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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003846
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20240109BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20240109BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240109BHJP
【FI】
F24C3/12 A
F24C3/00 L
F24C7/04 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103141
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲也
【テーマコード(参考)】
3L087
【Fターム(参考)】
3L087AA01
3L087BC02
3L087BC07
3L087BC10
3L087BC11
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】自動調理モードにおいて、ユーザが好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を容易に入力可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】自動調理時間の追加加熱時間を設定可能な加熱調理器において、自動調理モードを実行させるとき、記憶部23に記憶された過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度を集計し、所定の追加加熱設定許可期間中、過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部12に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱手段と、
被調理物を自動調理する自動調理モードを含む加熱手段の加熱設定を入力可能な加熱設定入力部と、
加熱設定入力部で自動調理モードが入力されたとき、被調理物を自動調理する自動調理時間内に設けられた追加加熱設定許可期間であれば、自動調理時間の追加加熱時間を設定可能な追加加熱時間設定部と、
追加加熱時間設定部で設定された過去の追加加熱時間の履歴を記憶する記憶部と、
所定の情報を表示する表示部と、
制御部と、を備え、
制御部は、記憶部に記憶された過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計し、
追加加熱設定許可期間中、過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させる加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
追加加熱時間設定部は、一旦、追加加熱時間が設定された後、設定された追加加熱時間を延長または短縮する追加加熱時間の変更を設定可能に構成され、
記憶部は、追加加熱時間が変更された場合、変更後の追加加熱時間の履歴を記憶する加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器は、さらに、
被調理物周辺の雰囲気温度または被調理物の温度を検出する温度検出手段を有し、
記憶部は、過去の追加加熱時間の履歴を、自動調理時間内の所定の判定期間における温度検出手段で検出される温度特性とともに記憶し、
制御部は、自動調理が開始されると、判定期間における現在の自動調理の温度特性を取得し、
記憶部に記憶された現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計し、
追加加熱設定許可期間中、現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させる加熱調理器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
制御部は、記憶部に同じ設定頻度の異なる追加加熱時間の設定値が記憶されている場合、より新しい追加加熱時間の設定値を優先的に表示部に表示させる加熱調理器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
加熱設定入力部は、複数種の自動調理モードを含み、
記憶部は、過去の追加加熱時間の履歴を、自動調理モードごとに記憶し、
制御部は、記憶部に記憶された自動調理モードごとに過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計し、
加熱設定入力部で複数種の自動調理モードのうちの1つの自動調理モードが入力されると、追加加熱設定許可期間中、入力された自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させる加熱調理器。
【請求項6】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
制御部は、追加加熱設定許可期間が開始されてから所定の選択時間、過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させ、
