(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038127
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】カンナビジオール製剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20240312BHJP
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A61P 9/12 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240312BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240312BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240312BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P25/08
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A61P21/00
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A61P25/14
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A61P1/04
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A61P21/04
A61K36/185
A61K31/05
A61P43/00 121
A61P1/00
【審査請求】有
【請求項の数】43
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219428
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2020560164の分割
【原出願日】2019-04-26
(31)【優先権主張番号】1806953.4
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】319016758
【氏名又は名称】ジーダブリュー・リサーチ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ガイ
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・クナッパーツ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ホエーリー
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ウーリー-ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・ブロディ
(72)【発明者】
【氏名】カタージナ・ラッチ-ファルコン
(72)【発明者】
【氏名】アラン・サットン
(72)【発明者】
【氏名】ロイストン・グレイ
(72)【発明者】
【氏名】ロヒニ・ラジャラクスミ・ラナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カンナビジオール(CBD)を有効成分とするCBD含有治療用製剤において、純粋な合成CBDのみを含む製剤と、天然に存在するCBDを含有する製剤を提供する。
【解決手段】98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在する、植物学的由来のカンナビジオール(CBD)製剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、カンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項2】
98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、医薬としての使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項3】
98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、神経発達疾患及び状態の治療における使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項4】
98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、てんかんの治療における使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項5】
98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、統合失調症の治療における使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項6】
製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、1.5%(w/w)以下のTHCを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項7】
製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.01%~約0.1%(w/w)のTHCを含む、請求項6に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項8】
製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.02%~約0.05%(w/w)のTHCを含む、請求項6に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項9】
トランス-THC及びシス-THCの混合物が、トランス-THC:シス-THC約3.6:1の比で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項10】
トランス-THC及びシス-THCの混合物が、トランス-THC:シス-THC約0.8:1の比で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項11】
製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.1%~約0.15%(w/w)のCBD-C1を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項12】
製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.2%~約0.8%(w/w)のCBDVを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項13】
製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.3%~約0.4%(w/w)のCBD-C4を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項14】
CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種のうちの少なくとも一部が、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項15】
CBD製剤中に存在するCBDの少なくとも一部が、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項14に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項16】
CBD製剤中に存在するTHCの少なくとも一部が、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項14に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項17】
CBD製剤中に存在するCBD-C1の少なくとも一部が、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項14に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項18】
CBD製剤中に存在するCBDVの少なくとも一部が、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項14に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項19】
CBD製剤中に存在するCBD-C4の少なくとも一部が、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項14に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項20】
CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種の実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項1から19のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項21】
CBD製剤中に存在するCBDの実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項20に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項22】
CBD製剤中に存在するTHCの実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項20に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項23】
CBD製剤中に存在するCBD-C1の実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項20に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項24】
CBD製剤中に存在するCBDVの実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項20に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項25】
CBD製剤中に存在するCBD-C4の実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項20に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項26】
CBD製剤中に存在するカンナビノイドの実質的にすべてが、カンナビス属植物材料から単離されている、請求項1から25のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項27】
カンナビス属植物材料が、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、又はカンナビス・ルデラリス植物から得られる、請求項14から26のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項28】
カンナビス属植物が、高-CBD含有カンナビス属化学種である、請求項14から26のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項29】
CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種のうちの少なくとも一部が、合成にて調製されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項30】
CBD製剤中に存在するCBDの少なくとも一部が、合成にて調製されている、請求項29に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項31】
CBD製剤中に存在するTHCの少なくとも一部が、合成にて調製されている、請求項29に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項32】
CBD製剤中に存在するCBD-C1の少なくとも一部が、合成にて調製されている、請求項29に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項33】
CBD製剤中に存在するCBDVの少なくとも一部が、合成にて調製されている、請求項29に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項34】
CBD製剤中に存在するCBD-C4の少なくとも一部が、合成にて調製されている、請求項29に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項35】
CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種の実質的にすべてが、合成にて調製されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項36】
CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBDが、合成にて調製されている、請求項35に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項37】
CBD製剤中に存在する実質的にすべてのTHCが、合成にて調製されている、請求項35に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項38】
CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBD-C1が、合成にて調製されている、請求項35に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項39】
CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBDVが、合成にて調製されている、請求項35に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項40】
CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBD-C4が、合成にて調製されている、請求項35に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項41】
CBD製剤中に存在するカンナビノイドの実質的にすべてが、合成にて調製されている、請求項35に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項42】
神経変性疾患又は障害が、アルツハイマー病;パーキンソン病;本態性振戦;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;フリードライヒ運動失調症;多発性硬化症;前頭側頭葉型認知症;プリオン病;レビー小体病;進行性核上性麻痺;血管性認知症;正常圧水頭症;外傷性脊髄損傷;HIV認知症;アルコール誘発性神経毒性;ダウン症候群;中枢及び/又は末梢神経系の運動障害;運動ニューロン疾患(MND);脊髄性筋萎縮症;又は任意の他の関連する神経学的若しくは精神医学的神経変性疾患;脳損傷;脳傷害;脳機能不全;書字障害;構語障害;失行;失認;健忘症;めまい;回転性めまい;昏睡;脳卒中;脊髄損傷;脊髄傷害;脊髄障害;中枢性ニューロパチー;末梢性ニューロパチー;脳神経障害;三叉神経痛;神経系の腫瘍;脳若しくは脊髄の感染症;脳炎;髄膜炎;プリオン病;複合性局所疼痛症候群;自律神経系障害;自律神経ニューロパチー;自律神経異常症;体位性起立性頻拍症候群(POTS);神経心臓性失神(NCS);多系統萎縮症(MSA);遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー(HSAN);ホームズ・アディー症候群(HAS);睡眠障害;ナルコレプシー;疼痛;片頭痛;群発頭痛;緊張型頭痛;背部痛;腰痛;頚部痛;神経障害性疼痛;癌性疼痛;アロディニア;関節炎痛;炎症性疼痛;精神神経障害;注意欠陥多動障害;自閉症;トゥレット症候群;強迫性障害;自閉症スペクトラム症;レット症候群;脆弱X症候群;アンジェルマン症候群;多動障害;ミトコンドリア病;ジストニア;癌;脳癌;神経膠腫;乳癌;肝癌;肺癌;膵癌;メラノーマ;卵巣癌;胃癌;腎癌;膀胱癌;嗜癖;ニコチン嗜癖;喫煙;アルコール嗜癖;薬物依存;大麻使用障害;精神障害;心的外傷後ストレス障害;不安;早期精神病;統合失調症;認知障害;脳卒中;心虚血;冠動脈疾患;血栓塞栓症;心筋梗塞;虚血関連疾患;胃腸障害;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;悪心;嘔吐;嘔吐症;動揺病;化学療法剤誘発悪心;化学療法剤誘発悪心嘔吐;炎症;関節炎;関節リウマチ;変形性関節症;糖尿病;高血圧;不十分なインスリン制御;食欲抑制;食欲不振;新生児低酸素性虚血性脳症(NHIE);変性骨格筋疾患;又はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である、請求項3に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【請求項43】
てんかんが、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、ドーゼ症候群、スタージ・ウェーバー症候群、CDKL5突然変異;アイカルディ症候群;両側性多小脳回;Dup15q;SNAP25;良性ローランドてんかん;若年性ミオクローヌスてんかん;点頭てんかん(ウエスト症候群);及びランドウ・クレフナー症候群、難治性てんかん、若年性けいれん、ウエスト症候群、点頭てんかん、難治性点頭てんかん、結節性硬化症(TSC);神経形成貯蔵障害、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、バッテン病、脳異常、アトニー、特発性、欠神発作、部分発作、単純部分発作、又は複雑部分発作である、請求項4に記載のカンナビジオール(CBD)製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カンナビジオール(CBD)は、2-[(1R,6R)-3-メチル-6-(1-メチルエテニル)-2-シクロヘキセン-1-イル]-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオールと化学的に名付けられたカンナビノイドである。その実験式はC21H30O2であり、その分子量は314.46である。CBDは、カンナビス・サティバL.(Cannabis sativa L.)植物中で天然に存在するカンナビノイドである。CBDは、水に溶解せず有機溶媒に溶解する、白色から淡黄色の結晶性固形物である。
【0002】
本発明は、植物学的起源から調製されるいくつかのCBD製剤が、合成である又は他のカンナビノイドの形態の他の不純物が存在しない範囲で精製されるCBDの製剤よりも、疾患又は障害を治療する上で有効であるという驚くべき認識を包含する。
【0003】
以前のCBD組成物は、精神賦活性構成成分、例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)が、最終CBD製剤に残存しないように、調製されている。驚くべきことに、かかる不純物の非存在は、CBD治療の有効性を減じる。
【0004】
かかるCBD製剤は、これらを以前のCBD組成物と区別する化学成分及び/又は機能的特性を特徴とする。本明細書中に記載の製剤の1種又は複数の構成成分は、組み合わせて利用される場合、予想外に相乗効果を与える。
【背景技術】
【0005】
カンナビノイドは、カンナビス属植物の構成物又はカンナビノイド受容体CB1若しくはCB2の内在性アゴニスト(内在性カンナビノイド)に構造的に若しくは薬理学的に関連する天然及び合成化合物である。これらの化合物が生成される事実上唯一のやり方は、カンナビス属植物によるものである。カンナビス属は、カンナビス・サティバ種、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)種、及びカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)種(時として、カンナビス・サティバの一部として考えられる)を含む、アサ科(Cannabaceae)ファミリーにおける顕花植物の属である。
【0006】
カンナビス属植物は、化合物の非常に複雑な混合物を含む。少なくとも568個の特有の分子が、同定されている。これらの化合物の中でもとりわけ、カンナビノイド、テルペノイド、糖類、脂肪酸、フラボノイド、他の炭化水素、窒素化合物、及びアミノ酸である。
【0007】
カンナビノイドは、それだけに限らないが、アドレナリン受容体、カンナビノイド受容体(CB1及びCB2)、GPR55、GPR3、又はGPR5を含めた、様々な受容体によって、生理学的効果を発揮する。カンナビス属植物に存在する主な(principle)カンナビノイドは、少量のこれらのそれぞれの中性(脱炭酸)カンナビノイドを有する、カンナビノイド酸であるテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びカンナビジオール酸(CBDA)である。更に、カンナビス属は、より低いレベルの微量な他のカンナビノイドを含有し得る。
【0008】
CBDを含有するカンナビス属植物から得られた粗抽出物は、疾患及び障害に罹患している患者により用いられている。しかしながら、かかる粗生成物は、医薬配合物における使用に適していない。疾患又は障害を治療する上での使用のための、より一貫性のあるCBD製剤を調製するためのそれらの探求は、合成によりCBDを調製する協調努力又は植物由来のカンナビノイドから得られた、CBD以外のすべての化合物、特に、精神賦活性化合物、例えば、THCを除去する試みがなされた。
【0009】
本発明は、CBDを含む特定の製剤が、微量なカンナビノイド不純物をまったく含まないCBDの合成製剤及びより高いレベルの微量なカンナビノイド不純物を有する粗抽出物と比較して、治療有効性が改善されるという驚くべき発見を包含する。
【0010】
記載した通り、カンナビノイドは、カンナビス属植物に天然に由来し得る又は化学合成によって合成的に生成され得る、あるクラスの化合物である。
【0011】
カンナビス属によって産生される100種を超える異なるカンナビノイドが、Handbook of Cannabis、Roger Pertwee、Chapter 1、3~15頁に記載される通り、同定されている。これらのカンナビノイドは、以下の異なる群: フィトカンナビノイド;内在性カンナビノイド及び合成カンナビノイド(これらは、新規のカンナビノイドでもフィトカンナビノイドでも内在性カンナビノイドの合成により生成されたバージョンでもよい)に分類することができる。
