(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038143
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】メッセンジャーRNA用乾燥粉末製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20240312BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240312BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240312BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240312BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240312BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240312BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240312BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240312BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K48/00 ZNA
A61P11/06
A61P11/00
A61P31/12
A61P31/16
A61K9/12
A61K9/107
A61K9/127
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/24
A61K47/10
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220337
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2021503720の分割
【原出願日】2019-07-23
(31)【優先権主張番号】62/702,193
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】カーブ, シュリラング
(72)【発明者】
【氏名】デローサ, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハートレイン, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ザルナ
(72)【発明者】
【氏名】サロード, アシシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療的使用のための安定した乾燥粉末メッセンジャーRNA製剤、ならびにそれを作製および使用する方法を提供する。
【解決手段】嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達するための乾燥粉末製剤であって、CFTRタンパク質をコードするmRNAと、1つ以上の脂質と、1つ以上のポリマーと、を含む複数の噴霧乾燥粒子を含む、乾燥粉末製剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達するための乾燥粉末製剤であって、
CFTRタンパク質をコードするmRNAと、
1つ以上の脂質と、
1つ以上のポリマーと、を含む複数の噴霧乾燥粒子を含む、乾燥粉末製剤。
【請求項2】
前記1つ以上の脂質が、前記CFTRタンパク質をコードする前記mRNAを封入する1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)中に存在する、請求項1に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項3】
前記1つ以上の脂質および前記1つ以上のポリマーが、前記CFTRタンパク質をコードする前記mRNAを封入する1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)中に存在する、請求項1に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項4】
前記CFTR mRNAが、90%以上の完全性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項5】
前記mRNAが、室温以下で6ヶ月以上保存したときに、90%以上の完全性を維持する、請求項1~4のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項6】
前記複数の噴霧乾燥粒子の少なくとも20%が、微粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項7】
前記微粒子が、5μm未満の体積メジアン径を有する、請求項6に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項8】
前記乾燥粉末製剤が、吸入可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項9】
前記製剤が、再構成時に霧化可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項10】
前記1つ以上のポリマーが、前記脂質およびポリマーの合計重量の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%を構成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項11】
前記1つ以上のポリマーが、前記脂質およびポリマーの合計重量の、約10~90%、10~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~30%、10~20%、15~20%、15~25%、15~30%、15~35%、15~40%、15~45%、15~50%、15~55%、15~60%、15~65%、15~70%、15~75%、15~80%、または15~90%を構成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項12】
前記1つ以上のポリマーが、前記脂質およびポリマーの合計重量の90%、80%、70%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下を構成する、請求項1~11のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項13】
前記1つ以上のポリマー構成が、キトサン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-コ
-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(q-カプロラクトン(PCL)、ポリアミドアミン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ヒドロキシアルキルL-アスパラギン)、ポリ(ヒドロキシアルキルL-グルタミン)、ポリ(2-アルキルオキサゾリン)アクリレート、修飾アクリレートおよびポリメタクリレート系ポリマー、ポリ-N-(2-ヒドロキシル-プロピル)メタアクリルアミド、ポリ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)、ならびにポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート)(pDMAEMA)からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項14】
前記1つ以上のポリマーが、ポリメタクリレート系ポリマーを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項15】
前記1つ以上のポリマーが、Eudragit EPOを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項16】
前記mRNAを封入する1つ以上のLNPが、1~20、1~15、1~10、2~8、2~6、または2~4の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する、請求項2~15のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項17】
前記mRNAを封入する1つ以上のLNPが、2または4の脂質:mRNA(N/P)比を有する、請求項16に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項18】
前記LNPが、80%以上の封入効率を有する、請求項2~17のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項19】
前記1つ以上の脂質が、カチオン性脂質を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項20】
前記カチオン性脂質が、C12-200、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチタアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA、DLin-KC2-DMA、HGT4003、cKK-E12、ICE、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項21】
前記カチオン性脂質が、cKK-E12である、請求項20に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項22】
前記カチオン性脂質が、ICEである、請求項20に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項23】
前記カチオン性脂質が、LNP中の総脂質のモルで約25~50%を構成する、請求項19~22のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項24】
前記1つ以上の脂質が、PEG修飾脂質を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項25】
前記PEG修飾脂質が、LNP中の総脂質のモルで約1~15%を構成する、請求項24に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項26】
前記PEG修飾脂質が、LNP中の総脂質のモルで少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%、または12%を構成する、請求項24に記載の乾燥粉末製
剤。
【請求項27】
前記LNPが、2脂質成分LNPである、請求項2~26のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項28】
前記1つ以上の脂質が、中性脂質またはコレステロール系脂質を含まない、請求項1~27のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項29】
前記1つ以上の脂質が、中性脂質またはコレステロール系脂質をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項30】
前記1つ以上の脂質が、中性脂質をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項31】
前記LNPが、3脂質成分LNPである、請求項29または30に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項32】
単糖類、二糖類、多糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、ラクトース、スクロース、セロビオース、トレハロース、ラフィノース、デンプン、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、イヌリン、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、およびマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの糖をさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項33】
前記糖が、マンニトールである、請求項32に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項34】
エステル、ウレタン、ホスホエステル、ホスファゼン、アミノ酸、コラーゲン、キトサン、多糖類、アルブミン、界面活性剤、緩衝剤、塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項35】
前記界面活性剤が、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリトンX-100、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ソルビタンモオノラウレエート(Sorbitan moonolaureate)、モノステアリン酸ソルビタン、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、アルキルポリグルコシド、およびポロキサマーからなる群から選択される、請求項34に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項36】
前記界面活性剤が、ポロキサマーである、請求項35に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項37】
前記CFTR mRNAが、前記噴霧乾燥粒子の合計重量の約1~20%、1~15%、1~10%、1~8%、1~6%、1~5%、5~15%、または5~10%を構成する、請求項1~36のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項38】
前記CFTR mRNAが、前記噴霧乾燥粒子の合計重量の約1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%、12.5%、または15%を構成する、請求項1~37のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項39】
インビボ発現のための嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~38のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤を投与する工程を含む、方法。
【請求項40】
前記乾燥粉末製剤が、肺送達によって投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記乾燥粉末製剤が、吸入により投与される、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
インビボ発現のための嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達する方法であって、
請求項1~38のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤を液体溶液に再構成することと、
それを必要とする対象に、前記再構成された液体溶液を投与することと、を含む、方法。
【請求項43】
前記再構成された液体溶液が、霧化によって投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、嚢胞性線維症に罹患している、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
メッセンジャーRNA(mRNA)を送達するための乾燥粉末製剤であって、
タンパク質またはペプチドをコードするmRNAと、
1つ以上の脂質と、
1つ以上のポリマーと、を含む複数の噴霧乾燥粒子を含む、乾燥粉末製剤。
【請求項46】
メッセンジャーRNA(mRNA)を送達するための乾燥粉末製剤であって、
a.ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)と、
b.1つ以上のポリマーと、を含む複数の噴霧乾燥粒子を含む、乾燥粉末製剤。
【請求項47】
メッセンジャーRNA(mRNA)の送達のための乾燥粉末製剤であって、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する1つ以上のナノ粒子を含む複数の噴霧乾燥粒子を含み、前記ナノ粒子が、
a.1つ以上の脂質と、
b.1つ以上のポリマーと、を含む、乾燥粉末製剤。
【請求項48】
前記mRNAが、90%以上の完全性を有する、請求項45~47のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項49】
前記mRNAが、室温以下で6ヶ月以上保存した後、90%以上の完全性を維持する、請求項45~48のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項50】
前記mRNAが、4℃以下で6ヶ月以上保存した後、90%以上の完全性を維持する、請求項45~48のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項51】
前記複数の噴霧乾燥粒子の少なくとも20%が、微粒子である、請求項45~50のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項52】
前記微粒子が、5μm未満の体積メジアン径を有する、請求項51に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項53】
前記乾燥粉末製剤が、吸入可能である、請求項45~52のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項54】
前記製剤が、再構成時に霧化可能である、請求項45~52のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項55】
前記mRNAを封入する1つ以上のLNPが、1~20、1~15、1~10、2~8、2~6、または2~4の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する、請求項46~54のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項56】
前記mRNAを封入する1つ以上のLNPが、2または4の脂質:mRNA(N/P)比を有する、請求項55に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項57】
mRNA担持脂質ナノ粒子が、80%以上の封入効率を有する、請求項46~56のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項58】
前記1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子が、1つ以上のカチオン性脂質を含む、請求項46~57のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項59】
前記1つ以上のカチオン性脂質が、C12-200、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチタアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA、DLin-KC2-DMA、HGT4003、cKK-E12、ICE、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項58に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項60】
前記1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子が、1つ以上のPEG修飾脂質を含む、請求項46~59のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項61】
前記LNPが、2脂質成分LNPである、請求項46~60のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項62】
前記1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子が、1つ以上の中性脂質または1つ以上のコレステロール系脂質をさらに含む、請求項46~60のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項63】
前記LNPが、3脂質成分LNPである、請求項62に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項64】
前記1つ以上のポリマーが、合計重量の20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、または5%未満を構成する、請求項45~63のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項65】
前記1つ以上のポリマーが、前記脂質およびポリマーの合計重量の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%を構成する、請求項45~64のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項66】
前記1つ以上のポリマーが、前記脂質およびポリマーの合計重量の、約10~90%、10~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~30
%、10~20%、15~20%、15~25%、15~30%、15~35%、15~40%、15~45%、15~50%、15~55%、15~60%、15~65%、15~70%、15~75%、15~80%、または15~90%を構成する、請求項45~65のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項67】
前記1つ以上のポリマーが、前記脂質およびポリマーの合計重量の90%、80%、70%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下を構成する、請求項45~66のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項68】
前記1つ以上のポリマー構成が、キトサン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(q-カプロラクトン(PCL)、ポリアミドアミン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ヒドロキシアルキルL-アスパラギン)、ポリ(ヒドロキシアルキルL-グルタミン)、ポリ(2-アルキルオキサゾリン)アクリレート、修飾アクリレートおよびポリメタクリレート系ポリマー、ポリ-N-(2-ヒドロキシル-プロピル)メタアクリルアミド、ポリ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)、ならびにポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート)(pDMAEMA)からなる群から選択される、請求項45~67のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項69】
前記1つ以上のポリマーが、ポリメタクリレート系ポリマーを含む、請求項45~68のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項70】
単糖類、二糖類、多糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、ラクトース、スクロース、セロビオース、トレハロース、ラフィノース、デンプン、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、イヌリン、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、およびマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つの糖をさらに含む、請求項45~69のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項71】
前記糖が、マンニトールである、請求項70に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項72】
エステル、ウレタン、ホスホエステル、ホスファゼン、アミノ酸、コラーゲン、キトサン、多糖類、アルブミン、界面活性剤、緩衝剤、塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項45~71のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項73】
前記界面活性剤が、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリトンX-100、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ソルビタンモオノラウレエート(Sorbitan moonolaureate)、モノステアリン酸ソルビタン、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、アルキルポリグルコシド、ポロキサマー、および任意にポロキサマー407からなる群から選択される、請求項72に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項74】
前記界面活性剤が、ポロキサマーである、請求項73に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項75】
前記mRNAが、ペプチドをコードする、請求項45~74のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項76】
前記mRNAが、治療用タンパク質をコードする、請求項45~74のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項77】
前記治療用タンパク質が、CFTRである、請求項76に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項78】
前記治療用タンパク質が、OTCである、請求項76に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項79】
インビボでmRNAを送達する方法であって、それを必要とする対象に、請求項45~78のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤を投与することを含む、方法。
【請求項80】
有効用量の、請求項45~78のいずれか一項に記載の乾燥粉末製剤中のmRNAを前記患者に投与することによって、患者における疾患または障害を治療する方法。
【請求項81】
前記乾燥粉末製剤が、吸入により投与される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
前記乾燥粉末製剤が、鼻腔内噴霧により投与される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項83】
前記製剤が、定量吸入器によって投与される、請求項79または80に記載の方法。
【請求項84】
前記疾患または障害が、嚢胞性線維症;喘息;COPD;肺気腫;内臓逆位を伴うもしくは伴わない原発性毛様体ジスキネジア(CILD1)、またはカルタゲナー症候群;肺線維症;バート・ホッグ・デュベ症候;遺伝性出血性毛細血管拡張症;アルファ-1抗トリプシン欠損症;チトクロームb陽性肉芽腫性疾患(CGD、X線);チトクロームb陽性肉芽腫性疾患、常染色体劣性;表面活性物質欠損症、肺表面活性物質代謝異常1、肺表面活性物質代謝異常2型、肺表面活性物質代謝異常3型;未熟児の呼吸窮迫症候群;結核、インフルエンザを含む肺ウイルス性疾患、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)から選択される、請求項80~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
