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特開2024-38178タバコ香気を模倣するために有用な組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038178
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】タバコ香気を模倣するために有用な組成物
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/167 20200101AFI20240312BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240312BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A24B15/167
A61K8/36
A61K8/35
A61K8/31
A61Q13/00 101
A61K8/49
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221613
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2021133998の分割
【原出願日】2017-11-01
(31)【優先権主張番号】1618587.8
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】マティ クラウス
(72)【発明者】
【氏名】クロス ジェニファー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タバコ抽出物と比較して、より単純な組成物となるタバコ香気を模倣するために使用され得る合成組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、成分A、B、C、D及び/又はEの2又は3以上を含む。タバコ香気を模倣するために使用され得る合成組成物を提供する結果として、タバコ抽出物と比較して、より単純な組成物を提供することが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A、B、C、D及びEから選択される2又は3以上の成分を含む合成組成物であって、
Aが、式I
【化1】

[式中、R11は、飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物であり、
Bが、式II
【化2】

[式中、
Yは、-R(C=O)R10、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基から選択される基であり、
は、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
10は、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
Z及びXは、いずれも-H及び-Rから独立して選択され、
は、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、
Lは、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、
13は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物であり、
Cが、式III
【化3】

[式中、
式IIIの環系は、酸素原子を含有していてもよく、nは、1又は2であり、
【化4】

は、任意の二重結合を表し、
は、-OH、-C-C-アルコキシ又は-OCOR12であり、
12は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
及びR14は、H及び置換されていてもよい飽和又は不飽和-C-C炭化水素基から独立して選択される]
の少なくとも1つの化合物であり、
Dが、式IV
【化5】

[式中、
Wは、-OH、-C-C-OH、-(C=O)H、-C-C-(C=O)H、-O(C=O)H、-O(C=O)CH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16であり、
15は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
16は、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
~Rは、それぞれ独立して、-H、-OH、C-Cアルコキシ、又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物であり、
Eが、3-メチルノナン-2,4-ジオン及び5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、
前記合成組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ様香気を持つ組成物、特に合成組成物に関する。本発明は、前記組成物の使用、前記組成物を含む配合物、配合物を含有する容器、配合物を使用してエアゾールを発生させる方法及び前記配合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
タバコは、タバコ植物の葉から生成される。概して、タバコ植物の葉は、収穫され、次いで、保存処理されて、これがタバコ葉の組成物における変化につながる。次いで、葉は、タバコを生成するためにさらなる加工を受ける。タバコは、その複雑な構成要素の範囲から生じる特徴的な香気を有する。
【0003】
近年、従来のシガレットを使用する必要なしに、ユーザーが喫煙経験の一部を再現することを可能にする、デバイスが開発された。特に、ユーザーが人工エアゾールを発生させることを可能にし、次いで、これを吸入して喫煙経験を再現することができる、電子シガレット等のデバイスが開発された。エアゾールは、典型的には、水、ニコチン及びエアゾール形成成分、例としてグリセロールを含む液体を気化することによって生成される。気化は、電池等の電源を動力源とする加熱器(又は他の霧化手段)を介して起こる。
【0004】
従来のシガレットを使用する必要なしに喫煙経験を再現しようと努める他のデバイスも利用可能である。これらのデバイスは、概してタバコを加熱するが燃焼させない能力を有することから、タバコ加熱デバイスと称され得る。
【0005】
電子シガレット及びタバコ加熱デバイスは、エアゾール送達デバイスと総称されることがある。しかしながら、そのようなエアゾール送達デバイスに伴う、特に電子シガレットに伴う1つの潜在的な欠陥は、従来のシガレットを喫煙することに通常伴う感覚的経験を完全には再現できない場合があることであり、従来のシガレットのユーザーがそのことをあまり望ましくないと見出す場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
結果として、エアゾール送達デバイスによって送達される感覚的経験を改善するための手段を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タバコの香気プロファイルを模倣することができる合成組成物に関する。合成組成物はまた、タバコ様香気を有するとして記述され得る。
【0008】
したがって、第1の態様において、本発明は、成分A、B、C、D及びEから選択される2又は3以上の成分を含む合成組成物であって、
Aが、式I
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R11は、飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物であり、
Bが、式II
【0011】
【化2】
【0012】
[式中、
Yは、-R(C=O)R10、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基から選択される基であり、
は、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
10は、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
Z及びXは、いずれも-H及び-Rから独立して選択され、
は、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、
Lは、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、
13は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
【0013】
【化3】
【0014】
は、任意の二重結合を表す]
の少なくとも1つの化合物であり、
Cが、式III
【0015】
【化4】
【0016】
[式中、
式IIIの環系は、酸素原子を含有していてもよく、
nは、1又は2であり、
【0017】
【化5】
【0018】
は、任意の二重結合を表し、
は、-OH、-C-C-アルコキシ又は-OCOR12であり、
12は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
及びR14は、H及び置換されていてもよい飽和又は不飽和-C-C炭化水素基から独立して選択される]
の少なくとも1つの化合物であり、
Dが、式IV
【0019】
【化6】
【0020】
[式中、
Wは、-OH、-C-C-OH、-(C=O)H、-C-C-(C=O)H、-O(C=O)H、-O(C=O)CH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16であり、
15は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
