(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038436
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】血流制限スポーツ衣料
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20240312BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20240312BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20240312BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20240312BHJP
A41D 1/08 20180101ALI20240312BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20240312BHJP
A41D 27/10 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A41D13/00 115
A41D13/05 143
A41D13/08
A41D13/05 156
A41D1/00 H
A41D1/08
A41D27/00 C
A41D27/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006220
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2020560465の分割
【原出願日】2019-05-31
(31)【優先権主張番号】1809772.5
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520415306
【氏名又は名称】ハイトロ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Hytro Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン・ブラッドリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者の肢体において少なくとも1つの主要な静脈を調節可能に圧迫し、少なくとも1つの主要な静脈を通じる血流を制限するための手段を有するスポーツ衣料を提供する。
【解決手段】(1)衣料は、上半身に着る衣服またはTシャツ100であり、圧迫部材は、前記上半身に着る衣服または前記Tシャツの袖に設けられ、前記圧迫部材は、使用中に、前記使用者の腋窩に近接した前記使用者の腕の上部に配置されているか、または、(2)前記衣料は、一対のショーツまたは一対のズボンであり、前記圧迫部材は、前記一対のショーツまたは前記一対のズボンの脚部に設けられ、前記圧迫部材は、使用中に、前記使用者の鼠径部に近接した前記使用者の大腿部の上部に配置されている、スポーツ衣料。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の肢体において主要な動脈を通じる血流を許容する一方で、前記使用者の前記肢体において少なくとも1つの主要な静脈を圧迫し、前記少なくとも1つの主要な静脈を通じる血流を制限するための調節可能な圧迫部材を有するスポーツ衣料であって、
(1)前記衣料は、上半身に着る衣服またはTシャツであり、前記圧迫部材は、前記上半身に着る衣服または前記Tシャツの袖に設けられ、前記圧迫部材は、使用中に、前記使用者の腋窩に近接した前記使用者の腕の上部に配置されているか、
または、
(2)前記衣料は、一対のショーツまたは一対のズボンであり、前記圧迫部材は、前記一対のショーツまたは前記一対のズボンの脚部に設けられ、前記圧迫部材は、使用中に、前記使用者の鼠径部に近接した前記使用者の大腿部の上部に配置されている、
スポーツ衣料。
【請求項2】
前記圧迫部材は、弾性バンドを備え、
前記弾性バンドは、前記圧迫部材が前記少なくとも1つの主要な静脈を圧迫しない第1構成と、前記弾性バンドに張力がかかり、前記弾性バンドが前記少なくとも1つの主要な静脈を圧迫する第2構成との間で調節可能であるように構成されている、
請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記弾性バンドは、第1端部と第2端部とを有し、
前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方は、前記弾性バンドを前記第1構成と前記第2構成との間で調節するために、前記第1端部および前記第2端部の他方に対して移動可能である、
請求項2に記載の衣料。
【請求項4】
前記弾性バンドの前記第1端部は、前記衣料に固着され、
前記弾性バンドの前記第2端部は、前記衣料に解除可能に固定されるように構成されている、
