(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038252
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】頸部への腫瘍治療電界(TTFields)の印加
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61N1/40
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000185
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2022511053の分割
【原出願日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】62/893,876
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イッサカル・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】アリエル・ナヴェー
(72)【発明者】
【氏名】ゼーヴ・ボンゾン
(57)【要約】
【課題】人の頸部またはその近くにある腫瘍を治療するか、または転移を防ぐ第1の方法を提供すること。
【解決手段】電極素子の第1および第2のセットを駆動する方法であって、
コンピュータが、所与の周波数で、解剖学的体積の電気伝導率または電気抵抗率の3Dモデルを取得するステップと、
コンピュータが、前記解剖学的体積内の標的組織の場所を識別するステップと、
コンピュータが、電極素子の前記第1および第2のセットに対する複数のレイアウトに関連付けられている電界を、前記複数のレイアウトのうちの1つを選択するために、前記それぞれのレイアウト、電気伝導率または電気抵抗率の前記3Dモデル、および標的組織の場所に基づいて分析するステップと、を含み、
これにより、前記電極素子の第1のセットは、頭部に位置決めされ、前記電極素子の第2のセットは、胸部に位置決めされる、方法により、上記課題を解決する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の頸部またはその近くにある腫瘍を治療するか、または転移を防ぐ方法であって、
第1の重心を有する電極素子の第1のセットを、前記第1の重心が前記人の頭部に位置決めされた状態で前記人の頭部に貼り付けるステップと、
電極素子の第2のセットを前記人の胸部に貼り付けるステップと、
電極素子の前記第1のセットと電極素子の前記第2のセットとの間に交流電圧を印加するステップとを含み、
印加する前記ステップは、電極素子の前記第1のセットおよび前記第2のセットを貼り付けた後に実行される、方法。
【請求項2】
前記第1および第2のセットの前記電極素子は、容量結合される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電極素子の前記第1のセットと電極素子の前記第2のセットとの間に印加される前記交流電圧は、100kHzから300kHzの間の周波数を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
電極素子の前記第1のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備え、電極素子の前記第2のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の重心は、前記頭部の頭頂に位置決めされる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の重心は、前記人の頭部の上側表面に位置決めされる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
電極素子の前記第2のセットは、首の付け根のすぐ下に位置決めされる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
被験者の身体への電極素子の第1および第2のセットの位置決めを計画する方法であって、
所与の周波数で、前記被験者の身体内の、人の頸部またはその近くに位置する、解剖学的体積の電気伝導率または電気抵抗率の3Dモデルを取得するステップと、
前記解剖学的体積内の標的組織の場所を識別するステップと、
電極素子の前記第1および第2のセットに対する複数のレイアウトに関連付けられている電界を、前記それぞれのレイアウト、電気伝導率または電気抵抗率の前記3Dモデル、および前記標的組織の前記識別された場所に基づき分析するステップと、
前記分析の結果に基づき前記複数のレイアウトのうちの1つを選択するステップとを含み、
電極素子の前記第1のセットは、第1の重心を有し、
前記複数のレイアウトの各々において、(a)電極素子の前記第1のセットは、前記第1の重心が前記人の頭部に位置決めされた状態で前記人の頭部に位置決めされ、(b)電極素子の前記第2のセットは、前記人の胸部に位置決めされる、方法。
【請求項9】
前記第1の重心は、前記頭部の頭頂に位置決めされる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の重心は、前記人の頭部の上側表面に位置決めされる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