16は、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
~Rは、それぞれ独立して、-H、-OH、C-Cアルコキシ、又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物であり、
Eが、3-メチル-2,4-ノナンジオン及び5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、
合成組成物に関する。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、タバコ香気を模倣するための、本明細書において定義されている通りの合成組成物の使用に関する。
【0022】
本発明のさらなる態様において、本明細書において定義されている通りの合成組成物を含む配合物であって、
・ ニコチン、及び/又は
・ 担体
の少なくとも一方をさらに含む、配合物が提供される。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、タバコ香気を模倣するための、本明細書において定義されている通りの配合物の使用に関する。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、上述の合成組成物を調製する方法に関する。
【0025】
参照を容易にするために、本発明のこれら及びさらなる態様を、ここで、適切な節見出し下で論じる。しかしながら、各節下での教示は、各特定の節に必ずしも限定されるとは限らない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
用語「炭化水素」は、アルキル基アルケニル又はアルキニル基のいずれか1つを意味する。炭化水素という用語は、それらを含むが、それらは、置換されていてもよい。一実施形態において、炭化水素は、別段の指定がない限り、非置換である。炭化水素がその上に置換基を有する分岐状構造である場合、置換は、炭化水素骨格上又は分岐上のいずれかであってよく、又は、置換は、炭化水素骨格上及び分岐上であってよい。適切な置換の例は、ヒドロキシル基を包含する。
【0027】
不飽和炭化水素への言及は、1又は2以上のC=C結合を含有する炭化水素鎖を包含する。これに関して、そのようなC=C結合は、別段の記載がない限り、シス又はトランス配置であってよい。
【0028】
本発明の一部の態様において、1又は2以上の炭化水素基は、C-C10アルキル基、例としてC-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C10、C-C10、C-C10、C-C10、C-C、C-C、C-Cアルキル基から独立して選択される。典型的なアルキル基は、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル及びCアルキルを包含する。
【0029】
本発明の一部の態様において、1又は2以上の炭化水素基は、アルケン基から独立して選択される。典型的なアルケン基は、C-C10アルケン基、例としてC-C、C-C、C-C、C-C、C-C、C-C10、C-C10、C-C10、C-C10、C-C、C-C又はC-Cアルケン基、例としてC、C、C、C、C、C又はCアルケン基を包含する。好ましい態様において、アルケン基は、1、2又は3つのC=C結合を含有する。好ましい態様において、アルケン基は、1つのC=C結合を含有する。一部の好ましい態様において、少なくとも1つのC=C結合又は唯一のC=C結合は、アルケン鎖のC末端にあり、すなわち、結合は、環に対して遠い鎖末端に位置する。
【0030】
本明細書における
【0031】
【化7】
【0032】
は、2個の炭素原子間における任意の二重結合の存在を指す。
【0033】
化合物A
Aは、式I
【0034】
【化8】
【0035】
[式中、R11は、飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物である。
【0036】
一実施形態において、R11は、直鎖状-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R11は、分岐状-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R11は、分岐状-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R11は、直鎖状-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R11は、分岐状-C-C炭化水素基である。
【0037】
一実施形態において、R11は、C、C、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル及びCアルキルから選択される。一実施形態において、R11は、Cアルキルである。一実施形態において、R11は、n-プロピル、n-ブチル又はn-ペンチルである。一実施形態において、R11は、イソ-プロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルである。一実施形態において、R11は、分岐状ペンチル基である。一実施形態において、化合物Aは、イソ吉草酸としても公知の3-メチルブタン酸である。一実施形態において、化合物Aは、酢酸である。一実施形態において、化合物Aは、3-メチル吉草酸としても公知の3-メチルペンタン酸である。一実施形態において、化合物Aは、2-メチルブタン酸である。一実施形態において、化合物Aは、ブタン酸としても公知の酪酸である。
【0038】
一実施形態において、Aは、式Iの少なくとも2つの異なる化合物である。一実施形態において、Aは、式Iの少なくとも3つの異なる化合物である。一実施形態において、Aは、式Iの少なくとも4つの異なる化合物である。
【0039】
一実施形態において、Aは、少なくとも酢酸及び2-メチルブタン酸である。
【0040】
化合物B
Bは、式II
【0041】
【化9】
【0042】
[式中、
Yは、-R(C=O)R10、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
は、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
10は、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
Z及びXは、いずれも-H及び-Rから独立して選択され、
は、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、
【0043】
【化10】
【0044】
は、任意の二重結合を表し、
Lは、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、
13は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物である。
【0045】
一実施形態において、化合物Bは、式IIa
【0046】
【化11】
【0047】
である。
【0048】
一実施形態において、化合物Bは、式IIb
【0049】
【化12】
【0050】
である。
【0051】
一実施形態において、化合物Bは、式IIc
【0052】
【化13】
【0053】
である。
【0054】
一実施形態において、化合物Bは、式IId
【0055】
【化14】
【0056】
である。
【0057】
上記の式IIa、IIb、IIc又はIIdのいずれにおいても、Z、X及びYは、式IIについて定義された通りである。
【0058】
一実施形態において、Yは、1又は2以上のヒドロキシル基で置換されている飽和又は
不飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、Yは、非置換飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である。
【0059】
一実施形態において、Yは、1又は2つの不飽和結合を含むC直鎖状アルケンである。
【0060】
一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10である。
【0061】
一実施形態において、Xは、-Rであり、Zは、-Hである。
【0062】
一実施形態において、Zは、-Rであり、Xは、-Hである。
【0063】
一実施形態において、Z及びXは、いずれもHである。
【0064】
一実施形態において、R13は、不飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、R13は、-CH=CHCH基である。一実施形態において、R13は、-CHCH=CH基である。一実施形態において、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、R13は、-CHCHCH=CH基である。
【0065】
一実施形態において、化合物Bは、式IIaであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIaであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0066】
一実施形態において、化合物Bは、式IIbであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIbであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0067】
一実施形態において、化合物Bは、式IIcであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIcであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0068】
