(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038227
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】癌の治療のための配合剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4025 20060101AFI20240312BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240312BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240312BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240312BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240312BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K31/4025
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/5377
A61P35/02
A61K38/02
A61P43/00 111
A61K31/496
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223257
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2022119166の分割
【原出願日】2017-03-28
(31)【優先権主張番号】62/314,356
(32)【優先日】2016-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】513128316
【氏名又は名称】プレサージュ バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】クリングホッファー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ジョヨティ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】白血病、リンパ腫、及びトリプルネガティブ乳癌のような癌の治療への併用療法を提供する。
【解決手段】式Iによって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とBCL-2阻害剤の治療有効量とを、血液癌を治療することの必要な被験者に投与することを含む方法とする。
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そしてR
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液癌を治療する方法であって、式I:
【化1】
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;
R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そして
R
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とBCL-2阻害剤の治療有効量とを、血液癌を治療することの必要な被験者に投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
式Iの化合物又は塩が、式Ia:
【化2】
によって表される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R1が、ハロ及びC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
R2及びR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシ及びOR8より選択され、ここでR8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1-C10-アルキルである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R2及びR3がそれぞれヒドロキシである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R4が2-ヒドロキシメチルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC1-C4-アルキルである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
R9がメチルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式Iの化合物が、式Ib:
【化3】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
BCL-2阻害剤がBH3-模倣薬である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
BCL-2阻害剤がBcl-2タンパク質を特異的に阻害する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
BCL-2阻害剤が、ナビトクラックス(navitoclax)、ベネトクラックス(venetoclax)、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス(obatoclax)、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7
、S44563、サブトクラックス(sabutoclax)、UMI-77、ガンモギン酸(gambogic acid)、マリトクラックス(maritoclax)、MIM1、メチルプレドニゾロン、i
MAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、及びARRY520トリフルオロアセテートより選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
BCL-2阻害剤が、ナビトクラックスとベネトクラックス、又はそのいずれか一方の医薬的に許容される塩より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リン
パ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
血液癌が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、又は慢性リンパ球性白血病である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が同時的に投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が相互に約12時間以内に連続的に投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が相互に約5時間以内に連続的に投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が医薬組成物において共製剤化される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
癌を治療する方法であって、式I:
【化4】
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;
R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そして
R
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とプロテアソーム阻害剤の治療有効量とを、癌を治療することの必要な被験者に投与することを含む、上記方法。
【請求項26】
式Iの化合物又は塩が、式Ia:
【化5】
によって表される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
R1が、ハロ及びC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
R1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
R2及びR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシ及びOR8より選択され、ここでR8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1-C10-アルキルである、請求項25~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
R2及びR3がそれぞれヒドロキシである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである、請求項25~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
R4が2-ヒドロキシメチルである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
R9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC1-C4-アルキルである、請求項25~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
R9がメチルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
式Iの化合物が、式Ib:
【化6】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ(bortezomib)、マリゾミブ(marizomib)、
イクサゾミブ(ixazomib)、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ(carfilzomib)、ONX0912、CEP-1877
0、MLN9708、エポキソミシン(epoxomicin)、MG132、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、請求項25~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
癌が血液癌である、請求項25~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
血液癌が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、又は慢性リンパ球性白血病である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
癌がトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である、請求項25~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が同時的に投与される、請求項25~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が相互に約12時間以内に連続的に投与される、請求項25~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が相互に約5時間以内に連続的に投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が医薬組成物において共製剤化される、請求項24~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される、請求項24~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
式I:
【化7】
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;
R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そして
R
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とBCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤の治療有効量、及び医薬的に許容される賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項50】
式Iの化合物又は塩が、式Ia:
【化8】
によって表される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、請求項49又は50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
R1が、ハロ及びC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
R1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
R2及びR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシ及びOR8より選択され、ここでR8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1-C10-アル
キルである、請求項49~53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
R2及びR3がそれぞれヒドロキシである、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである、請求項49~55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
R4が2-ヒドロキシメチルである、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
R9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC1-C4-アルキルである、請求項49~53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項60】
R9がメチルである、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
式Iの化合物が、式Ib:
【化9】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項62】
BCL-2阻害剤を含み、該BCL-2阻害剤が、ナビトクラックス、ベネトクラックス、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス、S44563、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7、サブトクラックス、UMI-77、ガンモギン酸、マリトクラックス、MIM1、メチルプレドニゾロン、iMAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、ARRY520トリフルオロアセテート、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、請求項49~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
BCL-2阻害剤が、ナビトクラックスとベネトクラックス、又はそのいずれか一方の医薬的に許容される塩より選択される、請求項62に記載の医薬組成物。
【請求項64】
BCL-2阻害剤がベネトクラックスである、請求項63に記載の医薬組成物。
【請求項65】
プロテアソーム阻害剤を含み、該プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミド
A、カルフィルゾミブ、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、エポキソミシン、MG132、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、請求項49~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、請求項65に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001] 本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願シリアル番号:62/314,356(2016年3月28日出願)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 数多くの癌関連治療薬が第I相又は第II相臨床試験と特別な時期での評価の下にあるが、そのほとんどは先に進めないものである。事実、癌関連治療薬の90%より多くは、第I相又は第II相臨床試験の評価に合格しないと推定されている。第III相試験の不合格率はほぼ50%であって、発見から第III相試験に至る新薬開発のコストは、8億ドルと17億ドルの間であって、8年~10年を要する可能性がある。
【0003】
[0003] 加えて、多くの患者は、有効であることが示されてきた標準薬に対してさえ応答しないものである。現在よく理解されていないか又は容易に評価されない理由のために、個々の患者は、標準的な薬物療法に応答しない場合がある。ある症例では、癌を治療するのに、配合剤(drug combinations)の投与が個別に投与される薬物より有効な場合が
ある。これらの配合剤は、相乗的に作用して、薬物の抗癌活性を高めるのかもしれない。ある症例では、特に有効でない薬物が、追加の薬物療法と組み合わされる場合に、新たな予想外の使用を見出す場合がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 1つの側面において、本開示は、血液癌を治療する方法であって、式I:
【0005】
【0006】
[式中:R1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R2とR3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8(ここでR8は、置換されていてもよいC1-C10-アルキルである)より選択され;
R4は、置換されていてもよいC1-C4-アルキルであり;そして
R9は、水素又は置換されていてもよいC1-C4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とBCL-2阻害剤の治療有効量とを、血液癌を治療することの必要な被験者に投与することを含んでなる、上記方法を提供する。
【0007】
[0005] ある側面において、本開示は、癌を治療する方法であって、式I:
【0008】
【0009】
[式中:R1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R2とR3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8(ここでR8は、置換されていてもよいC1-C10-アルキルである)より選択され;
R4は、置換されていてもよいC1-C4-アルキルであり;そして
R9は、水素又は置換されていてもよいC1-C4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とプロテアソーム阻害剤の治療有効量とを、癌を治療することの必要な被験者に投与することを含んでなる、上記方法を提供する。ある態様において、癌は、血液癌とトリプルネガティブ乳癌(TNBC)より選択される。
【0010】
[0006] ある態様において、式Iの化合物は、式Ia:
【0011】
【0012】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である。
[0007] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。ある態様では、R1が、ハロとC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている。ある態様では、R1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである。
【0013】
[0008] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R2とR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8より選択され、ここでR8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1-C10-アルキルである。ある態様では、R2とR3がそれぞれヒドロキシである。
【0014】
[0009] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択され
る1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである。ある態様では、R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである。ある態様では、R4が2-ヒドロキシメチルである。
【0015】
