(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038238
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】海流タービン
(51)【国際特許分類】
F03B 13/12 20060101AFI20240312BHJP
F03B 9/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F03B13/12
F03B9/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000054
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2021510729の分割
【原出願日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】20181135
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(71)【出願人】
【識別番号】518433776
【氏名又は名称】ランドシー エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】アリル ファガレン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改良された海流タービンを提供する。
【解決手段】海流タービンは、メインフレーム(0)と、反転機構と、プレート(1)を有する無端回転鎖(4)と、連続的に凸状であり、船首部(PB)から戻るように延在する、左舷側フレーム及び右舷側フレーム(PP、PS)と、左舷側フレームと右舷側フレームとの間の最大距離よりも狭い横方向幅広船尾部(PA)とを備え、反転機構は、プレート(1)が回転鎖(4)によって再び前方に導かれ船首部(PB)まで延在するときに、プレート(1)が水を実質的に捕捉しない受動状態へ各プレート(1)を回転させる。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流のエネルギーを変換する海流タービンであって、
前記海流タービンは、メインフレーム(0)と、回転機構(9)と、を備え、
前記メインフレーム(0)は、海又は河川の水流(F)に沈むように配置され、
前記メインフレーム(0)は、
前記水流(F)に直接面するように配置される船首部(PB)と、
前記船首部(PB)に捕捉されるとともに前記水流(F)によって後方に駆動されるよ
うに配置されるプレート(1)を有する、1つ以上の右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖
(4)と、
連続的に凸状であり、船首部(PB)から後方に延在する、左舷側フレーム及び右舷側
フレーム(PB,P,S)と、
左舷側フレームと右舷側フレームとの間の最大距離(PS,PB)よりも狭い横方向幅
広船尾部(PA)と、
を備え、
前記回転鎖(4)は、発電機(G)を作動させる1つ以上の被駆動車輪(5)の周りに
延び、前記被駆動車輪(5)と駆動係合し、
前記回転鎖(4)は、前記プレート(1)を有する右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖
(4)を備え、前記プレート(1)は、左舷側フレーム及び右舷側フレーム(PB、PS
)に沿って延びるように配置され、
前記回転機構(9)は、各プレートを回転させて前記船首部(PB)で前記水流(F)
を捕捉するように配置され、
各プレート(1)は、前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿って
それぞれ後方に駆動され、前記幅広船尾部(PA)によって後方に戻り、
前記回転機構(8)は、右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)間の遮蔽空
洞(PH)内で、前記プレート(1)が前記回転鎖(4)によって再び前方に導かれ前記
船首部(PB)まで延在するときに、前記プレート(1)が水を実質的に捕捉しない受動
状態へ各プレート(1)を回転させる、海流タービン。
【請求項2】
前記船尾部(PA)の幅の半分を、前記メインフレーム(0)の長さ(L)で割ったも
のが、15度の正接にほぼ等しい、請求項1に記載の海流タービン。
