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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038510
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/46 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B60P1/46 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013989
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2020154635の分割
【原出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】更家 拓弥
(57)【要約】
【課題】トーションバーを複数本設けた場合にも、トーションバーどうしの位置ずれを防止できる荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【解決手段】並列した複数のトーションバー8A,8Bの各々における一端部及び他端部のうちの、少なくとも何れかに端部が形成され、端部は、ホルダ28によって支持され、ホルダ28は、並列した複数のトーションバー8A,8Bの隣接方向の更に外側から支持する第一板状部材43及び第二板状部材44と、第一板状部材43と第二板状部材44とを互いに接近させるように締付け可能なボルトナット機構部45と、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材46とを備えた荷受台昇降装置。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台に設けられ、荷物を載置する荷受台と、該荷受台を昇降させる昇降機構部と、該昇降機構部に対して前記荷受台を荷物が載置不能となるように立ち上げた閉じ姿勢と荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢との間で回動可能に支持する荷受台支持部と、前記荷受台を閉じる方向に付勢する複数のトーションバーとを備え、該複数のトーションバーは、径方向に互いに隣接するように並列されて、各々の一端部は前記荷受台側に配置され、他端部は前記昇降機構部側に配置された荷受台昇降装置であって、
並列した前記複数のトーションバーの各々における一端部及び他端部のうちの、少なくとも何れかの端部に備えられたねじり保持部がホルダによって支持され、
該ホルダは、並列した前記複数のトーションバーの前記隣接方向の更に外側から支持する第一板状部材及び第二板状部材と、前記第一板状部材と前記第二板状部材とを互いに接近させるように締付け可能なボルトナット機構部と、前記第一板状部材及び前記第二板状部材の間に配置されて、並列した前記トーションバーの前記隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材とを備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
並列された前記複数のトーションバーの各々における前記端部には、前記ねじり保持部として、トーションバーの延長方向に対して交わる方向に突出した突出部が形成され、前記スペーサ部材は、前記折曲部よりも前記荷受台の幅方向内側に配置された請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記スペーサ部材は中空形状に形成され、前記ボルトは、前記スペーサ部材を貫通するように前記第一板状部材及び前記第二板状部材に締付けられた請求項1または請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に搭載される荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、昇降装置により荷受台が昇降可能に構成され、昇降装置により最上昇位置に位置させた荷受台を、荷台の後端部に形成の開口を開放する開き姿勢(略水平姿勢)から該開口を閉じる閉じ姿勢(略起立姿勢)へ作業者が容易に回動操作することができるように、荷受台を閉じ方向に付勢する付勢手段としてのトーションバーを備えた構成が記載されている。
【0003】
トーションバーは、荷受台の閉じ姿勢においては、荷受台に捩じり力が復元されることで閉じる方向に付勢し、荷受台の開き姿勢においては、荷受台の自重により発生する自重モーメントを受ける。このため、特許文献1、2では、トーションバーの一端部は、昇降機構部側に設けられて対向する二枚の板からなる取付部材(特許文献1では「トーションバー取付部材」、特許文献2では「係合ボックス」と称される)で挟持され、トーションバーの他端部は、荷受台側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63-58731号公報
【特許文献2】特許第2873844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、荷受台の自重により発生する自重モーメントの要因等によって、トーションバーを径方向に互いに隣接させるように並列させて、トーションバーを二本設ける場合もあり得る。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2の取付部材に対してトーションバーを二本設けて、二枚の板からなる取付部材をボルトによって、トーションバーの隣接方向に締付けた場合には、トーションバーどうしが位置ずれしてしまう可能性がある。なお、上記の場合はトーションバーを二本設けた場合を例示したが、トーションバーを並列するように三本、あるいはそれ以上設けた場合も、同様な可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、トーションバーを複数本設けた場合にも、トーションバーどうしの位置ずれを防止できる荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、荷台に設けられ、荷物を載置する荷受台と、該荷受台を昇降させる昇降機構部と、該昇降機構部に対して前記荷受台を荷物が載置不能となるように立ち上げた閉じ姿勢と荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢との間で回動可能に支持する荷受台支持部と、前記荷受台を閉じる方向に付勢する複数のトーションバーとを備え、該複数のトーションバーは、径方向に互いに隣接するように並列されて、各々の一端部は前記荷受台側に配置され、他端部は前記昇降機構部側に配置された荷受台昇降装置であって、並列した前記複数のトーションバーの各々における一端部及び他端部のうちの、少なくとも何れかの端部に備えられたねじり保持部がホルダによって支持され、該ホルダは、並列した前記複数のトーションバーの前記隣接方向の更に外側から支持する第一板状部材及び第二板状部材と、前記第一板状部材と前記第二板状部材とを互いに接近させるように締付け可能なボルトナット機構部と、前記第一板状部材及び前記第二板状部材の間に配置されて、並列した前記トーションバーの前記隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の上記構成によれば、ホルダは、並列したトーションバーの隣接方向の更に外側から支持する第一板状部材及び第二板状部材と、第一板状部材及び第二板状部材の間に配置されて、並列したトーションバーの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材とを備え、トーションバーの各々における一端部及び他端部のうちの、少なくとも何れかの端部に備えられたねじり保持部を備えているから、ボルトによって第一板状部材と第二板状部材とを互いに接近させても、端部において、並列したトーションバーの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材の長さまでしか締付けられないため、トーションバーどうしが位置ずれしてしまうことを防止できる。
【0010】
本発明は、並列された前記複数のトーションバーの各々における前記端部には、前記ねじり保持部として、トーションバーの延長方向に対して交わる方向に突出した突出部が形成され、前記スペーサ部材は、前記折曲部よりも前記荷受台の幅方向内側に配置された構成を採用できる。
【0011】
本発明の上記構成によれば、トーションバーが荷受台の幅方向内側の力を受けても、トーションバーの延長方向に対して交わる方向に突出した突出部と、スペーサ部材との干渉によって、トーションバーがホルダから抜け出ない。
【0012】
本発明は、前記スペーサ部材は中空形状に形成され、前記ボルトは、前記スペーサ部材を貫通するように前記第一板状部材及び前記第二板状部材に締付けられた構成を採用できる。
【0013】
