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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038144
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】安全シリンジのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/19 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61M5/19
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023220369
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2020568271の分割
【原出願日】2019-06-07
(31)【優先権主張番号】62/682,381
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,880
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518264424
【氏名又は名称】クリーデンス メドシステムズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Credence MedSystems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,スティーヴン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ティラック,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】シュルザス,アラン イー.
(72)【発明者】
【氏名】シャンリー,ジョン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】セイヤー,ダン
(72)【発明者】
【氏名】スティーズ-ブラッドレー,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】マーヒッジ,ジョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用済み針の汚染を抑える複数チャンバの注入システムを提供する。
【解決手段】液体を連続的に注入するためのシステム100は、シリンジ本体34と、シリンジ本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材32、36と、遠位チャンバ内の第1の液体と、近位チャンバ内の第2の液体と、プランジャ部材と、シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリとを含む。プランジャ部材は、プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、エネルギー貯蔵部材と、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含む。針アセンブリは、針近位端特徴部を有する針と、ハブと、針をハブに結合するように構成された針ラッチ部材とを含む。プランジャ部材を操作して近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すると、最初に第1の液体が排出され、次に第2の液体が排出される。針は、少なくとも部分的にプランジャ内部に引き込み可能である。
【選択図】図7-7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、遠位端における遠位針インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
プランジャ内部を規定するとともに、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材であって、
前記プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含むプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリであって、
針近位端特徴部を有する針と、
ハブと、
前記針を前記ハブに結合するように構成された針ラッチ部材とを含む針ハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記針を介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記針を介して前記第2の液体を排出し、
前記シリンジ本体に対する前記プランジャ部材の相対的な操作に応じて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより前記針が前記プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記遠位チャンバおよび近位チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、前記シリンジ本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記針が、針内部、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を規定し、前記遠位端開口部、前記中間開口部および前記近位開口部が、前記針内部を介して流体的に結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記近位開口部と前記シリンジ本体の遠位端との間の距離が、前記遠位ストッパ部材の長さにほぼ等しく、前記遠位ストッパ部材が前記シリンジ本体の遠位端に挿入されたときに、前記近位ストッパ部材が前記針に対して遠位方向に挿入されて、前記近位チャンバに前記近位開口部が配置されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記近位ストッパ部材が前記針に対して遠位方向に挿入されて前記近位開口部が前記近位チャンバに配置されるまで、前記近位ストッパ部材に加えられる遠位方向の力が前記第2の液体を介して前記遠位ストッパ部材に伝達されるように、前記近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体とが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項3に記載のシステムにおいて、
当該システムが、
前記近位開口部が前記遠位チャンバ内に配置されている第1の注入構成と、
前記近位開口部が前記近位チャンバ内に配置され、それにより前記第2の液体が前記近位チャンバから前記近位開口部および前記針内部を通って前記遠位端開口部の外に出るように移送される、第2の注入構成とを有することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
当該システムが前記第2の注入構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材が前記中間開口部を閉塞することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記針が、少なくとも前記遠位ストッパ部材を完全に貫通して、少なくとも部分的に前記プランジャ内部に引き込まれるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記近位および遠位ストッパ部材が、それぞれの遠位面および近位面にそれぞれの第1および第2のポリマーコーティングを含み、前記近位チャンバが、前記シリンジ本体および前記第1および第2のポリマーコーティングによって規定されることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、前記漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、前記針近位端特徴部を前記漏斗の先細りする近位端の空間内に案内し、それにより前記針近位端特徴部を前記プランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、当該システムの組立中に前記針近位端特徴部を前記プランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入するための前記プランジャ部材の操作中に、前記針近位端特徴部を前記プランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材が、前記第2の液体が前記針を介して前記近位チャンバから排出された後に、ラッチされた状態からラッチされていない状態に変換されて、前記針を前記プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込むように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記針保持特徴部が、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体の遠位端に挿入するための前記プランジャ部材の操作に応じて、ラッチされた状態からラッチされていない状態への前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材の変換を作動させるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記針が、移送パイプ近位端および移送パイプ遠位端を有する移送パイプを含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
患者に第1の液体および第2の液体を連続的に注入する方法であって、
システムを提供するステップであって、前記システムが、
シリンジ近位開口部および遠位端を規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に、前記第2の液体を含む近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に、前記第1の液体を含む遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
プランジャ内部を規定するとともに、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
針内部、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を有する針であって、前記遠位端開口部、前記中間開口部および前記近位開口部が、前記針内部を通って流体的に結合されている、針とを備える、ステップと、
前記プランジャ部材を前進させて、前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出するステップと、
前記プランジャ部材をさらに前進させて、前記近位開口部、前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出するステップと、
前記第1および第2の液体が患者に注入されたときに、前記遠位針先端を針ハブまたは前記シリンジ本体に自動的に引き込むステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記プランジャ部材を前進させて前記第1の液体を前記遠位チャンバから排出する前に前記針の遠位端を患者に挿入し、それにより前記第1の液体を排出する前に前記針の遠位端開口部を患者に位置決めするステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記針の遠位端を患者に挿入する前に、前記遠位チャンバから空気を除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記遠位チャンバから空気を除去するステップが、
前記シリンジ本体をほぼ鉛直な姿勢で保持するステップと、
前記プランジャ部材を操作して、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、
前記プランジャ部材を前進させることにより、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより前記第2の液体を介して遠位方向の力を加えて、前記遠位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法において、
前記システムが、
前記近位開口部が前記遠位チャンバに配置されている第1の注入構成と、
前記近位開口部が前記近位チャンバに配置され、それにより前記第2の液体を前記近位チャンバから前記近位開口部および前記針内部を通って前記遠位端開口部の外に移送することを可能にする第2の注入構成とを有し、
前記システムは、前記プランジャ部材が前進して、前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出するときに、前記第1の注入構成にあり、
前記システムは、前記プランジャ部材がさらに前進して、前記近位開口部、前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出するときに、前記第2の注入構成にあることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記システムが前記第2の注入構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材が前記中間開口部を閉塞することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法において、
前記針が、少なくとも前記遠位ストッパ部材を完全に貫通するステップと、
前記針を前記プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込むステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法において、
前記針が、移送パイプ近位端および移送パイプ遠位端を有する移送パイプを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項17に記載の方法において、
前記遠位ストッパ部材が、
近位方向に先細りする漏斗と、
前記漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有し、
当該方法がさらに、前記漏斗が、前記漏斗の先細りする近位端にある空間に前記針を導き、それにより針近位端特徴部を前記プランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法において、
前記針が、針近位端特徴部をさらに有し、前記遠位ストッパ部材が、デテントを有し、
当該方法はさらに、前記デテントが前記針近位端特徴部の通過に抵抗するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記プランジャ部材を前進させて、前記針内部および遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出することは、前記プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、前記針近位端特徴部が前記デテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記遠位方向の力が、約2ポンド~約5ポンドであることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項17に記載の方法において、
前記針がさらに肩部を有し、前記遠位ストッパ部材がデテントを有し、
当該方法はさらに、前記デテントが前記肩部の通過に抵抗するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
前記プランジャ部材をさらに前進させて、前記近位開口部、前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出することは、前記プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、前記肩部が前記デテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記遠位方向の力が、約2ポンド~約5ポンドであることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項17に記載の方法において、
前記針がさらに溝を有し、前記遠位ストッパ部材がデテントを有し、
当該方法はさらに、前記デテントが前記溝の通過に抵抗するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記プランジャ部材をさらに前進させて、前記近位開口部、前記針内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出することは、前記プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、前記溝が前記デテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記遠位方向の力が、約2ポンド~約5ポンドであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記遠位ストッパ部材が、前記針近位端特徴部の通過に抵抗するデテントを有することを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって、前記針近位端特徴部が通過することに対する抵抗に打ち勝つように、前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項37に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記デテントが「U」字形状を有することを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、曲げられたワイヤを含むことを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、扁平断面を有することを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、針近位端特徴部受け入れ特徴部を有することを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムにおいて、
前記針近位端特徴部受け入れ特徴部が、面取りされた表面を有することを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、焼鈍ステンレス合金を含むことを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記針近位端特徴部が、約30度の角度を有することを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記針が、前記針が前記デテントを通過することに抵抗するために肩部を有することを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項46に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記肩部に対する抵抗に打ち勝つように、前記肩部および前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項47に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項46に記載のシステムにおいて、
前記肩部が、約50度の角度を有することを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項36に記載のシステムにおいて、
前記針が、前記針が前記デテントを通過することに抵抗するために溝を有することを特徴とするシステム。
【請求項51】
請求項50に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記溝に対する抵抗に打ち勝つように、前記溝および前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項52】
請求項51に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項53】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出することを特徴とするシステム。
【請求項54】
請求項53に記載のシステムにおいて、
前記遠位チャンバおよび近位チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、前記シリンジ本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができることを特徴とするシステム。
【請求項55】
請求項53に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプが、移送パイプ内部、移送パイプ遠位端における遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を規定し、前記遠位端開口部、前記中間開口部および前記近位開口部が、前記移送パイプ内部を介して流体的に結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項56】
