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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038368
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】吻合の為の組織生存性のテスト
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/026 20060101AFI20240312BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240312BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B5/026 120
A61B5/02 D
A61B5/022 400A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003630
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2020537650の分割
【原出願日】2019-01-07
(31)【優先権主張番号】2020240
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】520242665
【氏名又は名称】フェーノフ メディカル デバイシーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー アーノルド フレデリック アドリアーン フェーノフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をテストする方法。
【解決手段】該潅流測定デバイスの直線的作動構造を制御し、吻合の為に選択された組織のテストエリアに対して均一に及ぼされる力(局所(収縮期)潅流圧力)を急速に上昇させる;該力の上昇中に、該潅流測定デバイスのセンサ信号(微小血管を通る潅流)と血圧信号(全身(収縮期)血圧)とを受信する;潅流が停止したことを信号通信した場合にテストエリアに対して均一に及ぼされる力をゆっくりと下降させるようにセンサ信号が作動構造を制御する;力の下降中に潅流の開始を検知した場合、テストエリアの組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に局所潅流圧力値と全身血圧値とを求め、テストエリアの局所再潅流圧力値と収縮期血圧値とに基づいて、テストエリアの組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をテストする方法であって、
コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること、ここで、該制御することは、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させることを含み、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身(収縮期)血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該コンピュータが、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること;及び該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含む、前記方法。
【請求項2】
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含み、好ましくは、該予測を該求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該(収縮期)血圧を示し、該予測を求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定すること、ここで、好ましくは、該閾値は0.1~0.5、より好ましくは0.2~0.4、なおもより好ましくは(およそ)0.3、から選択される、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短く、好ましくは、該第1の期間は2~20秒から選択され;該最大潅流圧力から大気圧への該下降の為の該第2の期間は3~60秒から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該作動構造は、該少なくとも1つのテストエリアの組織に対して下向きに力を及ぼす為の圧力プレート、好ましくは滑動可能圧力プレート、を備えており、該少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、好ましくは、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを備えており、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御し、好ましくは、該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該直線的作動構造は、ベロー構造、好ましくは直線的に膨張可能なベロー構造、を備えており、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えている、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
該センサは、該締め付け部材に一体化された光学的センサであり、好ましくは、該光学的センサは、反射タイプ光学的センサを含み、より好ましくは、該光学的センサは、該上昇及び該下降中に該第1のテストエリアの該組織に対して射出される光の吸収を測定するように適合されている、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該上昇及び該下降のうちの少なくとも一部の間に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスに装着された運動センサ、好ましくは(3D)加速度計、の運動信号を受信すること;及び、
該運動信号及び所定の運動閾値に基づいて、該コンピュータが、該測定された局所再潅流圧力値を拒絶又は受諾すること
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、
潅流測定デバイスに接続可能なコンピュータ、ここで、該コンピュータは、それによって具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読記憶媒体と、該コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサ、とを備えており、該プロセッサは該第1のコンピュータ可読プログラムコードを実行することに応じて、
該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように制御すること、ここで、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び、該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身(収縮期)血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること;及び、
該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該局所潅流圧力値と全身血圧値とは、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に使用され、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含む実行可能な動作を実施するように構成されている、
を備えている、前記システム。
【請求項11】
該実行可能な動作は、
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含み、好ましくは、該予測を該求めることは、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該(収縮期)血圧を示し、予測を求めることの該実行可能な動作は、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定すること、ここで、好ましくは該閾値は0.1~0.5、より好ましくは0.2~0.4、なおもより好ましくは(およそ)0.3、から選択される、を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短く、好ましくは、該第1の期間は2~20秒から選択され、該最大潅流圧力から大気圧への該下降の為の該第2の期間は3~60秒から選択される、請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項14】
該作動構造は、該少なくとも1つのテストエリアの組織に対して下向きに力を及ぼす為の圧力プレート、好ましくは滑動可能圧力プレート、を備えており、該少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、好ましくは、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置される、請求項10~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
該作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを含み、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御し、好ましくは、該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
該直線的作動構造は、ベロー構造、好ましくは直線的に膨張可能なベロー構造、を備えており、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えている、請求項14及び15に記載のシステム。
【請求項17】
該センサは、該締め付け部材に一体化された光学的センサであり、好ましくは、該光学的センサは、反射タイプ光学的センサを含み、より好ましくは、該光学的センサは、該上昇及び該下降中に該第1のテストエリアの該組織に対して射出される光の吸収を測定するように適合されている、請求項10~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
該実行可能な動作が、
該上昇及び該下降のうちの少なくとも一部の間に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスに装着された運動センサ、好ましくは(3D)加速度計、の運動信号を受信すること、及び
該運動信号及び所定の運動閾値に基づいて、該コンピュータが、該測定された局所再潅流圧力値を拒絶又は受諾すること
を更に含む、請求項10~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、
複数の直線的作動構造と該直線的作動構造と関連付けられた1以上のセンサとを備えている潅流測定デバイス、ここで、該直線的作動構造は、直線的作動構造と該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられた組織の異なるテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼすように構成され、該1以上のセンサは、該異なるテストエリアの各々の微小血管を通る血液の潅流を示す信号を求めるように構成されている;及び
該潅流測定デバイスに接続されたコンピュータ、ここで、該複数の直線的作動構造の各々について、該コンピュータは、