【請求項3】
前記船首部(PB)が、前記メインフレームの最大幅(PPB)の長さ(L)の1/4
から1/2に対応する幅を形成する幅広遮蔽部を形成し、
前記幅広遮蔽部は、フレーム側部(PS,PP)に沿った水流速度が流入水流(F)の
初期速度よりも大きい点まで、前記フレーム側部を後方に追従する、請求項1又は2に記
載の海流タービン。
【請求項4】
前記回転機構(9)がジュネーブ機構を備え、前記ジュネーブ機構は、プレート(1)
が前輪及び後輪(5)を通過する間に、前記回転鎖(4)に対して前記プレート(1)を
90度回転させるように配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の海流タービン
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海流タービンに関する。具体的には、本発明は、メインフレームが船首と連
続凸状フレーム側部とトランサム船尾とを有するボート形状の海流タービンに適用される
。メインフレームの形状は、側部が連続凸状でかつ中央部分の幅がトランサム船尾の幅よ
りも広い、ディンギ(dinghy)の喫水線にほぼ等しい。連続凸状フレームに沿って
、側部は水流に捕捉される横方向プレートを有する右舷主鎖及び左舷主鎖それぞれを走行
し、主鎖は、発電機に接続される車輪を駆動して運動量エネルギーを例えば電気エネルギ
ーに変換するか、又は油圧エネルギーを発生させるポンプを駆動する。船尾から、プレー
トは横方向から長手方向に方向を変え、主鎖はフレーム側部間の遮蔽空間内に戻り、プレ
ートは鎖に沿って整列している。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(出願日2016年6月10日)に基づく特許文献2は、海洋発電プラント
を開示している。海洋発電プラントは、メインフレームが鋭利なV字形状であり、流れに
向かって先端部を有し、2つの直線フレーム側部の距離が先端部からの距離と共に直線的
に増加し、幅広直線船尾を有する。メインフレームは添付の
図5に見られるようにV字形
状である。水流に捕捉される横方向プレートを持つ主鎖が右舷及び左舷それぞれに沿って
走行し、主鎖は発電機に接続される車輪を駆動して、運動量エネルギーを例えば電気エネ
ルギーに変換する。最大幅点の後端部から、プレートは横方向から長手方向に回転し、主
鎖はフレーム側部間の遮蔽空間に戻り、プレートは鎖に沿って整列している。特許文献1
の提出時には、正面図で均等に見える各プレートのV字幾何学的形状を見たとき、各プレ
ートが発生する水流に均等に露出すると仮定したときに、はっきりとしたV字形状が、主
鎖を駆動するプレートに水の最大の運動量エネルギーを伝達すると推測されていた。
図6
を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ノルウェー特許出願公開第20160991号明細書
【特許文献2】ノルウェー特許第341417号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、水流エネルギーを変換する海流タービンであって、海流タービンは、メイン
フレーム(0)と、回転機構(9)と、を備え、メインフレーム(0)は、海又は河川の
水流(F)に浸されるように配置され、メインフレーム(0)は、水流(F)に直接面す
るように配置される船首部(PB)と、船首部(PB)に捕捉されるとともに水流(F)
によって後方に駆動されるように配置されるプレート(1)を有する、1つ以上の右舷無
端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)と、連続的に凸状であり、船首部(PB)から戻るよ
うに延在する、左舷側フレーム及び右舷側フレーム(PB、PS)と、左舷側フレームと
右舷側フレームとの間の最大距離(PS、PB)よりも狭い横方向幅広船尾部(PA)と
、を備え、回転鎖(4)は、発電機(G)を作動させる1つ以上の被駆動車輪(5)の周
りに延び、被駆動車輪(5)と駆動係合し、回転鎖(4)は、プレート(1)を有する右
舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)を備え、プレート(1)は、左舷側フレーム及び
右舷側フレーム(PB、PS)に沿って延びるように配置され、回転機構(9)は、各プ
