(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038125
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】整形外科用セメント除去ツールおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61B17/22 510
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219395
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2021517033の分割
【原出願日】2019-09-25
(31)【優先権主張番号】1815640.6
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519260083
【氏名又は名称】ラドリー・サイエンティフィック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・マイケル・ラドリー・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・マーティン・バドコット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】迅速かつ正確なセメント除去を可能にする、骨空洞からPMMAセメントを除去するためのツール、特に、セメントへのねじれモード超音波振動の効果的な適用を可能にするツールを提供すること。
【解決手段】一連の外科用ツール11は、細長い導波管の遠位端に隣接して据え付けられた、それぞれの動作ヘッド16を有する。動作ヘッド16は、大腿骨のような、中空骨内からPMMA骨セメントを除去するために使用される。ねじれモード超音波振動は、導波管14に沿ってそれぞれの動作ヘッド16に伝達され、動作ヘッド16は、骨セメントに適用され、骨セメントを軟化させ、骨セメントの除去を容易にする。細長い放射状チャネル18は、いくつかの外科用ツールのセメント接触面にわたって延び、ねじれモード超音波振動を隣接するセメントに集中させ伝達するように作用する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、前記細長い導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の遠位面には、複数のくぼんだ凹部が設けられ、各前記凹部は、ねじれモード超音波振動を、前記遠位面と接触する骨セメントのような材料中に集中させて伝えるように適合されている、外科用ツール。
【請求項2】
前記平面体は、前記導波管手段の長手方向軸線に対して直交して延びる、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項3】
前記平面体は、そのすべての側について前記導波管手段から外側に延びる、請求項1または2に記載の外科用ツール。
【請求項4】
前記くぼんだ凹部は細長い形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の外科用ツール。
【請求項5】
前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段の長手方向軸線に沿って位置付けられた点から前記平面体の遠位面にわたって外側に放射状に広がる、請求項4に記載の外科用ツール。
【請求項6】
前記細長いくぼんだ凹部は、それぞれの長手方向軸線の周囲で湾曲しており、例えば部分円筒形の輪郭を有している、請求項4または5に記載の外科用ツール。
【請求項7】
前記平面体の前記遠位面には、前記導波管手段の前記長手方向軸に沿って位置付けられた遠位突出部が設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科用ツール。
【請求項8】
前記平面体の近位面にも複数のくぼんだ凹部が設けられ、それぞれの前記凹部は、ねじりモード超音波振動を前記近位面と接触する骨セメントのような材料に集中させて伝えるように適合されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の外科用ツール。
【請求項9】
前記平面体の前記近位面上の前記くぼんだ凹部は細長い、請求項8に記載の外科用ツール。
【請求項10】
前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段との接合部から前記平面体の前記近位面にわたって外側に放射状に広がっている、請求項9に記載の外科用ツール。
【請求項11】
前記平面体は、実質的に円形である、請求項1から10のいずれか一項に記載の外科用ツール。
【請求項12】
前記平面体には、その円周に配置された複数の浅いノッチまたは凹部が設けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の外科用ツール。
【請求項13】
前記平面体が非円形であり、第1の方向に直交する第2の外方向に延びるよりも、前記導波管手段から前記第1の方向にさらに外側に延びる、請求項1から10のいずれか一項に記載の外科用ツール。
【請求項14】
前記第2の外方向における前記平面体の範囲は、前記導波管手段の直径に実質的に対応する、請求項13に記載の外科用ツール。
【請求項15】
前記ツールには、第1の平面体に近位の前記導波管手段上の点から前記導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる第2の平面体がさらに設けられ、前記第1および第2の平面体は、実質的に同一の形状、サイズ、および整列を有するが、前記第1の平面体のみが、その遠位面上に前記くぼんだ凹部を有する、請求項1から14のいずれか1項に記載の外科用ツール。
【請求項16】
ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、細長い導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の近位面には、複数のくぼんだ凹部が設けられ、各前記凹部は、ねじれモード超音波振動を、前記近位面と接触する骨セメントのような材料に集中させて伝えるように適合される、外科用ツール。
【請求項17】
前記平面体は、前記導波管手段の長手方向軸に対して直交して延びる、請求項16に記載の外科用ツール。
【請求項18】
前記平面体の前記近位面上の前記くぼんだ凹部は、細長い形状を有する、請求項16または17に記載の外科用ツール。
【請求項19】
前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段との接合部から前記平面体の前記近位面にわたって外側に放射状に広がっている、請求項18に記載の外科用ツール。
【請求項20】
