(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003853
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】受信器、受信装置、通信装置、および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/67 20130101AFI20240109BHJP
H04B 10/112 20130101ALI20240109BHJP
【FI】
H04B10/67
H04B10/112
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103155
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA21
5K102AH02
5K102AH27
5K102AL23
5K102AL28
5K102PB11
5K102PC11
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH33
5K102PH38
5K102RB02
5K102RD05
5K102RD12
5K102RD14
5K102RD28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多様な方向から到来する光信号を効率よく受信できる受信器、受信装置、通信装置及び通信システムを提供する。
【解決手段】受信装置1において、受信器10は、環状に配置された複数の受光素子120によって構成された受光帯と、少なくとも一つの受光素子120を含む受光板125とを有する受光器12と、受光帯が形成する環に載置されたボールレンズ11と、受光帯と受光板125との間に形成された隙間に配置された反射器13と、を備える。受光帯を構成する複数の受光素子120は、受光帯が形成する環の内側に受光面を向けて配置される。受光板125に含まれる受光素子120は、受光帯に載置されたボールレンズ11に受光面を向けて、受光帯が形成する環の内側に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配置された複数の受光素子によって構成された受光帯と、少なくとも一つの前記受光素子を含む受光板とを有する受光器と、
前記受光帯が形成する環に載置されたボールレンズと、
前記受光帯と前記受光板との間に形成された隙間に配置された反射器と、を備え、
前記受光帯を構成する複数の前記受光素子は、前記受光帯が形成する環の内側に受光面を向けて配置され、
前記受光板に含まれる前記受光素子は、前記受光帯に載置された前記ボールレンズに受光面を向けて、前記受光帯が形成する環の内側に配置される受信器。
【請求項2】
前記受光帯は、
環状に配置された複数の前記受光素子によって構成された第1受光帯と、
前記第1受光帯よりも小さい口径で環状に配置された複数の前記受光素子によって構成された第2受光帯と、を有し、
前記反射器は、
前記第1受光帯と前記第2受光帯との間に形成された隙間に配置された第1反射器と、
前記第2受光帯と前記受光板との間に形成された隙間に配置された第2反射器と、を有する請求項1に記載の受信器。
【請求項3】
互いに隣接し合う前記受光素子の受光領域の間に形成された不感領域に、前記ボールレンズに反射面を向けて配置された反射体を備える請求項1に記載の受信器。
【請求項4】
前記受光帯は、
環状に配置された複数の前記受光素子によって構成された第1受光帯と、
前記第1受光帯よりも小さい口径で環状に配置された複数の前記受光素子によって構成された第2受光帯と、
前記第2受光帯よりも小さい口径で環状に配置された複数の前記受光素子によって構成された第3受光帯と、を有し、
前記反射器は、
前記第1受光帯と前記第2受光帯との間に形成された隙間に配置された第1反射器と、
前記第2受光帯と前記第3受光帯との間に形成された隙間に配置された第2反射器と、
前記第3受光帯と前記受光板との間に形成された隙間に配置された第3反射器と、を有する請求項1に記載の受信器。
【請求項5】
再帰反射面を有し、空間光信号の到来方向に前記再帰反射面が向けて、前記受光帯の外周に沿って配置された再帰反射器を備える請求項1に記載の受信器。
【請求項6】
前記再帰反射器の前段に配置され、入射した前記空間光信号を変調する変調素子を備える請求項5に記載の受信器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の受信器と、
前記受信器によって受信された信号を取得し、取得した前記信号をデコードする受信回路と、を備える受信装置。
【請求項8】
前記受信回路は、
光信号を受光した受光素子の位置に応じて、前記光信号の元となる空間光信号の到来方向を検知する請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
請求項7に記載の受信装置と、
空間光信号を送信する送信装置と、
前記受信装置によって受信された他の通信装置からの空間光信号に基づく信号を取得し、取得した前記信号に応じた処理を実行し、実行した前記処理に応じた空間光信号を前記送信装置に送信させる制御装置と、を備える通信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の通信装置を複数備え、
複数の前記通信装置が、
空間光信号を互いに送受信し合うように配置された通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間を伝搬する光信号を受信する受信器等に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信においては、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う。空間を広がって伝搬する空間光信号を受信するためには、できる限り大口径のレンズを用いることが好ましい。また、光空間通信においては、高速通信を行うために、静電容量の小さな受光素子が採用される。そのような受光素子は、受光部の面積が小さい。レンズの焦点距離には限界があるため、多様な方向から到来する空間光信号を、大口径のレンズを用いて、面積の小さい受光部に導光することは難しい。
【0003】
特許文献1には、球レンズ、光ファイババンドル、および少なくとも一つの受光素子を備える光受信装置について開示されている。球レンズは、広角度から入射する光を、光ファイババンドルの一方の端面に集光させる。光ファイババンドルは、複数の光ファイバを集合させたバンドル構造体である。光ファイババンドルの一方の端面は、面形状の光入射部である。その光入射部は、球レンズの焦点分布位置に設けられる。少なくとも一つの受光素子は、光ファイババンドルの他方の端面に設けられる。少なくとも一つの受光素子は、光ファイババンドルの他方の端面から出射された出射光を受光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置は、球レンズによって集光された光を、複数の光ファイバからなる光ファイババンドルで受光する。個々の光ファイバが光を集光できる角度は、非常に限定される。そのため、球レンズの外周面に対して、個々の光ファイバの入射面が、ほぼ垂直に配置される必要がある。その結果、特許文献1の装置では、光ファイババンドルの一方の端面側が球レンズの直径に対して大きくなり、光ファイババンドルによって、球レンズに到来する光が遮られてしまう。
【0006】
光ファイバを用いなくても、例えば、複数の受光素子を含む帯状のセンサアレイでボールレンズの周囲を取り囲めば、360度の方位から到来する光信号を受光できる。しかし、ボールレンズとセンサアレイとの隙間に集光された光信号は、センサアレイによって受光できない。そのため、センサアレイでボールレンズの周囲を取り囲むだけでは、多様な方向から到来する光信号を効率よく受信できなかった。
【0007】
本開示の目的は、多様な方向から到来する光信号を効率よく受信できる受信器等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の受信器は、環状に配置された複数の受光素子によって構成された受光帯と、少なくとも一つの受光素子を含む受光板とを有する受光器と、受光帯が形成する環に載置されたボールレンズと、受光帯と受光板との間に形成された隙間に配置された反射器と、を備える。受光帯を構成する複数の受光素子は、受光帯が形成する環の内側に受光面を向けて配置される。受光板に含まれる受光素子は、受光帯に載置されたボールレンズに受光面を向けて、受光帯が形成する環の内側に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、多様な方向から到来する光信号を効率よく受信できる受信器等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る受信装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図2】第1の実施形態に係る受信器の構成の一例を示す概念図である。
【
図3】第1の実施形態に係る受信器の構成の一例を示す概念図である。
【
図4】第1の実施形態に係る受光器に含まれる受光素子の受光面の一例を示す概念図である。
【
図5】第1の実施形態に係る受光器に含まれる受光素子の別の一例を示す概念図である。
【
図6】第1の実施形態に係る受信装置が備える受信回路の構成の一例について説明するための概念図である。
【
図7】第1の実施形態に係る受信回路に含まれる受信制御部の構成の一例について説明するための概念図である。
【
図8】第1の実施形態に係る受光器による光信号の受光例を示す概念図である。
【
図9】第1の実施形態に係る受光器による光信号の受光例を示す概念図である。
【
図10】第1の実施形態に係る受光器による光信号の受光例を示す概念図である。
【
図11】第1の実施形態に係る受光器による光信号の受光例を示す概念図である。
【
図12】第1の実施形態に係る受光器による光信号の受光例を示す概念図である。
【
図13】第1の実施形態に係る変形例1の受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図14】第1の実施形態に係る変形例1の受光器に含まれる反射体の構成の一例を示す概念図である。
【