電極素子の前記第2のセットは、首の付け根のすぐ下に位置決めされる請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記所与の周波数は、100kHzから300kHzの間にある請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記選択されたレイアウトに対応する位置において電極素子の前記第1および第2のセットを前記被験者の身体に貼り付けるステップと、
前記標的組織に電界をかけるように、前記貼り付けるステップに続いて電極素子の前記第1のセットと前記第2のセットとの間に電気信号を印加するステップとをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
電気伝導率または電気抵抗率の前記3Dモデルは、電気伝導率の3Dモデルである請求項8に記載の方法。
【請求項15】
人の頸部またはその近くにある腫瘍を治療するか、または転移を防ぐ方法であって、
電極素子の第1のセットを前記人の後頸部に貼り付けるステップと、
電極素子の第2のセットを前記人の胸部に貼り付けるステップと、
電極素子の前記第1のセットと電極素子の前記第2のセットとの間に交流電圧を印加するステップとを含み、
印加する前記ステップは、電極素子の前記第1のセットおよび前記第2のセットを貼り付けた後に実行される、方法。
【請求項16】
前記第1および第2のセットの前記電極素子は、容量結合される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
電極素子の前記第1のセットと電極素子の前記第2のセットとの間に印加される前記交流電圧は、100kHzから300kHzの間の周波数を有する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
電極素子の前記第1のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備え、電極素子の前記第2のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備える請求項15に記載の方法。
【請求項19】
電極素子の前記第2のセットは、首の付け根のすぐ下に位置決めされる請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2019年8月30日に出願した米国仮出願第62/893,876号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
TTFieldsは、中間周波数範囲(たとえば、100~300kHz)内の低強度(たとえば、1~4V/cm)の交番電界であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,565,205号において説明されているように腫瘍を治療するために使用され得る。TTFields療法は、再発膠芽腫(GBM)に対する承認済みの単剤治療(mono-treatment)であり、新たに診断されたGBM患者に対する化学療法との承認済み併用療法である。TTFieldsは、人の身体の他の部分(たとえば、肺、卵巣、膵臓)の腫瘍を治療するためにも使用できる。TTFieldsは、患者の身体に直接置かれた(たとえば、Novocure Optune(商標)システムを使用する)トランスデューサアレイ(すなわち、容量結合電極素子のアレイ)により、またトランスデューサアレイ間にAC電圧を印加することにより、関心領域内に非侵襲的に誘導される。
【0003】
GBMの文脈では、トランスデューサアレイを位置決めするための従来のアプローチは、第1の対のトランスデューサアレイを頭部の前後に位置決めし、第2の対のトランスデューサアレイを頭部の左右に位置決めすることである。また、中皮腫を治療するという文脈では、トランスデューサアレイを位置決めするための従来のアプローチは、第1の対のトランスデューサアレイを胴体の前後に位置決めし、第2の対のトランスデューサアレイを胴体の左右に位置決めすることである。AC電圧発生器は、AC電圧(たとえば、GBMの文脈では200kHz、または中皮腫の文脈では150kHz)を第1の対のトランスデューサアレイ間に第1の時間間隔(たとえば、1秒)で印加し、これは一般的に前後方向に走る電気力線を有する電界を発生させる。次いで、AC電圧発生器は、同じ周波数のAC電圧を第2の対のトランスデューサアレイ間に第2の時間間隔(たとえば、1秒)で印加し、これは一般的に右左方向に走る電気力線を有する電界を発生させる。次いで、システムはこの2段階シーケンスを治療の持続時間において繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,565,205号
【特許文献2】米国特許第10,188,851号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、人の頸部またはその近くにある腫瘍を治療するか、または転移を防ぐ第1の方法を対象とする。第1の方法は、第1の重心を有する電極素子の第1のセットを、第1の重心が人の頭部に位置決めされた状態で人の頭部に貼り付けることと、電極素子の第2のセットを人の胸部に貼り付けることと、電極素子の第1のセットと電極素子の第2のセットとの間に交流電圧を印加することとを含む。印加することは、電極素子の第1のセットおよび第2のセットを貼り付けた後に実行される。
【0006】
