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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038221
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】放射線照射システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61N5/10 T
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222990
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2022531429の分割
【原出願日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】201911343833.7
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲貢▼秋平
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲韋▼霖
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、放射線生成装置及び載置台を含み、放射線生成装置で生成されたビームを載置台上の被照射体に照射する放射線照射システムを提供する。
【解決手段】放射線照射システムは、載置台を支持し、位置決め機構を含む載置台位置決め装置を更に含み、位置決め機構は、リニア軸を含み、載置台位置決め装置は、リニア軸に沿って平行移動することができ、リニア軸の延び方向は、放射線生成装置で生成されたビームの照射方向に平行である。本発明の放射線照射システムでは、載置台の位置決め過程において、載置台位置決め装置全体は、放射線生成装置で生成されたビームの照射方向に平行な方向に沿って平行移動し、載置台位置決め装置の大部分は、リニア軸とビーム出口との間の空間に位置し、載置台位置決め装置の各部材が放射線の照射により生成した放射性、及び引き起こされた耐用年数の短縮を抑える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線生成装置及び載置台を含み、前記放射線生成装置で生成されたビームを前記載置
台上の被照射体に照射する放射線照射システムであって、前記載置台を支持し、位置決め
機構を含む載置台位置決め装置を更に含み、前記位置決め機構は、リニア軸を含み、前記
載置台位置決め装置は、前記リニア軸に沿って平行移動することができ、前記リニア軸の
延び方向は、前記放射線生成装置で生成されたビームの照射方向に平行である、ことを特
徴とする放射線照射システム。
【請求項2】
前記位置決め機構は、ロボットアームを更に含み、前記ロボットアームは、前記リニア
軸と載置台との間に設置され、前記載置台を前記リニア軸に接続し、前記載置台をロボッ
トアームと共に前記リニア軸に沿って平行移動させる、ことを特徴とする請求項1に記載
の放射線照射システム。
【請求項3】
照射室を更に含み、前記リニア軸は、前記照射室の天井に取り付けられ、前記ロボット
アーム全体は、前記照射室の床に向かって延びる、ことを特徴とする請求項2に記載の放
射線照射システム。
【請求項4】
前記リニア軸は、固定されたスライドレールと、前記ロボットアームに接続されたブラ
ケットとを含み、前記ブラケットは、前記スライドレールに沿って摺動し、前記スライド
レールと前記ブラケットとの摺動表面から前記放射線生成装置のビーム出口の中心までの
、前記摺動表面に垂直な方向における距離は、2メートルより小さい、ことを特徴とする
請求項2に記載の放射線照射システム。
【請求項5】
前記ロボットアームは、前記ブラケットに固定接続された第1のアームと、前記第1の
アームに枢動可能に接続され、第1の枢動軸を定義する第2のアームと、前記第2のアー
ムに枢動可能に接続され、第2の枢動軸を定義する第3のアームと、前記第3のアームに
枢動可能に接続され、第3の枢動軸を定義する第4のアームと、前記第4のアームに枢動
可能に接続され、第4の枢動軸を定義する第5のアームと、前記第5のアームに枢動可能
に接続され、第5の枢動軸を定義する第6のアームと、前記第6のアームに枢動可能に接
続され、第6の枢動軸を定義する第7のアームとを含む、ことを特徴とする請求項4に記
載の放射線照射システム。
【請求項6】
前記第7のアームは、前記載置台に固定接続され、前記第2の、第3の、第5の枢動軸
は、前記摺動表面に平行であり、前記第4の枢動軸は、前記第3の枢動軸に垂直であり、
前記第1の、第6の枢動軸は、前記摺動表面に垂直である、ことを特徴とする請求項5に
記載の放射線照射システム。
【請求項7】
前記載置台位置決め装置を制御し、ユーザインタフェース、システム制御モジュール及
び位置決め制御モジュールを含む制御装置を更に含み、前記ユーザインタフェースは、前
記システム制御モジュールに接続され、前記システム制御モジュールは、前記位置決め制
御モジュールに接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の放射線照射システム。
【請求項8】
前記システム制御モジュールは、前記ユーザインタフェースから送信された命令を受信
した後に命令を前記位置決め制御モジュールに伝送し、前記位置決め制御モジュールによ
って前記位置決め機構の移動を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の放射線照射
システム。
【請求項9】
前記位置決め制御モジュールは、前記位置決め機構の位置情報を受信しかつ前記システ
ム制御モジュールに送信することができ、前記システム制御モジュールは、前記ユーザイ
ンタフェースが前記位置決め機構の位置情報を指示するように制御する、ことを特徴とす
る請求項7に記載の放射線照射システム。
【請求項10】
前記載置台位置決め装置は、前記リニア軸及びロボットアームの移動を駆動する駆動機
構を更に含み、前記位置決め制御モジュールは、前記駆動機構に接続され、前記駆動機構
を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の放射線照射システム。
【請求項11】
前記駆動機構の運転状態又はデータは、前記位置決め制御モジュールにより前記システ
