IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特開2024-38395多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置
<>
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図1
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図2
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図3
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図4
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図5
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図6
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図7
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図8
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図9
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図10
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図11
  • 特開-多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038395
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20240312BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004551
(22)【出願日】2024-01-16
(62)【分割の表示】P 2019206624の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】18207354.4
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/769,854
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・シューネマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】負荷によって起こり得る故障に関して改善された固定部材および多軸骨固定装置を提供すること。
【解決手段】多軸骨固定装置用固定部材は、第1端部、第2端部および少なくとも一部に設けられた係合構造を有する骨固定セクション(2)と、球体(S)の外面部分を有するヘッド部(3)と、ヘッド部(3)ならびに中心軸と、骨固定セクション(2)の第1端部とヘッド部(3)との間に位置するネック部とを備え、ネック部は、ヘッド部(3)に近い第1部分を含み、中心軸を含む少なくとも1つの平面において、ネック部の第1部分が第1湾曲を有する凹面であり、ネック部は、第1部分と骨固定セクション(2)との間に第2部分をさらに含み、少なくとも1つの平面において、第2部分は、第1湾曲よりも小さい第2湾曲を有する凹面である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸骨固定装置用固定部材であって、
第1端部(21)、第2端部(22)、および少なくとも一部に設けられた骨係合構造を有する骨固定セクション(2)と、
球体(S)の一部を規定する外面部分(31)を有するヘッド部(3,3’)と、
前記ヘッド部(3,3’)、ならびに前記骨固定セクションの前記第1端部および前記第2端部のそれぞれの中心を通って延びる中心軸(C)と、
前記骨固定セクション(2)の前記第1端部(21)と前記ヘッド部(3)との間に位置するネック部(23)とを備え、前記ネック部(23)は、前記骨固定セクション(2)よりも前記ヘッド部(3)に近い第1部分(24)を含み、前記中心軸(C)を含む少なくとも1つの平面(P)において、前記ネック部(23)の前記第1部分(24)が第1湾曲を有する凹面であり、
前記ネック部(23)は、前記第1部分(24)と前記骨固定セクション(2)との間に第2部分(25)をさらに含み、
前記少なくとも1つの平面(P)において、前記第2部分(25)は、前記第1湾曲よりも小さい第2湾曲を有する凹面である、固定部材(1,1’)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの平面(P)において、前記球体(S)は、円を規定し、
