(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003852
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】3次元データ出力装置、3次元CADシステム、3次元データ出力方法、および3次元データ出力プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20240109BHJP
G06T 17/20 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06T17/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103154
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】柳田 優輝
【テーマコード(参考)】
5B080
5B146
【Fターム(参考)】
5B080AA13
5B080AA20
5B080CA00
5B080FA00
5B080GA00
5B146DE06
5B146DL03
5B146DL07
5B146EC04
(57)【要約】
【課題】操作がより簡単で、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能な3次元データ出力装置等を提供する。
【解決手段】3次元データ出力装置は、複数の部品により構成された物品を表す3次元物品データを生成する要求を受け付ける3次元物品データ生成要求受付手段と、それぞれの部品を表す3次元部品データを取得する3次元部品データ取得手段と、3次元部品データの入力履歴を取得する入力履歴取得手段と、入力履歴に基づいて各々の部品に重みを付与する重み付与手段と、重みに基づいて表示簡略化する部品を決定する表示簡略化対象決定手段と、表示簡略化対象の部品に対応する3次元部品データを簡略化変換し、簡略3次元データを生成する簡略化変換手段と、元の3次元部品データと簡略3次元データとを組み合わせて3次元物品データを生成する3次元物品データ生成手段とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す3次元物品データを生成する要求を受け付ける3次元物品データ生成要求受付手段と、
複数の前記部品の形状をそれぞれ3次元で表す複数の3次元部品データを取得する3次元部品データ取得手段と、
複数の前記3次元部品データが入力されたときの入力履歴を取得する入力履歴取得手段と、
前記入力履歴を分析し、前記入力履歴の分析結果に基づいて複数の前記部品の各々に重みを付与する重み付与手段と、
複数の前記部品のうちで、前記重みに基づいて表示を簡略化する表示簡略化の対象となる前記部品を決定する表示簡略化対象決定手段と、
前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記3次元部品データに対して、前記部品の表示を簡略化させる変換である簡略化変換を行い、簡略3次元データを生成する簡略化変換手段と、
前記表示簡略化の対象とならなかった前記部品に対応する前記3次元部品データと、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記簡略3次元データとを組み合わせることにより、前記3次元物品データを生成する3次元物品データ生成手段と、
を有することを特徴とする3次元データ出力装置。
【請求項2】
前記入力履歴が、寸法入力、部品アセンブリ、部品干渉確認、部品選択のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元データ出力装置。
【請求項3】
前記入力履歴が、
前記3次元部品データが入力された時期を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元データ出力装置。
【請求項4】
前記重み付与手段が、
ユーザが参照する蓋然性が高いと推定される前記入力履歴の点数が大きくなるように前記重みを設定し、
前記表示簡略化対象決定手段が、
前記点数の合計が予め定めた閾値未満の前記部品を表示簡略対象に決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の3次元データ出力装置。
【請求項5】
前記簡略化変換が、
前記3次元部品データの間引きまたは複数の前記部品の一体化のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の3次元データ出力装置。
【請求項6】
前記簡略化変換が、
前記3次元部品データの間引きまたは複数の前記部品の一体化のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の3次元データ出力装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の3次元データ出力装置と、
前記3次元部品データを入力する3次元CAD装置と、
前記3次元部品データと前記入力履歴とを記憶する記憶装置と、
を有することを特徴とする3次元CADシステム。
【請求項8】
コンピュータが、
複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す3次元物品データを生成する要求を受け付け、
複数の前記部品の形状をそれぞれ3次元で表す複数の3次元部品データを取得し、
複数の前記3次元部品データが入力されたときの入力履歴を取得し、
前記入力履歴を分析し、前記入力履歴の分析結果に基づいて複数の前記部品の各々に重みを付与し、
複数の前記部品のうちで、前記重みに基づいて表示を簡略化する表示簡略化の対象となる前記部品を決定し、
前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記3次元部品データに対して、前記部品の表示を簡略化させる変換である簡略化変換を行い、簡略3次元データを生成し、
前記表示簡略化の対象とならなかった前記部品に対応する前記3次元部品データと、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記簡略3次元データとを組み合わせることにより、前記3次元物品データを生成する、