第1の方法のいくつかの事例において、第1および第2のセットの電極素子は、容量結合されている。第1の方法のいくつかの事例において、電極素子の第1のセットと電極素子の第2のセットとの間に印加される交流電圧は、100kHzから300kHzの間の周波数を有する。第1の方法のいくつかの事例において、電極素子の第1のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備え、電極素子の第2のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備える。第1の方法のいくつかの事例において、第1の重心は、頭部の頭頂に位置決めされる。第1の方法のいくつかの事例において、第1の重心は、人の頭部の上側表面に位置決めされる。第1の方法のいくつかの事例において、電極素子の第2のセットは、首の付け根のすぐ下に位置決めされる。
【0007】
本発明の別の態様は、被験者の身体上の電極素子の第1および第2のセットの位置決めを計画する第2の方法を対象とする。第2の方法は、所与の周波数で、被験者の身体内の人の頸部またはその近くに位置する解剖学的体積の電気伝導率または電気抵抗率の3Dモデルを取得することと、解剖学的体積内の標的組織の場所を識別することとを含む。また、第2の方法は、電極素子の第1および第2のセットに対する複数のレイアウトに関連付けられている電界を、それぞれのレイアウト、電気伝導率または電気抵抗率の3Dモデル、および標的組織の識別された場所に基づき分析することと、分析の結果に基づき複数のレイアウトのうちの1つを選択することとを含む。電極素子の第1のセットは、第1の重心を有する。複数のレイアウトの各々において、(a)電極素子の第1のセットは、第1の重心が人の頭部に位置決めされた状態で人の頭部に位置決めされ、(b)電極素子の第2のセットは、人の胸部に位置決めされる。
【0008】
第2の方法のいくつかの事例において、第1の重心は、頭部の頭頂に位置決めされる。第2の方法のいくつかの事例において、第1の重心は、人の頭部の上側表面に位置決めされる。第2の方法のいくつかの事例において、電極素子の第2のセットは、首の付け根のすぐ下に位置決めされる。第2の方法のいくつかの事例において、所与の周波数は、100から300kHzの間である。第2の方法のいくつかの事例において、電気伝導率または電気抵抗率の3Dモデルは、電気伝導率の3Dモデルである。
【0009】
第2の方法のいくつかの事例は、選択されたレイアウトに対応する位置において電極素子の第1および第2のセットを被験者の身体に貼り付けるステップと、標的組織に電界をかけるように、貼り付けステップに続いて、電極素子の第1のセットと第2のセットとの間に電気信号を印加するステップとをさらに含む。
【0010】
本発明の別の態様は、人の頸部またはその近くにある腫瘍を治療するか、または転移を防ぐ第3の方法を対象とする。第3の方法は、電極素子の第1のセットを人の後頸部に貼り付けることと、電極素子の第2のセットを人の胸部に貼り付けることと、電極素子の第1のセットと電極素子の第2のセットとの間に交流電圧を印加することとを含む。印加することは、電極素子の第1のセットおよび第2のセットを貼り付けた後に実行される。
【0011】
第3の方法のいくつかの事例において、第1および第2のセットの電極素子は、容量結合されている。第3の方法のいくつかの事例において、電極素子の第1のセットと電極素子の第2のセットとの間に印加される交流電圧は、100kHzから300kHzの間の周波数を有する。第3の方法のいくつかの事例において、電極素子の第1のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備え、電極素子の第2のセットは、並列に配線された複数の電極素子を備える。第3の方法のいくつかの事例において、電極素子の第2のセットは、首の付け根のすぐ下に位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aは、TTFieldsが本明細書において説明されているトランスデューサアレイレイアウトを使用して癌を治療するために使用され得る関心領域を示す図である。
図1Bは、TTFieldsが本明細書において説明されているトランスデューサアレイレイアウトを使用して癌を治療するために使用され得る関心領域を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの一例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの一例を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図2D】
図2Dは、
図2Bのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図3A】
図3Aは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの別の例を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの別の例を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、
図3Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図3D】
図3Dは、
図3Bのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図4A】
