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特開2024-38263筋成長および筋機能を促進するための組成物およびその使用法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038263
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】筋成長および筋機能を促進するための組成物およびその使用法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/05 20060101AFI20240312BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20240312BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K38/05
A61P21/00
A61K31/198
A61K38/06
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000469
(22)【出願日】2024-01-05
(62)【分割の表示】P 2021506376の分割
【原出願日】2019-04-18
(31)【優先権主張番号】62/659,474
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523360256
【氏名又は名称】ピーエックス・アイエヌジー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】パーピュラ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルズ,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】リヤオ,カイリン
(72)【発明者】
【氏名】フリリ,アントン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】筋量を増加させ、筋委縮を防止し、筋成長を促進するとともに、多様な他の状態および疾患の治療に用いる組成物ならびに治療するための方法を提供する。
【解決手段】筋量を増加させるための組成物であって:
a.ジロイシン;
b.ロイシン;および
c.その薬学的に許容されうるキャリアー
を含む、前記組成物。ジロイシンおよびロイシンならびにその薬学的に許容されうる塩で構成される組成物である。本組成物を、その必要がある被験体に投与することにより、筋量を増加させ、筋委縮を防止し、そして/または筋成長を促進することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋量を増加させるための組成物であって:
a.ジロイシン;
b.ロイシン;および
c.その薬学的に許容されうるキャリアー
を含む、前記組成物。
【請求項2】
ジロイシンが約10%~90%で(w/w)存在する、請求項1の組成物。
【請求項3】
ジロイシンが約20%~80%で(w/w)存在する、請求項2の組成物。
【請求項4】
ジロイシンが約30%~70%で(w/w)存在する、請求項3の組成物。
【請求項5】
ジロイシンが約40%~60%で(w/w)存在する、請求項4の組成物。
【請求項6】
ジロイシンが約50%(w/w)で存在する、請求項5の組成物。
【請求項7】
被験体において筋萎縮を防止するかまたは治療するための方法であって、被験体に、ロイシンおよびジロイシンを含む組成物の有効量を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項8】
ジロイシンが約10%~90%(w/w)で存在する、請求項7の方法。
【請求項9】
ジロイシンが約30%~70%(w/w)で存在する、請求項8の方法。
【請求項10】
ジロイシンが約50%(w/w)で存在する、請求項9の方法。
【請求項11】
被験体への組成物の投与が、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、ロイシンの血漿レベルを相乗的に増加させる、請求項7の方法。
【請求項12】
被験体がサルコペニアを有する、請求項7の方法。
【請求項13】
組成物を療法的に有効な量で投与する、請求項12の方法。
【請求項14】
被験体において、筋量および/または筋強度を増加させるための方法であって:ジロイシン、トリロイシン、およびLeu-Leu-R、Rはアミノ酸またはアミノ酸誘導体である、ならびにその薬学的に許容されうる塩、より選択される少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドを含む組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法。
【請求項15】
少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドがロイシンおよびジロイシンを含む、請求項14の方法。
【請求項16】
ジロイシンが約10%~90%(w/w)で存在する、請求項15の方法。
【請求項17】
ジロイシンが約30%~70%(w/w)で存在する、請求項16の組成物。
【請求項18】
ジロイシンが約50%(w/w)で存在する、請求項17の方法。
【請求項19】
被験体への組成物の投与が、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、ロイシンの血漿レベルを相乗的に増加させる、請求項15の方法。
【請求項20】
被験体への組成物の投与が、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、筋量および/または筋強度を相乗的に増加させる、請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関するクロスリファレンス
[001]本出願は、35 U.S.C. §119(e)のもとにその全体が本明細書に援用される、2018年4月18日に出願され、そして“COMPOSITIONS
