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特開2024-38265食品の高温充填包装に好適なプロピレン-エチレンコポリマー組成物
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  • 特開-食品の高温充填包装に好適なプロピレン-エチレンコポリマー組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038265
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】食品の高温充填包装に好適なプロピレン-エチレンコポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/16 20060101AFI20240312BHJP
   C08K 5/1575 20060101ALI20240312BHJP
   C08K 5/1535 20060101ALI20240312BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C08F210/16
C08K5/1575
C08K5/1535
C08L23/16
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000518
(22)【出願日】2024-01-05
(62)【分割の表示】P 2020566691の分割
【原出願日】2019-06-07
(31)【優先権主張番号】62/683,113
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】フェデック、マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンエドモンド、ジャン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レゴ、マニュ
(72)【発明者】
【氏名】カールト、ジョン カレヴィ
(72)【発明者】
【氏名】タウ、リーミン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特に食品の高温充填包装での使用に適したプロピレン-エチレンコポリマー組成物及び高温充填包装容器の生成方法を提供する。
【解決手段】プロピレン-エチレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒及びアルコキシシラン電子供与体を使用して生成することができる。本組成物は、7.0重量パーセント未満のキシレン可溶分含有量を伴う2.0~6.0重量パーセントの範囲のエチレン含有量を有する一次モノマーとして、プロピレンを有することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン-エチレンコポリマーであって、
一次モノマーとしてのプロピレンと、
2.0%~最大5重量%のエチレン含有量(ET)と、
1g/10分超のメルトフローレートと、
2.0%~7.0重量%のキシレン可溶分画分(XS)と、
1.51以下のXS/ET比と、を含む、プロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項2】
前記エチレン含有量が、3.0重量%~4.2重量%である、請求項1に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項3】
前記メルトフローレートが、20g/10分超である、請求項1又は2のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項4】
前記メルトフローレートが、10g/10分超、かつ最高約45g/10分である、請求項1~3のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項5】
前記キシレン可溶分とエチレンとの比(XS/ET)が、0.90~1.50である、請求項1~4のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項6】
前記XS/ET比が、1.30未満である、請求項1~5のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項7】
前記XS/ET比が、1.00未満である、請求項1~6のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項8】
前記キシレン可溶分画分(XS)及び前記エチレン含有量(ET)が、式XS=2.1e0.297(ET)によって画定される線を下回る、請求項1~7のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項9】
前記キシレン可溶分画分(XS)及び前記エチレン含有量(ET)が、式XS=1.4e0.297(ET)によって画定される線を上回る、請求項1~8のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項10】
前記コポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)系供与体を使用して形成される、請求項1~9のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項11】
前記コポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒及びn-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)系供与体を使用して形成される、請求項1~10のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項12】
前記コポリマーが、メタロセンを使用することなく生成される、請求項1~11のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかで定義されるプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーが、約80重量%を超える量などの、約90重量%を超える量などの、約95重量%を超える量などの、約70重量%を超える量で、前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
【請求項14】
清澄化剤を更に含む、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記清澄化剤が、ジベンジルソルビトールを含む、請求項14に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記清澄化剤が、ノニトールを含む、請求項14に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が、40milで約15%未満のヘイズを示し、55℃で24時間の熱エージング後に、前記ヘイズが、約14%以下などの、約13%以下などの、約12%以下などの、約15%以下だけ減少する、請求項14又は15に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含む、射出成形物品。
【請求項19】
前記コポリマーが、約3.5を超える分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1~12のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含む、高温充填包装容器。
【請求項21】
前記容器が、射出成形、吹き込み成形、及び熱成形のうちの少なくとも1つによって形成されている、請求項20に記載の高温充填包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年6月11日に出願された米国特許仮出願第62/683,113号に基づき、かつその優先権を主張するものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、プロピレン-エチレンコポリマー組成物及び生成方法に関する。本開示の組成物は、食品の高温充填包装に特によく適している。
【背景技術】
【0003】
高温充填包装は、食品産業及び飲料産業の両方に適用され、通常、飲料、ディップ、及びスープを含む製品を包装するために使用される方法である。高温充填包装は、しばしば、最長で1年間持続する長期の貯蔵寿命を有するように設計された製品のための低温殺菌方法の一部として使用される。ポリマーは、高温において剛性及び強度を含むそれらの包装特性を失う傾向があるので、高温充填包装は、様々な課題に直面する。
【0004】
高温充填包装は、人間が消費するために作られた製品と接触するので、高温充填包装の特性が劣化し得るという懸念が存在する。例えば、ポリマー組成物を高温充填包装プロセス中に加熱することは、ポリマー又は組成物中の他の成分の不要な崩壊を生じさせ得る。
【0005】
これまでは、歪みを防止するために、高温充填包装の用途では、より高い融点のポリプロピレンホモポリマーが使用されてきた。しかしながら、ポリプロピレンホモポリマーは、不十分な透明特性を有する。透明性を改善させるために、ポリプロピレンランダムコポリマーが提案されてきた。しかしながら、ポリプロピレンランダムコポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーの耐熱性を有さず、更に、長期にわたって透明性を提供することもできない。
【0006】
以上のことを考慮すると、現在、改善した剛性及び耐熱性を有するだけでなく、優れた透明性も有する、高温充填包装を生成するためのポリマー組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
一般に、本開示は、優れた特性バランスを有することが見出されたプロピレンコポリマーを対象とする。ポリマーは、高温充填包装を生成する際に使用することに特によく適している。特に、本開示のコポリマーは、それらを射出成形物品の生成によく適したものにする高い剛性を有する。加えて、本開示のポリマー組成物は、極めて少ない抽出物を有し、経時的にブルーミングを呈し、また、より高い熱撓み温度を有するように構築することができる。加えて、ポリマー組成物はまた、優れたヘイズ特性も示し得る。とりわけ、本開示のポリマー組成物はまた、熱エージングの後であっても高いヘイズ特性を維持することができることを見出したことが利点である。これに関して、本開示のポリマー組成物は、様々な異なるタイプの容器、特に、多数の熱サイクルを受け得る高温充填包装容器の生成によく適している。本開示によれば、本容器は、優れた物理的特性を有するだけでなく、長時間持続する透明特性も有する。