前記ネック部(23)の前記第2部分(25)は、少なくとも部分的に前記円内に位置する、請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
前記ネック部(23)の前記第1部分(24)は、完全に前記円内に位置する、請求項2に記載の固定部材。
【請求項4】
前記ネック部(23)は、前記中心軸(C)周りに回転対称である、請求項1から3のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項5】
前記ヘッド部(3,3’)の前記外面部分(31)は、前記中心軸(C)周りに回転対称である、請求項1から4のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項6】
前記ネック部(23)の前記第1部分(24)および前記第2部分(25)は、前記中心軸(C)の一端側で前記平面(P)内に見た場合に、連続して互いに結合している、請求項1から5のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項7】
前記第1湾曲は、第1曲率半径(R)を有し、
前記第2湾曲は、前記第1曲率半径(R)よりも大きい第2曲率半径(R)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項8】
前記ネック部(23)の前記第1部分(24)と前記ヘッド部(3,3’)との間に、エッジ部(33)が形成されており、
前記エッジ部は、好ましくは、丸みを帯びている、請求項1から7のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項9】
前記ネック部の前記第1部分(24)に対向する前記ヘッド部(3’)の一端側において、アンダーカット部(34)が形成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項10】
前記平面(P)において、前記アンダーカット部(34)は、好ましくは前記第1湾曲と同一の第3湾曲を含む、請求項8に記載の固定部材。
【請求項11】
前記ネック部(23)の前記第2部分(25)と前記骨固定セクション(2)との間に、円柱部(26)が形成されており、
前記円柱部(26)は、好ましくは、前記ヘッド部(3)に向かう方向において前記第2部分(25)に連続して結合している、請求項1から10のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項12】
前記ヘッド部(3)の前記外面部分(31)と結合した前記球体(S)は、第1直径(D)を規定し、
前記ネック部(23)は、前記中心軸(C)に直交する平面において、好ましくは、前記ネック部(23)の前記第2部分(25)においてあるいは前記固定セクション(2)の前記第1端部(21)の近くにおいて、第2直径(D)を有し、
前記第1直径(D)と前記第2直径(D)との比(前記第2直径(D)に対する前記第1直径(D)の比率)は、約1から2未満であり、
好ましくは、(前記第1直径(D):前記第2直径(D)は)約7:4である、請求項1から11のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の固定部材と、
前記ヘッド部(3,3’)を受けるための座部(12,204)を含む受け部(4;200)と、を備え、
前記骨固定セクション(2)は、前記受け部(4)に対して複数の角度位置を取ることができる、多軸骨固定装置。
【請求項14】
前記受け部(4)は、脊椎ロッド(100)等の細長い安定化部材を受けるロッド受け凹部(9)を含む、あるいは、
前記受け部が、前記ヘッド部(3)を受け入れる少なくとも1つの穴部(203)を備えた骨プレート(200)として形成されている、請求項13に記載の多軸骨固定装置。
【請求項15】
前記受け部(4,200)の前記座部(12,204)は、前記ヘッド部(3)を支持するような方法で前記ヘッド部(3)の球面部分(31)に一致する球面部分を含み、
前記固定部材(1,1’)が前記受け部に対して最大旋回角度にある場合に、少なくとも前記ネック部(23)の前記第2部分(25)の一部が、前記座部(12,204)の前記球面部分によって規定される球体内に位置する、請求項13または14に記載の多軸骨固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸骨固定装置用固定部材、および当該固定部材を備えた多軸骨固定装置に関し、特に、脊椎疾患の治療あるいは外傷手術で使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脊椎疾患の治療に使用される多軸骨固定装置が知られている。たとえば、US5,443,467には、骨に固定するためのシャフトと球状セグメント形状を有するヘッド部とを含む固定要素を備えた多軸骨固定装置が開示されており、固定要素は、当該固定要素を脊椎ロッドに結合するための受け部に旋回可能に支持されている。
【0003】