図4Aは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの別の例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの別の例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、
図4Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図4D】
図4Dは、
図4Bのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図5A】
図5Aは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供するトランスデューサアレイレイアウトの別の例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図5C】
図5Cは、
図5Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、下トランスデューサアレイレイアウト(inferior transducer array layout)の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図6C】
図6Cは、
図6Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図7A】
図7Aは、下トランスデューサアレイレイアウトの別の例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図7C】
図7Cは、
図7Aのレイアウトに対する電界強度のグレイスケールマップを示す図である。
【
図8】本出願のすべてのグレイスケールマップに対するスケールを示す図である。
【
図9】トランスデューサアレイの各々の最適な位置を決定するためのシミュレーションの使用法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では添付図面を参照しつつ様々な実施形態が詳細に説明されており、類似の参照番号は、類似の要素を表す。
【0014】
本出願は、多数のトランスデューサアレイレイアウトを説明しており、
図1Aおよび
図1Bに描かれている関心領域(ROI)における癌を治療するために使用され得る。このROIは、喉頭の周りで取られ、脊椎骨、椎間板および内部空気を除くすべての組織を含んでいた。
【0015】
脳腫瘍を治療する文脈では、一対のトランスデューサアレイを頭部の前後に位置決めし、別の一対のトランスデューサアレイを頭部の左右に位置決めすることは、実用的なアプローチである。しかし、頸部の腫瘍を治療する文脈では、頸部の四方すべてにトランスデューサアレイを位置決めするのは不快感を与えることになり、患者の動きを制限する可能性もある。本出願において説明されているトランスデューサアレイレイアウトは、従来の4面アプローチに関して快適さと可動範囲の改善を提供する。
【0016】
臨床前実験では、TTFieldsが治療効果を発揮するためには、電界強度が約1V/cmの閾値を超えるべきであることを示唆している。しかし、
図1Aおよび
図1Bに描かれているROI内の癌(たとえば、頭頸部扁平上皮癌(SCC)などの頸上部癌、ならびに食道SCCおよび腺癌のいくつかのケース)を治療する文脈では、トランスデューサアレイを位置決めするための多くのレイアウトは、所望のレベルの電界強度を提供しない。
【0017】
図2Aおよび
図2Bは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供する一対のトランスデューサアレイに対するレイアウトの一例を示している。このレイアウトでは、13個の丸い電極素子(以下、ディスクと呼ぶ)を含む1つのトランスデューサアレイが、その重心が被験者の頭部の頭頂と被験者の頭部の上側表面上にある状態で位置決めされ、13個のディスクを含む別のトランスデューサアレイが、胸郭上部に、垂直方向に配向されて位置決めされている。このレイアウトに対する結果として得られる電界強度のグレイスケールマップが
図2Cおよび
図2Dに示されている。(
図8は、本出願のすべてのグレイスケールマップに対するスケールを示している。)このレイアウトでは、平均強度は3.4V/cmであり、電界強度の中央値は3.41V/cmであり、関心領域の99.27%は1V/cmより高い強度を有していた。
【0018】
図3Aおよび
図3Bは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供する一対のトランスデューサアレイレイアウトに対する別のレイアウトの一例を示している。このレイアウトでは、13枚の丸いディスクを含む1つのトランスデューサアレイが、被験者の頭部の後上部に位置決めされ、13枚のディスクを含む別のトランスデューサアレイが、胸郭上部に、垂直方向に配向されて位置決めされている。このレイアウトに対する結果として得られる電界強度のグレイスケールマップが
図3Cおよび
図3Dに示されている。このレイアウトでは、平均強度は3.22V/cmであり、電界強度の中央値は3.25V/cmであり、関心領域の99.07%は1V/cmより高い強度を有していた。
【0019】
図4Aおよび