請求項55に記載のシステムにおいて、
前記近位開口部と前記シリンジ本体の遠位端との間の距離が、前記遠位ストッパ部材の長さにほぼ等しく、前記遠位ストッパ部材が前記シリンジ本体の遠位端に挿入されたときに、前記近位ストッパ部材が前記移送パイプに対して遠位方向に挿入されて、前記近位開口部が前記近位チャンバに配置されることを特徴とするシステム。
【請求項57】
請求項55に記載のシステムにおいて、
前記近位ストッパ部材が前記移送パイプに対して遠位方向に挿入されて前記近位開口部が前記近位チャンバに配置されるまで、前記近位ストッパ部材に加えられる遠位方向の力が前記第2の液体を介して前記遠位ストッパ部材に伝達されるように、前記近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体とが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項58】
請求項55に記載のシステムにおいて、
当該システムが、
前記近位開口部が前記遠位チャンバ内に配置されている第1の注入構成と、
前記近位開口部が前記近位チャンバ内に配置され、それにより前記第2の液体が前記近位チャンバから前記近位開口部および前記移送パイプ内部を通って前記遠位端開口部の外に出るように移送される、第2の注入構成とを有することを特徴とするシステム。
【請求項59】
請求項58に記載のシステムにおいて、
当該システムが前記第2の注入構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材が前記中間開口部を閉塞することを特徴とするシステム。
【請求項60】
請求項53に記載のシステムにおいて、
前記近位および遠位ストッパ部材が、それぞれの遠位面および近位面にそれぞれの第1および第2のポリマーコーティングを含み、前記近位チャンバが、前記シリンジ本体および前記第1および第2のポリマーコーティングによって規定されることを特徴とするシステム。
【請求項61】
請求項53に記載のシステムにおいて、
前記遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、前記漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有することを特徴とするシステム。
【請求項62】
請求項61に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、前記移送パイプ近位端を前記漏斗の先細りする近位端の空間内に案内し、それにより前記移送パイプを前記遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項63】
請求項62に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、当該システムの組立中に前記移送パイプを前記遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項64】
請求項62に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入するための前記プランジャ部材の操作中に、前記移送パイプを前記遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項65】
請求項53に記載のシステムにおいて、
前記遠位ストッパ部材が、前記移送パイプ近位端の通過に抵抗するデテントを有することを特徴とするシステム。
【請求項66】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって、前記移送パイプ近位端が通過することに対する抵抗に打ち勝つように、前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項67】
請求項66に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項68】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記デテントが「U」字形状を有することを特徴とするシステム。
【請求項69】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、曲げられたワイヤを含むことを特徴とするシステム。
【請求項70】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、扁平断面を有することを特徴とするシステム。
【請求項71】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、移送パイプ近位端受け入れ特徴部を有することを特徴とするシステム。
【請求項72】
請求項71に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプ近位端受け入れ特徴部が、面取りされた表面を有することを特徴とするシステム。
【請求項73】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、焼鈍ステンレス合金を含むことを特徴とするシステム。
【請求項74】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプ近位端が、約30度の角度を有する移送パイプ近位端特徴部を含むことを特徴とするシステム。
【請求項75】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプが、前記移送パイプが前記デテントを通過することに抵抗するために肩部を有することを特徴とするシステム。
【請求項76】
請求項75に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記肩部に対する抵抗に打ち勝つように、前記肩部および前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項77】
請求項76に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項78】
請求項75に記載のシステムにおいて、
前記肩部が、約50度の角度を有することを特徴とするシステム。
【請求項79】
請求項65に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプが、前記移送パイプが前記デテントを通過することに抵抗するために溝を有することを特徴とするシステム。
【請求項80】
請求項79に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記溝に対する抵抗に打ち勝つように、前記溝および前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項81】
請求項80に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項82】
第1の液体および第2の液体を連続的に注入する方法であって、
システムを提供するステップであって、前記システムが、
シリンジ近位開口部および遠位端を規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に、前記第2の液体を含む近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に、前記第1の液体を含む遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
プランジャ内部を規定するとともに、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
移送パイプ内部、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を有する移送パイプであって、前記遠位端開口部、前記中間開口部および前記近位開口部が、前記移送パイプ内部を介して流体的に結合されている、移送パイプと、
前記移送パイプ内部に流体的に結合されたコネクタとを含む、ステップと、
前記プランジャ部材を前進させて、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出するステップと、
前記プランジャ部材をさらに前進させて、前記近位開口部、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項83】
請求項82に記載の方法において、
前記プランジャ部材を前進させて前記第1の液体を前記遠位チャンバから排出する前に、前記カップリング部材をIVバッグに接続し、それにより前記第1の液体を排出する前に前記移送パイプ内部を前記IVバッグと流体的に結合するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項84】
請求項83に記載の方法において、
前記カップリング部材を前記IVバッグに接続する前に、前記遠位チャンバから空気を除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項85】
請求項84に記載の方法において、
前記遠位チャンバから空気を除去するステップが、
前記シリンジ本体をほぼ鉛直な姿勢で保持するステップと、
前記プランジャ部材を操作して、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項86】
請求項82に記載の方法において、
前記プランジャ部材を前進させることにより、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより前記第2の液体を介して遠位方向の力を加えて、前記遠位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出することを特徴とする方法。
【請求項87】
請求項82に記載の方法において、
前記システムが、
前記近位開口部が前記遠位チャンバに配置されている第1の注入構成と、
前記近位開口部が前記近位チャンバに配置され、それにより前記第2の液体を前記近位チャンバから前記近位開口部および前記移送パイプ内部を通って前記遠位端開口部の外に移送することを可能にする第2の注入構成とを有し、
前記システムは、前記プランジャ部材が前進して、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出するときに、前記第1の注入構成にあり、
前記システムは、前記プランジャ部材がさらに前進して、前記近位開口部、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出するときに、前記第2の注入構成にあることを特徴とする方法。
【請求項88】
請求項87に記載の方法において、
前記システムが前記第2の注入構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材が前記中間開口部を閉塞することを特徴とする方法。
【請求項89】
請求項82に記載の方法において、
前記遠位ストッパ部材が、
近位方向に先細りする漏斗と、
前記漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有し、
当該方法がさらに、前記漏斗が、前記漏斗の先細りする近位端にある空間に移送パイプ近位端を導き、それにより前記移送パイプ近位端を前記遠位ストッパ部材と位置合わせするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項90】
請求項82に記載の方法において、
前記移送パイプが、移送パイプ近位端をさらに有し、前記遠位ストッパ部材が、デテントを有し、
当該方法はさらに、前記デテントが前記移送パイプ近位端の通過に抵抗するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項91】
請求項90に記載の方法において、
前記プランジャ部材を前進させて、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記遠位チャンバから前記第1の液体を排出することは、前記プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、前記移送パイプ近位端が前記デテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことを特徴とする方法。
【請求項92】
請求項91に記載の方法において、
前記遠位方向の力が、約2ポンド~約5ポンドであることを特徴とする方法。
【請求項93】
請求項82に記載の方法において、
前記移送パイプが、肩部をさらに有し、前記遠位ストッパ部材が、デテントを有し、
当該方法はさらに、前記デテントが前記肩部の通過に抵抗するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項94】
請求項93に記載の方法において、
前記プランジャ部材をさらに前進させて、前記近位開口部、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出することは、前記プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、前記肩部が前記デテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことを特徴とする方法。
【請求項95】
請求項94に記載の方法において、
前記遠位方向の力が、約2ポンド~約5ポンドであることを特徴とする方法。
【請求項96】
請求項82に記載の方法において、
前記移送パイプが、溝をさらに有し、前記遠位ストッパ部材が、デテントを有し、
当該方法はさらに、前記デテントが前記溝の通過に抵抗するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法において、
前記プランジャ部材をさらに前進させて、前記近位開口部、前記移送パイプ内部および前記遠位端開口部を介して前記近位チャンバから前記第2の液体を排出することは、前記プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、前記溝が前記デテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことを特徴とする方法。
【請求項98】
請求項97に記載の方法において、
前記遠位方向の力が、約2ポンド~約5ポンドであることを特徴とする方法。
【請求項99】
薬剤製品を混合して注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、遠位端における遠位針インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
プランジャ内部を規定するとともに、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材であって、
前記プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含むプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリであって、
針近位端特徴部を有する針と、
ハブと、
前記針を前記ハブに結合するように構成された針ラッチ部材とを含む針ハブアセンブリとを備え、
前記遠位ストッパ部材が、前記針近位端特徴部の通過に抵抗するデテントを含み、
前記シリンジ本体に対する前記プランジャ部材の相対的な操作に応じて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより前記針が前記プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項100】
請求項99に記載のシステムにおいて、
前記遠位チャンバが、内部に真空を有することを特徴とするシステム。
【請求項101】
薬剤製品を混合して注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、近位端における近位開口部と、遠位端における遠位針インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
プランジャ内部を規定するとともに、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリであって、
針近位端特徴部および鋭利な針遠位端を有する針と、
ハブとを含む針ハブアセンブリと、
針カバーであって、前記針カバーを前記ハブに取り外し可能に結合するためのネジ付き面を有する針カバーとを備え、
前記針カバーは、前記針カバーが前記針遠位端を通る流体の流れを阻止する密封構成と、前記針カバーが前記針遠位端を通る流体の流れを許容する通気構成とを有することを特徴とするシステム。
【請求項102】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記シリンジ本体に対して前記針カバーを遠位方向に引っ張ることにより、前記針カバーが前記密封構成から前記通気構成に移動することを特徴とするシステム。
【請求項103】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、前記シリンジ本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができることを特徴とするシステム。
【請求項104】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材が、
前記プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含み、
前記シリンジ本体に対する前記プランジャ部材の相対的な操作に応じて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより前記針が前記プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項105】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記針アセンブリが、前記針を前記ハブに結合するように構成された針ラッチ部材をさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項106】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバが、患者に注入する前に一緒に混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ含むことを特徴とするシステム。
【請求項107】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記システムが、
前記針近位端特徴部が前記遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成と、
前記針近位端特徴部が前記遠位ストッパ部材を少なくとも部分的に貫通し、前記近位薬剤チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている移送構成と、
前記近位ストッパ部材および前記遠位ストッパ部材が互いに接触し、それにより前記近位薬剤チャンバから前記遠位薬剤チャンバに第1の薬剤成分を移送して、前記第1の薬剤成分を前記遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成とを有することを特徴とするシステム。
【請求項108】
請求項107に記載のシステムにおいて、
前記針が、
前記針遠位端に配置される遠位端開口部と、
当該システムが輸送構成、移送構成および混合構成にあるときに、前記遠位薬剤チャンバに配置される中間開口部と、
当該システムが輸送構成および移送構成にあるときに、前記近位薬剤チャンバに配置される近位開口部とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項109】
請求項108に記載のシステムにおいて、
前記近位開口部がスロットであることを特徴とするシステム。
【請求項110】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記針カバーが、前記密封構成において前記ハブに対する前記針カバーの遠位方向の移動を許容するとともに、前記通気構成において前記ハブに対する前記針カバーの遠位方向の移動を防止するように構成された可撓性フィンガを有することを特徴とするシステム。
【請求項111】
請求項110に記載のシステムにおいて、
前記ハブがネジ付き面を有し、このネジ付き面は、前記針カバーが前記通気構成にあるときに、前記針カバーのネジ付き面および前記可撓性フィンガと相互作用するように構成され、それにより前記シリンジ本体に対する前記針カバーの相対的な回転なしに、前記針カバーの前記シリンジ本体に対する遠位方向の移動を防止することを特徴とするシステム。
【請求項112】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記針カバーを前記シリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させることにより、前記針カバーが前記密封構成から前記通気構成に移行することを特徴とするシステム。
【請求項113】
請求項112に記載のシステムにおいて、