一実施形態において、化合物Bは、式IIdであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIdであり、Xは、Rであり、Zは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0069】
一実施形態において、化合物Bは、式IIaであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIaであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0070】
一実施形態において、化合物Bは、式IIbであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIbであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0071】
一実施形態において、化合物Bは、式IIcであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIcであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0072】
一実施形態において、化合物Bは、式IIdであり、Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、不飽和-C炭化水素基である。一実施形態において、化合物Bは、式IIdであり。Zは、Rであり、Xは、-Hであり、R13は、-CH=CHCH基である。
【0073】
一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10であり、Rは、結合であり、R10は、不飽和-C-C炭化水素基である。
【0074】
一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10であり、Rは、結合であり、R10は、不飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10であり、Rは、結合であり、R10は、不飽和-C炭化水素基、例として-CH=CHCH基又は-CHCH=CH基である。
【0075】
一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10であり、Rは、結合であり、R10は、不飽和-C炭化水素基、例として-CHCHCH=CH基である。
【0076】
一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10であり、Rは、不飽和-C-C炭化水素基であり、R10は、不飽和-C-C炭化水素基である。例えば、Rは、不飽和-C炭化水素基、例として-CH=CH-基である。さらに、R10は、例えば、-CH基である。一実施形態において、Yは、-R(C=O)R10であり、Rは、-CH=CH-基であり、R10は、-CH基である。
【0077】
一実施形態において、化合物Bは、式IIaであり、Yは、非置換飽和又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されている不飽和-C-C炭化水素基である。さらなる実施形態において、化合物Bは、式IIaのものであり、Yは、非置換飽和又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されている不飽和-C-C炭化水素基であり、-Rがケト基である場合、Xは、-Rであり、Zは、Hである。
【0078】
一実施形態において、Bは、β-ダマスコン、β-ダマセノン、β-イオノン、α-イオノン、α-イオノール、β-シクロシトラール及びサフラナールから選択される少なくとも1つの化合物である。
【0079】
一実施形態において、Bは、式IIの少なくとも2つの異なる化合物である。一実施形態において、Bは、式IIの少なくとも3つの異なる化合物である。一実施形態において、Bは、式IIの少なくとも4つの異なる化合物である。
【0080】
一実施形態において、Bは、β-ダマスコン、β-ダマセノン、β-イオノン、α-イオノン、α-イオノール、β-シクロシトラール及びサフラナールから選択される少なくとも2つの化合物である。一実施形態において、Bは、少なくともβ-ダマスコン、β-ダマセノン及びβ-イオノンである。
【0081】
化合物C
Cは、式III
【0082】
【化15】
【0083】
[式中、
式IIIの環系は、酸素原子を含有していてもよく、
nは、1又は2であり、
【0084】
【化16】
【0085】
は、任意の二重結合を表し、
は、-OH、-C-C-アルコキシ又は-OCOR12であり、
12は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
及びR14は、H及び置換されていてもよい飽和又は不飽和-C-C炭化水素基から独立して選択される]
の少なくとも1つの化合物である。
【0086】
一実施形態において、nは、1であり、したがって、環系は、5員環である。
【0087】
一実施形態において、nが1である場合、化合物Cは、式IIIa
【0088】
【化17】
【0089】
[式中、R17は、H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R、R及びR14並びに環中における酸素原子の任意の存在は、式IIIと同様である]
の少なくとも1つの化合物である。
【0090】
一実施形態において、式IIIaの環は、酸素原子を含有する。一実施形態において、式IIIaは、下記の構造:
【0091】
【化18】
【0092】
[式中、R17は、H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R及びRは、式IIIと同様である]
を有する。
【0093】
一実施形態において、Rは、-OHであり、Rは、-CHであり、R17は、-CHである。
【0094】
一実施形態において、式IIIaは、下記の構造:
【0095】
【化19】
【0096】
[式中、R17は、H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R及びRは、式IIIと同様であり、R2aは、H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水
素基である]
を有する。
【0097】
成分Cについての一実施形態において、nは、2であり、したがって、環系は、6員環である。
【0098】
一実施形態において、nが2である場合、Cは、式IIIb
【0099】
【化20】
【0100】
[式中、R17は、H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R、R及びR14は、式IIIと同様である]
の少なくとも1つの化合物である。
【0101】
一実施形態において、Rは、-OHである。
【0102】
一実施形態において、Rは、-CHである。
【0103】
一実施形態において、Rは、-OHであり、Rは、-CHである。
【0104】
一実施形態において、Rは、飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、Rは、Cアルキル又はCアルキルである。一実施形態において、Rは、Cアルキルである。
【0105】
一実施形態において、Rは、-OHであり、Rは、Cアルキルである。
【0106】
一実施形態において、Rは、-OCOR12であり、R12は、-CH又は飽和-C-C炭化水素基から選択される。
【0107】
一実施形態において、R12は、-CHである。
【0108】
一実施形態において、R12は、飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R12は、Cアルキル又はCアルキルである。一実施形態において、R12は、Cアルキルである。一実施形態において、R12は、Cアルキルである。一実施形態において、R12は、イソ-プロピルである。一実施形態において、R12は、n-プロピルである。
【0109】
一実施形態において、Rは、-OCOR12であり、R12は、Cアルキル又はCアルキルであり、Rは、-CHである。一実施形態において、Rは、-OCOR12であり、R12は、Cアルキルであり、Rは、-CHである。一実施形態において、Rは、-OCOR12であり、R12は、イソ-プロピルであり、Rは、-CHである。一実施形態において、Rは、-OCOR12であり、R12は、n-プロピルであり、Rは、-CHである。
【0110】
一実施形態において、Cは、式IIIの少なくとも2つの異なる化合物である。一実施形
態において、Cは、式IIIの少なくとも3つの異なる化合物である。一実施形態において
、Cは、式IIIの少なくとも4つの異なる化合物である。
【0111】
一実施形態において、Cは、少なくとも1つの式IIIbの化合物及び1つの式IIIcの化
合物である。一実施形態において、Cは、マルトール、エチルマルトール及びソトロンから選択される少なくとも2つの化合物である。
【0112】
化合物D
Dは、式IV
【0113】
【化21】
【0114】
[式中、
Wは、-OH、-C-C-OH、-(C=O)H、-C-C-(C=O)H、-C-C-O(C=O)CH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16であり、
15は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、
16は、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、