[0010] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC1-C4-アルキルである。ある態様では、R9がメチルである。ある態様において、式Iの化合物は、式Ib:
【0016】
【0017】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である。
[0011] ある態様において、本明細書に記載される方法のBCL-2阻害剤は、BH3-模倣薬である。BCL-2阻害剤は、Bcl-2タンパク質を特異的に阻害し得る。BCL-2阻害剤は、ナビトクラックス、ベネトクラックス、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス、S44563、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7、サブトクラックス、UMI-77、ガンモギン酸、マリトクラックス、MIM1、メチルプレドニゾロン、iMAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、及びARRY520トリフルオロアセテートより選択され得る。ある態様において、本明細書に記載される方法のBCL-2阻害剤は、ナビトクラックスとベネトクラックス、又はそのいずれか一方の医薬的に許容される塩より選択される。
【0018】
[0012] ある態様において、本明細書に記載される方法の血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される。血液癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、又は慢性リンパ球性白血病であり得る。
【0019】
[0013] 本明細書に記載されるある態様のために、CDK阻害剤とBCL-2阻害剤は、同時的に投与され得る。本明細書に記載される方法のために、CDK阻害剤とBCL-2阻害剤は、相互に約12時間以内に、例えば、相互に5時間以内に、連続的に投与され得る。
【0020】
[0014] 本明細書に記載されるある方法のために、CDK阻害剤とBCL-2阻害剤は、医薬組成物において共製剤化され得る。
[0015] 本明細書に記載されるある方法のために、CDK阻害剤とBCL-2阻害剤は、毎日、1日おきに、又は2日おきに投与され得る。
【0021】
[0016] 本明細書に記載されるある方法のために、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、エポキソミシン、MG132、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される。ある態様において、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される。
【0022】
[0017] 本明細書に記載されるある方法において、CDK阻害剤とプロテアソーム阻害剤は、同時的に投与される。CDK阻害剤とプロテアソーム阻害剤は、相互に約12時間以内に、例えば、相互に5時間以内に、連続的に投与され得る。
【0023】
[0018] 本明細書に記載されるある方法において、CDK阻害剤とプロテアソーム阻害剤は、医薬組成物において共製剤化される。
[0019] 本明細書に記載されるある方法において、CDK阻害剤とBCL-2阻害剤は、毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される。
【0024】
[0020] ある側面において、本開示は、式I:
【0025】
【0026】
[式中:R1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R2とR3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8(ここでR8は、置換されていてもよいC1-C10-アルキルである)より選択され;
R4は、置換されていてもよいC1-C4-アルキルであり;そして
R9は、水素又は置換されていてもよいC1-C4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量;BCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤の治療有効量、及び医薬的に許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0027】
[0021] ある態様において、式Iの化合物又は塩は、式Ia:
【0028】
【0029】
によって表される。
[0022] 本明細書に記載される組成物のために、式I又はIaの化合物又は塩では、R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。ある態様では、R1が、ハロとC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている。ある態様では、R1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである。
【0030】
[0023] 本明細書に記載される組成物のために、式I又はIaの化合物又は塩では、R2とR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8(ここでR8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1-C10-アルキルである)より選択され得る。ある態様では、R2とR3がそれぞれヒドロキシである。
【0031】
[0024] 本明細書に記載される組成物のために、式I又はIaの化合物又は塩では、R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである。ある態様では、R4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC1-C4-アルキルである。ある態様では、R4が2-ヒドロキシメチルである。
【0032】
[0025] 本明細書に記載される組成物のために、式I又はIaの化合物又は塩では、R9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC1-C4-アルキルであり得る。ある態様では、R9がメチルである。
【0033】
[0026] 本明細書に記載される組成物のために、式Iの化合物は、式Ib:
【0034】
【0035】
によって表されるか又は又はその医薬的に許容される塩であり得る。
[0027] BCL-2阻害剤を含んでなる、本明細書に記載される組成物のために、BCL-2阻害剤は、ナビトクラックス、ベネトクラックス、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス、S44563、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7、サブトクラックス、UMI-77、ガンモギン酸、マリトクラックス、MIM1、メチルプレドニゾロン、iMAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、ARRY520トリフルオロアセテート、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択され得る。BCL-2阻害剤は、ナビトクラックスとベネトクラックス、又はそのいずれか一方の医薬的に許容される塩より選択され得る。ある態様において、BCL-2阻害剤は、ベネトクラックスである。
【0036】
[0028] プロテアソーム阻害剤を含んでなる、本明細書に記載される組成物のために、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、エポキソミシン、MG132、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択され得る。ある態様において、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される。
【0037】
参照による取込み
[0029] 本明細書において言及されるすべての公表文献、特許、及び特許出願は、それぞれ個別の公表文献、特許、又は特許出願が参照により取り込まれると具体的かつ個別に示されるのと同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
[0030] 本発明の新規の特徴は、付帯の特許請求項において特に詳述される。本発明の特徴及び利点についてのより良い理解は、本発明の原理が利用される例示の態様について詳述する以下の詳しい記載と、以下の付帯の図面を参照して得られよう。ここで:
【
図1-1】[0031] 図面1は、ボルシクリブ(voruciclib)とフラボピラドール(flavopiradol)の、38種のキナーゼに抗する活性の比較を例証する。
【
図2】[0032] 図面2は、サイクリン依存性キナーゼに抗する、ボルシクリブの1桁(nM)の効力を例証する。
【
図3】[0033] 図面3A~図面3Dは、ベネトクラックス(ABT-199)と併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。ボルシクリブは、NU-DHL-1びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞においてベネトクラックスによって誘導される骨髄性白血病細胞分化タンパク質(MLC-1)の誘導を阻害する。MCL-1=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図4】[0034] 図面4A~図面4Dは、ボルシクリブとベネトクラックスでの併用処理による、NU-DHL-1びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞におけるアポトーシスの増加を例証する。切断型カスパーゼ-3(CC3)=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図5】[0035] 図面5A~図面5Dは、ナビトクラックス(ABT-263)と併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。Ramos バーキットリンパ腫細胞系のボルシクリブとナビトクラックスでの処理は、アポトーシスを誘導する。切断型カスパーゼ-3(CC3)=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図6-1】[0036] 図面6A~図面6Eは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の5種のモデルにわたる、ベネトクラックスと併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。
【
図7】[0037] 図面7は、CDK9を介したMCL-1の阻害が細胞をアポトーシスへ移行させるのに役立つことを例証する。
【
図8-1】[0038] 図面8A~図面8Dは、プロテアソーム阻害がトリプルネガティブ乳癌(TNBC)におけるMCL-1の上方制御を誘導することを例証する。図面8Aは、HCC1187 TNBC異種移植片モデルにおいてスクリーニングした化合物のリストを例証する。図面8Bは、様々な化合物での処理による、MCL-1誘導の平均変化率(%)を例証する。図面8C~図面8Dは、担体での処理とボルテゾミブでの処理後のCC3についての細胞の染色(赤色で示す)を例証する。
【
図9】[0039] 図面9A~図面9Dは、NudHL1 DLBCL細胞に対する、マリゾミブと併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。切断型カスパーゼ-3(CC3)=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図10】[0040] 図面10A~図面10Dは、NudHL1 DLBCL細胞に対する、ボルテゾミブと併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。切断型カスパーゼ-3(CC3)=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図11】[0041] 図面11A~図面11Dは、トリプルネガティブ乳癌細胞に対する、ボルテゾミブと併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。切断型カスパーゼ-3(CC3)=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図12-1】[0042] 図面12A~図面12Eは、HCC1187トリプルネガティブ乳癌細胞に対する、ボルテゾミブと併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。図面12A~図面12Dは、ボルシクリブとボルテゾミブで処理されたHCC1187 TNBCマウスモデルにおける腫瘍容積の減少を例証する。図面12Eは、ボルシクリブとボルテゾミブ、又はボルシクリブとツニカマイシンで処理されたHCC1187 TNBC細胞におけるMCL-1発現の減少を明示しているウェスタンブロットを例証する。
【
図13】[0043] 図面13は、HCC1187 TNBCマウスモデルにおいて、ボルシクリブとボルテゾミブ、及びボルシクリブとボルテゾミブの併用の体重に及ぼす効果を例証する。
【
図14】[0044] 図面14は、HCC1187 TNBCマウスモデルにおける、CDK4/6阻害剤のパルボシクリブ(palbociclib)と併用したボルテゾミブの効果を例証する。
【
図15-1】[0045] 図面15A~図面15Bは、ボルテゾミブ誘導性のMCL-1とE3ユビキチン-タンパク質リガーゼXIAP発現をボルシクリブが減少させることを例証する。図面15Aは、ボルシクリブによるCDK9の阻害についての提唱モデルを例証する。図面15Bは、MCL-1とE3ユビキチン-タンパク質リガーゼXIAP発現のボルテゾミブ誘導性の増加をボルシクリブが減少させることを明示しているウェスタンブロットを例証する。
【
図16】[0046] 図面16A~図面16Bは、ボルテゾミブ処理に抵抗する細胞を例証する。図面16Aは、ボルテゾミブ処理以外のやり方で細胞が一掃された視野における、ボルテゾミブ処理に抵抗する細胞を例証する。図面16Bは、ボルテゾミブに抵抗する細胞がGRP78(ERストレス応答の一部として発現されるタンパク質)を発現することを例証する。
【
図17】[0047] 図面17は、3種の異なるERストレス応答経路を例証する。
【
図18-1】[0048] 図面18A~図面18Bは、ボルシクリブがIRE1α依存性ERストレス応答経路に影響を及ぼし得ることを例証する。図面18Aは、IRE1α依存性ERストレス応答経路を例証する。図面18Bは、ERストレスインデューサーのツニカマイシンがXボックス結合タンパク質1(XBP1)[好生存(抗腫瘍細胞死)タンパク質]を劇的に上方制御することを明示しているウェスタンブロットを例証する。この効果は、ボルシクリブによって劇的に軽減される。6時間では、ツニカマイシンだけがこの効果を明示するが、24時間では、ボルテゾミブとツニカマイシンがともにこの効果を明示する。
【
図19-1】[0049] 図面19A~図面19Bは、ボルテゾミブ誘導性のXBP1転写のボルシクリブによる抑制を例証する。STF083010=IRE1αエンドリボヌクレアーゼ活性阻害剤;Tm=ツニカマイシン。
【
図20】[0050] 図面20A~図面20Dは、イクサゾミブと併用したボルシクリブの相乗効果を例証する。切断型カスパーゼ3(CC3)=赤色;DAPI=青色;蛍光追跡マーカー(FTM)=緑色。
【
図21】[0051] 図面21A~図面21Bは、イクサゾミブと併用したCDK阻害剤のボルシクリブ、パルボシクリブ、ジナシクリブ(dinaciclib)、及びフラボピラドールで処理された固形腫瘍切片を図解する。24時間以内に明白腫瘍細胞除去を再現性よくもたらすのは、ボルシクリブ+イクサゾミブだけである。
【
図22】[0052] 図面22A~図面22Bは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のSU-DHL-4モデルにおけるボルシクリブとベネトクラックスからのシナジーを例証する。
【
図23】[0053] 図面23A~図面23Cは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のSU-DHL-4モデル、OCILy10モデル、及びU2932モデルにおける、ボルシクリブとベネトクラックスからのシナジーを例証する。
【
図24】[0054] 図面24は、ボルシクリブがDLBCL異種移植片腫瘍におけるMCL1発現を抑制することを例証する。
【
図25-1】[0055] 図面25A~図面25Bは、マウスのABC型(RIVA)DLBCLにおけるボルシクリブとベネトクラックスの相乗効果を例証する。
【
図26-1】[0056] 図面26A~図面26Bは、マウスのDLBCLのU2932モデルにおける、ボルシクリブとベネトクラックスの相乗効果と、体重に対するその効果を例証する。
【
図27-1】[0057] 図面27A~図面27Bは、マウスのDLBCLのNUDHL1モデルにおけるボルシクリブとベネトクラックスの相乗効果を例証する。
【
図28】[0058] 図面28は、GC DLBCLのSUDHL4モデルにおけるボルシクリブとベネトクラックスの相乗効果を例証する。
【
図29】[0059] 図面29は、ベネトクラックスによって抑止されるp53をボルシクリブが回復させることを例証する。
【
図30】[0060] 図面30A~図面30Cは、ボルシクリブがAML細胞系において単剤活性を有することを例証する。
【
図31】[0061] 図面31は、ボルシクリブとベネトクラックスの併用がAML細胞系において相乗的な細胞死を誘導することを例証する。
【
図32】[0062] 図面32は、ボルシクリブとベネトクラックスの併用がSKM1 AML異種移植片における腫瘍増殖を妨げるという相乗効果を例証する。
【
図33】[0063] 図面33は、ボルシクリブ誘導性のアポトーシスがMCLの抑制と相関することを例証する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[0064] 本開示は、癌の治療のための併用療法を提供する。特に、本開示は、癌を治療するための他の抗癌剤とCDK阻害剤の併用療法を提供する。1つの側面において、本開
示は、CDK阻害剤をBCL-2阻害剤と併用して癌を治療するための組成物及び方法を提供する。そのような併用は、癌の治療、特に血液癌(例、白血病とリンパ腫)の治療において相乗効果を提供する。
【0040】
[0065] 別の側面において、本開示は、CDK阻害剤をプロテアソーム阻害剤と併用して癌を治療するための組成物及び方法を提供する。そのような併用は、癌の治療、特に血液癌とトリプルネガティブ乳癌の治療において相乗効果を提供する。
【0041】
[0066] 本明細書の上記及び下記に使用される一般用語は、好ましくは、他に断らなければ、本開示の文脈内で以下の意味を有する。従って、本発明の文脈において使用される一般用語の定義を本明細書の下記に提供する:
[0067] 単数形の「a」、「an」(1つの)[不定冠詞]と「the」(その)[定冠詞]には、文脈が明らかに他のことを指定しなければ、複数の言及が含まれる。
【0042】
[0068] 本明細書に使用される「約」という用語は、当業者によって決定されるような特別な数値について許容される誤差範囲に概して言及するが、それは、その数値が測定又は定量される方法に一部依拠する場合がある。例えば、「約」は、1又は1より多い標準偏差以内を意味し得る。あるいは、「約」は、任意値の20%まで、10%まで、5%まで、又は1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生体系又は生体プロセスに関しては、この用語は、数値の1桁以内、5倍以内、及び2倍以内を意味し得る。
【0043】
[0069] 本明細書に使用されるように、「少なくとも1つの」という用語は、1以上を意味する。例えば、「少なくとも1つの抗癌剤」という用語は、その併用が単一の抗癌剤又は1より多くの抗癌剤を含むことを意味する。
【0044】
[0070] 本明細書に使用される「有効量」又は「治療有効量」という用語は、限定されないが疾患又は状態の治療が含まれる、企図される、所定される、又は処方される適用に影響を及ぼすのに十分である、本明細書に記載される化合物の量を概して意味する。治療有効量は、適用(例、試験管内(in vitro)又は生体内(in vivo))に、又は治療され
る被験者と疾患状態(例、被験者の体重及び年齢、疾患状態の重症度)に、及び投与の方法に依拠して変動する可能性がある。この用語は、標的細胞における特別な応答(例、その増殖の低下、又は標的タンパク質の活性の下方制御)を誘導する用量にも適用される場合がある。特定の用量は、選択される特別の化合物、遵守される投薬レジメン、それが他の化合物との併用で投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織、及びそれが運ばれる物的送達系に依拠して変動する場合がある。
【0045】
[0071] 本明細書に使用されるように、「医薬的に許容される」という用語は、担体、希釈剤、賦形剤、及び/又は塩が製剤の他の成分と適合可能でなければならくて、そのレシピエントに対して有害であってはならないことを意味する。「医薬的に許容される」はまた、その組成物又は剤形が健全な医療判断の範囲内にあること、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題又は合併症を伴うことなく動物又はヒトへの使用に適していること、妥当な利益/リスク比と釣り合っていることを意味する。