図15】第1の実施形態に係る変形例2の受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図16】第1の実施形態に係る変形例2の受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図17】第1の実施形態に係る変形例3の受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図18】第1の実施形態に係る変形例3の受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図19】第1の実施形態に係る変形例3の受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図20】第1の実施形態に係る変形例3の受光器による空間光信号の変調の一例について説明するための概念図である。
【
図21】関連技術に係る受光器の構成の一例を示す概念図である。
【
図22】第2の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図23】第2の実施形態に係る送信装置の構成の一例を示す概念図である。
【
図24】第2の実施形態に係る適用例1について説明するための概念図である。
【
図25】第2の実施形態に係る適用例2について説明するための概念図である。
【
図26】第2の実施形態に係る適用例3について説明するための概念図である。
【
図27】第3の実施形態に係る受信器の構成の一例を示す概念図である。
【
図28】第3の実施形態に係る受信器の構成の一例を示す概念図である。
【
図29】各実施形態に係る処理や制御を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様の構成には、同一の符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては、繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0012】
以下の実施形態の説明に用いる全図において、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、光や信号の向きを限定するものではない。また、図面中の光の軌跡を示す線は、概念的なものであり、実際の光の進行方向や状態を正確に表すものではない。例えば、図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることもある。また、光の経路の一例を図示したり、構成が込み合ったりする等の理由により、断面にハッチングを施さない場合がある。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る受信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受信装置は、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う光空間通信に用いられる。本実施形態の受信装置は、空間を伝搬する光を受光する用途であれば、光空間通信以外の用途に用いられてもよい。本実施形態においては、特に断りがない限り、空間光信号は、十分に離れた位置から到来するために平行光とみなす。なお、本実施形態の説明で用いられる図面は、概念的なものであり、実際の構造を正確に描写したものではない。
【0014】
(構成)
図1は、本実施形態に係る受信装置1の構成の一例を示す概念図である。受信装置1は、ボールレンズ11、受光器12、反射器13、および受信回路15を備える。ボールレンズ11、受光器12、および反射器13は、受信器10を構成する。受光器12および反射器13は、受光ユニットを構成する。
図1は、受信器10を側方から見た側面図である。
図1には、受光器12によって隠れている反射器13や、受光器12の一部を、破線で示す。
図2は、受信器10を斜め下方の視座から見上げた概念図である。
図3は、受信器10の断面図である。
【0015】
ボールレンズ11、受光器12、および反射器13は、支持体(図示しない)によって、互いの位置関係が固定される。本実施形態においては、ボールレンズ11に対する受光器12および反射器13の位置を固定する支持体を省略する。また、受信回路15の位置については、空間光信号の受信に影響がなければ、特に限定を加えない。
【0016】
ボールレンズ11は、球形のレンズである。ボールレンズ11は、外部から到来した空間光信号を集光する光学素子である。ボールレンズ11は、任意の角度から見て、球形である。ボールレンズ11は、入射される空間光信号を集光する。ボールレンズ11によって集光された空間光信号に由来する光(光信号とも呼ぶ)は、そのボールレンズ11の集光領域に向けて集光される。ボールレンズ11は、球形であるため、任意の方向から到来する空間光信号を集光する。すなわち、ボールレンズ11は、任意の方向から到来する空間光信号に対して、同様の集光性能を示す。ボールレンズ11に入射した光は、ボールレンズ11の内部に進入する際に屈折される。また、ボールレンズ11の内部を進行する光は、ボールレンズ11の外部に出射する際に、再度屈折される。ボールレンズ11から出射される光の大部分は、集光領域において集光される。その一方で、ボールレンズ11の周辺から入射した光は、ボールレンズ11から出射される際に、集光領域から外れた方向に向けて出射される。
【0017】
例えば、ボールレンズ11は、ガラスや結晶、樹脂などの材料で構成できる。可視領域の空間光信号を受光する場合、可視領域の光を透過/屈折するガラスや結晶、樹脂などの材料が、ボールレンズ11に適用できる。例えば、クラウンガラスやフリントガラスなどの光学ガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、BK(Boron Kron)などのクラウンガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、LaSF(Lanthanum Schwerflint)などのフリントガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、石英ガラスが、ボールレンズ11に適用できる。例えば、サファイア等の結晶が、ボールレンズ11に適用できる。例えば、アクリル等の透明樹脂が、ボールレンズ11に適用できる。
【0018】
空間光信号が近赤外領域の光(以下、近赤外線とも呼ぶ)である場合、ボールレンズ11には、近赤外線を透過する材料が用いられる。例えば、1.5マイクロメートル(μm)程度の近赤外領域の空間光信号を受光する場合、ボールレンズ11には、ガラスや結晶、樹脂などに加えて、シリコンなどの材料を適用できる。空間光信号が赤外領域の光(以下、赤外線とも呼ぶ)である場合、ボールレンズ11には、赤外線を透過する材料が用いられる。例えば、空間光信号が赤外線である場合、ボールレンズ11には、シリコンやゲルマニウム、カルコゲナイド系の材料を適用できる。空間光信号の波長領域の光を透過/屈折できれば、ボールレンズ11の材質には限定を加えない。ボールレンズ11の材質は、求められる屈折率や用途に応じて、適宜選択されればよい。
【0019】
受光器12は、第1受光帯121、第2受光帯122、および受光板125によって構成される。受光器12は、第1受光帯121および第2受光帯122によって構成される2段構成である。第1受光帯121および第2受光帯122は、複数の受光素子120によって構成される。受光板125は、単一の受光素子120によって構成される。受光板125は、複数の受光素子120によって構成されてもよい。受光板125は、ボールレンズ11に受光面を向けて、第2受光帯122が形成する環の内側に配置される。
図1~
図3の例では、ボールレンズ11の底に、受光板125の受光面が接触している。受光板125の受光面は、ボールレンズ11の底から離れていてもよい。第1受光帯121、第2受光帯122、および受光板125に用いられる受光素子120の大きさは、異なっていてもよい。例えば、第1受光帯121、第2受光帯122、および受光板125の各々に用いられる受光素子120の種類や数が、互いに異なっていてもよい。
【0020】
図4は、受光素子120の受光面の一例を示す概念図である。受光素子120の受光面は、受信対象の空間光信号に由来する光信号を受光する受光部14を含む。受光素子120の受光面には、受光部14の領域(受光領域とも呼ぶ)と、受光部14が位置しない領域(不感領域とも呼ぶ)とが含まれる。受光領域に到達した光信号は、受光素子120の受光部14によって受光される。不感領域に到達した光信号は、受光されない。
【0021】
図5は、受光素子120の別の一例(受光素子アレイ124)を示す概念図である。受光素子アレイ124の受光面には、複数の受光素子140が2次元アレイ状に配置される。複数の受光素子140は、受信対象の空間光信号に由来する光信号を受光する受光部を含む。複数の受光素子140が配置された面が、受光面である。受光素子アレイ124の受光面には、受光素子140の受光部が位置する受光領域と、受光部が位置しない不感領域とが含まれる。受光領域に到達した光信号は、受光素子140の受光部によって受光される。不感領域に到達した光信号は、受光されない。
図5の例の場合、9個の受光素子140によって、1つの受光グループが構成される。複数の受光素子140は、同一方向から到来する空間光信号に由来する光信号を、いくつかの素子からなる受光グループでまとめて受光する。受光面積の小さな高速の受光素子140がアレイ状に配置されれば、高速通信にも対応できる。
【0022】
受光素子120は、受信対象の空間光信号の波長領域の光を受光する。例えば、受光素子120は、可視領域の光に感度を有する。例えば、受光素子120は、赤外領域の光に感度を有する。受光素子120は、例えば1.5μm(マイクロメートル)帯の波長の光に感度を有する。なお、受光素子120が感度を有する光の波長帯は、1.5μm帯に限定されない。受光素子120が受光する光の波長帯は、送信装置(図示しない)から送信される空間光信号の波長に合わせて、任意に設定できる。受光素子120が受光する光の波長帯は、例えば0.8μm帯や、1.55μm帯、2.2μm帯に設定されてもよい。また、受光素子120が受光する光の波長帯は、例えば0.8~1μm帯であってもよい。波長帯が短い方が、大気中の水分による吸収が小さいので、降雨時における光空間通信には有利である。また、受光素子120は、強烈な太陽光で飽和してしまうと、空間光信号に由来する光信号を読み取ることができない。そのため、受光素子120の前段に、空間光信号の波長帯の光を選択的に通過させる色フィルタが設置されてもよい。
【0023】