ム制御モジュールにフィードバックされ、前記システム制御モジュール又は前記位置決め
制御モジュールは、前記駆動機構の運転状態又はデータに基づいて前記駆動機構を制御し
、前記システム制御モジュールは、前記駆動機構の運転状態又はデータを前記ユーザイン
タフェースに伝送して状態指示を行う、ことを特徴とする請求項10に記載の放射線照射
システム。
【請求項12】
前記載置台又は載置台位置決め装置には、前記システム制御モジュールに接続されたセ
ンサーが設置され、前記システム制御モジュールは、前記センサーの信号を受信した後に
前記位置決め制御モジュールに命令を送信して前記載置台位置決め装置の移動を制御し、
前記センサーの信号を前記ユーザインタフェースに伝送して状態指示を行う、ことを特徴
とする請求項7に記載の放射線照射システム。
【請求項13】
中性子捕捉療法システムであり、前記放射線生成装置は、中性子生成装置及びビーム整
形体を含み、前記ビーム整形体は、前記中性子生成装置で生成された中性子線を所定のビ
ーム品質に調整することができ、前記中性子生成装置で生成された中性子線は、前記ビー
ム整形体により前記載置台上の被照射体に照射される、ことを特徴とする請求項1に記載
の放射線照射システム。
【請求項14】
前記中性子生成装置は、加速器及びターゲットを含み、前記加速器によって加速して生
成された荷電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子線を生成する、ことを特徴とす
る請求項13に記載の放射線照射システム。
【請求項15】
前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射遮蔽体及びビーム出口を
含み、前記減速体は、前記ターゲットで生成された中性子を熱外中性子エネルギー領域に
減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、逸脱した中性子を前記減速体に導いて熱外
中性子ビームの強度を向上させ、前記熱中性子吸収体は、治療時に浅層正常組織に対する
余計な線量となることを避けるために、熱中性子を吸収し、前記放射遮蔽体は、前記ビー
ム出口以外の部分からしみ出る中性子及び光子を遮蔽する、ことを特徴とする請求項13
に記載の放射線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビーム等の放射線療法は、
すでにがん治療の主な手段の一つとなった。しかし、従来の光子又は電子療法は、放射線
そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路上の数多くの正常組
織に損傷を与える。また、腫瘍細胞により放射線に対する感受性の度合いが異なっており
、従来の放射線療法では、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例えば、多形神経膠芽腫(gli
oblastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対する
治療効果が良くない。
【0003】
腫瘍の周囲の正常組織の放射線損傷を軽減するすために、化学療法(chemothe
rapy)における標的療法が、放射線療法に用いられている。また、放射線耐性の高い
腫瘍細胞に対し、現在では生物学的効果比(relative biological
effectiveness、RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている(例え
ば、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法等)。このうち、中性子捕捉療法は、上記
の2つの構想を結びつけたものである。例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素含有
薬剤が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、従来
の放射線と比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
【0004】
放射線療法において治療台位置決め装置によりビームを治療台上の被照射体の体内の腫
瘍細胞と位置合わせすることにより、高精度な治療を実施すると共に、被照射体の腫瘍細
胞の周囲の正常組織に対する放射線損傷を最大限に抑える。中性子捕捉療法の過程におい
て、治療台位置決め装置は、中性子とガンマ線の混合放射線場に位置するため、中性子に
よって活性化されて二次放射が発生しやすくなると共に、放射線損傷により耐用年数が短
くなる。
【0005】
したがって、上記課題を解決するために、新規な技術手段を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る、放射線生成装置及び載置台を含み、前記放
射線生成装置で生成されたビームを前記載置台上の被照射体に照射する放射線照射システ
ムは、前記載置台を支持し、位置決め機構を含む載置台位置決め装置を更に含み、前記位
置決め機構は、リニア軸を含み、前記載置台位置決め装置は、前記リニア軸に沿って平行
移動することができ、前記リニア軸の延び方向は、前記放射線生成装置で生成されたビー
ムの照射方向に平行である。載置台の位置決め過程において、載置台位置決め装置全体は
、放射線生成装置で生成されたビームの照射方向に平行な方向に沿って平行移動し、載置
台位置決め装置の大部分は、リニア軸とビーム出口との間の空間に位置し、載置台位置決
め装置の各部材が放射線の照射により生成した放射性、及び引き起こされた耐用年数の短
縮を抑える。
【0007】
好ましくは、前記位置決め機構は、ロボットアームを更に含み、前記ロボットアームは
、前記リニア軸と載置台との間に設置され、前記載置台を前記リニア軸に接続し、前記載
置台をロボットアームと共に前記リニア軸に沿って平行移動させる。
【0008】
更に、前記放射線照射システムは、照射室を更に含み、前記リニア軸は、前記照射室の
天井に取り付けられ、前記ロボットアーム全体は、前記照射室の床に向かって延びる。リ
ニア軸は、天井に直接的に固定され、リニア軸固定機構、例えば、鋼構造ガントリーを別
途設置せず、照射室内の鋼の使用量を減少させ、固定機構が放射線によって照射されて二
次放射が発生することを回避する。
【0009】
更に、前記リニア軸は、固定されたスライドレールと、前記ロボットアームに接続され
