(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038307
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/08 20060101AFI20240312BHJP
B60Q 1/14 20060101ALI20240312BHJP
B62J 6/023 20200101ALI20240312BHJP
B62J 45/415 20200101ALI20240312BHJP
B62J 45/412 20200101ALI20240312BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20240312BHJP
【FI】
B60Q1/08
B60Q1/14 A
B62J6/023
B62J45/415
B62J45/412
B62J45/41
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001774
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2021565386の分割
【原出願日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2019226553
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019226554
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】校條 洋輔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動二輪車の運転者にとって違和感のない配光パターンを形成する車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行する車両(100)に設けられ、光源と、光源からの光を灯具前方へ照射して所定のハイビーム配光パターン(PH)を形成する光学部材と、車両外部の対向車(CV)が検知された場合、対向車(CV)に光を照射しない第一遮光範囲(B)を含むようハイビーム配光パターン(PH)を調節する制御部とを備える。制御部は、車体が直進状態にある場合に基づいて第一遮光範囲(B)を規定し、車体がコーナリング状態にある場合、車体の傾き状態に応じて対向車(CV)の高さ情報を取得し、高さ情報に基づいて第一遮光範囲(B)よりも狭い第二遮光範囲(C)を規定し、第一遮光範囲(B)に代えて第二遮光範囲(C)を含むようハイビーム配光パターン(PH)を調節するよう構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行する車両に設けられた車両用灯具であって、
光源と、
前記光源からの光を灯具前方へ照射して所定の配光パターンを形成する光学部材と、
前記車両外部の対象物が検知された場合には、前記対象物に前記光を照射しない第一非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車体が直進状態にある場合に基づいて前記第一非照射範囲を規定し、
前記車体がコーナリング状態にある場合には、
前記車体の傾き状態に応じて前記対象物の高さ情報を取得し、
前記高さ情報に基づいて前記第一非照射範囲よりも狭い第二非照射範囲を規定し、
前記第一非照射範囲に代えて前記第二非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節するように構成されている、車両用灯具。
【請求項2】
前記光源は、並列配置された複数の発光素子を含み、
前記配光パターンは、前記複数の発光素子からの光によって水平方向に沿って並列して形成される複数の領域から構成され、
前記制御部は、前記高さ情報に基づいて、前記複数の領域のうち前記第二非照射範囲を含む領域を形成する発光素子を消灯することにより、前記第二非照射範囲を含む前記所定の配光パターンを形成する、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光学部材は、回転リフレクタ、ガルバノミラー、およびポリゴンミラーのうち少なくとも一つから構成されており、
前記制御部は、前記高さ情報に基づいて、前記回転リフレクタ、前記ガルバノミラー、および前記ポリゴンミラーのうち少なくとも一つによる前記光の走査方向と前記光源からの光の出射タイミングとを制御することにより、前記第二非照射範囲を含む前記所定の配光パターンを形成する、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記対象物は対向車および前走車の少なくとも一方を含み、
前記制御部は、前記車両が備える外部センサにより計測された前記対向車および前記前走車の少なくとも一方の高さに基づいて変更された前記高さ情報に基づいて前記第二非照射範囲を変更する、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行する車両に設けられた車両用灯具であって、
光源と、
前記光源からの光を灯具前方へ照射して所定の配光パターンを形成する光学部材と、
前記車体の傾きを検出する内部センサと、
対象物を検出する外部センサと、
前記配光パターンを調節するように少なくとも前記光源と前記光学部材の一方を制御する制御部と、を備え、
前記配光パターンは複数の範囲を含み、
前記内部センサが前記車体の傾きが所定角以上であると検出した場合において、
前記配光パターンは、所定の基準線以下の第一領域と、前記基準線よりも上の第二領域を含み、
前記基準線は、前記車体の左右方向に延びる、水平線に平行な線であり、前記水平線から所定の高さを有し、
前記複数の範囲のうち一の範囲が前記第一領域のみを含む場合には、前記外部センサの検出結果に関わらず、前記制御部は前記一の範囲に対して前記光の照射を継続するように前記配光パターンを調節する、車両用灯具。
【請求項6】
前記複数の範囲のうち一の範囲が前記第一領域及び前記第二領域の両方を含む場合であって、前記外部センサが前記対象物は前記一の範囲に含まれると検出した場合、前記制御部は前記一の範囲に対して光を照射しないように前記配光パターンを調節する、請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記対象物は対向車または前走車の少なくとも一方を含み、
前記基準線は、前記対向車の窓ガラスまたは前記前走車の窓ガラスよりも低い、請求項5又は6に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車用の前照灯として、ハイビーム・ロービームの光源がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際出願公報WO2019/039051
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
四輪車においては、前照灯から照射される配光パターンを水平方向に並列された複数の領域から構成し、車両外部の対象物に応じて当該複数の領域のうち一部の領域を非照射とすることで、例えば対向車にグレアを与えない配光パターンを形成するシステムが提案されている。二輪車では、右左折をする際に運転者が重心を移動させ、曲がる方向に向かって車体を傾けてバンク角を大きくしながらコーナーを走行するため、バンク角に伴って前照灯が形成する配光パターンも水平方向から傾く。水平方向から傾いた配光パターンにおいて、対向車などの対象物に対してグレアを与えないように四輪車と同様のシステムを採用しようとすると、本来は非照射をする必要のない範囲まで非照射範囲を拡大せざるを得ない場合がある。
