(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038334
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240312BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20240312BHJP
C25D 5/02 20060101ALI20240312BHJP
C25D 5/10 20060101ALI20240312BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240312BHJP
C25D 5/16 20060101ALI20240312BHJP
C23C 28/02 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/02 B
H05K3/18 G
C25D5/02 E
C25D5/10
C25D7/00 J
C25D5/16
C23C28/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002468
(22)【出願日】2024-01-11
(62)【分割の表示】P 2020003239の分割
【原出願日】2020-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】岡 良雄
(72)【発明者】
【氏名】新田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 将一郎
(72)【発明者】
【氏名】餅田 恭志
(72)【発明者】
【氏名】貝吹 忠拓
(72)【発明者】
【氏名】岡上 潤一
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様のフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記配線が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、
上記配線の少なくとも1本が、その長手方向における第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する第2部分とを有し、
上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下で、
上記第2部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上10以下で、
上記配線は、ランド部を除いた部分であるフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
上記第2部分の最小線幅が100μm以下である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
上記配線の平均線幅が3μm以上100μm以下、かつ平均間隔が3μm以上100μm以下である請求項1または請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
上記第1部分の厚み方向の最小断面積に対する上記第2部分の厚み方向の最小断面積の比率が0.5以上200以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
上記第1部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上5以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
上記第1部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上1.0以下で、
上記第2部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が1以上10以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
上記配線の少なくとも1本が、その長手方向における第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する第2部分とを有し、
上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下で、上記第2部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上10以下で、上記配線はランド部を除いた部分であり、
第1レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第1金属材料を電気めっきすることにより、長手方向に延びる1又は複数の第1めっき体を形成する第1めっき工程と、
上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターン及び上記導電性下地層における上記第1めっき体の非積層領域を除去する第1除去工程と、
上記第1除去工程の後、第2レジストパターンを用い、上記第1めっき体における長手方向に部分的に第2金属材料を電気めっきすることにより、1又は複数の第2めっき体を形成する第2めっき工程と、
上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンを除去する第2除去工程とを備え、
上記第1部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第1めっき体を有する第1積層部分として形成され、
上記第2部分が、上記導電性下地層の一部、上記第1めっき体及び上記第2めっき体を有する第2積層部分として形成されるフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
上記配線の少なくとも1本が、その長手方向における第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する第2部分とを有し、
上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下で、上記第2部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上10以下で、上記配線はランド部を除いた部分であり、
第3レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第3金属材料を電気めっきすることにより、長手方向に延びる1又は複数の第3めっき体を形成する第3めっき工程と、
上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンを除去する第3除去工程と、
上記第3除去工程の後、第4レジストパターンを用い、上記導電性下地層上における上記第3めっき体の非積層領域を少なくとも含みかつ上記第3めっき体と上記長手方向において繋がるように第4金属材料を電気めっきすることにより、上記長手方向に延び、かつ上記第3めっき体よりも平均厚みが大きい1又は複数の第4めっき体を形成する第4めっき工程と、
上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターン、並びに上記導電性下地層における上記第3めっき体及び上記第4めっき体の非積層領域を除去する第4除去工程と
を備え、
上記第1部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第3めっき体を有する第3積層部分として形成され、
上記第2部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第4めっき体を有する第4積層部分として形成されるフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルプリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、様々な電子機器の回路を構成するために広く利用されている。近年、電子機器の小型化に伴い、フレキシブルプリント配線板の小型化及びその配線密度の増大が著しい。
【0003】
このような小型のフレキシブルプリント配線板として、シート状の絶縁性基材と、この基材の表面にめっきによって積層される配線とを有するものが提案されている(特開2018-195681号公報参照)。このフレキシブルプリント配線板では、めっき膜厚、すなわち配線の厚みの均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フレキシブルプリント配線板では、配線として、電力供給用の電流を送るための電流線等が配設される場合がある。この電流線には、できるだけ多くの電流を流すことが望まれるため、電流線の電気抵抗が小さいことが要望される。
【0006】
フレキシブルプリント配線板は、一般的に、所定の位置で撓ませて使用される場合が多い。このため、撓み易いこと、すなわち可撓性に優れることが要望される。
【0007】
一方、上述したように小型化が要望されるフレキシブルプリント配線板では、省スペース化が要望される。
【0008】