前記細長いくぼんだ凹部は、それらのそれぞれの長手方向軸の周りで湾曲しており、例えば部分円筒形状を有する、請求項18または19に記載の外科用ツール。
【請求項21】
ねじれモード超音波振動によって作動するように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位先端を備える動作ヘッドに前記超音波振動を伝えるように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、横方向に延びる遠位端面へと円錐台状に広がる前記導波管手段の端末伸長を備え、前記遠位端面は、複数のくぼんだ凹部を備え、各前記凹部は前記遠位端面と接触する骨セメントのような材料にねじれモード超音波振動を集中し伝えるように適合され、ここで、前記動作ヘッドは、前記端末伸長の円周から放射状に内側に延びる、および前記遠位端面からに前記端末伸長に近位の前記導波管手段上の点に長手方向に延びる、複数のスロットをさらに備え、前記スロットは、前期動作ヘッドを通して、前記動作ヘッドの作用によって軟化された骨セメントの通過を可能にするように適合される、外科用ツール。
【請求項22】
放射状スロットは、前記遠位端面の全表面積のほぼ半分に等しい、前記遠位端面と接触する全表面積を有する、請求項21に記載の外科用ツール。
【請求項23】
ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
前記超音波振動を、導波管手段の遠位端から延びる動作ヘッドに伝達するように適合されている細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、前記動作ヘッドの遠位縁部に向かって、第1の横方向に遠位に広がり、第2の横方向に遠位に先細になり、前記遠位縁部は、前記導波管手段の長手方向軸に対して直交する平面内に延び、直交平面内で、前記長手方向軸の一方の側に配置された浅い円弧において湾曲し、前記浅い円弧の曲率の中心は、前記円弧自体から前記長手方向軸の反対側に位置付けられる、外科用ツール。
【請求項24】
前記遠位縁部は、前記遠位縁部から近くに延びる一連の丸みを帯びたノッチを備え、前記ノッチ間に一連のV字形の歯を規定する、請求項23に記載の外科用ツール。
【請求項25】
埋め込まれたセメント接合プロテーゼの除去後に骨空洞から骨セメントを除去する方法であって、
第1の超音波振動可能外科用ツールを使用して、前記骨空洞の壁を裏打ちする骨セメントの中に複数の長手方向の溝を形成するステップと、各溝は、前記骨セメントを通って前記骨空洞の壁まで放射状に延び、次いで、前記溝によって横方向に境界を定めたセクションにおいて前記セメントを前記壁から分離するように、前記セメントと前記骨空洞の壁との間で第2の超音波振動可能ツールを遠位方向に通過させるステップとを含む、方法。
【請求項26】
前記第1の超音波振動可能外科用ツールは、請求項13または請求項14のいずれかに記載の外科用ツールを備え、第2の超音波振動可能外科用ツールは、請求項23または請求項24のいずれかに記載のツールを備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
埋め込まれたセメント接合プロテーゼの除去後に骨空洞に充填する骨セメントプラグを除去する方法であって、
前記骨セメントプラグへの少なくとも1つの回転非対称平面体を備える動作ヘッドを有する第4の超音波振動可能外科用ツールを骨セメントプラグ中で駆動するステップと、前記除去の結果として隣接する骨セメントは依然として軟化されている間、少なくとも1つの平面体が隣接するバルクセメント中に横方向に通過するように前記動作ヘッドをねじるステップと、セメントが再硬化し、前記ツールがセメント中に固定されるまで待機するステップと、次いで、前記セメントプラグに力を及ぼし、それを前記骨空洞から実質的に一体として引き抜くように前記ツールを操作するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工関節再置換術の一部として骨空洞からセメントを除去するための外科用ツールに関する。排他的ではないが、より詳細には、本発明は、骨空洞からプロテーゼを除去した後にPMMAセメントを除去するための超音波活性化可能ツールのセットに関する。本発明はさらに、このようなツールを使用する人工関節再置換術方法に関する。
【背景技術】
【0002】
股関節インプラントのような関節プロテーゼは、骨の空洞に挿入されたシャフトによって中空骨に埋め込まれる少なくとも1つのコンポーネントを含む。いくつかのインプラントは、骨空洞中にインプラントのシャフトを固定するために海綿質骨の成長に依存するが、ポリ(メチルメタクリレート)セメント(PMMAセメント)がより一般的に使用され、インプラントのシャフトと骨空洞の内壁との間の空間を充填し、オプション的に、シャフトの遠位端に対して遠位に骨空洞を密閉する。
【0003】
このようなインプラントは寿命が限られているため、古いインプラントを除去し、部位を洗浄し、その場所に置換プロテーゼを埋め込むことによって関節プロテーゼを修正する必要があることが多い(人工関節再置換術)。古いセメントは除去されなければならず、または新しいセメントの接着を妨げるかもしれない。PMMAセメント除去のための最初のアプローチは、単にそれを掘ることであり、これは数時間かかることがある。重要な前進は、縦モード超音波振動によって作動されるツールの使用に由来し、これはセメントの局所的な軟化を引き起こし、はるかに容易な除去を可能にした。しかしながら、この方法は、例えば、隣接する構造骨に切り込むのではなく、意図された場所だけに縦モード振動の効果を向けることが困難であることに関係付けられているいくつかの欠点を依然として有する。これは、インプラントの特徴が、例えば感染による隣接する骨の弱体化または損傷によるものである場合に、特に重要である。
【0004】
ねじりモード超音波振動は、例えば腹腔鏡(鍵穴)手術において軟組織を切断するのに有用であることが証明されている。しかしながら、この用途で使用されるツールは、関節形成作業には適していない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を取り除き、より迅速かつ正確なセメント除去を可能にする、人工関節再置換術、およびこれに類するものの過程で骨空洞からPMMAセメントを除去するためのツール、特に、セメントへのねじれモード超音波振動の効果的な適用を可能にするツールを提供することである。また、本発明の目的は、このようなツールを使用してセメントを除去する方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様にしたがうと、ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールが提供され、導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の遠位面は、複数のくぼんだ凹部を備え、それぞれは、ねじれモード超音波振動を、前記遠位面と接触するセメントのような材料中に集中させて伝えるように適合されている。
