(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038384
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】体内手術デバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/06 20060101AFI20240312BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B10/06
A61B17/94
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004241
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2020555009の分割
【原出願日】2018-12-14
(31)【優先権主張番号】1751639-4
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】520220559
【氏名又は名称】マルチ4 アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アクセルソン、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブラクーヤ、ロニー
(72)【発明者】
【氏名】バゲルスタム、ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】メレ ハンナ、ミデン
(57)【要約】
【課題】体内手術デバイス及び使用方法を提供する。
【解決手段】体内手術デバイスは、少なくとも2つの長手方向延在チャネルを有する可撓性チューブと、対向する切断縁を有する2つの対向するジョーを含むエンド・エフェクタと、少なくとも遠位チューブ端部においてチューブを取り囲むエフェクタ・スリーブと、エフェクタ・スリーブがジョーを開閉させるために前後に移動されるときにエンド・エフェクタをエフェクタ・スリーブに対して往復運動させるための手段とを備える。対向するジョーの外側面は、電気的に絶縁され、エンド・エフェクタに電流を提供するための電気コードが、チューブの長手方向延在チャネルのうちの1つの内側で延在する。体内手術デバイスは、外科医が器官から幾つかの組織標本を採取すること及びデバイスが器官の内側にあるときに幾つかの機能を実行することを可能にし得る。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 遠位チューブ端部(1a)、近位チューブ端部(1b)、及び少なくとも2つの長手方向延在チャネル(2、3、4、5;2’、3’、4’、5’)を有する可撓性チューブ(1;31;1’)と、
- 対向する切断縁を有する2つの対向するジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)を含むエンド・エフェクタ(8;30;34;36)であって、前記遠位チューブ端部(1a)に設けられるエンド・エフェクタ(8;30;34;36)と、
- 少なくとも前記遠位チューブ端部において前記可撓性チューブを取り囲むエフェクタ・スリーブ(6)と、
- 前記ジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)を開閉させるために前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)を前記エフェクタ・スリーブ(6)に対して軸方向に往復運動させるか又は前記エフェクタ・スリーブ(6)を前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)に対して軸方向に往復運動させるための手段と、
を備える、体内手術デバイスであって、
- 前記体内手術デバイスの前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)が、前記少なくとも2つの長手方向延在チャネル(2、3、4、5;2’、3’、4’、5’)への流体連通を提供するために前記遠位チューブ端部(1a)に接続された第1の端部(11)と、前記対向するジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)を有する反対側の第2の端部と、を有する主管状本体(15)を備え、
- 前記ジョーのうちの少なくとも一方が、前記エンド・エフェクタが少なくとも部分的に前記エフェクタ・スリーブの外側に位置するときに、弛緩状態において前記エンド・エフェクタの長手軸からそれるように配置され、
- 前記エンド・エフェクタ及び前記ジョーが、前記エンド・エフェクタが少なくとも部分的に前記エフェクタ・スリーブの内側に位置するときに、閉じられた前記ジョー間の間隙を維持して、閉じられた生検カップを画定するために、前記ジョーが前記エフェクタ・スリーブによる圧迫力を受けるように配置され、
- 前記対向するジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)の外側面が、電気的に絶縁され、
- 前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)に電流を提供するための電気コード(14)が、前記長手方向延在チャネル(2、3、4、5;2’、3’、4’、5’)のうちの1つの内側に延在し、
- 前記ジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)が、前記電気コード(14)によって電力を供給されるジアテルミーを前記ジョーに適用することによって、組織標本を把持して切断するように構成され、
- 前記チューブ(1;31;36)が、流体でのフラッシングにより組織標本を前記閉じられた生検カップ(13)の外へ運ぶための第3の長手方向延在チャネル(4、4’)を有する
ことを特徴とする、体内手術デバイス。
【請求項2】
前記対向するジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)の両方が、前記エンド・エフェクタ(8;30;34;26)が少なくとも部分的に前記エフェクタ・スリーブ(6)の外側に位置するときに、前記弛緩状態において前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)の前記長手軸からそれるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の体内手術デバイス。
【請求項3】
前記チューブ(1;31;36)が、前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)が前記エフェクタ・スリーブ(6)を出入りするときに前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)を制御するためのエフェクタ・ワイヤ(14;33)用の少なくとも1つの第1の長手方向延在チャネル(2;2’)を有し、前記エフェクタ・ワイヤ(14;33)が、前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)に電流を印加するための前記電気コード(14)であり、或いは、前記チューブ(1;31;1’)が、前記電気コード(14)を収容するための別個の第2の長手方向延在チャネルを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の体内手術デバイス。
【請求項4】