該直線的作動構造を、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように制御すること、ここで、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該第1のテストエリアの該微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該患者の全身(収縮期)血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該第1の作動構造を制御すること;及び該力の該下降中に、該コンピュータが、該センサ信号が該微小血管を通る血液の潅流の開始を示す局所潅流圧力を求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力は、該第1のテストエリアの再潅流圧力値を規定する;及び、任意的に、
該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該異なるテストエリアのうちの該少なくとも1つの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めること
の工程を実行するように適合されている、
を備えている、前記システム。
【請求項20】
コンピュータのメモリにおいて動作する場合に、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成されたソフトウェアコード部分を備えているコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吻合の為の組織生存性のテストに関し、詳細には、排他的ではないが、吻合の為に組織の生存性をテストする方法及びそのシステム、並びにそのような方法を使用する為のコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
吻合は、2つの構造、典型的には2つの管状の構造、例えば血管又は腸管のループ、の間の外科的接続である。吻合部縫合不全は、結腸直腸の外科手術後の深刻な合併症である。その報告されている有症率は1%~39%で幅広く変化する。該合併症は、急性の、命を脅かす症状を招きうるだけでなく、癌患者は、局所膿瘍形成を伴う吻合部合併症に引き続く、より高い局所再発率を示す。吻合部合併症は、該吻合の不適切な潅流に関連すると考えられている。
【0003】
該吻合を実施する前に、通常、腸組織の生存性が、該組織の色によって推定される。これは、非常に主観的なままであり、外科医の経験に基づく。毎年、概ね150万人の患者が腸の外科手術を受け、その結果、およそ150,000件の吻合部縫合不全が起こる。死亡率は8%であり、従って、これはおよそ12,000人の直接的に関連する死と、莫大な吻合部縫合不全関連の医療費とを意味する。
【0004】
国際公開第2013/006053号パンフレットは、身体組織の生存性を予測する為のシステム及び方法を説明している。該システムは、局所潅流圧力及び全身潅流圧力を測定し、該測定された圧力に基づいて指標を求める為のシステムを含む。しかしながら、従来技術のシステムは、腸組織の吻合の後の縫合不全を正確に予測する為のテストスキームを提供しない。具体的には、従来技術のシステムは、吻合を包含する外科手術中に外科医が決定を行うことを助けうるように十分に正確で信頼性の高い組織生存性テストシステムを提供しない。
【0005】
欧州特許第3181040号明細書は、組織における局所潅流を測定する為のセンサと、該組織に対して印加される圧力を測定する為のセンサとを含む外科器具を説明している。該器具は、該組織を把持し、これに力を印加する為の、回転可能に接続された顎状部材を含む。該組織に対して圧力を印加する為に該顎状部材を使用するとき、該組織には非均一的な圧力が印加され、これは、該局所潅流の、信頼性の高い、再現可能な測定を非常に困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当技術分野において、吻合の為の組織の生存性をテストする為の改善された方法及びシステムに対する需要がある。具体的には、当技術分野において、吻合縫合不全のリスクの、信頼性の高い、正確な予測を提供する組織生存性テスト方法及びシステムに対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当業者には理解されるであろうように、本発明の観点は、システム、方法又はコンピュータプログラム製品として具現化されうる。故に、本発明の観点は、完全にハードウェアの実施態様、完全にソフトウェアの実施態様(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を包含する)、又は、ソフトウェア及びハードウェアの観点を組み合わせた実施態様の形態を取りえ、これらは全て、本明細書において、「回路」、「モジュール」又は「システム」と総称されうる。本開示において説明される機能は、コンピュータのマイクロプロセッサによって実行されるアルゴリズムとして実現されうる。更には、本発明の観点は、その上に具現化、例えば、記憶された、コンピュータ可読プログラムコードを有する1以上のコンピュータ可読媒体において具現化されたコンピュータプログラム製品の形態をとりうる。
【0008】
1以上のコンピュータ可読媒体の任意の組合せが利用されうる。該コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体、又は、コンピュータ可読記憶媒体でありうる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定されるものでないが、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、若しくは半導体のシステム、装置、若しくはデバイス、又は前述のものの任意の好適な組合せでありうる。該コンピュータ可読記憶媒体のより特定の例(非網羅的なリスト)は、以下のもの、すなわち、1以上のワイヤを有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学的記憶デバイス、磁気的記憶デバイス、又は前述のものの任意の好適な組合せを含む。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによる、又はこれらに関連した使用の為のプログラムを含み又は記憶することができる任意の有形媒体でありうる。
【0009】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドにおいて又は搬送波の一部としてコンピュータ可読プログラムコードがその中に具現化された伝播データ信号を含みうる。そのような伝播信号は、電磁的、光学的、又はこれらのものの任意の好適な組合せを含むがこれらに限定されるものでない、様々な形態のうちの任意の形態をとりうる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによる、又はこれらに関連した使用の為のプログラムを通信、伝播、又は伝送することができる任意のコンピュータ可読媒体でありうる。
【0010】
コンピュータ可読媒体上に具現化されるプログラムコードは、ワイヤレス、ワイヤライン、光ファイバ、ケーブル、RF等、又は前述のものの任意の好適な組合せを含むがこれらに限定されるものでない、任意の適切な媒体を使用して送信されうる。本発明の観点の為の動作を実行する為のコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語、例えばJava(商標)、Smalltalk、C++等、及び、従来の手続き型プログラミング言語、例えば「C」プログラミング言語、又は類似のプログラミング言語、を包含する1以上のプログラミング言語の任意の組合せにおいて記述されうる。該プログラムコードは、全体的にユーザのコンピュータ上で、部分的に該ユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的に該ユーザのコンピュータ上及び部分的に遠隔コンピュータ上で、又は全体的に該遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で動作しうる。後者のシナリオにおいて、該遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を包含する、任意のタイプのネットワークを通じて該ユーザのコンピュータに接続されえ、又は、該接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用し、インターネットを通じて)なされうる。
【0011】
本発明の観点が、本発明の実施態様に従う方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して以下に説明される。該フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに該フローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実現されることができることは理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサ、具体的にはマイクロプロセッサ又は中央処理ユニット(CPU)、に、機械を生み出す為に提供されえ、それによって、該コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスの該プロセッサを介して動作する該命令が、該フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックにおいて指定された機能/動作を実現する為の手段を創出する。
【0012】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスに特定のやり方によって機能するように指示できるコンピュータ可読媒体に記憶もされえ、それによって、該コンピュータ可読媒体に記憶された該命令が、該フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックにおいて指定された該機能/動作を実現する命令を含む製造物品を生み出す。
【0013】
該コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードされて、該コンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で一連の動作の工程が実施されてコンピュータによって実現される方法を生み出すようにもしえ、それによって、該コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で動作する該命令が、該フローチャート及び/又はブロック図の1以上のブロックにおいて指定された該機能/動作を実現する方法を提供する。
【0014】
図面における該フローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施態様に従うシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実現態様の構造、機能、及び動作を示す。これに関して、該フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント又はコードの部分を表しえ、これは、1以上の指定された論理的機能を実現する為の1以上の実行可能な命令を備えている。いくつかの代替的実現態様において、該ブロックにおいて記載された該機能は、該図面において記載された順番とは違う順番で現れうることも留意されるべきである。例えば、連続して図示された2つのブロックが実際には、実質的に同時に実行されえ、又は、該ブロックは、時に、含まれる機能に応じて逆の順番で実行されうる。該ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びに該ブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組合せは、該指定された機能又は動作を実施する専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せによって実現されることができることも留意されよう。
