(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038528
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】画像表示装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/302 20060101AFI20240313BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240313BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240313BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240313BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240313BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G09F9/302 C
G09F9/30 365
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H01L27/32
H05B33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021003064
(22)【出願日】2021-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】甚田 誠一郎
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC34
3K107CC41
3K107DD03
3K107DD23
3K107DD28
3K107EE01
3K107EE06
3K107EE07
3K107EE28
3K107EE68
3K107HH05
5C094AA37
5C094BA12
5C094BA27
5C094CA20
5C094CA24
5C094DA11
5C094EB02
5C094FA01
5C094FA04
5C094HA05
5C094HA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】焼き付きを抑制可能な画像表示装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】画像表示装置1は、二次元状に配置される複数の画素を備え、前記複数の画素は、発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域6と、前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域11と、前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域8と、を有する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元状に配置される複数の画素を備え、
前記複数の画素は、
発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域と、
前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域と、
前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域と、を有する、画像表示装置。
【請求項2】
前記第1画素領域内の画素は、
所定の発光面積を有する第1発光領域と、
可視光を透過させる第1透過窓を有する第1非発光領域と、を有し、
前記第2画素領域内の画素は、前記所定の発光面積よりも大きい発光面積を有する第2発光領域を有し、
前記第3画素領域内の画素は、前記第2発光領域の発光面積よりも大きい発光面積を有する第3発光領域を有する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第2画素領域内の画素は、前記第1透過窓よりも小さい範囲内で可視光を透過させる第2透過窓を有する第2非発光領域を有する、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内に配置され、かつ前記第2非発光領域内に配置されない画素回路を有する、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内及び前記第2非発光領域内に配置される画素回路を有する、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1透過窓及び前記第2透過窓は、特定の色の色画素について設けられる、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1画素領域内の特定の色の色画素については、前記第1発光領域が設けられずに、前記第1非発光領域が設けられ、前記特定の色以外の色画素については、前記第1非発光領域が設けられずに前記第1発光領域が設けられ、
前記第2画素領域内の前記特定の色の色画素については、前記第2発光領域及び前記第2非発光領域が設けられ、
前記第2画素領域内の前記特定の色以外の色の色画素については、前記第2非発光領域が設けられずに前記第2発光領域が設けられる、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第2画素領域内の画素は、可視光を透過させない第2非発光領域を有する、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第2画素領域は、前記所定の発光面積から連続的又は段階的に小さくなる発光面積を有する複数の画素を有する、請求項2乃至8のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記第2発光領域内の画素は、自発光素子を有し、
前記自発光素子は、
光反射面を有する下部電極層と、
前記下部電極層の上に配置される表示層と、
前記表示層の上に配置される上部電極層と、を有する、請求項2乃至9のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記上部電極層及び前記表示層は、凹凸構造であり、
前記凹凸構造の隣接する2つの凸部の間隔は不規則である、請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第1画素領域及び前記第2画素領域を含む画素群が、画像表示領域内の複数箇所に離隔して配置され、複数箇所の前記画素群の周囲に前記第3画素領域が配置される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
二次元状に配置される複数の画素を有する画像表示装置と、
前記画像表示装置を通して入射される光を受光する受光装置と、を備え、
前記画像表示装置は、
二次元状に配置される複数の画素を備え、
前記複数の画素は、
発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域と、
前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域と、
前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域と、を有する、電子機器。
【請求項14】
前記受光装置は、前記第1画素領域を透過した光を受光する、請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記第1画素領域内の画素は、
所定の発光面積を有する第1発光領域と、
可視光を透過させる第1透過窓を有する第1非発光領域と、を有し、
前記第2画素領域内の画素は、前記所定の発光面積よりも大きい発光面積を有する第2発光領域を有し、
前記第3画素領域内の画素は、前記第2発光領域の発光面積よりも大きい発光面積を有する第3発光領域を有し、
前記受光装置は、前記第1非発光領域を透過した光を受光する、請求項14記載の電子機器。
【請求項16】
前記第2画素領域内の画素は、前記第1透過窓よりも小さい範囲内で可視光を透過させる第2透過窓を有する第2非発光領域を有し、
前記受光装置は、前記第1発光領域及び前記第2非発光領域を透過した光を受光する、請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内に配置され、かつ前記第2非発光領域内に配置されない画素回路を有する、請求項16に記載の電子機器。
【請求項18】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内及び前記第2非発光領域内に配置される画素回路を有する、請求項16に記載の電子機器。
【請求項19】
前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1透過窓及び前記第2透過窓は、特定の色の色画素について設けられる、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項20】
前記受光装置は、前記第1非発光領域を通して入射された光を光電変換する撮像センサと、前記第1非発光領域を通して入射された光を受光して距離を計測する距離計測センサと、前記第1非発光領域を通して入射された光に基づいて温度を計測する温度センサと、の少なくとも一つを含む、請求項15乃至19のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のスマートフォンや携帯電話、PC(Personal Computer)などの電子機器では、表示パネルの額縁(ベゼル)に、カメラなどの種々のセンサを搭載している。搭載されるセンサも増える傾向にあり、カメラの他に、顔認証用のセンサや赤外線センサ、動体検出センサなどがある。その一方で、デザイン上の観点や軽薄短小化の傾向から、画面サイズに影響を与えずに電子機器の外形サイズをできるだけコンパクトにすることが求められており、ベゼル幅は狭まる傾向にある。このような背景から、表示パネルの真下にイメージセンサモジュールを配置して、表示パネルを通過した被写体光をイメージセンサモジュールで撮影する技術が提案されている。表示パネルの真下にイメージセンサモジュールを配置するには、表示パネルを透明化する必要がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示パネルを透明化するには、表示パネル内の少なくとも一部の画素内に、可視光を透過する透過部を設ける必要がある。しかしながら、画素内に透過部を設けると、画素内の発光部の面積が狭まり、有機EL素子(以下、OLED:Organic Light Emitting Device)等の自発光素子の単位面積あたりの電流が増えてしまい、自発光素子の劣化が促進して焼き付きが起きやすくなる。なお、焼き付きとは、発光素子に流す電流を同じにしても発光輝度が低下する現象である。この焼き付きとは発光素子の電流-輝度効率の劣化であり、不可逆である。
【0005】