【0008】
高温充填包装容器に加えて、本開示のポリマー組成物は、様々な他の成形物品を生成
するために使用することができる。例えば、ポリマー組成物は、貯蔵容器の生成によく適している。そのような貯蔵容器は、例えば、屋根裏、ガレージ、倉庫、及び他の貯蔵場所などの、空調のない場所に商品を貯蔵するために使用することができる。この貯蔵容器は、中空の内部空間を画定する底部を含み得る。この底部は、完全にポリマー組成物から作製することができ、かつ優れた透明特性を有することができる。容器はまた、底部と協働して封止部を形成する、蓋も含むことができる。
【0009】
本開示は、プロピレン-エチレンコポリマー組成物、及びプロピレン-エチレンコポリマー組成物を生成する方法を含む。本組成物は、食品の高温充填包装に特によく適しているランダムコポリマーであり得る。本コポリマー組成物は、チーグラー・ナッタ触媒及びアルコキシシラン電子供与体を使用して生成することができる。本組成物は、2.0~5.0重量パーセントの範囲のエチレン含有量を有する一次モノマーとして、プロピレンを有することができる。本組成物は、10g/10分超などの1g/10分超のメルトフローレート、及び7.0重量パーセント未満のキシレン可溶分含有量を有することができる。本組成物は、一実施形態では、約1.4未満などの、約1.3未満などの、約1.2未満などの、約1.1未満などの、更には1以下などの、約1.5の以下のキシレン可溶分重量パーセントとエチレン含有量重量パーセントの比を有する。本開示の他の特性及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
当業者に対してその最良の形態を含む、本発明の完全かつ有効な開示は、添付図面を参照することを含めて、本明細書の残りの部分に、より具体的に記載される。
【0011】
図1】本開示に従うプロピレン-エチレンコポリマーサンプルの、キシレン可溶分重量パーセント(xylene soluble、XS)対エチレン含有量重量パーセント(ethylene、ET)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、プロピレン-エチレンコポリマー組成物、及びプロピレン-エチレンコポリマー組成物を生成する方法を含む。本組成物は、プロピレン-エチレンランダムコポリマーを含むことができる。本プロピレン-エチレンコポリマー組成物は、特に食品の高温充填包装によく適することができる。具体的には、本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物を使用して、食品及び飲料を包装及び封止するための硬質高温充填容器及びフィルムを形成することができる。本開示の組成物は、包装時に低温殺菌しなければならない食品との使用に特に有益であり得る。
【0013】
本開示の様々なプロピレン-エチレンコポリマー組成物の利点としては、容器で使用するための増加された剛性が挙げられる。本組成物はまた、高温条件下であっても、かつ長期間であっても、低減したブルーミング及び低減したヘイズを有することができる。本開示の組成物は、低減した抽出可能及びキシレン可溶分含有量を有することができ、ポリマー組成物を消費者の使用に対して安全にし、かつ米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)規格により容易に準拠する。本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物はまた、貯蔵食品のマイクロ波再加熱のために設計された包装にも使用することができる。
【0014】
本開示の第1の実施形態は、プロピレン-エチレンランダムコポリマー組成物を含む。本コポリマー組成物は、チーグラー・ナッタ触媒及びアルコキシシラン電子供与体を使用して生成することができる。本組成物は、2.0~6.0重量パーセントの範囲のエチレン含有量を有する一次モノマーとして、プロピレンを有することができる。本組成物は、1~100g/10分のメルトフローレート、及び7.0重量パーセント未満のキシレ
ン可溶分含有量を有することができる。
I.定義及び試験手順
【0015】
本明細書で使用される「プロピレン-エチレンコポリマー」という用語は、二次構成成分としてエチレンモノマーを有するプロピレンモノマーの大部分の重量パーセントを含有するコポリマーである。「プロピレン-エチレンコポリマー」(ポリプロピレンランダムコポリマー、PPR、PP-R、RCP、又はRACOと称されることもある)は、ポリマー鎖内にランダム又は統計的な分布で存在するエチレンモノマーの個々の繰り返し単位を持つポリマーである。
【0016】
ASTM D 1238試験法に従い、230℃で2.16kgの重量のプロピン系ポリマーを用いて、本明細書で使用されるメルトフローレート(melt flow rate、MFR)を測定する。メルトフローレートは、ペレット形態又は反応器粉末で測定することができる。反応器粉末を測定する場合、2000ppmのCYANOX 2246酸化防止剤(メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2000ppmのIRGAFOS 168酸化防止剤(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)、及び1000ppmの掃酸剤ZnOを含む、安定化パッケージを添加することができる。
【0017】
キシレン可溶分(XS)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂のサンプルを熱いキシレンに溶解し、溶液を25℃まで冷却させた後に溶液中に残存する樹脂の重量パーセントとして定義される。これは、90分の沈殿時間を使用するASTM D5492-98による重量XS法とも称され、本明細書では「湿式法」とも称される。キシレン可溶分は、いかなる他の添加物の添加を伴うことなく、反応器粉末で測定される。
【0018】
キシレン可溶部分は、ASTM D5492-06から適合された方法によって決定され、また本明細書において「湿式方」と称されることもある。手順は、サンプルを2g秤量すること、及びそのサンプルを24/40ジョイントを備える400mLのフラスコ中のo-キシレン200mL中に溶解させることからなる。フラスコを水冷コンデンサに接続し、内容物を撹拌し、窒素(nitrogen、N)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を温度制御された水浴内で25℃で90分間冷却して、キシレン不溶画分を結晶化させる。溶液が冷却し、不溶画分が溶液から沈殿した時点で、キシレン可溶部分(XS)のキシレン不溶部分(xylene insoluble、XI)からの分離を、25ミクロン濾紙を通して濾過することによって達成する。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパン内に収集し、o-キシレンを窒素流下でこの100mLの濾液から蒸発させる。溶媒が蒸発した時点で、パン及び内容物を100℃の真空オーブン内に30分間又は乾燥するまで設置する。その後、パンを室温まで冷却させ、秤量する。キシレン可溶部分を、XS(重量%)=[(m-m2/m100で計算し、式中、mは使用されるサンプルの初期重量であり、mは空のアルミニウムパンの重量であり、mはパン及び残渣の重量である(アスタリスク、、は、ここで及び本開示のその他の場所で、識別される用語又は値が乗算されていることを示す)。
【0019】
「立体規則性」という用語は、概して、高分子又はポリマー内の隣接するキラル中心の相対立体化学を指す。例えば、プロピレン系ポリマーでは、2つのプロピレンモノマーなどの隣接するモノマーのキラリティは、同様又は反対のいずれかの構成であり得る。「二つ組」という用語は、2つの連続するモノマーを示すために使用され、3つの隣接するモノマーは、「三つ組」と呼ばれる。隣接するモノマーのキラリティが同じ相対的構成である場合、二つ組は、アイソタクチックであるとみなされ、逆の構成である場合は、シンジオタクチックと呼ばれる。構成関係を説明する別の方式は、同じキラリティを有する連続する対のモノマーをメソ(meso、m)と呼び、逆の構成のものをラセミ(racemic、r
)と呼ぶことである。
【0020】
概して高分子の、及び特にポリプロピレン又はポリプロピレンランダムコポリマーの立体規則性又は立体化学は、三つ組濃度を参照することによって説明又は定量化することができる。アイソタクチック三つ組は、典型的には省略記述「mm」で識別され、同じ構成を有する2つの隣接するメソ二つ組で構成され、よって、三つ組の立体規則性は、「mm」として識別される。3つのモノマー配列中の2つの隣接するモノマーが同じキラリティを有し、それが第3のユニットの相対配置とは異なる場合、この三つ組は、「mr」の立体規則性を有する。「rr」三つ組は、いずれかの近隣とは逆の配置を有する中間モノマーユニットを有する。ポリマー中の各タイプの三つ組の画分を決定することができ、100を乗算したときに、ポリマー中に見出されるそのタイプのパーセンテージを示す。本明細書では、ポリマーを識別及び特徴付けるためにmmパーセンテージを使用する。
【0021】
ポリマーのモノマーの連鎖分布は、13C-NMRによって決定され得、これはまた、隣接するプロピレン残基に対するエチレン残基の位置を決めることもできる。13C NMRは、エチレン含有量、Koenig B値、三つ組分布、及び三つ組立体規則性を測定するために使用することができ、以下のように行われる。
【0022】
サンプルは、0.025MのCr(AcAc)3を含有するテトラクロルエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50の約2.7gの混合物を、Norell製1001-7の10mmのNMR管中の0.20gのサンプルに添加することによって調製する。サンプルは、ヒートブロック及びヒートガン使用して150℃まで加熱することによって、管及びその内容物を溶解させ、均質化する。各サンプルは、視覚的に検査して、均一性を確実にする。
【0023】
データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して収集される。このデータは、データファイル当たり320の過渡数、6秒のパルス反復遅延、90度フリップ角度、及び120℃のサンプル温度での逆ゲート付きデカップリングを使用して取得される。全ての測定は、ロックモードで非スピニングサンプルに対して行われる。サンプルは、データ取得の前に、7分間熱平衡化させる。エチレンのパーセントmm立体規則性及び重量%は、当技術分野で一般的に使用されている方法に従って算出され、以下のように簡単に要約される。
