(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038199
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】細菌由来ミニ細胞を含む組成物およびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/704 20060101AFI20240312BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/7032 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240312BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240312BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20240312BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/685 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/164 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K31/704
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K31/7032
A61P35/02
A61P35/04
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K47/69
A61K9/51
A61K47/46
A61K31/7034
A61K31/685
A61K31/164
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222336
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021503095の分割
【原出願日】2019-07-22
(31)【優先権主張番号】62/702,172
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/788,265
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504146523
【氏名又は名称】エンジーンアイシー モレキュラー デリバリー ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ブランバット、 ヒマンシュ
(72)【発明者】
【氏名】マックディアミド、 ジェニファー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんを治療するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1つの抗腫瘍剤であって、抗腫瘍剤がモルホリニルアントラサイクリンを含み、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効量、および(b)C-グリコシド型のα-ガラクトシルセラミド(α-C-GalCer)、β-D-グルコピラノシルセラミド(β-GlcCer)、1,2-ジアシル-3-ガラクトシル-sn-グリセロール(BbGL-II)、糖脂質を含むジアシルグリセロール(Glc-DAG-s2)、ガングリオキシド(GD3)等より選択されるインターフェロンII型アゴニスト、を含む抗癌剤組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの抗腫瘍剤を含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効量、
および
(b)インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインター
フェロンI型アゴニストおよびインターフェロンII型アゴニストの組合せ、
を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物の要素(b)が、
(i)インターフェロンI型アゴニストを含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有
効量、または
(ii)インターフェロンII型アゴニストを含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療
有効量、または
(iii)以下の組合せ:
(1)インターフェロンI型アゴニストを含む精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有
効量、および
(2)インターフェロンII型アゴニストを含む精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療
有効量、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)前記抗腫瘍剤、およびインターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニ
スト、またはインターフェロンI型アゴニストおよびインターフェロンII型アゴニストの
組合せは、2つ以上の精製された無傷の細菌由来ミニ細胞内にパッケージ化され、または
(b)前記抗腫瘍剤、およびインターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニ
スト、またはインターフェロンI型アゴニストおよびインターフェロンII型アゴニストの
組合わせは、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の3つの別々の集団内にパッケージ化さ
れる、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗腫瘍剤、インターフェロンI型アゴニスト、およびインターフェロンII型アゴニス
トを含み、ここで、
(a)前記抗腫瘍剤、インターフェロンI型アゴニスト、およびインターフェロンII型アゴニ
ストは、同じミニ細胞内に含まれ、
(b)前記抗腫瘍剤およびインターフェロンI型アゴニストは第1のミニ細胞内に含まれ、イ
ンターフェロンII型アゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ、
(c)前記抗腫瘍剤およびインターフェロンII型アゴニストは第1のミニ細胞内に含まれ、
インターフェロンI型アゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ、
(d)前記抗腫瘍剤は第1のミニ細胞内に含まれ、インターフェロンI型アゴニストおよびイ
ンターフェロンII型アゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ、または
(e)前記抗腫瘍剤は第1のミニ細胞内に含まれ、インターフェロンI型アゴニストは第2の
ミニ細胞内に含まれ、およびインターフェロンII型アゴニストは第3のミニ細胞内に含ま
れる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、インターフェロンI型アゴニストを含まない、請求項1~4のいずれか1
項に記載の組成物。
【請求項6】
(a)前記抗腫瘍剤は、放射性核種、化学療法薬、機能性核酸、および機能性核酸を転写す
ることができるポリヌクレオチドからなる群から選択され、および/または
(b)前記抗腫瘍剤は、超毒性化学療法剤であり、および/または
(c)前記抗腫瘍剤は、モルホリニルアントラサイクリン、メイタンシノイド、デュカルマ
イシン、アウリスタチン、カリケアマイシン(DNA損傷剤)、α-アマニチン(RNAポ
リメラーゼII阻害剤)、センタマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ストレプトニグチン
、窒素マスタード、ニトロソルエア、アルカンスルホネート、ピリミジン類似体、プリン
類似体、代謝拮抗剤、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド
、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン剤、およびこれらの組合せからなる群より選択され
る超毒性化学療法剤であり、および/または
(d)前記抗腫瘍剤は、ネモルビシン、PNU-159682、イダルビシン、ダウノルビシ
ン、カミノマイシン、およびオキソルビシンからなる群より選択されるモルホリニルアン
トラサイクリンである超毒性化学療法剤であり、および/または
(e)前記抗腫瘍剤は、PNU-159682である超毒性化学療法剤であり、および/また
は
(f)前記抗腫瘍剤は、siRNA、miRNA、shRNA、lincRNA、アンチセ
ンスRNA、およびリボザイムからなる群より選択される機能性核酸であり、および/ま
たは
(g)前記抗腫瘍剤は、siRNA、miRNA、shRNA、lincRNA、アンチセ
ンスRNA、およびリボザイムからなる群より選択される機能性核酸であり、ここで、機
能性核酸は腫瘍細胞増殖、血管新生または化学療法に対する抵抗性を促進し、および/ま
たはアポトーシスまたは細胞周期停止を阻害する遺伝子を阻害し、そして任意に、(i)
siRNAは、リボヌクレオチドレダクターゼM1(RRM1)発現を阻害し、(ii)s
iRNAがポロ様キナーゼ1(Plk1)発現を阻害し、または(iii)miRNAがmi
RNA16aである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインター
フェロンI型アゴニストとインターフェロンII型アゴニストの組合せはオリゴヌクレオチ
ドであり、および/または
(b)インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインター
フェロンアI型ゴニストとインターフェロンII型アゴニストとの組み合わせはオリゴヌク
レオチドであり、オリゴヌクレオチドは少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約5
0ヌクレオチド、または少なくとも約60ヌクレオチドの配列を含み、および/または
(c)インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインタ
ーフェロンI型アゴニストとインターフェロンII型アゴニストの組み合わせはオリゴヌク
レオチドであり、オリゴヌクレオチドはPNPase1、ポリ(I:C)、ポリ-ICL
C、イミキモド、イミダゾキノリンエスキモド、cGAMPまたはCpG-オリゴデオキ
シヌクレオチドのポリヌクレオチド産物である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
インターフェロンI型アゴニストが、二本鎖RNA(dsRNA)、ポリ(dA:dT)DNA
、二本鎖Z-DNAおよびB-DNA、36bpおよびDNA-RNAハイブリッドよりも
長いDNA(dsDNA)、細菌セカンドメッセンジャーサイクリックジ-GMP、TL
R3、TLR4、TLR7、TLR8およびTLR9アゴニスト、STINGアゴニスト
、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1~7のいずれか一項記
載の組成物。
【請求項9】
(a)インターフェロンII型アゴニストが、C-グリコシド型のα-ガラクトシルセラミド
(α-C-GalCer)、α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)、12炭素
アシル型ガラクトシルセラミド(β-GalCer)、β-D-グルコピラノシルセラミ
ド(β-GlcCer)、1,2-ジアシル-3-ガラクトシル-sn-グリセロール(B
bGL-II)、糖脂質を含むジアシルグリセロール(Glc-DAG-s2)、ガング
リオキシド(GD3)、ガングリオトリアセラミド(Gg3Cer)、グリコシルホスファ
チジルイノシトール(GPI)、α-グルクロノシルセラミド(GSL-1またはGSL
-4)、イソグロボトリヘキソシルセラミド(iGb3)、リポホスホグリカン(LPG
)、ホスファチジルコリン(LPC)、α-ガラクトシルセラミド類似体(OCH)、ス
レイトールセラミドおよびそれらの組合わせからなる群より選択され、および/または
(b)インターフェロンII型作動薬はα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
(a)抗腫瘍剤を含むミニ細胞に結合した二重特異性リガンド、および/または
(b)インターフェロンI型アゴニストを含むミニ細胞に結合した二重特異性リガンド、およ
び/または
(c)インターフェロンII型アゴニストを含むミニ細胞に結合した二重特異性リガンド、を
更に含む請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記二重特異性リガンドが、
(a) ミニ細胞表面構造に対する特異性を有する第1のアームと、非食作用性哺乳動物細胞
表面受容体に対する特異性を有する第2のアームを含み、および/または
(b)ミニ細胞表面構造に対する特異性を有する第1のアームと、非食作用性哺乳動物細胞
表面受容体に対する特異性を有し、ミニ細胞表面構造がミニ細胞表面上のリポ多糖のO-
多糖成分である第2のアームとを含み、および/または
(c)ミニ細胞表面構造に対する特異性を有する第1のアームおよび非食作用性哺乳動物細胞
表面受容体に対する特異性を有する第2のアームを含み、ここで、非貪食性哺乳動物細胞
表面受容体は、ミニ細胞の受容体媒介エンドサイトーシスを活性化することができ、およ
び/または
(d)二重特異性抗体または抗体断片を含み、および/または
(e)ここで、抗体または抗体断片は、細菌由来のミニ細胞表面構造に対する特異性を有す
る第1の多価アームと、癌細胞表面受容体に対する特異性を有する第2の多価アームとを
含み、癌細胞表面受容体は、ミニ細胞の受容体媒介エンドサイトーシスを活性化すること
ができる、
請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、107ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、108ミニ細胞当たり約
1未満の汚染親細菌細胞、109ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、1010ミニ
細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、または1011ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細
菌細胞を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成
物。
【請求項14】
前記ミニ細胞が、直径約400nmである、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物
。
【請求項15】
前記組成物が200nm濾過によって除去可能な親細菌細胞汚染を含まない、請求項1~1
4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、
(a)少なくとも約109、
(b)少なくとも約1×109、
(c)少なくとも約2×109、
(d)少なくとも約5×109、
(e)少なくとも8×109、
(f)約1011以下、
(g)約1×1011以下、
(h)約9×1010以下、または
(i)約8×1010以下
のミニ細胞または死滅した細菌細胞を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成
物。
【請求項17】
有効量の前記組成物を被験体に投与することを含む、必要とする被験体を治療する方法に
おいて使用するための、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記被検体が、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、マウス
、またはラットである請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
(a)前記被検体は癌に罹患しており、および/または
(b)前記被験体が癌に罹患しており、該癌が肺癌、乳癌、脳癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌
、および膀胱癌からなる群より選択され、および/または
(c)前記被験体が癌に罹患しており、該癌が急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病
、副腎皮質がん、エイズ関連がん、エイズ関連リンパ腫、虫垂がん、星状細胞腫、非定型
奇形腫/ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、膀胱がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、
気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、原発部位不明がん、カルチノイド腫瘍、主要サイト不
明がん、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、子宮頸がん、
小児がん、脊索腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、大腸
がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞腫瘍、子宮体が
ん、上衣芽細胞腫、上衣芽腫、上衣腫、食道がん、感覚神経肉腫、ユーイング肉腫、頭蓋
外胚細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆がん、胃(胃)がん、胃腸カルチ
ノイド腫瘍、消化管間質細胞腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛腫瘍 、神経膠
腫、有毛細胞白血病、 心臓腫瘍、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒
色腫、小島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓ガン、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭ガン、
唇ガン、肝臓がん、悪性繊維性組織サイト骨ガン、脂肪肉腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル
細胞がん、メルケル細胞がん、中皮腫、原発不明の転移性扁平上皮首がん、口腔がん、多
発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、
鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺
がん、口腔がん、口腔癌、中咽頭がん、骨肉腫、その他の脳および脊髄腫瘍、卵巣胚細胞
腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、乳頭腫症、副鼻腔がん、副甲状腺がん、骨盤がん、ペ
ニスのがん、咽頭がん、中間的な分化を示す松果体実質細胞腫瘍、松果体芽腫、下垂体腫
瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、 原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、
原発性肝細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性肝細胞がん、前立腺がん、腎細胞がん、腎細胞が
ん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、セザリー症候群、唾液腺が
ん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、頸部がん、胃(胃)がん、
テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺がん、胸腺
腫、甲状腺がん、移行上皮がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、絨毛腫瘍、尿管がん、
尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブ
リン血症、およびウィルムス腫瘍および/または
(d)前記被験体は、脳幹グリオーマ、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢
神経系胚芽腫、星状細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、上衣腫、髄芽腫、髄上皮腫、中間的
分化の松果体実質腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および松果体芽腫からなる群より
選択される脳腫瘍または脳腫瘍を罹患している、
請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、
(a)少なくとも週に1回、数週間にわたり、および/または
(b)1週間に少なくとも1回、数週間から数ヶ月にわたり、および/または
(c)1週間に少なくとも1回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約1
0、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または
約20週間またはそれ以上、および/またはおよび/または
(d)毎週約2回、および/または
(e)約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約1
3、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間、またはそれ以
上にわたり、週に約2回、
投与される、請求項17~19のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本出願は2018年7月23日に出願された米国仮出願62/702,172及び2019年1月4日に出願された米国仮出願62/788,265に対し、35USC§119に基づく優先権利益を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現在、がんの治療に用いられるほとんどの薬物は全身投与される。細胞傷害性抗がん剤の全身デリバリーはがん治療において極めて重要な役割を果たすが、それはまた深刻な問題を引き起こす。例えば、投与された薬物に対する正常な組織/器官の全身曝露は、重篤な毒性を引き起こし得る。このことは、全身投与されるがん化学療法薬が薬剤の生物学的利用能の低さおよび患者内の分布容積の大さを克服するために、しばしば非常に高い用量で送達されなければならないという事実によって悪化する。また、全身的な薬剤投与は、しばしば主要な血管内での安全なカテーテルの使用を必要とするので、侵襲的であり得る。薬物の全身投与は末梢または中枢のいずれかの静脈の使用を必要とすることが多いため、静脈炎などの局所合併症を引き起こす可能性がある。薬物の血管外遊出はまた、ビンカアルカロイドおよびアントラサイクリンの投与時に一般に見られるような、局所投与部位での水泡/組織損傷をもたらし得る。
【0003】
がん治療における別の課題は、化学療法に対する内因性または獲得性の臨床的腫瘍耐性である。一次化学療法に反応しない腫瘍では、診断時に内因性耐性が存在する。後天性耐性は初回治療によく反応する可能性があるが、再発時に耐性表現型を示す腫瘍で生じる。このような腫瘍は、以前に使用された薬と、構造や作用機序が異なる薬を含む新しい薬の両方に耐性を獲得する。MDR (多剤耐性)という用語は1種類の薬にさらされた後に、腫瘍細胞が構造的に無関係ないくつかの薬に対して交差耐性を示すようになる現象をいう。多剤耐性の機序は複雑で多因子性であるが、これは主としてがん細胞におけるゲノム不安定性および突然変異のレベルが高いためである。例示的な機構は、薬物不活性化、細胞膜ポンプによる薬物の排出、薬物流入の減少、薬物標的の突然変異およびアポトーシスの開始不全である。Bredel、2001;Chenら、2001; Sunら、2001; and White & McCubrey、2001。
【0004】
免疫系と悪性細胞の相互作用も腫瘍形成に重要な役割を果たしている。免疫系が形質転換した細胞を検出し、拒絶することができないと、がんの発生につながる可能性がある。腫瘍は、免疫介在性拒絶反応から逃れるために複数の機構を用いる。これらのメカニズムの多くは、現在、細胞レベルおよび分子レベルで知られている。このような知見にもかかわらず、がん免疫療法は臨床において未だ確立された治療法ではない。
【0005】
したがって、薬物耐性を低下させ、アポトーシスを促進し、免疫応答を誘導することができ、同時にこれらの薬物を全身的に送達することに関連する問題を回避することができる、薬物の標的送達を提供することができる送達システムに対する大きな必要性が依然として存在する。本発明はこれらの必要性をみたすものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態は、(a)抗腫瘍剤を含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効量、および(b)インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインターフェロンI型アゴニストとインターフェロンII型アゴニストとの組み合わせを含む組成物に関する。インターフェロンI型アゴニストおよび/またはインターフェロンII型アゴニストは任意に、無傷の細菌由来ミニ細胞内に存在し得る。
【0007】
一実施形態では、組成物が(a)抗腫瘍剤を含む精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効用量、および(b)インターフェロンI型アゴニストを含む精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効用量を含む。別の実施形態では、組成物が(a)抗腫瘍剤を含む精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効量、および(b)インターフェロンII型アゴニストを含む精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効量を含む。なおさらなる実施形態において、組成物は、(a)抗腫瘍剤を含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効用量;(b)インターフェロンI型アゴニストを含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効用量;および(c)インターフェロンII型アゴニストを含む、精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の治療有効用量を含む。
【0008】
一実施形態では抗腫瘍剤およびインターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインターフェロンI型アゴニストおよびインターフェロンII型アゴニストの組み合わせは2つ以上の精製された無傷の細菌由来ミニ細胞内にパッケージされる。一実施形態では抗腫瘍剤およびインターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインターフェロンI型アゴニストおよびインターフェロンII型アゴニストの組み合わせは精製された無傷の細菌由来ミニ細胞の3つの別個の集団内にパッケージ化される。
【0009】
一実施形態では組成物が抗腫瘍剤、インターフェロンI型アゴニスト、およびインターフェロンII型アゴニストを含み、(a)抗腫瘍剤、インターフェロンI型アゴニスト、およびインターフェロンII型アゴニストは同じミニ細胞内に含まれ、(b)抗腫瘍剤およびインターフェロンII型アゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ、(c)抗腫瘍剤およびインターフェロンII型アゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ、(d)抗腫瘍剤は第1のミニ細胞内に含まれ、または(e)抗腫瘍剤は第2のミニ細胞内に含まれる。II型インターフェロンアゴニストが第3のミニ細胞内に含まれる。
【0010】
一実施形態では、組成物はインターフェロンI型アゴニストを含まない。
【0011】
一実施形態では、抗腫瘍剤が放射性核種、化学療法薬、機能性核酸、および機能性核酸を転写することができるポリヌクレオチドからなる群から選択される。一実施形態では、抗腫瘍剤が超毒性化学療法薬である。一実施形態では、超毒性化学療法薬がモルホリニルアントラサイクリン、メイタンシノイド、デュカルマイシン、アウリスタチン、カリケアマイシン(DNA損傷剤)、α-アマニチン(RNAポリメラーゼII阻害剤)、センタマイシン(LiNK)、ピロロベンゾジアゼピン(LiNK)、ストレプトニグチン、窒素マスタード、ニトロソルエア、アルカンスルホネート、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗剤、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン剤、およびそれらの組合せからなる群より選択される。一実施形態では、モルホリニルアントラサイクリンがネモルビシン、PNU159682、イダルビシン、ダウノルビシン、カミノマイシン、およびオキソルビシンからなる群より選択される。一実施形態では、超毒性化学療法薬はPNU159682である。
【0012】
一実施形態では、機能性核酸がsiRNA、miRNA、shRNA、lincRNA、アンチセンスRNA、およびリボザイムからなる群より選択される。一実施形態では、機能性核酸が腫瘍細胞増殖、血管新生、または化学療法に対する抵抗性を促進する、および/またはアポトーシスもしくは細胞周期停止を阻害する遺伝子を阻害する。いくつかの実施形態において、siRNAは、リボヌクレオチドレダクターゼM1(RRM1)発現を阻害する。いくつかの実施形態において、siRNAは、ポロ様キナーゼ1(Plk1)発現を阻害する。いくつかの実施形態では、miRNAはmiRNA16aである。
【0013】
一実施形態ではインターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインターフェロンI型アゴニストとインターフェロンII型アゴニストの組み合わせはオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、オリゴヌクレオチドが少なくとも約40のヌクレオチド、少なくとも約50のヌクレオチド、または少なくとも約60のヌクレオチドの配列を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドがPNPase1、ポリ(I:C)、ポリICLC、イミキモド、イミダゾキオリネレスキモド、cGAMPまたはCpGオリゴデオキシヌクレオチドのポリヌクレオチド産物である。
【0014】
一実施形態では、インターフェロンI型アゴニストが二本鎖RNA(dsRNA)、ポリ(dA:dT)DNA、二本鎖ZDNAおよびBDNA、36bpおよびDNARNAハイブリッドよりも長いDNA(dsDNA)、細菌セカンドメッセンジャーサイクリックジGMP、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8およびTLR9アゴニスト、STINGアゴニスト、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0015】
一実施形態では、インターフェロンII型アゴニストがC-グリコシド型のα-ガラクトシルセラミド(α-C-GalCer)、α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)、12炭素アシル型ガラクトシルセラミド(β-GalCer)、β-D-グルコピラノシルセラミド(β-GlcCer)、1,2-ジアシル-3-ガラクトシル-sn-グリセロール(BbGL-II)、糖脂質を含むジアシルグリセロール(Glc-DAG-s2)、ガングリオキシド(GD3)、ガングリオトリアセラミド(Gg3Cer)、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)、α-グルクロノシルセラミド(GSL-1またはGSL-4)、イソグロボトリヘキソシルセラミド(iGb3)、リポホスホグリカン(LPG)、ホスファチジルコリン(LPC)、α-ラクトシルセラミド類似体(OCH)、スレイトールセラミドおよびそれらの組合わせからなる群より選択される。一実施形態では、インターフェロンII型アゴニストがα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)である。
【0016】
一実施形態では、組成物が抗新生物剤を含むミニ細胞に結合した二重特異性リガンドをさらに含む。一実施形態では、組成物がI型インターフェロンアゴニストを含むミニ細胞に結合した二重特異性リガンドをさらに含む。一実施形態では、組成物がII型インターフェロンアゴニストを含むミニ細胞に結合した二重特異性リガンドをさらに含む。
【0017】
一実施形態では、二重特異性リガンドがミニ細胞表面構造に対する特異性を有する第1のアームと、非食作用性(non-phagocytotic)哺乳動物細胞表面受容体に対する特異性を有する第2のアームとを含む。一実施形態では、ミニ細胞表面構造がミニ細胞表面上のリポ多糖のO多糖成分である。1つの実施形態において、非貪食哺乳動物細胞表面受容体は、ミニ細胞の受容体媒介エンドサイトーシスを活性化することができる。
【0018】
一実施形態では、二重特異性リガンドが二重特異性抗体または抗体断片を含む。一実施形態では抗体または抗体断片が細菌由来のミニ細胞表面構造に対する特異性を有する第1の多価アームと、がん細胞表面受容体に対する特異性を有する第2の多価アームとを含み、がん細胞表面受容体はミニ細胞の受容体媒介エンドサイトーシスを活性化することができる。
【0019】
一実施形態において、該組成物は、107ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、108ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、109ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、1010ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、または1011ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞を含む。
【0020】
一実施形態では、組成物が薬学的に許容される担体をさらに含む。一実施形態では、ミニ細胞が直径が約400nmである。一実施形態では、組成物が200nm濾過によって除去可能な親細菌細胞汚染を含まない。
【0021】
一実施形態において、該組成物は、以下の量のミニ細胞または死滅した細菌細胞を含む:(a)少なくとも約109;(b)少なくとも約1×109;(c)少なくとも約2×109;(d)少なくとも約5×109;(e)少なくとも8×109;(f)約1011以下;(g)約1×1011以下;(h)約9×1010以下;または(i)約8×1010以下。
本発明の一実施形態は必要とする被験体を治療する方法に関し、この方法は、有効量の本明細書に開示される組成物を被験体に投与することを含む。一実施形態では、対象がヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、マウス、またはラットである。
一実施形態では、対象はヒトである。
一実施形態では、対象はがんに罹患している。1つの実施形態において、がんは、肺がん、乳がん、脳がん、肝臓がん、結腸がん、肛門がん、膵臓がん、および膀胱がんからなる群より選択される。一実施態様では、がんは急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、膀胱がん、脳幹グリオーマ、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、原発部位不明がん、カルチノイド腫瘍、主要サイト不明がん、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、子宮頸
がん、小児がん、脊索腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、大腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞腫瘍、子宮体がん、上衣芽細胞腫、上衣芽腫、上衣腫、食道がん、感覚神経肉腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆がん、胃(胃)がん、胃腸カルチノイド腫瘍、消化管間質細胞腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛腫瘍 、神経膠腫、有毛細胞白血病、 心臓腫瘍、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、小島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓ガン、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭ガン、唇ガン、肝臓がん、悪性繊維性組織サイト骨ガン、脂肪肉腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、メルケル細胞がん、中皮腫、原発不明の転移性扁平上皮首がん、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、口腔がん、口腔癌、中咽頭がん、骨肉腫、その他の脳および脊髄腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、乳頭腫症、副鼻腔がん、副甲状腺がん、骨盤がん、ペニスのがん、咽頭がん、中間的な分化を示す松果体実質細胞腫瘍、松果体芽腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、 原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性肝細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性肝細胞がん、前立腺がん、腎細胞がん、腎細胞がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、セザリー症候群、唾液腺がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、頸部がん、胃(胃)がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺がん、胸腺腫、甲状腺がん、移行上皮がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、絨毛腫瘍、
尿管がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍からなる群より選択される。
一実施形態において、脳がんまたは脳腫瘍は、脳幹グリオーマ、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、星細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、上衣腫、髄芽腫、髄上皮腫、中間的分化の松果体実質腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍および松果体芽腫からなる群より選択される。
一実施形態では、組成物が数週間にわたって少なくとも1週間に1回投与される。一実施形態において、組成物は、数週間~数ヶ月にわたって週に少なくとも1回投与される。
一実施形態では、組成物が週に少なくとも1回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間以上投与される。一実施形態では、組成物が毎週約2回投与される。1つの実施形態において、組成物は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間以上、週2回投与される。
上記の概要および図面の以下の説明ならびに詳細な説明は、例示的かつ説明的なものである。それらは本発明のさらなる詳細を提供することを意図しているが、限定として解釈されるべきではない。他の目的、利点、および新規な特徴は、本発明の以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】O-多糖類およびヒト上皮増殖因子受容体抗原に対する二重特異性抗体を含み、抗がん剤PNU159682(アントラサイクリン類似体)を負荷されたEnGeneICドリームビヒクル(EDV)(例えば、細菌ミニ細胞)のグラフ描写である。
【
図2】表面上にO-多糖を含み、免疫調節性60mer二本鎖DNAを負荷されたEnGeneICドリームビヒクル(EDV)のグラフ描写である。
【
図3】表面にO-多糖類を含み、免疫調節性α-ガラクトシルセラミド(αGC)を負荷したEnGeneICドリームビヒクル(EDV)のグラフ描写である。
【
図4】中皮腫患者を治療するために、EGFR標的およびmiRNA16a負荷EDVを評価した臨床試験のグラフ概要図である。
【
図5】A549肺がん細胞株に対する示された化学療法薬の細胞毒性効果を示す図である。
図4Aは、示された化学療法薬物の効果を、超毒性薬物PNU159682と比較する。
図4Bは、ドキソルビシンおよびPNU159682の効果を比較する。
【
図6】副腎皮質がん細胞株ACC01(
図6A)およびACC07(
図6B)に対する示された化学療法薬の効果を示す図である。
【
図7】MDAMB468乳がん細胞株に対する示された化学療法薬の効果を示す図である。
【
図8】ヒト結腸直腸がん細胞株Caco2(
図8A)およびHCT116(
図8B)に対する示された化学療法薬の効果を示す図である。
【
図9】神経膠芽腫細胞株U87MGに対する、示された化学療法薬の効果を示す図である。
【
図10】ヒト膵臓細胞株MiaPaca2(
図10A)およびゲミシタビン耐性MiaPaca2 GemR細胞(
図10B)に対する示された化学療法薬の効果を示す図である。
【
図11】EGFRを標的とし、PNU-159682(
EGFREDV
682
TM)またはアドリアマイシン(
EGFREDV
Dox
TM)を用いてロードされたEDVが、マウスにおけるA549異種移植片腫瘍の成長に及ぼす影響を示す図である。陰性対照は生理食塩水のみ、またはPNU-159682(EDV
682
TM)を装填した非標的EDVである。矢印は、マウスが示された生理食塩水またはEDV組成物で処置された場合を示す。アスタリスクは、最初に生理食塩水で処理されたマウスが
EGFREDV
682
TM構成をいつ管理されたかを示す。
【
図12】示されたNSCLC細胞株におけるGAPDH発現と比較した、GAPDH(グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ)(G)、KSP(キネシンスピンドルタンパク質)、Plk1(ポロ様キナーゼ1)(P)、およびRRM1(リボヌクレオチドレダクターゼ酵素1)(R)の発現を示す図である。
【
図13】中皮腫細胞株(MSTO、
図13A)または副腎皮質がん細胞株(H295R、
図13B)にEGFR標的化siRRM1パッケージ化EDVを送達する効果を示す図である。
【
図14】Balb/c nu/nuマウスにおける中皮腫異種移植片腫瘍増殖に対する、EGFR標的化miRNA16a(
EGFREDV
miRNA16a
TM)またはEGFR標的化siRRM1パッケージ化EDV(
EGFREDV
siRRM1
TM)の送達の影響を示す図である。陰性対照は、スクランブルsiRNAを負荷した生理食塩水またはEGFR標的EDVであった。
【
図15】EGFR標的化miRNA16a(
EGFREDV
miRNA16a
TM)またはEGFR標的化siRRM1パッケージ化EDV(
EGFREDV
siRRM1
TM)で処置した中皮腫異種移植片Balb/c nu/nuマウスから単離した腫瘍を、スクランブルsiRNAを負荷した生理食塩水処置EDVまたはEGFR標的化EDVと比較して示す図である。
【
図16】ポロ様キナーゼ1(
EGFREDV
TM
siPLK
TM)およびリボヌクレオチドレダクターゼ酵素1(
EGFREDV
siRRM1
TM)を標的とするsiRNAを負荷したEGFR標的EDVによって、アドレノ皮質がん細胞(ACC01)において誘導されたアポトーシスを示す図であり、細胞残屑の数(
図16A)およびプロピジウムヨウ化物(PI)陽性細胞に対するアネキシン5の比率(
図16B)を測定することに基づく。無関係なsiRNA(
EGFREDV
TM
siluciferase
TM)を負荷したEDVで処理したACC01細胞における未処理ACC01細胞におけるアポトーシス、および無負荷EDV(
EGFREDV
TM)を陰性対照として含む。
【
図17】細胞破片の数およびヨウ化プロピジウム(PI)陽性細胞に対するアネキシン5の比率を測定することに基づいて、ポロ様キナーゼ1(
EGFREDV
TM
siPLK
TM)(
図17D)およびリボヌクレオチドレダクターゼ酵素1(
EGFREDV
siRRM1
TM)を標的とするsiRNAを負荷したEGFR標的EDVによってアドレノ皮質がん細胞(ACC01)において誘導されるサブG1停止(
図17D)を示す図である。未処理のACC01セル(
図17A)のアポトーシス、無関係なsiRNA(
EGFREDV
TM
siluciferase
TM)でロードされたEDVで処理されたACC01セル(
図17C)、およびアンロードされたEDV(
EGFREDV
TM)(
図17B)は、ネガティブコントロールとして含まれる。
【
図18】(i)黒三角=
EGFREDV
PNU-159682
TM + EDV40mer
TM、(ii)黒丸=
EGFREDV
PNU-159682
TM、(iii)白四角=
EGFREDV
PNU-159682
TM+EDV、(iv)白三角=
EGFREDV
PNU-159682
TM + EDV
50mer
TM、および(v)黒四角=生理食塩水で処置したBalb/c nu/nuマウスにおけるA549(肺がん)異種移植片腫瘍増殖の影響を示す図である。上向き矢印で示すように、異種移植片移植後24、27、29、31、34、36、および38日目に、マウスをこれらのEDVの組み合わせで処置した。36日目と38日目に、約650mm3の腫瘍容積を有する生理食塩水群マウスを、下矢印で示すように
EGFREDV
PNU-159682
TM + EDV
50mer
TMで処理した。
【
図19】40merを含むEDV(PNU159682(
EGFREDV
PNU
TM)を含むEDVと組合せた
EGFREDV
40mers
TM ))で処置したBalb/c nu/nuマウスにおけるA549(肺がん)異種移植片腫瘍増殖に対する影響を示す図である。三角は治療日数を示す。
【
図20】生理食塩水(陰性対照)、IFN-γ(1回当たり0.5×104IU)、ドキソルビシン(
EGFREDV
Dox
TM)を負荷したEGFR標的EDV、および
EGFREDV
Dox
TM + IFN-γで処理したBalb/c nu/nuマウスにおけるA549(肺がん)異種移植片腫瘍増殖に対する影響を示す図である。三角は治療日数を示す。
【
図21】食塩水(陰性対照)、IFN-γ(1用量当たり0.5×104IU)、ドキソルビシン(
EGFREDV
Dox
TM)を負荷したEGFR標的EDV、および
EGFREDV
Dox
TM + IFN-γで処理したBalb/c nu/nuマウスにおけるMDA-MB468(乳がん)異種移植片腫瘍増殖に対する影響を示す。三角は治療日数を示す。
【
図22】生理食塩水(陰性対照)、IFN-γ(1用量当たり0.5×104IU)、ドキソルビシン(
EGFREDV
Dox
TM)を負荷したEGFR標的EDV、および
EGFREDV
Dox
TM +IFN-γで処理したBalb/c nu/nuマウスにおけるMDA-MB468(乳がん)異種移植片腫瘍増殖に対する作用を示す別の試験を示す。三角は治療日数を示す。
【
図23】生理食塩水(陰性対照、グループ1)、ドキソルビシンを負荷したEGFR標的EDV(
EGFREDV
Dox
TM 、グループ2)、
EGFREDV
Dox
TMIFNγ(1用量当たり0.75×104 IU)(グループ3)、および
EGFREDV
Dox
TM + IFNγ(1用量当たり0.5×104IU)(グループ4)で処置したBalb/c nu/nuマウスにおけるドキソルビシン耐性A549異種移植片腫瘍増殖に対する影響を示す。グループ1~3のマウスには、黒三角で示すように、週に2回処置を行った。グループ4のマウスを、白三角で示すように、週に3回処置した。
【
図24-1】パクリタキセルを負荷した種々の用量の
EGFREDV
TMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図24A)=5用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図24C)=5用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図24D)=5用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図24F)=5用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図24G)=5用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図24H)=5用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図24I)=5用量の各々について測定されたIL4のpg/mL;(
図24J)=5用量のそれぞれについて測定したIL12のpg/mL。最後に、(
図24K)は、試験した5つの用量を示す。
【
図24-2】パクリタキセルを負荷した種々の用量の
EGFREDV
TMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図24A)=5用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図24C)=5用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図24D)=5用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図24F)=5用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図24G)=5用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図24H)=5用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図24I)=5用量の各々について測定されたIL4のpg/mL;(
図24J)=5用量のそれぞれについて測定したIL12のpg/mL。最後に、(
図24K)は、試験した5つの用量を示す。
【
図24-3】パクリタキセルを負荷した種々の用量の
EGFREDV
TMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図24A)=5用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図24C)=5用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図24D)=5用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図24F)=5用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図24G)=5用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図24H)=5用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図24I)=5用量の各々について測定されたIL4のpg/mL;(
図24J)=5用量のそれぞれについて測定したIL12のpg/mL。最後に、(
図24K)は、試験した5つの用量を示す。
【
図24-4】パクリタキセルを負荷した種々の用量の
EGFREDV
TMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図24A)=5用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図24C)=5用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図24D)=5用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図24F)=5用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図24G)=5用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図24H)=5用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図24I)=5用量の各々について測定されたIL4のpg/mL;(
図24J)=5用量のそれぞれについて測定したIL12のpg/mL。最後に、(
図24K)は、試験した5つの用量を示す。
【
図25-1】ドキソルビシンを負荷した種々の用量のEGFREDVTMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図25A)=8用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図25C)=8用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図25D)=8用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図25F)=8用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図25G)=8用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図25H)=8用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図25I)=8用量の各々について測定されたIL4のpg/mL。(