AND METHODS OF USE THEREOF TO PROMOTE MUSCLE GROWTH”と題される、米国仮出願第62/659,474号に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[002]筋機能の増加は、プロのアスリートからフィットネス愛好家までの、重要な目的である。さらに、筋機能の保持は、健康な加齢に非常に重要である。本開示は、被験体の筋量を増加させるための、または被験体の筋萎縮を防止するための、組成物およびこうした組成物の使用法に関する。本開示はさらに、哺乳動物のタンパク質濃度または筋量を増進させるための組成物およびこうした組成物の使用法、ならびに哺乳動物において、タンパク質濃度または筋量を増進させるための方法に関する。さらに、本開示は、被験体の筋量を増加させるための、または被験体の筋萎縮を防止するための、組成物およびこうした組成物の使用法に関する。筋萎縮防止組成物は、筋量低下を防止し、そして筋量を増加させる際に顕著に有効であり、そしてしたがって、多様な筋疾患、例えばサルコペニアおよび廃用性筋萎縮を防止し、そして治療する際に有用である。
【発明の概要】
【0003】
[003]本明細書に記載するのは、筋量、筋機能を増加させ、そして/または筋萎縮を防止するための組成物である。特定の側面において、組成物は、ジロイシン、ロイシン、およびその薬学的に許容されうるキャリアーを含む。さらなる側面において、ジロイシンは、約10%~90%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約20%~80%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約30%~70%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約40%~60%(w/w)存在する。さらにさらなる側面において、ジロイシンは、約50%(w/w)から存在する。
【0004】
[004]筋量または強度デバイスを増加させ、そして/筋萎縮を減少させるかまたは治療するための組成物および方法に関する多様な態様を本明細書に記載する。特定の側面において:ジロイシン、トリロイシン、およびLeu-Leu-R、式中、Rはアミノ酸またはアミノ酸誘導体である、ならびにその薬学的に許容されうる塩より選択される少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドを含む組成物の有効量を被験体に投与することによって、被験体における筋量および/または筋強度を増加させるための方法を開示する。特定の側面において、化合物はジロイシンである。特定の側面において、少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドは、ロイシンおよびジロイシンを含む。さらなる側面において、ジロイシンは、約10%~約90%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約30%~約70%(w/w)存在する。さらにさらなる側面において、ジロイシンは、約50%(w/w)存在する。
【0005】
[005]さらなる側面において、組成物は酢酸ジロイシン塩である。特定の側面において、組成物はLeu-Leu-Rであり、そしてRは分枝鎖アミノ酸である。さらなる側面において、Rは必須アミノ酸である。さらにさらなる側面において、Rは:アルギニン、システイン、グルタミン、グリシン、プロリン、およびチロシンからなる群より選択される条件付き必須アミノ酸である。例示的な態様において、Rはチロシンである。特定
の代替態様にしたがって、Rは:アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、セリン、セレノシステインおよびピロールリジンからなる群より選択される非必須アミノ酸である。さらなる代替態様において、Rは:クレアチン、カルニチン、クレアチノール、ベータ-アラニン、タウリン、およびベータ-ヒドロキシ・ベータ-メチルブチレートからなるリストより選択されるアミノ酸誘導体である。
【0006】
[006]多様な態様において、被験体への組成物の投与は、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、ロイシンの血漿レベルを相乗的に増加させる。特定の側面において、被験体への組成物の投与は、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、筋量および/または筋強度を相乗的に増加させる。
【0007】
[007]本明細書にさらに開示するのは:ジロイシン、トリロイシン、およびLeu-Leu-R、式中、Rはアミノ酸またはアミノ酸誘導体である、より選択される少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドを含む組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、被験体において筋萎縮を防止するかまたは治療するための方法である。特定の側面において、組成物は、ロイシンおよびジロイシンを含む。特定の側面において、方法を用いて、サルコペニアの結果である筋委縮を治療するかまたは防止する。さらなる側面において、筋委縮は悪液質の結果である。さらにさらなる側面において、筋委縮は筋固定の結果である。
【0008】
[008]いくつかの側面において、ジロイシンは、約10%~90%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約30%~70%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約50%(w/w)存在する。
【0009】
[009]多様な側面において、被験体への組成物の投与は、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、ロイシンの血漿レベルを相乗的に増加させる。特定の側面において、組成物を療法的有効量で投与する。
【0010】
[010]被験体において、認知を改善するかまたは記憶/認知の加齢性喪失を防止する方法であって:ジロイシン、トリロイシン、およびLeu-Leu-R、式中、Rはアミノ酸またはアミノ酸誘導体である、を含むリストより選択される化合物を含む組成物の療法的または予防的有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法を本明細書にさらに開示する。特定の側面において、組成物の投与はBDNFレベルを増進させる。さらなる側面において、組成物の投与はNGFを増進させる。さらにさらなる側面において、組成物を、神経を保護する量で投与する。
【0011】
