Adv Drug Deliv Rev. 2013 Oct 15; 65(10): 1357-1369は、最も一般的に使用されるペプチドリンカー及びそれらの用途を概説しており、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0158】
所望のエフェクタードメインをCRISPR関連タンパク質に融合させることに加えて、目的の標的配列に対する所望の生物学的効果を媒介するための幾つかの代替アプローチがある。これらのアプローチは、本質的に、目的のエフェクタードメインを標的DNA配列に動員することができるCRISPR関連タンパク質(又はガイドRNA)を利用する。これらのアプローチは、目的の特定の標的DNA配列(プロモーター又はエンハンサーなど)へのエフェクタードメインの多重動員(multiplex recruitment)のための更なる選択肢及び柔軟性を提供し得る。
【0159】
SunTag活性化法は、小型ペプチドエピトープタグが融合したCRISPR関連タンパク質(例えば、dCas9)のアレイを使用して、エフェクタードメイン(例えば、VP64)に融合した、スーパーフォルダーGFP(sfGFP;タンパク質の折り畳みを改善するため)に融合した単鎖可変断片(scFV)の多数のコピーを動員する。相乗的三者活性化法(VPR)は、所望の生物学的機能性を付与するために、3つのエフェクタードメイン(例えば、転写活性剤、VP64、p65、及びエプスタイン-バーウイルスRトランス活性化剤(Rta))のタンデム融合を使用する。アプタマーに基づく動員システム(相乗的活性化メディエーター(SAM))は、2つの結合部位(例えば、テトラループ及び第2のステムループにあるRNAアプタマー)を有するガイドRNAを有するCRISPR関連タンパク質(例えば、dCas9)を利用して、エフェクタードメインに融合しているファージMS2コートタンパク質(MCP)(例えば、p65などの転写活性化因子及びヒートショック因子1(HSF1))を動員する。更に、更なるエフェクタードメイン(例えば、VP64)をCRISPR関連タンパク質に融合させて、本発明に係る誘導体を得ることができる。
【0160】
上に活性化方法は、転写抑制機能又は他の所望の生物学的機能性を、本明細書に記載されるCRISPR関連タンパク質又はそれらのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体に付与するように容易に適合され得る。CRISPR関連タンパク質誘導体、及びCRISPRa及びCRISPRiを媒介するための様々なアプローチは、Dominguez et al. Nat Rev Mol Cell Biol. 2016 Jan;17(1):5-15に概説されており、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0161】
シグナルペプチド
幾つかの実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、シグナルペプチドをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。前記核酸配列は、好ましくは本発明の人工核酸分子のコード領域(CRISPR関連タンパク質をコードする)内に位置する。したがって、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、少なくとも1つのシグナルペプチドを含む、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードするコード領域を好ましくは含むことができる。
【0162】
シグナルペプチド(シグナル配列、標的シグナル、局在化シグナル、局在化配列、輸送ペプチド、リーダー配列、又はリーダーペプチドと呼ばれることもある)は、典型的には、好ましくは、コードされたCRISPR関連タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体)のN末端に位置する短い(5~30アミノ酸長)ペプチドである。
【0163】
シグナルペプチドは、好ましくは、コードされたCRISPR関連タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体)の、画定された細胞区画(例えば、細胞表面、小胞体(ER)、又はエンドソーム-リソソーム区画)への輸送を媒介する。したがって、シグナルペプチドは、生産細胞系から発現されたタンパク質の排出を促進するために特に有用である。
【0164】
本発明の文脈において想定される例示的なシグナルペプチドとしては、限定されるものではないが、古典的又は非古典的MHC分子のシグナル配列(例えば、MHCI及びII分子のシグナル配列、例えば、MHCクラスI分子HLA-A*0201のシグナル配列)、サイトカイン又は免疫グロブリンのシグナル配列、免疫グロブリン又は抗体の不変鎖のシグナル配列、Lamp1、タパシン、Erp57、カルレチクリン、カルネキシン、PLAT、EPO又はアルブミンのシグナル配列、及び更なる膜関連タンパク質、又は小胞体(ER)又はエンドソーム-リソソーム区画に関連するタンパク質のシグナル配列が挙げられる。最も好ましくは、シグナル配列は、(ヒト)HLA-A2、(ヒト)PLAT、(ヒト)sEPO、(ヒト)ALB、(ヒト)IgE-リーダー、(ヒト)CD5、(ヒト)IL2、(ヒト)CTRB2、(ヒト)IgG-HC、(ヒト)Ig-HC、(ヒト)Ig-LC、GpLuc、(ヒト)Igカッパ、又は前述のタンパク質のいずれかの断片若しくは変異体、特にHLA-A2、HsPLAT、sHsEPO、HsALB、HsPLAT(aa1-22)、HsPLAT(aa1-22)、IgE-リーダー、HsCD5(aa1-24)、HsIL2(aa1-20)、HsCTRB2(aa1-18)、IgG-HC(aa1-19)、Ig-HC(aa1-19)、Ig-LC(aa1-19)、GpLuc(1-17)、又はMmIgカッパに由来する。本発明は、変異体又は断片が機能的である限り、即ち目的の(細胞内又は細胞外)細胞位置にCRISPR関連タンパク質を標的とすることができる限り、前述のシグナル配列又はその変異体若しくは断片の使用を想定する。
【0165】
前記シグナルペプチドをコードする核酸配列は、好ましくは、標準的な遺伝子工学技術によって、本発明の人工核酸のコード領域中のCRISPR関連タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体)をコードする核酸配列に融合される(Sambrook J et al., 2012 (4th ed.), Molecular cloning: a laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)。前記コード領域の発現により、好ましくは、(好ましくはそのN末端、C末端、又はその両方に)コードされたシグナルペプチドを含むCRISPR関連タンパク質が生じる。
【0166】
核局在化配列(NLS)
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、好ましくは少なくとも1つの核局在化配列(NLS)をコードする核酸配列を更に含み得る。前記核酸配列は、好ましくは本発明の人工核酸分子の(CRISPR関連タンパク質をコードする)コード領域内に位置する。したがって、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、少なくとも1つの核局在化配列(NLS)を含む、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードするコード領域を好ましくは含むことができる。
【0167】
核局在化シグナル又は配列(NLS)は、核タンパク質の核内への輸送を媒介するアミノ酸の短い一続きである。本発明の人工核酸によってコードされるCRISPR関連タンパク質は、哺乳動物細胞における治療及び研究用途が特に想定されるので、それらがそれらの効果をゲノムDNAに対して発揮し得る核内への移入を可能にするために、少なくとも1つのNLSを設けることができる。NLSは、核エンベロープ内の核孔複合体(NPC)と相互作用し、それによってCRISPR関連タンパク質の核内への輸送を促進することが好ましい。
【0168】
様々なNLS配列が当技術分野で知られており、本発明に係るそれらの使用(又は使用のための適合)は、当業者の平均的な技術及び知識の範囲内である。最もよく特徴付けられている輸送シグナルは、核タンパク質移入のための古典的NLS(cNLS)であり、それは塩基性アミノ酸の1つ(単節型(monopartite))又は2つ(双節型(bipartite))の一続きからなる。典型的には、単節型モチーフは、ヘリックス切断残基によって先行される塩基性残基のクラスターによって特徴付けられる。同様に、双節型モチーフは、9~12残基離れた塩基性残基の2つのクラスターからなる。単節型cNLSは、SV40ラージT抗原NLS(126PKKKRRV132;配列番号381)により例示され、双節型cNLSは、ヌクレオプラスミンNLS(155KRPAATKKAGQAKKKK170;配列番号382)により例示される。単節型NLSのN末端リジンからの連続残基は、P1、P2などと呼ばれる。単節型cNLSは、典型的には、P1位置にリジンを必要とし、続いて位置P2及びP4に塩基性残基が続き、K(K/R)X(K/R)のゆるいコンセンサス配列を生じる(配列番号384;Lange et al., J Biol Chem. 2007 Feb 23; 282(8): 5101-5105)。
【0169】
したがって、好ましい実施形態によれば、人工核酸分子は、核局在化シグナル(NLS)をコードする少なくとも1つの核酸配列を更に含むことが想定される。したがって、本発明に係る人工核酸分子は、1、2、3、4、5、又はそれ以上のNLSをコードしていてもよく、それらは本明細書に例示されたNLSから任意に選択される。前記NLSコード核酸配列は、好ましくは本発明の人工核酸のコード領域に位置し、好ましくはCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列に融合され、その結果、前記コード領域の発現により、前記少なくとも1つNLSを、好ましくはそのN末端、C末端、又はその両方に含むCRISPR会合タンパク質を生じる。換言すれば、本発明に係る人工核酸分子は、少なくとも1つのNLSを、好ましくはそのN末端、C末端、又はその両方に含むCRISPR関連タンパク質を好ましくはコードし得る。
【0170】
本発明に係る好適なNLSは、本明細書でNLS2とも呼ばれる、配列番号426に係るアミノ酸配列(MAPKKKRKVGIHGVPAA)を含む又はからなることができ、これは、配列番号409;2538、1378;3698;4858;6018;7178;又は8338のいずれかに係る核酸配列、又はこれらの配列のいずれかの(機能的)変異体又は断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ得る。本発明は更に、変異体及び断片が機能的である、即ち、CRISPR関連タンパク質の核内への移入を媒介することができる限り、NLS2の変異体又は断片の使用も想定される。そのような機能的変異体又は断片は、配列番号426に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなり得る。
【0171】
本発明に係る別の好適なNLSは、本明細書でNLS4とも呼ばれる、配列番号427に係るアミノ酸配列(KRPAATKKAGQAKKKK)を含む又はからなることができ、これは、配列番号410;2539;1379;3699;4859;6019;7179;8339のいずれかに係る核酸配列、又はこれらの配列のいずれかの(機能的)変異体又は断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ得る。本発明は更に、変異体及び断片が機能的である、即ち、CRISPR関連タンパク質の核内への移入を媒介することができる限り、NLS4の変異体又は断片の使用も想定される。そのような機能的変異体又は断片は、配列番号427に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなり得る。
【0172】
本発明に係る別の好適なNLSは、本明細書でNLS4とも呼ばれる、配列番号427に係るアミノ酸配列(KRPAATKKAGQAKKKK)を含む又はからなることができ、これは、配列番号410;2539;1379;3699;4859;6019;7179;8339のいずれかに係る核酸配列、又はこれらの配列のいずれかの(機能的)変異体又は断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ得る。本発明は更に、変異体及び断片が機能的である、即ち、CRISPR関連タンパク質の核内への移入を媒介することができる限り、NLS4の変異体又は断片の使用も想定される。そのような機能的変異体又は断片は、配列番号427に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなり得る。
【0173】
CRISPR関連タンパク質に2つ以上のNLSを設けることが本明細書では更に想定され、これらのNLSは、例えば、NLS2(配列番号426によって特徴付けられる)及びNLS4(配列番号427によって特徴付けられる)又はこれらの核局在化シグナルのいずれか又は両方の機能的変異体又は断片から選択され得る。
【0174】
本発明に係る別の好適なNLSは、本明細書でNLS3とも呼ばれる、配列番号10575に係るアミノ酸配列(KRPAATKKAGQAKKKK)を含む又はからなることができ、これは、配列番号410;2539 1379;3699;4859;6019;7179;8339、10551;10581、10593;10584;10587;10590;10593;10596のいずれかに係る核酸配列、又はこれらの配列のいずれかの(機能的)変異体又は断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によってコードされ得る。本発明は更に、変異体及び断片が機能的である、即ち、CRISPR関連タンパク質の核内への移入を媒介することができる限り、NLS3の変異体又は断片の使用も想定される。そのような機能的変異体又は断片は、配列番号427に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなり得る。
【0175】
したがって、更なる好ましいNLS配列は、配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列を含み又はからなることができ、409;2538;410;2539;10551;10581;11973;11974~1198;1378;3698;4858;6018;7178;8338;1379;3699;4859;6019;7179;8339;10593;10584;10587;10590;10593;10596;11965;11981;11989;11997;12005;12013;11966~11972;11982~11988;11990~11996;11998~12004;12006~12012;又は12014~12020に係る核酸配列によってコードし得る。
【0176】
更なる好ましいNLSは、配列番号12021~14274に係るアミノ酸配列を含む又はからなり得る。
【0177】
前記したNLS配列は、一般に使用され認められているNLSの非限定的一覧である。本明細書中で言及された遺伝子編集酵素のいずれか、即ち、Cas9又はCpf1は、当技術分野で知られた任意の他のNLSと、及び配列中の任意の数のNLS配列と組み合わせることができる。また、異なるNLS配列の組合せも本発明の前記開示によって網羅されている。
【0178】
本明細書に開示される遺伝子編集タンパク質をコードする配列、又は本明細書に開示されるNLSの任意の数及び/又は組合せ(即ち、5’/3’NLS)で任意のNLSを含む配列表中の遺伝子編集タンパク質をコードする配列も本発明の教示の範囲に含まれる。
【0179】
タンパク質及びペプチドのタグ
幾つかの実施形態において、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、タンパク質又はペプチドのタグをコードする少なくとも1つの核酸配列を更に含む。前記核酸配列は、好ましくは本発明の人工核酸分子のコード領域(CRISPR関連タンパク質をコードする)内に位置する。したがって、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、少なくとも1つのタンパク質又はペプチドのタグを含む、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードするコード領域を含むことが好ましい。
【0180】
タンパク質及びペプチドのタグは、精製、検出、局在化を可能にするために、又は他の目的のために目的タンパク質に導入することができるアミノ酸配列である。タンパク質及びペプチドのタグは、それらの機能に基づいて分類することができ、限定するものではないが、親和性タグ(例えば、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ポリ(His)タグ、Fcタグ、Strepタグ)、可溶化タグ(例えば、チオレドキシン(TRX)及びポリ(NANP))、クロマトグラフィータグ(例えば、FLAGタグ)、エピトープタグ(例えば、V5タグ、Mycタグ、HAタグ、及びNEタグ)、蛍光タグ(例えば、GFPタグ)、又はその他(ビオチン化及びその後の単離を可能にするAvタグ)が挙げられる。
【0181】
したがって、本発明に係る人工核酸分子は、1、2、3、4、5、又はそれ以上のタンパク質又はペプチドタグをコードすることができ、これらは本明細書に例示されるタンパク質タグから任意に選択される。前記タンパク質又はペプチドタグをコードする核酸配列は、好ましくは本発明の人工核酸分子のコード領域に位置し、好ましくはCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列に融合され、その結果、前記コード領域の発現により、前記少なくとも1つのタンパク質又はペプチドタグを含むCRISPR関連タンパク質が生じる。換言すれば、本発明に係る人工核酸分子は、少なくとも1つのタンパク質又はペプチドタグを含むCRISPR関連タンパク質を好ましくはコードすることができる。そのようなタンパク質又はペプチドタグをコードする核酸を導入するための手段及び方法は、当業者の技術及び常識の範囲内である。
【0182】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、適切である場合又は必要に応じて、組み合わせられた特徴又は特性が互いに干渉し合うことがない限り、互いに組み合わせて、前記した特徴又は特性のいずれかを示すCRISPR関連タンパク質(Cas9、Cpf1など)をコードしてもよい。したがって、人工核酸分子、特にRNAは、コードされたCRISPR関連タンパク質(及びNLS、シグナル配列、タンパク質/ペプチドタグ)が、好ましくは上で定義されたその所望の生物学的機能又は特性を保持する限り、本明細書に例示される任意のCRISPR関連タンパク質、又は本明細書に定義されるそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードすることができ、これは1以上のNLS、及び任意に1以上のシグナル配列及び/又はタンパク質若しくはペプチドタグを含み得る。
【0183】
精製、検出、局在化のため又は他の目的のために導入された前記タグ配列を含まないタンパク質又はペプチドタグを有する配列も全て、本発明の教示の範囲内に含まれる。換言すれば、ペプチド又はタンパク質タグとともに配列表に開示されている配列も、タグ配列が除かれた場合でも、本発明の教示の範囲内に明確に含まれる。当業者であれば、タグ付きタンパク質配列から任意のタグ配列を容易に除去することができる、即ち、本発明の配列をタグなしの形態でも使用することができる。必要に応じて、タンパク質から容易に除去することができる、又はタンパク質に付加することもできるポリC及びヒストンステムループ配列についても同様である。
【0184】
Cas9
「Cas9」は、ストレプトコッカスピオゲネス血清型M1 cas9遺伝子(NCBI参照配列:NC_002737.2、「SPy1046」;S.ピオゲネス)、即ち、spCas9又はそのホモログ、変異体、若しくは断片によってコードされ得るRNAガイドII型CRISPR-CasDNAエンドヌクレアーゼを意味する。Cas9は、好ましくはガイドRNA(gRNA)によって動員されて、部位特異的に、DNAの二重らせんの各鎖に1つずつである2つの異なるエンドヌクレアーゼドメイン(HNH及びRuvC/RNase H様ドメイン)を用いて標的DNA配列を切断する。RuvC及びHNHは協働して、二本鎖切断(DSB)を生じ、別々に一本鎖切断を生じさせることができる(米国特許出願公開第2014-0068797号明細書及びJinek M., et al. Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21)。Cas9は、好ましくは、標的DNA配列に並置されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を特異的に認識(好ましくはそれに結合)することができる。PAMは、典型的には、標的DNAの3’に位置し、いずれも3ヌクレオチド配列NGGを含み得る又はからなり得る。典型的には、Cas9のC末端近傍に位置するPAM相互作用ドメイン(PIドメイン)によって認識される。
【0185】
多数のCas9タンパク質が、当技術分野において知られており、本発明の文脈においてCRISPR関連タンパク質として想定される。好適なCas9タンパク質は、以下の表2に列挙されている。そこでは、各行は、対応するタンパク質のデータベースアクセッション番号によって同定されるCas9タンパク質に対応する(第1列、「A」、「Acc.No.」)。表2の第2列(「B」)は、本明細書に提供されるそれぞれのアミノ酸配列に対応する配列番号を示す。好ましいCas9タンパク質は、配列番号428~441;配列番号10999~11001;及び配列番号442~1345として配列表に示される。本発明の好ましい実施形態である対応する最適化されたmRNA配列は、配列番号411;2540~2553;11117~11119;11355~11357;2554~3457;1380~1393;3700~3713;4860~4873;6020~6033;7180~7193;8340~8353;11237~11239;11473~11475;11591~11593;11709~11711;11827~11829;11945~11947;1394~2297;3714~4617;4874~5777;6034~6937;7194~8097;及び8354~9257として配列表に示される。
【0186】
アミノ酸配列
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
【表2-23】
【表2-24】
【0187】
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、表2の各列に与えられるデータベースアクセッション番号によって定義されるCas9タンパク質をコードする核酸配列、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体を含む又はからなるコード配列を含む。特に、コードされたCas9タンパク質は、表2の各列に示されるアミノ酸配列、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体を好ましくは含む又はからなることができる。
【0188】
具体的には、好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、したがって、配列番号428~1375のいずれかによって定義されるアミノ酸配列、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるCas9タンパク質をコードする核酸配列を含む又はからなるコード配列を含み得る。
【0189】
特に、コードされたCas9タンパク質は、好ましくは少なくとも1つの核局在化シグナル(NLS)、より好ましくは上で定義されたNLS2及びNLS4から選択される2つのNLSを含み得る。好ましい態様において、本発明の人工核酸分子は、配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964、又は配列番号12021~14274のいずれかで定義されるアミノ酸配列、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなる核局在化シグナルを有するCas9タンパク質をコードする核酸配列を含む又はからなるコード配列を含み得る。
【0190】
本明細書で想定される好ましい機能的Cas9変異体としては、特に「deadCas9(dCas9)」及び「Cas9ニッカーゼ」が挙げられる。
【0191】
「dCas9」という用語は、「触媒的に不活性」、「触媒的に死んだCas9」、又は「死んだCas9」とも呼ばれるヌクレアーゼ不活性化Cas9を意味する。このようなヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼ活性の全て又は一部を欠くので、RNAにガイドされる方法で遺伝子を調節するために使用できる(Jinek M et al. Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21)。dCas9ヌクレアーゼは、典型的には2つの触媒残基(S.ピオゲネスCas9(即ち、spCas9)に対して番号付けされたRuvC-1ドメインのD10A、及びHNHドメインのH840A)の両方に、Cas9エンドヌクレアーゼ活性を不活性化する変異を含む。しかし、ヌクレアーゼドメインのいずれか又は両方の活性を低下させるために、他の触媒残基も変異させることができる。dCas9は、dsDNAを切断できないことが好ましいが、適切なgRNAと会合し、標的DNAに特異的に結合する能力を保持する。アミノ酸位置D10A及びH840Aに変化をもつCas9二重変異体は、ヌクレアーゼ及びニッカーゼ活性の両方を完全に不活性化する。「dCas9」に基づくCas9誘導体を使用して、追加のエフェクタードメインを標的DNA配列に送り込み、それにより、例えばCRISPRa又はCRISPRiを誘導することができる(本明細書の他の箇所で説明)。
【0192】
「Cas9ニッカーゼ」という用語は、標的核酸配列に二本鎖切断を導入する能力を保持しないが、標的部位に結合して一本鎖切断を導入する能力を維持するCas9変異体を意味する。そのような変異体は、典型的には、Cas9エンドヌクレアーゼドメイン(HNH及びRuvC)の両方ではなく、一方に変異を含む。したがって、S.ピオゲネスCas9(即ち、spCas9)に対して番号付けされたCas9の位置D10A又はH840Aのアミノ酸変異は、ヌクレアーゼ触媒活性の不活性化を引き起こし、Cas9をニッカーゼに変換し得る。
【0193】
更なるCas9変異体は当技術分野で知られており、本発明に係る変異体として想定される。米国特許出願公開第20140273226号明細書は、S.ピオゲネスCas9遺伝子、Cas9タンパク質、並びに宿主特異的コドン最適化Cas9コード配列及びCas9融合タンパク質を含むCas9タンパク質の変異体について記載している。米国特許出願公開第20140315985号明細書は、S.ピオゲネス由来のCas9の配列(米国特許出願公開第20140273226号明細書の配列番号8)を含む多数の例示的な野生型Cas9ポリペプチド(例えば、米国特許出願公開第20140273226号明細書の配列番号1~256、配列番号795~1346)を教示している。Cas9タンパク質の修飾及び変異体についても記載されている。これらの文献の開示は、その全体を本明細書に援用する。
【0194】
更なる実施形態において、本発明に係る人工核酸は、参照によりその全体を本明細書に援用するPCT/EP2017/076775の表2に示されるように、Cas9タンパク質、又はそのアイソフォーム、ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする。したがって、例えば、本発明の人工核酸は、PCT/EP2017/076775の配列番号428~1345又は1362~1375のいずれかにより定義されるアミノ酸配列を含む又はからなるCas9タンパク質、又はその(機能的)アイソフォーム、ホモログ、変異体、断片、又は誘導体をコードする少なくとも1つのコード配列を含み得る。
【0195】
核酸配列
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、本明細書に定義されるCas9タンパク質をコードする核酸配列を含む又はからなるコード配列を含むことができ、前記核酸配列は、配列番号412;3474~3887;2314~2327;4634~4647;5794~5807;6954~6967;8114~8127;413~425;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975;10074~10087;10186~10199;10298~10311;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866 ~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983;5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391;27;996~1009;2156~2169;3316~3329;4476~4489;5636~5649;6796~6809;7956~7969;1010~1913;2170~3073;3330~4233;4490~5393;5650~6553;6810~7713;7970~8873のいずれか、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列で定義される。
【0196】
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸は、それらのコード領域において、少なくとも1つの核局在化シグナルを更にコードする。核局在化シグナルをコードする核酸配列は、好ましくは、本明細書で定義されるCas9タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸に融合され、前記Cas9タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、又は誘導体の核への輸送を促進する。したがって、好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルと融合されたCas9タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、好ましくは、配列番号409;2538;410;2539;10551;10581;11973;11974~11980;1378;3698;4858;6018;7178;8338;1379;3699;4859;6019;7179;8339;10593;10584;10587;10590;10593;10596;11965;11981;11989;11997;12005;12013;11966~11972;11982~11988;11990~11996;11998~12004;12006~12012;12014~12020のいずれか、又はタンパク質配列番号12021~14274をコードする核酸配列、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列で定義される。
【0197】
本発明は、前記コードされたタンパク質の発現を好ましくは上昇させるために、CRISPR関連タンパク質コード領域と本明細書で定義されるUTRとの有利な組合せを想定している。好ましい実施形態では、したがって、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに融合されたCas9タンパク質又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、配列番号412;3474~3887;2314~2327;4634~4647;5794~5807;6954~6967;8114~8127;413~425;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975;10074~10087;10186~10199;10298~10311;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983;5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列で定義される。
【0198】
本発明は、前記コードされたタンパク質の発現を好ましくは上昇させるために、CRISPR関連タンパク質コード領域と本明細書で定義されるUTRとの有利益な組合せを想定している。したがって、好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに融合されたCas9タンパク質又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、配列番号14274、配列番号14275、配列番号14276、配列番号14277、配列番号14278、配列番号14279、配列番号14280、配列番号14281、及び配列番号14282、より好ましくは配列番号14281、配列番号417(HSD17B4/PSMB3.1、即ち、構築物HSD17B4_NLS2_STRP1(SF370)-cas9_HsOpt_NLS4_PSMB3.1;Hsopt=ホモサピエンス最適化)又は配列番号414(Slc7a3.1/Gnas1、即ち、構築物Scl7a3.1_NLS2_STRP1(SF370)-cas9_HsOpt_NLS4_Gnas.1)からなる群から選択される。
【0199】
有利には、開示される任意のCas9配列、即ち本明細書及び/又は配列表に開示される前記した任意の配列、即ちCas9タンパク質配列及びそれぞれのCas9タンパク質配列の異なるバージョンをコードするmRNA、即ちWT又は最適化された配列を、本発明の使用のために選択することができる。
【0200】
更に、Cas9ニッカーゼによるハンチンチン遺伝子からのCAGトラクトの正確な切除は、参照により本明細書に援用されるPMID 29535594を参照することにより、本発明の教示の範囲内に含まれる。また、髄膜炎菌由来の天然CRISPR-Cas9システムによるプログラム可能なRNA切断及び認識は、参照により本明細書に援用されるPMID 29456189を参照することにより、本発明の教示の範囲内に含まれる。更に、カンピロバクタージェジュニCas9による内因性RNAのCRISPR RNA依存性結合及び切断は、参照により本明細書に援用されるPMID 29499139を参照することにより、本発明の教示の範囲内に含まれる。また、CRISPR/Cas9媒介トランスエピジェネティック調節を介したインビボ標的遺伝子活性化は、参照により本明細書に援用されるPMID 29224783を参照することにより、本発明の教示の範囲内に含まれる。
【0201】
更なる実施形態では、本発明はまた、表2Aに示される核酸配列も想定する。
【表2A】
【0202】
更なる実施形態において、NLS2_STRP1(SF370)-cas9_HsOpt_NLS4(配列番号412)は、表2Aに示されるようにUTRの組合せ、即ちSlc7a3.1(配列番号15/16)/Gnas.1(配列番号29/30)と組み合わされる。
【表2B】
【0203】
更なる実施形態では、本発明に係る人工核酸配列は、PCT/EP2017/076775の配列番号1380~1393;1394~2297;2314~2327;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;2540~2553;2554~3457;3474~3887;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975;10074~10087;10186~10199;10298~10311;3700~3713;3714~4617;4634~4647;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;4860~4873;4874~5777;5794~5807;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983;5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6020~6033;6034~6937;6954~6967;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;7180~7193;7194~8097;8114~8127;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;8340~8353;8354~9257;9274~9287;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391;411;1380~1393;2540~2553;3700~3713;4860~4873;6020~6033;7180~7193;8340~8353;1394~2297;2554~3457;3714~4617;4874~5777;6034~6937;7194~8097;8354~9257;2314~2327;3474~3887;4634~4647;5794~5807;6954~6967;8114~8127;9274~9287;413~425;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975;10074~10087;10186~10199;10298~10311;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983;5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391に係る核酸配列、又はその(機能的)ホモログ、断片、変異体、若しくは誘導体を含む又はからなり得る。
【0204】
Cpf1
「Cpf1」(「Prevotella及びFrancisella 1由来のCRISPR」)又は「Cas12」は、推定クラス2タイプV CRISPR-Casシステム(Zetsche et al., Cell. 2015 Oct 22; 163(3): 759-771)に属するRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼ、及びそのホモログ、変異体、断片、及び誘導体を意味する。Cpf1をコードする遺伝子は、フランシセラ ツラレンシス亜種ノビシダ(U112株)cpf1遺伝子(NCBI参照配列:NZ_CP009633.1、「AW25_RS03035」)又はそのホモログ、変異体、又は断片を含む。配列分析に基づき、Cpf1は、1つだけの検出可能なRuvCエンドヌクレアーゼドメインと、第2の推定新規ヌクレアーゼ(NUC)ドメインを含む(Zetsche et al., Cell. 2015 Oct 22; 163(3): 759-771, Gao et al. Cell Res. 2016 Aug;26(8):901-13)。
【0205】
Cpf1タンパク質は、crRNAと会合して、好ましくは標的DNA配列と特異的に相互作用することができるCpf1:crRNA複合体を形成することが好ましい。Cpf1:crRNA複合体は、ターゲットDNAの5’に位置する短いTリッチプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)によって先行されるターゲットDNAを効率的に切断でき、4又は5-ntの5’オーバーハングを有する互い違いのDNA二本鎖切断を導入できることが好ましい。
【0206】
アミノ酸配列
幾つかのCpf1タンパク質が、当技術分野において知られており、本発明の文脈においてCRISPR関連タンパク質として想定される。好適なCpf1タンパク質は、以下の表3に列挙されている。そこでは、各行は、データベースアクセッション番号によって同定されるCpf1タンパク質に対応する(第1列、「A」、「Acc.No.」)。表2の第2列(「B」)は、本明細書に提供されるそれぞれのアミノ酸配列に対応する配列番号を示す。好ましいCpf1タンパク質は、配列番号1346~1347;10576~10577;及び1348~1361として配列表に示される。本発明の好ましい実施形態である対応する最適化されたmRNA配列は、配列番号10552;3458~3459;3460~3473 2298~2299;4618~4619;5778~5779;6938~6939;8098~8099;9258~9259;2300~2313;4620~4633;5780~5793;6940~6953;8100~8113;及び9260~9273として配列表に示される。
【表3】
【0207】
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、表3の各列に提供されるデータベースアクセッション番号によって定義されるCpf1タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む又はからなるコード配列を含む。特に、コードされたCpf1タンパク質は、好ましくは、表3の各列に示されるアミノ酸配列、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体を含む又はらからなり得る。
【0208】
具体的には、好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、配列番号1346~1347;10576~10577;又は1348~1361によって定義されるアミノ酸配列、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなるコード配列を含み得る。
【0209】
特に、コードされたCpf1タンパク質は、好ましくは少なくとも1つの核局在化シグナル(NLS)、より好ましくは上で定義したNLS2及びNLS4から選択される2つのNLSを含み得る。好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、配列番号992~993によって定義されるアミノ酸配列、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる核局在化シグナルを有するCpf1タンパク質をコードする核酸配列を含む又はからなるコード配列を含み得る。
【0210】
更なる態様において、本発明に係る人工核酸は、参照によりその全体が本明細書に援用されるPCT/EP2017/076775の表3に示される、Cpf1タンパク質、又はそのアイソフォーム、ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする。具体的には、本発明の人工核酸(RNA)分子は、PCT/EP2017/076775の配列番号1346~1361、1376~1377、又は10576~10577のいずれかによって定義されるアミノ酸配列を含む又はからなるCpf1タンパク質、又はその(機能的)アイソフォーム、ホモログ、変異体、断片、又は誘導体をコードするコード配列を含み得る。
【0211】
核酸配列