~Rは、それぞれ独立して、-H、-OH、C-Cアルコキシ、又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基である]
の少なくとも1つの化合物である。
【0115】
一実施形態において、Wは、-R15(C=O)OR16である。
【0116】
一実施形態において、Wは、-OHである。一実施形態において、Wは、-C-C-OH、-(C=O)H、-C-C-(C=O)H、-O(C=O)H、-O(C=O)CH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16である。一実施形態において、Wは、-(C=O)Hである。一実施形態において、Wは、-C-C-(C=O)Hである。一実施形態において、Wは、-O(C=O)H、-O(C=O)CH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16である。一実施形態において、Wは、-O(C=O)CHである。一実施形態において、Wは、C-Cアルコキシである。
【0117】
一実施形態において、R~Rのそれぞれは、-Hである。一実施形態において、R~Rのそれぞれは、-Hであり、Rは、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である。
【0118】
一実施形態において、R~Rのいずれかの飽和又は不飽和-C-C炭化水素基は、メチル、エチル、プロピル(分岐状又は直鎖状)及びブチル(分岐状又は直鎖状)から選択される。
【0119】
一実施形態において、R~Rのいずれかの-C-C炭化水素基は、不飽和である。
【0120】
一実施形態において、R15は、-CH-である。
【0121】
一実施形態において、R16は、Hである。
【0122】
一実施形態において、R16は、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R16は、飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R16は、不飽和-C-C炭化水素基である。一実施形態において、R16は、メチル、エチル、n-ペンチル又はn-ブチルである。一実施形態において、R16は、分岐状ペンチル又は分岐状ブチルである。
【0123】
一実施形態において、R15は、-CH-であり、R16は、Hである。
【0124】
一実施形態において、R~Rのそれぞれは、-Hであり、R15は、-CH-であり、R16は、Hである。
【0125】
一実施形態において、Wは、-OHである。
【0126】
一実施形態において、Wは、-OHであり、R~Rの少なくとも1つは、C-Cアルコキシである。一実施形態において、Wは、-OHであり、R~Rの少なくとも1つは、C-Cアルコキシであり、R~Rの少なくとも1つは、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である。
【0127】
一実施形態において、Dは、式IVの少なくとも2つの異なる化合物である。一実施形態において、Dは、式IVの少なくとも3つの異なる化合物である。一実施形態において、Dは、式IVの少なくとも4つの異なる化合物である。
【0128】
一実施形態において、Dは、Wが-OHである少なくとも1つの化合物及びWが-R15(C=O)OR16である1つの化合物である。
【0129】
好ましい態様
一実施形態において、合成組成物は、成分A、B、C、D及びEから選択される3又は4以上の成分を含み、A、B、C、D及びEのそれぞれは、本明細書において定義されている通りである。
【0130】
一実施形態において、合成組成物は、成分A、B、C、D及びEから選択される4又は5以上の成分を含み、A、B、C、D及びEのそれぞれは、本明細書において定義されている通りである。
【0131】
一実施形態において、合成組成物は、少なくとも成分A、B、C及びDを含み、A、B、C及びDのそれぞれは、本明細書において定義されている通りである。
【0132】
一実施形態において、合成組成物は、成分A、B、C、D及びEのそれぞれからの成分を含み、A、B、C、D及びEのそれぞれは、本明細書において定義されている通りである。
【0133】
一実施形態において、合成組成物は、上記で定義した通り、少なくとも成分A、B、C及びDを含み、さらに、
成分Cの少なくとも1つの化合物は、Rが、-OH又は-OCOR12であり、R12が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、R及びR14が、独立して、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Bの少なくとも1つの化合物は、Yが、-R(C=O)R10、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されている飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Rが、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R10が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Z及びXが、異なっており、いずれも、-H及び-Rから独立して選択され、Rが、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、Lが、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、R13が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Dの少なくとも1つの化合物は、R~Rが、それぞれ-Hであり、Wが、基-R(C=O)OR10であり、Rが、-CH-であり、R10が、Hである、化合物であり、
成分Aの少なくとも1つの化合物は、R11が、飽和-C-C炭化水素基である、化合物である。
【0134】
一実施形態において、合成組成物は、上記で定義した通り、少なくとも成分A、B、C及びDを含み、さらに、
成分Cの少なくとも1つの化合物は、Rが、-OH又は-OCOR12であり、R12が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、R及びR14が、独立して、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Bの少なくとも1つの化合物は、Yが、-R(C=O)R10、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されている飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Rが、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R10が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Z及びXが、異なっており、いずれも、-H及び-Rから独立して選択され、Rが、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、Lが、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、R13が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Dの少なくとも1つの化合物は、Wが、-OH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16であり、R15が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、R16が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R~Rが、それぞれ独立して、-H、-OH、C-Cアルコキシ、又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Aの少なくとも1つの化合物は、R11が、イソ-ブチルである、化合物である。
【0135】
一実施形態において、合成組成物は、上記で定義した通り、少なくとも成分A、B、C及びDを含み、さらに、
成分Cの少なくとも1つの化合物は、Rが、-OH又は-OCOR12であり、R12が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、R及びR14が、独立して、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Bの少なくとも1つの化合物は、Yが、-R(C=O)R10であり、Rが、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R10が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Z及びXが、異なっており、いずれも、-H及び-Rから独立して選択され、Rが、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、Lが、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、R13が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、式IIbの化合物であり、
成分Dの少なくとも1つの化合物は、Wが、-OH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16であり、R15が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、R16が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R~Rが、それぞれ独立して、-H、-OH、C-Cアルコキシ、又は飽和若しくは不飽和-C