【0024】
共鳴の化学シフトを測定することに関して、ヘッドトゥテール結合からなり、かつ同じ相対キラリティを有する5つの連続プロピレンユニット中の第3のユニットのメチル基が、21.83ppmに設定される。他の炭素共鳴の化学シフトは、上述した値を基準として使用することによって測定される。メチル炭素領域(17.0~23ppm)に関するスペクトルは、第1の領域(21.1~21.9ppm)、第2の領域(20.4~21.0ppm)、第3の領域(19.5~20.4ppm)、及び第4の領域(17.0~17.5ppm)に分類することができる。スペクトルの各ピークは、T.TsutsuiらのPolymer、Vol.30、Issue7(1989)1350-1356、及び/又はH.N.ChengのMacromolecules、17(1984)1950-1955などの文献ソースを参照して割り当てられ、これらの文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
第1の領域には、PPP(mm)三つ組中の中央メチル基の信号が位置する。第2の領域では、PPP(mr)三つ組中の中央メチル基、並びに隣接するユニットがプロピレンユニット及びエチレンユニットであるプロピレンユニットのメチル基(PPE-メチル基)の信号が共鳴する。第3の領域では、PPP(rr)三つ組中の中央メチル基、並びに隣接するユニットがエチレンユニットであるプロピレンユニット(EPE-メチル基)
のメチル基の信号が共鳴する。
【0026】
PPP(mm)、PPP(mr)、及びPPP(rr)は、それぞれ、ヘッドトゥテール結合を有する以下の3プロピレンユニット鎖構造を有する。これは、下のFischerの投影図に示される。
【化1】
【0027】
プロピレンランダムコポリマーの三つ組立体規則性(mm画分)は、以下の式を使用して、プロピレンランダムコポリマーの13C-NMRスペクトルから決定することができる。
【数1】
【0028】
上記の計算において使用されるピーク面積は、13C-NMRスペクトルの三つ組領域から直接測定されない。mr及びrr三つ組領域の強度は、それらからEPP及びEPE配列による面積をそれぞれ差し引く必要がある。EPP面積は、それから26~27.2ppmの信号と30.1ppmの信号との合計の面積の1/2を差し引いた後に、30.8ppmでの信号から決定することができる。EPEによる面積は、33.2ppmでの信号から決定することができる。
【0029】
便宜上、エチレン含有量はまた、主要な方法として上で述べた13C NMRを使用して決定されるエチレン値と相関する、フーリエ変換赤外線法(Fourier Transform Infrared method、FTIR)を使用して測定される。2つの方法を使用して実行される測定
の関係及び一致は、例えば、J.R.Paxson、J.C.Randallの「Quantitative Measurement of Ethylene Incorporation into Propylene Copolymers by Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance and Infrared Spectroscopy」、Analytical Chemistry、Vol.50、No.13、1978年11月、1777-1780に記載されている。
【0030】
「Koenig B値」又は「B値」又はカイ統計は、プロピレン-エチレンランダムコポリマー中のランダム性又はブロック性の1つの測定値である。1.0のKoenig B値は、ランダムコポリマーを示し、ゼロの値は、モノマーA及びB、本開示ではプロピレン及びエチレンの完全ブロックを示す。2のKoenig B値は、完全交互コポリマー(すなわち、構造A-B-A-B-A-Bによって定義されるポリマー)を示す。Koenig B値は、B=[EP]/(2[P][E])として計算することができ、式中、[EP]は、EP二量体(EP+PE又は(EEP+PPE+PEP+EPE))の総モル分率であり、[E]は、エチレンのモル分率であり、[P]=1-[E]である。Koenig B値を決定及び計算する詳細については、Koenig.Jack L.のSpectroscopy of Polymers、第2版を参照されたい。
【0031】
ガードナー衝撃試験は、ASTM試験番号D5420に従って測定される。
【0032】
IZOD衝撃強度は、ASTM試験D4101に従って成形された試験片に対し、ASTM試験番号D256に従って測定される。
【0033】
曲げ弾性率は、ASTM 3641によるタイプ1の試験片を使用してASTM D790-10方法法Aに従って1.3mm/分で決定され、ASTM 試験D4101に従って成形される。
II.プロピレン-エチレンランダムコポリマー組成物
【0034】
本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物は、二次構成成分としてエチレンモノマーを有するプロピレンモノマーの大部分の重量パーセントを含むことができる。本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物のエチレン含有量(ET)は、コポリマーの約2.0~最高約5.0重量パーセント、好ましくは約2.5~約5.0重量パーセント、より好ましくは約3.0~約5.0重量パーセントであり得る。
【0035】
本発明の(湿式方による)コポリマーのキシレン可溶分(XS)画分は、コポリマーの7.0重量%以下(≦)、又は≦6.0重量%、より好ましくは≦5.0重量%、更により好ましくは≦4重量%、例えば、≦6.5重量%、≦5.5重量%、≦4.5重量%、又は≦3.5重量%であり得る。キシレン可溶分(XS)画分は、好ましくは2.0%~7.0重量%、2.5%~6.5重量%。より好ましくは3.0%~6.0重量%である。本開示のコポリマーのMFRは、10~100g/10分の範囲、より好ましくは10~50g/10分の範囲であり得る。
【0036】
キシレン可溶分(XS)とエチレン含有量(ET)との重量比は、本開示の実施形態の重要な態様であり、キシレン可溶分とエチレンとの比、又はXS/ET比と呼ぶことができる。本開示のプロピレン-エチレンコポリマー組成物のXS/ET比は、1.5以下(≦)、又は≦1.4、より好ましくは≦1.2、更により好ましくは≦1.0、例えば、≦1.8、≦1.4、≦1.1、又は≦0.95であり得る。XS/ET比はまた、0.5~1.51の範囲、1.0~1.5、1.1~1.4、より好ましくは1.15~1.35であり得る。
【0037】
図1に示すように、本開示のコポリマー組成物のキシレン可溶分重量%(XS)及びエチレン重量%(ET)は、キシレン可溶分重量%(XS)対エチレン重量%(ET)の散乱プロット上のそれらの位置によって説明することができる。例えば、本開示の実施形態のキシレン可溶分重量%(XS)及びエチレン重量%(ET)は、式XS=2.0e0.297(ET)によって定義される線を下回り、例えば線XS=1.9e0.297(ET)を下回り、及び例えば線XS=1.8e0.297(ET)を下回り得る。本開示の実施形態のキシレン可溶分重量%(XS)及びエチレン重量%(ET)はまた、式XS
=1.1e0.297(ET)によって定義される線を上回り、例えば線XS=1.3e0.297(ET)を上回り、例えば線XS=1.4e0.297(ET)を上回り、例えば線XS=1.5e0.297(ET)を上回り、及び例えば線XS=1.6e0.297(ET)を上回り得る。
【0038】
一実施形態では、ポリマー組成物は、核剤を含有し得る。例えば、核剤は、α核剤であり得る。ポリマー組成物において使用することができる核剤及び/又は清澄剤の例としては、ベンゼンアミド誘導剤、ソルビトール誘導体、ノニトール誘導剤、及びこれらの混合物が挙げられる。核剤の特定の例としては、ナトリウム2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートなどの、Adeka Palmarole SASによって販売されているNA-11核剤が挙げられる。使用され得る他の核剤としては、HPN-600eiを含む、Milliken and Company of Spartanburg,South Carolinaによって販売されているHPN核剤が挙げられる。Millikenからの他の好適な清澄剤としては、Millad NX8000及びMillad 3988iが挙げられる。
【0039】
本開示のコポリマーは、概して、比較的広範囲の分子量分布を有する。例えば、分子量分布(Mw/Mn)は、概して、約3.5超、例えば約3.8超、例えば約4超、例えば約4.3超、例えば約4.5超、例えば約4.8超、例えば約5超、例えば約5.2超、例えば約5.5超、例えば約5.7超、例えば約6超であり、及び概して、約10未満、例えば約8未満、例えば約7.5未満である。重量平均分子量は、GPCによって決定される。
III.プロピレン-エチレンランダムコポリマーの生成
【0040】
本発明の実施形態は、当技術分野において既知のプロピレン系ポリマーを重合させるための任意の方法によって作製することができる。これは、担持チーグラー・ナッタ触媒を使用する、UNIPOL(登録商標)気相プロセスを含む。特に好ましくは、W.R.Grace&Co.、Columbia,Marylandから入手可能なCONSISTA(登録商標)触媒である。好適なポリプロピレンランダムコポリマーは、マルチモーダル製品を生成するための単一の反応器又は多数の反応器を使用して生成され得る。いくつかの実施形態の場合、フタレートを含有しない内部電子供与体を使用することが好ましい。
【0041】
有用なPP-Rコポリマーを調製するためのプロセス及び触媒組成物は、例えば国際公開第2011/084628号に開示されており、他のものは、概して、米国特許第7,381,779号、同第7,491,670号、同第7,678,868号、同第7,781,363号、及び同第7,989,383号に記載されている。高い分子量及び低いMFRを有するプロピレン-エチレンランダムコポリマーは、立体特異触媒を使用して生成され、あるときには、非フタル酸塩内部供与体を含有する「第6世代」のチーグラー・ナッタ触媒と称され、米国特許第8,288,585号、同第8,536,372号同第8,778,826号米国特許出願第2013/0338321号、及び/又は国際公開第2010/078494号などで開示されている。また、典型的にフタル酸塩内部供与体(例えば、フタル酸ジイソブチル(diisobutyl phthalate、DIBP))を含有する、いわゆる「第4世代」のチーグラー・ナッタ触媒も好適である。上記に列挙した特許の各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