【0005】
また、水平方向に対して傾いた配光パターンにおいて、基準線以下の領域に対する光の照射は、対向車などの対象物に対してグレアを与えないにも関わらず、対象物がある場合には光源は消灯されていた(特許文献1)。不必要な消灯は、自動二輪車の運転者に対して違和感を与えることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、車体が傾いた状態で形成される配光パターンにおいて対象物に光を照射しない非照射範囲をできる限り小さくすることが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、自動二輪車の運転者にとって違和感のない配光パターンを形成する車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一側面に係る車両用灯具は、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行する車両に設けられた車両用灯具であって、
光源と、
前記光源からの光を灯具前方へ照射して所定の配光パターンを形成する光学部材と、
前記車両外部の対象物が検知された場合には、前記対象物に前記光を照射しない第一非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車体が直進状態にある場合に基づいて前記第一非照射範囲を規定し、
前記車体がコーナリング状態にある場合には、
前記車体の傾き状態に応じて前記対象物の高さ情報を取得し、
前記高さ情報に基づいて前記第一非照射範囲よりも狭い第二非照射範囲を規定し、
前記第一非照射範囲に代えて前記第二非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節するように構成されている。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の一側面に係る車両用灯具は、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行する車両に設けられた車両用灯具であって、
光源と、
前記光源からの光を灯具前方へ照射して所定の配光パターンを形成する光学部材と、
前記車体の傾きを検出する内部センサと、
対象物を検出する外部センサと、
前記配光パターンを調節するように少なくとも前記光源と前記光学部材の一方を制御する制御部と、を備え、
前記配光パターンは複数の範囲を含み、
前記内部センサが前記車体の傾きが所定角以上であると検出した場合において、
前記配光パターンは、所定の基準線以下の第一領域と、前記基準線よりも上の第二領域を含み、
前記基準線は、前記車体の左右方向に延びる、水平線に平行な線であり、前記水平線から所定の高さを有し、
前記複数の範囲のうち一の範囲が前記第一領域のみを含む場合には、前記外部センサの検出結果に関わらず、前記制御部は前記一の範囲に対して前記光の照射を継続するように前記配光パターンを調節する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車体が傾いた状態で形成される配光パターンにおいて対象物に光を照射しない非照射範囲をできる限り小さくすることが可能な車両用灯具を提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、自動二輪車の運転者にとって違和感のない配光パターンを形成する車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るヘッドランプ(車両用灯具)を備えた車両の斜視図である。
【
図2】
図1に示すヘッドランプのブロック図である。
【
図3】ヘッドランプが備えるハイビーム灯具ユニットの構成を示す断面図である。
【
図4】
図3のハイビーム灯具ユニットが備える光源ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図5】ハイビーム灯具ユニットにより形成されるハイビーム配光パターンを説明する図である。
【
図6】ハイビーム配光パターンを説明する図である。
【
図7A】最小遮光範囲を規定する制御方法の変形例を説明する図である。
【
図7B】最小遮光範囲を規定する制御方法の変形例を説明する図である。
【
図8】第二実施形態に係るヘッドランプが備えるハイビーム灯具ユニットの構成を示す断面図である。
【
図9】
図8のハイビーム灯具ユニットが備える光学部材の構成を示す斜視図である。
【
図10】車両が路面に対して傾いた状態で走行する場合の配光パターンの一例を示す図である。
【
図11】車両が路面に対して傾いた状態で走行する場合の配光パターンの他の例を示す図である。
【
図12】配光パターンの調節方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態における、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」とは、
図1に示す車両100について、説明の便宜上、設定された相対的な方向である。
【0014】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態における車両の一例として自動二輪車100を示している。自動二輪車100は、曲がる方向に向かって車体を傾けることで道路のコーナー(カーブ)に沿って走行することが可能な車両である。本実施形態の車両は、この自動二輪車100のように、曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両であればよく、車輪の数は限定されない。したがって、例えば自動三輪車、自動四輪車などであっても、この自動二輪車100と同様に走行可能であれば本実施形態の車両に含まれる。
【0015】
図1に示すように、自動二輪車100の前部には、本実施形態に係るヘッドランプ1(車両用灯具の一例)が搭載されている。ヘッドランプ1は、車両前方を照射可能な灯具であり、ロービーム灯具ユニット2と、ハイビーム灯具ユニット3とを備えている。なお、本実施形態では、一個のヘッドランプ1を備える自動二輪車100を例示しているが、例えば左右に一個ずつのヘッドランプを備える自動二輪車であってもよい。
【0016】
図2に示すように、ヘッドランプ1は、ロービーム灯具ユニット2およびハイビーム灯具ユニット3の動作を制御するランプ制御部5(制御部の一例)を備えている。ランプ制御部5には、ロービーム灯具ユニット2およびハイビーム灯具ユニット3が接続されている。また、ランプ制御部5には、自動二輪車100の傾き状態を検知するバンク角センサ6(内部センサの一例)と、車両外部の環境情報を検知する外部センサ7と、自動二輪車100の速度を検知する速度センサ8等が電気的に接続されている。
【0017】
バンク角センサ6は、自動二輪車100の車体が鉛直線に対して左右に傾斜したときの傾斜角を検知することが可能なセンサである。バンク角センサ6は、例えばジャイロセンサで構成されている。なお、車体の傾斜角は、例えば車体に搭載されるカメラで撮影した画像に基づいて算出するようにしてもよい。
