(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038160
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】タッチパネルディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240312BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240312BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240312BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240312BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20240312BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240312BHJP
H10K 59/126 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/041 412
G06F3/044 124
G09F9/30 349Z
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 365
H10K59/40
H10K59/131
H10K59/12
H10K59/126
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220766
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2022127515の分割
【原出願日】2018-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】501232056
【氏名又は名称】三国電子有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 栄
(57)【要約】
【課題】タッチパネルディスプレイは、インセル方式を採用したとしても薄型化に限界がある。
【解決手段】タッチパネルディスプレイは、第1センサ電極と第2センサ電極とを含むタッチセンサと、複数の画素が配列された表示部と、タッチセンサ及び表示部を駆動する駆動回路と、タッチセンサを覆う第1透明絶縁層と、タッチセンサと表示部との間の第2透明絶縁層と、タッチセンサ、表示部、及び駆動回路を間に挟み、第1透明絶縁層に対向する第1無機絶縁層とを有する。第1センサ電極は、複数のダイヤモンド電極パターンが第1方向に配列されて電気的に接続され、第2センサ電極は、複数のダイヤモンド電極パターンが第2方向に配列されて電気的に接続され、第1センサ電極及び第2センサ電極は、第2透明絶縁層を貫通するコンタクトホールを介して引き出し配線と電気的に接続され、コンタクトホールが第1透明絶縁層及び第1無機絶縁層に挟まれている。
【選択図】
図37
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサ電極と第2センサ電極とを含むタッチセンサと、
前記タッチセンサと重なり、複数の画素が配列された表示部と、
前記タッチセンサ及び前記表示部を駆動する駆動回路と、
前記タッチセンサを覆う第1透明絶縁層と、
前記タッチセンサと前記表示部との間の第2透明絶縁層と、
前記タッチセンサ、前記表示部、及び前記駆動回路を間に挟み、前記第1透明絶縁層に対向する第1無機絶縁層と、
を有し、
前記第1センサ電極は、複数のダイヤモンド電極パターンが第1方向に配列されて電気的に接続され、
前記第2センサ電極は、複数のダイヤモンド電極パターンが前記第1方向に交差する第2方向に配列されて電気的に接続され、
前記第1センサ電極及び前記第2センサ電極は、前記第2透明絶縁層を貫通するコンタクトホールを介して引き出し配線と電気的に接続され、
前記コンタクトホールが前記第1透明絶縁層及び前記第1無機絶縁層に挟まれている
ことを特徴とするタッチパネルディスプレイ。
【請求項2】
前記第1無機絶縁層は、少なくとも1層の窒化シリコン層を含む、
請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項3】
前記第1センサ電極と前記第2センサ電極とが、第2無機絶縁層を介して交差する領域を有する、
請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項4】
前記第1センサ電極の前記複数のダイヤモンド電極パターン、及び前記第2センサ電極の前記複数のダイヤモンド電極パターンが、メッシュ状の開口パターンを有する、
請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項5】
前記メッシュ状の開口パターンが、前記複数の画素のそれぞれに対応するように配置されている、
請求項4に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項6】
前記複数の画素がダイヤモンドペンタイル配列され、
前記メッシュ状の開口パターンが、前記ダイヤモンドペンタイル配列に対応するように配置されている、
請求項4に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項7】
前記複数の画素のそれぞれは、有機エレクトロルミネセンス素子を含む、
請求項5に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項8】
前記第1センサ電極及び前記第2センサ電極のそれぞれが、前記複数のダイヤモンド電極パターンから成る電極部と、前記表示部の外側に位置するベタパターンから成る接続部を含む、
請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項9】
前記タッチセンサと前記表示部との間に透明シールド電極を含む、請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項10】
前記複数の画素のそれぞれは、有機エレクトロルミネセンス素子と、前記有機エレクト
ロルミネセンス素子と接続されるトランジスタと、を有し、
前記透明シールド電極は、前記トランジスタと重なる領域に光遮断領域が設けられている、請求項9に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項11】
前記光遮断領域が金属層であり、前記透明シールド電極と接触している、請求項10に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項12】
前記複数の画素のそれぞれは、有機エレクトロルミネセンス素子と、前記有機エレクトロルミネセンス素子と接続されるトランジスタと、を有し、
前記透明シールド電極は、前記トランジスタと重なる領域に開口部を有する、請求項9に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項13】
前記トランジスタは、第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極と重なる領域を含む第2ゲート電極と、前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極との間の半導体層と、を含み、
前記第1ゲート電極が、前記透明シールド電極と同層の導電層を含み、前記開口部内に配置されている、請求項12に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項14】
前記第1センサ電極がレシーバ電極であり、前記第2センサ電極がトランスミッタ電極であり、前記トランスミッタ電極は、前記開口部と重なる領域に、第2の開口部を有する、請求項12に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項15】
前記第1ゲート電極と前記第2ゲート電極とが、前記半導体層の外側で電気的に接続されている、請求項13に記載のタッチパネルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、タッチ検出機能付き表示装置及びその製造方法に関する。例えば、表示素子として有機エレクトロルミネセンス素子が用いられ、タッチセンサが内蔵される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として液晶表示素子を用い、液晶表示素子の共通電極と静電容量式のタッチ検出電極とを液晶表示パネルの中で一体化した、所謂インセル方式のタッチ検出機能付き表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のタッチ検出機能付き表示装置は、ガラス基板を用いて作製されているため、インセル方式を採用したとしても薄型化に限界がある。また、ガラス基板を用いている限り、可撓性を有するディスプレイ(所謂フレキシブルディスプレイ)を実現できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、透明樹脂基板と、透明樹脂基板に埋め込まれたタッチセンサと、トランジスタ及びトランジスタと電気的に接続される有機エレクトロルミネセンス素子を含む画素と、画素が配列された表示部と、タッチセンサと表示部との間に配置されたシールド電極とを有し、画素は、透明樹脂基板側に光を出射する構成を備える。
【0006】
本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の製造方法は、第1方向に伸びる第1センサ電極及び第1方向と交差する第2方向に伸びる第2センサ電極で構成されるタッチセンサを含む透明樹脂基板を形成し、タッチセンサを覆うシールド電極を形成し、透明樹脂基板上に、トランジスタ及びトランジスタと電気的に接続される有機エレクトロルミネセンス素子とを含む画素が配列された表示部を形成することを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、タッチセンサを構成するセンサ電極が透明樹脂基板に埋め込まれたことにより、タッチ検出機能付き表示装置の薄型化を図ることができる。また、可撓性を有するタッチ検出機能付き表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の構成を説明する平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の構成を説明する斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置に設けられるタッチセンサの構成を示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置に設けられるタッチセンサの構成を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置に設けられるタッチセンサの構成を示す平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の断面模式構造を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の断面構造を示し、製造方法を説明する図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の断面構造を示し、製造方法を説明する図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の製造方法を説明する図であり、多階調露光法によるパターニング工程を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の断面構造を示し、製造方法を説明する図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の断面構造を示し、製造方法を説明する図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の断面構造を示し、製造方法を説明する図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の断面構造を示し、製造方法を説明する図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の製造工程において支持基板上に複数の表示パネルが作製される態様を示す平面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図29】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図33】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図34】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す平面図である。
【
図35】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図36】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置に埋め込まれるタッチセンサの電極構造を示す平面図である。
【
図37】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図38】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図39】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図40】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素の構造を示す断面図である。
【
図41】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極の一例を示す平面図である。
【
図42】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極の一例を示す平面図である。
【
図43】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極の一例を示す平面図である。
【
図44】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極の一例を示す平面図である。
【
図45】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極の一例を示す平面図である。
【
図46】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極の一例を示す平面図である。
【
図47】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極と引き出し配線の接続構造の一例を示す断面図である。
【
図48】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極と引き出し配線の接続構造の一例を示す断面図である。
【
図49】本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のセンサ電極と引き出し配線の接続構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示する実施形態に限定して解釈されるものではない。本明細書に添付される図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を必ずしも限定するものではない。また、本発明において、ある図面に記載された特定の要素と、他の図面に記載された特定の要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り
返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0010】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含む。すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)においてある部材又は領域との間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0011】
第1の実施形態:
本実施形態は、画面へのタッチを検知するタッチセンサ機能と、画面に画像を表示する表示機能とを有する、タッチ検出機能付き表示装置について説明する。
【0012】
1-1.表示装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置100の構成を示す。タッチ検出機能付き表示装置100は、透明樹脂基板124の第1面に、表示部102、駆動回路部104、端子部106、タッチセンサ108を有する。表示部102は複数の画素110を含む。複数の画素110は、第1方向(例えば、
図1に示すX方向)と、第1方向と交差する第2方向(例えば、
図1に示すY方向)に配列される。複数の画素110の配列は任意であり、例えば、ストライプ配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列、ダイヤモンドペンタイル配列等の各種配列が適用される。
【0013】
タッチセンサ108は、第1センサ電極114、第2センサ電極116を含む。第1センサ電極114は、第1方向に伸びるパターンで形成される。第2センサ電極116は、第1方向と交差する第2方向に伸びるパターンで形成される。第1センサ電極114及び第2センサ電極116のパターンは任意であるが、例えば、平板状(帯状)のパターンを有していてもよい。第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、それぞれ複数個配列される。第1センサ電極114は第2方向に複数本配列され、第2センサ電極116は第1方向に複数本配列される。第1センサ電極114と第2センサ電極116とは、絶縁層を介して交差するように配置される。
【0014】