そこで、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記各配線の少なくとも1本が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下である。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記各配線の少なくとも1本が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第1レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第1金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第1めっき体を形成する第1めっき工程と、上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターン及び上記導電性下地層における上記第1めっき体の非積層領域を除去する第1除去工程と、上記第1除去工程の後、第2レジストパターンを用い、上記第1めっき体における長手方向の1又は複数の部分に第2金属材料を電気めっきすることにより、1又は複数の第2めっき体を形成する第2めっき工程と、上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンを除去する第2除去工程とを備え、上記第1部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第1めっき体を有する第1積層部分として形成され、上記第2部分が、上記導電性下地層の一部、上記第1めっき体及び上記第2めっき体を有する第2積層部分として形成される。
【0011】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記各配線の少なくとも1本が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第3レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層に第3金属材料を電気めっきすることにより、長手方向に延びる1又は複数の第3めっき体を形成する第3めっき工程と、上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンを除去する第3除去工程と、上記第3除去工程の後、第4レジストパターンを用い、上記導電性下地層上における上記第3めっき体の非積層領域を少なくとも含みかつ上記第3めっき体と上記長手方向において繋がるように第4金属材料を電気めっきすることにより、上記長手方向に延び、かつ上記第3めっき体よりも平均厚みが大きい1又は複数の第4めっき体を形成する第4めっき工程と、上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターン、並びに上記導電性下地層における上記第3めっき体及び上記第4めっき体の非積層領域を除去する第4除去工程とを備え、上記第1部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第3めっき体を有する第3積層部分として形成され、上記第2部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第4めっき体を有する第4積層部分として形成される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第一実施形態のフレキシブルプリント配線板を示す模式的上面図である。
【
図2】
図2は、
図1のフレキシブルプリント配線板を示す模式的端面図であって、
図1のBB矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図3】
図3は、第2部分の変形例を示す模式的端面図であって、
図1のBB矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図4】
図4は、第2部分の変形例を示す模式的端面図であって、
図1のBB矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図5】
図5は、
図1及び
図2のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図1のAA矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図6】
図6は、
図1及び
図2のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図1のAA矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図7】
図7は、
図1及び
図2のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図1のAA矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図8】
図8は、
図1及び
図2のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図2のBB矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図9】
図9は、
図1及び
図2のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図2のBB矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図10】
図10は、第二実施形態のフレキシブルプリント配線板を示す模式的上面図である。
【
図11】
図11は、
図10のフレキシブルプリント配線板を示す模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図12】
図12は、
図10及び
図11のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図13】
図13は、
図10及び
図11のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図14】
図14は、
図10及び
図11のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図15】
図15は、
図10及び
図11のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図16】
図16は、
図10及び
図11のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【
図17】
図17は、第1部分及び第2部分の他の実施例を示す模式的端面図であって、
図10のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記各配線の少なくとも1本が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下である。
【0015】
ここで、配線の電気抵抗を小さくするための方策として、配線の厚みを大きくすることが考えられる。しかし、このように配線の厚みを大きくすると、フレキシブルプリント配線板の可撓性が低下するおそれがある。加えて、配線の厚みを大きくし過ぎると、フレキシブルプリント配線板の実装時に実装部分が厚くなり過ぎたり、他の配線板との接続時に接続部分が厚くなり過ぎたりし、薄膜化(省スペース化)を図ることが困難になるおそれがある。一方、配線の電気抵抗を小さくし、かつ配線の可撓性を向上させるための方策として、配線の線幅を大きくすることが考えられる。しかし、このように配線の線幅を大きくすると、省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0016】
これに対し、当該フレキシブルプリント配線板では、第1部分の平均厚みに対する第2部分の平均厚みの比率が上記範囲内である。このように、第1部分の平均厚みが第2部分の平均厚みよりも小さいことで、当該フレキシブルプリント配線板の可撓性を向上させることができる。また、第2部分の平均厚みが第1部分よりも大きいことで、配線の電気抵抗を小さくすることができる。加えて、第2部分の平均厚みが第1部分よりも大きいことで、配線の線幅を大きくする場合よりも当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。
【0017】
上記配線の平均線幅が3μm以上100μm以下、かつ平均間隔が3μm以上100μm以下であるとよい。
【0018】
このように、上記配線の平均線幅及び平均間隔が上記範囲内であることで、より当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。
【0019】
上記第1部分の厚み方向の最小断面積に対する上記第2部分の厚み方向の最小断面積の比率が0.5以上200以下であるとよい。
【0020】
このように、上記第1部分の最小断面積に対する上記第2部分の最小断面積の比率が上記範囲内であることで、省スペース化を図りつつ、配線全体の電気抵抗(第1部分及び第2部分の電気抵抗の合計)を小さくすることができる。
【0021】
上記第1部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.3以上5以下であり、上記第2部分における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上10以下であるとよい。
【0022】
このように、上記第1部分の最小線幅に対する平均厚みの比率が上記範囲内であり、上記第2部分の最小線幅に対する平均厚みの比率が上記範囲内であることで、より当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。
【0023】