【0018】
外部センサ7は、自動二輪車100の周辺環境(例えば障害物、他車(前走車、対向車)、歩行者、道路形状、交通標識等)を含む自車両の外部の情報を取得することが可能なセンサである。外部センサ7は、例えばLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)、カメラ、レーダ等の少なくとも一つで構成されている。
【0019】
バンク角センサ6、外部センサ7および速度センサ8によって検知された各情報は、ランプ制御部5へ送信される。ランプ制御部5は、各センサ6~8から送信されてきた情報に基づいて、ロービーム灯具ユニット2およびハイビーム灯具ユニット3を制御する。例えば、ランプ制御部5は、各センサの検知情報に基づいてヘッドランプ1(ロービーム灯具ユニット2およびハイビーム灯具ユニット3)を制御し、車両前方に形成される配光パターン(ロービーム配光パターンおよびハイビーム配光パターン)を調整することが可能である。
【0020】
図3は、ヘッドランプ1が備えるハイビーム灯具ユニット3の概略構成を示す垂直断面図である。
図3に示すように、ヘッドランプ1は、車両前方側に開口部を有するランプボディ11と、ランプボディ11の開口部を覆うように取り付けられた透明の前面カバー12とを備えている。ランプボディ11と前面カバー12とによって形成される灯室13の内部に、ハイビーム灯具ユニット3、ランプ制御部5、バンク角センサ6、および外部センサ(例えばLiDAR)7等が収容されている。なお、
図3の断面図では図示されていないが、ロービーム灯具ユニット2もハイビーム灯具ユニット3と同様にヘッドランプ1の灯室13の内部に収容されている。
【0021】
ハイビーム灯具ユニット3は、いわゆるプロジェクタ型の灯具である。ハイビーム灯具ユニット3は、投影レンズ31(光学部材の一例)と、ハイビームの光源33(光源の一例)を有する光源ユニット32と、投影レンズ31および光源ユニット32を保持するホルダ34とを備えている。投影レンズ31は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであり、車両前後方向に延びる光軸Ax上に配置されている。投影レンズ31は、その周縁部がホルダ34の前端側に保持されている。投影レンズ31は、光源33からの光を灯具前方へ照射して所定のハイビーム配光パターンを形成する。
【0022】
光源ユニット32は、光源33が光軸Ax方向における前方を向くように配置されて、ホルダ34の後端側に保持されている。光源33は、ランプ制御部5と電気的に接続されている。ホルダ34は、図示しない支持部材を介してランプボディ11に取り付けられている。
【0023】
図4は、ハイビーム灯具ユニット3の光源ユニット32の概略構造を示す斜視図である。光源ユニット32は、光源33と、支持プレート35と、ヒートシンク36とを有する。光源33は、例えば発光ダイオード(LED)などの発光素子で構成される複数の個別光源30を有する。光源33は、例えば、横9列縦1行で、並列配置される個別光源30a~30iを有し、支持プレート35の前方側表面に固定されている。個別光源30a~30iは、LEDアレイとして構成されている。各々の個別光源30a~30iは、ランプ制御部5と電気的に接続されている。個別光源30a~30iは、後述するADB(Adaptive Driving Beam)モードにおいて、ランプ制御部5により互いに独立に光の照射が制御される。個別光源30a~30iは、左右方向(光軸Axに直交する方向)に並列配置されている。個別光源30の数や配置は特に限定されない。
【0024】
ヒートシンク36は、光源33から発せられる熱を放散させるための部材であり、支持プレート35の車両後方側表面に保持されている。光源ユニット32は、支持プレート35を介してホルダ34に固定されている。
【0025】
次に、自動二輪車100に搭載されたヘッドランプ1によって形成される第一実施形態に係る配光パターンについて、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、自動二輪車100の車体が直進状態にあるとき、すなわち、自動二輪車100が路面に対して車体を垂直にした状態で走行しているときに灯具前方に形成される配光パターン(ハイビーム配光パターンPHおよびロービーム配光パターンPL)である。自動二輪車100の車体が直進状態にある場合とは、例えば、車体が垂直である場合に対して車体の傾きが±10度以内であることを含む。
図6は、自動二輪車100の車体がコーナリング状態にあるとき、例えば、右向きのコーナーを走行するために路面に対して車体を右に傾けた状態で走行しているときに灯具前方に形成される配光パターン(本例ではハイビーム配光パターンPHのみを示す)である。ハイビーム配光パターンPHは、ハイビーム灯具ユニット3によって形成される配光パターンである。ロービーム配光パターンPLは、ロービーム灯具ユニット2によって形成される配光パターンである。
【0026】
図5および
図6では、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを示している。また、自動二輪車100と対向車CVをそれぞれ個別の座標系に表示している。対向車CVは、道路座標系X0-Y0上に表示している。自動二輪車100は、二輪車座標系X1-Y1上に表示している。自動二輪車100が直進状態で走行している
図5の場合には、道路座標系X0-Y0と二輪車座標系X1-Y1とが一致して表示される。なお、H-Hは水平方向、V-Vは垂直方向を表す。
【0027】
図5および
図6に示すように、ハイビーム配光パターンPHは、部分パターンPHa~PHiが水平方向に沿って並ぶ配光パターンである。各部分パターンPHa~PHiは、個別光源30a~30iによってそれぞれ形成される。部分パターンPHaは個別光源30aによって形成されるパターンである。同様に、部分パターンPHbは個別光源30bによって形成され、部分パターンPHcは個別光源30cによって形成され、部分パターンPHdは個別光源30dによって形成され、部分パターンPHeは個別光源30eによって形成され、部分パターンPHfは個別光源30fによって形成され、部分パターンPHgは個別光源30gによって形成され、部分パターンPHhは個別光源30hによって形成され、部分パターンPHiは個別光源30iによって形成されるパターンである。ハイビーム配光パターンPHは、ADBモードにおいて各部分パターンPHa~PHiの形成と非形成との組み合わせにより、自車や対向車あるいは前走車の状況に応じて異なる態様のハイビーム配光パターンとして形成される。
【0028】
次に、ランプ制御部5により実行されるADBモードについて説明する。ランプ制御部5は、例えば外部センサ7が取得する環境情報に基づいて、対向車の存否および対向車の存在位置(自動二輪車100から対向車までの距離、仮想鉛直スクリーンにおける対向車の位置座標など)を含む対向車の状況を検知する。また、ランプ制御部5は、例えばバンク角センサ6が取得する車体の傾斜角情報に基づいて、自車の状況を検知する。また、ランプ制御部5は、例えば速度センサ8が取得する速度情報に基づいて、自車の走行と停止とを含む、自車の状況を検知する。ランプ制御部5は、外部センサ7、バンク角センサ6、および速度センサ8が取得する情報に基づいて、各個別光源30の点消灯を個別に制御する。ランプ制御部5は、個別光源30のうち対向車等の対象物が存在しない領域に対応する個別光源30を点灯状態とし、対向車等の対象物が存在する領域に対応する個別光源30を消灯状態とする。