[011]ジロイシン、ロイシン、およびその薬学的に許容されうるキャリアーを含む、状態の治療のための組成物を本明細書にさらに開示する。特定の側面において、状態は、肥満、免疫系機能関連障害、インスリン分泌関連障害、糖尿病、病原性関連状態、心臓血管障害、心障害、変性性疾患、サルコペニア、眼疾患、線維性疾患、加齢性障害、皮膚水分補給およびコラーゲン合成の改善、肝臓疾患、クローン病の少なくとも1つである。
【0012】
[012]多数の態様を開示するが、開示する装置、系および方法の例示的な態様を示し、そして記載する以下の詳細な説明から、当業者には、開示のさらに他の態様が明らかになるであろう。理解されるであろうように、開示する装置、系および方法は、すべて本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多様な明らかな側面において、修飾が可能である。したがって、図および詳細な説明は、本質的に例示的であり、そして制限性ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[013]図1は、特定の態様にしたがった、ロイシンプロセシング経路の模式図である。
図2】[014]図2は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿ロイシン濃度を示す。
図3】[015]図3は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿イソロイシン濃度を示す。
図4】[016]図4は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿バリン濃度を示す。
図5】[017]図5は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の総血漿BCAA濃度を示す。
図6】[018]図6は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿スレオニン濃度を示す。
図7】[019]図7は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿メチオニン濃度を示す。
図8】[020]図8は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿トリプトファン濃度を示す。
図9】[021]図9は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿フェニルアラニン濃度を示す。
図10】[022]図10は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の血漿リジン濃度を示す。
図11】[023]図11は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の総血漿必須アミノ酸(EAA)を示す。
図12】[024]図12は、1つの例に関する実験プロトコルの模式図を示す。
図13】[025]図13は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後のロイシンTmaxを示す。
図14】[026]図14は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後のロイシンAUCを示す。
図15】[027]図15は、1つの例に関する実験プロトコルの模式図を示す。
図16】[028]図16は、特定の態様にしたがった、開示する組成物の投与後の筋生検由来の例示的な血漿筋タンパク質合成データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[029]本化合物、組成物、物品、系、デバイス、および/または方法を開示し、そして記載する前に、これらは、別に明記しない限り、特定の合成法に、または別に明記しない限り、特定の試薬に限定されないと理解されるものとし、これはこうしたものが、もちろん、多様でありうるためである。本明細書に用いる命名法が、特定の側面を記載する目的のためのみであり、そして限定することを意図されないこともまた理解されるものとする。本明細書記載のものと類似のまたは同等のいかなる方法および材料も本発明の実施または試験において用いられうるが、例となる方法および材料をここで記載する。
【0015】
[030]本明細書において、用語「被験体」は、投与のターゲット、例えば被験体を指す。したがって、本明細書に開示する方法の被験体は、脊椎動物、例えば哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類であってもよい。あるいは、本明細書に開示する方法の被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモットまたは齧歯類であってもよい。該用語は特定の年齢または性別を示さない。したがって、男性または女性のいずれであっても、成体および新生被験体、ならびに胎児も含まれると意図される。1つの側面において、被験体は哺乳動物である。患者は、疾患または障害に罹患した被験体を指す。用語「患者」には、ヒトおよび獣医学的被験体が含まれる。開示する方法のいくつかの側面において、被験体は、投与工程の前に、1つまたはそれより多い筋障害の治療の必要があると診断されている。開示する方法のいくつかの
側面において、被験体は、投与工程の前に、筋量を増加させる必要があると診断されている。開示する方法のいくつかの側面において、被験体は、投与工程の前に、筋量を増加させる必要があると診断されている。
【0016】
[031]本明細書において、用語「治療」は、疾患、病理学的状態、または障害を治癒させるか、軽減するか、安定化させるか、または防止する意図での、患者の医学的管理を指す。この用語には、能動的治療、すなわち、疾患、病理学的状態、または障害の改善に対して特に向けられる治療が含まれ、そしてまた原因治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、または障害の原因の除去に対して向けられる治療も含まれる。さらに、この用語には、緩和的治療、すなわち、疾患、病理学的状態、または障害の治癒よりも症状の軽減のために設計される治療;防止的治療、すなわち関連する疾患、病理学的状態、または障害の発展を最小限にするかあるいは部分的にまたは完全に阻害するよう向けられる治療;および支持的治療、すなわち関連する疾患、病理学的状態、または障害の改善に対して向けられる別の特定の療法を補助するために使用される治療が含まれる。多様な側面において、該用語は、哺乳動物(例えばヒト)を含む被験体の任意の治療を含み、そしてこれには:(i)疾患に対する素因がありうるが、該疾患を有するといまだ診断されていない被験体において、疾患が生じることを防止する;(ii)疾患を阻害する、すなわちその発展を抑止する;または(iii)疾患を緩和する、すなわち疾患の後退を引き起こすことが含まれる。1つの側面において、被験体は哺乳動物、例えば霊長類であり、そしてさらなる側面において、被験体はヒトである。用語「被験体」にはまた、家庭(domesticated)動物(例えばネコ、イヌ等)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)、および実験動物(例えばマウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエ等)も含まれる。