レートを回転させて船首部(PB)で水流を捕捉するように配置され、各プレート(1)
は、右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿ってそれぞれ後方に駆動され
、幅広船尾部(PA)によって後端部に戻り、回転機構(8)は、右舷側フレーム及び左
舷側フレーム(PS、PP)間の遮蔽空洞(PH)内で、プレート(1)が回転鎖(4)
によって再び前方に導かれ船首部(PB)まで延在するときに、プレート(1)が水を実
質的に捕捉しない受動状態へ各プレート(1)を回転させる。
【0005】
本発明の実施形態のさらなる詳細は、独立請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】改良された海流タービンの一実施形態の斜視図であり、流れに面するように配置される1つの船首部(PB)と、左舷側フレーム(PP)と、プレート(1)を有する部分隠蔽駆動鎖(4)と、を示し、このプレート(1)は、船首部から側フレームの大部分に沿って、側フレームが横方向幅広船尾部(PA)によって短く切断されるまで、流れと共に後方に露出する。側フレームは連続凸状であり、すなわち、側フレームの長さ全体にわたって外向きに湾曲している。
【
図2a】本発明による海流タービンの一実施形態の平面断面図である。この平面断面図は、プレートを有する左舷及び右舷無端回転鎖(4)を示し、このプレートは、船首部(PB)で水流(F)に横方向に位置決めされて捕捉された後に整列し、プレートが右舷回転鎖及び左舷回転鎖(4)内をそれぞれ凸側フレーム(PS、PP)に沿って幅広船尾部(PA)の後方外端部へ走行するときに、水流の右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿ってそれぞれ後方に駆動され、次いで、主に水を捕捉しない受動状態へ移行し、右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)間の遮蔽空洞(PH)内で、回転鎖(4)によって再び前方に移動し、船首部(PB)に向かって再び前方に延在する。このように、鎖(4)が閉じられる。
【
図2b】メインフレーム(0)の船尾からの斜視図であり、船尾部(PA)を示し、2つの車輪(5)の垂直軸(7)が船尾部の両側に配置されている。
【
図2c】メインフレーム(0)を右舷側から見た側面図である。
【
図2d】メインフレーム(0)の正面立面図であり、船首部(PB)がリーダに面している。
【
図3】プレート(1)が船首部(0)から船尾部(PA)へ延びる場合の、天板(00)を有するメインフレーム(0)及びU字形状溝(8)の輪郭の上面図である。構造全体の長さは20メートル~200メートル、好ましくは50メートル~150メートルのオーダーとすることができ、
図7では船体長100メートルの右舷フレーム側部(PS)の形状の一実施形態が示されている。
【
図4】メインフレーム(0)の斜視図であり、前輪(5)と後輪(5)との間に駆動鎖(4)が延在し、右舷(上部)駆動鎖(4)における右舷プレートの一部の移動方向を示している。
【
図5】先行技術、特に特許文献2におけるメインフレームの形状を示す。
【
図6】先行技術、特に特許文献2におけるメインフレームの形状を示す。
【
図7】船体長100mの右舷フレーム側部(PS)の形状の一実施形態を示す。
【
図8】
図8Aは、本発明のモデルに沿った、水平面で算出される水中の速度計算を示し、初期水流速度2.5m/s、L=100mである。
図8Bは、
図8Aで算出された速度変動に関連して算出される、水中の動圧計算を示す。
【
図9】駆動鎖(4)に対して、長手方向から横方向に、又は横方向から長手方向に、プレートを90度回転するように適合される、前輪又は後輪(5)におけるプレート(1)の回転機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を添付の図で説明する。
【0008】
図1は改良された海流タービンの一実施形態の斜視図であり、流れに面するように配置
される船首部(PB)と、左舷側フレーム(PP)と、プレート(1)を有する部分隠蔽
駆動鎖(4)と、を示し、このプレート(1)は、船首部から側フレームの大部分に沿っ
て、側フレームが横方向幅広船尾部(PA)によって短く切断されるまで、流れと共に後
方に露出する。側フレームは連続凸状であり、すなわち、側フレームの長さ全体にわたっ