-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Aの少なくとも1つの化合物は、R11が、飽和-C-C炭化水素基である、化合物である。
【0136】
一実施形態において、合成組成物は、上記で定義した通り、少なくとも成分A、B、C及びDを含み、さらに、
成分Cの少なくとも1つの化合物は、Rが、-OHであり、Rが、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基から選択される、式IIIbの化合物であり、
成分Bの少なくとも1つの化合物は、Yが、-R(C=O)R10、又は1若しくは2以上のヒドロキシル基で置換されている飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Rが、結合又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R10が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、Z及びXが、異なっており、いずれも、-H及び-Rから独立して選択され、Rが、飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基、ケト基又は-L-(C=O)R13から選択され、Lが、結合又は-C-C炭化水素基のいずれかであり、R13が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Dの少なくとも1つの化合物は、Wが、-OH、C-Cアルコキシ又は-R15(C=O)OR16であり、R15が、飽和又は不飽和-C-C炭化水素基であり、R16が、-H又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基であり、R~Rが、それぞれ独立して、-H、-OH、C-Cアルコキシ、又は飽和若しくは不飽和-C-C炭化水素基である、化合物であり、
成分Aの少なくとも1つの化合物は、R11が、飽和-C-C炭化水素基である、化合物である。
【0137】
さらなる好ましい態様
一実施形態において、合成組成物は、成分A、B、C、D及びEについての上記の定義のいずれか1つの範囲内にある複数の化合物を含む。例えば、合成組成物は、成分B、C、D及びEの1又は2以上からの少なくとも1つの成分に加えて、2又は3以上の異なる成分A化合物を含んでよい。一実施形態において、合成組成物は、成分A、C、D及びEの1又は2以上からの少なくとも1つの成分に加えて、2又は3以上の異なる成分B化合物を含んでよい。一実施形態において、合成組成物は、成分A、B、D及びEの1又は2以上からの少なくとも1つの成分に加えて、2又は3以上の異なる成分C化合物を含んでよい。一実施形態において、合成組成物は、成分A、B、C及びEの1又は2以上からの少なくとも1つの成分に加えて、2又は3以上の異なる成分D化合物を含んでよい。
【0138】
一実施形態において、合成組成物は、複数の成分群A、B、C又はDからの2又は3以上の異なる化合物を含んでよい。故に、合成組成物は、2若しくは3以上の異なる成分A化合物、2若しくは3以上の異なる成分B化合物、2若しくは3以上の異なる成分C化合物、2若しくは3以上の異なる成分D化合物、及び/又は2若しくは3以上の異なる成分E化合物を含んでよい。
【0139】
したがって、一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも4つの化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも5つの化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも6つの化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも7つの化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも8つの化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも9つの化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B
、C又はDのいずれかから選択される少なくとも10の化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも11の化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも12の化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも13の化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも14の化合物を含む。一実施形態において、合成組成物は、成分群A、B、C又はDのいずれかから選択される少なくとも15の化合物を含む。
【0140】
一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも4つの化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも5つの化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも6つの化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも7つの化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも8つの化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも9つの化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも10の化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも11の化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも12の化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも13の化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも14の化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。一実施形態において、組成物は、組成物が少なくとも15の化合物を含むように、各成分群A、B、C及びDから少なくとも1つの化合物を含む。
【0141】
一実施形態において、2又は3以上の異なる成分A化合物が存在する場合、それらは、酢酸、3-メチルブタン酸、3-メチルペンタン酸、2-メチルブタン酸及び酪酸からなる群の2又は3以上から選択されてよい。一実施形態において、2又は3以上の異なる成分A化合物が存在する場合、それらは、少なくとも酪酸及び3-メチルブタン酸である。
【0142】
一実施形態において、2又は3以上の異なる成分B化合物が存在する場合、1つの化合物は式IIbであり、1つの化合物は式IIdである。
【0143】
一実施形態において、2又は3以上の異なる成分C化合物が存在する場合、1つの化合物は、Rが-OHであり、Rが-CHであるようなものであり、1つの化合物は、Rが-OHであり、Rがエチルであるようなものである。
【0144】
一実施形態において、2又は3以上の異なる成分D化合物が存在する場合、1つの化合物は、WがR15(C=O)OR16であるようなものであり、他方は、Wが-OHであるようなものである。
【0145】
本発明の組成物は、成分A、B、C及びDに加えて、成分Eの範囲内にある下記の化合物:3-メチル-2,4-ノナンジオン及び5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オンの1又は2以上も含んでよい。
【0146】
本発明の合成組成物中に存在する化合物は、全組成のmg/mlで、ある特定の比で存在し得る。
【0147】
一実施形態において、成分A、C及びDは、合成組成物中に、成分Bに対して特定の比で存在し、各成分の量は、全組成のmg/mlである。
【0148】
一実施形態において、R11がメチルではない場合、それらの成分A成分についての成分A:Bの比は、1~25:1である。一実施形態において、R11がメチルではない場合、それらの成分A成分についての成分A:Bの比は、1~15:1である。一実施形態において、R11がメチルではない場合、それらの成分A成分についての成分A:Bの比は、2~10:1である。一実施形態において、R11がメチルである場合、それらの成分A成分についての成分A:Bの比は、100超:1である。一実施形態において、R11がメチルである場合、それらの成分A成分についての成分A:Bの比は、150超:1である。一実施形態において、R11がメチルである場合、それらの成分A成分についての成分A:Bの比は、200超:1である。
【0149】