例えば、表示パネル内の一部の画素領域、具体的には、イメージセンサが真下に配置される画素領域だけに透過部を設ける場合、この画素領域内で焼き付きが起きると、表示パネルの発光輝度が部分的に低下し、ユーザに違和感を与えてしまう。
【0006】
そこで、本開示では、焼き付きを抑制可能な画像表示装置及び電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、二次元状に配置される複数の画素を備え、
前記複数の画素は、
発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域と、
前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域と、
前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域と、を有する、画像表示装置が提供される。
【0008】
前記第1画素領域内の画素は、
所定の発光面積を有する第1発光領域と、
可視光を透過させる第1透過窓を有する第1非発光領域と、を有し、
前記第2画素領域内の画素は、前記所定の発光面積よりも大きい発光面積を有する第2発光領域を有し、
前記第3画素領域内の画素は、前記第2発光領域の発光面積よりも大きい発光面積を有する第3発光領域を有してもよい。
【0009】
前記第2画素領域内の画素は、前記第1透過窓よりも小さい範囲内で可視光を透過させる第2透過窓を有する第2非発光領域を有してもよい。
【0010】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内に配置され、かつ前記第2非発光領域内に配置されない画素回路を有してもよい。
【0011】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内及び前記第2非発光領域内に配置される画素回路を有してもよい。
【0012】
前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1透過窓及び前記第2透過窓は、特定の色の色画素について設けられてもよい。
【0013】
前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1画素領域内の特定の色の色画素については、前記第1発光領域が設けられずに、前記第1非発光領域が設けられ、前記特定の色以外の色画素については、前記第1非発光領域が設けられずに前記第1発光領域が設けられ、
前記第2画素領域内の前記特定の色の色画素については、前記第2発光領域及び前記第2非発光領域が設けられ、
前記第2画素領域内の前記特定の色以外の色の色画素については、前記第2非発光領域が設けられずに前記第2発光領域が設けられてもよい。
【0014】
前記第2画素領域内の画素は、可視光を透過させない第2非発光領域を有してもよい。
【0015】
前記第2画素領域は、前記所定の発光面積から連続的又は段階的に小さくなる発光面積を有する複数の画素を有してもよい。
【0016】
前記第2発光領域内の画素は、自発光素子を有し、
前記自発光素子は、
光反射面を有する下部電極層と、
前記下部電極層の上に配置される表示層と、
前記表示層の上に配置される上部電極層と、を有してもよい。
【0017】
前記上部電極層及び前記表示層は、凹凸構造であり、
前記凹凸構造の隣接する2つの凸部の間隔は不規則であってもよい。
【0018】
前記第1画素領域及び前記第2画素領域を含む画素群が、画像表示領域内の複数箇所に離隔して配置され、複数箇所の前記画素群の周囲に前記第3画素領域が配置されてもよい。
【0019】
本開示の他の一態様では、二次元状に配置される複数の画素を有する画像表示装置と、
前記画像表示装置を通して入射される光を受光する受光装置と、を備え、
前記画像表示装置は、
二次元状に配置される複数の画素を備え、
前記複数の画素は、
発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域と、
前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域と、
前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域と、を有する、電子機器が提供される。
【0020】
前記受光装置は、前記第1画素領域を透過した光を受光してもよい。
【0021】
前記第1画素領域内の画素は、
所定の発光面積を有する第1発光領域と、
可視光を透過させる第1透過窓を有する第1非発光領域と、を有し、
前記第2画素領域内の画素は、前記所定の発光面積よりも大きい発光面積を有する第2発光領域を有し、
前記第3画素領域内の画素は、前記第2発光領域の発光面積よりも大きい発光面積を有する第3発光領域を有し、
前記受光装置は、前記第1非発光領域を透過した光を受光してもよい。
【0022】
前記第2画素領域内の画素は、前記第1透過窓よりも小さい範囲内で可視光を透過させる第2透過窓を有する第2非発光領域を有し、
前記受光装置は、前記第1発光領域及び前記第2非発光領域を透過した光を受光してもよい。
【0023】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内に配置され、かつ前記第2非発光領域内に配置されない画素回路を有してもよい。
【0024】
前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内及び前記第2非発光領域内に配置される画素回路を有してもよい。
【0025】
前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1透過窓及び前記第2透過窓は、特定の色の色画素について設けられてもよい。
【0026】
前記受光装置は、前記第1非発光領域を通して入射された光を光電変換する撮像センサと、前記第1非発光領域を通して入射された光を受光して距離を計測する距離計測センサと、前記第1非発光領域を通して入射された光に基づいて温度を計測する温度センサと、の少なくとも一つを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の実施形態による画像表示装置を備えた電子機器の平面図及び断面図。
【
図2A】表示パネルの中央より上側の裏面側に二つのセンサを並べて配置した図。
【
図2B】表示パネルの四隅にセンサを配置した例を示す図。
【
図3】第1画素領域内の透過画素の構造と、第3画素領域内の通常画素の構造とを模式的に示す図。
【
図4】センサの一例であるイメージセンサモジュールの断面図。
【
図5】イメージセンサモジュールの光学構成を模式的に説明する図。
【
図6】被写体からの光がイメージセンサ上に結像するまでの光路を説明する図。
【
図7】OLEDを含む画素回路の基本構成を示す回路図。
【
図8】(a)(b)(c)は
図7の画素回路を有する表示パネル内の画素のレイアウト図。
【
図9】センサが真下に配置されていない第3画素領域内の通常画素の断面図。
【
図11】5つのトランジスタを有する画素回路の回路図。
【
図12】(a)(b)(c)は
図11の画素回路を有する表示パネル内の画素のレイアウト図。
【
図13】焼き付きを起こしていない表示パネルを模式的に示す外観図。
【
図14】焼き付きを起こした表示パネルを模式的に示す外観図。
【
図15A】
図13の焼き付きを起こしていない表示パネル内の各画素の電流特性を示す図。
【
図16A】
図14の焼き付きを起こした表示パネル内の各画素の電流特性を示す図。
【
図17】第1の実施形態による画像表示装置内の画素の構造を模式的に示す図。
【
図19】第1の実施形態による画像表示装置内の表示パネルの模式的な外観図。
【
図20】(a)(b)(c)は
図19の表示パネルの平面レイアウト図。
【
図21】第1の実施形態による表示パネルの第1変形例の平面図。
【
図22】(a)(b)(c)は第1変形例の平面レイアウト図。
【
図23】第1の実施形態による表示パネルの第2変形例の平面図。
【
図24】(a)(b)(c)は第2変形例の平面レイアウト図。
【
図25】第1の実施形態による表示パネルの第3変形例の平面図。
【
図26】(a)(b)(c)は第3変形例の平面レイアウト図。
【
図27】第1~第3画素領域内の画素配置の第1例を示す図。
【
図29】第1~第3画素領域内の画素配置の第2例を示す図。
【
図30】第1~第3画素領域内の画素配置の第3例を示す図。
【
図31】第1~第3画素領域内の画素配置の第4例を示す図。
【
図32B】画素回路内のOLEDの素子特性を示す図。
【
図33】第2の実施形態による表示パネルの平面図。
【
図34】(a)(b)(c)は
図33の表示パネルの画素レイアウト図。
【
図38A】乗物の後方から前方にかけての乗物の内部の様子を示す図。
【
図38B】乗物の斜め後方から斜め前方にかけての乗物の内部の様子を示す図。
【
図39A】電子機器の第2適用例であるデジタルカメラの正面図。
【
図40A】電子機器の第3適用例であるHMDの外観図。
【
図41】電子機器の第4適用例であるTVの外観図。
【
図42】電子機器の第5適用例であるスマートフォンの外観図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、画像表示装置及び電子機器の実施形態について説明する。以下では、画像表示装置及び電子機器の主要な構成部分を中心に説明するが、画像表示装置及び電子機器には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は本開示の第1の実施形態による画像表示装置1を備えた電子機器50の平面図及び断面図である。図示のように、本実施形態による画像表示装置1は、表示パネル2を備えている。表示パネル2には、例えばフレキシブル・プリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)3が接続されている。表示パネル2は、例えばガラス基板又は透明フィルム上に複数の層を積層したものであり、表示面2zには縦横に複数の画素が配置されている。FPC3の上には、表示パネル2の駆動回路の少なくとも一部を内蔵するチップ(COF:Chip On Film)4が実装されている。なお、駆動回路をCOG(Chip On Glass)として表示パネル2に積層してもよい。
【0030】
本実施形態による画像表示装置1は、表示パネル2の真下に、表示パネル2を通して光を受光する各種のセンサ5を配置可能としている。本明細書では、画像表示装置1とセンサ5を備えた構成を電子機器50と呼ぶ。電子機器50内に設けられるセンサ5の種類は特に問わないが、例えば、表示パネル2を通して入射された光を光電変換する撮像センサ5、表示パネル2を通して光を投光するとともに、対象物で反射された光を表示パネル2を通して受光して、対象物までの距離を計測する距離計測センサ5、表示パネル2を通して入射された光に基づいて温度を計測する温度センサ5などである。このように、表示パネル2の真下に配置されるセンサ5は、光を受光する受光装置の機能を少なくとも備えている。なお、センサ5は、表示パネル2を通して光を投光する発光装置の機能を備えていてもよい。
【0031】