【0012】
フィトカンナビノイドは、自然から生じる及びカンナビス属植物において見出すことができるカンナビノイドである。フィトカンナビノイドは、植物から単離して、高度に精製された抽出物を生成することができる。フィトカンナビノイドは、植物材料からカンナビノイドを抽出するために用いられる方法に応じて、中性(脱炭酸の形態)又はカルボン酸の形態として得ることができる。例えば、カルボン酸の形態を加熱すると、カルボン酸の形態の大部分を中性の形態に脱炭酸させることが知られている。フィトカンナビノイドは、植物から生成することができるにすぎないが、フィトカンナビノイドのバージョンは、化学合成により、合成的に生成することができる。
【0013】
内在性カンナビノイドは、カンナビノイド受容体、並びに(脳を含めた)哺乳動物の中枢神経系及び末梢神経系にわたって発現されるカンナビノイド受容体タンパク質に結合する内在性脂質系逆行性神経伝達物質である。内在性カンナビノイド系は、受精能、妊娠、出生前及び生後発達の間、食欲、痛覚、気分、及び記憶を含めた、様々な生理学的過程及び認知過程を調節する及びカンナビス属の薬理学的効果の媒介に関与する。
【0014】
合成カンナビノイドは、カンナビノイド様構造を有する化合物であり、植物によるものではなく、化学的手段を用いて製造される。
【0015】
いくつかのカンナビノイドは、以下により詳細に記載される。
【0016】
カンナビジオール(CBD)は、カンナビス属種、例えばアサ植物(カンナビス・サティバ)の主要なカンナビノイド構成物である。他のカンナビノイド、例えば、THCと異なり、カンナビジオールは、CB1若しくはCB2に結合しない、又は受容体へのその結合は、薬理学的効果を誘導することに関して、無視できる。したがって、カンナビジオールは、CB1若しくはCB2受容体により媒介される中枢神経系又は末梢神経系の作用を引き起こさない。CBDは、向精神の(大麻類似性の)活性がほとんど又はまったくなく、その分子構造及び特性は、他のカンナビノイドのものと実質的に異なる。
【0017】
カンナビジオール投与は、かかる治療に応答し得る様々な疾患及び障害のための代替治療を提供する試みの中で、研究の対象である。
【0018】
テトラヒドロカンナビノール(THC)は、カンナビス属の主要な精神賦活性構成物である。THCは、CB1及びCB2受容体における部分アゴニストである。合成のTHC又はドロナビノールは、AIDS患者における食欲不振並びに癌化学療法により引き起こされる悪心及び嘔吐の治療のために承認されている。THCにより引き起こされる大麻類似性の副作用には、高揚感(feeling high)、悪心、嘔吐、不安、うつ状態及び脱力感が含まれる。
【0019】
カンナビス・サティバにおいて同定された100種を超える天然のカンナビノイドの中でも、7種は、CBD-型化合物として分類されており、これらのカンナビノイドは、CBDと同じ絶対配置である。これらは、CBD、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビジバリン酸(CBDVA)、カンナビジオール-C1(CBD-C1)、カンナビジオール-C4(CBD-C4)及びカンナビジオールモノメチルエーテル(CBDM)である。
【0020】
カンナビジオール酸(CBDA)は、CBDが、カンナビス属植物中に存在する主な形態である。これは、脱炭酸後に、CBDに変換される。
【0021】
カンナビジオルコル(cannabidiorcol)としても知られるカンナビジオール-C1(CBD-C1)は、4つのメチレン架橋により短縮された側鎖を有する、CBDの相同体である。CBD-C1は、微量な含量でCBDを産生する植物中に天然に生じる。
【0022】
カンナビジバリン(CBDV)は、2つのメチレン架橋により短縮された側鎖を有する、CBDの相同体である。CBDVは、非精神賦活性カンナビノイドであり、てんかんのマウスモデルにおいて、抗痙攣活性を有することが示されている。
【0023】
ノル-カンナビジオール(nor-cannabidiol)としても知られるカンナビジオール-C4(CBD-C4)は、1つのメチレン架橋により短縮された側鎖を有する、CBDの相同体である。CBD-C4は、微量な含量でCBDを産生する植物中に天然に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Handbook of Cannabis、Roger Pertwee、Chapter 1、3~15頁
【非特許文献2】「Chemical composition、pharmacological profiling、and complete physiological effects of these medicinal plants、and more importantly the extracts from cannabis、remain to be fully understood.」Lewis、M.M.ら、ACS Omega、2巻、6091~6103(2017年)
【非特許文献3】the Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、August 2000、US Department of Health and Human Services、Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、微量のカンナビノイドCBD-C1、CBDV、CBD-C4及びTHCを含む、植物学的由来の精製されたCBD製剤が、微量のカンナビノイドを含まない合成CBDよりも有効性が高いことを実証する。これらのデータは、植物学的由来の精製されたCBD製剤及び合成製剤内のCBDの濃度が同じであるという事実を特に考慮すると、とりわけ驚くべきことである。本発明は、植物学的由来の精製されたCBDと合成CBDの物理化学的特性の差を更に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の第1の態様によれば、98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、カンナビジオール(CBD)製剤が提供される。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、医薬としての使用のためのカンナビジオール(CBD)製剤が提供される。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、神経発達疾患及び状態の治療における使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤が提供される。
【0030】
本発明の第4の態様によれば、98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、てんかんの治療における使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤が提供される。
【0031】
本発明の第5の態様によれば、98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含み、2%(w/w)以下の他のカンナビノイドが、カンナビノイドのテトラヒドロカンナビノール(THC);カンナビジオール-C1(CBD-C1);カンナビジバリン(CBDV);及びカンナビジオール-C4(CBD-C4)を含み、THCが、トランス-THC及びシス-THCの混合物として存在することを特徴とする、統合失調症の治療における使用のための、カンナビジオール(CBD)製剤が提供される。
【0032】
好ましくは、本製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、1.5%(w/w)以下のTHCを含む。より好ましくは、本製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.01%~約0.1%(w/w)のTHCを含む。更により好ましくは、本製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.02%~約0.05%(w/w)のTHCを含む。
【0033】
本発明の一実施形態では、トランス-THC及びシス-THCの混合物は、トランス-THC:シス-THC約3.6:1の比で存在する。本発明の更なる実施形態では、トランス-THC及びシス-THCの混合物は、トランス-THC:シス-THC約0.8:1の比で存在する。
【0034】
好ましくは、本製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.1%~約0.15%(w/w)のCBD-C1を含む。
【0035】
好ましくは、本製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.2%~約0.8%(w/w)のCBDVを含む。
【0036】
好ましくは、本製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.3%~約0.4%(w/w)のCBD-C4を含む。
【0037】
一実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種のうちの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0038】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBDの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0039】
好ましくは、CBD製剤中に存在するTHCの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0040】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBD-C1の少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0041】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBDVの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0042】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBD-C4の少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種の実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0044】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBDの実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0045】
好ましくは、CBD製剤中に存在するTHCの実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0046】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBD-C1の実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0047】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBDVのすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0048】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBD-C4のすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0049】
本発明の更なる実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドの実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。
【0050】
好ましくは、カンナビス属植物材料は、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、又はカンナビス・ルデラリス植物から得られる。
【0051】
好ましくは、カンナビス属植物は、高-CBD含有カンナビス属化学種である。
【0052】
本発明の更なる実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種のうちの少なくとも一部は、合成にて調製されている。
【0053】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBDの少なくとも一部は、合成にて調製されている。
【0054】
好ましくは、CBD製剤中に存在するTHCの少なくとも一部は、合成にて調製されている。
【0055】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBD-C1の少なくとも一部は、合成にて調製されている。
【0056】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBDVの少なくとも一部は、合成にて調製されている。
【0057】
好ましくは、CBD製剤中に存在するCBD-C4のうちの少なくとも一部は、合成にて調製されている。
【0058】
本発明の更なる実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種の実質的にすべては、合成にて調製されている。
【0059】
好ましくは、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBDは、合成にて調製されている。
【0060】
好ましくは、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのTHCは、合成にて調製されている。
【0061】
好ましくは、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBD-C1は、合成にて調製されている。
【0062】
好ましくは、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBDVは、合成にて調製されている。
【0063】
好ましくは、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBD-C4は、合成にて調製されている。
【0064】
好ましくは、CBD製剤中に存在するカンナビノイドの実質的にすべては、合成にて調製されている。
【0065】
本発明の更なる実施形態では、神経変性疾患又は障害は、アルツハイマー病;パーキンソン病;本態性振戦;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;フリードライヒ運動失調症;多発性硬化症;前頭側頭葉型認知症;プリオン病;レビー小体病;進行性核上性麻痺;血管性認知症;正常圧水頭症;外傷性脊髄損傷;HIV認知症;アルコール誘発性神経毒性;ダウン症候群;中枢及び/又は末梢神経系の運動障害;運動ニューロン疾患(MND);脊髄性筋萎縮症;又は任意の他の関連する神経学的若しくは精神医学的神経変性疾患;脳損傷;脳傷害;脳機能不全;書字障害;構語障害(dysarthria);失行;失認;健忘症;めまい;回転性めまい;昏睡;脳卒中;脊髄損傷;脊髄傷害;脊髄障害;中枢性ニューロパチー(central neuropathy);末梢性ニューロパチー;脳神経障害;三叉神経痛;神経系の腫瘍;脳若しくは脊髄の感染症;脳炎;髄膜炎;プリオン病;複合性局所疼痛症候群;自律神経系障害;自律神経ニューロパチー;自律神経異常症;体位性起立性頻拍症候群(POTS);神経心臓性失神(NCS);多系統萎縮症(MSA);遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー(HSAN);ホームズ・アディー症候群(HAS);睡眠障害;ナルコレプシー;疼痛;片頭痛;群発頭痛;緊張型頭痛;背部痛;腰痛;頚部痛;神経障害性疼痛;癌性疼痛;アロディニア;関節炎痛;炎症性疼痛;精神神経障害;注意欠陥多動障害;自閉症;トゥレット症候群;強迫性障害;自閉症スペクトラム症;レット症候群;脆弱X症候群;アンジェルマン症候群;多動障害;ミトコンドリア病;ジストニア;癌;脳癌;神経膠腫;乳癌;肝癌;肺癌;膵癌;メラノーマ;卵巣癌;胃癌;腎癌;膀胱癌;嗜癖;ニコチン嗜癖;喫煙;アルコール嗜癖;薬物依存;大麻使用障害;精神障害;心的外傷後ストレス障害;不安;早期精神病;統合失調症;認知障害;脳卒中;心虚血;冠動脈疾患;血栓塞栓症;心筋梗塞;虚血関連疾患;胃腸障害;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;悪心;嘔吐;嘔吐症;動揺病;化学療法剤誘発悪心;化学療法剤誘発悪心嘔吐;炎症;関節炎;関節リウマチ;変形性関節症;糖尿病;高血圧;不十分なインスリン制御;食欲抑制;食欲不振;新生児低酸素性虚血性脳症(NHIE);変性骨格筋疾患;又はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である。
【0066】
本発明の更なる実施形態では、てんかんは、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、ドーゼ症候群、スタージ・ウェーバー症候群、CDKL5突然変異;アイカルディ症候群;両側性多小脳回;Dup15q;SNAP25;良性ローランドてんかん;若年性ミオクローヌスてんかん;点頭てんかん(ウエスト症候群);及びランドウ・クレフナー症候群、難治性てんかん、若年性けいれん、ウエスト症候群、点頭てんかん、難治性点頭てんかん、結節性硬化症(TSC);神経形成貯蔵障害、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、バッテン病、脳異常、アトニー、特発性、欠神発作、部分発作、単純部分発作、又は複雑部分発作である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】カンナビノイド産生の生合成経路を示す図である。
【
図2】テトラヒドロカンナビノール(THC)の異なるキラル形を示す図である。
【
図3】植物学的由来の精製されたCBD製剤におけるカンナビノイドの痕跡レベルを詳述するUPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図4】高-CBD植物から単離されたシス-THCの質量スペクトルを示す図である。
【
図5】トランス-THC(上図)及びシス-THC(下図)の保持時間を示すHPLC/DADの痕跡を示す図である。
【
図6】処理段階中のCBD材料におけるトランス-THCからシス-THCのスピアマンの順位プロットを示す図である。
【
図7】植物学的由来の精製されたCBD製剤中に存在するシス-THCの立体異性の形態の決定を示す図である。
【
図8】植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDのHPLC比較を示す図である。
【
図9】230nmから400又は440nmで固定された蛍光波長を下回る励起スキャンを代表する、100mMにおける植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの自己蛍光スペクトルを示す図である。
【
図10】植物学的由来の精製されたCBDの場合326/370nm及び合成CBDの場合328/334/344nmで固定した励起波長を超える800nmまでの放射スキャンを代表する、100mMにおける、植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの自己蛍光スペクトルを示す図である。
【
図11】230nmから400又は440nmで固定された蛍光波長を下回る励起スキャンを代表する、100mMにおける植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの自己蛍光スペクトルを示す図である。
【
図12】植物学的由来の精製されたCBDの場合326/370nm及び合成CBDの場合326/340nmで固定した励起波長を超える800nmまでの放射スキャンを代表する、100mMにおける、植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの自己蛍光スペクトルを示す図である。
【
図13】実験1 - CBDの対数用量対MES試験における抗痙攣活性を示すS字曲線を示す図である。
【
図14】実験2 - CBDの対数用量対MES試験における抗痙攣活性を示すS字曲線を示す図である。
【
図15】植物学的由来の精製されたCBDで治療したラットにおける新奇の探索時間対馴染みの探索時間を示す図である。
【
図16】合成CBDで治療したラットにおける新奇の探索時間対馴染みの探索時間を示す図である。
【
図17】10及び20%(w/w)でTHCを補充した植物学的由来の精製されたCBDで治療したラットにおける新奇の探索時間対馴染みの探索時間を示す図である。
【
図18】10及び20%(w/w)でTHCを補充した、植物学的由来の精製されたCBDで治療したラットにおける識別インデックスを示す図である。
【
図19】10及び20%(w/w)でTHCを補充した、植物学的由来の精製されたCBDで治療したラットにおける、直線の交差(line crossing)の数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
定義
本出願では、別段文脈から明らかでない限り、(i)用語「a」は、「少なくとも1つ」を意味することを理解することができ;(ii)用語「又は」は、「及び/又は」を意味することを理解することができ;(iii)用語「含む(comprising)」及び「含まれる(including)」は、それそのものを示すか1種若しくは複数の追加の構成成分又は工程と一緒に示すか、箇条書きにした構成成分又は工程を包含することを理解することができ;(iv)用語「約」及び「およそ」は、当業者により理解されるはずである標準の変動を可能にすることを理解することができ;(v)範囲が示される場合、エンドポイントが含まれる。
【0069】
約又はおよそ:用語「約」又は「およそ」とは、目的とする1つ又は複数の値に適用される通り、所定の参照値と類似する値を意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」又は「およそ」とは、別段文脈から示されない限り又は文脈から明白でない限り、所定の参照値のいずれかの方向(を超える又は未満である)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下に属する値の範囲を意味する。
【0070】
