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特開2024-38544擁壁の3次元計算装置及び擁壁の3次元計算プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038544
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】擁壁の3次元計算装置及び擁壁の3次元計算プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240313BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20240313BHJP
   E01C 1/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G06F30/13
E02D29/02
E01C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142619
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】599143416
【氏名又は名称】株式会社 三英技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 真
【テーマコード(参考)】
2D048
2D051
5B146
【Fターム(参考)】
2D048AA00
2D051CA09
5B146AA04
5B146EA09
5B146EA13
5B146EA15
5B146EC04
(57)【要約】
【課題】擁壁の端部位置及び形状変化点を3次元で精密計算可能にする。
【解決手段】擁壁の3次元計算装置1は、擁壁の属性の入力を受け付ける入力部10bと、入力部10bにより入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算部10cと、計算部10cによる交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置部10aと、設置部10aにより設置された切土法面の切土サーフェスと3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、法面及び擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部10dとを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算装置において、
前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算部と、
前記計算部による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置部と、
前記設置部により設置された前記切土法面の切土サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部とを備えていることを特徴とする擁壁の3次元計算装置。
【請求項2】
請求項1に記載の擁壁の3次元計算装置において、
前記設置部は、前記計算部による交差計算により前記擁壁最大高区間が求まったか否かを判定し、前記擁壁最大高区間が求まったと判定される場合には、前記擁壁最大高区間に前記切土法面を設置する一方、前記擁壁最大高区間が求まったと判定されない場合には、前記擁壁最大高区間に前記切土法面を設置しないように構成されていることを特徴とする擁壁の3次元計算装置。
【請求項3】
3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算装置において、
前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部が前記擁壁の属性の入力を受け付けた場合、法面の端部区間を交点計算により求める計算部と、
前記計算部により求められた前記法面の端部区間内で、前記入力部により入力された属性に基づいた擁壁サーフェスを設置する設置部と、
前記法面の端部区間内で、前記設置部により設置された前記擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部とを備えていることを特徴とする擁壁の3次元計算装置。
【請求項4】
請求項3に記載の擁壁の3次元計算装置において、
前記入力部は、前記擁壁の属性として、少なくとも擁壁の天端幅の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部が前記擁壁の天端幅の入力を受け付けた場合、法面の端部区間を交点計算により求めるように構成されていることを特徴とする擁壁の3次元計算装置。
【請求項5】
3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算装置において、
前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部が前記擁壁の属性の入力を受け付けた場合、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスの平面座標と高さを求めて3次元ポリラインを作成するポリライン生成部と、