請求項3に記載の衣料。
【請求項5】
前記第1端部および前記第2端部の少なくとも一方は、ラチェット機構を有する回転式のダイヤルに接続され、前記ダイヤルの回転により、前記弾性バンドに張力がかけられる、請求項3に記載の衣料。
【請求項6】
前記弾性バンドの前記第2端部は、キャッチ部および鳩目の型式の留め具によって前記衣料に解除可能に固定されている、請求項4に記載の衣料。
【請求項7】
前記弾性バンドの前記第2端部は、フック・アンド・ループ型留め具によって前記衣料に解除可能に固定されている、請求項4に記載の衣料。
【請求項8】
前記圧迫部材を少なくとも部分的に収容する袖またはハウジングをさらに備えている、請求項1~7のいずれか1つに記載の衣料。
【請求項9】
前記弾性バンドの前記第2端部は、前記弾性バンドが前記第1構成にあるときに、前記袖または前記ハウジングから少なくとも部分的に突出している、請求項3~7のいずれか1つに従属した請求項8に記載の衣料。
【請求項10】
前記フック・アンド・ループ型留め具の一部は、前記袖または前記ハウジングの外表面に配置され、
前記フック・アンド・ループ型留め具の相補部は、前記弾性バンドの前記第2端部に配置されているか、または前記弾性バンドの前記第2端部に近接して配置されている、
請求項7に従属した請求項9に記載の衣料。
【請求項11】
前記圧迫部材によって前記少なくとも1つの主要な静脈に加えられた圧迫の量を表示するための印をさらに有する、請求項1~10のいずれか1つに記載の衣料。
【請求項12】
前記弾性バンドの下面には、少なくとも1つの主要な静脈の血流を制限するが、主要な動脈の血流を許容する適切な位置において、前記使用者の前記肢体に追加の圧力を加えるように構成されたパッドまたは突出部が設けられている、請求項2、または請求項2に従属する請求項3~11のいずれか1つに記載の衣料。
【請求項13】
前記パッドまたは前記突出部は、実質的に固体である、請求項12に記載の衣料。
【請求項14】
前記パッドまたは前記突出部は、クッション性を有する、請求項12に記載の衣料。
【請求項15】
前記弾性バンドの長さに沿った前記パッドまたは前記突出部の位置は、調節可能である、請求項12~14のいずれか1つに記載の衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血流制限技術を組み込んだ衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
血流制限(BFR:Blood Flow Restriction)トレーニングは、血管閉塞(vascular occlusion)トレーニングとしても知られ、急速に筋肉量を増加させるために立案された運動手法である。動かす筋肉に近接する主要な血管(または、複数の主要な血管)を圧迫し、主要な静脈を流れる血液を減少させる。このことは、筋肉において静脈還流を阻害し、静脈貯留を引き起こして、代謝ストレスをもたらす。このことは、引き続いて急速な筋肉の成長、すなわち、静脈貯留を阻害しない同一の筋ストレス運動(muscle stress exercises)と比較してより速い筋組織の増大をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現存のBFR手法は、所望の肢体の周りにバンドを結ぶことを伴う。この現存手法には、使用者がトレーニングにBFRを組み込みたいと思う度に、肢体上でバンドの正しい位置を見つけ出し、バンドによって生じる圧力を主要な血管が位置する正しい位置に加えなければならないという欠点がある。主要な静脈またはそれ以外(例えば、動脈)に正しく圧力を加えるために、BFRを組み入れる度に所望の筋肉上にバンドを正しく配置することは、困難であり得る。さらに、現存の手法には、主要な静脈上のバンドによって発揮される正しい圧力を使用者が使用の度に見つけ出す必要があるという欠点がある。正しい量の圧力を加え、主要な静脈を正しい量だけ圧迫するためにバンドの張力を調節することは、困難であり得る。さらなる欠点は、バンドが目障りであることにある。使用者は、バンドを使用せずに通常のトレーニングをしたいと思った場合に、バンドを持ち運ぶか、またはポケットにしまっておく必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様から見ると、使用者の肢体において主要な動脈を通じる血流を許容する一方で、使用者の肢体において少なくとも1つの主要な静脈を圧迫し、少なくとも1つの主要な静脈を通じる血流を制限するための調節可能な圧迫部材を有するスポーツ衣料が提供される。
(1)衣料は、上半身に着る衣服またはTシャツである。圧迫部材は、上半身に着る衣服またはTシャツの袖に設けられている。圧迫部材は、使用中に、使用者の腋窩に近接した使用者の腕の上部に配置されている。
または、