【0046】
[0072] 本明細書に使用されるように、「併用」又は「医薬併用」という用語は、抗癌剤の併用投与に言及する。本開示の併用には、CDK阻害剤(例、式I、Ia、又はIbの化合物)と、BCL-2阻害剤とプロテアソーム阻害剤より選択される少なくとも1つ抗癌剤が含まれ;それらの抗癌剤は、その必要な被験者へ例えば、同時的又は連続的に投与してよい。
【0047】
[0073] 本明細書に使用される「相乗的な」又は「相乗効果」又は「相乗作用(synerg
ism)」という用語は、組成物の併用の1以上の効果が各成分単独の1以上の効果より大
きいか、又はそれらが各成分単独の1以上の効果の総和より大きくなり得るような効果に概して言及する。相乗効果は、諸成分の1つ単独での被験者に対する効果、又は個々に投与される場合の諸成分のそれぞれの相加効果より約10%、20%、30%、50%、75%、100%、110%、120%、150%、200%、250%、350%、又は500%以上大きくなり得る。その効果は、本明細書に記載される測定可能な効果のいずれでもあり得る。有利にも、併用される場合の薬剤間のそのようなシナジーは、片方又は両方の薬剤のより少ない用量の使用を可能にし、同じ用量でより大きな効力を提供し、そして多剤耐性の発現を防止するか又は遅延させる場合がある。チョウ及びタラレイ(Chou
and Talalay)の併用指数(CI)法は、併用で使用される薬剤の相乗、相加、又は拮抗効果を判定するのに使用され得る。CI値が1未満である場合、併用で使用される化合物の間にはシナジーがあり;CI値が1に等しい場合、併用で使用される化合物の間には相加効果があり、そしてCI値が1より大きい場合は、拮抗効果がある。相乗効果は、医薬併用の薬剤を共製剤化することによって達成される場合がある。相乗効果は、2種以上の薬剤を投与される別々の製剤として同時的又は連続的に投与することによって達成される場合がある。
【0048】
[0074] サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期の特定期に活性化される酵素のファミリーである。CDKは、触媒サブユニット(事実上のサイクリン依存性キナーゼ又はCDK)と調節サブユニット(サイクリン)からなる。少なくとも9種のCDK(CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、等)と少なくとも15種の異なるタイプのサイクリン(サイクリンA、B1、B2、D1、D2、D3、E、H、等)がある。細胞周期の各段階は、そのようなCDK複合体によって調節される:G1/S移行期(CDK2/サイクリンA、CDK4/サイクリンD1~D3、CDK6/サイクリンD3)、S期(CDK2/サイクリンA)、G2期30(CDK1/サイクリンA)、G2/M移行期(CDK1/サイクリンB)。
【0049】
[0075] 本明細書に使用されるように、「CDK阻害剤」という用語は、1以上のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を阻害することが可能である薬剤を意味する。癌のような多くの疾患状態では、これらキナーゼの異常な発現と過剰発現が証明されている。本発明の文脈において、本明細書に記載される配合剤のCDK阻害剤は、式I、Ia、又はIbの化合物、又はその医薬的に許容される塩であり得る。本開示の化合物は、CDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンE、CDK4/サイクリンD、CDK4/サイクリンD1、及びCDK9/サイクリンT1の1以上を特異的に阻害し得る。ある態様では、本開示の化合物がCDK9/サイクリンT1又はCDK9を特異的に阻害する。
【0050】
[0076] 本明細書に開示されるのは、癌(例、白血病、リンパ腫、及び乳癌)の治療のための併用療法である。本明細書に記載される方法及び組成物には、式I、Ia、又はIbの化合物、又はその医薬的に許容される塩のようなサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤が含まれ得る。いくつかの例では、プロテアソーム阻害剤と併用したCDK阻害剤が併用療法に含まれ得る。他の例では、BCL-2阻害剤と併用したCDK阻害剤が併用療法に含まれ得る。
【0051】
[0077] ある態様では、本開示のCDK阻害剤が、そのそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,271,193号;7,915,301号;8,304,449号;7,884,127号;8,563,596号に開示される化合物によって表される。ある態様では、本開示のCDK阻害剤が式I:
【0052】
【0053】
[式中:R1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R2とR3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8(ここでR8は、置換されていてもよいC1-C10-アルキルである)より選択され;
R4は、置換されていてもよいC1-C4-アルキルであり;そして
R9は、水素又は置換されていてもよいC1-C4-アルキルである]によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である。
【0054】
[0078] ある態様において、式Iの化合物又は塩は、式Ia:
【0055】
【0056】
によって表される。
[0079] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。ある態様では、R1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、C1-C4-アルキル、及びC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている。ある態様では、R1が、ハロとC1-C4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている。ある態様では、R1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである。
【0057】
[0080] 「アルキル」という用語は、炭素原子と水素原子だけからなって、不飽和を含有しない、直鎖又は分岐鎖の炭化水素鎖ラジカルを意味する。ある態様では、アルキルが1~8個の炭素原子を含む(即ち、C1-C8アルキル)。他の態様では、アルキルが1~5個の炭素原子を含む(即ち、C1-C5アルキル)。他の態様では、アルキルが1~4個の炭素原子を含む(即ち、C1-C4アルキル)。他の態様では、アルキルが1~3個の炭素原子を含む(即ち、C1-C3アルキル)。他の態様では、アルキルが1~2個の炭素原子を含む(即ち、C1-C2アルキル)。他の態様では、アルキルが1個の炭素原子を含む(即ち、C1アルキル)。他の態様では、アルキルが5~8個の炭素原子を含む(即ち、C5-C8アルキル)。他の態様では、アルキルが2~5個の炭素原子を含む
(即ち、C2-C5アルキル)。他の態様では、アルキルが3~5個の炭素原子を含む(即ち、C3-C5アルキル)。ある態様において、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソプロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)より選択される。アルキルは、分子の残りへ単結合によって付く。本明細書において他に具体的に述べなければ、アルキル基は、本明細書に記載される置換基のような1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0058】
[0081] 「アルコキシ」という用語は、式:-O-アルキル(ここでアルキルは、上記に定義されたようなアルキル鎖である)の酸素原子を介して結合するラジカルを意味する。
【0059】
[0082] 「アミノ」という用語は、基:-NR’R”を意味し、ここでR’とR”は、水素と、アルキル、ヒドロキシル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリール(これらのいずれも、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-ヒドロキシアルキル、C1-C4-ハロアルキル、及びニトロのような1以上の置換基で置換されていてもよい)より独立して選択される。
【0060】
[0083] 「Cx-y」という用語は、アルキルのような化学部分と共に使用される場合、その鎖中にx~y個の炭素を含有する基が含まれることを意味する。例えば、「Cx-yアルキル」という用語は、その鎖中にx~y個の炭素を含有する直鎖アルキル基と分岐鎖アルキル基が含まれる、置換又は未置換の飽和炭化水素基を意味し、トリフルオロメチル、及び2,2,2-トリフルオロエチル、等のようなハロアルキル基が含まれる。
【0061】
[0084] 「ハロアルキル」という用語は、1個以上のハロラジカルによって置換されているアルキル基(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-クロロメチル-2-フルオロエチル、等)を意味する。いくつかの態様において、ハロアルキルのアルキル部分は、本明細書に記載されるようにさらに置換されていてもよい。
【0062】
[0085] 「ヒドロキシアルキル」という用語は、1以上のヒドロキシラジカルによって置換されているアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジヒドロキシメチル、等)を意味する。いくつかの態様において、ヒドロキシアルキルのアルキル部分は、本明細書に記載されるようにさらに置換されていてもよい。
【0063】
[0086] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R2とR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR8より選択され、ここでR8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC1-C10-アルキルである。ある態様では、R8が、それぞれの出現時に、置換されていてもよいC1-C4-アルキルのような、置換されていてもよいC1-C6-アルキルより選択される。ある態様では、R2とR3が、それぞれ独立して、ヒドロキシである。
【0064】
[0087] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R4が置換されていてもよいC1-C4-アルキルであり、ここでR4は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。ある態様では、R4が置換されていてもよいC1-C2-アルキルである。ある態様では、R4がヒドロキシアルキル、例えば、2-ヒドロキシメチルであ
る。
【0065】
[0088] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、R9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C1-C4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC1-C4-アルキルである。ある態様では、R9が置換されていてもよいC1-C2-アルキルである。ある態様では、R9がメチルである。ある態様では、R9が水素である。
【0066】
[0089] 式I又はIaの化合物又は塩についてのある態様では、式Iの化合物が、(+)-trans-2-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-8-(2-ヒドロキシメチル-1-メチル-ピロリジン-3-イル)-5,7-ジメトキシ-クロメン-4-オン;(+)-trans-2-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-(2-ヒドロキシメチル-1-メチルピロリジン-3-イル)-クロメン-4-オン;及び(+)-trans-2-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-(2-ヒドロキシメチル-1-メチル-ピロリジン-3-イル)-クロメン-4-オン塩酸塩より選択される化合物又は医薬的に許容される塩である。
【0067】
[0090] ある態様では、式I又はIaの化合物が、式Ib:
【0068】
【0069】
によって表されるか又は又はその医薬的に許容される塩である。ある態様において、式I、Ia、又はIbの化合物は、塩酸塩のような、酸付加塩の形態である。
[0091] 「置換された」という用語は、構造の1以上の炭素又はヘテロ原子上の水素に置換基が置き換わっている部分に言及する。「置換」又は「~で置換された」には、そのような置換が置換される原子と置換基の許容される原子価に従うだけでなく、転位、環化、脱離、等のような変換を容易には受けない安定した化合物を表すという暗黙の条件が含まれる。本明細書に使用されるように、「置換された」という用語には、有機化合物の許容されるすべての置換基が含まれると考慮される。広い側面において、許容される置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分岐鎖及び非分岐鎖、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の置換基が含まれる。許容される置換基は、適正な有機化合物について、1以上であり得て、同じでも異なってもよい。本開示の目的のために、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基、及び/又は、該ヘテロ原子の原子価を満足させる、本明細書に記載される有機化合物のどの許容される置換基も有し得る。
【0070】
[0092] 置換基には、本明細書に記載されるあらゆる置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシルのような)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、又はチオホルメートのような)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ
、スルファート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、炭素環、複素環、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香族及び複素芳香族部分が含まれ得る。いくつかの態様では、置換基に、本明細書に記載されるあらゆる置換基、例えば:ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO2)、イミノ(=N-H)、オキシム(=N-OH)、ヒドラジノ(=N-NH2)、-Rb-ORa、-Rb-OC(O)-Ra、-Rb-OC(O)-ORa、-Rb-OC(O)-N(Ra)2、-Rb-N(Ra)2、-Rb-C(O)Ra、-Rb-C(O)ORa、-Rb-C(O)N(Ra)2、-Rb-O-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rb-N(Ra)C(O)ORa、-Rb-N(Ra)C(O)Ra、-Rb-N(Ra)S(O)tRa(ここでtは、1又は2である)、-Rb-S(O)tRa(ここでtは、1又は2である)、-Rb-S(O)tORa(ここでtは、1又は2である)、及び-Rb-S(O)tN(Ra)2(ここでtは、1又は2である);並びに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルが含まれ得て、これらのいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO2)、イミノ(=N-H)、オキシム(=N-OH)、ヒドラジン(=N-NH2)、-Rb-ORa、-Rb-OC(O)-Ra、-Rb-OC(O)-ORa、-Rb-OC(O)-N(Ra)2、-Rb-N(Ra)2、-Rb-C(O)Ra、-Rb-C(O)ORa、-Rb-C(O)N(Ra)2、-Rb-O-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rb-N(Ra)C(O)ORa、-Rb-N(Ra)C(O)Ra、-Rb-N(Ra)S(O)tRa(ここでtは、1又は2である)、-Rb-S(O)tRa(ここでtは、1又は2である)、-Rb-S(O)tORa(ここでtは、1又は2である)及び-Rb-S(O)tN(Ra)2(ここでtは、1又は2である)によって置換されていてもよく;ここでそれぞれのRaは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルより独立して選択され、ここでそれぞれのRaは、原子価が許容するならば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO2)、イミノ(=N-H)、オキシム(=N-OH)、ヒドラジン(=N-NH2)、-Rb-ORa、-Rb-OC(O)-Ra、-Rb-OC(O)-ORa、-Rb-OC(O)-N(Ra)2、-Rb-N(Ra)2、-Rb-C(O)Ra、-Rb-C(O)ORa、-Rb-C(O)N(Ra)2、-Rb-O-Rc-C(O)N(Ra)2、-Rb-N(Ra)C(O)ORa、-Rb-N(Ra)C(O)Ra、-Rb-N(Ra)S(O)tRa(ここでtは、1又は2である)、-Rb-S(O)tRa(ここでtは、1又は2である)、-Rb-S(O)tORa(ここでtは、1又は2である)及び-Rb-S(O)tN(Ra)2(ここでtは、1又は2である)で置換されていてもよく;そしてここでそれぞれのRbは、直結合、又は直鎖又は分岐鎖のアルキレン、アルケニレン、又はアルキニレン鎖より独立して選択され、そしてそれぞれのRcは、直鎖又は分岐鎖のアルキレン、アルケニレン、又はアルキニレン鎖である。
【0071】
[0093] 式I、Ia、及びIbの化合物又はそれらの医薬的に許容される塩の製造手順については、PCT特許公開公報番号:WO2004004632(米国特許第7,271,193号に対応する)とPCT特許公開公報番号:WO2007148158に見出し得る。
【0072】
[0094] 本開示は、本明細書に記載されるあらゆる化合物、例えば、式I、Ia、Ibの化合物、BCL-2阻害剤、及びプロテアソーム阻害剤の医薬的に許容される塩を提供
する。医薬的に許容される塩には、例えば、酸付加塩と塩基付加塩が含まれる。化合物へ付加されて酸付加塩を生成する酸は、有機酸又は無機酸であり得る。化合物へ付加されて塩基付加塩を生成する塩基は、有機塩基又は無機塩基であり得る。いくつかの例では、医薬的に許容される塩が金属塩である。いくつかの例では、医薬的に許容される塩がアンモニウム塩である。
【0073】
[0095] 酸付加塩は、本明細書に記載される化合物への酸の付加より生じ得る。いくつかの例において、その酸は、有機酸である。いくつかの例において、その酸は、無機酸である。好適な酸の非限定的な例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチジン酸、グルコン酸、グルカロン酸、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、グリコール酸、リンゴ酸、桂皮酸、マンデル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボン酸、フェニル酢酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、2-ホスホグリセリン酸、3-ホスホグリセリン酸、グルコース-6-リン酸、及びアミノ酸が含まれる。
【0074】
[0096] 金属塩は、本発明の化合物への無機塩基の付加より生じ得る。無機塩基は、例えば、水酸化物、炭酸イオン、重炭酸イオン、又はリン酸イオンのような塩基性の対イオンと対合した金属カチオンからなる。この金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、又は典型金属であり得る。いくつかの態様において、この金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウム、又は亜鉛である。
【0075】
[0097] いくつかの態様では、金属塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩、又は亜鉛塩である。
【0076】
[0098] アンモニウム塩は、本明細書に記載される化合物へのアンモニア又は有機アミンの付加より生じ得る。好適な有機アミンの非限定的な例には、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン、ピペラジン、ピリジン、ピラゾール、ピピラゾール(pipyrrazole)、イミダゾール、ピラジン、ピピラジン(pipyrazine)、エチレンジアミン、N
,N’-ジベンジルエチレンジアミン、プロカイン、クロロプロカイン、コリン、ジシクロヘキシルアミン、及びN-メチルグルカミンが含まれる。
【0077】
[0099] 好適なアンモニウム塩の非限定的な例には、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、N-メチルモルホリン塩、ピペリジン塩、N-メチルピペリジン塩、N-エチルピペリジン塩、ジベンジルアミン塩、ピペラジン塩、ピリジン塩、ピラゾール塩、ピピラゾール塩、イミダゾール塩、ピラジン塩、ピピラジン塩、エチレンジアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、プロカイン塩、クロロプロカイン塩、コリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、及びN-メチルグルカミン塩が含まれる。