前記ポリライン生成部が作成した前記3次元ポリライン基づいて擁壁サーフェスを設置する設置部と、
法面と、前記設置部により設置された前記擁壁サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部とを備えていることを特徴とする擁壁の3次元計算装置。
【請求項6】
請求項5に記載の擁壁の3次元計算装置において、
前記入力部は、前記擁壁の属性として、少なくとも擁壁の根入幅の入力を受け付け、
前記ポリライン生成部は、前記入力部が前記擁壁の根入幅の入力を受け付けた場合、前記3次元ポリラインを生成することを特徴とする擁壁の3次元計算装置。
【請求項7】
3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算プログラムにおいて、
前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力工程と、
前記入力工程で入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算工程と、
前記計算工程による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置工程と、
前記設置工程で設置された前記切土法面の切土サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする擁壁の3次元計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば道路設計などに用いられる擁壁の3次元計算装置及び擁壁の3次元計算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で3次元CADシステムが導入されて設計業務が行われている。道路設計の分野でも3次元CADシステムが導入されており、例えば特許文献1には、3次元道路モデルに擁壁モデルを自動配置するための擁壁の自動配置装置が開示されており、また、特許文献2には、3次元道路モデル上で擁壁に対する安定性の照査のための処理を実行する擁壁の安定性照査装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の自動配置装置は、3次元道路モデル上のセンターラインと法面との距離に基づいて擁壁の配置区間を特定し、特定された配置区間を対象として、擁壁を配置するための基準線を設定し、配置候補とする擁壁形状を基準線に合わせて配置してから擁壁高の調整を自動で実行可能に構成されている。
【0004】
特許文献2の安定性照査装置は、3次元道路モデル上で安定性照査対象とする擁壁の選択を受け付けた後、対象の擁壁の安定性照査処理を実行し、安定性照査の結果に基づいて、3次元道路モデル上で擁壁の色を変更可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6848038号公報
【特許文献2】特許第6848031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の2次元の道路設計で擁壁を計算する場合、擁壁の端部位置や高さの計算を、道路中心線形、縦断勾配、横断勾配、幅員構成によって求めた道路路肩の高さ、地盤高などの情報を元に2次元の平面、横断面から求めていた。よって擁壁の端部位置や高さに矛盾点が生じたりして正確に求める事が難しく、設計図面としての間違いもあった。
【0007】
近年の道路設計の3次元モデル化では既存技術である2次元図面をそのまま3次元モデル化するため整合が取れていない箇所が散見される。すなわち、2次元の横断面を指定ピッチ(例えば5mピッチや1mピッチ)で作成し、作成した各横断面を接続して3次元モデルを作成することが土木の業界では一般的であるが、作成される横断面は指定ピッチごとであるため、指定ピッチ間の横断面は生成されない。擁壁の3次元モデルも同様に指定ピッチで作成した各擁壁断面を接続することによって3次元化しているので、指定ピッチ間の擁壁断面が生成されない。よって、指定ピッチ間の擁壁の形状変化点を求めることができないし、指定ピッチ外に擁壁の端部が位置している場合には、擁壁の端部の位置を求めることができず、3次元の成果品として成り立たないという課題がある。
【0008】
特に、擁壁は建設コスト高となるコンクリートが主要な材料であることから、設計の段階で、主にコンクリートなどの数量を正確に求めたい。その手段として擁壁展開図を作成する方法があるが、擁壁展開図を作成する際には、法面、平盛などの土工部と比べてより正確に端部位置、形状変化点位置、高さを求める必要がある。そこで擁壁の3次元精密計算が行える装置が必要となるが、現状は上述したように指定ピッチで生成した擁壁断面を接続しているだけなので、精度が悪い。
【0009】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、擁壁の端部位置及び形状変化点を3次元で精密計算可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算装置を前提とすることができる。擁壁の3次元計算装置は、前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力部と、前記入力部により入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算部と、前記計算部による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置部と、前記設置部により設置された前記切土法面の切土サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部とを備えている。