図25J)=8用量の各々について測定されたIL12のpg/mL。最後に、(
図25K)は試験した追加の3つの用量を示し、最初の5つの用量は、(
図24K)に示したものと同じである。
【
図25-2】ドキソルビシンを負荷した種々の用量のEGFREDVTMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図25A)=8用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図25C)=8用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図25D)=8用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図25F)=8用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図25G)=8用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図25H)=8用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図25I)=8用量の各々について測定されたIL4のpg/mL。(
図25J)=8用量の各々について測定されたIL12のpg/mL。最後に、(
図25K)は試験した追加の3つの用量を示し、最初の5つの用量は、(
図24K)に示したものと同じである。
【
図25-3】ドキソルビシンを負荷した種々の用量のEGFREDVTMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図25A)=8用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図25C)=8用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図25D)=8用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図25F)=8用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図25G)=8用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図25H)=8用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図25I)=8用量の各々について測定されたIL4のpg/mL。(
図25J)=8用量の各々について測定されたIL12のpg/mL。最後に、(
図25K)は試験した追加の3つの用量を示し、最初の5つの用量は、(
図24K)に示したものと同じである。
【
図25-4】ドキソルビシンを負荷した種々の用量のEGFREDVTMを投与した、ヒト初回投与試験からの患者のサイトカインプロファイルを示す図である。(
図25A)=8用量の各々について測定されたIL6のpg/mL;(
図25C)=8用量の各々について測定されたIL10のpg/mL;(
図25D)=8用量の各々について測定されたTNFαのpg/mL;(
図25F)=8用量の各々について測定されたIFNγのpg/mL;(
図25G)=8用量の各々について測定されたIL-1βのpg/mL;(
図25H)=8用量の各々について測定されたIL2のpg/mL;(
図25I)=8用量の各々について測定されたIL4のpg/mL。(
図25J)=8用量の各々について測定されたIL12のpg/mL。最後に、(
図25K)は試験した追加の3つの用量を示し、最初の5つの用量は、(
図24K)に示したものと同じである。
【
図26】DNAチャレンジを伴う細胞質ゾルDNAセンサーのシグナル伝達経路を示す図である。これまで、細胞内二本鎖DNAを検出するために、多くのサイトゾルDNAセンサーが定義されてきた。RNAポリメラーゼIIIはATに富むDNAをRNAセンサーRIG-Iによって認識されるRNAに転写し、続いてSTINGとIRF3の活性化が起こる。DNAセンサーDAI、IFI16、DDX41およびLSm14Aは、dsDNAを直接感知して、I型IFN産生のためにSTINGを活性化する。dsDNAの存在下では、cGASはSTINGの強力な活性化因子であるcGAMPの合成を触媒する。dsDNAと共に、LRRFIP1はSTING依存的にβ-カテニンとIRF3活性化を開始する。他のDNAセンサーはSTINGとは無関係に免疫応答をプライミングする。dsDNAの認識後、Sox2は好中球におけるTab2/TAK1複合体の活性化を誘発する。dsDNAによって検出されると、DHX9/36はMyD88を介してNFκBおよびIRF7を活性化する。DNAセンサーKu70はIRF1およびIRF7の活性化を誘発する。AIM2はDNA結合を伴うASCを介してインフラマソームの活性化を開始する。
【
図27-1】EDV処置に応答したRAW264.7細胞および骨髄由来樹状細胞(BMDC)活性化を示す図である。(
図27A)1μg/mlのLPS、Ep-EDV、Ep-EDV682、または682と共に直接インキュベートされたRAW細胞におけるCD86発現。(
図27B)EpEDV、EpEDV682または682で処理した4T1またはCT26Ep12.1細胞と共培養したRAW細胞におけるCD86発現。Ep-EDV682治療がん細胞と共同培養したRAW細胞は、CD86表現の著しい増加をもたらした。(
図27C)EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートした原料細胞によるTNFα産生の有意な増加を示す原料細胞/腫瘍細胞共培養物におけるTNFα産生。(
図27D)原料細胞/腫瘍細胞共培養におけるIL-6産生は、EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートされた原料細胞によるIL-6産生の有意な増加を示す。(
図27E)BMDC/4T1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現の定量。(
図27F)BMDC/CT26Ep12.1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現のPCR定量。(
図27G)BMDC/腫瘍細胞共培養物におけるCD86
HiおよびMHCクラスII
Hi発現および(
図27H)CD80
Hi発現の定量。(
図27I)EDVおよび薬物処理CT26Ep12.1細胞とのBMDC共培養におけるMHCクラスII対CD86発現の流量サイトメトリー密度プロット。(
図27J)BMDC/腫瘍細胞共培養物の上清からのTNFα(
図27 K)IL12p40および(
図27L)IL6のELISA分析。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により分析した。
【
図27-2】EDV処置に応答したRAW264.7細胞および骨髄由来樹状細胞(BMDC)活性化を示す図である。(
図27A)1μg/mlのLPS、Ep-EDV、Ep-EDV682、または682と共に直接インキュベートされたRAW細胞におけるCD86発現。(
図27B)EpEDV、EpEDV682または682で処理した4T1またはCT26Ep12.1細胞と共培養したRAW細胞におけるCD86発現。Ep-EDV682治療がん細胞と共同培養したRAW細胞は、CD86表現の著しい増加をもたらした。(
図27C)EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートした原料細胞によるTNFα産生の有意な増加を示す原料細胞/腫瘍細胞共培養物におけるTNFα産生。(
図27D)原料細胞/腫瘍細胞共培養におけるIL-6産生は、EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートされた原料細胞によるIL-6産生の有意な増加を示す。(
図27E)BMDC/4T1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現の定量。(
図27F)BMDC/CT26Ep12.1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現のPCR定量。(
図27G)BMDC/腫瘍細胞共培養物におけるCD86
HiおよびMHCクラスII
Hi発現および(
図27H)CD80
Hi発現の定量。(
図27I)EDVおよび薬物処理CT26Ep12.1細胞とのBMDC共培養におけるMHCクラスII対CD86発現の流量サイトメトリー密度プロット。(
図27J)BMDC/腫瘍細胞共培養物の上清からのTNFα(
図27 K)IL12p40および(
図27L)IL6のELISA分析。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により分析した。
【
図27-3】EDV処置に応答したRAW264.7細胞および骨髄由来樹状細胞(BMDC)活性化を示す図である。(
図27A)1μg/mlのLPS、Ep-EDV、Ep-EDV682、または682と共に直接インキュベートされたRAW細胞におけるCD86発現。(
図27B)EpEDV、EpEDV682または682で処理した4T1またはCT26Ep12.1細胞と共培養したRAW細胞におけるCD86発現。Ep-EDV682治療がん細胞と共同培養したRAW細胞は、CD86表現の著しい増加をもたらした。(
図27C)EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートした原料細胞によるTNFα産生の有意な増加を示す原料細胞/腫瘍細胞共培養物におけるTNFα産生。(
図27D)原料細胞/腫瘍細胞共培養におけるIL-6産生は、EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートされた原料細胞によるIL-6産生の有意な増加を示す。(
図27E)BMDC/4T1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現の定量。(
図27F)BMDC/CT26Ep12.1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現のPCR定量。(
図27G)BMDC/腫瘍細胞共培養物におけるCD86
HiおよびMHCクラスII
Hi発現および(
図27H)CD80
Hi発現の定量。(
図27I)EDVおよび薬物処理CT26Ep12.1細胞とのBMDC共培養におけるMHCクラスII対CD86発現の流量サイトメトリー密度プロット。(
図27J)BMDC/腫瘍細胞共培養物の上清からのTNFα(
図27 K)IL12p40および(
図27L)IL6のELISA分析。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により分析した。
【
図27-4】EDV処置に応答したRAW264.7細胞および骨髄由来樹状細胞(BMDC)活性化を示す図である。(
図27A)1μg/mlのLPS、Ep-EDV、Ep-EDV682、または682と共に直接インキュベートされたRAW細胞におけるCD86発現。(
図27B)EpEDV、EpEDV682または682で処理した4T1またはCT26Ep12.1細胞と共培養したRAW細胞におけるCD86発現。Ep-EDV682治療がん細胞と共同培養したRAW細胞は、CD86表現の著しい増加をもたらした。(
図27C)EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートした原料細胞によるTNFα産生の有意な増加を示す原料細胞/腫瘍細胞共培養物におけるTNFα産生。(
図27D)原料細胞/腫瘍細胞共培養におけるIL-6産生は、EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートされた原料細胞によるIL-6産生の有意な増加を示す。(
図27E)BMDC/4T1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現の定量。(
図27F)BMDC/CT26Ep12.1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現のPCR定量。(
図27G)BMDC/腫瘍細胞共培養物におけるCD86
HiおよびMHCクラスII
Hi発現および(
図27H)CD80
Hi発現の定量。(
図27I)EDVおよび薬物処理CT26Ep12.1細胞とのBMDC共培養におけるMHCクラスII対CD86発現の流量サイトメトリー密度プロット。(
図27J)BMDC/腫瘍細胞共培養物の上清からのTNFα(
図27 K)IL12p40および(
図27L)IL6のELISA分析。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により分析した。
【
図27-5】EDV処置に応答したRAW264.7細胞および骨髄由来樹状細胞(BMDC)活性化を示す図である。(
図27A)1μg/mlのLPS、Ep-EDV、Ep-EDV682、または682と共に直接インキュベートされたRAW細胞におけるCD86発現。(
図27B)EpEDV、EpEDV682または682で処理した4T1またはCT26Ep12.1細胞と共培養したRAW細胞におけるCD86発現。Ep-EDV682治療がん細胞と共同培養したRAW細胞は、CD86表現の著しい増加をもたらした。(
図27C)EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートした原料細胞によるTNFα産生の有意な増加を示す原料細胞/腫瘍細胞共培養物におけるTNFα産生。(
図27D)原料細胞/腫瘍細胞共培養におけるIL-6産生は、EDV処理腫瘍細胞と共にインキュベートされた原料細胞によるIL-6産生の有意な増加を示す。(
図27E)BMDC/4T1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現の定量。(
図27F)BMDC/CT26Ep12.1共培養物におけるIFNαおよびIFNβ出現のPCR定量。(
図27G)BMDC/腫瘍細胞共培養物におけるCD86
HiおよびMHCクラスII
Hi発現および(
図27H)CD80
Hi発現の定量。(
図27I)EDVおよび薬物処理CT26Ep12.1細胞とのBMDC共培養におけるMHCクラスII対CD86発現の流量サイトメトリー密度プロット。(
図27J)BMDC/腫瘍細胞共培養物の上清からのTNFα(
図27 K)IL12p40および(
図27L)IL6のELISA分析。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定により分析した。
【
図28-1】EDV処理に応答した腫瘍応答およびマクロファージ活性化を示す図である。(
図28A)4T1または(
図28B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答した腫瘍増殖。(
図28C)BALB/CヌードマウスT84異種移植片におけるEDV-682およびEDV-EGFR682、ならびに(
図28D)A549/MDR異種移植片を有するBALB/CヌードマウスにおけるEDV-682、EDV-EGFRDoxおよびEDV-EGFR682に応答する腫瘍増殖。緑色の矢印は、正式に生理食塩水で処置したマウスのEDVEGFR682処置を開始した場所を示す。データー(
図28A~D)は平均±s.e.m.を表し、そして4T1腫瘍から単離され、5:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養されたCD11b+の二元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図28E)xCELLigence RTCAによって分析される。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。4T1腫瘍由来のCD11b+ 細胞は細胞指数の増大によって示されるように、最初の接着および沈降相を経験し、続いて、細胞指数の増大または減少によって表される増殖または死滅を経験する。(
図28F)処置マウスの4T1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。(
図28G)CT26Ep12.1腫瘍から単離し、CT26Ep12.1細胞と5:1(E:T)の比率で共培養したCD11b+のxCELLigence RTCA。(
図28H)処置マウスのCT26Ep12.1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。データ(
図28Fおよび28H)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図28-2】EDV処理に応答した腫瘍応答およびマクロファージ活性化を示す図である。(
図28A)4T1または(
図28B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答した腫瘍増殖。(
図28C)BALB/CヌードマウスT84異種移植片におけるEDV-682およびEDV-EGFR682、ならびに(
図28D)A549/MDR異種移植片を有するBALB/CヌードマウスにおけるEDV-682、EDV-EGFRDoxおよびEDV-EGFR682に応答する腫瘍増殖。緑色の矢印は、正式に生理食塩水で処置したマウスのEDVEGFR682処置を開始した場所を示す。データー(
図28A~D)は平均±s.e.m.を表し、そして4T1腫瘍から単離され、5:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養されたCD11b+の二元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図28E)xCELLigence RTCAによって分析される。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。4T1腫瘍由来のCD11b+ 細胞は細胞指数の増大によって示されるように、最初の接着および沈降相を経験し、続いて、細胞指数の増大または減少によって表される増殖または死滅を経験する。(
図28F)処置マウスの4T1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。(
図28G)CT26Ep12.1腫瘍から単離し、CT26Ep12.1細胞と5:1(E:T)の比率で共培養したCD11b+のxCELLigence RTCA。(
図28H)処置マウスのCT26Ep12.1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。データ(
図28Fおよび28H)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図28-3】EDV処理に応答した腫瘍応答およびマクロファージ活性化を示す図である。(
図28A)4T1または(
図28B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答した腫瘍増殖。(
図28C)BALB/CヌードマウスT84異種移植片におけるEDV-682およびEDV-EGFR682、ならびに(
図28D)A549/MDR異種移植片を有するBALB/CヌードマウスにおけるEDV-682、EDV-EGFRDoxおよびEDV-EGFR682に応答する腫瘍増殖。緑色の矢印は、正式に生理食塩水で処置したマウスのEDVEGFR682処置を開始した場所を示す。データー(
図28A~D)は平均±s.e.m.を表し、そして4T1腫瘍から単離され、5:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養されたCD11b+の二元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図28E)xCELLigence RTCAによって分析される。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。4T1腫瘍由来のCD11b+ 細胞は細胞指数の増大によって示されるように、最初の接着および沈降相を経験し、続いて、細胞指数の増大または減少によって表される増殖または死滅を経験する。(
図28F)処置マウスの4T1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。(
図28G)CT26Ep12.1腫瘍から単離し、CT26Ep12.1細胞と5:1(E:T)の比率で共培養したCD11b+のxCELLigence RTCA。(
図28H)処置マウスのCT26Ep12.1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。データ(
図28Fおよび28H)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図28-4】EDV処理に応答した腫瘍応答およびマクロファージ活性化を示す図である。(
図28A)4T1または(
図28B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答した腫瘍増殖。(
図28C)BALB/CヌードマウスT84異種移植片におけるEDV-682およびEDV-EGFR682、ならびに(
図28D)A549/MDR異種移植片を有するBALB/CヌードマウスにおけるEDV-682、EDV-EGFRDoxおよびEDV-EGFR682に応答する腫瘍増殖。緑色の矢印は、正式に生理食塩水で処置したマウスのEDVEGFR682処置を開始した場所を示す。データー(
図28A~D)は平均±s.e.m.を表し、そして4T1腫瘍から単離され、5:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養されたCD11b+の二元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図28E)xCELLigence RTCAによって分析される。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。4T1腫瘍由来のCD11b+ 細胞は細胞指数の増大によって示されるように、最初の接着および沈降相を経験し、続いて、細胞指数の増大または減少によって表される増殖または死滅を経験する。(
図28F)処置マウスの4T1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。(
図28G)CT26Ep12.1腫瘍から単離し、CT26Ep12.1細胞と5:1(E:T)の比率で共培養したCD11b+のxCELLigence RTCA。(
図28H)処置マウスのCT26Ep12.1腫瘍におけるM1(CD86+):M2(CD206+)マクロファージの比率。データ(
図28Fおよび28H)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図29-1】EDV処置に対するNK細胞応答を示す図である。(
図29 A)20:1(E:T)の比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、時間正規化細胞指数から計算された細胞生存率を表す。(
図29B)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682由来のNK細胞と共培養された4T1細胞の生存率%は、NKの添加の70時間後にマウスを処置した(
図29C)CT26Ep12.1細胞と20:1(E:T)比で共培養されたCT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。(
図29D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のNK細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%はNK細胞の添加の50時間後に(
図29E)、4T1腫瘍内のNK細胞(CD45+、CD11b+、DX5+)におけるNKG2Dの発現を示し、EpEDV682処置マウスにおけるNKG2D発現の増加を示す。(
図29F)RANTESおよび(
図29G)TNFαの産生は、4T1腫瘍を有するEDV処理マウスの脾臓から単離されたNK細胞と4T1細胞との共培養において行われる。(
図29H)4つの異なるマウス腫瘍細胞株の表面上のNKG2Dリガンドrae1、H60a、およびMULT1の定量。(
図29I)RAE1および/またはH60a阻害抗体の存在下で20:1(E:T)比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有すルEpEDV682処置マウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCAは、両方がNK腫瘍細胞溶解において重要であることを実証する。(
図29J)NK細胞添加の80時間後のNK細胞溶解の定量は、RAE阻害抗体と組み合わせたH60a抗体単独でのNK細胞溶解の有意な阻害を 示す。データ(
図29B、29D、29EG、および29J)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図29-2】EDV処置に対するNK細胞応答を示す図である。(
図29 A)20:1(E:T)の比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、時間正規化細胞指数から計算された細胞生存率を表す。(
図29B)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682由来のNK細胞と共培養された4T1細胞の生存率%は、NKの添加の70時間後にマウスを処置した(
図29C)CT26Ep12.1細胞と20:1(E:T)比で共培養されたCT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。(
図29D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のNK細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%はNK細胞の添加の50時間後に(
図29E)、4T1腫瘍内のNK細胞(CD45+、CD11b+、DX5+)におけるNKG2Dの発現を示し、EpEDV682処置マウスにおけるNKG2D発現の増加を示す。(
図29F)RANTESおよび(
図29G)TNFαの産生は、4T1腫瘍を有するEDV処理マウスの脾臓から単離されたNK細胞と4T1細胞との共培養において行われる。(
図29H)4つの異なるマウス腫瘍細胞株の表面上のNKG2Dリガンドrae1、H60a、およびMULT1の定量。(
図29I)RAE1および/またはH60a阻害抗体の存在下で20:1(E:T)比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有すルEpEDV682処置マウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCAは、両方がNK腫瘍細胞溶解において重要であることを実証する。(
図29J)NK細胞添加の80時間後のNK細胞溶解の定量は、RAE阻害抗体と組み合わせたH60a抗体単独でのNK細胞溶解の有意な阻害を 示す。データ(
図29B、29D、29EG、および29J)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図29-3】EDV処置に対するNK細胞応答を示す図である。(
図29 A)20:1(E:T)の比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、時間正規化細胞指数から計算された細胞生存率を表す。(
図29B)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682由来のNK細胞と共培養された4T1細胞の生存率%は、NKの添加の70時間後にマウスを処置した(
図29C)CT26Ep12.1細胞と20:1(E:T)比で共培養されたCT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。(
図29D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のNK細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%はNK細胞の添加の50時間後に(
図29E)、4T1腫瘍内のNK細胞(CD45+、CD11b+、DX5+)におけるNKG2Dの発現を示し、EpEDV682処置マウスにおけるNKG2D発現の増加を示す。(
図29F)RANTESおよび(
図29G)TNFαの産生は、4T1腫瘍を有するEDV処理マウスの脾臓から単離されたNK細胞と4T1細胞との共培養において行われる。(
図29H)4つの異なるマウス腫瘍細胞株の表面上のNKG2Dリガンドrae1、H60a、およびMULT1の定量。(
図29I)RAE1および/またはH60a阻害抗体の存在下で20:1(E:T)比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有すルEpEDV682処置マウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCAは、両方がNK腫瘍細胞溶解において重要であることを実証する。(
図29J)NK細胞添加の80時間後のNK細胞溶解の定量は、RAE阻害抗体と組み合わせたH60a抗体単独でのNK細胞溶解の有意な阻害を 示す。データ(
図29B、29D、29EG、および29J)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図29-4】EDV処置に対するNK細胞応答を示す図である。(
図29 A)20:1(E:T)の比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、時間正規化細胞指数から計算された細胞生存率を表す。(
図29B)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682由来のNK細胞と共培養された4T1細胞の生存率%は、NKの添加の70時間後にマウスを処置した(
図29C)CT26Ep12.1細胞と20:1(E:T)比で共培養されたCT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。(
図29D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のNK細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%はNK細胞の添加の50時間後に(
図29E)、4T1腫瘍内のNK細胞(CD45+、CD11b+、DX5+)におけるNKG2Dの発現を示し、EpEDV682処置マウスにおけるNKG2D発現の増加を示す。(
図29F)RANTESおよび(
図29G)TNFαの産生は、4T1腫瘍を有するEDV処理マウスの脾臓から単離されたNK細胞と4T1細胞との共培養において行われる。(
図29H)4つの異なるマウス腫瘍細胞株の表面上のNKG2Dリガンドrae1、H60a、およびMULT1の定量。(
図29I)RAE1および/またはH60a阻害抗体の存在下で20:1(E:T)比で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有すルEpEDV682処置マウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCAは、両方がNK腫瘍細胞溶解において重要であることを実証する。(
図29J)NK細胞添加の80時間後のNK細胞溶解の定量は、RAE阻害抗体と組み合わせたH60a抗体単独でのNK細胞溶解の有意な阻害を 示す。データ(
図29B、29D、29EG、および29J)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析した。
【
図30-1】EDV処置に応答した脾細胞/腫瘍細胞共培養物による間質腫瘍サイトカイン/ケモカイン産生およびサイトカイン産生を示す図である。(
図30A)4T1または(
図30B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答して産生された間質性サイトカインおよびケモカインのELISA分析。Ep-EDV-682 治療により、主にTh1サイトカインが増加する。データは平均±標準偏差を表す。一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較検定により分析した個々のサイトカインデータ。(
図30C)TNFアルファ (
図30D)IL-2(
図30E)IL-1β(
図30F)IFNガンマおよび(
図30G)IL-10のELISA分析は、生理食塩水、Ep-EDV、および4T1およびCT26Ep12.1腫瘍を有するEp-EDV-682処理マウスから単離した脾細胞と、それらに対応する腫瘍細胞との共培養物の上清から得た。データは平均±標準偏差を表す。一元配置分散分析およびTukeyの多重比較を用いて、グループ+または-腫瘍細胞を比較した。腫瘍細胞を用いた場合と用いない場合の個々の治療法を比較するために用いられるT試験。
【
図30-2】EDV処置に応答した脾細胞/腫瘍細胞共培養物による間質腫瘍サイトカイン/ケモカイン産生およびサイトカイン産生を示す図である。(
図30A)4T1または(
図30B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答して産生された間質性サイトカインおよびケモカインのELISA分析。Ep-EDV-682 治療により、主にTh1サイトカインが増加する。データは平均±標準偏差を表す。一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較検定により分析した個々のサイトカインデータ。(
図30C)TNFアルファ (
図30D)IL-2(
図30E)IL-1β(
図30F)IFNガンマおよび(
図30G)IL-10のELISA分析は、生理食塩水、Ep-EDV、および4T1およびCT26Ep12.1腫瘍を有するEp-EDV-682処理マウスから単離した脾細胞と、それらに対応する腫瘍細胞との共培養物の上清から得た。データは平均±標準偏差を表す。一元配置分散分析およびTukeyの多重比較を用いて、グループ+または-腫瘍細胞を比較した。腫瘍細胞を用いた場合と用いない場合の個々の治療法を比較するために用いられるT試験。
【
図30-3】EDV処置に応答した脾細胞/腫瘍細胞共培養物による間質腫瘍サイトカイン/ケモカイン産生およびサイトカイン産生を示す図である。(
図30A)4T1または(
図30B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答して産生された間質性サイトカインおよびケモカインのELISA分析。Ep-EDV-682 治療により、主にTh1サイトカインが増加する。データは平均±標準偏差を表す。一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較検定により分析した個々のサイトカインデータ。(
図30C)TNFアルファ (
図30D)IL-2(
図30E)IL-1β(
図30F)IFNガンマおよび(
図30G)IL-10のELISA分析は、生理食塩水、Ep-EDV、および4T1およびCT26Ep12.1腫瘍を有するEp-EDV-682処理マウスから単離した脾細胞と、それらに対応する腫瘍細胞との共培養物の上清から得た。データは平均±標準偏差を表す。一元配置分散分析およびTukeyの多重比較を用いて、グループ+または-腫瘍細胞を比較した。腫瘍細胞を用いた場合と用いない場合の個々の治療法を比較するために用いられるT試験。
【
図30-4】EDV処置に応答した脾細胞/腫瘍細胞共培養物による間質腫瘍サイトカイン/ケモカイン産生およびサイトカイン産生を示す図である。(
図30A)4T1または(
図30B)CT26Ep12.1腫瘍を有するBalb/cマウスにおけるEpEDVおよびEpEDV682処置に応答して産生された間質性サイトカインおよびケモカインのELISA分析。Ep-EDV-682 治療により、主にTh1サイトカインが増加する。データは平均±標準偏差を表す。一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較検定により分析した個々のサイトカインデータ。(
図30C)TNFアルファ (
図30D)IL-2(
図30E)IL-1β(
図30F)IFNガンマおよび(
図30G)IL-10のELISA分析は、生理食塩水、Ep-EDV、および4T1およびCT26Ep12.1腫瘍を有するEp-EDV-682処理マウスから単離した脾細胞と、それらに対応する腫瘍細胞との共培養物の上清から得た。データは平均±標準偏差を表す。一元配置分散分析およびTukeyの多重比較を用いて、グループ+または-腫瘍細胞を比較した。腫瘍細胞を用いた場合と用いない場合の個々の治療法を比較するために用いられるT試験。
【
図31-1】EDV処置に応答したT細胞機能および表現型を示す図である。(
図31A)30:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31B)CD8+ T細胞の添加30時間後に、生理食塩水、Ep-EDV、またはEp-EDV-682処理マウス由来のCD8+ T細胞と共培養した4T1細胞の生存率%。(
図31C)CT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCAを、CT26Ep12.1細胞と30:1(E:T)の比率で共培養した。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のCD8+ T細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%は、CD8+ T細胞の追加の20時間後に処置された。(
図31E)CD8+ T-セル(CD45+、CD3+、CD8+として定義される)の割合が、4T1の形態で検出された。(
図31F)T-regs(CD45+、CD3+、CD4、CD25+として定義される)のパーセンテージは、4T1の形態で検出された。(
図31G)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節におけるT細胞の数を、全細胞の%で示す。(
図31H)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節における樹状細胞における%CD80/MHCクラスII発現。(
図31I)4T1細胞で処置したEp-EDV-682マウスから単離されたCD8+ T細胞間の相互作用の共焦点像。赤色-アクチン、緑色-パーフォリン、青色(暗色)-DAPI;スケールバー10μm。データ(
図31B、31D、および31EH)は平均±s.e.m.を表し、一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図31B、31D、および31EG)またはt試験(
図31H)によって分析した。
【
図31-2】EDV処置に応答したT細胞機能および表現型を示す図である。(
図31A)30:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31B)CD8+ T細胞の添加30時間後に、生理食塩水、Ep-EDV、またはEp-EDV-682処理マウス由来のCD8+ T細胞と共培養した4T1細胞の生存率%。(
図31C)CT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCAを、CT26Ep12.1細胞と30:1(E:T)の比率で共培養した。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のCD8+ T細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%は、CD8+ T細胞の追加の20時間後に処置された。(
図31E)CD8+ T-セル(CD45+、CD3+、CD8+として定義される)の割合が、4T1の形態で検出された。(
図31F)T-regs(CD45+、CD3+、CD4、CD25+として定義される)のパーセンテージは、4T1の形態で検出された。(
図31G)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節におけるT細胞の数を、全細胞の%で示す。(
図31H)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節における樹状細胞における%CD80/MHCクラスII発現。(
図31I)4T1細胞で処置したEp-EDV-682マウスから単離されたCD8+ T細胞間の相互作用の共焦点像。赤色-アクチン、緑色-パーフォリン、青色(暗色)-DAPI;スケールバー10μm。データ(
図31B、31D、および31EH)は平均±s.e.m.を表し、一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図31B、31D、および31EG)またはt試験(
図31H)によって分析した。
【
図31-3】EDV処置に応答したT細胞機能および表現型を示す図である。(
図31A)30:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31B)CD8+ T細胞の添加30時間後に、生理食塩水、Ep-EDV、またはEp-EDV-682処理マウス由来のCD8+ T細胞と共培養した4T1細胞の生存率%。(
図31C)CT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCAを、CT26Ep12.1細胞と30:1(E:T)の比率で共培養した。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のCD8+ T細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%は、CD8+ T細胞の追加の20時間後に処置された。(
図31E)CD8+ T-セル(CD45+、CD3+、CD8+として定義される)の割合が、4T1の形態で検出された。(
図31F)T-regs(CD45+、CD3+、CD4、CD25+として定義される)のパーセンテージは、4T1の形態で検出された。(
図31G)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節におけるT細胞の数を、全細胞の%で示す。(
図31H)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節における樹状細胞における%CD80/MHCクラスII発現。(
図31I)4T1細胞で処置したEp-EDV-682マウスから単離されたCD8+ T細胞間の相互作用の共焦点像。赤色-アクチン、緑色-パーフォリン、青色(暗色)-DAPI;スケールバー10μm。データ(
図31B、31D、および31EH)は平均±s.e.m.を表し、一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図31B、31D、および31EG)またはt試験(
図31H)によって分析した。
【
図31-4】EDV処置に応答したT細胞機能および表現型を示す図である。(
図31A)30:1(E:T)の比率で4T1細胞と共培養された4T1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31B)CD8+ T細胞の添加30時間後に、生理食塩水、Ep-EDV、またはEp-EDV-682処理マウス由来のCD8+ T細胞と共培養した4T1細胞の生存率%。(
図31C)CT26Ep12.1腫瘍を有するマウスの脾臓から単離されたCD8+ T細胞のxCELLigence RTCAを、CT26Ep12.1細胞と30:1(E:T)の比率で共培養した。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図31D)生理食塩水、EpEDV、またはEpEDV682処置マウス由来のCD8+ T細胞と共培養されたCT26Ep12.1細胞の生存率%は、CD8+ T細胞の追加の20時間後に処置された。(
図31E)CD8+ T-セル(CD45+、CD3+、CD8+として定義される)の割合が、4T1の形態で検出された。(
図31F)T-regs(CD45+、CD3+、CD4、CD25+として定義される)のパーセンテージは、4T1の形態で検出された。(
図31G)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節におけるT細胞の数を、全細胞の%で示す。(
図31H)4T1腫瘍を有するマウスの腫瘍排出リンパ節における樹状細胞における%CD80/MHCクラスII発現。(
図31I)4T1細胞で処置したEp-EDV-682マウスから単離されたCD8+ T細胞間の相互作用の共焦点像。赤色-アクチン、緑色-パーフォリン、青色(暗色)-DAPI;スケールバー10μm。データ(
図31B、31D、および31EH)は平均±s.e.m.を表し、一方向ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図31B、31D、および31EG)またはt試験(
図31H)によって分析した。
【
図32-1】患者末梢血単核細胞(PBMC)の予後指標および免疫表現型検査を示す図であり、用量12での樹状細胞および単球による抗原提示の増強および細胞傷害性CD8+ T細胞含量の上昇の証拠を明らかにする。予後指標(
図32A)CA199および(
図32B)C反応性タンパク質血清レベル。(
図32C)単球および(
図32D)中間体(CD14+CD16++)抗原提示単球サブタイプについてのDuraclone免疫表現型決定パネルを用いたPBMCの分析。%白血球として表した。CD8+エフェクターT細胞応答を御する(
図32E)骨髄性樹状(Clec9A+)細胞(mDC)および(
図32F)形質細胞様樹状および骨髄性樹状(プロフェッショナル抗原提示DC)を含む樹状細胞サブタイプ。示されるように%DCまたは%mDCで表す。(
図32G)CD8+T細胞サブタイプ。細胞傷害性CD8+T細胞には、エフェクターおよび消耗した(PD1+)サブタイプが含まれる。
【
図32-2】患者末梢血単核細胞(PBMC)の予後指標および免疫表現型検査を示す図であり、用量12での樹状細胞および単球による抗原提示の増強および細胞傷害性CD8+ T細胞含量の上昇の証拠を明らかにする。予後指標(
図32A)CA199および(
図32B)C反応性タンパク質血清レベル。(
図32C)単球および(
図32D)中間体(CD14+CD16++)抗原提示単球サブタイプについてのDuraclone免疫表現型決定パネルを用いたPBMCの分析。%白血球として表した。CD8+エフェクターT細胞応答を御する(
図32E)骨髄性樹状(Clec9A+)細胞(mDC)および(
図32F)形質細胞様樹状および骨髄性樹状(プロフェッショナル抗原提示DC)を含む樹状細胞サブタイプ。示されるように%DCまたは%mDCで表す。(
図32G)CD8+T細胞サブタイプ。細胞傷害性CD8+T細胞には、エフェクターおよび消耗した(PD1+)サブタイプが含まれる。
【
図32-3】患者末梢血単核細胞(PBMC)の予後指標および免疫表現型検査を示す図であり、用量12での樹状細胞および単球による抗原提示の増強および細胞傷害性CD8+ T細胞含量の上昇の証拠を明らかにする。予後指標(
図32A)CA199および(
図32B)C反応性タンパク質血清レベル。(
図32C)単球および(
図32D)中間体(CD14+CD16++)抗原提示単球サブタイプについてのDuraclone免疫表現型決定パネルを用いたPBMCの分析。%白血球として表した。CD8+エフェクターT細胞応答を御する(
図32E)骨髄性樹状(Clec9A+)細胞(mDC)および(
図32F)形質細胞様樹状および骨髄性樹状(プロフェッショナル抗原提示DC)を含む樹状細胞サブタイプ。示されるように%DCまたは%mDCで表す。(
図32G)CD8+T細胞サブタイプ。細胞傷害性CD8+T細胞には、エフェクターおよび消耗した(PD1+)サブタイプが含まれる。
【
図33】EDVがどのようにして最初に腫瘍への細胞傷害性物質の送達を介して免疫原性腫瘍微小環境を作り出し、次に抗腫瘍表現型に向けて直接的または間接的に自然免疫系を刺激し、最後に腫瘍特異的細胞傷害性T細胞が生じる適応応答を生じるかの概略を示す図である。(
図33A)EpEDV682は漏出性血管系を介して腫瘍微小環境に入り、腫瘍細胞アポトーシスおよび免疫活性化DAMPの放出を生じる。アポトーシス細胞またはEDVさえも直接飲み込むことによる腫瘍微小環境内のマクロファージの相互作用はM1マクロファージ分極および炎症性サイトカインTNFアルファおよびIL6の放出をもたらす(
図33C)M1マクロファージが腫瘍細胞をさらに溶解し、さらなる免疫細胞を動員することができるMIP-1αを放出することができる。(
図33D)未成熟樹状細胞はアポトーシス細胞体を飲み込み、Ep-EDV-682処理および成熟放出1型インターフェロン、TNFα、IL-12p40およびIL-6に応答して生じる腫瘍抗原を放出した。(
図33E)次いで、成熟DCは、T細胞への抗原提示のためにリンパ節に移動する。(
図33F)NK細胞活性化はまた、さらなる免疫細胞を誘引するためのIFNがγおよびTNFαならびにRANTESの放出を生じる腫瘍微小環境において生じる。さらに、活性化されたNK細胞は腫瘍細胞を効果的に溶解する。(
図33G)RANTES及びMIP-1αの放出はさらなるT細胞、NK細胞、およびマクロファージを腫瘍に補充し、そこで(
図33H)腫瘍特異的CD8+ T細胞は、次いで、腫瘍細胞溶解を介して反応に寄与する。(
図33I)これらの工程の全てが組み合わさって、効果的な抗腫瘍免疫応答を作り出す。
【
図34-1】EDV処置に応答したRAW264.7およびJAWSII細胞活性化を示す図である。(
図34A)EDV製剤と直接インキュベートしたRAW264.7細胞によるTNFα産生。(
図34B)EDV製剤と直接インキュベートしたRAW264.7細胞によるIL6産生。(
図34C)未処理CT26Ep12.1および4T1細胞またはEpEDV、EpEDV682、または682単独で処理した細胞とのJAWSII細胞共培養におけるCD86およびMHCクラスII発現のフローサイトメトリーヒストグラムオーバーレイ。(
図34D)処理された腫瘍細胞と共培養されたJAWSII細胞上でフローサイトメトリーを介して決定されるようなCD86発現の定量。(
図34E)処理された腫瘍細胞と共培養されたJAWSII細胞上のフローサイトメトリーによって決定されたMHCクラスII発現の定量。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析する。
【
図34-2】EDV処置に応答したRAW264.7およびJAWSII細胞活性化を示す図である。(
図34A)EDV製剤と直接インキュベートしたRAW264.7細胞によるTNFα産生。(
図34B)EDV製剤と直接インキュベートしたRAW264.7細胞によるIL6産生。(
図34C)未処理CT26Ep12.1および4T1細胞またはEpEDV、EpEDV682、または682単独で処理した細胞とのJAWSII細胞共培養におけるCD86およびMHCクラスII発現のフローサイトメトリーヒストグラムオーバーレイ。(
図34D)処理された腫瘍細胞と共培養されたJAWSII細胞上でフローサイトメトリーを介して決定されるようなCD86発現の定量。(
図34E)処理された腫瘍細胞と共培養されたJAWSII細胞上のフローサイトメトリーによって決定されたMHCクラスII発現の定量。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析する。
【
図34-3】EDV処置に応答したRAW264.7およびJAWSII細胞活性化を示す図である。(
図34A)EDV製剤と直接インキュベートしたRAW264.7細胞によるTNFα産生。(
図34B)EDV製剤と直接インキュベートしたRAW264.7細胞によるIL6産生。(
図34C)未処理CT26Ep12.1および4T1細胞またはEpEDV、EpEDV682、または682単独で処理した細胞とのJAWSII細胞共培養におけるCD86およびMHCクラスII発現のフローサイトメトリーヒストグラムオーバーレイ。(
図34D)処理された腫瘍細胞と共培養されたJAWSII細胞上でフローサイトメトリーを介して決定されるようなCD86発現の定量。(
図34E)処理された腫瘍細胞と共培養されたJAWSII細胞上のフローサイトメトリーによって決定されたMHCクラスII発現の定量。データは平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較検定によって分析する。
【
図35-1】Balb/cおよびBalb/cヌード異種移植片におけるEDV処置に応答した体重変化およびマクロファージ活性化を示す。(
図35A)CT26Ep12.1(
図35B)4T1(
図35C)T84および(
図35D)A549/MDR腫瘍を有するマウスの体重の変化%。最初の投与では5%以下の体重減少しか見られず、その後、体重は回復し、その後の投与で安定する。データは平均±標準偏差を表す。EDV処置マウスの(
図35E)A549/MDRおよび(
図35F)T84腫瘍におけるマクロファージのM1/M2(CD86:CD206)比。(
図35G)A549/MDR腫瘍から単離され、A549/MDR細胞と5:1(E:T)の比率で共培養されたCD11b+のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図35H)生理食塩水またはEGFREDV682処置マウスの腫瘍由来のCD11b+細胞と共培養したA549/MDR細胞の細胞溶解%は、CD11b+細胞を加えた6.5時間後に処置した。(
図35I)4T1細胞で処理した4T1腫瘍から単離したCD11b+細胞の共培養におけるMIP1αの産生。データ(
図35E、35F、35H、および35I)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図35E、35H、35I)またはt試験(
図35F)によって分析した。
【
図35-2】Balb/cおよびBalb/cヌード異種移植片におけるEDV処置に応答した体重変化およびマクロファージ活性化を示す。(
図35A)CT26Ep12.1(
図35B)4T1(
図35C)T84および(
図35D)A549/MDR腫瘍を有するマウスの体重の変化%。最初の投与では5%以下の体重減少しか見られず、その後、体重は回復し、その後の投与で安定する。データは平均±標準偏差を表す。EDV処置マウスの(
図35E)A549/MDRおよび(
図35F)T84腫瘍におけるマクロファージのM1/M2(CD86:CD206)比。(
