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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038367
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】医療用ベストとその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61H23/02 330
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003584
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2021576234の分割
【原出願日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】62/862,690
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516242460
【氏名又は名称】陳嘉宏
【氏名又は名称原語表記】CHEN,Chia Hung
【住所又は居所原語表記】1F,No.10,Aly.7,Ln.145,Zhongzheng N.Road,Sanchong District.New Taipei 241,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】陳 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】蘇 家▲其▼
(72)【発明者】
【氏名】宋 玉▲文▼
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された医療用ベストとその使用方法を提供する。
【解決手段】医療用ベスト100は、ユーザーが身体の胸腔に着用するための服101と、服101にそれぞれ位置している1つまたは複数の振動装置102と、この服101に位置しているモーションセンサー103とを有している。これにより、ユーザーがこの服101を着用し、及び/または1つまたは複数の振動装置102を起動することで身体の胸腔に力を付勢すると、モーションセンサー103がユーザーの実際の身体の姿勢及び/またはユーザーが実際が感じた身体の胸腔に付勢された振動力の振動周波数及び振動強度を感知し、1つまたは複数の振動装置102の振動強度及び/または振動周波数を調整可能になり、服101をユーザーの身体の胸腔にどのように着用させるかも調整可能になる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の少なくとも胸腔に着用するための服と、
前記胸腔に対応する前記服の1つまたは複数の位置にそれぞれ位置している1つまたは複数の振動装置と、
前記服に位置しているモーションセンサーと、を備え、
何れか1つの前記振動装置が振動することで前記身体に力を付勢し、
前記モーションセンサーが、前記身体の姿勢、少なくとも1つの前記振動装置が前記胸腔に付勢する振動力の振動周波数、及び少なくとも1つの前記振動装置が前記胸腔に付勢する振動力の振動強度のうちの少なくとも1つを感知することを特徴とする医療用ベスト。
【請求項2】
少なくとも2つの異なる前記振動装置は少なくとも2つの異なる位置に位置していることと、
少なくとも2つの異なる前記振動装置はそれぞれ振動し、且つ何れか1つの前記振動装置が発生する振動力の振動周波数及び振動強度は、少なくとも1つの他の前記振動装置が発生する少なくとも1つの他の振動力の振動周波数及び振動強度から独立していること、のうちの少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の医療用ベスト。
【請求項3】
複数の前記モーションセンサーを更に備え、異なる前記モーションセンサーは別々に動作するか一緒に動作し、何れか1つの前記振動装置は全て前記服に固定され、前記モーションセンサーは前記服から取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の医療用ベスト。
【請求項4】
前記モーションセンサーを少なくとも1つの特定の振動装置の検出に用いる場合、前記モーションセンサー及び少なくとも1つの特定の運動装置が相互に分離し、前記モーションセンサー及び前記特定の振動装置の位置は前記服の中心線に対し左右対称になると共に前記服の前後の同じ一側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の医療用ベスト。
【請求項5】
少なくとも1つの前記振動装置はモーターであり、前記モーションセンサーは、多軸センサー、磁力計、加速度計のうちの1つまたはそれらの任意の組み合わせから選択されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用ベスト。
【請求項6】
前記モーションセンサーが感知したメッセージを制御装置に伝送するための伝送モジュールを更に備え、前記伝送モジュールはブルートゥースモジュール、Wi-Fiモジュール、赤外線モジュール、及び伝送ケーブルモジュールから選択され、前記制御装置は、少なくとも1つの前記振動装置の振動周波数の調整、少なくとも1つの前記振動装置の振動強度の調整、及び前記医療用ベストを前記身体にどのように着用させるか調整するための少なくとも1つのメッセージを提供すること、のうちの少なくとも1つを実行することを特徴とする請求項1に記載の医療用ベスト。
【請求項7】
前記医療用ベストのモーションセンサーを使用して前記医療用ベストに位置している少なくとも1つの振動装置が発生する振動力の振動周波数及び/または振動強度を感知するステップa)と、
前記医療用ベストの伝送モジュールを使用して前記モーションセンサーが感知したメッセージを制御装置に伝送するステップb)と、
