(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003854
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20240109BHJP
A47J 31/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
A47J31/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103157
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】真田 智之
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082BB01
3E082CC01
3E082CC03
3E082DD01
3E082EE01
3E082FF09
4B104AA12
4B104BA68
4B104EA11
4B104EA21
(57)【要約】
【課題】既存の飲料供給装置の構造を大幅に変更することなく、高さの異なる容器に飲料を飛散させることなく注出できるようにする。
【解決手段】飲料供給装置10は、飲料の注出口35aから飲料を供給可能とする飲料供給部30と、注出口35aの下側に設けられて飲料供給部30から供給される飲料を受ける容器を載置する載置部21を有した容器載置台20とを備え、載置部21には高さの低い容器を注出口35aに近づけるための嵩上げ載置台40を着脱可能に設け、嵩上げ載置台40の底部には載置部に形成した飲料を下側に通過させる通水孔21cに係合して嵩上げ載置台40の水平方向の位置決めする位置決め突部40cを設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料の注出口から飲料を供給可能とする飲料供給部と、
前記注出口の下側に設けられて前記飲料供給部から供給される飲料を受ける容器を載置する載置部を有した容器載置台とを備え、
前記載置部には飲料を下側に通過させる多数の通水孔が形成された飲料供給装置であって、
前記載置部には高さの低い容器を前記注出口に近づけるための嵩上げ載置台を着脱可能に設け、
前記嵩上げ載置台の底部には前記載置部の通水孔に係合して前記嵩上げ載置台の水平方向の位置決めをする位置決め突部を設けたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料供給装置において、
前記嵩上げ載置台の前記容器を載置する嵩上げ載置部には飲料を下側に通過させる多数の通水孔が形成され、
前記嵩上げ載置台は前側を覆う前壁を備えたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料供給装置において、
前記嵩上げ載置台の前壁内面は前記載置部にて最も前側に配置される前記通水孔の前端より後側に配置されたことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の飲料供給装置において、
前記嵩上げ載置台には前壁より前方に突出する突出部を形成したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の飲料供給装置において、
前記突出部は前記嵩上げ載置台の前壁上部に形成されたものであり、
前記突出部の上面には前記嵩上げ載置部側が低くなるように傾斜した凹部を形成したことを特徴とする飲料供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の飲料供給装置において、
前記載置部には左右方向に延びる複数の横格子部と、前後方向に延びる複数の縦格子部を交差させて格子状に形成することで前記多数の通水孔を形成したものであり、前記位置決め突部を前記縦格子部に係合させることによって前記嵩上げ載置台の左右方向の位置決めするようにしたことを特徴とする飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料の注出口から飲料を供給可能とする飲料供給装置に関し、特に、高さの異なる容器に飲料を供給可能とする飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には飲料自動供給装置の発明が開示されている。この飲料自動供給装置は、飲料の粉末原料を収容する原料タンクと、温水タンクとを備え、原料タンクから供給される粉末原料と温水タンクから供給される湯とを撹拌混合して飲料を生成し、生成した飲料を注出口から受台に載置したポット、水差しまたはコップ等の容器に注出するものである。