【0078】
[0100] 好適な酸付加塩の非限定的な例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、重炭酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、4-アミノサリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチジン酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、メチルマレイン酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、2-フェノキシ安息香酸塩、2-アセトキシ安息香酸塩、エンボン酸塩、フェニル酢酸塩、N-シクロヘキシルスルファミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エタン-1,2-ジスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩、2-ホスホグリセリン酸塩、3-ホスホグリセリン酸塩、グルコース-6-リン酸塩、及びアミノ酸塩が含まれる。
【0079】
[0101] 本明細書に記載される化合物、例えば、式I、Ia、Ibの化合物と塩、BCL-2阻害剤、及びプロテアソーム阻害剤は、いくつかの例では、ジアステレオマー、エナンチオマー、又は他の立体異性型として存在する場合がある。本明細書に提示される化合物には、すべてのジアステレオマー型、エナンチオマー型、及びエピマー型、並びにこれらの適正な混合物が含まれる。立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによるか又はジアステレオマーを生成して再結晶又はクロマトグラフィーによって分離すること、又はこれらの任意の組合せによって達成し得る(Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen,「Enantiomaers, Racemates and Resolutions(エナンチオマー、ラセミ化合物、及
び分割法)」,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社(1981)、本開示のために参照により本明細書に組み込まれる)。立体異性体は、立体選択的な合成によっても入手し得る。
【0080】
[0102] 本明細書に記載される化合物、例えば、式I、Ia、Ibの化合物と塩、BCL-2阻害剤、及びプロテアソーム阻害剤には、結晶形だけでなく非晶形の使用が含まれる(多形としても知られる)。本明細書に記載される化合物は、医薬的に許容される塩の形態であり得る。同様に、本開示の範囲には、同種の活性を有するこれら化合物の活性代謝産物が含まれる。加えて、本明細書に記載される化合物は、非溶媒和形だけでなく、水、エタノール、等のような医薬的に許容される溶媒との溶媒和形でも存在し得る。本明細書に提示される化合物の溶媒和形も、本明細書に開示されているとみなされる。
【0081】
[0103] 本明細書に記載される化合物、例えば、式I、Ia、Ibの化合物と塩、BCL-2阻害剤、及びプロテアソーム阻害剤には、その天然同位体存在度を明示する化合物と、その原子の1以上が、同じ原子番号を有するが、原子量又は質量数が天然で支配的に見出される原子量又は質量数と異なる特別な同位体で人工的に濃縮された化合物が含まれる。本発明の化合物のすべての同位体変化物が、放射活性で有っても無くても、本発明の範囲内に含まれる。例えば、水素には、1H(プロチウム)、2H(ジュウテリウム)、及び3H(トリチウム)と表示される、3種の天然に存在する同位体がある。プロチウムは、天然で最も豊富な水素の同位体である。ジュウテリウムを濃縮することは、生体内(in vivo)半減期及び/又は曝露の増加といった、ある種の療法上の利点をもたらす場合
があるか又は、薬物の消失及び代謝の生体内(in vivo)経路を検討するのに有用な化合
物を提供する場合がある。同位体濃縮化合物は、製造し得る。
【0082】
[0104] 本明細書に記載される化合物、例えば、式I、Ia、Ibの化合物と塩、BCL-2阻害剤、及びプロテアソーム阻害剤は、該化合物が炭素-炭素二重結合又は炭素-窒素三重結合を有する場合、該当すれば、Z又はE形(又は、シス又はトランス形)で存在し得る。さらに、ある化学成分(chemical entities)は、様々な互変異性形で存在し
得る。他に特定されなければ、本明細書に記載される化学成分には、すべてのZ形、E形、及び互変異性形が同様に含まれると企図される。
【0083】
[0105] ある事例では、本明細書に記載される化合物がプロドラッグであり得る(例えば、親化合物中に存在するカルボン酸がエステルとして提示される場合)。「プロドラッグ」という用語には、生理学的条件下に、本開示の薬剤(即ち、親化合物)へ変換される化合物が含まれると企図される。プロドラッグを作製するための1つの方法は、生理学的条件下に加水分解されて所望される分子を明らかにする1以上の選択部分を含めることである。ある態様において、プロドラッグは、宿主動物中の特定の標的酵素における酵素活性のような、宿主動物の酵素活性によって変換される。例えば、エステル類又は炭酸塩類(例、アルコール又はカルボン酸のエステル又は炭酸塩)が本開示の好ましいプロドラッグである。
【0084】
[0106] プロドラッグがしばしば有用であるのは、ある状況では、それらを親薬物より容易に投与し得るからである。例えば、それらは、親薬物がそうでないのに対して、経口投与によって生体利用可能である場合がある。プロドラッグは、親薬物に比べて、化合物の細胞透過性を高めるのに役立つ場合がある。例えば、プロドラッグは、親化合物に優って細胞透過性を向上させた場合がある。プロドラッグはまた、親薬物に優って医薬製剤中の溶解性を向上させた場合がある。いくつかの態様において、プロドラッグの設計は、薬剤の脂溶性を増加させる。いくつかの態様において、プロドラッグの設計は、有効な水溶性を増加させる。
【0085】
[0107] ある態様では、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤(例、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩)をBCL-2ファミリー中の1以上のタンパク質の阻害剤と併用して使用し得る。BCL-2抗アポトーシスファミリーのタンパク質の阻害剤は、少なくとも細胞生存経路を改変させる。アポトーシス活性化は、細胞表面の細胞死受容体の活性化が引き金になる外因性経路を介して、又は発生の手掛りと多様な細胞内ストレスが引き金になる内因性経路を介して起こり得る。この内因性経路は、ストレス経路又はミトコンドリア経路としても知られていて、主にBCL-2ファミリー[カスパーゼ活性化の主要な制御因子群であって、BH1~BH4ドメインを有する抗アポトーシス(好生存)タンパク質(BCL-2、即ち、BCL-2抗アポトーシスタンパク質ファミリーのBCL-2タンパク質メンバー)、BCL-xL、BCL-w、A1、MCL-1、及びBCL-B;BH1、BH2、及びBH3ドメインを有する好アポトーシスタンパク質(BAX、BAK、及びBOK);及び好アポト―シス性BH3のみのタンパク質(BIK、BAD、BID、BIM、BMF、HRK、NOXA、及びPUMA)からなる]によって制御される(例えば、Cory et l., Nature Reviews Cancer 2:647-56 (2002); Cory et al., Cancer Cell 8:5-6 (2005); Adams et al., Oncogene 26:1324-1337 (2007) を参照
のこと)。BCL-2抗アポトーシスタンパク質は、好アポトーシスマルチドメインタンパク質のBAX及びBAKの活性化を妨げる(例えば、Adams et al., Oncogene 26:1324-37 (2007) を参照のこと)。
【0086】
[0108] 本明細書に使用されるように、「BCL-2阻害剤」という用語は、抗アポトーシスタンパク質のBCL-2ファミリー中の1以上のタンパク質(例えば、BCL-2、BCL-xL、及びBCL-w)を阻害することが可能である薬剤を意味する。ある態様では、本開示のBCL-2阻害剤がBCL-2ファミリーの1つのタンパク質を選択的に阻害する、例えば、BCL-2阻害剤がBCL-2を選択的に阻害し得て、BCL-xlもBCL-wも阻害し得ない。
【0087】
[0109] 本明細書に記載されるBCL-2阻害剤は、BCL-2、BCL-xL、及びBCL-wの1以上を阻害し得る。ある態様において、BCL-2抗アポトーシスファミ
リーのタンパク質の阻害剤は、BCL-2を阻害する。ある態様において、BCL-2抗アポトーシスファミリーのタンパク質の阻害剤は、BCL-2を阻害して、BCL-2ファミリーのタンパク質の他のメンバーを阻害しない(例えば、BCL-xLもBCL-wも阻害しない)。ある態様において、BCL-2阻害剤は、BH3-模倣薬である。
【0088】
[0110] ある態様において、本開示のBCL-2阻害剤は、BCL-xL機能を阻害する。BCL-xLの阻害に加えて、該阻害剤はまた、BCL-2と相互作用する、及び/又はBCL-2の1以上の機能を阻害する場合がある(例えば、BCL-xL/BCL-2阻害剤)。ある態様では、本開示のBCL-2阻害剤が、BCL-xLとBCL-wのそれぞれを阻害する。ある態様では、本開示のBCL-2阻害剤が、BCL-xL、BCL-2、及びBCL-wを阻害する。
【0089】
[0111] ある態様では、BCL-2阻害剤が、BCL-2抗アポトーシスタンパク質ファミリーメンバーと(BCL-2抗アポトーシスタンパク質ファミリーのメンバーが阻害剤の非存在下であれば結合するはずの)1以上のリガンド又は受容体との間の相互作用に干渉する。他の態様では、1以上のBCL-2抗アポトーシスタンパク質ファミリーメンバーの阻害剤が、この阻害剤が少なくとも1つのBCL-2タンパク質を特異的に阻害する場合、BCL-xL、BCL-2、BCL-wの1以上に対してのみ結合して、Mcl-1とBCL2A1のような、他のBcl-2抗アポトーシスBcl-2ファミリーメンバーへは結合しない。
【0090】
[0112] BCL-2阻害剤のBCL-2ファミリータンパク質への結合親和性を測定し得る。例を挙げると、競合蛍光偏光アッセイを使用してBCL-xL阻害剤の結合親和性を定量することができる(ここでは、先に記載したように、増加濃度のBCL-XL阻害剤の存在又は非存在下に、蛍光性のBAK BH3ドメインペプチドをBCL-xLタンパク質(又は他のBCL-2ファミリータンパク質)とともにインキュベートする)(例えば、米国特許公開公報:20140005190;Park et al., Cancer Res. 73:5485-96 (2013);Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 97:7124-9 (2000);Zhang et al., Anal. Biochem. 307:70-5 (2002);Bruncko et al., J. Med. Chem. 50:641-62 (2007) を参照のこと)。式:1-[(ウェルのmP値-陰性対照)/範囲)]x100%によって阻害パーセントを決定し得る。阻害定数(Ki)値は、Bruncko et al., .Med. Chem. 50:641-62 (2007) に記載されたように、式:Ki=[I]50/([L]50/Kd
+[P]0/Kd+1)によって決定する(Wang, FEBS Lett. 360: 111-114 (1995) も
参照のこと)。
【0091】
[0113] BCL-2阻害剤の例には、ABT-263(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-5,5-ジメチルシクロヘキセン-1-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-モルホリン-4-イル-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル]スルホニルベンズアミド、又はIUPAC、(R)-4-(4-((4’-クロロ-4,4-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-((4-((4-モルホリノ-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3-((トリフルオロメチル)スルホニル)フェニル)スルホニル)ベンズアミド)(例えば、Park et al., 2008, J. Med. Chem. 51:6902;Tse et al., Cancer Res., 2008, 68:3421;国際特許出願公開公報番号:WO2009/155386;米国特許第7390799号、7709467号、7906505号、8624027号を参照のこと)、及びABT-737(4-[4-[(4’-クロロ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)メチル]-1-ピペラジニル]-N-[[4-[[(1R)-3-(ジメチルアミノ)-1-[(フェニルチオ)メチル]プロピル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニル]ベンズアミド、ベンズアミド、4-[4-[(4’-ク
ロロ[1,1’-ビフェニル]-2-イル)メチル]-1-ピペラジニル]-N-[[4-[[(1R)-3-(ジメチルアミノ)-1-[(フェニルチオ)メチル]プロピル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニル]-又は4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)(例えば、Oltersdorf et al., Nature, 2005, 435:677;米国特許第7973161号;米国特許第7642260号を参照のこと)が含まれる。
【0092】
[0114] 他の態様において、BCL-2阻害剤は、キナゾリンスルホンアミド化合物である(例えば、Sleebs et al., 2011, J. Med. Chem. 54:1914 を参照のこと)。なお別
の態様において、BCL-阻害剤は、Zhou et al., J. Med. Chem., 2012, 55:4664(例
えば、化合物21:(R)-4-(4-クロロフェニル)-3-(3-(4-(4-(4-((4-(ジメチルアミノ)-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3-ニトロフェニルスルホンアミド)フェニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)-5-エチル-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸を参照のこと)と Zhou et al., J. Med. Chem., 2012, 55:6149(例えば、化合物14:(R)-5-(4-クロロフェニル)-4-(3-(4-(4-(4-((4-(ジメチルアミノ)-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3-ニトロフェニルスルホンアミド)フェニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)-1-エチル-2-メチル-1H-ピロール-3-カルボン酸;化合物15:(R)-5-(4-クロロフェニル)-4-(3-(4-(4-(4-((4-(ジメチルアミノ)-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3-ニトロフェニルスルホンアミド)フェニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)-1-イソプロピル-2-メチル-1H-ピロール-3-カルボン酸を参照のこと)に記載されるような低分子化合物である。他の態様において、BCL-阻害剤は、BM-1074(例えば、Aguilar et al., 2013, J. Med. Chem. 56:3048 を参照のこと);BM-957(例えば、Chen et al., 2012, J. Med. Chem. 55:8502 を参照のこと);BM-1197
(例えば、Bai et al., PLoS One 2014 Jun 5;9(6):e99404. Doi: 10.1371/journal.pone. 009904 を参照のこと);米国特許出願番号:2014/0199234;N-アシル
スルホンアミド化合物(例えば、国際特許出願公開公報番号:WO2002/024636、国際特許出願公開公報番号:WO2005/049593、国際特許出願公開公報番号:WO2005/049594、米国特許第7767684号、米国特許第7906505号を参照のこと)のようなBCL-2/BCL-xL阻害剤である。なお別の態様において、BCL-2阻害剤は、低分子の大環状化合物である(例えば、国際特許出願公開公報番号:WO2006/127364、米国特許第7777076号を参照のこと)。なお別の態様において、BCL-2阻害剤は、イソオキサゾリジン化合物である(例えば、国際特許出願公開公報番号:WO2008/060569、米国特許第7851637号、米国特許第7842815号を参照のこと)。なお別の態様において、BCL-2阻害剤は、S44563である(例えば、Loriot et. al., Cell Death and Disease, 2014, 5, e1423 を参照のこと)。1つの態様において、BCL-2阻害剤は、(R)-3-
((4’-クロロ-[1、1’-ビフェニル]-2-イル)メチル)-N-((4-(((R)-4-(ジメチルアミノ)-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3-ニトロフェニル)スルホニル)-2,3,4,4a,5,6-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]キノリン-8-カルボキサミドである。別の態様において、BCL-2阻害剤は、低分子の複素環式化合物である(例えば、米国特許第9018381号を参照のこと)。
【0093】
[0115] ある事例では、BCL-2阻害剤を式I、Ia、又はIbの化合物又は塩と併用して使用する。どのBCL-2阻害剤も使用し得て、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩と併用して使用される場合に相乗効果を明示する場合がある。ABCL-2ファミリ
ー阻害剤は、Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、BAK1、BAX、BCL2、BCL2A1、BCL2L1、BCL2L2、BCL2L10、BCL2L13、BCL2L14、BOK、及びMCL1が含まれる、BCL-2ファミリーの1以上のメンバーを阻害し得る。ある態様では、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩を以下のいずれとも併用して使用する:ナビトクラックス、ベネトクラックス、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7、サブトクラックス、UMI-77、ガンモギン酸、マリトクラックス、MIM1、メチルプレドニゾロン、iMAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、及びARRY 520トリフルオロアセテート。いくつかの実施例では、ボルシクリブをナビトクラックスと併用して使用する。ある態様では、ボルシクリブをベネトクラックスと併用して使用する。
【0094】
[0116] いくつかの態様では、BCL-2阻害剤を本開示のCDK阻害剤、例えば、式I、Ia、又はIbの化合物と併用して、血液癌の治療のために使用する。ある態様において、血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)のような白血病である。ある態様において、血液癌は、B細胞又はT細胞リンパ腫のような非ホジキンリンパ腫である。B細胞リンパ腫には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫が含まれる。T細胞リンパ腫には、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫(くすぶり型、慢性型、急性型、及びリンパ腫型のサブタイプがある)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫(鼻型)、腸管症関連消化管T細胞リンパ腫(EATL)(サブタイプI型及びII型)、及び未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)が含まれる。本明細書に記載される血液癌を治療するために、本開示の併用、例えば、本明細書に記載されるCDK阻害剤とBCL-2阻害剤の併用を使用し得る。
【0095】
[0117] 本明細書に使用される「~を治療する」、「~を治療すること」又は「治療」、という用語には、疾患又は状態の諸症状を軽減すること、和らげること、又は改善すること、追加の症状を予防すること、諸症状の根本原因を改善するか又は予防すること、疾患又は状態を阻害すること(例えば、疾患又は状態の発展を阻止すること)、疾患又は状態を緩和すること、疾患又は状態の後退を引き起こすこと、疾患又は状態によって引き起こされる状態を緩和すること、又は疾患又は状態の諸症状を予防的及び/又は療法的に停止させることが含まれ得る。