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、本明細書に定義されるCpf1タンパク質をコードする核酸配列(ここで、前記核酸配列は、配列番号3488~3489;10396;2328~2329;10395;4648~4649;10397;5808~5809;10398;6968~6969;10399;8128~8129;10400;9274~9287;3504~3505;3520~3521;3536~3537;3552~3553;3568~3669;3584~3585;3600~3601;3616~3617;3632~3633;3648~3649;3664~3665;3680~3681;3696~3697;9528~9529;9640~9641;9752~9753;9864~9865;9976~9977;10088~10089;10200~10201;10312~10313;10403;10410;10417;10424;10431;10438;10445;10452;10459;10466;10473;10480;10487;10494;10501;10508;10515;10522;10529;10536;10543;2344~2345;2360~2361;2376~2377;2392~2393;2408~2409;2424~2425;2440~2441;2456~2457;2472~2473;2489~2490;2504~2505;2520~2521;2536~2537;9512~9513;9624~9625;9736~9737;9848~9849;9960~9961;10072~10073;10184~10185;10296~10297;10402;10409;10416;10423;10430;10437;10444;10451;10458;10465;10472;10479;10486;10493;10500;10507;10514;10521;10528;10535;10542;4664~4665;4680~4681;4696~4697;4712~4713;4728~4729;4744~4745;4760~4761;4776~4777;4792~4793;4808~4809;4824~4825;4840~4841;4856~4857;9544~9545;9656~9657;9768~9769;9880~9881;9992~9993;10104~10105;10216~10217;10328~10329;10404;10411;10418;10425;10432;10439;10446;10453;10460;10467;10474;10481;10488;10495;10502;10509;10516;10523;10530;10537;10544;5824~5825;5840~5841;5856~5857;5872~5873;5888~5889;5904~5905;5920~5921;5936~5937;5952~5953;5968~5969;5984~5985;6000~6001;6016~6017;9560~9561;9672~9673;9784~9785;9896~9897;10008~10009;10120~10121;10232~10233;10344~10345;10405;10412;10419;10426;10433;10440;10447;10454;10461;10468;10475;10482;10489;10496;10503;10510;10517;10524;10531;10538;10545;7033;7048~7049;7064~7065;7080~7081;7096~7097;7112~7113;7128~7129;7144~7145;7160~7161;7176~7177;9576~9577;9688~9689;9800~9801;9912~9913;10024~10025;10136~10137;10248~10249;10360~10361;10406;10413;10420;10427;10434;10441;10448;10455;10462;10469;10476;10483;10490;10497;10504;10511;10518;10525;10532;10539;10546;8144~8145;8160~8160;8176~8177;8192~8193;8208~8209;8224~8225;8240~8241;8256~8257;8272~8273;8288~8289;8304~8305;8320~8321;8336~8337;9592~9593;9704~9705;9816~9817;9928~9929;10040~10041;10152~10153;10264~10265;10376~10377;10407;10414;10421;10428;10435;10442;10449;10456;10463;10470;10477;10484;10491;10498;10505;10512;10519;10526;10533;10540;10547;9288~9289;10401;10553;10582~10583;10579~10580;10585~10586;10588~10589;10591~10592;10594~10595;10597~10598;10554~10574;10601;10602;10615;10616;10629;10630;10643;10644;10657;10658;10671;10672;10685;10686;10699;10700;10713;10714;10727;10728;10741;10742;10755;10756;10769;10770;10783;10784;10797;10798;10811;10812;10825;10826;10839;10840;10853;10854;10867;10868;10881;10882;10603;10604;10617;10618;10631;10632;10645;10646;10659;10660;10673;10674;10687;10688;10701;10702;10715;10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10831;10832;10845;10846;10859;10860;10873;10874;10887;10888;10609;10610;10623;10624;10637;10638;10651;10652;10665;10666;10679;10680;10693;10694;10707;10708;10721;10722;10735;10736;10749;10750;10763;10764;10777;10778;10791;10792;10805;10806;10819;10820;10833;10834;10847;10848;10861;10862;10875;10876;10889;10890;10611;10612;10625;10626;10639;10640;10653;10654;10667;10668;10681;10682;10695;10696;10709;10710;10723;10724;10737;10738;10751;10752;10765;10766;10779;10780;10793;10794;10807;10808;10821;10822;10835;10836;10849;10850;10863;10864;10877;10878;10891;10892;9304~9305;9320~9321;9336~9337;9352~9353;9368~9369;9384~9385;9400~9401;9416~9417;9432~9433;9448~9449;9464~9465;9480~9481;9496~9497;9608~9609;9720~9721;9832~9833;9944~9945;10056~10057;10168~10169;10280~10281;10392~10393;10408;10415;10422;10429;10436;10443;10450;10457;10464;10471;10478;10485;10492;10499;10506;10513;10520;10527;10534;10541;10548のいずれかで定義される);又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなるコード配列を含み得る。
【0212】
別の好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子は、本明細書に定義されるCpf1タンパク質をコードする核酸配列を含む又はからなるコード配列を含むことができ、前記核酸配列は、配列番号10549(即ち、AsCpf1=32L4_AsCpf1(Hsopt)-NLS3-3xHA-tag_albumin7)又は配列番号10550(即ち、LbCpf1=32L4_LbCpf1(Hsopt)-NLS3-3xHA-tag_albumin7);又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列のいずれかによって定義される。
【0213】
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸は、それらのコード領域において、少なくとも1つの核局在化シグナルを更にコードする。核局在化シグナルをコードする核酸配列は、好ましくは、Cpf1タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、又は誘導体の核内への輸送を促進するために、本明細書に定義される前記Cpf1タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸に融合される。好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに融合されたCpf1タンパク質、又はそのホモログ、断片、変異体、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、配列番号10551;10581;10593;10584;10587;10590;10593;10596;409;2538;410;2539;10551;10581;11973;11974~11980;1378;3698;4858;6018;7178;8338;1379;3699;4859;6019;7179;8339;10593;10584;10587;10590;10593;10596;11965;11981;11989;11997;12005;12013;11966~11972;11982~11988;11990~11996;11998~12004;12006~12012;12014~12020のいずれか、又は配列番号12021~14274のいずれか又は組合せ、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列のいずれかによって定義される。
【0214】
有利には、前記コードタンパク質の発現を好ましくは上昇させるために、Cpf1などのCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列、又はそれらのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体は、本発明に係る人工核酸のコード領域内で本明細書に定義されるUTRと組み合わされる。好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに更に融合されたCpf1タンパク質、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片をコードする核酸配列(ここで、前記核酸配列は、好ましくは、配列番号3488~3489;10396;2328~2329;10395;4648~4649;10397;5808~5809;10398;6968~6969;10399;8128~8129;10400;9274~9287;3504~3505;3520~3521;3536~3537;3552~3553;3568~3669;3584~3585;3600~3601;3616~3617;3632~3633;3648~3649;3664~3665;3680~3681;3696~3697;9528~9529;9640~9641;9752~9753;9864~9865;9976~9977;10088~10089;10200~10201;10312~10313;10403;10410;10417;10424;10431;10438;10445;10452;10459;10466;10473;10480;10487;10494;10501;10508;10515;10522;10529;10536;10543;2344~2345;2360~2361;2376~2377;2392~2393;2408~2409;2424~2425;2440~2441;2456~2457;2472~2473;2489~2490;2504~2505;2520~2521;2536~2537;9512~9513;9624~9625;9736~9737;9848~9849;9960~9961;10072~10073;10184~10185;10296~10297;10402;10409;10416;10423;10430;10437;10444;10451;10458;10465;10472;10479;10486;10493;10500;10507;10514;10521;10528;10535;10542;4664~4665;4680~4681;4696~4697;4712~4713;4728~4729;4744~4745;4760~4761;4776~4777;4792~4793;4808~4809;4824~4825;4840~4841;4856~4857;9544~9545;9656~9657;9768~9769;9880~9881;9992~9993;10104~10105;10216~10217;10328~10329;10404;10411;10418;10425;10432;10439;10446;10453;10460;10467;10474;10481;10488;10495;10502;10509;10516;10523;10530;10537;10544;5824~5825;5840~5841;5856~5857;5872~5873;5888~5889;5904~5905;5920~5921;5936~5937;5952~5953;5968~5969;5984~5985;6000~6001;6016~6017;9560~9561;9672~9673;9784~9785;9896~9897;10008~10009;10120~10121;10232~10233;10344~10345;10405;10412;10419;10426;10433;10440;10447;10454;10461;10468;10475;10482;10489;10496;10503;10510;10517;10524;10531;10538;10545;7033;7048~7049;7064~7065;7080~7081;7096~7097;7112~7113;7128~7129;7144~7145;7160~7161;7176~7177;9576~9577;9688~9689;9800~9801;9912~9913;10024~10025;10136~10137;10248~10249;10360~10361;10406;10413;10420;10427;10434;10441;10448;10455;10462;10469;10476;10483;10490;10497;10504;10511;10518;10525;10532;10539;10546;8144~8145;8160~8160;8176~8177;8192~8193;8208~8209;8224~8225;8240~8241;8256~8257;8272~8273;8288~8289;8304~8305;8320~8321;8336~8337;9592~9593;9704~9705;9816~9817;9928~9929;10040~10041;10152~10153;10264~10265;10376~10377;10407;10414;10421;10428;10435;10442;10449;10456;10463;10470;10477;10484;10491;10498;10505;10512;10519;10526;10533;10540;10547;9288~9289;10401;10553;10582~10583 10579~10580;10585~10586;10588~10589;10591~10592;10594~10595;10597~10598;10554~10574;10601;10602;10615;10616;10629;10630;10643;10644;10657;10658;10671;10672;10685;10686;10699;10700;10713;10714;10727;10728;10741;10742;10755;10756;10769;10770;10783;10784;10797;10798;10811;10812;10825;10826;10839;10840;10853;10854;10867;10868;10881;10882;10603;10604;10617;10618;10631;10632;10645;10646;10659;10660;10673;10674;10687;10688;10701;10702;10715;10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10831;10832;10845;10846;10859;10860;10873;10874;10887;10888;10609;10610;10623;10624;10637;10638;10651;10652;10665;10666;10679;10680;10693;10694;10707;10708;10721;10722;10735;10736;10749;10750;10763;10764;10777;10778;10791;10792;10805;10806;10819;10820;10833;10834;10847;10848;10861;10862;10875;10876;10889;10890;10611;10612;10625;10626;10639;10640;10653;10654;10667;10668;10681;10682;10695;10696;10709;10710;10723;10724;10737;10738;10751;10752;10765;10766;10779;10780;10793;10794;10807;10808;10821;10822;10835;10836;10849;10850;10863;10864;10877;10878;10891;10892;9304~9305;9320~9321;9336~9337;9352~9353;9368~9369;9384~9385;9400~9401;9416~9417;9432~9433;9448~9449;9464~9465;9480~9481;9496~9497;9608~9609;9720~9721;9832~9833;9944~9945;10056~10057;10168~10169;10280~10281;10392~10393;10408;10415;10422;10429;10436;10443;10450;10457;10464;10471;10478;10485;10492;10499;10506;10513;10520;10527;10534;10541;10548のいずれかで定義される);又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0215】
有利には、開示される任意のCpf1配列、即ち、上述した配列、即ち、本明細書及び/又は配列表に記載される任意の配列(即ち、Cpf1タンパク質配列)及びそれぞれのCpf1タンパク質配列の各種バージョン(即ち、WT又は最適化された配列)をコードするmRNAを、本発明の使用のために選択することができる。
【0216】
更なる実施形態では、本発明に係る人工核酸配列は、PCT/EP2017/076775の配列番号2298~2299;3458~3459;4618~4619;5778~5779;6938~6939;8098~8099;9258~9259;2300~2313;3460~3473;4620~4633;5780~5793;6940~6953;8100~8113;9260~9273;2328~2329;10395;3488~3489;10396;4648~4649;10397;5808~5809;10398;6968~6969;10399;8128~8129;10400;9288~9289;10401;2344~2345;2360~2361;2376~2377;2392~2393;2408~2409;2424~2425;2440~2441;2456~2457;2472~2473;2489~2490;2504~2505;2520~2521;2536~2537;9512~9513;9624~9625;9736~9737;9848~9849;9960~9961;10072~10073;10184~10185;10296~10297;10402;10409;10416;10423;10430;10437;10444;10451;10458;10465;10472;10479;10486;10493;10500;10507;10514;10521;10528;10535;10542;3504~3505;3520~3521;3536~3537;3552~3553;3568~3669;3584~3585;3600~3601;3616~3617;3632~3633;3648~3649;3664~3665;3680~3681;3696~3697;9528~9529;9640~9641;9752~9753;9864~9865;9976~9977;10088~10089;10200~10201;10312~10313;10403;10410;10417;10424;10431;10438;10445;10452;10459;10466;10473;10480;10487;10494;10501;10508;10515;10522;10529;10536;10543;4664~4665;4680~4681;4696~4697;4712~4713;4728~4729;4744~4745;4760~4761;4776~4777;4792~4793;4808~4809;4824~4825;4840~4841;4856~4857;9544~9545;9656~9657;9768~9769;9880~9881;9992~9993;10104~10105;10216~10217;10328~10329;10404;10411;10418;10425;10432;10439;10446;10453;10460;10467;10474;10481;10488;10495;10502;10509;10516;10523;10530;10537;10544;5824~5825;5840~5841;5856~5857;5872~5873;5888~5889;5904~5905;5920~5921;5936~5937;5952~5953;5968~5969;5984~5985;6000~6001;6016~6017;9560~9561;9672~9673;9784~9785;9896~9897;10008~10009;10120~10121;10232~10233;10344~10345;10405;10412;10419;10426;10433;10440;10447;10454;10461;10468;10475;10482;10489;10496;10503;10510;10517;10524;10531;10538;10545;6984~6985;7000~7001;1016~7017;7032~7033;7048~7049;7064~7065;7080~7081;7096~7097;7112~7113;7128~7129;7144~7145;7160~7161;7176~7177;9576~9577;9688~9689;9800~9801;9912~9913;10024~10025;10136~10137;10248~10249;10360~10361;10406;10413;10420;10427;10434;10441;10448;10455;10462;10469;10476;10483;10490;10497;10504;10511;10518;10525;10532;10539;10546;8144~8145;8160~8160;8176~8177;8192~8193;8208~8209;8224~8225;8240~8241;8256~8257;8272~8273;8288~8289;8304~8305;8320~8321;8336~8337;9592~9593;9704~9705;9816~9817;9928~9929;10040~10041;10152~10153;10264~10265;10376~10377;10407;10414;10421;10428;10435;10442;10449;10456;10463;10470;10477;10484;10491;10498;10505;10512;10519;10526;10533;10540;10547;9304~9305;9320~9321;9336~9337;9352~9353;9368~9369;9384~9385;9400~9401;9416~9417;9432~9433;9448~9449;9464~9465;9480~9481;9496~9497;9608~9609;9720~9721;9832~9833;9944~9945;10056~10057;10168~10169;10280~10281;10392~10393;10408;10415;10422;10429;10436;10443;10450;10457;10464;10471;10478;10485;10492;10499;10506;10513;10520;10527;10534;10541;10548;10552;10594~10595;10582~10583;10585~10586;10588~10589;10591~10592;10594~10595;10597~10598;10553;10599;10600;10613;10614;10627;10628;10641;10642;10655;10656;10669;10670;10683;10684;10697;10698;10711;10712;10725;10726;10739;10740;10753;10754;10767;10768;10781;10782;10795;10796;10809;10810;10823;10824;10837;10838;10851;10852;10865;10866;10879;10880;;10601;10602;10615;10616;10629;10630;10643;10644;10657;10658;10671;10672;10685;10686;10699;10700;10713;10714;10727;10728;10741;10742;10755;10756;10769;10770;10783;10784;10797;10798;10811;10812;10825;10826;10839;10840;10853;10854;10867;10868;10881;10882;10603;10604;10617;10618;10631;10632;10645;10646;10659;10660;10673;10674;10687;10688;10701;10702;10715;10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10
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10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10831;10832;10845;10846;10859;10860;10873;10874;10887;10888;10609;10610;10623;10624;10637;10638;10651;10652;10665;10666;10679;10680;10693;10694;10707;10708;10721;10722;10735;10736;10749;10750;10763;10764;10777;10778;10791;10792;10805;10806;10819;10820;10833;10834;10847;10848;10861;10862;10875;10876;10889;10890;10611;10612;10625;10626;10639;10640;10653;10654;10667;10668;10681;10682;10695;10696;10709;10710;10723;10724;10737;10738;10751;10752;10765;10766;10779;10780;10793;10794;10807;10808;10821;10822;10835;10836;10849;10850;10863;10864;10877;10878;10891;10892に係る核酸配列、又はその(機能的)ホモログ、断片、変異体、若しくは誘導体を含む又はからなり得る。
【0217】
Cas13、CasX、CasY、及びその他の(エンド)ヌクレアーゼ
アミノ酸配列
幾つかのCas13、CasX、及びCasYタンパク質は、当技術分野で知られており、本発明の文脈におけるCRISPR関連タンパク質として想定される。好適なCas13、CasX、及びCasYタンパク質は、配列番号10893~10925;10926~10998(Cas13、即ち、WP15770004、WP18451595、WP21744063、WP21746774、ERK53440、WP31473346、CVRQ01000008、CRZ35554、WP22785443、WP36091002、WP12985477、WP13443710、ETD76934、WP38617242、WP2664492、WP4343973、WP44065294、ADAR2DD、WP47447901、ERI81700、WP34542281、WP13997271、WP41989581、WP47431796、WP14084666、WP60381855、WP14165541、WP63744070、WP65213424、WP45968377、EHO06562、WP6261414、EKB06014、WP58700060、WP13446107、WP44218239、WP12458151、ERJ81987、ERJ65637、WP21665475、WP61156637、WP23846767、ERJ87335、WP5873511、WP39445055、WP52912312、WP53444417、WP12458414、WP39417390、EOA10535、WP61156470、WP13816155、WP5874195、WP39437199、WP39419792、WP39431778、WP46201018、WP39442171、WP39426176、WP39418912、WP39434803、WP39428968、WP25000926、EFU31981、WP4343581、WP36884929、BAU18623、AFJ07523、WP14708441、WP36860899、WP61868553、KJJ86756、EGQ18444、EKY00089、WP36929175、WP7412163、WP44072147、WP42518169、WP44074780、WP15024765、WP49354263、WP4919755、WP64970887、WP61710138);11002;11003(CasX、即ち、OGP07438、OHB99618);及び11004~11010(CasY、即ち、OJI08769、OGY82221、OJI06454、APG80656、OJI07455、OJI09436、PIP58309)で示される。
【0218】
有利には、前記コードされたタンパク質の発現を好ましくは上昇させるために、Cas13などのCRISPR関連タンパク質、又はそれらのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列、本発明に係る人工核酸のコード領域内で、本明細書に定義されるUTRと組み合わされる。好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに更に融合されるCas13タンパク質、又はそのホモログ、変異体、又は断片をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、好ましくは、配列番号11011~11042;11249~11280;11044~11116;11282~11354;11131~11162;11367~11398;11485~11516;11603~11634;11721~11752;11839~11870;11164~11236;11400~11472;11518~11590;11636~11708;11754~11826;11872~11944の少なくとも1つ、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によって定義される。また、他のCas13タンパク質、即ち、Cas13a、Cas13b、Cas13c、及びCas13dも本発明の開示の範囲内に含まれる(参照により本明細書に援用されるPMID 29551514及び295551272から明らかである)。また、Cas13関連の刊行物PMID 26593719、28976959、及び29070703も、参照により本明細書に援用される。
【0219】
多数のCas13タンパク質が当技術分野で知られており、本発明の文脈におけるCRISPR関連タンパク質として想定される。本発明の好ましいCas13d配列は、Cas13dタンパク質(配列番号14294~14321)及び配列番号14322~14349、配列番号14350~14377、配列番号14378~14405、配列番号14406~14433、配列番号14434~14461、配列番号14462~14489、及び配列番号14490~14517を有するそれらの最適化されたmRNA配列である。
【0220】
有利には、前記コードされたタンパク質の発現を好ましくは上昇させるために、CasXなどのCRISPR関連タンパク質、又はそれらのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列は、本発明に係る人工核酸のコード領域内で、本明細書に定義されるUTRと組み合わされる。好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに更に融合されるCasXタンパク質、又はその(機能的)ホモログ、変異体、若しくは断片をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、配列番号11120~11122;11240;11241;11358;11359;11476;11477;11594;11595;11712;11713;11830;11831;11948;11949のいずれか、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によって定義される。
【0221】
有利には、本明細書又は配列表に開示される任意のCas13、CasX、又はCasY配列、即ち、前記した任意の配列、即ち、本明細書及び/又は配列表の配列、即ち、Cas13、CasX、又はCasYタンパク質配列、及びそれぞれのCas13、CasX、又はCasYタンパク質配列の異なるバージョン、即ち、WT又は最適化された配列をコードするmRNAは、本発明の文脈におけるCRISPR関連タンパク質として本発明の使用のために選択することができる。
【0222】
更に、PMID 29160308に記載されるゲノムDNAのA・TからG・Cへの変換を媒介するアデニン塩基エディター(ABE)は、刊行物PMID 29160308自体と共に参照により本明細書に援用される。著者によれば、ABEは、現在のCas9ヌクレアーゼに基づく方法よりも効率的且つ簡潔に、より少ないオフターゲットゲノムの変更で点変異を導入し、ヒト細胞に疾患修正又は疾患抑制変異を導入することができる。
【0223】
ARMANエンドヌクレアーゼ
また、未培養微生物由来の新しいCRISPR-Casシステム、即ち、ARMAN Cas9、即ち、ナノ古細菌ARMAN-1(Candidatus Micrarchaeum acidiphilum ARMAN-1)及びARMAN-4(Candidatus Parvarchaeum acidiphilum ARMAN-4)の使用も、参照により本明細書に援用されるPMID 28005056、20421484、及び17185602を参照することにより、本発明の教示の範囲内に含まれる。
【0224】
有利には、前記コードされたタンパク質の発現を好ましくは上昇させるために、CasYなどのCRISPR関連タンパク質、又はそれらのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする核酸配列は、本発明に係る人工核酸のコード領域内で、本明細書に定義されるUTRと組み合わされる。好ましい実施形態では、人工核酸は、少なくとも1つの核局在化シグナルに更に融合されるCasYタンパク質、又はその(機能的)ホモログ、変異体、又は断片をコードする核酸配列を含む又はからなり、前記核酸配列は、配列番号11123~11130;11360~11366;11242~11248;11478~11484;11596~11602;11714~11720;11832~11838;11950~11956のいずれか、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列によって定義される。
【0225】
gRNA
本明細書で述べるように、機能的CRISPR-Casシステムは、典型的には、CRISPR関連タンパク質と会合し、これを相補的標的DNA配列に動員するガイドRNA(「gRNA」)の存在を必要とする。ガイドRNAの構造と特性は通常、特定のCRISPR関連タンパク質の選択に依存する。
【0226】
したがって、本明細書に使用される「ガイドRNA」という用語は、CRISPR関連タンパク質を目的の標的DNA配列に標的化することができる任意のRNA分子に関する。ガイドRNA(gRNA)は、好ましくは、i)標的DNA配列に特異的にハイブリダイズすることができる相補性の第1の領域、及びii)CRISPR関連タンパク質と相互作用する第2の領域を含む。
【0227】
典型的には、gRNAの5’末端に位置する前記領域は、標的DNA配列に相補的な短いヌクレオチド配列を含み、本明細書では「標的領域」とも呼ばれる。「領域」という用語は、分子のセクション/セグメント、例えば、RNA内のヌクレオチド連続した一続きを意味する。標的領域は、長さが約17~20個、例えば、約21~23個のヌクレオチドであることができ、又はそれより長くても短くてもよい(「トランケートされたgRNA」)。好ましくは、相補的塩基対(即ち、対になった塩基)間の水素結合を介して標的DNA配列と相互作用し得る。
【0228】
「gRNA」は、「標的領域」を含み、好ましくは、CRISPR関連タンパク質を配列特異的に標的DNA配列に動員することができる限り、任意の長さであり得る。したがって、「gRNA」は、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、より好ましくは少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、最も好ましくは少なくとも16、又は少なくとも17ヌクレオチド、又は少なくとも18ヌクレオチド、又は少なくとも19ヌクレオチド、又は少なくとも20ヌクレオチドの長さであり得る。幾つかの実施形態では、「gRNA」は、好ましくは少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25ヌクレオチド以上の長さの標的領域、及びii)CRISPR関連タンパク質と相互作用する第2の領域を含む。
【0229】
本明細書で使用されるとき、「gRNA」という用語は、2分子gRNA及び1分子RNAを含む。gRNAは、CRISPR関連タンパク質と相互作用するための二次構造特徴を含んでも含まなくてもよい。
【0230】
タイプII CRISPR-Cas9システムは、天然には、2分子gRNAを使用する。このような2分子gRNA(「tracrRNA/crRNA」)は通常、crRNA(「CRISPR RNA」又は「ターゲター-RNA」又は「crRNA」又は「crRNA リピート」)及び対応するtracrRNA(「トランス-アクティングCRISPR RNA」又は「アクティベーターRNA」又は「tracrRNA」)分子を含む。crRNAは、gRNAのCas9結合領域のdsRNA二重鎖の半分を形成するヌクレオチドの標的領域(一本鎖)及び一続き(「二重鎖形成領域」)の両方を含む。対応するtracrRNAは、gRNAのCas9結合領域のdsRNA二重鎖の他の半分を形成するヌクレオチドの一続き(二重鎖形成領域)を含む。換言すれば、crRNAのヌクレオチドの一続きは、tracrRNAのヌクレオチドの一続きに相補的であり、それとハイブリダイズして、gRNAのCas9結合領域のdsRNA二重鎖を形成する。このように、各crRNAには対応するtracrRNAがあると言える。crRNAは更に、一本鎖の標的領域を提供する。したがって、crRNAとtracrRNA(対応するペアとして)は、ハイブリダイズしてgRNAを形成する。
【0231】
crRNAとtracrRNAを結合させて、(人工の)単一分子ガイドRNA(「シングルガイドRNA」、「sgRNA」)を提供することもできる。「sgRNA」は、通常、「ループ」配列を介してtracrRNAの5’末端にその3’末端で接続されたcrRNAを含む(例えば、米国特許出願公開第20140068797号明細書参照)。crRNAと同様に、sgRNAは、典型的には、二次構造(典型的には、ステム構造)を形成する塩基対水素結合を形成する第2の領域に隣接する、標的ポリヌクレオチド配列に相補的な標的領域を含む。「sgRNA」は通常、長さが~100ヌクレオチドであるが、この用語は、約17~18ntのトランケートされたシングルガイドRNA(tru-sgRNA)も含む(Fu, Y. et. al. Nat Biotechnol. 2014 Mar;32(3):279-84を参照)。この用語は、喪失してもより特徴部分が除去された機能的ミニチュアsgRNAであって、tracrRNA(crRNAではない)に対応するsgRNAの部分に位置する「ネクサス」と呼ばれる必須且つ保存されたモジュールを保持するsgRNAも含む(米国特許出願公開第20140315985号明細書及びBriner AE et al. Mol Cell. 2014 Oct 23;56(2):333-9を参照)。ネクサスは、タイプII CRISPR-Cas9システムの下部ステムのすぐ下流に位置する(即ち、下部ステムから3’方向に位置する)。「sgRNA」という用語は、11~15ヌクレオチドの短い標的領域を含む「deadRNA」(「dRNA」)も包含する。このようなdRNAを使用して、DSBを誘導せずに遺伝子発現を変化させるために、触媒活性のあるCas9エンドヌクレアーゼを動員してDNA配列を標的にすることができる(Dahlman JE et al. Nat Biotechnol. 2015 Nov;33(11):1159-61を参照)。sgRNA誘導体もこの用語に含まれる。そのような誘導体は、典型的には、新たな又は追加の機能を付与する更なる部分又は実体を含む。特に、sgRNAテトラループ及び/又はステムループ構造に付加されたMS2アプタマーは、MS2ドメインを含むエフェクタータンパク質を標的DNAに選択的に動員することがでる(「sgRNA-MS2」)(Konermann S et al. Nature. 2015 Jan 29; 517(7536): 583-588を参照)。本明細書では、更なる変更も考えられ、想定される。
【0232】
gRNAとしてのtracrRNA/crRNA又はsgRNAの使用は、Cas9タンパク質に限定されない。任意の他のCRISPR関連システム(好ましくはII型CRISPR-Casシステム)をそのようなgRNAに関連して使用することができる。しかし、他のCRISPR-Casタンパク質の機能性を確保するには、他のgRNAが必要になる場合があり、そのようなgRNAもそれぞれの定義に含まれる。例えば、Cpf1などのV型CRISPR関連タンパク質は、通常、直接反復配列に単一ステムループを含むgRNAとしての単一の短い(42~44nt)crRNAによってガイドされる。
【0233】
tracrRNA/crRNA、sgRNA、又はcrRNAなどのgRNAは、任意の適切な手段、例えば、人工核酸分子の文脈で本明細書に記載されるネイキッド又は複合体形態で、例えば、脂質又は(ポリ)カチオン性担体を使用して提供され得るが、通常はベクターによって送達される。適切なベクター(「定義」と題されたセクションにおいて定義されるように)は、機能的gRNAを好ましくは遍在的に発現できる(即ち、それぞれのCRISPR関連タンパク質を標的DNA配列に動員できる)核酸を含む。したがって、ベクターは、プラスミド及びウイルスベクター、特に、レンチウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を含む。
【0234】
RNA
本発明の人工核酸分子は、好ましくはRNAであり得る。「RNA」という用語は、前記分子を形成するために結合されたヌクレオチドの特定の連続(即ち、それらのRNA配列)によって特徴付けられるリボ核酸分子を意味すると理解される。したがって、用語「RNA」は、それぞれの文脈において当業者によって容易に理解されるように、RNA分子又はRNA配列を意味するために使用され得る。例えば、本発明の文脈で使用される「RNA」という用語は、好ましくはRNA分子を意味する(前記分子は、特に、その特定のRNA配列によって特徴付けられる)。配列修飾の文脈における「RNA」という用語は、修飾されたRNA配列に関連すると理解されるが、典型的には結果として生じるRNA分子(RNA配列に関して修飾されている)も含む。好ましい実施形態において、RNAは、mRNA、ウイルスRNA、又はレプリコンRNA、好ましくはmRNAであり得る。
【0235】
モノ-、ビ-、又はマルチシストロン性RNA