投与:本明細書では、用語「投与」とは、一般的に、対象又は系への組成物の投与を意味する。当業者は、適切な状況において、対象、例えば、ヒトへの投与に利用することができる様々な経路を知っている。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、眼球、経口、非経口、局所等であり得る。いくつかの詳細な実施形態では、投与は、気管支(例えば、気管支滴下注入による)、口腔、皮膚(例えば、真皮、皮内、皮間(interdermal)、経皮等への局所のうちの1種又は複数であり得る又はそれらを含む)、経腸、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、くも膜下腔内、静脈内、脳室内、ある特定の臓器内(例えば、肝内)、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内注入により)、腟内、硝子体等であり得る。いくつかの実施形態では、投与は、間欠の(例えば、時間内に分けられた複数の投与量)及び/又は定期的な(例えば、一般的な期間により分けられた個別の投与量)投薬である投薬を含むことができる。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1回の選択された期間中の継続投薬(例えば、灌流)を含むことができる。
【0071】
薬剤:一般に、用語「薬剤」とは、本明細書では、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、又はその組合せ若しくは複合体を含めた、任意の化学クラスの化合物又は実体を意味するために用いることができる。適切な状況において、当業者には文脈から明らかである通り、用語は、細胞又は生物、又は画分、抽出物、又はその構成成分である又はそれらを含む実体を意味するために利用することができる。或いは、又は更に、文脈によって明らかになる通り、用語は、天然物を意味するために用いることができる、すなわち、用語は、自然から見出される且つ/又は自然から得られる。いくつかの場合では、再び文脈から明らかである通り、用語は、人工である、すなわち、人間の手による操作によって設計される、作製される、及び/又は生成される及び/又は自然で見出されない、1種若しくは複数の実体を意味するために用いることができる。いくつかの実施形態では、薬剤は、単離された又は純粋な形態で利用することができ;いくつかの実施形態では、薬剤は、未精製の形態で利用することができる。いくつかの実施形態では、可能性がある薬剤は、例えば、その範囲内で有効な薬剤を同定する若しくは特徴付けるためにスクリーニングすることができる収集物又はライブラリとして提供することができる。いくつかの場合では、用語「薬剤」とは、ポリマーである若しくはポリマーを含む化合物又は実体を意味することができ;いくつかの場合では、用語は、1種若しくは複数のポリマー部分を含む化合物又は実体を意味することができる。いくつかの実施形態では、用語「薬剤」とは、ポリマーでない及び/又はいかなるポリマー及び/又は1種若しくは複数の特定のポリマー部分が実質的にない化合物又は実体を意味することができる。いくつかの実施形態では、用語は、いかなるポリマー部分も欠けている若しくはいかなるポリマー部分も実質的にない化合物又は実体を意味することができる。
【0072】
寛解:本明細書では、対象の状態の予防、軽減若しくは緩和、又は対象の状態の改善を意味する。寛解は、疾患、障害若しくは状態(例えば、放射線損傷)の完全な回復又は完全な予防を含むが、それらを要さない。
【0073】
生物活性は、本明細書では、目的とする薬剤又は実体により達成される観察可能な生物学的効果又は結果を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、ある特定の結合相互作用は、生物活性である。いくつかの実施形態では、生物学的経路又は事象の調節(例えば、誘導、増強、又は阻害)は、生物活性である。いくつかの実施形態では、生物活性の存在又は程度は、目的とする生物学的経路若しくは事象により生成される直接的な又は間接的な生成物の検出によって評価される。
【0074】
癌:用語「癌」、「悪性」、「新生物」、「腫瘍」、及び「がん」は、細胞増殖の制御の有意な喪失によって特徴付けられる異常な増殖表現型を示すように、相対的に異常な、制御の効かない、及び/又は自律的増殖を示す細胞を意味するために本明細書中で用いられる。いくつかの実施形態では、腫瘍は、前癌性(例えば、良性)、悪性、前転移、転移性、及び/又は非転移性である細胞であり得る又はそれらを含み得る。本開示は、その教示が、特に関連し得るある種の癌を特に同定する。いくつかの実施形態では、関連する癌は、固形腫瘍を特徴とし得る。いくつかの実施形態では、関連する癌は、血液腫瘍を特徴とし得る。一般に、当技術分野で公知の異なるタイプの癌の例には、例えば、白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、骨髄腫及び骨髄増殖性疾患を含めた造血器癌;肉腫、メラノーマ、腺腫、固形組織のがん、口、咽喉、喉頭、及び肺の扁平細胞がん、肝癌、泌尿生殖器癌、例えば、前立腺、子宮頚部、膀胱、子宮、及び子宮内膜癌並びに腎細胞がん、骨癌、膵癌、皮膚癌、皮膚若しくは眼球内メラノーマ、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、頭頚部癌、乳癌、胃腸癌及び神経系癌、良性病変、例えば、乳頭腫の良性病変等が含まれる。
【0075】
担体は、本明細書では、賦形剤、アジュバント、添加剤、又はビヒクルを意味し、これと共に、組成物は投与される。いくつかの例示的な実施形態では、担体は、無菌の液体、例えば、水及び石油、動物、野菜又は合成の起源の油を含めた、油等、例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等を含むことができる。いくつかの実施形態では、担体は、1種若しくは複数の固体構成成分である又はそれらを含む。
【0076】
比較できる:本明細書では、用語「比較できる」とは、互いに同一でないことがあるが、当業者が、観察される差異又は類似性に基づいて、結論を合理的に出すことができるように、その間で比較が可能なほど十分に類似している、2種以上の薬剤、実体、状況、状態のセット等を意味する。いくつかの実施形態では、比較できる状態のセット、状況、個体、又は母集団は、複数の実質的に同一の特徴及び1つ又は少数の様々な特徴により特徴付けられる。当業者は、文脈中で、比較できることを考慮するために、同一性の程度が、2種以上のかかる薬剤、実体、状況、状態のセット等についての任意の所与の状況で何が必要であるかを理解している。例えば、当業者は、状況のセット、個体、又は母集団が、得られた結果又は異なる状況のセット、個体、若しくは母集団の下で又はそれらと共に観察された現象の差が、変わる特徴における変動によりもたらされる又はそれらを示す妥当な結論を保証するために、実質的に同一の特徴の十分な数及びタイプにより特徴付けられる場合、互いに比較できることを理解している。
【0077】
組成物:当業者は、用語「組成物」が、1種又は複数の指定された構成成分を含む別個の物理的実体を意味するために用いることができるということを理解している。一般に、別段規定がない限り、組成物は、任意の形態のもの、例えば、気体、ゲル、液体、固体等であり得る。
【0078】
含む(Comprising):1種又は複数の名付けられた要素若しくは工程を「含む」と本明細書中に記載される組成物又は方法は、オープンエンドであり、名付けられた要素若しくは工程は、必須であるが、他の要素若しくは工程は、組成物又は方法の範囲内で加えることができることを意味する。冗長を避けるために、1種又は複数の名付けられた要素若しくは工程を「含む(comprising)(又は「含む(comprises)」)と記載された任意の組成物又は方法が、「本質的に同じ名付けられた要素若しくは工程からなっている」(又は「本質的に同じ名付けられた要素若しくは工程からなる」、対応する更に限定された組成物又は方法をやはり記載し、組成物又は方法は、名付けられた必須の要素又は工程が含まれ、組成物又は方法の基本的な及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素又は工程をやはり含むことができるということを意味することがやはり理解される。本明細書中に記載される任意の組成物又は方法が、1種若しくは複数の名付けられた要素又は工程を「含む(comprising)」又は「本質的に1種若しくは複数の名付けられた要素又は工程からなる」は、任意の他の名付けられていない要素又は工程を排除するために、名付けられた要素若しくは工程からなっている(consisting of)(又は「からなる(consists of)」)、対応する、更に限定された、及びクローズエンドの組成物又は方法をやはり記載しているということもやはり理解される。本明細書中に開示される任意の組成物又は方法では、任意の名付けられた必須の要素又は工程の公知の又は開示された相当物は、その要素又は工程について置換することができる。
【0079】
決定する:本明細書中に記載される多くの方法論には、「決定する」工程が含まれる。当業者は、本明細書を読んで、かかる「決定する」が、例えば、本明細書中で明示的に参照される特定の技術を含めて、当業者に利用可能な様々な技術のうちのいずれかの使用によって利用することができる又は達成することができるということを理解している。いくつかの実施形態では、決定するは、見本の操作を含む。いくつかの実施形態では、決定するは、例えば、関連する分析を行うために適応されるコンピュータ又は他のプロセシングユニットを利用した、データ又は情報の考慮及び/又は操作を含む。いくつかの実施形態では、決定するは、情報源から得られた関連する情報及び/又は材料を受け取ることを含む。いくつかの実施形態では、決定するは、比較できる参照と、サンプル又は実体の1つ若しくは複数の特徴を比較することを含む。
【0080】
剤形又は単位剤形:当業者は、用語「剤形」が、対象への投与のための有効な薬剤(例えば、治療薬又は診断薬)の物理的に別個の単位を意味するために用いることができるということを理解している。一般的に、それぞれのかかる単位は、有効な薬剤の予定された物質量を含有する。いくつかの実施形態では、かかる物質量は、関連する母集団に投与したとき、所望の又は有益なアウトカムと相関することが決定している投薬レジメンに従って(すなわち、治療投薬レジメンに従って)、投与に適切な単位剤形量(又はその全画分)である。当業者は、ある特定の対象に投与される治療用組成物又は治療薬の総質量が、1名又は複数名の担当医により決定され、複数の剤形の投与を含むことができるということを理解している。
【0081】
投薬レジメン:当業者は、用語「投薬レジメン」が、対象に個別に投与され、一般的に、期間により分離される1組の単位投与量(一般的に、2種以上)を意味するために用いることができるということを理解している。いくつかの実施形態では、所与の治療薬は、推奨される投薬レジメンを有し、これは、1回又は複数回の投与量を含み得る。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、複数の投与量を含み、そのそれぞれは、他の投与量から時間で分けられる。いくつかの実施形態では、個別の投与量は、同じ長さの期間により、互いに分けられ;いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、複数の投与量及び個別の投与量を分けられる少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンの範囲内のすべての投与量は、同じ単位用量のものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメンの範囲内の異なる投与量は、異なる量のものである。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の投与量中の第1の投与量を含み、その後、第1の投与量と異なる第2の投与量中の1回又は複数回の更なる投与量を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、第1の投与量中の第1の投与量を含み、その後、第1の投与量と同じ第2の投与量中の1回又は複数回の更なる投与量を含む。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、関連する母集団にわたって投与する(すなわち、治療投薬レジメンである)場合、所望の又は有益なアウトカムと相関する。
【0082】
添加剤:本明細書では、例えば、所望の稠度若しくは安定化効果を提供する又はそれらに寄与する、医薬組成物中に含むことができる非治療薬を意味する。適した医薬品添加剤には、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。
【0083】
改善する、増加する、阻害する又は軽減する:本明細書では、これらの用語、又は文法的に比較できる比較用語は、比較できる参照測定に関連がある値を示す。例えば、いくつかの実施形態では、目的とする薬剤により達成される評価される値は、比較できる参照薬剤で得られたものと関連して、「改善する」ことができる。或いは又は更に、いくつかの実施形態では、目的とする対象若しくは系において達成される評価される値は、異なる条件下で(例えば、事象の前又は事象の後、例えば、目的とする薬剤の投与の前又はその後)、又は異なる、比較できる対象において(例えば、目的とする、ある特定の疾患、障害若しくは状態の1つ又は複数の指標の存在下で、又は条件又は薬剤への事前の曝露において、目的とする対象若しくは系と異なる比較できる対象又は系において等)、同じ対象又は系において得られたものと関連して、「改善する」ことができる。いくつかの実施形態では、比較用語は、統計的に関連する差(例えば、これは、統計的関連性に達するのに十分な有病率及び/又は大きさのものである)を意味する。当業者は、所与の文脈中で、かかる統計的有意性に達することを必要とする又はかかる統計的有意性に達するのに十分である差の程度及び/又は有病率を決定することを知っている、又は決定することが容易に可能である。
【0084】
In vitro:本明細書では、用語「in vitro」とは、多細胞生物内ではなく、人工環境において、例えば、試験管又は反応槽中で、細胞培養において生じる事象を意味する。
【0085】
In vivo:本明細書では、多細胞生物、例えば、ヒト及び非ヒト動物内で生じる事象を意味する。細胞ベースの系の文脈中で、用語は、(例えば、in vitro系と対照的に)生細胞内で生じる事象を意味するために用いることができる。
【0086】
単離する:本明細書では、(1)初期に生成された場合(自然で及び/又は実験の設定で)関連した構成成分のうちの少なくともいくつかから分離されている、且つ/又は(2)人間の手により設計されている、生成されている、調製されている、及び/又は製造されている物質及び/又は実体を意味する。いくつかの実施形態では、単離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超純粋である。本明細書では、他の構成成分が実質的にない場合、物質は、「純粋」である。
【0087】
異性体:当技術分野で公知の通り、多くの化学実体(特に、多くの有機分子及び/又は多くの小分子)は、様々な構造(例えば、幾何/立体配座)及び/又は光学異性体の形態で存在することができる。例えば、任意の不斉中心は、R及びS立体配置で存在することができ;二重結合は、Z及びE立体配座異性体中で存在することができ、いくつかの構造要素は、2種以上の互変異性の形態等を取ることができる。いくつかの実施形態では、当業者には文脈から明らかである通り、本明細書中のある特定の化合物の構造の描写又は参照は、それらの構造及び/又は光学異性体すべてを表すことができる。いくつかの実施形態では、当業者には文脈から明らかである通り、本明細書中のある特定の化合物の構造の描写又は参照は、描写される又は参照される異性体の形態のみを包含することを意図している。いくつかの実施形態では、様々な異性体の形態で存在することができる化学実体を含めた組成物には、複数のかかる形態が含まれ;いくつかの実施形態では、かかる組成物には、単一の形態のみが含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、様々な光学異性体(例えば、立体異性体、ジアステレオマー等)として存在することができる化学実体を含めた組成物には、かかる光学異性体のラセミの母集団が含まれ;いくつかの実施形態では、かかる組成物には、単一の光学異性体のみが含まれる且つ/又は一緒に光学活性を保持する複数の光学異性体を含む。組成物内で2種以上の異性体が存在する場合、これらは、様々な比で混合物として存在することができる。
【0088】
混合物:語句「混合物」は、同じ組成物内で生じる2種以上の異なる化合物又は薬剤の組合せを記載している。
【0089】
部分:当業者は、「部分」が、本明細書中に記載される通り、ある特定の構造及び/又は活性を有する定義される化学基又は実体であることを理解している。
【0090】
経口:本明細書では、語句「経口投与」及び「経口投与される」は、化合物又は組成物の口による投与を参照する、これらの当技術分野で理解される意味を有する。
【0091】
非経口:本明細書では、語句「非経口投与」及び「非経口投与される」は、通常、注射による、経腸及び局所投与以外の投与のモードを参照する、当技術分野で理解される意味を有し、限定せずに、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内(intraarticulare)、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内注射並びに注入が含まれる。
【0092】
患者:本明細書では、用語「患者」とは、提供される組成物が、例えば、実験の、診断の、予防の、美容の、及び/又は治療の目的のために、投与される又は投与することができる任意の生物を意味する。代表的な患者には、動物(例えば、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類及び/又はヒト)が含まれる。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、1種若しくは複数の障害又は状態に罹患している又はそれらに感受性がある。いくつかの実施形態では、患者は、障害又は状態の1つ若しくは複数の症状を示す。いくつかの実施形態では、患者は、1種若しくは複数の障害又は状態と診断されている。いくつかの実施形態では、障害又は状態は、癌、又は1つ若しくは複数の腫瘍の存在である又はそれらが含まれる。いくつかの実施形態では、患者は、疾患、障害、又は状態を診断される及び/又はそれらを治療するために、いくつかの療法を受けている又は受けた。
【0093】
医薬組成物:本明細書では、用語「医薬組成物」とは、1種又は複数の薬学的に許容される担体と一緒に配合される有効な薬剤を意味する。いくつかの実施形態では、有効な薬剤は、関連する母集団に投与したとき、予定された治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンにおける投与に適切な単位用量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、次のもの、すなわち、経口投与、例えば、水薬(水溶液又は非水溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、口腔、舌下、及び全身性吸収を標的としたもの、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤;非経口投与、例えば、無菌液若しくは懸濁液として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内又は硬膜外注射による、又は持続放出配合物;局所適用、例えば、クリーム、軟膏剤、又は皮膚、肺、若しくは口腔に適用される制御放出パッチ又はスプレーとして等;腟内又は直腸内に、例えば、ペッサリー、クリーム、又はフォームとして;舌下に;眼球に;経皮的に;又は経鼻的に、肺、及び他の粘膜表面に適合するものを含めて、固体又は液体の形態で投与するために、特に配合することができる。
【0094】
薬学的に許容される:本明細書では、語句「薬学的に許容される」とは、過度の毒性、刺激性、アレルギー性反応及び他の問題又は妥当な利益/危険比での合併症がなく、健全な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触して用いるのに適している化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を意味する。
【0095】
薬学的に許容される担体:本明細書では、用語「薬学的に許容される担体」とは、ある臓器、又は身体の一部から、別の臓器、又は身体の一部に、対象化合物を運ぶ若しくは運搬するものである、薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクル、例えば、液体若しくは固体充てん剤、賦形剤、添加剤、又は溶媒封入材料等を意味する。各担体は、配合物の他の成分と適合性がある及び患者に傷害性でないという意味で、「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として働くことができる材料のいくつかの例には、糖類、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース等;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びバレイショデンプン;セルロース、及びそれらの誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;添加剤、例えば、カカオ脂及び坐剤ワックス;油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油等;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝化剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;及び医薬配合物に使用される他の無毒性の適合性の物質が含まれる。
【0096】
予定された:予定されたとは、例えば、無作為に生じる又は達成されるとは対照的に、意図的に選択されることを意味する。
【0097】
予防する又は予防:本明細書では、疾患、障害、及び/又は状態の発生に関連して用いられる場合、疾患、障害及び/又は状態を発症するリスクを低下させる及び/又は疾患、障害又は状態の1種若しくは複数の特徴又は症状の開始を遅延させることを意味する。予防は、疾患、障害又は状態の開始が、予め定義された期間遅延している場合、完全であると考えられ得る。
【0098】
主に存在する:本明細書では、用語「主に存在する」とは、製剤又は組成物中の実体(例えば、ある特定のカンナビノイド又はその異性体)の物質量を意味する。例えば、本製剤又は組成物中の総カンナビノイドの少なくとも約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%である場合、カンナビノイドは、主に存在し得る。
【0099】
予防:本明細書では、用語「予防」は、ある特定の疾患、障害又は状態の1つ若しくは複数の症状の開始の遅延、及び/又はそれらの頻度及び/又は重症度の低下を意味する。いくつかの実施形態では、予防は、疾患、障害又は状態の1つ若しくは複数の症状の発生、頻度、及び/又は強度の統計的に有意な減少が、疾患、障害、又は状態に感受性がある母集団において観察される場合、薬剤が、ある特定の疾患、障害又は状態を「予防する」ことが考えられるように、母集団ベースで評価される。予防は、疾患、障害又は状態の開始が、予め定義された期間遅延している場合、完全であると考えられ得る。
