(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038308
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】抗血液樹状細胞抗原2抗体の臨床使用のための医薬組成物及び投与レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240312BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240312BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240312BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240312BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240312BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240312BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240312BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K9/08 ZNA
A61K39/395 D
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/26
A61P17/00
A61P37/02
C07K16/28
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001801
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2022043702の分割
【原出願日】2017-04-27
(31)【優先権主張番号】62/328,959
(32)【優先日】2016-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】398050098
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マーク アール. エイチ. クレブス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダイ
(72)【発明者】
【氏名】シャンタヌ スレ
(72)【発明者】
【氏名】ダニア ラバー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド マーティン
(57)【要約】
【課題】抗血液樹状細胞抗原2(BDCA2)抗体の製剤及び投与レジメンを提供すること。
【解決手段】本発明の製剤及び投与レジメンは、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、及び円板状エリテマトーデス、ならびにサイトカイン放出症候群などのBDCA2関連障害の治療において使用される。一態様では、本発明は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を提供する。方法は、ヒト対象に対し抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月28日に提出された米国仮特許出願第62/328,959号に対する優先権を主張するものであり、その記載内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は一般に、抗血液樹状細胞抗原2抗体の臨床使用のための医薬組成物及び投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0002】
血液樹状細胞抗原2(BDCA2)は、ヒト形質細胞様樹状細胞(pDC)に発現するC型レクチンであり(Dzionek et al.,J.Immunol.,165:6037-6046(2000))、toll様受容体(TLR)リガンドに応答してI型インターフェロン(IFN)を分泌する骨髄由来細胞の特化集団である。BDCA2は、そのC末端のII型のC型レクチン群に属する単一細胞外糖認識ドメイン(CRD)、膜貫通領域、及びそのN末端の、シグナル伝達モチーフ非保有の短い細胞質側末端からなる。BDCA2は、会合している膜貫通アダプターFcεRIγを介して細胞内シグナルを伝達し、B細胞受容体(BCR)様シグナル伝達カスケードを誘導する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Dzionek et al.,J.Immunol.,165:6037-6046(2000)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一部には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の組成物及び投与レジメン、ならびにそれらを全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス(CLE)、及び円板状エリテマトーデス(DLE)などのBDCA2関連障害の治療で使用することに関する。
【0005】
一態様では、本開示は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、ショ糖、及びアルギニン塩酸塩(Arg.HCl)を含む医薬組成物を特徴とする。
【0006】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはBIIB059のCDRを含む。いくつかの例では、BIIB059の6つのCDRは、配列番号1または17、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする。
【0007】
いくつかの実施形態では、組成物は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で含む。他の実施形態では、組成物は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~175mg/mlの濃度で含む。ある実施形態では、組成物は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mg/mlの濃度で含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、組成物はショ糖を0.05%~10%の濃度で含む。他の実施形態では、組成物はショ糖を1%~5%の濃度で含む。ある実施形態では、組成物はショ糖を3%の濃度で含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物はArg.HClを50mM~250mMの濃度で含む。他の実施形態では、組成物はArg.HClを75mM~125mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はArg.HClを100mMの濃度で含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物はポリソルベート80(PS80)をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物はPS80を0.01%~0.1%の濃度で含む。他の実施形態では、組成物はPS80を0.03%~0.08%の濃度で含む。ある実施形態では、組成物はPS80を0.05%の濃度で含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、組成物はヒスチジンをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物はヒスチジンを5mM~50mMの濃度で含む。他の実施形態では、組成物はヒスチジンを15mM~25mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はヒスチジンを20mMの濃度で含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物はpHが5.3~5.7である。他の実施形態では、組成物はpHが5.5である。
【0013】
いくつかの実施形態では、組成物はメチオニンをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物はメチオニンを1mM~20mMの濃度で含む。他の実施形態では、組成物はメチオニンを5mM~15mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はメチオニンを10mMの濃度で含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物はグルタミン酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物はグルタミン酸を50mM~100mMの濃度で含む。他の実施形態では、組成物はグルタミン酸を50mM~80mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はグルタミン酸を70mMの濃度で含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~175mg/mlの濃度で含み、ショ糖を1%~5%の濃度で、ヒスチジンを15mM~25mMの濃度で、Arg.HClを75mM~125mMの濃度で、PS80を0.03%~0.08%の濃度で含む。組成物はpHが5.3~5.7である。ある実施形態では、組成物は、5mM~15mMの濃度のメチオニンも含む。ある実施形態では、組成物は、60mM~80mMの濃度のグルタミン酸も含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mg/mlの濃度で含み、ショ糖を3%の濃度で、ヒスチジンを20mMの濃度で、Arg.HClを100mMの濃度で、PS80を0.05%の濃度で含む。組成物はpHが5.5である。ある実施形態では、組成物は、10mMの濃度のメチオニンも含む。ある実施形態では、組成物は、70mMの濃度のグルタミン酸も含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7の配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8の配列を含むかまたは構成要素とする。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含む。ある例では、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。他の例では、重鎖は、配列番号9と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。さらに他の例では、重鎖は、配列番号9の配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10の配列を含むかまたは構成要素とする。
【0019】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を特徴とする。方法では、ヒト対象に対する本明細書に記載の医薬組成物の投与を行う。
【0020】
いくつかの実施形態では、医薬組成物をヒト対象に皮下投与する。
【0021】
ある実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に50mgの用量で4週間ごとに投与する。
【0022】
ある実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に150mgの用量で4週間ごとに投与する。
【0023】
他の実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に450mgの用量で4週間ごとに投与する。
【0024】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を提供する。方法は、ヒト対象に対し抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含む。抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。VH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、
VH相補性決定領域(CDR)のH-CDR1は配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、
VL CDRのL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、L-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、L-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヒト対象に対し、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回負荷量を投与する。ある例では、初回負荷量は50mgである。
【0026】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を提供する。方法は、ヒト対象に対し抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含む。抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。VH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、
VH相補性決定領域(CDR)のH-CDR1は配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、
VL CDRのL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、L-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、L-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ヒト対象に対し、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回負荷量を投与する。ある例では、初回負荷量は150mgである。
【0028】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を提供する。方法は、ヒト対象に対し抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を450mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含む。抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。VH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のH-CDR1は配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、VL CDRのL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、LCDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、L-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ヒト対象に対し、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回負荷量を投与する。ある例では、初回負荷量は450mgである。
【0030】
これらの実施形態は上記方法のいずれにも適用される。いくつかの実施形態では、少なくとも4用量の抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片をヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、少なくとも7用量の抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片をヒト対象に投与する。ある実施形態では、少なくとも10用量の抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片をヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7の配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8の配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含む。ある例では、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。他の例では、重鎖は、配列番号9と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。さらに他の例では、重鎖は、配列番号9の配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10の配列を含むかまたは構成要素とする。ある実施形態では、病態は全身性エリテマトーデスである。他の実施形態では、病態は皮膚エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)である。いくつかの実施形態では、病態は円板状エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)である。ある実施形態では、病態はサイトカイン放出症候群である。
【0031】
別の態様では、本開示は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の皮下投与に適合させた本明細書に記載の医薬組成物の滅菌調製物を、50mg、150mg、または450mgの固定用量で含む注射器、注射装置(例えば、自動注射装置、大量皮下注射装置)、またはポンプを特徴とする。
【0032】
別の態様では、本開示は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の滅菌調製物を含む注射器、注射装置、またはポンプを提供する。注射器またはポンプは、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の50mg、150mg、または450mgの固定用量での皮下投与に適合している。抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。VH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のH-CDR1は配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、H-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、VL CDRのL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、LCDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、L-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号7の配列を含むかまたは構成要素とし、VLは、配列番号8の配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含む。ある例では、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。他の例では、重鎖は、配列番号9と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10と少なくとも90%同一な配列を含むかまたは構成要素とする。さらに他の例では、重鎖は、配列番号9の配列を含むかまたは構成要素とし、軽鎖は、配列番号10の配列を含むかまたは構成要素とする。
【0034】
別の態様では、本開示は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、ショ糖、及びアルギニン塩酸塩(Arg.HCl)を含み、pHが5.0~6.5である医薬組成物を提供する。この態様のある実施形態では、ショ糖は医薬組成物の一部ではない。
【0035】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはBIIB059のCDRを含む。いくつかの例では、BIIB059の6つのCDRは、配列番号1または17、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする。
【0036】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~175mg/mlの濃度で含む。他の実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mg/mlの濃度で含む。ある実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を200mg/mlの濃度で含む。ある実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を225mg/mlの濃度で含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はショ糖を1%~10%の濃度で含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物はショ糖を1%~5%の濃度で含む。ある実施形態では、医薬組成物はショ糖を1%の濃度で含む。ある実施形態では、医薬組成物はショ糖を3%の濃度で含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、組成物はArg.HClを50mM~250mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、組成物はArg.HClを50mM~200mMの濃度で含む。他の実施形態では、組成物はArg.HClを75mM~150mMの濃度で含む。他の実施形態では、組成物はArg.HClを75mM~125mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、組成物はArg.HClを100mM~250mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、組成物はArg.HClを100mM~200mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はArg.HClを100mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はArg.HClを250mMの濃度で含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はポリソルベート80を含む。ある例では、組成物はPS80を0.02%~0.08%の濃度で含む。他の例では、組成物はPS80を0.03%~0.08%の濃度で含む。さらに他の例では、組成物はPS80を0.05%の濃度で含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はヒスチジンを含む。ある例では、組成物はヒスチジンを10mM~30mMの濃度で含む。他の例では、組成物はヒスチジンを15mM~25mMの濃度で含む。さらに他の例では、組成物はヒスチジンを20mMの濃度で含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はpHが5.3~6.5である。ある例では、組成物はpHが5.3~6.0である。ある例では、組成物はpHが5.5である。ある例では、組成物はpHが6.0である。