本発明の幾つかの実施形態によれば、人工核酸分子、好ましくはRNAは、好ましくは本明細書に定義される、モノ-、ビ-、又はマルチシストロン性であり得る。ビ-又はマルチシストロン性RNAは、典型的には、2つ(ビシストロン性)又はそれ以上(マルチシストロン性)のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。この文脈におけるオープンリーディングフレームは、ペプチド又はタンパク質に翻訳可能なコドンの配列である。ビシストロン性又はマルチシストロン性人工核酸分子、好ましくはRNA中のコード配列は、好ましくは、本明細書に定義される、異なるタンパク質をコードする。ビ-又はマルチシストロン性人工核酸分子、好ましくはRNAは、例えば、本明細書に定義される少なくとも2、3、4、5、6個以上の(好ましくは異なる)タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体)をコードすることができる。「2つ以上のタンパク質をコードする」という用語は、ビシストロン性又はマルチシストロン性人工核酸分子、好ましくはRNAが、例えば、少なくとも2、3、4、5、6個以上の(好ましくは異なる)タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体)をコードすることができることを意味し得るが、これに限定されない。
【0236】
幾つかの実施形態においては、本明細書に定義される2つ以上のCRISPR関連タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードするコード配列は、少なくとも1つのIRES(内部リボソーム侵入部位)配列によってビ-又はマルチシストロンRNA中で分離され得る。用語「IRES」(内部リボソーム侵入部位)は、翻訳開始を可能にするRNA配列を意味する。IRESは、唯一のリボソーム結合部位として機能することができるが、互いに独立してリボソームによって翻訳される幾つかのタンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする、上に定義されるビシストロン又はマルチシストロン性人工核酸分子、好ましくはRNAを提供するように機能することもできる。本発明にしたがって使用することができるIRES配列の例としては、ピコルナウイルス(例えばFMDV)、ペスチウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、古典的ブタ熱ウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、又はクリケット麻痺ウイルス(CrPV)に由来するものである。
【0237】
更なる実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8個以上の、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質(又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体)をコードしてもよい。これらのエピトープは、アミノ酸リンカー配列によって又はアミノ酸リンカー配列なしで結合されている。前記リンカー配列は、リジッドリンカー、フレキシブルリンカー、切断可能リンカー(例えば、自己切断ペプチド)、又はそれらの組合せを含むことができる。例示的なリンカーは、「誘導体」と題されたセクションに記載されている。それぞれの開示は、必要な変更を加えて、複数のCRISPR関連タンパク質の連結に適用可能である。その中で、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質は、同一でも異なっていてもよく、又はそれらの組合せでもよい。
【0238】
好ましくは、人工核酸分子、好ましくはRNAは、約50~約20000、又は100~約20000個のヌクレオチド、好ましくは約250~約20000個のヌクレオチド、より好ましくは約500~約10000個、更により好ましくは約500~約5000個の長さを有する。
【0239】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは更に、一本鎖又は二本鎖であることができる。二本鎖RNAとして提供される場合、本発明の人工核酸分子は、好ましくはセンス鎖及び対応するアンチセンス鎖を含む。
【0240】
核酸修飾
本明細書に定義される人工核酸分子、好ましくはRNA又は任意の他の核酸(例えば、ベクター)は、修飾核酸の形態で提供されてもよい。本発明の文脈において想定される好適な核酸修飾を以下に記載する。「本明細書に定義される任意の他の核酸」という表現は、通常はそうではないが、gRNAを意味することがある。
【0241】
好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(配列)(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、本明細書に定義されるように修飾される。本明細書に定義される修飾は、好ましくは前記人工核酸分子、好ましくはRNA又は本明細書に定義の他の核酸の安定化をもたらす。したがって、より好ましくは、本発明は、「安定化された」人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)を提供する。
【0242】
好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、したがって、「安定化された」人工核酸分子、好ましくはRNA、特にmRNAとして提供することができる。即ち、インビボ分解(例えば、エキソ-又はエンド-ヌクレアーゼによる)に対して本質的に耐性である。
【0243】
そのような安定化は、例えば、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の修飾されたリン酸骨格によって達成することができる。本発明に関連する骨格修飾は、前記RNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)に含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸が化学的に修飾される修飾である。これに関連して好ましく使用され得るヌクレオチドは、例えば、ホスホロチオアート修飾リン酸骨格、好ましくはリン酸骨格に含まれるリン酸酸素の少なくとも1つが硫黄原子で置換されている。安定化された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される他の核酸、特にRNA)は、例えば、帯電ホスホナート酸素が、アルキル又はアリール基に置き換わっているアルキル及びアリールホスホナート、又は帯電酸素残基がアルキル化形態で存在するホスホジエステル及びアルキルホスホトリエステルなどの非イオンホスファート類似体を更に含み得る。そのような骨格修飾は、限定することを意図するものではないが、典型的には、メチルホスホナート、ホスホルアミダート、及びホスホロチオアート(例えば、シチジン-5’-O-(1-チオホスファート)からなる群からの修飾を含む。
【0244】
以下に、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)を好ましくは「安定化」させることができる具体的な修飾を記載する。
【0245】
化学修飾
本明細書で使用される「修飾」という用語は、骨格修飾並びに糖修飾又は塩基修飾を含む化学修飾を意味し得る。
【0246】
この文脈において、「修飾された」人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)はヌクレオチド類似体/修飾(修飾ヌクレオチド又はヌクレオシド)、例えば、骨格修飾、糖修飾、又は塩基修飾を含み得る。
【0247】
本発明に関連する骨格修飾は、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)に含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸が化学的に修飾される修飾である。本発明に関連する糖修飾は、エ人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のヌクレオチドの糖の化学修飾である。更に、本発明に関連する塩基修飾は、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のヌクレオチドの塩基部分の化学修飾である。この文脈において、ヌクレオチド類似体又は修飾は、転写及び/又は翻訳に適用可能なヌクレオチド類似体から選択されることが好ましい。
【0248】
糖修飾:
(化学的に)修飾された核酸、特に本発明に係る人工核酸分子は、糖修飾、即ちそれらの糖部分で修飾されたヌクレオシド/ヌクレオチドを含み得る。
【0249】
例えば、2’ヒドロキシル基(OH)を、多数の異なる「オキシ」又は「デオキシ」置換基で修飾又は置換することができる。「オキシ」-2’ヒドロキシル基修飾の例としては、アルコキシ又はアリールオキシ(-OR、例えば、R=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又は糖);ポリエチレングリコール(PEG)、-O(CH2CH2O)nCH2CH2OR;2’ヒドロキシルが、例えば、メチレン架橋などによって、同じリボース糖の4’炭素に結合された「ロックされた」核酸(LNA);及びアミノ基(-O-アミノ、ここでアミノ基(例えば、NRR)は、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノであり得る)又はアミノアルコキシを含むがこれらに限定されない。
【0250】
「デオキシ」修飾は、水素、アミノ(例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸)を含み、アミノ基はリンカーを介して糖に結合することができ、リンカーは原子C、N、及びOの1つ以上を含む。
【0251】
糖基はまた、リボース中の対応する炭素とは反対の立体化学配置を有する1つ以上の炭素を含み得る。したがって、修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、糖として例えばアラビノースを含有するヌクレオチドを含み得る。
【0252】
骨格修飾:
(化学的に)修飾された核酸、特に本発明に係る人工核酸分子は、骨格修飾、即ちそれらの骨格部分で修飾されたヌクレオシド/ヌクレオチドを含み得る。
【0253】
骨格のリン酸基は、酸素原子1つ以上を異なる置換基で置き換えることによって修飾することができる。更に、修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、修飾されたリン酸による未修飾リン酸部分の完全置換を含むことができる。
【0254】
修飾されたリン酸基の例としては、ホスホロチオアート、ホスホロセレナート、ボラノホスファート、ボラノホスファートエステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミダート、アルキル又はアリールホスホナート、及びホスホトリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。ホスホロジチオアートは、非結合酸素の両方が硫黄によって置き換わっている。リン酸リンカーは、結合酸素を窒素(架橋されたホスホロアミダート)、硫黄(架橋されたホスホロチオアート)、及び炭素(架橋されたメチレン-ホスホナート)で置き換えることによっても修飾することができる。
【0255】
塩基修飾:
(化学的に)修飾された核酸、特に本発明に係る人工核酸分子は、塩基修飾、即ちそれらの核酸塩基部分で修飾されたヌクレオシド/ヌクレオチドを含み得る。
【0256】
RNA中に存在する核酸塩基の例としては、アデニン、グアニン、シトシン、及びウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書に記載されるヌクレオシド及びヌクレオチドを、主溝面上で化学的に修飾することができる。幾つかの実施形態においては、主溝化学修飾は、アミノ基、チオール基、アルキル基、又はハロ基を含むことができる。
【0257】
幾つかの実施形態では、ヌクレオチド類似体/修飾は、塩基修飾から選択され、好ましくは、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド-5’-トリホスファート、2-アミノプリン-リボシド-5’-トリホスファート;2-アミノアデノシン-5’-トリホスファート、2’-アミノ-2’-デオキシシチジン-トリホスファート、2-チオシチジン-5’-トリホスファート、2-チオウリジン-5’-トリホスファート、2’-フルオロチミジン-5’-トリホスファート、2’-O-メチル-イノシン-5’-トリホスファート 4-チオウリジン-5’-トリホスファート、5-アミノアリルシチジン-5’-トリホスファート、5-アミノアリルウリジン-5’-トリホスファート、5-ブロモシチジン-5’-トリホスファート、5-ブロモウリジン-5’-トリホスファート、5-ブロモ-2’-デオキシシチジン-5’-トリホスファート、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン-5’-トリホスファート、5-ヨードシチジン-5’-トリホスファート、5-ヨード-2’-デオキシシチジン-5’-トリホスファート、5-ヨードウリジン-5’-トリホスファート、5-ヨード-2’-デオキシウリジン-5’-トリホスファート、5-メチルシチジン-5’-トリホスファート、5-メチルウリジン-5’-トリホスファート、5-プロピニル-2’-デオキシシチジン-5’-トリホスファート、5-プロピニル-2’-デオキシウリジン-5’-トリホスファート、6-アザシチジン-5’-トリホスファート、6-アザウリジン-5’-トリホスファート、6-クロロプリンリボシド-5’-トリホスファート、7-デアザアデノシン-5’-トリホスファート、7-デアザグアノシン-5’-トリホスファート、8-アザアデノシン-5’-トリホスファート、8-アジドアデノシン-5’-トリホスファート、ベンズイミダゾール-リボシド-5’-トリホスファート、N1-メチルアデノシン-5’-トリホスファート、N1-メチルグアノシン-5’-トリホスファート、N6-メチルアデノシン-5’-トリホスファート、O6-メチルグアノシン-5’-トリホスファート、シュードウリジン-5’-トリホスファート、又はピューロマイシン-5’-トリホスファート、キサントシン-5’-トリホスファートから選択される。5-メチルシチジン-5’-トリホスファート、7-デアザグアノシン-5’-トリホスファート、5-ブロモシチジン-5’-トリホスファート、及びシュードウリジン-5’-トリホスファートからなる塩基修飾されたヌクレオチドの群から選択される、塩基修飾のためのヌクレオチドが特に好ましい。
【0258】
幾つかの実施形態においては、修飾されたヌクレオシドは、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオウリジン、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチルウリジン、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、及び4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジンを含む。
【0259】
幾つかの実施形態においては、修飾されたヌクレオシドは、5-アザ-シチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、及び4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジンを含む。
【0260】
他の実施形態においては、修飾されたヌクレオシドは、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、及び2-メトキシ-アデニンを含む。
【0261】
他の実施形態においては、修飾されたヌクレオシドは、イノシン、1-メチル-イノシン、ウィオシン(wyosine)、ウィブトシン(wybutosine)、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、及びN2,N2-ジメチル-6-チオグアノシンを含む。
【0262】
幾つかの実施形態においては、ヌクレオチドは、主溝面上で修飾することができ、ウラシルのC-5上の水素をメチル基又はハロ基で置き換えることを含むことができる。特定の実施形態においては、修飾されたヌクレオシドは、5’-O-(1-チオホスファート)-アデノシン、5’-O-(1-チオホスファート)-シチジン、5’-O-(1-チオホスファート)-グアノシン、5’-O-(1-チオホスファート)-ウリジン、又は5’-O-(1-チオホスファート)-シュードウリジンである。
【0263】
幾つかの実施形態においては、本発明の修飾されたRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、6-アザ-シチジン、2-チオ-シチジン、α-チオ-シチジン、シュード-イソ-シチジン、5-アミノアリル-ウリジン、5-ヨード-ウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、α-チオ-ウリジン、4-チオ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン、デオキシ-チミジン、5-メチル-ウリジン、ピロロ-シチジン、イノシン、α-チオ-グアノシン、6-メチル-グアノシン、5-メチル-シチジン、8-オキソ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、N1-メチル-アデノシン、2-アミノ-6-クロロ-プリン、N6-メチル-2-アミノ-プリン、シュード-イソ-シチジン、6-クロロ-プリン、N6-メチル-アデノシン、α-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデノシンから選択されるヌクレオシド修飾を含み得る。
【0264】
幾つかの実施形態では、修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、本明細書に記載される化学修飾のいずれをも含まない。前記修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、以下に記載されるように脂質修飾又は配列修飾を含み得る。
【0265】
脂質修飾
更なる実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、少なくとも1つの脂質修飾を含む。
【0266】
そのような脂質修飾された本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に記載される他の核酸、特にRNA)は、典型的には、(i)本明細書に定義される人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記核酸、特にRNA)と、(ii)前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)と共有結合した少なくとも1つのリンカーと、(iii)各リンカーと共有結合している少なくとも1つの脂質とを含む。
【0267】
或いは、脂質修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される他の核酸)は、少なくとも1つの人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)と、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)と(リンカーなしで)共有結合した少なくとも1つの(二官能性)脂質とを含む。
【0268】
或いは、脂質修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、(i)人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)と、(ii)前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)と共有結合した少なくとも1つのリンカーと、(iii)各リンカーと共有結合している少なくとも1つの脂質と、また(iv)前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)と(リンカーなしで)共有結合した少なくとも1つの(二官能性)脂質とを含む。
【0269】
この文脈においては、脂質修飾は、線状の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)の末端に存在することが特に好ましい。
【0270】
配列修飾
好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、好ましくはmRNA、又は本明細書に定義される任意の他の核酸は、「配列修飾」される、即ち、下記のような少なくとも1つの配列修飾を含む。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、そのような配列修飾は、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAの安定性を増加させる及び/又は発現を増強させることができる。
【0271】
G/C含量の修飾
好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、より好ましくはmRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、そのグアノシン/シトシン(G/C)含量を変更する、好ましくは少なくとも1つのコード配列のG/C含量を変更することによって、修飾され、したがって安定化されることができる。換言すれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)及び好ましくはその配列をG/C修飾することができる。
【0272】
「G/C修飾された」核酸(好ましくはRNA)配列は、典型的には、修飾された野生型RNA配列に基づく核酸(好ましくはRNA)配列を含む核酸(好ましくはRNA)を意味し、前記野生型核酸(好ましくはRNA)配列と比較して個数が変更されたグアノシン及び/又はシトシンヌクレオチドを含む。そのような変更された個数のG/Cヌクレオチドは、アデノシン又はチミジンヌクレオチドを含むコドンをグアノシン又はシトシンヌクレオチドを含む「同義」コドンで置換することによって生成され得る。したがって、コドン置換は、コードされたアミノ酸残基を変更せずに、核酸(好ましくはRNA)のG/C含量のみを変更することが好ましい。
【0273】
本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のコード配列のG/C含量が、それぞれの野生型、即ち、未修飾核酸のコード配列のG/C含量に比較して変更される、特に増大される。本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書で定義される他の核酸、特にRNA)によってコードされるアミノ酸配列は、それぞれの野生型核酸、好ましくはRNAによってコードされるアミノ酸配列に比較して変更されないことが好ましい。
【0274】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される他の核酸、特にRNA)のそのような修飾は、翻訳される任意のRNA(又は他の核酸)領域の配列が、前記RNA(又は前記他の核酸)の効率的な翻訳にとって重要であるという事実に基づく。したがって、RNA(又は前記他の核酸)の組成及び各種ヌクレオチドの配列が重要である。特に、増大したG(グアノシン)/C(シトシン)含量を有する配列は、増大したA(アデノシン)/U(ウラシル)含量を有する配列よりも安定である。
【0275】
したがって、本発明によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のコドンは、翻訳されるアミノ酸配列を維持しつつ、それらが増大した量のG/Cヌクレオチドを含むように、それぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又は前記他の核酸)に比較して変化させる。
【0276】
幾つかのコドンが同一のアミノ酸をコードするという事実(いわゆる遺伝コードの縮重)に関しては、安定性にとって最も好ましいコドンを決定することができる(いわゆる代替コドンの使用)。本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)によってコードされるアミノ酸に応じて、その核酸配列の、その野生型配列に対する修飾について様々な可能性がある。G又はCヌクレオチドのみを含むコドンによってコードされるアミノ酸の場合、コドンの変更は必要ではない。
したがって、Pro(CCC又はCCG)、Arg(CGC又はCGG)、Ala(GCC又はGCG)、及びGly(GGC又はGGG)のコドンは、A又はUが存在しないので変更を必要としない。対照的に、A及び/又はUヌクレオチドを含むコドンは、同じアミノ酸をコードするがA及び/又はUを含まない他のコドンの置換によって変更することができる。これらの例として、Proのコドンは、CCU又はCCAからCCC又はCCGに変更でき;Argのコドンは、CGU又はCGA又はAGA又はAGGからCGC又はCGGに変更でき;Alaのコドンは、GCU又はGCAからGCC又はGCGに変更でき;Glyのコドンは、GGU又はGGAからGGC又はGGGに変更できる。他の場合では、A又はUヌクレオチドをコドンから排除することはできないが、A及び/又はUヌクレオチドの含量がより少ないコドンを使用することによってA及びUの含量を減少させることが可能である。これらの例として、Pheのコドンは、UUUからUUCに変更でき、Leuのコドンは、UUA、UUG、CUU又はCUAからCUC又はCUGに変更でき、Serのコドンは、UCU又はUCA又はAGUからUCC、UCG又はAGCに変更でき、Tyrのコドンは、UAUからUACに変更でき、Cysのコドンは、UGUからUGCに変更でき、Hisのコドンは、CAUからCACに変更でき、Glnのコドンは、CAAからCAGに変更でき、Ileのコドンは、AUU又はAUAからAUCに変更でき、Thrのコドンは、ACU又はACAからACC又はACGに変更でき、Asnのコドンは、AAUからAACに変更でき、Lysのコドンは、AAAからAAGに変更でき、Valのコドンは、GUU又はGUAからGUC又はGUGに変更でき、Aspのコドンは、GAUからGACに変更でき、Gluのコドンは、GAAからGAGに変更でき、終止コドンUAAは、UAG又はUGAに変更できる。一方、Met(AUG)及びTrp(UGG)のコドンの場合には、配列修飾の可能性はない。本発明の人工核酸配列、好ましくはRNA配列(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のG/C含量を、その特定の野生型核酸配列(即ち、元の配列)に比較して増大させるために、上に挙げた置換を個別に又は全ての可能な組合せで使用することができる。したがって、例えば、野生型配列中に存在するThrの全てのコドンを、ACC(又はACG)に変更することができる。しかしながら、例えば、前記置換可能性の以下のような組合せを使用することが好ましい。
元の配列(野生型RNA)中のThrをコードする全てのコドンのACC(又はACG)への置換、及び
Serを元来コードする全てコドンのUCC(又はUCG又はAGC)への置換;元の配列中のIleをコードする全てのコドンのAUCへの置換、及び
Lysを元来コードする全てのコドンのAAGへの置換、及び
Tyrを元来コードする全てコドンのUACへの置換;元の配列中のValをコードする全てのコドンのGUC(又はGUG)への置換、及び
Gluを元来コードする全てのコドンのGAGへの置換、及び
Alaを元来コードする全てのコドンのGCC(又はGCG)への置換、及び
Argを元来コードする全てのコドンのCGC(又はCGG)への置換;元の配列中のValをコードする全てコドンのGUC(又はGUG)への置換、及び
Gluを元来コードする全てのコドンのGAGへの置換、及び
Alaを元来コードする全てのコドンのGCC(又はGCG)への置換、及び
Glyを元来コードする全てのコドンのGGC(又はGGG)への置換、及び
Asnを元来コードする全てのコドンのAACへの置換;元の配列中のValをコードする全てのコドンのGUC(又はGUG)への置換、及び
Pheを元来コードする全てのコドンのUUCへの置換、及び
Cysを元来コードする全てのコドンのUGCへの置換、及び
Leuを元来コードする全てのコドンのCUG(又はCUC)への置換、及び
Glnを元来コードする全てのコドンのCAGへの置換、及び
Proを元来コードする全てのコドンのCCC(又はCCG)への置換、などである。
【0277】
好ましくは、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のコード配列のG/C含量は、本明細書に定義される少なくとも1つのタンパク質をコードする野生型核酸、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)のコード配列のG/C含量に比べて、少なくとも7%、より好ましくは少なくとも15%、特に好ましくは少なくとも20%増大する。
【0278】
好ましい実施形態によれば、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードする領域、又は野生型RNA配列の全配列における置換可能なコドンの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、更には100%が置換され、それによって前記配列のG/C含量が増大する。
【0279】
この文脈においては、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される他の核酸、特にRNA)、好ましくはその少なくとも1つのコード配列のG/C含量を、野生型配列に比較して最大限(即ち、置換可能なコドンの100%)増大させることが特に好ましい。
【0280】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の更に好ましい修飾は、翻訳効率が、細胞内のtRNAの出現頻度によっても決定されるという知見に基づく。したがって、いわゆる「レアコドン」が本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)中に高程度で存在する場合、対応する修飾されたRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)配列は、比較的「高頻度の」tRNAをコードするコドンが存在する場合よりも著しく低い程度で翻訳される。
【0281】
幾つかの好ましい実施形態では、本明細書に定義される修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は任意の他の核酸)では、タンパク質をコードする領域が、細胞内において比較的稀であるtRNAをコードする野生型配列の少なくとも1つのコドンが、細胞内において比較的高頻度で存在し、且つ比較的稀なtRNAと同じアミノ酸を運搬するtRNAをコードするコドンと交換されるように、野生型核酸、好ましくはRNAの対応する領域と比較して修飾される。
【0282】
それによって、本発明人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の配列は、高頻度で存在するtRNAが利用可能であるコドンが挿入されるように修飾される。換言すれば、本発明によれば、この修飾により、細胞内において比較的稀であるtRNAをコードする野生型配列の全てのコドンをそれぞれ、細胞内において比較的高頻度で存在し、且つそれぞれが比較的稀なtRNAと同じアミノ酸を運搬するtRNAをコードするコドンと交換することができる。どのtRNAが細胞内において比較的高頻度で存在し、逆に、比較的稀であるかについては、当業者に知られている(例えば、Akashi, Curr. Opin. Genet. Dev. 2001, 11(6): 660-666参照)。特定のアミノ酸に対して最も高頻度で存在するtRNAを用いるコドン(例えば、(ヒト)細胞に最も高頻度で存在するtRNAを使用するGlyコドン)が特に好ましい。
【0283】
本発明によれば、本発明の修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)において増大する、特に最大となる配列G/C含量(sequential G/C content)を、前記人工核酸分子、好ましくはRNAのコード配列によりコードされたコードアミノ酸配列を変更することなく、「高頻度」コドンと結び付けることが特に好ましい。そのような好ましい実施形態は、特に効率的に翻訳され安定化された(修飾された)人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)の提供を可能にする。
【0284】
前記のような(G/C含量が増大した;tRNAが交換された)修飾人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)の決定は、その開示内容が本発明の全範囲に含まれるWO02/098443に説明されるコンピュータープログラムを使用して行うことができる。このコンピュータープログラムを使用して、任意の所望の核酸、特にRNAのヌクレオチド配列を、遺伝子コード又はその縮重的性質を用いて修飾することができる。この修飾は、最大のG/C含量が、細胞内で可能な限り高頻度で存在するtRNAをコードするコドンの使用との組み合わせで、修飾核酸(特にRNA)によってコードされるアミノ酸配列、好ましくは非修飾配列と比較して変化しないものを生じるように行われる。
【0285】
或いは、元の配列と比較してG/C含量のみ又はコドンの使用のみを改変することも可能である。Visual Basic 6.0(使用される展開環境:Microsoft Visual Studio Enterprise 6.0、Servicepack 3)のソースコードも、WO02/098443に記載されている。
【0286】
A/U含量修飾
本発明の更なる好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のリボソーム結合部位の環境におけるA/U含量は、そのそれぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)のリボソーム結合部位の環境におけるA/U含量に比較して増加する。
【0287】
この改変(リボソーム結合部位周辺の増加したA/U含量)は、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)へのリボソームの結合効率を高める。リボソーム結合部位(コザック配列)へのリボソームの効果的な結合は、次に、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の効率的な翻訳の効果を奏する。
【0288】
DSE修飾
本発明の更なる実施形態によれば、本発明人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、潜在的な不安定化配列エレメントに関して改変され得る。特に、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)のコード配列及び/又は5’及び/又は3’非翻訳領域は、それぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又は前記他の野生型核酸)と比較して、不安定化配列エレメントを含まないように改変することができ、改変人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)のコードされたアミノ酸配列は、そのそれぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又は前記他の野生型核酸)と比較して改変されていないことが好ましい。
【0289】
例えば、真核生物のRNAの配列において、不安定化配列エレメント(DSE)が生じ、それにシグナルタンパク質が結合してインビボでRNAの酵素的分解を調節することが知られている。修飾人工核酸分子、好ましくはRNAの更なる安定化のために、任意に、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質又は本明細書に定義される任意の他の核酸をコードする領域をコードする領域において、不安定化配列エレメントが含まれない又は実質的に含まれないように、野生型核酸、好ましくはRNAの対応する領域と比較して1つ以上のそのような改変を行うことができる。
【0290】
本発明によれば、非翻訳領域(3’-及び/又は5’-UTR)に存在するDSEも、そのような改変によって、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)から排除することができる。そのような不安定化配列は、例えば、多数の不安定なRNAの3’-UTR部分に存在するAU-リッチ配列(AURES)である(Caput et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1986, 83: 1670~1674)。したがって、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)がそのような不安定化配列を含まないように、それぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又は前記それぞれの他の野生型核酸)と比較して改変されることが好ましい。このことは、可能なエンドヌクレアーゼによって認識される配列モチーフ(例えば、トランスフェリン受容体をコードする遺伝子の3’-UTRセグメントに含まれる配列GAACAAG)にも当てはまる(Binder et al., EMBO J. 1994, 13: 1969~1980)。これらの配列モチーフはまた、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)から除去されることが好ましい。
【0291】
ヒトのコドン使用に適合させた配列:
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の更なる好ましい修飾は、同じアミノ酸をコードするコドンが典型的には異なる頻度で存在するという知見に基づく。更に好ましい実施形態によれば、修飾された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は他の核酸、特にRNA)において、コード配列を、それぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又は他の野生型核酸)の対応する領域に比較して、同じアミノ酸をコードするコドンの頻度が、例えば、表4に示されるように、ヒトのコドンの使用にしたがう当該コドンの天然に存在する頻度に対応するように修飾される。
【0292】
例えば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の少なくとも1つのコード配列によってコードされるアミノ酸配列中に存在するアミノ酸アラニン(Ala)の場合、野生型コード配列は、コドン「GCC」が0.40の頻度で使用され、コドン「GCT」が0.28の頻度で使用され、コドン「GCA」が0.22の頻度で使用され、コドン「GCG」が0.10の頻度で使用されるなどのように適合させることが好ましい(表4参照)。
【表4】
【0293】
コドン最適化配列:
前述したように、本発明によれば、細胞内において比較的稀なtRNAをコードする野生型配列の全てのコドンを、細胞内において比較的高頻度であり、且ついずれも前記比較的稀なtRNAと同一のアミノ酸を運搬するtRNAをコードするコドンと交換されることが好ましい。
したがって、最も高頻度のコドンが各コードアミノ酸に対して使用されることが特に好ましい(表4を参照のこと、最も高頻度のコドンはアスタリスクで示されている)。そのような最適化手順は、コドン適合度指数(CAI)を上昇させ、最終的にCAIを最大にする。本発明の文脈において、上昇又は最大化されたCAIを有する配列は、典型的には「コドン最適化」配列及び/又はCAI上昇及び/又は最大化配列と称される。好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、少なくとも1つのコード配列を含み、前記コード配列は、本明細書に記載されるようにコドン最適化される。より好ましくは、少なくとも1つのコード配列のコドン適合度指数(CAI)は、少なくとも0.5、少なくとも0.8、少なくとも0.9、又は少なくとも0.95である。最も好ましくは、少なくとも1つのコード配列のコドン適合度指数(CAI)は1である。
【0294】
例えば、本発明の組合せ(又は他の任意の核酸、特にRNA)の人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列によってコードされるアミノ酸配列中に存在するアミノ酸アラニン(Ala)の場合、野生型コード配列が、最も高頻度のヒトコドン「GCC」が常に前記アミノ酸のために使用されるように適合される、又はアミノ酸システイン(Cys)の場合には、野生型配列が、最も高頻度のヒトコドン「TGC」が常に前記アミノ酸のために使用されるように適合される。
【0295】
C最適化配列:
好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は他の核酸、特にRNA)、特にその少なくとも1つのコード配列におけるシトシン(C)含量を変更する、好ましくは増加させることによって改変される。
【0296】
好ましい実施形態においては、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)のコード配列のC含量を、それぞれの野生型(未修飾)核酸の配列のコード配列のC含量と比較して改変、好ましくは増加させる。本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列によってコードされるアミノ酸配列は、それぞれの野生型核酸、好ましくはRNA(又はそれぞれの他の野生型核酸)によってコードされるアミノ酸配列と比較して変更がないことが好ましい。
【0297】
好ましい実施形態においては、前記修飾人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、理論的に可能な最大シトシン含量の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%、又は少なくとも90%、更には最大シトシン含量が達成されるように改変される。
【0298】
更に好ましい実施形態においては、野生型RNA配列のコドンの、「シトシン含量最適化可能な」少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、更には100%が、野生型核酸、好ましくはRNA配列に存在するものよりも高いシトシン含量を有するコドンによって置き換えられる。
【0299】
更なる好ましい実施形態においては、野生型コード配列の幾つかのコドンは、細胞内において比較的稀なtRNAのコドンが、細胞内において比較的高頻度のtRNAのコドンに置き換わるように改変される。ただし、比較的高頻度のtRNAの置換コドンは、元の野生型コドンの比較的稀なtRNAと同じアミノ酸を運搬する。好ましくは、シトシンを含まないコドンによってのみコードされるアミノ酸をコードするコドンを除き、又はそれぞれ同じ数のシトシンを含む2つのコドンによってコードされるグルタミン(Gln)を除き、比較的稀なtRNAのコドンの全てが、細胞内において比較的高頻度のtRNAのコドンによって置き換えられる。
【0300】
本発明の更なる好ましい実施形態において、改変人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、理論的に可能な最大シトシン含量、又は最大シトシン含量の少なくとも80%、又は少なくとも90%、更には最大シトシン含量が、細胞内において比較的高い頻度のtRNAをコードするコドンによって、アミノ酸配列は変化しないように改変される。
【0301】
遺伝暗号の天然に生じる縮重のために、1超のコドンが特定のアミノ酸をコードし得る。したがって、20個の天然アミノ酸のうち18個は、1つより多いコドンによってコードされる(ただし、TrypとMetは例外である)例えば、2種類のコドン(例えば、Cys、Asp、Glu)、3種類のコドン(例えば、Ile)、4種類のコドン(例えば、Al、Gly、Pro)、又は6種類のコドン(例えば、Leu、Arg、Ser)。しかしながら、同じアミノ酸をコードする全てのコドンがインビボ条件下で同じ頻度で利用される訳ではない。それぞれの単一生物によって、典型的なコドン使用プロファイルが確立されている。
【0302】
本発明の文脈において使用される「シトシン含量最適化可能コドン」という用語は、同じアミノ酸をコードする他のコドンよりも低いシトシン含量を示すコドンを意味する。したがって、同じアミノ酸をコードし、そのコドン内でより多くのシトシンを示す別のコドンによって置き換えられ得る任意の野生型コドンは、シトシン最適化可能(C最適化可能)であるとみなされる。野生型コード配列内の特定のC最適化コドンによるC最適化可能野生型コドンのそのような置換は、その全体のC含量を増加させ、Cがリッチな改変RNA配列を反映する。
【0303】
幾つかの好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)、特にその少なくとも1つのコード配列は、全ての潜在的なC最適化可能コドンのためのC最適化コドンを含むC最大化配列を含む又はからなる。したがって、理論的に置換可能なC最適化可能コドンの100%、即ち全てが、コード配列の全長に亘ってC最適化コドンによって置換されることが好ましい。