ことを特徴とする3次元データ出力方法。
【請求項9】
複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す3次元物品データを生成する要求を受け付ける処理と、
複数の前記部品の形状をそれぞれ3次元で表す複数の3次元部品データを取得する処理と、
複数の前記3次元部品データが入力されたときの入力履歴を取得する処理と、
前記入力履歴を分析し、前記入力履歴の分析結果に基づいて複数の前記部品の各々に重みを付与する処理と、
複数の前記部品のうちで、前記重みに基づいて表示を簡略化する表示簡略化の対象となる前記部品を決定する処理と、
前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記3次元部品データに対して、前記部品の表示を簡略化させる変換である簡略化変換を行い、簡略3次元データを生成する処理と、
前記表示簡略化の対象とならなかった前記部品に対応する前記3次元部品データと、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記簡略3次元データとを組み合わせることにより、前記3次元物品データを生成する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする3次元データ出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元データ出力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元CAD(Computer Aided Design)やVR(Virtual Reality)などの分野で、3次元データの利用が盛んになっている。なお、以降の説明では「3次元(Three Dimension)」のことを「3D」、「2次元(Two Dimension)」のことを「2D」とも称する。3次元データでは、2次元データに比べて格段にデータ量が多い。このため、3次元データの映像を再生する際に、ユーザにより期待されている再生速度より、映像の再生が遅くなってしまう場合がある。
【0003】
この問題を改善するための技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の技術は、3次元空間データ送信表示システム等に関する。この3次元空間データ送信表示システムは、3次元データ(3次元オブジェクトデータ)を送信するサーバ装置と、所定の通信路を介して3次元データを受信して表示するクライアント装置とを備える。
【0004】
サーバ装置は、通信路の輻輳状況に応じて、単位時間当たりに送信する3次元データに上限値を設定する。また、サーバ装置は、クライアント装置に表示させる3次元データに優先度を設定する。そして、優先度に応じて、3次元データ量が上限値を超えないように選択された3次元データを、サーバ装置が送信する。サーバ装置では、例えば、ユーザの視点に基づいて、優先度が設定される。また例えば、利用目的に応じて、優先度が設定される。そして、優先度に応じて、選択された3次元データが、サーバ装置からクライアント装置に送信される。クライアント装置では、受信した3次元データを用いて映像が再生される。つまり、クライアント装置では、元の量より削減された3次元データを用いて映像が再生される。クライアント装置では、例えば、3次元データを表示する際に、地図情報において、目印になるような建物や標識等を表示させ、目印にならないようなものは表示させないといった動作が行われる。特許文献1の3次元空間データ送信表示システムでは、このような動作により、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データが削減される。このため、特許文献1の3次元空間データ送信表示システムによれば、ユーザが快適に利用できる速さより、映像の再生が遅くなる問題が改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、優先度設定のルールがユーザにより任意に定められる。このため、システムを利用するたびにユーザによってルールが設定されていた。このようなルール設定は、ユーザにとって煩わしいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、操作がより簡単で、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能な3次元データ出力装置等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の3次元データ出力装置は、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す3次元物品データを生成する要求を受け付ける3次元物品データ生成要求受付手段と、複数の前記部品の形状をそれぞれ3次元で表す複数の3次元部品データを取得する3次元部品データ取得手段と、複数の前記3次元部品データが入力されたときの入力履歴を取得する入力履歴取得手段と、前記入力履歴を分析し、前記入力履歴の分析結果に基づいて複数の前記部品の各々に重みを付与する重み付与手段と、複数の前記部品のうちで、前記重みに基づいて表示を簡略化する表示簡略化の対象となる前記部品を決定する表示簡略化対象決定手段と、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記3次元部品データに対して、前記部品の表示を簡略化させる 変換である簡略化変換を行い、簡略3次元データを 生成する簡略化変換手段と、前記表示簡略化の対象とならなかった前記部品に対応する前記3次元部品データと、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記簡略3次元データとを組み合わせることにより、前記3次元物品データを生成する3次元物品データ生成手段と、を有する。
【0009】
また、本発明の3次元CADシステムは、上記の3次元データ出力装置と、前記3次元部品データを入力する3次元CAD装置と、前記3次元部品データと前記入力履歴とを記憶する記憶装置と、を有する。
