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▶ ツェハ ハルトメタル-ヴェルクツォイグファブリカツィオン ゲーエムベーハーの特許一覧

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  • 特開-フライス工具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038380
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】フライス工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20240312BHJP
   B23C 5/16 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B23C5/10 Z
B23C5/16
B23C5/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024003982
(22)【出願日】2024-01-15
(62)【分割の表示】P 2022509643の分割
【原出願日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】102019122039.4
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522058040
【氏名又は名称】ツェハ ハルトメタル-ヴェルクツォイグファブリカツィオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ZECHA HARTMETALL-WERKZEUGFABRIKATION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー、ダニエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークピースの荒加工およびその後の仕上げ加工の両方に使用可能なフライス工具を提供する。
【解決手段】切削ヘッドは、コーナ半径を有するエンドミルまたは切削長さ部分を有するボールノーズエンドミルとして構成される。シャンク(16)は、そのチャック端部(26)まで、切削ヘッドよりも小さい直径(d3)を有する少なくとも1つのクリアランスセグメントを有する。切削ヘッドの先端は、仕上げ加工に用いられる直径(d1)を有する長さ部分に沿って硬質鉱物でコーティングまたはチップ化され、その先端には、荒加工に用いられるセグメントが接続される。セグメントは切削長さ部分を有するとともに、仕上げ加工に用いられる切削ヘッドにおける切削長さ部分の直径よりも小さくかつクリアランスセグメントの直径よりも大きい、縮小された直径を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬脆性材料製のワークピースの正面フライス加工のための、円筒形のシャンク(16)および切削ヘッド(18)を有する超硬合金製のフライス工具であって、前記切削ヘッド(18)は、コーナ半径を有するエンドミルまたは切削長さ部分を有するボールエンドミルとして構成され、前記シャンク(16)は、そのチャック端部(26)まで、前記切削ヘッド(18)よりも小さい直径(d3)を有する少なくとも1つのクリアランスセグメント(28)を有し、前記切削ヘッド(18)の先端は、仕上げ加工に用いられる直径(d1)を有する長さ部分(L2)に沿って硬質鉱物でコーティングまたはチップ化され、前記先端には、荒加工に用いられるセグメント(24)が接続され、前記セグメント(24)は、切削長さ部分(L2.2-L2=L2.1)を有するとともに、仕上げ加工に用いられる前記切削ヘッド(18)における切削長さ部分(L2)の直径(d1)よりも小さくかつ前記クリアランスセグメント(28)の直径(d3)よりも大きい、縮小された直径(d4)を有することを特徴とする、フライス工具。
【請求項2】
請求項1に記載の超硬合金製のフライス工具において、荒加工に用いられる前記切削長さ部分(L2.1)も、硬質鉱物でコーティングまたはチップ化されていることを特徴とする、フライス工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による、硬脆性材料製のワークピースの正面フライス加工のための、円筒形シャンクおよび切削ヘッドを有するカーバイド製のフライス工具に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に硬い材料で作られたワークピースのフライス加工では、この目的で使用されるフライス工具に大きな摩耗が生じる。この問題は、特に、CNC加工機に使用される火花放電加工用電極などを製造するために、グラファイト製のワークピースをプロファイル加工する際にも発生する。出発材料として使用されるグラファイトブロックは、通常、超硬合金製のエンドミルを使用して加工されるが、その切削ヘッドはダイヤモンドでコーティングされたりチップ化されたりすることができる。
【0003】
請求項1の前文の特徴を有するフライス工具は、本出願人の特許文献1から公知である。そこでは、切削ヘッドはコーティング長さが短く、短い送り込みしかできないため、仕上げ加工にのみ適しており、荒加工には適していない。シャフトの隣接する長さ部分はクリアランスセグメントとして構成されていることから切削を行わず、よって、荒削りおよび仕上げ加工のどちらにも利用できない。
【0004】
請求項1の前文の特徴を有する別のフライス工具が、特許文献2に記載および図示されている。ただし、この場合も、非切削クリアランスセグメントが仕上げ加工に使用されるヘッドセグメントに直接隣接しているので、2種類の異なる構成のフライス工具を用意して、荒加工と仕上げ加工とに使用する必要がある。
【0005】
また、特許文献3によるフライス工具についても同様であり、その切削領域は荒加工のみまたは仕上げ加工のみに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2540427号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006026851号明細書