選択時間が経過しても、追加加熱時間設定部で追加加熱時間が設定されなかった場合、過去の追加加熱時間の設定値のうち最も設定頻度の高い追加加熱時間の設定値を自動で設定する加熱調理器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動調理モードを有する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動調理モードにおいてユーザの好みに応じた調理の出来上がりとするため、自動調理中、ユーザが被調理物に対して加熱不足を感じると、自動調理時間を延長して焼き足しを行えるように、所定時間内であればユーザが手動により焼き足し時間を設定可能な加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-43065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の加熱調理器では、ユーザが同じ自動調理モードを実行する場合でも、毎回、焼き足し時間を手動で設定する必要がある。そのため、ユーザは各自動調理モードにおける好みの調理の出来上りとなる焼き足し時間を覚えておく必要があり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、自動調理モードにおける使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
被調理物を加熱する加熱手段と、
被調理物を自動調理する自動調理モードを含む加熱手段の加熱設定を入力可能な加熱設定入力部と、
加熱設定入力部で自動調理モードが入力されたとき、被調理物を自動調理する自動調理時間内に設けられた追加加熱設定許可期間であれば、自動調理時間の追加加熱時間を設定可能な追加加熱時間設定部と、
追加加熱時間設定部で設定された過去の追加加熱時間の履歴を記憶する記憶部と、
所定の情報を表示する表示部と、
制御部と、を備え、
制御部は、記憶部に記憶された過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計し、
追加加熱設定許可期間中、過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させる加熱調理器が提供される。
【0007】
上記加熱調理器によれば、追加加熱設定許可期間中、過去の追加加熱時間の設定値が設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示されるから、ユーザは好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を容易に設定することができる。従って、ユーザは好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を覚える必要がないから、自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0008】
好ましくは、上記加熱調理器において、
追加加熱時間設定部は、一旦、追加加熱時間が設定された後、設定された追加加熱時間を延長または短縮する追加加熱時間の変更を設定可能に構成され、
記憶部は、追加加熱時間が変更された場合、変更後の追加加熱時間の履歴を記憶する。
【0009】
上記加熱調理器によれば、一旦、追加加熱時間を設定した後でも、追加加熱時間を延長または短縮する追加加熱時間の変更ができるから、ユーザが誤って追加加熱時間を設定した場合や調理の出来上がりを変更したい場合でも、追加加熱時間を修正することができる。また、上記加熱調理器によれば、追加加熱時間が変更された場合、記憶部には変更後の追加加熱時間の履歴が記憶されるから、ユーザは変更後の追加加熱時間を覚えておく必要がない。これにより、さらに自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0010】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
被調理物周辺の雰囲気温度または被調理物の温度を検出する温度検出手段を有し、
記憶部は、過去の追加加熱時間の履歴を、自動調理時間内の所定の判定期間における温度検出手段で検出される温度特性とともに記憶し、
制御部は、自動調理が開始されると、判定期間における現在の自動調理の温度特性を取得し、
記憶部に記憶された現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計し、
追加加熱設定許可期間中、現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させる。
【0011】
被調理物周辺の雰囲気温度または被調理物の温度を検出すれば、自動調理中の一定期間における温度上昇幅や温度勾配などの温度特性から、被調理物の大きさや被調理物の量などの調理条件の違いを把握することができる。また、自動調理中の上記温度特性によって、調理の出来上がりが異なってくる。従って、自動調理が開始されると、判定期間における現在の自動調理の温度特性を取得して、記憶部に記憶された現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度を集計し、追加加熱設定許可期間中、現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させることによって、ユーザは好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を容易に設定することができる。