本発明の上記構成によれば、ボルトにおける第一板状部材及び第二板状部材の締付け位置と、スペーサ部材における第一板状部材及び第二板状部材の突っ張り位置とを同じ位置にできるから、第一板状部材及び第二板状部材どうしが位置ずれしない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の荷受台昇降装置によれば、径方向に互いに隣接するように並列したトーションバーの、隣接方向の外側から支持する第一板状部材及び第二板状部材に、隣接方向で並列したトーションバーの合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材を介して、ボルトナット機構部によって第一板状部材及び第二板状部材を締付けているから、第一板状部材及び第二板状部材をスペーサ部材の長さまでしか締付けられないため、トーションバーどうしが位置ずれしてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の荷受台昇降装置を備えた荷役車両の後方部の側面図である。
図2】同荷役車両の後方部の斜視図である。
図3】同荷受台の内部のトーションバーの配置を示す一部縦断背面図である。
図4】同図3におけるV-V線断面図である。
図5】同図3におけるIV-IV線断面図である。
図6】同要部側面図である。
図7】同要部側面図におけるZ-Z部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、荷役車両に備えた本発明の荷受台昇降装置Aを、図面に基づいて説明する。荷受台昇降装置Aは、図1及び図2に示すように、荷役車両の荷台1の後端部に設けられ、荷物を載置する荷受台2と、荷受台2を昇降させる昇降機構部Bと、昇降機構部Bに対して荷受台2を荷物が載置不能となるように立ち上げた閉じ姿勢(略起立姿勢)と荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢(略水平姿勢)との間で回動可能に支持する荷受台支持部Cと、図3図7に示すように、荷受台2を閉じる方向に付勢するトーションバーD(7A,7B、8A,8B)とを備えている。
【0017】
荷受台2は、作業者の人力により開閉される。また、前記閉じ姿勢は、言い換えれば、図2に示す荷台1の後端部に形成の開口3を後方から閉じる姿勢であり、前記開き姿勢は、開口3を開放する姿勢である。
【0018】
図1及び図2に戻り、荷受台2は、表板4と、開き姿勢における表板4の下方に間隔を置いて略長方形状の裏板5とを備えている。表板4は、荷受台2の開き姿勢において、上方に位置し荷物を載置する平坦面に形成された載置面4Aと、載置面4Aの後端から後方側ほど下方に位置する傾斜面4Bとを備えている。荷受台2の左右側面と後述する左右一対のアウタコラム12,12との間には、閉じ姿勢の荷受台2を閉じ姿勢に固定するためのロック装置を備えている。
【0019】
ロック装置は、荷受台2の左右側面のそれぞれから出入りすることができるように車幅方向にスライド可能に設けられたロックバー32と、左右一対のアウタコラム12,12の左右両側面にそれぞれ固定されてロックバー32と係脱可能なフック33とを備えている。したがって、荷受台2の裏板5に備えた操作部(図示せず)を操作することによりロックバー32,32を荷受台2から左右方向外側へ突出させてフック33,33に係合させることで荷受台2を閉じ姿勢に固定することができる。
【0020】
クロスメンバー14は、汎用構成のものを用いている。このクロスメンバー14は、中空の角筒状体から構成され、クロスメンバー14の内部に、昇降用の駆動装置としての油圧シリンダ(図示せず)及び該油圧シリンダの伸縮により、車幅方向に移動可能に併設された回転自在な左右の可動シーブ(図示せず)が設けられている。
【0021】
左右の可動シーブには、ワイヤが巻回されており、これらワイヤ18,18が左右に分かれて、図1に示すように、上側固定シーブ19,19にそれぞれ巻回され、巻回されたワイヤ18,18の端が、スライダ15,15に連結されている。したがって、油圧シリンダを伸長作動させることにより、ワイヤ18,18を介してスライダ15,15が上昇され、荷受台2を上昇させることができる。また、油圧シリンダを短縮作動させることにより、ワイヤ18,18を介してスライダ15,15が下降され、荷受台2を下降させることができる。
【0022】
前記昇降機構部Bは、図2に示すように、左右一対のアウタコラム12,12と、左右一対のアウタコラム12,12内に昇降可能に挿嵌される左右一対のインナーコラム13,13と、左右一対のアウタコラム12,12間に両端が溶接されたクロスメンバー14と、スライダ15とを備えている。
【0023】
図1及び図2に示すように、左右一対のアウタコラム12,12は、同一構成であり、各アウタコラム12は、中空の角筒状体から構成され、前壁部12Aが荷台1の後端に溶接され、後壁部12Bの車幅方向中央部に上下方向に延び後述するスライダ15を昇降案内するための縦スリット12Sが形成されている。また、各アウタコラム12の内部の前後方向中央部に、内部空間を前後方向に区切るための板部材16を備えている。この板部材16の後側空間内をインナーコラム13が昇降する。
【0024】
インナーコラム13の昇降を案内するための案内ローラ17が、各アウタコラム12の下端部に回転自在に軸支されている。また、各インナーコラム13の上端には、ブラケット30を介して案内ローラ31が回転自在に軸支され、案内ローラ31は、インナーコラム13の昇降時にアウタコラム12の後壁部12Bの内面を転動してインナーコラム13の昇降を案内する。また、各アウタコラム12の上端部及び下端部には、後述するワイヤ18を案内するための上側固定シーブ19及び下側固定シーブ19が回転自在に軸支されている。また、各アウタコラム12の下端に、インナーコラム13に備える弾性ストッパー29の下端が当接するストッパー20が固定されている。
【0025】
左右一対のインナーコラム13,13は、同一構成であり、各インナーコラム13は、中空の角筒状体から構成されている。各インナーコラム13には、板状のスライダ15が昇降自在に挿入されている。スライダ15の後端部は、インナーコラム13に形成した縦スリット13S及びアウタコラム12に形成した縦スリット12Sに案内されてインナーコラム13及びアウタコラム12に対して昇降可能に構成されている。
【0026】
スライダ15の上部及び下部に、案内ローラ21がそれぞれ回転自在に軸支され、これら上下一対の案内ローラ21,21は、スライダ15がインナーコラム13に対して昇降する時に、インナーコラム13の内面を転動してスムーズな昇降が行える。各スライダ15の上端部には、ストッパゴム22が取り付けられ、このストッパゴム22は、アウタコラム12の上端に備えるベースプレート(図示せず)と係合して、アウタコラム12に対するスライダ15の上昇位置を規制する。
【0027】
各スライダ15の下端部には、後方へ突出するブラケット23が固定され、ブラケット23にピン24を介して、荷受台2が水平軸芯回りに回動可能に構成されている。また、各スライダ15の下端には、ステー25が固定され、このステー25には、荷受台2の開き位置への回動時に、荷受台2の回動側の基端部の上面と当接して荷受台2の開き位置を調整可能なストッパボルト26が取り付けられている。前記ピン24及びブラケット23が、前記荷受台支持部Cを構成する。
【0028】
図3に示すように、各ブラケット23は、左右幅方向に平行な一対の板部23A,23Bを備えている。一対の板部23A,23Bそれぞれの下端部に円形の貫通孔23Kが形成されていて、これら貫通孔23K,23Kに前記ピン24が貫通されて、ピンに24に、一対の板部23A,23Bが支持される。なお、ピン24は、略円柱状に構成されている。
【0029】
また、荷受台2の閉じ姿勢における下部であって車幅方向左右両側には、ホルダ枠27が形成されている。ホルダ枠27には、後述するホルダ28が配置される。
【0030】
ホルダ枠27は、車両幅方向に離間した両側枠部34,35と、両側枠部34,35の一側(ピン24から離れる方向)で連結する連結枠部36とを備える。そして、一方の側枠部34(車幅方向外側の枠部)が、前記一対の板部23A,23Bに挿入されて、一方の側枠部34には、ピン24が挿通されている。また、他方の側枠部35は、ホルダ28に対して、車幅方向内側に離間して配置されている。
【0031】
荷受台2の閉じ姿勢における下部にトーションバーDが配置されている。具体的に、トーションバー7A,7Bは、後方部から見た車幅方向左側に配置され、図3において前後に配置されている。トーションバー8A,8Bは後方部から見た車幅方向右側に配置され、同様に図3において前後に配置されている。換言すると、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bは、それぞれ、閉じ姿勢における荷受台2の、荷役車両前後方向の厚み方向t(図6参照)で、径方向に互いに隣接するように並列して配置されている。
【0032】
左右方向のトーションバー7A,7B、8A,8Bは、棒状部材から形成されており、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bは、開き姿勢における適正な付勢力を得るために径の異なる円形の断面形状であり、それぞれ同一長さである。車幅方向右側のトーションバー8A,8Bは、開き姿勢における適正な付勢力を得るために径の異なる円形の断面形状であり、それぞれ同一長さである。また、開き姿勢における適正な付勢力を得るために、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bに比べて、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bが長く形成されている。この実施形態では、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bが、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bよりも長く形成することでばね定数が小さくされている。