【0010】
また、本発明の3次元データ出力方法は、コンピュータが、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す3次元物品データを生成する要求を受け付け、複数の前記部品の形状をそれぞれ3次元で表す複数の3次元部品データを取得し、複数の前記3次元部品データが入力されたときの入力履歴を取得し、前記入力履歴を分析し、前記入力履歴の分析結果に基づいて複数の前記部品の各々に重みを付与し、複数の前記部品のうちで、前記重みに基づいて表示を簡略化する表示簡略化の対象となる前記部品を決定し、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記3次元部品データに対して、前記部品の表示を簡略化させる変換である簡略化変換を行い、簡略3次元データを生成し、前記表示簡略化の対象とならなかった前記部品に対応する前記3次元部品データと、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記簡略3次元データとを組み合わせることにより、前記3次元物品データを生成する。
【0011】
また、本発明の3次元データ出力プログラムは、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す3次元物品データを生成する要求を受け付ける処理と、複数の前記部品の形状をそれぞれ3次元で表す複数の3次元部品データを取得する処理と、複数の前記3次元部品データが入力されたときの入力履歴を取得する処理と、前記入力履歴を分析し、前記入力履歴の分析結果に基づいて複数の前記部品の各々に重みを付与する処理と、複数の前記部品のうちで、前記重みに基づいて表示を簡略化する表示簡略化の対象となる前記部品を決定する処理と、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記3次元部品データに対して、前記部品の表示を簡略化させる変換である簡略化変換を行い、簡略3次元データを生成する処理と、前記表示簡略化の対象とならなかった前記部品に対応する前記3次元部品データと、前記表示簡略化の対象となった前記部品に対応する前記簡略3次元データとを組み合わせることにより、前記3次元物品データを生成する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、操作がより簡単で、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能な3次元データ出力装置等を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態の3次元データ出力装置を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態の3次元データ出力装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態の重み付与手段の具体例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態の3次元データ出力装置が対象とする物品の構成の具体例を示す模式図である。
【
図5】第1の実施形態の重み付与の第1の例を示す表である。
【
図6】第1の実施形態の入力履歴の第1の具体例を示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態の入力履歴の第2の具体例を示す模式図である。
【
図8】第1の実施形態の入力履歴の第3の具体例を示す模式図である。
【
図9】第1の実施形態の入力履歴の第4の具体例を示す模式図である。
【
図10】第1の実施形態の重みの一覧の具体例を示す表である。
【
図11】第1の実施形態における部品一体化の例を示す模式図である。
【
図12】第1の実施形態の一体化動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第1の実施形態の重みの時系列の一例を示す表である。
【
図14】第1の実施形態の重みの時系列の別の一例を示す表である。
【
図15】第1の実施形態の3次元CADシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の3次元データ出力装置を示すブロック図である。本実施形態の3次元データ出力装置100は、作成済みの3次元物品データをユーザが利用する際に、3次元物品データを出力する装置である。ここで3次元物品データとは、物品の形状を3次元で表すデータである。3次元物品データには、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性が高い部分と低い部分がある。本実施形態の3次元データ出力装置100は、これらを入力履歴に基づいて判定する。そして、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性が低い部分のデータ量を3次元データ出力装置100が削減する。具体的には、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性が低い部品について、3次元データ出力装置100が簡略3次元データを生成する。ここで、簡略3次元データとは、元の3次元部品データからデータ量を削減したデータである。簡略3次元データを用いると当該部品の表示が簡略化される。一方、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性が高い部分については、元の3次元部品データが出力される。このような動作により、ユーザの利便性を損なわないように、出力する3次元物品データのデータ量が削減される。そして、ユーザが特別な設定を行うことなく、自動的に上記の動作が行われる。以下、3次元データ出力装置100の詳細について説明する。
【0016】
3次元データ出力装置100は、3次元物品データ生成要求受付手段110と、3次元部品データ取得手段120と、入力履歴取得手段130と、を有する。また、3次元データ出力装置100は、重み付与手段140と、表示簡略化対象決定手段150と、簡略化変換手段160と、3次元物品データ生成手段170と、を有する。3次元データ出力装置100は、例えば、メモリ、プロセッサ、記憶部を備えたコンピュータに実装される。