図35G)A549/MDR腫瘍から単離され、A549/MDR細胞と5:1(E:T)の比率で共培養されたCD11b+のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図35H)生理食塩水またはEGFREDV682処置マウスの腫瘍由来のCD11b+細胞と共培養したA549/MDR細胞の細胞溶解%は、CD11b+細胞を加えた6.5時間後に処置した。(
図35I)4T1細胞で処理した4T1腫瘍から単離したCD11b+細胞の共培養におけるMIP1αの産生。データ(
図35E、35F、35H、および35I)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図35E、35H、35I)またはt試験(
図35F)によって分析した。
【
図35-3】Balb/cおよびBalb/cヌード異種移植片におけるEDV処置に応答した体重変化およびマクロファージ活性化を示す。(
図35A)CT26Ep12.1(
図35B)4T1(
図35C)T84および(
図35D)A549/MDR腫瘍を有するマウスの体重の変化%。最初の投与では5%以下の体重減少しか見られず、その後、体重は回復し、その後の投与で安定する。データは平均±標準偏差を表す。EDV処置マウスの(
図35E)A549/MDRおよび(
図35F)T84腫瘍におけるマクロファージのM1/M2(CD86:CD206)比。(
図35G)A549/MDR腫瘍から単離され、A549/MDR細胞と5:1(E:T)の比率で共培養されたCD11b+のxCELLigence RTCA。プロットは、細胞接着および増殖/死対時間に相関する正規化細胞指数を表す。(
図35H)生理食塩水またはEGFREDV682処置マウスの腫瘍由来のCD11b+細胞と共培養したA549/MDR細胞の細胞溶解%は、CD11b+細胞を加えた6.5時間後に処置した。(
図35I)4T1細胞で処理した4T1腫瘍から単離したCD11b+細胞の共培養におけるMIP1αの産生。データ(
図35E、35F、35H、および35I)は平均±s.e.m.を表し、一元配置ANOVAおよびTukeyの多重比較試験(
図35E、35H、35I)またはt試験(
図35F)によって分析した。
【
図36】EDV処置に対するNK細胞応答を示す図である。(
図36A)10:1(E:T)比でT84細胞と共培養されたT84腫瘍を有するBalb/cヌードマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCA。プロットは、時間正規化細胞指数から計算された細胞生存率を表す。(
図36B)生理食塩水およびEGFREDV682処置マウスおよびT84細胞の脾臓から単離されたNK細胞の共培養物におけるグランザイムB産生。データは平均±s.e.m.を表し、t検定により分析した。(
図36C)A549/MDR腫瘍を有するBalb/cヌードマウスの脾臓から単離されたNK細胞のxCELLigence RTCAを、A549/MDR細胞と10:1(E:T)の比で共培養した。プロットは、時間(生理食塩水n=5; EGFREDV682n=4)にわたる、正規化された細胞指数から計算された細胞生存率を表す。
【
図37】患者由来膵管腺がん細胞の受容体発現および薬物感受性スクリーニングを示す図である。(
図37A)腫瘍のヘッド由来の細胞のEGFR表面受容体定量。(
図37B)腫瘍のテールからの細胞のEGFR表面受容体定量。(
図37C)682感度と比較した、第1および第2のラインの化学療法薬物/薬物の組み合わせの薬物感度およびIC50。
【
図38】全PBMCプール(FSC v SSC)からの単一細胞を、前方散乱幅(FSCW)対前方散乱面積(FSCA)に基づいてゲートし、次いでCD45染色について分析した(FSC v CS45+上のCD45+ゲート)ことを示す図である。細胞生存率は96%であり(Count and viability kit #C00162、Beckman Coulter、データは示さず)、死細胞は80のFSC閾値識別器に基づいて排除された。全樹状細胞(DC)をレウコイト(CD45+)上にゲートし、HLA-DR+およびLineage(#353351、Beckman Coulter)と定義した。系統陰性マーカーは、それぞれ、T細胞、単球、B細胞、およびNK細胞について陰性選択するために使用される、CD3、CD14、CD19、CD20、およびCD56に対して作製された同じフルオロフォア(PE)とコンジュゲートした抗体のプールから構成された。HLA-DR+であった残りの細胞は樹状細胞としてゲート化され、形質細胞様DC(CD11c-CD123+)または抗原提示骨髄性DC(CD11c+CD123-)に細分された。骨髄性DC(mDC)は3つの主要サブセット、CD1c+mDC1、CD141+mDC2(ここに示すClec9A+)およびCD16+mDCに分けられた。CD14+発現は白血球上でゲート制御された単球(#B93604、Beckman Coulter)を定義し、その後、古典的(CD14+CD16-)、中間的(CD14+CD16+)および非古典的(CD14+CD16+)に細分された。T細胞(#B53328、Beckman Coulter)はCD3+で、リンパ球上でゲート制御されていた(CD45+SSC低値)。次いで、CD3+T細胞サブセット、Tヘルパー(CD4+)および細胞傷害性T(CD8+)を定義した。PD1+ CD8+ 細胞傷害性T細胞ゲートをSSCに対してプロットし、CD8+ T細胞上でゲートした。全てのFSCおよびSSC軸は直線であり、一方、蛍光チャネル軸(全てのCDマーカー)は対数または双指数関数である(「logicle」、Kaluzaソフトウェア、Beckman Coulter)。
【
図39】xCelligence RTCA実験に使用した細胞単離物の純度を示すフローサイトメトリー分析を示す。(
図39A)マウス腫瘍からのCD11b+細胞の単離。イソタイプ対照vs.FSCおよびCD11bvs.FSCを示す密度プロット。試料は、約80%の純度のCD11b+細胞を有していた。(
図39B)マウス脾臓からのNK細胞の単離。密度プロットは、FSCに対してアイソタイプ対照、FSCに対してNKp46およびFSCに対してCD11bを示す。試料は~90%の純度のNK細胞を有していた。(
図39C)マウススプリーンからのCD8+ Tセル分離。密度プロットは、FSCに対してアイソタイプ対照、FSCに対してCD3e、およびFSCに対してCD8を示す。試料は約90%の純度のT細胞(CD3e+)を有し、それらのT細胞の98%以上がCD8+であった。
【
図40】同系マウスモデル(Balb/cマウスにおける
EpCT26大腸腫瘍)における
Epミニ細胞
Doxおよびミニ細胞
α-GCを使用する組合せ処置を示す図である。
【
図41】CT26同種移植片を有するBalb/cマウスにおいて、
Epミニ細胞
Doxおよびミニ細胞
α-GCの併用処置が大きな腫瘍を減少させるのに効果的であることを示す図である。
【
図42】CT26同種移植片を有するBalb/cマウスにおける腫瘍退縮に対する
Epミニ細胞
Doxおよびミニ細胞
α-GCの影響を示す。
【
図43】(
図43Aおよび43B)
Epミニ細胞
Doxおよびミニ細胞
α-GC(
図43Dおよび43E)ミニ細胞
α-GCのみ(
図43F)
Epミニ細胞
Dox のみ、および(
図43C)生理食塩水で処理した種々のサイズのCT26イソグラフトを示す図である。
【
図44】
Epミニ細胞
Doxおよびミニ細胞
α-GCで処理した種々のサイズのCT26イソグラフトを示す図である。
【
図45】種々の時点でのミニ細胞
α-GC処置後のJAWSII細胞のαGC-CD1D提示を示す図である(
図45A~E)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
I. 概要
本発明は、(i)抗腫瘍剤およびI型インターフェロンアゴニスト;(ii)抗腫瘍剤およびII型インターフェロンアゴニスト;または(iii)抗腫瘍剤、I型インターフェロンアゴニスト、およびII型インターフェロンアゴニストの組み合わせを含む組成物であって、少なくとも抗腫瘍剤が無傷の細菌由来ミニ細胞内にパッケージされている組成物が、がん治療戦略を相乗的に改善することができるという発見に基づく。
【0024】
少なくとも抗腫瘍剤、および任意にI型および/またはII型インターフェロンアゴニストが無傷の細菌由来ミニ細胞内にパッケージされる、活性剤と免疫調節剤との組み合わせは、がん性細胞に対する劇的な効力、ならびに対象における薬物耐性発達の驚くべき欠如を生じる。記載された組成物は、I型および/またはII型インターフェロンアゴニストのような免疫調節薬と組み合わせた抗腫瘍薬の全身送達に関連する毒性を回避して、相乗的に改善されたがん治療戦略を提供する。
【0025】
がん免疫療法における最近の進歩は特定のがんにおいて、前例のない耐久性のある臨床応答をもたらした(Emensら、2017; Farkonaら、2016; OisethおよびAziz、2017; Sharmaら、2017; Ventola、2017)。しかし、現在の免疫療法戦略は様々な腫瘍型にわたって限定された成功率をもたらし、最初に時間腫瘍退縮再発を促進することを実証する患者のかなりの割合をもたらした(Emensら、2017; Mellmanら、2011; OisethおよびAziz、2017; Sharmaら、2017; Ventola、2017)。
【0026】
以下の実施例16に記載されるデータは、腫瘍標的ナノ細胞治療の細胞-免疫療法機能の機構を解明し、ここでは、免疫系の複数のアームの係合と組み合わせた超細胞毒素の送達を介して腫瘍に対する二重攻撃を開始する。このアプローチは免疫原性腫瘍微小環境を作り出し、それにより患者に生じるかもしれない一次耐性および/または適応耐性を回避する複数の免疫細胞サブセットにも作用することにより、免疫療法による現在の落とし穴のいくつかを回避する。
【0027】
さらに、患者のサブセットは腫瘍細胞抗原の欠如または免疫細胞浸潤の欠如から生じる腫瘍免疫原性を欠き、したがって、利用可能な現在の戦略に対して初期応答を示さない(Emensら、2017; OisethおよびAziz、2017; Sharmaら、2017)。このように、新規で頑健な免疫療法アプローチの同定は、臨床転帰の有意な改善をもたらす可能性があり、依然として優先権の高い領域である。
【0028】
有効な抗腫瘍免疫応答を開始するために、特定の工程は、自発的または治療的のいずれかで達成されなければならない。第1に、腫瘍細胞死を介してインサイチュで誘導され得るか、または外因的に送達され得る腫瘍細胞抗原は樹状細胞(DC)によって取り込まれなければならない(Anguilleら、2015; Emensら、2017; Jungら、2018; Mellmanら、2011)。抗原取り込みと併せて、DCは抗原の分化および増強されたプロセシングおよび提示を促す適切な成熟シグナルを受け取る必要があり、その結果、耐性とは反対の抗腫瘍機能が促進される(Anguilleら、2015; Emensら、2017; Jungら、2018; Mellmanら、2011; Simmonsら、2012)。これらの成熟した腫瘍抗原負荷DCはその後、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞の産生、NKおよび/またはNKT細胞応答のトリガー、およびT-ヘルパー1型応答の増強を介して起こり得る抗腫瘍T細胞応答を効果的に生成しなければならない(Emensら、2017; Fangら、2017; Mellmanら、2011; Sharmaら、2017; Zitvogelら、2015)。抗腫瘍T細胞は免疫抑制シグナルが存在し得る腫瘍微小環境に最終的に入らなければならず、それらの抗腫瘍機能を有効に実施しなければならない(Emensら、2017; Mellmanら、2011)。これらの工程のいずれかで生じる問題は、免疫療法の有効性を妨げ、治療の全失敗をもたらし得る(Emensら、2017; Mellmanら、2011; Sharmaら、2017)。
【0029】
現在、臨床的に最も注目されている免疫療法戦略には、免疫学的チェックポイントインヒビターおよびキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR)が含まれる(Emensら、2017; Mellmanら、2011; OisethおよびAziz、2017; Sharmaら、2017; Ventola、2017)。細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA4)およびプログラム細胞死1/プログラム細胞死1リガンド(PD/PDL)などのチェックポイント阻害剤は免疫抑制シグナルの伝達を遮断し、腫瘍微小環境内で細胞傷害性Tリンパ球を活性化するように刺激することによって機能する(Dineら、2017; Jenkinsら、2018; Sharpe、2017)。これらの経路の阻害剤は特定のがんにおいて劇的な臨床結果を示しているが、異なるがんにわたる全体的な応答率は依然として低く(~15-25%)、これらの治療に関連する免疫関連毒性は高い可能性がある(Dineら、2017; Emens ら、2017; Jenkins ら、2018; Sharpe、2017; Ventola、2017)。新たなチェックポイントが潜在的免疫ターゲットとして継続的に発見されていることにより、免疫抑制経路の精巧で多様なセットを利用することが可能であることは明らかである(Dineら、2017; Emensら、2017; Farkonaら、2016; Jenkinsら、2018; Sharpe、2017)。したがって、チェックポイント阻害剤に対する耐性の開発はハードルであり続けており、これらの問題を克服するために複数のチェックポイント阻害剤の組み合わせを利用する試みがなされているが、これはしばしば関連する毒性を悪化させる(Dineら、2017; Jenkinsら、2018; Sharmaら、2017;Ventola、2017)。
【0030】
広く注目されている第2の治療は定義された腫瘍抗原特異性を有し、標的腫瘍細胞の殺傷を開始するために強力なT細胞活性化を誘発することができる膜融合受容体を発現するための患者のT細胞の遺伝子操作を伴うCART細胞治療である(D’Aloiaら、2018’; Farkonaら、2016; Mellmanら、2011; Sharmaら、2017)。この治療アプローチは「液体」血液がんの治療において、前例のない臨床結果をもたらしたが、現在まで、良好な特異的抗原標的の欠如、腫瘍へのホーミング不良、腫瘍への溢出不良、および敵対的腫瘍微小環境内での持続性の欠如に関連する限界に起因して、固形悪性腫瘍を標的とする際に同等の応答をもたらさなかった(D’Aloiaら、2018’; Sharmaら、2017)。重度に前処置された患者からのリンパ球の利用可能性および長い製造時間に関連する実用的な限界も存在し、急速に進行する疾患を有する患者にとって実行可能な治療選択肢ではない(OisethおよびAziz、2017; Rezvaniら、2017)。
【0031】
EnGeneIC Dream Vector (EDV)は細菌における細胞分裂の極性部位を再活性化することによって生成される、直径400±20nmの非生存ナノ細胞からなる細菌由来の送達系である(MacDiarmidら、2007b)。これらのナノ細胞は細胞傷害性薬物、siRNA、またはmiRNAでパッケージ化され得、ナノ細胞の表面多糖への二重特異性抗体の付着を介して腫瘍細胞表面受容体に特異的に標的化され得ることが実証されている(MacDiarmidら、2009; MacDiarmidら、2007b; Reidら、2013)。マウスおよびイヌの研究における静脈内投与後はそれらのサイズのために血管系に保持されているが、その後、腫瘍関連漏出
性血管系を介して腫瘍に急速に溢出していることが実証されている(MacDiarmidら、2007b; Sagnellaら、2018)。関連する二重特異性抗体を介する腫瘍細胞表面受容体の結合はエンドソームへのマクロピノサイトーシス、およびリソソームにおける細胞内の変性赤血球を介するペイロードの放出をもたらす(MacDiarmidら、2009; MacDiarmidら、2007b; Sagnellaら、2018)。これらのナノ細胞治療の安全性は3つの第I相臨床試験で実証されており、様々な末期がん患者には1000回を超える用量が投与され、682の負荷EDVが現在第I相試験で患者に送達されており、これまでに有望な安全性プロフィールが示されている(2017; Kaoら、2015; Solomonら、2015; van Zandwijkら、2017; Whittleら、2015)。
A. 細菌のミニ細胞デリバリー法の概要
がん細胞に化学療法剤を送達するための細菌ミニ細胞の使用は、以前に記載されている。がんを治療するためのこの送達方法は、毒性化学療法剤もしくは薬物、または機能性核酸を、典型的には直径約400nmである細菌由来ミニ細胞にパッケージ化する。典型的には、ミニ細胞が特異的がん細胞を標的とする抗体を有する。この抗体はがん細胞の表面に結合し、ミニ細胞はがん細胞によって細胞内に取り込まれる。このようにして、毒性化学療法剤は全身に広く分布せず、したがって、毒性薬物または化合物ががん細胞内に送達されるにつれて、副作用および不耐性の機会を減少させる。毒性化学療法剤の送達ビヒクルとして抗体標的化ミニ細胞を用いると、がん細胞を死滅させるのに必要な薬物がはるかに少なくなり、したがって治療指数が改善される。
【0032】
実際に、本発明者らは、ミニ細胞(またはEnGeneICドリームビヒクル、EDV)がマウス(実施例1)、イヌ(実施例2)、およびサル(実施例3)における異種移植腫瘍に、パクリタキセルまたはドキソルビシンなどの化学療法薬を送達し得ることを示した。標的送達はがん細胞が化学療法剤の大部分を受け取り、低レベルの毒性を生じることを確実にする。実施例1~3を参照されたい; MacDiarmidら、2007b;MacDiarmidら、2007a; MacDiarmidら、2009;およびMacDiarmidら、2016も参照されたい。さらに、ミニ細胞は、異種移植モデルにおいて有意な免疫応答を誘導せず、ミニ細胞は忍容性が良好である(実施例4)。したがって、無傷の細菌由来ミニ細胞は、進行固形腫瘍を標的としたドキソルビシン(実施例5)、膠芽腫を標的としたドキソルビシン(実施例6)、および中皮腫を標的としたMicroRNA-16a(実施例7)を含む例を有する、患者に抗がん剤を送達するための十分に許容されるビヒクルである。
【0033】
しかしながら、これらの治療戦略は、全ての患者において、全てのがんの完全寛解または治癒をもたらさなかった。したがって、がん治療療法の改善が必要とされている。本発明者らは、3つの異なるタイプのペイロードを有するミニ細胞の組み合わせを使用すると、驚くほど劇的かつ有効な臨床効果が得られることを発見した。
【0034】
具体的には本発明者らがインターフェロンI型アゴニストおよび/またはインターフェロンII型アゴニストを含むミニ細胞と組み合わせた化学療法剤(例えば、以下の実施例において、薬剤はPNU159682、超毒性化学療法剤である)を含むミニ細胞が相乗的な抗腫瘍効果をもたらし、後期膵臓がんに罹患している患者によって十分に耐えられることを発見した。実施例12を参照されたい。実際、後期膵臓がん患者はこの治療後に著しく改善された生活の質を示し、これは、その段階の患者にとって顕著である。このトリプル・オブ・デュル・コンビネーション戦略は、がんの治療を相乗的に改善するものである。本発明者らはまた、インターフェロンII型アゴニストを含むミニ細胞と組み合わせた化学療法剤を含むミニ細胞が、相乗的な抗腫瘍効果を生じることを発見した。
【0035】
また驚くべきことに、II型インターフェロンアゴニストとの併用、およびI型インターフェロンアゴニストがない場合に、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍薬の2剤併用により、大きなサイズの腫瘍に対して劇的な有効性もたらされることが発見された。このような結果は、以前には記載されていない。一部の患者では、I型インターフェロンアゴニストとII型インターフェロンアゴニストを併用すると、2種類のインターフェロンアゴニストが相乗的に作用するのではなく競合的に作用する可能性があるため、逆効果となる可能性があると仮定されている。このデータについては、以下で詳しく説明する。
【0036】
以下の説明はこれらの発見に関連する本発明を概説するが、本発明を、記載される特定の実施形態、方法論、プロトコル、または試薬に限定するものではない。同様に、ここで使用される用語は特定の実施形態のみを記載し、本発明の範囲を限定するものではない。
【0037】
B. 実験結果のまとめ
(i) ミニ細胞中にパッケージ化化された抗悪性腫瘍剤とミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニストとの併用
第1の実施形態では、細菌ミニ細胞にパッケージされたI型インターフェロンアゴニストと組み合わせた細菌ミニ細胞パッケージされた抗腫瘍剤の組み合わせに関する組成物および方法が記載される。
【0038】
実施例11および
図18は以下の表に要約されるように、種々のミニ細胞(EDV)組成物で処置されたマウスにおける肺がん異種移植片モデルにおける結果を示すデータを記載する。グループ1および5の動物に、無傷の細菌由来ミニ細胞中にパッケージされた化学療法剤(PNU159682)と、無傷の細菌由来ミニ細胞中にパッケージされたI型インターフェロンアゴニスト(40mer二本鎖DNAまたは50mer二本鎖DNA)との組み合わせを投与した。全てのミニ細胞組成物は、腫瘍増殖の安定化をもたらした。しかしながら、最も劇的な結果は、実験のパート1における生理食塩水処理から生じた大きな腫瘍サイズを処理した後に得られた。その後、生理食塩水処理対照群を、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤とミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニストとの組み合わせを含む組成物で実験の第2部において処理した場合、腫瘍サイズは、5日間にわたって62%減少した。
【0039】
【表1】
実施例11の追跡調査ではミニ細胞にパッケージされたI型インターフェロンアゴニストの追加が劇的な腫瘍サイズ減少をもたらし、これはミニ細胞にパッケージされた抗腫瘍剤をI型インターフェロンアゴニスト免疫賦活剤の非存在下で使用した場合には見られなかった。結果を以下の表にまとめる。これらの結果は、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニストの添加によるミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤に対する免疫賦活剤効果を明らかに実証する。
【0040】
【表2】
(ii) ミニ細胞パッケージされたI型インターフェロンアゴニストおよび任意選択でII型インターフェロン作動薬(ミニ細胞パッケージではない)とミニ細胞パッケージ化抗悪性腫瘍剤との併用
第2の実施形態は、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニストまたはミニ細胞パッケージ化抗悪性腫瘍剤と、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニストおよびII型インターフェロンアゴニスト(細菌ミニ細胞を含まない)とを組み合わせたミニ細胞パッケージ化防新生物剤を使用する方法および組成物を対象とする。
【0041】
本発明の組成物の劇的かつ驚くべき有効性のさらなる証拠は、実施例12に示される臨床結果に反映される。具体的には、実施例12が(1)ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤とミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニストとの組み合わせ;および(2)ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニスト、およびII型インターフェロンアゴニストの組み合わせを含む組成物で進行固形腫瘍を患う患者を処置した場合に起こったことに関する。
【0042】
特に、実施例12に詳述されるヒト臨床データは、ヒト患者におけるミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤の免疫賦活剤として使用されるI型およびII型IFNアゴニストの安全性プロフィールを実証する。無傷の細菌由来ミニ細胞にパッケージ化されたI型インターフェロンアゴニストが40mer二本鎖DNA(EDV40mer)または60mer二本鎖DNA(EDV60mer)であった以下の表3のデータを参照されたい。
さらに、他のすべての治療選択肢を使い果たしたステージ4の膵臓がん患者で得られた結果は顕著であった。患者の腫瘍マーカー(CA 19-9)の量は最初の3回の投与後に90%以上低下し、これはわずか10日間の治療に相当した。10回投与後、これはさらに低下し、腫瘍マーカー値はほぼ95%低下した。この患者はまた、IV期膵がんを呈するほとんどの患者が経験する悪液質状態とは対照的に、有意な体重増加を示し、生活の質の顕著な改善を報告した。これらの結果は、特に進行膵がんに伴う予後不良を考えると劇的である。
要約すると、5例がEGFR(5)EDVPNU/DoxまたはEGFR(V)EDVPNU+EDV40mer/60mer(I型IFNアゴニスト)±Imukin(II型IFNアゴニスト)の計69回を受けた。治療は忍容性が良好であり、免疫調節免疫賦活剤の添加は、単剤負荷EDVおよび標的EDVの安全性プロファイルを変化させないようであった。
【0043】
【表3】
(iii)ミニ細胞パッケージ化抗悪性腫瘍剤のII型インターフェロンアゴニストとの併用
実施例13は、ミニ細胞にパッケージされた抗新生物剤をII型インターフェロンアゴニスト、例えばIFN-γと組み合わせることの有効性を評価するために実施された種々の研究の結果を記載している。結果は、II型インターフェロンアゴニストの追加が肺がんおよび乳がんを含む種々のがんの異種移植モデルにおいてミニ細胞にパッケージされた抗新生物剤の抗がん効果を増強または増強することを示す。さらに、実施例13に記載され、以下の表4に抜粋されるデータは、抗腫瘍剤単独に通常耐性である腫瘍の処置において、ミニ細胞中にパッケージされた抗腫瘍剤を含む組成物へのII型インターフェロンアゴニストの添加が腫瘍安定化を達成するために必須であることを実証する。したがって、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤をII型インターフェロンアゴニストと組み合わせることにより、薬物耐性を克服することができる。
【0044】
【表4】
(iv) ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンおよびII型インターフェロンアゴニスト(単独またはミニ細胞パッケージ化のいずれか)の三剤併用
本発明者らはまた、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニスト、およびII型インターフェロンアゴニスト(単独またはミニ細胞パッケージ化のいずれか)の三重組み合わせが、劇的な抗がん効果を生じ得ることを発見した。具体的には、実施例14が後期内因性腫瘍(脳がん、肉腫、またはメラノーマ)を有するイヌの処置を、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤、ミニ細胞パッケージ化I型インターフェロンアゴニスト、およびII型インターフェロンアゴニストの組合せで詳述する。結果は、組み合わせ組成物が十分に耐性であったことを示す。さらに、7匹の評価可能な動物のうち6匹(85.7%)では疾患は安定化したが、1匹のイヌはほぼ部分奏効(腫瘍サイズの29.8%の縮小)を達成した。
【0045】
(v) I型インターフェロン不存在下の、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤およびミニ細胞パッケージ化II型インターフェロンアゴニストの二剤併用
別の実施形態では、本発明がミニ細胞パッケージ化抗腫瘍薬と、ミニ細胞パッケージ化II型インターフェロンアゴニスト、例えばα-ガラクトシルセラミド(α-GC)との組み合わせを含み、I型インターフェロンアゴニストの非存在下で、驚くべき抗がん効果を示す発見に基づく組成物に関する。
【0046】
特に、実施例23は、腫瘍に対するミニ細胞含有治療薬およびミニ細胞含有インターフェロンII型アゴニストの二重組合せの効力を示すデータを記載する。この結果は、インターフェロンI型アゴニストを欠く組成物が腫瘍を効果的に処置するために使用され得ることを実証する。
図40および
図42も参照されたい。実験結果は、生理食塩水および
Epミニ細胞
Dox処置と比較して、
Epミニ細胞
Dox+ミニ細胞
α-GC(インターフェロンII型アゴニスト)を受けた併用処置群について、腫瘍進行の顕著な停止を示した。この結果は
Epミニ細胞
Doxに、ミニ細胞
α-GC処理を追加することにより、免疫賦活剤効果の理論を支持する。
【0047】
さらなるデータは、生理食塩水処置対照腫瘍が薬物およびα-GCEDV媒介二重併用療法(
図41);例えば、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤とミニ細胞パッケージ化II型インターフェロンアゴニストとの組み合わせへの処置変更後に劇的な腫瘍退行を実証したことを示した。特に、800mm
3に達した腫瘍は3日間で600
3mm未満のに低下し、短期間で顕著な腫瘍径の縮小(~25%)が認められた。二重組合せ組成物が短期間で大きな腫瘍を劇的に減少させる能力は、本発明以前には知られていなかった。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、二重組み合わせ組成物(例えば、ミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤をミニ細胞パッケージ化インターフェロンII型アゴニストと組み合わせたもの)は、腫瘍のサイズ(大きな腫瘍のサイズを含む)を、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%減少させ得る。約3日、約5日、約1週間、約2週間、約3週間、約1
、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12カ月、約1.5年、約2年以上のような、任意の適切な時間にわたって、細胞サイズの減少を測定することができる。
【0049】
C. 免疫療法のデータ
実施例16は、腫瘍細胞表面受容体に標的化されたミニ細胞パッケージ化抗腫瘍剤が、がん免疫療法、例えば、細胞-免疫療法として機能することを実証するデータを詳細に記載する。特に、実施例は、マクロファージ、NK細胞および樹状細胞を含む自然免疫系の細胞を活性化する細菌ミニ細胞の能力を例示する。これに続いて樹状細胞の成熟と抗原提示が起こり、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞が産生され、さらなる免疫細胞の腫瘍微小環境への動員をもたらす適応T細胞応答が起こる。このアプローチは免疫原性腫瘍微小環境を作り出し、複数の免疫細胞サブセットにも作用することで、患者に生じる可能性のある原発性および/または適応抵抗性を回避することによって、免疫療法による現在の落とし穴の一部を回避するものである。
【0050】
したがって、この例は細菌ミニ細胞が腫瘍細胞内に細胞傷害性薬物を送達し、同時に、腫瘍を特異的に標的とする自然免疫応答および適応免疫応答を誘発する能力を示す。
【0051】
さらなる免疫療法データを実施例18に示し、これは、NK細胞が抗新生物剤を含む標的ミニ細胞での処置に続いてインビボで抗腫瘍表現型を採用することを示すデータを記載する。これは、NK細胞が先天性免疫系の主要なエフェクター細胞であり、活性化シグナルと阻害シグナルとのバランスによって厳密に調節されるので、有意である(Morvan and Lanier、2016; Wallace and Smyth、2005)。NK細胞機能の障害は腫瘍発生、増殖、および転移の増加と関連しており、したがって、抗腫瘍免疫応答に寄与することにおけるその重要性は十分に実証されている(Fangら、2017; MorvanおよびLanier、2016; Rezvaniら、2017; WallaceおよびSmyth、2005)。
【0052】
興味深いことに、実施例19は、腫瘍微小環境内の主にTh1サイトカイン応答がミニ細胞カプセル化抗腫瘍剤(例えば、PNU159682)での処置後に示されることを示すデータを詳細に示す。腫瘍微小環境内のサイトカインおよびケモカイン産生は、免疫細胞が相互に効果的に連絡して、腫瘍促進または抑制のいずれかであり得る協調応答を生成することを可能にするBelardelliおよびFerrantini、2002; LeeおよびMargolin、2011)。個々のサイトカインの免疫応答への影響は、局所濃度、サイトカイン受容体発現パターン、周囲の細胞の活性化状態など、様々な因子に依存している(Lee and Margolin、2011)。従って、多くのサイトカインは腫瘍増殖に対する反対の効果を引き出すことができることが示されている(Dredgeら、2002; Landskronら、2014; LeeおよびMargolin、2011)。
【0053】
さらに、実施例20はミニ細胞カプセル化抗腫瘍剤(例えば、PNU159682)での処置が腫瘍特異的CD8+ T細胞の産生を生じることを示すデータを詳述する。最初のインビトロ実験は、EDV処理が効果的な化学療法剤を負荷された標的化EDVに応答して、直接的相互作用または細胞死の結果のいずれかを介して樹状細胞成熟をもたらし得ることを示した。従って、この試験は、この結果がインビボでのDC成熟および抗原提示に翻訳され得、腫瘍特異的CD8
+ 細胞傷害性T細胞の産生を生じるかどうかを試験することを目的とした。結果として得られたデーターは、ミニ細胞処理が腫瘍特異的CD8
+ T細胞の産生を首尾よく誘発したことを実証した。さらに、全T細胞数(CD3+)の有意な増加、ならびにCD4+およびCD8+ T細胞数の両方の有意な増加がミニ細胞カプセル化抗腫瘍剤(例えば、PNU159682)で処置されたマウスのリンパ節において見られた(
図31G)。処理されたマウスのリンパ節における成熟樹状細胞の有意な増加も検出され(
図31H)、4T1細胞で処理されたマウスから単離されたCD8
+ T細胞間の相互作用の可視化は、これらのT細胞が腫瘍細胞にペルフォリン(緑色)を付着させ、そこに排出することができることを示している(
図31I)。
【0054】
実施例21は抗腫瘍剤(例えば、スーパー細胞毒素PNU159682)を負荷した標的化細菌ミニ細胞が、この薬物を腫瘍部位に効果的に送達するだけでなく、多数の免疫細胞サブセットを刺激することによって免疫療法剤として挙動する能力を実証する。実施例は、マクロファージ、NK細胞およびCD8+T細胞を含む免疫細胞サブセットを、腫瘍細胞を効果的に排除することができる抗腫瘍表現型に向かって押すための、ミニ細胞カプセル化抗腫瘍剤処理の能力を実証する。抗腫瘍薬の有効性と組み合わせると、腫瘍に対する二重の攻撃をもたらす。
【0055】
がん免疫療法の概念は数十年前後であったが、その可能性が多くの免疫療法の承認によって実現され始めたのは最近のことである(Farkonaら、2016; Ventola、2017)。細菌性ミニ細胞は腫瘍への直接的な細胞毒性剤の送達を介して最初に免疫原性腫瘍微小環境を作り出し、そこで抗腫瘍表現型に向けて直接的または間接的に自然免疫系を刺激する、独特の複合細胞免疫療法である。次いで、この先天性免疫活性化は、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞が生じる適応応答を誘発する(
図33)。
【0056】
静脈内投与後、ミニ細胞は腫瘍の漏出性血管系を介して腫瘍に溢出し、ここで、それらの毒性ペイロードを有する標的化ミニ細胞の投与用量の30%以上が2時間以内に腫瘍微小環境に直接沈着する(MacDiarmidら、2007b)。標的細菌ミニ細胞は、腫瘍細胞上の受容体に結合し(実施例21の場合、4T1およびCT26Ep12.1)、次いで、それらの負荷(抗腫瘍剤)を腫瘍細胞内に直接的に効果的に送達する。PNU159682は、腫瘍細胞に送達されてから24時間以内に迅速なアポトーシスを生じる非常に強力な超細胞毒である(
図33A)。次いで、細菌ミニ細胞(例えば、Ep-EDV-682)処理によって産生されるアポトーシス細胞およびDAMPシグナルは腫瘍関連マクロファージ(TAM)などの自然免疫細胞と相互作用し、CD86のアップレギュレーションおよびTNFαおよびIL-6などのTh1炎症誘発性サイトカインの産生を刺激することができる(
図33B)。これらの変化は腫瘍細胞を溶解し、サイトカインを放出して他の免疫細胞サブセットの活性化をシグナル伝達することができるマクロファージのM1分極の典型であり、したがって抗腫瘍特性を有することが示されている(Sawa-WejkszaおよびKandefer-Szerszen、2018; Yuan ら、2015)。
【0057】
さらに、細菌ミニ細胞自体も、同様のM1分極を産生するTAMと直接相互作用することができるが、これは現在の系において非常に低いレベルで起こることが予想される。TAMは一般に、腫瘍微小環境において最も豊富な免疫細胞であり、TAMの数の増加は、予後不良および腫瘍増殖の増加と関連することが実証されている(Sawa-WejkszaおよびKandefer-Szerszen、2018)。これはTAMの大部分が腫瘍促進特性を有することが示されている抗炎症性M2マクロファージからなるが、炎症性M1マクロファージは抗腫瘍特性を示すという事実によるものである(Sawa-WejkszaおよびKandefer-Szerszen、2018; Yuan ら、2015)。実施例21は、4つの異なる腫瘍モデルにおいて、細菌ミニ細胞処理が腫瘍微小環境内のM1:M2バランスをシフトさせる能力を示す。異なる腫瘍モデルにおけるこのシフトの程度の差にもかかわらず、M1極性化の増加は、細菌ミニ細胞で処理されたマウスの腫瘍から単離されたTAMによる腫瘍細胞溶解の増加に翻訳されることが示された。M1への表現型シフトに加えて、細菌ミニ細胞処置マウスの腫瘍からのTAMはまた、免疫細胞動員、特にNK細胞、CD4+T細胞およびCD8
+T細胞による腫瘍浸潤を促進するのに関与することが確立されているケモカインであるMIP-1αの増加量を分泌した(
図33C)(Allenら、2018)。
【0058】
TAM活性化に加えて、未成熟樹状細胞(DC)は細菌ミニ細胞と直接相互作用するか、より可能性が高いが、細菌ミニ細胞処理腫瘍によって産生されたアポトーシス細胞およびDAMPシグナルと相互作用し、樹状細胞の成熟および抗原提示のためのリンパ節への移動をもたらす。DCは最も効果的な抗原提示細胞であることが知られており、自然免疫系と適応免疫系の橋渡しを構成するため、がん免疫療法における潜在的標的として探求されている(Allenら、2018)。
【0059】
DCに基づく免疫療法のための最新の戦略はDCまたはDC前駆体のエクスビボ操作およびプライミングを含むが、この戦略の成功は免疫寛容の発生、不十分な数のCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導、または不十分な抗腫瘍効力を有するもの、および腫瘍微小環境の抑制性質を含む様々な因子のために限定されている(Anguilleら、2015; Jungら、2018; Landskronら、2014; OisethおよびAziz、2017)。細菌ミニ細胞処理は死にかけている腫瘍細胞(
図33D)に応答して、腫瘍微小環境内のDCのインビボでのプライミングおよび成熟を可能にし、未成熟DCは、標的化され、薬物負荷された細菌ミニ細胞に応答して産生されるDAMPおよび/またはアポトーシス性腫瘍細胞体を取り込むことができる。次に、これらのDAMPおよび死につつある腫瘍細胞は、MHCクラスIおよびII分子を介してDC表面上の抗原提示のために処理され、同時にDC成熟が起こる。DC成熟プロセスのマーカーとして同定された共刺激分子CD86、CD80およびMHCクラスIIのアップレギュレーションは細菌ミニ細胞処置マウスの腫瘍排液リンパ節において検出される成熟DCのパーセンテージの増加と共に、細菌ミニ細胞処置腫瘍細胞と共培養されたDCにおいて生じることが示された(Anguilleら、2015; Cauwelsら、2018; Simmonsら、2012)。成熟過程の間、DCはT細胞への抗原提示のために腫瘍排出リンパ節に移動し、それによって、CD4+Tヘルパー細胞および腫瘍に対する適応免疫反応を開始する腫瘍特異的CD8
+CTLの産生を増加させる(
図33E)。続いて、細菌ミニ細胞処理腫瘍細胞と共培養したDCによるIFNα/β、TNFα、IL-12p40、およびIL-6の産生の増加が検出され、さらに4T1及びCT26Ep12.1腫瘍モデルの両方で観察された腫瘍微小環境におけるIFNα濃度の有意な増加が認められた(実施例21)。腫瘍微小環境内の1型IFN(IFNα/βおよびIFN刺激遺伝子の発現レベルは良好な疾患転帰と相関することが示されており、実際には、免疫療法を含むがん治療の成功に必要である可能性さえある(Cauwelsら、2018年; Fitzgerald-BocarslyおよびFeng、2007年; Zitvogelら、2015年)。1型IFNの抗腫瘍活性はDC、TおよびBリンパ球、NK細胞、およびマクロファージの免疫細胞活性化を介して間接的に生じる(Cauwelsら、2018; Fitzgerald-BocarslyおよびFeng、2007; Showalterら、2017; Zitvogelら、2015)。
【0060】
マクロファージおよびDC抗腫瘍機能を増強することと併せて、抗腫瘍剤を含む細菌ミニ細胞での処置は、NK細胞活性化を誘発し得、増加した細胞毒性をもたらす(
図33F)。NK細胞は抗原非方法悪性細胞を溶解する固有の能力を有するため、宿主への有害な影響の可能性を避けるために、その活性化および機能状態を厳密に制御しなければならない。NK細胞を誘引し、腫瘍微小環境内でNK細胞を活性化する能力は、その抗腫瘍機能を発揮する能力に不可欠である。Ep-EDV-682処理腫瘍の微小環境において有意に増加するIL-2、IFNγ、およびIFNαを含むサイトカインはサイトカイン産生の増加および細胞溶解機能の増強の両方に向かってNK細胞を活性化することが知られている(Fangら、2017年; FerlazzoおよびMunz,2004年; LeeおよびMargolin,2011年; MorvanおよびLanier,2016年; Rezvaniら、2017年)。実際、証拠は1型IFNがNK細胞毒性の活性化に必要であることを示す(FerlazzoおよびMunz、2004; Mullerら、2017)。さらに、1型IFNは細胞老化を誘導し、続いて腫瘍細胞におけるNKG2Dリガンド発現のアップレギュレーションを誘導し、それによってNK細胞によるそれらの排除を促進することができる(Mullerら、2017)。NKG2D受容体のアップレギュレーションはEp-EDV-682で処理したマウスの腫瘍内のNK細胞で観察され、この受容体はEp-EDV-682処理マウスから単離したNK細胞の細胞溶解能力に有意に寄与することが実証された。さらに、未成熟、中間および成熟マウスのNK細胞はケモカインMIP1αおよびRANTESに結合できるCCR1およびCCR5ケモカイン受容体の両方を発現しており、いずれもEp-EDV-682を投与した腫瘍のほか、Ep-EDV-682を投与したマウスのマクロファージおよびNK細胞によってアップレギュレートされている(BeRNArdiniら、2016年)。
【0061】
MIP1αおよびRANTESなどのケモカインは腫瘍微小環境へのNK細胞、マクロファージ、およびT細胞を含むヘルパーおよびエフェクター免疫細胞のさらなる動員に関与する(
図33G)(Allenら、2018; Bernardiniら、2016; Zibertら、2004)。マクロァージ、NK細胞、およびDCを包含するEDV処理による最 初の先天性免疫応答に続いて、適応免疫応答がマウントされ、そこでは腫瘍特異的CTLおよびT-ヘルパー細胞が産生され、次いで腫瘍部位に動員される(
図33H)。腫瘍特異的CTLは次に、標的化された、薬物負荷EDVと組み合わせて他の免疫細胞サブセットによって作り出された、優先抗腫瘍環境にさらに寄与して、腫瘍細胞を標的化し、溶解する。標的化された薬物負荷EDV治療は腫瘍微小環境内のTh1サイトカイン(TNFα、IFNα、IFNγ、IL-2、およびIL-6)の増加によって証明されるように、主にTh1反応を誘発する。前述したように、先天性免疫細胞サブセットは、活性化されると、これらの特定のサイトカインの1つ以上の主要な供給源となる。T細胞は同様に、前述のサイトカインの全てを産生し得る(BelardelliおよびFerrantini,2002; LeeおよびMargolin,2011)。これらのサイトカインの先天性免疫細胞またはT細胞のいずれかによる放出はさらなる免疫細胞の同時刺激、活性化、増殖、および増加した抗原提示に関与し、免疫系の抗腫瘍活性をさらに増強するフィードバックループを作り出す(
図33I)(LeeおよびMargolin,2011)。
【0062】
細菌ミニ細胞治療は腫瘍部位に直接従来のおよび新規の薬物療法を送達し、続いて抗腫瘍免疫応答を誘発することが可能な独特のがん治療戦略を表す。腫瘍に対する二重の攻撃が起こり、まず、送達された治療に応答して細胞死を経て、続いて適応免疫応答を導く自然免疫細胞活性化が起こる。この種の治療法には、免疫細胞の活性化がインビボでも主に腫瘍部位で起こるという点で、現在の免疫療法戦略よりも一定の利点があり、これは急速に変化する動的環境である。さらに、免疫原性腫瘍環境を作り出し、それらの腫瘍に対する免疫応答または単一の免疫細胞サブセットのみを標的とする治療への適応をほとんど示さない患者に関連する問題を回避して、複数の免疫細胞サブセットに対する効果を誘発する。実施例21に記載の研究は新規のがん免疫治療薬としての細菌ミニ細胞の可能性を強調し、将来の細菌ミニ細胞製剤はペイロードおよび標的化能力の両方に関してこの技術の汎用性を考慮して、その固有の免疫原性をさらに活用することができる(MacDiarmidら、2007a)。
【0063】
D. 超毒性抗悪性腫瘍剤
実施例17は化合物に関連する重篤な毒性のために従来の手段を使用して送達することができない、超毒性抗腫瘍剤、例えばPNU159682の有効な送達を実証するデータを詳述する。具体的には実施例17がpM範囲の薬物耐性がん細胞であっても、PNU159682がIC50を有する超細胞毒素である方法を詳述し(Quintieriら、2005)、これは重篤な全身毒性のために化合物を臨床的に使用することができないことを意味する(StaudacherおよびBrown、2017)。しかし、細菌ミニ細胞中にカプセル化される場合、PNU159682のようなスーパー細胞毒素は、ほとんど副作用を伴わずに腫瘍に効果的に送達され得る。
【0064】
II.構成要素
上記のように、本発明の組成物は、少なくとも2つの異なる活性剤、抗腫瘍剤およびI型インターフェロンアゴニスト、II型インターフェロンアゴニスト、またはI型インターフェロンアゴニストおよびII型インターフェロンアゴニストと抗腫瘍剤との両方を含む。3つの異なる活性剤は、1つ、2つ、または3つの異なるミニ細胞にパッケージ化することができる。II型インターフェロンアゴニストはまた、ミニ細胞にパッケージされることなく、本発明の方法および組成物に含まれ得る。
【0065】
A.がんの治療に有用な抗腫瘍活性剤または細胞傷害活性剤
「抗悪性腫瘍剤」とは、化学的、生物学的なものであるかにかかわらず、腫瘍細胞の増殖、発生、成熟又は拡散を阻止又は阻害する医薬品をいう。「抗悪性腫瘍剤」とは「抗悪性腫瘍剤」及び「化学療法剤」と互換的に使用されるものである。
本開示の文脈において、所定の脳腫瘍患者を治療するための抗腫瘍剤を選択することは、従来の医療行為と一致して、いくつかの因子に依存する。これらの因子には患者の年齢、カルノフスキー・スコア、および患者が受けた可能性のあるあらゆる治療歴が含まれるが、これらに限定されない。一般に、神経腫瘍学の原則と実践、M.Mehta(Demos Medical Publishing 2011)、および神経腫瘍学の原則、DSchiffおよびPO’Neill, edsを参照のこと。(McGraw-Hill 2005)。
【0066】
組成物は、多くとも約1mgの抗腫瘍薬または化学療法薬を含むことができる。あるいは、化学療法薬の量が多くとも約750μg、約500μg、約250μg、約100μg、約50μg、約10μg、約5μg、約1μg、約0.5μg、または約0.1μgであり得る。別の態様では、組成物がミニ細胞にパッケージ化されずに使用される場合、薬物の治療有効量の約1/1,000未満、あるいは約1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、1/100,000、1/200,000または1/500,000未満の量を有する化学療法薬物を含む。本開示のさらに別の態様によれば、組成物は、少なくとも約1nmolの化学療法薬を含むことができる。したがって、本開示はまた、化学療法薬の量が、それぞれ、少なくとも約2nmol、約3nmol、約4nmol、約5nmol、約10nmol、約20nmol、約50nmol、約100nmol、または約800nmolである実施形態を包含する。
【0067】
本開示の文脈において、所与の腫瘍を処置するための抗腫瘍剤の選択は、いくつかの因子に依存する。これらの因子には患者の年齢、腫瘍の病期、および何であれ患者が受けた可能性のある過去の治療法が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
本開示によれば、薬物は無傷の細菌由来ミニ細胞にパッケージ化するために、以下に詳述されるクラスのうちの1つから選択され得る。これらの薬物はまた、薬物設計および発明努力から設計された合成類似物でもあり得る。任意の公知の化学療法剤が、本発明の組成物において利用され得る。公知の化学療法剤の例にはこれらに限定されないが、以下のものが含まれる:(1) マスタードガス誘導体(メクロレタミン、シクロホスファミド(シトキサン)、クロラムブシル(ロイケラン)、メルファラン、イホスファミドなど)、エチレンイミン(チオテパ(チオプレックス)およびヘキサメチルメラミン)、アルキルスルホネート(ブスルファン(ミレラン))、ヒドラジンおよびトリアジン(アルトレタミン(ヘキサレン)、プロカルバジン(マチュラン)、ダカルバジン(DTIC)およびテモゾロミド)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチンおよびストレプトゾシン)、金属塩(カルボプラチン、シスプラチン(プラチノール)およびオキサリプラチン)、メクロレタミン、メルファラン(アルケラン)などのアルキル化剤;(2) 植物アルカロイド、テルペノイドおよびトポイソメラーゼ阻害薬、例えばビンカアルカロイド(ビンクリスチン(オンコビン)、ビンブラスチン(ヴェルバン)、ビンデシン、およびビノレルビン)、タキサン(パクリタキセル(タキソール)およびドセタキセル(タキソテール))、ポドフィロトキシン(エトポシドおよびテニソピド)、およびカンプトテカン類似体(イリノテカンおよびトポテカン);(3) アントラサイクリン系(ドキソルビシン(アドリアマイシン、ルベックス、ドキシル)、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、デュオカルマイシンおよびダクチノマイシン(コスメゲン))、クロモマイシン(ダクチノマイシンおよびプリカマイシン(ミトラマイシン))、およびその他(ミトマイシンおよびブレオマイシン(ブレノキサン))などの抗腫瘍薬;(4) 葉酸拮抗薬(メトトレキサート)、ピリミジン拮抗薬(メトトレキサート)、ピリミジン拮抗薬(5-フルオロウラシル、フォクスウリジン、シタラビン、フルロウラシル(5-FU)、カペシタビンおよびゲムシタビン)、プリン拮抗薬(6-メルカプトプリン(プリンエトール)および6-チオグアニン)、6-チオプリン、およびアデノシンデアミナーゼ阻害薬(クラドリビン(ロイスタチン)、フルダラビン、ネララビンおよびペントスタチン)、アザシチジン、チオグアニン、およびシタラビン(ara-C)などの代謝拮抗薬;(5) トポイソメラーゼI阻害薬(イロノテカン、トポテカン)、トポイソメラーゼII阻害薬(アムサクリン、エトポシド、エトポシドリン酸、テニポシド)などのトポイソメラーゼ阻害薬;(6)エストロゲンおよびアンドロゲン阻害薬(タモキシフェンおよびフルタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(リュープロリドおよびゴセレリン(ゾラデックス))、アロマターゼ阻害薬(アミノグルテチミドおよびアナストロゾール(アリミデックス))によって例示されるホルモン剤;(7) DNA低メチル化剤、例えばアザシチジン、デシタビン;(8) イニパリブ、オラパリブ、ベリパリブなどのポリ(アデノシン二リン酸[ADP]-リボース)ポリメラーゼ(PARP)経路阻害薬;(9) PI3K/Akt/mTOR経路阻害薬、例:エベロリムス;(10) ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬、例えば、ボリノスタット、エンチノスタット(Sndx-275)、モセチノスタット(MGCD103)、パノビノスタット(LBH589)、ロミデプシン、バルプロ酸[0049]、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、例えば、フラボピリドール、オロモウシン、ロスコビチン、ケンパウロン、AG-024322(ファイザー)、ファスカプリシン、リウビジン、プルバラノールA、NU2058、BML-259、SU 9516、PD-0332991、P276‐00[0050]、熱ショックタンパク質(HSP90)阻害剤、例えば、ゲルダナマイシン、タネスピマイシン、アルベスピマイシン、ラジシコール、デグリン、およびBIIB021;(11) マウス二重微小染色体2(MDM2)阻害剤、例えば、Cis-イミダゾリン、ベンゾジアゼピンジオン、スピロ-オキシインドール、イソキノリノン、チオフェン、5-デアザフラビン、トリプタミン;(12) 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬、例えば、アミノピリジン、ジアミノピリミジン、ピリドイソキノリン、ピロロピラゾール、インドロカルバゾール、ピロロピリミジン、ジアニリノピリミジン;(13) ベンズアミド、フタラジノン、トリサイクリックインドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、ピロロカルバゾール、フタラジノン、イソインドリノンによって例示されるポリ[ADPリボース]ポリメラーゼ(PARP)阻害薬;および(14) アンサクリン、アスパラギナーゼ(El-spar)、ヒドロキシ尿素、ミトキサントロン(ノバントロン)、ミトタン(ライタントロン)、メイタンシノイド、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子(サルグラモスチムおよびフィルグラスチム)、アミホスチン、葉酸代謝を破壊する薬剤、例えばペメトレキセド、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(ヒドロキシ尿素)、副腎皮質ステロイド阻害剤(ミトタン)、酵素(アスパラギナーゼおよびペグアスパラガーゼ)、抗微小管剤(エストラムスチン)、およびレチノイド(ベキサロテン、イソトレチノイン、トレチノイン(ATRA))によって例示されるその他の抗がん剤。