【0003】
この飲料自動供給装置の受台の容器の載置面は、ポットや水差しのような高さの高い容器を載置可能とするために注出口と高さ方向に離れており、受台にはコップ等の高さの低い容器を注出口に近づけるためのコップ受台が設けられている。コップ受台は、受台の後部にてコップを水平に支持する水平位置と受台の後部に待避させた待避位置との間で蝶番によって水平軸線回りに回動可能に軸支されている。ポット、水差し等の高さの高い容器に飲料を注出するときには、コップ受台を上方に回動させて受台の後部にて待避位置に待避させることで、高さの高い容器を受台に載置することができる。また、コップ等の高さの低い容器に飲料を注出するときには、コップ受台を水平位置に回動させることで、コップ受台に載置したコップ等の高さの低い容器の上面開口部を注出口に近づけるようにして、注出口から注出される飲料をコップ等の高さの低い容器から飛散させないようにしている。
【0004】
特許文献2には給茶機よりなる飲料ディスペンサの発明が開示されている。この飲料ディスペンサは、茶漉し内の茶葉に湯を吐出させて生成した茶を注出口から載置台に載置したポット、急須または土瓶等の容器に供給可能としたものである。載置台にポットを載置してから茶を供給するためのスイッチを操作すると、茶漉し内の茶葉に湯が吐出され、茶漉しを通過して生成された茶は下側の漏斗内に流下し、漏斗内に流下した茶は下端の注出口からポットに注出される。
【0005】
また、この飲料ディスペンサにおいては、急須や土瓶のような高さの低い容器に茶を注出するときには、漏斗の注出口が急須や土瓶の上面開口部から離れることになる。注出口から注ぎ出される茶が急須や土瓶の上面開口部に注がれずに周囲に飛散するのを防止するために、漏斗の注出口には下方に延びるノズルが着脱可能に取り付けられている。漏斗の注出口にノズルを取り付けることで、ノズルの下端出口は急須や土瓶の上面開口部の直上に配置されるようになり、注出される茶が急須や土瓶から飛散しないようになる。漏斗の注出口にノズルを取り付けた状態で載置台に急須や土瓶を載置してから茶を供給するためのスイッチを操作すると、茶漉し内の茶葉に湯が吐出されて茶漉しの下側の漏斗内に茶となって流下し、漏斗内に流下した茶は下端の注出口からノズルを通って急須や土瓶に注出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭52-120085号公報
【特許文献2】特開2002-321796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の飲料自動供給装置においては、受台に高さの低いコップ等の容器を載置するためのコップ受台を設けているので、注出口から注出される飲料をコップ等の容器から飛散しにくくすることができる。この飲料自動供給装置においては、コップ受台は受台の後部に蝶番によって回動可能に軸支されているので、コップ受台の取付部分の強度や耐久性を高くする必要があり、飲料自動供給装置の製造コストが高くなる問題があった。また、コップ受台は受台の後部に蝶番によって取り付けられているので、受台が飛散した飲料によって汚れても清掃性がよくない問題もあった。さらに、特許文献1の飲料自動供給装置のコップ受台は受台に予め取り付けられているものであるので、コップ受台を備えていない既存の飲料自動供給装置にコップ受台を追加で搭載することができなかった。
【0008】
特許文献2の飲料ディスペンサにおいては、注出口にノズルを着脱可能に取り付けることで、飲料が注出されるノズルの下端出口を急須や土瓶の上面開口部の直上に配置することができ、ノズルの下端開口から注出される茶は周囲に飛散することなく急須や土瓶等の容器に注出されるようになる。この飲料ディスペンサにおいては、ノズルは注出口に着脱可能に取り付けられているので、注出される飲料が注出口とノズルの取付部分に残るおそれがあり、注出口とノズルとを清潔に保ちにくかった。また、特許文献2の飲料ディスペンサのノズルは注出口に着脱可能に取り付けられるものであり、既存の飲料ディスペンサにノズルを追加で取り付けることができなかった。