【0012】
好ましくは、上記加熱調理器において、
制御部は、記憶部に同じ設定頻度の異なる追加加熱時間の設定値が記憶されている場合、より新しい追加加熱時間の設定値を優先的に表示部に表示させる。
【0013】
上記加熱調理器によれば、同じ設定頻度でも、より新しい追加加熱時間の設定値が表示部に優先的に表示されるから、ユーザは最近の好みの調理の出来上がりに合致する追加加熱時間を容易に設定することができる。
【0014】
好ましくは、上記加熱調理器において、
加熱設定入力部は、複数種の自動調理モードを含み、
記憶部は、過去の追加加熱時間の履歴を、自動調理モードごとに記憶し、
制御部は、記憶部に記憶された自動調理モードごとに過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計し、
加熱設定入力部で複数種の自動調理モードのうちの1つの自動調理モードが入力されると、追加加熱設定許可期間中、入力された自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させる。
【0015】
上記加熱調理器によれば、複数種の自動調理モードのうちの1つの自動調理モードが入力されると、追加加熱設定許可期間中、入力された自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定値が設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示されるから、より自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0016】
好ましくは、上記加熱調理器において、
制御部は、追加加熱設定許可期間が開始されてから所定の選択時間、過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に表示部に表示させ、
選択時間が経過しても、追加加熱時間設定部で追加加熱時間が設定されなかった場合、過去の追加加熱時間の設定値のうち最も設定頻度の高い追加加熱時間の設定値を自動で設定する。
【0017】
上記加熱調理器によれば、ユーザが追加加熱時間の設定を忘れていた場合でも、ユーザの好みの調理の出来上がりに合致する追加加熱時間が自動で設定されるから、より自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るグリル装置を示す概略模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係るグリル装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係るグリル装置の設定表示パネルを示す説明図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係るグリル装置の設定表示パネルの画面の切り替わりを示す説明図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係るグリル装置の温度特性と自動調理時間との相関の一例を示す相関図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係るグリル装置の自動調理における追加加熱時間の設定頻度を温度特性で分類した一例を示すデータテーブルである。
図7図7は、本発明の実施の形態2に係るグリル装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施の形態3に係るグリル装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る加熱調理器を説明する。図1は、ガスコンロに搭載されたグリル装置に適用した本実施の形態の加熱調理器の構成を示す概略模式図である。図示しないが、グリル装置は、天面に複数のコンロバーナを有する筐体内に組み込まれている。
【0020】
図1に示すように、グリル装置1は、前面開口2を有するグリル庫(加熱庫)3と、グリル庫3の前面開口2を開閉自在に閉塞するグリル扉4とを備える。グリル庫3内には、被調理物を載置する調理器具の1種である浅型のグリルプレート6が収納されている。なお、調理器具としては、焼網や、浅型または深型の調理容器などを用いてもよい。
【0021】
グリル庫3の内部には、グリルプレート6に載置された被調理物を上下から加熱するためのグリルバーナ(加熱手段)7,8が設けられている。グリルバーナ7,8の点消火や火力は、後述するグリルコントローラ9により制御される。
【0022】
図示しない筐体の前面には、グリルバーナ7,8の点消火を指示するためのグリルバーナ点消火釦10と、グリルコントローラ9に対して各種の設定や自動調理モードを含むグリルバーナ7,8の加熱設定の入力の指示を行う設定操作パネル(加熱設定入力部)11と、グリルコントローラ9からの指示に応じて自動調理モードを含む各種情報の表示を行ったり、グリルコントローラ9に対して追加加熱時間の設定や変更の設定の指示を行ったりする設定表示パネル(追加加熱時間設定部及び表示部)12とが設けられている。図示しないが、設定操作パネル11には、自動調理モードとして、とりもも焼や焼き魚などの各種被調理物を自動で調理するための複数の自動調理メニューが選択可能に設けられている。設定表示パネル12は、設定操作パネル11と並設してもよいし、設定操作パネル11とは別にガスコンロの天面に設けてもよい。また、設定操作パネル11と設定表示パネル12とを一体に設けてもよい。
【0023】
