(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038522
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電源ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/04 20060101AFI20240312BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240312BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H05K5/04
H05K5/02 L
H05K7/14 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015641
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2019180195の分割
【原出願日】2019-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】西川 泰央
(57)【要約】
【課題】製造コストの上昇を抑制する。
【解決手段】電源基板用エンクロージャー2は、電源基板100を収容可能に2つの板金部材10,20が組み合わされて構成されている。板金部材10は、本体部11と、本体部11の端部にある折り曲げ部11a~11cを介して本体部11と接続された内側延在部15~17とを有している。内側延在部15~17には、本体部11と対向した、電源基板100を支持するための垂直部15b~17bが設けられている。垂直部15b~17bは、2つの板金部材10,20によって包囲された内部空間S内に位置している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源基板を収容可能に複数の板金部材が組み合わされて構成された電源基板用エンクロージャーにおいて、
第1の前記板金部材は、平板状の本体部と、前記本体部の端部にある折り曲げ部を介して前記本体部と接続された内側延在部とを有しており、
前記内側延在部には、前記本体部と直交する方向に前記本体部から離隔し且つ前記本体部と対向した、前記電源基板を支持するための基板支持部が設けられており、
前記基板支持部は、前記複数の板金部材によって包囲された内部空間内に位置していることを特徴とする電源基板用エンクロージャー。
【請求項2】
前記基板支持部には、前記電源基板をネジで固定するためのネジ穴が形成されており、
前記第1の板金部材の前記本体部は、前記ネジ穴全体と対向する部分が陥没するように形成された凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の電源基板用エンクロージャー。
【請求項3】
前記本体部と平行に位置する対向板と、前記対向板と接続された天板と、前記対向板及び前記天板にそれぞれ接続された2つの側板とを有する第2の板金部材を備え、
前記第1の板金部材は、前記本体部の端部にある折り曲げ部を介して前記本体部と接続された底板をさらに有しており、
前記第1の板金部材と前記第2の板金部材とを組み合わせることで、前記内部空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電源基板用エンクロージャー。
【請求項4】
前記底板には、前記側板を外側から内側に向かって押圧する押圧部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電源基板用エンクロージャー。
【請求項5】
前記内側延在部は、前記本体部の端部に互いに離隔して複数形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電源基板用エンクロージャー。
【請求項6】
前記第1の板金部材と他の板金部材とが互いにネジで固定されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電源基板用エンクロージャー。
【請求項7】
請求項3に記載の電源基板用エンクロージャーと、
前記底板と当接した状態で前記電源基板用エンクロージャーを支持する支持皿とを備えており、