前記対向するジョー(9、10;9’;10’)のうちの一方が、前記生検カップ(13)が閉じられたときに標的部位において局所麻酔薬を適用するための針(19)又はノズルを露出させるように構成された開口部(18;18’)を含む壁を有し、前記針(19)又はノズルが前記開口部(18;18’)内に引っ込められて前記壁内の開口部(18;18’)を密閉することを可能にするために、前記針(19)又はノズルが、前記チューブ(1;31)の第4の長手方向延在チャネル(5)の内側に往復運動可能に(reciprocatingly)配置され、前記針(19)の軸方向運動を制御するために、管状案内部材(35)が、前記閉じられた対向するジョー(9、10;9’、10’)によって画定された前記閉じられた生検カップ(13)の内側で前記開口部(18;18’)から突出することを特徴とする、請求項3に記載の体内手術デバイス。
【請求項5】
前記対向するジョー(9”、10’)が、前記生検カップ(13)が閉じられたときに標的部位において局所麻酔薬を適用するための針(19)又はノズルを露出させるための開口部を含まない壁を有し、前記針(19)又はノズルが、前記閉じられたジョー(9”、10’)によって境界を定められた前記閉じられた生検カップの内側に前記針(19)又はノズルが収容されることを可能にするために、前記チューブ(36)の第4の長手方向延在チャネル(5’)の内側に往復運動可能に配置され、前記エフェクタ・スリーブ(6)を前記エンド・エフェクタ(36)に対して軸方向に移動させること又は前記エンド・エフェクタ(36)を前記エフェクタ・スリーブ(6)に対して軸方向に移動させることにより前記ジョー(9”、10’)が開かれたときに、前記針(19)が露出され、且つ/又は前方に変位されることを特徴とする、請求項3に記載の体内手術デバイス。
【請求項6】
前記エンド・エフェクタ(30;36)が、平坦なノーズ(24’)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項7】
前記エンド・エフェクタ(8;34)が、テーパ付けされたノーズ(24)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項8】
前記第3の長手方向延在チャネル(4)が、前記閉じられた対向するジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)によって画定された前記生検カップ(13)を介して他の長手方向延在チャネルのうちの1つ(3)と流体連通し、前記他の長手方向延在チャネル(3;3’)が、フラッシング液の供給源に接続されるように構成され、前記第3の長手方向延在チャネル(4;4’)が、前記生検カップ(13)の内側に収容された組織標本が前記他の長手方向延在チャネル(3;3’)から前記生検カップ(13)に到着する前記フラッシング液により前記体内手術デバイスの外へフラッシングされることを可能にするように構成されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項9】
前記第3の長手方向延在チャネル(4;4’)が、少なくとも前記第1の長手方向延在チャネル(2;2’)及び前記第4の長手方向延在チャネル(5;5’)のいずれかよりも大きい断面を有することを特徴とする、請求項4又は5に記載の体内手術デバイス。
【請求項10】
前記閉じられた生検カップ(13)の外へ前記組織標本をフラッシングするための前記第3の長手方向延在チャネル(4;4’)が、電気コード(14)を有さない前記第2の長手方向延在チャネル(3;3’)と流体連通することを特徴とする、請求項3に記載の体内手術デバイス。
【請求項11】
前記第3の長手方向延在チャネル(4;4’)が、前記第2の長手方向延在チャネル(3;3’)よりも大きい断面を有することを特徴とする、請求項10に記載の体内手術デバイス。
【請求項12】
前記エンド・エフェクタ(8;30;34)のジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)が、少なくとも1つのパイプ片を長手方向に切断して前記ジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)を前記パイプ片の中心軸から離れる方向に強制的に偏向させることにより、閉じられた第2の端部(24;24’)を有する少なくとも1つの伝導性パイプ片から得られることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項13】
前記チューブ(1;31;1’)の外側直径が、2mm以下であり、且つ/又は、前記閉じられた生検カップ(13)にわたるフラッシング圧力が、少なくとも5バールであることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項14】
前記エンド・エフェクタが、前記可撓性チューブ(1;31;1’)を取り囲む補強部材(16)に端と端とで接続されることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
- 遠位チューブ端部、近位チューブ端部、及び少なくとも2つの長手方向延在チャネル(lengthwise extending channel)を有する可撓性チューブと、
- 対向する切断縁を有する2つの対向するジョーを含むエンド・エフェクタであって、遠位チューブ端部に設けられるエンド・エフェクタと、
- 少なくとも遠位チューブ端部においてチューブを取り囲むエフェクタ・スリーブと、
- ジョーを開閉させるためにエンド・エフェクタをエフェクタ・スリーブに対して軸方向に往復運動させるかエフェクタ・スリーブをエンド・エフェクタに対して軸方向に往復運動させるための手段と、
を備える、体内手術デバイス(endosurgical device)に関する。
【背景技術】
【0002】
膀胱癌は、スウェーデンにおいて、また国際的に、最も費用のかかる癌の形態のうちの1つである。米国では、推定費用は、新たに診断された人物1人当たり約140,000ドルである。スウェーデンでは、毎年約2,400人が新たに膀胱癌と診断されている。過去20年間において、症例数は合計35パーセント増大しており、また、泌尿器の癌は、女性と比べて3倍の頻度で男性に影響を及ぼしている。膀胱及び尿路における癌は、スウェーデンの男性において3番目によく見られる癌の形態である。
【0003】
患者の約70%は、粘膜に限定される表在性膀胱癌の形態を有する。これは、これらの患者を治療することはできるが、残念なことに再発の危険性及び残存腫瘍の危険性があることを意味する。患者のうちの約3分の2は、新たな手術を必要とする。同一の患者がときには最初の手術からわずか数カ月後に幾つかの手術を受けることは、珍しいことではない。癌が成長しないように、再発を早期に発見するために泌尿器科専門医を何度も定期訪問することになるであろう。
【0004】
膀胱鏡検査は、膀胱癌の診断のための主要な診断法である。従来の膀胱鏡は、通常、膀胱の内側を見ることを可能にする光学的ポート、及び、様々なデバイスの挿入のためのポートの、2つのポートを有する。
【0005】
膀胱鏡検査中に癌又は疑わしい領域が見つかった場合、患者は、通常、手術室での手術を計画され、次いで泌尿器科病棟に1泊する。スウェーデンでは、患者は、この手術のために約2週間待つ必要があり、また通常、患者は、外科において行われ得る処置の前に、脊髄麻酔又は全身麻酔を受ける。手術中、硬い金属製器具を用いて生検標本が採取されるか、又は、やはり硬い金属製器具を用いて経尿道的切除術が行われる。一部の病院では、可撓性膀胱鏡を用いた外来処置として生検が行われ得るが、組織標本の質は、可撓性の生検器具では十分ではないので、良好な組織標本を得るためには、また、癌を切除することを可能にするためには、より大きな直径を有する硬い器具が使用される必要がある。
【0006】