グリルバーナ7,8はそれぞれ、グリルバーナ点火電極13,14により点火される。点火されたグリルバーナ7,8のそれぞれの燃焼状態は、グリルバーナ熱電対15,16により検出される。また、グリル庫3には、被調理物周辺の雰囲気温度であるグリル庫3の庫内温度を検出するグリル温度センサ(温度検出手段)17が設けられている。なお、グリル温度センサ17の代わりに、またはグリル温度センサ17とともに、グリルプレート6などの調理器具の底面に当接して、被調理物の温度を検出する温度センサを設けてもよい。また、非接触の赤外線温度センサを設けてもよい。
【0024】
グリルバーナ7,8には、ガス供給管18を介して燃料ガスが供給される。ガス供給管18には、グリルバーナ7,8に対して各別に燃料ガスの供給と遮断とを切り替えるグリルバーナ元ガス弁19,20とグリルバーナガス量調節弁21,22とが設けられている。
【0025】
グリルコントローラ9は、マイクロコンピュータ等の電子ユニットからなり、記憶部23及びタイマ24を備えている。グリルコントローラ9には、グリルバーナ点消火釦10からの信号、設定操作パネル11や設定表示パネル12からの信号、グリル温度センサ17の温度検出信号、各熱電対15,16の燃焼状態検出信号が入力される。図示しないが、グリルコントローラ9には、LEDランプやブザーも接続されている。
【0026】
また、グリルコントローラ9は、運転を実行する機能部として、グリルバーナ7,8の燃焼を制御する燃焼制御部30と、各種調理時間を設定する調理時間設定部31と、設定表示パネル12に表示させる各種情報の表示を制御する表示制御部32と、自動調理時間終了時に追加加熱時間の履歴を自動調理モードごとに記憶部23に記憶させる登録制御部33と、記憶部23に記憶された自動調理モードごとに過去の追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計する集計部34とを有する。従って、本実施の形態では、これらのグリルコントローラ9の機能部が制御部を構成する。
【0027】
記憶部23には、グリル制御用プログラムが格納されており、グリルコントローラ9は、上記の各入力信号に基づいてグリル制御用プログラムを実行することにより運転を行う。
【0028】
また、記憶部23には、自動調理モードで各種被調理物を自動調理するための自動調理レコードが格納されている。自動調理レコードは、例えば、自動調理表示用データ、グリルバーナ7,8の火力や自動調理時間などを含むグリル制御用データから構成される。さらに、記憶部23には、自動調理モードごとに過去の追加加熱時間の履歴が記憶されている。
【0029】
次に、図2図4を参照して、本実施の形態のグリル装置1の自動調理モードにおける制御動作を説明する。以下では、記憶部23に、過去の追加加熱時間の履歴として、自動調理モードごとに所定の時間単位(例えば、1分間単位)で過去の追加加熱時間(追加加熱時間が0分間の場合も含む)の設定値の設定回数の履歴が一定数以上、記憶されている場合を説明する。なお、1つの自動調理モードについてユーザが初めて設定表示パネル12で追加加熱時間を設定する場合、後述する追加加熱時間変更設定画面がまず表示されて、手動で任意の追加加熱時間を設定することによって、追加加熱時間の履歴が記憶部23に記憶される。
【0030】
ユーザが、設定操作パネル11で1つの自動調理モード(例えば、とりもも焼)を選択して入力し、グリルバーナ点消火釦10で点火操作を行うと、記憶部23から入力された自動調理モードに対応するグリル制御用データが読み込まれ、自動調理時間が設定される(ステップS1)。そして、グリルバーナ7,8が点火されるとともに、自動調理時間を計測する調理タイマがスタートされる。
【0031】
次いで、グリルコントローラ9は、グリル温度センサ17からの温度検出信号や、各熱電対15,16からの燃焼状態検出信号に応じて、グリルバーナ7,8の火力を自動調整し、自動調理を開始する。図示しないが、このとき、設定表示パネル12には、入力された自動調理モードに対応する画像データや名称データと、残りの調理時間とが表示される。
【0032】
入力された自動調理モードで設定されていた自動調理時間終了より所定時間(例えば、30秒間)前の設定許可開始時間になると(ステップS2で、Yes)、入力された自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度が集計されて、設定表示パネル12は、図3に示す追加加熱時間選択画面表示に切り替わり(ステップS3)、追加加熱時間の設定値を選択する選択スイッチ120が表示される。本実施の形態では、入力された自動調理モードの過去の追加加熱時間の設定値のうち、設定頻度の高い3つの追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120(例えば、「追加2分」、「追加1分」、及び「追加4分」の3段の選択スイッチ)が上から順に表示される。このとき、同じ設定頻度の複数の異なる追加加熱時間の設定値がある場合、新しい追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120ほど上方に表示される。また、図示しないが、追加表示スイッチ121(例えば、「+」スイッチ)を押し操作することにより、次に設定頻度の高い過去の追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120が上から順に表示される。なお、ここでは、複数の過去の追加加熱時間の設定値のうち、設定頻度の高い追加加熱時間の設定値がより上方に位置するように表示されているが、過去の追加加熱時間の設定値は設定頻度の高い順に優先的に表示されれば、その表示形態は特に制限されない。例えば、設定頻度の高いものほど大きなフォントで表示させてもよいし、設定頻度を数値化して表示させてもよい。また、設定頻度の最も高い過去の追加加熱時間の設定値を優先的に1つだけ表示させ、追加表示スイッチ121を押すごとに設定頻度に応じて順に過去の追加加熱時間の設定値を表示させてもよい。また、追加表示スイッチ121に、例えば「-」スイッチを含め、押し操作することにより、「+」スイッチの場合とは逆の順番で表示させるようにしてもよい。