【0007】
好ましい実施形態では、前記平面体は、導波管手段の長手方向軸に直交して延びる。
【0008】
また、平面体が導波管手段の遠位端に対称的に据え付けられることも好ましい。
【0009】
平面体が導波管手段の外側にすべての側に延びることはさらに好ましい。
【0010】
好ましくは、前記くぼんだ凹部は細長い形状を有する。
【0011】
有利には、前記細長いくぼんだ凹部は、導波管手段の長手方向軸に沿った点から平面体の遠位面にわたって外側に放射状に広がる。
【0012】
細長いくぼんだ凹部は、有利には、それぞれの長手方向軸の周りで湾曲していてもよい。
【0013】
したがって、細長いくぼんだ凹部は、平坦な本体の遠位面にわたって放射状に広がるフルーティング、チャネル、スカラップ(scallops)、またはスクープ(scoops)の形態をとることができる。
【0014】
平面体の遠位面には、導波管手段の長手方向軸線に沿って位置付けられた遠位突出部が設けられてもよい。
【0015】
この態様の第2の実施形態では、平面体の近位面も複数のくぼんだ凹部を備え、それぞれは、ねじりモード超音波振動を前記近位面と接触するセメントのような材料に集中させて伝えるように適合されている。
【0016】
好ましくは、前記くぼんだ凹部は細長い。
【0017】
有利には、細長いくぼんだ凹部は、導波管手段との接合部から平面体の近位面にわたって外側に放射状に広がっている。
【0018】
細長いくぼんだ凹部は、導波管手段の遠位部分に沿って長手方向に延びるように、平面体の近位面から導波管手段の外面まで連続してもよい。
【0019】
したがって、この実施形態では、外科用ツールは、セメントを削り取るかまたはすくい上げるために、セメント内への遠位方向に向けられた押し込み動作、または近くの方向に向けられた引っ張り動作のいずれかで使用されてもよい。
【0020】
この態様のほとんどの実施形態では、平面体は実質的に円形である。
【0021】
平面体には、その円周に浅いノッチまたは凹部が設けられてもよく、オプション的に、それぞれの細長いくぼんだ凹部の外端部とそれぞれ整列される。
【0022】
したがって、ツールによって軟化したセメントは、平面体の遠位側から近位側へとより容易に通過することができる。
【0023】
この態様の代替実施形態では、平面体は円形ではなく、第1の方向に直交する第2の方向よりも、第1の方向にさらに外側に延びる。
【0024】
オプション的に、前記第2の方向における平面体の範囲は、導波管手段の直径に実質的に対応してもよい。
【0025】
次いで、平面体のより狭い端部を使用して、セメント、特に骨空洞の内壁を裏打ちするセメントに狭い溝を形成することができる。
【0026】
これらの実施形態では、ツールには、第1の平面体に近位の点における導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる第2の平面体がさらに設けられ、前記第1および第2の平面体は、実質的に同一の形状、サイズ、および整列を有するが、平面体のより遠位のみが、その遠位面上に凹部を有する。
【0027】
本発明の第2の態様にしたがうと、ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールが提供され、導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、細長い導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の近位面は、複数のくぼんだ凹部を備え、それぞれは、ねじれモード超音波振動を、前記近位面と接触するセメントのような材料に集中させて伝えるように適合される。
【0028】
好ましい実施形態では、前記平面体は、導波管手段の長手方向軸に直交して延びる。
【0029】
また、平面体が導波管手段の遠位端に対称的に据え付けられることも好ましい。
【0030】
さらに好ましくは、平面体は、導波管手段の外側にすべての側に延びる。
【0031】
好ましくは、平面体の近位面上の前記くぼんだ凹部は、細長い形状を有する。
【0032】
有利には、前記細長いくぼんだ凹部は、導波管手段との接合部から平面体の近位面にわたって外側に放射状に広がっている。
【0033】
細長いくぼんだ凹部は、有利には、それぞれの長手方向軸の周りで湾曲してもよい。
【0034】
したがって、細長いくぼんだ凹部は、平坦な本体の近位面にわたって放射状に広がるフルーティング、チャネル、スカラップ、またはスクープの形態をとることができる。
【0035】
細長いくぼんだ凹部は、導波管手段の遠位部分に沿って長手方向に延びるように、平面体の近位面から導波管手段の外面まで連続してもよい。
【0036】
この態様では、動作ヘッドの平面体は、好ましくは、平坦な遠位面を有する。
【0037】
したがって、外科用ツールは、セメントを取るまたはすくい上げるために、近くに向けられた引っ張り動作で使用されてもよい。
【0038】
本発明の第3の態様にしたがうと、ねじれモード超音波振動によって作動するように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールが提供され、導波管手段の遠位先端を備える動作ヘッドに前記超音波振動を伝えるように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、横方向に延びる遠位端面へと円錐台状に広がる導波管手段の端末伸長を備え、前記遠位端面は、複数のくぼんだ凹部を備え、それぞれは前記遠位端面と接触するセメントのような材料にねじれモード超音波振動を集中し伝えるように適合され、ここで、動作ヘッドは、端末伸長の円周から放射状に内側に延びる、および遠位端面から端末伸長に近位の導波管手段上の点に長手方向に延びる、複数のスロットを備え、前記スロットは、動作ヘッドを通して、超音波振動動作ヘッドによって軟化されたセメントの通過を可能にするように適合される。
【0039】
好ましくは、前記放射状スロットは、遠位端面の総面積のほぼ半分に等しい、遠位端面でアセスされる総表面積を有する。
【0040】
有利には、放射状スロットは、それらの近位端に向かってより浅くなっている。
【0041】
放射状スロットは、動作ヘッドを複数のローブに分割することができ、複数のローブは、導波管手段の長手方向軸および動作ヘッド上に位置付けられた中央部分によって接続される。
【0042】
動作ヘッドを3つのローブに分割する3つの放射状スロットがあってもよい。
【0043】