図1は表示パネル2の真下に配置されるセンサ5の具体的な場所の一例を破線で示している。
図1のように、センサ5は、例えば、表示パネル2の中央よりも上側の裏面側に配置されている。なお、
図1のセンサ5の配置場所は一例であり、センサ5の配置場所は任意である。表示パネル2の裏面側にセンサ5を配置することで、表示パネル2の周囲にセンサ5を配置しなくて済み、電子機器50のベゼルを極小化することができ、電子機器50の正面側のほぼ全域を表示パネル2にすることができ、表示パネル2の面積を小さくせずに電子機器50の外形サイズを小型化できる。
【0032】
図1では、表示パネル2の一箇所にセンサ5を配置する例を示しているが、
図2A又は
図2Bに示すように、複数箇所にセンサ5を配置してもよい。
図2Aは表示パネル2の中央より上側の裏面側に二つのセンサ5を並べて配置した例を示している。また、
図2Bは、表示パネル2の四隅にセンサ5を配置した例を示している。
図2Bのように、表示パネル2の四隅にセンサ5を配置するのは以下の理由である。表示パネル2内のセンサ5と重なる画素領域は、透過率を高くする工夫を施すため、その周囲の画素領域とは表示品質に若干の差異が生じるおそれがある。人間は画面中央を凝視するとき、中心視野となる画面中央部は詳細まで把握でき、若干の差異に気づくことができる。しかし、周辺視野となる外周部の詳細視認度は低くなる。通常の表示画像では画面中央を見ることが多いため、その差異を目立たなくするために四隅にセンサ5を配置することが推奨される。
【0033】
図2Aや
図2Bのように、表示パネル2の裏面側に複数のセンサ5を配置する場合、複数のセンサ5の種類は同じでも異なっていてもよい。例えば、焦点距離の異なる複数のイメージセンサモジュール9を配置してもよいし、あるいは、撮像センサ5とToF(Time of Flight)センサ5などのように、異なる種類のセンサ5を配置してもよい。
【0034】
表示パネル2の真下にセンサ5を配置する場合、裏面側のセンサ5と重なる画素領域(第1画素領域)と、センサ5と重ならない画素領域(第3画素領域)で、画素の構造を変える必要がある。なお、本明細書では、第3画素領域内の各画素を通常画素と呼び、第1画素領域内の各画素を透過画素と呼ぶことがある。
【0035】
図3は第1画素領域6内の透過画素7の構造と、第3画素領域8内の通常画素7の構造とを模式的に示す図である。第1画素領域6内の透過画素7は、第1自発光素子6a、第1発光領域6b、及び第1非発光領域6cを有する。第1発光領域6bは、第1自発光素子6aにより発光される領域である。第1非発光領域6cは、第1自発光素子6aによる発光は行わないものの、可視光を透過させる所定の形状の透過窓(第1透過窓)6dを有する。第3画素領域8内の通常画素7は、第3自発光素子8a及び第3発光領域8bを有する。第3発光領域8bは、第3自発光素子8aにより発光され、第1発光領域6bよりも大きい面積を有する。また、第3画素領域8内の通常画素7には透過窓は設けられていない。
【0036】
第1自発光素子6a及び第3自発光素子8aの代表例は、有機EL(Electroluminescence)素子(以下では、OLED:Organic Light Emitting Diodeとも呼ぶ)である。自発光素子は、バックライトを省略できるため、少なくとも一部を透明化することができる。以下では、自発光素子としてOLEDを用いる例を主に説明する。
【0037】
なお、センサ5と重なる画素領域とセンサ5と重ならない画素領域で画素7の構造を変えるのではなく、表示パネル2内の全画素7の構造を同じにすることも考えられる。この場合、表示パネル2内の任意の場所にセンサ5を重ねて配置できるように、全画素7を
図3の第1発光領域6bと第1非発光領域6cで構成すればよい。ところが、第1発光領域6bは、通常画素に比べて発光面積が狭いため、単位面積当たりの電流が増えて、OLEDの劣化が起きやすくなる。
【0038】
図4はセンサ5の一例であるイメージセンサモジュール9の断面図である。
図4に示すように、イメージセンサモジュール9は、支持基板9aの上に実装されるイメージセンサ9bと、IR(Infrared Ray)カットフィルタ9cと、レンズユニット9dと、コイル9eと、磁石9fと、バネ9gとを有する。レンズユニット9dは、1つ又は複数のレンズを有する。レンズユニット9dは、コイル9eに流す電流の方向に応じて光軸方向に移動可能とされている。なお、イメージセンサモジュール9の内部構成は、
図4に示したものに限定されない。
【0039】
図5はイメージセンサモジュール9の光学構成を模式的に説明する図である。被写体10からの光は、レンズユニット9dで屈折されて、イメージセンサ9b上に結像する。レンズユニット9dに入射される光の量が多いほどイメージセンサ9bで受光される光量も増えて、感度が向上する。本実施形態の場合、被写体10とレンズユニット9dとの間に表示パネル2が配置される。被写体10からの光が表示パネル2を透過する際に、表示パネル2での吸収、反射、回折を抑制することが重要となる。
【0040】
図6は被写体10からの光がイメージセンサ9b上に結像するまでの光路を説明する図である。
図6では、表示パネル2の各画素7とイメージセンサ9bの各画素7を模式的に矩形のマス目で表している。図示のように、表示パネル2の各画素7のサイズは、イメージセンサ9bの各画素7のサイズよりもはるかに大きい。被写体10の特定位置からの光は、表示パネル2の透過窓6dを通過して、イメージセンサモジュール9のレンズユニット9dで屈折されて、イメージセンサ9b上の特定画素で結像される。このように、被写体10からの光は、表示パネル2の第1画素領域6内の複数画素7に設けられた複数の透過窓6dを透過して、イメージセンサモジュール9に入射される。
【0041】
図7はOLED20を含む画素回路12の基本構成を示す回路図である。
図7の画素回路12は、OLED20の他に、ドライブトランジスタQ1と、サンプリングトランジスタQ2と、画素容量Csとを備えている。サンプリングトランジスタQ2は、信号線SigとドライブトランジスタQ1のゲートとの間に接続されている。サンプリングトランジスタQ2のゲートには、走査線Gateが接続されている。画素容量Csは、ドライブトランジスタQ1のゲートとOLED20のアノード電極との間に接続されている。ドライブトランジスタQ1は、電源電圧ノードVccpとOLED20のアノードとの間に接続されている。
【0042】
図8は
図7の画素回路12を有する表示パネル2内の画素7のレイアウト図である。
図8には、横に2つの色画素7と、縦に2つの色画素7の計4つの色画素7の平面レイアウトが図示されている。
【0043】
図8(a)はこれら色画素のアノード電極12aより下方に配置される画素回路12のレイアウト図、
図8(b)はセンサ5と重ならない第3画素領域8内の通常画素のレイアウト図、
図8(c)はセンサ5と重なる第1画素領域6内の透過画素のレイアウト図である。なお、本明細書では、簡略化のため、画素7と色画素7を同じ符号を付して説明するが、複数の色画素7で一つの画素7が構成される。
【0044】
第3画素領域8内の色画素7の一部に、
図8(a)に示すように、画素回路12が配置されている。画素回路12内の第3自発光素子8aで発光された光は、通常画素7のほぼ全域で発光する。このため、
図8(b)に示すように、色画素7のほぼ全域が第3発光領域8bになる。
【0045】
これに対して、第1画素領域6内の透過画素(色画素)7は、
図8(c)に示すように、第1発光領域6bと第1非発光領域6cを有する。第1発光領域6bには画素回路12が配置されており、画素回路12内の第1自発光素子6aで発光した光は第1発光領域6bで発光し、第1非発光領域6cでは発光しない。このように、第1画素領域6内の色画素7は、第3画素領域8内の色画素7よりも、狭い面積で発光する。
図8(c)では、第1画素領域6内の色画素7の上側半分程度が第1発光領域6bである例を示している。
【0046】
図8(a)に示すように、色画素7の上端側には、電源電圧Vccp用の配線パターンと、走査線用の配線パターンが水平方向Xに配置されている。また、色画素7の縦方向Yの境界に沿って信号線Sigの配線パターンが配置されている。これら配線パターンの配置場所は一例にすぎない。
【0047】
図9はセンサ5が真下に配置されていない第3画素領域8内の通常画素7(色画素7)の断面図である。
図9は
図8のA-A線方向の断面構造を示しており、より詳細には画素回路12内のドライブトランジスタQ1の周辺の断面構造を示している。なお、
図9を含めて、本明細書に添付した図面に記載された断面図は、特徴的な層構成を強調して図示しており、縦横の長さの比率は平面レイアウトとは必ずしも一致しない。
【0048】
図9の上面は表示パネル2の表示面側であり、
図9の底面はセンサ5が配置される側である。
図9の底面側から上面側(光出射側)にかけて、第1透明基板31と、第1絶縁層32と、第1配線層(ゲート電極)33と、第2絶縁層34と、第2配線層(ソース配線またはドレイン配線)35と、第3絶縁層36と、アノード電極層38と、第4絶縁層37と、表示層2aと、カソード電極層39と、第5絶縁層40と、第2透明基板41とが順に積層されている。
【0049】
第1透明基板31と第2透明基板41は、例えば、可視光透過性に優れた石英ガラスや透明フィルム等で形成されることが望ましい。あるいは第1透明基板31と第2透明基板41のどちらか一方を石英ガラス、もう一方を透明フィルムで形成してもよい。
【0050】
なお、製造観点から有色で透過率のそれほど高くないフィルム、例えばポリイミドフィルムを利用してもよい。あるいは第1透明基板31と第2透明基板41の少なくとも一方を、透明フィルムで形成してもよい。第1透明基板31の上に、画素回路12内の各回路素子を接続するための第1配線層(M1)33が配置されている。または、保護層
【0051】
第1透明基板31の上には、第1配線層33を覆うように第1絶縁層32が配置されている。第1絶縁層32は、例えば、可視光透過性に優れたシリコン窒化層とシリコン酸化層の積層構造である。第1絶縁層32の上には、画素回路12内の各トランジスタのチャネル領域が形成される半導体層42が配置されている。
図9は、第1配線層33に形成されるゲートと、第2配線層35に形成されるソース及びドレインと、半導体層42に形成されるチャネル領域とを有するドライブトランジスタQ1の断面構造を模式的に図示しているが、他のトランジスタもこれらの層33、35、42に配置されており、不図示のコンタクトにより第1配線層33に接続されている。
【0052】
第1絶縁層32の上には、トランジスタ等を覆うように第2絶縁層34が配置されている。第2絶縁層34は、例えば、可視光透過性に優れたシリコン酸化層、シリコン窒化層及びシリコン酸化層の積層構造である。第2絶縁層34の一部にはトレンチ34aが形成されて、トレンチ34a内にコンタクト部材35aを充填することにより、各トランジスタのソースやドレイン等に接続される第2配線層(M2)35が形成されている。
図9には、ドライブトランジスタQ1とOLED20のアノード電極12aとを接続するための第2配線層35が図示されているが、他の回路素子に接続される第2配線層35も同じ層に配置されている。また、後述するように、第2配線層35とアノード電極12aとの間に、