【0017】
[032]本明細書において、用語「防止する」または「防止すること」は、何かが起こることを、特に事前の行動によって、不可能にするか、回避するか、未然に防ぐか、避けるか、停止するか、または妨害することを指す。本明細書において、減少する、阻害するまたは防止するを用いる場合、特に別に示さない限り、他の2つの単語の使用もまた明確に開示されると理解される。
【0018】
[033]本明細書において、用語「診断される」は、当業者、例えば医師による身体検査に供され、そして本明細書に開示する化合物、組成物、または方法によって診断されるかまたは治療されることが可能な状態を有することが見出されていることを意味する。例えば、「筋萎縮障害と診断されている」は、当業者、例えば医師による身体検査に供され、そして筋量を増加させうる化合物または組成物によって診断されるかまたは治療されることが可能な状態を有することが見出されていることを意味する。さらなる例として、「筋量を増加させる必要があると診断されている」は、当業者、例えば医師による身体検査に供され、そして筋萎縮によって特徴づけられる状態または筋量増加が被験体にとって有益であろう他の疾患を有することが見出されていることを指す。こうした診断は、本明細書に論じるような障害、例えば筋萎縮等に関するものであってもよい。
【0019】
[034]本明細書において、句「障害の治療が必要と同定される」等は、障害の治療の必要性に基づく被験体の選択を指す。例えば、被験体は、当業者による以前の診断に基づいて、障害(例えば筋萎縮に関連する障害)の治療の必要を有すると同定され、そしてその後、障害の治療に供されてもよい。同定は、1つの側面において、診断を行った人物とは異なる人物によって行われてもよいことが意図される。さらなる側面において、投与は、続いて投与を行う人物によって行われてもよいこともまた意図される。
【0020】
[035]本明細書において、用語「投与すること」および「投与」は、被験体に薬学的調製物を提供する任意の方法を指す。こうした方法は、当業者に周知であり、そしてこ
れには、限定されるわけではないが、経口投与、経皮投与、吸入による投与、鼻投与、局所投与、膣内投与、眼投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、頬側投与、ならびに注射可能、例えば静脈内投与、動脈内投与、筋内投与、および皮下投与を含む非経口投与が含まれる。投与は連続であってもまたは断続性であってもよい。多様な側面において、調製物を療法的に投与してもよく;すなわち現存する疾患または状態を治療するために投与してもよい。さらなる多様な側面において、調製物を予防的に投与してもよく;すなわち、疾患または状態の防止のために投与してもよい。
【0021】
[036]作用機構のいかなる特定の理論に束縛されることも望ましくないが、生物内のロイシンレベルは、どのくらい多くの食物が利用可能であるか、どのくらい多くのインスリンが必要とされようとしているか、そして新規筋量が作製されうるかどうかを含めて、生物の生理学的状態の指標である。例えば、ロイシンはヒトにおいてタンパク質分解を減少させることから、ロイシンがヒトにおけるタンパク質代謝の制御因子であることが示唆される。さらに、ロイシンはAktおよびタンパク質合成を刺激し、ATP要求増加を生じる。エネルギー要求におけるこれらの増加は、AMPK、PPARβ/δ、およびPGC-1αを含む代謝制御因子の活性および細胞発現レベルを刺激し、酸化性代謝、ミトコンドリア生合成、およびGLUT4含量の同時増加を導く。GLUT4含量上昇は、次に、グルコース取り込み増加を促進して、エネルギー必要性上昇を補助する。エネルギー取り込み増大は、同時に基質酸化および貯蔵を促進し(部分的にPPARγ増加を通じて)、細胞脂質含量増加を導く。
【0022】
[037]図1にみられるように、セストリン2は、ロイシン仲介性エネルギー感知および代謝制御プロセスの中心である。セストリン2は、ロイシンの細胞および全身濃度を、生物代謝および成長の制御に結び付ける。したがって、ロイシンがセストリン2に結合すると、これは、セストリンを、mTORC1制御因子GATOR2を含む複合体から放出させ、該分子は放出されるとmTORC1複合体を活性化する。したがって、このロイシンおよびmTORC仲介性プロセスの活性の調節は、広範囲の状態および疾患の治療のための新規戦略を提供しうることがよく認識される。
【0023】
[038]本明細書に開示する組成物は、生物においてロイシン濃度に影響を及ぼすことが可能であり、そしてそれによって影響を及ぼすmTORC活性は、広範囲の療法的有用性を有すると予期される。多様な態様において、実質的にin vivoでロイシン濃度の制御を改変可能であり、そして広範囲の療法的利益を有しうる、ロイシンおよびジペプチド、ジロイシンの組み合わせからなる組成物を本明細書に開示する。多様な側面において、本明細書記載の化合物の利点には、筋成長を増加させる能力が含まれうる。多様な他の側面において、筋ホメオスタシスを補助し、サルコペニアを防止し、そして/または治療し、そして満腹に影響を及ぼすために、開示する組成物を用いてもよい。
【0024】
[039]筋成長を促進し、そして/または筋萎縮を防止するかまたは治療するための組成物および方法を本明細書に開示する。特定の側面において、開示する方法は、組成物が化合物、ジロイシンを含む、被験体に組成物を投与する工程を含む。ジロイシンは、2つのL-ロイシンで構成されるジペプチドを指す。特定の側面において、ジロイシンは、構造:
【0025】
【化1】
【0026】
を有してもよい。ジロイシンはまた、L-ロイシル-L-ロイシンまたはLeu-Leuと称されてもよく、そして番号CAS#3303-31-9を有する。