【0304】
この文脈において、シトシン含量最適化可能コドンは、同じアミノ酸をコードする他のコドンよりも少ない数のシトシンを含むコドンである。コドンGCG、GCA、GCUのいずれもアミノ酸Alaをコードするが、これらは同じアミノ酸をコードするコドンGCCで交換することができる、及び/又は
CysをコードするコドンUGUは、同じアミノ酸をコードするコドンUGCで交換することができる、及び/又は
AspをコードするコドンGAUは、同じアミノ酸をコードするコドンGACで交換することができる、及び/又は
PheをコードするUUUは、同じアミノ酸をコードするコドンUUCで交換することができる、及び/又は
GlyをコードするコドンGGG、GGA、GGUのいずれも、同じアミノ酸をコードするコドンGGCで交換することができる、及び/又は
HisをコードするコドンCAUは、同じアミノ酸をコードするコドンCACで交換することができる、及び/又は
IleをコードするコドンAUA、AUUのいずれも、コドンAUCで交換することができる、及び/又は
LeuをコードするコドンUUG、UUA、CUG、CUA、CUUのいずれも、同じアミノ酸をコードするコドンCUCで交換することができる、及び/又は
AsnをコードするコドンAAUは、同じアミノ酸をコードするコドンAACで交換することができる、及び/又は
ProをコードするコドンCCG、CCA、CCUのいずれも、同じアミノ酸をコードするコドンCCCで交換することができる、及び/又は
ArgをコードするコドンAGG、AGA、CGG、CGA、CGUのいずれも、同じアミノ酸をコードするコドンCGCで交換することができる、及び/又は
SerをコードするコドンAGU、AGC、UCG、UCA、UCUのいずれかも、同じアミノ酸をコードするコドンUCCで交換することができる、及び/又は
ThrをコードするコドンACG、ACA、ACUのいずれも、同じアミノ酸をコードするコドンACCで交換することができる、及び/又は
ValをコードするコドンGUG、GUA、GUUのいずれも、同じアミノ酸をコードするコドンGUCで交換することができる、及び/又は
TyrをコードするコドンUAUは、同じアミノ酸をコードするコドンUACで交換することができる。
【0305】
前記の例のいずれにおいても、シトシンの数は交換されたコドン当たり1つ増加する。コード配列の全ての非C最適化コドン(C最適化可能コドンに対応する)の交換により、C最大化コード配列がもたらされる。本発明の文脈において、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の少なくとも1つのコード配列内の非C最適化コドンの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が、C最適化コドンによって置き換えられる。
【0306】
幾つかのアミノ酸については、C最適化コドンによって置換されたC最適化可能コドンの割合が70%未満であり、一方、他のアミノ酸については、置換されたコドンの割合が70%より高いことにより、コード配列の全てのC最適化可能野生型コドンの少なくとも70%の全体的なC最適化割合を満たすことが好ましい場合がある。
【0307】
好ましくは、C最適化人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)では、任意の所与のアミノ酸についてのC最適化可能野生型コドンの少なくとも50%がC最適化コドンによって置き換えられる。例えば、任意の改変CリッチRNA(又は他の核酸、特にRNA)は、好ましくは、前記アミノ酸Ala、Cys、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Leu、Asn、Pro、Arg、Ser、Thr、Val、及びTyrのいずれか1つをコードするC最適化可能野生型コドン位置に少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%のC最適化コドンを含む。
【0308】
この文脈において、シトシン含量を最適化可能ではないが、少なくとも2種類のコドンによってコードされるアミノ酸をコードするコドンは、更なる選択プロセスなしに使用され得る。しかしながら、細胞内、例えば、ヒト細胞において比較的稀なtRNAをコードする野生型配列のコドンは、細胞内において比較的高頻度のtRNAをコードするコドンと交換することができ、ここで両者とも同じアミノ酸をコードする。したがって、Gluをコードする比較的稀なコドンGAAは、同じアミノ酸をコードする比較的高頻度のコドンGAGで交換することができ、及び/又は
Lysをコードする比較的稀なコドンAAAは、同じアミノ酸をコードする比較的高頻度のコドンAAGで交換することができ、及び/又は
Glnをコードする比較的稀なコドンCAAは、同じアミノ酸をコードする比較的高頻度のコドンCAGで交換することができる。
【0309】
この文脈において、それぞれ1つのコドンのみによってコードされるアミノ酸Met(AUG)及びTrp(UGG)は変化しないままである。終止コドンは、シトシン含量について最適化されないが、比較的稀な終止コドンであるアンバー、オーカー(UAA、UAG)は、比較的高頻度の終止コドンであるオパール(UGA)で交換することができる。
【0310】
上に列挙した各置換は、改変された人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に記載される任意の他の核酸、特にRNA)のシトシン含量を野生型配列と比較して最適化するために、別々に且つ可能な全ての組合せで使用することができる。
【0311】
したがって、本明細書に定義される少なくとも1つのコード配列は、少なくとも2つ以上のコドン(そのうちの1つは、1つの追加のシトシンを含む)によってコードされるアミノ酸について、それぞれの野生型RNA(又は他の野生型核酸)のコード配列と比較して変更することができ、そのようなコドンは、1つの追加のシトシンを含むC最適化されたコドンで交換することができ、前記アミノ酸は野生型配列と比較して変化しないことが好ましい。
【0312】
特に好ましい実施形態によれば、本発明の組合せは、(本明細書に特定される5’UTR及び3’UTRに加えて)本明細書に定義される少なくとも1つのコード配列を含む人工核酸分子、好ましくはRNAを含み、(a)前記人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列のG/C含量が、対応する野生型核酸(好ましくはRNA)の対応するコード配列のG/C含量と比較して増加し、及び/又は(b)前記人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列のC含量が、対応する野生型核酸(好ましくはRNA)の対応するコード配列のC含量と比較して増加し、及び/又は(c)前記人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列中のコドンが、ヒトのコドン使用に適合されており、コドン適合度指数(CAI)が、好ましくは、前記人工核酸分子、好ましくはRNAの少なくとも1つのコード配列において増加又は最大化されており、前記人工核酸分子、好ましくはRNAによってコードされるアミノ酸配列が、好ましくは、対応する野生型核酸(好ましくはRNA)によってコードされるアミノ酸配列と比較して変化しない。
【0313】
修飾核酸配列
前記配列修飾は、一般に、本明細書に記載される任意の核酸配列に適用することができ、本明細書に定義されるCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列、及び任意にNLS又は他のペプチド若しくはタンパク質部分、ドメイン、又はタグを含む又はからなるコード配列に適用することが特に想定される。修飾(化学修飾、脂質修飾、及び配列修飾を含む)は、適切である又は必要である場合には、組み合わせられた修飾が互いに干渉しない限り、好ましくはコードされたCRISPR関連タンパク質(及びNLS、シグナル配列、タンパク質/ペプチドタグ)が、好ましくは上で定義される、その所望の生物学的機能性又は特性を保持する限り、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0314】
好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、CRISPR関連タンパク質をコードするコード配列を含み、前記コード配列は前記したように修飾されている。
【0315】
幾つかの好ましい実施形態において、本発明に係る人工核酸は、Cas9タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードするコード配列を含み、前記コード配列は、配列番号412;3474~3887 2314~2327;4634~4647;5794~5807;6954~6967;8114~8127;413~425;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975;10074~10087;10186~10199;10298~10311;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983;5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0316】
幾つかの好ましい実施形態において、本発明に係る人工核酸は、Cpf1タンパク質、又はそのホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体をコードするコード配列を含み、前記コード配列は、配列番号10552;3458~3459;3460~3473;2298~2299;4618~4619;5778~5779;6938~6939;8098~8099;9258~9259;2300~2313;4620~4633;5780~5793;6940~6953;8100~8113;9260~9273;3488~3489;10396;2328~2329;10395;4648~4649;10397;5808~5809;10398;6968~6969;10399;8128~8129;10400;9274~9287;3504~3505;3520~3521;3536~3537;3552~3553;3568~3669;3584~3585;3600~3601;3616~3617;3632~3633;3648~3649;3664~3665;3680~3681;3696~3697;9528~9529;9640~9641;9752~9753;9864~9865;9976~9977;10088~10089;10200~10201;10312~10313;10403;10410;10417;10424;10431;10438;10445;10452;10459;10466;10473;10480;10487;10494;10501;10508;10515;10522;10529;10536;10543 2344~2345;2360~2361;2376~2377;2392~2393;2408~2409;2424~2425;2440~2441;2456~2457;2472~2473;2489~2490;2504~2505;2520~2521;2536~2537;9512~9513;9624~9625;9736~9737;9848~9849;9960~9961;10072~10073;10184~10185;10296~10297;10402;10409;10416;10423;10430;10437;10444;10451;10458;10465;10472;10479;10486;10493;10500;10507;10514;10521;10528;10535;10542;4664~4665;4680~4681;4696~4697;4712~4713;4728~4729;4744~4745;4760~4761;4776~4777;4792~4793;4808~4809;4824~4825;4840~4841;4856~4857;9544~9545;9656~9657;9768~9769;9880~9881;9992~9993;10104~10105;10216~10217;10328~10329;10404;10411;10418;10425;10432;10439;10446;10453;10460;10467;10474;10481;10488;10495;10502;10509;10516;10523;10530;10537;10544;5824~5825;5840~5841;5856~5857;5872~5873;5888~5889;5904~5905;5920~5921;5936~5937;5952~5953;5968~5969;5984~5985;6000~6001;6016~6017;9560~9561;9672~9673;9784~9785;9896~9897;10008~10009;10120~10121;10232~10233;10344~10345;10405;10412;10419;10426;10433;10440;10447;10454;10461;10468;10475;10482;10489;10496;10503;10510;10517;10524;10531;10538;10545;7033;7048~7049;7064~7065;7080~7081;7096~7097;7112~7113;7128~7129;7144~7145;7160~7161;7176~7177;9576~9577;9688~9689;9800~9801;9912~9913;10024~10025;10136~10137;10248~10249;10360~10361;10406;10413;10420;10427;10434;10441;10448;10455;10462;10469;10476;10483;10490;10497;10504;10511;10518;10525;10532;10539;10546;8144~8145;8160~8160;8176~8177;8192~8193;8208~8209;8224~8225;8240~8241;8256~8257;8272~8273;8288~8289;8304~8305;8320~8321;8336~8337;9592~9593;9704~9705;9816~9817;9928~9929;10040~10041;10152~10153;10264~10265;10376~10377;10407;10414;10421;10428;10435;10442;10449;10456;10463;10470;10477;10484;10491;10498;10505;10512;10519;10526;10533;10540;10547;9288~9289;10401;10553;10582~10583 10579~10580;10585~10586;10588~10589;10591~10592;10594~10595;10597~10598;10554~10574;10601;10602;10615;10616;10629;10630;10643;10644;10657;10658;10671;10672;10685;10686;10699;10700;10713;10714;10727;10728;10741;10742;10755;10756;10769;10770;10783;10784;10797;10798;10811;10812;10825;10826;10839;10840;10853;10854;10867;10868;10881;10882;10603;10604;10617;10618;10631;10632;10645;10646;10659;10660;10673;10674;10687;10688;10701;10702;10715;10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10831;10832;10845;10846;10859;10860;10873;10874;10887;10888;10609;10610;10623;10624;10637;10638;10651;10652;10665;10666;10679;10680;10693;10694;10707;10708;10721;10722;10735;10736;10749;10750;10763;10764;10777;10778;10791;10792;10805;10806;10819;10820;10833;10834;10847;10848;10861;10862;10875;10876;10889;10890;10611;10612;10625;10626;10639;10640;10653;10654;10667;10668;10681;10682;10695;10696;10709;10710;10723;10724;10737;10738;10751;10752;10765;10766;10779;10780;10793;10794;10807;10808;10821;10822;10835;10836;10849;10850;10863;10864;10877;10878;10891;10892;9304~9305;9320~9321;9336~9337;9352~9353;9368~9369;9384~9385;9400~9401;9416~9417;9432~9433;9448~9449;9464~9465;9480~9481;9496~9497;9608~9609;9720~9721;9832~9833;9944~9945;10056~10057;10168~10169;10280~10281;10392~10393;10408;10415;10422;10429;10436;10443;10450;10457;10464;10471;10478;10485;10492;10499;10506;10513;10520;10527;10534;10541;10548に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0317】
本発明に係る人工核酸は、同じ(モノシストロン性核酸)又は異なる(マルチシストロン性核酸)コード領域において、更なるタンパク質又はペプチドをコードしてもよい。それぞれのコード核酸配列は、前記と同じ配列修飾に付すことができる。特に、本発明の人工核酸のコード配列は、好ましくはCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列に融合される1以上の核局在化シグナル(NLS)をコードする1以上の配列を含み得る。これらの配列も前記のように修飾ことができる。
【0318】
修飾された(又は「最適化された」)コード配列は、本明細書に開示される任意のUTRと組み合わせることができる。
【0319】
したがって、幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、本明細書に定義される少なくとも1つの5’UTRエレメント、本明細書に定義される少なくとも1つの3’UTRエレメント、及びCas9又はCpf1タンパク質をコードするコード配列、又はその(機能的)ホモログ、変異体、断片、若しくは誘導体を含み、前記人工核酸分子が、配列番号413;2330~2345;3490~3505;4650~4665;5810~5825;6970~6985;8130~8145;9290~9305;10402~10408;10554;10599~10612(HSD17B4/Gnas.1);配列番号414;2346~2361;3506~3521;4666~4681;5826~5841;6986~7001;8146~8161;9306~9321;10409~10415;10555;10613~10626(Slc7a3.1/Gnas.1);配列番号415;2362~2377;3522~3537;4682~4697;5842~5857;7002~7017;8162~8177;9322~9337;10416~10422;10556;10627~10640(ATP5A1/CASP.1);配列番号416;2378~2393;3538~3553;4698~4713;5858~5873;7018~7033;8178~8193;9338~9353;10423~10429;10557;10641~10654(Ndufa4.1/PSMB3.1);配列番号417;2394~2409;3554~3569;4714~4729;5874~5889;7034~7049;8194~8209;9354~9369;10430~10436;10558;10655~10668(HSD17B4/PSMB3.1);配列番号418;2410~2425;3570~3585;4730~4745;5890~5905;7050~7065;8210~8225;9370~9385;10437~10443;10559;10669~10682(RPL32var/アルブミン7);配列番号419;2426~2441;3586~3601;4746~4761;5906~5921;7066~7081;8226~8241;9386~9401;10444~10450;10560;10683~10696(32L4/アルブミン7);配列番号420;2442~2457;3602~3617;4762~4777;5922~5937;7082~7097;8242~8257;9402~9417;10451~10457;10561;10697~10710(HSD17B4/CASP1.1);配列番号421;2458~2473;3618~3633;4778~4793;5938~5953;7098~7113;8258~8273;9418~9433;10458~10464;10562;10711~10724(Slc7a3.1/CASP1.1);配列番号422;2474~2489;3634~3649;4794~4809;5954~5969;7114~7129;8274~8289;9434~9449;10465~10471;10563;10725~10738(Slc7a3.1/PSMB3.1);配列番号423;2490~2505;3650~3665;4810~4825;5970~5985;7130~7145;8290~8305;9459~9450;10472~10478;10564;10739~10752(Nosip.1/PSMB3.1);配列番号424;2506~2521;3666~3681;4826~4841;5986~6001;7146~7161;8306~8321;9466~9481;10479~10485;10565;10753~10766(Ndufa4.1/RPS9.1);配列番号425;2522~2537;3682~3697;4842~4857;6002~6017;7162~7177;8322~8337;9482~9497;10486~10492;10566;10767~10780(HSD17B4/RPS9.1);配列番号9498~9609;10493~10499;10567;10781~10794(ATP5A1/Gnas.1);配列番号9610~9721;10500~10506;10568;10795~10808(Ndufa4.1/COX6B1.1);配列番号9722~9833;10507~10513;10569;10809~10822(Ndufa4.1/Gnas.1);配列番号9834~9945;10514~10520;10570;10823~10836(Ndufa4.1/Ndufa1.1);配列番号9946~10057;10521~10527;10571;10837~10850(Nosip.1/Ndufa1.1);配列番号10058~10169;10528~10534;10572;10851~10864(Rpl31.1/Gnas.1);配列番号10170~10281;10535~10541;10573;10865~10878(TUBB4B.1/RPS9.1);配列番号10282~10393;10542~10548;10574;10879~10892(Ubqln2.1/RPS9.1)に係る核酸配列、又は前記配列のいずれかのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。どの配列番号がどのタンパク質(Cas9又はCpf1)に属するかは、配列表の<223>の下の「その他の情報」の欄に示されているガイダンスによって当業者には明らかである。ここには、各配列番号が、Cpf1変異体mRNA産物又はCas9変異体mRNA産物のいずれに類似するかが開示されている。
【0320】
5’キャップ
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、本明細書に定義される改変人工核酸分子、好ましくはRNA(又は任意の他の核酸、特にRNA)は、いわゆる「5’キャップ」構造の付加によって修飾することができ、これにより、本明細書に記載されるように、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)が安定化する。
【0321】
5’-キャップは、一般に成熟mRNAの5’末端を「キャップ」する実体、典型的には修飾されたヌクレオチド実体である。5’-キャップは、典型的には修飾ヌクレオチド、特にグアニンヌクレオチドの誘導体によって形成され得る。好ましくは、5’-キャップは、5’-5’-トリホスファート結合を介して5’末端に結合する。5’-キャップは、メチル化されていてもよく、例えば、m7GpppNがある(ここでNは、5’-キャップを有する核酸の末端5’ヌクレオチド、典型的にはmRNAの5’末端である)。m7GpppNは、ポリメラーゼIIによって転写されたmRNA中に天然に存在するので、この文脈では、修飾mRNA中に含まれる修飾と考えないことが好ましい5’-キャップ構造である。したがって、「修飾された」人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、5’-キャップとしてm7GpppNを含むことができるが、これに加えて、前記修飾人工核酸分子、好ましくはRNA(又は他の核酸)は、本明細書に定義される少なくとも1つの更なる修飾を含む。
【0322】
5’キャップ構造の更なる例としては、グリセリル、反転デオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’メチレンヌクレオチド、1-(ベータ-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L-ヌクレオチド、アルファ-ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’-セコヌクレオチド、非環式3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’-3’-反転ヌクレオチド部分、3’-3’-反転脱塩基部分、3’-2’-反転脱塩基部分、3’-2’-反転脱塩基部分、1,4-ブタンジオールホスファート、3’-ホスホルアミダート、ヘキシルホスファート、アミノヘキシルホスファート、3’-ホスファート、3’-ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、又は架橋若しくは非架橋メチルホスホナート部分が挙げられる。これらの改変5’-キャップ構造は、この文脈において、少なくとも1つの改変とみなされる。
【0323】
特に好ましい改変5’-キャップ構造は、cap1(m7Gの隣接ヌクレオチドのリボースのメチル化)、cap2(m7Gの下流の2番目のヌクレオチドのリボースの更なるメチル化)、cap3(m7Gの下流の3番目のリボースの更なるメチル化)、cap4(m7Gの下流の4番目のヌクレオチドのリボースのメチル化)、ARCA(アンチリバースキャップ類似体、改変ARCA(例えば、ホスホチオアート修飾ARCA)、CleanCap(TriLink)、及び/又はWO2017053297A1(参照により本明細書に援用される)に開示されるキャップ構造、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、及び2-アジド-グアノシンである。
【0324】
好ましい実施形態によれば、人工核酸は、RNAの5’末端のキャップ構造(cap-1)に隣接する第1のヌクレオチドのリボース-2’-O位置の2’-O位置にメチル基を含む。典型的には、メチル化は、キャップ2’-O-メチルトランスフェラーゼの作用によって達成することができ、m7GpppNキャップ化人工核酸(好ましくはRNA)を基質として、S-アデノシルメチオニン(SAM)をメチルドナーとして用い、キャップ化RNA(cap-0)メチル化してcap-1構造をもたらす。cap-1構造は、mRNA翻訳効率を高めることが報告されており、したがって、本明細書に記載される本発明の人工核酸、好ましくはRNAの発現効率を改善するのに役立ち得る。
【0325】
ポリ(A)
更なる好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、ポリ(A)配列を含む。
【0326】
ポリ(A)テール又は3’-ポリ(A)テールとも呼ばれるポリ(A)配列は、典型的にはアデノシンヌクレオチドの配列、例えば最大約400個のアデノシンヌクレオチドの配列、例えば約20~約400個、好ましくは約50~約400個、より好ましくは約50~約300個、更により好ましくは約50~約250個、最も好ましくは約60~約250個のアデノシンヌクレオチドの配列であると理解される。本明細書中で使用される場合、ポリ(A)配列はまた、約10~200個のアデノシンヌクレオチド、好ましくは約10~100個のアデノシンヌクレオチド、より好ましくは約40~80個のアデノシンヌクレオチド、又は更により好ましくは約50~70個のアデノシンヌクレオチドを含み得る。ポリ(A)配列は、典型的には、RNA、特にmRNAの3’末端に位置する。
【0327】
したがって、更なる好ましい実施形態においては、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、その3’末端に、典型的には約10~200個のアデノシンヌクレオチド、好ましくは約10~100個のアデノシンヌクレオチド、より好ましくは約40~80個のアデノシンヌクレオチド、又は更により好ましくは約50~70個のアデノシンヌクレオチドのポリ(A)テールを含む。
【0328】
好ましくは、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)中のポリ(A)配列は、RNAインビトロ転写によってDNA鋳型から誘導される。或いは、ポリ(A)配列はまた、必ずしもDNA前駆体から転写されることなく、一般的な化学合成法によってインビトロで得ることができる。
【0329】
更に、ポリ(A)配列、又はポリ(A)テールは、市販のポリアデニル化キット及び当技術分野において公知の対応するプロトコルを使用して、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)の酵素的ポリアデニル化によって生成され得る。ポリアデニル化は、典型的には、RNA分子(例えば未成熟mRNA)などの核酸分子へのポリ(A)配列の付加であると理解される。ポリアデニル化は、いわゆるポリアデニル化シグナルによって誘発され得る。このシグナルは、ポリアデニル化されるmRNAの3’末端の幾つかのヌクレオチド内に位置することが好ましい。ポリアデニル化シグナルは、典型的には、アデニン及びウラシル/チミンヌクレオチドからなるヘキサマー、好ましくはヘキサマー配列AAUAAAを含む。他の配列、好ましくはヘキサマー配列も考えられる。ポリアデニル化は、典型的にはプレmRNA(未成熟mRNAとも呼ばれる)のプロセシング中に生じる。典型的には、(プレmRNAから成熟mRNAへの)RNA成熟は、ポリアデニル化の工程を含む。
【0330】
したがって、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、特定のタンパク質因子(例えば、切断及びポリアデニル化特異性因子(CPSF)、切断刺激因子(CstF)、切断因子I及びII(CF I及びCF II)、ポリ(A)ポリメラーゼ(PAP))によってポリアデニル化を(転写)RNAに伝達するポリアデニル化シグナルを含み得る。
【0331】
この文脈において、NN(U/T)ANAコンセンサス配列を含むコンセンサスポリアデニル化シグナルが好ましい。特に好ましい態様においては、ポリアデニル化シグナルは以下の配列のうちの1つを含む:AA(U/T)AAA又はA(U/T)(U/T)AAA(ここで、ウリジンは通常、RNA中に存在し、チミジンは通常、DNA中に存在する)。
【0332】
ポリ(C)
更なる好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、3’末端に、典型的には約10~200個のシトシンヌクレオチド、好ましくは約10~100個のシトシンヌクレオチド、より好ましくは約20~70個のシトシンヌクレオチド、更により好ましくは約20~60個、更には10~40個のシトシンヌクレオチドのポリ(C)テールを含む。
【0333】
ヒストンステムループ(HSL)
幾つかの好ましい実施形態においては、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、ヒストンステムループ(HSL)配列/構造を含む。そのようなヒストンステムループ配列は、その開示が参照により本明細書に援用されるWO2012/019780に開示されるヒストンステムループ配列から選択されることが好ましい。
【0334】
本発明において用いるのに好適なヒストンステムループ配列は、以下の式(I)又は(II)のうちの少なくとも1つから選択することが好ましい:
式(I)(ステム境界エレメントを含まないステムループ配列):
【化1】
式(II)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化2】
(式中、
ステム1又はステム2の境界エレメントN
1-6は、1~6個、好ましくは2~6個、より好ましくは2~5個、更により好ましくは3~5個、最も好ましくは4~5個、又は5個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
ステム1[N
0-2GN
3-5]は、エレメントステム2に対して逆相補的であるか又は部分的に逆相補的であり、且つ5~7個のヌクレオチドの連続配列であり、
N
0-2は、0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは1個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
N
3-5は、3~5個、好ましくは4~5個、より好ましくは4個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
Gは、グアノシン又はその類似体であり、任意に、シチジン又はその類似体によって置換されてもよいが、但し、その場合、ステム2におけるその相補的ヌクレオチドであるシチジンも、グアノシンによって置換され、
ループ配列[N
0-4(U/T)N
0-4]は、エレメントステム1とステム2との間に位置し、且つ3~5個のヌクレオチド、より好ましくは4個のヌクレオチドの連続配列であり、
各N
0-4は、互いに独立して、0~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
U/Tは、ウリジン又は任意にチミジンを表し、
ステム2[N
3-5CN
0-2]は、エレメントステム1に対して逆相補的であるか又は部分的に逆相補的であり、且つ5~7個のヌクレオチドの連続配列であり、
N
3-5は、3~5個、好ましくは4~5個、より好ましくは4個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
N
0-2は、0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは1個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、若しくはCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
Cは、シチジン又はその類似体であり、任意に、グアノシン又はその類似体によって置換されてもよいが、但し、その場合、ステム1におけるその相補的ヌクレオチドであるグアノシンも、シチジンによって置換され、
ステム1及びステム2は、互いに塩基対合して逆相補的配列を形成することができる(前記塩基対合は、例えば、ヌクレオチドAとU/T若しくはGとCとのワトソン-クリック塩基対合、又は非ワトソン-クリック塩基対合(例えば、ゆらぎ塩基対合、逆ワトソン-クリック塩基対合、フーグスティーン塩基対合、逆フーグスティーン塩基対合)によってステム1とステム2との間で生じ得る)か、或いは、互いに塩基対合して部分的に逆相補的な配列を形成することができる(一方のステムにおける1以上の塩基が、他方のステムの逆相補的な配列において相補的塩基を有しないことに基づいて、ステム1とステム2との間で不完全な塩基対合が生じ得る)。
【0335】
更なる好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、以下の特定の式(Ia)又は(IIa)の少なくとも1つに係る少なくとも1つのヒストンステムループ(HSL)配列を含み得る。
式(Ia)(ステム境界エレメントを含まないステムループ配列):
【化3】
式(IIa)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化4】
(式中、N、C、G、T、及びUは、上に定義した通りである)。
【0336】
更により好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、以下の特定の式(Ib)又は(IIb)の少なくとも1つに係る少なくとも1つのヒストンステムループ配列を含み得る。
【化5】
式(IIb)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化6】
(式中、N、C、G、T、及びUは、上に定義した通りである)。
【0337】
特に好ましいヒストンステムループ配列は、配列CAAAGGCTCTTTTCAGAGCCACCA又はより好ましくは対応するRNA配列CAAAGGCUCUUUUCAGAGCCACCAである。
【0338】
miRNA部分
更なる実施形態では、非コード部分、即ち、miRNA部分は、本発明の配列と組み合わされる。非コード部分は、以下のリストに開示される1以上からの核酸配列から選択できる:
5’-UTR;
3’-UTR;
miRNA部分;
キャップ;
ポリ(C)配列;
ヒストンステムループ配列;
ポリ(A)配列又はポリアデニル化シグナル;
IRES部分;
ヘアピン部分;
RNA結合タンパク質のための部分;
3’-5’分解を防ぐ部分;
RNA崩壊速度を調節する部分。
【0339】
前記したものは、一般的な用語である。これらの一般的な用語に該当する特定の部分も本発明により提供される。特定の実施形態に関する配列を含む、前記リストからの部分の詳細について以下に示す。
【0340】
前記リストは、単数形で各項目を示すが、1超のそれぞれの部分を選択されることも同様に可能である。前記リストに含まれない核酸部分も同様に選択できる。好ましくは、少なくとも1つのモジュール又は部分は、前記リストからのものである。
【0341】
典型的な実施形態では、少なくとも1つの5’-UTR部分及び/又は少なくとも1つの3’-UTR部分が選択される。好ましくは、少なくとも1つの5’-UTR及び少なくとも1つの3’-UTRが選択される。
【0342】
miRNAも本発明の部分として選択され得る。当技術分野で知られた任意のmiRNA部分が選択され得る。そのような部分は、マイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列、又はマイクロRNAシードから選択することができる。例えば、miRNA配列(マイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列、又はマイクロRNAシード)は、WO2015085318A2、US2005/0261218、US20170211066、WO2017201332、WO2017201328、WO2017201349、WO2017201347、WO2017201348、WO2017201342、WO2017201346、US20160177295、WO2014113089、EP2946014、WO2016100812、WO2013126803、及びUS2005/0059005(前記した全ての文献を参照により本明細書に援用する)に記載される。マイクロRNA、マイクロRNA標的領域、及びそれらの発現パターンと生物学における役割の同定が報告されている(Bonauer et al., Curr Drug Targets 2010 11 :943-949; Anand and Cheresh, Curr Opin Hematol 2011, 18: 171-176; Contreras and Rao Leukemia, 2012 26:404-413; Barrel, Cell, 2009 136:215-233; Landgraf et al., Cell, 2007 129: 1401-1414)(前記した全ての文献を参照により本明細書に援用する)。
【0343】
一般的に、マイクロRNA(又はmiRNA)は19~25ヌクレオチド長の非コードRNAである。miRNAは、核酸分子の3’-UTRに結合する。これは、核酸分子の安定性を低下させる、又は翻訳を阻害することにより、遺伝子発現のダウンレギュレーションを引き起こす。本発明のモジュールとして、本発明のポリヌクレオチドは、1以上のマイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列、又はマイクロRNAシードを含み得る。
【0344】
本明細書に使用される「マイクロRNA部位」という用語は、マイクロRNAが結合する、そうでなければ会合することができるポリヌクレオチド配列を意味する。「結合」は通常、ワトソン-クリックハイブリダイゼーションによって生じる。しかし、マイクロRNAとマイクロRNA部位又はその近傍の標的配列とのその他の安定した会合も、本発明に係る「マイクロRNA部位」の概念に含まれる。
【0345】
一般に、マイクロRNA配列は、「シード」領域、即ち典型的には成熟マイクロRNAの位置2~8の領域にある配列を含む。シード領域配列は、miRNAの標的配列に対して完全なワトソン-クリック相補性を有する。そのようなマイクロRNAシードは、成熟マイクロRNAの位置2~8、又は2~7を含んでもよい。したがって、一実施形態では、マイクロRNAシードは、7ヌクレオチド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2~8)を含み、対応するmiRNA標的のシード相補部位は、マイクロRNA位置1と反対のアデニン(A)に隣接している。別の実施形態では、マイクロRNAシードは6ヌクレオチド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2~7)を含み、対応するmiRNA標的のシード相補部位は、マイクロRNA位置1と反対のアデニン(A)に隣接している。それぞれの核酸モジュールは、Grimson et al.; Mol Cell. 2007 Jul 6;27(1):91-105に開示されている。
【0346】
本発明において、マイクロRNA標的配列は、典型的には、3’-UTR又はそうでなければオープンリーディングフレームの3’(上流)に含まれるように設計される。このような場合、miRNAの標的配列は、対象の対応するマイクロRNAが利用可能である限り、分解又は翻訳の低減のために分子を標的とすると考えられる。これにより、本発明の核酸分子の送達時の望ましくないオフターゲット効果を制御することが可能になる。
【0347】
肝臓でmRNAを翻訳することが望ましくないが、mRNAが肝臓に輸送されるか、そうでなければそこで終わる場合、本発明のポリヌクレオチドの3’-UTR領域にmiR-122の1つ又は複数の標的部位が存在する(例えば、設計される)ならば、肝臓に豊富なマイクロRNAであるmiR-122は、本発明の核酸の発現を阻害できる。異なるマイクロRNAに対する1つ又は複数の結合部位の導入は、ポリヌクレオチドの寿命、安定性、及びタンパク質翻訳に更に影響する(例えば、減少させる)ように設計することができる。対照的に、mRNAを翻訳することが実際に望まれる場合、例えば、特定の組織でのタンパク質発現を上昇させるために、マイクロRNA結合部位をそれらが生じる配列から操作(即ち、除去)することができる。例えば、1以上のmiR-122結合部位を除去して、肝臓でのタンパク質発現を改善することができる。
【0348】
それにより、特定の組織での発現の調節は、導入又は除去、又は1つ又は複数のマイクロRNA結合部位によって達成することができる。例えば、マイクロRNAは、mRNAを調節し、それによって、限定するものではないが、肝臓(miR-122)、心臓(miR-ld、miR-149)、内皮細胞(miR-17-92、miR-126)、脂肪組織(let-7、miR-30c)、腎臓(miR-192、miR-194、miR-204)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、筋肉(miR-133、miR-206、miR-208)、及び肺上皮細胞(let-7、miR-133、miR-126)でのタンパク質発現を調節することが知られている。マイクロRNAは、血管新生(miR-132)などの複雑な生物学的プロセスも制御できる(例えば、Anand and Cheresh, Curr. Opin. Hematol. 2011, 18: 171-176)。