【0042】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はチオール含有抗酸化剤を含む。ある例では、チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGの組み合わせ、シスチン、システイン、またはシステインとシスチンの組み合わせである。一例では、チオール含有抗酸化剤はGSHである。一例では、チオール含有抗酸化剤はGSSGである。さらに別の例では、チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGの組み合わせである。一例では、チオール含有抗酸化剤はシステインである。さらに別の例では、チオール含有抗酸化剤はシステインとシスチンの組み合わせである。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.02mM~2mMの濃度で含まれている。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.2mMの濃度で含まれている。他の例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.4mMの濃度で含まれている。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に1.0mMの濃度で含まれている。ある場合には、GSH及びGSSGはそれぞれ、医薬組成物中に0.4mM及び0.2mMの濃度で含まれている。他の場合には、システイン及びシスチンはそれぞれ、医薬組成物中に0.4mM及び0.2mMの濃度で含まれている。
【0043】
別の態様では、本開示は、抗血液樹状細胞抗原2(BDCA2)抗体またはそのBDCA2結合断片、ならびに濃度が10mM~30mMのヒスチジン、濃度が50mM~250mMのArg.HCl、及び濃度が0.02%~0.08%のPS80を含み、pHが5.0~6.5である医薬組成物を提供する。
【0044】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。
【0045】
ある実施形態では、医薬組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で有する。
【0046】
ある実施形態では、医薬組成物はショ糖を1%~10%の濃度で含む。
【0047】
ある実施形態では、医薬組成物はチオール含有抗酸化剤を含む。ある例では、チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGの組み合わせ、シスチン、システイン、またはシステインとシスチンの組み合わせである。一例では、チオール含有抗酸化剤はGSHである。一例では、チオール含有抗酸化剤はGSSGである。さらに別の例では、チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGの組み合わせである。一例では、チオール含有抗酸化剤はシステインである。さらに別の例では、チオール含有抗酸化剤はシステインとシスチンの組み合わせである。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.02mM~2mMの濃度で含まれている。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.2mMの濃度で含まれている。他の例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.4mMの濃度で含まれている。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に1.0mMの濃度で含まれている。ある場合には、GSH及びGSSGはそれぞれ、医薬組成物中に0.4mM及び0.2mMの濃度で含まれている。他の場合には、システイン及びシスチンはそれぞれ、医薬組成物中に0.4mM及び0.2mMの濃度で含まれている。
【0048】
一実施形態では、医薬組成物は、濃度が150mg/mlの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、濃度が3%のショ糖、濃度が20mMのヒスチジン、濃度が100mMのArg.HCl、濃度が0.05%のPS80、及び濃度が0.4mMのGSHまたはシステインを含む。組成物はpHが5.5である。ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある例では、ショ糖はこの組成物の一部ではない。
【0049】
別の実施形態では、医薬組成物は、濃度が150mg/mlの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、濃度が3%のショ糖、濃度が20mMのヒスチジン、濃度が100mMのArg.HCl、濃度が0.05%のPS80、及び濃度が0.2mMのGSSGまたはシスチンを含む。組成物はpHが5.5である。ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある例では、ショ糖はこの組成物の一部ではない。
【0050】
さらに別の実施形態では、医薬組成物は、濃度が150mg/mlの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、濃度が3%のショ糖、濃度が20mMのヒスチジン、濃度が100mMのArg.HCl、濃度が0.05%のPS80、及び濃度が0.4mMのGSH(またはシステイン)、及び濃度が0.2mMのGSSG(またはシスチン)を含む。組成物はpHが5.5である。ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある例では、ショ糖はこの組成物の一部ではない。
【0051】
別の態様では、本開示は、濃度が200mg/mlの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、濃度が3%のショ糖、濃度が20mMのヒスチジン、濃度が250mMのArg.HCl、及び濃度が0.05%のPS80を含む医薬組成物を特徴とする。組成物はpHが6.0である。この医薬組成物は、それを必要とする対象への皮下投与に特に好適である。ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある例では、ショ糖はこの組成物の一部ではない。
【0052】
さらに別の態様では、本開示は、濃度が225mg/mlの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、濃度が1%のショ糖、濃度が20mMのヒスチジン、濃度が250mMのArg.HCl、及び濃度が0.05%のPS80を含む医薬組成物を特徴とする。組成物はpHが6.0である。この医薬組成物は、それを必要とする対象への皮下投与に特に好適である。ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある例では、ショ糖はこの組成物の一部ではない。
【0053】
上記2つの態様のある実施形態では、医薬組成物はチオール含有抗酸化剤を含む。ある例では、チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGの組み合わせ、シスチン、システイン、またはシステインとシスチンの組み合わせである。一例では、チオール含有抗酸化剤はGSHである。一例では、チオール含有抗酸化剤はGSSGである。さらに別の例では、チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGの組み合わせである。一例では、チオール含有抗酸化剤はシステインである。さらに別の例では、チオール含有抗酸化剤はシステインとシスチンの組み合わせである。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.02mM~2mMの濃度で含まれている。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.2mMの濃度で含まれている。他の例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に0.4mMの濃度で含まれている。いくつかの例では、チオール含有抗酸化剤は医薬組成物中に1.0mMの濃度で含まれている。ある場合には、GSH及びGSSGはそれぞれ、医薬組成物中に0.4mM及び0.2mMの濃度で含まれている。他の場合には、システイン及びシスチンはそれぞれ、医薬組成物中に0.4mM及び0.2mMの濃度で含まれている。
【0054】
これらの実施形態は、上記態様のいずれにも適用される。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片はVH及びVLを含み、ここで、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、またVLは、配列番号8と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、または少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。
【0055】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を特徴とする。方法は、本明細書に記載する抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を含む医薬組成物をヒト対象に投与することを含む。
【0056】
ある実施形態では、医薬組成物をヒト対象に皮下投与する。ある実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に25mgの用量で4週間ごとに投与する。ある実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に50mgの用量で4週間ごとに投与する。ある実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に150mgの用量で4週間ごとに投与する。ある実施形態では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に450mgの用量で4週間ごとに投与する。ある例では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し、そのヒト対象の体重に対応する下掲の用量で投与する:
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに18mg
18.1~25kg 4週間ごとに22mg
25.1~48kg 4週間ごとに28mg
48kg超 4週間ごとに50mg。
ある例では、医薬組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し、そのヒト対象の体重に対応する下掲の用量で投与する:
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに40mg
18.1~25kg 4週間ごとに56mg
25.1~48kg 4週間ごとに80mg
48kg超 4週間ごとに150mg。
【0057】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を提供する。方法では、ヒト対象に対し、そのヒト対象の体重に対応する下掲用量の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の皮下投与を行う:
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに18mg
18.1~25kg 4週間ごとに22mg
25.1~48kg 4週間ごとに28mg
48kg超 4週間ごとに50mg。
ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片はVH及びVLを含み、ここで、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、またVLは、配列番号8と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、または少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。ある実施形態では、ヒト対象は20歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は18歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は16歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は14歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は12歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は10歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は8歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は6歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は4歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は2歳以下である。
【0058】
さらに別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法を特徴とする。方法では、ヒト対象に対し、そのヒト対象の体重に対応する下掲用量の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の皮下投与を行う:体重 用量
10~18kg 4週間ごとに40mg
18.1~25kg 4週間ごとに56mg
25.1~48kg 4週間ごとに80mg
48kg超 4週間ごとに150mg。
ある場合には、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片はVH及びVLを含み、ここで、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、またVLは、配列番号8と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、または少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。ある実施形態では、ヒト対象は20歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は18歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は16歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は14歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は12歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は10歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は8歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は6歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は4歳以下である。ある実施形態では、ヒト対象は2歳以下である。
【0059】
別の態様では、本開示は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の皮下投与に適合させた本明細書に記載の医薬組成物の滅菌調製物を、18mg、22mg、25mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、150mg、または450mgの固定用量で含む注射器またはポンプを特徴とする。
【0060】
別の態様では、本開示は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の皮下投与に適合させた本明細書に記載の医薬組成物の滅菌調製物を、18mg、22mg、25mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、150mg、または450mgの固定用量で含む注射器またはポンプを特徴とし、ここで、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、かかるVH及びVLはそれぞれ、VH相補性決定領域(CDR)及びVL CDRを含み、ここで、VH相補性決定領域(CDR)のVH-CDR1は配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、VH-CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、かつVL CDRのVL-CDR1は配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR2は配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、VL-CDR3は配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片はVH及びVLを含み、ここで、VHは、配列番号7と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、またVLは、配列番号8と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、または少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、重鎖は、配列番号9と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなり、軽鎖は、配列番号10と少なくとも80%同一である、少なくとも90%同一である、少なくとも95%同一である、少なくとも96%同一である、少なくとも97%同一である、少なくとも98%同一である、少なくとも99%同一である、または100%同一である配列からなる。
【0061】
特別に定義しない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はいずれも本発明の属する分野の当業者に共通して理解される意味と同一の意味を持つ。本発明の実施または試験においては本明細書に記載の方法及び材料と類似または同等のものを使用できるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は参照によりその全体が組み込まれる。矛盾がある場合は、定義も含め、本出願が優先することになる。材料、方法、及び例は例示にすぎず、限定的であることは意図しない。
【0062】
本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及び請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2-1】Aは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に150mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、40℃で0~4週間インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。図では緩衝液は符号で識別される。Bは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に150mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、5℃で0~3か月インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。緩衝液は、
図2Aに示される符号と同じ符号を使用して識別される。Cは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に200mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、5℃で0~3か月インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。緩衝液は、
図2Aに示される符号と同じ符号を使用して識別される。Dは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に225mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、5℃で0~3か月インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。緩衝液は、
図2Aに示される符号と同じ符号を使用して識別される。
【
図2-2】Aは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に150mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、40℃で0~4週間インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。図では緩衝液は符号で識別される。Bは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に150mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、5℃で0~3か月インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。緩衝液は、
図2Aに示される符号と同じ符号を使用して識別される。Cは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に200mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、5℃で0~3か月インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。緩衝液は、
図2Aに示される符号と同じ符号を使用して識別される。Dは、図示の緩衝液20mM、Arg.HCl 140mM、及びPS80 0.05%を含有する製剤に225mg/mlの濃度で製剤化した抗BDCA2抗体の、5℃で0~3か月インキュベーションした後の凝集を示すグラフである。緩衝液は、