膀胱鏡検査中、膀胱に癌の疑いがある場合、泌尿器科専門医は一般に、診断を確立するのを支援するために、また、潜在的腫瘍の範囲を判定するために、典型的にはパンチ生検鉗子を使用して、膀胱内の様々な箇所から複数の膀胱組織標本を得る。一般に、組織標本は、異常に見える尿路上皮の任意の領域から、また、疑わしい腫瘍領域から採取されるが、典型的には、三角部、膀胱穹窿部、並びに右、左、前、及び後の膀胱壁から採取される。処置の際に、膀胱は、流体で洗浄される。組織の取得に先立ち、可撓性膀胱鏡を使用した経尿道的膀胱生検中、標本採取部位において局所麻酔が行われるか、又は、膀胱内に麻酔薬を滴注することにより局所的に麻酔が得られる。組織の取得後に、生検部位は止血のために焼灼され、処置が繰り返される。従来の膀胱鏡は、外科手術手技中に必要とされる種々のデバイスに対して1つのワーキング・チャネルしか有していないので、それらの種々のデバイスのそれぞれは、組織標本が膀胱から採取されるたびにワーキング・チャネルに対して出し入れされる。今日では、1つの器具だけを使用して、麻酔を与え、1つ又は複数の生検を取得し、出血を止め、且つ、膀胱内の小さな癌を破壊することは、不可能である。また、小さな寸法のために、顕微鏡において見られる必要がある膀胱壁内の重要な層が含まれないので、生検の質は十分ではない。今日では、ジョーが組織内に捕らえられたときに器具を引き抜くことにより生検が採取されるので、組織標本の縁部は破壊され、組織標本の質は低下され、癌を正確に診断するのに使用され得ない。
【0007】
表在性膀胱癌のある患者の治療には、多くの異なる部門のスタッフが従事しており、費用は高額である。今日では、外科における手術室での膀胱癌からの組織標本の採取は、患者1人当たり24,000SEKから32,000SEKの間である。患者は、手術を予定され、絶食し、麻酔をかけられて、硬い金属製デバイスを用いて手術される。血液を排出するために尿道カテーテルが挿入され、患者は病棟において24時間監視される。
【0008】
代わりに、全身麻酔を伴わずに、また、その後の尿道カテーテルを必要とすることなしに、外来処置として診療室での穏やかな生検処置において組織標本が採取され得る場合、手術の費用は、患者1人当たりわずかに3,600SEKに、デバイスの費用を加えたものである。そのため、生検処置が最適化され得るのであれば、多額の費用が節約され得る。
【0009】
非特許文献1は、既存の単一の生検鉗子に比べてより大きく且つより損傷の少ない生検を採取する、可撓性内視鏡的生検鉗子の新規なシステムを説明している。このデバイスは、摺動するばね付きスチール製ジョーが取り付けられる、逆とげの付いたスパイクを一方の端部に有する中央ワイヤを利用する。外側プラスチック製スリーブが、中央ワイヤを取り囲み、従来型のハンドルが、ジョーを作動させる。
【0010】
この知られたデバイスは、光ファイバ内視鏡の生検チャネルに沿って進められ、生検を受ける組織が可視化される。ばね付きスチール製ジョーが開閉するのを可能にする内側ワイヤ上を外側スリーブが摺動すると、鉗子の開閉が起こる。ジョーが開くことにより、生検を受ける組織に逆とげが押し込まれる。この釣針様の逆とげは、組織をジョー内に引き戻し、ジョーは最適な角度で組織を噛み込み、したがって、よりきれいでより大きな組織標本を得ることができる。第2の生検に対して、ジョーは単純に再び開かれ、逆とげ付きのスパイクがもう一度組織に突き刺さると、第1の標本は中央ワイヤに沿って押される。このようにして、生検鉗子が内視鏡を1回通過することにより、最大で6個の生検が蓄えられるべきである。全ての組織標本は、デバイスが光ファイバ内視鏡から後退されるときに、前述のデバイスと一緒に後退される。しかし、釣針様の逆とげは組織標本を傷つけるので、別の鉗子を用いて釣針様の逆とげをそぎ落とさなければならないか、又は、逆とげの先端がコルク片に押し込まれて、標本が切り取られる。どちらの方法も、それぞれの組織標本を小さくし、したがって、標本の完全性に影響を及ぼし、正確な起源に疑いをかける。そのため、組織標本は逆とげを外して扱われる必要があるので、標本の起源は、制御下に維持するのが困難になり得る。さらに、逆とげタイプの種類の生検デバイスは、患者及び組織標本のどちらにもかなり過酷なものであり、局所麻酔のための手段を有さず、標本採取部位における局所出血を止めるための手段を有さず、また、逆とげに沿って6個の組織標本が同時に蓄えられるので、前端部はかなり大きくなければならない。
【0011】
非特許文献2は、生検鉗子に適合する能動電気コードと標準的な電気焼灼デバイスとを必要とする、生検を得るための単極技法を説明している。接地パッドが、患者の大腿部上に設置される。生検を得るために、鉗子は、膀胱鏡のワーキング・チャネルを通して進めされる。標的領域は、直視下で鉗子の歯付きジョーによって係合され、そして、周囲のウレセリウム(urethelium)の青白化を生じさせるために引っ込めながら、血液凝固電流が印加される。膀胱鏡及び組織標本は、1つのユニットとして除去され、膀胱鏡は、生検部位を検査するために、また、さらなる組織標本を採取するために、再び挿入される。
【0012】
特許文献1は、シースと、シース内に摺動可能に配置され、且つ、複数の把持部材を有して構成された端部を有する、硬い内側ステンレス鋼製シャフトと、を含む、生検鉗子を提案している。把持部材は、シャフト及びシースが移動するときに開構成と閉構成との間で移動可能である。把持部材は、曲線から成る輪郭を有し、且つ、開構成にあるときには長手軸から外方に付勢される。把持部材は、開構成にあるときには、シースによって拘束されず、閉構成にあるときには、シースによって拘束される。シャフトの端部をレーザ切断することにより、組織を剪断、把持、引裂き、又は切断するのに適した近位縁部を有する複数の把持部材を形成することができ、その結果、把持部材は、閉構成にあるときに、1つ又は複数の組織標本を保持するための入れ物を形成する。シャフトは、シャフトに電圧を加えて組織を電気外科的に切断するために、電気焼灼デバイスに接続され得る。この知られた生検鉗子デバイスはまた、注入源又は吸引源に動作可能に接続され得る。真空ポンプ又はシリンジの形態の吸引源が提案されており、生検部位の周りでの組織除去若しくは全般的な流体の除去を支援するために、或いは、組織標本をシャフト内に引き戻して除去するか又は複数の生検標本を採取するために、シャフトに接続される。交互に使用されなければならない単一内腔のシャフトに加えて、代替的な内腔が簡単に提案されている。特許文献1は、把持部材が一度に幾つかの組織標本を保持することをどのようにして達成するか、したがって、閉じられた把持部材の内側の標本を再度落とすことなしに把持部材がどのようにして開かれ得るかについて、言及していない。
【0013】
したがって、様々な種類のエフェクタ・ツールを使用して組織標本が切除又は摘出され得ることが知られており、最も一般的なエフェクタ・ツールは、鉗子である。合併症の危険性を減少させ且つ病理学者のためのより良好な組織標本を作り出すために、膀胱鏡検査に単極電気焼灼システムが導入されてきたが、今までのところ、それらの単極電気焼灼システムは、組織標本に対して過度の熱を加え、それにより癌細胞を破壊し、組織標本を癌診断での使用に適さなくする傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】“A system of multiple biopsy forceps”, by Thomas V. Taylor, Curr. Surg. 2004 Nov-Dec; 61(6): pages 594-596
【非特許文献2】“Flexible cystoscopic bladder biopsies: a technique for outpatient evaluation of the lower urinary tract urothelium” by Marc Beaghler and Michael Grasso in Urology. 1994 Nov; 44(5):756-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