前記支持皿には、前記側板を外側から内側に向かって押圧する押圧部が形成されていることを特徴とする電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源基板を収容可能に複数の板金部材が組み合わされて構成された電源基板用エンクロージャー及び電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つの板金部材を組み合わせて、電源回路を含む複数の電子部品が搭載された電源基板を収容可能に構成された電源基板用エンクロージャーについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の電源基板用エンクロージャーにおいては、一の板金部材の電源基板と対向する対向領域部分が折り曲げられることによって、電源基板を取り付けるための内側延在部が形成されているため、当該内側延在部と板金部材の本体部との間に隙間が形成される。そして、その隙間には、隙間埋め部材が設けられている。この隙間埋め部材は、板金部材とは別材料であり、しかも難燃性の樹脂材料から構成されているため、電源基板用エンクロージャーの製造コストが上昇する問題がある。
【0005】
本発明の目的は、製造コストの上昇を抑制可能な電源基板用エンクロージャー及び電源ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電源基板用エンクロージャーは、電源基板を収容可能に複数の板金部材が組み合わされて構成された電源基板用エンクロージャーにおいて、第1の前記板金部材は、平板状の本体部と、前記本体部の端部にある折り曲げ部を介して前記本体部と接続された内側延在部とを有しており、前記内側延在部には、前記本体部と直交する方向に前記本体部から離隔し且つ前記本体部と対向した、前記電源基板を支持するための基板支持部が設けられており、前記基板支持部は、前記複数の板金部材によって包囲された内部空間内に位置している。
【0007】
本発明の電源ユニットは、前記本体部と平行に位置する対向板と、前記対向板と接続された天板と、前記対向板及び前記天板にそれぞれ接続された2つの側板とを有する第2の板金部材を備え、前記第1の板金部材は、前記本体部の端部にある折り曲げ部を介して前記本体部と接続された底板をさらに有しており、前記第1の板金部材と前記第2の板金部材とを組み合わせることで、前記内部空間が形成された上記の電源基板用エンクロージャーと、前記底板と当接した状態で前記電源基板用エンクロージャーを支持する支持皿とを備えている。そして、前記支持皿には、前記側板を外側から内側に向かって押圧する押圧部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電源基板用エンクロージャーによると、第1の板金部材の内側延在部に設けられた基板支持部が本体部と対向しているため、第1の板金部材と他の板金部材との間に、所定の防火規格を超える隙間が生じないように、複数の板金部材を組み合わせることが可能となる。このため、隙間を埋めるための隙間埋め部材を設ける必要がなくなり、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
本発明の電源ユニットによると、隙間を埋めるための隙間埋め部材を設ける必要がなくなり、製造コストの上昇を抑制することが可能な電源基板用エンクロージャーを有する電源ユニットを得ることが可能となる。また、電源基板用エンクロージャーを支持皿に組み合わせたときに、側板が外側に変位するのが抑制される。このため、第1の板金部材(本体部)と第2の板金部材(側板)との間に所定の防火規格を超える隙間が生じるのを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電源ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す電源基板用エンクロージャーを示しており、(a)は前方左斜め上から見たときの斜視図であり、(b)は後方左斜め上から見たときの斜視図である。
【
図3】
図1に示す電源基板用エンクロージャーの分解斜視図である。
【
図4】板金部材に電源基板を固定した状態の斜視図である。
【
図5】
図4に示す板金部材であって、電源基板及び隙間埋め部材を取り外した状態の斜視図である。
【
図6】
図5に示すVI-VI線に沿った断面図である。
【
図8】
図1に示すVIII-VIII線に沿った要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る電源ユニットについて説明する。電源ユニット1は、
図1~
図4に示すように、電源基板100(
図3及び
図4参照)を収容可能に主に2つの板金部材10,20が組み合わされて構成された電源基板用エンクロージャー2と、そのエンクロージャー2を支持する支持皿3とを有する。本実施形態においては、
図1に示す上下方向A、上下方向Aに直交する前後方向B、上下方向A及び前後方向Bに直交する左右方向Cを基準として、以下に説明する。なお、電源ユニット1又は電源基板用エンクロージャー2は、その設置の向きを適宜変更してもよく、特に限定するものではない。