ポリプロピレンランダム(polypropylene random、PP-R)コポリマーを生成する際の使用に好適なプロ触媒組成物としては、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物が挙げられる。任意の従来のチーグラー・ナッタプロ触媒が、当技術分野で一般に知られるように、現在の触媒組成物において使用され得るが、ただし、それが、特許請求されるPP-R
コポリマーを生成することが可能であることを条件とする。一実施形態では、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物は、塩化チタンなどのチタン部分、塩化マグネシウムなどのマグネシウム部分、及び内部電子供与体を含有する。
【0043】
一実施形態では、内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族のジエステルを含む。一実施形態では、1,2-フェニレン芳香族のジエステルが提供される。置換1,2-フェニレン芳香族のジエステルは、以下の構造(I)を有する。
【化2】
【0044】
式中、R~R14は、同じであるか又は異なる。R~R14の各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。R~R14のうちの少なくとも1つは、水素ではない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和、環状、多環状、縮合、又は非環状種、及びそれらの組み合わせを含む、水素原子及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1個以上の非ヒドロカルビル置換基で置換されているヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族に属する非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基は、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基も含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1個以上のハロゲン原子で置換されているヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1個以上のケイ素原子で置換されているヒドロカルビル基である。ケイ素原子(複数可)は、炭素鎖中にある場合もない場合もある。
【0047】
プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV族~VIII族からの
要素の遷移金属化合物、(iii)ハライド、オキシハライド、並びに/又は(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の組み合わせを含むことができる。好適なプロ触媒前駆体の非限定的な例としては、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロミウム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、及びこれらの組み合わせのハライド、オキシハライド、及びアルコキシドが挙げられる。
【0048】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、マグネシウム部分化合物(magnesium moiety compound、MagMo)、混合マグネシウムチタン化合物(magnesium titanium compound、MagTi)、又はベンゾエート含有塩化マグネシウム化合物(benzoate-containing magnesium chloride compound、BenMag)である。実施形態では、プロ触媒前駆体
は、マグネシウム部分(「MagMo」)前駆体である。「MagMo前駆体」は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。MagMo前駆体は、マグネシウム部分を含む。好適なマグネシウム部分の非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド又はアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド若しくはアリールオキシドが挙げられる。実施形態では、MagMo前駆体は、ジ(C1~4)アルコキシドである。更なる実施形態では、MagMo前駆体は、ジエトキシマグネシウムである。
【0049】
実施形態では、プロ触媒前駆体は、混合マグネシウム/チタン化合物(「MagTi」)である。「MagTi前駆体」は、式MgTi(ORを有し、式中、Rは、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカル又はCOR’であり、式中、R’は、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各OR基は、同じであるか又は異なり、Xは独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5~56、又は2~4であり、fは、2~116又は5~15であり、gは、0.5~116、又は1~3である。前駆体は、それらの調製時に使用される反応混合物からのアルコールの除去による制御沈殿によって調製される。一実施形態では、反応媒体は、芳香族液体、特に塩素化芳香族化合物、とりわけクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含む。好適なハロゲン化剤としては、四臭化チタン、四塩化チタン、又は三塩化チタン、特に四塩化チタンが挙げられる。ハロゲン化において使用される溶液からのアルカノールの除去は、特に望ましい形態論及び表面積を有する固体前駆体の沈殿をもたらす。更に、得られる前駆体は、特に粒子サイズが均一である。
【0050】
本プロ触媒組成物はまた、内部電子供与体も含むことができる。本明細書で使用するとき、「内部電子供与体」は、一対の電子を結果として生じるプロ触媒組成物中に存在する1つ以上の金属に供与する、プロ触媒組成物の形成中に添加される化合物である。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、内部電子供与体は、活性部位の形成を調整するのを支援し、したがって、触媒立体選択性を高めると考えられる。一実施形態では、内部電子供与体は、上で識別される構造(I)の置換フェニレン芳香族のジエステルを含む。
【0051】
一実施形態では、マグネシウム部分、チタン部分及び内部電子供与体の組み合わせを含むプロ触媒組成物が提供される。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族のジエステルを含む。プロ触媒組成物は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,536,372号で詳細に説明されているハロゲン化手順によって生成され、当該手順は、プロ触媒前駆体及び置換フェニレン芳香族のジエステル供与体を、マグネシウム及びチタン部分の組み合わせに変換し、その中に内部電子供与体が組み込まれる。プロ触媒組成物が形成されるプロ触媒前駆体は、マグネシウム部分前駆体、混合マグネシウム/チタン前駆
体、又はベンゾアート含有塩化マグネシウム前駆体であり得る。
【0052】
一実施形態では、マグネシウム部分は、ハロゲン化マグネシウムである。別の実施形態では、マグネシウムハライドは、塩化マグネシウム又は塩化マグネシウムアルコール付加物である。一実施形態では、チタン部分は、塩化チタンなどのハロゲン化チタンである。別の実施形態では、チタン部分は、四塩化チタンである。別の実施形態では、プロ触媒組成物は、塩化チタンが堆積され、その時点で内部電子供与体が組み込まれる、塩化マグネシウム支持体を含む。
【0053】
一実施形態では、プロ触媒組成物の内部電子供与体は、上で示した構造(I)の置換フェニレン芳香族のジエステルを含み、構造中、R~R14は、同じであるか又は異なり、R~R14の各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びこれらの組み合わせから選択され、R~R14のうちの少なくとも1つは、水素ではない。
【0054】
実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ(又は2つ、又は3つ、又は4つ)のR基(複数化)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0055】
実施形態では、R~R14のうちの少なくとも1つ(又はいくつか又は全て)のR基(複数化)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR10~R14のうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。
【0056】
実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つ、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR10~R14うちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子及びこれらの組み合わせから選択される。
【0057】
実施形態では、R~Rの任意の連続するR基、及び/又はR~Rの任意の連続するR基、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、連結されて、環状又は環状内構造体を形成してもよい。環状/環状内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。一実施形態では、環状/環状内構造体は、C又はC員環である。
【0058】
実施形態では、R~Rのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、及びそれらの組み合わせである。任意選択的に、R~R14のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子又は1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基であってもよい。任意選択的に、R~R、及び/又はR~R、及び/又はR10~R14は、連結されて、環状構造体又は環状内構造体を形成してもよい。環状構造体及び/又は環状内構造体は、芳香族であっても
