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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038547
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/00 20060101AFI20240313BHJP
【FI】
G01B17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142622
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392036153
【氏名又は名称】菱電湘南エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 友則
(72)【発明者】
【氏名】赤松 亮
【テーマコード(参考)】
2F068
【Fターム(参考)】
2F068AA21
2F068CC11
2F068DD04
2F068FF02
2F068FF12
2F068FF28
2F068GG01
2F068LL02
2F068QQ05
2F068QQ11
(57)【要約】
【課題】発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できるようにする。
【解決手段】測定装置は、電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数と、をそれぞれ算出し、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数と、をそれぞれ算出し、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、
を備えた測定装置。
【請求項2】
複数個の前記遅延器を備え、
前記信号処理部は、
それぞれ異なる遅延時間になるように前記遅延器を含んで構成される複数の前記第2のループごとに前記第2発振周波数を算出し、前記第1発振周波数、複数の前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて前記測定対象物の寸法を算出する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第1のループおよび前記第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える切り替え部を備えた、
請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、さらに、前記切り替え部に対して切り替え指令を出力し、
前記切り替え部は、前記信号処理部からの切り替え指令を受けて、前記第1のループおよび前記第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記遅延器は、フィルタ回路である、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器であって、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能な前記遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、前記遅延器により変更された遅延時間ごとに算出し、当該遅延時間ごとの発振周波数である複数の発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、
を備えた測定装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、さらに、前記遅延器に対して遅延時間指令を出力し、
前記遅延器は、前記信号処理部からの遅延時間指令を受けて、前記遅延時間を変更する、
請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
を用いて前記測定対象物を測定する測定装置による測定方法であって、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数を算出する第1発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数を算出する第2発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する測定値算出ステップと、
を備えた測定方法。
【請求項9】
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力する遅延器であって、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能な前記遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
を用いて前記測定対象物を測定する測定装置による測定方法であって、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、前記遅延器により変更された遅延時間ごとに算出する発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記発振周波数算出ステップにおいて遅延時間ごとに算出された発振周波数である複数の発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する測定値算出ステップと、
を備えた測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、超音波を利用して測定対象物を測定する測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を利用した測定技術の中には、特許文献1に記載のように発振周波数を用いる技術がある。
具体的には、特許文献1には、「金属系の磁歪振動子による送波器と、該磁歪振動子に励磁電流を供給する励磁電流供給装置と、測定対象物を伝播する音響弾性波を検出する受波器と、測定目的の周波数帯域の信号を抽出するフィルタと、反射波又は透過波の振幅の大きさに関わらず一定の大きさの振幅となるように自動的に増幅率を制御する自動増幅率制御機能付き増幅器とで正帰還ループを構成し、該正帰還ループの発振周波数信号を受波器から抽出して処理するようにした非破壊検査装置」(要約)が記載されている。この構成により、「信号成分のうち、発振条件を満足する周波数成分が繰り返し正帰還ループを循環し、最終的に発振周波数の正弦波に収斂する」(13)。
【0003】
この特許文献1には、測定対象物の寸法の測定に関し、測定対象物が「コンクリートからなる8m(=8000mm)の高張力パイル」である場合、「発振周波数は、f1=(4250m/s)/(2×8m)=266Hz(基本周波数)・・・式(101)であり、コンクリートパイル6内での弾性波速度4250mから逆に、長さ8mが計測できる。」こと、が説明されている。また、同様に、測定対象物が「コンクリート」であって当該「コンクリートの床厚を計測」する場合、「厚さ180mmの床厚に対応する周波数f=(3456m/s)/(2×0.18m)×2=19.2kHz(2次高調波)・・・式(102)で発振している。」こと、が説明されている。
【0004】
特許文献1の非破壊検査装置において、発振周波数から測定対象物の寸法を計算する際、上記した「長さ」は、上記式(101)に基づいて、長さ=(4250m/s)/(2×266Hz)×「1」≒8m・・・式(201)、のように求めることになる。特許文献1においては発振周波数が基本周波数(次数=1)である場合を想定しているため、上記式(201)においては次数「1」が掛けられている。
また、同様に、上記した「厚さ」は、上記式(102)に基づいて、厚さ=(3456m/s)/(2×19.2kHz)×「2」=0.18m・・・式(202)、のように求めることになる。特許文献1においては発振周波数が2次高調波(次数=2)である場合を想定しているため、上記式(202)においては次数「2」が掛けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号 WO00/13008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、発振周波数の次数は予め特定しておくことが困難である。仮に上記式(201)または上記式(202)に用いられた次数が実際の発振周波数の次数と異なる場合、算出される測定値の誤差が大きくなってしまう。
そのため、特許文献1の非破壊検査装置においては、測定対象物を精度よく測定できない場合がある、という課題がある。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するもので、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できるようにする、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の測定装置は、電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数と、をそれぞれ算出し、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、を備えるように構成した。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係る測定装置の構成例を示す図である。
図2図2は、測定装置における信号処理部の構成例を示す図である。
図3図3は、信号処理部における測定値算出部の構成例を示す図である。
図4図4は、信号処理部の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、図4に示す測定値算出処理の詳細な処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態1に係る測定装置における第1のループを説明する図である。