【0015】
従来技術における既知の欠陥のうちの少なくとも1つを減少させ又は除去することが本発明の目的である。
【0016】
1つの観点において、本発明は、潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をテストする方法であって、コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること、ここで、該制御することは、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させることを含み、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び、該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身(収縮期)血圧を示す;該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該コンピュータが、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること;及び該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、を含む上記方法に関しうる。
【0017】
一つの実施態様において、該方法は、該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含みうる。
【0018】
一つの実施態様において、該予測を該求めることが、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含みうる。
【0019】
従って、本発明は、潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為の改善された方法を提供する。従来技術とは対照的に、該方法は、再潅流が生じる圧力を測定する為に、最大潅流圧力までの急激な圧力増加及び該圧力のゆっくりとした解除を含む、組織に及ぼされる該力のコンピュータ制御を含む。相対的に素早い力の上昇中に及び相対的にゆっくりとした力の下降中に、該テストエリアの該局所潅流圧力が測定され、該患者の全身血圧と比較される。このようにして、吻合を含む外科手術中に外科医が決定を行う際に助けうるように十分に正確で信頼性の高い、非常に信頼性の高い組織生存性テストシステムが実現されることができる。
【0020】
一つの実施態様において、該予測を求めることが、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む。一つの実施態様において、該組織は腸組織でありうる。別の実施態様において、該血圧信号は腕において測定された該患者の該(収縮期)血圧を示しうる。一つの実施態様において、該予測を求めることが、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定すること、ここで、好ましくは、該閾値は0.1~0.5、より好ましくは0.2~0.4、なおもより好ましくは(およそ)0.3、から選択される、を含みうる。従って、該テスト方法によって測定された該指標は、指標閾値と比較され得、この比較に基づいて、該組織の該テストエリアが吻合の為に生存し得るかについて非常に正確な予測が得られることができる。
【0021】
従って、該組織生存性テストシステムは、吻合の治癒可能性を予測する為の効率的で正確なシステムとして使用されることができる。例えば、一つの実施態様において、該コンピュータシステムは、指標、例えば該腸-上腕指標、を求め得、該指標が所定の指標閾値よりも小さいか、等しいか、又は大きいかを求めうる。該コンピュータは、該測定された指標、及び、任意的に、該測定された指標に関連付けられた提案をスクリーンに表示しうる。このようにして、該システムによって求められた該指標は、虚血性の術後の問題に基づく吻合部縫合不全の発生の見通しにおいて、86%~89%のポジティブな予測値を外科医に提供する。該システムが、該腸-上腕指標が該指標閾値よりも低いと判定したならば、該外科医は行動をとることを選びうる。
【0022】
手術を行っている外科医は、該腸が更に結集されることができるかを評価しえ、大動脈ステムにより近い、より高い腸-上腕指標を有する腸のセグメントが、見い出され得、これに続いて安全な吻合が行われうる。該腸が(更に)結集されることができず、適切な腸-上腕指標が得られることができないならば、該外科医は、該患者が潜在的な吻合部縫合不全を生き延びるのに十分なほど適合されているならば、偏位ストーマによって該吻合を保護することを選びうる。該指標が該指標閾値に等しいか又はこれよりも大きい場合は、該吻合が判定されることができず、該患者は、深刻な併存疾患を有し(及び、場合によっては、吻合部縫合不全を生き延びないであろう)、恒久的なストーマが考慮されうる。
【0023】
一つの実施態様において、大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短い。一つの実施態様において、該第1の期間は2~20秒から選択され得;該最大潅流圧力から大気圧への該下降の為の該第2の期間は3~60秒から選択されうる。一つの実施態様において、該第2の期間は、該第1の期間の少なくとも1.5倍、好ましくは該第1の期間の2倍、より好ましくは該第1の期間の4倍、になるように選択されうる。
【0024】
一つの実施態様において、該作動構造は、該少なくとも1つのテストエリアの組織に対して下向きに均一に力を及ぼす為の圧力プレート、好ましくは滑動可能圧力プレート、を備え得、該少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、好ましくは、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置される。
【0025】
一つの実施態様において、該作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを備え得、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御し、好ましくは、該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する。
【0026】
一つの実施態様において、該直線的作動構造は、ベロー構造、好ましくは直線的に膨張可能なベロー構造、を備え得、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えうる。
【0027】
一つの実施態様において、滑動構造が、該圧力プレートの該表面を該第2の締め付け部材の該表面に対して平行に保つように、該圧力プレートをハウジングに滑動可能に接続しうる。このようにして、該潅流測定デバイスの動作中に、均一な圧力が該組織に対して印加されうる。該組織に対する圧力の均一な印加は、信頼性の高い、再現可能な該潅流の測定値を得る為に重要である。
【0028】
一つの実施態様において、該センサは、光学的センサでありうる。一つの実施態様において、該光学的センサは、該締め付け部材に一体化されうる。一つの実施態様において、該光学的センサは、反射タイプ光学的センサとして実現されうる。更に別の実施態様において、該光学的センサは、該上昇及び該下降中に該第1のテストエリアの該組織に対して射出される光の吸収を測定するように適合されうる。
【0029】
一つの実施態様において、該方法は、該上昇及び該下降のうちの少なくとも一部の間に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスに装着された運動センサ、好ましくは(3D)加速度計、の運動信号を受信すること;及び、該運動信号及び所定の運動閾値に基づいて、該コンピュータが、該測定された局所再潅流圧力値を拒絶又は受諾することを更に含みうる。従って、この実施態様において、該運動が該閾値を超えているならば、該コンピュータは、該測定データを拒絶し、該テスト方法を再び実行するように該ユーザに警告しうる。そうでないならば、該コンピュータは、該測定データを受諾し、該予測を求めうる。このようにして、該システムは、センサ信号を高い信頼性で測定し、再潅流が起こる該圧力値pを求めることが可能である。
【0030】
更なる観点において、本発明は、吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、潅流測定デバイスに接続可能なコンピュータ、ここで、該コンピュータは、それによって具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読記憶媒体と、該コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサ、とを備えており、該プロセッサは該第1のコンピュータ可読プログラムコードを実行することに応じて、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの作動構造を、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して及ぼされる力を急速に上昇させるように制御すること、ここで、該少なくとも1つのテストエリアに対して及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び、該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身(収縮期)血圧を示す;該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること;及び、該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該局所潅流圧力値と全身血圧値とは、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に使用され、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、を含む実行可能な動作を実施するように構成されている、を備えている上記システムに関しうる。
【0031】
更なる実施態様において、該実行可能な動作は、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを含みえ、好ましくは、該予測を該求めることは、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む。
【0032】
従って、この実施態様において、吻合の為にテストされることを必要とする組織は、該締め付け部材と該作動構造との間に位置付けられうる。このようにして、該作動構造の各々は、該組織の異なるエリアをテストする為に使用されうる。従って、複数のエリアが、該コンピュータによって逐次的に、効率的にテストされうる。テスト中に、各作動構造は、本出願において説明される該方法に基づいて制御されうる。このようにして、複数のエリアの局所生存性が、効率的にテストされることができる。更には、該コンピュータが、第1のテストエリアが吻合の為に生存し得ないと判定したならば、締め付けられる該組織をシフトさせる必要なしに、他のエリアがテストされうる。
【0033】