前記ハブが、前記針カバーを前記ハブに取り外し可能に結合するように構成された干渉部材をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項114】
請求項101に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に相対的に移動させることにより、前記遠位ストッパ部材が前記針に対して遠位方向に相対的に移動して、前記針近位端特徴部が前記遠位ストッパ部材を貫通することを特徴とするシステム。
【請求項115】
薬剤製品を混合して注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、近位端における近位開口部と、遠位端における遠位針インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
プランジャ内部を規定するプランジャ部材であって、前記プランジャ部材を前記シリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させたときに、前記プランジャ部材が前進して、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して挿入するようなネジ付き面を有するプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリであって、
針近位端特徴部および鋭利な針遠位端を有する針と、
ハブとを含む針ハブアセンブリと、
前記ハブに取り外し可能に結合された針カバーとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項116】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、前記シリンジ本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができることを特徴とするシステム。
【請求項117】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材が、
前記プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含み、
前記シリンジ本体に対する前記プランジャ部材の相対的な操作に応じて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより前記針が前記プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項118】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記針アセンブリが、前記針を前記ハブに結合するように構成された針ラッチ部材をさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項119】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバが、患者に注入する前に一緒に混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ含むことを特徴とするシステム。
【請求項120】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記システムが、
前記針近位端特徴部が前記遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成と、
前記針近位端特徴部が前記遠位ストッパ部材を少なくとも部分的に貫通し、前記近位薬剤チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている移送構成と、
前記近位ストッパ部材および前記遠位ストッパ部材が互いに接触し、それにより前記近位薬剤チャンバから前記遠位薬剤チャンバに第1の薬剤成分を移送して、前記第1の薬剤成分を前記遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成とを有することを特徴とするシステム。
【請求項121】
請求項120に記載のシステムにおいて、
前記針が、
前記針遠位端に配置される遠位端開口部と、
当該システムが前記輸送構成、移送構成および混合構成にあるときに、前記遠位薬剤チャンバに配置される中間開口部と、
当該システムが前記輸送構成および移送構成にあるときに、前記近位薬剤チャンバに配置される近位開口部とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項122】
請求項121に記載のシステムにおいて、
前記近位開口部がスロットであることを特徴とするシステム。
【請求項123】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材のネジ付き面が、二重螺旋ネジ山を有することを特徴とするシステム。
【請求項124】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材のネジ付き面が、相対的に大きなピッチのネジ山を有することを特徴とするシステム。
【請求項125】
請求項124に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材のネジ付き面が、8.5mmのピッチを有することを特徴とするシステム。
【請求項126】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材を前記シリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させることにより、前記プランジャ部材を前進させ、前記近位ストッパ部材が前記遠位ストッパ部材と接触するまで、前記シリンジ本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入することができるように、前記プランジャ部材のネジ付き面が構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項127】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材を前記シリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させることにより、前記プランジャ部材を前進させることができ、さらに、前記近位ストッパ部材が前記遠位ストッパ部材と接触する手前まで、前記シリンジ本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入することができるように、前記プランジャ部材のネジ付き面が構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項128】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記シリンジ本体の近位端に結合されたフランジをさらに含み、前記フランジがネジ付き面を有し、このネジ付き面が、前記プランジャ部材のネジ付き面と相互作用して、前記シリンジ本体に対して前記プランジャ部材が回転する間に、前記プランジャ部材を前進させ、前記シリンジ本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入することを特徴とするシステム。
【請求項129】
請求項128に記載のシステムにおいて、
前記フランジの表面が、除去された壁を含むことを特徴とするシステム。
【請求項130】
請求項115に記載のシステムにおいて、
前記シリンジ本体に対して前記プランジャ部材を第1の方向に回転させることにより、前記針に対して前記遠位ストッパ部材が遠位方向に移動して、前記針近位端特徴部が前記遠位ストッパ部材を貫通するようになっていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して流体注入に対する様々なレベルの制御を容易にするための注入システム、デバイスおよびプロセスに関し、より詳細には、医療環境における複数チャンバの安全シリンジに関連するシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1A(2)に示すような数百万ものシリンジが、医療環境で毎日消費されている。典型的なシリンジ(2)は、管状本体(4)、プランジャ(6)および注射針(8)を含む。図1Bに示すように、そのようなシリンジ(2)は、患者に流体を注入するだけでなく、薬瓶、バイアル、バッグまたは他の薬剤封入システム(10)などの容器から流体を引き出すか、またはそれら容器内に流体を排出するために利用することもできる。実際、米国などの一部の国では、無菌状態の維持に関する懸念と、規制上の制約により、特定の患者の環境に示すように、シリンジ(2)と一緒に薬瓶(10)を使用した場合、そのような薬瓶は、単一の患者に対してのみ使用され、その後、処分しなければならず、それにより薬瓶や残りの薬剤の廃棄物から多くの医療廃棄物がもたらされ、特定の重要な薬剤の周期的な不足の原因にもなる。図2Aを参照すると、3本のルアー型シリンジ(12)が示されており、それぞれが、遠位側に配置されたルアー継手形状(14)を有し、それらが、図2Bに示すルアーマニホールドアセンブリ(16)などの同様の継手形状を有する他のデバイスと結合されるようになっている。図2Bのルアーマニホールドアセンブリは、静脈内注入バッグの使用の有無にかかわらず、患者に液体薬剤を静脈内投与するために使用することができる。図2Aのシリンジのルアー継手(14)は、「雄」ルアー継手と呼ばれ、図2Bのルアー継手(18)は、「雌」ルアー継手と呼ばれることもあり、ルアーインターフェースの一方は、ネジ山が形成されて(この場合、その構成を「ルアーロック」構成と称することもある)、両者が相対的な回転により結合され、それが圧縮荷重と組み合わされる場合もある。言い換えれば、ルアーロックの一実施形態では、回転が、おそらく圧縮とともに、雄継手(14)のネジ山を係合させるために利用され、このネジ山は、雌継手(18)上のフランジと係合して、デバイスを流体封入された結合状態とするように構成されている。別の実施形態では、ネジ山または回転を用いることなく、圧縮を使用してルアー係合を提供するために、テーパ状のインターフェース形状が利用されることもある(そのような構成は、「スリップオン」または「円錐」ルアー構成と称することもある)。そのようなルアー結合は、オペレータにとって比較的安全であると認識されているが、ルアー結合の組立中に薬がこぼれたり、漏れたり、部品が破損したりする危険性がある。一方、針注入構成を使用すると、鋭い針が人や望ましくない構造物に接触したり、刺したりする危険性がある。このような理由から、いわゆる「安全シリンジ」が開発されてきた。
【0003】
安全シリンジ(20)の一実施形態が、図3に示されており、この実施形態では、管状のシールド部材(22)が、シリンジ本体(4)に対してロック位置から解放されたときに、針(8)を覆うようにバネ付勢されている。安全シリンジ(24)の別の実施形態が、図4Aおよび図4Bに示されている。この構成では、シリンジ本体(4)に対してプランジャ(6)が完全に挿入された後、図4Bに示すように、引き込み可能な針(26)が、管状本体(4)内の安全位置に引き込まれる(28、26)ように構成されている。それ自体に納めるように構成されたそのような形態は、血液の飛び散り/エアロゾル化の問題や、誤作動して作動が早過ぎる可能性のある予め載荷されたエネルギーの安全な貯蔵、バネ圧縮体積内の残留デッドスペースに起因する全用量注射を与える際の精度の喪失、および/または痛みや患者の不安に関連し得る引き込み速度制御の喪失に関連する可能性がある。
【0004】
図5Aおよび図5Bに示すようなプレフィルドシリンジアセンブリに対する需要の増加により、シリンジ市場がさらに複雑化しており、それらは一般に、シリンジ本体または「薬剤封じ込め送達システム」(34)と、プランジャ先端、プラグまたはストッパ(36)と、ルアー型インターフェースに取り付けられた遠位シールまたはキャップ(35)とを備える(図5Aは定位置にあるキャップ35を示しているが、図5Bはルアー型インターフェース14を例示するために、キャップを取り外してある)。液体薬剤は、遠位シールとプランジャ先端(36)の遠位端(37)との間の容積または薬剤リザーバ(40)内にある。プランジャ先端(36)は、標準的なブチルゴム材料を含むことができ、関連するシリンジ本体構造および材料に対する好ましいシールおよび相対運動特性を容易にするために、生体適合性潤滑性コーティング(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)またはエチレンテトラフルオロエチレン(「ETFE」))などでコーティングされている。図5Bのシリンジ本体(34)の近位端は、シリンジ本体(34)の材料と一体的に形成された従来の一体型シリンジフランジ(38)を備える。フランジ(38)は、シリンジ本体(34)から半径方向に延びるように構成されており、シリンジ本体(34)の周囲の全周または円周の一部となるように構成されている。部分的なフランジは、「クリップドフランジ」として知られており、他方のフランジは「フルフランジ」として知られている。フランジは、指でシリンジを把持するために使用され、プランジャを押して注射を行うための支持を提供する。シリンジ本体(34)は、好ましくは、ガラスまたはポリマーのような半透明の材料を含む。チャンバまたはリザーバ(40)内に封じ込められた容積を形成し、針を介した関連流体の排出を補助するために、プランジャ先端(36)をシリンジ本体(34)内に配置することができる。シリンジ本体(34)は、ほぼ円筒形を(すなわち、円形の断面形状を有するプランジャ先端36がシリンジ本体(34)に対してシールを確立するように)規定することができ、または楕円形などの他の断面形状を有するように構成することもできる。
【0005】
このようなアセンブリは、充填、包装および医薬品/薬剤インターフェーシング材料の選択とコンポーネントの使用に関する世界の絶え間なく変化する規制のすべてを満たす余裕のある世界で数少ない製造業者によって標準化され、正確に大量製造される可能性があるため、望ましい。しかしながら、そのような単純な構成では、一般的に、単回使用、安全性、自動無効化および針刺し防止に関する新しい世界基準を満たすことはできない。このため、特定のサプライヤは、1つのソリューションで規格のすべてまたはその少なくとも一部を満たそうとする、より「垂直」ソリューション、例えば、図5Cに示すようなもの(41)に移行してきており、多くの異なるシナリオでそれらの基準を満たそうとした結果、そのような製品には重大な制限があり(図3図4Bを参照して上述したような制限を含む)、在庫および使用費用が比較的高くなる可能性がある。
【0006】
さらに、注入する液体(例えば、医薬品)が増加すると、2以上の成分を、好ましくは、互いに短い間隔で(例えば、数秒以内に)連続的に(例えば、患者に)注入するという追加の要件が生じる。複数の成分は、別個の注入デバイス(例えば、予め装填されたシリンジ)を使用して連続的に注入することができ、または同じ注入デバイスを使用して、複数の成分を別個の開封容器から連続的に引き込んで、それらを連続的に注入することができる。しかしながら、そのような別個の注入デバイスを使用する連続注入や、複数の成分を連続的に引き込んで注入することは、必然的に患者に複数の針を挿入することになるのに加えて、不正確であり、成分の損失につながる可能性がある。さらに、別個の注入デバイスを使用した連続注入、または複数の成分をシリンジ内に連続的に引き込んで注入することは、1または複数のキャップされていない針をユーザに不必要に曝す可能性がある。さらに、別個の注入デバイスを使用した連続注入、または複数の成分を連続的に引き込んで注入することは、複数の成分の注入の間に許容できない遅延を生じさせる可能性がある。
【0007】
場合によっては、多成分注入の成分間で化学反応が起こる可能性もある。成分がシリンジ内で一緒に混合される米国特許出願第14/696,342号に開示されているような従来式のデュアルチャンバシリンジの使用は、混合された成分が注入に適していないことにより、それらの反応性成分に適合しない可能性がある。この現象のいくつかの例としては、成分が一緒に混合されたときに、混合された薬剤の粘度が上昇して、薬剤を針を通して容易に注入することができないというものがある。また、発熱性や吸熱性などの他の反応が起こり、従来のデュアルチャンバ注入システムの使用を妨げる可能性がある。
【0008】
既存のデュアルチャンバ注入システム(例えば、米国特許第4,874,381号を参照)は、シリンジ本体の外壁に形成された外部バイパスチャネルを利用する。この例では、プランジャの遠位方向の動きにより、遠位ストッパが遠位方向に移動して外部バイパスチャネルを近位チャンバおよび遠位チャンバの両方に露出させ、液体が遠位ストッパ周囲の近位チャンバから遠位チャンバに移動して遠位チャンバ内の薬剤成分と混合されることを可能にするように、外部バイパスチャネルが配置されている。針またはシリンジが薬剤貯蔵のためにキャップされている場合、それらの外部バイパスチャネル式のデュアルチャンバ注入システムは、移送および混合の間に遠位チャンバ内の圧力の増加を伴う。この圧力の増加は、移送に対する抵抗となり、近位チャンバから遠位チャンバへのすべての液体の移送を困難にする。さらに、圧力の増加は、混合中にプランジャロッドで維持されるべき力を増加させる。圧力の増加の影響を最小化するために、外部バイパスデュアルチャンバ注入システムは、流体の移送および混合の前に針キャップを除去すること、または移送および混合の間に遠位チャンバ内の圧力のベントを可能にするために、混合が発生した後にシリンジを開き、針を取り付けることを必要とする。それらの要件は、針刺し負傷のリスクを増加させ、かつ/またはユーザによる追加のステップを必要とする。デュアルチャンバ注入システムに、針格納が一体化された遮蔽および通気機能を有する事前取付針を組み込むことは有益であろう。本明細書に開示の遮蔽および通気可能な針シールドの実施形態は、外部バイパス式のデュアルチャンバ注入システムに適用可能である。さらに、移送および混合中に遠位ストッパの位置の正確な制御を維持するために、プランジャ位置制御方法を統合することが有益であろう。
【0009】
さらに、注入する可能性のある液体(例えば、医薬品)の増加は、金属(例えば、針のステンレス鋼)にそのような液体が曝される時間を最小にするというさらに別の要件が生じる。さらに別の要件は、患者の自己注入に適したシステムの望ましさである。
【0010】
また、注入システムに針刺し防止技術を組み込むことも望ましい。シリンジの内部に少なくとも部分的に針の鋭利な端部を引き込む能力は、注入を行う人および患者を不注意による針刺し負傷から保護する。
【0011】
現在利用可能な構成の欠点に対処する注入システムが必要とされている。特に、図5Aおよび図5Bを参照して説明したような、従来から提供されるプレフィルドシリンジアセンブリの既存の比較的良好に制御されたサプライチェーンを利用することができる、複数チャンバの安全注入ソリューションの必要性がある。
【発明の概要】
【0012】
実施形態は、注入システムに関する。特に、実施形態は、針を保護構成に移行して、ユーザの偶発的な怪我および使用済み針の汚染を最小限に抑える複数チャンバの安全な注入システムを対象とする。
【0013】
一実施形態では、液体を連続的に注入するためのシステムが、シリンジ本体を含み、このシリンジ本体が、シリンジ近位開口部と、遠位端にある遠位針インターフェースとを規定する。また、本システムは、シリンジ本体内に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材を含み、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する。本システムはさらに、遠位チャンバ内の第1の液体と、近位チャンバ内の第2の液体とを含む。さらに、本システムは、プランジャ内部を規定するプランジャ部材を含み、このプランジャ部材が、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されている。プランジャ部材は、プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含む。さらに、本システムは、シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリを含む。針アセンブリは、針近位端特徴部を有する針と、ハブと、針をハブに結合するように構成された針ラッチ部材とを含む。プランジャ部材を操作して近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すると、先ず、針を介して遠位チャンバから第1の液体が排出され、その後連続して、針を介して近位チャンバから第2の液体が排出される。シリンジ本体に対するプランジャ部材の相対的な操作に応じて、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより針がプランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっている。
【0014】
1または複数の実施形態では、遠位チャンバおよび近位チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、シリンジ本体に対する近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができる。
【0015】