【0100】
純粋:本明細書では、薬剤又は実体は、他の構成成分が実質的にない場合、「純粋」である。例えば、ある特定の薬剤又は実体を約90%超で含有する製剤は、一般的に、純粋な製剤であると考えられる。いくつかの実施形態では、薬剤又は実体は、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%純粋である。
【0101】
参照:本明細書では、比較が行われるものに関連がある標準又は対照を記載している。例えば、いくつかの実施形態では、目的とする薬剤、動物、個体、母集団、サンプル、配列又は値は、参照又は対照薬剤、動物、個体、母集団、サンプル、配列又は値と比較される。いくつかの実施形態では、参照組成物は、1種又は複数の合成カンナビノイドを含むことができる。いくつかの実施形態では、参照組成物は、試験組成物と比較して、カンナビノイドの異なるタイプ、カンナビノイドの異なる異性体の形態、カンナビノイドの異なる分布、カンナビノイドの異なる含量等を含有することができる。いくつかの実施形態では、参照又は対照は、目的とする試験又は決定と実質的に同時に試験される及び/又は決定される。いくつかの実施形態では、参照又は対照は、場合によっては、実体のある培地に具現される、実績参照又は対照である。一般的に、当業者により理解されるはずである通り、参照又は対照は、比較できる条件又は状況下で、評価中のものを決定する又はそれに特徴付けられる。十分な類似性が、ある特定のあり得る参照又は対照における信頼性及び/又はある特定のあり得る参照又は対照との比較を正当化するために存在する場合、当業者は、理解している。
【0102】
応答:本明細書では、治療への応答は、治療の結果として生じる又は治療と相関する対象の状態における任意の有益な変更を意味し得る。かかる変更は、状態の安定化(例えば、治療の非存在下で起こるはずである悪化の予防)、その状態の症状の寛解、及び/又は状態の治癒の見込みの向上等を含むことができる。応答は、臨床基準及び客観的基準を含めた、広範囲な基準に従って測定することができる。応答を評価するための技術には、それだけに限らないが、臨床検査、ポジトロン断層撮影、胸部X-線CTスキャン、MRI、超音波、内視鏡検査、腹腔鏡検査、対象から得られたサンプル中の腫瘍マーカーの存在又はレベル、細胞診、及び/又は組織学的検査が含まれる。正確な応答基準は、任意の適切なやり方で選択することができ、細胞又は対象の群を比較する場合、比較されようとする群は、応答速度を決定するための同じ又は比較できる基準に基づいて評価されることが示される。当業者は、適切な基準を選択することが可能である。
【0103】
固体の形態:当技術分野で公知の通り、多くの化学実体(特に、多くの有機分子及び/又は多くの小分子)は、様々な異なる固体の形態、例えば、非晶質の形態及び/又は結晶質の形態(例えば、多形、水和物、溶媒和物等)を採用することができる。いくつかの実施形態では、かかる実体は、単一のかかる形態として(例えば、単一の多形の純粋な製剤として)利用することができる。いくつかの実施形態では、かかる実体は、かかる形態の混合物として利用することができる。
【0104】
対象:本明細書では、用語「対象」とは、生物、一般的に、(例えば、ヒト、いくつかの実施形態では、出生前のヒトの形態を含めた)哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、対象とは、任意の生物(例えば、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒト;昆虫;蠕虫等)及び植物を意味し、それに、提供される化合物又は組成物は、例えば、実験の、診断の、予防の、及び/又は治療の目的のために本開示に従って、投与される。いくつかの実施形態では、対象は、関連する疾患、障害又は状態に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態に感受性がある。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害若しくは状態の1つ又は複数の症状又は特徴を示す。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、若しくは状態のいかなる症状又は特徴をも示さない。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態に対する感受性又はリスクの1つ若しくは複数の特有の特徴を有する者である。いくつかの実施形態では、対象は、患者である。いくつかの実施形態では、対象は、診断及び/又は療法が施される及び/又は施されている個体である。
【0105】
実質的に:本明細書では、用語「実質的に」とは、目的とする特徴又は特性の完全な若しくはほぼ完全な範囲又は程度を示す定性条件を意味する。生物学分野の当業者は、生物学的及び化学的現象が、まれに、ある場合でも、完成まで進む及び/又は完全に進行する又は絶対的な結果に達する若しくはそれを回避することを理解している。従って、用語「実質的に」は、多くの生物学的及び化学的現象において固有の完全性の潜在的な欠如を捕らえるために、本明細書中で用いられる。
【0106】
に罹患している:疾患、障害、及び/又は状態「に罹患している」個体は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ又は複数の症状と診断されている及び/又はそれらを示す。
【0107】
に感受性がある:疾患、障害、及び/又は状態「に感受性がある」個体は、一般社会のメンバーよりも、疾患、障害、及び/又は状態を発症するリスクが高い個体である。いくつかの実施形態では、疾患、障害及び/又は状態に感受性がある個体は、疾患、障害、及び/又は状態と診断されていないこともある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/又は状態に感受性がある個体は、疾患、障害、及び/又は状態の症状を示すこともある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/又は状態に感受性がある個体は、疾患、障害、及び/又は状態の症状を示さないこともある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/又は状態に感受性がある個体は、疾患、障害、及び/又は状態を発症する。いくつかの実施形態では、疾患、障害、及び/又は状態に感受性がある個体は、疾患、障害、及び/又は状態を発症しない。
【0108】
症状は、軽減される:本発明によれば、ある特定の疾患、障害又は状態の1つ又は複数の症状が、大きさ(例えば、強度、重症度等)及び/又は頻度を低減される場合、「症状は軽減される」。明確にする目的のために、ある特定の症状の開始の遅延は、その症状の頻度を低減する1つの形態と考えられる。
【0109】
全身の:本明細書では、語句「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」、及び「末梢的に投与される」は、レシピエントの系に入るように、化合物又は組成物の投与を参照する、これらの当技術分野で理解される意味を有する。
【0110】
治療薬:本明細書では、語句「治療薬」とは、一般に、生物に投与される場合、所望の薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を意味する。いくつかの実施形態では、薬剤は、適切な母集団にわたって統計的に有意な効果が実証される場合、治療薬であると考えられる。いくつかの実施形態では、適切な母集団は、モデル生物の母集団であり得る。いくつかの実施形態では、適切な母集団は、様々な基準、例えば、ある年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床的状態等により定義することができる。いくつかの実施形態では、治療薬は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴を緩和する、寛解させる、軽減する、抑制する、予防する、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の開始を遅延する、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の重症度を低下させる、及び/又は疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の発生率を低下させるために用いることができる物質である。いくつかの実施形態では、「治療薬」は、ヒトへの投与のために販売することができる前に、政府機関により承認された又は承認されることを要する薬剤である。いくつかの実施形態では、「治療薬」は、処方せんが、ヒトへの投与のために必要とされる薬剤である。
【0111】
治療レジメン:「治療レジメン」とは、本用語が本明細書中で用いられる通り、関連する母集団にわたる投与が、所望の又は有益な治療のアウトカムと相関し得る投薬レジメンを意味する。
【0112】
治療有効量:本明細書では、用語「治療有効量」は、治療レジメンの一部として投与される場合、所望の効果(例えば、所望の生物学的、臨床若しくは薬理学的効果又は応答)を誘発する物質の量(例えば、治療薬、有効成分、製剤、組成物、及び/又は配合物)を意味する。いくつかの実施形態では、物質の治療有効量は、疾患、障害、及び/又は状態に罹患している若しくはそれらに感受性がある対象に投与される場合、疾患、障害、及び/又は状態を治療する、診断する、予防する、疾患、障害、及び/又は状態の重症度を低下させる、疾患、障害、及び/又は状態のうちの1つ又は複数の特徴を安定化させる及び/又は疾患、障害、及び/又は状態の開始を遅延させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、用語は、疾患、障害、及び/又は状態に罹患している及び/又は疾患、障害、及び/又は状態に感受性がある母集団の少なくとも有意な百分率(例えば、少なくとも約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又はそれ以上)で効果をもたらすの十分な量を意味する。当業者により理解される通り、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される物質、標的細胞又は組織等として、かかる因子に応じて変わり得る。例えば、疾患、障害、及び/又は状態を治療するために配合物中の化合物の有効量は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴を緩和する、寛解させる、軽減する、抑制する、予防する、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の開始を遅延させる、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の重症度を低下させる及び/又は疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の発生率を低下させる量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、単回用量で投与され;いくつかの実施形態では、複数の単位用量は、治療有効量を送達するために要する。
【0113】
治療する:本明細書では、用語「治療する」、「治療」、又は「治療している」とは、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴を部分的に若しくは完全に緩和する、寛解させる、軽減する、抑制する、予防する、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の開始を遅延させる、疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の重症度を低下させる、及び/又は疾患、障害、及び/又は状態の1つ若しくは複数の症状又は特徴の発生率を低下させるために用いられる任意の方法を意味する。いくつかの実施形態では、治療とは、ある特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ又は複数の症状、特徴、及び/又は原因を部分的に若しくは完全に緩和する、寛解させる、軽減する、抑制する、ある特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ又は複数の症状、特徴、及び/又は原因の開始を遅延させる、ある特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ又は複数の症状、特徴、及び/又は原因の重症度を低下させる、及び/又はある特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ又は複数の症状、特徴、及び/又は原因の発生率を低下させる療法の投与を意味する。治療は、疾患、障害、及び/又は状態の徴候を示さない対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、疾患、障害、及び/又は状態と関連する病態を発症するリスクを低下させる目的のために、疾患、障害、及び/又は状態の早期の徴候のみを示す対象を投与することができる。
【0114】
単位投与量:本明細書では、「単位投与量」という表現は、医薬組成物の単回用量として及び/又は医薬組成物の物理的に別個の単位で投与される量を意味する。多くの実施形態では、単位投与量は、有効な薬剤の予定された物質量を含有する。いくつかの実施形態では、単位投与量は、薬剤の単回用量全体を含有する。いくつかの実施形態では、1種を超える単位投与量は、全単回用量を達成させるために、投与される。いくつかの実施形態では、複数の単位用量の投与は、所期の効果を達成するために要する、又は所期の効果を達成するために要すると予測される。単位投与量は、例えば、1種又は複数の治療薬の予定された物質量を含有する液体(例えば、許容される担体)の体積、固体の形態における1種又は複数の治療薬の予定された量、1種又は複数の治療薬の予定された量を含有する徐放配合物又は薬物送達デバイス等であり得る。単位投与量が、治療薬の他に、様々な構成成分のうちのいずれかを含む配合物中に存在し得るということが理解される。例えば、許容される担体(例えば、薬学的に許容される担体)、賦形剤、安定剤、緩衝液、保存剤等は、以下に記載される通り、含むことができる。多くの実施形態では、これは、ある特定の治療薬の適切な1日分の合計投与量が、単位投与量の一部又は複数の単位投与量を含むことができ、例えば、健全な医学的判断の範囲内で、担当医により決定され得るということが当業者により理解される。いくつかの実施形態では、任意の特定の対象又は生物についての特定の有効な投与量レベルは、治療されている障害及び障害の重症度;使用される特定の活性化合物の活性;使用される特定の組成物;対象の年齢、体重、全般的な健康、性別及び食事;使用される特定の活性化合物の投与の時間、及び排出の速度;治療の期間;使用される特定の化合物と組み合わせて又はそれと同時に用いられる薬物及び/又は追加の療法を含めた様々な因子、並びに医学分野において周知の因子等に依存し得る。
【0115】
詳細な説明
カンナビノイドは、カンナビス属植物の構成物又はカンナビノイド受容体CB1若しくはCB2の内在性アゴニスト(内在性カンナビノイド)に構造的に若しくは薬理学的に関連する天然及び合成化合物である。これらの化合物が生成される事実上唯一のやり方は、カンナビス属植物によるものである。カンナビス属は、カンナビス・サティバ種、カンナビス・インディカ種、及びカンナビス・ルデラリス種(時として、カンナビス・サティバの一部として考えられる)を含む、アサ科ファミリーにおける顕花植物の属である。
【0116】
カンナビス属植物は、化合物の非常に複雑な混合物を含む。少なくとも568個の特有の分子が、同定されている。これらの化合物の中でもとりわけ、カンナビノイド、テルペノイド、糖類、脂肪酸、フラボノイド、他の炭化水素、窒素化合物、及びアミノ酸である。
【0117】
カンナビノイドは、それだけに限らないが、アドレナリン受容体、カンナビノイド受容体(CB1及びCB2)、GPR55、GPR3、又はGPR5を含めた、様々な受容体によって、生理学的効果を発揮する。カンナビス属植物に存在する主なカンナビノイドは、少量のこれらのそれぞれの中性(脱炭酸)カンナビノイドを有する、カンナビノイド酸であるテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びカンナビジオール酸(CBDA)である。更に、カンナビス属は、より低いレベルの微量な他のカンナビノイドを含有し得る。「Chemical composition、pharmacological profiling、and complete physiological effects of these medicinal plants、and more importantly the extracts from cannabis、remain to be fully understood.」Lewis、M.M.ら、ACS Omega、2巻、6091~6103(2017年)。
図1は、いくつかのフィトカンナビノイドの生合成経路の例示的な略図を示す図である。
【0118】
CBDを含有するカンナビス属植物から得られる粗抽出物は、疾患及び障害に罹患している患者により用いられている。しかしながら、かかる粗生成物は、医薬配合物における使用に適していない。疾患又は障害を治療する上での使用のための、より一貫性のあるCBD製剤を調製するためのそれらの探求は、合成によりCBDを調製する協調努力又は植物由来のカンナビノイドから得られた、CBD以外のすべての化合物、特に、精神賦活性化合物、例えば、THCを除去する試みがなされた。
【0119】
本発明は、1種又は複数の追加のカンナビノイドを含み、医薬用用途に適した、植物学的由来の精製されたCBD製剤が、本明細書中に開示される組成物と異なる以前のCBD製剤と比較して、治療有効性を増強することを示すという驚くべき発見を包含する。
【0120】
これらの製剤は、他の不純物が存在しない又は合成的に生成され、それにより、自然により生成されるはずである追加のカンナビノイドを含まない範囲で精製されるのと異なる又は精製されていない植物抽出物であるものと更に異なり、この抽出物は、植物により共同で生成される及び抽出物の本製剤において同時に抽出されるカンナビノイド及び非カンナビノイド化合物のうちの一部又はすべてを含む。いくつかの実施形態では、本発明の植物学的由来の精製されたCBD製剤は、CBDの合成の又は完全に純粋な製剤よりも低いCBDの投与量で投与することができる。
【0121】
カンナビノイド
記載した通り、カンナビノイドは、カンナビス属植物に天然に由来し得る又は化学合成によって合成的に生成され得る、あるクラスの化合物である。
【0122】
カンナビス属により生成された100種を超える異なるカンナビノイドは、同定されている。これらのカンナビノイドは、以下の異なる群: フィトカンナビノイド;内在性カンナビノイド及び合成カンナビノイド(これらは、新規のカンナビノイドでもフィトカンナビノイドでも内在性カンナビノイドの合成により生成されたバージョンでもよい)に分類することができる。
【0123】
フィトカンナビノイドは、自然から生じる及びカンナビス属植物において見出すことができるカンナビノイドである。フィトカンナビノイドは、植物から単離して、高度に精製された抽出物を生成することができる。フィトカンナビノイドは、植物材料からカンナビノイドを抽出するために用いられる方法に応じて、中性(脱炭酸の形態)又はカルボン酸の形態として得ることができる。例えば、カルボン酸の形態を加熱すると、カルボン酸の形態の大部分を中性の形態に脱炭酸させることが知られている。フィトカンナビノイドは、植物から生成することができるにすぎないが、フィトカンナビノイドのバージョンは、化学合成により、合成的に生成することができる。
【0124】
内在性カンナビノイドは、カンナビノイド受容体、並びに(脳を含めた)哺乳動物の中枢神経系及び末梢神経系にわたって発現されるカンナビノイド受容体タンパク質に結合する内在性脂質系逆行性神経伝達物質である。内在性カンナビノイド系は、受精能、妊娠、出生前及び生後発達の間、食欲、痛覚、気分、及び記憶を含めた、様々な生理学的過程及び認知過程を調節する及びカンナビス属の薬理学的効果の媒介に関与する。
【0125】
「合成カンナビノイド」は、カンナビノイド様構造を有する化合物であり、植物によるものではなく、化学的手段を用いて製造される。
【0126】
いくつかのカンナビノイドは、以下により詳細に記載される。これらのカンナビノイドについてほとんど知られていないが、これらの構成成分のうちの1種又は複数を含む、本明細書中に記載されるCBD製剤及び組成物は、特に、純粋な及び/又は合成のCBD組成物と比較した場合、驚くべき有効性を示す。
【0127】
カンナビジオール(CBD)
CBDは、カンナビス属種、例えば、アサ植物(カンナビス・サティバ)等の主要なカンナビノイド構成物である。他のカンナビノイド、例えば、THCと異なり、CBDは、CB1若しくはCB2に結合しない、又は受容体へのその結合は、薬理学的効果を誘導することに関して、無視できる。したがって、CBDは、CB1若しくはCB2受容体により媒介される中枢神経系又は末梢神経系の作用を引き起こさない。CBDは、向精神の(大麻類似性の)活性がほとんど又はまったくなく、その分子構造及び特性は、他のカンナビノイドのものと実質的に異なる。
【0128】
CBD投与は、かかる治療に応答し得る様々な疾患及び障害のための代替治療を提供する試みにおいて、研究の対象である。
【0129】
いくつかの実施形態では、CBDは、カンナビス属植物から単離されている。いくつかの実施形態では、CBDは、合成にて調製されている。いくつかの実施形態では、CBDは、(-)-トランス-CBDとして存在する。
【0130】
テトラヒドロカンナビノール(THC)
THCは、カンナビス属の主要な精神賦活性構成物である。
【0131】
THC分子は、
図2中に示される通り、異なる4つのキラル形として存在し得る。THCは、2つの立体中心を有し、これによって、4つの立体異性体:(+)-トランス-THC;(-)-トランス-THC;(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCが存在することが可能になる。THCは、一般に、(-)-トランス-THC異性体として、自然に生じる(Hollister、1970年)。
【0132】
THC分子は、(-)-トランス-Δ9-テトラヒドロカンナビノールとして主に生じるが、しかしながら、(-)-トランス-Δ8-テトラヒドロカンナビノール相同体もやはり存在することが知られている。当業者は、化合物THCへの言及が、Δ8又はΔ9相同体を意味し得ることを理解している。
【0133】
いくつかの実施形態では、THCは、カンナビス属植物から単離されている。いくつかの実施形態では、THCは、合成にて調製されている。いくつかの実施形態では、THCは、(-)-トランス-THCとして存在する。いくつかの実施形態では、THCは、(-)-シス-THCとして存在する。いくつかの実施形態では、THCは、(+)-トランス-THCとして存在する。いくつかの実施形態では、THCは、(+)-シス-THCとして存在する。
【0134】