本発明は、既存の飲料供給装置の構造を大幅に変更することなく、高さの異なる容器に飲料を飛散させることなく注出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するため、飲料の注出口から飲料を供給可能とする飲料供給部と、注出口の下側に設けられて飲料供給部から供給される飲料を受ける容器を載置する載置部を有した容器載置台とを備え、載置部には飲料を下側に通過させる多数の通水孔が形成された飲料供給装置であって、載置部には高さの低い容器を注出口に近づけるための嵩上げ載置台を着脱可能に設け、嵩上げ載置台の底部には載置部の通水孔に係合して嵩上げ載置台の水平方向の位置決めをする位置決め突部を設けたことを特徴とする飲料供給装置を提供するものである。
【0010】
上記のように構成した飲料供給装置においては、載置部には高さの低い容器を注出口に近づけるための嵩上げ載置台を着脱可能に設け、嵩上げ載置台の底部には載置部の通水孔に係合して嵩上げ載置台の水平方向の位置決めをする位置決め突部が設けられている。高さの高い容器に飲料を注出するときには、容器載置台の載置部に嵩上げ載置台を取り外した状態とし、載置部に高さの高い容器を載置すると、高さの高い容器の上面開口部は注出口の近くに位置するので、注出口から注出される飲料が高さの高い容器の周囲に飛散しにくい。これに対し、高さの低い容器に飲料を注出するときには、嵩上げ載置台の底部の位置決め突部を載置部の通水孔に係合させるようにして、容器載置台の載置部に嵩上げ載置台を設置してから、嵩上げ載置台に高さの低い容器を載置すると、高さの低い容器の上面開口部を嵩上げ載置台によって注出口に近づけることができ、注出口から注出される飲料が高さの低い容器の周囲に飛散しにくくすることができる。
【0011】
高さの低い容器に飲料を注出するときに、容器載置台の載置部に形成された通水孔に嵩上げ載置台の位置決め突部を係合させるようにして、容器載置台の載置部に嵩上げ載置台を水平方向に移動が規制されて位置決めした状態で設置することができるので、既存の飲料供給装置の構造を大幅に変更する必要がなく、飲料供給装置の製造コストが大幅に高くならない。また、位置決め突部を載置部の通水孔に係合または解離させることで、嵩上げ載置台を載置部に着脱させることができるので、高さの異なる容器への飲料の供給に素早く対応することができるだけでなく、嵩上げ載置台の清掃等のメンテナンスの作業性を高めることができる。
【0012】
上記のように構成した飲料供給装置においては、嵩上げ載置台の容器を載置する嵩上げ載置部には飲料を下側に通過させる多数の通水孔が形成され、嵩上げ載置台は前側を覆う前壁を備えるのが好ましい。注出口から容器に注がれなかった飲料や容器から溢出する飲料は嵩上げ載置部の通水孔から容器載置台の載置部に落下するが、落下した飲料が載置部で跳ね上がっても嵩上げ載置台の前壁によって前側に飛び散らないので、容器載置台の前側が飛散した飲料によって汚れるのを防ぐことができる。この場合において、嵩上げ載置台の前壁内面は載置部にて最も前側に配置される通水孔の前端より後側に配置されるのが好ましい。このようにしたときには、嵩上げ載置部から落下して載置部で跳ね上がった飲料が嵩上げ載置台の前壁に付着することになるが、付着した飲料は前壁内面に沿って流れ落ちてから載置部の通水孔から流れ落ちるようになるので、容器載置台の前側が飲料によって汚れるのを防ぐことができる。
【0013】
これらの場合において、嵩上げ載置台には前壁より前方に突出する突出部を形成するのが好ましい。嵩上げ載置台の前壁が載置部の前端より後側に配置されていても、嵩上げ載置台には前壁より前方に突出する突出部が設けられているので、突出部を把持することによって嵩上げ載置台を持ち上げやすくなって、嵩上げ載置台を容器載置台の載置部に着脱させやすくなる。突出部を嵩上げ載置台の前壁上部に前方に突出して形成したときに、突出部の上面には嵩上げ載置部側が低くなるように傾斜した凹部を形成するのが好ましい。このようにしたときには、容器から溢れ出た飲料が突出部の上面に流れ落ちたとしても、流れ落ちた飲料は、突出部の凹部から嵩上げ載置部側に流れ、嵩上げ載置部の通水孔から容器載置台の載置部の通水孔を通って下方に流れ落ちるようになり、突出部の上面に飲料が残るのを防ぐことができる。
【0014】