乾燥粉末製剤を製造する方法であって、
mRNA、1つ以上の脂質、およびポリマーを含む混合物を提供することと、
前記混合物を噴霧乾燥して、複数の粒子を形成することと、を含む、方法。
【請求項86】
前記ポリマーを添加する前に、前記1つ以上の脂質が、最初に前記mRNAと混合されてmRNA担持脂質ナノ粒子を形成する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記1つ以上の脂質が、単一工程で前記mRNAおよび前記ポリマーと混合されて、mRNA担持脂質ポリマーナノ粒子を形成する、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
噴霧乾燥の前に前記混合物に1つ以上の賦形剤を添加することをさらに含む、請求項85~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記複数の噴霧乾燥粒子が、以下:
a)10%未満の水分含量、
b)5μm未満の体積メジアン径を有する微粒子の画分、
c)10~3000nmのZ平均サイズ範囲、
d)1~20のN/P比の範囲、
e)80%以上のmRNA封入効率、
f)90%以上のmRNA完全性のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項8
5~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記mRNAが、タンパク質またはペプチドをコードする、請求項85~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記mRNAが、ペプチドをコードする、請求項85~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記mRNAが、治療用タンパク質をコードする、請求項85~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記治療用タンパク質が、CFTRである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記治療用タンパク質が、OTCである、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
請求項85~94のいずれか一項に記載の方法に従って製造される乾燥粉末製剤。
【請求項96】
有効用量の、請求項95に記載の乾燥粉末製剤中のmRNAを前記患者に投与することによって、患者における疾患または障害を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月23日に出願された米国仮出願第62/702,193号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列一覧表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列一覧表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2019年7月19日に作成された当該ASCIIコピーは、MRT_2008WO_SeqListing.txtという名称であり、サイズは1137バイトである。
【背景技術】
【0003】
メッセンジャーRNA療法(MRT)は、様々な疾患の治療にますます重要なアプローチとなっている。脂質ナノ粒子(LNP)組成物などの脂質封入mRNA製剤は、高度な細胞取り込みおよびタンパク質発現を示す。しかしながら、現在、これらの製剤は典型的には液体形態であり、通常、注射の形態で、または霧化器を介して投与される必要がある。これらの投与様式は、例えば、定量吸入器などのいくつかの低侵襲経路よりも患者によって望ましくない。凍結乾燥製剤は、時折、乾燥状態では信頼できる粒子均一性を提供しないか、または取り扱いおよび流通が容易ではない。凍結乾燥粉末は、患者に分注する前に適切な溶媒中に溶解されなければならず、数時間以内に分解され得る。mRNAおよび/またはLNP不安定性の可能性から、mRNA調製物の凍結融解の繰り返しは推奨されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は特に、より効率的なmRNA送達およびより有効なmRNA療法のために、脂質系ナノ粒子で封入されたmRNAの乾燥粉末(すなわち、噴霧乾燥)製剤を提供する。本発明に先立って、mRNAおよび脂質ナノ粒子成分の両方が、適切な噴霧乾燥に必要な高温および/または高圧で構造的に不安定であるという事実から、噴霧乾燥脂質ナノ粒子で封入されたmRNAの課題のうちの1つが生じた。例えば、噴霧乾燥機の入口温度は、80℃~98℃の範囲である。脂質は、噴霧ノズルでまたはその近くで、高い入口温度で溶融および/または凝集する傾向がある。これは、ノズルを通した乾燥チャンバへの製剤の流れの妨げとなり、噴霧の均一な分散を破壊し、望ましくない粒子特性および乏しい収率を生じさせる。本発明は、混合物を噴霧乾燥プロセスに供する前に、mRNAおよび脂質ナノ粒子混合物へのポリマーの添加により、この問題を予想外に解決した。本明細書に記載されるように、発明者らは、ポリマーをmRNAおよび脂質混合物に添加することにより、脂質ナノ粒子の凝集を効果的に防止し、吸入に好適なmRNA担持脂質ナノ粒子を含む微粒子の乾燥粉末形成が促進されることを観察した。
【0005】
より驚くべきことに、mRNAの極めて不安定な性質にもかかわらず、本発明に従って調製された乾燥粉末製剤は、噴霧乾燥に関連する高温および/または高圧下であっても安定しており、様々な温度で長期間保存された後であっても高度なmRNAの完全性を維持することができる。さらに、本発明に従って調製された乾燥粉末製剤はまた、mRNAのLNP封入効率が高く、結果としてmRNAの細胞送達が高いことを特徴とする。したがって、本発明は、安定した乾燥粉末形態のmRNA療法剤に対するmRNA療法分野での長年のニーズを満たし、これは容易に保存、移動、および分注することができる。さらに、本発明によるmRNAの乾燥粉末製剤は、液体の単回使用アリコートを凍結する必要な
しに、例えば、定量で、または計量されて単回使用量で再構成されて、患者に乾燥粉末として投与され得る。
【0006】
一態様では、本発明は、タンパク質またはペプチドをコードするmRNA、1つ以上の脂質、および1つ以上のポリマーを含む複数の噴霧乾燥粒子を含むメッセンジャーRNA(mRNA)の送達のための乾燥粉末製剤を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)、および1つ以上のポリマーを含む複数の噴霧乾燥粒子を含むメッセンジャーRNA(mRNA)の送達のための乾燥粉末製剤を提供する。
【0008】
さらに別の態様では、本発明は、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する1つ以上のナノ粒子、1つ以上の脂質を含むナノ粒子、および1つ以上のポリマーを含む複数の噴霧乾燥粒子を含むメッセンジャーRNA(mRNA)の送達のための乾燥粉末製剤を提供する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、CFTRタンパク質をコードするmRNA、1つ以上の脂質、および1つ以上のポリマーを含む複数の噴霧乾燥粒子を含む、嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)の送達のための乾燥粉末製剤を提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上の脂質は、CFTRタンパク質をコードするmRNAを封入する1つ以上のナノ粒子(LNP)を形成する。いくつかの実施形態では、1つ以上の脂質および1つ以上のポリマーは、CFTRタンパク質をコードするmRNAを封入する1つ以上のナノ粒子を形成する。
【0010】
本出願で使用されるように、脂質ナノ粒子(LNP)は、脂質で形成されるナノ粒子、ならびに脂質およびポリマーの両方で形成されたナノ粒子を包含する。いくつかの実施形態では、脂質およびポリマーの両方で形成されたナノ粒子は、脂質ポリマーナノ粒子と呼ばれる。
【0011】
いくつかの実施形態では、mRNA(例えば、CFTR mRNA)は、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の完全性を有する。いくつかの実施形態では、mRNA(例えば、CFTR mRNA)は、90%以上の完全性を有する。いくつかの実施形態では、mRNA(例えば、CFTR mRNA)は、95%以上の完全性を有する。いくつかの実施形態では、mRNA(例えば、CFTR mRNA)は、98%以上の完全性を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、mRNAは、室温以下で6ヶ月以上保存したときに90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、室温以下で6ヶ月以上保存したときに95%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、室温以下で6ヶ月以上保存したときに98%以上の完全性を維持する。
【0013】
いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、室温以下で3ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、室温以下で6ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、室温以下で9ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、室温以下で12ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、4℃以下で3ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、4℃以下で6ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥
後、4℃以下で9ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、噴霧乾燥後、4℃以下で12ヶ月以上保存した後に、90%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、室温以下で3ヶ月以上、6ヶ月以上、9ヶ月以上、または12ヶ月以上保存した後、95%以上の完全性を維持する。いくつかの実施形態では、mRNAは、4℃以下で3ヶ月以上、6ヶ月以上、9ヶ月以上、または12ヶ月以上保存した後、95%以上の完全性を維持する。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の噴霧乾燥粒子の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%は、微粒子の画分である。いくつかの実施形態では、複数の噴霧乾燥粒子の少なくとも20%は、微粒子の画分である。
【0015】
いくつかの実施形態では、微粒子は、5マイクロメートル以下の体積メジアン径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子は、4マイクロメートル以下の体積メジアン径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子は、3マイクロメートル以下の体積メジアン径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子は、2マイクロメートル以下の体積メジアン径を有する。いくつかの実施形態では、微粒子は、1マイクロメートル以下の体積メジアン径を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の噴霧乾燥粒子は、0.6超、0.7超、0.8超、または0.9超の平均球形度を有する。いくつかの実施形態では、複数の噴霧乾燥粒子は、3,000nm、2,500nm、2,000nm、1,500nm、1,000nm、または500nm未満のZ平均サイズを有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の噴霧乾燥粒子は、20%未満、18%未満、16%未満、14%未満、12%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満の残留水分含量を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、吸入可能である。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、定量吸入器で乾燥粉末として吸入される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、希釈剤で再構成され、霧化によって投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、脂質およびポリマーの合計重量の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、脂質およびポリマーの合計重量の、約10~90%、10~80%、10~70%、10~60%、10~50%、10~40%、10~30%、10~20%、15~20%、15~25%、15~30%、15~35%、15~40%、15~45%、15~50%、15~55%、15~60%、15~65%、15~70%、15~75%、15~80%、または15~90%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、脂質およびポリマーの合計重量の90%、80%、70%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、または20%以下を構成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも50%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも40%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも30%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマー
は、乾燥粉末の総重量の少なくとも20%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも15%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも12%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも10%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも9%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも8%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも7%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも6%を構成する。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、乾燥粉末の総重量の少なくとも5%を構成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、キトサン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(q-カプロラクトン(PCL)、ポリアミドアミン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ヒドロキシアルキルL-アスパラギン)、ポリ(ヒドロキシアルキルL-グルタミン)、ポリ(2-アルキルオキサゾリン)アクリレート、修飾アクリレートおよびポリメタクリレート系ポリマー、ポリ-N-(2-ヒドロキシル-プロピル)メタアクリルアミド、ポリ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)、ならびにポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート)(pDMAEMA)からなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、ポリメタクリレート系ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、Eudragit EPOを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、mRNAを封入する1つ以上のLNP(mRNA担持LNPとも呼ばれる)は、1~20、1~15、1~10、2~8、2~6、または2~4の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~20の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~18の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~16の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~14の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~12の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~10の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~8の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1~6の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、2~20の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、2~16の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、2~12の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、2~8の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、2~6の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、2~4の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、4~20の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、4~16の範囲の脂質:mRNA(N/P
)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、4~14の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、4~12の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、4~10の範囲の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持LNPは、2または4の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持LNPは、2の脂質:mRNA(N/P)比を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持LNPは、4の脂質:mRNA(N/P)比を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、70%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、75%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、80%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、85%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、90%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、92%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、94%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、95%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、96%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、97%以上の封入効率を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、98%以上の封入効率を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂質は、カチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、C12-200、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチタアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA、DLin-KC2-DMA、HGT4003、cKK-E12、ICE、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1つ以上のカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質C12-200を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチタモニウムプロパン)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質DLinDMAを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質DLin-KC2-DMAを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT-5000を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT-5001を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT-5002を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質cKK-E12を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質OF-02を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質標的23を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質化合物1を含む。いくつかの実施形態では、
1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質化合物2を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質化合物3を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT4001を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT4002を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT4003を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT4004を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質HGT4005を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質18:1カーボンテールリボース脂質を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、カチオン性脂質ICEを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、LNP中の総脂質のモルで約25~50%を構成する。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の脂質は、PEG修飾脂質を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子は、1つ以上のPEG修飾脂質を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG修飾脂質は、C6~C20長の1つ以上のアルキル鎖を含む脂質に共有結合された、長さが最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のPEG修飾脂質は、LNP中の総脂質のモルで最大20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%を構成する。いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、LNP中の総脂質のモルで約1~15%を構成する。いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、LNP中の総脂質のモルで少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%、または12%を構成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明による好適なLNPは、2脂質成分LNPである。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ以上脂質は、中性脂質またはコレステロール系脂質を含まない。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つ以上脂質は、中性脂質および/またはコレステロール系脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の脂質は、中性脂質をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明による好適なLNPは、3脂質成分LNPである。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明による乾燥粉末製剤は、少なくとも1つの糖をさらに含む。いくつかの実施形態では、糖は、単糖類、二糖類、多糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、ラクトース、スクロース、セロビオース、トレハロース、ラフィノース、デンプン、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、イヌリン、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、糖は、マンニトールである。いくつかの実施形態では、糖は、総重量の30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満を構成する。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明による乾燥粉末製剤は、エステル、ウレタン、ホスホエステル、ホスファゼン、アミノ酸、コラーゲン、キトサン、多糖類、アルブミン、界面活性剤、緩衝剤、塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、好適な界面活性剤は、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリトンX-100、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ソルビタンモオノラウレエート(Sorbitan moonolaureate)、モノステアリン酸ソルビタン、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、アルキルポリグルコシド、およびポロキサマー(例えば、ポロキサマー407)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、好適な界面活性剤は、ポロキサマーである。