例えば、受光素子120は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの素子によって実現できる。例えば、受光素子120は、アバランシェフォトダイオードによって実現される。アバランシェフォトダイオードによって実現された受光素子120は、高速通信に対応できる。なお、受光素子120は、光信号を電気信号に変換できさえすれば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード以外の素子によって実現されてもよい。通信速度を向上させるために、受光素子120の受光部は、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、受光素子120の受光部は、一辺が5mm(ミリメートル)程度の正方形の受光面を有する。例えば、受光素子120の受光部は、直径0.1~0.3mm程度の円形の受光面を有する。受光素子120の受光部の大きさや形状は、空間光信号の波長帯や通信速度などに応じて選定されればよい。
【0024】
第1受光帯121および第2受光帯122を構成する受光素子120は、それらの受光面を内側に向けて、環状に配置される。第1受光帯121によって形成された環よりも、第2受光帯122によって形成された環の方が、口径が小さい。第1受光帯121を構成する複数の受光素子120は、隣接し合う受光素子120との間に隙間がないように、環状に配置される。同様に、第2受光帯122を構成する複数の受光素子120は、隣接し合う受光素子120との間に隙間がないように、環状に配置される。受光素子120の受光面は平面のため、環状に配置された複数の受光素子120によって形成される環は、多角形の環になる。以下においては、環状に配置された複数の受光素子120が、円環を形成するとみなすことがある。以下において、環の口径という場合は、多角形の環を円環とみなしている。以下において、環の口径という表現は、具体的な円環の口径ではなく、第1受光帯121や第2受光帯122が形成する環の大きさの相対的な大小関係を表す。
【0025】
図1~
図3のように、第2受光帯122と比べて、第1受光帯121の方が、環の直径が大きい。すなわち、第2受光帯122が形成する環の直径と比べて、第1受光帯121が形成する環の直径の方が大きい。また、第1受光帯121および第2受光帯122が形成する環の直径は、ボールレンズ11の直径よりも小さい。第1受光帯121および第2受光帯122は、ボールレンズ11の下方に配置される。第1受光帯121および第2受光帯122は、ボールレンズ11の下方の一部に接するように配置される。第2受光帯122と比べて第1受光帯121の方が環の直径が大きいため、第1受光帯121の下方に第2受光帯122が配置される。受光板125は、受光面をボールレンズ11に向けて、ボールレンズ11の底に配置される。本実施形態においては、ボールレンズ11の下方に受光器12が配置される例をあげる。ボールレンズ11に対する受光器12の位置関係は、受信器10の配置に依存する。受信器10が床面に配置される場合、ボールレンズ11の下方に受光器12が配置される。受信器10が天井に配置される場合、ボールレンズ11の上方に受光器12が配置される。受信器10が壁に配置される場合、ボールレンズ11の側方に受光器12が配置される。
【0026】
反射器13は、ボールレンズ11と受光器12との間の隙間に配置される。反射器13は、第1反射器131と第2反射器132とを有する。第1反射器131は、第1受光帯121と第2受光帯122との間に形成された環状の隙間に配置される。第2反射器132は、第2受光帯122と受光板125との間に形成された環状の隙間に配置される。
図1~
図3の例の場合、第1反射器131および第2反射器132は、球帯状の形状である。第1反射器131および第2反射器132は、光信号を反射する反射面を有する。第1反射器131および第2反射器132は、それらの反射面をボールレンズ11に向けて、配置される。
【0027】
第1反射器131の形成する球帯は、大小2つの環を含む。第1反射器131の形成する球帯の大きい方の環は、第1受光帯121の環と同じ直径である。大きい方の環は、第1受光帯121の下方の環に合わせて配置される。第1反射器131の形成する球帯の小さい方の環は、第2受光帯122の環と同じ直径である。小さい方の環は、第2受光帯122の上方の環に合わせて配置される。第1反射器131は、第1受光帯121と第2受光帯122の間の隙間を埋める。第1反射器131は、第1受光帯121と第2受光帯122の間の隙間に集光された光信号を反射する。
【0028】
第2反射器132の形成する球帯は、大小2つの環を含む。第2反射器132の形成する球帯の大きい方の環は、第2受光帯122の環と同じ直径である。大きい方の環は、第2受光帯122の下方の環に合わせて配置される。第2反射器132の形成する球帯の小さい方の環は、受光板125の大きさに合わせた直径である。小さい方の環は、受光板125の大きさに合わせて配置される。受光板125は、円形とは限らない。そのため、小さい方の環は、受光板125の外形に合わせて形成されてもよい。第2反射器132は、第2受光帯122と受光体145の間の隙間を埋める。第2反射器132は、第2受光帯122と受光体145の間の隙間に集光された光信号を反射する。
【0029】
受光器12を構成する複数の受光素子120の各々には、ボールレンズ11によって集光された光信号が入射する。また、受光器12を構成する複数の受光素子120の各々には、反射器13によって反射された光信号が入射する。複数の受光素子120の各々は、入射された光信号を受光する。複数の受光素子120の各々は、受光した光信号を電気信号に変換する。複数の受光素子120の各々は、変換後の電気信号を、受信回路15に出力する。
【0030】
受信回路15は、複数の受光素子120の各々から出力された信号を取得する。受信回路15は、複数の受光素子120の各々からの信号を増幅する。受信回路15は、増幅された信号をデコードし、通信対象からの信号を解析する。例えば、受信回路15は、同じ受光グループに含まれる複数の受光素子120の信号をまとめて解析するように構成される。複数の受光素子120の信号をまとめて解析する場合、単一の通信対象と通信するシングルチャンネルの受信装置1を実現できる。例えば、受信回路15は、受光素子120ごとに、個別に信号を解析するように構成される。受光素子120ごとに、個別に信号を解析する場合、複数の通信対象と同時に通信するマルチチャンネルの受信装置1を実現できる。受信回路15によってデコードされた信号は、任意の用途に使用される。受信回路15によってデコードされた信号の使用については、特に限定を加えない。
【0031】
図6は、受信回路15の構成の一例を示すブロック図である。
図6の例では、複数の受光素子120の数をN個とする(Nは自然数)。受信回路15は、受信制御部151、光学制御部152、および通信制御部153を有する。受信制御部151には、複数の受光素子120-1~Nが接続される。受信制御部151には、複数の受光素子120-1~Nから出力された信号が入力される。受信制御部151は、入力された信号を増幅する。受信制御部151には、増幅された信号を通信制御部153に出力する。
図6は、受信回路15の構成の一例であって、受信回路15の構成を限定するものではない。
【0032】
図7は、
図5の例(受光素子アレイ124)に関する受信制御部151の構成の一例を示す概念図である。
図7の例では、受光素子アレイ124に含まれる複数の受光素子140の数をS個とする(Sは自然数)。
図7の例において、受信制御部151は、複数の第1増幅器155と、複数の第2増幅器156とを含む。第1増幅器155は、受光素子アレイ124に含まれる複数の受光素子140-1~Sのうちいずれか一つに接続される。第1増幅器155は、入力された信号を増幅する。第1増幅器155は、増幅された信号を第2増幅器156に出力する。複数の受光素子140-1~Sは、複数の受光グループのうちいずれかに割り当てられる。
図7の例の場合、1つの受光グループは、M個の受光素子140によって構成される(Mは、Nよりも小さい自然数)。複数の第2増幅器156の各々は、いずれかの受光グループに割り当てられる。第2増幅器156には、割り当てられた受光グループに属する複数の第1増幅器155から出力された信号が入力される。第2増幅器156は、入力された信号を、受光グループごとにまとめて増幅する。第2増幅器156は、受光グループごとに増幅された信号を、通信制御部153に出力する。
図7は、
図5の例(受光素子アレイ124)に関する受信制御部151の構成の一例であって、受信制御部151の構成を限定するものではない。
【0033】
例えば、受信制御部151には、第1増幅器155の前段に、リミッティングアンプ(図示しない)が設けられてもよい。リミッティングアンプが設けられれば、ダイナミックレンジを確保できる。例えば、受信制御部151には、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタ(図示しない)が設けられてもよい。ハイパスフィルタやバンドパスフィルタは、太陽光などの環境光に由来する信号をカットし、空間光信号の波長帯に相当する高周波成分の信号を選択的に通過させる。例えば、受信制御部151には、バンドパスフィルタ(図示しない)が設けられてもよい。
【0034】
光学制御部152は、受信制御部151に接続される。光学制御部152は、受信制御部151によって増幅された信号の出力値を取得する。光学制御部152は、信号の出力値をモニタする。
【0035】
通信制御部153は、受信制御部151に接続される。通信制御部153は、受信制御部151によって増幅された信号を取得する。すなわち、通信制御部153は、複数の受光素子140-1~Sの各々が受光した光信号に由来する信号を取得する。通信制御部153は、取得された信号をデコードする。例えば、通信制御部153は、デコードされた信号に何らかの信号処理を加えるように、構成される。例えば、通信制御部153は、デコードされた信号を外部の信号処理装置等(図示しない)に出力するように、構成される。
【0036】
〔受光例〕
次に、受光器12による光信号の受光例について、いくつかの例をあげて説明する。
図8~
図12は、受光器12による光信号の受光例について説明するための概念図である。
図8~
図12の例においては、光Lを出射する光源LSの位置(傾き)の変化に応じて、ボールレンズ11によって集光された光の受光位置が変化する様子を示す。以下においては、受光板125の受光面を基準として、光の入射方向を示す。
【0037】
図8は、仰角が90度の方向から、光Lが到来する例である。
図8の例では、受光板125の受光面と光Lの到来方向との角度が0度である。ボールレンズ11によって集光された光Lは、受光板125によって受光される。