いくつかの実施形態では、THCは、異性体の混合物として存在する。いくつかの実施形態では、混合物は、(+)-トランス-THC、(-)-トランス-THC、(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCのうちの1種又は複数を含む。
【0135】
カンナビジバリン(CBDV)
CBDVは、2つのメチレン架橋により短縮された側鎖を有する、CBDの相同体である。いくつかの実施形態では、CBDVは、カンナビス属植物から単離されている。いくつかの実施形態では、CBDVは、合成にて調製されている。いくつかの実施形態では、CBDVは、(-)-トランス-CBDVとして存在する。
【0136】
カンナビジオール-C1(CBD-C1)
いくつかの実施形態では、CBD-C1は、カンナビス属植物から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD-C1は、合成にて調製されている。いくつかの実施形態では、CBD-C1は、(-)-トランス-CBD-C1として存在する。
【0137】
カンナビジオール-C4(CBD-C4)
いくつかの実施形態では、CBD-C4は、カンナビス属植物から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD-C4は、合成にて調製されている。いくつかの実施形態では、CBD-C4は、(-)-トランス-CBD-C4として存在する。
【0138】
CBD製剤
本開示は、これらを、前のCBD組成物と区別する化学成分及び/又は機能的特性により特徴付けられた、いくつかのCBD製剤を提供する。
【0139】
いくつかの実施形態では、CBD製剤は、これらが初期に関連する他の構成成分を約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超含む。好ましくは、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、少なくとも98%のCBDを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、CBDは、(-)-トランス-CBDアイソフォームを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、CBD製剤は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を更に含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約1%、約2%、約3%、約4%、又は約5%までのTHCを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、0.15%以下のTHCを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.01%~約0.1%のTHCを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.02%~約0.05%のTHCを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、少なくとも約0.1%のTHCを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、少なくとも約0.02%のTHCを含む。いくつかの実施形態では、THCは、Δ9-THCを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、THCは、異なる異性体の混合物として存在する。いくつかの実施形態では、THCは、トランス-THC及びシス-THCを含む。いくつかの実施形態では、トランス-THC及びシス-THCは、約5:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、トランス-THC及びシス-THCは、約3.5:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、トランス-THC及びシス-THCは、約2:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、トランス-THC及びシス-THCは、約1:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、トランス-THC及びシス-THCは、約0.8:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。
【0143】
いくつかの実施形態では、シス-THCは、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCの混合物として存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約20:1~1:20((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約15:1~1:15((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約10:1~1:10((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約9:1~1:9((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約5:1~1:5((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約3:1~1:3((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約2:1~1:2((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約1:1((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCは、約9:1((-)-シス-THC:(+)-シス-THC)の比で存在する。
【0144】
いくつかの実施形態では、CBD製剤は、THC以外の1種又は複数のカンナビノイドを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、2%以下のCBD以外のカンナビノイドを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、CBD製剤は、カンナビジバリン(CBDV)を含む。いくつかの実施形態では、CBDVは、(-)-トランス-CBDVアイソフォームを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.2%~約0.8%のCBDVを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、CBD製剤は、CBD-C4(CBD-C4)を含む。いくつかの実施形態では、CBD-C4は、(-)-トランス-CBD-C4アイソフォームを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.3%~約0.4%のCBD-C4を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、CBD製剤は、CBD-C1(CBD-C1)を含む。いくつかの実施形態では、CBD-C1は、(-)-トランス-CBD-C1アイソフォームを含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約0.1%~約0.15%のCBD-C1を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種のうちの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在するCBDの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在するTHCの少なくとも一部は、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの少なくとも1種のうちの実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのCBDは、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在する実質的にすべてのTHCは、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、CBD製剤中に存在するカンナビノイドのうちの実質的にすべては、カンナビス属植物材料から単離されている。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物材料は、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、又はカンナビス・ルデラリス植物から得られる。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物は、高-CBD含有カンナビス属化学種である。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物は、カンナビス・サティバLの高-CBD含有カンナビス属化学種である。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物材料は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約5%~約20%のCBDを含む。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物材料は、製剤中のカンナビノイドの総質量に対して、約10%~約15%のCBDを含む。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物材料は、トランス-THC及びシス-THCを含み、約3.5:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物材料は、トランス-THC及びシス-THCを含み、約0.8:1(トランス-THC:シス-THC)の比で存在する。
【0149】
CBD製剤を作製する方法
本明細書中の文脈では、「植物薬原薬(botanical drug substance)」は、カンナビス属植物材料に由来する抽出物であり、この抽出物は、the Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、August 2000、US Department of Health and Human Services、Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Researchの「A drug substance derived from one or more plants、algae、or macroscopic fungi. It is prepared from botanical raw materials by one or more of the following processes: pulverization, decoction, expression, aqueous extraction, ethanolic extraction, or other similar processes.(1種又は複数の植物、藻類、肉眼的真菌類。これは、次の方法、すなわち、粉末化、煎出、発現、水抽出、エタノール抽出、又は他の類似の方法のうちの1つ又は複数により、植物性原材料から調製される)」中に示される「植物薬原薬」の定義を満たす。
【0150】
「植物材料」は、植物又は植物材料(例えば、樹皮、木材、葉、茎、根、花、果実、種子、液果又はそれらの一部)並びに浸出液として定義され、the Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、August 2000、US Department of Health and Human Services、Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Researchにおける「植物性原料」の定義の範囲内に収まる材料が含まれる。
【0151】
本発明の方法を用いて、かかるカンナビノイドを含有することが知られる、ある特定の及び定義された植物材料からカンナビノイドを抽出することができる。必ずしもそうでないが、最も一般的に、「植物材料」は、1種若しくは複数のカンナビス属植物に由来する「植物材料」又は「植物性原料」である。必ずしもそうでないが、最も一般的に、1種若しくは複数のカンナビス属植物は、高収率のCBDを生成するために栽培された、ある特定の及び定義されたカンナビス属植物である。
【0152】
用語「カンナビス属植物」は、遺伝的交雑、自己交雑(self-cross)又はそれらのハイブリッドの結果である、異なる量の個別のカンナビノイド、カンナビス・サティバ植物を天然に含有するカンナビス属化学変種を含めた、野生型カンナビス・サティバ及びそれらの変種をも包含する。したがって、用語「カンナビス属植物材料」は、1種若しくは複数のカンナビス属植物由来の植物材料を包含するものと解釈されるべきである。疑いを避けるために、これにより、「カンナビス属植物材料」には、乾燥させたカンナビス属バイオマスが含まれることが示される。いくつかの実施形態では、かかるカンナビス属植物材料におけるカンナビノイド酸の少なくとも一部は、脱炭酸である。
【0153】
カンナビス属植物
本発明は、指定された、予定されたカンナビノイドプロフィール及び含有量を有するように栽培されたカンナビス属植物及び亜種を利用する。いくつかの実施形態では、カンナビノイドは、CBD、THC、CBDA、CBDV、CBD-C1、又はCBD-C4であり得る。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物は、指定された、予定されたテルペンプロフィール及び含有量を有する。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物は、指定された、予定されたセスキテルペンプロフィール及び含有量を有する。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物は、カンナビス・サティバ、カンナビス・インディカ、又はカンナビス・ルデラリス植物である。
【0154】
カンナビス属栽培
いくつかの実施形態では、カンナビス属植物は、母本から採取した切り枝から繁殖させる。いくつかの実施形態では、母本は、単一の種子の源から作り出す。いくつかの実施形態では、作物は、無性の繁殖によって生産される。いくつかの実施形態では、作物における植物のすべては、すべて雌性である。いくつかの実施形態では、切り枝を用いた繁殖によって、遺伝子型コンシステンシーが制御される。
【0155】
いくつかの実施形態では、生育周期は、約12週間である。いくつかの実施形態では、制御された生育条件を通して、カンナビス属植物は、約12週間を費やして、成熟する。いくつかの実施形態では、カンナビス属植物に、それらの生育周期にわたって、飲料水で水をやる。いくつかの実施形態では、合成の除草剤又は農薬は、カンナビス属植物の栽培に用いない。いくつかの実施形態では、特に、除草剤又は農薬の非存在下で、厳密な衛生条件を利用して、害虫の進入及び病気を減らすことができる。いくつかの実施形態では、環境ストレスを減らす又は取り除くための生育条件の制御は、植物材料収率、カンナビノイド含有量を最適化する、及び/又は疾患を制御するために利用される。いくつかの実施形態では、環境ストレスは、乾燥、不十分な日光、光周期の不適当なタイミング、及び好ましくない温度が含まれ得る。更に、生育周期中の植物の定期検査によって、任意の不良の植物及び害虫を検出することが可能になる。雑草が、制御された生育条件及び媒体により存在するべきでないにも関わらず、不良の雄性の植物は、生じ得る。頻繁な検査及び生物学的制御方法を用いて、起こり得る任意の害虫及び疾患を管理することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、厳密な生育条件の制御によって、カンナビス属植物は、およそ12週間で成熟する。いくつかの実施形態では、最後の生育の週間において、高密度の樹脂の花が成長する。いくつかの実施形態では、およそ11週の終わりまで、カンナビノイド生合成は、著しくゆっくりであり、植物は、収穫可能な状態である。
【0157】
カンナビス属の収穫及び加工
いくつかの実施形態では、植物全体は、温度及び/又は湿度管理された環境で切断し、乾燥させる。いくつかの実施形態では、温度は、約21℃である。いくつかの実施形態では、湿度は、約38~45%RHである。
【0158】
THC及びCBDは、BDS中の主な生物活性構成物である。しかしながら、これらの構成物は、BRMにおけるカルボン酸THCA及びCBDAとして存在する。酸の形態は、乾燥中経時的にゆっくりと脱炭酸する。葉及び花は、より大型の茎からはぎ取って、植物性原材料(BRM)を提供する。保管の条件下で、乾燥における喪失は、およそ10%均衡になる。乾燥したBRMについての保管条件は、BRMの物理的状態に依存する。いくつかの実施形態では、BRMを、光から保護するために保管される。いくつかの実施形態では、BRMは、約15~25℃で保管される。いくつかの実施形態では、BRMは、約-20℃で保管される。いくつかの実施形態では、BRMは、約20℃で保管される。いくつかの実施形態では、BRMは、約38~42%RHで保管される。
【0159】
BRMの例示的な生産のまとめ:
・植物の収穫
・(光の非存在下での)乾燥
・カンナビノイド酸を含む植物性原材料(BRM)の生産
・2000μm未満まで粉砕して粒径を小さくする
・カンナビノイド酸のこれらの中性の形態(例えば、CBDAからCBD)への脱炭酸
【0160】
高CBD変種に由来する例示的なBRM基準を以下のTable A(表1)に例示する。
【0161】
【0162】
CBD製剤の特性決定
- 目視による同定:
巨視的な特徴により、カンナビス属植物の特徴を、潜在的な偽和剤及び代用品と区別することが可能である。これは、写真の標準に対する目視による同定である。
【0163】
- TLCによる同定:
TLCは、物質(Rf)及び特徴のスポットカラーの両方の保持値を用いて、カンナビス属の変種を有効に同定する。実験室サンプルは、乾燥した生薬を抽出することにより、TLC分析用に準備される。アリコートを、THC及びCBD用の参照サンプルと平行して、TLCプレートにスポットする。ファーストブルーB(Fast Blue B)試薬への曝露後、THC及びTHCAは、淡紅色のスポットとして存在し、CBD及びCBDAは、色が橙色である。中性は、標準用に得たものとRf値の比較により、酸と区別することができる。同一性は、サンプルスポットのRf及び色を、適切な標準について得られたものと比較することにより、確認される。
【0164】
- HPLCによる同定:
HPLCは、カンナビノイドの保持時間の比較を用いて、カンナビス属の変種を有効に同定する。逆相HPLC法は、CBD及びCBDAに特異的であり、したがって、同一性試験として用いることができる。バイオマスのサンプルを、抽出し、遠心する。すべての分析物の検出は、310nmで酸性分析物を更に確認して、220nmで達成される。
【0165】
- アッセイ(CBD+CBDA):
本アッセイは、植物中のCBD及びCBDA含有量をモニターするために用いることができる。CBD及びCBDAアッセイは、HPLC法を用いて決定される。脱炭酸過程の効率は、総CBD+CBDA含有量でCBDのw/wに関する%含有量を割ることにより決定することができる。
【0166】
- 異物:
異物は、欧州薬局方の試験法を用いて評価される。花、葉及び横に生えている茎(side stem)を、清潔な実験室の表面に薄層に広げる。異物は、手動でできる限り完全に分離させ、秤量する。結果は、草本のバイオマスサンプル中で異物%w/wと表現される。異物は、バイオマス2%以下を含み得る。
【0167】
- 脱炭酸
THC及びCBDは、カンナビス属中の主な生物活性構成物である。しかしながら、これらの構成物は、カンナビス属植物中でこれらのそれぞれのカルボン酸として存在する。カンナビス属植物材料からTHC又はCBDを抽出するために、THCA及びCBDAの貯蔵前駆体化合物を、これらのより容易に抽出可能な及び薬理学的に活性な形態に変換するために必要である。THC及びCBD酸は、自然に経時的にゆっくりと脱炭酸する。脱炭酸の速度を増すための従来のやり方は、加熱の適用によるものである。しかしながら、THCAは、THCに変換されるだけでなく、別のカンナビノイド、カンナビノール(CBN)にも変換される。
【0168】
脱炭酸手順は、抽出プロセスの開始前に、出発原料又は植物性原材料(BRM)の本製剤の範囲内で一般に行われる。
【0169】
- 例示的な抽出プロセスの概要:
BDSは、液体二酸化炭素方法論を用いて、脱炭酸BRMから抽出することができる。これには、高圧容器に含まれる細断されたバイオマスに液化性二酸化炭素を連続的に通すものである。粗抽出物を、エタノールに溶解し、低温まで冷却し、次いで、ろ過して、沈殿した構成物、例えば、ワックス等を除去する。真空中でエタノール及び水を除去することにより、用いたバイオマスに応じて、高濃度のCBD又はTHCを含有するBDSを生成する。
【0170】
CBD製剤の精製及び特性決定に関する追加の方法は、EP2311475において開示され記載されており、その内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0171】
組成物及び配合物
CBD製剤は、所期の投与のモードに基づいて、配合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、眼球、経口、非経口、局所等であり得る。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、安定性を高める、有効期間を増加させる、又は有効性を高めるために、1種又は複数の添加剤と共に配合することができる。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、経口投与用に配合される。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、ゴマ油を含む。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、エタノールを含む。いくつかの実施形態では、エタノールは、無水エタノールである。いくつかの実施形態では、CBD製剤は、矯味剤を含む。いくつかの実施形態では、矯味剤は、甘味料であり得る。いくつかの実施形態では、甘味料は、人工甘味料、例えば、サッカリン、アセスルファーム、アスパルテーム、ネオテーム(neotame)、又はスクラロースであり得る。いくつかの実施形態では、矯味剤は、人工香料であり得る。いくつかの実施形態では、人工香料は、例えば、バニラ、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、リンゴ、セイヨウナシ、モモ、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、セイヨウスモモ、ホシスモモ、レーズン、コーラ、ガラナ、ネロリ、パイナップル、アンズ、バナナ、メロン、アンズ、ウメ、サクランボ、キイチゴ、クロイチゴ、熱帯果樹、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤ、それらの組合せ等であり得る。