【0033】
自動調理が終了するまでの追加加熱設定許可期間中に、ユーザが1つの追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120を選択して入力すると(ステップS4で、Yes)、入力した自動調理モードで設定されていた自動調理時間に追加加熱時間が加算され(ステップS5)、追加加熱時間が加算された残りの調理時間(例えば、「追加2分」が選択されて入力された場合、「残り2分30秒」)が表示される。これにより、ユーザは選択した追加加熱時間で自動調理時間が延長されることを認識することができる。また、図4に示すように、設定表示パネル12は、追加加熱時間変更設定画面表示に切り替わり(ステップS6)、設定された追加加熱時間を所定の時間単位(例えば、1分間単位)で延長または短縮させる変更設定スイッチ122(例えば、「+1分」スイッチや「-1分」スイッチ)が表示される。
【0034】
自動調理が終了するまでにユーザが変更設定スイッチ122を操作して、追加加熱時間の延長または短縮がされると(ステップS7で、Yes)、入力した自動調理モードで設定されていた自動調理時間に変更後の追加加熱時間が加算され(ステップS8)、残りの調理時間が表示される(図示せず)。これにより、ユーザは変更した追加加熱時間で自動調理時間が延長されることを認識することができる。そして、追加加熱時間が加算された自動調理時間が経過すると(ステップS9で、Yes)、グリルバーナ7,8が消火されて、調理の終了がブザー報知される。なお、追加加熱設定許可期間中に追加加熱時間が設定されなかった場合(ステップS4で、No)、入力した自動調理モードで設定されていた自動調理時間が経過すると(ステップS10で、Yes)、グリルバーナ7,8が消火されて、調理の終了がブザー報知される。
【0035】
また、自動調理時間が経過すると(ステップS9またはS10で、Yes)、今回の自動調理における最終的な追加加熱時間と同一の追加加熱時間の設定値の設定回数の履歴に「1」が加算されて、日付とともに、記憶部23に記憶される(ステップS11)。なお、記憶部23に記憶させる追加加熱時間の履歴は、追加加熱時間の設定値ごとの設定頻度を集計可能なデータを含む履歴であれば、特に限定されず、例えば、追加加熱時間の設定値自体であってもよい。
【0036】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、自動調理時間が終了する前の追加加熱設定許可期間中、過去の追加加熱時間の設定値が設定頻度の高い順に優先的に設定表示パネル12に表示されるから、ユーザは好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を容易に設定することができる。従って、ユーザは好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を覚える必要がないから、自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、一旦、追加加熱時間を設定した後でも、追加加熱時間を延長または短縮する追加加熱時間の変更ができるから、ユーザが誤って追加加熱時間を設定した場合や調理の出来上がりを変更したい場合でも、追加加熱時間を修正することができる。また、本実施の形態によれば、追加加熱時間が変更された場合、記憶部23には変更後の追加加熱時間の履歴が記憶されるから、ユーザは変更前の追加加熱時間への加算や減算を覚えておく必要がない。これにより、さらに自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、同じ設定頻度でも、より新しい追加加熱時間の設定値が設定表示パネル12に表示されるから、ユーザは最近の好みの調理の出来上がりに合致する追加加熱時間を容易に設定することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、複数種の自動調理モードのうちの1つの自動調理モードが入力されると、追加加熱設定許可期間中、入力された自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定値が設定頻度の高い順に優先的に設定表示パネル12に表示されるから、より自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0040】
(実施の形態2)
本実施の形態は、自動調理モードの制御動作が異なる以外は、実施の形態1と同様の構成を有する。このため、実施の形態1の構成と異なる部分のみを説明し、同一の構成については、同一の引用番号を使用して説明を省略する。
【0041】
図5は、1つの自動調理モードの自動調理時間とグリル温度センサ17で検出される庫内温度との相関を示す相関図であり、図6は、1つの自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度を、自動調理初期の所定の判定期間ts内における温度上昇幅△Tで分類したデータテーブルを示す。