図2Aに示される符号と同じ符号を使用して識別される。
【
図3】異なるpH(5.5、6、または6.5)、濃度(150mg/ml、225mg/ml、または250mg/ml)、及び異なる緩衝液(クエン酸またはヒスチジン)における抗BDCA2抗体の粘度を示す棒グラフである。
【
図4】図示の各製剤中のBDCA2 225ng/mlの凝集を示すグラフである。
【
図5】
図5Aは、時間ゼロ(1本目の棒)、25℃で2週間後(2本目の棒)または5℃で2週間後(3本目の棒)の目に見えない微粒子(粒子≧2μm)の形成を示す棒グラフである。粒子濃度は対数目盛で示されている。製剤は、図示の添加物(複数可)、及びクエン酸20mM(pH6.0)、PS80 0.05%を含有した。
図5Bは、時間ゼロ(1本目の棒)、25℃で2週間後(2本目の棒)または5℃で2週間後(3本目の棒)の目に見えない微粒子(粒子≧10μm)の形成を示す棒グラフである。粒子濃度は対数目盛で示されている。製剤は、図示の添加物(複数可)、及びクエン酸20mM(pH6.0)、及びPS80 0.05%を含有した。
【
図6】時間ゼロ(1本目の棒)、25℃で2週間後(2本目の棒)または5℃で2週間後(3本目の棒)の凝集を示す棒グラフである。製剤は、図示の添加物、及びクエン酸20mM(pH6.0)、及びPS80 0.05%を含有した。
【
図7A】抗BDCA2抗体150mg/mLを製剤2(His 20mM、Arg.HCl 100mM、ショ糖3%、PS80 0.05%、pH5.5)に製剤化した場合の凝集と、製剤1(クエン酸20mM、Arg.HCl 140mM、PS80 0.05%、pH6.0)に製剤化した場合の凝集を比較するグラフである。上のパネルは5℃における0~3か月の凝集を示し、下のパネルは25℃における0~3か月の凝集を示す。グラフでは、製剤1は「Cit150」で示され、製剤2は「His150」で示される。
【
図7B】抗BDCA2抗体150mg/mLを製剤2(His 20mM、Arg.HCl 100mM、ショ糖3%、PS80 0.05%、pH5.5)に製剤化した場合の凝集と、製剤1(クエン酸20mM、Arg.HCl 140mM、PS80 0.05%、pH6.0)に製剤化した場合の凝集を比較するグラフである。上のパネルは5℃における0~3か月の凝集を示し、下のパネルは25℃における0~3か月の凝集を示す。グラフでは、製剤1は「Cit150」で示され、製剤2は「His150」で示される。
【
図8】製剤2での抗BDCA2抗体の粘度を示すグラフである。
【
図9】被験10製剤において5℃で経時的に形成される高分子量種の割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図10】被験10製剤において25℃で経時的に形成される高分子量種の割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図11】被験10製剤において30℃で経時的に形成される高分子量種の割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図12】被験10製剤において40℃で経時的に形成される高分子量種の割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図13】被験10製剤において25℃で経時的に形成される塩基性アイソフォームの割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図14】被験10製剤において30℃で経時的に形成される塩基性アイソフォームの割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図15】被験10製剤において40℃で経時的に形成される塩基性アイソフォームの割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図16】被験10製剤において5℃で経時的に形成される塩基性アイソフォームの割合(%)を示すグラフである。凡例の文字列は、タンパク質濃度(mg/mL)/アルギニン.HCl(mM)/ショ糖(%)/pHに対応する。
【
図17】ショ糖を含む抗BDCA2抗体製剤(抗体150mg/ml、ヒスチジン20mM、Arg.HCl 100mM、ショ糖3%、PS80 0.05%、pH5.5)がGSH(0.4mM)を含む場合または含まない場合の25℃及び40℃におけるHMW種の割合(%)を示すグラフを表す。
【
図18】ショ糖を欠く抗BDCA2抗体製剤(抗体150mg/ml、ヒスチジン20mM、Arg.HCl 100mM、PS80 0.05%、pH5.5)がGSH(0.4mM)を含む場合または含まない場合の25℃及び40℃におけるHMW種の割合(%)を示すグラフに
図17のグラフを重ね合わせたものを表す。この図から、ショ糖の存在はGSHの作用に影響を及ぼさないことがわかる。
【
図19】BENEPALI(登録商標)(先発エタネルセプトEnbrel(登録商標)のバイオ後続品)製剤(SB4 50mg/ml、リン酸ナトリウム10mM、NaCl 140mM、ショ糖1%、pH6.2)がGSH(0.4mM)を含む場合または含まない場合の25℃及び40℃におけるHMW種の割合(%)を示すグラフを表す。
【
図20】抗αvβ5インテグリン抗体(STX200)製剤(抗体50mg/ml、ヒスチジン20mM、ソルビトール5%、PS80 0.05%、pH6.5)がGSH(0.4mM)を含む場合または含まない場合の25℃及び40℃におけるHMW種の割合(%)を示すグラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本出願は、抗BDCA2抗体及びそのBDCA2結合断片の医薬組成物及び投与レジメンならびにBDCA2関連障害(例えば、SLE、CLE、及びDLE)の治療におけるその使用を提供する。
【0065】
BDCA2
BDCA2は、形質細胞様樹状細胞(pDC)に特異的に発現するII型のC型レクチンである。BDCA2は、そのC末端における単一細胞外糖認識ドメイン(CRD)、膜貫通領域、及びそのN末端におけるシグナル伝達モチーフ非保有の短い細胞質側末端からなる。BDCA2は、会合している膜貫通アダプターFcεRIγを介して細胞内シグナルを伝達する。抗体によるBDCA2のライゲーションにより、FcεRIγのリン酸化された免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)への脾臓チロシンキナーゼ(SYK)の動員がもたらされる。Sykが活性化されることにより、B細胞リンカー(Blnk)、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、及びホスホリパーゼCγ2(PLCγ2)が活性化され、これがCa2+の動員をもたらす。
【0066】
ヒトBDCA2タンパク質(Genbank(登録商標)受託番号NP_569708.1)のアミノ酸配列を以下に示す(膜貫通ドメインはイタリック体で表され、細胞外ドメインには下線が引かれている)。
【化1】
【0067】
ヒトFcεRIγ(Genbank(登録商標)受託番号NP_004097.1)のアミノ酸配列を以下に示す。
【化2】
【0068】
抗BDCA2抗体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する組成物及び方法で使用する抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、「BIIB059」と呼ばれる抗体の3つの重鎖可変ドメイン相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、BIIB059の3つの軽鎖可変ドメインCDRを含む。さらに他の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、BIIB059の3つの重鎖可変ドメインCDR及び3つの軽鎖可変ドメインCDRを含む。CDRは、当該技術分野の任意のCDRの定義、例えば、Kabat、Chothia、Abysisから得られるChothia、enhanced Chothia/AbMの定義に基づいていても、または接触定義に基づいていてもよい。これらの例示的なCDR定義に従うBIIB059のCDR配列を下記表1に記載する。
【表1】
【0069】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号1または17に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR3を含む。
【0070】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号1~6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするCDRを含む。他の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号11~16に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするCDRを含む。さらに別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号17~22に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするCDRを含む。さらに別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号23~28に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするCDRを含む。一実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号1または17に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR3、ならびに配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR3を含む。
【0071】
BIIB059は、本明細書に記載する組成物及び方法で使用することができる例示的な抗BDCA2抗体である。BIIB059は、2本のグリコシル化されたヒトIgG1重鎖及び2本のヒトカッパ軽鎖を有する、形質細胞様樹状細胞表面のBDCA2に特異的に結合するヒト化抗体である。野生型IgG1配列は、単一のN-結合型グリコシル化部位を含有し、このクラスの分子に典型的な親和性を有するFc受容体に結合する。このFc機能が正常なIgG1モノクローナル抗体はBDCA2に対して高親和性を示し、天然型ヒトBDCA2及びカニクイザルBDCA2に同程度に良好に結合する。BIIB059は、すべてのTLR9により誘導されるI型インターフェロン(IFN)ならびにpDCによる他のサイトカイン及びケモカインの強力な阻害物質である。BIIB059は、TLR9により誘導されるpDCによるI型インターフェロンを健常ヒトドナー及びSLE患者いずれにおいても同程度に強力に阻害する。BIIB059は、TLR9により誘導されるpDCによるI型IFNを特異的に阻害し、別のTLRリガンドで誘発される他の細胞型によるIFN産生に影響を与えない。また、BIIB059は、BDCA2の細胞表面からの急速な内部移行も引き起こす。刺激を受けると、BDCA2はエンドソーム/リソソームのコンパートメント内でTLR9と共局在し、これはBDCA2がTLR9シグナル伝達を阻害するために必要であると考えられる。またBIIB059は、CD62LのヒトpDC表面からの脱落を引き起こすことも見出された。インビトロでの抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)の試験では、BIIB059はBDCA2過剰発現細胞株において細胞除去活性を有し得ることを示唆している。
【0072】
BIIB059の可変重鎖(VH)は、以下のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする。
【化3】
【0073】
BIIB059の可変軽鎖(VL)は、以下のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする。
【化4】
【0074】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、BIIB059のVHドメインのアミノ酸配列(配列番号7)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号7に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているVHドメインを含む。ある例では、これらの抗体は、(i)ヒトまたはカニクイザルのBDCA2と結合するが、霊長類より下位の系統学的種のBDCA2と有意に結合することはない、及び/または(ii)TLR7/TLR9により誘導されるヒトpDCによるI型インターフェロン及び他のサイトカインまたはケモカインの産生を阻害する、及び/または(iii)pDC表面からのBDCA2の内部移行を媒介する、及び/または(iv)CD32a及び/またはCD62LをpDC表面から下方制御する、及び/または(v)ADCCまたはCDCによりインビトロでpDCを除去する。
【0075】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、BIIB059のVLドメインのアミノ酸配列(配列番号8)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号8に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているVLドメインを含む。ある例では、これらの抗体は、(i)ヒトまたはカニクイザルのBDCA2と結合するが、霊長類より下位の系統学的種のBDCA2と有意に結合することはない、及び/または(ii)TLR7/TLR9により誘導されるヒトpDCによるI型インターフェロン及び他のサイトカインまたはケモカインの産生を阻害する、及び/または(iii)pDC表面からのBDCA2の内部移行を媒介する、及び/または(iv)CD32a及び/またはCD62LをpDC表面から下方制御する、及び/または(v)ADCCまたはCDCによりインビトロでpDCを除去する。
【0076】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、(i)BIIB059のVHドメインのアミノ酸配列(配列番号7)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一なVHドメイン、及び(ii)BIIB059のVLドメインのアミノ酸配列(配列番号8)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号7及び/または配列番号8に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているVLドメインを含む。ある例では、これらの抗体は、(i)ヒトまたはカニクイザルのBDCA2と結合するが、霊長類より下位の系統学的種のBDCA2と有意に結合することはない、及び/または(ii)TLR7/TLR9により誘導されるヒトpDCによるI型インターフェロン及び他のサイトカインまたはケモカインの産生を阻害する、及び/または(iii)pDC表面からのBDCA2の内部移行を媒介する、及び/または(iv)CD32a及び/またはCD62LをpDC表面から下方制御する、及び/または(v)ADCCまたはCDCによりインビトロでpDCを除去する。
【0077】
下掲の成熟重鎖(配列番号9)及び成熟軽鎖(配列番号10)からなる抗体を本明細書では「BIIB059」と呼ぶ。
BIIB059成熟重鎖(HC)
【化5】
BIIB059成熟軽鎖(LC)
【化6】
【0078】
上記のVH、VL、HC、及びLC配列において、Kabatの定義に基づくCDR1、CDR2、及びCDR3には下線が引かれ、かつ太字で表示されている。VH及びHCで太字のイタリック体になっている配列は、enhanced Chothia/AbMの定義に基づくCDR1で見出されたさらなるN末端配列である。
【0079】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を有するHCを含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号9に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているHCを含む。
【0080】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するLCを含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号10に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているLCを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を有するHC及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するLCを含む。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、(i)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一なHC、及び(ii)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号9及び/または配列番号10に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているLCを含む。
【0082】
ある実施形態では、抗BDCA2抗体はIgG抗体である。具体的な実施形態では、抗BDCA2抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgEから選ばれる重鎖定常領域を有する。一実施形態では、抗BDCA2抗体はアイソタイプIgG1のものである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体はアイソタイプIgG2のものである。さらに別の実施形態では、抗BDCA2抗体はアイソタイプIgG3のものである。さらなる実施形態では、抗体は、例えば、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖から選ばれる軽鎖定常領域を有する。ある実施形態では、抗BDCA2抗体はIgG1/カッパ抗体である。ある実施形態では、抗BDCA2抗体には、FcγRIIa(CD32a)と結合し、EC50が7~15μg/mLであるヒトFc領域が含まれる。ある実施形態では、抗体には、FcγRIIa(CD32a)と結合し、EC50が10μg/mLであるヒトFc領域が含まれる。ある実施形態では、抗体には、FcγRIIa(CD32a)と結合し、EC50が11μg/mLであるヒトFc領域が含まれる。ある実施形態では、抗体には、FcγRIIa(CD32a)と結合し、EC50が12μg/mLであるヒトFc領域が含まれる。場合によっては、重鎖定常領域は、ヒト定常領域またはヒト定常領域の改変型である。ある例では、ヒト定常領域には、少なくとも1つ、最高で2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の置換が含まれ得る。特定の実施形態では、改変ヒトFc領域は、改変ヒトIgG1のFc領域である。場合によっては、抗BDCA2抗体の定常領域を1つ以上のアミノ酸残基の変異により改変し、所望の機能特性(例えば、改変されたエフェクター機能または半減期、抑制されたグリコシル化)を付与してよい。例えば、Fc領域(例えば、ヒトIgG1 Fc領域)のN-結合型グリコシル化を防ぐかまたは抑制するため、N-結合型グリコシル化部位を置換してよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体は、完全長(全)抗体または実質的な完全長抗体である。タンパク質には、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全重鎖、及び少なくとも1つ、好ましくは2つの完全軽鎖が含まれ得る。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体はBDCA2結合断片である。いくつかの例では、BDCA2結合断片はFab、Fab’、F(ab’)2、Facb、Fv、一本鎖Fv(scFv)、sc(Fv)2であるか、または二重特異性抗体(diabody)である。
【0084】
BIIB059などの抗体、またはそのBDCA2結合断片は、例えば、記述されているアミノ酸配列をコードする合成遺伝子を調製し、発現させることによって、またはヒト生殖細胞系列遺伝子を変異させて記述されているアミノ酸配列をコードする遺伝子を得ることによって作ることができる。さらに、この抗体及び他の抗BDCA2抗体は、例えば、以下の方法の1つ以上を使用して作製することができる。
【0085】
抗体の作製方法
抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、細菌細胞または真核細胞に作製してよい。いくつかの抗体、例えば、Fab’は、細菌細胞、例えば、E.coli細胞に作製することができる。形質転換細胞株(例えば、CHO、293E、COS)などの真核細胞に抗体を作ることもできる。さらに、Pichia(例えば、Powers et al.,J Immunol Methods.251:123-35(2001)を参照のこと)、Hanseula、またはSaccharomycesなどの酵母細胞に抗体(例えば、scFv)を発現させることができる。関心対象の抗体を作製するため、その抗体をコードするポリヌクレオチドを構築して発現ベクターに導入した後、適切な宿主細胞に発現させる。本明細書に記載するBDCA2抗体のVH及び/またはVL、HC及び/またはLCを含む抗BDCA2抗体をコードするポリヌクレオチドは、当業者により容易に想定されるであろう。標準的な分子生物学技術を使用して、組換え発現ベクターの調製、宿主細胞のトランスフェクション、形質転換体の選択、宿主細胞の培養、及び抗体の回収を行う。
【0086】
細菌細胞(例えば、E.coli)で発現させるべき抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の場合、発現ベクターは、細菌細胞内でのベクターの増幅を可能にする特徴を備えている必要がある。さらに、JM109、DH5α、HB101、またはXL1-BlueなどのE.coliを宿主として用いる場合、ベクターは、E.coliで効率的な発現を可能にするプロモーター、例えば、lacZプロモーター(Ward et al.,341:544-546(1989)、araBプロモーター(Better et al.,Science,240:1041-1043(1988))、またはT7プロモーターなどを有していなければならない。そのようなベクターの例には、例えば、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script、pGEX-5X-1(Pharmacia)、「QIAexpress
system」(QIAGEN)、pEGFP、及びpET(この発現ベクターを使用する場合は、宿主はT7 RNAポリメラーゼを発現しているBL21が好ましい)が含まれる。発現ベクターは、抗体分泌用シグナル配列を含有してよい。E.coliのペリプラズム内に作製する場合、pelBシグナル配列(Lei et al.,J.Bacteriol.,169:4379(1987))を抗体分泌用シグナル配列として使用してよい。細菌での発現では、塩化カルシウム法または電気穿孔法を使用して細菌細胞内に発現ベクターを導入してよい。