【0036】
いくつかの実施形態では、本発明による乾燥粉末製剤は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、エステル、ウレタン、ホスホエステル、ホスファゼン、アミノ酸、コラーゲン、キトサン、多糖類、アルブミン、界面活性剤、緩衝剤、塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明による乾燥粉末製剤は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリトンX-100、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ソルビタンモオノラウレエート(Sorbitan moonolaureate)、モノステアリン酸ソルビタン、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、アルキルポリグルコシド、およびコポリマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマーである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリエチレングリコール(PEG)の2つの親水性ブロックに隣接したポリプロピレングリコールの中心疎水性ブロックからなるトリブロックコポリマーであるポロキサマーである。いくつか実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー407である。
【0038】
いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大10%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大9%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大8%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大7%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大6%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大5%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大4%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大3%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の最大2%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の1~10%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の1~6%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の1~5%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の1~4%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の1~3%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の2~10%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の2~9%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の2~8%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の2~7%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の2~6%
を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の合計重量の2~5%を構成する。いくつかの実施形態では、mRNAは、修飾されていない。いくつかの実施形態では、mRNAは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、mRNAは、ペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、mRNAは、治療用タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、CFTRである。
【0040】
いくつかの実施形態では、CFTR mRNAは、噴霧乾燥粒子の合計重量の約1~20%、1~15%、1~10%、1~8%、1~6%、1~5%、5~15%、または5~10%を構成する。いくつかの実施形態では、CFTR mRNAは、噴霧乾燥粒子の合計重量の約1%、2%、3%、4%、5%、7.5%、10%、12.5%、または15%を構成する。
【0041】
別の態様では、本発明は、インビボ発現のための嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達する方法を提供し、それを必要とする対象に、本明細書に記載される乾燥粉末製剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される乾燥粉末製剤は、肺送達によって投与される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、吸入により投与される。
【0042】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載される乾燥粉末製剤を液体溶液に再構成する工程、およびそれを必要とする対象に再構成された液体溶液を投与する工程を含む、インビボ発現のための嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達する方法を提供する。いくつかの実施形態では、再構成された液体溶液は、霧化によって投与される。いくつかの実施形態では、対象は、嚢胞性線維症に罹患している。
【0043】
別の態様では、本発明は、mRNA、1つ以上の脂質、およびポリマーを含む混合物を提供すること、ならびに混合物を噴霧乾燥して複数の粒子を形成することを含む、乾燥粉末製剤を製造する方法を提供する。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリマーを添加する前に、1つ以上の脂質は、最初にmRNAと混合されて、mRNA担持脂質ナノ粒子を形成する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明による方法は、噴霧乾燥の前に、混合物に1つ以上の賦形剤を添加することをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数の噴霧乾燥粒子は、以下:a)10%未満の水分含量、b)5マイクロメートル未満の体積メジアン径を有する微粒子の画分、c)10~3000nmのZ平均サイズ範囲、d)1~20のN/P比の範囲、e)80%超のmRNA封入効率、およびf)95%超のmRNA完全性のうちの1つ以上によって特徴付けられる。
【0047】
さらに別の態様では、本発明は、インビボでmRNAを送達する方法を提供し、それを必要とする対象に、本明細書に記載される乾燥粉末製剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、経口、鼻腔、気管、肺、または直腸経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、吸入により投与される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、鼻腔内噴霧により投与される。いくつかの実施形態では、製剤は、定量吸入器によって投与される。いくつかの実施形態では、製剤は、霧化器によって投与される。
【0048】
さらに別の態様では、本発明は、インビボ発現のための嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子(CFTR)メッセンジャーRNA(mRNA)を送達する方法を提供し、それを必要とする対象に、本明細書に記載される乾燥粉末製剤を投与する工程を含む。
【0049】
さらに別の態様では、本発明は、有効用量の、本明細書に記載される乾燥粉末製剤中のmRNAを患者に投与することによって、患者における疾患または障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、嚢胞性線維症;喘息;COPD;肺気腫;内臓逆位を伴うもしくは伴わない原発性毛様体ジスキネジア(CILD1)、またはカルタゲナー症候群;肺線維症;バート・ホッグ・デュベ症候;遺伝性出血性毛細血管拡張症;アルファ-1抗トリプシン欠損症;チトクロームb陽性肉芽腫性疾患(CGD、X線);チトクロームb陽性肉芽腫性疾患、常染色体劣性;表面活性物質欠損症、肺表面活性物質代謝異常1、肺表面活性物質代謝異常2型、肺表面活性物質代謝異常3型;未熟児の呼吸窮迫症候群;結核、インフルエンザを含む肺ウイルス性疾患、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)から選択される。
【0050】
本発明の追加の目的および利点は、以下の説明に部分的に記載され、部分的には、説明から明らかであるか、または本発明の実践によって学ぶことができる。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組み合わせによって実現され、達成される。
【0051】
前述の一般説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的であり、特許請求の範囲にある本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0052】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0053】
図面は、単に例示を目的とするものであり、制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】mRNA製剤の噴霧乾燥技術の例示的な図解を示す。
【
図2】製剤中のポリマーなしまたはありの、噴霧乾燥後のLNP封入mRNA物質の回収パーセントを示す。
【
図3】完全性評価のためのmRNA参照の分光光度分析を示す。
【
図4】脂質ナノ粒子からの抽出時のmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図5】噴霧乾燥および4℃での保存後2週間でのポリマーを含む製剤中のLNPに封入されたmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図6】噴霧乾燥および-20℃での保存後2週間でのポリマーを含む製剤中のLNPに封入されたmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図7】ポリマーを含む製剤中のLNPに封入され、噴霧乾燥後2週間保存されたmRNAの完全性に保存温度の影響がないことを示す例示的なデータを示す。
【
図8】噴霧乾燥および4℃での保存後4週間でのポリマーを含む製剤中のLNPに封入されたmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図9】噴霧乾燥および-20℃での保存後4週間でのポリマーを含む製剤中のLNPに封入されたmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図10】4℃で保存された、噴霧乾燥後3週間でのポリマー(LNPなし)を含む製剤におけるmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図11】-20℃で保存された、噴霧乾燥後3週間でのポリマー(LNPなし)を含む製剤におけるmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図12】ポリマー(LNPなし)で製剤化され、噴霧乾燥後3週間保存されたmRNAの完全性に保存温度の影響がないことを示す例示的なデータを示す。
【
図13】4℃で保存された、噴霧乾燥後5週間でのポリマー(LNPなし)を含む製剤におけるmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図14】-20℃で保存された、噴霧乾燥後5週間でのポリマー(LNPなし)を含む製剤におけるmRNAの完全性を示す例示的なデータを示す。
【
図15】
図15Aおよび
図15Bは、マウスにmRNA噴霧乾燥調製物を投与した後の、生物発光によって測定されたインビボでの例示的なmRNA発現を示す。ルシフェラーゼmRNAは、1mgを使用して投与された。
図15Aについて、mRNAは、乾燥粉末として投与された。
図15Bについて、mRNAは、乾燥粉末の水への溶解後に液体として投与された。
【
図16】(
図16A1~A6)噴霧乾燥後のCFTR mRNAの完全性を示す、例示的なキャピラリー電気泳動クロマトグラフを示す。(
図16A1~A3)噴霧乾燥または封入もされなかった対照CFTR mRNAを示し、一方、
図16A4~A6は、噴霧乾燥製剤から抽出されたCFTR mRNAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
定義
本発明がより容易に理解されるように、ある特定の用語が以下で最初に定義される。以下の用語および他の用語の追加の定義は、明細書全体を通して定められている。
【0056】
動物:本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態では、「動物」とは、任意の発育段階のヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」とは、任意の発育段階の非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。いくつかの実施形態では、動物には、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、魚、昆虫、および/または寄生虫が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、および/またはクローンであり得る。
【0057】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、目的とする1つ以上の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、提示される参照値と同様の値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に明記しない限り、または文脈からそうでないことが明らかでない限り(そのような数が可能値の100%を超える場合を除く)、記述された参照値のいずれかの方向(より大きいかまたは小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の値の範囲を指す。
【0058】
送達:本明細書で使用される際に、「送達」という用語は、局所送達および全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そしてその標的組織内で保持される状況(「局所分布」または「局所送達」とも称される)、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そして患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、そして全身に分布され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分布」または「全身送達」とも称される)を包含する。
【0059】
封入:本明細書で使用される場合、「封入」という用語または文法的等価物は、ナノ粒子内に個々のmRNA分子を閉じ込めるプロセスを指す。
【0060】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」とは、mRNAのポリペプチドへの翻訳、複数のポリペプチドのインタクトなタンパク質(例えば、酵素)への集合、および/またはポリペプチドもしくは完全に集合したタンパク質(例えば、酵素)の翻訳後修飾を指す。本出願では、「発現」および「生成」という用語、ならびに文法的同義語は、互換的に使用される。
【0061】
改善する、増加させる、または減少させる:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加させる」、もしくは「減少させる」、または文法的同義語は、ベースライン測定、例えば、本明細書に記載の治療の開始前の同じ個体における測定、または本明細書に記載の治療の不在下での対照対象(または複数の対照対象)における測定と比較した値を示す。「対照対象」とは、治療されている対象と同じ疾患形態に罹患しており、治療されている対象とほぼ同じ年齢の対象である。
【0062】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境下で、例えば、試験管または反応容器内、細胞培養下等で生じる事象を指す。
【0063】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物等の多細胞生物内で生じる事象を指す。細胞型系の文脈において、該用語は、生細胞内で生じる事象を意味するのに(例えば、インビトロ系の対語として)使用され得る。
【0064】
局所分布または局所送達:本明細書において使用される場合、「局所分布」、「局所送達」という用語、または文法的等価物は、組織特異的な送達または分布を指す。典型的には、局所分布または局所送達は、細胞内で翻訳および発現される、または分泌が限定的で、患者の循環系へ入ることを回避する、mRNAにコードされるタンパク質(たとえば酵素)を必要とする。
【0065】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。本明細書で使用されるmRNAは、修飾および未修飾の両方のRNAを包含する。mRNAは1つ以上のコード領域および非コード領域を含み得る。mRNAは、自然源から精製されてもよく、組換え発現系を用いて産生されてもよく、また任意選択的に精製、化学合成などをされてもよい。必要に応じて、例えば、化学合成された分子の場合、mRNAは、化学修飾された塩基または糖類、骨格修飾などを有する類似体といった、ヌクレオシド類似体を含み得る。mRNA配列は、別途指示されない限り、5’から3’の方向に提示される。いくつかの実施形態では、mRNAは、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン)、ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン)、化学修飾された塩基、生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、介在塩基(intercalated base)、修飾された糖類(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、ならびに/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホルアミダイト結合)であるか、またはそれを含む。
【0066】
N/P比:本明細書で使用される場合、「N/P比」という用語は、その脂質ナノ粒子
内に封入されたmRNA中の負に荷電された分子単位に対する、脂質ナノ粒子中のカチオン性脂質中の正に荷電された分子単位のモル比を指す。このように、N/P比は、典型的には、脂質ナノ粒子内のカチオン性脂質中のアミン基のモルの、その脂質ナノ粒子内に封入されたmRNA中のリン酸基のモルに対する比として計算される。
【0067】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、例えば、実験、診断、予防、美容、および/または治療目的のために、提供される組成物が投与され得る任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒト等の哺乳動物)が含まれる。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。ヒトには、出生前形態および出生後形態が含まれる。
【0068】
薬学的に許容される:本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的な利益/リスクの比率に応じてヒトおよび動物の組織に接触させて使用するのに適した物質を指す。
【0069】
皮下投与:本明細書で使用される場合、「皮下投与」または「皮下注射」という用語は、皮膚および筋肉の間の組織層である皮下組織へのボーラス注射を指す。
【0070】
対象:本明細書で使用される際に、用語「対象」は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長類)を指す。ヒトには、出生前形態および出生後形態が含まれる。多くの実施形態では、対象は、ヒトである。対象は、患者であり得る。疾患の診断または治療のために医療提供者に受診するヒトを指す。「対象」という用語は、本明細書では「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患または障害に罹患している場合があるか、またはそれに罹り易いが、疾患または障害の症状を呈する場合も呈さない場合もある。
【0071】
治療有効量:本明細書で使用される場合、治療薬の「治療有効量」という用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患しているか、またはそれに罹り易い対象に投与されたときに、疾患、障害、および/または状態の症状(複数可)を治療する、診断する、予防する、および/またはその発症を遅延させるのに十分な量を意味する。当業者であれば、治療有効量が、典型的には、少なくとも1つの単位用量を含む投薬レジメンにより投与されることを理解する。
【0072】
治療すること:本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の1つ以上の症状または特徴を部分的にまたは完全に緩和する、改善する、軽減する、抑制する、予防、その発症を遅延させる、その重症度を低下させる、および/またはその発生率を低下させるために使用される任意の方法を指す。疾患の徴候を示していない対象、および/または疾患の初期の徴候のみを示している対象に対して、その疾患に関連する病態を発症させるリスクを減少させることを目的として、治療が行われる場合がある。
【0073】
本発明は、治療的使用のためのmRNA担持脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)を含む安定した乾燥粉末製剤を提供する。特に、本発明は、各噴霧乾燥粒子が1つ以上のmRNA担持脂質ナノ粒子およびポリマーを含む、複数の噴霧乾燥粒子を含むmRNAを送達するための乾燥粉末製剤、ならびにそれらを作製および使用する方法を提供する。
【0074】
本発明の様々な態様が、以下のセクションで詳細に記載される。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、別段の記述がない限り、「および/
または」を意味する。
【0075】
噴霧乾燥プロセス
本発明を実施するために、様々な噴霧乾燥プロセスが使用され得る。プロセスは、概して、組成物の液体形態を装置に通すことによって組成物から水分を除去することを含み、
図1として簡略化された図式描写が提供される。簡潔には、目的の組成物を含む液体製剤は、狭い入口噴霧の「アトマイザー」ノズルを通して、乾燥チャンバである第1のチャンバ内に通過される。通常、液体製剤は、定常流で通過される。液体製剤は、小さな液滴として乾燥チャンバ内に噴霧される。加熱された空気またはガスの流れはまた、乾燥チャンバ内に誘導されて、気流を形成する。この加熱された流れを通した製剤の通過は、入ってくる液滴を分散し、それらを固体粒子形態に乾燥する。この生成物は、コネクタまたはパイプを通して流れることによって第2のチャンバに誘導される。第2のチャンバは、サイクロン粉末収集器である。ここで、空気循環はサイクロンを生成し、粉末粒子は、渦流を介して出口端に取り付けられた収集容器に収集される。サイクロンチャンバは、排気ファンに取り付けられており、構成要素を冷却するのに役立つ。入口温度および出口温度は、オペレータで調整可能である。それぞれの入口温度および出口温度、チャンバ温度、液体供給流量(吸引器%)、圧力、加熱気流の性質、および最も重要なことに、液体供給の組成は、任意の粒子状物質の最適な乾燥のために好適に調整される。
【0076】
いくつかの実施形態では、入口温度は、40℃~200℃の範囲内で調整可能である。いくつかの実施形態では、出口温度は、20~70℃の範囲である。ポンプおよび吸引器の相対圧力も、オペレータで調整可能である。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子を噴霧乾燥するために、入口温度は、70℃~200℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、80℃~200℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、90℃~200℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、95℃~180℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、95℃~160℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、90℃~150℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、90℃~120℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、90℃~100℃で調整される。いくつかの実施形態では、入口温度は、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、または100℃である。
【0077】
乾燥チャンバへの吸引器の割合は、典型的には50%~100%で調整される。いくつかの実施形態では、乾燥チャンバへの吸引器の割合は、50%~100%で調整される。いくつかの実施形態では、乾燥チャンバへの吸引器の割合は、60%~100%で調整される。いくつかの実施形態では、乾燥チャンバへの吸引器の割合は、70%~100%で調整される。いくつかの実施形態では、乾燥チャンバへの吸引器の割合は、80%~100%で調整される。ある特定の実施形態では、吸引器の割合は、80%~90%で調整される。いくつかの実施形態では、吸引器の割合は、100%未満であるか、または95%未満であるか、または90%未満であるか、または85%未満であるか、または80%未満である。
【0078】
いくつかの実施形態では、乾燥チャンバへの入口を通る液体流は、10%~50%の範囲に設定されるポンプによって調整される。いくつかの実施形態では、ポンプは、20%~40%の範囲に設定される。いくつかの実施形態では、ポンプは、10%~30%の範囲に設定される。いくつかの実施形態では、ポンプは、20%~30%の範囲に設定される。いくつかの実施形態では、ポンプは、30%~50%の範囲に設定される。いくつかの実施形態では、ポンプは、25%に設定される。
【0079】
いくつかの実施形態では、出口温度は、20℃~70℃の範囲である。いくつかの実施形態では、出口温度は、30℃~60℃である。いくつかの実施形態では、出口温度は、
20℃~50℃である。いくつかの実施形態では、出口温度は、30℃~50℃である。いくつかの実施形態では、出口温度は、40℃~50℃である。いくつかの実施形態では、出口温度は、45℃~50℃である。
【0080】