て外向きに曲がる。
【0009】
図2aは、本発明による海流タービンの一実施形態の平面断面図である。この平面断面
図は、プレートを有する左舷無端回転鎖及び右舷無端回転鎖(4)を示し、このプレート
は、船首部(PB)で水流(F)によって横方向に設定されて捕捉された後に適合され、
プレートがそれぞれ右舷回転鎖及び左舷回転鎖(4)内をそれぞれ凸側フレーム(PS、
PP)に沿って幅広船尾部(PA)の後端部に戻るように走行するときに、水流の右舷側
フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿ってそれぞれ後方に駆動され、次いで、
主に水を捕捉しない受動状態へ移行させ、右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、P
P)間の遮蔽空洞(PH)内で回転鎖(4)によって再び前方に導かれ、船首部(PB)
まで前方に延在する。これにより、鎖(4)は無端となる。
【0010】
プレート(1)は鎖(4)内で回転するように配置されて、プレート(1)が後方に向
かうときは鎖に対して横方向となり、前方に向かうときは回転して鎖に沿う。前輪(5)
には鎖に対してプレートを長手方向から横方向に反転させる機構があり、船尾輪(5)に
は鎖(4)に対して車輪を横方向から長手方向に反転させる反対の機構がある。このよう
な反転機構は、特許文献2に詳細に記載されている。プレート(1)は一実施形態では、
折り畳まれて横方向プレートを形成する2つの半プレートであり、2つの半プレートは一
緒に折り畳むことができ、2つの半プレートが鎖に対して平行に回転する。別の実施形態
では、プレート(1)は、鎖に対して横方向位置から長手方向位置への間で回転し、再び
戻る全体プレートであってもよい。
【0011】
アーチ部(PB)は、一実施形態では、水流の主方向に面する湾曲した又は部分的に尖
った前部を有するプレート構造又は中実構造であって、水流が1つの右舷水流と左舷水流
とに分割され、右舷水流及び左舷水流は、頂部プレート及び底部プレート(PB)によっ
て頂部及び底部で導かれる。
【0012】
左舷側フレーム及び右舷側フレーム(PS、PP)は、連続的に凸状であり、船首部(
PB)から横方向幅広船尾部(PA)に戻るように延在し、しかも横方向幅広船尾部(P
A)は左舷側フレーム及び右舷側フレーム間の最大距離(PS、PB)よりも狭い。そし
て、左舷側フレーム及び右舷側フレーム(PS、PP)の最大幅点である「ビーム幅点」
(PPB)に対するこの先細り(taper)により、主形状がV字形状の従来技術と比
較して、鎖内で横方向に配置されるプレート(1)の水流速度及び水圧分布がより良好で
あることが分かった。これは驚くべき効果であった。
【0013】
図2bは、メインフレーム(0)の船尾からの斜視図であり、船尾部(PA)を示し、
2つの車輪(5)の垂直軸(7)が船尾部の両側に配置されている。この斜視図では、車
輪(5)の軸(7)の軸線方向上方に円筒状収容部も見ることができ、円筒状収容部は、
プレート(1)上の水流の作用により電流を発生させる発電機(G)と、発電機軸(7)
上の車輪(5)を回転させる駆動鎖(4)と、を収容することができる。発電機は代替的
に、水素を間接的に発生させ、圧縮することができる。図では、右舷フレーム側部及び左
舷フレーム側部(PS、PP)に沿った外側のプレートが横方向であり水流を捕捉し、空
洞(PH)の内側経路に沿ったプレート(1)が鎖(4)と長手方向に整列しており、そ
の結果、水を捕捉しないことが示されている。またここでは、船首部(PB)近傍から船
尾部(PA)の後輪(5)近傍まで戻るように延在する上部湾曲長手方向表面及び下部湾
曲長手方向表面(81)間のU字形状溝(8)内で、プレート(1)が水流に曝されるこ
とが示されている。この溝(8)は、上部船体プレート及び下部船体プレート(82)間
に配置することもでき、上部船体プレート及び下部船体プレート(82)は、プレート(
1)と共に溝(8)に向かってくる水流を捕捉し集めるのに寄与する。プレート(1)が
長方形の場合、溝はU字形状ではなく長方形である。
【0014】
図2bから、(上部及び下部の)駆動鎖(4)及び車輪(5)もまた、湾曲長手方向表
面(81)によって覆われていることが示されている。これにより、水流は集まってプレ
ートに沿って流れ、駆動鎖(4)、特に車輪(5)と干渉しない。各フレーム(2)及び