【0349】
したがって、一般に、本発明のモジュール設計原理によれば、ポリヌクレオチドの発現を所望の細胞型又は組織、又は関連する生物学的プロセスの状況において調整するために、マイクロRNAの結合部位を除去又は導入することができる。miRNA配列と結合部位のリストが公開されている。本明細書で論じられる文献に開示される任意の配列は、本発明の文脈において使用され得る:組織特異的又は疾患特異的遺伝子発現を駆動するマイクロRNAの例は、Getner and Naldini, Tissue Antigens. 2012, 80:393-403に列挙される。マイクロRNAシード部位の組み込みの例は、miR-142部位のUGT1A1発現レンチウイルスベクターへの組み込みであり、これは、Schmitt et al., Gastroenterology 2010; 139:999-1007; Gonzalez-Asequinolaza et al. Gastroenterology 2010, 139:726-729に開示されているように、ウイルス発現UGT1A1に対する免疫応答の欠如につながる抗原提示細胞での発現低下を引き起こす。したがって、1以上のmiR-142シード部位をmRNAに組み込むことは、完全なタンパク質欠乏症の患者(UGT1A1 I型、LDLR欠損患者、CRIM陰性ポンペ患者、など)の治療の場合に重要であると考えられる。それにより、本発明の核酸分子は、そのような目的に適合するように設計することができる。そのようなmiRNA配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性を特徴とする任意のポリヌクレオチドを選択することができる。
【0350】
異なる細胞型におけるマイクロRNAの異なる発現パターンにより、本発明は、特定の細胞型又は特定の生物学的条件下での標的化発現のためのポリヌクレオチド分子を特異的に設計することを可能にする。組織特異的マイクロRNA結合部位の導入により、組織内又は生物学的状態の状況でのタンパク質発現のためのポリヌクレオチドを設計できる。
【0351】
本発明の一実施形態では、本発明のCRISPR関連タンパク質(例えば、Cas9、Cpf1)をコードする本発明の人工核酸分子は、hsa-miR-27a-3p、hsa-miR-99b-5p、hsa-miR-21-5p、hsa-miR-142-5p、hsa-miR-27a-3p、hsa-miR-21-5p、hsa-miR-223-3p、hsa-miR-150-5p、及びhsa-miR-142-5pからなる群から選択される少なくとも1つのmiRNA配列を含む。
【0352】
構築物
本明細書に定義される少なくとも1つのコード配列を含む本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、本明細書に記載される少なくとも1つの5’UTR及び少なくとも1つの3’UTR、並びに任意に、少なくとも1つのヒストンステムループを含む。
【0353】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAの3’UTR(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、本明細書に定義されるポリ(A)及び/又はポリ(C)配列を更に含み得る。3’UTRの単一エレメントは、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAの配列に沿って5’から3’に向かって任意の順で存在し得る。
【0354】
更に、本明細書に定義される安定化配列(例えば、グロビン遺伝子のUTRに由来)、IRES配列などの、本明細書に記載される更なるエレメントも含まれ得る。エレメントのそれぞれは、本発明の人工核酸分子中、好ましくはRNA中で、少なくとも1回(特にジ-又はマルチシストロン性構築物において)、例えば、2回以上繰り返されてもよい。一例として、単一エレメントは、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA中に以下の順で存在し得る:
5’-コード配列-ヒストンステムループ-ポリ(A)/(C)配列-3’;又は
5’-コード配列-ポリ(A)/(C)配列-ヒストンステムループ-3’;又は
5’-コード配列-ヒストンステムループ-ポリアデニル化シグナル-3’;又は
5’-コード配列-ポリアデニル化シグナル-ヒストンステムループ-3’;又は
5’-コード配列-ヒストンステムループ-ヒストンステムループ-ポリ(A)/(C)配列-3’;又は
5’-コード配列-ヒストンステムループ-ヒストンステムループ-ポリアデニル化シグナル-3’;又は
5’-コード配列-安定化配列-ポリ(A)/(C)配列-ヒストンステムループ-3’;又は
5’-コード配列-安定化配列-ポリ(A)/(C)配列-ポリ(A)/(C)配列-ヒストンステムループ-3’;など。
【0355】
更なる実施形態によれば、人工核酸分子、好ましくはRNAは、好ましくは以下の構造エレメントの少なくとも1つを更に含む:ヒストンステムループ構造(好ましくはその3’非翻訳領域におけるヒストンステムループ);5’キャップ構造;ポリAテール;又はポリ(C)配列。
【0356】
幾つかの実施形態によれば、CRISPR関連タンパク質に加えて、更なるペプチド又はタンパク質が本明細書に定義される少なくとも1つのコード配列によってコードされる場合、コードされるペプチド又はタンパク質は好ましくはヒストンタンパク質ではなく、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、GFP、及びその変異体(例えば、eGFP、RFP、又はBFP)ではなく、及び/又はマーカー又は選択タンパク質(例えば、アルファグロビン、ガラクトキナーゼ、及びキサンチン:グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)、ベータ-ガラクトシダーゼ、ガラクトキナーゼ、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、又は耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、及びゼオシンに対する耐性遺伝子)ではないことが特に好ましい。好ましい実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNAは、レポーター遺伝子又はマーカー遺伝子をコードしない。好ましい実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNAは、ルシフェラーゼをコードしない。他の実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNAは、GFP又はその変異体をコードしない。
【0357】
具体的には、本発明に係る人工核酸分子、特にRNAは、好ましくは5’から3’方向に以下のエレメントを含むことができる:
a)5’-キャップ構造、好ましくはm7GpppN又はCap1;
b)本明細書に定義される5’-UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる、好ましくは配列番号1;3;5;7;9;11;13;15;17;19;又は21に係る核酸配列、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に対応する核酸配列を含む5’-UTRエレメント;
c)本明細書に定義される少なくとも1つのコード配列;
d)本明細書に定義される3’-UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる、好ましくは配列番号23;25;27;29;31;33又は35に係る核酸配列、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に対応する核酸配列を含む5’-UTRエレメント;
e)任意に、ポリ(A)テール、好ましくは10~1000、10~500、10~300、10~200、10~100、40~80、又は50~70個のアデノシンヌクレオチドからなる;
f)任意に、ポリ(C)テール、好ましくは10~200、10~100、20~70、20~60、又は10~40個のシトシンヌクレオチドからなる;及び
g)任意に、ヒストンステムループ。
【0358】
好ましい人工核酸構築物について以下に詳細に記載する。
【0359】
HSD17B4由来5’UTRエレメント及びGNAS由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号413;2330~2345;3490~3505;4650~4665;5810~5825;6970~6985;8130~8145;9290~9305;10402~10408;10554;10599~10612に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0360】
SLC7A3由来5’UTRエレメント及びGNAS由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号414;2346~2361;3506~3521;4666~4681;5826~5841;6986~7001;8146~8161;9306~9321;10409~10415;10555;10613~10626に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0361】
ATP5A1由来5’UTRエレメント及びCASP1由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号415;2362~2377;3522~3537;4682~4697;5842~5857;7002~7017;8162~8177;9322~9337;10416~10422;10556;10627~10640に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0362】
NDUFA4由来5’UTRエレメント及びPSMB3由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号416;2378~2393;3538~3553;4698~4713;5858~5873;7018~7033;8178~8193;9338~9353;10423~10429;10557;10641~10654に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0363】
HSD17B4由来5’UTRエレメント及びPSMB3由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号417;2394~2409;3554~3569;4714~4729;5874~5889;7034~7049;8194~8209;9354~9369;10430~10436;10558;10655~10668に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0364】
RPL32由来5’UTRエレメント及びALB由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、RPL32遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びALB遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号418;2410~2425;3570~3585;4730~4745;5890~5905;7050~7065;8210~8225;9370~9385;10437~10443;10559;10669~10682に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0365】
HSD17B4由来5’UTRエレメント及びCASP1由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号420;2442~2457;3602~3617;4762~4777;5922~5937;7082~7097;8242~8257;9402~9417;10451~10457;10561;10697~10710に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0366】
SLC7A3由来5’UTRエレメント及びCASP1由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号421;2458~2473;3618~3633;4778~4793;5938~5953;7098~7113;8258~8273;9418~9433;10458~10464;10562;10711~10724に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0367】
SLC7A3由来5’UTRエレメント及びPSMB3由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号422;2474~2489;3634~3649;4794~4809;5954~5969;7114~7129;8274~8289;9434~9449;10465~10471;10563;10725~10738に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0368】
NOSIP由来5’UTRエレメント及びPSMB3由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、NOSIP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号423;2490~2505;3650~3665;4810~4825;5970~5985;7130~7145;8290~8305;9459~9450;10472~10478;10564;10739~10752に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0369】
NDUFA4由来5’UTRエレメント及びRPS9由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号424;2506~2521;3666~3681;4826~4841;5986~6001;7146~7161;8306~8321;9466~9481;10479~10485;10565;10753~10766に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0370】
HSD17B4由来5’UTRエレメント及びRPS9由来3’UTRエレメント:
幾つかの好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する3’UTRエレメントを含む又はからなり、前記人工核酸は、配列番号425;2522~2537;3682~3697;4842~4857;6002~6017;7162~7177;8322~8337;9482~9497;10486~10492;10566;10767~10780に係る核酸配列、又はそのホモログ、変異体、若しくは断片、特に、これらの配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、更には97%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる。
【0371】
他の好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸は、本明細書に以下に記載される少なくとも1つの5’UTR及び3’UTRエレメント(又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来するもの)を含む又はからなり、前記人工核酸は、特定のUTRの組合せに続く括弧内の配列番号に係る核酸配列を含む又はからなる:
ATP5A1/Gnas.1(配列番号9498~9609;10493~10499;10567;10781~10794);
Ndufa4.1/COX6B1.1(配列番号9610~9721;10500~10506;10568;10795~10808);
Ndufa4.1/Gnas.1(配列番号9722~9833;10507~10513;10569;10809~10822);
Ndufa4.1/Ndufa1.1(配列番号9834~9945;10514~10520;10570;10823~10836);
Nosip.1/Ndufa1.1(配列番号9946~10057;10521~10527;10571;10837~10850);
Rpl31.1/Gnas.1(配列番号10058~10169;10528~10534;10572;10851~10864);
TUBB4B.1/RPS9.1(配列番号10170~10281;10535~10541;10573;10865~10878);
Ubqln2.1/RPS9.1(配列番号10282~10393;10542~10548;10574;10879~10892)。
他の好ましい実施形態では、本発明の構築物の3’末端は、A64-C30-HSL-N5;A64-HSL-N5;A64-N5;A64-N5;A64-C5-N5;A64-C5-N5;A64-C10-N5;A64-C10-N5;A64-C15-N5;A40-HSL-A50-N5;HSL-N5;A64-HSL-NR;A64-N5;及びA64-C15-N5からなる群から選択される。
【0372】
複合体化
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に記載される任意の他の核酸)は、複合体化形態、即ち、1以上の(ポリ)カチオン性化合物、好ましくは(ポリ)カチオンポリマー、(ポリ)カチオン性ペプチド又はタンパク質、例えば、プロタミン、(ポリ)カチオン性多糖類及び/又は(ポリ)カチオン性脂質などと複合体化又は会合されて提供される。この文脈においては、用語「複合体化された」又は「会合された」は、少なくとも1つの人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸)と前記化合物の1以上との、共有結合を介さない、より大きな複合体又はアセンブリへの本質的に安定な組合せを意味する。
【0373】
脂質
好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、脂質(特に、カチオン性及び/又は中性脂質)と複合体化又は会合し、1以上のリポソーム、リポプレックス、脂質ナノ粒子、又はナノリポソームを形成する。
【0374】
したがって、幾つかの実施形態においては、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はワクチン(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、脂質ベース製剤の形態、特に、前記人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸、特にRNA)を含むリポソーム、リポプレックス、及び/又は脂質ナノ粒子の形態で提供される。
【0375】
脂質ナノ粒子
幾つかの好ましい実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される他の核酸、特にRNA)は、脂質(特にカチオン性及び/又は中性脂質)と複合体化又は会合し、1以上の脂質ナノ粒子を形成する。幾つかの実施形態では、本発明のナノ粒子は、本明細書に記載されるCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つの人工核酸分子、及び更に本明細書に記載の少なくとも1つのgRNAを含む。
【0376】
好ましくは、脂質ナノ粒子(LNP)は、(a)本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される他の核酸)、(b)カチオン性脂質、(c)凝集低減剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)脂質又はPEG改変脂質)、(d)任意に、非カチオン性脂質(例えば、中性脂質)、及び(e)任意に、ステロールを含む。
【0377】
幾つかの実施形態では、LNPは、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)に加えて、(i)少なくとも1つのカチオン性脂質;(ii)中性脂質;(iii)ステロール、例えば、コレステロール;及び(iv)約20~60%のカチオン性脂質:5~25%の中性脂質:25~55%のステロール;0.5~15%PEG-脂質のモル比のPEG脂質を含む。
【0378】
幾つかの実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義されて任意の他の核酸)は、アミノアルコールリピドイドに製剤化することができる。本発明にで使用できるアミノアルコールリピドイドは、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第8,450,298号明細書に記載される方法によって調製することができる。
【0379】
(i)カチオン性脂質
LNPは、脂質ナノ粒子を形成するのに適した任意のカチオン性脂質を含み得る。好ましくは、カチオン性脂質は、ほぼ生理学的pHで正味の正電荷を帯びている。
【0380】
カチオン性脂質は、アミノ脂質であり得る。本明細書で使用される場合、用語「アミノ脂質」は、1つ又は2つの脂肪酸又は脂肪アルキル鎖及び生理学的pHでプロトン化してカチオン性脂質を形成し得るアミノヘッド基(アルキルアミノ又はジアルキルアミノ基を含む)を有する脂質を含むことを意味する。
【0381】
カチオン性脂質は、例えば、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、1,2-ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパンクロリド(DOTAP)(N-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド及び1,2-ジオレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩としても知られる)、N-(1-(2,3-)ジオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジ-y-リノレニルオキシ-N、N-ジメチルアミノプロパン(γ-DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)又は3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)又はその類似体、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(MC3)、1,1’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシ-ドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル-アザンジイル)ジドデカン-2-オール(C12-200)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノアート(DLin-M-C3-DMA)、3-((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3-1-テトラエン-19-イルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(MC3エーテル)、4-((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イルオキシ)-N,N-ジメチルブタン-1-アミン(MC4エーテル)、又はこれらの任意の組合せであることができる。
【0382】
他のカチオン性脂質としては、N,N-ジステアリル-N、N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、3P-(N-(N’、N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Choi)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N-2-(スペルミンカルボキサミド)エチル)-N,N-ジメチルアンモニウムトリフルオロアセタート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(DOGS)、1,2-ジレオイル-sn-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパン-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及び2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(XTC)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、例えば、LIPOFECTIN(DOTMA及びDOPEなど、GIBCO/BRLから入手可能)及びLIPOFECTAMINE(DOSPA及びDOPEなど、GIBCO/BRLから入手可能)などのカチオン性脂質の市販調製物を使用することができる。
【0383】
他の適切なカチオン性脂質は、国際公開第09/086558号、国際公開第09/127060号、国際公開第10/045436号、国際公開第10/054406号、国際公開第10/088537号、国際公開第10/129709号、及び国際公開第2011/153493号;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書、米国特許出願公開第2012/0128760号明細書、及び米国特許出願公開第2012/0027803号明細書;米国特許第8,158,601号明細書;Love et al,PNAS,107(5),1864-69,2010に開示されている。
【0384】
他の適切なアミノ脂質としては、アルキル置換基が異なるもの(例えば、N-エチル-N-メチルアミノ-、及びN-プロピル-N-エチルアミノ-)を含む、代替の脂肪酸基及び他のジアルキルアミノ基を有するものが挙げられる。一般に、飽和度の低いアシル鎖を有するアミノ脂質は、特に、フィルター滅菌の目的で複合体を約0.3ミクロン未満のサイズにしなければならない場合に、より容易にサイズ調整される。C14~C22の範囲の炭素鎖長を有する不飽和脂肪酸を含有するアミノ脂質が使用され得る。アミノ基とアミノ脂質の脂肪酸又は脂肪アルキル部分とを分離するために他の足場を使用することもできる。
【0385】
幾つか実施形態において、アミノ又はカチオン性脂質は、脂質が生理学的pH(例えばpH7.4)以下のpHで正に帯電し、第2のpH、好ましくは生理学的pH以上で中性になるように少なくとも1つのプロトン化可能又は脱プロトン化可能基を有する。当然のことながら、pHの関数としてのプロトンの付加又は脱離は平衡プロセスであり、帯電脂質又は中性脂質への言及は、主となる種の性質を意味し、全ての脂質が、帯電又は中性の形で存在することを必要としないと理解される。1超のプロトン化可能基又は脱プロトン化可能基を有する、又は双性イオン性である脂質は、本発明での使用から除外されない。
【0386】
幾つか実施形態において、プロトン化可能脂質は、プロトン化可能基のpKaが、約4~約11、例えば、約5~約7の範囲である。
【0387】
LNPは、2以上のカチオン性脂質を含み得る。カチオン性脂質は、種々の有利な特性に寄与するように選択することができる。例えば、アミンpKa、化学的安定性、循環中の半減期、組織中の半減期、組織中の正味の蓄積、又は毒性などの性質が異なるカチオン性脂質をLNPに使用することができる。特に、カチオン性脂質は、混合LNPの特性が個々の脂質の単一LNPの特性よりも望ましくなるように選択することができる。
【0388】
幾つか実施形態において、カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約20モル%~約70若しくは75モル%、又は約45~約65モル%、又は約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は約70モル%の割合で存在する。更なる実施形態では、LNPは、カチオン性脂質を、モル基準で約25%~約75%含み、例えば、(脂質ナノ粒子中の脂質の総モル(100%)に基づく)モル基準で、約20~約70%、約35~約65%、約45~約65%、60%、約50%、又は約40%含む。幾つか実施形態では、核酸に対するカチオン性脂質の比は、約3~約15、例えば、約5~約13又は約7~約11である。
【0389】
幾つかの実施形態では、リポソームは、国際公開第2013/006825号(参照によりその全体を本明細書に援用する)に記載されているように、カチオン性脂質中の窒素原子の、RNA中のリン酸に対するモル比(N:P比)が1:1~20:1であり得る。他の実施形態では、リポソームは、20:1超又は1:1未満のN:P比を有し得る。
【0390】
幾つかの態様では、脂質は、98N12-5、C12-200、及びcKK-E12からなる群から選択される。一実施形態では、核酸は、アミノアルコールリピドイドに製剤化することができる。本発明において使用され得るアミノアルコールリピドイドは、米国特許第8,450,298号明細書(参照によりその全体を本明細書に援用する)に記載される方法によって調製することができる。
【0391】
別の実施形態では、イオン化可能脂質はまた、国際公開第2015/074085号、米国特許出願第61/905,724号明細書及び第15/614,499号明細書、国際公開第2015074085号、又は米国特許又は出願第9,593,077号明細書、第61/905,724号明細書、第9,593,077号明細書、第9,567,296号明細書、第15/614,499号明細書、及び第9,567,296号明細書(参照によりその全体を本明細書に援用する)に開示される化合物であり得る。
【0392】
イオン化可能脂質はまた、国際公開第2017/075531号(参照によりその全体を本明細書に援用する)の表1、2、及び3、並びに請求項1~24に開示される化合物であり得る。別の実施形態では、イオン化可能脂質はまた、国際公開第2015/074085号(即ち、ATX-001~ATX-032又は請求項1~26に記載の化合物)、米国特許出願第61/905,724号明細書及び第15/614,499号明細書、又は米国特許第9,593,077号明細書及び第9,567,296号明細書(参照によりその全体を本明細書に援用する)に開示される化合物であり得る。
【0393】
(ii)中性及び非カチオン性脂質
非カチオン性脂質は、中性脂質、アニオン性脂質、又は両親媒性脂質であり得る。存在する場合、中性脂質は、生理学的pHで非帯電又は中性双性イオン形態のいずれかで存在する任意の数の脂質種であり得る。そのような脂質には、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドが含まれる。本明細書に記載の粒子における使用のための中性脂質の選択は、一般に、例えば、LNPサイズ及び血流中でのLNPの安定性を考慮することによって導かれる。好ましくは、中性脂質は、2つのアシル基を有する脂質(例えば、ジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミン)である。
【0394】
幾つか実施形態では、中性脂質は、C10~C20の範囲の炭素鎖長を有する飽和脂肪酸を含有する。他の実施形態では、C10~C20の範囲の炭素鎖長を有するモノ又はジ不飽和脂肪酸を有する中性脂質が使用される。更に、飽和及び不飽和脂肪酸鎖の混合物を有する中性脂質を使用することができる。
【0395】
好適な中性脂質としては、限定されるものではないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、SM、16-0-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、又はそれらの混合物が挙げられる。LNPでの使用に適したアニオン性脂質としては、限定されるものではないが、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジル酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、及び他のアニオン性修飾基が結合した中性脂質が挙げられる。
【0396】
両親媒性脂質は、脂質材料の疎水性部分が疎水性相に向き、親水性部分が水相に向く任意の適切な材料を意味する。そのような化合物としては、限定されるものではないが、リン脂質、アミノ脂質、及びスフィンゴ脂質が挙げられる。代表的なリン脂質としては、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、又はジリノレオイルホスファチジルコリンが挙げられる。スフィンゴ脂質、グリコスフィンゴ脂質ファミリー、ジアシルグリセロール、及びベータ-アシルオキシ酸などの他のリン欠乏化合物も使用することができる。
【0397】
幾つか実施形態では、非カチオン性脂質は、LNP中に存在する総脂質の約5モル%~約90モル%、約5モル%~約10モル%、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は約90モル%の割合で存在する。
【0398】
幾つか実施形態では、LNPは、中性脂質をモル基準で、約0%~約15又は45%、例えば、約3~約12%又は約5~約10%含む。例えば、LNPは、(LNP中の脂質の総モル(100%)に基づく)モル基準で、約15%、約10%、約7.5%、又は約7.1%の中性脂質を含み得る。
【0399】
(iii)ステロール
ステロールは、好ましくはコレステロールである。
ステロールは、LNPの約10モル%~約60モル%又は約25モル%~約40モル%の割合で存在することができる。幾つか実施形態では、ステロールは、LNP中に存在する全脂質の約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は約60モル%の割合で存在する。他の実施形態においては、LNPは、ステロールをモル基準で、約5%~約50%、例えば、(LNP中の脂質の総モル(100%)に基づく)モル基準で、約15%~約45%、約20%~約40%、約48%、約40%、約38.5%、約35%、約34.4%、約31.5%、又は約31%を含む。
【0400】
(iv)凝集低減剤
凝集低減剤は、凝集を低減することができる脂質であることができる。
そのような脂質の例としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質、モノシアロガングリオシドGml、及びポリアミドオリゴマー(PAO)、例えば、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第6,320,017号明細書に記載されているものなどが挙げられる。PEG、Gml、又はATTAのような、処方中の凝集を防ぐ、帯電していない親水性の立体障壁部分を有する他の化合物も脂質に結合することができる。ATTA-脂質は、例えば、米国特許第6,320,017号明細書に記載されており、PEG-脂質コンジュゲートは、例えば、米国特許第5,820,873号明細書、第5,534,499号明細書、及び第5,885,613号明細書に記載されている(これらのそれぞれの全体を参照により本明細書に援用する)。
【0401】
凝集低減剤は、例えば、限定するものではないが、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEG-ジアルキルグリセロール、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、又はそれらの混合物(PEG-Cer14又はPEG-Cer20など)を含むポリエチレングリコール(PEG)-脂質から選択することができる。PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(C14)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)、又はPEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)であり得る。他のペグ化脂質としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール-ジミリストイルグリセロール(C14-PEG又はPEG-C14、ここで、PEGは2000Daの平均分子量を有する)(PEG-DMG);(R)-2,3-ビス(オクタデシルオキシ)プロピル-1-(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)プロピルカルバマート)(PEG-DSG);PEG-カルバモイル-1,2-ジミリスチルオキシプロピルアミン、ここで、PEGは2000Daの平均分子量を有する(PEG-cDMA);N-アセチルガラクトサミン-((R)-2,3-ビス(オクタデシルオキシ)プロピル-1-(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)プロピルカルバマート))(GalNAc-PEG-DSG);mPEG(mw2000)-ジアステアロイルホスファチジル-エタノールアミン(PEG-DSPE);及びポリエチレングリコール-ジパルミトイルグリセロール(PEG-DPG)が挙げられる。
【0402】
幾つか実施形態では、凝集低減剤は、PEG-DMGである。他の実施形態では、凝集低減剤は、PEG-c-DMAである。
【0403】
別の実施形態において、PEG脂質はまた、米国特許出願公開第20150376115号明細書又は国際公開第2015199952号に開示される化合物であってもよく、これらのそれぞれの全体を参照により援用する。
【0404】
LNP組成
LNPの組成は、特に、カチオン性脂質成分の選択、カチオン性脂質飽和度、PEG化の性質、全成分の比率、及びそのサイズなどの生物物理学的パラメータによって影響され得る。Sempleらによる1例では(Semple et al. Nature Biotech. 2010 28: 172-176;その全体を参照により本明細書に援用する)、LNP組成物は、57.1%のカチオン性脂質、7.1%のジパルミトイルホスファチジルコリン、34.3%のコレステロール、及び1.4%のPEG-c-DMAから構成された(Basha et al. Mol Ther. 2011 19:2186-2200;その全体を参照により本明細書に援用する)。
【0405】
幾つか実施形態では、LNPは、約35~約45%のカチオン性脂質、約40%~約50%のカチオン性脂質、約50%~約60%のカチオン性脂質、及び/又は約55%~約65%のカチオン性脂質を含み得る。幾つか実施形態では、脂質の核酸に対する比は、約5:1~約20:1、約10:1~約25:1、約15:1~約30:1、及び/又は少なくとも30:1であることができる。
【0406】
PEG修飾脂質中のPEG部分の平均分子量は、約500~約8,000ダルトン(例えば、約1,000~約4,000ダルトン)の範囲であり得る。好ましい一実施形態では、PEG部分の平均分子量は、約2,000ダルトンである。
【0407】
凝集低減剤の濃度は、LNP中の脂質の総モル100%当たり、約0.1~約15モル%の範囲であり得る。幾つか実施形態においては、LNPは、LNP中の脂質の総モルに基づいて、約3、2、又は1モルパーセント未満のPEG又はPEG修飾脂質を含む。更なる実施形態では、LNPは、PEG修飾脂質をモル基準で、約0.1%~約20%、例えば、(LNP中の脂質の総モル(100%)に基づく)モル基準で、約0.5~約10%、約0.5~約5%、約10%、約5%、約3.5%、約1.5%、約0.5%、又は約0.3%含む。
【0408】
(脂質ナノ粒子中の脂質の総モルに基づく)モル基準で、カチオン性脂質、非カチオン性(又は中性)脂質、ステロール(例えば、コレステロール)、及び凝集低減剤(例えば、PEG修飾脂質)を各種モル比で有する各種LNPを以下の表5に示す。好ましい実施形態では、本発明の脂質ナノ粒子製剤は、モル比で、約20~70%のカチオン性脂質:5~45%の中性脂質:20~55%のコレステロール、0.5~15%のPEG修飾脂質、より好ましくは、モル比で、約20~60%のカチオン性脂質:5~25%の中性脂質:25~55%のコレステロール:0.5~15%のPEG修飾脂質の脂質混合物から本質的になる。
【0409】
【0410】
幾つか実施形態において、LNPは、以下に更に詳細に記載されるように、リポソーム又はリポプレックスとして生じる。
【0411】
LNPサイズ
幾つか実施形態では、LNPは、約50nm~約300nmのメジアン径サイズを有し、例えば、約50nm~約250nm、例えば、約50nm~約200nmのメジアン径サイズを有する。
【0412】
幾つか実施形態では、より小さなLNPを使用することができる。そのような粒子は、0.1um未満で100nmまでの直径を有することができ、例えば、限定するものではないが、未満0.1um、1.0um未満、未満、5um未満、10um未満、15um未満、20um未満、25um未満、30um未満、35um未満、40um未満、50um未満、55um未満、未満、60um未満、65um未満、70um未満、75um未満、80um未満、85um未満、90um未満、95um未満、100um未満、125um未満、150um未満、175um未満、200um未満、225um未満、250um未満、275um未満、300um未満、325um未満、350um未満、375um未満、400um未満、425um未満、450um未満、475um未満、500um未満、525um未満、550um未満、575um未満、600um未満、625um未満、650um未満、675um未満、700um未満、725um未満、750um未満、775um未満、800um未満、825um未満、850um未満、875um未満、900um未満、925um未満、950um未満、975um未満である。別の実施形態においては、より小さいLNPを用いて核酸を送達することができ、このLNPは、約1nm~約100nm、約1nm~約10nm、約1nm~約20nm、約1nm~約30nm、約1nm~約40nm、約1nm~約50nm、約1nm~約60nm、約1nm~約70nm、約1nm~約80nm、約1nm~約90nm、約5nm~約100nm、約5nm~約10nm、約5nm~約20nm、約5nm~約30nm、約5nm~約40nm、約5nm~約50nm、約5nm~約60nm、約5nm~約70nm、約5nm~約80nm、約5nm~約90nm、約10~約50nM、約20~約50nm、約30~約50nm、約40~約50nm、約20~約60nm、約30~約60nm、約40~約60nm、約20~約70nm、約30~約70nm、約40~約70nm、約50~約70nm、約60~約70nm、約20~約80nm、約30~約80nm、約40~約80nm、約50~約80nm、約60~約80nm、約20~約90nm、約30~約90nm、約40~約90nm、約50~約90nm、約60~約90nm、及び/又は約70~約90nmの直径を有することができる。
【0413】
幾つか実施形態では、LNPは、100nm超、150nm超、200nm超、250nm超、300nm超、350nm超、400nm超、450nm超、500nm超、550nm超、600nm超、650nm超、700nm超、750nm超、800nm超、850nm超、900nm超、950nm超、又は1000nm超の直径を有することができる。
【0414】
他の実施形態では、LNPは、シングルモード粒度分布を有する(即ち、それらは二峰性又は多峰性ではない)。
【0415】
他の成分
LNPは、上記のものに加えて、1以上の脂質及び/又は他の成分を更に含み得る。
【0416】
脂質の酸化を防止するため、又はリガンドをリポソーム表面に付着させるためなどの様々な目的のために、他の脂質をリポソーム組成物に含有させることができる。両親媒性、中性、カチオン性、及びアニオン性脂質を含む、任意の多数の脂質がLNP中に存在し得る。そのような脂質は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0417】
LNP中に存在し得る更なる成分としては、ポリアミドオリゴマー(例えば、その全体を参照により本明細書に援用する米国特許第6,320,017号明細書を参照)、ペプチド、タンパク質、及び洗剤などの二層安定化成分が挙げられる。
【0418】
リポソーム
幾つか実施形態では、本発明の組合せの人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、リポソームとして製剤化される。
【0419】