【0011】
すなわち、擁壁サーフェスと地形サーフェスとの交差計算によって擁壁最大高区間が得られた場合には、擁壁最大高区間に切土法面が設置される。切土法面の切土サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行することで、擁壁が設置される部分の形状を3次元で連続して精密に得ることができる。
【0012】
また、設置部は、計算部による交差計算により擁壁最大高区間が求まったか否かを判定することもできる。擁壁最大高区間が求まったと判定される場合には、擁壁最大高区間に切土法面を設置することができる。一方、擁壁最大高区間が求まったと判定されない場合には、擁壁最大高区間に前記切土法面を設置しないようにすることができる。
【0013】
本開示の他の態様に係る擁壁の3次元計算装置は、前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力部と、前記入力部が前記擁壁の属性の入力を受け付けた場合、法面の端部区間を交点計算により求める計算部と、前記計算部により求められた前記法面の端部区間内で、前記入力部により入力された属性に基づいた擁壁サーフェスを設置する設置部と、前記法面の端部区間内で、前記設置部により設置された前記擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部とを備えている。
【0014】
この構成によれば、入力部により入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行することで、擁壁が設置される部分の形状を3次元で連続して精密に得ることができる。
【0015】
また、入力部は、擁壁の属性として、少なくとも擁壁の天端幅の入力を受け付けることができる。計算部は、入力部が擁壁の天端幅の入力を受け付けた場合、法面の端部区間を交点計算により求めることができる。
【0016】
本開示の他の態様に係る擁壁の3次元計算装置は、前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力部と、前記入力部が前記擁壁の属性の入力を受け付けた場合、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスの平面座標と高さを求めて3次元ポリラインを生成するポリライン生成部と、前記ポリライン生成部が生成した前記3次元ポリラインに基づいて擁壁サーフェスを設置する設置部と、法面と前記設置部により設置された前記擁壁サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成部とを備えている。
【0017】
この構成によれば、地形サーフェスの平面座標と高さを求めて3次元ポリラインを生成した場合、そのポリラインに基づいて設置された擁壁サーフェスと法面との交差計算を実行することで、擁壁が設置される部分の形状を3次元で連続して精密に得られる。
【0018】
また、入力部は、擁壁の属性として、少なくとも擁壁の根入幅の入力を受け付けることができる。ポリライン生成部は、入力部が擁壁の根入幅の入力を受け付けた場合に3次元ポリラインを作成することができる。
【0019】
また、3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算プログラムは、前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力工程と、前記入力工程で入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算工程と、前記計算工程による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置工程と、前記設置工程で設置された前記切土法面の切土サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させることができる。
【0020】
また、3次元道路モデル上で擁壁を自動計算する擁壁の3次元計算方法を前提とすることもできる。この方法は、前記擁壁の属性の入力を受け付ける入力工程と、前記入力工程で入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算工程と、前記計算工程による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置工程と、前記設置工程で設置された前記切土法面の切土サーフェスと、前記3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、前記法面及び前記擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成工程とを備えている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、切土法面の切土サーフェスと地形サーフェスとの交差計算をすることにより、擁壁の端部位置及び形状変化点を3次元で精密計算できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る擁壁の3次元計算装置の構成図である。