図9では不図示の第3配線層を設けてもよい。第3配線層は、画素回路12内の配線として用いることができる他、アノード電極12aとの接続に用いてもよい。
【0053】
第2絶縁層34の上には、第2配線層35を覆って表面を平坦化するための第3絶縁層36が配置されている。第3絶縁層36は、アクリル樹脂等の樹脂材料で形成されている。第3絶縁層36の膜厚は、第1~第2絶縁層32,34の膜厚よりも大きくしている。
【0054】
第3絶縁層36の上面の一部にはトレンチ36aが形成されて、トレンチ36a内にコンタクト部材36bを充填して第2配線層35との導通を図るとともに、コンタクト部材36bを第3絶縁層36の上面側まで延在させてアノード電極層38が形成されている。アノード電極層38は積層構造であり、金属材料層を含んでいる。金属材料層は、一般には可視光透過率が低く、光を反射させる反射層として機能する。具体的な金属材料としては、例えばAlNdやAgを適用可能である。
【0055】
アノード電極層38の最下層は、トレンチ36aに接する部分であり、断線しやすいことから、少なくともトレンチ36aの角部は例えばAlNdなどの金属材料で形成される場合がある。アノード電極層38の最上層は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電層で形成されている。あるいは、アノード電極層38を、例えば、ITO/Ag/ITOの積層構造にしてもよい。Agは本来的には不透明であるが、膜厚を薄くすることで、可視光透過率が向上する。Agを薄くすると強度が弱くなるため、両面にITOを配置した積層構造にすることで、透明導電層として機能させることができる。
【0056】
第3絶縁層36の上には、アノード電極層38を覆うように第4絶縁層37が配置されている。第4絶縁層37も、第3絶縁層36と同様にアクリル樹脂等の樹脂材料で形成されている。第4絶縁層37は、OLED20の配置場所に合わせてパターニングされて、凹部37aが形成されている。
【0057】
第4絶縁層37の凹部37aの底面及び側面を含むように表示層2aが配置されている。表示層2aは、例えば
図10に示すような積層構造を有する。
図10に示す表示層2aは、アノード電極層38側から積層順に、陽極2b、正孔注入層2c、正孔輸送層2d、発光層2e、電子輸送層2f、電子注入層2g、及び陰極2hを配置した積層構造である。陽極2bは、アノード電極12aとも呼ばれる。正孔注入層2cは、アノード電極12aからの正孔が注入される層である。正孔輸送層2dは、正孔を発光層2eに効率よく運ぶ層である。発光層2eは、正孔と電子を再結合させて励起子を生成し、励起子が基底状態に戻る際に光を発光する。陰極2hは、カソード電極とも呼ばれる。電子注入層2gは、陰極2hからの電子が注入される層である。電子輸送層2fは、電子を発光層2eに効率よく運ぶ層である。発光層2eは有機物を含んでいる。
【0058】
図9に示す表示層2aの上には、カソード電極層39が配置されている。カソード電極層39は、アノード電極層38と同様に透明導電層で形成されている。なお、アノード電極層38の透明導電層は、例えばITO/Ag/ITOで形成され、カソード電極層39の透明電極層は、膜厚数nm~数十nmのMgAg(薄膜化することで半透明電極になる)、または膜厚数十nm~数百nmのIZO(Indium Zinc Oxide;透明電極)などを用いて形成されうる。
【0059】
カソード電極層39の上には第5絶縁層40が配置されている。第5絶縁層40は、上面を平坦化するとともに耐湿性に優れた絶縁材料で形成される。第5絶縁層40の上には、第2透明基板41が配置されている。
【0060】
図8及び
図9に示すように、第3画素領域8には、色画素7のほぼ全域に反射膜として機能するアノード電極層38が配置されており、可視光を透過させることはできない。
【0061】
図7の画素回路12は2つのトランジスタを有するが、画素回路12の具体的な回路構成には種々の変形例が考えられる。
図11は5つのトランジスタQ1~Q5を有する画素回路12の回路図である。
図11の画素回路12は、OLED20の他に、ドライブトランジスタQ1と、サンプリングトランジスタQ2と、電源トランジスタQ3と、第1制御トランジスタQ4と、第2制御トランジスタQ5と、画素容量Csとを有する。
【0062】
電源トランジスタQ3とドライブトランジスタQ1は、電源電圧VccpとOLED20のアノードとの間にカスコード接続されている。ドライブトランジスタQ1のゲートと信号線Sigとの間には、サンプリングトランジスタQ2が接続されている。ドライブトランジスタQ1のゲートとOLED20のアノードとの間には画素容量Csが接続されている。OLED20のアノードと初期化電圧Viniノードとの間には、第1制御トランジスタQ4が接続されている。第1制御トランジスタQ4のゲートには、第1制御信号線AZ1が接続されている。ドライブトランジスタQ1のゲートとオフセット電圧Vofsノードとの間には、第2制御トランジスタQ5が接続されている。第2制御トランジスタQ5のゲートには、第2制御信号線AZ2が接続されている。
【0063】
図12は
図11の画素回路12を有する表示パネル2内の画素7のレイアウト図である。
図12には、横に2つの色画素7と、縦に2つの色画素7の計4つの色画素7の平面レイアウトが図示されている。
図12(a)はこれら色画素7のアノード電極12aより下方に配置される画素回路12のレイアウト図、
図12(b)はセンサ5と重ならない第3画素領域8のレイアウト図、
図12(c)はセンサ5と重なる第1画素領域6のレイアウト図である。
【0064】
図12(a)と
図8(a)を比較すればわかるように、
図11の画素回路12は、
図7の画素回路12よりも回路構成が複雑であるため、色画素7内のほぼ全域にわたって、画素回路12内の配線パターン等が配置されている。
【0065】
図12(b)に示す第3画素領域8内の通常画素(色画素)7のレイアウトは、
図8(b)とほぼ同様であり、色画素7のほぼ全域が第3発光領域8bとして機能する。
図12(c)に示す第1画素領域6内の透過画素(色画素)7は、
図8(c)と同様に、第1発光領域6bと第1非発光領域6cを有する。ただし、
図8(c)では第1非発光領域6c内に画素回路12の配線パターン等は配置されていなかったのに対して、
図12(c)では、第1非発光領域6c内に画素回路12の配線パターン等が配置されている。第1非発光領域6c内に画素回路12の配線パターン等が配置されていたとしても、配線パターン等の隙間から可視光を透過させることができるため、第1非発光領域6cはセンサ5に光を入射させる透過窓6dとして機能する。
【0066】
上述したように、表示パネル2の真下にセンサ5を配置し、表示パネル2のセンサ5と重なる場所に
図3に示すような第1画素領域6を設けた場合、第1画素領域6内の各画素7の第1発光領域6bは、第3画素領域8内の各通常画素7の第3発光領域8bよりも面積が小さくなる。このため、第1発光領域6b内の単位面積当たりの電流は第3発光領域8b内の単位面積当たりの電流よりも多くなり、劣化すなわち焼き付きが起きやすくなる。
【0067】
図13は焼き付きを起こしていない表示パネル2を模式的に示す外観図、
図14は焼き付きを起こした表示パネル2を模式的に示す外観図である。
図13及び
図14における破線部分はセンサ5が真下に配置される第1画素領域6である。焼き付きが起きると、
図14に示すように、第1画素領域6は、その周囲の第3画素領域8よりも輝度が低下してしまい、表示パネル2の表示品質が低下する。このような焼き付きは、単位面積当たりの電流が大きい画素領域で起きやすくなる。
【0068】
図15Aは
図13の焼き付きを起こしていない表示パネル2内の各画素7の電流特性を示す図である。また、
図15Bは
図13の表示パネル2内のOLED20の素子特性を示す図である。
図15Aの横軸は画素7を流れる電流、縦軸は単位面積当たりの電流である。また、
図15Bの横軸は単位面積当たりの電流、縦軸は表示パネル2の輝度である。
図15A及び
図15Bでは、第1画素領域6の面積を第3画素領域8の面積の半分にした例を示している。
【0069】
図15Aの波形w1はセンサ5と重ならない第3画素領域8内の通常画素7の電流特性、波形w2はセンサ5と重なる第1画素領域6内の透過画素7の電流特性を示している。センサ5と重なる第1画素領域6内の透過画素7は、第3画素領域8内の通常画素7に比べて発光面積が半分であるが、画素7全体に流れる電流が変わらないため、単位面積当たりの電流は2倍になる。
【0070】
図15Bの波形w3はセンサ5と重ならない第3画素領域8内のOLED20の素子特性、波形w4はセンサ5と重なる第1画素領域6内のOLED20の素子特性を示している。センサ5と重なる第1画素領域6内の透過画素7は、第3画素領域8内の通常画素7に比べて、発光面積は半分である一方で、単位面積当たりの電流は2倍であるため、劣化が起きていない状態では輝度は同じになる。
【0071】
図16Aは
図14の焼き付きを起こした表示パネル2内の各画素7の電流特性を示す図である。また、
図16Bは
図14の表示パネル2内のOLED20の素子特性を示す図である。
図16Aの横軸は画素7を流れる電流、縦軸は単位面積当たりの電流である。また、
図16Bの横軸は単位面積当たりの電流、縦軸は表示パネル2の輝度である。
図16A及び
図16Bは、第1画素領域6の面積を第3画素領域8の面積の半分にした例を示している。
【0072】
図16Aの波形w5はセンサ5と重ならない第3画素領域8内の通常画素7の電流特性、波形w6はセンサ5と重なる第1画素領域6内の透過画素7の電流特性を示している。センサ5と重なる第1画素領域6内の透過画素7は、第3画素領域8内の通常画素7に比べて発光面積が半分であるが、画素7全体に流れる電流が変わらないため、
図15Aと同様に単位面積当たりの電流は2倍になる。
【0073】
図16Bの波形w7はセンサ5と重ならない第3画素領域8内の劣化後のOLED20の素子特性、波形w8はセンサ5と重なる第1画素領域6内の劣化後のOLED20の素子特性を示している。波形w7は波形w3に比べて、傾きが緩やかになる。同様に、波形w8は波形w4に比べて、傾きが緩やかになる。波形w7、w8の傾きが緩やかになるのは、画素7が劣化すなわち焼き付きを起こしたためであり、OLED20に同一の電流を流しても、輝度が低下するためである。なお、波形w7とw8の傾きを比較すると、波形w8の方が傾きが緩やかになる程度が大きい。これは、画素7の輝度が同一の条件下では、画素7内の発光面積が小さいほど、単位面積当たりの電流が多くなり、OLED20の劣化すなわち焼き付きがより促進し、輝度がより低下するためである。
【0074】
このように、単位面積当たりの電流が大きい画素7は、単位面積当たりの電流が小さい画素7よりも劣化が生じやすい。このため、画素7内に透過窓6dを設けたために発光面積が小さくなる画素7については、劣化が生じやすいため、輝度低下が起こりやすくなる。表示パネル2内の一部の画素領域だけが輝度低下を起こすと、表示品質が低下してしまう。そこで、以下に説明する第1の実施形態による画像表示装置1では、劣化による輝度低下が目立たないような対策を行う。
【0075】
(第1の実施形態)