mRNA-LNPの噴霧乾燥は、任意の好適な噴霧乾燥装置を使用して実施することができる。当業者に既知であるように、様々な噴霧乾燥装置が市販されており、本発明を実施するために使用することができる。本発明に好適な例示的な市販の装置には、以下が含まれるが、これらに限定されない。Anhydro MicraSpray Dryer
B-290;Anhydro MicraSpray Dryer B-90(Buchi製)、Anhydro MicraSpray Dryer GMP;Anhydro MicraSpray Dryer Asepticシリーズ(SPX FLOW製)、MDL-50およびMDL-015(Fujisaki Electric製);Versatile Mini Sprayer Dryer GAS410(Yamato Scientific America製);LSD-1500 Mini spray dryer、MSD-8 Multi-functional laboratory spray dryer;PSD-12 Precision pharmacy
spray dryer;(Changzhou Xiandao Drying Equipment Co.Ltd製);TALL FORM DRYER(商標);Multi-Stage Dryer;COMPACT DRYER(商標);FILTERMAT Spray Dryer;VERSATILE-SD(商標);Fluidized Spray Dryer;MOBILE MINOR(商標);SDMICRO(商標);PRODUCTION MINOR(GEA Process Engineering製)、ならびにその他多数。実験室スケールから工業製造スケールへの好都合なスケール拡大も、これらの製造業者のいくつかから入手可能である。
【0081】
噴霧乾燥mRNA担持ナノ粒子
本発明によれば、mRNA担持ナノ粒子を噴霧乾燥することは、mRNAおよび脂質混合物にポリマーを添加することを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーを添加する前に、脂質およびmRNAは、最初に混合されてmRNA担持脂質ナノ粒子を予め形成する。いくつかの実施形態では、脂質、mRNA、およびポリマーは、噴霧乾燥前に同時に混合される。いくつかの実施形態では、本発明による方法は、噴霧乾燥の前に、混合物に1つ以上の賦形剤を添加することをさらに含む。
【0082】
mRNA担持脂質ナノ粒子
任意の所望の脂質は、mRNAの封入に好適な任意の比で混合され得る。いくつかの実施形態では、好適な脂質溶液は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および/またはPEG化脂質を含む。いくつかの実施形態では、好適な脂質混合物はまた、コレステロール系脂質を含む。いくつかの実施形態では、mRNA-LNPは、ポリマーまたは他の賦形剤と混合する前にmRNAおよび脂質を混合し、混合物を噴霧乾燥させることによって最初に形成される。
【0083】
いくつかの実施形態では、mRNA-LNPは、mRNA溶液を脂質溶液と混合することによって形成され、mRNA溶液および/または脂質溶液は、混合前に周囲温度よりも高い所定の温度に加熱される(“Encapsulation of messenger RNA”と題される米国特許第9,668,980号を参照されたく、その開示はその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0084】
いくつかの実施形態では、mRNA-LNPは、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと混合することによって形成される(米国特許出願公開第2018/0153822号を参照されたく、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0085】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、70%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、75%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、80%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、85%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、86%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、87%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、88%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、89%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、90%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、91%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、92%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、93%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、94%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、95%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、96%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、97%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、98%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前の脂質ナノ粒子によるmRNAの封入効率は、99%以上である。
【0086】
いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、70%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、75%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、80%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、85%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、86%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、87%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、88%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、89%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、90%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、91%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、92%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、93%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、94%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、95%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、96%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRN
Aの封入効率は、97%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、98%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥した後のLNPによるmRNAの封入効率は、99%以上である。
【0087】
いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、70%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、75%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、80%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、85%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、86%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、87%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、88%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、89%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、90%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、91%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、92%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、93%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、94%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、95%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、96%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、97%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、98%以上である。いくつかの実施形態では、ポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤を噴霧乾燥する前およびその後の両方のLNPによるmRNAの封入効率は、99%以上である。
【0088】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の10%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の15%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の20%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の25%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の30%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mR
NAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の35%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の40%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の41%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の42%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の43%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の44%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の45%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の46%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の47%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の48%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の49%以上である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥工程から回収されたポリマーおよびLNP封入mRNAの製剤の質量は、噴霧乾燥工程前の製剤の質量の50%以上である。
【0089】
いくつかの実施形態では、mRNAおよび脂質は、プロセス全体にわたって脂質/mRNA(N/P)比を一定に維持し、かつ量産化も容易にするポンプシステムを用いて混合される。いくつかの実施形態では、N/P比は、1~20の範囲である。いくつかの実施形態では、N/P比は、2超、または3超、または4超、または5超、または6超、または7超、または8超、または9超、または10超、または11超、または12超、または13超、または14超、または15超である。いくつかの実施形態では、N/P比は、17、または18、または19、または20である。
【0090】
好適なmRNA担持脂質ナノ粒子は、様々なサイズで作製されてもよい。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥前のmRNA担持脂質ナノ粒子のサイズは、脂質ナノ粒子の最大直径の長さによって決定される。いくつかの実施形態では、mRNA担持脂質ナノ粒子は、約250nm以下(例えば、約225nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、または50nm以下)の噴霧乾燥前のサイズを有する。いくつかの実施形態では、好適なリポソームは、約10~250nmの範囲(例えば、約10~225nm、10~200nm、10~175nm、10~150nm、10~125nm、10~100nm、10~75nm、または10~50nmの範囲)のサイズを有する。いくつかの実施形態では、mRNA担持脂質ナノ粒子は、約100~250nmの範囲(例えば、約100~225nm、100~200nm、100~175nm、100~150nmの範囲)の噴霧乾燥前のサイズを有する。いくつかの実施形態では、mRNA担持脂質ナノ粒子は、約10~100nmの範囲(例えば、約10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、または10~50nmの範囲)の噴霧乾燥前のサイズを有する。特定の実施形態では、mRNA担持脂質ナノ粒子は、約100nm未満の噴霧乾燥前のサイズを有する。
【0091】
リポソーム集団の寸法決定に対して、当該技術分野において既知の様々な別の方法を利用することができる。こうした寸法決定方法の1つは、米国特許第4,737,323号に記載されており、この文献は参照によって本明細書に組み込まれる。バス超音波処理またはプローブ超音波処理のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音波処理によって、直径
が約0.05マイクロメートル未満の小さいULVまでサイズ漸減する。ホモジナイゼーションは別の方法であり、大きいリポソームをより小さいものに断片化するのに剪断エネルギーを利用する。典型的なホモジナイゼーション手順において、MLVは、選択されたリポソームの大きさ、典型的には約0.1~0.5マイクロメートルの大きさが観察されるまで、標準的なエマルジョンホモジナイザーを用いて再循環される。リポソームの大きさは、Bloomfield,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.,10:421-150(1981)(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載された準電気光散乱(QELS)によって算出され得る。平均リポソーム直径を、形成されたリポソームを超音波処理することによって低減させることができる。断続的な超音波処理サイクルをQELS評価と交互に行って、効率的なリポソーム合成を導くことができる。
【0092】
好適なmRNA担持脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、PEG化脂質、非カチオン性脂質、およびコレステロール系脂質のうちの1つ以上を含む。
【0093】
カチオン性脂質
本明細書において使用される場合、用語「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有する多数の脂質種およびリピドイド種のいずれかを指す。いくつかのカチオン性脂質は文献に記載されており、その多くは市販されている。
【0094】
本発明の組成物および方法で使用するための好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2010/144740に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、以下の化合物構造を有する、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタン酸塩:
【化1】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0095】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2013/149140に記載されるイオン化可能なカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のうちの一種のカチオン性脂質:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水
素、任意で置換される、可変飽和または不飽和C
1-C
20アルキル、および任意で置換される、可変飽和または不飽和C
6-C
20アシルからなる群から選択され、式中、L
1およびL
2は、それぞれ独立して水素、任意で置換されるC
1-C
30アルキル、任意で置換される可変不飽和C
1-C
30アルケニル、および任意で置換されるC
1-C
30アルキニルからなる群から選択され、式中、mおよびoはそれぞれ独立して、ゼロおよび任意の正の整数(例えば、mは3)からなる群から選択され、および式中、nはゼロまたは任意の正の整数(例えば、nは1)である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-l-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(「HGT5000」):
【化3】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-l-アミン(「HGT5001」):
【化4】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質および(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5002」):
【化5】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0096】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2010/053572に、アミノアルコールリピドイドとして記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化6】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0097】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2016/118725に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化7】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0098】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2016/118724に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化8】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0099】
本発明の組成物および方法において使用するための他の好適なカチオン性脂質は、14,25-ジトリデシル15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタンの式を有するカチオン性脂質、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0100】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2013/063468およびWO2016/205691に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化9】
またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R
Lの各々の事例は、独立して、任意で置換されるC
6-C
40アルケニルである。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化10】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化11】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化12】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化13】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0101】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2015/184256に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化14】
またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、各Xは独立してOまたはSであり;各Yは独立してOまたはSであり;各mは独立して0~20であり;各nは独立して1~6であり;各R
Aは独立して水素、任意で置換されるC1-50アルキル、任意で置換されるC2-50アルケニル、任意で置換されるC2-50アルキニル、任意で置換されるC3-10カルボシクリル、任意で置換される3~14員のヘテロシクリル、任意で置換されるC6-14アリール、任意で置換される5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンであり、各R
Bは独立して水素、任意で置換されるC1-50アルキル、任意で置換されるC2-50アルケニル、任意で置換されるC2-50アルキニル、任意で置換されるC3-10カルボシクリル、任意で置換される3~14員のヘテロシクリル、任意で置換されるC6-14アリール、任意で置換される5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンである。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「標的23」:
【化15】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0102】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2016/004202に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化16】
またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化17】
またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化18】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0103】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、米国特許仮出願第62/758,179号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化19】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、各R
1およびR
2は独立して、HまたはC
1-C
6脂肪族であり、各mは独立して、1~4の値を有する整数であり、各Aは独立して、共有結合またはアリーレンであり、各L
1は独立して、エステル、チオエステル、ジスルフィド、または無水物基であり、各L
2は独立して、C
2-C
10脂肪族であり、各X
1は独立して、HまたはOHであり、各R
3は独立して、C
6-C
20脂肪族である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化20】
またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化21】
またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化22】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0104】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照により組み込まれる、J.McClellan,M.C.King,Cell