たブラケットとを含み、前記ブラケットは、前記スライドレールに沿って摺動し、前記ス
ライドレールと前記ブラケットとの摺動表面から前記放射線生成装置のビーム出口の中心
までの、前記摺動表面に垂直な方向における距離は、2メートルより小さい。載置台位置
決め装置に十分な操作空間を提供し、載置台をビーム出口に対して所望の位置に位置決め
する。また更に、前記ロボットアームは、前記ブラケットに固定接続された第1のアーム
と、前記第1のアームに枢動可能に接続され、第1の枢動軸を定義する第2のアームと、
前記第2のアームに枢動可能に接続され、第2の枢動軸を定義する第3のアームと、前記
第3のアームに枢動可能に接続され、第3の枢動軸を定義する第4のアームと、前記第4
のアームに枢動可能に接続され、第4の枢動軸を定義する第5のアームと、前記第5のア
ームに枢動可能に接続され、第5の枢動軸を定義する第6のアームと、前記第6のアーム
に枢動可能に接続され、第6の枢動軸を定義する第7のアームとを含む。また更に、前記
第7のアームは、前記載置台に固定接続され、前記第2の、第3の、第5の枢動軸は、前
記摺動表面に平行であり、前記第4の枢動軸は、前記第3の枢動軸に垂直であり、前記第
1の、第6の枢動軸は、前記摺動表面に垂直である。
【0010】
更に、前記放射線照射システムは、前記載置台位置決め装置を制御し、ユーザインタフ
ェース、システム制御モジュール及び位置決め制御モジュールを含む制御装置を更に含み
、前記ユーザインタフェースは、前記システム制御モジュールに接続され、前記システム
制御モジュールは、前記位置決め制御モジュールに接続される。
【0011】
また更に、前記システム制御モジュールは、前記ユーザインタフェースから送信された
命令を受信した後に命令を前記位置決め制御モジュールに伝送し、前記位置決め制御モジ
ュールによって前記位置決め機構の移動を制御し、前記位置決め制御モジュールは、前記
位置決め機構の位置情報を受信しかつ前記システム制御モジュールに送信することができ
、前記システム制御モジュールは、前記ユーザインタフェースが前記位置決め機構の位置
情報を指示するように制御し、前記載置台位置決め装置は、前記リニア軸及びロボットア
ームの移動を駆動する駆動機構を更に含み、前記位置決め制御モジュールは、前記駆動機
構に接続され、前記駆動機構を制御する。また更に、前記駆動機構の運転状態又はデータ
は、前記位置決め制御モジュールにより前記システム制御モジュールにフィードバックさ
れ、前記システム制御モジュール又は前記位置決め制御モジュールは、前記駆動機構の運
転状態又はデータに基づいて前記駆動機構を制御し、前記システム制御モジュールは、前
記駆動機構の運転状態又はデータを前記ユーザインタフェースに伝送して状態指示を行っ
てもよい。
【0012】
また更に、前記載置台又は載置台位置決め装置には、前記システム制御モジュールに接
続されたセンサーが設置され、前記システム制御モジュールは、前記センサーの信号を受
信した後に前記位置決め制御モジュールに命令を送信して前記載置台位置決め装置の移動
を制御し、前記センサーの信号を前記ユーザインタフェースに伝送して状態指示を行う。
前記センサーは、衝突防止センサーであり、前記衝突防止センサーは、前記載置台又は前
記ロボットアームに設置され、機械センサー、光電センサー、レーダセンサー、超音波セ
ンサー、レーザ距離計等であってもよい。
【0013】
好ましくは、前記放射線照射システムは、中性子捕捉療法システムであり、前記放射線
生成装置は、中性子生成装置及びビーム整形体を含み、前記ビーム整形体は、前記中性子
生成装置で生成された中性子線を所定のビーム品質に調整することができ、前記中性子生
成装置で生成された中性子線は、前記ビーム整形体により前記載置台上の被照射体に照射
される。
【0014】
更に、前記中性子生成装置は、加速器及びターゲットを含み、前記加速器によって加速
して生成された荷電粒子線は、前記ターゲットと作用して中性子線を生成する。
【0015】
更に、前記ビーム整形体は、反射体、減速体、熱中性子吸収体、放射遮蔽体及びビーム
出口を含み、前記減速体は、前記ターゲットで生成された中性子を熱外中性子エネルギー
領域に減速させ、前記反射体は、前記減速体を囲み、逸脱した中性子を前記減速体に導い
て熱外中性子ビームの強度を向上させ、前記熱中性子吸収体は、治療時に浅層正常組織に
対する余計な線量となることを避けるために、熱中性子を吸収し、前記放射遮蔽体は、前
記ビーム出口以外の部分からしみ出る中性子及び光子を遮蔽する。
【0016】
本発明の放射線照射システムでは、載置台の位置決め過程において、載置台位置決め装
置全体は、放射線生成装置で生成されたビームの照射方向に平行な方向に沿って平行移動
し、載置台位置決め装置の大部分は、リニア軸とビーム出口との間の空間に位置し、載置
台位置決め装置の各部材が放射線の照射により生成した放射性、及び引き起こされた耐用
年数の短縮を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係る中性子捕捉療法システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施例に係る中性子捕捉療法システムの治療台位置決め装置の概略構成図である。
図3図2の別の方向から見た概略図である。
図4】本発明の実施例に係る中性子捕捉療法システムのモジュールの概略図である。
図5】本発明の実施例に係る中性子捕捉療法システムの制御装置の固定コントローラのユーザインタフェースの概略図である。
図6】本発明の実施例に係る中性子捕捉療法システムの制御装置の手持ち式コントローラのユーザインタフェースの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を更に詳細に説明することにより、当業者は
明細書の文字を参照して実施することができる。
【0019】
図1に示すように、好ましくは、本実施例における放射線照射システムは、ホウ素中性
子捕捉療法システム100であり、中性子生成装置10、ビーム整形体20、コリメータ
30及び治療台40を含む。中性子生成装置10は、加速器11とターゲットTを含み、
加速器11は、荷電粒子(例えば陽子、デューテリウム核等)を加速し、陽子線のような
荷電粒子線Pを生成し、荷電粒子線Pは、ターゲットTに照射されて、ターゲットTと作
用して中性子線(中性子ビーム)Nを生成し、ターゲットTは、好ましくは金属ターゲッ