図4Bは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供する一対のトランスデューサアレイに対する別のレイアウトの一例を示している。このレイアウトでは、13枚の丸いディスクを含む1つのトランスデューサアレイが、被験者の後頸部に位置決めされ、13枚のディスクを含む別のトランスデューサアレイが、胸郭上部に、垂直方向に配向されて位置決めされている。このレイアウトに対する結果として得られる電界強度のグレイスケールマップが
図4Cおよび
図4Dに示されている。このレイアウトでは、平均強度は1.47V/cmであり、電界強度の中央値は1.39V/cmであり、関心領域の73.22%は1V/cmより高い強度を有していた。とりわけ、このレイアウトに対する結果は、
図2および
図3に示されているレイアウトほど良くない。
【0020】
図5Aは、関心領域内の適切に高い電界強度を提供する一対のトランスデューサアレイに対する別のレイアウトの一例を示している。このレイアウトでは、9枚の丸いディスクを含む1つのトランスデューサアレイが、被験者の頭部の前頂部に位置決めされ、9枚のディスクを含む別のトランスデューサアレイが、胸郭上部に、水平方向に配向されて位置決めされている。このレイアウトに対する結果として得られる電界強度のグレイスケールマップが
図5Bおよび
図5Cに示されている。このレイアウトでは、平均強度は2.55V/cmであり、電界強度の中央値は2.55V/cmであり、関心領域の98.79%は1V/cmより高い強度を有していた。
【0021】
上述のレイアウトとは対照的に、他のレイアウトは関心領域に十分に高い電界強度をもたらさなかった。たとえば、
図6Aのレイアウトでは、9枚の丸いディスクを含む1つのトランスデューサアレイが、被験者の左側頸部に位置決めされ、9枚のディスクを含む別のトランスデューサアレイが、被験者の背骨のすぐ右側の肩の高さに位置決めされている。このレイアウトに対する結果として得られる電界強度のグレイスケールマップが
図6Bおよび
図6Cに示されている。このレイアウトでは、平均強度は1.83V/cmであり、電界強度の中央値は1.32V/cmであり、関心領域の64.83%は1V/cmより高い強度を有していた。これらの数値結果がそれほど悪いようには見えなくても、
図6Bおよび
図6Cを見るとはっきりわかるように、エネルギーの大半が皮膚上で散逸しているので、これらの数値結果は誤解を招くことに留意されたい。
【0022】
図7Aのレイアウトでは、9枚の丸いディスクを含む1つのトランスデューサアレイが、被験者の右側頸部に位置決めされ、9枚のディスクを含む別のトランスデューサアレイが、被験者の背骨のすぐ左側の肩の高さに位置決めされている。このレイアウトに対する結果として得られる電界強度のグレイスケールマップが
図7Bおよび
図7Cに示されている。このレイアウトでは、平均強度は1.67V/cmであり、電界強度の中央値は1.21V/cmであり、関心領域の60.10%は1V/cmより高い強度を有していた。ここでもまた、これらの数値結果がそれほど悪いようには見えなくても、
図7Bおよび7Cを見るとはっきりわかるように、エネルギーの大半が皮膚上で散逸しているので、これらの数値結果は誤解を招くことに留意されたい。
【0023】
本明細書に描かれ、説明されているすべての電界強度は、ZMT(Zurich)社のDUKEモデルを使用して150kHzでシミュレーションを実行することによって生成されたことに留意されたい。シミュレートされたレイアウトでは、9枚のディスクまたは13枚のディスクのいずれかのトランスデューサアレイを使用した。9枚のディスクのシミュレーションは、1Aの電流に正規化され、13枚のディスクのシミュレーションは1.3Aの電流に正規化された。結果は、1つのトランスデューサアレイを頭皮上部に、別のトランスデューサアレイを胸郭上部に置くことで関心領域に1.47V/cm以上で、最大3.4V/cmまでを印加することを示している。これは、9枚のディスクアレイまたは13枚のディスクアレイのいずれを使用しても当てはまる。また、上側アレイが下側に移動されると、電界強度は低下する。これは、特に
図4の実施形態において顕著であり、電界強度は
図2の実施形態の半分未満まで低下した。
【0024】
トランスデューサアレイが上述のように位置決めされるときに、他の解剖学的場所で使用されているトランスデューサアレイに対する同じ構造が使用されてもよい。従来のトランスデューサアレイの例は、Novocure Optune(登録商標)システムで使用されるトランスデューサアレイである。これらのトランスデューサアレイは、人体に貼り付けるように構成されている可撓性裏当てを有している。可撓性裏当てに適した材料は、布、発泡体、および可撓性プラスチック(たとえば、包帯に使用されている対応する材料に類似する)を含む。可撓性裏当ての内側に、複数の容量結合電極素子が位置決めされ、容量結合電極素子の各々が、内向きの誘電体層が上に配設されている導電性プレートを有している。任意選択で、温度センサ(たとえば、サーミスタ)が、Novocure Optune(登録商標)システムで使用される従来の配置構成に類似する方式で電極要素の各々の下に位置決めされ得る。
【0025】
導体線のセットが、複数の容量結合電極素子の各々の導電性プレートに接続する。導体線は、たとえば、ディスクリート配線を使用して、またはフレックス回路上のトレースを使用して実装され得る。接着剤の層は、電極素子のいずれでも覆われていない可撓性裏当ての部分を人体にあてがうように構成されている。
【0026】
図2~