【0087】
CHO、COS、及びNIH3T3細胞などの動物細胞で発現させるべき抗体の場合、発現ベクターには、これらの細胞での発現に必要なプロモーター、例えば、SV40プロモーター(Mulligan et al.,Nature,277:108(1979))、MMLV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushima et al.,Nucleic Acids Res.,18:5322(1990))、またはCMVプロモーターが含まれる。組換え発現ベクターは、免疫グロブリンまたはそのドメインをコードする核酸配列に加え、さらなる配列、例えば、宿主細胞においてベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)、及び選択マーカー遺伝子を担持してよい。選択マーカー遺伝子により、ベクターが導入されている宿主細胞の選択が容易になる(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号及び第5,179,017号を参照のこと)。例えば、典型的に、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。選択マーカーを有するベクターの例には、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、及びpOP13が含まれる。
【0088】
一実施形態では、哺乳類細胞に抗体を作製する。抗体を発現させる例示的な哺乳類宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216-4220に記載され、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601-621に記載のようなDHFR選択マーカーと共に用いるdhfr-CHO細胞が含まれる)、ヒト胎児由来腎臓293細胞(例えば、293、293E、293T)、COS細胞、NIH3T3細胞、リンパ球細胞株、例えば、NS0骨髄腫細胞及びSP2細胞など、ならびにトランスジェニック動物由来、例えば、トランスジェニック哺乳類由来の細胞が含まれる。例えば、細胞は哺乳類上皮細胞である。
【0089】
抗体発現用の例示的な系では、抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)の抗体重鎖と抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを、リン酸カルシウムによるトランスフェクションによってdhfr-CHO細胞に導入する。組換え発現ベクター内では、抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子の各々は、高レベルの遺伝子転写を誘導するエンハンサー/プロモーター調節エレメント(例えば、SV40、CMV、アデノウイルス等に由来するもの、例えば、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントまたはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節エレメントなど)に機能的に連結されている。組換え発現ベクターはまたDHFR遺伝子も担持しており、これにより、ベクターでトランスフェクト済みのCHO細胞をメトトレキサートによる選択/増幅を使用して選択することが可能になる。選択された形質転換宿主細胞を培養して抗体の重鎖及び軽鎖を発現させ、培地から抗体を回収する。
【0090】
トランスジェニック動物によって抗体を作製することもできる。例えば、米国特許第5,849,992号には、トランスジェニック哺乳類の乳腺に抗体を発現させる方法が記載されている。乳汁特異的プロモーター及び関心対象の抗体をコードする核酸ならびに分泌用のシグナル配列が含まれた導入遺伝子を構築する。そのようなトランスジェニック哺乳類の雌により産生される乳汁には、関心対象の抗体がそこに分泌され含まれる。抗体は、乳汁から精製することも、または適用によっては直接使用することもできる。本明細書に記載する核酸の1つ以上を含む動物も提供される。
【0091】
本開示の抗体を宿主細胞の内部または外部(培地など)から単離し、実質的に純粋かつ均質な抗体を精製することができる。抗体の単離及び精製には、抗体精製に一般に使用される単離方法と精製方法を使用してよく、特定の方法に限定されるものではない。抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、ろ過、限外ろ過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降法、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動、透析、及び再結晶を適切に選択し組み合わせることにより単離及び精製され得る。クロマトグラフィーには、例えば、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過、逆相クロマトグラフィー、及び吸着クロマトグラフィー(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course
Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)が含まれる。HPLC及びFPLCなどの液相クロマトグラフィーを使用してクロマトグラフィーを行うことができる。アフィニティクロマトグラフィーに使用されるカラムには、プロテインAカラム及びプロテインGカラムが含まれる。プロテインAカラムを使用するカラム例には、Hyper D、POROS、及びSepharose FF(GE Healthcare Biosciences)が含まれる。本開示には、これらの精製方法を使用して高度に精製された抗体も含まれる。
【0092】
抗BDCA2抗体組成物
本開示はまた、本明細書に記載する抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を含む組成物(例えば、医薬組成物)も提供する。例えば、抗BDCA2抗体組成物は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を含み、ここで、VHはBIIB059のH-CDRを含み、VLはBIIB059のL-CDRを含む。ある例では、H-CDRは、配列番号1または17、配列番号2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とし、L-CDRは、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体組成物は、(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVHと、(ii)配列番号8に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVLとを含む抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を含む。ある実施形態では、抗BDCA2抗体組成物は、(i)配列番号9に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする重鎖、及び(ii)配列番号10に記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とする軽鎖を含む抗BDCA2抗体を含む。
【0093】
ある実施形態では、これらの組成物は高濃度抗BDCA2抗体組成物である。「高濃度抗BDCA2抗体組成物」とは、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml超かつ300mg/ml未満の濃度で含む組成物を意味する。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~240mg/mlの濃度で含む。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で含む。他の例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を75mg/ml~225mg/mlの濃度で含む。他の例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を100mg/ml~225mg/mlの濃度で含む。さらに他の例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~225mg/mlの濃度で含む。他の例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~175mg/mlの濃度で含む。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を240mg/mlの濃度で含む。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を225mg/mlの濃度で含む。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を200mg/mlの濃度で含む。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を175mg/mlの濃度で含む。ある例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mg/mlの濃度で含む。他の例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/mlの濃度で含む。いくつかの例では、抗BDCA2抗体組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を100mg/mlの濃度で含む。
【0094】
本明細書に記載する抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を含む組成物(例えば、医薬組成物)は、多種多様な形態のうちいずれか1形態であってよい。これらには、例えば、溶液(例えば、注射液及び注入液)、分散液、または懸濁液が含まれる。好ましい形態は、意図される投与方法及び治療適用に依存し得る。ある実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は滅菌された注射液または注入液の形態である。
【0095】
滅菌注射液は、本明細書に記載の抗体の必要量と、1成分または配合成分とを組み合わせ、その後、ろ過滅菌することにより調製可能である。一般に、分散液は、塩基性分散培地及び他の必要成分を含有する滅菌ビヒクルに本明細書に記載の抗体を組み込むことによって調製する。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、例示的調製方法は、本明細書に記載の抗体とさらなる所望成分とを合わせて先に滅菌ろ過した溶液からその粉末が得られる真空乾燥及び凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合に要求される粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0096】
抗BDCA2抗体組成物(例えば、医薬組成物)は、1つ以上の添加物をさらに含んでよい。
【0097】
一実施形態では、かかる添加物は、その組成物中の抗体の凝集及び/または粘度を、かかる添加物を含まない医薬組成物中での抗体の凝集及び/または粘度よりも低下させる/抑制する。ある実施形態では、そのような添加物はアルギニンである。一例では、添加物はアルギニン塩酸塩である。アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)は、組成物中に50mM~250mM、50mM~200mM、50mM~150mM、50mM~125mM、50mM~100mM、75mM~250mM、75mM~200mM、75mM~150mM、または75mM~100mMの濃度で含まれ得る。ある実施形態では、アルギニン(例えば、Arg.HCl)は組成物中に50mM~250mMの濃度で存在する。他の実施形態では、アルギニン(例えば、Arg.HCl)は組成物中に50mM~200mMの濃度で存在する。ある例では、アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)は組成物中に100mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、または150mMの濃度で含まれ得る。具体例では、アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)は組成物中に100mMの濃度で含まれ得る。別の具体例では、アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)は組成物中に250mMの濃度で含まれ得る。
【0098】
ときに、アルギニンを含有する溶液では、室温または高温(例えば、40℃)でのインキュベーション後に目に見える粒子が発生する。驚くべきことに、ショ糖の添加により、目に見える粒子の形成が低下または抑制され得ることがわかった。さらに、ショ糖は、目に見えない微粒子数を減少させることも予期せずしてわかった。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体組成物は、ショ糖を0.05%~15%、0.05%~10%、0.05%~5%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~8%、2%~6%、または2%~4%の濃度で含む。ある実施形態では、抗BDCA2抗体組成物は、ショ糖を0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%または10%の濃度で含む。特定の実施形態では、抗BDCA2抗体組成物はショ糖を3%の濃度で含む。別の特定の実施形態では、抗BDCA2抗体組成物はショ糖を1%の濃度で含む。
【0099】
抗体製品の製造は複雑なプロセスであり、それには、例えば、原薬及びバルクの製剤化、ろ過、輸送、貯蔵、充てん、凍結乾燥、検査、包装、及び保管などのいくつかのステップが行われ得る。これらのステップの過程で抗体は異なる形の多くのストレス、例えば、撹拌、温度、光曝露、及び酸化などを受け得る。これらの種類のストレスは抗体の変性及び凝集を招き得、これにより製品の品質が損なわれ、製造バッチの損失すらもたらし得る。撹拌は、抗体治療薬が製造過程で受ける一般的な物理的ストレスの1つである。撹拌は、例えば、混合、限外ろ過/透析ろ過、ポンピング、輸送、及び充てんの過程で発生する。撹拌により誘発されるストレスから抗体組成物を保護するため、組成物にはポリソルベートが含まれ得る。ある実施形態では、組成物はポリソルベート80を0.01%~0.5%、0.01%~0.1%、0.01%~0.09%、0.01%~0.08%、0.01%~0.07%、0.01%~0.06%、0.01%~0.05%、0.01%~0.04%、または0.01%~0.03%の濃度で含む。ある実施形態では、組成物はポリソルベート80を0.02%~0.08%の濃度で含む。いくつかの実施形態では、組成物はポリソルベート80を0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、または0.1%の濃度で含む。特定の実施形態では、組成物はポリソルベート80を0.05%の濃度で含む。
【0100】
いかなる抗体組成物でも、良好な緩衝能を与える緩衝液による利益を受ける。ある実施形態では、抗体組成物は緩衝剤としてヒスチジンを含む。ある実施形態では、組成物はヒスチジンを5mM~50mM、5mM~40mM、5mM~30mM、5mM~25mM、10mM~50mM、10mM~40mM、10mM~30mM、10mM~25mM、15mM~50mM、15mM~40mM、15mM~30mM、または15mM~25mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はヒスチジンを10mM~30mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、組成物はヒスチジンを5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、または30mMの濃度で含む。特定の実施形態では、組成物はヒスチジンを20mMの濃度で含む。
【0101】
抗体組成物のpHは5.0~6.5であり得る。ある場合には、抗体組成物のpHは5.0~6.0であり得る。ある例では、抗体組成物のpHは5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、または6.5である。特定の実施形態では、抗体組成物のpHは5.5である。別の特定の実施形態では、抗体組成物のpHは6.0である。さらに別の特定の実施形態では、抗体組成物のpHは6.5である。
【0102】
ある実施形態では、組成物はチオール含有抗酸化剤(例えば、還元型グルタチオン(GSH)、酸化型グルタチオン(GSSG)、GSH+GSSG、システイン、シスチン、システイン+シスチン)を0.02mM~2mM(例えば、0.02mM、0.03mM、0.05mM、0.06mM、0.08mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.5mM、1.6mM、1.7mM、1.8mM、1.9mM、または2.0mM)の濃度で含む。そのようなチオール含有抗酸化剤は、好ましくない、または誤架橋(misbridged)のジスルフィド結合を切断して、好ましい、または適切に架橋されたジスルフィド結合の形成を促進することができる。これにより、抗体またはその断片の天然コンホメーションの安定化及び凝集率の低下がもたらされると考えられる。これらの分子の抗酸化特性により、凝集をもたらす酸化プロセスが低下し得る。場合によっては、組成物はGSHを0.4mMの濃度で含む。場合によっては、組成物はGSSGを0.2mMの濃度で含む。場合によっては、組成物はGSHを0.4mMの濃度で、またGSSGを0.2mMの濃度で含む。場合によっては、組成物はシステインを0.4mMの濃度で含む。場合によっては、組成物はシスチンを0.2mMの濃度で含む。場合によっては、組成物はシステインを0.4mMの濃度で、またシスチンを0.2mMの濃度で含む。ある実施形態では、組成物はメチオニンを5mM~15mM(例えば、10mM)の濃度で含む。ある実施形態では、組成物はグルタミン酸を50mM~80mM(例えば、70mM)の濃度で含む。
【0103】
ある実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物)は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で、ショ糖を0.05%~10%の濃度で、アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)を50mM~250mMの濃度で、ポリソルベート80を0.01%~0.1%の濃度で、またヒスチジンを10mM~30mMの濃度で含む。組成物はpHが5.0~6.0である。ある実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、BIIB059のCDR(例えば、配列番号1または17、2、3、4、5、及び6)を含むVH及びVLを含む。ある実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号7及び8をそれぞれ含むVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号9及び10をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖を含む。一実施形態では、組成物はpHが5.5であり、BIIB059またはそのBIIB059結合断片を150mg/mlの濃度で、ショ糖を3%の濃度で、アルギニン塩酸塩を100mMの濃度で、ポリソルベート80を0.05%の濃度で、またヒスチジンを20mMの濃度で含む。本実施形態は、例えば、285mgのBIIB059、6.69mgのヒスチジン塩酸塩一水和物、0.94mgのヒスチジン(遊離塩基)、40.03mgのアルギニン塩酸塩、57.0mgのショ糖、及び0.95mgのポリソルベート80を1833.50mgの滅菌水(例えば、逆浸透純水(RODI))に溶解させることによって行うことができる。ある実施形態では、組成物はさらに、チオール含有抗酸化剤(例えば、GSH、GSSG、GSH+GSSG、システイン、シスチン、システイン+シスチン)を0.02mM~2mMの濃度で含む。
【0104】
ある実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物)は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片、濃度が50mM~250mMのアルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)、濃度が0.02%~0.08%のポリソルベート80、及び濃度が10mM~30mMのヒスチジンを含む。組成物はpHが5.0~6.5である。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、組成物中に50mg/ml~225mg/mlの濃度で存在する。ある実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、BIIB059のCDR(例えば、配列番号1または17、2、3、4、5、及び6)を含むVH及びVLを含む。ある実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号7及び8をそれぞれ含むVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号9及び10をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖を含む。ある実施形態では、組成物はショ糖を1%~10%の濃度で含む。ある実施形態では、組成物はチオール含有抗酸化剤(例えば、GSH、GSSG、GSH+GSSG、システイン、シスチン、またはシステイン+シスチン)を0.02mM~2mMの濃度で含む。一実施形態では、組成物はpHが5.5であり、BIIB059またはそのBIIB059結合断片を150mg/mlの濃度で、ショ糖を3%の濃度で、アルギニン塩酸塩を100mMの濃度で、ポリソルベート80を0.05%の濃度で、またヒスチジンを20mMの濃度で含む。別の実施形態では、上記で列挙した組成物はさらに、チオール含有抗酸化剤(例えば、GSH、GSSG、GSH+GSSG、システイン、シスチン、またはシステイン+シスチン)を0.02mM~2mMの濃度で含む。特定の実施形態では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.4mMのGSHである。
【0105】