一実施形態において、成分C:Bの比は、2~65:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、3~65:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、5~65:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、10~65:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、15~65:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、25~40:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、30~40:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、50~65:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、50~60:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、15~25:1である。一実施形態において、成分C:Bの比は、3~20:1である。
【0150】
一実施形態において、成分D:Bの比は、5~150:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、5~140:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、10~40:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、10~35:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、15~35:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、15~25:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、10~20:1である。一実施形態において、成分D:Bの比は、5~10:1である。
【0151】
これに関して、特定の成分についての比への言及は、合計でのその成分を意味する。例えば、成分Aについて2又は3以上の異なる化合物が存在する場合、成分Aについての比は、その成分についての化合物の総量に関する。
【0152】
一実施形態において、成分Bは、Yが、Rであり、Zが、-Hであり、R13が、-CH=CHCH基である、式IIbである化合物を包含する。この実施形態において、成分A、C及びDは、成分Bのこの具体的な化合物に対して特定の比で存在し得る。特に、成分Aは、1~20:1、例えば1~5:1、又は15~20:1の比で存在し得る。さらに、成分Cは、5~50:1、例えば5~15:1、又は35~45:1の比で存在し得る。さらに、成分Dは、15~25:1、例えば18~22:1の比で存在し得る。
【0153】
一実施形態において、成分A、C及びDは、合成組成物中に、成分B(全B成分)に対して、下記の量で存在する:
・ A:Bは、5~10:1であり、
・ C:Bは、5~10:1であり、
・ D:Bは、10~15:1である。
【0154】
一実施形態において、成分A、C及びDは、合成組成物中に、成分B(全B成分)に対して、下記の量で存在する:
・ A:Bは、1~5:1であり、
・ C:Bは、1~5:1であり、
・ D:Bは、5~10:1である。
【0155】
一実施形態において、成分A、C及びDは、合成組成物中に、成分B(全B成分)に対して、下記の量で存在する:
・ A:Bは、5~10:1であり、
・ C:Bは、15~25:1であり、
・ D:Bは、5~10:1である。
【0156】
一実施形態において、成分A、C及びDは、合成組成物中に、成分B(全B成分)に対して、下記の量で存在する:
・ A:Bは、5~10:1であり、
・ C:Bは、30~40:1であり、
・ D:Bは、15~25:1である。
【0157】
一実施形態において、成分A、C及びDは、合成組成物中に、成分B(全B成分)に対して、下記の量で存在する:
・ A:Bは、1~5:1であり、
・ C:Bは、30~40:1であり、
・ D:Bは、5~15:1である。
【0158】
一実施形態において、成分Bは、合成組成物中に存在する成分A、B、C及びDの合計の1~10%w/vを構成する。一実施形態において、成分Bは、合成組成物中に存在する成分A、B、C及びDの合計の2~5%w/vを構成する。
【0159】
一実施形態において、成分B、C及びDは、合成組成物中に、成分Aに対して特定の比で存在し、各成分の量は、全組成のmg/mlである。
【0160】
一実施形態において、成分C:Aの比は、0.005~0.2:1である。一実施形態において、成分C:Aの比は、0.006~0.015:1である。さらなる実施形態において、R11がメチルではない場合、それらの成分A成分についての成分C:Aの比は、2~27:1である。
【0161】
一実施形態において、成分D:Aの比は、0.01~0.3:1である。一実施形態において、成分D:Aの比は、0.02~0.2:1である。一実施形態において、成分D:Aの比は、0.05~0.1:1である。さらなる実施形態において、R11がメチルではない場合、それらの成分A成分についての成分D:Aの比は、5~70:1である。
【0162】
一実施形態において、成分A、B及びDは、合成組成物中に、成分Cに対して特定の比で存在し、各成分の量は、全組成のmg/mlである。
【0163】
一実施形態において、成分C:Dの比は、0.1~3:1である。一実施形態において、成分C:Dの比は、0.5~2.5:1である。
【0164】
本発明の合成組成物は、タバコ様香気を生成するために特に適切である。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、そのような香気を提供するために、そのような合成組成物をタバコから部分的にでも又は完全にでも抽出する必要がないことを見出した。
【0165】
その結果として、本発明の合成組成物は、タバコ抽出物に直接由来しない。タバコから化合物を抽出する過程中に、他の不純物(すなわち、標的化合物に以外の化合物)が存在し得ると考えられている。種々の理由で問題がある場合があるそのような不純物を抽出から完全に排除することは、不可能であるか又は非常に困難であるかのいずれかである。
【0166】
結果として、本発明の合成組成物は、タバコに由来する組成物中に存在し得るタバコ様香気の提供に有意に寄与しない追加の化合物を含有する必要がないという明確な利点を有する。そのような化合物の例は、ピラジン部分を含有する化合物、例として2-エチル-3,6-ジメチルピラジンであってよい。
【0167】
これに関して、用語「合成」は、本発明の文脈において、複数の化合物を含有する出発組成物が抽出され、次いで、精製又は別様に修飾されて、その構成要素成分を低減させる抽出過程を介してよりもむしろ、複数の個々の及び/又は単離された化合物を組み合わせて組成物を形成することによって生成される、組成物を指す。
【0168】
しかしながら、本発明の合成組成物は、それら自体が単離された抽出物とみなされる成分を包含してよいことに留意されたい。故に、組成物の各成分及び/又は化合物は、それ自体が抽出物に由来していてよいが、合成組成物自体は、次いで、これらの抽出物を組み合わせることによって形成される。しかしながら、概して、そのような化合物は、タバコに由来しない。
【0169】
一実施形態において、合成組成物の成分の1又は2以上は、タバコに直接由来しない。一実施形態において、合成組成物の成分のいずれも、タバコに直接由来しない。一実施形態において、組成物は、ピラジン部分であるか又はそれを含む1又は2以上の化合物を含まない。一実施形態において、組成物は、ジアセチル部分であるか又はそれを含む1又は2以上の化合物を含まない。一実施形態において、組成物は、アセトイン部分であるか又はそれを含む1又は2以上の化合物を含まない。
【0170】
合成組成物が抽出物に直接由来しないために、典型的には、合成組成物が比較的少数の化合物を含むことは事実である。例えば、一実施形態において、合成組成物は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14又は15の化合物から本質的になる。一実施形態において、合成組成物は、15以下の化合物、例として14以下の化合物、例として13以下の化合物、例として12以下の化合物、例として11以下の化合物、例として10以下の化合物、例として9以下の化合物、例として8以下の化合物、例として7以下の化合物、例として6以下の化合物、例として5以下の化合物から本質的になる。
【0171】
一態様において、本発明は、本明細書において定義されている通りの合成組成物を調製する方法であって、
・ 本明細書において定義されている通りの成分A、B、C、D及びEの1つからの少なくとも1つの化合物を、成分A、B、C、D及びEの1つの異なる化合物と組み合わせるステップであり、化合物の少なくとも1つが、タバコ抽出物が起源ではなかった、ステップ
を含む、方法に関する。
【0172】
一実施形態において、A、B、C、D及びEの成分のいずれかの範囲内にある2つを超える異なる化合物を組み合わせる場合、化合物の少なくとも1つは、合成組成物中に存在する他の化合物からの異なる抽出物に由来する。
【0173】
さらなる態様において、本発明は、本明細書において定義されている通りの合成組成物を調製する方法であって、成分A、B、C、D及びEのいずれかの少なくとも1つの化合物が抽出物に由来せず、前記方法が、
・ 本明細書において定義されている通りの成分A、B、C及びDの少なくとも1つを、成分A、B、C及びDの別のものと組み合わせるステップ
を含む、方法に関する。
【0174】
一実施形態において、本発明の合成組成物は、本明細書において定義されている通りの成分A、B、C及びDの化合物から本質的になってよい。
【0175】
上記で説明した通り、本発明の組成物中に存在する個々の化合物は、それら自体が天然源に由来していてよい。しかしながら、そのような天然由来の化合物は、得られ、精製され、次いで本発明の組成物に添加されてよいが、これは、合成組成部そのものが抽出物であることにはならない。
【0176】