【0069】
低分子薬物サブカテゴリーの例示である化学療法薬は、アクチノマイシン-D、アルケラン、Ara-C、 アナストロゾール、 BiCNU、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カペシタビン、カルボムスチン、CCNU、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、CPT-11、シクロホスファミド、シタラビン、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エトポシド、フロウリジン、フルダラビン、フルタミド、ホテムスチン、ゲムシタビン、ヘキサメチルアミン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレサミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタクセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ステロイド、ストレプトゾシン、STI―571、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テトラジン、チオグアニン、チオテバ、チオグアニン、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン、トリメトレキサート、ビンバラスティン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、ゼローダがある。
【0070】
メイタンシノイド(分子量: ~738ダルトン)はメイタンシンの化学誘導体の一群であり、強力な細胞毒性を有する。ヒト患者の使用には安全でないと考えられるが、毒性の懸念のために、メイタンシノイドは本発明に従って、ミニ細胞を介した脳腫瘍患者への送達に適している。
【0071】
デュオカルマイシン(分子量: ~588ダルトン)は、ストレプトマイシス細菌から最初に単離された一連の関連する天然産物である。それらはまた、強力な細胞毒性を有するが、ヒトでの使用には安全でないと考えられる。メイタンシノイドと同様に、デュオカルマイシンは、本発明における使用のための適切な化学療法薬である。
【0072】
生物学的化学療法薬のサブカテゴリーには、限定されるものではないが、アスパラギナーゼ、AIN―457、バピネオズマブ、べリムナブ、ブレンツキシマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、セツキシマブ、ダロツズマブ、デンソスマブ、エプラツズマブ、エスタフェナトクス、ファルレツズマブ、フィギツムマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ(WX-G250)、ハーセプチン、イブリツモマブ、イノツズマブ、イポリズマブ、メポリズマブ、ムロモナブ-CD3、ナプツモマブ、ネシツツムマブ、ニモツムマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オテリキシズマブ、オゾガマイシン、パギマクシブマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、ペルツズマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、REGN88、ソラネズマブ、テプリズマブ、チウキセタン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ベドリズマブ、ザルツムマブおよびザノリムマブがある。
【0073】
いくつかの実施形態において、抗悪性腫瘍薬は、アクチノマイシン-D、アルケラン、ara-C、アナストロゾール、BiCNU、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボプラチン、カルムスチン、CCNU、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、CPT-11、シクロホスファミド、シタラビン、シトキシンアラビノシド、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デキソラゾキサン、ドセタクセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エチレンイミン、エトポシド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、フルタミド、ホテムスチン、ゲムシタビン、ヘキサメチルアミン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタクセル、パミドタミン、ペントシタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ステロイド、ストレプトゾシン、STI-571、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシデ、テトラジン、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トモテカン、トレオスルファン、トリメトレキサート、ビンブラスチン、ビンクリスティン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、キセロダ、アスパラギナーゼ、AIN-457、バピニュウツマブ、ベリムマブ、ブレンツキシマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、セツキシマブ、ダロツズマブ、デノスマブ 、エプラツズマブ、エスタフェナトクス、ファレツツマブ、フィギツムマブ、ガリキシマブ,ゲムツツマブ、ギレンツキシマブ(WX―G250)、ヘルセプチン、イブリツモマブ、イントツツマブ、イプリズマブ、メポリズマブ、ムロモナブ-CD3、ナプツモマブ、ネシツモマブ、ニモツツマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オテリズマブ、オゾガミシン、パジバキシマブ、パニツムマブ、パーツツマブ、ラムシルマブ、レスリツマブ、リツキシマブ、REGN88、ソラネズマブ、タネツマブ、テプリズマブ、ティウクセタン、トラスツツマブ、トシツモマブ、トレメリムマブ、ベドリズマブ、ザルツムマブ、ザノリムパブ、5FC 、アキュータンホフマンラロッシェ、AEE788ノバルティス、AMG-102、アンチネオプラストン、AQ4N(バノキサントロン)、AVANDIA(ロシグリタゾンマレイン酸塩)、アバスチン(ベバシズマブ)ジェネテック、BCNU、biCNUカルムスチン、CCI-779、CCNU、CCNUロムスチン、セレコキシブ(システミック)、クロロキン、シレンギチド(EMD121974)、CPT-11(CAMPTOSAR、イリノテカン)、ダサチニブ(BMS-354825、スプリセル)、樹状細胞療法、エトポシド(エポシン、エトポホス、ベペシド)、GDC-0449、グレベック(メシル酸イマチニブ)、グリアデルウエファー、ヒドロキシクロロキン、IL-13、IMC-3G3、免疫療法 、イレッサ(ZD-1839)、ラバチニブ(GW572016)、がん用メトトレキサート(システミック )、ノボキュア、OSI-774、 PCV、RAD001 ノバ―ティス (mTOR阻害剤)、ラパマイシン(ラパムネ、、シロリムス)、RMP-7、シンバスタチン、シロリムス、ソラフェニブ、SU-101、SU5416 スゲン、スルファサラジン(アズルフィデン)、スーテント(ファイザー)、TARCEVA(エロトニブHCl)、タキソール、TEMODAR schering-plough、TGF-Bアンチセンス、サロミド(サリドマイド)、トポテカン(システィミック)、VEGFトラップ、VEGF-trap、ボリノスタット(SAHA)、XL765、XL184、XL765、 ザルネストラ(tipifarnib)、ZOCOR(シムバスチン)、シクロホスファミド(シトキサン)、(Alkeran)、クロラムブシル(リュ
ーケラン)、チオペタ(チオプレックス)、ブスルファン(ミレラン)、プロカルバジン(マツラン)、ダカルバジン(DTIC)、アルトレタミン(ヘキサレン)、クロラムブシル、シスプラチン(プラチノール)、イホスファミド、メトトレキサート(MTX)、6-チオプリンス(メルカトプリン[6-MP]、チオグアニン[6-TG])、メルカプトプリン(プリンネトール)、リン酸フルダラシン、(ルイスタチン)、フルロラシル(5-FU)、シタラビン(ara-C)、アザシチジン、ビンブラスチン(Velban)、ビンクリスチン(オンコビン)、ポドフィロトキシン(エトポシド{VM-16}およびテニポシドVM{VM-26})、カンプトテシン(トポテカンおよびイリノテカン(タキソール)、パクリタクセル(タクソール)およびドセタクセル(タクソテレ)のようなタキサン、(アドリアマイシン、ルベックス、ドキシル)、ダクチノマイシン(コスメゲン)、プリカマイシン(ミズラマイシン)、マイトマイシン(ムタマイシン)、ブレオマイシン(ブレノキサン)、エストロゲンおよびアンドロゲン阻害薬(タモキシフェン)、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(リュープロリドおよびゴセレリン(ゾラデックス)、アナストロマターゼ阻害薬(アミノグルテチミドおよびアナストロゾール(アリミデックス))、アムサクリン、アスパラギナーゼ(El-spar)、ミトキサントロン(ノバントロン)、ミトタン(ロイソドレン)、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子(サーグラモスチムおよびフィルグラスチム)、アミホスチン、デシタビン、イニパリブ、オラパリブ、ベリパリブ、エベロリムス、ボリノスタット、エンチノスタット(SNDX-275)、モセチノスタット(MGCD0103)、パノビノスタット(LBH589)、ロミデプシン、バルプロ酸、フラボピリドール、オロモウシン、ロスコビチン、ケンパウロン、AG-024322(ファイザー)、ファスカプリジン、リュービディン、プルバラノールA、NU2058、BML-259、SU9516、PD-0332991、P276-00、ゲルダナマイシン、タネスピマイシン、アルベスピマイシン、ラディシコール、デグエリン、BIIB021、cis-イミダゾリン、ベンゾジアゼピンジオン、スピロ-オキシインドール、イソキノリノン、チオフェン、5-デアザフラビン、トリプタミン、アミノピリミジン、ジアミノピリミジン、ピリドイソキノリン、ピロロビラゾール、インドロカルバゾール、ピロロピリミジン、ジアニリノピリミジン、ベンズアミド、フタラジノン、トリサイクリックインドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、ピロロカルバゾール、イソインドリノン モルホリニルアントラサイクリン、マイタンシノイド、デュサルマイシン、カリケアマイシン(DNA損傷剤)、α-アマニチン(RNAポリメラーゼ阻害剤)、センタナマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ニトロゲンムスタード、ストレプトニグチン、ニトロソウアート、アルカンスルホネート、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗剤、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン剤、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される化合物を含む。
本開示に従って使用可能な活性薬剤は、上記に列挙した薬物種類または特定の薬剤に限定されない。異なる発見舞台は、がん細胞のユニークな分子特徴に向けられる新しい薬剤を産生し続ける;実際、数千のそのような化学的および生物学的薬剤が発見されており、そのうちのいくつかのみをここに列挙する。しかし、親水性または疎水性の多様な活性薬剤のパッケージ化に適応する、無傷の細菌由来ミニ細胞および死滅細菌細胞の驚くべき能力は本開示の発見に従って、ミニ細胞にパッケージ化場合に、本質的に任意のそのような薬剤ががんを治療する可能性を有することを意味する。
【0074】
抗腫瘍剤の種類の例は、放射性核種、化学療法薬、および調節RNAを含むがこれらに限定されない機能性核酸である。種類の構成員は、以下でさらに議論される。
【0075】
i.放射性核種
「放射性核種」とは、不安定な核をもつ原子、すなわち、核内で新たに生成された放射線粒子または原子電子のいずれかに付与されるのに利用可能な過剰なエネルギーを特徴とする原子である。本明細書では放射性核種を「放射性同位元素」、「放射性イメージング剤」、または「放射性標識」と呼ぶこともある。放射性核種はイメージングおよび/または治療目的で使用することができる。それらは、ミニ細胞内に含有され得るか、またはミニ細胞外表面上のリガンド、ペプチド、または糖脂質に付着され得る。結合は、直接またはリンカーを介して、メルカプトアセチルトリグリシン(MAG3)、DOTA、EDTA、HYNIC、DTPA、またはクラウンエーテルなどのキレート剤を含むキレート化部分を含有するリンカーを使用することができる。キレート剤は、ミニ細胞表面成分に直接付着させるか、またはリンカーを介してミニ細胞に付着させることができる。多くの放射性核種が当技術分野で知られており、イットリウム-90、テクネチウム-99m、ヨウ素-123、ヨウ素-124、ヨウ素-125、ヨウ素-131、ルビジウム-82、タリウム-201、ガリウム-67、フッ素-18、キセノン-133、およびインジウム-111など、多くの放射性核種が医療用途に適していることが知られている。
【0076】
したがって、いくつかの実施形態では、放射性同位体がイットリウム90、イットリウム86、テルビウム152、テルビウム155、テルビウム149、テルビウム161、テクネチウム99m、ヨウ素123、ヨウ素131、ルビジウム82、タリウム201、ガリウム67、フッ素18、銅64、ガリウム68、キセノン133、インジウム111、ルテチウム177、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される放射性同位体を含む。
【0077】
イメージングおよび治療の両方の目的でミニ細胞に付着させるのに有用な放射性同位元素には、例えば、ガンマおよびベータ放射体であるヨウ素-131およびルテチウム-177が含まれる。従って、これらの薬剤は、画像化および治療の両方のために使用され得る。
【0078】
同じ元素の異なる同位体、例えば、ヨウ素123(ガンマ放射体)およびヨウ素131(ガンマおよびベータ放射体)もまた、画像化および治療目的の両方のために使用され得る(GerardおよびCavalieri、2002; Alzahraniら、2012)。
【0079】
新しい例は、イットリウム-86/イットリウム-90またはテルビウム同位体(Tb):152Tb(ベータプラス放射体)、155Tb(ガンマ放射体)、149Tb(アルファ放射体)、および161Tb(beta-particle)(Mullerら、2012; Walrandら、2015)である。
【0080】
核イメージングは、ガンマおよび陽電子エミッター(β+)を利用する。テクネチウム-99m(99mTc)またはヨウ素-123(123I)などのガンマエミッタは、ガンマカメラ(平面イメージング)またはSPECT(単一光子放出コンピュータ断層撮影)(Holman and Tumeh、1990)を用いて配置することができる。
【0081】
これら粒子の組織浸透は放射同位体のエネルギーに比例する(Kramer-MarekおよびCapala、2012)。β粒子は潜在的な殺細胞効果を有するが、ほんの数ミリメートルの組織浸透を有するため、周囲の健康な組織を残す。日常的な核腫瘍学の実施において一般に使用されるβエミッターはルテチウム177(177Lu、組織浸透:0.5~0.6mm、最大:2mm、497keV、半減期:6.7日)およびイットリウム90(90Y、組織浸透:平均2.5mm、最大:11mm、935keV、半減期:64時間)を含む(Teunissenら、2005;Kwekkeboomら、2008;Ahmadzadehfarら、2010;Pillaiら、2013;Ahmadzadehfarら、2016)。
【0082】
放射性核種は、核医学において、特に腫瘍細胞を損傷するためのベータ線エミッターとして、広範な使用を見出している。いくつかの実施形態において、放射性核種は、抗腫瘍剤として適切に使用される。
【0083】
放射性核種は、任意の公知の技術によって、無傷の、細菌由来のミニ細胞と会合され得る。したがって、タンパク質または他のミニ細胞表面部分(下記参照)は、Pierce Biotechnology Inc(Rockford、Ill.)から市販され、Rice ら、Semin. Nucl. Med.,41,265(2011)に詳述されている、Pierceヨウ素標識試薬の使用などの市販の標識手段を使用して、放射性核種で標識することができる。あるいは、放射性核種をミニ細胞内のタンパク質に組み込むことができる。
【0084】
後者の状況では、ミニ細胞をつくる細菌株を外来タンパク質をコードするプラスミドDNAで形質転換する。非対称的な細胞分裂の際にミニ細胞が形成されると、プラスミドDNAのいくつかのコピーがミニ細胞の細胞質に分離する。得られた組換えミニ細胞を、プラスミドDNAからミニ細胞内で発現された外来タンパク質が放射性核種運搬アミノ酸に組み込まれるような条件下で、放射性標識アミノ酸の存在下でインキュベートする。例えば、Clark-Curtiss anDCurtiss、Methods Enzymol、101:347-362(1983)のプロトコールに従って、組換えミニ細胞を、35Sメチオニンを含む最小増殖培地中でインキュベートし、それにより、新たに発現されたプラスミドコードタンパク質が35Sメチオニンを組み込む。同様の手法を用いて、組換えミニ細胞を所望に応じて他の放射性標識でパッケージ化することができる。
【0085】
ミニ細胞表面上のオリゴ糖はまた、例えば、Fukuda、Curr Protocols Molec. Biol. (Suppl. 26), 17.5.1-17.5.8 (1994)に記載された十分に確立されたプロトコールを使用して放射性標識され得る。ミニ細胞に固有のこのようなオリゴ糖の例として、グラム陰性菌由来のミニ細胞の表面に見られるリポ多糖(LPS)のO-多糖成分が挙げられる(後述)。
【0086】
この点に関する好ましい方法は、ミニ細胞を特定の腫瘍に標的化するために使用される腫瘍標的化リガンドとして使用される二重特異性抗体を放射性標識することである。米国特許公開2007/0237744を参照されたく、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。すなわち、ミニ細胞上に「コーティングされた」二重特異性抗体は、放射性標識のためにかなりの量のさらなる表面タンパク質を暴露する。したがって、抗体でコーティングされたミニ細胞に関連する放射標識のより高い比活性を達成することが可能である。対照的に、コーティングされていないミニ細胞の放射性標識、すなわち、放射性核種が風土病非のみを標識する場合、より弱い標識(より低い比活性)を生じ得る。一実施形態では、このより弱い標識がグラム陰性細菌に由来するミニ細胞の外膜関連タンパク質が以下でさらに論じるように、ミニ細胞表面を覆うO-多糖の長鎖を含むLPSによってマスクされるために起こると考えられる。
【0087】
腫瘍を処置するために、本開示の組成物は、腫瘍を完全に排除しないとしても、腫瘍塊を少なくとも減少させるのに十分な腫瘍内照射のレベルを与える用量または複数の用量で送達される。治療の進行は、この線に沿って、ケースバイケースで監視することができる。しかしながら、一般的には組成物中にパッケージ化される放射能の量が典型的には約30~約50Gyのオーダーであるが、本発明はまた、約30Gy~約200Gyの全範囲を与える、例えば約50~約200Gyのような、より多量の放射能を意図する。
【0088】
場合によってはミニ細胞ボーン放射性核種の腫瘍への非常に効率的かつ特異的な送達を考慮すると、組成物中にパッケージされる放射能の量は上記よりもさらに低くてもよい。したがって、一態様では、組成物が約20~約40Gy、または約10~約30Gy、または約1~約20Gy、または約10Gy未満を含む。
【0089】
いくつかの腫瘍ターゲティングリガンドは、リガンドが腫瘍細胞に結合する間に腫瘍に放射線を送達する機能を有する放射性同位元素を含み得る。いくつかの実施形態において、リガンドは、Arg-Gly―Asp(RGD)ペプチド、ボンベシン(BBN)/ガストリン放出ペプチド(GRP)、コレシストキニン(CCK)/ガストリンペプチド、α-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)、ニューロペプチド(NT)、[68Ga]Ga-PSMA-HBEDCC([68Ga]Ga-PSMA-11[PET])、[177Lu]Y-J591、[123I]I-MIP-1072、[131I]I-MIP-1095、68Gaまたは177Lu標識PSMA-I&T、68GaまたはLu標識DKFZ-PSMA-617(PSMA-617)、ソマトスタチン(SST)ペプチド、サブスタンスP、T140を含む腫瘍分子標的ペプチド1(TMTP1)、血管作動性腸ペプチド(VIP)、またはそれらの任意の組合せ。
【0090】
いくつかの実施形態において、放射性同位体は、腫瘍標的化リガンドに結合される。いくつかの実施形態では、結合はリンカーを介する。いくつかの実施形態では、腫瘍標的化リガンドが放射性同位体または放射性同位体をキレート化するキレート剤部分の結合のための官能基を含むペプチドを含む。結合に利用可能なペプチドの官能基にはリジン側鎖上のε-アミノ基、アルギニン側鎖上のグアニジニウム基、アスパラギン酸またはグルタミン酸上のカルボキシル基、システインチオール、およびチロシン上のフェノールが含まれるが、これらに限定されない。最も一般的な共役反応は、カルボジイミド/Nヒドロキシスクシンイミジル(EDC/NHS)媒介カルボキシルおよびアミンカップリング、チオール基へのマレイミド共役、およびチロシン上のフェノールのジアゾニウム修飾である。ペプチドを画像化部分と結合させるための代表的な化学は多くの総説において見出すことができる(ErathodiyilおよびYing,2011; Takahashiら、2008)。
【0091】
いくつかの実施形態では、放射性同位元素が放射性造影剤として機能する。いくつかの放射性同位元素はSPECT画像化のための99mTc、123I、および111In、ならびにPET画像化のための18F、64Cu、および68Gaを含むペプチド標識のために使用されている(Chatalicら、2015)。一般に、これらの放射性同位体は、キレート剤を介してペプチドに結合される。いくつかの広く使用されているキレート剤は、(Sunら、2017)に記載されている。ほとんどの治療用放射性医薬品は、β放出同位体(β-)標識されている。
【0092】
腫瘍細胞を標的とする本発明のミニ細胞はまた、ミニ細胞が結合している腫瘍細胞に放射性同位元素から標的放射線を送達する。いくつかの実施形態では放射性同位元素が治療用放射線放出剤として機能し、放射性同位元素によって提供される放射線の量は腫瘍に対する治療効果を提供するのに十分である。いくつかの実施形態において、治療効果は、腫瘍サイズの減少である。腫瘍は、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、または約5%だけサイズが縮小され得る。
【0093】
放射性標識ホスホネートは高い骨親和性を有し、疼痛性骨転移の画像化および緩和のために使用され得る。骨代謝の程度に応じて、トレーサーは、骨、好ましくは骨芽細胞性骨転移への接着を介して蓄積する。治療計画には、テクネチウム-99m-ヒドロキシエチリデンジホスホネート(HEDP)による骨シンチグラフィーを行い、代謝および転移病変の範囲を推定する必要がある。ビスホスホネートHEDPは、レニウム186(βエミッター、半減期:89時間、1.1MeV最大エネルギー、最大範囲:4.6mm)またはレニウム188(βエミッター[85%、2.1MeV]およびγエミッター[15%、155 keV]、半減期:16.8時間、軟組織における最大範囲:10mm)のいずれかでの治療のために標識することができる(Palmedo、2007)。骨緩和療法のための新しい有望な放射性医薬品には、ゾレドロン酸の放射性標識複合体がある。ゾレドロン酸は環状側鎖をもつ新しい、最も強力なビスホスホネートの世代に属する。スカンジウム-46またはルテチウム-177で標識したゾレドロン酸の骨親和性は優れた吸収([177Lu]Lu-ゾレドロン酸に対して98%、[46Sc]Sc-ゾレドロン酸に対して82%)を示し、これは、サマリウム-153で標識したビスホスホネートよりもはるかに高い(最大:67%)(Majkowskaら、2009)。これらのビスホスホネートは骨転移の診断または治療として使用するために、無傷のミニ細胞に結合させることができる。
【0094】
II.化学療法薬
本開示において使用される抗腫瘍剤はまた、化学療法薬であり得る。本明細書において、「化学療法剤」、「化学療法剤」、および「化学療法剤」は、腫瘍細胞を殺すかまたは破壊する能力を有する薬剤を意味するために互換的に使用される。化学療法剤は以下にさらに詳述されるように、小分子薬物または生物学的薬物であり得る。
【0095】
「小分子薬物」サブカテゴリーは(i)生物学的プロセスに対する効果、および(ii)タンパク質またはポリマー高分子と比較して低分子量を有することを特徴とする化合物を包含する。小分子薬物は典型的には約800ダルトン以下であり、Temodar(登録商標)(テモゾロミド)によって例示されるように、約194ダルトンで、約150ダルトンの下限を有し、これは神経膠芽腫および他のタイプの脳がんを処置するために使用される。この文脈において、「約」は、適格な分子量値が測定精度の変動および数ダルトンまたは数十ダルトンのオーダーの実験誤差を受けることを示す。したがって、小分子薬物は、約900ダルトン以下、約800ダルトン以下、約700ダルトン以下、約600ダルトン以下、約500ダルトン以下、または約400ダルトン以下、例えば約150~約400ダルトンの範囲の分子量を有することができる。より具体的には、小分子薬物が約400ダルトン以上、約450ダルトン以上、約500ダルトン以上、約550ダルトン以上、約600ダルトン以上、約650ダルトン以上、約700ダルトン以上、または約750ダルトン以上の分子量を有することができる。別の実施形態では、ミニ細胞にパッケージされた小分子薬物が約400~約900ダルトン、約450~約900ダルトン、約450~約850ダルトン、約450~約800ダルトン、約500~約800ダルトン、または約550~約750ダルトンの分子量を有する。
【0096】
具体的には適切な小分子薬物には特に、窒素マスタード、ニトロソルエア、エチレンイミン、アルカンスルホネート、テトラジン、白金化合物、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗物質、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、およびトポイソメラーゼ阻害剤などの上記に列挙したものが含まれるが、これらに限定されない。従って、本発明において使用するための小分子薬物は特に、以下のいずれかの中から選択され得る:エネジイン(例えば、ダインマイシンA、ユニラマイシン、カリケアマイシンγ1およびカリケアマイシンθ1);メアマイシン、FR901464の合成類似体;ベンゾスベレン誘導体(例えば、Tanpureら、Bioorg Med. Chem., 21: 8019-32 (2013)に記載される);オーリスタチン(例えば、オーリスタチンE、モノメチルオーリスタチンE(MMAE))およびオーリスタチンF(これらは、ドラスタチンの合成類似体である);デュオカルマイシン(例えばデュオカルマイシンSAおよびCC-1065);メイタンシンおよびその誘導体(メイタンシノイド)(例えば、DM1およびDM4);イリノテカン(Camptosar(登録商標))ならびに他のトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポテカン、エトポシド、ミトキサントロンおよびテニポシド);ならびにヤタケマイシン(その合成はOkanoら、2006によって詳述される)。
【0097】
より詳細には、本明細書に詳述される特異的小分子薬物のいずれか1つまたは複数が本発明での使用に適したもの例証である:アクチノマイシンD、アルケラン、アラビアC、アナストロゾール、BiCNU、ビカルタミド、ビサントレン、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、カルボプラチン、カルボプラチナム、カルムスチン、CCNU、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、CPT11、シクロホスファミド、シタラビン、シトシンアラビノシド、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクノルビシン、デキサラゾキサン、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エチレンイミン、エトポシド、フロキシウルジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホテムスチン、ゲムシタビン、ヘキサメチルアミン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミドイリノテカン、イリノテカン、ロムスチン、メクロルエタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトテレキサエート、ミトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、STI-571、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テトラジン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トムデックス、トレオスルファン、トリメトレキサート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンオレルビンおよびVP-16。
【0098】
本明細書の目的のために、「生物学的薬物」とは、対照的に、以下に論じる「機能的核酸」を除く生物学的プロセスによって作製することができる任意の生物学的に活性な高分子を意味すると定義され、サイズによってそのポリペプチドは上記に定義されるように小分子薬物として適格である。したがって、「生物学的薬物」サブカテゴリーは、小分子薬物および機能的核酸サブカテゴリーを除外し、それらと重複しない。生物学的薬物の例は、例えば、医薬化学および薬物設計のツールを使用して、天然であろうと組換えであろうと合成であろうと、治療用タンパク質および抗体である。
【0099】
iii.超毒性化学療法薬
化学療法を目的として設計されたある種の分子は、許容できない毒性のために前臨床または臨床試験中に失敗する。本発明者らは高毒性または「超毒性」の化学療法薬をミニ細胞にパッケージ化し、続いて腫瘍患者に全身的に送達すると、薬剤が腫瘍細胞に送達されることを示した。さらに、腫瘍細胞が破壊され、薬剤含有細胞質が近傍の正常組織に放出された後でも、結果は正常組織に対する毒性ではない。これは薬剤が既にDNAなどの腫瘍細胞構造に結合しており、もはや正常細胞を攻撃できないためである。したがって、本発明はがん患者への高毒性(「超毒性」)化学療法薬の送達に特に有用である。
【0100】
がん患者が全ての治療選択肢を使い果たした場合、腫瘍は従来の細胞毒性薬に対する高度の耐性を伴うかなりの不均一性の段階に達した可能性が高い。本記述の「毒性の強い化学療法剤」または「超毒性の化学療法剤」とは、がん細胞に対する有効用量と比較して、正常細胞に対する致死量が比較的低いため、従来の薬剤に対する耐性を克服できる化学療法剤を指す。
【0101】
したがって、一態様では、高毒性化学療法薬が標的がんに対する有効用量中央値(ED50)よりも低い致死量中央値(LD50)を有する。例えば、高毒性または超毒性化学療法薬は、標的がんに対する薬物のED50の約500%、400%、300%、250%、200%、150%、120%、または100%未満のLD50を有することができる。別の態様では、高毒性または超毒性化学療法薬がその最小有効用量、例えば、最小有効用量の約500%、約400%、約300%、約250%、約200%、約150%、約120%、約100%,約90%、約80%、約70%、約60%、または約50%より低い最大亜致死量(すなわち、重篤または不可逆的毒性を引き起こさない最高用量)を有する。一実施形態において、標的がんは例えば、(1)薬物が設計されるがん型、(2)その薬物について前臨床または臨床試験が行われる最初のがん型、または(3)薬物が試験された全てのがんの中で最も高い有効性を示すがん型であり得る。
【0102】
超毒性化学療法薬物の例示的な非限定的な例には、メイタンシノイド、デュオカルミシン、モルホリニルアントラサイクリン、およびそれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。メイタンシノイド(分子量:約738ダルトン)はメイタンシンの化学誘導体の群であり、強力な細胞毒性を有する。ヒト患者の使用には安全ではないと考えられるが、毒性の懸念のために、メイタンシノイドは本発明に従って、ミニ細胞を介した腫瘍患者への送達に適している。デュオカルマイシン(分子量:約588ダルトン)は、ストレプトマイセス細菌から最初に単離された一連の関連する天然産物である。それらはまた、
強力な細胞毒性を有するが、ヒトでの使用には安全でないと考えられる。メイタンシノイドと同様に、デュオカルマイシンは、本発明における使用のための適切な化学療法薬である。
【0103】
同様に、国際特許出願WO1998/002446に記載されているモルホリニルアントラサイクリン誘導体のクラスの化合物が例示されている。そのような誘導体の中には、ネモルビシン(3’-デアミノ-3’-[2(S)-メトキシ-4-モルホリニル]ドキソルビシン)(MMDX)、およびその主要代謝産物であるPNU-159682(3’-デアミノ-3’-アンヒドロ-[2’’(S)-メトキシ-3’’(R)-ヒドロキシ-4’’-モルホリニル]ドキソルビシン)、ならびに米国特許第8,470,948号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている他のそのような4つの誘導体がある:3’-デアミノ-3’’-4’-アンヒドロ-[2’’(S)-メトキシ-3’’(R)-ヒドロキシ-4’’-モルホリニル]-イダルビシン;3’-デアミノ-3’’-4’-アンヒドロ-[2’’(S)-メトキシ-3’’(R)-ヒドロキシ-4’’-モルホリニル]-ダウリルビシン;3’-デアミノ-3’’-4’ -アンヒドロ-2’’ (S)-メトキシ-3’’(R)-ヒドロキシ-4’’-モルホリニル]-カミノマイシン;および3’-デアミノ-3’’-4’-アンヒドロ-[2’’(S)-エトキシ-3’’(R)-ヒドロキシ-4’’-モルホリニル]d-オキソルビシン。
【0104】
本開示の例示的な実施形態では、ミニ細胞が超毒性化学療法薬3’デアミノ3’’,4’アンヒドロ[2’’(S)メトキシ3’’(R)オキシ4’’モルホリニル]ドキソルビシン(PNU159682)を含む。本発明者らは、PNU-159682が多くの異なる腫瘍細胞株における薬物耐性を克服すると思われる強力な薬物であり、多くの異なる腫瘍細胞株に対する細胞毒性分析において、ある範囲の従来の化学療法薬よりもはるかに強力であることを発見した。実施例8および9を参照されたい。さらに、ドキソルビシンに耐性のヒト腫瘍異種移植片が、EGFR標的およびPNU-159682負荷EDVのIV投与によって効果的に治療され得ることが、インビボマウス異種移植実験において示された。実施例11を参照。注目すべきことに、PNU-159682負荷EDVとI型インターフェロンアゴニストを併用すると、忍容性が良好であり、後期膵がん患者において相乗的かつ抗がん効果の改善が得られることがわかった。実施例12を参照されたい。したがって、本発明の一実施形態では、組成物が活性抗がん剤としてPNU159682を含むEGFR標的ミニ細胞を含む。
【0105】
超毒性化学療法特性を示す可能性のある他の適切ながん化学療法薬には、オーリスタチン、カリケアマイシン(DNA損傷剤)、α-アマニチン(RNAポリメラーゼII阻害剤)、センタナマイシン、ゲルダナマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ストレプトニグチン、窒素マスタード、ニトロソルエース、エチレンイミン、アルカンスルホネート、テトラジン、白金化合物、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗剤、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、およびホルモン剤が含まれる。
【0106】
iv 生物学的化学療法薬
別の局面において、ミニ細胞は、生物学的化学療法薬を含み得る。このような薬物の実施例としては、アスパラギナーゼ、AIN―457、バピネオズマブ、ベリムマブ、ブレンツキシマブ、ブリアキンマブ、カナキヌマブ、セツキシマブ、ダロツズマブ、デノスマブ、エプラツズマブ、エストラフェナトクス、ファレツヅマブ、フィギツムマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ(WX-G250)、イプリツモマブ、イノツズマブ、イピリズマブ、メポリズマブ、ムロモナブ-CD3、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツムマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オテリズマブ、オゾガミシン、パジバキシマブ、パニツムマブ、ペルツヅマブ、ラムシルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、REGN88、ソラネズマブテプリズマブ、タネズマブ、チウキセタン、トシツモマブ、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、トレメリムマブ、ベドリズマブ、ザルツムマブ、およびザノリムマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
v.機能性核酸
「機能性核酸」とは、宿主細胞への導入の際に、タンパク質の発現を特異的に妨害する核酸分子をいい、がんの治療に関して、本開示によれば、無傷の細菌由来ミニ細胞を介してがん細胞に送達される機能性核酸ペイロードは腫瘍細胞増殖、血管新生または化学療法に対する抵抗性を促進する、および/またはアポトーシスまたは細胞周期停止を阻害する遺伝子、すなわち「がん促進遺伝子」を阻害することが好ましい。
【0108】
一般に、本開示で使用される機能性核酸分子は、タンパク質の転写物と相互作用することによってタンパク質の発現を減少させる能力を有する。本開示のためのミニ細胞ペイロードのこのカテゴリーには、とりわけ、siRNA、shRNA、ショートRNA(典型的には400塩基長未満)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイムおよびデコイRNA、アンチセンス核酸、およびLincRNAなどの調節RNAが含まれる。「リボザイム」とは他のRNA分子を塩基配列特異的に繰り返し切断できる酵素活性を有するRNA分子をいい、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、特定の遺伝子転写産物の一部に相補的な核酸分子であって、転写産物とハイブリダイズして翻訳を阻害することができるものをいい、アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNAまたはDNAを含むことができ、「LincRNA」または「長鎖遺伝子間非コードRNA」とは、200ヌクレオチドより長い非タンパク質コード転写産物を包含する。Khalilら、2009によって論じられているように、LincRNAは遺伝子の転写、スプライシング、および/または翻訳を調節することができる。
【0109】
調節RNAのタイプのそれぞれは、上記のように腫瘍促進遺伝子を阻害し、したがって、本開示による使用に適した機能的核酸分子の供給源であり得る。したがって、本開示の一実施形態では、無傷のミニ細胞が腫瘍促進遺伝子を標的とするために利用され得る転写後遺伝子サイレンシングRNA干渉(RNAi)機構を媒介するsiRNA分子を保有する。例えば、MacDiarmidら、2009(抗体提示ミニ細胞は、化学療法薬、薬剤に対する耐性を発現するのに対抗するsiRNA)、およびOhおよびPark、Advanced Drug Delivery Rev., 61:850-62(2009)(それぞれ、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、肝臓がん、肺がん、および前立腺がんを治療する治療的なsiRNAsの配達)を参照されたい。
【0110】
「siRNA」は一般に、タンパク質発現を特異的に妨害するそれらの能力のために命名された約10~約30ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子を指す。好ましくは、siRNA分子は約12~約28ヌクレオチド長であり、より好ましくは約15~約25ヌクレオチド長であり、さらに好ましくは約19~約23ヌクレオチド長であり、最も好ましくは約21~約23ヌクレオチド長である。したがって、siRNA分子は例えば、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、または約29ヌクレオチドの長さであり得る。
【0111】
1つの鎖の長さは、siRNA分子の長さを示す。例えば、21リボヌクレオチド長(21量体)とよばれるsiRNAは、19個の連続した塩基対合のためにアニーリングする2本の対向するRNA鎖を含むことができる。各鎖上の残りの2つのリボヌクレオチドは「オーバーハング」を形成し、siRNAが異なる長さの2本の鎖を含む場合、鎖の長い方がsiRNAの長さを示す。たとえば、21ヌクレオチド長の1本鎖と20ヌクレオチド長の2本鎖をもつdsRNAは21量体を構成する。
【0112】
siRNA特異的および調節RNAの設計を補助するためのツールは一般に、容易に入手可能である。例えば、コンピュータベースのsiRNA設計ツールは、www.dharmacon.comのインターネット上で利用可能である。
【0113】
別の好ましい実施形態では、本開示の無傷のミニ細胞がsiRNAと同様に、転写後の遺伝子サイレンシングRNA干渉(RNAi)機構を媒介することができるmiRNAを保有する。また、siRNAと同様に、miRNAによって媒介される遺伝子サイレンシング効果を利用して、腫瘍促進遺伝子を標的とすることができる。例えば、Kotaら、2009(トランスフェクションを介するmiRNAの送達はマウス肝臓がんモデルにおいて、がん細胞増殖の阻害、腫瘍特異的アポトーシスおよび疾患進行からの劇的な防御をもたらす)、およびTakeshitaら、2010(一過性トランスフェクションを介する合成miRNAの送達は、骨組織上の転移性前立腺腫瘍細胞の増殖を阻害した)を参照のこと。
【0114】
どちらもRNA干渉を媒介するが、miRNAとsiRNAには差がある。この点において、「miRNA」は一般に、(siRNAの場合のように二本鎖ではなく)約17~約27ヌクレオチド一本鎖RNA分子のクラスを意味する。したがって、miRNA分子は例えば、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、または約27ヌクレオチドの長さであり得る。好ましくは、miRNA分子が約21~約25ヌクレオチド長である。
【0115】
miRNAとsiRNAのもう一つの違いは、前者は一般にmRNAの標的を完全には補完しないことである。対照的に、siRNAはmRNA標的に対して完全に相補的でなければならない。したがって、siRNAは一般的に単一の、特異的な標的のサイレンシングをもたらすが、miRNAは乱雑である。
【0116】
さらに、両方がRISC(RNA誘導サイレンシング複合体)に集合するが、siRNAとmiRNAはRISC集合前のそれぞれの初期工程が異なる。これらの違いは、Chuら、2006;およびGregoryら、2006に詳細に記載されている。多数のデータベースがmiRNA保管場所として働く。たとえば、miRBase(www.mirbase.org)およびtphttp://diana.cslab.ece.ntua.gr/DianaToolsNew/index.php?r=tarbase/index)) を参照されたい。従来の用法ではmiRNAは通常、接頭辞「-mir」を連続番号と組み合わせて命名される。例えば、マウスmir-352の後に発見された新しいmiRNAはマウス「mir-353」と命名される再び、miRNAを含む調節RNAの設計を補助するためのツールは、容易に入手可能である。この点に関して、コンピュータベースのmiRNA設計ツールは、wmd2.Weigelworld.org/cgi/mirnatools.plでインターネット上で利用可能である。
【0117】
miRNA16aが、中皮腫および副腎皮質がん細胞への標的化されたミニ細胞媒介送達によって投与され得ることが、本発明者らの発見である。実施例7を参照。がん細胞によって一旦細胞内に取り込まれると、miRNA16aはがん細胞増殖を強力に阻害することがわかった。従って、いくつかの実施形態において、本開示のミニ細胞は、miRNA16aを含む。腫瘍細胞の増殖を阻害するのに有用な他のマイクロRNAにはmir34ファミリーおよびlet7ファミリーが含まれる。
【0118】
上記のように、本発明の組成物に用いられる機能性核酸は、腫瘍細胞の増殖、血管新生または化学療法に対する抵抗性を促進する遺伝子を阻害することができる。阻害された遺伝子自身も、アポトーシスや細胞周期停止を阻害することができる。機能的核酸によって標的化され得る遺伝子の例は、以下に提供される。
【0119】
本開示の機能性核酸は好ましくは薬物耐性を促進し、アポトーシスを阻害し、または腫瘍表現型を促進するタンパク質の遺伝子または転写物を標的とする。これらの文脈における機能性核酸戦略の成功裏の適用は当該技術分野において達成されているが、ミニ細胞ベクターの利点はない。例えば、Sioud, Trends Pharmacol. Sci., 2004;、Caplen、Expert Opin.Biol.Ther., 2003; Nieth ら、2003; Caplen and Mousses、2003; Duxburyら、2004; Yagueら、2004;およびDuanら、2004を参照のこと。
【0120】
薬剤耐性に寄与するタンパク質は、機能的核酸の好ましい標的を構成する。これらの蛋白質は、獲得薬物耐性または内因性薬物耐性に寄与する可能性がある。腫瘍細胞などの罹患細胞が、最初は薬物に反応するが、その後の治療サイクルで不応性となると、耐性表現型が獲得される。獲得薬物耐性に関与する有用な標的には、P-糖タンパク質(P-gp、P-170、PGY1、MDR1、ABCB1、MDR関連タンパク質、多剤耐性タンパク質1)、MDR-2およびMDR-3などのATP結合カセットトランスポーターが含まれる。MRP2(多剤耐性関連タンパク質)、BCR-ABL(切断点クラスター領域)Abelsonプロトオンコジーン)、STI-571耐性関連タンパク質、肺耐性関連タンパク質、シクロオキシゲナーゼ-2、核因子κ、XRCC1(X線交差相補性グループ1)、ERCC1(切り出し交差相補性遺伝子)、GSTP1(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)、変異β-チューブリン、およびIL-6などの増殖因子は、獲得薬物耐性に関与するさらなる標的である。
【0121】
薬剤耐性に寄与する特に有用な標的には、P-糖タンパク質、MDR-2、MDR-3、BCRP、APT11a、およびLRPなどのATP結合カセットトランスポーターが含まれる。有用な標的には、アポトーシス抵抗性を促進するタンパク質も含まれる。これらには、Bcl2(B細胞白血病/リンパ腫)、Bcl-XL、A1/Bfl1、局所接着キナーゼ、ジヒドロジオールデヒドロゲナーゼ、およびp53変異蛋白質が含まれる。
【0122】
有用な標的には、さらに、発がん性および変異性腫瘍抑制タンパク質が含まれる。これらの例示は、β-カテニン、PKC-α(タンパク質キナーゼC)、C-RAF、DP97 Dead box RNAヘリカーゼ1、FLIP(DNAメチルトランスフェラーゼ1)、C-Sfc、53BPI、Polycomb群タンパク質EZH2(zeste相同体のエンハンサー)、ErbB1、HPV-16 E5およびE7(ヒト乳頭腫ウイルス初期5および初期7)、FortiLin& MCI1P(骨髄性細胞白血病1タンパク質)、DIP13α(DDC相互作用タンパク質13a)、MBD2(メチルCpG結合ドメイン)、p21、KLF4(Kruppel様因子4)、tpt/TCTP(翻訳制御腫瘍タンパク質)、SPK1およびSPK2(スフィンゴシンキナーゼ)、P300、PLK1(ポロ様キナーゼ-1)、Trp53、ErbB1である。VEGF(Vascular endothelial growth factor)、BAG-1(BCL2-associated athanogene 1)、MRP2、BCR-ABL、STI-571 resistance-associated protein、シクロオキシゲナーゼ-2、核因子κ、XRCC1、ERCC1、GSTP1、突然変異体-β-チューブリン、および増殖因子。
【0123】
また、標的として有用なのは、細胞質ポリアデニル化エレメント結合タンパク質(CEPB)によって例示されるグローバル調節エレメントである。例えば、CEPB4は膠芽腫および膵臓がんにおいて過剰発現され、そこでは、このタンパク質が腫瘍増殖に関連する数百の遺伝子を活性化し、健康な細胞においては検出されない(Oritz-Zapaterら、2011年)。したがって、本明細書に従って、神経膠芽腫の処置はCEPB4の過剰発現に対抗する薬剤(例えば、siRNAまたは腫瘍細胞によるCEPB4発現を破壊する他の機能的核酸分子)を含む、無傷の、細菌由来のミニ細胞を含む組成物の投与を介して達成され得る。
【0124】
機能的核酸の有用な標的のさらなる例には、複製タンパク質A(RPA)、70kDa(RPA1)、32kDa(RPA2)、および14kDa(RPA3)サブユニットから構成される三量体複合体が含まれ、これはすべての生物におけるDNA複製に必須である。Iftodeら、1999。
【0125】
他の有用な標的は、有糸分裂およびゲノム安定性の維持に重要なものである。例としては、ポロ様キナーゼ(PLK1)があり、広範囲のがん細胞で過剰発現していることがわかった。実施例3、
図12を参照されたい。本開示の発明者らはまた、Plk1(siPlk1)発現を阻害するsiRNAが、中皮腫および副腎皮質がん細胞の増殖を阻害することを見出した。実施例10を参照。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のミニ細胞はPlk1を含む。
【0126】
他の有用な標的は、DNA複製および修復に関与するものである。たとえば、リボヌクレオシド5’-二リン酸から、DNAの複製や修復に必要な対応する2’-デオキシリボヌクレオシド5’-三リン酸への転化を触媒するので、がんの治療標的となりうるリボヌクレオチドレダクターゼ(RR)などがある。D’Angiolellaら、2012を参照のこと。ヒトRRは2つのサブユニット、RRM1およびRRM2を含み、両方のサブユニットを標的とする機能的核酸は、本発明において有用である。本開示の発明者らは、RRM1(siRRM1)を標的とするsiRNAがミニ細胞を送達すると、中皮腫および副腎皮質がん細胞増殖を強力に阻害することを示した。実施例10を参照。したがって、いくつかの実施形態では、ミニ細胞がリボヌクレオチドレダクターゼM1(RRM1)発現を阻害するsiRNAを含む。
【0127】
B. I型インターフェロンアゴニスト
本発明の組成物はI型インターフェロンアゴニスト、すなわち、I型インターフェロンのレベル(例えば、活性または発現レベル)を増加させる薬剤を含み得る。ヒトI型インターフェロン(IFN)は、免疫系の活性の調節を助けるインターフェロンタンパク質の大きなサブグループである。インターフェロンはインターフェロン受容体に結合する。I型IFNはすべて、IFNAR1鎖とIFNAR2鎖からなるIFN-α(IFNAR)として知られる特異的な細胞表面受容体複合体に結合する。IFNARはIFN-α(アルファ)、IFN-β(ベータ)、IFN-κ(カッパー)、IFN-δ(デルタ)、IFN-ε(イプシロン)、IFN-τ(タウ)、IFN-ω(オメガ)、IFN-ζ(ゼータ、リミチンとしても知られる)と呼ばれる哺乳類のI型IFNである。
【0128】
i. オリゴヌクレオチド
図2は、免疫調節性の60mer二本鎖DNAを含むミニ細胞の例示的な実施形態のグラフ描写を示す。本発明者らは、EGFR標的ミニ細胞を有する二本鎖DNAなどのI型インターフェロンアゴニストの送達が細胞傷害性薬物を負荷されたミニ細胞の免疫賦活剤(すなわち、抗腫瘍効果を増強する)として作用することを発見した。実施例11を参照されたい。したがって、超毒性薬剤PNU-159682とパッケージされたミニ細胞を組み合わせることにより、抗腫瘍効果が増強され、この治療は後期膵臓がん患者によって十分に忍容性であった。実施例12を参照されたい。
【0129】
I型インターフェロン(IFN)の発現は、標的細胞に二本鎖DNAを送達することによって誘導することができる。具体的には、微生物病原体由来のサイトゾルDNAによる自然免疫活性化がI型IFNおよびcGAMP、サイクリックGMP-AMP合成酵素(cGAS)およびIFNγ誘導因子16(IFI16)などのサイトゾルDNAセンサーによって媒介される炎症誘発性サイトカインの強力な誘因である。例えば、Hansenら、2014;およびUnterholznerら、2013を参照のこと。cGASは二本鎖DNAへのポスト結合、cGASはIFN遺伝子の小胞体結合タンパク質刺激因子(STING)上にドッキングするセカンドメッセンジャーサイクリックGMP-AMPを産生する酵素能力を有する。Barberら、2011。これにより、STINGがホモ二量体化し、ERから遊走し(Dobbsら、2015)、STINGをリン酸化するTANK結合キナーゼ1を動員することで、IFNの発現を開始させる転写因子IFN調節因子3が生じる。Dobbsら、2015; Wangら、2014;およびLiuら、2015を参照のこと。したがって、I型IFNの発現は上記および引用された参考文献に記載されるように、細胞質DNAセンサーによって認識され得る標的細胞に二本鎖DNAを送達することによって誘導され得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、I型IFNアゴニストを含む無傷のミニ細胞を含む。いくつかの実施形態において、I型IFNアゴニストは本明細書中に記載されるように、I型IFNのDNAセンサ媒介誘導に適切なオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドが少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、または少なくとも約200ヌクレオチドの配列を含む。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドが約10から約200までのヌクレオチドの配列、またはこれらの2つの値の間の任意の量を含む。ある実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、または少なくとも約60ヌクレオチドの配列を含む。