皮下投与の場合、組成物(例えば、医薬組成物)は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の濃度を高くして含んでよい。一実施形態では、そのような組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を200mg/mlの濃度で、アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)を250mMの濃度で、ショ糖を3%の濃度で、ポリソルベート80を0.05%の濃度で、またヒスチジンを20mMの濃度で含む。場合によっては、この組成物のpHは6.0である。場合によっては、組成物はさらに、チオール含有抗酸化剤(例えば、GSH、GSSG、GSH+GSSG、システイン、シスチン、またはシステイン+シスチン)を0.02mM~2mMの濃度で含む。具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.4mMのGSHである。別の具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.2mMのGSSGである。さらに別の具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.4mMのGSH及び濃度が0.2mMのGSSGである。別の実施形態では、そのような高濃度組成物は、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を225mg/mlの濃度で、アルギニン(例えば、アルギニン塩酸塩)を250mMの濃度で、ショ糖を1%の濃度で、ポリソルベート80を0.05%の濃度で、またヒスチジンを20mMの濃度で含む。場合によっては、この組成物のpHは6.0である。場合によっては、組成物はさらに、チオール含有抗酸化剤(例えば、GSH、GSSG、GSH+GSSG、システイン、シスチン、またはシステイン+シスチン)を0.02mM~2mMの濃度で含む。具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.4mMのGSHである。別の具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.2mMのGSSGである。さらに別の具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.4mMのGSH及び濃度が0.2mMのGSSGである。別の具体例では、チオール含有抗酸化剤は濃度が0.4mMのシステインである。ある実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、BIIB059のCDR(例えば、配列番号1または17、2、3、4、5、及び6)を含むVH及びVLを含む。ある実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号7及び8をそれぞれ含むVH及びVLを含む。いくつかの実施形態では、組成物の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号9及び10をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0106】
投与
上記の抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)またはそのBDCA2結合断片は、対象、例えば、ヒト対象に異なる用量で投与可能である。抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)またはそのBDCA2結合断片は、固定用量として(すなわち、患者の体重とは無関係に)、またはmg/kg用量で(すなわち、対象の体重に応じた異なる用量で)投与可能である。本明細書で使用する場合、投与単位形態または「固定用量」とは、治療すべき対象に対する単位用量として好適である、すなわち、各単位が、要求される医薬担体と共同で、かつ任意選択で他の薬剤と共同で所望の治療効果を生み出すよう計算された所定量の活性化合物を含有する、物理的個別単位を指す。単回または複数回の用量で投与され得る。治療は、数日、数週間、数か月または数年でも継続可能である。
【0107】
一実施形態では、成人ヒト対象において本明細書に記載する適応症を治療する場合、抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)またはそのBDCA2結合断片の用量は25mgの固定用量である。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は50mgの固定用量である。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は150mgの固定用量である。さらに別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は450mgの固定用量である。
【0108】
一実施形態では、小児ヒト対象において本明細書に記載する適応症を治療する場合、抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)またはそのBDCA2結合断片の用量は18mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が10~18kgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は22mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が18.1kg~25kgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は28mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が25.1kg~48kgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は50mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が48kg超である。これらの用量は成人用量50mgに相当する。
【0109】
一実施形態では、小児ヒト対象において本明細書に記載する適応症を治療する場合、抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)またはそのBDCA2結合断片の用量は40mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が10~18kgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は56mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が18.1kg~25kgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は80mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が25.1kg~48kgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の用量は150mgの固定用量であり、その場合、小児は体重が48kg超である。これらの用量は成人用量150mgに相当する。
【0110】
上記の固定用量は、それぞれを、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、12回、14回、16回、18回、20回、22回、24回またはそれ以上を包含するようある期間にわたって適宜、連日、毎週、2週間ごと、4週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、月1回、2週に1回、週1回、または連日投与してよい。
【0111】
ある実施形態では、固定用量25mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し2週または4週間隔で、対象の医療提供者がその対象にとって有益であると決定した期間投与する。いくつかの例では、固定用量25mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し4週間ごとに投与する。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回用量を対象に投与してから2週間後に、初回負荷量25mg、50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片も対象に投与する。一実施形態では、初回負荷量は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片25mgである。別の実施形態では、初回負荷量は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片50mgである。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量25mgを少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回対象に投与する。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量25mgを4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回対象に投与する。いくつかの例では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量25mgを2~24回、2~20回、2~18回、2~16回、2~14回、2~12回、2~10回、または2~8回対象に投与する。
【0112】
ある実施形態では、固定用量50mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し2週または4週間隔で、対象の医療提供者がその対象にとって有益であると決定した期間投与する。いくつかの例では、固定用量50mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し4週間ごとに投与する。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回用量を対象に投与してから2週間後に、初回負荷量25mg、50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片も対象に投与する。一実施形態では、初回負荷量は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片50mgである。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量50mgを少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回対象に投与する。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量50mgを4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回対象に投与する。いくつかの例では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量50mgを2~24回、2~20回、2~18回、2~16回、2~14回、2~12回、2~10回、または2~8回対象に投与する。
【0113】
ある実施形態では、固定用量150mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し2週または4週間隔で、対象の医療提供者がその対象にとって有益であると決定した期間投与する。いくつかの例では、固定用量150mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し4週間ごとに投与する。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回用量を対象に投与してから2週間後に、初回負荷量50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片も対象に投与する。一実施形態では、初回負荷量は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片150mgである。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量150mgを少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回対象に投与する。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量150mgを4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回対象に投与する。いくつかの例では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量150mgを2~24回、2~20回、2~18回、2~16回、2~14回、2~12回、2~10回、または2~8回対象に投与する。
【0114】
ある実施形態では、固定用量450mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し2週または4週間隔で、対象の医療提供者がその対象にとって有益であると決定した期間投与する。いくつかの例では、固定用量450mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片をヒト対象に対し4週間ごとに投与する。ある実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回用量を対象に投与してから2週間後に、初回負荷量50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片も対象に投与する。一実施形態では、初回負荷量は抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片450mgである。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量450mgを少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回対象に投与する。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量450mgを4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回対象に投与する。いくつかの例では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量450mgを2~24回、2~20回、2~18回、2~16回、2~14回、2~12回、2~10回、または2~8回対象に投与する。
【0115】
医薬組成物には、「治療的有効量」の本明細書に記載する薬剤が含まれ得る。そのような有効量は、投与薬剤の効果、または2剤以上を使用する場合はその組み合わせ効果に基づいて決定することができる。薬剤の治療的有効量はまた、その個人の疾患の状態、年齢、性別、及び体重、ならびに化合物がその個人に所望の応答を誘導する能力などの因子によって異なり得る。また、治療的有効量は、治療的に有益な効果が組成物の任意の毒性、または有害な作用を上回る量である。一実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の治療的有効量は25mgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の治療的有効量は50mgである。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の治療的有効量は150mgである。さらに別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の治療的有効量は450mgである。一実施形態では、小児ヒト対象(例えば、21歳以下の対象、18歳以下の対象、または16歳以下の対象)に対する抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の治療的有効量は、18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、または150mgである。
【0116】
いくつかの例では、上記の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合組成物を25mgの用量で対象に投与する。他の例では、上記の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合組成物を50mgの用量で対象に投与する。さらに他の例では、上記の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合組成物を150mgの用量で対象に投与する。ある例では、上記の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合組成物を450mgの用量で対象に投与する。
【0117】
小児ヒト対象(例えば、21歳以下の対象、18歳以下の対象、または16歳以下の対象)の場合、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の成人用量50mgに相当する量を達成するため、小児の体重に基づいて以下のとおり用量を決定する:
体重区分 投与量
10~18kg 4週間ごとに18mg
18.1~25kg 4週間ごとに22mg
25.1~48kg 4週間ごとに28mg
48kg超 4週間ごとに50mg。
【0118】
小児ヒト対象の場合、上記の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合組成物の成人用量150mgに相当する量を達成するため、小児の体重に基づいて以下のとおり用量を決定する:
体重区分 投与量
10~18kg 4週間ごとに40mg
18.1~25kg 4週間ごとに56mg
25.1~48kg 4週間ごとに80mg
48kg超 4週間ごとに150mg。
【0119】
抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の投与の経路及び/または方法は、個々の対象ごとに調整可能である。多くの適用では、投与経路は皮下注射(SC)、静脈内への注射または注入(IV)、腹腔内投与(IP)、または筋肉内注射のいずれか1つである。一実施形態では、投与経路は皮下である。別の実施形態では、投与経路は静脈内である。
【0120】
抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を単独または非BDCA2抗体薬(複数可)との組み合わせで含む医薬組成物は、医療デバイスを用いて投与可能である。デバイスは、緊急事態の場合に、例えば、訓練を受けていない対象または現場の救急隊員が使用でき、医療用施設及び他の医療器具に移動させることができるよう、可搬性、室温保存性、及び使いやすさといった特徴を備えた設計にすることができる。デバイスは、例えば、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片が含まれる医薬製剤を保存するための1つ以上のハウジングを含むことができ、また1つ以上の単位用量の遮断剤を送達するよう構成することができる。
【0121】
例えば、医薬組成物は、US5,399,163、同5,383,851、同5,312,335、同5,064,413、同4,941,880、同4,790,824、または同4,596,556に開示されているデバイスのような無針皮下注射デバイスを用いて投与可能である。周知のインプラント及びモジュールの例には、速度を制御して投薬する埋め込み型マイクロインフュージョンポンプを開示するUS4,487,603、経皮的に医薬品を投与する治療用デバイスを開示するUS4,486,194、正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを開示するUS4,447,233、持続的な薬物送達のための可変流量埋め込み型注入器具を開示するUS4,447,224、マルチチャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬物送達システムを開示するUS4,439,196、及び浸透圧薬物送達システムを開示するUS4,475,196が含まれる。他にも多くのデバイス、インプラント、送達システム、及びモジュールが公知である。
【0122】
一実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を注射器を用いてヒト対象に投与する。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を皮下送達用ポンプを用いてヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を自動注入器を用いてヒト対象に投与する。他の実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を皮下用大容量注射装置を用いてヒト対象に投与する。
【0123】
本開示は、抗BDCA2抗体(例えば、BIIB059)またはそのBDCA2結合断片の滅菌調製物を含むポンプまたは注射器を提供する。注射器またはポンプは、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の皮下投与に適合させることができる。場合によっては、注射器またはポンプは、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量(複数可)(例えば、18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、150mg、450mg)を送達する。
【0124】
本開示はまた、上記の医薬組成物の滅菌調製物を含むポンプ、注射器、または注射装置(例えば、自動注射装置、大量皮下注射装置)も提供する。注射器またはポンプは、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を含む医薬組成物の皮下投与に適合させることができる。いくつかの例では、注射器またはポンプは、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量(複数可)(例えば、18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、150mg、450mg)を送達する。
【0125】
治療方法