[040]特定の側面において、開示するのは、ジロイシン、ロイシン、およびその薬学的に許容されうるキャリアーを含む筋量を増加させるための組成物である。多様な側面において、ジロイシンは、約10%~90%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約20%~80%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約30%~70%(w/w)存在する。さらなる側面において、ジロイシンは、約40%~60%(w/w)存在する。さらにさらなる側面において、ジロイシンは、約50%(w/w)存在する。
【0027】
[041]代替態様において、ジロイシンは約10%~90%(w/w)存在し、そしてロイシンは約90%~10%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約20%~80%(w/w)存在し、そしてロイシンは約80%~20%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約30%~70%(w/w)存在し、そしてロイシンは約70%~30%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約40%~60%(w/w)存在し、そしてロイシンは約60%~40%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約50%(w/w)存在し、そしてロイシンは約50%(w/w)存在する。
【0028】
[042]特定の側面において、開示する方法は、ジロイシン塩を含む組成物を投与する工程を含む。例示的な態様において、組成物は、構造:
【0029】
【化2】
【0030】
を有してもよい、酢酸ジロイシン塩である。
[043]特定の側面において、開示する方法は、組成物がトリロイシンを含む、被験体に組成物を投与する工程を含む。トリロイシンは、3つのL-ロイシンを含むトリペプチドを意味する。特定の側面において、トリロイシンは、構造:
【0031】
【化3】
【0032】
を有する。
[044]トリロイシンはまた、トリロイシン:LEU-LEU-LEU;H-LEU-LEU-LEU-OH;L-ロイシルロイシルロイシン;ロイシル-ロイシル-ロイシン;Leu-leu-ロイクリスタリン(leucrystalline);L-ロイシル-L-ロイシル-L-ロイシン;L-ロイシル-L-ロイシル-L-ロイシン;Leu-Leu-Leu-OH≧S)-2((S)-2-((S)-2-アミノ-4-メチルペンタンアミド)-4-メチルペンタンアミド)-4-メチルペンタン酸とも称されうる。
【0033】
[045]さらなる側面において、開示する方法は、組成物が2つのL-ロイシン単位および1つのアミノ酸またはアミノ酸誘導体を含むトリペプチドを含む、被験体に組成物を投与する工程を含む。特定の態様にしたがって、アミノ酸は、限定されるわけではないが、イソロイシン、ロイシン、およびバリンを含む、分枝鎖アミノ酸(BCAA)群より選択される。さらなる態様において、アミノ酸は、限定されるわけではないが、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、およびバリンを含む必須アミノ酸群より選択される。さらにさらなる態様において、アミノ酸は、限定されるわけではないが、アルギニン、システイン、グルタミン、グリシン、プロリン、およびチロシンを含む条件付き必須アミノ酸群より選択される。特定の態様にしたがって、条件付き必須アミノ酸はチロシンである。例示的な態様において、組成物は、構造:
【0034】
【化4】
【0035】
を有するジロイシン・チロシンを含む。
[046]さらにさらなる態様において、アミノ酸は、限定されるわけではないが、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、セリン、セレノシステインおよびピロールリジン(pyrrolsine)を含む非必須アミノ酸群より選択される。さらにさらなる態様において、アミノ酸誘導体は、クレアチン、カルニチン、クレアチノー
ル、ベータ-アラニン、タウリン、およびベータ-ヒドロキシ・ベータ-メチルブチレートの群より選択される。
【0036】
[047]特定の側面において、開示するのは、被験体において、筋量および/または筋強度を増加させるための方法であって:ジロイシン、トリロイシン、およびLeu-Leu-R、式中、R-はアミノ酸またはアミノ酸誘導体である、ならびにその薬学的に許容されうる塩より選択される少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドを含む組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法である。多様な側面において、少なくとも1つのアミノ酸またはペプチドは、ロイシンおよびジロイシンおよび/またはその薬学的に許容されうる塩を含む。
【0037】
[048]特定の態様において、ジロイシンは、約10%(w/w)~約90%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは、約30%~70%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは、約50%(w/w)存在する。
【0038】
[049]多様な代替態様において、ジロイシンは約10%~90%(w/w)存在し、そしてロイシンは約90%~10%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約30%~70%(w/w)存在し、そしてロイシンは約70%~30%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約50%(w/w)存在し、そしてロイシンは約50%(w/w)存在する。
【0039】
[050]これらのおよび他の態様において、被験体への組成物の投与は、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、ロイシンの血漿レベルを相乗的に増加させる。さらに、被験体への組成物の投与は、ジロイシンを含まずにロイシンを含む組成物の投与に比較して、筋量および/または筋強度を相乗的に増加させる。
【0040】