【特許文献3】国際公開第2018/163148号
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、フライス工具を、ワークピースの荒加工およびその後の仕上げ加工の両方に使用できるように構成することである。
この問題の解決策は、荒加工を可能にするセグメントが、仕上げ加工に適した切削ヘッドの短い切削長さ部分に接続される、請求項1の特徴的な機能によってもたらされる。クリアランスセグメントは、そのセットバック直径により、荒加工後の仕上げ加工時に径方向への不要な押し付けを防止する。
【0008】
本発明の有利な展開において、切削ヘッドの仕上げ加工用セグメントおよび荒加工用セグメントの両方が、硬質鉱物、特にダイヤモンドでコーティングされるか、またはチップ化される。
【0009】
本発明は、図面に示されている例示的な実施形態を用いて以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エンドミルまたはボールエンドミルを使用して、ワークピース、例えば、火花放電加工用電極を加工する様子を模式的に示す図。
図2】従来技術による、コーティングされた切削ヘッドを備える、コーナ半径を有するエンドミルを示す図。
図3図2の変形例において、非切削クリアランスを有する、コーナ半径を有する公知のエンドミルを示す図。
図4】本発明によるフライス工具を示す図。
図5図4の領域Vにおける切削ヘッドの切り取り拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、硬脆性材料、例えばグラファイトからなるワークピース10を模式的に示す図であり、その円錐形の上部12は、例えば火花放電加工用電極を製造するために加工される。上部12の所望のプロファイルを製造するために、その全体が14で示されるフライス工具が使用され、同フライス工具は、ここでは、円筒形のシャンク16およびボールエンドミル形状の切削ヘッド18を有する。加工中、フライス工具14は、その長手方向軸22を中心に回転し、同時に、ワークピース10の長手方向軸20の周りでワークピース10のプロファイルに沿って移動する。円錐形の上部12を加工するために、フライス工具14は、x方向とz方向の両方に、任意には3つの軸線x,y,zの全ての方向にも移動される。
【0012】
図2は、従来のフライス工具14の概略図を示しており、これは、ここでは、コーナ半径を有するエンドミルとして構成されている。出願人の特許文献1から知られているように、直径d1を有するシャンク16の先端に設けられた切削ヘッド18は、刃先の丸みの半径rと短い付加長aとからなる長さsを有する。切削ヘッド18は、高さsにおいて、すなわち、シャンク16への移行部において、シャンク16と同じ直径d1を有する。これは、荒加工および仕上げ加工中にフライス工具14が軸方向z(図1を参照)に漸進的に送り込まれるのに伴い、非切削シャフト16が半径方向の圧縮荷重を受け、したがって変形するという結果をもたらす。これは加工精度に影響を与えるだけでなく、シャンク16の破損につながる可能性もある。
【0013】
図3に示される、特許文献1によるフライス工具14の改良された構成は、シャンク16が、高さsにおいて、シャンク16を超えて半径方向に突出する切削ヘッド18よりも小さい直径d3を有するので、ここで一定の改善をもたらしている。このように、フライス工具14のチャック端部26まで非切削クリアランス28が形成されているので、荒加工時または仕上げ加工時に半径方向の圧縮力が発生しない。半径方向の圧縮力は、フライス工具14が寸法d3に達するまで軸方向に送られたときに刃の直径d1が徐々に減少し、それにより、クリアランス28の非切削長手方向領域が半径方向への押圧を引き起こす場合にのみ発生する。
【0014】
本発明によるフライス工具14の切削ヘッド18の設計は、図4および図5からもたらされる。特に、図5は、切削ヘッド18が、その先端に、長さL2および直径d1を有する切削領域を有することを示しており、この領域は、ワークピース10の前もって粗面化された上部12(図1を参照)を仕上げるために使用される。長さL2は、仕上げ加工時におけるフライス工具14の最大送り込み量に対応する。
【0015】
ポイントW1において、切削ヘッド18は、長さL2.2-L2=L2.1を有するセグメント24に移行し、その直径d4は、切削領域L2の直径d1より幾分(例えば、約0.05mm)小さくなっている。本発明によれば、セグメントL2.2-L2=L2.1は、切削方式で構成され、ワークピースの荒削りに使用される。
【0016】
円周W2においてのみ、もう一度縮小した直径d3を有する、空の非切削クリアランスセグメント28が、シャフト16の長さL3-L2.2にわたって、チャック端部26の始点まで延びている。そして、チャック端部26は、同一または幾分大きい直径d2を有する。
【0017】
切削ヘッド18および荒加工用セグメント24の両方は、それらの長さL2またはL2.2-L2=L2.1にわたって、ダイヤモンドなどの硬質鉱物でコーティングすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬脆性材料製のワークピースの正面フライス加工のための、円筒形のシャンク(16)および切削ヘッド(18)を有する超硬合金製のフライス工具であって、前記切削ヘッド(18)は、コーナ半径を有するエンドミルまたは切削長さ部分を有するボールエンドミルとして構成され、前記シャンク(16)は、そのチャック端部(26)まで、前記切削ヘッド(18)よりも小さい直径(d3)を有する少なくとも1つのクリアランスセグメント(28)を有し、前記切削ヘッド(18)の先端は、仕上げ加工に用いられる直径(d1)を有する長さ部分(L2)に沿って硬質鉱物でコーティングまたはチップ化され、前記先端には、荒加工に用いられるセグメント(24)が接続され、前記セグメント(24)は、切削長さ部分(L2.2-L2=L2.1)を有するとともに、仕上げ加工に用いられる前記切削ヘッド(18)における切削長さ部分(L2)の直径(d1)よりも小さくかつ前記クリアランスセグメント(28)の直径(d3)よりも大きい、縮小された直径(d4)を有することを特徴とする、フライス工具。
【外国語明細書】