他の実施態様において、該潅流測定デバイスは、別の医療用デバイスの一部であり得、又はこれに一体化されうる。一つの実施態様において、該潅流測定デバイスは、外科手術中に組織を互いに付着させる為の外科用ステープリングデバイスの一部でありうる。一つの実施態様において、該ステープリングデバイスは、本出願の該実施態様を参照して説明された該潅流測定デバイスと類似の作動構造及び潅流センサを含む締め付け部材を含みうる。該第1の締め付け部材は、ステープリング機構を更に含み得、該第2の締め付け部材は、該ステープリング機構のステープリングアクション中にステープルを受ける為の金床(anvil)として機能しうる。
【0034】
従って、該ステープリングデバイスは、該組織に対して所定の圧力を印加し、そのような圧力での該血液潅流を測定することが可能な潅流測定デバイスを含みうる。このようなステープリングデバイスを使用することは、外科医が、該組織のテストエリアの生存性をテストし、その後、該組織の該生存性が十分であるならば、そのステープリング機構を使用して組織の2つの部分を付着させることが可能である。更には、そのようなステープリングデバイスは、本出願における該実施態様を参照して説明されたものと同一の方法を使用し得、そこにおいては、組織は該締め付け部材の間で固定され、該潅流センサによって潅流が検知されなくなるまで圧迫される。その後、該圧力は、再潅流が検知されるまでゆっくりと解除される。該システムは、該再潅流が検知される圧力に該組織を保ち得、そして次に、該組織が、いくらかの血液潅流を可能とする圧力においてステープルによって固定されるように、該組織をステープルしうる。これは、傷の治癒を刺激する。
【0035】
本発明は、本発明に従う実施態様を概略的に図示する添付の図面を参照して更に示されよう。本発明がこれらの特定の実施態様に決して制限されるものでないことは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、本出願の実施態様において使用される潅流測定デバイスを概略的に表す。
図1B図1Bは、本出願の実施態様において使用される潅流測定デバイスを概略的に表す。
図2図2は、本発明の実施態様に従う吻合の為の組織生存性テストシステムを概略的に表す。
図3A-3C】図3A図3B及び図3Cは、本発明の実施態様に従う吻合の為の組織の生存性をテストする方法を表す。
図4図4は、本発明の実施態様に従う潅流測定デバイスによって組織に対して印加される圧力を制御する方法を概略的に表す。
図5図5は、測定された腸-上腕指標に応じて検知された吻合部縫合不全イベントのグラフを表す。
図6A図6Aは、本発明の別の実施態様に従う潅流測定デバイスの一部を表す。
図6B図6Bは、本発明の別の実施態様に従う潅流測定デバイスの一部を表す。
図7図7は、本発明の更に別の実施態様に従う潅流測定デバイスの一部を表す。
図8図8は、本開示において説明される方法及びソフトウェア製品を実行するように使用されうる例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1Aは、本出願の実施態様において使用されうる吻合潅流測定デバイスを概略的に表す。そのようなデバイスは、第1の締め付け部材102を含み得、これは、第2の締め付け部材104に対して、組織が該2つの締め付け部材の平坦な表面の間に固定されることができるように位置付けられている。その為に、第1の締め付け部材102は、(矩形の)圧力プレート104と、該組織と接触する該圧力プレートの表面を該第2の締め付け部材の表面に向かって誘導する為の誘導手段とを含みうる作動構造を含みうる。例えば、一つの実施態様において、該圧力プレートは、プランジャ106の形状を有する構造の一部であり得、プランジャ106は、ハウジング110内に位置付けられたスリーブ108内に滑動可能に配置され、ハウジング110は、作動構造を収容する為のチャンバを含みうる。該圧力プレートは、0.25~10cm、好ましくは0.5~5cm、で選択された面積を有しうる。該プランジャは、該作動構造、好ましくは直線的作動構造、に動作可能に接続されうる。
【0038】
一つの実施態様において、該作動構造は、空気式作動構造でありうる。この場合、該作動構造は、圧力チャンバ112を含み得、該圧力チャンバは、ポンプに接続されうる圧力ラインを装着する為のコネクタ114を含む。一つの実施態様において、該圧力チャンバは、該圧力チャンバの液密の程度を向上させうる膜115を含みうる。該圧力チャンバは、該圧力室における圧力が大気圧よりも高い場合に該圧力プレートに対して圧力を及ぼす為に、該圧力プレートに(該膜を通じて)動作可能に接続されうる。一つの実施態様において、該圧力プレートは、プランジャ構造の一部でありうる。
【0039】
空気圧によって制御されるアクチュエータ(空気式アクチュエータ)の代わりに、他のタイプのアクチュエータがまた使用されうる。例えば、一つの実施態様において、リニアアクチュエータ(linear actuator)は、滑動可能圧力プレートを移動させる為のリニアモータを含む電気-機械式アクチュエータとして実現されうる。この場合、該リニアモータは、該リニアモータを制御する為のコントローラに接続されうる。更なる実施態様において、該リニアアクチュエータは、内部に挿入されたピストンを有するところの中空の筒を含む液圧式アクチュエータとして実現されうる。
【0040】
一つの実施態様において、第2の締め付け部材116は、該直線的作動構造を制御することによって、例えば該圧力チャンバにおける該圧力を変化させるようにポンプを制御することによって、該第1の締め付け部材が該第2の締め付け部材に相対的に移動できるように、該ハウジングに接続されうる。組織、例えば腸組織(図示せず)、は、該第1及び第2の締め付け部材の間に位置付けられ得、該第1の締め付け部材を該第2の締め付け部に向かって移動させることによって該締め付け部材によって固定されうる。該第1又は第2の締め付け部材は、圧力が該組織に対して印加された場合に該組織を通る血液潅流を測定するように構成された潅流センサ118を含みうる。該血液潅流は、該組織の光学的反応に基づいて測定されうる。
【0041】
該光学的反応は、発光デバイス120、例えばレーザー又はLED、の光に該組織を晒し、光学的センサ122、例えばフォトダイオード、が該組織から出た光を測定することによって測定されうる。該組織の該光学的反応に基づいて、該組織に対して印加される該圧力に応じた該組織を通る該血液潅流が測定されうる。該潅流は、該組織に対して圧力が及ぼされる位置において測定されるので、該組織に対する該圧力と該組織を通る該血液の潅流との間には直接的な関係がある。
【0042】
図1Bは、本発明の実施態様に従う吻合潅流測定デバイスの断面図を概略的に表す。該デバイスは、第1の締め付け部材104(好ましくは圧力プレートの形態)と、第2の締め付け部材102と、圧力チャンバ112とを備えているハウジング110を備えうる。該第2の締め付け部材は、該潅流を測定する為の光学的センサが埋め込まれた表面を有する。該圧力チャンバは、制御可能に膨張及び収縮されることができるようにポンプに圧力ライン115を介して接続されたバルーン113を備えうる。該バルーンは、該圧力チャンバに収納され得、該ハウジングに滑動可能に接続された圧力プレート104に接触し得、又は接続されうる。この為に、圧力プレートは、該圧力プレートの該表面を該第2の締め付け部材の該表面に対して平行に保ちながら該圧力プレートの該表面が該第1の締め付け部材の該表面に向かって移動されることができるように、滑動構造103を含みうる。該バルーンを膨張させる場合に、該膨張したバルーンは、該第2の締め付け部材の該平坦な表面に向かって該圧力プレートを押圧する。
【0043】
図1A及び図1Bにおいて図示されている通り、該圧力プレートを該ハウジングに滑動可能に接続する該滑動構造は、該圧力プレートの該表面を該第2の締め付け部材の該表面に対して平行に保つように配置される。このようにして、該潅流測定デバイスの動作中に、均一な圧力が該組織に対して印加されうる。該組織に対する圧力の均一な印加は、信頼性の高い、再現可能な該潅流の測定値を得る為に重要である。
【0044】
一つの実施態様において、該血液潅流はSpO2センサを使用して測定されうる。SpO2は、末梢毛細血管酸素飽和度を表し、これは、血液中の酸素の量の推定値を提供する。SpO2センサは、所定の波長の光又は電磁的スペクトルの所定の帯域の光を組織に対して射出するように適合された1以上の発光デバイス、例えばLED、と、該組織から反射された又は組織を透過させられたLED光を受け取るように適合された1以上の光センサ、例えばフォトダイオード、とを含む光学-電子的センサである。具体的には、発光ダイオードは、該組織の一部を赤色光及び赤外光並びに1以上の光検知器、例えばフォトダイオードに晒しうる。
【0045】
該検知器によって受け取られた光の量は、該血液におけるヘモグロビンに結合された酸素の量を示す。酸素化されたヘモグロビン(酸化ヘモグロビン又はHbO2)は、赤色光よりも多くの赤外光を吸収し、脱酸素化されたヘモグロビン(Hb)は、赤外光よりも多くの赤色光を吸収する。故に、該組織を透過させられた又は該組織から反射された赤色光及び赤外光の量を検知することによって、SpO2値が求められうる。
【0046】
光学的潅流センサ、例えばSpO2センサ、は、運動に対して非常に感受性が高く、該センサによって生成される該信号にノイズ及びアーチファクトを導入しうる。故に、このような運動ノイズは、テストされる該組織の該生存性に関して信頼性の高い予測を求める為に好適でない測定データを生み出しうる。従って、一つの実施態様において、該吻合潅流測定デバイスは、組織がテストされる場合に該潅流測定デバイスの該運動の測定を表す運動データを生成するように構成されうる運動センサ125、例えば(デジタル)(3D)加速度計、を備えうる。
【0047】
図2は、本発明の実施態様に従う吻合の為の組織生存性テストシステムを概略的に表す。該システムは、吻合の為の組織の生存性、例えば腸組織の生存性、の尺度を求めるように適合されている。この尺度に基づいて、該システムは、該測定された組織が該吻合の為に使用されたならば、吻合部縫合不全の発生について信頼性の高い予測を求める。
【0048】
該システムは、メモリ206に接続されたプロセッサ204を備えているコンピュータ202を備えうる。ソフトウェアコード部分が該メモリにおいて記憶され得、該コード部分は、該プロセッサによって実行された場合に、患者210の手術中の組織の生存性をテストする為の潅流測定デバイス208(例えば、図1を参照して説明された潅流測定デバイス)、及び該テスト中の該患者の血圧を測定する為の血圧測定デバイス212を制御する為に構成されている。該コンピュータは、該潅流測定デバイス及び該血圧測定デバイスの測定値を受信し得、この情報を使用して吻合の縫合不全が起こる可能性が高いかを判定しうる。該コンピュータによって実行される該テスト方法の詳細は、以下により詳細に説明される。
【0049】
手術中に、外科医は腸壁のエリアの一部を該潅流測定デバイス内に設置し得、腸組織のエリアの生存性をテストする為にテスト方法を開始しうる。該テスト方法の例は、図3A図3Cにおいて示されている。該方法は、図2を参照して説明された組織生存性テストシステムを使用して実行されうる。外科医は、該測定デバイスの該締め付け部材の間に組織を位置付け得、測定サイクルを実行しうる。該方法は、コンピュータが、該テスト方法を開始させる開始信号を受信することを含み得、例えば該外科医が該コンピュータに該方法を開始するように命令しうる。該開始信号に応じて、該コンピュータは、圧力プレートの形態の該第1の締め付け部材(例えば、滑動可能プランジャ等)のうちの1つを該組織に相対的に移動させるように該潅流測定デバイスの該アクチュエータを制御しうる。例えば、一つの実施態様において、該コンピュータは、該潅流測定デバイスの該圧力チャンバにおける圧力302を増加させるようにポンプを制御しうる。該圧力を増加させることは、滑動可能圧力プレート304を、該潅流測定デバイスの締め付け部材の間に位置付けられた該組織に対して下方に移動させる。故に、該コンピュータは、締め付け部材によって組織306に対して均一に印加される力を上昇させるように該デバイスの該作動構造を制御しうる。該上昇中に、該コンピュータは、該組織を通る該潅流を、好ましくは継続的に、監視する。
【0050】