【0033】
また、トーションバー7A,7B、8A,8Bは、直線部分37と、直線部分37の一端である一端形状部38と、直線部分37の他端である他端形状部39とを備えて棒状部材から形成されている。
【0034】
本実施形態の場合では、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの一端部は、後述するように折り曲げられた一端形状部38であり、一端形状部38は、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bのねじりを、ホルダ28に対して保持(固定)する、ねじり保持部とされている。また、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの他端部は、湾曲したUの字形状の他端形状部39とされている。
【0035】
特に、前記一端形状部38は、直線部分37から延びる延長部40と、延長部40に略直角に折れ曲がる折曲部41と、折曲部41の端部であって、延長部40に平行な平行部42とを備える。このうち、折曲部41および平行部42は、ねじり保持部として特定される。
【0036】
トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの一端部は、ブラケット23の板部23Bに配置されたホルダ28に支持され、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの他端部は、荷受台2に固定した収容板部9,10に支持されている。
【0037】
トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの一端形状部38を保持する各ホルダ28の構成を、図3図6及び図7に基づいて説明する。なお、各ホルダ28は、それぞれ同様の構成を有しているため、車幅方向右側のホルダ28について詳述する。ホルダ28は、第一板状部材43と、第二板状部材44と、ボルトナット機構部45と、スペーサ部材46とを備える。
【0038】
第一板状部材43及び第二板状部材44は、トーションバー8A,8Bの一端形状部38を覆うよう、車幅方向に沿って形成されている。第一板状部材43は、トーションバー8A,8Bの一端形状部38を隣接方向の更に外側から覆う板状の第一覆体47と、第一覆体47の両端から略直角に折れ曲がる板状の第二覆体48とを一体的に備える。第一覆体47は、トーションバー8Aの一端形状部38を、後方から覆い、第二覆体48はトーションバー8A,8Bの一端形状部38のうち、延長部40と平行部42を、それぞれ上下方向外側で覆う。第一板状部材43の端は、板部23Bに溶接されている。
【0039】
本実施形態では、第一板状部材43は、閉じ姿勢の荷受台2における垂直方向に対して、上方ほど荷役車両の前方に5°だけ傾斜している。したがって、第一板状部材43の第一覆体47が上方ほど荷役車両の前方に5°だけ傾斜している分だけ、第二覆体48も傾斜している。
【0040】
第二板状部材44は、第一覆体47と対向して配置され、トーションバー8Bの一端形状部38を、閉じ姿勢の荷受台2における前方から覆う。したがって、第二板状部材44は、上記のように第一覆体47は傾斜しているので、第二板状部材44も、第一覆体47と同様に、上方ほど荷役車両の前方に向け下方を後部側に傾斜して配置されている。第一板状部材43の端は板部23Bに溶接されているが、第二板状部材44は、何れにも溶接されていない。このような第一板状部材43及び第二板状部材44によって、トーションバー8A,8Bの一端形状部38が、荷役車両において上方ほど前方に傾斜した状態で挟持可能とされている。
【0041】
ボルトナット機構部45は、ボルト49とナット50を備える。ボルト49は二本(複数本)であり、したがって、ナット50も二個である。第一覆体47及び第二板状部材44に、それぞれ対向するように、ボルト49の胴部49aが挿通されるボルト孔51が形成されている。特に、第一覆体47及び第二板状部材44のボルト孔51は、トーションバー8A,8Bの一端形状部38の内部、すなわち延長部40、折曲部41、平行部42に囲まれた内部に相当する領域に形成されている。なお、ボルト49は、胴部49aがボルト孔51に挿通され、ボルト49の頭部49bが、第二板状部材44の板面(表面)に圧接され、ナット50は、第一覆体47から突出した胴部49aに螺合される。
【0042】
スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有する。この寸法は、スペーサ部材46の長手方向の寸法である。スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の内部、すなわち第一板状部材43及び第二板状部材44の間にあって、第一覆体47及び第二板状部材44を突っ張る位置に配置されている。具体的に、スペーサ部材46は、中抜きのスリーブ状に形成されており、ボルト孔51に挿通された各ボルト49の胴部49aに外嵌するよう配置され、スペーサ部材46の各端部46a,46bが、それぞれ第一覆体47、第二板状部材44の内面にある。すなわち、スペーサ部材46は、一端形状部38に対し、荷受台2の幅方向内側に当接可能に構成されている。なお、スペーサ部材46の内径は、ボルト49の胴部49aより大きく形成されている。
【0043】
また、スペーサ部材46の寸法は、トーションバー8A,8Bの端部のうちホルダ28内に位置する端部(本実施形態では、一端部)における、ねじり保持部の、径方向における二個の断面方向の最大寸法より短く設定されている。すなわち、トーションバー8Aの延長部40と、トーションバー8Bの平行部42における、断面方向の最大寸法より短く設定されている。なお、本実施形態では、複数個のトーションバー8A,8Bとして、二個のトーションバー8A,8Bを設けたが、場合によっては、三個のトーションバーを配置することも考えられ、この場合では、ホルダ28内に位置する端部における、ねじり保持部の、径方向における三個の断面方向の最大寸法より短く設定されている。
【0044】
上記構成では、車幅方向右側のホルダ28について説明したが、車幅方向左側のホルダ28についても同様な構成である。以上で、ホルダ28の構成の説明を終える。
【0045】
図3において、トーションバー7A,7B及びトーションバー8A,8Bは、ホルダ28において、荷役車両の前後方向、および背面図において同一位置とするのが理想である。しかしながら、このように構成されると、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bと、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bとの内側(車幅方向の内方側)が干渉してしまう。したがって、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bと、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bとの内側が互いに干渉しないように、トーションバー7A,7Bとトーションバー8A,8Bが、閉じ姿勢の荷役台2において前側、または後側に、トーションバー7A,7Bとトーションバー8A,8Bとが、その軸方向を交わして配置されている。
【0046】
このため、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bと、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bとの内側を配置した荷受台2には、裏板5の内面の車両幅方向に固定されている補強板6が配置され、補強板6の車幅方向両端部の左右2箇所に、トーションバー7A,7B、8A,8Bの、Uの字形状の他端形状部39を収容する収容空間を形成すべく断面コの字状の収容板部9,10が固定されている。
【0047】
図5に示すように、一方(車幅方向右側)の収容板部10は、前側に交わされた車幅方向左側のトーションバー7A,7Bの他端形状部39を収容することができるように前側に大きく突出した構成であり、収容した他端形状部39が回転しないように収容部空間を前後方向に2枚の仕切り板11,11で仕切られている。また、図4に示すように、他方(車幅方向左側)の収容板部9は、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bが後側に交わされているため、断面コの字状の折り曲げられた両端部に関して、収容した車幅方向右側のトーションバー8A,8Bの他端形状部39が回転しないような断面の大きさに構成されている。
【0048】
上記のように構成された荷受台昇降装置Aについて、特にトーションバー7A,7B及びトーションバー8A,8Bの一端形状部38の支持装置、すなわち、ホルダ28、第一板状部材43、第二板状部材44、ボルトナット機構部45と、スペーサ部材46の作用について説明する。なお、各ホルダ28は、それぞれ同様の構成を有しているため、ホルダ28については、車幅方向右側のホルダ28について作用を説明する。また、トーションバー7A,7B、8A,8Bの他端形状部39は、上述したように、収容板部9,10に支持されている。
【0049】
まず、第一板状部材43の端は、板部23Bに溶接されているので、固定されている。そして、第一板状部材43に、トーションバー8A,8Bの一端形状部38を挿入する。
【0050】