図5に描かれている実施形態では、各トランスデューサアレイは、9枚または13枚の個別の電極素子ディスクのアレイとして構成されており、アレイの重心は、中心ディスクの中心と一致している。しかし、代替的実施形態において、各トランスデューサアレイは、異なる数(たとえば、4から24の間)の電極素子を備え得る。たとえば、所与のトランスデューサアレイは、個別の電極素子ディスクの2×2アレイとして構成されてもよい。この状況では、重心は、4枚すべてのディスクの間に位置する領域内にある可能性がある。他の代替的実施形態では、電極素子の所与のセットは、単一の電極素子(限定はしないが、円形および長方形を含む任意の好適な形状であってもよい)のみを含み得る。この状況では、重心はその単一の電極要素の中心と一致するであろう。本明細書において説明されている実施形態では、上側および下側トランスデューサアレイは、各々同じ枚数のディスクを使用していることにも留意されたい。しかし、代替的実施形態では、上側および下側トランスデューサアレイのディスクの枚数は異なる可能性もある(たとえば、上側アレイでは9枚のディスク、下側アレイでは13枚のディスク)。
【0027】
トランスデューサアレイの代替的構造も使用されてよく、これは、たとえば、ディスク形状ではないセラミック要素を使用するトランスデューサアレイ、および複数の平坦な導体線の上に位置決めされた非セラミック誘電体材料を使用するトランスデューサアレイを含む。後者の例は、プリント回路基板のパッドの上、または平坦な金属片の上に配設されているポリマーフィルムを含む。容量結合されていない電極素子を使用するトランスデューサアレイも使用されてよい。この状況では、トランスデューサアレイの各要素は、人体に当てるように構成された導電性材料の領域を使用して実装され、絶縁誘電体層は導電性要素と体との間に配設されていない。トランスデューサアレイを実装するための他の代替的構造も、(a)人体にTTFieldsを印加することができ、(b)本明細書において指定されている場所に位置決めされている限り、使用されてよい。任意選択で、本明細書において説明されている実施形態のいずれかにおいて、トランスデューサアレイと人体との間にヒドロゲルの層が配設されてもよい。
【0028】
図2~
図7に関連して上述したレイアウトについて、平均強度、電界強度中央値、および1V/cmを超える強度を有するROIのパーセンテージはすべて、各トランスデューサアレイ内の電極素子が
図2~
図7に描かれているように位置決めされたときの電界をシミュレートすることによって取得された。ただし、トランスデューサアレイ(および/またはそれらのアレイの各々内の素子)の位置は、上記の各解剖学的説明が変わらない程度の小さな動きであれば、それらの図に描かれている正確な場所から変化させてもよい。たとえば、
図3Bの頭部に位置決めされた電極素子は、被験者の後頭部上側に位置決めされたままである限り、上下または左右に移動することができる。同様に、
図3Aの胸部に位置決めされた電極素子は、胸郭上部に位置決めされたままである限り、上下または左右に移動することができる。
【0029】
この制限された移動範囲内で、トランスデューサアレイの各々の最適な位置は、各個人に対するシミュレーション(たとえば、有限要素シミュレーション)を使用して、トランスデューサアレイに対する位置の各組合せについて結果として得られる電界を計算し、最良の結果(たとえば、1V/cmを超える強度を有するROIの最も高いパーセンテージ)を提供する組合せを選択することによって決定され得る。次いで、選択された組合せの指示は、たとえば、好適なディスプレイまたはプリントアウトを使用して医療従事者に対して出力される。次いで、医療従事者は、出力によって示された位置においてトランスデューサアレイを人に貼り付け、電極素子のセットをAC信号発生器50に取り付け、TTFields治療を開始する。
【0030】
図9は、トランスデューサアレイの各々の最適な位置を決定するためにシミュレーションを使用する一例を示している。最初に、ステップS20において、当業者に明らかである様々なアプローチのいずれかを使用して関連する解剖学的体積の(TTFields治療に使用される周波数の)AC電気伝導率の3Dモデルが取得される。このモデルは、各ボクセルの導電率を指定する。
【0031】
アレイレイアウトの最適化は、ROI内の電界を最適化するアレイレイアウトを見つけることを意味する。この最適化は、次の4つのステップ、(S21)モデル内で治療対象となる体積(標的体積)を識別するステップと、(S22)トランスデューサアレイを自動的に配置し、モデルに境界条件を設定するステップと、(S23)アレイがモデル上に配置され、境界条件が適用された後モデル内に発生する電界を計算するステップと、(S24)最適化アルゴリズムを実行して、標的体積内に最適な電界分布を引き起こすレイアウトを見つけるステップとを実行することによって実装され得る。これらの4つのステップを実装するための1つの詳細な例が以下に提示されるが、当業者には明らかである代替的アプローチは、以下で説明されるステップの代わりになり得る。
【0032】
ステップS21は、モデル内の標的体積の場所を特定する(すなわち、関心領域を定義する)ことを伴う。患者の体内に最適な電界分布をもたらすレイアウトを見つける第1のステップは、電界が最適化されるべき場所および標的体積を正しく識別することである。
【0033】