該テスト方法中に、該コンピュータは、該潅流センサによって生成される該センサ信号に応じて該組織に対して及ぼされる該力を制御しうる。この信号センサは、該腸壁の微小血管を通って流れる血液の量と関連がある。時間に応じて該組織に対して均一に及ぼされる該力は、図4において表された曲線に追随し得、又は概ね追随しうる。
【0051】
開始時に、第1の時点tにおいて、該コンピュータは、該組織に対して及ぼされる該圧力を急速に上昇させうる。例えば、該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を急速に上昇させ得、これは該組織に対して及ぼされる該力と関連がある。このようにして、該組織に対して及ぼされる該力は、センサ信号310が該微小血管を通る該潅流が急速に減少することを示すように、急速に増加する(図3Aを参照)。圧力上昇402中に、該組織を通る該潅流は監視されうる。該コンピュータは、該圧力を、該潅流が停止し、血液流体が、該テストエリア、すなわち該力が印加された該組織のエリア、における該微小血管から絞り出された所定の最大潅流圧力p403まで上昇させうる(図3Bを参照)。同時に、該コンピュータは、所定の場所、例えば腕、における該患者の収縮期血圧を測定するように圧力感知デバイスを制御しうる。
【0052】
該組織に対して及ぼされる該力が第1の圧力、例えば大気圧、から該最大潅流圧力pまで増加される期間t~tは、該力が、該腸壁の該微小血管における該血液流体だけに影響し、該腸壁の細胞間流体には影響しないように選択されうる。この為に、素早い圧力上昇が選択されうる。一つの実施態様において、該上昇(大気圧から、最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない極大潅流圧力まで)の為の該期間t~tは、2~20秒の範囲で選択されうる。一つの実施態様において、該最大潅流圧力の為の値は、0~120mmHgの範囲で選択されうる。
【0053】
その後、図4において図示されている通り、第3の時点t2において、該コンピュータは、該組織に及ぼされる該力がゆっくりと解除されるように、ゆっくりと圧力の下降402を開始し得、こうして、毛細血管が血液で満たされ、再び血流を開始することを可能とする。該最大潅流圧力から大気圧への該圧力下降の為の期間は、該圧力上昇の為の該期間よりも小さくなりうる。一つの実施態様において、この期間は、3~60秒の範囲で選択されうる。該下降中に、該コンピュータは、センサ信号318に基づいて、該組織を通る潅流が再び開始したことを判定しうる(図3Cを参照)。再潅流が検知される時点(これは再潅流時点tと称されうる)は、再潅流圧力p405において発生しうる。再潅流が発生する該圧力値p(mmHg)は、該プロセッサによって求められ、該プロセッサに接続されたメモリに記憶される。
【0054】
該テスト方法の実行中に、具体的には、再潅流が検知される付近の期間に、該コンピュータは、該収縮期血圧値を測定するように血圧デバイスを更に制御する。該血圧は、該腕の上腕動脈において測定されうる。その後、該コンピュータは、該腸壁における該測定された再潅流圧力p(mmHg)と該腕における該収縮期血圧(mmHg)との比として指標を求めうる。ここで、該圧力は、mmHgを単位として、又は任意の他の好適な単位によって測定されうる。この指標は、腸-上腕指標と称されうる。
【0055】
更なる実施態様において、該テスト方法中に、該デバイスの該運動が、該潅流測定デバイスに装着された運動センサを使用して測定されうる。該コンピュータは、運動情報を受信し得、該テスト方法の実行中に測定された、具体的には該再潅流時点t付近において測定された、該運動が、特定の閾値を超えていないかをチェックしうる。該運動がこの閾値を超えているなら、該コンピュータは、該測定データを拒絶し得、該テスト方法を再び実行するようにユーザに警告しうる。このようにして、該システムは、センサ信号を高い信頼性で測定し、再潅流が起こる該圧力値pを求めることが可能である。
【0056】
以下においてより詳細に示されている通り、図4において表された該曲線、すなわち、再潅流が起こる該圧力を測定する為の該最大潅流圧力までの急激な圧力増大及び該圧力のゆっくりとした解除、に基づいて該圧力プレートによって組織に対して均一に及ぼされる該力の該制御は、吻合を含む外科手術中に決定を行う際に助けうるように十分に正確で信頼性の高い、非常に信頼性の高い組織生存性テストシステムを実現する為に使用されうる。
【0057】
図1図4は、スタンドアローンの潅流測定デバイス及びその動作を説明しているが、本発明はそのようなデバイスに限定されるものでない。他の実施態様(図示せず)において、該潅流測定デバイスは、別の医療用デバイスの一部であり得、又はこれに一体化されうる。例えば、該潅流測定デバイスは、外科手術中に組織を互いに付着させる為の外科用ステープリングデバイスの一部でありうる。一つの実施態様において、該ステープリングデバイスは、本出願の該実施態様を参照して説明された該潅流測定デバイスと類似の作動構造及び潅流センサを含む締め付け部材を含みうる。該第1の締め付け部材は、ステープリング機構を更に含み得、該第2の締め付け部材は、該ステープリング機構のステープリングアクション中にステープルを受ける為の金床として機能しうる。
【0058】
従って、該ステープリングデバイスは、該組織に対して所定の圧力を印加し、そのような圧力での該血液潅流を測定するように構成された潅流測定デバイスを含みうる。このようなステープリングデバイスを使用すると、外科医は、該組織のテストエリアの生存性をテストし、その後、該組織の該生存性が十分であるならば、そのステープリング機構を使用して組織の2つの部分を付着させることが可能である。更には、このようなステープリングデバイスは、図4を参照して説明されたものと同一の方法を使用し得、そこにおいては、組織は該締め付け部材の間で固定され、該潅流センサによって潅流が検知されなくなるまで圧迫される。その後、該圧力は、再潅流が検知されるまでゆっくりと解除される。該システムは、該再潅流が検知された圧力に該組織を保ち得、そして次に、該組織が、いくらかの血液潅流を可能とする圧力においてステープルによって固定されるように、該組織をステープルしうる。これは、該傷の治癒を刺激する。
【0059】
図1図4を参照して説明されている該システムは、安全性及び再現性の為に動物モデルにおいてテストされた。該システムは、腸の異なる部位及び異なる時間間隔において類似の腸-上腕指標を生み出すことが見い出された。該動物モデルにおける腸組織において損傷は具体化されることができなかった。該デバイスは、腸-上腕指標を適切に測定することが明らかにされた。しかしながら、該腸-上腕指標が吻合部縫合不全の発生に対して予測的であるかについて調査する為に追加的な臨床的検査が必要とされた。
【0060】
該腸-上腕指標が、一次的吻合を伴う選択的な直腸結腸外科手術を受ける215人の(少なくとも18歳以上の)患者において測定された。悪性及び良性の両方の徴候に対して腹腔鏡検査及び観血的外科手術が含まれた。苦痛緩和外科手術及び緊急外科手術は除外基準であった。患者は、4つのオランダの医療センターに収容され、専門の胃腸科外科医によって手術された。測定は調査者には見られないようにされ、該システムによって表示される該腸-上腕指標は、封入が停止されるまで封じられた。患者の症例記録フォームは、個別の調査者によってクロスチェックされ、署名された。
【0061】
病的な腸の切除に続き、該吻合を行う直前に、残った健康な腸の端部において該腸-上腕指標の測定が行われ、この腸の端部はそれ以降に接続されて該吻合を形成するものであった。測定は、腸間膜の反対側で行われ、というのはここは腸壁における最小潅流の場所であるからである。該腸-上腕指標は、患者ごとに記録された。続いて、患者は吻合部縫合不全の臨床的徴候について追跡調査された。吻合部縫合不全が疑われたならば、静脈内及び経口造影剤を用いて腹部CTスキャンが行われた。
【0062】
吻合部縫合不全イベントは、1)再手術中に具体化された吻合部縫合不全;及び、2)再手術を必要としない、管腔内造影剤の溢出を伴う、腹部CTスキャンにおいて具体化された、含まれた吻合部縫合不全、として定義されうる。更に、追加的な吻合イベントは、該外科医によって視覚的に判断された不適切な潅流又は虚血による、腸の最初の外科手術中の追加的な切除、として定義されうる。
【0063】
研究は、外科手術中の該測定された腸-上腕指標、好ましくは患者ごとの最も低い測定された腸-上腕指標、が、術後の吻合部縫合不全の発現又は上述された追加的イベントについて予測的であるかを判定することを更に含んだ。
【0064】
統計的分析は、SPSSソフトウェアパッケージ(SPSS23;SPSS、Chicago、IL、USA)を使用して実施された。メジアン、平均、パーセンテージ及び範囲が計算され、続いて適切である場合は図示された。適切である場合は、グループ比較の為にカイ二乗(Chi-square)テスト、クラスカル・ワリス(Kruskal-Wallis)テスト及びANOVAテストが適用された。有意性はp<0.05に設定された。
【0065】
予測的ブラインド試験には合計237人の患者が含まれた。22人の患者において、様々な理由によって、外科手術中に該腸-上腕指標が測定されることができなかった。これらの理由は表1に示されている。
【0066】
【表1】
【0067】
引き続き、該腸-上腕指標が、215人の患者、すなわち男性114人(53%)及び女性101人(47%)、において無事に測定された。更なる患者及び外科手術の特性が表2に示されている。
【0068】
【表2】
【0069】
該測定された指標の結果及び吻合イベントとのその相関関係が図5において示されている。この図面において示されている通り、本発明者等は、驚くべきことに、該組織生存性テストシステムによって生成された測定値が、所定の指標よりも低い場合に数多くの吻合部縫合不全イベント、及び非常に少数の吻合部縫合不全イベントを示すことを見い出した。該図面において示されている通り、データはステップ関数に従い、所定の指標閾値において、縫合不全イベントの機会は非常に小さくなる。この具体的な事例では、腸組織の該テストにおいて、該指標閾値は、およそ0.3になるように決定される。そのような信頼性の高い結果は、該テスト方法が、図3A図3C及び図4を参照して説明された該方法に従って実行された場合にのみ生成されることができる。
【0070】
合計で17件(7.9%)の吻合イベントが見い出され、4件(1.9%)の追加切除が外科手術中の腸虚血により、13件(6%)が吻合部縫合不全による。図5において示されている通り、このようなイベント(吻合部縫合不全)を検知する為の臨界腸-上腕指標閾値は、0.3よりも低くなるように決定される。0.3よりも低い腸-上腕指標を有する18人の患者のうちの16人において、吻合イベントが発生した。以下の表3において示されている通り、0.3以上の腸-上腕指標を有する197人の患者のうちの196人において、吻合イベントは発生せず、該吻合は良好に治癒した。有意に、多くの患者が、0.3よりも低い腸-上腕指標(p<0.001)を伴う該吻合の問題を持っていた。このことは、吻合イベントの発生において、APMシステムによって測定された該腸-上腕指標について89%のポジティブな予測値を提供した。感度は94%であり、特異度は98%である。
【0071】
【表3】
【0072】
手術中の虚血による追加切除を行った患者を除外した吻合部縫合不全のみについての分析が、以下の表4に示される。測定された腸-上腕指標が0.3よりも低い14人の患者のうちの12人について、吻合部縫合不全が発生した。0.3以上の腸-上腕指標を有する197人の患者のうちの196人において、吻合イベントは発生せず、該吻合は良好に治癒した。有意に、多くの患者が、0.3よりも低い腸-上腕指標(p<0.001)を伴う吻合部縫合不全を示した。これらの測定値は、術後の吻合部縫合不全の発生において、該システムによって測定された該腸-上腕指標について86%のポジティブな予測値を提供した(感度92%、特異度98%)。
【0073】
【表4】
【0074】