このとき、トーションバー8A,8Bの一端形状部38において、折曲部41が、ホルダ枠27の側枠部34と対向するようにし、一方で、トーションバー8A,8Bどうしは、前後方向に並列させて、延長部40を第二覆体48の内側に配置するとともに、平行部42を第二覆体48の内側に配置する。
【0051】
さらに、第二板状部材44の各ボルト孔51に、ボルト49を挿入し、また、スペーサ部材46を各ボルト49の胴部49aに外嵌するよう配置する。その上で、トーションバー8Bの一端形状部38を前方から覆うようにして、第二板状部材44に装着したボルト49を、第一覆体47に形成されたボルト孔51に挿通し、第一覆体47から突出した胴部49aにナット50を螺合して、ナット50を締付ける。このようにして、トーションバー8A,8Bの一端形状部38が、ホルダ28(支持装置)に確実に保持される。
【0052】
なお、本実施形態では、第一板状部材43は、垂直方向に対して、上方ほど前方に5°だけ傾斜していることにより、荷受台2に荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢において、トーションバー7A,7B、8A,8Bが捩じられて、復元力が生じる。
【0053】
このように、ホルダ28は、前後に並列したトーションバー8A,8Bの外側から支持する第一板状部材43及び第二板状部材44と、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bにおける、隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材46とを備えており、スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の内部にあって、第一覆体47及び第二板状部材44を突っ張るよう配置されている。
【0054】
このとき、第二覆体48の端48aと、第二板状部材44の裏面44aとは、第二覆体48の面方向に直交する方向から見た場合、トーションバー8A,8Bの一端形状部38において、隙間がない状態とされる。また、第二覆体48の端48bと、第二板状部材44の側端面44bとの間は、隙間がない状態、または、わずかに隙間が生じた状態とされる。したがって、第二覆体48と第二板状部材44が組合された状態では、トーションバー8Bの一端形状部38を、ホルダ28の外部に離脱させることがない。
【0055】
そして、第一板状部材43及び第二板状部材44を締付けるボルトナット機構部45(ナット50)によって、第一板状部材43と第二板状部材44とを互いに接近させて、スペーサ部材46の長さまで締付けることで、過剰な締付けにより、並列したトーションバー8A,8Bどうしが上下方向に位置ずれしてしまうことを防止できる。なお、ホルダ28のスペーサ部材46において、隣接方向での合計の直径よりも長い寸法として、本実施形態では、第一板状部材43の第一覆体47の傾斜分の方向である。
【0056】
また、スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有する。また、トーションバー8Aの延長部40と、トーションバー8Bの平行部42における、断面方向の最大寸法より短く設定されている。このため、ホルダ28の第一板状部材43と第二板状部材44との間隔が、複数本のトーションバー8A,8B(一端形状部38)の最大寸法より長くなることを防いで、第一板状部材43と第二板状部材44とで、トーションバー8A,8Bの回転を止めることができる。
【0057】
また、トーションバー8A,8Bの一端形状部38において、折曲部41が、ホルダ枠27の側枠部34と当接するようにし、第二覆体48はトーションバー8A,8Bの一端形状部38のうち、延長部40と平行部42を、それぞれ上下方向外側で覆っているため、上下方向において、トーションバー8A,8Bどうしが位置ずれしてしまうことを防止できる。
【0058】
また、スペーサ部材46は、中空形状に形成されており、ボルト49の胴部49aは、スペーサ部材46を貫通するように、第一板状部材43の第一覆体47及び第二板状部材44に締付けられている。この構成によれば、ボルト49における第一板状部材43(第一覆体47)及び第二板状部材44の締付け位置と、スペーサ部材46の端部46a,46bによる第一板状部材43及び第二板状部材44の突っ張り位置とを同じ位置にできるから、第一板状部材43及び第二板状部材44どうしを確実に固定でき、例えば、第一板状部材43及び第二板状部材44どうしが互いに傾くことはない。
【0059】
トーションバー8A,8Bの一端部として、直線部分37から延びる延長部40と、延長部40に略直角に折れ曲がる折曲部41と、折曲部41の端部であって、延長部40に平行な平行部42とを備えた一端形状部38を備えている。そして、スペーサ部材46は、一端形状部38に対し、荷受台2の幅方向内側に当接可能に構成されている。このため、トーションバー8A,8Bが荷受台2の幅方向内側の力を受けても、一端形状部38とスペーサ部材46との干渉によって、トーションバー8A,8Bがホルダ28から抜け出ない。なお、ホルダ28は、車幅方向右側のトーションバー7A,7Bについても同様の作用効果を生ずる。
【0060】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38は、直線部分37から延びる延長部40と、延長部40に略直角に折れ曲がる折曲部41と、折曲部41の端部であって、延長部40に平行な平行部42とを備えたが、他端形状部39と同様に、湾曲したUの字形状とすることもでき、あるいは、平行部42を備えていないLの字形状であってもよく、直線部分37の端から交差するTの字形状や、直線部分37の端を球形に施した形状とすることもできる。
【0061】
また、上記実施形態では、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38は、延長部40と、折曲部41と、平行部42とを備え、このうち、折曲部41および平行部42は、ねじり保持部として特定された。しかし、折曲部41および平行部42を備えない、トーションバー7A,7B、8A,8Bのねじり軸に沿って直線状に延びていてもよい。この場合では、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38を、断面多角形や、楕円にすることで、ホルダ28に係止して、ホルダ28に対する一端形状部38でもって、ねじり保持部(第一板状部材43、第二板状部材44に係止する係止部)として、ねじり(回転)を規制させるようにすることができる。この場合、スペーサ部材46は、トーションバー7A,7B、8A,8Bに、それぞれ備えられたねじり保持部において、複数本分の断面の最大寸法より短い。例えば、この最大寸法とは、二個のトーションバー8A,8Bが並列した場合であって、二個の一端形状部38が断面矩形の場合では、二個の矩形の対角線である。また、二個のトーションバー8A,8Bが並列した場合であって、二個の一端形状部38が断面楕円形の場合では、二個の楕円の対角線である。
【0062】
さらに、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38が、トーションバー7A,7B、8A,8Bのねじり軸に沿って直線状に延びたものにおいて、第一板状部材43及び第二板状部材44に当接して、且つ一端形状部38の回転を規制する規制部材(ねじり保持部としての突出部)を設けることもできる。たとえば、図示しないが、規制部材は、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38を囲繞し、且つ第一板状部材43、第二板状部材44に当接可能な部材とすることができる。規制部材は、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38の断面は真円である場合に、特に効果的である。そして、スペーサ部材46の寸法は、規制部材も合わせた複数本のトーションバーの断面の最大寸法より短く設定されている。
【0063】
また、収容板部9,10を設ける代わりに、荷受台2にホルダ28を設けて、トーションバー7A,7B、8A,8Bの他端形状部38を保持する場合も考えられる。また、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38は、断面多角形として昇降機構部Bに保持させてもよい。
【0064】
上記実施形態では、ホルダ28は、一端形状部38を支持するよう設けたが、他端形状部39を保持するものであってもよいし、一端形状部38及び他端形状部39を、それぞれ保持するものも考えられる。ホルダ28を、トーションバー7A,7B、8A,8Bの軸方向双方に用いる場合も考えられ、この場合の一端形状部38及び他端形状部39は、Uの字形状、角型形状、Lの字形状、あるいはTの字形状とすることができる。
【0065】
上記実施形態では、車幅方向右側のトーションバー7A,7B及び車幅方向左側のトーションバー8A,8Bを、それぞれ前後に重なるよう並列させた構成を列挙した。しかしながら、例えば、車幅方向右側、あるいは車幅方向左側のトーションバーは一本であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、第一板状部材43は、第一覆体47と、第二覆体48とを一体的に備えた例を挙げた。しかしながら、第一板状部材43は、第一覆体47のみを備えた構成とすることもできる。つまり、第一板状部材43は、第一覆体47のみを備えた構成として、第一板状部材43と第二板状部材44とが、スペーサ部材46を挟んで構成される場合も考えられる。この場合、トーションバーの少なくとも何れかの端部が、スペーサ部材46に係止する形状であれば、トーションバーは、端部の形状とスペーサ部材とが係止することで、ホルダ28からの抜止めがなされる。