端子部106は、透明樹脂基板124の一辺に沿って配置された複数の端子電極118を含む。複数の端子電極118は、フレキシブルプリント配線基板122と電気的に接続され、外部回路から信号が入力される端子となる。
【0015】
駆動回路部104は、第1駆動回路112a、第2駆動回路112b、及び第3駆動回路112cを含む。第1駆動回路112a、第2駆動回路112b、及び第3駆動回路112cの配置は任意であるが、例えば、第1駆動回路112a及び第3駆動回路112cは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いて透明樹脂基板124の上に形成され、第2駆動回路112bは半導体集積回路(LSI:Large Scale Integrated circuit)で形成され、ベアチップの形態でフレキシブルプリント配線基板122の上に実装されていてもよい。フレキシブルプリント配線基板122に実装される半導体集積回路はドライバICとも呼ばれる。第2駆動回路112bは、複数の画素110に映像信号を出力する映像信号処理回路113と、タッチセンサ108の信号を処理するセンサ信号処理回路115とが一体化されていてもよい。これにより実装コストを下げることができる。
【0016】
表示部102とタッチセンサ108とは、一部又は全部が重なるように配置される。表示部102は画像又は映像を表示し、タッチセンサ108は人間の指等の接触又は近接を
検知する機能を有する。タッチセンサ108は、表示部102に表示されるアイコン、キー等のグラフィックユーザインターフェイス(GUI)に対する操作を検知する。
【0017】
タッチセンサ108は、静電容量の変化を利用して人間の指等の接触又は近接を検知する機能を有する。第1センサ電極114は、レシーバ電極(Rx電極)となり、検出信号(Vdet)を順次出力する。第2センサ電極116はトランスミッタ電極(Tx電極)となり、第3駆動回路112cからコモン駆動信号(Vcom)が順次供給される。
【0018】
タッチ検出機能付き表示装置100は、表示部102が画像を表し、タッチセンサ108が画面へのタッチを検出することで、入出力機能を発揮する。表示部102は、第1駆動回路112aから出力される走査信号と、第2駆動回路112bから出力される映像信号によって駆動される。タッチセンサ108は、端子電極118を介して第1センサ電極114に入力される検出信号と、第3駆動回路112cから第2センサ電極116に供給されるコモン駆動信号によって駆動される。表示部102にアイコン等のグラフィックユーザインターフェイス(GUI)が表示され、画面のタッチをタッチセンサ108が検知して、当該GUIが操作されたか否かを判別することが可能となる。
【0019】
図2は、タッチ検出機能付き表示装置100の構成を説明する斜視図を示す。タッチ検出機能付き表示装置100は、第1センサ電極114及び第2センサ電極116が埋め込まれた透明樹脂基板124を有する。第1センサ電極114及び第2センサ電極116によりタッチセンサ108が形成される。透明樹脂基板124の上には、画素110が配列された表示部102、駆動回路部104、端子電極118が配列された端子部106等が設けられる。また、透明樹脂基板124は、シールド電極126を含む。シールド電極126は、第1センサ電極114及び第2センサ電極116と表示部102との間に設けられている。表示部102の上には、封止層128が設けられていてもよい。封止層128は、表示部102及び駆動回路部104を保護するために設けられる。透明樹脂基板124に埋め込まれた第1センサ電極114及び第2センサ電極116のそれぞれは、透明樹脂基板124に形成されたコンタクトホールを介して端子電極118と電気的に接続される。
【0020】
画素110は発光素子を含む。発光素子としては、例えば、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)が用いられる。タッチ検出機能付き表示装置100は、画素110の発光が透明樹脂基板124を通して出射される、所謂ボトムエミッション型の構造を有する。このため、透明樹脂基板124は、透光性を有する。第1センサ電極114、第2センサ電極116、及びシールド電極126は画素110と重畳して配置されるため、これらの電極も透光性を有する。例えば、第1センサ電極114、第2センサ電極116、シールド電極126、のそれぞれは透明導電膜で形成される。
図2に示すように、タッチ検出機能付き表示装置100は、表示部102に表示される画像を透明樹脂基板124側から視認する構成を有する。すなわち、タッチ検出機能付き表示装置100は、表示部102に表示される画像を、タッチセンサ108を通して視認する構成を有する。
【0021】
封止層128の構成は任意である。例えば、封止層128は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等の無機絶縁膜で形成される。また、封止層128として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、又はエポキシ樹脂等の樹脂材料を用いて形成されていてもよい。封止層128は、画素110に設けられる発光素子の劣化を防止するために設けられる。
【0022】
1-2.画素の等価回路
図3は、画素110aの等価回路の一例を示す。画素110aは、有機EL素子134、選択トランジスタ136、駆動トランジスタ138、容量素子140を含む。選択トラ
ンジスタ136及び駆動トランジスタ138は、半導体層(又は「活性層」とも呼ばれる。)が、2つのゲート電極で挟まれたデュアルゲート構造を有する。駆動トランジスタ138は、第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166を有し、選択トランジスタ136は、第1ゲート電極156及び第2ゲート電極168を有する。
【0023】
選択トランジスタ136及び駆動トランジスタ138は絶縁ゲート型電界効果トランジスタであり、ソース及びドレインが信号の入出力端子となり、ゲートがトランジスタのオンオフを制御する制御端子となる。
図3に示す等価回路において、選択トランジスタ136及び駆動トランジスタ138は、nチャネル型トランジスタであるものとする。
【0024】
選択トランジスタ136の制御端子(第1ゲート電極156及び第2ゲート電極168)は、ゲート信号線142aと電気的に接続される。選択トランジスタ136の入出力端子の一方(第1端子)はデータ信号線144と電気的に接続され、入出力端子の他方(第2端子)は駆動トランジスタ138の制御端子(第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166)と電気的に接続される。駆動トランジスタ138の入出力端子の一方(第1端子:ソース)はコモン配線146(146a、146b、146c)と電気的に接続され、入出力端子の他方(第2端子:ドレイン)は有機EL素子134の一方の端子(第1端子)と電気的に接続される。容量素子140は、一方の端子(第1端子)が駆動トランジスタ138の制御端子(第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166)と電気的に接続され、他方の端子(第2端子)がコモン配線146(146a、146b、146c)と電気的に接続される。有機EL素子134の他方の端子(第2端子)は電源線148と電気的に接続される。
【0025】
第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、及び第3コモン配線146cは、一定電位(例えば、接地電位)が与えられる。電源線148は、コモン配線146よりも高い電位である電源電位VDDが与えられる。有機EL素子134は、一方の端子(第1端子)が陰極であり、他方の端子(第2端子)が陽極である。駆動トランジスタ138の制御端子に閾値電圧以上の電圧が印加されると、電源線148とコモン配線146の間に接続される有機EL素子134に電流が流れる。有機EL素子134は、駆動トランジスタ138のドレイン電流により、発光強度が制御される。
【0026】
1-3.画素の構造
図4は、
図3に示す等価回路に対応する画素110aの平面構造の一例を示す。
図5(A)は、
図4に示すA1-A2線に対応する画素110aの断面構造を示す。
図5(B)は、
図4に示すB1-B2線に対応する画素110aの断面構造を示す。
図5(A)は選択トランジスタ136及び容量素子140の断面構造を示し、
図5(B)は、駆動トランジスタ138及び有機EL素子134の断面構造を示す。以下の説明では、
図4、
図5(A)及び
図5(B)を適宜参照して説明する。なお、
図4で示す画素110aの平面図において、第1センサ電極114、第2センサ電極116、及び有機EL素子134の構造は省略されている。
【0027】
図4に示すように、画素110aは、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136、容量素子140が配置される。また、画素110aには、これらの素子と接続されるゲート信号線142、データ信号線144、コモン配線146が配設される。
【0028】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、透明樹脂基板124は、第1センサ電極114及び第2センサ電極116が埋め込まれている。第1センサ電極114及び第2センサ電極116によってタッチセンサ108が形成される。この透明樹脂基板124の上に、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136、容量素子140、及び有機EL素子134が設けられる。第1センサ電極114及び第2センサ電極116と、駆動トランジ
スタ138、選択トランジスタ136、容量素子140、及び有機EL素子134との間には、シールド電極126が配置される。
【0029】
第2センサ電極116は、第1ゲート電極154と重なる領域に開口部119が設けられる。第2センサ電極116は、トランスミッタ電極(Tx電極)としてコモン駆動信号(Vcom)が印加される。第2センサ電極116と第1ゲート電極154との間には、第3透明樹脂層150cが介在しているのみであり、両者は比較的近接して配置される。この場合、第1ゲート電極154がフローティング状態であるとき、第2センサ電極116に駆動信号が印加されると、その駆動信号により発生する電界が第1ゲート電極154に作用して駆動トランジスタ138の動作が不安定になり、誤動作をするおそれがある。第2センサ電極116から第1ゲート電極154を遠ざけるために、第4透明樹脂層150cの膜厚は大きくすることが好ましい。例えば、第4透明樹脂層150cは、10μm以上、好ましくは15μm以上の膜厚で設けられる。さらに、第2センサ電極116は、開口部119が設けられていることが好ましい。第2センサ電極116に開口部119が設けられることで、第1ゲート電極154にコモン駆動信号(Vcom)が影響を及ぼさないようにすることができる。
【0030】
一方、選択トランジスタ136が配置される領域においては、第2センサ電極116が第1ゲート電極156を覆っていることが好ましい。第1ゲート電極156には、ゲート信号線142aから走査信号が印加される。走査信号は、選択トランジスタ136をオン状態にする電圧とオフ状態にする電圧の少なくとも2値の信号電圧が印加される。第2センサ電極116は、第1ゲート電極156と重ねて配置されることで、この信号電圧による電界を遮蔽する。このような構造により、第1センサ電極114に、第1ゲート電極156に印加される信号電圧が作用することを防止することができる。これにより、タッチセンサの動作が安定化され、誤動作を防ぐことができる。
【0031】
1-3-1.透明樹脂基板
透明樹脂基板124は、複数の透明樹脂層が積層された構造を有する。第1センサ電極114と第2センサ電極116とは、複数の透明樹脂層150に挟まれて設けられる。例えば、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、第1透明樹脂層150aと第2透明樹脂層150bとの間に、第1センサ電極114が設けられる。また、第2透明樹脂層150bと第3透明樹脂層150cとの間に第2センサ電極116が設けられる。このように、透明樹脂基板124を、複数の透明樹脂層150で形成することで、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を基板内に埋め込むことができる。
【0032】
透明樹脂基板124は、さらに、第3透明樹脂層150cの上面に設けられたシールド電極126を含む。シールド電極126は、画素110aの略全面に広がるように設けられる。なお、本実施形態において、シールド電極126は、駆動トランジスタ138と重なる領域に第1開口部152aが設けられ、選択トランジスタ136と重なる領域に第2開口部152bが設けられている。シールド電極126には一定の電位が与えられる。例えば、シールド電極126は接地電位が与えられる。シールド電極126に第1開口部152a、第2開口部152bが設けられることで、シールド電極126の電位がトランジスタのゲートに直接作用しないようにすることができる。
【0033】
シールド電極126は、透光性を有する。例えば、シールド電極126は、透明導電膜で形成される。透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)、酸化スズ
(SnO2)等の導電性を有する金属酸化物、窒化チタン(TiNx)窒酸化チタン(TiON)等の金属窒化物又は金属酸窒化物等の導電性透明導電膜、ポリアニリン、グラフェン等の導電性を有する有機物が用いられる。また、シールド電極126は、アルミニウ
ム、チタン、銅等の金属材料で形成され、画素の配置に合わせて光が透過するように開口部が設けられた構造を有していてもよい。
【0034】
シールド電極126の上には第4透明樹脂層150dが設けられる。透明樹脂基板124は、第4透明樹脂層150dにより絶縁表面が形成される。第4透明樹脂層150dは、上層側に画素110aを構成するトランジスタ等の素子が設けられるため、表面が平坦化されていることが好ましい。
【0035】
透明樹脂基板124は、樹脂材料で形成されていることにより可撓性を有する。樹脂材料としては、透明ポリイミド樹脂、透明ポリエチレンナフタレート樹脂、透明パラ系ポリアミド樹脂等を用いることができる。透明ポリイミド樹脂、透明ポリエチレンナフタレート樹脂は、ガラス基板に比べてガスバリア性が劣るため、さらに、窒化シリコン膜等で形成されるガスバリア膜が設けられていてもよい。一方、透明パラ系ポリアミド樹脂は、透明性、耐熱性、ガスバリア性を有するので、透明樹脂層150として好適に用いることができる。第1透明樹脂層150a、第2透明樹脂層150b、第3透明樹脂層150c、及び第4透明樹脂層150dのそれぞれは、同じ樹脂材料で形成されていてもよいし、少なくとも一部の層又は全部の層が異なる樹脂材料で形成されていてもよい。透明樹脂基板124は、複数の透明樹脂層が積層されていることで、内部にタッチセンサの電極を設けることができる。
【0036】
透明樹脂基板124は、150℃~400℃の耐熱性を有していることが好ましい。例えば、画素110aを作製するときの最高プロセス温度(加熱温度)が250℃以下であるときは、樹脂材料としてパラ系ポリアミド樹脂を用いることができる。パラ系ポリアミド樹脂を用いることで、透明樹脂基板124は、ガスバリア性を高めることができる。一方、画素110aを作製するときの最高プロセス温度(加熱温度)が250℃以上であるときは、耐熱性の観点から透明ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
【0037】
また、ナノセルロースファイバ(CNF)が透明ポリイミド樹脂、透明パラ系ポリアミド樹脂に混合されていてもよい。ナノセルロースファイバ(CNF)が透明ポリイミド樹脂、透明パラ系ポリアミド樹脂に混合されることで、剛性が向上し、収縮が抑制されて寸法の安定性が向上するという利点を有する。このような利点を享受するために、第1透明樹脂層150a、第2透明樹脂層150b、第3透明樹脂層150c、及び第4透明樹脂層150dのいずれかにナノセルロースファイバ(CNF)が混合されていてもよい。ナノセルロースファイバ(CNF)の混合比率は1重量%~10重量%であることが好ましい。
【0038】
第1透明樹脂層150a、第2透明樹脂層150b、第3透明樹脂層150c、及び第4透明樹脂層150dは、透明樹脂基板124の形状を維持する構造体としての機能と、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を埋設する平坦化膜としての機能とを実現するために、3μm~10μmの厚さを有していることが好ましい。
【0039】
このように、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置100は、透明樹脂基板124にタッチセンサ108の電極が埋め込まれていることにより、薄型化、軽量化を図ることができる。
【0040】
図6は、タッチセンサ108を構成する第1センサ電極114及び第2センサ電極116の配置を平面図で示す。第1センサ電極114は、
図6に示すY方向に延びる平板状(帯状)の導電パターンで形成される。第2センサ電極116は、
図6に示すX方向に延びる平板状(帯状)の導電パターンで形成される。第1センサ電極114はX方向に複数個配列され、第2センサ電極116はY方向に複数個配列される。複数の第1センサ電極1
14と複数の第2センサ電極116とは第2透明樹脂層150bを挟んで交差して配置される。第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、画素110aで発光する光の出射面側に配置されるため、透明導電膜で形成される。第1センサ電極114と第2センサ電極116とは、第2透明樹脂層150bを介して設けられる。第2透明樹脂層150bは誘電体膜として作用し、第1センサ電極114と第2センサ電極116との間に静電容量が形成される。
【0041】
第1センサ電極114は、検出信号(Vdet)が与えられてレシーバ電極(Rx電極)として用いられ、第2センサ電極116は、コモン駆動信号(Vcom)が与えられてトランスミッタ電極(Tx電極)として用いられる。透明樹脂基板124には、第1センサ電極114と第2センサ電極116とでタッチセンサ108が形成される。タッチセンサ108は、人間の指等が接触又は近接すると静電容量が変化する。透明樹脂基板124には、この特性を利用したタッチセンサ108が形成される。