215人の患者の平均術後アドミッタンスは10日間であった(2~150)。吻合部縫合不全と関係のない合併症が50人(23%)の患者において観察され(一人の患者に2以上の合併症が起こった場合もある)、これは表5に示されている。2人(1%)の患者において死亡が観察され、1人は心筋梗塞により、且つもう1人は深刻な肺炎によるものであった。
【0075】
【表5】
【0076】
上述のテストにおいて、該腸-上腕指標閾値は0.3であると決定されたが、他のテストデータ及び/又はデバイスパラメータが、実験的に決定された値からのずれを生じさせることもありうる。従って、上述のことから、該組織生存性テストシステムは、腸及び吻合の治癒可能性を予測する為の効率的で正確なシステムとして使用されることができることにつながる。例えば、一つの実施態様において、該コンピュータシステムは、指標、例えば該腸-上腕指標、を求め得、該指標が所定の値よりも小さいか、等しいか、又は大きいかを求めうる。一つの実施態様において、該腸-上腕指標閾値は、0.1~0.5、好ましくは0.2~0.4、より好ましくはおよそ0.3、でありうる。該コンピュータは、該測定された指標、及び、任意的に、該測定された指標に関連付けられた提案をスクリーンに表示しうる。このようにして、該システムによって求められた該腸-上腕指標は、虚血性の術後の問題に基づく吻合部縫合不全の発生の見通しにおいて、86%~89%のポジティブな予測値を外科医に提供する。該システムが、該腸-腕指標が該腸-上腕指標閾値よりも低いと判定したならば、該外科医は行動をとることを選びうる。
【0077】
手術を行っている外科医は、該腸が更に結集されることができるかを評価し得、大動脈ステムにより近い、より高い腸-上腕指標を有する腸のセグメントが、見い出され得、これに続いて安全な吻合が行われうる。該腸が(更に)結集されることができず、適切な腸-上腕指標が得られることができないならば、該外科医は、該患者が潜在的な吻合部縫合不全を生き延びるのに十分なほど適合されているならば、偏位ストーマによって該吻合を保護することを選びうる。該腸-上腕指標閾値に等しいか又はこれよりも大きい腸-上腕指標が判定されることができず、該患者が、深刻な併存疾患を有する(及び、場合によっては、吻合部縫合不全を生き延びないであろう)場合は、恒久的なストーマが考慮されうる。
【0078】
図6A及び図6Bは、本発明の別の実施態様に従う吻合潅流測定デバイスの一部を表す。この具体的な実施態様において、一方向への膨張を可能とする折り畳み可能な構造、例えばベロー構造、を含む膨張可能要素が、一方側において該プランジャに、他方側において該圧力ラインに接続されうる。該ベロー構造は、空気圧によって、液圧によって、又は電気機械的に制御されうる直線的作動構造を提供する。該ベローを圧力チャンバとして使用する場合に、該ベローにおける圧力は、該プランジャの変位に伴って、直線的に又は概ね直線的に増減しうる。このようにして、該圧力と該組織に及ぼされる該力との間の正確な相関関係が得られることができる。
【0079】
図7は、本発明の別の実施態様に従う吻合潅流測定デバイスの一部を表す。この実施態様において、該潅流測定デバイスは、図1を参照して説明されたデバイスと類似の構造を有しうるが、しかしながら、この実施態様において、1つの作動構造の代わりに、該潅流測定デバイスは、複数の作動構造7041-4を含みうる。更に、該潅流測定デバイスは、該作動構造が該コンピュータによって制御された場合に該血液潅流を求める為にセンサ7061-4、好ましくは光学的センサ、を含みうる。該作動構造は、締め付け部材に実質的に垂直な軸に沿って滑動可能なプランジャを含みうる。従って、この実施態様において、吻合の為にテストされることを必要とする組織は、該締め付け部材と該作動構造との間に位置付けられうる。このようにして、該作動構造の各々は、該組織の異なるエリアをテストする為に使用されうる。従って、複数のエリアが、該コンピュータによって逐次的にテストされうる。テスト中に、各作動構造は、図4図6を参照して上に説明された該方法に基づいて制御されうる。このようにして、複数のエリアの局所生存性が、効率的にテストされることができる。更には、該コンピュータが、第1のテストエリアが吻合の為に生存し得ないと判定したならば、締め付けられる該組織をシフトさせる必要なしに、他のエリアがテストされうる。
【0080】
図8は、本開示において説明される例示的なデータ処理システムを示すブロック図である。データ処理システム800は、システムバス806を通じてメモリ要素804に結合される少なくとも1つのプロセッサ802を含みうる。このように、該データ処理システムは、メモリ要素804内にプログラムコードを記憶しうる。更に、プロセッサ802は、システムバス806を介してメモリ要素804からアクセスされる該プログラムコードを実行しうる。1つの観点において、データ処理システムは、プログラムコードを記憶及び/又は実行する為に好適なコンピュータとして実現されうる。しかしながら、データ処理システム800は、本明細書において説明された該機能を実施することが可能なプロセッサ及びメモリを含む任意のシステムの形態において実現されうることが理解されるべきである。
【0081】
メモリ要素804は、1以上の物理的メモリデバイス、例えばローカルメモリ808及び1以上の大容量記憶デバイス810、を含みうる。ローカルメモリは、該プログラムコードの実際の実行中に一般的に使用されるランダムアクセスメモリ又は1以上の他の一時的メモリデバイスを指しうる。大容量記憶デバイスは、ハードドライブ又は他の永続的なデータ記憶デバイスとして実現されうる。処理システム500は、実行中にプログラムコードが大容量記憶デバイス810から読み出されなければならない回数を減少させる為に、少なくともいくらかのプログラムコードの一時的記憶を提供する1以上のキャッシュメモリ(図示せず)も含みうる。
【0082】
入力デバイス812及び出力デバイス814として表されている入力/出力(I/O)デバイスは、任意的に、該データ処理システムに結合されることができる。入力デバイスの例は、これらに限定されるものでないが、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、例えばマウス、等を包含しうる。出力デバイスの例は、これらに限定されるものでないが、例えば、モニタ又はディスプレイ、スピーカ等を包含しうる。入力デバイス及び/又は出力デバイスは、直接的に、又は介在的なI/Oコントローラを通じて、データ処理システムに結合されうる。ネットワークアダプタ816も、他のシステム、コンピュータシステム、遠隔ネットワークデバイス、及び/又は遠隔記憶デバイスに介在的なプライベート又はパブリックネットワークを通じて結合されることを可能とする為に、データ処理システムに結合されうる。該ネットワークアダプタは、上記システム、デバイス及び/又はネットワークによって上記データへと送信されるデータを受信する為のデータ受信器と、上記システム、デバイス及び/又はネットワークへとデータを送信する為のデータ送信器とを備えうる。モデム、ケーブルモデム、及びEthernetカードは、データ処理システム850とともに使用されうる異なるタイプのネットワークアダプタの例である。
【0083】
図8において図示されているように、メモリ要素804は、アプリケーション818を記憶しうる。データ処理システム800は、該アプリケーションの実行を促進することができるオペレーティングシステム(図示せず)を更に実行しうることが理解されるべきである。実行可能なプログラムコードの形態において実現されるアプリケーションは、データ処理システム500によって、例えばプロセッサ802によって、実行されることができる。アプリケーションを実行することに応じて、データ処理システムは、本明細書において更に詳細に説明される1以上の動作を実施するように構成されうる。
【0084】
本明細書において使用される語は、具体的な実施態様を説明することのみを目的とするものであり、本発明の限定を意図されるものでない。本明細書において使用されるとき、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明白に示さない限り、複数形も包含することを意図される。本明細書において使用されるとき、「備えている、含む(comprises及び/又はcomprising)」という語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を明示するものであるが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はその集合の存在又は追加を除外するものでないことが更に理解されよう。
【0085】
以下の特許請求の範囲における全ての手段又はステップ及び機能要素に対応する構造、材料、動作、及び等価物は、明確に特許請求された他の特許請求された要素と組み合わされて該機能を実施する為の任意の構造、材料又は動作を包含することを意図される。本発明の説明は、例示及び説明を目的として提示され、網羅的であること又は開示された形態における本発明に限定されることを意図されるものでない。多くの変更及び変形が、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施態様は、本発明の原理及び実践的な適用例を最も良好に説明する為、及び、想定される具体的な使用に好適であるように、様々な変更を伴う様々な実施態様について当業者が本発明を理解することを可能とする為に選ばれ、説明された。
【0086】
本発明をまとめると、第1の態様は、下記の通りである。
[項1]
潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をテストする方法であって、
コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること、ここで、該制御することは、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させることを含み、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身(収縮期)血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該コンピュータが、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること;及び該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含む、前記方法。
[項2]
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含み、好ましくは、該予測を該求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む、
項1に記載の方法。
[項3]
該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該(収縮期)血圧を示し、該予測を求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定すること、ここで、好ましくは、該閾値は0.1~0.5、より好ましくは0.2~0.4、なおもより好ましくは(およそ)0.3、から選択される、を含む、項1又は2に記載の方法。
[項4]
大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短く、好ましくは、該第1の期間は2~20秒から選択され;該最大潅流圧力から大気圧への該下降の為の該第2の期間は3~60秒から選択される、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
[項5]
該作動構造は、該少なくとも1つのテストエリアの組織に対して下向きに力を及ぼす為の圧力プレート、好ましくは滑動可能圧力プレート、を備えており、該少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、好ましくは、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置される、項1~4のいずれか1項に記載の方法。