【0096】
[0118] 本開示は、癌の再発を予防するか又は抑制することの必要な被験者においてそれをする方法を提供する。ある態様において、疾患又は障害に関連した「~を予防する」又は「~を予防すること」という用語は、統計標本において、未治療対照標本に比べて治療標本(treated sample)における障害又は状態の発生を低下させる、又は未治療対照標本に比べて、障害又は状態の1以上の症状の発現を遅らせるか又はその重症度を低下させる化合物又は併用に言及する場合がある。この方法には、本明細書に記載される併用療法を、微小残存病変を治療するために、及び/又は維持療法として(例えば、別の癌治療の中止後の長期又は延長療法として)投与することが含まれる。
【0097】
[0119] ある側面では、プロテアソーム阻害剤を本開示のCDK阻害剤(例、式I、Ia、又はIbのいずれかの化合物又は塩)と併用するか又は併用して使用し得る。真核細
胞において、ユビキチン(Ub)-プロテアソーム経路(UPS)は、Ub修飾とその後のタンパク質基質の分解に関与する。UPSは、多くの細胞調節タンパク質(転写因子、細胞周期調節タンパク質、及び多様な細胞プロセスに参画する因子が含まれる)のレベルを制御する。UPS経路の一般的な特徴は、高度に保存されたUbが一連の酵素、即ち、E1 Ub活性化酵素、E2 Ub結合酵素、及びE3 Ubリガーゼを介して標的タンパク質へ共有結合することである。E1は、最初にUbを活性化して、それをE2へ移す。このE2酵素から、Ubは、標的タンパク質へ直接的に移されるか又はE3 Ubリガーゼを介して間接的に移される。このポリユビキチン化タンパク質は、多重タンパク分解活性を有する大きな複合体である26Sプロテアソームによって認識されて分解される。
【0098】
[0120] 本明細書に使用されるように、「プロテアソーム阻害剤」という用語は、プロテアソームの作用を妨害する薬剤を意味する。プロテアソーム阻害は、p53タンパク質のような好アポトーシス因子の分解を予防し得て、好アポトーシス経路の抑制に依存した新生物細胞におけるプログラム化された細胞死の活性化を許容する。
【0099】
[0121] どのプロテアソーム阻害剤も使用し得て、CDK阻害剤、例えば、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩と併用して使用される場合に相乗効果を明示する場合がある。プロテアソーム阻害剤の非限定的な例には、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、エポキソミシン、及びMG132が含まれ得る。
【0100】
[0122] いくつかの態様では、プロテアソーム阻害剤を本開示のCDK阻害剤、例えば、式I、Ia、又はIbの化合物と併用して、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のような血液癌又はトリプルネガティブ乳癌の治療のために使用する。
【0101】
[0123] いくつかの側面では、本明細書に記載される併用、例えば、CDK阻害剤のBCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤との併用を癌の治療に利用することができる。本明細書に記載される併用療法は、転移の可能性を低下させることの必要な被験者においてそれをすることができる。いくつかの態様において、転移は、固形腫瘍である。いくつかの態様において、転移は、液性腫瘍である。液性腫瘍である癌は、例えば、血液、骨髄、及びリンパ節において発生するものであり得て、例えば、白血病、骨髄性白血病、リンパ球性白血病、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、メラノーマ、及び多発性骨髄腫を含めることができる。白血病には、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び有毛細胞白血病が含まれる。固形腫瘍である癌には、例えば、前立腺癌、精巣癌、乳癌、脳腫瘍、膵臓癌、結腸癌、甲状腺癌、胃癌、肺癌、卵巣癌、カポシ肉腫、皮膚癌、扁平細胞癌、腎癌、頭頚部癌、咽喉癌、鼻、口、咽喉の湿った粘膜内層上に生成する扁平上皮癌、膀胱癌、骨肉腫、子宮頸部癌、子宮内膜癌、食道癌、肝臓癌、及び腎臓癌が含まれる。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法によって治療される状態は、メラノーマ細胞、前立腺癌細胞、精巣癌細胞、乳癌細胞、脳腫瘍細胞、膵臓癌細胞、結腸癌細胞、甲状腺癌細胞、胃癌細胞、肺癌細胞、卵巣癌細胞、カポシ肉腫細胞、皮膚癌細胞、腎癌細胞、頭頚部癌細胞、咽喉癌細胞、扁平上皮癌細胞、膀胱癌細胞、骨肉腫細胞、子宮頸部癌細胞、子宮内膜癌細胞、食道癌細胞、肝臓癌細胞、又は腎臓癌細胞の転移である。
【0102】
[0124] 本明細書に記載される方法は、転移性の癌腫瘍の進行を阻害することにも使用し得る。癌の非限定的な例には、副腎皮質癌、小児副腎皮質癌、AIDS関連癌、肛門癌、盲腸癌、基底細胞癌、小児基底細胞癌、膀胱癌、小児膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、小児星状細胞腫、小児脳幹グリオーマ、小児中枢神経系非定型奇形腫様/ラブロイド腫瘍、小児中枢神経系胎児性腫瘍、小児中枢神経系胚細胞腫瘍、小児頭蓋咽頭腫脳腫瘍、小児上衣腫脳
腫瘍、乳癌、小児気管支腫瘍、カルチノイド腫瘍、小児カルチノイド腫瘍、消化管カルチノイド腫瘍、原発不明癌、小児原発不明癌、小児心腫瘍、子宮頸部癌、小児子宮頸部癌、小児脊索腫、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結直腸癌、小児結直腸癌、肝外胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、子宮内膜癌、食道癌、小児食道癌、小児鼻腔神経芽細胞腫、眼癌、骨の悪性線維性組織球腫、胆嚢癌、胃(胃部)癌、小児胃癌、消化管間質腫瘍(GIST)、小児消化管間質腫瘍(GIST)、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、グリオーマ、頭頚部癌、小児頭頚部癌、肝細胞癌、下咽頭癌、腎臓癌、腎細胞腎臓癌、ウィルムス腫瘍、小児腎臓腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、小児喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、舌癌、肝臓癌(原発性)、小児肝臓癌(原発性)、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫(CNS)、メラノーマ、小児メラノーマ、眼内黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、小児悪性中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、NUT遺伝子関与の正中線癌、口腔(mouth)癌、小児多発性内分泌腺腫瘍症、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成
新生物、骨髄増殖性新生物、多発性骨髄腫、鼻腔癌、鼻咽頭癌、小児鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔(oral)癌、小児口腔癌、口咽頭癌、卵巣癌、小児卵巣癌、上皮性卵巣癌、低悪性度腫瘍卵巣癌、膵臓癌、小児膵臓癌、膵臓内分泌腺腫瘍(膵島細胞腫瘍)、小児乳頭腫症、傍神経節腫瘍、副鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、小児胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂移行上皮癌、網膜芽腫、唾液腺癌、小児唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポシ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、小児横紋筋肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、小児皮膚癌、非黒色腫皮膚癌、小腸癌、扁平上皮癌、小児扁平上皮癌、精巣癌、小児精巣癌、咽喉癌、胸腺腫・胸腺癌、小児胸腺腫・胸腺癌、甲状腺癌、小児甲状腺癌、尿管移行上皮癌、尿道癌、子宮体癌、膣癌、外陰癌、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症が含まれる。
【0103】
[0125] 本明細書に記載される併用療法は、放射線療法のような他の療法と一緒に使用し得る。化学療法及び放射線療法の治療レジメンは、有限数の薬物療法サイクルに続く非薬物療法サイクルを含むか、又は化学療法又は放射線療法が投与される有限の時間枠を含むことが可能である。そのプロトコールは、臨床試験、薬物ラベル、及び治療される被験者と一体の医療スタッフによって決定され得る。化学療法又は放射線療法のサイクル回数、又は化学療法又は放射線療法のレジメンの全長時間は、癌療法に対する被験者の応答に依拠して変動する可能性がある。化学療法又は放射線療法の治療レジメンが完了した後で、本明細書に記載される薬剤を投与することができる。
【0104】
[0126] いくつかの側面において、本明細書に記載される併用を利用して、その必要な被験者を治療することができる。いくつかの例において、本明細書に開示される方法及び組成物によって治療され得る被験者は、ヒト被験者であり得る。本明細書に開示される方法及び組成物によって治療され得る被験者は、非ヒト動物であり得る。非ヒト動物の非限定的な例には、非ヒト霊長動物、家畜動物、飼育用ペット、及び実験動物が含まれ得る。
【0105】
[0127] ある態様において、本明細書に記載される併用療法は、別々の薬剤として投与しても、単一の医薬組成物中へ組み合わせてもよい。例えば、CDK阻害剤(例、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩)とBCL-2阻害剤(例、ベネトクラックス又はナビトクラックス)の組合せを2つの別々の医薬組成物として製剤化しても、この2つの薬剤を単一の医薬組成物として共製剤化してもよい。
【0106】
[0128] ある態様では、CDK阻害剤(例、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩)をBCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤と共製剤化する。いくつかの例では、式I、
Ia、又はIbの化合物をナビトクラックス、ベネトクラックス、ボルテゾミブ、マリゾミブ、又はイクサゾミブのいずれか1つ、又はこれらの組合せと共製剤化する。
【0107】
[0129] ある態様において、本開示は、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩を含んでなる、例えば、経口又は非経口投与用の医薬組成物を提供する。いくつかの側面において、該医薬組成物は、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩を少なくとも約1mg~約1000mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約400mg、又は約250mg~約350mgの量で含む。例えば、本開示の医薬組成物は、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、又は約500mgの式I、Ia、又はIbの化合物を含み得る。本明細書に記載される化合物、例えば式Ibの化合物では、塩の形態で医薬組成物へ製剤化される場合、該化合物の量は、遊離塩基の重量を表し得て、塩形態の重量を表し得ない。ある態様において、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩の医薬組成物には、追加の抗癌剤、例えば、BCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤が含まれない。ある態様において、該医薬組成物には、追加の抗癌剤、例えば、BCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤が含まれる。
【0108】
[0130] 本開示の化合物、例えば、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩の治療有効量は、被験者の体重1kgあたりの化合物のmg数として表現することができる。いくつかの事例では、治療有効量の用量が、少なくとも約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、又は約20mg/kgであり得る。本明細書に記載される化合物、例えば式Ibの化合物では、塩の形態で医薬組成物へ製剤化される場合、該化合物の治療有効量は、遊離塩基の重量を表し得て、塩形態の重量を表し得ない。
【0109】
[0131] ある態様において、本開示は、BCL-2阻害剤、例えば、ベネトクラックス又はナビトクラックスを含んでなる、例えば、経口又は非経口投与用の医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、BCL-2阻害剤を少なくとも約1mg~約1000mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約200mg~約800mg、又は約300mg~約8000mgの量で含み得る。例えば、本開示の医薬組成物は、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg、約220mg、約240mg、約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、約500mg、約520mg、約540mg、約560mg、約580mg、約600mg、約620mg、約640mg、約660mg、約680mg、約700mg、約720mg、約740mg、約760mg、約780mg、約800mg、約820mg、約840mg、約860mg、約880mg、約900mg、約920mg、約940mg、約960mg、約980mg、又は約1000mgのBCL-2阻害剤、例えば、ベネトクラックス又はナビトクラックスを含み得る。
【0110】
[0132] ある態様において、本開示は、プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ、マリゾミブ、又はイクサゾミブを含んでなる、例えば、経口又は非経口投与用の医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、プロテアソーム阻害剤を少なくとも約0.5mg~約50mg、約1mg~約30mg、約1mg~約20mg、約1mg~約10mg、又は
約1mg~約5mgの量で含み得る。例えば、本開示の医薬組成物は、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、又は約20mgのプロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ、マリゾミブ、又はイクサゾミブを含み得る。
【0111】
[0133] ある態様では、本開示の製剤が、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩、BCL-2阻害剤、又はプロテアソーム阻害剤を含み、ここで該化合物又は塩は、不純物を約70%~約99.99%、約80%~約99.9%、約85%~約99%、約90%~約99%、約95%~約99%、約97%~約99%、約98%~約99%、約98%~約99.9%、約99%~約99.99%、約99.5%~約99.99%、約99.6%~約99.99%、約99.8%~約99.99%、又は約99.9%~約99.99%含まない。
【0112】
[0134] ある態様では、本開示の医薬組成物が式I、Ia、又はIbの化合物又は塩とBCL-2阻害剤の両方を本明細書に記載される量のような量で含む(例えば、100~400mgの式Ibの化合物又は塩と200~800mgのBCL-2阻害剤、例えばベネトクラックスを含む医薬組成物)。
【0113】
[0135] ある態様では、本開示の医薬組成物が式I、Ia、又はIbの化合物又は塩とプロテアソーム阻害剤の両方を本明細書に記載される量のような量で含む(例えば、100~400mgの式Ibの化合物又は塩と1~10mgのプロテアソーム阻害剤、例えばイクサゾミブを含む医薬組成物)。
【0114】
[0136] 本明細書に開示される医薬組成物は、液体製剤、固体製剤、又はこれらの組合せの形態であり得る。製剤の非限定的な例には、錠剤、カプセル剤、丸剤、ゲル剤、ペースト剤、液体溶液剤、及びクリーム剤が含まれ得る。いくつかの事例において、治療薬剤、例えば、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩、BCL-2阻害剤、又はプロテアソーム阻害剤は、結晶化形態であり得る。2種以上の治療薬剤を含んでなる医薬組成物では、各薬剤を別々に結晶化してから組み合わせても、それらを一緒に結晶化してもよい。組成物は、2種以上の治療薬剤を1以上の物理状態で含み得る。例えば、組成物は、1つの治療薬剤を固体製剤において、そしてもう1つの治療薬剤又は薬物をゲル製剤において含んでなる錠剤であり得る。ある態様において、組成物は、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩を第一の物理状態で、そしてBCL-2ファミリー阻害剤又はプロテアソーム阻害剤を第二の物理状態で含んでなる、単一の医薬組成物である。
【0115】
[0137] 本開示の組成物は、賦形剤又は添加剤をさらに含み得る。賦形剤には、ありとあらゆる溶媒、コーティング剤、キレート形成剤、香味剤、着色剤、滑沢剤、崩壊剤、保存剤、甘味剤、消泡剤、緩衝剤、高分子剤、抗酸化剤、結合剤、希釈剤、及び媒体(又は担体)が含まれ得る。一般に、賦形剤は、本開示の治療用組成物と適合可能である。
【0116】
[0138] 経口投与用の液状製剤(liquid preparations)は、例えば、溶液剤、シロッ
プ剤、又は懸濁液剤の形態をとり得るか、又はそれらは、使用前に水又は他の好適な媒体での復元用の乾燥製品として提示され得る。そのような液状製剤は、懸濁剤(例、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、又は水素添加食用脂);乳化剤(例、レシチン又はアカシア);非水性媒体(例、落花生油、油性エステル類、又はエチルアルコール);保存剤(例、p-ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピル、又はソルビン酸);及び人工又は天然の着色剤及び/又は甘味剤のような医薬的に許容される添加剤を用いた慣用のアプローチによって製造することができる。
【0117】
[0139] 本開示には、ある化合物の分解を水が促進する可能性があるので、有効成分を含んでなる無水の組成物及び剤形がさらに含まれる。本開示の無水の組成物及び剤形は、無水成分又は低水分含有成分と低水分又は低湿度条件を使用して製造することができる。製造、包装、及び/又は保存の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予測されるならば、乳糖を含有する本開示の組成物及び剤形を無水化することができる。その無水性が維持されるように、無水組成物を製造して保存することができる。従って、水分への曝露を防ぐ材料が好適な処方キットに含まれ得るようにそれらを使用して、無水組成物を包装することができる。好適な包装容器の例には、限定されないが、密閉フォイル、プラスチック、単位用量容器、ブリスターパック、及びストリップパックが含まれる。
【0118】
[0140] 慣用の医薬配合技術に従って、本明細書に記載される成分を密接な混合物において医薬担体と組み合わせることができる。この担体は、投与に望まれる調製品の形態に依拠して、多種多様な形態をとることができる。経口剤形用の組成物を製造する場合には、例えば、水、グリコール類、油剤、アルコール類、香味剤、保存剤、着色剤のような通常の医薬媒体のいずれも、経口液状調製品(懸濁液剤、溶液剤、及びエリキシル剤のような)又はエアゾール剤の場合に担体として利用し得る;又は、経口固体調製品の場合は、いくつかの態様において、乳糖の使用を利用することなく、デンプン類、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤のような担体を使用することができる。例えば、好適な担体には、散剤、カプセル剤、及び錠剤が、固体経口調製品と共に含まれる。所望されるならば、標準的な水系又は非水系技術によって、錠剤をコートすることができる。
【0119】
[0141] 医薬的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例には:(1)乳糖、ブドウ糖、及びショ糖のような糖類;(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンのようなデンプン類;(3)セルロースと、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロースのようなその誘導体;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココア脂及び坐剤用ワックスのような賦形剤;(9)落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油のような油剤;(10)プロピレングリコールのようなグリコール類;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールのようなポリオール類;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル類;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質除去水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝溶液剤;及び(21)医薬製剤において利用される他の無害な適合性物質が含まれる。