図7図7Aおよび図7Bは、第1のループによる発振周波数を説明する図である。
図8図8は、実施の形態1に係る測定装置における第2のループを説明する図である。
図9図9Aおよび図9Bは、第2のループによる発振周波数を説明する図である。
図10図10は、2つの異なる発振周波数から測定対象物の寸法を推定する寸法推定チャートである。
図11図11は、実験により得られた第1のループの場合の発振スペクトルを示す図である。
図12図12は、実験により得られた第2のループの場合の発振スペクトルを示す図である。
図13図13は、実験により得られた2つの発振周波数から寸法を推定する方法を説明するチャートである。
図14図14は、実施の形態1に係る測定装置の構成の第1変形例である。
図15図15は、実施の形態1の第1変形例に係る測定装置における信号処理部の構成例を示す図である。
図16図16は、実施の形態1の第1変形例に係る測定装置における信号処理部の処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、実施の形態1に係る測定装置の構成の第2変形例である。
図18図18は、実施の形態1に係る測定装置の構成の第3変形例である。
図19図19は、実施の形態1の第3変形例に係る測定装置における信号処理部の構成例を示す図である。
図20図20は、実施の形態1の第3変形例に係る測定装置における信号処理部の処理の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、本開示の実施の形態2に係る測定装置の構成例を示す図である。
図22図22は、実施の形態2に係る測定装置の構成の変形例を示す図である。
図23図23は、実施の形態2の変形例に係る測定装置における信号処理部の構成例を示す図である。
図24図24は、実施の形態2の変形例に係る測定装置における信号処理部の処理の一例を示すフローチャートである。
図25図25は、本開示に係る測定装置における信号処理部の機能を実現するためのハードウェア構成の第1の例を示す図である。
図26図26は、本開示に係る測定装置における信号処理部の機能を実現するためのハードウェア構成の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示の実施の形態について、添付の図面に従って説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る測定装置の構成例を示す図である。
本開示に係る測定装置は、測定対象物1000の寸法を測定する装置である。測定対象物1000の寸法は、例えば測定対象物1000の厚さである。
図1に示す測定装置は、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40、増幅器50、および、信号処理部100、を含み構成されている。
【0013】
測定装置は、測定対象物1000を測定する状態において、発振ループが構成される。
図1に示す測定装置は、測定対象物1000を測定する状態において、それぞれ異なる発振周波数で発振する第1のループまたは第2のループに切り替えられるように構成されている。
例えば、図1に示す構成における第1のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第1のループは遅延器を含まないループである。
例えば、図1に示す構成における第2のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第2のループは遅延器を含むループである。
【0014】
送信部10は、超音波を送信する機能を有する。
送信部10は、送信センサを含み構成されている。
送信部10における送信センサは、接触している物体に対して超音波を伝搬させる。
図1に示す測定装置における送信部10は、測定対象物1000の厚さの寸法を測定する状態を示している。測定装置により測定対象物1000を測定する状態において、送信部10は、測定対象物1000に対して接触して設置され、測定対象物1000に対して超音波を送信する。
送信センサは、増幅器50の内部で発生した微弱な電気雑音により電気的に駆動することで、測定対象物1000に対して超音波を伝搬させる。
すなわち、送信部10は、 電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物1000に伝搬させる。
【0015】
受信部20は、超音波を受信する機能を有する。
受信部20は、受信センサを含み構成されている。
測定装置により測定対象物1000を測定する状態において、受信部20は、測定対象物1000に対して接触して設置される。
受信部20における受信センサは、接触している物体(測定対象物1000)を伝搬した超音波を受けて電気信号に変換して出力する。
すなわち、受信部20は、 測定対象物1000において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する。
図1に示す受信部20は、受信部20の出力端子が切り替え部30に接続されている。
【0016】
切り替え部30は、測定装置による発振の発振周波数を切り替える機能を有する。
具体的には、切り替え部30は、複数の発振ループのいずれかに切り替えることで発振周波数を切り替える。
さらに具体的には、図1に示す切り替え部30は、 第1のループおよび第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える。
例えば、第1のループは、送信部10、測定対象物1000、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50から構成された発振ループである。この第1のループは、遅延器を含まずに構成された発振ループである。
例えば、第2のループは、送信部10、測定対象物1000、受信部20、切り替え部30、遅延器40、および、増幅器50から構成された発振ループである。この第2のループは、遅延器を含んで構成された発振ループである。
図1に示す切り替え部30は、1つの入力端子と、切り替え機構と、2つの出力端子(第1の出力端子、第2の出力端子)とを含み構成されている。
切り替え部30における入力端子は、受信部20に接続されている。
切り替え部30における切り替え機構は、入力端子と、2つ出力端子(第1の出力端子、第2の出力端子)のうちのいずれかの出力端子と接続するように切り替えることができるように構成されている。
切り替え部30における出力端子は、第1の出力端子が増幅器50の入力端子に接続され、第2の出力端子が遅延器40の入力端子に接続されている。
図1に示す切り替え部30は、当該切り替え部30の外部からの指令により、動作する。
図1の測定装置は、切り替え部30を備えた構成であるが、例えば手動で切り替えを行うように構成されている場合、切り替え部30を備えることを必須としない。
【0017】
遅延器40は、入力信号を一定の時間遅らせて出力する機能を有するものとする。
遅延器40は、 与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できるように構成されている。
遅延器40は、上記機能を有するフィルタ回路であってもよい。
図1に示す遅延器40は、当該遅延器40の入力端子が切り替え部30における第2の出力端子に接続され、また、当該遅延器40の出力端子が増幅器50の入力端子に接続されている。
【0018】
増幅器50は、 与えられた電気信号を増幅して出力する。
増幅器50は、測定装置の構成部および測定対象物1000により構成されるループ(第1のループ、および、第2のループ)を発振させる一定の値以上の増幅率で増幅する。
図1に示す増幅器50は、当該増幅器50の入力端子が切り替え部30における第1の出力端子に接続されている。また、図1に示す増幅器50は、当該増幅器50の入力端子が遅延器40の出力端子に接続されている。
図1に示す増幅器50は、当該増幅器50の出力端子が送信部10および信号処理部100に接続されている。具体的には、当該増幅器50の出力端子からの出力線路が分岐しており、分岐した出力線路の一方が送信部10に接続されており、分岐した出力線路のもう一方が信号処理部100に接続されている。
【0019】
信号処理部100は、発振ループによる異なる発振状態の発振周波数をそれぞれ算出し、複数の発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を求める。
図1に示す信号処理部100は、 送信部10、測定対象物1000、受信部20、および、増幅器50から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数と、送信部10、測定対象物1000、受信部20、遅延器40、および、増幅器50から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数と、をそれぞれ算出し、第1発振周波数、第2発振周波数、および、測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を算出する。
図1に示す信号処理部100は、増幅器50と送信部10との間から分岐して接続されている。
信号処理部100の詳細な構成例を説明する。
【0020】
図2は、測定装置における信号処理部100の構成例を示す図である。
図2に示す信号処理部100は、発振周波数算出部110、音速取得部120、および、測定値算出部130、を含み構成されている。
【0021】
発振周波数算出部110は、発振周波数を算出する。
具体的には、発振周波数算出部110は、増幅器50と送信部10との間の電気信号を用いて、第1発振周波数および第2発振周波数を算出する。
さらに具体的には、発振周波数算出部110は、送信部10、測定対象物1000、受信部20、および、増幅器50から構成される第1のループにより発振した状態において、増幅器50と送信部10との間の電気信号を取得し、当該電気信号を用いて第1発振周波数を算出する。