【0042】
第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、表示部102の一部又は全部に亘って配置される。第1センサ電極114及び第2センサ電極116は透光性を有する。例えば、第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、透明導電膜で形成される。透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)等の導電性を有する金属酸化物、窒化チタン(TiNx)、窒酸化チタン(TiON)等の金属窒化物又は金属酸窒化物等の導電性透明導電膜、ポリアニリン、グラフェン等の導電性を有する有機物が用いられる。また、第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、アルミニウム、チタン、銅等の金属材料で形成され、画素110aの配置に合わせて光が透過するように開口部が設けられた構造を有していてもよい。
【0043】
第1センサ電極114及び第2センサ電極116の本数は任意である。第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、例えば、人間の指先の接触範囲を識別できればよいので、画素110aの配列数に比べ遙かに少ない数で配設される。例えば、表示部102の面積(画面サイズ)が5インチである場合、表示部102の対角線の長さは125mmとなる。この場合、例えば、1080×1920個の画素が配列され得るが、これに対して第1センサ電極114は、12本(5mmピッチ、電極幅1.0mm~1.5mm)又は25本(2.5mmピッチ、電極幅0.5mm~0.7mm)で配置され得る。また、第2センサ電極116は、22本(5mmピッチ、電極幅4.9mm)又は45本(2.5mmピッチ、電極幅2.4mm)で配置され得る。
【0044】
1-3-2.回路素子の構造
図5(A)及び
図5(B)に示すように、透明樹脂基板124の上には、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136、容量素子140、及び有機EL素子134が設けられる。本実施形態において、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136は、デュアルゲート構造を有し、有機EL素子134は、陰極側から有機エレクトロルミネセンス層が積層された、所謂逆積み構造を有する。
【0045】
1-3-2-1.駆動トランジスタ
駆動トランジスタ138は、第1ゲート電極154、第1絶縁層158、第1酸化物半導体層162a、第2絶縁層164、第2ゲート電極166が積層された構造を有する。第1ゲート電極154は第1絶縁層158を介して第1酸化物半導体層162aと重なるように配置され、第2ゲート電極166は第2絶縁層164を介して第1酸化物半導体層162aと重なるように配置される。第1ゲート電極154、第2ゲート電極166、及び第1酸化物半導体層162aは、相互に重畳する領域を有する。駆動トランジスタ138は、第1酸化物半導体層162aが、第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166
と重なる領域にチャネルが形成される。第1ゲート電極154は、第1開口部152aの内側に配置され、第4透明樹脂層150dで埋め込まれている。第2ゲート電極166は、第2絶縁層164の上層(透明樹脂基板124と反対側の面)に配置される。
【0046】
第1透明導電層160a及び第2透明導電層160bは、第1絶縁層158と第1酸化物半導体層162aとの間に配置される。第1透明導電層160aと第2透明導電層160bは、平面視において第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166を両側から挟むように配置される。第1透明導電層160a及び第2透明導電層160bは、は、先端領域が第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166と重畳するように配置されていてもよい。第1透明導電層160a及び第2透明導電層160bは、第1酸化物半導体層162aと接するように設けられる。駆動トランジスタ138は、第1透明導電層160aが第1酸化物半導体層162aと接する領域がドレイン領域となり、第2透明導電層160bが第1酸化物半導体層162aと接する領域がソース領域となる。
【0047】
第1酸化物半導体層162aは、金属酸化物材料を用いて形成される。金属酸化物材料としては、四元系酸化物材料、三元系酸化物材料、二元系酸化物材料、および一元系酸化物材料が適用される。これらの金属酸化物材料は、アモルファスの形態であっても良く、結晶質の形態であっても良く、あるいはアモルファスと結晶質相の混合相の形態であっても良い。
【0048】
四元系酸化物材料として、In2O3-Ga2O3-SnO2-ZnO系酸化物材料、三元系酸化物材料としてIn2O3-Ga2O3-SnO2系酸化物材料、In2O3-Ga2O3-ZnO系酸化物材料、In2O3-SnO2-ZnO系酸化物材料、In2O3-Al2O3-ZnO系酸化物材料、Ga2O3-SnO2-ZnO系酸化物材料、Ga2O3-Al2O3-ZnO系酸化物材料、SnO2-Al2O3-ZnO系酸化物材料、二元系酸化物材料としてIn2O3-ZnO系酸化物材料、SnO2-ZnO系酸化物材料、Al2O3-ZnO系酸化物材料、MgO-ZnO系酸化物材料、SnO2-MgO系酸化物材料、In2O3-MgO系酸化物材料、一元系酸化物材料として、In2O3系金属酸化物材料、SnO2系金属酸化物材料、ZnO系金属酸化物材料等を用いることができる。また、上記酸化物半導体にシリコン(Si)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、チタン(Ti)が含まれていてもよい。なお、例えば、上記で示すIn-Ga-Zn-O系酸化物材料は、少なくともInとGaとZnを含む酸化物材料であり、その組成比に特に制限はない。また、他の表現をすれば、酸化物半導体層162は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、Mg、Ti、Ta、W、HfおよびSiから選ばれた一つ、または複数の金属元素を示す。なお、上記の四元系酸化物材料、三元系酸化物材料、二元系酸化物材料、一元系酸化物材料は、含まれる酸化物が化学量論的組成のものに限定されず、化学量論的組成からずれた組成を有する酸化物材料によって構成されてもよい。このような金属酸化物半導体材料は、3.0eV以上のバンドギャップを有し、可視光帯域の光に対して透明である。
【0049】
第1透明導電層160a及び第2透明導電層160bは、導電性を有する金属酸化物材料、金属窒化物材料又は金属酸窒化物材料を用いて作製される。金属酸化物材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、ニオブが添加された酸化チタン(TiNbOx)等を用いることができる。このような金属酸化物材料は、酸化物半導体層162と良好なオーミック接触を形成することができる。また、窒化チタン(TiNx)、酸窒化チタン(TiON)等の、透明性と導電性を有する金属窒化物及び金属酸窒化物を用いることもできる。
【0050】
図5(A)に示すように、駆動トランジスタ138は、第2コモン配線146bと電気的に接続される。第1酸化物半導体層162a及び第2透明導電層160bは、第3コモン配線146cが配置される領域に延ばされ、電気的に接続される。第1酸化物半導体層162aは第3コモン配線146cの上層側から接触し、第2透明導電層160bは第3コモン配線146cの下層側から接触する。第2コモン配線146bは、シールド電極126と接して設けられ、シールド電極126と同じ電位が与えられる。第3コモン配線146cは、第1絶縁層158及び第4透明樹脂層150dに設けられたコンタクトホール153aを介して第2コモン配線146bと電気的に接続される。
図4に示すように、平面的なレイアウトでは、第3コモン配線146cは、第2方向(
図4に示すY方向)に延びる第2コモン配線146bと電気的に接続される。第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、及び第3コモン配線146cは、チタン、アルミニウム、モリブデン、銅等の金属材料で形成される。
【0051】
第1絶縁層158は、例えば、第1ゲート電極154の側から、第1窒化シリコン膜174a、第1酸化シリコン膜176aが積層された構造を有する。第2絶縁層164は、例えば、第1酸化物半導体層162aの側から、第2酸化シリコン膜176b、第2窒化シリコン膜174bが積層された構造を有する。第1酸化物半導体層162aは、第1酸化シリコン膜176a、第2酸化シリコン膜176bと接して設けられる。第1酸化物半導体層162aは、酸化シリコン膜と接して設けられることで、酸素欠損の生成が抑制されることが期待される。第1酸化物半導体層162aのチャネル領域と接して設けられる第1酸化シリコン膜176a及び第2酸化シリコン膜176bは、酸素欠損が無いことが望ましく、酸素を過剰に含むことが好ましいとされる。酸素を過剰に含む第1酸化シリコン膜176a、及び第2酸化シリコン膜176bは、第1酸化物半導体層162aに対する酸素の供給源となり得る。酸素を過剰に含む酸化シリコン膜は、化学量論的組成に対し酸素を多く含むものを含む。酸素を過剰に含む酸化シリコン膜は、格子内に過剰な酸素が含まれていてもよい。なお、第1絶縁層158及び第2絶縁層164は、酸化シリコン膜に代えて、酸窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜が適用されてもよい。
【0052】
第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166は、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)等の金属材料を用いて作製される。アルミニウム合金としては、アルミニウム・ネオジム合金(Al-Nd)、アルミニウム・ネオジム・ニッケル合金(Al-Nd-Ni)、アルミニウム・カーボン・ニッケル合金(Al-C-Ni)、銅・ニッケル合金(Cu-Ni)等を適用することができる。例えば、第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166は、アルミニウム(Al)、モリブデン・タングステン(MoW)合金等の膜を用いて作製される。また、第1ゲート電極154は、シールド電極126と同じ透明導電膜で形成される第1ゲート電極層154aと、上記の金属膜で形成される第1ゲート電極層154bとで形成されていてもよい。
【0053】
駆動トランジスタ138は、平坦化層172によって覆われる。平坦化層172は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の有機樹脂材料によって形成される。平坦化層172は、製造段階において、有機樹脂材料の前駆体を含む組成物を塗布した際に、塗膜のレベリング作用により表面が平坦化される。平坦化層172は、また、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等の無機絶縁膜で形成されていてもよい。
【0054】
本実施形態に係る駆動トランジスタ138は、第1酸化物半導体層162aが2つのゲート電極(第1ゲート電極154、第2ゲート電極166)で挟まれたデュアルゲート構造を有している。第1ゲート電極154と第2ゲート電極166とは、電気的に接続され同電位とされていることが好ましい。これによって、駆動トランジスタ138は電流駆動
能力が向上し、有機EL素子134を駆動するために十分な電流を供給することができる。例えば、駆動トランジスタ138は、有機EL素子134の動作点が変動したとしても、動作点の変動に応じて定電流駆動をすることができる。
【0055】
1-3-2-2.選択トランジスタ
選択トランジスタ136は、第1ゲート電極156、第1絶縁層158、第2酸化物半導体層162b、第2絶縁層164、第2ゲート電極168が積層された構造を有する。選択トランジスタ136は、第2酸化物半導体層162bが、第1ゲート電極156及び第2ゲート電極168と重畳する領域にチャネルが形成される。第1ゲート電極156は、シールド電極126の第2開口部152bの内側に配置される。第1ゲート電極156は、第2開口部152bの内側において、シールド電極126と同じ透明導電膜で形成される第1ゲート電極層156aと金属膜で形成される第1ゲート電極層156bとが積層された構造を有していてもよい。第1絶縁層158と第2酸化物半導体層162bとの間に、第3透明導電層160c及び第4透明導電層160dが設けられる。第3透明導電層160c及び第4透明導電層160dは、第2酸化物半導体層162bと接して設けられることで、ソース領域、ドレイン領域として機能する。第3透明導電層160cと第4透明導電層160dとは、平面視において第1ゲート電極156及び第2ゲート電極168を両側から挟むように設けられる。
【0056】
第3透明導電層160cは、データ信号線144と電気的に接続される。データ信号線144は、第3透明導電層160cの上面と直接接している。第2酸化物半導体層162bは、データ信号線144が配設される領域まで延ばされ、データ信号線144を覆うように設けられる。データ信号線144は、第3透明導電層160cと直接接触することで、コンタクトホールを介して接続される場合と比べて接触面積が増大し、接触抵抗が低減される。また、データ信号線144は、上面及び側面が第2酸化物半導体層162bで覆われることで、製造工程において酸化性雰囲気及び還元性雰囲気に晒されないこととなる。そのためデータ信号線144は、表面の高抵抗化を抑制することが可能となる。
【0057】
第4透明導電層160dは、ドレイン電極169と電気的に接続される。第2酸化物半導体層162bは、第4透明導電層160dの上面に配設され、ドレイン電極169を覆うように設けられる。ドレイン電極169は駆動トランジスタ138の第2ゲート電極166と電気的に接続される。選択トランジスタ136は、第1酸化物半導体層162bが第1ゲート電極156と第2ゲート電極168とで挟まれたデュアルゲート構造を有する。これにより、選択トランジスタ136は、スイッチング特性が向上し、またオフ電流を低減することが可能となる。
【0058】
1-3-2-3.容量素子
図5(B)に示すように、容量素子140は、第1容量電極170a、第1絶縁層158、第2容量電極170bが積層された構造を有する。第1容量電極170aは、第4透明導電層160d及び第2酸化物半導体層162bが、ドレイン電極169の外側に延長された領域に形成される。第1容量電極170aは、第4透明導電層160d及び第2酸化物半導体層162bが積層された構造を有する。第1容量電極170aは、選択トランジスタ136のドレインと電気的に接続される。第2容量電極170bは、第2ゲート電極168と同じ層に形成され、第1絶縁層158及び第4透明樹脂層150dに設けられたコンタクトホール153bを介して第1コモン配線146aと電気的に接続される。
【0059】
1-3-2-4.有機EL素子
図5(A)に示すように、有機EL素子134は、透明樹脂基板124の側から、陰極に相当する第1電極180、電子輸送層182、電子注入層184、発光層186、正孔輸送層188、正孔注入層190、陽極に相当する第2電極192が積層された構造を有
する。
【0060】
有機EL素子134が形成される領域には、平坦化層172と第2絶縁層164に、開口部178が設けられる。開口部178に重ねて有機EL素子134の陰極である第1電極180が配置される。また、開口部178は、第1電極180の上に配置された電子輸送層182の上面を露出させている。電子輸送層182の上には、開口部178の配置に合わせて電子注入層184、発光層186、正孔輸送層188、正孔注入層190、陽極としての第2電極192が積層される。これらの積層体と、第1電極180とが重なる領域が有機EL素子134の発光領域となる。以下、有機EL素子134を構成する各層を詳細に説明する。
【0061】
1-3-2-4-1.陰極
陰極に相当する第1電極180は透明導電膜で形成される。具体的には、第1透明導電層160aが有機EL素子134の領域まで延長され、第1電極180が形成される。第1透明導電層160aと第1電極180とが連続する透明導電膜で形成されることによって、駆動トランジスタ138と有機EL素子134との電気的な接続が形成される。有機EL素子134と駆動トランジスタ138とはコンタクトホールを介さずに直接的に接続される。このような構造によって、画素110aの構造が簡略化される。
【0062】
陰極として機能する第1電極180は、第1透明導電層160aと同じ導電膜で形成される。第1透明導電層160aは、導電性を有する金属酸化物材料、金属窒化物材料、金属酸窒化物材料で形成される。これらの材料による導電膜は、バンドギャップが2.8eV以上、好ましくは3.0eV以上を有するので、可視光帯域の光はほぼ透過する。そのため、有機EL素子134の光出射面側の電極として用いることができる。
【0063】
第1電極180の上層には、駆動トランジスタ138から延びる第1酸化物半導体層162aが設けられていてもよい。第1酸化物半導体層162aは、バンドギャップが3.0eV以上であるので、可視光に対して透光性を有する。また、後述されるように、電子輸送層182は金属酸化物で形成される。そのため、電子輸送層182と同一又は同種の材料である第1酸化物半導体層162aが、陰極に相当する第1電極180との間に介在することで、電子注入障壁が形成されないようにすることができる。別言すれば、駆動トランジスタ138のチャネル領域から延伸する第1酸化物半導体層162aを、第1電極180と接する電子輸送層182の一部として用いることができる。
【0064】
1-3-2-4-2.電子輸送層
電子輸送層182は、金属酸化物材料を用いて形成される。金属酸化物材料としては、酸化物半導体層162と同様の、四元系酸化物材料、三元系酸化物材料、二元系酸化物材料、および一元系酸化物材料を適用することができる。これらの金属酸化物材料は、アモルファスの形態であっても良く、結晶質の形態であっても良く、あるいはアモルファスと結晶質相の混合相の形態であっても良い。