トである。必要な中性子収率及びエネルギー、提供可能な加速した荷電粒子のエネルギー
及び電流の大きさ、金属ターゲットの物理化学的性質等の特性に応じて、適切な核反応を
選択し、常に討論された核反応は、Li(p,n)Be及びBe(p,n)Bが
あり、この2種の反応はいずれも吸熱反応である。2種の核反応のエネルギー閾値はそれ
ぞれ1.881MeV及び2.055MeVであり、ホウ素中性子捕捉療法の理想的な中
性子源がkeVエネルギーレベルの熱外中性子であるため、理論的には、エネルギーが閾
値よりわずかに高い陽子で金属リチウムターゲットを衝撃すれば、相対的な低エネルギー
の中性子を生成することができ、余計な減速処理を必要とせずに臨床に用いることができ
るが、リチウム金属(Li)及びベリリウム金属(Be)の2種のターゲットと閾値エネ
ルギーの陽子との作用断面が大きくないので、十分な中性子束を確保するために、一般的
には、比較的高いエネルギーを持つ陽子で核反応を引き起こされる。理想的なターゲット
は、中性子収率が高く、生成された中性子エネルギーの分布が熱外中性子エネルギー領域
(以下に詳細に説明する)に近接し、余計な強い透過性のある放射線を生成せず、安全で
安くて操作しやすくかつ耐高温等の特性を備えるべきであるが、実際には全ての要求に合
致する核反応を見つけることができず、本発明の実施例においてリチウム金属で製造され
たターゲットを採用する。しかしながら、当業者によく知られているように、ターゲット
Tの材料は、リチウム、ベリリウム以外の金属材料で製造されてもよく、例えばタンタル
(Ta)又はタングステン(W)等で形成され、ターゲットTは、円板状であってもよく
、他の固体形状であってもよく、液体材料(液体金属)を使用してもよい。加速器11は
、線形加速器、サイクロトロン、シンクロトロン、シンクロサイクロトロンであってもよ
く、中性子生成装置10は、加速器及びターゲットを採用しないで原子炉であってもよい
。ホウ素中性子捕捉療法の中性子源の由来は原子炉又は加速器荷電粒子とターゲットとの
核反応にもかかわらず、生成したのは実際にすべて混合放射線場であり、即ちビームは、
低エネルギーから高エネルギーまでの中性子、光子を含む。深部腫瘍のホウ素中性子捕捉
療法について、熱外中性子を除くその他の放射線の含有量が多ければ多いほど、正常組織
での非選択的な線量沈着の割合も大きくなるので、これらの不必要な線量を引き起こす放
射線をできる限り低減する必要がある。また、被照射体の正常組織について、様々な放射
線が多すぎ、同様に不必要な線量沈着を引き起こすことを回避すべきである。
【0020】
中性子生成装置10で生成された中性子ビームNは、順次ビーム整形体20とコリメー
タ30を経過して治療台40上の被照射体200に照射される。ビーム整形体20は、中
性子生成装置10で生成された中性子ビームNのビーム品質を調整することができ、コリ
メータ30は、中性子ビームNを集め、中性子ビームNに治療過程中に高い標的性を備え
させる。治療台40及び被照射体200の位置を調整することにより、ビームを被照射体
200の体内の腫瘍細胞Mに位置合わせしてもよく、これらの調整は、手動で操作しても
よく、一連の制御機構により自動的に実現してもよい(以下に詳述する)。理解できるよ
うに、本発明では、コリメータを備えず、ビームがビーム整形体20から出た後に治療台
40上の被照射体200に直接的に照射されてもよい。
【0021】
ビーム整形体20は、反射体21、減速体22、熱中性子吸収体23、放射遮蔽体24
及びビーム出口25を更に含み、中性子生成装置10で生成された中性子のエネルギース
ペクトルが広いため、治療ニーズを満たす熱外中性子の以外、他の種類の中性子及び光子
の含有量を可能な限り減らして操作者又は被照射体に傷害を引き起こすことを回避する必
要があるため、中性子生成装置10から出た中性子は、減速体22を通してその中の高速
中性子エネルギー(>40keV)を熱外中性子エネルギー領域(0.5eV~40ke
V)に調整し、熱中性子(<0.5eV)を可能な限り減らす必要があり、減速体22は
、高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さい材料で製造され、
好ましい実施例として、減速体22は、DO、AlF、FluentalTM、Ca
、LiCO、MgF及びAlのうちの少なくとも1種で製造され、反射
体21は、減速体22を囲み、かつ減速体22を通過して周辺へ拡散した中性子を中性子
ビームNに反射して中性子の利用率を向上させ、中性子反射能力が高い材料で製造され、
好ましい実施例として、反射体21は、Pb又はNiのうちの少なくとも1種で製造され
、減速体22は、後部に熱中性子吸収体23を有し、熱中性子との作用断面が大きい材料
で製造され、好ましい実施例として、熱中性子吸収体23は、Li-6で製造され、減速
体22を通過した熱中性子を吸収して中性子ビームNにおける熱中性子の含有量を減少さ
せ、治療時に浅層正常組織に対する余計な線量となることを避け、理解できるように、熱
中性子吸収体は、減速体と一体であってもよく、減速体の材料にLi-6が含まれ、放射
遮蔽体24は、ビーム出口25以外の部分からしみ出る中性子及び光子を遮蔽し、放射遮
蔽体24の材料は、光子遮蔽材料と中性子遮蔽材料のうちの少なくとも1種を含み、好ま
しい実施例として、放射遮蔽体24の材料は、光子遮蔽材料の鉛(Pb)と中性子遮蔽材
料のポリエチレン(PE)を含む。コリメータ30がビーム出口25の後部に設置され、
コリメータ30から出た熱外中性子ビームは、被照射体200に照射され、浅層正常組織
を通した後に熱中性子に減速されて腫瘍細胞Mに到着する。理解できるように、ビーム整
形体20は、更にその他の構造であってもよく、治療に必要な熱外中性子ビームを取得す
ればよく、説明しやすいために、コリメータ30が設置される場合、コリメータ30の出
口は、後述するビーム出口25と見なすこともできる。
【0022】
被照射体200はホウ素(B-10)含有薬剤を服用するか又は注射された後、ホウ素
含有薬剤は、腫瘍細胞Mに選択的に集め、次にホウ素(B-10)含有薬剤が熱中性子に
対して高い捕捉断面を有する特性を利用して、10B(n,α)Li中性子捕捉及び核
分裂反応により、HeとLiという2種の重荷電粒子を生成する。2種の荷電粒子の
平均エネルギーは約2.33MeVであり、高い線エネルギー付与(Linear En