、又は芳香族でなくてもよい。
【0059】
実施形態では、R~R、及び/又はR~R、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、C~C員環のメンバーであってもよい。
【0060】
一実施形態では、構造(I)は、水素としてR、R、及びRを含む。Rは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。R~R14は、同じであるか又は異なり、R~R14の各々は、水素1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0061】
一実施形態では、Rは、C~Cアルキル基、C~Cシクロアルキル基、又は置換C~Cシクロアルキル基から選択される。Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基であり得る。
【0062】
一実施形態では、構造(I)は、メチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。一実施形態では、構造(I)は、エチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。一実施形態では、構造(I)は、t-ブチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。一実施形態では、構造(I)は、エトキシカルボニルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。
【0063】
一実施形態では、構造(I)は、各々水素としてR、R、及びRを含み、Rは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。R~R14は、同じであるか又は異なり、各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0064】
一実施形態では、構造(I)は、メチルであるRを含み、R~R14の各々は、水素である。
【0065】
一実施形態では、構造(I)は、水素であるR及びRを含み、R及びRは、同じであるか又は異なる。R及びRの各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。R~R14は、同じであるか又は異なり、R~R14の各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びこれらの組み合わせから選択される。
【0066】
一実施形態では、構造(I)は、同じであるか又は異なるR及びRを含む。R及びRの各々は、C~Cアルキル基、C~Cシクロアルキル基、又は置換C~Cシクロアルキル基から選択される。R~R14は、同じであるか又は異なり、R~R14の各々は、水素、C~Cアルキル基、及びハロゲンから選択される。好適なC~Cアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が挙げられる。好適なC~Cシクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチ
ル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。更なる一実施形態では、R~R14のうちの少なくとも1つは、C~Cアルキル基又はハロゲンである。
【0067】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR、及びt-ブチル基であるRを含む。R、R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0068】
一実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR及びRを含む。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0069】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR、R、及びR10の各々を含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R~R及びR11~R14の各々は、水素である。
【0070】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR、R、及びR12の各々を含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0071】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0072】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々を含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R、R11及びR13の各々は、水素である。
【0073】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてRを含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R10、R12及びR14の各々は、i-プロピル基である。R、R、R、R、R11及びR13の各々は、水素である。
【0074】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族のジエステルは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号で詳細に説明されている、R~R14の代替物を含む、構造(II)~(V)からなる基から選択される構造を有する。
【0075】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0076】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、フッ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0077】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0078】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、臭素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0079】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基
である。R及びR12の各々は、ヨウ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0080】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R11及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0081】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R11及びR13の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々は、水素である。
【0082】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、及びR~R14の各々は、フッ素原子である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、トリフルオロメチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0084】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシカルボニル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0085】
実施形態では、Rは、メチル基であり、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0086】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、ジエチルアミノ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0088】
一実施形態では、構造(I)は、各々がsec-ブチル基であるR及びRを含む。R、R及びR~R14の各々は、水素である。
【0089】
一実施形態では、構造(I)は、各々メチル基であるR及びRを含む。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0090】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含む。Rは、i-プロピル基である。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0091】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、及びRを含み、これらは各々、i-プロピル基である。R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0092】
一実施形態では、別のプロ触媒組成物が提供される。プロ触媒組成物は、マグネシウム部分、チタン部分、及び混合内部電子供与体の組み合わせを含む。本明細書で使用するとき、「混合内部電子供与体」は、(i)置換フェニレン芳香族ジエステル、(ii)1対の電子を、得られるプロ触媒組成物中に存在する1つ以上の金属に供与する電子供与体
成分、及び(iii)任意選択的に他の成分である。一実施形態では、電子供与体成分は、フタレート、ジエーテル、ベンゾアート、及びこれらの組み合わせである。混合内部電子供与体を有するプロ触媒組成物は、本明細書で識別される以前に付与された特許及び公報で開示されているプロ触媒生成手順によって生成することができる。
【0093】
例えば、好適な触媒組成物は、プロ触媒組成物、共触媒、及び外部の電子供与体又は2つ以上の異なる成分の混合外部電子供与体(mixed external electron donor、M-E