【0067】
また、上記実施形態では、第一板状部材43を断面コ字形に形成し、第二板状部材44は単純な板状に形成した例を挙げた。しかしながら、第一板状部材43と第二板状部材44とが、互いに逆形状とすることもできる。すなわち、第一板状部材43を板状とし、第二板状部材44を断面コ字形に形成した場合である。
【0068】
上記実施形態では、スペーサ部材46は、中抜きのスリーブ状に形成されていたが、中実の断面円形、あるいは断面多角形とすることもできる。この場合では、ボルト49はスペーサ部材46を挿通しないが、スペーサ部材46にボルト49を挿通させる必要はない。例えば、スペーサ部材46は、ボルト49に隣り合うように、第一板状部材43及び第二板状部材44に嵌合する形態とすることもでき、あるいは、第一板状部材43及び第二板状部材44をクランプする形態であってもよい。また、上記実施形態では、スペーサ部材46は二本設けたが、一本、あるいは三本以上とすることもできる。
【0069】
また、上記実施形態では、アウタコラム12,12に沿って荷受台2が垂直に昇降する構成の荷受台昇降装置を示したが、平行リンク機構を用いたアーム式の昇降機構を備えた荷受台昇降装置であってもよい。この場合、荷受台支持部Cは、アームと荷受台2を連結するピンと、ピンを通す穴を備えたブラケットとで構成することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…荷台、2…荷受台、7A,7B、8A,8B…トーションバー、12,12…アウタコラム、13,13…インナーコラム、14…クロスメンバー、15,15…スライダ、16…板部材、17…案内ローラ、18,18…ワイヤ、20…ストッパー、21,21…案内ローラ、23…ブラケット、23A,23B…板部、23K,23K…貫通孔、24…ピン、27…ホルダ枠、28…ホルダ、30…ブラケット、31…案内ローラ、34,35…両側枠部、36…連結枠部、37…直線部分、38…一端形状部、39…他端形状部、40…延長部、41…折曲部、42…平行部、43…第一板状部材、44…第二板状部材、45…ボルトナット機構部、46…スペーサ部材、46a,46b…端部、47…第一覆体、48…第二覆体、49…ボルト、49a…胴部、49b…頭部、50…ナット、51…ボルト孔、A…荷受台昇降装置、B…昇降機構部、C…荷受台支持部、t…厚み方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台に設けられ、荷物を載置する荷受台と、該荷受台を昇降させる昇降機構部と、該昇降機構部に対して前記荷受台を荷物が載置不能となるように立ち上げた閉じ姿勢と荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢との間で回動可能に支持する荷受台支持部と、前記荷受台を閉じる方向に付勢する複数のトーションバーとを備え、該複数のトーションバーは、径方向に並列されて、各々の一端部は前記荷受台側に配置され、他端部は前記昇降機構部側に配置された荷受台昇降装置であって、
前記荷受台は、前記開き姿勢において荷物を載置する表板と、前記開き姿勢における前記表板の下方に間隔を置いて設けられた裏板とを備え、
さらに、前記複数のトーションバーを収容する収容板部を備え、
前記収容板部は、前記表板に固定されていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記収容板部は仕切り板を備え、
前記仕切り板は、前記複数のトーションバーの間に設けられる請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に搭載される荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、昇降装置により荷受台が昇降可能に構成され、昇降装置により最上昇位置に位置させた荷受台を、荷台の後端部に形成の開口を開放する開き姿勢(略水平姿勢)から該開口を閉じる閉じ姿勢(略起立姿勢)へ作業者が容易に回動操作することができるように、荷受台を閉じ方向に付勢する付勢手段としてのトーションバーを備えた構成が記載されている。
【0003】
トーションバーは、荷受台の閉じ姿勢においては、荷受台に捩じり力が復元されることで閉じる方向に付勢し、荷受台の開き姿勢においては、荷受台の自重により発生する自重モーメントを受ける。このため、特許文献1、2では、トーションバーの一端部は、昇降機構部側に設けられて対向する二枚の板からなる取付部材(特許文献1では「トーションバー取付部材」、特許文献2では「係合ボックス」と称される)で挟持され、トーションバーの他端部は、荷受台側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63-58731号公報
【特許文献2】特許第2873844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、荷受台の自重により発生する自重モーメントの要因等によって、トーションバーを径方向に互いに隣接させるように並列させて、トーションバーを二本設ける場合もあり得る。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、2の取付部材に対してトーションバーを二本設けて、二枚の板からなる取付部材をボルトによって、トーションバーの隣接方向に締付けた場合には、トーションバーどうしが位置ずれしてしまう可能性がある。なお、上記の場合はトーションバーを二本設けた場合を例示したが、トーションバーを並列するように三本、あるいはそれ以上設けた場合も、同様な可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、トーションバーを複数本設けた場合において改良された荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、荷台に設けられ、荷物を載置する荷受台と、該荷受台を昇降させる昇降機構部と、該昇降機構部に対して前記荷受台を荷物が載置不能となるように立ち上げた閉じ姿勢と荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢との間で回動可能に支持する荷受台支持部と、前記荷受台を閉じる方向に付勢する複数のトーションバーとを備え、該複数のトーションバーは、径方向に並列されて、各々の一端部は前記荷受台側に配置され、他端部は前記昇降機構部側に配置された荷受台昇降装置であって、前記荷受台は、前記開き姿勢において荷物を載置する表板と、前記開き姿勢における前記表板の下方に間隔を置いて設けられた裏板とを備え、さらに、前記複数のトーションバーを収容する収容板部を備え、前記収容板部は、前記表板に固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記収容板部は仕切り板を備え、前記仕切り板は、前記複数のトーションバーの間に設けられる構成を採用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の荷受台昇降装置によれば、トーションバーを複数本設けた場合において改良された荷受台昇降装置を提供できる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の荷受台昇降装置を備えた荷役車両の後方部の側面図である。
図2】同荷役車両の後方部の斜視図である。
図3】同荷受台の内部のトーションバーの配置を示す一部縦断背面図である。
図4】同図3におけるIV-IV線断面図である。
図5】同図3におけるV-V線断面図である。
図6】同要部側面図である。
図7】同要部側面図におけるZ-Z部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、荷役車両に備えた本発明の荷受台昇降装置Aを、図面に基づいて説明する。荷受台昇降装置Aは、図1及び図2に示すように、荷役車両の荷台1の後端部に設けられ、荷物を載置する荷受台2と、荷受台2を昇降させる昇降機構部Bと、昇降機構部Bに対して荷受台2を荷物が載置不能となるように立ち上げた閉じ姿勢(略起立姿勢)と荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢(略水平姿勢)との間で回動可能に支持する荷受台支持部Cと、図3図7に示すように、荷受台2を閉じる方向に付勢するトーションバーD(7A,7B、8A,8B)とを備えている。
【0013】
荷受台2は、作業者の人力により開閉される。また、前記閉じ姿勢は、言い換えれば、図2に示す荷台1の後端部に形成の開口3を後方から閉じる姿勢であり、前記開き姿勢は、開口3を開放する姿勢である。
【0014】
図1及び図2に戻り、荷受台2は、表板4と、開き姿勢における表板4の下方に間隔を置いて略長方形状の裏板5とを備えている。表板4は、荷受台2の開き姿勢において、上方に位置し荷物を載置する平坦面に形成された載置面4Aと、載置面4Aの後端から後方側ほど下方に位置する傾斜面4Bとを備えている。荷受台2の左右側面と後述する左右一対のアウタコラム12,12との間には、閉じ姿勢の荷受台2を閉じ姿勢に固定するためのロック装置を備えている。
【0015】