【0017】
3次元物品データ生成要求受付手段110は、ユーザ端末200等からの3次元物品データの生成要求を受け付ける。3次元物品データは、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す。
【0018】
3次元部品データ取得手段120は、複数の部品の3次元部品データを取得する。この複数の部品は物品を構成する部品である。3次元部品データは、それぞれの部品の形状を3次元で表す。例えば3次元CAD300の記憶部から、3次元部品データが取得される。また、例えば、図示しないデータベース(記憶装置)から、3次元部品データが取得される。なお、3次元データ出力装置100が3次元CAD300と一体化されていても良い。
【0019】
入力履歴取得手段130は、3次元部品データが作成されたときの入力履歴を取得する。入力履歴は、複数の部品の3次元データが入力された際の、3次元CAD300の操作に関する履歴である。詳細は後述する。例えば、3次元CADの記憶部や記憶装置から、入力履歴が取得される。
【0020】
重み付与手段140は、入力履歴を分析する。そして、入力履歴の分析結果に基づいて、重み付与手段140が、各々の部品に重みを付与する。入力履歴の分析では、ユーザが各部品の詳細形状を参照する蓋然性が分析される。そして、ユーザが詳細形状を参照する蓋然性が高い部品に対して、重み付与手段140が大きな重みを付与する。
【0021】
各部品に付与された重みに基づいて、表示簡略化対象決定手段150が、表示簡略化の対象となる部品を決定する。ここで表示簡略化とは、3次元部品データを削減する操作である。表示簡略化によって、表示が簡略化される。
【0022】
簡略化変換手段160は、表示簡略化の対象となった部品の表示を簡略化させる変換である簡略化変換を行う。表示簡略化の対象となった部品に対応する3次元部品データに対して、簡略化変換が行われる。簡略化変換では、部品の3次元データを簡略化した簡略3次元データが生成される。
【0023】
3次元物品データ生成手段170は、外部から要求された3次元物品データを生成する。元の3次元部品データと簡略3次元データとを組み合わせて、3次元物品データが生成される。元の3次元部品データは、表示簡略化の対象とならなかった部品に対応する。簡略3次元データは、表示簡略化の対象となった部品に対応する。そして、3次元データ出力装置100から、生成された3次元物品データが出力される。
【0024】
上記の構成では、表示簡略化の対象となった部品については、簡略3次元データが出力される。一方、表示簡略化の対象とならなかった部品については、元のままの3次元データが出力される。簡略3次元データを用いることで、出力する3次元物品データのデータ量が削減される。このため、ユーザ端末等の表示装置では、すべての3次元データを再生する場合よりも、3次元データの再生が高速化される。一方、ユーザが詳細形状を参照する蓋然性が高い部品については、元の3次元データが出力される。これにより、当該部品の詳細形状の参照が可能になる。
【0025】
以上のように、本実施形態の3次元データ出力装置100では、ユーザが物品ごとにルールを設定することなく、自動的に3次元データ量が削減される。この際、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性が高い部品については、元の3次元部品データが用いられる。このため、ユーザによる当該部品の詳細情報参照が可能になる。一方、ユーザが参照する蓋然性が低い部品については、簡略3次元データが用いられる。これにより、データ量が削減される。こうして、本実施形態の3次元データ出力装置100によれば、より簡単な操作で、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能になる。
【0026】
次に、3次元データ出力装置100の動作について説明する。
図2は、第1の実施形態の3次元データ出力装置100の動作を示すフローチャートである。上記したように、3次元データ出力装置100は、例えば、コンピュータに実装される。
【0027】
まず、3次元物品データ生成要求受付手段110が、3次元物品データの生成要求を受け付ける(S1)。次に、3次元部品データ取得手段120が、3次元部品データを取得する(S2)。次に、入力履歴取得手段130が、入力履歴を取得する(S3)。次に、重み付与手段140が、入力履歴を分析する。そして、入力履歴の分析結果に基づいて各々の部品に重みを付与する(S4)。次に、表示簡略化対象決定手段150が、複数の部品のうちで、表示簡略化の対象となる部品を決定する。この決定は、各部品に付与された重みに基づいて行われる(S5)。次に、簡略化変換手段160が、簡略化変換を行う。ここでは、表示簡略化の対象となった部品に対応する3次元データに対して、簡略化変換が行われる。簡略化変換は、部品の表示を簡略化させる変換である。簡略化変換によって、対象部品の簡略3次元データが生成される(S6)。次に、3次元物品データ生成手段170が、3次元物品データを生成する。元の3次元部品データと簡略3次元データとを組み合わせて、3次元物品データが生成される。この際、表示簡略化の対象とならなかった部品については、当該部品に対応する元の3次元部品データが用いられる。一方、表示簡略化の対象となった部品については、当該部品に対応する簡略3次元データが用いられる。(S7)。
【0028】
以上の動作によって、すべての部品の3次元データをそのまま出力される場合よりも、3次元データ出力装置100から出力される3次元物品データのデータ量が削減される。一方、ユーザが詳細形状を参照する蓋然性が高い部品については、元の3次元データが出力される。これにより、当該部品の詳細形状の参照が可能になる。これらの動作は、ユーザが物品ごとに設定を行うことなく自動的に行われる。こうして、本実施形態の3次元データ出力装置100によれば、より簡単な操作で、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能になる。