ヘッド部とシャフトとの間に位置する固定要素の部分は、固定要素が負荷によって故障する可能性がある領域となり得る。
【0004】
US2017/0245894A1には、アンカー体と締結部とを備える多軸骨固定装置を開示しており、締結部は、ヘッド部、ヘッド部に対して遠位方向に延在するネジ付きシャフト、および当該ヘッド部とネジ付きシャフトとの間に位置するネック部を含む。ヘッド部は、少なくとも一部が凸状となる外面を有し、第1直径を規定する球体の一部を規定する。ネック部は、第2直径を規定しており、締結具は、約2対1と約3対1との間の範囲に第1直径と第2直径との比を規定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US5,443,467
【特許文献2】US2017/0245894A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、負荷によって起こり得る故障に関して改善された固定部材および多軸骨固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項1に係る固定部材によって解決されるとともに、請求項13に係る多軸骨固定装置によって解決される。
【0008】
本開示の1つの局面によれば、多軸骨固定装置用固定部材は、第1端部、第2端部、および少なくとも一部に設けられた骨係合構造を有する骨固定セクションと、球体の一部を規定する外面部分を有するヘッド部と、上記ヘッド部、ならびに上記骨固定セクションの上記第1端部および上記第2端部のそれぞれの中心を通って延びる中心軸と、上記骨固定セクションの上記第1端部と上記ヘッド部の間に位置するネック部とを備え、上記ネック部は、上記骨固定セクションよりも上記ヘッド部に近い第1部分を含み、上記中心軸を含む少なくとも1つの平面において、上記ネック部の上記第1部分が第1湾曲を有する凹面であり、上記ネック部は、上記第1部分と上記骨固定セクションとの間に第2部分をさらに含み、上記少なくとも1つの平面において、上記第2部分は、上記第1湾曲よりも小さい第2湾曲を有する凹面である。上記中心軸の一端側で見た場合に、上記第1部分は、軸方向において上記第2部分に接合されている。
【0009】
この設計により、骨固定セクションまたはネック部の円柱部とヘッド部との間の移行部
が、軸方向においてヘッド部の中心に向かうように移動する。これにより、ヘッド部および/またはネック部に作用する負荷の分布が改善される。この結果、破壊に対する固定部材の強度、特定的には疲労強度が、特にネック部の領域において、増加する。
【0010】
本開示の他の局面によれば、多軸骨固定装置は、上記骨固定部材と、上記ヘッド部を受けるための座部を含む受け部と、を備え、上記骨固定セクションは、上記受け部に対して複数の角度位置を取ることができる。
【0011】
上記固定部材が上記受け部に対して形成する最大旋回角度を、実質的に円柱状のネック部を有する骨固定部材と比較して増加させることができる。
【0012】
さらなる特徴および利点は、添付の図面を用いた実施の形態の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る多軸骨固定装置の分解斜視図である。
図2図1における多軸骨固定装置を組み立てた状態を示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係る固定部材の側面図である。
図4図3に示す固定部材の一部を拡大した図である。
図5】部分的に固定部材を含む図1から図3に係る骨固定装置の断面図であり、固定部材のヘッド部の中心を通りかつ、ロッドの長軸に直交する面における断面図である。
図6図5の一部を拡大した図である。
図7図5に示す骨固定装置をさらに拡大した図である。
図8図7と比較して、実質的に円柱状のネック部を有する固定部材の一例および骨固定装置の一部を拡大した図である。
図9】実施の形態2に係る固定部材の部分側面図である。
図10図9の固定部材の断面図であり、固定部材の中心軸を含む平面における断面図である。
図11図9および図10に示す固定部材を含む実施の形態2に係る骨固定装置の部分断面図であり、固定部材のヘッド部の中心を通り、かつ、ロッドの長軸に直交する面における断面図である。
図12】ボーンプレートの形態の他の実施の形態に係る多軸骨固定装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2を参照して、実施の形態1に係る多軸骨固定装置は、骨または脊椎に固定するためのシャンク2、およびヘッド部3を含む固定部材1を備える。さらに、固定部材1のヘッド部3を旋回可能に受けるための受け部4が設けられており、当該受け部4は、固定部材1を安定化ロッド100に結合するように構成されている。圧力部材5は、受け部4に対して特定の角度位置でヘッド部3を固定するように、受け部4内のヘッド部3に圧力をかけるように設けられてもよい。ロック部材6は、たとえば、止めねじの形で、受け部4内にロッド100を固定するための骨固定装置の一部を構成することができる。