上記のように構成した飲料供給装置においては、載置部には左右方向に延びる複数の横格子部と、前後方向に延びる複数の縦格子部を交差させて格子状に形成することで多数の通水孔を形成したものであり、位置決め突部を縦格子部に係合させることによって嵩上げ載置台の左右方向の位置決めするのが好ましい。このようにしたときには、位置決め突部を縦格子部に係合させるだけで嵩上げ載置台を載置部に対して左右に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】容器載置台から嵩上げ載置台を前側に移動させた状態の
図1の下部の拡大斜視図である。
【
図3】
図1の前面パネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図1の左右方向の中央部を前後方向に沿って切断した縦方向断面図である。
【
図7】嵩上げ載置台の嵩上げ載置部の平面図である。
【
図8】嵩上げ載置台の左右方向の中央部の前後方向に沿った縦断面図である。
【
図9】嵩上げ載置台の変形例を示す前側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の飲料供給装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の飲料供給装置10は、給茶機や飲料ディスペンサとも呼ばれるものであり、コップ等の高さの低い容器だけでなくマイボトルと呼ばれる小型の水筒等の高さの高い容器に湯や茶等の飲料を供給可能としたものである。
図1及び
図2に示したように、この飲料供給装置10は、マイボトルと呼ばれる小型の水筒等の高さの高い容器を載置可能な高さを有する容器載置台20を備え、この容器載置台20にコップ等の高さの低い容器を飲料の注出口35aに近づけるための嵩上げ載置台40を着脱可能に取り付けるようにしたものである。以下にこの飲料供給装置10を詳細に説明する。
【0017】
図1~
図3に示したように、飲料供給装置10は、略直方体形状のハウジング11を備え、ハウジング11は前側が開口したハウジング本体12と、ハウジング本体12の前面開口を塞ぐ前面パネル13とから構成されている。前面パネル13はハウジング本体12の右側部に鉛直軸線回りに回動可能に軸支されており、ハウジング本体12の前側の開口は前面パネル13を回動することによって開放可能となる。
図3及び
図4に示したように、ハウジング11内の前後方向の中間部には仕切板14が設けられており、ハウジング11内の仕切板14に仕切られた前部には茶等の飲料を生成する飲料生成室15が形成され、ハウジング11内の仕切板14に仕切られた後部には機械室16が形成されている。
【0018】
図1及び
図2に示したように、前面パネル13の下部には左右方向の中央部に開口部13aが形成されており、飲料生成室15内の下部にはこの開口部13aが形成された位置に飲料を受ける容器を載置する容器載置台20が設けられている。
図1~
図4に示したように、容器載置台20は、容器を載置する載置部21と、載置部21の上側を覆うカバー部22とを備えている。
図5に示したように、載置部21は、左右方向に延びて前後に互いに平行に配置される複数の横格子部21aと前後方向に延びて左右に互いに並行に配置される3本の縦格子部21bとを交差させて格子状(簀の子状)に形成するようにしたものであり、横格子部21aと縦格子部21bとによって飲料を下側に通過させる多数の通水孔21cが形成されている。
【0019】
図4に示したように、載置部21の下側には受皿部23が設けられており、載置部21の通水孔21cから下方に流れる飲料は受皿部23で受けられる。受皿部23で受けられた飲料は排水管24を通って外側に排出される。
図2及び
図5に示したように、載置部21の前半部の左右方向の中央部には容器を載置する場所の目印となる目印部21dが形成されており、目印部21dは後述する飲料供給部30から飲料を供給するための注出口35aの鉛直方向の下側に配置されている。
図1~
図4に示したように、カバー部22は、載置部21の上側の後部、左右両側部及び上部を覆うものであり、載置部21にマイボトルと呼ばれる小型の水筒等の高さの高い容器を載置可能な高さとなっている。カバー部22の上部には飲料供給部30の注出口35aが配置されており、注出口35aは載置部21の目印部21dの鉛直方向の上側に配置されている。
【0020】
図3及び