いくつかの実施形態において、標的体積は、肉眼的腫瘍体積(GTV)または臨床標的体積(CTV)のいずれかとなる。GTVは、腫瘍の全体的な実証可能な範囲および場所であるが、CTVは、存在する場合に、実証された腫瘍、および推定される腫瘍を有する任意の他の組織を含む。多くの場合、CTVは、GTVを包含する体積を定義し、GTVの周囲に予め定義された幅を有するマージンを追加することによって見出される。
【0034】
GTVまたはCTVを識別するために、MRI画像内の腫瘍の体積を識別することが必要になり得る。これは、使用者によって手動で、自動的に、またはユーザ支援アルゴリズムが使用される半自動アプローチを使用することによって実行できる。この作業を手動で実行するときに、MRIデータは、使用者に提示され、使用者は、データ上のCTVの体積を概説するように求められ得る。使用者は、MRIの3D体積表現上でCTVの輪郭を描くように求められるか、またはデータの個々の2Dスライスを見て、各スライス上でCTVの境界をマークするというオプションが与えられる可能性がある。各スライスに境界がマークされた後、解剖学的体積内(したがってモデル内)のCTVが見つけられ得る。この場合、使用者によってマークされた体積は、GTVに対応する。いくつかの実施形態において、CTVは、GTVに事前定義された幅のマージンを加えることによって見つけられ得る。同様に、他の実施形態では、使用者は、同様の手順を使用してCTVをマークするように求められることもあり得る。
【0035】
手動アプローチの代替的手段は、自動セグメンテーションアルゴリズムを使用してCTVを見つけることである。これらのアルゴリズムは、自動セグメンテーションアルゴリズムを実行して、構造MRIデータを使用してCTVを識別する。
【0036】
任意選択で、MRIデータの半自動セグメンテーションアプローチが実施され得る。これらのアプローチの一例では、使用者がアルゴリズムに入力(たとえば、画像上の腫瘍の場所、腫瘍の境界を大まかに示すこと、腫瘍が位置する関心領域の境界を定めること)を反復的に提供し、次いで、それはセグメンテーションアルゴリズムによって使用される。次いで、使用者は、体内のCTVの場所および体積のより良い推定を得るために、セグメンテーションを精緻化するオプションを与えられ得る。
【0037】
自動アプローチを使用するか、または半自動アプローチを使用するかに関わらず、識別された腫瘍体積はGTVに対応し、次いで、CTVはGTV体積を事前定義された量だけ拡大することによって自動的に見出され得る(たとえば、CTVを腫瘍の周りに20mmの幅のマージンを包含する体積として定義する)。
【0038】
いくつかの場合において、電界を最適化したい関心領域を使用者が定義するだけで十分であることに留意されたい。この関心領域は、たとえば、腫瘍を包含する解剖学的体積内の箱形体積、球形体積、または任意の形状の体積であり得る。このアプローチが使用されるときに、腫瘍を正確に識別するための複雑なアルゴリズムは、必要になり得ない。
【0039】
ステップS22は、所定の反復についてモデル上のアレイの位置および配向を自動的に計算することを伴う。TTFieldの印加に使用される各トランスデューサアレイは、セラミックディスク電極のセットを含み、これらは医療用ゲルの層を通して患者の身体に結合される。実際の患者にアレイを装着するときに、ディスクは自然に皮膚と平行に位置合わせされ、医療用ゲルは身体の輪郭に合わせて変形するので、アレイと皮膚との間に良好な電気的接触が生じる。しかしながら、仮想モデルは、厳密に定義された幾何学的形状から作られている。したがって、モデル上にアレイを置くことは、アレイが置かれるべき位置でモデル表面の配向および輪郭を見つけ、さらにはモデルアレイと患者モデルとの良好な接触を確実に行うために必要なゲルの厚さ/幾何学的形状を見つける正確な方法を必要とする。電界分布の完全自動化最適化を可能にするために、これらの計算は、自動的に実行されなければならない。
【0040】
この作業を実行するための様々なアルゴリズムが使用されてよく、そのような1つのアルゴリズムは、全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第10,188,851号において説明されている。
【0041】
ステップS23は、所与の反復に対してモデル内の電界分布を計算することを伴う。モデルが構築され、電界を印加するために使用されるトランスデューサアレイ(すなわち、電極アレイ)がモデル上に配置された後、有限要素(FE)法解析に適した体積メッシュが作成され得る。次に、境界条件がモデルに適用され得る。使用される可能性のある境界条件の例は、トランスデューサアレイのディリクレ境界条件(定電圧)、トランスデューサアレイのノイマン境界条件(定電流)、または電流密度の法線成分の積分値が指定された振幅に等しくなるように電位をその境界に設定する浮遊電位境界条件を含む。次いで、このモデルは、好適な有限要素ソルバー(たとえば、低周波準静的電磁ソルバー)、または代替的に有限差分(FD)アルゴリズムを用いて解くことができる。モデルのメッシュ分割、境界条件を課すこと、および解くことは、Sim4Life、Comsol Multiphysics、Ansys、またはMatlabなどの既存のソフトウェアパッケージで実行できる。代替的に、FE(またはFD)アルゴリズムを実現するカスタムコンピュータコードが作成され得る。このコードは、C-Gal(メッシュを作成するための)やFREEFEM++(C++で書かれた迅速試験および有限要素シミュレーションのソフトウェア)などの既存のオープンソースソフトウェアリソースを利用することが可能である。モデルの最終的な解は、所与の反復に対して計算ファントム内の電位などの電界分布または関係する量を記述するデータセットとなる。