前記制御装置を使用して、前記モーションセンサーが感知したメッセージ及びユーザーの身体の少なくとも1つの身体情報に少なくとも基づいて、前記医療用ベストにある少なくとも1つの振動装置の振動周波数及び/または振動強度、及び前記医療用ベストをユーザーの身体にどのように着用させるか、のうちの少なくとも1つを調整するステップc)と、を含むことを特徴とする医療用ベストの使用方法。
【請求項8】
使用する前記身体情報は、ユーザーの身長、ユーザーの体重、ユーザーの年齢、及びユーザーの性別のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7に記載の医療用ベストの使用方法。
【請求項9】
ステップa)において、まず医療用ベストの特定の振動装置が反復して異なる多種類の振動力を各テスト周期に順に提供し、且つ医療用ベストの前記モーションセンサーを使用してこの特定の振動装置が発生する各振動力の各自の振動周波数及び/または振動強度を感知すること、
または、ステップb)において、前記医療用ベストの前記伝送モジュールを使用して各テスト周期に感知したメッセージを前記制御装置に伝送すること、
または、ステップc)において、医療用ベストを着用するユーザーの感覚及び/または医療従事者の評価結果に別途基づいて、ある特定の振動力を選択し、且つ制御装置により前記特定の振動装置が後続の医療周期中にこの特定の振動力を持続的に提供するように設定し、ある特定の振動力を選択した後、まず対応する振動周波数及び/または振動強度を微調整し、その後に制御装置により前記特定の振動装置に再度後続の前記医療周期中にこの微調整した特定の力を持続的に提供するように設定すること、を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の医療用ベストの使用方法。
【請求項10】
前記制御装置がスマート聴診器からのメッセージを受信すると、前記スマート聴診器が前記ユーザーの前記身体の1つまたは複数の特定の部位に痰、粘液及び/または破片が出現したことを表示した場合、前記制御装置が1つまたは複数の前記特定の部位の1つまたは複数の振動装置を起動することを更に含むことを特徴とする請求項9に記載の医療用ベストの使用方法。
【請求項11】
ユーザーが医療用ベストを着用した際に、前記医療用ベストにあるモーションセンサーが初期の身体の姿勢情報を感知するステップa)と、
前記医療用ベストにより胸腔に振動力が付勢された際に前記ユーザーが身体の姿勢を調整すると、前記モーションセンサーが治療を待つ身体の姿勢情報を感知するステップb)と、
前記モーションセンサーが感知した各情報に基づいて、ある胸腔物理療法を受けれるようにするためにユーザーが身体の姿勢を調整したかどうか判断するステップc)と、を含むことを特徴とする医療用ベストの使用方法。
【請求項12】
12種類の胸腔物理療法姿勢図示及び推奨するモーションセンサーの数値表が全て前記医療用ベストの服に付着され、ユーザーが前記医療用ベストを着用した後にある胸腔物理療法を受けれるようにするために身体の姿勢を調整するための参照用として提供することを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の医療用ベストの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ベストとその使用方法(medical vast and using method thereof)に関し、更に詳しくは、モーションセンサー及び振動装置を一緒に服に取り付ける医療用ベストとその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用ベスト(Medical vest)は胸腔に疾病を患っている患者の治療に広く応用されており、特に呼吸器系及び肺は痰、粘液、または破片が蓄積し易く、身体が不自由で咳や粘膜の繊毛運動等によりこれらを清潔に排除できない患者の治療に用いられている。医療用ベストの基本メカニズムは医療用ベストを着用している患者の胸腔に力を規律的に付勢し(高周波圧力パルス/High Frequency Pressure Pulseに相似する)、患者が痰、粘液、または破片を吐き出すのに十分な力を持続的にかけれない場合に、患者の身体の外部から力を加えて患者が痰、粘液、または破片を肺及び呼吸器系から吐き出すのを助けている。近年、医療用ベストが気管支拡張症、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、肺炎、百日咳、慢性閉塞性肺疾患、喘息、線毛機能不全症候群、呼吸器窮迫症候群を患っている患者の治療に普遍的に応用されている。
【0003】
また、従来の商用製品の医療用ベストは、患者の身体に力を付勢する方式によりガス振動系及び機械振動系の2種類に大別される。前者はポンプを使用してガスを管を通して患者が着用する医療用ベストに伝送し、ポンプにより規律的に抽気/送気して患者の身体に持続的に振動力を付勢する。後者はブラシ付きモーターまたはブラシレスモーター等の機械を医療用ベストに取り付け、モーターにより規律的な振動力を患者の身体に持続的に付勢する。ガス振動系か機械振動系かによらず、医療用ベストは1つまたは複数の振動装置を有し、医療用ベストを着用する患者の身体に振動力を持続的に付勢している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的には、従来の商用製品の医療用ベストの使用方法は、看護師、医師、或いは呼吸器のセラピスト等の医療従事者が、患者の身体の状況に応じて患者の身体の姿勢を調整し、または患者が自分で姿勢指示図を参照して身体の姿勢を調整する。しかしながら、明らかに両者は医療用ベストを着用する患者の身体の姿勢を精確に判断できず、特に医療用ベストが患者の身体の位置に合っているかを確認できず(または、医療用ベストにある振動部分が患者の身体の振動させる部位に正確に対応しているかどうか)、人の感覚頼りではどうしても誤差が生じてしまった。また、医療用ベストが患者の身体に振動力を付勢すると同時に患者が医療用ベストを適切に着用しているかどうか判断することができなかった。