図17は第1の実施形態による画像表示装置1内の画素7の構造を模式的に示す図である。本実施形態による画像表示装置1内の表示パネル2の真下にはイメージセンサモジュール9等のセンサ5が配置されている。表示パネル2は、第1画素領域6と、第2画素領域11と、第3画素領域8とを有する。第1画素領域6は、発光するとともに可視光を透過させる画素(透過画素)7を有する。第2画素領域11は、第1画素領域6の周囲に配置され、第1画素領域6の発光面積よりも大きい面積で発光する画素7を有する。第3画素領域8は、第2画素領域11の周囲に配置され、第2画素領域11の発光面積よりも大きい面積で発光する画素(通常画素)7を有する。
【0076】
第1~第3画素領域6、11、8の発光面積は、第1画素領域6、第2画素領域11、及び第3画素領域8の順に大きくなる。第1画素領域6は、センサ5の真上に配置される。第2画素領域11は、第1画素領域6に接する場所から、第1画素領域6の外側に配置される。第3画素領域8は、第2画素領域11に接する場所から外側に配置される。第1~第3画素領域6、11、8が同心状の円形である場合、第1画素領域6の外径よりも第2画素領域11の外径は大きく、第2画素領域11の外周縁の外側に第3画素領域8が配置されている。なお、第1~第3画素領域6、11、8の外形形状は任意であるが、本明細書では、円形又は矩形である例を主に説明する。第2画素領域11は、所定の発光面積から連続的又は段階的に小さくなる発光面積を有する複数の画素を有していてもよい。
【0077】
図17の破線部はセンサ5の外周縁を示している。
図17の例では、センサ5の外周縁と同じ径、あるいは若干大きい径の範囲内に第1画素領域6が設けられている。また、第1画素領域6の外周縁から、第1画素領域6と同心円で第1画素領域6よりも大きい外周縁までの範囲内に第2画素領域11が設けられている。また、第2画素領域11に接する場所から外側には第3画素領域8が設けられている。
【0078】
図18Aは
図17の表示パネル2内の画素7の電流特性を示す図、
図18Bは
図17の表示パネル2内のOLED20の素子特性を示す図である。
図18Aの横軸は画素7の電流、縦軸は単位面積当たりの電流である。
図18Bの横軸は単位面積当たりの電流、縦軸は表示パネル2の輝度である。
【0079】
図18A及び
図18Bは、具体的な一例として、第3画素領域8の発光面積を1、第2画素領域11の発光面積は3/4、第3画素領域8の発光面積は1/2としている。
図18Aにおける波形w11は第3画素領域8内の通常画素7の電流特性、波形w12は第2画素領域11内の画素7の電流特性、波形w13は第1画素領域6内の透過画素7の電流特性を示している。波形w11~w13からわかるように、第3画素領域8における単位面積当たりの電流を1倍とすると、第2画素領域11における単位面積当たりの電流は4/3倍、第3画素領域8における単位面積当たりの電流は2倍になる。
【0080】
図18Bにおける波形w14は第3画素領域8のOLED20の素子特性、波形w15は第2画素領域11のOLED20の素子特性、波形w16は第1画素領域6のOLED20の素子特性を示している。波形w14に示すように、第3画素領域8は、発光面積が1で、単位面積当たりの電流は1倍である。また、波形w15に示すように、第2画素領域11は、発光面積が3/4で、単位面積当たりの電流は4/3倍である。また、波形w16に示すように、第1画素領域6は、発光面積が1/2で、単位面積当たりの電流は2倍である。よって、第1~第3画素領域6、11、8の輝度は等しくなる。
【0081】
図19は第1の実施形態による画像表示装置1内の表示パネル2の模式的な外観図、
図20は
図19の表示パネル2の平面レイアウト図である。
図19の表示パネル2は、第1画素領域6、第2画素領域11、及び第3画素領域8を有する。
図19の表示パネル2の真下には、1つのセンサ5が配置されているが、
図2A又は
図2Bに示すように、表示パネル2の真下に複数のセンサ5を配置してもよい。センサ5の外周縁と第1~第3画素領域6、11、8の外周縁はいずれも中心位置を共通とする円形であり、センサ5の外径よりも第1画素領域6の外径が大きく、第1画素領域6の外径よりも第2画素領域11の外径が大きく、第2画素領域11の外周縁の外側に第3画素領域8が配置されている。
【0082】
図20(a)は第3画素領域8内の各画素7の平面レイアウトを示している。第3画素領域8内の各通常画素7のほぼ全域が第3発光領域8bである。
【0083】
図20(b)は第2画素領域11内の各画素7の平面レイアウトを示している。第2画素領域11内の画素7は、第2自発光素子11a、第2発光領域11b、及び第2非発光領域11cを有する。第2発光領域11bは、第3画素領域8内の第3発光領域8bの面積よりは小さく、かつ第1画素領域6内の第1発光領域6bの面積よりは大きい。第2画素領域11内の第2非発光領域11cは、透過窓6dを備えておらず、可視光を透過することができない領域である。
【0084】
図20(c)は第1画素領域6内の各透過画素7の平面レイアウトを示している。第1画素領域6内の透過画素7は、第1自発光素子6a、第1発光領域6b、及び第1非発光領域6cを有する。第1発光領域6bの面積は、第2画素領域11内の第2発光領域11bと第3画素領域8内の第3発光領域の面積よりも小さい。第1非発光領域6cには、透過窓6dが設けられており、可視光を透過させることができる。
図20(c)の例では、透過窓6dの部分に画素回路12の配線パターン等が配置されていない。このため、透過窓6dに入射された光は、画素回路12で遮られることなく、センサ5に入射される。
【0085】
図19及び
図20は表示パネル2の一例であり、種々の変形例が考えられる。
図21は第1の実施形態による表示パネル2の第1変形例の平面図、
図22は第1変形例の平面レイアウト図である。
【0086】
図21は第1画素領域6の外径よりもセンサ5の外径が大きい点で
図19と相違している。すなわち、
図21では、第1画素領域6の外径よりもセンサ5の外径が大きく、センサ5の外径よりも第2画素領域11の外径が大きく、第2画素領域11の外周縁の外側に第3画素領域8が配置されている。
図21の場合、第1画素領域6の外径よりもセンサ5の外径が大きいため、第2画素領域11が光を通さないとすると、センサ5の画角の範囲内からの光の一部がセンサ5に入射されなくなるおそれがある。そこで、
図22(b)に示すように、第2画素領域11内の第2非発光領域11cに透過窓(第2透過窓)11dを設けて、光を透過させるようにしている。この点で、
図20(b)とは異なる。
図22(a)の第1画素領域6及び
図22(c)の第3画素領域8は、
図20(a)の第1画素領域6及び
図20(c)の第3画素領域8と同様の構造である。
【0087】
図23は第1の実施形態による表示パネル2の第2変形例の平面図、
図24は第2変形例の平面レイアウト図である。第2変形例は、
図19と同様に、センサ5の外径よりも第1画素領域6の外径が大きく、第1画素領域6の外径よりも第2画素領域11の外径が大きく、第2画素領域11の外周縁の外側に第3画素領域8が配置されている。第2変形例では、
図24(a)に示すように、第1画素領域6内の第1非発光領域6cには透過窓6dが設けられているが、透過窓6d内に画素回路12の配線パターン等が配置されている点で
図20(a)とは相違している。第2変形例では、センサ5の真上に位置する第1画素領域6内の透過窓6d内に画素回路12の配線パターン等が配置されており、センサ5に入射される光の光量が
図19の表示パネル2よりも少なくなるが、センサ5を正常に動作させることは可能である。
【0088】
図25は第1の実施形態による表示パネル2の第3変形例の平面図、
図26は第3変形例の平面レイアウト図である。第3変形例は、
図21と同様に、第1画素領域6の外径よりもセンサ5の外径が大きく、センサ5の外径よりも第2画素領域11の外径が大きく、第2画素領域11の外周縁の外側に第3画素領域8が配置されている。第3変形例では、
図26(a)に示すように、第1画素領域6内の第2非発光領域11cに透過窓6dが設けられ、かつ
図26(b)に示すように、第2画素領域11内の第2非発光領域11cにも透過窓11dが設けられている。これら透過窓6d、11d内には画素回路12の配線パターン等が配置されている点で、
図22(a)の第1画素領域6及び
図22(b)の第2画素領域11とは相違している。
図25の表示パネル2は、透過窓6d、11d内に配線パターン等が存在するため、センサ5の入射光量が
図21の表示パネル2よりも少なくなるが、センサ5を正常に動作させることは可能である。
【0089】
(画素配置)
図17に示すように、本実施形態では、表示パネル2内に第1~第3画素領域6、11、8を有する。第1画素領域6はセンサ5と重なる領域であり、第2画素領域11は第1画素領域6に接して第1画素領域6の外側に配置される領域であり、第3画素領域8は第2画素領域11に接して第2画素領域11の外側に配置される領域である。第1~第3画素領域6、11、8内の画素配置には複数通りが考えられる。以下、代表的な画素配置を順に説明する。
【0090】
図27は第1~第3画素領域6、11、8内の画素配置の第1例を示す図である。
図27では、第1及び第2画素領域6、11を矩形状にする例を示しているが、第1~第3画素領域6、11、8の形状は任意であり、
図19等に示したように円形であってもよい。第2画素領域11は、第1画素領域6の外縁部から外側に、上下左右に同じ画素幅で配置されている。
【0091】
図27における第1画素領域6内の各画素7は、第1発光領域6bと第1非発光領域6cとを有する。
図27では、第1発光領域6bは光を透過させないことから、「非」と表記している。また、第1画素領域6内の第1非発光領域6cは、透過窓6dを有することから、「窓」と表記している。第1画素領域6は、おおむねセンサ5の真上に位置するため、第1画素領域6内の各画素7は、同じサイズの透過窓6dを有する。
【0092】
図27に示すように、第1画素領域6の外縁部から外側に、所定の画素幅の第2画素領域11が配置されている。第2画素領域11は、第2発光領域11bと第2非発光領域11cとを有する。第2画素領域11内の第2発光領域11bの発光面積は、第1画素領域6内の第1発光領域6bの発光面積よりも大きくしている。
図27の例では、第2画素領域11内の第2非発光領域11cは、透過窓11dを有する。透過窓11dのサイズは、透過窓6dより小さい。第2画素領域11内の透過窓11dを透過した光は、センサ5に入射可能となる。なお、第2画素領域11内の第2非発光領域11cに透過窓11dを設けることは必須ではない。
図20(b)の第2画素領域11のように、透過窓11dを設けないようにしてもよい。
【0093】
図27に示すように、第2発光領域11bの外縁部から外側には第3画素領域8が配置されている。第3画素領域8は、表示パネル2内の第1画素領域6及び第2画素領域11を除く全域に配置されている。第3画素領域8内の各画素(通常画素)7は、第3発光領域8bを備えているものの、非発光領域は備えていない。よって、第3画素領域8内の各画素7は、各画素7内のほぼ全域で光を発光する。
【0094】