図2】擁壁の3次元計算装置のブロック図である。
図3】3次元道路モデルの一例を示す図である。
図4図3におけるIV-IV線断面図である。
図5】3次元道路モデルの生成手順を示すフローチャートである。
図6】道路中心線形の一例を示す図である。
図7】道路幅員の設定用ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図8】法面サーフェスと地形サーフェスとの交差計算の結果の一例を示す図である。
図9】擁壁の3次元計算処理手順を示すフローチャートである。
図10】擁壁形状の入力用ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図11】擁壁の切土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図12】擁壁の切土根入れ方法を説明する図である。
図13】L型水路付きの擁壁の切土根入れ方法を説明する図である。
図14】擁壁の切土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図15】擁壁の高さを指定して設置する場合を説明する図である。
図16】線形センターから擁壁の天端までの幅を指定して設置する場合を説明する図である。
図17】擁壁の盛土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図18】基礎から地形までの深さで指定する場合を説明する図である。
図19】L型水路と地形との交点で指定するする場合を説明する図である。
図20】擁壁の盛土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図21】擁壁を保護路肩に直接設置する場合を説明する図である。
図22】擁壁の高さを指定して盛土に設置する場合を説明する図である。
図23】線形センターの幅を指定して設置する場合を説明する図である。
図24】擁壁サーフェスと地形サーフェスの交差計算の結果の一例を示す図である。
図25】切土サーフェスと地形サーフェスの交差計算の結果の一例を示す図である。
図26】切土法面が設置された状態を示す横断面図である。
図27】法面の端部区間を交点計算により求めた場合を示す平面図である。
図28】3次元ポリラインを表示した例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る擁壁の3次元計算装置1の構成図であり、図2は、擁壁の3次元計算装置1のブロック図である。擁壁の3次元計算装置1は、パーソナルコンピュータで構成されており、本体部10と、表示部11と、操作部12と、記憶装置13とを備えている。本体部10は、制御部10Aと通信モジュール10Bを有している。制御部10Aは、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM及びRAM(メモリ)等で構成されており、プログラムに従って動作する。メモリは、CPUが擁壁の3次元計算プログラムを実行する際に当該プログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。また、通信モジュール10Bは、例えばインターネット等を介して外部の端末と通信する部分であり、データの送信、データの受信等が行えるように構成されている。
【0025】
制御部10Aにより、後述する設置部10a、入力部10b、計算部10c、モデル生成部10d、ポリライン生成部10e等が構成されている。設置部10a、入力部10b、計算部10c、モデル生成部10d及びポリライン生成部10eは、制御部10Aを構成しているハードウェアのみで構成されていてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成されていてもよい。例えば、CPUが3次元計算プログラムを実行することで、設置部10a、入力部10b、計算部10c、モデル生成部10d、ポリライン生成部10eの各機能を制御部10Aが実現可能になる。
【0026】
表示部11は、例えば液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等で構成されている。表示部11は、制御部10Aに接続されており、制御部10Aによって制御され、各種設定画面、入力画面、設計画面、解析画面等の表示が可能になっている。
【0027】
操作部12は、ユーザが擁壁の3次元計算装置1を操作するための機器で構成されている。操作部12には、例えばキーボード12a及びマウス12bが含まれているが、これら以外にも表示部11に組み込まれたタッチ操作パネルや、各種ポインティングデバイス等が含まれていてもよい。操作部12は、制御部10Aに接続されており、ユーザの操作部12による操作が制御部10Aで検出可能になっている。
【0028】
記憶装置13は、各種データやプログラム等を記憶可能なハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等で構成されている。記憶装置13は制御部10Aに接続されており、制御部10Aからの指示に従い、送られてきたデータの記憶、及び記憶されているデータの読み出しを実行する。記憶装置13は、本体部10に内蔵されていてもよいし、本体部10の外部に設けられていてもよい。また、記憶装置13は、外部のサーバや、いわゆるクラウド型のストレージシステムであってもよい。また、記憶装置13の一部のみ本体部10に内蔵し、他を外部に設けてもよい。