アクセス・チャネルを介して中空臓器、体腔、又は組織表面から組織標本を採取するための改善された体内手術デバイスが、当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の主な態様では、導入部において述べられた種類の体内手術デバイスが提供され、このデバイスは、必要とされる回数の生検を非破壊的且つ安全な方法で完了させるために、デバイスが内視鏡を何度も出入りさせられる必要がないように、デバイスが依然として内視鏡に挿入されている間に作動され得る複数の機能を有する。
【0018】
本発明のさらなる態様では、単純で、生産するのに安価であり、且つ使い捨てである、内視鏡的生検鉗子の形態をした体内手術デバイスが提供される。
【0019】
本発明のさらなる態様では、幾つかの組織標本を採取するための、具体的には膀胱から組織標本を採取するための、多機能体内手術デバイスが提供される。
【0020】
それにより上記その他の態様が達成される新規且つ独特のことは、本発明によれば、以下の点にある
- 体内手術デバイスのエンド・エフェクタは、少なくとも2つの長手方向延在チャネルへの流体連通を提供するために遠位チューブ端部に接続された第1の端部と、対向するジョーを有する反対側の第2の端部とを有する、主管状本体を備え、
- ジョーのうちの少なくとも一方は、エンド・エフェクタが少なくとも部分的にエフェクタ・スリーブの外側に位置するときに、弛緩状態においてエンド・エフェクタの長手軸からそれるように配置され、
- エンド・エフェクタ及びジョーは、エンド・エフェクタが少なくとも部分的にエフェクタ・スリーブの内側に位置するときに、閉じられたジョー間の間隙を維持して閉じられた生検カップを画定するために、ジョーがエフェクタ・スリーブによる圧迫力を受けるように配置され、
- 対向するジョーの外側面は、電気的に絶縁され、
- エンド・エフェクタに電流を提供するための電気コードが、長手方向延在チャネルのうちの1つの内側に延在する。
【0021】
体内手術デバイスは、有利には、外来患者への又は受入病棟における患者への全身麻酔を伴わずに使用され得る。体内手術デバイスは、組織標本の採取のたびに一連の様々なツールを内視鏡のワーキング・チャネルに挿入することを繰り返す必要なしに、外科医が幾つかの組織標本を疑わしい標的領域から直接採取することを可能にする。癌細胞は、体内手術デバイスが依然として患者の体内にある間に、同じ外科手術手技において破壊され得る。患者は、直後に帰宅することができ、カテーテルは必要とされず、外科的生検処置前の絶食も必要とされない。
【0022】
対向するジョーの外側面は、組織標本を器官から解放することを可能にするジアテルミー・デバイスを構成するために、外部から電気的に絶縁される。
【0023】
本発明との関連において「ジアテルミー」という用語を使用することは、体内手術デバイスのジョーが、高周波電磁電流により器官組織において熱を生じさせるように適合されることを意味する。高周波電磁電流は、組織を通り抜けて、解剖刀の刃のように正確な外科的切り口を作り、それにより、外科的ジアテルミーは、止血とともに上質で正確な切り口及び組織標本を提供する。
【0024】
ジョーは組織標本を挟み、また、ジアテルミー・ステップにおいて、ジョーは、器官から組織標本を優しく切り離し、生検部位に残された創傷を焼け焦がし且つ/又は焼灼して出血を止める。このようにして、組織標本は、器官から解放され、且つ、ジョーに張り付かない。組織標本は、エンド・エフェクタがエフェクタ・スリーブの内側に位置するときに閉じられたジョーによって画定される生検カップの内側で、ジョー間に自由に収容され且つ保護される。エフェクタ・スリーブは、生検カップを組織標本の周りで実質的に漏れのない形で閉じるために、ジョー同士をしっかりと圧迫して保持する。
【0025】
ジョーの外側面の電気絶縁は、好ましくは、前述の外側表面に被覆を提供することによって得られ得る。そのような被覆は、好ましくは、例えばニチノール、アルミニウム、又はステンレス鋼である金属表面などのジョーの伝導性表面上に容易に被着され得る低摩擦被覆、例えば例えばParylene(登録商標)被覆又はダイヤモンド状炭素(DLC:Diamond-like carbon)の被覆であり得る。商標名Parylene(登録商標)は、吸湿防止材及び誘電体バリアとしてしばしば使用される、化学蒸着されるポリ(p-キシレン)ポリマーをカバーする。本発明の範囲内では、他の種類の絶縁被覆も使用され得る。
【0026】
チューブは、プラスチック製チューブなどの非伝導性可撓性チューブであってもよく、前述の薄い可撓性チューブは、内視鏡のワーキング・チャネルに沿って案内されるのに十分な構造を体内手術デバイスに提供するための補強部材によって取り囲まれてもよい。
【0027】
エフェクタ・スリーブは、ジョーを開閉させるために往復運動され得る。代替案では、エンド・エフェクタは、ジョーを開閉させるために、エフェクタ・スリーブを出入りするように往復運動され得る。エンド・エフェクタが完全にエフェクタ・スリーブの内側に位置する、ジョーの閉位置では、エフェクタ・スリーブは、対向するジョー間のいかなる間隙をも効果的に封止し、ジョー及びヒンジ部材が主管状本体から解放されている箇所の間隙を封止し、且つ、ジョーの対向する切断縁間のいかなる間隙をも可能な限り封止する。エフェクタ・スリーブは、スチール製スリーブであるか、又は、封止能力を高めるために弾力性のあるものであってもよい。十分な封止を得るには、チューブの周りでのファーム・フィットで十分であり得る。
【0028】
有利な実施例では、ジョーが大きな組織標本にまたがることができるように、ジョーの両方が、エンド・エフェクタが少なくとも部分的にエフェクタ・スリーブの外側に位置するときに、弛緩状態においてエンド・エフェクタの長手軸からそれるように配置される。対向して分かれる2つのジョーは、例えば約5mm開き得る。
【0029】
好ましい実施例では、チューブは、エフェクタ・スリーブが往復運動されるときにジョーを所定の位置に保持するように機能するエフェクタ・ワイヤのための第1の長手方向延在チャネルを少なくとも有し得る。代替案では、エフェクタ・ワイヤは、エフェクタ・スリーブの内側でエンド・エフェクタを引っ張るように機能し得る。エフェクタ・ワイヤは、エンド・エフェクタに電流を供給するための電気コードであってもよい。或いは、電気コードは、チューブの別の第2の長手方向延在チャネル内に設けられてもよい。代替案では、エフェクタ・スリーブは、チューブを取り囲み且つエフェクタ・スリーブに端と端とで継合された補強部材により、往復運動され得る。
【0030】
閉じられた生検カップをフラッシングするための第3の長手方向延在チャネルが設けられて、例えば、患者識別情報及び膀胱マップ上の位置が印された組織バイアル内に組織標本が直接収集されるように、フラッシングにより、近位チューブ端部における第3の長手方向延在チャネルの近位端部に位置する出口へ組織標本を送り戻し得る。したがって、組織標本の収集は、さらなる人の介入を必要とせずに、組織標本が人に触られることなしに、又は、試料の他の類いの操作を伴わずに、行われる。生検中のさらなる人の介入は、本発明の範囲内で除外されるものではないが、外科手術手技を組織標本の汚染及び保全に関してより安全にするだけではなく行い易く且つ患者への侵襲性の少ないものにし、また患者の苦痛が少ないものにするために、この外科手術手技において除外されることが好ましい。組織標本は、縁部において擦り切れることなく、体内手術デバイスの外に出される必要なく、逆とげから解放され、より小さな片に切断され、又は、任意の他の方法で周囲環境と接触させられる。体内手術デバイスは、いったんエンド・エフェクタが患者の体内に位置すると、完全に閉じられた処置を可能にする。バイアルは、例えば、適切に構成されたアダプタ又はマニホルドを介してチューブの第3の長手方向延在チャネルと流体連通して取り外し可能に結合されてもよく、又は、チューブの近位端部は、個々のチューブに分かれてもよい。個々のチューブに分かれるチューブの場合、それらは、外科医により患者の外部から例えばハンドル部において取り外し可能である。したがって、エフェクタ・スリーブの最大外側直径及び/又はチューブの周りの補強部材の最大外側直径は内視鏡のワーキング・チャネルの内側直径を超えてはならないという基準は、患者の外側の個々のチューブに対して認められる必要はない。