本発明の第4の態様にしたがうと、ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールが提供され、前記超音波振動を、導波管手段の遠位端から延びる動作ヘッドに伝達するように適合されている細長い導波管手段を備え、ここで、動作ヘッドは、動作ヘッドの遠位縁部に向かって、第1の横方向に遠位に広がり、第2の横方向に遠位に先細になり、前記遠位縁部は、導波管手段の長手方向軸に対して直交する平面内に延び、前記直交平面内で、長手方向軸の一方の側に配置された浅い円弧において湾曲し、前記円弧の曲率の中心は、円弧から長手方向軸の反対側に位置付けられる。
【0044】
したがって、円弧の曲率は、導波管の円周の曲率よりもはるかに浅い。
【0045】
好ましくは、前記遠位縁部は、遠位縁部から近くに延びる一連の丸みを帯びたノッチを備え、それらの間に一連のV字形の歯を規定する。
【0046】
前記ノッチは、有利には、ねじれモード超音波振動を動作ヘッドの遠位縁部から遠位方向に集中させて伝えるように適合される。
【0047】
動作ヘッドは、導波管手段の隣接部分とほぼ沿って延びる第1の面と、第1の面に対してある角度で遠位方向に延びて遠位テーパを形成する第2の面とを備えることができる。
【0048】
動作ヘッドの前記第2の面は、わずかに凹状の長手方向輪郭を有することができる。
【0049】
本発明の第5の態様にしたがうと、埋め込まれたセメント接合プロテーゼの除去後に骨空洞から骨セメントを除去する方法が提供され、第1の超音波振動可能外科用ツールを使用して、骨空洞の壁を裏打ちするセメントの上に複数の長手方向の溝を形成するステップと、各溝は、セメントを通って骨空洞の壁まで放射状に延び、次いで、前記溝によって横方向に境界を定めたセクションにおいてセメントを分離するように、セメントと骨空洞の壁との間で第2の超音波振動可能ツールを遠位方向に通過させるステップとを含む。
【0050】
好ましくは、方法は、第3の超音波振動可能外科用ツールを使用して、骨空洞の壁から任意の残りのセメントを削り取る工程をさらに含む。
【0051】
有利には、第1の超音波振動可能外科用ツールは、上記の第1の態様の代替実施形態に記載されるような外科用ツールを備え、第2の超音波振動可能外科用ツールは、上記の第4の態様に記載されるようなツールを備え、第3の超音波振動可能ツールは、上記の第2の態様または第1の態様の第2の実施形態のいずれかに記載されるようなツールを備える。
【0052】
本発明の第6の態様にしたがうと、埋め込まれたセメント接合プロテーゼの除去後に骨空洞に充填する骨セメントプラグを除去する方法が提供され、セメントプラグへの少なくとも1つの回転非対称平面体を備える動作ヘッドを有する第4の超音波振動可能外科用ツールを骨セメントプラグ中で駆動するステップと、隣接する骨セメントが依然として軟化されている間、少なくとも1つの平面体がバルクセメント中に横方向に通過するように前記動作ヘッドをねじるステップと、セメントが再硬化し、ツールがセメント中に固定されるまで待機するステップと、次いで、セメントプラグに力を及ぼし、それを骨空洞から一体として引き抜くようにツールを操作するステップとを含む。
【0053】
好ましくは、第4の超音波振動可能外科用ツールは、上記の第1の態様の最後の実施形態で説明したツールを含む。
【0054】
本発明の実施形態を、例として、および添付の図面の図を参照して、より具体的に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1A】
図1Aは、股関節プロテーゼが除去された、大腿骨の上部の断片の概略縦断面図である。
【
図2】
図2は、本発明を具現化する第1の外科用ツールの側面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明を具現化する第2の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明を具体化する第3の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明を具体化する第4の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明を具現化する第5の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明を具現化する第6の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明を具現化する第7の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明を具現化する第8の外科用ツールの動作ヘッドの断片の斜視図である。
【
図10E】
図10Eは、本発明を具現化する前記第8の外科用ツールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
ここで図面、特に
図1Aおよび
図1Bを参照すると、人間の大腿骨1の近位端部分が示されており、この近位端部分は、以前にトリミングされ、股関節プロテーゼが埋め込まれていた。このプロテーゼは、その後、切迫した不具合の兆候を示したか、または大腿骨1から緩み始めたので、置換プロテーゼの埋め込み前に既知の方法によって引き抜かれている。プロテーゼの除去は、大腿骨1の壁3を裏打ちするPMMAセメント2の層を残し、プロテーゼがあった場所に間隙4を残し、これは、セメントの層2への簡便なアクセスを可能にする(以下参照)。この例では、セメントのプラグ5が間隙4の遠位に位置付けられ、プロテーゼを受け入れるためにくり抜かれた大腿骨1の骨空洞の部分を、骨空洞の残りの部分およびその中の骨髄6から分離している。(他の処置では、単純なセメントプラグ5の代わりにより複雑な密閉デバイスが埋め込まれるが、これらは、除去および修正のための異なるアプローチを必要とし、ここでは網羅されない)。
【0057】
図1Aおよび
図1Bは、ここで説明するツールの使用方法の文脈において、以下でさらに参照される。ここに示された大腿骨1の壁3、セメント層2およびセメントプラグ5の比率は、明確にするために選択されたものであり、実際に見られる実際の寸法および比率を必ずしも正確に表すものではないことに留意されたい。
【0058】
図2は、本発明を具現化する第1の外科用ツール1の側面図である。これは、(ねじれモード)超音波振動源(図示せず)に接続するための接続部分12を近位端に有する、チタンの細長い導波管を備える。この例では、導波管は、細長い近位セクション13と細長い遠位セクション14とで構成され、近位セクション13の方が、直径が大きい。(導波管の近位セクション13と遠位セクション14との間の直径のステップ15のロケーションを、振動のノードにおいて、超音波振動の有意な増幅を生成するポジションに修正する。第1の動作ヘッド16は、遠位セクション14の遠位先端に据え付けられる。
【0059】
図3Aから