【0005】
このほか、従来の商用製品の医療用ベストの使用方法は、看護師、医師、或いは呼吸器のセラピスト等の医療従事者が、医療用ベストまたは患者の身体を直接触って医療用ベストが患者の身体に付勢する振動力の強度を判断するか、身体に付勢される振動力の強度を患者が自分の感覚で判断する。明らかに、両者は患者の身体に実際に付勢される振動力の強度を精確に判断できず、特に医療用ベスト自体の振動力の強度と、患者の身体が実際に受ける医療用ベストの振動力の強度との違いを把握することができず、人の感覚ではどうしても誤差が生じてしまった。特に患者の身体に付勢する予定の振動力の強度と、患者の身体が実際に感じている振動力の強度との差異を把握できなかった。また、医療用ベストの着用時の緊張具合も振動の強度に影響した。
【0006】
そこで、本発明者は上記の従来の商業化医療用ベスト的欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の推奨に至った。
【0007】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、医療用ベストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の医療用ベストは、服(clothe)と、1つまたは複数の振動装置(vibration device)と、モーションセンサー(motion sensor)と、を備えている。服はユーザー(例えば、患者)が身体の胸腔に着用するために用いられ、異なる振動装置は服の異なる位置に位置することでユーザーの胸腔の異なる部位に振動力を付勢し、モーションセンサーも服に位置して服に(または、服に密着するユーザーの胸腔に)実際に発生した振動力を検出する。
【0009】
明らかに、本発明に係る医療用ベストの主要な技術的特徴はモーションセンサーにある。振動センサーが服に発生した振動力を感知し、服の運動(速度、加速度、または方向)も感知する。モーションセンサーを使用することで、振動装置がユーザーの胸腔に振動力を付勢すると同時に、患者または医療従事者の身体の感覚に頼らずに、医療用ベスト(または、医療用ベストを着用する患者の身体)に発生した振動力を感知し、従来の商用製品の医療用ベストでは付勢したい振動力を事前に設定しなければならず、実際に発生した医療用ベストの振動力を患者や医療従事者の身体の感覚に頼って感知しなければならないという欠点を改善する。さらには、モーションセンサーを使用することにより、ユーザー及び/または医療従事者の身体の感覚に頼らずに医療用ベスト(または、医療用ベストを着用する患者の身体)の姿勢を感知し、従来の商用製品の医療用ベストでは身体の姿勢に合わせるのに必要な情報を提供できないという欠点を更に改善する。
【0010】
本発明に係る医療用ベストにおいて、モーションセンサーは服に発生した振動力の強度及び/または周波数を感知するために用いられ、さらには患者の身体の姿勢も感知する。映画の特撮及びスポーツ科学の研究等に使用されているモーションセンサーと比較し、本発明はより多くの感知プロジェクトや更に精細な感知結果は必要ではない。よって、本発明は使用するモーションセンサーの細部を制限する必要がなく、従来の、発展中の、或いは将来登場するあらゆるモーションセンサーを応用することが可能であり、例えば、多軸センサー(multi-axis sensor)、磁力計(magnetometer)、及び/または加速度計(accelerometer)等があり、且つ新しいモーションセンサーを特別に開発する必要もない。
【0011】
本発明に係る医療用ベストにおいて、モーションセンサーによりある1つまたは複数の特定の振動装置を検出する場合、このモーションセンサーは往々にして1つまたは複数の特定の運動装置と相互に分離され、これにより感知過程で発生するノイズの騒音を減少させている。例えば、常用される方式は、モーションセンサー及び特定の振動装置の両者が服に取り付けられる位置が、服の中心線に対し左右対称になっていると共に服の前後の同じ一側に位置し、或いは服を着用するユーザーの脊椎に対し左右対称になっていると共に全て服を着用するユーザーの身体の前胸または背中に位置している。当然ながら、必要であれば、本発明は複数のモーションセンサーを服の異なる部分に同時に取り付け、服に位置している1つまたは複数の振動装置の振動力を感知するために同時に動作または別々に動作してもよい。
【0012】
本発明に係る医療用ベストにおいて、振動装置が持続的に振動する過程でモーションセンサーが持続的に振動して性能が低下したり、損壊するのを軽減するため、本発明は更に何れか1つの振動装置が服に固定され、但し、何れか1つのモーションセンサーは服から取り外し可能でとなっている。これにより、本発明は医療用ベストを着用するユーザーの身体にどのように振動力を付勢するかについて、ユーザーが医療用ベストを設定及び調整する際に、1つまたは複数のモーションセンサーを服に取り付けて感知することで、ユーザーが医療用ベストを適切に着用し、且つ適度な振動の強度及び振動周波数を有している振動力を提供するように各振動装置の動作を調整した後、1つまたは複数のモーションセンサーを服から取り外す。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の態様は、医療用ベストの使用方法である。この使用方法は、下述の幾つかの基本ステップを含む。まず、医療用ベストに位置しているモーションセンサーを使用し、医療用ベストに位置している少なくとも1つの振動装置が医療用ベストを着用しているユーザーの身体に付勢する振動力を感知する。次いで、医療用ベストに位置している伝送モジュールを使用してモーションセンサーが感知した情報を制御装置に伝送する。最後に、制御装置を使用して、モーションセンサーが感知した情報及び少なくとも1つのユーザーの身体情報に少なくとも基づいて、少なくとも1つの振動装置の振動周波数及び/または振動の強度、及び医療用ベストをユーザーの身体にどのように着用させるか、のうちの少なくとも1つを調整する。