2010,141,210-217およびWhitehead et al.,Nature Communications(2014)5:4277に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化23】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0105】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2015/199952に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化24】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化25】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化26】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化27】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化28】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化29】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化30】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化31】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化32】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化33】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化34】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化35】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化36】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0106】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/004143に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化37】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化38】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化39】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化40】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化41】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化42】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化43】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化44】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化45】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化46】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化47】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化48】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化49】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化50】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化51】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化52】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化53】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0107】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/075531に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化54】
またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、L
1またはL
2のうちの1つは、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-、または-NR
aC(=O)O-で
あり;もう一つのL
1またはL
2は、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-または-NR
aC(=O)O-または直接結合であり;G
1およびG
2は、それぞれ独立して非置換C
1-C
12アルキレンまたはC
1-C
12アルケニレンであり;G
3はC
1-C
24アルキレン、C
1-C
24アルケニレン、C
3-C
8シクロアルキレン、C
3-C
8シクロアルケニレンであり;R
aはHまたはC
1-C
12アルキルであり;R
1およびR
2はそれぞれ独立してC
6-C
24アルキルまたはC
6-C
24アルケニルであり;R
3はH、OR
5、CN、-C(=O)OR
4、-OC(=O)R
4または-NR
5C(=O)R
4であり、R
4はC
1-C
12アルキルであり;R
5はHまたはC
1-C
6アルキルであり;xは0、1または2である。
【0108】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開2017/117528に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化55】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化56】
およびその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化57】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0109】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/049245に記載されるカチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の式のうちの1つの化合物:
【化58】
およびその薬学的に許容される塩を含む。これら4つの式のうちのいずれか1つについて、R
4は、-(CH
2)
nQおよび-(CH
2)
nCHQRから独立して選択され、Qは、-OR、-OH、-O(CH
2)
nN(R)
2、-OC(O)R、-CX
3、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(H)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(H)C(O)N(R)
2、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)
2、-N(H)C(S)N(R)
2、-N(H)C(S)N(H)(R)、および複素環からなる群から選択され、nは1、2または3である。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化59】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化60】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化61】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化62】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0110】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、それぞれ本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2017/173054およびWO2015/095340に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化63】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化64】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化65】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化66】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0111】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質は、コレステロール系カチオン性脂質を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するイミダゾールコレステロールエステルまたは「ICE」:
【化67】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0112】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、国際特許公開WO2012/170889に記載される切断可能カチオン性脂質が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化68】
を含み、式中、R
1は、イミダゾール、グアニジニウム、アミノ、イミン、エナミン、任意で置換されるアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ)およびピリジルからなる群から選択され、式中、R
2は、以下の2つの式のうちの1つからなる群から選択され:
【化69】
式中、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、任意で置換される可変飽和または不飽和C
6-C
20アルキルおよび任意で置換される可変飽和または不飽和C
6-C
20アシルからなる群から選択され、式中、nは、0または任意の正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)である。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4001」:
【化70】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4002」:
【化71】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4003」:
【化72】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4004」:
【化73】
およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4005」:
【化74】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0113】
本発明の組成物および方法で使用するための他の好適なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって組み込まれる、2018年5月16日に出願された米国仮出願第62/672,194号に記載される切断可能カチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、一般式のうちのいずれか、または米国仮出願第62/672,194号に記載される構造(1a)~(21a)および(1b)~(21b)および(22)~(237)のうちのいずれかであるカチオン性脂質を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、式(I’)による構造を有するカチオン性脂質を含み:
【化75】
式中、
RXは独立して、-H、-L1-R1、または-L5A-L5B-B’であり、
L1、L2、およびL3の各々は独立して、共有結合、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)S-、または-C(O)NRL-であり、
各L4AおよびL5Aは独立して、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NRL-であり、
各L4BおよびL5Bは独立して、C1-C20アルキレン、C2-C20アルケニレン、またはC2-C20アルキニレンであり、
各BおよびB’は、NR4R5または5~10員の窒素含有ヘテロアリールであり、
各R1、R2、およびR3は独立して、C6-C30アルキル、C6-C30アルケニル、またはC6-C30アルキニルであり、
各R4およびR5は独立して、水素、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、またはC2-C10アルキニルであり、
各RLは独立して、水素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、またはC2-C20アルキニルである。
【0114】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する6
2/672,194の化合物(139)であるカチオン性脂質を含む:
【化76】
。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」)を含む。(Feigner et al.(Proc.Nat’l
Acad.Sci.84,7413(1987);本明細書に参照によって組み込まれる、米国特許第4,897,355号)。本発明の組成物および方法のために好適な他のカチオン性脂質は、例えば、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(carboxyspermylglycinedioctadecylamide)(「DOGS」)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウム(「DOSPA」)(Behr et al.Proc.Nat.’l Acad.Sci.86,6982(1989);米国特許第5,171,678号、米国特許第5,334,761号)、l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(「DODAP」)、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(「DOTAP」)を含む。
【0116】
本発明の組成物および方法に好適な追加の例示的なカチオン性脂質はまた、l,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DSDMA」);1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DODMA」)、1,2-ジリノレイロキシオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLinDMA」)、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLenDMA」)、N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」)、N-(l,2-ジミリチルチルオキシプロップ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-l-(シス,シス-9,12-オクタデカジエンオキシ)プロパン(「CLinDMA」);2-[5’-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチl-l-(シス,シス-9’,l-2’-オクタデカジエンオキシ)プロパン(「CpLinDMA」);N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(「DMOBA」);1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DOcarbDAP」);2,3-ジリノレオイロイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミン(「DLinDAP」)、l,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLincarbDAP」);l,2-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLinCDAP」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソラン(「DLin-K-DMA」);2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-
N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA」);(2R)-2-((8-[(3ベータ)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2R)」);(2S)-2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N、fsl-ジメチ3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2S)」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[l,3]-ジオキソラン(「DLin-K-XTC2-DMA」)、および2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,l 2-ジエン-1-イル)-l,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(「DLin-KC2-DMA」)を含む(本明細書に参照によって援用される国際公開第2010/042877号参照;Semple et al.,Nature Biotech.28:172-176(2010))。(Heyes,J.,et al.,J Controlled Release 107:276-287(2005);Morrissey,DV.,et al.,Nat.Biotechnol.23(8):1003-1007(2005);国際特許公開第2005/121348号)。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質のうちの1つ以上は、イミダゾール部分、ジアルキルアミノ部分、またはグアニジニウム部分のうちの少なくとも1つを含む。
【0117】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に好適な一種以上のカチオン性脂質は、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「XTC」);(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(「ALNY-100」)および/または4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-1,16-ジアミド(「NC98-5」)を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子の重量で測定して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する1つ以上のカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子のmol%で測定して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または80%を構成する1つ以上のカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子の重量で測定して、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する1つ以上のカチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子のmol%で測定して、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する1つ以上のカチオン性脂質を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、ステロール系カチオン性脂質は、本明細書に記載されるカチオン性脂質の代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。好適なステロール系カチオン性脂質は、ジアルキルアミノ含有ステロール系カチオン性脂質、イミダゾール含有ステロール系カチオン性脂質、およびグアニジニウム含有ステロール系カチオン性脂質である。例えば、ある特定の実施形態は、下記の構造(I)によって示されるように、イミダ
ゾール、例えば、イミダゾールコレステロールエステル、または「ICE」脂質(3S,10R,13R,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル 3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエートを含む一種以上のステロール系カチオン性脂質をふくむ組成物を対象とする。ある特定の実施形態では、機能的なタンパク質をコードするRNA(例えば、mRNA)の送達のための脂質ナノ粒子は、以下の構造によって示されるように、イミダゾール系カチオン性脂質、例えば、イミダゾールコレステロールエステル、または「ICE」脂質(3S,10R,13R,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル 3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエートの1つ以上を含んでもよい。
【化77】
【0120】
いくつかの実施形態では、リポソーム中のカチオン性脂質の割合は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、または70%超であり得る。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質(複数可)は、リポソームの約30~50重量%(例えば、約30~45重量%、約30~40重量%、約35~50重量%、約35~45重量%、または約35~40重量%)を構成する。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質(例えば、ICE脂質)は、モル比でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、または約80%を構成する。
【0121】
PEG化脂質
いくつかの実施形態では、好適な脂質溶液は、1つ以上のPEG化脂質を含む。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質およびN-オクタノイル-スフィンゴシン-l-[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)-2000](C8 PEG-2000セラミド)を含めた誘導体化されたセラミド(PEG-CER)などの誘導体化脂質の使用も、本発明により企図される。企図されるPEG修飾脂質は、長さがC6~C20のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された長さ最大5kDaのポリエチレングリコール鎖を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質は、PEG化コレステロールまたはPEG-2Kである。いくつかの実施形態では、特定の有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEGセラミドである。
【0122】
PEG修飾リン脂質および誘導体化脂質は、リポソーム内の総脂質の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%を構成し得る。
【0123】
非カチオン性/ヘルパー脂質
本明細書で使用される場合、語句「非カチオン性脂質」は、任意の中性脂質、双性イオン性脂質、または陰イオン性脂質を意味する。本明細書で使用される場合、語句「カチオ
ン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の負電荷を運ぶ多数の脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質として、以下に限定されないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質は、重量またはモルで、好適な脂質溶液中の総脂質の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成し得る。いくつかの実施形態では、非カチオン性脂質(複数可)は、重量またはモルで、好適な脂質溶液中の総脂質の約20~50%(例えば、約20~45%、約20~40%、約25~50%、約25~45%、または約25~40%)を構成する。
【0125】
コレステロール系脂質
いくつかの実施形態では、好適な脂質溶液は、1つ以上のコレステロール系脂質を含む。例えば、好適なコレステロール系カチオン性脂質には、例えば、DC-Choi(N,N-ジメチル-N-エチルカルボキサミドコレステロール)、1,4-ビス(3-N-オレイルアミノ-プロピル)ピペラジン(Gao,et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.179,280(1991);Wolf et al.BioTechniques 23,139(1997);米国特許第5,744,335号)、またはICEが挙げられる。いくつかの実施形態では、コレステロール系脂質(複数可)は、重量またはモルで、好適な脂質溶液中の総脂質の少なくとも約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%を構成する。いくつかの実施形態では、コレステロール系脂質(複数可)は、重量またはモルで、好適な脂質溶液中の総脂質の約20~50%(例えば、約20~45%、約20~40%、約25~50%、約25~45%、または約25~40%)を構成する。
【0126】
カチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール系脂質、およびPEG修飾脂質の例示的組み合わせは、実施例のセクションに記載されている。例えば、好適な脂質溶液は、cKK-E12、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5000、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5001、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;cKK-E12、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5000、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;またはHGT5001、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを含み得る。脂質混合物を含むカチオン性脂質、非カチオン性脂質、および/またはPEG修飾脂質の選択、ならびにこれらの脂質の相互の相対的モル比は、選択される脂質の特徴、ならびに封入されるべきmRNAの性質および特徴に基づく。さらなる考慮すべき事項には、例えば、選択される脂質(複数可)のアルキル鎖の飽和度、ならびにサイズ、電荷、pH、pKa、融合性、および毒性が含まれる。したがって、モル比は、適宜に調整され得る。
【0127】
典型的には、mRNA担持脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥混合物の総固体含量の0.1%~30%を占める。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥されるmRNA担持ナノ粒子組成物の総固体含量は、0.5~20%である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥されるmRNA担持ナノ粒子組成物の総固体含量は、2~20%である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥されるmRNA担持ナノ粒子組成物の総固体含量は、2~15%である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥されるmRNA担持ナノ粒子組成物の総固体含量は、2~10%である。
【0128】
ポリマー
様々なポリマーが、本発明による噴霧乾燥mRNA-LNPに使用され得る。典型的には、好適なポリマーは毒性が低く、広範囲の濃度にわたって十分な忍容性がある。いくつかの実施形態では、好適なポリマーは、正に荷電されている。例示的なポリマーとしては、これらに限定されないが、キトサン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(q-カプロラクトン(PCL)、ポリアミドアミン、ポリ(ヒドロキシアルキルL-アスパラギン)、ポリ(ヒドロキシアルキルL-グルタミン)、ポリ(2-アルキルオキサゾリン)アクリレート、修飾アクリレートおよびメタクリレート系ポリマー、ポリ-N-(2-ヒドロキシル-プロピル)メタアクリルアミド、ポリ-2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、ポリ(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)、ならびにポリ(ジメチルアミノエチルメチルアクリレート)(pDMAEMA)が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施形態では、好適なポリマーは、ポリメタクリレート誘導体であり、以下の構造のモノマーの繰り返し単位を含み、