【0065】
例えば、電子輸送層182は、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、ガリウム(Ga)酸化物、スズ(Sn)酸化物、マグネシウム(Mg)酸化物、シリコン(Si)酸化物、ハフニウム(Hf)酸化物、タンタル(Ta)酸化物、ニオブ(Nb)酸化物から選ばれた一種又は複数種を含んで形成される。これらの金属酸化物材料はバンドギャップが3.0eV以上であり、可視光に対して透光性を有する。電子輸送層182は、50nm~1000nmの膜厚で形成することが好ましい。電子輸送層182は、可能な限り膜厚を大きくすることで、第1電極180と第2電極192との短絡を防止する効果が増大する。電子輸送層182は、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法等により作成される。
【0066】
なお、電子輸送層182のキャリア濃度は、第1酸化物半導体層162aのキャリア濃度の10分の1以下、好ましくは100分の1以下であることが好ましい。別言すれば、第1酸化物半導体層162aが電子輸送層182と接する領域におけるキャリア濃度は、電子輸送層182のキャリア濃度に対して10倍以上、好ましくは100倍以上であることが好ましい。具体的には、電子輸送層182のキャリア濃度が1013/cm3~1017/cm3であるのに対し、第1酸化物半導体層162aのキャリア濃度は1015/cm3~1019/cm3の範囲にあり、双方のキャリア濃度の差は上述のように1桁以上、好ましくは2桁以上差があることが好ましい。第1酸化物半導体層162aは、キャリア濃度が1015/cm3~1019/cm3の範囲にあることで、駆動トランジスタ138と有機EL素子134との電気的な接続において抵抗損失を低減し、駆動電圧の上昇を抑えることができる。電子輸送層182は、キャリア濃度が1020/cm3以上となると、発光層186における励起状態が失活して発光効率を低下させてしまう。一方、電子輸送層182のキャリア濃度が1013/cm3以下であると、発光層186に供給されるキャリアが低減し十分な輝度を得ることができない。このように、駆動トランジスタ138から延在する第1酸化物半導体層162aを電子輸送層182と接して設けると共に、双方のキャリア濃度を異ならせることで、駆動電圧の上昇を防ぎ、有機EL素子134の発光効率を高めることができる。
【0067】
電子輸送層182のキャリア濃度は、酸化物半導体膜中の酸素欠損の濃度を制御することにより制御することができる。酸化物半導体膜中の酸素欠損はドナーとして作用する。酸化物半導体膜中の酸素欠損の密度を増加させるとキャリア濃度が増加し、酸素欠損の密度を低下させるとキャリア濃度が低下する。酸化物半導体中の酸素欠損は、例えば、水素を作用させることにより増加させることができ、酸素を供給することにより減少させることができる。
【0068】
1-3-2-4-3.電子注入層
有機EL素子において、電子注入層は、陰極から電子輸送層へ電子を注入するためのエネルギー障壁を小さくするために用いられる。電子注入層184は、酸化物半導体で形成される電子輸送層182から発光層186へ電子が注入されやすくするために設けられていることが好ましい。このため、有機EL素子134において、電子注入層184は、電子輸送層182と発光層186との間に設けられる。
【0069】
電子注入層184は、発光層186に電子を注入するために、仕事関数が小さな材料であることが望ましい。電子注入層184は、カルシウム(Ca)酸化物、アルミニウム(Al)酸化物を含んで構成される。電子注入層184としては、例えば、C12A7(12CaO・7Al2O3)エレクトライドを用いることが好ましい。C12A7エレクトライドは半導体特性を有し、高抵抗から低抵抗まで制御することが可能であり、仕事関数も2.4eV~3.2eVとアルカリ金属と同程度であるので、電子注入層184として好適に用いることができる。
【0070】
C12A7エレクトライドで形成される電子注入層184は、C12A7エレクトライドの多結晶体をターゲットとしてスパッタリング法で作製される。C12A7エレクトライドは半導体特性を有するので、電子注入層184の膜厚は1nm~100nmであることが好ましい。電子注入層184の膜厚がこの範囲より小さいと、発光層186との間でエネルギー障壁の小さい界面を形成することができず、膜厚がこの範囲より大きいと、抵抗値が高くなり駆動電圧が増加してしまう。なお、C12A7エレクトライドは、Ca:Alのモル比が13:13~11:16の範囲にあることが好ましい。また、C12A7エレクトライドは、スパッタリング法で成膜されるため非晶質であることが好ましく、結晶性を有するものであってもよい。
【0071】
C12A7エレクトライドは、大気中で安定であるので、従来から電子注入層として用いられているフッ化リチウム(LiF)、酸化リチウム(Li2O)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)等のアルカリ金属化合物と比較して取り扱いが簡便であるという利点を有する。これにより、有機EL素子の製造工程において、乾燥空気又は不活性気体中で作業をする必要がなくなり、製造条件の制限が緩和されることとなる。
【0072】
また、C12A7エレクトライドは、イオン化ポテンシャルが大きいため、発光層186を挟んで正孔輸送層188と反対側に配置することで、正孔ブロック層として用いることができる。すなわち、電子輸送層182と発光層186との間に、C12A7エレクトライドで形成される電子注入層184を設けることで、発光層186に注入された正孔が陰極である第1電極180の側に突き抜けることを抑制し、発光効率を高めることができる。
【0073】
1-3-2-4-4.発光層
発光層186としては種々の材料が適用可能である。例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物、燐光を発光する燐光性化合物が、発光層186を形成する材料として用いられる。例えば、赤色に対応する発光層及び緑色に対応する発光層が燐光性化合物で形成され、青色に対応する発光層が蛍光性化合物で形成されてもよい。発光層186を白色発光層とするには、青色発光層と黄色発光層が積層された構造を有していてもよい。発光層186は、蒸着法、転写法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビア印刷法等により作製することができる。発光層186の膜厚は適宜選択されればよいが、例えば、10nm~100nmの範囲で設けられる。
【0074】
1-3-2-4-5.正孔輸送層
正孔輸送層188は、正孔輸送性を有する材料を用いて形成される。正孔輸送層188は、例えば、アリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、およびフルオレン誘導体を含むアミン化合物等であっても良い。正孔輸送層188は、真空蒸着法、塗布法等によって作製される。正孔輸送層188は、このような成膜方法により、10nm~500nmの膜厚で作製される。なお、正孔輸送層188は省略されてもよい。
【0075】
1-3-2-4-6.正孔注入層
正孔注入層190は、有機層に対して正孔注入性の高い物質を含む。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボンニトリル(HAT-(CN)6)等の材料を用いることもできる。このような正孔注入層190は、真空蒸着法、塗布法等の成膜方法によって作製される。正孔注入層190は、このような成膜方法により、1nm~100nmの膜厚で作製される。
【0076】
1-3-2-4-7.陽極
陽極に相当する第2電極192としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物で作製される。第2電極192は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が用いられる。これらの導電性金属酸化物材料が用いられる陽極に相当する第2電極192は、真空蒸着法、スパッタリング法により作製される。有機EL素子134はボトムエミッション型であるため、陽極に相当する第2電極192は光反射性を有しているか、光反射面を有していることが好ましい。酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の導電性金属酸化物の被膜は透光性を有するので、正孔注入層190と反対側の面に、アルミニウム(Al)、銀(Ag)等の金属膜が積層されていてもよい。なお、
図4、
図5(A)及び
図5(B)では省略され
ているが、第2電極192の上層には、酸素(O
2)や水分(H
2O)の透過を遮断するパッシベーション層が設けられていてもよい。
【0077】
このように、本実施形態に係る画素110aは、nチャネル型の導電性を示す駆動トランジスタ138と有機EL素子134とが電気的に接続された構造を有する。有機EL素子134は、ボトムエミッション型であり、シールド電極126の側に光を出射する。有機EL素子134は、下層側に配置される電子輸送層及び電子注入層が無機絶縁材料で形成されるので、特性劣化が抑制され、有機EL素子134の特性の安定化を図ることができる。
【0078】
1-4.タッチセンサの構成
図6を参照して説明したように、第1センサ電極114及び第2センサ電極116はマトリクスを形成するように交差して配置される。
図7は、表示部102に重ねて配置されるタッチセンサ108と駆動回路112の構成を示す。
【0079】
図7は、第1センサ電極114及び第2センサ電極116が配置されたタッチセンサ108と、タッチセンサ108の外側の領域に配置された第1駆動回路112a、第2駆動回路112b、第3駆動回路112cを示す。第1駆動回路112aは表示部102に配置される走査信号線を順次選択し走査信号を出力する機能を有する。第3駆動回路112cは、タッチセンサのスキャン回路であり、第2センサ電極116を順次選択してコモン駆動信号(Vcom)を順次出力する機能を有する。第1駆動回路112a、第3駆動回路112cは、シフトレジスタ等の順序論理回路(Sequential Logic)を含んで構成される。
【0080】
一方、第2駆動回路112bは、異なる機能を有する回路ブロックを含む。回路ブロックとしては、タッチセンサセンシング回路ブロック117a、タッチセンサスキャン回路ブロック117b、走査信号線駆動回路ブロック117c、及び映像信号線駆動回路ブロック117dを含む。これらの回路ブロック117を含む第2駆動回路112bは、一つの半導体チップ(集積回路)で実現されていることが好ましい。
図7は、これら複数の回路ブロックを含む第2駆動回路112bが一つのベアチップで実現され、フレキシブルプリント配線基板122にCOF(Chip on Film)で実装されている態様を示す。このように、複数の機能を一つの半導体チップに集積することで、実装にかかるコストを削減することができる。
【0081】
第2駆動回路112bにおいて、タッチセンサセンシング回路ブロック117aは、第1センサ電極114と接続される。タッチセンサセンシング回路ブロック117aは、第1センサ電極114に、検知信号(Vdet)を順次出力する機能を有する。タッチセンサスキャン回路ブロック117bは、第3駆動回路112cに、タイミング信号とコモン駆動信号(Vcom)を出力する機能を有する。走査信号線駆動回路ブロック117cは、第1駆動回路112aに映像信号に同期するタイミング信号を出力する機能を有する。映像信号線駆動回路ブロック117dは、表示部102に配設される映像信号線と接続され、映像信号線に映像信号を出力する機能を有する。
【0082】
図8は、表示部102の両側に、第1駆動回路112a、第3駆動回路112cが配置される態様を示す。この回路配置によれば、表示部102に配設される走査信号線(図示せず)は、両側から同一の走査信号が印加され、第2センサ電極116は、両側から同一のコモン駆動信号(Vcom)が印加される。このような回路配置により、走査信号線、第2センサ電極116の負荷容量が大きい場合でも、走査信号線及び第2センサ電極116を高速で駆動することが可能となる。第2駆動回路112bは、タッチセンサセンシング回路ブロック117a、タッチセンサスキャン回路ブロック117b、走査信号線駆動
回路ブロック117c、及び映像信号線駆動回路ブロック117dが、一つの半導体チップ(集積回路)に統合されている。これにより、各回路ブロックを個別の半導体チップ(集積回路)で実装する場合に比べ、半導体チップ(集積回路)のフレキシブルプリント配線基板122への実装工程を削減することができる。
【0083】
一方、タッチセンサ制御用の半導体チップ(集積回路)と、表示部102を駆動する半導体チップ(集積回路)とが、それぞれ個別の半導体チップで実現されている場合、2つの半導体チップをそれぞれ実装する必要がある。そうすると、同じ実装工程が2回繰り返されることなり、生産性を低下させる要因となる。これに対し、本実施形態によれば、実装工程を1回で済ませることが可能となる。これにより、製造歩留まりを向上させることができ、製造コストを削減することができる。
【0084】
なお、
図7では、第2駆動回路112bが一つの半導体チップで実現される例を示すが、本発明はこのような態様に限定されず、各回路ブロックの機能が、個別の半導体チップで実現されていてもよい。
【0085】
図9は、タッチ検出機能付き表示装置100の断面模式構造を示す。タッチ検出機能付き表示装置100は、第1センサ電極114、第2センサ電極116、及びシールド電極126を含む透明樹脂基板124と、この透明樹脂基板124の上に設けられた、端子部106、回路素子層149、有機EL素子134、及び封止層128を示す。回路素子層149は、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136、及び容量素子140等の回路素子を含む層である。
【0086】
端子部106において、端子電極118a、118bは、回路素子層149と同じ層に形成される。すなわち、端子電極118a、118bは第4透明樹脂層150dの上に設けられる。この場合、第1センサ電極114は、第4透明樹脂層150d、第3透明樹脂層150c、及び第2透明樹脂層150bを貫通するコンタクトホールにより端子電極118bと接続され、第2センサ電極116は、第4透明樹脂層150d、及び第3透明樹脂層150cを貫通するコンタクトホールにより端子電極118aと接続される。端子電極118a、118bは、第2駆動回路112bが実装されたフレキシブルプリント配線基板122と電気的に接続される。このように、深さの異なるコンタクトホールにより、同一層に設けられた端子電極と、センサ電極とを接続することにより、端子部106の高密度化を図ることができる。
【0087】
1-5.表示装置の作製方法
本発明の一実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の製造方法の一例を、図面を参照して説明する。以下においては、
図5に示す画素110aに対応する構造を参照して、本実施形態に係る製造方法を説明する。
【0088】
図10は、透明樹脂基板124を作製する段階を示す。本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の作製に当たっては、支持基板200が用いられる。支持基板200としては、第1面と、第1面と反対側の第2面を有する板状のガラス基板を用いることができる。ガラス基板としては、耐熱性が高いことが望ましく、例えば、歪点が500℃以上、好ましくは550℃以上の無アルカリガラス基板を用いることが好ましい。
【0089】
支持基板200の第1面に、第1透明樹脂層150aが形成される。第1透明樹脂層150aは、絶縁性を有する樹脂材料が用いて作製される。樹脂材料としては、透明ポリイミド樹脂、透明ポリエチレンナフタレート樹脂、透明パラ系ポリアミド樹脂等が用いられる。透明ポリイミド樹脂を用いる場合には、例えば、ジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下で重合し、ポリイミド前駆体樹脂とした後、これを支持基板200の第1面に塗布し、
熱処理によりイミド化することにより第1透明樹脂層150aが作製される。透明パラ系ポリアミド樹脂を用いる場合には、共重合により有機溶剤への溶解性を改良したものを支持基板200の第1面に塗布し、熱処理により溶剤を蒸発させて硬化することで第1透明樹脂層150aが作製される。第1透明樹脂層150aは、3μm~30μmの厚みで形成される。
【0090】
第1透明樹脂層150a上に、第1センサ電極114が形成される。第1センサ電極114は、透明導電膜を用いて作製される。透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO
2)、ニオブが添加された酸化チタン(TiNbO
x)等の導電性を有する金属酸化物、窒化チタン(TiN
x)、窒酸化チタン(TiON)等の金属窒化物又は金属酸窒化物等の導電性透明導電膜、銀(Ag)ナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、ポリアニリン、グラフェン、カーボンナノチューブ等の導電性を有する有機材料が用いられる。第1センサ電極114は、第1透明樹脂層150aの第1面の全面に透明導電膜を形成した後、リソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、エッチングを行って作製される。第1透明樹脂層150a上に形成された透明導電膜は、例えば、
図6に示すような平板状(帯状)のパターンで形成される。また、第1センサ電極114は、他の実施形態で示されるように金属膜で作製され、画素110aの配置に合わせて貫通孔が形成されたメッシュ状のパターンで形成されてもよい。第1センサ電極114は、50nm~1000nmの厚みで形成される。
【0091】
第1センサ電極114の上に、第2透明樹脂層150bが形成される。第2透明樹脂層150bは、第1透明樹脂層150aと同様にして作製される。第2透明樹脂層150bは、第1センサ電極114のパターンによる段差を埋め込み、表面が平坦になるように形成されることが好ましい。第2透明樹脂層150bの上に、第2センサ電極116が形成される。第2センサ電極116は、第1センサ電極114と同様に作製される。第2センサ電極116は、例えば、