【0131】
他の実施形態において、酵素ポリヌクレオチドホスホリラーゼ(PNPase1)のポリヌクレオチド産物は、IFN活性の合成誘導物質として使用され得る。Fieldら、1967。同様に、dsRNA模倣ポリイノシン:ポリシチジル酸(ポリ(I:C))は、TLR3およびMDA5の両方に対するアゴニストとして機能することが示された。Alexopoulouら、2001;およびGitlinら、2006。したがって、いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドがPNPase1、ポリ(I:C)、ポリICLC、イミキモド、イミダゾキオリンレスキモド、またはCpGオリゴデオキシヌクレオチドのポリヌクレオチド産物である。
【0132】
合成オリゴヌクレオチドはまた、核酸センサーのアゴニストとして設計され、使用され得る。たとえば、TLR9活性化合成CpGオリゴデオキシ核酸(CpG-ODN)は、ヒトDNAとは対照的に非メタル化CpGモチフに富んでいるという、菌DNAの免疫刺激特性に基づいて設計された。Kriegら、1995。配列特徴および骨格修飾の最適化は、B細胞またはpDCのいずれかを優先的に活性化するCpGODNサブタイプをもたらした。したがって、本明細書では、CpG-ODNはメチル化されていてもメチル化されていなくてもよく、または両方の組み合わせであってもよいと考えられる。
【0133】
I型IFN分泌の刺激因子であることが知られている多くの分子が存在し、これらの分子はそれらのアゴニストと共に、ミニ細胞を介して送達してI型IFN分泌を誘発するのに適している。これらの分子には限定されるわけではないが、二本鎖RNA(dsRNA)、ポリ(dA:dT)DNA、二本鎖Z-DNAおよびB-DNA、36bpおよびDNA-RNAハイブリッドより長いDNA(dsDNA)、細菌のセカンドメッセンジャーであるサイクリックジGMP、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8およびTLR9アゴニスト、ならびに以下により十分に説明されるSTINGアゴニストが含まれる。
【0134】
ii. 二本鎖RNA(dsRNA)
二本鎖RNAはI型IFNの誘導因子である。RNAヘリカーゼであるレチノイン酸誘導遺伝子I(RIG―I)とメラノーマ分化関連遺伝子5(MDA5)は、I型IFN分泌を誘発する細胞質受容体である。これらの受容体(RIG-I様受容体)はミトコンドリア局在アダプター分子IPS-1あるいはMAVSとキナーゼTBK1、IKKiを介してシグナルを伝達し、IRF3を活性化し、I型IFN易伝子の転写を誘導する(河合・秋良、2010)。RIG-IおよびMDA5は、それらの5’末端でトリリン酸化されたウイルスRNAに応答する(LeungおよびAmarasinghe、2016; Lu ら、2010; Marq ら、2011; Wang ら、2010)。
【0135】
iii. ポリ(dA:dT)DNA
RNAポリメラーゼIIIは、ポリ(dA:dT)DNAのための細胞質ゾルDNAセンサーである(Ablasser ら、2009)。細胞質ゾルでは、RNAポリメラーゼIIIがポリ(dA:dT)を5’トリリン酸化を伴うRNAに変換する。変換された5’-pppRNAは、次にRIG-I-MAVS経路とNFκB活性化を開始させて、I型IFN分泌を誘発する。
【0136】
iv. 二本鎖Z-DNAとB-DNA
サイトゾルDNAセンサー、IRFのDNA依存性アクチベーター(DAI)またはZ-DNA結合タンパク質1は、TBK1及びIRF3を介する機構において、右巻きのdsDNA高次構造(B-DNA)に応答してI型IFNを誘導することが知られている(Kawai and Akira、2010)。RNAポリメラーゼIIIもB-DNAを5’-pppRNAに転写し、その後RIG-Iを介してI型IFN転写を活性化する(Chiuら、2009)。これらの転写因子がリン酸化されると、I型IFNファミリーのすべての遺伝子の発現を促すのに役立ち、それによってI型IFN産生が増幅される。多くのサイトゾルDNAセンサーが細胞内病原性DNAを認識することが報告されている。例えば、Xiaら、"DNA sensor cGAS-mediated immune recognition"、Protein Cell、7(11): 777-791 (2016)から抜粋された
図26を参照されたい。
【0137】
例えば、DDX41(Zhangら、2011b)、IFI16(Orzalliら、2012; Unterholznerら、2010)およびDAI(Takaokaら、2007)は二本鎖DNA(dsDNA)を検出し、STINGTBK1IRF3経路を活性化する。LRRFIP1はdsDNAと結合し、β-カテニンを介してIRF3の活性化を引き起こす(Yangら、2010)。DHX9およびDHX36はdsDNAと会合し、MyD88を介してNFκB活性化をもたらす(Kimら、2010)。Ku70はdsDNAと結合して、IRF1およびASCRF7の活性化を介してI型インターフェロン(IFN)を誘導する(Zhangら、2011a)。AIM2はASCおよびプロ-カスパーゼ-1を動員することにより、dsDNAと相互作用し、インフラマソームを活性化する(Burckstummerら、2009年; Fernandes-Alnemriら、2009年; Hornungら、2009年)。注目すべきことに、Sox2は好中球のサイトゾルで発現し、dsDNAに結合するとTab2/TAK1複合体を配列依存的に活性化する(Xiaら、2015)。
【0138】
v. 36bpより長いDNA(dsDNA)とDNA-RNAハイブリッド
cGASは、細胞質DNAを認識するDNAセンサーである(Ablasserら、2013a; Ablasserら、2013b; Gaoら、2013a; Liら、2013b; Schogginsら、2014; Sunら、2013; Wuら、2013)。36bpより長い二本鎖DNA(dsDNA)がcGAS活性化に最適である(Gaoら、2013b)。ポストDNA結合、cGASはATPおよびGTPが触媒ポケットに入ることを可能にする立体配座変化を受け、STING-TBK1軸の強い活性剤であるCGAMPの合成をもたらす(Civrilら、2013; Gaoら、2013b; Kranzuschら、2013; Wuら、2013; Zhangら、2014)。cGASはdsDNAおよびDNA-RNAハイブリッドによって活性化され得る(Mankanら、2014)。
【0139】
vi. 最近のセカンドメッセンジャーであるcyclic-di-GMP
細菌のセカンドメッセンジャーであるcyclic-di-GMPはDAIまたは他の既知の細胞質受容体とは無関係であるが、TBK1及びIRF3を必要とする機構を介して、I型IFNを強力に誘導する(McWhirterら、2009)。
【0140】
vii. TLR3、TLR4、TLR7、TLR8およびTLR9アゴニスト
一部の細胞種、例えばマクロファージやDCでは、I型IFNがそれぞれdsRNAやリポ多糖による膜貫通受容体トル様受容体3(TLR3)やTLR4のトリガーに応答して産生される。TLR3とTLR4はアダプター分子TRIFを介してシグナルを伝達し、TBK1と会合してIRF3を活性化する(川井・秋良、2010)。
【0141】
天然型IFN産生細胞である形質細胞様DC(pDC)(Colonnaら、2004)は、細胞内エンドソーム受容体であるTLR7とTLR9を優先的に発現し、アダプタータンパク質MyD88を介したシグナル伝達を引き起こすことで、それぞれ一本鎖RNAとDNAウイルスに応答できるようにしている(Colonnaら、2004)。これらの受容体はこれらの細胞がIRF7とIRF8を恒常的に発現し、MyD88-IRF7複合体はエンドソームコンパートメントに保持されるようにTLR連結時に時空間的調節を受け、そこでI型IFN産生を誘発するため、pDCのみでI型IFNを誘発する効率が高い(Colonnaら、2004)。
【0142】
TLR4アゴニストグルコピラノシル脂質免疫賦活剤(GLA)は、単独で、または抗PDmAbと組み合わせて試験されている[Immune Design 2016](J.MeulenおよびS.Brady、「Immune Design」、Hum.Vaccin.Immunother.,13(1):15(2017))。TLR3アゴニストPolyiltonol(商標)およびTLR7/8アゴニストMEDI9197もまた、進行した到達可能な固形腫瘍を有する患者において試験されている(MedImmune 2016;Oncovir 201)。("自然宿主防御を起動させること; Hiltonol(ポリICLC)および悪性腫瘍、ASalzar、Oncovir、Inc.、www.oncovir.com/id2(accessed July 11、2018); およびGuptaら、"Abstract CT091: MEDI9197の安全性と薬力学的活動、 TLR 7/8 アゴニストは固形腫瘍と共に被検体内で管理される " Cancer Research、AACR Annual Meeting 2017; April 1-5、2017(published July 2017))。低線量放射線療法とともにCpG富化オリゴデオキシヌクレオチド(CpGODN、PF-3512676)などのTLRアゴニストの腫瘍内注射は、第I/II相臨床試験で進行期非ホジキンリンパ腫患者において臨床反応を示している[Dynavax 2016](Adamusら、2018)。
【0143】
viii. STINGアゴニスト
環状ジヌクレオチド(CDN)[サイクリックジ(グアノシン5’一りん酸)、環状ジ(アデノシン5’一りん酸)、及び環状GMPは、インターフェロン遺伝子の細胞質パターン認識受容体刺激剤(STING)を介してTBK1/IRF3/1型インターフェロンシグナル伝達軸を活性化する病原体関連分子パターン分子(PAMP)のクラスである。
【0144】
I型インターフェロン応答を誘発するための新しいSTINGアゴニストが開発されている。1つの主要なアプローチは効率を改善するためのCDNの合理的な修飾を含み、これは、合成ジチオ混合結合CDNの開発につながる(Corralesら、2015)。1つの化合物(ML RRS2CDAまたはADUS100)はヒトおよびマウスSTINGの両方に結合し、複数の動物モデルにおいて強力な抗腫瘍効果を示した(Corralesら、2015)。皮膚アクセス可能な固形腫瘍およびリンパ腫を有する患者におけるADUS100の第1相臨床試験が進行中である(Aduro Biotech 2016)。
【0145】
1000ゲノムプロジェクトデータベース(http://www.1000genomes.org/)の解析から、WTアレル、レファレンス(REF)アレル(R232H)、HAQアレル(R71H、G230A、R293Q)、AQアレル(G230A、R293Q)およびQアレル(R293Q)を含む5つのヒトSTING変種を識別した(Yiら、2013)。
【0146】
合理的に設計された合成CDNアゴニストML RRS2 CDAが開発され、細菌または宿主細胞cGASによって産生される天然STINGリガンドと比較して、増強された安定性、ヒトSTING活性化、細胞取り込み、および抗腫瘍効力、ならびに低い反応原性を示す(Corralesら、2015; Fuら、2015)。
【0147】
Rp、Rp(R, R)ジチオ置換ジアステレオマーCDNはホスホジエステラーゼによる消化に抵抗性であり、培養ヒト細胞においてIFN-βのより高い発現を刺激し、ジチオ修飾を含まないCDNと比較してより強力な抗腫瘍免疫を誘導した(Corralesら、2015; Fuら、2015)。ヒトSTINGに対する親和性を増加させるために、MLRRS2 CDAは、1つの2’5’および1つの3’5’混合ホスホジエステル結合(2’,3’CDN)を有するリン酸架橋によって規定される非正準構造を含む。2’,3’混合結合構造は増大したSTING結合親和性を付与し(Gaoら、2013b)、真核生物cGASによって産生される内因性cGAMPにおいても見出される。MLRR―S2CDAは菌体3’,3’CDN(Corralesら、2015; Fuら、2015)によって誘導されたシグナル伝達に耐性であることが知られているREFアレルに対するドナーホモジゴースを含む、異なるSTING型を有する複数のドナーから単離されたヒト周辺血球(PBMC)中のIFN-βのHEK293T細胞STINGシグナリングアッセイおよび誘導されたIFN-βの誘導ドーズ依存性発現において、広範囲に既知のヒトSTINGアレルを活性化することが示された。
【0148】
C. II型インターフェロンアゴニスト
本発明の組成物および方法はII型IFNアゴニスト、すなわち、II型インターフェロンのレベル(例えば、活性または発現レベル)を増加させる薬剤を含み得る。型IIインターフェロン(IFN)のクラスは、現在、IFN-γ(ガンマ)と呼ばれるメンバーを含む。成熟IFN-γは抗平行ホモ二量体であり、IFN-γ受容体(IFNGR)複合体に結合して標的細胞内でシグナルを誘発する。IFNGRはIFNGR1とIFNGR2と名づけられた各分子の2つのサブユニットからできている。IFN-γは、免疫応答および炎症応答の調節に関与している;ヒトではインターフェロン-γは1種類のみである。活性化T細胞やナチュラルキラー細胞で産生される。IFN-γはI型IFNの作用を増強する。Th1細胞から放出されたIFN-γは感染部位に白血球を動員し、炎症を亢進させる。また、マクロファージを刺激して、飲み込まれた細菌を殺す。Th1細胞から放出されるIFN-γは、Th2応答の調節にも重要である。IFN-γは免疫応答の調節に重要な役割を果たしており、その産生は自己免疫疾患を引き起こす可能性がある。
【0149】
したがって、本発明の一実施形態は、II型IFNアゴニストを含むミニ細胞を含む組成物を包含する。ミニ細胞は細菌に由来するが、ミニ細胞自体はヒト患者においてII型インターフェロン応答を活性化しない。実施例15を参照。本発明者らは、IFNγの添加がドキソルビシンを負荷したEGFR標的EDVの抗腫瘍効力を増大させ、異種移植モデルにおいて腫瘍退縮を引き起こすことを発見した。実施例13を参照されたい。さらに、(i)超毒性化学療法薬PNU159682を負荷したEFGR標的化ミニ細胞、(ii)20ヌクレオチドを含む二本鎖DNAを負荷した非標的化ミニ細胞、および(iii)IFNγ生成物Imukinを含むミニ細胞を含む組成物は後期内因性腫瘍に罹患しているイヌにおいて十分に耐性があり、抗がん効果を誘導した。実施例14を参照。
【0150】
II型IFNは細胞傷害性T細胞を活性化することにより抗腫瘍免疫に重要な役割を果たす。例えば、Chikumaら、2017を参照のこと。IFNγサイトカインは自然抗原の結合によりナチュラルキラー細胞から放出されるが、スフィンゴ糖脂質化合物は自然免疫応答と獲得免疫応答の両方の強力な活性化因子として機能することができる。本発明者らは、スフィンゴ糖脂質への曝露がII型インターフェロン、IFN-γ、および多数のインターロイキン(Th1-、Th2-、および/またはTh17-型サイトカイン)を含む自然ナチュラルキラーT(iNKT)細胞による強力なサイトカイン応答を誘導することを発見した。例えば、Carrenoら、2016を参照のこと。次いで、iNKT細胞はDC成熟を誘導し、細胞傷害性T細胞応答の発生をもたらすT細胞ヘルパー様機能を示す。
【0151】
IFNタイプII応答を誘導するのに有用なグリコスフィンゴリプの例は本明細書に記載されており、C-グリコシド形態のα-ガラクトシルセラミド(α-C-GalCer)、αガラクタトシルセラミド (α-GalCer)、12炭素アシル形態のガラクトシルセラミド(β-GalCer)、β-D-グルコピラノシルセラミド(β-GlcCer)、1,2-ジアシル-3-0-ガラクトシル-sn-グリセロール(BbGL-II)、ジアシルグリセロール含有糖脂質(Glc-DAG-s2)、ガングリオシド(GD3)、ガングリオトリアセラミド(Gg3Cer)、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)、α-グルクロノシルセラミド(GSL-1またはGSL-4)、イソグロボトリヘキシルセラミド(iGb3)、リポホスホグリカン(LPG)、α-ガラクトシルセラミド類似体(OCH)、およびトレイトルセラミド。特定の実施形態において、本明細書中に開示されるミニ細胞は、II型IFNアゴニストとしてα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)を含む。
【0152】
INFII型アゴニストであるα-GCは、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)として知られる白血球の一種の活性化を介して免疫系を刺激することが知られている(Birkholzら、2015)。ミニ細胞が標的細胞に対するα-GCの提示を容易にすることができることを知り、実施例17でさらに論じるように、出願人はミニ細胞α-GCを用いたミニ細胞促進免疫活性化の研究へ移行し、化学療法薬のミニ細胞促進送達からなる治療を補完することができた。
【0153】
実施例18に示すように、出願人は化学療法ドキソルビシン(Epミニ細胞Dox)を含有するミニ細胞を投与した腫瘍含有マウスと、α-GCを含有するミニ細胞(ミニ細胞α-GC)とが、Epミニ細胞Doxのみを投与したマウスよりも、腫瘍進行の顕著な停止を示すことを発見した。これらの観察はINFI型アゴニストを除き、代わりにINFII型アゴニストを組み込んだミニ細胞組成物が、マウスにおける腫瘍の治療に効果的であることを示した。
【0154】
ミニ細胞はiNKT細胞活性化およびII型インターフェロンIFN-γ産生in vivoで増強する観点から、II型IFNアゴニストを免疫系の細胞に直接送達することができる。あるいは、標的でないEDVは免疫系の貪食細胞に取り込まれ、そこでエンドソームで分解され、αGCは免疫活性化のためにiNKT細胞に提示される。したがって、いくつかの実施形態では、ミニ細胞がII型インターフェロンアゴニストの標的送達を提供する。他の実施形態では、本明細書に開示される組成物がII型インターフェロンアゴニストを含む非標的ミニ細胞を含む。
【0155】
IFN-γ産生は、抗原提示細胞(APC)によって分泌されるサイトカインによって制御され、最も顕著なのはインターロイキン(IL)-12およびIL-18である。これらのサイトカインは、自然免疫応答におけるIFN-γ産生と感染を結びつける橋渡しとして働く。多くの病原体のマクロファージ認識はIL-12とケモカインの分泌を誘導する。これらのケモカインはNK細胞を炎症部位に引き寄せ、IL-12はこれらの細胞のIFN-γ合成を促進する。マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、T細胞では、IL-12とIL-18の刺激が組み合わさるとIFN-γ産生がさらに増加する。従って、これらのタンパク質のいずれかまたはそれらの組み合わせは、本開示の目的のための適切な薬剤である。
【0156】
IFN-γ産生の負の調節因子には、IL-4、IL-10、形質転換増殖因子βおよびグルココルチコイドがある。これらの因子を阻害するタンパク質や核酸は、IFN-γの産生を刺激することができる。
【0157】
また、IFN-γをコードするポリヌクレオチド、またはIFN-γの産生および/または分泌を活性化する遺伝子もこの文脈での使用に適している。
【0158】
IFN-γのレベルを増加させる薬剤もまた、ウイルスワクチンであり得る。感染や他の種類の有害作用を引き起こすことなくIFN-緕Y生を誘導できる多くのウイルスワクチンが利用可能である。この種のウイルスワクチンの代表的なものは、インフルエンザ(インフルエンザ)ワクチンである。
【0159】
データは、腫瘍細胞に対する宿主免疫応答を効果的に活性化するために必要なIFN-γの血清濃度が患者が薬物負荷、二重特異的抗体標的化ミニ細胞または死滅細菌細胞の投与も受けた場合に低いことを示す。従って、1つの局面において、本発明の方法は、約30,000pg/mL以下の血清IFNγ濃度の増加を生じる。別の局面において、血清IFN-γ濃度は、約5000pg/mL、1000pg/mL、900pg/mL、800pg/mL、700pg/mL、600pg/mL、500pg/mL、400pg/mL、300pg/mL、200pg/mL、または100pg/mLより高くないまで増加する。さらなる局面において、得られる血清IFNγ濃度は、少なくとも約10pg/mL、または少なくとも約20pg/mL、30pg/mL、40pg/mL、50pg/mL、60pg/mL、70pg/mL、80pg/mL、90pg/mL、100pg/mL、150pg/mL、200pg/mL、300pg/mL、400pg/mLまたは500pg/mLである。
【0160】
いくつかの態様によれば、薬剤は、IFNγタンパク質、または操作されたタンパク質もしくはアナログである。いくつかの局面において、投与は、宿主血液のml当たり約0.02ng~1マイクログラムのIFN-γを達成する。一態様では、宿主血液中で達成されるIFNγ濃度が約0.1ng/ml~約500ng/ml、約0.2ng/ml~約200ng/ml、約0.5ng/ml~約100ng/ml、約1ng/ml~約50ng/ml、または約2ng/ml~約20ng/mlである。
【0161】
III.無傷の細菌由来ミニ細胞
「ミニ細胞」という用語はここでは染色体を欠き(「無染色体」)、二分裂の際に、細胞分裂とDNA分離との協調の乱れによって生じた細菌細胞の誘導体を意味するために用いられる。ミニ細胞はいわゆる「膜ブレブ」(大きさが約0.2μm以下)のような他の小さな小胞とは異なっている。この小胞が特定の状況下で自然に生成・放出されるが、特定の遺伝子再編成やエピソーム遺伝子発現によるものではない。同じトークンによって、無傷のミニ細胞は同様ゴーストとは区別される。同様ゴーストは特異的な遺伝子再編成やエピソーム遺伝子発現のために生成されない。本開示で使用される細菌由来のミニ細胞は完全に無傷であり、したがって、破壊または分解され、除去さえされる外膜または画定膜によって特徴付けられる、他の無染色体形態の細菌細胞誘導体とは区別される。米国特許を参照されたい。第7,183,105号、第111欄、第54行以降。本開示のミニ細胞を特徴付ける無傷の膜は、腫瘍発明内で、取り込み後にペイロードが放出されるまで、ミニ細胞内での治療用ペイロードの保持を可能にする。
【0162】
ミニ細胞またはEDVは、正常な細菌細胞分裂を制御する遺伝子を不活性化し、それによって細胞の極性部位を脱抑制する結果として産生される無核の非生存ナノ粒子である。Maら、2004。抑制解除は細菌が中心および極で分裂することを意味し、本開示の発明者らが示したミニ細胞をもたらす極性分裂は、様々な化学療法薬の効率的なパッケージ化を可能にする漏出耐性のマイクロリザーバ担体として機能することができる。さらに、例えば、粒子当たり約14,000分子しかパッケージ化できない現在のステルスリポソーム薬物キャリア(リポソームドキソルビシン)とは対照的に(Parkら、Breast Cancer Res、4(3):95-99(2002))、または5個未満の薬物分子を運ぶことができる「武装抗体」、EDVは、100万個までの薬物分子のペイロードを容易に収容することができる。さらに、EDVは二重特異性抗体を使用してがん細胞の表面上の過剰発現受容体を標的とすることができ(下記の部Dを参照)、これはインビトロおよびインビボの両方で、非常に有意な腫瘍増殖阻害および/または退行を可能にする。
【0163】
本発明で使用されるミニ細胞は、EcoliおよびStyphymuriumなどの細菌細胞から調製することができる。原核生物の染色体複製は、中細胞隔形成を含む、正常な二分裂に連結されている。たとえば大腸菌では、minCDのようなmin遺伝子の変異によって、細胞分裂の際に細胞極での隔壁形成の阻害を取り除くことができ、その結果、正常な娘細胞と染色体のないミニ細胞が産生される。de Boer ら、J.Bacteriol.,174:63-70 (1992);Raskin & de Boer、J.Bacteriol.,181:6419-s24 (1999); Hu & Lutkenhaus、Mol.Microbio.,34:82-90(1999); Harry, Mol. Microbiol.,40:795(2001)を参照されたい。
【0164】
minオペロン突然変異に加えて、例えば枯草菌のdivIVB1において、隔壁形成に影響を及ぼす一連の他の遺伝子再編成または突然変異に続いて、染色体のないミニ細胞も生成される。ReeveおよびCornett、JVirol., 15:1308(1975)を参照のこと。ミニ細胞はまた、細胞分裂/染色体分離に関与するタンパク質の遺伝子発現レベルの撹乱に続いて形成され得る。例えば、minEの過剰発現は、極性分裂およびミニ細胞の産生を導く。同様に、染色体のないミニ細胞は染色体分離における欠損、例えば、Bacilus subtilisにおけるsmc突然変異(Brittonら、Genes Dev.,12: 1254(1998))、BsubtilisにおけるspoOJ欠失(Iretonら、JBacteriol., 176: 532029(1994))、EcoliにおけるmukB突然変異(Hiragaら、JBacteriol., 171:1496(1989))、およびEcoliにおけるparC突然変異(StewartおよびD’Ari、JBacteriol., 174:4513(1992))に起因し得る。さらに、CafAは細胞分裂の速度を増強し得、そして/または複製後の染色体分配を阻害し得(Okadaら、JBacteriol., 176:917(1994))、連鎖細胞および染色体不含ミニ細胞の形成を生じる。
【0165】
したがって、ミニ細胞は任意の細菌細胞からの本開示のために調製することができ、これは、これらの細菌における細菌細胞分裂の保存された性質によるグラム陽性またはグラム陰性起源である。さらに、本開示において使用されるミニ細胞は上記のように、無傷の細胞壁(すなわち、「無傷のミニ細胞」)を有するべきであり、そして特定の遺伝的再配置またはエピソーム遺伝子発現に起因しない、他の小胞(例えば、膜ブレブ)と区別され、そしてそれらから分離されるべきである。
【0166】
所与の実施形態において、ミニ細胞の親(供給源)細菌は、グラム陽性であり得るか、またはグラム陰性であり得る。一態様では、親細菌がTerra-/Glidobacteria(BV1)、Proteobacteria(BV2)、Spirochaetes、Sphingobacteria、およびPlanctobacteriaを含むBV4から1つ以上選択される。別の局面に追及すると、細菌は、Bacilli、ClostridiaまたはTenericutes/MollicutesなどのFirmicutes(BV3)、またはActinomycetalesまたはBifidobacterialesなどのActinobacteria(BV5)から選択される1つ以上である。
【0167】
本発明によれば、死滅細菌細胞は、Bergey’s Manual Of Systematic Biologyの第2版に定義されているような、細菌、シアノバテリア、真正細菌および古細菌の非生存原核細胞である。このような細胞はそれらが無傷の細胞壁および/または細胞膜を有し、細菌種に内因性である遺伝物質(核酸)を含む場合、「無傷」であると見なされる。死滅した細菌細胞を調製する方法は例えば、米国特許出願公開第2008/0038296号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0168】
さらに別の局面において、該細菌は、エオバクテリア(クロロフレキシ、デイノコッカス-サームス)、シアノバクテリア、サーモフルバクテリア、好熱菌(アキフィカ、サーモトガエ)、アルファ、ベータ、ガンマ(腸内細菌科)デルタまたはエプシロンプロテオバクテリア、スピロバクテリア、スピロヘータ、フィブロバクター、クロロビ/バクテロイデス、クラミジア/ベルコメクロビア、プラントミケス、アシドバクテリア、クリシオゲネス、デフェリバクテリア、フソバクテリア、ゲムアチモナデテス、ニトロスピラ、シネルギステス、ディクチオグロムス、レンティスファエラバシラス、バシラス、リステリア科、ブドウ球菌、腸球菌科、エンテロコッカス、ラクトバシラセエ、ロイコノストック、クロストリジウム、サーモアナエロバクター、マイコプラズマ目、アナエロプラズマ目、アコレプラズマ目、アクチオマイシネ、アクチノマイセス、コリネバクテリウム、コリネバクテリウム、フランキナーゼ、ミクロコッシネ、ブレビバクテリウム、およびビフィズス菌から1種以上が選択される。
【0169】
薬学的使用のために、本開示の組成物は、免疫原性成分および他の毒性汚染物質から可能な限り完全に単離されたミニ細胞または死滅した細菌細胞を含むべきである。遊離エンドトキシンおよび親細菌細胞を除去するために細菌由来のミニ細胞を精製するための方法論は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2004/113507に記載されている。簡単には、(a)一般に0.2μmより小さい膜ブレブなどのより小さい小胞、(b)細胞膜から放出される遊離エンドトキシン、および(c)生きているか死んでいるかにかかわらず親細菌、およびそれらの破片(これも遊離エンドトキシンの供給源である)の除去を達成する。このような除去は、とりわけ、より小さい小胞および細胞残屑を除去するための0.2μm濾過、親細胞を誘導してフィラメントを形成した後に親細胞を除去するための0.45μm濾過、生きた細菌細胞を殺すための抗生物質、および遊離エンドトキシンに対する抗体を用いて実施することができる。
【0170】
精製手順の基礎はそれらの細菌供給源の差異にもかかわらず、全ての無傷のミニ細胞は約400nmのサイズであり、すなわち、膜小胞および他のより小さい小胞より大きく、そして親細菌より小さいという本発明者らによる発見である。ミニ細胞のサイズ決定は、電子顕微鏡法などの固体状態を使用することによって、または液体ベースの技術、例えば動的光散乱によって達成することができる。そのような各技法によってもたらされるサイズ値は誤差範囲を有する可能性があり、その値は、技法間でいくらか異なる可能性がある。したがって、乾燥状態のミニ細胞のサイズは、電子顕微鏡法によって約400nm±50nmと測定することができる。動的光散乱は、同じミニ細胞を約500nm±50nmのサイズであると測定することができる。また、薬物パッケージ化リガンド標的ミニ細胞は、やはり動的光散乱を使用して、約400nm~600nm±50nmであると測定することができる。
【0171】
サイズ値のこの散乱は、例えば上記のように、免疫原性成分および他の毒性汚染物質からミニ細胞を単離する目的のために、実際に容易に適応される。すなわち、無傷の細菌由来ミニ細胞は、ミニ細胞に堅い球状構造を与える堅い膜によって囲まれた細胞質を特徴とする。この構造は透過型電子顕微鏡写真で明らかであり、ミニ細胞の直径は硬い膜の外側の境界の間でミニ細胞を横切って測定される。この測定により、上述した400nm±50nmのサイズ値が得られた。
【0172】
死滅した細菌細胞またはグラム陰性細菌に由来するミニ細胞のもう一つの構造要素はリポ多糖(LPS)のO-多糖成分であり、これはリピドAアンカーを介して外膜に埋め込まれている。この成分は、鎖の反復単位当たり4~5個の糖の70~100個もの反復単位を有する反復炭水化物残基単位の鎖である。これらの鎖はin vivoのように液体環境では剛性ではないので、サンゴ海環境で海藻の一般的な外観を与える波状の柔軟な構造をとることができる;すなわち、鎖は、ミニ細胞膜に固定されたままで液体と共に移動する。
【0173】
O-多糖成分の影響を受けて、動的光散乱は上記のように、約500nm~約600nmのミニ細胞サイズの値を提供することができる。それにもかかわらず、グラム陰性菌およびグラム陽性菌のミニ細胞は同様に0.45μm濾過を容易に通過し、400nm±50nmの有効ミニ細胞サイズを実証する。上記の大きさのばらつきは、本発明に包含され、特に、「約400nmの大きさ」などの語句における修飾語句「およそ」によって示される。
【0174】
毒性汚染物質に関して、本開示の組成物は、好ましくは約350EU未満の遊離エンドトキシンを含む。これに関して、約250EU以下、約200EU以下、約150EU以下、約100EU以下、約90EU以下、約80EU以下、約70EU以下、約60EU以下、約50EU以下、約40EU以下、約30EU以下、約20EU以下、約15EU以下、約10EU以下、約9EU以下、約8EU以下、約7EU以下、約6EU以下、約5EU以下、約4EU以下、約3EU以下、約2EU以下、約1EU以下、約0.9EU以下、約0.8EU以下、約0.7EU以下、約0.6EU以下、約0.5EU以下、約0.4EU以下、約0.4EU以下、約0.3EU以下、約0.2EU以下、約0.1EU以下、約0.05EU以下、または約0.01EU以下。
【0175】
本発明の組成物はまた、少なくとも約109のミニ細胞または死滅した細菌細胞、例えば、少なくとも約1×109、少なくとも約2×109、少なくとも約5×109、または少なくとも8×109含むことができる。いくつかの実施形態において、組成物は約1011個以下のミニ細胞または死滅したバクテリアセル、例えば約1×1011以下、または約9×1010以下、または約8×1010以下を含む。
【0176】
IV.ミニ細胞または殺菌された細菌細胞への活性物質のロード
活性剤または抗腫瘍剤(例えば、小分子薬物、タンパク質および機能性核酸)は、複数の無傷のミニ細胞を活性剤と一緒に緩衝液中で共インキュベートすることによって、ミニ細胞中に直接パッケージ化され得る。緩衝液の組成は、この分野でよく知られている条件に応じて変化させ、無傷のミニ細胞における活性剤の負荷を最適化することができる。緩衝液はまた、薬剤に依存して(例えば、核酸ペイロードの場合、ヌクレオチド配列またはミニ細胞にロードされる核酸の長さに依存して)変化され得る。ローディングに適した例示的な緩衝液にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれるが、これに限定されない。一旦パッケージ化されると、活性剤はミニ細胞内に残り、分解から保護される。無菌生理食塩水中でインキュベートしたsiRNAパッケージ化ミニ細胞を用いた長期インキュベーション研究は例えば、siRNAの漏出がないことを示した。
【0177】
核酸によってコードされ得る機能性核酸またはタンパク質のような活性剤は、活性剤をコードするプラスミドのようなベクターを親細菌細胞に形質転換することによって、ミニ細胞に導入され得る。ミニ細胞が親細菌細胞から形成される場合、ミニ細胞は、プラスミドおよび/または発現産物、抗腫瘍剤の特定のコピーを保持する。ミニ細胞へのパッケージ化および発現産物のさらなる詳細は国際公開第03/033519号パンフレットにより提供され、その内容は参照によりその全体が本発明に組み込まれる。
【0178】
WO 03/033519に提示されるデータは、例えば、哺乳動物遺伝子発現プラスミドを保有する組換えミニ細胞が、食細胞および非食細胞に送達され得ることを実証した。国際公開第03/033519号パンフレットはまた、エピソーム複製プラスミドDNA上に担持された異種核酸を用いたミニ細胞産生親細菌株の遺伝的形質転換を記載した。親生物とミニ細胞を分離すると、エピソームDNAの一部はミニ細胞に分離される。得られた組換えミニ細胞は哺乳類食細胞に容易に飲み込まれ、細胞内ファゴリソソーム内で分解されるようになった。さらに、組換えDNAの一部はファゴリソソーム膜を逃れ、哺乳類細胞核に輸送され、そこで組換え遺伝子が発現した。
【0179】
他の実施形態では、異なるmRNA標的に向けられた複数の核酸を、同じミニ細胞にパッケージ化することができる。このようなアプローチは、薬物耐性およびアポトーシス耐性と戦うために使用され得る。例えば、がん患者は日常的に化学療法薬に対する耐性を示す。このような耐性は、とりわけ、多剤耐性(MDR)ポンプおよび抗アポトーシス遺伝子のような遺伝子の過剰発現によって媒介され得る。この耐性に対抗するために、ミニ細胞は、MDR席連遺伝子に対する治療的に有意な濃度の機能性核酸と共にパッケージされ得、そして化学療法の前に患者に投与され得る。さらに、異なるmRNA標的に向けられた同じミニ細胞複数の機能性核酸へのパッケージ化は、ほとんどの分子標的が突然変異を受け、複数の対立遺伝子を有するため、治療成功を高めることができる。ミニ細胞への核酸の直接パッケージ化のさらなる詳細は国際公開第2009/027830号パンフレットに提供されており、その内容は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0180】
小分子薬物は、親水性であろうと疎水性であろうと、ミニ細胞を含む細胞外培地とミニ細胞細胞質との間に薬物の濃度勾配を作り出すことによってミニ細胞中にパッケージ化することができる。細胞外培地がミニ細胞の細胞質よりも高い薬物濃度を含む場合、薬物は、この濃度勾配を下ってミニ細胞の細胞質に自然に移動する。しかし、濃度勾配が逆になると、薬物はミニ細胞から外に移動しない。例えば、米国特許出願公開第2008/0051469号(その内容は参照により特に組み込まれる)に、薬物ローディングプロセスおよびその驚くべき性質のさらなる詳細が見出される。
【0181】
ミニ細胞に、通常は水溶性ではない薬物を装填するために、薬物は最初に、適切な溶媒に溶解され得る。例えば、パクリタキセルはエタノールとクレモフォアEL(ポリエトキシル化ヒマシ油)との1:1ブレンドに溶解し、続いてPBS中で希釈して、水性媒体中で部分的に希釈され、薬物が溶液中に残ることを確実にするために最小量の有機溶媒を担持するパクリタキセルの溶液を達成することができる。ミニ細胞は、薬物負荷のためにこの最終培地中でインキュベートすることができる。従って、本発明者らは疎水性薬物でさえ、ミニ細胞の細胞質または膜中に拡散して、高い、そして治療的に有意な細胞質薬物負荷を達成し得ることを発見した。これは、ミニ細胞膜が疎水性リン脂質二重層から構成されており、疎水性分子の細胞質への拡散を防止することが期待されるため、予想外である。代表的な低分子薬物の多様性のミニ細胞へのローディングが示されており、様々なサイズおよび化学的特性が示されている:ドキソルビシン、パクリタキセル、フルオロ-パクリタキセル、シスプラチン、ビンブラスチン、モンサトロール、チミジル酸シンターゼ(TS)阻害剤OSI-7904、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、およびカルボプラチン。さらに、ボードを横切って、得られた小分子薬物パッケージ化ミニ細胞は、インビトロおよびインビボで、有意な抗腫瘍効力を示す。
【0182】
V. ミニ細胞を特定の哺乳類細胞および腫瘍の標的化する
本発明者らは腫瘍細胞周囲の血管が完全性の喪失を示すことを発見した。すなわち、血管は血液脳関門(BBB)環境においても、大きな開窓を有し、「漏れやすい」状態である。がん細胞が定着すると、新たな血管の形成を促進する物質-血管新生と呼ばれるプロセス-を分泌する。これらの血管は速やかに成長し、正常な血管とは異なり、50nmから1.2μm(透過性亢進血管系)の「穴」(開窓部)で漏れやすい。リポソームなどの薬物送達粒子は、現在、腫瘍微小環境を支持する漏出性血管系からの血管外遊出を含む受動的方法によって腫瘍標的化をもたらすと考えられている。Hobbsら、1998。異常な腫瘍微小環境は間質性高血圧を特徴とし、この現象が抗がん抗体治療薬のアクセスを制限し得ることが示されているが、これは免疫リポソーム(Nielsenら、2002)およびQuantum Dotsに結合体化された抗体(Gaoら、2004)によって例示されるように、絶対的な障壁であるとは思われない。この現象は、特異的に指向された腫瘍抗体を保有するという追加の利点を有するEDVにも当てはまる。静注後、EDVは腫瘍の微小環境に漏出し、その後、がん細胞表面受容体との結合およびエンドサイトーシスを介して能動的なターゲティングが行われる。したがって、従来の理解とは対照的に、ミニ細胞と同じ大きさ、すなわち、BBBの上記のコンセンサス孔径限界よりもはるかに大きい粒子は、それにもかかわらず、漏出性血管壁の開窓よりも小さく、したがって、これらの開窓を通って腫瘍微小環境に受動的に溢出することができる。
【0183】
腫瘍微小環境に入ると、ミニ細胞は宿主腫瘍細胞による受容体媒介性の内在化を誘発し、それらに取り込まれることができる。したがって、抗腫瘍剤でパッケージ化されたミニ細胞は腫瘍細胞の細胞質中に薬剤を放出し、それを殺す。
【0184】
本開示のさらなる態様によれば、上記の組成物のミニ細胞または殺された細菌細胞は、リガンドを介して標的哺乳動物腫瘍細胞に向けられる。いくつかの実施形態では、リガンドは「二重特異性」ですなわち、リガンドはミニ細胞および哺乳動物(腫瘍)細胞成分の両方に対して特異性を示し、その結果、所与の小胞を標的細胞に結合させ、それによって、後者が前者を飲み込む。ミニ細胞を腫瘍細胞に標的化するための二重特異性リガンドの使用は国際公開第05/056749号パンフレットおよび国際公開第05/079854号パンフレットにさらに記載されており、死滅した細菌細胞を腫瘍細胞に標的化するための二重特異性リガンドの使用は、米国特許第8,591,862号にさらに記載されており、これらの記載内容は、その全部を参照してここに盛り込んでいる。このようなリガンドが小胞に付着すると、リガンドの非占有特異性(「単一特異性」)は、それが標的(腫瘍)哺乳動物細胞と相互作用するまで関係する。多数の腫瘍標的化リガンドが当該分野で公知である(Hongら、2011; Hoelderら、2012; Galluzziら、2013)。ソマトスタチン(SST)ペプチド、血管作動性腸ペプチド(VIP)、Arg(RGD)ペプチド、およびボンベシン/ガストリン放出ペプチド(BBN/GRP)などのいくつかのペプチドは腫瘍受容体イメージングについて首尾よく特徴付けられている(De Jongら、2009; Tweedle、2009; SchotteliusおよびWester、2009; Igarashiら、2011; Lavermanら、2012)。
【0185】
腫瘍標的化ペプチド配列は主に3つの異なる方法で選択され得る:(1)天然タンパク質からの誘導体化(Nagpalら、2011);(2)化学合成および構造に基づく合理的工学(Anderssonら、2000; Merrifield、2006);ならびに(3)ペプチドライブラリーのスクリーニング(GrayおよびBrown 2013)。これらの方法の中で、ファージディスプレイ技術は従来の方法であるが、最も広く使用されている方法であり、多くの利点(例えば、取り扱いの容易さ、および多数の異なるペプチドが効果的にスクリーニングされ得る(Deutscher,2010))。
正常細胞ではなく腫瘍細胞に過剰発現している受容体は、in vivo腫瘍イメージングの優れた候補である。今日まで、多くの腫瘍標的化ペプチドおよびそれらのアナログが、以下に記載されるように同定されている。
【0186】
Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチドRGDは、インテグリン受容体に特異的に結合す(Ruoslahti、1996)。インテグリンは2つのサブユニット(αとβサブユニット)を構成する。インテグリンファミリー、特にαvβ3は、腫瘍の血管新生および転移と関連している。これらは血管新生時に内皮細胞上に過剰発現するが、ほとんどの正常器官ではほとんど検出できない。そのため、画像診断に広く用いられている。
【0187】
ボンベシン(BBN)/消化性放出ペプチド(GRP)-両生類BNおよびその関連ペプチドは、エキソクリン、内分裂、サーモレギュレーション、スクロース規制、ならびに細胞成長などの種々の生理的効果を示すニューロペプチドファミリーから成る(Ohki-Hamazaki他、2005)。ボンベシン様ペプチド受容体には、ニューロメジンB受容体、ボンベシン3受容体、GRP受容体、ボンベシン4受容体の4つのサブタイプがある。これらの受容体は、乳がん、卵巣がんおよび消化管間質腫瘍などの多くの腫瘍において過剰発現される。
【0188】
コレシストキニン(CCK)/ガストリンペプチドCCKおよびガストリンは構造的および機能的に類似したペプチドであり、胃腸管ならびに中枢神経系において様々な生理学的作用を発揮する(Matsunoら、1997)。CCKに対する3種類の受容体(CCK1、CCK2、CCK2i4sv)が同定されており、いずれもGPCRのスーパーファミリーに属している。中でもCCK2/ガストリン受容体は、間質性卵巣がんおよび星状細胞腫などのヒトがんにおいて頻繁に見出されている。
【0189】
α-Melanocyte-stimulating hormone (α-MSH)-α-MSHは直鎖状トリデカペプチドであり、主に皮膚色素沈着調節を担っている(Singh and Mukhopadhyay、2014)。α-MSHとその類似体はヒトメラノーマ転移の80%以上に発現するメラノコルチン-1受容体(MC―1r)に結合親和性を示し、メラノーマ標的イメージングと放射線療法の媒体として広く使用されている。
【0190】
ニューロペプチドY(NPY)NPYは36アミノ酸ペプチドであり、膵臓ポリペプチドファミリーに属する(Tatemoto,2004)。NPY受容体は、神経芽細胞腫、肉腫、および乳がんを含む様々な腫瘍において過剰発現される。
【0191】
Neutrotensin (NT)-NTは13アミノ酸ペプチドで、膵管腺がん、小細胞肺がん、甲状腺髄様がんなど様々な腫瘍で同定されているNT受容体を標的としている(Tyler-McMahonら、2000)。したがって、それはがんイメージングのための魅力的な候補である。
【0192】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)前立腺がん細胞は、細胞表面上でPSMAを過剰発現する(Silverら、2007; Ghosh and Heston、2004; Mhawech-Faucegliaら、2007; Santoni ら、2014)。[68Ga]GaPSMA-HPEDCC([68Ga]GaPSMA-11[PET]としても知られる)、モノクローナル抗体(mAb)[177 Lu]Lu/[90 Y]y-J591(療法)、[123I]I-MIP-1072(平面/SPECT)、[131I]I-MIP-1095(療法)、およびPETのための68Gaまたは治療のための177Luで標識されたセラノスティック剤PSMA-I&TおよびDKFZ-PSMA-617(PSMA-617)を含む、PSMAを標的とするいくつかの利用可能な放射性医薬品がある。
【0193】
ソマトスタチン(SST)ペプチドSSTは14または28アミノ酸のいずれかを有する天然に存在するシクロペプチドホルモンである(Weckbeckerら、2003)。インスリン、グルカゴン、その他のホルモンの分泌を阻害することができる。ソマトスタチン受容体(SSTR;5つのサブタイプSSTR1~SSTR5)は、神経膠腫、神経内分泌腫瘍および乳房腫瘍を含む多くの腫瘍において過剰発現される。GEP系の神経内分泌腫瘍(NEN)は、膵臓、空腸、回腸、盲腸、直腸、虫垂、結腸に由来することが最も多い。すべてのGEP-NENに共通する特徴は、内分泌細胞と神経細胞の複合的な特徴である。高分化型NENはソマトスタチン受容体(SSTR)、特にSSTR―2サブタイプを過剰発現する。
【0194】
サブスタンスP-サブスタンスPは、タキキニン(Strand、1999)として知られる神経ペプチドファミリーに属するウンデカペプチドである。サブスタンスPはニューロキニン1受容体(NK1R)に知られる特異的な内因性リガンドであり、様々ながん細胞に発現していることがわかっている。
【0195】
T140T140は1つのジスルフィド架橋を有する14アミノ酸ペプチドであり、ケモカイン受容体4型(CXCR4)の逆アゴニストである(Burgerら、2005)。その誘導体はCXCR4造影剤として広く使用されている。
【0196】
腫瘍分子標的ペプチド1(TMTP1)TMTP1は高転移性がん細胞、特に典型的な肝微小転移由来のがん細胞に特異的に結合することが見出されている5アミノ酸ペプチドである(Yangら、2008)。
【0197】
血管作動性腸ペプチド(VIP)VIPは28アミノ酸を有する神経ペプチドである(Igarashiら、2011)。血管拡張、細胞増殖を促進する。その作用は主に2つの受容体サブタイプ(VPAC1とVPAC2)によって制御されている。VIP受容体はすい臓の腺がんや神経内分泌腫瘍を含む多くの腫瘍に大量に発現している。
【0198】
リガンドは、リガンドと、多糖類、糖タンパク質、またはポリペプチドなどの細胞膜上の成分との間の相互作用によって小胞の細胞膜に付着させることができる。発現されたリガンドは、リガンドの腫瘍表面成分結合部分が露出されるように小胞の表面上に固定され、その結果、小胞と哺乳動物腫瘍細胞とが接触すると、その部分が標的哺乳動物細胞表面受容体に結合することができる。
【0199】
あるいは、リガンドが細菌由来の小胞の生きた対応物、例えばミニ細胞の親細胞によって、あるいは殺された細胞になる前に細菌細胞によって発現され、提示される。この場合、このリガンドは、小胞に対する特異性を必要とせず、哺乳動物細胞に特徴的な成分に対してのみ特異性を提示する。すなわち、このような成分は腫瘍細胞がその表面に存在する限り、腫瘍細胞自体に、または治療中の特定の種類の腫瘍細胞にさえも特異的である必要
はない。
【0200】
静脈内投与すると、小胞は腫瘍微小環境に急速に蓄積する。上記の漏出性腫瘍血管系の関数として生じるこの蓄積は小胞パッケージ化治療ペイロードの腫瘍細胞への送達をもたらし、次いで、これはパッケージ化小胞を内在化する。
【0201】
本発明者らは、この送達アプローチが通常、ミニ細胞の特異的接着およびエンドサイトーシスに対して抵抗性である細胞を含む、一連の哺乳動物腫瘍細胞に適用可能であることを見出した。例えば、抗HER2レセプターまたは抗EGFレセプターに向けられる抗体を含むリガンドは、肺、卵巣、脳、乳房、前立腺、および皮膚がん細胞のような一連の標的非貪食細胞上のそれぞれのレセプターにミニ細胞を結合することができる。
【0202】
こうして達成された結合は、それぞれのタイプの非貪食細胞による小胞の取り込みに先行する。すなわち、本発明の文脈において、適切な標的細胞は細胞表面受容体を提示し、その結合は、小胞上のリガンドによって、その小胞のエンドサイトーシスを誘発する。
【0203】
より具体的には、本発明者らが(a)ミニ細胞または死滅細菌細胞上のリガンドと(b)哺乳動物細胞表面受容体との間の相互作用がここでは「受容体媒介エンドサイトーシス」(rME)経路と呼ばれる取り込み経路を、腫瘍細胞などの標的宿主細胞の後期エンドソーム/リソソームコンパートメントに活性化することができることを発見した。このrME経路によって、本発明者らは、細菌由来の小胞が初期エンドソーム、後期エンドソームおよびリソソームを通してプロセシングされ、哺乳動物宿主細胞の細胞質へのそれらのペイロードの放出を生じることを見出した。さらに、核酸であるペイロードは、後期エンドソーム/リソソームコンパートメントにおいて完全な分解を逃れるだけでなく、宿主細胞によっても発現される。
【0204】
この送達アプローチのための腫瘍標的リガンドはペイロード運搬小胞上の表面成分および標的細胞上の表面成分にそれぞれ結合し、後者の成分とのその相互作用がrME経路への小胞の取り込みを導くので、上記のように「二重特異性」であり得る。いずれにしても、本発明によれば、成分との相互作用が標的細胞表面からの細胞質内在化を伴うエンドサイトーシス経路に実質的にアクセスする場合、所与の標的細胞表面レセプターは、リガンドによる結合の候補であり得る。このような候補は候補成分をその表面上に提示する細胞型が候補を結合するリガンドを担持するミニ細胞とインビトロで共インキュベートされ、そしてまた、例えば、共焦点顕微鏡を介して視覚的に、検出に従う蛍光色素または他のマーカーに結合されるアッセイを介して、本発明における適合性について容易に評価される。この種のインビトロアッセイはMacDiarmid ら、2007bにより、
図3の436頁の凡例に記載されている)したがって、観察されたマーカーの内部移行は、試験された標的細胞表面受容体が本発明に適しているというようなアッセイによる陽性指標を構成する。
【0205】
本発明によれば、リガンドは、所望の特異性または特異性を示す任意のポリペプチドまたは多糖であり得る。好ましいリガンドは抗体である。本使用において、用語「抗体」は免疫原性応答のインビトロまたはインビボ生成によって得られる免疫グロブリン分子を包含し、従って、「抗体」カテゴリーはモノクローナル抗体およびヒト化抗体(例えば、一本鎖抗体フラグメント(scFv)、二重特異性抗体など)を包含する。Caravella and Lugovskoy(Curr. Opin. Chem.Biol., 14:520-28 (2010))の総説(ここではその全体を参照として組み込む)によって証明されるように、多数の異なる二重特異性タンパク質および抗体ベースのリガンドが知られている。本開示に従って有用な抗体は、公知の組換えDNA技術によって得ることができる。
【0206】
したがって、非限定的な例として、腫瘍抗原などの表面成分に対する特異性を有する抗体を使用して、治療される腫瘍中の細胞にミニ細胞を標的化することができる。この点における例示的な細胞表面受容体にはRTKである上皮成長因子受容体(EGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)およびインスリン様成長因子受容体(IGFR)のいずれかが含まれ、これらのそれぞれは脳腫瘍を含むいくつかの固形腫瘍において高度に発現され、葉酸受容体はいくつかの下垂体腺腫において過剰発現される。このような二重特異性リガンドは突然変異受容体または改変受容体(例えば、ヒト神経膠芽腫多形腫瘍の50%~80%において発現されるIL13Rα2受容体)に標的化され得る(Wykoskyら、2008; Jarboeら、2007;Debinskiら、2000;およびOkadaら、1994を参照のこと)が、正常組織において発現されるその生理学的対応物IL4R/IL13Rとは異なる。Hershey、2003を参照されたい。したがって、IL13Rα2は正常な脳細胞には実質的に存在しない。Debinski and Gibo、2000を参照。さらに、脳に転移する腫瘍はある種の受容体を過剰発現する可能性があり、これもまた適切な標的となり得る。例えば、Da Silvaら、2010は、乳がんの脳転移がRTKのHERファミリーの全てのメンバーを発現することを示した。脳転移巣の20%でHER2が増幅・過剰発現、脳転移巣の21%でEGFRが過剰発現、脳転移巣の60%でHER3が過剰発現、脳転移巣の22%でHER4が過剰発現していた。興味深いことに、HER3発現は脳に存在する乳がん細胞で増加していた。
【0207】