【0029】
例えば、
図5において、ランプ制御部5は、外部センサ7および速度センサ8が取得する情報に基づいて、対向車CVの存在方向(対向車CVにおける左右側部位置)や自動二輪車100から対向車CVまでの距離等を算出する。また、ランプ制御部5は、バンク角センサ6が取得する情報に基づいて自車の走行傾斜角度を算出する。ランプ制御部5は、外部センサ7、バンク角センサ6等により取得された情報に基づいて、対向車CVに光が照射されないようにするための遮光範囲として通常遮光範囲A(第一非照射範囲の一例)を規定する。通常遮光範囲Aは、道路座標系X0-Y0において対向車CVの左側部を通りY0軸方向に延びる境界線xaと、対向車CVの右側部を通りY0軸方向に延びる境界線xbと、の間がX0軸方向の範囲として規定される。また、通常遮光範囲Aは、境界線xa,xbが二輪車座標系X1-Y1におけるハイビーム配光パターンPHの上部境界と交差する点を通りX0軸方向に延びる境界線yaと、境界線xa,xbが二輪車座標系X1-Y1のX1軸と交差する点を通りX0軸方向に延びる境界線ybと、の間がY0軸方向の範囲として規定される。なお、通常遮光範囲Aは、対向車CVよりもやや大きな範囲あるいは対向車CVよりもやや小さな範囲として規定されてもよい。
【0030】
道路座標系X0-Y0と二輪車座標系X1-Y1とが一致している
図5の例の場合、道路座標系X0-Y0における通常遮光範囲A内の各点の座標値は、二輪車座標系X1-Y1におけるハイビーム配光パターンPH内の同じ座標値に対応付けられる。ランプ制御部5は、規定された通常遮光範囲Aに基づいて、二輪車座標系X1-Y1においてハイビーム配光パターンPHにおける対向車CVの存在しない領域に対応する部分パターンPHa~PHf,PHiを照射領域と判断する。ランプ制御部5は、この照射領域(部分パターンPHa~PHf,PHi)に対応する個別光源30a~30f,30iを点灯状態にする。一方で、ランプ制御部5は、規定された通常遮光範囲Aに基づいて、二輪車座標系X1-Y1においてハイビーム配光パターンPHにおける対向車CVの存在する領域に対応する部分パターンPHg,PHhを非照射領域(遮光領域)と判断する。ランプ制御部5は、この非照射領域(部分パターンPHg,PHh)に対応する個別光源30g,30hを消灯状態にする。
【0031】
これにより、自動二輪車100が直進状態で走行している場合には、対向車CVに光を照射しないための通常遮光範囲Aを含むように、対向車CVが存在する領域に対応する部分パターンPHgとPHhとが非照射領域とされたハイビーム配光パターンPHが形成される。なお、「非照射領域」には、対向車の運転者にグレアを与えない程度に低照度で光を照射する領域が含まれてもよい。
【0032】
次に、
図6に示すように、自動二輪車100がコーナリング状態にある場合、例えば、路面に対して車体を右に角度θ傾けた場合には、二輪車座標系X1-Y1は、道路座標系X0-Y0に対して角度θだけ傾斜した状態となる。なお、
図6では、二輪車座標系X1-Y1が紙面の水平方向および垂直方向に沿うように表示されている。
【0033】
図6に示す例においても、ランプ制御部5は、
図5で説明した場合(車体が直進状態にある場合)と同様にして、外部センサ7、バンク角センサ6等により取得された対向車CVの情報に基づき、境界線xa,xb,ya,ybで囲まれる通常遮光範囲B(第一非照射範囲の一例)を道路座標系X0-Y0上に規定する。
【0034】
例えば、ランプ制御部5は、通常遮光範囲Bにおける境界線xaと境界線yaとの交点である左上点P1の座標値と、境界線xbと境界線ybとの交点である右下点P2の座標値とを、車体の傾斜角θ等の情報に基づいて座標変換し、二輪車座標系X1-Y1上の座標値としてそれぞれ算出する。このとき、道路座標系X0-Y0における通常遮光範囲Bの左上点P1の座標値(x01,y01)は、例えば二輪車座標系X1-Y1における座標値(x11,y11)として算出される。また、道路座標系X0-Y0における通常遮光範囲Bの左上点P2の座標値(x02,y02)は、例えば二輪車座標系X1-Y1における座標値(x12,y12)として算出される。左上点P1および右下点P2の二輪車座標系X1-Y1における座標値は、車体の傾斜角度に応じて変化する値である。
【0035】
ランプ制御部5は、二輪車座標系X1-Y1において、座標値(x11,y11)に対応する領域として、座標値x11をX0軸方向における領域内に含むハイビーム配光パターンPHの部分パターンPHeを特定する。また、ランプ制御部5は、二輪車座標系X1-Y1において、座標値(x12,y12)に対応する領域として、座標値x12をX0軸方向における領域内に含むハイビーム配光パターンPHの部分パターンPHhを特定する。ランプ制御部5は、特定された部分パターンPHeから部分パターンPHhに亘る部分パターンPHe,PHf,PHg,PHhを非照射領域と判断する。ランプ制御部5は、この非照射領域(部分パターンPHe,PHf,PHg,PHh)に対応する個別光源30e,30f,30g,30hを消灯状態にする。一方で、ランプ制御部5は、部分パターンPHe,PHf,PHg,PHh以外の部分パターンPHa~PHd、およびPHiを照射領域と判断する。ランプ制御部5は、この照射領域(部分パターンPHa~PHd,PHi)に対応する個別光源30a~30d,30iを点灯状態にする。
【0036】
このように、車体が傾いた場合に規定される通常遮光範囲Bの左上点P1と右下点P2を基準としてハイビーム配光パターンPHの非照射領域を設定した場合、例えば、
図5で説明した車体が直進状態である場合に設定される非照射領域と比べて、非照射領域の範囲が大きくなる。具体的には、
図5で説明した車体が直進状態である場合に設定される通常遮光範囲Aに対応する非照射領域が2つの部分パターンPHg,PHhであるのに対して、車体がコーナリング状態にある場合に設定される通常遮光範囲Bに対応する非照射領域は4つの部分パターンPHe,PHf,PHg,PHhになる。
【0037】
これに対して、本実施形態のヘッドランプ1においては、ランプ制御部5は、通常遮光範囲Bにおける境界線xaと境界線yaとの交点である左上点P1に替えて、境界線xa上における左上点P1よりも下方の点である左測点P3を選択する。左測点P3は、対向車CVの大きさ、例えば、対向車CVの車高に基づいて選択される点である。例えば、左測点P3のY0軸方向の座標値は、対向車として想定される大型車の車高を考慮した最大車高値に予め設定されている。一例として、最大車高値として3mが設定されている。なお、左側点P3は、例えば対向車のドライバーの視線位置を考慮して設定されてもよい。ランプ制御部5は、選択された左測点P3に基づいて、対向車CVに光が照射されないようにするための遮光範囲として縮小遮光範囲C(第二非照射範囲の一例)を道路座標系X0-Y0上に規定する。縮小遮光範囲Cは、通常遮光範囲Bよりも狭い領域として規定された遮光範囲である。
【0038】