本明細書に記載する抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を使用して、炎症性障害及び自己免疫障害などのさまざまな免疫学的障害を治療または予防することができる。抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、pDCを無力化または除去する、及び/またはpDCにより産生される炎症性サイトカイン及びケモカインを阻害する、及び/またはCD32aを下方制御する、及び/またはpDCの免疫複合体刺激を阻害する、及び/またはCD62Lの脱落を下方制御または引き起こすことができる。本開示の抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、炎症性障害及び自己免疫障害の治療で改善された治療効果を得るために抗マラリア薬(例えば、HCQ)と併用することができる。抗BDCA2抗体を使用して、I型インターフェロン、III型インターフェロン、IL-6、TNF-α、MIP1-α及びMIP1-β、CCL5、及びIP-10などのサイトカイン及びケモカインのレベルを低下させることができる。I型IFNは、複数に分類されるサイトカインファミリーを構成し、これには13のIFN-αサブタイプ、IFN-β、-ε、-κ、-ω、-δ及び-τが含まれる。(Theofilopoulos,Annu.Rev.Immunol.,23:307-36(2005))。III型インターフェロンは、IFN-λ1、IFN-λ2及びIFN-λ3と呼ばれる(それぞれ、IL29、IL28A及びIL28Bとも呼ばれる)3つのIFN-λ分子からなる。本明細書に記載する抗BDCA2抗体は、pDCの機能を除去及び/または減弱化することによって、中和抗体を用いて特定のIFNサブタイプの抑制を試みる治療よりも確かな治療手法を提供する。さらに、pDCに焦点をあてる抗BDCA2抗体の治療手法は、IFN応答を全体的に遮断するより選択的であり、かつ安全である可能性が高い。例えば、本明細書に記載する抗BDCA2抗体は、pDC由来のI型IFNを効果的に排除する一方で、ウイルス感染事象で必要となり得る他のIFN産生源は維持する。
【0126】
本開示は、本明細書に記載する抗体及び組成物を使用してBDCA2関連障害を治療する方法を提供する。BDCA2関連障害の非限定的な例には、SLE、CLE、DLE、ループス腎炎、全身性硬化症(強皮症)、モルフェア、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、皮膚筋炎、多発性筋炎、I型糖尿病、及びサイトカイン放出症候群が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する抗BDCA2抗体及び組成物を使用して、狼瘡障害(例えば、SLE、CLE、及びDLE)を治療することができる。
【0127】
一実施形態では、本開示は、SLE(例えば、中等度または重度の狼瘡)の治療を必要とするヒト対象でのかかる疾患の治療方法を特徴とする。方法では、それを必要とするヒト対象に対し治療的有効量の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の投与を行う。ある例では、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。ある例では、対象が小児対象(例えば、21歳以下の対象、18歳以下の対象、または16歳以下の対象)の場合、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、または150mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。用量は、先に詳述したように小児の体重に基づいて選択する。いくつかの例では、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、または12回のうち2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回対象に投与する。ある例では、対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から約2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mg、150mg、または450mgも投与する。一実施形態では、SLEに罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量50mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mgを投与する。別の実施形態では、SLEに罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量150mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量150mgを投与する。さらに別の実施形態では、SLEに罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量450mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量450mgを投与する。
【0128】
本開示はまた、皮膚エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)を治療する方法を必要とするヒト対象のかかる疾患を治療する方法を特徴とする。方法では、それを必要とするヒト対象に対し治療的有効量の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の投与を行う。ある例では、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。ある例では、対象が小児対象(例えば、21歳以下の対象、18歳以下の対象、または16歳以下の対象)の場合、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、または150mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。用量は、先に詳述したように小児の体重に基づいて選択する。いくつかの例では、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、または12回のうち2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回対象に投与する。ある例では、対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から約2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mg、150mg、または450mgも投与する。一実施形態では、CLE(SLEを伴う、伴わないを問わず)に罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量50mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mgを投与する。別の実施形態では、CLE(SLEを伴う、伴わないを問わず)に罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量150mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量150mgを投与する。さらに別の実施形態では、CLE(SLEを伴う、伴わないを問わず)に罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量450mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量450mgを投与する。
【0129】
本開示はまた、円板状エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)を治療する方法を必要とするヒト対象でのかかる疾患の治療方法も提供する。方法では、それを必要とするヒト対象に対し治療的有効量の抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の投与を行う。ある例では、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。ある例では、対象が小児対象(例えば、21歳以下の対象、18歳以下の対象、または16歳以下の対象)の場合、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、または150mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。用量は、先に詳述したように小児の体重に基づいて選択する。いくつかの例では、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、または12回のうち2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回対象に投与する。ある例では、対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から約2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mg、150mg、または450mgも投与する。一実施形態では、円板状エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)に罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量50mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mgを投与する。別の実施形態では、円板状エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)に罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量150mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量150mgを投与する。さらに別の実施形態では、円板状エリテマトーデス(SLEを伴う、伴わないを問わず)に罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量450mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量450mgを投与する。
【0130】
一実施形態では、本開示は、サイトカイン放出症候群及び/またはサイトカインストームを治療する方法を必要とするヒト対象でのかかる疾患の治療方法を特徴とする。サイトカイン放出症候群(CRS)は、T細胞との会合による治療法(例えば、キメラ抗原レセプター修飾T細胞(CART)療法)使用直後によく見られる合併症である。この障害の重症例はサイトカインストームとして知られる。CRSは、多数のモノクローナル抗体の使用に関連する症状群である。CRSは一般に輸液反応と呼ばれ、抗体が標的とした細胞ならびにその領域に動員された免疫エフェクター細胞からサイトカインが放出されることにより生じる。抗体はT細胞受容体に結合し、T細胞が破壊される前にそれらを活性化させる。活性化T細胞から放出されたサイトカインは、重度の感染で見られる炎症反応と同様の、一種の全身性炎症反応を引き起こす。サイトカインが循環中に放出されると、対象は発熱、悪心、悪寒、低血圧、頻脈、無力症、頭痛、発疹、喉のチクチクする感じ、及び呼吸困難などの全身症状を発症し得る。ほとんどの症例では症状は軽度から中等度の重症度であり、比較的容易に管理することができる。しかしながら、一部の患者は、サイトカインの大量放出により引き起こされる、生命を脅かす重度の反応を経験し得る。重度の反応は、それまでに化学療法を受けたことのない、血液の悪性疾患患者の初回輸注中にわりと頻繁に生じる。重度の反応は、その急速な発現及び関連症状の激しさによって特徴づけられる。大量のサイトカイン放出はがん救急であり、生命を脅かす合併症をもたらし得る。CRSを治療する方法では、それを必要とするヒト対象に対し抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の投与を行う。ある例では、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量50mg、150mg、または450mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。ある例では、対象が小児対象(例えば、21歳以下の対象、18歳以下の対象、または16歳以下の対象)の場合、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して用量18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、または150mgの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片を提供する。用量は、先に詳述したように小児の体重に基づいて選択する。いくつかの例では、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、または12回のうち2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回対象に投与する。ある例では、対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から約2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mg、150mg、または450mgも投与する。一実施形態では、CRSに罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量50mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量50mgを投与する。別の実施形態では、CRSに罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量150mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量150mgを投与する。さらに別の実施形態では、CRSに罹患した対象に対し、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の固定用量450mgを、また抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回用量投与から2週間後に抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片の初回負荷量450mgを投与する。ある例では、ヒト対象はCART療法(例えば、CART-19療法)を受ける、予定されている、または受けている。ある例では、ヒト対象は抗T細胞抗体(例えば、ATG、OKT3、TGN1412)または二重特異性抗体(bispecific antibody)(例えば、ブリナツモマブ)を用いた療法を受ける、予定されている、または受けている。ある例では、対象は抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)を用いた療法を受ける、予定されている、または受けている。ある例では、CRSの治療を受けるヒト対象にはまた、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を用いた治療の間にコルチコステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン)及び/または抗ヒスタミン(例えば、クロルフェナミン)も同時、別々、または順次投与する。いくつかの例では、対象にはまた、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を用いた治療の間に、IL-6を阻害する薬剤も同時、別々、または順次投与する。IL-6を阻害する薬剤は、抗IL-6抗体またはそのIL6結合断片、IL6受容体(IL6R)拮抗薬(例えば、トシリズマブまたは可溶性IL6R)であってよい。
【0131】
上記の治療方法すべてにおける一実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、BIIB059の3つの重鎖可変ドメインCDR及び3つの軽鎖可変ドメインCDRを含む。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、配列番号1~6に記載のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、配列番号12~16に記載のアミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、配列番号18~22に記載のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、配列番号24~28に記載のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、配列番号1または17に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVH CDR3、ならびに配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたは構成要素とするVL CDR3を含む。
【0132】
上記の治療方法すべてにおけるいくつかの実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、(i)BIIB059のVHドメインのアミノ酸配列(配列番号7)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一なVHドメイン、及び/または(ii)BIIB059のVLドメインのアミノ酸配列(配列番号8)と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号7及び/または配列番号8に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているVLドメインを含む。ある例では、これらの抗BDCA2抗体またはBDCA2結合断片は、(i)ヒトまたはカニクイザルのBDCA2と結合するが、霊長類より下位の系統学的種のBDCA2と有意に結合することはない、及び/または(ii)TLR7/TLR9により誘導されるヒトpDCによるI型インターフェロン及び他のサイトカインまたはケモカインの産生を阻害する、及び/または(iii)pDC表面からのBDCA2の内部移行を媒介する、及び/または(iv)CD32a及び/またはCD62LをpDC表面から下方制御する、及び/または(v)ADCCまたはCDCによりインビトロでpDCを除去する。
【0133】
上記の治療方法すべてにおけるある実施形態では、抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトBDCA2の細胞外ドメインに選択的に結合し、(i)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一なHC、及び/または(ii)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上同一であるか、または配列番号9及び/または配列番号10に比べ少なくとも1~5のアミノ酸残基が異なってはいるが、40、30、20、15、もしくは10より少ない残基において異なっているLCを含む。
【0134】
以下は本発明の実施例である。それらは、本発明の範囲を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。
【実施例0135】
実施例1:抗BDCA2抗体製剤の粘度評価
高濃度抗BDCA2抗体製剤を開発するため、使用可能であろうと思われる最も高い抗体濃度を決定した。これらの試験で使用した抗体製剤は、BIIB059、クエン酸緩衝液10mM、Arg.HCl 140mM及びPS80 0.05%を含んだ。製剤はpHが6.0であった。これらの試験における最高濃度は粘度及び皮下用大容量ポンプの限度(50cP)により制限されると思われる。低濃度製剤で粘度を測定した(
図1)。225mg/mLと250mg/mLの間で閾値粘度を超えたことがわかったため、225mg/mLを抗BDCA2抗体製剤の最高濃度として選択した。
【0136】
実施例2:抗体製剤の各種添加物及び条件の検討
初めに、実施例1の抗体製剤では非常に高い凝集率が40℃にて観察され、目に見える粒子及び相当量の目に見えない微粒子も観察された。いくつかの原因が確認された:
1.40℃での挙動から5℃での挙動が予測されるとは思われない
2.工程関連ストレス、例えば、UF/DF時のストレスは、凝集体が形成される原因となり得る。添加物存在下での処理により、この凝集体形成が抑制される
3.使用した異なる原薬バッチは開始時のHMWレベルが異なっており、これが、その後の凝集に影響し得る
4.タンパク質は少なくとも中程度に感光性であったと思われる。
5.酸化の発生と関連があり得る。
【0137】
したがって、先に少なくとも最小限の添加物の存在下で材料を調製してから、任意のさらなる添加物を添加した。安定性について試験した製剤を表2に示す。
【表2】
【0138】
試験1
試験1では、40℃にて高い凝集が観察されたが、5℃では優れた安定性が観察され、225mg/mLまでの濃度では3か月にわたり高分子量種(HMW)の有意な増加はなかった。データのさらなる分析から、pHが低い方が凝集が低いこと、及びヒスチジンの方がクエン酸より優れていることが示された(
図2)。
【0139】
高pH、40℃でのインキュベーション後に目に見える粒子を観察することができたが、目に見えない微粒子数はマイクロフローイメージング(MFI)では依然として許容できるものであった。5℃で3か月後、見られた粒子は少なかったが同様の傾向が観察された。これらの製剤の粘度は濃度と共に増大した。緩衝液及びpHに対する弱い依存性も観察することができたが、この影響は小さかった(
図3)。
【0140】
抗BDCA2抗体の高濃度において、使用したTweenレベル、PS80 0.05%はそのままで適当であるか否かを決定する実験も行った。出現、MFI、及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のいずれも、PS80 0.02%以上のレベルにしても撹拌に対するさらなる保護は得られないことを示した。したがって、目的濃度PS80
0.05%の維持は適切であると決定された。
【0141】
試験2
この第2の試験では、異なる添加物及び添加物のいくつかの組み合わせについて検討した(表2を参照のこと)。
【0142】
40℃では、やはり高い凝集が観察されたが、一部の添加物、特にArg.HClは、濃度依存的な明らかな利点を示した(
図4)。
【0143】
これらの製剤の粘度を考慮すると、Arg.HClは濃度依存的に粘度を低下させ、やはり有利となることがわかった。Arg含有溶液には、40℃でのインキュベーション後に目に見える粒子を形成する傾向は確かにあった。驚くべきことに、ショ糖により目に見える粒子の形成が妨げられた(表3)。また、ショ糖は目に見えない微粒子数を減少させた(
図5)。
【表3】
【0144】
これらの結果に基づき、ショ糖とArg.HClの組み合わせで低凝集、良好な粘度、及び粒子無形成がもたらされるかどうかを確認するため、かかる組み合わせを使用する開発段階の安定性試験を開始した。40℃でのインキュベーション後、目に見える微粒子は観察できなかった。興味深いことに、ショ糖とArg.HClの組み合わせにより、目に見えない微粒子数も有意に低下した(
図5)。Arg.HCl 70mM中の微粒子数は極めて少なかったが、驚くべきことに、ショ糖を添加することにより粒子数がさらに減少した(
図5)。ショ糖の存在により凝集体の形成が有意に影響されることはなかった(
図6)。5℃で6週間まで行ったさらなるデータではこの傾向が続き、Arg.HCl/ショ糖を組み合わせた製剤において許容できる安定性を示した。200mg/mLでは、Arg.HCl 70mMにショ糖3.5%を添加した場合の粘度は22.5cPであり、ショ糖7%では粘度は23.5cPであった。
【0145】