また、本開示の異なる態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記各配線の少なくとも1本が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第1レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第1金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第1めっき体を形成する第1めっき工程と、上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターン及び上記導電性下地層における上記第1めっき体の非積層領域を除去する第1除去工程と、上記第1除去工程の後、第2レジストパターンを用い、上記第1めっき体における長手方向の1又は複数の部分に第2金属材料を電気めっきすることにより、1又は複数の第2めっき体を形成する第2めっき工程と、上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンを除去する第2除去工程とを備え、上記第1部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第1めっき体を有する第1積層部分として形成され、上記第2部分が、上記導電性下地層の一部、上記第1めっき体及び上記第2めっき体を有する第2積層部分として形成される。
【0024】
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板を製造することができる。すなわち、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0025】
また、本開示の異なる態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される1本又は複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記各配線の少なくとも1本が、その長手方向における1又は複数の第1部分と、上記第1部分以外の部分であって上記第1部分の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1又は複数の第2部分とを有し、上記第1部分の平均厚みに対する上記第2部分の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第3レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第3金属材料を電気めっきすることにより、長手方向に延びる1又は複数の第3めっき体を形成する第3めっき工程と、上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンを除去する第3除去工程と、上記第3除去工程の後、第4レジストパターンを用い、上記導電性下地層上における上記第3めっき体の非積層領域を少なくとも含みかつ上記第3めっき体と上記長手方向において繋がるように第4金属材料を電気めっきすることにより、上記長手方向に延び、かつ上記第3めっき体よりも平均厚みが大きい1又は複数の第4めっき体を形成する第4めっき工程と、上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターン、並びに上記導電性下地層における上記第3めっき体及び上記第4めっき体の非積層領域を除去する第4除去工程とを備え、上記第1部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第3めっき体を有する第3積層部分として形成され、上記第2部分が、上記導電性下地層の一部及び上記第4めっき体を有する第4積層部分として形成される。
【0026】
ここで、「平均厚み」とは、1本の配線内において、各1の第1部分及び各1の第2部分ごとにそれぞれ任意の十点において測定した厚みの各平均値を意味する。「厚み」とは、このベースフィルムに垂直な方向におけるベースフィルムと配線の上端縁との間の距離を意味する。「線幅」とは、1本の配線における長手方向と垂直な方向の寸法を意味する。「間隔」とは、対向する2本の配線の隣接面間の距離を意味し、「平均間隔」とは、上記隣接面間の距離を配線の長手方向に平均した値を意味する。「平均線幅」とは、配線の長手方向と垂直な断面における配線の最大幅をその配線の長手方向に平均した値を意味する。「最小断面積」とは、1本の配線内において、各1の第1部分及び各1の第2部分ごとのそれぞれの長手方向に垂直な断面積の各最小値を意味する。「最小線幅」とは、1本の配線内において、各1の第1部分及び各1の第2部分ごとのそれぞれの線幅の各最小値を意味する。ただし、各配線間を接続するためのビア(スルーホール、ブラインドビア、フィルドビア)を有するランド部分、実装部品との接続するランド部分、他のプリント基板やコネクターとの接続するためのランド部分等のランド部分については、上記にて規定する「厚み」「線幅」「間隔」「断面積」から除外するものとする。なお、「配線」は、「配線層」に相当する。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係るフレキシブルプリント配線板及びその製造方法の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態において「表面側」とは、ベースフィルムの厚さ方向のうち、配線が積層される側を指すものであり、本実施形態の表裏がフレキシブルプリント配線板の使用状態における表裏を決定するものではない。
【0028】
[第一実施形態]
〔フレキシブルプリント配線板〕
図1及び
図2に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板10は、絶縁性を有するベースフィルム3と、上記ベースフィルム3の一方の面側(表面側)に積層される複数本の配線11とを主に備える。当該フレキシブルプリント配線板10は、ベースフィルム3又は配線11の表面側にカバーフィルムをさらに備えてもよい。
【0029】
<ベースフィルム>
ベースフィルム3は、絶縁性を有する合成樹脂製の層である。ベースフィルム3は、可撓性も有する。このベースフィルム3は、配線11を形成するための基材でもある。ベースフィルム3の形成材料としては、絶縁性及び可撓性を有するものであれば特に限定されないが、シート状に形成された低誘電率の合成樹脂フィルムを採用し得る。この合成樹脂フィルムの主成分としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば形成材料中50質量%以上を占める成分を意味する。ベースフィルム3は、ポリイミド等の例示した樹脂以外の他の樹脂、帯電防止剤等を含有してもよい。
【0030】
ベースフィルム3の平均厚さの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。ベースフィルム3の平均厚さの上限としては、特に限定されないが、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。ベースフィルム3の平均厚さが上記下限未満である場合、ベースフィルム3の絶縁強度及び機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム3の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板10が不要に厚くなるおそれがある。ここで、「平均厚み」とは、上述と同様、任意の十点において測定した厚みの平均値を意味する。
【0031】
<配線>
配線11は、ベースフィルム3の表面側に直接又は他の層を介して積層される。配線11は、その長手方向(
図1及び
図2の左右方向)における複数の第1部分11aと、上記第1部分11a以外の部分であって上記第1部分11aの平均厚みH1よりも大きい平均厚みH2を有する第2部分11bとを有する。上記第1部分11aの平均厚みH1に対する上記第2部分11bの平均厚みH2の比率が1.5以上50以下である。
【0032】
配線11は、ベースフィルム3の表面側に積層される第1導電性下地層13と、第1導電性下地層13のベースフィルム3と反対の側(表面側)に積層される第1めっき層15と、第1めっき層15の第1導電性下地層13と反対の側(表面側)における長手方向に部分的に積層される複数の第2めっき層17とを有する。第1導電性下地層13及び第1めっき層15を有する第1積層部分が第1部分11aを構成する。第1導電性下地層13、第1めっき層15及び第2めっき層17を有する第2積層部分が第2部分11bを構成する。配線11としては、例えば信号を送るための信号線、電力供給用の電流を送るための電流線、磁界発生用の電流を送るための電流線等が挙げられる。また、
図2では配線11がベースフィルム3に対して片面のみに配置する態様を示しているが、ベースフィルム3の両側に配線11を配置する方がより省スペース化を図ることができ、より好ましい。
【0033】
第1導電性下地層13の形成材料としては、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、これらの合金等が挙げられる。これら形成材料については、ベースフィルム3に対する配線11の密着力の熱劣化を抑制する点で、第1導電性下地層13が、ベースフィルム3(例えばポリイミド)と接する側に、上記ニッケル、クロム、チタン及び銀よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことが好ましい。さらに、第1導電性下地層13が、除去が容易で絶縁性を保つことが容易なニッケル及びクロムから選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことがより好ましい。また、第1導電性下地層13が、この第1内層の上側(ベースフィルム3とは反対の側)に、銅を主成分とする層(第2層)を含むことがより好ましい。この銅を主成分とする層が配置されることにより、電気めっきにより配線11を形成する際に作業の短時間化が可能となる。