ergy Transfer、LET)及び短い飛程という特性を有し、α粒子の線エネ
ルギー付与と飛程は、それぞれ150keV/μm、8μmであり、Li重荷電粒子は
、175keV/μm、5μmであり、2種の粒子の総飛程は、約1つの細胞の大きさに
相当するので、生体への放射線損傷を細胞レベルに限定することができ、正常組織にあま
りにも大きな損傷を与えない前提で、腫瘍細胞を局所的に殺す目的を達成することができ
る。
【0023】
本実施例において、被照射体200とビーム出口25との間には、ビーム出口25から
出たビームによる被照射体の正常組織への放射を遮蔽する放射遮蔽装置50が更に設置さ
れ、理解できるように、放射遮蔽装置50を設置しなくてもよい。ホウ素中性子捕捉療法
システム100は、コンクリート構造の建築物内に全体的に収容され、具体的には、ホウ
素中性子捕捉療法システム100は、照射室101と荷電粒子ビーム生成室102を更に
含み、治療台40上の被照射体200は、照射室101内に中性子ビームN照射による治
療を受け、荷電粒子ビーム生成室102は、加速器11を少なくとも部分的に収容し、ビ
ーム整形体20は、照射室101と荷電粒子ビーム生成室102の隔壁103内に少なく
とも部分的に収容される。理解できるように、隔壁103は、照射室101と荷電粒子ビ
ーム生成室102を完全に隔てるものであってもよく、照射室101と荷電粒子ビーム生
成室102を部分的に隔てるものであってもよく、照射室101と荷電粒子ビーム生成室
102が連通する。ターゲットTは、1つ又は複数であってもよく、荷電粒子線Pは、好
ましくは、選択的にそのうちの1つ又はいくつかのターゲットTと作用するか又は同時に
複数のターゲットTと作用して、1つ又は複数の治療用中性子ビームNを生成する。ター
ゲットTの数量に応じて、ビーム整形体20、コリメータ30、治療台40も1つ又は複
数であってもよく、複数の治療台が同一の照射室内に設置されてもよく、治療台ごとに個
別の照射室を設置してもよい。照射室101と荷電粒子ビーム生成室102は、コンクリ
ート壁W(隔壁103を含む)で囲まれた空間であり、コンクリート構造は、ホウ素中性
子捕捉療法システム100の動作過程において漏洩した中性子及び他の放射線を遮蔽する
ことができる。ホウ素中性子捕捉療法システム100は、準備室、制御室及び他の治療を
補助するための空間(図示せず)を更に含んでもよく、照射室ごとに1つの準備室を配置
してもよく、準備室は、照射治療を行う前に被照射体を治療台に固定し、ホウ素薬を注射
し、治療計画をシミュレーションする等の準備作業を行うものであり、準備室と照射室と
の間に連絡通路が設置され、準備仕事が完了した後に被照射体を直接的に照射室に押し込
むか又はレールを介して制御機構により被照射体が自動的に照射室に入るように制御する
。制御室は、加速器、ビーム輸送部、治療台位置決め装置等を制御し、照射過程全体を制
御して管理し、管理者は、制御室内に複数の照射室を同時に監視することができる。
【0024】
以下に図2図6を参照して治療台40及び被照射体200の位置調整を詳細に説明す
る。
【0025】
中性子捕捉療法システム100は治療台位置決め装置60及び制御装置70を更に含み
、治療台40は、治療台位置決め装置60によって支持され、制御装置70は、治療台位
置決め装置60を制御する。図2及び図3に示すように、一実施例において、治療台位置
決め装置60は、位置決め機構61を含み、位置決め機構61は、リニア軸611及びロ
ボットアーム612を含み、ロボットアーム612は、リニア軸611と治療台40との
間に設置され、治療台40をリニア軸611に接続し、治療台40及びロボットアーム6
12を共にリニア軸611に沿って平行移動させることができる。本実施例において、リ
ニア軸611は、照射室101の天井1011に取り付けられ、ロボットアーム612全
体は、照射室101の床1012に向かって延び、理解できるように、リニア軸611を
他の表面、例えば壁又は床に取り付けられてもよく、リニア軸611の構造は、天井10
11に固定されたスライドレール6111、及びロボットアーム612に接続されたブラ
ケット6112であり、ブラケット6112は、スライドレール6111に沿って摺動し
、理解できるように、他の構造であってもよい。リニア軸は、天井1011に直接的に固
定され、リニア軸固定機構、例えば、鋼構造ガントリーを別途設置せず、照射室内の鋼の
使用量を減少させ、固定機構が中性子によって活性化されて二次放射が発生することを回
避する。ロボットアーム612は、ブラケット6112と治療台40とを接続する多軸ロ
ボットアームであり、本実施例において、ブラケット6112に固定接続された第1のア
ーム6121と、第1のアーム6121に枢動可能に接続され、第1の枢動軸L1を定義
する第2のアーム6122と、第2のアーム6122に枢動可能に接続され、第2の枢動
軸L2を定義する第3のアーム6123と、第3のアーム6123に枢動可能に接続され
、第3の枢動軸L3を定義する第4のアーム6124と、第4のアーム6124に枢動可
能に接続され、第4の枢動軸L4を定義する第5のアーム6125と、第5のアーム61
25に枢動可能に接続され、第5の枢動軸L5を定義する第6のアーム6126と、第6
のアーム6126に枢動可能に接続され、第6の枢動軸L6を定義する第7のアーム61
27とを含み、第7のアーム6127は治療台40に固定接続される。治療台位置決め装
置60は、リニア軸611及びロボットアーム612の移動を駆動する駆動機構62を更
に含み、制御装置70は、駆動機構62を制御する。駆動機構62、例えば、モータは、
第2のアーム6122~第7のアーム6127が枢動軸L1~L6を中心として枢動する
ように駆動し、ブラケット6112及びブラケット6112に固定接続された第1のアー
ム6121は、スライドレール6111に沿って平行移動することにより、治療台40を
所望の位置に位置決めする。リニア軸611の延び方向6113は、ビーム出口25から
出て該治療台40上の被照射体に照射された中性子ビームNの方向に平行であり、このよ
うに、治療台の位置決め過程において、ロボットアーム612全体は、中性子ビームNの
方向に平行な方向に沿って平行移動し、ロボットアームの大部分は、スライドレールと中
性子ビームの出口との間の空間に位置し、ロボットアームの各部材が中性子によって活性
化されて生成した放射性、及び引き起こされた耐用年数の短縮を抑える。スライドレール