【0038】
図9は、仰角が約75度の方向から、光Lが到来する例である。
図9の例では、受光板125の受光面と光Lの到来方向との角度が約15度である。ボールレンズ11によって集光された光は、受光板125によって受光される光成分L1と、第2受光帯122によって受光される光成分L2とに分かれる。光成分L1は、受光板125によって受光される。光成分L2は、第2反射器132の反射面で反射されて、第2受光帯122によって受光される。
【0039】
図10は、仰角が約60度の方向から、光Lが到来する例である。
図10の例では、受光板125の受光面と光Lの到来方向との角度が約30度である。ボールレンズ11によって集光された光は、第2受光帯122によって受光される光成分L3と、第1受光帯121によって受光される光成分L4とに分かれる。光成分L3は、第2受光帯122によって受光される。光成分L4は、第1反射器131の反射面で反射されて、第1受光帯121によって受光される。
【0040】
図11は、仰角が約45度の方向から、光Lが到来する例である。
図11の例では、受光板125の受光面と光Lの到来方向との角度が約45度である。ボールレンズ11によって集光された光は、第2受光帯122によって受光される光成分L5と、第1受光帯121によって受光される光成分L6とに分かれる。光成分L5は、第2受光帯122によって受光される。光成分L6は、第1反射器131の反射面で反射されて、第1受光帯121によって受光される。
【0041】
図12は、仰角が約30度の方向から、光Lが到来する例である。
図12の例では、受光板125の受光面と光Lの到来方向との角度が約60度である。ボールレンズ11によって集光された光Lは、第1受光帯121によって受光される。
【0042】
図8~
図12のように、本実施形態の受光器12を用いれば、仰角が30~90度の広範囲から到来する空間光信号を受光できる。例えば、光信号を受信している受光素子の位置に応じて、空間光信号の送信元の方向を特定できる。また、受信対象の空間光信号の到来方向に合わせて受信器10を傾ければ、空間光信号をより効率的に受信できる。受信器10の角度を動的に制御できる機構を設ければ、任意の方向から到来する空間光信号をより的確に受信できる。
【0043】
(変形例)
次に、本実施形態の受信装置1が備える受信器10の変形例について説明する。以下においては、変形例の特徴的な部分について説明する。以下の変形例は、一例であって、受信器10の変形例を限定するものではない。
【0044】
〔変形例1〕
図13~
図14は、変形例1の受信器10-1について説明するための概念図である。
図13は、受光素子120の上端部分で切断された受信器10-1の断面図である。
図14は、受信器10-1の一部の受光素子120の受光部14を、ボールレンズ11の視座から見た正面図である。
【0045】
受光素子120の受光部14の周囲には、不感領域が形成される。不感領域に集光された光信号は、受光素子120によって受光されない。本変形例では、互いに隣接し合う受光素子120の受光部14の間に形成される不感領域に、反射体135が配置される。
【0046】
反射体135は、断面が三角形の三角柱である。反射体135は、互いに隣接し合う受光素子120の受光部14の間に形成される不感領域に、配置される。反射体135は、3つの側面のうち2つの側面が、反射面である。反射体135の2つの反射面は、ボールレンズ11に向けられる。
図13の例では、反射体135の断面は、二等辺三角形である。受光素子120の上端部分における反射体135の頂角は、ボールレンズ11に接触するように配置される。受光素子120の上端部分から下方に向かうにつれて、反射体135の頂角とボールレンズ11との距離が離れる。
【0047】
ボールレンズ11によって集光された光信号のうち、反射体135の反射面に集光された光成分は、その反射面に隣接する受光部14に向けて反射される。受光部14に向けて反射された光成分は、その受光部14に配置された受光素子120によって、受光される。本変形例では、受光素子120の受光部14の周囲に形成された不感領域に集光された光信号の分、受光効率が向上する。
【0048】
〔変形例2〕
図15~
図16は、変形例2の受信器10-2について説明するための概念図である。受信器10-2は、ボールレンズ11、受光器12-2、および反射器13-2を有する。本変形例の受信器10-2は、3段構成の受光器12-2を有する。
図15は、受信器10-2を側方から見た側面図である。
図15には、受光器12-2によって隠れている反射器13-2や、受光器12-2の一部を、破線で示す。
図16は、受信器10-2の断面図である。以下においては、ボールレンズ11については、説明を省略する。
【0049】
受光器12-2は、第1受光帯121、第2受光帯122、第3受光帯123、および受光板125によって構成される。受光器12-2は、第1受光帯121、第2受光帯122、および第3受光帯123によって構成される3段構成である。受光器12の段数は、4段以上で構成されてもよい。第1受光帯121、第2受光帯122、および第3受光帯123は、複数の受光素子120によって構成される。受光板125は、単一の受光素子120によって構成される。受光板125は、複数の受光素子120によって構成されてもよい。
【0050】
第1受光帯121、第2受光帯122、および第3受光帯123を構成する受光素子120は、それらの受光面を内側に向けて、環状に配置される。第1受光帯121によって形成された環よりも、第2受光帯122によって形成された環の方が、口径が小さい。第2受光帯122によって形成された環よりも、第3受光帯123によって形成された環の方が、口径が小さい。第1受光帯121を構成する複数の受光素子120は、隣接し合う受光素子120との間に隙間がないように、環状に配置される。第2受光帯122を構成する複数の受光素子120は、隣接し合う受光素子120との間に隙間がないように、環状に配置される。第3受光帯123を構成する複数の受光素子120は、隣接し合う受光素子120との間に隙間がないように、環状に配置される。
【0051】
図15~
図16のように、第2受光帯122が形成する環の直径と比べて、第1受光帯121が形成する環の直径の方が大きい。また、第3受光帯123が形成する環の直径と比べて、第2受光帯122が形成する環の直径の方が大きい。第1受光帯121、第2受光帯122、および第3受光帯123が形成する環の直径は、ボールレンズ11の直径よりも小さい。第1受光帯121、第2受光帯122、および第3受光帯123は、ボールレンズ11の下方に配置される。第1受光帯121、第2受光帯122、および第3受光帯123は、ボールレンズ11の下方の一部に接するように配置される。第2受光帯122と比べて第1受光帯121の方が環の直径が大きいため、第1受光帯121の下方に第2受光帯122が配置される。第3受光帯123と比べて第2受光帯122の方が環の直径が大きいため、第2受光帯122の下方に第3受光帯123が配置される。受光板125は、受光面をボールレンズ11に向けて、ボールレンズ11の底に配置される。受光板125は、ボールレンズ11に受光面を向けて、第3受光帯123が形成する環の内側に配置される。
図15~
図16の例では、ボールレンズ11の底に、受光板125の受光面が接触している。受光板125の受光面は、ボールレンズ11の底から離れていてもよい。
【0052】
反射器13-2は、ボールレンズ11と受光器12-2との間の隙間に配置される。反射器13-2は、第1反射器131、第2反射器132、および第3反射器133を有する。第1反射器131は、第1受光帯121と第2受光帯122との間に形成された環状の隙間に配置される。第2反射器132は、第2受光帯122と第3受光帯123との間に形成された環状の隙間に配置される。第3反射器133は、第3受光帯123と受光板125との間に形成された環状の隙間に配置される。
図15~
図16の例の場合、第1反射器131、第2反射器132、および第3反射器133は、球帯状の形状である。第1反射器131、第2反射器132、および第3反射器133は、光信号を反射する反射面を有する。第1反射器131、第2反射器132、および第3反射器133は、それらの反射面をボールレンズ11に向けて、配置される。
【0053】
第1反射器131の形成する球帯は、大小2つの環を含む。第1反射器131の形成する球帯の大きい方の環は、第1受光帯121の環と同じ直径である。大きい方の環は、第1受光帯121の下方の環に合わせて配置される。第1反射器131の形成する球帯の小さい方の環は、第2受光帯122の環と同じ直径である。小さい方の環は、第2受光帯122の上方の環に合わせて配置される。第1反射器131は、第1受光帯121と第2受光帯122の間の隙間を埋める。第1反射器131は、第1受光帯121と第2受光帯122の間の隙間に集光された光信号を反射する。
【0054】
第2反射器132の形成する球帯は、大小2つの環を含む。第2反射器132の形成する球帯の大きい方の環は、第2受光帯122の環と同じ直径である。大きい方の環は、第2受光帯122の下方の環に合わせて配置される。第2反射器132の形成する球帯の小さい方の環は、第3受光帯123の環と同じ直径である。小さい方の環は、第3受光帯123の上方の環に合わせて配置される。第2反射器132は、第2受光帯122と第3受光帯123の間の隙間を埋める。第2反射器132は、第2受光帯122と第3受光帯123の間の隙間に集光された光信号を反射する。
【0055】
第3反射器133の形成する球帯は、大小2つの環を含む。第3反射器133の形成する球帯の大きい方の環は、第3受光帯123の環と同じ直径である。大きい方の環は、第3受光帯123の下方の環に合わせて配置される。第3反射器133の形成する球帯の小さい方の環は、受光板125の大きさに合わせた直径である。小さい方の環は、受光板125の大きさに合わせて配置される。受光板125は、円形とは限らない。そのため、小さい方の環は、受光板125の外形に合わせて形成されてもよい。第3反射器133は、第2受光帯122と受光体145の間の隙間を埋める。第3反射器133は、第3受光帯123と受光体145の間の隙間に集光された光信号を反射する。
【0056】