【化78】
式中、R
1は独立して、C
1-C
6アルキルであり、L
1は独立して、C
2-C
6アルキレンであり、R
1AおよびR
1Bの各々は独立して、C
1-C
6アルキルであり、aは、1~500の整数であり;R
2は独立して、C
1-C
6アルキルであり、R
2Aは独立して、C
1-C
6アルキルであり、bは、1~500の整数であり;R
3は独立して、C
1-C
6アルキルであり、R
3Aは独立して、C
1-C
6アルキルであり、cは、1~500の整数である。
【0130】
いくつかの実施形態では、繰り返し単位は、以下によって表されてもよく、
【化79】
式中、各R
4は独立して、R
2またはR
3であり、各R
4Aは独立して、R
2AまたはR
3Aであり、dは、1~500の整数である。上記の構造では、L
1は、-CH
2CH
2であってもよく、各R
1AおよびR
1Bは、メチルであり、かつ/または各R
1、R
2、およびR
3は、メチルであり、かつ/またはR
2Aは、ブチルであり、R
3Aは、メチルである。
【0131】
いくつかの実施形態では、ポリマーの例示的なメンバーは、以下の式によって表される。
【化80】
【0132】
群の例示的なメンバーは、商品名Eudragitで知られている。本発明のいくつかの実施形態では、噴霧乾燥mRNA-LNP製剤に含まれるポリマーは、Eudragitポリマーである。Eudragitは、非結晶性ポリマーまたはコポリマーのクラスを形成し、その特性が官能基によって決定されるアクリル酸およびメタクリル酸のエステルに由来する。個々のEudragitのグレードは、中性基、アルカリ基、または酸基の割合が異なり、したがって物理化学的特性が異なっている。いくつかの利用可能な形態の一部は、アニオン性であり、一部はカチオン性であり、一部は中性である。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥のためにmRNA-LNP複合体と使用されるこのタイプのポリマーは、三級アミン基を、メタクリル酸骨格で正に荷電した。それらはmRNAと複合体を形成し、それを封入してもよい。それらは、噴霧乾燥を支援するより高いTgおよび優れた熱可塑性特性を有する。これらのポリマーは、より高いpHでは不溶性であり、したがって界面活性剤中では、mRNAを分解から保護するのに役立ち得る。Eudragitポリマーは、米国食品医薬品局(FDA)により経口使用のために承認されており、数十年間市販の経口製品に使用されている。これらのポリマーは毒性が低く、広範囲の濃度にわたって十分な忍容性がある。
【0133】
いくつかの実施形態では、使用されるポリマーは、pH5以上では不溶性であるEudragitのクラスを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーのこの特性は、mRNAが唾液中に放出されないように、活性mRNA成分の経口送達に使用される。これらのポリマーの1つの利点は、機能性ポリマーが口の中で不溶性であるため、活性成分および他
の賦形剤の味覚および臭気を強力に遮蔽することである。
【0134】
したがって、いくつかの実施形態では、上に記載されるこれらのメタクリル酸誘導体ポリマーは、安定した噴霧乾燥mRNA-LNP乾燥粉末のための製剤を調製するために使用される。いくつかの実施形態では、これらのメタクリル酸誘導体ポリマーは、mRNAの徐放に使用される。いくつかの実施形態では、pH≧5で不溶性のメタクリル酸誘導体ポリマーは、好適なmRNAの胃腸管(GI)への送達に使用される。いくつかの実施形態では、メタクリル酸誘導体ポリマーは、好適なmRNAの結腸への送達に使用される。
【0135】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、乾燥粉末の総重量の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、または5%未満を構成する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、乾燥粉末の総重量の1%~60%を構成する。いくつかの実施形態では、ポリマーは、乾燥粉末の総重量の約1~90%、10~90%、20~90%、10~50%、1~20%、2~15%、3~12%、1~10%、2~9%、3~8%、1~7%、2~6%、または3~5%を構成する。
【0136】
他の賦形剤
いくつかの実施形態では、糖および他の賦形剤は、噴霧乾燥前に、mRNA担持ナノ粒子およびポリマー混合物に添加される。
【0137】
糖
様々な糖を、噴霧乾燥前に混合物に添加してもよい。糖は脱水中に安定化を提供することが企図される。製剤に好適である例示的な糖は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、ラクトース、スクロース、セロビオース、トレハロース、ラフィノース、デンプン、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、インリン、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、およびマンニトールからなる群から選択される単糖類、二糖類、および多糖類である。
【0138】
いくつかの実施形態では、好適な糖は、ラクトースおよび/またはマンニトールである。いくつかの実施形態では、好適な糖は、マンニトールである。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約1~10%の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約2~10%の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約3~10%の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約4~10%の濃度で添加される。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約5~10%の濃度で添加される。
【0139】
いくつかの実施形態では、好適な糖は、トレハロースである。いくつかの実施形態では、マンニトールおよびトレハロースの両方が添加される。
【0140】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、賦形剤として使用される。界面活性剤は、組成物の表面張力を増加させる。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥mRNA脂質組成物に使用される界面活性剤は、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、リン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリトンX-100、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミン、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ソルビタンモオノラウレエート(Sorbitan moonolaureate)、モノステアリン酸ソルビタン、Tw
een 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、アルキルポリグルコシド、およびポロキサマーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマーである。
【0141】
様々な他の賦形剤が、噴霧乾燥製剤に含まれてもよい。これらには、様々なポリエステル、ポリウレタン、ポリ(エステルアミド)、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、ポリ(無水物-コ-イミド)、ポリホスホエステル、ポリホスファゼン、アミノ酸、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン、多糖類、マルトデキストリン、アルブミン、様々な糖、界面活性剤、緩衝剤、および塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
乾燥粉末
本発明に従って調製された乾燥粉末は、複数の噴霧乾燥粒子を含む。残留水分含量、エアロゾル性能、および物理化学的安定性は、噴霧乾燥医薬品の重要なパラメータである。これは、以下の式を使用して、加熱および乾燥後の試料重量損失によって決定され、
水分含量%=[(SWb-SWa)/SWb]×100%
式中、SWbは加熱前の試料重量であり、SWaは加熱後の試料重量である。Perkin Elmer TGA 7(Perkin Elmer)は、ナノ粒子中の残留水分を測定するための関連ソフトウェアを備えた、商業的に使用される機器の例である。
【0143】
概して、製剤の活性薬学的成分の用量の均一性のために、許容される粒子サイズ分布の範囲が維持される。特に肺送達については、乾燥粉末製剤の粒子は、呼吸器系内のエアロゾルの分布および沈着に影響する。多くの場合、治療構成成分の効果的な吸収および分布のために、大きなコンダクティング気道への粒子沈着が好ましい。非常に微細な粒子のエアロゾル、例えば、1マイクロメートル未満の直径を有する粒子は、気管支拡張剤として機能する活性薬学的成分のための平滑筋などの肺の特定の細胞による効果的な吸収のために、末梢に沈着され得る。
【0144】
噴霧乾燥粒子の一次粒子サイズ分布は、Z平均で表される動的光散乱によって測定される。Z平均は、粒子直径の強度加重分布から計算される、また累積サイズとしても知られる平均であり、式、Dz=ΣSi/Σ(Si/Di)によって表され、Siは粒子「i」からの散乱強度であり、Diは粒子の直径である。これらのパラメータに加えて、粒子の微細なコース画分が定義される。
【0145】
一方、多分散度指数(PDI)は、所与の粒子試料の分子量の分布の尺度である。
【0146】
ゼータ電位は、粒子間の静電または電荷の反発/引力の大きさの尺度であり、安定性に影響を与えることが知られている基本的なパラメータのうちの1つである。その尺度は、分散、凝集(aggregation)、または凝集(flocculation)の原因に関する詳細な洞察をもたらし、分散剤、エマルジョン、および懸濁液の製剤化を改善するために適用することができる。ZPは、分散体中の近接粒子および類似の荷電粒子の間の反発の程度を示す。高ZPは、高荷電粒子を示す。一般的に、高ZP(負または正)は、電気反発による粒子の凝集を防止し、ナノ粒子分散を電気的に安定化する。一方で、ZPが低い場合、引力は反発力を超え、分散体は凝固または凝集する。ゼータ電位は、例えば、Zetasizer Nano(Malvern Instruments)などの利用可能な装置システムを使用して、光子相関分光法によって測定することができる。
【0147】
ナノ粒子の球形度は、粒子が球をどれほど密接に再アセンブリするかの尺度である。これは、Waddellの式によって測定することができ、以下のように決定されるΨによって示される。
【化81】
噴霧乾燥mRNA脂質製剤のサイズ分布ならびに形状または球形度は、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡、またはコールターカウンターによって流体中の粒子によって課される電気抵抗の変化によって測定可能である。
【0148】
最後に、mRNAの含量および/または完全性は、HPLCまたはノーザンブロット分析によって評価される。いくつかの実施形態では、質量分析および他の関連する分光光化学分析は、mRNAナノ粒子製剤の安定性、完全性、および品質評価のために実施される。
【0149】
本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、10%未満の水分(w/w)を含む。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約9%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約8%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約7%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約6%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約5%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約4%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約3%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約2%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、本発明の噴霧乾燥mRNA脂質ナノ粒子は、約1%未満の水分を保持し得る。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥mRNA-LNP製剤の水分含量は、5%未満である。
【0150】
噴霧乾燥mRNA LNP製剤が本明細書に提供され、mRNA脂質ナノ粒子は、10μm未満の微細画分(fnfr)を有する不均一なサイズである。いくつかの実施形態では、本発明のmRNA-LNP乾燥粉末粒子のfnfrは、1~10μmの範囲である。mRNA-LNP噴霧乾燥試料に対する最適なZ平均は、≦10μmであり得る。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、≦8μmである。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、≦5μmである。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、0.01~10μmの範囲内であるべきである。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、0.1~10μmの範囲内であるべきである。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、0.1~5μmの範囲内であるべきである。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、0.1~3μmの範囲内であるべきである。いくつかの実施形態では、mRNA-LNP噴霧乾燥試料のZ平均は、0.1~5μmの範囲内であるべきである。
【0151】
いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥前、200nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥前、180nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥前、150nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥前、120nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥前、100nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥前、50nm未満のZ平均を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、5000nm未満の
Z平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、4000nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、3000nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、2000nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、1000nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、500nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、500nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、300nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、200nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、100nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、50nm未満のZ平均を含む。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子は、噴霧乾燥後、10nm未満のZ平均を含む。
【0153】
mRNA-LNPの乾燥粉末製剤が本明細書に提供され、mRNA-LNP粒子の平均球形度は、0.7~1の範囲である。いくつかの実施形態では、mRNA脂質ナノ粒子の平均球形度は、0.7超、または0.8超、または0.9超である。
【0154】
いくつかの実施形態では、本出願のためのナノ粒子のゼータ電位値は、+30mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、+20mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、+10mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、0mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、-10mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、-20mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、+20mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、-20mV~-30mVである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位値は、約-30mVであり、多分散指数は、約0.3未満である。
【0155】
いくつかの実施形態では、提供されるmRNA-LNPの乾燥粉末製剤は、乾燥粉末の総重量の最大30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、または2%のmRNAを含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、乾燥粉末の総重量の1~6%、1~5%、1~4%、1~3%、2~10%、2~9%、2~8%、2~7%、2~6%、2~5%、2~10%、2~15%、2~20%、2~30%を構成する。
【0156】
安定性
様々な条件下で保存したときに安定である、噴霧乾燥mRNA-LNP製剤が提供される。本明細書で使用される場合、「安定」という用語は、保存後に70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%超の完全性を保持するmRNAを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で1年超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で11ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で10ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で9ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で8ヶ月超にわた
って保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で7ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で6ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で5ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で4ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で3ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で2ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で1ヶ月超にわたって保存されたとき、安定である。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で8週間超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で7週間超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で6週間超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で5週間超にわたって保存されたとき、安定である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるmRNA-LNP乾燥粉末製剤は、凍結状態(-20℃)、4℃、または室温で4週間超にわたって保存されたとき、安定である。
【0158】
メッセンジャーRNA
本発明を使用して、任意のmRNAを製剤化することができる。本明細書で使用される場合、mRNAは、コードされたタンパク質を翻訳するためにDNAからリボソームに情報を伝えるタイプのRNAである。mRNAは様々な既知の方法のうちのいずれかにより合成され得る。例えば、本発明によるmRNAは、インビトロ転写(IVT)を介して合成され得る。簡潔には、IVTは、典型的には、プロモーター、リボヌクレオチド三リン酸のプール、DTTおよびマグネシウムイオンを含み得る緩衝系、および適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)を含む線状または環状DNA鋳型、DNAse I、ピロホスファターゼ、および/またはRNAse阻害剤を用いて行われる。正確な条件は、特定の用途により異なる。
【0159】
本発明を使用して、様々な長さのmRNAを製剤化することができる。いくつかの実施形態では、本発明を使用して、長さ約1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、15kb、または20kb以上のインビトロで合成されたmRNAを送達することができる。いくつかの実施形態では、本発明を使用して、長さ約1~20kb、約1~15kb、約1~10kb、約5~20kb、約5~15kb、約5~12kb、約5~10kb、約8~20kb、または約8~15kbの範囲のインビトロで合成されたmRNAを送達することができる。
【0160】
本発明は、修飾されていないmRNA、または一般的に安定性を強化する1つ以上の修飾を含むmRNAを製剤化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、修飾は、
修飾ヌクレオチド、修飾糖リン酸骨格、ならびに5’および/または3’非翻訳領域(UTR)から選択される。
【0161】
いくつかの実施形態では、mRNAの修飾は、RNAのヌクレオチドの修飾を含み得る。本発明による修飾mRNAは、例えば、骨格修飾、糖修飾、または塩基修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、mRNAは、以下に限定されないが、プリン類(アデニン(A)、グアニン(G))またはピリミジン類(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))をはじめとする天然ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成されてもよく、ならびに例えば1-メチル-アデニン、2-メチル-アデニン、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニル-アデニン、N6-メチル-アデニン、N6-イソペンテニル-アデニン、2-チオ-シトシン、3-メチル-シトシン、4-アセチル-シトシン、5-メチル-シトシン、2,6-ジアミノプリン、1-メチル-グアニン、2-メチル-グアニン、2,2-ジメチル-グアニン、7-メチル-グアニン、イノシン、1-メチル-イノシン、シュードウラシル(pseudouracil)(5-ウラシル)、ジヒドロウラシル、2-チオ-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウラシル、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-メチル-2-チオ-ウラシル、5-メチル-ウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチルアミノメチル-ウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5’-メトキシカルボニルメチル-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、1-メチル-シュードウラシル、キューオシン、ベータ-D-マンノシル-キューオシン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、ならびにホスホロアミデート類、ホスホロチオエート類、ペプチドヌクレオチド類、メチルホスホネート類、7-デアザグアノシン、5-メチルシトシンおよびイノシンなどのプリン類ならびにピリミジン類の修飾ヌクレオチド類似体または誘導体として合成されてもよい。こうした類似体の調製は、例えば、米国特許第4,373,071号、米国特許第4,401,796号、米国特許第4,415,732号、米国特許第4,458,066号、米国特許第4,500,707号、米国特許第4,668,777号、米国特許第4,973,679号、米国特許第5,047,524号、米国特許第5,132,418号、米国特許第5,153,319号、米国特許第5,262,530号、および米国特許第5,700,642号(その開示は参照によりその全範囲において本明細書に含まれる)から当業者に既知である。
【0162】
いくつかの実施形態では、mRNAは、RNA骨格修飾を含み得る。典型的には、骨格修飾は、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸塩が化学的に修飾される修飾である。例示的な骨格修飾には、典型的には、メチルホスホネート、メチルホスホロアミダイト、ホスホロアミダイト、ホスホロチオエート(例えば、シチジン5’-O-(1-チオホスフェート))、ボラノホスフェート、正荷電グアニジウム基等からなる群からの修飾が含まれるが、これらに限定されず、これは、ホスホジエステル結合を他のアニオン性基、カチオン性基、または中性基で置き換えることを意味する。
【0163】
いくつかの実施形態では、mRNAは糖修飾を含み得る。典型的な糖修飾は、ヌクレオチドの糖の化学修飾であり、糖修飾として、以下に限定されないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ-オリゴリボヌクレオチド(2’-フルオロ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-デオキシ-2’-デアミン-オリゴリボヌクレオチド(2’-アミノ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アミノ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-O-アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’-O-メチルシチジン5’-三リン酸、2’-メチルウリジン5’-三リ