【0014】
本発明に係る医療用ベストの使用方法は、振動装置のみを使用する場合、モーションセンサー及び振動装置を医療用ベストの垂直な中心線に対し左右対称になると共に同じ一側に前後に位置している位置に取り付けることで、振動装置が発生する振動力の強度及び/または周波数を精確に感知できるようになる。当然ながら、複数の振動装置を同時に使用する場合、これら振動装置を各々順番に使用し、且つモーションセンサー及び使用中の振動装置を医療用ベストの垂直な中心線に対し左右対称になると共に同じ一側に前後に位置している位置に取り付けることで、これら振動装置の各自の振動力の強度及び/または周波数を順に調整できる。
【0015】
本発明に係る医療用ベストの使用方法は、まずある特定の振動装置が異なる多種類の振動力を各テスト周期に順に提供し、且つモーションセンサー及び伝送モジュールを使用して各テスト周期に感知した情報を制御装置に伝送する。次いで、医療用ベストを着用するユーザーの感覚及び/または医療従事者の評価結果に基づいてある特定の振動力を選択した後、制御装置により特定の振動装置が後続の医療周期にこの特定の振動力を持続的に提供するように設定する。
【0016】
本発明に係る医療用ベストの使用方法は、ユーザーが医療用ベストを着用すると即刻モーションセンサーにより初期の身体の姿勢情報を感知し、その後、医療用ベストの振動力が胸腔に付勢されるようにユーザーが身体の姿勢を調整すると、即刻モーションセンサーにより治療を待つ身体の姿勢情報を感知する。次いで、これら情報に基づいてある胸腔物理療法を受けれるようにユーザーが身体の姿勢を調整したかどうかを判断し、重力を結合するか振動の強度を調整する。
【0017】
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストを示す概略構成図である。
図1B】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストを示す概略構成図である。
図1C】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストを示す概略構成図である。
図1D】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストを示す概略構成図である。
図1E】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストを示す概略構成図である。
図2A】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストの使用方法を示すフローチャートである。
図2B】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストの使用方法を示すフローチャートである。
図3】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストの使用方法を示すフローチャートである。
図4A】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストの使用方法を示す補助概略図である。
図4B】本発明のいくかの実施例に係る医療用ベストの使用方法を示す補助概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0020】
本発明の幾つかの実施例は医療用ベストに関し、図1Aの医療用ベストの前面図及び図1Bの医療用ベストがユーザーの身体に着用される背面図に示すように、このような医療用ベスト100は服101と、1つまたは複数の振動装置102と、モーションセンサー103と、を少なくとも備えている。服101はユーザーの身体104の少なくとも胸腔に着用するために用いられ、1つまたは複数の振動装置102はユーザーの胸腔に対応する服101の1つまたは複数の位置にそれぞれ位置し、モーションセンサーは服101に位置している。従来の商用製品の医療用ベストと比較すると、これら実施例の主要な特徴は、モーションセンサー103を有し、特に振動装置102と同様にユーザーが着用する服101に位置しているモーションセンサー103を有し、これによりモーションセンサー103が、ユーザーの身体104の身体の姿勢、少なくとも1つの振動装置102が胸腔に付勢する振動力の振動周波数、及び少なくとも1つの振動装置102が胸腔に付勢する振動力の振動の強度、のうちの1つを少なくとも感知する。
【0021】
明らかに、振動装置102及びモーションセンサー103が共に服101に位置することにより、モーションセンサー103が服101に実際に発生した振動力の振動の強度及び/または振動周波数を感知し、または、ユーザーの身体104に実際に付勢された振動力の振動の強度及び/または振動周波数を感知する。従来の商用製品の医療用ベストでは、発生させる振動力の振動の強度及び/または振動周波数を設定しなければならないのと比べると、これら実施例に係る医療用ベストは、モーションセンサー103を使用することによりユーザーが実際に受ける振動力を正確に掌握できる。ユーザーが医療用ベストを正確に着用しているかどうか、ユーザーが医療用ベストを身体にきつく固定するか緩く固定するか、医療用ベストがユーザーの身体にフィットしているかどうか、或いは振動装置が発生する振動力が精確に設定されているかどうか等の要素には全て、ユーザーの胸腔に実際に作用する振動力と、本来医療用ベストに設定されている振動力との間に無視できない差異が存在する。