【0031】
ジアテルミーを使用する、市販の知られた鉗子デバイスは、組織標本を熱によって破壊させ、また、その組織標本は、対向するジョーの対向する切断縁間に挟まり、そのため、組織標本は、鉗子から手作業で取り除かれる必要がある。本発明の体内手術デバイスを使用した場合、組織標本は器官からまた外部的に絶縁されたジョーから容易に解放されるので、また場合によりフラッシング流体によって開始されるジョーの瞬時冷却のために、ジアテルミーは組織標本を損傷しない。
【0032】
対向するジョーのうちの一方は、1つ若しくは複数の標的部位又は組織標本が切除される局所領域における局所麻酔の適用のための針又はノズルを露出させるように構成された開口部を有し得る。生検カップが閉じられた場合、針又はノズルは、針又はノズルが開口部内に後退されて開口部を密閉的に閉じることを可能にするために、チューブの第4の長手方向延在チャネルの内側で往復運動し得る。
【0033】
有利には、針又はノズルは、可撓性チューブの中心軸からオフセットされた軸に沿って露出されるように配置される。
【0034】
好ましい実施例では、針又はノズルを露出させるように構成された開口部は、ジョーが閉じられたときに生検カップの内側に突出する管状案内部材を備え得る。管状案内部材は、針の先端又はノズルの端部を組織標本と接触させずに保つことができ、且つ、針又はノズルの露出が常に達成され且つ確実とされ得るように、針又はノズルが曲がるのを防ぐことができる。
【0035】
第3の長手方向延在チャネルは、上述のように閉じられた生検カップをフラッシングするために好都合に使用され得る。その点について、第3の長手方向延在チャネルは、閉じられた対向するジョーによって画定される生検カップを介して長手方向延在チャネルのうちの別のものと流体連通し得る。水、生理食塩水、又はグリシンのような非導電性液体などのフラッシング流体を供給するために、他方の長手方向延在チャネルは、フラッシング流体の供給源に接続されるように構成されてもよく、第3の長手方向チャネルは、生検カップの内側に収容された組織標本が、フラッシング流体が他方の長手方向延在チャネルから生検カップに届いて第3の長手方向延在チャネルに入ることによりデバイスの外へフラッシングされることを可能にするように、構成される。他方の長手方向延在チャネルは、好都合には、空の第2の長手方向延在チャネルであり得る。電気コードを保持する第1の長手方向延在チャネルもフラッシング流体のための送達チャネルとして使用される場合、電気コードは絶縁されなければならない。フラッシングの代わりに吸引が使用されてもよい。
【0036】
第3の長手方向延在チャネルは、フラッシングによる組織標本の排出を促進するために、第1、第2、及び/又は第4の長手方向延在チャネルのいずれかよりも大きい断面を有し得る。第3の長手方向延在チャネルは、他の長手方向延在チャネルの寸法及びチューブの全径の点からみて可能である最大の断面を有し得ることが、好ましい。
【0037】
組織標本は、固有層及び粘膜筋板の両方を含むのに十分な厚さであるべきであり、即ち、3~5mmの厚さであるべきである。第3の長手方向延在チャネルは、組織標本がフラッシング流体に巻き込まれてフラッシング流体と一緒に第3の長手方向延在チャネルの出口を出て行くことを可能にする唯一のチャネルであるので、組織標本は、フラッシング流体の圧力により第3の長手方向延在チャネルの大断面に向かって自動的に押されて、前述の第3の長手方向延在チャネルに押し込まれまた第3の長手方向延在チャネルに沿って圧迫されることになる。組織標本がフラッシング流体の圧力又は吸引にさらされたときに、組織標本は、形状の点で内腔とわずかに一致して、第3の長手方向延在チャネルを容易に通過し得る。
【0038】
好ましい実施例では、エンド・エフェクタのジョーは、閉じられたノーズ部分を第2の端部に有する伝導性パイプ片から得られ得る。次いで、ジョーは、パイプ片を切断、例えばレーザ切断し、パイプ片の中心軸から離れる方向にジョーを偏向させることによって、得られ得る。すると、対向するジョーは、パイプ片の主管状本体と一体のヒンジ連結された対向するばね部材を構成することができ、また、対向する自由端部は、生検カップ端部を構成することができ、それらの生検カップ端部は、エフェクタ・スリーブによりジョーが閉じられたときに、組織標本のための一時的な入れ物の形態をした生検カップを一緒に画定する。
【0039】
エンド・エフェクタのジョーのそれぞれは、エンド・エフェクタに組み立てられる2つのエンド・エフェクタ半体を作るために、閉じられたノーズ部分を有するそれぞれの伝導性パイプ片から得られ得る。
【0040】
例えば、2つのエンド・エフェクタ半体は、ヒンジ部材及びカップ形状のジョーを含む2つの別々のパイプ片を切断し、主管状本体を一緒に溶接することによって、作られ得る。主管状本体はまた、雄及び/又は雌の結合手段を備えてもよく、この雄及び/又は雌の結合手段は、組織標本が流し出されるときにフラッシング流体が隙間及び/又は間隙を介して器官内に注入されるのを防ぐために生検カップがエフェクタ・スリーブによって密閉的に閉じられ得るように、主管状本体の溶接を伴わない場合でも適切なパイプ片部品の切断後に互いにぴったりと嵌合し得る。
【0041】
チューブの外側直径は、体内手術デバイスが膀胱鏡の内側に移動可能にフィットするように、わずか2mm以下とされ得るが、他の種類の内視鏡はより大きなワーキング・チャネルを有する場合もあり、その場合、チューブの外側直径は、約2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、さらには約5mm以上の大きさとされ得る。長手方向延在チャネルのいずれの直径も、チューブ径よりも小さい。
【0042】
コイル状部材又は螺旋状部材などの補強用の部材又はチューブが、内視鏡のワーキング・チャネルの内外に移動されることに対してチューブを十分に硬くするために、チューブの周りに使用され得る。チューブへの支持を追加するために例えば補強用の螺旋状部材又はコイル状部材を使用する場合、この部材は、有利には、外側の熱収縮チュービング又はシースによって封入され得る。熱収縮チュービングは、有利には、その長さに沿って体内手術デバイスを封止し且つ絶縁して、体内手術デバイスがフラッシング流体を外に出すことを防ぐが、さらに、低摩擦により、体内手術デバイスがワーキング・チャネルに通されることを容易にする。補強部材の遠位端部は、補強部材がエフェクタ・スリーブをチューブに沿って移動させてジョーを開閉させることを可能にするために、補強部材をエフェクタ・スリーブに組み合わせるようにエフェクタ・スリーブの近位端部に連結され得る。外側の熱収縮チュービング又はシースは、エフェクタ・スリーブと補強部材とを端と端とで組み合わせるために使用されてもよい。
【0043】
フラッシング流体のフラッシング圧力、又は印加される吸引力は、組織標本が第3の長手方向チャネルの内側で動けなくならないように、したがって前述の第3の長手方向チャネルの目詰まりを回避し且つ防ぐために、チューブのフラッシング・チャネルの直径及び組織標本のサイズを考慮して設定され得る。全ての機能のために例えば2mmの外側全径のチューブを実装し且つ膀胱鏡との使用を意図されている体内手術デバイスの場合、好ましくは空の第2の長手方向延在チャネルである送達チャネルを通る、少なくとも5バールのかなり高いフラッシング流体送達圧力が必要とされ得る。しかし、流体送達圧力は、10バール又は20バールのように高いか、さらに高いことすらある。例えば26バールの流体送達圧力が、十分であり且つ効率的であることが示された。