さらに、本発明の合成組成物は、成分A、B、C、D及び/又はEを適切な溶媒中に分配させることによって調製され得る。これに関して、適切な溶媒は、エタノール又はジエチルエーテルであってよい。合成組成物の調製を補助するための溶媒の使用は任意であり、合成組成物によって生成される香気に影響を与えるよりもむしろ合成組成物の製造を単に容易にすることに留意すべきである。これに関して、使用される溶媒は、典型的には、ユーザーが嗅覚的観点からその存在を知覚することさえできる前に、合成組成物から留去されるものであろう。
【0177】
したがって、さらなる態様において、本発明は、タバコ香気を模倣するための、本明細書において定義されている通りの合成組成物の使用に関する。
【0178】
一実施形態において、本発明は、タバコ香気を模倣するための、本明細書において定義されている通りの成分A、B、C及びDの範囲内にある成分から本質的になる、合成組成物の使用に関する。
【0179】
本発明のさらなる態様において、
・ ニコチン、及び/又は
・ 担体
の少なくとも一方をさらに含む、本明細書において定義されている通りの合成組成物を含む配合物が提供される。
【0180】
配合物中に存在するニコチンは、プロトン化及び/又は非プロトン化形態であってよい。一実施形態において、配合物は、非プロトン化形態のニコチン及びモノプロトン化形態のニコチンを含む。配合物は、典型的には、非プロトン化形態のニコチン及びモノプロトン化形態のニコチンを含むであろうと予想されるが、少量のジプロトン化された(dipronoated)ニコチンが存在するのかもしれない。一態様において、配合物は、非プロトン化
形態のニコチン、モノプロトン化形態のニコチン及びジプロトン化形態のニコチンを含む。
【0181】
本発明の配合物中における構成要素のwt%への言及は、配合物の総重量に関するものである。
【0182】
一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの1~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの2~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの3~80wt%は、プ
ロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの4~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの10~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの15~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの20~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの25~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの30~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの35~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの40~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの45~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの50~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの55~80wt%は、プロトン化形態である。
【0183】
一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~80wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~75wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~70wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~65wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~60wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~55wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~50wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~45wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~40wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~35wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~30wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~25wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~20wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~15wt%は、プロトン化形態である。一実施形態において、溶液中に存在するニコチンの5~10wt%は、プロトン化形態である。
【0184】
プロトン化形態で配合物中に存在するニコチンの妥当な量は、本明細書において指定されている。これらの量は、当業者によって容易に計算され得る。ニコチン、3-(1-メチルピロリジン-2-イル)ピリジンは、ピリジン環のpKaが3.12及びピロリジン環のpKaが8.02である二酸塩基(diprotic base)である。これは、異なる生体適
合性(bioavailability)を有するpH依存性プロトン化(モノ及びジ)及び非プロトン
化(遊離塩基)形態で存在することができる。
【0185】
プロトン化及び非プロトン化ニコチンの分布は、種々のpH増分で変動することになる。
【0186】
非プロトン化ニコチンの割合は、高pHレベルで優勢となるのに対し、pHの減少により、プロトン化ニコチン(pHに応じてモノ又はジ)の割合の増大が見込まれるであろう。試料中におけるプロトン化ニコチンの相対的割合及びニコチンの総量が既知であれば、プロトン化ニコチンの絶対量を計算することができる。
【0187】
溶液中におけるプロトン化ニコチンの相対的割合は、酸解離定数方程式から導き出されるpHを記述するヘンダーソン・ハッセルバルヒ方程式を使用することによって計算/推
定することができ、これは、化学的及び生物学的システムにおいて広範囲にわたって用いられている。下記の平衡:
【0188】
【化22】
【0189】
を考慮されたい。
【0190】
この平衡についてのヘンダーソン・ハッセルバルヒ方程式は、
【0191】
【数1】
【0192】
である。式中、[B]は、非プロトン化ニコチン(すなわち、遊離塩基)の量であり、[BH+]は、プロトン化ニコチン(すなわち、共役酸)の量であり、pKaは、ニコチンのピロリジン環窒素についての参照pKa値(pKa=8.02)である。プロトン化ニコチンの相対的割合は、ヘンダーソン・ハッセルバルヒ方程式から以下のように計算された非プロトン化ニコチンのアルファ値から導き出すことができる。
【0193】
【数2】
【0194】
ニコチン溶液のpKa値の決定は、“Spectroscopic investigations into theacid-base properties of nicotine at different temperatures”, Peter M. Clayton, Carl A. Vas, Tam T. T. Bui, Alex F. DrakeandKevin McAdam, .Anal. Methods, 2013,5, 81-88において記述されている基本的アプローチを使用して行うことができる。
【0195】
本明細書において論じられている通り、配合物は、非プロトン化形態のニコチン及びプロトン化形態のニコチンを追加で含んでよい。当業者には理解されるであろう通り、ニコチンのプロトン化形態は、非プロトン化ニコチンを酸と反応させることによって調製され得る。酸は、1つの成分群A、B、C及びDからの化合物であってよい。酸は、1又は2以上の有機酸のような適切な酸である。一実施形態において、酸は、カルボン酸である。カルボン酸は、いかなる適切なカルボン酸であってもよい。一実施形態において、酸は、モノカルボン酸である。
【0196】
一実施形態において、酸は、酢酸、安息香酸、レブリン酸、乳酸、ギ酸、クエン酸、ピルビン酸、コハク酸、酒石酸、オレイン酸、ソルビン酸、プロピオン酸、フェニル酢酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態において、酸は、安息香酸である。
【0197】
配合物の担体は、配合物を使用のために気化できるような、いかなる適切な溶媒であってもよい。一実施形態において、溶媒は、グリセロール、プロピレングリコール及びそれ
らの混合物から選択される。一実施形態において、溶媒は、少なくともグリセロールである。一実施形態において、溶媒は、グリセロールから本質的になる。一実施形態において、溶媒は、グリセロールからなる。一実施形態において、溶媒は、少なくともプロピレングリコールである。一実施形態において、溶媒は、プロピレングリコールから本質的になる。一実施形態において、溶媒は、プロピレングリコールからなる。一実施形態において、溶媒は、少なくともプロピレングリコール及びグリセロールの混合物である。一実施形態において、溶媒は、プロピレングリコール及びグリセロールの混合物から本質的になる。一実施形態において、溶媒は、プロピレングリコール及びグリセロールの混合物からなる。