【0034】
例えば、上記第1層の平均厚みの下限としては、1nmが好ましく、2nmがより好ましい。上記第1層の平均厚みの上限としては、15nmが好ましく、8nmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、ベースフィルム3に対する配線11の密着力の熱劣化を抑制することが困難になるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第1層が容易に除去され難くなり、配線11間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第1層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成され得る。
【0035】
例えば、上記第2層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。上記第2層の平均厚みの上限としては、2μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、電気めっきによって配線11を形成する時間が過度に長くなるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第2層が容易に除去され難くなり、配線11間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第2層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成されることが好ましく、これらを組み合わせて形成されてもよい。特に、第1導電性下地層13の最上面側に無電解銅めっき層が配置されることが好ましく、これにより、それよりも内層がスパッタ法で形成された場合に、このスパッタ法によって生じ得る欠陥等をカバーすることができる。
【0036】
図1に示すように、本実施形態では、第1導電性下地層13は、第2めっき層17が積層される領域の線幅が他の領域の線幅よりも小さく形成される。
【0037】
第1めっき層15を形成するための第1金属材料としては、例えば銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、これらの合金等が挙げられる。これらの中で、導電性を良好なものとする観点及びコストを低減する観点から銅又は銅合金が好ましい。例えば第1めっき層15は、ベースフィルム3に垂直な方向に視て、第1導電性下地層13と同じ形状に形成される。
【0038】
第2めっき層17を形成するための第2金属材料としては、例えば上記第1金属材料と同様のものが挙げられる。第2金属材料としては、第1金属材料と同種のものが好ましい。第2めっき層17は、ベースフィルム3に垂直な方向に視て、第1めっき層15における第2めっき層17の非積層領域の線幅と同じ幅でも異なっていても良いが、非積層領域の線幅よりも大きくする方が、配線11全体の電気抵抗を小さくすることができるため、より好ましい。
【0039】
複数の配線11が互いに隣接して配置される場合、これら配線11の平均線幅L1の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。配線11の平均線幅L1の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。配線11の平均線幅L1が上記下限に満たない場合、配線11の機械的強度が不足するおそれがある。一方、配線11の平均線幅L1が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「平均線幅」は当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各配線11における最も幅の大きい部分の長さを測定可能な顕微鏡等によって測定し、それらの平均値として算出される値である。なお、以下において他の部材等の「平均線幅」も、これと同様に測定される値である。
【0040】
複数の配線11が互いに隣接して配置される場合、これら配線11の平均間隔S1の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。配線11の平均間隔S1の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。配線11の平均間隔S1が上記下限に満たない場合、短絡が発生するおそれがある。一方、配線11の平均間隔S1が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「平均間隔」は、当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各配線11間の隙間における最も間隔の小さい部分の長さを測定可能な顕微鏡等によって測定し、それらの平均値として算出される値である。なお、以下において他の部材等の「平均間隔」についても、これと同様に測定される。
【0041】
第1めっき層15及び第2めっき層17は第1導電性下地層13よりも遥かに厚い。このため、第1部分11aの厚みは、主に第1めっき層15の厚みによって決定され得る。第2部分11bの厚みは、主に第1めっき層15及び第2めっき層17の厚みによって決定され得る。
【0042】
(第1部分)
第1部分11aの平均厚みH1は、この第1部分11aの平均厚みH1に対する第2部分11bの平均厚みH2の比率が1.5以上50以下となるように適宜設定され得る。例えば第1部分11aの平均厚みH1の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。第1部分11aの平均厚みH1の上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。上記平均厚みH1が上記下限に満たない場合、第1部分11aの機械的強度が不足するおそれがある。一方、上記平均厚みH1が上記上限を超える場合、第1部分11aの可撓性が低下するおそれがある。「平均厚み」は、当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各第1部分11aにおいて、任意の十点の断面観察による厚みを測定し、測定結果の平均値を算出することによって各第1部分11aごとに得られる。なお、以下において他の部材等の「平均厚み」も、これと同様に測定される値である。
【0043】
第1部分11aの最小線幅(不図示)に対する平均厚みH1の比率(アスペクト比)の下限としては、0.3が好ましく、0.5が好ましく、0.7がより好ましい。上記比率の上限としては、5が好ましく、2がより好ましく、1.0がさらに好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合にも、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「最小線幅」は、当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各配線11の各第1部分11aにおける最も幅の小さい部分の長さを測定可能な顕微鏡等によって各第1部分11aごとに測定される値である。ただし、この「最小線幅」は、各第1部分11aの欠陥領域を除いた領域における最も幅の小さい部分の長さである。ここで、測定から除くべき欠陥領域は、上記のように顕微鏡観察を行ったとき、幅方向の少なくとも一方の端縁から内側に凹んだ(欠損した)ような領域である。この欠陥領域は、具体的には、幅方向の最深部が各第1部分11aの長手方向における(上記欠陥領域以外の)他の領域の平均線幅に対して1/4以上の長さ(幅を)を有するような領域である。上記平均線幅は、上述した「平均線幅」の測定方法と同様に測定される。なお、以下において他の部材等の「最小線幅」も、これと同様に測定される値である。
【0044】
第1部分11aの最小線幅は、例えば上記アスペクト比を満たすように適宜設定され得る。例えば第1部分11aの最小線幅の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。第1部分11aの最小線幅の上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。上記最小線幅が上記上限に満たない場合、第1部分11aの機械的強度が不足するおそれがある。一方、上記最小線幅が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0045】
第1部分11aの厚み方向の最小断面積は、この第1部分11aの厚み方向の最小断面積に対する第2部分11bの厚み方向の最小断面積の比率(第2部分11bの最小断面積/第1部分11aの最小断面積)が所定の範囲であるように、適宜設定され得る。この比率の下限としては、例えば0.5が好ましく、0.7がより好ましい。上記比率の上限としては、200が好ましく、20がより好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、配線11の電気抵抗が過度に大きくなるおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合、第2部分11bの線幅が相対的に大きくなり過ぎて、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「最小断面積」は、上記平均厚みH1と上記最小線幅との積によって算出される。なお、以下において他の部材等の「最小断面積」も、これと同様に測定される値である。