ボールレンズ11を大型化した場合、受光素子120の大きさが変わらなければ、ボールレンズ11によって集光された光信号のうち受光素子120に到達しない光成分が増加する。また、受光素子120を小型化した場合、ボールレンズ11の大きさが変わらなければ、ボールレンズ11によって集光された光信号のうち受光素子120に到達しない光成分が増加する。これらの場合、空間光信号の受光範囲が狭くなる。ボールレンズ11を大型化した場合や、受光素子120を小型化した場合において、本変形例のように受光器の段数を増やせば、空間光信号の受光範囲を維持/拡大できる。すなわち、ボールレンズ11や受光素子120の大きさに応じて、本変形例のように受光器の段数を増やすことによって、より広範囲から到来する空間光信号を受光できる。
【0057】
〔変形例3〕
図17~
図19は、変形例3の受信器10-3について説明するための概念図である。受信器10-3は、ボールレンズ11、受光器12、反射器13、および再帰反射器16を有する。本変形例の受信器10-3は、2段構成の受光器12を有する。
図19は、受信器10-3を側方から見た側面図である。
図18は、受信器10-3を斜め上方の視座から見上げた概念図である。
図19は、受信器10-3の断面図である。以下においては、ボールレンズ11、受光器12、および反射器13については、説明を省略する。
【0058】
再帰反射器16は、第1再帰反射器161と第2再帰反射器162を含む。第1再帰反射器161は、受光器12の外側の側面に配置される。第1再帰反射器161は、受光器12の外側の側面を被覆する。第1再帰反射器161は、環状の形状である。第1再帰反射器161が形成する環の外側の側面には、再帰反射面が形成される。第2再帰反射器162は、ボールレンズ11の底とほぼ同じ面内に配置される。第2再帰反射器162は、上下面が平面であるドーナツ状の形状である。受信器10-3を上方の視座から見ると、第2再帰反射器162は、ボールレンズ11の周囲をドーナツ状に囲う。第2再帰反射器162の上面には、再帰反射面が形成される。第2再帰反射器162の側面にも、再帰反射面が形成されてもよい。
【0059】
再帰反射面は、ある方向から入射した光を、その光の入射方向に沿って再帰的に反射する反射面である。第1再帰反射器161および第2再帰反射器162の再帰反射面には、空間光信号が入射する。第1再帰反射器161および第2再帰反射器162の再帰反射面は、入射した空間光信号を、その空間光信号の到来方向に向けて、再帰的に反射する。実際には、再帰反射面は、入射した空間光信号をその空間光信号の到来方向に向けて完全に再帰的に反射するわけではなく、ある程度の角度範囲の指向性で再帰的に反射する。再帰反射面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。再帰反射面を曲面にすれば、反射面全体において、ある程度の角度範囲の再帰性を得ることができる。空間光信号の送信元の通信装置(図示しない)は、受信器10-3の再帰反射器16の再帰反射面で再帰的に反射された空間光信号を受光する。送信元の通信装置は、自装置から送信された空間光信号が再帰的に反射された光を受光することによって、通信対象の通信装置(図示しない)に空間光信号が受信されたことを検知できる。
【0060】
図20は、再帰反射器16の再帰反射面の前段に、透過型の変調素子160が配置される例である。変調素子160は、受信器10-3が実装された通信装置の制御に応じたパターンで、開閉制御される。変調素子160には、通信対象の通信装置から送信された空間光信号(入射信号)が入射する。変調素子160を通過した空間光信号は、再帰反射器16の再帰反射面で再帰的に反射される。再帰的に反射された空間光信号は、変調素子160の開閉パターンに応じて、空間光信号の送信元の通信装置に向けて出射される。空間光信号(入射信号)の信号周波数と、変調素子160の変調周波数との間に十分な差があれば、
図20に示すように、変調された反射信号が出射される。変調素子160の変調周波数を制御すれば、通信対象の通信装置との間で通信できる。
図20の例の場合、破線でなぞられたパターンの信号が出射される。変調素子160と再帰反射器16を組み合わせれば、レーザ光を送信する送信系を設けなくても、空間光信号の送信元の通信装置との間で通信できる。
【0061】
例えば、変調素子160には、TN(Twisted Nematic)型液晶素子によって実現される。TN型液晶素子を用いれば、600bps(ビット毎秒)程度のスループットが見込まれる。簡単なコードの送信だけならば、TN型の液晶素子を採用できる。
【0062】
例えば、変調素子160には、強誘電性液晶素子によって実現される。強誘電性液晶型液晶素子の動作速度は、μs(マイクロ秒)オーダーである。TN型液晶素子と比べて、強誘電性液晶型液晶素子は、1000倍程度高速で動作する。そのため、強誘電性液晶型液晶素子を用いれば、600kbps(キロビット毎秒)程度のリフレッシュレートが見込まれる。強誘電性液晶型液晶素子は、液晶素子なので、面積階調で中間調を実現できる。表示自体は256階調でも実現できるが、受信側での復調があるため、4値から8値程度の諧調が実現可能であると見込まれる。4値から8値程度の諧調を実現できれば、2倍から3倍程度の高速化を実現できるため、1.2~1.8Mpbsの動作が可能となる。この程度のスループットであれば、解像度の低い画像を送信できる。
【0063】
例えば、変調素子160は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型素子によって実現できる。MEMS型素子は、シャッタを水平方向に動かすことによりスリットの位置関係をずらすことで、光の通過/遮蔽を制御する。MEMS型素子は、数十μs(マイクロ秒)で動作する。MEMS型の素子を用いる場合、強誘電性液晶より1桁程度遅くはなるが、100kbps程度のスループットが見込まれる。液晶素子と同様に、面積階調を使えば、MEMS型素子のスループットを向上させることが可能である。
【0064】
例えば、変調素子160は、メタマテリアル型素子によって実現できる。メタマテリアル型素子は、温度変化に応じた二酸化バナジウムの相変化を利用して、光の透過率を制御する。二酸化バナジウムは、相転移温度以下では絶縁相(単斜晶)であり、相転移温度を超えると金属相(正方晶)に相変化する。二酸化バナジウムは、ナノ~ピコ秒レベルで、高速で相転移する。メタマテリアル型素子は、内蔵されたヒーターによる温度変化に応じた二酸化バナジウムの相変化を利用することで、高速動作が可能である。メタマテリアル型の素子を用いる場合、100Mbps(メガビット毎秒)程度のスループットが見込まれる。メタマテリアル型の素子は、面のデバイスなので、多値化によって、スループットを2~3倍化することが可能である。
【0065】
(関連技術)
次に、本実施形態に関連する関連技術について図面を参照しながら説明する。
図21は、関連技術の受信器100の構成の一例を示す概念図である。
図21は、受信器100を側方から見た側面図である。受信器100は、第1の実施形態と同様に、ボールレンズ11を備える。また、受信器100は、複数の受光素子120を備える。複数の受光素子120は、ボールレンズ11に受光面を向けて、ボールレンズ11の底面側に配置される。
【0066】
図21の関連技術の場合、互いに隣接し合う受光素子120の間には、隙間が空く。隙間の位置に集光された光信号は、受光素子120によって受光されない。そのため、関連技術の受信器100では、隙間の位置に集光された光信号の分だけ、受光ロスが発生する。隙間の位置に、さらに受光素子120を配置すれば、受光ロスを低減できる。しかし、追加で配置された受光素子120の分だけ、より多くの受光素子120が必要になってしまう。
【0067】
本実施形態の構成では、複数の受光素子を環状に配置して受光器を形成することによって、隣接する受光素子の間に隙間がない。また、本実施形態の構成では、複数の受光器の間の隙間に反射器を配置することによって、受光器の間に隙間がない。そのため、本実施形態の構成によれば、受光素子を追加することなく、複数の受光素子の間に空きうる隙間をなくすことができる。
【0068】
以上のように、本実施形態の受信装置は、ボールレンズ、受光器、反射器、および受信回路を備える。ボールレンズ、受光器、および反射器は、受信器を構成する。ボールレンズは、受光帯が形成する環に載置される。受光器は、第1受光帯、第2受光帯、および受光板を有する。第1受光帯は、環状に配置された複数の受光素子によって構成される。第2受光帯は、第1受光帯よりも小さい口径で環状に配置された複数の受光素子によって構成される。第1受光帯および第2受光帯を構成する複数の受光素子は、それらの受光帯が形成する環の内側に受光面を向けて配置される。受光板は、少なくとも一つの受光素子を含む。受光板に含まれる受光素子は、受光帯に載置されたボールレンズに受光面を向けて、受光帯が形成する環の内側に配置される。反射器は、第1反射器および第2反射器を有する。第1反射器は、第1受光帯と第2受光帯との間に形成された隙間に配置される。第2反射器は、第2受光帯と受光板との間に形成された隙間に配置される。受信回路は、受信器によって受信された信号を取得する。受信回路は、取得した信号をデコードする。
【0069】
本実施形態の受信装置は、多様な方向から到来する光信号を、ボールレンズによって集光する。ボールレンズによって集光された光信号は、第1受光帯、第2受光帯、または反射器に集光される。第1受光帯および第2受光帯に集光された光信号は、それらの受光帯を構成する受光素子によって受光される。反射器に集光された光信号は、その反射器の反射面で反射されて、いずれかの受光帯を構成する受光素子によって受光される。受光素子によって受光された光信号は、電気信号に変換されて受信回路で受信される。そのため、本実施形態の受信装置によれば、多様な方向から到来する光信号を効率よく受信できる。
【0070】
本実施形態の一態様の受信器は、反射体を備える。反射体は、互いに隣接し合う受光素子の受光領域の間に形成された不感領域に、ボールレンズに反射面を向けて配置される。本態様によれば、不感領域に集光された光信号が、その不感領域に配置された反射体の反射面によって、いずれかの受光素子の受光領域に向けて反射される。そのため、本態様によれば、光信号をより効率的に受信できる。
【0071】
本実施形態の一態様において、受光帯は、第1受光帯、第2受光帯、および第3受光帯を有する。第1受光帯は、環状に配置された複数の受光素子によって構成される。第2受光帯は、第1受光帯よりも小さい口径で環状に配置された複数の受光素子によって構成される。第3受光帯は、第2受光帯よりも小さい口径で環状に配置された複数の受光素子によって構成される。反射器は、第1反射器、第2反射器、および第3反射器を有する。第1反射器は、第1受光帯と第2受光帯との間に形成された隙間に配置される。第2反射器は、第2受光帯と第3受光帯との間に形成された隙間に配置される。第3反射器は、第3受光帯と受光板との間に形成された隙間に配置される。本態様の受信器は、3段重ねの受光帯を有する。そのため、本態様によれば、ボールレンズを大型化することによって、空間光信号の受光範囲を広げることができる。受光帯の段数は、4段以上に重ねることもできる。