[051]多様な側面において、組成物は、少なくとも約95%のジロイシン;および約0.1%~5%の間のトリロイシン、およびその薬学的に許容されうる塩を含む。さらなる側面において、トリロイシンは約0.1%~3%の間の量で存在し、そして組成物は約0.1%~2%のテトラロイシンをさらに含む。さらにさらなる側面において、トリロイシンは約0.4%の量で存在し、そしてテトラロイシンは約0.2%の量で存在する。
【0041】
[052]特定の代替態様にしたがって、組成物は、少なくとも約95%のジロイシン;および約0.1%~5%の間のテトラロイシン、およびその薬学的に許容されうる塩を含む。
【0042】
[053]前述の態様の特定の側面において、組成物はロイシンを実質的に含まない。
[054]特定のさらなる側面にしたがって、被験体において筋量および/または筋強度を増加させるための方法であって、少なくとも約95%のジロイシン;および約0.1%~5%の間のロイシン、ならびにその薬学的に許容されうる塩を含む組成物の有効量を、被験体に投与する工程を含む、前記方法を開示する。これらの態様の例示的な側面にしたがって。
【0043】
[055]特定の側面において、開示する方法にしたがって投与される組成物は、細菌発酵を通じて産生される。これらの態様にしたがって、アミノ酸を直接連結するジ/トリ/テトラペプチド形成酵素を利用した後、抽出プロセスを利用する、発酵技術を使用する。
【0044】
[056]特定の側面において、本明細書に開示する1つまたはそれより多い組成物の有効量の投与を通じて、筋成長を促進する方法を本明細書に開示する。特定の側面にした
がって、開示する組成物の有効量の投与は、送達および/または輸送の改善を通じて、血漿ロイシンのより高いレベルを生じる。特定のさらなる側面において、開示する組成物の有効量の投与は、被験体において、グラムあたりより高いレベルの筋タンパク質合成を生じる。さらにさらなる側面において、開示する組成物の有効量の投与は、血漿へのより迅速な輸送、および被験体におけるより迅速でそして最適なMPS(筋タンパク質合成)を生じる。さらにさらなる側面において、開示する組成物の有効量の投与は、被験体において筋癒着改善を生じる。
【0045】
[057]特定の態様にしたがって、本明細書に開示する組成物を、強度トレーニングレジメンと組み合わせて投与してもよい。当業者によって認識されるであろうように、開示する組成物の有効量の投与は、被験体において、強度改善および運動成績/エネルギー生成(ergogenesis)改善を生じる。
【0046】
[058]1つの側面において、開示する化合物は筋委縮を阻害する。さらなる側面において、開示する化合物は筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は筋肥大を誘導する。さらにさらなる側面において、開示する化合物は筋委縮を阻害し、そして筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、筋委縮を阻害し、そして筋肥大を誘導する。さらなる側面において、筋委縮の阻害は被験体におけるものである。さらにさらなる側面において、筋量の増加は被験体におけるものである。さらにさらなる側面において、被験体は哺乳動物である。さらにさらなる側面において、哺乳動物はヒトである。
【0047】
[059]特定の側面において、開示する組成物の投与は、加齢性筋委縮またはサルコペニアを防止するかまたは治療する際に有効である。さらなる側面において、開示する組成物の投与は、骨折骨のギプス固定とともに頻繁に起こるような、筋固定と関連する筋萎縮を防止するかまたは治療する際に有効である。さらなる側面において、開示する組成物の投与は、悪液質としてもまた知られる、疾患、例えば癌と関連する筋萎縮を防止するかまたは治療する際に有効である。
【0048】
[060]被験体において、筋委縮を防止するかまたは治療するための方法であって、開示する組成物の有効量を被験体に投与する工程を含む、前記方法を本明細書に開示する。特定の側面において、組成物は、ロイシンおよびジロイシンを含む。
【0049】
[061]多様な態様において、ジロイシンは、約10%(w/w)~約90%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは、約30%~70%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは、約50%(w/w)存在する。
【0050】
[062]多様な代替態様において、ジロイシンは約10%~90%(w/w)存在し、そしてロイシンは約90%~10%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約30%~70%(w/w)存在し、そしてロイシンは約70%~30%(w/w)存在する。さらなる態様において、ジロイシンは約50%(w/w)存在し、そしてロイシンは約50%(w/w)存在する。
【0051】
[063]特定の側面にしたがって、サルコペニアを有する被験体に組成物を投与する。多様な側面において、組成物を療法的有効量で投与する。さらなる側面において、組成物を予防的有効量で投与する(例えば、サルコペニア、悪液質、または固定誘導性萎縮を発展させるリスクがある被験体に)。
【0052】
[064]特定の態様にしたがって、開示する組成物の投与は、認知を改善し、そして/あるいは加齢性記憶喪失または認知低下を防止するかまたは治療する際に有効である。
特定の側面において、開示する組成物の投与は、脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経増殖因子(NGF)のレベルを増加させるか、またはそうでなければ神経保護性である。
【0053】
[065]さらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約200mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約300mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約400mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約500mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約750mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約1000mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約2000mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約3000mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。さらにさらなる側面において、開示する化合物は、ヒトにおいて、1日あたり、約5000mgより多量に経口用量で投与された際、筋量を増加させる。