また、発振周波数算出部110は、送信部10、測定対象物1000、受信部20、遅延器40、および、増幅器50から構成される第2のループにより発振した状態において、増幅器50と送信部10との間の電気信号を取得し、当該電気信号を用いて第2発振周波数を算出する。
発振周波数算出部110は、発振周波数を算出すると、算出した発振周波数を図示しない記憶部に記憶させる。
【0022】
音速取得部120は、測定対象物1000の音速を取得して出力する。
測定対象物1000の音速は、物質を伝わる音の速さであり、測定対象物1000を構成する物質ごとに固有の音速である。
音速取得部120は、例えば予め記憶された測定対象物1000の音速を取得して測定値算出部130へ出力する。また、音速取得部120は、例えば発振周波数算出部110により算出するべき発振周波数が算出されると、測定対象物1000の音速を示す値の入力を促す提示を行い、これに対して入力された値(与えられた値)に基づいて測定対象物1000の音速を取得する。
【0023】
測定値算出部130は、測定対象物1000の測定値を算出する。
具体的には、測定値算出部130は、発振周波数算出部110により算出された発振周波数、および、音速取得部120により取得された測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を算出する。
測定値算出部130の詳細な構成例を説明する。
【0024】
図3は、信号処理部100における測定値算出部130の構成例を示す図である。
図3に示す測定値算出部130は、測定値候補抽出部131、および、測定値決定部132、を含み構成されている。
【0025】
測定値候補抽出部131は、測定値の候補を抽出する。
具体的には、測定値候補抽出部131は、第1発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、仮の寸法値ごとに位相を算出し、位相がゼロの場合における寸法値を測定値の候補値として抽出する。
測定値候補抽出部131は、第2発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、仮の寸法値ごとに位相を算出し、位相がゼロの場合における寸法値を測定値の候補値として抽出する。
すなわち、測定値候補抽出部131は、発振周波数ごとに位相がゼロになるような寸法の候補を抽出する。
詳細な原理については後述する。
【0026】
測定値決定部132は、測定値の候補の中から測定値を決定する。
具体的には、測定値決定部132は、第1発振周波数に係る候補値および第2発振周波数に係る候補値を用いて、共通する候補値を測定値に決定する。
さらに具体的には、測定値決定部132は、第1発振周波数に係る候補値と第2発振周波数に係る候補値とを比較することで共通する寸法の候補値を測定値に決定する。なお、「共通」は、厳格に共通するものに限定されず、ほぼ共通するものであってもよい。
詳細な原理については後述する。
【0027】
図4は、信号処理部100の処理の一例を示すフローチャートである。
測定装置が測定処理を開始すると、測定装置における信号処理部100は、処理を開始する。
信号処理部100は、発振周波数算出処理を実行する(ステップST100)。
具体的には、信号処理部100における発振周波数算出部110は、第1のループにより発振した状態において第1発振周波数を算出する。発振周波数算出部110は、第1発振周波数を図示しない記憶部に記憶させる。
また、発振周波数算出部110は、第2のループにより発振した状態において第2発振周波数を算出する。発振周波数算出部110は、第2発振周波数を図示しない記憶部に記憶させる。
信号処理部100は、音速取得処理を実行する(ステップST110)。
具体的には、信号処理部100における音速取得部120は、測定対象物1000の音速を取得する。音速取得部120は、取得した音速を測定値算出部130へ出力する。
信号処理部100は、測定値算出処理を実行する(ステップST120)。
具体的には、信号処理部100における測定値算出部130は、発振周波数算出部110により算出された発振周波数、および、音速取得部120により取得された測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の測定値を算出する。
さらに具体的には、測定値算出部130は、複数の発振周波数をそれぞれ取得し、測定対象物1000の音速を取得し、複数の発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を測定値として算出する。
【0028】
信号処理部100は、測定値を出力すると、処理を終了する。
【0029】
測定値算出処理の詳細な例を説明する。
図5は、図4に示す測定値算出処理の詳細な処理の一例を示すフローチャートである。
信号処理部100における測定値算出部130が測定値算出処理を開始すると、測定値算出部130は、まず、測定値候補抽出処理を実行する(ステップST121)。
具体的には、測定値算出部130における測定値候補抽出部131は、発振周波数ごとに位相がゼロになるような寸法の候補を抽出する。
さらに具体的には、測定値候補抽出部131は、第1発振周波数および測定対象物1000の音速を取得し、第1発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、仮の寸法値ごとに位相を算出し、位相がゼロの場合における寸法値を測定値の候補値として抽出する。
次いで、測定値候補抽出部131は、第2発振周波数および測定対象物1000の音速を取得し、第2発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、仮の寸法値ごとに位相を算出し、位相がゼロの場合における寸法値を測定値の候補値として抽出する。
測定値算出部130は、次に、測定値決定処理を実行する(ステップST122)。
具体的には、測定値算出部130における測定値決定部132は、測定値の候補の中から測定値を決定する。
さらに具体的には、測定値決定部132は、測定値候補抽出部131から抽出された候補値を全て取得し、第1の発振周波数から得られた候補値と第2の発振周波数から得られた候補値とを比較し、共通する候補値を測定値に決定する。測定値決定部132は、決定した測定値を出力する。
測定値算出部130は、測定値を出力すると、測定値算出処理を終了する。
【0030】
実施の形態1に係る測定装置による測定に係る動作および原理について説明する。
図6は、実施の形態1に係る測定装置における第1のループを説明する図である。
図6は、図1における切り替え部30の出力端子が遅延器40を含まずに増幅器50に接続された状態を示している。この状態により第1のループが構成される。すなわち、第1のループは、送信部10、測定対象物1000、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50から構成される。第1のループは、遅延器を含まずに構成される。
電気信号は、第1のループを構成する送信部10、測定対象物1000、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50を通って伝わる。電気信号を与えられた送信部10が電気的に駆動することにより、測定対象物1000に対して超音波を伝搬させる。測定対象物1000を伝搬した超音波は、測定対象物1000の底面で反射された後、受信部20により受信されて電気信号に変換され、切り替え部30を介して増幅器50へ送られる。増幅器50において増幅された電気信号は、送信部10を電気的に駆動する。そして送信部10が電気的に駆動することにより、再び測定対象物1000に対して超音波を伝搬させる。この動作が連続的に行われ、かつ、増幅器50の増幅率が一定の値以上である場合に、最も条件の良い周波数が強調され、発振が生じる。
【0031】
図7Aおよび図7Bは、第1のループによる発振周波数を説明する図である。
図7Aにおける端子Aから端子Bまでの通過特性は、送信部10から、測定対象物1000、受信部20、および、切り替え部30を通って、増幅器50までの通過特性であり、測定対象物1000の底面反射特性を含む。以下、送信部10から増幅器50までの通過特性を測定対象物1000の底面反射特性であるものとして、発振条件および発振周波数について説明する。
なお、説明をわかりやすくするため、送信部10、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50における位相変化を無視して説明する。
第1のループにおける、底面反射特性の位相φ(f)は、式(1)のように示すことができる。

式中における記号fは周波数fであり、同様に、記号Vは測定対象物1000の音速V、同様に、記号lは測定対象物1000の寸法l、である。
なお、超音波が測定対象物1000を往復伝搬する距離は、実際には、2・lより若干長くなるが、説明においては、2・lとして説明する。
発振は、底面反射特性の振幅が0dB以上の領域で、位相が2πの整数倍になった場合に生じる。
すなわち、発振条件の位相φ(f)は、次式に示す式(2)のようになる。

式中における記号fは、第1のループにおける発振周波数fであり、同様に、記号nは、発振周波数の次数(発振の次数)である。
【0032】
図7Bは、第1のループにおける底面反射特性の振幅と位相との概念を示している。
図7Bにおいては、横軸が周波数を示し、縦軸が振幅および位相を示している。
位相の変化範囲は、-πから+πまでであるため、2πの整数倍がゼロになっている。
すなわち、第1のループによる発振は、第1のループの場合の発振可能領域において位相がゼロになる周波数fで発振する。
発振周波数fを、信号処理部100において算出し、図示しない記憶部に記憶しておくようにする。
【0033】
次に、遅延器40を含む第2のループを構成するように切り替える。
図8は、実施の形態1に係る測定装置における第2のループを説明する図である。
図8に示すように、切り替え部30の出力が遅延器40に接続される。