【0072】
本実施形態の一態様の受信器は、再帰反射器を備える。再帰反射器は、再帰反射面を有する。再帰反射器は、空間光信号の到来方向に再帰反射面が向けられて、受光帯の外周に沿って配置される。本態様によれば、再帰反射器によって再帰的に反射された空間光信号が、その空間光信号の送信元に向かって戻る。そのため、本態様によれば、通信対象である他の通信装置に対して、空間光信号の受信を通知できる。
【0073】
本実施形態の一態様の受信器は、変調素子を備える。変調素子は、再帰反射器の前段に配置される。変調素子は、入射した空間光信号を変調する。本態様では、再帰反射器に入射した空間光信号を、変調素子で変調してから、空間光信号の送信元に送り返す。変調素子の変調パターンは、任意に設定できる。そのため、本態様によれば、簡易な構成でありながら、通信対象である他の通信装置に対して、所望の空間光信号を送信できる。
【0074】
本実施形態の一態様において、受信回路は、光信号を受光した受光素子の位置に応じて、光信号の元となる空間光信号の到来方向を検知する。本態様によれば、光信号を受光した受光素子の位置に応じて、空間光信号の到来方向を特定できる。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る通信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の通信装置は、受信装置と送信装置とを組み合わせた構成である。受信装置は、第1の実施形態の構成である。送信装置は、空間光信号を送信する。以下においては、位相変調型の空間光変調器を含む送信装置の例をあげる。なお、本実施形態の通信装置は、位相変調型の空間光変調器ではない送光機能を含む送信装置を備えてもよい。
【0076】
図22は、本実施形態に係る通信装置20の構成の一例を示す概念図である。通信装置20は、受信装置21、制御装置25、および送信装置27を備える。通信装置20は、外部の通信対象と空間光信号を送受信し合う。そのため、通信装置20には、空間光信号を送受信するための開口や窓が形成される。
【0077】
受信装置21は、第1の実施形態の受信装置である。受信装置21は、通信対象(図示しない)から送信された空間光信号を受信する。受信装置21は、受信した空間光信号を電気信号に変換する。受信装置21は、変換後の電気信号を制御装置25に出力する。
【0078】
制御装置25は、受信装置21から出力された信号を取得する。制御装置25は、取得した信号に応じた処理を実行する。制御装置25が実行する処理については、特に限定を加えない。制御装置25は、実行した処理に応じた光信号を送信するための制御信号を、送信装置27に出力する。例えば、制御装置25は、受信装置21が受信した信号に含まれる情報に応じて、予め決められた条件に基づく処理を実行する。例えば、制御装置25は、受信装置21が受信した信号に含まれる情報に応じて、通信装置20の管理者によって指定された処理を実行する。
【0079】
送信装置27は、制御装置25から制御信号を取得する。送信装置27は、制御信号に応じた空間光信号を投射する。送信装置27から投射された空間光信号は、その空間光信号の送信先の通信対象(図示しない)によって受光される。例えば、送信装置27は、位相変調型の空間光変調器を備える。また、送信装置27は、位相変調型の空間光変調器ではない送光機能を有してもよい。
【0080】
〔送信装置〕
図23は、送信装置27の構成の一例を示す概念図である。送信装置27は、光源271、空間光変調器273、曲面ミラー275、および制御部277を有する。
図23は、送信装置27の内部構成を横方向から見た側面図である。
図23は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0081】
光源271は、制御部277の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光を出射する。光源271から出射されるレーザ光の波長は、特に限定されず、用途に応じて選定されればよい。例えば、光源271は、可視や赤外の波長帯のレーザ光を出射する。例えば、800~900ナノメートル(nm)の近赤外線であれば、レーザクラスをあげられるので、他の波長帯よりも1桁くらい感度を向上できる。例えば、1.55マイクロメートル(μm)の波長帯の赤外線ならば、高出力のレーザ光源を用いることができる。1.55μmの波長帯の赤外線のレーザ光源としては、アルミニウムガリウムヒ素リン(AlGaAsP)系レーザ光源や、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)系レーザ光源などを用いることができる。レーザ光の波長が長い方が、回折角を大きくでき、高いエネルギーに設定できる。光源271は、空間光変調器273の変調部2730に設定された変調領域の大きさに合わせて、レーザ光を拡大するレンズを含む。光源271は、レンズによって拡大された光202を出射する。光源271から出射された光202は、空間光変調器273の変調部2730に向けて進行する。
【0082】
空間光変調器273は、変調部2730を有する。変調部2730には、変調領域が設定される。変調部2730の変調領域には、制御部277の制御に応じて、投射光205によって表示される画像に応じたパターン(位相画像とも呼ぶ)が設定される。変調部2730には、光源271から出射された光202が照射される。変調部2730に入射した光202は、変調部2730に設定されたパターン(位相画像)に応じて変調される。変調部2730で変調された変調光203は、曲面ミラー275の反射面2750に向けて進行する。
【0083】
例えば、空間光変調器273は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。例えば、空間光変調器273は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって実現できる。また、空間光変調器273は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。位相変調型の空間光変調器273では、投射光205を投射する箇所を順次切り替えるように動作させることによって、エネルギーを像の部分に集中することができる。そのため、位相変調型の空間光変調器273を用いる場合、光源271の出力が同じであれば、その他の方式と比べて画像を明るく表示させることができる。
【0084】
変調部2730の変調領域は、複数の領域に分割される(タイリングとも呼ぶ)。例えば、変調部2730の変調領域は、所望のアスペクト比の四角形の領域(タイルとも呼ぶ)に分割される。変調部2730の変調領域に設定された複数のタイルの各々には、位相画像が割り当てられる。複数のタイルの各々は、複数の画素によって構成される。複数のタイルの各々には、投射される画像に対応する位相画像が設定される。複数のタイルの各々に設定される位相画像は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0085】
変調部2730の変調領域に割り当てられた複数のタイルの各々には、位相画像がタイリングされる。例えば、複数のタイルの各々には、予め生成された位相画像が設定される。複数のタイルに位相画像が設定された状態で、変調部2730に光202が照射されると、各タイルの位相画像に対応する画像を形成する変調光203が出射される。変調部2730に設定されるタイルが多いほど、鮮明な画像を表示させることができるが、各タイルの画素数が低下すると解像度が低下する。そのため、変調部2730の変調領域に設定されるタイルの大きさや数は、用途に応じて設定される。
【0086】
曲面ミラー275は、曲面状の反射面2750を有する反射鏡である。曲面ミラー275の反射面2750は、投射光205の投射角に応じた曲率を有する。曲面ミラー275の反射面2750は、曲面であればよい。
図34の例の場合、曲面ミラー275の反射面2750は、円柱の側面の形状を有する。例えば、曲面ミラー275の反射面2750は、自由曲面や球面でもよい。例えば、曲面ミラー275の反射面2750は、単一の曲面ではなく、複数の曲面を組み合わせた形状であってもよい。例えば、曲面ミラー275の反射面2750は、曲面と平面を組み合わせた形状であってもよい。
【0087】
曲面ミラー275は、空間光変調器273の変調部2730に、反射面2750を向けて配置される。曲面ミラー275は、変調光203の光路上に配置される。反射面2750には、変調部2730で変調された変調光203が照射される。反射面2750で反射された光(投射光205)は、その反射面2750の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。
図24の例の場合、投射光205は、曲面ミラー275の反射面2750における変調光203の照射範囲の曲率に応じて、水平方向(
図24の紙面に対して垂直方向)に沿って拡大される。また、投射光205は、送信装置27から離れるにつれて、垂直方向(
図24の紙面における上下方向)にも拡大される。
【0088】
例えば、空間光変調器273と曲面ミラー275の間に、遮蔽器(図示しない)が配置されてもよい。すなわち、空間光変調器273の変調部2730によって変調された変調光203の光路上に、遮蔽器が配置されてもよい。遮蔽器は、変調光203に含まれる不要な光成分を遮蔽し、投射光205の表示領域の外縁を規定する枠体である。例えば、遮蔽器は、所望の画像を形成する光を通過させる部分にスリット状の開口が形成されたアパーチャである。遮蔽器は、所望の画像を形成する光を通過させ、不要な光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、変調光203に含まれる0次光やゴースト像を遮蔽する。遮蔽器の詳細については、説明を省略する。
【0089】
送信装置27には、曲面ミラー275の代わりに、フーリエ変換レンズや投射レンズ等を含む投射光学系が設けられてもよい。また、送信装置27は、曲面ミラー275や投射光学系を含まずに、空間光変調器273の変調部2730で変調された光をそのまま投射するように、構成されてもよい。
【0090】