【0042】
図5に示すように、自動調理が開始されると、グリル温度センサ17で検出される庫内温度が徐々に上昇してくるが、自動調理中の一定期間における温度上昇幅や温度勾配などの温度特性から、被調理物の大きさや被調理物の量などの調理条件の違いを把握することができる。また、自動調理中の上記温度特性によって、調理の出来上がりが異なってくる。従って、例えば、図6に示すように、自動調理開始から所定時間が経過するまでの判定期間ts内の温度上昇幅△Tを複数に分類し、一定範囲の温度上昇幅△Tを有する自動調理で設定された過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度を集計して、現在の自動調理の温度上昇幅△Tと同じ範囲の温度上昇幅△Tを有する自動調理で設定された過去の追加加熱時間と同じ追加加熱時間で自動調理時間を延長すれば、ユーザの好みに応じた調理の出来上がりとすることができる。判定期間tsは、追加加熱設定許可期間が開始される設定許可開始時間よりも前の一定期間であれば、特に制限されず、設定許可開始時間よりも前の全ての期間であってもよく、一部の期間であってもよい。また、温度特性としては、所定の判定期間tsにおける温度上昇幅△T以外に、所定の判定期間tsにおける温度勾配や庫内温度が所定温度上昇するまでの到達時間、さらには温度上昇幅△Tに応じて設定される異常過熱防止温度を使用することができる。なお、上記のように、同じ温度特性とは、温度特性が完全に一致する場合だけでなく、判定期間ts内の温度特性を複数に分類したときに同じ分類に属する温度特性を有する場合も含む。
【0043】
次に、図7を参照して、本実施の形態のグリル装置1の自動調理モードにおける制御動作を説明する。以下では、実施の形態1と同様に、記憶部23に、1つの自動調理モードについて温度特性ごとに所定の時間単位で過去の追加加熱時間の設定値の設定回数の履歴が一定数以上、記憶されている場合を説明する。
【0044】
ユーザが、設定操作パネル11で1つの自動調理モード(例えば、とりもも焼)を選択して入力し、グリルバーナ点消火釦10で点火操作を行うと、記憶部23から入力された自動調理モードに対応するグリル制御用データが読み込まれ、自動調理時間が設定される(ステップS31)。そして、グリルバーナ7,8が点火されるとともに、自動調理時間を計測する調理タイマがスタートされる。
【0045】
自動調理が開始されると、実施の形態1と同様に、設定表示パネル12には、入力された自動調理モードに対応する画像データや名称データと、残りの調理時間とが表示される。また、グリルコントローラ9は、グリル温度センサ17からの温度検出信号に基づいて、所定の判定期間(例えば、自動調理開始から2分間)における温度特性(例えば、温度上昇幅△T)を取得する(ステップS32)。
【0046】
次いで、実施の形態1と同様に、入力された自動調理モードで設定されていた自動調理時間終了より所定時間(例えば、30秒間)前の設定許可開始時間になると(ステップS33で、Yes)、入力された自動調理モードで、取得された温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度が集計されて、設定表示パネル12は追加加熱時間選択画面表示に切り替わり(ステップS34)、設定頻度の高い3つの追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120(例えば、「追加2分」、「追加1分」、及び「追加4分」の3段の選択スイッチ)が上から順に表示される。
【0047】
自動調理が終了するまでの追加加熱設定許可期間中に、ユーザが1つの追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120を選択して入力すると(ステップS35で、Yes)、入力した自動調理モードで設定されていた自動調理時間に追加加熱時間が加算され(ステップS36)、追加加熱時間が加算された残りの調理時間(例えば、「追加2分」が選択されて入力された場合、「残り2分30秒」)が表示される。また、設定表示パネル12は、追加加熱時間変更設定画面表示に切り替わり(ステップS37)、設定された追加加熱時間を所定の時間単位(例えば、1分間単位)で延長または短縮させる変更設定スイッチ122(例えば、「+1分」スイッチや「-1分」スイッチ)が表示される。
【0048】
追加加熱時間変更設定画面表示後の制御動作(ステップS38~S42)は、実施の形態1のそれら(ステップS7~S14)と同様である。なお、本実施の形態では、今回の自動調理の温度特性と同じ温度特性における今回の自動調理の最終的な追加加熱時間と同一の追加加熱時間の設定値の設定回数の履歴に「1」が加算されて、日付とともに、記憶部23に記憶される(ステップS42)。
【0049】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、自動調理が開始されると、判定期間における現在の自動調理の温度特性を取得して、記憶部23に記憶された現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値の設定頻度を集計し、追加加熱設定許可期間中、現在の自動調理の温度特性と同じ温度特性における過去の追加加熱時間の設定値を設定頻度の高い順に優先的に設定表示パネル12に表示させるから、ユーザは好みの調理の出来上がりとするための追加加熱時間を容易に設定することができる。これにより、さらに自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0050】