【0022】
明らかに、振動装置102及びモーションセンサー103が共に服101に位置することにより、何れか1つの振動装置102が振動力を発生させた際に、モーションセンサー103が振動力を即時感知し、特にモーションセンサー103内部の機械素子及び/または電子素子により感知結果を提供する。胸腔に医療用ベストが振動を与えた際の疼痛程度をユーザーが自分で感じるか、医療従事者がユーザーの前胸及び背中を手で触って医療用ベストが付勢する振動力を感じるしかない従来の商用製品の医療用ベストと比較すると、これら実施例に係るモーションセンサー103を有している医療用ベスト100は、客観的で人体の感覚器に頼らない感知結果を、後続の調整のための参照用として患者及び/または医療従事者に提供し、且つユーザーが医療用ベストを着用する際のきつさが振動結果に与える影響も含む。特に、ユーザー(患者)が適度な振動力を受けれずに怪我をしたり、治療効果が出なくなる前に、医療用ベスト100の動作を調整するための参照として振動力情報を患者及び/または医療従事者に即時提供する。
【0023】
さらに、様々な実施形態において、少なくとも1つの特定の振動装置102を検出するためにモーションセンサー103を用いる場合、モーションセンサー103はこの少なくとも1つの特定の運動装置と相互に分離し、且つ何れか1つの振動装置は服101に固定し、モーションセンサー103は服101から取り外し可能にする。これは何れか1つの振動装置102が動作時に発生する振動力が服101に位置しているモーションセンサー103に作用し、服101に実際に発生した振動力をモーションセンサー103が感知する過程でノイズが発生し、さらには持続的に振動することでモーションセンサー103が損傷することもあるため、モーションセンサー103は振動力を測定する1つまたは複数の振動装置102とは相互に一定の距離分離し、ノイズの影響を低減してモーションセンサー103を保護するためである。特に、従来の商用製品の振動装置102を、特殊な強度及び特殊な周波数を有している特殊な振動力を発生させるように設定した後には、このような特殊な振動力を相当な時間持続的に発生させるため、図1Cに示すようにモーションセンサー103を取り外し可能にし、モーションセンサー103を服101に取り付けるか服101から相互に分離するか必要に応じて選択する。1つまたは複数の振動装置102がそれぞれ発生させる異なる振動力を感知する場合、モーションセンサー103を服101に取り付け、但し、モーションセンサー103が感知を完了し、この1つまたは複数の振動装置102の調整を終えている場合、モーションセンサー103は服101から相互に分離する。
【0024】
様々な実施形態において、1つの服101に同時に複数のモーションセンサー103を取り付け、これら異なるモーションセンサー103は別々に動作させても、一緒に動作させてもよい。一例を挙げると、ユーザーの身体104の前胸及び背中にそれぞれ1つのモーションセンサー103を対応させる場合、ユーザーの前胸及び背中に発生した振動力を異なるモーションセンサー103によりそれぞれ感知することで、同じモーションセンサー103を取り外して服101の前側(前胸に対応する)及び後側(背中に対応する)にそれぞれ取り付け直すようにしなくともよくなる。また、様々な実施形態において、モーションセンサー103と感知する振動力を発生している最中の振動装置102との間の相対的な位置は各々異なっていてもよく、各自が実際の需要に応じて調整可能である。よくある方法としては図1Dに示すように、モーションセンサー103及び検出したい特定の振動装置1021の位置は服101の中心線に対し左右対称になると共に服101の前後の同じ一側に位置するか、或いは服101が被覆するユーザーの身体104の脊椎に対し左右対称になると共に全てユーザーの前胸または背中に位置する。
【0025】
様々な実施形態において、異なる振動装置102は往々にして服101の異なる位置に位置し、且つ異なる振動装置102は往々にして別々に振動し、即ち、医療用ベスト100にある全ての複数の振動装置102のうちの1つのみまたは複数が起動し、ユーザーの身体104に複数の振動力を付勢し、且つ何れか1つの振動装置102が発生する振動力の振動周波数及び振動の強度も往々にして他の振動装置102が発生する振動力の振動周波数及び振動の強度から独立している。これにより、医療用ベスト100を使用する異なるユーザーが各自の胸腔の異なる部位に振動力を付勢して、症状の異なる痰、粘液、及び破片の蓄積した病巣をそれぞれ治療する場合、或いは、同じユーザーが胸腔の異なる部位の異なる病巣に対しそれぞれ処置を施す場合、本発明に係る医療用ベストは非常に便利である。
【0026】
さらに、図1Eに示すように、様々な実施形態において、医療用ベスト100は、モーションセンサー103が感知した情報を制御装置106に伝送し、ユーザーが医療用ベスト100をどのように着用し、どのように振動力を発生するかを調整するための伝送モジュール105を更に備えている。例えば、ユーザーが少なくとも1つの振動装置102の振動周波数及び/または少なくとも1つの振動装置102の振動の強度を調整することにより、服101及び/またはユーザーの身体104に作用する振動力を改変してもよい。一例を挙げると、ユーザーが医療用ベスト100をユーザーの身体104にどのように着用するか調整し、例えば、服101をユーザーの身体104にきつく着用したり、服101のサイズがより大きい医療用ベスト100に交換してもよい。一般的には、振動装置102が発生する振動力に起因する損壊を低減するため、或いは現在流行しているモバイル装置及びモノのインターネットと結合するため、制御装置106を医療用ベスト100に取り付ける以外、制御プログラムがインストールされた携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、及び/またはノートパソコン等の装置と統合してもよい。この場合、伝送モジュール105は ブルートゥースモジュール(ブルートゥースは登録商標である。)、Wi-Fiモジュール、赤外線モジュール、及び/または伝送ケーブルモジュールでもよく、十分広い周波帯を使用可能であり、十分な長さの伝送距離を有し、且つよくある伝送モジュール105としてワイヤレスで伝送可能な ブルートゥースモジュール(ブルートゥースは登録商標である。)がある。モーションセンサー103を利用して振動装置102が発生する振動力を感知する主な技術的特徴は、ある実施例ではモーションセンサー103、伝送モジュール105、及び制御装置106を服101の同じ回路基板に配置している。