【0172】
本明細書中に開示されるカンナビノイド製剤は、当技術分野で公知の方法に従って、投与用に配合することができる。
【0173】
使用
疾患、障害、及び状態
本明細書中に開示されるCBD製剤は、痛覚消失、神経保護を提供する、炎症を軽減する、悪心及び嘔吐症を緩和する助けになる、並びにてんかん、不安症、及び緑内障を治療するのに有用である。更に、本明細書中に開示されるCBD製剤は、神経学的機能不全又はかかる障害に伴う併存症に罹患している患者において、症状の治療又は寛解を提供する上で有用である。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。いくつかの実施形態では、本発明のCBD製剤は、同じ又は類似の濃度のCBDを含む合成CBD製剤よりも低いCBDの投与量で投与することができる。
【0174】
疼痛は、すべての臨床医が直面している共通の臨床的問題である。米国の何百万もの人々は、多数の最近の報告によれば、慢性的に処置不十分である又は不適切に管理される重度の疼痛に苦しんでいる。同様に、何百万もの人々はまた、重度の悪心及び/又は頻回の嘔吐症に苦しんでいる。更に、ごく頻繁に、慢性の、処置不十分の又は追跡不可能な疼痛に苦しんでいる多くの患者は、食欲の欠如、悪心及び/又は頻回の嘔吐症に悩まされる。これらの患者は、患者が、経口の疼痛医薬品の有効な投与を受けることができず、それにより、患者の疼痛が緩和されないままであるため、より大きな臨床的課題を示す。更に、本明細書中に開示されるCBD製剤は、達成された任意の疼痛の緩和と無関係の、患者の悪心及び嘔吐を軽減することができる。したがって、開示されるCBD製剤は、未処置又は処置不十分の疼痛に続発する悪心及び嘔吐を経験している患者において特に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、疼痛を緩和するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0175】
米国母集団の注目すべき百分率は、アルコール使用障害(「AUDs」)についての診断基準を満たす。過剰な量のアルコールの消費によって、状態を治療する能力に直接影響を与える様々に入り組んだ薬理学的効果をもたらす。これらの効果は、脳に直接影響を与え、進行性の神経変性、実行機能障害及び退薬によって誘発される負の効果をもたらしている依存が含まれる。本明細書中に開示されるCBD製剤は、神経保護、抗不安及び抗痙攣効果を有し、これは、AUDsを伴う者において更なる脳損傷を予防し、同時に、再発の頻度を減少させるのに有効であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0176】
カンナビス属の慢性の中毒者は、中毒者が、薬物の使用を中止することを試みる場合、依存になり、退薬症状を経験し得る。まとめると、カンナビス属依存及び退薬は、本明細書中で、大麻使用障害と称される。本明細書中に開示されるCBD製剤は、大麻使用障害を治療するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0177】
ジストニアは、多くの公知の原因を有する神経性運動障害であり、ねじれ及び反復性の運動又は異常な姿勢を引き起こす不随意の、連続的な筋収縮により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、この障害に特徴的な筋収縮を軽減するのに有用である。本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0178】
多くの疾患の病原学的な病態は、個体の免疫系により調節される炎症過程に関する。炎症は、(1)その他の点で、外傷性トラウマ(outside trauma)、例えば、閉鎖性頭部損傷に続発する脳腫脹等への適切な免疫応答;(2)過活動性免疫応答、例えば、アレルギー性反応又は皮膚炎等;又は(3)不適切な自己-免疫応答、例えば、多発性硬化症、炎症性腸障害及び関節炎のいくつかの形態をもたらし得る。炎症の根本的な原因にかかわらず、これは、免疫系を調節する及び炎症応答を低減するために、これらの状況下で治療的に望ましい。本明細書中に開示されるCBD製剤は、免疫応答において様々な工程を調節することができ、いくつかの炎症性疾患、例えば、乾癬性関節炎の治療のいくつかの治療上の利点を示し得る。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0179】
関節リウマチは、米国の人口のおよそ0.5~1%が罹患しており、自己免疫疾患は、一般に、2000万人を超える米国人が罹患している。関節リウマチに伴う疼痛は、しばしば、寝たきり(disabling)になり得る。カンナビノイドは、関節リウマチ並びに他の自己免疫疾患、例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデス等に続発する関節痛のための補助治療として有用であることが見出されている。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0180】
上で論じた治療上の利点の他に、カンナビノイド、例えば、CBD及びCBDプロドラッグは、それだけに限らないが、抗炎症性、抗痙攣、抗精神病、抗酸化、神経保護、抗癌及び免疫調節性効果を含めた、様々な薬理学的利点を与える。本明細書中に開示されるCBD製剤は、これらの障害を治療するのに、前のCBD組成物よりも更に有効である。
【0181】
本発明は、それだけに限らないが、本明細書中に開示されるものを含めた、CBD製剤及び組成物並びに様々な疾患、障害、及び/又は状態のうちのいずれかを治療する及び/又は予防するための使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、CBD製剤及び組成物並びに神経学的機能不全又は神経分化に伴う疾患、障害、又は状態を治療する及び/又は予防するための使用を提供する。いくつかの実施形態では、神経学的機能不全又は神経分化に伴う疾患、障害、又は状態は、神経発生に欠陥があるものである。かかる疾患、障害又は状態は、しばしば、脳の神経可塑性に関連し、それだけに限らないが、発作性疾患、例えば、てんかん等を含むことができる。前記発作性疾患は、併存症、例えば、発作自体又は発作を治療するために用いられる医薬品によるものであり得る認知的及び精神医学的機能障害としばしば関連する。発作性疾患において起こることが知られている併存症の状態には、それだけに限らないが、次のものが含まれる。筋骨格系障害;胃腸及び消化性障害;呼吸器系障害;慢性疼痛障害;脳血管発作;片頭痛;新形成;関節炎/リウマチ;肥満;糖尿病;感染症;骨折;及びアレルギー。精神医学的状態、例えば、うつ状態;不安;自閉症スペクトラム症;発作間不快性障害(interictal dysphoric disorder);発作間行動症候群(interictal behavior syndrome);及びてんかんの精神病症状(psychosis of epilepsy)。認知的状態、例えば、認知機能障害;言語能力;社会化;注意欠陥多動障害;学習障害;精神発達遅滞;及びアルツハイマー病/認知症。
【0182】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、発作性疾患である。いくつかの実施形態では、発作性疾患は、てんかん、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、熱性感染症関連てんかん症候群(FIRES)、ドーゼ症候群、スタージ・ウェーバー症候群、CDKL5突然変異;アイカルディ症候群;両側性多小脳回;Dup15q;SNAP25;良性ローランドてんかん;若年性ミオクローヌスてんかん;点頭てんかん(ウエスト症候群);及びランドウ・クレフナー症候群、難治性てんかん、若年性けいれん、ウエスト症候群、点頭てんかん、難治性点頭てんかん、結節性硬化症(TSC);神経形成貯蔵障害、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、バッテン病、脳異常、アトニー、特発性、欠神発作、部分発作、単純部分発作、又は複雑部分発作である。
【0183】
いくつかの実施形態では、疾患又は障害は、神経変性疾患;アルツハイマー病;パーキンソン病;本態性振戦;筋萎縮性側索硬化症(ALS);ハンチントン病;フリードライヒ運動失調症;多発性硬化症;前頭側頭葉型認知症;プリオン病;レビー小体病;進行性核上性麻痺;血管性認知症;正常圧水頭症;外傷性脊髄損傷;HIV認知症;アルコール誘発性神経毒性;ダウン症候群;中枢及び/又は末梢神経系の運動障害;運動ニューロン疾患(MND);脊髄性筋萎縮症;又は任意の他の関連する神経学的若しくは精神医学的神経変性疾患;脳損傷;脳傷害;脳機能不全;書字障害;構語障害;失行;失認;健忘症;めまい;回転性めまい;昏睡;脳卒中;脊髄損傷;脊髄傷害;脊髄障害;中枢性ニューロパチー;末梢性ニューロパチー;脳神経障害;三叉神経痛;神経系の腫瘍;脳若しくは脊髄の感染症;脳炎;髄膜炎;プリオン病;複合性局所疼痛症候群;自律神経系障害;自律神経ニューロパチー;自律神経異常症;体位性起立性頻拍症候群(POTS);神経心臓性失神(NCS);多系統萎縮症(MSA);遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー(HSAN);ホームズ・アディー症候群(HAS);睡眠障害;ナルコレプシー;疼痛;片頭痛;群発頭痛;緊張型頭痛;背部痛;腰痛;頚部痛;神経障害性疼痛;癌性疼痛;アロディニア;関節炎痛;炎症性疼痛;精神神経障害;注意欠陥多動障害;自閉症;トゥレット症候群;強迫性障害;自閉症スペクトラム症;レット症候群;脆弱X症候群;アンジェルマン症候群;多動障害;トゥレット症候群;ジストニア;癌;脳癌;神経膠腫;乳癌;肝癌;肺癌;膵癌;メラノーマ;卵巣癌;胃癌;腎癌;膀胱癌;嗜癖;ニコチン嗜癖;喫煙;アルコール嗜癖;薬物依存;大麻使用障害;精神障害;心的外傷後ストレス障害;不安;早期精神病;統合失調症;認知障害;脳卒中;心虚血;冠動脈疾患;血栓塞栓症;心筋梗塞;虚血関連疾患;胃腸障害;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;悪心;嘔吐;嘔吐症;動揺病;化学療法剤誘発悪心;化学療法剤誘発悪心嘔吐;炎症;関節炎;関節リウマチ;変形性関節症;糖尿病;高血圧;不十分なインスリン制御;食欲抑制;食欲不振;新生児低酸素性虚血性脳症(NHIE);変性骨格筋疾患;又はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である。
【0184】
投薬及び投与
本明細書中に記載される化合物の投与のための正確なレジメンは、治療されている個別の対象の必要性、施される治療のタイプ、及び/又は参加する専門医の判断に依存し得る。本明細書では、用語「対象」及び「患者」には、ヒト及び動物が含まれる。いくつかの実施形態では、対象又は患者は、ヒト成人、ヒト青年、ヒト小児、又はヒト乳児である。当業者が理解する通り、投与される投与量は、レシピエントの治療される状態、年齢、健康及び体重、併用治療のタイプ、それを使用する場合、治療の頻度に依存する。
【0185】
いくつかの実施形態では、CBD製剤又はCBDを含む医薬組成物は、治療有効量で投与することができる。治療有効量は、1種若しくは複数の単位投与量を含む投薬レジメンに従って、投与することができる。一般に、治療有効量は、対象に利点を達成するのに十分である(例えば、疾患又は障害を予防する、治療する、調節する、治癒する、防止する及び/又は寛解させる)。
【0186】
治療有効量(及び/又は単位投与量)のCBD製剤又は任意の特定の患者用にそれを含む医薬組成物は、治療されている疾患又は障害;疾患又は障害の重症度;ある特定のCBD製剤又は使用されるそれを含む医薬組成物の活性;ある特定のCBD製剤又は使用されるそれを含む医薬組成物;年齢;体重;適応度;併存症の状態(例えば、治療されている疾患又は障害以外)全般的な健康;性別;及び患者の食事;個人歴;遺伝学的特徴;生活様式パラメータ;心欠損の重症度及び/又は心欠損のリスクのレベル;投与の時間;投与の経路;併用治療若しくは医薬品;及び/又は排出の速度又はある特定のCBD製剤若しくは使用されるそれを含む医薬組成物の代謝;治療の期間;それらの組合せ;並びに医学分野において周知の他の因子を含めた、様々な因子に依存し得る。本開示を考慮して、当業者は、これらの及び他の関連する因子に応じて、適切な投与量を決定することが容易に可能である。更に、客観的及び主観的なアッセイは、場合によっては、最適な投与量の範囲を同定するために使用することができる。いくつかの詳細な実施形態では、適切な投与量又は投与しようとする量は、in vitro又は動物モデル試験系に由来する用量-応答曲線から得られた本発明の開示を考慮して推定することができる。
【0187】
本発明は、本明細書中に記載されるCBD製剤又はそれを含む医薬組成物の単回並びに多回投与を含む投薬レジメンが考えられる。CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、一定の間隔で、対象の状態の性質、重症度及び程度に応じて、投与することができる。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、定期的に、一定の間隔で(例えば、毎年1回、6カ月に1回、5カ月に1回、3カ月に1回、隔月(2カ月に1回)、毎月(月に1回)、隔週(2週間に1回)、毎週、毎日、毎日複数回、又は連続的に)投与することができる。
【0188】
治療有効量は、複数の単位用量を含むことができる投薬レジメンに従って投与することができる。任意の特定のCBD製剤又はそれを含む医薬組成物の場合、治療有効量(及び/又は有効な投薬レジメンの範囲内の適切な単位投与量)は、例えば、投与の経路、他の医薬品との組合せに応じて、変わり得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるCBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、単回用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるCBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、一定の間隔で投与することができる。本明細書では、ある「間隔」で投与とは、治療有効量が、定期的に(1回投与量と区別される通り)投与されることを示す。間隔は、標準的な臨床技術により決定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるCBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、隔月、毎月、月2回、3週間毎、隔週、毎週、週2回、週3回、毎日、1日2回、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与することができる。所与の個体のための投与間隔は、定時である必要はないが、個体の必要性に応じて、経時的に変わり得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるCBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、無期限に一定の間隔で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるCBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、定義された期間中一定の間隔で投与される。
【0191】
任意の特定の対象の場合、ある特定の投与量レジメンは、個別の必要性に従って、経時的に調整されるべきであり、酵素補充療法の投与及び本明細書中に記載のその投与量の範囲を施す又は監督する者の専門的な判断は、例示的なものに過ぎず、特許請求される発明の範囲又は実行を制限することを意図しないことが更に理解されるべきである。
【0192】
いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約0.1mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約0.5mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約1mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約5mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与され、例えば、15kgの患者の場合、CBD1日当たり75mgが提供されるはずである。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約10mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約20mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約25mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約50mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBD約100mg/kg/日を提供する1回又は複数回の投与量として投与される。
【0193】
いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、CBDの投与量約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約1000mg、約1500mg、又は約2000mgで投与される。
【0194】
いくつかの実施形態では、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物は、疾患又は障害のための補助療法から従来の療法として投与することができる。
【0195】
キット
いくつかの実施形態は、CBD製剤又はそれを含む医薬組成物及び使用のための指示を備えるキットについて提供する。いくつかの実施形態では、キットは、前記CBD製剤又はそれを含む医薬組成物の投与のためのデバイス(例えば、スプレー、注射筒、気化器、吸入器、パッチ等)を更に備える。
【実施例0196】
植物学的由来の精製されたCBDの物理化学的特性を実証するデータ
【0197】
(実施例1):植物学的由来の精製されたCBD製剤の生成のための例示的な方法
方法の概要
次のものは、植物学的由来の精製されたCBD(>98%w/w)の生成を記載しており、これは、以下の実施例において用いられた公知の及び一定の組成物を有する。
【0198】
カンナビス・サティバL.植物から収穫された植物材料は、液体二酸化炭素抽出にかけて、他のカンナビノイド及び非カンナビノイド構成成分に加えて、CBDを含有する植物性抽出物を生成した。次いで、抽出物を、溶媒結晶化方法によって更に精製して、植物学的由来の精製されたCBDを生成した。結晶化方法によって、他のカンナビノイド及び植物構成成分を特に除去して、98%(w/w)超のCBDを生成した。
【0199】
植物性出発原料及び植物性抽出物は、基準により制御することができる。脱炭酸されたカンナビス属植物材料についての例示的な植物性出発原料の基準を、次のTable 1.1(表2)中に記載する。いくつかの実施形態では、各カンナビノイドについての異性体の含有量はまた、指定することができる。
【0200】
【0201】
植物学的由来の精製されたCBDの例示的なCBD製剤を、以下のTable 1.2(表3)中に記載する。いくつかの実施形態では、各カンナビノイドについての異性体の含有量はまた、指定することができる。
【0202】
【0203】
植物学的由来の精製されたCBD製剤の純度は、98%以上であった。植物学的由来の精製されたCBDは、THC並びに他のカンナビノイド、例えば、CBDA、CBDV、CBD-C1、及びCBD-C4を含む。
【0204】
カンナビス・サティバL.植物の異なる化学種を、生成して、特定の化学的構成物、カンナビノイドの生成量を最大化している。いくつかの化学変種は、優勢にCBDを生成する。CBDの(-)-トランス異性体のみ、天然に存在すると考えられる。精製中、CBDの立体化学は、影響を与えない。
【0205】
CBD植物薬原薬の生成
植物性抽出物、中間体を生成するための工程の概要は、次の通りである。
a. 成長
b. 直接乾燥
c. 脱炭酸
d. 液体CO2を用いた、抽出
e. エタノールを用いた脱ろう
f. ろ過
g. 蒸発
【0206】
高CBD化学変種を成長させ、収穫し、乾燥し、梱包し、必要となるまで乾燥室で保管した。植物性原材料(BRM)は、1mmふるいを付けたApex millを用いて細かく刻んだ。微粉砕されたBRMを、抽出前に冷凍庫に保管した。
【0207】
CBDAのCBDへの脱炭酸を、加熱を用いて行った。BRMを、115℃で60分間脱炭酸した。
【0208】
抽出を、液体CO2を用いて行って、植物薬原薬(BDS)を生成し、次いで、これを、結晶させて、試験材料を生成した。粗CBD BDSを、脱ろうさせて、標準条件下で(-20℃でおよそ50時間エタノール2体積)、抽出物を純化させた。沈殿したワックスを、ろ過により取り除いて、溶媒を除去して、BDSを生成した。
【0209】
植物学的由来の精製されたCBD製剤の生成
BDSから植物学的由来の精製されたCBD製剤を生成するための製造工程は、次の通りであった。
a. C5~C12直鎖又は分枝アルカンを用いた結晶化
b. ろ過
c. 真空乾燥
【0210】
上記の方法論を用いて生成したBDSを、C5~C12直鎖又は分枝アルカンに分散させた。混合物を、手動で振り混ぜて、任意の塊を解砕し、次いで、密封した容器を、冷凍庫におよそ48時間入れた。結晶を、真空ろ過によって単離し、冷C5~C12直鎖又は分枝アルカンのアリコートで洗浄し、乾燥するまで60℃の温度で<10mbの真空下で乾燥した。植物学的由来の精製されたCBD製剤を、FDA食品用に承認されたシリコーンのシール及び留め金を有する、医薬用ステンレス製容器に入れて、冷凍庫中で-20℃で保管した。
【0211】
(実施例2):植物学的由来の精製されたCBD製剤中に存在するTHCの立体化学の定量
上記の実施例1に記載の通り、カンナビノイドTHCは、植物学的由来の精製されたCBD製剤中で0.1%(w/w)以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、THCは、0.02~0.1%w/wの量で存在する。
【0212】
THC分子は、
図2中に示される通り、異なる4つのキラル形として存在し得る。THCは、2つの立体中心を有し、これによって、4つの立体異性体:(+)-トランス-THC;(-)-トランス-THC;(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCが存在することが可能になる。しかしながら、THCは、(-)-トランス-THCアイソフォームとして、天然に生じることが知られている(Hollister、1970年)。
【0213】
次の例では、実施例1に記載されている例示的な植物学的由来の精製されたCBD製剤を調製するために用いられる高-CBD植物により生成される立体異性体を明らかにするために、行われた試験を記載している。