図4に示したように、飲料生成室15には容器載置台20の載置部21に載置した容器内に飲料を供給する飲料供給部30が設けられている。この実施形態では、飲料生成室15には茶葉に湯を注ぐことによって茶を供給する飲料供給部30が設けられている。飲料供給部30は、茶葉を貯える茶葉貯蔵部31と、茶葉貯蔵部31内の茶葉を送り出す茶葉送出部32と、茶葉送出部32から送出される茶葉を受ける茶漉し部33と、茶漉し部33に吐出する湯を供給する給湯部34と、茶漉し部33で生成される茶を受ける漏斗部35とを備えている。
【0021】
図3及び
図4に示したように、茶葉貯蔵部31は茶葉を貯えるものであり、茶葉貯蔵部31の下端にはシャッタ付きの茶葉送出口31aが設けられている。茶葉貯蔵部31の下部には茶葉を所定量ずつ送出させる定量ドラムを備えた茶葉送出部32が設けられており、茶葉貯蔵部31内の茶葉は茶葉送出部32の定量ドラムを回動させることよって茶葉送出口31aから下側の茶漉し部33に送り出される。茶漉し部33は略半球状の網部材を備え、茶葉貯蔵部31から茶葉送出部32によって送出される茶葉を受けるようにしたものである。茶漉し部33は仕切板14に前後方向を軸線回りとして回動可能に軸支されており、茶漉し部33内の使用後の茶葉(茶がら)は茶漉し部33を左側に回動させることによって左側に設けた回収箱36内に廃棄される。また、茶漉し部33の上側には給湯部34の第1給湯管34aが配設されており、茶漉し部33には第1給湯管34aから湯が供給可能となっている。なお、給湯部34は機械室16内に貯湯タンク34bを備えており、貯湯タンク34b内の湯は第1給湯管34aから茶漉し部33に供給される。
【0022】
図3及び
図4に示したように、茶漉し部33の下側には漏斗部35が設けられており、漏斗部35は茶漉し部33にて茶葉に湯を吐出することで生成される茶を受けるものである。漏斗部35は上面が開口した略半球状のお椀形をし、漏斗部35の内側に茶漉し部33が配置されている。漏斗部35の下端部には受けた茶を注ぎ出すための注出口35aが形成されており、茶漉し部33にて生成された茶は漏斗部35で受けられて下端の注出口35aから容器載置台20の載置部21に載置した容器に注出されて供給される。また、漏斗部35の前側には給湯部34の第2給湯管34cが配設されており、機械室16内の貯湯タンク34b内の湯は第2給湯管34cを通って容器載置台20の載置部21に載置した容器に注出されて供給される。なお、第2給湯管34cの注出口は漏斗部35の注出口35aと同じ高さ位置に配置されている。
【0023】
図2及び
図4に示したように、載置部21は、注出口35aとの高さ関係でマイボトルと呼ばれる小型の水筒等の高さの高い容器を載置するのに適した位置に配置されており、容器載置台20の載置部21には小型の水筒等の高さの高い容器よりも高さの低いコップ等の容器を注出口35aに近づけるための嵩上げ載置台40が着脱可能に設けられている。
【0024】
図2、
図4、
図6~
図8に示したように、嵩上げ載置台40は下側が開いた略箱形をしており、嵩上げ載置台40は上面部にコップ等の高さの低い容器を載置するための嵩上げ載置部41を備えている。
図7に示したように、嵩上げ載置部41は、容器載置台20の載置部21と同様に、左右方向に延びて互いに平行に配置される複数の横格子部41aと前後方向に延びて互いに並行に配置される3本の縦格子部41bとを交差させて格子状(簀の子状)に形成するようにしたものであり、横格子部41aと縦格子部41bとによって飲料を下側に通過させる多数の通水孔41cが形成されている。嵩上げ載置部41の前半部の左右方向の中央部には容器を載置する目印部41dが形成されており、目印部41dは飲料供給部30から飲料を供給するための注出口35aの鉛直方向の下側に配置されている。
【0025】
図6に示したように、嵩上げ載置台40の前壁40aの下端部には左右方向の中央部の左右両側に下方に突出する位置決め突部40cが形成されており、位置決め突部40cは載置部21の通水孔21cに係合して嵩上げ載置台40が水平方向に移動するのを規制して嵩上げ載置台40の水平方向の位置決めをしている。この実施形態では、載置部21の通水孔21cは前後方向に互いに平行に等間隔に並べて配置される複数の横格子部20aと3本の縦格子部20bとの間に形成され、位置決め突部40cの厚みは通水孔21cの前後方向の長さ、すなわち横格子部20aの前後の間隔より少し薄くなっている。