(2)衣料は、一対のショーツまたは一対のズボンである。圧迫部材は、一対のショーツまたは一対のズボンの脚部に設けられている。圧迫部材は、使用中に、使用者の鼠径部に近接した使用者の大腿部の上部に配置されている。
【0005】
衣料は、圧迫部材を正しく配置し、使用者の上腕部または大腿部において、不当に動脈の血流を制限することなく、少なくとも1つの主要な静脈の血流を制限するように設計されている。このことは、通常のスポーツ衣料を着用したときの運動と比較して、上腕部または大腿部の筋肉のより速い成長をもたらし得る。
【0006】
衣料は、少なくとも1つの主要な静脈を調節可能に圧迫する圧迫部材を収容するための袖またはハウジングを備えてもよい。これにより、例えば、圧迫部材が血流を制限するのに使用されていないときには、圧迫部材を覆ったり隠したりすることができ、衣料が通常のスポーツ衣料のように見える。また、使用者が衣料を着用しているときに、任意のタイミングでBFRを使用する選択肢を有することがより確実になる。分離したBFR器具は、紛失することがあり、持ち運びに不便であり得る。
【0007】
衣料の袖またはハウジングは、衣料の残りの部分と同一の生地で製造されてもよい。このことにより、衣料は、継ぎ目のない外観にされ得る。また、圧迫部材は使用者によって調節時に繰り返し引っ張られるが、このことにより、衣料の耐久性が向上され得る。
【0008】
圧迫部材は、弾性バンドを備えてもよい。弾性バンドは、圧迫部材が少なくとも1つの主要な静脈を圧迫しない第1構成と、弾性バンドに張力がかかり、弾性バンドが少なくとも1つの主要な静脈を圧迫する第2構成との間で調節可能に構成されている。弾性バンドの張力は、少なくとも1つの主要な静脈に対する圧迫をもたらし得る。
【0009】
弾性バンドは、第1端部と第2端部とを有してもよい。第1端部および第2端部の少なくとも一方は、弾性バンドを第1構成と第2構成との間で調節するために、第1端部および第2端部の他方に対して移動可能であってもよい。このことにより、BFRが望まれるときに、弾性バンドは、主要な静脈を継続的に圧迫する緊張状態により確実に留まり得る。
【0010】
弾性バンドの第1端部は、衣料に固着されてもよい。弾性バンドの第2端部は、衣料に解除可能に固定されるように構成されてもよい。このことにより、使用者は、BFRが実施されるモードと通常モードとの間で衣料を繰り返し切り替えることができる。
【0011】
弾性バンドの第2端部は、弾性バンドが第1構成にあるときに、ハウジングから少なくとも部分的に突出するように構成されていてもよい。このことにより、使用者は、弾性バンドを容易に掴み、第1構成から第2構成に容易に動かすことができる。
【0012】
第2端部は、フック・アンド・ループ型留め具によって衣料に解除可能に固定されるように構成されてもよい。一実施形態では、フック・アンド・ループ型留め具のフック部またはループ部の帯(strap)の一方が、袖またはハウジングの外表面に取り付けられてもよい。また、ループ部またはフック部の帯の他方は、弾性バンドの第2端部に近接し、弾性バンドの内表面に取り付けられてもよい。このことにより、弾性バンドを袖またはハウジングに十分に接合させることができる。また、フック・アンド・ループ型留め具は、軽量であり、不都合な突出がなく、すなわち平坦であるという利点も有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1端部および第2端部の少なくとも一方は、ラチェット機構を有する回転式のダイヤルに接続されている。ダイヤルの回転により、弾性バンドに張力がかけられ得る。このタイプの好適な機構は、例えば、履物の紐締めシステムに関して国際公開第99/09850号に開示されており、その内容が参照により本願に組み込まれる。
【0014】
さらに、衣料は、圧迫部材によって少なくとも1つの主要な静脈に加えられる圧迫の量を表示する印を有してもよい。いくつかの実施形態では、圧迫の量は、弾性バンドにかかる張力の量の関数である。例えば、弾性バンド、袖またはハウジング、および/またはフック・アンド・ループ型留め具の少なくとも1つの長さに沿ったマーキングの形式の印、または、回転式ダイヤルの周囲にあるマーキングの形式の印を設ける。このことにより、使用者は、快適で、弾性バンドの張力が効果的な程度であった位置を記録でき、衣料をのちに使用するときに、同一程度の張力に容易に再設定できる。
【0015】
いくつかの実施形態では、弾性バンドの第2端部は、袖またはハウジングに組み込まれた複数の鳩目の1つに引っ掛けられるように構成されたキャッチ部によって、衣料に解除可能に取り付けられるように構成されてもよい。キャッチ部は、弾性バンドの第2端部に近接して、弾性バンドの内表面に取り付けられてもよい。このことにより、弾性バンドを袖またはハウジングに着脱可能に固定できる。また、この構成は、ループ・アンド・フック型留め具よりも優れた審美性を有し得る。さらに、キャッチ部には、スポーツ衣料のロゴがエンボス加工されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、弾性バンドの下面に、少なくとも1つの主要な静脈の血流を制限するが、主要な動脈の血流を許容する適切な位置において、使用者の肢体に追加の圧力を加えるように構成されたパッドまたは突出部が設けられてもよい。