図6に示すように、平板状(帯状)のパターンを有するように形成される。また、第2センサ電極116には、駆動トランジスタ138の第1ゲート電極154の配置に合わせて開口部119が形成される。第2センサ電極116の上には、第3透明樹脂層150cが形成される。第3透明樹脂層150cは、第1透明樹脂層150aと同様にして作製される。第3透明樹脂層150cは、第2センサ電極116のパターンによる段差を埋め込み、表面が平坦になるように形成されることが好ましい。
【0092】
図11は、第3透明樹脂層150cの上にシールド電極126及び第4透明樹脂層150dを形成する段階を示す。シールド電極126は、第3透明樹脂層150cの略全面に形成される。シールド電極126は、透明導電膜を用いて作製される。透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO
2)、ニオブが添加された酸化チタン(TiNbO
x)等の導電性を有する金属酸化物の被膜を、スパッタリング法により作製する。シールド電極126の膜厚は50nm~500nm程度であればよい。また、シールド電極126を、銀(Ag)ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェンで形成する場合には、銀(Ag)ナノワイヤ分散液、カーボンナノチューブ分散液、グラフェン分散液を用い溶液塗布法で作製することができる。
【0093】
シールド電極126には、駆動トランジスタ138の第1ゲート電極154の配置に合わせて第1開口部152aが形成され、選択トランジスタ136の第1ゲート電極156の配置に合わせて第2開口部152bが形成される。シールド電極126の上には、コモン配線146が形成される。コモン配線146は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の金属膜で形成される。
【0094】
第1開口部152aの内側には、第1ゲート電極154が形成される。第1ゲート電極
154は、シールド電極126と同じ透明導電膜で形成される第1ゲート電極層154aと、コモン配線146と同じ金属膜で形成される第1ゲート電極層154bとが積層された構造で形成される。第2開口部152bの内側には、第1ゲート電極156が形成される。第1ゲート電極156の構造は、第1ゲート電極154と同様である。第1ゲート電極154、156を、シールド電極126及びコモン配線146と同じ導電層で作製することで、構造及び工程の簡略化を図ることができる。なお、シールド電極126における開口部152、コモン配線146、及び第1ゲート電極154、156の作製は、多階調露光法を用いて行われる。この工程の詳細を、
図12(A)~(E)を参照して説明する。
【0095】
図12(A)~(E)は、駆動トランジスタ138が配置される領域の断面構造を示し(
図11(A)の断面図に対応)、シールド電極126、第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、及び第1ゲート電極154を形成するリソグラフィ工程を示す。なお、
図12(A)~(E)は第3透明樹脂層150cより下の構造が省略されている。
【0096】
図12(A)は、第3透明樹脂層150cの上に透明導電膜130及び金属膜132が形成され、さらに金属膜132の上に形成されたフォトレジスト膜304が露光される段階を示す。この工程においては、多階調露光法(ハーフトーン露光法)が適用され、1枚のフォトマスクにより、
図12(E)に示すように、シールド電極126に第1開口部152a、第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、及び第1ゲート電極154(第1ゲート電極層154a、第1ゲート電極層154bを含む)が形成される。以下、
図12(A)から
図12(E)までを、工程順に説明する。
【0097】
図12(A)において、フォトレジスト膜304は、ポジ型であり、現像により非感光領域が残り、感光した領域が除去される。フォトレジスト膜304の露光には多階調マスク300を用いる。多階調マスク300には、多階調マスクパターン302が設けられている。多階調マスクには、一般に、露光機の解像度以下のスリットを設け、そのスリット部が光の一部を遮って中間露光を実現するグレイトーンマスクと、半透過膜を利用して中間露光を実現するハーフトーンマスクが知られるが、本実施形態においてはハーフトーンマスクを使用している。多階調マスクパターン302は、露光領域、中間露光領域、未露光領域を含む。
図12(A)で示す例では、第1開口部152aに対応する領域が、第1ゲート電極154の形成領域を除き露光領域となり、シールド電極126に対応する領域が中間露光領域に対応し、第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、第1ゲート電極層154bに対応する領域が未露光領域に対応している。
【0098】
図12(B)は、フォトレジスト膜304が多階調マスク300を通して露光され、現像された段階を示す。フォトレジスト膜304を現像することにより、露光された光量に応じて厚さの異なる領域を含むレジストマスクパターン306aが形成される。
図12(B)では、ポジレジストで形成されるレジストマスクパターン306aが、第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、第1ゲート電極層154bが形成される領域に対応する部分の膜厚が厚くなり、シールド電極126が形成される領域に対応する部分の膜厚が薄くなるように形成された形態を示す。
【0099】
図12(C)は、金属膜132、透明導電膜130がエッチングされて、シールド電極126、第1開口部152a、及び第1ゲート電極層154aが形成された段階を示す。金属膜132が、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の金属である場合、CF
4等のフッ素系のエッチングガスを用いたドライエッチングで加工を行うことができ、透明導電膜130がITO等の金属酸化物である場合、BCl
3等の塩素系のエッチングガスを用いたドライエッチングで加工を行うことができる。透明導電膜130は、CF
4等のフッ素系エッチングガスではエッチングされにくい特性を有する。したがって、透明導電膜1
30上で、金属膜132を選択的にエッチングすることができる。このように、選択エッチングが可能な金属膜132と透明導電膜130を積層させることで、1枚の多階調マスク300によって複合的な形状を作製することができる。
【0100】
その後、
図12(D)に示すように、レジストマスクパターン306aを酸素プラズマ等で処理して、中間露光領域に対応する部分のレジストを除去し、レジストマスクパターン306bを形成する。そして、レジストマスクパターン306bを用いて金属膜132を選択的にエッチングすることにより、
図12(E)に示すようにシールド電極126の上に第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、が形成され、第1ゲート電極層154aの上に第1ゲート電極層154bが形成される。その後、レジストマスクパターン306bは、アッシング等により除去される。
【0101】
このようにして、1枚のフォトマスクと1回の露光で、第1開口部152aを有するシールド電極126、第1コモン配線146a、第2コモン配線146b、第1ゲート電極154(第1ゲート電極層154a、第1ゲート電極層154b)が形成される。なお、
図12(A)~(E)では示さないが、第2開口部152b、第1ゲート電極156(第1ゲート電極層156a、第1ゲート電極層156b)についても同様である。
【0102】
シールド電極126の上層には、第4透明樹脂層150dが形成される。第4透明樹脂層150dは、第1透明樹脂層150aと同様に作製される。第4透明樹脂層150dにより、透明樹脂基板124の上面は平坦化される。
【0103】
図13は、第1絶縁層158、透明導電層160、コモン配線146を形成する段階を示す。第1絶縁層158は、第4透明樹脂層150d側から、第1窒化シリコン膜174aと第1酸化シリコン膜176aとが積層される。第1窒化シリコン膜174aは、プラズマCVD法により、SiH
4、NH
3、N
2等のガスをソースガスとして用いて成膜される。第1酸化シリコン膜176aも同様に、プラズマCVD法により、SiH
4、N
2O、Si(OC
2H
5)
4(テトラエトキシシラン)、Si(OCH
3)
4(テトラメトキシシラン)等を適宜用いて成膜される。このような第1絶縁層158は、第4透明樹脂層150dの略全面を覆うように形成される。
【0104】
第1絶縁層158を形成した後、第2コモン配線146bを露出させるコンタクトホール153aを形成する。このコンタクトホール153aは、第1絶縁層158及び第4透明樹脂層150dを貫通する。
【0105】
第1絶縁層158の上に透明導電層160(第1透明導電層160a、第2透明導電層160b、第3透明導電層160c、第4透明導電層160d)、第1容量電極170a、データ信号線144、ドレイン電極169、及び第3コモン配線146cを形成する。透明導電層160及び第1容量電極170aは、金属酸化物材料を用いて作製される。金属酸化物材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、ニオブが添加された酸化チタン(TiNbOx)等が用いられる。データ信号線144、ドレイン電極169、及び第3コモン配線146cは、金属材料を用いて作成される。金属材料としては、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等が用いられる。例えば、これらの配線及び電極は、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)を主成分とするコアメタルの上層側及び下層側を、チタン(Ti)及びモリブデン(Mo)、銅(Cu)等の高融点金属で被覆した構造を有する。
【0106】
透明導電層160(第1透明導電層160a、第2透明導電層160b、第3透明導電層160c、第4透明導電層160d)、第1容量電極170a、及び第3コモン配線1
46cは、透明導電膜と金属膜を第1絶縁層158の上に形成した後、
図12で説明する例と同様に、多階調露光法を用いパターニングされる。この工程により、第2コモン配線146bと第3コモン配線146cとが、コンタクトホール153aが形成された領域で、第4透明樹脂層150dを介して電気的に接続される。また、第3透明導電層160cの上にデータ信号線144が形成され、第4透明導電層160dの上にドレイン電極169が形成される。
【0107】
図14は、酸化物半導体層162(第1酸化物半導体層162a、第2酸化物半導体層162b)を形成する段階を示す。第1酸化物半導体層162aは、第1透明導電層160a及び第2透明導電層160bの略全面を覆うように形成される。第2酸化物半導体層162bは、第3透明導電層160c及び第4透明導電層160dの略全面を覆うように形成される。第1酸化物半導体層162a及び第2酸化物半導体層162bは、酸化物半導体をターゲットとして用いスパッタリング法により酸化物半導体膜を作製した後、リソグラフィ工程を経て
図4に示すような島状のパターンに形成される。第1酸化物半導体層162aは、第1透明導電層160a及び第2透明導電層160bと接して形成され、第2酸化物半導体層162bは第3透明導電層160c及び第4透明導電層160dと接して形成されることで、電気的に接続された状態となる。
【0108】
図15は、酸化物半導体層162上に電子輸送層182、第2絶縁層164、第2ゲート電極166、168、及び第2容量電極170bを形成する段階を示す。
【0109】
図15(A)に示すように、第1酸化物半導体層162aの上に電子輸送層182が形成される。電子輸送層182は、第1酸化物半導体層162aの上面に接し、各画素に応じて孤立して設けられる。電子輸送層182は、第1透明導電層160aから連続する第1電極180と重なる領域に形成される。電子輸送層182は、第1酸化物半導体層162aと同様に、酸化物半導体を用いて作製される。電子輸送層182を形成する酸化物半導体材料と、第1酸化物半導体層162aを形成する酸化物半導体材料とを異なる材料で形成することで、第1酸化物半導体層162a上で電子輸送層182の選択加工が可能となる。すなわち、電子輸送層182を、第1酸化物半導体層162aに対してエッチング速度の速い酸化物半導体材料を用いて形成することで、電子輸送層182を選択的に加工することができる。この加工において、多階調フォトマスクを用いることで、第1酸化物半導体層162aと電子輸送層182とを1回の露光工程で同時に形成することが可能である。
【0110】
例えば、電子輸送層182は、スズ(Sn)を含有しない亜鉛(Zn)系の酸化物半導体層(ZnSiOx、ZnMgOx、ZnGaOx等)を用いて形成し、酸化物半導体層162は、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)等が含有されていないスズ(Sn)系の酸化物半導体層(InGaSnOx、InWSnOx、InSiSnOx等)を用いて形成することが好ましい。別言すれば、電子輸送層182は、酸化亜鉛と、酸化シリコン、酸化マグネシウム及び酸化ガリウムから選ばれた少なくとも一種とを含むことが好ましく、酸化物半導体層162は、酸化スズ及び酸化インジウムと、酸化ガリウム、酸化タングステン及び酸化シリコンから選ばれた少なくとも一種とを含むことが好ましい。これにより、双方の酸化物半導体層のエッチング速度を異ならせ、選択比が高くすることができる。すなわち、電子輸送層182のエッチング速度を酸化物半導体層162と比較して速くすることができる。また、酸化物半導体層162と電子輸送層182とのバンドギャップを最適化することができる。すなわち、酸化物半導体層162のバンドギャップに対し、電子輸送層182のバンドギャップを大きくすることができる。例えば、酸化物半導体層162のバンドギャップが3.0eV以上であるとすると、電子輸送層182のバンドギャップは酸化物半導体層162のバンドギャップ以上であって、かつ3.4eV以上が好ましい値となる。電子輸送層182のバンドギャップが3.4eV以上であれば、青色の
光を吸収しなくなり、信頼性を向上させることができる。また、酸化物半導体層162の膜厚は10nm~100nmとすることが好ましく、電子輸送層182の膜厚は50nm~500nmの膜厚であることが好ましい。酸化物半導体層162と電子輸送層182の膜厚をこのような範囲とすることで、透明導電性酸化物で形成される第1電極180にプラズモンが生じることを抑制することができ、有機EL素子134の発光効率を向上させることができる。
【0111】
酸化物半導体層162、電子輸送層182を覆うように、第2絶縁層164が形成される。第2絶縁層164は、例えば、酸化物半導体層162側から、第2酸化シリコン膜176b、第2窒化シリコン膜174bが積層される。これにより、酸化物半導体層162の下層側に第1酸化シリコン膜176a、上層側に第2酸化シリコン膜176bが形成される。酸化物半導体層162は、酸化物系の絶縁膜により挟まれることで、酸素欠損による欠陥(ドナー準位)が生成されることが抑制される。
【0112】
図15(B)に示すように、第2絶縁層164、第1絶縁層158、及び第4透明樹脂層150dを貫通し、第1コモン配線146aを露出させるコンタクトホール153bが形成される。また、第2絶縁層164、第1酸化物半導体層162aを貫通し、ドレイン電極169を露出させるコンタクトホール153cが形成される。
【0113】
その後、第2ゲート電極166、168、第2容量電極170bを形成する。第2ゲート電極166、168、第2容量電極170bは、第2絶縁層164の上面に形成された金属膜を、リソグラフィ工程を経てエッチング加工されることで形成される。第2ゲート電極166は、第1ゲート電極154と重なる領域を含むように形成され、第2ゲート電極168は、第1ゲート電極156と重なる領域を含むように形成される。これにより、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136が形成される。第2ゲート電極166は、コンタクトホール153cにより、ドレイン電極169と電気的に接続される。また、第2容量電極170bは、コンタクトホール153bを介して第1コモン配線146aと電気的に接続される。容量素子140は、第2絶縁層164を介して、第1容量電極170aと第2容量電極170bが重なる領域に設けられる。
【0114】
図16は、平坦化層172を形成し、電子輸送層182を露出させる開口部178を形成する段階を示す。平坦化層172は、選択トランジスタ136、駆動トランジスタ138及び容量素子140を埋設するように形成される。平坦化層172は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の有機樹脂材料によって形成される。平坦化層172は、電子輸送層182を露出させる開口部178が形成される。平坦化層172が感光性樹脂材料で形成される場合、開口部178は、フォトマスクを用いて露光処理をすることで形成される。また、第2絶縁層164には、平坦化層172を形成する前に、予め開口部178に相当する領域に開口部が形成されていてもよい。開口部178は、有機EL素子134を形成するために、内壁面がテーパー形状となるように形成されていることが好ましい。
【0115】
その後、電子注入層184、発光層186、正孔輸送層188、正孔注入層190、第2電極192を形成する。そして、透明樹脂基板124を支持基板200から剥離する。透明樹脂基板124は、支持基板200側からレーザ光を照射することで剥離される。すなわち、透明樹脂基板124と支持基板200との界面にアブレーションを生じさせ、第1透明樹脂層150aの付着力を弱めることで剥離を行う。
【0116】
以上の工程により、
図5(A)及び(B)に示す画素110aを有するタッチ検出機能付き表示装置が作製される。電子注入層184は、C12A7エレクトライドのスパッタリングターゲットを用い、スパッタリング法で作製することができる。スパッタリングは