ロック装置は、荷受台2の左右側面のそれぞれから出入りすることができるように車幅方向にスライド可能に設けられたロックバー32と、左右一対のアウタコラム12,12の左右両側面にそれぞれ固定されてロックバー32と係脱可能なフック33とを備えている。したがって、荷受台2の裏板5に備えた操作部(図示せず)を操作することによりロックバー32,32を荷受台2から左右方向外側へ突出させてフック33,33に係合させることで荷受台2を閉じ姿勢に固定することができる。
【0016】
クロスメンバー14は、汎用構成のものを用いている。このクロスメンバー14は、中空の角筒状体から構成され、クロスメンバー14の内部に、昇降用の駆動装置としての油圧シリンダ(図示せず)及び該油圧シリンダの伸縮により、車幅方向に移動可能に併設された回転自在な左右の可動シーブ(図示せず)が設けられている。
【0017】
左右の可動シーブには、ワイヤが巻回されており、これらワイヤ18,18が左右に分かれて、図1に示すように、上側固定シーブ19,19にそれぞれ巻回され、巻回されたワイヤ18,18の端が、スライダ15,15に連結されている。したがって、油圧シリンダを伸長作動させることにより、ワイヤ18,18を介してスライダ15,15が上昇され、荷受台2を上昇させることができる。また、油圧シリンダを短縮作動させることにより、ワイヤ18,18を介してスライダ15,15が下降され、荷受台2を下降させることができる。
【0018】
前記昇降機構部Bは、図2に示すように、左右一対のアウタコラム12,12と、左右一対のアウタコラム12,12内に昇降可能に挿嵌される左右一対のインナーコラム13,13と、左右一対のアウタコラム12,12間に両端が溶接されたクロスメンバー14と、スライダ15とを備えている。
【0019】
図1及び図2に示すように、左右一対のアウタコラム12,12は、同一構成であり、各アウタコラム12は、中空の角筒状体から構成され、前壁部12Aが荷台1の後端に溶接され、後壁部12Bの車幅方向中央部に上下方向に延び後述するスライダ15を昇降案内するための縦スリット12Sが形成されている。また、各アウタコラム12の内部の前後方向中央部に、内部空間を前後方向に区切るための板部材16を備えている。この板部材16の後側空間内をインナーコラム13が昇降する。
【0020】
インナーコラム13の昇降を案内するための案内ローラ17が、各アウタコラム12の下端部に回転自在に軸支されている。また、各インナーコラム13の上端には、ブラケット30を介して案内ローラ31が回転自在に軸支され、案内ローラ31は、インナーコラム13の昇降時にアウタコラム12の後壁部12Bの内面を転動してインナーコラム13の昇降を案内する。また、各アウタコラム12の上端部及び下端部には、後述するワイヤ18を案内するための上側固定シーブ19及び下側固定シーブ19が回転自在に軸支されている。また、各アウタコラム12の下端に、インナーコラム13に備える弾性ストッパー29の下端が当接するストッパー20が固定されている。
【0021】
左右一対のインナーコラム13,13は、同一構成であり、各インナーコラム13は、中空の角筒状体から構成されている。各インナーコラム13には、板状のスライダ15が昇降自在に挿入されている。スライダ15の後端部は、インナーコラム13に形成した縦スリット13S及びアウタコラム12に形成した縦スリット12Sに案内されてインナーコラム13及びアウタコラム12に対して昇降可能に構成されている。
【0022】
スライダ15の上部及び下部に、案内ローラ21がそれぞれ回転自在に軸支され、これら上下一対の案内ローラ21,21は、スライダ15がインナーコラム13に対して昇降する時に、インナーコラム13の内面を転動してスムーズな昇降が行える。各スライダ15の上端部には、ストッパゴム22が取り付けられ、このストッパゴム22は、アウタコラム12の上端に備えるベースプレート(図示せず)と係合して、アウタコラム12に対するスライダ15の上昇位置を規制する。
【0023】
各スライダ15の下端部には、後方へ突出するブラケット23が固定され、ブラケット23にピン24を介して、荷受台2が水平軸芯回りに回動可能に構成されている。また、各スライダ15の下端には、ステー25が固定され、このステー25には、荷受台2の開き位置への回動時に、荷受台2の回動側の基端部の上面と当接して荷受台2の開き位置を調整可能なストッパボルト26が取り付けられている。前記ピン24及びブラケット23が、前記荷受台支持部Cを構成する。
【0024】
図3に示すように、各ブラケット23は、左右幅方向に平行な一対の板部23A,23Bを備えている。一対の板部23A,23Bそれぞれの下端部に円形の貫通孔23Kが形成されていて、これら貫通孔23K,23Kに前記ピン24が貫通されて、ピンに24に、一対の板部23A,23Bが支持される。なお、ピン24は、略円柱状に構成されている。
【0025】
また、荷受台2の閉じ姿勢における下部であって車幅方向左右両側には、ホルダ枠27が形成されている。ホルダ枠27には、後述するホルダ28が配置される。
【0026】
ホルダ枠27は、車両幅方向に離間した両側枠部34,35と、両側枠部34,35の一側(ピン24から離れる方向)で連結する連結枠部36とを備える。そして、一方の側枠部34(車幅方向外側の枠部)が、前記一対の板部23A,23Bに挿入されて、一方の側枠部34には、ピン24が挿通されている。また、他方の側枠部35は、ホルダ28に対して、車幅方向内側に離間して配置されている。
【0027】
荷受台2の閉じ姿勢における下部にトーションバーDが配置されている。具体的に、トーションバー7A,7Bは、後方部から見た車幅方向左側に配置され、図3において前後に配置されている。トーションバー8A,8Bは後方部から見た車幅方向右側に配置され、同様に図3において前後に配置されている。換言すると、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bは、それぞれ、閉じ姿勢における荷受台2の、荷役車両前後方向の厚み方向t(図6参照)で、径方向に互いに隣接するように並列して配置されている。
【0028】
左右方向のトーションバー7A,7B、8A,8Bは、棒状部材から形成されており、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bは、開き姿勢における適正な付勢力を得るために径の異なる円形の断面形状であり、それぞれ同一長さである。車幅方向右側のトーションバー8A,8Bは、開き姿勢における適正な付勢力を得るために径の異なる円形の断面形状であり、それぞれ同一長さである。また、開き姿勢における適正な付勢力を得るために、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bに比べて、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bが長く形成されている。この実施形態では、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bが、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bよりも長く形成することでばね定数が小さくされている。
【0029】
また、トーションバー7A,7B、8A,8Bは、直線部分37と、直線部分37の一端である一端形状部38と、直線部分37の他端である他端形状部39とを備えて棒状部材から形成されている。
【0030】
本実施形態の場合では、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの一端部は、後述するように折り曲げられた一端形状部38であり、一端形状部38は、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bのねじりを、ホルダ28に対して保持(固定)する、ねじり保持部とされている。また、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの他端部は、湾曲したUの字形状の他端形状部39とされている。
【0031】
特に、前記一端形状部38は、直線部分37から延びる延長部40と、延長部40に略直角に折れ曲がる折曲部41と、折曲部41の端部であって、延長部40に平行な平行部42とを備える。このうち、折曲部41および平行部42は、ねじり保持部として特定される。
【0032】
トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの一端部は、ブラケット23の板部23Bに配置されたホルダ28に支持され、トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの他端部は、荷受台2に固定した収容板部9,10に支持されている。
【0033】
トーションバー7A,7B、及びトーションバー8A,8Bの一端形状部38を保持する各ホルダ28の構成を、図3図6及び図7に基づいて説明する。なお、各ホルダ28は、それぞれ同様の構成を有しているため、車幅方向右側のホルダ28について詳述する。ホルダ28は、第一板状部材43と、第二板状部材44と、ボルトナット機構部45と、スペーサ部材46とを備える。
【0034】
第一板状部材43及び第二板状部材44は、トーションバー8A,8Bの一端形状部38を覆うよう、車幅方向に沿って形成されている。第一板状部材43は、トーションバー8A,8Bの一端形状部38を隣接方向の更に外側から覆う板状の第一覆体47と、第一覆体47の両端から略直角に折れ曲がる板状の第二覆体48とを一体的に備える。第一覆体47は、トーションバー8Aの一端形状部38を、後方から覆い、第二覆体48はトーションバー8A,8Bの一端形状部38のうち、延長部40と平行部42を、それぞれ上下方向外側で覆う。第一板状部材43の端は、板部23Bに溶接されている。