【0017】
パッドまたは突出部は、実質的に固体であってもよく、または、いくつかの実施形態では、快適性のためにクッション性を有してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、弾性バンドの長さに沿ったパッドまたは突出部の位置は、正しい配置を可能にするために、使用者によって調節可能であってもよい。パッドまたは突出部は、クリップまたは他の固定具によって正しい位置に保持され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態は、添付図面を参照しながら、以下にさらに説明される。
【0020】
【
図1】
図1は、少なくとも1つの主要な静脈を調節可能に圧迫する圧迫部材を有した、第1実施形態に係るスポーツ衣料を示す図である。
【
図2】
図1は、少なくとも1つの主要な静脈を調節可能に圧迫する圧迫部材を有した、第2実施形態に係るスポーツ衣料を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の衣料において、非係合の(neutral)第1位置にある圧迫部材の拡大図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の衣料における圧迫部材の拡大図であって、使用者が圧迫部材を非係合の第1位置から係合した第2位置に調節しているところを示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の衣料において、係合した第2位置にある圧迫部材の拡大図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の衣料において、非係合の第1位置にある圧迫部材の拡大図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の衣料における圧迫部材の拡大図であって、使用者が圧迫部材を非係合の第1位置から係合した第2位置に調節しているところを示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の衣料において、係合した第2位置にある圧迫部材の拡大図である。
【
図9】
図9は、ハウジングを除いた圧迫部材を示す図である。
【
図11】
図11は、圧迫部材のさらに代替的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、第1および第2の袖102を備えたTシャツ100を示す図である。第1および第2の袖102は、一体化された調節可能なバンド部(strap)104をそれぞれ備えている。第1の袖および第2の袖102に一体化された調節可能なバンド部104は、実質的に同等であってよい。一体化された調節可能なバンド部104は、ハウジング106内に弾性バンド(strap)108を備えている。
【0022】
弾性バンド108は、ツイルテープまたはゴムから製造されてもよい。
図1では、弾性バンド108は、弛緩し、いずれの主要な静脈も圧迫していない非係合の第1位置にある。ハウジング106は、袖102の端部を袖102自体の下に折り、袖102の端部の縁部を袖102の内側に、例えば、縫い合わせるか、または布用接着剤を用いて接着して、固定することによって形成される。
【0023】
ハウジングの幅は、実質的に弾性バンド108の幅にされるか、または弾性バンド108よりもわずかに太くされるべきである。弾性バンド108の幅は、2~3cm、好ましくは2.5cmであってもよい。この幅は、局部的な圧力を所望の領域に加えることを可能にするとともに、関連する肢体の表面上で圧力を分散させ、前記肢体の痛みを軽減するのに十分な太さである。
【0024】
代替例では、ハウジング106は、Tシャツ100の生地の表面に別の生地を縫合して形成されてもよい。ハウジング106は、Tシャツ100が非改良のスポーツウェアTシャツに類似するように、弾性バンド108を覆い隠すのに役立つ。
【0025】
図1では、弾性バンド108の第2端部の部分のみが露出している。第1端部、中間部、および第2端部の残りの部分は、ハウジング106内にある。第2端部の露出した部分は、弾性バンド108を伸ばすために容易に保持しつかむことが可能なタブ112として機能する。
【0026】
タブ112は、弾性バンドの第2端部を第2端部自体に折り返し、タブ112の厚さを2倍にすることにより補強されてもよい。タブ112は、細長い金属片をタブの端部に折り重ねることにより補強されてもよい。細長い金属片は、歯状部によってタブ112に固定されてもよい。歯状部は、その端部において、タブ112に突き刺さる。