、電子注入層184は、複数の画素間で共通して用いられるので、画素110aが配置される領域の略全面に形成される。発光層186は、赤色画素、緑色画素、青色画素に対応して、異なる発光材料を用いて形成される。発光層186から出射される光が白色発光スペクトルを有する場合には、各画素共通の層として画素110aが配置される領域の略全面に形成される。正孔輸送層188、正孔注入層190は、各画素に共通の層として、画素110aが配置される領域の略全面に形成される。また、第2電極192は画素間の共通電極として用いられるため、画素110aが配置される領域の略全面に形成される。
【0117】
なお、上記の工程において、
図17に示すように、支持基板200がマザーガラス基板(多面取り用基板)であり、製造工程において支持基板200上に複数の表示パネル101が作製されてもよい。この場合、透明樹脂層150が支持基板200の端部周辺を除く略全面に形成され、透明樹脂層150の領域内に複数の表示パネル101が形成される。そして、支持基板200上に作製された複数の表示パネル101は、個片化するために透明樹脂層150で形成される透明樹脂基板124は、分断領域202で分断される。透明樹脂基板124の分断はレーザ加工により行うことができる。
【0118】
この場合において、分断領域202には、透明導電膜で形成されるシールド電極126が形成されていないことが好ましい。また、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等の無機絶縁膜で形成される第1絶縁層158、第2絶縁層164も分断領域202に形成されていないことが好ましい。分断領域202に、無機材料で形成される透明導電膜が形成されていないことで、分断加工時にシールド電極126にダメージが及ばないようにすることができる。同様に、分断領域202に無機絶縁膜が形成されていないことで、第1絶縁層158、第2絶縁層164にダメージが与えられることを防止することができる。
【0119】
本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の製造方法によれば、多階調マスクを用いることで、製造に必要なフォトマスクの数を削減することが可能となる。多階調マスクを用いることで、1回の露光により複数のパターン(シールド電極126と第1ゲート電極154、156、第2透明導電層160bと第3コモン配線146c、第3透明導電層160cとデータ信号線144、第4透明導電層160dとドレイン電極169、酸化物半導体層162aと電子輸送層182)を作製することができる。これにより、タッチ検出機能付き表示装置の生産性を高め、製造コストを低減することができる。別言すれば、表示装置に埋め込み型のタッチセンサを構成する電極(第1センサ電極114、第2センサ電極116)を形成する場合であっても、製造に必要なフォトマスクの枚数を削減することができる。
【0120】
なお、本実施形態では、選択トランジスタ136及び駆動トランジスタ138が共にデュアルゲート型の構造である一例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、選択トランジスタ136は、第1ゲート電極156が省略されたトップゲート型のトランジスタを用いていてもよい。また、画素回路は
図3に例示する回路に限定されず、1画素に3つ以上のトランジスタを有する画素回路に、本実施形態に係るトランジスタ及び有機EL素子を適用することもできる。
【0121】
第2実施形態:
本実施形態は、画面のタッチを検知するタッチセンサ機能と画面に画像を表示する表示機能とを有するタッチ検出機能付き表示装置において、第1実施形態と異なる画素の構造について例示する。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0122】
図18は、本実施形態に係る画素110bの等価回路を示す。第1実施形態との相違は、選択トランジスタ136の第1ゲート電極156と、駆動トランジスタ138の第1ゲ
ート電極154とが、第1コモン配線146aと電気的に接続されている点にある。他の回路構成は、
図3に示す等価回路と同様である。
【0123】
図19は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素110bの平面構造の一例を示す。
図20(A)は、
図19に示すA3-A4線に対応する画素110bの断面構造を示す。
図20(B)は、
図19に示すB3-B4線に対応する画素110bの断面構造を示す。以下では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0124】
画素110bは、シールド電極126が全面に設けられている。シールド電極126は、駆動トランジスタ138及び選択トランジスタ136と重なるように設けられている。別言すれば、本実施形態に係る画素110bは、シールド電極126に開口部が設けられていない点で第1実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素110aと相違する。
【0125】
駆動トランジスタ138は、第2ゲート電極166と重なる領域に、光遮断電極155が設けられている。光遮断電極155は、シールド電極126と第4透明樹脂層150dとの間に配置され、シールド電極126と接して設けられている。光遮断電極155は、第1実施形態における第1ゲート電極層154bと同様に金属膜で形成される。シールド電極126が透明導電膜で形成されるのに対し、光遮断電極155が金属膜で形成されることにより、透明樹脂基板124側から入射する光が、駆動トランジスタ138のチャネル領域に入射することが防止される。これにより、駆動トランジスタ138のしきい値電圧の変動を抑制される。
【0126】
また、光遮断電極155は、シールド電極126と同じ電位が付与される。シールド電極126は、例えば、接地電位が付与されるので、光遮断電極155も同じ電位となる。駆動トランジスタ138は、チャネルが形成される第1酸化物半導体層162aの第2ゲート電極166とは反対側の面(バックチャネルとも呼ばれる。)に、第1絶縁層158を介して一定の電圧が付与される。駆動トランジスタ138は、バックチャネルの電位が安定化されるので、しきい値電圧の変動が抑制される。なお、本実施形態において、光遮断電極155は省略されていてもよい。
【0127】
選択トランジスタ136も、駆動トランジスタ138と同様に、光遮断電極157が配置される。そのため、選択トランジスタ136は、光遮断電極157によって遮光され、バックチャネルの電位の安定化が図られる。これにより、選択トランジスタ136のしきい値電圧の変動を抑制される。
【0128】
シールド電極126上の光遮断電極155、157は、第1実施形態と同様に、多階調露光法を用いてパターニングすることができる。すなわち、第1実施形態と同様に、フォトマスクの数を増やすことなく、光遮断電極155、157を設けることができる。
【0129】
本実施形態において、画素110bは、光遮断電極155、157の構成を除き、他の構成は第1実施形態における画素110aと同様の構成を有する。そのため、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0130】
第3実施形態:
本実施形態は、画面のタッチを検知するタッチセンサ機能と画面に画像を表示する表示機能とを有するタッチ検出機能付き表示装置において、第1実施形態と異なる画素の構造について例示する。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0131】
図21は、本実施形態に係る画素110cの等価回路を示す。第1実施形態との相違は、駆動トランジスタ138の第1ゲート電極154が、第1コモン配線146aと電気的に接続されている点にある。他の回路構成は、
図3に示す等価回路と同様である。
【0132】
図22は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素110cの平面構造の一例を示す。
図23(A)は、
図22に示すA5-A6線に対応する画素110cの断面構造を示す。
図23(B)は、
図22に示すB5-B6線に対応する画素110cの断面構造を示す。以下では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0133】
画素110cは、シールド電極126が駆動トランジスタ138を覆うように設けられている。一方、選択トランジスタ136が設けられる領域では、第2開口部152bが設けられている。駆動トランジスタ138は、第2ゲート電極166と重なる領域に、光遮断電極155が設けられている。光遮断電極155は、シールド電極126と第4透明樹脂層150dとの間に配置され、シールド電極126と接して設けられている。このような構造により、透明樹脂基板124側から入射する光が、駆動トランジスタ138のチャネル領域に入射することが防止される。これにより、駆動トランジスタ138のしきい値電圧の変動を抑制される。
【0134】
選択トランジスタ136は、第1酸化物半導体層162bが第1ゲート電極156と第2ゲート電極168とで挟まれたデュアルゲート構造を有する。これにより、選択トランジスタ136は、スイッチング特性が向上し、またオフ電流を低減することが可能となる。
【0135】
本実施形態において、画素110cは、シールド電極126と光遮断電極155の構成を除き、他の構成は第1実施形態における画素110aと同様の構成を有する。そのため、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0136】
第4実施形態:
本実施形態は、画面のタッチを検知するタッチセンサ機能と画面に画像を表示する表示機能とを有するタッチ検出機能付き表示装置において、第1実施形態と異なる画素の構造について例示する。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分について説明する。
【0137】
図24は、本実施形態に係る画素110dの等価回路を示す。第1実施形態との相違は、選択トランジスタ136の第1ゲート電極156が、第1コモン配線146aと電気的に接続されている点にある。他の回路構成は、
図3に示す等価回路と同様である。
【0138】
図25は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素110dの平面構造の一例を示す。
図26(A)は、
図25に示すA7-A8線に対応する画素110dの断面構造を示す。
図26(B)は、
図25に示すB7-B8線に対応する画素110dの断面構造を示す。以下では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0139】
画素110dは、シールド電極126が選択トランジスタ136を覆うように設けられている。一方、駆動トランジスタ138が設けられる領域では、第1開口部152aが設けられている。選択トランジスタ136は、第2ゲート電極168と重なる領域に、光遮断電極157が設けられている。光遮断電極157は、シールド電極126と第4透明樹脂層150dとの間に配置され、シールド電極126と接して設けられている。このような構造により、透明樹脂基板124側から入射する光が、選択トランジスタ136のチャネル領域に入射することが防止される。これにより、選択トランジスタ136のしきい値
電圧の変動を抑制される。
【0140】
一方、駆動トランジスタ138は、第1酸化物半導体層162aが第1ゲート電極154、第2ゲート電極166で挟まれたデュアルゲート構造を有している。第1ゲート電極154と第2ゲート電極166とは、電気的に接続され同電位とされているため、電流駆動能力が向上し、有機EL素子134を駆動するために十分な電流を供給することができる。
【0141】
本実施形態において、画素110dは、シールド電極126と光遮断電極157の構成を除き、他の構成は第1実施形態における画素110aと同様の構成を有する。そのため、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0142】
第5実施形態:
本実施形態は、駆動トランジスタ及び選択トランジスタの構造が、第1実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置と異なる態様を例示する。具体的には、駆動トランジスタ及び選択トランジスタが多結晶シリコン膜を用いて作製された例を示す。以下の説明においては、第1実施形態と同じ部分については説明を省略し、相違する部分を中心に説明をする。
【0143】
図27は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の、画素110eの平面構造の一例を示す。
図28(A)は、
図27に示すA9-A10線に対応する画素110eの断面構造を示す。
図28(B)は、
図27に示すB9-B10線に対応する画素110eの断面構造を示す。以下の説明では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0144】
図28(A)及び
図28(B)に示すように、有機EL素子134、駆動トランジスタ138、選択トランジスタ136、及び容量素子140は、透明樹脂基板124の上に配置される。透明樹脂基板124の構成は、第1実施形態と同様である。
【0145】
図27及び
図28(A)に示すように、駆動トランジスタ138は第1半導体層163aを含む。第1半導体層163aの材料は、テトラヘドラル系半導体であり、例えば多結晶シリコンが用いられる。第1半導体層163aの下層側には第1絶縁層158及び第4透明樹脂層150dを介して第1ゲート電極154が配置され、上層側には第2絶縁層164を介して第2ゲート電極166が配置される。第1ゲート電極154及び第2ゲート電極166の構成は、第1実施形態と同様である。第1半導体層163aは、価電子制御用の不純物元素が添加された不純物領域165a、165bを含む。駆動トランジスタ138は、不純物領域165aが第2コモン配線146bと接続され、不純物領域165bがドレイン電極169bと接続される。ドレイン電極169bは、有機EL素子134の第1電極180と電気的に接続される。第1電極180は透明導電膜で形成される。第2ゲート電極166と平坦化層172との間には、第3絶縁層171が設けられる。第2コモン配線146b、ドレイン電極169bは、第3絶縁層171と平坦化層172との間に設けられる。
【0146】
図27及び
図28(B)に示すように、選択トランジスタ136は第2半導体層163bを含む。第2半導体層163bも同様に、テトラヘドラル系半導体であり、例えば多結晶シリコンが用いられる。第2半導体層163bの下層側には第1絶縁層158及び第4透明樹脂層150dを介して第1ゲート電極156が配置され、上層側には第2絶縁層164を介して第2ゲート電極168が配置される。第2半導体層163bの不純物領域165cは、データ信号線144と接続され、不純物領域165dは、ドレイン電極169cと接続される。
【0147】
半導体層163を形成する多結晶シリコン膜は、第1絶縁層158の上にプラズマCVD法で作製された非晶質シリコン膜を結晶化することで作製される。非晶質シリコン膜の結晶化は、レーザ光を照射することにより行われる(所謂レーザアニールと呼ばれる)。レーザ光源としては、エキシマレーザ、YAGレーザの第3高調波等を用いることができる。レーザ光は紫外線であり、非晶質シリコン膜でほぼ吸収されるので、透明樹脂基板124は熱的なダメージを受けることはない。
【0148】
容量素子140は、第2ゲート電極168と同じ層に形成される第1容量電極170aと、ドレイン電極169cと同じ層に形成される第2容量電極170bと、第1容量電極170aと第2容量電極170bと間の第3絶縁層171とで形成される。選択トランジスタのドレイン電極169cと第2容量電極170bとは、電気的に接続される。
図27及び
図28(B)は、ドレイン電極169cと第2容量電極170bとが連続する一つの導電層で形成される態様を示す。
【0149】
図29(A)に示すように、不純物領域165dを、さらに第1容量電極170aの下層領域まで延長させることで、画素の開口率を小さくすることなく、容量素子140の面積を拡大し容量をより大きくすることができる。
図29(B)は容量素子140の等価回路を示す。
図29(B)に示すように、容量素子140は、ドレイン電極169cと第1容量電極170aとの間に形成される容量、ドレイン電極169cと同電位の不純物領域165dと第1容量電極170aとの間に形成される容量、不純物領域165dと第1容量電極170aと同電位にあるシールド電極126との間に形成される容量が並列に接続された構造を有する。このような積層構造により、容量素子140は、平面視において投影面積が同一であっても、容量の増加が図られている。
【0150】
図28(A)に示すように、有機EL素子134は、第1実施形態と同じ構造を有する。本実施形態において、駆動トランジスタ138及び選択トランジスタ136の導電型はnチャネル型である。別言すれば、不純物領域165はn型半導体であるため、駆動トランジスタ138及び選択トランジスタ136の導電型はnチャネル型となる。したがって、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第1実施形態と同様に動作させることができる。
【0151】
駆動トランジスタ138の第1ゲート電極154と第2ゲート電極166とは電気的に接続され、同じゲート電圧が印加される。このように、駆動トランジスタ138はデュアルゲート構造を有していることで電流駆動能力が向上する。そのため、有機EL素子134を駆動するに当たって十分な電流を供給することができる。仮に、有機EL素子の動作点が変動したとしても、動作点の変動に応じて定電流駆動をすることができる。選択トランジスタ136の第1ゲート電極156と第2ゲート電極168とは電気的に接続されている。選択トランジスタ136もデュアルゲート構造を有していることで、しきい値電圧の変化を抑制し、オンオフ比を高めることができる。
【0152】
本実施形態で示すように、タッチセンサが透明樹脂基板124に埋め込まれたタッチ検出機能付き表示装置は、多結晶シリコンを用いたトランジスタによっても実現することができる。多結晶シリコンにチャネルが形成されるトランジスタは、高い電界効果移動度を得ることができる。そのため、駆動トランジスタ138の電流駆動能力が向上し、画素の高精細化に有利に作用する。本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、トランジスタが多結晶シリコンで作製されている以外は第1実施形態と同様の構成を有する。それにより、第1実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0153】