図8に示すように、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40、および、増幅器50、から第2のループが構成されている。
【0034】
図9Aおよび図9Bは、第2のループによる発振周波数を説明する図である。
第1のループの場合と同様に、送信部10、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50における位相変化を無視して底面反射特性の位相を考えると、図9Aにおける端子Aから端子Bまでの底面反射特性は、式(3)のように示すことができる。

式中における記号φd(f)は、遅延器40での位相φd(f)である。
第2のループにおける発振の発振周波数を発振周波数f´とすると、式(4)のように示される。

式中における記号mは、第2のループにおける発振周波数の次数mである。第2のループにおける発振周波数の次数mは、第1のループにおける発振周波数の次数nと同じ値になるとは限らない。
【0035】
図9Bは、第2のループにおける底面反射特性の振幅と位相との概念を示している。
図9Bにおいては、横軸が周波数を示し、縦軸が振幅および位相を示している。
第2のループにおいては、遅延器40での位相変化を含むため、第2のループの場合の発振可能領域において位相がゼロになる周波数が図7Bに示した第1のループの場合とは異なる。
このため、第2のループの発振周波数(第2発振周波数)f´は、第1のループの発振周波数(第1発振周波数)fとは異なる。
発振周波数f´を、信号処理部100において算出し、図示しない記憶部に記憶しておくようにする。
なお、説明においては、遅延器40によって底面反射特性の振幅は変化しないものとして示しているが、変化しても構わない。
【0036】
式(1)は、寸法lを既知であるものとして、周波数に対する位相の変化を表した式である。
これを、発振周波数fが既知であるものとして寸法lに対する位相の変化として表すと式(5)のように示される。

式(5)を用いて寸法lを変化させて位相φ(l)を算出し、-2nπになったときの寸法lが測定値である寸法lの候補になる。すなわち、位相がゼロになった場合の寸法lが測定値である寸法lの候補になる。
【0037】
同様に、発振周波数f´が既知であるものとして寸法(厚さ)lに対する位相の変化として表すと式(6)のように示される。

式(6)を用いて寸法lを変化させて位相φ(l)を算出し、-2mπになったときの寸法lが測定値である寸法lの候補になる。すなわち、位相がゼロになった場合の寸法lが測定値である寸法lの候補になる。
【0038】
式(5)および式(6)をグラフ化したものを、寸法推定チャートと称することにする。
図10は、2つの異なる発振周波数から測定対象物1000の寸法を推定する寸法推定チャートである。
図10において、実線が第1のループの位相変化を示し、破線が第2のループの位相変化を示す。
図10に示すように、第1のループの位相に対し、第2のループの位相は、l=0においてφ(f´)の位相遅れがある。
第1のループの特性および第2のループの特性によって、それぞれの位相がゼロになる寸法lが多数存在する一方で、2つの特性で共通して位相がゼロになる寸法lが存在する。
この共通した寸法lの値が測定対象物1000の寸法である測定値として決定される。
なお、図10においては、発振周波数の次数n=6、次数m=6の場合を示している。
【0039】
信号処理部100においては、図10に示したチャートのように測定値算出処理を行う。
すなわち、信号処理部100は、第1発振周波数および第2発振周波数を求めて記憶しておき、第1発振周波数、第2発振周波数、および、測定対象物1000の音速を元にして測定対象物1000の寸法を推定する。
このようにすることで、発振周波数の次数nおよび次数mが未知であっても寸法を決定することができる。
【0040】
なお、説明においては、切り替え部30の切り替え機構を用いて第1のループと第2のループを切り替える構成について説明したが、切り替え機構を用いずに、手動でループを切り替える構成でもよい。
【0041】
本開示の測定について確認実験を行った結果を説明する。
測定対象物1000である試験体の材質は鋼であり、厚さは15mmである。
送信部10の送信センサおよび受信部20の受信センサは、2MHz帯で動作するものを用いた。
遅延器40としてフィルタ回路(ローパスフィルタ)を用いた。
なお、切り替え部30の切り替え機構は用いずに、第1のループと第2のループの切り替えは手動とした。
【0042】
図11は、実験により得られた、第1のループの場合の発振スペクトルを示す図である。
図12は、実験により得られた、第2のループの場合の発振スペクトルを示す図である。
遅延器(フィルタ回路)40を含まないループ(第1のループ)により、図11に示すような発振スペクトルが得られた。発振周波数fは、1.782MHzであった。
遅延器(フィルタ回路)40を含むループ(第2のループ)により、図12に示すような発振スペクトルが得られた。発振周波数f´は、1.584MHzであった。
これら発振周波数f,f´それぞれの次数は不明である。
【0043】
発振周波数fとf´とを用いて、かつ、試験体の音速を5930m/sとして寸法推定チャートを作成した。
この結果を図13に示す。
図13は、実験により得られた2つの発振周波数から寸法を推定する方法を説明するチャートである。
なお、実験においては、送信部10、受信部20、遅延器40として用いたローパスフィルタ、および、増幅器50の位相変化を考慮した。
図13において、実線が第1のループの位相変化(位相φ(l)の特性)を示し、破線が第2のループの位相変化(位相φ(l)の特性)を示す。
図13に示すように、寸法15mmより少し長い値において2つの特性が共通して位相がゼロになっている。
この結果から、本開示の測定装置により、測定対象物1000の寸法を測定できることがわかる。
なお、試験体の寸法が15mmより少し長いところで位相がゼロとなっている理由は、実際の伝搬距離が15mmの2倍よりも若干長かったためと考えられる。
【0044】
以上説明したように、遅延器を含まない第1のループによる発振周波数と、遅延器を含んだ第2のループによる発振周波数を求め、これらの値を用いることで、発振周波数の次数が不明であっても測定対象物1000の寸法を推定することができる。
【0045】
ここで、実施の形態1に係る測定装置の変形例を説明する。
測定装置において信号処理部100が切り替え部30を制御する第1変形例を説明する。
図14は、実施の形態1に係る測定装置の構成の第1変形例である。
図14に示す測定装置は、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40、増幅器50、および、信号処理部100A、を含み構成されている。
【0046】
信号処理部100Aは、ループの切り替えを制御する。具体的には、 前記信号処理部100Aは、さらに、切り替え部30に対して切り替え指令を出力する。
図15は、実施の形態1の第1変形例に係る測定装置における信号処理部100の構成例を示す図である。
信号処理部100は、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、および、切り替え指令部140、を含み構成されている。
切り替え指令部140は、第1のループおよび第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える指令信号を生成して出力する。
具体的には、切り替え指令部140は、例えば第1のループを構成するように切り替える第1の指令信号を生成して切り替え部30へ出力し、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間を空けて、第2のループを構成するように切り替える第2の指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。
また、切り替え指令部140は、指令信号を出力したことを、発振周波数算出部110へ通知する。この際に、切り替え指令部140は、併せて、どのループに切り替えたかを示すループ識別情報を通知する。
【0047】
発振周波数算出部110、音速取得部120、および、測定値算出部130、は、さらに、切り替え指令部140による切り替え指令と連動して動作する。
発振周波数算出部110は、切り替え指令により第1のループに切り替えられた状態において、第1のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させ、また、切り替え指令により第2のループに切り替えられた状態において、第2のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
音速取得部120は、切り替え指令が出力されると測定対象物1000の音速を取得する。音速取得部120は、測定対象物1000の音速を予め取得して保持しておき、切り替え指令が出力されると出力するようにしてもよい。
測定値算出部130は、上述した測定値算出部130と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0048】
切り替え部30は、信号処理部100からの切り替え指令を受けて、第1のループおよび第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える。
【0049】
第1変形例に係る信号処理部100Aの処理を説明する。
図16は、実施の形態1の第1変形例に係る測定装置における信号処理部100Aの処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
測定装置が測定処理を開始すると、測定装置における信号処理部100Aは、処理を開始する。
信号処理部100Aは、第1のループ切り替え処理を実行する(ステップST200)。
具体的には、信号処理部100Aにおける切り替え指令部140は、第1のループを構成するように切り替える第1の指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。
【0051】