標的細胞表面レセプター候補の例示はレセプター型チロシンキナーゼまたは”RKT”のメンバーである。RKTは膜貫通タンパク質のファミリーであり、他の膜内在性タンパク質と同様の速度で構成的内部移行(エンドサイトーシス)を行う。Goh and Sorkin、2013を参照のこと。RKTのファミリーは、Lemmon and Schlessingerが、Cell, 141(7):1117-134 (2010)に記載さしている。例示的なRTKは、ErbB EGFR、 ErbB2、ErbB3、ErbB4 Ins InsR、IGF1R、InsRR PDGF PDGFRα、PDGFRβ、CSF1R/Fms、Kit/SCFR、Fit3/Flk2 VEGF VEGFR1/Fit1、VEGFR2/KDR、VEGFR3/Fit4 FGF FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4 PTK7 PTK7/Cck4 Trk TrkA、TrkB、TrkC Ror Ror1、Ror2 MuSK MET、Ron AXL、Mer、Tyro3 Tie Tie1、Tie2 Eph EphA1‐8、EPHA10、EphB1‐4、EphB6 Ret Ryk DDR DDR1、 DDR2 Ros LMR LMR1、LMR2、LMR3 ALK、LTK STYK1 SuRTK106/STYK1である。
【0208】
適切な標的細胞表面受容体に適した別の候補は、膜関連の高親和性葉酸結合タンパク質(葉酸受容体)のファミリーであり、これは葉酸および還元型葉酸誘導体と結合し、テトラヒドロ葉酸の細胞内部への送達を媒介する;IL13などの同族サイトカインの内部移行に役割を果たす膜結合サイトカイン受容体のファミリー;特定のがん細胞上に発現し、同族モノクローナル抗体、例えばCD20の例でリツキシマブの内部移行を媒介するCD20、CD33、メソテリンおよびHM1.24などの表面抗原;およびエンドソーム経路を通って輸送され、がん細胞接着の主要橋渡し役である接着受容体ファミリー(インテグリン)である。本発明の1つの実施形態において、腫瘍細胞表面受容体は、インテグリン、ニューロメジンB受容体、ボンベシン3受容体、GRP受容体、ボンベシン4受容体、CCK2/ガストリン、メラノコルチン-1受容体(MC-1r)、ニューロペプチドY(NPY)受容体、ニューロテンシン(NT)受容体、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ソマトスタチン(SST)受容体、ニューロキニン1受容体(NK1R)、ケモカイン受容体型4(CXCR4)、血管作動性腸ペプチド(VIP)、上皮成長因子受容体(
EGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、インスリンのような成長因子受容体(IGFR)およびこれらの組み合わせがある。
【0209】
本発明の別の実施形態によれば、細胞表面レセプターは疾患状態において標的細胞上で独特に発現されるが、発現されないままであるか、低いレベルで発現されるか、または健康な状態において接近非ないかのいずれかである抗原である。本発明の標的化リガンドによって特異的に結合され得るそのような標的抗原の例は、有利にはEpCAM、CCR5、CD19、HER-2neu、HER-3、HER-4、EGFR、PSMA、CEA、MUC-1(ムチン)、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUC5、MUC7、BhcG、Lewis-Yから選択され得る。CD20、CD33、CD30、ガングリオシドGD3、9-O-アセチルGD3、GM1、フコシルSA、GD2、カルボアンヒドラーゼIX(MN/CA IX)、CD44v6、ソニックヘッジホッグ(Shh)、Wue-1、形質細胞抗原、(膜結合)IgE、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、CCR8、TNF-α前駆体、STEAP、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、Ly-6、デスモグレイン4、E-カドヘリンネオエピトープ、胎児アセチルコリン受容体、CA19-9マーカーおよびミュラー管阻害物質(MIS)受容体タイプIIsTn(シアリル化Tn抗原; TAG-72)、FAP(線維芽細胞活性化抗原)、エンドシアリン、EGFRVIIILG、SASおよびCD63。
【0210】
VI. 製剤
本発明はその範囲内に、(1)抗腫瘍剤、(2)I型IFNアゴニスト、および/または(3)II型IFNアゴニストの1つ以上の組み合わせをペイロードとして有するミニ細胞を含む組成物または製剤を含む。3つの成分すべてを含む組成物において、抗腫瘍剤、I型IFNアゴニスト、およびII型IFNアゴニストは、1つ以上のミニ細胞に含まれ得る。例えば:(a)抗腫瘍剤、I型IFNアゴニスト、およびII型IFNアゴニストは同じミニ細胞内に含まれ得る;(b)抗腫瘍剤およびI型IFNアゴニストが第1のミニ細胞内に含まれ得、そしてII型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得る;(c)抗腫瘍剤およびII型IFNアゴニストが第1のミニ細胞内に含まれ得、そしてI型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得る;または(d)抗腫瘍剤が第1のミニ細胞内に含まれ得、そしてII型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得、そしてII型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得る;または(e)抗腫瘍剤が第1のミニ細胞内に含まれ得、I型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得、そしてII型IFNアゴニストは第3のミニ細胞内に含まれ得る。
【0211】
本発明はその範囲内に、(1)抗腫瘍剤および(2)I型IFNアゴニストまたはII型IFNアゴニストの組み合わせをペイロードとして有するミニ細胞を含む組成物または製剤を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤およびI型IFNアゴニストまたはINFIIアゴニストが1つ以上のミニ細胞に含まれ得る。例えば、(a)抗腫瘍剤およびI型IFNアゴニストは同じミニ細胞内に含まれ得る;(b)抗腫瘍剤が第1のミニ細胞内に含まれ得、I型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得る;(c)抗腫瘍剤およびII型IFNアゴニストが同じミニ細胞内に含まれ得る;または(d)抗腫瘍剤が第1のミニ細胞内に含まれ得、II型IFNアゴニストは第2のミニ細胞内に含まれ得る。
【0212】
例示的な実施形態において、本明細書中に開示される組成物は抗腫瘍剤siPlk1、インターフェロンI型アゴニスト60mer二本鎖DNA、および/またはインターフェロンII型アゴニストα-ガラクトシルセラミドを含み、ここで、siPlk1、60mer二本鎖DNA、およびα-ガラクトシルセラミドは、1つ以上のミニ細胞内に含まれる。
【0213】
別の例示的な実施形態では、本明細書に開示される組成物が抗腫瘍剤siRRM1、インターフェロンI型アゴニスト60mer二本鎖DNA、および/またはインターフェロンII型アゴニストα-ガラクトシルセラミドを含み、siRRM1、60mer二本鎖DNA、およびα-ガラクトシルセラミドは1つ以上のミニ細胞内に含まれる。
【0214】
別の例示的実施形態では本明細書に開示される組成物が抗腫瘍剤PNU159682、インターフェロンI型アゴニスト60mer二本鎖DNA、および/またはインターフェロンII型アゴニストαガラクトシルセラミドを含み、PNU159682、60mer二本鎖DNA、および/またはαガラクトシルセラミドは1つ以上のミニ細胞内に含まれる。
【0215】
製剤はまた、ミニ細胞を標的細胞に標的化するための二重特異性リガンドを任意に含む。ミニ細胞およびリガンドは、本明細書に記載されるものいずれであってもよい。したがって、本発明の二重特異性リガンドは、ミニ細胞の表面成分および標的哺乳動物細胞の表面成分に結合することができる。
【0216】
本発明のミニ細胞、薬物、および任意選択で二重特異性リガンドを含む製剤(すなわち、組成物の薬物または薬物送達品質を過度に妨害しない他の成分を有するそのようなミニ細胞、薬物、およびリガンドを含む製剤)は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤を使用して、従来の様式で製剤化することができる。
【0217】
本開示の製剤または組成物は単位投薬形態で、例えば、アンプルまたはバイアルで、または複数用量容器で、添加された防腐剤の有無にかかわらず、提示することができる。処方物は油性または水性ビヒクル中の溶液、懸濁液、またはエマルジョンであり得、そして処方剤(例えば、懸濁剤、安定剤および/または分散剤)を含み得る。適切な溶液はレシピエントの血液と等張であり、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液によって例示される。あるいは、製剤が適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水または生理食塩水で再構成するために、凍結乾燥粉末形態であり得る。製剤はまた、デポー製剤の形態であってもよい。このような長時間作用性処方物は移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与され得る。いくつかの実施形態では、投与することは経腸または非経口投与を含む。いくつかの実施形態では、投与することは経口、頬側、舌下、鼻腔内、直腸、膣、静脈内、筋肉内、および皮下注射から選択される投与を含む。
【0218】
いくつかの態様では、治療有効量の抗腫瘍剤を含むミニ細胞含有組成物が提供される。抗腫瘍剤の「治療有効」量は、本開示に従って、対象に投与された場合に薬理学的応答を引き起こす、問題の薬剤、例えばsiRNAまたは超細胞傷害性薬剤の投薬量である。
【0219】
従って、本開示の文脈において、治療有効量は以下にさらに記載されるように、治療ペイロードを保有するミニ細胞が投与される場合、動物モデルまたはヒト被験体のいずれかにおいて、腫瘍または腫瘍の症状の予防または改善を参照することによって測定され得る。所定の例(例えば、特定の被験体)における「治療有効量」を証明する量は、そのような投薬量が熟練した実施者によって「治療有効量」と見なされるとしても、腫瘍について同様に処置される被験体の100%に対して有効ではないかもしれない。この点に関する適切な用量はまた、例えば、腫瘍の型、段階、および重症度の関数として変化する。
【0220】
「治療的に有効である」が医薬組成物中のミニ細胞の数を指すために使用される場合、その数は、どの抗腫瘍剤がミニ細胞中にパッケージ化されるか、および腫瘍を処置する際のその薬剤の効力に基づいて確認され得る。この点において、治療効果は、腫瘍塊などの臨床的または病理学的パラメーターを用いて測定することができる。従って、腫瘍質量の減少または減少した増加は、治療効果を測定するために使用され得る。
【0221】
A.投与ルート
本発明の製剤は局所的または全身的のいずれかで、所望の治療効果を達成するために、種々の経路を介して、および哺乳動物体内の種々の部位に投与され得る。送達は例えば、経口投与によって、体腔への製剤の適用によって、吸入または通気によって、または非経口、筋肉内、静脈内、門脈内、肝臓内、腹腔内、皮下、腫瘍内、または皮内投与によって達成され得る。投与の様式および部位は、標的細胞の位置に依存する。例えば、腫瘍転移は、標的ミニ細胞の静脈内送達を介してより効率的に処置され得る。原発性卵巣がんは、標的ミニ細胞の腹腔内送達を介して治療され得る。経路の組み合わせもまた、使用され得る。例えば、転移性膀胱がんにおいて、細胞傷害性薬物負荷および受容標的化ミニ細胞は膀胱内および静脈内に投与され得、免疫賦活剤パッケージ化(受容体標的化または非標的化)ミニ細胞は標的化薬物パッケージ化ミニ細胞と共に静脈内に投与され得る。標的化された、薬物パッケージ化ミニ細胞のin situ投与は膀胱表面露出腫瘍を標的とし得るが、静脈内投与されたミニ細胞の完全な組合せは組織局在腫瘍を標的とし得、また抗腫瘍免疫応答を誘発し得る。
【0222】
B.純度
本発明のミニ細胞は、汚染親細菌細胞を実質的に含まない。したがって、ミニ細胞含有製剤は、好ましくは107ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、108ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、109ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、1010ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞、または1011ミニ細胞当たり約1未満の汚染親細菌細胞を含む。
【0223】
ミニ細胞を精製する方法は当該分野で公知であり、そしてPCT/IB02/04632に記載される。1つのこのような方法は、クロスフロー濾過(供給流量は膜表面に平行である; Forbes,1987)およびデッドエンド濾過(供給流量は膜表面に垂直である)を組み合わせる。必要に応じて、濾過の組み合わせの前に、細菌細胞のいくらかの部分を除去し、それによってミニ細胞について上清を濃縮するために、低遠心力での差動遠心分離を行うことができる。
【0224】
別の精製方法は、生物学的に適合性の媒体中で密度勾配遠心分離を用いる。遠心分離後、ミニ細胞バンドを勾配から収集し、任意に、ミニ細胞をさらなるラウンドの密度勾配遠心分離に供して、純度を最大にする。本方法は、ミニ細胞含有試料に対して分画遠心分離を実施する予備工程をさらに含むことができる。低遠心力で実施される場合、示差遠心分離は親細菌細胞のいくらかの部分を除去し、それによって、ミニ細胞について上清を濃縮する。
【0225】
特に有効な精製方法は、ミニ細胞純度を増加させるために細菌フィラメント化を利用する。従って、ミニ細胞精製方法は、(a)ミニ細胞を含有する試料を、親細菌細胞が糸状形態をとるように誘導する条件に供する工程、続いて(b)試料を濾過して精製ミニ細胞調製物を得る工程を包含し得る。
【0226】
公知のミニ細胞精製方法を組み合わせることもできる。1つの非常に効果的な方法の組み合わせは、以下の通りである:
工程A:ミニ細胞産生細菌細胞培養物の分化遠心分離。この工程は2,000gで約20分間行うことができ、上清中にミニ細胞を残しながら、ほとんどの親細菌細胞を除去する;
工程B:等張および非毒性密度勾配媒体を使用する密度勾配遠心分離。この工程はミニ細胞の損失を最小限に抑えながら、親細菌細胞を含む多くの汚染物質からミニ細胞を分離する。好ましくは、この工程は精製方法内で繰り返される;
工程C:親細菌細胞汚染をさらに減少させるために、0.45μmフィルターを通したクロスフロー濾過;
工程D:残存親細菌細胞のストレス誘導性フィラメント形成。これは、ミニ細胞懸濁液をいくつかのストレス誘導環境条件のいずれかに曝すことによって達成され得る;
工程E:親細菌細胞を死滅させるための抗生物質処理;
工程F:膜ブレブ、膜断片、細菌残屑、核酸、培地成分などの小さな汚染物質を除去し、ミニ細胞を濃縮するためのクロスフロー濾過。ミニ細胞を小さな汚染物質から分離するために、0.2μm濾過を使用することができ、ミニ細胞を濃縮するために、0.1μm濾過を使用することができる;
工程G:糸状の死んだ細菌細胞を除去するためのデッドエンド濾過。この
工程のために0.45μm濾過を使用することができる;
工程H:ミニ細胞調製物からのエンドトキシンの除去。抗脂質A被覆磁性ビーズをこの工程に用いることができる。
【0227】
一般に、本明細書に開示される製剤は、任意の潜在的な毒性を最小限にしながら、最適な生理学的効果を得るために、日常的なテストによって規定される適切な用量で使用され得る。投与法は、患者の年齢、体重、性別、医学的状態;治療される状態の重症度、投与経路、および患者の腎機能および肝機能を含む様々な因子に応じて選択され得る。
【0228】
最小の副作用で最大の効力を生じる範囲内のミニ細胞および薬物の濃度を達成する際の最適な精度は、ミニ細胞の動力学および標的部位および標的細胞に対する薬物の利用可能性に基づくレジメンを必要とし得る。治療レジメンの至適濃度を決定する際には、ミニ細胞または薬物の分布、平衡、および排泄を考慮してもよい。ミニ細胞および薬物の用量は、組み合わせて使用される場合、所望の効果を達成するために調節され得る。
【0229】
さらに、製剤の用量投与は、薬物動態学的/薬力学的モデリングシステムを用いて最適化することができる。例えば、1つ以上の投薬レジメンが選択され得、そして薬物動態学的/薬力学的モデルが、1つ以上の投薬レジメンの薬物動態学的/薬力学的プロフィールを決定するために使用され得る。次に、特定の薬物動態学的/薬力学的プロフィールに基づいて所望の薬物動態学的/薬力学的応答を達成する投与のための投薬レジメンの1つが選択され得る。例えば、WO 00/67776を参照のこと。
【0230】
具体的には、製剤が数週間にわたって少なくとも1週間に1回投与することができる。一実施形態では、製剤が数週間~数ヶ月にわたって週に少なくとも1回投与される。
【0231】
より具体的には、製剤が少なくとも1日1回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、または約31日間投与することができる。あるいは、製剤が約一日に約1回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30または約31日またはそれ以上毎に投与され得る。
【0232】
あるいは、製剤が約1週間に約1回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間またはそれ以上毎に約1回投与されてもよい。あるいは、製剤が約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間以上、少なくとも週1回投与され得る。
【0233】
あるいは、製剤は、毎週約2回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間またはそれ以上毎約2回投与され得る。あるいは、製剤が約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間以上、少なくとも週1回投与され得る。
【0234】
あるいは、製剤が約1カ月に1回、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11または約12カ月またはそれ以上ごとに約1回投与することができる。
【0235】
なお、1日1回投与とするか、1日の総投与量を1日2回、3回または4回に分けて投与する。
【0236】
薬物の前にミニ細胞を投与する方法では、薬物の投与がミニ細胞の投与の数分から数時間後の任意の時点で起こり得る。あるいは、薬物が数時間~数日、おそらく数週間~数ヶ月後の任意の時点で、ミニ細胞の後に投与され得る。
【0237】
より具体的には、ミニ細胞が薬物の少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23または約24時間前に投与され得る。さらに、ミニ細胞は、薬物の投与の少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30または約31日前に投与され得る。さらに別の実施形態において、ミニ細胞は、薬物の少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20週間以上前に投与され得る。さらなる実施形態において、ミニ細胞は、薬物の少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11または約12ヶ月前に投与され得る。
【0238】
別の実施形態において、ミニ細胞は、薬物の後に投与される。ミニ細胞の投与は、薬物の投与後、数分から数時間の任意の時点で起こり得る。あるいは、ミニ細胞が薬物の数時間~数日、おそらく数週間~数ヶ月後の任意の時点で投与され得る。
【0239】
VII. 癌を処置する方法
本明細書中に記載される組成物は、癌に罹患している対象を処置するために使用され得る。本明細書に開示される方法は、少なくとも1つの抗腫瘍剤、インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインターフェロンI型アゴニストとインターフェロンII型アゴニストとの組み合わせを含む、本発明による組成物の有効量を対象に投与することを含む。抗新生物剤、インターフェロンI型アゴニスト、インターフェロンII型アゴニスト、またはインターフェロンI型アゴニストとインターフェロンII型アゴニストの組合せは、1つ以上のミニ細胞で構成される。
【0240】
別の局面において、癌に罹患している被験体を処置するために使用される組成物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む。
【0241】
別の局面において、本明細書中に開示される方法は癌に罹患している被験体を処置するために有用であり、ここで、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、マウス、またはラットである。
【0242】
別の局面において、本明細書中に開示される方法は、癌疾患を処置するために有用である。いくつかの実施形態では癌は肺癌、乳癌、脳癌、肝臓癌、結腸癌、膵臓癌、または膀胱癌を含む。
【0243】
いくつかの実施形態において、がんには、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、 エイズ関連のガン、エイズ関連リンパ腫、肛門がん、虫垂ガン;星細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、膀胱がん、脳幹神経膠腫、脳腫瘍(脳幹グリオーマ、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、星細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、上衣腫、髄芽腫、髄上皮腫、松果体実質腫瘍、テント上の原始神経外胚葉性腫瘍および松果体芽腫、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、原発部位不明の癌、カルチノイド腫瘍;未知の主要なサイトのがん、中枢神経系非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、子宮頸癌、小児がん、脊索腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性脊髄増殖性障害、大腸がん、結腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵島細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、感覚神経芽腫、ユーイング肉腫;頭蓋外胚、性腺外生殖細胞腫瘍、 肝外胚細胞腫瘍、胃(胃)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、グリオーマ、有毛細胞白血病、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、小島細胞腫瘍;カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭ガン;唇のガン、肝臓がん、悪性線維性組織球腫骨がん、髄芽腫、髄上皮腫;黒色腫、メルケル細胞がん、メルケル細胞がん、中皮腫、原発不明の転移性扁平上皮性頸部がん、口ガン、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、脊髄増殖性新生物;、鼻腔がん、鼻咽頭ガン、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、その他の脳腫瘍および脊髄腫瘍、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞 卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、乳頭腫症;副鼻腔ガン;副甲状腺癌、骨盤部癌、陰茎がん、咽頭がん、松果体腫瘍、松果体芽腫、下垂体性腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、一次性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性肝細胞癌、前立腺癌、直腸ガン、腎細胞(腎臓)癌、腎細胞癌、気道癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、セザリー症候群、小さな細胞肺がん、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮細胞癌、扁平上皮首ガン、胃(胃)癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞癌、精巣癌、咽頭癌、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺癌、移行性細胞ガン、腎盂と尿管の移行上皮がん、栄養芽層の腫瘍、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍が含まれる。
【0244】
いくつかの実施形態において、脳癌または脳腫瘍は、脳幹グリオーマ、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、星細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、上衣腫、髄芽腫、髄上皮腫、中間的分化の松果体実質腫瘍、テント上未分化原始神経外胚葉性腫瘍および松果体芽腫からなる群より選択される。
【0245】
VIII.定義
本明細書で使用される技術用語および科学用語は別段の定義がない限り、本発明が関係する当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の説明および実施例において参照される材料、試薬などは、特に断らない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0246】
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語および語句の意味は、以下に提供される。他の用語および語句は、本明細書全体を通して定義される。
【0247】
単数形「a」、「an」、および「the」は文脈が明らかにそわないと指示しない限り、複数の引用を含む。
【0248】
用語「約」は、理解される数が本明細書に記載される厳密な数に限定されず、本発明の範囲から逸脱せずに、列挙された数の実質的に周囲の数を指すことが意図されることを意味する。本明細書で使用される場合、「約」は当業者によって理解され、それが使用される文脈である程度変化するのであろう。それが使用される文脈で与えられる当業者に明らかでない用語の使用がある場合、「約」は特定の用語の±10%までを意味するであろう。
【0249】
本明細書中で互換的に使用される「個体」、「対象」、「宿主」および「患者」は、診断、処置または治療が所望される任意の哺乳動物対象をいう。1つの好ましい実施形態において、個体、対象、宿主、または患者はヒトである。他の対象としてはウシ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、霊長類、およびマウスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
本明細書中で互換的に使用される「癌」、「新生物」、「腫瘍」、「悪性腫瘍」および「癌腫」は、細胞増殖の制御の有意な喪失によって特徴付けられる異常な成長表現型を示す細胞または組織を指す。がんには主にいくつかの種類がある。がんとは、皮膚内または内臓を覆っている組織から発生するがんのことである。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、その他の結合組織や支持組織から発生するがんである。白血病は、骨髄などの造血組織から発生するがんで、異常な血液細胞が大量に産生されて血液中に入るようになる。リンパ腫と多発性骨髄腫は、免疫系の細胞から発生するがんである。中枢神経系がんは、脳と脊髄の組織から発生するがんである。本発明の方法および組成物は特に、前癌性、悪性、前転移性、転移性、および非転移性細胞に適用される。
【0251】
用語「治療」、「治療する」、「治療する」などは、腫瘍患者において所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。この効果は、腫瘍またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的であり得、および/または腫瘍および/または腫瘍に起因する有害な効果について部分的または完全な安定化または治癒という点で治療的であり得る。治療は、哺乳動物、特にヒトにおける腫瘍の任意の治療を包含する。所望の効果は特に、腫瘍塊の減少または腫瘍塊増加の阻害として測定され得る腫瘍応答である。腫瘍応答に加えて、全生存の増加、無増悪生存、または腫瘍再発までの時間、または
有害作用の減少もまた、所望の処置効果として臨床的に使用され得る。
【0252】
本明細書中で使用される場合、用語「投与する」は、別のものに直接投与すること、自己投与すること、および本明細書中に開示されるような薬剤の投与を処方または指示することを含む。
【0253】
本明細書中で使用される場合、語句「有効量」および「治療有効量」は、それぞれ、そのような処置を必要とする被験体において、活性剤が投与される特定の薬理学的効果を提供する、被験体における活性剤投薬量または血漿濃度を意味する。有効量の活性剤は、たとえそのような投薬量が当業者によって有効量であると見なされるとしても、本明細書中に記載される状態/疾患を処置する際に常に有効であるとは限らないことが強調される。
【0254】
本明細書中で使用される場合、用語「活性剤」は、被験体を処置するために有用で機能性核酸をコードする任意の小分子薬物、タンパク質、機能性核酸、または多核酸である。活性剤は、本明細書に記載される抗腫瘍薬、機能性酸、インターフェロンI型アゴニストまたはII型アゴニストのいずれかであり得る。
【0255】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では適切なベネフィット/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症を伴わずにインビボで使用するのに適した、健全な医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0256】
「エンドサイトーシス」という用語は(1)食作用および(2)ピノサイトーシス自体、(2a)受容体結合を必要としないマクロピノサイトーシス、ならびに(2b)クラスリン介在性エンドサイトーシス、(2c)カベオラ介在性エンドサイトーシスおよび(2d)クラスリン/カベオラ非依存性エンドサイトーシスを含むカテゴリーを包含し、これらは全て後期エンドソーム/リソソーム経路にアクセスする傾向がある。本発明者らはミニ細胞上のリガンドと哺乳類細胞表面受容体との相互作用により、特定のエンドサイトーシス経路が活性化され、後期エンドソーム/リソソームコンパートメントへの受容体媒介エンドサイトーシス(rME)が関与することを発見した。このようなエンドサイトーシス経路のおかげで、本発明者らはさらに、ミニ細胞が標的哺乳動物細胞の細胞質中にそれらのペイロードを放出することができることを発見した。ペイロードがコード核酸である場合、核酸は、後期エンドソーム/リソソーム区画において完全に分解されるだけでなく、標的哺乳動物細胞においても発現される。
【0257】
以下の実施例は限定するものではなく、単に例示的なものであり、本発明のより完全な理解を提供するものである。実施例は、薬剤耐性腫瘍細胞が(1)薬剤耐性をコードする遺伝子の発現を減少または排除するように設計されたRNAi配列を担持する標的組換えミニ細胞の投与、および(2)癌細胞が感受性にされる薬剤を担持する標的化された、薬剤パッケージ化ミニ細胞の投与によって、インビボで効果的に治療され得ることを実証する。
【0258】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供される。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された特定の条件または詳細に限定されるべきではないことを理解されたい。明細書全体を通して、米国特許を含む、公に利用可能な文書へのあらゆる参照は、参照により特に援用される。
【実施例0259】
実施例1:マウスを用いた前臨床試験
この実施例はミニ細胞(EDV)が化学療法薬の効率的な送達を提供し、マウス異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を阻害することを示した。EDV標的化技術は、結腸癌、乳癌、卵巣癌、白血病、肺癌、中皮腫、および子宮癌を含む様々な癌のマウス異種移植モデルで試験されている。さらに、EDVがEGFR、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、およびCD33を含む腫瘍細胞表面受容体に標的化されたので、種々の標的化部分が利用された。最後に、試験した標的EDVは、ドキソルビシン、パクリタキセル、モナストロール、イリノテカン、PNU159682のような超細胞傷害性薬剤、および新規チミジル酸シンターゼ阻害剤(OSI)を含む多種多様な細胞傷害性薬剤を含んでいた。PNU-159682は、ドキソルビシンよりも数千時間細胞傷害性であるアントラサイクリン類似体である。OSI7904は抗腫瘍活性を有するベンゾキナゾリン葉酸類似体である。チミジル酸シンターゼ阻害薬として、OSI-7904はチミジル酸シンターゼに非競合的に結合し、その結果、チミンヌクレオチド合成およびDNA複製が阻害される。
【0260】
全ての場合において、腫瘍の安定化または退行は、特異的に標的化されたEDVおよび薬物パッケージされたEDVを使用した場合、大きな(>1000 mm3)腫瘍についても観察された(表5を参照のこと)。遊離薬物(EDVに詰め込まれていない)で処理した対照マウスは静脈炎の予想毒性を示し、最終的に体重が減少し、死亡した。これらの毒性はEDV包装薬剤の反復投与では認められなかった。
【0261】
驚くべきことに、EDVを介して送達された細胞傷害性薬物の濃度は全身送達より8,000倍も低かったが、EDVによって送達された細胞傷害性薬物濃度は抗腫瘍効力を最大にするのに十分であった。
【0262】
【0263】
【表5-2】
実施例2: イヌを用いた前臨床試験
この実施例は、薬物を負荷したミニ細胞(EDV)がイヌに安全に投与され得ることを示した。
【0264】
一連の内因性腫瘍を有するイヌ(n=41)を用いたイヌの毒性試験では、標的EDVおよび薬剤包装EDVを最大98回まで、2年以上の経過で1匹の動物に安全に投与できることが示された。一部のイヌでは投与後にインターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)および腫瘍壊死因子α(TNF-α)の上昇を伴う軽度の温度上昇(最大1の上昇)が認められたが、重大な有害事象との関連は認められなかった。
【0265】
さらに、イヌを用いた前臨床試験では、CD3を標的としたドキソルビシン負荷EDVが腫瘍増殖を阻害できることが示された。進行した非ホジキンリンパ腫の2匹のイヌを、CD3標的、ドキソルビシンパッケージ化EDVで処理し、両者はリンパ節サイズの非常に有意な減少により明らかなように、顕著な腫瘍退縮を示した。MacDiarmid ら、2007b。血管肉腫のイヌの60%以上が、CD33標的EDVおよびドキソルビシンパッケージ化EDVで治療した場合、腫瘍の安定化または退縮を示した。
【0266】
後期脳腫瘍のイヌ(n=17)を対象とした別の研究では、ドキソルビシンを負荷したEGFR標的EDVで動物を治療した。MacDiarmid ら、2016。1匹のイヌ(20回を超える用量を投与された11匹のイヌ)に98回までの反復用量を1×1010のEGFRミニ細胞Doxで投与したが、毒性の徴候は観察されなかった。客観的奏効率は23.53%(イヌ17匹中4匹;95%信頼区間、6.8-49.8%)であった。腫瘍反応を評価した15匹のイヌのうち、2匹は治療に対して完全反応(CR)を示し、2匹は治療に対して部分反応(PR)を示し(腫瘍容積の90~98.95%の減少)、10匹は安定疾患(SD)、1匹は進行性疾患(PD)を示した。
【0267】
脳がんの2頭のイヌにおける123ヨウ素放射標識EGFR標的EDVを用いた生体内分布試験では、標的EDVが脳腫瘍に局在することが示され、EDVが血液脳関門を回避して腫瘍周辺に入ることができることが示唆された。消化管に局在することから、糞便を介した排泄が示唆される。
【0268】
実施例3:サルを用いた前臨床試験
この実施例は、ミニ細胞(EDV)技術がサルによって十分に許容されることを示した。3件のアカゲザル試験を実施し、空のEDV(1用量あたり2×1010まで)、EGFR標的ドキソルビシン負荷EDV(1用量あたり2×1010まで)、およびEGFR標的パクリタキセル負荷EDV(1用量あたり1×1011まで)の毒性を評価した。サルにEDVを週1回、5週間投与した(35日間反復投与試験)。
【0269】
イヌで見られたように、温度の一過性のスパイク(1までの上昇)があり、同時に投与後のIL-6の上昇が認められた。炎症マーカーC反応性蛋白もこれらの時期に増加したが、有意な毒性や有害事象は観察されなかった。EGFRを標的としたドキソルビシンを負荷したEDVのみによる治療経過中に、TNF-αの軽度の上昇が認められた。合計72匹のサルにEDV技術を安全に投与した。
【0270】
実施例4:前臨床試験における炎症反応と免疫反応
この実施例から、前臨床マウス試験(実施例1)、前臨床イヌ試験(実施例2)および前臨床サル試験(実施例3)では、わずかな炎症反応しか観察されなかったことが示された。これらの反応は、投与4時間後と同様に速やかに消失した。その他、血液学的及び生化学的パラメータに有意な変化は認められなかった。投与期間中、外観および行動は健康なままであった。
【0271】
抗産物抗体の形成は、イヌ試験およびサル試験で評価した。標的EDVの投与に関して考慮された免疫応答は以下のとおりであった:
・ EDV表面露出免疫優性抗原に対する血清抗体反応は、LPSのO-多糖成分(IgGまたはIgM反応)である。抗O-多糖抗体応答はT細胞非依存性であり、記憶応答を示さない。
・ 腫瘍細胞表面受容体(例えば、EGFR)にEDVを標的化するためのBsAbの構築に使用されるマウスIgGモノクローナル抗体に対する血清抗体応答。
【0272】
血管肉腫または脳腫瘍のイヌにおいて、血清抗LPS IgG力価は、標的EDVおよびドキソルビシンパッケージ化EDVの投与3-4までに平均約10,000まで上昇した。その後の投与では、それ以上の力価の上昇はみられなかった。サルを用いた3試験(健常動物)における抗LPS IgG力価は、プラトーに達する前の最初の2~3回の投与で概して軽度の上昇を示した。グラム陰性菌に対するワクチンで予想される抗O-多糖抗体力価は一般に数百万であるため、反応は主に用量依存的であり、最高用量レベルのEGFREDVDox では100を丁度超える最高力価まで上昇した。
【0273】
サル試験における抗LPSIgM力価応答も軽度であり、EGFREDVDoxでの処置ではわずかに100を超えるまで上昇し、非標的EDVでの処置では1,000まで上昇した。用量3~4の後、力価はそれ以上増加しなかった。
【0274】
BsAbの構築に用いたモノクローナル抗体に対する免疫原性応答はサルを用いた試験でも測定されており、EGFR標的EDV(マウスIgG)を投与したサルでは、EGFR抗体に応答して軽度の力価上昇が観察された。これらの結果から、BsAbを標的とした薬物パッケージ化EDVの投与は、その後の投与の有効性を妨げうる有意な抗LPS免疫応答を誘発しない可能性があることが示唆される。これは、反復投与が実行可能な治療選択肢である可能性が高いことを示唆しているため、免疫系が損なわれている可能性が高い癌患者に特に関連がある。
【0275】
実施例5:進行固形癌におけるアービタックス標的、パクリタキセルパッケージEDV(EGFR(Erb)EDVPac)を評価する第1相臨床試験
本実施例は、進行固形腫瘍にパクリタキセル(Taxol(登録商標))を送達するためにミニ細胞(EDV)を使用する有望な結果を示した。
【0276】
この試験ではエルビタックス(セツキシマブ)を標的としたパクリタキセルパッケージ化EDVのヒト患者における忍容性は良好であることが示されたが、治験において有害事象または用量制限毒性が認められたため、かなりの数の患者が試験を終了しなければならなかった。さらに、この治療戦略は疾患の安定化を達成したが、この研究の患者のいずれも治療に対して部分的または完全奏効を示さなかった。この試験データの結果はSolomonら、2015年に公表されている。
【0277】
ヒト初回投与試験は、EGFR標的パクリタキセル負荷EDV(EGFR(Erb)EDVPac)の安全性、忍容性および最高耐量または推奨第2相用量を決定するための用量漸増試験としてデザインされた。EDVをEGFRに標的化するために使用される抗体は、Erbitux配列に基づくことに留意されたい。他の目的は、静脈内投与されたEGFR(Erb)EDVPacに対する免疫応答および炎症応答を評価すること、およびRECIST基準に従って治療に対する応答を評価することであった。
【0278】
本試験はオーストラリア・メルボルンの3カ所の腫瘍診療所で実施され、オーストラリアニュージーランド臨床試験登録(番号ACTRN12609000672257)に登録され、最終的な試験報告書が入手可能であり、本試験は2015年のSolomonらに発表されている。
【0279】
患者は、標準的な治癒的治療が利用できない18歳以上の進行性上皮性悪性腫瘍の成人であった。
【0280】
EGFR(Erb)EDVPacを、5週間の処置からなるサイクルにおいて、20分間の静脈内注入として毎週投与した。その後、患者がMRI、CT、またはFDG-PETによる腫瘍の放射線学的評価を受けた無治療週が設けられた。腫瘍が安定しているか、治療に反応している場合、または治療から臨床的利益を得ている場合は患者はさらなるサイクルの治療を継続することができ、用量制限毒性(DLT)または治療の中止を必要とする他の有害事象(AE)は経験しなかった。
【0281】
パクリタキセルを含む1回当たりの投与量が1×108、1×109、3×109、1×1010、1.5×1010、2×1010、および5×1010のEGFR(Erb)ターゲットEDVの7段階で計236回の投与が提供された。28例中22例が少なくとも1サイクルの治療(週5回投与)を完了し、1例は9サイクル(約14カ月)にわたり45回の投与を受けた。投与に関連した死亡は認められなかった。最高耐量は1×1010
EGFR(Erb)EDVPacと同定され、特に長時間の発熱および肝機能検査(LFT)の一過性上昇の形態で、この用量以上で有意な毒性が観察された。本治療の忍容性は概して良好であり、示さた集団において許容可能な安全性所見が認められた。
【0282】
臨床試験及び所見の概要を以下の表6に示す。
【0283】
【表6】
少なくとも治験薬との因果関係が「おそらく関連あり」とされた主な有害事象は微熱(発熱)および悪寒(悪寒)であり、患者の最大60%で認められた(グレード1~2の重症度)。ほとんどの患者で、投与4時間後にサイトカインIL-6、IL-8およびIL-10の軽度の一過性の上昇が認められた。投与後24時間以内に投与前のレベルに回復した。これは、治療に対する軽微な炎症反応と一致する。
【0284】
5例に重篤と考えられる治療関連有害事象が認められ、8例に用量制限毒性または減量を必要とする有害事象が認められた。これらの事象を表7に要約し、以下の説明に記載する。
【0285】
【表7】
1×10
8投与集団では、LFTの上昇が認められ、DLT基準を満たしていた。この事象は重篤ではないと判断され、その後の用量段階についてDLTの定義が修正された。MTDを上回る用量レベルの患者4例で、修正DLT基準を満たさないLFT値上昇が認められたが、これらの患者は治療に関連した重篤な臨床症状(発熱、悪寒、悪心、嘔吐)も発現し、安全性委員会は減量を決定した。
【0286】
1×108
EGFR(Erb)EDVPacの初回投与量には3例が組み入れられ、1例は5回の投与量のうち3回後に、グレード3のリン酸塩濃度の低下が認められた。いずれの場合も投与後24時間までに正常値に回復し、臨床症状も認められなかった。別の1例では投与3の4時間後に肝酵素アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)の無症候性のグレード3の上昇が認められたが、次の投与までにベースラインに戻った。これらの事象は治験実施計画書の本来の用量制限毒性(DLT)の規定を満たし、進行中の患者の用量は5×107
EGFR(Erb)EDVPacに減少し、1例は試験期間中に計45回の用量を投与された。さらに3人の患者が1×108
EGFR(Erb)EDVPacを受けるように募集され、これら3人の個体では薬物関連有害事象は報告されなかった。治験実施計画書のDLTの定義を修正し、投与7日以内に消失した生化学的異常を除外した。
【0287】
2回目の投与から2日後に1×109
EGFR(Erb)EDVPacに増量したが、1例は重度の関節痛を経験した。これに伴い、サイトカインであるインターフェロンαが有意に上昇し、ウイルス感染が示唆された。患者は観察のために入院し、後に反応性関節炎と診断され、これは重篤な有害事象(SAE)として分類された。安全委員会は何らかの検討を行った後、慎重に進めることを決定し、この事象をDLTと定義した。したがって、この集団は6例にも拡大された。この試験では、他に同様の事象を経験した患者はいなかった。第1サイクルの完了時に、安全性データは用量をさらに増量することを支持した。
【0288】
3人の患者の集団を次の用量に集め、3×109
EGFR(Erb)EDVPac1人の患者は、急速に進行する疾患のために1回の用量のみを受けた後に中止され、その後、疾患の結果として死亡した。4例目は同用量レベルで募集された。患者全員がこの用量に大きな懸念なく忍容性を示し、安全性データから用量をさらに増量することが裏付けられた。この集団の1人の患者は最初のサイクルの後に疾患の安定化を達成し、計10回の投与で2サイクルを完了した。1例は、骨髄への疾患浸潤のため、5回中4回のみ投与された。
【0289】
3人の患者の集団を、次回の用量レベル、1×1010
EGFR(Erb)EDVPac に補充した:患者はいかなる重大な懸念もなしにこの用量レベルに耐え、周期1の完了時に、安全データーは、用量をさらに増加させることを支持した。3例中2例は病勢安定を達成し、それぞれ15回投与と25回投与の3サイクルと5サイクルを完了した。
【0290】
2人の患者は、次の用量レベルに動員され、5×1010
EGFR(Erb)EDVPac 、このレベルで1回の用量を受け、両方とも、肝臓酵素ALTおよびASTの等級3~4の上昇を経験した。これらの変化は一過性であり、治験実施計画書の改訂されたDLTの規定を満たしていなかったが、患者が発熱、厳しさ、悪心などの他の有害事象を経験したため(1例では重篤な有害事象のため入院に至った)、これらの患者は1×1010
EGFR(Erb)EDVPac に投与量を減らすこととした。これらの患者もまた、炎症マーカーIL-6、IL-8、IL-10、およびTNF-αのかなりの上昇を経験した。この2人の患者のうち1人は病勢安定を達成するために治療を継続し、減量後に2サイクルのフルサイクルを完了した。
【0291】
最大耐量(MTD)を同定するために、1人の患者を2×1010
EGFR(Erb)EDVPacの中間用量レベルに補充し、この患者はこのレベルで1回の用量を受け、同様に、発熱、過酷さ、悪心および嘔吐、ならびに炎症マーカーの上昇を伴う、ALTおよびASTにおけるグレード3~4の一過性の上昇を経験した。乳酸脱水素酵素(LDH)およびγグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の臨床的に有意な上昇も認められた。再度、これらのパラメーターは治験実施計画書の改訂されたDLTの規定を満たしていなかったが、肝酵素の上昇は重篤な有害事象であると考えられ、1×1010
EGFR(Erb)EDVPacに減量することが臨床的に適切であると判断された。この被験者は安定した疾病を達成し、19回の投与を受けた4サイクルを完了した。
【0292】
MTDを同定するためのさらなる試みにおいて、3人の患者を1.5×1010
EGFR(Erb)EDVPacの中間用量に補充したが、これらの患者のうちの1人はいかなる有害反応も伴わずに最初の用量を受けたが、急速に進行する疾病のために治療を継続しなかった。別の患者はグレード3の低血圧を発現し、これは重篤な有害事象の用量制限と考えられたため、用量を5×109
EGFR(Erb)EDVPac に減量した。この集団の最終患者は初回投与後に、治療に伴う症状(発熱、硬直、嘔吐)および炎症マーカーの上昇を伴うASTのグレード3の上昇を経験し、その後の用量は1×1010
EGFR(Erb)EDVPacに減量した。
【0293】
従って、EGFR(Erb)EDVPacに対するMTDは1×1010の用量レベルであり、さらに3人の患者がこの用量レベルに動員されたと結論された。1例は、サイトカイン放出症候群と推測されたため、1回投与後に試験を中止した。患者は既存の咳嗽があり、腕頭静脈を圧迫する鎖骨上腫瘤による失神のエピソードを時折経験した。投与後2~4時間の間に患者は発熱し、咳を始め、スタッフが目撃した失神のエピソードを3~4回経験した。患者は観察のため入院し、IFNγの増加は検出されなかったが、サイトカイン放出症候群と診断された。患者はIL-6、IL-8およびIL-10の上昇を経験し、この用量レベル以上で他の患者で観察されたのと同様であったが、これは典型的なサイトカイン放出症候群ではなく製剤の細菌成分に対する炎症反応を表している可能性が高い。この事象は重篤な有害事象ではなかったが、安全性委員会は既存の疾患が関与しているため、DLT基準を満たさないと判断した。残りの2例は、大きな懸念なく第1クールの治療を終了した。
【0294】
試験治療下で発現した有害事象による死亡は認められなかった。全体として、この治療の忍容性は良好であり、意図した対象集団に対する安全性に特段の懸念はない。
【0295】
スクリーニング時のサルモネラ菌 typhimurium(抗LPS)およびErbituxに対する抗体は、全例で陰性であった。1例を除くすべての患者は、EGFR(Erb)EDVPacによる治療後に陽性のサルモネラ菌抗体価を発現した(27/28=96%)。抗LPS抗体価は投与3(Day 15)までにピークに達し、反復投与にもかかわらずそのレベルに維持された。アービタックス抗体価陽性を示した患者はいなかった。
【0296】
サイクル1を完了した22人の患者を、腫瘍反応について評価した。観察された最良の反応は、病勢安定(SD)であった(RECIST規準に従って部分奏効または完全奏効を達成した患者はいなかった)。第1サイクル終了時には22例中10例(45.5%)に安定が認められ、22例中12例(55.5%)に病勢進行(PD)が確認された。用量レベル1の患者1例は9サイクルの完全な治療を完了し、4サイクル目の終了時から疾患は安定し、進行した状態が交互に認められた。彼女は197日というPDの発症までの最も長い時間であった。
【0297】
結論として、男性を対象とした最初の試験では、パクリタキセルをパッケージ化したEDVの忍容性は良好であり、患者の45.5%が疾患の安定化を示すことが実証された。この実施例はまた、生存および疾患応答を改善するために癌治療戦略を改善することが望ましいことを実証する。
【0298】
実施例6:再発神経膠芽腫におけるEGFR標的ドキソルビシンパッケージEDV(EGFR(V)EDVDox)を評価する第1相臨床試験
この実施例は、EGFRを標的としたドキソルビシンパッケージ化ミニ細胞(EDV)による治療が再発性膠芽腫に罹患した患者において忍容性が良好であったことを示している。患者の50%が疾患の安定化を示したが、部分奏効または完全奏効を経験した患者はいなかった。Whittle ら、J. Clin. Neurosci., 22(12):1889-1894(2015)。
【0299】
再発神経膠芽腫試験は、EGFR標的ドキソルビシン負荷EDV(VEDVDox)の安全性、忍容性および最高耐量または推奨第2相用量を決定するための用量漸増試験としてデザインされた。EDVをEGFRに標的化するために使用される抗体は、現在のプロトコールのための抗体(ベクチビックスベースの配列)と同じであることに留意されたい。他の目的は、静脈内投与されたVEDVDoxに対する免疫応答および炎症応答を評価すること、および神経腫瘍学(RANO)基準における応答評価に従って治療に対する応答を評価することであった。
【0300】
本研究は2013年2月5日に開始し、2014年6月26日に終了した。オーストラリア、シドニーおよびメルボルンの4カ所の腫瘍クリニックで実施され、オーストラリアニュージーランド臨床試験登録 (番号ACTRN12613000297729)に登録されており、最終臨床試験報告書が入手可能である。この研究は、Whittleら、JClinのリスト草案に基づいて発表されている。Neurosci.,22(12):1889-1894(2015)。
【0301】
患者は18歳以上の成人で、病理学的に確認され、再発世界保健機構(WHO)グレードIVの膠芽腫と確定診断され、標準治療(最大限の安全な外科的切除、標準補助放射線/テモゾロミド、維持テモゾロミド治療を含む)を受けた後に疾患の再発または進行を経験した患者であった。
【0302】
VEDVDoxを、8週間の処置からなるサイクルにおいて、20分間の静脈内注入として毎週投与した。各サイクルの終わりに、患者は磁気共鳴イメージング(MRI)で腫瘍の放射線学的評価を受けた。腫瘍が安定しているか、または治療に反応している場合、または治療から臨床的利益が得られている場合には、患者はさらなるサイクルの治療を継続することができ、DLTまたは治療の中止を必要とするその他のAEを経験しなかった。
【0303】
1回当たり2×109、5×109、8×109
VEDVDoxの3段階の用量で、計197回の用量を加えた。14例中8例が少なくとも1サイクルの治療を完了し(1週間ごとに8回)、1例は47回の投与をほぼ6サイクル(約12カ月)にわたって受けた。投与に関連した死亡は認められず、用量制限毒性を発現した患者や、投与中止を必要とするその他の有害事象を発現した患者は認められなかった。臨床試験及び所見の概要を以下の表8に示す。
【0304】
【表8】
少なくとも治験薬との因果関係が「おそらく関連あり」とされた主な有害事象は、50%までの患者で認められた軽度の発熱(発熱)、悪心および硬直(悪寒)であった(一般的にグレード1~2の重症度)。ほとんどの患者で、投与3時間後にサイトカインIL-6、IL-8、IL-10、TNF-痰フ軽度の一過性の上昇が認められた。投与後24時間以内に投与前のレベルに回復した。これは、治療に対する軽微な炎症反応と一致する。
【0305】
米国国立癌研究所の有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)によるグレード3以上の治療関連有害事象を5例に認めた。これらの事象は、以下の表9に要約され、以下の説明に記載される。
【0306】
【表9】