図5の一点鎖線で示したように、嵩上げ載置台40は、位置決め突部40cが通水孔21c内にて前後の横格子部20aに係合することで前後方向への移動が規制されて前後方向に位置決めされている。また、左側の位置決め突部40cの右端部が左側に配置されている縦格子部20bに左側から係合し、右側の位置決め突部40cの左端部が右側に配置されている縦格子部20bに右側から係合し、嵩上げ載置台40は、位置決め突部40cが通水孔21c内にて左右の縦格子部20bに係合することによって左右方向への移動が規制されて左右方向に位置決めされている。
【0026】
嵩上げ載置台40の前壁40aの前面には左右方向の中央部に内側に凹む凹面部40bが形成されており、凹面部40bの左端部は左側の位置決め突部40cの右端部より右側の位置となっており、凹面部40bの右端部は右側の位置決め突部40cの左端部より左側の位置となっている。凹面部40bは後述する嵩上げ載置台40の前壁40aの上部に前方に突出して設けた突出部42の下面開口部内に手指を挿入しやすくしている。
【0027】
図4に示したように、嵩上げ載置台40の前壁40aは、嵩上げ載置部41の通水孔41cを通過した飲料が容器載置台20の載置部21に当たって跳ね上がったときに、容器載置台20の前側に飛散するのを防ぐ機能を有している。また、嵩上げ載置台40の前壁40aの内面は、容器載置台20の載置部21の最も前側に配置された通水孔21cよりも後側に配置されており、嵩上げ載置部41の通水孔41cを通過して容器載置台20の載置部21に当たって跳ね上がる飲料は嵩上げ載置台40の前壁40aの内面に沿って流れ落ち、流れ落ちた飲料は載置部21の通水孔21cから下側の受皿部23で受けられるようになる。
【0028】
図6~
図8に示したように、嵩上げ載置台40の前壁40aの上部には前方に突出する突出部42が形成されており、突出部42は前壁40aの左右方向の中央部にて嵩上げ載置部41の目印部41dの前側に形成されている。突出部42は主として嵩上げ載置台40を容器載置台20に着脱するときに把持用として使用され、突出部42には下側から手指を入れる下面開口部が形成されている。この実施形態の嵩上げ載置台40の前壁40aは容器載置台20の前端よりも後側に配置されているので、嵩上げ載置台40は突出部42以外の部分を前側から把持しにくくなっている。嵩上げ載置台40の前壁40aの上部に突出部42を設けたことで、嵩上げ載置台40を持ち上げやすくすることができる。また、突出部42は嵩上げ載置台40の前壁40aの上部にて左右方向の中央部に形成されているので、嵩上げ載置台40は突出部42を把持して持ち上げたときの左右のバランスが良好となる。
【0029】
図6~
図8に示したように、突出部42は嵩上げ載置部41から溢出した飲料を受けて嵩上げ載置部41から前側に落下するのを防ぐ機能も有しており、突出部42の上面には飲料を一時的に受ける凹部42aが形成されている。凹部42aは嵩上げ載置部41側が低くなるように傾斜しており、凹部42aで受けた飲料は嵩上げ載置部41に流れる。嵩上げ載置部41に載置したコップ等の容器から溢出した飲料が突出部42の上面の凹部42aに流れ落ちても、飲料は突出部42の上面の凹部42aから嵩上げ載置部41側に流れる。嵩上げ載置部41側に流れた飲料は通水孔41cから下側の容器載置台20の載置部21に流れ落ち、載置部21に流れ落ちた飲料は載置部21の通水孔21cを通って受皿部23で受けられて排水管24を通って排出される。
【0030】
上記のように構成した飲料供給装置10において、マイボトルと呼ばれる小型の水筒等の高さの高い容器に茶を注出するときには、容器載置台20から嵩上げ載置台40を取り外した状態とし、容器載置台20の載置部21の目印部21dに小型の水筒等の容器を載置する。載置部21は飲料の注出口35aとの関係で小型の水筒等の高さの高い容器を載置するのに適した高さ位置となっているので、載置部21に載置した小型の水筒等の容器の上面開口部は飲料の注出口35aの直ぐ下側に位置する。前面パネル13の茶用の注出スイッチを押下操作すると、給湯部34の第1給湯管34aから茶漉し部33に湯が吐出され、茶漉し部33を通過して生成された茶が漏斗部35で受けられて注出口35aから載置部21に載置した小型の水筒等の容器の開口部から内部に注出される。
【0031】