【0214】
植物学的由来の精製されたCBD中のTHCの痕跡レベルの検出及び定量
超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を用いて、主要なカンナビノイド及び痕跡レベルの他のカンナビノイドを同定した。カンナビノイドの存在を、標準とサンプルをクロマトグラフィーによって比較することにより、確認した。
【0215】
pHを調整した、コアシェルシリカカラムを、Photo Diode Array又はTuneable UV検出器及びQDa質量検出器を付けたUPLC系において用いた。
【0216】
図3は、本発明の植物学的由来の精製されたCBD製剤中で微量のカンナビノイドを検出するために、UPLC法を用いて生成された例示的なクロマトグラムを実証している。
【0217】
図3中で示すことができるように、次のカンナビノイドに対応するピークがある。CBD-C1は、相対保持時間(RTT)が、1.937分であり;CBDVは、RTTが3.481分であり;CBD-C4は、RTTが4.610分であり;CBDは、RTTが5.920分であり;(±)-シス-THCは、RTTが6.781分であり、(±)-トランス-THCは、RTTが6.917分である。
【0218】
サンプル中に存在する化合物の濃度は、次の算出を用いて、%w/wとして決定することができる。
【0219】
【0220】
THC植物により生成されたTHCが(-)-トランス-THCの形態であるということは既知であるため、例示的な植物学的由来の精製されたCBD製剤中にシス-THCが存在することは驚くべきことであった。したがって、シス-THCの構造の解明を行った。
【0221】
シス-THCの構造の解明
シス-THCの存在、単離及び同定を、高-CBD植物から生成した植物性原材料から決定し、その結果、実施例1に記載される、得られた植物学的由来の精製されたCBD製剤を要した。
【0222】
シス-THCを、フラッシュクロマトグラフィ及び分取-LCMSを用いて、カンナビジオール(CBD)植物薬原薬(BDS)から、うまく単離し精製した。単離した材料を、合成シス-THC標準と平行して、クロマトグラフィー及びスペクトル技術を含めた広範な試験を行って、本化合物を同定した。これを、その立体配置的異性体;トランス-THCとやはり比較した。
【0223】
シス-THCの同一性を、4つのスペクトル技術及び3つのクロマトグラフィー技術により確認した。単離した植物性材料のスペクトルを合成サンプルと比較し、構造がシス-THCであることを確認した。
【0224】
植物学的由来のシス-THCの同一性を、次の技術により確認した。
・ 物理的データの決定及び1H-NMR、COSY-NMR、質量分析及び四重極飛行時間型を含めた、分子分光法の結果の解釈。
・ 合成により生成されたシス-THCの物理的データ及びスペクトルデータと、単離した植物性材料の物理的データ及びスペクトルデータとの比較。これを、文献からのシス-THCの以前に提案された構造と比較することにより更に確認した。
【0225】
図4では、質量分析計を用いて生成された痕跡を詳述しており、これにより、高-CBD植物材料から単離されているシス-THCの存在が確認される。
【0226】
(実施例3):トランス-THCの、植物学的由来の精製されたCBD製剤中に存在するシス-THCに対する比の定量
実施例1に記載される通り、植物学的由来の精製されたCBD製剤の生成は、中間体材料の異なるタイプをもたらすいくつかの工程を含む複雑な方法である。最初に、高-CBD植物を、収穫し、乾燥し、梱包して、植物性原料(BRM)を生成する。梱包した材料を、ペレット化し、液体CO2を用いて抽出し、脱ろうプロセス中に純化させ、結晶化プロセス中に精製する。CBD BRM出発原料は、主要な化合物CBDと平行して存在する多くの異なるカンナビノイド不純物を含有する。
【0227】
本例では、植物学的由来の精製されたCBD製剤の生成プロセスにわたって、トランス-THCのシス-THCに対する比を決定しようと努めた。
【0228】
トランス-THC及びシス-THCの保持時間は、
図5中に示される通り逆相クロマトグラフィーを用いて異なる。これらの2つの化合物の極性は、わずかに異なり、これにより、ベースライン分解能によるアイソクラティック法において、近接した溶出ピークを生じる。
【0229】
トランス-THCのシス-THCに対する比を、実施例1に記載の植物学的由来の精製されたCBD製剤を生成するために用いたプロセスの異なる相において、材料から得られたサンプル中で決定した。
【0230】
トランス-THCのシス-THCに対する比は、以下のTable 3.1(表4)に記載される通り、脱炭酸CBDから植物学的由来の精製されたCBD製剤までのプロセスを通して変化した。
【0231】
【0232】
上記のTable 3.1(表4)中に示すことができる通り、トランス-THCのシス-THCに対する比は、植物学的由来の精製されたCBD製剤の処理を通して変化する。脱炭酸後の植物性原材料は、中央値比が3.6:1(トランス-THC:シス-THC)であり、この比は、中央値比が3.3:1(トランス-THC:シス-THC)である液体二酸化炭素で抽出した材料及び中央値比が3.2:1(トランス-THC:シス-THC)である脱ろうプロセスにより純化させた材料で処理されるため、より小さくなる。最後に、C5~C12直鎖又は分枝アルカンを用いたCBD材料の結晶化の更なる精製工程は、中央値比0.8:1(トランス-THC:シス-THC)を生成する。
【0233】
異なる処理段階におけるトランス-THCのシス-THCに対する比を、スピアマン順位相関曲線を用いてやはりプロットし、これらは、
図6中に詳述する。線を当てはめることによって、処理中の比の変化を実証し、信頼レベルが非常に高い。このような相関によって、植物学的由来の精製されたCBDの製剤の処理段階にわたって制御することを実証し、シス-THC異性体の保持は、トランス-THCに対して有利に働く。
【0234】
示すことができる通り、植物学的由来の精製されたCBD製剤は、トランス-THC及びシス-THCの両方を含む。高度に精製された最終製剤中の2つの異性体の比は、0.8:1(トランス-THC:シス-THC)である。
【0235】
(実施例4):粗CBD製剤に存在するトランス-THCのシス-THCに対する比の定量
トランス-THC及びシス-THCが、粗CBD製剤中に存在したかどうか及びその2つが存在した場合これらの比がなにであったかを決定するために、更なる試験を、CBD-油の専門業者から購入したCBD油を用いて行った。
【0236】
8種の異なる未精製のCBD油製剤を試験し、すべてが、トランス-THC及びシス-THCの混合物を含むことを見出した。以下のTable 4.1(表5)は、これらの油中で見出された比を詳述している。
【0237】
【0238】
Table 4.1(表5)が実証する通り、トランス-THCのシス-THCに対する比は、2.3:1~4.4:1(トランス-THC:シス-THC)から得られた異なる未精製のCBD油製剤の範囲内で変わる。これらの比を、本発明中に定義された植物学的由来の精製されたCBD材料から更に除去した。
【0239】
(実施例5):植物学的由来の精製されたCBD製剤中に存在するシス-THCの立体異性の形態の定量
実施例3によって、植物学的由来の精製されたCBD製剤が、中央値比0.8:1(トランス-THC及びシス-THC)でトランス-THC及びシス-THCを含むことが実証される。実施例2及び
図2中に記載される通り、THC分子は、2つの立体中心を有し、これによって、4つの立体異性体、すなわち、(+)-トランス-THC;(-)-トランス-THC;(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCの存在が可能になる。本例は、シス-THCが、(+)-シス-THC異性体、(-)-シス-THC異性体又はその2つの混合物として存在するかどうか決定しようと努めた。
【0240】
順相クロマトグラフィーの原理(principals)を使用するキラル法を、開発し、これによって、(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCをうまく分離し得た。
【0241】
アミロースカルバメートキラルカラムを、エタノール調節剤(ethanol modifier)と共にアイソクラティックヘプタンを使用する移動相により用いた。
【0242】
シス-THCサンプル(HPLCにより98.2%純粋)を、植物学的由来の精製されたCBDから単離し、評価されるキラリティーについて、キラル法において行った。得られた痕跡を、
図7中に示す。痕跡Cにおいて示される通り、(-)-シス-THC及び(+)-シス-THCの場合に存在するピークによって、植物学的由来の精製されたCBD製剤中に存在するシス-THCが、両方の異性体の混合物として存在することが示されている。
【0243】
存在する(-)-シス-THCの(+)-シス-THCに対する近似の比を、曲線下面積により決定される通り、9:1であることを算出した。(-)-シス-THC対(+)-シス-THCの比の様々な範囲は、CBD材料の源及び処理に応じて存在するという可能性がある。
【0244】
(実施例6):合成により生成されたCBDの組成物の定量
合成により生成されたCBDの異なる2つのサンプルを得、HPLCにおいて行って、合成起源のCBDの組成物を、植物学的由来の精製されたCBDの組成物と比較した。両方の製剤は、98%(w/w)以上のCBDを含んでいた。
【0245】
図8中で示すことができる通り、合成起源のCBDと植物学的由来の精製されたCBDのものとの間に差がある。植物学的由来の精製されたCBDサンプルは、CBD-C1、CBDV、CBD-C4、トランス-THC及びシス-THCに対応するピークを有し、合成により生成されたCBDは、これらの化合物を含まない。
【0246】
(実施例7):植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの自己蛍光特性
植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの放出及び励起スペクトルの物理的特性を、この例において決定した。
【0247】
方法
試験物質
植物学的由来の精製されたCBD(BOT)を、100%DMSO又は100%エタノール中の100mMの6種の濃度で、及びPBS+0.1%エタノール又はPBS+0.1%DMSO含有ビヒクル溶液中の100μM、50μM、1μM、0.5μM、及び0.01μMで2回試験した。用いた植物学的由来の精製されたCBD中のTHC濃度は、THC0.03%(w/w)であった。
【0248】
合成CBD(SYN)を、100%エタノール又は100%DMSO中の100mM、50mM、1mM、0.5mM、及び0.1mMの5種の濃度で、2回試験した。
【0249】
マイクロプレートの調製
各サンプル又は緩衝液200μLを、マイクロプレートに2回加えた。測定を、Ensight multimodalプレートリーダー(Perkin Elmer社)で行っている。
【0250】
励起波長の選択
励起スキャンを用いて、各試験物質についての励起ピークを検出した。励起スキャンを、230~380nm及び蛍光波長を400nm以下に設定した。励起スキャンを、230~420nm及び蛍光波長を440nm以下にやはり設定した。両方の場合において、工程増分2nmを、これらのスキャンのために用いた。
【0251】
これらの分析に基づいて、2つの仮の蛍光波長についての励起波長のピークを、決定し、最適な励起波長/秒を同定するために用いた。
【0252】
蛍光波長の選択
試験物質の放出ピークを確認するために、放射スキャンを、励起スキャン後に同定された励起ピークを用いて行った。励起スキャンを設定して、工程増分2nmを用いて、植物学的由来の精製されたCBDの場合50nmを超える仮の励起値で及び合成CBDの場合20nmを超える仮の励起値で開始した。800nmまでの波長を、放出についてスキャンした。
【0253】
サンプルの場合の最大放出を与える波長を、選ばれた励起波長についての最適な蛍光波長として定義した。
【0254】
データの提示
生データを、ソフトウェアWorkOut Plus(バージョン2.5、Perkin Elmer社、Waltham、Massachusetts、USA)から導いた。ソフトウェアから抽出したすべてのデータを、データ分析前に完全な検証のために2名が点検した。
【0255】
これらのデータを用いて、本明細書中で示されたデータを生成し、WorkOut Plusソフトウェア(バージョン2.5、Perkin Elmer社)を用いて、xは、波長(nm)を表し、yは、蛍光強度を表している。
【0256】
それに続いて、データを、GraphPad Prism(バージョン8.0.2、La Jolla、USA)を用いてXYグラフとしてこれをプロットした。
【0257】
結果
DMSO中の植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDについての励起ピークポイント
各化合物についてのDMSOプロフィールと異なる特異的な自己蛍光スペクトルは、最高濃度100mMで検出することができるに過ぎなかった。
【0258】
濃度100mMにおける各化合物についての代表的な分光学的データを、
図9中に示す。
【0259】
ビヒクルとして純粋なDMSOを用いて及び蛍光波長が400又は440nmの設定で、励起ピークポイントを、植物学的由来の精製されたCBDについて328又は332nmで同定し;植物学的由来の精製されたCBDについてより高い蛍光読み取りの単分散ピークを用いて、合成CBDと比較した。
【0260】
ビヒクルとして純粋なDMSOを用いて及び蛍光波長が400又は440nmの設定で、励起ピークポイントが、合成CBDについて282又は328nmで同定したが;これらは、これらの条件において本材料についての励起ピークの非存在を示唆するDMSOについてのピークと重複する。
【0261】
DMSO中の植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDについての放出ピークポイント
各化合物についての特異的な自己蛍光は、最高濃度100mMで検出することができるに過ぎなかった。データから、すべての低濃度で、DMSOのものと類似の低い特異的な蛍光検出が示唆された。
【0262】
濃度100mMにおける各化合物についての代表的な分光学的データを、
図10中に示す。
【0263】
ビヒクルとして純粋なDMSOを用いて及び励起波長を、本試験から同定した通り326又は文献に基づいて370nmで設定して、放出ピークポイントを、より高い蛍光読み取りの単分散ピークを326nmで用いて、植物学的由来の精製されたCBDについて398又は428nmで同定した。
【0264】
ビヒクルとして純粋なDMSOを用いて及び励起波長が、328/334/344/284nmの設定で、励起ピークポイントを、より高い蛍光読み取りの単分散ピークを565nmで用いて、合成CBDについて408/498/508/565nmで同定した。これがDMSOピークと重複するため、これは、分光写真に含まれていない。
【0265】
エタノール中の植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDについての励起ピークポイント
各化合物についてのエタノールプロフィールと異なる特異的な自己蛍光スペクトルは、最高濃度100mMで検出することができるに過ぎなかった。
【0266】
濃度100mMにおける各化合物についての代表的な分光学的データを、
図11中に示す。
【0267】
ビヒクルとして純粋エタノールを用いて及び蛍光波長が400nmの設定で、励起ピークポイントを、植物学的由来の精製されたCBDについて328nmで及び合成CBDについて280nmで同定した。
【0268】
ビヒクルとして純粋エタノールを用いて及び蛍光波長が440nmの設定で、励起ピークポイントを、植物学的由来の精製されたCBDについて330nmで及び合成CBDについて328nmで同定した。
【0269】
エタノール中の植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDについての放出ピークポイント
各化合物についての特異的な自己蛍光は、最高濃度100mMで検出することができるに過ぎなかった。データから、すべての低濃度で、エタノールのものと類似の低い特異的な蛍光検出が示唆された。
【0270】
濃度100mMにおける各化合物についての代表的な分光学的データを、
図12中に示す。
【0271】
ビヒクルとして純粋なエタノールを用いて及び励起波長を、本試験で同定した通り326nm又は文献に基づいて370nmで設定して、放出ピークポイントを、植物学的由来の精製されたCBDについて404nm又は560nmで同定した。
【0272】
ビヒクルとして純粋エタノールを用いて及び励起波長が、326及び340nmの設定で、励起ピークポイントを、合成CBDの場合両方の波長について412nm間で同定した。
【0273】
結論
本例で示されたデータによって、植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの励起及び蛍光波長に差があることが示唆されている。したがって、2つの化合物の生物物理的特性に明らかな差がある。
【0274】
植物学的由来の精製されたCBDの物理化学的特性を実証するデータの結論
上記の実施例2~7に示されるデータは、高-CBD植物から生成された、植物学的由来の精製されたCBD製剤の物理化学的特性を記載している。
【0275】
この植物学的由来の精製されたCBDは、98%(w/w)以上のCBD及び2%(w/w)以下の他のカンナビノイドを含む。存在する他のカンナビノイドは、THCが0.1%(w/w)以下の濃度であり;CBD-C1が0.15%(w/w)以下の濃度であり;CBDVが0.8%(w/w)以下の濃度であり;CBD-C4が0.4%(w/w)以下の濃度である。
【0276】
これらのデータによって、トランス-THC及びシス-THCが、植物学的由来の精製されたCBD中に存在することが更に実証される。更に、トランス-THCのシス-THCに対する比が変更され、処理及び精製プロセスにより制御することができ、その純化させていない脱炭酸状態で3.3:1(トランス-THC:シス-THC)から高度に精製された場合0.8:1(トランス-THC:シス-THC)までに及ぶことが示されている。
【0277】
最後に、これらのデータによって、植物学的由来の精製されたCBDにおいて見出されるシス-THCが、(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCアイソフォームの混合物として存在することが実証される。
【0278】
注目すべきことに、植物学的由来の精製されたCBDの比較は、合成CBDのものから得られた組成物と大いに異なる。しかしながら、本発明の教示により提供される通り、CBD製剤は、二重の構成成分を有する組成物を生成することにより、合成的に生成され得る。
【0279】
植物学的由来の精製されたCBDの治療有効性を実証するデータ
次の例では、細胞株を用いてin vitroで及び動物試験、特に、同じ濃度及び純度の合成CBD製剤に対する、植物学的由来の精製されたCBD製剤の優れた有効性を実証する疾患領域を用いてin vivoで生成されたデータを記載している。
【0280】
これらの実験において用いられる植物学的由来の精製されたCBD製剤の純度は、98%以上であった。CBD製剤には、2%以下の、THC、CBDV、CBD-C1、及びCBD-C4を含めた他のカンナビノイドが含まれる。THCは、0.1%(w/w)以下の濃度で;CBD-C1は、0.15%(w/w)以下の濃度で;CBDVは、0.8%(w/w)以下の濃度で;CBD-C4は、0.4%(w/w)以下の濃度で存在する。
【0281】
THCは、次の例において用いられる植物学的由来の精製されたCBD製剤中でトランス-THC及びシス-THCとして存在する。トランス-THCのシス-THCに対する比は、およそ0.8:1(トランス-THC:シス-THC)であった。シス-THCは、存在している(+)-シス-THC及び(-)-シス-THCアイソフォームとの混合物として存在した。
【0282】
(実施例8):神経可塑性及び成長円錐の発達に関するin vitro試験
本例によって、植物学的由来の精製されたCBDのいくつかの濃度は、細胞分化及び神経突起伸長を誘導することが可能であるということが実証される。
【0283】
in vitroにおけるヒトiPSC由来大脳皮質神経系幹/前駆細胞(hNSCs)に対する植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの効果を同定するために、試験を行った。
【0284】
方法
ヒトiPSC-由来大脳皮質神経系幹細胞(hNSCs)の培養
ヒトiPSC-由来大脳皮質神経系幹細胞(hNSCs)(Axol Bioscience Inc.、UK)を、直径100mmペトリ皿で密度1.0×104細胞/cm2で単層として培養した。細胞を、これらの最初のクライオチューブから収集し、Plating-XF培地に懸濁し、(カルシウム又はマグネシウムを含まない)D-PBS中で調製したSureBondXF 1×希釈標準溶液でコーティングしたペトリ皿に播種した。hNSCsを、37℃及びCO25%でインキュベートし、インキュベーションの24時間後、播種している培地を、成長因子組換え型ヒトEGF及び組換え型ヒトFGF2(FGF2及びEGFの最終濃度20ng/mL(1×))を補充した新鮮なNeural Expansion-XF培地と置き換えた。培養を、2日毎にEGF及びFGF2を補充した新鮮なNeural Expansion-XFを再び与えた。hNSCが、およそ80%コンフルエンスに達した場合、これらを、治療のために調製した。予熱したAxol Unlock-XFを用いて、細胞を剥離し、インキュベーションの3分後、細胞を、EGF及びFGF2を補充したNeural Expansion-XF培地に再懸濁した。次いで、細胞(1×104細胞/cm2)を、SureBondXF 1Xでコーティングしたペトリ皿に播種し、2時間後、培地を、EGF及びFGF2を補充した新鮮なNeural Expansion-XFと置き換えた。
【0285】
試験用カンナビノイドによる細胞治療
hNSCsを、前述の通り培養し、植物学的由来の精製されたCBD;合成CBD;又はNeural Differentiation-XF培地(DM、成長因子を含まない)に希釈したビヒクルの存在下で、SureBondXFによってコーティングされたカバーガラスにおいて、密度1×104細胞/cm2でCO25%/空気95%雰囲気下で37℃で3~5日間播種した。
【0286】
カンナビノイドを、95%(v/v)エタノールに溶解し、培地に加えて、最終濃度0.1又は1μM CBDを得た。
【0287】
エタノールを、全分化期間3~5日間ビヒクルによって処置される細胞に加え、最終濃度は、0.05%(v/v)よりも高くなかった。
【0288】
免疫組織化学