2例でグレード3以上の有害事象が発現し、重篤と判断された。5×10
9投与量の1例はグレード1の発熱を伴うグレード3の体力低下の重篤な有害事象のために、サイクル1の投与2の後の夕方に入院した。患者は試験登録時に抗産物抗体(EDVのサルモネラ菌LPS成分に対する抗体)が陽性であったため、これは用量制限毒性とは考えられなかった。この患者はさらに2回の治療を受けたが、事象の再発は認められなかった。
【0307】
8×109投与群の別の1例では、1サイクル目の投与4時間後にグレード3の症候性低血圧の重篤な有害事象が発現し、静脈内水分補給入院となった。これは、患者が治療を受けたEColi尿路感染症に起因する可能性が高いため、DLTとはみなされなかった。その後、治験薬を3回追加投与された。
【0308】
3例でグレード3以上の有害事象が発現したが、重篤とは判断されなかった。1例では、一部の投与後にグレード 3の肝酵素上昇が認められた。これらは、無症候性で一過性であり、用量間でベースラインに戻ったため、用量制限毒性または重篤な有害事象とはみなされなかった。2例でグレード3の低リン酸血症が認められ、1例ではグレード4のリンパ球減少症が認められた。これらはまた、一過性であり、治療的介入を必要としなかったため、用量制限毒性や重篤な有害事象とも考えられなかった。
【0309】
全体として、この治療の忍容性は良好であり、意図した対象集団に対する安全性に特段の懸念はない。
【0310】
EDV治療に対する免疫応答を評価するため、スクリーニング時にサルモネラ菌に対する抗体を評価した。スクリーニング時に14例中13例(93%)がサルモネラ菌抗体陰性であった。用量レベル2に割り付けられた1例はスクリーニング時に陽性であった。3回目の投与までに、全例で最初に抗体価の上昇が認められた。計47回の投与を受けた患者が1例いたにもかかわらず、その後の投与量を超えて増強することなく力価が維持された。ベクチビックスに対する抗体を発現した患者はいなかった。
【0311】
有効性を評価するため、第1サイクルを完了した8例について腫瘍縮小効果を評価した。完全寛解または部分寛解を経験した患者はいなかったが、50%が疾患の安定を示し、疾患の進行を経験した患者はいなかった。1例の患者は試験の全期間にわたって疾患が安定しており、ほぼ6サイクル(約12ヵ月)の治療を受けていたと報告された。
【0312】
少なくとも1サイクルの治療を完了した8人の患者を、生存について追跡調査した。8例全例が背景生存期間中央値5~7カ月を超えて生存し、OS中央値は15.1カ月(範囲9.1~>18.4)であった。4人の被験者は最後の接触時に生存しており、この時点で打ち切られた。少なくとも1サイクルの治療を完了したこれらのうちの2人(14.3%)は、>18ヶ月間生存した。
【0313】
結論として、EGFR標的ドキソルビシン包装EDVによる再発膠芽腫の治療は、有害事象がほとんどなく、患者の50%が疾患の安定化を経験した有望な結果を示した。しかしながら、改善された治療戦略が必要とされている。
【0314】
実施例7:中皮腫におけるMicroRNA-16ミミック(EGFR(V)EDVmiRNA16a)をパッケージ化したEGFR標的EDVを評価する第1相臨床試験
この実施例では、マイクロRNA-16でパッケージされたEGFR標的EDVが有効性を検査した16人の患者のうち1人の中皮腫患者で部分奏効を示したのに対し、患者の62.5%は疾患が安定化し、患者の31.3%は疾患が進行したことが示された。試験データは、van Zandwijkら、Lancet Oncol., 18(10):1386-1396(2017)およびKaoら、Am.J. Respir. Crit. Care Med.,191(12): 1467-1469 (2015) に公開されている。この治療戦略は概して良好であった。
【0315】
再発悪性胸膜中皮腫患者を対象とした非盲検多施設共同探索的第1相試験でVEDVmiRNA16aを評価した。試験の主要エンドポイントはVEDVmiRNA16aの最高耐量およびDLTを確立し、反復投与の影響を評価し、VEDVmiRNA16aによる有効性の早期徴候を検出することであった。EDVをEGFRに標的化するために使用した抗体は、現在のプロトコール(ベクチビックスベースの配列)の抗体と同じであったことに留意されたい。試験の第2のエンドポイントはVEDVmiRNA16aを投与された患者のQOLを評価し、治療中の東部協力腫瘍学グループ(ECOG)の全身状態および肺機能パラメータの変化をモニタリングすることであった。探索的評価項目は、治療中の免疫マーカーおよびサイトカインマーカーの変化を評価した。
【0316】
適格であるためには、患者が腫瘍組織におけるEGFR発現の証拠を伴うMPMの組織学的または細胞学的記録を受けていなければならない。患者は、ECOGのパーフォーマンスステータスが0または1で、平均余命が3カ月以上の18歳以上の男女を対象とした。患者は、標準的な1または2番目のライン治療レジメンの投与中または投与後に疾病の進行を示さなければならず、十分な骨髄、肝臓および腎機能を有することが必要であった。
【0317】
VEDVmiRNA16aを、8週間の処置からなるサイクルで、20分間の静脈内注入として週1回または週2回投与した。各サイクルの終わりに、患者は腫瘍の放射線学的評価を受けた。腫瘍縮小効果の判定は、RECIST(固形腫瘍の改訂反応評価基準)基準に準じて行った。肺活量測定、FDG-PETスキャンおよびCTスキャンを用いて、疾患の進展度を評価した。
【0318】
この試験は2014年10月2日にオーストラリアのシドニーの3つの腫瘍クリニックで開始され、2016年11月24日に終了した。本試験は、オーストラリアニュージーランド臨床試験登録(番号ACTRN 12614001248651)および臨床試験gov(番号NCT02369198)に登録された。合計27人の患者が5つの集団を超えて動員され、26人の患者が合計316用量のVEDVmiRNA16aを受けた(1人の被験者はいずれかの治療を受ける前に死亡し、さらなる解析から除外された)。この研究は、Kao ら、2015およびvan Zandwijk ら、2017により発表されている。
【0319】
評価した投与量は、5×109を週1回または2回、2.5×109を週2回投与した。サイトカイン反応の増加を避けるために、用量を1×109からフェーズ1当量用量に漸増させる用量適応も評価した。デキサメタゾン(dex)適応も評価し、その後の用量の前投薬のためにdexを徐々に減少させた。MTDは週1回5×109
VEDVmiR16aと同定された。本治療は概して良好であり、示された集団において許容可能な安全性所見が認められた。
【0320】
臨床試験及び所見の概要を以下の表10に示す。
【0321】
【表10】
24例中16例が少なくとも1サイクルの治療を完了し、2例は合計で40回以上の投与を受けた(治療のフルサイクルが5回以上)。観察された最良効果は1例の部分奏効であった。この症例は以下に記載するように、
VEDV
miR16aによる治療に反応してほぼ完全な寛解を示した。10人の患者(62.5%)は疾患の安定化を示し、5人の患者(31.3%)は疾患の進行を示した。生存期間中央値は36.5週、すなわち8.4か月(範囲9.3~>119.6週)であり、9例(60.0%)が6か月間生存し、このうち5例は治療開始から12か月以上経過した時点で良好に生存していた。
図4を参照されたい。
【0322】
特に注目すべきことに、1人の患者(集団1からの患者#5)は第1サイクルの終わりに劇的な臨床応答を示した(Kaoら、Am. J. Respir. Crit. Care Med., 191(12):467-1469(2015)を参照のこと)。8週間の期間の終了時、PET-CTスキャンで「完全である」代謝反応が明らかになり、胸部CTスキャンで部分奏効が認められ、4週間後に確認された。客観的画像反応は呼吸機能検査パラメータの顕著な改善を伴っていた。
【0323】
投与に関連した有害事象で最も多かったのは、悪寒、硬直、発熱、頻脈または高血圧(盗汗もこのカテゴリーに含まれる)などの注入に伴う反応(96.2%)であった。これらの大部分の重症度は軽度から中等度であった。腫瘍部位の非心臓性胸痛も、注入後に14例の患者(53.8%)が経験した。これらの反応は治験実施計画書の改訂により対処された。治験実施計画書の改訂版では、第1サイクルでは全被験者に用量漸増スケジュールの修正を行ったため、注入に伴う反応が少なく、重症度も低かった。臨床検査では、炎症性サイトカインおよび好中球の一過性の上昇、ならびに大多数の患者におけるVEDVmiRNA16a注入直後のリンパ球の一過性の低下が明らかにされ、軽度の炎症反応と一致した。
【0324】
8例に9件の重篤な有害事象が認められ、これらは少なくとも治療との関連性があるかもしれないとされた。非心臓性胸痛及び注入に伴う反応は、いずれも2例に発現した。3例で用量制限毒性が発現し、さらに2例で用量制限毒性と考えられる毒性が発現したが、用量制限毒性の枠外で発現したため、用量制限毒性の基準には適合しなかった。投与に関連した死亡は認められなかった。これらの事象は、以下の表11に要約され、以下の説明に記載される。
【0325】
【表11】
3人の患者を集団1に補充した(週に5×10
9)。このうち1例では、腫瘍部位周辺の非心臓性胸痛の用量制限毒性が認められた。この被験者は減量された用量に進み、その後、完全な強度に段階的に戻った。この集団を拡大して計6例の被験者を登録したが、それ以上のDLTはなかった。
【0326】
集団2の被験者2例中2例(週2回5×109)に減量又は治験中止に至る毒性が認められた。第1は、用量制限毒性として分類された注入関連反応であった。この被験者は減量された用量に進み、その後、完全な強度に段階的に戻った。2番目の事象は冠動脈虚血を併発した持続的な心電図変化であり、第4週の投与で起こったため、用量制限毒性として分類されなかった(以下でさらに考察する)。この被験者は試験から除外され、この集団(最大投与量)にそれ以上の被験者は組み入れられなかった。
【0327】
6人の被験者を追加の集団(集団3、週1回5×109+用量漸増)に登録し、そこでは、すべての被験者が減量を開始し、その後、治験薬に対する注入反応を最小限に抑えるために、十分な強さまで漸増した。この集団で用量制限毒性を経験した被験者はいなかった。
【0328】
2人の被験者を集団4に登録し(2.5×109、週2回+用量漸増)、用量制限毒性は経験されなかった。しかし、週2回投与に伴う臨床的負担が大きいため、この集団への募集を中止することとした。
【0329】
9例の被験者を追加の集団(集団5、週5×10
9+用量漸増+dex適応)に登録し、用量漸増およびデキサメタゾン前投薬の漸減を含む投薬計画を評価した。
図4を参照されたい。この集団では、1例の被験者に何ら治療を施さなかった。残りの8例のうち、2例で減量又は治験中止に至った毒性が認められた。第1はタコツボ(ストレス関連)心筋症であり、これは、用量制限毒性として分類された(以下にさらに議論される)。この被験者は試験を中止した。2つ目はアナフィラキシー様反応であり、第7週の投与で起こったため、用量制限毒性として分類されなかった。しかしながら、この被験者は試験から除外され、この集団への募集は中止された。最長許容量は、週1回5×10
9
VEDV
miRNA16aと決定された。
【0330】
この試験では多くの心イベントが認められたが、他の適応症に対する異なるEDV生成物の試験ではこれまで観察されていなかった。2例で重篤な有害事象として、減量又は中止に至った心イベント(虚血及びたこつぼ型心筋症)が認められた。当該事象は投与7日後に発現し、冠動脈疾患の既往歴があったことから、虚血は治験薬投与に起因する可能性は低いと判断された。この被験者では、より早期の投与中に心電図変化が認められた。心筋症事象に先立って急性輸液反応が発現したが、これはおそらくdex漸減の結果であると考えられた。この被験者には冠動脈疾患の既往もあった。さらに3例で投与後に一過性の心電図変化(T波異常)が認められたが、重篤とは分類されなかった。これらは、トロポニンの上昇、虚血または駆出率の変化とは関連していなかった。すべての事象が消失し、被験者は追加投与を受けたが、それ以上の心電図異常は認められなかった。それにもかかわらず、悪性胸膜中皮腫患者の高齢、および本疾患に関連する罹病率を考慮すると、これらの観察結果から、安全性委員会は、より厳格な心臓除外基準と、残りの試験および今後のあらゆる試験のための追加的な心臓モニタリングを推奨するに至った。
【0331】
VEDVmiRNA16aによる総合的な治療は一般に、5×109のEDVの最高耐容用量まで十分に耐容され、この特定の患者集団では十分な監視および適応された漸増用量計画が与えられたが、有意な懸念はなかった。
【0332】
このように、この例は、癌細胞にmiRNA16aを送達するためにEGFRを標的とするEDVを用いることによって、中皮腫を治療する上で有望な結果を示した。しかしながら、実施例の結果はまた、中皮腫のための改善された治療戦略の必要性を実証する。
【0333】
実施例8:インビトロ細胞毒性アッセイは、超毒性薬物PNU-159682が他の化学療法剤よりも大きく腫瘍細胞系の増殖を阻害することを明らかにした
この実施例は、超毒性細胞傷害性化学療法剤であるPNU-159682が広範囲の他の化学療法薬よりも強力な癌細胞増殖阻害剤であることを示した。
【0334】
PNU159682はアントラサイクリン系ネモルビシン(MMDX)の強力な代謝産物であり、その親化合物(MMDXとドキソルビシン)の3,000倍以上の細胞毒性を有することから、PNU―159682は、“超毒性”化学療法薬と考えられる。このような薬物の使用は、超毒性薬物の毒性レベルが死亡を含む重度の有害事象をもたらすため、一般的に典型的な化学療法治療では不可能である。
【0335】
PNU-159682および他の示される化学療法剤を、
図5~10に示される濃度で腫瘍細胞株に添加した。
【0336】
全ての細胞をさらに72時間インキュベートし、続いて、CellTiter 96 AQueousOne Solution Cell Proliferation Assay(Promega Corp、Madison、W IUSA)を、製造者の指示に従って使用して、比色MTS細胞増殖分析(Coryら、Cancer Commun.,3(7):207-12 (1991))を行った。比色測定値を490nmで読み取った。
【0337】
より大きな細胞毒性:これらのin vitro細胞毒性分析の結果は、PNU-159682が
図5Aに示されるような一連の既知の化学療法剤によって観察される細胞毒性と比較して、ヒト肺癌細胞株A549に対してより大きな細胞毒性を示すことを示した。特に、PNU159682はA549細胞をドキソルビシンよりもはるかに大きく阻害した。
図5B。
【0338】
従来の化学療法剤に対する耐性を示すことが知られている癌細胞に対する有効性:さらに、
図6は、PNU-159682およびデュオカルマイシンがドキソルビシン、ミトタン、パクリタキセル、オキサリプラチン、およびミトキサントロンに対して高度に耐性であったステージIV患者に由来する2つのAdreno-cortical癌細胞株に対して強力な細胞毒性効果を示したことを示す。さらに、
図7は、PNU-159682がドキソルビシン、パクリタキセルおよびドセタキセルに耐性であったヒト乳癌細胞株MDA-MB-468の増殖を阻害したことを示す。
図8は、PNU-159682がドキソルビシン、シスプラチンに耐性であるヒト結腸直腸癌細胞株Caco-2(
図8A)およびHCT116(
図8B)の増殖を阻害したことを示す。
図9は、PNU-159682がドキソルビシンおよびパクリタキセルIVAXに耐性であった神経膠芽腫細胞株U87-MGの増殖を阻害し得ることを示す。
図10Aは、これらの細胞がドキソルビシン、ゲムザール、マトルトキサート、オキサリプラチン、イリノテカン、および5-フルオロウラシル(5-FU)に耐性であるにもかかわらず、PNU-159682がゲミシタビン感受性であるヒト膵臓細胞株(MiaPaca-2細胞、
図10A)の増殖を阻害することができることを示す。
図10Bは、PNU-159682がゲミシタビン耐性細胞(MiaPaca-2 GemR細胞、
図10B)であるヒト膵臓細胞株の増殖を、これらの細胞がgemzarに耐性であったとしても阻害し得ることを示す。
【0339】
これらのデータはPNU-159682などの超毒性化学療法剤を癌治療に使用することが非常に望ましいことを示しており、それは、薬剤が従来の非超毒性化学療法剤に対する耐性を示す癌の治療に有用であり得るからである。
【0340】
実施例9: EGFR標的EDVとともに送達されたPNU159682は、マウス異種移植モデルにおいてヒト肺癌細胞の薬剤耐性を克服することができる
この実施例はPNU-159682などの超毒性化学療法剤を送達するためにミニ細胞(EDV)を使用することが、肺癌異種移植モデルにおける腫瘍増殖を効果的に阻害することを示した。
【0341】
A549(肺癌)細胞をドキソルビシン(Dox)存在下で連続培養し、Dox耐性クローンを選択することによりドキソルビシン耐性とした。次に、これらの細胞を異種移植片としてBalb/c nu/nuマウスに移植した。腫瘍体積が~150mm
3に達したとき、(1群あたりn=7)マウスの4つの異なった群を、(i)生理食塩水、(ii)ドキソルビシン(
EGFREDV
TM
Dox)を負荷したEDVを標的とする上皮増殖因子受容体(EGFR)、(iii)PNU-159682(
EGFREDV
TM
682)を負荷したEDVを標的とするEGFR、および(iv)
図11に実線矢印で示す時点でPNU-159682(EDV
TM
682)を負荷した非標的EDVで静脈内(IV)処置した。EGFRを標的とし、PNU-159682を負荷したEDVの組成を
図1にグラフで示す。
【0342】
図11に示された結果は、
EGFRDV
TM
Doxが抗腫瘍効果を有さず、したがって、腫瘍はドックス耐性を示したことを示す。対照的に、
EGFREDV
TM
682で処理したマウスは、完全な回復を示した。生理食塩水で処理した腫瘍が500mm
3~700mm
3の腫瘍体積に達したとき、
図11に星印(*)で示した時点で処理を
EGFREDV
TM
682に変更した。驚くべきことに、結果は、500mm
3~700mm
3の体積に達した腫瘍においてさえ、非常に有意な抗腫瘍効力を示した。
【0343】
実施例10: 機能性DNA剤をEGFR標的化EDVで送達することは、中皮腫(MSTO)およびアドレノ皮質癌(ACC)癌細胞増殖を効果的に阻害する
この実施例はポロ様キナーゼ1(Plk1)、リボヌクレオチドレダクターゼ酵素1(RRM1)を標的とするsiRNA、またはmiRNA16aを標的とするsiRNAを送達するためにミニ細胞(EDV)を使用することが、癌細胞の増殖を効果的に阻害し得ることを示した。
【0344】
キナーゼ1(Plk1)およびリボヌクレオチドリダクションザイム1(RM1)は、A549、A549MDR(ドックス耐性A549セルライン、多薬剤耐性膜ポンプ、MDRを過剰表現する)、H2122、H358およびH441を含むいくつかの非小細胞肺がん(NSCLC)セルラインにおいて過剰に表されることが示された。
図12はGAPDH(g)、KSP(K)、Plk1(P)、およびRRM1(R)の発現を示し、この発現は、示されたNSCLC細胞株におけるGAPDH発現と比較して示される。
【0345】
Plk1またはRRM1が癌治療のための有用な標的であるかどうかを試験するために、RRM1(siRRM1)およびPlk1(siPlk1)を標的とする阻害非コード低分子干渉RNA「siRNA」を合成し、がん細胞株への送達のためにEDV中にパッケージ化した。
【0346】
RRM1を標的とするsiRNAは、中皮腫および副腎皮質癌細胞の増殖を阻害することがわかった。EGFR標的、siRRM1パッケージEDVをMSTO(メソヘリオマ細胞系)またはH295R(アドレノ皮質細胞系)にトランスフェクトした。トランスフェクションの5日後、細胞増殖を測定し、その結果を
図13に示し、非標的化siRRM1パッケージ化EDVまたはEGFR標的化siNonsenseパッケージ化EDVを用いた対照トランスフェクションと比較して、細胞増殖の非常に有意な阻害を示した。
【0347】
Balb/c nu/nuマウスにおける中皮腫(MSTO)異種移植片研究において、EGFR導的化siRRM1パッケージ化EDVでの静脈内(IV)処置は
図14に示されるように、生理食塩水またはEGFR標的化siScrambledパッケージ化EDVと比較して、非常に有意な抗腫瘍効力を示した。siRRM1パッケージ化EDVを受けたマウスから単離された腫瘍は、陰性対照を受けたマウスからの腫瘍よりも有意に小さかった。
図15。
【0348】
mirna16aは中皮腫癌細胞の増殖を阻害することが分かった。Balb/c nu/nuマウスにおける中皮腫(MSTO)異種移植片研究において、EGFR標的化miRNA16aパッケージ化EDVでの静脈内(IV)処置は
図14に示されるように、生理食塩水またはEGFR標的化siスクランブルパッケージ化EDVと比較して、非常に有意な抗腫瘍効力を示した。miRNA16aパッケージ化EDVを受けたマウスから単離された腫瘍は、陰性対照を受けたマウスからの腫瘍よりも有意に小さかった。
図15。
【0349】
EGFR(
EGFREDV
TM
siPLK)を標的としたsiPLK負荷EDVは
図16に示すように、癌患者由来腫瘍スフェロイド(ACC001)においてアポトーシスを誘発し、ペイロード(
EGFREDV
TM)を全く含まないEDV、または無関係なルシフェラーゼ配列(
EGFREDV
TM
luciferase)を標的とするRNA干渉分子を有するEDVを陰性対照として用いた。これらのネガティブコントロールと比較して、
EGFREDV
TM
siPLKは細胞残屑の測定(
図16A)およびアネキシン/ヨウ化プロピジウム(PI)比率の測定(
図16B)によって決定されるように、ACC1スフェロイドにおけるアポトーシスを誘導した。
EGFREDV
TM
siPLK処理はまた、
図17に示されるように、陰性対照と比較して、サブG1細胞サイクラー停止において有意な数の細胞をもたらした。このように、siRNAでPlk1発現を阻害することは、ACC001副腎皮質癌細胞においてアポトーシスと細胞周期停止を誘導するための有効な戦略である。
【0350】
実施例11:EGFR標的EDVによるインターフェロンI型アゴニストの送達は、異種移植モデルにおいて細胞毒性薬を負荷したEDVの抗腫瘍効果を増大させる
この実施例は、インターフェロンI型アゴニストと併用される化学療法剤を送達するためにミニ細胞(EDV)を使用することが、肺癌異種移植片などの癌を治療するための有効な戦略であることを示した。インターフェロンI型アゴニストは、化学療法剤と同じまたは異なるミニ細胞中に存在同様。本実施例において、化学療法剤は超毒性薬物PNU-159682であり、インターフェロンI型アゴニストは、40mer二本鎖DNAである。
【0351】
Balb/C nu/nuマウスにおけるA549(肺癌)異種移植片を、
図18に描写されるように、尾静脈における静脈内注射によって種々のEDV組み合わせで処置した。マウスは、(i)黒三角=
EGFREDV
PNU-159682 + EDV
40mer、(ii)黒丸
EGFREDV
PNU-159682(iii)白四角=
EGFREDV
PNU-159682+EDV、(iv)白三角=
EGFREDV
PNU-159682+EDV
50mer、および(v)黒四角=サラインで処理した。I型インターフェロン作動薬である。
【0352】
図18に上向き矢印で示すように、異種移植片移植後24、27、29、31、34、36、および38日目に、マウスをこれらのEDVの組み合わせで処置した。
図18に示すように、試験したEDVの全ての組み合わせは、腫瘍増殖の安定化をもたらした。対照的に、生理食塩水処理対照群は~650mm
3の体積まで主要増殖を示した。第36日と38日では、腫瘍体積が~650mm
3の食塩水群マウスが、
図18の下矢印で示されるように
EGFREDV
PNU-159682 +EDV
50merで処理された。
【0353】
PNU―159682とEGFRターゲティング(EGFREDVPNU-159682)を含むミニ細胞(EDV)と40merダブルストランドDNA(EDV40mer)を含むEDVを組み合わせて、~650mm3の大量のを持つマウスを処理すると、その結果、大きく後退する結果となった。具体的には、わずか5日で、腫瘍容積は~650mm3から~250mm3に減少し、5日で62%減少した。結果を以下の表にまとめる。
【0354】
【表12】
さらに、
図19に示されるように、PNU-159682およびEGFR標的化(
EGFREDV
PNU-159682)を含むミニ細胞(EDV)と組合せて40mer二本鎖DNA(EDV
40mer)を含むEDVは、肺癌のマウス異種移植片モデルにおいて
EGFREDV
PNU-159682単独で処置された腫瘍細胞と比較して、腫瘍のより有意な退縮を誘導した。
図19において、Balb/C nu/nuマウスを、(i)黒丸=
EGFREDV
PNU-159682、(ii)黒三角=
EGFREDV
PNU-159682+EDV
40mer、または(iii)黒四角=生理食塩水で処置した。結果を以下の表にまとめる。
【0355】
【表13】
結論として、ミニ細胞にパッケージされたI型IFNアゴニストは、
EGFREDV
PNU-159682 治療の抗腫瘍効果を増大させる。
【0356】
実施例12: I型IFNアゴニスト(EDV40merまたはEDV60mer)およびII型IF
Nアゴニスト( イムキン)を用いたEDVPNU-159682 の臨床的評価
本実施例は、I型およびII型IFNアゴニストが進行固形腫瘍に罹患しているヒト患者におけるEGFREDVPNU-159682の抗癌作用を増大させることを示した。著しいことに、進行期膵臓癌患者においてさえ、この治療は、わずか3回の投与後に腫瘍マーカーレベルの90%の低下を生じ、患者は著しく改善された生活の質を示した。
【0357】
薬物、I型IFNアゴニスト、およびII型IFNアゴニストを含むミニ細胞による処置:本発明者らは、対象が1型IFNアゴニスト40mer二本鎖DNA(EDV40mer)(1型IFNアゴニスト)または60mer二本鎖DNA(EDV60mer)(1型IFNアゴニスト)を負荷したミニ細胞と組合せて標的化および負荷EDVを受けた臨床事例研究を行った。
【0358】
進行固形腫瘍の3例に、デザイナーEDV試験(メルボルン、オーストラリア)の一環として、EGFR(V)EDVPNU-159682と補助EDV40mer(1型IFNアゴニスト)の併用療法を行った。2人の追加の患者は、緊急使用法のもとで、EDV60mer(1型IFNアゴニスト)と併用して負荷および標的EDVを受けた。IV期膵がんと診断された1人の緊急使用患者はEGFR(V)EDVPNU-159682およびEDV40mer(1型IFNアゴニスト)またはEDV60mer(1型IFNアゴニスト)による治療を受け、再発副腎皮質がんと診断された2人目の緊急使用患者はEGFR(V)EDVPNUおよびEDV60mer+イムキン(2型IFN)を受けた。
【0359】
臨床試験
薬剤および1型IFNアゴニストを含むミニ細胞:補助EDV40merを伴うEGFR(V)EDVPNU(1型IFNアゴニスト)を、進行固形腫瘍を有する被験者を対象とした非盲検単一施設探索的第1相試験(デザイナーEDV試験)において、3人の患者で評価した。適格とするために、標的化を容易にするために、患者は、腫瘍組織におけるEGFR発現のエビデンスを有する進行固形腫瘍の組織学的または細胞学的記録を得ることとした。患者は、標準的な1次、2次または3次治療レジメンの投与中または投与後に疾患の進行を示していなければならない。試験の主要なエンドポイントは、型EDV40mer(第1種IFNアゴニスト)とのEGFR(V)EDVPNU-159682の安全性と耐性を確立することであった。
【0360】
この試験は、オーストラリア、メルボルンの単一センターで開始され、オーストラリアニュージーランド臨床試験登録(番号ACTRN 12617000037303)に登録された。
【0361】
試験の3被験者は、5×108のEDV (1型IFNアゴニスト)を用いて、2.5×109で計13回のEGFR(V)EDVPNU-159682を受けた。治療は、8週間の治療からなるサイクルにおいて、20分間のIV注入として週1回投与した。各サイクルの終了時に、患者は腫瘍の放射線学的評価を受けた。
【0362】
入手可能な安全性データは限られているが、IPに対する予期せぬ副作用はなく、治療は概して良好であった。他のEDV生成物の投与でみられるように、患者は一般的に炎症性サイトカインであるIL-6、IL-8およびTNF-αの一時的な増加を経験し、これは治療用量間でベースラインに戻った。観察された血液学的パラメータの変化はEDV治療薬を用いた過去の試験でみられた変化を大きく反映しており、白血球(WBC)の軽度の自己限定性上昇、投与3時間後の好中球の上昇、およびそれに伴うリンパ球および単球の減少などであった。パラメータは、次の投与前の次の時点で正常に戻った。一部の被験者で血清リン酸塩濃度の軽度低下が認められたが、介入を必要とせず、用量間でベースライン値に回復した。
【0363】
2例で注入に伴う反応に関連する有害事象が発現し、投与から約1時間後に硬直および発熱が認められた。これらの患者は観察のために一晩入院し、事象は翌日までに消失した。1例が用量制限毒性のため試験を中止した。2人目の患者は試験を継続し、追加投与を受けた。
【0364】
思いやりのある使用研究
シドニーのローヤルノースショア病院で最初の思いやりのある使用ケース研究が行われた。患者は68歳の女性で、ステージIVの膵癌と診断された。Whipple手術(膵頭十二指腸切除術)を受け、第一選択治療としてゲムシタビンが投与された。FOLFIRINOX治療レジメンも受けたが、転移性肝疾患を発症した。彼女の腫瘍細胞をin vitroで試験し、PNU-159682に感受性であることが見出された。
【0365】
患者は、異なる免疫調節アジュバントと組み合わせて、PNU負荷EDVおよびEGFR標的EDVを含むEDV生成物の2週間毎の用量を受けた。これらを、20mLの注入としてIV送達した。患者は本プロトコールでの使用を意図したように、EGFR(V)標的EDVおよびPNUを含むITG(609)標的EDVの両方、ならびにEDV40mer(1型IFNアゴニスト)またはEDV60mer(1型IFNアゴニスト)を受けた。全部で45回のEGFR(V)EDVPNU-159682+EDV40mer(または関連する商品EDV60mer)を受けた。EGFR(V)EDVPNU-159682とITG(609)EDVPNU-159682の量はそれぞれ2×109と4×109まで増量し、EDV40mer/60mer は5×108の一連の量で与えた。
【0366】
患者の治療に対する忍容性は非常に良好であり、IP関連の重篤な有害事象は認められなかった。予備的な結果は炎症性サイトカインであるIL-6、IL-8およびTNF-αの投与後の一過性の増加を示しており、他のEDV生成物の投与で見られたものと同様である。これらの反応は一般に、その後の投与量にわたって低下した。抗炎症性サイトカインIL-10も投与後に一過性に増加した。興味深いことに、IFN-αは研究全体を通して様々な時点で同様に増加し、これは、EDV40mer/60merによる刺激の結果である可能性が高い。投与2時間後にIFN-γの上昇は検出されなかった。
【0367】
注目すべきことに、患者の腫瘍マーカー(CA19-9)の量は、治療のわずか10日間に相当する最初の3回の投与後に90%以上低下した。10回投与後、これはさらに低下し、腫瘍マーカー値がほぼ95%低下した。また、IV期膵がん患者のほとんどが経験する悪液質状態とは対照的に、有意な体重増加を示し、生活の質の著しい改善を報告した。このように、本症例研究の予備的な安全性および有効性の結果は、特に進行膵癌に伴う予後不良を考慮すると、極めて有望である。
【0368】
薬剤、I型IFNアゴニスト、およびII型アゴニストから成るミニ細胞:腫瘍量が非常に重い末期副腎皮質癌患者を対象とした2回目のコンパッショネートユースケーススタディは、Royal North Shore Hospital(シドニー)で治療された。
【0369】
EGFR(V)EDVPNU-159682(抗腫瘍剤を含むミニ細胞、1×109~4×109[EDV]、EDV60mer(I型IFNアゴニストを含むミニ細胞、1型IFNアゴニストの用量は5×108~2×109[EDV]の範囲)、およびイムキン(II型IFNの用量は5μg(1×105IU)~30μg(6×105 IU)の範囲)の抗腫瘍剤を含むミニ細胞を週2当たり10回投与した。
【0370】
患者は治療に非常によく耐え、投与後60分まで軽度の体温上昇を経験したのみであった。これは、EDV製品の投与で予想される。残念ながら、患者は重篤な免疫系抑制因子であることが知られている高レベルのコルチゾールを含む非常に高い疾患負荷を有し、第7週のCTスキャンは進行性疾患を示したため、患者は試験から脱落した。
【0371】
要約すると、5例がEGFR(V)EDVPNU/DoxまたはEGFR(V)EDVPNU/PNU+EDV40mer/
60mer(I型IFNアゴニスト)±イムキン(II型IFN)の計69回を受けた。治療は十分に寛容であり、免疫調節アジュバントの添加は、単剤負荷EDVおよび標的EDVの安全性プロフィールを変化させないようであった。
【0372】
実施例13:IFN-γ(II型IFNアゴニスト)の添加はドキソルビシンを負荷した上皮成長因子受容体標的EDVの抗腫瘍効果を増強し、様々な癌の異種移植モデルにおいて腫瘍退縮を引き起こす
この実施例はドキソルビシンをIFN-γと組み合わせて送達するためにミニ細胞(EDV)を使用することが、マウス異種移植モデルにおいて改善された抗腫瘍効果を提供することを示した。
【0373】
肺癌:肺癌モデルにおいて
EGFREDV
DoxとIFNγ(II型IFN)の併用の抗腫瘍効果を研究するために、Balb/c nu/nuマウスにおけるA549(肺癌)異種移植片を確立し、静脈内尾静脈注射による種々の治療併用を受けた4グループに分けた。グループ1は、無菌の生理食塩水を受けた(
図20、白菱形)。グループ2には、投与量当たりIFN-γ(0.5×10
4IU)を与えた(
図20、黒三角)。グループ3は
EGFREDV
Doxを受信した(
図20、黒四角)グループ4は投与量当たり
EGFREDV
DoxおよびIFN-γ(0.5×10
4IU)を投与した(
図20、固体)。
EGFREDV
Doxで処置したマウスは、A549肺癌異種移植片の腫瘍安定化を達成した(
図20、黒四角)。対照的に、
EGFREDV
DoxおよびIFN-γで処置したマウスは、全6回の投与後43日目までに非常に有意な腫瘍退縮を示した(
図20、黒丸)。IFN-γのみで処理したマウスは、抗腫瘍効果を示さず(
図20、黒三角)、腫瘍は生理食塩水処理グループと同様に成長した(
図20、白菱形)。従って、
EGFREDV
DoxとIFNγ(II型IFN)とを組み合わせると、以下の表14に要約されるように、肺癌のマウス異種移植片モデルにおいて腫瘍退縮が生じた。
【0374】
【表14】
乳がん:乳がんモデルにおいて、
EGFREDV
DoxとIFN-γを結合させた抗がん効果を研究するために、Balb/nu/nuマウスにおけるMDA-MB468異種移植を確立し、静脈注射により異なる治療組み合わせを受ける4つのグループに分けた。グループ1は、無菌生理食塩水を受けた(
図21、白菱形)。グループ2には、投与量当たりIFN-γ(0.5×10
4IU)を与えた(
図21、黒三角)。グループ3には(
図21、黒四角)を投与し、グループ4には
EGFREDV
DoxおよびIFN-γ(0.5×10
4IU)を投与した(
図21、黒丸)。
【0375】
EGFREDV
Doxで治療されたマウスはMDA-MB468乳癌異種移植片の腫瘍安定化を達成したが、約25日目までに、ドキソルビシン耐性の発現により腫瘍が再増殖し始めた可能性が高い(
図21、黒四角)。対照的に、
EGFREDV
DoxおよびIFN-γで処置したマウスは非常に有意な腫瘍退縮を示し、30日目までに、全6用量の後、これらの腫瘍は、瘢痕組織により類似していた(
図21、円)。IFN-γのみで処理したマウスは、抗腫瘍効果を示さず(
図21、黒三角)、生理食塩水処理群と同様に腫瘍が増殖した(
図21、白菱形)。
図22に示される追加の試験において、
EGFREDV
Dox で処置されたマウスはMDA-MB468乳癌異種移植片の腫瘍退縮を再度達成したが、~23日までにはドキソルビシンに対する耐性の発現により、腫瘍は再び成長し始めた(
図22、黒四角)。対照的に、
EGFREDV
DoxおよびIFN-γで処置したマウスは非常に有意な腫瘍退縮を示し、28日目までに、全3回の投与後、これらの腫瘍は瘢痕組織により類似していた(
図22、黒丸)。IFN-γのみで処理したマウスは、抗腫瘍効果を示さず(
図22、黒三角)、生理食塩水処理群(
図22、白菱形)と同様に腫瘍が成長した。従って、
EGFREDV
DoxとIFN-γ(II型IFN)とを組み合わせると、以下の表15に要約されるように、乳癌のマウス異種移植片モデルにおいて腫瘍退縮が生じた。
【0376】
【表15】
肺癌:ドキソルビシン耐性肺癌モデルにおいて
EGFREDV
DoxとIFN-γ(II型IFN)を組み合わせることの抗腫瘍効果を研究するために、A549肺癌細胞系を、最初にドキソルビシン(Dox)の存在下で培養して増殖させ、Dox耐性誘導体細胞系を確立した。次に、Balb/c nu/nuマウスにおけるDox耐性A549異種移植片を樹立し、尾静脈注射による異なる治療組合せを受ける4グループに分けた。グループ1は、1週間に2回、無菌生理食塩水を受けた(
図23、白菱形)。グループ2は
EGFREDV
Dox(
図23、黒三角)を投与され、グループ3は
EGFREDV
DoxおよびIFN-γ(0.75×10
4IU)を投与された(
図23、黒四角)。グループ4は、投与量当たり
EGFREDV
DoxおよびIFN-γ(0.5×10
4IU)を投与された(
図23、実線)。
図23に示すように、グループ1、2、および3は1週間あたり2回、示された投薬量であり(
図23のx軸上の黒三角によって示される);一方、グループ4のマウスは1週間あたり3回、示された投薬量を投与された(
図23のx軸上の白三角によって示される)。
EGFREDV
DoxおよびIFN-γ(0.5または0.75×10
4IU)で週2回または週3回処置したマウスは、耐性A549肺癌異種移植片の腫瘍安定化を達成した(
図23)。対照的に、
EGFREDV
Doxで処置したマウスは抗腫瘍効力を示さず、腫瘍は生理食塩水で処置したグループと同様に増殖した。この結果はIFN-γ(0.5または0.75×10
4IU)を、通常は腫瘍単独に抵抗性である腫瘍の処置における
EGFREDV
Doxと共に含めることが、腫瘍安定化を達成するために必須であることを示唆する。したがって、
EGFREDV
DoxとIFN-γを組み合わせることにより、肺癌異種移植モデルにおける薬剤耐性を克服することができる(以下の表16に要約)。
【0377】
【表16】
実施例14:
EGFREDV
PNUまたは
ITGEDV
PNU-159682+EDV
40mer(I型IFNアゴニスト)+イムキン(II型IFN)を用いた遅延ステージの内生腫瘍を伴うイヌの処置
この実施例は、イヌの研究において、ミニ細胞技術および追加的にインターフェロンγ(イムキン)(II型IFN)を有する超毒性薬物PNU-159682およびI型IFNアゴニスト(40mer二本鎖DNA)を送達することが、良好な忍容性を示すことを示した。
【0378】
内因性後期癌のイヌを用いて毒性学的研究を行った。イヌは後期腫瘍を呈するコンパニオン動物であった。各ペットの飼い主からインフォームドコンセントを得た。
【0379】
脳がん、肉腫、または黒色腫のイヌ13匹を、免疫調節アジュバント(EDV60mer/50merおよび/またはイムキン)と併用して、EGFRまたはITG(インテグリン)を標的とするPNU負荷EDVで治療した。脳腫瘍または肉腫のイヌをEGFR標的EDVで治療し(n=9)、黒色腫のイヌをITG導的EDVで治療した(n=4)。合計185週1回または隔週1回の用量を、アジュバントの有無にかかわらず、異なる組み合わせで投与し、最大73回の用量を単一のイヌに与えた。最大5×109のPNUロードEDVおよび標的EDV、最大2×109EDV40mer/50mer、イムキン、25μg/m2/用量を用いた。いずれの併用も全般的に忍容性は良好であり、最も多く認められた有害事象は他のEDV生成物の投与時に認められた有害事象(軽度の嗜眠、発熱、悪心、嘔吐)と同様であった。免疫調節アジュバントの添加はEDV投与で見られる一般スペクトルを変化させたり、有害事象の頻度を増加させたりしないようであった。
【0380】
血液学的パラメータに対する注目すべき影響として、投与3時間後の白血球サブセット(WBC、好中球、リンパ球、単球および好酸球)の軽度の一過性の減少が認められた。同様の変化が、免疫調節アジュバントの添加の有無にかかわらず見られた。注目すべきは、他のイヌおよびヒトの臨床試験では好中球は一般に投与後3時間で減少するのではなく増加したことである。この軽度の好中球減少は、PNU負荷EDVによるイヌの治療に特異的であると思われる。
【0381】
イヌでは、投与3時間後にIL-6、IL-8、IL-10、IL-12p40及びTNF-αの一過性の上昇が認められた。一般に、免疫調節アジュバントを含む用量は、PNU負荷EDV単独を含む用量よりも、これらのサイトカインのわずかに高い誘導をもたらした。また、投与後のIL-2量が低下した。これらのデータは、抗腫瘍負荷EDVおよび標的EDVと組み合わせて使用される免疫調節EDVアジュバントの安全性および忍容性を支持する。
【0382】
観察された最良効果は評価可能な7匹中6匹(85.7%)で疾患の安定化が認められたが、1匹のイヌではほぼ部分奏効(腫瘍サイズの29.8%の縮小)が得られた。1匹のイヌは、11ヵ月以上の治療期間にわたって73回の投与を受け、試験期間中安定した疾患を示した。このイヌは視神経を圧迫する腫瘍塊による視力喪失を示した。しかし、治療の過程で視力は回復し、臨床症状の改善が示された。
【0383】
実施例15:標的EDVと負荷EDVはヒト臨床試験でIFN-γを活性化しない
この実施例から、パクリタキセルまたはドキソルビシンをパッケージ化したEDVはトル様受容体活性化と一致するサイトカイン反応をヒトで誘導するが、このEDV処理はインターフェロンII型反応を誘導しないことが示された。
【0384】
標的EDVおよび負荷EDVの投与によって活性化される経路に関する洞察を得るために、サイトカインのパネルを、ヒト初回投与試験 (上記実施例5)および再発性膠芽腫ヒト臨床試験(上記実施例6)において評価した。
【0385】
図24はヒト初回投与試験 (実施例5)における
EGFR(Erb)EDV
Pac治療に対するサイトカイン応答を示し、
図25は、反復グリオブラストマ試験における
EGFR(V)EDV
Doxに対するサイトカイン応答を示す。
図24および25に示すように、IL-6、IL-8、IL-10およびより程度の低いTNF-ヘ投与3~4時間後に一過性に上昇し、いずれの治療についても24時間後または次の投与前までにベースラインに戻った。パクリタキセルまたはドキソルビシンを負荷したEDVに対するサイトカイン反応は、トル様受容体経路、特に細菌LPSによって刺激されることが知られているTLR4の活性化と一致している。ヒト初回投与試験のみの患者2例でIL-12が無作為に上昇したが(
図24)、上昇は投与と一致しなかった。
【0386】
興味深いことに、I型インターフェロンIFN-αは、ヒト初回投与研究(
図24参照)の患者3/22例、および再発性膠芽腫研究(
図25参照)の患者1/14例において、研究期間を通じてランダムな段階で上昇した。IFN-αの誘導は投与と一致しなかった。インターフェロン経路は一般に、TLR経路のような細菌刺激よりもむしろウイルス刺激によって活性化されるため、これらの選択された患者は試験中にウイルス感染が同時に報告されていなかった可能性がある(例えば、風邪)。しかし、IFN-γを含む試験された他のすべてのサイトカインは、標的EDVおよび負荷EDVの投与によって影響されなかった。このことから、II型IFN-αの活性化(イムキンの添加を介して)は、異なる抗腫瘍経路を刺激することによって標的EDVおよび負荷EDVの有効性を高めるための実行可能なアプローチである可能性が示唆される。
【0387】
実施例16:がんに対する細胞免疫療法:腫瘍を標的とした、超毒性薬物パッケージ化された細菌由来ナノ細胞によって誘発される新規経路
この実施例は、腫瘍細胞表面受容体を標的としたEDVナノ細胞が自然免疫系および適応免疫系の活性化と併せて、スーパーサイトトキシンPNU-159682(682)を送達することによって、腫瘍に対する二重攻撃が可能な癌免疫療法として機能することを実証する。
【0388】
この実施例は、主にTh1サイトカイン応答を伴う微小環境内で腫瘍細胞を死滅させることができる682活性化M1マクロファージおよびNK細胞を送達する標的EDVナノ細胞を示す。これに続いて、樹状細胞の成熟が起こり、抗原提示および腫瘍特異的CD8+ T細胞の生成が生じる。スーパーサイトトキシン送達と、先天性および適応性抗腫瘍免疫応答の両方の活性化の組み合わせは、臨床腫瘍学において可能性を有する強力な癌細胞免疫療法をもたらす。
【0389】
この実施例はEDVナノ細胞の新規な細胞-免疫療法機能について初めて示し、そこでは、腫瘍細胞内で細胞傷害性薬物を送達することができるだけでなく、同時に腫瘍を特異的に標的とする自然免疫応答および適応免疫応答を誘発することができる。臨床的に、思いやりのある使用症例患者では、682の負荷EDVが適応免疫を刺激しながら薬剤耐性を克服することが示されている。前臨床試験は、EDV治療に起因する免疫療法経路が免疫系による効果的な抗腫瘍応答を開始するのに必要な全ての工程に対処するアプローチを包含することを実証した。この例は、マクロファージ、NK細胞および樹状細胞を含む自然免疫系の細胞を活性化するEDVの能力を例示している。これに続いて樹状細胞の成熟と抗原提示が起こり、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞が産生され、さらなる免疫細胞の腫瘍微小環境への動員をもたらす適応T細胞応答が起こる。このアプローチは免疫原性腫瘍微小環境を作り出し、それにより患者に生じるかもしれない一次耐性および/または適応耐性を回避する複数の免疫細胞サブセットにも作用することにより、免疫療法による現在のピットフォールのいくつかを回避する。
【0390】
結果:EDV処理に応答したM1マクロファージ極性化と樹状細胞成熟:EDVがサルモネラタイフィムリウム菌 に由来する事実のため、EDV外膜は実質的なリポ多糖(LPS)含有量を含む(MacDiarmidら、2007b)。高用量のLPSとマクロファージとの相互作用は、マクロファージの活性化およびM1の極性化をもたらすことがよく知られている。EDVが同様の表現型反応を誘発することができるかどうかを決定するために、RAW264.7細胞をEp-EDV-682およびEp-EDVとインキュベートし、マクロファージ表現型およびサイトカイン産生の変化について調べた。共刺激性CD86発現の発現はマクロファージ極性化の表現型指標であるとともに、抗腫瘍M1腫瘍関連マクロファージ(TAM)の特徴であることが知られている(Dongら、2016)。
【0391】
Ep-EDV-682およびEp-EDVの両方はおそらくEDV表面上のLPSの存在に応答して、CD86発現量の有意な増加を誘発することができたが、682単独では同じ応答を誘発しなかった(
図27A)。さらに、EDV処理RAW細胞はTh1マクロファージ分極の原因であると同定されている炎症誘発性サイトカインTNF-αおよびIL-6の有意な増加を示した(Yuanら、2015)(
図35Aおよび35B)。興味深いことに、Ep-EDV-682で処理し、続いてRAW264.7細胞と共培養したマウス腫瘍細胞(4T1およびCT26Ep12.1)はまた、RAW264.7細胞上でのCD86発現の有意な増加(
図27B)ならびに炎症誘発性サイトカインTNF-αおよびIL-6の産生の有意な増加を生じさせることができた。(
図27C-27D)。しかし、Ep-EDVまたは682処理のみではCD86発現に有意な変化を生じることはできず、682処理ではTh1サイトカインの産生の増加は認められなかったことから、EDV負荷682に応答した細胞死がその後のM1マクロファージの極性化を完全に誘導するために必要であることが示された。
【0392】
樹状細胞成熟に対するEp-EDV、Ep-EDV-682、および682処置に応答した腫瘍細胞死の効果も試験した(
図27E~27I)。骨髄由来樹状細胞(BMDC)を処理した腫瘍細胞(4T1及びCT26Ep12.1)と48時間共インキュベートした後、1型インターフェロンIFNαおよびIFNβの産生を評価した。樹状細胞による1型インターフェロン産生の増加は樹状細胞の成熟および抗原提示の増強の機序として十分に確立されており、NK細胞およびT細胞を含む他の免疫細胞サブセットとの相互作用に不可欠である(Fitzgerald-Bocarsly and Feng、2007; Simmons ら、 2012)。Ep-EDV-682処理4T1細胞とのBMDC共培養は、IFNα mRNA産生の約100倍の増加およびIFNβmRNA産生の約70倍の増加を伴う1型インターフェロンの両方の有意な増加を示した(
図27E)。同様に、Ep-EDV-682処理CT26Ep12.1とのBMDC共培養は、IFNαmRNA産生の約300倍の増加およびIFNβmRNA産生の約60倍の増加を示した(
図27F)。
【0393】
さらに、EDVに負荷された薬物の差異が1型インターフェロン産生に何らかの影響を及ぼしたかどうかを評価するために、CT26Ep12.1をEp-EDV-Doxで処理したところ、IFNβmRNA産生の有意な~20倍の増加が認められたが、IFNαmRNA産生のわずかで有意ではない増加が認められたのみであった。Ep-EDVおよび682処理は、いずれの細胞株との共培養においても、1型インターフェロンmRNA産生の増加を誘発することができなかった。しかしながら、CT26Ep12.1のドキソルビシン(Dox)処理は、実際、IFNβmRNA産生の有意な~5倍の増加を示した(
図27F)。腫瘍細胞のドキソルビシン処理は免疫原性細胞死をもたらすことが知られており、したがって、樹状細胞の成熟を促すことができる。しかしながら、IC50をはるかに超える薬物用量は一般に、薬物単独でこのタイプの死が生じるために必要である(Showalterら、2017)。BMDCをEDVと薬物で処理した4T1およびCT26Ep12.1細胞と共インキュベートすると、CD86、MHCクラスII、およびCD80が24時間以内にアップレギュレーションされ(
図27G~27I)、マウスJAWSII細胞で見られる同様の結果が得られた(
図35C~35E)EDVで処理した腫瘍細胞
と共培養したBMDCも、TNFアルファ、IL-12p40、およびIL-6の産生の顕著かつ有意な増加を示した(
図27J~27L)。これらの結果は682を負荷したEDVがマクロファージをM1抗腫瘍表現型に偏向させ、樹状細胞成熟を促進することができ、682単独では同様の応答を誘発することができないことを示す。
【0394】
実施例17:スーパー細胞毒PNU-159682の効果的な送達は、殺腫瘍性CD11b
+先天性免疫細胞を生成する
682はpM範囲の薬物耐性癌細胞でさえIC50を有する超細胞毒素であるため(Quintieriら、2005)、このような化合物に関連する重篤な全身毒性のために、臨床的に使用することができない(StaudacherおよびBrown、2017)。しかし、EDVに封入した場合、682のようなスーパーサイトトキシンを、最小限の体重減少(%)、被毛の波打ちがほとんどないかまたは全くないこと、および様々な治療的ペイロードを担うEDVで処理されたマウスを含む以前の研究と相関するEp-EDV-682処理マウスにおける嗜眠または円背姿勢の出現がないことから明らかなように、副作用がほとんどなく腫瘍に効果的に送達することができる(MacDiarmidら、2009; MacDiarmidら、2007a; MacDiarmidら、2007b; Sagnellaら、2018)(
図35A-35D)。
【0395】
ここでは、乳房脂肪パッドに4T1腫瘍または皮下CT26Ep12.1腫瘍のいずれかを有するEp-EDV-682処置BALB/cマウスにおいて、有意な腫瘍退縮が見られた(
図28A~28B)。Ep-EDV-682はまた、T84ヒト異種移植片および薬物耐性A549/MDR異種移植片を有する無胸腺BALB/cヌードマウスにおいて有意な腫瘍還元を促進することができ、ならびに大きな(~600mm
3)A549/MDR腫瘍において有意な腫瘍還元を誘発することができた(
図28C~28D)。
【0396】
EDVが腫瘍に化学療法剤を効果的に送達することができることは十分に確立されているが、最初のインビトロ実験はEDVがM1マクロファージ分極を駆動することを含むが、これに限定されない多くの方法で免疫療法剤として挙動することもできることを示した。これらの結果が腫瘍微小環境内の先天性免疫系のインビボ刺激にまで拡張されたかどうかを確立するために、CD11b
+免疫細胞を、生理食塩水、Ep-EDV、またはEp-EDV-682で処理した4T1またはCT26Ep12.1マウス腫瘍から単離し、xCELLigenceリアルタイムセルアナライザー(RTCA)において、それらの対応する腫瘍細胞と5:1(エフェクター:標的)の比率でエクスビボで共培養した(
図28E~28G)。接着性4T1細胞と共培養したCD11b
+細胞は最初の接着および沈降相を示し、その結果細胞指数が増加し、続いて活性相を示し、CD11b
+ 細胞が接着性腫瘍細胞を殺すのに効果的である場合には細胞指数が着実に減少し、腫瘍細胞が効果的に溶解されず増殖し続けた場合には細胞指数が増加した。
【0397】
実証されたように、Ep-EDV-682で処置したマウスの腫瘍から単離したCD11b
+細胞は4T1細胞を殺すのに非常に効果的であったが、Ep-EDVまたは生理食塩水で処置した腫瘍から単離したものは4T1腫瘍細胞を殺さなかった(
図28E)。4T1腫瘍内のマクロファージの表現型決定(CD45
+ CD11b
+ Ly6G
- Ly6C
+)がCD86:CD206発現マクロファージの比の増加によって証明されるように、M1/M2比の増加を示した(
図28F)。更に、Ep-EDV-682 4T1系細胞担持マウスからのCD1b
+は4T1細胞(
図36I)とex vivo共培養した場合、マクロファージ炎症蛋白質1α(CCL3/MIPα)の産生において、塩水およびEpEDV処理マウスと比較して2倍の増加を示した。MIP-1αの局所的産生は免疫エフェクター細胞浸透物を細胞微小環境中に誘引し、エフェクター細胞媒介抗菌反応を潜在化する主要因子として意味されていた(Allenら、2018; Zibertら、2004)。
【0398】
接着性CT26Ep12.1細胞と共培養されたCD11b
+細胞は同様に、Ep-EDV-682で処置されたマウスの腫瘍から単離されたCD11b
+細胞の増強された細胞溶解活性を示した(
図28G)。全般的に、CT26Ep12.1腫瘍由来のCD11b
+細胞は4T1腫瘍由来のものよりも活性が高かったが、これは3つの処置群すべてについてのxCELLigence RTCAにおける細胞指数の着実な低下によって示される。しかしながら、細胞溶解はより顕著であり、Ep-EDV-682処置群におけるCD11b
+ 細胞添加後1時間以内に始まり、CD11b
+ 細胞添加後10時間で42%の生存率に低下した。対照的に、Ep-EDV処理サンプルでのサイトリズムの開始には5時間近くを要し、サリン処理群では7時間、CD11b