試験1及び試験2の結果を合わせ、数々の観察所見から、新たな「最良」の高濃度製剤の提示が導き出された(表4)。この「最良」製剤を、実施例3及び実施例4の製剤2と呼ぶことにする。
【表4】
【0146】
抗BDCA2製剤では過去に凝集、目に見えない微粒子、及び目に見える粒子が見られたため、抗BDCA2抗体を150mg/mLで製剤化することに決定した。
【0147】
実施例3:抗BDCA2抗体製剤での凝集比較
クエン酸10mM、Arg.HCl 150mM、PS80 0.05%、pH6.0に抗BDCA2抗体(BIIB059)製剤50mg/mlを製剤化し、限外ろ過/透析ろ過による濃縮に供した。2つの異なる濃縮製剤を作製し、製剤1は、BIIB059 150mg/ml、クエン酸20mM、Arg.HCl 140mM、PS80 0.05%、pH6.0とし、また製剤2は、BIIB059 150mg/ml、ヒスチジン20mM、Arg.HCl 100mM、ショ糖3%、PS80 0.05%、pH5.5とした。この構成を用いた場合に、2つの異なる製剤における高濃度を探索することができた。
【0148】
興味深いことに、製剤2の材料を濃縮してクエン酸/Arg緩衝液から再加工したが、製剤2(添加物としてHis/ショ糖/Argを含有)は、より低い開始時凝集レベルを示した(
図7)。また、この材料の凝集率はより低かった(表5)。
【表5】
観察された開始時のHMW%(
図7)、5℃での凝集率(表5)及び25℃で1か月後のHMWの増大(
図7)に基づき、各生成物の有効期間、すなわち、初期段階生成物の典型的仕様の閾値である5%HMWに到達するまでに要する時間を予測することができた。製剤1の予測有効期間は9.5か月であり、製剤2の予測有効期間は26か月であった(5℃での凝集率が、凝集の最も速い最初の3か月のデータに基づいており、また、1か月の室温は、生成物が実際に置かれる温度よりかなり高いと考えられることから、この結果は過小評価でさえあると考えられる)。以上をまとめると、データから、製剤2は凝集に対して製剤1より有意に高い安定性を提供することがわかる。
【0149】
実施例4:抗BDCA2抗体製剤2の粘度
その後、製剤2の粘度を測定した。
図8に見られるように、粘度特性は、この製剤のデバイスへの組み込みに適したものであった。約155mg/mLまでは自動注入器の閾値10cPを超えなかったことから、最高で約140mg/mLの材料がこのデバイスに入り得るであろうと示唆された。200mg/mLの高濃度でも閾値50cPを超えなかったことから、皮下用大容量注射装置が要求される場合にこの濃度まで高くされる可能性が示唆された。
【0150】
実施例5:投与レジメンの根拠
安全性、薬物動態(PK)、PKとBDCA2内部移行との関係、及びpDCのIFNα産生についての外挿阻害能力(応答の90%阻害をもたらす濃度[IC90])に基づいて投与レジメンを選択した。
【0151】
健常者におけるBIIB059 20mg/kg以下のIV単回投与では、許容される忍容性が示された。BDCA2の内部移行と再出現により測定したBDCA2の標的会合は、0.3mg/kg~20mg/kgの用量範囲にわたって用量依存的に観察された。BDCA2の内部移行のEC90値は、集団に基づいたPK及びPDモデリングから求めたものであり、平均値は1.5μg/mLであった。BDCA2の内部移行及びIFNα阻害をインビトロからインビボに外挿してIFNα阻害のIC90を推定した。
【0152】
BIIB059の固定用量50mg、150mg及び450mgの4週間隔(Q4W)皮下(SC)投与、及び初回用量投与から2週間後(第2週)のさらなる用量(「初回負荷量」)は、以下の点から支持される:
(1)低用量50mg SC Q4Wは、投与間隔の大半のBDCA2内部移行を維持するために選ばれた。
(2)中程度用量150mg SC Q4Wは、IFNαのIC90計算値と同様の最小観察濃度(Cmin)レベルを達成するために選択された。
(3)最高用量450mg SC Q4Wは、IFNα阻害についてのIC90計算値の3倍と同様のCminレベルを達成するために選択された。さらに、追加用量450mgを第2週に与え、バイオアベイラビリティ(F)が0.45であるこの用量レジメンでは、健常志願者での被験用量では最も高い、65kgの人への20mg/kg IV単回投与で達成される曝露に匹敵する、3か月にわたる累積曝露がもたらされると予測される。
【0153】
SC投与後1か月以内に薬物に十分に曝露され、濃度レベルが目的の定常状態値を超えることを保証するため、第2週(第15日-すなわち、初回用量投与の15日後)のSC初回負荷量が含まれるであろう。
【0154】
体重による用量調節を使用したPKデータから、体重は、BIIB059曝露に影響を及ぼす共変量ではないことが示された。さらに、集団PKシミュレーションから、体重による用量調節投与及び固定用量投与はいずれも同程度のBIIB059曝露となることが示された。したがって、固定用量レジメンは妥当である。
【0155】
高用量450mg SC Q4W(12週間)及び第2週の初回負荷量は、SC及びIVそれぞれの2週間隔レジメンのデータを使用したPKシミュレーションと、用量450mgが、I型IFN産生を含めたpDC機能を12週間にわたり抑制するのに適切な標的(BDCA2)範囲を有するであろうという予測とに基づいている。
【0156】
実施例6:抗BDCA2高濃度製剤検討
ヒスチジン20mM、Arg.HCl 100mM、ショ糖3%、ポリソルベート80
0.05%中に抗BDCA2抗体製剤を濃度150mg/mL、pH5.5で製剤化した。抗BDCA2抗体の高用量での皮下投与を可能にするため、150mg/mLを上回る濃度の抗BDCA2抗体液体製剤の安定性を調べる製剤試験を実施した。この試験では、200mg/mL、225mg/mL、及び240mg/mLの各濃度について調べた。高濃度製剤の安定性におけるアルギニン及びショ糖の役割を理解するため、これらの添加物の量も変えた。さらに、塩基性種の生成を抑制するため、各製剤のpHを6.0または6.5に上げた。計10製剤を試験した(製剤組成については表6を参照のこと)。
【表6-1】
【表6-2】
【0157】
全製剤を、4つの条件、すなわち、(i)5℃、(ii)25℃/60%RH、(iii)30℃/70%RH、及び(iv)40℃/75%RHでインキュベートした。所定の測定ポイントにおいて分析用に試料を取り出し、かかる分析には、凝集体を定量するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び塩基性アイソフォームを定量するイメージングキャピラリー等電点電気泳動法(icIEF)が含まれた。
【0158】
5℃では、200/250/3/6及び225/250/1/6でそれぞれ表示された製剤1及び製剤5は、どの被験測定ポイントでも(0週間目、4週間目、及び12週間目)凝集が最も低かった(
図9)。25℃(
図10)、30℃(
図11)、及び40℃(
図12)では、製剤1は、他の製剤と比べると、一貫して最も低い凝集形成を示した。したがって、製剤1をこの試験での最良性能製剤として同定した。この試験の凝集データ線形モデルにより、製剤のタンパク質濃度、アルギニン濃度、及びpHが凝集に有意に影響することが示された。
【0159】
塩基性種の生成は、pHに大きく依存し、pH6.5の製剤と比べるとpH6.0の製剤ではより大量に生成が認められた。この傾向は25℃(
図13)、30℃(
図14)、及び40℃(
図15)で特に明らかであった。pH6.0の製剤も25℃(
図13)、30℃(
図14)、及び40℃(
図15)で塩基性アイソフォームの経時的な増加を示す傾向があった。5℃では、例示的なBDCA2製剤(すなわち、ヒスチジン20mM、Arg.HCl 100mM、ショ糖3%、ポリソルベート80 0.05%中に抗BDCA2製剤をpH5.5、150mg/mLの濃度で製剤化したもの)における先の所見と異なり、どの製剤においても塩基性アイソフォームの一貫した増加はなかった(
図16)。
【0160】
実施例7:抗BDCA2抗体製剤中のチオール含有酸化剤(複数可)の影響の評価
材料及び方法:
タンパク質及び試薬
抗BDCA2抗体(BIIB059)、SB4(BENEPALI(登録商標))、及び抗αvβ5抗体(STX200)を下記表に従い製剤化した:
【表7-1】
【表7-2】
L-グルタチオンの還元型及び酸化型(GSH及びGSSG)をSigma Aldrich(St.Louis,MO)より入手した。
サイズ排除HPLC
ガードカラムを連結したAcquity UPLC BEH200 SEC分析カラムが装備されたWaters Acquity UPLC装置でサイズ排除HPLC(SEC)実験を実施した。280nmでUV検出を実施した。20μgの量の試料を0.35mL/分の一定流速の移動相でカラムに注入した。各試料に10分間実施した。
安定性試験
SB4及びSTX200を10K遠心式フィルターで150mg/mlに濃縮した。対応する製剤緩衝液に調製したGSHの原液20mM及びGSSGの原液10mMをタンパク質溶液に添加して最終濃度をそれぞれ0.4mM及び0.2mMとした。ガラスインサートを備えたWebSealプレートに調製した溶液を播種して密封し、25℃/60%RH及び40℃/75%RHで3か月間インキュベートした。所定の測定ポイントにてSECによるHMW%の分析を実施した。
【0161】
結果及び考察
トリペプチド(γ-Glu-Cys-Gly)であるグルタチオンはジスルフィド結合の形成を調節する。還元型(GSH)は誤架橋(misbridged)のジスルフィド結合を切断し、酸化型(GSSG)はジスルフィド結合形成を促進する。したがって、酸化還元対(すなわち、GSH+GSSG)と共にインキュベートした凝集タンパク質は、正しい天然コンホメーションにリフォールディングして凝集動態に影響を与えるであろうと考えられる。グルタチオン存在下の抗BDCA2抗体は、25℃において、初期に可逆的凝集を示し、その後、グルタチオン不含の製剤より遅い凝集率で凝集する(
図17、上のパネル)。より高い温度(40℃)では凝集機構に相違が付加され、コンホメーションの安定性も関与してくる(
図17、下のパネル)。したがって、グルタチオン単独では25℃の場合に類似するような抑制は達成できなかった。
【0162】
ショ糖はタンパク質の安定化に広く使用されている添加物である。ショ糖はタンパク質表面から選択的に排除されているため、タンパク質の天然コンホメーションを促進する。抗BDCA2抗体製剤中にショ糖がないことによる凝集特性への影響はなく(
図18)、BDCA2の凝集を制御するジスルフィド結合のスクランブルの役割がさらに強調された。
【0163】
STX200ではグルタチオン添加は負の影響を与え、凝集増大が観察された(
図20)。STX200は、非グリコシル化(aglycosylated)分子であり、より高い温度でコンホメーションの安定性不良を示す。したがって、分子の折り畳み構造がほどかれることによりチオール基が露出し、そのためグルタチオンのチオール基と架橋しやすくなり、凝集がさらに促進される。グルタチオンもまた、25℃では融合タンパク質SB4での凝集動態に対し何ら影響を及ぼさなかったが、40℃ではより速い凝集を促進した(
図19)。
【0164】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて記載してきたが、上述の説明は例示を意図したものであり、添付の特許請求の範囲に記載の範囲により定義される本発明の範囲を制限するものではない。他の態様、利点、及び変更は以下の請求項の範囲に含まれる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
抗血液樹状細胞抗原2(BDCA2)抗体またはそのBDCA2結合断片、ショ糖、及びアルギニン塩酸塩(Arg.HCl)を含む医薬組成物であって、
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、
前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含み、かつ
pHが5.0~6.0である、前記医薬組成物。
(項目2)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目3)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~175mg/mlの濃度で含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目4)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mg/mlの濃度で含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目5)
前記組成物は、ショ糖を0.05%~10%の濃度で含む、項目1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目6)
前記組成物は、ショ糖を1%~5%の濃度で含む、項目1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目7)
前記組成物は、ショ糖を3%の濃度で含む、項目1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目8)
前記組成物は、Arg.HClを50mM~250mMの濃度で含む、項目1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目9)
前記組成物は、Arg.HClを75mM~125mMの濃度で含む、項目1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目10)
前記組成物は、Arg.HClを100mMの濃度で含む、項目1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目11)
前記組成物はポリソルベート80(PS80)を含む、項目1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記組成物は、PS80を0.01%~0.1%の濃度で含む、項目11に記載の医薬組成物。
(項目13)
前記組成物は、PS80を0.03%~0.08%の濃度で含む、項目11に記載の医薬組成物。
(項目14)
前記組成物は、PS80を0.05%の濃度で含む、項目11に記載の医薬組成物。
(項目15)
前記組成物はヒスチジンを含む、項目1~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目16)
前記組成物は、ヒスチジンを5mM~50mMの濃度で含む、項目15に記載の医薬組成物。
(項目17)
前記組成物は、ヒスチジンを15mM~25mMの濃度で含む、項目15に記載の医薬組成物。
(項目18)
前記組成物は、ヒスチジンを20mMの濃度で含む、項目15に記載の医薬組成物。
(項目19)
前記組成物は、pHが5.3~5.7である、項目1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目20)
前記組成物は、pHが5.5である、項目1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目21)
125mg/ml~175mg/mlの濃度の前記抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
1%~5%の濃度のショ糖と、
15mM~25mMの濃度のヒスチジンと、
75mM~125mMの濃度のArg.HClと、
0.03%~0.08%の濃度のPS80とを含み、
pHが5.3~5.7である、項目1に記載の医薬組成物。
(項目22)
150mg/mlの濃度の前記抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
3%の濃度のショ糖と、
20mMの濃度のヒスチジンと、
100mMの濃度のArg.HClと、
0.05%の濃度のPS80とを含み、
pHが5.5である、項目1に記載の医薬組成物。
(項目23)
(i)前記VHは配列番号7と少なくとも80%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記VHは配列番号7と少なくとも90%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記VHは配列番号7に記載のアミノ酸配列からなり、前記VLは配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる、項目1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目24)
前記抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、
(i)前記重鎖は配列番号9と少なくとも80%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記重鎖は配列番号9と少なくとも90%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記重鎖は配列番号9に記載のアミノ酸配列からなり、前記軽鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる、項目1~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目25)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、項目1~24のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目26)
前記医薬組成物を前記ヒト対象に皮下投与する、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に50mgの用量で4週間ごとに投与する、項目25または項目26に記載の方法。
(項目28)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に150mgの用量で4週間ごとに投与する、項目25または項目26に記載の方法。
(項目29)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に450mgの用量で4週間ごとに投与する、項目25または項目26に記載の方法。
(項目30)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に50mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含み、ここで、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記方法。
(項目31)
前記ヒト対象に対し、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回投与から2週間後に前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回負荷量を投与する、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記初回負荷量は50mgである、項目31に記載の方法。
(項目33)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に150mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含み、ここで、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記方法。
(項目34)
前記ヒト対象に対し、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回投与から2週間後に前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回負荷量を投与する、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記初回負荷量は150mgである、項目34に記載の方法。
(項目36)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に450mgの用量で4週間ごとに皮下投与することを含み、ここで、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記方法。
(項目37)
前記ヒト対象に対し、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回投与から2週間後に前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の初回負荷量を投与する、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記初回負荷量は450mgである、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片の少なくとも4用量を前記ヒト対象に投与する、項目27~38のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
前記抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片の少なくとも7用量を前記ヒト対象に投与する、項目27~38のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記抗BDCA2抗体またはその抗原結合性断片の少なくとも10用量を前記ヒト対象に投与する、項目27~38のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
(i)前記VHは配列番号7と少なくとも80%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記VHは配列番号7と少なくとも90%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記VHは配列番号7に記載のアミノ酸配列からなり、前記VLは配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる、項目30~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、
(i)前記重鎖は配列番号9と少なくとも80%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記重鎖は配列番号9と少なくとも90%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記重鎖は配列番号9に記載のアミノ酸配列からなり、前記軽鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる、項目30~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記病態は全身性エリテマトーデスである、項目25~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記病態は皮膚エリテマトーデスである、項目25~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記病態は円板状エリテマトーデスである、項目25~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記ヒト対象は全身性エリテマトーデスにも罹患している、項目45に記載の方法。
(項目48)