【0120】
[0142] 剤形における使用に適した結合剤には、限定されないが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン類、ゼラチン、アカシアのような天然及び合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガカント末、グアーゴム、セルロースとその誘導体(例、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化(pre-gelatinized)デンプン、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、及びこれらの混合物が含まれる。
【0121】
[0143] 本明細書に開示される組成物及び剤形における使用に適した充填剤の例には、限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート類(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、
ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0122】
[0144] 水性の懸濁液剤及び/又はエリキシル剤が経口投与に所望される場合、その中
の有効成分は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、及びそれらの様々な組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味剤又は香味剤、着色物質又は色素と、そしてそのように所望されるならば、乳化剤及び/又は懸濁剤と組み合わせることができる。
【0123】
[0145] 1つの態様において、組成物には、本開示の化合物の良好な可溶化及び/又は溶解を確実にして、本開示の化合物の沈殿を最小にするために、可溶化剤を含めることができる。このことは、非経口使用の組成物、例えば、注射用の組成物にとって特に重要であり得る。可溶化剤はまた、親水性の薬物、及び/又は界面活性剤のような他の成分の溶解性を高めるために、又は安定しているか又は均質な溶液又は分散液として組成物を維持するために加えることができる。
【0124】
[0146] 本明細書に記載される医薬組成物は、その必要な被験者への経口投与に適している場合がある。いくつかの例では、消化管中の体液と接触した活性薬剤の制御放出を達成して、活性薬剤の血漿における実質的に一定で有効なレベルを提供するために、経口投与用の徐放性製剤を製造し得る。この目的には、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー、又はその両方の混合物(及び、任意選択的に好適な界面活性剤)のポリマーマトリックスの中にその結晶形を埋め込む場合がある。埋込みは、この文脈では、ポリマーのマトリックスに微粒子を取り込むことを意味し得る。制御放出製剤は、分散した微粒子又は乳化した微小滴の既知の分散又は乳化コーティング技術を介した被包化によっても入手される。
【0125】
[0147] いくつかの態様において、該組成物は、食品組成物において製剤化することができる。例えば、該組成物は、フードキャリアが有るか又は無い、飲料又は他の液体、固形食、半固形食であり得る。例えば、該組成物には、本明細書に記載される組成物のいずれでも補充される紅茶を含めることができる。該組成物は、本明細書に記載される組成物のいずれでも補充される乳製品であり得る。いくつかの態様において、該組成物は、食品組成物において製剤化することができる。例えば、該組成物は、飲料、固形食、半固形食、又はフードキャリアを含み得る。
【0126】
[0148] ある態様において、医薬製剤は、油性又は水性の媒体中の無菌の懸濁液剤、溶液剤、又は乳剤のような、非経口注射に適した形態であり得て、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤のような製剤用の薬剤を含有することができる。非経口投与用の医薬製剤には、例えば、水溶型の活性化合物の水溶液剤が含まれる。活性化合物の懸濁液剤は、例えば、油性の注射懸濁液剤として製造することができる。好適な脂溶性の溶媒又は媒体には、ゴマ油のような脂肪油剤、又はオレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、又は中鎖トリグリセリドのような合成脂肪酸エステル類、又はリポソーム剤が含まれる。好ましい態様では、非経口投与用の製剤が水性懸濁液剤である。
【0127】
[0149] 本明細書に記載される化合物は、組成物において、ある濃度範囲内で存在し得て、その範囲は、先述の濃度のいずれからも選択される上限値と下限値によって規定される。例えば、本開示の化合物又は塩は、製剤中において、約1nM~約100mM、約10nM~約10mM、約100nM~約1mM、約500nM~約1mM、約1mM~約50mM、約10mM~約40mM、約20mM~約35mM、又は約20mM~約30mMの濃度で存在し得る。
【0128】
[0150] 本明細書に記載される化合物を含んでなる組成物の製造の方法には、1以上の不活性で医薬的に許容される賦形剤と一緒に該化合物を製剤化する工程を含めることができる。液性組成物には、例えば、化合物が溶解している溶液剤、化合物を含んでなる乳液剤、又は、本明細書に開示されるような化合物を含んでなるリポソーム、ミセル、又はナノ粒子を含有する溶液剤が含まれる。これらの組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び他の医薬的に許容される添加剤といった、微量の無害な補助物質を含有する。
【0129】
[0151] 注射用の製剤は、追加保存剤と共に、単位剤形において(例えば、アンプル剤において)又は多用量容器において提示することができる。該組成物は、油性又は水性の媒体中の懸濁液剤、溶液剤、又は乳液剤のような形態をとり得て、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤のような製剤用の薬剤を含有し得る。該組成物は、単位用量又は多用量の容器(例えば、密封されたアンプル及びバイアル)において提示され得て、使用の直前に無菌の液性担体(例えば、生理食塩水又は発熱性物質除去無菌水)の添加だけを必要とする、粉末形態又は凍結-乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。先に記載したような無菌の散剤、顆粒剤、及び錠剤より、用時調製用の注射溶液剤及び懸濁液剤を製造することができる。
【0130】
[0152] 非経口投与用の医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び該製剤を企図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、活性化合物の水性及び非水性(油性)無菌注射溶液剤;並びに、懸濁剤と濃化剤が含まれ得る、水性及び非水性の無菌懸濁液剤が含まれる。好適な親油性の溶媒又は媒体には、ゴマ油のような脂肪油剤、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル類、又はリポソーム剤が含まれる。
【0131】
[0153] 本明細書に記載される組成物(例えば、式I、Ia、又はIbの化合物又は塩、又はBCL-2阻害剤、又はプロテアソーム阻害剤の医薬組成物、又は式I、Ia、又はIbの化合物のBCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤との共製剤)は、毎日1回、又は1回より多く投与することができる。該組成物は、連続的に投与してよい(例えば、治療レジメンの期間に中断無しで毎日服用してよい)。いくつかの症例において、治療レジメンは、1週間未満、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、又は1ヶ月より多くであり得る。いくつかの症例では、本開示の組成物を少なくとも12週の期間にわたって投与する。他の症例において、該組成物は、1日、少なくとも2連続日、少なくとも3連続日、少なくとも4連続日、少なくとも5連続日、少なくとも6連続日、少なくとも7連続日、少なくとも8連続日、少なくとも9連続日、少なくとも10連続日、又は少なくとも10連続日より多くの間、投与される。いくつかの症例では、治療有効量を週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、週7回、週8回、週9回、週10回、週11回、週12回、週13回、週14回、週15回、週16回、週17回、週18回、週19回、週20回、週25回、週30回、週35回、週40回、又は週40回より多く投与することができる。いくつかの症例では、治療有効量を1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日7回、1日8回、1日9回、1日10回、又は1日10回より多く投与することができる。いくつかの症例において、該組成物は、1日に少なくとも2回投与される。さらなる症例において、該組成物は、少なくとも1時間ごとに、少なくとも2時間ごとに、少なくとも3時間ごとに、少なくとも4時間ごとに、少なくとも5時間ごとに、少なくとも6時間ごとに、少なくとも7時間ごとに、少なくとも8時間ごとに、少なくとも9時間ごとに、少なくとも10時間ごとに、少なくとも11時間ごとに、少なくとも12時間ごとに、少なくとも13時間ごとに、少なくとも14時間ごとに、少なくとも15時間ごとに、少なくとも16時間ごとに、少なくとも17時間ごとに、少なくとも18時間ごとに、少なくとも19時間ごとに、少なくとも20時間ごとに、少なくとも21時間ごとに、少なくとも22時間ごとに、少なくとも23時間ごとに、又は少なくとも毎日投与される。
【0132】
[0154] 本開示の医薬組成物は、急性的にも慢性的にも投与することができる。本発明の医薬組成物は、単回治療法としても治療のクールとしても投与することができる。治療薬は、1日1回、1日2回、1日3回、午前中、夕方、就寝前、又は1日中連続的に投与することができる。治療薬は、毎日、隔日、2日おき、週2回、週1回、隔週、毎月、6週に1回、隔月、3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、毎年、隔年、5年に1回、又は必要に応
じて適用することができる。
【0133】
[0155] ある態様において、投与されている薬物の用量は、ある長さの時間の間、一時的に低減しても一時的に中断してもよい。ある態様において、患者は、該患者が薬物を服用しないか又は低減量の薬物を一定期間の間服用する、休薬日を有するものである。休薬日は、例えば、2日と1年の間であり得て、例だけを挙げると、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、又は28日以上が含まれる。休薬日は、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、又は約12ヶ月の間であってよい。休薬日の間の用量低減は、例えば、元の投与用量の10%~100%であり得て、例だけを挙げると、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%が含まれる。さらなる例として、用量低減は、10%と100%の間、20%と80%の間、30%と70%の間、50%と90%の間、80%と100%の間、又は90%と100%の間であり得る。
【0134】
[0156] 患者の状態の改善が生じたならばすぐに、必要に応じて維持用量を投与することができる。引き続き、投与量又は投与頻度、又はその両方は、疾患、障害、又は状態の改善を保持し得るレベルまで、症状に応じて低減することができる。
【0135】
[0157] 本明細書に記載される製剤を投与するための追加の方法には、例えば、限定されないが、経口、胃又は十二指腸栄養チューブ、肛門坐剤、浣腸が含まれる、経腸経路を介した送達と、注射、注入、動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、髄腔内、血管内、静脈内、硝子体内、前房内、硬膜内、皮下、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬内、局所、皮膚上、真皮、点眼・点耳、鼻腔内、及び膣内の投与が含まれる、非経腸経路を介した送達が含まれる。本明細書に記載される化合物は、例えば、外科手術の間の局部注入、クリーム剤又は軟膏剤のような局所適用、注射、カテーテル、又はインプラントによって、治療の必要な部位へ局所的に投与することができる。その投与は、疾患組織又は臓器の部位での直接注射によることも可能である。
【0136】
[0158] 投与期間の長さ、及び/又は投薬量は、内科医又は他のあらゆる種類の臨床医によって決定され得る。内科医又は臨床医は、投与される組成物に対する被験者の応答を観察して、被験者のパフォーマンスに基づいて投薬を調整することができる。例えば、エネルギー調節が低下した効果を示す被験者への投薬を高めて、所望される結果を達成することができる。
【0137】
[0159] いくつかの態様において、本明細書に記載される併用療法は、同じ経路で同じ時間に一緒に投与することも、別々に投与することも可能である。いくつかの態様において、組成物中の成分は、同じか又は異なる経路を使用して投与することができる。
【0138】
[0160] ある態様において、本開示はまた、本明細書に記載される組成物を製造するための方法を提供する。いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物の製造は、2種以上の成分を混合するか又は一緒にする工程を含む。
【0139】
[0161] いくつかの態様において、該組成物は、医薬的に活性な薬剤又は治療用薬剤、担体、及び/又は賦形剤と一緒にするか又は混合することができる。本明細書には、そのような成分の例が記載されている。この配合組成物は、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、徐放性錠剤、等のような単位投与量へ成型することができる。
【0140】
[0162] いくつかの態様において、該組成物は、1種以上の成分の実質的に均質な混合
物を含有する固体組成物が達成されるように、1種以上の成分が組成物全体に均等に分散されて、該組成物が錠剤、丸剤、及びカプセル剤のような等しく有効な単位剤形へ容易に細分され得るように、製造される。
【0141】
[0163] ユーザーへ運ばれ得る容器の中へ単位用量を包装し得る。単位用量をチューブ、ジャー、ボックス、バイアル、バッグ、トレイ、ドラム、ボトル、シリンジ、又は缶の中に包装し得る。
【0142】
[0164] 本開示の別の側面は、本明細書に記載される配合組成物の特定期間の間の投与の後で1人以上の被験者において所望される効果を達成することを提供する。例えば、本明細書に記載される組成物の有益な効果は、該組成物の被験者への1、2、3、4、6、8、10、12、24、又は52週間の投与後に観測することができる。
【0143】
[0165] ある態様において、本明細書に記載される併用療法は、併用治療レジメンによって投与され得る。併用治療レジメンには、本明細書に記載される化合物又はその医薬的に許容される塩の投与が本明細書に記載される第二の薬剤での治療に先立って、その間に、又はその後で開始されて、その第二薬剤での治療の間の任意の時間まで、又は第二薬剤での治療の終了後も継続するという治療レジメンが含まれる可能性がある。本開示にはまた、本明細書に記載される化合物又はその医薬的に許容される塩と、併用して使用される第二薬剤が同時に、又は異なる時間に、及び/又は治療期間の間で減少又は増加する間隔で投与される治療が含まれる。併用治療には、様々な時点で開始及び停止させて患者の臨床管理を支援する、周期的治療がさらに含まれる。
【0144】
[0166] ある態様において、併用療法は、2つの治療方式に関連した差異的な毒性に照らして、治療上の利点を提供する可能性がある。例えば、本明細書に記載されるようなCDK阻害剤での治療は、抗癌剤、例えば、BCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤では見られない特別な毒性をもたらす可能性があり、逆も然りである。従って、この差異的な毒性は、前記毒性が存在しないか又はほとんど無い用量でそれぞれの治療薬を投与することを可能にするので、併用療法は、一緒になって治療用量を提供する一方で、この併用薬剤の各構成成分の毒性を回避するのである。さらに、併用治療の結果として達成される治療効果が相乗的である場合、各薬剤の用量はさらに低減し得て、それによって随伴する毒性をさらに大きな程度まで低下させることができる。
【0145】
[0167] 本明細書に記載される化合物、又はその医薬的に許容される塩、並びに併用療法薬は、疾患又は状態の出現の前、その間、又はその後に投与し得て、化合物を含有する組成物を投与するタイミングは、様々である。本明細書に記載される化合物は、予防薬として使用し得るし、状態又は疾患を発現する傾向のある被験者に対して、その疾患又は状態の出現を予防するために継続的に投与してよい。本明細書に記載される化合物とその組成物は、被験者へ症状の発現の間に投与しても、その発現の後で可及的速やかに投与してもよい。本明細書に記載される化合物は、疾患又は状態の発現が検出されるか又は疑われる後で、実践し得る限り速やかに投与し得て、その疾患の治療に必要な時間の長さの間、投与し得る。
【実施例0146】
[0168] 以下の実施例は、本発明の様々な態様を例解する目的のために提示するのであって、本発明をいかなるやり方でも限定するものではない。今回の実施例は、本明細書に記載される方法とともに、目下のところ好ましい態様を代表し、例示であって、本発明の範囲に制限を加えるものとして企図されていない。当業者には、特許請求項の範囲内に規定されるような本発明の精神内に含まれる、その変更と他の使用が思い付くであろう。
【0147】
[0169] すべての試験管内(in vitro)薬物作用機序試験で、下記に概説する材料及び方法を使用した。
[0170] 表1に示す細胞系は、付着又は懸濁状態で、それぞれ6ウェルディッシュ又はT10フラスコにおいて処理し、処理に先立って、全量3~10ml中に100万個/mlの密度で播種した。試験管内(in vitro)細胞処理に使用するすべての薬剤は、必要とされる濃度を達成するように(それぞれの図面の表示/註に記述されるように)水/DMSOにおいて処方して、DMSO濃度は、0.01%を超えなかった。「CIVOマイクロインジェクション試験」項の表に薬物の供給元を示す。下記のセクションに記載されるように、細胞を実験の各時点(それぞれの図面に示されるように、処理後2、6、又は24時間)で採取し、初めに細胞を15mlファルコン管中の氷冷PBSにおいて2回洗浄し、1000rpmで5分間の遠心分離に続いて、それぞれの細胞ペレットを溶解した。註:薬剤耐性NUDHL1(Dox 1000nM)及びToledo(Dox 1000nM)の細胞系は、Presage にて、ドキソルビシン濃度を数回の継代にわたって段階的に増加させる培地において親細胞系を培養することによって産生した。これらの細胞を使用して、1μM Doxに対する耐性が達成される場合に、異種移植片を産生した。
【0148】
表1.
【0149】
【0150】
[0171] すべてのウェスタンブロット分析試験で、下記に概説する材料及び方法を使用した。
[0172] 1X~3X Halt プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤カクテル(100X,Pierce)入りの氷冷1X RIPA緩衝液(100X,Millipore)を細胞ペレットへ
加えて、3回のパルス音波粉砕(約3~5秒)を続けることによって、タンパク質溶解液を調製した。14K rpmで15~20分間の遠心分離によって溶解液を澄明にして、上清(溶解液)をさらなる分析のために採取した。凍結保存された異種移植片腫瘍組織から溶解液を調製するには、手持ち式の組織組織ホモジェナイザー(Cole Palmer)を上記
の溶解緩衝液において使用して組織を初めにホモジェナイズして、上記に記載したようなパルス音波粉砕と遠心分離を続けた。上記の工程は、氷冷条件の下で行った。タンパク質試料について、Bradford アッセイ(Biorad)を1:10又はそれ以上の希釈で使用して
定量し、適正なブランク対照を1xRIPAとともに使用した。各試料由来の20~25マイクログラムのタンパク質を、BOLT 4~12% Bis-Trisゲル(Thermofisher)を使用するSDS-PAGEへ処して、製造業者のプロトコールを使用して孔径
が0.45ミクロン又は0.2ミクロンのいずれかの膜(タンパク質の分子サイズに基づいて適用可能)とニトロセルロース(NC)又はpvdf(Thermofisher)のいずれかへ転写し、5%ミルクにおいて室温で1時間ブロックし、一次抗体(表2)を4℃で一晩、そして対応するHRP共役(conjugated)二次抗体(Jackson Immunoresearch,1:10,000~1:20,000の希釈)を室温で1時間用いてプローブした。それぞれの抗体インキュベーションの後で、3回のPBS/0.01% Tween-20洗浄(それぞれ5~10分)を行った。タンパク質シグナルの検出には、ECL化学発光基質(Pierce 又は GE)とオートラジオグラフィーフィルム(Thermofisher)を使用した。
【0151】
表2.