【実施例0054】
[066]以下の実施例は、一般の当業者に、本明細書に請求する化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が、どのように作製され、そして評価されるかの完全な開示および説明を提供するように示され、そして本発明の純粋な例示と意図され、そして本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定するとは意図されない。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、特定の態様において多くの変化が作製可能であることを認識し、そしてなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似の結果を得られうることを認識するはずである。
【0055】
[067]体重180ポンドで健康な24歳の被験体に対して、症例研究を行った。該被験体は、試験日前に絶食状態で実験室を訪れた。被験体は、週4日間ウェイトトレーニングする、レジスタンストレーニングされた個体である。第1日、被験体は2つの条件の1つを消費するようにランダム化された。流体混合物(8オンス、水)の消費に続いて、血漿アミノ酸を30、60、90および120分後に測定した。72時間の洗い流しを行った後、同じ処置にしたがって、第2の条件を行った。
【0056】
[068]本研究で用いる投薬量は、2グラムのジロイシン(条件Ce)または2グラムのロイシン(条件C4)のいずれかであった。
ロイシン
[069]表1. C4およびCE条件の摂取後の血漿ロイシン濃度(nmоl/l)。
【0057】
【表1】
【0058】
[070]結果:図2に示すように、どちらの条件もすべての調べた時点でベースラインレベルからの増加を示した。摂取前から30分後までの相対増加は条件CeでC4よりも2.2x高かった(238.07対106.09nmоl/ml)。摂取前から60分後までの相対増加は条件CeでC4よりも1.7x高かった(92.81対54.45nmоl/ml)。条件C4は、ベースラインレベルに比較して、90分後および120分後、条件Ceよりも血漿ロイシン濃度のより高い増加を示し;上昇は、それぞれ、2.6xおよび1.5xより高かった。30分後の条件Ceで最高のロイシン濃度が観察され(392.03nmоl/l)、そしてこれは摂取前レベル(238.07nmоl/l)からの最大の相対増加であった。
【0059】
イソロイシン
[071]表2. C4およびCE条件の摂取後の血漿イソロイシン濃度(nmоl/l)。
【0060】
【表2】
【0061】
[072]結果:図3に示すように、どちらの条件も、摂取30、60、90、および120分後により低い血漿イソロイシンレベルを示した(-37.7%~-11.8%)。
【0062】
バリン
[073]表3. C4およびCE条件の摂取後の血漿バリン濃度(nmоl/l)。
【0063】
【表3】
【0064】
[074]結果:図4に示すように、どちらの条件も時間経過に渡って、血漿バリン濃度の減少を示した(-21.3%~-2.3%)。120分後、条件C4は、摂取前の値よりもわずかに増加した(1.9%、4.35nmоl/l)。
【0065】
総BCAA
[075]表4. C4およびCE条件の摂取後の総血漿BCAA濃度(nmоl/l)。
【0066】
【表4】
【0067】
[076]結果:図5は、C4およびCe条件の摂取後の総血漿BCAA濃度を示す。どちらの条件も、摂取30および60分後、より高い総血漿BCAA濃度を示した。血漿BCAAの最高上昇は、30分後の条件Ceで観察され(35.7%、213.45nmоl/l);この増加は、条件C4のものよりも2.9xより高かった。前述の結果は、血漿ロイシン濃度において観察された反応を反映する。条件C4のみが、90および120分後、摂取前レベルに比較してより高い血漿BCAA濃度を維持した。
【0068】
スレオニン
[077]表5. C4およびCE条件の摂取後の血漿スレオニン濃度(nmоl/l)。
【0069】
【表5】
【0070】
[078]結果:図6は、C4およびCE条件の摂取後の血漿スレオニン濃度を示す。血漿スレオニン濃度に関して、条件間で、逆の反応が観察された。条件Ceは、摂取前から30分および60分後、血漿スレオニン濃度の増加を示し(それぞれ、+6.6%および+5.7%)、一方、条件C4はレベル減少を有した(-12.5%および-13.2%)。摂取90分および120分後、条件C4は、摂取前値に比較してより高い血漿スレオニンレベルを有した(それぞれ、4.2%および4.1%)が、条件Ceはより低いレベルを有した(それぞれ、-3.2%および-1.9%)。
【0071】
メチオニン
[079]表6. C4およびCE条件の摂取後の血漿メチオニン濃度(nmоl/l)。
【0072】
【表6】
【0073】
[080]結果:図7は、C4およびCE条件の摂取後の血漿メチオニン濃度を示す。血漿スレオニン濃度に関して、条件間で、逆の反応が観察された。条件Ceは、摂取前から30分および60分後、血漿スレオニン濃度の増加を示し(それぞれ、10.1%および4.4%)、一方、条件C4はレベル減少を有した(-11.5%および-15.1%)。摂取90分および120分後、条件C4は、摂取前値に比較してより高い血漿スレオニンレベルを有した(それぞれ、2.8%および2.3%)が、条件Ceはより低いレベルを有した(それぞれ、-7.5%および-7.3%)。
【0074】
トリプトファン
[081]表7. C4およびCE条件の摂取後の血漿トリプトファン濃度(nmоl/l)。
【0075】
【表7】
【0076】
[082]結果:図8は、C4およびCE条件の摂取後の血漿トリプトファン濃度を示す。どちらの条件も時間経過に渡る血漿トリプトファン濃度の減少を示した(-20.5%~-0.4%)。90分後、条件C4は摂取前値よりわずかに増加した(3.5%、1.58nmоl/l)。
【0077】
フェニルアラニン
[083]表8. C4およびCE条件の摂取後の血漿フェニルアラニン濃度(nmоl/l)。
【0078】
【表8】
【0079】