信号処理部100Aは、第1発振周波数算出処理を実行する(ステップST210)。
具体的には、信号処理部100Aにおける発振周波数算出部110は、第1のループに切り替えられた状態において、第1のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
【0052】
信号処理部100Aは、第2のループ切り替え処理を実行する(ステップST220)。
具体的には、信号処理部100Aにおける切り替え指令部140は、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間を空けて、第2のループを構成するように切り替える第2の指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。
【0053】
信号処理部100Aは、第2発振周波数算出処理を実行する(ステップST230)。
具体的には、信号処理部100Aにおける発振周波数算出部110は、第2のループに切り替えられた状態において、第2のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
【0054】
信号処理部100Aは、音速取得処理を実行する(ステップST240)。
具体的には、信号処理部100Aにおける音速取得部120は、測定対象物1000の音速を取得する。音速取得部120は、取得した音速を測定値算出部130へ出力する。
【0055】
信号処理部100Aは、測定値算出処理を実行する(ステップST250)。
具体的には、信号処理部100Aにおける測定値算出部130は、発振周波数算出部110により算出された複数の発振周波数、および、音速取得部120により取得された測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の測定値を算出する。
さらに具体的には、測定値算出部130は、複数の発振周波数をそれぞれ取得し、測定対象物1000の音速を取得し、複数の発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を測定値として算出する。
【0056】
信号処理部100Aは、測定値を出力すると、処理を終了する。
【0057】
このように構成することにより、測定装置は、測定に係る処理のタイミングを信号処理部100で制御でき、測定対象物1000に対する測定がより容易になるという効果がある。
【0058】
実施の形態1に係る測定装置の第2変形例を説明する。
ここまでの説明においては、2つの異なる発振ループを構成し、それぞれの発振周波数を用いて測定対象物1000を測定する構成を説明したが、本開示の測定装置は、発振ループが2つに限定されるものではなく、3つ以上の発振ループを構成してもよい。
図17は、実施の形態1に係る測定装置の構成の第2変形例である。
第2変形例において、測定装置は、3つ以上の発振ループを切り替えることができるように構成されている。
【0059】
図17に示す測定装置は、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40-1、遅延器40-2、増幅器50、および、信号処理部100、を含み構成されている。
すなわち、測定装置は、さらに、 複数個の遅延器(遅延器40-1および遅延器40-2)を備えて構成されている。
図17に示す遅延器40-1および遅延器40-2は、それぞれの遅延量が異なる。具体的には、遅延器40-1および遅延器40-2は、与えられた電気信号の出力を遅らせる時間である遅延時間がそれぞれ異なるように構成されている。
【0060】
図17に示す測定装置は、測定対象物1000を測定する状態において、それぞれ異なる発振周波数で発振する第1のループ、および、複数の第2のループの中から1つのループに切り替えられるように構成されている。
複数の第2のループは、説明をわかりやすくするため、適宜、「第2のループ」、「第3のループ」、のようにそれぞれの名称における数字を変えて区別して説明する。
例えば、図17における第1のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第1のループは遅延器を含まないループである。
例えば、図17における第2のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40-1、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第2のループは遅延器を含むループである。第2のループは、遅延器40-1により出力タイミングが変更された電気信号によって第1のループの発振周波数とは異なる発振周波数で発振する。
例えば、図17における第3のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40-2、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第3のループは遅延器を含むループである。第3のループは、遅延器40-2により出力タイミングが変更された電気信号によって第1のループの発振周波数および第2のループの発振周波数とは異なる発振周波数で発振する。
測定装置における信号処理部100は、それぞれ異なる遅延時間になるように前記遅延器を含んで構成される複数の前記第2のループごとに前記第2発振周波数を算出し、前記第1発振周波数、複数の前記第2発振周波数、および、前記測定対象物1000の音速を用いて前記測定対象物1000の寸法を算出する、
図17に示す構成においては、信号処理部100は、第1のループの発振による発振周波数f、第2のループの発振による発振周波数f´、および、第3のループの発振による発振周波数f´、を求め、3つの発振周波数(f,f´,f´)と、測定対象物1000の音速とを用いて測定対象物1000の寸法を求める。
【0061】
実施の形態1に係る測定装置の第3変形例を説明する。
測定装置は、第2変形例に対し、さらに、信号処理部100が切り替え部30を制御するように構成されていてもよい。
図18は、実施の形態1に係る測定装置の構成の第3変形例である。
第3変形例において、測定装置は、3つ以上の発振ループの切り替えを制御するように構成されている。
【0062】
図18に示す測定装置は、送信部10、受信部20、切り替え部30、複数の遅延器40(遅延器40-1、・・・、遅延器40-k)、増幅器50、および、信号処理部100、を含み構成されている。
すなわち、測定装置は、さらに、複数個の遅延器(遅延器40-1、・・・、遅延器40-k)を備えて構成されている。
図18に示す遅延器40-1、・・・、遅延器40-kは、それぞれの遅延量が異なる。具体的には、遅延器40-1、・・・、遅延器40-kは、与えられた電気信号の出力を遅らせる時間である遅延時間がそれぞれ異なるように構成されている。
【0063】
図18に示す測定装置は、測定対象物1000を測定する状態において、それぞれ異なる発振周波数で発振する第1のループ、および、複数の第2のループの中から1つのループに切り替えられるように構成されている。
複数の第2のループは、説明をわかりやすくするため、適宜、「第2のループ」、「第3のループ」、・・・、「第(k+1)のループ」(kは、k≧1)のようにそれぞれの名称における数字を変えて区別して説明する。
例えば、図18における第1のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第1のループは遅延器を含まないループである。
例えば、図18における第2のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40-1、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第2のループは遅延器を含むループである。第2のループは、遅延器40-1により出力タイミングが変更された電気信号によって第1のループの発振周波数とは異なる発振周波数で発振する。
例えば、図18における第(k+1)のループは、送信部10、受信部20、切り替え部30、遅延器40-k、および、増幅器50、から構成される発振ループである。第(k+1)のループは遅延器を含むループである。第(k+1)のループは、遅延器40-kにより出力タイミングが変更された電気信号によって第1のループの発振周波数、および、第2のループの発振周波数、を含む他のループの発振周波数とは異なる発振周波数で発振する。
【0064】
測定装置における信号処理部100Bは、それぞれ異なる遅延時間になるように遅延器を含んで構成される複数の第2のループごとに第2発振周波数を算出し、第1発振周波数、複数の第2発振周波数、および、測定対象物1000の音速を用いて測定対象物1000の寸法を算出する。
図18に示す構成においては、信号処理部100Bは、第1のループの発振による発振周波数f、第2のループの発振による発振周波数f´、・・・、および、第(k+1)のループの発振による発振周波数fp、を求め、3つの発振周波数(fp,f´,・・・,f´(k+1))と、測定対象物1000の音速とを用いて測定対象物1000の寸法を求める。
【0065】
信号処理部100Bは、ループの切り替えを制御する。具体的には、信号処理部100Bは、さらに、切り替え部30に対して切り替え指令を出力する。
図19は、実施の形態1の第3変形例に係る測定装置における信号処理部100Bの構成例を示す図である。
信号処理部100Bは、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、および、切り替え指令部140B、を含み構成されている。
切り替え指令部140Bは、第1のループ、第2のループ、・・・、第(k+1)のループの中から1つのループを構成するように切り替える指令信号を生成して出力する。