6111とブラケット6112との摺動表面Sからビーム出口25の中心までの、摺動表
面Sに垂直な方向における距離Hは2メートルより小さく、治療台位置決め装置60に十
分な操作空間を提供し、治療台40をビーム出口40に対して所望の位置に位置決めする
。本実施例において、摺動表面Sは、天井が位置する平面に平行であり、第2の枢動軸L
2、第3の枢動軸L3、第5の枢動軸L5は、摺動表面Sに平行であり、第4の枢動軸L
4は、第3の枢動軸L3に垂直であり、第1の枢動軸L1、第6の枢動軸L6は、摺動表
面Sに垂直であり、このように治療台40は、常に天井1011又は床1012に平行な
状態を保持し、理解できるように、他の設置形態であってもよい。第5のアーム6125
、第6のアーム6126、第7のアーム6127は、ロボットアーム612の手首部を形
成し、治療台40の、第5の枢動軸L5を中心とする傾斜角度及び第4の枢動軸L4、第
6の枢動軸L6を中心とする回転角度を調整し、第1のアーム6121~第4のアーム6
124及びリニア軸611は、治療台40全体の空間座標位置を調整する。理解できるよ
うに、治療台位置決め装置60は、更に他の設置を有してもよく、例えば、リニア軸61
1を含まなくて、又はロボットアーム612がより多く又はより少ないアームを含む。
【0026】
治療台40又は治療台位置決め装置60にセンサー80が設置されてもよく、図4に示
すように、センサー80は、位置決め機構61及び治療台40に設置され、一実施例にお
いて、センサー80は、治療台40及びロボットアーム612に設置された衝突防止セン
サーであり、治療台又はロボットアームの縁部が他の物体に接触するか又は他の物体がセ
ンサーの設定範囲に到達すると、センサーが信号を送信して制御装置70に伝送するよう
にトリガーされ、制御装置70は、駆動機構62を制御して位置決め機構61の移動を駆
動することを停止し、即ち治療台40の移動を停止するように制御する。衝突防止センサ
ーは、機械センサー、光電センサー、レーダセンサー、超音波センサー、レーザ距離計等
であってもよく、理解できるように、衝突防止センサーは、更に人感知信号を送信するこ
とができ、操作者は、感知された信号に基づいて手動で駆動機構の駆動を停止するように
制御することができる、治療台の移動を停止するように制御するのではなく、他の安全操
作を実行し、例えば、衝突前の逆向き移動を行ってもよい。より具体的には、治療台40
の外周の縁部及びロボットアーム612の第3のアーム6123、第4のアーム6124
のハウジングに機械センサーが設置されてもよく、例えば、対応する位置に弾性保護カバ
ーが設置され、保護カバー内に電子スイッチデバイスが設置され、移動過程において保護
カバーが衝突すると、電子スイッチデバイスをトリガーして信号を送信し、或いは、治療
台40の背面にレーザレーダセンサーが取り付けられ、レーダの走査範囲を設定し、他の
物体が指定範囲に到達することを走査すると、信号を送信する。理解できるように、衝突
防止センサーは、他の位置に設置されてもよい。
【0027】
制御装置70は、操作者が治療台位置決め装置60に対する制御に参加することを可能
にする少なくとも1つのユーザインタフェース71を含む。制御装置70は、システム制
御モジュール72及び位置決め制御モジュール73を更に含み、ユーザインタフェース7
1は、システム制御モジュール72に接続され、システム制御モジュール72は、位置決
め制御モジュール73に接続され、位置決め制御モジュール73は、駆動機構62に接続
され、駆動機構62を制御する。システム制御モジュール72は、ユーザインタフェース
71から送信された命令を受信した後、命令を位置決め制御モジュール73に伝送し、位
置決め制御モジュール73は、位置決め機構61の移動を自動的に制御し、位置決め機構
61の位置情報をシステム制御モジュール72にフィードバックしてユーザインタフェー
ス71に伝送して状態指示を行う。駆動機構62の運転状態又はデータも位置決め制御モ
ジュール73によりシステム制御モジュール72にフィードバックされ、システム制御モ
ジュール72又は位置決め制御モジュール73は、これらの情報に基づいて駆動機構62
を制御し、システム制御モジュール72は、これらの情報をユーザインタフェース71に
伝送して状態指示を行うこともできる。センサー80もシステム制御モジュール72に接
続され、システム制御モジュール72は、センサー80の信号を受信した後に位置決め制
御モジュール73に命令を送信して治療台位置決め装置60の移動を制御し、センサー8
0の信号をユーザインタフェース71に伝送して状態指示を行う。理解できるように、シ
ステム制御モジュール72と位置決め制御モジュール73は、一体に統合されてもよく、
他のハードウェア構成を有してもよい。
【0028】
一実施例において、ユーザインタフェース71は、照射室内外で治療台位置決め装置6
0及び治療台40の移動を制御する、固定コントローラ711、手持ち式コントローラ7
12及びヒューマンコンピュータインタラクション制御インタフェース713を含む。固
定コントローラ711は、照射室101の壁又は他の位置に固定され、図5に示すように
、固定コントローラ711には、治療台40を、シミュレーションされた被照射体の照射
対象部位がビーム出口25に対向する所定の位置に自動的に移動させるように制御する7
つの所定位置ボタンが設置され、それぞれ、所定の位置A(左顔、左顔がビーム出口に対
向し、即ち左顔が中性子ビームNの方向に垂直である)ボタン7111a、所定の位置B
(右顔、右顔がビーム出口に対向し、即ち右顔が中性子ビームNの方向に垂直である)ボ
タン7111b、所定の位置C(左30°、左顔と中性子ビームNの方向との夾角が60
°である)ボタン7111c、所定の位置D(左60°、左顔と中性子ビームNの方向と
の夾角が30°である)ボタン7111d、所定の位置E(頭頂、頭頂がビーム出口に対
向し、即ち左、右顔が中性子ビームNの方向に平行である)ボタン7111e、所定の位
置F(右30°、右顔と中性子ビームNの方向との夾角が60°である)ボタン7111
f、所定の位置G(右60°、右顔と中性子ビームNの方向との夾角が30°である)ボ
タン7111gであり、所定位置ボタンは、指示ランプを備えてもよく、治療台40が所
定の位置に移動すると、位置決め機構61の位置情報(治療台40に予め設定された基準
点座標)が位置決め制御モジュール73にフィードバックされ、位置決め制御モジュール