前記ヒト対象は全身性エリテマトーデスに罹患していない、項目45に記載の方法。
(項目49)
前記ヒト対象は全身性エリテマトーデスにも罹患している、項目46に記載の方法。
(項目50)
前記ヒト対象は全身性エリテマトーデスに罹患していない、項目46に記載の方法。
(項目51)
前記病態はサイトカイン放出症候群である、項目25~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量50mg、150mg、または450mgでの皮下投与に適合させた項目1~24のいずれか1項に記載の医薬組成物の滅菌調製物を含む、注射器またはポンプ。
(項目53)
抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の滅菌調製物を含む注射器またはポンプであって、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量50mg、150mg、または450mgでの皮下投与に適合しており、ここで、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記注射器またはポンプ。
(項目54)
(i)前記VHは配列番号7と少なくとも80%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記VHは配列番号7と少なくとも90%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記VHは配列番号7に記載のアミノ酸配列からなり、前記VLは配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる、項目53に記載の注射器またはポンプ。
(項目55)
前記抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、
(i)前記重鎖は配列番号9と少なくとも80%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記重鎖は配列番号9と少なくとも90%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記重鎖は配列番号9に記載のアミノ酸配列からなり、前記軽鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる、項目53または項目54に記載の注射器またはポンプ。
(項目56)
抗血液樹状細胞抗原2(BDCA2)抗体またはそのBDCA2結合断片、ショ糖、及びアルギニン塩酸塩(Arg.HCl)を含む医薬組成物であって、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含み、かつ
pHが5.0~6.5である、前記医薬組成物。
(項目57)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で含む、項目56に記載の医薬組成物。
(項目58)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を125mg/ml~175mg/mlの濃度で含む、項目56に記載の医薬組成物。
(項目59)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を150mg/mlの濃度で含む、項目56に記載の医薬組成物。
(項目60)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を200mg/mlの濃度で含む、項目56に記載の医薬組成物。
(項目61)
前記組成物は、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を225mg/mlの濃度で含む、項目56に記載の医薬組成物。
(項目62)
前記組成物は、ショ糖を1%~10%の濃度で含む、項目56~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目63)
前記組成物は、ショ糖を1%~5%の濃度で含む、項目56~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目64)
前記組成物は、ショ糖を3%の濃度で含む、項目56~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目65)
前記組成物は、ショ糖を1%の濃度で含む、項目56~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目66)
前記組成物は、Arg.HClを50mM~250mMの濃度で含む、項目56~65のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目67)
前記組成物は、Arg.HClを75mM~125mMの濃度で含む、項目56~65のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目68)
前記組成物は、Arg.HClを100mMの濃度で含む、項目56~65のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目69)
前記組成物は、Arg.HClを250mMの濃度で含む、項目56~65のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目70)
前記組成物はPS80を含む、項目56~69のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目71)
前記組成物は、PS80を0.02%~0.08%の濃度で含む、項目70に記載の医薬組成物。
(項目72)
前記組成物は、PS80を0.03%~0.08%の濃度で含む、項目70に記載の医薬組成物。
(項目73)
前記組成物は、PS80を0.05%の濃度で含む、項目70に記載の医薬組成物。
(項目74)
前記組成物はヒスチジンを含む、項目56~73のいずれか1項に記載の医薬組成物。(項目75)
前記組成物は、ヒスチジンを10mM~30mMの濃度で含む、項目74に記載の医薬組成物。
(項目76)
前記組成物は、ヒスチジンを15mM~25mMの濃度で含む、項目74に記載の医薬組成物。
(項目77)
前記組成物は、ヒスチジンを20mMの濃度で含む、項目74に記載の医薬組成物。
(項目78)
前記組成物はpHが5.3~6.0である、項目56~77のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目79)
前記組成物はpHが5.5である、項目56~77のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目80)
前記組成物はpHが6.0である、項目56~77のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目81)
前記組成物はチオール含有抗酸化剤を含む、項目56~80のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目82)
前記チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGの組み合わせ、シスチン、システイン、及びシステインとシスチンの組み合わせからなる群から選択される、項目81に記載の医薬組成物。
(項目83)
前記チオール含有抗酸化剤はGSHである、項目81に記載の医薬組成物。
(項目84)
前記チオール含有抗酸化剤はGSSGである、項目81に記載の医薬組成物。
(項目85)
前記チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGの組み合わせである、項目81に記載の医薬組成物。
(項目86)
前記チオール含有抗酸化剤は0.02mM~2mMの濃度である、項目81~85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目87)
前記チオール含有抗酸化剤は0.2mMの濃度である、項目81~85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目88)
前記チオール含有抗酸化剤は0.4mMの濃度である、項目81~85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目89)
前記チオール含有抗酸化剤は1mMの濃度である、項目81~85のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目90)
前記GSHは0.4mMの濃度であり、前記GSSGは0.2mMの濃度である、項目85に記載の医薬組成物。
(項目91)
抗血液樹状細胞抗原2(BDCA2)抗体またはそのBDCA2結合断片の他に、
10mM~30mMの濃度のヒスチジンと、
50mM~250mMの濃度のArg.HClと、
0.02%~0.08%の濃度のPS80とを含む、医薬組成物であって、
pHが5.0~6.5であり、かつ
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記医薬組成物。
(項目92)
前記抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片を50mg/ml~225mg/mlの濃度で含む、項目91に記載の医薬組成物。
(項目93)
ショ糖を1%~10%の濃度で含む、項目91または92に記載の医薬組成物。
(項目94)
チオール含有抗酸化剤を含む、項目91~93のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目95)
前記チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGの組み合わせ、シスチン、システイン、及びシステインとシスチンの組み合わせからなる群から選択される、項目94に記載の医薬組成物。
(項目96)
前記チオール含有抗酸化剤はGSHである、項目94に記載の医薬組成物。
(項目97)
前記チオール含有抗酸化剤はGSSGである、項目94に記載の医薬組成物。
(項目98)
前記チオール含有抗酸化剤はGSHとGSSGの組み合わせである、項目94に記載の医薬組成物。
(項目99)
前記チオール含有抗酸化剤は0.02mM~2mMの濃度である、項目94~98のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目100)
前記チオール含有抗酸化剤は0.2mMの濃度である、項目94~98のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目101)
前記チオール含有抗酸化剤は0.4mMの濃度である、項目94~98のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目102)
前記チオール含有抗酸化剤は1mMの濃度である、項目94~98のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目103)
前記GSHは0.4mMの濃度であり、前記GSSGは0.2mMの濃度である、項目98に記載の医薬組成物。
(項目104)
150mg/mlの濃度の前記抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
3%の濃度のショ糖と、
20mMの濃度のヒスチジンと、
100mMの濃度のArg.HClと、
0.05%の濃度のPS80と、
0.4mMの濃度のGSHとを含み、
pHが5.5である、項目91に記載の医薬組成物。
(項目105)
150mg/mlの濃度の前記抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
3%の濃度のショ糖と、
20mMの濃度のヒスチジンと、
100mMの濃度のArg.HClと、
0.05%の濃度のPS80と、
0.2mMの濃度のGSSGとを含み、
pHが5.5である、項目91に記載の医薬組成物。
(項目106)
150mg/mlの濃度の前記抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
3%の濃度のショ糖と、
20mMの濃度のヒスチジンと、
100mMの濃度のArg.HClと、
0.05%の濃度のPS80と、
0.4mMの濃度のGSHと0.2mMの濃度のGSSGとを含み、
pHが5.5である、項目91に記載の医薬組成物。
(項目107)
医薬組成物であって、
200mg/mlの濃度の抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
3%の濃度のショ糖と、
20mMの濃度のヒスチジンと、
250mMの濃度のArg.HClと、
0.05%の濃度のPS80とを含み、
pHが6.0であり、かつ
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記医薬組成物。
(項目108)
医薬組成物であって、
225mg/mlの濃度の抗BDCA2抗体または前記そのBDCA2結合断片と、
1%の濃度のショ糖と、
20mMの濃度のヒスチジンと、
250mMの濃度のArg.HClと、
0.05%の濃度のPS80とを含み、
pHが6.0であり、かつ
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1または17に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記医薬組成物。
(項目109)
チオール含有抗酸化剤を含む、項目107または108に記載の医薬組成物。
(項目110)
前記チオール含有抗酸化剤は、GSH、GSSG、GSHとGSSGの組み合わせ、シスチン、システイン、及びシステインとシスチンの組み合わせからなる群から選択される、項目109に記載の医薬組成物。
(項目111)
前記チオール含有抗酸化剤は0.02mM~2mMの濃度である、項目109または110に記載の医薬組成物。
(項目112)
(i)前記VHは配列番号7と少なくとも80%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記VHは配列番号7と少なくとも90%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記VHは配列番号7に記載のアミノ酸配列からなり、前記VLは配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる、項目56~111のいずれか1項に記載の医薬組成物。(項目113)
前記抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、
(i)前記重鎖は配列番号9と少なくとも80%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記重鎖は配列番号9と少なくとも90%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記重鎖は配列番号9に記載のアミノ酸配列からなり、前記軽鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる、項目56~112のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目114)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、項目56~113のいずれか1項に記載の医薬組成物を前記ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
(項目115)
前記医薬組成物を前記ヒト対象に皮下投与する、項目114に記載の方法。
(項目116)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に50mgの用量で4週間ごとに投与する、項目114または項目115に記載の方法。(項目117)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に150mgの用量で4週間ごとに投与する、項目114または項目115に記載の方法。
(項目118)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を前記ヒト対象に450mgの用量で4週間ごとに投与する、項目114または項目115に記載の方法。
(項目119)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を、
下掲のように前記ヒト対象の体重に相当する用量
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに18mg
18.1~25kg 4週間ごとに22mg
25.1~48kg 4週間ごとに28mg
48kg超 4週間ごとに50mg
で前記ヒト対象に投与する、項目114または項目115に記載の方法。
(項目120)
前記医薬組成物の前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を、
下掲のように前記ヒト対象の体重に相当する用量
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに40mg
18.1~25kg 4週間ごとに56mg
25.1~48kg 4週間ごとに80mg
48kg超 4週間ごとに150mg
で前記ヒト対象に投与する、項目114または項目115に記載の方法。
(項目121)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を下掲のように前記ヒト対象の体重に相当する用量
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに18mg
18.1~25kg 4週間ごとに22mg
25.1~48kg 4週間ごとに28mg
48kg超 4週間ごとに50mg
で前記ヒト対象に皮下投与することを含み、ここで、
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記方法。
(項目122)
全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚多発性筋炎、強皮症、及びサイトカイン放出症候群からなる群から選択される病態を治療する方法を必要とするヒト対象のそのような病態の治療方法であって、抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片を下掲のように前記ヒト対象の体重に相当する用量
体重 用量
10~18kg 4週間ごとに40mg
18.1~25kg 4週間ごとに56mg
25.1~48kg 4週間ごとに80mg
48kg超 4週間ごとに150mg
で前記ヒト対象に皮下投与することを含み、ここで、
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記方法。
(項目123)
前記ヒト対象は18歳以下である、項目121または122に記載の方法。
(項目124)
(i)前記VHは配列番号7と少なくとも80%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記VHは配列番号7と少なくとも90%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記VHは配列番号7に記載のアミノ酸配列からなり、前記VLは配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる、項目121~123のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、
(i)前記重鎖は配列番号9と少なくとも80%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記重鎖は配列番号9と少なくとも90%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記重鎖は配列番号9に記載のアミノ酸配列からなり、前記軽鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる、項目121~123のいずれか1項に記載の方法。
(項目126)
前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、150mg、または450mgでの皮下投与に適合させた項目56~113のいずれか1項に記載の医薬組成物の滅菌調製物を含む、注射器またはポンプ。
(項目127)
抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の滅菌調製物を含む注射器またはポンプであって、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片の固定用量18mg、22mg、28mg、40mg、50mg、56mg、80mg、150mg、または450mgでの皮下投与に適合しており、ここで、前記抗BDCA2抗体またはそのBDCA2結合断片は、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VH及びVLはそれぞれ、
(a)H-CDR1が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR2が配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、
H-CDR3が配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる、
VH相補性決定領域(CDR)、及び、
(b)L-CDR1が配列番号4に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR2が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、
L-CDR3が配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる、
VL CDR
を含む、前記注射器またはポンプ。
(項目128)
(i)前記VHは配列番号7と少なくとも80%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記VHは配列番号7と少なくとも90%同一な配列からなり、前記VLは配列番号8と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記VHは配列番号7に記載のアミノ酸配列からなり、前記VLは配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる、項目127に記載の注射器またはポンプ。
(項目129)
前記抗BDCA2抗体は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖を含み、ここで、
(i)前記重鎖は配列番号9と少なくとも80%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも80%同一な配列からなる、
(ii)前記重鎖は配列番号9と少なくとも90%同一な配列からなり、前記軽鎖は配列番号10と少なくとも90%同一な配列からなる、または
(iii)前記重鎖は配列番号9に記載のアミノ酸配列からなり、前記軽鎖は配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる、項目127または項目128に記載の注射器またはポンプ。