ランプ制御部5は、選択された左測点P3の座標値を、車体の傾斜角θ等の情報に基づいて座標変換し、二輪車座標系X1-Y1上の座標値として算出する。このとき、道路座標系X0-Y0における通常遮光範囲Bの左測点P3の座標値(x03,y03)は、例えば二輪車座標系X1-Y1における座標値(x13,y13)として算出される。
【0039】
ランプ制御部5は、二輪車座標系X1-Y1において、座標値(x13,y13)に対応する領域として、座標値x13をX0軸方向における領域内に含むハイビーム配光パターンPHの部分パターンPHfを特定する。また、ランプ制御部5は、上記と同様に右下点P2における二輪車座標系X1-Y1上の座標値(x12,y12)に対応する領域としてハイビーム配光パターンPHの部分パターンPHhを特定する。ランプ制御部5は、特定された部分パターンPHfから部分パターンPHhに亘る部分パターンPHf,PHg,PHhを非照射領域と判断する。ランプ制御部5は、この非照射領域(部分パターンPHf,PHg,PHh)に対応する個別光源30f,30g,30hを消灯状態にする。一方で、ランプ制御部5は、部分パターンPHf,PHg,PHh以外の部分パターンPHa~PHe,およびPHiを照射領域と判断する。ランプ制御部5は、この照射領域(部分パターンPHa~PHe,PHi)に対応する個別光源30a~30e,30iを点灯状態にする。
【0040】
すなわち、車体が右側に傾いた場合、縮小遮光範囲Cの左測点P3と右下点P2を基準としてハイビーム配光パターンPHの非照射領域を設定することで、通常遮光範囲Bの左上点P1と右下点P2を基準として設定される非照射領域と比べて、非照射領域の範囲が小さくなる。具体的には、通常遮光範囲Bの左上点P1と右下点P2を基準とした非照射領域が4つの部分パターンPHe,PHf,PHg,PHhであるのに対して、縮小遮光範囲Cの左測点P3と右下点P2を基準とした非照射領域は3つの部分パターンPHf,PHg,PHhになる。
【0041】
路面に対する車体の傾きが大きいほど道路座標系X0-Y0に対する二輪車座標系X1-Y1の傾斜角θも大きくなる。このため、道路座標系X0-Y0における通常遮光範囲Bの左上点P1の座標値(x01,y01)を座標変換して二輪車座標系X1-Y1上の座標値(x11,y11)として算出したとき、座標値(x01,y01)と(x11,y11)との差異は、車体の傾きが大きいほど大きくなる。座標値(x01,y01)と(x11,y11)との差異が大きくなると、座標値(x11,y11)に対応する領域として特定されるハイビーム配光パターンPHの部分パターンの位置が左方向に変化して、非照射領域と判断される部分パターンの範囲が大きくなる。そこで、対向車CVの最大車高値に基づいて左測点P3の座標値(x03,y03)を特定し、通常遮光範囲Bよりも狭い縮小遮光範囲Cを規定することで、左測点P3の座標値(x03,y03)を座標変換して二輪車座標系X1-Y1上の座標値(x13,y13)として算出したときに座標値(x03,y03)と(x13,y13)との差異を小さくでき、非照射領域と判断される部分パターンの範囲を小さくすることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、自動二輪車100が路面に対して車体を右に傾けた場合について説明したが、例えば自動二輪車100が路面に対して車体を左に傾けた場合にも、ランプ制御部5は同様にしてハイビーム配光パターンPHの非照射領域を設定することができる。具体的には、車体が左に傾いた場合には、対向車CVの最大車高値に基づいて右測点の座標値を特定して、通常遮光範囲よりも狭い縮小遮光範囲を規定することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るヘッドランプ1は、光源33と、光源33からの光を灯具前方へ照射して所定のハイビーム配光パターンPHを形成する投影レンズ31と、車両外部の対向車CV(対象物の一例)が検知された場合には対向車CVに光を照射しない通常遮光範囲B(第一非照射範囲の一例)を含むように所定のハイビーム配光パターンPHを調節するランプ制御部5とを備えている。ランプ制御部5は、車体が直進状態にある場合に基づいて通常遮光範囲Bを規定し、車体がコーナリング状態にある場合には、車体の傾き状態に応じて対象物の高さ情報を取得し、高さ情報に基づいて通常遮光範囲Bよりも狭い縮小遮光範囲C(第二非照射範囲の一例)を規定し、通常遮光範囲Bに代えて縮小遮光範囲Cを含むように所定のハイビーム配光パターンPHを調節するように構成されている。これにより、自動二輪車100の車体が傾いた状態で形成されるハイビーム配光パターンPHにおいて、対向車CVが存在する領域に光を照射しないようにするための非照射範囲をできる限り小さくすることができる。
【0044】
また、本実施形態においては、光源33は、並列された複数の個別光源30a~30iを含み、ハイビーム配光パターンPHは、複数の個別光源30a~30iからの光によって水平方向に沿って並列して形成される複数の部分パターンPHa~PHiから構成されている。ランプ制御部5は、対向車CVの高さ情報に基づいて、部分パターンPHa~PHiのうち縮小遮光範囲Cを含む部分パターンを形成する個別光源30を消灯することにより、縮小遮光範囲Cを含む所定のハイビーム配光パターンPHを形成する。このようにLEDアレイ等を用いた簡便な構成で、縮小遮光範囲Cを形成することができる。
【0045】
(変形例)
次に、
図7Aおよび
図7Bを参照して、ランプ制御部5が縮小遮光範囲Cを規定する制御方法の変形例について説明する。上述した実施形態においては、ランプ制御部5は、対向車CVの車高として想定される最大車高値(例えば、3m)に基づいて左測点P3を選択し、縮小遮光範囲Cを規定しているが、これに限られない。例えば、ランプ制御部5は、外部センサ7によって計測される各対向車CVの車高値を取得し、取得された個々の車高値に基づいて各対向車CVに対する左測点P3を選択して、対向車CV毎に縮小遮光範囲Cを規定するようにしてもよい。
【0046】
例えば、
図7Aに示すように、対向車CV1が大型車であって、対向車CV1の車高値H1が取得された場合、ランプ制御部5は、取得された車高値H1に基づいて対向車CV1に対する左測点P3を選択し、対向車CV1の縮小遮光範囲Cを規定する。
例えば、
図7Bに示すように、対向車CV2が小型車であって、対向車CV1の車高値H1よりも小さい対向車CV2の車高値H2が取得された場合、ランプ制御部5は、取得された車高値H2に基づいて対向車CV2に対する左測点P3を選択し、対向車CV2の縮小遮光範囲Cを規定する。これにより、対向車CVが小型車である場合には、さらに小さな縮小遮光範囲Cを規定することができる。
【0047】
以上説明したように、本変形例におけるランプ制御部5の制御方法によれば、対向車CVの高さに応じて縮小遮光範囲C(第二非照射範囲)を変更することで、縮小遮光範囲Cの更なる狭小化を実現することができる。なお、遮光対象は対向車CVに限られず、前走車に対して同様の制御を行ってもよい。
【0048】
(第二実施形態)
次に、
図8および
図9を参照して、第二実施形態に係るヘッドランプ101が備えるハイビーム灯具ユニット103の構成を説明する。