カチオン性脂質ベースのリポソームは、静電的相互作用を介して負に帯電した核酸(例えば、RNA)と複合化を形成することができ、生体適合性、低毒性、及びインビボ臨床用途に必要な大規模生産の可能性を提供する複合体をもたらす。リポソームは取り込みのために原形質膜と融合することができる。一旦細胞内に入ると、リポソームはエンドサイトーシス経路を介してプロセシングされ、次いで核酸は、エンドソーム/担体から細胞質内に放出される。リポソームは基本的に生体膜の類似体であり、天然及び合成リン脂質の両方から調製できることから、リポソームはその優れた生体適合性のために薬物送達媒体として長年認識されている(Int J Nanomedicine. 2014;9: 1833-1843)。
【0420】
リポソームは、典型的には、カチオン性、アニオン性、又は中性(ホスホ)脂質と、水性コアを取り囲むコレステロールとから構成することができる脂質二重層からなる。脂質二重層及び水性空間の両方は、それぞれ疎水性又は親水性化合物を組み込むことができる。リポソームは1つ以上の脂質膜を有し得る。リポソームは、ユニラメラと呼ばれる単層、又はマルチラメラと呼ばれる多層であることができる。
【0421】
インビボでのリポソームの特徴及び挙動は、親水性ポリマーコーティング(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))をリポソーム表面に加えて、立体安定化を付与することによって改変することができる。更に、リポソームは、リガンド(例えば、抗体、ペプチド、及び炭水化物)をその表面又は結合したPEG鎖の末端に結合させることによって、特異的標的化に使用することができる(Front Pharmacol. 2015 Dec 1;6:286)。
【0422】
リポソームは、典型的には、球状小胞として存在し、20nmから数ミクロンのサイズの範囲であり得る。
【0423】
リポソームは、直径が数百ナノメートルであることがあり、狭い水性区画によって分離された一連の同心二重層を含むことがあるマルチラメラ小胞(MLV)、直径が50nmよりも小さいことがある小さい単細胞小胞(SUV)、及び直径が50~500nmであることがある大きいユニラメラ小胞(LUV)などの異なるサイズのものであり得るが、これらに限定されない。リポソーム設計は、リポソームの不健康な組織への結合を改善するため、又は限定されるものではないが、エンドサイトーシスなどの事象を活性化するために、オプソニン又はリガンドを含み得るが、これらに限定されない。リポソームは、医薬製剤の送達を改善するために低い又は高いpHを有し得る。
【0424】
非限定的な例として、合成膜小胞などのリポソームは、米国特許出願公開第20130177638号明細書、第20130177637号明細書、第20130177636号明細書、第20130177635号明細書、第20130177634号明細書、第20130177633号明細書、第20130183375号明細書、第20130183373号明細書、及び第20130183372号明細書(これらのそれぞれの内容の全体を参照により本明細書に援用する)に記載された方法、装置、及びデバイスによって製造することができる。本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキット(又は本明細書に定義される他の核酸、特にRNA)は、リポソームによってカプセル化されてもよく、及び/又は水性コアに含有された後、リポソームによってカプセル化されてもよい(国際公開第2012031046号、第2012031043号、第2012030901号、及び第2012006378号、及び米国特許出願公開第20130189351号明細書、第20130195969号明細書、及び第20130202684号明細書(これらのそれぞれの内容の全体を参照により本明細書に援用する)を参照)。
【0425】
幾つか実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、限定するものではないが、DiLa2リポソーム(Marina Biotech、ボセル、WA)、SMARTICLES(登録商標)(Marina Biotech、ボセル、WA)、中性DOPC(l,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)ベースのリポソーム(例えば、卵巣癌に対するsiRNA送達(Landen et al. Cancer Biology & Therapy 2006 5(12)1708-1713);全体を参照により本明細書に援用する)ヒアルロナン被覆リポソーム(Quiet Therapeutics、イスラエル)などのリポソームに製剤化することができる。
【0426】
リポプレックス
幾つか実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、リポプレックス、即ち、核酸の層の間に挟まれたカチオン性脂質二重層として製剤化される。
【0427】
DOTAP、(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン)及びDOTMA(N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチル-アンモニウムメチルサルファート)などのカチオン性脂質は、負に帯電した核酸と複合体又はリポプレックスを形成し、静電気的相互作用によってナノ粒子を形成し、高いインビトロトランスフェクション効率を提供することができる。
【0428】
ナノリポソーム
幾つか実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DOPC)ベースのナノリポソームなどの中性脂質ベースのナノリポソームとして製剤化される(Adv Drug Deliv Rev. 2014 Feb;66: 110-116.)。
【0429】
エマルジョン
幾つか実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、エマルジョンとして製剤化される。別の実施形態では、前記人工核酸分子、好ましくはRNAは、カチオン性水中油型エマルジョンに製剤化され、エマルジョン粒子は、オイルコアとカチオン性脂質を含み、カチオン性脂質は、核酸と相互作用し、該分子をエマルジョン粒子に固定することができる(国際公開第2012006380号を参照;その全体を参照により本明細書に援用する)。幾つか実施形態では、前記人工核酸分子、好ましくはRNAは、親水性相が分散している連続疎水性相を含む油中水型エマルジョンに製剤化される。非限定的な例として、エマルジョンは、国際公開第201087791号に記載される方法によって製造することができ、その内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0430】
(ポリ)カチオン化合物及び担体
好ましい実施形態では、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、カチオン性又はポリカチオン性化合物(「(ポリ)カチオン性化合物」)及び/又はポリマー担体と複合体化又は会合する。
【0431】
「(ポリ)カチオン性化合物」という用語は、典型的には、1~9のpH値、好ましくは9以下(例えば、5~9)、8以下(例えば、5~8)、7以下(例えば、5~7)のpH値、最も好ましくは生理学的pH(例えば、7.3~7.4)で正に帯電する(カチオン)帯電分子を通常意味する。
【0432】
したがって、「(ポリ)カチオン性化合物」は、生理学的条件下、特にインビボでの生理学的条件下で正に帯電する任意の正電荷を帯びた化合物又はポリマー、好ましくはカチオン性ペプチド又はタンパク質であり得る。「(ポリ)カチオン性ペプチド又はタンパク質」は、少なくとも1つの正電荷を帯びたアミノ酸、又は1超の正電荷を帯びたアミノ酸(例えば、Arg、His、Lys、又はOrnから選択される)を含有することができる。
【0433】
(ポリ)カチオン性アミノ酸、ペプチド、及びタンパク質
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)のエピトープコードRNAの複合体化又は会合のための特に好ましい剤である(ポリ)カチオン性化合物としては、プロタミン、ヌクレオリン、スペルミン、又はスペルミジン、又は他のカチオン性ペプチド又はタンパク質、例えば、ポリ-L-リジン(PLL)、ポリアルギニン、塩基性ポリペプチド、細胞透過性ペプチド(CPP)(HIV結合ペプチドを含む)、HIV-1 Tat(HIV)、Tat由来ペプチド、ペネトラチン、VP22由来又は類似体ペプチド、HSV VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALA、又はタンパク質導入ドメイン(PTD)、PpT620、プロリンリッチペプチド、アルギニンリッチペプチド、リジンリッチペプチド、MPG-ペプチド、Pep-1、L-オリゴマー、カルシトニンペプチド、アンテナペディア由来ペプチド(特に、ショウジョウバエアンテナペディア)、pAntp、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブフォリン-2、Bac715-24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来ペプチド、SAP、又はヒストンが挙げられる。
【0434】
より好ましくは、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)は、1以上のポリカチオン、好ましくはプロタミン又はオリゴフェクタミン(後述)、最も好ましくはプロタミンと共に複合体化される。この文脈においては、プロタミンが特に好ましい。
【0435】
更に、好ましい(ポリ)カチオン性タンパク質又はペプチドは、以下の合計式(III)を有する以下のタンパク質又はペプチドから選択することができる。
(Arg)l;(Lys)m;(His)n;(Orn)o;(Xaa)x
(式(III))
式中、l+m+n+o+x=8~15であり、l、m、n又はoは、互いに独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15から選択される任意の数であるが、但し、Arg、Lys、His及びOrnの全体含量がオリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも50%を表し;Xaaは、Arg、Lys、His又はOrnを除くネイティブの(=天然)又は非ネイティブのアミノ酸から選択される任意のアミノ酸であってよく;xは、0、1、2、3又は4から選択される任意の数であってよいが、但し、Xaaの全体含量がオリゴペプチドの全アミノ酸の50%を超えない)を有する以下のタンパク質又はペプチドから選択してよい。この状況において特に好ましいカチオン性ペプチドは、例えば、Arg7、Arg8、Arg9、H3R9、R9H3、H3R9H3、YSSR9SSY、(RKH)4、及びY(RKH)2Rなどである。この文脈において、国際公開第2009/030481号の開示を参照により本明細書に援用する。
【0436】
(ポリ)カチオン性多糖類
本発明の組合せ、(医薬)組成物、又はワクチンのエピトープコードRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)の複合体化又は会合のための更なる好ましい(ポリ)カチオン性化合物としては、カチオン性多糖類、例えば、キトサン、ポリブレン、カチオン性ポリマー、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)などが挙げられる。
【0437】
(ポリ)カチオン性脂質
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)の複合体化又は会合のための更なる好ましい(ポリ)カチオン性化合物としては、例えば、DOTMA:[1-(2,3-シオレイルオキシ)プロピル)]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、DMRIE、ジ-C14-アミジン、DOTIM、SAINT、DC-Chol、BGTC、CTAP、DOPC、DODAP、DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノール-アミン、DOSPA、DODAB、DOIC、DMEPC、DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、DIMRI:ジミリスト-オキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、DOTAP:ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン、DC-6-14:O,O-ジテトラデカノイル-N-(アルファ-トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド、CLIP1:rac-[(2,3)-ジオクタデシルオキシプロピル)(2-ヒドロキシエチル)]-ジメチルアンモニウムクロリド、CLIP6:rac-[2(2,3-ジヘキサデシルオキシプロピル-オキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac-[2(2,3-ジヘキサデシルオキシプロピル-オキシスクシニルオキシ)エチル]-トリメチルアンモニウム、又はオリゴフェクタミンなどのカチオン性脂質が挙げられる。
【0438】
(ポリ)カチオン性ポリマー
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)のエピトープコードRNAの複合体化又は会合のための更なる好ましい(ポリ)カチオン性化合物としては、(ポリ)カチオン性ポリマー、例えば、変性ポリアミノ酸(例えば、ベータ-アミノ酸-ポリマー又は逆ポリアミドなど)、変性ポリエチレン(例えば、PVP(ポリ(N-エチル-4-ビニルピリジニウムブロミド))など、変性アクリラート(例えば、pDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリラート))など、変性アミドアミン(例えば、pAMAM(ポリ(アミドアミン))など、変性ポリベータアミノエステル(PBAE)(例えば、ジアミン末端変性1,4-ブタンジオールジアクリラート-co-5-アミノ-1-ペンタノールポリマーなど、デンドリマー(例えば、ポリプロピレンアミンデンドリマー又はpAMAMベースデンドリマーなど)、ポリイミン(例えば、PEI:ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン))など、ポリアリルアミン、糖骨格ベースポリマー(例えば、シクロデキストリン系ポリマー、デキストラン系ポリマー、キトサンなど)、シラン骨格系ポリマー(例えば、PMOXA-PDMSコポリマー)など、又は1以上のカチオン性ブロック(例えば、前記したカチオン性ポリマーから選択される)と1以上の親水性又は疎水性ブロック(例えば、ポリエチレングリコール)との組合せからなるブロックポリマーが挙げられる。
【0439】
ポリマー担体
好ましい実施形態によれば、本発明の組合せ、(医薬)組成物、又はワクチンのエピトープコードRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸、特にRNA)は、ポリマー担体と複合体化又は会合する。
【0440】
本発明にしたがって使用される「ポリマー担体」は、ジスルフィド架橋カチオン性成分によって形成されるポリマー担体であり得る。ジスルフィド架橋カチオン性成分は、互いに同一でも異なっていてもよい。ポリマー担体はまた、更なる成分を含み得る。
【0441】
本発明にしたがって使用されるポリマー担体は、カチオン性ペプチド、タンパク質又はポリマーと、任意に、本明細書に記載されるジスルフィド結合によって架橋される本明細書に定義される更なる成分との混合物を含むことも特に好ましい。この文脈においては、国際公開第2012/013326号の開示を参照により本明細書に援用する。
【0442】
この文脈においては、ジスルフィド架橋によってポリマー担体の基礎を形成するカチオン性成分は、通常、この目的に適した任意の適切な(ポリ)カチオン性ペプチド、タンパク質、又はポリマー、特に、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)と複合体化でき、それによって好ましくは縮合できる任意の(ポリ)カチオン性ペプチド、タンパク質、又はポリマーから選択される。(ポリ)カチオン性ペプチド、タンパク質、又はポリマーは、好ましくは線状分子であるが、分枝状(ポリ)カチオン性ペプチド、タンパク質、又はポリマーもまた使用され得る。
【0443】
人工核酸分子、好ましくはRNA(又は任意の他の核酸)を複合体化するために使用され得るポリマー担体のジスルフィド架橋(ポリ)カチオン性タンパク質、ペプチド、又はポリマーはいずれも、少なくとも1つの-SH部分、最も好ましくは少なくとも1つのシステイン残基、又は、本明細書に記載されるポリマー担体のカチオン成分として少なくとも1つの更なる(ポリ)カチオン性タンパク質、ペプチド、又はポリマーとの縮合時にジスルフィド結合を形成することができる-SH部分を示す任意の更なる化学基を含む。
【0444】
上に定義したように、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)のエピトープコードRNAを複合体化するために使用できるポリマー担体は、ジスルフィド架橋カチオン性(又はポリカチオン性)成分によって形成され得る。好ましくは、少なくとも1つの-SH部分を含む又は含むように更に修飾されている、ポリマー担体のそのような(ポリ)カチオン性ペプチド又はタンパク質又はポリマーは、本明細書に定義されるタンパク質、ペプチド、及びポリマーから選択される。
【0445】
幾つか実施形態では、ポリマー担体は、一般式(IV)に係るポリマー担体分子から選択することができる。
L-P1-S-[S-P2-S]n-S-P3-L 式(IV)
式中
P1及びP3は、互いに異なるか又は同一であり、直鎖状又は分枝状の親水性ポリマー鎖を表し、各々のP1及びP3は、成分P2との縮合により、或いは、(AA)、(AA)x又は[(AA)x]z(そのような成分がP1及びP2又はP3及びP2の間のリンカーとして使用される場合)、及び/又は更なる成分(例えば、(AA)、(AA)x、[(AA)x]z又はL)との縮合によりジスルフィド結合を形成可能な、少なくとも1つの-SH部分を提示し、前記直鎖状又は分枝状の親水性ポリマー鎖は、互いに独立して、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ-N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、ポリ(ヒドロキシアルキルL-アスパラギン)、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)、ヒドロキシエチルデンプン、又はポリ(ヒドロキシアルキルL-グルタミン)から選択され、ここで、前記親水性ポリマー鎖は、約1kDa~約100kDa、好ましくは約2kDa~約25kDa、より好ましくは約2kDa~約10kDa、例えば約5kDa~約25kDa又は5kDa~約10kDaの分子量を示し、
P2は、例えば、ジスルフィド架橋カチオン性成分によって形成されるポリマー担体について上で定義される、好ましくは約3~100アミノ酸長を有し、より好ましくは約3~約50アミノ酸長を有し、更により好ましくは約3~約25アミノ酸長、例えば約3~10アミノ酸長、5~15アミノ酸長、10~20アミノ酸長又は15~25アミノ酸長、より好ましくは約5~20アミノ酸長、及び更により好ましくは約10~約20アミノ酸長を有する(ポリ)カチオン性のペプチド又はタンパク質である、又は、
P2は、例えば、ジスルフィド架橋カチオン性成分によって形成されるポリマー担体について上で定義される、典型的には、約1kDa~約20kDa、更に好ましくは約1.5kDa~約10kDaの分子量を含む約0.5kDa~約30kDaの分子量を有する、又は、約10kDa~約50kDa、更に好ましくは約10kDa~約30kDaの分子量を含む約0.5kDa~約100kDaの分子量を有する(ポリ)カチオン性のペプチド又はタンパク質であり、
各P2は、更なる成分P2、又は成分P1及び/又は成分P3と、或いは代替的に更なる成分(例えば、(AA)、(AA)x、又は[(AA)x]z)との縮合によりジスルフィド結合を形成可能な少なくとも2つの-SH部分を提示し、
-S-S-は、(可逆の)ジスルフィド結合(読み易くするために括弧は省略されている)であり、ここで、Sは、好ましくは、硫黄、又は(可逆の)ジスルフィド結合を形成した-SH担持部分を表す。前記(可逆の)ジスルフィド結合は、好ましくは、成分P1及びP2、P2及びP2、又はP2及びP3、或いは任意に本明細書で定義する更なる成分(例えば、L、(AA)、(AA)x、[(AA)x]zなど)のいずれかの-SH部分の縮合により形成され、前記-SH部分は、これらの成分の構造の一部であるか、又は以下で定義する修飾によって付加されてもよく、
Lは、存在してもしなくてもよい任意のリガンドであり、互いに独立して、RGD、トランスフェリン、葉酸、シグナルペプチド又はシグナル配列、局在化シグナル又は局在化配列、核酸局在化シグナル又は核酸局在化配列(NLS)、抗体、細胞透過性ペプチド(例えば、TAT、又はKALA)、受容体のリガンド(例えば、サイトカイン、ホルモン、成長因子など)、低分子(例えば、マンノース、ガラクトース、又は合成リガンドなどの炭水化物)、低分子アゴニスト、受容体の阻害剤又はアンタゴニスト(例えば、RGDペプチド模倣薬類似体)、又は本明細書に定義する任意の更なるタンパク質から選択することができ、
nは、典型的には、例えば、約4~9、4~10、3~20、4~20、5~20又は10~20の範囲、約3~15、4~15、5~15又は10~15の範囲、或いは約6~11又は7~10の範囲を含む、約1~50の範囲、好ましくは約1、2又は3~30の範囲、より好ましくは約1、2、3、4又は5~25の範囲、約1、2、3、4又は5~20の範囲、約1、2、3、4又は5~15の範囲、又は約1、2、3、4又は5~10の範囲から選択される整数である。最も好ましくは、nは、約1、2、3、4又は5~10の範囲、より好ましくは約1、2、3又は4~9の範囲、約1、2、3又は4~8の範囲、又は約1、2又は3~7の範囲である。
【0446】
この文脈において、国際公開第2011/026641号の開示を、参照により本明細書に援用する。親水性ポリマーP1及びP3のそれぞれは、典型的には、少なくとも1つの-SH-部分を示し、ここで少なくとも1つの-SH-部分は、成分P2又は成分(AA)若しくは(AA)x(以下に定義されるように、P1及びP2又はP3及びP2の間のリンカーとして使用される場合)及び任意に更なる成分(例えば、L及び/又は(AA)若しくは(AA)x)(例えば、2つ以上の-SH-部分が含まれる場合)との反応でジスルフィド結合を形成することができる。前記一般式(IV)に包含される次の下位式「P1-S-S-P2」及び「P2-S-S-P3」(読み易くするために括弧は省略されている)(式中、S、P1、及びP3はいずれも本明細書で定義した通りであり、典型的には、状況(situation)を表し、親水性ポリマーP1及びP3の一方の-SH-部分が前記一般式(IV)の成分P2の一方の-SH-部分と縮合しており、これらの-SH-部分の両方の硫黄が、本明細書において式(IV)に定義されている通りジスルフィド結合-S-S-を形成する。これらの-SH-部分は、典型的には、親水性ポリマーP1及びP3のそれぞれによって、例えば、内部システイン、又は他の(修飾された)アミノ酸、或いは-SH部分を有する化合物を介して提供される。したがって、下位式「P1-S-S-P2」及び「P2-S-S-P3」は、-SH-部分がシステインによって提供される場合、「P1-Cys-Cys-P2」及び「P2-Cys-Cys-P3」と表記することもでき、ここで、Cys-Cysという用語は、ペプチド結合ではなくジスルフィド結合を介して結合した2つのシステインを表す。この場合、これらの式中の用語「-S-S-」もまた、「-S-Cys」、「-Cys-S」、又は「-Cys-Cys-」と表記することがある。これに関連して、用語「-Cys-Cys-」は、ペプチド結合ではなく、ジスルフィド結合を形成するためのそれらの-SH-部分を介した2つのシステインの結合を表す。したがって、用語「-Cys-Cys-」はまた、通常「-(Cys-S)-(S-Cys)-」として理解することもでき、この特定の場合においては、Sは、システインの-SH-部分の硫黄を示す。同様に、用語「-S-Cys」及び「-Cys-S」は、-SH含有部分とシステインとの間のジスルフィド結合を示し、これはまた、「-S-(S-Cys)」及び「-(Cys-S)-S」と表記するもできる。或いは、親水性ポリマーP1及びP3は、親水性ポリマーP1及びP3のそれぞれが少なくとも1つのそのような-SH部分を有するように、好ましくは-SH部分を有する化合物との化学反応を介して-SH部分で修飾され得る。-SH部分を有するそのような化合物は、例えば、-SH部分を有する(追加の)システイン又は任意の更なる(修飾された)アミノ酸であり得る。そのような化合物はまた、本明細書で定義されるように親水性ポリマーP1及びP3に-SH部分を含有させる又は導入することを可能にする任意の非アミノ化合物又は部分であり得る。そのような非アミノ化合物は、化学反応又は化合物の結合を介して本発明に係るポリマー担体の式(IV)の親水性ポリマーP1及びP3に結合することができ、例えば、3-チオプロピオン酸又はチオモランの結合、アミド形成(例えば、カルボン酸、スルホン酸、アミンなど)、マイケル付加(例えば、マレインイミド部分、α、β-不飽和カルボニル、など)、クリック化学(例えば、アジド又はアルキン)、アルケン/アルキンメタセシス(例えば、アルケン又はアルキン)、イミン又はヒドラゾン形成(アルデヒド又はケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミン)、複合体形成反応(アビジン、ビオチン、プロテインG)、又はSn型置換反応を許容する化合物(例えば、ハロゲン化アルカン、チオール、アルコール、アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、スルホン酸エステル、オキシホスホニウム塩)又は更なる成分の連結に利用できる他の化学的部分によって結合することができる。この文脈において特に好ましいPEG誘導体は、アルファ-メトキシ-オメガ-メルカプトポリ(エチレングリコール)である。それぞれの場合において、例えばシステイン又は任意の更なる(修飾)アミノ酸又は化合物のSH部分は、親水性ポリマーP1及びP3の任意の位置の末端又は内部に存在していてもよい。本明細書で定義するように、各々の親水性ポリマーP1及びP3は、典型的には、好ましくは1つの末端における少なくとも1つの-SH部分を提示するが、2つ又はそれ以上の-SH部分を含んでいてもよく、これらは、本明細書で定義する更なる成分、好ましくは、更なる機能性ペプチド又はタンパク質、例えばリガンド、アミノ酸成分(AA)又は(AA)x、抗体、細胞透過性ペプチド又はエンハンサーペプチド(例えば、TAT、KALA)などを追加で付加するために使用されてもよい。
【0447】
重量比とN/P比
本発明の幾つかの実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNA(又は前記他の核酸)は、(ポリ)カチオン性化合物又はポリマー担体と、任意に、核酸の(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体に対する重量比として約6:1(w/w)~約0.25:1(w/w)、より好ましくは約5:1(w/w)~約0.5:1(w/w)、更により好ましくは約4:1(w/w)~約1:1(w/w)又は約3:1(w/w)~約1:1(w/w)、最も好ましくは約3:1(w/w)~約2:1(w/w)の範囲から選択される重量比で、又は任意に、核酸の(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体に対する窒素/ホスファート(N/P)比として約0.1~10の範囲、好ましくは約0.3~4又は0.3~1、最も好ましくは約0.5~1又は0.7~1の範囲、更に最も好ましくは約0.3~0.9又は0.5~0.9の範囲で会合又は複合体化される。より好ましくは、少なくとも1つの人工核酸分子、好ましくはRNAの1以上のポリカチオンに対するN/P比は、約0.1~10の範囲であり、約0.3~4、約0.5~2、約0.7~2、及び約0.7~1.5の範囲を含む。
【0448】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA(又は本明細書に定義される任意の他の核酸)はまた、人工核酸分子、好ましくはRNAのトランスフェクション効率を高めるためのビヒクル、トランスフェクション、又は複合体化剤と会合し得る。
【0449】
この文脈において、本発明の(医薬)組成物は、(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体、好ましくはカチオン性タンパク質又はペプチドと少なくとも部分的に複合体を形成する人工核酸分子、好ましくはRNAを含むことが特に好ましい。この文脈において、国際公開第2010/037539号及び第2012/113513号の開示を、参照により本明細書に援用する。「部分的に」とは、前記人工核酸分子、好ましくはRNAの一部のみが(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体と複合体を形成し、前記人工核酸分子、好ましくはRNAの残りの部分は、複合体を形成しない形態で存在する(「遊離」)ことを意味する。
【0450】
好ましくは、複合体化された人工核酸分子、好ましくはRNAの、遊離の人工核酸分子、好ましくはRNAに対するモル比は、約1:1の比を含む約0.001:1~約1:0.001のモル比から選択される。より好ましくは、複合体化された人工核酸分子、好ましくはRNAの、遊離の人工核酸分子、好ましくはRNAに対するモル比は、約5:1(w/w)~約1:10(w/w)の範囲、より好ましくは約4:1(w/w)~約1:8(w/w)、更により好ましくは約3:1(w/w)~約1:5(w/w)又は1:3(w/w)の範囲から選択され、最も好ましくは、複合体化された人工核酸分子、好ましくはRNAの、遊離の人工核酸分子、好ましくはRNAに対するモル比は、約1:1(w/w)の比から選択される。
【0451】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、好ましくは第1の工程にしたがって、人工核酸分子、好ましくはRNAを、好ましくは本明細書に定義される(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体と、安定な複合体を形成するための特定の比率で複合体化させることにより調製する。これに関連して、前記人工核酸分子、好ましくはRNAを複合体化した後の複合体化された人工核酸分子、好ましくはRNAの画分中に、遊離の(ポリ)カチオン性化合物若しくはポリマー担体が存在しない、又は無視できる程度に僅かな量しか残らないことが非常に好ましい。したがって、複合体化された人工核酸分子、好ましくはRNAの画分中の人工核酸分子、好ましくはRNA及び(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体の比率は、典型的には、人工核酸分子、好ましくはRNAが完全に複合体化され、前記画分中に遊離の(ポリ)カチオン性化合物若しくはポリマー担体が存在しない、又は無視できる程度に僅かな量しか残らないような範囲で選択される。
【0452】
好ましくは、本明細書に定義される人工核酸分子、好ましくはRNAの、好ましくは本明細書に定義される(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体に対する比は、約6:1(w/w)~0.25:1(w/w)、より好ましくは約5:1(w/w)~約0.5:1(w/w)、更により好ましくは約4:1(w/w)~約1:1(w/w)又は約3:1(w/w)~約1:1(w/w)の範囲から選択され、最も好ましくは約3:1(w/w)~約2:1の比である。
【0453】
或いは、本明細書に定義される人工核酸分子、好ましくはRNAの、(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体に対する比はまた、複合体全体の窒素/ホスファート比(N/P比)に基づき計算することがもできる。本発明の文脈において、N/P比は、複合体中の人工核酸分子、好ましくはRNAの(ポリ)カチオン性化合物及び/又はポリマー担体(好ましくは本明細書に定義されるもの)に対する比に関して、好ましくは約0.1~10の範囲、好ましくは約0.3~4の範囲、最も好ましくは約0.5~2又は0.7~2の範囲であり、最も好ましくは約0.7~1.5、0.5~1、又は0.7~1の範囲、更に最も好ましくは約0.3~0.9又は0.5~0.9の範囲であり、ただし、複合体中の(ポリ)カチオン性化合物は、(ポリ)カチオン性タンパク質又はペプチド、及び/又は上で定義したポリマー担体であることが好ましい。
【0454】
他の実施形態では、本明細書に定義される本発明の人工核酸分子、好ましくはRNAは、更なるビヒクル、トランスフェクション、又は複合体化剤と会合されることなく、遊離又はネイキッドの形態で提供され、使用され得る。
【0455】
標的化送達
幾つかの実施形態では、(ポリ)カチオン性化合物、担体、リポソーム、又はLNPは、異なる臓器及び/又は細胞型に到達するための標的化送達用に製剤化することができる。非限定的な例として、(ポリ)カチオン性化合物、担体、リポソーム、又はLNPは、肝臓への標的化送達のために処方され得る。標的化送達に使用される(ポリ)カチオン化合物、担体、リポソーム、又はLNPは、本明細書に記載される(ポリ)カチオン性化合物、担体、リポソーム、又はLNPを含み得るが、これらに限定されない。本発明のRNAは、担体又は標的化基に共有結合されるコンジュゲート(例えば、治療用タンパク質又はその断片若しくは変異体)をコードしてもよい。
【0456】
標的化基は、タンパク質、例えば糖タンパク質、又はペプチド、例えば共リガンドに対して特異的親和性を有する分子、又は抗体、例えば上皮細胞、ケラチノサイトなどの特定の細胞型に結合する抗体であり得る。標的化基はまた、ホルモン及びホルモン受容体を含み得る。それらはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、又はアプタマーなどの非ペプチド種を含むことができる。標的化基は、特定の受容体を標的化することができる任意のリガンドであり得る。
【0457】
幾つかの実施形態では、人工核酸分子、好ましくはRNA、及び任意に、それを含む(医薬)組成物又はキットは、肝臓への標的化に適合されている。そのような人工核酸分子、好ましくはRNA、及び任意に、それを含む(医薬)組成物又はキットは、代謝疾患、例えば先天的な遺伝的エラーによって引き起こされる代謝疾患、例えばオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症関連疾患の治療、予防、又は軽減に特に適していることがある。
【0458】
(医薬)組成物
更なる態様では、本発明は、本発明に係る人工核酸分子、好ましくはRNAと、少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物を提供する。本発明に係る組成物は、好ましくは医薬組成物として提供される。
【0459】
人工核酸分子、好ましくはRNAは、本明細書の他の箇所に記載される「複合体化」又は「遊離」形態、又はそれらの混合物で(医薬)組成物の一部として提供されてもよい。
【0460】
本発明に係る(医薬)組成物は、本明細書の他の箇所に定義される少なくとも1つのgRNA又はそれを提供するベクターを更に含み得る。
【0461】
本発明に係る(医薬)組成物は、人工核酸分子、好ましくはRNA、又はそれを含む(医薬)組成物による治療を受ける疾患又は状態の治療に有用な少なくとも1つの更なる活性剤を更に含み得る。
【0462】
薬学的に許容される賦形剤及び担体
好ましくは、本発明に係る(医薬)組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む。「薬学的に許容される」という用語は、1以上の活性剤(ここでは、人工核酸分子、好ましくはRNA)と適合性があり、それらの医薬活性に干渉しない及び/又は実質的に低下させない化合物又は剤を意味する。薬学的に許容される担体は、治療される被験体への投与のためにそれらを適切なものとするために十分に高い純度及び十分に低い毒性を有することが好ましい。
【0463】
賦形剤
薬学的に許容される賦形剤は、種々の機能的役割を示すことができ、限定するものではないが、希釈剤、フィラー、増量剤、担体、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、コーティング剤、溶媒及び共溶媒、緩衝剤、保存剤、補助剤、酸化防止剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、甘味剤、香味剤、及び保湿剤が挙げられる。
【0464】
液体形態の(医薬)組成物の場合、一般に、有用な薬学的に許容される賦形剤としては、溶媒、(パイロジェンフリー)水などの希釈剤又は担体、リン酸又はクエン酸緩衝食塩水などの(等張)食塩水、固定油、植物油(例えば、落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど);レシチン;界面活性剤;ベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの保存剤;糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムなどの等張剤;モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチン;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝剤、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張度調整剤が挙げられる。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整することができる。緩衝剤は、特定の参照媒体に関して高張性、等張性、又は低張性であり得る、即ち、緩衝剤は、特定の参照媒体に関してより高い、同一、又はより低い塩含量を有することができ、前記塩を、浸透又は他の濃度の影響による細胞の損傷をもたらさないそのような濃度で使用することができることが好ましい。参照媒体は、例えば、血液、リンパ液、サイトゾル液、又は他の体液などの「インビボ」法で生じる液体、又は一般的な緩衝液又は液体などの「インビトロ」法で参照媒体として使用され得る液体である。そのような一般的な緩衝液又は液体は当業者に知られている。リンゲルラクタート溶液は、液体ベースとして特に好ましい。
【0465】
(半)固体形態の(医薬)組成物の場合、有用な薬学的に許容される賦形剤としては、微結晶セルロース、トラガカントガム、又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又はラクトース;例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;例えば、コーンスターチ又はポテトスターチなどのデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなど;アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなどの滑剤;硫酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素など;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香味料などの香味剤などが挙げられる。
【0466】
担体
適切な薬学的に許容される担体は、典型的には、(医薬)組成物の処方に基づいて選択される。
【0467】
注射(特に、i.v.注射)により投与される液体(医薬)組成物は、製造及び保存の条件下で無菌且つ安定であるべきである。そのような組成物は、典型的には、パイロジェンフリーであり、適切なpHを有し、等張性であり、活性成分の安定性を維持する、非経口的に許容される水溶液として処方される。
【0468】
本発明に係る液体(医薬)組成物のための特に有用な薬学的に許容される担体としては、水、典型的にはパイロジェンフリー水;等張食塩水又は緩衝(水)溶液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩などの緩衝溶液が挙げられる。特に、本発明の(医薬)組成物の注射のためには、水又は好ましくは緩衝液、より好ましくは水性緩衝液を使用することができ、これは、ナトリウム塩、好ましくは少なくとも50mMのナトリウム塩、カルシウム塩、好ましくは少なくとも0.01mMのカルシウム塩、及び任意にカリウム塩、好ましくは少なくとも3mMのカリウム塩を含有する。
【0469】
好ましい実施形態によれば、ナトリウム塩、カルシウム塩、及び任意にカリウム塩は、それらのハロゲン化物の形態(例えば、塩化物、ヨウ化物、又は臭化物)、それらの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、又は硫酸塩などで存在してもよい。限定するものではないが、ナトリウム塩の例としては、例えば、NaCl、NaI、NaBr、Na2CO3、NaHCO3、Na2SO4が挙げられ、任意のカリウム塩の例としては、例えば、KCl、KI、KBr、K2CO3、KHCO3、K2SO4が挙げられ、カルシム塩の例としては、例えば、CaCl2、CaI2、CaBr2、CaCO3、CaSO4、Ca(OH)2が挙げられる。更に、前記カチオンの有機アニオンも緩衝剤中に含有されてもよい。
【0470】
より好ましい実施形態によれば、上に定義される注射目的に適した緩衝剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、及び任意に塩化カリウム(KCl)から選択される塩を含むことができ、前記塩化物に加えて更なるアニオンが存在してもよい。CaCl2はまた、KClのような他の塩で置き換えることができる。典型的には、注射緩衝液中の塩は、少なくとも50mMの塩化ナトリウム(NaCl)、少なくとも3mMの塩化カリウム(KCl)、及び少なくとも0.01mMの塩化カルシウム(CaCl2)の濃度で存在する。注射緩衝液は、特定の参照媒体に関して高張性、等張性、又は低張性であり得る、即ち、緩衝剤は、特定の参照媒体に関してより高い、同一、又はより低い塩含量を有し得る。前記塩を、浸透又は他の濃度の影響による細胞の損傷をもたらさないそのような濃度で使用することができることが好ましい。参照媒体は、例えば、血液、リンパ液、サイトゾル液、又は他の体液などの「インビボ」法で生じる液体、又は一般的な緩衝液又は液体などの「インビトロ」法で参照媒体として使用され得る液体である。そのような一般的な緩衝液又は液体は当業者に知られている。リンゲルラクタート溶液は、液体ベースとして特に好ましい。
【0471】
処方
一般に、局所投与用の(医薬)組成物は、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、又は散剤として処方することができる。経口投与用の(医薬)組成物は、錠剤、カプセル剤、液剤、散剤として、又は持続放出形式で処方することができる。しかし、好ましい実施形態によれば、本発明の(医薬)組成物は、特に皮内又は筋肉内注射を介して非経口的に投与され、したがって、本明細書の他の箇所で記載されるように非経口投与用に液体形態又は凍結乾燥形態で処方される。非経口製剤は、典型的にはバイアル、IVバッグ、アンプル、カートリッジ、又はプレフィルドシリンジに保管され、注射剤、吸入剤、又はエアロゾルとして投与することができるが、注射剤が好ましい。
【0472】
凍結乾燥製剤
更なる好ましい実施形態では、(医薬)組成物は、凍結乾燥形態で提供される。好ましくは、凍結乾燥(医薬)組成物は、投与前に、有利には水性担体に基づく、適切な緩衝液中で再構成される。これは、例えば、リンゲルラクタート溶液(これが好ましい)、リンゲル溶液、リン酸緩衝溶液である。幾つかの実施形態では、本発明に係る(医薬)組成物は、少なくとも2、3、4、5、6、又はそれ以上の人工核酸分子、好ましくはRNA、好ましくはmRNAを含み、これらは、前記人工核酸分子、好ましくはRNAの各々の個々の投与が可能となるように、(任意に、少なくとも1つの更なる添加剤と共に)凍結乾燥形態で別々に提供され、それらの使用前に適切な緩衝液(例えば、リンゲルラクタート溶液)中で別々に再構成されることが好ましい。
【0473】
液体製剤
更に好ましい実施形態では、(医薬)組成物は、食塩水又は脂質ベース製剤の形態で提供される。脂質ベース製剤は、「複合体化」と題されたセクションに記載されるリポソーム、リポプレックス、ナノリポソーム、及び脂質ナノ粒子を含み得る。
【0474】
キット
更なる態様では、本発明は、人工核酸分子、好ましくはRNA、及び/又は(医薬)組成物を含むキット又はキットオブパーツに関する。キットは、少なくとも1つのgRNA(又はそれを提供するベクター)を更に含み得る。
【0475】
前述の成分はそれぞれ、キットオブパーツ中に医薬組成物の形態で提供されてもよい。その限りにおいて、(医薬)組成物について上に与えた定義及び説明は、必要な変更を加えて、キットオブパーツの個々の成分に等しく適用可能である。