(実施の形態3)
本実施の形態は、自動調理モードの制御動作が異なる以外は、実施の形態1と同様の構成を有する。このため、実施の形態1の構成と異なる部分のみを説明し、同一の構成については、同一の引用番号を使用して説明を省略する。以下では、実施の形態1と同様に、記憶部23に、自動調理モードごとに所定の時間単位で過去の追加加熱時間の設定値の設定回数の履歴が一定数以上、記憶されている場合を説明する。
【0051】
図8に示すように、ユーザが、設定操作パネル11で1つの自動調理モード(例えば、とりもも焼)を選択して入力し、グリルバーナ点消火釦10で点火操作を行うと、記憶部23から入力された自動調理モードに対応するグリル制御用データが読み込まれ、自動調理時間が設定される(ステップS51)。そして、グリルバーナ7,8が点火されるとともに、自動調理時間を計測する調理タイマがスタートされる。
【0052】
自動調理が開始されると、実施の形態1と同様に、設定表示パネル12には、入力された自動調理モードに対応する画像データや名称データと、残りの調理時間とが表示される。
【0053】
次いで、実施の形態1と同様に、入力された自動調理モードで設定されていた自動調理時間終了より所定時間(例えば、30秒間)前の設定許可開始時間になると(ステップS52で、Yes)、報知ブザーにより追加加熱時間の設定が可能であることをユーザに報知させ(ステップS53)、所定の選択時間(例えば、2秒間)を計時するための選択時間タイマをスタートさせる。また、入力された自動調理モードにおける過去の追加加熱時間の設定頻度が集計されて、設定表示パネル12は追加加熱時間選択画面表示に切り替わり(ステップS53)、設定頻度の高い3つの追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120(例えば、「追加2分」、「追加1分」、及び「追加4分」の3段の選択スイッチ)が上から順に表示される。そして、選択時間内にユーザが1つの追加加熱時間の設定値の選択スイッチ120を選択して設定すると(ステップS54で、Yes)、入力された自動調理モードで設定されていた自動調理時間に追加加熱時間が加算され(ステップS57)、追加加熱時間が加算された残りの調理時間(例えば、「追加2分」が選択されて入力された場合、「残り2分30秒」)が表示される。また、設定表示パネル12は追加加熱時間変更設定画面表示に切り替わり(ステップS58)、設定された追加加熱時間を所定の時間単位(例えば、1分間単位)で延長または短縮させる変更設定スイッチ122(例えば、「+1分」スイッチや「-1分」スイッチ)が表示される。
【0054】
一方、選択時間内に追加加熱時間が選択されなかった場合(ステップS54で、No、ステップS55で、Yes)、設定頻度の最も高い追加加熱時間の設定値が自動で設定されて自動調理時間に加算され(ステップS56)、設定表示パネル12は追加加熱時間変更設定画面表示に切り替わる(ステップS58)。なお、このとき、ユーザに追加加熱時間が自動で設定されたことを認識させるため、ブザー報知してもよい。追加加熱時間変更設定画面表示後の制御動作(ステップS59~S62)は、実施の形態1のそれら(ステップS7~S9及びステップS11)と同様である。
【0055】
本実施の形態では、ユーザが追加加熱時間の設定を忘れていた場合でも、ユーザの好みの調理の出来上がりに合致する追加加熱時間が自動で設定されるから、より自動調理モードの使い勝手を向上させることができる。
【0056】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、自動調理終了時に今回の自動調理の追加加熱時間の履歴が記憶部に自動で記憶されている。しかしながら、異なるユーザが同じ自動調理モードで異なる追加加熱時間を設定する場合もあるため、ユーザが所定の登録操作を行ったときのみ、今回の自動調理の追加加熱時間の履歴を記憶部に記憶させてもよい。
【0057】
(2)上記実施の形態では、ガスコンロのグリル装置に適用された加熱調理器について説明された。しかしながら、本発明では、グリルバーナの代わりにヒータや誘導加熱コイルを加熱手段として用いてもよい。また、本発明は、コンロバーナ、ヒータや誘導加熱コイルを加熱手段として有し、加熱手段の上方に載置された被調理物を加熱するコンロ部を有する加熱調理器に適用してもよい。この場合、鍋などの調理器具の底面に当接して被調理物の温度を検出する鍋底温度センサを温度検出手段として用いることができる。また、本発明は、コンロ部を有さないオーブン装置やグリラーなどの単機能の加熱調理器に適用してもよい。
【0058】
(3)上記実施の形態では、追加加熱設定許可期間は、自動調理時間終了前の設定許可開始時間から自動調理時間終了までの一定期間に設定されているが、自動調理時間終了よりも前であれば、任意の一定期間としてもよい。
【0059】
(4)上記実施の形態では、一旦、追加加熱時間が設定された後であれば、自動調理が終了するまで、追加加熱時間の変更を設定可能であるが、所定の変更設定許可期間を設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 グリル装置
2 グリル庫
7,8 グリルバーナ
9 グリルコントローラ
11 設定操作パネル
12 設定表示パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8