具体的には、切り替え指令部140Bは、例えば第1のループを構成するように切り替える第1の指令信号を生成して切り替え部30へ出力し、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間を空けて、第2のループを構成するように切り替える第2の指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。次いで、切り替え指令部140Bは、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間をそれぞれ空けて、第(k+1)のループまですべてのループに切り替える処理が終わるまでそれぞれ指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。
また、切り替え指令部140Bは、指令信号を出力したことを、発振周波数算出部110へ通知する。この際に、切り替え指令部140Bは、併せて、どのループに切り替えたかを示すループ識別情報を通知する。
【0066】
発振周波数算出部110、音速取得部120、および、測定値算出部130、は、さらに、切り替え指令部140Bによる切り替え指令と連動して動作する。
発振周波数算出部110は、切り替え指令により第1のループに切り替えられた状態において、第1のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
また、発振周波数算出部110は、切り替え指令により第2のループに切り替えられた状態において、第2のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。同様に、発振周波数算出部110は、切り替え指令により第3のループに切り替えられた状態において、第3のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。同様に、また、発振周波数算出部110は、切り替え指令により第(k+1)のループに切り替えられた状態において、第(k+1)のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
【0067】
音速取得部120は、切り替え指令が出力されると測定対象物1000の音速を取得する。音速取得部120は、測定対象物1000の音速を予め取得して保持しておき、切り替え指令が出力されると出力するようにしてもよい。
【0068】
測定値算出部130は、上述した測定値算出部130と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
切り替え部30は、信号処理部100からの切り替え指令を受けて、第1のループおよび複数の第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える。
具体的には、 切り替え部30は、信号処理部100からの切り替え指令を受けて、第1のループ、第2のループ、・・・、および、第(k+1)のループ(第1のループおよび複数の第2のループ)の中から1つのループを構成するように切り替える。
【0070】
第3変形例に係る信号処理部100Bの処理を説明する。
図20は、実施の形態1の第3変形例に係る測定装置における信号処理部100Bの処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
測定装置が測定処理を開始すると、測定装置における信号処理部100Bは、処理を開始する。
信号処理部100Bは、第1のループ切り替え処理を実行する(ステップST300)。
具体的には、信号処理部100Bにおける切り替え指令部140Bは、第1のループを構成するように切り替える第1の指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。
【0072】
信号処理部100Bは、第1発振周波数算出処理を実行する(ステップST310)。
具体的には、信号処理部100Bにおける発振周波数算出部110は、第1のループに切り替えられた状態において、第1のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
【0073】
信号処理部100Bは、変数kを1(k=1)に設定する(ステップST320)。
信号処理部100Bは、変数kをインクリメント(k=k+1)する(ステップST330)。
【0074】
信号処理部100Bは、第(k+1)のループ切り替え処理を実行する(ステップST340)。
具体的には、信号処理部100Bにおける切り替え指令部140は、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間を空けて、第(k+1)のループを構成するように切り替える第(k+1)の指令信号を生成して切り替え部30へ出力する。
【0075】
信号処理部100Bは、第(k+1)発振周波数算出処理を実行する(ステップST350)。
具体的には、信号処理部100Bにおける発振周波数算出部110は、第(k+1)のループに切り替えられた状態において、第(k+1)のループによる第(k+1)発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
信号処理部100Bは、変数kが最大値kmaxに到達したかを判定する(ステップST360)。最大値kmaxは、例えば予め決められた測定に用いることが設定されているループの数である。
信号処理部100Bは、変数kが最大値kmaxに到達していないと判定した場合(ステップST360“NO”)、ステップST330の処理に移行して以降の処理を繰り返す。
信号処理部100Bは、変数kが最大値kmaxに到達したと判定した場合(ステップST360“YES”)、ステップST370の処理に移行する。
【0076】
信号処理部100Bは、音速取得処理を実行する(ステップST370)。
具体的には、信号処理部100Bにおける音速取得部120は、測定対象物1000の音速を取得する。音速取得部120は、取得した音速を測定値算出部130へ出力する。
【0077】
信号処理部100Bは、測定値算出処理を実行する(ステップST380)。
具体的には、信号処理部100Bにおける測定値算出部130は、発振周波数算出部110により算出された複数の発振周波数、および、音速取得部120により取得された測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の測定値を算出する。
さらに具体的には、測定値算出部130は、複数の発振周波数をそれぞれ取得し、測定対象物1000の音速を取得し、複数の発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を測定値として算出する。
【0078】
信号処理部100Bは、測定値を出力すると、処理を終了する。
【0079】
上述の測定装置は、
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数と、をそれぞれ算出し、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、
を備えるように構成した。
これにより、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できる、測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0080】
上述の測定装置は、さらに、
複数個の前記遅延器を備え、
前記信号処理部は、
それぞれ異なる遅延時間になるように前記遅延器を含んで構成される複数の前記第2のループごとに前記第2発振周波数を算出し、前記第1発振周波数、複数の前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて前記測定対象物の寸法を算出する、
ように構成した。
本開示により、さらに、精度よく測定対象物の測定が可能な測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0081】
上述の測定装置は、さらに、
前記第1のループおよび前記第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える切り替え部を備えるように構成した。
本開示により、複数のループを切り替えることを容易にする、測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0082】
上述の測定装置は、さらに、
前記信号処理部は、さらに、前記切り替え部に対して切り替え指令を出力し、
前記切り替え部は、前記信号処理部からの切り替え指令を受けて、前記第1のループおよび前記第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える、
ように構成した。
本開示により、測定に係る処理のタイミングを信号処理部で制御でき、測定対象物に対する測定がより容易になる、測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0083】
上述の測定装置は、さらに、
前記遅延器は、フィルタ回路である、
ように構成した。
本開示により、フィルタ回路を遅延器として用いた構成の測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0084】
上述の測定方法は、
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
を用いて前記測定対象物を測定する測定装置による測定方法であって、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数を算出する第1発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数を算出する第2発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する測定値算出ステップと、
を備えるように構成した。
本開示により、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できる、測定方法を提供することができる、という効果を奏する。
【0085】
実施の形態2.