駆動鎖(4)上の中間リンクもまた、横方向キャリッジ(23)を有する上向き突出ピン
及び下向き突出ピン(22)を有してもよく、上向き突出ピン及び下向き突出ピン(22
)は、駆動鎖の所望の経路に沿って配置されるそれぞれの上部レール及び下部レール(1
01)の周りを把持し、かつ上部レール及び下部のレール(101)に沿って走行する。
これらのピン(22)はまた、駆動輪(5)の垂直凹部に係合するように配置されて、駆
動輪(5)を駆動する。
【0015】
図2cは、メインフレーム(0)を右舷側から見た側面図である。ここでは右舷開口溝
(8)が示されており、長手方向湾曲表面(81)が、駆動鎖(4)と、車輪(5)と、
ピン(22)と、を隠しているが、長手方向湾曲表面(81)は、駆動鎖に対してフレー
ム側部(PS、PB)に沿って横方向に整列するプレート(1)を露出させ、したがって
水流が通過する。溝(8)は、再び船首部(PB)から船尾部(PA)に戻るまで延びる
ように、湾曲表面(81)内に延びている。
【0016】
図2dは、メインフレーム(0)を正面から見た図であり、船首部(PB)が読み手に
面している。ここでも、水流(F)に捕捉される横方向プレート(1)の各船首の始端部
が、上下の湾曲表面(81)を有するU字形状溝(8)内に露出しているのが明瞭に示さ
れている。なお、車輪(5)と前部走行プレート及び前向き走行プレート(1)を遮蔽す
る船首部(PB)が非常に広いことに留意されたい。そのため、船首部での長手方向の水
流速度と水圧がここでは特に発達していないので、
図8の速度曲線及び圧力曲線を参照す
る。船首部(PB)の幅は、左舷フレーム部位と右舷フレーム部位(PP、PS)との間
の最大幅(PPB)の1/4~1/2であり得る。
【0017】
図3は、天板(00)を有するメインフレーム(0)及びU字形状溝(8)の輪郭の平
面図であり、プレート(1)が船首部(0)から船尾部(PA)に沿って走行している。
構造全体の長さは20~200メートル、好ましくは50~150メートルのオーダーと
することができ、
図7では船体長100メートルの右舷フレーム側部(PS)の形状の一
実施形態が示されている。
【0018】
図4は、メインフレーム(0)の斜視図であり、前輪(5)と後輪(5)との間に駆動
鎖(4)が延在し、右舷(上)駆動鎖(4)における右舷プレートの一部の移動方向を示
している。ここでは明確にするために、下部車輪及び上部駆動鎖のみが示されており、一
実施形態では、上部駆動鎖及び下部駆動鎖(4)がある。
【0019】
図5は、先行技術、特に特許文献2のメインフレームの形状を示す。右舷フレーム側部
及び左舷フレーム側部は直線であり、船首から船尾にかけて中心線と30度の角度をなし
ている。
【0020】
図7は、船体長100mの右舷フレーム側部(PS)の形状の実施形態を示しており、
図8のモデリングで使用される。「円1」、「円2」等は、
図8参照の溝に沿った速度の
モデリングにおいて、右舷フレーム側部(PS)に沿ったU字形状溝(8)に沿ってプレ
ート(1)を表す8つの円の位置を示している。
【0021】
図8Aは、本発明のモデルに沿った、水平面で算出される水中の速度計算を示し、初期
水流速度2.5m/s、L=100mである。このモデルは、仮想プレート(1)が船首
部(PB)の前部にも挿入されている点で、上記の図面と若干異なる。詳細な速度計算で
は、フレーム側部(PP)に沿った点(N)の手前では、速度が2.5m/sの流入水流
速度よりも低いことが示されている。そのため、プレート(1)を平均速度で走行させて
も水によって減速するので、プレート(1)の行程をこの手前の点から開始するのを可能
にすることは意味がない。したがって、船首部(PB)は、船首部(PB)の全幅にわた
って流入水流を遮蔽しているにもかかわらず、プレートに対する障害物を構成しない。こ
の船首部(PB)の後ろに、プレート(1)を有する鎖(4)がその周りを回転する2つ
の比較的大きな車輪(5)を配置する。フレーム側部に沿った水流速度計算では、最大4
m/s超に達し、フレーム側部(PB)上の最大幅点(PPB)の船尾でも高速で、船尾
(PA)の端部まで3.125超のままであり、平均速度は周囲の水流2.5m/sより
0.95m/s高い3.45m/sである。(計算は1/8m/sから4m/sまでの3
2段階で、等高線間隔0.125m/sで行われた。)トランサム船尾(PA)の外端部
の船尾にも高い水流速度の渦流が形成されるが、プレート(1)の外側と構造全体のある