【0027】
様々な実施形態において、服101、振動装置102、またはモーションセンサー103は全てそのハードウェアの仔細について特別な制限はなく、従来の、発展中の、或いは将来出現するハードウェアを使用して実現可能であり、特に、商用製品を使用して実現する。例えば、服101はベスト、ポロシャツ(polo shirt)及び/またはTシャツ(T-shirt)等でもよく、患者が着用した後に取り付けられる振動装置及びモーションセンサーは共に患者の胸腔の衣類に作用する。例えば、少なくとも1つの振動装置102がブラシ付きモーター、ブラシレスモーター、またはステッピングモーターを有するか、或いはポンプの管に連結されてもよい。即ち、本発明の主な技術的特徴は、機械振動系医療用ベストにもガス振動系医療用ベストにも適用可能である。例えば、モーションセンサー103は、多軸センサー、磁力計及び/または加速度計でもよく、主な用途が振動力の強度及び/または周波数を感知することか、それとも医療用ベスト100を着用したユーザーの身体の姿勢を感知することかによって決定する。
【0028】
このほかに、特に図示しない他の幾つかの実施例では、他の変化があってもよい。例えば、服に複数のポケットを設け、1つまたは複数の振動装置をポケット中にそれぞれ取り付けてもよい。何れか1つのポケットのサイズは対応する振動装置のサイズと等しく、これにより振動装置を服にきつく取り付けることができる。但し、何れか1つのポケットのサイズを対応する振動装置のサイズより大きくし、身体にある振動装置の位置をポケットのサイズの範囲内に調整してもよい。或いは、例えば、1つまたは複数の振動装置を服に配置することは、呼吸器系は人体の前胸(服の前側)の分布が密集しており、人体の背中(服の後側)の分布は疎であるため、振動装置も服の前側は密集するように配置し、服の後側は疎に配置することで、人体の呼吸器系に端を吐き出すのを助けるのに十分な振動力を付勢する。また、例えば、心臓に対する振動力のマイナス作用を減少させるため、人体の左半部に対応する服の部分では、振動装置の取り付け位置を服の辺縁に近接させる。また、例えば、肺及び呼吸器系以外の部位に振動力が付勢される可能性を減らすため、服に取り付ける振動装置の位置はユーザーが服を着用した後に肋骨(rib cage)よりも低くせず、人体の腹腔(abdomen)に近接しないようにする。
【0029】
当然ながら、図示及び討論を簡略化するため、本発明に係る医療用ベストの技術的特徴の仔細については省略する。例えば、ある実施例では、面ファスナーのフック(hook)またはファスナー(loop fastener)を服101の肩部に設けることで、医療用ベストの全体的なサイズを調整可能にしている。また、ある実施例では、服101の前半部にファスナーまたはボタンを有し、これにより医療用ベストをユーザーの身体に着用させる際のきつさを調整可能にしている。
【0030】
また、本発明の他の幾つかの実施例に係る医療用ベストの使用方法は、下記基本ステップを少なくとも含む(図2A参照)。まず、ステップブロック201に示すように、医療用ベストのモーションセンサーを使用して医療用ベストの少なくとも1つの振動装置が発生する振動力の振動周波数及び/または振動の強度を感知する。次に、ステップブロック202に示すように、医療用ベストの伝送モジュールを使用してモーションセンサーが感知した情報を制御装置に伝送する。最後に、ステップブロック203に示すように、制御装置を使用し、モーションセンサーが感知した情報及びユーザーの身体の少なくとも1つの身体情報に少なくとも基づいて、医療用ベストにある少なくとも1つの振動装置の振動周波数及び/または振動の強度、及び医療用ベストをユーザーの身体にどのように着用させるか、のうちの少なくとも1つを調整する。ここでは、ユーザーの身体情報はユーザーの身長、ユーザーの体重、ユーザーの年齢、及びユーザーの性別であるが、ユーザーの身体に関する他の情報でもよく、例えば、体脂肪率、胸腔の周長等でもよい。明らかに、重点は、先にモーションセンサーを使用して振動装置が発生する振動力を感知した後、伝送モジュールにより制御装置に伝送し、患者及び/または医療従事者が医療用ベストを対応するように調整するために利用することである。モーションセンサー、1つまたは複数の振動装置、及び伝送モジュール(さらには、制御装置も)を医療用ベストの一部分としてどのように統合するか、及び各々の具体的なハードウェアの仔細については、特別な制限は不要である。
【0031】
さらに、モーションセンサーが測定する運動服(または医療用ベストを着用したユーザーの身体)に実際に発生した振動力と、振動装置に設定された振動力との差に基づいて、振動装置の設定を調整する。いくつかの実施形態では、下記基本ステップを少なくとも含む(図2B参照)。まず、ステップブロック2011において、医療用ベストの特定の振動装置が反復して異なる多種類の振動力を各テスト周期に順に提供し、且つ医療用ベストのモーションセンサーを使用してこの特定の振動装置が発生する各振動力の振動周波数及び/または振動の強度を感知する。その後、ステップブロック2021において、医療用ベストの伝送モジュールを使用して各テスト周期に感知した情報を前記制御装置に伝送する。