第6実施形態:
本実施形態は、画面のタッチを検知するタッチセンサ機能と、画面に画像を表示する表示機能とを有する、タッチ検出機能付き表示装置において、第5実施形態と異なる画素の構造について例示する。以下の説明においては、第5実施形態と相違する部分について説明する。
【0154】
図30は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の、画素110fの平面構造の一例を示す。
図31(A)は、
図30に示すA11-A12線に対応する画素110fの断面構造を示す。
図31(B)は、
図30に示すB11-B12線に対応する画素110fの断面構造を示す。以下では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0155】
画素110fは、第1開口部152a及び第2開口部152bが省略され、シールド電極126が全面に設けられていること以外は、第5実施形態に係る構成と同様である。
【0156】
駆動トランジスタ138は、第2ゲート電極166と重なる領域に、光遮断電極155が設けられている。光遮断電極155は、シールド電極126と第4透明樹脂層150dとの間に配置され、シールド電極126と接して設けられている。光遮断電極155は、第2実施形態と同様に金属膜で形成される。光遮断電極155を設けることにより、透明樹脂基板124側から入射する光が駆動トランジスタ138のチャネル領域に入射することが防止される。これにより、駆動トランジスタ138のしきい値電圧の変動を抑制される。
【0157】
光遮断電極155は、シールド電極126と同じ電位が付与される。シールド電極126は、例えば、接地電位が付与されるので、光遮断電極155も同じ電位となる。駆動トランジスタ138は、チャネルが形成される第1半導体層163aのバックチャネル側に、第1絶縁層158を介して一定の電圧が付与される。これにより、駆動トランジスタ138は、しきい値電圧の変動が抑制される。
【0158】
選択トランジスタ136も、駆動トランジスタ138と同様に、光遮断電極157が配置される。そのため、選択トランジスタ136は、光遮断電極157によって遮光され、バックチャネルの電位の安定化が図られる。これにより、選択トランジスタ136のしきい値電圧の変動を抑制される。
【0159】
本実施形態において、画素110fは、光遮断電極155、157の構成を除き、他の構成は第5実施形態における画素110cと同様の構成を有する。そのため、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第5実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0160】
第7実施形態:
本実施形態は、画面のタッチを検知するタッチセンサ機能と画面に画像を表示する表示機能とを有するタッチ検出機能付き表示装置において、第5実施形態と異なる画素の構造について例示する。以下の説明においては、第5実施形態と相違する部分について説明する。
【0161】
図32は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素110gの平面構造の一例を示す。
図33(A)は、
図32に示すA13-A14線に対応する画素110gの断面構造を示す。
図33(B)は、
図32に示すB13-B14線に対応する画素110gの断面構造を示す。以下では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0162】
画素110gは、シールド電極126が駆動トランジスタ138を覆うように設けられている。一方、選択トランジスタ136が設けられる領域では、第2開口部152bが設
けられている。駆動トランジスタ138は、第2ゲート電極166と重なる領域に、光遮断電極155が設けられている。光遮断電極155は、シールド電極126と第4透明樹脂層150dとの間に配置され、シールド電極126と接して設けられている。このような構造により、透明樹脂基板124側から入射する光が、駆動トランジスタ138のチャネル領域に入射することが防止される。
【0163】
選択トランジスタ136は、第2半導体層163bが第1ゲート電極156と第2ゲート電極168とで挟まれたデュアルゲート構造を有する。これにより、選択トランジスタ136は、スイッチング特性が向上し、またオフ電流を低減することが可能となる。また、選択トランジスタ136は、第1ゲート電極156が、透明導電膜で形成される第1ゲート電極層156aと金属膜で形成される第1ゲート電極層156bとが積層された構造で設けられているので、遮光膜としての機能を兼ね備えている。
【0164】
本実施形態において、画素110gは、シールド電極126と光遮断電極155の構成を除き、他の構成は第5実施形態における画素110eと同様の構成を有する。そのため、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第5実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0165】
第8実施形態:
本実施形態は、画面のタッチを検知するタッチセンサ機能と画面に画像を表示する表示機能とを有するタッチ検出機能付き表示装置において、第5実施形態と異なる画素の構造について例示する。以下の説明においては、第5実施形態と相違する部分について説明する。
【0166】
図34は、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の画素110hの平面構造の一例を示す。
図35(A)は、
図34に示すA15-A16線に対応する画素110hの断面構造を示す。
図35(B)は、
図34に示すB15-B16線に対応する画素110hの断面構造を示す。以下では、これらの図面を適宜参照して説明する。
【0167】
画素110hは、シールド電極126が選択トランジスタ136を覆うように設けられている。一方、駆動トランジスタ138が設けられる領域では、第1開口部152aが設けられている。選択トランジスタ136は、第2ゲート電極168と重なる領域に、光遮断電極157が設けられている。光遮断電極157は、シールド電極126と第4透明樹脂層150dとの間に配置され、シールド電極126と接して設けられている。このような構造により、透明樹脂基板124側から入射する光が、選択トランジスタ136のチャネル領域に入射することが防止される。これにより、選択トランジスタ136のしきい値電圧の変動を抑制される。
【0168】
一方、駆動トランジスタ138は、第1半導体層163aが第1ゲート電極154、第2ゲート電極166で挟まれたデュアルゲート構造を有している。第1ゲート電極154と第2ゲート電極166とは、電気的に接続され同電位とされているため、電流駆動能力が向上し、有機EL素子134を駆動するために十分な電流を供給することができる。
【0169】
本実施形態において、画素110hは、シールド電極126と光遮断電極157の構成を除き、他の構成は第5実施形態における画素110eと同様の構成を有する。そのため、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第5実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0170】
第9実施形態:
本実施形態は、透明樹脂基板に埋め込まれたセンサ電極が、ダイヤモンド型電極の形状
を有しているタッチ検出機能付き表示装置の一例を示す。以下の説明においては、第1実施形態及び第2実施形態と同じ部分については説明を省略し、相違する部分を中心に説明をする。
【0171】
図36は、相互容量方式の静電容量型タッチセンサを構成する第1センサ電極114及び第2センサ電極116の平面構造を示す。第1センサ電極114はレシーバ電極(Rx電極)であり、検出信号(Vdet)を順次出力する。一方、第2センサ電極116はトランスミッタ電極(Tx電極)であり、コモン駆動信号(Vcom)が印加される。第1センサ電極114は、複数のダイヤモンド電極が一方向(
図36に示すY方向)に連接され、第2センサ電極116は、複数のダイヤモンド電極が一方向と交差する方向(
図36に示すX方向)に連接されている。
図36には示されないが、第1センサ電極114と第2センサ電極116とは、絶縁層を介して互いに異なる層に設けられる。第1センサ電極114と第2センサ電極116とは、透明導電膜又は金属膜で形成される。透明導電膜を用いる場合、第1センサ電極114及び第2センサ電極116はダイヤモンド型のベタパターンで形成される。一方、金属膜が用いられる場合画素の配置に合わせて開口が形成されたメッシュパターンで形成される。いずれの場合においても、ダイヤモンド型の電極を採用することで、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を密に配置することができる。
【0172】
図37(A)及び
図37(B)は、
図36で示すダイヤモンド型の電極が透明樹脂基板124bに埋め込まれたタッチ検出機能付き表示装置の画素110iの一例を示す。
図37(A)は、
図4に示すA1-A2線に対応する断面構造を示し、
図37(B)は、
図4に示すB1-B2線に沿った断面構造を示す。
図37(A)に示す駆動トランジスタ138及び有機EL素子134、並びに
図37(B)に示す選択トランジスタ136及び容量素子140の構成は、第1実施形態におけるものと同様である。
【0173】
透明樹脂基板124bは、第1透明樹脂層150a、第1センサ電極114、無機絶縁層151、第2センサ電極116、第3透明樹脂層150c、シールド電極126、及び第4透明樹脂層150dが積層された構造を有する。トランスミッタ電極(Tx電極)として用いられる第2センサ電極116のベタパターンが駆動トランジスタ138と重なって配置される場合、第2センサ電極116には駆動トランジスタ138の配置に合わせて開口部119が設けられていることが好ましい。開口部119が設けられることにより、第2センサ電極116に印加される駆動信号により発生する電界が、駆動トランジスタ138の第1ゲート電極154に影響を及ぼさないようにすることができる。また、本実施形態においても、第2センサ電極116から第1ゲート電極154を遠ざけるために、第3透明樹脂層150cの膜厚は10μm以上、好ましくは15μm以上であることが好ましい。
【0174】
第1センサ電極114と第2センサ電極116とは、短絡しないように無機絶縁層151を介して設けられる。無機絶縁層151としては、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等の水蒸気透過率が低く、可視光に対して透明である絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁層151は、100nm~300nmの膜厚を有していればよく、透明樹脂基板124bの略全面に形成される。透明樹脂基板124bの中にこのような無機絶縁層151を設けることで、水蒸気に対するバリア性を高めることができる。これにより、透明樹脂基板124bの上に設けられる有機EL素子134の劣化を抑制することができる。
【0175】
また、窒化シリコン膜の比誘電率は6~8とされており、酸化アルミニウム膜の比誘電率は8~10とされており、透明樹脂層と比べて高い値を有する(例えば、ポリイミド樹脂の比誘電率は4~5とされている)。さらに、無機絶縁層151は、100nm~300nmの厚みで形成されるので、第1センサ電極114と第2センサ電極116との間に
形成される容量を大きくすることができる。これにより、タッチセンサ108の感度を高めることができる。このように、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第1実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置が奏する作用効果に加え、耐湿性を高め、タッチセンサの感度を高めることができる。
【0176】
図38(A)及び
図38(B)は、
図36で示すダイヤモンド型の電極が透明樹脂基板124bに埋め込まれたタッチ検出機能付き表示装置の画素110jの一例を示す。
図38(A)は、
図19に示すA3-A4線に対応する断面構造を示し、
図38(B)は、
図19に示すB3-B4線に沿った断面構造を示す。
【0177】
図38(A)に示す駆動トランジスタ138及び有機EL素子134、並びに
図38(B)に示す選択トランジスタ136及び容量素子140の構成は、第2実施形態におけるものと同様である。また、透明樹脂基板124は、シールド電極126が略全面に設けられている以外は
図37(A)及び
図37(B)に示すものと同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第2実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置と同様の作用効果を奏することに加え、耐湿性を高め、タッチセンサの感度を高めることができる。
【0178】
第10実施形態:
本実施形態は、透明樹脂基板に埋め込まれたセンサ電極が、ダイヤモンド型電極の形状を有しているタッチ検出機能付き表示装置の一例を示す。以下の説明においては、第5実施形態及び第6実施形態と同じ部分については説明を省略し、相違する部分を中心に説明をする。
【0179】
図39(A)及び
図39(B)は、
図36で示すダイヤモンド型の電極が透明樹脂基板124bに埋め込まれたタッチ検出機能付き表示装置の画素110kの一例を示す。
図39(A)は、
図27に示すA9-A10線に対応する断面構造を示し、
図39(B)は、
図27に示すB9-B10線に沿った断面構造を示す。
図39(A)に示す駆動トランジスタ138及び有機EL素子134、並びに
図39(B)に示す選択トランジスタ136及び容量素子140の構成は、第5実施形態におけるものと同様である。
【0180】
透明樹脂基板124bは、第9実施形態におけるものと同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第5実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置が奏する作用効果に加え、耐湿性を高め、タッチセンサ108の感度を高めることができる。
【0181】
図40(A)及び
図40(B)は、
図36で示すダイヤモンド型の電極が透明樹脂基板124bに埋め込まれたタッチ検出機能付き表示装置の画素110mの一例を示す。
図40(A)は、
図30に示すA11-A12線に対応する断面構造を示し、
図40(B)は、
図30に示すB11-B12線に沿った断面構造を示す。
【0182】
図40(A)に示す駆動トランジスタ138及び有機EL素子134、並びに
図40(B)に示す選択トランジスタ136及び容量素子140の構成は、第6実施形態におけるものと同様である。また、透明樹脂基板124は、シールド電極126が略全面に設けられている以外は、
図39(A)及び
図39(B)に示すものと同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、第6実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置と同様の作用効果を奏することに加え、耐湿性を高め、タッチセンサの感度を高めることができる。
【0183】
第11実施形態:
本実施形態は、タッチセンサ108を構成する、第1センサ電極114及び第2センサ電極116の一態様を示す。
【0184】
図41(A)は、第1センサ電極114の一例を示す。
図41(A)に示す第1センサ電極114は、電極部121と接続部123を含む。電極部121は、データ信号線144に沿った表示部102の第1端から第1端に対向する第2端に亘って伸びる部位であり、接続部123は表示部102の外側の領域で、第2駆動回路112bに接続される部位となる。第1センサ電極114は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の金属膜で形成される。
図41(A)に示す第1センサ電極114は、電極部121が線状のパターンを有し、接続部123がベタ状のパターン(全面金属)で形成される。電極部121のパターンの線幅は、表示部102に配設されるデータ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。
【0185】
図41(B)は、第1センサ電極114の他の一例を示す。
図41(B)で示す第1センサ電極114は、電極部121が格子状のパターンを有する。電極部121における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。電極部121における格子状のパターンは、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。または、電極部121における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられ、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144の3倍の間隔(又は3倍のピッチ)で設けられていてもよい。
【0186】
図42(A)は、第2センサ電極116の一例を示す。
図42(A)に示す第2センサ電極116は、電極部125と接続部127を含む。電極部125は、表示部102のゲート信号線142に沿った第1端から、第1端に対向する第2端に亘って伸びる部位であり、接続部127は表示部102の外側の領域で、第3駆動回路112cに接続される部位となる。第2センサ電極116は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の金属膜で形成される。
図42(A)に示す第2センサ電極116は、電極部125が線状のパターンを有し、接続部127がベタ状のパターン(全面金属)で形成される。電極部125のパターンの線幅は、表示部102に配設されるゲート信号線142の線幅と略同じ線幅を有し、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。