【0044】
ジョーのカップ形状の第2の端部の対向する自由縁部は、エンド・エフェクタがエフェクタ・スリーブの内側に配置されるようにエフェクタ・ワイヤを引っ張るか又はエフェクタ・スリーブを移動させることによりジョーが互いに向かって移動されたときに透熱的に(diathermally)組織に接触するための伝導性ピンチ表面を形成する。ジアテルミーは、外科医が組織標本を切除するためにエンド・エフェクタを何度も引く必要性を少なくする。外科医は、患者に対してはごくわずかな不快感でまた外科医に対しては最小限のステップで、加えられた熱が組織標本を解放するのを数秒間待つだけでよい。組織標本が解放されると、エフェクタ・スリーブからの力は、生検カップが著しく漏出させることなしにフラッシング流体が通過し得るように、生検カップのジョーを完全に閉じさせる。
【0045】
組織標本を採取するために本発明の体内手術デバイスを使用する外科手術手技のステップは、
a)内視鏡、好ましくは器官を内部的に視覚化するための光ファイバ手段などの手段を有する内視鏡を挿入するステップと、
b)場合により、内視鏡のワーキング・チャネル又は他のチャネルを通じて供給される液体により、組織標本が切除される器官を膨張させるステップと、
c)本発明の体内手術デバイスを内視鏡のワーキング・チャネル内に挿入するステップであって、場合により、ステップb)において行われなかったのであれば、体内手術デバイスの長手方向延在チャネルを通じて供給される液体により、組織標本が切除される器官を膨張させるステップと、
d)体内手術デバイスの針又はノズルを使用して、癌の疑いがある全ての領域に麻酔を行うか又はサンプリング部位において局所的に麻酔を行うステップであって、場合により、組織標本の採取を促進するために膨らませることを含む、ステップと、
e)エンド・エフェクタをエフェクタ・スリーブの内側で変位させることによりジョーを閉じて、組織標本を挟むステップと、
f)電気コードを介してエンド・エフェクタに電流を提供することによりジアテルミーを作動させて、組織標本を生検カップの内側に収容できるように解放するステップと、
g)組織標本を高流体圧力下で生検カップの外へフラッシングして、近位チューブ端部において組織標本を収集するステップであって、好ましくはホルマリンを含むバイアル内に組織標本を収集するステップと、
h)エンド・エフェクタをエフェクタ・スリーブの外へ変位させてジョーを開くステップと、
i)癌の疑いがある全ての領域に麻酔を行う場合にステップe)~h)を繰り返すか、又は、局所麻酔を行う場合に関係する数の組織標本が採取されるまでステップd)~h)を繰り返すステップと、
j)場合により、破壊される組織までジョーを移動させることによる燃焼機能により、癌の任意の残存領域を破壊するステップと、
k)体内手術デバイスを引き抜くステップと、
l)内視鏡を引き抜くステップと、
を含み得る。
【0046】
器官は膀胱であることが好ましいが、他の器官が同じ原理及び生検処置に従ってもよく、例えば、器官は、腸、胃、若しくは食道などの消化管、又は、肺などの気道であってもよい。
【0047】
過度の出血が生じた場合、ステップj)が外科手術手技の任意の段階において行われ得る他に、ジアテルミーが局所的に繰り返されてもよい。ジアテルミーは、有利には単極のものであり得る。
【0048】
第4の長手方向延在チャネルに関連付けられた針又はノズルは、ステップc)において膨張用流体を器官に送達すること、出血を止めるための局所麻酔又はアドレナリンなどの薬物又は流体を注入することなどの、麻酔以外の他の目的のために利用され得る。他の選択肢には、第4の長手方向延在チャネルを通じた外科用レーザ又はクランプ・ツールの使用が含まれるが、これに限られない。
【0049】
次に、本発明の体内手術デバイスの典型的な実施例として図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の体内手術デバイスで使用するための可撓性4チャネル・チューブの斜視図である。
【
図3】体内手術デバイスの第1の実施例の前端部の横から見た斜視図である。
【
図4】
図3の線III-IIIに沿った、長手方向倍尺断面図である。
【
図5】ジョーが開いている体内手術デバイスの第1の実施例の拡大図である。
【
図6】ジョーが閉じており、針が露出している、体内手術デバイスの第1の実施例の図である。
【
図7】テーパ付けされたノーズを含む2つのパイプ片ブランクから作られたエンド・エフェクタの第1の実施例の、ジョーが閉じられた状態の図である。
【
図8】ジョーが開いている
図7のエンド・エフェクタの第1の実施例の分解組立拡大図である。
【
図9】ジョーが開位置にある、
図7のエンド・エフェクタの第1の実施例の組み立てられた状態の図である。
【
図10】二重内腔チューブに接続されたエンド・エフェクタの第2の実施例の前方から見た斜視図である。
【
図11】ジョーが閉じられた状態で見られ、また、針が露出している、
図10に見られるエンド・エフェクタを実装している体内手術デバイスの斜視側面図である。
【
図12】ノズルのための管状案内部材を有するエンド・エフェクタの第3の実施例の断面図である。
【
図13】ジョーが開いており、また、針が露出している、チューブの代替的実施例に取り付けられたエンド・エフェクタの第4の実施例の前方から見た斜視図である。
【
図14】エンド・エフェクタの第4の実施例の前方端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1に見られる可撓性多チャネル・チューブ1は、4つの長手方向延在チャネル2、3、4、5を有する。第1の長手方向延在チャネル2は、エフェクタ・ワイヤ(図示せず)を収容し、第2の長手方向延在チャネル3は、水などのフラッシング液を高圧下で生検カップに供給するための第1のフラッシング・チャネルとして機能し、第3の長手方向延在チャネル4は、第2の長手方向延在チャネル3から届くフラッシング液により組織標本を排出するための第2のフラッシング・チャネルとして機能し、第4の長手方向延在チャネル5は、長手方向に変位可能な針又はノズル(図示せず)を収容する。
【0052】
図2に見られるエフェクタ・スリーブ6は、ジョーを開閉させるためにエンド・エフェクタがエフェクタ・スリーブ6に密接して出入りするように選択された内径を有する。エフェクタ・スリーブ6は、金属パイプであり得る。
【0053】
図3は、体内手術デバイスの第1の実施例7の前端部の横から見た斜視部分図であり、
図4は、
図3の線III-IIIに沿った、第1の実施例7の長手方向倍尺断面図である。
【0054】
体内手術デバイス7は、エフェクタ・スリーブ6の内側に収容されたエンド・エフェクタ8の第1の実施例を有し、対向するジョー9、10は、前述のエフェクタ・スリーブ6によりジョー9、10に加えられた力により、閉じられている。エンド・エフェクタ8は、多内腔チューブ1と流体連通している第1の端部11、並びに、対向する第1のジョー9及び第2のジョー10を含む反対側の第2の端部12を有し、前述の第1のジョー9及び第2のジョー10は、それらの閉状態において、生検カップ13の境界を定める。
【0055】
電気コード14が、チューブ1の第1の長手方向延在チャネル2を介して延在し、且つ、エンド・エフェクタ8の第1の端部11と第2の端部12との間の固定開口29において主管状本体15に固定されて、組織標本を取得するためにエンド・エフェクタに電流が印加されたときに、対向するジョー9、10を加熱する。
【0056】