73は、該情報をシステム制御モジュール72に送信し、システム制御モジュール72は
、対応する所定位置ボタンが点灯して提示するように制御することにより、操作者が治療
台を所定の位置に到達させると誤って考えて、位置決め精度に影響を与えることを防止し
、理解できるように、更に、必要に応じて他の所定位置ボタンを設置するか又は制御装置
において位置が設定された所定位置ボタンを再設定してもよい。固定コントローラ711
には、以下のボタン7112、7113、7116、7118、7119及び指示ランプ
7114、7115、7117が更に設置される。リセットボタン7112は、治療台4
0を、被照射体200が治療台40に上がる初期位置に自動的に移動させるように制御し
、治療台移動速度切り替えボタン7113は、治療台40の運転の速度レンジを設定し、
位置決め制御モジュール73は、レンジに基づいて駆動機構62の運転速度を自動的に制
御し、治療台衝突センサートリガー指示ランプ7114及びロボットアーム衝突センサー
トリガー指示ランプ7115については、治療台40又はロボットアーム611が衝突し
た後にセンサー80は、信号を送信するようにトリガーされ、システム制御モジュール7
2は、信号を受信した後に位置決め制御モジュール73に命令を送信して治療台位置決め
装置60が移動を停止するか又は衝突前の逆向き移動を行った後に停止するように制御し
、対応する指示ランプが点灯して状態指示を行うように制御し、この場合、操作者は、制
御装置により治療台の移動を継続するように制御することができず、衝突トリガー解消後
継続動作ボタン7116については、治療台衝突センサートリガー指示ランプ7114又
はロボットアーム衝突センサートリガー指示ランプ7115が点灯し、かつ治療台位置決
め装置60が移動を停止した後に操作者が手動で衝突を解消し、指示ランプ7114、7
115が消灯するように制御し、この場合、継続動作ボタン7116を押すと、治療台位
置決め装置60が所定の位置又は初期位置に移動し続け、或いは操作者が他のユーザイン
タフェースを介して治療台の移動を制御し続けることができ、ストローク限界超過指示ラ
ンプ7117については、制御装置70は、照射室101内の治療台40及び治療台位置
決め装置60の運転範囲をシミュレーションし、例えば、照射室の壁、天井、床及びコリ
メータの外輪郭で安全動作空間をシミュレーションし、手動モード(以下に詳述する)で
は、治療台の移動を手動で制御する際に、治療台40に予め設定された基準点座標がシミ
ュレーションされた運転範囲を超えると、該情報が位置決め制御モジュール73にフィー
ドバックされ、位置決め制御モジュール73は、該情報をシステム制御モジュール72に
送信し、システム制御モジュール72は、ストローク限界超過指示ランプ7117が点灯
して警報するように制御し、操作者は、現在の移動をすぐに停止することができ、手動/
自動切り替えボタン7118は、治療台40の移動の制御方式を選択し、自動モードで、
所定位置ボタン7111aにより治療台40及び治療台位置決め装置60がシミュレーシ
ョンされた運転範囲内で自動的に移動するように制御することができ、位置決め制御モジ
ュール73がリニア軸611及びロボットアーム612の移動軌跡を自動的に計算し、手
動モードで、治療台が設定された自由度で移動するように手動で制御することができ、本
実施例において、手動制御ボタンは、手持ち式コントローラ712にのみ設置され、緊急
停止ボタン7119については、治療台が移動する過程で不測の事態が発生し、例えば、
被照射体が移動すると、緊急停止ボタン7119を押して治療台40及び治療台位置決め
装置60の運転を停止し、不測の事態を解消した後に緊急停止ボタン7119を離して操
作し続けて治療台を移動させることができる。理解できるように、ボタン及び切り替えボ
タンは、他の形態に置き換えられるか又は他の機能設定を有してもよく、異なる指示ラン
プは、異なる色を有してもよく、指示ランプは、ブザー音等の他の警報指示に置き換えら
れてもよい。
【0029】
手持ち式コントローラ712により照射室内で治療台40の移動状態を観察しやすくな
り、操作者は、照射室内で移動して観察すると同時にコントローラ712上のボタンを操
作して調整することができる。所定の位置A~Gがシミュレーションされた被照射体モデ
ルに基づいて予め設定され、被照射体の個体差を考慮しないものであるため、所定の位置
に到達した後に治療台40の位置を更に微調整することができ、図6に示すように、手持
ち式コントローラ712に5組の軸運動ボタンが設置され、それぞれ、軸運動ボタン71
21a~7121eである。軸運動ボタン7121a、7121b、7121cは、治療
台40に予め設定された基準点がX軸、Y軸、Z軸に沿って移動するようにそれぞれ制御
し、軸運動ボタン7121dは、治療台40が第6の枢動軸L6を中心として回転するよ
うに制御し、軸運動ボタン7121eは、治療台40及び治療台位置決め装置60全体が
リニア軸611(第7の軸)に沿って移動するように制御する。上記治療台及び治療台位
置決め装置の運動座標系XYZは、中性子ビームNの方向に沿ってビーム出口25の中心
から一定の距離離れた照射室の基準点を座標原点とする。手持ち式コントローラ712に
固定コントローラ711と同じ操作ボタン又は状態指示ランプが更に設置されてもよく、
本実施例において、手持ち式コントローラを容易に把持することによる空間制限のため、
それぞれ、所定の位置A(左顔)ボタン7122a、所定の位置B(右顔)ボタン712
2b及び所定の位置C(左30°)ボタン7122cという3つの所定位置ボタンと、リ
セットボタン7123と、緊急停止ボタン7124とが設置される。手持ち式コントロー
ラ712には、インターロックボタン7125が更に設置され、誤操作を防止するボタン
として、該インターロックボタン7125を押された(ロック解除された)場合のみ、手
持ち式コントローラ712上の他のボタンが作用することができて、把持時の誤操作を防
止し、手持ち式コントローラ712を使用しない場合、インターロックボタン7125を
ロックし、この場合に手持ち式コントローラ712上の他のボタンが作用しない。
【0030】
ヒューマンコンピュータインタラクション制御インタフェース713(図示せず)は、
一般的なコンピュータソフトウェアプログラムインタフェースであってもよく、照射室外
、例えば、制御室内に設置され、遠隔制御を実行することができ、固定コントローラ71
1及び手持ち式コントローラ712上の各動作を実行するコントロール、例えば、所定位