1または複数の実施形態では、針が、針内部、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を規定し、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部が、針内部を介して流体的に結合されている。近位開口部とシリンジ本体の遠位端との間の距離は、遠位ストッパ部材の長さにほぼ等しく、遠位ストッパ部材がシリンジ本体の遠位端に挿入されたときに、近位ストッパ部材が針に対して遠位方向に挿入されて、近位チャンバに近位開口部が配置されるようにしてもよい。近位ストッパ部材が針に対して遠位方向に挿入されて近位開口部が近位チャンバに配置されるまで、近位ストッパ部材に加えられる遠位方向の力が第2の液体を介して遠位ストッパ部材に伝達されるように、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材とシリンジ本体とを構成するようにしてもよい。本システムは、近位開口部が遠位チャンバ内に配置されている第1の注入構成と、近位開口部が近位チャンバ内に配置され、それにより第2の液体が近位チャンバから近位開口部および針内部を通って遠位端開口部から出る移送を可能にする、第2の注入構成とを有することができる。本システムが第2の注入構成にあるときに、遠位ストッパ部材が中間開口部を閉塞するようにしてもよい。
【0016】
1または複数の実施形態では、針が、少なくとも遠位ストッパ部材を完全に貫通して、少なくとも部分的にプランジャ内部に引き込まれるように構成されている。他の実施形態では、針の遠位先端がシリンジ本体内に配置される位置まで後退するように針が構成されるものであってもよい。近位および遠位ストッパ部材は、それぞれの遠位面および近位面にそれぞれの第1および第2のポリマーコーティングを含み、近位チャンバが、シリンジ本体および第1および第2のポリマーコーティングによって規定されるようにしてもよい。
【0017】
1または複数の実施形態では、遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有する。漏斗は、針近位端特徴部を漏斗の先細りする近位端の空間内に案内し、それにより針近位端特徴部をプランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするように構成されるものであってもよい。漏斗は、本システムの組立中に、かつ/または近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入するためのプランジャ部材の操作中に、針近位端特徴部をプランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするように構成されるものであってもよい。
【0018】
1または複数の実施形態では、第2の液体が針を介して近位チャンバから排出された後に、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材が、ラッチされた状態からラッチされていない状態に変換されて、針をプランジャ内部に少なくとも部分的に引き込むように構成されている。針保持特徴部は、近位ストッパ部材をシリンジ本体の遠位端に挿入するためのプランジャ部材の操作に応じて、ラッチされた状態からラッチされていない状態へのエネルギー貯蔵部材ラッチ部材の変換を作動させるように構成されるものであってもよい。
【0019】
1または複数の実施形態では、遠位ストッパ部材は、針近位端特徴の通過に抵抗するためのデテントを有する。デテントは、プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって、針近位端特徴部が通過することに対する抵抗に打ち勝つように、構成されるものであってもよい。デテントを変更して、抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調整することが可能である。デテントは、「U」字形状を有することができる。デテントは、曲げられたワイヤを含むことができる。デテントは、扁平断面を有することができる。デテントは、針近位端特徴部受け入れ特徴部を有することができる。針近位端特徴部受け入れ特徴部は、面取りされた表面を有することができる。デテントは、焼鈍されたステンレス合金を含むことができる。針近位端特徴部は、約30度の角度を有することができる。
【0020】
1または複数の実施形態では、針が、デテントを通過することに抵抗するために肩部を有する。肩部およびデテントは、プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によってデテントを通過する肩部に対する抵抗に打ち勝つように、構成されるものであってもよい。デテントを変更して、抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調整することが可能である。肩部は、約50度の角度を有することができる。
【0021】
1または複数の実施形態では、針が、デテントを通過することに抵抗するために溝を有する。溝およびデテントは、プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によってデテントを通過する溝に対する抵抗に打ち勝つように、構成されるものであってもよい。デテントを変更して、抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調整することが可能である。
【0022】
別の実施形態では、患者に第1の液体および第2の液体を連続的に注入するための方法が、シリンジ近位開口部および遠位端を規定するシリンジ本体を含むシステムを提供するステップを含む。このシステムは、シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材も含み、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に、第2の液体を含む近位チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に、第1の液体を含む遠位チャンバを形成する。システムはさらに、プランジャ内部を規定するとともに、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材を備える。さらに、システムは、針内部、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を有する針を含み、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部が、針内部を介して流体的に結合されている。本方法は、プランジャ部材を前進させて、針内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出するステップも含む。本方法はさらに、プランジャ部材をさらに前進させて、近位開口部、針内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出するステップを含む。さらに、本方法は、第1および第2の液体が患者に注入されたときに、遠位針先端を針ハブまたはシリンジ本体に自動的に引き込むステップを含む。
【0023】
1または複数の実施形態では、本方法は、プランジャ部材を前進させて第1の液体を遠位チャンバから排出する前に針の遠位端を患者に挿入し、それにより第1の液体を排出する前に針の遠位端開口部を患者に位置決めするステップも含む。本方法は、針の遠位端を患者に挿入する前に、遠位チャンバから空気を除去するステップも含む。遠位チャンバから空気を除去するステップは、シリンジ本体をほぼ鉛直な姿勢で保持するステップと、プランジャ部材を操作して、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入するステップとを含むことができる。
【0024】
1または複数の実施形態では、プランジャ部材を前進させることにより、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより第2の液体を介して遠位方向の力を加えて、遠位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより針内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出する。
【0025】
1または複数の実施形態では、システムは、近位開口部が遠位チャンバに配置されている第1の注入構成と、近位開口部が近位チャンバに配置され、それにより第2の液体を近位チャンバから近位開口部および針内部を通って遠位端開口部の外に移送することを可能にする第2の注入構成とを有する。システムは、プランジャ部材が前進して、針内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出するときに、第1の注入構成にある。システムは、プランジャ部材がさらに前進して、近位開口部、針内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出するときに、第2の注入構成にある。システムが第2の注入構成にあるときに、遠位ストッパ部材は、中間開口部を閉塞するようにしてもよい。本方法は、針が、少なくとも遠位ストッパ部材を完全に貫通するステップと、針をプランジャ内部に少なくとも部分的に引き込むステップとをさらに含むことができる。他の実施形態では、本方法は、針の遠位先端がシリンジ本体内に配置される位置まで、針を引き込むステップを含むことができる。
【0026】
1または複数の実施形態では、遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有する。本方法はさらに、漏斗が、漏斗の先細りする近位端にある空間に針を導き、それにより針近位端特徴部をプランジャ内部の針保持特徴部と位置合わせするステップを含む。
【0027】
1または複数の実施形態では、針が、針近位端特徴部をさらに有し、遠位ストッパ部材が、デテントを有する。本方法はさらに、デテントが針近位端特徴部の通過に抵抗するステップを含む。プランジャ部材を前進させて、針内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出することは、プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、針近位端特徴部がデテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことができる。遠位方向の力は、約2ポンド~約5ポンドであってもよい。
【0028】
1または複数の実施形態では、針がさらに肩部を有し、遠位ストッパ部材がデテントを有する。本方法はさらに、デテントが肩部の通過に抵抗するステップを含む。プランジャ部材をさらに前進させて、近位開口部、針内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出することは、プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、肩部がデテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことができる。遠位方向の力は、約2ポンド~約5ポンドであってもよい。
【0029】
1または複数の実施形態では、針がさらに溝を有し、遠位ストッパ部材がデテントを有する。本方法はさらに、デテントが溝の通過に抵抗するステップを含む。プランジャ部材をさらに前進させて、近位開口部、針内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出することは、プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、溝がデテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことができる。遠位方向の力は、約2ポンド~約5ポンドであってもよい。
【0030】
さらに別の実施形態では、液体を連続的に注入するためのシステムは、シリンジ本体を含み、このシリンジ本体が、シリンジ近位開口部と、遠位端における遠位インターフェースとを規定する。本システムは、シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材も含み、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する。本システムは、遠位チャンバ内の第1の液体と、近位チャンバ内の第2の液体とをさらに含む。さらに、本システムは、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材を含む。さらに、本システムは、シリンジ本体の遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリを含む。このハブアセンブリは、移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、ハブと、移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含む。プランジャ部材を操作して近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、遠位チャンバから移送パイプを介して第1の液体を排出し、その後連続して、近位チャンバから移送パイプを介して第2の液体を排出する。
【0031】
1または複数の実施形態では、遠位チャンバおよび近位チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、シリンジ本体に対する近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができる。
【0032】
1または複数の実施形態では、移送パイプが、移送パイプ内部、移送パイプ遠位端における遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を規定し、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部が、移送パイプ内部を介して流体的に結合されている。近位開口部とシリンジ本体の遠位端との間の距離は、遠位ストッパ部材の長さにほぼ等しく、遠位ストッパ部材がシリンジ本体の遠位端に挿入されたときに、近位ストッパ部材が移送パイプに対して遠位方向に挿入されて、近位開口部が近位チャンバに配置されるものであってもよい。近位ストッパ部材が移送パイプに対して遠位方向に挿入されて近位開口部が近位チャンバに配置されるまで、近位ストッパ部材に加えられる遠位方向の力が第2の液体を介して遠位ストッパ部材に伝達されるように、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材とシリンジ本体とを構成することができる。
【0033】
1または複数の実施形態では、本システムは、近位開口部が遠位チャンバ内に配置されている第1の注入構成と、近位開口部が近位チャンバ内に配置され、それにより第2の液体が近位チャンバから近位開口部および移送パイプ内部を通って遠位端開口部から出る移送を可能にする、第2の注入構成とを有する。本システムが第2の注入構成にあるときに、遠位ストッパ部材が中間開口部を閉塞するようにしてもよい。近位および遠位ストッパ部材は、それぞれの遠位面および近位面にそれぞれの第1および第2のポリマーコーティングを含み、近位チャンバが、シリンジ本体および第1および第2のポリマーコーティングによって規定されるようにしてもよい。
【0034】
1または複数の実施形態では、遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有する。漏斗は、移送パイプ近位端を漏斗の先細りする近位端の空間内に案内し、それにより移送パイプを遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されるものであってもよい。漏斗は、本システムの組立中に、かつ/または近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入するためのプランジャ部材の操作中に、移送パイプを遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されるものであってもよい。
【0035】
1または複数の実施形態では、遠位ストッパ部材が、移送パイプ近位端の通過に抵抗するデテントを有する。デテントは、プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって、移送パイプ近位端が通過することに対する抵抗に打ち勝つように、構成されるものであってもよい。デテントを変更して、抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調整することが可能である。デテントは「U」字形状を有することができる。デテントは、曲げられたワイヤを含むことができる。デテントは、扁平断面を有することができる。デテントは、移送パイプ近位端受け入れ特徴部を有することができる。移送パイプ近位端受け入れ特徴部は、面取りされた表面を有することができる。デテントは、焼鈍ステンレス合金を含むことができる。移送パイプ近位端は、約30度の角度を有する移送パイプ近位端特徴部を含むことができる。
【0036】
1または複数の実施形態では、移送パイプが、デテントを通過することに抵抗するために肩部を有する。肩部およびデテントは、プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によってデテントを通過する肩部に対する抵抗に打ち勝つように、構成されるものであってもよい。デテントを変更して、抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調整することが可能である。肩部は、約50度の角度を含むことができる。
【0037】
1または複数の実施形態では、移送パイプが、デテントを通過することに抵抗するために溝を有する。溝およびデテントは、プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によってデテントを通過する溝に対する抵抗に打ち勝つように、構成されるものであってもよい。デテントを変更して、抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調整することが可能である。
【0038】
さらに別の実施形態では、第1の液体および第2の液体を連続的に注入する方法が、システムを提供するステップを含む。システムは、シリンジ近位開口部および遠位端を規定するシリンジ本体を含む。システムは、シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材も含み、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に、第2の液体を含む近位チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に、第1の液体を含む遠位チャンバを形成する。システムはさらに、プランジャ内部を規定するとともに、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材を含む。さらに、システムは、移送パイプ内部、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を有する移送パイプを含み、遠位端開口部、中間開口部および近位開口部が、移送パイプ内部を介して流体的に結合されている。さらに、システムは、移送パイプ内部に流体的に結合されたコネクタを含む。本方法は、プランジャ部材を前進させて、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出するステップも含む。本方法はさらに、プランジャ部材をさらに前進させて、近位開口部、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出するステップを含む。
【0039】
1または複数の実施形態では、本方法は、プランジャ部材を前進させて第1の液体を遠位チャンバから排出する前に、カップリング部材をIVバッグに接続し、それにより第1の液体を排出する前に移送パイプ内部をIVバッグと流体的に結合するステップをさらに含む。本方法は、カップリング部材をIVバッグに接続する前に、遠位チャンバから空気を除去するステップも含むことができる。遠位チャンバから空気を除去するステップは、シリンジ本体をほぼ鉛直な姿勢で保持するステップと、プランジャ部材を操作して、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入するステップとを含むことができる。
【0040】
1または複数の実施形態では、プランジャ部材を前進させることにより、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより第2の液体を介して遠位方向の力を加えて、遠位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入し、それにより移送パイプ内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出する。
【0041】
1または複数の実施形態では、システムが、近位開口部が遠位チャンバに配置されている第1の注入構成と、近位開口部が近位チャンバに配置され、それにより第2の液体を近位チャンバから近位開口部および移送パイプ内部を通って遠位端開口部の外に移送することを可能にする第2の注入構成とを有する。システムは、プランジャ部材が前進して、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出するときに、第1の注入構成にある。システムは、プランジャ部材がさらに前進して、近位開口部、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出するときに、第2の注入構成にある。遠位ストッパ部材は、システムが第2の注入構成にあるときに、中間開口部を閉塞するようにしてもよい。