ED)を含む。好適な外部の供与体は、1つ以上の活性制限剤(activity limiting agent、ALA)、1つ以上の選択性制御剤(selectivity control agent、SCA)、又はALA及びSCAの両方を含む。本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」は、触媒性能を修正するプロ触媒構造とは独立に添加される成分の混合物を含む成分又は組成物である。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」は、触媒の存在下で重合温度が閾値温度(例えば、約85℃を超える温度)を上回って上昇するときに、触媒活性を低下させる組成物である。「選択性制御剤」は、ポリマー立体規則性を改善させる組成物であり、改善された立体規則性は、概して、増加された立体規則性又は低減させたキシレン可溶分又は両方を意味すると理解される。上記の定義は、互いに排他的なものではないこと、及び単一の化合物が、例えば、活性制限剤及び選択性制御剤の両方として分類され得ることを理解されたい。
【0094】
一実施形態では、外部の電子供与体は、アルコキシシランを含む。アルコキシシランは、次の一般式を有する。
SiR(OR’)4-m (I)
式中、Rは、独立して、各出現時に、水素、又は1つ以上の14族、15族、16族、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基で任意に置換されているヒドロカルビル基若しくはアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲン以外の原子を最大20個含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリールアルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐アルキル、又はC3~12環状若しくは非環状アミノ基であり、R’は、C1~4アルキルであり、mは、1又は2である。
【0095】
好適なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態では、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(dicyclopentyldimethoxysilane、DCPDMS)、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(methylcyclohexyldimethoxysilane、
MChDMS)、又はn-プロピルトリメトキシシラン(n-propyltrimethoxysilane、NPTMS)、及びこれらの任意の組み合わせである。
【0096】
一実施形態では、選択性制御剤成分は、2つ以上のアルコキシシランの混合物であり得る。更なる実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、又はジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシランで
あり得る。一実施形態では、混合外部電子供与体は、ベンゾアート、コハク酸塩、及び/又はジオールエステルを含み得る。一実施形態では、混合外部電子供与体は、SCAとして2,2,6,6-テトラメチルピペリジンを含む。別の実施形態では、混合外部電子供与体は、SCA及びALAの両方としてジエーテルを含む。
【0097】
混合外部電子供与体システムはまた、活性制限剤(ALA)も含むことができる。ALAは、重合反応器の不調を抑制又はさもなければ阻止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点に近い温度で高い活性を維持する。発熱重合反応によって生じた熱は、ポリマー粒子凝集体を形成させる場合があり、最終的にはポリマー生成プロセスを中断させ得る。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それにより反応器の不調を阻止し、粒子の凝集を低減(又は阻止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0098】
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ジオールエステル、及びこれらの組み合わせであり得る。カルボン酸エステルは、脂肪族又は芳香族のモノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。好適なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、エチル及びメチルベンゾエート、エチルp-メトキシベンゾエート、メチルp-エトキシベンゾエート、エチルp-エトキシベンゾエート、エチルp-イソプロポキシベンゾエート、エチルアクリレート、メタクリル酸メチル、酢酸エチル、エチルp-クロロベンゾエート、ヘキシルp-アミノベンゾエート、イソプロピルナフテネート、n-アミルトルエート、エチルシクロヘキサノエート、及びプロピルピバレートが挙げられる。
【0099】
好適なポリカルボキシル酸エステルの非限定的な例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ-n-プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ-tert-ブチルフタレート、ジイソアミルフタレート、ジ-tert-アミルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジ-2-エチルデシルフタレート、ジエチルテレフタレート、ジオクチルテレフタレート、及びビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレートが挙げられる。
【0100】
脂肪族カルボン酸エステルは、C~C30脂肪族酸エステルであり得、モノ又はポリ(2つ以上の)エステルであり得、直鎖又は分岐であり得、飽和又は不飽和であり得、これらの任意の組み合わせであり得る。C~C30脂肪族酸エステルはまた、1個以上の14族、15族、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基で置換され得る。好適なC~C30脂肪酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C6~30モノカルボン酸のCi-2Oアルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~4アルキルエステル及びジカルボン酸、並びにC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC6~20モノ又はポリカルボキシレート派生物が挙げられる。更なる一実施形態では、C~C30脂肪酸エステルは、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジ-ミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジ-ラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ-又はジ-オレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C2~40脂肪族化合物カルボン酸のグリセリルトリエステル、及びこれらの混合物であり得る。更なる一実施形態では、C~C20脂肪族エステルは、イソプロピルミリステート、又はジ-n-ブチルセバケートである。
【0101】
一実施形態では、活性制限剤は、ジエーテルを含む。ジエーテルは、以下の構造(VI)によって表される1,3-ジエーテル化合物であり得る。
【化3】
式中、R~Rは、互いに独立して、任意選択的に14族、15族、16族、又は17族のヘテロ原子を含有し得る最大20個の炭素原子を有するアルキル、アリール、又はアラルキル基であり、R及びRは、水素原子であり得る。ジアルキルエーテルは、直鎖又は分岐であり得、以下の基、すなわち、アルキル、シクロ脂肪族、アリール、1~18個の炭素原子を有するアルキルアリール又はアリールアルキルラジカル、及び水素、のうちの1つ以上を含み得る。R及びRは、連結して、シクロペンタジエン又はフルオレンなどの環状構造を形成し得る。
【0102】
一実施形態では、活性制限剤は、以下の構造(VII)を有するスクシネート組成物を含む。
【化4】
式中、R及びR’は、同じであるか又は異なり得、R及び/又はR’は、以下の基、すなわち、水素、直鎖又は分岐鎖アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基、のうちの1つ以上を含み、任意選択的にヘテロ原子を含有する。1つ以上の環構造は、2位及び3位の炭素原子の一方又は両方を介して形成することができる。
【0103】
一実施形態では、活性制限剤は、以下の構造(VIII)によって表されるジオールエステルを含む。
【化5】
式中、nは、1~5の整数である。R及びRは、同じであるか又は異なり得、各々が、水素、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、アリル、フェニル、又はハロフェニル基から選択され得る。R、R、R、R、R、及びRは、同じであるか又は異なり得、各々が、水素、ハロゲン、1~20個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビルから選択され得る。R~R基は、任意選択的に、炭素、水素、又は両方を置換する1個以上のヘテロ原子を含有し得、ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ケイ素、リン、及びハロゲン)から選択される。R及びRは、同じであるか又は異なり得、エーテルフェニル環の2位、3位、4位、
5位、6位の任意の炭素原子に結合され得る。
【0104】