【0476】
例えば、少なくとも1つの人工核酸分子、好ましくはRNA、及び任意に、それをコードする少なくとも1つのgRNA又は核酸は、互いに独立して、凍結乾燥形態又は液体形態で、任意に、医薬組成物の文脈において前記した1以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は更なる剤と共に提供され得る。
【0477】
任意に、キットオブパーツは、医薬組成物、抗菌剤、RNAse阻害剤、可溶化剤などの文脈において本明細書に定義される少なくとも1つの更なる剤を含み得る。
【0478】
キットオブパーツは、2つ以上のパーツのキットであることができ、典型的には適切な容器中に各成分を含む。例えば、容器が成分の適時前の混合を防止するように構成されている限り、各容器は、バイアル、ボトル、スクイーズボトル、ジャー、密封スリーブ、エンベロープ若しくはポーチ、チューブ若しくはブリスターパッケージ、又は他の好適な形態であり得る。異なる成分はそれぞれ、別々に提供されてもよく、又は異なる構成要素の幾つかは、一緒に(即ち同じ容器内に)提供されてもよい。薬剤師又は医師による意図的な混合の前に、1つの区画の内容物が別の区画の内容物と物理的に関連することができないという限り、容器は、バイアル、チューブ、ジャー、又はエンベロープ、又はスリーブ、又はブリスターパッケージ、又はボトル内の区画又はチャンバーでもあり得る。
【0479】
キットオブパーツは、その成分のいずれかの投与及び投与量に関する情報を含む技術的な説明書を更に含み得る。
【0480】
医療用途と治療
本明細書に定義される人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツは、ヒト及び獣医学の医学的目的のために、好ましくはヒトの医学的目的のために使用され得る。
【0481】
更なる態様によれば、本発明は、したがって、医薬として使用するための本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツに関する。
【0482】
人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブキットは、特に、コードされたCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な、好ましくは目的遺伝子の発現をノックイン、ノックアウト、操作、又は調節することによる治療が有効な疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0483】
更なる態様によれば、本発明は、したがって、遺伝子治療の方法において使用するための、及び/又は、コードされたCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な、好ましくは目的遺伝子の発現をノックイン、ノックアウト、操作、又は調節することによる治療が有効な疾患の治療のための人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツに関する。そのような疾患は、遺伝的疾患、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、感染症、代謝性疾患、神経疾患、心血管疾患、又は他の疾患若しくは状態から選択され得る。
【0484】
「遺伝子治療」は、治療効果を達成するために、好ましくは、被験体における遺伝子発現を調節する(即ち、回復する、増強する、減少させる、又は阻害する)ことを含む。この目的のために、遺伝子治療は典型的には細胞への核酸の導入を包含する。この用語は、一般に、治療目的のためのゲノムの操作を意味し、疾患を引き起こす突然変異の修正、ゲノムへの治療用遺伝子の付加、有害な遺伝子又はゲノム配列の除去、及び遺伝子発現の調節のためのゲノム編集技術の使用を含む。遺伝子治療は、宿主細胞のインビボ又はエキソビボ形質転換を含み得る。
【0485】
疾患の「治療」又は「治療すること」という用語は、その疾患を予防又はそれに対し防御すること(即ち、臨床症状が発症しないようにすること);疾患を阻害すること(即ち、臨床症状の発症を阻止又は抑制すること、及び/又は疾患を軽減すること(即ち、臨床症状の後退を引き起こすこと)を含む。理解されるように、最終的な1つ又は複数の誘発事象は未知又は潜在的であり得るので、疾患又は障害を「予防する」ことと「抑制すること」とを区別することは常に可能という訳ではない。したがって、用語「予防」は、「予防すること」及び「抑制すること」の両方を包含する一種の「治療」を構成すると理解される。したがって、用語「治療」は「予防」を含む。
【0486】
本明細書で使用される「被験体」、「患者」、又は「個体」という用語は、一般に、ヒト及び非ヒト動物、好ましくは哺乳動物(例えば、マーモセット、タマリン、クモザル、フクロウザル、ベルベットサル、リスザル、ヒヒ、マカク、チンパンジー、オランウータン、ゴリラ;ウシ;ウマ;ヒツジ;ブタ;トリ;ネコ;イヌ;マウス;ラット;ウサギ;モルモットなどの非ヒト霊長類)、例えば、キメラ及びトランスジェニック動物並びに疾患モデルを含む。本発明の文脈において、「被験体」という用語は、好ましくは非ヒト霊長類又はヒト、最も好ましくはヒトを意味する。
【0487】
したがって、本発明は更に、それを必要とする被験体に薬学的に有効な量の本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツを投与することによって、コードされたCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な、好ましくは目的遺伝子の発現をノックイン、ノックアウト、操作、又は調節することによる治療が有効な疾患を治療する方法を提供する。そのような方法は、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツを調製する任意の第1の工程、及び(薬学的及び/又は治療的に有効な量の)前記人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツを、それを必要とする患者/被験体に投与することを含む第2の工程を含み得る。
【0488】
投与は、好ましくは非経口的に、例えば皮下、筋肉内、又は皮内注射により、好ましくは筋肉内又は皮内注射により、より好ましくは皮内注射により達成される。好ましくは、注射は、従来の針注射又は(無針)ジェット注射を用いて、好ましくは(無針)ジェット注射を用いて行われる。
【0489】
本発明はまた、好ましくは、目的遺伝子の発現をノックイン、ノックアウト、操作、又は調節するための、好ましくは誘導又は増強するための、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツの使用に関する。
【0490】
投与経路
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくは、キットオブパーツは、例えば、全身的又は局所的に投与することができる。
【0491】
全身投与のための経路としては、一般に、例えば、経皮、経口、非経口経路が挙げられ、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、及び腹腔内注射、及び/又は鼻腔内投与経路を含む。
【0492】
局所投与のための経路としては、一般に、例えば、局所投与経路だけでなく、皮内、経皮、皮下、若しくは筋肉内注射又は病巣内、腫瘍内、頭蓋内、肺内、心臓内、及び舌下注射も含む。
【0493】
例えば、前記(医薬)組成物又はキットオブパーツが幾つかの異なる核酸(例えば、CRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つの核酸及び少なくとも1つのgRNA又はそれを提供するベクター)を含む場合、本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツの異なる成分に対して異なる投与経路を使用することが更に考えられる。
【0494】
好ましい実施形態によれば、人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツは、非経口経路によって、好ましくは皮内経路、皮下経路、又は筋肉内経路によって投与される。好ましくは、前記人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツは注射、例えば、皮下、筋肉内、又は皮内注射(これは無針注射及び/又は針注射であり得る)によって投与される。したがって、好ましい実施形態において、本発明に係る医学的使用及び/又は治療方法は、皮下、筋肉内又は皮内注射、好ましくは筋肉内又は皮内注射、より好ましくは皮内注射による前記人工核酸分子、好ましくはRNA、又は(医薬)組成物、若しくはキットオブパーツの投与を含む。このような注射は、従来の針注射又は(無針)ジェット注射、好ましくは(無針)ジェット注射を用いて行うことができる。
【0495】
投与計画
本発明の(医薬)組成物又はキットオブパーツの各成分、即ち少なくとも1つの人工核酸分子、好ましくはRNA、及び任意に、少なくとも1つの他の核酸(例えば、gRNA又はそれを提供するベクター)を、それを必要としする対象に、1日間に数回、1日間に1回、1日間おきに、1週間に1回、又は1ヶ月間に1回投与することができ、順次又は同時に投与することができる。前記成分は、それを必要とする被験体に、上に定義される異なる投与経路を介して投与することができる。
【0496】
幾つかの好ましい実施形態によれば、本発明の(医薬)組成物の各成分は同時に(即ち、同一又は異なる投与経路を介して同時に)投与される
【0497】
他の好ましい実施形態によれば、本発明の(医薬)組成物又はキットオブパーツの各成分は別々に(即ち、異なる時点で及び/又は異なる投与経路を介して順次)投与される。そのような順次投与スキームは、「時間差」投与とも呼ばれる。時間差投与は、人工核酸分子、好ましくはRNAが、gRNA又はそれを提供するベクターの、例えば、前に、同時に、又は後に投与される、又はその逆も同様であることを意味し得る。
【0498】
用量
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットは、好ましくは安全且つ治療的に有効な量で投与される。
【0499】
本明細書に使用されるとき、「安全且つ治療的に有効な量」とは、対象とされる組織、系、動物、又はヒトにおいて所望の生物学的又は医学的応答を引き起こすのに十分な活性剤の量を意味する。安全且つ治療的に有効な量は、治療されべき疾患の積極的な修正を誘導するために、即ち治療される疾患の症状の軽減、疾患進行の減少、又は予防される疾患の症状の予防に十分であることが好ましい。しかし、同時に、「安全且つ治療的に有効な量」は、重篤な副作用を回避するのに十分なほど、即ち利点とリスクとの間の良好な関係を可能にするのに十分なほど少ない。
【0500】
「安全且つ治療的に有効な量」は更に、治療されるべき特定の状態に関連して、また治療されるべき患者の年齢、体調、体重、性別、及び食事、状態の重篤度、治療期間、付随する治療の性質、使用される特定の薬学的に許容される担体又は賦形剤、治療計画及び類似の要因にも関連して変化する。人工核酸分子、好ましくはRNAの「安全且つ(治療的に)有効な有効量」は、人工核酸分子、好ましくはRNAの種類、例えば、モノシストロン性、ビ-、又はマルチシストロン性RNAに応じて更に選択され得る。これは、ビ-又はマルチシストロン性RNAは、等量のモノシストロン性RNAの使用よりも有意に高いコード化CRISPR関連タンパク質の発現をもたらし得るためである。
【0501】
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツの治療効果及び毒性は、例えば、LD50(集団の50%致死量)及びED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的な医薬手続によって決定できる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツが一般に好ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトに使用するための投与量の範囲を処方するのに使用することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性が殆どない又は全くないED50を含む血中濃度の範囲内にある。
【0502】
例えば、本明細書に記載の本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツの治療有効用量は、投与単位当たり約0.001mg~10mg、好ましくは約0.01mg~5mg、より好ましくは約0.1mg~2mg、又は投与単位当たり約0.01nmol~1mmol、特に、投与単位当たり1nmol~1mmol、好ましくは投与単位当たり1μmol~1mmolである。本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツの治療有効用量は、(体重1kg当たり)約0.01mg/kg~10g/kg、好ましくは約0.05mg/kg~5g/kg、より好ましくは約0.1mg/kg~2.5g/kgの範囲であり得ることもまた想定される。
【0503】
投与される本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツの安全且つ治療的に有効な量は、通常の実験、例えば、動物モデルを使用して決定することができる。そのようなモデルとしては、限定するものではないが、ウサギ、ヒツジ、マウス、ラット、イヌ、及び非ヒト霊長類モデルが挙げられる。
【0504】
疾患
CRISPR技術は、遺伝子の機能的ノックアウト又はノックイン、遺伝子編集、又は転写活性化又は阻害を含む様々な目的に使用することができる。したがって、本発明に係る人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットは、様々な疾患を治療するために使用することができる。人工核酸分子の少なくとも1つのコード配列によってコードされるCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な疾患、障害、又は状態における遺伝子治療における使用が特に想定される。
【0505】
好ましくは、治療されべき疾患は、目的遺伝子のノックイン、ノックアウト、又は操作(例えば、突然変異の導入又は除去)、又はその発現の調節(即ち、改変、誘導、増加、減少、予防、又は破壊)による治療に適している。
【0506】
本発明に係る人工核酸分子、好ましくはRNA、又はそれを含む(医薬)組成物若しくはキットを用いて、遺伝子ノックアウトを誘導する(即ち、遺伝子を機能しないようにする又はゲノムから遺伝子を除去する)ことができる。したがって、エンドヌクレアーゼ活性を示すCRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸分子、好ましくはRNAを利用することができ、これらはDSBをゲノムDNAに導入することができる。前記DSBは、非相同末端結合(NHEJ)を誘導でき、コドン読み枠の破壊(フレームシフト)をもたらす短いヌクレオチ長のランダム挿入又は欠失をもたらし、誤った転写物及び遺伝子発現の除去をもたらす(機能喪失)。この戦略は、例えば、腫瘍細胞の増殖と生存を媒介する遺伝子をノックアウトするために、或いは宿主細胞のゲノムから組み込まれたウイルスを除去するために有用であり得る。
【0507】
本発明に係る人工核酸分子、好ましくはRNA、又はそれを含む(医薬)組成物若しくはキットを用いて、遺伝子ノックインを誘導する(即ち、新しい又は修飾された遺伝子をゲノムに導入する)ことができる。それゆえ、ニッカーゼ活性を示すCRISPR関連タンパク質をコードする人工核酸分子、好ましくはRNAを利用することができ、それによりニック(即ち、二本鎖ゲノムDNAの一方の鎖のホスホジエステル結合の加水分解)をゲノムDNAに導入することができる。そのようなニックは、好ましくは相同性修復(HDR)を誘導し、その結果、DNA二本鎖切断の両側に隣接する配列に対して相同性を有する領域を有するDNAセグメントの組み込みをもたらす。HDRを用いて、任意の所望のDNA配列をゲノムDNAに挿入して、例えば、機能喪失、機能獲得、又は改変(新形態)機能を誘導する、又は未知の機能的状態の変異体を調べることができる。HDRを利用してゲノムを編集するために、所望の配列を有するDNA修復テンプレートが、典型的には本発明の人工核酸(及びgRNA)と共に提供される。この戦略は、例えば、治療用遺伝子をノックインするのに有用であり得る。
【0508】
本発明に係る人工核酸分子、好ましくはRNA、又はそれを含む(医薬)組成物若しくはキットを用いて、遺伝子発現、特に遺伝子転写を調節することができる。したがって、好適なエフェクタードメインを含むCRISPR関連タンパク質誘導体をコードする人工核酸分子、好ましくはRNAを利用することができる。エフェクタードメインは、その発現を調節するために標的遺伝子(又はそれに機能可能に連結された調節配列)と相互作用し得る。このアプローチは、目的の標的遺伝子の望ましくない(存在する又は存在しない、増加又は減少する)発現に関連する任意の疾患に有用であり得る。
【0509】
癌
好ましい実施形態では、人工核酸、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットは、癌の治療又は予防に使用される。
【0510】
本明細書中で使用される場合、用語「癌」は、周囲の組織に侵入し、離れた身体部位に転移する傾向を示す細胞の制御されない、通常急速な増殖によって特徴付けられる新生物を意味する。この用語は、良性及び悪性の新生物を包含する。癌における悪性腫瘍は、通常、無形成症、浸潤性、及び転移によって特徴付けられ、一方、良性悪性腫瘍は、通常、これらの特性は有しない。この用語は、腫瘍の増殖、並びに血液及びリンパ系の癌を特徴とする新生物を含む。
【0511】
幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットは、特に腫瘍又は癌の疾患の治療のための医薬として使用することができる。この文脈において、治療は、特に腫瘍内注射による腫瘍内適用を含むことが好ましい。したがって、本発明に係る人工核酸、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットは、腫瘍又は癌の疾患の治療のための医薬の調製に使用することができ、前記医薬は、腫瘍又は癌の疾患の治療のための腫瘍内適用(投与)に特に適している。
【0512】
好ましくは、本明細書に記載の腫瘍及び癌の疾患は、好ましくは以下を含む腫瘍又は癌の疾患から選択される:例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、エイズ関連癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、小脳星細胞腫、脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚経路及び視床下部神経膠腫、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、小児期カルチノイド腫瘍、消化管カルチノイド腫瘍、原発不明の癌、原発性中枢神経系リンパ腫、小児期小脳星細胞腫、小児期脳星細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、大腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、腫瘍のユーイングファミリーのユーイング肉腫、小児期頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼内黒色腫、網膜芽腫、胆嚢癌、胃癌(胃臓)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、頭蓋外、性腺外、又は卵巣の胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、脳幹の神経膠腫、小児期脳星細胞腫、小児期視覚経路及び視床下部神経膠腫、胃カルチノイド、毛様細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、小児期視床下部及び視覚経路神経膠腫、眼内黒色腫、膵島細胞癌(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎臓癌(腎細胞癌)、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、口唇及び口腔癌、脂肪肉腫、肝癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫、小児期髄芽腫、メラノーマ、眼内(眼)メラノーマ、メルケル細胞癌、成体悪性中皮腫、小児期中皮腫、原発不明転移性扁平上皮癌、口腔癌、小児期多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、成体急性骨髄性白血病、小児期急性骨髄性白血病骨髄腫、多発性骨髄腫(骨髄の癌)、慢性骨髄増殖性障害、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、中咽頭癌、骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌(表面上皮間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性腫瘍、膵臓癌、膵島細胞膵臓癌、副鼻腔癌及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体星細胞腫、松果体胚細胞腫、小児期松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腺腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌(腎臓癌)、腎盂及び尿管の癌、網膜芽細胞腫、小児期横紋筋肉腫、唾液腺癌、腫瘍のユーイングファミリーの肉腫、カポジ肉腫、軟部肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、扁平上皮癌、原発不明の転移性扁平上皮性頸部癌、小児期のテント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、咽頭癌、小児期胸腺腫、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、小児期甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行上皮がん、妊娠性絨毛腫瘍、尿道癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、膣癌、小児期視覚経路及び視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、及び小児期ウィルムス腫瘍(腎臓癌)。
【0513】
腫瘍内投与に適した腫瘍又は癌の特に好ましい例としては、前立腺癌、肺癌、乳癌、脳癌、頭頸部癌、甲状腺癌、結腸癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、卵巣癌、皮膚癌、膀胱癌、子宮癌、及び子宮頸部癌が挙げられる。
【0514】
感染症
本発明の組合せ、医薬組成物、又はキットは、感染症を治療するために使用され得る。「感染」又は「感染症」という用語は、通常は体内に存在しない細菌、ウイルス、寄生虫などの微生物の侵入及び増殖に関する。感染は、症状を引き起こさず無症状である場合もあれば、症状を引き起こして臨床的に明らかとなる場合もある。感染は、局所に留まる場合もあれば、血液又はリンパ系を介して広がり、全身性になる場合もある。この文脈における感染症は、好ましくは、ウイルス性、細菌性、真菌性、又は原虫性の感染症を含む。
【0515】
本発明の人工核酸、好ましくはRNAは、宿主細胞のゲノムに組み込まれたウイルスゲノムを除去するのに特に有用であると考えられる。本発明の人工核酸、好ましくはRNAによってコードされるCRISPR関連タンパク質による宿主細胞からのウイルスの根絶は、その生活環にDNA中間体を有する任意のDNAウイルス又はRNAウイルスに好ましく適用可能である。したがって、本発明に係る人工核酸、好ましくはRNA、(医薬)組成物、及びキットは、ヒトパピローマウイルスHPV16及びHPV18感染、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、エプスタインバーウイルス(EBV)、HIV-1感染、ヘルペスウイルス感染(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV、HHV8)感染を含む)、ポリオーマウイルス感染(メルケル細胞癌ウイルス(MCV)、ポリオーマウイルスJC(JCV)、及びポリオーマウイルスBK(BKV)感染)、及び関連する感染症の治療が特に想定される。
【0516】
組合せ療法
本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、ワクチン、又はキットオブパーツはまた、組合せ療法において使用され得る。本明細書に定義される疾患及び障害を治療又は予防するために有用な任意の他の療法は、本明細書に開示される使用及び方法と組み合わせることができる。
【0517】
例えば、人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツを受ける被験体は、化学療法(例えば、第1選択又は第2選択療法)、放射線療法、化学放射線療法(化学療法と放射線療法の組合せ)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤)、抗体療法及び/又は阻害性及び/又は刺激性チェックポイント分子(例えば、CTLA4阻害剤)を受けている、好ましくは本明細書に定義される癌又は関連する状態を有する患者、又は、又は上で特定した治療のうちの1つ以上を受けた後、部分奏効を達成した又は疾患が安定した患者であり得る。或いは、人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツが投与される被験体は、抗生物療法、抗真菌療法、又は抗ウイルス療法を受けている、好ましくは本明細書に定義される感染症を有する患者であり得る。
更なる態様において、本発明は、したがって、前記人工核酸分子、(医薬)組成物、又はキットでの治療が有効な癌、感染症、又は他の任意の疾患の別の治療を支援するための本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツの使用にも関する。
【0518】
癌の治療又は予防の「支援」は、例えば、外科手術、放射線療法、化学療法(例えば、第1選択又は第2選択化学療法)、化学放射線療法、チロシンキナーゼ阻害剤による治療、阻害性及び/又は刺激性チェックポイント分子による治療、好ましくはCTLA4阻害剤、抗体療法、又はこれらの任意の組合せ、並びに本明細書に定義される本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツを用いる療法などの従来の癌治療法の任意の組合せであり得る。
【0519】
本発明に係る本発明の人工核酸分子、好ましくはRNA、(医薬)組成物、又はキットオブパーツの投与は、別の治療薬の投与すること、又は治療対象の特定の疾患又は状態の治療に有用な別の治療を患者に施すことの前、それと同時、及び/又はその後に達成できる。
【0520】
項目
前記に鑑みて、本発明は、以下の項目によって特徴付けられ得る。
1.a.少なくとも1つのCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード領域と;
b.ATP5A1、RPL32、HSD17B4、SLC7A3、NOSIP、ASAH1、RPL31、TUBB4B、UBQLN2、MP68、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと;
c.GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、COX6B1、NDUFA1、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント
とを含むことを特徴とする人工核酸分子。
2.前記遺伝子のそれぞれが、天然に存在するDNA配列、並びにそのホモログ、変異体、断片、及び対応するRNA配列を含む項目1に記載の人工核酸分子。
3.a.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
b.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
c.ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
d.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
e.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
f.RPL32遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びALB遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
g.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
h.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCASP1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
i.SLC7A3遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
j.NOSIP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びPSMB3遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
k.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
l.HSD17B4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
m.ATP5A1遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
n.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びCOX6B1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
n.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
o.NDUFA4遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
p.NOSIP遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
q.RPL31遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
r.TUBB4B遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
s.UBQLN2遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びRPS9遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
t.MP68遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びGNAS遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメント;又は
u.MP68遺伝子の5’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメント、及びNDUFA1遺伝子の3’UTR、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントを含む項目1から2のいずれかに記載の人工核酸分子。
4.d、e、g、又はlに係るUTRエレメントを含む項目3に記載の人工核酸分子。
5.-HSD17B4遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号1に係るDNA配列、又は配列番号1に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号2に係るRNA配列、又は配列番号2に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-RPL32遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号21に係るDNA配列、又は配列番号21に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号22に係るRNA配列、又は配列番号22に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-NDUFA4遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号9に係るDNA配列、又は配列番号9に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号10に係るRNA配列、又は配列番号10に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-SLC7A3遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号15に係るDNA配列、又は配列番号15に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号16に係るRNA配列、又は配列番号16に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-NOSIP遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号11に係るDNA配列、又は配列番号11に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号12に係るRNA配列、又は配列番号12に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-ATP5A1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号5に係るDNA配列、又は配列番号5に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号6に係るRNA配列、又は配列番号6に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-ASAH1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号3に係るDNA配列、又は配列番号3に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号4に係るRNA配列、又は配列番号4に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-Mp68遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号7に係るDNA配列、又は配列番号7に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号8に係るRNA配列、又は配列番号8に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-Rpl31遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号13に係るDNA配列、又は配列番号13に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号14に係るRNA配列、又は配列番号14に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-TUBB4B遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号17に係るDNA配列、又は配列番号17に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号18に係るRNA配列、又は配列番号18に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-Ubqln2遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号19に係るDNA配列、又は配列番号19に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号20に係るRNA配列、又は配列番号20に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-GNAS遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号29に係るDNA配列、又は配列番号29に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号30に係るRNA配列、又は配列番号30に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-CASP1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号25に係るDNA配列、又は配列番号25に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号26に係るRNA配列、又は配列番号26に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-PSMB3遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号23に係るDNA配列、又は配列番号23に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号24に係るRNA配列、又は配列番号24に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-ALB遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号35に係るDNA配列、又は配列番号35に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号36に係るRNA配列、又は配列番号36に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-RPS9遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号33に係るDNA配列、又は配列番号33に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号34に係るRNA配列、又は配列番号34に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;
-COX6B1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号27に係るDNA配列、又は配列番号27に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号28に係るRNA配列、又は配列番号28に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなり;又は
-Ndufa1遺伝子に由来する前記5’UTRエレメントは、配列番号31に係るDNA配列、又は配列番号31に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するDNA配列、又はその断片若しくは変異体;又は配列番号32に係るRNA配列、又は配列番号32に係る核酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するRNA配列、又はその断片若しくは変異体を含む又はからなる項目1から4のいずれかに記載の人工核酸分子。
6.CRISPR関連タンパク質が、CRISPR関連野生型タンパク質、そのホモログ、変異体、断片、及び誘導体を含む項目1から5のいずれかに記載の人工核酸分子。
7.前記CRISPR関連タンパク質が、Cas9、Cpf1(Cas12)、C2c1、C2c3、Cas13、CasX、又はCasYから選択される項目1から6のいずれかに記載の人工核酸分子。
8.配列番号428~441;10999~11001;442~1345のいずれかに係るアミノ酸配列、又は配列番号428~441;10999~11001;442~1345のいずれかに係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又はこれらの配列のいずれかの変異体又は断片を含む又はからなるCRISPR関連タンパク質をコードする核酸配列を含む項目1から7のいずれかに記載の人工核酸分子。
9.前記CRISPR関連タンパク質誘導体が、KRAB、CSD、WRPW、VP64、p65AD、及びMxiから任意に選択される少なくとも1つの更なるエフェクタードメインを含む項目8に記載の人工核酸分子。
10.核局在化シグナル(NLS)をコードする少なくとも1つの核酸配列を更に含み、前記核局在化シグナルが、任意に、配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列、又は配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるNLS、及び配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列、又は配列番号426;427;10575;381;382;384;11957;11958~11964に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む又はからなるNLS、又は配列番号12021~14274に係るアミノ酸配列に対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するNLSから選択される項目1から9のいずれかに記載の人工核酸分子。
11.タンパク質又はペプチドタグをコードする少なくとも1つの核酸配列を更に含む項目1から10のいずれかに記載の人工核酸分子。
12.前記人工核酸分子の少なくとも1つのコード領域が、配列番号411;2540~2553;11117~11119;11355~11357;2554~3457;1380~1393;3700~3713;4860~4873;6020~6033;7180~7193;8340~8353;11237~11239;11473~11475;11591~11593;11709~11711;11827~11829;11945~11947;1394~2297;3714~4617;4874~5777;6034~6937;7194~8097;8354~9257;412;3474~3887 2314~2327;4634~4647;5794~5807;6954~6967;8114~8127;413~425;3490~3503;3506~3519;3522~3535;3538~3551;3554~3567;3570~3583;3586~3599;3602~3615;3618~3631;3634~3647;3650~3663;3666~3679;3682~3695;9514~9527;9626~9639;9738~9751;9850~9863;9962~9975,10074~10087;10186~10199;10298~10311;2330~2343;2346~2359;2362~2375;2378~2391;2394~2407;2410~2423;2426~2439;2442~2455;2458~2471;2474~2487;2490~2503;2506~2519;2522~2535;9498~9511;9610~9623;9722~9735;9834~9847;9946~9959;10058~10071;10170~10183~10282~10295;4650~4663;4666~4679;4682~4695;4698~4711;4714~4727;4730~4743;4746~4759;4762~4775;4778~4791;4794~4807;4810~4823;4826~4839;4842~4855;9530~9543;9642~9655;9754~9767;9866~9879;9978~9991;10090~10103;10202~10215;10314~10327;5810~5823;5826~5839;5842~5855;5858~5871;5874~5887;5890~5903;5906~5919;5922~5935;5938~5951;5954~5967;5970~5983,5986~5999;6002~6015;9546~9559;9658~9671;9770~9783;9882~9895;9994~10007;10106~10119;10218~10231;10330~10343;6970~6983;6986~6999;7002~7015;7018~7031;7034~7047;7050~7063;7066~7079;7082~7095;7098~7111;7114~7127;7130~7143;7146~7159;7162~7175;9562~9575;9674~9687;9786~9799;9898~9911;10010~10023;10122~10135;10234~10247;10346~10359;8130~8143;8146~8159;8162~8175;8178~8191;8194~8207;8210~8223;8226~8239;8242~8255;8258~8271;8274~8287;8290~8302;8306~8319;8322~8335;9578~9591;9690~9703;9802~9815;9914~9927;10026~10039;10138~10151;10250~10263;10362~10375;9290~9303;9306~9319;9322~9335;9338~9351;9354~9367;9370~9383;9386~9399;9402~9415;9418~9431;9434~9447;9450~9463;9466~9479;9482~9495;9594~9607;9706~9719;9818~9831;9930~9943;10042~10055;10154~10167;10266~10279;10378~10391のいずれかに係る核酸配列;又は前記核酸配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含む又はからなる項目1から11のいずれか記載の人工核酸分子。