【0046】
(第2部分)
第2部分11bの平均厚みH2は、上述した第1部分11aの平均厚みH1に対する第2部分11bの平均厚みH2の比率が1.5以上50以下となるように適宜設定され得る。例えば第2部分11bの平均厚みH2の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。第2部分11bの平均厚みH2の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。上記平均厚みH2が上記上限に満たない場合、配線11の電気抵抗が過度に大きくなるおそれがある。一方、上記平均厚みH2が上記上限を超える場合、第2部分11bを形成するために線幅を大きくする必要が生じ、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0047】
第2部分11bの最小線幅(不図示)に対する平均厚みH2の比率(アスペクト比)の下限としては、0.5が好ましく、1が好ましく、2がより好ましい。上記比率の上限としては、10が好ましく、7がより好ましく、5がさらに好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合、フレキシブルプリント配線板10の製造において配線11の形成時、及び配線11の形成後の工程で、配線11が変形、破損し易くなるおそれがある。
【0048】
第2部分11bの最小線幅は、例えば上記アスペクト比を満たすように適宜設定され得る。例えば第2部分11bの最小線幅の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。第2部分11bの最小線幅の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。上記最小線幅が上記上限に満たない場合、第2部分11bの機械的強度が不足するおそれがある。一方、上記最小線幅が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0049】
第2部分11bの厚み方向の最小断面積は、上述したように、第1部分11aの厚み方向の最小断面積に対する第2部分11bの厚み方向の最小断面積の比率が上記所定の範囲であるように適宜設定され得る。
【0050】
(第1部分の平均厚みに対する第2部分の平均厚みの比率)
第1部分11aの平均厚みH1に対する上記第2部分11bの平均厚みH2の比率の下限としては、上述したように1.5であり、さらに2が好ましく、3がより好ましい。上記比率の上限としては、上述したように50であり、さらに20が好ましく、5がより好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、配線全体の電気抵抗を小さくすることができないおそれがある。さらに、可撓性を向上させることができないおそれがある。加えて、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合、十分な省スペースを図ることができないおそれがある。
【0051】
第2部分11bにおける第1部分11aよりも上方に位置する領域、すなわち第2めっき層17における第1部分11aに隣接する端部(境界部)の縦断面形状(長手方向の断面形状)は、特に限定されず、適宜設定され得る。例えば、
図2に示すように、この端部の形状が矩形状であってもよい。
【0052】
この他、
図3に示す第2部分11b’のように、この第2部分11b’における上記境界部の下端縁11b’aの縦断面形状が湾曲している形状であってもよい。この形状は、11b’の部分をエッチング可能な薬液にて処理することにより、形成可能となる。上記下端縁11b’aの縦断面形状が湾曲している形状であることで、温度変化による応力に起因する破損、当該配線板10に絶縁層を形成する際の外力に起因する破損を防ぐことが可能となる。このような湾曲している形状としては、例えば曲率半径Rを有する円弧形状が挙げられる。上記下端縁11b’aの縦断面形状が円弧形状である場合、上記曲率半径Rの下限としては、0.2μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1.0μmがさらに好ましい。上記曲率半径Rの上限としては、4μmが好ましく、3μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。上記曲率半径Rが上記下限に満たない場合、上記応力及び外力の緩和が困難となり、上記破損を防ぐことが困難となるおそれがある。一方、上記曲率半径Rが上限を超える場合、この円弧形状を形成するための処理を行うことにより、配線11が全体的にエッチングされるおそれがあり、その結果、配線11の全体の電気抵抗が大きくなるおそれがある。
【0053】
上記の他、
図4の第2部分11b’’に示すように、この第2部分11b’’における境界部の上端縁11b’’bの縦断面形状が湾曲している形状であってもよい。この形状は、11b’の部分をエッチング可能な薬液にて処理することにより、形成可能となる。
上記上端縁11b’’bの縦断面形状が湾曲している形状であることで、温度変化による応力に起因する破損、当該配線板10に絶縁層を形成する際の外力に起因する破損を防ぐことが可能となる。このような湾曲している形状としては、例えば曲率半径rを有する円弧形状が挙げられる。上記上端縁11b’’bの縦断面形状が円弧形状である場合、上記曲率半径rの下限としては、0.2μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1.0μmがさらに好ましい。上記曲率半径rの上限としては、4μmが好ましく、3μmがより好ましく、2μmがさらに好ましい。上記曲率半径rが上記下限に満たない場合、上記応力及び外力の緩和が困難となり、上記破損を防ぐことが困難となるおそれがある。一方、上記曲率半径rが上限を超える場合、この円弧形状を形成するための処理を行うことにより、配線11が全体的にエッチングされるおそれがあり、その結果、配線11の全体の電気抵抗が大きくなるおそれがある。
【0054】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板10は、配線11の第1部分11aの平均厚みH1に対する第2部分11bの平均厚みH2の比率が1.5以上50以下である。このように第1部分11aの平均厚みH1が第2部分11bの平均厚みH2よりも小さいことで、当該フレキシブルプリント配線板10の可撓性を向上させることができる。また、第2部分11bの平均厚みH2が第1部分11bの平均厚みH1よりも大きいことで、配線11の電気抵抗を小さくすることができる。加えて、第2部分11bの平均厚みH2が第1部分11aの平均厚みH1よりも大きいことで、配線11の線幅を大きくする場合よりも当該フレキシブルプリント配線板10の省スペース化を図ることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板10は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。
【0055】
[プリント配線板の製造方法]
次に、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について、当該フレキシブルプリント配線板10を用いて説明する。
図5~
図7は、当該製造方法を説明するための模式的端面であって、
図1のAA矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
図8及び
図9は、当該製造方法を説明するための模式的端面であって、
図2のBB矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
図5~
図7の紙面に垂直な方向、並びに
図8及び
図9の左右方向が長手方向である。
【0056】
当該フレキシブルプリント配線板10の製造方法は、第1レジストパターンR1を用い、一方の面側(表面側)に導電性下地層Mが積層されたベースフィルム3の上記導電性下地層M上に第1金属材料を電気めっきすることにより、第1めっき体X1を形成する第1めっき工程と、上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターンR1及び上記導電性下地層Mにおける上記第1めっき体X1の非積層領域を除去する第1除去工程と、上記第1除去工程の後、第2レジストパターンR2を用い、上記第1めっき体X1における長手方向に複数の部分に第2金属材料を電気めっきすることにより、複数の第2めっき体X2を形成する第2めっき工程と、上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンR2を除去する第2除去工程とを備える。上記第1部分11aが、上記導電性下地層Mの一部(第1導電性下地層13)及び上記第1めっき体X2を有する第1積層部分として形成される。上記第2部分11bが、上記導電性下地層Mの一部(第1導電性下地層13)、上記第1めっき体X1及び上記第3めっき体X2を有する第2積層部分として形成される。
【0057】
<導電性下地層>
導電性下地層Mは、ベースフィルム3の表面側に積層される。この導電性下地層Mは、予めベースフィルム3の表面側の全面に積層されたものを用いる。導電性下地層Mの一部(第1導電性下地層13)が、最終的に配線11におけるベースフィルム3と第1部分11aとの間に挟まれるように配置される。
【0058】