【0042】
1または複数の実施形態では、遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有する。本方法はさらに、漏斗が、漏斗の先細りする近位端にある空間に移送パイプ近位端を導き、それにより移送パイプ近位端を遠位ストッパ部材と位置合わせするステップを含む。
【0043】
1または複数の実施形態では、移送パイプが、移送パイプ近位端をさらに有し、遠位ストッパ部材が、デテントを有する。本方法はさらに、デテントが移送パイプ近位端の通過に抵抗するステップを含む。プランジャ部材を前進させて、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して遠位チャンバから第1の液体を排出することは、プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、移送パイプ近位端がデテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことができる。遠位方向の力は、約2ポンド~約5ポンドであってもよい。
【0044】
1または複数の実施形態では、移送パイプが、肩部をさらに有し、遠位ストッパ部材が、デテントを有する。本方法はさらに、デテントが肩部の通過に抵抗するステップも含む。プランジャ部材をさらに前進させて、近位開口部、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出することは、プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、肩部がデテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことができる。遠位方向の力は、約2ポンド~約5ポンドであってもよい。
【0045】
1または複数の実施形態では、移送パイプが、溝をさらに有し、遠位ストッパ部材が、デテントを有する。本方法はさらに、デテントが溝の通過に抵抗するステップを含む。プランジャ部材をさらに前進させて、近位開口部、移送パイプ内部および遠位端開口部を介して近位チャンバから第2の液体を排出することは、プランジャ部材に遠位方向の力を加えて、溝がデテントを通過することに対する抵抗に打ち勝つことを含むことができる。遠位方向の力は、約2ポンド~約5ポンドであってもよい。
【0046】
一実施形態では、薬剤製品を混合して注入するためのシステムが、シリンジ本体を含み、このシリンジ本体が、近位端における近位開口部と、遠位端における遠位針インターフェースとを規定する。本システムは、シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材も含み、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する。本システムはさらに、プランジャ内部を規定するとともに、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材を含む。さらに、本システムは、シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリを含む。この針アセンブリは、針近位端特徴部および鋭利な針遠位端を有する針と、ハブとを含む。さらに、本システムは、針カバーを含み、この針カバーが、針カバーをハブに取り外し可能に結合するためのネジ付き面を有する。針カバーは、針カバーが針遠位端を通る流体の流れを阻止する密封構成と、針カバーが針遠位端を通る流体の流れを許容する通気構成とを有する。
【0047】
1または複数の実施形態では、シリンジ本体に対して針カバーを遠位方向に引っ張ることにより、針カバーが密封構成から通気構成に移動する。遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、シリンジ本体に対する近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができる。
【0048】
1または複数の実施形態では、プランジャ部材が、プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含む。シリンジ本体に対するプランジャ部材の相対的な操作に応じて、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより針がプランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっている。
【0049】
1または複数の実施形態では、針アセンブリが、針をハブに結合するように構成された針ラッチ部材も含む。遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバは、患者に注入する前に一緒に混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ含むことができる。
【0050】
1または複数の実施形態では、本システムが、針近位端特徴部が遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成を有する。本システムは、針近位端特徴部が遠位ストッパ部材を少なくとも部分的に貫通し、近位薬剤チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている移送構成も有する。本システムは、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材が互いに接触し、それにより近位薬剤チャンバから遠位薬剤チャンバに第1の薬剤成分を移送して、第1の薬剤成分を遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成も有する。
【0051】
1または複数の実施形態では、針が、針遠位端に配置される遠位端開口部と、本システムが輸送構成、移送構成および混合構成にあるときに、遠位薬剤チャンバに配置される中間開口部と、本システムが輸送構成および移送構成にあるときに、近位薬剤チャンバに配置される近位開口部とをさらに備える。近位開口部は、スロットであってもよい。
【0052】
1または複数の実施形態では、針カバーが、密封構成においてハブに対する針カバーの遠位方向の移動を許容するとともに、通気構成においてハブに対する針カバーの遠位方向の移動を防止するように構成された可撓性フィンガを有する。ハブはネジ付き面を有し、このネジ付き面は、針カバーが通気構成にあるときに、針カバーのネジ付き面および可撓性フィンガと相互作用するように構成され、それによりシリンジ本体に対する針カバーの相対的な回転なしに、針カバーのシリンジ本体に対する遠位方向の移動を防止するものであってもよい。
【0053】
1または複数の実施形態では、針カバーをシリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させることにより、針カバーが密封構成から通気構成に移行する。ハブは、針カバーをハブに取り外し可能に結合するように構成された干渉部材も含むことができる。プランジャ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に相対的に移動させることにより、遠位ストッパ部材が針に対して遠位方向に相対的に移動して、針近位端特徴部が遠位ストッパ部材を貫通するようにしてもよい。
【0054】
別の実施形態では、薬剤製品を混合して注入するためのシステムが、シリンジ本体を含み、このシリンジ本体が、近位端における近位開口部と、遠位端における遠位針インターフェースとを規定する。本システムは、シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材も含み、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とシリンジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する。本システムは、プランジャ内部を規定するプランジャ部材も含み、このプランジャ部材は、プランジャ部材をシリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させたときに、プランジャ部材が前進して、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して挿入するようなネジ付き面を有する。さらに、本システムは、シリンジ本体の遠位針インターフェースに結合された針ハブアセンブリを含む。この針アセンブリは、針近位端特徴部および鋭利な針遠位端を有する針と、ハブとを含む。さらに、本システムは、ハブに取り外し可能に結合された針カバーを含む。
【0055】
1または複数の実施形態では、遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、シリンジ本体に対する近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができる。プランジャ部材は、プランジャ内部に配置された針保持特徴部と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを含むことができる。シリンジ本体に対するプランジャ部材の相対的な操作に応じて、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチされた状態からラッチされていない状態に変換され、それにより針がプランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能となっている。
【0056】
1または複数の実施形態では、針アセンブリが、針をハブに結合するように構成された針ラッチ部材も含む。遠位薬剤チャンバおよび近位薬剤チャンバは、患者に注入する前に一緒に混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ含むことができる。
【0057】
1または複数の実施形態では、本システムが、針近位端特徴部が遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成を有する。本システムは、針近位端特徴部が遠位ストッパ部材を少なくとも部分的に貫通し、近位薬剤チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている移送構成も有する。本システムはさらに、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材が互いに接触し、それにより近位薬剤チャンバから遠位薬剤チャンバに第1の薬剤成分を移送して、第1の薬剤成分を遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成を有する。
【0058】
1または複数の実施形態では、針が、針遠位端に配置される遠位端開口部と、本システムが輸送構成、移送構成および混合構成にあるときに、遠位薬剤チャンバに配置される中間開口部と、本システムが輸送構成および移送構成にあるときに、近位薬剤チャンバに配置される近位開口部とをさらに備える。近位開口部は、スロットであってもよい。
【0059】
1または複数の実施形態では、プランジャ部材のネジ付き面が、二重螺旋ネジ山を有する。プランジャ部材のネジ付き面は、相対的に大きなピッチのネジ山を有するようにしてもよい。プランジャ部材のネジ付き面は、8.5mmのピッチを有することができる。
【0060】
1または複数の実施形態では、プランジャ部材をシリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させることにより、プランジャ部材を前進させ、近位ストッパ部材が遠位ストッパ部材と接触するまで、シリンジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入することができるように、プランジャ部材のネジ付き面が構成されるものであってもよい。また、プランジャ部材をシリンジ本体に対して第1の方向に相対的に回転させることにより、プランジャ部材を前進させることができ、さらに、近位ストッパ部材が遠位ストッパ部材と接触する手前まで、シリンジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入することができるように、プランジャ部材のネジ付き面が構成されるものであってもよい。
【0061】
1または複数の実施形態では、本システムが、シリンジ本体の近位端に結合されたフランジをさらに含み、フランジがネジ付き面を有し、このネジ付き面が、プランジャ部材のネジ付き面と相互作用して、シリンジ本体に対してプランジャ部材が回転する間に、プランジャ部材を前進させ、シリンジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入する。フランジの表面は、除去された壁を含むことができる。シリンジ本体に対してプランジャ部材を第1の方向に回転させることにより、針に対して遠位ストッパ部材が遠位方向に移動して、針近位端特徴部が遠位ストッパ部材を貫通するものであってもよい。
【0062】
本開示の上述した実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
実施形態の上述した特徴および他の特徴は、添付図面を参照してさらに詳細に説明されており、それら図面においては、様々な図面中の同じ要素が共通の符号によって示されている。
【0064】
図1図1Aおよび図1Bは、従来のシリンジ構成の様々な特徴を示している。
図2図2Aおよび図2Bは、従来のシリンジ構成の様々な特徴を示している。
図3図3は、従来のシリンジ構成の様々な特徴を示している。
図4図4Aおよび図4Bは、従来のシリンジ構成の様々な特徴を示している。
図5図5A図5Cは、従来のシリンジ構成の様々な特徴を示している。
図6図6A図6Qは、いくつかの実施形態に係る、使用後に遠位針の端部/先端が引き込まれる保護構成のシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの様々な特徴を示している。
図7図7A図7Lは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムを使用して液体を連続的に注入するための方法のステップ中における、同システムの様々な特徴を示している。
図8図8A図8Cは、2つの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの様々な特徴を示している。
図9図9A図9Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムを使用して液体を連続的に注入するための方法のステップにおける、同システムの様々な特徴を示している。
図10図10Aおよび図10Bは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムを使用して液体を連続的に注入するための方法のステップにおける、同システムの様々な特徴を示している。
図11図11Aおよび図11Bは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの様々な特徴を示している。
図12図12A図12Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムを使用して液体を連続的に注入するための方法のステップにおける、同システムで使用するデテントを持つストッパブッシングを有する遠位ストッパ部材の様々な特徴を例示している。
図13図13A図13Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムで使用するためのデテントを持つストッパ部材ブッシングの様々な特徴を示している。
図14図14A図14Cは、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムで使用するストッパ部材ブッシングとともに用いるデテントの様々な特徴を示している。
図15図15は、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムに使用するストッパ部材ブッシングとともに用いるデテントを作ることができる材料の応力対歪をプロットしたグラフである。
図16図16は、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムで使用するデテントとともにストッパ部材ブッシングで用いる様々な銛部の形状を示している。
図17図17は、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムで使用するデテントとともにストッパ部材ブッシングで用いる様々な肩部の形状を示している。
図18図18は、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの針スパインアセンブリの様々な特徴を示している。
図19図19は、いくつかの実施形態に係るシリンジベースのデュアルチャンバ安全注入システムの針スパインアセンブリの様々な特徴を示している。
図20図20は、いくつかの実施形態に係るそれぞれ密封構成および通気構成にある遮蔽および通気可能な針カバーを有するデュアルチャンバ安全注入システムを示している。
図21図21は、いくつかの実施形態に係るそれぞれ密封構成および通気構成にある遮蔽および通気可能な針カバーを有するデュアルチャンバ安全注入システムを示している。
図22図22は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用するネジ式プランジャ部材およびフィンガフランジを詳細に示している。
図23図23は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用するフィンガフランジを示している。
図24図24は、いくつかの実施形態に係る、遮蔽および通気可能な針カバーを有する移送構成のデュアルチャンバ安全注入システムを示している。
図25図25は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する近位および遠位ストッパ部材および針の近位開口部を詳細に示している。
図26図26は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する針を示している。
図27図27は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する針の近位端を詳細に示している。
図28図28は、いくつかの実施形態に係る、遮蔽および通気可能な針カバーを有する通気構成および混合構成のデュアルチャンバ安全注入システムを示している。
図29図29は、いくつかの実施形態に係る、注入のために遮蔽および通気可能な針カバーが取り外された混合構成のデュアルチャンバ安全注入システムを示している。
図30図30は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する密封構成の遮蔽および通気可能な針カバーの近位端を詳細に示している。
図31図31は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する、針ハブの遠位端から取り外された遮蔽および通気可能な針カバーの近位端を詳細に示している。
図32図32は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する密封構成の遮蔽および通気可能な針カバーの近位端を詳細に示す断面図である。
図33図33は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する通気構成の遮蔽および通気可能な針カバーの近位端を詳細に示す断面図である。
図34図34は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムで使用する、針ハブの遠位端から取り外された遮蔽および通気可能な針カバーの近位端を詳細に示している。
【0065】
様々な実施形態の上記および他の利点および目的を得る方法をより良く理解するために、添付の図面を参照しながら、実施形態のより詳細な説明を提供する。なお、図面は一定の縮尺で描かれておらず、同様の構造または機能の要素が、全体を通して同様の符号で示されていることに留意されたい。それらの図面は、特定の例示的な実施形態のみを示しており、よって実施形態の範囲を限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0066】
例示的なプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム
図6Aおよび図6Bを参照すると、従来の近位および遠位ストッパ部材(32、36)が内部に配置された従来の既製のプレフィルドシリンジ本体(34)を有するプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(100)の斜視図および縦断面図が示されている。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、シリンジ本体(34)とともに、近位および遠位チャンバ(40、42)を規定する。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、近位チャンバ(40)の近位端および遠位端を閉塞する。遠位ストッパ部材(36)は、遠位チャンバ(42)の近位端を閉塞する。いくつかの実施形態では、近位ストッパ部材(32)の遠位端および遠位ストッパ部材(36)の近位端は、それぞれ潤滑性ポリマーコーティング(例えば、PTFEまたはETFE)でコーティングされており、近位および遠位ストッパ部材(32、36)の第1および第2のポリマーコーティングが、シリンジ本体(34)とともに、近位チャンバ(40)を規定している。潤滑性ポリマーコーティングは、近位および遠位ストッパ部材(32、36)のゴムを第2の液体(254)から隔離する役割を果たす。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、図6Aおよび図6Bに示すように向けることができ、あるいは潤滑性コーティングが遠位チャンバ(42)を向くように遠位ストッパ(36)が反転されて、遠位チャンバ(42)内の第1の液体(252)が保管のために潤滑性コーティングに接触するようにしてもよい。
【0067】
針カップリングアセンブリ(606)は、針カバー部材(63)が保管用に取り付けられた状態で、遠位チャンバ(42)の遠位端に配置されている。デュアルチャンバ安全注入システムは、ユーザが様々な程度でシリンジ本体(34)に対してプランジャアセンブリ(44)を順次挿入することにより、遠位チャンバ(42)からの第1の液体(252)の注入に続いて、近位チャンバからの第2の液体(254)の連続注入を容易にする。プランジャアセンブリ(44)は、近位ストッパ部材(32)、プランジャハウジング部材(69)およびプランジャ操作インターフェース(128)を含む。遠位および近位チャンバ(42、40)内にそれぞれ配置された第1および第2の液体は、水性または油性の薬液などの任意の液体またはゲルであってよい。
【0068】
デュアルチャンバ安全注入システム(100)は、ステイクド針(staked needle)構成を有し、この構成では、ユーザに提供される際に、針スパインアセンブリ(「針」)(76)および針カップリングアセンブリ(606)を含む針アセンブリが、針カバー部材(63)を取り外した後に、注入の準備ができた定位置に取り付けられており、針カバー部材は、その内部表面に、保管中に針遠位端(78)および/または針遠位ハウジング部分(610、図6Cおよび図6Dを参照)と接触するエラストマーシール材料を有することができる。代替的には、針カバー部材(63)は、シリンジ本体(34)への汚染の侵入を防ぎながら、液体(252、254)の移動に起因する圧力をシリンジ本体(34)の内部から逃がすことができる(以下に図示および記載する)ベントを含むことができる。ステイクド針は、定位置に取り付けられているように描かれているが、ステイクド針は、ルアースリップまたはルアーロックインターフェース(図示省略)を使用してシリンジ本体(34)に取り外し可能に結合することができ、針部材の近位端(50)は、ルアーインターフェースを通って遠位チャンバ(42)内に延在している。代替的に、針は、シリンジの代わりにカートリッジ本体のフランジに固定的にまたは取り外し可能に取り付けられるものであってもよい。そのようなカートリッジ注入システムは、米国特許出願第15/801,281号に開示されている。図6A図7Lに示す実施形態では、安全な針引き込み部材のかなりの部分がプランジャハウジング内に存在する。
【0069】
図6Cおよび図6Dに示すように、最初の組立時に(すなわち、「ステイクド針」構成にある現場ではなく、工場または加工施設内で)、近位ハウジングアセンブリ(608)は、シリンジ本体の製造時にシリンジ本体に形成されるシリンジ本体の僅かに凹んだ半径方向部分(602)の上に(すなわち、近位ハウジングアセンブリを構成するスナップリング要素(604)または近位ハウジングアセンブリに結合されたスナップリング要素を使用して)スナップフィットするように構成されている。
【0070】
図6E図6Oは、いくつかの実施形態に係る、図6A図6Dに示すような例示的な針スパインアセンブリ(「針」)(76)およびその様々な部分の様々な図面である。図6E図6F図6G図6H図6I図6J図6K図6L、および図6M図6Nは、針スパインアセンブリ(76)およびその様々な部分の対応する一対の側面図および縦断面図である。図6Oは、いくつかの実施形態に係る針スパインアセンブリ(76)の斜視図である。
【0071】
針スパインアセンブリ(76)は、針接合部材(83)の両端(すなわち、それぞれの近位端および遠位端)に結合された針近位端(50)および針遠位端(78)を含む。針接合部材(83)は、ラッチ部材(612)および可動ブロック部材(614)と係合するように構成されたくびれ部分または半径方向に縮小された部分(111)を有するように構成され(図6Pおよび図6Qを参照)、それにより、注入中、針接合部材(83)、針近位端(50)および針遠位端(78)がシリンジ本体(34)に対して近位方向に固定された状態で維持されるようになっている。小径のフランジ(33)に対してプランジャアセンブリを完全に相対的に挿入した後(すなわち、シリンジ本体(34)の近位チャンバ(40)内に含まれる第2の液体(254)を完全に排出した後またはその前後で)、可動ブロック部材(614)が遠位ハウジング部分(610)に対して相対的に前進され、それによりラッチ部材(612)の複数の(図面では2つの)片持ちラッチ部材(616)が可動ブロック部材(614)によって押しのけられる。具体的に、針スパインアセンブリ(76)は、プランジャアセンブリの完全な前進によって遠位方向に追いやられて、それにより可動ブロック部材(614)を前進させて片持ちラッチ部材(616)を移動させる。片持ちラッチ部材(616)を移動させることにより、針遠位端(78)、接合部材(83)および近位端(50)をそれらのカップリングを介して後退させることができ、それにより、鋭い針先端(48)をプランジャハウジング部材(69)内に安全に配置することができる。代替的には、針先端(48)は、遠位ハウジング部分(610)の外面の近位側の位置まで後退して、鋭利な先端をユーザから安全に保護することができる。換言すれば、片持ちラッチ部材(616)は、米国特許出願第15/801,259号にさらに記載されているように、完全なプランジャ挿入時に可動ブロック部材(614)によって押し出されるまで、注入および針/シリンジの組立中、針先端(48)の位置を保持する。片持ちラッチ部材(616)が可動ブロック部材(614)によって押し出された後、針(76)は、米国特許出願第14/696,342号および第62/416,102号に記載されているように、針スパインアセンブリ(76)の更なる遠位方向の移動によってトリガーされたときに、自由になって自動的に引き込まれる。
【0072】
図6E図6Oは、針カップリングアセンブリ(606)を含まない、針アセンブリの要素を含む針スパインアセンブリ(76)の特徴を示している。図6Fおよび図6Hに示すように、針近位端(50)は、その遠位端にカップリング部材(86)を含み、先の尖った近位端(84)を含む。針接合部材(83)は、カップリング部材(86)を針遠位端(78)に結合する。針遠位端(78)、針近位端(50)のカップリング部材(86)および針接合部材(83)は、締まり嵌め、溶接および/または接着剤で一緒に保持することができる。針近位端(50)は、針接合部材(83)に結合され、それにより針接合部材(83)の内部がその近位端で閉塞され、針接合部材の近位端を通る流体の流れを防止するようになっている(図6Hを参照)。図示の実施形態における針近位端(50)の近位端(84)は、コンプライアント部材に突き刺して保持するように構成された「銛」式の幾何学的形状を形成し、プランジャハウジング部材(69)内への針スパインアセンブリ(76)の引き込みのために、コンプライアント部材に係合することができる。近位端(84)を使用してプランジャハウジング部材(69)内に針スパインアセンブリ(76)を引き込むことは、米国特許出願第15/801,259号および第15/801,304号にさらに記載されている。針近位端(50)は、例えば溶接、レーザ切断、スタンピングおよび/または機械加工技術を用いて、金属ロッドおよび金属リングから形成されるものであってもよい。
【0073】
図6G図6Nに示すように、針接合部材(83)および針遠位端(78)は、近位チャンバおよび遠位チャンバ(40、42)をシステム(100)の外部に選択的に結合する流体経路を提供することができる。この流体経路は、図6G図6Nに示すように、針近位端(50)に隣接する針接合部材(83)の近位端に1または複数の近位開口部(85)を含むことができる。図6E図6Oに示す実施形態では、2つの近位開口部(85)がある。別の実施形態では、より少ない数(例えば、1つ)またはより多い数(例えば、3つ)の近位開口部(85)が存在するようにしてもよい。流体経路は、1または複数の近位開口部(85)の遠位側にある1または複数の中間開口部(80)を含むことができる。図6E図6Oに示す実施形態では、1つの中間開口部(80)がある。他の実施形態では、より多くの(例えば、2つの)中間開口部(80)があってもよい。近位および中間開口部(85、80)は、中空接合部材(83)の側壁に切り込みを入れること(例えば、穴またはスロット)によって形成されてもよい。
【0074】
針スパインアセンブリ(76)の遠位部分(78)は、遠位部分(78)の最遠位端に形成された先の尖った皮下注射針先端(48、図6Mおよび図6Nを参照)を含む。流体経路は、針先端(48)に1または複数の遠位開口部(81)も含むことができる。図6E図6Oに示す実施形態では、1つの遠位開口部(81)が存在する。他の実施形態では、より多くの(例えば、2つの)遠位開口部(81)があってもよい。遠位開口部(81)は、遠位部分(78)の遠位端を削るまたは切断するか、または中空接合部材(83)の側壁に切り込みを入れること(例えば、穴またはスロット)によって形成されるものであってもよい。
【0075】
近位開口部、中間開口部および遠位開口部(85、80、81)はすべて、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)と流体連通している。針スパインアセンブリ(76)の内部(82)は、近位開口部(85)から遠位開口部(81)まで延びている。針スパインアセンブリ(76)および近位および遠位ストッパ部材(32、36)の相対的な位置を変更すると、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)を介して、近位および遠位チャンバ(40、42)がシステム(100)の外部に選択的に結合される。図7A図7Iに示す実施形態では、中間開口部(80)が、注入中、遠位チャンバ(40)内に常に配置されている。近位開口部(85)も遠位チャンバ(40)内に配置されている場合(図7A図7C)、または近位開口部(85)の1または複数が遠位ストッパ部材(36)によって閉塞されている場合、遠位チャンバ(42)は、1または複数の近位開口部(85)および/または中間開口部(80)、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)および遠位開口部(81)を介して、システム(100)の外部に流体的に結合されている。図7A図7Cは、第2の液体(254)ではない第1の液体(252)が、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)および遠位開口部(81)を介して注入され得る、第1の注入構成を示している。近位開口部の1または複数が近位チャンバ(42)内に配置され、中間開口部(80)が遠位ストッパ部材(36)によって閉塞されている場合(図7G図7I)、近位チャンバ(40)は、1または複数の近位開口部(85)、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)および遠位開口部(81)を介して、システム(100)の外部に流体的に結合されている。図7G図7Iは、第1の液体(252)ではなく第2の液体(254)が、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)および遠位開口部(81)を介して注入され得る、第2の注入構成を示している。図7Iに示すように、遠位ストッパ部材(36)は、中間開口部(80)への流体の流れ(例えば、第2の流体(254)の流れ)を妨げる。
【0076】
図7A図7Iは、連続注入の方法の様々なステップにおける、図6E図6Oに示す針スパインアセンブリ(76)を有する一実施形態に係るプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(100)を示している。
【0077】
図7A図7Cは、連続注入の方法の第1のステップにおけるデュアルチャンバ安全注入システム(100)を示しており(側面図、縦断面図、詳細な縦断面図)、ここではシステム(100)が第1の注入構成にある。図7A図7Cに示す第1のステップでは、針カバー部材(63、図6Aおよび6Bを参照)が取り外されて、システム(100)を使用可能な状態となっている。遠位チャンバ(42)は、シリンジ本体をほぼ鉛直な姿勢で保持し、プランジャ部材を操作して、近位ストッパ部材をシリンジ本体に対して遠位方向に挿入することによって、任意選択的には「気泡除去」するようにしてもよい。気泡除去中、遠位チャンバ(42)内の空気は、小さな開口部(80)が位置する遠位チャンバ(42)の上端まで上昇するため、中間開口部(80)、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)、および遠位開口部(81)を介してシステム(100)から出ることとなる。
【0078】
また、図7Cは、遠位ストッパ部材(36)が、注入中に針近位端の近位端(84)を定位置(遠位ストッパブッシング(310)の先細りする近位端の空間(316)内)に導くための位置決め漏斗(314)を規定する遠位ストッパブッシング(310)を含むことを示している。他の実施形態では、デュアルチャンバ安全注入システム(100)の組立中に、位置決め漏斗(314)が針近位端の近位端(84)を定位置に案内するように構成されている。位置決め漏斗(314)に関する更なる詳細は、米国特許出願第15/801,259号に記載されている。
【0079】
図7D図7Fは、連続注入する方法の第2のステップにおけるデュアルチャンバ安全注入システム(100)を示しており(側面図、縦断面図、詳細な縦断面図)、ここではシステム(100)が第1の注入構成にある。図7D図7Fに示す第2のステップにおいて、近位ストッパ部材(32)は、米国特許出願第15/801,259号に記載されているように、プランジャ部材に遠位方向の力を加えることにより、シリンジ本体(34)に対して遠位方向に相対的に移動されている。近位開口部(85)を有する針接合部材(83)の部分は、遠位ストッパ部材(36)を通って近位チャンバ(40)内に入ってはいないため、近位チャンバ(40)は実質的に閉じたチャンバである。このため、近位ストッパ部材(32)の遠位方向の移動は、近位チャンバ(40)内の非圧縮性の第2の液体(254)および遠位ストッパ部材(36)を遠位方向に同じ距離だけ移動させる。遠位ストッパ部材(36)の遠位方向の移動は、遠位チャンバ(42)内の圧力を増加させ、それにより、第1の液体(252)の一部を、近位開口部(85)および/または中間開口部(80)、針スパインアセンブリ(76)の内部(82)、および遠位開口部(81)を介して、遠位チャンバ(42)およびシステム(100)から排出する。
【0080】
いくつかの実施形態では、遠位方向の力をプランジャ部材に加えて第1の液体(252)を患者に注入する前に、針先端(48)および遠位開口部(81)は、患者の中に(例えば、突き刺さるように)配置される。先の尖った針先端(48、図6Mおよび図6Nを参照)は、そのような注入を容易にする。
【0081】
図7Fは、針近位端の近位端(84)が注入中に、遠位ストッパブッシング(310)によって規定される位置決め漏斗(314)によって、遠位ストッパ部材(36)の中間部を通って定位置に案内されていることを示している。位置決め漏斗(314)に関する更なる詳細は、米国特許出願第15/801,259号に記載されている。
【0082】
図7G図7Iは、連続注入する方法の第3のステップにおけるデュアルチャンバ安全注入システム(100)を示しており(側面図、縦断面図、詳細な縦断面図)、ここではシステム(100)が第1の注入構成の終了および第2の注入構成の開始のときの状態となっている。図7G図7Iに示す第3のステップでは、遠位ストッパ部材(36)がシリンジ本体(34)の遠位端まで前進し、それにより遠位チャンバ(42、図7D図7Fを参照)が潰れて、それまでそこに含まれていた第1の液体(252、図7D図7Fを参照)のほぼすべてが排出される。遠位ストッパ部材(36)は、近位チャンバ(40)内の第2の液体(254)から中間開口部(80)を分離することにより、中間開口部を効果的に閉塞する。
【0083】
図7Iに示すように、近位開口部(85)を有する針接合部材(83)の部分は、遠位ストッパ部材(36)を通過して近位チャンバ(40)内に入っている。このため、近位チャンバ(40)は、近位開口部(85)を介して開いているため、もはや閉じていない。これにより、システム(100)は、第2の注入構成になる。最も遠位の近位開口部(85)とシリンジ本体(34)の遠位端との間の距離は、遠位ストッパ部材(36)の長さに実質的に等しい。このため、遠位ストッパ部材(36)がシリンジ本体(34)の遠位端に挿入されると、近位開口部(85)が近位チャンバ(40)内に配置される。
【0084】
図7J図7Lは、連続注入する方法の第4のステップにおけるデュアルチャンバ安全注入システム(100)を示しており(側面図、縦断面図、詳細な縦断面図)、ここではシステム(100)が第2の注入構成の終了のときの状態となっている。図7J図7Lに示す第4のステップでは、近位ストッパ部材(36)が、シリンジ本体(34)の遠位端にある遠位ストッパ部材(36)の近位端まで前進し、それにより近位チャンバ(40、図7G図7Iを参照)が潰れて、それまでそこに含まれていた第2の液体(254、図7G図7Iを参照)のほぼすべてが排出される。図7J図7Lに示す第4のステップの終了時に、米国特許出願第15/801,259号に記載されているように、患者に注入が行われた後、近位端(84)は、近位および遠位ストッパ部材(32、36)の両方を貫通し、かつ、針スパインアセンブリ(76)をプランジャロッド内に少なくとも部分的に引き込むためのプランジャロッド内のカップリング特徴部と結合している。いくつかの実施形態では、システム(100)は、針スパインアセンブリの遠位先端(48)がシリンジ本体(34)内に配置される位置まで、針スパインアセンブリ(76)を引き込む。
【0085】
例示的なプレフィルドデュアルチャンバ連続および安全注入システム
図8A図8Cは、2つの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システム(800、810)を示している。第1のシステム(800)は、1mLの総注入量を有する。第2のシステム(810)は、3mLの総注入量を有する。第1のシステム(800)は、図8Bに示すように、総量が約1mLの長いガラスシリンジ(834)を使用する。第1のシステム(800)の近位および遠位チャンバ(840、842)の各々は、約0.5mLの最大容量を有する。
【0086】
第2のシステム(810)は、図8Cに示すように、総量が約3mLの標準的なガラスシリンジ(844)を使用する。第2のシステム(810)の近位および遠位チャンバ(850、852)の各々は、約1.5mLの最大容量を有する。
【0087】
図9A図9Cは、一実施形態に係る連続注入の様々なステップ中のプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(900)を示している。図9Aに示す連続注入ステップにおいて、システム(900)は、上述した第1の注入構成にある。第1の注入構成では、近位開口部(985)が遠位チャンバ(942)内に配置され、かつ近位チャンバ(940)が閉じられるように、近位および遠位ストッパ部材(932、936)、針スパインアセンブリ(976)およびシリンジ本体(934)が配置されている。このため、遠位チャンバ(942)内の第1の液体(952)は、近位開口部(985)および中間開口部(980)をそれぞれ含む2つの流体経路(910、912)のうちの一方を介して、システム(900)から出ることができる。第1の構成では、第2の液体(952)は、システム(900)から出ることができない。その代わりに、非圧縮性の第2の液体(952)は、近位ストッパ部材(932)に加えられた力を遠位ストッパ部材(936)に伝達する。
【0088】
図9Bは、システム(900)が上述した第2の注入構成にあることを示しており、この構成では、遠位ストッパ部材(936)がシリンジ本体(934)の遠位端に移動し、それにより遠位チャンバ(942、図9Aを参照)が潰れ、システム(900)から第1の液体(952、図9Aを参照)のほぼすべてが排出される。第2の注入構成では、近位開口部(985)が近位チャンバ(940)内に配置され、それにより近位チャンバ(940)を開くように、近位および遠位ストッパ部材(932、936)、針スパインアセンブリ(976)およびシリンジ本体(934)が配置される。このため、近位チャンバ(940)内の第2の液体(954)は、近位開口部(985)を含む流体経路(910)を介して、システム(900)から出ることができる。第2の構成では、遠位ストッパ部材(936)は、近位チャンバ(940)内の第2の液体(954)から中間開口部(980)を分離することにより、中間開口部を実質的に閉塞する。
【0089】