[項6]
該作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを備えており、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御し、好ましくは、該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する、項5に記載の方法。
[項7]
該直線的作動構造は、ベロー構造、好ましくは直線的に膨張可能なベロー構造、を備えており、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えている、項5又は6に記載の方法。
[項8]
該センサは、該締め付け部材に一体化された光学的センサであり、好ましくは、該光学的センサは、反射タイプ光学的センサを含み、より好ましくは、該光学的センサは、該上昇及び該下降中に該第1のテストエリアの該組織に対して射出される光の吸収を測定するように適合されている、項5~7のいずれか1項に記載の方法。
[項9]
該上昇及び該下降のうちの少なくとも一部の間に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスに装着された運動センサ、好ましくは(3D)加速度計、の運動信号を受信すること;及び、
該運動信号及び所定の運動閾値に基づいて、該コンピュータが、該測定された局所再潅流圧力値を拒絶又は受諾すること
を含む、項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[項10]
吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、
潅流測定デバイスに接続可能なコンピュータ、ここで、該コンピュータは、それによって具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読記憶媒体と、該コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサ、好ましくはマイクロプロセッサ、とを備えており、該プロセッサは該第1のコンピュータ可読プログラムコードを実行することに応じて、
該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように制御すること、ここで、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び、該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身(収縮期)血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること;及び、
該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該局所潅流圧力値と全身血圧値とは、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に使用され、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含む実行可能な動作を実施するように構成されている、
を備えている、前記システム。
[項11]
該実行可能な動作は、
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含み、好ましくは、該予測を該求めることは、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む、項10に記載のシステム。
[項12]
該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該(収縮期)血圧を示し、予測を求めることの該実行可能な動作は、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定すること、ここで、好ましくは該閾値は0.1~0.5、より好ましくは0.2~0.4、なおもより好ましくは(およそ)0.3、から選択される、を含む、項11に記載のシステム。
[項13]
大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短く、好ましくは、該第1の期間は2~20秒から選択され、該最大潅流圧力から大気圧への該下降の為の該第2の期間は3~60秒から選択される、項10又は11に記載のシステム。
[項14]
該作動構造は、該少なくとも1つのテストエリアの組織に対して下向きに力を及ぼす為の圧力プレート、好ましくは滑動可能圧力プレート、を備えており、該少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、好ましくは、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置される、項10~13のいずれか1項に記載のシステム。
[項15]
該作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを含み、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御し、好ましくは、該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する、項14に記載のシステム。
[項16]
該直線的作動構造は、ベロー構造、好ましくは直線的に膨張可能なベロー構造、を備えており、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えている、項14及び15に記載のシステム。
[項17]
該センサは、該締め付け部材に一体化された光学的センサであり、好ましくは、該光学的センサは、反射タイプ光学的センサを含み、より好ましくは、該光学的センサは、該上昇及び該下降中に該第1のテストエリアの該組織に対して射出される光の吸収を測定するように適合されている、項10~16のいずれか1項に記載のシステム。
[項18]
該実行可能な動作が、
該上昇及び該下降のうちの少なくとも一部の間に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスに装着された運動センサ、好ましくは(3D)加速度計、の運動信号を受信すること、及び
該運動信号及び所定の運動閾値に基づいて、該コンピュータが、該測定された局所再潅流圧力値を拒絶又は受諾すること
を更に含む、項10~17のいずれか1項に記載のシステム。
[項19]
吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、
複数の直線的作動構造と該直線的作動構造と関連付けられた1以上のセンサとを備えている潅流測定デバイス、ここで、該直線的作動構造は、直線的作動構造と該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられた組織の異なるテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼすように構成され、該1以上のセンサは、該異なるテストエリアの各々の微小血管を通る血液の潅流を示す信号を求めるように構成されている;及び
該潅流測定デバイスに接続されたコンピュータ、ここで、該複数の直線的作動構造の各々について、該コンピュータは、
該直線的作動構造を、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように制御すること、ここで、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所(収縮期)潅流圧力を規定する;及び該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該第1のテストエリアの該微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該患者の全身(収縮期)血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該第1の作動構造を制御すること;及び該力の該下降中に、該コンピュータが、該センサ信号が該微小血管を通る血液の潅流の開始を示す局所潅流圧力を求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力は、該第1のテストエリアの再潅流圧力値を規定する;及び、任意的に、
該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該異なるテストエリアのうちの該少なくとも1つの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めること
の工程を実行するように適合されている、
を備えている、前記システム。
[項20]
コンピュータのメモリにおいて動作する場合に、項1~9のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成されたソフトウェアコード部分を備えているコンピュータプログラム製品。
【0087】
本発明をまとめると、第2の態様は、下記の通りである。
[項A1]
潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をコンピュータがテストする方法であって、
該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御する為の手段を備えており、ここで、該直線的作動構造が、締め付け部材と、圧力プレートの表面と締め付け部材の表面との間に位置する組織の第1のテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼす為の滑動可能圧力プレートとを備えており、少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置され、該制御する為の手段は、該吻合の為に選択された該組織の該第1のテストエリアに対して該圧力プレートによって均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように構成されており、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所潅流圧力を規定し、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該制御する為の手段が、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該直線的作動構造を制御するように更に構成されている;
該方法が、
該力の該上昇中に、該コンピュータが、該センサからの該センサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身血圧を示す、及び、
該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、該コンピュータが、局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含む、前記方法。
[項A2]
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含む、項A1に記載の方法。
[項A3]
該予測を該求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む、
項A2に記載の方法。
[項A4]
該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該血圧を示し、該予測を求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定すること