【0015】
追加的に図5に示されるように、受け部4は、第1端部4aすなわち上端、および反対側の第2端部4bすなわち下端、第1端部4aから第2端部4bに向かう方向に延在する対称軸M、ならびに、同軸ボア8を有する。第1端部4aに隣接して、実質上U字型の凹部9が設けられており、当該凹部9は、ロッド100を受けるための溝としての機能を果たす。凹部9によって、雌ねじ10等の、ロック部材6と共同する係止構造が設けられた2つの自由脚部が形成される。
【0016】
第2端部に隣接して、あるいは第2端部に近接して、同軸ボア8によって設けられた通
路は、第2端部4bに向けて狭くなっているとともに、開口部11を形成する。開口部11の内径は、ヘッド部3が開口部11に隣接した座部12に着座するまでシャンク2を備えた固定部材1を案内することができるサイズとなっている。ヘッド部3用の座部12は、ヘッド部3の外面部分に一致する球状セグメント形状部として設計することができる。
【0017】
ここで、図3および図4を参照して、固定部材1は、ヘッド部3の中心を通過し、シャンク2の長軸と同軸である中心軸Cを有する。固定部材1は、一体の部品であることが好ましい。シャンク2は、ヘッド部3に対向する第1端部21と、その反対側の第2端部22とを有する。第2端部22は、先端として形作られてもよい。シャンク2の外部表面の少なくとも一部に、骨係止構造20、たとえば、骨ねじを設けることができる。これにより、シャンク2は、固定部材1の骨固定セクションを形成する。ヘッド部3は、直径Dを有する球体S(図4参照)を規定する球状の外面部分31を有する。より詳細には、実施の形態において、ヘッド部3は、球体Sの直径Dがヘッド部3の最も広い幅を形成する軸長を有する。中心軸Cを含む平面Pにおける球体Sの断面は、円(たとえば図6参照)を含む。シャンクの第2端部22に反対側において、ヘッド部3は、自由端面32を備える。自由端面32は、固定要素1を骨に打ち込むドライバーに係合するための凹部3aを含んでいてもよい。また、自由端面32は、平坦であってもよい。
【0018】
ネック部23は、ヘッド部3とシャンク2の第1端部21との間に形成されている。ネック部23は、ヘッド部3に近接する第1部分24と骨固定セクションに近接する第2部分25とを含む。第1部分24は、第1湾曲(first curvature)を有する凹面である外
面を有する。平面Pにおいて、ネック部23の第1部分24の表面は、第1曲率半径Rを有する円状部分を規定する。ネック部23およびヘッド部3の外面部分31は、中心軸C周りに回転対称であることが好ましい。このため、第1部分24における第1曲率半径Rは、すべての径方向において同一であり、これにより、第1曲率半径Rは、中心軸Cを含むすべての面において同一である。ネック部23の第1部分24が、ヘッド部3に接触する部分に、エッジ33が形成される。第1部分24の凹面形状により、固定部材の幅は、ヘッド部3からシャンク2に向けて減少する。
【0019】
ネック部23の第2部分25は、第1湾曲よりも小さい第2湾曲(second curvature)を有する凹面である。すなわち、第2部分25の表面は、第1部分24の表面よりも小さく湾曲する。実施の形態では、平面Pにおいて、第2部分25の表面も、第2曲率半径Rを有する円状部分を規定する。図4に図示されているように、曲率半径Rは、曲率半径Rよりも大きい。回転対称によって、ネック部23の第2部分25の第2曲率半径Rは、すべての径方向において同一であり、これにより、第2曲率半径R2は、中心軸Cを含む平面において同一である。図に示すように、第1部分24は、連続して第2部分25に結合している。
【0020】
中心軸Cに直交する平面におけるネック部23の直径Dは、第1部分24または第2部分25のいずれの軸方向の位置で、第1直径Dよりも小さい。より特定的には、第2部分25において、Dは、第1直径(D):第2直径(D)が約7:4であるようにされている。第2直径(D)に対する第1直径(D)の比率は、好ましくは、約1から2未満である。第2部分25の軸長は、第1部分24の軸長よりも大きい。より特定的には、第2部分25の軸長は、第1部分24の軸長の2倍以上である。
【0021】
第2部分25とシャンク2との間には、第3部分である円柱部26が設けられていてもよい。第2部分25は、連続して円柱部26に結合している。第3部分である円柱部26の軸長は第2部分25の軸長よりも小さくてもよい。第3部分である円柱部26の外径Dは、シャンク2のコア径Dと同じであってもよいし、当該コア径Dよりもわずかに大きくてもよい。第2部分25と円柱部26との間の移行部において、Dは、Dと同
じであってもよい。
【0022】