【0029】
(具体例1)
本具体例では、重み付与手段140における入力履歴の分析と重みの付与について、具体例を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態の重み付与手段140の具体例を示すブロック図である。重み付与手段140は、部品編集時間分析部141と、コマンド履歴分析部142とを備える。また、コマンド履歴分析部142は、部品寸法入力履歴分析部1421と、部品アセンブリ入力履歴分析部1422と、部品干渉確認履歴分析部1423と、部品選択履歴分析部1424とを備える。各分析部では、入力履歴の種類ごとに分析を行い、分析結果に応じて重みが算出される。ここで、それぞれの分析部で算出された重みを一元的に扱うために、重みが正規化されても良い。なお、ここでは、コマンド履歴として、部品寸法入力履歴、部品アセンブリ入力履歴、部品干渉確認履歴および部品選択履歴が採用されたが、これらの入力履歴は一例である。すなわち、入力履歴の種類は、この例に限られない。
【0030】
部品編集時間分析部141は、部品の編集に費やした編集時間を計算する。そして、部品編集時間分析部141が、編集時間に応じ点数を部品に付与する。編集時間の計算に当たっては、部品の形状変更等の編集作業が開始された時刻と、編集作業が完了した時刻とが用いられる。入力履歴取得手段130から、部品編集時間分析部141がこれらの時刻を取得する。そして、部品編集時間分析部141が、編集時間に応じて各部品に重みを付与する。
【0031】
次に、物品の具体例を用いて、重み付与について説明する。
図4は、第1の実施形態の3次元データ出力装置100が対象とする物品の構成の具体例を示す模式図である。具体例の物品は、電話機である。ユニットA1、ユニットA2から電話機が構成されている。ユニットA1は、筐体や電源等の複数の部品から構成されている。これらの部品は階層的に組み合わされる。
図4には、各部品の組み合わせ方が階層的に示されている。ユニットA2も同様の構成である。
【0032】
図5は、第1の実施形態の重み付与の第1の例を示す表である。この重みは、例えば、編集時間1分当たり1点とされる。
図5の左の列には、部品毎の編集時間が示されている。
図5の中央の列には、部品毎の重みが示されている。
図5の右の列には、部品毎の正規化された重みが示されている。この例では、編集時間の合計で、各編集時間を割ることで、正規化が行われている。例えば、成形品B1の正規化後の重みは、285/528=0.5(点)である。
【0033】
次にコマンド履歴分析部142について説明する。まず、部品寸法入力履歴分析部1421について説明する。
図6は、第1の実施形態の入力履歴の第1の具体例を示す模式図である。3次元CAD300で対象物の寸法を指定する方法には2つの方法がある。一つが、数値を直接入力する方法である。もう一つは、構成要素を任意の位置まで引っ張る方法である。ここでは、後者の方法を引張入力と称するものとする。
図6のブロック矢印は、引張入力の方向を示している。一般的な傾向として、引張入力された場所は、寸法が未確定な場合が多い。この場合、後から数値入力によって寸法指定が行われる。このため、引張入力が行われた場所を有する部品においては、ユーザによる詳細形状参照の蓋然性が高い。このため、引張入力の履歴を持つ部品には、重み(点数)が付与される。本例では、引張入力1か所当たり1点が付与される。
図6に示す部品の場合は、3か所の寸法入力の内、1か所が形状引張入力である。このため、当該部品に対しては、1点を正規化した重みが点数として付与される。なお上記の重み設定は一例である。重みの設定方法は任意に定められる。
【0034】
次に、部品アセンブリ入力履歴分析部1422について説明する。
図7は、第1の実施形態の入力履歴の第2の具体例を示す模式図である。3次元CAD300上で複数の部品を組み立てるアセンブリを行う方法の一つに、それぞれの部品の位置をデータム面に固定する方法がある。この際、データム面が固定面とされる場合と、データム面が未固定面とされる場合がある。例えば、複数のデータム面のうちの1以上の面が未固定面される。この未固定面には、後から部品が固定される場合がある。このように後からの操作が行われる蓋然性が高いため、未固定面がある部品では、ユーザによる詳細形状確認が行われる蓋然性が高い。そこで、未固定面がある部品に対しては、部品アセンブリ入力履歴分析部1422が重みを付与する。本例では、未固定面がある各部品にそれぞれ重みが付与される。
図7の例では、部品Aと部品Bに、1点を正規化した重みが点数として付与される。
【0035】
次に、部品干渉確認履歴分析部1423について説明する。3次元CAD300の中には、3次元データの入力の際に、部品同士の干渉を通知する機能を持つものがある。
図8は、第1の実施形態の入力履歴の第3の具体例を示す模式図である。この例では、部品Xと部品Yの間に干渉が発生している。
図8には、3次元CAD300によって干渉発生通知が発行された状態が、模式的に示されている。干渉発生通知が発行された部品については、ユーザによる詳細形状参照が行われる蓋然性が高い。このため干渉に関わった部品に対し重みが付与される。重みは任意の値とされる。
図8の例では、部品Xと部品Yに1点を正規化した重みが点数として付与される。
【0036】
次に、部品選択履歴分析部1424について説明する。3次元CAD300上で部品を移動させる等の操作を行う際に、複数の部品の中から、ユーザが部品を選択する場合がある。選択された部品は、ユーザによる詳細形状参照が行われる蓋然性が高い。
図9は、第1の実施形態の入力履歴の第4の具体例を示す模式図である。
図9では、3つの部品の中から部品Xが選択されている。そして、部品Xが、元の位置と違う位置に移動されている。このため、部品選択履歴分析部1424は、部品Xに重みを付与する。本例では、部品Xに1点を正規化した重みが点数として付与される。
【0037】
次に表示簡略化対象決定手段150について説明する。表示簡略化対象決定手段150は、重み付与手段140から、各部品の重みを点数として取得する。この点数は正規化されたものである。
図10は、第1の実施形態の重みの一覧の具体例を示す表である。