【0011】
エンクロージャー2には、
図1に示すように、2つの板金部材10,20によって包囲された内部空間Sが構成されている。この内部空間Sに電源基板100が配置されている。電源基板100は、
図3及び
図4に示すように、板金部材20と対向する表面100aに電源回路を含む複数の電子部品100bが搭載されており、エンクロージャー2によってその周囲が囲まれて、所定の防火規格が満たされている。また、電源基板100には、前方の2つの角部に孔100c,100dが形成され、後方下部の角部に孔100eが形成されている。これら3つの孔100c~100eにネジ8が通されて、電源基板100が板金部材10に固定される。また、電源基板100の後方上部の角部には、スリット100fが形成されている。
【0012】
2つの板金部材10,20のうちの一方の板金部材10(第1の板金部材)は、
図2及び
図5に示すように、上下方向A及び前後方向Bに延在する板状の本体部11と、本体部11の下端から前後方向B及び左右方向Cに延在する板状の底部(底板)12と、本体部11の後端から上下方向A及び左右方向Cに延在する板状の後部13とを有している。本実施形態における板金部材10は、本体部11、底部12及び後部13が板金によって一枚の金属板で構成されているが、複数の金属板を接続することで1つの板金部材10を構成してもよい。
【0013】
本体部11には、
図5に示すように、端部にある折り曲げ部11a~11cを介して3つの内側延在部15~17が接続されている。これら内側延在部15~17は、電源基板100を本体部11に取り付けるための取付部として、互いに離隔して配置されている。内側延在部15は、本体部11の前方上部の角部に配置されている。また、内側延在部15は、折り曲げ部11aから右方に延在する水平部15aと、水平部15aの右端から下方に延在する垂直部15bとを有する。この垂直部15bは、電源基板100をネジ固定するための基板支持部として機能する。水平部15aは、垂直部15bに電源基板100が取り付けられた状態で本体部11と電源基板100との間が所定距離だけ離隔させるための長さを有している。この所定距離は、電源基板100と本体部11との間に両者間を短絡させるウィスカの成長を防ぐことが可能な最短離隔距離となっている。これにより、エンクロージャー2が左右方向Cに大型化するのを抑制しつつ電源基板100と本体部11とが導通して短絡するのを防ぐことが可能となる。また、本体部11と電源基板100との間の離隔距離が比較的小さいため、両者間にネジなどが入り込みにくくなる。これにおいても、電源基板100と本体部11とがネジを介して短絡するのを防ぐことが可能となる。垂直部15bの前端及び後端には、垂直部15bを補強するための2つの補強片15cが形成されている。また、垂直部15bには、左右方向Cに貫通したネジ穴15b1が形成されている。ネジ穴15b1は、垂直部15bから右方に向かって突出した孔部15b2とその孔部15b2の内周面に形成された雌ネジ15b3とで構成されている。
【0014】
内側延在部16は、本体部11の前方下部の角部に配置されている。また、内側延在部16は、折り曲げ部11bから右方に延在する垂直部16aと、垂直部16aの右端から後方に延在する垂直部16bとを有する。この垂直部16bは、電源基板100をネジ固定するための基板支持部として機能する。また、垂直部16aは、上述の水平部15aと同様に、垂直部16bに電源基板100が取り付けられた状態で本体部11と電源基板100との間が所定距離だけ離隔させるための長さを有している。また、垂直部16bの上端には、垂直部16bを補強するための補強片16cが形成されている。また、垂直部16bには、左右方向Cに貫通したネジ穴16b1が形成されている。ネジ穴16b1は、垂直部15bから本体部11に向かって突出した孔部16b2とその孔部16b2の内周面に形成された雌ネジ16b3とで構成されている。
【0015】
また、本体部11は、
図5及び
図6に示すように、垂直部16bに向かって開口する凹部19を有する。凹部19は、本体部11の垂直部16bと対向する位置に形成され、ネジ穴16b全体と対向している。つまり、凹部19は、本体部11のネジ穴16b全体と対向する部分が陥没するようにして形成されている。このような凹部19が本体部11に形成されていることで、
図6に示すように、垂直部16bと本体部11との離隔距離が小さくても、凹部19によって孔部16b2と凹部19の底面までの距離が長くなる。このため、孔部16b2の内周面にタップで雌ネジ16b3を形成する際に、タップの先端が本体部11に接触しなくなり、雌ネジが形成しやすくなる。なお、ネジ穴15b1の孔部15b2は垂直部15bから右方に突出しているため、雌ネジ15b3の形成位置が本体部11から離れる。このため、本体部11の垂直部15bと対向する位置に凹部が形成されていなくても、雌ネジ15b3を形成する際にタップの先端が本体部11に接触しない。