ン酸)、2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド、およびこれらの異性体(2’-アラシチジン5’-三リン酸、2’-アラウリジン5’-三リン酸)、またはアジド三リン酸(2’-アジド-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アジド-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)からなる群から選択される糖修飾が挙げられる。
【0164】
いくつかの実施形態では、mRNAはヌクレオチドの塩基の修飾(塩基修飾)を含み得る。塩基修飾を含む修飾ヌクレオチドは、塩基修飾ヌクレオチドとも呼ばれる。こうした塩基修飾ヌクレオチドの例として、以下に限定されないが、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド5’-三リン酸、2-アミノアデノシン5’-三リン酸、2-チオシチジン5’-三リン酸、2-チオウリジン5’-三リン酸、4-チオウリジン5’-三リン酸、5-アミノアリルシチジン5’-三リン酸、5-アミノアリルウリジン5’-三リン酸、5-ブロモシチジン5’-三リン酸、5-ブロモウリジン5’-三リン酸、5-ヨードシチジン5’-三リン酸、5-ヨードウリジン5’-三リン酸、5-メチルシチジン5’-三リン酸、5-メチルウリジン5’-三リン酸、6-アザシチジン5’-三リン酸、6-アザウリジン5’-三リン酸、6-クロロプリンリボシド5’-三リン酸、7-デアザアデノシン5’-三リン酸、7-デアザグアノシン5’-三リン酸、8-アザアデノシン5’-三リン酸、8-アジドアデノシン5’-三リン酸、ベンゾイミダゾールリボシド5’-三リン酸、N1-メチルアデノシン5’-三リン酸、N1-メチルグアノシン5’-三リン酸、N6-メチルアデノシン5’-三リン酸、O6-メチルグアノシン5’-三リン酸、シュードウリジン5’-三リン酸、ピューロマイシン5’-三リン酸、またはキサントシン5’-三リン酸が挙げられる。
【0165】
mRNA合成には、5’末端への「キャップ」および3’末端への「テール」の付加が含まれるのが典型的である。キャップの存在は、大半の真核生物細胞に見られるヌクレアーゼへの耐性を付与するのに重要である。「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護する役割を果たす。
【0166】
したがって、いくつかの実施形態では、mRNAは、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には次のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの1つを除去して2つの末端リン酸を残し、次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’-5’逆三リン酸結合を生成し、次いで、グアニンの7-窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。2’-O-メチル化はまた、7-メチルグアノシン三リン酸塩残基の後の第1の塩基および/または第2の塩基で生じ得る。キャップ構造の例には、m7GpppNp-RNA、m7GpppNmp-RNA、およびm7GpppNmpNmp-RNA(式中、mは2’-O-メチル残基を示す)が含まれるが、これに限定されない。
【0167】
いくつかの実施形態では、mRNAは3’テール構造を含む。テール構造は典型的に、ポリ(A)テールおよび/またはポリ(C)テールを含む。mRNAの3’末端上のポリAテールまたはポリCテールは、典型的には、少なくとも50個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも150個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも200個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも250個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも300個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも350個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも400個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも450個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも500個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも550個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも600個のアデノシンヌクレオチ
ドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも650個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも700個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも750個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも800個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも850個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも900個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも950個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、または少なくとも1kbのアデノシヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチドをそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、ポリAテールまたはポリCテールはそれぞれ、約10~800個のアデノシンヌクレオチドまたはシトシンヌクレオチド(例えば、約10~200個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~300個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~400個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~500個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~550個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約50~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約100~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約150~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約200~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約250~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約300~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約350~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約400~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約450~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約500~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド)であり得る。いくつかの実施形態では、テール構造は、本明細書に記載の様々な長さを有するポリ(A)テールおよびポリ(C)テールの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアデノシンヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のシトシンヌクレオチドを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、mRNAは、5’および/または3’非翻訳領域を含む。いくつかの実施形態では、5’非翻訳領域は、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす要素、例えば、鉄応答性要素を1つ以上含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞におけるmRNAの位置安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの1つ以上の結合部位のうちの1つ以上を含む。
【0170】
例示的な5’および/または3’非翻訳配列は、センスmRNA分子の安定性を増加させるために、安定しているmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、またはクエン酸サイクル酵素)から得られ得る。例えば、5’非翻訳配列は、ヌクレアーゼ耐性を改善するおよび/またはポリヌクレオチドの半減期を改善するために、CMV前初期1(IE1)遺伝子の部分配列またはその断片を含み得る。ポリヌクレオチドをさらに安定させるために、ヒト成長ホルモン(hGH)をコードする
配列またはその断片のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端または非翻訳領域への包含も企図される。概して、これらの修飾は、ポリヌクレオチドの安定性および/または薬物動態特性(例えば、半減期)を、それらの修飾されていない対応物と比較して改善し、例えば、かかるポリヌクレオチドのインビボヌクレアーゼ消化に対する耐性を改善するために行われる修飾を含む。
【0171】
mRNA構築物設計は、X-コード配列-Yとして指定することができる。例示的なXおよびYヌクレオチド配列は、以下の通りである。
X(5’非翻訳配列)=
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG (配列番号1)
Y(3’非翻訳配列)=
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU (配列番号2)
または
GGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU (配列番号3)
【0172】
インビトロ転写反応からもたらされたmRNAが、一部の実施形態で望ましい一方、細菌、真菌、植物、および/または動物から産生されたmRNAを含む、mRNAの他の供給源が、本発明の範囲内であると意図される。
【0173】
いくつかの実施形態では、好適なmRNA配列は、ヒト嚢胞性線維症膜貫通受容体である嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子CFTR(hCFTR)タンパク質をコードするmRNA配列である。いくつかの実施形態では、好適なmRNA配列は、効率的な発現ヒト細胞のために最適化されたコドンである。治療的送達のためのCFTR mRNAの調製および最適化を具体化する詳細な説明は、2018年5月16日に出願された米国特許出願第15/981,757号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0174】
薬学的製剤および治療的使用
本発明の乾燥粉末製剤の薬学的組成物は、様々な治療用途で使用され得る。インビボでの送達を容易にするために、本明細書に記載される乾燥粉末製剤は、1つ以上の追加の薬学的担体、標的化リガンド、または安定化試薬と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬学的担体は、噴霧乾燥の前に製剤に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬学的担体は、乾燥粉末製剤への挿入後技術を使用して(すなわち、噴霧乾燥後)に製剤に添加されてもよい。製剤化技法および薬物投与は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,(最新版)に見出され得る。
【0175】
本明細書に記載される乾燥粉末製剤は、粉末形態で、または代替的に、再構成後にインビボで投与することができる。本明細書に記載される製剤のための好適な投与経路には、経口投与、直腸投与、膣投与、経粘膜投与、気管内投与もしくは吸入投与を含む肺投与、または腸投与、皮内注射、経皮(局所)注射、筋肉内注射、皮下注射、髄内注射を含む非経口送達、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、もしくは鼻腔内が含まれる。
特定の実施形態では、筋肉内投与は、骨格筋、平滑筋、および心筋からなる群から選択される筋肉に行われる。いくつかの実施形態では、この投与により、核酸の筋肉細胞への送達がもたらされる。いくつかの実施形態では、この投与により、核酸の肝細胞(すなわち、肝臓細胞)への送達がもたらされる。
【0176】
本発明の薬学的製剤は、全身様式ではなく局所様式で、例えば、薬学的製剤を標的とされる組織に直接注射することにより、好ましくは、徐放製剤で投与され得る。局所送達は、標的とされる組織に応じて様々な方式で達成され得る。送達されるmRNAが送達および/または発現され得る場所となる組織の例としては、限定されないが、肺、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、血清、脳、骨格筋、リンパ節、皮膚、および/または脳脊髄液が挙げられる。複数の実施形態では、標的とされる組織は、肝臓である。例えば、本発明の組成物を含むエアロゾルは、吸入され得る(経鼻、気管、または気管支送達のために)。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、定量吸入器を使用して送達することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、送達のために再構成および霧化され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、損傷、疾患の発現、または疼痛の部位に注射され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、経口、気管、または食道適用のために、トローチ剤で提供され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、胃または腸への投与のために、液体、錠剤、またはカプセル形態で供給され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、直腸または膣適用のための座薬形態で供給され得る。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、クリーム、滴、またはさらに注射の使用によって眼に送達され得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、本発明の乾燥粉末製剤は、液体溶液に再構成され、送達のために霧化される。霧化は、当該技術分野で既知の任意の霧化器によって達成され得る。霧化器は、液体をミストに変換し、それによって肺内により容易に吸入され得る。霧化器は、幼児、小児、および成人に効果的である。霧化器は、高用量の吸入薬剤を霧化することができる。典型的には、本発明で使用する霧化器は、取り外し可能であるマウスピースを含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される乾燥粉末製剤を使用して、様々な疾患または障害の治療のための治療有効量のmRNAを送達してもよい。例えば、本発明による噴霧乾燥によって調製される乾燥粉末製剤は、経口、鼻腔、気管、または肺もしくは経路を介して、嚢胞性線維症などの肺関連障害の治療のために投与され得る。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、吸入により投与される。いくつかの実施形態では、製剤は、定量吸入器によって投与される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、鼻腔内噴霧により投与される。いくつかの実施形態では、乾燥粉末製剤は、再水和され、静脈内注入、注射、経口点滴、鼻腔点滴、および当業者によって容易に考えられる任意の他の適用として投与される。
【0179】
本発明を使用して、様々な他の肺関連疾患、障害、および症状を治療することができる。いくつかの実施形態では、本発明の安定した乾燥粉末製剤は、疾患または障害は、喘息;COPD;肺気腫;内臓逆位を伴うもしくは伴わない原発性毛様体ジスキネジア(CILD1)、またはカルタゲナー症候群;肺線維症;バート・ホッグ・デュベ症候;遺伝性出血性毛細血管拡張症;アルファ-1抗トリプシン欠損症;チトクロームb陽性肉芽腫性疾患(CGD、X線);チトクロームb陽性肉芽腫性疾患、常染色体劣性;表面活性物質欠損症、肺表面活性物質代謝異常1、肺表面活性物質代謝異常2型、肺表面活性物質代謝異常3型;未熟児の呼吸窮迫症候群;結核、インフルエンザを含む肺ウイルス性疾患、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)のうちの1つ以上を治療するのに有用である。
【0180】
したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、対象の肺または肺細胞への送達また
はその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを含む乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー3タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ダイニン軸糸中間鎖1タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ダイニン軸糸重鎖5(DNAH5)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、アルファ-1-アンチトリプシンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、フォークヘッドボックスP3(FOXP3)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、1つ以上のサーファクタントタンパク質、例えば、サーファクタントAタンパク質、サーファクタントBタンパク質、サーファクタントCタンパク質、およびサーファクタントDタンパク質のうちの1つ以上をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0181】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の肝臓または肝臓細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。かかるペプチドおよびポリペプチドは、尿素サイクル障害に関連するもの、リソソーム貯蔵障害に関連するもの、グリコーゲン貯蔵障害に関連するもの、アミノ酸代謝障害に関連するもの、脂質代謝もしくは線維性障害に関連するもの、メチルマロン酸血症に関連するもの、または濃縮された全長mRNAの肝臓または肝臓細胞への送達またはそれでの治療が乾燥粉末の利益を提供する任意の他の代謝性障害に関連するものを含み得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、本発明は、尿素サイクル障害に関連するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、アルギニノコハク酸シンテターゼ1タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、カルバモイルリン酸シンテターゼIタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、アルギニノコハク酸リアーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、アルギナーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0183】
ある特定の実施形態では、本発明は、リソソーム貯蔵障害に関連するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、アルファ-ガラクトシダーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、グルコセレブロシダーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、イズロン酸-2-スルファターゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、イズロニダーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成する
ための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、N-アセチル-アルファ-D-グルコサミニダーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ヘパランN-スルファターゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ガラクトサミン-6スルファターゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ベータ-ガラクトシダーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、リソソームリパーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、アリールスルファターゼB(N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、転写因子EB(TFEB)をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0184】
ある特定の実施形態では、本発明は、グリコーゲン貯蔵障害に関連するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、酸アルファ-グルコシダーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、グルコース-6-ホスファターゼ(G6PC)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、肝臓グリコーゲンホスホリラーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、筋ホスホグリセリン酸ムターゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、グリコーゲン脱分岐酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0185】
ある特定の実施形態では、本発明は、アミノ酸代謝に関連するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、グルタリル-CoAデヒドロゲナーゼ酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、オキサラーゼ(oxalase)アラニン-グリオキシルアミノトランスフェラーゼ酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0186】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂質代謝または線維性障害に関連するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、mTOR阻害剤をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ATPaseリン脂質輸送8B1(ATP8B1)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、1つ以上のNF-カッパB阻害剤、例えば、I-カッパBアルファ、インターフェロン関連発生制御因子1(IFRD1)、およびサーチュイン1(SIRT1)のうちの1つ以上をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、PPAR-ガンマタンパク質または
活性バリアントをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0187】
ある特定の実施形態では、本発明は、メチルマロン酸血症に関連するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、本発明は、メチルマロニルCoAムターゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、メチルマロニルCoAエピメラーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0188】