+ 細胞追加後10時間での生存率はそれぞれ76%および86%であった。CT26Ep12.1種瘍から単離されたCD11b
+細胞のフローサイトメトリー解析は、Ep-EDV-682処置腫瘍においてCD86:CD206比(M1/M2比)の有意な増大を示した(
図28H)。
【0399】
免疫コンピテントマウス株と同様に、マクロファージ分極のシフトは、無胸腺ヌードマウスにおける薬物耐性ヒト肺癌異種移植片(A549/MDR)においても見られ、EGFR-EDV-682処置マウスの脾臓におけるM1/M2比の約2~3倍の増加が生理食塩水処置マウスまたは腫瘍増殖の減少に効果のないEDVで処置したマウスと比較して観察された(
図35E)。さらに、EGFR-EDV-682処置T84腫瘍において、M1/M2比のわずかであるが有意な増加も検出された(
図35F)。両方の免疫コンピテントマウス癌モデルと同様に、EGFR-EDV-682で処置されたA549/MDR腫瘍を有するヌードマウスの腫瘍から単離されたCD11b
+細胞は生理食塩水で処置されたものと比較して、xCELLigence RTCAによって決定されるように、A549/MDR腫瘍細胞へのCD11b
+ 細胞付加の6.5時間後に28%の細胞溶解を伴う優れた腫瘍細胞溶解を示した(
図35Gおよび35H)。
【0400】
実施例18: NK細胞は、Ep-EDV-682処理後にインビボで抗腫瘍表現型をとる
本実施例の目的は、抗腫瘍剤を含む細菌ミニ細胞のNK細胞機能に対する影響を決定することであった。
【0401】
NK細胞機能に対する682を有するEDVの効果を探るために、EDV処理および4T1またはCT26Ep12.1腫瘍を有する対照BALB/cマウスの脾臓からEp-EDV-682、EpEDVまたは生理食塩水による2週間処理後にNK細胞を単離した。脾臓NK細胞を、それらの対応する腫瘍細胞と20:1のE:T比でxCELLigenceRTCA中で共培養し、腫瘍細胞死を3~4日間にわたって分析した(
図29A~29D)。
【0402】
両腫瘍モデルのEp-EDV-682処理マウスのNK細胞は標的腫瘍細胞の有意かつ強力な細胞溶解を介して抗腫瘍特性を示したが、生理食塩水またはEp-EDVで処理したマウスはその標的腫瘍細胞に対してほとんどまたは全く細胞溶解能を示さなかった。CT26Ep12.1を有するマウス由来のNK細胞は標的CT26Ep12.1細胞の迅速な細胞溶解を示し、同時培養の最初の数時間以内にほぼ60%の標的細胞生存率に低下し、50時間後にわずか18%の標的細胞生存率を維持した。Ep-EDV処理CT26Ep12.1同様のNK細胞は50時間後に70~80%の標的細胞生存率を有する低レベルの細胞溶解能力を有し、一方、生理食塩水処理マウス同様のNK細胞は、同じ期間に~82%の標的細胞生存率を示した(
図29D)。4T1腫瘍を有するEp-EDV-682処理マウス由来のNK細胞は依然として高度に活性であるが、70時間後に~36%の標的細胞生存率まで低下する、より緩やかな細胞溶解プロファイルを示し、一方、生理食塩水またはEp-EDV処理マウス由来のNK細胞は90%の標的細胞生存率を維持した(
図29Aおよび29B)。さらに、Ep-EDV-682で処理したマウスから単離したNK細胞とのNK/4T1共培養は、生理食塩水で処理したマウスからのものと比較して、TNFαおよびRANTESの両方の産生の2倍以上の増加を示した(
図29Fおよび29G)。
【0403】
A549/MDRまたはT84腫瘍を有する無胸腺マウスの脾臓から単離したNK細胞は、免疫応答性マウス腫瘍モデル(
図36Aおよび36C)と同様の細胞溶解プロファイルを示した。EGFR-EDV-682処理マウスのNK細胞はその標的腫瘍細胞と共培養すると、A549/MDRおよびT84腫瘍のいずれにおいても標的細胞の生存率が40%未満となったが、生理食塩水対照ではいずれも標的細胞の生存率が70%を維持した。T84/NK細胞共培養物中のグランザイムB産生の試験は、Ep-EDV-682処置マウス由来のNK細胞を含む共培養物中のグランザイムBの有意に高いレベルを明らかにした(
図36B)。
【0404】
フローサイトメトリーを介して4T1腫瘍内のNK細胞を検査した結果、Ep-EDV-682処理腫瘍のNK細胞(CD45+、CD11b+、DX5+)は、腫瘍免疫監視において重要であることが知られているNK活性化受容体であるNKG2D発現を有意に増加させた(
図29E)。腫瘍細胞表面上のNKG2DリガンドのアップレギュレーションはNK阻害シグナルを無効にするのに十分であり、したがって腫瘍細胞の細胞溶解を可能にする(Morvan and Lanier、2016)。NKG2D結合NKリガンドRAE-1、H60a、およびMULT-1についてのマウス腫瘍細胞株(CT26Ep12.1および4T1を含む)のスクリーニングにより、4T1およびCT26Ep12.1のいずれもスクリーニングした4つの細胞株の60aの発現レベルが最も高く、これがこれら2つの細胞株において最も高い全体的発現を有するリガンドであることが示された。さらに、マウス乳癌細胞系4T1およびEMT-6細胞はスクリーニングした全ての細胞系においてRAE-1の最高の発現を示したが、H60aよりはるかに低いレベルであり、一方、CT26Ep12.1はこのリガンドのレベルが非常に低かっただけであった。最後に、4T1細胞を除いて、全ての他の細胞系はMULT-1の発現を示さなかった(
図29H)。
【0405】
単離したNK細胞の細胞溶解活性におけるこれらのリガンドとNKG2D受容体の役割をさらに調べるために、NK細胞を4T1腫瘍を有するEp-EDV-682処理マウスの脾臓から単離した。NK細胞を、xCELLigence RTCAシステムにおいて4T1細胞と共培養する前に、NKG2D受容体のその特定のリガンドへの結合をブロックするように設計された抗体と共にインキュベートした(
図29I)。RAE-1に対する抗体は4T1細胞のNK細胞溶解の~13%阻害をもたらしたが、H60aに対する抗体は~21%阻害をもたらし、2つの抗体の組み合わせはNK細胞の細胞溶解能力の~25%を阻害した(
図29J)。
【0406】
実施例19:腫瘍微小環境内の主にTh1サイトカイン応答は、Ep-EDV-682処理後に示される 本実施例の目的は、EDV処置後の腫瘍微小環境内のサイトカイン環境を調査することであった。
【0407】
4T1およびCT26Ep12.1腫瘍を、最終処置の24時間後に採取し、そして非酵素的方法で穏やかに解離させて、細胞の溶解がないことを確実にし、その結果、間質性腫瘍サイトカインレベルを評価し得た(
図30A~30B)。腫瘍サイズがかなり違うために、腫瘍を秤量し、測定し、そしてサイトカインレベルを、これらのサイズ差を説明するために、組織1グラムあたりに計算した。いずれの腫瘍も、Ep-EDV-682処理に反応して腫瘍微小環境内のTNFαの有意な増加を示したが、この増加は生理食塩水処理と比較して、Ep-EDV-682処理後に10倍の増加を伴うCT26Ep12.1腫瘍においてより顕著であった。同様に、Ep-EDV-682処理は、4T1腫瘍におけるIFNαレベルの約2倍の増加、およびCT26Ep12.1腫瘍における15倍の増加を伴う、両腫瘍における間質IFNα濃度の有意な増加をもたらした。
【0408】
Ep-EDV-682処理によるサイトカインレベルの最も顕著な変化はCT26Ep12.1腫瘍で見られ、そこではIFNγレベルの5百倍の増加が起こったが、4T1腫瘍ではIFNγレベルのわずかではあるが有意な2倍の増加が起こった。Ep-EDV-682処理の結果としてのIL-1βレべルは4T1腫瘍で有意に減少したが、CT26Ep12.1腫瘍では有意ではないが増加を示した。IL2(~4倍)およびIL4(~3倍)の有意な増加が4T1腫瘍で生じたが、Ep-EDV-682処理後のIL6レベルに有意な変化はなかった。Ep-EDV-682処理マウスのCT26Ep12.1腫瘍ではIL-2量は150倍以上有意に増加したが、IL-6量は有意に3倍増加し、IL-4は2倍有意ではない増加が観察された。抗原提示細胞、NK細胞、およびT細胞などの免疫細胞による浸潤の主要な決定因子であることが示されているMIP-1α(CCL3)およびRANTES(CCL5)も試験した(Allenら、2018)。4T1およびCT26Ep12.1の両方はEp-EDV-682処理腫瘍における2つのケモカインのレベルの増加を示し、CT26Ep12.1腫瘍におけるMIP-1αレベルおよびEp-EDV-682で処理された4T1腫瘍におけるRANTESレベルの約3倍の有意な増
加を示した。さらに、RANTESとMIP-1αレベルの2~2.5倍の増加は有意ではなかったが、それぞれCT26Ep12.1と4T1 Ep-EDV処理の両方で起こった。一般に、Ep-EDV処置は、生理食塩水処置群と同様の間質腫瘍サイトカインおよびケモカインレベルをもたらした。
【0409】
間質性腫瘍サイトカインの検査に加えて、処置動物由来の脾細胞によるサイトカイン産生(TNFα、IFNγ、IL-1β、IL-2、およびIL-10)を評価した。脾細胞を単独で培養するか、またはそれらの対応するマウス由来の分散した腫瘍細胞と共培養した。生理食塩水、Ep-EDV、およびEp-EDV-682での全身処置は、4T1またはCT26Ep12.1腫瘍モデルのいずれかからの脾細胞によるサイトカイン産生に対して有意な効果を有さなかった(
図30C~30G)。しかし、脾細胞を対応する処理腫瘍とともに培養すると、これもはやそうではなかった。TNF瘤Y生は、脾細胞のみと比較して、Ep-EDV-682で処理したマウスからの共培養、ならびに両腫瘍モデルからの生理食塩水およびEp-EDVで処理したマウスからの共培養において有意に増加した(
図30C)。4T1モデルにおいて、IL-2産生は、Ep-EDV-682処置マウスからの共培養物において、生理食塩水処置マウスと比較して有意に増加した(
図30D)。さらに、生理食塩水処理マウスの脾細胞を対応する腫瘍細胞と共培養した場合、IL-2産生の有意な減少が認められた。IL-2 CT26Ep12.1腫瘍を有するマウスから単離した脾細胞単独と比較して、全ての共培養において産生が有意に増加した。IL-1β産生における唯一の有意な変化は、生理食塩水処置マウスからの試料がEp-EDV-682処置マウスと比較して、インビボで見られる差に対応する有意な増加を示した4T1モデルからの共培養物において生じた(
図30E)。IFNγ産生は脾細胞単独と、4T1腫瘍を有する生理食塩水処理マウスから分離した共培養の間で有意に減少し、Ep-EDV-682処理脾細胞/腫瘍細胞共培養の方が、生理食塩水またはEp-EDV処理4T1腫瘍担癌マウスから分離した共培養よりも有意に大きかった(
図30F)。CT26Ep12.1腫瘍モデルにおいて、IFNγ産生は生理食塩水およびEp-EDV共培養と比較して、Ep-EDV-682処理脾細胞/腫瘍細胞共培養で減少したが、これはEp-EDVに対してのみ有意であった。最後に、IL-10産生は、CT26Ep12.1処置マウスからの生理食塩水処置脾細胞/腫瘍細胞共培養物において、脾細胞単独およびEDV処置群と比較して有意に増加した(
図30G)。
【0410】
実施例20: Ep-EDV-682処理は腫瘍特異的CD8+ T細胞の産生を導く
最初のin vitro実験では、EDV処理が効果的な化学療法薬を負荷した標的EDVに応答して、直接的相互作用または細胞死の結果のいずれかを介して樹状細胞の成熟をもたらしうることが示された。従って、この試験は、この結果がインビボでのDC成熟および抗原提示に翻訳され得、腫瘍特異的CD8+ 細胞傷害性T細胞の産生を生じるかどうかを試験することを目的とした。
【0411】
2週間の処置後、生理食塩水、Ep-EDV、またはEp-EDV-682で処置した4T1またはCT26Ep12.1腫瘍を有するマウスから脾臓を取り出し、CD8
+ T細胞を単離した。次いで、CD8
+ T細胞を対応する腫瘍細胞に添加し、xCELLigence RTCAを用いてこれらの細胞を特異的に認識し、殺すそれらの能について試験した(
図31Aおよび31C)。4T1を保有するマウスから単離され、生理食塩水またはEp-EDVで処理されたCD8
+ T細胞は4T1細胞に対して細胞毒性を示さなかったが、Ep-EDV-682で処理されたマウスから単離されたCD8
+ T細胞は30時間後に標的細胞の50%の細胞溶解を誘導した(
図31B)。
【0412】
CT26Ep12.1を有し、Ep-EDV-682で処理されたマウスから単離されたCD8
+ T細胞は標的CT26Ep12.1細胞を殺すのに非常に効果的であり、エフェクタ細胞を標的細胞に加えた20時間後に81%の細胞毒性が見られた(
図31D)。興味深いことに、Ep-EDV処置でさえ、CT26Ep12.1モデルにおいて腫瘍特異的CD8
+ T細胞の産生を誘発することができ、20時間後に40%の細胞毒性が明らかであったが、生理食塩水処置マウス由来のCD8
+ T細胞はCT26Ep12.1細胞に対して特異性を示さなかった。4T1腫瘍内のCD8+ T細胞の流動解析は、Ep-EDV-682処置マウスの腫瘍内のCD8
+ T細胞(CD45
+、CD3
+、CD8
+)の割合のわずかながら有意な増大を示した(
図31E)。さらに、Ep-EDV-682処置マウスの腫瘍内の調節性T細胞(CD45
+、CD3
+、CD4、CD25
+)の割合が有意に2倍低下した(
図31F)。4T1腫瘍担癌マウスの腫瘍流量リンパ節におけるT細胞数も流れを介して調べた。生理食塩水およびEp-EDV処理マウスの両方と比較して、Ep-EDV-682処理マウスのリンパ節において、全体的なT細胞数(CD3
+)の有意な増加、ならびにCD4
+およびCD8
+ T細胞数の両方の有意な増加が見られた(
図31G)。4T1腫瘍を有するEp-EDV-682処置マウスのリンパ節における成熟樹状細胞の有意な増大も検出された(
図31H)。4T1細胞で処置したEp-EDV-682マウス由来の単離されたCD8
+ T細胞間の相互作用の可視化はこれらのT細胞が腫瘍細胞に付着し、パーフォリン(緑色)を腫瘍細胞に放出することができることを示す(
図31I)。
【0413】
実施例21:ステージIVの膵管腺癌の1ケースにおけるEGFR-EDV-682に対する患者の患者の反応
この実験は、ステージIVの膵管腺癌(PDAC)患者(CEB)におけるEGFREDV682治療の使用の思いやりのある症例の臨床観察に関連する。
【0414】
CEBの診断的評価は腹部のコンピュータ体軸断層撮影(CT)(2017年5月)を含み、多発性低密度肝病変を明らかにした。腫瘍は陽電子放出断層撮影(PET)では活発ではなかった。標準的な生化学検査および血液学的検査は、概して特記すべきものはなかった。血清CA19―9およびC反応性蛋白質(CRP)も評価した。一部の消化器悪性腫瘍、特に膵癌に発現する糖鎖抗原であるCA 19-9の血清中低濃度は、全生存率および治療に対する反応の予後指標となることが示されている。同様に、上昇したCRPレベルもまた、不良な臨床転帰と有意に関連することが示されている(Szkanderaら、2014)。ゲムシタビンとFOLFIRINOXの後でさえ、CEBはCA19-9量が120,000kU/Lを超え、通常の3,000倍であり、かなり上昇したCRP量が64mg/Lであった。
【0415】
すい頭部と尾部の両方から切除した腫瘍組織から得たPDAC細胞について、薬剤感受性を調べた。頭部および尾部PDAC細胞の両方は低感度を示し、第1および第2の系統の薬物に対して部分的に応答しなかった(
図37A)。対照的に、両者は682に対して極端な感度を示し、IC50はpM温度範囲であった(
図37A)。さらに、上皮増殖因子受容体(EGFR)は、フローサイトメトリー(
図37)によって、細胞あたり>200,000コピーで過剰発現されることが見出され、したがって、治療のために682を負荷したEDVを標的化するための理想的な受容体であることが見出された。
【0416】
CEBは682を保有するEDVに耐性があり、EGFR(E-EDV-D682)を非常に良好に標的とし、サイクル全体にわたる健康の劇的な増加を報告した。その間にECOGのパフォーマンス状態は2から0に低下した。投与3時間後にTNFαおよびIL-6の一過性の上昇が認められたが、これは投与1日後が最も高く、その後の投与ではるかに低く、おそらく耐性の増強を示していると考えられる。血液学的パラメータに変化はなく、白血球数(WCC)はサイクルを通して正常のままであった。生化学検査の結果は、14回投与後でも特記すべきものはなかった。注目すべきは、CA19-9マーカーが120,000 kU/lを超えて5,310 kU/mlに着実に低下し、CRPレベルが投与13回で64mg/Lから7mg/Lに低下したことであった(
図32Aおよび32B)。
【0417】
12回投与後、末梢血単核細胞(PBMC)由来の主要な免疫細胞サブセットの免疫表現型検査により、好ましい抗腫瘍反応を裏付ける可能性のある複数の細胞型内の変化が明らかになった(Gating戦略-
図38)。マクロファージおよび樹状細胞の前駆体である全CD14+単球は、中間体(CD14+CD16++)単球サブセット(69%増加;
図32D)を含むスクリーニング用量(D1)(
図32C)と比較した場合、D12で15.28%から31.39%に増加した(105%増加)。中間の単球はT細胞に抗原を提示する能力が最も高く、IL-12およびIFN-繧フ抗原特異的誘導が優れている(Zie
gler-Heitbrock and Hofer、2013)。
【0418】
骨髄性樹状細胞(mDC)の28%の増加および形質細胞様DC(pDC)の60%の減少も観察され(
図32F)、CD8+エフェクターT応答を駆動する原因であるClec9A+骨髄性樹状細胞(mDC)もまた増加した(D12で98%)(
図32E)。この増加は、D12におけるエフェクターCD8+ T細胞(50%増加)を含む全細胞傷害性CD8+ T細胞(60%)の増加と一致していた(
図32G)。エフェクターCD8+ T細胞プールは単球、マクロファージまたは樹状細胞によって提示された抗原と最近相互作用し、腫瘍および/またはEDV抗原特異的T細胞を含むCD8+ T細胞である。消耗したプログラム死-1(PD-1+)表現型を発現する細胞傷害性CD8+ T細胞は、PD-L1を発現する腫瘍細胞による長期の細胞活性化とPD連結への感受性を示す、D1と比較してD12で17%減少した。この方法は腫瘍および腫瘍排出リンパ節内でよく起こる。このケーススタディで観察された結果は、前臨床マウスモデルで観察された結果と同様の傾向をたどる。
【0419】
考察:このデータは、スーパーサイトトキシン682を負荷した標的EDVが本剤を腫瘍部位に効果的に送達するだけでなく、複数の免疫細胞サブセットを刺激することによって免疫療法として挙動する能力を示している。Ep-EDV-682処理が、マクロファージ、NK細胞およびCD8+ T細胞を含む免疫細胞サブセットを、腫瘍細胞を効果的に排除することができる抗腫瘍表現型に向かって押すことができることが実証されている。この薬物の有効性と組み合わせると、腫瘍に二重の攻撃をもたらす。
【0420】
静脈内投与後、EDVはその漏出性血管系を介して腫瘍に溢出し、ここで、それらの毒性ペイロードを有する標的EDVの投与用量の30%以上が2時間以内に腫瘍微小環境に直接沈着する(MacDiarmidら、2007b)。EpCAM標的化EDVは腫瘍細胞上の表面発現EpCAM(この場合、4T1およびCT26Ep12.1)に結合し、次いで、それらのペイロード(682)を腫瘍細胞内に直接的に有効に送達する。682は、腫瘍細胞に送達されてから24時間以内に迅速なアポトーシスを生じる非常に強力な超細胞毒である(
図33A)。次に、Ep-EDV-682処理によって産生されたアポトーシス細胞
およびDAMPシグナルは腫瘍関連マクロファージ(TAM)などの自然免疫細胞と相互作用し、CD86のアップレギュレーションおよびTNFアルファおよびIL-6などのTh1炎症誘発性サイトカインの産生を刺激することができる(
図33B)。
【0421】
さらに、EDV自体も、TAMと直接相互作用して、同様のM1分極を生成することができるが、これは現在のシステムにおいて非常に低いレベルで起こることが予想される。ここでは、4つの異なる腫瘍モデルにおいて、腫瘍微小環境内のM1:M2バランスをシフトさせるEp-EDV-682処理の能力が実証されている。異なる腫瘍モデルにおけるこのシフトの程度の差にもかかわらず、M1極性化の増加は、Ep-EDV-682で処理されたマウスの腫瘍から単離されたTAMによる腫瘍細胞溶解の増加に翻訳されることが示された。M1への表現型シフトに加えて、Ep-EDV-682処置マウスの腫瘍からのTAMは免疫細胞動員、特にNK細胞、CD4
+ T細胞およびCD8
+ T細胞による腫瘍浸潤を促進する役割を果たすことが確立されているケモカインであるMIP-1α(
図33C)も分泌した(Allenら、2018)。
【0422】
EDV処置は、死んでいる腫瘍細胞に応答して、腫瘍微小環境内のDCのインビボプライミングおよび成熟を可能にする(
図33D)。成熟過程の間、DCはT細胞への抗原提示のために腫瘍排出リンパ節に移動し、それによって、CD4
+ Tヘルパー細胞および腫瘍に対する適応免疫反応を開始する腫瘍特異的CD8
+ CTLの産生を増加させる(
図33E)。
【0423】
マクロファージおよびDC抗腫瘍機能を増強することと併せて、EDV処置は、NK細胞活性化を誘発し得、増加した細胞毒性を導く(
図33F)。NKG2D受容体のアップレギュレーションはEp-EDV-682で処理したマウスの腫瘍内のNK細胞上で観察され、この受容体はEp-EDV-682処理マウスから単離したNK細胞の細胞溶解能に有意に寄与することが実証された。さらに、未成熟、中間および成熟マウスNK細胞はケモカインMIP1αおよびRANTESに結合することができるCCR1およびCCR5ケモカイン受容体の両方を発現し、それらの両方はEp-EDV-682処理腫瘍ならびにEp-EDV-682処理マウス由来のマクロファージおよびNK細胞によって増加される(Bernardiniら、2016年)。
【0424】
MIP1αおよびRANTESなどのケモカインは腫瘍微小環境へのNK細胞、マクロファージ、およびT細胞を含むヘルパーおよびエフェクター免疫細胞のさらなる動員に関与する(
図33G)(Allenら、2018; Bernardiniら、2016; Zibertら、2004)。マクロファージ、NK細胞、およびDCを包含するEDV処理による最初の先天性免疫応答に続いて、適応免疫応答がマウントされ、そこでは腫瘍特異的CTLおよびT-ヘルパー細胞が産生され、次いで腫瘍部位に動員される(
図33H)。次いで、腫瘍特異的CTLは標的化された薬物負荷EDVと組み合わせて他の免疫細胞サブセットによって作り出された優先抗腫瘍環境にさらに寄与する腫瘍細胞を標的化し、溶解する。標的化された薬物負荷EDV治療は腫瘍微小環境内のTh1サイトカイン(TNFα、IFNα、IFNγ、IL-2、およびIL-6)の増加によって証明されるように、主にTh1反応を誘発する。先に述べたように、自然免疫細胞サブセットは、活性化されると、これらの特定のサイトカインの1つ以上の主要な供給源となる。T細胞は同様に、前述のサイトカインの全てを産生し得る(BelardelliおよびFerrantini,2002; LeeおよびMargolin,2011)。先天性免疫細胞またはT細胞のいずれかによるこれらのサイトカインの放出はさらなる免疫細胞の同時刺激、活性化、増殖、および増加した抗原提示に関与し、免疫系の抗腫瘍活性をさらに増強するフィードバックループを作製する(
図33I)(LeeおよびMargolin、2011)。
【0425】
方法及び材料
EnGeneIC Dream Vector (EDV):EDVは先に記載したように Salmonella enterica serovar Typhimurium(STyphimurium)minCDE-strainから産生され、精製された(MacDiarmidら、2007b)。薬物負荷、抗体標的化、凍結乾燥、および用量調製は以前に記載されている(MacDiarmidら、2007b; Sagnellaら、2018)。EDV調製物は、Zetasizer NanoシリーズおよびNanoSight LM20(Malvern Instrument)を用いた動的光散乱を用いてEDVサイズおよび数を評価する厳密な品質管理の対象とした。エンドトキシンレベルを、Endosafeポータブル試験システム(Charles River)を用いて評価した。薬物をEDVTM調製物から抽出し、先に記載したように高速液体クロマトグラフィーによって定量した(MacDiarmidら、2007b)。
【0426】
流量サイトメトリー:全ての流量サイトメトリーをBeckman Coulter Gallios 6Cで行い、Kaluzaソフトウェア(Beckman Coulter)を用いて分析した。
【0427】
細胞培養: RAW264.7細胞(ATCC)を、10% FCSを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Sigma)中で約70%コンフルエンスまで増殖させ、細胞スクレーパーを用いて継代培養した。モウスがん細胞系(4T1およびCT26)は10% FCSを含んでいるRPMI-1640培地(Sigma)の単層で成長させ、リン酸塩緩衝塩素(PBS)/Trypsin EDTAを用いて週2~3回継代培養した。全ての細胞を、5% CO2を含む加湿大気中で37の培養物中で維持し、そして日常的にスクリーニングし、そしてマイコプラズマを含まないことを確認した。マウス細胞株におけるEpCAM発現および受容体数を、Quantum Simply Cellular anti-Rat IgGミクロスフェア(Bangs Laboratory)を使用して、APC抗マウスCD326(Biolegend)を用いたフローサイトメトリーを使用して定量した。CT26はEpCAMについて陰性であることが示されたので、細胞をLipofectamine 2000(Thermo Fisher)を用いてマウスEpCAM ORFクローン(NM_008532.2)(Genescript)を含むDYKpCDNA3.1+Cで形質移入した。G418選択を使用して、CT26クローンを発現するEpCAMの純粋な集団を得、そして細胞をEpCAM発現について上記のようにスクリーニングした。クローンについて、増殖速度、薬剤感受性およびin vivo腫瘍原性を調べ、上記3つのパラメータが親CT26細胞株と類似している高いEpCAM発現を有するものを、その後のすべての研究(CT26Ep12.1)のために選択した。
【0428】
骨髄由来DC(BMDC):Balb/cマウスの大腿骨および脛骨から骨髄を分離した。赤血球溶解および洗浄後、細胞をAIMV + 5%FBS+2-メルカプトエタノール+ペニシリン/ストレプトマイシン+20ng/ml GM-CSF(MILtenyi Biotec)に再懸濁し、7日間増殖させた。
【0429】
RAW264.7細胞のEDVでの処理: RAW264.7細胞を、1ウェルあたり3×105細胞で6ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。次いで、培地を、以下の1μg/mL LPS(Sigma);100pmol PNU-159682(Najing Levena);Ep-EDV-682(500:1および1000:1-EDV:細胞)、Ep-EDV(5000:1-EDV:細胞)のうちの1つを含む新鮮な培地で置き換えるか、または未処理のままにした。細胞を、処理の6時間後および24時間後に、細胞スクレーパーを使用して回収し、そして試料を、DAPI(Sigma)、抗CD45 Brilliant Violet 510(BioLegend)、抗CD86 APC-Cy7(BioLegend)、および抗CD206 AF488(R&D Systems)で染色し、そしてフローサイトメトリーによって評価した。
【0430】
マクロファージおよびDC/腫瘍細胞共培養: CT26Ep12.1および4T1細胞をVersene(Gibco)で回収し、細胞を1mLのエッペンドルフ管に回収した。細胞を、Ep-EDV(1000:1および5000:1-EDV:細胞);Ep-EDV-682(500:1および1000:1-EDV:細胞);Ep-EDV-Dox(10,000:1-EDV:細胞)、100pmol PNU-159682、5μMドキソルビシン、または培地単独を含む10%FBS(Bovogen)を補充した1mLのDMEM(Sigma)に再懸濁した。薬物およびEDV量は選択された濃度が処置後最初の24時間以内に細胞死の開始を生じるように、MTSおよびXCELLigenceリアルタイム実験を介して確立した。次いで、細胞をPBSで十分に洗浄して、任意の非接着性EDVまたは過剰の薬物を除去した。処理した腫瘍細胞を、RAW264.7またはBMDCのいずれかで、腫瘍細胞: RAW264.7/BMDC/JUT IIの1:1の比率で一夜培養した。上清をELISA分析のために回収した。RAW264.7/腫瘍細胞共培養物を、細胞スクレーパーを使用して収集し、そして試料を、DAPI(Sigma)、抗CD45 Brilliant Violet 510(BioLegend)、抗CD86 APC-Cy7、および抗CD206 AF488で染色し、そしてフローサイトメトリーによって評価した。JAWSII/腫瘍細胞およびBMDC/腫瘍細胞共培養物をバーゼンで収集し、DAPI(Sigma)、CD11bAF488(Abcam)、CD11c PE(Molecular Probes)、抗CD45Brilliant Violet 510またはPECy5(BioLegend)、anti-CD86 APC-Cy7、MHCクラスII PECy5(Thermo Fisher)、MHCクラスII Brilliant Violet421(BioLegend)、7-AAD(BioLegend)、および/またはCD80PE(Thermo Fisher)で染色し、フローサイトメトリーによって評価した。RNAeasy Plus Mini Kit (Qiagen)を製造者のプロトコールに従って使用して、BMDC/腫瘍細胞共培養物からRNAを抽出した。簡単に述べると、細胞を溶解し、RLT緩衝液中でホモジナイズし、gDNAエリミ
ネータースピンカラムに通した。70%エタノールをフロースルーに添加し、次いで試料をRNeasyスピンカラムに通し、洗浄し、RNaseを含まない水中で溶出した。RNA濃度はエッペンドルフ生物光度計プラスで測定した。RNAを使用して、製造者のプロトコールに従ってSuperScriptTMVILOTMCDNAシンセシスキット(サーモフィッシャー)を使用してCDNAを逆転写した。転写されたCDNAをqPCRのために1:2に希釈した。各qPCR反応は、5μL TaqMan fast advancedmaster mix(Thermo Fisher),0.5μL 20X Taqmanプライマー/プローブ混合物(IFNα Mm03030145_gH、IFNb1 Mm00439552_s1、GAPDH Mm99999915_g1; Thermo Fisher)および2.5μLの水を含んでいた。8μLの混合物および2μLのCDNAを96ウェルプレートに添加した。qPCRは、Applied Biosystems Real-TimEp CR Systemを用いて行った。データをエクセルにエクスポートし、ΔΔCtから相対定量を計算した。
【0431】
インビボ腫瘍モデル:すべての動物実験は、EnGeneIC動物倫理ガイドラインに従って、AEC 1/2016、AEC 14/2016、AEC 15/2011、およびAEC 11/2017の下で実施した。4T1およびCT26Ep12.1モデルについては、6~8週齢の雌BALB/cマウスをAnimal Resources Centreから得た。T84およびA549/MDRモデルについては、5~7週齢のBALB/c Fox1nu/ARCを動物資源センターから入手した。少なくとも1週間の観察後に、50μLのPBS当たり5×104の4T1細胞を右側の第3の乳房脂肪パッドに、または100μLのPBS当たり2×105のCT26Ep12.1をBALB/cマウスの右側腹部に皮下注射した。ヒト異種移植片については、100μLのPBS/Matrigel(シグマ)あたり5×106 A549/MDRまたは1×107T84を右側腹部に河下注射した。4T1モデルに対する腫瘍誘発後7日目、平均腫瘍径が約90mm3であった場合には治療を開始し、CT26Ep12.1モデルについては9日目に、平均腫瘍径が約125mm3 のマウスを、生理食塩水、1×109 EpCAM標的EDV(Ep-EDV)、またはPNU-159682(Ep-EDV-682)を負荷した1×109 EpCAM標的EDVのうちの1つを用いて、週3回、2週間、腹腔内静脈注射により治療した。腫瘍を週3回測定し、腫瘍体積をπ/6(長さ×幅×高さ)として計算した。2週間の期間の終わりに、マウスを人道的に安楽死させ、ex vivo分析のために腫瘍および脾臓を採取した。A549/MDRおよびT84腫瘍の治療は、腫瘍がそれぞれ100~120mm3および120~150mm3に達したときに開始した。マウスを、生理食塩水、ドキソルビシン(EGFR-EDV-Dox)を負荷した1×109 EGFR標的EDV、PNU-159682(EGFR-EDV-682)を負荷した1x109 EGFR標的EDV、またはPNU-159682(EDV-682)を負荷した1×109 非標的EDVで処理した。
【0432】
4T1およびCT26Ep12.1腫瘍からのCD11b
+細胞の単離:腫瘍を解剖し、秤量し、そしてgentleMACS(商標)Dissociatorを使用して、製造業者の指示に従って37で組織解離キット(Miltenyi Biotec)を使用して酵素的に消化した。解離後、赤血球溶解緩衝液(Sigma)を用いて赤血球を除去した。洗浄後、細胞を70μm細胞ストレーナーに通して、凝集塊を除去した。CD11b
+細胞を、MACS分離器(Miltenyi Biotec)上のLSカラム上のCD11b MACSビーズ(Miltenyi Biotec)を使用する陽性選択によって精製した。単離されたCD11b
+細胞集団の純度を、APC抗マウスCD11b(Biolegend)を用いたフローサイトメトリーによって評価し、約80%純粋であることが示された(
図39A)。
【0433】
脾臓からのNKおよびCD8の単離:脾臓を、Dounceホモジナイザーを使用してホモジナイズし、70μmメッシュストレーナーを通して濾過して、単細胞懸濁液を得、続いて、RBC溶解緩衝液を使用して赤血球溶解した。次いで、脾細胞を洗浄し、細胞数を実施してから、NKまたはCD8+ T細胞単離に進行した。NK細胞およびCD8+ T細胞を、NK細胞単離IIキット(Miltenyi Biotec)またはCD8a+ T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)のいずれかを使用して、製造業者の説明書に従って、ネガティブ選択によって解離脾臓細胞から単離した。MACSセパレーター(Miltenyi Biotec)上のLSカラムを用いて細胞を分離した。NK細胞およびCD8+ T細胞調製物をフローサイトメトリーによって評価し、NK細胞純度は一貫して90%よりも高かったが(
図39B)、CD8+ T細胞純度は一貫して86%よりも高かった(
図39C)。NK細胞を、NK細胞媒介細胞溶解アッセイの前に、37℃で10% FBSを補充したRPMI-1640倍地中で一晩休止させた。CD8+ T細胞を、単離直後に腫瘍細胞に加え、CD8+ T細胞溶解を評価した。
【0434】
xCELLigenceは、腫瘍細胞のCD11b+、CD8+、およびNK細胞細胞溶解を監視した:細胞増殖特性および腫瘍細胞死を、xCELLigence DPシステムによりリアルタイムで監視した。そうするために、組織培養ウェルの基部を覆う円形電極は電気インピーダンスの変化を検出し、インピーダンス値を細胞指数(CI)に変換する。細胞指数測定値は、細胞接着の強度および細胞数に直接対応する。標的細胞(4T1、CT26Ep12.1、A549/MDR、またはT84)をEプレート16に播種した。細胞を付着させ、それらが対数増殖期に達するまで増殖させた。エフェクター細胞(CD11b+細胞、NK細胞又はCD8+ T細胞)は、5:1(CD11b+:腫瘍細胞)、20:1(NK細胞:マウス腫瘍細胞)、10:1(NK:ヒト腫瘍細胞)及び30:1(CD8+ T細胞:腫瘍細胞)のエフェクター/標的細胞比で標的細胞に添加された。エフェクター細胞を加えた後、このシステムは3~4日間、定期的に測定し(5分または15分毎)、免疫細胞が仲介する腫瘍細胞の殺傷をモニターした。
【0435】
NK細胞媒介細胞溶解阻害:マウス腫瘍細胞株を、最初にanti-Rae―1α/β/γ-PE(Miltenyi Biotec)、anti-H60a―PE(Miltenyi Biotec)、およびanti-MULT―1 PE(R&D Systems)によるフローサイトメトリーを介してNK細胞リガンド発現についてスクリーニングした。これらのリガンド発現レベルに基づくNK細胞媒介細胞溶解阻害のために、エフェクターNK細胞を、以下のNK細胞リガンド:anti-RAE-1αβγ(R&D Systems)またはanti-H60(R&D Systems)に対する3μg/mlのブロッキン
グmAbの存在下で、別々におよび混合物として標的細胞に添加した。xCELLigenceデータをExcelで変換し、グラフ化および統計解析のためにPrism(GraphPad Software)にエクスポートした。
【0436】
腫瘍/脾臓フローサイトメトリー:腫瘍および脾臓を上記のように解離させた。赤血球溶解後、細胞をMACS緩衝液(Miltenyi Biotec)中で1:10のFcブロックと共に10分間インキュベートした。10分間インキュベートした後、細胞を1回洗浄し、MACS緩衝液中の一次抗体パネルと共に、暗所で氷上で15分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、次いでフローサイトメトリー分析のために緩衝液に再懸濁した。T細胞、NK細胞およびマクロファージ染色パネルでは以下の抗体が用いられた。:anti-CD45 PECy7 (BioLegend)、anti-CD45 BV510 (Biolegend)、anti-CD3e APC-eFluor780 (eBioscience)、 anti-CD3 APC (Molecular Probes)、anti-CD4 PE―TR (Abcam)、anti-CD8a FITC (eBioscience)、anti-CD8 BV510 (BioLegend)、anti-CD25 PE (Abcam)、anti-CD314(NKG2D)、PE-eFluor610 (eBioscience)、anti-CD335 (NKp46)PECy7 (BioLegend)、anti-CD27 BV421 (BioLegend)、ant-CD183 (CXCR3) BV510 (BioLegend)、anti-NKG2A/C/E FITC (eBioscience)、anti-CD11b APC (BD Pharmingen)、anti-Ly6C FITC(BioLegend)、 anti-Ly6G BV510 (BioLegend)、anti-F4/80 PE Dazzle594 (BioLegend)、anti-CD206 PECy7 (BioLegend)およびanti-CD86 APC―Cy7 (BioLegend)。単一染色対照および/またはversacomp(Beckman Coulter)ビーズを蛍光補償のために使用した。DAPI (
Sigma)、ヨウ化プロピジウム(Sigma)、DRAQ5(Thermo Fisher)、またはlive/Dead Yellow(Thermo Fisher)を生細胞検出に使用した。未染色およびアイソタイプ対照を用いて、自己蛍光量を決定し、抗体特異性を確認した。
【0437】
サイトカインおよびケモカイン検出(腫瘍および脾細胞):マウス腫瘍における間質サイトカインおよびケモカインレベルを測定するために、腫瘍を全ての皮膚を除去して注意深く解剖し、無血清培地に入れ、重量を測定した。次いで、腫瘍を、エッペンドルフ micropestles(Sigma)を使用して穏やかに破壊し、大きな断片が見えないことを確実にした。細胞懸濁液を遠心分離し、上清を収集し、分析まで-80で保存した。脾細胞/腫瘍細胞共培養のために、脾臓を解離させ、腫瘍を以前に記載されたように酵素的に消化した。次いで、同じマウス同様の脾細胞および腫瘍を、10:1の比率で組織培養プレートに入れ(脾細胞:腫瘍細胞)、72時間まで培養した。上清を24、48および72時間で回収し、分析まで-80で保存した。マウスIL-1β、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-6、IFNα、IFNβ、RANTESおよびMIP-1αについて、製造業者の指示に従って腫瘍および脾細胞上清を分析した。IFNαキットはPBL Assay Scienceから入手し、IL-β、ATNF-α、IL-2、IL-4、IL-6、IFNγ、ARANTES(CCL5)およびMIP-1α(CCL3)デュオセットキットはR&Dシステムから入手した。各ELISAは、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(Sigma)基質を用いて開発した。マイクロウェルプレートを、Biotek uQuantプレートリーダーにおいて、参照波長として540nmを用いて450nmで読み取った。KCジュニアソフトウェアを使用して、4つのパラメータロジスティック曲線を標準に適合させ、試料を補間した。各アッセイの最小検出可能濃度(MDC)は、応答のs.d.に10を掛け、変曲点における標準曲線の勾配で割ることによって計算した。
【0438】
共焦点顕微鏡法: 4T1細胞をLab-Tekチャンバースライド(Sigma)上に播種し、24時間付着および増殖させた。単離したCD8+ T細胞を4T1細胞に添加し、8時間放置し、その時点で細胞を4%パラホルムアルデヒド中で固定した。細胞を洗浄し、PBS(PBST)中の0.5%トリトン-x-100で透過処理した。細胞を3%BSAで30分間ブロックし、続いてPBSTで希釈した一次抗パーフォリン抗体(Abcam)とインキュベートした。洗浄後、細胞を二次ヤギ抗ラットIgG Alexafluor 488(Abcam)とインキュベートし、続いてAlexaFluor 568 Phalloidin(Thermo Fisher)とインキュベートした。細胞を、DAPI(Thermo Fisher)を含むProlong Diamond Antifadeでマウントし、そして画像化の前にマニキュア液で密封した。画像をZeiss LSM 780で取得し、画像は合併して、画像Jで処理した。
【0439】
ステージIVの膵管腺癌の症例提示:67歳の白人女性、初発症状が黄疸であったCEBは、以前に膵管腺癌(PDAC)に対して膵臓、胆、十二指腸、脾臓および胃の一部と周囲リンパ節を除去するための完全なWhipple法を受けていた。膵頭部と膵尾部に腫瘍を認め、ステージ IVと診断した。他の施設でゲムシタビンとその後のFOLFIRINOXによる治療を受けたが、治療中に肝臓に広範な転移性疾患を発症していた。彼女の化学療法の終了時に、ホイップル処置の16ヶ月後に、彼女は全ての治療選択肢を使い果たし、彼女の体重は62kgから45kgに減少し、彼女はオーストラリア治療薬局(TGA)コンパシオン酸塩使用スキームの下で投与することができる実験的EDV治療を求め、中皮腫(van Zandwijkら、2017)および再発性神経膠芽腫(Whittleら、2015)についての第I相試験において以前に試験されていた。シドニーのRoyal North Shore Hospitalの腫瘍科病棟で、CEBを第1サイクルとして週2回、7週間投与した。しかしながら、彼女の弱体化した状態のために、そしてEDVに固有のリポ多糖に対する耐性を潜在的に構築するために、用量は、サイクル内でゆっくりと増加した(以下の表17)。
【0440】
【表17】
投薬は20mlのnikiポンプを介して20分間にわたり投与され、前のように投薬の前に前投薬が与えられた(van Zandwijkら、2017)。血清生化学的検査、血液学的検査およびサイトカイン発現を、各投与の前と3時間後に評価した。CA19-9およびC反応性タンパク質量を少なくとも週2回モニターした。末梢血単核細胞(PBMC)を、抗腫瘍免疫細胞数の変化について、投与前およびサイクル終了時にフローサイトメトリーにより調べた。最初の外科的切除から腫瘍組織を得て、PDAC細胞を培養し、薬物感受性および表面受容体発現について試験した。
【0441】
統計:全ての統計分析を、GraphPad Prismソフトウェアパッケージを使用して行った。データは、平均±標準偏差(SD)または平均の標準誤差(SEM)として表され。2群間の統計的有意性は、スチューデントのt検定によって決定した。3群以上の群間の統計学的有意差は、一元配置分散分析、続いてTukeyの多重比較検定により判定した。腫瘍退縮研究の意義は、二元配置ANOVAに続いてTukeyの多重比較検定により決定した。すべての検定について、p値は以下のとおりであった:* p0.05、** p0.01、*** p0.001、および**** p0.0001。
【0442】
実施例22:JAWSII細胞のEDVα-GC処理およびその後のCD1dリガンドを介するαGCの表層提示
この実施例は、癌細胞に対するαGCおよび遊離αGCのEDV送達を対比する。
【0443】
使用セル:マウス未成熟単球JAWSII(ATCC(登録商標)CRL-11904TM)。
【0444】
Perfecta3D96-Well Hanging Drop Plate調製:3D懸滴プレートの上側および下側トレイリザーバを、P1000ピペットを使用して溶融1%アガロースで満たした(1gのアガロースを100mlの水に溶解し、マイクロ波で溶解し、~50に冷却させた)。プレートを乾燥させ、室温で少なくとも30分間沈降させた。次いで、懸滴プレートの外側ウェルを、50μLの無菌細胞培養培地(細胞なし)/ウェルで満たした。
【0445】
JAWSIIスフェロイドのEDV
α-GC処理:JAWSII細胞を1000ng/mlのαGC(陽性対照);未処理細胞と比較した空のミニ細胞およびミニ細胞
αGCで処理し、処理後8時間、16時間、24時間および48時間で収集した(
図46A~46D)。
【0446】
JAWSII細胞の単細胞懸濁液への解離:JAWSII細胞を半懸濁培養物としてT25またはT75フラスコ中で増殖させた。ピペット助剤を用いてピペッティングすることにより、培養培地を滅菌50ml管に注意深く収集し、フラスコの培養表面を5mlの滅菌PBSで2回洗浄し、各洗浄後に同じ滅菌50ml管に収集した。接着細胞を、5mlの0.25%トリプシン/EDTAの添加によって収集し、そして37で3分間、または全ての細胞がフラスコの表面から持ち上げられるまでインキュベートした。持ち上げた細胞を、ピペット補助を用いて穏やかにピペッティングすることによって、注意深く単一細胞に分け、前の工程で使用した試料無菌50ml管に移した。次いで、細胞懸濁液を300gで7分間遠心分離し、上清を注意深くデカントした。細胞ペレットを、チューブの底を指でフリックすることによって解離させ、5mlの予め温めたJAWSII培養培地に再懸濁した。細胞懸濁液を、ピペット補助を用いて注意深くピペッティングすることによって、単一細胞にさらに解離させた。細胞数を決定するために、10μLの細胞懸濁液を10μLのトリパンブルー溶液と混合し、EVE自動細胞カウンターを用いて分析した。
【0447】
最初の処理調製:6つの懸滴懸濁液サンプルを、各処理群について、時点ごとに使用した。5×104JAWSII細胞および5×108ミニ細胞(ミニ細胞対細胞の比率1:1000)をそれぞれの処理試料に使用し、JAWSII細胞培養培地中で総量50μLで培養した。アイソタイプ対照のために、余分な未処理試料を調製した。適量のミニ細胞を7分で12,000gで遠心法によりペレット化し、ピペットで上清を注意深く除去した。適切な量の生きたJAWS細胞(前のセクションからの細胞数に基づく)を、ペレット化されたミニ細胞に添加した。次いで、穏やかなピペッティングによって、ミニ細胞をシングルミニ細胞-細胞懸濁液に解離させた。次いで、滅菌培養培地を添加することによって、各サンプルの最終容量を作製した。未処理試料およびαGC処理試料については、5×104のJAWSII細胞を各サンプル使用し、総体積50μLのJAWSII細胞培養培地中で培養した。適切な量の生きたJAWSII細胞をエッペンドルフチューブに移した。次いで、滅菌培養培地を添加することによって、各サンプルの最終容量を作製した。1000ng/mLのαGCを、1000ng/mLのαGC(陽性対照)処理群で処理したJAWSII細胞のための細胞懸濁液に直接添加した。次いで、試料を、50μLの処理懸濁液/ウェルで懸滴プレートの各々のウェルに注意深く播種し、そして収集まで5% CO2で37℃でインキュベートした。
【0448】
処理したJAWSII細胞を抗αGalCer:mCD1d複合体モノクローナル抗体で染色する:各懸滴ウェルの全内容物を、P200ピペットを用いて注意深く収集し、エッペンドルフチューブに移した。合計6個のサンプルを、各処置群について1つのチューブに収集した。1:1000PE結合抗マウスαGalCer:mCD1d複合体モノクローナル抗体および1:1000PE結合マウスIgG1アイソタイプコントロールを適切なサンプルに添加し、穏やかにボルテックスすることによって混合した。GalCer:mCD1dモノクローナル抗体は、GalCer:CD1d複合体の細胞表面露出部分に結合する。次に、試料を暗所で室温で20分間インキュベートした。次いで、試料を350gで5分間遠心分離することによってペレット化した。注意深くピペッティングすることによって上清を除去し、ペレットを再懸濁し、500μLのFACS緩衝液中で1回洗浄した。次いで、細胞を350gで5分間の遠心分離によって収集し、250μLのFACS緩衝液に再懸濁し、FACS管に移した。1μLのDAPIを各サンプルに添加し、チューブを穏やかに旋回させることによって混合した。次いで、試料を、Galliosフローサイトメーターを使用して分析した。
【0449】
結果:フローサイトメトリーデータ(
図45)はミニ細胞
α-GCで処理したJAWSII細胞および遊離α-GCで処理したJAWSII細胞について、抗GalCer:mCD1dで染色した後に、ミニ細胞単独で処理したJAWSII細胞および未処理のJAWSII細胞と比較して、明らかな変化を示した。この陽性染色は、ミニ細胞によるα-GCのJAWSII細胞への送達およびその後の細胞表面上に糖脂質を提示するCD1d分子による細胞表面上の抗原提示の成功を確認する。α-GCの提示は、抗腫瘍活性に不可欠なII型IFNカスケードを引き起こすインバリアントNKT細胞による受容体認識を導く重要な工程である。
【0450】
実施例23:同種マウスモデル(Balb/cマウスのEpCT26マウス結腸癌)でのEpミニ細胞Doxとミニ細胞α-GCの組合せ処理を使用したインビボ検討
この実施例は、腫瘍に対するミニ細胞含有治療薬およびミニ細胞含有インターフェロンII型アゴニストの効力を例示する。この結果は、インターフェロンI型アゴニストを欠く組成物が腫瘍を効果的に処置するために使用され得ることを実証する。
【0451】
マウスおよび処置(実験1~3):Balb/Cマウス、雌、6~7週齢を、Animal Resources Company(西オーストラリア)から入手した。実験を開始する前に、マウスを1週間順応させた。CT26細胞(マウス結腸癌)をEpCAM抗原を発現するプラスミドで安定に形質転換し、安定なクローン(Epclone12.1)を樹立した。このクローンは、細胞の表面上にEpCAMを発現した。すべての動物実験は、全米保健医療研究審議会、実験動物の飼養および使用に関するオーストラリアのガイドライン、およびEnGeneIC動物倫理委員会の承認を受けて実施した。
【0452】
CT26(Epクローン12.1)同種移植片を、それぞれのマウスの左側腹部に100μLのPBS当たり2×105細胞を皮下注射することによって確立した。腫瘍は移植後8日以内に約125mm3の開始体積まで増殖した。マウスを各投与群につき8匹のマウスで無作為に群分けした。Epミニ細胞Dox、ミニ細胞α-GC、およびEpミニ細胞+ミニ細胞α-GC組合せ)を用いて、生理食塩水処理のみと比較した。
【0453】
投与は週3回、2週間行った。
Epミニ細胞
Dox は、一回および組合せ処理で一回当たり1×10
9ミニ細胞で与えた。ミニ細胞
α-GC を実験1(
図40)および3(
図42)では1×10
7 で、実験2(
図40)では1×10
8で投与した;ここで、生理食塩水群はまた、腫瘍体積が800mm
3に達したときにチャレンジした。
【0454】
結果:3つの実験はすべて、Epミニ細胞Dox+ミニ細胞α-GCを受けた併用治療群について、生理食塩水およびEpミニ細胞Dox 治療と比較して、腫瘍進行の顕著な停止を示した。この結果は、ミニ細胞α-GC処理にEpミニ細胞Dox処理を追加することにより、非補助的効果の理論を支持する。また、ミニ細胞α-GC単独での治療も、実験2で最も良かったように、併用治療の程度ではないもの、3つの実験すべてにおいて、がんの進行に歯止めがかかっていることが示された。
【0455】
実験2では、生理食塩水で処置した対照腫瘍が薬物およびα-GCEDV媒介併用療法への処置変更後に劇的な腫瘍退縮を示した(
図41)。800mm
3に達した腫瘍は、試験終了の3日前に600mm
3未満に低下した。
【0456】
マウスおよび処置(実験4):6~7週齢のBalb/cマウスの左側腹部に2×10
5細胞/100μLのPBSを皮下注射することにより、CT26(Epクローン12.1)同種移植片を確立した。腫瘍をおよそ200~250mm
3 または600~800mm
3まで増殖させた後、治療を開始した。マウスを6群、各群3匹に無作為に割り付けた。マウスには1回のみ投与した。処置群には、生理食塩水(
図43C)、
Epミニ細胞
Dox (1x10
9)(
図43F)、ミニ細胞
α-GC(1x10
6)(
図43E)、ミニ細胞
α-GC(1x10
7)(
図43D)、
Epミニ細胞
Dox1x10
9 +ミニ細胞
α-GC(1x10
6)(
図43B)、
Epミニ細胞
Dox(1x10
9)+ミニ細胞
α-GC (1x10
7)(
図43A)が含まれる。
【0457】
マウスを、200~250mm
3(
図43)腫瘍については処置の24時間後に、600~800mm
3腫瘍については16時間および24時間後に屠殺した(
図44)。
【0458】
結果:CT26同系腫瘍担持Balb/cマウスにおけるミニ細胞α-GC投与の単独および併用の影響を、上記のような単回投与で種々のサイズの腫瘍を処置することによってさらに調査した。興味深いことに、200~250mm3および400~600mm3の腫瘍を有する両方のマウスにおいて、腫瘍は、投与の24時間以内に顕著な壊死(黒色)を発症することが見出された。この影響は腫瘍が大きいほど顕著であり、対照群では認められなかった。
【0459】
まとめると、このデータは、ミニ細胞含有治療薬とインターフェロンII型アゴニストの組み合わせが腫瘍に対する有効性を実証することを示している。この結果は、インターフェロンI型アゴニストを欠く組成物が、腫瘍を効果的に処置するために使用され得ることを実証する。
【0460】
当業者には、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の方法および組成物に様々な修正および変形を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲およびその均等の範囲内に入る限り、本発明の修正および変形を包含することが意図される。
【0461】
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