【0016】
内側延在部17は、本体部11の後方下部の角部に配置されている。また、内側延在部17は、折り曲げ部11cから右方に延在する垂直部17aと、垂直部17aの右端から前方に延在する垂直部17bとを有する。この垂直部17bは、電源基板100をネジ固定するための基板支持部として機能する。また、垂直部17aは、上述の水平部15aと同様に、垂直部17bに電源基板100が取り付けられた状態で本体部11と電源基板100との間が所定距離だけ離隔させるための長さを有している。垂直部17bの上端には、垂直部17bを補強するための補強片17cが形成されている。また、垂直部17bには、左右方向Cに貫通したネジ穴17b1が形成されている。ネジ穴17b1は、垂直部17bから右方に向かって突出した孔部17b2とその孔部17b2の内周面に形成された雌ネジ17b3とで構成されている。これにおいても、ネジ穴17b1の孔部17b2は垂直部17bから右方に突出しているため、雌ネジ17b3の形成位置が本体部11から離れる。このため、本体部11の垂直部17bと対向する位置に凹部が形成されていなくても、雌ネジ17b3を形成する際にタップの先端が本体部11に接触しない。
【0017】
また、板金部材10は、
図5に示すように、本体部11の上部の折り曲げ部11dを介して本体部11と接続された水平部18を有している。水平部18は、前後方向Bに長尺に延在している。水平部18には、上下方向Aに貫通したネジ穴18aが形成されている。ネジ穴18aは、水平部18から下方に突出して形成された孔部18a1と、その孔部18a1の内周面に形成された雌ネジ18a2とで構成されている。
【0018】
底部12は、
図5に示すように、本体部11の下端の折り曲げ部11eを介して接続されている。底部12は、折り曲げ部11eから右方に延在し、板金部材20が立設される底面12aを有する。底部12の前端には、左右方向Cに延在する垂直部12bが折り曲げ部12eを介して接続されている。垂直部12bには、上方に向かって延在し、その上端部が後方に折れ曲がった押圧部12cが形成されている。押圧部12cは、垂直部12bの左右方向Cの左端部に形成されている。このように、底部12に押圧部12cが形成されていることで、
図2(a)に示すように、2枚の板金部材10,20が組み合わされたときに、板金部材20の側板23(後述する)の下端部を外側から内側(後方)に向かって押圧可能となる。これにより、板金部材20の側板23が外側に変位するのが抑制され、板金部材10の本体部11の前端と、板金部材20の側板23の左端との間に、所定の防火規格を超える隙間が生じるのを防ぐことが可能となる。また、底部12の右端には、前後方向Bに延在する垂直部12dが折り曲げ部12fを介して接続されている。垂直部12dは、底面12aに板金部材20が立設されたときに、後述の対向板21の下端と当接し位置決めを行う。
【0019】
後部13は、
図5に示すように、本体部11の後端の折り曲げ部11fを介して接続されている。後部13は、本体部11の後端であって上下方向Aの中央から上方に向かって延在する垂直平面部13aと、垂直平面部13aの上端から前方に延在する水平平面部13bとを有する。水平平面部13bには、電源基板100のスリット100fに嵌め合わせることが可能なスリット13b1が形成されている。これにより、電源基板100は、
図4に示すように後部13によっても支持される。また、垂直平面部13aには、後述の隙間埋め部材30を固定するための貫通孔13a1とスリット13a2とが形成されている。
【0020】
2つの板金部材10,20のうちの他方の板金部材20(他の板金部材:第2の板金部材)は、
図1~
図3に示すように、本体部11と平行に位置し左右方向Cに対向する対向板21と、天板22と、2つの側板23,24が板金によって一枚の金属板で構成されているが、複数の金属板を接続することで1つの板金部材20を構成してもよい。
【0021】
対向板21は、
図1及び
図3に示すように、上下方向A及び前後方向Bに延在する2つの垂直平面部21a,21bと、上下方向A及び左右方向Cに延在する垂直平面部21cとを有している。垂直平面部21aは、垂直平面部21bよりも本体部11から離れた位置に配置されており、2つの垂直平面部21a,21bが垂直平面部21cによって接続されている。このように対向板21は、前後方向Bにおいて、階段状に折り曲げられてなる。
【0022】
天板22は、
図1及び