図4で最も良く分かるように、可撓性チューブ1は、内視鏡(図示せず)のワーキング・チャネルの内側で移動することができるように、十分な曲げ剛性で可撓性チューブを補強するコイル状部材16によって取り囲まれる。外側プラスチック製チュービング17が、体内手術デバイスの長さの周りに熱収縮されて、継目を密閉し且つ体内手術デバイスをワーキング・チャネルから絶縁し、且つ、必要なときにジョー9、10を開閉させるためにエフェクタ・スリーブが長手方向に移動することを可能にするように、例えば熱融合によりコイル状補強部材16とエフェクタ・スリーブ6とを組み合わせる。
【0057】
図6で最も良く分かるように、第1のジョー9は、針又はノズル19を露出させるための開口部18を有し、この針又はノズルは、針19が引っ込められたときに針19が開口部18を密閉的に塞ぐように、チューブ1の第4の長手方向延在チャネル5の内側に密接に延在する。
【0058】
図7は、テーパ付けされたノーズ24をそれぞれが有する2つのパイプ片26から作られたエンド・エフェクタ8の第1の実施例を示す。パイプ片26のそれぞれは、例えば、対向する第1の結合手段20a’20b’及び第2の結合手段21a’、21b”をそれぞれのパイプ半体19a、19bに提供するパターンにレーザ切断することにより、第1の切断線22に沿って2つの細長いパイプ半体19a、19bに切断されており、その後、エンド・エフェクタ8の主管状本体15を得るために対向するパイプ半体19a、19bが継合されると、前述の結合手段は、第1の組立線22に沿った漏れが実質的に防がれるように、また、溶接を伴わなくとも組立が行われ得るように、互いに密接に嵌合する。主管状本体の適切な部品の溶接又は他の種類の融合は、除外されない。
【0059】
図7、8、及び9で明らかなように、各ジョー9、10はまた、例えば第二の切断線28a、28bに沿ったレーザ切断により、対向するパイプ半体19a、19bの湾曲したパイプ壁23a、23bから分割される。したがって、各ジョー9、10は、それぞれのパイプ壁23a、23bから生じる細長いヒンジ部材25と、パイプ片26の最初は閉じられているテーパ付けされたノーズ24により本質的に得られる、反対側のより幅広いカップ形状端部27a、27bと、を有して成形される。
【0060】
切断の後、それぞれのヒンジ部材25は、
図8及び9で明らかなように、互いから離れる方向に曲がるように偏向される。対向する第1の結合手段20a’20b’及び第2の結合手段21a’、21b”は、
図9で明らかなように、互いに嵌合されており、ここで、エンド・エフェクタ8は、その弛緩状態にあり、いつでも組織標本を挟むことができる。エンド・エフェクタ8がエフェクタ・スリーブ6の内側に引っ込められると、又は、エフェクタ・スリーブをその前方に有する補強部材を変位させることによりエフェクタ・スリーブが遠位に変位されると、対向するジョー9、10は、一緒に付勢され、エンド・エフェクタ8は、
図3、4、及び7に見られる構成に類似した緊張構成に達する。エフェクタ・スリーブ6は、切断線22;28a、28bに沿ってさらなる密閉効果を提供する。電気コード14のための固定開口29が、主管状本体15に設けられる。
【0061】
図10は、エフェクタ・スリーブ6を介して二重内腔チューブ31に接続されたエンド・エフェクタの第2の実施例30の前方から見た斜視図である。
図11は、ジョーが閉じられた状態で見られ、また、麻酔用針が露出している、
図10に見られるエンド・エフェクタを実装している体内手術デバイスの前端部の一部分を示すが、エフェクタ・スリーブ6は、エンド・エフェクタをより良好に示すために、
図11では省略されている。二重内腔チューブ31の2つの内腔を示すために、このチューブは透明なものとして示されており、また、補強部材は示されていない。
【0062】
エンド・エフェクタ30の第2の実施例は、主に、
図11で明らかなように、ノーズ24’がテーパ付けされる代わりに平坦であるという点で、エンド・エフェクタ8の第1の実施例とは異なる。平坦なノーズは、成形中に平坦な端板により又は溶接によりパイプ片が単純に閉じられるという点で、製造中に必要とする加工が少ない。エンド・エフェクタ30は、エンド・エフェクタの第1の実施例に対して説明されたように、同様に切断されており、また、ジョー9’、10’は、やはりエンド・エフェクタの第1の実施例に対して説明されたように、切断されたヒンジ部材を互いから離れる方向に偏向させることによって作られている。平坦なノーズのエンド・エフェクタは、長さ方向に切断された後に継合される、端部が閉じられた2つの別々のパイプで作られるか、又は、端部が閉じられた1つのパイプから作られ得る。
【0063】
エンド・エフェクタ及びチューブの第1の実施例に対して使用された専門用語を使用すると、二重内腔チューブ31は、針19のための第4の長手方向延在チャネル5と、フラッシング又は吸引により組織標本をチューブ31の外へ運ぶための第3の長手方向延在チャネル4と、を有する。絶縁された電気コード14は、二重内腔チューブ31の第3の長手方向延在チャネル4の内側で、前述の第3の長手方向延在チャネル4の壁と平行に延在し、その第3の長手方向延在チャネル4はまた、第1の長手方向延在チャネル2の目的を果たす。場合により、前述のチューブの外壁にある外側長手方向延在凹部が、第1の長手方向延在チャネル2として機能し得る。第4の長手方向延在チャネル5はまた、対向するジョー9’、10’の閉状態において、フラッシング液を生検カップ13’に送達するために第2の長手方向延在チャネル3の目的を果たすことができ、この閉状態では、針19は、前述の針19を露出させるための開口部18’を塞ぐ。
【0064】
体内手術デバイスの第1及び第2の実施例の場合、エフェクタ・ワイヤ33は、電気コード14であるか、又は別個の構成要素であり得る。
【0065】
図12は、針19の変位を制御するための管状案内部材34を有するエンド・エフェクタの第3の実施例34の断面図である。管状案内部材35は、開口部18から出る針19を案内し、且つ、注射ストローク中に針先を管状案内部材35の内側に保持するのに十分な長さを有する。
【0066】
図13は、ジョー9”、10’が開き、針19が露出しており、チューブ1’の代替的実施例に取り付けられた、第4のエンド・エフェクタ36の前方から見た斜視図である。
図14は、第4のエンド・エフェクタ36を前方端面図で示す。エンド・エフェクタ36の第4の実施例は、
図10及び11に示された第2の実施例に実質的に対応し、同様の部品には、同じ参照番号が使用される。
【0067】
エンド・エフェクタ36の第4の実施例は、ジョー9’、10”が閉じられたときにそれを通して針19を露出させることができる開口部18を平坦なノーズ24’が有さないという点で、エンド・エフェクタの第2の実施例とは異なる。代わりに、針19は、エンド・エフェクタ36の閉じられたジョー9’、10”によって画定された閉じられた生検カップ内に閉じ込められる。エフェクタ・スリーブ6を引っ込めること、又はエンド・エフェクタ36を前方に押してエフェクタ・スリーブ6の遠位開口部から出すことにより、エンド・エフェクタ36がエフェクタ・スリーブ6から解放されると、針は、局所麻酔薬を適用するために針が操作され得る露出された有効位置をとるように、解放され得る。その点について、有効位置は、針がばね付勢されることによって引き起こされ得る。生検を実際に行うには、針19が引っ込められ、対向するジョーが、選択された組織の周りで閉じられ、ジアテルミーが適用され、切断された組織標本が、エンド・エフェクタ36を含む体内手術デバイスと一緒に使用された内視鏡のハンドルに向かって、チューブ1’を通してフラッシングされ得る。
【0068】
代替的なチューブ1’は、チューブ1の第1の実施例に実質的に対応し、同様の部品には、同じ参照番号が使用される。代替的なチューブ1’は、長手方向延在チャネル2’、3’、4’、5’の直径及び断面積が異なるという点で、チューブ1の第1の実施例とはわずかしか異ならない。具体的には、水などのフラッシング液を閉じられた生検カップに高圧下で供給するための第1のフラッシング・チャネルとして機能する第2の長手方向延在チャネル3’、及び、例えば第2の長手方向延在チャネル3から届くフラッシング液により組織標本を排出するための第2のフラッシング・チャネルとして機能する第3の長手方向延在チャネル4は、より大きいか、又は、吸引力の適用に役立つ。