導電性下地層Mの形成材料としては、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、これらの合金等が挙げられる。これら形成材料については、ベースフィルム3に対する配線11の密着力の熱劣化を抑制する点で、導電性下地層Mが、ベースフィルム3(例えばポリイミド)と接する側に、上記ニッケル、クロム、チタン及び銀よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことが好ましい。さらに、導電性下地層Mが、除去が容易で絶縁性を保つことが容易なニッケル及びクロムから選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことがより好ましい。また、導電性下地層Mが、この第1内層の上側(ベースフィルム3とは反対の側)に、銅を主成分とする層(第2層)を含むことがより好ましい。この銅を主成分とする層が配置されることにより、電気めっきにより配線11を形成する際に作業の短時間化が可能となる。
【0059】
例えば、上記第1層の平均厚みの下限としては、1nmが好ましく、2nmがより好ましい。上記第1層の平均厚みの上限としては、15nmが好ましく、8nmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、ベースフィルム3に対する配線11の密着力の熱劣化を抑制することが困難になるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第1層が容易に除去され難くなり、配線11間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第1層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成され得る。
【0060】
例えば、上記第2層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。上記第2層の平均厚みの上限としては、2μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、電気めっきによって配線11を形成する時間が過度に長くなるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第2層が容易に除去され難くなり、配線11間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第2層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成されることが好ましく、これらを組み合わせて形成されてもよい。特に、導電性下地層Mの最上面側に無電解銅めっき層が配置されることが好ましく、これにより、それよりも内層がスパッタ法で形成された場合に、このスパッタ法によって生じ得る欠陥等をカバーすることができる。
【0061】
<第1めっき工程>
本工程は、導電性下地層Mの表面に第1レジストパターンR1を形成する第1レジストパターン形成工程と、形成された第1レジストパターンR1を用い、導電性下地層Mに第1金属材料を電気めっきすることにより、複数本の第1めっき体X1を形成する第1めっき体形成工程とを有する。
【0062】
(第1レジストパターン形成工程)
本工程では、
図5に示すように第1レジストパターンR1を導電性下地層Mの表面に形成する。具体的には導電性下地層Mの表面に感光性フィルム等のレジスト膜を積層し、積層されたレジスト膜を露光及び現像することにより、所定のパターンを有する第1レジストパターンR1を形成する。上記レジスト膜の積層方法としては、例えばレジスト組成物を導電性下地層Mの表面に塗工する方法、ドライフィルムフォトレジストを導電性下地層Mの表面に積層する方法等が挙げられる。レジスト膜の露光及び現像条件は、用いるレジスト組成物等に応じて適宜調節可能である。第1レジストパターンR1の開口部は、形成すべき第1めっき体X1、すなわち配線11の導電性下地層Mに応じて適宜設定され得る。
【0063】
(第1めっき体形成工程)
本工程では、導電性下地層Mに通電しつつ上記第1金属材料を電気めっきすることにより、
図6に示すように導電性下地層MにおけるレジストパターンR1の非積層領域に、長手方向に延びる複数本の第1めっき体X1を形成する。
【0064】
<第1除去工程>
本工程は、導電性下地層Mから第1レジストパターンR1を剥離する第1剥離工程と、導電性下地層Mにおける第1めっき体X1の非積層領域(不要領域)をエッチングするエッチング工程とを有する。
【0065】
(第1剥離工程)
本工程では、導電性下地層Mから第1レジストパターンR1を剥離する。この剥離液としては、公知のものを用いることができ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液、アルキルベンゼンスルホン酸等の有機酸系溶液、エタノールアミン等の有機アミン類と極性溶剤との混合液等が挙げられる。
【0066】
(第1エッチング工程)
本工程では、第1めっき体X1をマスクとして導電性下地層Mをエッチングする。このエッチングにより、
図7に示すようにベースフィルム3に第1導電性下地層13を介して第1めっき体X1が積層された積層体が得られる。上記エッチングには導電性下地層Mを形成する金属を浸食するエッチング液が使用される。当該製造方法においては、このように、いわゆるセミアディティブ法が好適に用いられる。
【0067】
<第2めっき工程>
本工程は、上述した第1除去工程の後、露出したベースフィルム3及び第1めっき体X1における第2めっき体X2の積層が予定されていない領域を覆うように第2レジストパターンR2を形成する工程と、形成された第2レジストパターンR2を用い、各第1めっき体X1の長手方向の複数の部分に上記第2金属材料を電気めっきすることにより、各第1めっき体X1上にそれぞれ複数の第2めっき体X2を形成する第2めっき体形成工程とを有する。
【0068】
(第2レジストパターン形成工程)
本工程では、
図8に示すように、露出しているベースフィルム3、第1導電性下地層13及び第1めっき体X1の全体を覆うように感光性フィルム等のレジスト膜を積層し、積層されたレジスト膜における第2めっき体X2の積層が予定されている領域を露光及び現像することにより、所定のパターンを有する第2レジストパターンR2を形成する。上記レジスト膜の積層方法及としては、例えばレジスト組成物を、上記全体を覆うように塗工する方法、ドライフィルムフォトレジストを上記全体に積層する方法等が挙げられる。レジスト膜の露光及び現像条件は、用いるレジスト組成物等に応じて適宜調節可能である。第2レジストパターンR2は、第1めっき体X1における第2めっき体X2の積層が予定されていない領域(ここでは他の領域よりも線幅が大きい領域)をマスクする。第2レジストパターンR2の開口部は、形成すべき第2めっき体X2、すなわち第2部分11bにおける第2めっき層17応じて適宜設定され得る。第2レジストパターンR2の高さは、第2部分11bの高さに応じて、適宜設定され得る。
【0069】
(第2めっき体形成工程)
本工程は、第2レジストパターンR2を用い、第1めっき体X1に通電しつつ上記第2金属材料を電気めっきすることにより、
図9に示すように、第1めっき体X1を長手方向(
図9の左右方向)に部分的に覆い、かつ第1導電性下地層13を部分的に覆うように各第1めっき体X1上にそれぞれ複数の第2めっき体X2を形成する。
【0070】
<第2除去工程>
本工程では、ベースフィルム3から第2レジストパターンR2を除去する。具体的には、ベースフィルム3から第2レジストパターンR2を剥離する。この剥離液としては、上述した第1剥離工程で用いた剥離液と同様のものを用いることができる。この剥離により、
図9を参照して
図2に示すように、ベースフィルム3に第1導電性下地層13、この第1導電性下地層13の全体に配置される第1めっき体X1(第1めっき層15に相当する)、及びこの第1めっき体X1における長手方向の複数の部分に配置される第2めっき層17が積層されて形成される積層体が得られる。第1導電性下地層13及び第1めっき層15によって形成される第1積層部分が第1部分11aを構成し、第1導電性下地層13、第1めっき層15及び第2めっき層17によって形成される第2積層部分が第2部分11bを構成する。
【0071】
なお、上述した
図3に示すような縦断面形状を有する第2部分11b’を形成する場合には、当該製造方法が、上記第2除去工程の後、形成した第2めっき体X2(すなわち第2部分11bの第2めっき層17)における第1部分11aとの境界部の下端縁を含む部分をエッチング液で溶解する工程を更に加えることにより、下端縁の周辺部に対して下端縁のエッチング液の流動性が低下することによりエッチング速度が低下することを利用して製造可能である。この工程で用いられるエッチング液としては、上述した第1エッチング工程で使用されるエッチング液と同様のエッチング液が用いられる。
【0072】
また、上述した
図4に示すような縦断面形状を有する第2部分11b’’を形成する場合には、当該製造方法が、上記第2除去工程の後、形成した第2めっき体X2(すなわち第2部分11bの第2めっき層17)における第1部分11aとの境界部の上端縁をエッチング液で部分的に溶解する上端縁溶解工程をさらに備えてもよく、この境界部の上端縁を含む部分をエッチング液で溶解する工程を更に加えることにより、上端縁の周辺部に対して下端縁のエッチング液の流動性が向上することによりエッチング速度が増加することを利用しても製造可能である。この上端縁溶解工程で用いられるエッチング液としては、上述した第1エッチング工程で使用されるエッチング液と同様のエッチング液が用いられる。