図3に示すように、前後方向B及び左右方向Cに延在する2つの水平平面部22a,22bと、上下方向A及び前後方向Bに延在する垂直平面部22cとを有している。水平平面部22aは、水平平面部22bよりも上方に配置されており、2つの水平平面部22a,22bが垂直平面部22cによって接続されている。このように天板22は、左右方向Cにおいて、階段状に折り曲げられてなる。天板22は、その右端(水平平面部22bの右端)が対向板21の上端の折り曲げ部21eを介して接続されている。天板22の水平平面部22aには、
図1に示すように、2つの板金部材10,20を組み合わせたときに、ネジ穴18aと対向する位置にネジ9を挿入するための孔(不図示)が形成されている。これにより、2つの板金部材10,20を組み合わせたときに、ネジ9をネジ穴18aに締め込むことで、2つの板金部材10,20を強固に固定することが可能となる。このため、2つの板金部材10,20がスレにくくなって、両者間に隙間がより一層生じにくくなる。また、天板22の水平平面部22bの前方には、放熱用の複数の貫通孔22b1が形成されている。これら貫通孔22b1は、所定の防火規格を満たす直径に形成されている。
【0023】
図1及び
図2に示すように、2つの側板23,24のうち、一方の側板23は前方に配置され、他方の側板24は後方に配置されており、いずれも上下方向A及び左右方向Cに延在する垂直平面を有する。側板23は、その上端が天板22の前端の折り曲げ部22fを介して接続され、右端が対向板21の前端の折り曲げ部21fを介して接続されている。また、側板23にも、放熱用の複数の貫通孔23aが形成されている。これら貫通孔23aも、所定の防火規格を満たす直径に形成されている。側板24は、その上端が天板22の後端の折り曲げ部22gを介して接続され、右端が対向板21の後端の折り曲げ部21gを介して接続されている。また、側板24は、
図2(b)に示すように、2つの切り欠き部24a,24bを有する。切り欠き部24aは、側板24の左端部であって上下方向Aの中央及び中央よりやや上方部分に形成されており、2枚の板金部材10,20が組み合わされたときに、後部13によって塞がれる。また、切り欠き部24bは、側板24の下端部であって左右方向Cの中央から右端にかけて形成されており、後述の隙間埋め部材30によって塞がれる。
【0024】
このように、板金部材20は対向板21、天板22及び2つの側板23,24を有し、
図3に示すように、下方及び左方に向かって開口し、板金部材10とで電源基板100を収容するための内部空間Sを構成可能となっている。
【0025】
なお、内部空間S内には、
図2(b)及び
図3に示すように、側板24と底部12との間(切り欠き部24b)の隙間を埋めるための隙間埋め部材30が配置されている。本実施形態における隙間埋め部材30は、難燃性の樹脂材料(難燃性の基準の一つであるUL94規格においてV-1の基準を満たす樹脂材料)から構成されているが、UL94規格におけるV-0以上の難燃性を有する樹脂材料や金属材料から構成されていてもよい。
【0026】
支持皿3は、
図1及び
図7に示すように、エンクロージャー2を支持する底板3aを有する。底板3aの周縁には、上下方向Aに立設された壁部3bが形成されている。また、底板3aには、
図7に示すように、上下方向Aに立設された複数のガイド部3cが形成されている。また、壁部3bにも2つのガイド部3dが形成されている。これらガイド部3c,3dは、支持皿3上に配置されるエンクロージャー2の周囲を取り囲むように配置されており、エンクロージャー2を支持皿3上に配置する際に案内する部材である。
【0027】
また、底板3aには、
図7に示すように、上下方向Aに立設された2つの押圧部3e,3fが形成されている。押圧部3eは、
図8に示すように、前後方向Bに延在しており、その上面が前方から後方に向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面となっている。また、押圧部3eは、後端部が、支持皿3の所定位置に配置されたエンクロージャー2の側板23の下端であって左端部付近を後方に押圧可能な位置に配置されている。これにより、板金部材10の本体部11の前端と、板金部材20の側板23の左端との間に、所定の防火規格を超える隙間が生じるのを防ぐことが可能となる。
【0028】
また、押圧部3fは、
図8に示すように、押圧部3eよりも後方に配置されている。押圧部3fは、前後方向Bに延在しており、その上面が後方から前方に向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面となっている。また、押圧部3fは、前端部が、支持皿3の所定位置に配置されたエンクロージャー2の側板24の下端であって左端部付近を前方に押圧可能な位置に配置されている。これにより、板金部材10の本体部11の後端と、板金部材20の側板24の左端との間に、所定の防火規格を超える隙間が生じるのを防ぐことが可能となる。