【0035】
本実施形態では、第一板状部材43は、閉じ姿勢の荷受台2における垂直方向に対して、上方ほど荷役車両の前方に5°だけ傾斜している。したがって、第一板状部材43の第一覆体47が上方ほど荷役車両の前方に5°だけ傾斜している分だけ、第二覆体48も傾斜している。
【0036】
第二板状部材44は、第一覆体47と対向して配置され、トーションバー8Bの一端形状部38を、閉じ姿勢の荷受台2における前方から覆う。したがって、第二板状部材44は、上記のように第一覆体47は傾斜しているので、第二板状部材44も、第一覆体47と同様に、上方ほど荷役車両の前方に向け下方を後部側に傾斜して配置されている。第一板状部材43の端は板部23Bに溶接されているが、第二板状部材44は、何れにも溶接されていない。このような第一板状部材43及び第二板状部材44によって、トーションバー8A,8Bの一端形状部38が、荷役車両において上方ほど前方に傾斜した状態で挟持可能とされている。
【0037】
ボルトナット機構部45は、ボルト49とナット50を備える。ボルト49は二本(複数本)であり、したがって、ナット50も二個である。第一覆体47及び第二板状部材44に、それぞれ対向するように、ボルト49の胴部49aが挿通されるボルト孔51が形成されている。特に、第一覆体47及び第二板状部材44のボルト孔51は、トーションバー8A,8Bの一端形状部38の内部、すなわち延長部40、折曲部41、平行部42に囲まれた内部に相当する領域に形成されている。なお、ボルト49は、胴部49aがボルト孔51に挿通され、ボルト49の頭部49bが、第二板状部材44の板面(表面)に圧接され、ナット50は、第一覆体47から突出した胴部49aに螺合される。
【0038】
スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有する。この寸法は、スペーサ部材46の長手方向の寸法である。スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の内部、すなわち第一板状部材43及び第二板状部材44の間にあって、第一覆体47及び第二板状部材44を突っ張る位置に配置されている。具体的に、スペーサ部材46は、中抜きのスリーブ状に形成されており、ボルト孔51に挿通された各ボルト49の胴部49aに外嵌するよう配置され、スペーサ部材46の各端部46a,46bが、それぞれ第一覆体47、第二板状部材44の内面にある。すなわち、スペーサ部材46は、一端形状部38に対し、荷受台2の幅方向内側に当接可能に構成されている。なお、スペーサ部材46の内径は、ボルト49の胴部49aより大きく形成されている。
【0039】
また、スペーサ部材46の寸法は、トーションバー8A,8Bの端部のうちホルダ28内に位置する端部(本実施形態では、一端部)における、ねじり保持部の、径方向における二個の断面方向の最大寸法より短く設定されている。すなわち、トーションバー8Aの延長部40と、トーションバー8Bの平行部42における、断面方向の最大寸法より短く設定されている。なお、本実施形態では、複数個のトーションバー8A,8Bとして、二個のトーションバー8A,8Bを設けたが、場合によっては、三個のトーションバーを配置することも考えられ、この場合では、ホルダ28内に位置する端部における、ねじり保持部の、径方向における三個の断面方向の最大寸法より短く設定されている。
【0040】
上記構成では、車幅方向右側のホルダ28について説明したが、車幅方向左側のホルダ28についても同様な構成である。以上で、ホルダ28の構成の説明を終える。
【0041】
図3において、トーションバー7A,7B及びトーションバー8A,8Bは、ホルダ28において、荷役車両の前後方向、および背面図において同一位置とするのが理想である。しかしながら、このように構成されると、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bと、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bとの内側(車幅方向の内方側)が干渉してしまう。したがって、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bと、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bとの内側が互いに干渉しないように、トーションバー7A,7Bとトーションバー8A,8Bが、閉じ姿勢の荷役台2において前側、または後側に、トーションバー7A,7Bとトーションバー8A,8Bとが、その軸方向を交わして配置されている。
【0042】
このため、車幅方向左側のトーションバー7A,7Bと、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bとの内側を配置した荷受台2には、表板4の内面の車両幅方向に固定されている補強板6が配置され、補強板6の車幅方向両端部の左右2箇所に、トーションバー7A,7B、8A,8Bの、Uの字形状の他端形状部39を収容する収容空間を形成すべく断面コの字状の収容板部9,10が固定されている。
【0043】
図5に示すように、一方(車幅方向右側)の収容板部10は、側に交わされた車幅方向左側のトーションバー7A,7Bの他端形状部39を収容することができるように前側に大きく突出した構成であり、収容した他端形状部39が回転しないように収容部空間を前後方向に2枚の仕切り板11,11で仕切られている。また、図4に示すように、他方(車幅方向左側)の収容板部9は、車幅方向右側のトーションバー8A,8Bが側に交わされているため、断面コの字状の折り曲げられた両端部に関して、収容した車幅方向右側のトーションバー8A,8Bの他端形状部39が回転しないような断面の大きさに構成されている。
【0044】
上記のように構成された荷受台昇降装置Aについて、特にトーションバー7A,7B及びトーションバー8A,8Bの一端形状部38の支持装置、すなわち、ホルダ28、第一板状部材43、第二板状部材44、ボルトナット機構部45と、スペーサ部材46の作用について説明する。なお、各ホルダ28は、それぞれ同様の構成を有しているため、ホルダ28については、車幅方向右側のホルダ28について作用を説明する。また、トーションバー7A,7B、8A,8Bの他端形状部39は、上述したように、収容板部9,10に支持されている。
【0045】
まず、第一板状部材43の端は、板部23Bに溶接されているので、固定されている。そして、第一板状部材43に、トーションバー8A,8Bの一端形状部38を挿入する。
【0046】
このとき、トーションバー8A,8Bの一端形状部38において、折曲部41が、ホルダ枠27の側枠部34と対向するようにし、一方で、トーションバー8A,8Bどうしは、前後方向に並列させて、延長部40を第二覆体48の内側に配置するとともに、平行部42を第二覆体48の内側に配置する。
【0047】
さらに、第二板状部材44の各ボルト孔51に、ボルト49を挿入し、また、スペーサ部材46を各ボルト49の胴部49aに外嵌するよう配置する。その上で、トーションバー8Bの一端形状部38を前方から覆うようにして、第二板状部材44に装着したボルト49を、第一覆体47に形成されたボルト孔51に挿通し、第一覆体47から突出した胴部49aにナット50を螺合して、ナット50を締付ける。このようにして、トーションバー8A,8Bの一端形状部38が、ホルダ28(支持装置)に確実に保持される。
【0048】
なお、本実施形態では、第一板状部材43は、垂直方向に対して、上方ほど前方に5°だけ傾斜していることにより、荷受台2に荷物が載置可能となるように展開した開き姿勢において、トーションバー7A,7B、8A,8Bが捩じられて、復元力が生じる。
【0049】
このように、ホルダ28は、前後に並列したトーションバー8A,8Bの外側から支持する第一板状部材43及び第二板状部材44と、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bにおける、隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有したスペーサ部材46とを備えており、スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の内部にあって、第一覆体47及び第二板状部材44を突っ張るよう配置されている。
【0050】
このとき、第二覆体48の端48aと、第二板状部材44の裏面44aとは、第二覆体48の面方向に直交する方向から見た場合、トーションバー8A,8Bの一端形状部38において、隙間がない状態とされる。また、第二覆体48の端48bと、第二板状部材44の側端面44bとの間は、隙間がない状態、または、わずかに隙間が生じた状態とされる。したがって、第二覆体48と第二板状部材44が組合された状態では、トーションバー8Bの一端形状部38を、ホルダ28の外部に離脱させることがない。
【0051】
そして、第一板状部材43及び第二板状部材44を締付けるボルトナット機構部45(ナット50)によって、第一板状部材43と第二板状部材44とを互いに接近させて、スペーサ部材46の長さまで締付けることで、過剰な締付けにより、並列したトーションバー8A,8Bどうしが上下方向に位置ずれしてしまうことを防止できる。なお、ホルダ28のスペーサ部材46において、隣接方向での合計の直径よりも長い寸法として、本実施形態では、第一板状部材43の第一覆体47の傾斜分の方向である。