個々の外部電子供与体成分は、反応器に別々に加えることができ、又は2つ以上を事前に混合し、次いで、混合物として反応器に加えることができる。混合物では、1つを超える選択性制御剤又は1つを超える活性制限剤を使用することができる。一実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジイソプロピルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ラウレート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート及びリ(エチレングリコール)ジオレエート、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、n-プロピルトリメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジメチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジイソプロピルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びイソプロピルミリステート、並びにジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びジイソプロピルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びイソプロピルミリステート、並びにこれらの組み合わせである。
【0105】
触媒組成物は、共触媒を含む。チーグラー・ナッタプロ触媒組成物と共に使用するための共触媒は、アルミニウム含有組成物であり得る。好適なアルミニウム含有組成物の非限定的な例としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムジハライド、ジアルキルアルミニウムアルコキシド、及び各アルキル基又はアルコキシド基中に1~10個又は1~6個の炭素原子を含有するアルキルアルミニウムジアルコキシド化合物などの、有機アルミニウム化合物が挙げられる。一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウム(triethylaluminum、TEA)などの、C1~4トリアルキルアルミニウム化合物である。触媒組成物は、0.5~25:1、又は1.0~20:1、又は1.5~15:1、又は約6.0未満、又は約5未満、又は4.5未満のアルミニウム(Al)と(SCA(複数可)+ALA(複数可))とのモル比を含む。一実施形態では、Alと(SCA(複数可)+ALA(複数可))とのモル比は、0.5~4.0:1である。合計SCAとALAとのモル比は、0.01~20:1、0.10~5.00:1、0.43~2.33:1、又は0.54~1.85:1、又は0.67~1.5:1である。
IV.高温充填包装
【0106】
別の実施形態では、高温充填包装は、上で考察されたプロピレン-エチレンコポリマーを使用して生成することができる。高温充填包装は、射出成形することができる。好ましくは、高温充填包装に使用する樹脂は、100%の本発明のプロピレンエチレンコポリマー樹脂を含むが、最大5重量%、10重量%、15重量%、更には25重量%の、本明細書で定義されるコポリマー以外の1つ以上の追加的な樹脂が添加され得る。
【0107】
高温充填包装を作製するために使用されるコポリマー組成物は、好ましくは、酸化防止剤及び掃酸剤を含有し、いくつかの用途では、好ましくは、核剤、清澄槽、離型剤、帯電防止剤、スリップ剤、UV安定剤、及び着色剤(色素)などの、PPで一般的に使用されている他の添加物も含有し得る。
【0108】
一実施形態では、コポリマー組成物は、清澄化剤又は清澄剤と呼ばれるタイプの核剤を更に含有することができる。清澄化剤は、組成物の透明特性を更に改善するために添加することができる。清澄化剤は、例えば、組成物内にゲル化ネットワークを生成すること
ができる化合物を含み得る。
【0109】
一実施形態では、清澄化剤は、ソルビトールアセタール誘導体等のソルビトール化合物を含んでもよい。一実施形態では、例えば、清澄化剤は、ベンジルソルビトールを含んでもよい。
【0110】
いくつかの実施形態で添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体は、式(I)に示される:
【化6】
式中、R1~R5は、水素及びC1~C3アルキルから選択される同じ又は異なる部分を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が2,4-ジベンジリデンソルビトール(「dibenzylidene sorbitol、DBS」)となるように、R1~R5は水素である。いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「methyldibenzylidene-D-sorbitol、MDBS」)となるように、R1、R4及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基である。いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロールベンジリデン)ソルビトール(「dimethylobenzylideno)sorbitol、DMDBS」)となるように、R1~R4はメチル基であり、R5は水素である。いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,2,3-トリデオキシ-4,6-:5,7ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「trideoxy-4,6:5,7-bis-O-(4-propylphenyl methylene)nonitol、TBPMN」)となるように、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH2-CH2-CH3)であり、R1及びR4は水素である。
【0112】
使用され得る清澄化剤の他の実施形態としては、以下が挙げられる:
1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール、
1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール
ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトール。
【0113】
一実施形態では、清澄化剤はまた、ビスアミドも含み得る。上記の清澄化剤を、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0114】
ポリマー組成物中に存在する場合、1つ以上の清澄化剤は、概して、約1500ppm超の量、例えば、約1800ppm超の量、例えば、約2000ppm超の量、例えば、約2200ppm超の量で添加される。1つ以上の清澄化剤は、概して、約20,000ppm未満、例えば、約15,000ppm未満、例えば、約10,000ppm未満、例えば、約8,000ppm未満、例えば、約5,000ppm未満の量で存在する。
V.実施例
実施例1
【0115】
上で概説した手順に従って、プロピレン-エチレンランダムコポリマーのサンプルを生成し、それらの特性を試験した。特性及び実験結果を表1に概説する。また、図1は、エチレン含有量に対するキシレン可溶分のグラフも含む。
【0116】
プロピレン-エチレンランダムコポリマーは、立体特異的第6世代チーグラー・ナッタマグネシウム担持/チタン系触媒によって生成した。触媒は、メタロセン触媒を使用して作製されるポリマーよりも広い範囲の分子量分布を有するポリマーを生成する非フタレート内部供与体を含有した。ポリマーを生成するために使用したプロセスは、UNIPOL気相プロセスとして当技術分野で説明されている。ポリマーを生成するために使用した触媒は、置換フェニレン芳香族のジエステル内部電子供与体を含んだ。使用した触媒は、W.R.Grace and Companyから入手可能であり、CONSISTAの商品名で販売されている。全てのコポリマーは、共触媒としてトリエチルアルミニウムを使用して作製された。
【表1】
実施例2
【0117】
上で説明したものと概して同じプロセスを使用して本開示に従って別のプロピレン-エチレンランダムコポリマーを作製し、全てが2のXS/ET比を有する対照と比較した。プロピレン-エチレンランダムコポリマーを、試験プラークに射出成形し、ヘイズについて試験した。ヘイズは、最初に、及び熱エージング後に試験した。プロピレン-エチレンランダムコポリマーは、以下の通りである。
【表2】
【0118】
ヘイズは、最新版の試験を使用して、ASTM試験D1003の手順Aに従って測定
した。ヘイズは、BYK Gardner Haze-Gard Plus 4725の計測器を使用して、55℃で24時間の熱エージングの前及び後に測定した。熱エージングは、プラークサンプルをオーブンの中へ配置することによって行った。プロピレンポリマー組成物は、熱エージング中に、ヘイズが増加する傾向を有する。ヘイズは、ポリマーの中の更なる結晶化により、及び/又は典型的にはブルーミングと称されるヘイズのある表面層の形成により増加する。
【0119】
試験プラークを形成する際に、プロピレン-エチレンランダムコポリマーを様々な安定剤と化合させた。特に、ポリマー組成物は、500ppmのヒンダードフェノール系酸化防止剤、すなわち、ペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩を含有した。ホスファイト安定剤は、700ppmの量で添加した。ホスファイト安定剤は、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイトであった。掃酸剤は、200ppmの濃度で添加した。使用した掃酸剤は、ヒドロタルサイトであった。帯電防止剤は、500ppmの濃度で添加した。帯電防止剤は、蒸留したモノグリセリド、特にDuPontによって販売されているDIMODAN HS K-A GMS90で構成した。清澄化剤はまた、1800ppmの濃度でも組成物に添加した。使用した清澄化剤は、1,2,3-トリデソキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]ノニトール、特にMilliken Millad NX8000であった。
【0120】
ポリマー組成物を、40mil、80mil、及び125milの3つの厚さを有するプラークに射出成形した。プラークを、オーブンエージングの前及び後でヘイズについて試験した。以下の結果を得た。
【表3】
【0121】
上で示したように、本開示のプロピレン-エチレンランダムコポリマーは、類似する従来のプロピレン-エチレンランダムコポリマーと比較して、予想外に良好なヘイズ特性を有した。例えば、1つの顕著な結果は、熱処理の後であっても、いかなる視覚的なブルーミング又はスミアリングも存在しないという事実である。
【0122】