【0029】
続いて、電源ユニット1を組み立てる際の動作について以下に説明する。まず、板金部材11と電源基板100とを準備する。そして、電源基板100の前方上部の孔100c内に垂直部15bの孔部15b2を挿入し、電源基板100の後方下部の孔100d内に垂直部17bの孔部17b2を挿入する。このとき、電源基板100のスリット100fを後部13のスリット13b1に嵌め込む。この後、板金部材11の垂直部15b,16b,17bのネジ穴15b1,16b1,17b1にネジ8を締め込んで、電源基板100を板金部材10に位置合わせした状態で固定する。
【0030】
次に、
図4に示すように、隙間埋め部材30を後部13に固定した後、電源基板100を収容する内部空間Sを構成するように板金部材20を板金部材10に組み合わせる。そして、
図2に示すように、ネジ9をネジ穴18aに締め込む。こうして、エンクロージャー2が完成する。
【0031】
次に、支持皿3を準備し、
図1に示すように、支持皿3の所定位置にエンクロージャー2を配置させる。こうして、電源ユニット1が完成する。
【0032】
以上に述べたように、本実施形態の電源基板用エンクロージャー2によると、板金部材10(第1の板金部材)の内側延在部15~17に設けられた垂直部(基板支持部)15b~17bが本体部10と対向しているため、板金部材10と板金部材20(他の板金部材:第2の板金部材)との間に、所定の防火規格を超える隙間(垂直部15b~17bに関する隙間)が生じないように、2つの板金部材10,20を組み合わせることが可能となる。このため、隙間を埋めるための隙間埋め部材を設ける必要がなくなり、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0033】
3つの内側延在部15~17は、板金部材10の本体部11の端部に互いに離隔して配置されている。これにより、電源基板100をより確実に支持することが可能となる。
【0034】
支持皿3に押圧部3e,3fが形成されているため、エンクロージャー2を支持皿3に組み合わせたときに、側板23,24が外側に開くように変位するのが抑制される。このため、板金部材10(本体部11)と板金部材20(側板23,24)との間に所定の防火規格を超える隙間が生じるのを防ぐことが可能となる。また、支持皿3にエンクロージャー2を組み合わせて電源ユニット1を構成することで、垂直部15b~17bに関する隙間を埋めるための隙間埋め部材を設ける必要がなくなり、製造コストの上昇を抑制することが可能な電源ユニットを得ることが可能となる。
【0035】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、板金部材10が3つの内側延在部15~17を有しているが、1又は2、もしくは4以上の内側延在部を有していてもよい。電源基板100と本体部11との離隔距離を大きくすることが可能であれば、又は電源基板100を本体部11にネジ止め以外の方法で固定する場合、本体部11に凹部19が形成されていなくてもよい。
【0036】
底部(底板)12に押圧部12cが形成されていなくてもよい。また、底部12の後方に、側板24を前方に押圧可能な押圧部が押圧部12cに代えて又は加えて形成されていてもよい。支持皿3の2つの押圧部3e,3fは、一方だけが形成されていてもよいし、両方形成されていなくてもよい。2つの板金部材10,20は、ネジ9で固定されていなくてもよい。この場合、他の固定手段によって固定されておればよい。
【符号の説明】
【0037】
1 電源ユニット
2 電源基板用エンクロージャー
3 支持皿
3e,3f 押圧部
9 ネジ
10 板金部材(第1の板金部材)
11 本体部
11a~11c,11e 折り曲げ部
12 底部(底板)
15~17 内側延在部
15b~17b 垂直部(基板支持部)
15b1~17b1 ネジ穴
19 凹部
20 板金部材(他の板金部材:第2の板金部材)
21 対向板
22 天板
23,24 側板
100 電源基板
S 内部空間
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源基板を支持可能に構成された電源ユニットにおいて、
平板状の本体部と、
第1延在部と、
第2延在部とを備え、
前記第1延在部は、前記電源基板を支持するための第1基板支持部と、前記本体部と前記第1基板支持部を接続する第1接続部と、が設けられており、
前記電源基板の前記本体部と対向する面と直交する方向から視て、前記本体部と前記第1基板支持部は重複しており、
前記第2延在部は、前記電源基板を支持するための第2基板支持部と、前記本体部と前記第2基板支持部を接続する第2接続部と、が設けられており、