【0073】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板10の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板10を製造することができる。すなわち、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板10を製造することができる。
【0074】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のフレキシブルプリント配線板及びその製造方法について説明する。第一実施形態と共通する構成には共通する符号を付して説明を省略する。
【0075】
〔フレキシブルプリント配線板〕
図10及び
図11に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板20は、絶縁性を有するベースフィルム3と、上記ベースフィルム3の一方の面側(表面側)に積層される配線21とを主に備える。当該フレキシブルプリント配線板20は、ベースフィルム3又は配線21の表面側にカバーフィルムをさらに備えてもよい。
【0076】
<配線>
配線21は、ベースフィルム3の表面側に直接又は他の層を介して積層される。配線21は、その長手方向における第1部分21aと、上記第1部分21a以外の部分であって上記第1部分21aの平均厚みH11よりも大きい平均厚みH21を有する第2部分21bとを有する。上記第1部分21aの平均厚みH11に対する上記第2部分21bの平均厚みH21の比率が1.5以上50以下である。
【0077】
配線21は、ベースフィルム3の表面側に積層される第2導電性下地層23と、第2導電性下地層23のベースフィルム3と反対の側(表面側)、かつその長手方向における複数の部分に積層される複数の第3めっき層25と、第2導電性下地層23のベースフィルム3と反対の側(表面側)、かつその長手方向(
図10及び
図11の左右方向)に第3めっき層25と繋がった複数の第4めっき層27とを有する。第2導電性下地層23及び第3めっき層25を有する第3積層部分が第1部分21aを構成する。第2導電性下地層23及び第4めっき層27を有する第4積層部分が第2部分11bを構成する。配線21としては、例えば信号を送るための信号線、電力供給用の電流を送るための電流線、磁界発生用の電流を送るための電流線等が挙げられる。
【0078】
この第2導電性下地層23の形成材料としては、上述した第一実施形態の第1導電性下地層13の形成材料と同様のものが挙げられる。第2導電性下地層23の平均厚みは、上述した第一実施形態の第1導電性下地層13の平均厚みと同様に設定され得る。
【0079】
第3めっき層25を形成するための第3金属材料としては、例えば上述した第一実施形態の第1金属材料と同様のものが挙げられる。例えば第3めっき層25の線幅は、第2導電性下地層23の線幅と同じに設定され得る。
【0080】
第4めっき層27を形成するための第4金属材料としては、例えば例えば上述した第一実施形態の第1金属材料と同様のものが挙げられる。第4金属材料としては、第3金属材料と同種のものが好ましい。例えば第4めっき層25の線幅は、第2導電性下地層23の線幅と同じに設定され得る。
【0081】
複数の配線21が互いに隣接して配置される場合、これら配線21の平均線幅L11及び平均間隔S11は、上述した第一実施形態の配線11の平均線幅L1及び平均間隔S1と同様に設定され得る。
【0082】
第3めっき層25及び第4めっき層27は第2導電性下地層23よりも遥かに厚い。このため、第1部分21aの厚みは、主に第3めっき層25の厚みによって決定され得る。第2部分21bの厚みは、主に第4めっき層27の厚みによって決定され得る。
【0083】
(第1部分)
各第1部分21aの平均厚みH11、第1部分21aの最小線幅(不図示)に対する平均厚みH21の比率(アスペクト比)、第1部分21aの最小線幅、及び第1部分21aの厚み方向の最小断面積等は、上述した第一実施形態の第1部分11aと同様に設定され得る。
【0084】
(第2部分)
各第2部分21bの平均厚みH21、第2部分21bの最小線幅(不図示)に対する平均厚みH21の比率(アスペクト比)、第2部分21bの最小線幅、及び第2部分21bの最小断面積等は、上述した第一実施形態の第2部分11bと同様に設定され得る。
【0085】
図示は省略するが、本実施形態においても、上述した第一実施形態の第2部分11b’と同様に、第2部分21b’における第1部分21aに隣接する境界部の下端縁21b’aが、上述した
図3に示すように湾曲した形状であってもよい。また、図示は省略するが、上述した第一実施形態の第2部分11b’’と同様に、第2部分21b’’における第1部分21aに隣接する境界部の上端縁21b’’bが、上述した
図4に示すように湾曲した形状であってもよい。
【0086】
(第1部分の平均厚みに対する第2部分の平均厚みの比率)
第1部分21aの平均厚みH11に対する上記第2部分21bの平均厚みH21の比率は、上述した第一実施形態の第1部分11aの平均厚みH1に対する第2部分11bの平均厚みH2の比率と同様に設定され得る。すなわち、上記比率の下限としては、上述したように1.5であり、さらに2が好ましく、3がより好ましい。上記比率の上限としては、上述したように50であり、さらに20が好ましく、5がより好ましい。なお、上述した第一実施形態と同様、各配線21が複数の第1部分21aを有する場合、各第1部分21aの平均厚みH11が、各第2部分21bの平均厚みH21に対して上記比率を満たすように設定される。また、各配線21が複数の第2部分21bを有する場合、各第2部分21bの平均厚みH21が、第1部分21aの平均厚みH11に対して(複数の第1部分21aに関しては各第1部分21aの平均厚みH11に対して)上記比率を満たすように設定される。
【0087】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板20は、配線21の第1部分21aの平均厚みH11に対する第2部分21bの平均厚みH21の比率が1.5以上50以下である。このように、第1部分21aの平均厚みH11が第2部21bの平均厚みH21よりも小さいことで、当該フレキシブルプリント配線板20の可撓性を向上させることができる。また、第2部分21bの平均厚みH21が第1部分21bの平均厚みH11よりも大きいことで、配線21の電気抵抗を小さくすることができる。加えて、第2部分21bの平均厚みH21が第1部分21aの平均厚みH11よりも大きいことで、配線21の線幅を大きくする場合よりも当該フレキシブルプリント配線板20の省スペース化を図ることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板20は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。
【0088】
[プリント配線板の製造方法]
次に、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について、当該フレキシブルプリント配線板20を用いて説明する。
図12~
図16は、当該製造方法を説明するための模式的端面であって、
図11のCC矢視方向と同方向に視た模式的端面図である。
図12~
図16の左右方向が長手方向である。
【0089】
当該フレキシブルプリント配線板20の製造方法は、第3レジストパターンR3を用い、一方の面側(表面側)に導電性下地層Mが積層されたベースフィルム3の上記導電性下地層M上に第3金属材料を電気めっきすることにより、長手方向に延びる第3めっき体X3を形成する第3めっき工程と、上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンR3を除去する第3除去工程と、上記第3除去工程の後、第4レジストパターンR4を用い、上記導電性下地層M上における上記第3めっき体X3の非積層領域を少なくとも含みかつ3めっき体X3の上記長手方向の両端縁と上記長手方向において繋がるように第4金属材料を電気めっきすることにより、上記長手方向に延び、かつ上記第3めっき体X3よりも平均厚みが大きい複数の第4めっき体X4を形成する第4めっき工程と、上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターンR4、並びに上記導電性下地層Mにおける上記第3めっき体X3及び上記第4めっき体X4の非積層領域を除去する第4除去工程とを備える。上記第1部分21aが、上記導電性下地層Mの一部(第2導電性下地層23)及び上記第3めっき体X3を有する第3積層部分として形成される。上記第2部分21bが、上記導電性下地層Mの一部(第2導電性下地層23)及び上記第4めっき体X4を有する第4積層部分として形成される。
【0090】
<導電性下地層>
導電性下地層Mとしては、上記第一実施形態で用いたものと同じものを使用し得る。よって、導電性下地層Mの詳細な説明を省略する。
【0091】
<第3めっき工程>
本工程は、導電性下地層Mの表面に第3レジストパターンR3を形成する第3レジストパターン形成工程と、形成された第3レジストパターンR3を用い、導電性下地層M上に第3金属材料を電気めっきすることにより、長手方向に延びる複数の第3めっき体X3を形成する第3めっき体形成工程とを有する。
【0092】
(第3レジストパターン形成工程)
本工程では、
図12に示すように第3レジストパターンR3を導電性下地層Mの表面に形成する。具体的には、第一実施形態の第1レジストパターン形成工程と同様にして、所定のパターンを有する第3レジストパターンR3を形成する。第3レジストパターンR3は、形成すべき第3めっき層25に応じて適宜設定され得る。
【0093】
(第3めっき体形成工程)