【0187】
図42(B)は、第2センサ電極116の他の一例を示す。
図42(B)で示す第2センサ電極116は、電極部125が格子状のパターンを有する。電極部125における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。電極部125における格子状のパターンは、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。または、電極部125における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられ、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144の3倍の間隔(又は3倍のピッチ)で設けられていてもよい。
【0188】
図41(A)、
図41(B)、
図42(A)、及び
図42(B)に示す場合において、
第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、透明樹脂基板124の中に埋め込まれる。そのため、例えば、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を作製するときに使用される金属膜でアライメントマーカーを形成しておいてもよい。後の工程で、データ信号線144を形成するときに使用するフォトマスクのアライメントを、当該アライメントマーカーを用いて行うことで、第1センサ電極114とデータ信号線144の位置を精密に合わせることができる。
【0189】
本実施形態で示す第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、ゲート信号線142及びデータ信号線144と同じ線幅、及び同じピッチで形成されることで、ボトムエミッション型のタッチ検出機能付き表示装置であってあっても、画素の開口率を低下させることなく透明樹脂基板124にタッチセンサ108を埋め込むことができる。また、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を金属材料で形成することで、低抵抗化を図ることができる。
【0190】
本実施形態は、第1実施形態乃至第10実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のタッチセンサに適宜組み合わせて実施することができる。
【0191】
第12実施形態:
本実施形態は、タッチセンサ108を構成する、第1センサ電極114及び第2センサ電極116の一態様を示す。
【0192】
図43(A)は、第1センサ電極114の一例を示す。
図43(A)に示す第1センサ電極114は、ダイヤモンド型の電極パターンを有する電極部121と、電極部121の一端に設けられた接続部123とを含む。電極部121は、データ信号線144に沿った表示部102の第1端から、第1端に対向する第2端に亘って伸びる部位であり、接続部123は表示部102の外側の領域で、第2駆動回路112bに接続される部位となる。
図43(A)に示す第1センサ電極114は、電極部121が線状のパターンを有し、接続部123がベタ状のパターン(全面金属)で形成される。電極部121のパターンの線幅は、表示部102に配設されるデータ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。
【0193】
図43(B)は、第1センサ電極114の他の一例を示す。
図43(B)で示す第1センサ電極114は、電極部121が格子状のパターンを有する。電極部121における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。電極部121における格子状のパターンは、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。または、電極部121における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられ、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144の3倍の間隔(又は3倍のピッチ)で設けられていてもよい。
【0194】
図44(A)は、第2センサ電極116の一例を示す。
図44(A)に示す第2センサ電極116は、ダイヤモンド型の電極パターンを有する電極部125と、接続部127とを含む。電極部125は、ゲート信号線142に沿った表示部102の第1端から、第1端に対向する第2端に亘って伸びる部位であり、接続部127は表示部102の外側の領域で、第3駆動回路112cに接続される部位となる。
図44(A)に示す第2センサ電極116は、電極部125が線状のパターンを有し、接続部127がベタ状のパターン(全面金属)で形成される。電極部125のパターンの線幅は、表示部102に配設される
ゲート信号線142の線幅と略同じ線幅を有し、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。
【0195】
図44(B)は、第2センサ電極116の他の一例を示す。
図44(B)で示す第2センサ電極116は、ダイヤモンド型の電極パターンを有する電極部125が格子状のパターンを有する。電極部125における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。電極部125における格子状のパターンは、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられる。または、電極部125における格子状のパターンは、ゲート信号線142と平行な線状部分の線幅が、ゲート信号線142の線幅と略同じであり、ゲート信号線142と略同じ間隔(又はピッチ)で設けられ、データ信号線144と平行な線状部分の線幅が、データ信号線144の線幅と略同じ線幅を有し、データ信号線144の3倍の間隔(又は3倍のピッチ)で設けられていてもよい。
【0196】
本実施形態において、第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)等の金属膜で形成される。これにより、第1センサ電極114及び第2センサ電極116の低抵抗化を図ることができる。また、11実施形態と同様に、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を作製するときに、透明樹脂基板124にアライメントマーカーを作り込むことができるので、ゲート信号線142及びデータ信号線144との位置合わせ精度を高めることができる。
【0197】
本実施形態で示す第1センサ電極114及び第2センサ電極116は、ゲート信号線142及びデータ信号線144と同じ線幅、及び同じピッチで形成されることで、ボトムエミッション型のタッチ検出機能付き表示装置であってあっても、画素の開口率を低下させることなく透明樹脂基板124にタッチセンサ108を埋め込むことができる。また、第1センサ電極114及び第2センサ電極116を金属材料で形成することで、低抵抗化を図ることができる。
【0198】
本実施形態は、第1実施形態乃至第10実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のタッチセンサに適宜組み合わせて実施することができる。
【0199】
第13実施形態:
本実施形態は、タッチセンサ108を構成する第1センサ電極114及び第2センサ電極116の一態様であって、ダイヤモンドペンタイルの画素配列に対応する構成を示す。
【0200】
図45(A)は、第1センサ電極114の一例を示す。
図45(A)に示す第1センサ電極114は、金属膜で形成された帯状の形態を有し、接続部123と電極部121とを含む。電極部121は、ダイヤモンドペンタイル配列された画素に合わせたメッシュパターンを有している。金属メッシュは、画素配列で発光しない領域に対応して配置されている。接続部123は金属膜のベタ状のパターン(全面金属)で形成される。
図45(B)は、第1センサ電極114の電極部121がダイヤモンド型の電極パターンを有し、かつダイヤモンドペンタイル配列された画素に合わせたメッシュパターンを有している。
【0201】
図46(A)は、第2センサ電極116の一例を示す。
図46(A)に示す第1センサ電極114は、金属膜で形成された帯状の形態を有し、接続部127と電極部125とを含む。電極部125は、ダイヤモンドペンタイル配列された画素に合わせたメッシュパターンを有している。金属メッシュは、画素配列で発光しない領域に対応して配置されてい
る。接続部127は金属膜のベタ状のパターン(全面金属)で形成される。
図46(B)は、第2センサ電極116の電極部125がダイヤモンド型の電極パターンを有し、かつダイヤモンドペンタイル配列された画素に合わせたメッシュパターンを有している。
【0202】
なお、電極部121、125のメッシュパターンは、緑色に対応する2つのサブピクセルと、赤色に対応する1つのサブピクセルと、青色に対応する1つのサブピクセルの組(一組のサブピクセル)を囲む開口パターンを有するものであればよい。また、メッシュパターンは、前述の一組のサブピクセルを4個又は9個囲む開口パターンを有していてもよい。
【0203】
図45(A)で示す第1センサ電極114と、
図46(A)で示す第2センサ電極116とは、絶縁層を介して重ねて配置される。この場合、第1センサ電極114の電極部121のメッシュパターンと、第2センサ電極116の電極部125メッシュパターンとは重なり合うように配置されていてもよい。または、電極部121のメッシュパターンと電極部125のメッシュパターンは相互にずれていてもよい。いずれにしても、メッシュパターンが画素の発光領域と重ならないように配置されていることで、画素の開口率を低下させないようにすることができる。また、金属のメッシュパターンが画素を囲むことにより、遮光膜(ブラックマトリクスともいう)として機能し、画質を向上させることができる。
【0204】
本実施形態は、第1実施形態乃至第10実施形態に係るタッチ検出機能付き表示装置のタッチセンサに適宜組み合わせて実施することができる。
【0205】
第14実施形態:
本実施形態は、第1センサ電極114、第2センサ電極116と引き出し配線との接続構造の一態様を示す。
【0206】
図47(A)は、第1センサ電極114と第1引き出し配線194aとの接続構造の一例を示す。第1センサ電極114は、表示部102の外側領域で第1引き出し配線194aと接続される。第1センサ電極114は第1透明樹脂層150aと第2透明樹脂層150bとの間に設けられ、第1引き出し配線194aは第4透明樹脂層150dの上層側に設けられる。
【0207】
図47(A)に示すように、第4透明樹脂層150dの上に、第1絶縁層158、第2絶縁層164、及び平坦化層172が積層され、平坦化層172の上に第2電極192が設けられている。さらに、
図47(A)は、第2電極192の上層側に封止層128が設けられる態様を示す。封止層128の構成は任意であるが、本実施形態は、窒化炭素膜196a、窒化シリコン膜198、窒化炭素膜196bがこの順番で積層された構造を示す。窒化炭素膜196は、メタン(CH
4)等の炭化水素ガスと、窒素(N
2)又はアンモニア(NH
3)等のガスとを原料ガスとして用い、プラズマ重合成膜法で作製される重合膜である。一方、窒化シリコン膜198は、シラン(SiH
4)、アンモニア(NH
3)、窒素(N
2)を原料ガスとして用い、プラズマCVD法で作製される。窒化炭素膜196等のプラズマ重合膜は、ピンホールが無く、段差被覆性に優れ、内部応力が小さいといった特質を有する。このような窒化炭素膜196と窒化シリコン膜198とを組み合わせることにより、水蒸気遮断性に優れた封止層128を得ることができる。
【0208】
第1引き出し配線194aは、第2透明樹脂層150b、及び第3透明樹脂層150c、及び第4透明樹脂層150dを貫通するコンタクトホール195によって第1センサ電極114と電気的に接続される。第1引き出し配線194aは、平坦化層172及び封止層128の外側に引き出される。第1引き出し配線194aは、封止層128から露出す
る領域において、端子電極118と連続するように形成されていてもよい。
【0209】
図47(A)は、透明樹脂基板124が支持基板200の上に設けられ、端子電極118の近傍に分断領域202が設けられる態様を示す。分断領域202は、透明樹脂基板124を貫通する溝である。このような分断領域202は、例えば、レーザ加工によって作製される。分断領域202は、表示パネルを囲むように連続する開口溝として形成される。透明樹脂基板124は、分断領域202を形成した後、第1実施形態で説明したようにレーザアブレーションをすることで、支持基板200から剥離することができる。
【0210】
第1透明樹脂層150aは、透明ポリイミド樹脂で形成されることが好ましい。透明ポリイミド樹脂は、透明パラ系ポリアミド樹脂に比べて軟質であり、耐熱性が高いためレーザアブレーションを行っても変質層が生成されない利点を有する。一方、第4透明樹脂層150dは透明パラ系ポリアミド樹脂で形成されることが好ましい。第4透明樹脂層150dの上面には第1引き出し配線194a、
図1で示す端子電極118が設けられる。透明パラ系ポリアミド樹脂は、ポリイミド樹脂に比べ硬質であり、第1引き出し配線194aや端子電極118を形成する金属膜の剥離を防止することができる。また、端子電極118に、
図1に示すようなフレキシブルプリント配線基板122を熱圧着しても、透明樹脂基板124の変形を抑制することができる。
【0211】
図47(B)は、第2センサ電極116と第2引き出し配線194bとの接続構造の一例を示す。第2センサ電極116は、表示部102の外側領域で第2引き出し配線194bと接続される。第2センサ電極116は第2透明樹脂層150bと第3透明樹脂層150cとの間に設けられ、第2引き出し配線194bは第4透明樹脂層150dの上層側に設けられる。第4透明樹脂層150dは、水蒸気の浸透を防ぐガスバリア性の観点から、透明パラ系ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。
【0212】
第2引き出し配線194bは、第3透明樹脂層150c、及び第4透明樹脂層150dを貫通する第2コンタクトホール195bによって第2センサ電極116と電気的に接続される。第2引き出し配線194bは、第3駆動回路112cに接続するために、第2絶縁層164の上に引き出される。なお、
図47(B)では、第3駆動回路112cは省略されている。
【0213】
図48(A)に示すように、第1絶縁層158、第2絶縁層164は、平坦化層172の外側まで延長されていてもよい。このような構造によれば、
図48(B)に示すように、第1引き出し配線194aが設けられない領域では、無機絶縁膜で形成される第2絶縁層164と、無機絶縁膜で形成される封止層128とが密接して設けられる。平坦化層172の外側で、第2絶縁層164と封止層128とが密接することで、水分等の浸入を防止することができ、封止能力を高めることができる。
【0214】
また、
図49に示すように、第1引き出し配線194aは、第2絶縁層164、第1絶縁層158、及び第4透明樹脂層150dに形成された第3コンタクトホール195cによって第2引き出し配線194b(透明導電膜194b1、金属膜194b2で形成される配線。)と電気的に接続され、第2引き出し配線194bは、第3透明樹脂層150cに形成される第2コンタクトホール195bによって引き出し配線194cと電気的に接続され、引き出し配線194cは、第2透明樹脂層150bに形成された第1コンタクトホール195aによって第1センサ電極114と電気的に接続されていてもよい。このように、透明樹脂層150の各層に形成されたコンタクトホールによって、引き出し配線194を多段階に連結することで、一段当たりのコンタクトホールの深さを浅くすることが出来、電気的な接続を確実に形成することができる。
【0215】
本実施形態によれば、透明樹脂基板にタッチセンサ108を構成する第1センサ電極114及び第2センサ電極116が埋め込まれている場合であっても、透明樹脂層を貫通するコンタクトホール195を設けることで、引き出し配線194をより上層に引き出すことができ、端子電極118、駆動回路112と接続することができる。
【符号の説明】
【0216】
100・・・タッチ検出機能付き表示装置、101・・・表示パネル、102・・・表示部、104・・・駆動回路部、106・・・端子部、108・・・タッチセンサ、110・・・画素、112・・・駆動回路、113・・・映像信号処理回路、114・・・第1センサ電極、115・・・センサ信号処理回路、116・・・第2センサ電極、117・・・回路ブロック、118・・・端子電極、119・・・開口部、121・・・電極部、122・・・フレキシブルプリント配線基板、123・・・接続部、124・・・透明樹脂基板、125・・・電極部、126・・・シールド電極、127・・・接続部、128・・・封止層、130・・・透明導電膜、132・・・金属膜、134・・・有機EL素子、136・・・選択トランジスタ、138・・・駆動トランジスタ、140・・・容量素子、142・・・ゲート信号線、144・・・データ信号線、146・・・コモン配線、148・・・電源線、149・・・回路素子層、150・・・透明樹脂層、151・・・無機絶縁層、152・・・開口部、153・・・コンタクトホール、154・・・第1ゲート電極、155・・・光遮断電極、156・・・第1ゲート電極、157・・・光遮断電極、158・・・第1絶縁層、160・・・透明導電層、162・・・酸化物半導体層、163・・・半導体層、164・・・第2絶縁層、165・・・不純物領域、166・・・第2ゲート電極、168・・・第2ゲート電極、169・・・ドレイン電極、170・・・容量電極、171・・・第3絶縁層、172・・・平坦化層、174・・・窒化シリコン膜、176・・・酸化シリコン膜、178・・・開口部、180・・・第1電極、182・・・電子輸送層、184・・・電子注入層、186・・・発光層、188・・・正孔輸送層、190・・・正孔注入層、192・・・第2電極、194・・・引き出し配線、195・・・コンタクトホール、196・・・窒化炭素膜、198・・・窒化シリコン膜、200・・・支持基板、202・・・分断領域、300・・・多階調マスク、302・・・多階調マスクパターン、304・・・フォトレジスト膜、306・・・レジストマスクパターン