【0069】
体内手術デバイス7の第1の実施例の場合のように、エンド・エフェクタ30;34;36の任意の実施例及び任意の種類の多内腔チューブ1、1’を実装する体内手術デバイスの第2の実施例は、上記で説明されたように、コイル状補強部材によって補強されてもよく、エフェクタ・スリーブは、コイル状補強部材に端と端とで接続されてもよく、また、熱収縮チュービング17が外部に適用されてもよい。
【0070】
本発明の体内手術デバイスは、中空臓器から生体組織を取得するための全く新しい方法を示唆する。これらの患者の治療に対して、完全に新規な状況が作り出される。費用を大幅に削減することができ、患者の便益は極めて大きい。定期的訪問において数分間で外来患者を癌であると診断し修復することが可能になるであろう。患者はもはや手術後のカテーテル処置を必要とせず、このことは、カテーテルが引き起こす尿路感染症の高い危険性が排除されることを意味する。様々な部門のスタッフが関わることはもはや必要とされず、関わるのは医師と看護師で十分であり、このことは、大規模な経費削減を意味し、また、患者は、遙かに急速に癌治療を受けることができ、他の目的のための手術能力が解放される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 遠位チューブ端部(1a)、近位チューブ端部(1b)、及び少なくとも2つの長手方向延在チャネル(2、3、4、5;2’、3’、4’、5’)を有する可撓性チューブ(1;31;1’)と、
- 対向する切断縁を有する2つの対向するジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)を含むエンド・エフェクタ(8;30;34;36)であって、前記遠位チューブ端部(1a)に設けられ、閉じられた位置において閉じられた生検カップを画定するエンド・エフェクタ(8;30;34;36)と
を備える体内手術デバイスであって、
- 前記対向する切断縁が、前記対向するジョーに電流を流すときにジアテルミーによって切断するように構成され、
- 前記長手方向延在チャネルのうちの1つの長手方向延在チャネルが、前記閉じられた生検カップを流体的にフラッシングするための流体を提供するように構成され、
- 前記長手方向延在チャネルのうちの第2の長手方向延在チャネルが、前記フラッシングするための流体によって前記閉じられた生検カップから前記近位チューブ端部の出口に組織標本を運ぶように構成されている、体内手術デバイス。
【請求項2】
前記対向するジョーの外側面が、電気的に絶縁されている、請求項1に記載の体内手術デバイス。
【請求項3】
前記可撓性チューブ(1;31;1’)が、少なくとも3つの長手方向延在チャネル(2、3、4、5;2’、3’、4’、5)を含む、請求項1又は2に記載の体内手術デバイス。
【請求項4】
前記長手方向延在チャネルのうちの1つの長手方向延在チャネルが、前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)に電流を提供するための電気コードを収容する、請求項3に記載の体内手術デバイス。
【請求項5】
前記閉じられた生検カップから前記組織標本を運ぶように構成された前記長手方向延在チャネルが、少なくとも、前記閉じられた生検カップを流体的にフラッシングするための流体を提供するように構成された前記長手方向延在チャネルよりも大きい断面を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項6】
前記体内手術デバイスが、患者識別情報が印された組織バイアル内に前記組織標本を直接収集するように構成されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項7】
前記組織バイアルには更に、膀胱マップ上の位置のような、前記組織標本が採取された位置が印されている、請求項6に記載の体内手術デバイス。
【請求項8】
少なくとも前記遠位チューブ端部において前記可撓性チューブを取り囲むエフェクタ・スリーブ(6)と、前記ジョー(9、10;9’、10’;9”、10”)を開閉させるために前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)を前記エフェクタ・スリーブ(6)に対して軸方向に往復運動させるか又は前記エフェクタ・スリーブ(6)を前記エンド・エフェクタ(8;30;34;36)に対して軸方向に往復運動させるための手段とを更に備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項9】
前記ジョーのうちの少なくとも一方が、前記エンド・エフェクタが少なくとも部分的に前記エフェクタ・スリーブの外側に位置するときに、弛緩状態において前記エンド・エフェクタの長手軸からそれるように配置されている、請求項8に記載の体内手術デバイス。
【請求項10】
前記エンド・エフェクタ及び前記ジョーが、前記エンド・エフェクタが少なくとも部分的に前記エフェクタ・スリーブの内側に位置するときに、閉じられた前記ジョー間の間隙を維持して、閉じられた生検カップを画定するために、前記ジョーが前記エフェクタ・スリーブによる圧迫力を受けるように配置されている、請求項8又は9に記載の体内手術デバイス。
【請求項11】
前記閉じられた生検カップから前記組織標本を運ぶように構成された前記長手方向延在チャネルが、閉じられた前記対向するジョーによって画定された前記生検カップ(13)を介して前記閉じられた生検カップを流体的にフラッシングするための流体を提供するように構成された前記長手方向延在チャネルと流体連通する、請求項1から10までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項12】
前記可撓性チューブ(1;31;1’)の外側直径が、2mm以下である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項13】
前記閉じられた生検カップ(13)にわたるフラッシング圧力が、少なくとも5バール、少なくとも10バール、又は少なくとも20バールである、請求項1から12までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項14】
前記エンド・エフェクタが、前記可撓性チューブ(1;31;1’)を取り囲む補強部材(16)に端と端とで接続されている、請求項1から13までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項15】
前記ジョーが、金属のような導電性材料で作られている、請求項1から14までのいずれか一項に記載の体内手術デバイス。
【請求項16】
前記ジョーの前記外側面の電気絶縁が、被覆からなる、請求項2に記載の体内手術デバイス。
【請求項17】
前記被覆が、化学蒸着されたポリ(p-キシリレン)ポリマーのような低摩擦被覆である、請求項16に記載の体内手術デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
ジョーの外側面の電気絶縁は、好ましくは、前述の外側表面に被覆を提供することによって得られ得る。そのような被覆は、好ましくは、例えばニチノール、アルミニウム、又はステンレス鋼である金属表面などのジョーの伝導性表面上に容易に被着され得る低摩擦被覆、例えばParylene(登録商標)被覆又はダイヤモンド状炭素(DLC:Diamond-like carbon)の被覆であり得る。商標名Parylene(登録商標)は、吸湿防止材及び誘電体バリアとしてしばしば使用される、化学蒸着されるポリ(p-キシリレン)ポリマーをカバーする。本発明の範囲内では、他の種類の絶縁被覆も使用され得る。