【0027】
第1端部は、ハウジング106の内側に固定的に取り付けられている。第1端部は、ハウジング106の内側に取り付けられた金属バックル103(
図9参照)を通じて輪状にされ、第1端部自体に戻って金属バックル103(
図9参照)上で縫い合わされることにより取り付けられてもよい。あるいは、第1端部は、第2端部を衣料に直接縫い合わせることにより、または、布用接着剤を用いて接着することにより、固定的に取り付けられてもよい。
【0028】
第2端部は、使用者の上腕二頭筋の上部の周囲にあるハウジングを通じ、金属バックル103(
図9参照)に挿通されてもよい。2倍の厚さのタブ112は、弾性バンド108の第2端部がハウジング106内にまで後退しすぎるのを防止するのに役立つ。
【0029】
第2端部には、第2端部を衣料に着脱可能に取り付けるための解除可能なコネクタ110、または解除可能なコネクタ110の第1部分110a(
図9参照)が固定的に取り付けられている。衣料100は、第2端部を衣料に着脱可能に取り付けるための解除可能なコネクタの第2部分110bを有してよい。第2端部を衣料に着脱可能に取り付けるための解除可能なコネクタ110の第1部分110a(
図9参照)と第2部分110bとは、フック・アンド・ループ型留め具110、例えばベルクロ(登録商標)を有する。
【0030】
フック・アンド・ループ型留め具110のループ部またはフック部の一方110bは、ハウジング106の外表面に配置されている。フック・アンド・ループ型留め具110のループ部は、ハウジング106の外表面に配置されることが好ましい。このことにより、Tシャツ100を着用しているときに、第2端部を着脱可能に取り付けるための解除可能なコネクタ110の第2部分110bに接触し得る使用者に対する不快感が防止される。
【0031】
フック・アンド・ループ型留め具110のフック部またはループ部の他方110a(
図9参照)は、弾性バンド108の第2端部の外表面に取り付けられている。このように、フック・アンド・ループ型留め具110のフック部110a(
図9参照)とループ部110bとを係合させることにより、第2端部は、Tシャツの袖102に着脱可能に取り付けられ得る。
【0032】
第2端部112は、他の方法を用いてTシャツの袖102に着脱可能に取り付けられてもよい。例えば、第2端部は、金属の輪と係合するために、弾性バンド108の外表面に取り付けられた鳩目(eyelet)、ボタン、またはスナップ(popper)と、関連してハウジング106の外表面に取り付けられたボタン穴またはスナップとを有してもよい。
【0033】
図2は、一体化された調節可能なバンド部204をそれぞれ有する第1および第2脚部202を備えた一対のショーツ(shorts)200を示す図である。一体化された調節可能なバンド部204は、
図1のTシャツ100に記載の一体化された調節可能なバンド部104と実質的に同様である。
【0034】
一体化された調節可能なバンド部204は、ハウジング206内に弾性バンド208を備えている。弾性バンド208の第1端部は、ハウジング206内に取り付けられている。弾性バンド208の第2端部の外表面は、一対のショーツ200の脚部202に着脱可能に取り付けられる解除可能なコネクタ210、または解除可能なコネクタの第1部分210a(
図9参照)を有する。弾性バンド208を脚部202に着脱可能に取り付けるための解除可能コネクタ210の第2部分210bは、ハウジング206の外表面に取り付けられてもよい。
【0035】
図1で説明した構成と同様に、第1端部と、中間部と、第2端部の一部とは、ハウジング206内にある。第2端部の露出した部分は、弾性バンド208を動かすために容易に保持しつかむことが可能なタブ212として機能する。タブ212は、弾性バンドの第2端部を第2端部自体に折り返し、タブ212の厚さを2倍にすることにより補強されてもよい。
【0036】
弾性バンド208の第1端部は、ハウジング206の内側に固定的に取り付けられている。第1端部は、ハウジング206の内側に取り付けられた金属バックル203(
図9参照)に通じて輪状にされ、第1端部自体に戻って金属バックル203(
図9参照)上で縫い合わされることにより取り付けられてもよい。あるいは、第1端部は、第2端部を衣料に直接縫い合わせることにより、または、布用接着剤を用いて接着することにより、固定的に取り付けられてもよい。
【0037】
第2端部は、使用者の大腿部の上部の周囲にあるハウジング206を通じ、金属バックル203(
図9参照)に挿通されてもよい。2倍の厚さのタブ212は、弾性バンド208の第2端部がハウジング206内にまで後退しすぎるのを防止するのに役立つ。
【0038】
図2の例では、弾性バンド208の第2端部を脚部202に着脱可能に取り付けるための解除可能なコネクタ210は、フック・アンド・ループ型留め具210である。弾性バンド208を脚部202に着脱可能に取り付けるための解除可能なコネクタの第1部分210a(