【0029】
記憶装置13には、後述する各工程をコンピュータに実行させる擁壁の3次元計算プログラムが記憶されている。この擁壁の3次元計算プログラムのユーザへの提供形態は特に限定されるものではなく、例えば図1に示すようにCD-ROMやDVD-ROMなどのような記録媒体Aに記録された状態でユーザに提供されてもよいし、インターネット等を介して外部サーバからダウンロード可能な形態でユーザに提供されてもよい。提供された擁壁の3次元計算プログラムを汎用のパーソナルコンピュータにインストールすることで、当該パーソナルコンピュータを擁壁の3次元計算装置1として使用することが可能になる。
【0030】
尚、汎用のパーソナルコンピュータに擁壁の3次元計算プログラムをインストールする際には記憶装置13にインストールすればよい。また、汎用のパーソナルコンピュータを、擁壁の3次元計算プログラムがインストールされた外部サーバにアクセスさせることで、擁壁の3次元計算装置1として使用することも可能であり、擁壁の3次元計算プログラムのインストール場所は特に限定されるものではない。
【0031】
擁壁の3次元計算装置1は、道路設計を支援するためのソフトウェアを使用し、図3に一例を示すような3次元道路モデル100を作成することができるとともに、作成した3次元道路モデル100上で擁壁を自動計算する処理を実行する装置である。3次元道路モデル100を構成するデータは、例えば記憶装置13に記憶されている。記憶装置13から読み出したデータを制御部10Aが図3に示すような3次元道路モデル100を表す画像に変換して表示部11に表示させる。これにより、ユーザは表示部11上で3次元道路モデル100を確認できる。尚、3次元道路モデルはカラー画像で表されている。
【0032】
図4にも示すように、3次元道路モデル100は、本線道路101と、ランプ(連結道)102と、側道103と、一般道104とを有している。本線道路101は、例えば高速道のように幅が広い道路である。ランプ102は、本線道路101と一般道104とを連結する道路であり、本線道路101よりも幅が狭く、図3に示している部分では、本線道路101よりも下に位置している。また、ランプ102は、本線道路101への合流部へ向かって登り勾配になるとともに、本線道路101に接近する。側道103はランプ102よりも下に位置している。
【0033】
ランプ102が本線道路101よりも下に位置しているので、本線道路101とランプ102との間には、盛土105が形成される。また、盛土105とランプ102との間には、平盛(平らな部分)106が形成される。ランプ103と側道103との間には、盛土107と擁壁110が形成される。側道103の擁壁110と反対側には盛土109が形成される。
【0034】
図3に示す3次元道路モデル100は、従来から周知の道路設計用CAD(ソフトウェア)を用いて生成することができる。具体的には、道路設計用CADソフトウェアがインストールされた擁壁の3次元計算装置1を使用し、図5に示すフローチャートの手順を経ることで、3次元道路モデル100を生成できる。
【0035】
スタート後のステップSA1では、道路中心線形のユーザによる入力を受け付ける。道路中心線形は、例えば図6に一例を示すように、直線、円弧、クロソイド曲線等の要素の組み合わせによって構成されるものであり、起点と終点が固定されていて、その間の必ず通過したい通過点も固定されている。固定された点の間が上記要素の組み合わせで構成される。
【0036】
道路中心線形の入力する際にはユーザが操作部12を操作する。操作部12でどのような操作が行われたかは、制御部10Aの入力部10bで検出される。入力部10bは、操作部12の操作を検出することで、道路中心線形の入力を受け付ける。図3に示す例では、本線道路101、ランプ102、側道103が存在しているので、入力部10bは、本線道路101、ランプ102、側道103のそれぞれの道路中心線形の入力を受け付ける。つまり、入力部10bは、互いに異なる第1の道路中心線形と第2の道路中心線形の入力を受け付けるように構成されており、これにより、複数線形を前提とした3次元道路モデル100を生成できる。
【0037】
ステップSA2では、縦断勾配及び横断勾配のユーザによる入力を受け付ける。縦断勾配及び横断勾配の入力は、縦端面形状を示した図及び横断面形状を示した図から入力する画面入力方法であってもよいし、測定点ごとに勾配を数値で入力する数値入力方法であってもよい。いずれの方法であっても、入力部10bは、操作部12の操作を検出することで、縦断勾配及び横断勾配の入力を受け付ける。
【0038】
ステップSA3では、道路幅員のユーザによる設定を受け付ける。道路幅員の入力は、例えば図7に示す道路幅員の設定用ユーザインタフェース画面200を用いて行うことができる。制御部10Aは、道路幅員の設定用ユーザインタフェース画面200を生成して表示部11に表示させる。道路幅員の設定用ユーザインタフェース画面200には、道路区分、斜線数、中央帯、分離帯、側帯、各車線の幅員、路肩幅等を個別に入力可能な複数の入力欄201が設けられている。各入力欄201には、操作部12を操作することにより、任意の数値を入力することができる。入力部10bは、操作部12の操作を検出することで、道路幅員の入力を受け付けるとともに、入力された道路幅員を設定する。