【0198】
配合物の担体は、いかなる適切な量で存在していてもよい。一実施形態において、担体は、配合物に基づき1~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき5~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき10~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき20~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき30~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき40~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき50~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき60~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき70~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき80~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき90~98wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき1~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき5~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき10~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき20~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき30~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき40~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき50~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき60~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき70~90wt%の量で存在する。一実施形態において、担体は、配合物に基づき80~90wt%の量で存在する。
【0199】
さらなる態様において、本発明は、本明細書において定義されている通りの配合物を含む容器に関する。容器は、配合物を保持するためのいかなる適切な容器であってもよい。例えば、容器は、ボトルであってよい。さらに、容器は、エアゾール送達デバイス又はシステムのコンポーネント、例としてカトマイザーであってよい。
【0200】
さらなる態様において、本発明は、エアゾールを生成する方法であって、前記エアゾールが、タバコ香気を模倣し、前記方法が、本明細書において定義されている通りの組成物又は配合物をエアゾール化するステップを含む、方法に関する。
【0201】
さらなる態様において、本発明は、タバコ香気を模倣するための、本明細書において定義されている配合物の使用に関する。
【0202】
ここで、下記の非限定的な例を参照して、本発明について記述する。
[実施例]
【0203】
本発明の例示的な合成組成物の調製において使用した化合物を、表1に記す。合成組成物の調製のために、エタノール中の化合物のストック溶液を調製した。上記で説明した通り、エタノール等の溶媒の使用は、本発明を限定せず、実際に他の溶媒を使用することが
でき、又は実際に溶媒を使用しないこともできる。
【0204】
【表1】
【0205】
実験1
タバコ様香気を持つ組成物の調製
表2において記述されている化合物を含む合成組成物を、エタノール中で調製した。
【0206】
特に、個々の化合物のストック溶液を、エタノール又はジエチルエーテル中で調製した。最終配合物のために、ある特定の分量の各ストック溶液を合わせ、定義された容積にして、目的濃度を実現化した。表2において詳述される通り、種々の組成物を調製した。
【0207】
【表2】
【0208】
合成組成物を、下記のプロトコールに従って、官能分析に供した:
設定:4つのタバコ試料(4つのタバコのそれぞれのおよそ1gの混合物)の試料を円形濾紙上に置いた。
200μLの合成組成物を余分の円形濾紙上にピペッティングした→エタノールが蒸発する(濾紙上に目に見える湿潤点がなくなる)まで揺らす。
5人のパネリストが、タバコ試料及び合成組成物をオルトネーザルで(orthonasally)比較した。
結果:5人のパネリストのうち3人が、合成組成物はタバコを思い起こさせるものであったと述べた-○
5人のパネリストのうち3人未満が、合成組成物はタバコを思い起こさせるものではなかったと述べた-△
【0209】
以上のように、驚くべきことに、タバコから抽出される必要はないが、タバコを思い起こさせる香気を提供する合成組成物を調製できることが見出された。
【0210】
合成組成物の想起を試験するための適切な参照タバコ試料は、「ロスマンズブルー」シガレット(BritishAmericanTobacco社によって供給)由来のタバコを包含する。
【0211】
実験2
タバコ様香気を持つさらなる組成物の調製
表3において記述されている化合物を含む合成組成物を、エタノール中で調製した。
【0212】
特に、ジエチルエーテル(蒸留したもの)中のすべての香気化合物のストック溶液を調製した。ストック溶液は、およそ1mg/mLの濃度を有していた。酢酸及びマルトール
を直接秤量した。最終配合物のために、ある特定の分量の各ストック溶液を合わせ、エタノールとともに定義された容積にして、目的濃度を実現化した。表3において詳述される通り、種々の組成物を調製した。
【0213】
【表3】






【0214】
官能プロトコール
官能試験プロトコールを考案し、以下に記述する。
【0215】
200マイクロリットルの各被験ブレンド(各例)を、セルロース系濾紙に添加して、被検試料を調製した。次いで、被検試料を、臭気評価のためにパネリストに提示した。試料を無作為化し、陽性及び陰性対照試料を試験設計に含み、パネリストに盲検で提示した。
【0216】
加えて、4つのタバコをパネリストに提示して、天然タバコ香気の異なる参照物を提供した。
【0217】
5人のパネリストを評価に使用し、個々の及び一致したスコア及び記述語を官能パネリング中に記録した。
【0218】
被検試料を参照タバコ試料と比較した。
【0219】
実験1と同様に、5人のパネリストのうち3又は4人以上が試料をタバコ様と記述すれば、合成組成物をタバコ様として格付けした。
【0220】
合成組成物の想起を試験するための適切な参照タバコ試料は、「ロスマンズブルー」シガレット(BritishAmericanTobacco社によって供給)由来のタバコを包含する。
【0221】
結果及び考察
上記において、群Aからの化合物の除去が、タバコ様香気の喪失につながることがあり得る(比較例3と実施例2又は実施例4との間の比較を参照)。さらに、群Aからの化合物として使用することができる代表的な酸は、酢酸及び2-メチルブタン酸である。
【0222】
さらに、群Bからの化合物の除去は、タバコ様香気の喪失につながることが分かる(比較例4と実施例2又は実施例4との間の比較を参照)。さらに、群Bからの化合物として使用することができる代表的な化合物は、β-ダマセノン、β-シクロシトラール、サフラナール、α-イオノール及びβ-イオノンである。
【0223】
さらに、群Cからの化合物の除去は、タバコ様香気の喪失につながることが分かる(比較例5と実施例2又は実施例4との間の比較を参照)。さらに、群Cからの化合物として使用することができる代表的な化合物は、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、エチルシクロテン、メシフラン、メープルフラノン及びコロノルである。
【0224】
さらに、群Dからの化合物の除去は、タバコ様香気の喪失につながることが分かる(比較例6及び7と実施例2又は実施例4との間の比較を参照)。さらに、群Dからの化合物として使用することができる代表的な化合物は、フェニル酢酸、ベンズアルデヒド、2-メトキシフェノール及び2,6-ジメトキシフェノールである。
【0225】
上記に鑑みると、驚くべきことに、群A、B、C及びDのそれぞれからの化合物を含む合成組成物は、タバコを思い起こさせる香気を有する組成物を調製する場合に好ましいことが見出された。
【0226】
種々の問題に対処し当技術分野を前進させるために、本開示の全体は、例証として、特許請求されている発明が実践されてよく、タバコを思い起こさせる香気を有する優れた合成組成物を提供する、種々の実施形態を示す。本開示の利点及び特色は、実施形態の代表試料にすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。これらは、理解を補助し、特許請求されている特色を教示するためにのみ提示される。本開示の、利点、実施形態、例、機能、特色、構造及び/又は他の態様は、請求項によって定義される通りの本開示に対する限定又は請求項の均等物に対する限定とみなされるべきではないこと、並びに他の実施形態が利用されてよく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく修正が為され得ることを理解されたい。加えて、本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求され得る、他の発明を包含する。