【0042】
ステップS24は、最適化ステップである。最適化アルゴリズムが、患者の身体の疾病領域(たとえば、腫瘍)への電界印加を最適化するアレイレイアウトを見つけるために使用される。最適化アルゴリズムでは、自動アレイ配置のための方法と、適切に定義された順序でモデル内の電界を解くための方法とを利用して、最適アレイレイアウトを見つける。最適レイアウトは、身体内の疾病領域における電界の何らかの目的関数を最大にするか、または最小にするレイアウトである。この目的関数は、たとえば、疾病領域内の最大強度または疾病領域内の平均強度であってもよい。最適レイアウトは、その後の使用について選択される。
【0043】
患者に対する最適アレイレイアウトを見つけるために使用され得るアプローチは多数あり、そのうちの2つが以下で説明される。一最適化アプローチは、全数探索である。このアプローチでは、オプティマイザは、試験されるべき有限の個数のアレイレイアウトを有するバンクを備える。オプティマイザは、バンク内のすべてのアレイレイアウトのシミュレーションを実行し(たとえば、各レイアウトについてステップS22およびS23を繰り返すことによって)、腫瘍内に最適な電界強度を引き起こすアレイレイアウトを選ぶ(最適レイアウトは、最適化目的関数、たとえば、腫瘍に印加される電界強度について最高(または最低)の値を引き起こすバンク内のレイアウトである)。
【0044】
別の最適化アプローチは、反復探索である。このアプローチは、最小降下最適化法およびシンプレックス探索最適化などのアルゴリズムの使用を含む。このアプローチを使用することで、アルゴリズムは、身体上の異なるアレイレイアウトを反復的に試験し、各レイアウトについて腫瘍内の電界の目的関数を計算する。したがって、このアプローチでは、各レイアウトについてステップS22とS23を繰り返すことも伴う。各反復において、アルゴリズムは、前回の反復の結果に基づき試験する構成を自動的に選ぶ。アルゴリズムは、腫瘍内の電界に対する定義済み目的関数を最大(または最小)にするように収束するように設計されている。
【0045】
代替の最適化スキームが、身体の疾病領域内で電界を最適化するアレイレイアウトを見つけるために使用できることに留意されたい。たとえば、上述の様々なアプローチを組み合わせたアルゴリズムがある。
【0046】
患者の身体の疾病領域内の電界を最適化するレイアウトが決定された後(たとえば、本明細書において説明されているアプローチのいずれかを使用して)、電極は、決定された位置に貼り付けられ得る。
【0047】
上で説明されているようにトランスデューサアレイを貼り付けた後、ステップS25に進み、交流電圧がトランスデューサアレイの間に印加され(たとえば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,565,205号において説明されているように)疾病を治療する。いくつかの実施形態において、交流電圧の周波数は、100kHzから300kHzの間である。いくつかの実施形態において、交流電圧の周波数は、150kHzである。
【0048】
有利には、本明細書において説明されているレイアウトは、治療効果のあるレベル(すなわち、1V/cmより大きい)のTTFieldsを頸部に印加するために使用され得る。
【0049】
本明細書において説明されている実施形態は、被験者の皮膚の表面に位置決めされたトランスデューサアレイを示しているが、トランスデューサアレイまたはそのサブセットは、被験者の皮膚の表面の下に植え込まれ得ることにも留意されたい。
【0050】
本発明は、いくつかの実施形態を参照しつつ開示されているが、付属の特許請求の範囲において定義されているように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、説明されている実施形態に対する多数の修正、改変、および変更が可能である。したがって、本発明は、説明されている実施形態に限定されるべきでなく、次の特許請求の範囲の文言およびその等価物によって定義される全範囲を有することが意図されている。
【符号の説明】
【0051】
50 AC信号発生器
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極素子の第1および第2のセットを駆動する方法であって、
コンピュータが、所与の周波数で、解剖学的体積の電気伝導率または電気抵抗率の3Dモデルを取得するステップと、
コンピュータが、前記解剖学的体積内の標的組織の場所を識別するステップと、
コンピュータが、電極素子の前記第1および第2のセットに対する複数のレイアウトに関連付けられている電界を、前記複数のレイアウトのうちの1つを選択するために、前記それぞれのレイアウト、電気伝導率または電気抵抗率の前記3Dモデル、および標的組織の場所に基づいて分析するステップと、を含み、
これにより、前記電極素子の第1のセットは、頭部に位置決めされ、前記電極素子の第2のセットは、胸部に位置決めされる、方法。
【請求項2】
前記所与の周波数は、100kHzから300kHzの間にある請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気伝導率または電気抵抗率の前記3Dモデルは、電気伝導率の3Dモデルである請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】