図8に示すように、ハイビーム灯具ユニット103は、プロジェクタ型の灯具である。ハイビーム灯具ユニット103は、回転リフレクタ111(光学部材の一例)と、LED113(光源の一例)と、回転リフレクタ111の前方に配置された投影レンズ115(光学部材の一例)とを備えている。なお、LED113の代わりにEL素子やLD素子などの半導体発光素子を光源として用いることも可能である。特に後述する配光パターンの一部を非照射とするための制御には、点消灯が短時間に精度よく行える光源が好ましい。投影レンズ115の形状は、要求される配光パターンや照度分布などの配光特性に応じて適宜選択すればよいが、非球面レンズや自由曲面レンズが用いられる。本実施形態では、投影レンズ115として凸状の非球面レンズを用いている。
【0049】
回転リフレクタ111は、不図示のモータなどの駆動源により回転軸Rを中心に一方向に回転する。また、回転リフレクタ111は、LED113から出射した光を回転しながら反射し、所望の配光パターンを形成するように構成された反射面を備えている。
【0050】
図9に示すように、回転リフレクタ111は、形状の同じ3枚のブレード111aと、筒状の回転部111bとを備えている。ブレード111aは、反射面として機能し、回転部111bの周囲に設けられている。回転リフレクタ111の回転軸Rは、光軸Axに対して斜めになっており、光軸AxとLED113とを含む平面内に設けられている。
【0051】
ブレード111aは、回転軸Rを中心とする周方向に向かうにつれて、光軸Axと反射面とが成す角が変化するように捩られた形状を有している。これにより、
図9に示すようにLED113の光を用いた走査が可能となる。具体的には、回転リフレクタ111は、120度回転することで、LED113の光によって前方を一方向(水平方向)に1回走査できるように構成されている。すなわち、1枚のブレード111aがLED113の前を通過することで、車両前方の所望の領域がLED113の光によって1回走査されることになる。
【0052】
第二実施形態においても、ランプ制御部5は、車体が直進状態にある場合に基づいて通常遮光範囲Bを規定し、車体がコーナリング状態にある場合には、車体の傾き状態に応じて対象物の高さ情報を取得し、高さ情報に基づいて通常遮光範囲Bよりも狭い縮小遮光範囲C(第二非照射範囲)を規定し、通常遮光範囲Bに代えて縮小遮光範囲Cを含むように所定のハイビーム配光パターンPHを調節する。具体的には、ランプ制御部5は、対向車CVの高さ情報に基づいて選択した左測点P3の座標値を、車体の傾斜角θの情報に基づいて座標変換し、二輪車座標系X1-Y1上の座標値として算出する。次いで、ランプ制御部5は、二輪車座標系X1-Y1上の座標値として算出された座標値に対応する領域として、ハイビーム配光パターンPHのうち一部の部分パターンを特定し、特定した部分パターンを非照射領域と判断する。次いで、ランプ制御部5は、LED113の点消灯のタイミングを回転リフレクタ111の回転と同期させることで、ハイビーム配光パターンPHのうち非照射領域にLED113からの光が照射されないように、LED113や回転リフレクタ111の動作を制御する。このように、回転リフレクタ111をそなえたスキャン光学系のハイビーム灯具ユニット103においても、LEDアレイを備えた第一実施形態に係るハイビーム灯具ユニット3と同様に、車体が傾いた場合に対向車CVの高さ情報に基づいて通常遮光範囲Bに代えて縮小遮光範囲Cを規定することで、対向車CVが存在する領域に光を照射しないようにするための非照射範囲をできる限り小さくすることができる。
【0053】
なお、回転リフレクタ111に代えて、ガルバノミラーやポリゴンミラーを備えたスキャン光学系のハイビーム灯具ユニットを採用してもよい。この場合も、上記の同様の制御を行うことで、第一実施形態および第二実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0054】
(第三実施形態)
次に、自動二輪車100に搭載されたヘッドランプ1によって形成される第三実施形態に係る配光パターンについて、
図10を参照して説明する。
【0055】
図10は、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンを示している。
図10において、H-Hは水平方向(水平線H)を、V-Vは垂直方向をそれぞれ示している。また
図10は、対象物の一例である対向車CVを示している。対象物は前走車を含んでもよい。
【0056】
図10において、ハイビーム配光パターンPHは、ハイビーム灯具ユニット3によって形成される配光パターンであり、配光パターンの一例である。
図10には示していないが、ロービーム配光パターンPLは、ロービーム灯具ユニット2によって形成される配光パターンである。
【0057】
図10は、自動二輪車100が配光パターンを形成した状態であって、且つ路面に対して車体を傾けた状態で走行する場合の配光パターンを示している。例えば
図10は、自動二輪車100が路面の右側に寄る場合や右へ曲がる曲路を走行する場合の配光パターンを示している。車体のバンク角度は限定されないが、例えばバンク角度は10度、20度、30度等である。自動二輪車100が路面の左側に寄る場合や左へ曲がる曲路を走行する場合の配光パターンの制御方法は、左右の方向が逆であること以外は、自動二輪車100が路面の右側に寄る場合や右へ曲がる曲路を走行する場合の配光パターンの制御方法と同じであるため、説明は省略する。
【0058】
ハイビーム灯具ユニット3から照射された光は、車両前方に照射され、ハイビーム配光パターンPHを形成する。具体的には、ハイビーム灯具ユニット3の個別光源30aは部分パターンPHaを、個別光源30bは部分パターンPHbを、個別光源30cは部分パターンPHcを、個別光源30dは部分パターンPHdを、個別光源30eは部分パターンPHeを、個別光源30fは部分パターンPHfを、個別光源30gは部分パターンPHgを、個別光源30hは部分パターンPHhを、個別光源30iは部分パターンPHiを形成し、当該部分パターンPHa~PHiが合成されることでハイビーム配光パターンPHが形成される。言い換えると、ハイビーム配光パターンPHは複数の部分パターンPHa~PHi(範囲の一例)を含む。本実施形態では、ハイビーム灯具ユニット3は、
図4に示すように合計9つの個別光源30a~30iを備えるので、
図10のように9つの部分パターンPHa~PHiが形成される。ハイビーム灯具ユニット3は、後述のADBモードにおいて各部分パターンPHa~PHiの形成と非形成との組み合わせにより、対向車CVに応じて形状の異なる複数のハイビーム配光パターンPHを形成する。
【0059】
自動二輪車100が、ハイビーム配光パターンPHを形成しながら路面に対して車体を垂直に走行する状態から、路面に対して車体を傾けて走行する状態へ変化した場合について、以下説明する。自動二輪車100が路面に対して車体を傾けて走行した場合、車体の傾きに伴ってハイビーム灯具ユニット3も路面に対して傾くため、ハイビーム配光パターンPHは水平方向H-Hに対して傾斜して形成される。
図10では、自動二輪車100が路面に対して車体を垂直にした状態で走行した場合のハイビーム配光パターンPH´を破線で示し、自動二輪車100が路面に対して車体を傾けた状態で走行した場合のハイビーム配光パターンPHを実線で示す。
【0060】
バンク角センサ6で検出した車体のバンク角(傾き)が所定角以上であるとランプ制御部5が判断した場合、ランプ制御部5はハイビーム配光パターンPHを、所定の基準線L以下の領域として第一領域S1を、前記基準線よりも上の領域として第二領域S2を識別する。基準線Lは、車体の左右方向に延びる、水平線Hに平行な線であり、且つ対象物の位置において水平線Hから所定の高さを有する。