【0039】
ステップSA4では、計算部10cが、3次元道路モデルを構成している3次元道路路面モデルを生成する。3次元道路路面モデルでは、本線道路101、ランプ102、側道103の路面が3次元モデルとして表示されている。
【0040】
ステップSA5では、各線形の3次元道路路面モデルに法面勾配、小段幅、平盛勾配を設定した3次元モデル部品を設置する。具体的には、3次元道路路面モデルにおける法面を設置したい箇所を指定し、その箇所に、法面の3次元部品を設置するように指定する。すると、設置部10aは、指定された箇所に3次元形状の法面を設置する。例えば、本線道路101の道路中心線形を第1の道路中心線形とし、ランプ102の道路中心線形を第2の道路中心線形とした場合、設置部10aは、第1の道路中心線形と第2の道路中心線形との間に、盛土105で構成される法面を設置する。ステップSA5は、3次元道路モデル上に3次元形状の法面を設置する法面設置工程である。同様に、小段、平盛を設置する。以上の各ステップを経ることで、図3に示すような法面や平盛が設置された3次元道路モデルが生成される。
【0041】
ステップSA6では、計算部10cが、法面の3次元形状を示す法面サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する。この交差計算により切土区間、盛土区間を求めることができる。図8は、ステップSA6の交差計算の結果を示す図であり、切土区間、盛土区間の例を示している。
【0042】
次に、擁壁の3次元計算処理について図9に示すフローチャートに基づいて説明する。スタート後のステップSB1では、擁壁の設置対象となる区間が切土区間と盛土区間のいずれであるかを判定する。この判定時には、図5に示すフローチャートのステップSA6の計算結果を用いる。ステップSB1で擁壁の設置対象となる区間が切土区間であると判定されるとステップSB2に進み、擁壁の設置対象となる区間が盛土区間であると判定されるとステップSB3に進む。ステップSB2、ステップSB3では、ユーザが擁壁の属性を入力する。擁壁の属性には、擁壁の形状と、擁壁の根入れ方法と、擁壁の設置方法とが含まれている。従って、入力部10bは、擁壁の属性として、擁壁の形状と、擁壁の根入れ方法と、擁壁の設置方法との入力をそれぞれ受け付ける。以下、具体的に説明する。
【0043】
ユーザが擁壁の形状を入力する際には、例えば図10に示す擁壁形状の入力用ユーザインタフェース画面230を用いて行うことができる。制御部10Aは、擁壁形状の入力用ユーザインタフェース画面230を生成して表示部11に表示させる。擁壁形状の入力用ユーザインタフェース画面230には、擁壁形状を示す第1~第5アイコン231~235が設けられている。第1アイコン231はブロック積み擁壁を示しており、また、第2アイコン232はL型擁壁を示しており、また、第3アイコン233は逆T型擁壁を示しており、また、第4アイコン234は重力式擁壁を示しており、また、第5アイコン235は補強土壁擁壁を示している。ユーザが操作部12を操作して第1~第5アイコン231~235のいずれが操作されたかを入力部10bが検出する。入力部10bは、操作部12の操作を検出することで、ブロック積み擁壁、L型擁壁、逆T型擁壁、重力式擁壁、補強土壁擁壁のうち、ユーザによって選択された擁壁形状の入力を受け付けるとともに、入力された擁壁形状を設定する。尚、擁壁形状は上述した5つに限られるものではなく、他の擁壁形状の入力が可能であってもよい。また、アイコン以外にもプルダウンメニュー等で擁壁形状を入力してもよい。
【0044】
ユーザが擁壁の根入れ方法を入力する際には、例えば図11に示す擁壁の切土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面240を用いて行うことができる。制御部10Aは、擁壁の切土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面240を生成して表示部11に表示させる。擁壁の切土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面240には、擁壁の切土根入れ方法を示す第1アイコン241及び第2アイコン242が設けられている。第1アイコン241は路面(保護路肩)からの根入れ深さを指定する場合を示しており、図12の例にあるように、擁壁110の基礎111と根入れ深さDとが設定される。
【0045】
第2アイコン242は、図13に示すように、例えばL型水路112やU型水路等の水路が付いている擁壁110の切土根入れ方法である。
【0046】
ユーザが擁壁の設置方法を入力する際には、例えば図14に示す擁壁の切土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面250を用いて行うことができる。制御部10Aは、擁壁の切土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面250を生成して表示部11に表示させる。擁壁の切土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面250には、擁壁の切土設置方法を示す第1アイコン251及び第2アイコン252が設けられている。