図9Cは、近位ストッパ部材(932)が遠位ストッパ部材(936)の近位端に当接する位置まで遠位方向に移動された後のシステム(900)を示している。これにより、近位チャンバ(940、図9Bを参照)が潰れ、システム(900)から第2の液体(954、図9Bを参照)のほぼすべてが排出される。第1および第2の液体(952、954、図9Aを参照)がシステム(900)から排出された後、プランジャ部材の僅かな更なる遠位方向の移動は、針スパインアセンブリ(976)を遠位方向に移動させ、それにより針ラッチを解放して、針(976)の近位方向の引き込みを可能にし、その結果、遠位先端(948)がシリンジ本体(934)の内部に配置されて保護された状態となる。針(976)の針ラッチ引き込みの解放は、米国特許出願第15/801,259号にさらに記載されている。
【0090】
図10Aおよび図10Bは、別の実施形態に係る連続注入の様々なステップ中のプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(1000)を示している。図10Aおよび図10Bに示すシステム(1000)と、図9A図9Cに示すシステム(900)との間の差異は、図10Aに示す保管/輸送構成において針(1076)の近位端(1084)が遠位チャンバ(1042)内に配置されるように、針スパインアセンブリ(1076)が、サイズ設定されるとともに、近位および遠位ストッパ部材(1032、1036)およびシリンジ本体(1034)に対して配置されている点にある。この実施形態では、漏斗が、米国特許出願第15/801,259号に記載されているように、遠位ストッパ部材(1036)を介して針(1076)の近位端(1084)を案内する。
【0091】
図10Bに示すように、第2の注入構成では、近位開口部(1085)が近位チャンバ(1040)内に配置され、それにより近位チャンバ(1040)が開放されている。近位開口部(1085)とシリンジ本体(1034)の遠位端との間の距離は、遠位ストッパ部材(1036)の長さとほぼ等しい。このため、遠位ストッパ部材(1036)がシリンジ本体(1034)の遠位端に挿入されると、近位開口部(1085)が近位チャンバ(1040)内に配置される。より短い針スパインアセンブリ(1076)の使用により、米国特許出願第15/801,259号に記載されているように、針スパインアセンブリ(1076)をより短いプランジャ部材内に引き込むことが可能になる。
【0092】
デュアルチャンバ安全注入におけるデテントを有する例示的な遠位ブッシングシステム
図11Aおよび図11Bは、いくつかの実施形態に係るプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(1100)を示している。このシステム(1100)は、遠位ストッパ部材(1136)が連続注入システムではなく、米国特許出願第15/801,259号に記載されているような混合注入システムであるという点で、上述した他のプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システムとは異なる。これらのシステムでは、再水和された混合物が患者に注入される前に、遠位チャンバ(1142)内の凍結乾燥された成分(図示省略)を再水和するために、液体が近位チャンバ(1140)から遠位チャンバ(1142)に移送される。このようなシステムの様々な特徴および利点は、米国特許出願第15/801,259号に記載されている。
【0093】
システム(1100)は、デテント(1112)が内部に配置されたストッパブッシング(1110)を含む。デテント(1112)は、針スパインアセンブリ(1176)の先の尖った近位端(1184)、および針近位端(1150)と針接合部材(1183)との間の接合部にある肩部(1116)と相互作用して、針スパインアセンブリ(1176)に対する遠位ストッパ部材(1136)の遠位方向の移動に対する抵抗を与えるように構成されている。デテント(1112)と近位端(1184)との間の相互作用は、図11Aおよび図11Bに示す構成など、保管および輸送中に遠位ストッパ部材(1136)を使用可能な位置に維持する。この相互作用は、遠位チャンバ(1142)内の真空または部分的な真空(例えば、凍結乾燥成分用)があっても、遠位ストッパ部材(1136)の位置を維持する。デテント(1112)がなく、遠位チャンバ(1142)が真空である場合には、遠位ストッパ部材(1136)は、最終的には針スパインアセンブリ(1176)に対して遠位方向に相対的に移動し、それにより貫通される。その結果、システムが連続注入に使用できなくなる。
【0094】
デテント(1112)と肩部(1116)との間の相互作用は、近位チャンバ(1140)から遠位チャンバ(1142)への液体の移送中に、遠位ストッパ部材(1136)を移送位置に維持する。この相互作用により、ユーザは、遠位ストッパ部材(1136)の早過ぎる移動の危険性を最小化しながら、液体を移送するためにプランジャ部材により広い範囲の力を加えることができる。
【0095】
図12A図12Cは、図11Aおよび図11Bに示すプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(1100)における、デテント(1112)と針スパインアセンブリ(1176)の先の尖った近位端(1184)と針スパインアセンブリ(1176)の肩部(1116)との間の相互作用を示している。図12Aに示すように、遠位ストッパ部材(1136)は、デテント(1112)を有し、位置決め漏斗(1114)を規定するストッパブッシング(1110)を備える。図12Aでは、位置決め漏斗(1114)が、針スパインアセンブリ(1176)の近位端(1184)を、デテント(1112)に隣接して配置されるように案内する。
【0096】
図12Bは、システム(1100)の保管/輸送構成を示している。この構成では、針スパインアセンブリ(1176)の先の尖った近位端(1184)は、デテント(1112)に隣接して、かつ部分的にデテント内に配置されている。近位端(1184)およびデテント(1112)の様々な特性(例えば、幾何学的形状、材料など)は、デテント(1112)を越えて近位端(1184)を押し出すのに必要な力を調節するために変更することができる。それらの特性を以下に詳細に説明する。一実施形態では、デテント(1112)を越えて近位端(1184)を押し出すのに必要な力は、約2ポンド~約5ポンドである。上述したように、遠位チャンバ(1142)内の真空または部分的な真空が遠位ストッパ部材(1136)を遠位方向に促す場合であっても、近位端(1184)とデテント(1112)との間の相互作用は、針スパインアセンブリ(1176)に対する遠位ストッパ部材(1136)の早過ぎる移動を防止する。これにより、プレフィルドデュアルチャンバシステム(1100)は、システム(1100)を使用不能にする可能性のある遠位ストッパ部材(1136)の早過ぎる移動の危険性を最小化しながら、保管することが可能になる。
【0097】
図12Cは、システム(1100)の移送構成を示している。この構成では、遠位ストッパ部材(1136)は、プランジャ部材にユーザが提供した力によって、針スパインアセンブリ(1176)の先の尖った近位端(1184)を越えて遠位方向に押されている。近位開口部(1185)は、近位チャンバ(1140)内に配置されており、それにより近位チャンバ(1140)から遠位チャンバ(1142)に液体を移動させることが可能になっている。遠位チャンバ(1142)内の真空が近位チャンバ(1140)から液体を引き抜く一方で、プランジャ部材を介して近位ストッパ部材(1132)に加えられるユーザ生成の力が、液体の移動を補助する。この構成では、針スパインアセンブリ(1176)の肩部(1116)が、デテント(1112)に隣接して配置されている。肩部(1116)およびデテント(1112)の様々な特性(例えば、幾何学的形状、材料など)は、デテント(1112)を越えて肩部(1116)を押し出すのに必要な力を調節するために変更することができる。それらの特性は以下に詳細に説明する。一実施形態では、デテント(1112)を越えて肩部(1116)を押し出すのに必要な力は、約2ポンド~約5ポンドである。肩部は、針近位端(1150)と針接合部材(1183)との間の接合部に形成される。肩部(1116)とデテント(1112)との間の相互作用により、図12Cに示す移送構成でシステム(1100)が保持されている間、プランジャ部材に加えられる圧力は、近位チャンバ(1140)から遠位チャンバ(1142)への液体の移送を補助することとなる。肩部(1116)とデテント(1112)との間の干渉に打ち勝つのに必要な力は、ユーザがプランジャ部材を押圧して液体移送を補助するためのより多くの自由度を提供する。これにより、完全な液体移送の可能性が高まる。
【0098】
図13A図13Cは、図11Aおよび図11Bに示すプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システム(1100)とともに使用するためのストッパブッシング(1110)を示している。ストッパブッシング(1110)は、針スパインアセンブリの長手方向軸に直交する軸に沿ってブッシング(1110)のスロット内に挿入されたデテント(1112)を有する。図13Cに示すように、デテントは、「U」字形状の曲がったワイヤで作ることができる。
【0099】
図14A図14Cは、様々な実施形態に係るプレフィルドデュアルチャンバ安全注入システムのストッパブッシュとともに使用するためのデテント(1412、1412’)を示している。デテント(1412、1412’)は、金属材料のシートから形成され、そのため、扁平断面を有する。デテント(1412、1412’)は何れも「U」字形状を有しており、針スパインアセンブリの先の尖った近位端および肩部などの丸い形状を受け入れるように構成されたノッチ(1418)を含む。図14Bに示すデテント(1412’)は、上述した保管/輸送構成にあるときに、針スパインアセンブリの先の尖った近位端に隣接する側のデテント(1412’)のノッチ(1418)の外周の周りに面取り/調節された通り抜け面(1420)を含む。面取りされた通り抜け面(1420)は、デテント(1412’)を通り抜けるのに必要な力の量を調節するように変更することができる。
【0100】
図14Cは、保管/輸送構成などにあるときに、デテント(1412)のノッチ(1418)内に配置された針スパインアセンブリ(1476)の先の尖った近位端(1484)を示している。
【0101】
一実施形態では、デテント(1412)が針スパインアセンブリ(1476)の先の尖った近位端(1484)の上をスライドするときにデテントによって提供される抵抗力は変更可能である。デテント(1412)は、保管中(例えば、数年間)、近位端(1484)による通り抜けに抵抗する。ユーザが予め設定された大きさの力を加えることにより、近位端(1484)がデテント(1412)を通ってスライドする。その後、デテント(1412)が肩部(1116、図12Cを参照)に到達するまで、デテント(1412)デテント(1410)を通る針スパインアセンブリ(1476)移動に対する抵抗力は最小である。デテント(1412)が肩部に当接すると、針(1478)に対するデテント(1412)(および遠位ストッパ部材)の進行を確実に停止させるために抵抗力が増大する。上述した液体移送の後、ユーザは、予め設定された別の大きさの力を加えて、肩部を越えてデテント(1412)を押し出す。肩部がクリアされた後、デテント(1412)と針(1476)との相互作用による摩擦は、最小になって、注入および針の引き込みが容易になる。
【0102】
予め設定された大きさの力は、システムの機能要件とユーザの美的感覚の組合せに対応するように調節することができる。作動力が小さ過ぎると、機能するとしても、力を十分に軽く加えることが困難となり、ユーザが度を越える可能性がある。また、力が大き過ぎると、ユーザは、システムを作動させるのが「難し過ぎる」と感じる可能性がある。幸いなことに、予め設定された大きさの力は、様々な構成要素の特性を変更することによって、所定の範囲内に「調整」することができる。
【0103】
図15は、デテントを作るステンレス鋼の応力対歪のグラフ(1500)を示している。焼鈍したステンレス鋼を使用すると、デテント材料が平坦な降伏プラトー(1510)上に位置し、その結果、デテントが近位端または肩部の上を通過した後にデテントが永久に「曲がる」か降伏するため、近位端または肩部がデテントを通り抜けた後のデテントの把持力が制限される。様々な材料を選択することにより、近位端および/または肩部が通過するのに必要な変形に対するデテントの弾性を変更することができ、それにより、デテントを越えるようにそれら構成要素を押すのに必要な力を調節することができる。
【0104】
図16は、針スパインアセンブリ(1676)の近位端(1684)の幾何学的形状と、近位端(1684)を押してデテントを通過させるために必要とされる力に対するその影響を示している。矢じり状の近位端(1684)の上を通り抜けて、肩部(1716、図17を参照)の上を通り抜ける抵抗力を微調整するために、それぞれの上の傾斜角度を必要に応じて個別に調整することができる。近似として摩擦を無視すると、抵抗力(X)に対する傾斜角度の影響は図17の式で示される。正接関数は、ゼロから非常に大きな数までの値を持つことができるため、理論的には、任意の力を実現することができる。摩擦を追加すると、方程式を使用して計算された値にさらに大きな力が追加される。矢じり状の近位端(1684)については約30度、肩部(1716)については約50度の値が、多くのユーザが許容できると感じる抵抗力を提供する。
【0105】
図18および図19は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システムとともに使用するための中実針近位端(1850)を示している。中実近位端を使用することにより、製造が簡素化され、そのコストが低減される。針近位端(1850)は、肩部の中実金属ステムおよびより長い針接合部材(1883)から形成される。これにより、中空ステムに側孔を穿孔する必要がなくなり、また、点端部にプラグを設ける必要もなくなる。中実針近位端(1850)設計は、チャンバ間に液体通路を提供するために、近位端(1884)の近傍に近位開口部(1885)を有するより長い針接合部材(1883)を使用する。針接合部材(1883)と中実針近位端(1850)との間の溶接は、デテント(1812)の通過に対する抵抗を最小限にするように滑らかで丸みを帯びている(図19を参照)。針接合部材(1883)には、デテント(1812)を捕捉するとともに、移送構成への液体移送のために遠位ストッパ部材を正しい位置に保持するための幅広の溝(1822)が形成されている。
【0106】
ネジ式プランジャ部材
デュアルチャンバ安全注入システムが知られているが、ユーザは、近位チャンバから遠位チャンバへ流体を移送するためにプランジャ部材に遠位方向の力を加えて近位ストッパ部材を遠位方向に移動させる場合には、細心の注意を払う必要がある。プランジャ部材に加える遠位方向の力が小さ過ぎるかまたは大き過ぎると、近位チャンバから遠位チャンバへの流体の移動が不完全になる可能性がある。プランジャ部材に力を加え過ぎると、遠位ストッパ部材が遠位方向に移動し過ぎて、それにより流体移送開口部が閉塞して、システムが使用できなくなる可能性がある。プランジャ部材に加える力が小さ過ぎると、より大きな力が加えられるまで流体の移送が不完全となり、より大きな力が加えられると、遠位ストッパ部材が遠位方向に移動し過ぎて流体移送開口部が閉塞して、システムが使用できなくなる可能性がある。本明細書に記載のネジ式プランジャ部材の実施形態は、上記問題に対処する。これらの問題に対処することにより、デュアルチャンバ安全注入システムは、よりユーザフレンドリーになり、正確で安全な混合注入物の送達が可能になる。
【0107】
図20は、いくつかの実施形態に係るデュアルチャンバ安全注入システム(2000)を示している。このシステム(2000)は、ネジ式プランジャ部材(2002)、ネジ形状フランジ(2004)、スロット状針近位開口部(2006)、および2位置遮蔽および通気可能な針カバー(2008)を含む。図20に示すシステム(2000)は、使用前の輸送構成にある。輸送構成では、遮蔽および通気可能な針カバー(2008)が、密封構成(後述)にある。
【0108】
図21は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)が流体移送構成で示されている。流体移送構成では、遮蔽および通気可能な針カバー(2008)が針ハブ上で遠位方向に引っ張られ(2009)、遮蔽および通気可能な針カバー(2008)が通気構成(後述)に移行されている。次に、プランジャ部材(2002)がシリンジ本体に対して時計回り方向(2010)に相対的に回転され、プランジャ部材(2002)および近位および遠位ストッパ部材が(フィンガフランジ(2004)とのネジ相互作用を介して)シリンジ本体に対して遠位方向に制御可能に移動する。遠位ストッパ部材を制御された量だけ遠位方向に移動させることにより、針の近位端が遠位ストッパ部材を貫通することができる。これにより、近位針開口部が近位チャンバ内に配置されて、近位チャンバから遠位チャンバへの流体移動が可能になり、遠位チャンバ内に含まれる注入剤と混合されることとなる。
【0109】
図22は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)のネジ式プランジャ部材(2002)およびフィンガフランジ(2004)を詳細に示している。ネジ式プランジャ部材(2002)のネジ山(2012)は、プランジャ部材(2002)の1回転あたりのプランジャ部材(2002)の軸方向移動量をより多くするために、相対的に大きな螺旋状のネジ山ピッチを有する。ネジ山ピッチは、5mm~25mmであってもよい。好ましくは、ネジ山ピッチは8.5mmである。ネジ山(2012)は、単一の螺旋を形成してもよいし、多条螺旋を形成してもよい。多条螺旋は、二重螺旋、三重螺旋、四重螺旋などであってもよい。好ましくは、ネジ山(2012)は二重螺旋である。
【0110】
図23は、フィンガフランジ(2004)と、プランジャ部材(2002)のネジ山(2012)(図22を参照)に対応するフィンガフランジのネジ山を詳細に示している。フィンガフランジ(2004)のネジ溝の1つの壁(2014)は、遠位ストッパ部材に針の近位端を通し、かつ/または近位チャンバから遠位チャンバに流体移送するためのプランジャ部材(2002)の回転と、流体移送を完了し、かつ/または混合流体を遠位チャンバーから排出/注入するためのプランジャ部材(2002)への遠位方向の力の適用との間の移行を容易にするために取り除かれている。
【0111】
図24は、図34と比較した流体移送構成の後の段階における図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)を示している。近位ストッパと遠位ストッパとの間にまだ空間がある(よって、近位チャンバ内にはまだ流体がある)ため、図24に示す実施形態では、流体移送はまだ不完全である。しかしながら、プランジャ部材(2002)のネジ付き面は、フィンガフランジ(2004)の十分遠位にある。このため、この実施形態では、プランジャ部材の回転は、遠位ストッパを通る針の近位端の貫通のみを達成する。流体移送を完了するには、遠位方向の力(2016)をプランジャ部材(2002)に加える必要がある。他の実施形態では、プランジャ部材(2002)の回転が流体移送を完了させることができるようにプランジャ部材(2002)にネジ付き面が設けられている。
【0112】
図25は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)の針の近位開口部(2006)を詳細に示している。近位開口部(2006)は、近位および遠位ストッパ部材が互いに接近および接触して流体移送を終了する場合であっても、近位チャンバと遠位チャンバ間の開いた流体経路を維持するスロットである。
【0113】
図26は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)の針を詳細に示している。スロット状近位開口部(2006)は、図26で見ることができる。
【0114】
図27は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)の針の近位端をより詳細に示している。スロット状近位開口部(2006)および中間開口部(2018)はともに、図27で見ることができる。スロット状近位開口部(2006)の大きさは、そうでなければ遠位ストッパ部材を遠位方向に移動させるのが早過ぎる可能性のある近位チャンバ内に過度の圧力が蓄積されるのを防止する。実際、十分に長いスロット状近位開口部(2006)では、スロット状近位開口(2006)の近位端および遠位端は、中間開口部(2018)を含む流体経路に加えて、近位ストッパ部材の周囲に流体経路を形成することができる。代替的または追加的には、中間開口部(2018)もスロットであってもよい。
【0115】
図28は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)を混合構成で示している。近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材は一緒になって、流体移送を終了させる。近位チャンバから遠位チャンバに流体が移送された状態で、(例えば、振とうによって)システム(2000)を撹拌して、遠位チャンバ内の注入剤を混合することができる。遮蔽および通気可能な針カバー(2008)を使用することにより、混合攪拌中に、針およびユーザを保護する。
【0116】
図29は、ネジを緩めること(2020)による針カバー(2008)の取り外しを示している。デュアルチャンバ安全注入システム(2000)を注入可能とするためである。
【0117】
遮蔽および通気可能な針カバー