図3Cは、第1の動作ヘッド16をより詳細に示す。第1の動作ヘッド16は、導波管の遠位セクション14の遠位端に据え付けられた円板状本体17を備え、円板状本体17は、導波管の長手方向軸に垂直な平面内に延び、円板状本体17の中心は、前記長手方向軸上に位置付けられる。16個の同一の丸底チャネル18は、円板状本体17の遠位面にわたって外側に放射状に広がり、ほぼ円錐形の中心に位置付けられるプロング(prong)またはピーク(peak)19と遠位面の円周との間に延びる。プロング/ピーク19は、遠位面の残りの部分からわずかに盛り上がって延びる。
【0060】
第1の外科用ツール11がねじれモード超音波振動によって作動されるとき、丸底チャネル18は、振動を集中させ、第1の動作ヘッド16の遠位面と接触しているかまたは近接している材料にエネルギーを伝える。ねじれモード振動は導波管の長手方向軸線を中心とした前後のねじれ運動を含むので、この動作ヘッド16の効果はその周囲に向かってより大きくなる。
【0061】
第1の外科用ツール11は、ツール11の前方(遠位側)でPMMA骨セメントを軟化させるために使用され、それを固体セメント内に押し込むことを可能にする。軟化したセメントは、第1の動作ヘッド16の周囲を遠位面から近位面へと流れ、第1の外科用ツールが再凝固する前に第1の外科用ツールを(近くに)後退させることによって、この材料を除去することが可能であってもよい。このツール11はまた、遠位面がセメントに部分的に接触し、穴に部分的に重なる状態で、それを穴に隣接するセメントに押し込むことによって、固体セメントに形成された穴を広げるために使用されることができる。
【0062】
したがって、第1の外科用ツール11は、主に、骨1の髄腔内のインプラントのロケーション4の遠位で、セメントプラグ5を形成する固体セメントを除去する際に使用される。
【0063】
図4Aから4Cは、第2の外科用ツール21の第2の動作ヘッド26を示す。これも、導波管の遠位セクション14の遠位端に据え付けられ、導波管の長手方向軸に対して直角に延びる円板状本体27を備える。円板状本体27の中心は再び長手方向軸上に位置付けられ、中心に位置付けられる遠位プロング/ピーク29があるが、これは第1の動作ヘッド16の場合ほど顕著ではない。
【0064】
8つの第1のチャネル23および8つの第2のチャネル28は、円板状本体27の遠位面の周りに交互に配置され、それぞれは、中央プロング/ピーク29から外側に延びる。ノッチ25が、各第1のチャネル23の外側端部において円盤状本体27の円周に形成され、一方で、第2のチャネル28はそれぞれ、ノッチ25を越えて円盤状本体27の円周まで外側に延びる。これは、
図4Cに最もよく示されるように、花弁様効果を生じさせる。
【0065】
第1および第2のチャネル23、28のそれぞれは、第1の動作ヘッド16の場合と同様に、第2の動作ヘッド26の遠位面に接触しているかまたは近接している材料にねじりモード超音波振動を集中させ、同じ効果をもたらす。しかしながら、このケースでは、第2の外科用ツール21が使用されるとき、ノッチ25の存在は、第2の動作ヘッド26の近位側への軟化したセメントの流れを容易にする。
【0066】
したがって、第2の外科用ツール11は、第1の外科用ツールと同じ処置のステップに適しており、除去されたインプラントのロケーション4の遠位側で、髄腔を充填するセメントプラグ5を穿孔して、その除去を補助する。
【0067】
図5Aから5Cは、第3の外科用ツール31の第3の動作ヘッド36を示す。これらは、第1の外科用ツール11/動作ヘッド16と同様であり、同様に導波管の遠位セクション14の遠位端に位置付けられた円板状本体37を有する。中心に位置付けられたピーク/プロング19から円板状本体37の遠位面にわたって放射状に延びる16個の丸底チャネル18がある。
【0068】
しかしながら、16個の追加の丸底チャネル38は、円板状本体37の近位面にわたって、その円周と導波管との間で、ならびに導波管の遠位セクション14に沿って長手方向に短い距離で、放射状に広がっている(遠位チャネル18を近位追加チャネル38と区別するために
図5Aに破線で示す)。
【0069】
したがって、第3の外科用ツール31は、上述したように第1の外科用ツール11と同一の方法で使用することができ、またはセメントプラグ5中の穴の壁に沿って、または骨1自体の内壁3を裏打ちするセメントの層2に沿って(近くに)上方に引き出すことができ、セメントを軟化させ、それをすくい上げ、骨空洞から引き出す。
【0070】
図6Aから6Cは、第4の外科用ツール41の第4の動作ヘッド46を示す。これは、上述した第3の動作ヘッド36/第3の外科用ツール31と同様であり、導波管の遠位セクション14の遠位端に同様に位置付けられた円板状本体47を有する。円板状本体47の近位面にわたって、その円周と導波管との間で、ならびに導波管の遠位セクション14に沿って長手方向に短い距離で、放射状に広がっている、16個の丸底チャネル38がある。(再び、
図6Aに破線で示す)。
【0071】
しかしながら、第4の動作ヘッド46では、遠位面49は特徴がなく、円板状本体47の円周は遠位方向に傾斜している。
【0072】
したがって、第4の外科用ツール41は、以前に形成された穴のセメント形成壁に沿って、または骨1の内壁3を裏打ちするセメントの層2に沿って(近くに)上方に引き出され、したがって、セメントを軟化させ、軟化されたセメントをすくい上げ、それを骨空洞から引き出すことによってのみ使用するためのものである。
【0073】
図7Aから7Eは、第5の動作ヘッド56を有する第5の外科用ツール51を示す。これは、外側に延びる円盤状本体が存在しないので、上述した動作ヘッド16、26、36、46とは異なる。代わりに、導波管の遠位セクション14の末端部分57は、動作ヘッド56の遠位先端に向かって直径が徐々にわずかに増加するように形成される。(図示の例では、遠位セクション14は直径が5ミリメートルであり、末端部分57は、遠位先端において、その最も広い直径がわずか6ミリメートルである)。
【0074】
遠位先端の遠位面は、その周囲に9つのスカラップ状凹部58と、中央に位置付けられたより大きなスカラップ状凹部59とを備える。第5の動作ヘッド56は、3つの放射状スロット55によって3つの分岐またはローブに分割される。放射状スロット55は、遠位面のほぼ中心まで延び、中央のより大きなスカラップ状凹部59を3つのアームの概してY字形の特徴に縮小させ、その各アームは外側に延び、9つのスカラップ状凹部58の3つの組に接触する。放射状スロット55はまた、末端部分57を通って近くに延び、それらが進むにつれて徐々に浅くなり、最終的に、導波管の遠位セクション14に沿って短い距離で先細になる。
【0075】
スカラップ状凹部58、59はそれぞれ、遠位面と接触しているかまたは遠位面に近接している材料にねじりモード超音波振動のエネルギーを集中させて伝える。ねじれモード振動の振幅は遠位面の円周に向かって大きくなる(狭いが、そうであってもよい)ので、周囲9つのスカラップ凹部58はより大きな効果を有する。
【0076】