圧力部材5は、図1図5を参照して説明される。圧力部材5は、一体の部品として形成されていもよい。圧力部材5は、実質的に円柱形の構造であり、受け部4のボア8内で軸方向への移動を許容する外径を有する。圧力部材5は、圧力部材5およびヘッド部3が受け部4内で組み付けられる際にヘッド部3に対向する側に、実質的に球状の凹部51を備える。実質的に球状の凹部51は、ヘッド部3のサイズに適応する。ヘッド部3に背を向ける反対側では、実質的に円柱形状の凹部52が形成されており、当該凹部52は、ロッド100を受け入れるように構成されている。本実施の形態においては、ロッド100が凹部52内に挿入される場合には、ロッドの表面は、凹部52の側壁の上方に延在する。固定部材1が受け部4に組み立てられる場合には、圧力部材5内に形成された同軸ボア53は、ドライバーのような工具を用いてヘッド部3の凹部3aへのアクセスを許可する。
【0023】
ロック部材6は、受け部4の脚部の間にねじ込み可能な止めネジによって構成されている。ロック部材6は、ロッド100が受け部4に挿入される場合には、ロッド100に接触するように構成されている。
【0024】
固定部材1、受け部4、圧力部材5,およびロック部材6は、ロッド100同様に、たとえばチタンまたはステンレス鋼の生体適合性材料、たとえばニチノールといったNiTi合金の生体適合性合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金、たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリ-L-ラクチド酸(PLEA)といった生体適合性プラスチック材料によって構成することができる。加えて、部品は、互いに同じ材料で作成することも、別の材料で作成することもできる。
【0025】
続いて、図5から図7に示すように、多軸骨固定装置は、ヘッド部3が座部12に安定するまで固定部材1が第1端部4aから受け部4に挿入された状態で予め組み立てられてもよい。圧力部材5は、たとえば圧力部材5の外面にある圧着ボア54を使用して圧着することにより、受け部4内で回転固定されてもよい。
【0026】
使用中において、受け部4とともに少なくとも2つの固定部材1が、骨内に挿入されたり、脊椎に近接して挿入されたりし、ロッド100を介して接続される。ロッド100を受け部4に挿入するために受け部4を固定部材1に対して旋回させてもよく、これにより、ロッド100の挿入が容易となる。図5および図6に示すように、最大旋回角αは、受け部4が有する開口部11の縁部11aに対してネック部23が当接することによって規定される。受け部4における座部12に対するヘッド部3およびネック部23のサイズは、縁部11aが小さい湾曲部を有するネック部の第2部分25に当接するようなサイズである。最大旋回角αの位置において、ネック部23の第1部分24は、固定部材1が旋回する側において受け部4の座部12内にあることが好ましい。
【0027】
図8を参照すると、固定部材101の比較例が示されており、比較例においては、ネック部123には、球状セグメント形ヘッド部103によって規定される球体S内に延びる部分が無い。図7に係る実施の形態の固定部材と図8の固定部材の例とを比較すると、ネック部23が図7に示すように球体S内に延びる場合には、最大旋回角αは増加する。さらに、図7に示す実施の形態の固定部材1の負荷に対する強度が増加する。最終的には、ヘッド部3とネック部23との間において、力が、改善された方法で分散される。
【0028】
図9から図11を参照して、実施の形態2に係る固定部材を説明する。固定部材1’は、ヘッド部の形状とサイズが実施の形態1に係る固定部材1と相違する。他の構成は、同じあるいは類似するため、これについては繰り返し説明しない。同様の部分には、実施の
形態1と同一の参照符号が付されている。固定部材1’のヘッド部3’は、直径D1’を有する。直径D1’は、ネック部23の直径Dと比較して、実施の形態1に係る固定部材1の直径Dよりも大きくてもよい。より特定的には、Dに対するD1’の比は、約1と約3の間であってもよい。自由端面32の反対側において、ヘッド部は、エッジ部33とネック部23の第1部分24との間に延びるアンダーカット部34を有する。アンダーカット部34は、中心軸Cに直交し、かつ、自由端面32に向かう方向においてヘッジ部33の最も外側の部分を通過する仮想平面から凹んでいる。アンダーカット部34は、ネック部23の第1部分24と同様に湾曲していることが好ましい。より詳細には、実施の形態において、アンダーカット部34の表面は、第2部分24からエッジ部33に続く平面Pにおいて円形セグメントの一部を規定する。これにより、アンダーカット部34の曲率半径Dとネック部23の第1部分24の曲率半径とを同一にすることができる。しかしながら、アンダーカット部34は、たとえば、非円形状といった他の形状を有してしてもよい。
【0029】
この設計により、固定部材の強度をさらに増加させることができる。図11に示すように、ヘッド部3’の直径を広げることにより、最大旋回角αをさらに増加させることができる。
【0030】