[084]結果:図9は、C4およびCE条件の摂取後の血漿フェニルアラニン濃度を示す。条件C4は、摂取前値に比較して、調べたすべての時点で、より低い血漿フェニル
アラニン濃度を示した(-16.0%~-3.5%)。しかし、条件Ceは、摂取前値に比較して、30および60分後、より高いレベルを有した(それぞれ、6.0%および3.4%)。
【0080】
リジン
[085]表9. C4およびCE条件の摂取後の血漿リジン濃度(nmоl/l)。
【0081】
【表9】
【0082】
[086]結果:図10は、C4およびCE条件の摂取後の血漿リジン濃度を示す。どちらの条件も、摂取30、60、および120分後、血漿リジン濃度の上昇を示した(6.0%~41.3%)。摂取30分および60分後に観察された増加は、条件Ceにおいて、それぞれ2.8xおよび5.7xより高かった。摂取120分後の増加は条件CeよりもC4において19xより高かった。条件Ceは、摂取前値に比較して、血漿リジン濃度において-18.8%の低下を経験した。
【0083】
総EAA
[087]表10. C4およびCE条件の摂取後の総血漿EAA濃度(nmоl/l)。
【0084】
【表10】
【0085】
[088]結果:図11は、C4およびCE条件の摂取後の総血漿EAA濃度を示す。条件C4は、ベースラインに比較して、摂取30、60、および120分後の総EAA濃度において増加を示した(9.4%~16.3%);しかし、60分後には非常に少ない減少が認められた(-0.6%)。条件Ceは、30および60分後に増加を示した(7.2%~26.9%)。時間試験に渡る総EAA濃度の最大の増加は、30分後の条件Ceにおいて生じた(26.9%、265.57nmоl/l);この増加は30分後、条件C4よりも4x高かった。最後に、条件Ceは、90および120分後に減少を経験した(それぞれ-11.6%および-6.0%)。
【0086】
[089]別の例示的研究を男性被験体に対して行った。該被験体は、8時間の絶食後に実験室を訪れた。8時間の絶食後、被験体に、試験前に2日間の標準化食餌計画を提供した。被験体に、休止時心拍、血圧、体重、身長、およびDEXAを用いた身体測定を行った。さらに、臨床的安全性、アミノ酸保持、および水分補給状態のベースライン評価の
ため、尿試料を採取した。被験体に、二重盲検方式で、単回用量のロイシン(2グラム用量)、ジロイシン(2グラム用量)またはロイシン(1グラム)+ジロイシン(1グラム)のいずれかを投与する前に、静脈血試料(10mL)を前腕静脈から収集した。続いて、割り当てられた組成物の摂取の30、60、90、120および240分後、静脈血試料を収集した。血液試料を採取した後、被験体に、250mLの冷水を摂取させた。組成物摂取の240分後、第二の尿試料を採取した。図12に方法論を模式的に示す。
【0087】
[090]すべての血液試料をプロセシングして、アミノ酸濃度の決定を可能にした。0および240分に収集した血液試料をまた、包括的代謝パネルおよび血小板差異を含む全血球計算(CBC)の決定のためにもプロセシングした。両方の尿試料をプロセシングして、アミノ酸保持、臨床尿分析、および基本的安全性パラメータ(例えばクレアチニン)の決定を可能にした。プロセシングに際して、すべての血液および尿試料を-80℃で保存した。被験体は先の研究訪問が完了したおよそ3~7日後に戻り、他の治療を受けながら、先に記載するのと同一の試験セッションを完了した。
【0088】
[091]血漿必須アミノ酸(スレオニン、メチオニン、リジン、ヒスチジン、バリン、トリプトファン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン)をLC/MS/MSによって分析し、そして血漿ジロイシンをGC/MSによって分析した。
【0089】
[092]表11. ロイシン-ロイシン濃度:nmоl/mL。アミノ酸濃度:μmоl/L、BLOD:試料中のLeu-Leu濃度は検出レベル以下である。
【0090】
【表11】
【0091】
[093]多様な時点での3つの治療すべてに関する個々のアミノ酸濃度が表11に見られうる。ジロイシンを含有する2つの治療(2gジロイシンおよび1gロイシン+1gジロイシン)は血漿ジロイシンレベルに測定可能な増加を生じた。ロイシン(2g)単独とは対照的に、ロイシン(1g)へのジロイシン(1g)の添加は、最大ロイシン濃度に到達するまでの時間を遅延させた。図13および14は、ロイシン(2g)またはロイシ
ン(1g)およびジロイシン(1g)の投与後のロイシンTmaxおよびAUCの比較を示す。
【0092】
[094]別の例示的な研究を行って、筋タンパク質合成を測定した。2人の被験体は、7時間の一晩絶食後、実験室を訪れた。ベースライン血液試料を採取した。次いで、L-[環状-13C6]-フェニルアラニンおよびL-[15N]-フェニルアラニンのプライミング(2.0μmоl・kg-1)、連続注入(0.05μmоl・kg-1・分-1)を1つのカテーテルにおいて開始した。
【0093】
[095]アイソトープ(Cambridge Isotopes Inc.、マサチューセッツ州アンドーバー)を0.9%生理食塩水中に溶解し、0.2μmフィルターを通じてろ過し、そして較正シリンジポンプ(Harvard Apparatus、マサチューセッツ州ホリストン)を用いて注入した。定常状態濃縮を得た後、L-[15N]―フェニルアラニントレーサー注入をt=0で停止した。
【0094】
[096]2gロイシンまたは2gジロイシンの摂取前および摂取後、筋タンパク質合成決定(L-[環状-13C6]-フェニルアラニン取り込みに基づく)のための注入試験中、反復筋生検試料採取を行った。麻酔(リドカインHCl 1%)下、手動吸引用にカスタム修飾された5mm Bergstroem針で、外側広筋の中央領域から生検(~100mg湿重量)を得た。実験プロトコルの模式図は図15に見られうる。
【0095】
[097]図16は、ロイシンまたはジロイシンのいずれかを投与された被験体における筋生検由来の筋タンパク質合成を示す。ジロイシンを投与された被験体は、ロイシンを投与された被験体よりも、曝露180分後、有意に増加した筋線維FSRを示した。
【0096】
[098]本開示は好ましい態様に関して記載されてきているが、当業者は開示する装置、系および方法の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細に変化を加えてもよいことを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】