これに対し、コップ等の高さの低い容器に茶を注出するときには、容器載置台20の載置部21に嵩上げ載置台40を取り付けるようにし、嵩上げ載置台40の嵩上げ載置部41の目印部41dにコップ等の容器を載置する。嵩上げ載置部41は飲料の注出口35aとの関係でコップ等の高さの低い容器を載置するのに適した高さ位置となっているので、嵩上げ載置部41に載置したコップ等の容器の上面開口部は飲料の注出口35aの直ぐ下側に位置する。前面パネル13の茶用の注出スイッチを押下操作すると、給湯部34の第1給湯管34aから茶漉し部33に湯が吐出され、茶漉し部33を通過して生成された茶が漏斗部35で受けられて注出口35aから載置部21に載置したコップ等の容器の開口部から内部に注出される。このように、容器載置台20の載置部21に嵩上げ載置台40を着脱するだけで、異なる高さの容器の上面開口部を飲料の注出口35aに近づけることができ、注出する飲料が周囲に飛散するのを防ぐことができる。
【0032】
上記のように構成した飲料供給装置10は、飲料の注出口35aから茶等の飲料を供給可能とする飲料供給部30と、注出口35aの下側に設けられて飲料供給部30から供給される茶を受ける容器を載置する載置部21を有した容器載置台20とを備え、載置部21には飲料を下側に通過させる多数の通水孔21cが形成されている。この飲料供給装置10においては、載置部21には高さの低い容器を注出口35aに近づけるための嵩上げ載置台40が着脱可能に設けられ、嵩上げ載置台40の底部には載置部21の通水孔21cに係合して嵩上げ載置台40の水平方向の位置決めをする位置決め突部40cが設けられている。
【0033】
マイボトルのような小型の水筒等の高さの高い容器に飲料を注出するときに、容器載置台20の載置部21から嵩上げ載置台40を取り外した状態とし、載置部21にマイボトルのような小型の水筒等の高さの高い容器を載置すると、高さの高い容器の上面開口部は注出口35aの近くに位置するので、注出口35aから注出される飲料が高さの高い容器の周囲に飛散しにくい。これに対し、コップ等の高さの低い容器に飲料を注出するときには、嵩上げ載置台40の底部の位置決め突部40cを容器載置台20の載置部21の通水孔21cに係合させるようにして、容器載置台20の載置部21に嵩上げ載置台40を設置することで、コップ等の高さの低い容器の上面開口部を嵩上げ載置台40によって注出口35aに近づけることができ、注出口35cから注出される飲料が高さの低い容器の周囲に飛散しにくくすることができる。
【0034】
コップ等の高さの低い容器に飲料を注出するときに、容器載置台20の載置部21に形成された通水孔21cに嵩上げ載置台40の位置決め突部40cを係合させるようにして、嵩上げ載置台40は容器載置台20の載置部21に水平方向に移動が規制された状態で水平方向に位置決めされて設置されるようになるので、既存の飲料供給装置10の構造を大幅に変更する必要がなく、飲料供給装置10の製造コストが大幅に高くならない。また、嵩上げ載置台40の位置決め突部40cを容器載置台20の載置部21の通水孔21cに係合または解離させることで、嵩上げ載置台40を載置部21に着脱させることができるので、高さの異なる容器への飲料の供給に素早く対応することができるだけでなく、嵩上げ載置台40の清掃等のメンテナンスの作業性を高めることができる。
【0035】
この実施形態の飲料供給装置10においては、載置部21には左右方向に延びる複数の横格子部21aと、前後方向に延びる3本(複数)の縦格子部21bを交差させて格子状に形成することで多数の通水孔21cを形成したものである。嵩上げ載置台40の前壁40aの下端部に形成された位置決め突部40cは、載置部21の前部に配置されている2本の横格子部21aの間に挿通されて前後の横格子部21aの間に係合されるとともに、左右の縦格子部21bに係合され、嵩上げ載置台40は、横格子部21aと縦格子部21bによって前後及び左右方向への移動が規制され、前後及び左右方向に位置決めされている。位置決め突部40cは、嵩上げ載置台40の前壁40aの下端部に形成されているので、位置決め突部40cを載置部21の前部に配置される前後の横格子部21aの間及び左右の縦格子部21bに前側から視認した状態で係合させることができ、嵩上げ載置台40の着脱の作業性を高くすることができる。
【0036】
なお、飲料供給装置10においては、左右の位置決め突部40cを左右の縦格子部21bの外側から係合させたものに限られるものでなく、