図12を参照すると、実施の形態2に係る多軸骨固定装置は、固定部材1を受ける部品としてボーンプレート200を備えるように示されている。ボーンプレート200は、第1面201(すなわち骨接触面)と、反対側の第2面202とを有する。少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の貫通孔203が、第2面202からプレートを通って第1面201に延びる。貫通孔203を制限する壁部に、固定要素1のヘッド部用の座部204が形成されている。座部204は、ヘッド部3の外側の球面部分に対応する形状を有しているため、骨プレートと固定部材1が体内に埋め込まれない限り、固定部材1は、片側に最大旋回角αで座部内204を旋回することができる。固定部材は、たとえば実施の形態1に係る固定部材1である。なお、固定部材は、実施の形態2に係る固定部材1’であってもよい。使用中において、固定部材は、多軸骨固定装置の最大旋回角によって範囲が定められた所定の角度で骨に挿入され得る。負荷に対する固定部材の強度は、改善される。必要であれば、固定部材の後退を防止するために、貫通孔203にロックキャップ(不図示)を設けてもよい。
【0031】
なお、多軸骨固定装置は、上記に示された実施の形態に限定されない。固定部材は、ヘッド用の座部を提供するあらゆる受け部とともに使用することができる。そのような受け部は、固定部材が受け部の上部から挿入されるトップローディング型であってもよいし、固定部材が、ヘッド部が開口部の下部側を通るように挿入されるボトムローディング型であってもよい。また、上述の実施の形態に係る固定部材と組み合わされるあらゆる骨プレートまたは他の外科用インプラントは、本発明による多軸骨固定装置を形成する。座部は、他の形状を有していてもよいし、受け部内にある挿入部材内に設けられてもよい。多くの異なる多軸骨固定装置を考えることができる。
【0032】
固定部材の様々な変更も考えることができる。たとえば、骨固定セクションは、骨や脊椎の固定に適用できるあらゆる骨固定構造や形状を有していてもよい。ヘッド部も、非回転対称であってもよい。たとえば、ヘッド部は、対向する2つの平面部を有していてもよく、これにより、球面部分は、一つの平面内でのみで固定部材が受け部内で旋回することを許容する。ネック部の対称性は、ヘッド部の対称性に対応してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸骨固定装置用固定部材であって、
第1端部(21)、第2端部(22)、および少なくとも一部に設けられた骨係合構造を有する骨固定セクション(2)と、
球体(S)の一部を規定する外面部分(31)を有するヘッド部(3,3’)と、
前記ヘッド部(3,3’)、ならびに前記骨固定セクションの前記第1端部および前記第2端部のそれぞれの中心を通って延びる中心軸(C)と、
前記骨固定セクション(2)の前記第1端部(21)と前記ヘッド部(3)との間に位置するネック部(23)とを備え、前記ネック部(23)は、前記骨固定セクション(2)よりも前記ヘッド部(3)に近い第1部分(24)を含み、前記中心軸(C)を含む少なくとも1つの平面(P)において、前記ネック部(23)の前記第1部分(24)が第1湾曲を有する凹面であり、
前記ネック部(23)は、前記第1部分(24)と前記骨固定セクション(2)との間に第2部分(25)をさらに含み、
前記少なくとも1つの平面(P)において、前記第2部分(25)は、前記第1湾曲よりも小さい第2湾曲を有する凹面である、固定部材(1,1’)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸骨固定装置用固定部材であって、
第1端部(21)、第2端部(22)、および少なくとも一部に設けられた骨係合構造を有する骨固定セクション(2)と、
球体(S)の一部を規定する外面部分(31)を有するヘッド部(3,3’)と、
前記ヘッド部(3,3’)、ならびに前記骨固定セクションの前記第1端部および前記第2端部のそれぞれの中心を通って延びる中心軸(C)と、
前記骨固定セクション(2)の前記第1端部(21)と前記ヘッド部(3)との間に位置するネック部(23)とを備え、前記ネック部(23)は、前記骨固定セクション(2)よりも前記ヘッド部(3)に近い第1部分(24)を含み、前記ネック部(23)の前記第1部分(24)が、前記ヘッド部(3)に接触する部分に、エッジ部(33)が形成され、前記中心軸(C)を含む少なくとも1つの平面(P)において、前記ネック部(23)の前記第1部分(24)が第1湾曲を有する凹面であり、
前記ネック部(23)は、前記第1部分(24)と前記骨固定セクション(2)との間に第2部分(25)をさらに含み、前記第1部分(24)は、連続して前記第2部分(25)に結合し、
前記少なくとも1つの平面(P)において、前記第2部分(25)は、前記第1湾曲よりも小さい第2湾曲を有する凹面であり、
前記第2部分(25)の軸長は、前記第1部分(24)の軸長よりも大きい、固定部材(1,1’)。
【請求項2】