【0061】
続いて、ランプ制御部5により実行されるADBモードについて説明する。ランプ制御部5は、例えば外部センサ7が取得する環境情報に基づいて、対向車CVの存否および対向車CVの存在位置(自動二輪車100から対向車までの距離、仮想鉛直スクリーンにおける対向車の位置座標など)を含む対向車CVの状況を検出する。また、ランプ制御部5は、例えばバンク角センサ6が取得する車体の傾斜角情報に基づいて、車体の傾きを検出する。また、ランプ制御部5は、例えば速度センサ8が取得する速度情報に基づいて、自動二輪車100の走行と停止とを含む、自動二輪車100の状況を検出する。ランプ制御部5は、外部センサ7、バンク角センサ6、および速度センサ8が取得する情報に基づいて、配光パターンを制御する。
【0062】
ランプ制御部5は、外部センサ7から環境情報を取得すると、当該検出結果に基づいてハイビーム灯具ユニット3の複数の個別光源30の点消灯を個別に制御する。具体的にランプ制御部5は、複数の個別光源30a~30iのうちハイビーム配光パターンPHの光照射に使用される部分パターンの個別光源30を点灯状態とし、ハイビーム配光パターンPHの光照射に使用されない部分パターンの個別光源30を消灯状態とするよう、ハイビーム灯具ユニット3の複数の個別光源30をそれぞれ制御する。
【0063】
図10は、自動二輪車100が路面に対して車体を傾けた状態で走行する場合において、対向車CVが部分パターンPHh´の位置に存在する様子を示している。部分パターンPHh´は、自動二輪車100が路面に対して車体を垂直にした状態で走行した場合のハイビーム配光パターンPH´の一部である。外部センサ7は、対向車CVを検出した場合、当該検出結果をランプ制御部5へ送信する。
【0064】
外部センサ7から検出結果を受信したランプ制御部5は、ハイビーム灯具ユニット3の各個別光源30をそれぞれ点灯あるいは消灯する。従来、ランプ制御部5は、対向車CVの運転者に対するグレアを防止するため、対向車CVが存在する部分パターンに対応する個別光源を消灯するように制御していた。
図10の場合、ランプ制御部5は部分パターンPHh´に対応する部分パターンPHhを消灯するように、個別光源30hを消灯していた。しかしながら、車体の傾きに伴ってハイビーム配光パターンPHは基準線Lに対して傾斜して形成されるので、実際には対向車CVは部分パターンPHhに存在しておらず、個別光源30hを消灯する必要はない。言い換えると、対向車CVの運転者へのグレアには影響がないにも関わらず、従来の車両用灯具は対向車CVの位置に対応する部分パターンPHhに対して光を照射しないように、対応する個別光源30hを消灯していた。このような個別光源30hの不必要な消灯は自動二輪車100の運転者に対して違和感を与えてしまうという課題があった。
【0065】
本実施形態のランプ制御部5は、各部分パターンPHa~PHiそれぞれが基準線L以下の領域である第一領域S1のみを含むか否かを判断して、個別光源の不必要な消灯を回避する。
図10の場合、部分パターンPHh、PHiは第一領域S1のみを含んでいるので、ランプ制御部5は当該部分パターンPHh、PHiに対して光の照射を継続するように、個別光源30h、30iを制御する。たとえ対向車CVが部分パターンPHh´の位置に存在していても、外部センサ7の検出結果に関わらず、ランプ制御部5は個別光源30hを点灯し続けるように制御する。部分パターンPHhは第一領域S1のみを含んでいるので、個別光源30hを消灯する必要がないためである。なお本実施形態では、部分パターンPHa~PHgには対向車CVは存在しないので、個別光源30a~30gは点灯し続けてもよい。個別光源30a~30gが点灯しても、対向車CVの運転者にグレアを与えるおそれはないためである。
【0066】
このようにすることで本実施形態は、外部センサ7の検出結果に関わらず、基準線L以下の領域である第一領域S1に対して光の照射が継続されるため、個別光源30の不必要な消灯は行われず、自動二輪車100の運転者にとって違和感のない配光パターンを提供することができる。
【0067】
ある部分パターンが第一領域S1及び第二領域S2の両方を含む場合であって、対向車CVが当該部分パターンに含まれると外部センサ7が検出した場合には、ランプ制御部5は当該部分パターンに対して光を照射しないよう、対応する個別光源を消灯して、配光パターンを調節してもよい。
図11は、自動二輪車100が路面に対して車体を傾けた状態で走行する場合において、対向車CVが部分パターンPHfの位置に存在する様子を示している。部分パターンPHfは第一領域S1及び第二領域S2の両方を含んでおり、且つ対向車CVを含んでいる。外部センサ7は、対向車CVが部分パターンPHfに含まれることと検出した場合、当該検出結果をランプ制御部5へ送信する。
【0068】
外部センサ7から検出結果を受信したランプ制御部5は、部分パターンPHfに対して光を照射しないように、対応する個別光源30fを消灯する。このようにすることで本実施形態は、基準線L以下の領域である第一領域S1への光の照射は継続しつつ、対向車CVの運転者に対するグレアを防止することができる。
【0069】
対象物が対向車CVまたは前走車のいずれか一方である場合、基準線Lは、対向車CVの窓ガラスまたは前走車の窓ガラスよりも低いことが好ましい。窓ガラスとして四輪車のフロントウィンドウやリアウィンドウ、二輪車のフロントシールドが挙げられる。これら窓ガラスは樹脂やビニル等、ガラスに限らず他の材料で形成されてもよい。対象物が対向車CVである場合、基準線Lは対向車CVのフロントウィンドウまたはウィンドシールドWSよりも低いことが好ましい。すなわちランプ制御部5は、外部センサ7の検出結果に関わらず、対向車CVのフロントウィンドウまたはウィンドシールドWSよりも低い位置に光を照射するようにハイビーム配光パターンPHを調節してもよい。この場合に本実施形態は、対向車CVの運転者に対するグレアを防止しつつ、個別光源30の不必要な消灯を回避して、自動二輪車100の運転者にとって違和感のない配光パターンを提供することができる。対象物が前走車である場合、基準線Lは前走車のリアウィンドウまたは標識灯よりも低いことが好ましい。
基準線Lは、対向する自動車の前照灯よりも低くてもよい。すなわちランプ制御部5は、対向する自動車の前照灯よりも低い位置に光を照射するようにハイビーム配光パターンPHを調節してもよい。この場合に本実施形態は、基準線Lが対向する自動車の前照灯よりも低いため、対向する自動車の運転者の顔に光が当たらず、対向する自動車の運転者に対するグレアを防ぐことができる。
【0070】
ランプ制御部5は、第一領域S1及び第二領域S2の両方を含み、且つ対向車CVを含む部分パターンPHfにおいて、部分パターンPHfのうち基準線L以下である第一領域S1に対しては点灯し、部分パターンPHfのうち基準線Lよりも上の第二領域S2に対しては消灯するように、個別光源30fを制御しても良い。すなわち、ランプ制御部5は、1つの部分パターンの一部分に光を照射し、他の部分には光を照射しないように1つの個別光源を制御する。この場合ハイビーム灯具ユニットは回転リフレクタ等を備えたスキャン光学系を備えることが好ましい。
【0071】