放射状スロット55は、超音波振動によって軟化したセメントが第5の動作ヘッド56を通ってその近位側通過することを可能にするように機能し、したがって、それらは、概して、機能において、上の第2の動作ヘッド26のノッチ25に対応し、それぞれの動作ヘッド26、56の異なる幾何学形状を可能にする。
【0077】
したがって、第5の外科用ツール51はまた、例えば、狭い穴が必要とされるときに穴を形成するために、または上述の他の外科用ツール11、21、31、41のうちの1つによって後に広げるための「パイロット穴」を作成するために、バルクセメントで駆動するための、穿孔ツールとして最も有用である。
【0078】
図8Aから8Eは、第6の動作ヘッド66を有する第6の外科用ツール61を示しており、第6の外科用ツール61は、ここに示されるものの残りとは著しく異なる。第6の動作ヘッド66は、導波管の遠位セクション14の遠位端から延びるが、上述のものとは異なり、概して扇形の形状を有する。
【0079】
第6の動作ヘッド66は、
図8Aおよび
図8Dに示されるように、その遠位縁部69まで延びるにつれて横方向に扇形に広がるが、
図8Bに示されるように、第6の動作ヘッド66は、
図8Dの方向に対して直角の方向から見たときに楔形に先細になる。
図8Bに示されるように、第6の動作ヘッド66の第1の面67は、導波管の遠位セクション14の外面と実質的に同一平面に延びるが、反対側の第2の面68は、第1の面67に向かって遠位に延びるように角度付けられ、テーパまたは楔の輪郭を生成する。第2の面68は、
図8Bおよび
図8Cで最もよく分かるように、わずかに凹状である。
【0080】
図8A、
図8Cおよび
図8Dに最もよく示されているように、第6の動作ヘッド66の遠位縁部69には、その長さに沿って一連の小さなノッチ65が設けられており、それらの間に一連のプロングまたはスパイク63を規定している。
【0081】
さらに、第6の動作ヘッド66は、その(見かけ上直線の)遠位縁部69に測定されるように実質的に一定の長さを有するが(
図8D参照)、動作ヘッド66は、遠位縁部69が、導波管の長手方向軸に平行な方向から見たときに湾曲するように輪郭を描く(
図8C参照)。この形状の機能を以下に説明するが、遠位縁部69の曲率は、大腿骨1の壁3の内部曲率と適合するように意図されていることに留意されたい。
【0082】
上述した他の動作ヘッドに関しては、ノッチ65およびプロング63は、それ自体、切断/穿孔特徴として意図されていない。代わりに、ノッチ65は、ねじれモード超音波振動を集中させ、これらを遠位縁部69の直ぐ前にそれらを伝えるように機能する。
【0083】
第6の外科用ツール61は、多くの場合、第7の外科用ツール71と併せて使用され、第7の動作ヘッド76が
図9Aから9Dに示されている。この動作ヘッドは、第3の外科用ツール31の動作ヘッドに関連する(
図4Aから4C参照)。第7の動作ヘッド76は、円板状本体を備えるよりもむしろ、2つの対向する直線側部と2つの対向する湾曲側部とを有する本体77を備え、直線側部75は、第3の動作ヘッド36の対向する側部からセグメントを切り取ることによって形成されたかのようになっている。(例えば、
図9Dを参照されたく、
図9Dは、どのように動作ヘッド76が導波管の遠位セクション24よりもわずかに幅広であるかを図示している)。遠位面では、丸底チャネル18は、プロングまたはピーク19から本体77の周囲まで外側に放射状に広がり、一方、近位面では、追加のチャネル38は、導波管と本体77の周囲との間に放射状に広がり、加えて、導波管の遠位セクションに沿って短い距離で広がる。
【0084】
動作ヘッド76はもはや完全に円形対称ではないが、ねじれモード超音波振動によって依然として安全に作動させることができ、遠位面上のチャネル18および近位面上の追加のチャネル38の両方が、振動を集中させ、隣接する材料に伝えることができる。
【0085】
同様のツールは、それらの動作ヘッドの遠位面または近位面にのみ存在するチャネル18、38を用いて製造することができるが、これらは簡潔にするために示されていない。
【0086】
第7および第6の外科用ツール71、61は、骨1の内壁3を裏打ちするセメント層2を除去するために一緒に使用されてもよい。第7の外科用ツール71は、(超音波で作動された)手術用ヘッド71の遠位面をセメント層2の上端に提示し、遠位に押してセメントを穿孔することによって、または近位面をセメント層2の下部領域に提示し、近くに引きだし、セメントをすくい取ることによって、壁3までセメント層2内に放射状に延び、セメント層2を穿孔する溝を形成するために使用される。溝の幅は、動作ヘッド76の2つの直線側部75間の間隔によって決定される。これらの溝は、好ましくは、セメント層2の長手方向に延びて生成され、セメント層を一連の垂直ストリップに分割する。
【0087】
次に、第6の外科用ツール61の遠位縁部69は、セメント層2の近位/上端において骨/セメント界面に提示され、作動され、骨1の壁3とセメント層2との間に超音波振動を下方に伝える。これにより、セメント層2が壁3から分離され、ツール61の(楔形の)動作ヘッド66を骨1の内部のさらに下方/遠位に通過させることができ、セメントのストリップ全体を壁3から一度に剥がすことができる。これは、壁3からセメント層2を除去する非常に効率的な方法である。(このセメントの完全な除去は、補綴部位が感染しているときに特に重要であることがある)。
【0088】
図10Aから10Eは、遠位部分86および近位部分96を含む第8の動作ヘッドを有する第8の外科用ツール81を示す。遠位部分86は、その近位面にわたって延びる追加のチャネル38が存在しないことを除いて、第7の動作ヘッド76(
図9Aから9D参照)と同様である。したがって、遠位部分86は、2つの湾曲した縁部および2つの平行な真っ直ぐな縁部85を有する本体87を備え、チャネル18は、周囲と中央プロング/ピーク19との間でその遠位面にわたって放射状に広がる。第8の動作ヘッドの近位部分96はまた、2つの湾曲縁部および2つの平行な直線縁部95を有する本体97を備え、直線側部95は、円形本体の対向する側部からセグメントを切り取ることによって形成されたかのようになっている。近位部分96は、遠位部分86よりもわずかに大きく(
図10Bおよび
図10C参照)、遠位部分86と整列しているが、遠位部分86とは異なり、近位部分96は、いずれの面にもチャネルまたは凹部を有していない。
【0089】