を含む、項A1~項A3のいずれか1項に記載の方法。
[項A5]
大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短い、項A1~項A4のいずれか1項に記載の方法。
[項A6]
該直線的作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを備えており、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御する、項A1~5のいずれか1項に記載の方法。
[項A7]
該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する、項A6に記載の方法。
[項A8]
該直線的作動構造は、ベロー構造を備えており、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えている、項A1~項A7のいずれか1項に記載の方法。
[項A9]
該センサは、該締め付け部材に一体化された光学的センサである、項A1~項A8のいずれか1項に記載の方法。
[項A10]
吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、
潅流測定デバイスに接続可能なコンピュータ、ここで、該コンピュータは、それによって具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読記憶媒体と、該コンピュータ可読記憶媒体に結合されたプロセッサとを備えており、該プロセッサは該コンピュータ可読プログラムコードを実行することに応じて、
該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること、ここで、該直線的作動構造が、締め付け部材と、圧力プレートの表面と締め付け部材の表面との間に位置する組織の第1のテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼす為の滑動可能圧力プレートとを備えており、少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置され、該制御することは、該吻合の為に選択された該組織の該第1のテストエリアに対して該圧力プレートによって均一に及ぼされる力を急速に上昇させることを含み、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所潅流圧力を規定する;
該力の該上昇中に、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該直線的作動構造を制御すること;及び、
該力の該下降中に、該コンピュータが該微小血管を通る血液の潅流の開始を検知した場合に、局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含む実行可能な動作を実施するように構成されている、
を備えている、前記システム。
[項A11]
該実行可能な動作は、
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めることを更に含む、項A10に記載のシステム。
[項A12]
該予測を該求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することを含む、
項A11に記載のシステム。
[項A13]
該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該血圧を示し、予測を求めることの該実行可能な動作は、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの腸組織が吻合の為に生存し得ると判定することを含む、項A11又は項A12に記載のシステム。
[項A14]
大気圧から、該センサによって最小血液潅流が測定されるか又は血液潅流が測定されない最大潅流圧力値への該上昇の為の第1の期間は、該最大潅流圧力から該大気圧への該下降の為の第2の期間よりも短い、項A10~項A13のいずれか1項に記載のシステム。
[項A15]
該直線的作動構造は、該滑動可能圧力プレートに接続された圧力チャンバを含み、該圧力チャンバにおける圧力は該組織に対して及ぼされる該力を制御する、項A10~項A14のいずれか1項に記載のシステム。
[項A16]
該コンピュータは、該圧力チャンバにおける該圧力を制御する為のポンプを制御する、項A15に記載のシステム。
[項A17]
該直線的作動構造は、ベロー構造を備えており、又は、該直線的作動構造は、膨張可能なバルーン構造を備えている、項A10~項A16のいずれか1項に記載のシステム。
[項A18]
吻合の為に患者の組織の生存性をテストする為のシステムであって、
複数の直線的作動構造と該直線的作動構造と関連付けられた1以上のセンサとを備えている潅流測定デバイス、ここで、該直線的作動構造は、該直線的作動構造と該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられた組織の異なるテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼすように構成された滑動可能圧力プレートを備えており、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置され、該1以上のセンサは、該異なるテストエリアの各々の微小血管を通る血液の潅流を示す信号を求めるように構成されている;及び
該潅流測定デバイスに接続されたコンピュータ、ここで、該複数の直線的作動構造の各々について、該コンピュータは、
該直線的作動構造を、吻合の為に選択された該組織の少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように、該該複数の直線的作動構造のうちの少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること、ここで、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所潅流圧力を規定する;及び該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、第1のテストエリアの該微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該患者の全身血圧を示す;
該センサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること;及び該力の該下降中に、該コンピュータが、該センサ信号が該微小血管を通る血液の潅流の開始を示す局所潅流圧力を求めること、ここで、該求められた局所潅流圧力は、該第1のテストエリアの再潅流圧力値を規定する、
の工程を実行するように適合されている、
を備えている、前記システム。
[項A19]
該コンピュータが、
該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて、該異なるテストエリアのうちの該少なくとも1つの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求めること
の工程を実行するように更に適合されている、
項A18に記載のシステム。
[項A20]
コンピュータプログラムであって、項A1~項A9のいずれか1項に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させ、
ここで、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御する為の手段を備えており、ここで、該直線的作動構造が、締め付け部材と、圧力プレートの表面と締め付け部材の表面との間に位置する組織の第1のテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼす為の滑動可能圧力プレートとを備えており、少なくとも1つのテストエリアは該圧力プレートと該潅流測定デバイスの締め付け部材との間に位置付けられ、該圧力プレートの表面は、該締め付け部材の表面と平行に配置され、該制御する為の手段は、該吻合の為に選択された該組織の該第1のテストエリアに対して該圧力プレートによって均一に及ぼされる力を急速に上昇させるように構成されており、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所潅流圧力を規定し、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号が、該コンピュータに、該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを信号通信した場合に、該制御する為の手段が、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該直線的作動構造を制御するように更に構成されている、
前記コンピュータプログラム。
図1A
図1B
図2
図3A-3C】
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潅流測定デバイスを使用する吻合の為に患者の組織の生存性をテストする方法であって、
コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つの直線的作動構造を制御すること、ここで、該直線的作動構造は、組織の第一のテストエリアに対して下向きに均一に力を及ぼす為の滑動可能な圧力プレートを備えており、該組織は、該圧力プレートの平坦な表面と締め付け部材の平坦な表面との間に位置付けられ、該圧力プレートの該平坦な表面は、該締め付け部材の該平坦な表面と平行に配置され、該制御することは、吻合の為に選択された該組織の該第一のテストエリアに対して、該圧力プレートによって均一に及ぼされる力を急速に上昇させることを含み、該少なくとも1つのテストエリアに対して均一に及ぼされる該力は、局所収期潅流圧力を規定する
該力の該上昇中に、該コンピュータが、該潅流測定デバイスの少なくとも1つのセンサからのセンサ信号と血圧デバイスからの信号とを受信すること、ここで、該センサ信号は、該力の該上昇中に該第1のテストエリアの微小血管を通る血液の潅流を示し、該血圧信号は、該力の該上昇中の該患者の全身収期血圧を示す;
該コンピュータは、該センサ信号が該第1のテストエリアの該組織における該血液の該潅流が停止したことを該コンピュータに信号通信した場合に、該第1のテストエリアに対して均一に及ぼされる該力をゆっくりと下降させるように該作動構造を制御すること
該コンピュータは、該力の該下降中に該微小血管を通る血液の潅流の開始を該コンピュータが検知した場合に、局所潅流圧力値と全身血圧値とを求めること、ここで、該局所潅流圧力値及び該全身血圧値は、該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を求める為に用いられ、該求められた局所潅流圧力値は、該第1のテストエリアの局所再潅流圧力値を規定する、
を含み、
さらに、
該コンピュータが、該少なくとも1つのテストエリアの該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値とに基づいて該少なくとも1つのテストエリアの該組織が吻合の為に生存し得るか否かの予測を、該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との比を該コンピュータのメモリに記憶された所定の指標と比較することによって、求めることを含み、
ここで、該組織は腸組織であり、該血圧信号は腕において測定された該患者の該収縮期血圧を示し、予測を求めることが、
該局所再潅流圧力値と該全身収縮期血圧値との該比が所定の腸-上腕指標閾値に等しいか又はそれよりも大きいならば、該少なくとも1つのテストエリアの該腸組織が吻合の為に生存し得ると判定することを含み、ここで、該閾値は0.1~0.5から選択される、
前記方法。