実施の形態2は、可変遅延器を用いて複数のループおよびループの切り替えを実現する
形態である。
実施の形態2の説明においては、実施の形態1において説明した構成についての説明を、適宜省略する。
【0086】
図21は、本開示の実施の形態2に係る測定装置の構成例を示す図である。
実施の形態2に係る測定装置は、実施の形態1に係る測定装置における切り替え部30および遅延器40に対して異なる構成を有している。
図21に示す測定装置は、送信部10、受信部20、遅延器42、増幅器50、および、信号処理部100、を含み構成されている。
実施の形態1に説明した測定装置に対し、図21に示す測定装置は、切り替え部30を備えていない。同様に、図21に示す測定装置の遅延器42は、可変遅延器である。同様に、図21に示す測定装置により構成される発振ループは、見た目において1つである。
図21に示す測定装置は、送信部10、受信部20、および、増幅器50、が、実施の形態1において説明した送信部10、受信部20、および、増幅器50の内容と同様であるため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0087】
遅延器42は、 与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できるように構成されている。また、遅延器42は、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能に構成されている。
遅延器42は、上記機能を有するフィルタ回路から構成されるものであってもよい。
遅延器42は、当該遅延器の外部からの指令により、遅延時間が変更される。
遅延器42は、指令に応じて2つ以上の遅延時間を変更できる。この場合、測定装置は、測定対象物1000を測定する状態において、それぞれ異なる発振周波数で発振する第1のループ、および、複数の第2のループの中から1つのループに切り替えられるように構成される。
複数の第2のループは、説明をわかりやすくするため、適宜、「第2のループ」、「第3のループ」、・・・、「第(k+1)のループ」(kは、k≧1)のようにそれぞれの名称における数字を変えて区別して説明する。
例えば、遅延器42が指令に応じて3つの遅延時間を変更する場合、測定装置は、測定対象物1000を測定する状態において、第1のループ、第2のループ、および、第3のループといった3つのループにそれぞれ切り替えることができ、3つの発振周波数を用いてより精度よく測定することができる。
図21に示す遅延器42は、当該遅延器42の入力端子が受信部20の出力端子に接続され、また、当該遅延器42の出力端子が増幅器50の入力端子に接続されている。
【0088】
信号処理部100は、発振ループによる異なる発振状態の発振周波数をそれぞれ算出し、複数の発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を求める。
図21に示す信号処理部100は、 送信部10、測定対象物1000、受信部20、遅延器42、および、増幅器50から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、遅延器42により変更された遅延時間ごとに算出し、当該遅延時間ごとの発振周波数である複数の発振周波数、および、測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を算出する。
図21に示す信号処理部100は、増幅器50と送信部10との間から分岐して接続されている。
図21に示す信号処理部100は、図1に説明した信号処理部100と同様であるため、ここではさらに詳細な説明を省略する。
【0089】
実施の形態1の測定装置においては、ループを切り替えることで複数の発振周波数を得られるようにしたものであるのに対し、実施の形態2の測定装置においては、遅延器による遅延時間を変更することで複数の発振周波数を得られるようにしたものである。
実施の形態2の測定装置の処理は、実施の形態1に説明した測定装置の処理と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0090】
このように構成することにより、実施の形態1の測定装置と同様に、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物1000を精度よく測定できる。また、実施の形態1の測定装置に対してループを少なく構成することができ、小型化を実現できる。
【0091】
実施の形態2に係る測定装置の変形例を説明する。
測定装置は、信号処理部が遅延器を制御するように構成されていてもよい。
図22は、実施の形態2に係る測定装置の構成の変形例を示す図である。
図22に示す測定装置は、送信部10、受信部20、遅延器42、増幅器50、および、信号処理部100C、を含み構成されている。
信号処理部100Cは、さらに、遅延器42に対して遅延時間指令を出力する機能を有する。
遅延器42は、さらに、信号処理部100Cからの遅延時間指令を受けて、遅延時間を変更するように構成される。
図23は、実施の形態2の変形例に係る測定装置における信号処理部100Cの構成例を示す図である。
信号処理部100Cは、 送信部10、測定対象物1000、受信部20、遅延器42、および、増幅器50から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、遅延器42により変更された遅延時間ごとに算出し、当該遅延時間ごとの発振周波数である複数の発振周波数、および、測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を算出する。
信号処理部100Cは、遅延器42を制御することで複数のループを切り替える。具体的には、 信号処理部100Cは、さらに、遅延器42に対して遅延時間指令を出力する。
信号処理部100Cは、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、および、遅延時間指令部150、を含み構成されている。
遅延時間指令部150は、図示しない記憶部等に記憶された複数の遅延時間情報を参照し、遅延時間情報に示される遅延時間ごとに遅延時間指令を示す指令信号を生成して遅延器42へ出力する。
具体的には、遅延時間指令部150は、例えば第1のループを構成するような遅延時間を示す第1の指令信号を生成して遅延器42へ出力し、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間を空けて、第2のループを構成するような遅延時間を示す第2の指令信号を生成して遅延器42へ出力する。次いで、遅延時間指令部150は、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間をそれぞれ空けて、第(k+1)のループまですべてのループに切り替える処理が終わるまでそれぞれ指令信号を生成して遅延器42へ出力する。
また、遅延時間指令部150は、指令信号を出力したことを、発振周波数算出部110へ通知する。この際に、遅延時間指令部150は、併せて、どのループに切り替えたかを示すループ識別情報を通知する。
【0092】
実施の形態2の変形例に係る信号処理部100Cの処理を説明する。
図24は、実施の形態2の変形例に係る測定装置における信号処理部100Cの処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
測定装置が測定処理を開始すると、測定装置における信号処理部100Cは、処理を開始する。
信号処理部100Cは、第1の遅延時間指令処理を実行する(ステップST400)。
具体的には、信号処理部100Cにおける遅延時間指令部150は、第1のループを構成するような遅延時間を示す第1の指令信号を生成して遅延器42へ出力する。
【0094】
信号処理部100Cは、第1発振周波数算出処理を実行する(ステップST410)。
具体的には、信号処理部100Cにおける発振周波数算出部110は、第1のループに切り替えられた状態において、第1のループによる発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
【0095】
信号処理部100Cは、変数kを1(k=1)に設定する(ステップST420)。
次いで、信号処理部100Cは、変数kをインクリメント(k=k+1)する(ステップST430)。
【0096】
信号処理部100Cは、第(k+1)の遅延時間指令処理を実行する(ステップST440)。
具体的には、信号処理部100Cにおける遅延時間指令部150は、発振周波数算出部110による発振周波数算出処理に要する所定時間を空けて、第(k+1)のループを構成するような遅延時間を示す第(k+1)の指令信号を生成して遅延器42へ出力する。
【0097】
信号処理部100Cは、第(k+1)発振周波数算出処理を実行する(ステップST450)。
具体的には、信号処理部100Cにおける発振周波数算出部110は、第(k+1)のループに切り替えられた状態において、第(k+1)のループによる第(k+1)発振周波数を算出して図示しない記憶部に記憶させる。
信号処理部100Cは、変数kが最大値kmaxに到達したかを判定する(ステップST460)。最大値kmaxは、例えば予め決められた測定に用いることが設定されているループの数である。
信号処理部100Cは、変数kが最大値kmaxに到達していないと判定した場合(ステップST460“NO”)、ステップST430の処理に移行して以降の処理を繰り返す。
信号処理部100Cは、変数kが最大値kmaxに到達したと判定した場合(ステップST460“YES”)、ステップST470の処理に移行する。
【0098】
信号処理部100Cは、音速取得処理を実行する(ステップST470)。
具体的には、信号処理部100Cにおける音速取得部120は、測定対象物1000の音速を取得する。音速取得部120は、取得した音速を測定値算出部130へ出力する。
【0099】
信号処理部100Cは、測定値算出処理を実行する(ステップST480)。
具体的には、信号処理部100Cにおける測定値算出部130は、発振周波数算出部110により算出された複数の発振周波数、および、音速取得部120により取得された測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の測定値を算出する。
さらに具体的には、測定値算出部130は、複数の発振周波数をそれぞれ取得し、測定対象物1000の音速を取得し、複数の発振周波数および測定対象物1000の音速を用いて、測定対象物1000の寸法を測定値として算出する。
【0100】
信号処理部100Cは、測定値を出力すると、処理を終了する。
【0101】
この装置構成であれば、遅延量を信号処理部100Cで制御できるという効果がある。
【0102】
上述の測定装置は、
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器であって、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能な前記遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、前記遅延器により変更された遅延時間ごとに算出し、当該遅延時間ごとの発振周波数である複数の発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、
を備えた測定装置。
本開示により、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できる、測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0103】
上述の測定装置は、さらに、
前記信号処理部は、さらに、前記遅延器に対して遅延時間指令を出力し、
前記遅延器は、前記信号処理部からの遅延時間指令を受けて、前記遅延時間を変更する、
ように構成した。
本開示により、さらに、測定に係る処理のタイミングを信号処理部で制御でき、測定対象物に対する測定がより容易になる、測定装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0104】
上述の測定方法は、
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力する遅延器であって、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能な前記遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