いったんセメント層2が壁3から除去されると、第8の外科用ツール81は、遠位セメントプラグ5を骨腔から引き抜くために使用される。ツール81は超音波で作動され、プラグ5まで提供され、遠位部分86の遠位面上のチャネル18は、超音波エネルギーをツール81の前方のセメントに集中させ、セメントを軟化させる。このようにして、ツール81をプラグ5のセメント内に押し込むことができる。近位部分96は、作動されるとき、集中チャネルまたは凹部が存在しなくても、隣接するセメントを軟化状態に保つのに十分である。いったん第8の動作ヘッドの両方の部分86、96がプラグ5のセメント内に十分に入ると、ツール81は、その長手方向軸の周りにほぼ直角にねじられる。これは、遠位部分86および近位部分96を軟化したセメント内で横方向に駆動し、超音波振動がオフにされてセメントが再び硬化するとき、ツール81がプラグ5内にしっかりと固定される。ツール81への衝撃エクストラクターハンマーの適用は、次いで、単一の処置ステップで骨空洞から自由にセメントプラグ5の実質的な部分または全体を破壊することができ、穿孔するおよび削り取るツールを使用して段階的にプラグ5のセメントを除去することと比較して、多くの時間および労力を節約する。
【0090】
上述したツール11、21、31、41、51、61、71、81の一部または全部を含み、必要に応じてねじりモード超音波振動源に動作可能に接続されたツールのキットは、したがって、関節プロテーゼの修正中に髄内PMMAセメントを除去するために使用することができ、従来のシステムよりも効果的かつ効率的である。
【0091】
例示的な方法は、以下のように進む。大腿骨からインプラントを除去した後、大腿骨の近位端から処置を開始する。髄腔の壁を裏打ちするセメントの円筒形シェルは、(
図9Aから9Dの第7のツール71のような)溝形成ツールを使用して長手方向に分割することによってアプローチされる。この器具は、セメントシェルにスロットを生成し、セメントが骨の骨内膜表面から引き離され/剥離されることを可能にする。好ましくは、このようにして、大腿骨の近位端から遠位端に向かって延びる複数のスロットが形成される。セメントシェルをセグメント化したら、(
図7Aから7Eの第6のツール61のような)扇形ツールを骨セメント界面に挿入し、セメントシェルのセグメント全体を骨から分離するために使用することができる。
【0092】
セメントシェルを完全に除去し、遠位セメントプラグを完全に露出させるのに十分にこれらのステップが反復されると、これは、穿孔器およびスクレーパツールの反復適用によって、または(
図9Aから9Eに示される)第8のツール81のようなツールをプラグ内に埋め込み、これを使用してプラグを引き抜くすることによって、除去されることができる。記載した穿孔機およびスクレーパツールに関して、このツールは、ねじれモード超音波エネルギーの高い局所的な集中を生成するスカラップ状の特徴をその遠位面上に有し、ツールの前方およびツールに隣接してセメントを急速に軟化させ、そのヘッドがプラグ内に深く埋め込まれ、セメントの塊内に90°回転されることを可能にする。次いで、セメントは、ツールがしっかりと埋め込まれたまま、生理食塩水で洗浄することによって冷却されることができ;超音波源からのその近位端における分離およびスラップハンマーのような器具の接続は、プラグが、慣性衝撃手段によって髄腔から自由に破壊されることを可能にできる。しかしながら、穿孔器およびスクレーパツールを使用してプラグを漸増的に除去する代替アプローチは、あまり外傷的ではない可能性が高く、したがって、外科医は、特定の患者に対してどのアプローチが最良であるかの彼または彼女の判断に応じて、全てのツールが利用可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、細長い導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の近位面には、複数のくぼんだ凹部が設けられ、各前記凹部は、ねじれモード超音波振動を、前記近位面と接触する骨セメントのような材料に集中させて伝えるように適合される、外科用ツール。
【請求項2】
前記平面体は、前記導波管手段の長手方向軸に対して直交して延びる、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項3】
前記平面体の前記近位面上の前記くぼんだ凹部は、細長い形状を有する、請求項1または2に記載の外科用ツール。
【請求項4】
前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段との接合部から前記平面体の前記近位面にわたって外側に放射状に広がっている、請求項3に記載の外科用ツール。
【請求項5】
前記細長いくぼんだ凹部は、それらのそれぞれの長手方向軸の周りで湾曲しており、例えば部分円筒形状を有する、請求項3または4に記載の外科用ツール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
セメントシェルを完全に除去し、遠位セメントプラグを完全に露出させるのに十分にこれらのステップが反復されると、これは、穿孔器およびスクレーパツールの反復適用によって、または(
図9Aから9Eに示される)第8のツール81のようなツールをプラグ内に埋め込み、これを使用してプラグを引き抜くすることによって、除去されることができる。記載した穿孔機およびスクレーパツールに関して、このツールは、ねじれモード超音波エネルギーの高い局所的な集中を生成するスカラップ状の特徴をその遠位面上に有し、ツールの前方およびツールに隣接してセメントを急速に軟化させ、そのヘッドがプラグ内に深く埋め込まれ、セメントの塊内に90°回転されることを可能にする。次いで、セメントは、ツールがしっかりと埋め込まれたまま、生理食塩水で洗浄することによって冷却されることができ;超音波源からのその近位端における分離およびスラップハンマーのような器具の接続は、プラグが、慣性衝撃手段によって髄腔から自由に破壊されることを可能にできる。しかしながら、穿孔器およびスクレーパツールを使用してプラグを漸増的に除去する代替アプローチは、あまり外傷的ではない可能性が高く、したがって、外科医は、特定の患者に対してどのアプローチが最良であるかの彼または彼女の判断に応じて、全てのツールが利用可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、前記細長い導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の遠位面には、複数のくぼんだ凹部が設けられ、各前記凹部は、ねじれモード超音波振動を、前記遠位面と接触する骨セメントのような材料中に集中させて伝えるように適合されている、外科用ツール。
[2] 前記平面体は、前記導波管手段の長手方向軸線に対して直交して延びる、[1]に記載の外科用ツール。
[3] 前記平面体は、そのすべての側について前記導波管手段から外側に延びる、[1]または[2]に記載の外科用ツール。
[4] 前記くぼんだ凹部は細長い形状を有する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の外科用ツール。
[5] 前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段の長手方向軸線に沿って位置付けられた点から前記平面体の遠位面にわたって外側に放射状に広がる、[4]に記載の外科用ツール。