図27からわかるように、第1~第3画素領域6、11、8内の各画素7の発光面積は、第3画素領域8、第2画素領域11、第1画素領域6の順に小さくなる。表示パネル2が焼き付きを起こしていない状態では、第1~第3画素領域6、11、8内の各画素7は、単位面積当たりの電流を相違させることで、ほぼ同一の輝度で発光するが、劣化が進むに従って、発光面積がより小さい画素領域の輝度が低下する。具体的には、発光面積が最も小さい第1画素領域6内の各画素7の輝度が最も低下し、第3画素領域8内の各画素7の輝度との差が人間の目に視認されるおそれがある。しかしながら、
図27では、第1画素領域6と第3画素領域8の間に第2画素領域11を配置し、第2画素領域11内の各画素7の発光面積を第1画素領域6内の各画素7の発光面積よりも大きくし、かつ第3画素領域8内の各画素7の発光面積よりも小さくするため、第2画素領域11内の劣化による輝度低下は、第1画素領域6内の劣化による輝度低下よりも少なくなる。よって、第2画素領域11を設けることで、段階的に輝度低下が生じるようになり、表示パネル2の全域での第1画素領域6の劣化による輝度低下が目立ちにくくなる。なお、画素内の素子・配線・アノードのレイアウト効率重視で、開口率優先とすると
図27のように画素領域6,11で発光領域が画素内で例えば上辺に偏りをもったレイアウトになる。しかし、画質重視で各画素の発光位置の重心をあわせるには画素領域6,11で発光領域は画素の中心にレイアウトするのがよい。画素が視認できないほどの狭ピッチパネルの場合は気にならないが、画素が視認できる広ピッチパネルの場合は画質重視で各画素の発光位置の重心をあわせることを推奨する。目安としては220ppiよりも広いと画素が視認できる。
【0095】
図28は
図27の一比較例による画素配置を示す図である。
図28は、
図27から第2画素領域11を省略したものである。この場合、第1画素領域6が第3画素領域8に隣接して配置されることになり、第1画素領域6内の各画素7の劣化による輝度低下が目立ちやすくなる。
【0096】
図29は第1~第3画素領域6、11、8内の画素配置の第2例を示す図である。
図27の表示パネル2は、発光面積が異なる3種類の画素領域(第1~第3画素領域6、11、8)を備えているが、発光面積がそれぞれ異なる4種類以上の画素領域を表示パネル2に設けてもよい。
【0097】
図29では、第2画素領域11が、発光面積が互いに異なる第2a画素領域11eと、第2b画素領域11fとを有する例を示している。第2a画素領域11eは、第1画素領域6の外縁部から外側に配置されており、第2a発光領域11b1と、第2a非発光領域11c1とを有する。第2b画素領域11fは、第2a画素領域11eの外縁部から外側に配置されており、第2b発光領域11b2と、第2b非発光領域11c2とを有する。第2a発光領域11b1の発光面積は、第1発光領域6bの発光面積よりは大きく、かつ第2b発光領域11b2の発光面積よりも小さい。
【0098】
図29の表示パネル2は、発光面積が異なる3種類の画素領域(第1、第2a、第2b画素領域6、11e、11f)を備えているため、発光面積が大きい順に劣化による輝度低下の度合いが高くなる。よって、第1画素領域6での劣化による輝度低下が
図27よりもさらに目立ちにくくなる。
【0099】
図29の表示パネル2のさらなる変形例として、発光面積の異なる4種類以上の画素領域を設けてもよい。発光面積がそれぞれ異なる画素領域の種類を増やすほど、第1画素領域6での劣化による輝度低下がより目立ちにくくなる。
【0100】
図30は第1~第3画素領域6、11、8内の画素配置の第3例を示す図である。RGBの色画素7のうち、青(B)の色画素7は他の色の色画素7よりも劣化による輝度低下を起こしやすい。そこで、
図30は、青の色画素7には非発光領域を設けずに、全域を発光領域とする例を示している。
【0101】
図30の第1画素領域6内の色画素7のうち、赤と緑の色画素7は、第1発光領域6bと第1非発光領域6cを有するのに対して、青の色画素7については、その全域が発光領域であり、第1非発光領域6cは設けられていない。同様に、第2画素領域11内の色画素7のうち、赤と緑の色画素7は、第2発光領域11bと第2非発光領域11cを有するのに対して、青の色画素7については、その全域が発光領域であり、第2非発光領域11cは設けられていない。
【0102】
図30の表示パネル2では、青の色画素7については、光を透過させることができないが、他の色の色画素7内の透過窓6dを通して光を透過させることができるため、センサ5に入射される光量が多少減るものの、センサ5を正常に動作させることができる。
【0103】
図31は第1~第3画素領域6、11、8内の画素配置の第4例を示す図である。表示パネル2内にRGBの3色以外の色の色画素7を設ける場合がある。
図31の表示パネル2は、RGBの3色以外に、白(W)の色画素7を有する。白の色画素7は本来的にはなくても、カラー表示を実現できるため、
図31の表示パネル2では、センサ5の真上に位置する第1画素領域6内の白の色画素7すべてを透過窓6dにしている。そして、第1画素領域6内のRGBの色画素7については、全域を第1発光領域6bとし、第1非発光領域6cと透過窓6dを設けていない。また、第2画素領域11内の白の色画素7については、第2発光領域11bと第2非発光領域11cを設けて、第2非発光領域11cに透過窓6dを設けている。なお、第2画素領域11内の第2非発光領域11cには透過窓6dを設けなくてもよい。
【0104】
図31の表示パネル2では、第1画素領域6と第2画素領域11内の赤と緑の色画素7については変更しなくて済み、また、第1画素領域6内の白の色画素7の全域を透過窓6dに置換すればよいため、画素設計が容易になる。
【0105】
このように、第1の実施形態では、表示パネル2の真下にセンサ5を配置する際、表示パネル2のセンサ5に重なる位置に第1画素領域6を設け、第1画素領域6の外縁部から外側に第2画素領域11を設け、第2画素領域11の外縁部から外側に第3画素領域8を設ける。そして、第2画素領域11の発光面積を第1画素領域6の発光面積よりも大きくし、かつ第3画素領域8の発光面積を第2画素領域11の発光面積よりも大きくする。各画素7内の発光面積により、各画素7のOLED20を流れる単位面積当たりの電流が異なり、発光面積が小さいほど劣化による輝度低下が起きやすくなる。本実施形態では、劣化による輝度低下が最も起きやすい第1画素領域6と、画素7内の全域で発光する第3画素領域8との間に、第1画素領域6よりも発光面積が大きくて、かつ第3画素領域8よりも発光面積が小さい第2画素領域11を設けるため、劣化による輝度低下が第1画素領域6、第2画素領域11、及び第3画素領域8の順に起こりやすくなり、表示パネル2の全体では、輝度低下が急激に生じる画素境界が存在しなくなるため、第1画素領域6の劣化による輝度低下が目立ちにくくなる。
【0106】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、発光面積が異なる複数の画素領域を設けることで、劣化による輝度低下の度合いが徐々に変化するようにして、輝度低下が目立たないようにした。これに対して、第2の実施形態による画像表示装置1では、劣化による輝度低下を直接的に抑制するものである。
【0107】
図32Aは画素7の電流特性を示す図、
図32Bは画素回路12内のOLED20の素子特性を示す図である。
図32Aの波形w21は発光面積が1倍の画素7の電流特性、波形w22は発光面積が1/2倍の電流特性を示している。
図32Aの横軸は画素7の電流、縦軸は単位面積当たりの電流である。発光面積が1/2倍になると、単位面積当たりの電流が多くなるため、波形w22の傾きは波形w21の傾きよりも大きくなる。
【0108】
図32Bの波形w23は発光面積が1/2倍で、かつ光取り出し効率が2倍の素子特性、波形w24は発光面積が1倍で、かつ光取り出し効率が1倍の素子特性である。
図32Bの横軸は単位面積当たりの電流、縦軸は輝度である。
図32Bの波形w23とw24は、ほぼ同じ傾きになる。これはすなわち、発光面積が1/2倍であっても、光取り出し効率が2倍になれば、発光面積が1倍かつ光取り出し効率が1倍の画素7と同程度の劣化特性が得られることを意味する。なお、画素としての光取り出し効率が1~2倍の間となることを考慮すると、
図20、
図22と同様に発光面積を段階的に変化させる対策が有効である。
【0109】
図33は第2の実施形態による表示パネル2の平面図である。
図33の表示パネル2は、センサ5の外縁部よりも外側に第1画素領域6の外縁部があり、第1画素領域6の外縁部から外側に第3画素領域8がある。
【0110】
図34は
図33の表示パネル2の画素レイアウト図である。
図34(a)は第3画素領域8、
図34(b)は第1画素領域6の画素レイアウトを示している。
図34(c)は
図34(b)の一変形例による第1画素領域6である。
【0111】
第1の実施形態による表示パネル2が備えていた第2画素領域11は、
図33及び
図34に示す表示パネル2には存在しない。
【0112】
第1画素領域6は、第1発光領域6bと第1非発光領域6cとを有する。
図34(b)の例では、第1非発光領域6c内に透過窓6dが存在するが、透過窓6dは必須ではない。第1発光領域6bは、複数の反射部材13を有する。複数の反射部材13は、アノード電極層38に近接して配置されており、アノード電極層38とカソード電極層39で挟まれた表示層2aから発光された光を反射又は散乱させて光の取り出し効率を向上させる。
図34(b)の第1発光領域6b内の各反射部材13は平面形状及びサイズが同一の例を示しているのに対して、
図34(c)の第1発光領域6b内の各反射部材13は平面形状及びサイズが不均一すなわちランダムの例を示している。
図34(c)の場合、各反射部材13ごとに光の反射方向又は散乱方向がランダムになるため、画素7内の第1発光領域6bの全域から均一な光を出射できる。
【0113】
センサ5の真上に位置する第1画素領域6は、単位面積当たりの電流が大きくなるため、劣化が促進されて輝度低下が生じやすくなるが、
図34(b)のように、第1画素領域6内に複数の反射部材13を設けることで、OLED20から発光された光の取り出し効率を向上できるため、その分、OLED20に流す電流を減らすことができ、結果として、単位面積当たりの電流を抑制でき、劣化が起きにくくなって、輝度低下も生じにくくなる。
【0114】
図33及び
図34の表示パネル2は、第1の実施形態による表示パネル2が備えていた第2画素領域11を備えていないが、第2画素領域11を備えつつ、光の取り出し効率を向上させた表示パネル2も考えられる。
【0115】
図35は
図33の一変形例による表示パネル2の平面図である。
図35の表示パネル2は、センサ5の外縁部よりも外側に第1画素領域6の外縁部があり、第1画素領域6の外縁部よりも外側に第2画素領域11の外縁部があり、第2画素領域11の外縁部よりも外側に第3画素領域8が存在する。このように、
図35の表示パネル2は、第1の実施形態による表示パネル2と同様に、第1~第3画素領域6、11、8を備えている。
【0116】
図36は
図35の表示パネル2の画素レイアウト図である。
図36(a)は第3画素領域8、
図36(b)は第2画素領域11、