上で示したように、本開示に従って作製されたポリマー組成物は、40milで約15%未満、例えば約12%未満、例えば約11%未満のヘイズを示すことができる。加えて、55℃で24時間のエージング後に、ヘイズの増加は、約15%未満、例えば約14%未満、例えば約13%未満、例えば約12%未満である。80milのサンプルを測定したときに、最初のヘイズは、概して約35%未満、例えば約30%未満、例えば約25%未満である。55℃で24時間の熱エージング後に、ヘイズの%増加は、概して約12%未満、例えば約11%未満、例えば約10%未満、例えば約9%未満、例えば約8%未満、例えば約7.5%未満である。125milのサンプルを測定したときに、最初のヘイズは、概して約50%未満、例えば約46%未満、例えば約45%未満である。55℃で24時間の熱エージング後に、ヘイズの%増加は、概して約10%未満、例えば約8%未満、例えば約6%未満、例えば約5%未満である。
実施例3
【0123】
プロピレン-エチレンランダムコポリマーサンプルを、実施例1で説明したものと同
じ手順を使用して生成した。サンプルを、様々な物理的特性について試験した。以下の結果を得た。
【表4】
【0124】
上に示すように、サンプル番号36は、サンプル番号37及び38に対して剛性が改善した。
【0125】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得、これは、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載される。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的に又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者であれば、前述の説明はあくまで例としてであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン-エチレンコポリマーであって、
一次モノマーとしてのプロピレンと、
2.0重量%~最大5重量%のエチレン含有量(ET)と、
20g/10分超、かつ最高45g/10分のメルトフローレートと、
2.0重量%~7.0重量%のキシレン可溶分画分(XS)と、
を含み、
前記キシレン可溶分画分(XS)及び前記エチレン含有量(ET)が、式XS=2.1e 0.297(ET) によって画定される線を下回り、
3.5を超える分子量分布(Mw/Mn)を有する、
プロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項2】
前記エチレン含有量が、3.0重量%~4.2重量%である、請求項1に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項3】
XS/ET比が、1.30未満である、請求項1~2のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項4】
XS/ET比が、1.00未満である、請求項3に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項5】
前記キシレン可溶分画分(XS)及び前記エチレン含有量(ET)が、式XS=1.4e0.297(ET)によって画定される線を上回る、請求項1~4のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかで定義されるプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーが、70重量%を超える量で、前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
【請求項7】
清澄化剤を更に含む、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記清澄化剤が、ジベンジルソルビトールを含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記清澄化剤が、ノニトールを含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記ポリマー組成物が、40milで15%未満のヘイズを示し、55℃で24時間の熱エージング後に、前記ヘイズの増加が、15%以下である、請求項7又は8に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
請求項1~5のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含む、射出成形物品。
【請求項12】
前記プロピレン-エチレンコポリマーが、80重量%を超える量で、前記ポリマー組成物中に存在している、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記プロピレン-エチレンコポリマーが、90重量%を超える量で、前記ポリマー組成物中に存在している、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記プロピレン-エチレンコポリマーが、95重量%を超える量で、前記ポリマー組成物中に存在している、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
55℃で24時間の熱エージング後に、前記ヘイズの増加が、14%以下である、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
55℃で24時間の熱エージング後に、前記ヘイズの増加が、13%以下である、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
55℃で24時間の熱エージング後に、前記ヘイズの増加が、12%以下である、請求項10に記載のポリマー組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得、これは、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載される。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的に又は部分的に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者であれば、前述の説明はあくまで例としてであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
プロピレン-エチレンコポリマーであって、
一次モノマーとしてのプロピレンと、
2.0%~最大5重量%のエチレン含有量(ET)と、
1g/10分超のメルトフローレートと、
2.0%~7.0重量%のキシレン可溶分画分(XS)と、
1.51以下のXS/ET比と、を含む、プロピレン-エチレンコポリマー。
[2]
前記エチレン含有量が、3.0重量%~4.2重量%である、1に記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[3]
前記メルトフローレートが、20g/10分超である、1又は2のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[4]
前記メルトフローレートが、10g/10分超、かつ最高約45g/10分である、1~3のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[5]
前記キシレン可溶分とエチレンとの比(XS/ET)が、0.90~1.50である、1~4のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[6]
前記XS/ET比が、1.30未満である、1~5のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[7]
前記XS/ET比が、1.00未満である、1~6のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[8]
前記キシレン可溶分画分(XS)及び前記エチレン含有量(ET)が、式XS=2.1e 0.297(ET) によって画定される線を下回る、1~7のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[9]
前記キシレン可溶分画分(XS)及び前記エチレン含有量(ET)が、式XS=1.4e 0.297(ET) によって画定される線を上回る、1~8のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[10]
前記コポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)系供与体を使用して形成される、1~9のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[11]
前記コポリマーが、チーグラー・ナッタ触媒及びn-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)系供与体を使用して形成される、1~10のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[12]
前記コポリマーが、メタロセンを使用することなく生成される、1~11のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[13]
1~12のいずれかで定義されるプロピレン-エチレンコポリマーを含有するポリマー組成物であって、前記プロピレン-エチレンコポリマーが、約80重量%を超える量などの、約90重量%を超える量などの、約95重量%を超える量などの、約70重量%を超える量で、前記ポリマー組成物中に存在している、ポリマー組成物。
[14]
清澄化剤を更に含む、13に記載のポリマー組成物。
[15]
前記清澄化剤が、ジベンジルソルビトールを含む、14に記載のポリマー組成物。
[16]
前記清澄化剤が、ノニトールを含む、14に記載のポリマー組成物。
[17]
前記ポリマー組成物が、40milで約15%未満のヘイズを示し、55℃で24時間の熱エージング後に、前記ヘイズが、約14%以下などの、約13%以下などの、約12%以下などの、約15%以下だけ減少する、14又は15に記載のポリマー組成物。
[18]
1~17のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含む、射出成形物品。
[19]
前記コポリマーが、約3.5を超える分子量分布(Mw/Mn)を有する、1~12のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマー。
[20]
1~19のいずれかに記載のプロピレン-エチレンコポリマーを含む、高温充填包装容器。
[21]
前記容器が、射出成形、吹き込み成形、及び熱成形のうちの少なくとも1つによって形成されている、20に記載の高温充填包装容器。
【外国語明細書】