距離での水流速度は、本発明におけるエネルギー利用にとってはほとんど意味がない。プ
レート(1)の直ぐ周りの水流速度こそが重要な意味を持つ。こうして、ここでは、車輪
(5)を介して水流速度と水力を回転エネルギーに変換し、発電機(8)を駆動するかな
りの機会がある。横方向船尾(PA)の後ろでは、中心線の両側で非常に低い水流速度の
渦を形成するが、その延伸は狭くて細長い。また、モデル計算では、水圧が点Nから後方
に増加し、フレーム(PPB)の最大幅の遠方まで耐えられることが示されている。これ
は、プレート(1)が高い定常水流速度で、より効率的に駆動されることに寄与する。高
効率の理由の1つはこれであると推測することができるが、同時にトランサム船尾は、船
尾鏡の幅が構造の長さに対応する従来技術よりもはるかに狭い。したがって従来技術では
、形成されなければならない大きな渦の中で多くのエネルギーが失われる。
【0022】
本発明の速度条件のモデリングでは、右舷フレーム側部及び左舷フレーム側部(PS、
PB)の形状を連続凸状として、かつ、最大幅点のある特定の先細りの船尾とすることに
より、初期水流速度よりも著しく高い速度が得られ、これがフレーム側部の露出部分全体
に沿って生じ、また、これは
図5に示す従来技術の三角形モデルよりも著しく効率的であ
るというやや驚くべきことを示している。
【0023】
図8Bは、
図8Aで算出された速度変動に関連して算出される、水中の動圧計算を示す
。
図8Bでは、2列のプレート(1)を有する二重の実施形態について計算されているこ
とに留意されたい。ここで圧力は、船首部(PB)で約3,000パスカルまで蓄積され
るが、モデルのフレーム側部(PP)に沿って速度が増加することにつれて、圧力は、長
距離にわたって-3,000パスカルに向かって減少し、フレーム側部(PP)の船尾端
部に戻るまで、速度が著しく増加する同じ範囲に沿ってずっと続くことが分かる。本発明
による流動モデルでは、流路(8、81)に沿った突然の望ましくない圧力変動はない。
【0024】
図9は、駆動鎖(4)に対して、長手方向から横方向に、又は横方向から長手方向に、
プレートを90度回転させるように配置される、前輪又は後輪(5)におけるプレート(
1)の回転機構を示す。プレート(1)は、特許文献2に示されるように、巧妙に制御さ
れる機構によって回転させることができ、電磁石、アクチュエータ等を含むことができる
。
【0025】
しかし、本発明の一実施形態では、電子式の制御機構なしで回転機構を実現することが
できる。本発明の一実施形態では、反転機構は、いわゆるジュネーブ機構(90)である
。このようなジュネーブ機構は、より実質的な実施形態では、各プレート(1)又は各プ
レート(1)の垂直軸に結合される割り出し車輪(91)を備える。割り出し車輪は、十
字形状割り出しトラック(94)を有し、十字形状割り出しトラック(94)は、割り出
しピンが計数車輪(93)周りで360度回転する毎に、割り出しピン(92)によって
一度に90度程度駆動される。計数車輪(93)は、湾曲摩擦経路(95)上を走行する
ように配置することができ、湾曲摩擦経路(95)は、前輪及び後輪(5)によって配置
され、計数車輪(93)の全回転に対応する長さを有する。このようにして、プレート(
1)は、前輪又は後輪(5)を通過するたびに4分の1回転する。プレートを回転させる
このようなジュネーブ機構は、電子制御装置を必要とせず、割り出しプレートを最初に9
0度回転させた後にそれぞれ4方向に保持するバネ式停止機構を取り付けることができる
ので、プレート(1)が1回転ごとに制御不能に回転することはない。
【0026】
本発明の一実施形態では、発電機(G)は、部分的に海を通って延在する電力網に接続
することができ、所望の場所で受信機に電気エネルギーを供給する。本発明の代替実施形
態では、発電機(G)は、電力網への接続が経済的に有益である場合を除いて、海水を水
素及び酸素に変換し、船舶又はパイプラインに所望の圧力で圧縮水素又は液体水素(及び
酸素を別々に)を供給する水素プラントを備えることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流のエネルギーを変換する海流タービンであって、
前記海流タービンは、メインフレーム(0)と、回転機構(9)と、を備え、
前記メインフレーム(0)は、海又は河川の水流(F)に沈むように配置され、