図36(c)は第1画素領域6の画素レイアウトを示している。第3画素領域8は、画素7のほぼ全域が発光領域である。第1画素領域6は、第1発光領域6bと第1非発光領域6cを有する。第2画素領域11は、第2発光領域11bと第2非発光領域11cを有する。第2発光領域11bの発光面積は、第1発光領域6bの発光面積よりも大きい。このため、第1発光領域6bの単位面積当たりの電流は、第2発光領域11bの単位面積当たりの電流よりも多くなる。
図36(c)の第1画素領域6内の第1非発光領域6cと
図36(b)の第2画素領域11内の第2非発光領域11cは、透過窓6dを備えていないが、透過窓6dを備えていてもよい。
【0117】
図35及び
図36の表示パネル2は、第1発光領域6bと第2発光領域11b内に複数の反射部材13を有するため、光取り出し効率を向上でき、その分、単位面積当たりの電流を減らしても輝度を確保できる。よって、単位面積当たりの電流を減らすことで、劣化による輝度低下が起きにくくすることができる。
【0118】
図37は
図34及び
図36における複数の反射部材13を有する表示パネル2の断面図である。複数の反射部材13は、アノード電極層と、表示層と、カソード電極層とを含む積層体を凹凸構造にすることで形成可能である。凹凸構造の凸部は、テーパ状の側壁を有する。表示層から発光された光は、凸部の側壁部分で反射又は散乱されて、表示パネル2の表示面の法線方向に進行する。凸部の数を増やすことで、光取り出し効率を向上できる。また、隣接する凸部間の距離を不規則にすることで、
図34(c)のような不規則形状の反射部材13を形成可能である。
【0119】
このように、第2の実施形態による表示パネル2は、センサ5の真上に位置する第1画素領域6の光取り出し効率を向上させるため、焼き付きが起きにくくなり、劣化による輝度低下を抑制できる。よって、必ずしも輝度を段階的に低下させる第2画素領域11を設けなくて済む。
【0120】
(本開示による画像表示装置1及び電子機器50の適用例)
(第1適用例)
本開示による画像表示装置1及び電子機器50は、種々の用途に用いることができる。
図38A及び
図38Bは本開示による画像表示装置1を備えた電子機器50の第1適用例である乗物100の内部の構成を示す図である。
図38Aは乗物100の後方から前方にかけての乗物100の内部の様子を示す図、
図38Bは乗物100の斜め後方から斜め前方にかけての乗物100の内部の様子を示す図である。
【0121】
図38A及び
図38Bの乗物100は、センターディスプレイ101と、コンソールディスプレイ102と、ヘッドアップディスプレイ103と、デジタルリアミラー104と、ステアリングホイールディスプレイ105と、リアエンタテイメントディスプレイ106とを有する。
【0122】
センターディスプレイ101は、ダッシュボード107上の運転席108及び助手席109に対向する場所に配置されている。
図38では、運転席108側から助手席109側まで延びる横長形状のセンターディスプレイ101の例を示すが、センターディスプレイ101の画面サイズや配置場所は任意である。センターディスプレイ101には、種々のセンサ5で検知された情報を表示可能である。具体的な一例として、センターディスプレイ101には、イメージセンサで撮影した撮影画像、ToFセンサ5で計測された乗物前方や側方の障害物までの距離画像、赤外線センサ5で検出された乗客の体温などを表示可能である。センターディスプレイ101は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。
【0123】
安全関連情報は、居眠り検知、よそ見検知、同乗している子供のいたずら検知、シートベルト装着有無、乗員の置き去り検知などの情報であり、例えばセンターディスプレイ101の裏面側に重ねて配置されたセンサ5にて検知される情報である。操作関連情報は、センサ5を用いて乗員の操作に関するジェスチャを検知する。検知されるジェスチャは、乗物100内の種々の設備の操作を含んでいてもよい。例えば、空調設備、ナビゲーション装置、AV装置、照明装置等の操作を検知する。ライフログは、乗員全員のライフログを含む。例えば、ライフログは、乗車中の各乗員の行動記録を含む。ライフログを取得及び保存することで、事故時に乗員がどのような状態であったかを確認できる。健康関連情報は、温度センサ5を用いて乗員の体温を検知し、検知した体温に基づいて乗員の健康状態を推測する。あるいは、イメージセンサを用いて乗員の顔を撮像し、撮像した顔の表情から乗員の健康状態を推測してもよい。さらに、乗員に対して自動音声で会話を行って、乗員の回答内容に基づいて乗員の健康状態を推測してもよい。認証/識別関連情報は、センサ5を用いて顔認証を行うキーレスエントリ機能や、顔識別でシート高さや位置の自動調整機能などを含む。エンタテイメント関連情報は、センサ5を用いて乗員によるAV装置の操作情報を検出する機能や、センサ5で乗員の顔を認識して、乗員に適したコンテンツをAV装置にて提供する機能などを含む。
【0124】
コンソールディスプレイ102は、例えばライフログ情報の表示に用いることができる。コンソールディスプレイ102は、運転席108と助手席109の間のセンターコンソール110のシフトレバー111の近くに配置されている。コンソールディスプレイ102にも、種々のセンサ5で検知された情報を表示可能である。また、コンソールディスプレイ102には、イメージセンサで撮像された車両周辺の画像を表示してもよいし、車両周辺の障害物までの距離画像を表示してもよい。
【0125】
ヘッドアップディスプレイ103は、運転席108の前方のフロントガラス112の奥に仮想的に表示される。ヘッドアップディスプレイ103は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。ヘッドアップディスプレイ103は、運転席108の正面に仮想的に配置されることが多いため、乗物100の速度や燃料(バッテリ)残量などの乗物100の操作に直接関連する情報を表示するのに適している。
【0126】
デジタルリアミラー104は、乗物100の後方を表示できるだけでなく、後部座席の乗員の様子も表示できるため、デジタルリアミラー104の裏面側に重ねてセンサ5を配置することで、例えばライフログ情報の表示に用いることができる。
【0127】
ステアリングホイールディスプレイ105は、乗物100のハンドル113の中心付近に配置されている。ステアリングホイールディスプレイ105は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。特に、ステアリングホイールディスプレイ105は、運転者の手の近くにあるため、運転者の体温等のライフログ情報を表示したり、AV装置や空調設備等の操作に関する情報などを表示するのに適している。
【0128】
リアエンタテイメントディスプレイ106は、運転席108や助手席109の背面側に取り付けられており、後部座席の乗員が視聴するためのものである。リアエンタテイメントディスプレイ106は、例えば、安全関連情報、操作関連情報、ライフログ、健康関連情報、認証/識別関連情報、及びエンタテイメント関連情報の少なくとも一つを表示するために用いることができる。特に、リアエンタテイメントディスプレイ106は、後部座席の乗員の目の前にあるため、後部座席の乗員に関連する情報が表示される。例えば、AV装置や空調設備の操作に関する情報を表示したり、後部座席の乗員の体温等を温度センサ5で計測した結果を表示してもよい。
【0129】
上述したように、画像表示装置1の裏面側に重ねてセンサ5を配置することで、周囲に存在する物体までの距離を計測することができる。光学的な距離計測の手法には、大きく分けて、受動型と能動型がある。受動型は、センサ5から物体に光を投光せずに、物体からの光を受光して距離計測を行うものである。受動型には、レンズ焦点法、ステレオ法、及び単眼視法などがある。能動型は、物体に光を投光して、物体からの反射光をセンサ5で受光して距離計測を行うものである。能動型には、光レーダ方式、アクティブステレオ方式、照度差ステレオ法、モアレトポグラフィ法、干渉法などがある。本開示による画像表示装置1は、これらのどの方式の距離計測にも適用可能である。本開示による画像表示装置1の裏面側に重ねて配置されるセンサ5を用いることで、上述した受動型又は能動型の距離計測を行うことができる。
【0130】
(第2適用例)
本開示による画像表示装置1は、乗物で用いられる種々のディスプレイに適用されるだけでなく、種々の電子機器50に搭載されるディスプレイにも適用可能である。
【0131】
図39Aは電子機器50の第2適用例であるデジタルカメラ120の正面図、
図39Bはデジタルカメラ120の背面図である。
図39A及び
図39Bのデジタルカメラ120は、レンズ121を交換可能な一眼レフカメラの例を示しているが、レンズ121を交換できないカメラにも適用可能である。
【0132】
図39A及び
図39Bのカメラは、撮影者がカメラボディ122のグリップ123を把持した状態で電子ビューファインダ124を覗いて構図を決めて、焦点調節を行った状態でシャッタ125を押すと、カメラ内のメモリに撮影データが保存される。カメラの背面側には、
図39Bに示すように、撮影データ等やライブ画像等を表示するモニタ画面126と、電子ビューファインダ124とが設けられている。また、カメラの上面には、シャッタ速度や露出値などの設定情報を表示するサブ画面が設けられる場合もある。
【0133】
カメラに用いられるモニタ画面126、電子ビューファインダ124、サブ画面等の裏面側に重ねてセンサ5を配置することで、本開示による画像表示装置1として用いることができる。
【0134】
(第3適用例)
本開示による画像表示装置1は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと呼ぶ)にも適用可能である。HMDは、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)、又はSR(Substitutional Reality)等に利用されることができる。
【0135】
図40Aは電子機器50の第3適用例であるHMD130の外観図である。
図40AのHMD130は、人間の目を覆うように装着するための装着部材131を有する。この装着部材131は例えば人間の耳に引っ掛けて固定される。HMD130の内側には表示装置132が設けられており、HMD130の装着者はこの表示装置132にて立体映像等を視認できる。HMD130は例えば無線通信機能と加速度センサなどを備えており、装着者の姿勢やジェスチャなどに応じて、表示装置132に表示される立体映像等を切り換えることができる。
【0136】
また、HMD130にカメラを設けて、装着者の周囲の画像を撮影し、カメラの撮影画像とコンピュータで生成した画像とを合成した画像を表示装置132で表示してもよい。例えば、HMD130の装着者が視認する表示装置132の裏面側に重ねてカメラを配置して、このカメラで装着者の目の周辺を撮影し、その撮影画像をHMD130の外表面に設けた別のディスプレイに表示することで、装着者の周囲にいる人間は、装着者の顔の表情や目の動きをリアルタイムに把握可能となる。
【0137】
なお、HMD130には種々のタイプが考えられる。例えば、