図10の表には、部品編集時間分析部141、部品寸法入力履歴分析部1421、部品アセンブリ入力履歴分析部1422、部品干渉確認履歴分析部1423、および、部品選択履歴分析部1424で付与された正規化された重みが記載されている。表示簡略化対象決定手段150は、部品ごとに重みの合計点数を算出する。次いで、表示簡略化対象決定手段150は、合計点数を予め定めた閾値と比較する。そして、合計点数が閾値以上の部品が、当簡略化表示の対象外と判定される。一方、重みの合計点数が閾値未満の部品が、簡略化変換の対象と判定される。このようにして、表示簡略化対象決定手段150が、表示簡略化対象の部品を決定する。
【0038】
図10の例では閾値を0.5に設定している。階層n-1を例にすると、レンズE2、ねじC2、コイル、カバーF1は基準値未満である。このため、これらの部品は表示簡略化対象となる。ここで、以下のルールが適用される。自身の下位の階層に対象外の部品が含まれる部品については、表示簡略化対象決定手段150が簡略化変換の対象外と判定する。例えば、階層n-1の上カバーは、自身の重みが閾値未満である。一方、下位の階層nに対象外の成形品B1を含む。このため、上カバーは簡略化変換の対象外となる。
【0039】
次にデータ変換する対象部品に対して、部品一体化を行う部分と範囲を逐次決定する。この際、ある部品の下位の層に連結する複数の部品が一体化される。
図11は、第1の実施形態における部品一体化の例を示す模式図である。簡略化変換手段160は、最下層から順に一体化を行うか否かを判定する。
【0040】
図11を例にとって、具体的な動作を説明する。階層n-1の上カバーの下層には、階層nに、成形品B1とねじC1とレンズE1が連結している。成形品B1は簡略化変換の対象外であり、ねじC1とレンズE1は簡略化変換対象である。このため、
図11にU1で示す範囲のねじC1とレンズE1とが一体化される。一方、成形品B1と、成形品B1を下層に含む上カバーは一体化されない。この一体化によりU1に対応する2部品を一体化した簡略3次元データが生成される。
【0041】
次に、階層n-1の部品について判定がなされる。ここでは、レンズE2とねじC2が簡略化変換対象である。また、レンズE2の下層のガラスと留め具が簡略化変換対象である。このため、
図11にU2で示すレンズE2、ガラス、留め具、ねじC2が一体化される。この一体化によりU2に対応する4部品を一体化した簡略3次元データが生成される。
【0042】
次に、階層n-2の部品について判定がなされる。ここでは、電源と、電源の下位層に連結するコイルとカバーF1が、ともに簡略化変換対象である。このため、
図11にU3で示す、電源とコイルとカバーF1とが一体化される。この一体化によりU3に対応する3部品を一体化した簡略3次元データが生成される。
【0043】
以上の一体化の動作についてまとめて説明する。
図12は、第1の実施形態の一体化動作の一例を示すフローチャートである。まず、表示簡略化対象決定手段150が、重み付与手段140から、各部品に付与された重みを取得する(S101)。次に表示簡略化対象決定手段150が、部品ごとに重みの合計を算出する(S102)。次に、表示簡略化対象決定手段150が、簡略化変換の対象とするか判定する階層を、最下層に設定する(S103)。次に、判定対象の部品の重みの合計が閾値未満であるか判定する(S104)。ここで、重みの合計が閾値以上だった場合は(S104_No)、当該部品を簡略化変換の対象外と判定する(S105)。そして、判定した範囲の1つ上の階層が、最上位の階層1であるか判定する(S108)。ここで、階層1であれば(S108_Yes)、フローが終了される。一方、1つ上の階層が階層1でなかった場合は(S108_No)、簡略化変換の対象か判定する階層が1階層上に設定され(S109)、フローがS104に戻る。
【0044】
一方、当該部品の重みの合計が閾値未満だった場合は(S104_Yes)、当該部品を簡略化変換の対象とする(S106)。次に、当該部品の下層に簡略化変換対象外の部品があれば、簡略化変換手段160が、当該部品と下層の部品との一体化を行わないと判定する。一方、当該部品とその下層の部品が簡略化変換対象だけだった場合は、当該部品と下層の部品とを含む範囲を一体化の範囲に決定する(S107)。次に、判定した範囲の1つ上の階層が、最上位の階層1であるか判定する(S108)。ここで、階層1であれば(S108_Yes)、フローが終了される。一方、1つ上の階層が階層1でなかった場合は(S108_No)、簡略化変換の対象か判定する階層が1階層上に設定され(S109)、フローがS104に戻る。こうして、最上位の階層1まで、判定が繰り返され、一体化範囲が決定される。
【0045】
簡略化変換手段160は、簡略化変換を行う。簡略化変換では、例えば、簡略化変換の対象となった部品単体に対応する3次元部品データのデータ量が削減される。簡略化変換では、個々の部品の形状簡略化と、連結された部品の一体化が行われる。
【0046】
形状簡略化では、例えば、穴、溝、突起物などの事前に定義した形状が自動的に認識される。そして、これらの要素のデータが削除される。また、例えば、ソリッドモデルからメッシュモデルへの変換が行われる。また、例えば、メッシュモデルにおけるメッシュ数の削減が行われる。メッシュモデルでは、単位となる多角形を並べることで、立体の形状が表現される。簡略化変換では、例えば、隣り合う複数のメッシュを一体化する事でメッシュ数が低減される。例えば、メッシュ数10万の3次元部品データについて、メッシュを10分の1に低減するとメッシュ数は1万となる。上記のように、元の3次元部品データからデータを間引くことで、データ量の削減が可能になる。
【0047】
また、簡略化変換の対象となった部品が複数連結している場合には、これらの部品を一体化して簡略3次元データが生成される。部品一体化では、2つ以上の部品が結合され、部品同士が重なり合う部分のデータが削除される。
【0048】
以上説明したように、簡略3次元データを用いることによって、3次元物品データのデータ量が削減される。
【0049】
(具体例2)
一般的に、複数日にまたがって、3次元部品データの作成が行われる。本具体例では、重みについて、3次元部品データが入力された時期が考慮される。具体的には、具体例1の重みに、時系列に基づく係数が反映される。