ある特定の実施形態では、本発明は、肝臓への送達またはその治療が乾燥粉末の利益を提供することができる完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ウィルソン病タンパク質としても知られているATP7Bタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ポルホビリノーゲンデアミナーゼ酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、第VIII因子、第IX因子、第VII因子、および第X因子などの1つまたは凝固酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ヒトヘモクロマトーシス(HFE)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0189】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の心臓血管構造または心臓血管細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、血管内皮成長因子Aタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、レラキシンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、骨形成タンパク質-9タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、骨形成タンパク質-2受容体タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0190】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の筋肉または筋肉細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ジストロフィンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、フラタキシンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、対象の心筋または心筋細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、筋肉組織または筋肉細胞におけるカリウムチャネルおよびナトリウムチャネルの一方または両方を調節するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、筋肉組織または筋肉細胞におけるKv7.1チャネルを調節するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、筋肉組織または筋肉細胞におけるNav1.5チャネルを調節するタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0191】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の神経系または神経系細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、本発明は、生存運動ニューロン1タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、本発明は、生存運動ニューロン2タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、フラタキシンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ATP結合カセットサブファミリーDメンバー1(ABCD1)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、CLN3タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0192】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の血液もしくは骨髄または血液もしくは骨髄細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ベータグロビンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ブルトンチロシンキナーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、第VIII因子、第IX因子、第VII因子、および第X因子などの1つまたは凝固酵素をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0193】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の腎臓または腎臓細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、IV型コラーゲンアルファ5鎖(COL4A5)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0194】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の眼または眼細胞への送達またはその治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ATP結合カセットサブファミリーAメンバー4(ABCA4)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、レチノスキシンタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、網膜色素上皮特異的65kDa(RPE65)タンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、290kDaの中心体タンパク質(CEP290)をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0195】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象または対象の細胞のためのワクチンの送達またはそれによる治療で使用するためのペプチドまたはポリペプチドをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。例えば、ある特定の実施形態では、本発明は、ウイルスなどの感染性因子由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、インフルエンザウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、呼吸器合胞体ウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成
するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、狂犬病ウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、サイトメガロウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ロタウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、またはC型肝炎ウイルスなどの肝炎ウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ヒトパピローマウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、単純ヘルペスウイルス1型または単純ヘルペスウイルス2型などの単純ヘルペスウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ヒト免疫不全ウイルス1型またはヒト免疫不全ウイルス2型などのヒト免疫不全ウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ヒトメタニューモウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ヒトパラインフルエンザウイルス1型、ヒトパラインフルエンザウイルス2型、またはヒトパラインフルエンザウイルス3型などのヒトパラインフルエンザウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、マラリアウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、ジカウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、チクングニアウイルス由来の抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0196】
ある特定の実施形態では、本発明は、対象の癌に関連する抗原または対象の癌細胞から特定された抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、対象自身の癌細胞から決定された抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための、すなわち、個別化癌ワクチンを提供するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、変異体KRAS遺伝子から発現した抗原をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0197】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗体をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、二重特異性抗体であり得る。ある特定の実施形態では、抗体は、融合タンパク質の一部であり得る。ある特定の実施形態では、本発明は、OX40に対する抗体をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、VEGFに対する抗体をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、組織壊死因子アルファに対する抗体をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、CD3に対する抗体をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、CD19に対する抗体をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0198】
ある特定の実施形態では、本発明は、免疫調節因子をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は
、インターロイキン12をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、インターロイキン23をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、インターロイキン36ガンマをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、1つ以上のインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)タンパク質の構成的に活性なバリアントをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0199】
ある特定の実施形態では、本発明は、エンドヌクレアーゼをコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、Cas 9タンパク質などのRNA誘導性DNAエンドヌクレアーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、メガヌクレアーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、亜鉛フィンガーヌクレアーゼタンパク質をコードする完全長mRNAを有する乾燥粉末組成物を生成するための方法を提供する。
【0200】
本発明は、mRNA製剤の徐放が必要とされる様々な他の疾患、障害、および状態を治療するために使用され得る。これらの例は、胃腸管におけるmRNA送達が有用である疾患を含む。かかる疾患には、これらに限定されないが、アポリポタンパク質E欠損症、炎症性腸疾患、またはクローン病;接着型Gタンパク質共役受容体VI欠損症;2型フォン・ヴィレブランド病;腎結石症、シュウ酸カルシウムCAON関連;若年発症成人型糖尿病8型が含まれる。
【0201】
本発明は、組織または器官へのmRNA製剤の標的化された送達が有益であり得る様々な他の疾患、障害、または状態を治療するために使用され得る。これらは、目的に好適なポリマーの会合によって、特定の標的化部分の会合の有無を問わず、調整されてもよい。
【実施例0202】
本発明のある特定の化合物、組成物、および方法について、ある特定の実施形態に従って具体的に説明してきたが、以下の実施例は、本発明を単に説明するという役割を果たすものであり、それを制限することを意図するものではない。
【0203】
実施例1.噴霧乾燥から回収されたmRNA-LNP乾燥粉末製剤
この実施例では、LNP封入mRNA製剤を、ポリマーで、およびポリマーなしで調製し、噴霧乾燥した。結果は、ポリマーを用いて調製されたLNP封入mRNA製剤が、ポリマーなしで調製された同じmRNA-LNP製剤と比較して、噴霧乾燥プロセスからの予想外の高回収率をもたらすことを示す。
【0204】
特に、LNP封入mRNA製剤(ホタルルシフェラーゼ(FFL)をコードするmRNA、およびそれぞれFFL-F1、FFL-F2と称される製剤)のうちの2つをそれぞれ、表1に記載されるそれぞれの個々の組成物を用いて、ポリマーなしでまたはポリマーを用いて調製した。これらの製剤を噴霧乾燥のために調製するために、FFL mRNAを、mRNAをLNP内に封入するために最初にギアポンプを使用して脂質ナノ粒子(LNP)と混合した。次いで、「ポリマーを用いる」試料について、次いでポリマー溶液を、ギアポンプを使用してmRNA-LNPと混合した。次いで、
図1の器具の図形表現に示されるように、溶液を噴霧乾燥させた。以下の条件を噴霧乾燥に使用した:入口温度9
0℃、吸引器パーセンテージ85%、ポンプパーセンテージ25%、および出口温度46~50℃。
【表1】
【0205】
結果
ポリマーなしの各LNP-mRNA製剤上の噴霧乾燥工程は成功しなかった。いずれの場合も、表1(下部)に記載されるように、および
図2に示されるように、物質が噴霧乾燥器に凝集し、噴霧乾燥器の様々な区画を詰まらせ、物質の回収がほとんどまたは全くなかった。しかしながら、ポリマーを用いて調製された同じ2つのLNP-mRNA製剤は、表1(下部)に記載されるように、および
図2に示されるように、噴霧乾燥に成功し、噴霧乾燥工程から40%を超える回収率の物質を得た。
【0206】
封入効率およびナノ粒子サイズ(Z平均)に対する噴霧乾燥の効果を、噴霧乾燥工程の前後に測定し、表1(下部)に値を示した。ポリマーを用いて調製されたLNP-mRNA製剤については、封入効率は、噴霧乾燥の前後で物質において顕著な変化はなく、ナノ粒子サイズは、噴霧乾燥の前から後までに増加することが見出された。ポリマーなしで調製されたLNP-mRNA製剤については、これらの測定は、任意の実質的な物質を生成するための噴霧乾燥工程の失敗により決定することができなかった。
【0207】
実施例2.mRNA乾燥粉末製剤の完全性および安定性
この実施例では、アルギニノコハク酸シンテターゼまたはASS1 mRNAをコードする2つのmRNA製剤を調製し、長期安定性について評価した。特に、LNPを含まないがポリマー(ASS1-F1)を含む1つのmRNA製剤を調製した。LNP封入LN
P+ポリマー(ASS-F2)を含んだ2つ目のmRNA製剤を調製した。各製剤を、表2にさらに記載する。
【0208】
ASS1-F1製剤については、mRNAをギアポンプを使用してポリマーと直接混合した。ASS1-F2製剤については、mRNAをLNP内に封入するために、mRNAを最初にギアポンプを使用して脂質ナノ粒子(LNP)と混合し、次いでポリマー溶液をギアポンプを使用してmRNA-LNPと混合した。最終製剤を濃縮し、マンニトールを各製剤に添加した。次いで、
図1の器具の図形表現に示されるように、溶液を噴霧乾燥させた。以下の条件を噴霧乾燥に使用した:入口温度90℃、吸引器パーセンテージ85%、ポンプパーセンテージ25%、および出口温度46~50℃。
【表2】
【0209】
封入効率およびナノ粒子サイズ。封入効率に対する噴霧乾燥の効果を、乾燥の前後に測定した。この実施例では、ポリマーを含む製剤中のLNP封入mRNAの封入効率は、工程前は75.28±1.43であり、その後は81.85±0.44であり、噴霧乾燥プロセスが封入効率に負に影響を与えなかったことを示す。噴霧乾燥の前後のナノ粒子の平均サイズは、それぞれ99.4±1.3および426±12であった。
【0210】
mRNA乾燥粉末の完全性および安定性。ポリマーを含む製剤中のLNP封入mRNA
は、たとえ冷蔵温度(4℃)で保存されていたか、または様々な時間にわたって-20℃で凍結された場合でも、噴霧乾燥後のmRNAの予想外の高い完全性および安定性をもたらした。以下に記載されるmRNAの完全性および安定性を、分光光度分析、例えば、キャピラリー電気泳動(CE)、ならびにゲル電気泳動、例えば、ノーザンブロット分析によって評価した。
【0211】
図3および
図4は、mRNAの完全性の分析のための例示的な対照としての役目を果たす。特に、
図3は、CE(左側のパネル)およびゲル電気泳動(右側のパネル)によって評価されたインタクトなmRNAを示す。図の左側のパネルでは、インタクトなmRNAは単一の分光光度ピーク(影付き)として現れ、図の右側のパネルでは、インタクトなmRNAはmRNAの予期される分子サイズに対応する単一バンドとして現れ、その単一ピークおよび単一バンドはそれぞれ、インタクトなmRNAおよび分解生成物の不在を示す。同様に、
図4は、噴霧乾燥前、およびLNPから抽出された(すなわち、mRNA上のCEおよびゲル電気泳動分析を実施する目的で抽出される)mRNAを示し、LNPからのmRNAの抽出が顕著なmRNA分解生成物を生成しないことを確認する。
図4のCEピークおよびゲルバンドと
図3のCEピークおよびゲルバンドとの比較は、LNPからmRNAを抽出するために使用されるプロセスが、顕著なmRNA分解生成物を生成しないことを示す。
【0212】
噴霧乾燥ASS1-F1製剤または噴霧乾燥ASS1-F2製剤のアリコートを、4℃または-20℃のいずれかで保存し、様々な時点で試料を除去し、再構成し、CEおよびゲル電気泳動によりmRNAの完全性を評価した。特に、ポリマー(ASS1-F2)で製剤化された乾燥粉末ASS1 mRNA-LNPのmRNAの完全性を、噴霧乾燥し、4℃または-20℃のいずれかで保存した後、2週目および4週目で評価し、ポリマー(ASS1-F1)で製剤化された乾燥粉末ASS1 mRNA(LNPなし)のmRNAの完全性を、噴霧乾燥し、4℃または-20℃のいずれかで保存した後、3週目および5週目で評価した。
【0213】
図5および
図6は、ポリマー(ASS1-F2)で製剤化され、それぞれ4℃または-20℃で2週間保存された乾燥粉末ASS1 mRNA-LNPのmRNAの完全性を示す。
図5および
図6の各々は、単一のCEピーク(左側のパネル)および単一のゲルバンド(右側のパネル)を示し、ASS1 mRNAが両方の温度条件で分解することなくインタクトなままであることを示す。
図7はさらに、ASS1 mRNAの2つのピークの重ね合わせを示し(
図5および
図6から)、mRNAが保存温度にかかわらずインタクトなままであることを示す。これらのデータは、ポリマーを含むmRNA脂質ナノ粒子の噴霧乾燥製剤が、例えば、約-20℃もしくは最大約-20℃で、または約4℃もしくは最大約4℃などの範囲の保存温度にわたって少なくとも2週間安定しているままであることを示す。
【0214】
図8および
図9は、ポリマー(ASS1-F2)で製剤化され、それぞれ4℃または-20℃で4週間保存された乾燥粉末ASS1 mRNA-LNPのmRNAの完全性を示す。
図8および
図9の両方は、単一のCEピーク(左側のパネル)および単一のゲルバンド(右側のパネル)を示し、ASS1 mRNAが両方の温度条件で分解することなくインタクトなままであることを示す。これらのデータは、ポリマーを含むmRNA脂質ナノ粒子の噴霧乾燥製剤が、例えば、約-20℃もしくは最大約-20℃で、または約4℃もしくは最大約4℃など、広範囲の保存温度にわたって少なくとも4週間安定しているままであることを示す。
【0215】
図10および
図11は、ポリマー(ASS1-F1)で製剤化され、それぞれ4℃または-20℃で3週間保存された乾燥粉末ASS1 mRNA(LNPなし)のmRNAの
完全性を示す。
図10および
図11に示されるように、ASS1-F1 mRNAは、両方の温度条件で、分解することなくインタクトなままであった。
図12は、ASS1 mRNAのCEピークの重ね合わせを示し(
図10および
図11からの)、CEピークの完全な整列は、mRNAの分解の不在を示す。これは、ポリマー(LNP封入なし)を含むmRNAの噴霧乾燥製剤が、例えば、約-20℃もしくは最大約-20℃で、または約4℃もしくは最大約4℃など、広範囲の保存温度にわたって少なくとも3週間安定しているままであることを示す。
【0216】
図13および
図14は、ポリマー(ASS1-F1)で製剤化され、それぞれ4℃または-20℃で5週間保存された乾燥粉末ASS1 mRNA(LNPなし)のmRNAの完全性を示す。
図13および
図14に示されるように、ASS1-F1 mRNAは、両方の温度条件で、分解することなくインタクトなままであった。これは、ポリマー(LNP封入なし)を含むmRNAの噴霧乾燥製剤が、例えば、約-20℃もしくは最大約-20℃で、または約4℃もしくは最大約4℃など、広範囲の保存温度にわたって少なくとも5週間安定しているままであることを示す。
【0217】
驚くべきことに、ポリマー(ASS1-F2)で製剤化された乾燥粉末ASS1 mRNA-LNPの両方について、およびポリマー(ASS1-F1)で製剤化された乾燥粉末ASS1 mRNA(LNPなし)について、mRNAの完全性は、例えば、冷蔵保存(約4℃)などの高い保存温度で長期間維持された。
【0218】
実施例3.脂質ポリマーナノ粒子におけるmRNA封入の一工程方法
この実施例では、脂質、mRNA、およびポリマーを単一工程で調製して、脂質ポリマー封入mRNAナノ粒子(ポリマーを含む製剤ASS1-F3およびポリマーを含むASS1-F4)を生成した。これは、LNP封入mRNAナノ粒子を最初に調製し、次いでポリマーを製剤に添加した実施例1および実施例2とは対照的である。さらに、参照製剤は、同じプロセスによって調製されたが、ナノ粒子または製剤にポリマーを含まない(ポリマーなしの製剤ASS1-F3およびポリマーなしのASS1-F4)。
【0219】
特に、脂質およびポリマー(または対照製剤の単なる脂質)をエタノール中に溶解し、ギアポンプを使用してmRNA溶液と一緒に混合した。4つの異なる製剤を調製した。第1および第2の製剤(ポリマーなしのASS1-F3およびポリマーを含むASS1-F3)を、ポリマーありまたはなしのいずれかで、カチオン性脂質としてcKK-E12で調製した。第3および第4の製剤(ポリマーなしのASS1-F4およびポリマーを含むASS1-F4)は、ポリマーありまたはなしのいずれかで、カチオン性脂質としてICE(イミダゾールコレステロールエステル)で調製した。ポリマーを含むASS1-F3およびポリマーを含むASS1-F4は、ポリマーとしてEudragitを含んでいた。4つの製剤すべてが、ナノ粒子封入mRNAとしてASS1をコードするmRNAを含んでいた。各製剤を濃縮し、マンニトールを添加した。すべての製剤を、表3にさらに記載する。各製剤を、実施例1に記載される条件を使用して噴霧乾燥させた。
【表3】
【0220】
結果
ポリマーなしの製剤(ポリマーなしのASS1-F3およびポリマーなしのASS-F4)の噴霧乾燥工程は成功しなかった。いずれの場合も、ポリマーなしの各製剤について1±2%の回収を示す表3(下部)に記載されるように、物質が噴霧乾燥器に凝集し、噴霧乾燥器の様々な区画を詰まらせ、物質の回収がほとんどまたは全くなかった。しかしながら、ナノ粒子(ポリマーを含むASS1-F3およびポリマーを含むASS-F4)中のポリマーで調製されたこれら同じ2つの製剤はそれぞれ、表3に記載されるように、噴霧乾燥に成功し、噴霧乾燥工程から35%超およびほぼ40%の回収率の物質を得た。
【0221】
ナノ粒子中のポリマーで調製された製剤についての封入効率およびナノ粒子サイズ(Z平均)に対する噴霧乾燥の効果を、噴霧乾燥工程の前後に測定し、表3(下部)に値を示
した。各脂質-ポリマー-mRNAナノ粒子について、封入効率は、噴霧乾燥の前後で顕著な変化はなく、ナノ粒子サイズは、噴霧乾燥の前から後まで増加することが見出された。ポリマーなしで調製された製剤については、これらの測定は、任意の実質的な物質を生成するための噴霧乾燥工程の失敗により決定することができなかった。
【0222】
これらの結果は、とりわけ、mRNAを封入する脂質ナノ粒子に添加されたポリマーにより、mRNA封入脂質ナノ粒子の噴霧乾燥が成功することを示す。これは、mRNAを含まない同じ脂質ナノ粒子とは対照的であり、これは噴霧乾燥に成功しなかった。
【0223】
実施例4.脂質ポリマーナノ粒子におけるmRNA封入の一工程方法
この実施例では、ポリマーであるPLGAを、脂質およびmRNAと単一工程で混合して、脂質-PLGAで封入mRNAナノ粒子を生成した。
【0224】
特に、脂質およびPLGA(または対照製剤の単なる脂質)を、エタノールおよびアセトニトリル(1:2)混合物中に溶解し、ギアポンプを使用してASS1 mRNA溶液と混合した。最終製剤を5%マンニトール中で濃縮し、次いで噴霧乾燥した。以下の条件を噴霧乾燥に使用した:入口温度90℃、吸引器パーセンテージ85%、ポンプパーセンテージ25%、および出口温度46~50℃。製剤を、表4にさらに記載する。
【表4】
【0225】
結果
ナノ粒子中のPLGAポリマーで調製された製剤の噴霧乾燥工程は、噴霧乾燥に成功し、噴霧乾燥工程からの物質の回収をもたらした。
【0226】
実施例5.噴霧乾燥mRNA製剤のインビボ送達
この実施例では、噴霧乾燥製剤である、ポリマーを含むFFL-F1(実施例1に記載される)を、乾燥粉末としておよび液体に溶解しての両方でマウスに投与し、投与された製剤中のmRNAの発現を両方のアプローチで検出した。
【0227】
特に、1つのアプローチでは、ポリマーを含むFFL-F1の乾燥粉末製剤を、乾燥粉末送気装置であるモデルDP-4Mを使用して、1mgの用量でマウスに投与した。乾燥粉末の投与後24時間で、FFL基質であるルシフェリンをマイクロスプレーを用いて投与し、インビボでのルシフェラーゼ発現を生体発光アッセイにより検出した。結果を
図15Aに示す。
【0228】
第2のアプローチでは、ポリマーを含むFFL-F1を20mg/mlの濃度で水に溶解し、1mgの用量に対し、マイクロスプレーによりマウスあたり50マイクロリットルを投与した。投与後24時間で、FFL基質であるルシフェリンをマイクロスプレーを用いて投与し、インビボでのルシフェラーゼ発現を生体発光アッセイにより検出した。結果を
図15Bに示す。
【0229】
これらの結果は、ポリマーを含む製剤中でLNP内に封入されたmRNAが、噴霧乾燥後に活性を維持することを示す。これらの結果はまた、噴霧乾燥LNP封入mRNAが、乾燥粉末として直接投与されて、インビボでタンパク質の発現を提供することができることを示す。
【0230】
実施例6.CFTR mRNA脂質ポリマーナノ粒子乾燥粉末製剤
この実施例では、嚢胞性線維症コンダクタンス調節因子タンパク質(CFTR)、またはCFTR mRNAをコードするmRNAを、脂質ポリマーナノ粒子内に封入し、安定した乾燥粉末に噴霧乾燥することに成功した。
【0231】
特に、CFTR-mRNAを封入する脂質ポリマーナノ粒子を調製するために、以下の表5に記載されるPEG修飾脂質、カチオン性脂質、およびポリマーを、150mLのエタノール中に溶解し、ギアポンプを使用してCFTR-mRNA(600mL、pH4.5、1mMのクエン酸緩衝液、150mMの塩化ナトリウム中0.05g)と混合した。次いで、37.5gのマンニトールを5%重量/体積で溶解し、その結果得られた750mLのCFTR-mRNA溶液(20%エタノール)を脂質ポリマーナノ粒子内に封入した。次いで、得られた混合物を、以下の噴霧乾燥条件を使用してBuchi噴霧乾燥機で噴霧乾燥させた:90℃の入口温度、90%の吸引器の割合、25%のポンプの割合、および46~50℃の出口温度。
【表5】
【0232】
噴霧乾燥後の脂質ポリマーナノ粒子中のCFTR-mRNAの完全性を定量的に決定するために、CFTR-mRNAを、グアニジンチオシアネート、N-ラウロイルサルコシン、およびクエン酸ナトリウム、pH6.5を含むRNA沈殿緩衝液とエタノール中のナノ粒子を混合および溶解することによってナノ粒子から沈殿させた。沈殿したmRNAをさらに分離し、RNeasyシリカ膜(Qiagen)を使用して精製し、次いでRNAse遊離水に再溶解した。精製されたmRNAを、製造業者が公開した指示に従い、Fragment Analyzer(Agilent)を使用したキャピラリー電気泳動により評価した。簡潔には、適切な体積のインターカレーティング染料およびRNA分離ゲルを混合し、機器に充填した。キャピラリー調整緩衝液を、必要な濃度に希釈し、調整流体ライン上に充填した。入口緩衝液、リンス緩衝液、および保存緩衝液をウェルプレート
に添加し、指定された場所に添加した。抽出されたmRNAおよび対照mRNAを、ホルムアミド充填緩衝液を使用して150ng/μLに希釈し、次いで70℃で5分間加熱し、直ちに冷却することによって変性させた。試料を、製造業者の指示に従って希釈マーカーを使用してさらに希釈し、関連する分離方法によって断片分析器上で実行した。
【0233】
上の実施例に記載されるように、製剤中の追加のポリマーを含まないLNP-mRNA製剤は、噴霧乾燥に成功することができなかった。特に、LNP-mRNA物質は、噴霧乾燥機に凝集され、噴霧乾燥器の様々な区画を詰まらせ、LNP-mRNA材料の回収はほとんどまたは全くなかった。上の実施例が示すように、この噴霧乾燥に成功したLNP-mRNA物質の失敗は、ナノ粒子を作製しmRNAを封入する工程中にポリマーが存在するようにポリマーを脂質に含めることによって、または代替的には脂質ナノ粒子を作製しmRNAを封入する工程後にポリマーを製剤に添加することによってのいずれかで、LNP製剤へのポリマーの添加により克服することができる。ここで、脂質ナノ粒子内に封入されたCFTR-mRNAは、ポリマー、特にEudragitポリマーの添加により噴霧乾燥することに成功した。特に、脂質ポリマーナノ粒子で封入されたCFTR-mRNAが生成されるように、ナノ粒子を作製し、mRNAを封入する工程の前に、Eudragitポリマーを脂質混合物に含めた。噴霧乾燥に成功したCFTR-mRNA脂質ポリマーナノ粒子も、キャピラリー電気泳動(CE)分析を使用して完全性について評価した。
図16A1~A6は、噴霧乾燥前後のCFTR-mRNAピークの完全性の例示的なCEクロマトグラフを示し、脂質ポリマー中での噴霧乾燥後のCFTR-mRNAの完全性がインタクトなままであることを示す。
図16A1~A3は、噴霧乾燥または封入もされなかった対照CFTR mRNAを示し、一方、
図16A4~A6は、噴霧乾燥製剤から抽出されたCFTR mRNAを示す。