置ボタン、手動軸運動ボタン、リセットボタン、速度切り替えボタン、手動/自動切り替
えボタン、ストローク限界超過警報、衝突センサートリガー警報、継続動作ボタン、緊急
停止ボタン等を含み、装置の起動、停止と、故障又は故障解消表示、故障リセットボタン
と、例えば、各レンジの速度設定等のパラメータ設定と、衝突防止施設が故障した場合に
治療台の位置決め及び治療を実行し続け、或いは作業者がシステムのデバッグを行うため
のロボットアーム又は治療台の衝突防止システム機能遮蔽と、I/O点の状態表示と、を
更に含んでもよくビームの制御、放射線検出等を更に含んでもよい。
【0031】
照射室101内には、ビーム照射位置を決定し、治療台位置決め装置60を操作するこ
とによりビーム照射位置を、被照射体200に対して準備室でシミュレーション位置決め
を行う時に出来上がるマークと一致させるレーザ位置決め装置(図示せず)が更に設置さ
れる。更にカメラ(図示せず)等を設置して治療台40の位置及び被照射体200の画像
をリアルタイムに収集し、データをシステム制御モジュール72に伝送し、治療計画等の
情報と比較し、結果に基づいてリアルタイムに調整するか又は他の治療制御を実行しても
よい。システム制御モジュール72は更に、他のデータ情報、例えば中性子生成装置のデ
ータ、治療計画のデータ、被照射体の情報等を受信し、中性子生成装置等の他の装置を制
御してもよい。
【0032】
本実施例におけるコンクリート壁は、厚さが1m以上、密度が3g/c.c.のホウ素
含有重晶石コンクリート壁であり、ホウ素含有のコンクリートは、より優れた中性子吸収
性能を有し、コンクリートの放射遮蔽効果を向上させる以外に、コンクリート中の金属材
料が受ける中性子曝露量を低減することができる。理解できるように、他の厚さ又は密度
を有するか又は他の材料に置き換えられてもよく、異なる部分のコンクリート壁の厚さ、
密度又は材料は異なってもよい。理解できるように、本発明は、更に他のタイプの中性子
照射システムに適用することができ、他の放射線照射システム、例えば、陽子療法システ
ム、重イオン療法システム等に適用することもでき、この場合に中性子生成装置は、他の
放射線生成装置に置き換えられてもよく、コンクリートの材料は必要に応じて置き換えら
れてもよく、治療台は、他の被照射体の載置台であってもよい。
【0033】
以上に本発明の例示的な具体的な実施形態を説明して、当業者が本発明を理解すること
を容易にするが、明らかに、本発明は具体的な実施形態の範囲に限定されず、当業者にと
って、様々な変化が添付の特許請求の範囲で限定かつ決定される本発明の精神及び範囲内
にあれば、これらの変化が明らかで、いずれも本発明の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線生成装置及び載置台を含み、前記放射線生成装置で生成されたビームを前記載置台上の被照射体に照射する放射線照射システムであって、前記載置台を支持し、位置決め機構を含む載置台位置決め装置を更に含み、前記位置決め機構は、リニア軸及びロボットアームを含み、
前記リニア軸は、固定されたスライドレールと、前記ロボットアームに接続されかつ前記スライドレールに沿って摺動するブラケットと、前記スライドレールと前記ブラケットとの摺動表面と、を含み、
前記ロボットアームは、前記リニア軸と前記載置台との間に設置され、前記載置台を前記リニア軸に接続し、前記載置台を前記ロボットアームと共に前記リニア軸に沿って平行移動させ、前記リニア軸の延び方向は、前記放射線生成装置で生成されたビームの照射方向に平行であり、前記ロボットアームは、前記摺動表面を介して前記リニア軸に沿って移動するように構成され、
前記ロボットアームは、前記リニア軸に固定接続された第1のアームと、前記載置台に枢動可能に接続され、第6の枢動軸を定義する第7のアームと、から構成され、
前記第6の枢動軸は、前記載置台が前記摺動表面に対して常に平行に保たれるように、前記摺動表面に対して垂直である、ことを特徴とする放射線照射システム。
【請求項2】
照射室を更に含み、前記リニア軸は、前記照射室の天井に取り付けられ、前記ロボットアーム全体は、前記照射室の床に向かって延びる、ことを特徴とする請求項に記載の放射線照射システム。
【請求項3】
記スライドレールと前記ブラケットとの前記摺動表面から前記放射線生成装置のビーム出口の中心までの、前記摺動表面に垂直な方向における距離は、2メートルより小さい、ことを特徴とする請求項に記載の放射線照射システム。
【請求項4】
前記ロボットアームは、前記第のアームに枢動可能に接続され、第2の枢動軸を定義する第3のアームと、前記第3のアームに枢動可能に接続され、第3の枢動軸を定義する第4のアームと、を含み、前記第4のアームは前記第7のアームに接続され、前記第2の枢動軸及び前記第3の枢動軸は、前記摺動表面と平行である、ことを特徴とする請求項に記載の放射線照射システム。
【請求項5】
前記ロボットアームは、前記第4のアームに枢動可能に接続され、第4の枢動軸を定義する第5のアームをさらに含み、前記第4のアームは前記第5のアームを介して前記第7のアームに接続され、前記第4の枢動軸は前記第3の枢動軸に垂直である、ことを特徴とする請求項4に記載の放射線照射システム。
【請求項6】
前記ロボットアームは、前記第5のアームに枢動可能に接続され、第5の枢動軸を定義する第6のアームをさらに含み、前記第5のアームは前記第6のアームを介して前記第7のアームに接続され、前記第5の枢動軸は前記摺動表面に平行である、ことを特徴とする請求項5に記載の放射線照射システム。
【請求項7】
前記ロボットアームは、前記第1のアームに接続され、第1の枢動軸を定義する第2のアームをさらに含み、前記第1のアームは前記第2のアームを介して前記第3のアームに接続され、前記第1の枢動軸は前記摺動表面に垂直である、ことを特徴とする請求項4に記載の放射線照射システム。
【請求項8】
前記第5のアーム、前記第6のアーム及び前記第7のアームは、前記ロボットアームの手首部を形成し、前記載置台の前記第5の枢動軸を中心とする傾斜角度と、前記第4の枢動軸及び前記第6の枢動軸を中心とする回転角度と、を調整する、ことを特徴とする請求項6に記載の放射線照射システム。
【請求項9】
前記第1のアーム、前記第2のアーム、前記第3のアーム、前記第4のアーム、及び、前記リニア軸は、前記載置台全体の空間座標位置を調整する、ことを特徴とする請求項7に記載の放射線照射システム。