【0047】
第1アイコン251は擁壁の高さを指定して設置したい場合に選択され、図15に示すように、根入れ深さDと、擁壁の高さH1が設定される。第2アイコン252は線形センターから擁壁の天端までの幅を指定して設置したい場合に選択され、図16に示すように、根入れ深さDと、本線道路101の道路中心線形L1(線形センター)から擁壁の天端の前縁までの距離(幅W1)が設定される。
【0048】
ユーザが擁壁の盛土根入れ方法を入力する際には、例えば図17に示す擁壁の盛土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面260を用いて行うことができる。制御部10Aは、擁壁の盛土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面260を生成して表示部11に表示させる。擁壁の盛土根入れ方法の入力用ユーザインタフェース画面260には、擁壁の盛土根入れ方法を示す第1アイコン261が設けられている。第1アイコン261は、図18に示すように基礎111から地形108までの深さで指定するタイプ1と、図19に示すようにL型水路112やU型水路等の水路と地形108との交点で指定するタイプ2とのいずれかで指定可能になっている。
【0049】
ユーザが擁壁の盛土設置方法を入力する際には、例えば図20に示す擁壁の盛土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面270を用いて行うことができる。制御部10Aは、擁壁の盛土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面270を生成して表示部11に表示させる。擁壁の盛土設置方法の入力用ユーザインタフェース画面270には、擁壁の盛土設置方法を示す第1~第4アイコン271~274が設けられている。
【0050】
第1アイコン271は保護路肩に直接設置したい場合に選択され、図21に示すように、本線道路101の路肩に擁壁110の天端(天面)を直接設置し、本線道路101の路肩から設置した擁壁110と地形108との交点位置を計算する。
【0051】
第2アイコン272は擁壁の高さを指定して盛土に設置する場合に選択され、図22に示すように、擁壁110の高さと根入れ深さDから盛土105との交点位置を計算する。
【0052】
第3アイコン273は、図23に示すように、線形センターから擁壁110と地形108の交点までの幅W2を指定する場合に選択され、また、第4アイコン274は、線形センターから擁壁110と天端までの幅W3を指定する場合に選択される。すなわち、本線道路101の道路中心線形L1から指定した天端幅もしくは地幅で盛土105と共に設置した擁壁110と地形108との交点位置を計算する。
【0053】
以上のようにして図9に示すフローチャートのステップSB2、ステップSB3を実行する。ステップSB2、ステップSB3は、擁壁の属性の入力を受け付ける入力工程である。ステップSB2の後、ステップSB4に進む。ステップSB4では、計算部10cが、擁壁サーフェスと地形サーフェスの交差計算を実行する。擁壁サーフェスは、入力部10bにより入力された属性に基づいて自動生成することができる。地形サーフェスは、3次元道路モデルが有しており、例えば図18図19等において符号108で示す線で表現される。この工程は、擁壁サーフェスと地形サーフェスとの交差計算を実行する計算工程である。
【0054】
図24は、擁壁サーフェスと地形サーフェスの交差計算の結果の一例を示す図である。図24の上側に本線道路101が位置しており、本線道路101の下側が地形108となっている。擁壁サーフェスと地形サーフェスの交差計算により、擁壁(切土擁壁)の長さ方向両縁部に相当する3次元の交差線L10がそれぞれ生成される。両交差線L10の内端部間は、擁壁最大高区間となり、また両交差線L10の外端部間は、擁壁区間(擁壁設置区間)となる。擁壁端部は、交差線L10と路肩線119との交点である。このように、計算部10cが、擁壁サーフェスと地形サーフェスの交差計算を実行すると、擁壁最大高区間、擁壁区間及び擁壁端部を求めることができる(ステップSB5)。
【0055】
ステップSB6では、ステップSB5で擁壁最大高区間が求まったか否かを判定する。ステップSB6で擁壁最大高区間が求まったと判定される場合には、ステップSB7に進む。ステップSB7では、設置部10aが、計算部10cによる交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する(図25図26参照)。この工程は、計算工程による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置工程である。
【0056】
一方、ステップSB6で擁壁最大高区間が求まったと判定されない場合は、設置部10aが擁壁最大高区間に切土法面を設置することなく、ステップSB9に進む。
【0057】
ステップSB8では、モデル生成部10dが、設置部10aにより設置された切土法面の切土サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する。これにより、擁壁の形状が長さ方向に連続して3次元で得られる。
【0058】