【0032】
最後に、ステップブロック2031において、医療用ベストを着用するユーザーの感覚及び/または医療従事者の評価結果に基づいて、特定の振動力を選択し、且つ制御装置により前記特定の振動装置が後続の医療周期に持続的に提供するこの特定の振動力を設定する。当然ながら、図示しないが、いくつかの実施形態では、特定の振動力を選択した後、先に対応する振動周波数及び/または振動の強度を微調整し、制御装置により前記特定の振動装置が後続の前記医療周期に持続的に提供する微調整した特定の力を設定する。例えば、先にある振動装置に10のテスト周期を実施し、且つ異なるテスト周期にこの振動装置が異なる強度及び/または異なる周波数を有する異なる振動力を発生した後、伝送モジュールがこの10のテスト周期に取得した10種類の異なるテスト結果を全て制御装置に伝送し、患者及び/または医療従事者が患者の実際の身体感覚及び/または医療従事者の専門的評価結果に基づいて、テストした10種類の振動力から、後続の医療周期に使用する振動装置が持続的に提供する振動力を選択する。当然ながら、複数の特定の振動装置を補正して各自の振動力を再設定する場合、先にそのうちの1つを選択してステップブロック2011~2031に記載のフローチャートを実行し、その後、他の特定の振動装置を順に選択し、ステップ2011~2031に記載のフローチャートを1回につき1つ反復して実行し、全ての特定の振動装置を調整した後、医療周期にこれら特定の振動装置を同時に使用してユーザーの身体に振動力を付勢する。
【0033】
このほか、フローチャートを特に記載しないが、いくつかの実施形態では、制御装置がスマート聴診器からの情報を受信した際に、または医療従事者が入力したユーザー(患者)の身体に関する情報を受信した後に、スマート聴診器または医療従事者が入力した情報に基づいて、ユーザーの身体の1つまたは複数の特定の部位に痰、粘液、及び/または破片が出現している場合、制御装置によりこの1つまたは複数の特定の部位に対応する1つまたは複数の振動装置を起動する。
【0034】
本発明の他の幾つかの実施例に係る医療用ベストの使用方法は、下記基本ステップを少なくとも含む(図3参照)。まず、ステップブロック301において、ユーザーが医療用ベストを着用すると、医療用ベストのモーションセンサーが初期の身体の姿勢情報を感知する。次に、ステップブロック302において、医療用ベストにより胸腔に振動力が付勢されるようにユーザーが身体の姿勢を調整すると、モーションセンサーにより治療を待つ身体の姿勢情報が感知される。最後に、ステップブロック303において、モーションセンサーが感知した各情報に基づいて、ユーザーがある胸腔物理療法を受けるために身体の姿勢を調整したかどうか判断する。
【0035】
明らかに、モーションセンサーを医療用ベストに固定するように取り付けることにより、ユーザーが医療用ベストを着用し始めてからユーザーが医療用ベストを脱ぐまでの期間、ユーザーの身体が前に曲がっているか、後に倒しているか、左右に回転しているかによらず、ユーザーの身体が座った状態から立った状態、寝た状態、またはうつ伏せになった状態に変わっても、ユーザーの身体の姿勢の変化により医療用ベストの形状及び/または位置が変化した場合にも、即時客観的に把握できる。換言すれば、痰、粘液、及び/または破片を排出するために刺激するように医療用ベストの1つまたは複数の振動装置により胸腔(前胸または背中)に振動力を付勢できるようにユーザーが身体の姿勢を調整すると、医療用ベストのモーションセンサーが感知した情報が、このときのユーザーの実際の身体の姿勢と、特定の胸腔の部位の痰、粘液、及び/または破片を処置するために好適な身体の姿勢との間の差を示し、これに基づいてユーザーが身体の姿勢を調整し、続いて医療用ベストの1つまたは複数の振動装置がユーザーの身体に振動力を付勢し始める。換言すれば、従来の医療技術において、胸腔物理療法(Chest Physical Therapy)は患者の胸腔に振動力を付勢して肺及び/または呼吸器系の痰、粘液、または破片を排除する場合、治療を待つ患者の身体の姿勢は12種類の胸腔物理療法の姿勢に区分され、患者の体内にある痰、粘液、または破片の状況にそれぞれ対応する。このため、医療従事者の協力がない場合にも医療用ベストを適切に着用させるため、いくつかの実施形態では、図4Aに示す12種類の胸腔物理療法の姿勢図及び図4Bに示す推奨されるモーションセンサーの数値表を共に医療用ベストの服に付着し、前記ユーザーが前記医療用ベストを着用した後に、ある胸腔物理療法姿勢を受けるために身体の姿勢を調整するための参照用として提供する。これにより、医療従事者の協力がない場合でも、患者は図4A及び図4Bに示す情報を参照し、自分の身体の感覚、または事前の診断結果により指示された振動力を付勢する身体の部位に基づいて、ある特定の胸腔物理療法の身体の姿勢を選択し、且つモーションセンサーの感知結果に基づいて、身体の姿勢がこの特定の胸腔物理療法を受けるのに好適な身体の姿勢に調整されたかどうか確認する。例えば、第5の胸腔物理療法の身体の姿勢を選択した場合、医療用ベストを着用した後に身体の姿勢を調整し、モーションセンサーが測定した幾つかのデータが第5の胸腔物理療法の身体の姿勢に対応するデータに相等するか、差が誤差の範囲内にある場合(例えば誤差が5%以内)、身体の姿勢を保持すると共に医療用ベストを使用して胸腔に振動力を付勢して痰、粘液、及び/または破片を排除するのを助ける。
【0036】