制御部277は、光源271および空間光変調器273を制御する。例えば、制御部277は、プロセッサとメモリを含むマイクロコンピュータによって実現される。制御部277は、空間光変調器273の変調部2730に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される画像に対応する位相画像を変調部2730に設定する。例えば、制御部277は、画像表示や通信、測距など、用途に応じた画像に対応する位相画像を変調部2730に設定する。投射される画像の位相画像は、記憶部(図示しない)に予め記憶させておけばよい。投射される画像の形状や大きさには、特に限定を加えない。
【0091】
制御部277は、空間光変調器273の変調部2730に照射される光202の位相と、その変調部2730で反射される変調光203の位相との差分を決定づけるパラメータが変化するように、空間光変調器273を制御する。例えば、パラメータは、屈折率や光路長などの光学的特性に関する値である。例えば、制御部277は、空間光変調器273の変調部2730に印加する電圧を変化させることによって、変調部2730の屈折率を調節する。位相変調型の空間光変調器273の変調部2730に照射された光202の位相分布は、変調部2730の光学的特性に応じて変調される。なお、制御部277による空間光変調器273の駆動方法は、空間光変調器273の変調方式に応じて決定される。
【0092】
制御部277は、表示される画像に対応する位相画像が変調部2730に設定された状態で、光源271を駆動させる。その結果、空間光変調器273の変調部2730に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源271から出射された光202が空間光変調器273の変調部2730に照射される。空間光変調器273の変調部2730に照射された光202は、空間光変調器273の変調部2730において変調される。空間光変調器273の変調部2730において変調された変調光203は、曲面ミラー275の反射面2750に向けて出射される。
【0093】
例えば、送信装置27に含まれる曲面ミラー275の反射面2750の曲率と、空間光変調器273と曲面ミラー275の距離とを調整し、投射光205の投射角を180度に設定する。そのように構成された送信装置27を二つ用いれば、投射光205の投射角を360度に設定できる。また、送信装置27の内部で変調光203の一部を平面鏡等で折り返し、投射光205を2方向に投射するように構成すれば、投射光205の投射角を360度に設定できる。例えば、360度の向きに投射光を投射するように構成された送信装置27と、360度の方向から到来する空間光信号を受光するように構成された受信装置21とを組み合わせた構成とする。このような構成とすれば、360度の向きに空間光信号を送信し、360度の方向から到来する空間光信号を受光する通信装置を実現できる。
【0094】
〔適用例〕
次に、本実施形態の通信装置20の適用例について図面を参照しながら説明する。以下においては、3つの適用例(適用例1~3)をあげる。以下の適用例では、管理側/制御側の通信装置(親機)と、被管理側/被制御側の通信装置(子機)とが、空間光信号を送受信する例をあげる。いずれの通信装置も、第2の実施形態に係る通信装置と同様の構成を有する。
【0095】
<適用例1>
図24は、適用例1について説明するための概念図である。本適用例は、地上の管理局(図示しない)に設置された通信装置と、上空を飛翔するドローン251に搭載された通信装置との間で、空間光信号を送受信する例である。本適用例では、管理局に親機の通信装置(親機211)が配置され、ドローン251に子機の通信装置(子機221)が搭載される例をあげる。本適用例では、管理局の親機211と、ドローン251に搭載された子機221とによって、通信システムが形成される。
【0096】
管理局には、管理側の通信装置(親機211)が配置される。例えば、親機211は、管理局の建屋の屋上に配置される。親機211は、ボールレンズの下方に受光器が位置するように、配置される。親機211は、上方の全方向から到来する空間光信号を受信する。広範囲を飛翔するドローン251と通信するために、親機211には、子機221と比べて大型のボールレンズが搭載される。例えば、親機211には、第1の実施形態に係る変形例2の受信器(
図15~
図16)が搭載される。変形例2の構成ならば、ボールレンズの大型化に応じて受光器を増やすことで、空間光信号の受光範囲を拡大できる。親機211は、地上に設置されるため、そのサイズには制約が少なく、大型化が可能である。
【0097】
ドローン251には、被管理側の通信装置(子機221)が搭載される。例えば、ドローン251には、周囲を撮影するカメラや、周囲の物理量を計測するセンサが搭載される。子機221は、ドローン251の下側に搭載される。子機221は、ボールレンズの上方に受光器が位置するように、配置される。子機221は、下方から到来する空間光信号を受信する。子機221には、親機211と比べて小型のボールレンズが搭載される。例えば、ドローン251の重量負荷を軽減させるために、子機221には、第1の実施形態に係る変形例3の受信器(
図17~
図19)が搭載される。変形例3の受信器は、親機211から送信された空間光信号を、その親機211に向けて再帰的に反射する。例えば、子機221には、変調素子を含む受信器(
図20)であってもよい。変調素子を含む受信器であれば、親機211から送信された空間光信号を、変調させた上で再帰的に反射できるので、送信機能を簡略化できる。
【0098】
本適用例によれば、大型の親機211を用いることによって、広範囲を飛翔するドローン251に搭載された小型の子機221と親機211との間で、全天球型の通信が実現される。すなわち、本適用例によれば、上空の任意の位置を飛翔するドローン251と地上の管理局との間で、空間光信号を用いた通信が可能になる。その結果、本適用例によれば、地上の管理局が、ドローン251の飛行を制御するシステムを実現できる。また、本適用例によれば、ドローン251によって収集された情報を、リアルタイムで活用するシステムを実現できる。
【0099】
<適用例2>
図25は、適用例2について説明するための概念図である。本適用例は、工事現場において稼働する複数の工事車両252に搭載された通信装置と、それらの工事車両252を制御する制御車両210に設置された通信装置との間で、空間光信号を送受信する例である。本適用例では、制御車両210に親機の通信装置(親機212)が配置され、工事車両252に子機の通信装置(子機222)が搭載される例をあげる。本適用例では、制御車両210の親機212と、工事車両252に搭載された子機222とによって、通信システムが形成される。
【0100】
また、本適用例では、工事現場の上空を、変形例1のドローン251が飛翔する。ドローン251は、制御車両210の制御を受けるとともに、制御車両210の親機212と工事車両252の子機222との間に遮蔽物が入り込んだ際に、中継器の役割を果たす。
図25の例では、制御車両210の上部に、ドローン251に給電できる給電装置(図示しない)が搭載される。例えば、ドローン251は、上空から工事現場を撮影したり、測距を行ったりする。
【0101】
制御車両210は、工事現場、または工事現場の近傍に駐車される。制御車両210には、制御側の通信装置(親機212)が配置される。例えば、親機212は、制御車両210の上部に設置された柱の上に配置される。工事現場の全域を通信範囲にできるように、制御車両210の上部の柱の高さは、できるだけ高い方が好ましい。例えば、制御車両210を用いずに、工事現場、または工事現場の近傍に設置された柱の上部に、親機212が設置されてもよい。親機212は、工事現場で稼働する工事車両252を制御する制御システム(図示しない)に接続される。
【0102】
親機212は、ボールレンズに対する受光器の位置が工事現場の反対側に位置するように、配置される。親機212は、工事現場の方向から到来する空間光信号を受信する。親機212の受光方向は、ドローン251の飛翔範囲が通信範囲に含まれるように、設定される。工事現場において広範囲で移動する工事車両252と通信するために、親機212には、子機222と比べて大型のボールレンズが搭載される。例えば、親機212には、第1の実施形態に係る変形例2の受信器(
図15~
図16)が搭載される。変形例2の構成ならば、ボールレンズの大型化に応じて受光器を増やすことで、空間光信号の受光範囲を拡大できる。親機212は、地上に設置されるため、そのサイズには制約が少なく、大型化が可能である。
【0103】
工事現場では、複数の工事車両252が稼働する。親機212に接続された制御システムの制御に応じて、複数の工事車両252が稼働する。工事車両252には、被制御側の通信装置(子機222)が搭載される。例えば、工事車両252には、親機212から送信された空間光信号に応じて、工事車両252を動作させる自動運転装置(図示しない)が搭載される。
【0104】
子機222は、工事車両252の上側に搭載される。子機222は、ボールレンズの下方に受光器が位置するように、配置される。子機222は、上方から到来する空間光信号を受信する。子機222には、親機212と比べて小型のボールレンズが搭載される。例えば、子機222には、第1の実施形態に係る変形例3の受信器(
図17~
図19)が搭載される。変形例3の受信器は、親機212から送信された空間光信号を、その親機212に向けて再帰的に反射する。例えば、子機222には、変調素子を含む受信器(
図20)であってもよい。変調素子を含む受信器であれば、親機212から送信された空間光信号を、変調させた上で再帰的に反射できるので、送信機能を簡略化できる。
【0105】
例えば、親機212に接続された制御装置は、ドローン251によって取得された画像情報や測距情報などの情報を用いて、通信が途絶えた子機222の位置を特定する。制御装置は、特定された子機222の位置に応じて、空間光信号の中継に用いられるドローン251を選定する。制御装置は、選定されたドローン251を中継させて、通信が途絶えた子機222に対して空間光信号を送信できる。
【0106】
本適用例によれば、制御車両210に搭載された親機212を用いることによって、工事現場で稼働する工事車両252を制御できる。また、本適用例によれば、ドローン251によって収集された情報を活用しながら、工事現場で稼働する工事車両252を自動運転するシステムを実現できる。
【0107】
<適用例3>
図26は、適用例3について説明するための概念図である。本適用例は、工場で稼働する装置に搭載された通信装置と、それらの製造装置を管理する管理システム(図示しない)に接続された通信装置との間で、空間光信号を送受信する例である。本適用例では、工場の天井に親機の通信装置(親機213)が配置され、複数の装置に子機の通信装置(子機223)が搭載される例をあげる。工場の内部には、複数の親機213が配置されてもよい。例えば、複数の親機213の間は、高速通信可能に接続される。本適用例では、天井に設置された親機213と、複数の装置に搭載された子機223とによって、通信システムが形成される。