【0052】
また、スペーサ部材46は、第一板状部材43及び第二板状部材44の間に配置されて、並列したトーションバー8A,8Bの隣接方向での合計の直径よりも長い寸法を有する。また、トーションバー8Aの延長部40と、トーションバー8Bの平行部42における、断面方向の最大寸法より短く設定されている。このため、ホルダ28の第一板状部材43と第二板状部材44との間隔が、複数本のトーションバー8A,8B(一端形状部38)の最大寸法より長くなることを防いで、第一板状部材43と第二板状部材44とで、トーションバー8A,8Bの回転を止めることができる。
【0053】
また、トーションバー8A,8Bの一端形状部38において、折曲部41が、ホルダ枠27の側枠部34と当接するようにし、第二覆体48はトーションバー8A,8Bの一端形状部38のうち、延長部40と平行部42を、それぞれ上下方向外側で覆っているため、上下方向において、トーションバー8A,8Bどうしが位置ずれしてしまうことを防止できる。
【0054】
また、スペーサ部材46は、中空形状に形成されており、ボルト49の胴部49aは、スペーサ部材46を貫通するように、第一板状部材43の第一覆体47及び第二板状部材44に締付けられている。この構成によれば、ボルト49における第一板状部材43(第一覆体47)及び第二板状部材44の締付け位置と、スペーサ部材46の端部46a,46bによる第一板状部材43及び第二板状部材44の突っ張り位置とを同じ位置にできるから、第一板状部材43及び第二板状部材44どうしを確実に固定でき、例えば、第一板状部材43及び第二板状部材44どうしが互いに傾くことはない。
【0055】
トーションバー8A,8Bの一端部として、直線部分37から延びる延長部40と、延長部40に略直角に折れ曲がる折曲部41と、折曲部41の端部であって、延長部40に平行な平行部42とを備えた一端形状部38を備えている。そして、スペーサ部材46は、一端形状部38に対し、荷受台2の幅方向内側に当接可能に構成されている。このため、トーションバー8A,8Bが荷受台2の幅方向内側の力を受けても、一端形状部38とスペーサ部材46との干渉によって、トーションバー8A,8Bがホルダ28から抜け出ない。なお、ホルダ28は、車幅方向右側のトーションバー7A,7Bについても同様の作用効果を生ずる。
【0056】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38は、直線部分37から延びる延長部40と、延長部40に略直角に折れ曲がる折曲部41と、折曲部41の端部であって、延長部40に平行な平行部42とを備えたが、他端形状部39と同様に、湾曲したUの字形状とすることもでき、あるいは、平行部42を備えていないLの字形状であってもよく、直線部分37の端から交差するTの字形状や、直線部分37の端を球形に施した形状とすることもできる。
【0057】
また、上記実施形態では、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38は、延長部40と、折曲部41と、平行部42とを備え、このうち、折曲部41および平行部42は、ねじり保持部として特定された。しかし、折曲部41および平行部42を備えない、トーションバー7A,7B、8A,8Bのねじり軸に沿って直線状に延びていてもよい。この場合では、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38を、断面多角形や、楕円にすることで、ホルダ28に係止して、ホルダ28に対する一端形状部38でもって、ねじり保持部(第一板状部材43、第二板状部材44に係止する係止部)として、ねじり(回転)を規制させるようにすることができる。この場合、スペーサ部材46は、トーションバー7A,7B、8A,8Bに、それぞれ備えられたねじり保持部において、複数本分の断面の最大寸法より短い。例えば、この最大寸法とは、二個のトーションバー8A,8Bが並列した場合であって、二個の一端形状部38が断面矩形の場合では、二個の矩形の対角線である。また、二個のトーションバー8A,8Bが並列した場合であって、二個の一端形状部38が断面楕円形の場合では、二個の楕円の対角線である。
【0058】
さらに、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38が、トーションバー7A,7B、8A,8Bのねじり軸に沿って直線状に延びたものにおいて、第一板状部材43及び第二板状部材44に当接して、且つ一端形状部38の回転を規制する規制部材(ねじり保持部としての突出部)を設けることもできる。たとえば、図示しないが、規制部材は、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38を囲繞し、且つ第一板状部材43、第二板状部材44に当接可能な部材とすることができる。規制部材は、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38の断面は真円である場合に、特に効果的である。そして、スペーサ部材46の寸法は、規制部材も合わせた複数本のトーションバーの断面の最大寸法より短く設定されている。
【0059】
また、収容板部9,10を設ける代わりに、荷受台2にホルダ28を設けて、トーションバー7A,7B、8A,8Bの他端形状部38を保持する場合も考えられる。また、トーションバー7A,7B、8A,8Bの一端形状部38は、断面多角形として昇降機構部Bに保持させてもよい。
【0060】
上記実施形態では、ホルダ28は、一端形状部38を支持するよう設けたが、他端形状部39を保持するものであってもよいし、一端形状部38及び他端形状部39を、それぞれ保持するものも考えられる。ホルダ28を、トーションバー7A,7B、8A,8Bの軸方向双方に用いる場合も考えられ、この場合の一端形状部38及び他端形状部39は、Uの字形状、角型形状、Lの字形状、あるいはTの字形状とすることができる。
【0061】
上記実施形態では、車幅方向右側のトーションバー7A,7B及び車幅方向左側のトーションバー8A,8Bを、それぞれ前後に重なるよう並列させた構成を列挙した。しかしながら、例えば、車幅方向右側、あるいは車幅方向左側のトーションバーは一本であってもよい。
【0062】
上記実施形態では、第一板状部材43は、第一覆体47と、第二覆体48とを一体的に備えた例を挙げた。しかしながら、第一板状部材43は、第一覆体47のみを備えた構成とすることもできる。つまり、第一板状部材43は、第一覆体47のみを備えた構成として、第一板状部材43と第二板状部材44とが、スペーサ部材46を挟んで構成される場合も考えられる。この場合、トーションバーの少なくとも何れかの端部が、スペーサ部材46に係止する形状であれば、トーションバーは、端部の形状とスペーサ部材とが係止することで、ホルダ28からの抜止めがなされる。
【0063】
また、上記実施形態では、第一板状部材43を断面コ字形に形成し、第二板状部材44は単純な板状に形成した例を挙げた。しかしながら、第一板状部材43と第二板状部材44とが、互いに逆形状とすることもできる。すなわち、第一板状部材43を板状とし、第二板状部材44を断面コ字形に形成した場合である。
【0064】
上記実施形態では、スペーサ部材46は、中抜きのスリーブ状に形成されていたが、中実の断面円形、あるいは断面多角形とすることもできる。この場合では、ボルト49はスペーサ部材46を挿通しないが、スペーサ部材46にボルト49を挿通させる必要はない。例えば、スペーサ部材46は、ボルト49に隣り合うように、第一板状部材43及び第二板状部材44に嵌合する形態とすることもでき、あるいは、第一板状部材43及び第二板状部材44をクランプする形態であってもよい。また、上記実施形態では、スペーサ部材46は二本設けたが、一本、あるいは三本以上とすることもできる。
【0065】
また、上記実施形態では、アウタコラム12,12に沿って荷受台2が垂直に昇降する構成の荷受台昇降装置を示したが、平行リンク機構を用いたアーム式の昇降機構を備えた荷受台昇降装置であってもよい。この場合、荷受台支持部Cは、アームと荷受台2を連結するピンと、ピンを通す穴を備えたブラケットとで構成することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…荷台、2…荷受台、4…表板、5…裏板、7A,7B、8A,8B…トーションバー、9,10…収容板部、11…仕切り板、12,12…アウタコラム、13,13…インナーコラム、14…クロスメンバー、15,15…スライダ、16…板部材、17…案内ローラ、18,18…ワイヤ、20…ストッパー、21,21…案内ローラ、23…ブラケット、23A,23B…板部、23K,23K…貫通孔、24…ピン、27…ホルダ枠、28…ホルダ、30…ブラケット、31…案内ローラ、34,35…両側枠部、36…連結枠部、37…直線部分、38…一端形状部、39…他端形状部、40…延長部、41…折曲部、42…平行部、43…第一板状部材、44…第二板状部材、45…ボルトナット機構部、46…スペーサ部材、46a,46b…端部、47…第一覆体、48…第二覆体、49…ボルト、49a…胴部、49b…頭部、50…ナット、51…ボルト孔、A…荷受台昇降装置、B…昇降機構部、C…荷受台支持部、t…厚み方向
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5