本発明に係る医療用ベストの使用方法の実施例において、ハードウェアに対する要求は、モーションセンサー及び各振動装置を医療用ベストの服に配置することのみである。特に、ユーザーが医療用ベストを着用した後、モーションセンサーを使用して振動装置が発生する振動力を感知する過程及び/またはユーザーの身体の姿勢の変化を感知する過程において、モーションセンサーは服に固定するのみでよい。これら医療用ベストの使用方法に関する実施例では、本発明に係る医療用ベストの実施例と同様に、振動装置、モーションセンサー、伝送モジュール、及び制御装置等の具体的な仔細についての制限は不要である。例えば、振動装置のみを使用する場合、モーションセンサー及び振動装置を医療用ベストの垂直な中心線に対し左右対称にすると共に同じ一側に前後に位置している位置に取り付けるのみでよく、複数の前記振動装置を同時に使用する場合、まずこれら各振動装置を順番に使用すると共にモーションセンサー及び使用中の振動装置を医療用ベストの垂直な中心線に対し左右対称になると共に同じ一側に前後に位置している位置に取り付けることで、これら前記振動装置の各自の振動力の強度及び/または周波数を順に調整し、少なくとも2つの異なる前記振動装置を少なくとも2つの異なる位置に位置させ、少なくとも2つの異なる振動装置を別々に振動させると共に互いの振動周波数及び振動の強度を独立させ、或いは少なくとも1つのモーターを少なくとも1つの振動装置として使用し、若しくは多軸センサー、磁力計、加速度計、及びそれらの任意の組み合わせをモーションセンサーとして使用してもよい。当然ながら、モーションセンサーは服の異なる位置に取り外し可能に取り付けてもよく、ワイヤレス伝送モジュールを伝送モジュールとして使用してもよく、医療用ベストの外に位置している装置を制御装置として使用してもよく、或いは制御装置を医療用ベストの服に取り付けてもよい。
【0037】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0038】
100 医療用ベスト
101 服
102 振動装置
1021 特定の振動装置
103 モーションセンサー
104 ユーザーの身体
105 伝送モジュール
106 制御装置
201 ステップブロック
202 ステップブロック
203 ステップブロック
2011 ステップブロック
2021 ステップブロック
2031 ステップブロック
301 ステップブロック
302 ステップブロック
303 ステップブロック
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ベストに備えられたモーションセンサー、前記医療用ベストに位置している少なくとも1つの振動装置が発生する振動力の振動周波数及び/または振動強度、及び前記医療用ベストを着用する身体の姿勢を感知するステップa)と、
前記医療用ベストの伝送モジュールが、前記モーションセンサーが感知したメッセージを制御装置に伝送するステップb)と、
前記制御装置、前記モーションセンサーが感知したメッセージ及びユーザーの身体の少なくとも1つの身体情報に少なくとも基づいて、前記医療用ベストにある少なくとも1つの振動装置の振動周波数及び/または振動強度、及び前記医療用ベストをユーザーの身体にどのように着用させるか、のうちの少なくとも1つを調整するステップc)と、を含む、
ことを特徴とする医療用ベストの使用方法。
【請求項2】
使用する前記身体情報は、ユーザーの身長、ユーザーの体重、ユーザーの年齢、及びユーザーの性別のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用ベストの使用方法。
【請求項3】
ステップa)において、まず医療用ベストの特定の振動装置が反復して異なる多種類の振動力を各テスト周期に順に提供し、且つ、医療用ベストの前記モーションセンサーが、この特定の振動装置が発生する各振動力の各自の振動周波数及び/または振動強度を感知すること、
テップb)において、前記医療用ベストの前記伝送モジュールが、各テスト周期に感知したメッセージを前記制御装置に伝送すること、
テップc)において、前記制御装置は、医療用ベストを着用するユーザーの感覚及び/または医療従事者の評価結果基づいて、ある特定の振動力を選択し、且つ、前記制御装置は、前記特定の振動装置が後続の医療周期中にこの特定の振動力を持続的に提供するように設定し、ある特定の振動力を選択した後対応する振動周波数及び/または振動強度を微調整し、その後に制御装置は、前記特定の振動装置に再度後続の前記医療周期中にこの微調整した特定の力を持続的に提供するように設定すること、を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用ベストの使用方法。
【請求項4】
前記制御装置がスマート聴診器からのメッセージを受信することにより、前記スマート聴診器から前記ユーザーの前記身体の1つまたは複数の特定の部位に痰、粘液及び/または破片が出現したことを受信した場合、前記制御装置は、1つまたは複数の前記特定の部位の1つまたは複数の振動装置を起動するステップを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の医療用ベストの使用方法。
【請求項5】
ユーザーが医療用ベストを着用した際に、前記医療用ベストに備えられたモーションセンサーが、初期の身体の姿勢情報を感知するステップa)と、
前記医療用ベストにより胸腔に振動力が付勢された際に前記ユーザーが身体の姿勢を調整すると、前記モーションセンサーが治療を待つ身体の姿勢情報を感知するステップb)と、
制御装置は、前記モーションセンサーが感知した各情報に基づいて、ある胸腔物理療法を受けることができるようにユーザーが身体の姿勢を調整したかどうか判断するステップc)と、を含む、
ことを特徴とする医療用ベストの使用方法。
【請求項6】
前記医療用ベストの服には、12種類の胸腔物理療法姿勢図、及び推奨するモーションセンサーの数値表が、全て付着され、ユーザーが前記医療用ベストを着用した後にある胸腔物理療法を受けれるようにするために身体の姿勢を調整するための参照用として提供されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の医療用ベストの使用方法。