予め取り付けられた針の場合、通気可能な針カバー無しでは、近位チャンバから遠位チャンバへの流体の移動により、遠位チャンバ内に圧力が蓄積する可能性がある。遠位チャンバ内の圧力の増大は、遠位チャンバから近位チャンバへの逆流を引き起こす可能性があり、それは、混合後の近位チャンバおよび遠位チャンバ内の注入剤の不正確な比率に繋がる可能性がある。この場合も、ユーザは、プランジャ部材に一定の遠位方向の力を加えることによって、遠位チャンバ内に蓄積される圧力に打ち勝つように注意しなければならない。ユーザがそのような力を適用しても、針カバーが最終的に取り外されるときに、遠位チャンバ内の圧力の増加は、混合された注入剤の一部を早期に排出してしまう可能性がある。本明細書に記載の遮蔽および通気可能な針カバーの実施形態は、上述した問題に対処する。これらの問題に対処することで、デュアルチャンバ安全注射システムがよりユーザフレンドリーになり、正確で安全な混合注入剤の送達が可能になる。
【0118】
図30は、図20に示すデュアルチャンバ安全注入システム(2000)とともに使用するための遮蔽および通気可能な針カバー(2008)が密封構成にある状態を示している。針カバー(2008)は、複数(例えば、3つ)の可撓性フィンガ(2024)を有するアダプタ(2022)を含む。図30は、シリンジ上の針アセンブリのハブ(2026)を示しており、このハブは、後述するように、針カバー(2008)の様々な構成要素と相互作用する。
【0119】
図31は、ハブ(2026)から取り外された図30に示す遮蔽および通気可能な針カバー(2008)を示しており、針カバー(2008)およびハブ(2026)の様々な構成要素を示している。針カバー(2008)は、複数の可撓性フィンガ(2024)と、ネジ付き内面(2028)とを含む。ハブ(2026)は、針カバー(2008)のネジ付き内面(2028)に対応し、かつそのネジ付き内面と相互作用するように構成されたネジ付き外面(2030)を含む。
【0120】
図32は、図30に示す遮蔽および通気可能な針カバー(2008)の密封構成における断面図である。密封構成では、針の遠位端(2032)は、針カバー(2008)の内部材料によって閉塞されている。
【0121】
図33は、図32で示す遮蔽および通気構成の針カバー(2008)の断面図である。上述したように、針カバー(2008)を遠位方向に引っ張る(2009)ことにより、針カバー(2008)は密封構成から通気構成に移行する。針カバー(2008)をハブ(2026)上で遠位方向に移動させると、可撓性フィンガ(2024)がハブ(2026)のネジ付き外面(2030)と係合するように移動する。針カバー(2008)は、近位フランジ(2034)も含む。可撓性フィンガ(2024)、近位フランジ(2034)およびネジ付き外面(2030)の間の相互作用は、システム(2000)の長手方向軸に沿った針カバー(2008)の更なる遠位方向の引っ張り(または押し込み)を防止する。これにより、針カバー(2008)が通気構成にロックされ、この構成では、針の遠位端(2032)が閉塞されずに、流体(すなわち、気体)が針遠位端(2032)から出て、針カバー(2008)の外に流出することができる。この構成では、針は覆われているかまたはユーザから遮蔽されたままであるが、ベントされた針カバー(2008)は、遠位チャンバから流体(すなわち、気体)を排出することにより、遠位チャンバ内の圧力を減少させることができる。針を遮蔽することで、鋭い針の先端を覆い、デュアルチャンバシリンジの混合および振とう中にユーザが針を刺す怪我を防ぐことができる。混合後、図29に示すように、針カバー(2008)をハブ(2026)に対して相対的に回転(2020)させることにより、針カバー(2008)をハブ(2026)から取り外すことができる。
【0122】
図34は、他の実施形態に係る遮蔽および通気可能な針カバー(2008’)およびハブ(2026’)を示している。針カバー(2008’)は、ネジ付き内面(2028’)を有する。ハブ(2026’)は、針カバー(2008’)のネジ付き内面(2028’)に対応し、かつそのネジ付き内面と相互作用するように構成されたネジ付き外面(2030’)を含む。針カバー(2008’)およびハブ(2026’)は、ハブ(2026’)に対して針カバー(2008’)を相対的に回転させたときに、針カバーが密封構成から通気構成に移行するように構成されている。ハブ(2026’)は、通気構成において、針カバー(2008’)とハブ(2026’)との間に接続部を形成する干渉部材(2036)も含む。しかしながら、干渉部材(2036)と針カバー(2008’)との間の締まり嵌めに打ち勝つことにより、ハブ(2026’)から針カバー(2008’)を取り外すことが可能である。
【0123】
本明細書に記載および説明されるプレフィルデュアルチャンバ安全注入システムは、ステイクド針を有するシリンジを含むが、本明細書に記載の様々な構成/実施形態(例えば、連続注入、デテントデュアルチャンバ、ネジ式プランジャ部材、および遮蔽および通気可能な針カバー)は、カートリッジおよび自動注入器、および米国特許出願第15/801,281号および第15/801,259号に記載されるようなルアーコネクタおよび移送パイプを有し、針を有しない注入システムとともに使用することが可能である。
【0124】
本開示の様々な例示的な実施形態が本明細書に記載されている。これらの例は、非限定的な意味で参照される。これらは、本開示のより広範に適用可能な特徴を例示するために提供されている。本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載された開示に様々な変更を加えることができ、均等物に置き換えることができる。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス行為またはステップを、本開示の目的、趣旨または範囲に適合させるために、多くの変更を加えることができる。さらに、当業者によって理解されるように、本明細書に記載および例示された個々のバリエーションの各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態の何れかの特徴から容易に分離され、またはそれらの特徴と組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。そのような変更はすべて、本開示に関連する特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0125】
対象となる診断処置または介入処置を実行するために説明したデバイスの何れかが、そのような介入を実行する際に使用するためにパッケージ化された組合せで提供されるものであってもよい。それらの供給「キット」は、使用説明書をさらに含み、そのような目的のために一般的に採用されるような無菌トレイまたは容器にパッケージ化されるものであってもよい。
【0126】
本開示は、対象のデバイスを用いて実行され得る方法を含む。その方法は、そのような好適なデバイスを提供する行為を含むことができる。そのような提供は、エンドユーザによって実行されるものであってもよい。すなわち、「提供する」という行為は、エンドユーザが、対象となる方法において、必要なデバイスを提供するために、取得、アクセス、アプローチ、配置、セットアップ、起動、電源投入またはその他の行為を行うことを単に必要とするだけである。本明細書に記載の方法は、論理的に可能な任意の順序で、あるいは記載された事象の順序で、記載された事象を実行することができる。
【0127】
本開示の例示的な特徴は、材料の選択および製造に関する詳細とともに、上述されている。本開示の他の詳細に関しては、それらは、先に引用した特許および刊行物に関連して理解され得るだけでなく、当技術分野の当業者には一般的に知られているか、または理解され得るものである。例えば、当技術分野の当業者であれば、1または複数の潤滑性コーティング(例えば、ポリビニルピロリドン系組成物などの親水性ポリマー、テトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマー、PTFE、ETFE、親水性ゲルまたはシリコーン)を、必要に応じて、移動可能に結合された部分の比較的大きな境界面など、デバイスの様々な部分に関連して使用することができ、それにより例えば、器具の他の部分または近くの組織構造物に対するそのような対象の低摩擦操作または前進を容易にすることができることを理解するであろう。一般的にまたは論理的に採用される追加の行為に関して、本開示の方法に基づく特徴についても同様のことが当てはまるであろう。
【0128】
さらに、本開示は、様々な特徴を任意に組み込んだいくつかの例を参照して説明してきたが、本開示の各バリエーションに関して企図されるように記載または開示されたものに限定されるものではない。開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載した開示に様々な変更を加えることができ、(本明細書に記載されているか、または簡潔にするために含まれていないかにかかわらず)均等物に置き換えることができる。さらに、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間のすべての介在値と、記載した範囲内の他の記載した値または介在値が、本開示の範囲内に包含されることを理解されたい。
【0129】
また、記載した本発明のバリエーションの任意の特徴は、独立して、または本明細書に記載された特徴のうちの任意の1または複数の特徴と組み合わせて記載および主張され得ることが企図される。単数の項目への言及は、同じ項目が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書およびこれに関連する特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、「said」および「the」は、特に明記しない限り、複数の指示対象を含む。言い換えれば、冠詞の使用は、本開示に関連する特許請求の範囲と同様に、上記説明における主題項目の「少なくとも1つ」を可能にする。そのような請求項は、任意の要素を除外するように起草される場合があることに留意されたい。このため、この記述は、請求項の要素の列挙に関連して、「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する先の記載、または「否定的な」限定を使用するための先の記載として機能することを意図している。
【0130】
そのような排他的な用語を使用することなく、本開示に関連する請求項における「含む」という用語は、所与の数の要素がそのような請求項に列挙されているかどうか、または特徴の追加がそのような請求項に記載された要素の性質を変化させるとみなされるかどうかにかかわらず、任意の追加要素を含むことを可能にするものとする。本明細書で具体的に規定されている場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、請求項の有効性を維持しつつ、可能な限り広く一般的に理解される意味を与えるものとする。
【0131】
本開示の幅は、提供された実施例および/または主題の明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示に関連する請求項の文言の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図6-7】
図6-8】
図6-9】
図6-10】
図6-11】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図7-6】
図7-7】
図7-8】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、前記シリンジ本体の遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の前記遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出し、
前記移送パイプが、移送パイプ内部、前記移送パイプ遠位端における遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を規定し、前記遠位端開口部、前記中間開口部および前記近位開口部が、前記移送パイプ内部を介して流体的に結合されており、
前記近位開口部と前記シリンジ本体の遠位端との間の距離が、前記遠位ストッパ部材の長さにほぼ等しく、前記遠位ストッパ部材が前記シリンジ本体の遠位端に挿入されたときに、前記近位ストッパ部材が前記移送パイプに対して遠位方向に挿入されて、前記近位開口部が前記近位チャンバに配置されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記遠位チャンバおよび近位チャンバそれぞれの第1および第2のサイズを、前記シリンジ本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の相対的な動きによって変更することができることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記近位ストッパ部材が前記移送パイプに対して遠位方向に挿入されて前記近位開口部が前記近位チャンバに配置されるまで、前記近位ストッパ部材に加えられる遠位方向の力が前記第2の液体を介して前記遠位ストッパ部材に伝達されるように、前記近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体とが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記近位ストッパ部材が、前記近位ストッパ部材の遠位面に第1のポリマーコーティングを含み、
前記遠位ストッパ部材が、前記遠位ストッパ部材の近位面に第2のポリマーコーティングを含み、
前記近位チャンバが、前記シリンジ本体および前記第1および第2のポリマーコーティングによって規定されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記遠位ストッパ部材が、近位方向に先細りする漏斗と、前記漏斗の先細りする近位端に配置された空間とを有することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、前記移送パイプ近位端を前記漏斗の先細りする近位端の空間内に案内し、それにより前記移送パイプを前記遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、当該システムの組立中に前記移送パイプを前記遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記漏斗が、前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入するための前記プランジャ部材の操作中に、前記移送パイプを前記遠位ストッパ部材と位置合わせするように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記遠位ストッパ部材が、前記移送パイプ近位端が前記遠位ストッパ部材を通過するのに抵抗するデテントを有することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記デテントが「U」字形状を有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、扁平断面を有することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記デテントが、移送パイプ近位端受け入れ特徴部を有することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプ近位端受け入れ特徴部が、面取りされた表面を有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプが、前記移送パイプが前記デテントを通過することに抵抗するために肩部を有することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記肩部に対する抵抗に打ち勝つように、前記肩部および前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムにおいて、
前記肩部が、約50度の角度を有することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記移送パイプが、前記移送パイプが前記デテントを通過することに抵抗するために溝を有することを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記溝に対する抵抗に打ち勝つように、前記溝および前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項21】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、前記シリンジ本体の遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の前記遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出し、
前記移送パイプが、移送パイプ内部、前記移送パイプ遠位端における遠位端開口部、中間開口部および近位開口部を規定し、前記遠位端開口部、前記中間開口部および前記近位開口部が、前記移送パイプ内部を介して流体的に結合されており、
当該システムが、
前記近位開口部が前記遠位チャンバ内に配置されている第1の注入構成と、
前記近位開口部が前記近位チャンバ内に配置され、それにより前記第2の液体が前記近位チャンバから前記近位開口部および前記移送パイプ内部を通って前記遠位端開口部の外に出るように移送される、第2の注入構成とを有し、
当該システムが前記第2の注入構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材が前記中間開口部を閉塞することを特徴とするシステム。
【請求項22】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、前記シリンジ本体の遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の前記遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出し、
前記遠位ストッパ部材が、前記移送パイプ近位端が前記遠位ストッパ部材を通過するのに抵抗するデテントを有し、
前記プランジャ部材に加えられる約2ポンド~約5ポンドの遠位方向の力によって前記デテントを通過する前記移送パイプ近位端に対する抵抗に打ち勝つように、前記デテントが構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムにおいて、
抵抗に打ち勝つために必要な遠位方向の力を調節するために、前記デテントが変更可能であることを特徴とするシステム。
【請求項24】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、前記シリンジ本体の遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の前記遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出し、
前記遠位ストッパ部材が、前記移送パイプ近位端が前記遠位ストッパ部材を通過するのに抵抗するデテントを有し、
前記デテントが、曲げられたワイヤを含むことを特徴とするシステム。
【請求項25】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、前記シリンジ本体の遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の前記遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出し、
前記遠位ストッパ部材が、前記移送パイプ近位端が前記遠位ストッパ部材を通過するのに抵抗するデテントを有し、
前記デテントが、焼鈍ステンレス合金を含むことを特徴とするシステム。
【請求項26】
液体を連続的に注入するためのシステムであって、
シリンジ本体であって、シリンジ近位開口部と、前記シリンジ本体の遠位端における遠位インターフェースとを規定するシリンジ本体と、
前記シリンジ本体に配置された近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と前記遠位ストッパ部材との間に近位チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記シリンジ本体の遠位端との間に遠位チャンバを形成する、近位ストッパ部材および遠位ストッパ部材と、
前記遠位チャンバ内の第1の液体と、
前記近位チャンバ内の第2の液体と、
前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入すべく手動で操作されるように構成されたプランジャ部材と、
前記シリンジ本体の前記遠位インターフェースに結合されたハブアセンブリであって、
移送パイプ近位端と移送パイプ遠位端を有する移送パイプと、
ハブと、
前記移送パイプ遠位端に流体的に結合されたコネクタとを含むハブアセンブリとを備え、
前記プランジャ部材を操作して前記近位ストッパ部材を前記シリンジ本体に対して遠位方向に挿入することにより、先ず、前記遠位チャンバから前記移送パイプを介して前記第1の液体を排出し、その後連続して、前記近位チャンバから前記移送パイプを介して前記第2の液体を排出し、
前記遠位ストッパ部材が、前記移送パイプ近位端が前記遠位ストッパ部材を通過するのに抵抗するデテントを有し、
前記移送パイプ近位端が、約30度の角度を有する移送パイプ近位端特徴部を含むことを特徴とするシステム。
【外国語明細書】