前記電源基板の前記本体部と対向する面と直交する方向から視て、前記本体部と前記第2基板支持部は重複しており、
前記電源基板は、その重心を通りかつ前記面の面内方向に延びる第1仮想線に沿う外形を構成する第1辺と第2辺を有し、前記重心を通り前記第1仮想線と直交しかつ前記面内方向に延びる第2仮想線に沿う前記外形を構成する第3辺と第4辺を有し、
前記電源基板は、第1孔と第2孔を備え、
前記第1仮想線よりも前記第1辺に近くかつ前記第2仮想線よりも前記第3辺に近い領域内で、前記第1孔を通る第1ネジにより前記第1基板支持部と締結され、
前記第1仮想線よりも前記第2辺に近くかつ前記第2仮想線よりも前記第4辺に近い領域内で、前記第2孔を通る第2ネジにより前記第2基板支持部と締結されることを特徴とする電源ユニット。
【請求項2】
前記第1基板支持部の前記第1接続部から延在する方向は、前記第2基板支持部の前記第2接続部から延在する方向と異なることを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記第1基板支持部の前記第1接続部から延在する方向は、前記第2基板支持部の前記第2接続部から延在する方向と交差することを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記第1基板支持部の前記第1接続部から延在する方向は、前記第2基板支持部の前記第2接続部から延在する方向と直交することを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項5】
前記本体部を支持する支持皿をさらに備え、
前記支持皿は1つの丸角を持つことを特徴とする請求項1に記載の電源ユニット。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、電源ユニットに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の目的は、製造コストの上昇を抑制可能な電源ユニットを提供することである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の電源ユニットは、電源基板を支持可能に構成された電源ユニットにおいて、平板状の本体部と、第1延在部と、第2延在部とを備え、前記第1延在部は、前記電源基板を支持するための第1基板支持部と、前記本体部と前記第1基板支持部を接続する第1接続部と、が設けられており、前記電源基板の前記本体部と対向する面と直交する方向から視て、前記本体部と前記第1基板支持部は重複しており、前記第2延在部は、前記電源基板を支持するための第2基板支持部と、前記本体部と前記第2基板支持部を接続する第2接続部と、が設けられており、前記電源基板の前記本体部と対向する面と直交する方向から視て、前記本体部と前記第2基板支持部は重複しており、前記電源基板は、その重心を通りかつ前記面の面内方向に延びる第1仮想線に沿う外形を構成する第1辺と第2辺を有し、前記重心を通り前記第1仮想線と直交しかつ前記面内方向に延びる第2仮想線に沿う前記外形を構成する第3辺と第4辺を有し、前記電源基板は、第1孔と第2孔を備え、前記第1仮想線よりも前記第1辺に近くかつ前記第2仮想線よりも前記第3辺に近い領域内で、前記第1孔を通る第1ネジにより前記第1基板支持部と締結され、前記第1仮想線よりも前記第2辺に近くかつ前記第2仮想線よりも前記第4辺に近い領域内で、前記第2孔を通る第2ネジにより前記第2基板支持部と締結される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の電源ユニットによると、隙間を埋めるための隙間埋め部材を設ける必要がなくなり、製造コストの上昇を抑制することが可能な電源ユニットを得ることが可能となる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
エンクロージャー2には、
図1に示すように、2つの板金部材10,20によって包囲された内部空間Sが構成されている。この内部空間Sに電源基板100が配置されている。電源基板100は、
図3及び
図4に示すように、板金部材20と対向する表面100aに電源回路を含む複数の電子部品100bが搭載されており、エンクロージャー2によってその周囲が囲まれて、所定の防火規格が満たされている。また、電源基板100には、前方の2つの角部に孔100c,100
eが形成され、後方下部の角部に孔100
dが形成されている。これら3つの孔100c~100eにネジ8が通されて、電源基板100が板金部材10に固定される。また、電源基板100の後方上部の角部には、スリット100fが形成されている。