を用いて前記測定対象物を測定する測定装置による測定方法であって、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、前記遅延器により変更された遅延時間ごとに算出する発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記発振周波数算出ステップにおいて遅延時間ごとに算出された発振周波数である複数の発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する測定値算出ステップと、
を備えるように構成した。
本開示により、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できる、測定方法を提供することができる、という効果を奏する。
【0105】
ここで、本開示に係る測定装置の機能を実現するハードウェア構成を説明する。
図25は、本開示に係る測定装置における信号処理部の機能を実現するためのハードウェア構成の第1の例を示す図である。
図26は、本開示に係る測定装置における信号処理部の機能を実現するためのハードウェア構成の第2の例を示す図である。
本開示の測定装置における信号処理部は、図25または図26に示されるようなハードウェアにより実現される。
【0106】
測定装置における信号処理部は、図25に示すように、例えばプロセッサ10001、メモリ10002、入出力インタフェース10003、およびにより構成される。
プロセッサ10001、メモリ10002は、例えば、コンピュータに搭載されているものである。
メモリ10002には、当該コンピュータを、信号処理部100,100A,100B,100C、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、測定値候補抽出部131、測定値決定部132、切り替え指令部140,140B、遅延時間指令部150、および、図示しない制御部として機能させるためのプログラムが記憶されている。メモリ10002に記憶されたプログラムをプロセッサ10001が読み出して実行することにより、信号処理部100,100A,100B,100C、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、測定値候補抽出部131、測定値決定部132、切り替え指令部140,140B、遅延時間指令部150、
および、図示しない制御部の機能が実現される。
また、メモリ10002または図示しない他のメモリにより、図示しない記憶部が実現される。
プロセッサ10001は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはDSP(Digital Signal Processor)などを用いたものである。
メモリ10002は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスクまたはフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)またはDVD(Digital VersatileDisc)等の光ディスクであってもよいし、光磁気ディスクであってもよい。
プロセッサ10001とメモリ10002とは、相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。また、プロセッサ10001とメモリ10002とは、入出力インタフェース10003を介して他のハードウェアと相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。
【0107】
または、信号処理部100,100A,100B,100C、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、測定値候補抽出部131、測定値決定部132、切り替え指令部140,140B、遅延時間指令部150、および、図示しない制御部の機能は、図26に示すように、専用の処理回路20001により実現されるものであっても良い。
処理回路20001は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)またはシステムLSI(Large-Scale Integration)等を用いたものである。
また、メモリ20002または図示しない他のメモリにより、図示しない記憶部が実現される。
メモリ20002は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスクまたはフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)またはDVD(Digital VersatileDisc)等の光ディスクであってもよいし、光磁気ディスクであってもよい。
処理回路20001とメモリ20002とは、相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。また、処理回路20001とメモリ20002とは、入出力インタフェース20003を介して他のハードウェアと相互にデータを伝送することが可能な状態に接続されている。
なお、信号処理部100,100A,100B,100C、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、測定値候補抽出部131、測定値決定部132、切り替え指令部140,140B、遅延時間指令部150、および、図示しない制御部の機能をそれぞれ別の処理回路で実現しても良いし、まとめて処理回路で実現しても良い。
【0108】
または、信号処理部100,100A,100B,100C、発振周波数算出部110、音速取得部120、測定値算出部130、測定値候補抽出部131、測定値決定部132、切り替え指令部140,140B、遅延時間指令部150、および、図示しない制御部のうちの一部の機能がプロセッサ10001およびメモリ10002により実現され、かつ、残りの機能が処理回路20001により実現されるものであっても良い。
【0109】
なお、本開示は、その発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0110】
本開示に係る構成および構成の組み合わせ例について、以下に整理して記載する。
【0111】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(1)
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数と、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数と、をそれぞれ算出し、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、
を備えた測定装置。
【0112】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(2)
複数個の前記遅延器を備え、
前記信号処理部は、
それぞれ異なる遅延時間になるように前記遅延器を含んで構成される複数の前記第2のループごとに前記第2発振周波数を算出し、前記第1発振周波数、複数の前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて前記測定対象物の寸法を算出する、
(1)に記載の測定装置。
【0113】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(3)
前記第1のループおよび前記第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える切り替え部を備えた、
(1)または(2)に記載の測定装置。
【0114】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(4)
前記信号処理部は、さらに、前記切り替え部に対して切り替え指令を出力し、
前記切り替え部は、前記信号処理部からの切り替え指令を受けて、前記第1のループおよび前記第2のループの中から1つのループを構成するように切り替える、
(3)に記載の測定装置。
【0115】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(5)
前記遅延器は、フィルタ回路である、ように構成した。
【0116】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(6)
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器であって、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能な前記遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、前記遅延器により変更された遅延時間ごとに算出し、当該遅延時間ごとの発振周波数である複数の発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する信号処理部と、
を備えた測定装置。
【0117】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(7)
前記信号処理部は、さらに、前記遅延器に対して遅延時間指令を出力し、
前記遅延器は、前記信号処理部からの遅延時間指令を受けて、前記遅延時間を変更する、
(6)に記載の測定装置。
【0118】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(8)
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力できる遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
を用いて前記測定対象物を測定する測定装置による測定方法であって、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、および、前記増幅器から構成される第1のループにより発振した状態における第1発振周波数を算出する第1発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成される第2のループにより発振した状態における第2発振周波数を算出する第2発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記第1発振周波数、前記第2発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する測定値算出ステップと、
を備えた測定方法。
【0119】
本開示の構成例は、以下のとおりである。
(9)
電気信号を受けて駆動し、当該電気信号に基づく超音波を測定対象物に伝搬させる送信部と、
前記測定対象物において伝搬された超音波を受けて、当該超音波を電気信号に変換して出力する受信部と、
与えられた電気信号を時間的に遅らせて出力する遅延器であって、与えられた電気信号を遅らせる時間である遅延時間を変更可能な前記遅延器と、
与えられた電気信号を増幅して出力する増幅器と、
を用いて前記測定対象物を測定する測定装置による測定方法であって、
前記測定装置が、前記送信部、前記測定対象物、前記受信部、前記遅延器、および、前記増幅器から構成されるループにより発振した状態における発振周波数を、前記遅延器により変更された遅延時間ごとに算出する発振周波数算出ステップと、
前記測定装置が、前記発振周波数算出ステップにおいて遅延時間ごとに算出された発振周波数である複数の発振周波数、および、前記測定対象物の音速を用いて、前記測定対象物の寸法を算出する測定値算出ステップと、
を備えた測定方法。
【0120】
本開示に係る測定装置は、発振周波数の次数が不明である場合においても、測定対象物を精度よく測定できるように構成したので、例えば、超音波を用いて測定対象物を測定する測定装置に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0121】
10 送信部、20 受信部、30 切り替え部、40,40-1,40-2,・・・,40-k 遅延器、42 遅延器(可変遅延器)、50 増幅器、100,100A,100B,100C 信号処理部、110 発振周波数算出部、120 音速取得部、130 測定値算出部、131 測定値候補抽出部、132 測定値決定部、140,140B 切り替え指令部、150 遅延時間指令部、1000 測定対象物、10001 プロセッサ、10002 メモリ、10003 入出力インタフェース、20001 処理回路、20002 メモリ、20003 入出力インタフェース。
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