【0050】
図13は、第1の実施形態の重みの時系列の一例を示す表である。入力が行われた時期が設計開始からの日数として示されている。また、それぞれの日に各部品に付与された重みが点数で記載されている。なお、この点数は正規化前のものである。表の右端には合計が記載されている。具体例1で扱う重みは、この合計点を正規化したものである。変形例2では、各部品の重みが付与された時期が考慮される。具体的には、重みの付与された時期に応じた係数が設定され、合計の重みが算出される。
【0051】
本具体例では、入力から時間が経過しているほど、ユーザに当該部品の詳細情報を参照される蓋然性が低いとみなされる。以下に、係数設定の一例を示す。まず、最新の入力履歴の重みに対して、係数1が設定される。次に、一番古い入力履歴の重みに対して、係数0.5が設定される。るその他の時期の係数は、以下の式により算出される。
W´=W+D1/D2×(1-W) (式1)
ここで、Wは一番古い入力履歴の係数であり、W´は算出の対象とする時期の係数である。またD1は一番古い入力履歴から係数を算出する日までの経過日数であり、D2は番古い入力履歴から最新の入力履歴までの経過日数である。
図13の例では、一番古い入力履歴が設計1日目である。また最新の入力履歴が設計11日目である。このためD2=10、W=0.5が各変数の値である。例えば、設計6日目の係数は次式で算出される。
W´(6日目)=0.5+5/10×(1-0.5)=0.75 (式2)
図14は、第1の実施形態の重みの時系列の別の一例を示す表である。
図14では、算出した係数を用いて、入力履歴の重み(点)が補正されている。例えば、筐体の設計1日目の重みは、補正前が50点で、係数0.5の補正後が25点である。また、同部品の設計6日目の重みは、補正前が20点で、係数0.75の補正後が15点である。また同部品の設計11日目は補正前が4点で、重み1をかけて4点となる。他部品についても同様に重みが計算される。
【0052】
3次元データ出力装置100は、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性を評価する。具体例2では、3次元部品データが入力された時期をこの評価に反映することによって、上記の蓋然性の評価が、より現実に即したものになる。
【0053】
(具体例3)
具体例3では、具体例1または2の3次元データ出力装置100を用いた3次元CADシステム1000について説明する。
図15は、第1の実施形態の3次元CADシステム1000を示すブロック図である。3次元CADシステム1000は、3次元データ出力装置100と、3次元CAD300と、記憶装置400とを備える。3次元CAD300は、3次元部品データおよび3次元物品データを入力する装置である。記憶装置400は、3次元部品データと3次元物品データと入力履歴を記憶する。3次元データ出力装置100は、ユーザ端末200等の外部からの要求に応じて、3次元物品データを出力する。この際、3次元部品データと入力履歴とが、記憶装置400から読みだされる。なお、記憶装置400は、3次元CAD300と一体化されていても良い。また、3次元CAD300と3次元データ出力装置100とが一体化されていても良い。さらに、3次元CAD300と記憶装置400と3次元データ出力装置100とが一体化されていても良い。
【0054】
以上の構成とすることにより、3次元部品データおよび3次元物品データの作成を行い、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能になる。また、ユーザによるデータ削減ルールの設定が不要であり、上記の動作が自動的に行われる。
【0055】
以上、本実施形態の3次元データ出力装置100等について説明した。
【0056】
本実施形態の3次元データ出力装置100は、3次元物品データ生成要求受付手段110と、3次元部品データ取得手段120と、入力履歴取得手段130と、を備える。また、3次元データ出力装置100は、重み付与手段140と、表示簡略化対象決定手段150と、簡略化変換手段160と、3次元物品データ生成手段170と、を備える。3次元物品データ生成要求受付手段110は、3次元物品データを生成する要求を受け付ける。3次元物品データは、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す。3次元部品データ取得手段120は、物品を構成する複数の部品の3次元部品データを取得する。3次元部品データは、複数の部品の形状をそれぞれ3次元で表す。入力履歴取得手段130は、入力履歴を取得する。ここで入力履歴とは、複数の3次元部品データが入力されたときの3次元CAD300の動作に関する履歴である。重み付与手段140は、入力履歴を分析する。そして、分析結果に基づいて、複数の部品の各々に重みが付与される。表示簡略化対象決定手段150は、複数の部品のうちで、表示簡略化の対象となる部品を決定する。各部品に付与された重みに基づいて、この決定が行われる。簡略化変換手段160は、簡略化変換を行う。これにより、簡略3次元データが生成される。表示簡略化の対象となった部品に対応する3次元部品データに対して、簡略化変換が実行される。ここで、簡略化変換は、部品の表示を簡略化させるための変換である。3次元物品データ生成手段170は、3次元物品データを生成する。3次元物品データには、元の3次元部品データと簡略3次元データが含まれる。表示簡略化の対象とならなかった部品については、対応する3次元部品データが用いられる。表示簡略化の対象となった部品については、対応する簡略3次元データが用いられる。これらの3次元部品データと簡略3次元データとを組み合わせて、3次元物品データ生成手段170が3次元物品データを生成する。
【0057】
以上に説明した本実施形態の3次元データ出力装置100では、ユーザが物品ごとにルールを設定することなく、自動的に3次元データ量が削減される。この際、ユーザが詳細情報を参照する蓋然性が高い部品については、元の3次元部品データが用いられる。このため、ユーザによる当該部品の詳細情報参照が可能になる。一方、ユーザが参照する蓋然性が低い部品については、簡略3次元データが用いられる。これにより、データ量が削減される。こうして、本実施形態の3次元データ出力装置100によれば、より簡単な操作で、ユーザの利便性を損なうことなく、出力する3次元データの削減が可能になる。