【0108】
親機213は、IoTゲートウェイ290に接続される(IoT:Internet of Things)。IoTゲートウェイ290は、複数の装置によって収集されたデータの中継や、管理システムから送信されたデータの中継を行うルータ機能を有する。IoTゲートウェイ290は、インターネット経由で、クラウドやサーバに構築された管理システムに接続される。複数の装置によって収集された膨大なデータを、IoTゲートウェイ290で処理した後に管理システムに送信することによって、通信負荷を軽減できる。管理システムは、工場の内部の端末装置に構築されてもよい。
【0109】
親機213は、複数の装置を見下ろすことができる天井に配置される。複数の装置と空間光信号をやり取りできれば、親機213が配置される位置には限定を加えない。例えば、親機213は、工場の壁などに設置されてもよい。親機213は、ボールレンズに対する受光器の位置が天井側に位置するように、配置される。親機213は、工場の内部に設置された複数の装置から送信された空間光信号を受信する。また、親機213は、工場の内部に設置された複数の装置に向けて空間光信号を送信する。工場の内部の広範囲に配置された装置と通信するために、親機213には、子機223と比べて大型のボールレンズが搭載される。例えば、親機213には、第1の実施形態に係る変形例2の受信器(
図15~
図16)が搭載される。変形例2の構成ならば、ボールレンズの大型化に応じて受光器を増やすことで、空間光信号の受光範囲を拡大できる。
【0110】
工場の内部では、複数の装置が稼働する。
図26の例では、搬送ロボットや製造設備、組立機、産業機械、コンベア、検査機が配置される。複数の装置の各々には、被管理側の通信装置(子機223)が搭載される。子機223は、装置の上側に搭載される。子機223は、ボールレンズの下方に受光器が位置するように、配置される。子機223は、上方の親機213から送信された空間光信号を受信する。また、子機223は、上方の親機213に向けて空間光信号を送信する。子機223には、親機213と比べて小型のボールレンズが搭載される。例えば、子機223には、第1の実施形態に係る変形例3の受信器(
図17~
図19)が搭載される。変形例3の受信器は、親機213から送信された空間光信号を、その親機213に向けて再帰的に反射する。例えば、子機223には、変調素子を含む受信器(
図20)であってもよい。変調素子を含む受信器であれば、親機213から送信された空間光信号を、変調させた上で再帰的に反射できるので、送信機能を簡略化できる。
【0111】
例えば、親機213に接続された管理システムは、複数の装置によって収集されたデータを用いて、それらの装置の稼働状況を管理する。例えば、管理システムは、工場の内部で稼働する装置の稼働状況を、管理者が扱う端末装置(図示しない)の画面に表示させる。例えば、管理システムは、把握された稼働状況に応じて、それらの装置に対する制御信号を送信する。
【0112】
本適用例によれば、工場の内部に設置された親機213を用いることによって、工場の内部で稼働する装置を管理できる。本適用例によれば、親機213と子機223との間で空間光信号をやり取りするため、配線を省略できる。無線通信とは異なり、空間光信号を用いた通信では、同時に接続できる台数の制約を受けにくい。空間光信号を用いた通信は、工場の内部における雑音の影響を受けにくい。また、本適用例によれば、複数の装置によって収集されたデータを活用しながら、工場で稼働する複数の装置を自動制御するシステムを実現できる。
【0113】
以上のように、本実施形態の通信装置は、受信装置、送信装置、および制御装置を備える。受信装置は、ボールレンズ、受光器、反射器、および受信回路を備える。ボールレンズ、受光器、および反射器は、受信器を構成する。ボールレンズは、受光帯が形成する環に載置される。受光器は、受光帯および受光板を有する。受光帯は、環状に配置された複数の受光素子によって構成される。受光帯を構成する複数の受光素子は、受光帯が形成する環の内側に受光面を向けて配置される。受光板は、少なくとも一つの受光素子を含む。受光板に含まれる受光素子は、受光帯に載置されたボールレンズに受光面を向けて、受光帯が形成する環の内側に配置される。反射器は、受光帯と受光板との間に形成された隙間に配置される。受信回路は、受信器によって受信された信号を取得する。受信回路は、取得した信号をデコードする。送信装置は、空間光信号を送信する。制御装置は、受信装置によって受信された他の通信装置からの空間光信号に基づく信号を取得する。制御装置は、取得した信号に応じた処理を実行する。制御装置は、実行した処理に応じた空間光信号を送信装置に送信させる。
【0114】
本実施形態の通信装置は、多様な方向から到来する光信号を、ボールレンズによって集光する。ボールレンズによって集光された光信号は、受光帯または反射器に集光される。受光帯に集光された光信号は、その受光帯を構成する受光素子によって受光される。反射器に集光された光信号は、その反射器の反射面で反射されて、いずれかの受光帯を構成する受光素子によって受光される。そのため、本実施形態によれば、多様な位置に配置された複数の通信装置の間において、空間光信号を用いた通信が可能になる。
【0115】
本実施形態の一態様の通信システムは、上記の通信装置を複数備える。通信システムにおいて、複数の通信装置は、空間光信号を互いに送受信し合うように配置される。本態様によれば、空間光信号を送受信する通信ネットワークを実現できる。
【0116】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る受信器について図面を参照しながら説明する。本実施形態の受信器は、第1の実施形態の受信器が簡略化された構成である。
【0117】
図27~
図28は、本実施形態に係る受信器30の構成の一例を示す概念図である。
図27は、受信器30を横方向から見た側面図である。
図28は、受信器30の断面図である。受信器30は、ボールレンズ31、受光器32、および反射器33を備える。
【0118】
ボールレンズ31は、受光帯321が形成する環に載置される。受光器32は、受光帯321および受光板325を有する。受光帯321は、環状に配置された複数の受光素子320によって構成される。受光帯321を構成する複数の受光素子320は、受光帯321が形成する環の内側に受光面を向けて配置される。受光板325は、少なくとも一つの受光素子320を含む。受光板325に含まれる受光素子320は、受光器32に載置されたボールレンズ31に受光面を向けて、受光帯321が形成する環の内側に配置される。反射器33は、受光帯321と受光板325との間に形成された隙間に配置される。
【0119】
以上のように、本実施形態の受信器は、多様な方向から到来する光信号を、ボールレンズによって集光する。ボールレンズによって集光された光信号は、受光帯または反射器に集光される。受光帯に集光された光信号は、その受光帯を構成する受光素子によって受光される。反射器に集光された光信号は、その反射器の反射面で反射されて、いずれかの受光帯を構成する受光素子によって受光される。そのため、本実施形態の受信器によれば、多様な方向から到来する光信号を効率よく受信できる。
【0120】
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、
図29の情報処理装置90を一例としてあげて説明する。なお、
図29の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0121】
図29のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図29においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0122】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを、主記憶装置92に展開する。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0123】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0124】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0125】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0126】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成としてもよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0127】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0128】
また、情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0129】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図29のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0130】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
【0131】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0132】
1 受信装置
10、30 受信器
11、31 ボールレンズ
12、32 受光器
13 反射器
15 受信回路
16 再帰反射器
20 通信装置
21 受信装置
25 制御装置
27 送信装置
120、320 受光素子
121 第1受光帯
122 第2受光帯
123 第3受光帯
125 受光板
131 第1反射器
132 第2反射器
133 第3反射器
135 反射体
151 受信制御部
152 光学制御部
153 通信制御部
155 第1増幅器
156 第2増幅器
160 変調素子
161 第1再帰反射器
162 第2再帰反射器
211、212、213 親機
221、222、223 子機
271 光源
273 空間光変調器
275 曲面ミラー
277 制御部
321 受光帯
325 受光板