図9参照)は、フック・アンド・ループ型留め具のフック部であることが好ましい。また、フック・アンド・ループ型留め具の第2部分210bは、フック・アンド・ループ型留め具のループ部であることが好ましい。
【0039】
一体化された調節可能なバンド部204は、一対のショーツの股部のすぐ下方に配置され、一対のショーツが使用者によって着用されているときに、大腿筋の上部にあるようにされる。
図2の例では、ハウジング206は、一対のショーツ200上に材料片を縫い合わせるか、または接着することにより形成される。代替の実施形態では、ハウジング206は、一対のショーツ200の脚部202の端部を脚部202自体の下に折り、脚部202の端部の縁部を脚部202の内側に、例えば、縫い合わせるか、または布用接着剤を用いて接着して、固定することにより形成され得る。
【0040】
下に折られる脚部202の端部の幅は、実質的に弾性バンド208の幅にされるか、または弾性バンド208よりもわずかに太くされるべきである。弾性バンド208の幅は、2~3cm、好ましくは2.5cmであってよい。この構成では、脚部202の長さは、脚部202の端部が大腿部の上部に届くような長さにされる。このようにして、この方法で製造された作られたハウジングは、脚部の長さが短い一対のショーツをもたらす。
【0041】
図3は、一体化された調節可能なバンド部104を有するTシャツ100の袖102の拡大図である。
図3は、弾性バンド108に張力のかかっていない第1位置にある一体化された調節可能なバンド部104を示している。弾性バンド108の長さは、Tシャツ100のサイズに応じて変更されてもよい。上腕二頭筋の周囲が小さい使用者よりも大きい使用者には、より長い弾性バンド108が必要である。一体化された調節可能なバンド部104は、使用者がTシャツ100を着用しているときに、使用者の腋窩に近接した上腕二頭筋の上部に配置される。
【0042】
図4は、使用者が弾性バンド108を、弾性バンド108が弛緩した非係合の第1位置から、弾性バンド108に張力のかかった第2位置に動かすところを示す図である。弾性バンド108の長さは、弾性バンド108を伸ばし、弾性バンド108上のフック・アンド・ループ型留め具110の第1部分110a(
図9参照)をハウジング106上のフック・アンド・ループ型留め具110の第2部分に係合させ得るような長さにされるべきである。
【0043】
使用者は、親指と人差し指でタブ112をつまみ、タブ112を固定的に取り付けられた弾性バンド108の第1端部から引き離すことにより、弾性バンド108を非係合の第1位置から第2位置に動かす。弾性バンド108の第2端部を動かし、弾性バンド108の第1端部の固定からさらに離すことにより、弾性バンド108にかかる張力の量を調節することができる。
【0044】
図5は、弾性バンド108の第2端部が着脱可能に取り付けられたTシャツ100を示す図である。フック・アンド・ループ型留め具110の第1部分110a(
図9参照)と第2部分110bとが係合し、弾性バンド108は、張力のかかった状態で固定されている。
図5では、弾性バンド108は、バンドが覆っている上腕二頭筋に関連する主要な静脈を圧迫し、前記の主要な静脈を通じる血流を減少させるように、張力のかかった状態にある。血流は、40~50%に減じられることが好ましい。
【0045】
一体化された調節可能なバンド部104には、弾性バンド108にかかる張力の量を表示するために、ハウジング106、弾性バンド108、および/またはフック・アンド・ループ型留め具110の長さに沿ったマーカ(図示せず)が備えられてもよい。このようにして、使用者は、弾性バンド108に加えた張力の量に関する値を得る。このことにより、使用者には、のちにスポーツ衣料100のBFRを使用するときに弾性バンド108に加えた張力の量に復帰するための容易な方法が提供され得る。
【0046】
図6は、一体化された調節可能なバンド部204を備えた一対のショーツ200の脚部202の拡大図である。弾性バンド208は、張力のかかっていない第1位置にある。弾性バンド208の長さは、一対のショーツのサイズに応じて変更されてもよい。大腿部の周囲が小さい使用者よりも大きい使用者には、より長い弾性バンド208が必要である。ハウジング206と一体化された調節可能なバンド部204とは、使用者が一対のショーツを着用しているときに、使用者の鼠径部に近接した大腿部の上部に配置される。
【0047】
図7は、使用者が弾性バンド208を、弾性バンド208が弛緩している第1位置から、弾性バンド208に張力のかかった第2位置に動かすところを示す図である。使用者は、親指と人差し指でタブ212をつまみ、タブ212を固定的に取り付けられた弾性バンド208の第1端部から引き離すことにより、弾性バンド208を非係合の第1位置から第2位置に動かす。主要な静脈に対する圧迫は、血流を元の流量の約40~50%に制限するようなものであることが好ましい。弾性バンド208の張力の量は、弾性バンド208の第2端部を弾性バンド208の第1端部の固定からさらに遠ざけることによって調節され得る。