【0058】
また一態様によれば、3次元データ出力装置100において、入力履歴が、以下の項目を含む。寸法入力、部品アセンブリ、部品干渉確認、部品選択のうちの少なくとも1つがその項目である。これらの履歴は、ユーザが部品の形状に関する詳細情報を参照する蓋然性と相関がある。このため、ユーザが部品の形状に関する詳細情報を参照する蓋然性を反映して、簡略3次元データが生成される。
【0059】
また一態様によれば、3次元データ出力装置100において、入力履歴が、3次元部品データが入力された時期を含む。3次元部品データが入力された時期は、ユーザが部品の形状に関する詳細情報を参照する蓋然性に関係する。このため、ユーザが部品の形状に関する詳細情報を参照する蓋然性を反映して、簡略3次元データが生成される。
【0060】
また一態様によれば、3次元データ出力装置100において、ユーザが参照する蓋然性が高いと推定される前記入力履歴の点数が大きくなるように、重み付与手段140が重みを設定する。そして、表示簡略化対象決定手段150が、表示簡略対象を決定する。点数の合計が予め定めた閾値未満の部品が、表示簡略化の対象となる。この構成とすることで、ユーザが部品の形状に関する詳細情報を参照する蓋然性が低い部品が簡略化変換の対象とされる。
【0061】
また一態様によれば、3次元データ出力装置100において、簡略化変換が、次の操作の少なくとも1つを含む。1つが、3次元部品データの間引きである。もう1つが、複数の部品の一体化である。このようにすることで、効率よく3次元物品データのデータ量が削減される。
【0062】
また本実施形態の3次元CADシステム1000は、上記の3次元データ出力装置100と、3次元CAD装置300と、記憶装置400と、を備える。3次元CAD装置300では、3次元部品データが入力される。記憶装置400が、3次元部品データと入力履歴とを記憶する。この構成とすることによって、3次元部品データの入力と、データ量を削減した3次元物品データを出力が可能な3次元CADシステム1000が構築される。
【0063】
また、本実施形態の3次元データ出力方法は、コンピュータが、3次元物品データを生成する要求を受け付ける。また、コンピュータが、複数の3次元部品データと、入力履歴とを取得する。また、コンピュータが、複数の部品の各々に重みを付与する。また、コンピュータが、複数の部品のうちで表示簡略化の対象となる部品を決定する。またコンピュータが、簡略3次元データを生成する。そして、コンピュータが、3次元物品データを生成する。3次元物品データは、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す。3次元部品データは、それぞれの部品の形状を3次元で表す。入力履歴は、複数の3次元部品データが入力されたときの履歴である。各部品に対する重みの付与においては、入力履歴が分析される。そして分析結果に基づいて複数の部品の各々に重みが付与される。表示簡略化の対象となる部品の決定は、各部品に付与された重みに基づいて行われる。簡略3次元データを生成においては、表示簡略化の対象となった部品に対応する3次元部品データに対して、簡略化変換が行われる。簡略化変換は、部品の表示を簡略化させる変換である。3次元物品データを生成においては、3次元部品データと簡略3次元データとが用いられる。表示簡略化の対象とならなかった部品については、対応する3次元部品データが用いられる。また、表示簡略化の対象となった部品については、対応する簡略3次元データが用いられる。そして、3次元部品データと簡略3次元データとが組み合わされて、3次元物品データが生成される。
【0064】
また、本実施形態の3次元データ出力プログラムは、3次元物品データを生成する要求を受け付ける処理と、3次元部品データを取得する処理と、入力履歴を取得する処理と、複数の部品の各々に重みを付与する処理と、をコンピュータに実行させる。また、次の処理をコンピュータに実行させる。その処理は、複数の部品のうちから、表示簡略化の対象となる部品を決定する処理である。また、3次元データ出力プログラムは、簡略3次元データを生成する処理と、3次元物品データを生成する処理と、をコンピュータに実行させる。3次元物品データは、複数の部品により構成された物品の形状を3次元で表す。また、3次元物品データの取得する処理は、外部からの出力要求に応じて行われる。3次元部品データは、それぞれの部品の形状を3次元で表す。入力履歴は、複数の3次元部品データが入力されたときの履歴である。各部品に対する重みを付与する処理においては、入力履歴が分析される。そして分析結果に基づいて複数の部品の各々に重みを付与する処理が実行される。表示簡略化の対象となる部品を決定する処理は、各部品に付与された重みに基づいて行われる。簡略3次元データを生成する処理においては、表示簡略化の対象となった部品に対応する3次元部品データに対して、簡略化変換が行われる。簡略化変換は、部品の表示を簡略化させる変換である。3次元物品データを生成する処理においては、3次元部品データと簡略3次元データとが用いられる。表示簡略化の対象とならなかった部品については、対応する3次元部品データが用いられる。また、表示簡略化の対象となった部品については、対応する簡略3次元データが用いられる。そして、3次元部品データと簡略3次元データとが組み合わされて、3次元物品データを生成する処理が実行される。
【0065】
上述した実施形態の処理を、コンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、などを用いることができる。
【0066】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 3次元データ出力装置
110 3次元物品データ生成要求受付手段
120 3次元部品データ取得手段
130 入力履歴取得手段
140 重み付与手段
150 表示簡略化対象決定手段
160 簡略化変換手段
170 3次元物品データ生成手段
200 ユーザ端末
300 3次元CAD
400 記憶装置
1000 3次元CADシステム