【0152】
【0153】
[0173] すべての生体内(in vivo)試験で、下記に概説する材料及び方法を使用した
。
[0174] マウスにおけるどの研究も、Presage Biosciences(ワシントン州シアトル)
のIACUC審査会によって承認された。すべての関連手順を麻酔下に実施して、疼痛及び苦痛を最小にするように最大限の努力をした。本試験へ貢献するマウスのいずれも、実験の終点に先立って病むことも死ぬこともなくて、下記に記載されるような薬物処理を受けたどのマウスにも定型的な健康モニタリングを施行して、実験の最後には、人道的に安楽死させた。下記(表3)に作表される以下の細胞系/マウス系統を使用して、皮下脇腹の異種移植片を産生した。1mlシリンジ(BD 309659)と27G注射針(BD 305109)を使用して、マトリゲル(Corning)と1:1比の200μl細胞懸濁液を右脇腹に注射し
た。
【0154】
表3.
【0155】
【0156】
[0175] すべてのCIVOマイクロインジェクション試験で、下記に概説する材料及び方法を使用した。
[0176] マウスは、腫瘍容積がほぼ1000mm3に達したときにCIVO薬物試験に登録した。CIVOデバイスを先の記載(Klinghoffer et al, Science Translational Medicine 2015)のように使用して、マイクロインジェクション試験を実施した。このデバイスは、6mmの刺入深度と3μlの全送達量に設定された6本の注射針で組み立てられた。各薬物又は薬物組合せと一緒の送達用の媒体中の各薬物リザバーへ蛍光追跡マーカー(FTM)を加えた。いずれのマイクロドース(micro-dose)も、探索的IND(研究用新薬)研究についてのFDAガイドラインの下で、そして薬物の媒体中への溶解度によって許容されるもの以下であった。注射薬剤の全量を下記の表4に作表する。
【0157】
表4.
【0158】
【0159】
[0177] すべての全身薬効試験で、下記に概説する材料及び方法を使用した。
[0178] マウスは、腫瘍が150~200mm3の平均容積に達したときに試験に登録した。腫瘍容積は、V=長さx幅x高さとして計算し、この3つの寸法は、体重と同時に、デジタルノギスを使用して測定した。腫瘍の3つの測定寸法のいずれかが2cmを超える場合、容積が2500mm3を超える場合、潰瘍形成の場合、又は体重損失が20%より大きい場合、動物を本試験から外した。
【0160】
腫瘍増殖阻害%(TGI)を下記のように定義する:
[ここで測定値は、それぞれの処理アームにおいて、腫瘍全体で平均する]。ウィルコックソン順位和検定又はマン・ウィットニー検定を統計検定として使用して、処理アーム間の差を決定した。
[0179] 薬物用量、投与経路、投与スケジュール、及び製剤化のプロトコールについて下記に詳述する。経口強制飼養には、Instech(Ref: FTP--20--38)栄養チューブを使用
して、IV(静脈内注射)には、BDインスリンシリンジを使用した。
[0181] 図面2は、CDK1、4、6、及び9に対するボルシクリブの1桁nMの効力を示し、CDK9の阻害が最も強い。Reaction Biology プロファイリング:本試験の目
的は、48種のキナーゼのボルシクリブ塩酸塩に対する感受性の順位を決定することであった。試験施設は、Reaction Biology 社であった。放射活性のあるγ-33P-ATP
をリン酸ドナーとするフィルター結合アッセイを使用して、キナーゼ活性を測定した。ATP濃度は、それぞれのキナーゼのKm付近であった。各キナーゼについて、被験物質の10点濃度曲線よりIC50値を計算して、Ki値へ変換した。今回試験した48種のキナーゼは、以前のスクリーニング実験において、最も有望な標的候補としてすでに同定されていた。
[0183] 図面4A~図面4Dは、MCL-1抑制とアポトーシスの相乗的な誘導との間の相関性を実証する。NU-DHL-1びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞を媒体、ボルシクリブ単独、ベネトクラックス(ABT-199)単独、又はボルシクリブとベネトクラックスの併用で処理した。この細胞をアポトーシスのマーカーとしての切断型カスパーゼ-3(CC3)で染色した(赤色で示す)。図面4Aは、媒体のみで処理された細胞を示す。ボルシクリブ単独では、図面4Bに示されるように、アウトライン(401)内の明色領域によって示されるように、CC3の発現の軽度増加を示した。同様に、ベネトクラックス単独では、図面4Cに示されるように、アウトライン(402)内の明色領域によって示されるように、CC3の発現の軽度増加を示した。図面4Dにおけるボルシクリブとベネトクラックスの併用は、アウトライン(403)内の多量の明色領域に示されるように、相乗的に増加したCC3の発現を示し、処理細胞におけるアポトーシス誘導の増加を示唆した。
[0184] 図面6A~図面6Eは、ボルシクリブとベネトクラックスのアポトーシスに対する相乗効果が多数のDLBCLモデルにわたって再現可能であることを実証する。簡潔に言うと、図面6A、図面6B、図面6C、図面6D、及び図面6Eにそれぞれ示されるように、RIVA、Toledo、Toledo/Dox1000、NUDHL、及びNUDHL/Dox1000細胞をボルシクリブ単独、ベネトクラックス単独、又はボルシクリブとベネトクラックスの併用で処理した。ボルシクリブ単独とベネトクラックス単独は、CC3発現に対して軽度の効果を及ぼしたが、ボルシクリブとベネトクラックスの併用は、全5種のDLBCLモデルにわたってCC3発現の相乗的な誘導を実証した。
[0185] 図面7は、この相乗効果についての提唱モデルを図示する。ボルシクリブは、CDK9を介したMCL-1の阻害により、Bcl-2阻害と一体化する場合に細胞をアポトーシスへ移行させるのかもしれない。
[0190] 図面10Aは、媒体のみで処理された細胞を示す。ボルシクリブ単独で処理された細胞では、図面10Bに示されるように、CC3発現がほとんど~全く増加しなかった。同様に、ボルテゾミブ単独で処理された細胞では、図面10Cに示されるように、アウトライン(1001)内の少量の明色領域によって示されるように、CC3発現がほとんど~全く増加しなかった。ボルシクリブとボルテゾミブの併用で処理された細胞は、図面10Dのアウトライン(1002)内の多量の明色領域によって示されるように、CC3発現の顕著な増加を示し、これらの細胞におけるアポトーシスの誘導に対する相乗効果を示唆した。
[0191] 図面11は、HCC1187トリプルネガティブ乳癌(TNBC)異種移植片モデルに対して実施した類似の実験を図示する。簡潔に言うと、細胞を媒体、ボルシクリブ単独、ボルテゾミブ単独、又はボルシクリブとボルテゾミブの併用で処理した。次いで、細胞をアポトーシスのマーカーとしてのCC3発現について染色した(赤色で示す)。
図面11Aは、媒体のみで処理された細胞を示す。ボルシクリブ単独で処理された細胞では、図面11Bに示されるように、CC3発現がほとんど~全く増加しなかった。同様に、ボルテゾミブ単独で処理された細胞では、図面11Cに示されるように、CC3発現がほとんど~全く増加しなかった。ボルシクリブとボルテゾミブの併用で処理された細胞は、図面11Dのアウトライン(1101)内の多量の明色領域によって示されるように、CC3発現の顕著な増加を示し、これらの細胞におけるアポトーシスの誘導に対する相乗効果を示唆した。
[0192] HCC1187トリプルネガティブ乳癌(TNBC)異種移植片マウスモデルを媒体、ボルシクリブ(200mg/kg)、ボルテゾミブ(0.42mg/kg)、又はボルシクリブ(200mg/kg)とボルテゾミブ(0.42mg/kg)の併用で処理した。各マウス中の腫瘍容積を経時的に測定して、その結果を図面12A~図面12Dに示す。ボルシクリブとボルテゾミブの併用で処理されたマウス(図面12D)は、ボルシクリブ単独(図面12B)又はボルテゾミブ単独(図面12C)で処理されたマウスと比較して、正規化腫瘍容積の顕著な低減を経時的に示した。図面12Eは、MLC-1タンパク質発現についてのウェスタンブロットを示す。ボルシクリブで処理された細胞で、未処理試料と比較してMCL-1タンパク質発現が低下したのに対し、ボルテゾミブで処理された細胞では、未処理試料と比較してMCL-1タンパク質発現が増加した。さらに、ボルシクリブは、このボルテゾミブ誘導性のMCL-1発現の増加を減少させた。
[0193] 図面13は、マウスの体重がボルシクリブ単独、ボルテゾミブ単独、又はボルシクリブとボルテゾミブの併用での処理によって影響を受けなかったことを明示する。このデータは、ボルシクリブとボルテゾミブの併用療法がほとんど~全く毒性を示さない可能性があることを示唆する。
[0194] さらに、ボルシクリブは、好生存タンパク質のMCL-1とE3ユビキチン-タンパク質リガーゼXIAPのボルテゾミブ誘導性の上方制御を無効にする。図面15Aは、ボルシクリブによるCDK9阻害についての提唱モデルを図示する。図面15Bは、ボルシクリブ単独、ボルテゾミブ単独、又はボルシクリブとボルテゾミブの併用で処理された細胞における、MCL-1とXIAPのタンパク質レベルを示す。ウェスタンブロットは、これらの細胞において、ボルシクリブがMCL-1タンパク質とXIAPタンパク質の両方のボルテゾミブ誘導性の上方制御を減衰させることを明示する。
[0197] 次に、HCC1187トリプルネガティブ乳癌細胞をボルシクリブ単独、ボルテゾミブ単独、ツニカマイシン単独(ERストレスインデューサー)、又は併用で処理した。ツニカマイシン単独は、ERストレス経路のIRE1αアームのERストレスタンパク質であるX-ボックス結合タンパク質1(XBP1)を6時間で強く誘導した。さらに、ツニカマイシンとボルテゾミブは、XBP1発現を24時間で強く誘導した(図面18B)。ボルテゾミブ又はツニカマイシンのいずれかとボルシクリブの併用は、XBP1の上方制御を減衰させた。これらの結果は、ボルシクリブがERストレス経路のIRE1αアームを阻害し得ることを示唆する(図面18B)。ボルシクリブはまた、ボルテゾミブ誘導性のXBP1の転写誘導を減少させた(図面19A~図面19B)。HCC1187細胞をボルシクリブ(1.5μM)、ボルテゾミブ(10nM)、STF083010 IRE1aエンドリボヌクレアーゼ活性阻害剤(Millipore)(60μM)、又はツニカ
マイシン(Sigma)(100nM)で4時間処理した。Qiagen RNAeasy キットを使用してmRNAを採取し、Nanodrop 分光光度計を使用して定量した。各条件からの1μgのm
RNAを使用し、「大容量cDNA逆転写キット(High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit)」(Applied Biosystems)と製造業者のプロトコールを使用して、cDNAを産生した。100ng cDNAを使用してPCRアッセイを実行して、XBP1u又はスプライシング型を増幅した(Thermofisher PCR Supermix)-94℃で2分間、(9
4℃で15秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間)x30サイクル、72℃で7分間、4℃で保持。XBP1のスプライシング型と非スプライシング型の変異体を検出した。
[0199] 図面20Aは、媒体のみで処理された細胞を示す。図面20Bに示されるように、ボルシクリブ単独で処理された細胞では、アウトライン(2001)内の少量の明色領域によって示されるように、CC3発現がほとんど~全く増加しなかった。同様に、図面20Cに示されるように、イクサゾミブ単独で処理された細胞では、アウトライン(2002)内の少量の明色領域によって示されるように、CC3発現がほとんど~全く増加しなかった。ボルシクリブとイクサゾミブの併用で処理された細胞は、図面20Dのアウトライン(2003)内の多量の明色領域によって示されるように、CC3発現の顕著な増加を示し、これらの細胞におけるアポトーシスの誘導に対する相乗効果を示唆した。
[0200] 図面21Aと図面21Bに示されるように、様々なCDK阻害剤について、イクサゾミブと併用して検定した。アウトライン(2101)及び(2102)内の明色領域によって示されるように、イクサゾミブとの併用時に腫瘍細胞のアポトーシスに対して相乗効果を明示したのは、ボルシクリブだけである。媒体のみ、イクサゾミブのみ、パルボシクリブとイクサゾミブ、ジナシクリブとイクサゾミブ、及びフラボピラドールとイクサゾミブでは、いずれも、ボルシクリブとイクサゾミブの併用ほどは、腫瘍細胞のアポトーシスに対して相乗効果を示さなかった。
[0202] 図面22Bでは、0.15μM濃度のボルシクリブを利用するが、これは、単剤としてアポトーシスを効果的に誘導することが示されている濃度の1/10である。このレベルのボルシクリブは、MCL-1発現を抑制するためのいくらかの効力を維持する(図面22Bのレーン1とレーン2を比較せよ)が、ベネトクラックスへの細胞曝露は、MCL-1発現を誘導する(図面22Bのレーン1とレーン3を比較せよ)。低いボルシクリブ曝露は、ベネトクラックス誘導性のMCL-1も抑制する(図面22Bのレーン3とレーン4を比較せよ)。
[0203] 図面23A~図面23Cは、DLBCLのSU-DHL-4モデル、OCILy10モデル、及びU2932モデルにおいて、ボルシクリブとベネトクラックスからのシナジーを例証する。アポトーシスのバイオマーカーとして切断型PARP(cPARP)を使用し得る。ボルシクリブとベネトクラックスの2剤が一緒の併用効果について評価するために、この3種のDLBCLモデルにおいて、各剤の低用量を単剤として、又は併用剤として検証した。細胞を薬物へ24時間曝露した後で、細胞を溶解し、PARPの切断型とβ-アクチン(タンパク質ローディング対照として)に特異的な抗体を使用して、ウェスタンブロットによって検証した。
[0204] 図面23Aは、0.15μMのボルシクリブと20nMのベネトクラックスの併用が、いずれの化合物も単剤としてはアポトーシスを誘導しない、DLBCLのSUDHL4モデルにおいてアポトーシスを誘導するシナジーを示すことを例証する。図面23Bは、5μMのボルシクリブと50nMのベネトクラックスの併用が、いずれの化合物も単剤としてはアポトーシスを有意に誘導しない、DLBCLのOCILy10モデルにおいてアポトーシスを誘導するシナジーを示すことを例証する。図面23Cは、5μMのボルシクリブと50nMのベネトクラックスの併用がDLBCLのU2932モデルにおいてアポトーシスを誘導するシナジーを示すことを例証するが、ここでは、この2つの化合物の併用効果が各化合物の単剤としての単なる相加効果より明瞭に大きい。
[0207] 図面25Aは、4つの試験群:媒体、ボルシクリブ単剤、ベネトクラックス単剤、及びボルシクリブとベネトクラックスの併用のそれぞれについての平均腫瘍容積(mm3)をグラフ化する。単剤での処理は、より長期の試験日にわたる腫瘍容積の減少を見せた。併用処理は、腫瘍容積サイズのずっと高い減少、平均腫瘍容積の2倍以上の減少を試験の3週までに見せた。
[0208] 図面25Bは、先の4試験群:媒体、ボルシクリブ単剤、ベネトクラックス単剤、及びボルシクリブとベネトクラックスの併用のそれぞれからの動物の腫瘍の画像を例証する。媒体の腫瘍サイズは、アウトライン(2501)によって概観されるように、最大であった。ボルシクリブ単剤の腫瘍は、アウトライン(2502)によって概観されるように、より小さい。ベネトクラックス単剤の腫瘍も、アウトライン(2503)によって概観されるように、媒体より小さい。併用療法の腫瘍は、アウトライン(2504)によって概観されて、媒体又は単剤療法のいずれものそれより有意に小さくて、相乗効果を示唆する。
[0209] 図面26A~図面26Bは、ボルシクリブとベネトクラックスの併用がDLBCL異種移植片腫瘍の増殖を妨げることを例証する。免疫不全NOD SCIDマウスに、DLBCLのU2932モデルを移植した。この異種移植された腫瘍をNOD SCID宿主において200mm3に達するまでそのまま増殖させて、その時点でこの異種移植された動物を4つの試験群:1.媒体対照;2.ボルシクリブ(200mpk);3.ベネトクラックス(10mpk);及び4.ボルシクリブ(200mpk)とベネトクラックス(10mpk)の併用へ無作為化した。ボルシクリブを経口強制飼養によって週6日間毎日投薬し、サイクル間に休薬日を入れた。ベネトクラックスを経口強制飼養によって各週サイクルの1日目と4日目に投薬した。薬物の効果については、本試験における各被験動物の処理について知らない技術者による週2回の腫瘍容積測定値により評価した。各処理アームにつきN=5~6匹の動物。
[0211] 図面26Bは、先の4試験群のそれぞれにおける被験動物の平均体重をグラム(g)でグラフ化する。4つの試験群のいずれも、健康と安全性の一般指標である、安定した一定の体重を示した。
[0214] 図面27Bは、先の4試験群:媒体、ボルシクリブ単剤、ベネトクラックス単剤、及びボルシクリブとベネトクラックスの併用のそれぞれからの動物の腫瘍の画像を例証する。媒体の腫瘍サイズは、アウトライン(2701)によって概観されるように、最大であった。ボルシクリブ単剤の腫瘍は、アウトライン(2702)によって概観されるように、より小さい。ベネトクラックス単剤の腫瘍も、アウトライン(2703)によって概観されるように、媒体より小さい。併用療法の腫瘍は、アウトライン(2704)によって概観されて、媒体又は単剤療法のいずれものそれより有意に小さくて、相乗効果を示唆する。
[0215] 図面28は、ボルシクリブとベネトクラックスの併用がDLBCL異種移植片腫瘍の増殖を妨げることを例証する。免疫不全NOD SCIDマウスに、DLBCLのSUDHL4モデルを移植した。この異種移植された腫瘍をNOD SCID宿主において200mm3に達するまでそのまま増殖させて、その時点でこの異種移植された動物を4つの試験群:1.媒体対照;2.ボルシクリブ(200mpk);3.ベネトクラックス(25mpk);及び4.ボルシクリブ(200mpk)とベネトクラックス(25mpk)の併用へ無作為化した。ボルシクリブを経口強制飼養によって週6日間毎日投薬し、サイクル間に休薬日を入れた。ベネトクラックスを経口強制飼養によって週6日間毎日投薬し、サイクル間に休薬日を入れた。薬物の効果については、本試験における各被験動物の処理について知らない技術者による週2回の腫瘍容積測定値により評価した。各処理アームにつきN=5~6匹の動物。図面28は、先の4試験群のそれぞれについての正規化腫瘍容積(mm3)をグラフ化する。単剤での処理は、その試験日にわたる腫瘍容積の増加を見せた。併用処理は、単剤処理や媒体処理より少ない腫瘍増殖を見せた。
[0216] 図面29の各レーンは、個々のSUDHL4異種移植片を表す。まとめると、このウェスタンブロットは、ベネトクラックスによって抑制されるp53をボルシクリブが回復させることを例証する。26日目、処理後4時間で腫瘍を採取した。各腫瘍を2つに分断した。一方をFFPEベースのIHC分析に使用して、他の半分をウェスタンブロット分析に使用した。
[0221] 本発明の好ましい態様を本明細書において示して記載してきたが、当業者には、そのような態様が例示のためにのみ提供されていることが明らかであろう。今や当業者には、本発明より逸脱することなく、数多くの変形、変更、及び代用が思い付くはずである。本発明を実践する場合には、本明細書に記載された本発明の態様に対する様々な代替態様を利用し得ると理解されたい。以下の特許請求項は、本発明の範囲を明確化するものであって、これら特許請求項の範囲内の方法及び構造とそれらの均等物がそれによって網羅されると企図される。