【0048】
図8は、弾性バンド208の第2端部が着脱可能に取り付けられた一対のショーツ200を使用者が着用しているところを示す図である。弾性バンド208の長さは、弾性バンド208上のフック・アンド・ループ型留め具210の第1部分210a(
図9参照)が、ハウジング上のフック・アンド・ループ型留め具210の第2部分210bに係合したときに、弾性バンド208に張力がかかるような長さにされるべきである。弾性バンドは、フック・アンド・ループ型留め具210の係合により、張力のかかった状態で固定される。
【0049】
一体化された調節可能なバンド部204には、弾性バンド208にかかる張力の量を表示するために、ハウジング206、弾性バンド208、および/またはフック・アンド・ループ型留め具210の長さに沿ったマーカ(図示せず)が備えられてもよい。このようにして、使用者は、弾性バンド208に加えた張力の量に関する値を得る。このことにより、使用者には、のちにスポーツ衣料200のBFRを使用するときに弾性バンド208に加えた張力の量に復帰するための容易な方法が提供され得る。
【0050】
図9は、弾性バンド108,208の構成をより明確に説明するために、ハウジング106,206を除いて、一体化された調節可能なバンド部104,204を示す図である。ハウジングには、金属バックル103,203が取り付けられている。金属バックル103,203には、弾性バンド108,208の第1端部が取り付けられている。この取り付けは、バックルの棒の周囲に生地の輪を縫い合わせることにより実現されてもよい。
【0051】
弾性バンドは、衣料における使用者の肢体のための開口部の周囲に巻回され、金属バックル103,203の第2の棒に挿通されている。タブ112,212は、金属バックル103,203の棒同士の間の開口部よりも厚い。金属バックル103,203は、弾性バンド108,208の第2端部がハウジング106,206内にまで後退しすぎるのを防止し得る。第2端部を衣料に取り付けるための解除可能なコネクタの第1部分110a,210aは、弾性バンドの外表面に取り付けられている。このことにより、弾性バンドがバックル上で折り返されたときに、第1部分110a,210aがハウジング106,206の外面の第2部分110b,210bに係合するようにされている。
【0052】
図10は、弾性バンド108,208の第2端部を衣料100,200に着脱可能に取り付けるための代替的な構成を示す図である。キャッチ部105,205は、複数の鳩目107,207の1つに引っ掛けられるように構成されている。鳩目107,207は、ハウジング106,206に距離dの間隔を空けて配置されている。鳩目107,207は、補強され、ハウジング106,206の材料をほつれないようにするとともに、鳩目107,207に対するキャッチ部105,205の力を補助するようにされている。
【0053】
キャッチ部105,205の長さは、弾性バンド108,208の幅と実質的に同等である。このことにより、弾性バンド108,208からキャッチ部105,205によって与えられた鳩目107,207にかかる弾性力を、キャッチ部105,205の長さに沿って分散させ、ハウジング106,206の損傷を防止することが可能になる。キャッチ部105,205の半径は、2~7mmであってもよい。このことにより、キャッチ部が使用者の皮膚にまで突出することによる不快感を使用者に与えることなく、鳩目107,207に対する十分な取り付けを行うことが可能になる。
【0054】
キャッチ部105,205は、アルミニウムまたは鋼などの金属から製造されてもよい。キャッチ部105,205は、耐酸化性金属から製造されることが好ましい。このことにより、スポーツ衣料100,200を着用した使用者から生じ得る汗の存在下においても、キャッチ部105,205の耐久性がより確実にされ得る。
【0055】
鳩目107,207は、補強要素109,209によって、例えば、鳩目107,207の周囲に薄い材料片を折り重ねることによって、補強されてもよい。この材料は、耐酸化性金属であることが好ましい。
【0056】
1つのキャッチ部105,205および複数の鳩目107,207は、ループ・アンド・フック型留め具110,210よりも優れた審美性を有し得る。さらに、1つのキャッチ部105,205および/または補強要素109,209には、スポーツ衣料のロゴがエンボス加工されてもよい。
【0057】
弾性バンド108,208の張力の量を表示するためのマーカの代替として、補強された鳩目107,207自体が弾性バンドにかかる張力の量を表示する役割を果たしてもよい。例えば、使用者は、可能性のある3つの鳩目107,207のうち2つ目の鳩目107,207にキャッチ部105,205を引っ掛けたことを思い出すことができる。