前記メインフレーム(0)は、
前記水流(F)に直接面するように配置される船首部(PB)と、
前記船首部(PB)に捕捉されるとともに前記水流(F)によって後方に駆動されるように配置されるプレート(1)を有する、1つ以上の右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)と、
連続的に凸状であり、前記船首部(PB)から後方に延在する、右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)と、
前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)の間の最大距離よりも狭い横方向幅広船尾部(PA)と、
を備え、
前記1つ以上の右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)はそれぞれ、発電機(G)を作動させる1つ以上の被駆動車輪(5)の周りに延び、前記被駆動車輪(5)と駆動係合し、
前記1つ以上の右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)は、それぞれに前記プレート(1)が設けられた右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)を備え、前記プレート(1)は、前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿って延びるように配置され、
前記回転機構(9)は、前記プレート(1)を回転させて前記船首部(PB)で前記水流(F)を捕捉するように配置され、
前記プレート(1)は、前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿ってそれぞれ後方に駆動され、前記横方向幅広船尾部(PA)によって後方に戻り、
前記回転機構(9)は、前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)間の遮蔽空洞(PH)内で、前記プレート(1)が前記右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)によって再び前方に導かれ前記船首部(PB)まで延在するときに、前記プレート(1)が水流(F)を実質的に捕捉しない受動状態へ前記プレート(1)を回転させ、
前記プレート(1)は、後方に向かうときに前記水流(F)を補足するように、外側で、前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)に沿って、横方向になるように配置され、前記空洞(PH)の内側経路に沿った前記プレート(1)は、前方に向かうときに前記右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)のそれぞれと長手方向に整列する、海流タービン。
【請求項2】
前記船首部(PB)が、前記メインフレーム(0)の最大幅(PPB)の長さの1/4から1/2に対応する幅を形成する幅広遮蔽部を形成し、
前記右舷側フレーム及び左舷側フレーム(PS、PP)は、形状が連続的に凸状であり、最大幅点のある先細りの船尾を有する、請求項1に記載の海流タービン。
【請求項3】
前記船首部(PB)の近傍から、前記船尾部(PA)にある後輪(5)の近傍まで戻るように延在する上部湾曲長手方向表面及び下部湾曲長手方向表面(81)間の溝(8)内で、前記プレート(1)が前記水流(F)に曝される、請求項1又は2に記載の海流タービン。
【請求項4】
前記溝(8)は、上部船体プレート及び下部船体プレート(82)の間に配置される、請求項3に記載の海流タービン。
【請求項5】
前記船首部(PB)は、前記水流(F)が1つの右舷水流及び1つの左舷水流に分割されるような、前記水流(F)の主方向に面する湾曲した又は部分的に尖った前部を有するプレート構造又は中実構造である、請求項1~4のいずれか一項に記載の海流タービン。
【請求項6】
前記回転機構(9)がゼネバ機構を備え、前記ゼネバ機構は、前記プレート(1)が前輪及び後輪(5)を通過する間に、前記右舷無端回転鎖及び左舷無端回転鎖(4)に対して前記プレート(1)を90度回転させるように配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の海流タービン。
【外国語明細書】