前記第2部分(25)の軸長は、前記第1部分(24)の軸長の2倍以上である、請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
前記少なくとも1つの平面(P)において、前記球体(S)は、円を規定し、
前記ネック部(23)の前記第2部分(25)は、少なくとも部分的に前記円内に位置する、請求項1または2に記載の固定部材。
【請求項4】
前記ネック部(23)の前記第1部分(24)は、完全に前記円内に位置する、請求項3に記載の固定部材。
【請求項5】
前記ネック部(23)は、前記中心軸(C)周りに回転対称である、請求項1から4のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項6】
前記ヘッド部(3,3’)の前記外面部分(31)は、前記中心軸(C)周りに回転対称である、請求項1から5のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項7】
前記ネック部(23)の前記第1部分(24)および前記第2部分(25)は、前記中心軸(C)の一端側で前記平面(P)内に見た場合に、連続して互いに結合している、請求項1から6のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項8】
前記第1湾曲は、第1曲率半径(R)を有し、
前記第2湾曲は、前記第1曲率半径(R)よりも大きい第2曲率半径(R)を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項9】
前記エッジ部(33)は、前記ネック部(23)の前記第1部分(24)と前記ヘッド部(3,3’)との間に、エッジ部(33)が形成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項10】
前記エッジ部(33)は、丸みを帯びている、請求項1から9のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項11】
前記ネック部の前記第1部分(24)に対向する前記ヘッド部(3’)の一端側において、アンダーカット部(34)が形成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項12】
前記平面(P)において、前記アンダーカット部(34)は、第3湾曲を含む、請求項11に記載の固定部材。
【請求項13】
前記第3湾曲の曲率波形は、前記第1湾曲の曲率半径と同一である、請求項12に記載の固定部材。
【請求項14】
前記ネック部(23)の前記第2部分(25)と前記骨固定セクション(2)との間に、円柱部(26)が形成されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項15】
前記円柱部(26)は、前記ヘッド部(3)に向かう方向において前記第2部分(25)に連続して結合している、請求項14に記載の固定部材。
【請求項16】
前記ヘッド部(3)の前記外面部分(31)と結合した前記球体(S)は、第1直径(D)を規定し、
前記ネック部(23)は、前記中心軸(C)に直交する平面において、第2直径(D)を有し、
前記第1直径(D)と前記第2直径(D)との比(前記第2直径(D)に対する前記第1直径(D)の比率)は、約1から2未満である、請求項1から11のいずれか1項に記載の固定部材。
【請求項17】
前記ネック部(23)は、前記ネック部(23)の前記第2部分(25)においてあるいは前記固定セクション(2)の前記第1端部(21)の近くにおいて、第2直径(D )を有する、請求項16に記載の固定部材。
【請求項18】
前記第1直径(D )と前記第2直径(D )との比(前記第1直径(D ):前記第2直径(D )は)約7:4である、請求項16または17に記載の固定部材。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の固定部材と、
前記ヘッド部(3,3’)を受けるための座部(12,204)を含む受け部(4;200)と、を備え、
前記骨固定セクション(2)は、前記受け部(4)に対して複数の角度位置を取ることができる、多軸骨固定装置。
【請求項20】
前記受け部(4)は、脊椎ロッド(100)を受けるロッド受け凹部(9)を含む、あるいは、
前記受け部が、前記ヘッド部(3)を受け入れる少なくとも1つの穴部(203)を備えた骨プレート(200)として形成されている、請求項19に記載の多軸骨固定装置。
【請求項21】
前記受け部(4,200)の前記座部(12,204)は、前記ヘッド部(3)を支持するような方法で前記ヘッド部(3)の球面部分(31)に一致する球面部分を含み、
前記固定部材(1,1’)が前記受け部に対して最大旋回角度にある場合に、少なくとも前記ネック部(23)の前記第2部分(25)の一部が、前記座部(12,204)の前記球面部分によって規定される球体内に位置する、請求項19または20に記載の多軸骨固定装置。
【外国語明細書】