図9に示したように、左右の位置決め突部40cの左右方向の中央部に切欠部40dを形成し、左右の位置決め突部40cを載置部21の前部に配置される前後の横格子部21aの間に挿通して係合させた状態で、左右の位置決め突部40cの切欠部40dに縦格子部21bを係合させるようにしたものであってもよい。また、
図9に示したように、嵩上げ載置台40の前壁40aの前面の左右方向の中央部に形成されている凹面部40bの左端部を左側の位置決め突部40cの右端部と左右方向に同じ位置としてもよいし、凹面部40bの右端部を右側の位置決め突部40cの左端部と左右方向に同じ位置としてもよい。このようにしたときには、凹面部40bが左右の位置決め突部40cの内側位置を示すようになり、左右の位置決め突部40cの位置を把握しやすくできる。
【0037】
さらに、
図10に示したように、嵩上げ載置台40の後壁40eの下端部に左右方向にも延びる位置決め突部40fを下方に突出するように形成するようにしたものであってもよい。この場合に、位置決め突部40fには切欠部40gを形成するようにし、各切欠部40gに縦格子部21bを係合させるようにしてもよい。なお、位置決め突部40c、40fは、嵩上げ載置台40の前壁40a及び/または後壁40eに形成されるものに限られるものでなく、嵩上げ載置台40の側壁に形成されたものであってもよい。さらに、嵩上げ載置台40が周囲の壁を備えずに、嵩上げ載置部41を支柱部(脚部)によって支持するようにしたものであっては、支柱部に位置決め突部を設けるようにしたものであってもよい。
【0038】
また、この飲料供給装置10においては、嵩上げ載置台40の容器を載置する嵩上げ載置部41には飲料を下側に通過させる多数の通水孔41cが形成されており、嵩上げ載置台40は前側を覆う前壁40aを備えるようにしている。注出口35aから容器に注がれなかった飲料や容器から溢出する飲料は、嵩上げ載置部41の通水孔41cから容器載置台20の載置部21に落下するが、落下した飲料が載置部21で跳ね上がっても嵩上げ載置台40の前壁40aによって前側に飛び散らないようになる。これにより、容器載置台20の前側が飛散した飲料によって汚れるのを防ぐことができる。
【0039】
また、この飲料供給装置10においては、嵩上げ載置台40の前壁40aの内面は載置部21にて最も前側に配置される通水孔21cの前端より後側に配置されている。嵩上げ載置部41を落下して載置部21で跳ね上がった飲料が嵩上げ載置台40の前壁40aに付着することになるが、付着した飲料は前壁40aの内面に沿って流れ落ちてから載置部21の通水孔21cから受皿部23に流れ落ちるようになるので、容器載置台20の前側が飲料によって汚れるのを防ぐことができる。
【0040】
また、この飲料供給装置10においては、嵩上げ載置台40には前壁40aより前方に突出する突出部42が形成されている。上述したように、嵩上げ載置台40の前壁40aが載置部21の前端より後側に配置されているので、嵩上げ載置台40を突出部42以外で持ち上げにくくなっている。嵩上げ載置台40には前壁40aより前方に突出する突出部42が設けられているので、突出部42を把持することによって嵩上げ載置台40を持ち上げやすくなって、嵩上げ載置台40を容器載置台20の載置部21に着脱させやすくなる。また、突出部42は嵩上げ載置台40の前壁40aの上部に前方に突出するように設けられており、突出部42の上面には嵩上げ載置部41側が低くなるように傾斜した凹部42aが形成されている。容器から溢れ出た飲料が突出部42の上面に流れ落ちたとしても、流れ落ちた飲料は、突出部42の凹部42aから嵩上げ載置部41側に流れ、嵩上げ載置部41の通水孔41cから容器載置台20の載置部21の通水孔21cを通って下方に流れ落ちるようになり、突出部42の上面に飲料が残るのを防ぐことができる。
【0041】
上記の飲料供給装置10の飲料供給部30は、茶漉し部33内の茶葉に湯を吐出させて生成した茶を注出口35aから注出して供給するものであるが、これに限られるものでなく、飲料として水や湯を注出口35aから注出して供給するものや、飲料の原料粉末や濃縮原料液と原料水(原料湯)を撹拌混合して生成した飲料を注出口35aから注出して供給するものであってもよい。
【0042】
10…飲料供給装置、20…容器載置台、21…載置部、21a…横格子部、21b…縦格子部、21c…通水孔、30…飲料供給部、35a…注出口、40…嵩上げ載置台、40a…前壁、40c…位置決め突部、41…嵩上げ載置部、41c…通水孔、42…突出部、42a…凹部。