免疫組織化学を行うために、細胞を、4%(w/v)パラホルムアルデヒドで固定した。非特異的な結合を、10%(v/v)ウシ胎児血清及び0.1%(v/v)Triton X-100で遮断し、一次抗体、すなわち、マウス抗Map2ab(Sigma-Aldrich社;1:200)及びウサギ抗GFAP(DAKO社;1:200)又はウサギ抗Gap43(Synaptic System社;1:300で、室温で4時間インキュベートした。二次抗体 - 抗マウスAlexa594(Life Technologies社;1:100)及び抗ウサギAlexa488(Life Technologies社;1:100)を、免疫蛍光検査用に用いた。次いで、細胞を、DAPIで対比染色し、PBSで洗浄し、Aquatex mounting培地(Merck社、Darmstadt、Germany)でカバーガラスを施した(slipped with)。免疫蛍光検査を、適切なフィルターを装備した落射蛍光顕微鏡(Leica AF6000)で試験し、次いで、顕微鏡及び画像分析ソフトウェア(Leica社、LAS AF)に接続したデジタルカメラ(Leica社、DFC340)を用いて取得した。免疫活性は、本試験において用いられる各一次抗体の特異度の制御について処理されたサンプルにおいて見出されず、これを、適切な二次抗体を加える前に一次抗体を取り除くことにより行った。
【0289】
データ収集及び統計解析
デジタルLeica LAS AF2.2.0ソフトウェア(ライブデータモードシステム)を、Map2ab+DAPI+細胞をカウントするために用いた。分化細胞を、青紫色(DAPI、青色、及びMAP2、赤色の混合)として、hNSCsを、青色(DAPIのみ)としてカウントするために、適切な青色(DAPI)及び赤色(MAP2)フィルターを装備したLeica DMI6000顕微鏡で、画像を取得した。各実験条件について、3つの異なる管から得られた細胞を、それぞれ3回分析し、3つのフレームを、20×拡大率で収集した。データを、GraphPad Prism6ソフトウェア、バージョン6.05(GraphPad、Inc.)で分析し、平均値±SEMとして表す。群間の統計的有意差を、二元配置ANOVAにより決定し、その後、平均値間の比較のために、ポストホックボンフェローニ検定(post hoc Bonferroni test)により決定した。P<0.05の信頼のレベルを、統計的有意性のために使用した。
【0290】
結果
hNSCsの神経発生及び神経細胞分化に対する植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの効果
2種の異なる植物学的由来の精製されたCBD製剤を、培養されたヒト神経系幹細胞(hNSCs)において試験した。バッチ1は、およそ0.1%(w/w)のTHCを含み、バッチ2は、0.02%(w/w)のTHCを含んでいた。0.1及び1μMの投与量を、植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDで用いた。
【0291】
以下のTable 8.1(表6)に示す通り、植物学的由来の精製されたCBDの両バッチによって、hNSCsの神経発生及び神経細胞分化の有意な増加を誘導し、これは、3又は5日間のCBDによるインキュベーション後のMAP2-MAP2+細胞の数の増加により示される。
【0292】
【0293】
1μMの濃度の、植物学的由来の精製されたCBDは、両バッチについての0.1μM濃度及び両時点(治療の3日及び5日目)においてよりも強力であることが見出された。興味深いことに、合成CBDの同じ濃度は、ビヒクルによって処置される細胞に関連がある神経発生又は神経細胞分化に対して有意な効果を有さなかった。
【0294】
hNSCsの軸索伸長及び神経細胞分化に対する植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの効果
本試験は、GAP43免疫組織化学を用いて、治療の3又は5日後に、hNSCsの神経細胞分化に対する2つの試験化合物の効果を調べるものである。以下のTable 8.2(表7)中に示す通り、植物学的由来の精製されたCBDによる治療の3及び5日後に、大多数の細胞中でGAP43の発現により確認される通り、神経突起の伸長を増強することにより、神経発生が有意に増加した。
【0295】
【0296】
結論
同時に、これらの試験によって、2%以下の、THC、CBD-C1、CBDV及びCBD-C4を含めた他のカンナビノイドを含む植物学的由来の精製されたCBDが、分化及び神経突起伸長を誘導することが可能であることが示される。
【0297】
著しく、(これらの他のカンナビノイドを含有しない)合成CBDは、植物学的由来の精製されたCBDと同じ濃度で供給される場合、hNSCsの神経発生及び分化に対するいかなる効果も有さないようにみえる。
【0298】
神経発生及び神経突起伸長において、植物学的由来の精製されたCBDにより示される効果は、神経変性疾患又は脳損傷の治療のために重要であり得る。
【0299】
(実施例9):てんかんのマウスモデルにおける植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの比較
本例によって、最大の電気ショックによる発作試験(maximal electroshock seizure test)において、マウスに対する植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの効果が実証される。
【0300】
方法
動物及び実験条件
本試験を、23.6~31.2gの間の体重で、認可されたブリーダー(Charles River社、UK)から購入した、雄のC57Bl6マウスを用いて行った。未処置マウス(Naive mice)を、自由に利用可能な食物及び水と共に、これらのホームケージ中の処置室に気候順応させた。動物を、12hr/12hrの明暗周期で標準ケージ中で2~3匹の群で飼育した。すべての動物を、試験の開始時に、尾に印を付け、秤量した。動物を、ビヒクル群又は治療群にランダムに割り付けた。
【0301】
抗てんかん薬(AED)
次の薬物、すなわち、合成CBD(SYN)及び植物学的由来の精製されたCBD(BOT)に本試験で用いた。用いた対照ビヒクルは、(1:1:18)であり、これは、エタノール5%、Kolliphor5%、生理食塩水90%であり、類似の発作試験にわたって広範に用いられている。すべての薬物を、比較のために対照ビヒクルに溶解した。最大の電気ショックによる発作(MES)試験の実施60分前に、動物に(10ml/kg)i.p.投与した。ビヒクル群に加えて、投与量群を各治療のために用い、CBD(SYN)及びCBD(BOT)について、10、50、100(実験1のみ)、150及び200mg/kgの投与量が含まれる。これらの群のそれぞれの動物数は、10(n=10)であった。
【0302】
2つの別々の実験を、植物学的由来の精製されたCBDの2つの異なるバッチを用いて行った。第1の実験では、植物学的由来の精製されたCBDにおけるTHCの濃度は、0.02%(w/w)のTHCであり、第2の実験では、植物学的由来の精製されたCBDにおけるTHCの濃度は、およそ0.1%(w/w)のTHCであった。
【0303】
最大の電気ショックによる発作(MES)試験
CBD(SYN)及びCBD(BOT)の保護活性を評価し、MES-によって誘発される強直性発作に対して、マウスの50%を保護する有効な投与量(ED50(mg/kg))として表した。電撃痙攣を、固定電流強度30mAにより生成し、電気ショックを(0.2秒間)角膜に送達した。マウスを、対照動物の100%において、強直性後肢伸展発作を確実に起こすのに十分な強度の電気ショックを角膜に送達した、この予定された高レベル(30mA)の後の発作について個別に評価した。発作の誘発を、各動物について存在(+)又は非存在(0)として記録された全か無かの効果として測定した。データを、各動物についての治療に気づいていない観察者により収集され、各治療群について、+及び0の総数として表現した。次いで、関連するビヒクルで治療された群の阻害パーセント(ビヒクルによって治療された対照に関連がある保護の程度)を生成した。
【0304】
統計解析
すべての統計試験を、市販のGraphPad Prismバージョン7.0 for Windows(GraphPad Software社、San Diego、CA)を用いて行った。CBD(SYN)及びCBD(BOT)についてのMES-によって誘発される強直性発作に対して、マウスの50%を保護する、有効な投与量(ED50(mg/kg))を、S字形用量反応 - 可変勾配及び対数プロビット(log-probit)分析を用いて、Prismにおいて算出した。CBD(SYN及びCBD)から得られたED50値を、1つの実験から得られた2つの最良の、最良の当てはめ値を比較して、これらの間の差の有意性を統計的に評価するために、t検定アプローチを用いて比較した。
【0305】
結果
CBD(SYN)及びCBD(BOT 0.02% THC)の所与の投与量により示される抗痙攣効果を、
図13中に示されるS字曲線分析により分析した。ED
50値は、CBD(SYN):77.63mg/kg及びCBD(BOT 0.02% THC):70.22mg/kgとして、これらのS字曲線から導出した。
【0306】
これらのED50値を、1つの実験から得られた2つの最良の、最良の当てはめ値についてのt検定アプローチを用いて、統計的に比較した。結果として、これらのED50値を、以下のTable 9.1(表8)中に示される通り、統計的に異なると決定した(p=0.0013)。
【0307】
ヒト60kgと仮定してマウスの投与量をヒト等価投与量(HED)10mg/kgに変換し、CBD(SYN)に対してCBD(BOT 0.02% THC)を用いたHEDの差は、10.00%であった。
【0308】
【0309】
CBD(SYN)及びCBD(BOT 0.02% THC)の所与の投与量により示される抗痙攣効果を、
図14中に示される通り、S字曲線分析により分析した。ED
50値は、CBD(SYN):77.40mg/kg及びCBD(BOT 0.1% THC):57.94mg/kgとして、これらのS字曲線から導出した。
【0310】
これらのED50値を、1つの実験から得られた2つの最良の、最良の当てはめ値についてのt検定アプローチを用いて、統計的に比較した。結果として、これらのED50値を、Table 9.2(表9)中に記載される通り、統計的に異なると決定した(p=0.0000015)。
【0311】
ヒト60kgと仮定してマウスの投与量をヒト等価投与量(HED)10mg/kgに変換しており、CBD(SYN)に対してCBD(BOT 0.08% THC)を用いたHEDの差は、28.75%であった。
【0312】
【0313】
結論
本試験において生成されたデータによって、植物学的由来の精製されたCBDによる治療が、てんかんの最大の電気ショックモデルにおいて合成CBDによる治療よりも効果的であることが示される。
【0314】
かかるデータは、これらによって、そのようなCBD組成物が、てんかんの治療において有用であり得るということを実証しているため、有意である。
【0315】
(実施例10):統合失調症の動物モデルにおける植物学的由来の精製されたCBD及び合成CBDの比較
新奇物体認識(NOR)試験におけるPCPの効果は、統合失調症において観察されるものと類似の目視による認識記憶欠損のモデルである。非定型の統合失調症治療薬、クロザピン及びリスペリドンは、欠損を減弱することができる。本試験は、植物学的由来の精製されたCBD及び/又は合成CBDが、PCPの投与によって引き起こされる新奇物体認識における欠損を減弱することができるか否かを決定するために設計された。
【0316】
方法
雌のhooded-Listerラットを、本実験のために用いた。ラットを、標準実験室条件下で、12hrの明暗周期で、0700hr点灯して、5匹の群で飼育した。試験を、明期(light phase)において行った。ラットを、2つの治療群にランダムに割り付け、ビヒクル、n=20(蒸留水、i.p.)又はフェンシクリジン塩酸塩(PCP)、n=100(2mg/kg、i.p.1日2回7日間)で治療した。PCPを、蒸留水に溶解した。これを、ラットを試験する前に7日間休薬期間が続き、その後、CBD、リスペリドン又はビヒクルにより急性治療を行った。
【0317】
リスペリドン(0.1mg/kg)を、最小体積の酢酸に溶解し、蒸留水を含む体積にし、0.1M NaOHでpHを6に調整し、試験120分前に1ml/kgの体積で、i.p.経路によって投与した。
【0318】
植物学的由来の精製されたCBDを、2、10、20又は100mg/kgで試験し、2:1:17(エタノール:Cremofor:生理食塩水0.9%)に溶解し、試験60分前に5ml/kgの体積でi.p.経路によって投与した。植物学的由来の精製されたCBDにおけるTHC濃度は、0.03%(w/w)のTHCであった。
【0319】
1、2、5、10又は20mg/kgにおける合成CBDを、2:1:17(エタノール:Cremofor:生理食塩水0.9%)に溶解し、試験120分前に5ml/kgの体積でi.p.経路によって投与した。
【0320】
ラットを放置して、1日目に1時間空の試験ボックス及び行動的な試験室環境に馴化させた。2日目の行動学的試験の前に、ラットを更に3分間馴化させた。
【0321】
3分間の馴化期間の後、ラットに3分間の試行(T1及びT2)を2回させ、これは、ホームケージ中で試行間に1分間の間隔をあけ、その間にこれらの物体を変化させた。すべての試行中の挙動を、その後のブラインドスコアリングのためにビデオで記録した。
【0322】
獲得試行(T1)では、動物を放置して、2つの同一の物体(A1及びA2)を3分間探索させた。保持試行(T2)では、動物を放置して、T1による馴染み物体(A)及び新奇物体(B)を3分間探索させた。T2中に提示された馴染み物体は、任意の嗅覚の試行を回避するための、T1において提示された物体の複製であった。
【0323】
物体探索は、動物が、物体をなめる、嗅ぐ、又は物体を嗅ぎながら前肢で触ることにより定義されるが、物体探索は、動物が、物体に対して学習する、方向変換する、物体の上に立つ又は座ることを含めなかった。各試行における各物体(A、B、馴染み及び新奇)の探索時間を、2つのストップウォッチを用いて記録し、次の因子、すなわち、獲得試行における両方の物体の総探索時間、保持試行における両方の物体の総探索時間を算出した。探索の活性の馴化には、両方の試行のための交差した線の数により測定された通り、探索時間が含まれる。
【0324】
すべてのデータを、ダゴスティーノとピアソンの正規性試験(D'Agostino and Pearson normality test)を用いて評価した。非正規分布したデータを、クラスカル-ウォリスを用いて分析し、その後、ダンの補正との計画的な比較を用いて分析した。正規分布したデータを、一元配置ANOVAを用いて分析し、その後、シダックの補正との計画的な比較を用いて分析した。すべての分析を、GraphPad Prism V7.03を用いて実施した。
【0325】
結果
図15中に示す通り、植物学的由来の精製されたCBD(2~100mg/kg i.p.、120分ppt)によって、最小の有効な投与量(MED)2mg/kgで、ラット(1群当たりn=9~10匹)中の新奇物体認識における亜慢性のPCP-によって誘発された欠損が減弱された(p=<0.05)。
【0326】
図16中に示す通り、合成CBD(2~100mg/kg i.p.、120分ppt)によって、最小の有効な投与量(MED)10mg/kgで、ラット(1群当たりn=8~10匹)中の新奇物体認識における亜慢性のPCP-によって誘発された欠損が減弱された(p=<0.01)。
【0327】
興味深いことに、合成CBD及び植物学的由来の精製されたCBD間の力価(最小の有効な投与量)の差は、CBD20mg/kg/日で投与された70kgのヒトにおいて、必要とされるCBDの量に有意差があることを意味する。以下に示す通りである。
ラット投与量2mg/kg/日=(2×0.16)=ヒトにおいて0.32mg/kg/日=(0.32×70)=植物起源の高度に精製されたCBDの場合22.4mg/日。
ラット投与量10mg/kg/日=(10×0.16)=ヒトにおいて1.6mg/kg/日=(1.6×70)=合成CBDの場合112mg/日。
【0328】
算出は、FDAの動物からヒトへの投与量変換ガイダンス(FDA dose conversion guidance from animal to human)(ラットの投与量mg/kgを、ヒト等価投与量mg/kgに変換するため。ラット投与量は、0.16を乗じる)に基づいている。
【0329】
結論
植物学的由来の精製されたCBDは、合成CBDよりも低用量の最小の有効な投与量(MED)で、ラットの新奇物体認識における亜慢性のPCP-によって誘発された欠損を減弱するのに有用であることが示されており、統合失調症及び関連した状態における有用な治療オプションであるはずであるということが示唆される。
【0330】
力価の差がある場合、ヒトにおいて合成CBDを用いると、植物学的由来の精製されたCBDよりも、CBDの5倍の量を要するはずである。力価のそのような差は、CBDが、高価な化合物であっても、合成からでも植物のルートからでも生成するために重要である。
【0331】
(実施例11):統合失調症の動物モデルにおける植物学的由来の精製されたCBDと組み合わせたTHCの高濃度の比較
上記の実施例9に記載された新奇物体認識(NOR)試験は、統合失調症において観察されるものと類似の目視による認識記憶欠損のモデルである。本試験は、THCのより高い濃度が、固有のCBD油製剤において一般に見出される通り、ラットにおいてPCPの投与により引き起こされる新奇物体認識における欠損を減弱する植物学的由来の精製されたCBDの能力に影響を与えるか否かを決定するために設計されている。
【0332】
固有のCBD製剤は、一般的に、3~20%(w/w)の間のTHCを含む。
【0333】
方法
上記の実施例10に記載される同じ方法を、本実験において使用した。
【0334】
植物学的由来の精製されたCBDを、CBDに10%(w/w)又は20%(w/w)のTHCを加えて、20mg/kgで試験した。0.08%のTHCを含む植物学的由来の精製されたCBDは、精製された植物学的由来のTHCを用いて、10%のTHC及び20%のTHCまでにした。
【0335】
カンナビノイドを、2:1:17(エタノール:Cremofor:0.9%生理食塩水)に溶解し、試験の120分前に5ml/kgの体積で、i.p.経路によって投与した。
【0336】
行動学的試験を、上記の実施例10中に記載される通り行った。
【0337】
すべてのデータを、ダゴスティーノとピアソンの正規性試験を用いて正規性を評価した。非正規分布したデータを、クラスカル-ウォリスを用いて分析し、その後、ダンの補正との計画的な比較を用いて分析した。正規分布したデータを、一元配置ANOVAを用いて分析し、その後、シダックの補正との計画的な比較を用いて分析した。すべての分析を、GraphPad Prism V7.03を用いて実施した。
【0338】
結果
20%(w/w)のTHCを含む植物学的由来の精製されたCBDで治療した動物では、鎮静されることが判明し、したがって、この群の新奇物体認識に対してデータは生成されなかった。
【0339】
10%(w/w)のTHCを含む植物学的由来の精製されたCBDで治療した動物の一部では、鎮静されることがやはり判明し、したがって、この群の試験動物15匹のうち5匹についてのみデータが生成された。
【0340】
図17から19中に示すことができる通り、20mg/kgにおける植物学的由来の精製されたCBDで治療される動物では、新奇物体認識において亜慢性のPCP-によって誘発された欠損を減弱することが可能であった。興味深いことに、この効果は、10%(w/w)のTHCを含む植物学的由来の精製されたCBDで治療された動物において取り除かれたことが観察された。
【0341】
図17では、植物学的由来の精製されたCBD(20mg/kg i.p.、120分ppt)では、ラット(1群当たりn=15匹)における新奇物体認識における亜慢性のPCP-によって誘発された欠損が減弱された(p=<0.001)ことが実証された。一方、CBD(20mg/kg)とTHC(1.984mg/kg、i.p.、120分ppt)を投与した群では、この効果を失った(n=5)。ビヒクルにより治療されたPCPラットにおいて観察されたものと類似の効果が起こった。
【0342】
図18では、10及び20%(w/w)のTHCを補充した、植物学的由来の精製されたCBDで治療したラットにおける識別インデックス(DI)を詳述する。植物学的由来の精製されたCBDで治療したラット(20mg/kg i.p.、120分ppt)は、DIを有し、これは、PCPで治療されてないラットのもの(1群当たりn=15)と類似した(p=<0.01)。一方、CBD(20mg/kg)とTHC(1.984mg/kg、i.p.、120分ppt)を投与した群では、この効果を失った(n=5)。
【0343】
図19では、10及び20%(w/w)のTHCを補充した、植物学的由来の精製されたCBDで治療したラットにおける直線の交差の数を詳述する。THC(1.984mg/kg、i.p.、120分ppt)とCBD(20mg/kg)で治療されたラットは、直線の交差の数が減少した(n=5)。
【0344】
結論
したがって、植物学的由来の精製されたCBDにおいて見出されるTHCの小さい濃度が効果的であるが、固有のCBD製剤において見出されたレベルまでTHCの濃度を増加させるのは、失認及び社会性欠損に有害であると思われる。
【0345】
植物学的由来の精製されたCBDの治療有効性を実証するデータの結論
上記の実施例8~11に示されるデータは、合成CBDと比較した、高-CBD植物から生成された、植物学的由来の精製されたCBD製剤の薬理学的特性を記載している。
【0346】
本発明者らが実施例2~7において決定した通り、これらの実験中で用いた植物学的由来の精製されたCBDは、合成CBDの組成と異なる正確な組成を有し、それはこれら2つの組成物が同じCBDの濃度を有するにもかかわらずそうである。
【0347】
これらのデータは、植物学的由来の精製されたCBDが、合成CBDよりも効果的である異なる3種のモデルにおいて実証されている。試験したCBDの2つのタイプの間の組成物の差が、不純物であると考えられ得るものの範囲内に過ぎなくても、これらのデータは、驚くべきものである。
【0348】
かかるデータは、多くの点で重要である。最初に、疾患又は状態を伴う患者を治療する場合、医療従事者は、あり得る最も有効な治療を保証することを望んでいる。これらのデータによって、植物学的由来の精製されたCBDが、合成CBDよりも有効であり、したがって、特に、治療することが難しい状態、例えば、てんかん症候群の多く、例えば、ドラベ症候群又はレノックス-ガストー症候群等に罹患している患者において、より価値のある治療オプションであることが示される。
【0349】
第2に、これらの実験から得られた知見によって、植物学的由来の精製されたCBDが、合成CBDより低い最小の有効な投与量で有効であることが実証される。したがって、植物学的由来の精製されたCBDを投与する場合、より少量の組成物を提供することができる。これは、原価をより低くすること、関連する副作用を潜在的に低減すること及び患者コンプライアンスを含めた、多くの利点を有する。
【0350】
更に、これらのデータによって、CBDの純化させていない源、例えば、CBD油の小売業者から見出されているもの等を用いても、植物学的由来の精製されたCBDで観察されるものと同じ効果的な利点をもたらさないことがやはり実証される。認知において示される有害な効果は、CBD中のTHCの量が、固有のレベルまで増加する場合、かかる組成物が、多くの疾患及び状態の治療に適していないことが示唆される。
【0351】
まとめると、植物学的由来の精製されたCBD内の構成成分の正確な組成物は、大きな利点である。そのような組成物は、植物学的起源のCBD又は合成的に生成される構成成分を用いて、複製することができる。