本工程では、導電性下地層Mに通電しつつ上記第3金属材料を電気めっきすることにより、
図13に示すように導電性下地層Mにおける第3レジストパターンR3の非積層領域に長手方向(
図13の紙面と垂直な方向)に延びる第3めっき体X3を幅方向に互いに間隔を空けて形成する。
【0094】
<第3除去工程>
本工程では、導電性下地層Mから第3レジストパターンR3を除去する。具体的には、導電性下地層Mから第3レジストパターンR3を剥離する。この剥離液としては、第一実施形態の第1剥離工程で用いる剥離液と同様のものが挙げられる。この除去により、
図14に示すように導電性下地層Mに第3めっき体X3が積層された積層体が得られる。
【0095】
<第4めっき工程>
本工程は、上述した第3除去工程の後、露出した導電性下地層M、及び第3めっき体X3を覆うように第4レジストパターンR4を形成する工程と、形成された第4レジストパターンR4を用いて第4金属材料を電気めっきすることにより、上記長手方向に延びる第4めっき体X4を形成する第4めっき体形成工程とを有する。
【0096】
(第4レジストパターン形成工程)
本工程では、
図16に示すように第4レジストパターンR4を、露出している導電性下地層Mに形成する。具体的には露出している導電性下地層M及び第3めっき体X3の全体を覆うよう感光性フィルム等のレジスト膜を積層し、積層されたレジスト膜における第3めっき体X3の非積層領域を少なくとも含みかつ上記第3めっき層X3と長手方向(
図13の左右方向)に繋がる領域を露光及び現像することにより、所定のパターンを有する第4レジストパターンR4を形成する。上記レジスト膜の積層方法及としては、上述した第一実施形態の第1レジストパターン形成方法と同様の方法を採用することができる。第4レジストパターンR4は、形成すべき配線21の第3めっき層27の配置に応じて適宜設定され得る。第4レジストパターンR4の高さは、第3レジストパターンR3よりも大きな高さとなるよう、かつ配線21の第4めっき層27の高さに応じて、適宜設定され得る。
【0097】
(第4めっき体形成工程)
本工程では、導電性下地層Mに通電しつつ上記第4金属材料を電気メッキすることにより、
図16に示すように導電性下地層Mにおける第4めっき体X4の非積層領域に上記第3めっき体X3における上記長手方向の両端縁と上記長手方向(
図16の左右方向)において繋がるように第4金属材料を電気めっきすることにより、各第3めっき体X3における上記長手方向の両端縁と繋がりつつ上記長手方向に延びる複数の第4めっき体X4を形成する。
【0098】
<第4除去工程>
本工程は、導電性下地層Mから第4レジストパターンR4を剥離する第2剥離工程と、導電性下地層Mにおける第3めっき体X3及び第4めっき体X5の非積層領域(不要領域)をエッチングする第2エッチング工程とを有する。
【0099】
(第2剥離工程)
本工程では、導電性下地層Mから第4レジストパターンR4を剥離する。この剥離液としては、上述した第一実施形態の第1剥離工程で用いる剥離液と同様のものが挙げられる。
【0100】
(第2エッチング工程)
本工程では、第3めっき体X3及び第4めっき体X4をマスクとして上記導電性下地層Mをエッチングする。このエッチングにより、
図16を参照して
図11に示すように、ベースフィルム3に第2導電性下地層23及び第3めっき体X3(第3めっき層25に相当する)が積層されて形成される第3積層部分(第1部分21aに相当する)が得られる。また、ベースフィルム3に第2導電性下地層23及び第4めっき体X4(第4めっき層27に相当する)が積層されて形成される第4積層体(第2部分21bに相当する)が得られる。上記エッチングには第2導電性下地層23を形成する金属を浸食するエッチング液が使用される。
【0101】
例えば上述した
図3に示すような縦断面形状を有する第2部分21b’を形成する場合には、当該製造方法が、上記第4除去工程の後、形成した第4めっき体X4(すなわち第2部分21bの第2めっき層27)における第1部分21aとの境界部の下端縁について下端縁を含む部分をエッチング液で溶解する工程を更に加えることにより、下端縁の周辺部に対して下端縁のエッチング液の流動性が低下することによりエッチング速度が低下することを利用する工程をさらに備えてもよい。この下端縁溶解工程で用いられるエッチング液としては、上記第2エッチング工程で使用されるエッチング液と同様のエッチング液が用いられる。この他、上述した
図4に示すような縦断面形状を有する第2部分21b’’を形成する場合には、上記第4除去工程における第2エッチング工程でのエッチング量を制御することによって上記下端縁を溶解してもよい。
【0102】
また、上述した
図4に示すような縦断面形状を有する第2部分21b’’を形成する場合には、当該製造方法が、上記第4除去工程の後、形成した第4めっき体X4(すなわち第2部分21bの第2めっき層27)における第1部分21aとの境界部の上端縁をエッチング液で部分的に溶解する下端縁溶解工程をさらに備えてもよい。この下端縁溶解工程で用いられるエッチング液としては、上記第2エッチング工程で使用されるエッチング液と同様のエッチング液が用いられる。この他、上述した
図4に示すような縦断面形状を有する第2部分21b’’を形成する場合には、上記第4除去工程における第2エッチング工程でのエッチング量を制御することによって上記上端縁を溶解してもよい。
【0103】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板20の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板20を製造することができる。すなわち、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板20を製造することができる。
【0104】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0105】
上記実施形態では、単一のベースフィルムと、このベースフィルムの一方の面に積層された複数の配線を有するフレキシブルプリント配線板について説明したが、当該フレキシブルプリント配線板は、単一のベースフィルムの両面に複数の配線が積層されたものであってもよい。また、当該フレキシブルプリント配線板は、複数のベースフィルムを有し、各ベースフィルムが一方の面又は両面に複数の配線を有する多層プリント配線板であってもよい。
【0106】
上記実施形態では、当該フレキシブルプリント配線板が複数本の配線を有する場合について説明したが、当該フレキシブルプリント配線板が1本の配線を有するものであってもよい。
【0107】
上記実施形態では、第1部分の線幅が第2部分の線幅と同じである場合について説明したが、これらの線幅が異なってもよい。例えば、第1部分の線幅が第2部分の線幅よりも大きくてもよい。また、例えば、第2部分の線幅が第1部分の線幅よりも大きくてもよい。この場合、第1部分及び第2部分として、ベースフィルム3と垂直な方向に視て矩形状のものをそれぞれ採用することができる。
【0108】
上記実施形態では、各配線が1の第1部分及び複数の第2部分を有する場合について説明したが、配線が1の第1部分及び1の第2部分を有してもよく、複数の第1部分及び1の第2部分を有してもよく、複数の第1部分及び複数の第2部分を有してもよい。例えば、第1部分の線幅が第2部分の線幅よりも大きくてもよい。
【0109】
上記第一実施形態では、第1導電性下地体13の形状として、長手方向に第2めっき層15が形成される領域の線幅が他よりも小さい場合について説明したが、この領域の線幅が他の領域と同じであっても、他の領域よりも大きくてもよい。
【0110】
上記第一実施形態の第2めっき工程では、第2レジストパターンR2が第1めっき体X1における長手方向の一部領域のみをマスクする場合について説明したが、その他、第2レジストパターンとして、上記一部領域に加えて、第2めっき体X2が積層される領域同士の間をマスクするものを用いてもよい。
【0111】
また、
図11に示した構造の別の実施例として、
図17に示す通り、第1部分21aと第2部分21bとが一部重なってもよい。この構造の製造方法としては、この構造を、
図15で示したレジストパターンR4の領域を変更することにより製造できる。これにより、レジストパターンR2の作製時の位置ずれが生じても、断線せずに配線11を製造でき、歩留まりを向上できる共に、第1部分21aと第2部分21bとの境界部分の歪を緩和できるため、より好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本開示の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板、及びその製造方法によって製造されるフレキシブルプリント配線板は、優れた可撓性を有し、電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。従って、小型の電子機器等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0113】
10、20 フレキシブルプリント配線板
3 ベースフィルム
11、21 配線
11a、21a 第1部分
11b、21b 第2部分
13 第1導電性下地層
15 第1めっき層
17 第2めっき層
23 第2導電性下地層
25 第3めっき層
27 第4めっき層
H1、H11 第1部分の平均厚み
H2、H21 第2部分の平均厚み
L1、L11 配線の平均線幅
S1、S11 配線の平均間隔
M 導電性下地層
R1 第1レジストパターン
R2 第2レジストパターン
R3 第3レジストパターン
R4 第4レジストパターン
X1 第1めっき体
X2 第2めっき体
X3 第3めっき体
X4 第4めっき体