【0058】
図11は、一体化された調節可能なバンド部104を備えたTシャツ100の袖102の拡大図である。
図11は、弾性バンド108が張力のかかっていない第1位置にある一体化された調節可能なバンド部104を示している。弾性バンド108の長さは、Tシャツ100のサイズに応じて変更されてもよい。上腕二頭筋の周囲が小さい使用者よりも大きい使用者には、より長い弾性バンド108が必要である。一体化された調節可能なバンド部104は、使用者がTシャツ100を着用しているときに、使用者の腋窩に近接した上腕二頭筋の上部に配置される。
【0059】
弾性バンド108には、ラチェット付きダイヤル150を時計回り方向に回転させ、テンショニングコード151をダイヤル150に接続されたスプール(図示せず)上に巻き付けることにより、張力をかけることができる。テンショニングコード151は、弾性バンド108の第2端部112に接続されている。運動後、使用者がBFRトレーニングを止めたいときには、ダイヤル150を反時計回りに回転させ、弾性バンド108にかかる張力を解放することができる。ダイヤル150には、弾性バンド108の張力の量および少なくとも1つの主要な静脈に対する圧迫の程度を使用者に表示するように、印152が設けられている。
【0060】
本明細書に記載の衣料は、図面に示すようなTシャツまたは一対のショーツに限定されるものではない。衣料は、主要な筋肉を覆う物体を備えた任意の衣料であってもよい。主要な筋肉には、いくつかの非限定的な例として、上腕二頭筋、大腿部、ふくらはぎ、前腕が挙げられる。衣料は、任意の適切なスポーツウェア材料から製造されてもよい。適切なスポーツウェア材料には、少数の非限定的な例として、ポリエステル、エラスタン(elastane)またはスパンデックス、綿、および絹が挙げられる。
【0061】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、「有する」および「含む」という語およびこれらの変形は、「含むが、それらに限定されない」という意味であり、他の部分、添加物、構成要素、整数または工程を除外することを意図しておらず、また除外もしない。本明細書の記載および特許請求の範囲を通じて、単数形の語は、文脈上他に要求されない限り、複数形の語を包含している。本明細書は、特に不定冠詞が使用された箇所において、文脈上他に要求されない限り、単数形の語と同様に複数形の語も考慮しているものとして理解されるべきである。
【0062】
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関して記載された特徴、整数、特性、化合物、化学的部分、または化学基は、本明細書に記載の他の任意の態様、実施形態、または例に対して、それらと相容れない場合を除き、適用可能であると理解される。本明細書(添付された特許請求の範囲、要約書、および図面のいずれも含む)に開示された全ての特徴および/またはそのように開示された任意の方法または処理の全ての工程は、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が互いに排他的である組合せを除き、任意の組合せに組み合わされてもよい。本発明は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(添付された特許請求の範囲、要約書、および図面のいずれも含む)に開示された特徴のうち任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せ、または、そのように開示された任意の方法もしくは処理の工程のうち任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0063】
読者の注意は、本出願に関連しており、本明細書と同時に、または、本明細書より以前に提出され、本明細書と共に縦覧に供されている全ての書類および文献に対して向けられる。全てのそのような書類および文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の肢体において主要な動脈を通じる血流を許容する一方で、前記使用者の前記肢体において少なくとも1つの主要な静脈を圧迫し、前記少なくとも1つの主要な静脈を通じる血流を制限するための調節可能な圧迫部材を有するスポーツ衣料であって、
(1)前記衣料は、上半身に着る衣服またはTシャツであり、前記圧迫部材は、前記上半身に着る衣服または前記Tシャツの袖に設けられ、前記圧迫部材は、使用中に、前記使用者の腋窩に近接した前記使用者の腕の上部に配置されているか、
または、
(2)前記衣料は、一対のショーツまたは一対のズボンであり、前記圧迫部材は、前記一対のショーツまたは前記一対のズボンの脚部に設けられ、前記圧迫部材は、使用中に、前記使用者の鼠径部に近接した前記使用者の大腿部の上部に配置されている、
スポーツ衣料。
【外国語明細書】