血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される、請求項1に記載の併用薬。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが同時的に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の併用薬。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが連続的に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の併用薬。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが相互に約12時間以内に連続的に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の併用薬。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが相互に約5時間以内に連続的に投与される、請求項6に記載の併用薬。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の併用薬。
CDK阻害剤が(+)-trans-2-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-(2-ヒドロキシメチル-1-メチル-ピロリジン-3-イル)-クロメン-4-オン塩酸塩である、請求項1~9のいずれか1項に記載の併用薬。
血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される、請求項11に記載の医薬用キット。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが同時的に投与される、請求項11~13のいずれか1項に記載の医薬用キット。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが連続的に投与される、請求項11~13のいずれか1項に記載の医薬用キット。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが相互に約12時間以内に連続的に投与される、請求項11~13のいずれか1項に記載の医薬用キット。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが相互に約5時間以内に連続的に投与される、請求項16に記載の医薬用キット。
CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とを投与することの必要な被験者に、CDK阻害剤とベネトクラックス又はその医薬的に許容される塩とが毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される、請求項11~18のいずれか1項に記載の医薬用キット。
CDK阻害剤が(+)-trans-2-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-(2-ヒドロキシメチル-1-メチル-ピロリジン-3-イル)-クロメン-4-オン塩酸塩である、請求項11~19のいずれか1項に記載の医薬用キット。
[0221] 本発明の好ましい態様を本明細書において示して記載してきたが、当業者には、そのような態様が例示のためにのみ提供されていることが明らかであろう。今や当業者には、本発明より逸脱することなく、数多くの変形、変更、及び代用が思い付くはずである。本発明を実践する場合には、本明細書に記載された本発明の態様に対する様々な代替態様を利用し得ると理解されたい。以下の特許請求項は、本発明の範囲を明確化するものであって、これら特許請求項の範囲内の方法及び構造とそれらの均等物がそれによって網羅されると企図される。
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]血液癌を治療する方法であって、式I:
【化11-1】
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;
R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そして
R
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とBCL-2阻害剤の治療有効量とを、血液癌を治療することの必要な被験者に投与することを含む、上記方法。
[態様2]式Iの化合物又は塩が、式Ia:
【化11-2】
によって表される、態様1に記載の方法。
[態様3]R
1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-アルコキシ、C
1-C
4-ヒドロキシアルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]R
1が、ハロ及びC
1-C
4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている、態様3に記載の方法。
[態様5]R
1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである、態様4に記載の方法。
[態様6]R
2及びR
3が、それぞれ独立して、ヒドロキシ及びOR
8より選択され、ここでR
8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである、態様1~5のいずれか1に記載の方法。
[態様7]R
2及びR
3がそれぞれヒドロキシである、態様6に記載の方法。
[態様8]R
4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC
1-C
4-アルキルである、態様1~7のいずれか1に記載の方法。
[態様9]R
4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC
1-C
4-アルキルである、態様8に記載の方法。
[態様10]R
4が2-ヒドロキシメチルである、態様9に記載の方法。
[態様11]R
9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである、態様1~10のいずれか1に記載の方法。
[態様12]R
9がメチルである、態様11に記載の方法。
[態様13]式Iの化合物が、式Ib:
【化11-3】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である、態様1に記載の方法。
[態様14]BCL-2阻害剤がBH3-模倣薬である、態様1~13のいずれか1に記載の方法。
[態様15]BCL-2阻害剤がBcl-2タンパク質を特異的に阻害する、態様1~13のいずれか1に記載の方法。
[態様16]BCL-2阻害剤が、ナビトクラックス(navitoclax)、ベネトクラックス(venetoclax)、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス(obatoclax)、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7、S44563、サブトクラックス(sabutoclax)、UMI-77、ガンモギン酸(gambogic acid)、マリトクラックス(maritoclax)、MIM1、メチルプレドニゾロン、iMAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、及びARRY520トリフルオロアセテートより選択される、態様1~13のいずれか1に記載の方法。
[態様17]BCL-2阻害剤が、ナビトクラックスとベネトクラックス、又はそのいずれか一方の医薬的に許容される塩より選択される、態様16に記載の方法。
[態様18]血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される、態様1~17のいずれか1に記載の方法。
[態様19]血液癌が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、又は慢性リンパ球性白血病である、態様18に記載の方法。
[態様20]CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が同時的に投与される、態様1~19のいずれか1に記載の方法。
[態様21]CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が相互に約12時間以内に連続的に投与される、態様1~19のいずれか1に記載の方法。
[態様22]CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が相互に約5時間以内に連続的に投与される、態様21に記載の方法。
[態様23]CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が医薬組成物において共製剤化される、態様1~19のいずれか1に記載の方法。
[態様24]CDK阻害剤及びBCL-2阻害剤が毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される、態様1~23のいずれか1に記載の方法。
[態様25]癌を治療する方法であって、式I:
【化11-4】
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;
R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そして
R
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とプロテアソーム阻害剤の治療有効量とを、癌を治療することの必要な被験者に投与することを含む、上記方法。
[態様26]式Iの化合物又は塩が、式Ia:
【化11-5】
によって表される、態様25に記載の方法。
[態様27]R
1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-アルコキシ、C
1-C
4-ヒドロキシアルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、態様25又は26に記載の方法。
[態様28]R
1が、ハロ及びC
1-C
4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている、態様27に記載の方法。
[態様29]R
1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである、態様28に記載の方法。
[態様30]R
2及びR
3が、それぞれ独立して、ヒドロキシ及びOR
8より選択され、ここでR
8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである、態様25~29のいずれか1に記載の方法。
[態様31]R
2及びR
3がそれぞれヒドロキシである、態様30に記載の方法。
[態様32]R
4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC
1-C
4-アルキルである、態様25~31のいずれか1に記載の方法。
[態様33]R
4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC
1-C
4-アルキルである、態様32に記載の方法。
[態様34]R
4が2-ヒドロキシメチルである、態様33に記載の方法。
[態様35]R
9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである、態様25~34のいずれか1に記載の方法。
[態様36]R
9がメチルである、態様35に記載の方法。
[態様37]式Iの化合物が、式Ib:
【化11-6】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である、態様25に記載の方法。
[態様38]プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ(bortezomib)、マリゾミブ(marizomib)、イクサゾミブ(ixazomib)、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ(carfilzomib)、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、エポキソミシン(epoxomicin)、MG132、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、態様25~37のいずれか1に記載の方法。
[態様39]プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、態様38に記載の方法。
[態様40]癌が血液癌である、態様25~39のいずれか1に記載の方法。
[態様41]血液癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性リンパ腫(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、及び原発性中枢神経系リンパ腫より選択される、態様40に記載の方法。
[態様42]血液癌が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、又は慢性リンパ球性白血病である、態様41に記載の方法。
[態様43]癌がトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である、態様25~39のいずれか1に記載の方法。
[態様44]CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が同時的に投与される、態様25~43のいずれか1に記載の方法。
[態様45]CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が相互に約12時間以内に連続的に投与される、態様25~43のいずれか1に記載の方法。
[態様46]CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が相互に約5時間以内に連続的に投与される、態様45に記載の方法。
[態様47]CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が医薬組成物において共製剤化される、態様24~43のいずれか1に記載の方法。
[態様48]CDK阻害剤及びプロテアソーム阻害剤が毎日、1日おきに、又は2日おきに投与される、態様24~47のいずれか1に記載の方法。
[態様49]式I:
【化11-7】
[式中:R
1は、置換されていてもよいフェニルであり;
R
2とR
3は、それぞれ独立して、ヒドロキシとOR
8(ここでR
8は、置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである)より選択され;
R
4は、置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルであり;そして
R
9は、水素又は置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである]によって表されるCDK阻害剤又はその医薬的に許容される塩の治療有効量とBCL-2阻害剤又はプロテアソーム阻害剤の治療有効量、及び医薬的に許容される賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
[態様50]式Iの化合物又は塩が、式Ia:
【化11-8】
によって表される、態様49に記載の医薬組成物。
[態様51]R
1が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-アルコキシ、C
1-C
4-ヒドロキシアルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよい、態様49又は50に記載の医薬組成物。
[態様52]R
1が、ハロ及びC
1-C
4-ハロアルキルより独立して選択される1以上の置換基で置換されている、態様51に記載の医薬組成物。
[態様53]R
1が2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニルである、態様52に記載の医薬組成物。
[態様54]R
2及びR
3が、それぞれ独立して、ヒドロキシ及びOR
8より選択され、ここでR
8は、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより独立して選択される1以上の置換基で置換されていてもよいC
1-C
10-アルキルである、態様49~53のいずれか1に記載の医薬組成物。
[態様55]R
2及びR
3がそれぞれヒドロキシである、態様54に記載の医薬組成物。
[態様56]R
4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC
1-C
4-アルキルである、態様49~55のいずれか1に記載の医薬組成物。
[態様57]R
4が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロより選択される1以上の置換基で置換されているC
1-C
4-アルキルである、態様56に記載の医薬組成物。
[態様58]R
4が2-ヒドロキシメチルである、態様57に記載の医薬組成物。
[態様59]R
9が、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、アミノ、=O、=S、C
1-C
4-アルコキシ、及びニトロで置換されていてもよいC
1-C
4-アルキルである、態様49~53のいずれか1に記載の医薬組成物。
[態様60]R
9がメチルである、態様59に記載の医薬組成物。
[態様61]式Iの化合物が、式Ib:
【化11-9】
によって表されるか又はその医薬的に許容される塩である、態様49に記載の医薬組成物。
[態様62]BCL-2阻害剤を含み、該BCL-2阻害剤が、ナビトクラックス、ベネトクラックス、A-1155463、A-1331852、ABT-737、オバトクラックス、S44563、TW-37、A-1210477、AT101、HA14-1、BAM7、サブトクラックス、UMI-77、ガンモギン酸、マリトクラックス、MIM1、メチルプレドニゾロン、iMAC2、Bax阻害剤のペプチドV5、Bax阻害剤のペプチドP5、Baxチャネルブロッカー、ARRY520トリフルオロアセテート、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、態様49~61のいずれか1に記載の医薬組成物。
[態様63]BCL-2阻害剤が、ナビトクラックスとベネトクラックス、又はそのいずれか一方の医薬的に許容される塩より選択される、態様62に記載の医薬組成物。
[態様64]BCL-2阻害剤がベネトクラックスである、態様63に記載の医薬組成物。
[態様65]プロテアソーム阻害剤を含み、該プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX0912、CEP-18770、MLN9708、エポキソミシン、MG132、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、態様49~61のいずれか1に記載の医薬組成物。
[態様66]プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、マリゾミブ、イクサゾミブ、及びこれらのいずれか1つの医薬的に許容される塩より選択される、態様65に記載の方法。