図12はハイビーム配光パターンの制御方法を示すフローチャートである。以下に、ランプ制御部5がハイビーム配光パターンPHを制御する方法について説明する。
【0072】
まずランプ制御部5は、車体の傾きが所定角以上であるか否かを、バンク角センサ6を使用して判断する(STEP1)。車体の傾きが所定角未満である場合(STEP1でNO)、ランプ制御部5は、STEP1へ戻り、車体の傾きが所定角以上となるまで定期的に検出を続ける。
【0073】
車体の傾きが所定角以上である場合(STEP1でYES)、ランプ制御部5は、部分パターンPHa~PHiそれぞれが第一領域S1のみを含むか否かを判断する(STEP2)。複数の部分パターンのうち、第一領域S1のみを含む部分パターンがあると判断された場合(STEP2でYES)、外部センサ7の検出結果に関わらず、ランプ制御部5は当該部分パターンに対して光の照射を継続するように、対応する個別光源30の点灯を継続する(STEP3)。
【0074】
図10においては、部分パターンPHh、PHiが第一領域S1のみを含んでいるので、ランプ制御部5は個別光源30h、30iの点灯を継続する。たとえ対向車CVが存在していても、外部センサ7の検出結果に関わらず、ランプ制御部5は個別光源30hを点灯し続けるように制御する。部分パターンPHhは第一領域S1のみを含んでいるので、対向車CVの運転者に対してグレアを与えるおそれはなく、個別光源30hを消灯する必要がないためである。このようにして本実施形態は、個別光源30の不必要な消灯を行うことなく、自動二輪車100の運転者にとって違和感のない配光パターンを提供することができる。
【0075】
複数の部分パターンPHa~PHiのうち、第一領域S1だけでなく、第二領域S2も含む部分パターンがあるとランプ制御部5が判断した場合(STEP2でNO)、外部センサ7は当該部分パターンに対向車CVが含まれるかを検出する(STEP4)。
【0076】
外部センサ7が対向車CVを検出しなかった場合(STEP4でNO)、ランプ制御部5は当該部分パターンに対して光の照射を続けるよう、対応する個別光源30の点灯を継続する(STEP5)。
【0077】
図10においては、部分パターンPHe、PHf、PHgは、第一領域S1だけでなく第二領域S2も含む部分パターンであるが、対向車CVは含まれていない。この場合、ランプ制御部5は部分パターンPHe、PHf、PHgに対して光の照射を続けるよう、個別光源30e、30f、30gを点灯し続けるように制御する。このようにすることで本実施形態は、対向車CVを含まない部分パターンに対して光量を確保することができ、運転支援時の視認性を向上することができる。
【0078】
外部センサ7が対向車CVを検出した場合(STEP4でYES)、当該部分パターンは第一領域S1だけでなく第二領域S2も含む部分パターンであって、且つ対向車CVを含む部分パターンであると判断される。この場合、ランプ制御部5は当該部分パターンに対して光を照射しないよう、対応する個別光源30を消灯する(STEP6)。
【0079】
図11においては、部分パターンPHfは第一領域S1及び第二領域S2の両方を含んでおり、且つ対向車CVが当該部分パターンPHfに含まれているので、ランプ制御部5は個別光源30fを消灯する。このようにすることで本実施形態は、基準線L以下の領域である第一領域S1への光の照射は継続しつつ、対向車CVの運転者に対するグレアを防止することができる。
【0080】
STEP3、STEP5、STEP6の後、ランプ制御部5は全ての部分パターンが判断されたか否かを確認する(STEP7)。全ての部分パターンが判断されていない場合(STEP7でNO)には、ランプ制御部5は、判断されていない部分パターンについてSTEP2~STEP7を繰り返す。全ての部分パターンPHa~PHiが判断された場合には(STEP7でYES)、ハイビーム配光パターンPHが形成され、本プロセスを終了する。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲およびその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0082】
上記の実施形態では、ランプ制御部5、バンク角センサ6および外部センサ7が、ヘッドランプ1の灯室内に収容されている構成を開示しているが、この例に限られない。ランプ制御部5、バンク角センサ6および外部センサ7が、ヘッドランプ1とは別体で配置されていてもよい。
【0083】
本出願は、2019年12月16日出願の日本特許出願2019-226553号及び2019年12月16日出願の日本特許出願2019-226554号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行する車両に設けられた車両用灯具であって、
光源と、
前記光源からの光を灯具前方へ照射して所定の配光パターンを形成する光学部材と、
前記車体が直進状態にある場合であって、前記車両外部の対象物が検知された場合には、前記対象物に前記光を照射しない第一非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記車体がコーナリング状態にある場合には、前記第一非照射範囲よりも狭い第二非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節する、車両用灯具。
【請求項2】
前記制御部は、前記車体がコーナリング状態にある場合に、前記車体の傾き情報と前記対象物の高さ情報とを取得して、前記第二非照射範囲を含むように前記所定の配光パターンを調節する、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源は、並列配置された複数の発光素子を含み、
前記配光パターンは、前記複数の発光素子からの光によって水平方向に沿って並列して形成される複数の領域から構成され、
前記制御部は、前記高さ情報に基づいて、前記複数の領域のうち前記第二非照射範囲を含む領域を形成する発光素子を消灯することにより、前記第二非照射範囲を含む前記所定の配光パターンを形成する、請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の領域のうち前記第二非照射範囲を含む領域を形成する発光素子を全て消灯し、前記複数の領域のうち前記第二非照射範囲を含まない領域を形成する発光素子を全て点灯して、前記第二非照射範囲を含む前記所定の配光パターンの形成を完了する、請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光学部材は、回転リフレクタ、ガルバノミラー、およびポリゴンミラーのうち少なくとも一つから構成されており、
前記制御部は、前記高さ情報に基づいて、前記回転リフレクタ、前記ガルバノミラー、および前記ポリゴンミラーのうち少なくとも一つによる前記光の走査方向と前記光源からの光の出射タイミングとを制御することにより、前記第二非照射範囲を含む前記所定の配光パターンを形成する、請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記対象物は対向車および前走車の少なくとも一方を含み、
前記制御部は、前記車両が備える外部センサにより計測された前記対向車および前記前走車の少なくとも一方の高さに基づいて変更された前記高さ情報に基づいて前記第二非照射範囲を変更する、請求項2から4のいずれか一項に記載の車両用灯具。