ステップSB9では、路面、法面、擁壁を含む3次元平面モデルをモデル生成部10dが作成する。3次元平面モデルとしては、斜視図としてして示すモデル、断面図として示すモデル、平面図として示すモデル、側面図として示すモデル等を作成する。このステップSB8及びステップSB9の工程はモデル生成工程である。
【0059】
次に、ステップSB1の区間判定で盛土区間に進んだ場合について説明する。ステップSB3からステップSB10に進むと、設置方法の判定を行う。設置方法は、ステップSB3で入力された擁壁の属性に基づいて取得する。設置方法が「高さ」である場合にはステップSB11に進み、設置方法が「天端幅」である場合にはステップSB12に進み、設置方法が「根入幅」である場合にはステップSB15に進む。また、設置方法が「直接」の場合も設定可能であり、「直接」の場合は、保護路肩から設置した擁壁前面と地形サーフェスとの交差計算と根入れにより端部区間を求める。
【0060】
ステップSB11では、指定ピッチの横断面(2次元)で法面、擁壁、地形の交差計算を実行する。その後、ステップSB9に進む。
【0061】
ステップSB12では、計算部10cが、本線道路101の道路中心線形L1からの幅に基づいて法面の端部区間を交点計算により求める。図27は平面図であり、本線道路101の路肩線119と擁壁110との位置関係を示すとともに、盛土法面を線L13で示している。道路中心線形L1からの幅は、符号W5で示しており、この幅W5に基づいて法面の端部P3を求めることができる。この図では、法面の一方の端部P3のみ示しているが、他方の端部(図示せず)も同様にして求めることができる。一方の端部P3と他方の端部との間が端部区間に相当する。
【0062】
ステップSB13では、設置部10aが、計算部10cにより求められた法面の端部区間内で、入力部10bにより入力された属性に基づいた擁壁サーフェスを設置する。
【0063】
ステップSB14では、モデル生成部10dが、法面の端部区間内で、設置部10aにより設置された擁壁サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する。その後、ステップSB9に進み、モデル生成部10dが、上記3次元平面モデルを生成する。全ての擁壁3次元モデルは、根入れの深さもしくは高さを考慮して作成されている。
【0064】
一方、ステップSB15では3次元ポリラインを作成する。具体的には、図28に示しており、ポリライン生成部10eが、3次元道路モデルが有する地形サーフェスの平面座標と高さを求めて、根入幅の3次元ポリラインL14を生成する。
【0065】
ステップSB16では、設置部10aが、ポリライン生成部10eによって作成された3次元ポリラインL14に基づいて擁壁サーフェスを設置する。
【0066】
ステップSB17では、モデル生成部10dが、法面と、設置部10aにより設置された擁壁サーフェスとの交差計算を実行する。その後、ステップSB9に進み、モデル生成部10dが、上記3次元平面モデルを生成する。3次元平面モデルは、表示部11に表示される。
【0067】
以上のように、擁壁の3次元計算プログラムによれば、擁壁の属性の入力を受け付ける入力工程と、入力工程で入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行する計算工程と、計算工程による交差計算により得られた擁壁最大高区間に切土法面を設置する設置工程と、設置工程で設置された切土法面の切土サーフェスと3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行し、法面及び擁壁を含む3次元平面モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させることができる。また、擁壁の3次元計算装置1を使用することで、入力工程と、計算工程と、設置工程と、モデル生成工程とを備えた擁壁の3次元計算方法を行うことができる。
【0068】
(実施形態の作用効果)
この実施形態によれば、擁壁サーフェスと地形サーフェスとの交差計算によって擁壁最大高区間が得られた場合には、擁壁最大高区間に3次元形状の切土法面を設置することができる。この3次元形状の切土法面の切土サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行することで、擁壁が設置される部分の形状を3次元で連続して精密に得られる。また、入力部10bにより入力された属性に基づいた擁壁サーフェスと、3次元道路モデルが有する地形サーフェスとの交差計算を実行することで、擁壁が設置される部分の形状を3次元で連続して精密に得られる。これにより、精密な擁壁展開図を作成することができるので、設計の段階で、必要なコンクリートなどの数量を正確に求めることができる。
【0069】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように、本発明に係る擁壁の3次元計算装置及び擁壁の3次元計算プログラムは、例えば道路設計CADシステムで利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 擁壁の3次元計算装置
10a 設置部
10b 入力部
10c 計算部
10d モデル生成部
10e ポリライン生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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