図40Bのように、本開示による画像表示装置1は、メガネ134に種々の情報を映し出すスマートグラス130aにも適用可能である。
図40Bのスマートグラス130aは、本体部135と、アーム部136と、鏡筒部137とを有する。本体部135はアーム部136に接続されている。本体部135は、メガネ134に着脱可能とされている。本体部135は、スマートグラス130aの動作を制御するための制御基板や表示部を内蔵している。本体部135と鏡筒は、アーム部136を介して互いに連結されている。鏡筒部137は、本体部135からアーム部136を介して出射される画像光を、メガネ134のレンズ138側に出射する。この画像光は、レンズ138を通して人間の目に入る。
図40Bのスマートグラス130aの装着者は、通常のメガネと同様に、周囲の状況だけでなく、鏡筒部137から出射された種々の情報を合わせて視認できる。
【0138】
(第4適用例)
本開示による画像表示装置1は、テレビジョン装置(以下、TV)にも適用可能である。最近のTVは、小型化の観点及び意匠デザイン性の観点から、額縁をできるだけ小さくする傾向にある。このため、視聴者を撮影するカメラをTVに設ける場合には、TVの表示パネル2の裏面側に重ねて配置するのが望ましい。
【0139】
図41は電子機器50の第4適用例であるTV140の外観図である。
図41のTV140は、額縁が極小化されており、正面側のほぼ全域が表示エリアとなっている。TV140には視聴者を撮影するためのカメラ等のセンサ5が内蔵されている。
図41のセンサ5は、表示パネル2内の一部(例えば破線箇所)の裏側に配置されている。センサ5は、イメージセンサモジュールでもよいし、顔認証用のセンサや距離計測用のセンサ、温度センサなど、種々のセンサが適用可能であり、複数種類のセンサをTV140の表示パネル2の裏面側に配置してもよい。
【0140】
上述したように、本開示の画像表示装置1によれば、表示パネル2の裏面側に重ねてイメージセンサモジュール9を配置できるため、額縁にカメラ等を配置する必要がなくなり、TV140を小型化でき、かつ額縁により意匠デザインが損なわれるおそれもなくなる。
【0141】
(第5適用例)
本開示による画像表示装置1は、スマートフォンや携帯電話にも適用可能である。
図42は電子機器50の第5適用例であるスマートフォン150の外観図である。
図42の例では、電子機器50の外形サイズの近くまで表示面2zが広がっており、表示面2zの周囲にあるベゼル2yの幅を数mm以下にしている。通常、ベゼル2yには、フロントカメラが搭載されることが多いが、
図42では、破線で示すように、表示面2zの例えば略中央部の裏面側にフロントカメラとして機能するイメージセンサモジュール9を配置している。このように、フロントカメラを表示面2zの裏面側に設けることで、ベゼル2yにフロントカメラを配置する必要がなくなり、ベゼル2yの幅を狭めることができる。
【0142】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)二次元状に配置される複数の画素を備え、
前記複数の画素は、
発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域と、
前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域と、
前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域と、を有する、画像表示装置。
(2)前記第1画素領域内の画素は、
所定の発光面積を有する第1発光領域と、
可視光を透過させる第1透過窓を有する第1非発光領域と、を有し、
前記第2画素領域内の画素は、前記所定の発光面積よりも大きい発光面積を有する第2発光領域を有し、
前記第3画素領域内の画素は、前記第2発光領域の発光面積よりも大きい発光面積を有する第3発光領域を有する、(1)に記載の画像表示装置。
(3)前記第2画素領域内の画素は、前記第1透過窓よりも小さい範囲内で可視光を透過させる第2透過窓を有する第2非発光領域を有する、(2)に記載の画像表示装置。
(4)前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内に配置され、かつ前記第2非発光領域内に配置されない画素回路を有する、(3)に記載の画像表示装置。
(5)前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内及び前記第2非発光領域内に配置される画素回路を有する、(3)に記載の画像表示装置。
(6)前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1透過窓及び前記第2透過窓は、特定の色の色画素について設けられる、(3)乃至(5)のいずれか一項に記載の画像表示装置。
(7)前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1画素領域内の特定の色の色画素については、前記第1発光領域が設けられずに、前記第1非発光領域が設けられ、前記特定の色以外の色画素については、前記第1非発光領域が設けられずに前記第1発光領域が設けられ、
前記第2画素領域内の前記特定の色の色画素については、前記第2発光領域及び前記第2非発光領域が設けられ、
前記第2画素領域内の前記特定の色以外の色の色画素については、前記第2非発光領域が設けられずに前記第2発光領域が設けられる、(3)乃至(5)のいずれか一項に記載の画像表示装置。
(8)前記第2画素領域内の画素は、可視光を透過させない第2非発光領域を有する、(2)に記載の画像表示装置。
(9)前記第2画素領域は、前記所定の発光面積から連続的又は段階的に小さくなる発光面積を有する複数の画素を有する、(2)乃至(8)のいずれか一項に記載の画像表示装置。
(10)前記第2発光領域内の画素は、自発光素子を有し、
前記自発光素子は、
光反射面を有する下部電極層と、
前記下部電極層の上に配置される表示層と、
前記表示層の上に配置される上部電極層と、を有する、(2)乃至(9)のいずれか一項に記載の画像表示装置。
(11)前記上部電極層及び前記表示層は、凹凸構造であり、
前記凹凸構造の隣接する2つの凸部の間隔は不規則である、(10)に記載の画像表示装置。
(12)前記第1画素領域及び前記第2画素領域を含む画素群が、画像表示領域内の複数箇所に離隔して配置され、複数箇所の前記画素群の周囲に前記第3画素領域が配置される、(1)乃至(11)のいずれか一項に記載の画像表示装置。
(13)二次元状に配置される複数の画素を有する画像表示装置と、
前記画像表示装置を通して入射される光を受光する受光装置と、を備え、
前記画像表示装置は、
二次元状に配置される複数の画素を備え、
前記複数の画素は、
発光するとともに可視光を透過させる画素を有する第1画素領域と、
前記第1画素領域の周囲に配置され、前記第1画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第2画素領域と、
前記第2画素領域の周囲に配置され、前記第2画素領域内の画素の発光面積よりも大きい面積で発光する画素を有する第3画素領域と、を有する、電子機器。
(14)前記受光装置は、前記第1画素領域を透過した光を受光する、(13)に記載の電子機器。
(15)前記第1画素領域内の画素は、
所定の発光面積を有する第1発光領域と、
可視光を透過させる第1透過窓を有する第1非発光領域と、を有し、
前記第2画素領域内の画素は、前記所定の発光面積よりも大きい発光面積を有する第2発光領域を有し、
前記第3画素領域内の画素は、前記第2発光領域の発光面積よりも大きい発光面積を有する第3発光領域を有し、
前記受光装置は、前記第1非発光領域を透過した光を受光する、(14)記載の電子機器。
(16)前記第2画素領域内の画素は、前記第1透過窓よりも小さい範囲内で可視光を透過させる第2透過窓を有する第2非発光領域を有し、
前記受光装置は、前記第1発光領域及び前記第2非発光領域を透過した光を受光する、(15)に記載の電子機器。
(17)前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内に配置され、かつ前記第2非発光領域内に配置されない画素回路を有する、(16)に記載の電子機器。
(18)前記第2画素領域内の画素は、前記第2発光領域内及び前記第2非発光領域内に配置される画素回路を有する、(16)に記載の電子機器。
(19)前記第1画素領域内の画素及び前記第2画素領域内の画素は、それぞれ異なる色で発光する複数の色画素を有し、
前記第1透過窓及び前記第2透過窓は、特定の色の色画素について設けられる、(16)乃至(18)のいずれか一項に記載の電子機器。
(20)前記受光装置は、前記第1非発光領域を通して入射された光を光電変換する撮像センサと、前記第1非発光領域を通して入射された光を受光して距離を計測する距離計測センサと、前記第1非発光領域を通して入射された光に基づいて温度を計測する温度センサと、の少なくとも一つを含む、(15)乃至(19)のいずれか一項に記載の電子機器。
【0143】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 画像表示装置、2 表示層、2 表示パネル、2b 陽極、2c 正孔注入層、2d 正孔輸送層、2e 発光層、2f 電子輸送層、2g 電子注入層、2h 陰極、2y ベゼル、2z 表示面、3 フレキシブル・プリント基板(FPC)、4 チップ(COF)、5 センサ、6 第1画素領域、6b 第1発光領域、6c 第1非発光領域、6d 透過窓(第1透過窓)、7 画素、8 第3画素領域、8b 第3発光領域、9 イメージセンサモジュール、9b イメージセンサ、9c IRカットフィルタ、9d レンズユニット、9e コイル、9f 磁石、9g バネ、10 被写体、11 第2画素領域、11a 第2自発光素子、11b 第2発光領域、11b1 第2a発光領域、11b2 第2b発光領域、11c 第2非発光領域、11c1 第2a非発光領域、11c2 第2b非発光領域、11d 透過窓(第2透過窓)、11e 第2b画素領域、11e 第2a画素領域、11f 第2b画素領域、12 画素回路、13 反射部材、31 第1透明基板、32 第1絶縁層、33 第1配線層、34 第2絶縁層、35 第2配線層、36 第3絶縁層、36b コンタクト部材、37 第4絶縁層、38 アノード電極層、39 カソード電極層、40 第5絶縁層、41 第2透明基板、42 半導体層、50 電子機器、100 乗物、101 センターディスプレイ、102 コンソールディスプレイ、103 ヘッドアップディスプレイ、104 デジタルリアミラー、105 ステアリングホイールディスプレイ、106 リアエンタテイメントディスプレイ、107 ダッシュボード、108 運転席、109 助手席、110 センターコンソール、111 シフトレバー、112 フロントガラス、113 ハンドル、120 デジタルカメラ、121 レンズ、122 カメラボディ、123 グリップ、124 電子ビューファインダ、125 シャッタ、126 モニタ画面、130 スマートグラス、131 装着部材、132 表示装置、134 メガネ、135 本体部、136 アーム部、137 鏡筒部、138 レンズ、150 スマートフォン