[6] 前記細長いくぼんだ凹部は、それぞれの長手方向軸線の周囲で湾曲しており、例えば部分円筒形の輪郭を有している、[4]または[5]に記載の外科用ツール。
[7] 前記平面体の前記遠位面には、前記導波管手段の前記長手方向軸に沿って位置付けられた遠位突出部が設けられている、[1]から[6]のいずれか一項に記載の外科用ツール。
[8] 前記平面体の近位面にも複数のくぼんだ凹部が設けられ、それぞれの前記凹部は、ねじりモード超音波振動を前記近位面と接触する骨セメントのような材料に集中させて伝えるように適合されている、[1]から[7]のいずれか一項に記載の外科用ツール。
[9] 前記平面体の前記近位面上の前記くぼんだ凹部は細長い、[8]に記載の外科用ツール。
[10] 前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段との接合部から前記平面体の前記近位面にわたって外側に放射状に広がっている、[9]に記載の外科用ツール。
[11] 前記平面体は、実質的に円形である、[1]から[10]のいずれか一項に記載の外科用ツール。
[12] 前記平面体には、その円周に配置された複数の浅いノッチまたは凹部が設けられる、[1]から[11]のいずれか一項に記載の外科用ツール。
[13] 前記平面体が非円形であり、第1の方向に直交する第2の外方向に延びるよりも、前記導波管手段から前記第1の方向にさらに外側に延びる、[1]から[10]のいずれか一項に記載の外科用ツール。
[14] 前記第2の外方向における前記平面体の範囲は、前記導波管手段の直径に実質的に対応する、[13]に記載の外科用ツール。
[15] 前記ツールには、第1の平面体に近位の前記導波管手段上の点から前記導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる第2の平面体がさらに設けられ、前記第1および第2の平面体は、実質的に同一の形状、サイズ、および整列を有するが、前記第1の平面体のみが、その遠位面上に前記くぼんだ凹部を有する、1から14のいずれか1項に記載の外科用ツール。
[16] ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位端に隣接して据え付けられた動作ヘッドに前記超音波振動を伝達するように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、細長い導波管手段の長手方向軸に対して横方向に延びる平面体を備え、前記平面体の近位面には、複数のくぼんだ凹部が設けられ、各前記凹部は、ねじれモード超音波振動を、前記近位面と接触する骨セメントのような材料に集中させて伝えるように適合される、外科用ツール。
[17] 前記平面体は、前記導波管手段の長手方向軸に対して直交して延びる、[16]に記載の外科用ツール。
[18] 前記平面体の前記近位面上の前記くぼんだ凹部は、細長い形状を有する、[16]または[17]に記載の外科用ツール。
[19] 前記細長いくぼんだ凹部は、前記導波管手段との接合部から前記平面体の前記近位面にわたって外側に放射状に広がっている、[18]に記載の外科用ツール。
[20] 前記細長いくぼんだ凹部は、それらのそれぞれの長手方向軸の周りで湾曲しており、例えば部分円筒形状を有する、[18]または[19]に記載の外科用ツール。
[21] ねじれモード超音波振動によって作動するように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
導波管手段の遠位先端を備える動作ヘッドに前記超音波振動を伝えるように適合された細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、横方向に延びる遠位端面へと円錐台状に広がる前記導波管手段の端末伸長を備え、前記遠位端面は、複数のくぼんだ凹部を備え、各前記凹部は前記遠位端面と接触する骨セメントのような材料にねじれモード超音波振動を集中し伝えるように適合され、ここで、前記動作ヘッドは、前記端末伸長の円周から放射状に内側に延びる、および前記遠位端面からに前記端末伸長に近位の前記導波管手段上の点に長手方向に延びる、複数のスロットをさらに備え、前記スロットは、前期動作ヘッドを通して、前記動作ヘッドの作用によって軟化された骨セメントの通過を可能にするように適合される、外科用ツール。
[22] 放射状スロットは、前記遠位端面の全表面積のほぼ半分に等しい、前記遠位端面と接触する全表面積を有する、[21]に記載の外科用ツール。
[23] ねじれモード超音波振動によって作動されるように適合された、人工関節再置換術において使用するための外科用ツールであって、
前記超音波振動を、導波管手段の遠位端から延びる動作ヘッドに伝達するように適合されている細長い導波管手段を備え、ここで、前記動作ヘッドは、前記動作ヘッドの遠位縁部に向かって、第1の横方向に遠位に広がり、第2の横方向に遠位に先細になり、前記遠位縁部は、前記導波管手段の長手方向軸に対して直交する平面内に延び、直交平面内で、前記長手方向軸の一方の側に配置された浅い円弧において湾曲し、前記浅い円弧の曲率の中心は、前記円弧自体から前記長手方向軸の反対側に位置付けられる、外科用ツール。
[24] 前記遠位縁部は、前記遠位縁部から近くに延びる一連の丸みを帯びたノッチを備え、前記ノッチ間に一連のV字形の歯を規定する、[23]に記載の外科用ツール。
[25] 埋め込まれたセメント接合プロテーゼの除去後に骨空洞から骨セメントを除去する方法であって、
第1の超音波振動可能外科用ツールを使用して、前記骨空洞の壁を裏打ちする骨セメントの中に複数の長手方向の溝を形成するステップと、各溝は、前記骨セメントを通って前記骨空洞の壁まで放射状に延び、次いで、前記溝によって横方向に境界を定めたセクションにおいて前記セメントを前記壁から分離するように、前記セメントと前記骨空洞の壁との間で第2の超音波振動可能ツールを遠位方向に通過させるステップとを含む、方法。
[26] 前記第1の超音波振動可能外科用ツールは、[13]または[14]のいずれかに記載の外科用ツールを備え、第2の超音波振動可能外科用ツールは、[23]または[24]のいずれかに記載のツールを備える、[25]に記載の方法。
[27] 埋め込まれたセメント接合プロテーゼの除去後に骨空洞に充填する骨セメントプラグを除去する方法であって、
前記骨セメントプラグへの少なくとも1つの回転非対称平面体を備える動作ヘッドを有する第4の超音波振動可能外科用ツールを骨セメントプラグ中で駆動するステップと、前記除去の結果として隣接する骨セメントは依然として軟化されている間、少なくとも1つの平面体が隣接するバルクセメント中に横方向に通過するように前記動作ヘッドをねじるステップと、セメントが再硬化し、前記ツールがセメント中に固定されるまで待機するステップと、次いで、前記セメントプラグに力を及ぼし、それを前記骨空洞から実質的に一体として引き抜くように前記ツールを操作するステップとを含む、方法。
【外国語明細書】