13.配列番号10552;3458~3459;3460~3473;2298~2299;4618~4619;5778~5779;6938~6939;8098~8099;9258~9259;2300~2313;4620~4633;5780~5793;6940~6953;8100~8113;9260~9273;3488~3489;10396;2328~2329;10395;4648~4649;10397;5808~5809;10398;6968~6969;10399;8128~8129;10400;9274~9287;3504~3505;3520~3521;3536~3537;3552~3553;3568~3669;3584~3585;3600~3601;3616~3617;3632~3633;3648~3649;3664~3665;3680~3681;3696~3697;9528~9529;9640~9641;9752~9753;9864~9865;9976~9977;10088~10089;10200~10201;10312~10313;10403;10410;10417;10424;10431;10438;10445;10452;10459;10466;10473;10480;10487;10494;10501;10508;10515;10522;10529;10536;10543;2344~2345;2360~2361;2376~2377;2392~2393;2408~2409;2424~2425;2440~2441;2456~2457;2472~2473;2489~2490;2504~2505;2520~2521;2536~2537;9512~9513;9624~9625;9736~9737;9848~9849;9960~9961;10072~10073;10184~10185;10296~10297;10402;10409;10416;10423;10430;10437;10444;10451;10458;10465;10472;10479;10486;10493;10500;10507;10514;10521;10528;10535;10542;4664~4665;4680~4681;4696~4697;4712~4713;4728~4729;4744~4745;4760~4761;4776~4777;4792~4793;4808~4809;4824~4825;4840~4841;4856~4857;9544~9545;9656~9657;9768~9769;9880~9881;9992~9993;10104~10105;10216~10217;10328~10329;10404;10411;10418;10425;10432;10439;10446;10453;10460;10467;10474;10481;10488;10495;10502;10509;10516;10523;10530;10537;10544;5824~5825;5840~5841;5856~5857;5872~5873;5888~5889;5904~5905;5920~5921;5936~5937;5952~5953;5968~5969;5984~5985;6000~6001;6016~6017;9560~9561;9672~9673;9784~9785;9896~9897;10008~10009;10120~10121;10232~10233;10344~10345;10405;10412;10419;10426;10433;10440;10447;10454;10461;10468;10475;10482;10489;10496;10503;10510;10517;10524;10531;10538;10545;7033;7048~7049;7064~7065;7080~7081;7096~7097;7112~7113;7128~7129;7144~7145;7160~7161;7176~7177;9576~9577;9688~9689;9800~9801;9912~9913;10024~10025;10136~10137;10248~10249;10360~10361;10406;10413;10420;10427;10434;10441;10448;10455;10462;10469;10476;10483;10490;10497;10504;10511;10518;10525;10532;10539;10546;8144~8145;8160~8160;8176~8177;8192~8193;8208~8209;8224~8225;8240~8241;8256~8257;8272~8273;8288~8289;8304~8305;8320~8321;8336~8337;9592~9593;9704~9705;9816~9817;9928~9929;10040~10041;10152~10153;10264~10265;10376~10377;10407;10414;10421;10428;10435;10442;10449;10456;10463;10470;10477;10484;10491;10498;10505;10512;10519;10526;10533;10540;10547;9288~9289;10401;10553;10582~10583;10579~10580;10585~10586;10588~10589;10591~10592;10594~10595;10597~10598;10554~10574;10601;10602;10615;10616;10629;10630;10643;10644;10657;10658;10671;10672;10685;10686;10699;10700;10713;10714;10727;10728;10741;10742;10755;10756;10769;10770;10783;10784;10797;10798;10811;10812;10825;10826;10839;10840;10853;10854;10867;10868;10881;10882;10603;10604;10617;10618;10631;10632;10645;10646;10659;10660;10673;10674;10687;10688;10701;10702;10715;10716;10729;10730;10743;10744;10757;10758;10771;10772;10785;10786;10799;10800;10813;10814;10827;10828;10841;10842;10855;10856;10869;10870;10883;10884;10605;10606;10619;10620;10633;10634;10647;10648;10661;10662;10675;10676;10689;10690;10703;10704;10717;10718;10731;10732;10745;10746;10759;10760;10773;10774;10787;10788;10801;10802;10815;10816;10829;10830;10843;10844;10857;10858;10871;10872;10885;10886;10607;10608;10621;10622;10635;10636;10649;10650;10663;10664;10677;10678;10691;10692;10705;10706;10719;10720;10733;10734;10747;10748;10761;10762;10775;10776;10789;10790;10803;10804;10817;10818;10831;10832;10845;10846;10859;10860;10873;10874;10887;10888;10609;10610;10623;10624;10637;10638;10651;10652;10665;10666;10679;10680;10693;10694;10707;10708;10721;10722;10735;10736;10749;10750;10763;10764;10777;10778;10791;10792;10805;10806;10819;10820;10833;10834;10847;10848;10861;10862;10875;10876;10889;10890;10611;10612;10625;10626;10639;10640;10653;10654;10667;10668;10681;10682;10695;10696;10709;10710;10723;10724;10737;10738;10751;10752;10765;10766;10779;10780;10793;10794;10807;10808;10821;10822;10835;10836;10849;10850;10863;10864;10877;10878;10891;10892;9304~9305;9320~9321;9336~9337;9352~9353;9368~9369;9384~9385;9400~9401;9416~9417;9432~9433;9448~9449;9464~9465;9480~9481;9496~9497;9608~9609;9720~9721;9832~9833;9944~9945;10056~10057;10168~10169;10280~10281;10392~10393;10408;10415;10422;10429;10436;10443;10450;10457;10464;10471;10478;10485;10492;10499;10506;10513;10520;10527;10534;10541;10548のいずれかに係る核酸配列、又は前記核酸配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含む項目1から12のいずれか記載の人工核酸分子。
14.配列番号11011~11042;11249~1128011131~11162;11367~11398;11485~11516;11603~11634;11721~11752;11839~11870;11044~11116;11282~11354;11164~11236;11400~11472;11518~11590;11636~11708;11754~11826;11872~11944;11011~11042;11249~11280;11044~11116;11282~11354;11131~11162;11367~11398;11485~11516;11603~11634;11721~11752;11839~11870;11164~11236;11400~11472;11518~11590;11636~11708;11754~11826;11872~11944;11120~11122;11240;11241;11358;11359;11476;11477;11594;11595;11712;11713;11830;11831;11948;11949;11123~11130;11360~11366;11242~11248;11478~11484;11596~11602;11714~11720;11832~11838;11950~11956のいずれかに係る核酸配列、又は前記核酸配列のいずれかに対して、好ましさが高くなる順で、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有する核酸配列を含む項目1から13のいずれか記載の人工核酸分子。
15.RNAである項目1から14のいずれか記載の人工核酸分子。
16.モノ-、ビ-、又はマルチシストロン性である項目15に記載のRNA。
17.mRNA、ウイルスRNA、又はレプリコンRNAである項目14から15のいずれかに記載のRNA。
18.修飾された核酸、好ましくは安定化された核酸である項目1から17のいずれかに記載の人工核酸。
19.-前記人工核酸の少なくとも1つのコード領域のG/C含量が、対応する野生型核酸の対応するコード配列のG/C含量と比較して増加している、及び/又は
-前記人工核酸の少なくとも1つのコード領域のC含量が、対応する野生型核酸の対応するコード配列のC含量と比較して増加している、及び/又は
-前記人工核酸の少なくとも1つのコード領域中のコドンが、ヒトのコドン使用に適合されており、コドン適合度指数(CAI)が、好ましくは、前記人工核酸の少なくとも1つのコード配列において増加又は最大化されている、
-前記人工核酸によってコードされるアミノ酸配列が、好ましくは、対応する野生型人工核酸によってコードされるアミノ酸配列と比較して変化しない、
項目1から18のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
20.5’-キャップ構造、好ましくはm7GpppN又はCap1を含む項目1から19のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
21.少なくとも1つのヒストンステムループを含む項目1から20のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
22.前記少なくとも1つのヒストンステムループが、以下の式(I)又は(II)に係る核酸配列を含む項目21に記載の人工核酸、好ましくはRNA:
式(I)(ステム境界エレメントを含まないステムループ配列):
【化7】
式(II)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化8】
式中、
ステム1又はステム2の境界エレメントN
1-6は、1~6個、好ましくは2~6個、より好ましくは2~5個、更により好ましくは3~5個、最も好ましくは4~5個、又は5個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
ステム1[N
0-2GN
3-5]は、エレメントステム2に対して逆相補的であるか又は部分的に逆相補的であり、且つ5~7個のヌクレオチドの連続配列であり、
N
0-2は、0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは1個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
N
3-5は、3~5個、好ましくは4~5個、より好ましくは4個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
Gは、グアノシン又はその類似体であり、任意に、シチジン又はその類似体によって置換されてもよいが、但し、その場合、ステム2におけるその相補的ヌクレオチドであるシチジンも、グアノシンによって置換され、
ループ配列[N
0-4(U/T)N
0-4]は、エレメントステム1とステム2との間に位置し、且つ3~5個のヌクレオチド、より好ましくは4個のヌクレオチドの連続配列であり、
各N
0-4は、互いに独立して、0~4個、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
U/Tは、ウリジン又は任意にチミジンを表し、
ステム2[N
3-5CN
0-2]は、エレメントステム1に対して逆相補的であるか又は部分的に逆相補的であり、且つ5~7個のヌクレオチドの連続配列であり、
N
3-5は、3~5個、好ましくは4~5個、より好ましくは4個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、及びCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
N
0-2は、0~2個、好ましくは0~1個、より好ましくは1個のNの連続配列であり、各Nは、互いに独立して、A、U、T、G、若しくはCから選択されるヌクレオチド、又はこれらのヌクレオチド類似体から選択され、
Cは、シチジン又はその類似体であり、任意に、グアノシン又はその類似体によって置換されてもよいが、但し、その場合、ステム1におけるその相補的ヌクレオチドであるグアノシンも、シチジンによって置換され、
ステム1及びステム2が、互いに塩基対合でき、
逆相補的配列を形成して、塩基対合がステム1とステム2との間で生じ得る、又は
部分的に逆相補的な配列を形成して、不完全な塩基対合がステム1とステム2との間で生じ得る。
24.前記少なくとも1つのヒストンステムループが、以下の式(Ia)又は(IIa)に係る核酸配列を含む項目19から20のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA:
式(Ia)(ステム境界エレメントを含まないステムループ配列):
【化9】
式(IIa)(ステム境界エレメントを含むステムループ配列):
【化10】
25.任意に、ポリ(A)配列を含み、前記ポリ(A)配列が、好ましくは10~200、10~100、40~80、又は50~70個のアデノシンヌクレオチドを含む項目1から24のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
26.任意に、ポリ(C)配列を含み、前記ポリ(C)配列が、好ましくは10~200、10~100、20~70、20~60、又は10~40個のシトシンヌクレオチドを含む項目1から25のいずれかに記載の人工核酸、好ましくはRNA。
27.以下のエレメントを、好ましくは5’から3’方向に含む項目1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA:
a)5’-キャップ構造、好ましくはm7GpppN又はCap1;
b)本明細書に定義される5’-UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる、好ましくは配列番号1;3;5;7;9;11;13;15;17;19;又は21に係る核酸配列、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に対応する核酸配列を含む5’-UTRエレメント;
c)本明細書に定義される少なくとも1つのコード配列;
d)本明細書に定義される3’-UTRに由来する核酸配列を含む又はからなる、好ましくは配列番号15;17;19;21;29;31;33又は35に係る核酸配列、又はそのホモログ、断片、若しくは変異体に対応する核酸配列を含む5’-UTRエレメント;
e)任意に、ポリ(A)テール、好ましくは10~1000、10~500、10~300、10~200、10~100、40~80、又は50~70個のアデノシンヌクレオチドからなる;
f)任意に、ポリ(C)テール、好ましくは10~200、10~100、20~70、20~60、又は10~40個のシトシンヌクレオチドからなる;及び
g)任意に、ヒストンステムループ(HSL)。
28.項目1から26のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNAと、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤とを含むことを特徴とする組成物。
29.前記人工核酸分子、好ましくはRNAが、1以上のカチオン性又はポリカチオン性化合物、好ましくはカチオン性又はポリカチオンポリマー、カチオン性又はポリカチオン性ペプチド又はタンパク質、例えば、プロタミン、カチオン性又はポリカチオン性多糖類、及び/又はカチオン性又はポリカチオン性脂質と複合体化される項目28に記載の組成物。
30.前記人工核酸分子、好ましくはRNAの、前記1以上カチオン性又はポリカチオン性ペプチド又はタンパク質に対するN/P比が、約0.3~4、約0.5~2、約0.7~2、及び約0.7~1.5の範囲を含む約0.1~10の範囲である項目29に記載の組成物。
31.前記人工核酸分子、好ましくはRNAが、1以上の脂質と複合体を形成し、それによってリポソーム、脂質ナノ粒子、及び/又はリポプレックスを形成する項目28から30のいずれかに記載の組成物。
32.少なくとも1つのガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を更に含み、前記gRNAが、対象の標的DNA配列又はそれに機能可能に連結された調節エレメントにCRISPR関連タンパク質を標的化することができる項目28から31のいずれかに記載の組成物。
33.項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、又は項目28から32のいずれかに記載の組成物、及び任意に液体ビヒクル及び/又は任意に前記人工核酸分子又は前記組成物の投与及び用量に関する情報を含む技術的指示を含むことを特徴とするキット、好ましくはキットオブパーツ。
34.リンゲルラクタート溶液を一部として含む項目33に記載のキット。
35.ガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を更に含み、前記gRNAが、対象の標的DNA配列又はそれに機能可能に連結された調節エレメントにCRISPR関連タンパク質を標的化することができる項目33から34のいずれかに記載のキット。
36.医薬として使用するための、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35に記載のキット。
37.遺伝子治療において使用するための、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35に記載のキット。
38.(a)前記人工核酸分子、好ましくはRNA、前記組成物、又は前記キット、及び(b)ガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を、それを必要とする患者に投与することを含み、前記sgRNAが、CRISPR関連タンパク質を目的遺伝子、又はそれに機能可能に連結された調節エレメントに標的化することができる、目的遺伝子の発現を調節する方法における使用のための項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35に記載のキット。
39.医薬として使用するための、又は前記少なくとも1つのコード配列によってコードされるCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な疾患、障害、又は状態における遺伝子治療における使用のための、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35に記載のキット。
40.医薬として使用するための、又は目的遺伝子をノックイン、ノックアウト、又は操作する又は目的遺伝子の発現を調節することが有効である疾患、障害、又は状態の遺伝子治療において使用するための、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35に記載のキット。
41.前記疾患、障害、又は状態が、遺伝病、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、及び感染症から選択される項目40に記載の使用のための人工核酸分子、好ましくはRNA、組成物、又はキット。
42.前記コードされたCRISPR関連タンパク質の発現を、任意に遺伝子治療において、上昇させるための、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35に記載のキットの使用。
43.前記コードされたCRISPR関連タンパク質によって標的化される目的遺伝子の発現を調節するための、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35のいずれかに記載のキットの使用。
44.a)項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNAを提供する工程と;
b)CRISPR関連タンパク質を目的の標的DNA配列、又はそれに機能可能に連結された調節エレメントを標的にすることができるガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸を提供する工程と;
c)目的遺伝子の発現効率を調節するのに適した条件下で、細胞、組織、又は生物を、前記人工核酸分子、好ましくはRNA、及び、前記gRNA又はそれをコードする核酸に接触させる工程とを含む目的遺伝子の発現を調節することを特徴とする方法。
45.障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする被験体に、項目1から27のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNA、項目28から32のいずれかに記載の組成物、又は項目33から35のいずれかに記載のキットの有効量と、CRISPR関連タンパク質を目的の標的DNA配列又はそれに機能可能に連結された調節エレメントに標的化することができるガイドRNA(gRNA)又はそれをコードする核酸とを投与することを含むことを特徴とする方法。
46.前記障害が、前記コードされたCRISPR関連タンパク質の発現による治療が有効な、好ましくは前記CRISPR関連タンパク質が標的とする目的遺伝子の発現の調節による治療が有効な疾患、障害、又は状態である項目45に記載の方法。
47.前記障害が、目的遺伝子をノックイン、ノックアウト、若しくは操作する、又は目的遺伝子の発現を変化させることが有効である疾患、障害、又は状態である項目45から46のいずれかに記載の方法。
48.CRISPR関連タンパク質をコードするコード領域を含む人工核酸分子、好ましくはRNAの発現効率を上昇させるための方法であって、
(a)前記コード領域を、ATP5A1、RPL32、HSD17B4、SLC7A3、NOSIP、又はNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、又は変異体に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと会合させることと;
(b)前記コード領域を、GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、又はRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’UTR、又はその対応するRNA配列、ホモログ、断片、又は変異体に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントと会合させることと;
(c)項目1から47のいずれかに記載の人工核酸分子、好ましくはRNAを得ることとを含むことを特徴とする方法。
【0521】
実施例
以下に、本発明の様々な実施形態及び態様を説明する具体例を提示する。しかし、本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。以下の調製及び実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することができるように与えられるものである。しかし、本発明は、例示される実施形態によって範囲が限定されるものではなく、前記実施形態は、本発明の1つの態様を説明することのみを意図し、機能的に等価な方法は、本発明の範囲内である。実際、本明細書に記載するものに加えて本発明の様々な変形例は、前述の記載、添付図面、及び以下の実施例から当業者に容易に明らかになる。全てのかかる変形例は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0522】
実施例1:インセルウェスタン及びウェスタンブロット分析を用いた、HeLa、Hek293T、及びHepG2細胞でのCas9発現の検出
細胞を、96ウェルプレート(Nunc Microplate Black w / Clear Optical Bottom; Thermo Fisher)中、Helaは、10,000細胞/ウェルの密度で、Hek293TとHEPG2は、20,000細胞/ウェルで、互換性のある完全細胞培地(200μl)に播種した。細胞を37℃、5%CO2で24時間維持した。トランスフェクション当日、完全培地を50μlの無血清Opti-MEM培地(Thermo Fisher)で交換した。各mRNA、即ち、配列番号14274(RPL32/ALB7.1)、配列番号14275(HSD17B4/CASP1.1)、配列番号14276(SLC7A3.1/PSMB3.1)、配列番号14277(SLC7A3.1/CASP1.1)、配列番号14278(NOSIP.1/PSMB3.1)、配列番号14279(NDUFA4.1/RPS9.1)、配列番号14280(NDUFA4.1/PSMB3.1)、配列番号14281(HSD17B4/PSMB3.1)、及び配列番号14282(HSD17B4/RPS9.1)の100ngを、Opti-MEMの50μl中、リポフェクタミン3000をmRNA:リポフェクタミン3000の比が1:1.5で用いて、リポ複合体化した。次いで、リポ複合体化mRNAを対応する96ウェルプレートに添加した。トランスフェクションの3時間後、前記完全培地を100μlの完全細胞培地で交換した。インセルウェスタンを行う前に、細胞を37℃、5%CO2で24時間更に維持した。
【0523】
インセルウェスタン分析(HeLa及びHek293T)では、細胞をPBS1Xで2回洗浄し、メタノール/アセトン(1:1)の溶液で10分間固定した。固定後、続いて細胞をPBS1Xで3回、それぞれ5分間洗浄した。非特異的結合を避けるため、0.01%Triton X100を添加したOdysseyブロッキングバッファ(PBS、LI-COR)で室温にて1時間細胞をブロッキングし、次いで、一次抗体、即ち、spCas9(1/1000;#632606;Clontech/Takara)に対するポリクローナルウサギ抗体と共に1時間半インキュベートした。続いて、細胞をPBS1X中の0.1%Tween-20で5分間、穏やかな振とう(80rpm)下にて4回洗浄した。
【0524】
その後、二次抗体、即ち、infrared dye(登録商標)800CWヤギ抗ウサギポリクローナル抗体(1/250;LI-COR)を、OdysseyブロッキングバッファでCell-Tag 700 Stain(1/5000;LI-COR)と混合し、遮光下で室温にて1時間インキュベートした。Odyssey(登録商標)CLx Imagingシステム(LI-COR)を使用してスキャンする前に、前記したように洗浄工程を行った。Image StudioTM Liteソフトウェアを使用して、相対的な定量化(800/700)を得た。mRNAなしでリポフェクションされたウェルから得られたバックグラウンド蛍光を測定値から差し引き、結果を、市販のCas9コードRNA(TriLink BioTechnologies、LLC、カタログ番号L-6125)からの発現と比較した。
【0525】
HepG2細胞では、ウェスタンブロットを使用して分析を行った。プレートをPBS1Xで2回洗浄し、室温で20分間、ベンゾナーゼエンドヌクレアーゼ(Millipore)を含む50μlのサンプルローディングバッファ1X(Biorad)と直接インキュベートした。次いで、プレートを95℃で5分間インキュベートし、遠心分離した。
【0526】
15μlのライセートを10%Mini-Protean TGXゲル(Biorad)で泳動し、ニトロセルロース膜に移した(100V;90分間)。膜をPBS中の0.1 Triton X100でそれぞれ10分間3回洗浄し、PBS1X中の10%ミルクにて4℃で一晩飽和させた。
【0527】
PBS1X中の5%ミルク中のspCas9(1/1000;#632606;Clontech/Takara)に対するポリクローナルウサギ抗体及びコントロールマウスモノクローナル抗ベータアクチン抗体(1/10000;ab6276;Abcam)を室温で1時間インキュベートした。続いて、膜をTBS1X中の0.1%Tween-20で3回洗浄した。infrared dye(登録商標)800CWヤギ抗ウサギポリクローナル抗体及びinfrared dye(登録商標)ヤギ抗マウス抗体(1/7500及び1/10000をそれぞれ検出に使用した)。Odyssey(登録商標)CLx Imagingシステム(LI-COR)を使用してスキャンする前に、以下に説明する洗浄工程を3回繰り返した。StudioTM Liteソフトウェア(LI-COR)を使用して、バンド強度と相対定量を行った。
【0528】
本発明に係るUTRの組合せを含むCas9コードmRNAは、市販のCas9mRNA(
図6)と比較して非常に優れた発現上昇(
図1、
図3、
図7)を示す。
【0529】
実施例2:ウェスタンブロット分析を使用したHeLa細胞におけるCas9発現の検出
Hela細胞を12ウェルプレート(Nunc; Thermo Fisher)に、完全細胞培地(RPMI;10%ウシ胎児血清;1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び1%L-グルタミン;Lonza)中のHelaが最終密度200,000細胞/ウェルで播種した。細胞を37℃、5%CO2で24時間維持した。トランスフェクション当日、完全培地を750μlの無血清Opti-MEM培地(Thermo Fisher)で交換した。本発明のUTRの組合せ(図の凡例を参照)を含むCas9コードmRNA、即ち、配列番号14274(RPL32/ALB7.1)、配列番号14275(HSD17B4/CASP1.1)、配列番号14276(SLC7A3.1/PSMB3.1)、配列番号14277(SLC7A3.1/CASP1.1)、配列番号14278(NOSIP.1/PSMB3.1)、配列番号14279(NDUFA4.1/RPS9.1)、配列番号14280(NDUFA4.1/PSMB3.1)、配列番号14281(HSD17B4/PSMB3.1)、及び配列番号14282(HSD17B4/RPS9.1)の1μgを、Opti-MEM 250μl中リポフェクタミン3000をmRNA:リポフェクタミン3000の比が1:1.5で用いてリポ複合体化した。次に、リポ複合体化mRNAを各ウェルに添加した。トランスフェクションの3時間後、完全培地を1mlの完全細胞培地で交換した。タンパク質抽出を行う前に、細胞を37℃、5%CO2で24時間更に維持した。
【0530】
ウェルをPBS1Xで2回洗浄し、室温で20分間、ベンゾナーゼエンドヌクレアーゼ(Millipore)を含む100μlのサンプルローディングバッファ1X(Biorad)と直接インキュベートした。細胞を掻き取り、溶解物をエッペンドルフチューブに移した。次に、サンプルを95℃で5分間変性させ、氷中で5分間冷却し、最大速度で2分間遠心分離してからロードした。
【0531】
15μlのライセートを10%Mini-Protean TGXゲル(Biorad)で泳動し、ニトロセルロース膜に移した(100V;90分間)。膜をPBS中の0.1 Triton X100でそれぞれ10分間3回洗浄し、PBS1X中の10%ミルクにて4℃で一晩飽和させた。
【0532】
PBS1X中の5%ミルク中のspCas9(1/1000;#632606;Clontech/Takara)に対するポリクローナルウサギ抗体及びマウスモノクローナル抗ベータアクチン抗体(1/10000;ab6276;Abcam)を室温で1時間インキュベートした。続いて、膜をTBS1X中の0.1%Tween-20で3回洗浄した。infrared dye(登録商標)800CWヤギ抗ウサギポリクローナル抗体及びinfrared dye(登録商標)ヤギ抗マウス抗体(1/7500及び1/10000をそれぞれ検出に使用した)。Odyssey(登録商標)CLx Imagingシステム(LI-COR)を使用してスキャンする前に、以下に説明する洗浄工程を3回繰り返した。StudioTM Liteソフトウェア(LI-COR)を使用して、バンド強度と相対定量を行った。
【0533】
本発明のmRNAからのCas9発現を、市販のCas9コードRNA(TriLink BioTechnologies、LLC、Cat.No.L-6125)からの発現と比較した。本発明に係るUTRの組合せを含むCas9コードmRNAは、市販のCas9mRNA(
図8、
図9)と比較して非常に優れた発現上昇を示す(
図2、
図4、
図5)。
【0534】
実施例3:ミスマッチ検出アッセイを使用したインビトロspCas9活性の決定
細胞を、完全細胞培地(RPMI200μl、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%L-グルタミン、Lonza)で、Helaの密度50,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。細胞を、37℃、5%CO2で24時間維持した。トランスフェクション当日、spCas9mRNA(配列番号14274=RPL32/ALB7.1、配列番号14281=HSD17B4/PSMB3.1の100ng(各mRNAは、1回、追加の酵素的ポリアデニル化なしで、1回、追加の酵素的ポリアデニル化ありで;参照として市販のCas9コードRNA TriLink BioTechnologies、LLC、Cat.No.L-6125を使用)を、TransIT(登録商標)mRNAトランスフェクション(Mirus Bio)を使用して、ヒトペプチジルプロリルイソメラーゼB(PPIB、即ち、シクロフィリンB;Dharmacon;SO-2544646G)に対するcrRNA(25nM)と、tracrRNA(25nM;Dharmacon;U-002000-20)の混合物でリポ複合体化した。ネガティブコントロールとして、トランスフェクション混合物ではspCas9mRNA又はガイドRNA、或いはその両方を除いた。最終体積10μlを96ウェルプレートの培地に添加した。トランスフェクションの3時間後、完全培地を100μlの完全細胞培地で交換した。細胞抽出を行う前に、細胞を更に37℃、5%CO2で24時間維持した。
【0535】
ウェルをPBS1Xで1回洗浄し、1mg/mlプロテイナーゼK及び0.5mg/ml RNAse A(Thermo Fisher)を含むPhusion HFバッファ1Xを100μl使用して、細胞を56℃で30分間溶解した。溶解の最後に95℃で5分間の変性工程を追加した。
【0536】
細胞溶解物5μlを、ヒトPPIB(Edit-R PPIB crRNA Control Kit;UK-007060;Dharmacon)及びPhusion hot-start II high fidelity DNA Polymerase(Thermo Fisher)に対する特異的プライマーを使用したhPPIB断片のPCR増幅に使用した。増幅のためのPCR条件は、以下の通りである:
1)変性工程:98℃で3分間;
2)タッチダウンPCRサイクル反応10×(変性98℃で10秒間;タッチダウンアニーリング72℃~1℃/サイクルで15秒間、伸長72℃で30秒間);
3)通常のPCRサイクル反応25x(変性98℃で10秒間;アニーリング62℃で15秒間;伸長72℃で30秒間);
4)72℃で10分間最終延長。
次いで、PCRサンプルを95℃で10分間加熱し、室温で15分間超ゆっくりと冷却した。
【0537】
ミスマッチ検出アッセイは、37℃で25分間のインキュベーション期間中に、10μlのPCR反応物、NEBバッファ2及びT7エンドヌクレアーゼ(New England BioLabs)を使用して行った。全反応量を直ちに2%アガロースゲルで泳動した。予想されるバンドは、505bp(編集なし)又はそれぞれ330bpと174bp(編集あり)であった。
【0538】
本発明のUTRの組合せを含むmRNAから発現したspCas9は、標的DNAを編集することができ、機能的であった(
図10A、B)。
【0539】
実施例4:インセルウェスタンを使用したHeLa、Hek293T、及びHepG2細胞におけるCpf1発現の検出
細胞を、96ウェルプレート(Nunc Microplate Black w / Clear Optical Bottom; Thermo Fisher)中、Helaは、10,000細胞/ウェルの密度で、HepG2とHek293Tは、20,000細胞/ウェルで、前に使用した互換性のある完全細胞培地(200μl)に播種した。細胞を、37℃、5%CO2で24時間維持した。トランスフェクション当日、mRNA、即ち、配列番号10549(RPL32/ALB7)、配列番号14289(Mp68/Gnas.1)、配列番号14290(Ndufa4.1/PSMB3.1)、配列番号14291(HSD17B4/Gnas.1)、配列番号14292(HSD17B4/PSMB3.1)、及び配列番号14293(Ndufa4.1/Alb7)(HeLa及びHek293T細胞のトランスフェクション用)の100ng、及びmRNA、即ち、同一配列番号(HepG2)の500ngを、Opti-MEM50μl中のリポフェクタミンメッセンジャーマックスをmRNA:リポフェクタミンメッセンジャーマックスの比が1:1.5で使用して、リポ複合体化した。次いで、リポ複合体化mRNAを対応する96ウェルプレートに添加した。インセルウェスタンを行う前に、細胞を37℃、5%CO2で24時間更に維持した。
【0540】
インセルウェスタン分析(HeLa、HepG2、及びHek293T)では、細胞をPBS1Xで3回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで10分間固定した。固定後、続いて細胞をPBS1Xで3回、それぞれ5分間洗浄し、PBS中の2%Triton X100で15分間透過処理した。非特異的結合を避けるために、細胞を、Odysseyブロッキングバッファ(PBS、LI-COR)で室温にて1時間ブロッキングし、次いで、一次抗体、即ち、HAに対するポリクローナルウサギ抗体(1/1000;H6908;Sigma Aldrich)と共に1時間半インキュベートした。続いて、細胞をPBS1X中の0.1%Tween-20で5分間、穏やかな振とう(80rpm)下で4回洗浄した。
【0541】
その後、二次抗体、即ち、infrared dye(登録商標)800CWヤギ抗ウサギポリクローナル抗体(1/500;LI-COR)を、Odysseyブロッキングバッファ中でCell-Tag 700 Stain(1/5000;LI-COR)と混合し、遮光下で室温にて1時間インキュベートした。Odyssey(登録商標)CLx Imagingシステム(LI-COR)を使用してスキャンする前に、前記したように洗浄工程を行った。Image StudioTM Liteソフトウェアを使用して、相対的な定量化(800/700)を得た。mRNAなしでリポフェクションしたウェルから得られたバックグラウンド蛍光を測定値から差し引き、結果を、標準mRNAからの発現と比較した。
【0542】
本発明に係るUTRの組合せを含むCpf1コードmRNAは、参照Cpf1mRNA RPL32/Alb7と比較して非常に優れた強力な発現上昇を示す。
図11及び
図12(HepG2及びHeLa細胞)から明らかなように、発現は、%としてRPL32/ALB7に対して示される。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1つのCRISPR関連タンパク質をコードする少なくとも1つのコード領域と;
b.SLC7A3、ATP5A1、RPL32、HSD17B4、NOSIP、ASAH1、RPL31、TUBB4B、UBQLN2、MP68、及びNDUFA4からなる群から選択される遺伝子の5’非翻訳領域(5’UTR)に由来する少なくとも1つの5’UTRエレメントと;
c.GNAS、CASP1、PSMB3、ALB、COX6B1、NDUFA1、及びRPS9からなる群から選択される遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)に由来する少なくとも1つの3’UTRエレメントとを含むことを特徴とする人工核酸分子。